第004回国会 予算委員会 第8号
昭和二十三年十二月十二日(日曜日)
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  本日の会議に付した事件
○昭和二十三年度一般会計予算補正
 (第二号)(内閣送付)
○昭和二十三年度特別会計予算補正
 (特第二号)(内閣送付)
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   午前十一時四十一分開会
○委員長(黒川武雄君) これより予算委員会を開会いたします。大蔵大臣に対する質問は油井委員、高瀬委員、岩男委員、山下委員、中西委員の順になつております。
○油井賢太郎君 前回に引続きまして大蔵大臣に残つた質問の要点をお伺いしたのでありますが、再三今までお話を承つたのでありますが、どうしても納得の行かない点が國民所得の算定方針にあるのでありますが、一兆九千億と二兆四千億の國民所得の算定方針がここ数ヶ月間において変つたという点、この点につきまして政府の資料としてお取りになつた材料が、この前の内閣当時と今度の政府においてどれだけの違いがあつたかということを明瞭にして頂きたい。
○國務大臣(泉山三六君) お答えを申上げます。國民所得の算定につきましては、私も詳細を承知しておるわけではございませんが、併しこの建前におきましては或る一定の建前があるのでございますが、その中に物價並びに賃金の要素、この要素につきまして前回の一兆九千億に対するものは六月の物價並びに賃金の水準、かようのことでございましたが、それが本追加予算に関しましては、これを十一月の水準に改算をいたしますことが適当である、かようの前提の上に立ちまして、これを改算いたしたのでございまして、自然五千億ばかりの所得が増加する、かような結論に相成つた次第でございます。
○油井賢太郎君 勿論この前の内閣におきましては、十一月の今日を予想して水準を決めたということは、到底考えられないのでありまして、六月と十一月が変つたのは、これは当然でありますが、月の変つたというのでなしに、その内容の算定方針の変られた基礎を御発表願いたい、こういうわけであります。
○國務大臣(泉山三六君) その詳細の点につきましては、後刻政府委員より御答弁申上げますけれども、尚只今申上げました物價並びに賃金の面の値上り並びに賃上げの殊に労働賃金のごときは前回は三千七百円程度になつておりましたところが、約六千円くらいのものになつておりますので、この点につきまして相当の賃上げになつております。この事情或いは又他の一面におきましては、幸い増産の面にも最近はやや成績の見るべきものがございまして、かかる点も考えておるものと御了承願いたいと存じます。後程詳しく申上げます。
○油井賢太郎君 その詳細は後程政府委員より詳細承わるといたしまして、次に今度の賃金の改訂によつてインフレを起さないというふうな政府の所信でありますが、私共の常識を以てすれば賃金改訂はやはり民間の賃金にも影響を及ぼして結局インフレの助長ということに相成ると思うのでありますが、この点についてやはり来るべき物價の改訂ということも当然起るものと思います。併しながら政府の行なつておるところの経済三原則によりますと、物價の改訂は行わないというように聞えるのでありますが、併し読賣新聞の十二月六日の発表でありますが、他の新聞にはありませんでしたが、この読賣新聞には、明年四月に物價改訂を行う、こういうことが経本新政策の案として出ておるのであります。まだ我々もこういう点については一向承知しておらなかつたのでありますが、果して明年四月までは物價を改訂せずに、それが或いは四月になりましたら物價を改訂するかということの点と、改訂するとすればどの程度の改訂を行うか、又改訂までの問におけるところのいろいろの矛盾を來す点等の修正、そういう点についての政府のお考え方をお伺いをいたしたいと思います。
○國務大臣(泉山三六君) お答えを申上げます。官公吏諸君の新給與ベースの算定につきましては、政府におきましても相当苦心を用いたのでございまして、その苦心の第一点は、もとより今日枯渇いたしております財政上の困難、この点にあるのでありまするが、他の重大なる一点は、如何にもしてこの賃金並びに物價に対する影響をなからしめる、この点に深く留意をいたしたのでございまして、さればこそ財政の面におきましても財政インフレを來すがごとき措置をとらなかつた。さように御了承を願いたいのでありまして、その点が本賃金五千三百三十円ベースの最も合理的且つ妥当なものと私共は考えておる次第であります。かようの意味合いにおきまして新賃金ベースは設定せられたのでありまするが、尚この新給與の設定に当りましては、國家公務員法の改正に伴いまして、官公吏諸君の身分と申しますか、地位と申しますかに、新たなるものが與えられた、かようの点に考慮を用いたのでありまするが、他の半面におきましては、何と申しましても從來の官公吏諸君の三千七百九十一円ベースが民間の給與に比較しまして、余りにも低きに失すると、かようの点に着目をいたしたのは疑いもなき点でございます。かようの意味合いから官公吏諸君の新賃金べースの設定によつては、これは民間の給與を引上げる作用をなす、かようなことでは実は甚だ遺憾なものと考えなければならないのでございまして、かようの点では、政府におきましても堅き決意を以て、その労働賃金の過当の引上に対しては善処いたしたい、かように考えておる次第でありまするが、併しながら今日実際の情勢を見ますると、ややこれを好機として労働運動に轉化しておるやにも見られないわけではないのであります。ここに只今油井さんの御指摘の通り、経済三原則の問題もあり、政府は堅くこの三原則の線を貫きましてかねて政府の企図いたしましたような何とかして賃金の面に物價織込みの賃金の上に惡影をもたらさないというかようの点については、各種の政策を展開いたしまして前処いたしたいと考える次第であります。その場合におきまして、只今御指摘の價格改訂の必要ありや否やかようの問題であるのでありまするが、この点につきましては政府といたしましては、本追加予算の編成に当りまして只今も申上げました通り、物價の影響のない、かようのことを一つの方針といたして編成いたしたのでございまして、この予算に関する限りにおきましては、物價は先ず改訂の必要なきものとかように考えておる次第であります。併しながら若しも前内閣当時におきまして補正せられましたるところの物價百十倍、百二十倍のこの物價補正がこの点において尚欠くるところありとすれば、当然考慮をしなければならないかとも思うのでありまするが、この点につきましては別に今日これと申すような考えはないのであります。ただ將來これは仮定の上に立ちますることでございまするが、物價改訂というようなかようなことを若し考慮いたしますとすれば、もとより相当の用意なくして物價の改訂はこれを行うべきでない、かようの信念を持つておるのみならず、今日といたしましてはむしろ賃金の安定政策の裏付けなくして濫りに物價の改訂はこれを行うべきものではない、かように考えておる次第であります。
○油井賢太郎君 只今大臣からの御答弁を承つてまだ納得が行かない点があるのでありますが、実は民間賃金ベースというものは大体政府あたりでお取りになつておるのは相当大企業が多いと思うのであります。ところが中小企業というものは大体におきまして今まで賃金というものの値上りは大体は余り大企業と比べまして高いものではないと思うのであります。ところが今回官公廰の賃金ベースの変更に伴つてこれ又一齊に改訂せざるを得なくなつた、而も中小企業を握つておるところの事業というものの本体を見ますというと、この國家の経済界の大半を占める、そういうふうな事情におきまして、物價の算定等におきましての今までの物價廰の在り方等も勘案いたしますと、相当物價の面においても賃金の枠というものを上げて行かざるを得なくなるのではないかと思うのであります。こういうことを一應考慮して置かなければ結局民間の中小企業というものは立ち行かなくなつて行くということの結論を得るのでありますが、これに対しまして如何なる御善処をなさるか、この点を特にお尋ねいたしたいと思うのであります。
○國務大臣(泉山三六君) お答えを申上げます。只今の御指摘の点は中小企業者の間にあつて賃金水準の以下にあるものがあるではないか、かようのものはその平衡運動が当然行わるべきではないかとかようの御指摘でありまするが、原則論といたしましては恐らくそういうことになろうかとも思うのであります。併しながらのみならず、賃金安定の前には必ずや或る程度の賃金の平衡運動、又これは或る程度までこれを容認すべきものとかように考えますにも拘わらず、今日すでに経済三原則に示されております。今日におきましておのずからその限界が赤字金融はこれを行わず、國家の補給金亦然り、かようの物價は上げない、かようの建前におきましておのずからその間に企業と経理者と労働者の間におのずからなる解決点というものは当然見出されるものとかように考えるのでございまして、その個々の問題につきましては、ここに個々の問題について善処いたしたいと考える次第でございます。
○油井賢太郎君 結局賃金に対して何か善処するというようなお話は賃金を引上げないような法案でもお出しになるのですか、それとも或る程度の水準を示してそのラインまでは凸凹を修正するというようなお考えなんですか、この点一つお示しを願いたい。
○國務大臣(泉山三六君) 只今の御指摘の点は、要するに賃金の安定方策如何と、かようのことに相成るかと思うのでございまするが、本問題は今日すでに重要な問題でありまするが、たびびた申上げました通り、今日の経済問題の結論的要素を含む、かようの意味合いから事頗る重大でございますので、目下経済安定本部におきましても鋭意これが研究を進め、その結論を急いでおるような実情でございます。
○油井賢太郎君 一刻も早く政府の具体的方針を國民にお示し願つて、経済の安定をつけれることを特に要望いたして質問を終ります。
○高瀬荘太郎君 すでに多くの方々から御質問があつたことでありますし、審議期間を非常にいろいろの事情から制限されて來ておるようでありますから、或るべく簡單に質問をいたしますので、明瞭にお答えを頂きたいと思います。
 先ず第一に、今回人事院から公務員の給與に関する提案があり、又大藏省から予算と関連いたしまして、公務員の給與に関する提案がありまして、二つの提案があるわけであります。その場合の給與立案権というようなものと、予算編成権というようなものとの間に非常に矛盾があるというように思うのでありますが、それがために今度のような二つの提案が行われ、人事院と内閣が対立をするというような形になつておるのではないかと思いますが、大藏大臣は給與の立案権と予算編成権との間に今帰のとられた人事院及び大藏省の措置につきまして、何らか遺憾の点があるのではないか、或いはその間に矛盾があるのではないかということをお考えになりませんかどうか、伺いたいと思います。
○國務大臣(泉山三六君) 高瀬さんにお答えを申上げます。只今の御指摘の点は恐らく今回の新給與ベースの設定に当りましてのその経過に徴しての御心配の点かと思うのでありまするが、誠に御指摘の通りでございます。併しながら制度といたしましては、先般御改正頂きました國家公務員法の規定に從いまして、人事院におきましては、給與に関しましては政府にこれを勧告をいたす。かようのことでございまして、政府はその勧告に基いて政府みずからの責任においてこれを立案をいたす。かようのことでございまして、もとより立案権は政府にあるのでございます。尚御参考までに申上げますれば、從來給與の立案権は大藏省にございましたことは御承知の通りでございまするが、この権限は今日尚存続いたしておる次第であります。以上申述べます通りでございまするが、本予算と給與法案との関連につきまして格別遺憾の点ありとは別に考えておらない次第でありまして、これは事実上の問題、かように考えておる次第でございます。
○高瀬荘太郎君 只今の御答弁でありますと、今度公務員法ができまして人事院が公務員の給與に関しまして重大な責任を持つことになつたと考えるのでありますが、それにも拘わらず、前と全く同じ意味で大藏省が給與立案権を持つておるというふうに見えるのであります。併し公務員の給與についての主たる責任官廳は私は人事院ではないかと思うのであります。そうして今度の公務員法の内容等から考えて見ましても、人事院の権限は非常に強化されまして人事院の独立性というものが非常に強調されておるのであります。その点から見ましても、給與体系についての立案の主たる責任者は人事院ではないかと考えるのでありますが、只今の御答弁ではそうでないように聞こえますが、どう解釈してよろしいのでありますか、伺いたい。
○國務大臣(泉山三六君) お答えを申上げます。人事院につきましては、給與に関しましてこれを必要なる場合に法の定むるところに從つて政府に向つてこれを勧告する、かようなことでございますることは、高瀬さん御承知の通りであります。從いましてその見解におきまして当然人事院におきましてその責任を持つことは当然だろうと思うのでありまするが、先ず今回の現実の問題といたしまする場合に、その指摘いたしますところの六千三百七円案は詳細にこれを檢討いたします場合に、去る十一月九日におきまして我々に示されました当時と、それ後に又追加せられました説明と尚法案として出て参つたものと、その間にいろいろ政府側といたしましては新事実が出て参つたのでございまして、御承知の通り今日あの六千三百七円案を審さに檢討いたします場合、一見六千三百七円を以て勤労者階級に與るるものかのごとき感を呈しますが、他の半面におきましては、或いは現物給與のごとき或いは官舎とか、或いは鉄道パスのごときものも盡くこれを実費として差引く、かようなことでございます限りにおきまして、今日我が國の実情にこれを照らして見まする場合には、実は実際に勤労者諸君の手取りは相当減額せられるものと、かような点もございまして、いろいろ政府といたしましては今日これを採用するのには不適当な点が多々あるやに考えられましたのでこれを採らなかつた、かようなことでございまして、只今御指摘のような法律的な意味だけではないのであります。
○高瀬荘太郎君 先程御答弁にありましたような公務員の給與体系を求めるについても、大藏省に立案権があつて人事院はただ勧告をするに止まる。それは人事院の解釈もそういうことでありますか。その点は一致しておられるのかどうか、大藏大臣のお考え如何でございますか。
○國務大臣(泉山三六君) お答えを申上げます。その前にちよつと私の申上げたことに多少誤解がございますようですから、これせ訂正して置きます。人事委員会に立案権がないに拘わらず大藏省にある。今日は大藏省に給與法案の立案権がある、かように私は只今申上げたのではないのでありまして、從來持つておつた大藏省の立案権が未だ残つておる、かようなことを申上げたのでございまして、その点はさように御了承願いたいと思うのであります。そこで問題は人事院の給與の立案権の問題でありまするが、この点につきましてはたびたび申上げました通り法の示すところに從いまして勧告をする、かようなことに相成つておりますので、その点はそのまま御了承願いたいと思うのであります。
○高瀬荘太郎君 人事院が公務員の給與改訂を立案して政府にこれを勧告いたしました場合に、政府として無論これを鵜呑みにすることは予算上できないわけでありますが、その場合に人事院の案を尊重しながらお考えになるのは当然だろうと思う。從いまして大藏省が人事院の勧告を否認し、或いは修正するという場合は、人事院に作られました給與体系の構造と申しますか、内容と申しますか、それが不合理であるからして否認し、或いは修正するというのでなくて、それだけの財源がない、人事院の編成されました給與体系による給與総額を賄うだけの財源がないからこれを否認し、或いは修正するということになるのではないかと思いますが、如何でありますか。
○國務大臣(泉山三六君) お答えを申上げます。人事院の提案勧告に対しまして大藏省がこれを修正する、かようのことではないのでありまして、大藏省は又大藏省の見地において、又経済安定本部長官は安定本部長官といたしましていろいろ内閣に向つて意見を開陳することは当然であります。その結果といたしまして決まりましたのが本五千三百三十円、かようなことに相成るのでございますが、その場合もとより人事院の勧告にかかるその給與の建前その他につきましては、十分これを尊重いたすことは当然でございます。
○高瀬荘太郎君 その結論的にはつきり伺いますが、今回内閣が人事院の案とは別個の案を作つて御提出になりました根拠についてでありますが、内閣としては人事院の勧告ベースとして六千三百七円、これは理論的には正当であるとお認めになり、そうであるけれども財源の点からこれを認めるわけにいかんというお考えでありますのか、それとも六千三百七円という給與標準は理論的に正当でないというお考えもあつてこれをお認めにならないのか、はつきり伺いたい。
○國務大臣(泉山三六君) お答えを申上げます。私が只今申上げました六千三百七円の勧告に対しこれを尊重すると申上げたのでありまするが、その理論的の意味におきましては理論的には尤もな点もある、かように考えておるのでありまして、その給與体系におきまして基本給、家族給、又は地域給、この三本建にいたしまして、これを認めたのでございまするが、併しながら、その根幹をなします最低生活水準の問題につきましては、その理論的の面におきまして、これを認めましたに拘わらず、実際その数字をどこから持つて來るか、かような点になりますと、高瀬さんお承知の通り、この点につきましては、非常にむずかしい問題が潜むように考えられますので、政府といたしましては、これに加うるに他の観点を以てし、たびたび申上げます通り、物價との関連、賃金との関連、又財政との関連、これを要するに國家経済並びに國民経済との全般の関連において、これを決定した。これが実情でございます。
○高瀬荘太郎君 只今の御答えでありますと、少し曖昧でありますが、この両方の理由で、理論的に考えても給與体系に欠陷がある。又財政的にも、これは負えない、この両方の理由でお認めにならんと解釈してよろしいのでありますか。
○國務大臣(泉山三六君) 理論的には尤もな点が多々ある。かように申上げたのであります。
○高瀬荘太郎君 どうもその点余りはつきりいたしませんですが、(笑声)尤もな点は多々ありましても、欠陷もお認めになつておるのじやないかと思うのです。欠陷もあつてお認めにならんというのか、欠陷があつても、とにかく六千三百七円は一應認めるけれども、財源の点、日本経済の実力の点等から考えて、これが適当でないと、こういうふうにお考えになつて、これを否認されるということでよろしいのでありますか。
○國務大臣(泉山三六君) 大体におきまして、さように御了承願いたいのでありまするが、ただ一点たびたび申上げました通り、賃金並びに物價との関連、この点につきましてかく考慮をいたしたのでございます。
