第002回国会 文教委員会 第5号
昭和二十三年六月二十五日(金曜日)
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  本日の会議に付した事件
○教育委員会法案(内閣送付)
  (右案に関し証人の証言あり)
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   午後二時二分開会
○委員長(田中耕太郎君) それでは只今から文教委員会を開会いたします。本日の議題になつておりますのは教育委員会法案でありまして。過日來予備審査を進行しておるのでございます。この法案につきまして、今日は証人としまして彦由龜一君、江口泰助君、矢野貫城君、村瀬清君、宇佐美毅君、芦田耕平君の六君を御足労願つたのでございます。証人の方に申上げます。本日御出頭をお願いいたしましたのは、この法案に関しまして各位の專門のそれぞれの御分野からいたしまして、実際の御経驗なり、又法案に対する御意見を伺うためでございます。先ず御証言を願う前に宣誓をお願いいたしたいと思います。宣誓書は各自御朗読を願いまして署名、捺印をお願いいたします。では御起立をお願いいたします。彦由さんから順次宣誓書の御朗読をお願いいたします。
   〔総員起立、証人は次のように宣誓を行なつた〕
   宣誓書
  良心に從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 彦由 龜一
   宣誓書
  良心に從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 江口 泰助
   宣誓書
  良心に從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 矢野 貫城
   宣誓書
  良心に從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 村瀬  清
   宣誓書
  良心に從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 宇佐美 毅
   宣誓書
  良心に從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 芦田 耕平
○委員長(田中耕太郎君) 証人の方に念のために申上げて置きますが、宣誓をなさいました以上は、御承知のように証言につきまして、宣誓に反せらるる場合におきましては、法律上僞証の制裁がございますということを申上げて置きます。では中にお急ぎの方がございますからして、この印刷にしましたお名前の順序通りでなくいたしまして、順序を変更いたしまして、先ず村瀬清君から御証言をお願いいたします。
○証人(村瀬清君) 時間の制限があるのですか。
○委員長(田中耕太郎君) 時間は大体十分乃至十五分くらいの見当でお願いいたします。
○証人(村瀬清君) 本日参りましたのは、実は時間が非常に少なかつたので、二十三区の区長の意見を纒めて來たというわけではないのでありまして、千代田区長個人の意見を申上げる次第でありますので御了承願います。
 この委員会法案を通読いたしますと、この委員会そのものの性格が、非常にはつきりしませんので、今後我々の運営に当りまして、非常にいろいろの疑問又は支障が起るのではないかという懸念が多いのであります。つまりこの委員会は地方公共團体の機関であるか、それとも教育に関する全面的な権能を持つた一つの公法人的なものであるかということが、第四條では頗る曖昧でありまして、從來都道府縣若しくは市町村の権能を、挙げてこの委員会が執行することに相成つておりますので、意思機関であると同時に執行機関であると看做されますので、教育に関する限り、全く公共團体と同樣な性格を帶びておるようにも見受けられますので、今後の運営に当りまして、公共團体の理事機関である府縣知事、市町村長との関係が、はつきりしない点が出て來やしないかと思うのであります。この点をもう少し明確に規定して頂きたいと、私は思うのでございます。
 第二点といたしまして、私学について全く除外されておりまして、これは全部從來通り官又は公共團体の監督に保留されておりますので、第一條の精神の、地域の実情に即した民主的な教育というものが非常に不統一な感じがいたしまして、第一條の目的が果してこれで達成されるかどうかという点に、非常に疑問を持つているのであります。
 次に第三点といたしまして、地方議会からこの委員会に二人選出することに相成つておりますが、これは実は私の意見ではありませんが、二十三区の区会方面で、先般意見が一致したことをお取次ぎするわけでありますが、議会尊重の意味で、即ち委員会の所属に属する予算の審議、議決をする地方議会を尊重する意味で、もう一名増して欲しいという件がありまして、近く本委員会にも陳情が参るではないかと思いますが、本日行つたら取次いで呉れというお話しでありましたので、ここに附加えて置きます。
 それから第四点は、会議の公開の原則でありますが、これは執行機関であり、又議決機関である性格に鑑み、公開主義を原則にするということは非常に運営上困ることが起りはしないか。勿論祕密会を開き得ることになつておりますが、むしろ重要な執行機関である性格に鑑みて、公開し得るという程度の規定の方がよくないかと、我々は從來の経驗からして考えるのであります。殊に人事などを全部扱う委員会でありますので、そんなふうに思われるのであります。
 それから細いことでありますが、第三十八條の議決の方法が過半数となつておりますが、同数出席の場合にどういう議決になりますか。委員長はこれに加わる表決権を有するか、或いは表決権はないのか、從來の法律では委員長は表決権を有しておらんという規定があるようであります。その辺が曖昧ですと、同数の場合に非常に困ると考えられます。
 それから第六点は、この委員会の職員の身分でありますが、公共團体の吏員にするのか、或いはどういう種類の公務員になるのかはつきりしませんので、いずれ地方公務員法に規定されると思いますが、それまでの間はつきりいたしませんと、非常に給與、身分等においてむずかしい問題が起りはしないかと考えられます。
 それから第七点といたしまして、第四十八條の規定を見ますと、この委員会は都道府縣又は市町村の設置する学校について、これを所管するという規定になつておりまして、設置はやはり都道府縣、市町村が設置をするのであつて、設置されたものについて所管するかのごとく考えられるのでありまして、又教育法第二條にも、設置義務は依然として公共團体に残つておるのでありますから、設置義務並びに設置の仕事は公共團体がやつて、設置されたものについてこれを管理、経営するように受取れるのでありますが、次の四十九條に至りまして、その一号及び八号は、これを全く矛盾した設置、廃止に関することをこの委員会がやるのだ。又敷地の設定、建物の企画、営繕等の実際の指導をやるというふうに規定されております。その辺が非常に曖昧になつておりますので、もう少し明確にして置くことが必要じやないかと思います。尚十三号に、教育事務のための契約に関することができるようになつております。併しこれは人格があるかないか、人格がなければ契約の主体になり得ないと思います。その辺も解決して置く必要があると思います。
 それから、我々の特別区として重大な点をこの際申上げて、是非委員各位の御協力をお願いしたい点があるのであります。第五十一條で、東京都の特別区の委員会については四十九條の三号、四号の権限がない。これは都廰に留保されております。即ち教科内容、その取扱に関すること、教科用図書の採択に関すること、これは折角特別区に委員会ができましても、教科内容を決めることも、教科書の採択もできないということは、実際この委員会設置の大きな目的を失うものでありまして、折角教育の自主性の確立、地域の実情に即した生命ある教育をなさんとするこの法律の精神を全く失う虞れがあるのでありまして、一万以上の町村すらこの二つの権能を有しておるに拘わらず、三、四十万の大きな特別区が、教科書の採択も教科内容の扱いもできないというような、非常に法の精神を蹂躪した規定がここにあることは、我々といたしまして、どうしても承服できない点であります。御承知のように東京都の区は、明治十一年都区町村編制法より発展したもので、市よりも遥かに古い歴史と傳統を持つた特殊事情を持つております。この区域の実情に即した民主的な教育をするには、どうしてもこの特別区の委員会において重大な教科内容の扱い、教科書採択の権能を與えなければ全く無意味であると私は思うのであります。この五十一條の削除を是非御研究願いたいと思います。
 それから五十三條におきまして、都道府縣は高等学校の通学区域を定めることになつておりますが、地方委員会は小学校、中学校の区域を定めることは無論当然でありまして、その規定が抜けておるように思います。これが必要でないかと私は思います。通学区の設定のことが高等学校についてのみ書いてありまして、中学校、小学校に関して書いてないのであります。
 それから最後に六十條に、この委員会は教育事業のための地方債に関することができるようになつておりますが、地方債に関して教育委員会が計画を立てましても、財政全般は地方公共團体が立てることになつておりますので、全くこれは無意味ではないかと私は思います。御承知のように綜合的観点から財政計画を立てて行くのでありますから、教育予算についてのみ地方債の計画を立てて來られても、どこの公共團体も府縣市町村平等に困るのではないかと考えるのでありまして、これは少し行き過ぎではないかと私は思うのであります。大体私の疑問とする点、又お願い申上げたい点は以上であります。
 尚最後に申上げたいことは、今からここで論じても仕方がないと思いますが、新憲法に基いて、地方公共團体の住民によつて選挙されておるこの我々の機関で、地方の実情に即した立派な教育行政ができると確信しておつたのでありますが、何故に更に選挙による委員会を設けて、教育の全権をそこに任せるか、誠に我々といたしまして納得の行かない点が非常に多いのであります。これを論ずると、根本的にこの法案を否認するような立場になりまして、現在としては恐らく不可能のことではないかと思いますが、一言、こんな氣もいたしますので御参考までに申上げて置きます。
○委員長(田中耕太郎君) 次に彦由龜一君。
