第001回国会 本会議 第35号
昭和二十二年十月六日(月曜日)
   午前十時二十六分開議
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 議事日程 第三十四号
  昭和二十二年十月六日
   午前十時開議
 第一 昭和二十二年度一般会計予算補正(第三号)(委員長報告)
 第二 大藏省預金部等の債権の條件変更等に関する法律業(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
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○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。お諮りいたします。兼岩傳一君より病氣のため十六日間請暇の申出がございました。許可をいたして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。
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○議長(松平恒雄君) 次に、下條康麿君より理由を附して財政及び金融委員辞任の申出がございました。許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては、その補欠として高瀬莊太郎君を指名いたします。
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○議長(松平恒雄君) この際お諮りいたして決定いたしたいことがございます。治安及び地方制度委員長より、政府の地方出光機関の状況実地調査のため、宮城縣及び栃木縣、石川縣及び福井縣に、鈴木直人君、村尾重雄君、岡田喜久治君、青山正一君及び柏木庫治君を、本日から十五日までの間において、五日間の日程を以て派遣したいとの要求がございました。これら五名の委員を派遣することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。
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○議長(松平恒雄君) 日程第一、昭和二十二年度一般会計予算補正第三号を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。予算委員長櫻内辰郎君。
   〔櫻内辰郎君登壇、拍手〕
○櫻内辰郎君 只今議題となりました昭和二十二年度一般会計予算補正第三号案の、予算委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。去る九月二十六日より十月二日まで愼重に審議いたしまして、質疑應答の後、十月二日討論に入り、採決の結果大多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。本案の御報告に先き立ち、御了解を願つて置きたいと存じますことは、内務省解体に関連する予算が、昭和二十二年度一般会計予算補正第二号案として、すでに本院に提出せられておりますが、内務省解体手続未決定でありまするために、補正第二号案の審議を留保いたしまして、補正第三号案の審議を先きにいたしましたことを御了解をお願いいたしたいのであります。
 さて、昭和二十二年度一般会計補正第三号は、先般決定せられました皇室経済法施行法に伴い、直ちに必要と相成る皇族関係の予算を他の予算と切り離して提出せられた予算案であります。本補正によりまして追加の結果、歳入歳出共四千九百十九万五千円の増加となるのであります。歳出追加額四千九百十九万五千円の内訳を申上げますと、秩父宮、高松宮及び三笠宮について皇室経済法施行法による定額の改正に伴つて、既定予算の六十八万余円に対し、年額による皇族費の追加として十六万六千円、皇族の身分をお離れに相成る皇族について、その身分御離脱の時期までの間の年額による皇族費として百五十五万四千円、皇族の身分をお離れに相成る皇族について一時金額による皇族費として四千七百四十七万五千円、合計四千九百十九万五千円であります。本補正のための財源といたしましては、学校特別会計の廃止によつて受入れる特別会計の残金より受入金三千三十二万三千円及び昭和二十年度剰余金の内より受入金千八百八十七万二千円、合計金四千九百十九万五千円であります。
 本案審議に当たりましては、各委員から熱心なる質疑があり、政府又これに対して懇切なる答弁がありました。今その質疑應答の主なるものを申上げますれば、一委員より秩父宮、高松宮、三笠宮家その他に対する御追加額の内定を承わりたい、又現在の高物價時代にその金額は十分なりやとの質問の対して、政府委員より、御直宮御三家に対する本年度当初予算においては皇室経済法第六條に規定せられておる年額十五万円を基準として計上せられておりましたが、先に本國会において年額二十万円の基準に引上げられることになりましたので、引上げ後の追加額十六万六千円を追加支出額として計上し、更に御直宮御三家を除く他の十一宮家の十五万円基準より二十万円基準引上げ差額等を皇族籍御離脱に相成る時を來月中と予想して、それまで分を計上したものが百五十五万四千円となるのでありますとの答弁がありました。又一委員より、御直営を除く十一宮家が皇族籍をお離れに相成るということは、私共國民として皇族のご繁栄を祈つて参りましたが、図らずも時勢の変遷によつて國民籍にお移りになる。何と申しますか、非常に感慨が深いのでありまするが、今まで皇族として國民が崇めて参つた、それがこの度國民籍にお移りになる。