第001回国会 労働委員会 第4号
  付託事件
○職業安定法案(内閣送付)
○勞働基準法の適用除外規定設定に關
 する陳情(第二百五十二號)
○失業手當法案(内閣送付)
○失業保險法案(内閣送付)
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  委員の異動
八月二十九日議長において、本委員を
左の通り選定した。
           紅露 みつ君
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昭和二十二年九月十七日(水曜日)
   午前十時四十二分開會
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  本日の會議に付した事件
○職業安定法案
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○委員長(原虎一君) 只今から開會いたします。その前にお断りいたしますが、私ちよつとのつぴきならん面會人が來ておりますので、その間代つて議事を進めて頂きたいと思いまするが、理事の方にどなたかお願いしたいと思いますが如何ですか。
○委員長(原虎一君) それでは栗山さんに一つお願いいたします。
○理事(栗山良夫君) それでは委員長がお見えになりますまで、皆さんの御承認を得まして代理を勤めさせて頂きたいと思います。一般的な御質問は先般來の委員會で一應の形がついておるわけでございますが、この法案に對する全般的な、内容的な説明を政府委員からお聽きいたしたいと思いますが、如何でございましようか、よろしうございますか。
○理事(栗山良夫君) それではどうぞ、政府委員。
○政府委員(上山顯君) 時間が遅れまして誠に申譯ございません。職業安定法の提案の趣旨竝びに大體の構想につきましては先に米窪大臣から御説明申した次第でございますが、尚それに補足いたしまして大體の趣旨を主なる條項につきまして御説明申上げたいと思います。
 先ず第一章總則、第一條法律の目的でございますが、提案理由でも御説明いたしましたように、今までの職業紹介、殊に戰時中の職業幹旋につきましては御承知の徴用等の手段を伴いましての非常な強權的な勞務配置というような色彩が強かつたわけでございます。それで今囘の安定法におきましては、そういう今までのやり方を全然改めまして、各人にその能力に適當な職業に就く機會を與えるということを目標といたしまして、できるだけ各人の意思を尊重いたしましてやつて參りたいと考えております。と同時に日本の經濟再建のために必要な工業その他重要産業への必要な勞働力を滿たして參るということを考えて行く、かように考えておるのであります。
 第二條は、憲法第二十二條の精神を繰返しまして、何人も、公共の福祉に反しない限りは、職業の自由を持つておることを明らかにした次第でございます。第三條では、これも憲法の精神に則りまして、人種、國籍、信條、性別、社會的身分、門地、從前の職業、勞働組合の組合員であること等を理由としましての差別待遇がありませんように規定したのでございまして、こういう趣旨のことは勞働基準法等にも規定されておる通りでございます。而してこの第三條の規定としましては、「職業紹介、職業補導等について」とございまして、職業紹介、職業補導等を行います機關に對して法律的な義務を課しておるわけでございます。從いまして雇い入れる方としましては、そういう大方針の原則に從うという道徳的、社會的義務はありまするが、嚴格に男女同じように雇わなければならんというような制度はないのでございまして、適當に男を採用し、女を採用するということもできるのでございます。但し書にあります點は、そういう性質のものでありますので、勞働組合法の規定によつて、雇傭主と勞働組合との間に締結されました勞働協約でも別段の規定を決めております場合には差別的なような扱いになりましても、この第三條の違反にはならないのだということを明らかにしておるのでございます。第四條は、安定法によりまして政府の行う事業を速記してございまして、それの尚詳しいようなことについては後程いろいろ規定しておるわけでございます。その中で、或いは特に御説明を要するかと存じまするのは、第四條の第一號に、國民の勞働力の需要供給の適正な調整を圖るというような事柄があるわけでございます。それでこれは非常に大きな意味におきましても、こういう需要供給の調整を圖るための計畫が必要だと存じまするし、更に進みましては、相當長期に亙りましての國民の勞働力の需要供給の計畫ということも必要かと存じます。それであとの方につきましては、これは寧ろ安本等がやりますことが一層適當かと存じますが、日本の經濟再建の全般の計畫と睨み合せまして、勞務需給につきましてもそういう長期な計畫も必要だと思うのでございまして、私たちといたしましてもいろいろ資料を集めて研究はいたしておる次第であります。
 それから第五條は定義でございますが、特に御説明する必要がありません。
 第二章に、政府の行いますところの職業紹介、職業指導及び職業補導について規定をしてございます。その中第一節は通則でありまして、特に機構でございますとか、その他全般に關することが規定してあるわけでございます。それでこの點はすでに提案理由でも御説明いたしたのでございますが、職業行政というような仕事は、府縣ごとの區域によりまして別々の行政を行いますことが適當でない種類のものでございまして、人の動きを對象にする仕事でありますから、而してその人の動きが府縣の區域等には拘わらないわけでありますので、從いましてそういう人の動きを對象とします職業行政としましては、府縣知事に全部やらすという建前ではございませずに、どうしてもこれは國が統轄をするという必要がありまして、公共職業安定所としましては、これは國の機關ということになつておるわけでございます。併し一方職業行政というものは、いろいろ府縣等の地方團體の行政とも密接な關係がございますので、單に國の機關一本でやつて行くという建前ではございませずに、府縣知事が指揮監督をするということにいたしまして、府縣知事との繋がりを密接にやつて參るという趣旨で進んでおります。この點につきましては、實は立案の途中の案としましては、ブロツクを單位といたしまして職業安定事務局というような仕組を考えまして、勞働省職業安定事務局、それから職業安定所というふうに、國の機關一本でやつて參るというような構想も一時あつたのでございますが、今申したような府縣行政との密接な連繁ということを考えまして、全然國の機關一本槍でやるということは適當でなかろうという結論に到達したのでありまして、途中に府縣の知事さんを煩わすというやり方を考えておるわけでございます。ただこの第六條の第二項に職業安定事務所というのがあります。併しこれは今申したような非常に強力な職業安定事務局という、今までの構想しておりましたようなものとは違いまして、非常にこの現業的な連絡機關として職業安定事務所を考えておるのでございます。即ち二以上の都道府縣に亙ります業務の連絡に當らすというような點につきましては、私達今具體的に考えておりますことは、東京、横濱を中心としました南關東につきまして、學問上の熟語を使えば勞働市場といつてもよろしいと思いますが、勞働市場という言葉が耳障りだというようなことも考えまして、後に出て參りますが、勞働需給區域というような言葉を使つておるのでございますが、とにかくそういう府縣を超えましての人の流れがあるわけでございます。南關東の勞働市場區域、その他阪神地方、それから中京地方、山口縣の一部をも含めましたところの北九州關門地方、こういう地方につきまして、府縣を超えましての勞務の流れを調整いたしますために、連絡機關としましての職業安定事務所を設置いたしたいと考えております。具體的に申しますと、府縣の範圍を越えまして求人、就職の申込みのカード交換というような仕事をやりたいと考えておるのであります。そういうことが職業安定事務所の目標の一つでございます。