○証人(彦由龜一君) この法案が正式に発表されました時に、たまたま伺いました情拡を元にして、更に三月下旬に神戸市において、五大都市の教育局長会議を開きまして、その時これだけは是非欲しいということの三点を挙げまして、文部大臣に、五大都市市長の連名で陳情書を出しまして、私共二、三の局長が代表として、調査局長にお目に掛かつてお話を申上げたことがあります。その第一は、特殊の教育財源を設定すること、それなくしてはこの委員会は無意味であるということであります。第二は、五大都市については府縣の委員会と同一にして貰いたいということ、第三は、委員会と地方議会の調整について十分遺漏のない措置を配慮せられたい。この三点であります。只今村瀬さんからいろいろお話しがありましたが、細かな点に行きますと、いろいろあるかと思いますが、時間も限られておりますので、極く大きな、これだけは是非というところを時間のある限り申上げたいと思います。
 六・三制の完全実施が、なかなか前途程遠い現在の実情というものは、決して行政運営の面にその主たる原因があるのではないのでありまして、國家及び地方の財政の非常に窮迫しておるというところに問題があるのであります。國家地方財政の教育に対する財政措置が現状のままに置かれまして、むしろ現状から更に一歩後退する虞れが、後に申述べまする虞れのあるような状況をもたらそうとすることは、甚だ残念なことだと思うのであります。今市長から教育行政権を分離する、そうして財政的の裏附のない教育委員会にこれを移すということは、徒らに混乱を増して、そうして悪くすると教育の空白時代を招來するのではないかという憂慮を持つのであります。でき得べくんば、六・三制の完全実施、整備が相当の見透しが付くまで延期することが望ましいのではないかというふうに考えるのでありますが、諸般の情勢は、今ここで申上げてもこれは殆んど無駄のようであります。果して延期不能だとするならば、ここで教育税の設定、或いはその他適当な方法によつて、独自の教育財源を賦與することに対して考慮せられることが必須の條件になろうかと思うのであります。但しそれも何でも傳え聞くところによりますと、この法律の成立、或いは実施は、もう勢いとして延ばすべからざるもののように、変更すべからざるもののように聽いておりますが、併しながら教育のことに関する限り、この問題は恐らくは院の附帶條件見たいな具合にでもして、この独自の財源という問題が最も根本的な問題でございまするので、できるだけ早くこれが実施方について議会、或いは政府、挙げて御努力をお願いしたいのであります。さて、現在の法案の骨組が御承知の通りであるとしましたならば、我々が最も憂慮しますのは、議会との調整の問題であります。一切の教育行政権は教育委員会に移るのでありますが、その財的な裏附がないために、予算の調製提出の権能が悉く市町にありますので、市長から市会に提案をする。そうして教育委員会は何を考えても、悉く市長から市会に提案されて、市会がそれを呑まなければ、何一つ実施できないという状況に置かれるのでありまするが故に、これを調整するためには、現在の地方議会から一人だけ委員を兼ねるというのでありまするが、現状から行きますると、この議員から委員を兼ねる者を一人ではいけないと思うのでございます。これでは運営方頗るまずいのでありまして、少くとも地方の委員会は、議員から委員を兼ねる人は三名欲しいと思います。そういたしますると、教育委員会を構成する建前を採つておるのに、抵触いたしますので、委員の定数は、議会の議員を兼ねる者三名としますと九名、府縣の委員会について指定してありまするように、最小限度七名必要である。その中三名は議会の議員を兼ねるということで、議会との調整を図るということが絶対に必要であると思うのであります。関連をいたしますが、教育委員は大部分が市民から直接公選されるのでありまして、而もそれは無報酬だということになつております。それが出て來た場合の議会との調整問題が非常に憂慮されるのでありまして、地方財政が非常に豊かならば、それ程問題ではないのでありますが、市長の責任と権限とにおいて、現在の教育行政がなされておる状況下においてすらも、なかなかうまく行かないのでありますが、別の責任者が、別の権能者が出て來たという場合にどういうことになるか、甚だ憂慮すべきものがあるのであります。從つて三名の議員を出すというと、その三名の議員或いは一名の議員にしましても、議会の議員と教育委員を兼ねる人は非常に窮地に立つであろうと思はれるのでありますと同時に、教育長なるものも非常な窮地に立つ場合が多分に想像されるのでありまして、そこで議員を兼ねる委員の定数を三名にして頂く。それと同時に委員の数は九名が望ましいのでありますが、よんどころない場合は七名にして頂くことが望ましいと思うのであります。併しながらこの点につきましては五大都市の話合をしたわけではありませんので、私だけの考えであります。それから併せて申上げますが、教育委員の報酬を支給しないということの理由を理解するに苦しむのでありまして、いろいろな監査委員とか、公安委員にしましても、或いは選挙管理委員にしましても、悉く報酬は出すような、しかと覚えませんが、ことになつておると思うのでありまして、恐らくは報酬を出さないということになりますれば、相当余裕のある、経済的に余裕のある人しか出れないようなことができやしないか。そういう点が懸念されますし、又定例会に一ケ月に一回しか出席しなくてもいいことになつておりますが、市民との調整問題、その他責任者としての教育委員会の委員の方は非常な辛労をされる場合が、或いは時間を潰される場合が少くないと思うのでありまして、この点については無報酬ということはよろしくない。是非御訂正を願つた方がいいのではないかと、かように考えております。
 次には、府縣並みにせられたいというこの前の陳情の要旨でありますが、五大都市につきましては、六・三制でも再三揉み上げた問題でありまするが、御承知のように、現在日本國内における府縣の中の約四分の一に相当する縣では、人口は百万未満であります。百万未満の縣が十三、四、確かあると思うのであります。その縣と地域の人口において決して五大都市は劣つていないのみならず、住民の職業構成において、又経済活動の樣式において、又生活、文化、あらゆる方面において、複雑さとその程度の高さにおいて比較にならない内容を持つところの五大都市が、ただ單に制度上、一方は縣という名前が附き、一方は市という名前が附くという、それだけの理由の下に区別をつけなければ承知できないという在來の中央政府の考え方、これは我々の絶対に納得し得ない点であります。これは民意の暢達を妨げ、事務を著しく煩瑣にし、行政能率を低下させて顧みないのであります。全く排除すべき観念主義的なものだと思うのでありまして、この点に如何に実情を無視し、如何に行政能率を妨げ、如何に民意の暢達を妨げ、如何に民主主義と反対の方向へ行つておるかということを、事新らしいようでありますが、改めて声を大にして私は強調するものでありまして、幸いに今回の教育委員会法案におきましては大した差はないようであります。ただ一方は都道府縣においては七人、市町村は五人、これも甚だ笑うべき差別でありますが、何のためにそのような差別をつけなければならないか、理解に苦しむのであります。
 それから教員免許状の発行権が市にはない、府縣に保留する。それから教科用図書の檢定もやる。それから高等学校の通学区域を府縣の委員がやる。これだけの実質の差異しかないようであります。併しながらこの差異と雖も、全く無意味、或いは無益であるのみならず、極めて有害のものでありまして、具体的に申上げた方がお分りかと思いますが、例えば横浜市におきまして教員の、最近はやや充足したのでありますが、教員の不足が著して場合は六百人、七百人に及んだのであります。そこで急遽、一生懸命それが対策を講じて、教員養成所を拵えたいと言つても、市が計画しますものは、どうしても免許状が出せないのであります。ただ單なる講習に過ぎないのでありまして、そのために縣の計画を待たなければならない、縣はいろいろな財政上の事情というようなことで、なかなか市が思うように行かないというようなのもあるのでありまして、一つの例でありまするが、これは僅かのことでありまするが、五大都市に関してはそういう差をつけない、そうして五万、十万の都市の同じように、市という名前であるために区別するということはしないように、この際は直して頂きたい、こう思うのであります。
 それから最後に、私のこれは見解を申上げますが、先つき村瀬千代田区長が、委員会の性格等についてお述べになりましたが、この点は私はあまり問題にいたしておりません。というのは、市について言いますと、市という團体の理事機関が、私の見解によれば、今までは市長だけであつたのが、今度は市長、或いは選挙管理委員会、或いは公安委員会、教育委員会と同じ市民から構成される市という公共團体の理事機関が、そういう四頭建てになつたのだと、こういうように考えておりますので、その点は、今申されたことは、それ程私は問題にいたしておりません。呉れぐれ申上げることは、公安委員や選挙管理委員会は、市会が選挙するのであります。市長、市会との連繋を持つておりますが、今度の教育委員会の場合は公選をされるのでありますので、そこの調整問題が非常に將來大きな問題になつて來るということを、十分愼重に御檢討をお願いいたしたいと思うのであります。大変長く失礼いたしました。
○委員長(田中耕太郎君) 次に江口君に御証言をお願いいたします。
○証人(江口泰助君) 只今から私が証言いたしますことは、私個人の考でございません。数ケ月前から巷間にちらほら聞いた、この委員会の構想に対しまして、我々教職員組合が自主的なその修正案を作り、これを全國大会に二回掛けまして、全國四十五万の教員の総意として修正案が纒まつたのであります。この参衆両院で今審議しておられますことにつきましては、我々の同志四十五万の諸君が、非常な期待と熱望を持つてこの法案の審議を注視しておるのであります。時間がございませんから、簡單にその重要な点だけを申上げますが、お手許にプリントをお配りしてありますので、尚触れることができない点につきましては、後日御審議の時に御質疑下さればと思います。
