第001回国会 労働委員会 第16号
  付託事件
○職業安定法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○労働基準法の適用除外規定設定に関
 する陳情(第二百五十二号)
○失業手当法案(内閣送付)
○失業保險法案(内閣送付)
○企業再建整備その他に関する陳情
 (第三百四十三号)
○労働基準法第四十條の特例に関する
 陳情(第三百四十四号)
○労働者教育充実に関する陳情(第四
 百四十五号)
○積雪寒冷越冬手当即時支給並びに越
 冬衣具特別配給に関する請願(第四
 百五号)
○税務職員の待遇改善に関する請願
 (第四百二十一号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十一月四日(火曜日)
   午後一時四十一分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○職業安定法案
○集團欠勤に関する件
○派遣議員の報告
  ―――――――――――――
○委員長(原虎一君) お待たせいたしました。それでは委員会をこれより開会いたします。本日は去る十月三十日に衆議院から参議院へ送付になりました職業安定法案が即日本委員会に付託されたのであります。予備審査を続けて参つておりましたが、衆議院で修正された個所を御報告申上げたいと思います。法案の第十二條、十ページの終りの行でございます。原案には「労働者を代表する者及び雇用主を代表する者は、各々同数とする。」、ここに「職業安定委員会の委員のうち一名以上は女子でなければならない。一、こう入るわけであります。それから二十條に参ります。二十條、十五ページの中程に「(爭議行爲に対する不介入)」というのがございますが、これを「(労働爭議に対する不介入)」と、字句修正として「爭議行爲」が「労働爭議」になります。二十條をぼつぼつ続んで参ります。「公共職業安定所は、爭議行爲における」とございまする所が「労働爭議に対する」と直るわけであります。労働爭議に対する「中立の立場を維持するため」、これは原文の通りであります。そこから又違つて、「同盟罷業又は作業所閉鎖の行われている事業所に、」となつております。そうして原文の「現に爭議行爲が発生し」云々から次の行の「業務の部門に、」までを消して頂くわけであります。そうして「求職者を紹介してはならない。」、こうなります。もう一度二十條の第一項の修正された分のみを読んで見ます。「公共職業安定所は、労働爭議に対する中立の立場を維持するため、同盟罷業又は作業所閉鎖の行われている事業所に、求職者を紹介してはならない。」、こうなります。次の行は全部消して、改まつて、ぼつぼつ読みますから御記入願いたいと思います。
○堀末治君 削除ですか。
○委員長(原虎一君) 全部これが変るわけであります。修正されたわけであります。修正された分を読み上げます。「前項に規定する場合の外、労働委員会が公共職業安定所に対し、事業所において、同盟罷業又は作業所閉鎖に至る虞の多い爭議が発生していること及び求職者を無制限に紹介することによつて、当該爭議の解決が妨げられることを通報した場合においては、公共職業安定所は当該事業所に対し、求職者を紹介してはならない。但し、当該爭議の発生前、通常使用されていた労働者の員数を維持するため必要な限度まで労働者を紹介する場合は、この限りでない。」次は第三十三條の六行目でありますが、三十三條はやはり「爭議行爲」が「労働爭議」になります。四十二條の二行目の「爭議行爲」がやはり「労働爭議」と修正されております。最後の附則で「この法律は、昭和二十二年十二月一日から、これを施行する。」、こう改めるわけでございます。修正は以上の通りでありますが、これに基いて御意見の開陳を願いたいと思います。
○竹下豐次君 三十三條をもう一遍……。
○委員長(原虎一君) 三十三條の「爭議行爲」が「労働爭議」になるわけでございます。
○竹下豐次君 三十三條はないのじやないですか。
○委員長(原虎一君) 三十三條は間違いでございます。四十二條の見出しになるわけでございます。四十二條の見出しで「労働条件等の明示、」この次の「爭議行爲」が「労働爭議」に改まるわけでございます。從つて四十六條の見出しがやはり「爭議行爲」が「労働爭議」に変るわけでございます。
 それからいま一つ申落しましたが、三十三條を御覧願いたい。「労働大臣が前項の許可をなすには、予め中央職業安定委員会に諮問しなければならない。」、それから又ここに新らしく次のように書き加えて頂きます。「但し、労働組合法による労働組合に対し許可をなす場合には、この限りでない。」、これだけ附加されたわけであります。以上の通りでありまするが、直ちに御意見の開陳を願つた方がよろしいと思います。別にございませんか。
○姫井伊介君 三十五、三十六條で、これは予備審査のときにお伺いしたのですが、地方の実地視察に参つて見ますと、やはり通勤地域内のものでも安定所に募集の要網を通報して貰いたい。でないと本当の労働力需給情勢がはつきりしないので、面倒でもあろうが、そういうことにして貰つたら誠に仕合せだということでありますが、考慮する余地がありますかどうか。このまま通しますか。そういう意見を採用しますか、どうか。
○委員長(原虎一君) 只今の御意見につきましては、この前予備審査中にもいろいろ御意見の交換があつたわけであります。尚それについて政府が今まで取り來りましたことにつきましても答弁があつたわけでありまするが、大体今囘は、結論を先に申しますれば、法を修正するよりも、一應附帶決議というような形において、実際運営の上に政府が然るべき方法を講ずるということがよくはないかということに、大体の御意見の一到を見たようであります。從つて附帶決議事項の御審査を願うときに、それを加えて願つたらいかがと思います。
 他に御意見ございませんか、別に御意見もございませんようでございますが、衆議院の修正個所は只今報告した通りでございます。ちよつと速記を止めて下さい。
○委員長(原虎一君) それでは速記を始めて頂きます。職業安定法につきましての附帶決議をいたしたい。こういう御意見が審議中にもございましたので、いろいろその御意思の存するところを纒めまして、一應の案を作つて見ましたので、これを御協議願いたいと思います。御審議の方法といたしまして、総括的にいたしますよりか、最初から一二を追つて進めたいと思います。一應第一から……。
○委員長(原虎一君) それでは第一から順序を逐うて審議を願いたいと思います。第一についてはいかがでございましようか。
○姫井伊介君 「職員」という所ですがこれは國家公務員法が出ました、それに即應して公務員とする必要はないでしようかということと、二行目の「精神を十分に正解せしめると共に、これに十分なる予算」ということで、「これに」というのが明確を欠くようじやないでしようか。「これに十分なる」というのは、どれを受けるかということですね。だから、むしろ「精神を十分に正解せしめる共に、施設の改善」、若し「職員」を「公務員」とするならば、「公務員の待遇向上を図るため十分なる予算を計上する等政府はよろしく最大の努力を以てこれに善処すること」とした方が意味がよく分るんじやないでしようか。
○委員長(原虎一君) 他に御意見ございませんか。他に御意見ございませんですから、もう一度姫井委員の修正の御意見をお述べ願います。
○姫井伊介君 「職員」を「公務員」とするというのはどうですか。これを一つお諮り下さいませんか。今までは皆「職員」と書いてありますね。併し公務員法が通過した以上はどうなんでしようね。
○委員長(原虎一君) ちよつと政府委員にお聽きしますが、今の姫井委員の御意見のように、公務員法は通過いたしましたのですが、この職員と公務員とはどういう関係になりますか。法案に使つておるものは全部「職員」と使つておるようですが……。
○政府委員(上山顯君) 特に研究したわけではございませんが、職員でもいいのじやないかと思つております。
○小川久義君 この職業安定所の職員だけを殊更優遇しなければならんという決議がどうもおかしいのじやないかと思います。他の公務員にしましてもその中に包含されるとすれば尚更そうですが、職業安定所の職員だけを特に附帶決議を以て優遇しろということが他との均衡上よろしくないのじやないかと思いますが、その点どうですか。
○委員長(原虎一君) これはまあ何と申しますか、民主主義國家になれば当然なことでありますが、今までからいいますと非常なサービス機関で、そのサービス機関に携わる者をその意味において多少優遇しなければいかんという意味であります。特にということになりますと、それは語弊があるかも知れません。「職員」をいかがでございましようか、やはり「公務員」に直すということになりますと、法案は皆「職員」を使つておるようですが……。
○岩間正男君 その「職員」の方はそれでよいと思いますが、姫井委員の只今の修正のことは私は賛成したいと思います。この文章を読んで見ると、分らないところがその外にも第二項あたりにもあるようですが、やはり今の修正の方がはつきりするようですね。文章を読むと「これに」というのは惡いと思います。
○委員長(原虎一君) そうすると、姫井委員のお説のように文章を変えるということで御異議ございませんか。
○委員長(原虎一君) それでは第一はさよう決定いたします。
○竹下豐次君 この職業安定所の職員は全部公務員になるわけなんでございますか、最下級の者でも……。公務員の取扱いを受けない職員というものは一人もないのでございますか。
○政府委員(上山顯君) ございません。全部公務員であります。
○委員長(原虎一君) それでは第一は先程姫井委員の言われたように文章を修正することにいたします。次は第二に移ります。
○岩間正男君 第一項の文章もちよつと了解に苦しむのですが、第二項の「本法中に労働安定所の名称なく、これが職業安定所の異名同種のものであることを了解し難い。」というのは実に了解し難い文章であります。一体どういう内容をいわんとするのであるか、少しこれはどうも我々として明確にする必要がある、こういうふうに思います。
○委員長(原虎一君) これは全部読んで行きますればお分りになると思いますが、前の方一行か二行だけ読んではちよつと分り兼ねましようが、要は労働安定所というのがございます。これは御承知のように、日傭労務者のみを対象とする職業安定所であります。職業安定法の中には「労働安定所」というものが一つも出ておりません。ところが、実際においては労働安定所というものがありまして、日傭労務者を扱つておる。これについてどうも「労働安定所」というのでははつきりしない。「日傭職業安定所」の方がはつきりするという意見がございまして、日傭職業安定所の名称も今後使うようにすることを希望しておるわけであります。そうして日傭安定所の事務が性質上早朝出勤であるとか、夜間勤務が多い。現金を日傭労務者に支拂うこともあるので、特にその職員の質をよくしなければならんという意味で待遇の改善に留意することということになつておるわけであります。今岩間君の言われるように、文章が可成りむずかしくなつておるかと思いますから、これ又適当に御審議願つて……。
○小川久義君 初めの方は取つてもいいんぢやないですか。今労働安定所というものはあるのですか。
○委員長(原虎一君) さようでございます。