只今具體的に職業安定事務所を設けたいと思つておりますのは、そういうことだけでございますが、尚法律の上におきましては、技術に關する事務について府縣知事に指示若しくは助言をするということもできることになつておりまして、例えば職業指導でございますとか、職業補導というような技術的な行政部門につきまして、今のところ各府縣になかなか專門家を揃えることができないので、そういうのを本省の方の者が駐在をいたしまして、二府縣以上の職員につきまして、技術に關する指示、助言をするということにいたすことも、法律の上ではできることになつているのでございます。それで第七條の點に、都道府縣知事としましては、勞働大臣の指揮監督を受けまして、公共職業安定所の業務の連絡統一に關する事務を掌つて、公共職業安定所長を指揮監督するというような規定があるのでございます。それから第八條は、公共職業安定所の規定でございまして、「無料で公共に奉仕する公共職業安定所を設置する」ということが規定されているのでございます。公共職業安定所という言葉は實はこの四月から使つているのでございまして、内容の中心は職業紹介機關でございますので、あつさり職業紹介所という名前ではどうかということも考えられたのでございますが、從來の職業紹介機關につきまとつておりますところの既成概念、そういう因習を一擲いたしまして、眞に公共にサービスをする機關という趣旨をはつきりいたしたい意味で、聞きなれない言葉ではございますが、公共職業安定所という言葉を使つたような次第でございます。それで公共職業安定所は勞働大臣の管理に屬しまして、これは直接國の機關ということになつております。それから第九條に、職員の任用その他人事についての規定がございます。これら安定機關に從事します者については、できるだけその仕事になれました者を長く勤めさしたいというような考えからいたしまして、資格、要件その他について、規定いたしているのでございます。と申しましても、全然外部から人を入れないとか、外部への轉出を認めないとかいう趣旨じやございませずに、人の出入は認めるのでございますが、できるだけ安定さして仕事に從事さしたい、こういう趣旨でございます。それで第九條の第二項に「その意に反して、職業安定機關以外の機關の職に轉じさせることはないものとする」という規定がございますが、これは今申した趣旨で、その意に反しては轉じさせないというように規定してございますが、本人の希望によつて轉ずることもございますし、又行政整理でございますとか、懲戒等のために迭りますことは、勿論前提にいたしているのでございます。それから第九條の第三項に、任命の手續のことがございますが、只今と變つている點を申上げますと、只今都道府縣におります者は、これは地方事務官ということになりまして、身分としましては内務省が握つているということになつておりましたのを、全部勞働大臣が身分を握るということにいたした點が一つでございます。もう一つは、公共職業安定所の者につきましては、これは國の機關でありまして、勞働事務官ということになつておりますので、それについては、只今までは三級官でも全部本省へ參るということにいたしておりますのを、事務簡捷と、成るたけ都道府縣知事の地位を認めようという考えからいたしまして、三級官は都道府縣知事に委すことにして、二級官のみ勞働大臣が自分で任命するというようになつておるのであります。第十條、第十一條に「公共職業安定所の業務を補助させるために連絡委員なり、又市町村長を煩わすということが書いてございます。第十二條に職業行政につきまして業務の實情に應じ、又できるだけ關係者の意思を反映さして運營いたしたいというつもりで、職業安定委員會というものを設けることになつております。これは各種の段階がございまして、中央にもございますし、都道府縣にもございますし、それから府縣を超えましても、先刻申上げましたような勞働市場を管轄いたしますような委員會もございます。それから安定所を區域といたしますような小さい區域の委員會も置くことになつております。そうしてこれは諮問機關という性格ではございますが、十二條にこまごま規定いたしておりますように、度々會議をもう開き、どうかいたしますと今までの委員會がほんのときどき會合を開きます有名無實に過ぎない弊を改めまして、眞に實質的な御相談の機關といたしたいと思うのでございます。尚これの委員につきましては、勞働者を代表する者、雇用主を代表する者、公益を代表する者を以てこれを組織するということにいたしまして、勞働者を代表する者、雇用主を代表する者はおのおの同數とするということに相成つております。途中省略いたしまして、第十六條以下に職業紹介の規定がございます。十六條、十七條等については特に御説明は要らないかと存じます。ただこの十七條の三項に「特殊な業務に對する求職者の適否を決定するため心要があると認めるときは、試問及び技能の檢査を行うことができる。」ということが書いてございます。それから關連しますから申上げますと、後の二十三條に適性檢査というような規定もございます。それで今後の職業行政といたしましては、今まではややともいたしますと大雜把な職業の斡旋というようなことがございましたのを、もつと科學的と申しまするか、本人の性能等を十分檢査いたしました眞に適職に斡旋するというふうに努力いたしたいつもりでございます。第十九條の職業紹介の原則の規定でございますが、そのうち第二項に「公共職業安定所は、求職者に對し、できるだけその住所又は居所の變更を必要としない就職先に、これを紹介するように努めなければならない。」という規定がございます。これは後に勞働者募集のところにも出て參りまして、第三十九條に募集地域の原則といたしまして、同じような趣旨からして「勞働者の募集を行わうとする者は、通常通勤することができる地域から、勞働者を募集し、その地域から、勞働者を募集することが困難なときは、その地域に近接する地域から、勞働者を募集するように努めなければならない。」という規定がございます。これらの規定の趣旨といたしますところは、外の條件が均しくて事情が許すならば、なるたけ自分の家から通勤ができるというようなところへ就職するのが最も望ましい、雇用關係の民主化の點からも望ましい、こういう方針でこういう原則が掲げられておるのであります。從いまして今後の工場の建設等につきましては、こういう方針も一つの大きな要素に考えて貰いまして、工場の立地を決めて貰いたいと思うのであります。ただ現状におきましては、こういうことに拘わらず現に工場は建設されておるわけでございます。尚今後におきましても、工場の種類等によりまして、どうしても餘所から人を雇わなければならんというような場合も出て來るかとも思うのであります。從いまして原則としましてはできるだけこういう方針によりたいと思つておりますが、これの運用に當りましては實情に即しまして彈力性を以て運用して參りたいと思つておるのでございます。この點につきましてはこの委員會で前にもいろいろ御質問がございましてお答もいたした點でございます。それから第二十條に爭議行爲に對する不介入の規定がございます。即ち公共職業安定所としましては勞働爭議のありました場合に勞資のいずれにも偏らない中立の立場を維持いたしするために、現に爭議行爲の發生しておりますことが明かな業務の部門なり、又は爭議行爲の發生する虞れがありますことが明かな業務の部門には求職者を紹介しないということになつております。ただその業務の部門が爭議が發生していない、又爭議が發生する虞れがないという部門でありました場合には、求職者をあつ旋してもよろしい。但しその場合にはその業務につきましては他の部門において爭議行爲が發生しておるということを文書によつて通告しなければならない、かような規定に相成つておるのでございます。第二十二條以下に職業指導に關する規定がございます。それから第二十六條以下に職業補導に關する規定がございます。この邊につきましては特に御説明は要らないかと存じます。