 先ず逐條、第三條から入りまして、教育委員会は、都道府縣並びに市、それに東京都の特別区を含む、それから人口一万の町村、特別教育区に設置することになつておりますが、私達は現場に働く教員といたしまして、結論としては、委員会は都道府縣と五大都市にだけ限定して、日本の現段階においては設定すベきである。それで今後私が証言いたしますことにつきましては、それ以下の市、それから人口一万以上の町村、それから特別教育区、これだけの委員会につきましては、私削除したものという考えで触れません。私達は徹底的にこの削除をせねばならないということを主張しておるわけであります。先ずその理由はいろいろありますけれども、主な点から申上げて見ますと、この第五條に「教育委員会に要する経費は、当該地方公共團体の負担とする。」とありますが、この点に関連して考えて見ました場合、この教育委員会に要する費用という言葉も非常に曖昧であります。これがただ事務局の職員の給與だけが、或いはその建物の経費も入るのか、或いは又委員の実費弁償も入るだろうと思います。それから尚これを拡大して行きますというと、学校管理とか、学校営繕の費用も入るのじやなかろうかというような疑念も持たされる。そういう点から考えて見ましても、経費が相当な額に上るということが予想せられるわけなんでありますが、今六・三制さえ非常に難澁しておるところに、一万のところまで一氣に細分した委員会を設けるということは、正に日本の地方財政状態の破綻に拍車を掛けるものであるということを、私達は本当に現場にいて、六・三制の三の新制中学校の建設、運営問題で、血の滲む思いをしている現場の教員は、これで又苦しめられるかと思うと、どうしてもその叫びとして、一方というようなところまで下すということには賛同できないわけであります。
 それからその次に、我々の最も関心を有するところの人事の件なんでありますが、一縣に一つしか教員養成の学校がないのに、人事の権限を持つところの委員会を、地方によつては百も或いは百五十も委員会ができるというようなことになるとすれば、全くこの人事は硬化してしまつて、新らしく師範を卒業した者の配当にさえ、非常な難澁を來すというようなことになる虞れがあると思われます。次にもう一つの点につきましては、これは現場の教員として從來の体驗から最も苦んでおる点でありますが、日本の民主化が未だ未熟の状態にある今の段階におきまして、一万以上のところは、例えば二年後に延ばされたとしましても、二年や三年で、いわゆるこの模範としたところのアメリカの委員会の制度を直ちに採入れて、日本に当嵌めるということになりますというと、まだ各個人が本当に民主的に目醒めていない時に、その委員の構成というもの、又は委員の活動、委員の考え方というものが、果して教育を進展せしめて、民主的に教育を運営して行くような構成ができるかどうかということは、私達現場に立つて、村や市や町をあちらこちらと十何年、二十何年移り歩いて、本当に村の教育行政、或いは村の学務委員等に苦しめられたものとしては、これには当分のところ、とにかく一應縣だけに止めておいて、市以下のところに下げることは妥当でないということ、これはやはり現場の教員の僞りのないところの声であります。併しながら私達はこの基本的に目途とする点については、あながち反対するわけじやないわけであります。それで一應のところをとにかく道府縣とし、それから五大都市だけに止めておいて、漸次民主化の習熟の度合に應じて、これをもつと分権さして行くということにつきましては、我我はこれを拒否するものではないわけであります。尚五大都市の当該府縣からの独立につきましては、只今前者から御説明になりましたが、全くその通りでございまして、五大都市の民主化の速度、教養、識見の程度、それから経済能力等から考えて、五大都市は直ちに都道府縣同様、委員会を設置して何ら差支のあるものではないということも、これも五大都市に住む現場の教員達の一致した声なんであります。以上第三條につきましてはそれだけでございます。
 次に、第六條につきまして申上げて見たいと思います。第六條は都道府縣の委員は七名、それから地方委員会の委員は五名となつておりますが、結論としまして私達は地方委員は認めておりませんから、都道府縣の委員は最低九名、最高十五名くらいまでに押えておつて、その縣の人口の概数に比例すべきであるということを主張しておるわけなんであります。例えば島根縣等は人口五十万人しかおりませんが、東京都などはその十倍になんなんとする人口がおるわけなんでありますけれども、その他に教育業務につきましても、いわゆるそれより厖大な権限を持つた教育業務につきましても、小さな府縣に比べ、大きな府縣は必然的に業務の範囲が殖えるということは、而も複雜であるということは頷ける論理なんであります。それで私はこの委員会が本当に力を出して、執行機関として役目を果すためには、委員会が直接業務を扱わねばなりません。ただ名目的に從來の学務委員的な存在で、名目ばかりで○K、○Kと言つて、教育長の案を鵜呑みにして行くような委員会であつては駄目なんです。本当にこの委員会を実のあるものにするためには、やはり業務内容に亘つて、それから業務の全般に亘つて、委員全部が配当されなければならんと私達は考える。その点から考えて見ますときに、五大都市を含むような都道府縣から、五千から或いは六千というような十分の一しかないところの府縣まで、同じ七名の委員の数で押えるということは、どうしても頷けないわけなんです。尚この人数を少くするということは、どうしてもやはり一方に委員が偏する虞れがあります。それと共に或いはいわゆるこれが本当に目途としておるところの、何も直接國民に対して、いわゆる國民に直結して、何者にも不当な支配、如何なる不当な支配にも支配されないというような基本的な精神が、人数の少いことによつて私は犯され易いということは、指摘できると思います。以上の点で私は最低九人から最高十五人までを概数に比例すべきである。こういうふうに申上げたのであります。次、第六條の三項の中に、委員の中の一人は当該地方公共團体の議会の議員の中からとありますが、私達は現場の教員の考え方からしてこれは不要である、第三項は削除すべきであるということを主張いたしたいのであります。それは三つの理由がありますから簡單に申上げます。一つは地方議会の議員たるが故に特権的なる意識を持つて、教育委員にそのまま横辷りするということは、これは賛成できない。第二番目には、予算関係との釣合云々ということがありますが、事務的折衝云々ということがありますが、私は教育予算は、本当に教育委員が自主的に判断して打ち建てるべきであると考えます。そのためには地方の一般予算に詳しい者が入つて來ることは、地方議会の御用機関になつて、予算編成が地方議会の言うままの予算が編成されるということになり、教育委員の予算編成の権限は、無力無意味な存在となる虞れがある。もう一つは、これは語弊があるかも知れませんが、いわゆる政党政治が華やかになつて來ますと、必ず政党に所属しておる議員であることは間違いありません、地方議会の議員が、そういう人がここに入つて來るということにおいて、ますます教育委員会の中に政党色、党派的な、政党政派的な爭いを持つ込んで來るということは、私達現場の教員としては頷けないのであります。以上の点から、私は地方議会の議員一名を入れるということは反対で、第三條削除を要求するものであります。
 それから次の第九條、現職の教員の立候補を禁止することにつきましても、これは我々は非常な、最も我々が、全條の中で反対する点であります。我々は憲法の認められたところの人権の自由を、教員であるが故に、何故この委員会で拘束されなければならないか、立候補を禁止されねばならないか、我々は一歩下つて、他の國家公務員同樣兼職を禁止されるということについては、我々頷ずく点がありますが、教員なるが故に立候補さえ禁止されるということは、実に我々にとつては屈辱だと考えております。これは我々の考え方によつては、サービス廳であらねばならんところの文部省が立案するときに、何とサービス廳の考え方が、我々現場教員を考えて下さつたのだろうということを考えて、我々教員は実に涙を呑んで怒らざるを得ないのであります。この第九條の現職教員の立候補を禁止するということは、とにかくこれは全部削除することを要求するものであります。若しも私達は、都道府縣議会の議員を一名入れるということが、いわゆる一般行政、或いは一般予算との釣合で一名入れるということが皆適当なりとするならば、私達は現場の教員、或いは公法上認められたところの教員組合との関係において、いわゆる議員同樣、特権的に一名教員組合の、いわゆる現場の教育代表として、何故この中に一名認めないかということを、私ははつきりここで申上げたいと思うものであります。
 次第十一條に行きますが、時間がありませんそうですから簡單に申上げます。これも彦由さんの方から御説明がありましたが、これはいろいろな理由で、生活不安の現段階において果して地方教育委員に出て來る者は、本当に立派な人が出て來るだろうかということを眞に考えて頂きたい。現実の問題として一つ考えて頂きたい。從來の学務委員が本当に教育振興のためには無力でありながら、或る一面にはその権力を利用して、その特権を利用して、教員が如何に血の涙を呑んだかということは、我々現場の教員としては忘れることができない。この点につきましては、成るべくすべて費用は実費弁償ということでなく、歳費を出して幾分なりとも生活の保障をするような途を講じて頂きたい。これは外にも理由がありますが、省略させて頂きます。
 次に第四十三條の教育長及び事務局でありますが、私はここの中にアメリカの大統領の國会の関係見たいなものが入つて來ておるように感じられるのであります。いわゆる教育委員会というものがあつて、そこの下に事務局があつて、事務局の長が教育長というようなことが普通我々の常識なんです。ところがそうではなくて、教育委員会があつて、その横に教育長というものがもう一つあつて、実際は教育長の手足となる事務局と、教育委員会の事務局があるようになつております。つまり教育委員会の事務局のみと思つておりましたのが、そうではなくて、いわゆる教育長の事務局があつて、それが議会の政府ではなくて、大統領の政府であるというようなアメリカの政治形態に似たようなものが出ておる。私はこの点は不要だと思います。ところがこれは文部当局の御説明によりますと、いわゆる素人と玄人のミツクスによつてバランスをとつて教育を進展させるということになりますが、これは教育長が玄人であり、委員会が素人で、この二つのミツクスで教育を進展させるというならば、現場の教員を三名、素人を地方から三名、そうしてそこに素人と玄人の混ぜ合せで、その下に事務局を設けて事務局の長を置けば、結構その目的は達せられると私は思うのであります。それで私は教育長をそういう委員会を対立しておるようなものにし、そうして事務局を教育長の下請機関みたいにすることは、私は賛成できない。
 それから第五十五条の予算関係がありますが、これはとにかく我々が從來から主張しておるように、全額國庫負担の建前で行わなければ、私は教育委員会が本当に画期的な法律でありながら、ただ旧体制に結びついて、縁がつながつていて、どうしても拔け切れないのは、ここだと思つておる。この予算の点にはすつきりしないものがある。彦由さんが指摘されたように、やはりここに腐れ縁がつながつていて、やはりここが委員会活動の命取りになる虞れがあると私は信じております。
