第001回国会 通信委員会 第6号
  付託事件
○電話増設に関する陳情(第百九十七
 号)
○「教育振興」特別郵便切手発行に関
 する請願(第二百四十号)
○特定郵便局廢止に関する陳情(第三
 百七十五号)
○大多喜、千葉及び大原間直通電話線
 架設に関する陳情(第四百七十六
 号)
○北海道富良野郵便局を普通局に昇格
 することに関する請願(第三百八十
 八号)
○郵便法案(内閣送付)
○会津高田駅前に郵便局を設置するこ
 とに関する請願(第四百二十八号)
○栃木縣佐野郵便局の電話局舎新築並
 びに交換方式改善等に関する請願
 (第四百六十六号)
○郵便貯金法案(内閣提出)
○岡山縣勝田郡豊田村に豐澤郵便局を
 設置することに関する請願(第四百
 八十四号)
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昭和二十二年十一月二十四日(月曜
日)
   午後一時二十五分開会
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  本日の会議に付した事件
○郵便貯金法案
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○委員長(深水六郎君) それでは只今から通信委員会を開会いたします。前回に引続きまして、政府当局から法案の説明を伺いそれから質疑に入りたいと思います。
○政府委員(村上好君) 前回に引続きまして、貯金法の御説明をいたしたいと思います。
 第十二條の最後の定額郵便貯金の條項から御説明することに相成つております。「定額郵便貯金については、割増金をくじびきにより附ける取扱をすることができる。割増金を附ける取扱をする定額郵便貯金(以下割増金附定額郵便貯金という。)には、そのすえ置期間中利子を附けない。郵便貯金切手には、割増金をくじびきにより附ける。」実はこの定額郵便貯金に割増金を附けるという制度は、全く新らしい制度でございまして、從來章府の事業におきましては、國民の躰倖心を狙つて貯蓄奬励をするという、こういう思想が政府事業としては、全面的には取入れられていなかつたのであります。それで最近この現下の経済事情に照しまして、大量の貯蓄奬励をするためには、こういう制度を設けてやることが適当である、必ずしも不適当ではないという建前を採りまして、こういう新制度を作ることにいたしたのであります。これは御承知の通り、民間では福徳定期預金その他それに類するものは、富くじ三角くじ等非常に沢山あるのでありますが、政府におきましても、大体これに似た制度を採用することに相成りました。それでここに挙げてありますものは、一般的に政府は定額郵便貯金については割増金を附けることができるという抽象的な規定をここに設けさしてもらうことにしております。具体的にはその時々によつて條件等を異にして行くつもりであります。それで今回我々の企図しておりまするこの実行計画を概略申上げますと、本年度は十二月と二月の二囘、これを発行いたしまして、二十五億乃至三十億の浮動資金を吸收する計画でございます。郵便貯金をインフレ防遏に対する責任は相当重いのでありまして、我々も十分それを自覚いたしております。その意味におきまして年度内にこれを是非実現いたしたいと考えておるのであります。その今回の計画は、預入金は差向は一口五百円、それから据置期間は差向き一年、その期間の拂戻しは認めません。それから利子は、据置期間一年間は無利子とする。据置期間経過後は利率によつて利子を附ける。それからくじ引は一回限りとして、一方本を一組とする。割増金は据置期間中の利子に相当する額を割当てて空くじなしとし且つ大部分物品で交付する。それからその物品商品の種類を申しますと、一等はラジオ受信機、自轉車、二等は銘仙、三等はサツカリン、四等は絹ハンケチ、等外、これは現金十円という計画で進んでおります。これらの物資を商工省当局と協議いたしまして、交渉いたしまして、これだけは確保いたしております。それで、これは実は政府側といたしまして、希望であり且つお願いなのでありますが、この貯金法案は十二月一日から実施いたしたいという考えを持つておるのであります。最早余すところ余日もない十二月一日という施行期間は、誠に切迫した無理な期日に相成つておるというようにも見られるのですが、かような切迫いたしました事情はいろいろありますが、いろいろな事情で今日まで審議の時期に到達しなかつたのであります。実はこれを実行いたしますのには、非常に長い準備期間が要りますし、又その融資を吸收しますのは、年末とそれから年明けと二回やりたいのであります。年末が我々の狙いの時期であるのでございます。年末にやろうという計画は年度初頭から持つていたのでございますが、遂に今日までこの法案の提出が延びたわけであります。準備はかような次第でずつと前からいたしておるのであります。