 第三章は、政府以外の者の職業紹介、勞働者の募集及び勞働者供給事業でございまして、第三十二條以下に規定があるのでございます。先ず三十二條の有料、營利の職業紹介事業でございますが、これは現在の職業紹介法におきましては原則的に有料、營利職業紹介事業というのは禁止しておるのでございまして、ただ職業紹介法が施行當時にこういう仕事をやつておりました者が過渡的に仕事をやりますことのみが認められてあつたわけでありますが、今囘安定法ができるにつきましては、こういう大方針は國際勞働總會等でも決まつておる方針でありまして、その方針に則りまして、有料又は營利を目的とする職業紹介事業は原則としてはやつてはいけないということにいたしておるのでございます。ただ美術、音樂、演藝その他の特別の技術を必要とする職業に從事する者の職業のあつ旋につきましては、むしろ一般の職業紹介機關がやりますことは効果が少いだろうというので、そういうものに限りまして職業紹介事業を行つてもよろしいということにいたしております。但しこの場合には勞働大臣が豫め中央職業安定委員會に諮問をいたしますとか、又許可の有効期間を一年といたしますとか、そういう規定を設けまして、弊害の生じないように萬般の氣を使つておるわけでございます。第三十三條は無料の職業紹介を行わうとする場合についての規定でございまして、これも現在におきましては經過的に現にやつておりますものを認めておりますのみで、原則的には無料の職業紹介事業も禁止されておるわけなんでございますが、ところがこれらにつきましては十分の監督を行いますれば、必ずしも弊害があるものとも限りませんので、今囘の安定法では勞働大臣の許可を受けることを條件といたしまして、無料の職業紹介事業を認めておるのでございます。但しこれにつきましても、安定委員會に對する諮問でございますとか、有効期間二年というような制限規定を設けておるのでございます。それから第三十五條以下に勞働者募集の規定がございます。勞働者募集につきましては、現行の紹介法でもいろいろ規定があるのでございますが、大體それによつておりますが、しかし弊害がないものと考えられますようなものにつきましては、現行の紹介法よりもむしろ自由にいたしておる面もあるのでございます。特に御説明する必要はないかと思います。第三十九條の募集地域の原則につきましては、前に觸れた點でございます。それから第四十四條に勞務者供給事業についての規定があるのでございます。勞務供者給事業については、只今の職業紹介法ではこういう事業を認めておるのでございますが、但し最近におきましてはそういう仕事は全然許可をしない方針にいたしておりまして、殊に進駐軍關係の仕事につきましては、昭和二十年十月から以降は勞働者供給事業を全然認めないことにして、現にやつて參つておるのでございます。それで勞働者供給事業につきましては、どういたしましても所属いたしておる勞働者に對しましての支配關係というようなものが伴いまして、雇用關係の民主化の點から申しまして、いろいろ弊害がありますので、今囘安定法によりましては、勞働者供給事業を全般的に一應禁止をするという方針をとつておるのでありまして、ただ例外といたしましまして勞働組合法による勞働組合が勞働大臣の許可を受けました場合のみは、勞働者供給事業を行うことができるということにいたしておるのでございます。それで只今關係業者も二千數百ございまするし、これに從事いたしておりますところの勞働者の數も七、八萬に上つておりますので、これが禁止されます場合には相當の影響がありますことが考えられるのでございます。但し私達といたしましては、こういう方針がとられるだろうということは今まで業者には洩らしておりまして、いろいろ對策も考えさせておりますし、尚本法施行後三ヶ月間は猶豫を設けておりますので、その間に善後措置を構じさせたいというつもりでありますが、大體のこれに對する對策の方針としましては、先ず第一番目にはこれらの勞務供給業が供給いたしておりますのは、工場の雜役、人夫等が相當多いのであります。それでそういうものにつきましてはできます限りは、工場等の常用に直して貰いたいということを考えております。それから第二にはこの法律で認められておりまするような組合法による組合を作らしまして、自主的に勞働者供給事業を行わして行くということを考えております。それから第三といたしましては國の職業安定機關を活用いたしまして、今まで供給業者がやつておりましたような機能を安定機關にやらしたいということを考えております。それから第四番目としまして、こういうことがあろうかと思つております。それはこの勞務供給業を營んでおります者が同時に本業若しくは兼業として請負事業を營んでおるようなものがあります。その請負事業の常用として雇われるというようなこともあり得るということを考えておるます。
 それから第四章は雜則でありまして、一々の規定は必要ないかと思いますが、若干問題があると思いますのは、五十六條以下に都道府縣知事に對する監督の規定があります。それで都道府縣知事としましては、これは地方自治法によりまして、自治體の首長であるという一面を持つておりますと共に、國の行政機關であるという一面があるわけでございます。それで國の行政機關としてこの安定法においてもいろいろの職權があるわけでございますが、そういう職權を守らなかつた場合の是正の規定が必要になつて參るわけでございます。それでここにありますのは、本法に基いての命令とか處分に違反したと認められます場合について、都道府縣知事に對しまして、是正命令を出すことができる。更に五十七條におきましては、都道府縣知事が是正しないときには、高等裁判所に對しまして都道府縣知事に對して是正命令を出して貰いたいという請求ができる。更に五十八條におきまして、それでも尚都道府縣知事が是正いたさないときには代執行ができるという、そういう趣旨の規定ができておるわけであります。それでこの點についてはいろいろ私達の間でも研究をいたした點でございますが、特に都道府縣知事が國の行政機關たる面がございます以上、國の行政機關として中央の命令なり法令の現定に從わない場合には是正する必要があるのでございまして、何らかの規定を設けますことは、どうしても必要だと思うのであります。ただこの都道府縣知事が同時に自治體の首長であるという地位に鑑みまして、その手續はできるだけ愼重にしなければならん。こういう趣旨からいたしまして、五十六條以下にありますような若干煩雜だと或いは御覧になりますような規定せ設けたわけであります。尚これの適用につきましては、できるだけ代執行でございますから、そういうような手數が起りませんように、運用上には十二分の注意をいたしたい考えでございます。大體以上を以ちまして、主だつた規定の御説明といたします。
○理事(栗山良夫君) 本案の内容につきまして、逐條的に要點の御説明を頂いたわけでありますが、丁度先程から委員長がお歸になつておりますので、私はここで代理の責を解いて頂きたいと思います。
○委員長(原虎一君) 失禮いたしました。只今説明を聞きましたのですが、直ちに質問に入りたいと思いますが、總括的質問を先きに願いますか、それとも章を逐つてやつた方がよろしうございますか。
○姫井伊介君 章を逐つておやりになれば、第一章で總則があれば從つて總括的な質問も出ましようし、章を逐つてお進め願いたいと思います。
○委員長(原虎一君) それでは章を逐つて質問いたすことにいたしたいと思います。第一章から質問を願うことにいたします。
○姫井伊介君 第三條の「信條」とありますのは、これは思想上若しくは宗教上のあれは信念とか信仰とかいうことの意味なんでございましようか、この「信條」の意義をお尋ねいたします。