○高瀬荘太郎君 今の御答えは余りはつきりいたしませんが、この辺で打切つて置きます。
 大藏大臣は健全財政主義を採つて、今度の追加予算を編成されたと言われておるのでありますけれども、確かに表面的には收支がバランスされておるという点で、健全財政と言つてよいでありましようけれども、実質的に考えますというと、私は今度の追加予算はその全体がインフレ予算であると言つて誤まりがないのではないかと思います。つまり第一にはこの予算の歳出面におきまして、災害復旧費及び國債費等を除きまして、残りの大部分、六百十九億というようなものは、それが殆んどすべてインフレのために生じた歳出でありまして、インフレが國の財政を不健全にし、歳出を膨脹さした姿を如実に現わしておると言つてよいのではないかと思うのであります。つまりインフレのために生じました人件費、物件費の膨脹がいろいろの形で以て、この歳出面に現われておるわけであります。そういう意味で今度の予算をインフレ予算だと言つてよいかと思いますけれども、無論この意味のインフレ予算の点は、これが現内閣、或いは現大藏大臣の責任であるわけではありませんで、前内閣、或いは前大藏大臣の責任であります。泉山大藏大臣の責任に帰するわけではありませんけれども、これがインフレ予算の実質を示しておるという点は、否定されないと思うのであります。私は北村大藏大臣に対しまして、本年度本予算が提出されましたときに、その予算の編成が公定價格改訂前の物價七割増、及び人件費三千七百円ベースで編成されておりますので、これでいつまで破綻しないでやれるか、これで追加予算を出さないで済むのかということを私は念を押したのであります。けれども当時北村大藏大臣はこれでやれる。決して追加予算は出さないとはつきり明言されたのであります。けれども不幸にして私の予想が的中いたしまして、今度のようなインフレ予算の提出が余儀なくされたわけであります。泉山大藏大臣に対しましては、このような北村前大藏大臣の轍を踏まれないように警告をしたいのでありますが、今度の追加予算の歳入面を見ますと、歳出節約額、前年度剩余金、輸出滯貨処分というような二、三の財源を除きまして、その大部分の財源は今後におけるインフレ促進の原因となる危險が強く感じられるのであります。税收の莫大な増加が強行されますれば、物價騰貴、賃金引上げの原因となるし、又これが予想通り行かなければ赤字が出ますから、いずれにいたしましても、インフレを進行させる危險が非常に多いのであります。この意味で今度の追加予算は、歳入面におきましては、その大部分がインフレ進行の原因を非常に包含しておるという点で、これがインフレ予算と言つてもよいと私は思うのであります。從つて、この点で北村前大藏大臣の轍を踏む危險が非常に多いのでありますが、泉山大藏大臣はその点につきまして、如何なる御見解と御決意がありますか、伺いたいと思います。
○國務大臣(泉山三六君) お答えを申上げます。この度本院に御提出申上げました追加予算につきまして、これをインフレ予算であると、かようの御見解を承つたのでありまするが、併しながら政府の見解を以てすれば、たび申上げます通り、均衡財政健全財政の建前をとつておるのでありまして、決してこれがために財政いインフレをもたらすものではないとかように信ずる次第であります。或い程只今高瀬さん御指摘の通り、それがインフレの結果といたしまして、そこから生れた子供には違いないかも知れませんが、併しながら、これは現実として、前内閣以來の予算として、これを出したのでありまして、政府といたしましては、好むと好まざるに拘わらず、或いは國債の利拂いのごとき、或いは價格調整費のごとき、或いは又終戰処理費の増加のごとき盡くこれその後におきましての物價の改訂、補正によるものでございます。併しながら、これそのものが如何にその発生の理由がインフレにありとしても、今日これを財政上に計上いたします場合に、これがインフレを促進し得るかどうか、かようの点に相成りますると、おのずから別個の問題でございまして、この点におきましては、問題は財政上に果して均衡を維持されておるかどうか、かような点に相成るかと思うのであります。かようの意味がら恐らく第二点、歳入の点におきまして、その歳入の大宗をなす所得税その他の自然増政の計上において、或いは歳入欠陷を予想されはしないかという、かようの御心配かし存じ上げる次第でありますが、この点につきましては、政府におきましては、相当程度の税の自然増收を計上いたしますが、もとより相当の確信があつてこれを計上いたしたのでございまして、決して水増しとかさようのものではないのでありまして、その点御了承を願いたいと思う次第でございます。
○高瀬荘太郎君 只今のお答は自然増收の見込がその通り行かなかつた場合に、赤字が出てインフレの原因になる、その心配に対しては大藏省としては要らないというようなお答えであつたかと思うのでありますが、それ以外に仮に赤字が出ないように強力な徴收が行われたといたしますと、赤字は出ないかも知れませんが、それがために物價を騰貴させ、賃金引上げを生ぜしめるという点で、やはりインフレを促進する、こういう結果になるのではないかと、私は思うのであります。併しまあ大藏大臣として只今のお答えのように増收について見込通り必ずやると、そうしてその結果又インフレを促進しないようにすると、こういうお答えではないかと思いますが、これが先程申しましたように、北村前大藏大臣のお考えもその通りで、私が念を押しまのに対しては、決してインフレを促進さしたり、追加予算は出さんとお約束になつたのでありました。ですから泉山大藏大臣も只今のお言葉のように、赤字も出さん、そうして税金も十分取つて、それでインフレを進めないようにやるというお答えを嚴格に御遂行願いたいと思います。そうして追加予算はもう出さないで済むようにお約束を願いたいと思います。
 尚只今歳出面につきましては、前内閣の責任によるインフレの後始末であるというような御解釈でありましたが、私も先程申しましたように、大部分はよう考えてよかろうと思います。けれども歳出面につきましても、この價格調整費というのが相当莫大になつております。この價格調整費の中から、若しも電産、炭鉱、金属等の賃金引上げに対する補給金が相当莫大に支拂われるということになつたといたしますというと、これが更に他の賃金或いは給與引上げの誘因となる危險は非常にあると思います。それがために又インフレを促進させることになりはしないか。又給與改善費につきましても、この程度の給與改善費の計上でありましても、先程油井委員からのお話がありましたような事情もありますので、これが民間諸事業一般に対する給與引上げの誘因となる危險も非常に多いと思います。ですから歳出面の方は大体前内閣の責任であるインフレの結果と言つてよかろうと思いますけれども、今申しました價格調整費の点及び給與改善費の点につきましては、今後それがためにインフレを生ずることになれば、現内閣及び現大藏大臣の責任になると思いますが、如何でありますか。
○國務大臣(泉山三六君) 只今御指摘の價格調整費の計上につきましては、先程申上げました通り、その大部分はすでに政府におきまして前内閣当時より既定の事実として、その結果といたしまして、当然計上せざるべからざるものが大半を占めるものでございまするが、尚又その中には多少予備的のものもこれを計上いたしたのであります。併しながら高瀬さんも御承知の通り、例えば電産とかお示しの炭鉱とかかようのものには賃金スライド制の定めもございまして、いろいろ労働問題として考慮すべき点もございまするので、政府といたしましては、その適当なるところに大体の見通しをつけまして、これを財政上の限界と見合わして適当に計上いたしたのでございまして、ただ問題は只今も御指摘の通り先刻油井さんからお話もございましたように、今回の官公吏諸君の新給與ベース五千三百三十円が、これが一般の賃金に惡影響を及ぼすにおきましては、御指摘の通りこれこそ事重大でございます。さればこそ政府におきましては、たびたび申上げました通り、如何にもしてこの惡影響を断たんがために苦心をした次第でございまして、その一例を申上げますならば、今日係爭中にございまする労働爭議におきましても、政府の五千三百三十円案の肚が決まつておらないやにこれを見ましたものか、六千三百七円を期待したものか、この期待増しと申しますか、一旦調停に入るべき労働問題も、その後遷延いたしたような事情もございまして、かようの機微の状態には、政府といたしましても万全の配慮を用い、決して惡影響をもたらさない、惡結果をもたらさない、さようの意味で、尚只今の御指摘の線に副うて、十分力を用いたいと、かように考える次第であります。
○高瀬荘太郎君 只今の御答弁でありますと、まあ私の心配して申したしたことは、大体心配ないと、こういうようなお考えのようでありますが、一つその点は十分責任を持つて頂きたてと思います。それでこのようなインフレ予算、私の目かれ見ますとインフレ予算でありますが、このインフレ予算を本当に健全な予算に立ち直すにつきましては、今後余程の英断が必要であろうと思います。で、それだけの英断をする決意を持つておられるかという点につきまして、一つ伺いたいのでありますが、最近國民所得は二兆四千億と推定されるのでありますが、このように國民所得が非常に殖えて來ておるのであるからして、今度の予算に載せられておりますような厖大な税收の自然増加ということも、当然に見込まれるというふうにお考えのようであります。併しこの二兆四千億という厖大な金額も、貨幣の値打が非常に下がつておるという点を斟酌して修正して見ますと、実はその修正された実資的な金額でいえば、昭和十一年頃の半分にしか当らないのであります。五〇%ぐらいにしか当りません。而も國家の財政支出は、実資的に昭和十一年頃の二〇%ぐらいも殖えておるのであります。國民所得は実資的に半分になり、財政支出は実資的に二〇%殖えておる、こういう結果になつておると思うのであります。そこに財政が國民の生活を圧迫し、健全財政を破綻せしめます本当の根源があるように思う、この点から考えまして、本当の健全財政を実現いたしまして、國の経済力と、予算との均衡を回復しようといたしますと、財政支出を今日の半分ぐらいに減らさなければならない。少くとも半分には減らさなければならないという大整理が必要になると思うのであります。健全財政主義を徹底しようと決意しておられます大藏大臣としては、その点どうお考えになりますか、どの程度を目標にして財政の大整理を行われる方針を持つておられますか、伺いたいのであります。或いはこれは重大な問題でありますから、まだ研究中である。目下研究中であるという御答弁ではないかと予想いたしますれれども、すでに明年度の予算編成時期に入つておるのであります。ですから若し明年から財政の大整理を断行しようという決意をお持ちであるといたしますれば、もう何とかその大体の目標ぐらいは、どうしても立つておられなければ間に合わないと思う。ですからその大体の目標を必ず用意しておられると思いますが、その点をお伺いしたいと思います。
○國務大臣(泉山三六君) お答えを申上げます。只今高瀬さんの御指摘は、今日我が國の置かれております財政並びに経済上のこの難局の上に立つて政府は須らく英断を以て、抜本塞源的にこれが建直しを図るべきではないか、かような意味かと拜聽いたしたのであります。政府におきましてももとより、この我が國の現状に鑑みまして一大英断の下に財政上又経済上一大轉機を画すべきものであると深く信ずるのでございまして、ただその点におきましては、政治力の結集と申しましようか、幸いに総選挙の結果によりまして國民の支持を頂きまする曉におきましては、果敢なる政策を展開して、只今の御要請に答えたい、かようの念願に燃ゆる次第でございます。お尋ねのその前提におきまして、然らばどの程度の財政上の大整理を行うのであるか、財政支出の面におきまして、これを半分に減らしてはどうか、さようのお尋ねでございましたが、政府におきましては只今も御指摘のようにいろいろ研究をいたしておる次第でございまして、のみならずこれは初めから大体の目標を、これを求めるのではなくして、むしろ経済の実勢をよく把握し、その認識の上に立つて、決して行過ぎにもならない、又足らないものでもない、適切なる政策を展開して、初めて所期の目的を達成できるものと堅く信ずるのでございまして、物價並びに賃金の面と相関連いたしまして、税制の改革、或いは行政整理の断行、かようなものを一連の問題として、政府はこれを取上げたいと考える次第であります。
○高瀬荘太郎君 お尋ねいたしました目標については、はつきりした御見解を伺えないのは非常に残念でございますが、とにかくもう來年度予算の編成は、どしどし進めて行かなければ間に合わない時期になつておりますので、その点十分お考えの上、大英断で御実行を希望する次第であります。大藏大臣はこの委員会で、先日木村委員の質問に対しまして、今後のインフレ進行については相当楽観的な見解を述べられたように思います。又経済安定本部の内田財政金融局長は衆議院予算委員会におきまして國民所得が非常に増大したから、今度の追加予算の予算面に出ているような税收の増加を見たとしても國民の税金負担力には余力が生ずる筈であるというふうに相当楽観的な数字を示しておられるのであります。けれども現在御承知のように事業の経営にいたしましても、個人の生活にいたしましても、大部分は筍生活をやつているのであります。所得だけで、経営が赤字を出さず、又個人の生活が筍をしないで済むということは非常に少いのであります。ですからたとい國民所得と税收額との比率が幾分低下しても、それが事実であるといたしましても、決して本当の意味の担税余力が生じたとは言えないと思うのであります。それは國民の担税力をすでに超過している。その超過した部分が幾分減少するということに止まると思うのであります。これを担税余力ということは誤つていると私は思います。殊に又事業にとりましても、個人生活にとりましても、すでに筍生活が限度に來ている。その種が殆んど盡きているのであります。その点を考えますというと、少しくらいこの比率が下がつて見ましたところで、今までのような筍ができないとすれば、いわゆる担税余力というものも出たとは決して言えないと思うのであります。この点はそういう見解を申して置きたいと思うのであります。こういう状態でありますから、我が國の資本蓄積の状況は甚だ貧弱で健全な資金計画の樹立ができないような状況にある。政府で配つて頂きました資料を見ましても、昭和二十三年度の資金需給計画におきまして、資金の需要の面は、財政資金千七百億円、産業資金三十六百億円、重復の分を除きまして、総計需要が五千百二十億円になつている。それに対しまして資金供給の面は貯蓄の増加四千百七十億円、金融機関の手許現金の減少を差引きまして純増加が三千八百七十億になつているのであります。ですからその不足分だけ通貨の増発になりまして、通貨増発千二百五十億と見積られているのであります。こういう資金供給の不足が生ずるということは、一方におきまして貯蓄の十分の増加がない、そこへ財政資金の需要が非常に大きいという点にあるかと思います。今日いろいろの金融機関における預金の状況を見ましても、その金額は非常に殖えている。非常に名目的には殖えておりまして、昭和二十二年には昭和五年の約三十三倍、昭和十一年の約十八倍くらいに殖えております。けれども他の実効物價で修正して見ますと、実質的には昭和二十二年の預金総額というものは昭和五年の五分の一以下であります。又昭和十二年の七分の一以下に減少しているのであります。こういう資本蓄積の状況で健全な資金計画ができる筈はないのであります、從いまして、大藏大臣は非常に強調されておりますが、実際に企業に対する健全金融というようなこと、或いはいわゆる三原則というようなものを嚴格に励行することは、事実甚だ困難ではないかと私は見ております。
 次に政府が実際にいわゆる三原則を励行し、健全金融の原則を強行しようとするならば、やはり資金計画の面において、政府みずから確実な計画を立てられなければならないと思う。資金計画におきまして、このような不完全なものを持つておりながら三原則を励行し、或いは健全金融ということを強調されましても、事実不可能ではないかと思うのでありますが、その点大藏大臣の御所見を伺いたい思います。
○國務大臣(泉山三六君) お答えを申上げます。先ず第一点、私が木村さんのお尋ねに対しまして、インフレの進行の見通しとして楽観的に申上げたやのお話がございましたが、私は決して樂観をいたしておるものではないのであります。が悲観はいたしておらんのでありまして、國民をして濫りに希望と光明を奪うがごときさようの政治は今日許されないと、かようの構想の上に立つのでございます。決して樂観はいたしておらないのでございます。併しながらその進行の大体の見通しにおきまして、とにかく最近の経済指標の推移に鑑みまするとき、幸いに生産の増強、この点も最近は格段の御努力によりまして、生産は相当程度向上いたしておるのであります。又物價の面についてこれを見ましても、去る九月までは一路方昇を辿つて参りましたのでございますが、十月頃からむしろ統計におきましては、多少の低下を示しておる、かようのことでございまして、最近におきましては概ね横這いの情勢にあるのであります。さようの意味合いから、若し賃金政策にして誤りなくんばインフレの前途は必ずしも悲観に、さまで悲観の要はないのじやないか、かようのことを申上げたのでございまして、以上の点を御了承願いたいと思う次第であります。尚、資本蓄積の面につきまして、縷々御高見と拜聽いたしまして、深く啓発いたされたのでありまするが、御指摘の通り、政府の資金計画におきましてこれが確実性を欠くという、不完全なる限りにおきましては、経済三原則の遂行の上にも、その実性上に多々遺憾の点が出て來はしないかと、かような御心配でありましたが、その点はその通りかと思うのでございまして、政府におきましては、この資金計画の完璧を期する上に尚一層の努力を拂いたいとかように存ずる次第でございます。
○高瀬荘太郎君 只今のお答えの通り一方におきまして、三原則、健全金融の原則を励行なさるといたしましたならば、資金計画につきましても、是非完全なる御計画をお立て願いたいと思うのであります。