○小川久義君 それを「日傭職業安定所」と変える。そうして日傭職業安定所の事務は性質上早く出て遅く帰るから特に優遇しろ。そういうふうに持つて行けば初めの方の了解に苦しむというようなことは、端的に言わんとすることを先に言えば……。
○姫井伊介君 私はやつぱり日傭ということは、何だかその人にとつても、一つの誇りを持ち得ないといつたような感じを與えるのじやないか。日傭者とか、日傭労働者とか……。やはり労働者と今日一般に使われているその方でいいじやないかと思います。内容が一般に分つて來れば必ずしも日傭と説明しないでも、労働といつたら、そういう方面の人たちだということが理解されるようになると思います。日傭というのはちよつと何だか嫌な氣持がいたします。
○委員長(原虎一君) 他に御意見ございませんか。先程岩間委員の言われましたように不明な点もございますが、根本的にこの第二が必要か否かという御意見が出て参りました。名称を変える必要がないぢやないかという御意見も出て参りましたので御討議を願います。
○栗山良夫君 只今の姫井委員の御説は前にこの委員会で相当論議いたしたことなんですが、わざわざここに附帶決議案として出ましたところの理由は結局職業安定法案の中にはつきり條文に労働安定所という名称がどこにも謳われていない。そうして事実各政府の現業機関におきましてはこの名称を掲げたところの役所が置かれておる。そういたしますと、一体これは職業安定所と同格のものであるか、或いは職業安定所の中に作られておるものであるが、その点が非常に明確を欠き、法律から考えても万人がよく了解し得ない点が出て來るのぢやないかというので飽くまでも職業安定所の枠内において日傭労務の業務に專念するものを労働安定所というならば、端的にその内容を現わすような名称を使つた方がよくはないか。將來婦人專業の安定所ができるならば婦人職業安定所、こういう工合にした方がいい。少年を扱うならば少年職業安定所、こういう工合に内容を明らかにした方が國民も分り易いし、法を運用する上においても便宜ではないか、こういうような意見が出まして、政府の方においてもその意向を大体了解が付きまして、こういうような決議案が出たことと私は了解いたしております。從つて姫井委員が只今お述べになつたことは、日傭という文字が好ましくない、こういうお話でありましてこういうよなう工合にして職業安定所の中に置かれるところの特別な機関を適当に表現するということについては御反対ではないのだ、こういう工合に私は了解するわけであります。
○姫井伊介君 無論そうでありまして私はただ名称の文字の上からそう言つたので、例えば第五十條、第五十一條におきましても「職業紹介事業」とあつて、更に「労働者の募集又は労働者供給事業」といつたようなことが書いてあることから推して見ましてもやはり「労働安定所」と言つた方がいいじやないか。さつきも申しましたように、私は日傭安定所に行きますとか君は何処に行けというようなことは、何だかその人の誇りを傷付けるように考えるので、私はやはり「労働安定所」と言つた方がいいと思うのであります。「日傭職業」と申しますと公共職業安定所と又こんがらがつて來る関係がありますから、やはり「労働安定所」とし、從つてこの第二項におきましてはずつと前の三行を除けまして、職業安定所の事務は性質上あとだけ残して行かれることを希望いたします。
○委員長(原虎一君) 審議中でありますが、只今逓信大臣が見えまして、先程ちよつと報告いたしましたように、全逓におきます爭議、いわゆる山猫爭議といわれますその後の状態を報告願うことにいたします。只今の附帶決議の第二項審議は非常に時間を要するような感じがいたしますので、審議中でありますけれども、大臣は三時にGHQの方に行かなければならん用事がございますので、そういう関係で早く先にいたしたいと思います。では早速でございますが、逓信大臣の報告を求めることにいたします。
○國務大臣(三木武夫君) 先般來東京中央郵便局を中心として爭議が発生しために通信機関が非常な混乱状態になつて、國民に御迷惑をかけておりますので、委員会の御要求もあり、この機会に大体の今日までの経過を御報告申上げたいと思います。
 御承知のように、全逓は單一組合として今まで統制ある行動を取つて参つたのでありますが、過ぐる五月松江に臨時全國大会を開きまして、そうして今後の要求、或いは今後の組合の要求貫徹の方法論等について協議をいたしたわけであります。これがいろいろな経緯を辿りまして、只今中労委の調停に掛かつておるわけでありまして、その要求は、箇條書で申述べて置く方が便宜かと思いますが、一つには二千四百カロリーを基礎としての最低賃金制の確立。一つは電氣通信事業の民主的一元化。一つは全從業員に住宅を與えよ。一つには全從業員に制服を支給せよ。一つには結婚資金を全從業員平均月收六ケ月分支給せよ。一つには大藏省預金部中逓信省関係資金運用権を逓信省に移管し民主的に運用せよ。一つには特定局制度撤廃を促進せよ。この上に一月から六月の間に至る赤字補給の意味で、生活補給金として月收の二ケ月分を支給せよ。もう一つは通勤のバスでありますが、通勤費を全額支給せよ。こういう問題が中心になりまして、只今中労委の調停に掛かつておるわけであります。又この大会で、今後の要求を貫徹するためには、地域鬪爭をやろう。各地域々々でこの要求貫徹の鬪爭をしようという態度を決めまして、この全逓本部の提訴と相前後して只今地域で提訴いたしておりますところは、問題が起つておる東京中央地協、大阪地協、兵庫地協、京都地協、靜岡郵便局支部、青森地協、神奈川地協、宮城地協、こういう各地域々々に殆んど同じような要求を中心として提訴をいたしておるわけであります。只今問題の起りました地域は東京中央地協というものでありまして、これは丸の内と京橋を含んでおる地域にある通信関係の機関が作つております團体で、約一万一千名の組合員を擁しております。地域としては必ずしも廣い地域でないのでありますが、この東京中央地協の中には中央郵便局あり、中央電信局あり、中央電話局あつて、日本の通信機関の中枢中の中枢的役割をいたしておるわけであります。各方面に行きます郵便物、或いは電信電話等がこの東京の中央局を中継いたしておるわけであります。ここの機能が停止いたしますことは殆んど日本の通信機能が麻痺状態になる重大な役割を持つている中央局がこの團体にあるということが、事態を重大にいたしておるわけであります。この東京中央地協も全逓本部の要求と同じような……一つだけ違います点は、全逓本部は月收二ケ月分の赤字補給金を出せというのを、この東京中央地協は本人二千円、家族千円と、全額を切つて來ておるということが違う程度で、殆んど本部の要求と同じような問題を掲げて東京逓信局と交渉いたしておつたのでありますが、各位が御覧下さいましても、これはなかなか容易にこの全部を受諾するということの困難な問題ばかりでありますので、役所との間には、今申上げましたような項目が解決ができず、これを東京都の労働委員会に提訴したところが、東京都の委員長といたしましては、こういう給與の基本的な問題に解れるというような問題を、東京都だけでこれを解決するということができないという見解で、中央にこれを移して参ついたのであります。そうして、これが中央の方に掛かつて、只今これは調停の手続中にあるわけであります。
 ところが、その途中において、十月の十六日と記憶いたしますが、調停委員の方が私を総理官邸に訪ねられて、これは全逓本部の方と切離して調停案を出すということはなかなか困難なので、相当時日がかかると思う。取敢えず千五百円程度の金を出す余地はないでしようかという極めて非公式なお話を受けたのであります。ところが御承知のように、こういう千五百円というような、一つの何と申しますか、生活補給金を東京のそういう極く限られた地域だけに出すというわけには参らない。そこへ出せば、もう各地にこういうことの千五百円を出さなければならん。又逓信省ばかりでなしに、逓信省がそういたしますならば、これは全部の官廳に波及をいたします問題であります。單にその小地域だけで千五百円という問題の処理ができないことは、これは無論分り切つたことであります。又一方において、一つのこういう労働問題の処理として、地域鬪爭ということを決めたにしても、一つの單一組合が、その本部として要求書を出してそれが労働委員会に掛かつておるときに、ばらばらに各地方から同じような要求を出すということは、戰術としてはさようなことは考えられましようが、一つの労働問題の処理としては、これは單一組合として、一本に纒めて処理をするということが好ましいという見解を私自身は持つておるわけであります。そういうわけで千五百円という問題を、何とかして出す方法がないかというても、そういう形でこの問題が本質的に解決されるわけではないのでありまして、今千五百円を出すということはできないが、とにかくそれに近い金を、すぐ出せる金がある。その金は御承知のように千六百円と八百円の差額が二百円あつて、それが三ケ月分六百円があつたわけであります。それに地域的に考慮をするものですから東京地協では平均千円の金が皆さまの御協賛を得られるすぐ直前にありましたから、これはもうすぐ出せる金であります。この金で、金額は千五百円にならないにしても、これなら、今もうすぐ出せるのだ。出せる直前にあるから、一つこれを出しましようという話で、お別れをしたわけであります。併し何かよく考えて下さいというようなわけで、改めて十月十八日に、やはりこれも別に千五百円を出すことはできんが、この千八百円の差額は、これはすぐに出す手続は取るからということで、又事実その当時に平均千円程度の金は出たわけですが、同じようなことを、私は二十日に中央労働委員会に参りまして、そうしてそういう囘答をしたのでありますが、それに対して中央地協は非常に不満であつて、調停委員会の千五百円を出せというような勧告までも蹴つた。勧告案でも調停案でもなしに、極めて非公式なお話であつたのでありますが、それは勧告案ととつてもよいのでありますが、とにかくそれは誠意がないというようなことで、その二十日から東京中央地協に大量な職場の離脱が始まつた。大体一番ひどいときには二〇%を少し下廻るというような状態になつて、多いときには普通の郵便物が三百万通、小包が大きな袋が七千個、こういう停滞が起つたわけであります。
 それで、こういう事態が全國的に発生するというようなことになりましては、これは通信機関もその他の政府機関も、こういう國の困難な再建途上にあるときに、重要な公共的な機関がこういう形で麻痺するという事態は、これを看過するわけには行かないわけでありまして、政府は閣議の決定に基きまして、十月の二十二日に、かくのごとき集團欠勤は不当なる爭議行爲である、組合側では、これはもう誰も申合せたのではない、組合も指令したのではない、皆が食えないから、自発的に誰言うとなく、こういうふうな状態になつたのだということを言つておりましたが、併し職場大会も開いておりますし、自発的と申しましても、そういう八割もの人たちが集團欠勤をする事態というものは、政府はこれを明らかに爭議行爲である、而もその爭議行爲は労働法にいうところの正当な爭議行爲ではなくして、不当なる爭議行爲である、これに対しては、或いはこれはすでにそういう政令が出ておりまして、爭議中の給料は支拂わないということが、すでにこれは今度拵えたのではなく、前からあるわけでありますがこれの適用は勿論、その他いろいろ手続はありますけれども、行政処分も考えれば、その他の單行法についての適用も考えて、これを巖重に処断をする、こういう態度を明らかにしたわけであります。その後やはり同じような状態が……、集團欠勤は政府の警告が出て以來次第に少くなりまして、出席率はよくなつて参りましたが、今度は、出勤はするけれども、非常に能率が上らない、まあ怠業状態が十月の三十日ごろまで続きまして、從つて停滯をいたしておりまする郵便物や小包なんかは、少しもはけて行かないという事態で、三十日までくらいはやつて來たのであります。