 一番最後に、附則の八十一條であります。この附則の八十一條につきましては、これはいわゆる暫定措置を規定しております。今の地方教育部課の職員並びに部課長は、來年の三月三十一日までは当然法律で保障されて、教育委員会の事務局構成メンバーになりますが、これこそ私はいわゆる官僚が官僚を守つてやろうとするような、官僚温存の氣持が現われておるような氣がする。何故かと言いますと、これは委員会が成立した以上、これをどうするこうするということは、これは委員会の権限に任せればいいのであつて、來年の三月三十一日まで保障するというその裏には、何かそこに次の機会に一つの特殊的な位置を與えるような、約束のような感じがするわけであります。これは削除して、そうして委員会の自主性に任せて、委員会が來年の三月でなくて、五月でも、七月でも、來年一つぱい掛かつても、私は委員会の自主的な判断によつて事務局構成はやつて然るべきだと思います。こういうことは不必要だと思います。
 以上長くなりましたが、簡單な積りでやつたのでありますが、私の証言はこれで終ります。
○委員長(田中耕太郎君) 次に矢野君に御証言をお願いします。
○証人(矢野貫城君) 私は教育刷新委員会の審議に関係いたした者といたしまして、意見を申上げたいと思います。細かい点は文部省の方も御存じでありますし、私は細かいことの御説明はそちらにお願い申上げたいと思いますが、この議案につきまして、私共の委員会の方といたしまして、特にお聽きを願いたいことだけを申上げたいと思います。
 昭和二十一年十二月二十七日の第十七回の総会で、「教育行政に関すること」ということを決議いたしまして、これを建議いたしたのでありますが、建議の中で、この法案の審議につきまして最も大事なことと思いましたことは、教育委員会は、ここに元の案にありましたように、都道府縣、市及び特別区又は市町村というような所に設けることを理想として決議したのでありますが、これは理念としてそういうふうにあるべきである。何故ならば、教育委員会法として狙つておるところは、教育に関することは教育を受ける子供の親達の考を最も多く反映させなければならない、こういうような考え方から起つておるのでありまして、成るべく中央集権でなく、地方分権的であり、又地方の民意をそのまま反映させるというような理念から申しまして、教育委員会は都道府縣のみでなく、市町村にも設けるということが理念であることは、これは間違いないのであります。併しながらそれは理念として決議いたしたのでありますが、実際の問題といたしまして、今直ぐにそのことを実行されるということは、日本の現状に適しないというようなことから、この前の決議に補足する必要があるということで、昭和二十三年の四月二十三日、第六十六回総会におきまして、こういうことを決議いたしております。「教育委員会は、前の建議の通り、これを都道府縣、市町村及び特別区に置くことを原則とするけれども、現在の一般経済的財政的状況、地方民主化の実情、並びに六・三制の実施状況等を考慮して、漸進的にこれを実施することを必要とする」こういうことを書きまして、その次に「当分の間都道府縣、市及び特別区のみに教育委員会を置き、町村はこれを置かないけれども」云々ということを書いてあります。こういう決議をいたしまして、教育刷新委員会といたしましては、日本の現段階におきましては、人口一万以上の町村或いは特別学区というような所に置くことはまだ早いというような考え方を持つておるのであります。そういう建前から申しまして、この今度の法案は大体その線に副うておるように思ひますけれども、問題となりますことは、二年後に人口一万以上の町村には委員会を置く、こういうことになつておりますが、若しできることならば、今少しこれを延ばす必要がありはしないかというような感じがしております。宣傳をする機会が與えられまして、民意がそこまで上ることができますならば、それは或いはもう一つ早くできるかも知れませんけれども、今の状態ではまだ余程心配される点があるように思うのであります。
 もう一つ大きな問題となりますのは、この選挙であります。地方民の一般選挙によるということが、これも前の決議におきましては理想として掲げてありますけれども、これも日本の実情から考えまして、今の民度から申しまして、直ぐにこれを全般的の選挙にするということは、果して立派な委員が得られるかどうかということを心配いたしまして、先程も申しました二十三年四月二十三日の決議におきましては、こういうことを建議いたしております。都道府縣会議長、都道府縣内の市長の互選によるもの一人、都道府縣單位の町村会長、都道府縣内の大学長、高等学校長、中学校長、小学校長の互選によるもの一人、教員組合の選出するもの一人並びに都道府縣知事が、産業経済関係者二人、文化関係者一人、労働関係者一人、婦人一人を議会の同意を経て選任したもの、計十人の選考委員による定員の三倍の候補者を選び、これについて一般投票を行う、こういうようなことを決議いたしておりますが、この趣旨は少くとも最初の選挙におきましては、こういう人が委員会の委員に選ばれるのが適当であるというようなことを一般の人に知らせる。一般民の目安を作るというような関係もあつて、極めて民主的な方法で候補者を選ぶ人を作つて、その人が三倍の候補者を出して、それを一般の選挙にする、こういつたような方法を用いたならば、最初の選挙としては適当なものが得られはしないか、こういうような考え方を以て建議をしたのであります。このことはその当時の刷新委員会のものが、全部こういつたような考え方を持つておつたと申上げてもいいくらいの状況にありましたが、中には二、三そうでない人もありましたけれども、大多数がこの意見に賛成でありまして、今日の状況から、民度から申しまして、速急にこの委員会法を実施する場合、直ちに一般民の選挙としてしまうということにつきましては、刷新委員会の委員の考え方としましては、何とか考慮を願いたい。こういうような考を持つているのであります。
 次にこの人員のことでありますが、先程も御意見がありましたが、委員の数でありますが、刷新委員会では委員を七名乃至十一名ということに決議いたしました。この数は市とか、都道府縣の台帳によつて委員の数を変えることができる余地を存しようという趣旨でありまして、画一にやつているということは、これもできるならば何とか変えて行つた方がいいと思うのであります。尚希望事項といたしまして、この委員会が行われまする時に問題になりますことは、先程もいろいろお話しがございましたが、財政の問題でありまするが、財政の問題につきましては、確かに地方公共團体と議会と教育委員会との間に、いろいろむずかしい問題がありませんかと思うのでありますが、これにつきましては、成るべく早い機会に教育財政について、特別な御考慮が願いたいと思うのであります。教育財政につきましては特別な御考慮をお願いいたしませんと、委員会を作りましても、この委員会が財政の問題で随分面倒なことになりまして、委員会の目標といたしておりますところの自主権が非常にそがれるといつたようなことになつて参りますから、この点につきましては成るべく早い機会に御考慮をお願いしたい、こういうふうに考えているのであります。細かいことはいろいろ外にも御意見がありましたしいたしますから、略しまして、大体刷新委員会の考えておりましたところと違つておりましたことを申上げて、私の意見として申上げて見たいと思います。
○委員長(田中耕太郎君) 次に宇佐美君にお願いいたします。
○証人(宇佐美毅君) 教育委員人の問題は、前から教育刷新委員会を通じ、政府におかれて檢討せられているということは、我々も洩れ聞いておりまして、この問題は教育界のみならず、日本の今後にとつて非常に影響のある問題として、非常に関心を拂つておつたつもりでございますが、不幸にしてこの考え方の基本というものが、これまで殆んど公表せられず、多くのいわゆる國民の間における輿論というものの動きというものは、抑えられた形において今日に至つたことは甚だ私は残念なことだと思うのであります。併しながら我々といたしまして、その基本的な考え方につきまして、全國の知事会議なり、関東の知事会議等におきましても、しばしば議論せられまして、教育行政の民主化ということの必要性はもとより当然でございまするが、こういう形において行くべきかというような根本的な問題について、いろいろ議論もございましたが、我々がこれは表に出ずに、本年文部省におきまして、全國の教育関係の部長会議が開かれました際に、ここで正式に案の骨子というものだけを御発表があつたのであります。その時に都道府縣の教育局長の非常に質問が集中いたしまして、特にこのために時間を延ばして頂いて、論議をいたしましたが、結局各府縣の教育関係者としての意見を取纏めて司令部、文部省に陳情するということになりまして、実は本年の五月十日にそれが提出されているのであります。先ずこの問題につきまして簡單にその点だけを、これは全國の教育局長としての意見として御披露を申上げたいと思うのでありますが、これは矢野先生から教育刷新委員会の御意見として御発表のありました点と非常に似ておりますので、事柄だけを申上げますが、先ず地方教育委員会の設置せらるべき範囲につきまして、町村に置くということは將來の理想的な形においては認められるけれども、時期尚早であるという考え方であります。これは申上げるまでもなく、從來の町村の財政の大きな部面は教育費で占めておつたのでありますが、これを離すということは、自治体の建前から相当いろいろな問題が生ずる虞れがあるということ、或いはこういう小範囲におきまして、本当に素人の中から良い人が得られるかというような点、或いは教員の人事の問題について、先程お話しがありましたように、非常に操作に困難を生ずる。特に特別教育区の問題は、現在でも府縣によつて多少事情は違いましようが、町村組合というようなものは非常に困難が多い。新制中学校におきましても、今の建築難からこれを進めましても、町村組合の形はなかなか進まない。殊に一つの町村内において学校をどこにするかということは、実に町村全体の大問題でございまして、これが数ケ町村集まつて特別教育区として、分担をして、果してうまく運営ができるだろうかというような基本的な問題も出ておるわけであります。こういつた町村の点につきましては、今後に讓るべきではないかという考え方であります。
 それから委員会の選挙につきましても、只今刷新委員会でおつしやいましたような、やはり時期尚早的な考え方でございます。公安委員におきましても、すでに一般の公選もいたしておりませんし、特に教育委員会だけが何故に公選しなければならんか、今までは六・三制の実施にいたしましても、何にいたしましても、準備或いは啓蒙ということがなくして、直ちに理想的な形に突つ込んで行くというところに相当無理があるわけでありまして、こういう点を余裕を持つて育てるようなことをやる必要があるのではないかと考えるのであります。