 次に資本蓄積の問題と関連いたしまして大藏大臣に伺いたいことは、過日田村議員から本会議において質問いたしました價格差益納付金制度廃止の問題であります。價格差益は今度追加予算で十七億以上が計上されておるのでありますが、大藏大臣は公定價格、これが引上げられればストックについて新旧價格の差額から莫大な利益が生ずる、だからこれを納付させることは当然であるというお答えであつたと思います。けれどもこれは價格経済の下におきまして本当の利益を計算するのには貨幣價値が変動いたしましたらその貨幣價値を斟酌いたしまして、これを合理的に修正しなければならないということ、又貨幣價値が変動いたしましたらストックに対する資本の実質的維持のためには同じような修正計算をしなければならないと、こういう経済上の理論を理解されない見解ではないかと思うのであります。つまりそれは價値尺度の変化から参ります当然の資本修正の数字でありまして、決して眞の利益ではないのであります。同じような解釈が企業所得の課税につきましても、一般的に採用せられておりまする結果といたしまして、今日企業所得として重い税金を課けられておりまする所得の大部分は單なる名目的所得でありまして、その実質は企業資本の一部に外ならないのであります。それがために企業は税金で資本を喪失するような結果になつておるのでありまして、こういう状態では資本の蓄積どころではない、資本の維持さえ困難になつておるのであります。これが修正されない限り企業経理の健全化というようなことも工業資本の蓄積ということも健全な資金計画ということも樹立されることは困難であると思うのでありますが、大藏大臣は如何お考えでありますか。
○國務大臣(泉山三六君) お考えを申上げます。只今御指摘の点は誠に御尤もな点でございまして、併しながら私が本会議におきまして田村議員のお尋ねにお答え申上げました價格差益の納付の制度につきましても、これ又マル公が上げられましてそれだけの原因によつて多額の利益が生じた、これを全部若しくは一部を國家に還元する、これ又当然のことであるのであります。問題は只今御指摘の経済上の原則と申しますか、これを如何にして事実の上に現わすか、かようの点になりますると、税法その他の点におきまして種々難点がございますのでございまして、ここに所得の算定いたします場合にも多々困難なる問題のこれに随伴いたしますことは高瀬さんお承知の通りであります。
○高瀬荘太郎君 價格差益納付金を廃止するとか又所得の計算につきましても、貨幣價値変動を考慮するということが非常にいろいろ廣汎な問題を含みまして実行上非常にいろいろ面倒な問題がある。それは私もよく認めております。ですから実際実行されるにつきましては、なかから徹底的に直ぐこれを実行することは相当困難であろうということは考えておりますが、併し只今も御答弁にありましたように、マル公が上がつた場合にストックにつきその上がつた分を計算してそれが全部利益だとお考えになる点が間違つておると私は言うのでありますが、その点については少しも御訂正がないと思いますが如何でしようか。
○國務大臣(泉山三六君) 只今御指摘の御高説に対しましては、深く傾聽いたしたのでありまするが、今日の制度といたしましては、それはやはり一應利益、かようなことに相成るのでございまして、尚この場合、今日の制度は、私政府委員から答弁いたさせますが、全部若しくは一部、かようなことを申上げたのが、その点を意味するのでございまして、詳しくは政府委員をして答弁いたさせます。
○高瀬荘太郎君 政府委員の方からその詳しく御説明頂く必要も、もう時間がありませんから、いいと思います。一つ大藏大臣、その点は十分御研究を願いたいと思います。
 次に公務員の給與標準算定の方式につきまして、概略的に伺いたいと思いますが、人事院の案と、内閣の案との公務員給與引上げの目標についての根本的な相違を考えて見ますと、結局大体におきまして、人事院の案は、公務員の実質的な給與水準をずつと引上げまして、民間企業の水準、或いはそれ以上に高めようというところに主眼が置かれているわけであります。ところが、内閣の案は、公務員の実質的な給與水準を引上げることは引上げるけれども、その引上げます程度が民間企業の水準と同じ水準まで引上げようというのではなくて、公務員と民間企業の実質的給與水準の違いは今までと同じように据え置く。ただ民間企業の実質的給與水準がこの一年間に約三割ぐらい上がつている。だからこれに追いつく程度に、公務員の実質給與水準を高めようというところに主眼が置かれていると思うのでありますが、その点その通りでありますか。大藏大臣の御答弁を願いたいと思います。
○國務大臣(泉山三六君) お答えを申上げます。只今御指摘の、人事院の六千三百七円案が民間の実質給與の水準を高めるという、かようの意図のあることは、私は承知いたしておらないのであります。ただ問題は、國家公務員の特殊な地位に鑑みて、その上に立つ。かようの点であるかと思うのであります。而して政府の立案にかかる五千三百三十円案につきましては、先程も申上げました通り、財政と物價、賃金の面を睨んで、これを徹底いたしたい。かような点にあるのでありますが、現在官公吏諸君の給與の実情に即應いたしまして、これが今日民間の平均賃金よりも余りに低きに失する実情に鑑みて、これを引上げると、かようの構想はもとよりその間に含まれているということは当然でございます。
○高瀬荘太郎君 人事院の勧告文によりましても、民間給與水準との均衡を図るということが言われております。人事院案は大体におきまして、民間の給與水準と同じ程度まで公務員の給與水準を上げようという点にあると思う。内閣案と人事院案との比較を今のように考えますと、結局内閣の案では、公務員の生活水準が平均いたしまして、人事院の見た民間企業の性格……ちよつと言い換えます。今のように考えますと、内閣の案では、公務員の給與水準は人事院の考えております民間企業の給與水準よりも低くなる。從いまして内閣の案によりますと、公務員の給與水準は民間企業の水準よりも低くなるのでありまして、生活の水準が民間企業よりも低くなるのでありますが、その点につきまして、甚だ不公平、不合理があるということはお考えになりませんでしようか。
○國務大臣(泉山三六君) お答えいたします。おつしやることがちよつとよく理解いたさなかつたのでありますが、それはどういう点でございましようか。
○高瀬荘太郎君 内閣案によりますと、先程申上げましたような理窟から言うと、公務員の生活水準が民間企業の人たちの生活水準よりも低いところに据え置かれなければならないということになりますが、その点甚だ不合理であるとはお考えになりませんか。
○國務大臣(泉山三六君) お答え申上げます。先ず第一点、人事委員会の勧告の六千三百七円案が民間の水準よりも高いところに標準を置いていると、かようの先般の御指摘の点につきまして、更に多少附加いたしたいと思うのでありまするが、その点につきましては、先程も申上げます通り、同院の提案を詳細に檢討いたします場合に、多多六千三百七円から控除せらるるものがございますのでございまして、これを金銭に換算いたします場合に、相当程度のマイナスになると、かように御了承を願いたいと思います。ところで只今のお尋ねの政府の提案にかかる五千三百三十円案が民間の給與水準よりも低い。而もこれは据え置かれるのかという御質問でございまするが、さようの方針ではないのであります。たびたび申上げます通り、今日この段階におきまして、勿論財並びに経済との関連において、その調和と……さようの一線が引かれたのでございまして、これが問題は、民間給與よりもまだ多少は低いのではないかと、かような点におきましても恐れる次第であります。
○高瀬荘太郎君 先程私が申上げましたのは、人事院の案が民間の給與水準よりも非常に高いと、こう言つたわけでは決してありません。そう大藏大臣は御解釈になつたようでありますが、そういうわけではありまんで、私が申上げたのは、人事院の案が民間の給與水準並びに公務員の給與水準を上げようと、或いは多少民間の給與水準より高くなるかも知れないけれども、とにかく目標は、民間企業の給與水準まで引上げようという点にある、こう申上げたのでありますから、そう御解釈を願いたい。只今の御答弁についてでありますが、私の質問した点と多少食い違つていると考えるのであります。私がお尋ねいたしましたのは、今大臣がおつしやいましたように、財政上の理由、國の経済力との関係から、公務員の給與水準を低く決めなければならなかつたんだと、こういうお話でありますが、これは又別の問題でありまして、私がお尋ねいたしましたのは、どんな理由にいたしましても、公務員の生活給與水準というものが、民間企業の給與水準よりも低くなる。そうして公務員の生活の程度が、民間企業の人たちの生活の程度よりも低くなるということが内閣案によつては生ずると思うが、それで不公平、不合理がないとお考えになるかどうか、こういう点であります。
○國務大臣(泉山三六君) お答え申上げます。只今のお尋ての点は、現実の問題といたしましては、たびたび申上げます通り、五千三百三十円案こそ官公吏諸君のためである、かようにまで思うのでありまするが、併しながら民間の給與よりも官公吏諸者の給與が低くなければならん、さようの原理的構想を持つ者では決してないのでありまして、その点につきましては深く御理解を賜わりたいと存ずる次第であります。
○高瀬荘太郎君 私はどうしても今度の内閣案で給與が実施されることになりますと、公務員の給與の標準は民間の平均給與の水準よりも低くなりと考えるのであります。併しそういう場合は大藏大臣としても甚だ不公平である、こういう御解釈のようでありますが、無論その通りでなければならないと思います。そうであるといたしますと、いずれこれは是正しなければならないものでありますが、大藏大臣は如何ようにお考えでありますか。
○國務大臣(泉山三六君) お答え申上げます。只今御指摘の是正の点に相成りますと、先ず問題は五千三百三十円案が民間の平均給よりも低い、こういう場合の前提におきまして如何なる程度、如何なる面に、又それが如何なる点に原因がありや、さようの問題こそこれが解決を意味するのでありまして、これを言葉を換えて、申上げますれば、成る程平均におきましてはさようの結果と相成りまするのでございまするが、賃金問題、資金政策の点におきまして、先刻も申上げました通り、この官公吏諸君の給與ベースの引上げを好機として、民間におきましてただ賃金の引上運動のありますることは高瀬さん御承知の通りでございます。かようの現実に即應いたしまして、これが將來の改訂の場合にも十分考慮を拂うべき点かと思うのでございます。
○高瀬荘太郎君 少しはつきりいたしませんが、内閣といたしましても、当然今度の公務員給與の水準が十分であるとはお考えにならんと思います。いずれこれは是正されなければならないと思いますが、そういう点につきまして内閣はもう少しはつきりと、これはまだ甚だ低過ぎる、この点甚だ不公平だ、併し財政上今日止むを得ない、けれども財政が許すならばこれはできるだけ早く引上げなければいけないのだ、いつ、それをどういう方法で実行するか、こういうようなことについて、もつとはつきりした態度をお認めになりませんと、明らかになさいませんと、今度の内閣給與案について公務員の納得を得ることが非常に困難ではないかと私は思うのであります。又殊に政府が炭鉱、電産などの賃金引上げに対しまして、莫大な補給金まで出して、そうして公務員以上の賃金を認めようとする、若しそれが事実であるといたしましたならば、一層不公平が甚だしくなるのであります。ですから私は若し内閣が五千三百円ベースでこれを押し切ろうというならば、公務員の納得が行くようにもつとはつきりした今後の方針をお示しになる必要があると思いますが、如何でございますか。
○國務大臣(泉山三六君) お答えを申上げます。只今高瀬さんのお言葉を承つておりまして、政府の今回提案にかかる五千三百三十円は、これを是正の必要がある。財政上の理由によつて止むを得ずその程度に止めたものである。かようのお言葉でありましたが、政府におきましては決してさようの観点に立つものではないのであります。たびたび申上げます通り、若し今日このときにおきまして、これ以上のものにこれ以上の名目賃金を與えるにおきましては、それこそ物價の高騰を來たし、折角の賃金はむしろ実質賃金の上にはマイナスとなる。かように御了承を願いたいのでありまして、それが財政の面におきまても、先程御指摘の通り健全財政を保たんがために、これを極く多額の賃金を計上するということになれば、必ずや物價の面に触手せざるべからざる面があると考える次第であります。さようの意味合から、この五千三百三十円案はこれを近く改訂する、かようの考えはないのでございまして、その点十分御了承願いたいと思うのでございます。その場合におきまして、他方例えば電産の問題、或いは炭鉱の問題につきまして、これに價格調整金におきまして多少の、何と申しますか、予備を計上しておるのは不合理ではないか、かようのことでございましたが、申上げるまでもなく、賃金の上にはおのずからその間の均衝がございますことは申上げるまでもないのでありまして、その均衝の上に立ちましてもこの五千三百三十円こそ適当である、かようの判定の上に立つものでございます。
○高瀬荘太郎君 どうも私の質問に対する御答弁の的が多少外れておるように思うのでありますが、つまり今日の財政の下で五千三百円以上の給與を出すということになればインフレも起きるし、非常に日本経済に惡い影響がある、だから五千三百円以上は出せないのだ。こういう点は今までの政府の説明で大体分つておる。けれども政府自身もよく言われますように、又本会議において吉田総理大臣も言われたのでありますが、人事院案の六千三百円ぐらいは政府としても出せるものなら出したいのだ、こういうお考えを言つておられるのであります。そうすれば財政さえ何とか都合がつけば五千三百円でなく、もつと出すべきであるというお考えがあると思う。現在の財政状態のままで出すことはできない。併し財政を何とか整理して、財政の整理によつて五千三百円以上の給與を出してもインフレも起きないし、健全な財政になる方法がある。それをできるだけ早くやつて、五千三百円では足りない分をできるだけ早く引上げてやろう、こういう御方針であるならば、これをはつきり声明されたらどうかと思うのであります。
○國務大臣(泉山三六君) お答を申上げます。只今の御発言によりまして私極めて明瞭に理解をいたしたのでありますが、私の申上げましたことは、現実に即應して申上げたのでございまして、成る程只今高瀬さん御指摘の通り、若しも財政上の整理、或いは行政の大斧鉞を加えるにおきましては、問題はおのずから別個に展開せられるのでございますが、その場合におきまして、これは物價並びに財政の面の制約には何ら触るるところがないのでありまして、おのずからなる回答が参ると思うのでありますが、遺憾ながら今日このときにおきまして行政整理断行は適当ではない。かように今日直ちにこれを用意なくして行うことはできないのでございまして、かようの意味合いにおいては止むを得ず五千三百三十円である、かように御理解を賜わりたいと思うのであります。
○高瀬荘太郎君 どうも今の御答弁では分りませんが、今日できないということは私も大体認めておるのでありますが、今後これを是正する、その是正の方法を財政整理その他あらゆる工夫をしてやるのだ、こういうことを政府はお考えであるのかという点なんです。
○國務大臣(泉山三六君) 私が只今縷縷述べましたことは、高瀬さんの只今の御尋ねのごときことを申上げたつもりでございます。
○高瀬荘太郎君 そういう意味でお答え頂いたのでありましたらば、もつとはつきりとそういうことをおつしやつて頂きたいと思つております。もう時間がなくなりましたから質問を打切ります。ただ最後に昨日でしか一昨日ですか、この委員会で私は上野人事官にお尋ねいたしたのでありますが、若しこの國会で人事院案が通らないで、その他の案が採用されたとした場合に人事院としてはどうするかということをお尋ねいたした。その場合上野人事官は最初はその場合は今度の人事院の案は飽くまで最も理想的な案と考えておるからして、直ぐさま又勧告をするのだ、こういうお答えであつたと思うのでありますが、その後、段々質問をしておりまして、後になりますとどうもその点ぼやけて來まして、別の案が通つたらそれをよく檢討して見て、合理的ならばそれで納得するし、そうでなかつたならば直ぐさま又勧告をするのだ、こういうようなお話でありました。はつきりいたしませんがいずれにいたしましても、そういう御答弁の点から考えますと、内閣案が國会で承認をされて、人事院案が通らなかつた場合には、人事院は直ぐさま新たな勧告をして來るだろうと思う。又それが私は公務員法第二十八條の精神だろうと思う。人事院としてはその責任があると思うのでありますが、その場合に大藏大臣としてはどう処置されますか、それを伺いたいのであります。
○國務大臣(泉山三六君) 政府におきましては五千三百三十円が幸いに國会の御協賛を得られ、予算も亦成立いたしました曉におきましては、さようの問題はすべて解消いたすものと、かように了解いたしております。
○高瀬荘太郎君 政府はそう解釈されましても、私はやはり公務員法第二十八條によりまして人事院は勧告する義務があると思うし人事院自体も直ぐ勧告を繰返して來はしませんかと思います。その点は只今の御答弁ですと、そういうことはないというようなお考えのようでありますが、私はそうはならんと思います。この点は見解の相違であるとすれば、幾らお尋ねいたしましても仕方のないことでありますから十分御研究願いたいと思います。私の質問はこれで終ります。
○委員長(黒川武雄君) それではこれで休憩いたします。
   午後二時十二分休憩
   ―――――・―――――
   午後四時五十五分開会
○委員長(黒川武雄君) これより委員会を再開いたします。皆さんお待ちかねの総理大臣がお出でになりました。先程の理事会で申合せました通り、質問の方が多いために、総理大臣に対する質問は総理大臣のお答えと、應答共に五分以内にお願いいたしたいと思います。先ず……。
○堀越儀郎君 総理大臣にお伺いいたしたいのでありますが、首相の施政方針演説において、文教の刷新と民主教育の徹底というものが、國家再建の根本であるとお述べになつたのでありますが、これに対する具体的の御所見を伺いたいのでありまするが、昨年のこれは貿易再開後でありますが、対米爲替レール設定ということが、財界人の非常に要望でありましたときに、主として関西方面でありますが、一ドル百五十円位に設定して欲しいというような希望が盛んに出ましたときに、恰かも対米爲替が、一ドル百五十円に決まつたように流布され、これが新聞に宣傳されました。この際にマッカーサー元帥は、こういうことを声明したんであります。対米爲替が一ドル百五十円に決まつたというふうに日本人は考えているようであるけれども、我々の方ではそれは認めたんじやない。これがどう決まるかということは、日本人の精神一つで決まるんだ。というふうに声明したように記憶しておるのでありますが、この声明の意味を総理はどうとられますか、恐らくこれは日本の國際信用の回復ということが土台であり、國際信用の回復によつて、これが安定を得るんだという意味に、我々は示唆せられたと解釈するのでありますが、この点から考えますと、産業の復興が土台でありますが、我々の國際信用を、今まで失墜したところのものを回復し、更にこれを維持するということにおいては、文教という問題、或いは民主政治教育、そういうものが非常に大きな力になるのではないか。今日も参議院で私学の振興のための金融機関設立に関する決議案が出たのでありますが、満場一致で可決された。こういう方面の私学の復興というような面に対しては、総理はどういうふうに考えられておるか。單なる爲替レートというようなもの、経済問題であると考えられるのか。マッカーサー元帥から日本人の精神一つだと示唆された点において、我々は非常に考えなければならん点が多いのではないか。こういうことを総理はどういうふうに考えられるか。御方針を承わりたいと思います。