 そこで、政令にもあります通り、怠業も一つの爭議行爲であつて、怠業に対しても給料を支拂わないという建前を採つておるわけでありますので、この政府の警告は二十二日に出たのでありますが、二十三日に新聞に出て、二十四日一日余裕をおいて、二十五日からこの政府の警告を実施するということになりました。つまり二十五日から三十日に至るまでは爭議中の期間であるというので、給料を支拂わないということを申渡したわけであります。勿論その中には、そういう爭議行爲でなくして、或いは本当の病氣とか、或いは定期の休暇を取つたとか、そういうことで、個人々々にそういう証明のつく人は、これは無論拂い戻すのであるけれども、併し月給を拂うときに、一一直ぐ精算して渡すことができないものですから、それはあとで精算して拂うこととして、一先ず二十五日から三十日の間、而も今囘の職場離脱の行われたのは普通課と小包課でありまして他は平常通りやつて來たのであります。これに対して差引をいたしたのであります。ところが、それを不当な処置であるとして、そうして三十一日の日に東京中央郵便局長に向つて、それを取消せという要求をして参りました。十一月の一日に給料を拂うことになつておりましたから、その前日の三十一日にこういう交渉が始まりまして、その間、局長を二百人くらいの者が取り巻いて、なかなか食事もさせないというような、強硬な交渉を受けまして、ために読賣新聞にも写眞が出ておりましたごとく、局長は遂に失神状態に陥りまして、只今靜養をいたしておるわけでありますが、局長が帰りました後も、逓信局の業務部長、それから労務課長、それから郵務課長というものたちとの面談を申込みまして、この人たちも十二時過ぎまで沢山な人が取囲んで、なかなか食事もさせてくれない、なかなかそこを出ることも許さないというような、非常に強硬な、給料差引を徹囘せよという交渉を受けて、そうして事態は非常な險惡な状態になりましたので、臨席しておりました丸の内警察署員が、不法監禁の疑いを以て二名を檢束いたしまして、丸の内署に檢束をされて、無論翌日釈放はされましたけれども、只今事件は取調中になつております。
 こういう経過を辿つて、その後は正常な能率と正常な服務に服しております。本日の出勤状態も先ず平常通りといつてよろしいわけであります。從つて現在郵便物の滯貨も、普通課が、前申したごとく三百万通ございましたのが、今日は百五十五万通になつております。それから小包も七千個ありましたものが、現在は二千四百五十六個になつております。こういう状態が続けば、これは二三日のうちに処理できるものと考えております。大体の経過はこういう経過でございます。
○委員長(原虎一君) それでは今の報告について質問がありましたら質問を願います。
○姫井伊介君 今後の御処理竝にお見通しはどうですか。
○國務大臣(三木武夫君) 一方において各位の御協力を得たいと思うのですが、一般に今日の給與体系の上で、特に通信從業員が給與が惡いとは考えられませんのですが、尢もいろいろ年齢が若い点、或いはああいう責任ある仕事を若い者がやつておるわけであります。そういう点でいろいろ給與の点におきましても今後改善をして行かなければならん点が多々あると思うのであります。併しながら今日の日本の國情はこういう困難な時でありますから日本の客観的にいろいろな條件と睨み合わせてできる限りの待遇を改善して行く途は講じて行かなければならん。この点につきましては、閣議等においても十分檢討いたしておるのであります。一方においてできる限り、事情の許す限り待遇の改善を図つて、この苦しい生活の條件を緩和して行く、こういうことは一方において是非取らなければならん点だと思います。それと同時に併し、と申しまして、非常に苦しいからと申しまして、こういう國の重大な公共事業である通信機能が折角組合を作りながら、組合が一つの規律ある、統制ある行動を取るために労働組合というものが組織をされておる、併しその合組が指令をしませんし、こちらは何も知らないというような形で、國民に対して重大な影響を齎す通信機関が麻痺状態になつたのであります。誰が責任者か、実は從つて責任者もないから統制も秩序もなく、こういう形でこの重大な國家に影響を與えるような爭議が行われたという事態は、今日の社会通念から申しましても、これが法律の保護を受けておる正当の爭議であるというわけには我々は断定することはできないものでありまして、將來の日本の労働組合を健全に育てまする意味からいつても、こういう無統制な無秩序なことが、それが許されるということは、労働組合運動のために非常に禍根を残す。從つて一方においては、これに対しましては只今調査をいたしております。從つてこういう殊更に混乱に陥れようとするような、そういう煽動者に対しては巖重にこれは調査の上で、いろいろ手続は要りますがこれは処分をいたしたい決意であります。一方においては待遇改善に対して國情の許す限りで最大限度にこれを改善して行く。こういふ両面において事態を拾收いたして行きたい。こういう考であります。
○栗山良夫君 今逓信大臣からいろいろ事情をお聽きしまして、政府側の考えておられること、採られた処置については大体明らかになつたわけでありますが、問題はこの日々深刻化して行くところの生活、特に私は官吏労働者諸君に非常に同情をしておるものでありますが、生活苦の中におきまして大体こういう事件が持つ上つたことについて、この火を消すに余りに急であつて、組合に対して相当嚴しい手を政府は考え、すでに打たれておるのであります。問題は仮りにこの火が消えましても、根本的な問題が政府の手において十分に解決されなければ、又再び第二、第三の事件が起ることは必須であります。今年の二月一日の未完成ストライキの後、満一年を経過しない中に再びこういうような大きな労働紛爭が起きて來た。この根底はやはり官吏労働者諸君の生活苦の嚴しさを端的に表明しておるものと私は思うのであります。仮りに現在業種別の平均賃金はすでに國会において七月以來論議し盡されておる。今更これについて何も申す言葉を持たないのであります。結局民間の労働者は業種別平均賃金の枠におきまして、企業が許すならば團体交渉によつて待遇改善をやつて行く、こういう政府の見解に基きまして、すでに多数の民間労働者は千八百円の枠を越えて実質的の待遇改善を受けておる。然るに政府におきましては「國家財政」云々、「國情の許す限り」、こういうようなことを名目にされまして、実質的に官吏労働者のみは千八百円の枠を超えるどころではなくて、更に下廻つておるのであります。これは政府当局者の方々が一番よく知つておる実情であろうと思うのであります。私は「國情の許す限り」という限界でありまするが、現在の國情の許す限りということは結局國家財政に直ちに繁がつた問題でなければ解決の余地はないと思うのでありますが、國家財政の今度の追加予算案の組立て方を見ましても千八百円の維持をするために政府が國民に大きな約束を沢山されております。そうしてその約束は殆んどどれもこれも効果を現わさない中に、更にその根徹を崩すような大衆課税的な税金或いは物價の引上げをどしどしやつてこれで以て勤労階級に生活の耐乏に堪えろ、こういうことを言われても、これは毎日嘗めておるところの生活の辛酸から迸るところの運動であるならばこれは決して抑えることはできない、こう心配をする者であります。從つて過日私は総理大臣にも税に関するところの質問書を提出いたしまして、政府の所信を明らかにし、そうして更にあれをよく研究をいたしまして、第二、第三の質問をいたしたいと考えておりまするが、要するに政府はこの際今までのいろいろな行き掛りを捨てまして國家財政をもう少し根本的な立場において確立される必要があるじやなかろうか。即ち総理大臣が内閣をお作りになりました劈頭において、力のある者は力、智慧のある者は智慧、資力のある者は資力を提供して日本の再建をしようではないか、こういう呼び掛けをされたのであります。ところが現実におきまして私は最近も関西で聞いた話でありますが、一部においては一尺祭り、一貫祭りということが盛んにいわれておる。新円を一尺積めば、或いは新円が一貫に達すればお祭りをする。そうして新円の山を積んで贅沢な暮しをしておる階級が國民の、特に苦しい國民の顰蹙を買つておることも御承知の通りであります。この資力の偏在を國の力を以て徹底的に建直さない限りには、私は「國情の許す限り」と称するところの官吏労働者の待遇改善は絶対にでき得ない。でき得ないばかりでなしに、千八百円を固守せられ、そうしてその固守の裏口からどんどんと新らしい物價の値上げ及び大衆課税によつて勤労階級の生活を圧迫されて行くならば、いかに國家の力を以て官吏諸君の労働規律の確立を力で以ておやりになろうと思つてもできないと思うのであります。私が心配することは今後の労働情勢は誠に險惡でありまするが、恐らく今後労働攻勢がますます熾烈化して來るのは民間労働者の手によることなく、日本の二百五十万の官吏労働者の手によつて火蓋を切られる、こういうことを私は心配しておるのであります。これは官吏の待遇が今年の春頃までは民間労働者とほぼ歩調をとつて來た、ところが現実におきましては誠に甚だしい懸隔を生じております。このような状態において、官僚機構の民主化も、官吏の公僕としての奉仕も私は期待できないと思う。現に私は過日山口、九州方面から大阪、京都方面を労働委員として視察に参りましたが、或る官吏のごときは、このままで千八百円を押付けられるならば、官吏は國民の非難を浴びてもやはり惡いことをせざるを得ないであろう、或いは怠業をせざるを得ないであろうということを全逓の職員ではないのであります、地方の自治團体の職員がはつきりと私にそういうことを、而も相当に責任ある人が私の耳に入れて來て呉れておるのであります。過日も私は参議院におきまして私の会派に属する二十六歳の婦人の人の泣き言を聞いている。七百五十円の賃金である。そうして交通費が約三百円、弁当を持つにはどうしても二百五十円から三百円かかる。あと、残りが百何円、これで、何のために國会に來て働いているのか、賃金だけを考えれば意味をなさない。こういうことを言つて歎いている。これは國会の或る職員だけの極めて劣惡な賃金状況かと思つて調べて見ましたところが、これは日本の官吏の大体の水準であるということを聞かされまして、尚更深く驚いたのであります。現在民間労働者におきましては、殆んど交通費のごときは会社が支弁しております。七百五十円の收入の中で三百円も交通費をみずから負担して、そうして職場に挺身するということは到底考えられないことだと思います。運賃の値上げをしたものは政府みずからである。いろいろな各般の状況を考えて見まして、この際國情の許す限りと言われた大臣のお言葉は、少くとも現在の官吏諸君が民間の労働者諸君とほぼ同樣の生活態勢を維持し得るところまでは是非とも引上げる。そこまで廣い幅を以て「國情の許す限り」を解釈して、そうしてそのためにはあらゆる強力な措置を取られ、而もこの措置を刻々と迫つて來るところの、年末に迫つておりますところのこのインフレの過程においては、一日を爭うけわしい問題であります。即刻に取上げられまして、一日も早く労働不安を一掃せられんことを強くお願いをする次第であります。
