第004回国会 文部委員会 第3号
昭和二十三年十二月十三日(月曜日)
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  本日の会議に付した事件
○新聞出版用紙割当事務廳設置法附則
 第三項の規定に基く同法の継続に対
 する國会の確認を求めるの件(内閣
 提出、衆議院送付)
○教育公務員特例法案(内閣提出、衆
 議院送付)
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   午前十一時二分開会
○委員長(田中耕太郎君) それでは委員会を開会いたします。
 御異議がありませんければ、日程の順序を変更いたしまして、「新聞出版用紙割当事務廳設置法附則第三項の規定に基く同法の継續に対する國会の確認を求めるの件」を上程いたしたいと思います。
 先ず当局の提案理由の御説明を願います。
○國務大臣(森幸太郎君) 只今議題になりました新聞出版用紙割当事務廳設置法の継續に関する國会の承認を求めるの件について提案理由の説明をいたしたいと思います。
 新聞出版用紙割当事務廳の設置法は國家行政組織法の趣旨に基いて立案せられ、第二回國会を通過いたしまして、本年八月三日から実施されたものでありますが、この法律案につきましては、毎通常國会のときにこの法律を無修正で継續させることにつき、國会の議決による確認を求めることが附則に定められておるのであります。これは関係方面との話合いで定められました條項であります。用紙割当を引續き行う必要があるか否か、必要がある場合は現行の割当制度を存續させることがいいか惡いかに関して、國会に再審議の機会を與えるためであります。
 以上が本議案を國会に提出いたしました理由であるのでありまするが、本法律は本年八月実施されたばかりでありまして、この法律に基きまして、割当審議会を命令を以て決めることになつているのでありまするが、この審議会が未だ関係方面との折衝によりまして実施されておらないのであります。併しこの審議会が実施されなければこの法案が完全に行われるということができないのでありますので、是非とも本年中にはこの実施ができるように了解を求めたいとかように考えておるわけであります。以上は本議案を提出いたしました理由であります。
○委員長(田中耕太郎君) 法案の内容につきまして、当局の方から御説明を頂いたらよいと思いますが……。
○政府委員(成田勝四郎君) 只今國務大臣から御説明申上げました通りに、今日の議題は現在制定されておりまする新聞出版用紙割当事務廳設置法を無修正で継續することの可否について國会の議決による承認を求めるわけであります。簡單でありますから読んで見ますると、「新聞出版用紙割当事務廳設置法(昭和二十三年法律第二百十一号)附則第三項の規定による國会の確認の議決を求める。」これが議案になつておるところであります。で割当事務廳設置法附則第三項にはどういうことが書いてありますかと申しますと、要するにこの設置法は法律の有効期限が別に定めてありませんで、ただ毎通常國会の議決による確認を求めて、それで継續して行く、こういうことになつております。その際國会が修正をすれば修正された形で續くのでありまするし、無修正継續という議決をなさるならばそのまま續いて行く、こういう仕組になつておるのであります。この箇條の入りました趣旨は、新聞出版用紙に対する割当制度、つまり紙の統制ということを引續きやつて行く必要があるかどうか、又やつて行く必要があるとすれば、この事務廳設置法の機構でいいかどうかということにつきまして、國会に審議して頂く機会を設けるためである、こういうことになつておるのであります。以上がこの議案についての御説明であります。
○委員長(田中耕太郎君) 本法律の内容について極く簡單でも説明を求めた方がよくはないかと思うのですが、如何ですか。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田中耕太郎君) それではすでに法律になつておるわけでありますけれども、再確認するためにはやはり極く簡單でも結構ですから、全貌を伺うことができればいいと思います。
○國務大臣(森幸太郎君) 御承知の新聞用紙並びに雜誌用の紙でありまするが、全般的に紙が不足いたしておりますので、今まで商工省が取扱つておつたのでありますけれども、特に新聞用紙とそれから雜誌、書籍、これらの割当枠を分離いたしまして、これだけを特別に内閣において取扱うということにしましたのであります。この新聞用紙の割当も各社からの要求は相当多いのでありまするが、今申しました割当の枠が限定されてありますので、要求通りの割当は到底でき得ないという情勢になつておるのであります。併し民主主義の立場から自分の読みたい新聞が読めるようにしなければならんという意味から、この十一月の一日から各新聞社が自由購読をなすような調整をすることになりまして、そうして一應読者の希望によつて、希望する新聞が読み得るという手續を採つたのでありまするが、これが第一回の調査をやつたのでありますが、その結果におきましてはいろいろ不完全な点がありまして、第一回の纏まりは全國的に十分な成績を挙げ得なかつたのであります。