第002回国会 議院運営委員会 第59号
昭和二十三年七月一日(木曜日)
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  本日の会議に付した事件
○六月三十日の文教委員会における傍
 聽人の言動に関する件
○議院事務局法の一部を改正する法律
 案(衆議院提出)
○議院法制局法案(衆議院提出)
○選挙運動等の臨時特例に関する法律
 案(衆議院提出)
○衆議院議員選挙法の一部を改正する
 法律案(衆議院提出)
○経済統制調査特別委員会設置に関す
 る決議案(中川以良君五名発議)
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   午後二時四十分開会
○委員長(木内四郎君) これより委員会を開会いたします。昨日の文教委員会における傍聽人の言動に関する問題について堀越君より御説明をお願いいたします。
○堀越儀郎君 昨日の文教委員会において傍聽人に不穏な言動があつたように思われますので、今後かかることがなく公正に議事を進めることができるようにいたしたいと存じます。
○委員長(木内四郎君) 本件については日本教職員組合中央執行副委員長成田喜英君と同組合の新制中学部長井上春男君が來訪しまして、陳謝の意を表し、且又組合では深く反省しておる旨の挨拶がありました。只今田中文教委員長が見えましたので、御説明をお願いいたしたいと存じます。速記を止めて……。
   〔速記中止〕
○委員長(木内四郎君) 速記を始めて……。
○梅原眞隆君 経過的な対策として委員会の秩序が乱雑にならぬよう申合せをしてはどうですか。
○竹下豐次君 外來者の傍聽に秩序を與えるため一定の標準を定める必要があると存じます。
○河井彌八君 委員会における言論の自由を確保すると共に院内の秩序維持についても議長の監督を励行して頂きたいと存じます。
○島清君 本件は事柄が重大でありますから、各会派に持帰つて更に檢討することとしてはどうでせうか。
○委員長(木内四郎君) それでは本件については只今の島君の御発言通り御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木内四郎君) 御異議ないものと認めます。
 次に衆議院提出の議院事務局法の一部を改正する法律案及び議院法制局法案について衆議院の議院運営委員長より提案理由の説明をお願いいたします。
○衆議院議員(淺沼稻次郎君) 只今議題となりました議院事務局法の一部を改正する法律案及び議院法制局法案についてその大略を御説明申上げます。両案共に先般衆議院を通過いたしました國会法の改正に伴いまして、当然改正を要するもでありまして、事務局法においては、常任委員会の専門調査員は専門員となり、新に調査員が設けられましたのでその点の改正を行い、職員中副参事の制度を廃しまして、これを参事と改めたいというのがその趣旨であります。
 次に議院法制局法案について申上げますれば、國会法の改正に伴いまして、議院法制局の大綱を決めなければなりませんので、この法律案を立案いたしました。その構成は議院事務局法と殆んど変りません。即ち職員は法制局長、参事及び主事とし、その機構としては部課を設けることといたしました。ただ法制局の性質といたしまして、委員会又は合同審査会の要求があつた場合には、法制局長及びその指定する参事が出席説明し得る方途を講じました。
 以上二件は共に衆議院議院運営委員会におきましては、愼重に審議して決定した案であります。簡單でありましたが、これで御説明を終ると共に、諸君の御賛成を得たいと思います。
○委員長(木内四郎君) 次に衆議院送付の選挙運動等の臨時特例に関する法律案及び衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案について、衆議院政党及び選挙に関する特別委員会の選挙法改正に関する小委員長より提案理由の説明をお願いすることにいたします。
○衆議院議員(竹谷源太郎君) 先ず選挙運動等の臨時特例に関する法律案の要について申上げます。本案は、現下の経済事情に鑑みまして、選挙の公営を強化し、選挙の公平と適正を期し、以て選挙の腐敗を防止することを目的とするものでありますが、一方戦況公営のため、選挙の自由を余り抑圧し、低調なる選挙にならないようにとの考慮を拂つたのであります。
 第一に立会演説会は、すべて公営といたし、市及び人口概ね五千以上の町村で、都道府縣の選挙官吏委員会の指定するもの、及びその他の町村で、人口交通等を参酌して選挙管理委員会の指定した所に於て行うものであり、尚市は人口概ね五万ごとに一ケ所立会演説会を行うことといたしたのであります。