○岩間正男君 只今大臣の御説明の中で、中央郵便局の労組の諸君からの一つの要求に対してですね、中労委から非公式に千五百円出せ、出す見込があるかどうかという質問に対して、大体差額の六百円、これを東京においては約千円ぐらいならば出せるということを返答せられておりますが、この返答によつて果して労働者諸君が満足されると考えて返答されたかどうか。これは相当重要な問題だと私は思うのであります。というのは大体政府が一方的にこれは千八百円にしろ、千八百円ベースではとてもこれはやつて行けないというので、要求が新たに起つておるのだと思うのであります。それに対して政府が一方的に出すことに殆んと決定しており、而も過去に遡つて七、八、九と過去の当然出す金、いわば既得権みたいな金を出すということですね、こういうふうな返答を今劣惡な生活苦の中に晒されているこの労組の諸君に対して、果して効果的な返答であるかどうかということを私は非常に疑うのであります。むしろこのことが今度の世の中でいうところの、山猫爭議なるものをむしろ増発しているところがあるように思うのでありますが、この点について十分に一体確信を以て答えられたかどうかということを先ず伺いたいのであります。
 それから栗山君のお話にもあつたのでありますけれども、非常に問題は深刻化しておると思います。これはもう陽性的な労働爭議の段階でなく、むしろ陰性的にこれが行われつつある。併しこれについては労組の無統一、不統制ということを指摘されておるのでありますけれども、そういう一面も考えられる面かも知れません。それより問題はもつと、むしろ組合員一人々々の落ちておる生活の実情というものが実に深刻な段階に達しておるのだということを確認せざるを得ない現況であると思います。この点については詳しく栗山君から話がありましたので、私は省きますが今の話によりますというと、これに対して政府はあらゆる手段を用いて、これに対する待遇の方法を講ずると言つておりますが、又これに対する相当嚴重な処置をするということを言われ、私はこれは聞いたのでありますが、すでに衆議院の労働委員会において三木大臣はですね、若しそういうような爭議が今後発生する場合には、公務員法を以て断乎としてこれを処置するということを言われたということを聞いております。そういうことがありますか。そうだとすると再び私は、無論それはそういうような一つの拘束の下に服しておるのでありますから、そういうことをされるということは一應考えられますけれども、併し私の考えたいのは、今落ちておる勤労大衆の実際の生活苦の状態をどのように一体取上げて、これを親心を以て、そこのところを実際手を打つて行くかというところにあると思う。單に威圧的方法で以てこの問題を処理しようとしたならば重大な局面に到達するのだということを考えざるを得ない。そういう点むしろ今までの政府のやり方でもありますが、そういう点において労働者の立場からもつと親心でこれに接して行くということが重要段階ではあるまいかと思うのでありますが、この二点について、もう少し逓相の意見を聞きたいと思います。
○國務大臣(三木武夫君) 最初の御質問は、千五百円の、そういう先方の申入れに対して、千円くらいなら出せるということは、却つて先方を刺戟したのではないかというお話でありますがそのときのお話も、千五百円を何らかの手で出せないだろうか、共済組合の金はないだろうか、いろいろ非公式にこの際に千五百円程度の金はないだろうかというお話であつたので、正式に調停案とか、或いは勧告案というような形でおいでになつたわけではないのでありますが、とにかく私の考えではそういう形で、一方において基本的な問題で提訴をして、全逓の本部から提訴をされて、それが手続中で、恐らく近い中に調停案も出るという時期になつておるのですから、そういう部分的に根本的な問題を切離して、部分々々で地方別に、東京だけ切離し、神奈川だけ切離す、こういう形では処理ができない。それで若し單一組合として全逓本部の方から提訴もしないようなときならば、ともかくとして、自分たちの属しておる單一組合の本部が基本的な問題を全部掲げて提訴をして、それが手続進行中でありますから、問題はそのときに解決をせないと、部分々々で地方別に解決するということは極めて困難でありますので、この際はそれは当然の権利ではあるが、從業員諸君がそれはもう千八百円の差額は当然に受取る金だと言われるかも知れんが、とにかくその金は金には違いないのだから生活資金になる、これで一つ、この場合は、当然の権利というような、そういうことでなしに、とにかく千円近くの金が出るのだ、これで以て一つ生活の資金にして貰いたい、こういう肚を割つた話で、その話が却つて刺戟をしておるとは私は考えないのであります。政府は本当の肚を割つてそういう話をしたわけであります。
 もう一つのお尋ねの、私が衆議院の労働委員会で、公務員法を適用して処断をするという話をしたのが事実かどうかというのでありますが、御承知のように、逓信とか鉄道とかの現業員は公務員法の中に除外をされておる。從つて公務員法の正面から適用を受けない。從つてそういうことを私が申上げるわけはないのであります。ただ今御指摘になりましたように、この全官、全官と申しますか、政府の職員の人たちが、國家財政の面から予算という点で制約を受けて、從つてその給與というものが非常に他の民業に比べて、相当な差がある、勿論新聞等に出るのは、爭議等によつて非常に高い賃金を獲得した例もあるが、民間企業においては千八百円にも達してない企業も相当にある。給料すらも支拂えない企業もあるわけであります。必ずしも全部の民間企業が、三千円になつた、三千五百円になつた、四千円になつというような状態にはなつていないのであります。併し確かに民間企業は、その企業の成績、能率等によつて給料が上つておるのに比べて、政府の職員は予算等に縛られる点があつて、生活の実態が非常に苦しいものである。こういうことは無論何人といえどもこれは分ることでありまして、これに対しましては今いろいろの御意見がありましたが、政府もこれに対しては眞劒に檢討を加えておる。政府の態度は近くこれを発表いたします機会があると思いますがこれに対して各方面から檢討して、できる限りこの生活を改善して行きたいということで、根本的に檢討いたしておる。この生活の苦しい実態に目を蔽うて、單にいろいろ取締りだけを強化して行くというのではないのでありまして、一方において眞劒に檢討しておる。併しながら、だからといつてこういう公共的な事業の職場が麻痺状態になり、事態が苦しいのだから、これは当然だというふうには考えるわけには行かない。それは関聯性は持つておりますけれども、一應やはり職場の規律は守つて行かなければ公共の福祉は守り得ない。こういう考え方であつて、一方においてはそういう点を徹底的に檢討して行くと同時に、一方において殊更に事態を混乱さそうとして、そういう職場の秩序を混乱さすために煽動するような者に対しては、これは断乎処断をせざるを得ないと思います。
○委員長(原虎一君) 大臣の答弁が続けられれば結構でありますが、先程前以て御断りいたしたように、三時十五分を過ぎておりますので、後に労務局長と政務次官が残つておりますから、それでよろしうございますか。それでは大臣御出席御苦労樣でございました。
○小川久義君 只今三木大臣の考え方僕も同感であります。なぜでありますかというと、農業に携わつておる者も労働者でありまして、この農業労働に從事しておる者は、米價におきましては二千三百円、全國的の調査生産表を基準にした價格二千三百円を要求した。然るに現内閣は千七百円で打切つた。而も今年の割当には、地方におきましてはもう農家の背負い切れん割当である。かような時期におきまして、政府の仕事をしておる職員であるからというて、やんちやを巻いて郵便物の取扱いもしない。それが國民に迷惑を掛けておる。國民に迷惑を掛けて、やんちやを巻く者ほど給料が上るという現状においては、農民も堪え忍ばれない氣持になつて來ます。この供出の時期であり供米の最中であるこの時期に先程大臣のおつしやつたような手はぜひ打つて頂きたい。そうしなければ、一方同じ働く、農業労働に從事しているこの労働者の面では納まらんものが出て來る。從つてこの食糧危機に輪をかけるような事態が発生する、かように考えますので、一方では情を以て生活の安定をするようにお考え願いたいが、間違うた者に対しては嚴罸を以て臨んで頂きたい。この点を特にお願いいたします。
○委員長(原虎一君) いろいろ御意見もございましようが、実は今日は、報告を聞いて、いろいろ御判断の参考に供するというようなことで、御意見の開陳は、時間或いは日を改めまして、研究会等を持つ機会もあろうと思います。特に御質問もなければ打切りたいと思いますが……。
○竹下豐次君 外の官業労働の方で、同情罷業とでも申しましようか、そういう意味で何か計画しているというような模樣はございませんか。
○政府委員(椎熊三郎君) 外の官業労働の方では、中労委に提訴しているものが、大藏省関係であるとか、文部省関係の組合等においても、ほぼ全逓の要求にやや似たような問題で提訴しているものがございます。併し現実に爭議行爲に入つているものとか、又この間逓信省部内で行われたような形式のものはないように承つております。
○委員長(原虎一君) ちよつと参考までに聞いて見たいと思いますが、逓信從業員の今の要求を容れますと、どのくらいの総額、どのくらいの費用になりまして、それは要求の全部でなくても、例えば今の突破資金の要求、それを実現いたしますには、どの程度の郵便料金の値上げ等を必要とするか。そういうお調べができておりますれば、数字的に、大まかなところでもよろしいから……。
○政府委員(椎熊三郎君) 今度の追加予算で出しております逓信省の損益勘定の中に明確になつておりますが、千八百円ベースにするために凡そ三十七億程の金が要るのであります。今の要求通り直ちにこれだけ要するということになりますと、約二億円の金が即刻に要るということになります。
○委員長(原虎一君) ちよつと、それは二億円というものは、東京地協だけの要求でありますか。
○政府委員(浦島喜久衞君) 全逓が要求を出しておりまする二千四百カロリーを基礎とした最低賃金制度の確立でありますが、これは二千四百カロリーを、各地域々々の組合としましては、先ず適正物價というものを求めましてこの二千四百カロリーが得られるだけの金を取るだけにするならば、どれくらいの賃金が要るか。こういうのを各地域々々が要求しております。併し適正價格が決まらなければ、配給による配給價格と、闇買いの自由價格等によつて計算したものをよこして呉れ、こういうような計算の仕方で要求しておるのでありまして、これはまだ全部が揃いませんが、仮りに東京地協の要求として計算して出しておりまするのを基礎といたしまして、これから推算いたしまして、かような要求を一應計算して見ますると、全國的に見て年額二百七十六億円の金が更に増加する、こういうことになつておるのであります。それから生活補給金の二千円、千円、この要求を容れるとしますると、二十億の金が要るということになります。
○委員長(原虎一君) ちよつともう一遍はつきり言つて下さい。