何分紙が不足いたしておりますので、一つの新聞が減れば一つの新聞が殖える、一つの新聞が殖えれば一つの新聞が減るというようなわけでありますが、その間いろいろな競爭なり何が行われましたが一應或る部分だけの調査の結果が現われまして、その現われました結果によつて新聞用紙の分量を是正して行くということになつておるのであります。尚、書籍なり雜誌の方におきましてもその通りでありまして、その雜誌の発行部数によりまして、実績によつて用紙を割当てているのであります。その割当の方法におきましては、この審議会が、先程申しましたように実行される位置に立つておりませんために、從來やつておりました、新聞出版用紙なり、雜誌の割当は、民間の團体によつてできました團体がこの審議会に代つて現在はやつておるのであります。審議会の方針といたしましては、この新聞の部面と、雜誌、書籍の部面と二つに部を分けまして、そうしておのおの十名ずつの委員によつて組織されることになつているのであります。これはどういうメンバーが集まるかと申しますと、昭和十六年以前より存續する一般日刊地方新聞から一名、それから昭和十六年以前より存續している東京又は大阪における一般日刊新聞社の方から一名、昭和二十年十月以後の創刊にかかる一般日刊新聞社から一名、業界新聞又は機関新聞から一名、その他の非刊日刊新聞から一名、この五人の業者が委員になつているのであります。
 その外に学識經驗あるものから宗教界又は教育界、科学界、文化界、労働界、農業界又は商工業界、これらから各一人ずつ出まして、十名の委員を構成しているのでありますが、出版協会の方も東京における出版業者の大きいものから一人、東京における出版業者の大きいもので雜誌をも発行しているものから一人、東京における出版業者の小さいものから一人、東京における出版業者の小さいもので、雜誌をも発行しているものから一名、東京以外における出版業者から一名、こういうふうな五人、その外に先程申しましたように、出版界においても学識経驗のあるものから五人をそれぞれ選びまして、その十人ずつの委員が寄りまして、そうして期節ごとに申請いたしまする新聞の用紙の量、又新刊雜誌或いは重版というような書籍の発行等につきまして、その内容を調べて、そうしてこれを適当に配分する、こういうことになつているのであります。併し御承知の今仙貨紙が統制されておりませんので、仙貨紙を利用いたしまして、我々の割当以外のものが発刊され、或いは分布されている事実を認めるのであります。関係方面では仙貨紙の方も統制したらどうだというような意見も持つておられるようでありますが、この仙貨紙を統制することについては、余程愼重に考慮せなければならん問題でありまして、目下十分にその整備について研究を進めておるようなわけであります。こういう組織によりまして、商工省より割当られたる用紙を新聞社なり或いは出版社なりに割当る。こういうことになつているのが今日の用紙割当の内容であります。尚言い漏しましたことは、政府委員の方からお答えいたします。
○委員長(田中耕太郎君) 國務大臣並びに政府委員の説明に対しまして御質疑はございませんか。
○中野重治君 私は出版の方では出版協会の戰後再出発のとき理事を暫くやつておりましたし、その方面のことは多少知つているつもりですが、今政府の方から説明があつた審議会の問題、審議会が正式に作らるべきものでありながら今日に至つてもできていない。これはどうわけでできていないか、又今日はまだできていないけれどもできようとするそのプロセスがどの程度まで具体的に進んでいるか、できていないことに対する原因と、それからでかさなければならんわけですが、その仕事が、現実にどの程度まで進行しつつあるか、その現状、この二つを伺いたいと思います。
○政府委員(成田勝四郎君) 只今中野委員から御質問のありました点は、事務廳設置法が第二國会を通過しましたときに、審議会の原案はできておつたのでありまして、今年の八月同時に審議会令というものも発足する予定で準備を進めておつたのでありますが、これはGHQとの関係で今だに手續きが完了しておりません、こういうことになつておるのであります。更に具体的の事情を申しますると、この事務廳設置法が制定されましたと同時に第二回國会を通過した事業者團体法というものがありまして、この法律によりますると、事業者團体は重要物資の割当の原案は作つてはいけないような規則になつているために、その適用を受けまして、新聞出版用紙の割当につきましても、今まで割当原案を作成しておりました日本出版協会が割当を作れないことになつたのであります。この事業者團体法制定過程におきまして、GHQ民間情報教育局からこの出版協会の原案作成権を奪うようなことは、防止するような措置を政府で取つて貰いたい、こういう要望があつたのであります。いろいろ研究し、又各方面とも政府部内で相談いたしたのでありますけれども、事業者團体法を亦その必要ができているのでありますので、出版協会だけを除外するわけにはいかんということで除外例なしに事業者團体法を制定されたのであります。