 立会演説会は候補者本人が行うことを原則とし、公務、病氣その他止むを得ない場合を考慮して、立会演説会の総回数の五分の一の回数を限り、代理人の出演を認めたのであります。
 都道府縣の選挙管理委員会は、予め、立会演説会のプログラムを各政党又はその支部の代表者を集めて相談をして決定し、選挙の期日の公示又は告示の日から三日以内にこれを告示せねばならぬことといたして、候補者の選挙運動の予定計画のたつように図つたのであります。
 立会演説会は、計画、施設、周知方法等すべて一切公営でありまして、候補者は立会演説会出演の申請をし、日程のときに、演説会場へ出向いて演説をするだけでよろしいのであります。
 第二に個人演説会は、候補者が、市町村の選挙管理委員会に対し、五日前に届出をいたしますれば、演説会の施設及び周知方法は委員会が、これを行い、それらに要する費用は國庫で負担いたすのであります。
 而して個人演説会においては候補者の代理演説を認めることといたしたのであります。

 第三に街頭演説は、候補者が全く自由に無制限に行うことが出來るものであり、候補者以外の演説も認めるのでありますが、候補者自身現在する間のみ行い得ることとなつておるのであります。
 第四に、演説会その他の選挙運動を行いますために、候補者は自動車、拡声機及び船舶を使用することが出來ますが、その使用は同時に一台或いは一隻といたしまして、その濫用によつて費用のかさむことを防ぎ、その使用の際には、都道府縣選挙管理委員会の発行する証明書を常に携行せねばならぬと共に、使用する自動車、拡声機、船舶には、選挙管理委員会の定めるところの表示をしなければりません。
 その他選挙運動に從事する者が、國有鉄道、私設鉄道、バス等の交通機関を利用するため、各議員候補者は通じて十五枚の特殊乗車券の無料交付を受けることができるのであります。
 自動車のために使用するガソリンその他の自動車用燃料に関しては、その配給又は交付につき、國又は地方公共團体において、これを斡旋することとし、自動車の使用に要した費用は、これを選挙運動の費用に加算しないものとしたのであります。
 第五に、その他の選挙運動といたしまして、放送と新聞廣告があります。
 放送は三回以内において、議員候補者は、その政見を放送できることとし、尚各政党も從來通り放送することができるのであります。その他日本放送協会は議員候補者の氏名、年齢、党派別、主要な経歴等を関係区域の選挙人に周知させるため、各議員候補者について、概ね十回放送することとしたのであります。
 新聞廣告は、議員候補者及び各政党は日刊新聞に、議員候補者一人につき各一回だけ國の負担によつて、選挙に関して廣告することができるものといたしました。
 第六に、文書図画の掲示については、街頭演説会及び自動車、拡声機又は船舶或いは選挙事務所を表示するための張札、立札、看板及び提灯等は認めるが、その他は一切これを認めぬこととし、なお街頭演説の間は、立札等を認めるものであります。
 第七に選挙運動において禁止するものは、飲食物の提供、メガホン隊、選挙当日の運動等であります。
 尚選挙事務所の連絡のための千枚の葉書、書状の外は、郵便葉書、筆書した書状、名刺その他一切の文書を頒布することはできないものといたしました。
 第八に、公営分担金として、議員候補者一人につき、二万円又はこれに相当する額面の國債証書を國庫に納付することといたしたのであります。
 尚本案は次の総選挙から、衆議院議員選挙のみに適用するのであります。
 以上が選挙運動等の臨時特例に関する法律案の要旨であります。
 次に衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案の要旨を述べますと、先ず投票立会人に関する規定であります。投票立会人の選任は從來候補者の届出によつておりましたものを、その手続の煩を省くため、市町村の選挙管理委員会が選任することに改めました。
 次に立候補に関する規定でありまして、その一つは、立候補届出締切期日のことでありますが、公営拡充による事務的必要に基き、從來選挙期日前七日でありましたものも今回は十日前と改正したのであります。
 その二は、所謂兼職禁止に関する規定であります。衆議院議員との兼職を禁ぜられている公務員は、その公務員を辞任した後でなければ立候補の届出ができないものといたしたのであります。その他地方自治法の改正に準じまして、代理投票を認め、不在投票の範囲を拡大したのであります。供託金は五千円から三万円に引上げ、その没收率を現行の十分の一から五分の一に引上げました。尚政治資金規正法の制定と関連して、罰の程度の引上げ及び條文の整理を行つた点等であります。