○政府委員(浦島喜久衞君) それは二千円、千円――本人二千円、家族千円、家族を大体三人としますると、五千円ということになるわけでありますが、これを四十万人としますと、約二十億の計算になると思います。
○委員長(原虎一君) それは東京地協だけでなく、全國ですか。
○政府委員(浦島喜久衞君) 全國です。
○委員長(原虎一君) 危機突破要求は二十億ですか。
○政府委員(浦島喜久衞君) 東京地協は一万一千人でございますから、これを中労委の中間的な、若しも千五百円にしますと、約千五百万程度になります。
○委員長(原虎一君) ちよつともう一遍……。二百七十六億円というのは、全逓の今の要求を全額容れた場合ですね。結婚費等も……。
○政府委員(浦島喜久衞君) いいえ、二千四百カロリーのあの賃金だけでございます。これはほんの大ざつぱでありまして、これは私の方だけで一應目の予算で計算した金であります。これは更に要る金でありまして、現在の千八百円ベース以外に更にこれだけの増加を要するものであります。
○委員長(原虎一君) 他に何かそういう点で御質問ございませんか。別にございませんようでありますから、これで打切りたいと思います。それではこの問題を打切りといたします。
 それでは先程に引続きまして、附帶決議案の第二項の審議に戻りたいと思います。先程姫井委員からは「日傭職業安定所」の名称は、從來通り「労働安定所」が適当じやないかという御意見があつて、そこで、本案は今までの説明の中に落しましたが、理事の方々とも御相談申上げて、一應案を作つて見たわけであります。尚一つ御審議を十分に願いたいと思います。先程に続いて審議を継続いたしたいと思います。
○栗山良夫君 先程姫井委員から最初に御発言がありまして、それについて私大体日傭労務、日傭という言葉ではまずいから、これを訂正することについては御賛成というような意味のことを発言したのでありますが、そのあとに又姫井委員が、だから日傭職業安定所を止めて労働安定所でよいのだ、而して前段三行は削除した方がよい。こういう御意見でございましたが、そういたしますと、私が一番最初に発言を許して頂きましたこととちよつと齟齬する点がありますから、もう少し時間を頂きたいと思います。それは第八條の第四項に「公共職業安定所の位置、名称、管轄区域及び事務取扱の範囲は労働大臣がこれを定め、」云々とあります。この第四項の條文を見ますと、公共職業安定所というところで以て全部の職業安定をやることに一應なるわけであります。そうしてこの職業安定所の中の業務所管といたしまして、日傭專任のもの、或いは一般職業のもの、或いは婦人だけのもの、或いは少年だけのものというようなのが必要に應じて、各所に必要な場所にできるわけであります。そういたしまする場合に、政府の方の最初の説明におきましては職業安定所、労働安定所というようなものを置く場合に、その名称の変望は「安定所の位置」その次にある「名称」これによつてどういう工合にでもできるんだ、こういうようなお話であつたのでありますが、委員会の当時、当局と意見を交換いたしましたところの空氣といたしましては、やはり職業安定所の中の一部門であるというような解釈からいたしまして、それでは公共職業安定所の上の方にその内容を明らかにした方が一番よいのではないのか。そういたしませんと、職業安定所と労働安定所というものが二つできる。而もそれぞれ所長がおる。專任される。そうして何らか安定……本案には労働安定所というものが何ら明文がないのに、職業安定所と同格の労働安定所というものがあるように考えられる。法案を審議した者はよく分りますが、実際にこの法案を現場で運用する場合に非常に支障を生ずる場合もあるのではないかというようなことが言われたのでありまして、その点一番最初の姫井委員の御意見に対する発言に対して私ちよつと言い盡さなかつた点があつたように思いますので、申上げます。
○竹下豐次君 この案で見ますると、「労働安定所」という言葉は法律にないのだ。それだから「日傭職業安定所」なる名称を使用した方がよい、こうなつたようですが「労働安定所」という言葉が法律にないと同樣に、「日傭職業安定所」という言葉もないのでしよう。そうすると、法律の言葉と一致しないという点においては、どつちを使つてもやはり一致しないと思われます。それで姫井さんのお話に大体私は意見は一致すると思いますが、労働安定所というものも今日までありまして大体皆もう分つておるようでありますから、今の通りにして置いていいのでないかという氣もいたします。ただ法律にありまするのは「公共職業安定所」という言葉でありまして、そう書かない以上法律の言葉と一致しないので、やはり同じことですね。実際は分りさえすればそれでいいのでないかと思うのです。
○栗山良夫君 何故こういうようなことになつたかと申しますと、婦人だけ專ら扱う所をどういう名前にされるかということを政府に質問したのですがその時に政府の方は、そういうものは婦人職業安定所というような名前に將來なるでしよう。少年だけ扱うときには少年職業安定所というような名前になるでしよう。こういうような囘答であつた。それならば、それはその安定所の行いまする仕事の内容を明らかにするのだから、労働安定所もやはり歩調を揃えてそういう工合にしたらよくはないか。こんなようなことでなかつたかと私は記憶いたしております。
○竹下豐次君 今のお話によりますとこの案に書いておりまする「本法中に」云々ということは話が合わなくなつて來ますね。法律語でないからということをここに書いてあるということが、今の御説明と合わなくなつて來ますね。
○委員長(原虎一君) それはちよつと私から申上げますが、これは説明をこの文章の中に入れておりますから、そういうことになるのでありまして、竹下委員の言われる通りだと思うのであります。法律用語としては公共職業安定所というものはこれ以外にないのだ。從つて日傭職業安定所もないわけである。労働安定所もない。ただ法律用語として今後職業安定所と公共職業安定所というもの以外にはないのに、実質には労働安定所がある、これは紛らわしい。実際それは日傭專門にやつておるものですから、今栗山委員が言われますように、婦人職業安定所ができたならば、日傭職業安定所というふうに名前を使うのが分りよくてよいのじやないかという意味もありまして、法律用語として法律の中にある名称を扱わないわけには行かないので、日傭職業安定所の名称を使うようにすること希望するということでありまして……。
○荒井八郎君 私はこれは附帶決議ですから、名称の使い方は分ればよいんじやないかと思うのです。ですからこれでよいんじやないでしようか。そういうふうに私は考えるのですが、附帶決議として政府に要求するんですから……。
○竹下豐次君 私は同じようなことを申しますけれども、形は栗山さんのお話のように婦人職業安定所が必要でそれができる場合には、婦人職業安定所或いは婦人労働安定所という看板を掛けるようにしてそれが分りさえすればよいんですから、こういう問題を取上げて附帶決議とする價値はないのじやないか。法律用語云々という点につきましては、先程申しました通りに私は考えております。勿論あれも必要ないのじやなかろうかという考うを持つておるわけなんであります。
○小川久義君 竹下さんの言われたように、この法律にないものに、殊更にこういう名称を付けて見ても、それを除くということになると、結局早く帰る者より遅く帰る者には待遇を改善せよこういうことになる。こういうような小さいことは國会が決議をして持つて行くべき程のことではないではないか。第一項に職員の待遇向上を図らねばならんということがあるのですからこれは内容の話ですが、日傭労働者の斡旋に当る者はこの職員の待遇向上の中にみんな嵌め込まれてしまう。ですから殊更に法律にない名称を、日傭職業安定所なり、労働安定所という名前を並べて……。もう一つはこの職業安定所ですが、そんなに人が要る筈がない。一つの職業安定所の中に或る程度係官がおりさえすれば結構間に合うと思うんです。殊更に日傭安定所を作り少年の安定所を別に作る、或いは婦人の安定所を作るとかいうことは要らないんじやないかと思いますが……。
○栗山良夫君 今の小川委員の御発言は、私これまで委員会が随分長く、この問題なんかを論議をいたして來たときに全部論議し盡しておることでありまして、速記録を御覧になりますと全部お分りになると思いますが、労働安定所が職業安定所の中で簡單に済まされるではないかというような今御見解がありましたので、これに対しては私意見を申述べたいのでありますが、これは一般職業安定所と労働安定所とはもう現在運営せられておる実際の姿を見ましても、業務は全然性質が違うものでありまして、而も労働安定所の方は占領軍の労務者その他一般日傭労務者、いわゆるこの沢山な人たちを毎日窓口において、その職を斡旋しましてそうして賃金の支拂いまで窓口でなさる、非常に厖大な量と質とを持つておる仕事なんであります。只今の小川委員の御発言と現場の実情とはやや相違しておるということを申上げて置きます。
○竹下豐次君 実情は今栗山委員のお話の通りだろうと思つておりますが、この案を見ますと、一で以て待遇改善をしなければならない、向上を図らなければならないと書いてある上に、その左に日傭職業安定所も特別に又その中に含めて待遇しろ、こういうことになつているようでありますが、先程小川さんからお話がありましたように、参議院の附帶決議としてそれは余りに立ち入り過ぎている嫌いがあるのではないか。これは氣持の問題でありますが、そういう感じがいたします。
○委員長(原虎一君) 念のために申上げますが、要するに現実に労働安定所というものがあつて、これは職業安定所の名前に係つたもので、実質を日傭労務者を扱つているというような場合に、この法案の中には大臣の権限によつてそういうふうに分け得るということがよいか惡いかという論を決議へ持つて來たのでありますから、今竹下委員の言われたような、この案文から行きますと、そういう点の何といいますか、必要がないという点が現われて來ることが思われるのであります。ただ根本に遡りますと、現実のものが案文に現われないということに問題があるということをお考え願いますと、問題はこれを削除しますにも、或いは活かすにも、いま少しおのおのの考えが纒まらないものかというような感じがいたしますが、採決を取つてどうこうという問題ではないと私は思いますのでもう少ししか時間がありませんが、お考えを願つたらどうかと思います。
○竹下豐次君 全部同じ名前にするならば、この法律の用語にするのでありますけれども、別々の名前を付ける以上同じではないかと思うのですがね。
○荒井八郎君 私は附帶決議ですが、これは附帶決議としては少し文句が長過ぎると思います。私欠席をちよいちよいしましたから前のことは分りませんが、どうですか、もう少し簡單明瞭に全文に亙つて拔粹してもらうことを委員長に一任しようじやありませんか。大凡の意思が分つているのでしよう皆さん……。
○岩間正男君 修正案を提出したいと思いますが……。
 混雑を避けるために労働安定所は今後日傭職業安定所なる名称を使用すること。以下同文。
○姫井伊介君 第一條の公共職業安定所その他の職業安定機関、これはどういうものを含みますのか。ちよつとお尋ねします。
○政府委員(上山顯君) これは労働省にあります職業安定所、それから各府縣廳内にございます職業安定課というものが大体ございます。