從いまして事業者團体法の成立と同時に出版協会が表向き原案を作成するという從來の制度は廃止になつたわけなんであります。これに対して何か代るべき割当に対する出版界の意向を代表するような方法が考案されないと困るという考えがこの民間情報教育局の方にありまして、その方法の考究のために実は今日まで手間取つているというようなことになつているわけであります。併し、なかなか民間情報教育局の意向を通すような方法を考えますと、それは、事業者團体法の精神に触れるというようなことになりまして、うまい案が見つからないというようなことが、段々分つて來たようなわけなのであります。止むを得ないからそろそろそれでは審議会令を作ることにしようかということに関係方面の意向も固まりつつあるようなわけで、割合に近いうちに審議会令も制定の運びになるのではないか、こういうふうに考えているわけであります。
○中野重治君 この審議会を作るということが本筋であるわけですが、それが、今までうまい工合に行かなかつた、これは関係筋との間に話がうまい工合に円滑に運ばなかつたという説明がありましたが、これはどの点が今までのところ引かかつていて、そういうことになつたのでしようか、記録に止めなくてもよいですから、その点どういう何が引かかつて今日までになつているかということを……。
○政府委員(成田勝四郎君) 審議会令の條文の中のどれがいけないというのではないのでありまして、要するに、出版協会の原案作成権がなくなつた、事業者團体法に從つてなくなつたとすれば、それに代るべき何んらかの新らしい方法を考えて見よう、こういうことであつたのであります。そういう方法を審議会令の中に決めることというのが先方の要望だつたのであります。これは記録に止めて置かない方がよいと思うのでありますけれども……。
○委員長(田中耕太郎君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
○委員長(田中耕太郎君) 速記を始めて。
○中野重治君 そうしますと、そういうふうな事情から行きまして、その後今日までの間の用紙割当の仕事の実際は壁宜的に運ばれて來た、こう言わねばならんことになりますか。
○政府委員(成田勝四郎君) 事務廳設置法は八月三日から施行になりまして、事務廳設置法の審議会に関する大網が決めてあるわけであります。併し審議会に対する細則を決めた審議会令というものが施行されません間は審議会令というものも実際に動き出さないのであります。その間の関係につきましては、法務廳ともいろいろ相談し研究いたしました結果、審議会事務廳設置法施行以前からありました用紙割当規則というものがありまして、それに基く用紙割当委員会というものがあります。これは新法施行前に行われておつた制度でありまするが、この委員会の制度がそのまま準用される、こういう解釈で來ておるわけであります。
○岩間正男君 二点ばかり質問をいたしたいのでありますが、只今の第一の説明の中に、購読調整はいろいろの点でうまくいかない、欠点を持ておつたというお話があつたのですが、当局はどういうような点で欠点を確認しておるか、今までの購読調整のやり方、そういうものについて今まで調査された事項について伺いたいのが一点であります。第二点は、これは今度の割当の中に機関紙の割当で、これは全國的な一つの組織を持つておるような大きな團体の割当が中央のは今度は拒否されて、それがローカルの方に廻される、こういうことを聞いておるのですが、これらに対してなぜそういうことが起つたか、この二点について伺いたい。
○政府委員(成田勝四郎君) 第一の御質問についてお答えいたします。どういう弊害があつたかというお尋ねでありまするが、前々から御承知の通り各新聞社の読者獲得競爭というものは、新聞の経営が自由でありました場合にも非常に猛烈なものでありまして、鍋、釜を配つて読者を吸收するというような方法が行われておつたような有樣であります。今度の購読調整の方法と申しますのは、或る程度の自由競爭でありますから、同じような猛烈な競爭が行われるのではないかということを前から関係者が危惧しておつたのであります。蓋を開けて見ますと、果して激甚な競爭が行われまして、その競爭が激しい余りに種々不正な方法も取られたわけであります。例えば構読競爭のためには各社が一定の社告を掲載しなければならないことになつております。その社告を掲載することが自分の所に不利だと思つた新聞社は社告を載せなかつたり、或いは印刷しましてその社告を切拔いて読者に配つたというようなこともございます。又販賣店を利用しまして、読者に対して読者を錯覚に陷れて、例えば私の店では今度A新聞には扱わないことになつたからB新聞に変えて呉れというような嘘の情報を提供して、B新聞に申込をさせるというような方法を取つた所もあります。その他いろいろな知慧をしぼりまして、類似の不公正な読者獲得運動をやつております。これは予め予期しておつたことではありますけれども、予想以上に不正な方法が行われたのであります。從いまして事後の監査というものを非常に今嚴重にやりまして、どうしても間違ないというものだけを集計いたしまして、新規の割当をやつておるような状態であります。