 その次に第三條の三行目でありますが、この「雇用主」という文字の使い方でありますが、勞働基準法には使用者とあつたと思います。雇用主ということを私は使用者もいけないが、むしろ雇用者といつた方が非常に穏やかな感じがするのではないか。主ということ、これに對應いたしますことは被用者ということになつております。用いられる者ということは先にありますが、一つは主ということ、一つは者ということにやはり對立的な觀念が隠されて行くのでありまして、私は主というのはこれは訂正せられて使用者という言葉を使つたのが妥當ではないかと考えるのであります。尚この但し書におきまして、勞働組合が何かの仕事を引受ける場合があるかどうか。若し勞働協約などにおきまして、或る一つの事業を引受けたといたしました時に、今度は勞働組合が雇主になる場合が考えられる。その時には矢張り勞働組合を雇用者と考えて行くことがあるかどうか、この關係をお尋ねいたします。第四條におきまして、業務が列記してありますが、この職員に對する五十二條の教養ということは無論でありますが、更に求職者に對する或る職業指導、又は補導とありますが、その中には當然精神的な指導と言いましようか、精神的な指導が行われることを現わす必要はなかろうか。餘りにこれは錯雜としたものでありまして、實際の安定所等に聽きますると、ただ仕事の選り食い、或いはそれに對する報酬賃金の如何によつて取引的に考えられておる。今日の日本經濟再建の上から勞働、勤勞の重要性を考えて行きまするならば、もう少し勤勞者に對しましても、取引觀念から離れてやはり尊い信念の持主であるという立場からいたしまして、その職業を尊重し、勤勞を勵んで行くという點につきましては、やはり指導者側におきまして、一つのヒントを與える。親切な指導を與えるという部面が非常に必要だと思うのであります。私はそういうふうな方面をやはり加えて指導させる必要はなかろうかということを考えるのであります。それの第七項におきまして、失業手當若しくは失業保險、これは本人のみに給付されるものでありますから、若し多くの家族を持つておる場合に、それのみによつてはやはりやつて行けないこの職業補導を受けて行かれない。これはやはりいろいろそういう關係はあるのでありまして、補導を受けたいけれども、生活に苦しんでその餘裕がない。こういう場合には生活保護法というものが、更にその上に超過して操作されるべきものでありますかどうか、これをお尋ねいたします。
 尚言葉の文字でありますが、第四條の第三號でありますか、「あつ旋」とあります。先にも或いは編さんと假名が使つておりますが、これは漢字制限の上で、從つてそうなつたかと存じますが、併しこれはやはりどうも分りにくいのでありまして、止むを得ざるこういうものはやはり漢字をお使い下さることが適當ではないかと思います。以上でございます。
○政府委員(上山顯君) お答え申上げます。第三條の信條とございますのは、これは外の法律にもいろいろこういう點がございますので、宗教的の信條なり、政治的の信念のことでございまして、例えばキリスト教徒でございますとか、或いは特定の政當に属するとか、そういう場合が信條でございます。それから雇用主をむしろ雇用者と改めてはどうかという御意見でございますが、これは特に深くこの點實は檢討をいたしておりませんが、今までも又丁度御審議を願います失業保險におきましても事業主と、主という言葉を使つております。どちらがいいかにつきましてはいろいろ御意見があるかと存じますが、一應長年の常例に從つて使つた次第であります。
 それから第三條の但書の點でございますが、ここで規定しておりまする意味は例えば勞働協約でこの組合の者は採用しないとか、或いは採用するとか、そういう勞働協約がありました場合は、勿論勞働協約に從いまして雇用主が採用することは差支ないのだ、これだけのことを規定したわけでございまして、御質問のような場合は、實はこの規定では豫想して規定した次第ではないのでございます。
 それから職業指導の點でございますが、これは第五條に職業指導の定義も掲げてございますが、本法で職業指導として用いておりまする意味は、主としてこの定義に掲げてありますような、その本人に適當な職業の選擇を容易にさせ、及びその職業に對する適應性を大ならしめるために必要な實習、指示、助言その他の指導を行うというのが職業指導でございますが、併し只今御質問にございましたように、職業についての觀念を適正しますためにいろいろの宣傳と申しますか、啓蒙と申しますか、そういうことをいたしますことは、お説の通り非常に必要なことだと思つておりまして、安定所としましてはそういう仕事に今まで努力いたしたつもりでございますが、今後そういう方面に一層努力するつもりでございます。
 それから失業保險と生活保護法との關係でございますが、これは近く失業保險法、手當法を御審議を願いますときに、更にいろいろ御説明をいたしたいと存じますが、失業保險としましては標準報酬というものを基準にして、それの何パーセントの保險金というような規定の仕方になつておるのでございます。その標準報酬の中に家族手當も入れたつもりでございますので、若干家族數等も考慮されますが、併しとにかく結論といたしまして失業保險金だけでは生活ができないという場合もあり得ると存じますが、そういう場合についてその者が更に生活保護法の條件に適いました場合は、カバーするような意味では、生活保護法の給付を受け得ることもあり得ますことを申上げたいと存じます。
 それから「あつ旋」の「あつ」という字が假名でございますことは誠に見にくい。私達も好きではないのでございますが、これはまあこういう方針で當用漢字のみを使うことになつておりますので、止むを得ずこんなふうになつておるわけであります。
○委員長(原虎一君) 第一章につきまして、その他御質問はありませんか。
○深川タマヱ君 只今もくろんでおります職業安定所は本人が自發的に職業安定所へ職を求めに賓た人のみを對象にいたしまして、その人について能力本位に、そうしてその人の意思を尊重して適當な職に就かしむる機構になつておりますけれども、只今の日本の實情は本當に職業安定所へ職を求めて行かない人だつて、職業安定所へ行つて少少の月給ぐらい貰つてもあまりいい暮しもできないからというので、闇その外不健全な仕事によつて渡世をして行こうという考えの人が大變多いので、そのために日本を暗くしておることが非常に多いと思いますので、職業安定所の精神をもう一歩突き進めまして、國家が本當に國民の生活を保護する目的から、各人の家庭の生活の實情を調査いたしまして、この頃でありましたら自由引出し貯金がどのくらいあつて、そこの家族のおのおのがどういう職業に就いて、どのくらい收入があるか、これならば眞面目に暮して行ける見込の立つ人はそれでいいけれども、これだけの就職の状態では家族が眞面目に暮らして行けない實状にある場合は、それは國家がもつと平渉を加えて、もつと適當な職に就かしむるということも必要だし、又世帶持ちが非常に下手であつて、もつと上手に切り盛りしたら暮らしがよくできて、よくしない人もありますが……、それに知識を與えて、更にもう一歩突き進んで、職業安定所から家庭の中に入り込んで行つて、職業の世話をするということは、今の日本では大切であると思います。少し脱線しておるかも知れませんけれども……。
○國務大臣(米窪滿亮君) お答えします。理想を言うと深川さんのおつしやる通りで、そこまで參れば痒いところに手が届くようになるのですが、現状ではなかなか豫算の關係及び職業安定局の人員の關係でなかなか參らないことがございますが、前段でお尋ねの今日職業安定所へ職業の求職に行く者は比較的少い。その原因としては、そこで紹介をして貰つて就職して得る收入よりももつと多い、即ち闇の方に行くのであるからという點については同感でございます。併しこれは過日政府が發表しました緊急經濟對策が、計畫通り軌道に乘つて參りまして、即ち流通秩序の確立が實現して參りますというと、いわゆる闇がなくなつて來ますから、我々はそこでいわゆる失業者が出て來るのではないか、こういう工合に考えておるのであります。昨年度の求職者が實は二百二十萬人登録されておつたのに對して、求人の方が三百萬を超えておる、約八十萬ばかり計數としては多いのです。そこでいわゆる就業が成立した者が百三十萬、こういう状態でございますから、この數字は勿論昨年度の特別な數字であつて、これで今後の見通しはつかんと思いますが、我々としては尚未だ職業紹介所において就業の機會を與え得る希望がある。もつと工夫をこらして、或いはもつと職業安定所の政治力を強大化して行けばあるのではないかと考えております。大體職業安定法を今議會に上程したのもそういつた意味から來ておる、こういつた點を御了承願いたいと思います。
