第002回国会 本会議 第59号
昭和二十三年七月四日(日曜日)
   午前十一時四分開議
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 議事日程 第五十七号
  昭和二十三年七月四日
   午前十時開議
 第一 國家行政組織法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第二 國有鉄道運賃法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第三 建設省設置法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第四 損害保險料率算出團体に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第五 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、財務局及び税務署の増設に関し承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第六 恩給法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第七 府懸道三原、呉線の改修に関する請願(委員長報告)
 第八 大都市道路緊急整備に関する請願(委員長報告)
 第九 國道十五書写線改修工事に関する請願(委員長報告)
 第一〇 戦災復興事業費國庫補助増額に関する請願(委員長報告)
 第一一 新井、川奈間着路改修工事に関する請願(委員長報告)
 第一二 忠海港拡張工事に関する請願(委員長報告)
 第一三 御手洗港修築に関する請願(委員長報告)
 第一四 亀沢川外二十八河川の砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
 第一五 埼玉縣の水害復旧費國庫補助増額に関する請願(委員長報告)
 第一六 太田、原野谷両川の堤防補修工事に関する請願(委員長報告)
 第一七 山田川砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
 第一八 安永川外四十河川の砂防工事に関する請願(委員長報告)
 第一九 鳥取縣下岩美五箇郡内河川に砂防工事に関する請願(委員長報告)
 第二〇 最上川本支流の災害復旧工事促進に関する請願(委員長報告)
 第二一 魚野州支流十七河川の砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
 第二二 栖吉川砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
 第二三 羽茂、新保両川の砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
 第二四 新川渓谷地帶の観光産業道路改修工事國庫助成に関する請願(委員長報告)
 第二五 西部瀬戸内海を國立公園に指定することに関する請願(委員長報告)
 第二六 旧霧島陸軍演習地を國立公園霧島観光区域に編入することに関する請願(委員長報告)
 第二七 瀬戸内海國立公園の施設及び助成に関する請願(委員長報告)
 第二八 琵琶湖を國立公園に指定することに関する請願(委員長報告)
 第二九 阿蘇國立公園区域に日田地方を編入することに関する請願(委員長報告)
 第三〇 北海道中南部定山渓附近一帶の地域を國立公園に指定することに関する請願(委員長報告)
 第三一 霧島國立公園に新川渓谷地帶を編入することに関する請願(委員長報告)
 第三二 櫻島、開聞一帶を國立公園に指定することに関する請願(委員長報告)
 第三三 紀淡海峡地区を國立公園に指定することに関する請願(委員長報告)
 第三四 湯河原町を中心とする西湘地区を富士、箱根國立公園に編入することに関する請願(委員長報告)
 第三五 旧住宅営團経営住宅処分に関する請願(二件)(委員長報告)
 第三六 模範社会事業都市建設に関する請願(委員長報告)
 第三七 傷い者保護に関する請願(委員長報告)
 第三八 大都市の庶民住宅建設助成に関する請願(委員長報告)
 第三九 社会事業共同募金法制定に関する請願(委員長報告)
 第四〇 社会事業法の改正に関する請願(委員長報告)
 第四一 教職員の最低生活保障に関する請願(委員長報告)
 第四二 三田、三輪両町の勤務地手当甲地指定に関する請願(委員長報告)
 第四三 看護婦の待遇改善に関する請願(委員長報告)
 第四四 布はく製品の配給改善に関する請願(委員長報告)
 第四五 内地向け生活用陶磁器統制撤廃に関する請願(委員長報告)
 第四六 家具價格統制撤廃に関する請願(委員長報告)
 第四七 中小企業の技術指導機関の整備拡張に関する請願(委員長報告)
 第四八 中小企業親元計画の割当増加に関する請願(委員長報告)
 第四九 中小企業の振興に関する請願(委員長報告)
 第五〇 亞炭産業國策樹立に関する請願(委員長報告)
 第五一 亞炭の新統制法式に関する請願(委員長報告)
 第五二 亞炭業危機打開に関する請願(委員長報告)
 第五三 小樽市手宮貯炭場開放に関する請願(委員長報告)
 第五四 尾岐村の村営バス事業許可に関する請願(委員長報告)
 第五五 清水港の第一種重要港湾指定に関する請願(委員長報告)
 第五六 都井岬燈台善復旧促進に関する請願(委員長報告)
 第五七 津久見港を開港場に指定することに関する請願(三件)(委員長報告)
 第五八 油津港を第二種港湾編入並びに貿易開港場指定に関する請願(委員長報告)
 第五九 米原、網干両駅間電化促進に関する請願(委員長報告)
 第六〇 福島、米沢両駅間電化促進に関する請願(委員長報告)
 第六一 撫養、相生両駅間國営、バスの運輸開始に関する請願(委員長報告)
 第六二 茂木、笠間両町間國営自動車の運輸開始に関する請願(委員長報告)
 第六三 宮崎市、小林町間國営自動車の運輸開始に関する請願(委員長報告)
 第六四 野村駅、中筋村間國営自動車の運輸延長に関する請願(委員長報告)
 第六五 大子町、豊浦町川尻間國営自動車の運輸延長に関する請願(委員長報告)
 第六六 東北本線、両毛線並びに高崎線の電化促進に関する請願(委員長報告)
 第六七 福岡町、戸田村間國営自動車の運輸開始に関する請願(委員長報告)
 第六八 東京、長崎両駅間に準急行を運輸することに関する請願(委員長報告)
 第六九 博多駅構内施設拡充に関する請願(委員長報告)
 第七〇 宮古、小本両駅間国営自動車の運輸開始に関する請願(委員長報告)
 第七一 二俣、佐久間間鉄道速成に関する請願(委員長報告)
 第七二 土浦市、古河町間国営バス及びトラックの運輸開始に関する請願(委員長報告)
 第七三 二俣、佐久間間鉄道速成に関する請願(委員長報告)
 第七四 神奈川縣三崎町に鉄道を延長することに関する請願(委員長報告)
 第七五 今市、田島間鉄道敷設に関する請願(委員長報告)
 第七六 郡山まわり上野、新潟両瞬間直通列車運轉復活に関する請願(委員長報告)
 第七七 郡山郵便局舎用地及び建物買上げに関する請願(委員長報告)
 第七八 大里郵便局設置に関する請願(委員長報告)
 第七九 栃木郵便局舎建設並びに電話交換方式変更に関する請願(二件)(委員長報告)
 第八〇 佐伯郵便局舎建築並びに電話交換方式変更に関する請願(委員長報告)
 第八一 豊沢郵便局設置に関する請願(委員長報告)
 第八二 井尻村郵便局設置に関する請願(委員長報告)
 第八三 伊東郵便局の電話交換方式変更並びに電話交換局舎新設に関する請願(委員長報告)
 第八四 高川郵便局電信事務存続に関する請願(委員長報告)
 第八五 奥南村の公衆電話架設に関する請願(委員長報告)
 第八六 簡易生命保険及び郵便年金積立金運用再開に関する請願(九十八件)(委員長報告)
 第八七 札幌普通通信講習所の存続に関する請願(委員長報告)
 第八八 高等逓信講習所の存続に関する請願(委員長報告)
 第八九 郡山、猪前代間の電話直通回線新設に関する請願(委員長報告)
 第九〇 桑名市の戦災復興事業費國庫補助増額に関する陳情(委員長報告)
 第九一 戦災復興都市計画事業費増額に関する陳情(三件)(委員長報告)
 第九二 津市の戦災復興事業費増額に関する陳情(委員長報告)
 第九三 生産道路の改修並びに維持費の國庫補助に関する陳情(二件)(委員長報告)
 第九四 四日市市の土地区画整理事業費増額に関する陳情(委員長報告)
 第九五 高萩町地内國道六号線改修に関する陳情(委員長報告)
 第九六 八木山トンネル開さくに関する陳情(委員長報告)
 第九七 大野島、中川副両村間早津江川架橋に関する陳情(委員長報告)
 第九八 京阪神地区の幹線道路整備促進に関する陳情(委員長報告)
 第九九 戰災都市復興区画整理事業費に関する陳情(委員長報告)
 第一〇〇 四國地方道路改良整備事業促進に関する陳情(委員長報告)
 第一〇一 港湾法制定促進等に関する陳情(委員長報告)
 第一〇二 福江港改修工事に関する陳情(委員長報告)
 第一〇三 山口縣の災害復旧土木費國庫補助増額に関する陳情(委員長報告)
 第一〇四 石炭関係港湾施設工事促進に興する陳情(委員長報告)
 第一〇五 港湾災害復旧費國庫補助増額に関する陳情(委員長報告)
 第一〇六 東京都の道路橋りよう維持修繕費國庫補助に関する陳情(委員長報告)
 第一〇七 瀬戸内海脚立公園区域に山口縣を追加指定することに関する陳情(委員長報告)
 第一〇八 多摩秩父を國立公園に指定することに関する陳情(委員長報告)
 第一〇九 阿蘇山國立会関区域に日田地方を指定することに関する陳情(委員長報告)
 第一一〇 五大都市の庶民住宅復興に関する陳情(委員長報告)
 第一一一 大阪府下の住宅対策に関する陳情(委員長報告)
 第一一二 住宅建築促進に関する陳情(三件)(委員長報告)
 第一一三 くつ繊維の購入権附與に関する陳情(委員長報告)
 第一一四 寒冷地給の支給に関する陳情(委員長報告)
 第一一五 教職員の待遇改善に関する陳情(二件)(委員長報告)
 第一一六 そう合技能指導所設置に関する陳情(委員長報告)
 第一一七 佐賀関町の地域給引上げに関する陳情(委員長報告)
 第一一八 教職員の生活保障に関する陳情(委員長報告)
 第一一九 財務職員の待遇改善に関する陳情(委員長報告)
 第一二〇 寒冷地特別給與制度確立に関する陳情(委員長報告)
 第一二一 労働委員の手当増額に関する陳情(委員長報告)
 第一二二 長崎縣の賠償撤去対象工場存置に関する陳情(委員長報告)
 第一二三 中小企業誌工藝室に関する陳情(委員長報告)
 第一二四 製油所の操業に関する陳情(委員長報告)
 第一二五 中國地方鉱山復興に関する陳情(委員長報告)
 第一二六 船員労働行政合理化に関する陳情(委員長報告)
 第一二七 細島港を開港場に指定することに関する陳情(委員長報告)
 第一二八 福島、米沢両駅間電化し促進に関する陳情(五件)(委員長報告)
 第一二九 海難防止施設に対する國犀補助並びに資材配給に関する陳情(委員長報告)
 第一三〇 高松海運監理部の海運局昇格に関する陳情(委員長報告)
 第一三一 自動車運賃値上げに関する陳情(委員長報告)
 第一三二 旧播丹鉄道線拂下げに関する陳情(委員長報告)
 第一三三 日高、胆振間鉄道敷設工事推進に関する陳情(委員長報告)
 第一三四 富山港鉄道線拂下げに関する陳情(委員長報告)
 第一三五 地区機帆船業者の救済に関する陳情(委員長報告)
 第一三六 國有鉄道運輸の合理化に関する陳情(委員長報告)
 第一三七 道路の整備に関する陳情(委員長報告)
 第一三八 北海道鉄道輸送力増強に関する陳情(委員長報告)
 第一三九 三陸沿岸の國道並びに鉄道先途促進に関する陳情(委員長報告)
 第一四〇 逗子「海の家」拂下げに関する陳情(委員長報告)
 第一四一 道路運送監理事務所存置に関する陳情(委員長報告)
 第一四二 指宿線の列車増発等に関する陳情(委員長報告)
 第一四三 逗子駅裏駅設置に関する陳情(委員長報告)
 第一四四 貨物自動車営業種別標示に関する陳情(委員長報告)
 第一四五 貨物軽車りよう運送事業の指導監督所管に関する陳情(委員長報告)
 第一四六 福島、米沢両駅間電化促進に関する陳情(委員長報告)
 第一四七 郡山まわり上野、新潟両駅間直通列車運轉復活に関する陳情(委員長報告)
 第一四八 鹿兒島港海岸無線局設置に関する陳情(委員長報告)
 第一四九 輪島郵便局舎の新築並びに電話回線増設に関する陳情(委員長報告)
 第一五〇 簡易生命保險及び郵便年金積立金運用再開に関する陳情(十二件)(委員長報告)
 第一五一 南箕輪、伊那両局間電話回線増設に関する陳情(委員長報告)
 第一五二 郵便年金第二封鎖切捨てに関する陳情(委員長報告)
 第一五三 國主計画に関する調査に関する件(委員長報告)
 第一五四 裁判官の刑事事件不当処理等に関する調査に関する件(委員長報告)
 第一五五 祝祭日の改正に関する調査に関する件(委員長報告)
 第一五六 水産物増産対策に関する調査に関する件(委員長報告)
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○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は加読を省略いたします。
○議長(松平恒雄君) これより会議を開きます。
○石坂豊一君 本員は、昨日本議場における総理大臣の参議院の性格に関する発言について、緊急質問の動議を提出いたします。
○小林勝馬君 石坂豊一君の動議に賛成いたします。
○議長(松平恒雄君) 石坂君の緊急質問の動議に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。石坂豊一君。
   〔石坂豊一君登壇、拍手〕
   〔石坂がんばれ」、「簡単にやれ]と呼ぶ者あり〕
○石坂豊一君 諸君、私は民主自由党を代表いたしまして主本院の性格に関して、芦田首相に問わざるを得ないのであります。昨日重ねて同僚左藤義詮君より予算委員会において質疑を行われたことについて、只今速記も拝見をいたして來ました。これにつきましても、私はどうしても重ねて首相の明答を煩わさなくてはならないのであります。
 私の質問に対して答えられた芦田首相の弁論中に、かように述べられておるのであります。ここに芦田首相の言葉をそのまま繰返します。「衆議院が解散の対象になるという事実、又衆議院が政府に対して信任、不信任の決議をなし得るという事実に照し合せて、先ず第一義的に國民代表としての機関は、衆議院であるという考え方が、新憲法の中に盛られておることは御承知の通りである。從つて一應の見解としては、衆議院の多数が提出したる予算修正の要求は、國民多数の意向を代表するものと考えることは、政治常識として許さるべきものと考えます。」これが首相の答弁の一節であります。さてこの答弁を要約いたしますれば、國会は即ち衆議院、衆議院即ち多数党、言い換えますると、與党が多数を占めれば、その與党の多数が即ち國会の意見、かように断定されており、而もこれが政治常識なりといわれておるのである。國民代表機関たる参議院は、衆議院の下位に立つものであるとの観念を、首相みずからお持ちになつておるものであり、又それが至る処において表現されておるものと本員は解せざるを得ないのであります。
 然るに、私共の考えるところによりますれば、参議院は政爭の渦中を避けまして、嚴正公平の立場におるけれども、國民を代表する二院制度の一機関であることは、新憲法の明記するところであります。(拍手)憲法第四十一條には「國會は、國權最高機關であつて、國の唯一の立法機關である。」と明記しております。又その第四十二條には「國會は、衆議院及び参議院の兩議院でこれを構成する。」と定めております。更に又憲法第四十三條には「両議院は、全國民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」という規定があるのであります。参議院は衆議院と等しく國民の代表として何ら異なるところがないのであります。(拍手)況んや今日の参議院は昔日の貴族院のごとき特権的組織とは全く趣きを異にしております。國民によつて選ばれたる選良によつて組織されておるのであります。(拍手)而も政爭の圏外に立つて嚴正公平に、政党政治の陷り易き多数横暴を抑制し、冷静愼重に他院の足らざる所を補い、誤れるを正し、両院相俟つて憲政を正しく運営し、國民の幸福を増進するところの本質を備えておるのであります。然るに首相の言わるるごとく、解散の適用なきこと、政府に対する不信任の決議権なしという特異性を捉え來つて、両院の間に差別を置き、而も参議院は衆議院の下風に立つというがごとき(拍手)見解を持つことは(「然り」と呼ぶ者あり、拍手誠に憲法上の曲解であつたと言わざるを得ない。(拍手)私は敢えて感情に訴えて申すのではありません。憲法の各條項を調べ、又これを憲法を起草したるところの審議の状態により、又我が國の國情に照らしまして、政治的に解釈をいたしましても、これには誤りないと確信いたすものであります。(拍手)從つて首相の御見解に対しては、私共のみならず、國民の政治常識上承服し得ないところであります。かくのごとき観点より見ますると、首相が去る二日衆議院においてなされたる議員との質疑應答中、與党三派の修正を以て直ちに國会の多数意見として表現せられたることは、正に言い過ぎであり、又新憲法の曲解に基くところの爭うべからざる強弁であると私は解するのであります。(拍手)
 以上述べましたところによりまして、本院を無規せられたる芦田首相の御答弁に対して、よろしく当院に対して相当の陳謝をなさるお考えあるかどうか、その点を私は簡單ながら質問をする次第であります。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 芦田内閣総理大臣。
   〔國務大臣芦田均君登壇、拍手〕
○国務大臣(芦田均君) 石坂君にお答えいたします。國会が國民の代表機関であるという点については、石坂君も私も何ら見解の相違はありません。意見を異にするのは、私が二日の答弁の中において申述べたる第一次的の國民代表機関という観念にあると思います。この問題は私のみの私見を述べておるのではありません。新憲法審議の際に現われたる当時の両院の意見、並びに新憲法の解釈書に現われておる学者の多数意見を私が述べておるに過ぎないのであります。無論両院共に國民の代表であるけれども、若しその間に全然第一次、第二次的の性格を設けて置かなければ、眞の輿論、多数による政治の運用においては、幾多の不便を生じます。衆議院が参議院と全然意見を異にしたる場合、殊に重大なる問題について見解の差を生じた時には、衆議院は解散ができますが、参議院は解散ができません。そうすれば実質的には参議院が政治の重大な鍵を握るという結果に陷るのであります。從つて新憲法においては、國家の重要なる問題を決定する際においては、先ず第一次的に衆議院の意見を先行せしめるという規定が随所に現われておるのであります。(「そんなことは分つている」と呼ぶ者あり)後継首班を選任する時に、参議院と衆議院とが意見を異にする時には、衆議院の意見が先ず國民多数の意向として認められておるのであります。内閣に対する信任不信任を決定するには、衆議院に專らその権限を與えておるのである。その意味において、先般來本議場において、民主自由党の代表の方々が、政府は國民の輿論を問うために、衆議院の解散を行う意思があるかという御質問があつた。そのこと自体が、民主自由党と雖も、先ず第一次的に衆議院が國民の意向を反映するものであるという観念をお認めになつておるものと私は了解いたしておる。(「ノーノー」「それは性格の違いじや」と呼ぶ者あり)性格の違いを私は述べておる。(「昨日のものはそうじやない」、「我々を侮辱しておる」、「馬鹿にするな」と呼ぶ者あり)若し憲法の解釈が違うから、感情的に侮蔑しておるのだとおつしやるならば、それは見解の相違であります。政府としては憲法の解釈をここでお答えしておるに過ぎない。
   〔「憲法の解釈ではない」と呼ぶ者あり、拍手〕
   〔石坂豊一君登壇、拍手〕
○石坂豊一君 重ねて質疑をいたします。(「元氣でやれ」と呼ぶ者あり)芦田首相の御答弁は、昨日の答弁を繰返されておるのであります。我々を納得せしむべき何物をも見出すことができなかつたのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)若し芦田首相の見解の通りとすれば、即ち日本の憲法は二院制度であつて、その実一院制度と同様のことになるのであります。(「そうでない」と呼ぶ者あり)断じてこの見解は許すべからざるものであります。私共は、芦田首相は憲法成立と因縁浅からざる関係を持つておられるのであるから、而もこの新憲法は精密機械を有する飛行機のようなもので、一度運轉を誤つたならば、取返しのつかんことになる。旧憲法は大八車のようなもので、官僚軍閥が如何に横車を押しても壊れなかつたのであるが、新憲法こそは余程注意しなければならんということを、芦田首相が國民の全般に対して教えでおられるのである。その指導者であるところの芦田首相が、参議院に対する認識をかくのごとく誤つておることに至つては、断じて許すべからざるものであると私は確信する。私はかような見解を以て新憲法を運用しておられるから、憲法第七十三條の第五項における内閣の予算作成権に対しても、悉く事もなげにこれを放棄して、時を選ばず、飛んでもない時に與党三派の修正を國会の多数なりとして取入れられたるその行動は、如何にも御解釈にふさわしいものであり、我々の納得することができないものである。ここに改めて芦田首相が、この芦田首相の新憲法の解釈は、一院制度に墮するものであるということを是正するところの見解に立ち戻られんことを、私は深く芦田首相の憲法に因縁ある方として反省を促します。敢えて御答弁があれば伺います。(拍手)
   〔國務大臣芦田均君登壇、拍手〕
○国務大臣(芦田均君) 只今の重ねての石坂君の御意見を承わりまして、先程の答弁で、私の憲法解釈に対する立場は明らかになつておるのでありますが、更に附加えて一言申上げて置きたいことは、若し石坂君の御主張のごとき方針によつて今後の議会運営が行われるならば、これは極めて危險なる結果を生ずるということを、よく我々は反省しなければならんと思います。(「どういう意味だ」と呼ぶ者あり)例えば衆議院において政府不信任の決議が通る。併しこれは國民多数の意見を代表するものでないと言つて、内閣が依然居据わるならば、我が國の立憲政治は根抵から覆える。(「そんな馬鹿なことがあるか」と呼ぶ者あり)そういう解釈を憲法において採用するならば)現に石坂君が、議会の多数は國民の輿論を代表するものでないという御議論の下に質問をせられた。(「本院を侮辱するものだ」と呼ぶ者あり)併しそういう質問が若し許されるならば、石坂君の意見の通りに行われるとするならば、今後の日本の議会運営というものに非常な危險な事態が生ずるということは、我々が篤と承知して置かなければならん。少くもこの意見が新憲法審議の際において立法者の意見である、当時の多数の学者の定説であつたということは、当時の速記録をお読みになればよく分ることです。私共は憲法解釈として、この点を譲ることはでぎません。(拍手)
    ―――――――――――――
○三好始君 本員は米價問題に関する緊急質問の動議を提出いたします。
○小林英三君 三好君の動議に賛成いたします。
○議長(松平恒雄君) 三好君の緊急質問の動議に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。三好始君。
   〔三好始君登壇、拍手〕
○三好始君 私は米價改訂問題が、農家経済並びに國民経済に重大なる影響を持つものとして、全國的に大問題となつたに拘わらず、依然として昏迷の状態に放置せられておる現状に鑑み、問題の所在に対する認識とその対策について政府の所信を質さんとするものであります。
 今回の米價改訂問題は、すでに昨年秋の價格決定当時から明瞭に予定されていたものであります。当時私の数回に亘る質問書に対し、当時の片山内閣は答弁書において、若し物價体系に根本的な変更を見るような場合は、米價に対しても、必要により、これに基いて改訂を行い、再生産に支障を生ぜしめないよう措置をすることは当然であると答えておるのであります。それは第一回國会の質問並びに答弁第九十一号によつて明らかであります。然るに今次の物價改訂に際し、米價改訂が問題になりますというと、農林大臣はしばしばその必要を発表して参りましたが、今会期終了間際の今日まで、荏苒時を過ごし、最近では政府は言を左右にして、これを拒否せんとする態度に出ておるようにも見受けられるのであります。私は質問の冒頭において、政府が前内閣の米價改訂方針並びに永江農相がしばしば言明した方針を放棄するの立場を取つたものであるかどうかをお尋ねいたしたいのであります。
 次に、私は今日の米價改訂問題の認識の仕方についてお尋ねいたしたいと思います。私の認識を以てすれば、米價問題の本質は、消費者價格改訂によつで生ずる差益を農家に支拂うべしという点にあるのではないのであります。かかる論理からすれば、消費者價格を据置きにすれば差益は生せず、從つて米價問題は起らない筈でありますが、米價問題は消費者價格とは直接の関係なく、物價改訂と同時に問題とされねばならないのであります。それは農家に対する恩恵的乃至救済的な政策としてではありません。價格統制理論の以然の帰結であり、供出制度と公定米價の下において、農業再生産を確保するための絶対の要請だからであります。ところがここに奇怪な言論が行われております。即ちすでに供出を完了し、代金支拂の終つた米に対し、價格の追加支拂の必要はないという議論であります。この考え方は、要するに二十二年産の米は千七百円という價格に、生産費を償い得るように定められたものであり、二十三年度の生産費は増加したからといつて、米價改訂に伴う差額を供出農家に追拂いなどする必要、理由は全くない。本年度の生産費が増加したならば、それは本年産の米價に織り込まれたらよいのである。増加生産費が不足であれば、農業金融などによつて調達の方法を講じたらよいではないか。こういう考え方であります。私はかくのごとく無智にして幼稚極まる推論に驚くのでありますが、この点につきましては、政府は米價調整金交付の必要なしとせられるならば、その理論的根拠を明らかにせられたいのであります。私は公定價格に基くパリテイ計算によつて米價が決定されることは、現実的には生産費を償うものでないと考えますが、仮に百歩を讓つて、毎年度の米價決定当時において、生産費を償う價格が定められるとしても、インフレ高進期には、生産期間の長い米作に対し、米價調整を必要とする十分の理由があると思うのであります。それは別途の調達方法、例えば大規模な農業金融によつて解決し得るような問題では絶対にないのであります。
 次に、その理由を申上げて、これに対する政府の態度を明らかにせられたいのであります。昭和二十一年産米が五百五十円に決定されたのは御承知の通りであります。農家は五百五十円米價の収入で、二十二年産米の生産を行つたのであります。ところが物價騰貴に伴う増加生産費の追加を必要といたしました。これは同じパリテイ計算において、米價は二十二年一月が六百四十一円、五月が七百二十五円、九月が千三百八十九円となるべき計算でありますから、相当の額であることは分るのであります。正確には物價改訂状況と農家支出分布状態によつて決定さるべきものでありますが、これを仮にXといたします。農家はこれだけを何らかの方法で追加して、千七百円米價の米を生産したのであります。この場合調達した増加生産費を差引けば、二十二年産米の実収入は、石当り千七百円マイナスXに外ならないのであります。これが千円であるが千二百円であるかは、計算によつて理論的には大体明らかにすることができます。これが生産費を償つて余りあるような價格でないことは絶対に断言して憚りません。これだけの収入で農家は今年度の米を生産しつつあります。物價改訂によつて本年度も増加生産費を調達しなければたりません。これをYといたしますというと、本年産米を仮に三千五百円としていえば、農家の実収入は石当り千五百円マイナスYとなります。而してこのYは前年度の生産費Xを累積したものであり、インフレが続く限りこのYは更に次の年度の増加生産費に累積され、こうして農家経済への重圧はますます加わることになります。然らば増加生産費としてのX並びにYは如何にして調達されるか、それは闇價格による食糧の横流しに求めざるを得なかつたかも分りません。併しながら供出の強化と共に、一般的には戰時中以來営々して食糧増産に励み、強制節約によつて乏しい生活の中に貯えた余剩を全部投出して生産を支えて來た農家の傷ましい姿が想像されるのであります。一時農村に集中していた通貨は減少の一途を辿り、曾て都市から農村へ運ばれた衣類は最近では都市に逆流しつつあります。配給肥料が買えない農家も繰出しつつあります。本日の朝日新聞の第二面では、米單作地帶の東北農家が金に困つて娘を身売りしておる問題を大々的に報じております。これらを見聞して、私は米價機構の農民搾取に暗然とならざるを得ないのであります。最近は増加生産費の捻出も底をついて農村金融が深刻な問題になりつつあることは御承知の通りであります。ところが、今までの米價機構をそのままにしての農業金融は、インフレが続く限り青田賣りに外ならないことを私達は考えねばならないのであります。これを繰返すとき、全國の農家は殆んど全部が二年を待だずして破産に瀕し、農業再生産は潰滅的な影響を受けることは明ちかであります。若しそれを辛うじて遅らせるものがあるとすれば、それは非合法的な食糧の闇賣りであろうと思います。そこで農家の犠牲は消費者に轉嫁されざるを得ないわけであります。その場合重圧を強く受けるものは常に正直な大衆であることも勿論であります。それはすでに悲しむべき現実であります。そこには正しい政治はありません。断じて合理的な政治はないのであります。政府はかかる米價機構に目を蔽いつつ一方で食糧の一割増産を叫んでおられます。これは恰かも生存を脅威する程度に食糧を減配しながら居残り労働を要求するの類であります。かかる状態を改めるには、速かに米價機構の是正が行われ、再生産の條件が備わらなければならないのであります。千七百円米價及び仮定としての三千五百円米價がそれぞれ生産を償い得る償格であるならば、それは私の言う増加生産費としての乃至Yが割引されるものであつてはならないのであります。それは生産過程において不足する増加生産費X及至Yを米價調整金として交付することによつてのみ(「簡單々々」と呼ぶ者あり)解決されねばなりません。この財源を消費者價格改訂に求めるか、これを改訂せずして二重價格制を採るかは、主として財政政策の問題であります。
 今日の米價問題は、以上において私が示したごとき生産補償價格の崩壊を調整すべしという主張なのであります。これは財政困難を理由にして放置し得るような問題では絶対にありません。統制経済の主体としての政府の義務において解決さるべき問題であることを私は確信いたします。(拍手)言うまでもなく、生産費の補償ということは、実質的には再生産費の補償でなければ無意味なのでありまして、それが生産に要した名目費用の補償に止まり得るのは償格安定時代に限るのであります。それ故にこそ、昭和二十一年以來パリティー計算という新らしい米價決定方式が採用されざるを得なかつたのであります。パリテイ計算を採用しつつ償格均衡維持のための調整を否定せんとするのは矛盾も甚だしいと言わねばなりません。(拍手)政府はかかる米價調整の主張に対し、如何なる方策を以て應えんとするかを明らかにして頂きたいのであります。
 今から約十七年前、私はいわゆる昭和農業恐慌の眞只中に農学校時代を過して、農業政策に一生を打込まんとする決意を促されたことを想起いたします。今や農村には昭和初期塚來の農業恐慌が再び(「簡單々々」、「何が簡単だ」と呼ぶ者あり)訪れつつあります。併しながら、それは曾ての農業恐慌のごとく、需要並びに價格に現れた経済原則や自然的災害によつてではありません。少くとも現段階においては、それは人爲的であり、政策的であります。それは農業に加えられつつある統制、(「簡單々々」、「やかましい」、「しつかりやれ」と呼ぶ者あり)なかんずく價格統制が農民の犠牲を強要しつつあることを意味するのであります。私は芦田首相以下関係閣僚の良識と政治的良心に訴え、ここに問題解決に対する方策と誠意を示して頂きたいのであります。
 以上の諾点につき、総体的には芦田首相、永江農相、財政的立場からは北村藏相、統制経済の合理的調整、いわば経済安定の立場からは栗栖安定長官の御答弁を求める次第であります。(拍手)
   〔國務大臣永江一夫君登壇、拍手〕

○国務大臣(永江一夫君) 只今米價に関しまして誠に適切なる御質問を頂きました。私共今日米價に関しますることにつきましては、先般衆議院の本会議におきまして全会一致の議決がございました際に、芦田内閣総理大臣から、政府を代表いたしまして衆議院の本議場におきまして答弁をいたしました趣旨に應じまして、あらゆる方面に目下これが解決のために努力をいたしておる最中でございます。今お尋ねになりました諸点について、大体は私から先ずお答えを申上げたいと思います。