十二月一日の施行いたされますれば、我々の準備は直ちにスタートができるように相成つております。尚現業第一戰の実務者ともかねがね連緊を取つておりまして、実務者の意見では、各地方を綜合いたしますると、この割増金附きの貯金は、予定は大抵大丈夫であるということを申しております。私共この法案通過と共に非常な期待を掛けておる次第でございます。かような次第でございまして本当に無理な施行期日をお願いいたしておるのであります。実は若しこの貯金法の全面改正が間に合わなかつたならば、單行法として提案する予定でございましたが、いろいろな関係で全面改正も間に合うらしくもあり、結局こういう状態に相成つたのであります。どうぞ以上の事情を御理解下さいまして、よろしく本法案の御審議をお願いいたしたいと存ずるのであります。
 この十二條の最後の項の「郵便貯金切手には、割増金をくじびきにより附ける。」、これは昔の彈丸切手と言われたものでございます。將來そういう名称は絶対に避けますが、あの制度は残して置くつもりでございます。これはその額が割合に少いので、大量の融資の吸收には、必ずしもこれだけには期待できないような関係にありますが、制度は残して置きますが、全体の関係はそういうことになつております。
 その次には第十三條の利子の計算、利子の計算は大体現行法令と内容は同じであります。但し定額貯金は、從前三ヶ月ごとに利子を附けていたのでありますが、これを毎月附けるという一般原則に合致せしめます。それからもう一つは、現行法令によりますと、その月の終りに貯金をして翌月の月始めに貯金を下すという方法で、利子稼ぎをする者を、防遏する規定を設けていたのでありますが、新法案におきましてはそういう細かい藝は避けまして、全体を一般原則として預入の月は拂うが、拂戻しの月は拂わないという建前にいたしました。
 次には第十四條、これはその内容は現行法令と少しも変りございません。第十五條、十六條、十七條、これも、現行法令と内容は少しも変りございません。
 その次十八條であります。通帳、貯金証書及び証券保管証の再交付、これも内容は現行法令と殆んど変りございませんが、ただ一つ再交付をする場合には料金五十銭とあつたものを、これを一円に高めたという点が違うだけでございます。
 それから十九條、二十條、これは現行法令と内容は少しも変りございません。
 第二十一條、確認であります。これは多少違つております。現行法令におきましては、通帳の檢閲若しくは現在高証明という方法を取つて、確認の方法を取つておるのでございますが、これをこの字句を確認ということにいたしただけでございます。その効力等現行法令と変るところはないのであります。
 第二十二條、通帳等の提出、これは從來の用語では通帳の檢閲のために提出させるということにいたしておりましたが、今回は提出という用語に從つたのであります。内容は変るところございません。
 第二十三條、印章、これも現行法令と内容は変りございません。
 第二十四條、讓渡の制限、これは多少変つております。変つておる点は、現行法令におきましては貯金通帳の讓渡の可能な場合を三つ挙げてございます。一つは「公共團体、社寺、学校又は営利を目的トセサル法人若ハ團体ニ讓渡ス場合」、第二には「親族ニ讓渡ス場合」、第三番目に「遺言ニ依り讓渡ス場合」、この三つの場合に限つて貯金を讓渡すことができるという建前になつておりまするが、新法におきましては、第一番目ノ公共團体、社寺、学校又ハ営利ヲ目的トセサル法人若ハ團体二讓渡ス場合」、これを削除いたしました。由來郵便貯金の讓渡につきましては、成るべく讓渡をさせない方がよろしいという建前を取つて來ておるのであります。その理由は、讓渡を余り許すと権利関係が複雜になる、賣買、質入れ、担保等による不正行爲等がございまして、これの取締も非常に大量なときにおいては困難である。又成るべく國民貯蓄を奬励させるために通帳は持たして置きたいというような理由からして、讓渡に対しては消極的な建前を取つておるのであります。それで親族に讓り渡す場合と遺言によつて讓り渡す場合は、民法上のいわゆる贈與に相成ります関係上、これらの場合は残して置きまして、一般の公共團体その他に讓渡する場合は、現金を貯金から引出して現金を提供すればよろしいので、そういう方法に讓つて貰うことにいたしました。
 それから第二十五條、第二十六條、二ヶ條とも現行法令と内容は変りはございません。