○姫井伊介君 今の労働安定所というのは公共職業安定所が含まれるのでありますね。
○政府委員(上山顯君) さようでございます。それでこれは申上げる必要もないかと存じますが、法律上の名前としまして、公共安定所というだけがあるのでありまして、その中に通称労働安定所と申しますか、そういうものも含まれて來るわけであります。
○栗山良夫君 これは非常に小つぼけな問題ということは小川さんおつしやつた通りであります。併し法律を現場で読む場合に混乱しやしないかということを老婆心で考えたわけなのです。というのは職業安定所というものがあり、片方に労働安定所というものがあると、職業安定所は職業安定所案でできておる。労働安定所というものは労働安定法案でできていやしないかというような、條文を見てもどこにもありませんから、そういう疑いを持ちやしないか。これが一番最初言われた元だつたと思うのです。それでもう少し敷衍しまして、過日私共九州へ参りましたときに、若松の安定所だつたと思いますが、労働安定所というものはどういう法律でできておるかということを尋ねたときに、第一條の公共職業安定所といふものと労働安定所というものは全然別個なものだということにやはり現地の係が解釈し、その他の職業安定機関だ、こういう工合に考えております。だから今の上山局長のいわれたこととは全然違うのです。
○小川久義君 それは政府の指示した安定所じやないのですね。公共労働安定所という名前を使つて、それも一つの機関ができておるということは政府の指示じやないのですね。若松なんかにあつたというのは……。
○栗山良夫君 政府の指示です。
○小川久義君 そうすると、局長の今の御答弁と食い違う……。
○栗山良夫君 局長は労働安定所というのは職業安定所の中の一部門だ。こういうふうに言われたのに対して、現地の方ではそう取つていない。
○小川久義君 政府自体が間違わんようにすれば、附帶決議は要らないのでしよう。
○栗山良夫君 そう簡單には行かない。
○委員長(原虎一君) 速記を止めて懇談に入ります。
  午後三時四十三分懇談会に入る
   ―――――・―――――
  午後三時五十一分懇談会終る
○委員長(原虎一君) それでは懇談会を終りまして、引続き附帶決議の第二項を審議いたします。懇談会を重ねました結果、大体第二は削除することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
○委員長(原虎一君) それでは第三に移ります。これは栗山委員から御説明を願いたいと思います。
○栗山良夫君 この問題は第二項の今の労働安定所の中で、勤務の性質上特別な待遇改善をやつて貰いたいということが書かれてありましたが、そういつたことも勿論含むのでありますけれども特に私共今度九州へ行つて体驗して参りましたのは、ある石炭の千メートルの斜坑を下つて切羽の所まで参つたのであります。あの第一線に働いておる炭鉱夫の労働というものは金銭では私は價値付けられない程重要なものだ、生命の危險もあるし、ガスの危險、非衞生の危險、非常に大きな重労働でありますが、そういつた場合、或いは日鉄のあの熔鉱爐の硫黄の蒸氣の中で、私共はその側まで行けばくしやみが出て近寄れなかつたのであります。そういう所で殆んどなれつこになつて働いておる。体が相当免疫になつておるのでしようけれども、それだけに生命の短くなつておるようなことも思いやられるのであります。そういうような場合、或いは電氣の鉄塔、或いは電柱に上つて高圧の電氣に始終觸れながら仕事をしておるような危險な作業、こういうところに若し一般の労働と同じような待遇條件で以て当るとするならば、職業選択の自由から、これは現在も起りつつありますが、職業危機が起きて來る。そうして個人においては自由でありますけれども、國家全体として産業を綜合して考えた場合には、そういう人が全労働者の占める割合からいえば極く僅かなパーセントでありましても、それがないために産業がうまく囘轉しない、こういうことが起る虞れがありますので、今後職業選択の自由を大きく取上げると同時に、そういう特殊の労働に從事する労働者に対しては政府の処遇措置、或いは求人者に対してもそういうような態度で当つて頂きたい、こういうことを附帶條件として是非挿入して頂きたいというのが私の意見であります。
○姫井伊介君 これに賛成ですが、やはり字句の問題ですが、私は職業選択の自由によつて、「今後は危險又は非衞生の甚だしきもの」ということを入れなければ、ただ「危險その他」では表現の意味が足りないと非常に危い。又「非常に非衞生の甚だしいものその他これに類する職業を忌避し、これがため綜合産業、」綜合産業というと、綜合産業とは何ぞやという誤解が起きやしないか、だから綜合は入れないで、ただ「産業の興隆に支障を招く虞れがある。」とし、「從つてこの職業選択」というのを、初めには危險で成るたけ避けようとしておる、これを好んで選択という意味にも取れますから、「從つてこの種の職業に就く者に対し」と軽く言つた方がいいのじやないか。「選択」と言わないで、「就く者に対し政府はおのずから」、みずからかおのずからか知りませんが、これも要らないのじやないか、「特別の優遇」というとちよつと誤解を生ずるから、「処遇措置を採り」というふうに字句の修正をして貰つた方がいいと思います。
○理事(堀末治君) いかがですか、これに御意見は……。
○姫井伊介君 それから、「求人者」がいいですか、「事業主」がいいですか。これには「求人者」と書いてありますが、求人者ではおかしいですね、求人だからまだ雇傭関係が生じていない、「事業主」としたら……。
○竹下豐次君 ちよつと立案者にお伺いいたします。「危險な職業」それから「非衞生的な職業」というものに関する規定は労働基準法ですか、今度決められておるわけですね、その方で保護はできておるわけでありますね。
 その外に特別の優遇措置を採れ、こういうことがここにあるわけですね。これはどういうことになりますか。
○竹下豐次君 実際危險な場所、非衞生的な場合における仕事に從事しておる者に対しては、その工場、作業場において事実比較的他より優遇するのでなければいけないから、多少とも現在においても優遇されておると思いますが、その外に政府に何を希望するのかどういう法律でも作れというのか、それはどうなんですか。具体的に一つ例を示して承つたらと思います。漠然たる観念からいえば大変いいように見えますが、具体的に立入つて考えて見ればちよつと考え付かない。
○栗山良夫君 今の場合は賃金のようなものは大体基準法によりまして一定の枠ができておる。ところが、こういうような特殊労働に就く人は、賃金の問題は勿論重要でありますけれども、その他に作業用のいろいろな福利施設或いは精神的な福利施設、そういつたものが特別に講ぜられないと、安んじて職業に就けない。例えば現在非常に困つておりますのは、重労働者の、第一線で働いておる人たちの作業衣だとかそういつたような作業用の副資材が一般工員と同じやうに配給されており、そして各事業場では止むを得ませんから一般工員に同一に配給されておるものの中から特別に厚くそこへ分ける、こういうようなやり方を取つておる。そういうところに、もうすでに國家としても、そういうような特殊の労働に対して特別な観点から労働を保護しようというような考え方が、基準法の精神を勿論百%活かせばそこまで行くのでありましようけれども現実的には行つていない、それをこういう新らしい立法で、これは人を傭い入れるときのあれですから、その時からスタートして、その附帶決議で一應明らかにして置きたい、こういう氣持であります。
○竹下豐次君 私お尋ねした所以というのは、勞働基準法をしつかり運用して行けばこういうことは注文するまでもないことじやないか、こういう氣持で実はお尋ねしたわけであります。
○委員長(原虎一君) これは修正でやつて行こうというわけですか。
○委員長(原虎一君) それでは修正はこれを可決することにいたします。次に四番に移ります。
○委員長(原虎一君) 別に御意見ございませんか。
○姫井伊介君 強いていえば「成るべく」といれないと困ることがありはしないか、「全然別個にし」というのでは……。
○栗山良夫君 上山局長にもう一遍御意見を伺いたいのですが、先程勞働安定所というのをここで原案通り行くことになりましたが、そうしますと、やはり四番の例で挙げましたように、婦人職業安定所、こういうようなものもやはり一貫して揃える意味において、小さな問題ではございますが、婦人安定所と、そういう工合にしてしまつた方が却つていろいろな問題が起らなくて綺麗ではありませんでしようか。労働安定所、婦人安定所、少年安定所、こうしたら……。
○政府委員(上山顯君) これは名称の問題でございますので、一番親しみ易い、又分り易い名称ということで考えるべき問題と思いますが、労働安定所なら労働安定所で内容が分るかと思いますが、婦人安定所だけでは少し言葉が足りないのじやないか。やはり婦人職業安定所ということにしたらどうですか。いかがでしようか。
○委員長(原虎一君) そうしますと、先程姫井委員の御意見にありました第一行目の、「窓口を全然別個にし」というのを「成るべく別にし」でよろしうございますね。
○委員長(原虎一君) それではこのまま今申しましたように修正いたしまして、採択いたします。次は第五であります。
○委員長(原虎一君) これはこれでよろしうございますね。次に第六に移ります。
○姫井伊介君 括弧の中の法第三十五條というのは、三十六條も含まれますね。それを入れて貰いたい。
○委員長(原虎一君) 三十五條、三十六條になりますね。そういたしまして別に御意見ありませんですか。第六はよろしうございますか。
○委員長(原虎一君) 決定いたします。第七に移ります。よろしうございますか。それでは決定いたします。次に第八に移ります。
○委員長(原虎一君) 以上第二を削除いたしまして、合計七項目採択いたすことにいたします。
 つきましては、先般中部、九州、山口地方の御視察を願いました報告をお願いいたします、先ず栗山委員から……。
○堀末治君 大分時間が過ぎましたから。この次にしてはどうですか。
○委員長(原虎一君) 速記を止めて。
○委員長(原虎一君) 速記開始。
○栗山良夫君 過日の本会議に從いまして、現地労働情勢の調査研究のために、第二班といたしまして、山口、福岡方面を対象にいたしまして、栗山、姫井、それから山田の三委員が、十月二十三日に東京を出発いたしまして、予定の日程を終り、二十九日に東京へ帰つて参りました。その間予ねて委員会で御承認を得ましたように、十月二十四日に山口縣に参り、山口縣廳に集合をいたしました。ここで副知事、民生部長、地方労働委員会会長、それから勞働委員会の事務局長、職業課長、労政課長、こういう方々と労働行政全般についての懇談をいたしまして、続いて山口市にございますところの労働基準局、労働基準監督署、それから山口縣の女子職業補導所、山口縣の公共職業安定所、山口縣の勞政事務所、更に当日丁度調停委員会が開かれておりました山口地方労働委員会をも傍聽する機会を得ました。