 第二点のお答えでありますが、これは構読調整とは別の問題でありまして、恐らく、今研究しておる労働組合の機関紙に対する割当の問題についてのお尋であると思います。これは今回労働組合の機関紙に若干の用紙を割当ることになつたのであります。この割当をできるだけ公平に行うという趣旨におきまして、先ず末端の最小單一の組合に新聞を出す希望があるかどうかということを照会し、新聞を出す希望がある所には割当るのであります。小さな組合で新聞を出す能力がなくて新聞を出す希望がないという所は、自分の組合に割当られた用紙を上級組合に移譲して行きまして、そして上級組合はその移讓を受けた紙の範囲で新聞を出す。段々とそういう状況に進んで行きまして、中央の産別であるとか、総同盟であるとか、日農であるという所は下段組合から集つた來た紙を使つて新聞を出す。こういう割当方法を研究中なんであります。從いまして上級組合である中央の組合から紙を取上げるわけではありませんで、從來中央の組合が出しておつた程度の紙は当然又中央に戻つて來るものと我々は予想しておるわけであります。
○岩間正男君 第一の点に関しましては、かような不正が行われたのに対して、これは單に監督するだけであるのか、こういうようないろいろのことが行われて、小新聞の中にはその影響を受けて廃刊になつたと所もあります。そういうようなことが起つた場合にこれをこのまま傍観するということは妥当とは思えないから、これに対してどのような措置を取られるかということが第一点、第二点の問題は地方の單位はどのくらいまでを單位とするのか、縣ぐらいであるのか、もつと小さな郡のようなものを單位とするのか、この二点を伺いたい。
○政府委員(成田勝四郎君) 第一のお尋ねにつきましては、不正な行爲を防止するということは購読調整事務の実施前から考えておつたことでありまして、いろいろな方法が講ぜられておるわけであります。第一には新聞社の間の自粛協定というものがございまして、そして濫りに読者の獲得運動はやらないというような数項目の自粛協定を各社の間に自主的に取決めとして結んでおります。併しこれは強制力がございませんので、いざ蓋を開けて見ますと、この自粛協定なるものは破られてしまつておるわけであります。
 その次には用紙割当委員会が新聞社に通知を出しまして、所定の社告を出さないとかいうような脱法行爲がありました場合には、これは用紙割当の基準に背くものとして、今後の割当を行い得ないかも知れん、そういう新聞社に対しましては、こういうような通知をいたしまして、つまり脱法行爲に対しては割当委員会は將來の割当を考慮することがあるという警告をいたしたわけであります。それから総理廳令を出しまして、総理廳令によりますると、購読調整のための社告の掲載でありますとか、新いは新聞社及び各版賣店が読者の名簿を出すことになつております。或いは読者の意思に反して、配達している新聞を取上げて外に廻すというようなことにつきましては、これを禁止するような趣旨の規定が設けられております。この総理廳令に違反しますると、臨時物資需給調整法の罰則が適用されるわけであります。それから先程申上げましたような詐欺的行爲、非常に惡質のものになりますると、これは明らかに刑法にも触れるわけであります。こういうような種々の段階の制裁規定が設けられております。
 それから第二の点の單位組合はどの程度まで下るかということでありますが、これはまだ決定いたしたわけではありません。この問題は今研究中なわけでありますけれども、大体におきまして、これは労働省に届出制度になつておりまする組合の單位、これは組合の場合もありまするし、支部の場合もありまするし、要するに普通組合活動を行います最小單位と言われておりまするものを取る大体の方針でありまして、從いまして全國におきまして、その数は三万と四万との間ぐらいという程度のものを考えております。
○岩間正男君 これは希望條件も含めてなんですが、もう少し今の第一の問題でありますが、いろいろな措置を講じられ、又講じる方法について考えて貰いたいと思うのでありますが、もう少し今の言論の民主化を徹底させ、そうしてそのような言論の自由を確保するために、小新聞のようなものの正しい成長の仕方というものを保護することが必要だと思いますので、やはり大新聞、商業新聞というものが非常に不当な権力を発生させて、それが邪まに運営されることによつて、民主的な言論が封殺されるというような危險性が事実減じられておる事例を我々は見ておるのでありますから、相当こういう点について嚴重に、商業的なそういうものと妥協することなく、この点の政策を進めて頂きたい、こういうことを勧告いたします。