○小川久義君 實はこの職業安定法案の概念からしますと、安定した事業があつて職業を安定するということが原則のようでありますが、近頃の事業はどの事業も不安定であります。この不安定な事業の上に職業の安定のみ考えられんのであります。休會中に富山へ歸つておりまして工場を二つ程調べて見ましたが、立山重工業の如きはすでに成り立たない。何放成り立たんか。不二越の會社もそうでありますが、千人でできる仕事に大體二千人、二千五百人の職工を擁しておる。そうして最低生活を保障しろというて皆千六百圓を要求し、二千三百圓を要求しておる。この現状では事業が成り立たん。そこの所へ職業をこの法律によつて安定するというのは考えられんと思いますが、根本の事業の安定ということをまず先におやりになつて、然る後職業の安定……、むづかしい法律なんか作らなくても職業の安定は十分生れて來るのじやないか、かように考えますが、大臣の御所信を伺いたいと思います。
○國務大臣(米窪滿亮君) お尋ねの點は、本法の職業安定という、その安定という言葉も相當お尋ねの點と關連があるように考えておりますが、これはそう深い意味があるのではないのでありまして、これはやはり職業紹介法が新憲法の精神に基きまして、いわゆる職業の選擇を誰人もなすことができるという、あの憲法の精神を實に化する意味において從來の職業紹介法の不備の點を補つて行くためにこの法律ができたのでございまして、名前はただ職業安定とこうしたと私は考えておるのであります。勿論そういつた文字の解釋を離れましては、事業が安定しなければ就職の機會が少くなるだろうというお尋ねについては同感でございます。併し事業の安定を圖るということが濟んでからこの法律をやつてもいいじやないかということは私は賛成できないのでありまして、現に失業對策が相當現下は重大な問題で、多くの失業者が出ることが豫想されるのであります。これはやはり事業が如何に安定するかということも必要であるが、例えば産業合理化をやるためにはやはり企業の合理化、更に引續いて企業の整備ということも、一つの企業内においてものの配置轉換を行つて、なるべくその企業内において失業者をなくす。どうしてもその企業で失業者を整理吸收することができないときは、他の企業の方へこれを配置轉換をする、こういつた工合で段々とこの需給の關係は一つの企業から離れて國家的な事業になつて行く傾向にあるのでありまして、從つてこの意味において國がこの失業問題を處理することがまず第一著手で、就職の機會をなるたけ多く作るということが必要である。勿論御指摘のような點においては事業が甚だ不安定であることは現下の經濟段階においてこれは私共認めまするが、さればといつて政府が手を拱いておるわけにも行かない。政府はそれに對して公共事業を起すとか、或は電源の開發をやるとか、或いは輸出産業の振興を圖るとか、こういうことによつてそういうことを處理しなければならないのであります。この點においてもやはり職業紹介も必要であるとこういう工合に考えております。
○山田節男君 これは總側の第一條から第五條までのこのバランスの問題ですが、第一條にはいわゆる職業安定の法律の目的ということを謳つておりますが、これはやはり憲法の第二十五條には、いわゆる國民は健康にして文化的な最低限度を保障してある。それから基準法の第一條に、例の勞働條件は、あくまで人たるに値する生活を保障するものでなければならん。そういうことを謳つておる。そうしてこの總則の第二條には、いはゆる憲法の二十二條でありましたか、いわゆる職業の選擇の自由ということを謳つてある。そういうことを見ますと、やはりこの第一條の中か、或いは更に第一條に、いわゆるこの職業安定のために行う職業紹介ということは、結局これは雇用の安定というばかりでなくて、一つの生活の保障、從つて生活安定所で行いまする職業の斡旋ということに關する一つの條件というものは、いわゆる雇用條件、勞働者にとりましての雇用條件というものは、これはやはり基準法の第一條、憲法の第二十五條に附随した規定を必ず設けなければならん。殊にこれはイギリスにおいてでありますが、これは失業保險とも關係がある。職業安定所で失業保險を扱うということになれば、これは尚更必要と思いますが、要するに失業した者が求職する場合に、今まで自分の受けていた賃銀より以下の場合に、これを拒絶しても、これを拒否した場合にも、失業保險の給付を受ける。それを受けるに關係しない。これは可なり職業安定所の失業保險條件につきましての大きな問題であります。確か十六條だつたと思いますが、この安定所では勞働時間、その他の勞働條件が、通常の勞働條件と比べて、著じるしく不適當であると認めるときは、その申込みを受理しないことができる。これはいわゆる雇用者に對しての問題でありまするが、併し總則において、今の憲法、基準法、これとこの總則の第二條とを有機的に連關するために、第一條の中に、やはり從來自分が受けておつた從來の賃銀に劣らない率の賃銀、或いは勞働條件でやつて行くことを、條件を當然設けられるべきじやないかと思うのであります。とかく從來の職業紹介事業、或いは現在すでに行なつておる職業安定所、勞働安定所を見ましても、仕事がないのだからと言つて、贅澤を言うな、賃銀は多少少くともよかろう、働かなくちやならんということを可なり我々は窺い得るのでありますが、これはやがて低賃銀、いわゆる失業者が多くなれば、失業者のいわゆる競爭というものによつて賃銀が低下する。延いては組織勞働者に對しても、非常なる脅威を感ずる。これは歐米各國ですでに長い間經驗したことでありまして、今職業安定法を作るについては、第一條に必ずこの文句を入れて貰いたい。これは決して社會主義的の文句ではなくて、日本の憲法、勞働基準法から申せば、當然の精神であると思います。一つこの點について大臣の御意見を承りたいと思います。尚私としては、第一條に必ずこれは謳うべきものである。かように私は考えております。
○國務大臣(米窪滿亮君) 山田さんのお尋ねであり、且つ御意見である點は、憲法の二十五條と基準法の一條、そして本法との關連性において、いわゆる一人々々の人間として、文化的な生活をなし得る價値のある待遇を受ける權利というようなことを本法で現わしたらどうかということである。こういうようなことでありますが、すでに憲法でも決めてありまするし、勞働基準法でこの點がはつきりしておる。これを承けて來て第一條に目的の所で書いてあるのでありまして、これはこの今日の日本のレイバー・マーケツトは、非常に狭いのであり、從つて本人の意向によつては、今までの給料よりは、或いは今までの勞働條件よりも惡くなつても、時間のアンバランスのこの關係においては、少くとも勞働條件が惡くなつても、働く意思を持つている人に對しては、法律によつてこれを保護するということは、これは却つて本人のためでないかということを考える。そういうことをここに明文化すると、從來の勞働條件よりも惡くなつたとか、從來の賃金よりも安いことについては、本人が望んでも、これは就職を斡旋することができない、こういう窮屈な解釋が當然起つて來る。これは自由に、本人の意思によつては、この勞働條件が從來より惡くつでも、職業安定所が斡旋ができるようにした方が、却つて本人の自由意思を尊重することになるという意味で、こういうことを書かなかつたのであります。