 第二十七條、免責、これは新らしく設けた條項でございます。二十七條は「逓信官署は、左の場合において郵便貯金の拂もどし金の拂渡を延期したときは、これに因り生じた損害を賠償しない。一、拂い渡すべき郵便局において現金に余裕のないとき。二、預金者の提出すべき書類が不完全なとき。三、不可抗力に因り拂い渡すことができないとき。」この三つの場合に限つて免責とするということにいたしたいと思うのであります。それで二十七條を起しました理由は、新憲法十七條によりまして、公務員の不法行爲に対しては國家はこれを賠償しなければいけないということに相成つております。貯金法のごとき、一般の公衆との関係における私法行爲、これらに対しましては原則として損害賠償をすべきものであるという建前を取つたのであります。それで一、二、三、共民法の一般法に対する例外規定ということに相成るのであります一は「拂い渡すべき郵便局において現金に余裕のないごとき。」、貯金は一種の消費貸借の契約でございますが、金を預つて置いて期日が來て返す場合に、現金に余裕がないから待つて呉れということは、これはやはり対抗条件にはならないので、それに対して損害賠償をしなければならんというのが、現行の民法の規定でありますが、郵便局におきましては、これを嚴格にやられますと、地方の特定局のごときは、なかなかすべての場合に支拂に完全なような資金を常に準備しておりません。時々資金の不足が起きます。無いときには親局若しくは銀行から直ちに持つて來てこれに充当するという建前を取つておりまするから、さして不自由は掛けないと思うのでありますが、これによつて生じた損害は免責とする。二号の「預金者の提出すべき書額が不完全なとき。」これは預金者の受領証等に捺す判こが通帳の判こと不一致のような場合を考慮しております。これは債権者の責に帰すべき事由によつて生じた事態でありますから、これは免責とする。三号の「不可抗力に因り拂い渡すことができないとき。」、これは金銭債務の場合は不可抗力を以て対抗することはできないということに相成つております。郵便貯金におきましては、この場合は免責にして貰うという理由を以ちましてここに掲げたのであります。これが二十七條の新らしく設けました規定でございます。
 第二十八條、料金の還付、これは現行法令と大体同じでありますが、郵便貯金に関する既納の料金は、過納又は誤納のものはその納付したときから、現行法令では九十日を経過したときは請求することができないこととなつておりますが、これを一般私法に準じまして一年といたしたのであります。
 次の第二十九條は現行法令と内容は変りございません。それから三十條も現行法令と内容は変るところはございません。三十條について一言附加えて御説明を申して置きたいと思いますのは、利用の制限及び業務の停止の規定であります。「逓信大臣は、天災その他やむを得ない事由がある場合において、重要な業務の遂行を確保するため必要があるときは、貯金原簿所管廳、証券原簿所管廳又は郵便局を指定し、且つ、期間を定めて、郵便貯金の利用を制限し、又は業務の一部を停止することができる。」、これと同じものが現行法令にございます。それで現在戰災の後を受けまして、貯金の利子記入とか郵便貯金の通常拂いとか、その他いろいろな事務が一時停止されておるのがございます。これは貯金局その他の非常な厖大な戰災が復旧いたしません間は、どうしても再開すると一般事務の重要なものに支障を與える危險がございますので、この復旧がもう少し進捗するまでは、或る種のものはやはり制限をさせて置いて頂かなければならないような事情にあるのであります。それでこの新法が通過いたしましても、新法にあります制度の全部が直ちに活動を開始するというわけには參らないと存じます。といいますのは、戰災の復旧が完全にまだ參つておりません。現在通り新法ができ上りましても、或る種のものは制限停止を余儀なくされると存じます。この点予め御了承を願いたいと存じます。
 その次、三十一條であります。非常取扱、これも現行法令と内容は変るところございません。
 次には第三章、通常郵便貯金、第三十二條は預入金額の最低制限、これは金額の最低制限、從來は一円のを五円に高めたのでございます。現在の貨幣價値からいいますと十円ぐらいにしたらいいではないかという見方も相当ございますが、学童貯金等の関係もありますので、余り最低額を高めるのもいかがかと存じまして一円を五円ということにいたしております。
 第三十三條、預入の証明、これも現行法令と内容同じでございます。
 第三十四條、有價証券の預入、これは多少現行法令と変つております。「左に掲げる有價証券は、省令の定めるところにより、その券面金額でこれを通常貯に預入することができる。」、一は、無記名の地方債券証及びその利札で支拂期の開始したもの、これは支拂期が開始しておりますので、これを額面で以て貯金に受入れる。その次には持参人拂の小切手、持参人拂の小切手で以て直ちに郵便貯金に受入れることができる。この二つの場合に限定したのであります。前には郵便切手それから郵便貯金切手というものもこれを預入することができるということにいたしておりましてが、郵便切手は削除いたしました。それから郵便貯金切手は特別据置貯金の場合は、郵便貯金切手を以て預入することができるということが別のところにございますから、それは殘つておるわけであります。それから第二項、三項、これは現行法令と同樣であります。最後の「第一項の規定による預入の係る通常郵便貯金については、当該有價証券が決済された後でなければ、貯金の現在高がその有價証券による預入金額を下るような拂もどしをすることができない。」、非常に分りにくい言葉で書いてありす。持参人拂の小切手で貯金をされた場合に不渡りの場合があるのであります。一應は預金に入れますが、これが手形交換所で不渡りでないということがはつきりするまではそれを保留して置くという條項でございます。併しこれは実質的には現行の取扱いと変るところでございません。