 第二点につきましては、これはやはり全國的な組織を持つております大きな組合が存在することは、これはむしろ今後の組合運動が健全に進行する上において非常に重要なことである。而もこの情報を十分に連絡して末端まで中央の情報が流れ、それから地方の情報が中央に流れておるということが組合運動のためにはこれはもう不可分のものだと思います。そういう意味からこれを地方だけに分割して、そのために中央が非常に発刊不能に陷つておるというようなことでは、やはり労働組合の一つの情報機関というものがこの方法によつて相当阻害される面というものが存在する。こういうふうに私共は見るわけであります。こういう点についてこれはもつともつと実情に当つて研究して頂いて、そうして組合の民主的な発展のためにプラスになるような方法を確立されることを切望したいと思います。いろいろもつとありますけれども、時間もありませんから、大体その点の質問をこれで打切りたいと思います。尚その点について当局の御意向を伺つて置きます。
○政府委員(成田勝四郎君) 只今の御質問は誠に御尤もの点だと存ずるのでありまして、我々もその点を考えまして、実は中央の各労働團体の代表者に來て頂きまして、一種の公聴会のようなものを開いて意向を聴いたわけであります。その結果只今お示しのような必要も十分認めたわけなんであります。一面におきましてやはりこの組織された労働組合の全部に紙が行き渡らないのであるというこの精神を普及させる必要があると思います。單位組合に趣旨を徹底させますると同時に、労働組合の中央組織というのは何らかの形で利用できたらいたしたいと考えておるのでありますが、その具体的方法につきましてはまだ結論に達しておりません。
 それからその前の御意見の大新聞の圧迫に対する小新聞の保護の問題、この点につきましても十分考えておりまして、創刊後日の浅い小新聞で今度取りましたような自由競爭に耐え得ないと思われるようなものにつきましては、別に或程度の用紙面からする保護を加えたいという趣旨で、只今研究中のこともあるのであります。
○中野重治君 三つの点をお尋ねします。一つは、共産党の方では機関新聞「アカハタ」を出しておりますが、これはなかなか紙を要求しても貰えない。これは外の新聞では月に何回か四頁建で出すけれども、我々の方は二頁でああいう工合にやつておる。その理由をいろいろ今まで調べた結果、或る政党の機関誌であるから紙を渡すわけに行かんというような答えであつたように聞いております。社会党の「社会新聞」の方は事情を知りませんけれども、これは週刊でやはり非常に不自由してやつておられるように見受けます。それでこういうつまり機関誌だということの理由で紙を渡さないということが事実なのかどうか。それからこの点を今後どういうふうに要求に應じて行く考えであるかということが一つの問題でありす。
 もう一つは、新聞用紙とそれからその他の雜誌や單行本の出版の用紙とは一應枠を別にしてありまして、このことはよく分るのでありますが、実際においては新聞の紙の方が、性質上必然ですが、非常に大きいわけであります。ところが新聞社では新聞のための用紙の割当を受けて、そうしてそれを新聞社自身の出版へ廻しておるという事実が從來あつて、これが全体として新聞用紙に比べれば非常に小さな枠の中で沢山の出版屋が共喰いのような状態で一生懸命やつておる出版を、非常に大きく横取りして食つてしまう、これがどの程度になつておるか、何といいますか、調査がどの程度できておるか。又調査が或る程度具体的には曖昧であるとしても、これに対してどういう手を考えておられるか、これが第二であります。
 第三の問題は、新聞用紙等のどういう点において関係があるか私は分らないのですが、日本で出ておる雜誌の中で名前は正確でありませんが、「キング」とか「主婦之友」とか、ああいうような、先ず時代が違うから昔とは違いますけれども、非常に保守的な雜誌が海外版を出して、そうして非常に厖大な紙を使つて出した事実があるわけであります。いろいろここに問題を起しておるようですが、こういう紙はつまりどんなふうな手續であそこへ入つたのだろうか、この三つの点を伺います。
○政府委員(成田勝四郎君) 只今三つの点について御質問がございましたが、第一の機関紙についてはどうして一般の機関紙のような増ページその他の紙の割当をしないかというお尋ねでありました、これは新聞の割当の今取つております方針は一般日刊紙というものを非常に重く見ておるのでありまして、要するに日本の民主化のために、國民を教育するために非常に必要な一般日刊紙、これは一般日刊紙と申しまするのは、特に会員、組合員を、つまり限定された読者を対象としませんで、誰でも読める一般の國民を相手にした新聞、日刊新聞、こういうわけでありまするが、これはまあ新らしい國民教育のために非常に必要であるという趣旨からいたしまして、一般日刊紙というものを重視しておるのでありまして、これは日本側の方針ばかりではありませんで、やはり占領軍の方策もそこにあるわけであります。一般日刊紙を何とかして充実したものにしたい。何も戰前のように十二ページ、十六ページというものを出す必要は今はないかも知れないけれども、同時に又二ページの新聞ではどうも一般日刊新聞の職能を果すに十分でないというようなことで、一般日刊紙だけ一週間一回四ページというものを出すだけの紙を特に増配いたしたようなこともあるわけであります。機関紙はそれに比べますと限定された読者を目標としておるのでありまして、その点一般日刊新聞に四ページの紙を出しました趣旨に必ずしも副わないので、増紙の割当をいたさなかつたわけであります。