○山田節男君 今の大臣のお言葉は、これは自由黨の人ならば、これは私は非常にそりあると思いますけれども、少くとも社會黨の大臣としてそういうことを言われることは誠に意外と思いますが、併しこれは今おつしやつたお言葉から言うと、職業安定所、或いは勞働安定所というものが、從來の社會事業的な、慈善事業的な、僕はやはり一つの殘滓があるのではないか。これは最も恐るべきことでありまして、これはああいうような勞働保險法、それから勞働基準法、こういうもののバランスから考えましても、今大臣がおつしやつたような、そういうような、そういう御意見では僕は非常に不滿であります。私はこの職業安定所に厄介になるべき者は、今後は相當勞働組合員であつた者も出ましようが、これは主として未組織の者、未組織勞働者は一般に弱いのです。そういうことになれば、先程おつしやつたように、安い賃金でも働かなければならない、本人はそれを喜ぶ。又それは急場だからしようがない。又日本として敗戰經濟の危機にあるから少々我慢してもやらなければならん。なんでもやらなければならん、耐之生活だからしなければならん。その理窟は立ちますけれども、併し今の憲法の建前から言つてもそういうことで、いわゆる日本人にあり勝ちな、いわゆる常織的な、或いは奮時代の慈善事業的な立場におきまして、これも非常に危險である。殊に今憲法、基準法にあること 十分これで、それを前提としてやるんだから、そういう危險はないかとおつしやるけれどもそれならばなぜ第二條に、「公共の福祉に反しない限り、職業の自由の選擇」ということを揚げる必要がありますか、それは私が申上げたように、この立法技術から申しましても、第一條と第二條、これは憲法のいわゆる勞働權と申しますか、生存權と申しますか、これとのバランスがとれていない、これを私は申上げた、少くとも、この中に、この第一條にございます通り、「各人に、その有する能力に適當な職業に就く機會を與えることによつて、工業その他の産業に必要な勞働力を充足し、以て職業の安定を圖るとともに、經濟の與隆に寄與することを目的とする。」でありますから、これにもう一項目、なんと言いますか、先程申上げました、勞働條件著しく不良なような職を與えちまいかん、そういう自由競爭、自由經濟式なことをさせないということを一方謳つて頂くか、さもないならば、第二條とのバランスをとるために、それじや第一條にそういうことを謳われたらどうか。立法上、この法律の安定りの第二條とのバランスからも、實は私は是非そうして頂くのが當然じやないかと思います。そういう點については如何でございますか。
○國務大臣(米窪滿亮君) 山田さんのお言葉は心外であります。私は苟くも社會黨の黨員であつて、決して自由經濟論者じやない、私の申上げたのは、或いはお聞き違いになつたかと思いますが、すでに十六條において求人を申込む者が、本人が從來就職しておつた條件よりも惡い條件でしてはいけないということを決めてある、又第二條に職業の選擇ができるということにしてあるのであります。併しそれと同時に本人の意思によつて、自分が今までこれだけの給料を貰つておつた、今までの勞働條件はこうである。併しいろいろマーケツトの事情から見て、今までと同じ條件では到底自分は雇われるチヤンスがないというときに、法文において、今までの勞働條件を下げるような條件では雇うことはできないということは、決して本人のために不親切ではないというので、本人が今までの勞働條件より以上に、今までの賃金より多いことを望むことは、何ら妨げておらない、私はそういうことをしてはいけないということを申上げるのではない、本人の自由意思を尊重せしめるという意味においてここに敢えて書かない方がよいのではないか、書けば、却つて勞働條件が安くてもよい。惡くてもよいということを拘束してしまうというならば、現下の需給關係が非常に窮窟なとこにおいて、ますます失業者が多くなるのではないか、こういうふうに申上げたに過ぎないのであります。
○山田節男君 今の米窪大臣にも多少誤解があると思いますが、要するに職業安定というものは、ここにございまする通りに、一つの紹介事業をやりますと同時に、職業補導をやり、指導をやる、殊に補導をすることによつてその職業に就く、就職の機會を作るということをここに謳つてある。そういう意味からいたしまして、私は憲法に保障された國民の勞働權、而も最低生活の……それからそれによつて基準としまする勞働基準法、それと竝んで、一つの勞働省の職業安定局の主要事項、これは有機的に一貫性を持たせなければならん、或る程私は先程申上げましたように、十六條には、「通常の勞働條件に比べて、著しく不適當である」場合には、これより低い時にはこれを受理しないことがある、こういうことで十分妨げるということを申しておりますけれども、少なくともこの安定法の第一章は總則であります。一つの精神であります。たとえ抽象的であろうとも、そこに一項目入れることによつて、その最後に、第六條に謳う……私は今大臣のその點の御説明だけでは、殊に昨今のように失業者が非常に殖える、企業整備その他によりまして非常に失業者が殖えるという點におきまして、これは當然勞働の供給が需要にオーバーするということは明らかな事實であります。從つてこれは低賃金ということに、必らずそうなるべきであります。殊に日本のように、たとえ組織勞働になつておりましても、そういう危險はありますが、こういうものが安定所へ參ります無組織のものは、非常にその點不利になるという點が多分にあると思います。この点について私は十分一つ御研究を願いたいと思います。
○政府委員(上山顯君) 只今山田さんからお尋ねになりました點、近く御審議を頂きます失業保險法の給付の制限の規定と非常に關聯がございますので、先刻の大臣の答辯を補足いたしまして一言申上げたいのであります。それで私たち職業安定機關に携わつておる者といたしましては、就職斡旋に當りましては、勿論本人の前職なり、本人の從來の報酬なり、そういう點を極力、考えまして、できるだけ適當な職業を斡旋したいと努力をいたしますことは當然でございまして、そのために失業保險制度におきましても、保險法の第二十一條でございますが、受給資格者が職業安定所の紹介する職業に就くことを拒みました場合には、保險金の支給はしないという規定がございますが、それに對する但し書といたしまして、紹介されました職業が、「受給資格者の能力から見て不適當と認められ」ますような場合には、これは拒んでもよろしい、その他正當な理由があるときには拒んでもよろしいという、そういうような規定があるのでございます。それで實はこの失業保險法のこの規定につきましてもいろいろ議論がございまして、只今の日本の經濟状態から申しますと、「受給資格者の能力からみて不適當と認められるとき。」というような規定は甘過ぎるのではないか、それは却つて職業の轉換を遲らせるのだから、むしろ受給資格者の能力から見て變え得られないようなもののみを拒み得る正當な理由として規定した方がよいのではないかという意見があつたのでありますが、私たちとしては、それは被保險者に對して酷に失するであろうというので、「受給資格者の能力からみて不適當と認められるとき。」という規定にいたしまして提案をいたしておるようなわけでございます。從いまして極力適當な職業を斡旋することは當然でございまして、そのためにあらゆる努力をいたすのでありますが、ただ日本の今の經濟事情から申しますと、今まで通りの前職、今まで通りの報酬ということでは必らずしも職が得られない場合があり得ると思うのでございます。尤もこの報酬の點につきましては、物價が非常に騰つて、賃金が上つておるということを前提にすれば別でございますが、一應その場合にその點をコンスタントに考えます場合には、場合によつては今までの職業でない違つた職業、又今までの報酬よりは違う低い報酬でも、場合によつては就職を斡旋しなければ適當な職業があり得ないという場合もあり得るのではないかと考えられるのであります。從いまして職業紹介機關の心構え、努力の目標といたしましては、極力前職に劣らない賃金ということに努力いたして斡旋いたすのでございますが、場合によりまして若干低い仕事でも、本人も承知し適當な仕事でありますれば、斡旋してもよいのではないか、こういう考えでございます。ただ併しその賃金自體が、同種の地域、同種の職業内容、同種の技能でありますものの賃金に比べまして、即ち賃金の一般水準に比べまして、その賃金自體が低いということにつきましては、いろいろ基準法等の最低賃金のような規定でございますが、そういうことによりまして賃金水準を適當なところまでは引上げまして、生活の安定を圖るということは勿論必要だと存じますが、併し個々の人につきましては場合によつては賃金が低くなりましても、むしろ就職して貰う方が、殊に本人が希望する場合には就職して貰う方がいいのではないかというような場合があり得るのではないか、こんな氣持でおるようなわけであります。それから第一條の字句につきましては、字句の表現でございますから、いろいろ御意見はあると存じますが、「その有する能力に適當な職業に就く機會を與える」、そうして職業の安定を圖る、こういう言葉によりまして、できるだけ前職を考慮するし、收入についてもできるだけ今までの收入に近いものが得られる、或いはそれ以上のものが得られるということにも努力いたすということが現われておるのではないかと思うのでございまして、假りに非常に今までの收入とはかけ離れたような、又本人の前職とはかけ離れまして全然やつていけないような仕事がございますならば、その能力に適當な職業に就く機會を與えられる、又職業の安定を圖るというような表現は恐らく適當ではないと思うのでありまして、私たちといたしましては、第一條のこれらの字句によりまして、山田さんの仰しやつたような氣持は現わし得ておるつもりで規定いたしましたような次第であります。