 その一つは、米價につきまして、生産者價格につきまして、昨年の産米を供出を願いました際に、政府において決定をいたしました千七百円によって三千五十五万石が供出完了と相成つておるのでありますが、この米は政府は全国的な配給機構を通じましてそれぞれ配給中でございまするが、たまたま本國会におきまして物價の改訂が大々的に取上げられることになつたのであります。從いまして昨年供出を受けました三千五十五万石の米の中で、この物價改訂に伴つて、まだ政府の手持米となつておるものが價格差爲となつて相当政府の手に入るという想定の下に、その差益金を適当に生産農民諸君に還元をしてはどうかという一つの意見が出て來たのであります。更にこれと対蹠的な意見としては、今御議論の中にありましたように、一應昨年パリテイ計算によりまして新らしい米價の算定法式を決定して、それによつて決まりました米價でありまするから、このときに政府関係筋からいろいろ生産農民諸君に説明をいたしました中に、或る程度物價改訂のあつたときには、將來の再生産のために必要なる処置を考慮するというような趣旨がありましたので、この際仮に七号から新らしく物價が改訂された場合には、本米穀年度の残り、即ち七月、八月、九月、十月の四ヶ月は新らしい物價改訂の線に沿うて米價をそれだけ仮に上げて行くべきである。即ち言葉を換えて申しますと、昨年供出を受けてから一年間の中において、本年の六月までは千七百円の買上價格によつて消費者價格を決定して配給をしておる。七月以降は若干消費者價格も上げるのであるから、七月から十月までの四ヶ月分は或る仮想米價を作りまして、その仮想米價と昨年の米價との差額については、十二ヶ月分の四ヶ月だけはいわゆる還元支拂をすべしであるというこの二つの意見が出て参つたのであります。政府はこの二つの意見について愼重に考慮をいたしまして、いろいろ今お述べになりましたような、現下の我が國の農村の実情から申しまして、特に北海道、東北等、單作地帶におきます窮状なども勘案いたしまするならば、農村金融の逼迫した際に、漸次物價の高騰する中に、肥料、農機具その他の生産資材の不足勝な今日、可なり困難なる状態において生産農民諸君がよく増産に協力されつつあるところの実情からいたしまして、これらに対して十分なる生産資材を提供するためにも、亦農村の特別なる金融ということを考慮しなければならない。この金融と同時に、若し國の財政その他、食糧管理局の今保管しておりまするところの特別会計の操作によりまして、予算の上で余剩ができまするならば、これらの金を何らか生産奨励の意味において、生産農民諸君にその供出数量に應じて還元をするというような一つの案もできたのであります。これらの諸種の案件につきまして、農村の実情からして、何とかして食糧の再生産に大きなプラスを加えて、それによつて本年の産米も、できるならば政府が要望しておりまするような一割増産の成果を挙げることによつて、正式なルートに供出量を増したいという念願によりまして、政府は関係方面といろいろと折衝中であつたのでございます。たまたまその折衝途上におきまして、最初にお話を申上げましたように、衆議院の満場一致の議決がございました。この線に沿いまして政府は更に関係筋と折衝中でありますが、私共の見るところによりますと、今日の我が國の財政の現状から、この物價改訂に伴い、その以降におきまして、仮に本年の米價門を仮想的に定めまして、それと昨年の買上げました米價との差額を返すということになりまするならば、相当多額なものが國の一般の会計か、或いは消費者の負担ということになるのでありまして、こういうことを適当に勘案いたしまするのには、米價の差額を生産農民諸君に還元支拂をするという考え方よりも、むしろ本年事前割当をいたしておりまする数量に應じて、個々の生産農家に対して、生産奨励金の形において適当なる現金を支給するという方法が最も適切であると存じまして、その線に沿つて只今関係方面と折衝中でございます。勿論このことは來るべき新らしい麦、芋並びに本年産の米價決定の方式にも関連をすることでありまして、今御議論の中にありましたように、パリテイ計算の中におきまする諸種の基礎物資、或いはこれらのウエートにつきましても、新らしい角度から更に再檢討を加えておるのでありまして、いわゆる米價を決定いたしまする際においても、個々の農家が生産に必要な費用と、個々の農家の生産費並びに生活費と、この二つの面から勘案いたしまして、生産費並びに生活費の二つの面からそれぞれ適切なるウエートを決めまして、新たにパリテイ計算にこれらの考え方を盛り上げて、そうして新らしい農産物の價格決定方式といたしまして、それを以て將來本年のごとき物資の変動がありました際には、そり物價の変動に應じて農家の生産費に関する部分において、若干のいわゆる差額について還元支拂をするというような考え方も亦取入れて参りますることが、今後の日本の経済の実情から適切ではなかろうかと考えまして、そういう点についても今御尋ねのありました米價の還元に関連をいたしまして、新たに將來農産物の價格決定の際にはさような面も勘案をいたしまして、これらを加えまして、即ち農家の個々に還しまするところの生産費、將來入れるべきところの生産者價格、この二つの面を同時に解決をいたしまするために、目下関係方面と鋭意折衝中でありまして、私は農林大臣といたしまして、これらの決定を本國会の会期中に両院に御報告申上げたいと存じておつたのでありまするが、非常に時間的に余裕を持つことができなかつたために、明日までで仮に本会期が終るとしたしまするならば、明日の本会議決定前にこの報告をなすことができないということを甚だ遺憾に考えておる次第でございますけれども、只今申しましたような趣旨によりまして、できるだけ農業再生産のために、現在の逼迫したる農村の実情に適應する処置をこの問題について取りたい、かように考えておる次第でございます。以上お答え申上げます。(拍手)
   〔國務大臣北村徳太郎君登壇、拍手〕
○國務大臣(北村徳太郎君) 只今主管大臣たる農林大臣から極めて詳細な御答弁がございましたのでありますが、私共も農林大臣と共同いたしまして、只今お話のありましたことにつきましては、関係方面の折衝その他共に行動いたしております。成るべく早く解決いたしたいと存じまして、非常に焦慮いたしておりますけれども、只今農林大臣が申述べましたように、明日御報告申上げるという段取にはどうもなりにくいと存じます。その点は非常に残念であります。
 それから農家の所得と家計についても、二十二年産業の問題として、これは只今農林大臣より詳細述べられた通りでありますが、次に生産の資金の問題でございますが、これにつきましても農家生産資金につきまして、先ず短期のもの、それから長期のものにつきましては、幸に農業手形の創設によりまして、これは特に非常に重大な意義があると思いますことは、一應創設せられた日本においての信用制度が、農業の確実なる手形運用によつて新らしく信用制度が確保せられつつあるということは重大な意義を持つと存じますのでありますが、これは円滑に参つております。ただその外に長期性の農業金融をどうするかという問題は、これは極めて重大でございますが、又極めて必要なことでございまして、これにはいろいろな方法がございます。金融的方法においても三つ程あり、金融的な方法でどうしてもいけない場合に、財政的方法があり、これらの諸点につきまして農林大臣等と共にこれも関係方面に折衝中でございます。この点御了承願いたいと思います。(拍手)
   〔國務大臣栗栖赳夫君登壇、拍手〕
○國務大臣(栗栖赳夫君) お尋ねの問題につきましては、農林大臣、大藏大臣、並びに安本長官といたしまして、共に折衝をいたしておりますので、私から改めて附加える点はないかと存ずるのであります。ただ統制経済の合理的調整につきまして、経済安定の立場からどう思うかという点がございましたので、その点をここに附加えて置きたいと思う次第でございます。
 経済安定の目標は、政府といたしましてはすでにしばしばこの席においても申上げましたが、戰前の経済状態、経済水準を成るべく速やかに回復する、やがては発展に持つて行くわけありますが、第一次的には戰前の一定の経済水準を速やかに回復する、そういう國内的の目標を持つておりますると同時に、日本がこの國際経済の中に参加いたしまして、國際收支の均衡を得るということを目標にいたしているのであります。この國内的、海外的の両目標に向つて我々は進まんとしているのであります。これを達成するにはどうしても長期計画を策定する必要があるのでございまして、その長期計画を策定し、更にそれを最大効率を挙げて実行するには、どうしても統制経済が必要に相成るとこう考える次第であります。併しこの統制経済は戰争中におきますような、戦争遂行のための統制経済とは非常に趣が違うのでありまして、これはこの國民生活の先程申しましたような回復、その他の目標、國民の利益のために、過小生産その他の現状において、統制経済を実施するわけでございます。戰前の統制経済と、只今行い、又行わんといたしておりまするところの統制経済とは、非常に目的が違うということを申上げたいと思うのであります。從つてその方法その他につきましての範囲につきましても、おのずから違うのでありまして我々は国民各層の意向を取入れ、民主的に而も効率的に取扱いたいと思つている次第であります。かような点でございますので、農業方面におきましても勿論同様の趣意において考えている次第でございます。
 只今お尋ねの問題につきましても財政上の問題、國民生活、物價の問題、及び農業生産、再生産の問題、そういうような点を綜合的に調整勘案をいたしまして、そうして策定したものを司令部その他と只今交渉しているような次第でございます。
○議長(松平恒雄君) 芦田内閣総理大臣は後刻適当な機会に答弁する趣きでございます。
○議長(松平恒雄君) これより日程に移りたいと思います。日程第一、國家行政組織法案(内閣提出、衆議院送付)を議題にいたします。尚本案については少数意見の報告書が提出されております。先ず委員長の報告を求めます。決算委員長下條康麿君。
   〔下條康暦君登壇、拍手)
○下條康麿君 只今議題となりました國家行政組織法案につきまして、その法案の委員会におきまする審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
 現行の行政官廳法は新憲法附属の法律として、新憲法の施行に伴い、差当り應急の立法措置として制定せられておるのであります。今回提案されました國家行政組織法はこれに代る恒久的の立法でありまして、要するに内閣の統轄の下における行政機関の組織の基準を定めましで、これによつて國の行政の事務を能率的に遂行するために必要な、國家行政組織を整えることを目的としておるのであります。
 その内容は先ず内閣提出の原案について申上げる方が適当であると思いまして、一應その点を申上げます。國の中央行政機関の組織は法律で決め、その種類を府省、委員会、院及び廳の五種と定めまして、特に必要がある場合におきましては、臨時に本部を置くことになつております。これらの設置及び廃止、並びに、所掌事務の範囲、権限はそれぞれ別の法律で決めることになつております。これらの中で府は総理府と法務府とでありまして、総理府の長は内閣総理大臣、法務府の長は法務総裁、各省の長は各省大臣ということになつております。府及び省の外局として設けられるのは委員会、院及び廳の三種類であり出す。その中で会議制の機関は委員会でありまして、その長を委員長とするのであります。單独制の外局の中で比較的重要な竜のを院と名ずけまして、國務大臣をその長とするのであります。その以外の單独制の外局を廳と名付けまして、その長を長官とするのであります。尚特に必要がある場合におきましては、総理大臣を長として臨時に設けられる本部は、府及び省に準ずることになつておるのであります。尚これらの中央行政機関には、内部局として官房、局、部、課、係を設けまして、必要のある場合には総局及び班を設けまして、総局には総務室を設け得ることになつておるのであります。而してこれらの内部部局の設置及び所掌事務の範囲は、法律によらずして、政令等で定めることになつておるのであります。
 これよりこの法案の審議の経過及び結果について申上げます。五月十九日から十数回に亘りまして愼重審議を加え、特に五月二十六日には衆議院の決算委員会と合同審査会を開きまして、公聽会の代りに六人の証人と喚問いたしまして、各方面の意見を聽く機会を持つたのであります。而して衆議院で、幾多の点につきまして修正が加えられた案が、最近本院に送付されたのでありますが、これより先、参議院の委員会といたしまして、絶えず衆議院側と密接な連絡を取りました。衆議院の修正の中には、参議院の当委員会の意見が多分に取入れられておることを特に申上げたいと思います。かような次第でありまして、当委員会における審議の経過報告を申上げるにつきましては、先ず内閣提出の原案を基礎として質疑應答と申上げる方が適当かと思います。
 第一に、法律第七條第三項に部局の設置、及び所掌事務の範囲は、政令で定あることにしているが、何故にこれを法律事項としないかという質疑があつたのであります。これに対する政府の答弁は、行政機関の内部組織の定め方は、行政部自身に決せしめることが、実際行政の便宜に適い、行政事務の機動性を確保する上に適当であるという見地から、政令事項としたのであるという答弁でありました。但しこれによつて部局の濫設されるのを避けるために、部局の増設には予算上の措置が伴つていなければならないという規定を設けておりまして、予算上から制約をいたしまして、國会の関與を確保しておるという答弁でありました。併しながらこれらの事項を法律で決めるということは、すでに第一回國会におきまして、労働省設置法案の審議の際におきまして、すでに確定した原則であります。かような意見に対しまして、政府はその後研究の結果、政令事項とすることを適当と認めたというような答弁であつたのであります。併しながら当決算委員会といたしましては、このことは今申したような第一回國会にすでに確立した原則である。又それにも拘わらずかような提案を政府がするということは、國会の意思を無視したものではないか、又旧憲法の下におきまして、官制は勅令で決めることとなつておりますが、当時でさえ各省の部局の設置、廃止につきましては、ただ行政内部の権限だけでなく、枢密院の諮詢を必要とするような情勢であつたのであります。愼重な手続を取つているのでありますから、是非共これは法律事項として置かなければならんという結論に到達したのであります。衆議院におきましてもこれと全く同意見でありまして、すでにその修正が加えられているのであります。
 第二の点は、法案第二十條の各行政機関に置かるべき職の種類及び定員は政令で定めるという点であります。その中、職の種類の点につきましては、國家公務員法よりまして、定めることになつておりまするから、問題はおのずから消滅しているわけでありますが、職の定員を政令で定めることにいたしている理由は何故かという質疑に対しまして、政府の答弁は、職員の数は事務の実際の情況に照らして、伸縮性を持たせる必要がある。但し、その濫用を防止するために、予算上の措置が伴つていなければならんという制限を附けておる。こういう答弁であつたのであります。併しながら近年官吏の数が著るしく増加し、行政整理の必要に迫られておるのでありますから、これら実際事情に照らしまして、決算委員会としては、職員の定員はすべて法律事項とするという必要を認めたのであります。この点につきまして衆議院も同意見で、かような修正が加えられているのであります。
 尚その以外の点につきまして、二三申上げますというと、法案第二條には、國の行政機関は内閣の統轄の下に、行政機関の所掌事務及び権限を、明確に決めなければならないということを規定しております。いわゆる行政機関の縦の分配というものが明らかになつておりまするが、各行政機関相互間の横の連絡というものについての点が欠けているのであります。この点に関する質疑に対しまして、政府は十分この点につきましては注意するという答弁があつたのでありますが、これを法文の上に明記するということが肝要であるというのでありまして、当委員会の意見といたしまして決定いたしました。衆議院においてもこの点に修正を加えておるのであります。その他法案第三條及び第五條におきまして、法務総裁の地位の問題につきまして、いろいろ質疑がありました。この地位というものがいわゆる内閣全体の最高の法律顧問であり、その地位は重要であつて、且つ特殊のものであるという関係から、特に法務府とか法務総裁というような名称といたしまして、他と区別するということになつたという答弁だつたのであります。その他外局の中に、院と廳と二つの区別がありまするが、かような区別は徒らに行政組織を復雜化するだけで、何らの実益がないのではないかという御質問があつたのであります。政府は單独制の外局の中で、國務大臣を長とするものを院と称し、その長を総裁と呼び、然らざるものを廳と名ずけ、その長を長官と呼ぶことにして、行政組織を上下二段の階級に分つ必要があるという答弁があつたのでありますが、実際問題といたしましてそれは無益な分類であるばかりでなく、徒らに廳から院に昇格運動を起させる種を蒔く制度に過ぎないというので、当委員会といたしましては、院の名称を認めず廳という名前一本に統一することに意見の一致を見、衆議院においてもこのように区別を認めないことになつているのであります。尚現在の安定本部というような特に必要な場合に、臨時に内閣総理大臣を長とする本部を認めるや否やにつきましては、その必要の有無につきまして議論があつたのであります。併しながらこれも暫定的にかような例外的なものとして認めることに結局纏まりまして、從いまして本則から離して、この安定本部に関する規定を附則の方に附けたのであります。
 その他國の行機関の中に設けられますところの内部部局の問題でありますが、先程申しましたように第七條のごとき廣帆な設けまして、そうして部局を必要以上に拡張する虞れがありまするので、衆議院におきましては府及び省には官房、局、課だけを認め、外局の廳は官房と部、課だけを認め、徒らに府や省には部を認めず、廳には局を認めず、かようにいたしまして、行政組織の簡素化を図つたのであります。併しながら例えば運輸省とか、逓信省のごとき現業の行政機関におきましては、所掌事務上の関係から一般の行政官廳とは異なる組織が必要でありまして、從つてかような場合におきましては総局のごときものが特に必要であると認定いたしまして、特に一ケ條を加えまして、「現業の行政機関については、特に法律の定めるところにより、別段の定をすることができる。」という旨を附け加えたのであります。尚これらの内部部局の設置及び所掌事務の範囲は、先程申しましたように、原案には政令事項になつておりましたが、すべてこれが法律事項になつたのであります。
 その他國の中央行政機関は、特に必要ある場合におきましては、審議会、協議会というような、諮問的、調査的な組織、或いは試験所、研究所等の機関を政令で以て設けることが規定されておるのであります。これは法案第八條であります。これに対する衆議院の修正では、「その他の機関」だけを法律事項といたして、それ以外のものは原案通り政令事項といたしておりますので、これは適当でないと考えまして、当決算委員会といたしましては、全部を法律事項とするということに修正決議をしておるのであります。かような審議会とか、協議会というのは、行政の面から申しましても、亦財政上の面から申しましても、重要な事項であり、國会で議決すべきものであるというように認めたのであります。
 その他第十四條第二項中に、「指令、訓令、又は通達」というようなことが書いてありまして、如何にも官廳のかような発表の方法が複雑でありますので、「指令」を削りまして、ただ「訓令」と「通達」という二つに簡素化いたしたのであります。尚この際業務命令などを以ちまして、労働組合の権利を害するようなことがあつてはならないと思うが、政府の所見はどうかというような質疑があつたのであります。それは政府といたしまして、いうまでもないことであつて、特に法律の中に明記しておらないのであるという政府の答弁でありました。それでこのことは法文の中には書いてありませんけれども、疑いを避ける意味におきまして、委員長の報告中に明らかに述べて貰いたいということも決議しておるのであります。
 尚法案第十六條におきまして、各大臣が指揮監督権に基きまして、地方公共團体の長に対してなす命令等の中に、地方自治に反するようなことがあつたと認めるときは、当該地方公共團体の長は、その旨を内閣総理大臣に申出ることができるというような、救済規定があみのであります。これは地方自治権を尊重する上において必要な規定でありますが、これでは不十分でありまして、衆議院では「その申出を理由がないと認めるときは、その理由を示して、当該地方公共團体の長に通告しなければならない」。という修正を加えたのであります。これは適当と思いまするが、これでも尚不十分でありまして、当決算委員会といたしましては、更に一歩を進めて「その申出を、理由があると認めるときは、総理大臣は三十日以内に調査して、関係者大臣に必要な指示をしなければならない。」という修正を加えたのであります。かようなことによりまして調査期限を制限することによりまして、いわゆる握り潰しというような弊害を除こうとする考え方であります。
 最後にこの法案の第十七條、第十八條の問題、即ち次官と総務長官の問題であります。今回のいわゆる十七條の次官というのは副大臣でありまして、大臣の代行機関であります。政策及び企画に参画する重要なポストであります。これは政務次官とは異なるものでありまして、政務次官は政府と國会との連絡に当る任務であり、これは國会法又は地の法律によつて規定される別のものと考えるのであります。而して従来の事務次官に当る者は、今回の十八條の総務長官でありまして、これは省内の事務を整理する任務を持つておるのであります。この原案に対しまして十八條の総務長官を創つて、その任務を大臣代行機関である十七條の次官に併せ持たせるというような修正が出たのでありまするが、それは少数で否決になりまして、原案が成立したのであります。衆議院において原案通り可決されております、その通り可決されたのであります。
 かような経過を以ちまして修正点、殊に次官に関する件は特別に採決をいたしましたが、その他の点につきましては只今申しましたように修正案が認められまして、衆議院の修正に対し更に参議院において修正を加えたような次第であります。大体委員会の経過は右の次第でありますこの段御報告を終ります。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 少数意見者から報告することを求められております。報告時間は五分間に制限いたします。小川友三君。
   〔小川友三君登壇、拍手〕
○小川友三君 國家行政組織法は行政組織の基本原則であります。この基本原則のケースの中に誠に大きな手落ちがあるということで、決算委員会には欠かさず出席いたし、特に第十七條の「各省に次官一人を置く。」というこの條項であります。政府は國務大臣をして説明をさせましたけれども、船田君の説明はこの次官は副大臣級のものであつて、國会議員にあらざる他の方面からこれを採用する場面が多い意味の答があつたのが、これが重大問題であります。好ましからざる人物が副大臣として登場する虞れが十分にあるということを本議員は強く主張し、総理大臣の出席を求めまして、この副大臣級の次官は國会議員にあらずんば任用してはいけないという主張を三回繰返しまして、芦田総理大臣は閣議の上善処したという意味の答弁がありましたが、その後一遍も善処した形勢がないのでありまして(笑声)(「不都合だ」と呼ぶ者あり)この第十七條の問題に対しましては、誠に民主自由党の只今指示したる通り、不都合千万であると信じて少数意見を提げまして立つたような次第であります。國会議員は民主政治を代表した国民の議員であります。この議員以外に民主政治を代表した政治家が日本にあるでしようか。(「その通り」と呼ぶ者あり)この國会議員の中から副大臣であるところの次官を選ばずして、適任者は私は断じてないと信じております。(「官僚の横暴だ」と呼ぶ者あり)官僚の中から或いは大建築業者の社長を副大臣にするような危険があつたらどうしますか。不当財産取引調査委員会が衆議院において進展し、又この結果のために不当財産取引が起きたとしたならば、(笑声)非常に大きな欠陷を作り上げるだろうと私は確く信じまして、どうしても國会議員にあらずんばこの副大臣級の次官にはしないという、強硬な主張を持つておるのであります。(笑声)(「小川さんが適任者だ」「小川次官」と呼ぶ者あり)後世においても進化論の偉人ピタゴラスの原則基準法則は、この法律にもやはり適用されるのでありまして、この立法の大精神を、この基本原則を完全なものに作り上げたいと確く信じております。実は原案は政府という堤防に蟻を飼うような方法です。利根川の堤防決潰も蟻の穴から崩れたようなものです。(笑声)この基本法律が、この第十七條の副大臣級の次官を素人から、金力により、党献金者によるところのボスを得たり、闇成金の者を得たり、落選した好ましからざる人物を得たりというような危険が相当あるのであります。金力によつて政界を毒したものは幾多の例があります。曾て神戸の乾新兵衞君が田中某に何百万円の金を與えてやつて、田中君の末路は某女性の家で狭心症という名前で倒れておるというような状態で(笑声)非常に危険が伴います。中島知久平先生、久原房之助先生も金力が強かつたから、政友会は二つに割られちやつた。あれ以來政界は堕落をしまして、そうして軍閥が横暴になつて、敗戦を來したという原因になるのでありまして、こうしても大臣並びに副大臣、特に副大臣級の次官は断じて國会議員から任用するということを主張いたします。御静聴有難うございます。(「分つた」と呼ぶ者あり)(笑声)(拍手)
○議長(松平恒雄君) 本案に対しては討論の通告がございます。板野勝次君。
   〔板野勝次君登壇〕
○板野勝次君 戦時中に軍閥官僚が我が國の経済の実権を握つておりました。ところがそれにもまして敗戰後の我が國経済の活殺自在の権を官僚が握つて來ております。而もますますこれを強化しようとしておるのでありまして、從來におきましても融資順位表に基きます資金統制、復興金融金庫を中小工業者に対して締め出しておる、公正取引委員会の七人の手による経済の掌握、各種の配給公團による配給権、國家機関による生産物の檢査体制の強化、主食の天降り割当、その強制供出等、国民生活の九割にも及びます廣い範囲に亘つて、それを左右し得るところの自在の権力を握つて來ておるのであります。これは明らかにポツダム宣言の指示いたしまする民主化の方向に、およそ逆行するものでありまして、かくのごとき方法は、偏えに独占資本が、この実権を握つておる官僚と強く結びつくことによりまして、人民の犠牲によつて敗戰の損害を、この犠牲において独占資本が回復しつつあるのであります。この大資本家と官僚の結託による人民の攻奪より起りまする、人民の反政府的な鬪争を圧迫するために、次から次へと反動的な立法が從來もなされて來たし、今日も尚なされておるのであります。即ち今期國会を通過いたしました政治資金規正法、軽犯罪法等いずれも人民彈圧の立法であります。すでに衆議院を通過して参議院をも通過させようとしておるところの衆議院提出の選挙法の改正も亦次期選挙におきまする人民の眞の代表が、多数議席を占める情勢になつておりますことを未然に防止いたしまして、人民の収奪をやすやすと行わんとする意図の下に行われておるのであります。これら一連の反動立法と相俟ちまして、これを行政的に組織化しようとしておるのが、只今議題となつておりまするところの國家行政組織法案であります。
 私は日本共産党を代表して次の五つの主要なる理由を挙げてこれに反対するものであります。第一は行政機関の中枢的な部分と、この機関の所管事務の範囲及び権限、それらがいずれも「別に法律でこれを定める。」ということになつておりまして、本法案と同時にこの重要なる面は提出されなけらばならない具体案であるにも拘わらず、政府は未だそれを出していないのでありまして、こらは故意に本質的な重要なる部分というものを隠蔽してしまつておるのでありまして、断じてかくのごとき隠蔽に対して我々は賛成することはできないのであります。
 第二は、官房、総局、局、部等は政令によることになつておりましたのを、法律によつたことは、我が党と意見を同じくする一進歩でありまするけれども、更に又賢明にも参議院の委員会は告示、指令、訓令、通達等の中、指令の部分を削除したのは一進歩でありまするけれども、尚訓令、通達等の法制化によりまして、官僚が強制されることによつて、人民の基本的な権利が抑圧されますと同時に、官廳労組運動を実質的に彈圧するところの危険を、そうして又それを政府が実際に握る危険は、この修正を以てしても(「簡単」と呼ぶ者あり)尚拭い去ることはできないのであります。
 更に第三番目には、労働委員会、新給與整備委員会、紛争処理委員会等の、現在労資対等の立場にある協議機関を官廳機関の下請機関にする意図を持つておることは間違ないのでありまして、一部にはそうしないという意見はありまするけれども、この中から下請機関には断じてしないという結論はどこにも見出してはいないのでありまして、私達はこれに賛成することはできないのであります。
 更に、各省設置法案と関連いたしまして官廳の行政整理が強化され、官廳労組の分裂と弱体化が企てられようとしてあるのであります。例えば運輸、通信等を、現業、非現業の各部門に分割して、労組の分裂を狙おうとしている。これに対しては断じて賛成することができないのであります。
 更に第五番目には、主務大臣が地方公共團体の長に対する罷免権の行使ができる。以上五つの点よりして、これは明らかに独占金融資本の直接の利害を代表いたしまする芦田内閣が官僚機関を強化し、その法制化することによつて労組の彈圧、更に人民大衆の直接的な圧迫の(「止めろ、沢山」と呼ぶ者あり)直接的な武器にしようとするものでありまして、勤労人民の眞の利益を代表する日本共産党は、この反人民的な法案に断乎反対するものであります。(拍手)

○議案(松平恒雄君) 本案に対しましては、太田敏兄君より成規の賛成者を得て修正案が提出されております。先ずその趣旨説明を求めます。太田敏兄君。
   〔太田敏兄君登壇、拍手〕
   〔「太田先生頑張れ」と呼ぶ者あり〕
○太田敏兄君 私は只今上程の國家行政組織法案に対し左の修正案を提出いたします。一、第十七條第二項の「次官は、大臣の命を受け、政策及び企画に参画し、大臣不在の場合その職務を代行する。」とあるのを、「次官は、大臣の命を受け、政策及び企画に参画し省務を整理する。」と訂正する。
 一、第十八條全部を削除する。
 一、第十九條以下は順次繰上げる。 以上であります。右につきまして、簡單に修正案提出の理由を説明いたしたいと存じます。
 先ず第十七條の末尾の修正でありまするが、これは事実上事務次官でありますところの次官が、大臣の職務を代行するというよりも、大臣の職務を代行する者は上位の政務次官がなすべきであるという含みを持つておるのであります。(拍手)次に、削除せんといたしまする問題の第十八條は、「各省に総務長官一名を置く。」というのでありまして、これは同條第二項で規定してありまする通り、各局長の上にあつて外局を除く外の内部部局一切の事務を統轄するものでありまして、現行の事務次官に似たものでありまするが、併し次官は別に置くことになつておりまするので、その総務長官は事実上事務官僚の総元締ということになるのであります。即ち第十七條には「各省に次官一人を置く。」とあるので、この次官が大臣を助け、省務を整理して行けばよいのでありまして、別に総務長官を置くということは徒らに屋上屋をなすものでありまして、(「その通りだ」と呼ぶ者あり、(拍手)不必要なばかりでなく、そのために却つて行政上有害なる結果をもたらすと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)それは何故かと申しますれば、一國の行政方針というものは、時の内閣によりて基本的な方向が與えらるべきでありますが故に、その基本的な方針を末端の行政機構にまで十分に滲透させるためには、各局長の上に立つて事実上これを統轄し、指揮する者は、当然大臣のよき女房役でなければならんと思うのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)然るにここに定められました総務長官は、大臣のよき女房役ではなくて、その省の官僚陣の中から選ばれたるいわばその省官僚の総元締とも言うべき者がその地位に座わることになるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)從つて総務長官の下に各部局下の官僚陣が強化せられ、これががつちりと手を組むならば、その上に何人の次官大臣があろうと、実際的にはこれに一指だも触れ得ないというような、極めて逆理的なことに相成るのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)併しこの説に反対する者は或いは言わん、それは余りにも大臣を軽く見るものではないか。併し私は敢えて申上げたい。いわゆる事務官僚は多年の間專門的なる行政事務に從事いたしておりまして、それぞれ皆相当の教養と経験とを持つておる。そこでこれらの官僚がこの総務長官を中心として一塊まりになつたときは、甚だ失礼な申分ではありますが、大臣が可なり優秀なる人材でありましようとも、一人でこれに立向こうこと甚だ困難ではないかと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)況んや今日のごとく頻繁に内閣が更迭しなければならんような不安なる政情の下におきましては尚更のことでありまして、原案を支持することは徒らに官僚勢力温存を助ける以外の何ものでもないと想うのであります。(「その通り」「そうだ、」「大臣をなめるよ」と呼ぶ者あり拍手)故に私はこの政治力滲透の一大障害となるところの総務長官制は、これを削除して、(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)第十七條の特別職の次官をして各省の事務を統轄せしめる。そうして政務の補佐と國会の連絡とは政務次官をしてこれに当らしめる。そうしてこの政務次官の制度は必ずしもこの國家行政組織法の中に規定しなくてもよいのであつて、この際はむしろ別個の法律によることとしたいと思うのであります。そこで私が委員会で主張いたしました修正点も、第十八條はこれを削る。第十七條の次官はそのまま政務次官の制度は別個の法律によつて定めるというのでありました。我が國の國民大衆が長い間官僚政治の弊に悩まされて來たことは今更改めて説くまでもないことでありまして、諸君はよく御承知のことであります。又現在全國民を今日の敗戦苦の眞ただ中に投込んだのも、これら官僚、軍閥の合作の結果でありまして、(「その通り」と呼ぶ者あり、(拍手)我々はこの官僚勢力を打倒し、眞に理想的なる民主主義政治を確立することは、新憲法によつて垂れたこの國会の一大使命でなければならんと思うのであります。(拍手)実は委員会における本案審議の過程おきましてもこうした空気は各党各派を通じまして殆んど一致し、圧倒的であつたのであります。(「うまいぞ」と呼ぶ者あり)緑風会も、民主党も恐らくそうであつたように理解しておるのであります。ところが、いよいよ採決の段に入りますると、急に一部の風向が変りまして、採決の結果は、一票の差を以て原案が支持されたのであります。その急に一時に風向きが変つたのは何故であるかと申しますると、この法案は、殊にこの十八條の規定には反対ではあるが、併しすでに衆議院で決定しておるのであるから、不満ではあるが、原案をそのまま通そうではないかというのであつたのであります。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)私としては特にこの点は愼重に考えなければならんと思うのであります。即ちこれはすでに衆議院で決定したのであるからというのであれば、参議院の審議権は何のためにあるか。(拍手)二院制の意義いずこにあるか。(「頑張れ」と呼ぶ者あり)いつも参議院がこういつたような態度を取るから衆議院から舐められるのであります。(笑声拍手)昨日もこの議場で、今おられませんが、芦田首相は、我が参議院は國民代表の府としては第二院であるといつたふうな口吻を洩らされたということが問題となつているのでありまするが、又最近衆議院の一般の空気も、参議院に対しては相当攻勢に出ているというふうがあるのであります。私はこの点を考えましても、我々はあらゆる法案につきまして最も良心的に、そうして参議院は参議院としての独自な立場に立ちまして、審議し、参議院の意思は十分に反映すべきであると思うのであります。(拍手)かかる意味からいたしましても、本案に対しまして修正すべきは十分修正して然るべきものであると思うのであります。又たとえ会期切迫の折柄であるとはいえ、悪法は依然として悪法であります。(「当然」、「然り」と呼ぶ者あり)悪法は悪法として或いは葬り、或いは修正するのが当然我々に課せられたる職責であつて、職忠実なるゆえんであると思うのであります。(拍手)言うまでもなく、民主主義を標榜して、この光輝ある國会に議席を有せられ、又第一回国会以來民主政治確立のために日夜御奮闘に相成つている満場の諸君は、この民主憲法を護るために、又我が参議院の使命を全うするために、何とぞこの官僚獨善政治の強化を排撃するための修正案を支持せられることを衷心よりお願いいたしまして、私の説明を終りたいと思います。(拍手)(「修正案に賛成せよ」と呼ぶ者あり)