○國務大臣(吉田茂君) 少し話が遡りますが、この前の吉田内閣のときに六・三制を制定したのであります。この六・三制については私もその当時相当無理がある。急速に六・三制を施行するということは、相当無理があるとこう考えたのでありますが、その当時の事情を申しますと、日本の教育にしてもそれから経済にしても、その他すべての機関が軍國主義、若しくはそれに都合のいい機関になつておるのである。すべてを戰中心にし、戰に都合のいいような組織であるというような誤解を持つて……当時日本に來た司令部の人の多くはそう考えておつた。殊に教育がいけない。殊に教育が軍國主義的教育である。青年を軍隊に入れて、そうしてそれに軍事教練を與えて、戰に都合のいいように非民主主義の教育を施こすものであるから、そこでかくのごとき太平洋戰爭のごとき戰爭が起つた。そこを非常に司令部の人も認めておりました。日本の教育の建て直しに非常に力を入れて、そこで六・三制、アメリカの教育流に日本の教育を一度建て直さなければならんという主張、これは誤解と申せば誤解でありますが、これに余り強く反対でもすれば、日本では尚軍國主義を持つておるとか、或いは又軍隊を再建するつもりであるとかいうような誤解を招く虞れがあつたものでありますから、多少無理と思いましたが、六・三制の施行を承諾したのみならず、憲法その他も、日本に対する誤解と言いますか、軍國主義的、國家主義的誤解を去るためには、努めて各種の改革を極く勇敢に断行することによつて、誤解が解けるというような考えもあつて、少しは無理であると思いましたが、又実際無理であるのでありますが、六・三制を採用した。それから又もう一つは、日本の從來の考え方が必ずしも惡いとは申されないのでありますが、多少万國に通じない……というとおかしな話ですが、日本一國だけが了解ができて、そうして他國の了解しないような教育方針等もあつたような思われるので、今日日本の信用、日本に対する信頼を回復するためには、列國から見て了解のできるような教育制度を作つて行くということが大切である、これ亦六・三制に改めた他に理由でもあつたのであります。いずれにしても当時日本に対して、日本の復興なり、敗戰後の日本を建て直して行くためには、新らしい教育を喜んで日本國民が採用するという氣持の現われが必要であつたのであります――あつたと我々は了解して、六・三制を勇敢に、甚だ無理があるとは思いましたけれども、実行することに決意をしたわけであります。その後御承知のごくに、世相は大部惡くなりまして、始終問題になるのは、道徳の高場とか或いは低下とかいうことが問題になるんでありますが、日本の國民の教育を高揚せしめる、文教を刷新する、そのためにはこの度もどこかの委員会で申述べましたが、文部、行政については、この吉田内閣としては一段の注意を拂いたいと考えて、文部大臣の選任には特に注意をいたしたようなわけであります。そこで今のマッカーサーの爲替率についての話は、私は多少記憶がありますが、どういうことを当時言われたか存じませんが、はつきりした記憶はありませんが、マッカーサー將軍の始終言われるところから考えて見ると、日本の復興なり日本の経済の建て直しというものは、日本人みずからが愛國的熱情を以て当るべきものである、日本自身が復興計画がなくして、そして外國の援助を得ようとしたところが無理である、無理であるのみならず無益である、日本復興は日本人みずからが、日本政府みずからが案出すべきものである、その基礎において我々が助け得るものは助けるということを始終申しております。それで今引用せられたマッカーサーの声明なるものも多分その趣意であろうと思います。
 爲替レートが百五十円になるか、二百円になるか、三百円になるか、日本の國の復興が盛んになればなる程、爲替レートは安くていいわけであるんだ、併し日本に復興計画がなく、國民に復興の熱意がなければ何百円でもこれは足りないわけであるということは、將軍も始終申しておる通りでありまするから、多分その線においての声明できないかと思うのであります。一應のお答えをいたします。
○山下義信君 私は最近のできごとといたしまして、國民として実に悲しく感じますことは、前総理大臣の芦田氏が強制收容されまして刑務所に入つたということであります。事の眞僞、よし惡しは別といたしまして、一國の総理大臣、たとえ國が敗れましてどのように道義が頽廃いたし、國民の思想が混乱いたしておるとはいいながら、一國の総理大臣に対しまする國民の敬意は相当なものがまだあります。然るに昨日までは総理大臣として載いておりましたその人が、一朝急轉直下忽ち文字通り急轉直下いたしまして、今日は囹圄のひとやに閉じられる身になつたというようなことは、私は実に國民の一人として非常に悲してことに感ずるのであります。政治の爭いは正々堂々とやるべきことは言うまでもありませんが、その政爭の余波が総理大臣に及んで、総理大臣の首を取り合いつこすれば政権が動くといつたごとき、苛烈なる政爭状態を呈すことを、本員は実に悲しむ者であります。総理はその点どうお考えになりますか存じませんが、國のため、道義のために同じように考えらるると私は堅く信じます。つきましては吉田首相御自身あなたに対して、世間が又いろいろ政治上の爭から、首相に傷つけようとするがごとき、そういう政爭的行動は、たとえ私共反対党の立場にある者といたしましても、甚だ賛意を表し難いのであります、ありまするが、苟くも総理の身辺に関しまする疑惑が論議せられまする以上は、これは一刻も速かに綺麗に排除して行かなければならん。かように感ずる者でございます。つきましては昨日の当院の本会議におきまして、中平議員から質疑をいたしましたのにつきまして、総理から例の梅村氏からの百万円の受取のことにつきまして、こういう答弁をなさつておいでになるのであります。「お話の問題のことは、我が党に献金があつたから、それで私から礼状を出して呉れということで、礼状を出したのである。」かように御答弁になつたのであります。そういたしますと、政党資金の届出がないというような問題が更に論議せられたようでございまするが、これは私共何かのお間違いではないかと存ずるのであります。参議院は特殊の性格がございまして、たとえ党派は異にいたしましても、公平な立場なら、國民に代りまして、冷靜に問題の判断を下さなければなりませんので、これはこの席に総理が見えましたので、この問題に対しまして率直に國民の誤解が若しありといたしますれば、その疑惑をお解き下されば、甚だ私共本意に存ずるのであります。
○國務大臣(吉田茂君) これは昨日の議場に述べた以外に何も事実がないので、それが眞相であります。いつの頃でありますか、はつきり覚えておりませんが、星島総務から、梅林ですか、とかいう人が献金をして呉れたから、礼状を出して呉れという話であつたから、それで礼状を書いたわけで、それ以外に何にもないのであります。私は梅林という人に会つたこともなければ、又その献金が党に持つて來てどうされたか、それも私は知らないので、星島総務からしてそういう話があつたものでありますから、これに應じて礼状を認めただけのことであります。これが眞相であります。その外に何もありません。
○山下義信君 そういたしますと昨日の本会議の総理の御答弁はそのまま御確認に只今相成つたのでありますが、それに足して星島総務からのお話をここに附加されたのでありますが、献金があつたというのは自由党へ献金があつたというお話でございましたでしようか。総理御自身へ献金があつたというお話でございましようか。その点だけ承つて置きましてこの問題は打切りたいと思います。
○國務大臣(吉田茂君) 私へではありません。党へという話で、手紙の文面は何といつて書いてやつたか記憶もないくらいに軽い意味で礼状を出したわけであります。私へではありません。
○山下義信君 ただもう一つだけでございます……。その問題はそれで打切りまして、今一つ伺いたいと思いますのは、御承知のごとく中華民國の情勢が日に増しまして中國政府の危機を傳えておりまして、中共側の連合政府が將に成らんとする形勢でありますることは御承知の通りであります。若し連合政府がいよいよ成立いたすとしますれば、その曉におきましては日華関係にも種々の影響を生じまして、場合によりましては我が國の運命、又極東の情勢にも重大なる変化をもたらさんとも限らんと私共考えておるのであります。國民はいろいろ思想の上からも、又我が國の將來の成り行きの上からもいろいろと考えさせられておる点があると存じまするので、この際我が國の立場、役目、將來の見通しにつきまして、はつきりした首相の御見解を承わりまして、國民と共に誤りのない考えを持ちたいと存ずるのであります。
○國務大臣(吉田茂君) 只今日本國としては外交停止ということになつておりますから、殊に連合國の一員である中國に対する批評はちよつて私として差控えたいのであります。併し若し一應速記を中止して頂けるならば多少の見解を述べますが……。
○山下義信君 中止を願います。
○委員長(黒川武雄君) 速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
○委員長(黒川武雄君) 速記を始めて。
○中西功君 吉田首相に沢山な質問があるんですが、時間もありませんので簡單に要点だけ三点を質問したいと思います。第一は今日の読賣新聞には、共産党の惡質宣傳の取締という見出しで、昨日の衆議院の予算委員会において中曽根氏の質問に対して首相が答えられたその中で、「共産党の宣傳特に北海道地区におけるものには極めて惡質のものが多くこれは沿岸警備の不備に乘ずる一部密航分子のデマに基くものと思い関係方面の協力を得て極力これが防止に努めているが、更に強力な取締を必要と考え目下具体策を考慮している、」こういうふうなことが出ております。北海道地方で、極めて惡質なるものが多いということと、それが沿岸警備の不備に乘ずる一部密航分子のデマというふうことになつております。先の首相の密貿易の話もありましたが、我々は一切密貿易にき関係ございません。それで一体具体的にこういうことがどんな事実としてあるのか。特に北海道地区ということがなにされておりますし、而も沿岸警備の不備に乘じて、何か共産党が密航して來るというようなお話がありますが、これは具体的にどういうことがあつたのか、はつきりお聞きしたいと思うのです。これが第一点。
○國務大臣(吉田茂君) これも速記を止めて頂きたい。
○委員長(黒川武雄君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
○委員長(黒川武雄君) 速記を始めて。
○中西功君 この問題につきましては、沢山な問題があると思うのですが、先のお話では樺太からの密航という問題が問題になつているんです。併し実際あの樺太一帶の地帶において、いろいろ密貿易といいますか、密漁業をやつたり、そうしたりするのは、日本の漁船が主としてやつております。そして又実際に日本の当時の、昔の新聞でありますが、恐らく第一次吉田内閣時代と思います。樺太から逃げて來た人の話が公然と新聞に載つていた。そしてソ連地区において、如何にもみじめな待遇を受けたというような記事が公然と日本の新聞に出ておつたのである。何も書くことがなくて、むしろこれは共産分子という意味でなくて、反対にソ連に対して、非常に反感を持つている連中が当時公然と新聞にそういう談話を載せている。そういうことがあることは、もう首相は知つておられると思う。更に共産党という言葉によつて、ソ連の共産党と、日本の共産党を全くごつちやにしていると思う。併し日本の政府を始め、多くの人々は早く帰還させて呉れ、早く帰還させて呉れということを歎願をしていると思うのです。ところがその帰還者に対して、現実にどういうことがなされたかというと、有名な舞鶴港のあの暴力事件は、素晴しい、物凄いものです。反対に、ソ連のよいところを見て來て、ソ連のような社会主義を日本にも作ろうというふうに考えて帰つて來た人々に対して、物凄い暴力行爲を実際やつている。それはもう公然の事実です。ソ連に抑留されておつた中で、ソ連のいいところを見て、ソ連はいい國であるということを考えることは、アメリカにおつた、そうしてアメリカがいい國であるということを考えて日本に帰つて來るのと一つも変らない。そういう者に対して、特別にソ連のいいことを考えるような連中、即ちこれは一つの考え方です。思想の自由です、こういうことは憲法において、あらゆる法律において、日本において保障されている筈です。それを何か取締る。或いは現実に、舞鶴港において暴力行爲をするというようなことは、これは明らかにそういう日本の憲法を無視しているばかりでなく、ここに言われたことは、実にこれは全くおかしいと思う。まだ沢山質問がありますが、ともかくもそういう事情で、尚いわば、ソ連の共産党なり或いはソ連の國がそういうような教育をしたとしても、これは、このこと自身は、我々日本共産党には何ら関係がない。更にこの日本共産党にそういう人々が入る場合には、正式な入党手続を経て入つている。舞鶴港に入つたからといつて、直ちにそれが日本共産党員じやない筈です。必ず手続をして入つているわけです。そういう事情を考えましても、一体ここに具体的措置を講ずると書いてありますが、一体どういう措置を考えておられるのか、もう一度聞きたいと思います。
○國務大臣(吉田茂君) ちよつと速記を止めて頂きたい。
○委員長(黒川武雄君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
○委員長(黒川武雄君) 速記を始めて。
○中西功君 それじや第二点でありますが。
○委員長(黒川武雄君) 簡單に願います。
○中西功君 これも実は関連しております。私ここに資料を持つておりますが、これは昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件、この命令であります。この命令をこの度政府において、もう一度これを、私たちから言わせれば改惡するというふうなことがなされている。その案文もここにちやんとあります。これはここにはちやんとこの、東京都の港区の区長が、こういうものが改惡されるから、用意されているから、注意して、今後の届出やいろいろなことをやれというふうなことを、そういうものとして出されている。判もちやんとここに捺してあります。この改惡の問題については、具体的には詳しく申しませんが、根本的な点は極めて明瞭であります。即ち以前この法令にはなかつたのに第一條として、この政令の目的というものを加えられた。「この政令は、祕密的、軍國主義的、極端な國家主義的及び暴力的な團体の結成並びにそのような行爲を禁止する」というふうに、特に重要な点は暴力主義的な團体の結成ということにあるわけです。その他細かい点は沢山改惡するのでありますが、それは申しません。特に暴力主義的なという中にです、この暴力主公的企図による政策の変更というものが掲げられております。單にこれは暴力團ではないのであります。政策の変更ということは、とても暴力團にはこういうことはないのであります。何らかの一つの政策を持つ團体を明らかにここに暗示しておるわけであります。それで私はここでお聽きしたいということは、こういうふうな法令が現に準備されておるのかどうか、政令が……。更に準備されておるとするならば、その暴力主義的な政策変更ということは、これは一体具体的に何を指すのか。我々に最も関係ありますところは、首相があらゆるところで、共産党は國を破壊するとか、或いは暴力的な云々というようなことをよく言うのですが、それならばこの暴力主義的な政策変更ということは共産党を指しておるのか、その点をお聽きしたいと思うのです。
○國務大臣(吉田茂君) 私の申す共産分子というのは、國の秩序を破壊するとか、或いは國に騒擾を持ち來すというような分子を総合して申したので、日本共産党を申しておるわけでもなければ、又お話の右翼分子でありますか、特にこういう分子を目掛てこういうふうな法律を作ろうというような、作りつつあるわけではありません。併し日本の秩序、日本の社会の破壊を目的とする分子は、これは共産党であろうが、右翼分子であろうが、これはこの社会の釈序を維持するために必要があれば、適当な方策を講じなければならんと考えておるわけであつて、今日未だ着手いたしておるわけではありません。どうぞさように……。
○中西功君 政令は未だ着手しておらんわけですか。
○國務大臣(吉田茂君) しておりません。少くとも私としては考えておりません。
○中西功君 けれども、それが出ておるわけですね。
○國務大臣(吉田茂君) それはいつのあれですか。
○中西功君 これは非常にはつきりと條文ができておるのですが。
○國務大臣(吉田茂君) 何かそれは間違いじやないかと思うが、少くとも私は……。
○中西功君 分りました。少くともこういうような間違つたものを出すということは、確かにこれは出した人が問題だと思います。
○委員長(黒川武雄君) 質問は簡單に願います。
○中西功君 第三点は、これも簡單なことです。それはちよつと内容はややこしいのですが、ここに「労働者の権利、民主主義と全体主義との比較」こういうパンフレットがあります。更にもう一つ、「ソヴィエトにおける共産主義の実相」まあこういうパンフレット、これは御存じのようにどこで発行したのか、さつぱり訳が分らんわけです。而もこの中では、社会主義ソ連邦に対する非常な中傷が、物凄い中傷が書いてあります。而もこれは我々の調査によりますと、岩手縣の縣廳の労政課の阿部主事が執筆し、川口という印刷所を通じまして、そうして各労働組合へ配付して、阿部氏は追究されて、俺がやつたんだというようなことを言つておるそうでありますが、これは國鉄内で配付されたところの、而も國鉄の公報には、明らかにこれを配付するというような公報が載つております。更にもう一つ例を引きますと、これはソヴィエト連邦の強制労働ということを、はつきり絵で書いてあります。一千四百万のロシアの労働者が強制労働で、こういう所で收容されてやつておる、こういう例であります。実際ロシアの問題といたしまして、こういうような所で強制労働の收容者があるなんて、これはもうロシアを考えたら誰でも分ると思うのです。ここに千四百万の労働者が強制労働に服して、こういうような所に集團されておるなんということは、馬鹿げたことだと思うのです。