○山田節男君 今ので大體分りました。併しこれから出されます失業保險、それからこの職業安定法にいたしましても、これはやはり私は多分に十九世紀的ないわゆる社會政策的な要素が含まれておる。殊に今から出します失業保險法案なるものを見ると、可なり社會政策的なものがあつて 今日においてはすでに社會保障、ソーシヤル・セキユーリテイーで行こう、アメリカなりイギリスなりでやつておるのでありますが、イギリスで今度改正されました失業保險、それからアメリカの社會保障法の中の失業保險からいいましても、これは間もなく社會保障的な概念による社會立法に變るのじやないか、そういうことも聞いております。そういう點から見ましても、私はこの總則の點は餘程考えて頂きたいと、少ししつこいようでありますが、申上げる次第であります。それから尚又職業安定所は例の失業保險行政と非常に密接な關連が、例えばイギリスの例を見ましても、本當に職を探しておるのだ、いわゆるゼニユインリー・シーキング・ワーク、これが非常に問題になつて勞働黨がこれを廢止させたが、要するにそれがないと、社會行政が慈善行政になつて、いわゆる濫救の弊害に陷りやすいのであります。併しながらそれを又防がんがために、本當に仕事を探しておるのだということを證明するために、日本でいえば職業安定所へ行つて、二度、三度來いということになりまして、そして今の勞働條件、今の上山局長の説明で若し末端の行政がやればよろしうございますけれども、これは今日はレーバー・マーケツトが供給が非常に過大になつておる現状から見て非常にむづかしい、耐乏生活固よりこれは我々覺悟するところであるけれども、未熟な者、不熟練工、殊に海外から引揚げた者、復員者、こういつたような者が非常にレーバー・マーケツトにあふれるというようなことになりますと、團體交渉も何にもない、職業安定所が雇用主に對して團體交渉的な、十六條があると仰しやるけれども、これは少くとも私は社會主義的といわれるかも知らないけれども、これはしつこいようですけれども、自分が失業以前にやつておつた待遇よりか、何と申しますか、待遇よりか惡くない條件、私はむしろそういうような文句を入れてこの總則なり或いは今の十六條において調節されて行くのが妥當じやないかと、私はしつこいようですが主張しておるのであります。
○國務大臣(米窪滿亮君) その點は重大ですから私も一言申上げたいのですが、それは前の職業より著しく條件が惡い場合に、たとえ本人がそれを承知の上で就職の斡旋を願い出ても、これは職業安定所の實務に携わる者がこれをチエツクすべきであるという意見は、私は一應うなずけるのであります。併し今日のように、山田さんが仰しやつたように、サプライとデマンドが非常なアンバランスである場合において、失業状態を續けるよりも、少しは勞働條件が惡くても當面の自分の生活の危機を救わんためには、少しは條件は惡くても就職した方がいいという意思がある場合には、それを法文の上において、この前の勞働條件より少し惡くてもいけないということによつて縛るということは、この二條のいわゆる自由に職業の選擇ができるという精神と背馳するのだ、こういうことも考えられるのであります。この點は私はノーマルな經濟状態である場合には、それはそういうのでございますけれども、今日の日本のレーバー・マーケツトの實情から見て、餘り窮屈にそういうものを入れると、却つて第二條の自由なる選擇ができなくなると同時に、又現實的にはむしろそういうことによつて失業者をいつまでも失業者たらしめるということに陷るのじやないか、いわゆる最低賃金の原則というものができれば、これは一方において勞働基準法に最低賃金を決めることが明記してあります。最低賃金を勞働基準法によつて設ければ、強いてここで前の條件より惡くないようにというような文句をそれほど強く入れることを主張する必要はないのじやないか、こういうふうに考えておりまして、勞働條件の維持改善については非常に進んだ規定が勞働基準法では決められてはいます。又不日、最低賃金制も採用しなければならないというような状態に立到つているわけでございますから、その勞働條件に關する詳しいことまで、職業安定法に強いて書き入れなければならないという御主張につきましては、もう一遍御再考願いたいと考えております。
○栗山良夫君 一般質問で或いはこの機會が適當でないのかも知れませんが、一應重大な點でありますので勞働大臣にお尋ねしたいと思います。先程勞働大臣のお言葉の中で、企業整備その他によつて失業者が相當出ることを覺悟しなければならない、こういうようなお話があつたようでありますが、私は現在の經濟情勢を見ますと、いわゆる企業者の間には、企業整備即人員整理だというような考え方が一つの社會の輿論化するような運動にまで段々發展しつつあるように私は見るのであります。そうして實際問題といたしまして、企業整備で若干の人員整理を行う場合に、必要以上に多數の人が整理されるような危險性を多分に包藏していると私は思うのであります。ここで現在の職業安定は、こういうような立派な法律を作りまして動かそうといたしましても、なかなか動かないのでありまして、やはり現在就いている人、この人を少くともその職に留めるというようなことをすること自體が、すでに大きな職業安定方策であろうと私は考えますが、こんなことは今更申上げるまでもないことでありますけれども、どうも只今の情勢を見ておりますると、そういうような一つの考え方を現實化し、そうして輿論化して行こうというような動きが見られるように感じまするので、この點について新らしく發足された勞働省のとられるべき今後の積極的な方策というものについて、一應お考えを伺つて置きたい。先程深川委員からも極めて堀下げたところの御質問がありましたが、要するにそういうような根本的な問題を取上げないで置きましては、結局、職場の安定の見通しを得ないでは、到底こういうような法律案ができましても、ただ單なる一つの空文化する虞れがある、或いは散發的な失業の安定機關に終るというようなことが多分に懸念されますので、積極的な職業安定の方策というものについての見解をもう一度お聽きしたいと思います。