○議長(松平恒雄君) これより採決をいたします。先ず太田敏兄君提出の修正案を問題供します。本修正案の採決は記名投票を以て行います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 修正案に賛成の諸君は白色票を、修正案に反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。これより指名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事が指名を点呼する〕
   〔投票執行〕
○議長(松平恒雄君) 投票漏れはございませんか。……投票漏れはないと認めます。これより開票をいたします。投票を計算いたさせます。(拍手)議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事が投票を計算する〕
○議長(松平恒雄君) 投票の結果を御報告いたします。投票総数百九十四票、白色票、即ち賛成のもの百三十八票、(拍手)青色票、即ち反対のもの五十六票、右の結果、太田敏兄君提出の修正案は可決せられました。(拍手)
    ―――――――――――――
   〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名 百三十八名
   中西  功君    板野 勝次君
   中野 重治君    細川 嘉六君
   濱田 寅藏君    西田 天香君
   小川 友三磨    藤田 芳雄君
   兼岩 傳一君    千田  正君
   栗山 良夫君    岩間 正男君
   星野 芳樹君    池田 恒雄君
   佐々木良作君    赤木 正雄君
   木下 辰雄君  大山  安君
   堀越 儀郎君  宮城タマヨ君
   高瀬荘太郎君  江熊 哲翁君
   高田  寛君  久松 定武君
   島津 忠彦君  新谷寅三郎君
   帆足  計君  松井 道夫君
   姫井 伊介君  伊藤 保平君
   小宮山常吉君  結城 安次君
   小杉 イ子君  川上 嘉市君
   藤野 繁雄君  梅原 眞隆君
   小林米三郎君  柏木 庫治君
   岡村文四郎君  青山 正一君
   鎌田 逸郎君  矢野 酉雄君
   田中耕太郎君  鈴木 直人君
   岡本 愛祐君  東浦 庄治君
   村上 義一君  楠見 義男君
   中村 正雄君  カニエ邦彦君
   千葉  信君  大野 幸一君
   中手常太郎君  木村禧八郎君
   山田 節男君  梅津 錦一君
   堀  眞琴君  丹羽 五郎君
   赤松 常子君  河崎 ナツ君
   藤枝 昭信君  金子 洋文君
   藤井 新一君  三木 治朗君
   大畠農夫雄君  田中 利勝君
   木下 源吾君  門田 定藏君
   原口忠次郎君  宇都宮 登君
   波多野 鼎君  原  虎一君
   羽生 三七君  岩本 月洲君
   九鬼紋十郎君  島   清君
   島田 千壽君  若木 勝藏君
   太田 敏兄君  安部  定君
   岡元 義人君  伊藤  修君
   吉川末次郎君  松本治一郎君
   天田 勝正君  岡田喜久治君
   田口改五郎君  水橋 藤作君
   大島 定吉君  村尾 重雄君
   鈴木 清一君  岩崎正三郎君
   岡田 宗司君  森下 政一君
   小泉 秀吉君  塚本 重藏君
   北村 一男君  加藤常太郎君
   西川 昌夫君  川村 松助君
   淺岡 信夫君 池田宇右衞門君
   堀  末治君  西川甚五郎君
   鈴木 安孝君  大屋 晋三君
   山田 佐一君  中山 壽彦君
   黒田 英雄君  寺尾  豊君
   草葉 隆圓君  石坂 豊一君
   柴田 政次君 大野木秀次郎君
   遠山 丙市君  小林 英三君
   板谷 順助君  今泉 政喜君
   松野 喜内君  黒川 武雄君
   玉屋 喜章君  松嶋 喜作君
   徳川 頼貞君  一松 政二君
   大隅 憲二君  深水 六郎君
   平岡 市三君 尾形六郎兵衞君
   小野 光洋君  團  伊能君
   重宗 雄三君  西山 龜七君
  橋本萬右衞門君  左藤 義詮君
   城  義臣君  小串 清一君
   水久保甚作君  平沼彌太郎君
 反対者(青色票)氏名 五十六名
   竹下 豐次君  佐伯卯四郎君
   宿谷 榮一君  石川 準吉君
   加賀  操君  小野  哲君
   西郷吉之助君  伊達源一郎君
   松村眞一郎君  飯田精太郎君
   米倉 龍也君  岡部  常君
   岩男 仁藏君  早川 愼一君
   北條 秀一君  駒井 藤平君
   高橋龍太郎君  佐藤 尚武君
   下條 康麿君  山下 義信君
   鈴木 憲一君  小川 久義君
   山崎  恒君  田中 信儀君
   植竹 春彦君  油井賢太郎君
   石川 一衞君  小畑 哲夫君
   入交 太藏君  安達 良助君
   小杉 繁安君  高橋  啓君
   小林 勝馬君  紅露 みつ君
   深川タマヱ君  木内キヤウ君
   高良 とみ君  門屋 盛一君
  前之園喜一郎君  竹中 七郎君
   星   一君  栗栖 赳夫君
   淺井 一郎君  伊東 隆治君
   岩木 哲夫君  佐々木鹿藏君
   鬼丸 義齊君  稻垣平太郎君
   林屋亀次郎君  中井 光夫君
   木内 四郎君  櫻内 辰郎君
   奥 主一郎君  仲子  隆君
   木檜三四郎君  大隈 信幸君
    ―――――――――――――
○議長(松平恒雄君) 只今可決せられました修正個所を除き、委員会修正を含む本案全部を問題に供します。残り全部委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。残り全部は、委員長報告の通り修正議決せられました。よつて本案は修正議決せられました。修正案は可決せられましたが、字句の整理は議長に一任せられたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。これにて午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時四十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五十五分開議
○議長(松平恒雄君) 休憩前に引続き会議を開きます。日程第二、國有鉄道運賃法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。尚本案について少数意見の報告書が提出されております。先ず委員長の報告を求めます。運輸及び交通委員長板谷順助君。
   〔板谷順助君登壇、拍手〕
○板谷順助君 只今上程になりましたる國有鉄道運賃法案に対する運輸交通委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 この法案の説明に先立ちまして、諸君に御報告申上げたいことがあります。御承知の通り先般本院におきまして、輸送力増強に関する決議案が満場一致を以て通過をいたしておつたのであります。即ち現在の国有鉄道に対しましては、國民が非常なるところの不満を持つておる。例えば旅客列車におきましても、殆んど殺人的の混雑を來しておる。又サービスも極めて惡い、又貨物の輸送につきましても、現在の生産増強を阻んでおりまするのは、要するにこの輸送の欠陥であります。更に又従業員各位におきましても、能率の増進に努め、いわゆる國民に親しまれ、愛されるものにならなければいかんということを、この決議案において力説をいたしたのであります。ところが、これに対して運輸当局は、昨日、極力この問題に対しては改善をし努力をするということについての回答に接したのであります。これ対する報告書は、昨日諸君の文書箱に入つておることと存じまするから、これを以て御了承願いたいと存じます。
 法案の説明をいたしまするが、この法案は、六月二日に議会に提出をされまして、同月に参議院に予備川審査を付託されたのであります。この議会に提出されましたる各種の法案のうち最も重要なるところの法案の一つであります。從つてこの報告につきましては、相当の時間を要しまするので、甚だ御迷惑とは存じまするが、暫く御清聽あらんことを希望いたします。(「よし、」「二時間」と呼ぶ者あり、拍手)
 先ず第一に、鉄道運賃は國民一般の利害に緊密なる関連があるにも拘わらず、從來は運輸大臣限りで決めておつたのであります。ところが、今回財政法第三條の規定によりまして、今回初めて國会に付議せられたのであります。
 第二の理由は、今回の法案は、旅客貨物共一律に大幅の運賃引上げでおりまして、この運賃の引上が一般予算中の物價並びに賃金の算定に織込まれて計算してありまするし、又この運賃の引上でまだ不足する分は、一般会計から鉄道会計へ繰入填補することになつておりますから、この法案の動きの如何によつて、一般予算も変更を受けざるを得ざるという結果になるのでありまして、待つて密接不可分の関係にあるからであります。
 第三の理由は、鉄道運賃の大幅引上は國民生活に至大の影響を持ち、特に旅客運賃の引上は利用者が現実直接に負担の加重を受けますから、本案の発表と同時に鴛々たるところの輿論の反対が起つておるのであります。尚、運輸交通委員会に宛てまして全國全財務労働組合、國鉄労働組合、その他全國各方面から多数の旅客運賃値上げ反対の電報や書面が参つておることを御報告申上げて置きます。
 第四の理由は、國有鉄道は我が國最大の事業でありまして、この事業が財政的に健全に経営されて行くか否かということは、我が國経済復興の重要な指針ともなるべきものでありまして、従つてこの法案の審議につきましては、単に國有鉄道の収支の計算のみならず、進んでは國鉄経営の合理化、輸送力増強の問題まで掘り下げて檢討するのでなければ、審議の徹底を期することができないことは当然のことであります。かような重要な法案でありまするから、審議も極めて愼重を極めまして、前後十数回に亘つて委員会を開催いたしたのであります。運輸大臣は勿論、経済安定本部長官、大藏大臣、その他各方面の責任者の出席を求め、あらゆる角度から熱心に質疑をいたしました外、公聽会を開いて一般の輿論を聽き、又予算分科会とは二日に亘りまして合同審査会を開きまして、会計、予算上より見た運賃問題の檢討へ行つたのであります。
 審議の報告をいたしまする前に、簡單にこの法案の説明をいたしますると、この法案は本文九ケ條、附則三ヶ條、別表三より成つておりまして、先ず第一條には運賃料金制定の根本原則を定めてありまして、政府の言い分は、即ち運賃料金は公正妥当なものであり、原價を償うものであり、産業の発達に資するものであり、賃金及び物價の安定に寄與するものであるということが原則であるという説明であるのであります。
 次に第二條乃至第六條には旅客運賃料金を定め、第七條には貨物運賃を定め、第八條、第九條には運輸大臣に対する委任の範囲を定めてあります。又運賃料金の実額については、普通旅客運賃を第三條で定めてあります。その外はすべて別表に規定されておるのであります。而して今回規定せんとする運賃料金を現行のそれに比較しますと、原案は約三倍半の引上となつておりまして、これによる増收額は、旅客関係におきまとして五百二十三億円、貨物関係におきまして二百二十九億円、合計で七百五十二億円余となつておるのであります。本年度の鉄道会計の收支について申上げますと、運賃の引上が年度中間で百あることも影響いたしておりまするが、百億円の赤字となり、これは一般会計から業務收支差額繰入として鉄道会計に繰入れることになつておるのであります。
 政府のこの法案提出の理由を簡單に御紹介しますると、國有鉄道は、創設以来終戦に至るまで経営の赤字を生じたことはないのであります。戰跡におきましては、諸君も御承知の通り、むしろ剰余金を出しまして一般会計に繰入れておつたのであるが、終戰後急激なるところの物價及び賃金の高騰によりまして、多額の損失を生ずるに至り、更に今回物價の改訂、賃金水準の引上等が行われることになりまして、このまま放置しておつたならば莫大な赤字を出すことになり、鉄道財政を全く危殆に陷れることになりますので、この度運賃改正を図り、財政法第三條の特例に関する法律によつて國会に提出した次第であるという説明であります。國有鉄道は勿論独占的であり、且つ公共的事業であつて、運賃の高下は直接國民大衆の日常生活に多大の影響を及ぼす重大な事項であります。そこで政府の言い分は、運賃の値上は最小限に止めなければならんことは申すまでもないのであつて、政府はあらゆる角度から種々考慮検討を加えた結果、貨物及び旅客運賃共に現行の……これは原案についてでありますが、現行の三・五倍に引上げることに決めたのであるという趣旨であつたのであります。 委員会におきましての質疑應答は詳細を極めておりました。詳しいことは速記録によつて御覧願うことといたしまして、その要点だけを御報告申上げます。先ず質疑應答を整理大別いたしますると、第一は法律案の條文について、第二は鉄道運賃の引上が一般物價及び賃金に及ぼす影響について、第三には運賃引上の倍率及び國鉄の財政について、第四には鉄道最大の費用である石炭について、第五には國鉄経営の合理化について、以上の五項目に分つて整理大別をして説明をいたします。
 先ず最初に、法律案の條文についての質疑應答を申上げますると、第一條には運賃制定の根本原則とじて四項目が書かれてあるのでありまするが、この四項目は、必ずしも調和し得るものでもないと思うが、今回の運賃値上はどの項目に一体よつたのであるか。第七條には「車扱貨物運賃は、貨物等級表の等級に從い、別表第三の貧賃率による」とあるが、貨物等級表は貨物運賃に関し最も重要なるものであるが、誰が一体決めるのであるか。第八條、第九條には、運賃、料金の軽微な変更や賃率の適用に関する細目は運輸大臣が決めるとあるが、一体政令で決めるのであるか、或いは告示で決めるのであるかという質問であります。これに対するところの政府の答弁は、鉄道運賃は、一方には鉄道財政の健全北を図ると同時に、他方には属民経済への影響を考慮しなければならないから、いろいろの立場からの要請を調和して決めなければならない。今回の運賃倍率もその方針で第一條の四原則の総てを尊重して、種種研究の結果、決めたのであるという答弁であつたのであります。又第八條、第九條の運賃料金の変更、賃率の細目は、運輸大臣が告示で決めるという答弁であつたのてあります。
 次の質疑は、鉄道運賃の引上が物價及び賃金に及ぼす影響についてであるが、これほ國民負担に関する重大問題である。経済安定本部長官や生活物資局長その他関係者の出席を求めて詳細の説明を求めたのであります。
 その主なる質疑應答を申上げまするというと、鉄道運賃の引上げに関連して新物價をそう決めるつもりであるか、今回の運賃引上は当然物價及び賃金水準に変動を及ぼすが、一般会計予算には如何なる断物價及び新賃金水準が織込まれているのであるか。旅客運賃の引上げは当今の世の中の情勢から考えて、見ると、貨物運賃引上げと同様、物價に至大の影響があると思うが、どうか。又政府は今回鉄道運賃の引上げが國民生活に及ぼす影響を一体どう考えているのであるか。先ず官公吏で言つたならば、現行の賃金ベース二千九百二十円に対して、六ヶ月の定期運賃は三%である。今回の改正から計算をすれば、新賃金ベース三千七百円に対しては七%となつて、殆んど負担が倍額になる。又国民総所得に対する運賃の割合は、現在では貨物は二・四、旅客は一・九が、今回の改訂では仮に國民所得は一兆九千億と見て、貨物が三・九、旅客が四・二とそれぞれ上るのである。それだけ國民生活は苦しくなる。政府はこれに対して、如何なる手を打つつもりであるかとの質問であつた。これに対するところの政府の答弁は、鉄道貨物運賃が基礎的物資の價格中に含まれている割合は、三倍半の引上をするとして、石炭は五%、コークスでは三%、セメントでは七%、米、麦、生鮮魚では一%弱、薪炭では三%乃至七%の程度であるが、その素材の運賃や鉄道以外の運賃等を含めて考えると、右の数倍のパーセンテージになるから、物價騰貴を抑制するには鉄道の貨物運賃を極力低くしなければならない。今日の新物價改訂は貨物運賃の引上や賃金ベースの引上げを考慮して、一般物資において七割乃至八割の引上をするつもりか、安定帶物資については、経済復興促進の必要から極力値上げを抑制し、その代り補給金制度を取つて一般会計より出すつもりである。又新賃金べースは三千七百円であると考えているが、これは極力名月賃金を抑えて、実質賃金に裕りを持たせるように計らいたい。即ち國民生活物資の購入はマル公物資價格において二割五歩、量においては六割五歩を示しておる。勿論できるだけマル公物資の配給を殖やして行くということにしたいと思うが、実質賃金において裕りを付け、生活を楽にするよう努力して行きたい、又闇値がマル公を割る物資も必ず出て来ると思うが、そういう物資は漸次統制を外して行きたい。又旅客運賃が物資と全然無関係であるとは考えていない。旅客運賃の引上は確かに闇物資の價格に相当の影響があるとは思うが、貨物運賃の引上がすべての物資について一様に、而も直接的に影響を及ぼすことに比較して見ると、まだ旅客運賃の引上の方が一般物價に及す影響は少いと見ておるとの趣旨の答弁であつたのであります。更に進んで、如阿なる根拠で断物價を七割乃至八割上げるのか、新賃金ベースを何故生二千七百円にしたのかという突込んだ質問に対して、政府はより細かな数字を挙げての説明がありましたが、大局的に見て各委員を納得せしめるような明快な答弁を得られなかつたことは非常に遺憾に存ずる次第であります。
 私はこの機会におきまして、この物價問題に対しまして、私委員長としての意見ではありません。委員長として政府に質問をいたしました要点を御報告いたしたいと思うのであります。御承知の通り現在の物價の引上につきましては、世間囂々としてこれに反対しておる。何が故に政府から進んで物價を上げてインフレを激しくするのであるか、この点につきまして安本長官は、一例を申上げますというと、石炭に対するところの運賃の負担額は二〇%だと言う。これがいわゆる物價を上げる原因の一つとなつておるのであります。又今回の物價の引上は、國民生活の安定のためだという答弁である。ところが諸君、この問題につきまして政府の答弁は徹底しておりません。何となれば、例えば一例を申上げますならば、石炭について安本長官は、逆算いたしまして鉄道運賃のいわゆる運搬費の負担が二〇%だと言いますけれども、その実、國鉄が負担するところの物價に対するところの運賃の値上は五%である。更にこれを四倍に引上げるといたしますならば、漸く五パーセント七の値上げである。又更にこれを五倍引上げするといたしましても七%であるのであります。從つてこの貨物の運賃が今申上げますように、現在三倍半上げるといたしましても、どうも鉄道の原價計算から申しましたならば半分は損が行く。であるから輸送の増強を如何に呼びましても、荷物を余計運べば運ぶ程鉄道においては赤字が増大するという結果になるのであります。然らば今日物價を上げるということはどういうために上げるのかと言えば、御承知の通り、各産業は赤字である。引き合わない関係において、この物價を改訂せねばならんというのが問題であります。例えば石炭の例を申上げますならば、現在の價格におきましても中小の炭鉱業者は相当の利益を上げておる。ただ大炭鉱が赤字を今日沢山出しておる。それはどこに原因があるかと申しますというと、大体企業家が他力本願で、自分の炭鉱をできるだけ創意工夫して、産業の合理化を図るところの熱意に欠けておる。一面に又労働者が、即ち拘束八時間制定と申しまして、四、五時間しか働かない、その結果減産を來しまして赤字が出る。赤字が出るがために物價を上げるといたしますならば、何時までもこの問題は解決できないのであります。待つてその根本にメスを入れるということを忘れて、ただ物價を引上げるということのみに政府は努力をしておる。例えば三千七百円のベースの問題につきましても、御承知の通り、労働者諸君が今日随分騒いでおる。政府の説明を聽いて見ますというと、この三千七百円のペースの根拠は、五月におけるところの民間における一般の賃金の水準が三千五百円である。三千七百円の中から五百三十一円の税金が掛かる、それを差引くというと二千九百六十九円、これに対するところのいわゆる公定配給が一一五%、闇で買入れる價格が七五%、この闇と公定値段を睨み合わせて、更に五月以來いわゆる闇の物價が一ヶ月三・六ずつ上る、これを計算して、今申上げたところの三千七百円のベースを決めたという説明であります。ところが民間の事業におきましては、御承知の通り、すでに四千五百円のベースを出している所もある。中には五千円以上も出しているところもある。勿論企業が成り立たんで赤字を出している所は、いわゆる労働攻勢のために止むを得ず出しているものもあるだろうし、或いは又儲かつて出しているのもある。然るに今回政府の物價改訂というものが、これらの点まで掘下げずして、一律一体にこれを引上げるということについては、不合理であるということの私の質疑を行つたのであります。これに対しては諸君の御判断にお委せいたします。
 次には運賃引上げの倍率及び國鉄財政に関する質問でありまするが、倍率の点は、本案審議の中核でありますので、この質問は最も活撥に行われたのであります。その主なるものを申しますと、旅客運賃は三倍半の引上げをすると、運送原價の約二倍の収入となるが、貨物は三倍半の引上げをしても、輸送原價の半分の収入にしか過ぎない。政府は鉄道運賃政策について全く経済運賃主義を捨てて、政策運賃主義を採つているようだが、一体どうか。又今回の運賃の引上げを見ると、独立採算制の建前からら決めずに、軍に財政の辻褄を合わせるために決めたようだが、運賃を原價採算によらずに、政策的に決めると、将來鉄道財政に危險を及ぼし、鉄道復興五ヶ年計画も覚束ないと思うが、政府は國鉄の独立採算を捨てたのか、又今回の運賃引上げを見ると貨物輸送の赤字を旅客、特に三等旅客に轉嫁をした結果となるが、我が國の物價に含まれる貨物運賃は、アメリカに比較してまだまだ少い。これに反して旅客運賃三倍半の引上げは、殆んど旅行禁止に等しい。これは負担の公正を欠くものと思われるが、これは一体どうか。又旅客運賃を三倍半上げて、旅客の減少を五%にしか見ておらないが、最近私鉄が七割五分上つて、実収入の増加が三割に過ぎなかつた例から見ても、過少見積りではないか。又鉄道予算に織込まれた新物價はどの程度で一体あるのか、鉄道が予想した以上の値上りをする時は、又赤字が増加するのではないかという質問であつたのであります。これに対し政府の答弁は、国鉄が財政の健全を図るために、独立採算制に順次移行することは望ましいのであるが、一挙に独立採算制を確立するということは、現状に鑑みてむつかしい。又貨物運賃をこれ以上げることは、一般物價に及ぼす影響が極めて甚大であつて、國民生活に脅威を與えることとなる。成る程アメリカにおいては、物價に含まれる運賃の割合は比較的に大きいが、アメリカの経済は強靱であつて恒久的である、我が國の経済は今極めて脆弱であつて、危機に直面しているのであるから、同一に論ずるわけには行かない。又貨物運賃の引上げは、すべての物價に直ちに影響を及ぼすが、旅客運賃は利用者個別的の負担となるから、国家経済、國民生活全体の上から考慮して、貨物運賃が原價を割り、旅客運賃が原價の倍となるのも止むを得ない。政府はできるだけ経済運賃主義を採りたいとは思うが、現下の経済危機を突破するには、物價水準とも睨み合わして調和を図り、國家の綜合政策の一環として鉄道運賃を決めなければならないと考える。又旅客運賃を三倍半に引上げた時の旅客の減少歩合は、或いは一割ぐらいを見込むのが手堅いと思うが、五分でも差支ないと思う。鉄道予算に織込んだ新物價は、石炭、電力は二・六倍、一般もの價は七割高であるが、改訂では石炭が二・七七倍、電力が三倍、一般物價が七割乃至八割となつたので、鉄道財政は相当苦しいと思われる。旅客減少歩合や物價騰貴の見込みついて多少狂いがあつたなら、極力節約や合理化を図つて、これを補つて行きたいという趣旨の答弁であつた。尚貨物運賃と旅客運賃の均衡の問題については、突き進んで質疑應答が重ねられましたが、政府の説明が委員会を十分納得せしむるに至らなかつたことは、非常に遺憾に存ずる次第であります。
 尚鉄道運賃の引上については、國民大衆の生活に及ぼす影響が甚大でありまするので、公聽会を開いたことは前に申上げた通りでありまするが、簡單にその結果を御報告申上げます。公述人が十一人の中で、運賃引上絶対反対を表明した者が七名、運賃引上は止むを得ないとした者が四名でありまして、その中倍率については旅客が三倍、貨物が五倍が一名、旅客二倍半、貨物五倍が一名、旅客二倍半、貨物三倍半が一名でありました。
 次には石炭の問題であります。御承知の通り國鉄の経費は、二十三年度の予算におきまして、人件費が三五%、物件費が五四%、その他が一一%となつておりまして、その物件費中の四〇%以上が石炭費になつておるのであります。そうしてその消費量は、昭和十一年頃は年間四百万トンの程度であつたものが、昨年度は六百八十万トンの多きに上つておる。それは全く石炭の品質が落ちたからでありまして、昭和十一年頃は六千四百カロリーであつたので、一個列車を一キロ引張るに十七トンで済んだものが、昨今では五千四百カロリーに落ちたために、三十九トンを要しておるのであります。千カロリーの差で消費量が二倍以上となつたのであります。石炭の品質低下は消費量が増加するばかりでなく、機関車を損傷し、労務を加重し、列車事故を誘引し、その他いろいろの面に不経済を生じて、鉄道財政赤字の根本原因をなしておるのであります。單に鉄道ばかりではなく、電力とか、船舶とかも同様のことが言えましよう。更に進んでは品質の惡い石炭を輸送することは、輸送力の浪費ともなるのであります。かように石炭品質の問題は極めて重大でありまするので、各委員も石炭問題を重視いたしまして、石炭廳長官を始め関係者の出席を求め詳細に質疑應答を交したのであります。政府の説明によりますると、石炭については量の問題ばかりじやない、質の向上についても極力努力を拂つている。尚品質に應じで格差をつけるとか、選炭設備を増強するとか、いろいろの方法を考えている。幸に最近は鉄道用炭も逐次品質が向上して、五千四百カロリーに上り、更に七月以降は平均五千六百五十カロリーにまで引上げる計画をしている。下半期には生産も増加するであろうし、特に北海道の成績が上がれば鉄道用炭も品質の向上を図ることができるという意見であつた。委員会におきましては尚政府を鞭撻督励する意味におきまして、鉄道用炭品質改善に関する決議をいたして、これを政府に要求したのであります。
 その決議は
 一、七月以降納入鉄道炭の平均発熱量は政府決定の五、六五〇カロリーを確保すること。
 二、塊、粉割合、現行三一対六九を七月以降四〇対六〇を目標として改善に努めること。
 三、現行石炭契約書の特約條項を廃止して、実測カロリー及び実量濡引檢收を実施すること。
 この点につきまして、現在までの運輸省が、この石炭の契約が、例えばカロリーが不足であつても、量が惡くても値引をしないという、こういう馬鹿げた契約をしているのであります。品が惡かろうが量が不足であろうが、一切それは関係せんというような契約をしておつたのでありますが、これは今回石炭廳の長官或いは安本長官を呼びまして、これは契約を改訂させることにしたのであります。
 四、鉄道運轉用としては発熱量四、〇〇〇カロリー未満の石炭を配当しないこと。
 これは雜用であります。
 五、鉄道に対し信頼し得る炭鉱を選定して供給すること。
 六、鉄道の檢收機構及び檢炭施設を一層強化し、これを利用して炭質の改善を計ること。
 七、國内生産ピツチ数量を極力把握蒐集して、鉄道用としての配当を増加し、ピツチ煉炭を増産して、粉炭処理の強化に充当すること。
 八、山元の選炭を強化すること。
 九、運輸大臣及び石炭廳長官、以上各号の実施につき、極力その実現を期し、その実績を当分の間、委員会に遅滞なく報告すること。
 これがこの委員会におけるところの決議案であります。かように委員会におきましては鉄道運轉用石炭の品質向上を図ると同時に、他方運輸当局に対して、技術の向上による石炭の消費節約、粉炭の加工処理促進、雜用炭の消費節約等につきまして、最善の努力を拂うよう、強い要求をいたしたのであります。
 最後に國鉄の経営合理化、能率増進に関する質疑でありまするが、國鉄の能率は終戰後、頓に減退したために輸送力は落ち、從つて運賃収入が上らず、又経営の合理化が進まないために、経費の節約が実績を挙げておらないことが、国鉄赤字財政の一つの理由であり、從つて今回の運賃引上の倍率にも至大の関連を持ちまして、國民にも負担の加重をかけるのでありまするから、各委員より國鉄当局に対し、強い反省と努力を促す意味の質問が多かつたのであります。その主なるものを申上げますると、本年度の輸送の要請は一億九千万トンであるのに対して、輸送計画は一億二千六百万トンに過ぎないのであります。これでは滯貨が殖える一方である、もつと輸送力を増強して収入の増加を図ると同時に、日本経済復興に寄與すべきではないか。又国鉄の経営合理化、作業能率の向上は、以前から強く叫ばれているにも拘わらず、一向に進捗しておらない。國民は國鉄の現状に対して甚だ不満を持つているが、当局は今後如何なる対策を一体構ずるつもりであるか。例えばこの輸送力の増強につきましては、只今申上げましたる通り、大体の政府の決めましたのは、一億九千万トンの要求に対して一億二千六百万トンであります。ところが鉄道当局の答弁は、労需物資と資材と資金があつたならばこれ以上増強ができるということを弁明している。でありますから如何に政府の間に大体の計画を立てましても、これらの問題が解決をしたならば、必らずこれ以上の輸送力の増強はできること信ずるものであります。又鉄道の収入の主なるものは、旅客収入でありまするが、旅客輸送力を増強し、サービスを改善をし、旅客運賃の増收を図る考えが一体ないのか。又鉄道不正乗客の数は過去一ヶ年間において百四十万件以上に及んでいるのであります。その追徴金も五千三百万円を超えているのであります。発見されなかつたものがまだ沢山ある、不正乗客は恐らくはこれに数倍するであろう。鉄道は徹底的に不正乗車を根絶する対策を講ずべきであると思うがどうか、等の質問でありましたが、これに対するところの政府の答弁は、貨物輸送力の増強については、配車技術の向上により、貨車運用効率を高め、貨車修繕能力の特別強化によつて、貨車を生み出し、本年度四千輛余りの貨車を新製し、又シート、ロープを充足して、貨車積載効率を高める等、あらゆる努力を拂つて増送に今後努めるつもりである。又鉄道の合理化については、國有鉄道審議会を設けて、廣く調査研究せしめるつもりであるが、差当つて考えているのは監督行政部門と、現業とを切り離して、現業は将來極力独立採算制に推し進めたいと考えている。又国鉄の能率化には各種作業の機械化を図ると同時に、成るべく速かに能率給制度に切り換えていきたいと思つている。能率の向上については、労需物資の充足、食糧加配の増加が極めて必要であるから、各方面の理解と援助を乞いたい。旅客輸送については七月一日からダイヤを改正して二十三万キロを増発し、急行、準急を殖やし、又客車の整備、清掃を励行し、サービスの向上を図つていきたい。不正乗車の取締には常に頭を悩ましているが、今後とも車内檢札や改札を強化し、その防止に努めたいという趣旨の答弁があつた。
 國有鉄道の根本的合理化、能率の徹底的増進によつて、國鉄としては赤字を克服して健全財政を取戻し、國家としては國鉄輸送力の増強により、経済復興の隘路を打開することを強く希望する者の眼から見ますると、この程度の答弁では聊さか物足らん感じを抱いたのであります。この外にもいろいろの質疑應答がありましたが、これは速記録によつて御覧を願いたい。本案は七月二日に衆議院で修正可決をされまして、同日参議院に送付になつたのであります。修正案の大要を説明いたしますと、國有鉄道運賃法案の一部を次のように修正するとありまして、第三條の一号、「三等の賃率は、営業キロ一キロメートルごとに、百五十キロメートルまでは一円二十五銭」とあるのを九十銭に、「百五十キロメートルをこえる部分は九十銭」とあるのを六十五銭に修正されたのであります。又第十條に「この法律の施行期日は、公布の日から七日をこえない期間内において、とあるのを、「二十日をこえない期間内において」と修正をされておるのであります。「政令でこれを定める。」とあるのを、「各規定につき、政令でこれを定める。」と修正してあります。又別表第一の第四條の規定による航路普通旅客運賃表、別表第二の第六條の規定による急行料金表がそれぞれ修正されておりますが、これは説明を省略さして頂きます。この修正案の骨子は、政府原案が旅客運賃におきまして、現行の大体三・五倍の引上げでありましたのに対して、恐らくは政府は國論に顧みて、或いは又政党の修正によりまして、この倍率を下げて、大体二・五五倍にすることになつたのであります。修正案については、七月三日の委員会において、政府より修正の各事項について説明があり、又これに対して委員からの質問がありました。その主なるものを申上げますると、倍率の引下げと施行期日のズレとによる運賃収入の減少はどれ程であるか。又その補填の方法は如何。又学生定期や学生割引は一体どうするのか。更に又施行期日はいつ頃になる見込であるかというような質疑である。これに対して政府の答弁は、修正による減収と施行の遅延による減收とを合せて、本年度は百九十九億円である。そのうち百九十一億円は一般会計からの繰入金を増額し、八億円は鉄道の節約を以て充当するという答弁であつた。又学生定期や帰省等の場合の学生割引は、割引率を強化する考えで研究しておる。又施行期日は貨物は十日、旅客は十八日を予定しておるという答弁でありました。
 これにて本法案に対するところの質疑は終了いたしました。そこでいよいよ討論に入りまして、先ず民主自由党を代表して淺岡委員より、本案に反対をし、旅客運賃を現行の二倍、貨物運賃を現行の三倍にすることの修正案の提出がありました。この修正案の詳細は、後刻淺岡議員より説明されることと存じますから、ここでは省略をいたします。次に民主党の橋本委員、社会党の中村委員、緑風会の村上委員より、それぞれ衆議院よりの送付案に対して、不満足ではあるけれども、已むを得ず賛成するという発言がありました。共産党の中野委員より絶対反対だという発言がありました。これにて討論が終了いたしまして、採決に入りまして、先ず淺岡委員提案の修正案について賛否を諮りましたところ、少数を以て否決となりました。次に衆議院送付の修正案を含む原案全部について賛否を諮りましたところ、出席委員二十二名中、賛成十五各の多数を以て可決せられたのであります。これを以て報告を終ります。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 少数意見者から報告することを求められております。報告時間は五分間に制限いたします。中野重治君。
   〔中野重治君登壇、拍手〕