 以上二法律案の要旨を御説明申上げましたが、この両法案起草の過程において、問題となりました重要なる数点について申添えて置きたいと思います。第一に、選挙法改正の主眼点について申述べます。本委員会は、先に政治資金規正法を立案いたしました。この法律は主として、政治資金及び選挙費の届出及び公開の方法によつて、政治を廓清しようとするものであつて、直接に選挙制度そのものを改善しようとするものでありませんから、自然選挙法自体を改正して選挙の公正を期しつ且政治の腐敗は選挙に金のかかることから起る事実に鑑み、厖大なる選挙資金を要しない選挙法を作る必要がある次第であります。この趣旨によりまして、今回の選挙法改正は、成るべく金のかからない選挙の実現を主たる目的とし、兼ねて選挙手続の合理化と民主化の見地から改正の必要ある事項及び他の法令の関係上改正を要する点に止め、全面的の改正は、他の機会に譲ことといたしました。從つて選挙区について、これが拡大又は縮小の意見はありましたが、大勢は現行法通りとし、選挙法の別表を改正しないということに落着いたのであります。投票方法については、記号式投票の採用は時期尚早とせられ、又投票の單記か制限連記かの問題は意見対立を見ましたが、單記説が多数でありまして、結局現行法通りとなつた次第であります。
 第二、選挙運動の自由に関する問題についてであります。選挙運動の公営の拡充強化は、候補者の選挙運動の費用を極力減することによつて金のあるなしに拘わらず立候補者に選挙運動の機会を均等に保障せんとするものであります。この案に対しまして、本來自由なるべき選挙運動を抑制し、言論の自由を奪い、新人の進出を阻害するものであるとの批判があるのであります。
 併しながら我々選挙運動の体験者から見まして先に述べました、演説、放送及び文書による選挙運動は、すべての候補者にとつて力の許す最大限度でありまして、然もこれらの選挙運動の機会は、政党の両袖たると、はたまた白面の新人たるとを問わず、すべての候補者に対して、完全に均等に開放せらさ保障せられているのでありまして、殊に街頭演説のごときは全く自由に一任せられており、これを目して、新人の進出を阻むものとなすことは、全く当を失するものといわなければなりません。又集会及び言論の自由を保障する憲法の精神に反するものではないかとの論も聞くのでありますが、不必要に多数の第三者又は労務者を利用し、或いは多数の自動車等を濫用し、又は文書図画を濫造使用して、自己の思想、政策等の表明以外の即ち自己の印象を選挙人に鮮明ならしめるためのあまり、感心のできない而も金のかかる方法を禁じたに過ぎないのであります。
 今回の改正法案におきましても、候補者みずから、思想、信條、主義、政策を選挙民に訴え、その批判を請う機会は十分保障せられているのであります。即ち何千人と徴集の集るであろう二三十回の公営立会演説会、三十回の個人演説会、無限にどこでも開ける街頭演説会において、獅子吼することができるのであります。
 又ラジオによる数回の政見の放送、選挙公報、新聞廣告いずれも公営でありますが、これらによつて、主義政見の発表ができるのであります。尚金のかかる私営ポスターの代りに、内容の改善されたる公営の氏名掲示を投票区当り三乃至五個所にこれを行い、又物と金の浪費の甚だしいメガホン隊、自動車隊による氏名連呼の代りにラジオによつて選挙期間中十回も氏名、党派、経歴等のニュースとしての放送が行われるのであります。
 かくして、選挙資金を有しないため又は選挙に関して特別な地盤や支持團体を持たないために、対等に自己の抱負経論を選挙民に理解せしめることのできない優秀なる人材にとつては、選挙の公営によつて、眞の意味の選挙の自由が保障せられるのであつて、形式的な選挙の自由よりも、実質的自由を尊重することこそ、憲法の精神に副うものであることを信ずる次第であります。
 第三に、選挙公営で金がかからないということになりますと、泡沫候補の賣名的濫立によつて、選挙界が撹乱せられ、公営に支障を來すことも予想せられまするから、立候補の自由を保障しつつ、濫立に対して、防止的措置を二三採用したのであります。
 第四に、個人の選挙運動費用の制限について、大部分の選挙運動は公営に移されましたが、街頭演説会を初め個人としての運動の範囲も相当ありまするので、選挙運動の支出は、これを認めることが必要であります。併しその費用の制限額につきましては、現行政令は單價六十銭となつており、一候補者当り五万円前後の計算となります。來るべき総選挙の時期には、物價指数は昨年春の七倍位になると思われます。そうしますと、五万円が三十五万円と相成るのでありますが、公営拡充の結果個人の選挙費用は現行の五万円乃至その二三割増の程度で制限することが妥当であると認められますが、これは政令に譲ることといたしましたのであります。