 その次には三十五條、三十六條、これは現行法令と変りございません。
 それから三十七條は拂もどし金の拂渡、これは現在の建前は、郵便貯金は通常拂を以て原則とし、即時拂を例外の形にしております。併しながら実際にはこの通常拂というものは非常に利用が少くて、即時拂という制度が非常に全面的に実行されておりますので、今回は実情に合うように即時拂を根幹といたしまして、通時拂はやや例外な方法にいたしたのであります。
 それから三十八條、これは現行法令と内容殆んど同一であります。別に説明を要しないと思います。三十九條、拂もどし証書の再交付、これも内容は現行法令と変りございません。但し再交付は先程申上げましたように五十銭のやつを同じくここでも一円としました。それだけであります。それから第四十條、これも現行法令に変るところございません。
 次に第四章、特別郵便貯金、第一節すゑ置郵便貯金、これも現行法令と変るところございません。四十二條、四十三條、四十四條、皆現行法令と変るところございません。
 次に第二節積立郵便貯金、第四十五條、第四十六條、これも現行法令と変るところございません。
 第四十七條、これは郵便貯金の預入れの金額であります。この積立郵便貯金は前は二円以上五十円以下となつておりましたが、これを増額いたいまして二十円以上五百円以下、前は円未満の端数を附けさせなかつたのですが、今回は十円未満の端数を附けることができないということにいたしました。
 それから第四十八條、預入金の合併預入、これは新らしく設けた條文であります。積立貯金は郵便局で毎月集金に行つて一定額を預入させる制度であります。これを相手の公衆の都合によつて來月分、再來月分も一緒に貯金するという場合はそれを受付けるということにしたのであります。つまり予約を認める。現行では予納をさせない建前を取つております。
 第四十九條、第五十條、五十一條、いずれも現行法令と変りございません。
 第三節定額郵便貯金、第五十二條、これは内容現行法令と変りございません。
 第五十三條、第一項は現行通りであります。それから第二項は「割増金附定額郵便貯金のすゑ置期間は、預入の日から一年又は二年とする。」、これが新設されたわけであります。一年又は二年としたのは割増金を附ける場合にそれの計算の基礎にもなりますので、そういうことにしたわけであります。
 第五十四條預入金額、これは現在五十円、百円、ずつと千円までになつております。今回は百円から段階を設けて最高三千円ということに増額いたしております。
 第五十五條、拂もどし金の拂渡、それから第五十六條、これも現行法令と内容は変るところはありません。
 第四節特別すえ置郵便貯金、第五十七條、第五十八條、第五十九條、いずれも現行法令と内容は変るところはございません。
 第六十條郵便貯金切手の券面金額、これは現在は一円及び二円にいたしております。これを五円、十円又は二十円と増額いたしております。
 それから第六十一條、郵便貯金を以てする預入、貯金切手の溜つた場合にどれだけ溜つたら本当の貯金に入れられるかという制限であります。現在はその切手を五枚以上ということにしておりますが、今回の金額で二十円以上ということにいたしております。その他は現行法令と変るところはございません。
 他の二條、これも現行法令と筋は変りません。
 次は第五節すえ置期間経過後の特別郵便貯金、第六十三條、第六十四條共に現行法令と内容が変るところはございません。
 第五章保管証券、第六十五條保管証券の種類、これも種類は國債証券、貯蓄債券、報國債券の三種類で、現行の建前と変るところはございません。
 第六十六條、これも現行法令と同じであります。
 それから六十七條、料金であります。これは現行法令と少し変つております。現行法令におきましては規則で非常に細かく決めてございますが、これを今度その基本となるべきものを法定いたしております。基本料金と附加料金というものを規定いたしまして、その範囲内において各段階において料金を決めてこれを省令で出すということにいたしております。その他は現行法と変りございません。
 第六十八條これも現行法令と変りございません。六十九條、七十條、これも現行法令と同じであります。
以上を以て各條文の説明を終りました。