今國家が差上ぐるこの一時金で、將來曾て皇族たりしその御品位をお保ちになることができるかどうか、特に戰災において打撃の多かつた宮家もあろうかと思います。それを僅かの一時金で國民籍にお降りになる。將來非常にお苦しいお方がおできになりはしないか、そういう点において畏多いことでありますが、十一宮家の御財産の御状態、又一時金の内訳等御伺いいたしたいとの質疑に対して、政府委員より、各宮家の御財産についた普遍的に分りますのは、財産税御納付の際に基礎になりました財産額と、更に財産税額を知ることによつて、各宮家の御財産残額を承知せられたいのであります。即ち東伏見宮家御財産百九十一万五千円、これに対する財産税百二十万二千円。伏見宮家御財産七百九十二万円その財産税六百九万八千円。山階宮家御財産百百五十四万三千円、その財産税九十二万三千円。賀陽宮家御財産百七十四万円、財産税百七万一千円。久邇宮家御財産七百四万八千円、財産税五百三十五万二千円。京都久邇宮家御財産十八万六千円、財産税三万四千円。朝香宮家御財産千六十七万九千円、財産税八百四十四万三千円。梨本宮家御財産三百六十八万六千円、財産税二百五十六万五千円。東久邇宮家御財産三百三十一万円、財産税二百二十六万四千円。北白川宮家御財産八百四十三万八千円、財産税六百五十三万八千円。竹田宮家御財産六百二十二万一千円、財産税四百六十五万四千円。閑院宮家御財産五百六十八万一千円、財産税四百十九万五千円でありまして、更に本予算によりて各宮家に差上げる金額は、皇室経済会議等の議を経て多少の変更があるかも知れませんが、予算として計上いたしました金額は、東伏見宮家が百十二万五千円、伏見宮家三百十五万円、山階宮家百五十七万五千円、賀陽宮家八百四十万円、久邇宮家八百四十万円、梨本宮家二百十万円、朝香宮家五百二十五万円、東久邇宮家六百七十五万円、北白川宮家三百三十七万五千円、竹田宮家五百二十五万円、閑院宮家二百十万円を計上いたしたのでありますとの答弁がありました。更に一委員より、皇室経済法によれば皇族の身分をお離れに相成る場合は、基準年額の十五倍までを一時金額として支出し得ることになつているのに、この予算では十一倍強或いは七倍半という率によりて計上せられておるのは何故であるか、皇族籍を御離脱になる宮様方の御上を思う時に、できるだけ多くの一時金を差上げたいのであるが、せめて皇室経済法に定められたる年額の十五倍までを差上げることはできないのかという質疑に対し、政府委員より、皇族籍をお離れになる各宮家の御將來につきましては、相当御困難ではあろうと思いますが、現在の我が國の財政状態その他我が國情等を考慮に入れまして、先ずこの程度を妥当と考えて本予算を提出したのでありますとの答弁がありました。更に一委員より、本予算に計上せられたる一時金に対しては、所得税を課せられるるや否やとの質疑に対し、政府委員より、所得税法第六條の第一項及び第五項によりて課税なしとの答弁がありました。尚、その他に重要なる質疑應答がありましたが、詳細は速記録によりまして御承知をお願いいたしたいのであります。
 十月二日質疑を終了して討論に入りましたが、自由党の石坂豊一委員より、我々は第一回國会において、皇室費に関してかかる予算を審議する機会を得ましたことは、誠に感激しておる次第でありまするが、我々は皇族籍を離脱せらるる宮家に対して、この高物價の際において、できることなれば法規の許す最高額まで支出することが國民の意志であろうと存じまするが、政府当局においていろいろの事情を斟酌せられて、この程度の金額にせられた当局苦心の存するところを諒として、原案に賛成するとの意見を述べられ、共産党の中西功委員の反対意見に告いで、無所属の川上嘉委員より賛成の意見を述べられ討論を終局いたしまして、採決の結果はただ一人共産党の中西功委員の反対ありたるのみにて、大多数を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。ここに御報告を申上げます。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければこれより採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本予算案は可決せられました。
○星一君 議長の宣言に不平を申上げます。過半数という言葉は何を意味しますか。五十何パーセントでも過半数であります。併し反対者は何人あります。ちやんと反対者は三人のみということを宣言されんことを要求します。(「絶対多数」と呼ぶ者あり)
○議長(松平恒雄君) 1人の反対者でも過半数ということになつております。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
○星一君 過半数は意味を成しません。絶対多数とか何とかいう言葉をはつきり言われんことを希望いたします。(「議事進行」「絶対多数賛成」と呼ぶ者あり)
○議長(松平恒雄君) 日程第二、大藏省預金部等の債権の条件変更等に関する法律案、内閣提出、衆議院送付を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長黒田英雄君。
   〔黒田英雄君登壇、拍手〕
○黒田英雄君 只今上程されました大藏省預金部等の債権の條件変更等に関する法律案につきまして、財政及び金融委員会におきまする審議の経過並びに結果について御報告いたします。先ず法案の内容並びに提出の理由について申上げます。本法は三ヶ條から成つているのであります。第一條におきまして大藏省預金部資金を融通いたしてありまする融通先が、災害その他止むを得ざる事由によりまして、元利金の支拂等に困難を來たしておりますものにつきまして、大藏大臣は預金部資金運用委員会に諮りまして、そして公共の利益のために必要ありと認めました場合におきましては、これが融通條件の緩和、又は延帶元利金の支拂條件等を変更することができるということを規定しているのであります。これによりまして預金部資金の運用を適正にいたしたいというのであります。衆議院におきまして第一條につきまして修正があつたのであります。それは條文の、大藏大臣が公益上必要ありと認めた場合に預金部資金運用委員会の議を経てということになつておりましたのを、これを前後いたしまして、大藏大臣は預金部資金運用委員会に諮りまして、そして公共上必要なる場合においては條件の緩和等ができるということに修正に相成つたのであります。