 第三は、やはり予算の問題でございますが、この教育委員会が、他の行政から独立をして行政をするという建前でありながら、予算というものの解決ができてない、一体行政或いは政治と経済という面を離して成立つわけがないのでありまして、ただ財政問題を解決せずして、形式だけの独立をしても大した効果がない、こう思うのであります。これも先程來述べられたことでございますが、從つてただ財政的権限がないのに、予算要求の面だけの権限が強いということは、今後自治体の長及び議会と教育委員会との間における摩擦というものは相当出るんじやないかと思いますので、この予算の審議要求権の問題というものは、非常に注意をしなければならない問題だろうと思うのであります。
 次は教員の人事の問題でございますが、これも仮りに市町村に委員会が設置せられましても、先程來のお話しの通りに、今の教育の不足、交通難或いは住宅難、いろいろな要素から考えまして、人事を分割するということが、実際問題において非常に困つた問題が起ると思うのであります。新教育におきましては、特に教科別教員組織というような問題から申しましても、小さな区域でその需給関係を立てるということは非常な困難性がある。どうしてもこれは都道府縣で取纏めるという考え方でなければならないように私共は考えるのでございます。
 最後に第五点は、いわゆる新制高等学校の問題でございます。この点につきましてはいろいろ運動も行われましたので、理由は重ねて申しませんが、現状におきまして、直ちにこれを市町村に委讓するということは、財政的な問題から申しましても、教育の実態、或いは生徒の分布、こういうような面から申しましても非常に無理があるようでございます。以上申上げましたような点につきまして、全國の意見として出ておるのでございまして、議会におかれまして、その点を頭にお含みの上で御審議を頂きたいとかように存ずるのであります。時間もございませんので細かい点は省きますが、ただ東京都の特殊的な問題として、特判区との関係であります。先程千代田区長が、自治体の建前からいたしまして、自治体の建前から各特別区が普通の市と同樣の権限を持つべきであるというような建前から、教科書の問題、教科書の選定、教科内容の特別留保のことまで区に渡せという御議論がありましたけれども、成程自治体の自治法の建前はそういうことになつておりますし、自治区の性格から渡してもいいものは渡さなければならないと考えます。併し自治法にもございます通りに、東京都の区というものは、府縣と市と合体した特別な関係でありまして、いわゆる都と区の有機的一体をするための特別規定が自治法にも設けられておるのであります。現状を申しますると小学校、新制中学校の教室から申しますと、この千代田区でございますとか、中央区に多くの余裕教室を持つております空き教室を見ますと、プラスの余りの教室が出るのであります。然るにこの周辺の区に参りますと、これが逆に足りない現状にございます。財政負担の状況はどうかと申しますと、中央に属する九区の所におきましては、一人当りの担税力というものは、二千円から三千円になつておるに拘わらず、葛飾区とかそういう周辺になりますと、二百円及至三百円、平均五百円以上の区が大部分でございます。これを見ますと財政的に非常な豊かな所は施設も亦間に合う、足りない所は財政的に困るというような所を、現状においてこれを各区に市と同樣の権限を與えるということになりますると、教育の機会均等と申しますか、普遍的な都としての立場から見た場合に不均衡が非常に甚しくなるのでございます。高等学校の例を申しましても、新制高等学校で中央の区の高等学校は、一校当りの人口が二千から三千くらいでございますが、周辺の区になりますと、高等学校一校当りの人口が五万から七万ということになつて、財政力とその施設の状況というものは逆になつておる。どうしてもここに調整的な作用がなければならん。これは人事の給與の問題にもいずれ影響する問題であり、こういうような面からいたしましても、できるものは区に讓るべきでございますけれども、都としての、有機的な都市としての動きから申しますと、どうしてもそこに統制とは言いませんが、調整すべき根拠がなければ、都はうまく行かないのではないかということを私は考えるのでございます。いろいろ申上げたいと思いますが、時間もございませんので、この規定には特別区の関係が余り考慮されていない、財政的にも実際面で困る面が非常に多いということだけを申上げまして、私の証言を終ります。
○委員長(田中耕太郎君) 次に芦田君の証言を願います。
○証人(芦田耕平君) 只今他の証人の方から沢山の箇條につきまして御意見がございまして、私がこれから申上げようと考えますることも、それと重複の嫌いがございまするけれども、細かい点は省きまして、最も重要と考える委員の選出方法、財政問題、この二点を取上げて申述べたいと存ずるのであります。委員会法の第六條第二項に、教育委員は「日本國民たる都道府縣又は市町村の住民が、これを選挙する。」教育委員の選挙は公選による、こういうように規定されておるのでありますが、未だ民主的な訓練を十分に受けていない日本の現段階におきましては、甚だ無理があるように思うのであります。将來は勿論かくあるべきであると考える者でありますけれども、現段階におきましては、暫定的に地方公共團体の長が市会の同意を得て選任することが無難であろう、こういうように考えるのであります。
 第二番目の財政のことでございますが、委員会法の第五十五條に、委員会は歳入歳出の見積りを立てまして、これを地方公共團体における予算の統合調整に供するためにその書類を送付する、こういうようになつておりまするが、ここに私は問題があると思うのであります。教育委員会が独自の立場に立ちまして予算を作つて、これを地方公共團体の長に送付した場合、全体調整のときにこれを包み切れない、調整ができかねるというときにはどうするか。地方公共團体の長、市長とこう申上げて見たいのでありますが、市長は誠に困つた立場に立つと申うのであります。又別に市会がこの提出した教育予算を修正若しくは否決した、こういうときにはどうなるか。市会と委員会の間に面白くない空氣が発生するものと思うのであります。それは勿論次の條項の中に事由を附けて云々、こういうことがございますけれども、委員会がどうでもこれだけの金がなければ始る、調整に乘らない、こういうときにそれぞれの立場において、委員会、市会、市長は非常に困る状況に立至るのではなかろうかと心配する者であります。
 そこで意見として私申述べたいと思いますることは、この財政につきましては市長がこれを掌握する。教育内容各般の運営の面を委員会が担当するようにすれば、これを防ぐことができる。そうでなければ先程來から御意見のございましたように、教育税を設けて財源をここに求める。市に一定の基準を設けて、これだけの市であればどれだけの税を取ることができるというような基準を設けまして、そして歳入を決めて教育の目的税というようなものを決めまして、そうしてそれによつて歳入の予算を立て、歳出の予算を立てますならば、極めて工合がよく行くというふうに考えるものであります。
 尚又もう一つ申上げたいことがありますことは、この案で行きまするというと、歳入を見積りまするのに、歳出と歳入と睨み合わせてみまして、歳入は何を持つて來るか、市の市民税とか、或いはその他の税のそれぞれがありまするが、それを見込んで歳入に入れるか、若しそうするならば、市長の権限を犯すことになるのである。市長の権限を犯さないで寄附金のようなものを沢山に入れるかということも、これ又不可能だということになりまして、結局歳入歳出のバランスを取りますために、この予算を立てますことは非常に困難ではなかろうか、かように考える者であります。以上この二点を申上げます。
○委員長(田中耕太郎君) 五、六名の方の証言はこれで終了いたしました。尚若し証人の方でお急ぎにならない向きもありますれば、委員の方で只今までの証言につきまして、いろいろ質疑にお答え頂けば非常に仕合せだと存じます。
○藤田芳雄君 いろいろお聽かせ願いましたが、矢野証人に御伺いいたしたいと思いますが、先程の委員選出のことに関しまして、教育刷新委員会の方では、一般選挙は現段階としては困難であろう。それがために便法として、何かこう幾つかの例を挙げられましたが、あれをもう一度お聽かせ願いたいと思いますし、同時に私重要だと思いますのでお聽きするのですが、そのあとに大体今後の選ばるべき方向も、こんな形において、こんな方面からそれぞれ選ばれたらよかろうというような意味合を、かねて挙げたというお話しがあつたかと思いますが、その点をもう一度お聽かせ願いたいと思います。
○証人(矢野貫城君) 私は手許に、或いはこれは行つておるんではないかと思いましたけれども、刷新委員会の決議を次の機会に何かお届けいたしたらいいかと思います。これは昭和二十三年四月二十三日の第六十六回の総会で採択せられたものでありますが、こういうことになつております。これは随分喧しく言つて議論をした結果できたのでございますが、第一は、都道府縣会議長、第二が都道府縣内の市長の互選による者一人、第三が都道府縣單位の町村長会長、第四が都道府縣内の大学長、高等学校長、中学校長、小学校長の互選による者一人、第五が教員組合の選出する者一名、並びに都道府縣知事が、産業経済関係二人、文化関係一人、労働関係一人、婦人一人を議会の同意を経て選任した者計十人、これらの者を選考委員として、そうして定員の三倍の候補者を選んで、それについて一般投票を一般民からするようにするか、これは一般投票まで持つて行くことができれば結構でありますが、今の状態ではどうもそれはむずかしかろう。少くとも初めの選挙は、一般投票じやどうも困るだろうというようなことで、こういう方から大体教育委員にはこんな人が出たらよかろうというようなことを考えて、例えば文化関係とか、労働関係とか、又婦人も出て貰わなければならんというようなことで、いろいろの方面から出て貰う、こんなようなことで、そういう方面から選ぶということにいたしたのでありますが、大体この教育委員会法の精神は、先程どなたかお話しがありましたが、例えば家を建てるには家を建てる技師も必要であるが、その家に入る人の意見が非常に大事なことである、こういうような建前から、子供の教育を受ける人達の意見が加わるということは非常に大事なことであるし、又その教育のために租税を負担している人の意見が加わることが非常に重要なことだというような考え方から、殊に教育に常識があつて、そうして教育のことの理解ができる人であつて、而も教育については素人の方がよかろう、こういうような考えであります。その代りに教育長というのは玄人を要するということでありまして、この教育長というものは非常な徳と、高い見識と、十分な知識を持つた者を全國の中から選んで行く、全國の力で選んで、それを教育長にして殆んどそれに仕事をやらせる。やらせるが、教育委員会がこれを任命する、こういう形にするという考え方になつておりますから、成るべく玄人でない素人の中で教育のことが分る人を委員にしたい。職業から言つても、それらその人の教養から言つても、いろいろな点で成るべく種類が分かれておつて、常識が発達している、こういうようなことを狙つているわけであります、お医者さんもあれば、或いは労働だけで生活をしている人もあれば、或いは百姓もあるというようなことを狙つているわけであります。成るべく職業が分れておつて、そしてすべての方面の常識を持つた者を選んで貰いたい、こういうことが私はその狙いと存じます。