○中野重治君 日本共産党は、運賃引上げに絶対反対である。すでに二千五百万人以上の署名が、値上反対のために國会に集つておる。これは輿論であつて、我々はこの輿論と共に反対する者である。その理由を簡單に申上げたい。
 第一は、これは人民の生活を破壊するための方策の部分であるからである。我々が今日ピースを一箱吸えば、我々の吸う煙草部分は四円四十五銭であつて、拂う税金部分は五十五円五十五銭である。この方式がこの運賃にも現われておる。これには我々は絶対に反対せざるを得ない。第二には、こういう破壊を通して集められた收入が何に使われるか。これは報告によつて明らかなように、実費を下廻る貨物輸送のために用いられる。主として大資本家の利益のために用いられる。一方鉄道の利用者の九二%は三等旅客であるのだから、三旅客の貧しい財布から捲き上げたもので、大資本家のためにその貨物を実費以下で運送するということになる。我々はこれに絶対に反対せざるを得ない。インフレ促進になるということは、今の委員長の簡單な報告でも明瞭である。第一、政府は赤字赤字ということを頻りに言うけれども、この赤字はでつち上げたものであつて、眞実のものではない。赤字を掲げて運賃を吊上げるという方式になつておる。例えば物件費七百億の中の約三〇%が闇部分と言われておるが、これをなくせば、二百十億出て來る。石炭は、國鉄では超重点産業というふうに言つておるけれども、他の特殊産業へトン当り千円で配つておる石炭を、國鉄くは三千四百四十七円九十七銭で渡しておる。これを千円並みにすれば、忽ち百六十七億浮く。カロリーの問題も、今報告があつた通り、ああいうべら棒な配炭公團との喫約を破棄して、更に選炭に力を入れて、カロリーを六千に上げれば、忽ち六十一億浮く。これだけでも四百三十八億の赤字が消されてしまう。更にこの外に大きなアルフア部分がある。その一つは、進駐軍関係の収入を一般会計から十分正しく受入れていない。例えば抑留貨車が國鉄の営業に及ぼす実質上の損害を政府は全く見積つていない。それから終戰後五輛編成の宮廷列車が相当動いておるけれども、その走行キロ数のごときは全く計算されていない。且つこれらはすべて無賃である。更にその外に下請、外への委託、こういうものを加えるならば、赤字赤字と揚げられておるものは、極めて厖大であるけれども、その相当多くの部分が明らかに削り去られる。この赤字を掲げて釣り上げるという方式に対しては、我々はだから全く反対しなければならない。
 その次には、この方式で行けば施設はますます荒廃する。それは芦田政府の第二白書によつても鉄道を修復するための必要鋼材の二〇%しか割当てられていない。マイナス八〇%である。マイナス八〇%を幾ら重ねて行つたところで鉄道は復興する筈がない。而かも非常に滑稽なことには、政府は紙の上の五ヶ年計画を十ヶ年でやると言つておる。五ヶ年計画を四年でということは言われておるけれども、一五ヶ年計画を十ヶ年でやるというふうなものは、これは計画でないことを告白しておるものである。
 更に減價償却について見れば、実際には年に百三億要るのであるけれども、帳簿計算で六億と計上しておると言つておる。これについて我々の日本共産党の出した方式を、運輸大臣はそれこそ最も健実なやり方である、併しながらそれはできない。こう言つておる。何故できないかというと、若し日本共産党の勧める方式、そうして運輸大臣自身が最も健実な方式であるという、その方式を適用するならば、石炭においては百六十七億赤字が少くならねばならない。物件費七百億の中その三〇%の二百十億が赤字から削られなければならない。全体の赤字が非常に小さくなつてしまう。そうすればこういう厖大な集積を寄つてたかつて食いものにする連中が上つたりになつてしまう。そこでどうしても共産党の勧めば最も健実な方式であるけれども、これに從わないように技術的に辛抱せざるを得ないとごう言つておる。これは即ちこういう政府に委ねて置く限りは、国鉄の官力復興ということは全く絶望であるということを告白しておる。而かも殆んど旅行禁止に等しい釣上げ値段で、三等旅客から金を集めようというのでありますから、これは不可能になる、目論見は外れる、これは慾張りが卵を一遍に産まそうとして鶏を裂いたようなものである。我々が参議院において輸送力増強の決議案をやつたのは、決して伊達や醉興にやつたのではない。我々が運輸大臣自身すらも最も健実な方式であると認めた方式に敢然と進むならば、我々は約百億一般会計から注ぎ込むことができ、次々に卵を産ますことができるばかりでなく、鶏そのものを完全に更生させることができる。この意味において、我々はこの値上げ案に絶対に反対し、現在の値段据置きにおいて方式を逆轉させる、大臣自身が最も健全な方式と認めた方向へ進まねばならん。これが我々の考えであります。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 本案に対する討論の通告がございます。小杉イ子君
   〔小杉イ子君登壇、拍手〕
○小杉イ子君 今回の鉄道運賃値上げは、鉄道財政の均衡を保つためでも、亦赤字克服のためでもなく、従業員の待遇改善でも、汽車線路の修理、修繕でもなく、これは今、潮のように押し掛けて來る、全國の各種事業に当てる予算要求に、政府としては十分とは申されなくても、それにできるだけ振当てたいための苦心の結果であつて、これを財源に当てられたものであることはよく承知いたしております。私は政府予算の一日も早く通過いたさんことを希つておるのでございます。それに私は運賃値上げに遺憾ながら絶対に反対いたさなければなりません。(「うまいぞ」と呼ぶ者あり)理由は実は私は通信料値上げにも反対でありました。がよく考えて見ますると、この方は多量通信通話者にとつては大打撃でありましようが、この方は主に思想精神的の意味のものでありまして、その負担も幾分は営業者の場合は、受信者に掛け易いのであります。(拍手)又気轉を利かせますならば、大きい宣傳通信を要する場合は、勿論ラヂオ放送も値上がりでありましようが、これを利用すれば却つて安く上り、宣傳効果の大なることも考えられますし、又極く小さいことでは、例えば各党で明日は重要協議会を開くという通信に代えるためには、公報に必ず依ることなども考えられる。(「細かいぞ」と呼ぶ者あり)又手紙を葉書に代えることもできます。通信料節約を申しますと、折角通過した通信による徴収が減収となりますから申しませんが、運賃値上げとなりますと、さようには参りません。これは國民の全部、即ち乳兒から重病患者で、乗車不可能の者に至る者の衣食住に直接で、離れることのできない惡影響を來たすものであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)私は二月三日の自由討議で、運賃値上げは政府からインフレーシヨンを増長させることを断言いたしております。それに先頃安本長官官舎で物價統制局の係の方に、運賃値上げは物價騰貴となりませんかと申しましたところ、決してそうではありませんと申されました。併し私は運賃が上がりそうだと聞くが早いか、すばしつこいところの有力な無形の闇政府は、物價をこの上にも上げようと仕組んでおると申しました。(「うまいぞ」と呼ぶ者あり)私はこの乳兒、重病人に至る全國民に係わり來る運賃値上げが通過すれば、直ちに又この上の賃金値上げストに取巻かれることは必定だと思つております。中身さえ見えねば、高い運賃で送られる主食その他を、この上にも高く國民に買わせてなるものでありましようか。
 ここで私はこの運賃値上げによる財源に代る財源として、四月十四日の自由討議で、政府は如何にすれば財源豊かになるかと申しました。種々の財源を取上げた中の一二を申上げます。それは政府ではすでによく御存じの筈でありますが、知らん顔をしていらつしやると思います。それは米や芋を闇値で賣るよりも、酒、焼酎に造る方が儲かると申して、所によつては軒を並べて酒、焼酎を造つておりますが、これらに対して政府は北條時頼のように勇敢に取締り、そうして徹底的に米、芋を徴発し、罰金を科せられることを要望いたします。又一つはインフレの波を泳ぐ、これも特に所によつては軒を並べて、時には数名の妾、数名の子供を持つておる者があります。これらに対しても課税法、名称がなかなか、困難でありましようが、第一住宅税とか、第二住宅税とでもして、重税を課すべきだと思います。その他鉱工業(「うまいぞ」と呼ぶ者あり)方面にも種々の財源がある筈と思います。と申しましても競馬のような、一方は儲け、一方は負けて息もつけぬ、みじめさに遭わすような賭搏奨励を財源とせず、もう少し潔い財源によつて、この予算は比川様によつて通過させる方式を取つて頂きたと思います。これが私の國有鉄道運賃値上げ絶対反対理由と、財源轉換要望でございます。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 淺岡信夫君。
   〔淺岡信夫君登壇、拍手〕
○淺岡信夫君 民主自由党を代表いたしまして、政府の原案並びに與党の修正案、即ち衆議院送付の國有鉄道運賃法案の一部修正案に反対する者であります。過ぐる日、本参議院におきまして、輸送力増強に関する決議案の説明に当り、板谷委員長は特に附言し、日本の復興のために交通が再建しなければならない。その交通の再建のためには従業員の諸君の努力に俟つことが多大なるものであると、説明の結びに特に力を入れて、輸送の仕事に当つておるところの労働者階級に強く呼びかけられたのであります。(「えらいぞ」と呼ぶ者あり)更に芦田総理大臣は、只今御採択になりました輸送力増強に関する決議案の趣旨並びに提案者の詳細なる弁明を拝聽いたしまして、政府におきましても全然同感であります。この言葉をモットーといたしまして、最後に輸送力増強に伴う能率の問題については勤労者諸君、交通関係者諸君の助力を得るにあらずんば、その目的を達し難いことは申すまでもありません。これ亦力強く結ばれたのであります。かくのごとく総理大臣、委員長、労働者階級に強く呼びかけられたことは何を物語るものでありましよう。一度び本決案が議会に提出せられ、運賃の大幅値上げが世上に傳わりますと、國民大衆は挙つて反対の声を上げ、更に國鉄の各駅駅頭には如何なる運動が展開されましたでしょうか。即ち交通関係者諸君が勢一にその陣頭に立ち、猛烈なる一大運動が行われたのであります。値上げ反対の署名運動が各駅々で展開いたされましたことは、議員諸公の御承知の通りであります。(「えらいぞ」と呼ぶ者あり)併しその値上げ反対の激しい運動は、更に大波小波となつて國会にまで押寄せて参つておるのであります。街に、工場に、山村に、漁村に人の集うところ、その反対の声は満ち満ちております。國鉄がなすべきことを行わずして、國民大衆絶対反対の声を無視して大幅の値上げが本法案の内容であります。國民大衆の納得が得られないのはもとよりであります。これによつて生ずる國民生活、産業復興、インフレ、國民思想等々に與える数々の激しい影響は、誠に戰慄を覚えるのであります。インフレはインフレを呼び、インフレ激化は甚だしく促進し、重ねて値上げの止むなきに至ることは火を見るよりも明らかであります。参議院の本委員会におきまする公聽会におきましても、先に委員長の説明の通り、公述人十一名中七名までが絶対反対であつたのであります。一体これは何を物語るものでありましようか。直ちに運賃の如何は直接間接に國民の生計費と密接な繋がりを持ち、特に鉄道を利用する日常の旅行は、國鉄事業が独占的であるだけに、その値上げは深刻であります。すでに値上げをせざる今日において、物價は高騰、賃金これに追い付かず、國民大衆の生活には極度に逼迫しております。今その生計調査を見ますと、全体の生計六七%が食費であります。エンゲルの法則を説くまでもなく、最低生活を辛うじて持維しつつあることは明らかであります。又物價と生計費の騰貴の割合を戰前に比して、物價指数は七八十倍であるにも拘わらず、生計費が二百余倍を超えるこの事実は、生きんがために闇物資を買わざるを得ないのが今日の現状であります。生計費が二百倍になつておるにも拘わらず、賃金指数は五六十倍に過ぎません。(「その通り」と呼ぶ者あり)今や國民大衆は筍生活によつて辛うじて生活をいたしておるのが現状であります。かくのごとき現在物價騰貴の大なる原因をなす鉄道運賃の引上げは、最小限度に極力止めなければならないととは申すまでもありません。(拍手)かような見地から民主自由党は、一、学生定期運賃は現行の通り据置、(拍手)將來日本の文化國家として、その中枢を成すものは学生諸君であります。(「ノーノー」、「そんな馬鹿なことがあるか」、「労働者をどうするか」と呼ぶ者あり)労働者はその次に言う、今は、今は学生の問題を話しておる。労働者の問題は又今後にある。金子議員しつかり聽きなさい。(「何を……」と呼ぶ者あり)文句を言うならば出て來い。文句があるならば……(「出て來いとはなんだ」と呼ぶ者あり)普通定期券は現行の五割、(「浅岡負けるな」と呼ぶ者あり)勤労大衆の多く用いられるところの普通定期券は五割、金子議員分りましたか、(「余計なことを言わないで早くやれ」、「落著いてやれ」、「時間がなくなるじやないか」と呼ぶ者あり)立つてやれ、堂々と、座つてやらずに、文句があるならば立つてやり給え。一、旅客運賃は現行の十割増、一、航路旅客運賃は現行の十割増、急行及び準急行料金はそれぞれ現行の十割増、貨物輸送料金は現行の二十割増、一、旅客の遠距離逓減の三段階とするのであります。政府原案に比して民主自由党の案は、減收約三百一億になるのであります。この減收による三百一億の財源は一、鉄道内部の節約によつて八十一億即ち(イ)旅客並びに貨物の増送による増收、(ロ)私鉄賣却、不用財産の賣拂、(ハ)廣告設備その他賃料等の合理化による増収、(「時間時間」と呼ぶ者あり)(ニ)経営合理化の徹底、(ホ)物件費修繕費の適切なる節約、(へ)石山炭品質の向上、(ト)能率増進に資する行政整理並びに配置轉換(「ゆつくりやれやれ」と呼ぶ者あり)(チ)労働專從員の組合員担、人員自然減少等、二、公債発行にて四十億、即ち修繕費中のレール、枕木、通信電力施設等は財産なるを以て生産公債を以て賄うことといたします。(「時間時間」と呼ぶ者あり)更に不足額(「簡單簡單」と呼ぶ者あり)百八十億を一般会計から繰入れ負担するのであります。以上が民主自由党の修正案の大要であります。(「終り」と呼ぶ者あり)民主自由党の百八十億に比して、現在の修正案は十一億多いのであります。私は労働者諸君の強烈なる反対の現実を実際に見、更に國民大衆の負担の加重を思い、赤字が出たら運賃の値上げに、運賃の値上げが駄目なら一般会計の繰入で行くというがごとき、少しも独立意欲のないことに甚だ不満を感ずるのであります。鉄道会計も苦しかろうが、やはり何がしかは國鉄の懐ろから出すように工夫をして貰いたい。一千二百億の國鉄の大世帯を以てするならば、七十億や六十億は工夫がつくと思う。(「そうだ」と呼ぶ者あり)眞劔になつて工夫すれば必ず出ると確信するのであります。國民大衆の窮乏生活の現状より推して、政府の原状より推して、政府の原案並びに委員会可決の修正案に反対するものであります。(拍手)國民大衆の苦しみを最小限度に(「まだやるのか」と呼ぶ者あり)食止め(「時間々々」「やれやれ」と呼ぶ者あり)國鉄経営合理化の徹底を期さんとする……
○議長(松平恒雄君) 淺岡君、時間が……
○淺岡信夫君(続) 民主自由党の案に何とぞ各位の御賛同を拜して(「くだらんことを言わんでもいい」と呼ぶ者あり)降壇いたします。(拍手)
○議長(松平恒雄君) これにて討論の通告者は全部終了いたしました。討論は終結したものと認めます。これより本案の採決をいたします。本案の採決は記名投票を以て行います。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君は白色票を、本案に反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事が氏名を点呼する〕
   〔投票執行〕
○議長(松平恒雄君) 投票漏れはございませんか。……投票漏れはないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事が投票を計算する〕
○議長(松平恒雄君) 投票の結果を報告いたします。投票総数百九十三票、白色票即ち賛成のもの百二十四票、青色票即ち反対のもの六十九票、右の結果本案は可決せられました。(拍手)
    ―――――――――――――
   〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名 百二十四名
   竹下 豐次君  赤木 正雄君
   木下 辰雄君  佐伯卯四郎君
   堀越 儀郎君  江熊 哲翁君
   宿谷 榮一君  石川 準吉君
   高田  寛君  久松 定武君
   加賀  操君  島津 忠彦君
   中川 以良君  小野  哲君
   河野 正夫君  新谷寅三郎君
   帆足  計君  西郷吉之助君
   松井 道夫君  伊達源一郎君
   來馬 琢道君  姫井 伊介君
   伊藤 保平君  小宮山常吉君
   飯田精太郎君  結城 安次君
   藤野 繁雄君  米倉 龍也君
   梅原 眞隆君  柏木 庫治君
   岡部  常君  岩男 仁藏君
   岡村文四郎君  早川 愼一君
   青山 正一君  北條 秀一君
   鎌田 逸郎君  三島 通陽君
   田中耕太郎君  鈴木 直人君
   岡本 愛祐君  駒井 藤平君
   玉置吉之丞君  佐藤 尚武君
   村上 義一君  下條 康麿君
   山下 義信君  中村 正雄君
   カニエ邦彦君  大野 幸一君
   中平常太郎君  下條 恭兵君
   丹羽 五郎君  赤松 常子君
   河崎 ナツ君  金子 洋文君
   藤井 新一君  三木 治朗君
   大畠農夫雄君  田中 利勝君
   門田 定藏君  原口忠次郎君
   生都庁 登君  鈴木 憲一君
   波多野 鼎君  原  虎一君
   羽生 三七君  小川 久義君
   山崎  恒君  岩本 月洲君
   九鬼紋十郎君  島   清君
   島田 千壽君  若木 勝藏君
   安部  定君  三好  姫君
   伊藤  修君  吉川末次郎君
   天田 勝正君  田中 信儀君
   谷口弥三郎君  植竹 春彦君
   油井賢太郎君  石川 一衞君
   小畑 哲夫君  鈴木 順一君
   平野善治郎君  入交 太藏君
   安達 良助君  小杉 繁安君
   高橋  啓君  小林 勝馬君
   紅露 みつ君  深川タマヱ君
   木内キヤウ君  高良 とみ君
   門屋 盛一君 前之園喜一郎君
   竹中七郎君星  星   一君
   栗栖 赳夫君  淺井 一郎君
   伊東 隆治君  村尾 重雄君
   岩崎正三郎君  岩木 哲夫君
   佐々木鹿藏君  鬼丸 義齊君
   稻垣平太郎君  岡田 宗司君
   森下 政一君  小泉 秀吉君
   塚本 重藏君  林屋亀次郎君
   中井 光次君  木内 四郎君
   櫻内 辰郎君  奥 主一郎君
   仲子  隆君 尾形六郎兵衞君
   境野 清雄君  木檜三四郎君
   大隈 信幸君 橋本萬右衞門君
 反対者(青色票)氏名  六十九名
   中西  功君  板野 勝次君
   中野 重治君  細川 嘉六君
   濱田 寅藏君  西田 天香君
   小川 友三君  藤田 芳雄君
   兼岩 傳一君  千田  正君
   栗山 良夫君  岩間 正男君
   星野 芳樹君  池田 恒雄君
   佐々木良作君  大山  安君
   松村眞一郎君  小杉 イ子君
   小林米三郎君  楠見 義男君
   千葉  信君  木村禧八郎君
   堀  眞琴君  岡元 義人君
   岡田喜久治君  田口政五郎君
   水橋 藤作君  大島 定吉君
   鈴木 清一君  北村 一男君
   加藤常太郎君  西川 昌夫君
   川村 松助君  淺岡 信夫君
  池田宇右衞門君  堀  末治君
   西川甚五郎君  鈴木 安孝君
   大屋 晋三君  山田 佐一君
   中山 壽彦君  黒田 英雄君
   寺尾  豊君  草葉 隆圓君
   石坂 豊一君  柴田 政次君
  大野木秀次郎君  遠山 丙市君
   小林 英三君  板谷 順助君
   今泉 政喜君  松野 喜内君
   黒川 武雄君  玉屋 喜章君
   松嶋 喜作君  徳川 頼貞君
   一松 政二君  大隅 憲二君
   深水 六郎君  平岡 市三君
   小野 光洋君  團  伊能君
   重宗 雄三君  西山 龜七君
   佐藤 義詮君  城  義臣君
   小串 清一君  水久保甚作君
   平沼彌太郎君
     ―――――・―――――
○議長(松平恒雄君) 日程第三、建設省設置法案、内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。尚本件については、少数意見の報告書が提出されております。委員長の報告を求めます。決算委員長下條康麿君。
   〔下條康麿君登壇、拍手〕
○下條康麿君 議題に上りました建設省設置法案につきまして、決算委員会の審議の経過及び結果を御報告申上げます。
 現在の建設院は総理廳の外局として、第一回國会におきまして創設されたのでありますが、土木建築方面の行政及び営繕事務は甚だ廣い範囲に及んでおりまして、一つの省として独立するに十分なる重要性を持つておりますから、今回これを省に昇格させますと同時に、現在運輸省の所管になつております運輸建設本部をここに吸収いたしまして、ここに提案を見たような次第であります。この法案は決算委員会に付託せられましたが、性質上國土計画委員会と適合委員会を開いたのであります。
 質疑應答はいろいろありましたが、主なものを申上げまするというと、建設行政の一元化を図るためには、行政調査部の要綱案とか、或いは要鋼暫定案に比べて、この法案は著しく保守的であり、殆んど何らの改革が行われていないのじやないかという質問に対しまして、政府の答弁によりますと、行政調査部の案は理想論であるが、それは一挙にして実現し得るものではない。
   〔議長退席、副議長着席〕
今回は暫定的な実行案を選んだものである。それで差当り運輸建設本部を吸收するだけに止めたのであるが、その他のものは漸次関係各方面と交渉を重ねて、成るべく速やかに問題の解決を図りたいという答弁であります。併し連合委員会は、理想としては建設行政の全般に亘る中央機関を設けることにありますが、差当り余り重大な影響を他に及ぼさない範囲内で、各省所管からこの建設省に移すことが適当であると考えまして、小委員会を設けて研究いたしたのであります。そこで一つの案を得たのでありまして、その案並びにもう一つの案が修正案となつたのであります。
 今申しました小委員会の案というのは、現在農林省で所管しております國有林地を除く荒廃林地復旧施設その他に関する施設を建設省に持つて行こう。もう一つは、文部省所管の建築の事務の一部を持つて行こう。こういう案であります。更にそれでは極めて不徹底なものであるから、各省に亘る建設行政を全般的にここへ移さなければならんというような修正案も出たのであります。併しながらいずれも少数を以て否決せられて、原案通り決定されたのであります。併しながら本案は決して理想通りのものではないのでありまして、建設行政の廣範囲に亘る綜合的國家機関を設置することの要望は、すでに第二回國会におきまして、建設院を設置する場合に明言されたところであります。この度建設省設置法案の討論に当りましても、次のごとき要望が大多数を以て採用されたのであります。即ち政府は建設行政の一元化が國家復興の絶対要件たることを認識し、國家行政組織法の施行までに農林、商工、運輸、厚生、文部、法務等の各省及び廳に分散する建設行政を統合するため、あらゆる方途を講ずべし。かような希望を多数を以て決定したのであります。尚建設行政を綜合的に統合するためには、やはり何か建設審議会というようなものを作りまして、そうして促進する必要があるというような強い要望があつたのであります。
 大体右の次第でありまして、原案通り決定いたしたのであります。この段、決算委員会の報告を終ります。(拍手)
○副議長(松本治一郎君) 少数意見者から報告することを求められております。報告時間は十分間に制限いたします。兼岩傳一君。
   〔兼岩傳一君登壇、拍手〕
○兼岩傳一君 私共全國三万の建設技術者、五十万の建設事業者関係者が、一筋に希望をかけて参りました建設省がまさに生れんとしておるのであります。二十有二年間土木建築、都市計画に從事して参りました私共の感激は非常に大きなものであります。これにつきまして、第一回國会以來、この問題について熱心に審議されました決算、國土の同僚委員諸君、特に会派を越えて御協力を得ましたところの先輩議員各位に、深甚なる敬意を表するものであります。にも拘わらず私は、僅かに運輸省の運建本部を吸収して、現在の建設院を省に昇格させようとするところの政府の原案に対しましては、反対せざるを得ないのであります。私は私共の團体幾十万の建設関係者並びに住宅難に悩み、迫り來る水害の禍いに戰くところの農民の希望に應え、少くも農林省、商工省、運輸省、文部省、厚生省、法務廳等に分散いたしますところの建設行政を一元化した綜合的な建設省の設置を主張するものであります。その理由を簡單に報告することによりまして、改めて第三國会における同僚先輩議員各位の協力を要請せんとするものであります。我々は決して中央官廳を徒らに大きくしたり、格式を上げたりするために綜合的建設省を主張するものではございません。そうでなくて、我が國の中央官廳に今日尚強く残在しておりますところの各省の間の繩張主義を打破することと、今日尚依然として強く中央官廳に残存しております特権官僚の作り上げました官僚主義の打破、これによつて各省間に分散いたします建設行政を統合いたしまして、勤労国民大衆の要望いたしますところの、本当に民主的な、合理的な建設省を実現したいと冀うものであります。(拍手)同時にこれは非常に重要であります。我々技術者、專門家自身も、長い独占的な官僚機構の中に道具として使われて参つたために残つておりますところの派閥、ギルド的な精神、一人よがり、政治経済に対する無関心等々の、私共自身の持つております多くの欠陥をも、合せて清算しようとするところの正しい自己批判の決意を持つており、而もこの決意を個人的な方法によらないで、文化團体、労農團体その他の團体の力、及びこの團体を支持する勤労國民大衆の力によつて、この自己批判を遂げて行こうとするところの情神を有するものであります。八月十五日大利根川の決壊の一周年が間近に迫つております。而も諸君、倍々と復旧される堤防工事と並行しまして、堤防の中ではやがて堤防決壊の原因となるような農業用水取入の工事が施行せたれておるのであります。その他平野の農民のみならず、昨年の水害のときは、迫り來る日本の破局的な水害の、我々專門家の見通しでは、昨年の水害のごときものは、來るべき水害の序曲に過ぎないというのが我々専門家としての見通しである。これは将來委員会なり本会議において、私は本当に科学的な資料によつて遠からず同僚諸君に訴えなければならないと思つておりますので、今日はこれ以上この点には触れませんが、そういうような実情が行われておる。又道路は次第に壊れ、アスフアルトの道は穴のあくままに棄てられており、大都市の附近は一部の特別な使命を持つたところの道路は幾らかよくなつておるという事情、又一つの発電所を作りますのにも、水力発電と農業用水と洪水防禦の三つが統一された計画でなければならんのに、水力発電と農業用水と洪水防禦は、三つの省に跨つて別々に施行されておるというような実情であります。又或る省の大きな建築工事は殆んど技術者もなしに、正確な設計監督もなしに行われております。一方或る省では建築技術者が余つておるというような、そういう実情があるのであります。それから戰災都市の復旧は遅々として進まず、戰災者、無産勤労者は激しい住宅難に悩んでおる等々、即ち建設行政のこれが実情であります。勿論私はこの中央官廳の一つや二つ作り変えるということにおいて問題が解決されるという、それ程非政治的な私共は考えは持つておりません。併し国民の貴重な血の出るような税金を、最も有効に使うために即刻打つべき手だけは私は打つことが当然であると考えます。
 その手とは、第一に、眞に一元的な國土の復興計画を立てること、私二十二年間の、戰前から戰争、戰後にかけての私みずからの建設、技術者としての、官廳技術者としての中央、地方の経験によつて殆んど日本では未だ曾て一元的な國土復興計画は立てられておらんのであります。而も今こそこれを立てずしては、祖國の建設、國土の復興はできないのであります。
 第二に、この乏しい資材、例えばアメリカ、恐らくアメリカと思いますが、外國からは三万トンのアスフアルトの材料を入れてやつてもよいと言つておられますが、遺憾ながら日本にそれを受入れる力がないので、僅か一万トンしか來ないという面、セメントの問題、鉄の問題、あらゆる資材、この乏しい資材を有効に使つて行くというためにも建設行政の力は一つに集められなければならんのであります。これは祖國復興の前提であります。そうして綜合建設省設置はその第一歩であります。この前提であり、第一歩であるところのことさえもできないような、かような貧弱な政治を以てして國土の再建を云々することは、遺憾ながら滑稽であると言わざるを得ない。而もこれは私は政府ではなかなかできないと思います。私が國会に参つてお願いしなければならないというのは、このことを本当になし遂げるものは國会以外にない。殊に二院制ということから考えて、解散がなくて、専門家がおられて、じつくり腰を据えてやろうとしておられる、この有識者の集まられておる参議院のこの力によつてのみ私はこれが実行に移されると考えております。(拍手)殊に明年の一月一日を期して新憲法に即した民主的な國家行政組織法が施行され、恐らく今年中には十九の省、その他中央官廳全部が改めて作り変えられる空前と言うべき、今後容易に近い將來に來そうもなくて、過去の幾十年において、こういうことのなかつた明治維新以來の、大きな中央官廳の再編成の時期が数ヶ月のうちに來ておるのであります。各位が本日の午前に示されました民主主義の政治、或いは官僚主義の打破、或いは決選投票に示されました強い御決意によつて、第三回國会においては、建設省のみならず各省全部を、民主的な繩張り主義の打破、國民の公僕たる合理的なる中央官廳の編成というような点についての合理的な再編成を考慮せられ、且つその考慮を実行に移されるその先頭に立つ者として、綜合的な強力な建設省を眞劍に考慮されることを希望し、私の少数意見の報告を終りたいと考えております。(拍手)
○副議長(松本治一郎君) これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)
○副議長(松本治一郎君) 日程第四、損害保險料率算出團体に関する法律案、日程第五、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、財務局及び税務署の増設に関し承認を求めるの件、(内閣提出、衆議院送付)を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長黒田秀雄君。
   〔黒田英雄君登壇、拍手〕
○黒田英雄君 只今上程されました損害保險料率算出團体に関する法律案外一件につきまして、委員会におきまする審議の経過並びに結果について御報告いたします。
 先ず損害保險料率算出團体に関する法律案でありますが、現在の保險業では、保險料率は大藏大臣の認可を要しまするし、その第十一條におきまして、保險料率の統制協定を認めまして、大藏大臣は保險会社に対して統制協定を命ずることができることになつておるのであります。独占禁止法制定後におきましても、独占禁止法の適用除外に関する法律によりまして、昨年十月三十日までは、この十條の規定は独占禁止法の適用から除外されておつたのであります。併しこの規定は明らかに独占禁止法の精神に反するものでありまするから、昨年十一月以後におきまして適切の対策を講ずる必要があつたので、保險業法の全面的改正の際にこれを解決する予定であつたのであるが、この改正が急速に進まないので、本件を切り離して至急処理する必要があるというのであります。
 元來保險料率の算定は非常に複雜多岐の要素によるものでありまして、その原價計算がむずかしく、主観的な測定が行われる余地がありますので、從つてこれが算出を各個の保險会社の自由に委して置きますときは、会社間の過度の競争で、往々不当に切下げが行われまする傾向があるのであります。一たび異常な災害が起りますると、その損害額が保險会社の担保力を超過して、保險契約者及び被保險者に迷惑を來し、損害保險事業の信用を害するものでありまするから、これが対策として、公正な、科学的な保險料率を算出する保險料率算出團体の設立を認めまして、会社が任意にその会員となりまして、合理的保險料率を利用し得る道を開くことといたし、團体の構成、業務の運営につきまして適切な規制を加えまして、業者間の自由競争を不当に抑制しないようにいたし、保險事業の健全な発達及び保險契約者等の保護を図り、又この法律に基く正当な行爲につきましては、独占禁止法の適用を排除しようというのであります。
 その内容の大要は、二つ以上の会社は、大蔵大臣の認可を受けて損害保險料率算出團体を設立することができるのでありまして、これは法人といたしておるのであります。尚、損害保險料率算出團体は、公正且つ合理的な保險料率を算出し、保險料率に関する諸般の資料を会員である損害保險会社の利用に供することを目的とするものでありまして、大藏大臣の認可を受けて設立するのであります。損害保險会社は任意に会員となつて、保險料率又はその施設を利用することができることといたしておるのであります。脱退は勿論自由であるのであります。会員が保險料率團体の算出しました保險料率を利用する場合には、会員たる保險会社が個々に保險業法に基きまして、保險料率変更の認可を受けなければならないものといたしまして、且つ料率團体が会員に代つて認可を受けるというようなことは禁止をいたしておるのであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 料率團体をして、保險料率算出の資料の閲覧又は料率の周知等、公開的措置をとらしめることといたしたのであります。尚、料率團体に対する大藏大臣の檢査の権限、その他必要な監督の権限を規定いたしたのであります。保險業法第十一條の統制協定に関する規定を削除すると共に、本法による行爲については、独占禁止法の適用を除外することといたしたのであります。
 尚質疑應答におきまして、この法律が成立すれば、損害保險会社はこの料率團体を設立することの希望を持つているのかということにつきましては、すべての保險会社はこれを用意しておるというような答えがあつたのであります。かくて採決をいたしまして、全会一致を以て可決すべきものと決定いたしたのであります。
 次に地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き財務局及び税務署の増設に関し承認を求めるの件について御説明をいたします。