 私はこれは一連のものとして、これは非常に反ソ的なものを、而も公然とやられておる。それで私はお聞きしたい。今日新聞にも見られますように、連合國に対する、或いは占領軍に対する惡質なもの、宣傳をするとか或いはいろいろのことで、現実に引掛かつておる人は沢山あります。主としてその場合はアメリカ方面に対するもんだと思います。ところが、そういうふうに一方でなされておりながら、現実にこのようにソ連に対しては公然となされておるし、而もこれは政府の……。政府と言います、一應公的な機関で、こういうことが公然となされておるわけです。で、私は首相にお聞きしたいのは、ソ連もやはり今日の日本から見れば、連合國の一つだと思うのです。ですから、まあそういうことは分り切つたことでありますが、こういうふうに反ソ的なことを政府としても今後もやらさして置くつもりかどうか。若しこれをやらさして置くつもりならば、それならば今頻々として起つておるところのある占領軍に対する批判から來るいろいろの占領政策違反の刑罰も、非常におかしなわけだと思うのであります。それで一体首相はこういうふうな非常に片手落な問題に対しては、どうお考えになつておるか、それをお聞きしたいと思います。
○國務大臣(吉田茂君) 政府と申しますか、外務省の方針としては、連合國との間には成るべくいい関係を持ちたい。特に片手落とか、或いは特に誹謗をするような、極端に誹謗をするような國民の行動は取締りたいと思いますが、併し御承知の通り今日は新聞雜誌の檢閲であるとか、或いは又取締という規則が、戰後非常にいろいろな取締に関する法律が廃せられたものでありますから、当局としても取締には相当苦心があり、又遺憾な点もありますが、成るべく連合國には片手落のこと、或いは又少くとも講和條約までは、成るべく外國の神経、何と言いますか……との間に紛糾を起さないように、そういう注意は取つております。又取るつもりでおります。ただ取締の点において、或いは殊に印刷物の取締について、遺憾な点があることは、我我も認めますが、氣持といたしては、今申すような特にソ連であるからといつてその國を誹謗させるとか、或いは或る國、例えば特に進駐軍であるからどうというようなことはいたさないようにしたいと思つて、その方針で取締をいたすつもりでおります。
○木村禧八郎君 私は吉田総理大臣に対しまして、一つの問題、ただ一点お伺いしたいのですが、それは日本の経済再建、復興に関する根本的なお考え方、基本方針、どういうふうな考え方で今後日本経済の再建、復興をやつて行かれるか、この点が基本的な考え方如何によつて、日本経済の復興、再建ができなくなる虞れがあると思うのです。特に前の吉田内閣、又石橋大藏大臣などの政策を見ましても、生産第一主義、いわゆる生産第一主義で、生産さえ増せばインフレをやつてもいいというような政策でありましたが、総理大臣が施政演説で述べられている中でも、生産第一主義ということを言われている。その生産第一主義の内容は、前の吉田内閣時代におけるような意味での生産第一主義を言われているかどうか、その点についてお考えを承わりたい。それで御承知の通り、経済安定本部を中心にして今復興五ヶ年計画というものを案を立てているわけです。あの案を見ますと、自由党の掲げているような政策、又この追加予算の提出に当りまして、吉田総理大臣及び泉山大藏大臣がお述べになつたような、日本経済再建に対する構想では、経済再建はできない、私はそう思うのです。從つて先ず日本経済の再建、復興に対してどういうような基本的な考え方で進んで行かれるか。これまでいわゆる自由党は自由経済というもので、そういう考え方でやつて行こうとしていられるように我々は聞いておりますが、その点一つ明確にお答え願いたいのです。
○國務大臣(吉田茂君) 御質問が非常に廣汎であるものですから明確を期し難いかも知れませんが、氣持としては生産第一主義で行きたい。生産第一主義で生産が興れば、自然インフレーシヨンは止まる。インフレーシヨンがすべての問題を惹き起している今日であるから、先ず増産になり、それから又生産が起り得るような状態にいたさない限りはインフレーシヨンは止まらない。又インフレーシヨンが止まらずに、そうして減産になるというような状態、或いは日本の財政が均衡をとることができないというようなふうであれば、外資の導入にしても日本の経済財政の前途の見通しがつかないということであれば、むしろ外資導入というともむずかしいでありましようから、先ず経済を整える。経済を整えるためにはインフレーシヨンを抑える。インフレーシヨンを抑えるためには増産をさせる。生産第一主義で行きたい。こういうようなこと、これを基本的な政策と言い得るかどうか知りませんが、とにかくそういう氣持で進みたいと思います。
○木村禧八郎君 それは具体的な政策、その今のお考え自身がいろいろ問題があると思うのですが、これはこの前に生産を上げるにはインフレを先ず処理しなければ生産できないのか、或いはインフレを処理するために生産を先に増さなければいけないのか。この点は非常に問題のあるところだと思うし、むずかしい問題でありますが、その点には一應触れないといたしまして、私のお聽きしたいことは、経済復興五ヶ年計画、これを達成するには、これまでのようないわゆる資本主義的経済のやり方では、たとえ外資の導入があつてもこれはうまく行かないのではないか。從つて相当社会主義的な……社会主義的という意味は統制の伴つたところの、自由を相当抑えるところの政策を採らなければ経済復興五ヶ年計画というものはできないのではないか、これを具体的な例で申上げますというと、例えば硫安、本年度は百十万トンの増産計画を予定しております。その結果、農家一反歩当り六トンの肥料が配給できる。そういう計画になつておる。ところが農家には購買力がない。購買力がないと買いません。買いませんと結局目標的な生産をしても、目標計画を達成しても購買力がなくて買えないとなれば、購買力の面と市場の面から計画というものは崩れて來る。第二として投資の面、インヴェストメントの面から言いましても、例えば繊維は百四十万錘の紡績を作ろうとしても、自由企業の下では、若しかそんなに作つてあと損をすればこれは國家で補償して呉れない限り企業家としてはこれを生産しない。或いは石炭についても余り生産し過ぎて炭價が下落すれば増産しないでその方面に投資が行かない。これは相当國家が力強い計画を以て、統制の力を以てやつて行かなければできない。市場の面、購買力の面、それから投資――インヴェストメントの面、更に流通面においても、この資本主義的な経済のやり方では、横流しというようなことが起つて、例えば住宅建築に本年度三十万石の木材が必要である。ところが闇建築その他で六十万石の木材が使われておる。そうすれば残り三十万石はどこかに計画的に向けなければならない。住宅の闇建築に使われて計画が崩れて來る。こういうような今の資本主義的なやり方では、私的企業にそういう計画をやらせても市場の面、投資の面、流通秩序の面において計画が崩れて來る。ですから計画的に五ヶ年計画をやろうとするには、どうしても社会主義的な政策によつてこれを強力に展開して行かなければできないと思う。この自由主義的な方法によつて復興五ヶ年計画、計画的に日本経済を再建し、復興し得るという、そういう根拠がございますかどうか、この点、御意見を伺いたい。
○國務大臣(吉田茂君) これは話せば長くなりますが、私も施設演説においても申したと思いますが、必ずしも自由主義で以て盡く統制を撤廃してしまうのだとか、或いは統制は飽くまでも強化するというのではなくて、成るべく統制は外したい。併しながら必要な統制は置きたい。そういうような氣持で以て考えております。
 又五ヶ年計画についてはこの間説明も聞きましたが、尚研究中であります。経済安定本部ででき上つた五ヶ年計画については今説明を聞き、実は勉強中なのであります。いずれ研究してから申上げます。
○木村禧八郎君 最後に一つ。今安本で作成中で、総務大臣はそれを勉強中というふうに御答弁なされましたが、勉強される場合に本当に眞面目に日本の経済の復興を考えれば、本当に自由主義的なやり方では駄目なんです。そういうことがよく理解されましたら、そういうものに囚われずに率直に研究されたいと思うのです。それで、恐らく研究されればされる程矛盾か出て來まして、私的企業に経済の一切を委して置いて計画的に再建をやるということは全く不可能である。そういうふうに考えますが、その点も十分一緒に合せて御研究願いたいと思います。
○油井賢太郎君 時間の関係上総理大臣に極く簡單にお伺いいたしますが、内閣の組織に当りまして大体新らしい顔振れの大臣を選ばれたのでありますが、今までの内閣におきましては大藏大臣と言い、或いは安定本部長官と言い、極めて重要なポストとしてエキスパートをあげておつたのであります。然るにも拘わらず今回は非常なる新人を登用されて、非常な有用の士ではありましようけれども、たつた一人で両方のことをやつておられる。このためにこの参議院における予算の審議というものも異常な支障を來しておるという状態におります。このため或いは首相がお考えになつておられるような期日に予算が審議されるかどうかということは非常に疑問になつておりますが、どうしてこの重大なポストを一人の方によつて遂行して行くというふうにお考えになられたのか、我々は甚だ疑問でありますが、この点について明快なる御回答を願いたい。
○國務大臣(吉田茂君) 大藏大臣と安定本部長官とは、これは從來も兼任をしておつた例があるのであります。例えば石橋大藏大臣は安定本部長官を兼任いたしておられた。この両方の機構は互いに相関連しておりまするから、大藏大臣が安定本部長官を兼ねるといいことは必ずしも不都合ではない。又現大藏大臣は最も適任な人と私は考えて選んだわけであります。
○油井賢太郎君 只今首相のお話がありましたが、我々は、非常に一人二役をやつておられるがため、殊に今の國家の重要なポストを一人二役でやつておるがために困難を來しておるということをよくお考え置き願つて善処せられたいと要望する者であります。
 第二番目にお聞きしたいことは、連立内閣を、これは邪道であるというように首相は攻撃されておるお話をたびたび承つておるのでありますが、戰後の経済情勢におきましては、混乱せる事態の拾收にためにあらゆる政党も自己の利益――党利党略ということを離れて、再建のために盡すべきことは当然だというふうな観点よりいたしまして、我々民主党といたしましては労働者を基盤としておるところの社会党とも手を握り合つて今日まで参つたのでありますが、併しながら首相におきましては、労資というものの観念におきまして社会主義と資本主義というものを画然と区分けて、赤は赤、白は白というふうに画然と区分けて、その間の間色を許さないというようなお考えがあられるようでありますが、これは國民に及ぼすところの影響が私は相当大きなものがあると思うのであります。こういう点につきまして、労資の協調ということが本当にできるかどうかと懸念される者でありますが、この点につきまして今日の情勢はもはや資本主義と言い或いは社会主義と言い、そういつたような思想がはつきりと区分けされても労資協調が円滑に行われるようにお考えになられておるのでありますか、この点について首相の御所見を伺いたい。
○國務大臣(吉田茂君) 連立政権を考えたのは、むしろ私が一番先であつて、社会党とも大分連立の工作を考えたこともあるのであります。併し結論から行くと、日本においては政見を異にした政党が連立で以て行くということはむずかしいという結論に達したものでありますから、連立がいけないと言うわけではない。今日は早いと申すか、遅いと申すか、適当でない。私の始終思つておりますことは、政見を同じうした者、たとえそれが党名は変つておつても、政見を同じうしてそうして相提携し協力して行ける政党なら、連立と言うか、提携と言うか分りませんが、一緒に行くべきである。必ずしも自分の党以外の者とは一緒に行かないという考えを持つておるわけではないのであります。
○油井賢太郎君 時間の関係上第三番目、最後に先程中西委員からいろいろソ連のことについてお話がありましたが、私はこれと考えを異にいたしておりまして、外資の導入ということが、今の日本の現状におきましては最も必要な点だと思つているのであります。併しながら外資導入と申しましても單にアメリカのみに依存しておつてよろしいものであるかどうかということは疑わしいと思つているのであります。即ち前内閣当時において考えておつたような構想の外資導入ということは、大体半分ぐらいしか達成されないのではないか。これにはいろいろな理由もありましようが、そんなような工合に現実はなつておるようであります。これに対しまして或る一部の人が唱えるように、外資導入が亡國主義だというふうなことが國民の中にも喧傳されておるのでありますが、誤つてこれを國民が考えるときにおいては、重大な支障が日本決済の再建に起りはしないかと懸念するものであります。果して然らば、アメリカ以外に、日本に対して物資の供給普及ということができるような國があるか。或いはそういう國と提携するというお考えがあるかどうかということを首相からはつきりとこの際信念の程を御披瀝願いたいと思います。例えば先程のソヴィエトの問題、ソ連にしても随分物資豊富な國と我々は考えるのであります。そういうところへ手を差し伸べて、向うから本当に外資導入という形で、ソ連の物資も日本に持つて來ることはできるか、こういう点をはつきり日本の國民に知らせるということも、これ亦爲政者のとるべき途と思います。こういう点についての首相の御信念の程をお聽かせ願いたい。
○國務大臣(吉田茂君) 御承知のごとく只今は外國との間の、普通の平和的交渉の途が跡絶えておるものでありますから、ソ連にどれだけの余剩物資があり、又外國に投資し得る力があるか、私としても政府としてもはつきりしたことは存じません。又アメリカとしても、どれだけのものを日本に持つて來るつもりか、いろいろ新聞にはありますけれども、まだ具体化されたものは一つもないように状態でありまして、アメリカからでなければ外資は輸入しない。ソ連からでは困るというような考えは全然持つておりません。若し日本の復興を助ける國があつて、そうして相当な條件で外資を輸入したい。こういうことがあれば決して拒むつもりはございません。
○小川友三君 総理大臣はお風邪を引かれておるようでありますので、省略をいたしまして簡單にお伺い申上げます。大事な総理大臣が病氣で倒れるようなことがあると困りますから簡單にお伺いします。総理大臣は今日まで連合軍から幾多の御好意を我々同胞が賜わつておりますので、アメリカ合衆國、或いはソヴィエト連邦、或いは中華民國等々の諸連合國に対しまして感謝のメッセージを送るお考えがあると思いますが、いつ頃そういうことを御実行なさいますかどうかという点を一つと、それから統制の問題でありますが、この統制問題については重要産業以外、或いは主食以外は撤廃をするお氣持と承つておりますが、極めて無駄な統制が沢山あるのでありまして、早速この統制を撤廃して貰わなければならぬものを御発表賜わりたい。かように思つておりますが、総理大臣の御高見を拜承いたしたいと思つております。それからもう一つで終りますが、勤労大割、いわゆる官公廳職員の待遇問題でありますが、これは財政收入と見合せてやつておる。ところが專賣益金の方で、相当の増收の見込が、やりようによつてはあるのでありまして、その場合は大いに待遇の改善をするかどうか、收入があつた場合に、その收入によつて待遇を改めて補正してやるかどうかという御氣持を、ざつくばらんにお答え賜わりまして、御病氣でありますからして、お答えをしつぱなしで結構でございますからして、どうぞできる範囲において御答弁を願います。
○國務大臣(吉田茂君) 第一の御質問のアメリカに対して感謝の声明をしてはどうかというような質問であります。(「連合國だ」と呼ぶ者あり)これは実は講和條約が成るべく早くできたらばと思います。併し御承知のような状態で、ちよつと見通しもつかんような事態でありますから、その連合國に対する感謝の声明も、ちよつと当分はする時間がないのじやないかと考えます。何か適当な機会があつて、眞に感謝を相手方も了解し得るような機会があつたら無論いたしたいと思います。未だその時期が具体的に現在は現われておらないために、無論連合國との間の関係をよくいたしまして、講和條約が成るべく早く締結するようなことにいたしたいと思いますから、適当な機会があれば、喜んで感謝の意を表しますが、只今のところこういう問題を捉えてという具体的な問題がございません。ありましたならば無論その時期を、その機会を逸しないつもりであります。
 それから統制のお話でありますが、統制は先程申した通りに、成るべく必要な統制はとにかくとして、自由な状態に置きたい。目下頻りにその取調べを当局としてはいたしております。成るべく統制は外したい。單に最も必要なるものだけ残すということにしたい。併しこれもいわゆる関係筋の意向もありますからして、その意向も尊重しなければなりませんが、政府といたしては成るべく統制は外したい。こう考えております。
○小川友三君 只今本員の主張します大体の見通しがつきましたから、風邪引き中の総理大臣に感謝して質問を打切ります。
○委員長(黒川武雄君) 総理大臣に対する質問は、本日はこれで打切りまして、明日に讓りたいと思います。次は大藏大臣に対して岩男委員から御質問願います。
○岩男仁藏君 いろいろお尋ねをしたいことが沢山あつたのでございますが、抽籖の結果、私が順番に非常に遅れまして、先輩の各委員から、いろいろと質問された中に、私の質問しようと思つておりますことが沢山含まれておりますので、重複を避ける意味において、そういうことは省略いたしたいと思うのであります。私が主としてお聞きしたいことは、農林、水産業に対する、この業者に対する徴税の問題と、それから非常に緊迫いたしておりますところの金融の問題、これについてお伺いしたいのでありますが、その前に政府が今回出されました予算の編成、これについていろいろ大藏大臣は委員の質問に対して、御答弁をされておるのでありますが、どうも納得がいかない。審議上根本問題、財源の問題であります。これについて、やはり私は納得が行かないからして、飽くまでこれは一つ質して置きたい、こう思うのであります。大臣の話では、財源は見込が確実である。だから年度末において決して赤字財政にはならないということを、樂観的に言つておられるけれども、大藏大臣そのものも心配されておるようであります。どうも答弁の口調から考えて、こういうことをやはり言われておるのでありますが、私の見るところでは、これは財源に非常な不安である。私はこう断定いたしております。言うに落ちず語るに落ちるでありましよう。この予算は恐らく大藏省は、歳出ということを先に決めて辻褄を合わせるために、財源をあちらこちらから無理算段をして、辻褄を合わせるために作つたものと、私はこう見ておるのであります。と申しますのは十一月の初めでありますが、どの新聞か記憶しておりませんが、このときに大藏当局がはつきり新聞に発表しておつた財源は四百五十億、而もこの四百五十億これがギリギリ一杯だ、これ以上財源はないとはつきり言つておる、而もその中には、あなたに自由党が後で反対したのでありましようが、大藏大臣のお考えでは当時旅客運賃の五割増、それから通信料金の五割増、尚煙草を十割以上上げるような仕組の財源を見てギリギリ四百五十億、こういうふうに大藏当局ははつきり新聞に発表いたしておつたのであります。ところが一月も経たんうちに驚くなかれ四百五十億のぎりぎりの財源が、概ね見込が七百三億となつて現われて出ておるのであります。尚奇怪なことは、これもはつきり閣議決定か、或いは内定か知りませんが、十一月二十日の大藏当局、これはどの新聞にも皆盡く同じ数字が出ておつたのでありまするが、六百二十五億と内定した、閣議決定か知りませんが、とにかく決定でありましよう、はつきり新聞に数字まで出しておる。その財源を見ますというと、いわゆる租税の自然増收というものは、二百二十億と出ておつたのであります。それが僅か九日か十日の十一月二十九日にこの予算案が國会に提出された。これを拜見いたしますというと、四百十億ばかり自然増收というものを見込んでおる。百九十億も違つておるのであります。僅か十日足らずの間に、あれやこれやを考えて見ましたときに、如何に財源というものが不確実なものであるか、とにかくこの財源を捕捉するために非常に動搖されておつたことは、これは暴露されておるのであります。いろいろ追弁されておりますけれども、さつき言うつたように言うに落ちず語るに落ちるのであります。事実が証明しておるのであります。若し年度末において赤字が相当出て、財政の均衡が破れたというときには、泉山藏相はこれに対して如何なる責任をお取りになるか。これはさつきどなたからも追及されておりましたが、この点を一つはつきり一遍お伺いして置いて、それから私のさつき申上げた質問をしたいと思うのであります。