○鈴木憲一君 矢野さんにお伺いしたいと思うのでありますが、刷新委員会の建議によりまするというと、ここに出ておらないのですが、中央委員会にこれが出ているように思いますけれども、これは今度の案にないのですが、私はそれを必要に思われますが、どうですか、その辺の御意見をお伺いしたい。
 それから宇佐美さんにお伺いしたいのですが、大体この原案が通過して成立すると仮定いたしますれば、そういうような法律案であつては財源が解決しないと見られるので、むしろ設置しない方がいいんではないかというようなふうにお考えであるか、或いは財源の裏打ちのない委員会であつても、まあ民主化のために同調した方がよいか、この程度のことは成立した方がよいというお考えであるか、或いはこの程度のものならば、今少し延ばした方がいいとお考えであるかということをお伺いしたい。
 それから江口さんにお伺いしたいのです。この教員の、教職員関係の組織した労働組合のことが、四十九條の中に出ておりますが、健全な労働組合の発達を目途としておられる教職員組合の関係から見まして、この委員会法を労働組合員として、どうお考えになるかということをお伺いしたいと思います。
○証人(矢野貫城君) お答え申上げたいと思います。この中央教育委員会のことを刷行委員会で決議しました時に、中央のことを無論考えにおいて考えたのであります。ところが中央の教育委員会の点につきましては、非常に困難ないろいろな面がございまして、大体そのことの決議を延ばしておりましたが、これは後に新聞でも御承知かと思いますが、大学の地方移讓という問題が起りまして、どうしてもこの問題を急いで解決しなければならない事情がございまして、それと一緒に中央委員会のことをどうしても考えなければならんような破目になりまして、急いで考えたのであります。それで昭和二十二年の十二月の二十六日の第五十回の総会で、中央委員会のことを決議いたしておりまして、それは細かいことは略しますが、中央委員会の定員が十五名として、そうしてその選任は左の方法によるということにいたしまして、委員の十五名の中、六名については都道府縣内の教育委員会の委員の中から二名乃至五名、これは縣の大小によつて違いますが、選挙人を選挙し、この選挙人が十二名の中央委員候補者を選定し、それでここでは文化大臣という名前をつけておりますが、これはそういう名前は仮称でありますが、文化大臣がその中六名を選任する。つまり十五名の中で六名が地方から選挙人を出しまして、その選挙人が倍数の人を選挙いたしまして、この中から大臣が六名を指名する。それから地方教育委員会委員は中央教育委員会委員を兼ねることができない。それから第二としては、中央教育委員の中の二名は、衆議院及び参議院の議員の中から各一名を指名する。それから第三は、委員の中のあとの残りの七名でありますが、それは文化大臣が指名し、國会の承認を得る。それから中央委員会の委員は任期四年とする。但し一号、つまり地方から選挙人が出て選挙したのと、それから三号議員の大臣が指名した議員の最初の任期は二年とする。こういつたように議員の中の半数は二年にする。半数交代という格好にしたいと思います。
○鈴木憲一君 その内容ではないでしよう。その内容は分つているのです。必要か必要でないかということです。
○証人(矢野貫城君) これは非常に必要だと思います。つまり地方の委員ができましても、中央に委員がなければ、その趣旨が徹底しないから、是非中央委員を置いて貰いたいという考えを持つておるわけです。併しこれは地方の委員のように、どうしてもできない事情があるので、これは諮問機関としております。刷新委員会の方は、いわゆる諮問機関であるが、併し文部大臣がこれこれのことは諮問しなければならないということにいたしております。
○証人(宇佐美毅君) この教育委員会に財源の裏打ちがなければ、延期した方がいいと思うかというお尋ねでございますが、この教育委員会法が成立いたしましても、いたしませんでも、現状の財政というものはそう変らないと私は思います。ただ將來におきまして、権限の独立と同時に、その裏打ちをする財政が独立されなければ、大きな期待が持てないということを私は申上げたのでございまして、その意味から申上げまして、今後財政的の筋をはつきりと立てて、教育委員会が独自の意見で、他に制肘されないで動くという氣持が発せられるような程度にまでは持つて行かなければならない。そういたしませんと、現在例えば都道府縣の知事が責任を持つて考えております問題が、間接的になり、議会もただ予算ばかりでなく、常に実態を見ておるわけでございますが、こういう教育委員会の專門的なものができますと、どうしてもそこに何と言いますか、力の入れ方が、俗に申しますと薄くなるのじやないか、そのままに放置いたしておきますと、教育が独立しつつ財政的の発展ということが、非常にむずかしい問題が起りはしないだろうかということを憂うるのであります。そういうふうな意味でございまして、直ちに委員会ができたならば、財政が直ぐに縮小してしまつて意味がなくなるというふうに私は考えません。
○証人(江口泰助君) 労働組合の関係から見た、この教育委員会制度ですが、結論から申しまして、組合運動に支障を來たし、組合運動にとつては、非常に迷惑千万なものでありまして、結局県の委員会だけ單一にできた方が、率直に申しまして、一番よろしいのであります。併しながら私達は、運営が復雜になり、要求が多岐に亘つて來るという点はありますけれども、我々としましては、組織上何らこれで制肘を受けるということは考えておりません。組織としては縣で一本の組織を作るなり、全國的に一本の組織を作るなり、健全な運動をしながら、而も交渉相手としては百人か百五十人と思いますが、そこは運営の技術で何とかやつて行けると考えておりますけれども、迷惑千万なことであるということは、事実として現われるということは思つております。具体的に某縣の教員組合におきまして、市町村にまで單位教員組合を作らせられた。ところがその縣の教員組合は、どういう関係で市町村にまで作らせられたか分りませんが、市町村市町村が一つ一つの組合、そうしてそれが縣で連合体になつておるかと言いますと、そうではなくて、却つてそのために縣では單一の強力な組織ができ上つた。そういう点から、私達は別に心配していないと考えております。併しながら要求の面で非常に困つたことができる來る。迷惑千万な、内容から申しますと、私達は知事に賃金要求をし、生活條件の待遇改善の要求をしますと、知事は文部大臣に逃げ出し、文部大臣は大藏大臣に逃げ出し、又は文部大臣は都道府縣知事に逃げ出す。ところがもう一つその下に給與の責任者という名目のものができ上りますと、市町村の委員会は、今度は知事に逃げ、知事は市町村委員会に逃げ、或いは文部大臣に逃げ、大藏大臣に逃げて、逃げ道が非常に廣くなつて來たことに、非常な迷惑を感じます。それが一つと、もう一つは、我々の給與は從來知事が持つていた。これは法的にはつきりしておりましたから、知事に談判して号俸の引上げなんかやつております。ところが今度委員会ができますと、委員会のバツクには何ら財政的なプールは持たないわけなんであります。そうしますと、委員会は当面の給與の責任者でありながら、金は出せないのであり、彼らは知事に逃げて行く。それじやという意味で、我々が知事のところに金を出して呉れと要求しても、知事は、お前達の給與の責任者じやない。生活を保障する責任はないと言つて、委員会の意見を突つ撥ねた。結局我々はどこに取り着いていいのか、取り着く島がない。そういうわけで、実際の運営の面で、非常に困難が生じて來ることは私共は予想しておりますが、運営の技術で何とか捌いて行こうと考えております。
○矢野酉雄君 各証人諸君の御証言、いろいろと参考になりまして、感謝に堪えませんが、一つ横浜の教育局長の御意見と、それから江口証人の御意見、その他各種各樣、全く対蹠的な御意見がありますが、その横浜の教育局長の御意見と、江口証人の御意見の最も顯著に違つておる点は、地方議会の議員を教育委員として入れることに、江口証人は根本的に反対の御様子であるのにも拘わらず、横浜の局長の御意見は、一名どころか三名ぐらい増加して欲しいというような御意見であります。横浜の局長の御意見は、恐らく教育を擁護するために、ただ一人の地方議員では予算を市会において通過せしめる場合に困難であるから、これを強力に保障するために、地方選出の委員を、この教育委員会の中に加えたいというような、御熱意からの御意見であると私は拜聽しました。ところが江口証人の御意見はそうでなくて、何か地方議会の議員が一人でも入ることは、却つていろいろな地方議員のよくない面がそこに反映されて、そうして折角の新らしく教育委員会制度の精神を抹殺する虞れがあるというような御意見から生れた、この二つの対蹠的な御意見だと私は思います。併し江口証人に私はお尋ねしますが、この強力に御主張になる主張を生かすためには、どうしても私はこの日教組の案の第五十五條の、教育委員会の予算は優先的に議会に提出するよう規定するという、このことがバツクせられない限りにおいては、教育に理解ある地方議員をこの中に加えて置かない限りにおいては、現在のような制度だけでは非常に微弱じやないかと私は思います。果して、若しもこの五十五條の予算に関するところの希望意見というものが容れられなくても、やはり第四項に御要望になつておりまする地方議会の議員を教育委員の中に入れることに、やはり御反対でありますか。この点、その御意見を承わりたいと思います。
○証人(江口泰助君) 確かに対蹠的で、見解の相違と思いますが、その点につきましては、これは我々日本教職員組合の決議によりまして、私が述べました理由によつて反対するということは、もう既定の方針なのでございまして、個人の見解ではございません。それから若しもこの点について議会との調整について、どうしても困難さがあるというのでしたならば、別な機関を設置するということは、運営の上で考えても差支ないことだと思つております。それは予算に関する連絡協議会みたいなものでも作るということは、これは実際運営の面で必然的に出て來ることではないかと考えております。一應我々は優先的に議員を入れることは拒否しております。