 この案は、政府は、本年度收入すべき税金の額が非常に巨額に上つておるのでありますから、これを確保するためにいろいろな施策を講じつつあるのでありますが、なかんずく徴税機構の整備強化を図るの要が極めて緊要でありまして、その一つとして、財務局を、増設することとし、第二東京財務局というものの外、二つの財務局を増設し、又蒲田税務署外四十六税務署を増設したいというのであります。その財務局は、現在全國に八局あるのでありますが、特に廣汎な区域を持つており、且つ多数の税務署を擁しておりますことは、税務執行上支障が少くないので、財務局の管轄区域を分割して、課税の適正を期すると共に、他面、納税者の便宜を図ろうとするのであります。先ず現在東京の財務局の管轄区域から、新潟、長野、群馬、埼玉、栃木及び茨城の六縣を分けまして、第二東京財務局を東京都に設置し、次に名古屋財務局の管轄に属しておりまする富山、石川及び大阪財務局の管轄に属しておりまする福井の、いわゆる北陸三縣を以ちまして、金沢市に金沢財務局を設置し、熊本財務局の管轄区域から、福岡佐賀、長崎の三懸を分離して、福岡市に福岡財務局を設置しようというのであります。
 税務署につきましては、全國に総数四百五十一あるのでありますが、そのうち特に廣い区域を管轄して、課税物件の分布廣く、且つ多数納税者がある区域を、これを分割して税務署を増設するということは、納税者の便宜を図るためにも、又課税の適正化を期するためにも必要と認めるのが、その他いろいろな事項を考慮いたしまして、取敢えず蒲田税務署外四十六税務署を増設したいというのであります。
 本案の質疑應答につきましては、これによつて定員の増加をするかということにつきましては、このためには定員は増加をしないつもりであるということであつたのであります。その他いろいろ御質疑がありましたが、速記録に讓りたいと思います。
 採決をいたしましたところ、全会一致を以てこの本案に対し承認を與えるべきものと決定いたした次第であります。これを以て私の報告を終ります。(拍手)
○議長(松平恒雄君) これより採決をいたします。先ず損害保險料率算出團体に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
○議長(松平恒雄君) 次に地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、財務局及び税務署の増設に関し承認を求めるの件全部を問題に供します。本件は委員長報告の通り承認を與えることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて本件は承認を與えることに決しました。議事の都合により午後四時半まで休憩いたします。
   午後三時五十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後五時三十一分開会
○副議長(松本治一郎君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。日程第六、恩給法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員長塚本重藏君。
○塚本重藏君 只今議題となりました、恩給法の一部を改正する法律案に関しまする、厚生委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。 先ず本法案の提出理由を申上げますと、今回の改正は、主として新民法の施行その他諸法令の改廃等に伴うものでありまして、その改正要点の主なるものは次の諸点であります。
 一、民法の改正に伴う遺族に関する規定を整備すること。二、刑法の改正に伴う権利の喪失、又は支給停止の区分を改めること。三、警察法及び消防組織法の制定に伴う、警察監獄職員に関する規定を整備すること。四、いわゆる弱年者及び多額所得者の普通恩給の一部支給停止に関するもの。五、保健所制度の改正に伴うもの。六、新時代における立法の趨勢に伴うて一應の整備をいたすことであります。
 尚以上の外、國家公務員法に基く法令、或いは人事委員会規則等が、逐次整備され、恩給法の規定の中で、或いはこれらの法令規則と矛盾、牴触するものを生じたような場合には、それらの規定に矛盾する恩給法の規定の効力がなくなるように、予め措置いたしたのであります。以上が本法案の提出理由の概要であります。本委員会は六月の十九日予備審査付託以来、数回に亘つて審議を重ねたのでありますが、次に委員会におきまする質疑の中、重要な点二三申上げますと、公務員に準ずる者とはどういうものか、その中に外地に抑留されておる軍人、軍属も準公務員として取扱つて行けるかどうかという質問に対しまして、軍人だつた者についてはその如何を問わず、除外しなければならないことになつておるとの答えがありました。又傷病者についての恩給増額の考えはないかという問に対しましても、一般の傷病者に対する給付を超えないことに制限されておるので、無條件には増額できないが、一般給付の最低のものが引上げられたときには、それに歩調を合せて増額ができるよう、あらゆる努力を拂いたいとの答弁がありました。次に恩給はいわゆる恩惠的給付を意味し、掛建臭の甚だしいものである。恩給法廃止の意思はないかとの問に対しまして、政府は恩給という考えではなく、これを退職給與制度として考えたときに、現在の在職給與等を考え合せると、このまま廃止するということは、考えられないとの答弁がありました。
 以上のような質疑がなされました後、討論に入りましたところ、一委員より、本案には賛成であるが、從來の恩給受給者の一部の者が排除されたことによつて、相当多数者が悲惨な状態にあることは、十分察知できるので、現実社会の実情に感ずる何等かの方法を以て、善処の措置を講ぜられたいとの希望意見がありました。又ある委員は、恩給制度はよろしくその旧態を一掃し、一日も早くこれを社会保障制度の中に包含することを、要望するとの希望意見がありましだ。更にいろいろな意見がありました中に、恩給の増額が必要であることが痛論せられたのであります。この点は第一國会以來しばしば請願、陳情等も現われているところでありますが、これらの点につきましては、今委員会におきまして、恩給法の臨時措置に関する法案を提出せられまして、これが審議中でありまするので、いずれ明日あたりの本会議に報告ができることとなろうと考えます。それによると、相当額の増額が行われるわけであります。かようにいたしまして、採決に入りましたところ、全員一致を以て政府原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 以上簡單でありますが、本法律案に関しまする委員会の審議の経過並びに結果を御報告申上げる次第であります。(拍手)
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
○副議長(松本治一郎君) この際日程に追加して、消防法案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。治安及び地方制度委員会理事中井光次君。
   〔中井光次君登壇、拍手)
○中井光次君 只今議題となりました衆議院提出にかかる消防法案につきまして、委員会の審議の経過並びに結果について御報告いたします。
 本法案は、第一國会において衆議院提出法案として、参議院に送付せられたものでありまするが、本院において審議未了となつたものであります。第二國会において再び衆議院提出法案として本院に送付されたものであります。
 先ず法律案の趣旨、内容について申述べたいと存じます。先きに第一國会におきまして制定せられました消防組織法は、消防制度の組織を規定したのでありまするが、本法案は、その運営、活動の実体的規定を制定しようとするものであります。本文九章四十六ヶ條及び附則二條を加え、四十八ヶ條と、危險物に関する別表とから成つており、第一章においては火災の予防、警戒、鎮圧、災害救助に関し規定し、第二章は、火災の予防について必要なる規定をなし、第三章は危險物に関しその貯藏数量、貯藏場所、設備並びに取扱者の資格に関して規定しております。第四章は消火の設備に関する規定でありまして、公衆用建築物の消火設備及び消火の用に供する機械器具並びに設備の規格、水利施設の維持、管理等に関して規定し、消火設備の遺漏なきを期せんとしております。第五章は火災警戒に関する事項を規定し、第六章は消火の実際活動に関することを規定し、第七章においては、火災の調査を規定し、消防と警察との協力関係を定めております。即ち放火、出火の疑いがある場合の調査の主たる責任者を、消防長又は消防署長と定め、犯罪の檢挙等は警察官又は警察吏員の責任として、この目的を達成するためには互いに協力しなければならない旨の協力規定などを設けておるのであります。第八章、第九章は雜則及び罰則に関する規定であります。以上が本法案の内容であります。
 本委員会は、本法律案付託以來、衆議院治安及び地方制度委員長等との間に、種々熱心なる質疑應答を重ね、又國家消防廳その他政府当局の見解をも十分聽取し、且つ東京都消防総監外四名を証人として喚問するなど、愼重審議を重ねたのでありまするが、それら詳細なる経過については報告を省略し、会議録によつて御承知を頂くことにいたしたいと存じます。
 質問を終了いたしまして討論に入りましたところ、委員中、本法律案に対する修正意見の陳述がありました。次にこれら修正意見の内容について申述べたいと存じます。
 修正の第一点は、原案中「消防長又は消防署長」とあるのをすべて「消防長」に修正せんとするものであつて、消防長の義務又は権限は、当然消防署長にも運営上適用せられるのでありまするから、ただ「消防長」と規定せんとするものであります、修正の第二点は、原案第七條によりますると、建物の建築、増築の許可、認可をする場合に、行政廳は消防署長等の同意がなければ、その許可又は認可ができないことになつております。この点が委員会においても最も論議の中心となつたところであります。即ち委員多数の意見は、現在の建築許可でさえも、非常な手数と時日を要し、関係者が多大の迷惑をしておるにも拘わらず、その上新たに消防署の同意を得なければならんことになると、國民の迷惑は一層増大するという点にあります。故に本條に但書を加えて、建設院の承認する建築に関する法令、又は防火地区に関する法令が、施行せられる地域に関しては、所轄消防長の同意を要しないこととする旨追加いたしたのであります。修正第三点は、消防用機械器具及び設備は、できるだけ完全なものを普及させなければならんことは、申すまでもないところでありまするから、新たにこれが檢定に関する規定を追加し、国家消防廳が依頼によつてこれを行うことといたしたのであります。修正第四点は、第二十六條第二項中、消防車の火災現場への出動の際、時速は六十キロメートルを超えてはならないということになつておりまするのを、これは道路交通取締法の規定によるべきでありまするので、削除することといたしました。修正第五点は、第二十九條中に、消防長が土地建物の收用をなし得る規定がありますが、收用のごとき所有権に関する重大なる事項を、消防署長等に與えることは適当でないので、これを削除することといたしました。又いわゆる破壊消防に関する規定を明らかにし、この場合は損害補償をしないことを明らかにいたしました。修正第六点は、第四十六條の罰則適用に関する規定でありますが、原案は罰則中、懲役等の体刑を科する場合に、未成年者又は禁治産者の法定代理人に、これを適用することになつておるのは適当でないので、法定代理人には罰金刑のみ適用することといたしました。以上の外、條文整理を目的とする修正を若干加えております。
 以上が本委員会における修正案でありまして、愼重審議を重ねたる結果、本法案は全会一致を以て修正可決すべきものと決定いたした次第であります。以上御報告を申上げます。(拍手)
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長の報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。
     ―――――・―――――
○副議長(松本治一郎君) この際日程の順序を変更して、日程第七より第三十四までの請願、及び日程第九十より第百九までの陳情を、一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。國土計画委員長赤木正雄君。
   〔赤木正雄君登壇、拍手〕
○赤木正雄君 只今議題となりました請願並びに陳情に関する委員会の結果を御報告いたします。
 請願忠海港拡張工事に関する件御手洗港修築に関する件、府縣道三原、奧線の改修に関する件、大都市道路緊急整備に関する件、國道十五号線改修工事に関する件、新井、川奈間道路改修工事に関する件、新川渓谷地帯の観光産業道路改修工事國庫助成に関する件、太田、原野谷両川の堤防補修工事に関する件、最上川本支流の災害復旧工事促進に関する件、埼玉縣の水害復旧費国庫補助増額に関する件、亀沢川外二十八河川の砂防工事施行に関する件、山田川砂防工事施行に関する件、安永川外四十河川の砂防工事に関する件、鳥取縣下岩美外五箇郡内河川の砂防工事施行に関する件、魚野川支流十七河川の砂防工事施行に関する件、栖吉川砂防工事施行に関する件、羽茂、新保両川の砂防工事施行に関する件、戰災復興事業費國庫補助増額に関する件、西部瀬戸内海を國立公園に指定することに関する件、旧霧島陸軍演習地を國立公園霧島観光区域に編入することに関する件、瀬戸内海國立公園の施設及び助成に関する件、琵琶湖を國立公園に指定することに関する件、阿蘇國立公園区域に日田地方を編入することに関する件、北海道中南部定山渓附近一帶の地域を國立公園に指定することに関する件、霧島國立公園に新川渓谷地帶を編入することに関する件、櫻島、開聞一帶を國立公園に指定することに関する件、紀淡海峡地区を國立公園に指定することに関する件、湯河原町を中心とする西湘地区を富士、箱根國立公園に編入することに関する件、陳情、福江港改修工事に関する件、石炭関係港湾施設工事促進に関する件、港湾災害復旧費國庫補助増額に関する件、港湾法制定促進等に関する件、山口懸の災害復旧土木費國庫補助増額に関する件、生産道路の改修並びに維持費の國庫補助に関する件、八木山トンネル開さくに関する件、大野島、中川副両村間早津江川架橋に関する件、京阪神地区の幹線道路整備促進に関する件、四國地方道路改良整備事業促進に関する件、高萩町地内國道八号線改修に関する件、東京都の道路橋りよう維持修繕費國庫補助に関する件、桑名市の戰災復興事業費國庫補助増額に関する件、戰災復興都市計画事業費増額に関する件津市の戰災復興事業費増額に関する件、四日市市の土地区画整理事業費増額に関する件、戰災都市復興区画整理事業費に関する件、瀬戸内海國立公園区域に山口縣を追加指定することに関する件、多摩秩父を國立公園に指定することに関する件、阿蘇山國立公園区域に日田地方を指定することに関する件、
 これらの請願並びに、陳情の中、港湾、道路、戰災復興、砂防、災害復旧等に関しては、いずれも工費が少額で、その目的を達しがたいから工費の増額を要望したものであります。或いは速かに工事の着手を訴えたものであります。又國立公園に関しましては、すでに國立公園に指定されておる個所の隣接地区に、從來軍の関係上指定を許されなかつたものが、この度軍の関係がなくなりましたから、速かにこれを編入することを要望し、又國立公園として、政府においてすでに調査も完了しておる地方に対して、これが指定を願つたものであります。かくて委員会においては、皆これを採択の上、院議に付して内閣に送付することを要するものと決議いたしました。以上御報告いたします。(拍手)
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告通り採択し、日程第百一の請願を除き、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
○副議長(松本治一郎君) この際日程を変更して、日程第三十五より第四十の請願及び日程第百十より第百十三の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員長塚本重藏君。
   〔塚本重藏君登壇、拍手〕
○塚本重藏君 只今議題になりました請願並びに陳情は、これを大別いたしますると、社会事業に関するものと、住宅問題に関するものとであります。 先ず社会事業に関するものから先に御報告申上げます。請願文書表の第六百六十四号、傷い者保護に関する請願であります。右の請願は戰争等による傷い者は、現在極めて冷遇された取扱を受けておるので、傷い者を政府において保護されたいというのが請願の趣旨であります。委員会におきましては、本問題については、先に第一國会において同様の趣旨の請願を審議いたしまして、これを内閣に送付いたしております。現在の社会的実情から見まして、傷い者保護対策につきましては、公平、平等の社会原則により、一刻も早く解決しなければならない重要な問題であると認めまして、政府へ重ねて強く要望して、全会一致を以て、議院の会議に付して内閣に送付すべきものと決定いたしました。
 請願文書表第三百六十六号、模範社会事業都市建設に関する請願は、廣島市の原子爆弾によりまする惨害から、これの復興には各種の社会事業施設の拡充の必要が痛感されるから、廣島市を國費を以て、模範的な社会事業都市として建設されたいというのが趣旨であります。委員会におきましては、願意の大体は妥当なるものといたしまして、議院の会議に付して内閣に送付すべきものと決定いたしました。
 請願文書表の第九百五十五号、社会事業共同募金法制定に関する請願でありますが、この請願は社会事業の経営に必要な金品の寄附募集の合理化と適正化とを図るために、全國社会事業大会の決議に基く社会事業共同募金法案要綱を速かに立法化されて、社会事業の拡充、発展を図られたいとの趣旨であります。委員会におきましては、共同募金については、予て関係議員の努力によりまして、漸く一個の成案を得ておりますので、本請願の趣旨は妥当なものといたしまして、これを議院の会議に付するを要するが、すでに先き申しまするように、一個の成案を得ておりまする関係から、内閣に送付を要しないものと決定いたしました。
 請願文書表の第九百五十六号、社会事業法の改正に関する請願でありますが、この請願は社会事業に関する基本的準則を定め、健全な拡充発展を促して、社会福祉の増進と、國民生活の向上とを図るために、全國社会事業大会の決議による改正要綱によつて、現行の社会事業法を改正せられたいとの趣旨であります。委員会におきましては、予て関係議員の努力によりまして、これ又すでに一個の成案を得ておりますので、院議にこれを付するが、内閣に送付を要しないものと決定いたしました。
 陳情文書表第二百十二号、くづ繊維の購入権附與に関する陳情であります。右の陳情は、生産の増進にいそしんでおりまする授産所、共同作業所に、製品の原料となるくづ繊維の購入権を附與せられたいとの趣旨であります。委員会におきましては、授産所への物資の配給は十二分に捗つてはいない実情から見まして、くづ繊維の購入権を附與することは極めて妥当なるものと認めまして、本件はこれを議院の会議に付して、内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。
 次に住宅関係でありますが、請願文書表第二百五十四号、旧住宅営團経営住宅処分に関する請願であります。同じく又請願文書表第二百六十四号、同様の請願でありますが、旧住宅営團経営住宅の処分に関するものでありまして、政府の方針は、これを競賣方法を採つておりますが、その上これらの住宅は、今後多額の維持費を必要とするので、居住者には重い負担であるから、その処分に当つては十分右の実情に即するよう善処されたいとの趣旨であります。これに対しまして政府の方針を聽取いたしましたところ、旧住宅営團経営住宅の処分は、閉鎖機関整理委員会がこれに当り、政府は側面からこれを援助しているもので、整理委員会の一般方針通り、競賣に付することも社会政策上これは避けねばならんので、低廉な價で居住者に優先賣却の方法が採用されたのであるが、これを買取り得ざる者が多い実情であるから、政府としてはこの点については実情に即する措置を取るよう檢討を進めているとの答弁がありました。本委員会としては、本請願の趣旨は極めて妥当なものと認めまして、議院の会議に付して、これを内閣へ送付すべきものと決定いたしました。
 請願文書表第九百二十六号、大都市の庶民住宅建設助成に関する請願、陳情文書表第五十一号、五大都市の庶民住宅復興に関する陳情、右の請願並びに陳情は同様の趣旨のものでありまして、その内容を一括して申しますと、公営住宅の建設事業が予期のごとく進行しないのは、敷地難、財政難等がその重要な原因であるから、敷地の確保、予算の増額等の措置を講ぜられたいとの趣旨であります。本委員会においては、本件については住宅問題に関して調査研究しているところと合致しておりますので、その趣旨は極めて妥当なものと認めまして、議院の会議に付して、内閣へ送付すべきものと決定いたしました。
 陳情文書表第五十六号、大阪府下の住宅対策に関する陳情、陳情文書表第百九号、住宅建築促進に関する陳情、同じく陳情文書表第二百三十四号、陳情文書表第三百三十三号、右の陳情四件はいずれも住宅建設促進に関するものでありまして、本委員会の住宅問題に関する調査研究事項とも合致しておりますので、本委員会としては陳情の趣旨はいずれも妥当なものと認めまして議院の会議に付して、これを内閣へ送付すべきものと決定いたした次第であります。以上御報告申上げます。
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告の通り採択し、日程第三九及び第四〇の請願を除き、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、日程第三九及び第四〇の請願を除き、内閣に送付することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
○副議長(松本治一郎君) この際日程の順序を変更し、日程第四一より第四三の請願及び日程第一一四より第一二一の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。労働委員長原虎一君。
   〔原虎一君登壇、拍手〕
○原虎一君 只今議題になりました請願及び陳情につきまして、労働委員会におきます審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
 これらの請願及び陳情の詳細は、審査報告書によつて御承知願うことといたしまして、これを大別して申上げますと、労働者給與等に関する問題と特殊労働施設設置に関する問題との二つであります。労働委員会におきましては、五月四日より委員会を前後五回に亘りまして開催いたしまして、関係政府委員の出席を求め、委員との間に熱心なる質疑應答がなされたのであります。これから右請願及び陳情の審議の経過の概要を簡單に申上げたいと存じます。
 請願第二百五十一号、陳情第二十三号、同じく第二百六十七号、同じく第百五十号の願意の大要は、教職員の最低生活を保障し、教育に専念することのできるよう、労働諸條件の改善を速かに実施されたいとの要望であります。
 請願第七百九十三号は、官立大学附属病院の看護婦諸君からの、労働條件の改善、労働基準法の完全なる実施、看護婦養成機関の設置等の要望であります。
 陳情第百七十号は、財務職員に対し税務官吏同様な待遇を與えるべく速かに改善されたいとの陳情であります。陳情第三百七十七号は、労働委員会委員の職責の重要性に鑑み、その手当を少くとも農地委員のごとく月額二千円程度に増額されたいとの要望であります。
 請願第六百五十四号は、兵庫縣有馬郡の三田、三輪両町の勤務地手当を甲地に、陳情第百四十三号は、大分縣佐賀関町の地域給を乙地に、それぞれ編入されたいとの要望であります。
 陳情第十七号は、山形市の教員組合より寒冷地給に関する要望で、陳情第二百十三号は、寒冷地特別給與制度確立に関するものであります。
 陳情第百四十一号は、綜合技能指導所設置に関するものであります。
 以上につきまして委員会におきましては、前述のごとく前後五回に亘り愼重に審議を重ねました結果、願意に関する個々の条件につきましてはともかくといたしまして、願意の大要は妥当なるものと認めまして、いずれも内閣に送付することが適当であるとの決定をした次第であります。以上を以ちまして、労働委員会におきまする請願及び陳情に関する審議状態の報告を終りたいと存ずる次第であります。(拍手)
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
○副議長(松本治一郎君) この際日程第四四より第四六の請願を一括して議題とすることに御異議ありませんか。
   〔「異議なしと呼ぶ者あり〕
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。商業委員会理事鎌田逸郎君。
   〔鎌田逸郎君登壇、拍手〕
○鎌田逸郎君 只今議題となりました請願第八百四号外二件につきまして、商業委員会における審議の経過並びに結果につきまして御報告いたします。
 請願第八百四号は、布はく製品は品質、價格の点で消費者の希望に適合せず、又現在のように衣料品不足の時には、製品よりも生地のままの方が喜ばれるから、配給の迅速化を図る上からも、生地のままを配給する方式に改められたいというのであります。本件に対する政府当局の意見は、衣料品の配給方法ついては、昭和二十三年度七月一日からは原則として綜合点数制を採用し、消費者は與えられた点数の範囲内で希望する品目を購入し得る方法を探り、消費者の便宜を図ると共に、配給の円滑迅速を期することとなつたのであります。
 次に内地向け陶磁器統制撤廃に関する請願の要旨は、和食器を初め日常生活に必要な内地向け陶磁器は材料が國内生産品であり、又生産地の大部分は非戰災地であつて、生産設備も生産量も戰前の水準線に復しているから、今後一層需要を充たし、又趣味趣好を通じての文化的教養を高め得る優良製品の市場進出を図るために、戰時中の臨時措置である販賣價格の統制を撤廃せられたいというのであります。本件に対する政府当局の意見は、和食器其の他内地向け生活用陶磁器の生産は、終戰後順調に推移し、需要に対してほぼ十分の供給をなし得る現状であるので、目下その價格統制の撤廃方につき審議を進めておるとのことであります。
 次に家具統制價格撤廃に関する請願の要旨は、家具は形態、技巧等千差万別であつて、價格を統制するのは不合理であり、販賣店でも地域によつて利益率に差異があるから、現在需要を充たすだけの生産高があって、購買力が低下している実情に鑑み、統制價格の撤廃を図られたいというのであります。本件に対する政府当局の意見は、統制の実益のなくなつたものについては、價格統制を撤廃するように審議を進めているが、家具については現在價格統制を実施せられている二十一品目中には、尚直ちに統制を撤廃することが不適当と思われるものがあり、研究中であるというのであります。
 本委員会においては、あらゆる角度から質疑がなされ、熱心に審議が行われた次第でありまして、各件いずれも妥当な請願であつて、採決の結果、全員一致、これを採択して院議に付し、内閣に送付することを要するものと決定した次第であります。以上簡単ながら御報告いたします。(拍手)
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
○副議長(松本治一郎君) この際日程の順序を変更して、日程第四七より、第五二の請願及び日程第一二二より第一二五の陳情を一括して議題とすることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。鉱工業委員長稻垣平太郎君。
   〔稻垣平太郎君登壇、拍手〕
○稻垣平太郎君 只今議題と相成りましたる請願並びに陳情について、その審査の結果を御報告申上げます。
 請願第百四十二号、八百四十号、九百五十七号、陳情四百二十一号は、いずれも中小企業の振興又は技術指導に関するところの請願又は陳情であります。
 尚陳情三百五十七号は、長崎縣の賠償撤去対象工場の存置に関する件でありまして、四百八十九号は製油所の操業に関する陳情、五百十三号は中國地方鉱山復興に関する陳情であります。
 以上の請願又は陳情は、今日の経済事情より、又諸般の客観情勢よりいたしまして、これを採択し、内閣に送付することを適当と認めた次第であります。
 次に請願の九百五十八号、千五十八号、九百八十二号、これはいずれも亞炭産業に関するものでありまするが、この件につきましては、その統制の範囲、方式、運営等につきまして、委員会においていろいろ議論があつたのでありますが、結論的に申しまするならば、亞炭産業経営の健全化のための公價の設定、又能率的な輸送計画の樹立、或いは又資材、資金等の割当に関するところの希望等につきましては、当委員会といたしましても亞炭産業の重要性に鑑みて、これを甚だ妥当なるものと考えましたので、これを採択して内閣に送付するを適当と認めた次第であります。ただその附帶條件といたしまして、統制の限界並びに方式につきましては、政府において十分検討をされることを希望いたした次第であります。これを似て御報告を終ります。(拍手)
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長の報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
○副議長(松本治一郎君) この際日程の順序を変更して、日程第五三より第七六の請願及び日程第一二六より第一四七までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。運輸及び交通委員会理事小野哲君。
   〔小野哲君登壇、拍手〕
○小野哲君 只今上程されました請願第三十六号、小樽市手宮貯炭場開放に関する請願外二十五件、陳情第四十号、國有鉄道運輸の合理化に関する陳情外二十五件の委員会におきまする審議の経過並びに結果を御報告いたします。各請願及び陳情につきましては、政府より詳細な事情を聴取いたし、又請願につきましては紹介議員の熱心な説明がございました。委員会はこれらの陳述を基として愼重に審議いたしましたが、ここでは簡單にその大要を御報告申上げます。
 初めに海運関係の請願及び陳情を一括して申上げますと、先ず請願第二百二十九号、清水港を第一種重要港湾指定に関する請願でありますが、請願の要旨は、同港は國際港として天與の立地條件を具備しており、貿易再発足と共に、いよいよその重要性を加えて來るから、第一種重要港湾に指定されたいとの趣旨であります。これに対し政府は、目下港湾法の制定を企図しており、これに基いて全國の港湾を再審査の上決定したいとの答弁でありまして、審議の結果、この問題は政府において檢討の上、地元の熱意に應え、実現する必要があるという趣旨で、内閣に送付するを要するものと議決いたしました。
 次に第四百十四号、油津港を第二種海湾編入並びに貿易開港指定に関する請願は、第一回國会におきまして、第二百二十九号と同一理由で採択し、内閣に送付しておりますので、これが解決を促進するために、内閣に送付するを要するものと議決いたしました。
 次に請願第二百五十四号、都井岬燈台復旧促進に関する請願は、政府において、すでに願意の通り取運んでおるとのことであり、内閣に送付することが至当であると議決いたしました。
 次に請願第三百九十二号、第三百九十六号及び四百一号津久見港を開港場に指定することの請願及び陳情第二百二十号細島港を開港場に指定することに関する陳情でありますが、願意は、両港共に天然の良港でありますのと、同方面物資の集散場として、移輸出物資共に多く、國内輸送の上からも、延いては日本貿易振興のためにも、開港場に指定して欲しいとの趣旨でありまして、政府より、檢討の上願意の通り実現するよう考慮する旨答弁があり、審議の結果、願意は大体妥当であると思われますから、内閣に送付を要するものと決定いたしました。
 次に陳情第百五十九号船員労働行政合理化に関する陳情及び陳情第四百四十六号高松海運監理部を海運局昇格に関する陳情でありますが、これにつきましては、すでに政府におきまして概ね願意の通り取運んでおる旨の答弁であり、内閣に送付することが至当であると決定いたしました。
 次に陳情第三百六十四号海難防止施設に対する國庫補助並びに資材配給に関する陳情でありますが、願意は、現在海難防止は帝國水難救済会が事業を経営しておるが、有名無実で何ら積極的な活動をしていないから、積極的な活動をするため、事業費の國庫補助と必要資材の配給をされたいとの趣旨であります。これに対しまして政府は、終戰後の海難防止施設の弱体を憂慮しまして、海上保安制度の強化を図ると共に、資材等についてもその確保を図るよう考慮中の旨答弁がありましたが、海難防止施設の強化は一刻もゆるがせにできない重大な問題でありますから、國自体の施策は勿論、地方自治体においても独立して海難防止施設を充実して、積極的に活動ができるように措置し、地元の熱意に應えることが必要であるという意見を附して、内閣に送付することが至当であると決定いたしました。
 次に陳情第五百十九号地区機帆船業者の救済に関する陳情でありますが、この趣旨は、地区機帆船は戰時中戰後を通じて國内海上輸送の面で重要な役割を果しておるのであるが、その企業経営体が弱体であるのと、燃料油が不十分であるから、相当量の未稼働船があり、救済して欲しいとの趣旨でありまして、これに対しまして、政府としても、現状を非常に憂慮しており、今後十分改善に努力するとの答弁であります。
 この問題を審議しました結果、燃料油の増配と適正配分に一段と努力して、陸上の滯貨の一掃に寄與せしめる必要ありと認め、その旨意見を附して内閣に送付するを要するものと議決いたしました。
 次に請願第五百八十二号米原、網干両駅間電化促進に関する請願、第六百八十号福島、米沢両駅間電化促進に関する請願、第八百十四号東北本線、両毛線並びに高崎線の電化促進に関する請願、陳情第三百十三号、第三百四十四号、第四百十一号、第四百六十四号、第四百九十六号、第五百六十三号福島、米沢両駅間電化促進に関する陳情は、いずれも國有鉄道路線電化促進に関する請願、陳情でありまして、願意の大要は、これらはすべて重要な線区であるから、輸送力増強のため至急電化を図られたいという趣旨であります。これに対して政府は、資材資金に限度があるから直ちに全部の路線を電化するわけには行かないが、電化は石炭の節約ばかりではなく、いろいろの利益があるから、極力これら路線の電化を考えて行きたいという趣旨の答弁があり、審議の結果、これを採択し、内閣に送付を要するものと議決いたしました。