 第二点の、新聞社がいわゆる出版の紙をどこから出して來るかという問題でありまするが、これは割当委員会の方でも頻りに問題として研究しておるところなのでありまして、新聞紙の割当には御承知の通り損紙というものを一割出して割当をいたしておるのであります。これは戰後輸送状況その他の非常に惡いために、新聞の巻取紙を輸送しますときの包装が前のように十分に参りませんために、輸送の途上で非常にいたむのであります。それから又紙自身が前程良くないために、輪轉機にかけました場合に切れる率が非常に多いのであります。そのために十万部分の紙を割当てましても輸送途上の損失ですとか、輪轉機にかけてからの損を見ますると、非常に印刷物が減つてしまつて九万部或いは八万五千部くらいしか刷れないということになりまして、十万部割当てるには割当の十万部の印刷を現実に確保いたしますために損失も見込んで一〇%だけ足して切符を切るわけであります。そうしますと、新聞社によりましては非常に工夫をこらしまして、ひびが入つた巻取紙を、ひびが入つたところだけ切り取りまして、あと半分を使うとか、或いは輪轉機にどうしてもかからないものはそれを細かく切りまして原稿用紙に使うとか、出版用級に使うとかいつて非常に創意工夫をこらしまして損じた紙を利用することをやつておるわけであります。大新聞では損紙を利用しますると非常に量が多くなるわけでありまして、そういうような紙が新聞社の出版に使われておることがあるわけであります。勿論新聞社の出版に対しましても、割当委員会の出版部から別に割当をやつておるわけでありますが、仙貨紙その他の統制外の物も新聞社で使つておることもあると思います。それ以外に新聞社が損紙を使つて印刷しておるということがあるのでありまして、これは只今申上げました通り損じた紙をいろいろ工夫して活かすということは惡いことではありませんので、これを今のところではいけないというふうに止めておりません。ただそういう出版物に大量に紙を使い得る程なら、損紙として與える一〇%の率が多いのじやないか、もう少しその損紙を減らしてもいいのではないかという議論は十分成り立つのでありまして、この損紙の率が一〇%でいいかどうかということを今折角研究中でございます。
 第二の御質問の一部雜誌の海外版の問題でございますが、これはいわゆる貿易の輸出品の部に入るわけであります。私共の方の用紙割当委員会ではこれは扱つておらないのであります。確実なことは実は存じませんけれども、貿易廳から輸出品の資材として紙を貰うものと聞いております。
○中野重治君 そうしますと、今お答えになつた中の第一の問題についてこういうことはどうなるでしようか、まあ「アカハタ」にして「社会新聞」にしろ、これは機関紙であるからというので増ページを許さない。或いは新聞を日刊にする程紙を與えないということになれば、つまりその方式が逆にそれらの新聞を日刊新聞とし、或いは一般的な新聞とすることを防げて、性格づけてしまう。私共の方の新聞として見れば、これは普通の人に読んで貰うことを念願として一生懸命やつているのですけれども、何しろ紙が貰えないものだから限定される。それでは四ページ建でときどきやつている新聞はそのために実際充実しているかというと、これは先ず人々の見識によつていろいろ違いがありましようけれども、そのために内容が高まつているとは先ず見られない。この点を余程考えて、今後そういう一般紙たろうとして廣く読者を求めて見ても、紙が受取れないために限定されてしまう。そうして今度は委員会の方ではこれは限定された新聞だから、紙をやらなくてもいいということになれば、これは「社会新聞」なり「アカハタ」なりを育てて行けないという、そういうふうに客観的になつてしまう。この点は今後はどういうふうに行くお見込でしようか。
○政府委員(成田勝四郎君) これはいわば枠の問題でありまして、例えば「アカハタ」は共産党の機関紙として銘打つておりまするために機関紙という部門に入つて、特殊の読者を対象としておるもの、こういうふうに見られるわけでありますが、仮に「アカハタ」が一般日刊紙として出ておるとすれば、一般日刊紙並みの扱いを受けるわけであります。「アカハタ」、或いは「社会新聞」というものは今は政党の機関紙だという取扱を受けておるわけでありまして、何も機関紙であるから紙を出さない、紙を出さないからその活動が限定されるということを予期してやつておるわけではないのであります。
○中野重治君 これはちよつと問題があなたの範囲外ならばあと廻しでもいいのですが、さつきの特殊雜誌の海外版の問題、あれは貿易廳の関係だというお話でしたが、そうしますと、仮に日本の乏しい紙というものを全体として掴んで見ると、そうすると貿易廳は自己の所管内の仕事で内閣直属の用紙関係要求を出して、そうして或る程度持つて行くという、こういう形になつているわけですか。それともそれとは別個に、ただ商工省関係から持つて行くというわけですか。