○委員長(田中耕太郎君) ちよつと江口君に申上げて置きますが、今日証言されました範囲は、質問には及びませんけれども、併し今日の御証言は、あなた個人の御証言でありまして、教員組合の機関としてなさつておいでになるのじやないということは、申上げて置かなければならないと思います。
○証人(江口泰助君) そうでございますか。分りました。
○若木勝藏君 芦田さんにお伺いしたいと思います。この委員会の設置に関しましては、二つの場合から考えられておるようであります。一つは、國民の民主的教養の点、それから一つは、財政の面においてどうであるか、こういうことになつて考えられておりますが、それで市の設置された場合においては、現在よりも財政上果して膨脹するか。経費が相当多く掛かつて來るかどうか、或いは現在とそう大差がないか、若し掛かつて來るとすれば、こういう方面に増加されて來るというふうな御調査なり、或いはお見通しなりがありましたら、その点を知らせて頂きたいと思います。これが一つ。
 それから次に宇佐美さんにお願いするのでありますが、全國の教育局長の会合において、この予算の問題につきましては、教育行政において経済の裏附がない場合においては、それが十分できるものではない。必ずその点において議会と摩擦が生ずるということは、委員会というものが設置されない方がいいということであるか、或いは若しそうでないとすれば、この教育予算について、どういうふうにしたらいいかというふうな御意見があつたかどうか、この点についてお聽きしたいのであります。
 それから矢野さんに御質問いたしますが、これはやはり今の財政上の関係になつて來るのでありますが、先程のお話しで、委員会の自主性を保つように、一つ財政上の措置をしなければならないというふうな刷新委員会の御意向があつたようでありますが、それについてどういうふうにしたらいいかというような、どんな御意見があつたか、これについて伺いたい。
○証人(芦田耕平君) お答え申上げますが、研究が日がございませんために、数字を挙げてお答えすることのできないことを誠に残念に考えますけれども、見通しといたしましては、この法案の実施によりまして、私の市におきましては大した差し響きはない、かように見通すものであります。
○証人(宇佐美毅君) 全國の都道府縣の教育局長の人議の席上で、予算の問題が解決しなければ、この法案をやることについて反対であるというような意見は、私は聽いておりませんし、ただ結論といたしまして、先程申上げました通りに、例えば教育税のような、一つの教育財源をはつきりと持つてやつて貰わなければ困るという意見が出ておつたということを申上げます。又中には、アメリカ等にございます通り、総予算の何パーセントを教育費に充てるというようなことでありますとが、とにかくそういつたものをはつきりして貰いたいという意見が出ておつたのであります。
○証人(矢野貫城君) 今私の申上げようといたしましたことの要点が、宇佐美さんからもお答えがございましたが、例えば教育税といつたようなものを作るかどうか、今お話しもございましたが、そんなことを頭に置いておつたわけでございますが、この委員会ができましても、財政というものについて適当に考えられておりませんと、どうしてもこの運営に困るといつたようなことが大分我々の議論の間にも出たのであります。併しそれがなければ、この委員会法は意味をなさんという、こういう意味ではありませんので、前に申しましたように、漸を逐うて進まなければならないものでありますから、この委員会ができましたならば、それについて適当に委員会の趣旨に叶うようなことが、財政上起るべき筈であるということを考えておるわけであります。
○河野正夫君 宇佐美局長にちよつと……。この法案と直接の関係はございませんけれども、この法案審議の上の参考に伺つて置きたいのであります。突然で数字をお持ちになつておりませんければ、極く概要でようございます。東京都の各区の教育予算といつたようなものは、都の教育局と何程かの関係を持つておるか。例えば補助をするかというようなことで何か関係を持つておるかどうかということ、それからもう一つ都議会、これは今宇佐美さんが東京都ですから、東京都のことを伺うのでありますが、お知合いの方の地方議会でも結構でございますが、都議会の中には文教委員会があるわけでございます。こういう文教委員会の活動振りはどの程度になつておるか、尤もそういうことを理事者として、都議会の活動振りというようなことは批評はできますまいけれども、どういうふうに働いておるかというふうなことを参考に伺つて置きたいのであります。
 それから芦田さんと彦由さん、どちらの方でも構いませんけれども、この二方の発言は、どうも教育権の地方公共團体理事者からの独立ということについて、反対の意見が含まれておるのではなかろうかと思うのであります。本法案をずつと見渡して見ましたところ、その地方公共團体の理事者乃至は議会からの教育権の自主性というか、独立というところに一つの狙いがあると私は思うのであります。その点につきまして、先ず矢野さんにそうではない、これは教育権の独立という意味において考えられておる面があるのではなかつたかということを、お答えを願いたいのであります。更にその件に関しまして、芦田さんか、彦由さんに教育課長としての経驗から、市の理事者、市長とか或いは会計の方面とか、或いは市議会というような方面で、教育予算に関して理解が乏しくて、これは何か我々はバツクして呉れるものがあればという御経驗がないかどうか、むしろこの法案はそういう意味において考えられていはしないかと思うのでありますが、その点についての教育課長としての御経驗を伺いたいと思うのです。
○証人(矢野貫城君) 今御質問がございましたように、刷新委員会でこれを議しましたときには、教育権の独立ということを目標にしておつたのであります。併しいろいろの事情で、完全に独立してしまうということは、なかなか直ぐにはむずかしいかと思うのでありますから、それは日本の現状に即して進むべきだと考えるが、とにかく狙いどころは教育の独立、教育権の独立ということであつたことを固く私共は信じております。
○証人(宇佐美毅君) 都と区の予算の関係でございますが、数字を持つて参りませんので、ここで申上げ兼ねますが、大体新制中学と小学校の費用でございますが、これは俸給はいわゆる國及び都の負担で流しておるわけでございますが、その他の学校の経営的な経費につきましては、いわゆる交付金の形で、私の記憶では全部で都としては三千七百万円程度であつたかと思うのであります。それ以外に、本來は区の財政事情によつて賦課さるべきものでございますが、今の税制や起債の関係等からいたしまして、殆んど区独自の財源というものは殆んどない。今後これは目下の問題になつておりまして、今年のいわゆる財政の計画といたしまして、漸次区に余祐のある財源を與えて行きたいということを檢討されつつありますが、從來までの関係は独自の財源はない。建設にいたしましても、都が借入金をし、補助を貰つて來て区に流すというのが大体の形であります。それから議会の文教委員会の活動振りでございますが、都では教育委員会と称しております約二十名ばかりの人達が、委員として活動をいたしておりますが、大体從來は週に二回くらい定例的に集まり、各種の請願、陳情等が、教育関係は非常に多いので、この処理でございますかと、いろいろな重要問題が起ります度に、随時その委員会に報告して、委員会としても態度を檢討しつつあるのでございますし、建設等の問題につきましても、現場の視察等もときどきいたしておるのであります。この委員会の活動というものは、昔の議会と違つて形式張らずに、私共の立場から申しますと、非常にやりよい懇談的な話合いの運営になつております。大体以上申上げた程度でございます。
○証人(芦田耕平君) 教育課長としてという御質疑でありまするが、その経驗を申上げたいと存じます。教育予算につきましては、私のところで今日まで立案して参つております。ただ今日の経済状態でありまして、甚だ予算が十分に取れないというようなことは事実であります。私の市は只今人口八万でありますが、二十三年度当初予算におきまして、予算が四千万円でございます。教育費は四百万であります。そこでこの四百万の捻出に、先程から申されておりまするところの調整であります。各課との調整という仕事に、市長は大分心配をするのでありますが、さよういたしまして、調整し終えてこれを市会に提出する、この段階に入りましたときには、市会はいろいろ御意見はありますけれども、今日まで平穏にいつも協賛を得まして、そして予算を立てております。從いまして、他に強力なバツクのようなものが必要かと、そういうことを欲するかというような点については、只今のところ何も考えておりません。
○証人(彦由龜一君) 今おつしやいましたように、本教育委員会の法案が、教育権の独立自主性を狙つているという、その狙いはよく分るのでありますが、度々お話しが出ますように、ただ財政の裏付けがなければ、その狙いというものが、空文に化するであろうということが憂えられるのであります。それから今の予算の編成の場合に、或いはもつと言いますと、予算を取る場合に有力なバツクが欲しいような氣持はないかという、こういうことでありますが、これは私共が懸念いたしますことは、現在教育行政権を、権能の方も市長が握つており、責任も市長が負つておる。そしてその衝に当る者は、市長の指揮監督を受ける現在の教育局長がその職務をやつておる。そして市長の責任、市長の権限でやつておる。それでさえも予算の面では相当因つておるのであります。ところが責任者が別にできて、権限も別の者が持つておるというときになつて來て、若し委員会のバツクがあるから、自分の部下が自分の責任でやるときよりも、予算が余計取れるということになるならば、そこには非常な摩擦、非常な反目と言いますか、困難が伴わなければ、面白くない状態が伴わなければ、それが実現し得ないという、こういうことが憂慮されるのであります。