 最後に附則であります。「この法律は、昭和二十二年十二月一日から、これを施行する。」、この間の事情は先刻御説明申上げまして希望を申上げた通りでございます。それからここに沢山いろいろ掲げてありますが、これは経過規定でこの内容を申上げますと、第三項「旧法は、振替計算のためにする預入金については、この法律施行後でも、なおその効力を有する。」、これは振替貯金というものが從來郵便法の中にちよつぴり姿を出していたが、今回は振替貯金に関しては独立した法律を作る予定であります。その法律案は次の通常議会に提案する予定でございますので、それが成立いたすまでは旧貯金法を殺し切りに殺すわけには行かない、振替貯金に関してはその間効力を持たせるということであります。
 それからその次「この法律に定のない種類の郵便貯金又は……この法律施行後でも、なお從前の例による。」、ここまでは現行法通りであります。これを襲用するものであります。この中に盛られております制度又は金額でありますが、これは金額に制度を付けますと、それ以下の金額等は新法では律しようがありませんので、例えば共同貯金、規約貯金、券面二円の貯金切手等のごときは新法では律しようがありませんので、これは依然として從前の例によるというので旧法を襲用することになつております。
 最後の項は、これはもう新法を全面的に旧貯金に対して適用するという條文であります。これは旧法時代にもその制度があり、新法も丁度同じ制度が適用されるものは挙げて新法の適用をさせるということであります。以上を以て新法に盛られたものの條文を説明いたしました。
 最後に、新法の條文には全然削除されて姿を現わしていない旧法の規定があります。それは現行法の第十一條に「郵便貯金ニ関シ無能力者ハ郵便官署ニ対シテ爲シタル行爲ハ能力者ノ爲シタルモノト看做ス」という法律がございます。これは新憲法下においてかような一方的條文は適当でないという決定によりましてこれも削除いたしました。從いまして無能力者のなした郵便貯金、これは民法の一般規定に從いまして取消すことができるということに相成ると思います。これは銀行貯金におきましては、やはり無能力者のなしたものは從來と雖も取消すことができる。その点においては新法を民法並みにしたということになるのであります。その他削除した條文で特に申上げるものはございません。甚だ雜駁でございますが、以上を以て新貯金法の説明の概略を終ります。
○委員長(深水六郎君) 何か御質疑はございませんか。
○堀越儀郎君 直接この案の條文のことでありませんが、我々に示して頂いた「郵便貯金法案参考資料」、この数字は確実な基礎に基いてお出しになつた数字でございましようね。
○政府委員(村上好君) さうでございます。
○堀越儀郎君 全部信頼していいわけですね。
○政府委員(村上好君) よろしうございます。
○堀越儀郎君 第七表の「國民所得調というところで、昭和二十二年度の國民所得額五千五百三十二億となつておりますが、何かこれに信頼する数字の根拠があるのでございましようか、その根拠をお示し頂きたいと思います。
○政府委員(村上好君) お答えいたします。二十二年度の数字は年度初頭に政府で発表した予想の数字であります。
○堀越儀郎君 これは私非常に重要な問題だと思います。今度の追加が予算の説明に当りまして、大藏大臣は國民所得を九千億と発表しておられます。それは國民の租税能力が九千億とすれば、僅か二三%だから滯納なしにこれは十分納税できるという予想の下に健全財政を謳つておられる。同じ政府が出される調査に、逓信省関係では五千億と見て、大藏省では九千億と見る、この違いはどこにあるのでありますか。
○政府委員(村上好君) 実は大藏大臣の九千億の数字はまだ正確な認識を持つていないのでありますが、この数字は年度初頭に寺府で発表いたされましたもので、その後大藏省の数字とその後の情勢によつて変化したのではないかという氣がいたすのでありますが、この点別に大藏当局とも折衝いたしまして数字を確かめることにいたします。
○堀越儀郎君 次の機会にはつきりしたことをお知らせ願います。
○千葉信君 十六條、十七條、に関聯する事項ですが、これは実際にはなかなか行われていないじやないかこのことは事務能率にも大きな影響を持つておることで大抵の國民は、私共の関知するところでは、相当の貯金通帳を所持しておるのが現状を思われますが、この点について積極的にこの法令に從つてやつて行いという方針を持つておられるかどうか、現在のように自然発生で招來されておるような状態が牧任されるようなことになりはしないか。この点について政府はどういうお考えでありましようか。