○國務大臣(泉山三六君) 岩男さんにお答えを申上げます。言うに落ちず語るに落ちる。かようなお話でございましたが、実は大変発表の機会を惠まれましたので、私率直に申上げたいと思うのであります。語れば語る程御安心を願えるものと、かように存じておる次第であります。何となれば只今の御指摘は、先ず歳出を算定いたし、これに見合うべき歳入を彈いたのではないか、さようのことでありましたが、いわゆる入るを計つて出ずるを制する、これ財政上の鉄則であります。況んや今日におきましてこの均衡財政を保つ上に、強き鉄則としてこれは示されております今日におきまして、到底言うがごとき水増しのようなことは思いもよらないのであります。況んや只今御指摘のいろいろ計数を示されたのでありまするが、その間におきまして、政府といたしましては、もとより財政變理の上に幾多の案はこれを試みに計算いたすのでありまして、さようの意味合から、私といたしましては、当時新聞記者諸君に対しても口を緘して言わなかつたのが、これ私の良心であつたのであります。從いまして、さようのお示しの数字につきましては、私は敢えて申上げかねるのでありますが、例えば只今御指摘の鉄道料金若しくは通信料金の値上げのごとき、かようの問題については、私は財政の建前上、その立案の趣旨におきまして申上げました通り、物價引上げとなる、かようの危險にあるものにつきましては、一切さようのところには歳入を求めない、これが一つの方針でございましたので、当然かようのものを考慮いたさなかつたのであります。
 以上を以ちまして、とにかく國会に提出いたしました追加予算は、政府といたしまして責任を以て、又今日この段階におきまして、最も信念に副うものであると、かようにお考えを賜わりたいと思うのであります。
○岩男仁藏君 次にお尋ねいたします。結局今からこの徴税をやりますことは、從來も徴税の成績のよくないということは、大臣からも、この前主計局長からも伺つておるのであります。この十二月から一千九百億ばかり國民はこれを負担しなければならない。その大部分といいましようか、つまり半分以上は勤労者、農民、或いは水産漁民、こういうものに負い被さつて行くことは、これはもう誰も了解し得られることでありますが、今日農村や漁村の疲弊困憊ということは、大藏大臣はよく御承知のことであろうと思います。誰が見てもいわゆる税の負担は極限に達しておる。この上尚これに掛ければ、結局農民は耕作を放棄する。現にこの事実が沢山現われておりますが、そういう結果に終りはせんか。食糧増産確保の上からいつて、私は由々しき問題であろうと思うのでありますが、この点についての御見解を一應承つて置きたいと思います。
○國務大臣(泉山三六君) お答えを申上げます。先般お答え申上げました通り、追加予算の財源の面につきまして、政府といたしましては確信のあるものである、かように申上げたのでございまするが、然らばこの財源を捕捉せんがために、政府はこれを安易の間に期待することができるかどうか、さようの点に相成りますと、おのずから問題は異なつて参るのでございまして、國民所得の面から見まして計上いたしました税金は決して高いものではないことは、お手許に差上げました参考資料において明瞭なところでございます。併しながら今日未だ安定いたしかねる財界の実情におきまして、國民所得の間に政府所期の税金を期待することは容易ならざる苦心の存するところでありまして、恐らく今岩男さんの御指摘も、この一点に帰着するものであろうと思うのであります。問題は如何に今日の徴税機構を活用して以て所期の成績を挙げるか、かようのことが一点、又他の一面におきましては、民主的徴税機構の運営の上に何らか民主的方策を加えて、從來の徴税の成績に、更に竿頭一歩を進める途はないか、かようの点に相成るかと撲うのでありますが、政府におきましては、この完全徴收に対しましては、今日一段の工夫をこらしておる実情でございます。
○岩男仁藏君 國民所得の問題でありまするが、ひとり農業者に関しては、大臣御承知のように、米麦或いは藷、この主要食糧増産物でありますが、これは先に價格が決定して釘付けにされておるのであります。これは十分御承知のことであると思います。無論この價格は、これは仮定的のものでありましよう。最終價格は、その後の物價の変動によりまして、來年度七月以降に決定されるのでありますが、恐らくそういうことも見込んで、國民所得のうちにそれが入つておるのじやないかと思うのですが、その点を一つ伺つて置きます。
○國務大臣(泉山三六君) 只今お示しの通り、これを見込んでの計算でございます。
○岩男仁藏君 この徴税は三月一杯でありまするが、それを見込めば、來年の七月以降に追い拂いするということを見込むということは、そこに大きな矛盾がありはしないかと思いますが、重ねて一つ御回答願います。
○國務大臣(泉山三六君) 只今間違いました。それは徴税の面におきましては暦年の計算になつておりますので、只今問違いまして、訂正をいたします。
○政府委員(平田敬一郎君) 当初予算におきましては、御承知の通り、農産物のパリティ計算は大体百十倍程度を予定しておつたのでありますが、その後十月に米價本格決定の際におきましては百三十二倍ということになりまして、その間公定價格におきましては、当初予算に比べまして、今日の場合におきましては相当開きがございます。そういう点を織込んでおる次第でございます。
○岩男仁藏君 私は差に農村の問題について関心を持つておる一人であるのでありますが、この前にどなたかの御質問に対して、米の超過供出を百五十万石と見ておられるようであります。そういう御答弁のようでありまするが、私供の見るところでは、大臣のお話は、近年稀な豊作である、こう言つております。それは地域的には非常に豊作のところもありますが、併し私は大分縣ですが、大分縣のごときは、近頃にないこれは凶作とは言えませんが、平年作以下であります。又東海道縣を見ましても、アイオン颱風その他の災害で以て非常に減收を見ておる。併し農林当局は大した減收じやないというような数字を挙げておるのでありますが、恐らく私は、今のところでは供出の進捗状況はいいのでありますけれども、最後においては、予期するところの数量は得られないと考えておる。超過供出のごときは、百五十万石ということは私は夢想にも考えていないのでありますが、これを以て併しさつきの農民の所得ということが計算されておるのでありますが、この見解を伺つて置きます。
○國務大臣(泉山三六君) 只今岩男さんから御指摘の通り、特に農村に関心を有せらるる同氏の御発言で、百五十万石の超過供出はなかなか危ないというよなうお話でございましたが、私はこれは農林当局の方の報告に基いてかようのことをお答か申上げる次第であります。
○岩男仁藏君 同じ政府部内で、これは意見が違うのでありましようが、農村に対する課税、これについては、大藏当局と農林当局は、意見の相違があると思うのであります。というのは、農村に対しては非常に苛酷な税を課しておるというのが、農林当局の見解のようであります。そうでございましよう。そこで適正なる農府に対する課税ということについて、大藏当局に申入れをいたしておりますが、これはどういうふうにお扱いでありますか。
○國務大臣(泉山三六君) どういうような申入れでございましようか。
○岩男仁藏君 農水産漁業者に対する課税について適正なる課税をせねばならんということで、農林当局から大藏当局に申入れをしている筈であります。
○國務大臣(泉山三六君) 農林当局から大藏当局に対する話は、私実はまだ聞いておりません。のみならず、今日特に農村に対して、お示しのごとき苛酷なる税を課するとか、かようなことはないのであります。併しながら、今日農村の納税の実情が決して並々なものでない、かような点は、私農村の出身者といたしまして、深く認識をいたします一人であります。
○岩男仁藏君 農村に対する金融の面について一つお伺いします。実は農水産漁業方面においては、今日はもう金融の面は行詰つてしまつているのであります。大臣御承知のように、さつき油井さからも言われてように、肥料は百十万トンできようが、硫安ができようが、結局農業協同組合の倉庫に積まれて、これを買う金さえもないというのが現状であります。そこで私金融問題について特にお伺いするのでありまするが、実は私は國協党の所属であります。前の芦田内閣の國会の終り、最終の日であります。國協党の三木委員長が当時の北村大藏大臣、安本長官の栗栖さん、それから総理の芦田さん、これに対して農村の金融が行詰つている、いわゆる営農資金と再生産の資金が枯渇している、これじや食糧増産ができないからというので、特に何とかして貰いたいということで、最後の晩に話合いの結果は、次の國会に必ずその対策を構ずるが、併し二、三ヶ月間員あるからして、取敢えず繋ぎ資金として毎月五億円、三ヶ月分見て都合十五億円だけその営農資金それから再生産の資金に、これは短期でありますよ、短期の融資に向けると、こういう約束をしたのであります。併し直ぐその後芦田内閣が倒れたのでありますから、そういうお引継はなかつたと思いますが、これに対してあなたはどういうふうにお考えになつておりますか。
○國務大臣(泉山三六君) 只今御指摘の通り、さようの引継を受けた覚えはないのでありまするが、併しながら只今のお話の中には多々教えられるものがあるのでありまして、農村金融の行詰りにつきましては、政府といたしましても深き認識に上に立つて又熱情を披瀝いたしたいと、かようの考えでございまして、過日も参議院の本会議におきまして、私声明いたしました通りでございます。
○岩男仁藏君 実は農林復興金融の方では、これは私もいろいろ協議にも行つたのでありますが、第四四半期に二十億ばかりということを大体御計画されているようであります。これはまあ非常に有難いと思います。併しこれは國土計画の一環とも見るべきもので、いわゆる開発とか或いは農地の改良とか、長期に亘るこれは資金であります。これは直ぐ眼前に結果は出ておりません。併し農村は今行詰つている、肥料も買えない、そのために耕作を放棄するというこの現状を実際深く御認識下さつて、何とか一つこの短期の金融を、無論出ております、農業手形が出ているじやないかとこうおつしやるだろう、これは結構、出ないよりいいのでありますが、この効果たるや甚だ微温的であります。こういうときじやないのでありまして、これについてしつかり御研究願いたいということを申上げて、私の質問を終ります。
○山下義信君 先ず伺いたいと思いますのは、今回の予算の歳出の中に四十五億の予算費が計上せられておるのでありますが、これは本予算の予備費がなくなりましたから追加されるのでございましようか、四十五億という計上はどういうお考えがありましてなさつたのでありましようか、その点をお伺いしたいと思います。
○國務大臣(泉山三六君) お答を申上げます。予備費の計上につきましては、政府といたしましても整るべくこれが費途を明確ならしめたい考えでございましたが、当時山下さん御承知の通り、政治情勢より参りまする要請に從いまして、早急を要しましたがため、特に関係方面の了解の下に、取敢えず予備費ということで御了解を賜わつた次第でございます。即ちこれを率直に申上げますならば、いわゆる雜件に属するものでございまして、この内容につきましてはいずれ本委員会におきましてこれが明細を本会期中に発表いたしたい所存でございます。(「衆議院はもう質議を終つておるじやないか、今晩通るかも知れんじやないか」と呼ぶ者あり)いやまだ終つておりません。(「だけれども衆議院は出さないで済むのですか」と呼ぶ者あり)
○山下義信君 この予備費の内容につきましては、只今大藏大臣は今会期中に発表したいという御意思であるようでありますが、私共も実は承わりたいと存じております。前の委員会におきましてこのことを政府に要求いたしまして、要すれば祕密会にしてでも率直に承わろうではないか、余りに予備費としては多額過ぎる、本予算に計上せられました予備費と比較しますと、追加予算の全額から比例いたしましても多過ぎるので、何か主要の目的があるに相違ないから聞いて見ようではないかということに実はなつておつたのでありますが、又他の委員からもこの点に対しての御意見も出ておつたわけでありますが、いつ御発表に相成りますでございましようか、でき得れば今席でも結構でありますが、若し今席でなければいつ御発表下さるでございましようか、その点をお示し願いたい。
○國務大臣(泉山三六君) お答を申上げます。誠に御尤もの御要請でございますので、政府といたしましても一意その線に副いまして、一層速かにこれを発表したい、かようの考えでございます。必ず本國会の期間中にこれを申上げる所存でございます。(「おかしいな、併しもう期間中といつても審議できないじやないか」と呼ぶ者あり)
○山下義信君 この予算審議に当りまして、例えば厚生省に関することにつきまして質疑いたしますと、厚生大臣からは、例えば國民健康保險関係に直営診療所の補助金、それもこの予備費の中から一億数千万円乃至二億円要求してあるし貰えるようなことになつておる、こういう答弁があつたのであります。尚厚生委員会でもその答弁があつた。文部大臣の文教関係で質疑をいたしておりますと、この予備費の中で文教関係の費用が要求してあるところがあつて、大藏大臣といろいろ御相談中であるというような答弁もありまして、相当いろいろに使用の目的があるようでありますが、そういういろいろな費途につきまして政府の方でお考えがあるならばお示しを願いませんか、この予算案全体の審議を進めて行くわけに行かないと私思うのでありますが、会期中に御発表に相成るということになりますと、本國会は常会でありますから、理窟を申せば百五十日の会期があるわけでありますが、実際問題の常識から申しますれば後一日あります。それはあなたの方のお考え次第なのであります。これはでき得れば今席先ず予備費の内容の御説明を得ますれば、非常に審議の上に都合いいと思うのであります。大藏大臣はここで御発表に相成りますお答えはございませんか。
○國務大臣(泉山三六君) たびたび申上げます通り、誠に御尤もの御要請でございまするが、実はお察しの通り例えば刑事訴訟法であるとか、少年法でありますとか、いろいろその方におきましてこれが本國会に提出するいろいろなその間の変遷もございましたので、これを決定する上に荏苒日を重ねたのでございまして、段々遅れているような次第でございまするが、できるだけ只今の御要求に應じましてさようにいたしたい、かようの考えでおります。
○山下義信君 総選挙があるようでありますが、総選挙関係の費用は、これはどういうふうに支出相成るお考えでございますか。
○國務大臣(泉山三六君) この費用といたしましては、今日本予算の上に予備費として残つておりますのは、約十億余でございますが、これを以て充当いたす所存でございます。
○山下義信君 そういたしますと、総選挙の費用は十億円以内で済ませるという見通しでございますか。
○國務大臣(泉山三六君) 大体さように御了承願います。
○山下義信君 そういたしますと、今回の四十五億の予備費の中には、そういうことはもとより的はないわけでありまして、私共は予算案を審議して行きます上におきまして四十五億でありましようと、これが八十億でございましようと、予備費は予備費として政府がその考えでお進みになりますならば、私共はその考えでこれを審議いたしたい。併しながらいろいろ関係閣僚がその所管の省の仕事の上でいろいろ予算関係になりますというと、この四十五億の予備費の中からそれは充てるという言明がすでに今日まであります以上は、又大藏大臣においてもこの予備費の費途については、只今おつしやつたように御発表に相成るということでありますならば、その内容を承わらん限りには、この予算案の審議は進めにくいと私は考えるのでございますが、是非ともこれをお示しに相成りませんのでございますと、予算案審議の遅延は、大藏大臣が示すと言つた予備費の内容をお示しになることが遅れましたがために、この予算案審議が遅れるものと考えざるを得ないのであります。若し参議院における予算審議を早めるというお考えでございますならば、即刻予備費の内容を大体におきましてもお示しに相成るのがいいのじやないかと思いますが、その点をもう一度承つて置きたいと存じます。
○國務大臣(泉山三六君) お答えを申上げます。先程も水上げました通り、とにかく追加予算といたしましては、予備費としてこれを計上いたしたのでございます。その点を御了承願いたいと思うのであります。併しながら政府といたしましては、たとえ予備費といたしましても、大体一應の配分がつきました限りにおきましては、これを成るべく各位の前に披瀝いたすのが適当ではないかと考えておりまするのが一つ、又山下さんの御要望は誠に御尤もに考えまするので私はさようにお答え申上げた次第であります。(「財政法違反だ」と呼ぶ者あり)
○山下義信君 予備費の内容をお示しになるという政府の誠意に信頼いたしまして、この審議を促進する意味におきましても、速かに若し今晩むずかしいようでございますれば、あと残る時間は少いと存じますので、成るべく一時間でも早くお示し下さるように重ねて要望いたして置きまして、この予備費の問題はその内容をお示しに相成りましてから私は質疑いたしたいこともございますので、保留いたしたいと存じます。