 尚第二條におきましては、御承知の通り預金部の資金の運用につきましては、直接に貸付けるものと、地方公共團体又は金融機関等を経由いたしまして貸付けまするものと二つの方法があるのでありまするが、その地方公共團体又は金融機関を経由いたしまして貸付けました場合におきまして、その最終の融通先が補償打切等法令の結果といたしまして、その元利金の支拂ができなくなつたような場合におきまして、直接の融通先でありまするところの地方公共團体又は金融機関がその回収ができない。これを預金部に支拂うことができないというようなことになりました場合におきまして、これが免除をいたしたいという法案であります。これらの條件につきましては、法令の規定に定めるところによりまして、その債務の全部又は一部を免除しようという規定であるのであります。これは運用委員会が貸付を定めまする場合におきまして、ただその金額を地方公共團体又は金融機関に貸付けるだけでなく、その最終貸付先までも決めまして、そうして融通條件等につきまして詳しく條件を定めて、運用委員会が決めておるのであります。その條件に從いまして、金融機関又は地方公共團体が最終融通先に融通をいたしておるのでありまするから、その地方公共團体又は金融機関の何らの過失によるのでなくして、融通條件そのままによつて貸付けておりますものが、只今申上げましたように法令の規定によりまして、例えば会社経理應急措置法によつて特別経理会社になつたとか、その他の止むを得ない事由によりまして、償還ができなくなつた場合であるのでありますから、これを中間機関に負担させることは適当でない、これは預金部の負担にするということが適当であるというので、かくのごとき規定を設けて、債務の全部又は一部を免除できるというふうにいたしておるのであります。これにつきましては、大体これらの適用をうけまする貸付は、現在七億一百万円程あるのでありまして、その中でこの適用を受けて免除されると推定されまするものは、約一億四千九百万円程あるということであつたのであります。
 それから第三條におきましては、この一條、二條の規定は、簡易生命保險及び郵便年金特別会計法によりまする積立金の運用による資金の融通によりました債権についても、これを準用するということにいたしました。その場合におきましては、「大藏大臣」とあるのは「逓信大臣」、又「預金部資金運用委員会」とありまするのは、これは法令による委員会、即ち政令で定めまする委員会、即ち簡易生命保險及び年金積立金運用委員会と申しまするものに諮つて、処置をするということに規定しておるのであります。それから附則におきまして、この法律の施行の期日は各規定について政令でこれを定めるということになりまして、第一條の規定並びにこれを準用しておりまするところの第三條は、公布の日から直ちに施行する予定であるということであります。但しこの法律公布の日から三十日を超える日以後に、これを定めてはならないとありまして、第二條の規定は政令で施行の期日を定めることになつておりますが、三十日を超えてはならない、三十日以内に定めることになるのでありますが、政府当局におきましては、これは預金部資金の損失処理法というものが、先般出來たのでありまするが、これがまだ施行されておりません。いろいろな手続上の関係から施行が遅れておるのでありまするが、これを施行しますると同時に、同じ時において施行をしたいということであるのであります。これは速かにその手続を運びまして、三十日を待たず、早く施行する予定であるということであつたのであります。
 尚この法律は財政法、即ち新憲法に基ずきましてできました財政法の第八條の規定によつたものであるのであります。財政法第八條におきましては、「國の債権の全部若しくは一部を免除し又はその効力を変更するには、法律に基くことを要する。」ということを規定しておるのであります。從いましてこの法律は先程申上げましたように、條件を緩和し又は債権を免除いたすのでありまするから、法律の規定によることの必要があるのでありまして、この法律を提案されておるのであります。從いまして從前には條件の変更等は法律によらないでできておるのでありまして、昭和十九年から二十一年までの間におきまして、條件の変更等をいたしましたものが五十三件あるのでありまして、その中の多くのものは戰災によつて支拂の困難になつたようなものが四十八件、風水害によりまするものが二件等であるのであります。
 かくして質疑應答に入りましたのでありまするが、只今私が御説明申上げましたことは、質疑應答において政府の答弁を得ました点によつて申上げたのでありまして、その他の質疑應答につきましては速記録に譲ることをお許し願いたいと思うのであります。
 かくて討論に入りましたが、別に御発言もなく、採決の結果本案は衆議院の修正通り、全会一致を以て可決すべきものなりと決定をいたした次第であります。これを以て報告を終ります。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。これにて本日の議事日程は終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午前十時五十九分散会