○政府委員(村上好君) お答えいたします。前回の委員会においてもお答えいたしたのでありますが、政府といたしましては、この貯金通帳を成るべく数を縮小して、少くともこの法律に合致するような方向に進めて行きたいと、かように考えておるのであります。それで現在では、この戰争中に非常に貯蓄奨励を強化いたしました結果、隣組、町会その他いろいろな種類のところで新らしい通帳が出て非常な大量になつております。これらのものは逐次整理して本來の姿、自然に姿に持つて行きたいと考えております。今迄の通帳原簿を整理する、復旧することだけでも非常に忙殺されておりますので、この新らしい行き方でいろいろ新らしい方法、整理等をやりますと事務が混乱いたしますので、一應現在の整理ができましたならば、先程申上げたような通帳の整理ということにずつと進んで行きたい。それで極力この條文に合致するようにして頂きたいと考えております。
○千葉信君 第三十條の関係でありますが、実は郵便法の中にもこういう表現の仕方があつたと思うのですが、「重要な業務の遂行を確保するため必要があるときは、……郵便貯金の利用を制限し、又は業務の一部を停止することができる。」とありますが、貯金の利用を制限したり、業務の一部を停止するような重要な業務が貯金業務に外にありますか。それを伺いたい。
○政府委員(村上好君) 誠に御尤な御質問でありますが、事業全体を眺めて見ますと、これだけはどうしても確保しなければならない、これは暫く停止して置いても他に方法がないわけではないから、これだけは忍んで貰おうというのが、仔細に吟味すればできて來ると存じております。現在停止しておりますものは郵便貯金の通常拂渡、この例を取つてみますと、即時拂でも拂渡しができますので、通常拂の拂渡しをやらなくても……通改拂は郵便局、貯金局の原簿を見て新らしく証書を発行して預入者に渡す。預入者が郵便局に又それを持つて行くというふうに非常に手数が掛かります関係上、そういうものは一時停止するという建前を採つております。その他証券の購入とか、交付、賣却、振替でありますが、現行法では貯金法の中で振替を規定しております。で現在振替加入の制限をやつておりますが、郵便貯金を以て新らしく公債を買つて呉れといつたような業務、これを現在今まで保管しておつた國債の保管の事務、それすら戰災で焼けたりして整理ができていないので、新らしく購入して保管するといつたようなことは暫く止めてはというようなことで、おのずから我々としては、少くとも從來のものは早く整理し、若しくは貯金の受けとか拂いとかといつような直接的なもの、そういう事務は何を借いてもやりたいといつたような建前からかような規定をいたしたのであります。
○水橋藤作君 二十七條でありまするが、なくて旧法になくて、……拂戻しすベき郵便局において現金の余裕のないとき断わるとなつておりますが、新たにこの條項を加えるということには相当の理由もあつたんでありましようが、加えられることによつて非常に一般公衆に不便でもあるし、又信用から行きましても、もう少し具体的に時間的に余裕を呉れるというのならよいが、どの程度までが郵便局に金がないのやら、預つた金は返すのが当然で、拂戻しを受ける人に言わせると当然で、百円でも、ないと言われれば、駄目になるわけですか。この点についてちつと漠としておりますが……
○政府委員(村上好君) 実は現行法におきまして、規則においては貯金の拂渡し余裕のないときという條項が出ておるのであります。それは規則で法律の効果がございませんので、これを法律の中に掲げて明示したわけでありまして、これをやつたために、國民に対して政府の信用を失墜するということはないと思います。
○水橋藤作君 それよりも不便に感ずるのですね。それよりも仮りに金高に一定の限度を加えて、それ以上は時間的にどのくらい待つて呉れ、一日延ばして呉れというような行は方で現わした方がいいというように私は感じたので……。
○政府委員(村上好君) 或いはそうした現わし方がいいかも知れませんが、日にちを切るということは非常に困難なことでございますので、一般に適用される場合にはこういつたような抽象的に相成るものと思うのでありますが……。
○新谷寅三郎君 只今水橋君の質問に関聯しまして、私もこの條文を讀みまして不審に思つた点があるのであります。大体趣旨は分るのでありますが、拂渡先郵便局において現金の余裕がないとき、これは逓信省の側から見ると、郵便局に拂渡すべき現金というものが、絶えず大体のところはいつもあるということを前提にしておられる規定だろうと思うのです。併し非常に不断と違つて、殊に非常に多くの拂渡があつた場合には、自然に余裕もなくなつて來る、そういう場合には拂渡をしないというような趣旨を持つておられると思うのでありますが、これは内部の取扱いになりますけれども、実際問題として郵便局に多少の預金の拂出しの多い日と少い日はあると思いますが、それを絶えず調整されて、大体こういうことが起らんようにされることが当局としてのとるべき態度だろうと思うのです。そこで都会では銀行から借りるとか、いろいろお話がありましたので、そういう方法もありましようが、田舎に行くとそういう余裕がないという場合には、大体どういうふうな準備をされるおつもりであるか。つまり貯金がどんどん殖えて行くという場合には、むしろ過剩金を中央の方に納められるわけでありますが、どんどん出て行く、貯金が減少して行く場合には絶えずこういう場合が起るわけであります。そういう場合に備えて、逓信当局としてどういう準備をしておられるか。この点は大事な問題ですから、はつきりとお考えを伺つて置いた方がよいと思うのです。