 次に請願第六百八十七号撫養、相生両駅間國営バスの運輸開始に関する請願、第七百四十二号茂木、笠間両町間國営自動車の運輸開始に関する請願、第七百四十五号宮崎市、小林町間國営自動車の運輸開始に関する請願、第七百六十五号野村駅、中筋村間國営自動車の運輸延長に関する請願、第八百二号大子町、豊浦町川尻間國営自動車の運輸延長に関する請願、第八百三十六号福岡町、戸田村間國営自動車の運輸開始に関する請願、第八百五十六号宮古、小本両駅間國営自動車の運輸開始に関する請願、第千四十三号土浦市、古河町間國営バス及びトラツクの運輸開始に関する請願は、いずれも國営自動車路線開設に関する請願であります。これらの地方は農産物、林産物、鉱産物或いは水産物に富み、又旅客の交通量も多いのであるが、自動車輸送力が不足しておるため、地方民は甚だしく不利不便を受けておるから、速かに國営自動車を動かして欲しいという趣旨の請願であります。これに対する政府の答弁は、國営自動車線路の開設は車輛や資金で制約を受けておるから、折角の請願があつても、なかなか急速に全部に應ずることはむずかしいし、又これらの路線には大体民営自動車業者も営業しておるから、民業圧迫にならないよう、その点も考慮に入れなければならない、併し熱心な要望でもあるから、できるだけ自動車輸送力の増強に努力するつもりであるという趣旨の答弁でありました。審議の結果は、これらの地方は、物資も豊富であるし、人口も相当あるに拘わらず、自動車輸送力が貧弱なため國民が迷惑を受けておるのだから、民営業者の強化を図るとか、或いはこれと協定して國営自動車が進出するとか、何らかの方法を以て特段に自動車輸送力の増強を図り、以て地方民の熱望に、應えることが必要であるという意見を附し、これを内閣に送付を要するものと議決いたしたのであります。
 次に請願第百九十号尾岐村の村営バス事業許可に関する請願は、福島縣大沼郡尾岐村において村営バスの許可をせられたいという趣旨の請願でありまして、審議の結果は、既存の民営事業者もあるから、これと協議し、尚又当局が斡旋して適当な方法を以て自動車輸送力の強化を促進するのが妥当であるという趣旨で、これを内閣に送付するを要するものと議決いたしました。
 次に請願の第千三十号及び千八十三号二俣、佐久間間鉄道速成に関する請願、第千百一号今市、田島間鉄道敷設に関する請願、第千八十六号神奈川縣三崎町に鉄道を延長することに関する請願、陳情第五百三号日高、胆振間鉄道敷設工事促進に関する陳情は、いずれも鉄道敷設に関する請願、陳情でありまして、願意の大要は、これらの地方は、いずれも物産が豊富であり、旅客の交通量も多いのであるが、多年の地元要望にも拘わらず鉄道が敷設されないのは、國家経済から言つても多大の損失であるから、速かに鉄道を敷設せられたいという願意であります。これに対する政府の答弁は、目下資材と予算の制約のため、鉄道新線建設は全面的に一時停止の止むなきに至つておる、併し事情さえ許せば國富開発の趣旨から言つても建設の必要なことは十分認識しておるという意見でありました。審議の結果は、今直ちにこれら地方に新線を建設することは諸種の事情から見て困難であるとしても、資材、予算等とも睨合せ、成るべく速かに新線を敷設して、國土の開発と併せて地方の要望に應えるのが至当であるとして、これを内閣に送付するを要するものと議決いたしました。
 次に、請願第三十六号、小樽市手宮貯炭場開放に関する請願は、小樽市は地勢上工由来地帶としての適地がないから、國鉄手宮貯炭場を開放して欲しいという趣旨でありまして、政府の意見は、この貯炭場は鉄道においても必要の用地であるが、更に研究するという趣旨の答弁があり、審議の結果、当局において成るべく願意に副うよう更に調査研究するのが妥当であるという趣旨で、これを内閣に送付するを要するものと議決いたしました。
 次に、請願第八百四十四号、東京、長崎両駅間に準急行を運轉することに関する請願、第八百四十六号、博多駅構内施設拡充に関する請願、請願第千百四十六号及び陳情第五百六十九号、郡山まわり上野、新潟両駅間直通列車運轉復活に関する請願及び陳情、陳情第五百八号、指宿線の列車増発等に関する陳情及び陳情第五百二十八号、逗子駅裏駅設置に関する陳情は、いずれも旅客サービス向上を要望する趣旨でありまして、審議結果は、願意は妥当と思われるからこれを内閣に送付するを要するものと議決いたしました。
 次に、陳情第百六十八号、北海道鉄道輸送力増強に関する陳情は、北海道における貨物輸送力は極めて貧困であつて、そのため石炭木材等の滯貨が夥しいから、急速に輸送力を増強せられたいとの趣旨の陳情でありまして、現下鉄道輸送力の増強は最も大切であるが、なかんずく北海道は生産資材、農産物の供給源でもあるから、政府は至急北海道における輸送力を増強する必要があるということに意見が一致いたしまして、これを内閣に送付を要するものと議決いたしました。
 次に、陳情第四百七十一号、自動車運賃値上に関する陳情につきましては、政府より適正運賃に引上げを考慮する旨の答弁があり、又陳情第三百六十一号、道路運送監理事務所存置に関する陳情につきましては、政府より道路運送監理事務所は、第一回國会において制定された道路運送法に基き設置されたものであつて、陸運監督行政の遂行上絶対に必要と思われるという趣旨の答弁がありました。
 陳情第五百四十六号、貨物自動車営業種別標示に関する陳情につきましては、政府より極力標示を励行せしめる方針であるとの答弁があり、又陳情第五百四十八号、貨物軽車りよう運送事業の指導監督所管に関する陳情につきましては、政府より軽車輛も道路運送の重要な一環をなすものであるから、これはやはり道路運送監理事務所の所管とするのが至当であると思うとの答弁がありました。これら四件の陳情については、審議の結果すべて願意は概ね妥当なものであるから、これを採択し、内閣に送付を要する番のと決定いたしました。次に、陳情第百二十四号、道路の整備に関する陳情は、その願意の大要は、地方財政の貧困により道路の維持修繕ができかねるから、道路運行の車輛より、道路損傷負担金を徴收して、整備改善の費用とせられたいという趣旨でありまして、審議の結果は我が國の自動車交通が発達しないのは道路の粗悪に原因するところが多い、道路を維持修繕する費用は、これを利用する車輛が負担するのは当然であるから、車輌に分担金を課すると同時に、道路補修のための特別の会計制度を設置する等の措置をして、我が國の道路の修繕改良に努力すべきであるということに意見が一致いたしまして、その趣旨の意見を附し、これを内閣に送付を要するものと議決いたしました。
 次に、陳情第四十号、国有鉄道運輸の合理化に関する陳情は、国有鉄道の幹線及び支線の交通強化を図られたいという趣旨の陳情あり、第二百六十九号、三陸沿岸の國道並びに鉄道完遂促進に関する陳情は、宮城、岩手、青森三縣に亘る三陸湾岸は、水産、林産、鉱産の大資源を有しているから、その開発のため國道及び鉄道の完遂を図られたいという趣旨の陳情であり、審議の結果はこれら陳情は願意概ね妥当と思われるから、これを内閣に送付するを要するものと議決いたしました。
 次に陳情第四百九十九号旧播丹鉄道線拂下げに関する、第五百九号富山港鉄道線拂下げに関する陳情は、同一趣旨の請願を本会議においてすでに採択いたしておりますので、これを採択し、内閣に送付を要するものと議決をいたしました。
 次に陳情第四百七十一号、これは自動車運賃値上げに関する陳情でありまして、願意は、諸物價と労銀の高騰に伴い、早急に自動車運賃を値上げし、産業復興に寄與させるよう措置を講ぜられたいということでありまして、これらに対する政府の意見は、目下運賃引上げは担当官廳において審議中であるということでありまして、審議の結果、これを内閣に送付するを要するものと決定いたしました。
 次に陳情第三百四十八号逗子「海の家」拂下げに関する陳情でありまして、願意は、横須賀市は財政難であるから、財政の基礎確立のために運輸省経営の逗子の「海の家」を拂下げられたいとの陳情でありまして、政府の意見は、鉄道としても今有効に使用しているのだが、折角の要望でもあり、更に研究いたしたいということでありまして、審議の結果は、願意概ね妥当と思われるから、尚政府においては願意に成るべく副うよう研究することとし、これを内閣に送付を要するものと議決いたしました。以上簡單ながら御報告を終わります。(拍手)
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
○副議長(松本治一郎君) この際、日程第七七より第八九までの請願、及び日程第一四八より第一五二までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。通信委員長深水六郎君。
   〔深水六郎君登壇、拍手〕
○深水六郎君 只今議題となりました請願並びに陳情について、委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
 先ず簡易生命保險及び郵便年金運用再開に関する請願及び陳情について申上げます。この願意といたしますところは、從來地方事業資金の融資は、殆んど預金部資金及び簡易生命保險、郵便年金の積立金から受けるのだが、昭和二十年度からこれを停止されたため、地方金融機関から借入れているが、多額の融資は至難で、又短期間の貸付及び利子高率等のため、地方團体の借入は困難で、地方財政の円滑な運営ができないので、早急に從來通り逓信省の手によつて運用し、地方財政の窮状打開を図られるよう措置を講ぜられたいというのでありまして、この請願は九十八件、陳情十二件でございますが、これは六月二十六日までの間に付託されたものでありますが、その後続々提出されておるのであります。本件は地方公共團体にとつても、又事業経営等の面から見ましても、重要な問題であると考えられますので、委員会におきましては特に愼重に審議をいたしたいのであります。簡易生命保險及び郵便年金事業は、三十余年の歴史と、國民一人当り一件以上の契約件数を有し、國営事業として成功を収めておるものの一つであります。而して簡易保險、郵便年金の積立金は、現在総額九十七億円に達しておるのでありますが、その運用に当りましては、両事業の使命と本質に鑑みまして、資金の地方還元、公共の利益の増進を第一義として、事業創始以來、法令の定むるところに從い、事業経営当局が直接担当して、良好な成績をあげて参つたのであります。然るに昭和二十年度以來、本積立金は特殊事情によりまして、今申上げました、事業経営当局による運用は停止されておるのでありますが、元來両事業において積立金の運用は、契約の募集、維持と並んで事業運営の根幹をなすものでありまして、國営事業独立採算確立のため、本事業の全分野に亘つて、その経営の合理化に努むべき今日、事業経営責任者による積立金運用を停止して置いて、経営の健全な発展を求めんとすることは、極めて不合理であると考えられるのであります。今日この両事業の経営は極めて困難な状態にあるのでありますが、これが再建のためには、新規契約の大量獲得が必要でありますが、積立金直接運用停止以來、從業員の士氣必ずしも旺盛でなく、事業成績の向上に大なる期待を持ち得ない状態に立ち至つておる実情であります。本件に関する大藏当局の見解は、積立金運用を事業経営主体かち引離すことは、事業経営の立場から不利益であることは認めなければならなうが、國家資金運用の一元化の上から、逓信省による運用再開には賛成し難いというのでありました。委員会といたしましては、金融の一元化は大藏逓信両当局が連絡を密にし、相協力することによつて、十分にその趣旨が達せられる筈のものであるから、これを停止以前と同様に、逓信省をして再開させるべきである。即ち簡易生命保險及び郵便年金積立金の運用再開は、契約の増加を招来して、事業経営を健全にし、ひいてはインフレ抑止の一助となり、逼迫せる地方財政の緩和に資するところ至大であると認めるから政府は從來通り逓信省をして運用を再開せしめるよう、急速に措置を講ずべきであるとの意見に全員一致しまして、本請願はこれを採択して、議院の会議に付するを要し、而して内閣に送付すべきものと議決したのであります。
 次に郵便年金第二封鎖切捨に関する陳情について申上げます。この願意としますところは、郵便年金は、年額千円以上のものは第二封鎖に入れられておるが、全額切捨てとなれば、年金支拂回数が一定しておるものは、不当な損失を受けるが、加入者は政府事業であることに信頼して加入しておるのであるから、民間生命保險にも例のない全額切捨てを取り止められたいとの趣旨でありますが、これに関して政府の意見を質しましたところ、できるだけ切捨てをしないように努力中とのことでありました。本委員会は愼重に審査の結果、郵便年金の加入者は、年金事業が國営であることに信頼感を抱いて加入したものである点、及び加入者中には経済能力に乏しい老人、未亡人、遺孤児が相当ある点から考えまして、郵便貯金の第二封鎖の全額若しくは大部分を切捨てるような措置を採ることは、年金加入者の生活に重大な脅威を與えるのみでなく、政府事業に対する國民の信頼感を失わしめ、将來の貯蓄奨励上重大な支障を及ぼすものであると認めるから、政府はこれを打切らないように格別の措置を講ずべきであるとの意見に一致し、即ち本陳情の趣旨を極めて妥当なりと認め、議院の会議に付することを要し、内閣に送付すべきものと全会一致決定した次第であります。尚第二封鎖打切りの問題は郵便貯金にもありますので、これについても、本件同様打切りを行わぬよう、政府に要望すべきであるとの強い意見が、委員全部の方からありましたことを特に御紹介申上げて置きます。
 次にその外の請願について申上げます。先ず郡山郵便局舎用地及び土地買上げに関する請願でありますが、その願意としますところは、郡山市は戰災復興その他の事業が山積しているに拘わらず、財源難であるから、現在賃貸している郡山郵便局舎及び用地を、時價を以て政府において買上げられたいとの趣旨であります。又大里郵便局設置に関する請願の願意としますところは、福島縣岩瀬大屋村大里は、地形上一大山脈で隔離されており、現在の郵便局に行くためには非常な險路を越えなければならない。殊に冬季には往々交通が絶えることもあつて、区民の不便不利益は言後に絶するの状態であるから、大里区域に郵便局を設置されたいとの趣旨であります。又栃木郵便局舎建設並びに電話交換方式変更に関する請願の願意としますところは、栃木郵便局は、一市三村を集配区域とし、職員数も二百余名に及んでいるが、局舎が三ケ所に分散しているため、公衆の利用上不便であるので、速かに綜合局舎を建設して、同時に電話交換方式を自動式又は共電式に改められたいとの趣旨であり、又佐伯郵便局舎建築並びに電話交換方式変更に関する請願の願意としますところは、佐伯郵便局は、同市の幹線道路の拡張工事に伴い、本局舎の正面道路寄り八メートルを撤去せねばならず、現局舎は老朽で、現局員の收容が困難であるばかりでなく、市民の利用にも不便である。又同局の電話交換方式は原始的な磁石式であるが、この際局舎の新築移轉と電話方式を共電式に変更するよう、本年度予算に計上されたいとの趣旨であり、又豊沢郵便局設置に関する請願の願意としますところは、岡山縣勝田郡豊田村大字豊沢に郵便局を設置する件については、昨年國会において採択されたが、速かにこれを実現されたいとの趣旨であり、又井尻村郵便局設置に関する請願の願意としますところは、島根縣能義郡井尻付には未だ郵便局の設置がなく、通信上多くの不便を來しているから、速かに郵便局を設置して、村民の福利増進を図られたいとの趣旨であります。又伊東郵便局の電話交換方式変更並びに電話交換局舎新設に関する請願の願意としますところは、伊東市は発展途上にあるけれども、これに重大な関連のある通信機は、旧式の磁石式直列複式交換機であるため、いろいろの支障を來たしているから、自働式に変更すると共に現在の電話交換廳舎は狭隘であるから新設されたいとの趣旨であります。次に高川郵便局電信事務存続に関する請願の願意としますところは、愛媛縣東宇和郡高川村の高川郵便局の電信事務の取扱いは、財政の都合で廃止される由であるが、これは村民に及ぼす影響が大きいから存続されたいとの趣旨であり、又奥南村の公衆電話架設に関する請願の願意としますところは、愛媛縣北宇和郡奥南村は、宇和島湾の北端に位して、海岸線は二十キロの長さに及んでいるが、部落相互間の交通連絡が不便で、通信機関も不完備のために、漁況の連絡を始め整備上にも非常に支障を來しているから、村内の要所に公衆電話を架設してこの不便を除かれたいとの趣旨であり、郡山猪苗代間の電話直通回線新設に関する請願の願意としますところは、猪苗代地区は郡山、若松両市の中間に位し、通話も両市及び福島方面に多く、全市外通知の三割以上を占めている、併しこの通話はすべて若松局を中継するため、極度に混雑し殆ど用を弁せず、生活必需品の取引の上にも、亦磐梯山地区國定公園決定により、激増することの明らかな観光客に対するサービスの上にも、不便、不利であるから、郡山、猪苗代間に直通回線を新設されたいとの趣旨でありまして、委員会は愼重審査の結果、いずれも願意を妥当なものと認め、これを採択し、議院の会議に付するを要し、且つ内閣に送付すべきものと全会一致決定したのであります。
 次に札幌普通逓信講習所の存続に関する請願の願意といたしまするところは、右逓信講習所は創立以來多数の從業員を養成して來たが、北海道の開発に即廳するため、同所の施設、内容を充実する必要があるが、最近、逓信職員訓練法の制定により、講習所の廃止計画を聞くが、道内に要する從業員は、各種の特殊事情から道内で養成する必要があるから、從來通り本講習所を存置せられたいとの趣旨であり、又高等逓信講習所の存続に関する請願の願意といたしまするところは、高等逓信講習所は創立も古く、逓信職員の最高養成機関であつて、一万有余の卒業生は、中堅の幹部職員として活躍しているが、近く逓信職員訓練法の実施と共に廃止される由であるが、今後ますます斯業の能率的な運営を図るため、高度の專門的養成機関を必要とするから、本講習所を存続されたいとの趣旨でありまして、本委員会はこれを慎重に審査しました結果、右両者共、若し只今審議中の逓信職員に対する訓練方法が決定いたすことに相成りますれば、その訓練の新方針を考慮しつつ、これを存続するを妥当と認めて、これを採択し議院の会議に付するを要し、而して内閣に送付すべきものと全会一致これを決定したのであります。
 次に鹿兒島港海岸線局設置の陳情の願意といたしますところは、鹿兒島の船舶は、大分及び長崎無線局を経由して、入港時刻、揚積貨物、船客数等を無線連絡してるが、右二ケ所の海岸局で受信されたものは、その後陸線によつて送信されている現状で、受信までに相当の時間を要し、陸上諸手配に支障を來しているから、船舶の稼航能率増進並びに海難防止のために、鹿兒島港に海岸無線届を設置されたいとの趣旨であり、次に輪島郵便局舎の新築並びに電話回線増設に関する陳情の願意としますところは、石川縣輪島郵便局輪島町外三ケ村を管轄しており、昭和十九年十一月普通局に昇格し、通信機関の拡充強化が図られているが、現局舎は土藏式の民有で腐朽甚だしく採光も不十分のため、事務能率を妨げられるから、速かに新局舎を新築すると共に、金沢との電話回線は僅かに一回線のため、通話に不便を感じているから、回線を増設されたいとの趣旨であり、又南箕輪、伊那両局間電話回線増設に関する陳情の願意としますところは、長野縣南箕輪局の電話市外回線は、伊那松島線へ共同加入の一画線のみで、常に通話輻湊し、電話通信の機能を発揮されていないので、南箕輪伊那両局間に市外電話回線を増設されたいとの趣旨でありまして、委員会におきましては、いずれも妥当と認めましたので、これを採択し、議院の会議に付するを要し、而して内閣に送付すべきものと決定した次第でございます。以上御報告申上げます。(拍手)
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければこれより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採決し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し内閣に送付することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
○副議長(松本治一郎君) 日程第一五三、國土計画に関する調査に関する件、委員長の報告を求めます。國土計画委員長赤木正雄君。
   〔赤木正雄君登壇、拍手〕
○赤木正雄君 只今議題となりました國土計画に関する調査に関する御報告をいたします。
 本委員会におきましては災害の復旧、治水の改善、戰災都市の復興、道路港湾の整備或いは開墾問題等、國土計画の観点から本委員会及び小委員会を十四回に亘つて開き、関係官の説明を聽取し、仔細の檢討の外、委員五人で二月二十七日から、三月六日まで、東海近畿地方の河川、砂防、港湾、道路、戰災地復旧状況等の実地調査を行いました。何分廣汎に亘り面も極めて重大な事柄でありますから、未だその結論には到達していません。この実地調査の報告は時間の関係上ここに述べることを省略させて頂きまして、議長の下に報告書を提出してありますから、どうか御覧を願いたいと思います。甚だ簡單でありますが御報告申上げます。(拍手)
     ―――――・―――――
○副議長(松本治一郎君) 日程第一五四、裁判官の刑事事件不当処理等に関する調査に関する件、委員長の報告を求めます。司法委員会理事岡部常君。
   〔岡部常君登壇、拍手〕
○岡部常君 只今議題となりました裁判官の刑事事件不当処理等に関する調査につきましては、中間報告として先般尾津事件の報告をいたしましたが、ここに松島事件の調査報告をいたします。
 本件は世にいわゆる松島丸事件とか言われまして、捕鯨船であるとか或いはキヤツチヤーボートであるとかいうふうに誤つて傳えられておりまするが、実は千葉縣木更津市に船籍を有しまする第二厚生丸という、百五十トンの遠洋漁業用の漁船の船長松島嘉久藏が、日本の漁業制限海域北緯二十四度線を越えて、遠く赤道の海域において「まぐろ」漁業に從事中、濠洲の軍艦に発見されて臨檢を受け、一方濠洲政府からは関係方面にその旨の通牒があり、嚴重な抗議がなされ、國際問題を惹起したという事件の裁判についての問題であります。
 先ず本件調査の経過について申上げますると、この事件につきましては最高裁判所の調査報告を求め、これに基いて調査方針を決定し、千葉縣木更津市及び千葉市等実地に当つて調査を行い、尚これに関連して農林省の報告その他関係者の調査をいたしまして、ここに結論を得たのであります。併しながら詳細に亘つてこの報告をいたしますれば相当の時間を必要とするので、ここにはその概略を申上げることといたしまして、詳細の点は、速記録並びに当委員会から本院に提出いたしまする調査報告書によつて、御了承を願いたいと存ずるのであります。
 この事件の概略を先ず申上げまするならば、本年一月の初め、農林省漁業監査官から、木更津地方檢察廳に、松島嘉久藏を漁業制限区域外に進出したことを理由として告発し、同檢察廳はこの事件を調査した結果、昭和二十一年六月勅令第三百十一号連合國占領軍の占領目的等に有害な行為に対する処罰等に関する勅令違反事実上して、木更津簡易裁判所に起訴したことに始まり、同簡易裁判所は、千葉地方裁判所木更津支部にこれを移送し、同裁判所は懲役八月罰金二万円に処する裁判をいたしましたところ、被告人はこれに対し控訴し、東京高等裁判所の審理中、被告人からの控訴取下げによつて、第一審裁判が確定するに至つたものでありまして、当事件の裁判につき、裁判所が國際的問題に如何なる関心を有しておるかが問題となつたのであります。即ち現下の我が國の民主國家、平和國家を標榜する新憲法の精神に従い、日本再建の途上にあるのでありまして、連合國最高司令官より絶大なる支援を與えられていることは敢て言うまでもないところでありまして、敗戰國としての日本に対し、各般に亘つてその自立に努力せられ、殊に八千万國民の食糧問題の解決については、世界食糧事情の困難なる事情があるにも拘わらず、多量の食糧の輸入を許可し、國民の食生活その他福祉の招來にあらゆる努力を傾注されておることは、國民としてすでに周知のところであり、その行爲に対しては誠に感謝に堪えないところであります。而して日本漁業の南洋捕鯨に関しても、連合國の一部に強硬な反対があつたにも拘わらず、マツカーサー元帥の多大な盡力によつて許可されるに至つたことは、日本國民の食糧問題の解決に関する、好意ある一環の政策の現われに外ならないのであつて、國民として忘れ得ないところであります。
 かかる状態の下にある日本國民といたしましては、國際信義を遵守してその誠意を表明し、世界の平和と文化の発展に寄與し、進んで國際連合への参加が許容せられ、世界各國と友好関係を保ち得る適格を一日も速かに認容されることが、國民に課せられた大なる義務であり、好意ある連合國に対して、その期待に應ずる唯一の途であると思われるのであります。
 かような事情にある日本國民が、連合國最高司令官によつて承認された漁業の出漁海域の制限を越え、これに違反するがごときことは、嚴に戒めなければならないところでありまするが、本件松島事件は右の制限に違反して、遥か南洋付近まで進出したというのでありまして、國際関係上重大な問題であります。これに関する裁判についても、愼重なる考慮の下に行わるべきでありまして、茹くも軽々に処理することを得ないものであります。
 よつて本事件の裁判について、如何なる國際的関係の認識の下に行われたかが、本件調査の主要な題目であり、これによつて裁判官の注意を喚起し、その識見を高めることを考慮いたしておるのであります。
 よつて本件調査の対象といたしまして、第一に、本件に対する裁判所の國際的関係の認識が如何であるか。第二には、本件についての裁判が遅延していないか、いたとすれば如何なる理由によるものであるか。第三には、本件についての裁判が、正当な事情の下に行われていたかという三点に、調査の目標を掲げたのであります。
 これに基いて司法委員会は調査要領を作成し、これに從つて調査を行なつたものであります。而してその調査の関係者は、千葉地方檢察廳檢事、千葉地方裁判所判事等八名に上り、最高裁判所及び農林省等から書類の報告を求め、これによつて調査をいたした次第であります。
 次に調査の結果について申上げます。第一の裁判が遅延していないかという問題につきましては、関係者についての調査並びに関係文書等によりますときは、種々の経緯はありまするが、要するに千葉地方裁判所木更津支部において、書類の作成が著しく遅延したことが、本事件の裁判の確定を延引せしめた原因であると認定せられたのであります。
 第二の國際的関係の認識の問題でありまするが、事件を起訴した檢察廳といたしまして、種々の経過を辿つた結果、その処理の終局においては本事件の國際的関係につき、これを認識していたものと認められまするが、事件の当初においては、遺憾ながら認識が極めて薄かつたと断定し得られるのであります。
 次に事件の裁判をした裁判所の、これについての認識は、如何がであつたかという点につきまして、詳細なる調査をいたしました結果、千葉地方裁判所木更津支部は、本事件につき、一應國際的関係があるという点に、考慮を拂つたことは認められまするが、本事件の発生が、只今申上げましたような國際間に如何なる影響を及ぼし、日本の食糧問題の解決及び日本の置かれている國際的立場と、本事件の本質的関係について、裁判官として廣い視野に立つ高い識見を欠いていたものと解せられるのでありまして、同裁判所の國際的関係の認識については、これ亦遺憾ながら極あて薄弱なものであつたと認定せざるを得ないのであります。
 更に第三の裁判が正当な事情の下に行われたかどうかについての問題でありまするが、本調査の結果、何ら裁判の公正なる運営を阻害するがごとき事情はこれを発見し得なかつたのでありまして、本件裁判は正当な事情の下に行われたものと断定し得るのであります。これは司法権の公正を表明するのでありまして、この点誠に御同慶の至りであります。
 以上これを結論いたしまするならば、本件に対する裁判は、書類作成のため不当に遅延したものと言い得るのでありまして、又國際関係の認識については、裁判所、檢察廳共に欠くるところがあつたと認定し得られるのであります。而して裁判が正当な事情の下に行われたかの問題については、何ら裁判の公正を妨げる事由は存在しなかつたと断定いたされるのであります。以上を以て松島事件に関する調査の報告を終ります。(拍手)
     ―――――・―――――
○副議長(松本治一郎君) 日程第一五五、祝祭日の改正に関する調査に関する件の委員長の報告を求めます。文化委員長山本勇造君。
   〔山本勇造君登壇、拍手〕
○山本勇造君 只今議題となりました祝祭日改正の件に関し調査を終りましたので、委員会における調査の経過並びにその結果につきまして御報告をいたします。
 順序として先ず申上げたいことは、昨年の十二月六日、第一國会もまさに終らんとする時でありました、衆参両院の文化委員会の合同打合会におきまして、政府からは、祝祭日を政令によつて改めたい、そうして十二月十五日頃までに発令したい考えであるから、急いで審議をして貰いたいという申入れを受けたのであります。併しながら、祝祭日は國民の思想、生活に及ぼす影響が大きいものでありまするから、これを十日間ぐらいの短かい期間で以て決定し、而も政令を似てこれを出すということは、どうも面白くない、できるだけ早く出さなければならないといたしましても、もう少し時間をかけ、又政令という形でなく法律を以て制定すべきであると、こういう意見が両院文化委員会の一致した主張でござました。その結果、政府におきましても、政令を取止めにいたし、法律を以て公布するということに同意をいたした次第でございます。そうしてその法律は、政府でなく國会において立法することといたし、両文化委員会はそれぞれ独自の建前を以て調査することといたしました。併し國民に及ぼす影響が大きいことを考えまして、互いに密接なる連絡を取り、成るべく同一の歩調を以て進もうということを申合せたのでございます。
 さて國会で立法するということになりますると、この問題に対して十分なる調査研究をいたさなければなりません。そこで第二國会の休会が明けますると、祝祭日に関する調査承認を議長宛に求めまして、二月三日その承認を得ましたので、正式に調査に取りかかつたのでございます。そして、このために委員会、打合会、懇談会、合同打合会等四十回の会合を重ねまして、漸く一つの法案を纏め上げ、この調査の目的を達しましたから、今日御報告を申上げる次第でございます。併しながら四十回に亘る会合の模様を細かに述べますことは非常な時間を要しますので、詳しいことは調査報告書並びに速記録によつて御覧を願いたいのであります。今日はその要点だけを申上げるのに止めておきます。
 ところで、その祝祭日を選定するのには、一定の基準を立て、その基準に從つて選り分けるべきものと信じましたので、先ず選定の基準を次のように定めたのであります。
 第一、新憲法の精神に則ること。第二、國民全体に繋がりのあるものを選び、部分的のものは除くこと。即ち團体的なものであるとか地方的なものであるのは除くこと。第三、世論を尊重すること。第四、國際関係を愼重に考慮すること。第五、しきたりを重んずること。第六、文化的意義のあるものは、新らしいものでもこれを取上げること。第七、季節とその配分とに注意を拂うこと。第八、秩序のない選択は避け、一連の繋がりを持たせること。第九、單なる休日と区別をいたし、國民に意義のある日として社会教育に役立せるようにすること。それには式典、表彰、行事、食べ物、服装などのことをも考えに入れること。第十、祝祭日の数は限定しないが、今回は余り多く採らないこと。以上の十項目でございます。
 第一の新憲法の精神に則るという條項は、すべての基準の中で最も重く考えたものでございます。今までの祝祭日は、王政復古思想の盛んでありました明治六年に太政官で判定したものでありますから、宮廷中心の祝祭日であります。併しながら今日では新憲法が公布され、主権が國民に移りましたる以上、祝祭日も亦國民の祝祭日でなければなりません。国民が挙つて祝い、挙つて樂しみ、挙つて感謝する日でなければなりません。そういう日である以上、この日を單に祝祭日と呼ぶよりも、又、祭という字に問題もありまするし、それから祝祭という言葉もむずかし過ぎますし、発音もしにくいので、参議院の文化委員会としましては、これを國民の日と呼ぶことにいたしました。國民という字を用いましたのは、新憲法の精神をこれらの日の上にも、はつきりと写し出したいと思つたからであります。以上のような基準を立て、四十回に亘る審議の結果、最後に決定いたしましたのは、「元日」年のはじめ、それから「成人の日」、一月十五日、「春分の日」、これは春分の日であります。「天皇誕生日」、四月二十九日、「憲法記念日」五月三日、「こどもの日」五月五日、「秋分の日」、これは秋分に当る日、「文化の日」、十一月三日、「勤労感謝の日」、十一月二十三日、この九つでございます。九つは今行われております十一の日よりも少うございますが、明治六年に初めて祝祭日が制定されましたときは八つであつたのであります。後に殖えることも考え合せまして、今回は九つに止めて置いた次第でございます。この九つは、先ず年のはじめ、それから國家、憲法、天皇、祖先、同胞、青年、子供、生物、自然という工合に、一連の繋りを持たせ、廣い意味の文化というもので結んであるのでございます。これらの日につきまして、一々説明をいたしますと、何でございますから、その中成人の日と、文化の日についてだけ簡單に申上げたいと思います。成人の日、成人という意味は、大人に成るということでございます。このたびの選定にあたりまして、子供の日、成人の日が入つておりますることは、特に次の時代の人々に強い希望をかけておるからでございます。今、日本では食糧が足りない、物資が足りないと申しておりますが、むしろ一番欠けておりますものは人物でございます。國の建直しをやりますのには、人物を養うことが根本の要件であると信じます。それらは学校教育もございますが、社会教育に待つところも又必要と考えるのであります。そういう建前から子供の日を取上げたのでございますけれども、併し今日の子供は、大人になつたという自覚を持つけじめの日がございません。昔は元服とか、裳着とか、へこ祝いとか、すつぺがしなどと申しまして、必ずしも武家とか、公卿とかいう階級だけでなしに、町人、百姓までも、こういう祝いを祝つたのであります。それが明治になりますと、断髪令が出ると共に、それがなくなりました。ところが、徴兵令ができましたために、敗戦前までは兵隊檢査ということが、一つの区切りになつておりました。今日ではそれもなくなりましたのて、締りがつかない形になつております。これは非常に遺憾なことでありまするから、成人の日を設けたのでございます。これは、ただ元服の形式を採ろうとしたのではなくて、その精神を生かしまして、青年諸君が國家社会のために、進んでは世界人類のために盡そうとする自覚を持つて貰いたいというのが、その狙いでございます。又十一月の三日を文化の日といたしましたのは、これは明治天皇がお生まれになつた日であり、明治節の祝われた日でございますが、立法の精神から申しますと、この日は御承知のように、新憲法が公布された日でございます。そうしてこの新憲法において、世界の如何なる國も、未だ曾て言われなかつたところの戰争放棄という重大な宣言をいたしております。これは日本國民にとつて忘れ難い日でありますと共に、國際的にも文化的意義を持つ重要な日でございます。そこで平和を図り、文化を進める意味で、この日を文化の日と名ずけたのでございます。平和の日といたしましてもよいのでありますが、それは別に講和締結の日を予定しておるのでございますので、それを避けたのでございます。