 第五に、公営に要する経費は概算として一候補者当り十五六万円を要する見込であります。而してこの公営費十五六万円中、候補者の分担する二万円という金は十五枚の交通機関のパス代が一万円、二回の新聞廣告料一万円計二万円となり、パスと廣告の費用にしか当らないのでありますから、二万円の分担は已むを得ないところと思うのであります。
 第六に、選挙法規は守り易く守らせ易いという方向に規定いたしましたが、なお選挙は國民の環視の下に公正に行うという趣旨から、選挙管理委員会は投票方法、選挙違反その他選挙に関する重要事項を周知徹底させる方法を取らなければならない旨を規定したのであります。
 更に検察官その他選挙取締機関は選挙の公正を確保するため、選挙違反のないように取締を励行すべき旨特に一條項を設けた次第であります。
 最後に選挙運動に関する臨時特例に関する法律案第三十條の交通至難の島嶼その他の地と著しい山岳地帯、又は冬季積雲頗る多量で交通極めて困難な地方も含むものでありますから、政令で特別の規定を設けることができる次第であります。
 尚お手許に配付しました両法律案は仮刷であつて、ミスプリントもあるかと思いますから、この点は了承を願つておきます。
 以上を以ちまして選挙に関する両法案の起草の経過並びに結果の報告を終ります。
○藤井新一君 この法律の規定するところが、憲法の保障する自由権を侵害するというよな問題はありませんでしたか。
○衆議院議員(竹谷源太郎君) 委員会においては左様な問題は起りませんでした。
○門屋盛一君 この二法案についてこれまで両院の合同審議をやつたことがありますか。
○衆議院議員(竹谷源太郎君) 案がなかなか纏らなかつたのでその余裕がありませんでした。
○委員長(木内四郎君) 本件は政党及び選挙に関する小委員会に付託して審議することとしてはどうですか。
○藤井新一君 会期も切迫しておりますので、小委員会としては付託されても審議終了の責任が負えません。
○委員長(木内四郎君) それでは本件は、本日はこの程度として今一度御審議願うこととして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木内四郎君) 御異議ないものと認めます。
○佐伯卯四郎君 経済統制調査特別委員会設置に関する決議案につき先に中川議員から説明があつたことと思いますが、私からもこれに補足的な説明を附加えたいと思います。決議文にもありますようにこの委員会は、経済統制の事実について実際の面から直接に取調べようとするもので現状においてはかくのごとき計画は一刻も早く実施した方がその成績を挙げることができると信じますので、出來るだけ早く御協議の上御決定を願いたい。
○佐々木良作君 この委員会は、法規にある特別委員会のとはやや異つたものであると思います。
○委員長(木内四郎君) それでは本件については又次の機会に御相談願うこととして、本日はこれを以て、委員会は散会いたします。
   午後四時十分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     木内 四郎君
   理事
           藤井 新一君
           河井 彌八君
           竹下 豐次君
   委員
           天田 勝正君
           島   清君
           塚本 重藏君
           左藤 義詮君
           平沼彌太郎君
           大隈 信幸君
           門屋 盛一君
           櫻内 辰郎君
           梅原 眞隆君
           木下 辰雄君
           佐伯卯四郎君
           徳川 宗敬君
           堀越 儀郎君
           佐々木良作君
  委員外委員
   文教委員長   田中耕太郎君
  衆議院議員
   議院運営委員長 淺沼稻次郎君
   政党及び選挙に
   関する特別委員
   会選挙法改正に
  関する小委員長  竹谷源太郎君
  事務局側
   参     事
   (事務次長)  近藤 英明君
   参     事
   (法制部長)  川上 和吉君
   参     事
   (記録部長)  小野寺五一君
   参     事
   (委員部長)  河野 義克君