 この山口縣の労働関係の調査の中で特に私共注目をいたしましましたのは現在三大立法ができまして、そうして現地におきましてはそれぞれ熱心に行政の処理に当られておりますが、山口縣なども、過日本委員会で指摘せられましたように、その熱心は熱心といたしまして、これに伴う裏付けである予算が極めて貧弱でありまして、機構が十分に運営されていないということが特に甚だしいようでございました。一例を申上げますると、労政課の部屋の中に、労政課も、それから労政事務所も、基準局も監督署も一緒に入つておる。そうしてどこからどこまでがどの局であるか、なかなかはつきり分らないというような雑然たる有樣でありました。山口市にある基準監督署を見ましてもまだ整理半ばでありまして、氣が散つて仕事が手に付かないというような状態にあるようであります。ただ所員の人々は極めて熱心に仕事に当つておられます。
 超えて二十五日に、福岡の縣廳へ参りまして、民生部長、それから職業課長労政課長、並びに地方労働委員会の事務局長の方々と、山口縣におけると同樣に労働問題について懇談をいたしました。それから福岡市内にありますところの基準局、職業安定所、基準監督署、公共労働安定所、自動車の技術補導所、傘の工作補導所、こういうところを具さに見学調査いたしました。福岡縣のこの機構の整備は山口縣よりは数等進んでおりまして、人的におきましても、或いは建物の配備におきましても、先ず現在の段階においてでき得るだけの最大の効果をあげておられるのじやないか、こういう工合に見て参りました。併し伺うところによりますと、予算が非常に少いために、やはり労働基準法に例を取りましても、これを周知徹底せしめるということだけでもなかなか思い半ばにすぎて、十分末端まで啓蒙活動がなされていないような状況でございます。
 更に十月二十六日には、いろいろ現地の方の視察に参りまして、先ず第一に、三菱化成の黒崎工場を見学いたしました。この工場はコークス、それから有機、無機の藥品を製造している化学工場であるわけであります。ここで具さに現在日本に残されておる化学工場の代表的なものを視察することを得たわけであります。それから八幡市にありますところの各行政の現地機関を視察いたしまして、次に日鉄の八幡製鉄所を視察いたしました。この八幡製鉄所におきましては、たまたま現在爭議過程にありますところの労働代表とも会いまして、それぞれ意見の交換をいたしたわけであります。
 日鉄におきましては、現在日産五百五十トンの鋼材ができるそうでございますが、電力の強度の制限のために三百トンよりできていない。そうして而も圧延は殆んどなされていない。こういう状態であります。一旦鋼塊ができましたものはそのまま冷されてしまつている。こういうような悲惨な状態でありました。ただここに自家発電の設備として四万キロばかりの発電所があるのでありますが、これが何ら手を打たれてなくて、運轉に入つていないということは、今後の電氣の危機突被の上から見ましても、相当に注意をする事柄ではないかと考えております。
 それから二十七日の日には若松へ参りまして、あの北九州の炭鉱を一手に処理しておりますところの若松の港湾労務の状況を視察をいたしました。戰災で受けておる被害は殆んどございません。丁度日鉄の八幡製鉄所が、噂に聞くのと違いまして戰災は殆んど受けておりません。これと同樣に北九州の重工業地帶は戰災の影響はないのでありまして、若松のあの立派な石炭港湾も殆んど無疵でありました。ただ浚渫作業がうまく行われていないために、多数の船舶が出入し得ないという難点があるようでございます。あすこの港湾関係者は口を揃えまして、國費で以てあの港湾の拡張補修を是非ともやつて貰いたい、こういうことを國会で取上げて貰いたいということを熱願しておられました。
 それから若松におきますところの、やはり労働行政の現地機関を視察いたしまして、午後直方の三菱の新入炭鉱を視察いたしました。この新入炭鉱は非常に優秀な炭鉱でありまして、丁度九月も一万五千トンの割当に対しまして一万九千トンの出炭をいたしまして百四十八%の好成績を挙げまして、丁度福岡地方商工局の表彰式を終えて帰つて來たところに私共が参つたわけであります。ここでは斜坑千二百メートルを下りまして、更に八百メートルばかり奥へ進みまして、実際に炭鉱労働者が苦心惨憺して掘り進みつつあるところの切羽を、十五度の傾斜を以て、五百十メートルの幅を以て掘り進んでおるところの切羽を拜見して参りました。新らしい掘鑿方法を取つておりましたので、私共旧い常識では、最初坑へ入つたときによく見当が付かなかつたのでありますが、後で聞いてはつきりいたしましたが、非常に技術的な考慮も拂い、そうして一塊の石炭も余すまいとするところの技術的良心を以て非常な危險な作業を冒して掘鑿をいたしておられました。
 それから越えまして二十八日には、午前中直方の労働行政の現地機関を視察し、丁度正午に日本鉱業の高松炭鉱を訪れました。この高松炭鉱は、これ亦九千人の從業員を擁しております。月産五万二千トンを出しておりますところの優秀なる炭鉱でありました。切羽へ入るわけには参りませんでしたが丁度事務所におきまして、坑長からこの炭鉱の構成並びに作業の状況を具さに知り得ました。
 私共は今度の視察において、北九州において特殊な労働として日鉄、三菱化成、それから若松の港湾荷役、石炭の地上における作業、地下における作業、こういうような労働状況を具さに知ることができたわけであります。
 今度の視察で、特に結論的に申上げますると、労働行政の面でございまするが、折角法律ができて、そうして民主的に労働者保護の法律の下に、労働者が保護されようとしておりまするけれども、併し現地のどこへ行つても口を揃えて聞かれることは、予算が極めて少ない。そうして本省の命令によつて、昔採られた寄附行爲は山口福岡等も全然採られておりませんでした。それだけにいかに苦しい整備を急ぎつつあるか、この点を会う人ごとから口を揃えて聞きました。私共も帰りましたならば、労働省にもよくその意向を傳え、そうして善処いたしたいということを約束して参つたわけであります。
 それから地方の労働委員会の意向としましては、山口におきましても非常に熱心に調停委員会が持たれておりまして、あとで委員長の話によりますると、やはりこれも予算がない。そうして一つの事件を調停するにももう足に眞先に困つてしまう。或いは非常に事件が多いのに、委員が全部兼任でありまするために、十分に手の届くような調停ができない。將來は労働委員たる者はやはり專任で、中央の労働委員会と同じように置かなければならん。そうしなければこれが確立はされ得ないのじやないかというようなことを聞きましたが、私共も同感に思つたのであります。
 時間の関係上詳しく申す余裕がございませんが、各所とも実に懇切を極めた資料を整えて頂きましたので、それを持つ帰つて参りました。又繼つた報告書も近く完成をいたす予定でございますので、そういつたものを通じまして、山口、福岡方面における労働行政の全般を更に御承知頂きたいと存じます。誠に簡單ではございましたが、御報告に代える次第であります。
○委員長(原虎一君) 深川委員に、それでは第一班……
○深川タマヱ君 十月二十三日から二十七日の五日間に互りまして、予定の通り愛知縣、京都府、大阪府の労働行政を視察いたして参りました御報告を申し上げます。
 愛知縣におきましては、二日間、川上先生と赤松常子女史と私と三名、それから京都府では一日間赤松先生と私と二名、それから大阪府では二日間私一名、おのおのの場合、事務局から高橘さんが同行してくれておりました。
 先ず第一番に人員の問題でございますが、最初はもう少し大勢さんいらして下さる御予定であつたそうでありますが、急にお差支えができた由で、こんな少人数になつてしまいましたが、それでも京都府における赤松先生と私と二人の場合は何とか恰好がついておりましたが、大阪になつて、私一人になりましたときは、ちよつと考えさせられました。私一人参ることには躊躇いたしませんけれども、何分私が参るといたしますと、相当の経費を先方に使わせることでありますのに、果して私が日本一の大工業都市の大阪に参つて、それにふさわしい收穫を得て帰ることができるかどうかという不安と、もう一つは、六人視察に参るということを頼んで置きながら、現われて來たのは婦人議員一名であつたとなりますと、受入れ側の方で軽くあしらわれたという印象を持たれはしないか、最もそれを恐れましたので、私はむしろ北海道の視察が残つておるといたしますれば、その際までに体制を整えて、再出発する方がよくはないかと存じましたので、一應東京へ電報で交渉いたしまして、委員長樣の御決裁を仰ごうといたしました。事務局の方が手続を執つて下さつたのでありますが、何分出先のことでございますので、絡連がうまく付きにくく、出発の予定の時刻となりましたので、致し方なく、どうせ視察をいたさなければならない必要があるとすれば、他の方にお差支えができたら、私一人でもできるだけ多くを視察して帰つて、御報告いたさなければならない責任があると存じましたので、意を決して、私の健康と私の智能の続く限り、できるだけ注意いたして多くの收穫を得ることに努めました。私の氣の付く範囲におきましては、幸いにして大過なく、何とか恰好を付けて帰つたと存じております。
 で、私が今囘視察いたしましたとき特に注意いたしましたことは、將來の日本の労働立法及び労働行政に対して改革すべき建設的な意見を発見しようと努力いたしたことでございます。要点を先に申上げまして、後に又懇談の時間でも持たせて頂くことができましたら、補足したことを申上げることにいたします。
 先ず第一番に労働行政の一元化ということを痛切に感じました。いずれの府縣におきましても、基準局と労政局安定所が別々に分立割拠いたしておりまして、若干摩擦を生じておる所もございます。事務の内容の絡連が付きにくくて、なかなか仕事がしにくい。故に一般民衆も相当不満足らしく、第一は予算が非常に節減されておりますために、むしろ行政機構の整備が爼上に上つておるときでありますので、こういうものは一元化した方が却つていいのではないかと私も考えますし、出先の官廳の方も一樣にそういうことを提案されていたようであります。殊に基準局のごときは、先程栗山さんもおつしやいましたように、開店後末だ日が浅くて、諸般の準備が十分整わないためでございましようか、いずれも安定所の片隅で、一坪か二坪かを借受けた状態で、備品もなくて、机や椅子を二三脚借受け、人員も整わない。それに第一中央から報告を求めて來ても、紙さえもなく、それから基準法の趣旨徹底に街頭に進出しておるけれども、日当もなく、切符だけを貰つて、労力奉仕しておるというような状態だそうでありますので、極論された一吏員の話では、基準局というようなものは監督局であるにも拘わらず、これほど予算がなくては、当然企業者からの経済的援助を求めるために、監督局としての職賣を十分果すことができなくて、いろいろ障害を起しつつあるということでございましたので、私はこれは棄て置きならん言葉であると存じて、特に御忠告を申上げたいと存じます。こういう事情もありますので、むしろ労働行政を一元化する方がよくはないかと第一に感じました。