○岩間正男君 先ず宇佐美さんにお聽きしたいのでありますが、高等学校の現在の所轄が、この法案によりますというと、明確にされていないのであります。併しながら過般來、東京都下で、これが從前の法案の経過においては、或いはこれが特別区に移管されるというような樣子がありまして、これに対するいろいろな運動が起つたのでありますが、この問題が、或いはもつとこの法案の審議に当りまして、明確化しなければならないということが起るかも知れんのであります。これは法案の審議の一つの先の問題でありますが、そういう場合のために、参考にこれはお伺いして置きたいのでありますが、現在この高等学校の関係者が非常な不安を以て、これが各特別区に移された場合に、そこに財政的な立場から、それから人事の交流、そういうような面で、非常にこれは現状に即しないというような観点を以て運動を展開せられたように、これは今までその樣子を聽いておつたのでありますが、これに対しまして、若しも特別区にこれが移管されるというようなことが起るとした場合に、これは都の立場からどういうような見解を持たれるかということを、先ずお伺いしたいと思う。もう一つは芦田さんにお伺いしたいのでありますが、日教祖の方の大体希望点というようなものを見てみますと、同じ都市並びに府縣、その範囲に委員会を限定して、あとのところは暫く見合せたいというような希望條件のようであります。そうしてこのことを決定するには、現在の三万、五万、十万、二十万というような都市の状況を、私達は実は具体的にお伺いしたいと思いまして、特に芦田さんにお出でを願つたというようなことであつたと思いますが、この点で一番問題になりますのは、例えば船橋市というようなところに、この教育委員会法案が新たに実施される場合に、そこに主として財政的な面から、どのような負担が起るかということをお聽きしたいのであります。ところがこれに対して、さしたる影響はないというような先つきの御説明であつたのでありますが、この点について実は我々としましては、聊かこれは見解を持つのでありますが、つまり現状をこの新らしい法案に、何とかその枠内に入れて、そうしてつまり教育委員会の持つている積極的な機能を、積極的に推し進めるというようなことを取らないで、單に現状を新らしくできたものの中に入れて行く。枠の中に入れて、そうして実際は内容的には何ら変りがないというようなことであつたならば、そのように経済的には差障りがないということが起ると思うのでありますが、併しこの委員会のいろいろな機能を見ますときに、大分今までの面とは変りまして、新たな機能を持つているのであります。更に現在の教育の当面しております問題、つまり六・三制の新学制実施の問題に附随せられる、この委員会が採上げてやらなければならないところの問題は、実に廣汎にこの中に包含されているのであります。從いまして、この委員会そのものを消極的に解釈し、何とか現状に合せるというだけの問題でありましたならば、それが起ると思うのでありますが、併し今申しましたように、積極的な機能を大いに発動してやつて行くというようなことを考える場合におきましては、相当に、いや相当以上に、これは予算の裏附けなしには不可能であると我々は考えるのであります。これは時間がありませんから、一々委員会のいろいろ権能に属したこと、なさればならないことに属したことについては申上げませんけれども、とにかくこれはいろいろ新たなものが加わり、その内容を豊かにし、そうして地方教育の自主性と、それからその内容の豊富なものを將來作り上げて行くというところが、眼目なように思うのでありますが、そういう趣旨からされまして、若しもこの法案というものが適用されるとした場合に、もつとこれができるだけ早い機会におきまして、この法案の趣旨に近ずくというような場合において、船橋市においては一体どのような財政的な負担というものが増大するか、この点が実は私達のお伺いしたい一番眼目点であります。この点が私のお伺いしたい一番眼目点であります。その点お伺いしたい。
○証人(宇佐美毅君) 新制高等学校の区への移管の問題でございますが、結論を申上げますと、我々といたしましても反対の意向を持つております。先程もちよつと申し上げました通りに、都立の新制高等学校の各区における配置状況というものは、非常に計画的にはできていないのでありまして、先程申上げました通りに、一校当りの人口を見ましても、例えば千代田区のごとき、一校当りの人口が二千七百余人というところに対しまして、目黒区のごときは五万六千、大田区は七万八千というような工合でありまして、人口配分というものから見ましても、この配置というものはうまく行つておりません。これを普通校の関係を考えれば、或いはできるかも知れませんが、尚その場合においても、実業系の学校の問題につきましては、今後も非常な問題が起つて來るわけだと思うのであります。財政的に申しまして、先程申した通りに、この一校当りの人口の少いところは財政的に豊富であつて、そうでないところは財政的に因つている。こういう実状において、現在の都立の高等学校に、どのくらいの経費を掛けているかと申しますと、授業料でその約三四%ぐらいを賄つておつて、他は一般都費で賄つているわけでありますが、そういうものを区で負担しなければならない。而もその通学区域は、今度の新法によりますと、どうしてもお決めにならなければならないようになつておりますが、これが非常に私共はむずかしい問題だと思つておりますが、他区からの生徒をその区の経費で賄うというようなことは、その区の経済にとつては非常に迷惑で、他の区から参ります生徒をそこの区が負担しなければならない。これも義務制でございますればよろしいのでありますが、普通の義務制ではない高等学校におきまして、この負担関係というものをうまく調整して行くことができるかどうかということは、甚だ今の現状で無理が多いと思つているのであります。そういうような観点から、又東京の実状といたしましては、東京都ばかりでなく、近縣からも生徒が参つております。そういうような負担関係の情勢でありまするとか、これを区に移しましたならば、この跡始末というものが大変なことであろうと思うのでございまして、私共は事務的に教育上の観点から見まして、これは將來各区に段々移すという意図の下に、こういつた点を補つて整理した暁においては結構だと思いますが、現状においてやることはいけないということを考えております。
○証人(芦田耕平君) 私が先程、大して響かないと言つたことについて、更にお尋ねでございましたが、私は私の市にこの法案を実施いたしますときに、最も重要と考えておりますことは、教育委員にその人を得ることであると、かように考えているのであります。尚又事務局に人材を集める、こういうことであると思うのであります。事務局を強化するということにつきましては、現在の職員に交流を加えて、そうしてこれを強化すれば、先ず以て大した費用がなく、差し響きがなくできると考えましたから申上げる次第であります。六・三制の問題を只今お話しでございますので、この点を申上げたいと思います。六・三制のことは、新制中学校の建設につきましては、非常な困難を感じておりまするが、その半面非常に市民は熱意と努力を以てこれに当ついているのであります。私の市で、中学校の建設委員の職に就いております市民は、はつきりとした数字は申上げられませんけれども、約千五百名いると思います。これらの方々がどうしても中学校の校舎は建てなければならない。中学校は造らなければならないと、熱意を振つて仕事に当つているのであります。二十二年度、二十三年度、二十四年度の三年度においてこれを完成しよう、かように考えておりまして、二十二年度におきましては、すでに七百万円の仕事が只今終つております。二十三年度の計画につきましては、綜合計画は前からできておりますけれども、特に二十三年度の実施の事柄につきましては、七月の市会に上程しようと考えまして、只今これを立案中でございます。尚重ねて申しまするが、本法案の実施によりまして、これを消極的に、今の教育から引続いてどうしようと考えておりません。委員にその人を得て、尚又教学課を強化いたしまして、人によつてこの法案を活かして参りたいと考えまして、大して経費には差し響きはないと、さように申上げた次第であります。
○委員長(田中耕太郎君) 大分時間も経過いたしましたので、御異議がなければ、証人の方に対する御質問はこの程度に止めたいと思います。
○松野喜内君 お尋ねしようと思うことは、他の委員からお尋ねがありましたので、改めて申しませんが、結局問題は財政の問題であると思う。これに関連していろいろな問題が起つて來ると思う。教育税の問題などが考えられると思います。
 次に、通信教育、社会教育、家庭教育と私学との関係について、この委員会が中央、地方でどういうふうにこれを分担してやつて行かれるかを尋ねたかつたのであります。若しお分りならば、伺えれば結構です。
○証人(矢野貫城君) 私学のことにつきましては、学校教育法の関係で、当分今まで通りに、府縣の教育委員会が私学を取扱うことになるだろうと思います。併しこれにつきましては、教育委員会が私学のことを取扱うということは、これは本筋でない。別に私学に関する法令を拵えて貰いたいというのが私共の希望でございました。從つて今の通信教授とか、いろいろな問題を私学でやる場合には、私学の方の法律によつてやられる。又官立、公立でやる場合には、その方の法律でやつて行くということでありまして、通信教育に関することは別に通信教育として、又研究いたしておりますから、官私の問題は、官は官、私は私というように、別の法律で律して行く、こういうふうに思います。
○委員長(田中耕太郎君) それではこれで委員会を閉じますが、終りに、今日御出席頂いたところの六名の証人の方々にお礼を申上げたいと存じます。非常に御多忙なところをお繰合せ御出席頂きまして、非常に有益なる御証言を、各御地位なり、又御経驗からお述べ頂きまして、私共法案を今後審議して参りますのに非常に便宜を得ました。有盆なる示唆をお與え頂いたことになりますので、この点厚くお礼を申上げます。又御証言につきまして質問がありましたいろいろな点に対して、懇切なる御回答、御答弁を頂きましたことも、厚くお礼を申上げる次第であります。これを以て本日の委員会を散会いたします。
   午後四時二十二分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     田中耕太郎君
   理事
           松野 喜内君
           柏木 庫治君
           岩間 正男君
   委員
           梅津 錦一君
           河崎 ナツ君
           小泉 秀吉君
           藤井 新一君
           若木 勝藏君
           木内キヤウ君
           高良 とみ君
           河野 正夫君
           鈴木 憲一君
           中川 以良君
           矢野 酉雄君
           藤田 芳雄君
  証人
   横浜市教育局長 彦由 龜一君
   長崎市伊良林小
   学校教員    江口 泰助君
   教育刷新委員会
   委員      矢野 貫城君
   千代田区長   村瀬  清君
   東京都教育局長 宇佐美 毅君
   船橋市教育局長 芦田 耕平君