 それから、世論に上つておりながら、加えなかつたものについて二三申上げたいと存じます。例えば婦人の日、クリスマス、メーデーなどは、調査の途中にしばしば問題に出ましたが、主として先程申上げました基準の第二に照し、又第一の基準、その他の基準に照しまして、合わないところもございますので、取らなかつた次第であります。中にも紀元節は最も心を痛めたものでございまして、世論調査でも高い順位になつておるのでありますから、慎重の上にも慎重を期し、この日をどう取扱うかという点で、半年以上の日子を費したのでございます。併し二千六百八年という紀元につきましても、二月十一日という日についても、歴史の上で大きな疑問があります。又傳説と考えるといたしましても語り傳えられた傳説でなくて、作り上げられた傳説であるという意見が一委員から再三述べられております。世論はもとより尊重しなければなりませんけれども、それは日本の世論だけでなく、世界の声も耳を傾ける必要があると思うのであります。この度祝祭日を定めるというので、世界では、日本がどんな日を選ぶかということに非常に注目を拂つております。日本は日本の日本でない、世界の中の日本であります。殊に今日は連合軍の占領下にあるのであります。我々は十分に國際間のことを考慮し、廣い眼を以て日本を眺め、日本の成長を祈らなくてはならないと信じます。
 さて以上述べましたように、両文化委員会で度々会同打合せをいたしました結果、日の選定を終りましたので、参議院文化委員会といたしましては、予ねてから参議院の法制部等に命じまして、調査研究を進めておりました関係上、直ちにその試案の起草にかかりました。そうして國民の日に関する法律案を作成し、更にその後の委員会において、これに修正を加え、又衆議院の意見も取入れまして、議会に提出するだけの準備を整えたのであります。この法案は至つて簡單なものであります。法文といたしましては僅かに三條、それに附則を加えただけのものに過ぎません。この日は休日にいたしますが、若しその日が日曜とかち合つたような場合にはどうするか、年末年始の休日はどうするかというような問題もありまするけれども、それらは官廳休日によつて規定する方がよいと存じましたので、この中には加えませんでした。又この國民の日には式典、行事、食べ物などのことも考慮いたしております。併しながら、そういうことを法律の中で定めますことは、行き過ぎになると信じましたので、これらは民間の盛上る力に任せることにいたしまして、ただ日を定めた程度にいたしてございます。若し民間において、これに対する委員会が組織され、熱意が高まつた場合、活動ができないようでは残念でありまするから、度々政府の意見を質し、特に苫米地官房長官からは、そのような際には予算等もできるだけ考慮するという言質を得ております。國会は立法の府でありますが、ただ法律を作り、法律を通すというだけでなく、その法律が活用されるように注意し、努力をするということも、亦一つの責務であると信じております。世論調査では、藝術祭、科学祭、植樹祭などの希望も少くございません。併しこれらはむしろ行事に属すべきものでありまするから、民間においてそれぞれの日に適宜に行事として取上げられるならば、これらの希望も生きて來ることと存じますし、又日の方において潤いが付いて來ることと存じます。
 尚、この法案は、衆参両文化委員会で合同作成したものでございますが、その提出は衆議院からいたすことにいたしました。そうしてその御審議は明日願うようになるであろうと存じます。
 最後にこの調査が滯りなく完了いたしましたのは、半年以上に亘り、長い間理事並びに委員諸君の熱心なる御努力と、衆議院文化委員会の御協力によるものでありまして、深く感謝をいたしておる次第でございます。簡單でございますが、以上を以て御報告を終ります。(拍手)
     ―――――・―――――
○副議長(松本治一郎君) 日程第一五―六水、産物増産対策に関する調査に関する件、委員長の報告を求めます。水産委員長木下辰雄君。
   〔木下辰雄登壇、拍手〕
○木下辰雄君 只今議題になりました水産物増産対策に関する件について、水産委員会におきまする調査の経過について御報告いたします。本委員会においては、去る二月の三日議長の承認を得まして、水産物の増産対策に関する調査に着手いたしたのであります。二月五日以来数回に亘り関係官廳の係官等を招致しまして慎重に調査をいたしましたが、尚調査の便宜のために、漁業資材調査小委員会と水産金融調査小委員会の二つの小委員会を設けまして、調査をいたしたのであります。漁業資材調査小委員会は、小委員長田中信儀君外九名が委員としまして、又水産金融調査小委員会は小委員長丹羽五郎君外八名が委員となつて、おのおの数回に亘り小委員会を開き調査をいたしたのであります。
 今各小委員会の調査の結果につきまして、六月二十八日水産委員会において審議決定いたしました事項に関し御報告申上げます。
 漁業資材調査小委員会では燃油、綿漁網綱及び撚糸、マニラ、麻等漁業用資材の重要なるものにつき調査をいたしました。そのうち綿漁網綱及び撚糸については急速に調査の目的を達成する必要上、八名の委員を主要生産地である石川縣方面と三重縣及び大阪府方面の二班に分れて、主要工場につきまして実地調査をなすと同時に、関係業者につき、生産配給上急速改善を要する事項につき、種々取調をいたし、慎重調査の結果、水産物の増産を図るためこれが重要資材たる綿漁網綱及び撚糸の生産配給に関しまして、急速に改善実施を要する事項を決定いたしたのであります。
 以下は田中小委員長報告の要旨であります。即ちその第一は、綿漁網綱及び撚糸の遊体機械の動員、工場新設の許可を促進することであります。その訳は、綿漁網綱及び撚糸用綿糸は、連合軍の好意によりまして、戰前と殆んど同じ程度の数量を割当てられることになつたのであります。然るにこれが生産能力につきましては、機械及び工場設備は大体戰前の六割五分以上は復活を見たのであるが、労働基準法の適用、電力の制限その他の事情によりまして、生産能力は三四割程度に過ぎないのであります。これがために割当量の綿糸を年度内に全部消化することは甚だ至難であります。然るに、綿漁網綱及び撚糸の機械で未だ動員せられない相当のものが残つておるのであります。又工場を新設し許可を要望しておる者もあるのであります。それにも拘わらず、政府はこれに許可を與えていないのであります。それで、速やか遊休機械を活用し、更に新工場の設置に対し積極的に許可を與え、漁網綱の生産能率を増進せしめなければならないのであります。第二には、漁網綱及び撚糸の生産に関する主管官廳と配給に関する主管官廳とを同一にすることであります。その理由は、綿漁網綱及び撚糸の生産及び配給の状況を見ますると、生産に関する事項即ち指定生産資材の割当、工場の監督等は商工省の主管であり、又これが配給は農林省の主管である関係上、生産と配給が合致せず、かれこれ食違いの点が多く、ために生産能率を減退し、更に水産物増産に支障を來すことが多いのであります。かような次第で、速かに漁網綱及び撚糸の生産に関する主管事項をも農林省に統一することが必要であるのであります。第三は、綿漁網綱及び撚糸の嚴重なる檢査を実施することであります。即ち漁網綱及び撚糸に対する嚴格なる檢査がないために、品質の粗惡、量目の不足が漸時増大する傾向にあります。甚だしきは規格の一割に近い量目不足のものもあるのであります。このままに放任するときは、品質を更に粗惡化し、量目の不足を一層増大せしむる虞があるのであります。第四は、漁網綱及び撚糸業者への原料綿糸の引渡しを合理化し、公平なる取扱いをなすことであります。その理由は、紡績業者が漁網綱及び撚糸の業者への原料綿糸を引渡す場合に、情実や代金の前納の多寡などによりまして、粗惡品の引渡しや、又は引渡期日を甚だしく遅延せしめるなど、甚だ不公平なる配分が行われておるのであります。この点を十分調査して、引渡しの合理化を図る必要があるのであります。第五は、漁網綱及び撚糸の急速受渡に対し嚴重なる監視督励をなすことであります。その理由は、漁網綱及び撚糸の発達を遅延せしめることがしばしばあります。殊に公定価格改正の際のごときは、漁業者への受渡しが特に遅延し、ために漁期を失することが多い。この点特に留意し、嚴重監督をなし、出荷を遅延せしめざるような措置すべきであります。最後に、漁網綱及び撚糸の公平配分を行うことであります。漁網綱の末端配給の現状を見まするに、各都道府縣に置いてあります農林省の資材調整事務所が、地方割当委員会に諮問して、各漁業種別に割当をなしておるが、この割当に際し、着業数、一統の作成、所要量、年間損耗率、一統当り年間補充量等の調査が不十分のために、配給において各漁業種間の均衡を失し、公平を欠くことが多いのであります。これが資材調整事務所の認識不足を非難し、調整事務所の廃止を主張する原因ともなるのであります。よつて速かに各漁業種別に実態調査をなし、都道府縣内の公平配給を行うと同時に、全國的にも公平なる配給をなす必要を痛切に感ずるのであります。
 次に水産金融調査小委員会におきましては、本年に入つてから、一般漁業界が極度の資金難に悩み、これを打開しなければ増産は覚束ない情勢にあれますので、諸般の状況を慎重に檢討いたした結果、先ず根本対策として、農林水産復興金融金庫を設立し、國家資金の融通によつて業界の経営難を建直し、一方漁村方面の資材購入資金すら困つている急場を救うため、應急対策として漁業手形制度を支給確立し、漁業用資材を円滑低廉に入手することができるようにしなければならないということに意見の一致を見たのであります。
 次は丹羽小委員長の調査報告の概要であります。先ず農林水産復興金融金庫について申上げますと、昨年來水産資金の大部分は、復興金庫より融資されているのでありますが、昭和二十三年五月末現在の復金融資の残高を見まするに、貸出総額七百四十二億七千余万円のうち、水産業に対しては僅かに三十億五千七百万円を貸出されておるに過ぎません。昨年一月復金創設以來一年半の間に僅かこの程度の資金しか融通されない。これで水産業を再建しようということは到底望み得ることではないのであります。これは言うまでもなく、復興金融金庫創設当初の融資目標が鉱工業方面に重点が置かれ、制度上からも人的構成からも基礎産業方面を軽視しておるからに外ならないのであります。それは今日までの金庫運営の状況を御覧になれば直ちに了解ができるのであります。復金関係者には水産業の重要性と現状に対する認識が乏しく、その結果業界の復興は常に資金難に追われ、起ち上ることができない現状であります。
 次に、水産業に対する復金融資の内訳を見ると明瞭になるのでありますが、その融資先の大部分は資本漁業でありまして、漁獲の八〇%を占める沿岸漁業に対しては殆んど貸出が行われていないのであります。これは平時と異なり今日のごとき國家非常の際には、先ず國民栄養の確保を期して初めてあらゆる産業の再建もできるのでありますから、大局的見地に立つて國家資金を以て一般漁民を援助し、復興せしめて増産させることが政府の探るべき根本政策でなければならんと存じます。
 更に、この場合特に強調して置きたいと思いますことは、漁業の民主化の問題であります。政府におきましては近く漁業法の改正案と、漁業協同組合法案を國会に提出し、漁業権の再分配と同時に一般漁民の協同の力による生産、加工等の経済行爲を行わしめ、いわゆる漁業の民主化を実現する計画を進めておりますが、これが成功するかどうかは、一に協同組合に対して國家資金による金融援助が與えられるかどうかにかかつておるのであります。折角漁業権の再分配が行われましても、或いは一般漁民の協同組合が結成されましても、資金が與えられなければ経済活動はできないのでありまして、民主的に再分配された漁業権は再び大資本に兼併されるか或いは休眠状態に陥つて水産物の大減産を來すことは火を見るよりも明らかであります。これが即ち農林水産復興金融金庫の設立を必要とするゆえんであります。水産委員会におきましては、この小委員会の意見の通り満場一致を以てこれを採択し政府、関係方面にその趣旨を傳達したのでありますが、若し諸般の事情からして本金庫の設立が困難であれば、これに代るべき措置を至急に立てるよう強く要請したのであります。
 次に、漁業手形の問題につきまして簡單に御報告申上げます。御承知の通り漁業用資材は、終戰以來非常に不足いたしまして、漁業者はあらゆる困難を克服しながら増産に努力して來たのでありますが、幸いに連合軍総司令部の特別なる好意によりまして、近く燃油、漁網綱用綿糸及びマニラ麻の増配が実現されることになりましたことは、すでに申述べた通りであります。ところがこれら資材の購入に要する資金を見ますと、燃油におきましては毎月平均一億五千万円程度の資金を必要とするのであります。恐らく今回の物価改訂によつてこれが三億円以上を必要とすることになるのではないかと思います。又漁網綱用綿糸、マニラ麻はこれを製品として、現在の公定価格で計算しますと、その所要資金は毎月二億五千万円見当となり、これ又物価改訂によつて五億円以上を必要とするのでありまして、両方合せて一ケ月八億円乃至十億円の資金を要することに相成るのであります。ところが一般漁業界の金融状況は、先程來申上げました通り極度の逼迫を告げておるのでありまして、かかる巨額の資金を要する資材の購入は、実際問題として不可能な状態にあります。從つて折角の総司令部の好意もこれに対する政府の処置如何によつては、貴重な資材が百%効率を発揮するか、或いは徒らに滯貨となつてしまうか、誠に重大な岐路に立つて言わなければなりません。よつて政府におきましては万遺憾のないよう、これら資材の円滑なる配給を確保するため、漁獲物の水揚代金を見返りとする漁業手形制度を至急に確立し、所要資金調達の途を開くよう即時措置すべしということに意見の決定を見たのであります。本委員会おきましても、満場一致を以て小委員会の両案を決定いたし、それぞれ政府に実行方を要請いたした次第であります。
 以上水産委員会の水産物増産に関する調査の経過並びに結果を御報告いたします。(拍手)
○副議長(松本治一郎君) 只今の水産委員長の報告に関連しまして、丹羽五郎君より質疑の通告があります。丹羽五郎君。
   〔丹羽五郎君登壇、拍手〕
○丹羽五郎君 只今の水産委員長の報告によりまして、刻下の我が水産業界が如何に極度に金融が逼迫して來ておるかはお分かりのことと存じます。私はその実情を漁獲高の統計によりまして、これを立証いたしたいと思います。先ず昭和十五年度の日本の裝漁獲高は約十五億万貫であつたのでありますが、昭和二十年、終戰の年の直後におきましては、その漁獲高は三分の一の五億万貫であつたのであります。戰争の被害で多くの漁船は沈没いたしまして、漁具はこれまた燒失をいたしました結果で、昭和二十二年度におきましても漸く八億万貫程度で漁獲高があるのであります。かくのごとき遅々たる進歩の成績は、何がこの原因をなすかと申しますと、これは政府が漁業に対する理解が乏しいことに最大なる原因があるのであります。その一例を以てこれを律しますれば、本年四月現在復金融資のその残高によりまして見ますに、貸付総額六百四十二億余万円に対しまして、水産業に貸出した額は僅かに二十九億余万円に過ぎないのであります。この少額なる資金では、甚大なる戰争による被害の復興はなかなか困難であるのであります。政府は國民に対し栄養素の蛋白質給源を魚類に求め、一にも魚、二にも魚と我々漁民に強くこれを要求いたしておるのでありますが、漁船を造るのにも金がなく、漁具を求めますのにも資金が乏しく、漁民は沖に群集する漁群を眺めまして手をつかねてこれを見逃しておる有様であります。現在漁獲の八〇%と申すものは沿岸漁業であります。かくのごときは重要なる役目を持つ沿岸漁業者には何らの金融の途がないので、折角只今委員長の報告にありましたごとく、総司令部の御好意で本年は相当の漁業資材が輸入されるのでありまするが、これを購入する資金が皆無で、これ又漁民は遺憾ながら見送らなければならない事態に入つたのであります。今や漁民大衆は増産をどうするか、甚だ不愉快な言葉を以て申しますが、現在我が漁業界は休眠状態に陷つておるのであります。水産物は却つて減産を來たすの慮れの兆があるのであります。政府は本年五月十一日より実施されました農業手形制度、これによりまして農民諸君は肥料、農薬、農機具の購入ができまして、非常なる恩惠を蒙つておるのであります。從つて増産が図られておるのでありまするが、漁業者に対しましては、何ら恩典が與えられないのであります。國民生活の給源たる農業と漁業とは、恰も車の両輪のごとく、重要基礎産業でありますが、永江農林大臣は歴代の農林大臣中、なかなか物のお分りのよい、近來にない名大臣だとの世評を聞いておりますが、(「然り」と呼ぶ者あり)農業と同様、漁業に対する漁業手形の制度を実施し得なかつたことは、これ一つの黒点であるのであります。資材も資金も與えずして、これで魚を釣れとは、恰も木に縁つて魚を釣れというのであります。この場合水産金融の極度の逼迫を、漁業手形制度の制定を以ちまして、これがいわゆる資金の融通を円満ならしめ、水産物の増産をなす所信は大臣にないのでありますか、農林大臣の決断と勇氣のある、本日午前の議会に答えられたような雅量を以て、私は明快なる御答弁を得たいと考えておるのであります。
 又大蔵大臣にちよつとお尋ねをするのでありますが、我が國は領土を失う前には世界三大漁場の一であつたことは、よく御存じのことと私はかように考えておる。即ちノールウエー近海、北米の近海、北海道、千島近海、これが即ち世界の三大漁場であつたのであります。その当時は「まぐろ」の罐詰「かつを」の肝臓の罐詰、「いわし」の油漬けの罐詰、真珠貝その他相当量の貿易品として輸出されておつたことは、よく御存じのことと私は考えます。が、又近き将来講和條約が成立をいたしまして、活発な貿易も近きにありますので、これが準備にも、これら事業の再建を図るため、農林、水産復興金融金庫のごときものを制定する意思がおありのことと、かように考えますが、この点について答弁を得たいと考えております。
 もう一点、諸種の事情で、この新設が困難でありとするならば、即ち農林水産復興金融金庫が、諸般の事情によつてこれが設立が若しも至難であるならば、これに代るべき何らかの対策を持つておられるか、その点を大蔵大臣にお尋ねする次第であります。以上を以ちまして、私の質問を終る次第であります。(拍手)
   〔國務大臣永江一夫君登壇、拍手〕
○國務大臣(永江一夫君) 只今お尋ねになりました二点について、お答えを申上げます。先程來水産委員長が御報告になりました中にもございましたように、我が國の原始産業の一つでありまする水産が、とくに四面海に囲まれておりまする國といたしまして、最も重要性のありますことは、何人もこれを否定することができないと存じます。時に終戰後、我が國に持たれましたいろいろな制度の中で、鉱工業の面については、いろいろ金融について特別な考慮が拂われておるに拘わらず、原始産業の面でありまする水産、農業、林業等にこれらの措置がないということは、誠に残念なことでありまして、私共農林当局といたしまして、これら原始産業の増産を図るべき責任を持つておりまする省におきましては、鋭意これら原始産業に対しまする特別なる金融の方法を考案いたしまして、政府部内におきましては、大蔵省、経済安定本部並びに関係筋に対して、いろいろ折衝をいたしたのでございます。この考え方の中で、第一にお尋ねになりました漁業手形制度がございます。これは今お尋ねの中にありましたように、同じ原始産業の中におきましても、農業につきましては、本年の春肥或いはその他の農業再生産に必要な資材を購入いたしまするための、農家の非常に逼迫いたしました金融を助けまする制度としまして、農業手形制度の実施をいたしたのでありますが、その当時私共は、漁業についても同様なる方法を勘案いたしまして、それぞれ関係方面と折衝をいたしたのであります。併しながら漁業手形制度につきましては、農業手形制度に準じて、その方法は一つあるのでありまするけれども、農業と異つておりまする漁業でありまして、保險及び補償の制度がないという一つの理由、他の理由は、漁獲物の代金支拂いの径路が一定していないというような点がありまして、産業資金融通準則に定められておりまするところの、日本銀行の認める優良手形の範疇に入るか入らないかということで、可なり政府部内にいろいろな異論がございました。併しながら私共としましては、今お尋ねになりましたような趣旨に應じまして、飽くまでも原始産業を守つて行くという農林省の責任上、目下関係方面、政府部内において、これらの点を解決するために努力をいたしておりまするので、來たるべき適当な國会に対して、この案を示すつもりでございます。
 第二の点につきましての、復興金庫に準ずる点については、主に大蔵当局にお尋ねがございましたが、私は参考のために附加えて、農林省の立場を申上げて置きたいと存じます。即ち先程申しましたような、原始産業のための金融といたしまして、当然農業、水産業、林業に関しまする特別なる方途が講ぜられなければならないと存じまして、これらについてはいろいろな案を立てたのでありますが、それらの内容は、いずれ大蔵当局からお答えがあると思いますが、いずれにいたしましても、これらの幾多の案の中で一番早く効果を挙げまする方法を勘案いたしまして、閣議決定として関係方面に折衝をしたのであります。從つて日本政府といたしましては、飽くまでも農林省が考えておりまするように、農業、水産、林業に対しても復興金庫に準ずべきものを置くということについては、基本的に意見が一致しておるのでありますから、本國会が終了前にその代案が得られない場合には、必ず次の國会にその案を立案いたしまして、御審議を願いたいと考えておる次第であります。以上お答え申上げます。(拍手)(「農林大臣は誠実だよ」と呼ぶ者あり)
   〔政府委員森下政一君登壇、拍手〕
○政府委員(森下政一君) 丹羽さんのお尋ねにお答えいたします。大藏当局に対する御質問は、農林水産復興金融金庫といつたようなものを創設する意思がないか、こういうお尋ねでございました。大体只今農林大臣がお答えになりましたことで盡きておると思うのでありまするが、農林省の極めて熱心なる要望もあり、且つ大藏当局といたしましてもその必要を認め、これに協力を惜しむことなく、政府といたしましても是非そういうような資金を設けることが必要であろうというお考えの下に、只今農林大臣が御言明になりましたごとく、すでに閣議においては決定を見たのでありまして、或る一つの具体案を持つて関係方面との折衝に当つたのでありまするが、ただ多少その間に完全なる了解を得るというところにまで到達いたしかねておりますので、この國会に政府が当初所期いたしましたように間に合うように提案をいたしまして、各位の御審議を得たいと思つておりました希望は、そのまま実現することは、会期が剰すところ僅かに一日ということになりまして、でき難いと思うのでありまするが、すでに政府の方針として閣議決定を見ておりますような次第でありますので、必ず近き将來の國会に具体案を提げて、各位の御審議を煩わし、御満足を得て頂くことができると、かように考えておる次第であります。
○副議長(松本治一郎君) 本日の議事日程は全部終了いたしましたが、会期は明日を以て終了することでありまするから、委員会の議案審査の状況に應ずるため、暫く休憩いたします。
   午後八時三分休憩
     ―――――・―――――
   午後九時二分開議
○議長(松平恒雄君) 休憩前に引続き会議を開きます。参事をして報告いたさせます。
   〔宮坂参事朗読〕
 本日委員長から右の報告書を提出した。
 昭和二十三年度一般会計予算、昭和二十三年度特別会計予算可決報告書
     ―――――・―――――
○議長(松平恒雄君) この際日程に追加して、昭和二十三年度一般会計予算、昭和二十三年度特別会計予算、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ない認めます。先ず委員長の報告を求めます。予算委員長櫻内辰郎君。
    ―――――――――――――
   〔櫻内辰郎君登壇、拍手〕
○櫻内辰郎君 只今議題となりました昭和二十三年度一般会計予算及び昭和二十三年度特別会計予算案の、予算委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 去る六月十日より七月四日まで、総会を開くこと十二回、分科会を開くこと十五回の外、六月十七日及び十八日の同日公聽会を開き、更に第四分科会は、運輸交通委員会及び通信委員会と連合審査を行ないまする等、慎重に審議いたしまして、七月三日衆議院より予算案の送付を受け、本審査に入り、質疑應答の後、討議に入り、採決の結果多数を以て衆議院より送付の原案通り可決すべきものと決定した次第であります。
 先ず第一に、政府より予備審査のため本院に提出されました昭和二十三年度予算案について申上げます。本案は、物件費については公定価格を概ね七割程度引上ぐるものとし、人件費については一般勤労者の賃金水準三千七百円を基準として積算し、更に行政整理の予算的処置として、一般会計においては原則として一割五分を削減し、又歳入においては、税制の改正、專賣品、鉄道運賃、通信料金の値上等、極力一般歳入の増加を図り、以て收支の均衡を堅持せんとするものであります。
 先ず一般会計予算について申上げます。本案による歳出の主なるものは、終戰処理費九百二十六億円、賠償施設処理費六十四億円、価格調整費五百十五億円、物資及び物価調整事務取扱費六十九億一千四百三十六万四千円、公共事業費四百二十五億円、地方分與税分與金四百四十九億一千六百万円、復興金融金庫等政府出資金百八十九億七千三百五十六万六千円、國債費七十五億二千二百八十五万円、小学校教員給與国庫負担金八十七億四千百三十二万五千円、新制中学校実施費四十四億四千二百七十二万三千円、生活保護費七十四億八百三十八万一千円、同胞引揚費五十二億三千九百九十二万円、農地改革費四十二億三千五百四十六万三千円、鉄道並びに通信事業の赤字補填のため繰入百五十億円、船舶運営会補助四十億円、価格補正等特別補充費六十億四百二十八万七千円、その他國会、裁判所、行政各部等の経費七百二十九億八千百十二万一千円、以上合計三千九百九十三億八千万円となるのであります。これが財源といたしましては、租税收入二千五百八十二億五千七百万円、專賣廳益金九百四十三億一千七百六十万一千円、価格差益納付金百八十九億二千七百十万三千円、その他官有財産收入、雜收入等二百七十億四千六百二十二万三千円、前年度剰余金受入八億三千二百七万三千円、以上合計三千九百九十三億八千万円を充当するものであります。尚以上の外、金融機関、保險事業等の損失補填のため、交付公債二百三十四億七千三百二十七万八千円を発行せんとするものであります。
 次に特別会計予算について申上げます。本案は二十六の特別会計に関するものでありまして、その総額は、歳入、一兆一千百八十三億四千九百十一万九千円、歳出一兆二百二十七億一千六百八十万円となつております。右の内鉄道、通信料特別会計においては、独立採算制並びに物価政策の両面より檢討の結果、鉄道運賃三・五倍、通信料金四倍の引上げ、行政費の一般会計への組替等をなすの外、赤字補填のため百五十億円を一般会計より繰入れをなさんとするものであります。尚鉄道、通信、林野事業等の特別会計においては、その建設改良費の財源として、公債又は借入金三百九十億八千八十八万五千円を充当すると共に、内二百十億円を限度として、日本銀行の引受け又は日本銀行よりの借入れをなさんとするものであります。又本予算実施に当り生ずる歳入歳出の時間的ズレを調節するため、大藏證券等による一時借入金の最高限度を、一般会計においては六百億円、特別会計においては三百四十億九千八百四十一万八千円となさんとするものであります。
 さて予備審査における質疑應答の主なるものを申上げますれば、一委員より、物価改訂をせず予算の編成ができなかつたのか、との質疑に対し、政府委員より、現在の価格体系では一般会計よりの補給金、鉄道、通信両特別会計への繰入れ、復興金融金庫の赤字等、月平均百億円程度の赤字の負担となりますので、極力政府及び民間事業の赤字を克服すると共に、特別会計への繰入れ、価格差補給金を一定限度に止め、似てインフレを抑制する方針の下に、新物価体系を設定して、予算を編成したのでありますとの答弁があり、一委員より、物価並びに賃金水準の上昇により、追加予算を必要とするに至るのではないかとの質疑に対し、大藏大臣より、政府は物価と賃金との均衡保持を建前として、予算を編成したのでありまして、今後生産の増強、特に生活必需物資の確保により、実質賃金の裏附けをなす外、財政、金融両面よりインフレを防止し、突発的事項の発生しない限り、追加予算を提出しないつもりでありますとの答弁があり、一委員より、総理は行政整理を徹底的にやる意思ありやとの質疑に対し、総理大臣より、政府は極力行政整理の方針を貫徹するつもりでありまして、本予算中一般会計の人件費はすでに一割五分の削減をなせる外、出先機関の整理、各機関の統合調整等、逐次実施に移すつもりであるとの答弁があり、又一委員より、莫大なる軍事公債を今後如何に処理する方針なりやとの質疑に対し、大藏大臣より、軍事公債の九割六分は大衆の預金を背景とする金融機関の所有に属しており、資本の蓄積、外資の導入が日本の経済再建の最も重要な今日、簡單に國民の貯蓄を否認するような処置を取ることは重大問題と思うとの答弁があり、一委員より、法人税の引下げは外資導入に名を籍りて、資本家を擁護するものではないかとの質疑に対し、大藏大臣より、所得税の引下げにより勤労者の生産意欲を高揚すると同様、法人の負担を軽減し、企業活動を旺盛ならしめ、インフレを抑制する趣旨であつて、何ら階級的な観念に基くものではないとの答弁があり、又一委員より、給與水準決定の基礎資料に変化があつた場合、如何なる処置を取るかとの質疑に対し、労働大臣より、政府としては一應妥当と思う資料に基き決定したのであるが、若しその基礎資料に変化があつた場合には、何からの調整が考慮せらるべきであると思うとの答弁があり、又一委員より、地方財政委員会を改組、拡充すべきではないかとの質疑に対し、野溝國務大臣より、委員数の増加は勿論、更に権限を拡張して、地方財政の改革をなし得るよう改組、拡充する必要があると思うとの答弁があり、又一委員より、農民の租税負担を更に軽減すべきではないかとの質疑に対し、農林大臣より、財政の現状より見て、所得税については特に軽減できなかつたことは誠に遺憾でありますが、主食を事業税の対象より除く等、原始産業の犠牲によつて近代産業の繁栄を図るがごとき弊に陥らないように一層の努力をするつもりでありますとの答弁があり、その他重要なる質疑應答がありましたが、詳細は速記録により御承知を願います。
 次に七月三日衆議院より送付を受けました昭和二十三年度予算案は、予備審査のために提出せられたる原案に対して一部修正せられておりますので、その修正せられたる概要について申上げます。
 先ず一般会計予算につきましては、その歳出において鉄道旅客運賃の値上率を二・五五倍の修正等に伴う赤字補填のため鉄道、通信両特別会計への繰入増二百二億円、文教費、災害費、引揚者住宅建築費等の増二十五億九千百四十三万五千円、競馬及び富籤の官営による経費増十七億二千百九十二万円、入場税地方移譲に伴う経費減六十三億七千三百万円、物件費、失業保險費、政府出資金等の減三十億五千八百二十二万円、以上増減差引百五十億八千二百十三万五千円の予算増加となるのであります。これが財源といたしましては、高額所得者の税率引上げ、課税の充実等による所得税増收額百八十億一千万円、免税品目拡張による取引税等の減收六十七億円、価格差益補給金の増二十一億一千九百八十三万二千円、競馬及び富籤の官営による收入増三十四億九千九百四万七千円、入場税の地方移譲による收入減六十三億七千三百万円、その他雜收入等の増二十億二千六百二十五万六千円、前年度剰余受入二十五億円、以上増減差引百五十億八千二百十三万五千円を充当せんとするものであります。
 次に特別会計につきましては、一般会計予算の修正、國営競馬及び外國貿易特別資金特別会計の新設等に伴い予算の修正をなさんとするものでありまして、歳入百二十六億八千八百七十万円、歳出百二十三億二千八百七十万円の予算増加と相成るのであります。右のうち鉄道特別会計においては、輸送力の増強に伴う建設改良費の財源として、公債金三十二億三千四百七十五万三千円を発行せんとするものであります。
 以上述べました修正の結果、昭和二十三年度予算は、一般会計においては歳出歳入共四千百四十四億六千二百十三万五千円となり、特別会計においては歳入一兆一千百九十六億一千七百九十八万九千円、歳出一兆二百三十九億四千九百六十七万円と相成るのであります。
 予算修正に関する質疑應答の主なるものを申上げますれば、一委員より、軍事公債利拂延期は金融界に対して非常な不安を與えるものではないかとの質疑に対し、大藏大臣より、軍事公債に関する最大の不安は、公債元本の打切り、利子支拂の全面的停止等でありまして今回の單なる利拂期日延期の処置はむしろ右の不安を除くのではないかとも思われるとの答弁があり、又一委員より、農村金融対策は本國会の会期中に解決できるかとの質疑に対し、大藏大臣より、農村金融対策については、諸般の事情より未だ解決するに至つておりませんが、至急これが解決をなすべく目下最善の努力中でありますとの答弁があり、一委員より、原価計算が不正確なるため不当に物価を吊上げておるのではないかとの質疑に対し、総理大臣より、すべての物資に対し、正確なる原価計算に基き適正なる価格を決定することは、極めて困難でありますが、專門的知識及び経験を有する職員の配置等により、一層の改善を加えたいとの答弁があり、又一委員より徴税の遅延防止の対策如何との質疑に対し、大藏大臣より税務署の増設、税務官吏の質量の充実、更正決定の適時適正等により納税の促進を図り、以て徴收の時期的ズレによる政府支拂の遅延、財政の金融面に対する圧迫を少くしたいとの答弁があり、一委員より三千七百円の実質賃金を維持する用意があるかとの質疑に対し、大藏大臣より、食糧及び衣料の増配、特に勤労者に対する傾斜配給の強化等により、実質賃金を維持できる見込みであるとの答弁がありました。その他質疑應答の詳細は速記録により御承知を願います。
 七月四日第一分科会主査岡本愛祐君、第二分科会主査木村禧八郎君、第三分科会主査西川昌夫君、第四分科会主査村上義一君より各分科会とも原案通り可決すべきものと決定した旨の報告があり、質疑を終局して討論に入りましたが、木村禧八郎君及び中西功君より、それぞれ予算を返上すべしとの提案があり、西川昌夫君より鉄道旅客運賃値上を二倍、貨物運賃を三倍、取引高税廃止を要旨とする修正意見を提議して、原案に反対の旨を述べられ、村上義一君、波多野鼎君、帆足計君等より原案に賛成の意見があり、池田恒雄君より原案反対の旨を述べられ、又小野光洋君より西川昌夫君の修正に賛成する旨の意見があり、討論を終局して、採決の結果、木村禧八郎君及び中西功君の予算返上案及び西川昌夫君提案の修正案はそれぞれ否決せられ、原案について採決の結果多数を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。
 尚一月三十一日予算委員会において予算編成に関する事前調査のための小委員会を設け、二月六日調査要求の承認を得ましたが、前後五回会合をいたして、予算編成に関する調査並びに懇談をいたしましたことを、ここに併せて御報告を申上げます。(拍手)
○議長(松平恒雄君) この両案に対する討論の通告がございます。小野光洋君。
   〔「議事進行」「やめておけ」「権利放棄」「靜かにしろ」「しつかりやれ」「やかましい、ごたごた言うな」「ゆつくり頑張れ」「議長何とか言え」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