 これは基準局の問題でございますが、それで九月から時間ともう一つ何かが特に施行されておるようでありますが、その中でこの基準局が経営者側から歓迎されないということは、予め予測できたことでございますけれども意外にも保護さるべき立場におる勤労者から歓迎されておらないことであります。これは大体この頃電力危機のために無警告の電休があります。それからその外資材の入手難などがございまして、突発的な休日が多い。そのために実收入が少い。殊に印人の場合はその上に生理休暇があるしその上日直があるし、それから深夜業の禁止、こういう問題のために非常に手取金が少いということでございます。從つて保護する目的のために労働時間を節約されることが、果して保護の目的に適つておるか。或いはもう少し働かして実收入を多くして、生活をよくすることが却つて保護の目的に適つておるか。ここまで來ておるようでございます。それでこの労働基準法の第三十二條の第二項の但書適用の必要に迫られておるようであります。労働基準法では、一日に八時間労働で、一週に四十八時間ということになつておりますが、但し四週間内の平均で一週間に四十八時間を得えない限りにおいては、一日八時間労働を超過してもよいし、又一週間に四十八時間超過してもよいという但書がありますので、あれの適用に迫られておるようであります。
 それから特に注意しなければならないことは、折角婦人を保護するためにいろいろな時間の調節をしてくれてあるようでありますけれども、かくのごとき状態では、婦人を雇つたのでは非常に不利なので、男子のために職場を奪われようとしておる現状でございます。生理休暇などは、重労働の場合は別でありますが、その名の示すごとく生理的現象でありまして、病氣でないのでありますから、この日本が生産力を旺盛にして経済復興を急がなければならない時期においては、再考慮の必要があると感じました。
 それからその次、安定局関係のことを一通り申上げます。つい最近までは求人者の数が求職者の数を上廻つておるそうでございますが、最近はややこれが伯仲し、殊に大阪府のごときは求職者の数が幾らか上廻つて來ておるそうであります。これは闇の取締りが嚴重なために、將來の見通しがつく安定した職業に就きたいという意向があるのと、もう一つは、求人側におきまして、資材難と資金難と、それから電休などの関係で、足踏みの状態にあるからだそうでございます。併し全般的に見まして、潜在失業者も合せた人員を比較いたしますと、安定所の戸を叩いて職を求めに來るのは一割で、これはいつかも私が申上げましたように、將來の労働安定所は、來るお客樣だけを相手にしておるのではなく、積極的に國民の経済生活の実情を調査いたしまして、まじめに働いて生活の立つていけないような家庭に対しては、積極的に必要な職を與えるというようなことまで、出て行かなければならんのではないかと思います。併しそうして縛つてみても、收入が生活を支えることでなければ、結局元の木阿彌でございますので、どうしても早く経済復興を急いで、收入で生活が立つように、実質賃金を上げることを急がなければならないと存じます。
 その次、これは特に御注意いたしたいと思いますことは、家族手当がありますために、三十五歳以上の中年で係累者の多い人が、非常に就職難をいたしておることでございます。それにつきまして考えますことは、將來は家族手当というものは、これは雇主の負担にすることは止めた方がいいと考えました。そうして子供のない家庭は、日本の経済復興に対して協力しておる点が少いのでありますから、子なし税というふうな露骨な名前ではなく、何か婉曲な名前で税を取立てて、それで子供が多い家庭の生活を援助するようにして、個人を雇いますときは、この子供のある人もない人も同樣に、一人として雇い入れるのでなければ、子供の多い人は浮ぶ瀬がないと感じました。
 それから住宅難で失業者が二重の負担を被つております。住宅があつて通勤するのであれば雇い入れるけれども住み込みはいけないというところが非常に多うございます。特に私は寺の開放とか、料飲業者の貸座敷というものを労働者の共同宿舍に明け渡して貰いたいというのが一つ。それから今の日本の住宅の統制が、これはいけないのじやないかと存ずるのでございます。これは資材を持つておる人でも建てられない。罹災者を優先的ということになつておりまして、資材を持つておる人でも供出せなければならないことになつておりますが、人情としてなかなか供出いたしませんから、資材を持つておる人にはどんどん建てさせる。そうして新らしく建つた家の使用の当つては、それは十分政府が監督して、住宅を優先的に、こういうことにいたしますならば、資材を持つておる人が家を建ててそれに住むならば、今まで住んでおる建物が空くのでありますから、そういう状態にすればどんどん家が立ち並んで行くと思います。これほど全國的に燒けたのでありますから、相当家が立ち並びつつあるのが目撃されるのでなければならんのに、汽車の中から見ても、どこにもなかなか建てておるところが少いので、住宅の問題は急がなければならないと思いました。
 それから火力発電所の問題であります。御承知の通り最近は電力飢饉で、これが癌になりまして、日本の傾斜生産が浅瀬へ乘り上げて、三割か五割くらいしか基本産業が行われていないような実情であります。それで特に火力発電所をよく調査いたしましたところここは戰爭中以來労務者が非常に虐待を受けておりまして、労務加配米もC級だそうでございます。この問題は急いで採り上げなければならないのと、これは統制がうまく行つていないために、民間の会社に比べて給料が少い。それと電力というものは、他の会社と違つて、田舍に持つて行つて物交できるような品物ではありませんので、現物支給ということがない。そういうものを加えて、非常に火力発電所には就職者が少いので、人員が不足だそうでございます。いろいろ問題はありますけれでも、特に労働関係からみましてこの点を改良いたしまして、火力発電所の就職者を多くして、早く火力発電の改良をいたさなければならないと感じました。ここの話によりますと、日本の汽車などは、石炭が非常に不経済に焚かれておりますから、あの石炭を火力発電所へ持つて行つて電力化すれば、五分の一の石炭で間に合うそうでございます。これは非常に私は耳寄りなニユースであると思つて聞いて参りました。腐朽老廃されておる発電所も復興いたしまして、こういうふうにすればいいと感じました。
 その次、同じように紡績会社が非常に人員が拂底いたしております。これも待遇が惡いためであります。輸出貿易を控えておりますので、この給料も上げなければならないと存じます。
 それから全体を通じて、非常に主人公が生活難でありますので、婦人で内職を求めておる人が多うございます。内職はあるのでありますけれども、このごろ盜難とか火難の虞れがありますので、來てくれたならば職を與えるけれども、持つて帰るのは困ると一樣にいわれておる。早速婦人が困りますのは足手まといの子供の処置でありますので、是非公の手でところどころに托兒所を設けなければならないのと、一つは配給機構が非常に混乱いたしておりますので、一家の主婦は一日中、家に待機の姿勢を取つておらなければならないような状態でありますので、こういうことは改良いたしまして、外へ働きに出られるようにしてやらなければならないと存じます。同時に防犯のこともございます。それから輸出向の家庭工業のことがちよつと話に出しましたが非常に歓迎されまして、貿易廳の長官が引受けてくれたのだから、いえさえすればこちらへも廻してくれるというような話がありました。
 それから、補導所でありますが、一二申上げますと、名古屋の自動車修理工の補導所は非常に成功しております。これは本人としても経営者としても意外なことであるそうでございます。最近自動車の修理は非常に代金が高い。そうして需要者も多うございますので、これは予算がないけれども、もう少し予算を殖やして貰つて拡張したいという意向であります。
 それから大阪の傷痍軍人相手の職業補導所、これについてちよつと感じたことは、傷痍軍人は一度病院を退院してから職業習いに六ケ月ばかり通うのでありますけれども、その間の経費がないために、一週間くらいは他に働いてその金を持つて行つて職業を習つておるというような実情であります。傷痍軍人はお國の誤つた政策の犠牲になつた人であります。然るに一時金も恩給も貰えない今日の状態でありますので、せめて一生の生活を支えるに足るだけの職業を與えるときだけでも、國家が補助して上げて貰いたいと痛切に感じました。
 それから労政局関係のことでちよつと。このごろ全國的に工場閉鎖ということが行われております。その理由は資材難とか資金難のためというのが口実であつて、その事実は、永年勤続してそうして家族を持つておる人は給料が高いので、採算がとれないので一應首にして、若い安い給料の人と首のすげ替えをしたいというのが趣旨のようであります。これに対して労働委員会ではもう少し進んで、資材難とか或いは資金難のところまでも監督して、こういう口実を與えないように、労働者を保護しなければならないと痛切に感じました。
 それから官公吏の千八百円ベースの問題は出ましたけれども、これは全國的な問題でありますので、いずれ機会を新らたにして、皆樣と御一緒に協議いたしたいと存じます。
 それから工場視察で特に感じますことは、將來の工場に対してはもう少し科学を導入いたしまして、勤労者を必要以上に苦しめないことであると存じました。一二の例を挙げますならばガラス工場において、非常に高熱作業に從事しておりますので、相当朝晩冷えるこのごろでも、眞つ裸で汗だらだらでありますので、夏の労働の苦しさはどんなであろうと痛切に感じました。ガラスを熔かす焜炉の中の高熱は必要でありますが、その工事内の温度をあれほど高くしなくても、何とか改良の余地があるだろうと考えました。
 それから火力発電所では石炭を粉末にしておるのが盛んに飛散しまして、眞黒な顔になりまして、呼吸器を害するようでありますが、ああいうものも工場内に飛散させないような設備はもうそろそろできていいのではないか知らんと考えます。ガラス工場の中でガラスを割る大きな音なども防音設備もできるだろうと思います。
 それから一般の労働者の状態を調べておる間に私立寄つていろいろ生活の実情を聞いて見ましたけれども、非常に賃金が安くてとても食つて行けない。何をして食べているか、いろいろ聞きましたが、皆それぞれ立場々々であらゆる方法で違反行爲をして生活をしているようでありますが、將來は眞面目に働いていたならば別に惡いことをしなくとも暮らして行けるように、日本の政治を根本的に改革しなければならないと痛切に感じたことでございます。
 詳しいことをもつと申上げとうございますが、大変遲くなつておりますので、いずれ又改めて申上げることにいたします。
○委員長(原虎一君) それでは本日はこれで散会いたしまして、次囘は金曜日の午前十時に開会いたします。どうも遲くまで御苦労樣でした。本日はこれで散会いたします。
   午後四時四十一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     原  虎一君
   理事
           堀  末治君
           小川 久義君
           栗山 良夫君
   委員
           天田 勝正君
           山田 節男君
           荒井 八郎君
           木下 盛雄君
           植竹 春彦君
           紅露 みつ君
           深川タマヱ君
           竹下 豐次君
           姫井 伊介君
           穗積眞六郎君
           松井 道夫君
           岩間 正男君
  國務大臣
   逓 信 大 臣 三木 武夫君
  政府委員
   労働事務官
   (職業安定局
   長)      上山  顯君
   逓信事務官
   (労務局長)  浦島喜久衞君