○政府委員(成田勝四郎君) それは國内で生産されます洋紙は、各部門別に経済安定本部で割当てるわけであります。で、これは例えば進駐軍用でありますとか、或いは賠償用でありますとか、或いは貿易用でありますとか、或いは新聞出版用でありますとか、学習ノート用でありますとか、そういうような大きな十数部門に経済安定本寺ぶ分けまして、そうして例えば貿易用のは貿易廳、それから事務用紙は商工省、私共の方で扱いますのは、その安定本部で分けました中の新聞出版用紙という枠の紙だけを扱うわけであります。
○委員長(田中耕太郎君) よろしうございますか、外に別に御質問ございませんか。
○高良とみ君 一般的な問題ですが、只今の御説明によりますと、この学会、学術方面への紙の割当は安本が割当てて行くというふうに考えてよろしいのでありましようか。それから、そうすると各方面への紙の割当の比重等を決めて行くのは安本のみであつて、割当廳の方には御関係がないと考えてよいのでしようか。
○政府委員(成田勝四郎君) 経済安定本部で一朝ごとに割当計画を作るわけでありまして、そのたびに私共の方では新聞出版用紙についてこれをもつと殖やして貰いたい、これだけ必要なんだという要求を出すわけであります。その他各方面からおのおのその所管の用紙につきまして、必要な量を経済安定本部の方に要求するわけであります。経済安定本部でそれを纏めまして決めるわけでありますが、それにつきましては又いろいろ折衝も行われるわけであります。それで結局安本の方で決めるわけであります。学術関係の著書等と、一般に新聞紙それから書籍というものは、新聞出版用紙割当委員会でやることになつているのでありまするけれども、專門の学術研究書或いは研究雜誌、学会の雜誌というようなものにつきましては、文部省もこれを割当てる権限を持つておりまして、文部省と協同でやつているような形を取つております。
○高良とみ君 更にお伺いしますが、そうしますと、この用紙割当委員会には、地方及び中央の小さな出版業者で月刊のものを持つている所は入つておりますけれども、こういう中へ学術雜誌を取扱つている雜誌社の方面から学術方面にこういうものがこれだけ要るということを要求したときには、やはりこの出版部令の方でそれを聞き上げて頂くのでありましようか。それは実情から申しますると、学術方面の雜誌を取上げて呉れる出版業者が非常に近來乏しくなつた実情からお伺いしたいのであります。
○政府委員(成田勝四郎君) この学術研究雜誌についてもう少し具体的に申上げますと、学術雜誌と申しましても、專門的な学術雜誌、いわゆる商業的に経営されている学術雜誌でありませんので、学会の雜誌等のことについて今お話ししているわけであります。これは從來割当委員会の方で一手で割当てておつたのでありますが、今年の一月分からであつたと思いまするが、文部省も一定の枠を貰いまして、そうして新らしく出て参りまする学術研究雜誌等につきましては、文部省の方でやつているわけであります。在來出ておりますものは我々の方でやる、こういう形になつております。
○高良とみ君 重ねてお尋ねいたしますが、学生自治連盟等の学生運動方面に出版用紙の割当がおありになるように聞いているのであります。そのために各大学にある学生自治連盟の支部も、出版部を持つておらない所にも適当な割当があるからぜひ出せということで、そういう示唆がある、それを若し拒否して行くと、今度はその紙が元へ逆戻りして行つて、どう使われたか分らないということで、どういうふうにしてやつているかということの問題をよく伺うのでありますが、その点を伺います。
○政府委員(成田勝四郎君) 私の方では学生の新聞に対して割当をいたしておりますけれども、各学校の自治團体に対しまして、紙をやるから何でも出しなさいというような方式をとつたことはございません。
○高良とみ君 そうしますと、それは学生の機関紙をすでに持つておるものに対してそれを発行しておる学生連盟等へ割当てておるわけでありますか。
○政府委員(成田勝四郎君) そうでございます。千名以上の生徒を持つているいわゆる專門学校以上の学校で、機関新聞を出しておる、或いはその申請を今まで出しておつたのに対して今年の夏から紙を割当てたわけであります。
○高良とみ君 もう一つお伺しますが、この二條の「何人も如何なる方法によるを問わず、用紙割当に関し圧迫を加え、又はこれを利用して言論の自由を害し、若しくは特定の思想への從属を強制してはならない。」ということがこの用紙割当廳の御趣旨でありますが、これに対する罰則及びそれらの処置について今まで委員会或いは事務廳で以て御考慮になつた例がございましようか。
○政府委員(成田勝四郎君) これは別に具体的な顯著な例と申すものもございません。まあややこれに当ると考えられまするのは、例えば政党或は政府方面から特別の印刷物について紙の割当を考慮して呉れというような話があつたといたしましても、そういうような話合は困る、公平にやつて貰いたい、こういうような趣旨で書かれたものであります。