 それからそれに関聯しまして、先般郵便法案の審議の際に、逓信大臣から、非常に民衆に関係ある法案であるから、それを実際上内部関係ではあるけれども、運営するのに廣く國民の声を反映するような方法をとる。その場合に考えられている方法として、官制によるかよらないかは別として、むしろ國民を主体にしたような委員会のようなものを作つて、それの声を絶えず聽きながら運営をして行くというような方針を述べられたのですけれども、この貯金に関しましてはそういつたことはお考えにないのでありましようか。若しこういうた問題も、これは貯金局の内部の取扱いの問題だろうと思いますけれども、そういう声を聽きながらおやりになりますと、今言つたような問題が余程軽減されて來るだろうと思うのです。その点お伺いしたいと思います。
○政府委員(村上好君) 只今の新谷委員の御質問にお答えいたします。貯金の点におきましては、將來拂渡が殖えた場合、それに対して拂渡の貯金の準備の用意の点に関する御質問でございますが、現在まだ実は余りそういう事態に当面しておりませんので、深く研究はまだいたしていないのでありますが、現在におきましては資金のルートがございますので、そのルートを経由して行けば、時日の相違こそあれ御迷惑を掛けずに済んでおるように考えるのであります。尚現在におきましても高額な拂戻しの場合には、事前に公衆から予告をして頂きますならばその日までには資金を調達して、準備をして置くという方法は現実にとつておるのでございます。尚將來拂戻しのそういつたような準備については、これは非常の場合の準備をも御考慮になられての御質問かと存じまするが、我々としても、その点更に檢討を加えて予め考慮して置く必要がありはせんかということを今考えるのであります。十分研究をいたして置きたいと思います。
 次に郵便法でも問題になつておるよように、國民の声をよりはつきり反映させるために、委員会みたいものを作ることを考えておるかという御質問でありますが、貯金につきましては実はまだそこまで考慮いたしておりません。さよう御承知を願います。
○新谷寅三郎君 私お尋ねしたのは、別に非常な場合を考えてではない。非常な場合には又それに應じたような法律をお出しになればいいのでありますが、不断の場合に、從來でもですね、昨年でありましたか、こちらの方の経過をずつと見ますと、貯金のずつと殖えたこともあるし、減つたこともある、減つたときにいつも問題を起すわけなんですが、例えば田舎の局へ行きますと、二、三百円以上のものは、前日とか前々日に予告をしないと出して呉れない、そういつた事態が現実に起つたわけなのです。併し今日二、三百円くらいのものは、郵便局なら当然準備して置くべきだろうと思うのです。もつと高額の何百円というものになりますと又別であろうと思いますが、それもすべて状況を考えておやりになるということになると、これは結局慣れてしまう、郵便電信部内の資金の操作について努力すべきところも努力しないということになり勝ちですから、先程も申上げたように、これは逓信省内においては、こういう資金の調達ということについては、万全の備えをしておるのだという前提の下に考えなければならんと思うのです。今お話を聞くと、まだそこまで研究されないというお話ですが、これにつきましては実情は明瞭だと思うのですが、もつと早く御研究をお進めになりまして、そういう事態が普通の場合には起らない、併し異常に拂出しのあつたときには、これに行くより外仕方がないというような程度に実行されるように私は希望するのです。
○政府委員(村上好君) 只今の御質問の中に、局で二百円か三百円しか置いて置かなくて、常に公衆に迷惑を掛けるようなところは、これはいつでも分りきつておることをやつておるのであります。その局では現在の建前におきましては、大体毎日の拂出しの状況を見て資金を準備しろという決めであります。それにも、拘わらす非常に資金の準備が停滯しておることは、過失か故意か怠慢かということになると思います。そういう場合はは一般民法の原則に從いまして、不法行爲が成り立つかと存じます。その場合はおのずから別と考えますが、一般の場合には、現在でも資金の準備は標準を定めてやるように逐次整備させつつありすから、それで行けばそのときは大低大丈夫ではないかと、かように考えておるのであります。
○新谷寅三郎君 今のお話で、これは別に言葉尻を捉えるわけではないのでありますが、郵便法を御説明になつたときと違うところがあるようでありますから、その点をお聞きしたい。今のお話で何か取扱いの上で故意又は過失があつたときには、民法の規定によつて、これと別個に損害賠償の規定が適用されるというお話があつたと思いますが、郵便法のときには私の記憶が誤つておるかも知れませんが、民法の規定も排除されて、郵便法にあるだけの損害賠償の規定で賠償して行くのだというように伺つたように記憶しておるのでありますが、貯金に関しては同じ免責の條文であつて、この他にまだ民法の不法行爲に関する規定の適用があるのですか。