   〔小野光洋君登壇、拍手〕
○小野光洋君 聊かお待たせいたしまして相済みません。(「しつかりやれ」と呼ぶ者あり、笑声)
 私は昭和二十三年度一般会計及び特別会計予算案に対しまして、民主自由党を代表いたしまして、(「十八番だ」と呼ぶ者あり)修正案を提出いたします。尚政府原案に対してはこれに反対をいたします。而して右の趣旨をこれから聊か弁明いたしたいと思うものであります。
 本予算案が委員会に提出せられまして、爾來引続いて慎重審議を重ねて参つたのでありますが、本日この委員会におきまして、尚質疑通告あるにも拘わらず、委員長は質疑打切りの動機を採決いたしたのでありまして、実は本予算に関しましては、尚目下審議中の教育委員会法案がございまして、この法案の予算は、尚如何に取扱われるか不明であります。この教育委員会法案は教育の民主化の土におきまして必要欠くべからざる法案であることは、私共も政府提案の趣意を十分了承いたしておるのでありまするが、すでに皆さん方も御承知の通り、六・三制度は昨年三月から引続いて逐次実施せられておるのでありまするが、その様子を私が今ここで申上げるまでもなく、諸君の熱知せられるごとく、全國からその完全実施を要望せられており、そのままにおきましては、地方財政は殆んど危殆に瀕する、ために教育についての分担ができないということのために、相当数の市町村長の中には辞職の止むなきに至つたというようなことさえあるのであります。かようなときに、教育委員会法案が何らの予算的措置を講ぜられることなく、すべて地方財政の負担としてこれが実施せられるというような曉になりました場合には、本國会はそのまま地方民の怨嗟の的になることは明らかであります。(拍手)かようなことを考えまして、私は予算委員長に、予めこの問題につきまして政府の所信を質すべく通告をいたしておつたのでありますが、委員の一人から質疑打切りの動議が提出せられまするや、委員長に直ちにこれを委員会に諮り採決をいたしたのでありまして、遂に多数を以て動議は成立し、質疑打切りと相成つたのであります。(「横暴」と呼ぶ者あり)勿論委員長の言う通り動議は多数を以て成立いたしたのでありまするから、止むを得ないことではありまするが、かようなことは委員長の裁量によつて十分処理できると私は信ずるのであります。敢てかような必要な重大な質疑に対しまして、我々の質問を封ずるということは、延いては教育委員会法案の審議に重大なる影響を及ぼすことは明らかであります。今政府におきましては、この委員会法は是非通せというような、いわゆるAクラスの中に入つておるそうでありますが、遺憾ながらかような状況におきましては、この委員会法は審議未了に終るかも知れないのであります。その責任は一にかかつてかような暴挙をいたしましたところの委員会の責任であろうと私は感ずるのであります。(拍手)そもそも現内閣は成立以來四、五、六と三ケ月も暫定予算を提出いたしておるのでありまして、その度にこの次には、來月には必ず本予算を提出する、さようなことを繰言のごとく申して今日に及んだのであります。その結果六月提出せられましたところの本予算は、直ちに與党を中心として論議の的となりまして、遂に與党三派から修正案が提出せられ、政府も止むなくこれを採択いたしまして、一旦提出したところの政府原案が再び取戻されて組替えをしなければならんというような状況に相成つたことは、私がここで申上げるまでもなく、諸君のよく存じておるところであり、本員といたしましても誠に遺憾と存ぜざるを得ないと思うのであります。そもそも芦田首相は、両党によつて首相の指名を與えられたのでありまするけれども、併しながら不幸にして本院におきましては、芦田首相の指名は第二位に落ちておつたことは、諸君の御承知の通りであります。かようなことが結局首相の本院に対するいろいろな感情の蟠りが、本日の本会議場におきましても、この問題は数次論議せられたのでありまするが、不幸にして、首相は本院に対しまして第二義的な存在であるというような意見を飜えさないのであります。この点は私共参議院として甚だ遺憾に堪えない次第であります。(「本論をやれ」と呼ぶ者あり)尚又かような本院に対する観念を持つておる芦田氏によつて統率せられるところの内閣によつて提案せられたところの予算案を虚心坦懐、これを審議するということは、なかなか困難なことでありまするが、我々は國民大衆の代表といたしまして、慎重にこれを審議いたして参つたのであります。そもそも政府がその提案したところの原案につきまして檢討いたしまするに、その物価基準におきましても、亦賃金水準等におきましても、予算審議の過程においてその根拠が極めて薄弱であり、すべて仮定的な、希望的な数字によつて裏附けられておるということは、審議に当つた諸君のよく御承知のことと思うのであります(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)尚又運賃の値上とか、郵便料の値上とか、或いは又その他惡税の創定とか、或いは國民大衆の利益というものを殆んど踏みにじつた案であるということも、各党の代表によつてすでに論議せられたことと思います。尚又予算審議の過程におきましても、政府はただ詭弁を弄してこれを弁解しておるということだけでありまして、私共は真心ある政府の答弁によつて納得いたしたわけではないことは、委員諸君もよく御承知のことと存ずるのであります。政府は予算計上に当りまして、そのみずからなすべきところの行政整理の不徹底、その他この物価統制、その他につきましてなすべき措置を講ぜずに、徒らに金がかかるところは大衆課税によつてこれを賄おうといたしておることは、予算の随所もこれを見ることができるのでありまして、甚だ遺憾と存ずる次第であります。(拍手)これは衆議院の予算審議の過程においてこれを見ましても、すでに衆議院におきましては、その予算委員会におきましては、遺憾ながらこれは否決せられて、本会議におきまして漸く可決確定したというようなことは、甚だ以てこの間におきまして、本予算が如何に不備のものであり、國民大衆の利益を無視し、國家再建の方途に副わないものであるということを明かにいたしておるのであります。(拍手)本委員会におきましても、その点は審議の過程におきまして一々明らかであります。すでに委員長報告の上におきましてもこれは皆様がすでに御承知のことと思うのであります。尚又かように一度提出いたしましたところの予算案が、與党三派によつて修正せられなければならないというような運命に逢着し、而も亦修正されたところのこの予算が、その支持せられるところの衆議院におきまして、漸く本会議において可決した、本院におきましても予算審議の過程におきまして、各党の代表はおのおのこれは不満足のものである、止むを得ず通すのであるというようなことを代るがわる述べておりまして、その完膚なき状況につきましては、委員各位齊しく認識するところであると存ずるのであります。(「齊しく認識しないよ」と呼ぶ者あり)かようなことが行われます理由はどこにあるか。芦田内閣は三派提携の内閣でありますけれども、三派にいわゆる呉越同舟の内閣でありまして、おのおのがその所信を異にいたしておるのであります。ただ一にするということを敢て申しますならば、それは政権を把持するということ以外にないと思うのであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)(拍手)かような利益一点にのみ集中したところの内閣が、おのおのその政策の上において執つて譲らず、三ケ月も暫定予算を出し、而も協定して出したところの予算に対して忽ち修正するというようなことは、この間の事情を物語つて明らかであると存ずるのであります。(笑声)(拍手)從つて政局の明朗化は如何にすべきかということは、諸君のよく考うるところであろうと思うのでありますが、敢て私はここで如何にすべきかということは提言はいたしませんが、冷静にこれを考えるならばその途は明らかであります。かような意味におきまして、現内閣は速かに退陣し、明朗透徹した立派な内閣を建設しなければならないと考えるのであります。(「何を言うか」と呼ぶ者あり)國民は芦田、片山二代の内閣におきまして、連立内閣の不徹底に(「吉田はどうだ」と呼ぶ者あり)全く飽き飽きしているのであります。かような意味におきまして、諸君も冷靜に事を考えるならば、当然の帰結として諸君の胸に明らかであろうと思うのであります。(「本論に入つて貰いたい」「選挙演説じやない」「しつかりしろ」と呼ぶ者あり)私はかような意味におきまして、政府の提出いたしましたところの予算案に対しては、断然これに反対し(「分つた」と呼ぶ者あり)否決せんとするのでありますが、ここに私は我党において明らかに修正案を皆さん方に提出し、聊かその弁明をいたしたいと思うのであります。(「そんなもの要らない」と呼ぶ者あり)
 民主自由党におきまするところの修正案は、先ず第一に統制経済を漸次改廃いたしまして人件費を節約し、価格調整費等その他を軽減すること、又行政整理を行いまして人員の新規更新を行う、又取引高税等の惡税を撤廃する。鉄道運賃或いは通信料その他の大幅の修正を行い、大衆の負担を軽くすること、又六・三制度或いは災害復旧その他の費用は(「もう分つている」と呼ぶ者あり)十分これを増額し、又治山治水その他國土の改良費等につきましては、(「自己宣傳だ」と呼ぶ者あり)十分これを増額いたしまして、國民を危險の渕から救い上げようと存ずるのであります。(「そう簡單に行かない」「反対党黙れ」と呼ぶ者あり、拍手)尚又これは二大陣営に分れるところの重大問題でありまするが、凡そ保守陣営にその席を置くところの議員諸君は、恐らく虚心坦懐に考えるならば、軍公利拂などの停止のごときは当然これは廃止しなければならんことと思うのであります。軍公利拂停止、(「詰らないことを言うな」と呼ぶ者あり)これは当然民主陣営において行つてはならんことであると私は信ずるのであります。(拍手)かような点におきましても、諸君は虚心坦懐おのおのその向うところに勇往邁進せられんことを私は提言するのであります。徒らに政見に恋々として(「恋々としているわけじやない」と呼ぶ者あり)思うところを行わないような政党は、これは天下の公党でないということを私は断貫して憚らないのであります。以上を以て私は民主自由党提出の予算案の説明及び政府原案に対する反対の論旨といたす次第であります。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 鈴木順一君。
   〔鈴木順一君登壇、拍手〕
   〔「簡單々々」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
○鈴木順一君 更めて民主党の代表としてここから貴重なる時間を割きまして、敢て賛成の演説をする必要はないかのごとく、各大臣かすべて説明されておるのでありますけれども、まだよくお分かりにならない方もあるようでありますから簡單に申上げます。(「大臣と違うぞ」と呼ぶ者あり)
 御承知のように本予算は前年の年末に提出され、三月末日に審議決定し、四月一日から実行に移さるべきでありますけれども、本年におきましては、この遅れた理由は、皆さんも御承知のように予算と賃金と物価と同時に上程いたしまして、これを予算編成の根本方針としたからであります。昨二十二年度の予算は、この編成のときに当りまして、当時の物価並びに(「引つ込め」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)将來の物価に対しましては、聊かもその考慮を拂わず決定されたために、片山内閣になりまして、物価の改訂と共に次々に追加予算が出たという現状は、御承知の通りであります。(「本論々々」、「靜かに聴け」その他発言する者多し)二十三年度の予算におきましては、物価も賃金も、鉄道運賃も通信料金も、すべて同時決定されましたことで遅れましたことと、(「時間の無駄だ」その他発言する者多し)又これによりまして本年度の物価改訂によるところの追加予算の必要はないことは明かであります。(「論旨貧弱だ」と呼ぶ者あり)又我が國の財政は、一般会計と特別会計と地方財政の三つが綜合調整されておるのであります。(「よく分つている」と呼ぶ者あり)これも本予算におきましては非常な考慮が拂われておるのであります。今までの予算はどれもこれもがばらばらに決定されたために、御承知のように追加予算が出たり、中途半端におきまして歳入歳出のズレを來たし、そうしてインフレを助長しておるのであります。(「ぼやぼやするな」その他発言する者多し)以上簡單でありますが申し上げまして、皆様お分りだと思います。(笑声)如何にこの予算が、(「降壇々々」「頑張れ頑張れ」と呼ぶ者あり)如何なる角度から檢討されようと、立派な予算であることははつきりしておるのであります。(笑声併し芦田総理始め民主党の政調会、並びに來栖安本長官、北村大藏大臣のように頭の良い人が外の政党におらないために、(笑声)(発言する者多し)情ないかな、先程提出されたような修正予算を出され、國民の笑いを呈しておるのであります。(笑声)、(発言する者多し)又中西君が如何にじたばたしたとても、これも物の数ではないのであります。(笑声)(発言する者多し)どうか参議院の皆様におきましては虚心坦懐、この予算に賛成されますことを希望いたします。(「分つた分つた」、「しつかりやれ」その他発言する者多し)これを以ちまして私の賛成の演説といたします。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 藤田芳雄君。
   〔藤田芳雄君登壇、拍手〕
○藤田芳雄君 私は政府提出の予算に反対いたします。
 第一は、本予算は物価引上げを前提といたしますところのインフレ助長の予算であります。(「その通りだ」、「然り」と呼ぶ者あり)これは予算委員会におきましても、多数の委員からの質問によりまして、政府答弁で明らかになつた事実なのであります。(「その通り」、「結果がどうだ」と呼ぶ者あり)現在の我が國情は、何を措いてもインフレを阻止しなければならないときであります。(「そうだ」、「その通りだ」と呼ぶ者あり)政府もこれがために均衡予算を作つたと称しておるのでありますが、予算の性格そのものが、すでに物価引上げの基盤の上に立つているのであります。この矛盾は、政府の自殺的な予算でありまして、政府みずからが引込むべきものと思うのであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)
 第二は、過酷な課税であります。昨二十二年度は國民所得の十八%であつたのでありますが、國民はその苛斂誅求に困り果て(「分つたよ」と呼ぶ者あり)現に資金詰りや購買力の減退は愚か、配給物資さえ得られない状況に立ち至つたことは周知の事実であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)然るに本年度は二二%という、而も基礎となる國民所得の推定が不十分であり、過重な見積りと考えられているのであります。先に高瀬議員からも指摘せられたごとく、最低生活をしている者からの二二%は誠に苛酷なのであります。國民の困窮や、思いやられるのであります。この点からも私達は到底賛成するわけには行かないのであります。
 第三番目には、惡財源の設定であります。丁度インフレの見本のような、お手本のような煙草の値上げ、インフレ促進のための鉄道、通信関係料金の大幅値上げ(「その通り」と呼ぶ者あり)誰もが言い、当局さえもが認めるところの惡税である取引高税の認定は、何としても賛成し難いのであります。而もこれらに数等優る財源が他にないのではないのであります。(「あるならば持つて來い」「教えてやろうか」と呼ぶ者あり)それならば例を挙げてお示しいたしませう。例えば小切手税というものを一つ設定いたしましても、これは證券取引所の調べによりますと、一ケ年四兆にもなります。これの百分の一を取りますならば、(「大したことはあるまい」と呼ぶ者あり)簡單にして四百億の財源が得られるのであります。こうした四百億という(「出るならば持つて來い」と呼ぶ者あり)格好の財源があるに拘わらず、政府不勉強のために、與党不勉強のために、かくのごときものを見逃がしておる。(「野次に乘つてはいけません」と呼ぶ者あり)インフレ高進の予算で財源を漁つておる点が誠に不都合なのであります。(「そんなに出るわけはないやないか」と呼ぶ者あり)
 第四は、政府の予算に対する自信の程度であります。(拍手)提出された予算が、三党協力の基盤の上に立つてなされたものと信ずるものでありますが、而も自信ある説明で提出されたのであります。然るに会期終了間近に修正予算を提出されました。十分な説明もなさず、質問も不十分な中に打切られ、政府がどの程度自信があるか疑わしいのであります。しばしば追加予算は出さんと言つておるが、今や近き将來において補正予算は必至の状況にあるのであります。(「そうだ、その通りだ」と呼ぶ者あり)かくのごとき政府自体、自信を持ち得ざるところの予算の実施は誠に危險であります。(「その通りと「呼ぶ者あり)
 以上反対の四点を挙げましたが、これが実施後のインフレの高進を思いまするときに、強く強く反対するものであります。(「もう時間だよ」、「明日までもやるんだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)ただここに一言附加えたいのは、先程予算委員会において明らかにされたのでありますが、民主党を除くその他の誰一人も、この予算に不滿を抱かない者わないのであります。(拍手、「その通り」「社会党があるじやないか」、「社会党だつて反対だ」、「我々も保留だ」と呼ぶ者あり)ただそれは予算成立を迫られて賛成するという者が多数なんであります。若しもこの論法が成立つものといたしますれば、会期終了を目指して提出すれば、如何なる惡予算でありましても、如何なる惡法案でありましても通過させなければならないこととなり、國会の権威は(「もう時間だよ」と呼ぶ者あり)蹂躪されることになるのであります。予算成立の結果、責任は政府にあるのであります。我々は飽くまでも良心に從つて行動すべきであると信じます。(「その通り」と呼ぶ者あり)以上反対の理由を申述べます。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 小泉秀吉君。
   〔小泉秀吉君登壇、拍手〕
○小泉秀吉君 私は日本社会党を代表いたしまとて、本予算案に賛成を表すものでございます。(拍手)併しながら私共は、当初政府の原案を見ましたときに、その構成の仕方が如何にも大衆の(「目につく」と呼ぶ者あり)課税を重くしているような編成の仕方であることに甚だしく驚いたのでありまするが、(「驚いたか」と呼ぶ者あり)その政府においては與党三派の修正を(「與党でも遠慮するな」と呼ぶ者あり)呑み込みまして、(笑声)そうして修正予算という形で出て参りましたので、(「本物じやないのか」と呼ぶ者あり、笑声)私共はこれに贊成をしたのでございます。(「苦衷を察するよ」と呼ぶ者あり)從いましてこの予算に対しては(「澁々賛成か」と呼ぶ者あり)賛成はいたしたものの、(笑声)政府に対していろいろな希望がございます。(「しつかりやれよ」と呼ぶ者あり)併しながらこの予算を我々がこの際通さずに過したときの國家の情勢(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)並びに現在の金融梗塞の状態(「その通り」と呼ぶ者あり)、更に特に国際関係の上から、日本の置かれる状態を考えまするときに、(「それはあなた心配せんでもいいのだ」と呼ぶ者あり)如何に予算の上にいろいろの論議があるにしましても、この際は國民の安定を(「今頃分つたか」と呼ぶ者あり)図ることを大事として、これに賛成するの止むなくに至つたことを(笑声、拍手)御了承して頂きたいと思うのであります。かような意味におきまして、反対党の諸君も亦我々と同調して、欣然この予算が通過するように御盡力をお願いする次第でございます。
○議長(松平恒雄君) 中西功君。
   〔中西功君登壇、拍手〕
   〔「御苦労様」、「中西頑張れ、しつかりやれ」と呼ぶ者あり〕
○中西功君 私は日本共産党を代表いたしまして、提出されました予算案に反対し、これを返上するための意見を述べたいと思うのであります。(「何でも反対だから樂だ」と呼ぶ者あり)
 私達は、生まれてそうして今日まで育つて知つておる範囲内で、このような予算案が提出され、又今日この國会でなされましたような審議がなされたのは初めてであります。(「初めて出たのだろう」と呼ぶ者あり、笑声)私が最初申しましたように、そもそも大藏大臣の演説が前代未聞の正誤表を附けて出されたということ自身が奇怪な事実でありますが、更に会期迫つて與党によつて修正案が作られ、更に衆議院の委員会では否決され、本会議では僅か四十一票で漸く通過した。こういうふうな予算案は殆んど我々は聞いたことがない。(「聞いたことあるよ」と呼ぶ者あり)而もこの中で我々自身が、即ち國会が十分審議する前に、すでに議会外の大衆は、非常な明確な意識を以てこの予算案に対して、ものすごい反対をしておつたことは、皆様もすでによく御存じの通りであります。(「お前知らんのだ」と呼ぶ者あり)私思いますのに、議会外の勤労大衆は、我我國会議員よりも遥かに鋭敏である。そうしてもつと率直に、本能的にこの予算の本質を知つておると思うのであります。でありますが故に、今日このような大衆の予算反対運動が起つておるのであります。然るにそれに反して、この國会の一ケ月に通ずる審議振りは何であるか、政府に対して必要な資料さえ殆んど出すことを要求せず、政府が資料を出さないで放つておつても、殆んどそれに対して追求せず、財政法の二十八條を政府が平氣で蹂躪しているのに、それに対して何らの意見さえ発表しない。委員会は早々にして質疑打切りをやり、採決をやつて行くというふうなことで、私はこの國会が、むしろ議会外の大衆の本能的な叡智よりも遥かに劣つた憐れな(「憐れなとは何だ」と呼ぶ者あり)存在でないかと思うのであります。最大の遺憾を感ずるのであります。(拍手)それならば、議会外の大衆が本能的に反対しているこの予算案は、一体如何なる予算案か。諸君、これは人間らしい姿もしていない、獸らしい姿さえもしていない。(「馬鹿いうな」と呼ぶ者あり)何となれば、この予算案は三本足である。(笑声)更にその尻尾に二つの尻尾が附いておる。これがこの予算案の正体であります。(「うまいうまい」と呼ぶ者あり)正に妖怪、これがこの予算案の正体であります。然らばその三つの足とは何か。即ち一つの足は値上げ、物價値上げによつて、数千億のものを大衆から收奪して行く、これが一つの足であります。今一つの足は、不生産的な或いはインフレ的な経費を山と持つていて、そして今は國会の名物になつておるあの不当財産をますます繁栄させるというのが、この二本の足であります。更にもう一つの足は、税制の面において、そうした資本家擁護の資金やインフレ的資金を、大衆の犠牲によつて克服せんとして、ますますもの凄い大衆課税をかけておる。これが第三の足である。この三本足の予算が、三本足が即ちこの予算の基本的な基礎であります。(「惡魔だ」と呼ぶ者あり)そういうことは、私が言うまでもなく、議会外の大衆はすでによく知つておる。更に二本の尻つ尾とは何か、この二本の一つの尻つ尾は……尻つ尾を説明するのには実になかなか時間がかかりますが、(笑声)暫く、(「しつかりやれ」「尻つ尾を出せ」と呼ぶ者あり)暫くそういう質問をやめまして、(笑声)一体この予算が通過したらどうか。(「尻尾を出せ」と呼ぶ者あり)考えて見ますれば、二千億以上どうしても濫発せざるを得ない。而して物價はますます騰貴し、インフレはますます進む。これが端的に言つたらこの予算案の結果でありますが、果してこれが、いわゆる又政府が言う中間安定の眞の内容でありますが、これに対して政府は何を用意しておるか。一つは実に自分自身の無能力を告白するような外資依存、対外依存論であります。これによつてやつと腐れかかつておる、もうすでに崩壊しておるこの予算案、或いはこの経済をやつと……(「生きてるよ」。「死んじやいない」。と呼ぶ者あり)すでに壊れておる。三千七百円ベースを見てみれば分る。すでに壊れておる。この壊れた、腐つたこの予算案を(「今できて來たばかりだ」と呼ぶ者あり)やつと対外依存的な宣傳によつて繕おうとしておる。これが一つの尻つ尾である。更に一つの尻つ尾は何か。それはこの予算案の成立の結果として、必ず全官公を先頭とする日本の労働者階級は、(「煽動するな」と呼ぶ者あり)特にこの三千七百円ベースに対して一大痛撃を加えることは極めて明白でありますが、(「そうだよ」と呼ぶ者あり)それに対して今の政府或いは民主党、右派社会党、そうして國協党の政府が用意しておるところのものは何か。それは鞭である。鉄拳である。労働法改惡である。(「何を鞭のことあるか」と呼ぶ者あり)そうして或いは通過するかも知れない警察官の職務執行法、こういうような仕置である。こういうような鞭によつて、反抗しようとする大衆を、この生活改善のために、生きるために闘おうとする大衆を、徹底的に彈圧しようとするのが、この一つの尻尾である。(「そんなことあるものか」と呼ぶ者あり)これが三本足に立つた、そうしで二本の尻尾を振つて、ただその尻尾を巧みに振つて、よその國の方ばかり向いておるところのこの予算である。これがこの片山内閣の予算案の本質であります。(笑声)いや、芦田内閣の本質であります。(「何を言うか」と呼ぶ者あり)余り変らないよ。(「うまいぞ」と呼ぶ者あり)ところでこの予算案に対しては、先から言われましたごとく、どの党も本当には贊成していない。これは事実であります。(「もう時間だよ」「そんなことを言つて尻尾を出しだな」と呼ぶ者あり)ところがこのような尻尾を持つところの社会党並びに民主党、協同党の(「君の方が尻尾を出したじやないか」と呼ぶ者あり、笑声)この案に対しては、止むを得ず贊成する人々は、いろいろの口実を設けておる。(「國を愛するからだよ」と呼ぶ者あり)そうだ。そういうふうな口実によつて、曾て日本の軍閥は日本を賣つたではないか。(拍手)同じようなそういうような口実によつて、(「うまいぞ」「本論々々」と呼ぶ者あり)今日の日本の國会議員が持つておるところの実に見苦しい無氣力、無能力を発揮しておるのであります。私は特に社会党の人々に申したいのであるが、この予算案に対して社会党が贊成されるということは、もう全く社会党が、社会主義の党でもない。(拍手)勤労大衆の党でもない。(拍手)むしろ反対に先つき誰かがはつきりと表現した(「時間だ、降りろ。」と呼ぶ者あり)資本階級のボロであるということをはつきり示す画期的な、歴史的な時期に來ておると思うのであります。(拍手)私は眞に階級的な良心を持ち(「結果を見てろ」と呼ぶ者あり)そうして政治的良心を持つところの社会党の諸氏が、敢然と衆議院の本会議で純正左派の人がなされたごとく、本当に反対動議を(「降壇だ」と呼ぶ者あり)投ずることによつて、眞にみずからの純潔を守られんことを期待して、私の反対討論を終るものであります。(拍手)(「結果を見てろ」「共産党の暴言」と呼ぶ者あり)。
○議長(松平恒雄君) 姫井伊介君。
   〔姫井伊助君登壇、拍手〕
○姫井伊介君 政府提出の予算案に賛成をいたします。(「御用演説」、「えらいえらい」「感謝々々」と呼ぶ者あり)併しながら(「もうよい」「それを言うなよ」と呼ぶ者あり)その予算がいろいろな角度から見られて、なすべきことがなされない、或いは幾多の欠陷があるということは、誰もが耳にするところであります。(拍手)(「うまいことを言うな」と呼ぶ者あり)併しながら若しもこの予算を返上したというような、その現実の立場に立つて考えますときに、我が國はどうなりますか。もう今の場合におきまして(「冗談言うなよ」と呼ぶ者あり)そういう余裕は持たないのであります。(「その通り」「修正をしろ」と呼ぶ者あり)無論我々は適正なる修正に吝かであるものではないのでありますが、(「そうだよ」「なぜ修正をせんか」「なぜ呑むんだ」と呼ぶ者あり)呑まなければならない情勢にあることは皆さんもよく御存じの通りだと思うのであります。(「その通り」「黙れ」と呼ぶ者あり)私は緑風会の一人といたしまして、良心的に、最も公正なる立場に立つて自分の考えを申述べるものであります。(拍手)徒らに攻撃のための攻撃ではない。あつてはならない。我我は今や建設をしなければならない。急いで建設をしなければならない。互いに相咀い、相爭つて、そうして立派な國家の建設ができますか。(「國会の権威はどうするか」と呼ぶ者あり)國会の権威は、むろん我々は國民の代表である。その代表である者が、或る程度民主的に組織されておるところの現政府に対しまして、(「代表されているじやないか」と呼ぶ者あり)或る程度の協力をしなければならない、(「そうだよ」と呼ぶ者あり)徒らに非協力をして、それで立派なる結果が得られますか。協力をして尚且つ我々の理想に合わないときには、そこに初めて我々の國会の権威を発揚することができる。発揚しなければならないのだ。その権威は、來るべきところの、政府の言つておるところの、中間安定のその事実であります。(「騙されては駄目だよ」と呼ぶ者あり)決して騙されない。物價の値上げを前提として予算が編成されたと言いますが、私はそうは考えない。即ち経済界を安定するために或る程度止むを得ない物價の値上げをしなければならないということを、私は了解するのだ。(「そうだよ」と呼ぶ者あり)併しながら私はインフレを喜ぶものでは決してありません。國民の安定を、むろん国民と共に熱心に、痛烈に要望するものであります。かるが故に、若し來る中間安定の策が眞に破れた崩壊したそのときには、政府みずからが自決しなければならない。(「今破れておるんだよ」と呼ぶ者あり)そういう意味におきまして、私は欣然としてではありませんけれども、(笑声)止むを得ずこの案に対しましては贊成をせざるを得ない。(拍手)併しながら國民と共に、この予算の運営に当たりましては、実施に際しましては、嚴しき眼を以て我々はお互いに監視しなければならない。(「そんなこと当然じやないか」と呼ぶ者あり)この下におきまして、私は敢えて本予算に贊成の意を表するものであります。(拍手)
○議長(松平恒雄君) これにて討論の通告者は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案の採決は記名投票を以て行います。両案に賛成の諸君は白紙票を、両案に反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。これより氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事が氏名を点呼する〕
   〔投票執行〕
○議長(松平恒雄君) 投票漏れはございませんか。……投票漏れないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の閉鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事が投票を計算する〕
○議長(松平恒雄君) 投票の結果を報告いたします。投票総数百七十四票、白色投票即ち両案に賛成のもの百十七票、青色票即ち両案に反対のもの五十七票、よつて両案は可決せられました。(拍手)
    ―――――――――――――
   〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名 百十七名
   竹下 豐次君  木下 辰雄君
   佐伯卯四郎君  堀越 儀郎君
   江熊 哲翁君  宿谷 榮一君
   石川 準吉君  高田  寛君
   久松 定武君  加賀  操君
   島津 忠彦君  中川 以良君
   小野  哲君  河野 正夫君
   帆足  計君  西郷吉之助君
   松井 道夫君  松村眞一郎君
   姫井 伊介君  伊藤 保平君
   小宮山常吉君  飯田精太郎君
   結城 安次君  川上 嘉市君
   米倉 龍也君  梅原 眞隆君
   野田 俊作君  柏木 庫治君
   岡部  常君  岩男 仁藏君
   早川 愼一君  青山 正一君
   鎌田 逸郎君  三島 通陽君
   鈴木 直人君  岡本 愛祐君
   駒井 藤平君  玉置吉之丞君
   佐藤 尚武君  村上 義一君
   中村 正雄君  カニエ邦彦君
   大野 幸一君  中平常太郎君
   下條 恭兵君  山田 節男君
   丹羽 五郎君  赤松 常子君
   河崎 ナツ君  藤枝 昭信君
   金子 洋文君  藤井 新一君
   三木 治朗君  大畠農夫雄君
   田中 利勝君  木下 源吾君
   門田 定藏君  原口忠次郎君
   波多野 鼎君  原  虎一君
   羽生 三七君  小川 久義君
   山崎  恒君  岩本 月洲君
   島   清君  島田 千壽君
   若木 勝藏君  安部  定君
   岡元 義人君  三好  始君
   伊藤  修君  吉川末次郎君
   天田 勝正君  田中 信儀君
   谷口弥三郎君  植竹 春彦君
   油井賢太郎君  石川 一衞君
   小畑 哲夫君  鈴木 順一君
   平野善治郎君  入交 太藏君
   安達 良助君  小林 繁安君
   高橋  啓君  小林 勝馬君
   紅露 みつ君  深川タマヱ君
   木内キヤウ君  高良 とみ君
   門屋 盛一君 前之園喜一郎君
   竹中 七郎君  星   一君
   栗栖 赳夫君  淺井 一郎君
   伊東 隆治君  村尾 重雄君
   岩崎正三郎君  若木 哲夫君
   佐々木鹿藏君  鬼丸 義齊君
   稻垣平太郎君  岡田 宗司君
   森下 政一君  小泉 秀吉君
   塚本 重藏君  林屋亀次郎君
   中井 光次君  木内 四郎君
   櫻内 辰郎君  奥 主一郎君
   仲子  隆君 尾形六郎兵衞君
   境野 清雄君  大隈 信幸君
  橋本萬右衞門君
 反対者(青色票)氏名 五十七名
   中西  功君  中野 重治君
   鶴田 芳雄君  千田  正君
   星野 芳樹君  佐々木良作君
   木村禧八郎君  岡田喜久治君
   大島 定吉君  北村 一男君
   西川 昌夫君  淺岡 信夫君
   堀  末治君  鈴木 安孝君
   山田 佐一君  寺尾  豊君
   石坂 豊一君 大野木秀次郎君
   小林 英三君  今泉 政喜君
   黒川 武雄君  松嶋 喜作君
   一松 政二君  深水 六郎君
   板野 勝次君  細川 嘉六君
   兼岩 傳一君  岩間 正男君
   池田 恒雄君  千葉  信君
   堀  眞琴君  田口政五郎君
   鈴木 清一君  加藤常太郎君
  川村 松助君  池田宇右エ門君
   西川甚五郎君  大屋 晋三君
   中山 壽彦君  草葉 隆圓君
   柴田 政次君  遠山 丙市君
   板谷 順助君  松野 喜内君
   玉屋 喜章君  徳川 頼貞君
   大隅 憲二君  平岡 市三君
   小野 光洋君  重宗 雄三君
   城  義臣君  小串 清一君
   平沼彌太郎君  團  伊能君
   西山 龜七君  左藤 義詮君
   水久保甚作君
     ―――――・―――――
○議長(松平恒雄君) 次回は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後十時二十六分散会