 次は安本長官としての御演説の中に、賃金の上昇率が他の物價の上昇率或いは通貨の増発量よりは遥かに上昇率が高いということを御演説になりまして、その上昇率の高いということにつきましては、何らの御説明がなかつたのであります。それだけの御演説であつたのでありますが、これを卒然として聞きますというと、今日の賃金がすでに物價や通貨に比較して不当に高いもののごとき見解を政府が持つておらるると國民が受取らざるを得ない、そういう言い廻しに相成つておるように見るのであります。何が故に通貨並びに物價に比較して賃金のみ今日の上昇率が不当に高いと政府は考えておられるのでありますか、それは政府が或る上昇率の率の取り方の基準を、御都合のよいところからお取りになつて、かようにお述べになつたのであろうと思いますが、現在の賃金が物價並びに通貨よりは不当に高くなつておる、かように考えておいでになるのであるか、先ず御演説の要旨のその点から承わりたいと存じます。
○國務大臣(泉山三六君) お答えを申上げます。私が申上げました賃金の上昇率が他の経済指標に比較して高いと申しましようか、つまり私の申上げましたのは大体経済の四指標といたしまして、生産、通貨、物價、賃金、この四つの要素を取上げました場合に、賃金の上昇率が他の三者よりも急激である。かようのことを申上げたのでございまして、この点は統計の示すところでございまして、これが不当であるかどうか、かようの問題は全然又おのずから別個の問題でありまするが、経済安定本部といたしまして、かねて從來の統計並びにその趨勢にも鑑み、概ね年度くらいのところでこれが予定をいたしておつたのでございまするが、然るところ只今申上げました経済四指標におきまして、概ね他の三要素におきましては、安本の予定いたす罫線を通つておつたのであります。ひとりその場合賃金はこの予定罫線を遥かに突破いたす、(「予定が低いんだ」と呼ぶ者あり)
 かようなことは事実であります。況んや今日その賃金の上昇は相当のものであることは、今日平均賃金が何程になつておるか、(「物價は三倍に上つておるじやないか」と呼ぶ者あり)統計の明らかに示すところでございます。
○山下義信君 政府の御説明は親切でないと思うのであります。議論は私はいたしません。極く都合のよい間だけの統計をお取りになつて、賃金だけが不当に上昇率が上り過ぎておるといつたようなことを御演説になるということは、極めて粗雜であると言わなければならん。只今は物貨、通貨並びに生産、賃金、この四つの比率を考えて見ると、賃金がひとり高くなつておる。成る程さようなことをおつしやいますが、大藏大臣の御答弁は実に笑止千万と言わざるを得ません。通貨と物價と賃金とこの三つを取つてあなた方の御都合のよい期間だけの統計の上からお比べになりますと、それは賃金の上昇率が大きいということは言えましよう。生産というものをその中にお入れになりまして、そうして賃金だけが不当に上昇率の高いということはどうして言えましよう。生産の増加率をその中に加えて考えまするならば、物價の騰貴率と比べまして、生産上昇率に件うところの賃金の上昇率というものは、物價の騰貴率よりは遥かに低いものでございます。物價の騰貴には賃金が辛じて、まだまだ追付いて行かない状態であることは天下万民の常識として三歳の童兒でも存じておるのであります。そういうような、私は極めて不親切な勝手にいいような持論を以ちまして、この天下万衆に苟くも我が経済安定本部長官の演説というものに、そういう軽卒な極めて素雜なような見解をお示しになりましたことは、私は遺憾に思うのであります。
 私は次に伺いたいと思いますのは、今回政府の五千三百三十円ベースというものは、このベースの上から御研究になりまして、そうしてこの予算をお組みになり、歳出をお考えになり、そこへ歳入をお求めになつたのでありますか。それとも歳入の確たるものをお見込みになりまして、而して給與に対します支拂の額を御決定になりまして、こういう五千三百三十円というベースが生れて來たのでございますか。いずれが先で今回の予算案がお組みになりましたものであるか、その点を先ず伺いたいと思います。
○國務大臣(泉山三六君) 只愛の御質問は、私はつきり理解いたしかねたのでありまするが、五千三百三十円と財源とどちらが先か、かようのことと思うのでありまするが、甚だむずかしいお尋ねでございまして、私財政におきましてその財源と歳出との問題は、必ずしもどちらが先と、はつきりこれを決めることはできないことは、山下さん先般御承知の通りであります。況んや政府の拵えました新ベース五千三百三十円には、ひとり財政下の均衡に留意するのみならず、他の一面におきまして各物價並びに賃金との関連を考慮いたしたのでございまして、さようの意味に御了承願いたいと思うのでございます。
○山下義信君 政府のこの給與のベース問題につきましての御答弁は、私はずつとこの委員会に出席しておりまして承つておつたのでありまするが、その説明を聽きますというと、この五千三百三十円ベースの御決定の基準の御説明の中に、この財政の均衡を非常に主眼点にしておいでになりまする面もあり、それから又他の條件を主にしておいでになる面もありまして、どちらを主にしておられますか判然としない点があるのであります。併しながらしばしば繰返された藏相の御説明を聽きますというと、どうしても財政の都合ということが非常に重きをなしておる。言い換えますというと、給與に対する財政の支拂能力というものを主にしておるというような御答弁に見えたのであります。そこで政府の支拂能力がどう位あるかということを、それを先ずお調べになつて、そこから支拂い得るところの最大の給與ベースを、こういうふうにお決めになつたのではないか。かように考えましたので伺つたのでありますが、然らば政府は一体我が國の財政で現在の本年の予算並びにこの追加予算総計を以ちまして、この総体の予算の中でどの位の人件費、即ち給與に当てます歳出がどの位の割合になりますれば、我が國の財政の上からの給與の支拂能力であると、かようにお考えになりますか。この点大藏大臣の所見を伺いたいと存じます。
○國務大臣(泉山三六君) お答を申上げます。人件費の割合が歳出のどの程度を可とするか、さようのお尋ねでございまするが、このお尋ねに対しましては、財政が苟くも政府の縮図であります限りにおいて、いずれの場合、いずれの時においても、重点はどこに持たれるか、さようの点が一点、又他の一面には財源調達上その財源がこれをいずれに求められるか。かようの点を合せ考慮する。かように考えるのでございまして、一定の特定の比率はあり得ないものと考える次第でございます。
○山下義信君 凡そ人件費に充てまする財政上の一定の比率というものの目安がないのでありまして、どうして財政上のその予算の均衡、或いは歳入と睨み合せる、かようなことをおつしやるのでございますか。どこを睨み合せてお決めになつて、どこをお睨みになつたのでありますか。その睨み合せましたところをそれでは承わりましよう。
○國務大臣(泉山三六君) 政府の睨みといたしますところは、官公吏諸君の要求せられております新賃金ベース、この点にあるのでありまして、これを五千三百三十円が適当であると、かようの結論に到達いたしましたために、これを計上いたしたのでございます。
○山下義信君 よく分りました。五千三百三十円というベースを、これを先ず決めて、そこを睨んで、それを支拂うために、いろいろと歳入の点を御研究になつて、御苦心になつて、その財源を求められた。かように御答弁になりましたが、さようでございますか。
○國務大臣(泉山三六君) 五千三百三十円の新ベースに決定の要素につきましてはたびたび申上げました通り先般山下さん御了承の通りであります。
○山下義信君 私は了承していないのでありますが、大藏大臣了承せよとおつしやる。それでは質疑を変えまして、五千三百三十円のベースを御決定になりますときの決定條件、それは三千七百円ベースのときとは幾らか基本條件が相違しておるように存じますが、その点如何でございますか。
○國務大臣(泉山三六君) 私は三千七百円ベースの問題はよく存じませんので、お答えいたしかねます。何ならば政府委員よりお答えさせます。
○山下義信君 大変率直な御答弁を頂きまして、私はその方がむしろ満足するのであります。三千七百円ベースの決定のときのいろいろな政府の考え方、それは知らない、今度は新たに自分では五千三百三十円のベース、これだけで考えるので、前の考え方とは関係がない。こういうことでありましたが、大変率直な答弁で、それでよいと思うのです。実は三千七百円ベースの決定のときの政府の考え方と、今回の考え方と、その基準、いろいろと原則につきまして相違があるのでありますが、今後はこの五千三百三十円、今回のベースを御決定のその考え方で以て、若し將來この基準が変更になりますときも、大体考え方はこの原則で以てお進みになる、こういう御予定でございますか、その辺のお考えを承わりたい。將來のことです。
○國務大臣(泉山三六君) 只今も申上げました通り、三千七百円ベースが物價の百二十倍、さようなことは漏れ承わるのでありますが、少くとも今回の五千三百三十円のベースを決定をいたします場合にもおのずから物價との関連を十分配意いたしたのでございまして、地方におきまして、財政との釣合、國民負担との釣合と、かような点を考慮いたしたのでございまして、その建前におきましては、今後と雖も変るべき筋合のものではないと考えている次第でございます。
○山下義信君 私は、この給與の基準の決定は、ただ單に政府の一方的な考え方、又更に具体的に申しますと、大藏省の考え方、給與局の考え方というようなことによりまして、その都度基準の決め方が幾らかでも変更せられるということは、これは面白くない。そうあるべきものではない。一旦給與の基準の決定の一つの原則を決めましたらば、それを変更しますることは、容易に変更すべき性質のものではない。それが、そのときの政府の都合によりまして、大藏省の考え方によりまして、それが時々変更せられるということになりますると、これは國家公務員に対しまする給與というものの考え方に、非常にそこに、根本的な考え方に間違いが起きて來るのではないか。つまり公務員というものは成る程一つの職員として政府の中にはおりますけれども、これは國民がいわゆる任免をいたしておるのでありまして、政府のそのときどきの、時の政府の都合によりまして、給與のそういう基準というものが変更せらるべきものでないと、私はかように考えますが、この点大藏大臣はどうお考えになりますか、承つて置きたいと思います。
○國務大臣(泉山三六君) 只今のお尋ね、はつきりいたしませんで失礼いたしましたが、國家公務員諸君の給與はそう濫りに変更すべきではないと、かようのお尋ねでございましたといたしますれば、これは誠にお尢もなお話には存じまするが、併しながら國家公務員の、改正國家公務員法にも示されておりまする通り、その五%程度の変化がありました場合には、人事院におきましてこれに対して勧告をいたす、かような建前に相成つておるのでございます。
○山下義信君 私はこの金額を言つておるのではない。金額の変更を言うのじやありません。そのベースの決め方の根本原則というものは、時の政府や、一省一局で以て考えるべきではないのであります。國民の全体の総意で、即ち國会が決定いたしましたらば、容易にその原則というものは変更すべきものではない。大藏省に傭われている官公吏ではない。給與局に傭われている官公吏ではないのでありまして、大藏省の都合や給與局の研究によりましてその都度々々その基準を生み出す、ベースを生み出すすべての要素を変えるべきではない。かように申しておるのでありますが、この点はその程度にして置きまして、大藏大臣にいま一つ伺いたいと思いまするのは、実質賃金の充実ということをおつしやるのでありますが、賃金政策の中で、実質賃金の充実ということの考え方をまだお持つになるお考えでありますか、その点如何でございましよう。
○國務大臣(泉山三六君) 勤労者諸君の実質賃金の向上につきましては、政府におきましてもこれを希望いたす次第であります。從いまして今回提案いたしました官公吏諸君につきましての新給與五千三百三十円は、この実質賃金の充実の面にも應えるものであると、かように御理解願いたいと思うのであります。
○山下義信君 私は実質賃金の向上というようなことは、すでに今日の段階におきましては、そこに重点を置くというようなことでなくして、むしろ名目賃金の引上げということを考えなくちやならんときではないかと思うのです。先般も人事官にその意見を申したのでありますが、人事官も、成る程と半分ぐらいは同意をしておつたのでありますが、もうマル公と闇の値段とが接近いたしておりまして、段々と配給が改善せられておりまする今日、実質賃金の改善というものが主題目になるべきではないと考えるのであります。政府といたしては、名目賃金を引上げて行く、実際において勤労者の賃金の購買力を上げて行かなくちやならん時代である。かように考えておりますが、大藏大臣は賃金政策上、名目賃金の引上げ時代になつて來たということを物價趨勢、その他からお考えになりますか、如何ですか。
○國務大臣(泉山三六君) お答えを申上げます。実質賃金の向上に対しましての政府の所見については、先刻申上げましたが、むしい名目賃金の引上げこそ当面の課題じやないか、かようの御指摘でございましたが、遺憾ながら、政府におきましては所見を異にいたすものでございます。今日折角、折角マル公と闇價格との鞘合わせの問題も、現実も、これらの点はむしろ実質賃金が引上つたが故のことでございますので、今後再び名目賃金の上に徒らにこれが要請、これが引上げ、かようでございますれば、再びインフレーシヨンに拍車を掛ける、かようの結果になることを心から恐れるものでございます。
○山下義信君 これについて私は所見を異にいたしますから、私は質疑を重ねません。実質賃金というものの、そこに政府委員の方がおられますが、考え方、これはいわゆる俸給生活者のみに特別の價格というものがあつて、そうしてその價格によつて勤労者が、俸給生活者が物資を獲得するならば、そこにマル公と闇と二つのものがあつても、これは一般の國民の購買する物價とは別の物價でありますならば、俸給生活者に対する実質賃金というようなことも理論的に成り立つかと思いますが、結局実質賃金の充実ということは、一般國民の生活の向上と同じことであつて、特別に賃金生活者の、その生活の面のみが特によくなるというようなことは、理論的に成り立たない今日の制度におきましては、それは別といたしまして、まだ名目賃金引上げのときでないと大藏大臣がおつしやるならば、てれは所見の相違でありまして、これは速記にも残るわけでございますから、昭和二十三年の、この十二月のこの状態のときにおいて、泉山大藏大臣は、名目賃金の引上げの時期ではないということを、後世の或いは物笑いに(笑声)なるかも分りませんが、批判は後世に俟つことにいたしたい。
 更にいま一つ伺いたいのは、今日の給與を考えまするときに、俸給生活者の副收入というものは殆んどなくなつて來たということは、大藏大臣もお認るになりますか、如何でございますか。
○國務大臣(泉山三六君) 副收入とは、どういうことでございましようか。
○山下義信君 俸給以外の俸給生活者のいろいろな副收入というものが考えられておるでありますが、そういうものが、内職とか、その他ですね、(「筍」と呼ぶ者あり)というような副收入はまだ依然として相当にあるものと考えられますか。そういうものはなくなつて來ておる、かように考えられるかということを伺つておるのであります。
○國務大臣(泉山三六君) 只今御指摘の副收入の意味が筍(笑声)である、かようのお話で、まだ筍ならばあるし、玉葱ならばないということも考えられるのでありますが、私はその点につきましては確たる見通しは申上げかねるのでございまするが、併しながら苟くも筍である限りにおきましては剥げば剥ぐ程なくなるものとかように考えております。(「それじやまだ筍の皮があるかないか」と呼ぶ者あり)
○山下義信君 なかなか名答弁をされますので、私はそういうことを伺つたのではないのでありますが、強いて言えとおつしやいますれば、例えば闇ブローカー、まあそういうことは分つておいでになつてお答えにならないのであろうと思いますから、質疑をその点は止すことにいたします。
 次は歳入の点でございますが、これも簡單に伺いたいと思うのでありますが、歳入の見込につきました伺いたいと思うのであります。雜收入の増加、私は先般來からときどきこの雜收入の点につきまして質疑をしておつたのでありますが、大臣に伺うまで待つていたのであります。四十一億何千万円のこのお見込であるのでありますが、これは果してこれだけの御收入があるというお考えで、もとよりそのお考えがあればこそ予算に計上しておいでになると思うのでありますが、それでは具体的に、私共このお見込に相違がありはしないかということを憂慮したしますので伺いたい。病院或いは療養所の收入に十五億数千万円予定しておいでになるのでありますが、これはもとよりこの料金の値上りがありましたので、こういう計算をしておいでになるのでありますが、一方それぞれ藥品の値上りや、或いは病氣のいろいろ使用いたします材料が高くなつておりまするので、從つてそういう療養費が値上りをしておるのでありますが、それらの病院の必要なものの値上りしました分はどこかに計上してあるのでございましようか。この点はどうなつておりましようか、伺いたいと思います。小さいことでございますけれども……。
○國務大臣(泉山三六君) 予算面におきまして雜收入の計上は相当額に上りますための御心配だつたの思うのでございまするが、その内容を申上げますれば、極めて確実なものばかりでございまして、詳細は政府委員より御説明申上げます。
○政府委員(阪田泰二君) ちよつと補足して申上げますが、病院の関係の收入につきましては大体最近までに判明しておりまする收入の推定を見まして、そりによりまして今後の趨勢を見当をつけまして、全体の年度間における増收の見込を出しましたわけでありますが、これに対應しまする支出につきましてもやはり増額いたしておる面がございます。主なるものは今回の歳出に計上せられておりまする給與改善費の中の病院の職員に対する分、その外でございます。尚その外当初の予算におきまして物價補正等の場合に備えて特別の経費を計上してございましたが、そういうものが病院等の経費の増加に伴いましてその面に充当せられておるわけでございます。
○山下義信君 この必要資材の値上りは歳出の方の計上してあるからであるということでございますから、これは了承いたしましたが、実際としては病人の数が、最近非常に入院患者の数が減少しておりますので、果してこの予定通りの收入ができるかどうか。この事情からも疑点とされておると思うのでありますが、これは暫く別といたしまして、特殊物件の收入が十二億計上がしてあるのでありますが、この中には閉鎖機関に対する債権が相当見込まれてあるとは存じますが、閉鎖機関の債権はこれはいつまでにお取立ができるというお見通しでございましようか。少からんものがこの收入見積の中にあると思うのでありますが、その点はどう考えられますか。