○政府委員(村上好君) 郵便法との解釈が多少食い違つたというふうな御質問でありましたが、政府の説明は食い違うべきものではないと存じます。郵便法の説明をもう一度見まして、次回にお答いたしたいと思います。
○新谷寅三郎君 序でにもう一度お伺いたしたいことがあります。それは六十六條の保管証券の價格の決定の問題でございますが、これは現行法にも同じような趣旨の規定があり、又規則を見ますと、大体これと同じ趣旨になつておりますが、この「時價を參考として、これを定める。」ということについて伺いたいのですが、これは「時價による。」としてはいけないのでありましようか。或いは時價のないもの、こういう証券の時價の決め難いものについて、逓信大臣が大藏大臣と協議して決めるというふうな場合を予想しておられるのでありましようか。時價があれば時價によつて決めるのが当然だろうと思うのですが、時價を參考として決めるというのは、現在法についてもこれはよく分らないところでありますが……。
○政府委員(村上好君) これは実際に請求された日とそれから実際に交付する日と相当の期日がございますので、それの請求と交付の仲値を取るということを從來いたしております、そういう意味の規定であります。
○新谷寅三郎君 分りました。
○委員長(深水六郎君) 私から一寸お伺ひ致しますが、この法律を施行するのに要する経費は如何程でせうか。
○政府委員(村上好君) 割増金附定額郵便貯金創設については新たに三千五百万円程度必要と存じます。
○藤田芳雄君 私、質疑が済みましたから、他にも重要なこともあるようでありますから、質疑をこの程度で終つたらどうでございますか。
○委員長(深水六郎君) 政府委員から何かお答えすることがあるそうでありますから……、
○政府委員(村上好君) 只今免責に関する不法行爲の御質問が新谷委員からございましたが、貯金法の解釈といたしましては、先刻私が申上げた通りであります。從業員に不法行爲がある場合には、民法の適用によつて損害賠償の責に任ずる。郵便法の解釈についてはここで私は責任あるお答えができませんが、郵便法は多少公法的性格を持つているので、貯金法と説明の異なるものもあり得ると私は考えます。貯金法は只今申上げた建前を採つております。
○委員長(深水六郎君) 只今藤田委員から、質疑はこれで終了してはどうかという打切の動議が出ておりますが、いかがでございますか。
○委員長(深水六郎君) それでは質疑はこれを以て打切ることといたしますが、引続いて討論に入りたいと思います。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。御意見はございませんか。……別に御意見もないようでございますから、討論はこれで終局したものと認めて御異議ございませんか。
○委員長(深水六郎君) それではこれから郵便貯金法案の採決に入ります。この郵便貯金法案を原安通り可決することに御賛成の方の御起立をお願います。
○委員長(深水六郎君) 総員起立と認めます。よつて本案は可決と決定いたしました。尚本会議における本員長の口頭報告の内容は、參議院規側第百四條によりまして、予め多数意見者の承認を経なければならんことになつておりますが、これは委員長において本法案の内容、委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨、討論はございませんでしたが、この表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。
○委員長(深水六郎君) 御異議ないと認めます。それから本院規則第七十二條によりまして委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、どうか御署名をお願いいたしたいと思います。……
○委員長(深水六郎君) 署名漏れはありませんか。本日はこれで散会いたします。
   午後二時四十七分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     深水 六郎君
   理事
           水橋 藤作君
           内山 卓郎君
   委員
           鈴木 清一君
           千葉  信君
           中村 正雄君
           尾崎 行輝君
           新谷寅三郎君
           堀越 儀郎君
           藤田 芳雄君
  政府委員
   逓信事務官
   (貯金局長)  村上  好君