○國務大臣(米窪滿亮君) 私はこの失業保險法を國會に上程したときに、特に力を入れてこういうことを私の所信を發表したのですが、それは失業保險法、失業手當法を實施するということを前提としていわゆる人員整理、早くいえば首きりをしてよろしいというような解釋を若し持つならば、重大なる誤りである、これは嚴に戒めなければならん、決してそれと不可分の問題として失業保險法を出すものでないということを力説したのであります。今日の日本の經濟状態は昭和九年から十一年當時の日本の生産に比べて、三分の一に生産能力が落ちておることは御承知の通りであります。從つて生産増強を圖る意味においては、勞働者の生産性向上を圖らなければならないことはいうまでもないのでありますが、同時に私は企業面における無駄を省い、てそうして企業の合理化をするということが、産業合理化の前提になるのではないかと考えております。企業の合理化ということは、直ちに企業整理で首をきらなければならぬ、いわゆる人間が餘つておるという、ただその一つの點だけに歸納するということは間違つておると考えるのであります。先ず經營者側の經營面の合理化を圖らなければならぬ。それにはアンチ・トラスト法であるとか、經濟力集中排除法というようなやかましい法律が最近できるので、これによつて企業の合理化が妨げられる點が多分にあると思いますけれども、尚且つこの枠内においても、從來の日本の企業自體が合理化される餘地が十分にあると私は考えております。例えていいますならば、例の戰時補償打切によつて、企業の面においても或いは經理の面においても非常な清算を要求されておるに拘わらず、今日においていわゆる會社の帳簿價格を水膨れさして、なんら整理されておらないということは、すでに御承知の通りであります。こういつた放漫なる經營をやつておるようであつては、生産が起らないことの重大な原因はそこから出て來るのじやないかと思うのです。從つていわゆる經營の合理化ということが、先ず最初に取上げられなければならない。そうしてそれをやつた後においても、尚且つそこに使われておる人間が過剩である場合において、初めて企業整理が行われる、この企業整理を行なうときにも、企業内においていろいろな部門が存在する場合においては、多い部門から足りない部門へいわゆる勞務の配置轉換を行い得る剩裕が若しあれば行う、どうしてもそこで行い得ないときに、初めて國家が乘り出して行つて、失業對策を講すべきである。こういうふうに私は考えておるのでございまして、この意味において更に徹底して行くべきであるとするならば、深川さんのいわれたように各家庭にまで入り込んで行つて、その生活事情を調べてそうして國家がやらなければならぬのですが、これは先程私が申上げた通りこれについては相當の金が要りまするし、相當の人間が要ることになつて、到底今日の日本の財政では、又今日の段階では、そういう方法の職業紹介はできない實情にあるということを申上げて置く次第であります。
○深川タマヱ君 これはただ單に勞働大臣だけの管轄の問題でなくて、商工省などとも關連の深い問題かと存じますけれども、只今栗山さんが全體問題について質問なさいましたので、私もちよつと關連してお尋ねいたしますが、只今日本では傾斜生産が行われておりまして、どうしてもここから犠牲産業を拵えて、そこからの失業者を出すのをもくろまれておるようでありますけれども、それによつて失業した人間に、二箇月間くらいは、その家族の人數がいくら多くても、大體千圓くらいな失業手當金を與えて、その間に運好く職があつたら職に就かせる方針のようでざいますけれども、私達國民の一人でも生活に困つてゐる人がある間は、私たちの努力の足りないところと思つて、できるだけ國民が仕合せに暮らして行くことを念頭に置いておる者としては、非常に不安に感じております。今日は職に就いておつてもなかなか暮らして行けない時代でありますのに、主人公が失業して、一箇月に千圓そこらの手當金をもらつて、職にありつけるのやらありつけないのやら分らない人が澤山できるといたしますと、家族の心配は並大體ではございません。この頃の失業というのは、本當に職の切れ目は命の切れ目でありますので、うつかりすると一生涯浮かび上がれないかも知れないような状態でございますので、私は日本の今日は資材を食い潰してしまつて後の傾斜生産でありますから、なかなかそれが効果を現わしますまでには時間がかかつて、その間犠牲産業が耐えられない事情にありますから、私はこれ以上傾斜生産の角度をできるだけ大きくして、厖大な失業者を出すという方法は餘り芳ばしいことでないのであつて、貿易も再開されたことであるから、できるだけ貿易によつて機械とか食糧などを輸入することによつて、日本の經濟復興を助けるようにして、餘り失業者を出さないようにするのが一つ、もう一つは、これは全然出さないということは勿論できません。犠牲産業の方でも今までのように厖大な過剩人員を擁していたのでは、生産費が嵩んで、貿易が再開されても到底輸出は利きません。それから又このまま爲替レートが決まつて、世界の經濟と公式に結びつくようになりましたときには、日本の事業家の中でどしどし倒るれ者ができて一大パニツクを生ずる虞れが りますから、どうしてもこの際産業合理化をしなければなりませんけれども、現在もやはり首きります場合には、次にどうしても何人生きさすかという畑を十分に準備して置いておら、首きるというような親心がこの際坪常に大切だと思いますので、ちよつと私の立場から申上げましたのであります。
○國務大臣(米窪滿亮君) 深川さんの仰しやつた傾斜生産を強化すると犠牲産業が當然多くなる。いわゆる中小工業がいろいろな壓迫を受けて、そうして輸出産業は振興しないだろうという御懸念は同感であります。これは一勞働省の問題だけでなしに、一職業安定法の問題だけでなしに、内閣全體の問題でございまして、どの程度に傾斜生産の規模を保つて行くかということは、今後も重大な問題だと思いまするから、よく關係方面と協議をして、そうして餘りそれを強化しないように、失業者が澤山出ないように、今から準備して參りたい。こういう工合に考えております。
○委員長(原虎一君) この際お諮りいたしますが、時間は十二時十七分過ぎになつております。本日午後一時から政府側では衆議院の方がやるそうでありまして、續行困難だと申しておりますが、明日續いてお願いすることができましようか。
○委員長(原虎一君) 明日午前十時からでよろしうございますね。甚だ御多忙のところ恐縮でありますが、後に失業手當法と失業保險法が控えておりますので、これを早く切上げたいと思います。誠に恐縮でありますが、明日午前十時から引續いて質問いたしたいと思います。
○赤松常子君 ちよつと簡單に上山局長にお尋ねいたします。先程の御説明の中で勞務供給事業は、進駐軍の關係の方は現在はどうなつているのですか。
○政府委員(上山顯君) 現在進駐軍は職業紹介法によりまして、勞務供給事業というものが認められておりますが、最近は新らしいものは全然許可をしない方針になつております。即ち進駐軍關係の仕事については、昭和二十年十月以降勞務供給事業は廢止いたしております。
○赤松常子君 この點は私いろいろ進駐軍關係の勞働者から聞いておりますが、いろいろ組が入つておりまして、それが健全な勞働組合の發達を阻害しているような状況を進駐軍關係の勞働組合から聞いております。そういう實情を勞働組合でも調査してくれるように聞いておりまするけれども、そちらからもそういう實情を御存じでいらつしやいましようか、どうでしようか。東京附近では澤山聞いておりますから地方でも随分多いのじやないかと思いますが。
○政府委員(上山顯君) 進駐軍關係につきましては全然認めてないわけでございますが、ただときどき類似の行爲をやつておるような噂を聞きまして調べまして、嚴重に戒めておるような例もございます。私達も十分氣をつけておるつもりでございますが、若しもそういう事質がございますればお知らせ頂きまして尚、調べて見たいと思います。
○委員長(原虎一君) 本日はこの程度で閉會いたしたいと思います。明日は午前十時から御足勞願います。どうも有難うございました。本日はこれにて散會いたします。
   午後零時二十一分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     原  虎一君
   理事
           堀  末治君
           小川 久義君
           栗山 良夫君
   委員
           赤松 常子君
           山田 節男君
           平岡 市三君
           植竹 春彦君
           紅露 みつ君
           平野善治郎君
           深川タマヱ君
           奥 むめお君
           早川 愼一君
           姫井 伊介君
           穗積眞六郎君
  國務大臣
   勞 働 大 臣 米窪 滿亮君
  政府委員
   厚生事務官
   (職業安定局
   長)      上山  顯君