○國務大臣(泉山三六君) これ又政府委員から御答弁申上げます。
○政府委員(阪田泰二君) お答え申上げます。特殊物件收入につきましては、御指摘のように閉鎖機関その他に対する積立金がございまして、回收に相当困難である。閉鎖機関自体の整理がはつきり目途がつかない以上は回收ができないというようなものもございますことは事実でございます。ただこの特殊物件收入につきましては、当初そういう点も見込みまして未收入金の総額に対しまして非常に少い割合の歳入を計上してあつたわけでございますが。今日までの実積を見ますると予想以方に收入が上つております。大体九月末までにすでに歳入予算に計上いたしましたものよりも二億ばかり超過するよなう收入が上つておるようなわけでございますので、大体こういう調子なれば尚相当今後も收入ができる見込があるというようなところで今回の計算を立てましたような次第でございます。
○山下義信君 只今の主計局次長のお答によりましても、閉鎖機関に対しまする債権の回收はいつまでにできるかということばはつきりできないということでありまして、それがこの十二億の特殊物件收入の中に相当多額に考えられておるということになりますと、これは正確なる財源としてはそういうふうに計上することは少しく不確実ではないかと考えられますが、今お聞きになつておられまして大藏大臣はその点をどうお考えになりますか。それとも尚確実であると考えるのでありますか、如何でございますか。
○國務大臣(泉山三六君) 確実なものと考えて計上いたしたのであります。
○山下義信君 本年度内に回收ができるかできないか、ということは、今主計局次長の説明でも明らかになつておりますものが含まれておりますのか、どういうわけで今年度内に確実に回收できると大藏大臣はさようにお考えになるのでありますか。それでは誠に不眞面目な御答弁ではないかと存ずるのでありますが、私は何も突つ突くのではないので、率直に伺つておるのでありますので、又まじめに御答弁を願いたいと存ずるのであります。
○國務大臣(泉山三六君) 政府委員の答弁と私の答弁との間には食い違いはないものと、かように御了承願いたいのであります。
○山下義信君 速記が残つておりまするからその点は追及はいたしません。私はこの機会に伺つて置きたいと思いますることは、この今日重大な経済建て直しをしようという場合に、この経済安定本部長官と大藏大臣とが兼務しておいでになりますることは、私共この意味におきましてはそうあるべきといつてこれを主張した時代があつて、経済安定本部が大藏省と相離反するということは面白くない、一本になるべきであるということも主張も出たのでありますが、今日の段階におきましてはいろいろ物價の経済企画をなさるという場合におきましては、これを兼任になさるというと非常にすべての計画の樹立の上に不便があると考えるのでありますが、政府の方におかれましてはこれは泉山さんにお尋ねするのはどうかと思いまするが、その経済安定本部長官の專任というようなことにつきましては政府の方では何か至急に御專任せられる、お定めになるというようなお話合でもありますか、どうですか、如何でございましようか。
○國務大臣(泉山三六君) 只今のお尋ねに対しては私から申上げることは誠に不適当ではございまするが、先刻油も井さんから御質問が総理に対しましてございましたばかりでございますので、私はその言葉を繰返すだけでございまするが、総理におきましても折角適任者のあることでもあり、尚丁度安本との極めて緊密なる関係こそ望ましいと、この点只今山下さんお指摘の通りでございますので、今日後任については考慮いたしておらんと、かようなことに御了承願いたいと思うのであります。
○山下義信君 これは失礼いたしました。すでにその質疑がありましたことは存じませんので、大変失礼をいたしたのでありますが……。私はこの際もう一つ聞いて置きたいと思いますことは、最近株式取引所の設置が非常に流布されておるのでありまして、又日々この証券界が非常に活氣を呈しておりますることは御承知の通りなんでありますが、取引所というものの新設というものが非常に近い機会にそういうことがあり得るでございましようか、如何でございましようか、この点を明白にして置きたいと思いまするので御説明を願いたいと思います。
○國務大臣(泉山三六君) お答えを申上げます。本体につきましてはつい先頃、日本産業経済新聞に只今御指摘のような記事がございまして、政府といたしましては、事の意外なのに改めまして、政府声明を出しましたのは恐らく山下さんお承知の通りと思うのでございまして、取引所の設置、並びに再開につきましては、政府におきましては今日においてはこれを考慮しておらないのであります。
○山下義信君 最後に伺いたいと思いますのは、いろいろな情勢が差迫つて参りまして、種々に御計画も法律案も取急いで御研究中と推察をいたしておるのでございまするが、やがて爲替の單一レートの差迫りますと同時に、その仕度としての諸般の経済政策が行われて來るであろうと存ずるのでありまして、今解散を目の前に控えての、今のこのいわゆる選挙管理内閣というような立場の、この際いろいろに伺うのは或いは野暮かも存じないのでありますが、從いまして物價改訂も意外に早く参るのではないかと、こういう時期が來るのではないかと、いろいろ予想……噂もあるわけであります。又先般來の質疑の中の御答弁にも、そういうように示唆されるような御答弁もあつたように存ずるのでありますが、從いまして物價改訂をいたしますれば、通貨も非常に急激に増発せられるようになるのではないかと、私共も考えられるのでありますが、凡そ物價改訂を挾んでの通貨の増発の趨勢を大藏大臣はどういう程度に、仮に先般も御答弁のありましたように、明年四月頃に物價改訂を行われるものといたしますと、その頃の通貨の増発量は、大体においてどの程度というお見込を持つておいでになりますか。伺いたいと思います。
○國務大臣(泉山三六君) お答えを申上げます。單一爲替レートの設定の日が迫りつつあるこの段階におきまして、政府といたしましては、十分準備を取進めておるのは当然でございます。さようの意味におきまして、決して選挙とかいうような問題に囚われるものではないのであります。併しながら折角の御質問であります物價の改訂につきましては、たびたび申上げました通り、政府におきましては、今日さようの意図を有しないのでございます。併しながらこれ又折角のお尋ねでございまするので、物價改訂の場合に通貨の増発が急激に行わるるが、かようのお話でございましたが、成る程増発となるものとは思うのでございまするが、併しながらその改訂の限界にこれが止められる場合におきましては、敢えて憂慮の必要はないことは、これ又経済原則の当然でありまするので、この機会にその計数をお答え申上げるまでもないように存ずる次第であります。
○山下義信君 いろいろ御説明のしにくい点もあるのだろうと存じまするから、これ以上は追及いたさないことにいたしまして、一應先程申上げました予備費の内容の御説明ということを待つことにして、この点留保いたしまして、尚價格調整の方の予備費の問題は、他の議員のその点の御要望もあつたようでありまするから、私は四十五億の予備費の問題の内容の点を留保いたしまして、一應質疑を終ることにいたします。
○高橋啓君 大藏大臣にお伺いいたしますが、簡單に二点についてお答えを願いたいと思います。
 この歳入の中の大部分を租税の自然増收に置いてあるようですが、先程岩男議員からも同意義のことが聽かれてありますが、この源泉課税の所得税の多くなつたことは、これははね返るから、これは当然と思いますが、この申告課税、所得税の増收については、自然にこれは増收になるというよりも、むしろこれは増税したという結果になるのではないかと思うのであります。というのはこのような大きな課税方針を決めれば、從つて実際において課税する場合は直接課税、いわゆる担当官がその指示に從つてこれだけのものを税金を賦課して行く、こういうことになるのであります。ところが最近申告するのが実際は不誠実であるから、又は課税する方が國民を信用しないで、そうして官で更正決定をするといつたような原因が、とにかくこの関係が申告という意味にふさわしくない。そこでこのような項目を設けた場合に、必ず実際の意味においては増税という結果になるのであります。今のいろいろな産業の状況は、ちよつと触れば倒れるような、極めてきわどい経済の方法をやつておるのでありまして、ここに、若し適正でない、担税能力を超えた課税をした場合には、それらの産業は萎靡沈滯してしまうのであります。無論將來において、これは税源を失う、こういうことになると思うのでありますが、そこでこれらの自然増收として、限られた数額を、実際に適正な課税をするには、特別な、それに対して処置を取らなければうまく行かないのじやないか、こう考えております。それは、このいわゆる課税には公平が必要でありますが、よく所得税の課税の状況を見ますと、極めて不公平にやつておるのであります。そこで、或る地方では、同業種の組合とか、或いはいろいろな團体において、團体の内輪の中で、課税の割当を、或いは分担金額を大体決めて、そうしてその協力によつてうまく行なつたというような実例も聞いておるのでありますが、このような金額が、今までやつて來たように、税務官吏の確実な資料なしに、或いは投書とか、スパイのようなもので課税するがために、若し公平を欠いて、この課税のために、産業がうまく行かない、こういうことになれば、重大な問題だと思います。これを実現するために、而も公平な、適正な実際の課税を行うために、特に政府では、この方法について考えておるかどうか、これを承わりたいと思います。
○國務大臣(泉山三六君) 只今の高橋さんの御指摘の通り、この度の予算の計上は相当額に上るのでありまして、申告所得税、この面におきまして、成る程この程の計上なかりせば、これ程の税額の決定を受けないで済む、さようなものも、結局においてはあるのかも分らないのであります。かような点では増税したことになるという御指摘は御尤もに存ずる次第であります。併しながら物價の騰貴、六月下旬の一兆九千億に対しまして十一月下旬の二兆四千億、かようの実情から見まして、これはその所得に照應いたし、課税として深く廣く國民の御理解と御協力を賜わりたい、かように念願いたすものであります。その場合におきまして只今御指摘の通り、然らば課税の公平、負担の均衡を如何にして保つか、この点は全く政府におきましても御同感でございまして、何らかの工夫を持ち、熱情を披瀝いたしたい、かようの念願に燃えておるのでありまして、只今御指摘の通り何らか納税者において納得の行く民主的な方法についても政府におきまして具体的にこれを考慮いたしておるのでございまして、尚又將來の徴税機構の運用の面にも多々方策を展開いたしておる次第でありますが、前段申上げました民主的機構につきましては、目下関係方面との間に折衝を重ねておる実情にございますので、やがて申上げる時期に立ち至るものと考えておる次第であります。
○高橋啓君 只今のことでこの枠の中の配分について、農業者、それから中小工業者は全く担税能力が頭をついて、この点に十分考慮を拂つて貰わなければ、私は結局滯納が非常に多くなつて、そうして健全財政が、ただ数字だけの健全財政になつて実際は税の取れないような結果になりはしないかとこう考えておりますが、先程も話しました通り、担税能力に應じたような適正な課税をするようにくれぐれもこの点希望申上げで置きたいと思います。私のこの点の問題は質疑を終ります。
 次にこの多に迫ると考えられることでありますが、住宅問題であります。一昨日の本委員会におきまして建設大臣にお答弁を求めたのでありますが、そのときに現在の状況においては住宅が建たない隘路は資材の問題ではなくなつた、今日は全く金融の問題にかかつておる、こういうことであります。もう殆んど住宅を造るだけの一般庶民は資金を持つておりません。それでただ許可を與え、資材の枠を與えても先程肥料で話されたように、実際これを買い取るだけの資金を持つておりません。この住宅問題は御承知の通り非常な重要な社会問題も伴うのでありまして、これについては最も大きな隘路となつておる資金問題を解決しなきやならん。それについて建設大臣はこれに対して恒久的な年賦拂のような金融方式を以てこのことを行いたいと、こう言つておりますが、その場合に大藏省でこれを抑えてしまつたのでは全く今後の復興を心配いたすのでありますが、私は今度決めました賃金ベースの中の住宅に対する構成因子の金額において支弁できるような二十年賦なり或いはそれ以上の、長年分割拂の一種の樣式、例えば住宅建築金庫とか、そのような金融機関の説置が必要であろうとこう考えるのであります。そういうような意味のことを建設大臣は言つておりますが、若し建設大臣がそのようなことを安本の所管になりますか、大藏大臣の方でこれを取扱うか分りませんが、かような場合には大藏大臣でも、安本の長官の資格でも、どちらでもいいのですが、これに対して実現をせしむるような御意見を持つておるかどうかということを伺いたいと思います。
○國務大臣(泉山三六君) お答を申上げます。住宅問題が刻下の急迫した問題であり、重要な問題であることは申上げるまでもないのであります。而してこれが澁滯の原因が、今日その隘路は資材の面よりもむしろ金融の面にありはしないか、或いは然らんとも思うのでありますが、ただ問題は何しろ金融上の制約を緩め過ぎます場合におきましては、直ちにインフレ促進に相成りますることは今更申上げるまでもないのであります。併しながら本内閣におきましては、当面いたします金融の金詰りのこの実情に深く理解を持ち、これが打開の方策については、彈力に富む金融の展開によつとこれに應えたいと常に用意をいたしておるのでございまして、かようの意味合からも本問題の解決には一層の施策をこれに集中いたしたいと思うのでございまして、建設大臣が述べられました年賦拂の金融方式につきましても、大藏省といたしましても、十分研究いたしたいと思うのでございまするが、ここで尚蛇足を加えるわけでございまするが、ただ特殊の金融機関の設置を以て直ちに金融問題が解決するやの間々さようの声を開くのでございまするが、かようの点につきましては、全面的にこれを取上げまして、金融の一環として特殊金融機関を考慮すべきものでございまして、その点については大藏当局といたしましては決して制約の意味ではなく、金融の一環的経営、つまり金融のその所期の目的、或いはインフレーシヨンに対する対策の点からもこれを考えまして、又更に研究に研究を重ねてその成論を得たいとかように存ずる次第でございます。
○高橋啓君 只今大変私としてお答えに満足する者でありますが、尚この財源につきまして私はこういうことを考えておるのでございます。この進駐軍の宿舎が年々減つて参つて最近ではもう殆んど新らしく建設する必要がないのじやないか、こういうふうに情報を得ておるのでありますが、ここから相当な金額が浮んで來るんじやないかとこう思つております。こういうふうな特殊な資金をどうしてもやらなければならない住宅建設のために、特に直接にここに持つて來て貰いたい、こう考えるのであります。
 大体この今年度の四十万戸の計画ではとても何年経つてもこれはうまく行かない。何故かというと日本に火事が多かつたり、或いはこのようなバラックでは二、三年で駄目になるのが多いので、段々段々消耗率と駆けつことしてどうしても追い掛けられなければならないので、六十万戸くらいに殖やして行かなければならない。それがために今日政府では十二万戸に対しては処置しておるのであるが、今後若し二十万戸殖やすとすればその金融の処置はどうしても取らなければ間に合わん。それにつきまして取寄りなことを只今申上げましたように、進駐軍の宿舎が段々設営が必要がなくなる、こういうことで何とか行くのじやないかとこう考えております。とにかく食糧が解決し、衣料が解決し、今度は性の問題が残つておるのでありますから、この点に強く客を集めまして、そうして何とかして頂きたいとこう考えます。
○國務大臣(泉山三六君) お答えを申上げます。進駐軍関係の宿舎につきましては、只今高橋さん御指摘の通り、最近殊に減少の傾向にあることは事実でございまして、かようの意味合から、その方面に対しましての資金は相当大幅に減少いたすものとかように判断せられるのでありますが、ただその資金は申上げるまでもなく財政支出の現象と相成るのでございまして、直ちに金融面の数字と、かようなことと又おのずから違う面もあるのでありまするが、併しながら財政金融は一環した大きい國家資金の配分の点ではこれは同樣でございまするので、この点にも留意をいたしまして、十分政府といたしましては民間住宅の金融面に特段の配慮を用いたい、かように考える次第でございます。
○高橋啓君 終りました。
○委員長(黒川武雄君) 遅くまで有難うございました。明日は十時に開会いたします。今晩はこれにて散会いたします。
   午後七時三十四分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     黒川 武雄君
   理事
           油井賢太郎君
           飯田精太郎君
           島村 軍次君
           東浦 庄治君
           中西  功君
           木村禧八郎君
           岩男 仁藏君
   委員
           岡田 宗司君
           下條 恭兵君
           森下 政一君
           山下 義信君
           岡田喜久治君
           西川甚五郎君
           西川 昌夫君
          橋本萬右衞門君
           深水 六郎君
           松嶋 喜作君
           岩木 哲夫君
           高橋  啓君
           深川タマヱ君
           藤森 眞治君
           井上なつゑ君
           高瀬荘太郎君
           伊達源一郎君
           玉置吉之丞君
           堀越 儀郎君
           松村眞一郎君
           栗山 良夫君
           小川 友三君
  國務大臣
   内閣総理大臣
   外 務 大 臣 吉田  茂君
   大 藏 大 臣 泉山 三六君
  政府委員
   内閣官房長官  佐藤 榮作君
   総理廳事務官
   (経済安定本部
   財政金融局長) 内田 常雄君
   大藏政務次官  平岡 市三君
   大藏事務官
   (大藏大臣官房
   次長)     河野 通一君
   大藏事務官
   (主計局次長) 阪田 泰二君
   大藏事務官
   (主税局長)  平田敬一郎君
   大藏事務官
   (給與局長)  今井 一男君
   運輸政務次官  加藤常太郎君