○高良とみ君 更に伺いたいのですが、このように委員会の形になつておりますると非常に明朗に行くのでありますが、もう一つの図表にありまする委員会の外にある出版協会或いは新聞の方の協会がありまして、その協会の中に理事と言われるか或い割当委員というものがあるように伺つておるのでありますが、この委員が殆んど出版に対する発言権を持つておられて、図書の方で申しまするならば、図書に対して、この原稿の内容が非常に好ましくないから、この雜聞からこれだけの分を取つて、今度自分たちの好ましい分を取つて、今度自分たちの好ましい方の雜聞へ紙を増加する、或いは数カ月これを見ていたけれども、この雜誌も亦自分たちの望むような原稿を載せないから、今度はそれを取上げて片方の方の雜誌に紙を増して行くというような実情をしばしば耳にいたすのでありますが、そうしますと、枠は決まつておりましても、その枠の中で言論を支配して行けるわけであります。從つてその少数の決定者の意向を迎えるような原稿を方々漁つて載せて行くというような実情があるというふうに聞いておりますが、さようにお認めになりますかどうでございますか。
○政府委員(成田勝四郎君) 恐らく今の御質問は、從來出版協会で原案の一つを作る機能を営んでおりました時代のことをお話であると思うのでありまするが、その時代につきましても、只今お示しの程露骨な例があつたとは私共は聞いておりません。ただ当時は事務廳で割当の原案を作ると同時に、出版協会でも先程申しましたような民間側と申しますか、或いは出版業界の意見を代表しました割当計画を作つておつたのでありますが、出版協会も分科委員会というような制度を設けまして、各方面の有識者二百名近くの方々に御協力頂いて原案を作つておつたのであります。事業者の常といたしまして、やはり割当を貰うにはそういう委員会の意を迎えるようなものを作るというようなことはあつたかも存じません。只今お話のような專横なことが特にあつたという事例も聞いておりません。
○高良とみ君 これは希望として申上げて置きたいのでありますが、こういう出版新聞用紙配給等の委員会がありまして、非常に有能な方々が御監督になつておるのでありまするけれども、その点非常な信頼を持つておつたのですが、その実情をいろいろ承りますと、ここの委員会へ、これまでにももうすでにいろいろ左右するような力が働いておりまして、そうしてその形の上では非常な委員会の力がありましても、末端においては随分偏つた見方もするし、又は小さな出版社等が圧迫を受け、或いは原稿を書く筆者等もそれで以てリストがあつて、こちらの方のリストにある人の原稿を載せた場合は、その雜誌は減紙される、或いはこちらの、こういう推薦すべき筆者を載せた場合には増紙させる、こういう実情を随分開くものでありますから、どうか一つ形式でない委員会とい、一日も早く審議会ができまして、それの運営に明朗なやり方をして頂かないと、出版の割当につきましては可成り各方面の不平が多いということを申上げて置きたいのであります。
○委員長(田中耕太郎君) 外に御質疑ありますか。
○河野正夫君 私は皆さん御質問になつたので、格別内容に亘つてはないのですけれども、ちよつと國務大臣に伺いたいのですが、附則第三條に基く國会の確認を求める件というのは、前に國会に提出すべきものと決まつておるのであります。ところがそれを、まだこの会期は續くのですけれども、殆んど会期はなくなるかも知れないという情勢は大臣御承知の通りであります。それをこういうところへ以て、今日のような日に提出になる、今日というわけではありませんけれども、非常に差迫つて確認を求めていらつしやるということを私は不満に思うものであります。先程來いろいろな御質問もありましたけれども、新聞出版用紙の割当ということについては可成り大きな問題がありまして、これが緊急にこういうふうに承認を求められ、この時期で、本日これに対して何らかの結論を恐らく出そうということを恐らく委員会としては考えておるのでありましようが、そうでなくしてもつと日を延してももう少しいろいろと審議して、この用紙割当事務廳の設置法の内容について、実にその実情についていろいろと國会に審議の機会を與えるために展認を求めるのでしようから、その審議を十分に盡したいというのが私共の考え方であります。それをこう差迫つてというか、政治的情勢から出されるというのは甚だ不満であるという意思をここに表示して置きます。
○國務大臣(森幸太郎君) 今の御注意誠に御尢もなりでありまして、第四國会が開かれるということが決定いたしますと同時にこの手續をいたしたのであります。それがいろいろ関係方面の連絡、これは特殊な事務局がやつておりますために、この提案の運びに至らなかつたので、漸く一昨昨日に向うから承認を受けたようになつておるわけであります。こちらの第四國会が決定すると同時に、事務当局といたしましては手配をしたわけでありますが、この点惡からずお願いいたしたいと思います。
○中野重治君 そうしますと、問題は個別的な質問から、提出された案件をどう取扱うということについての意見に入つておるわけでしようか。
○委員長(田中耕太郎君) 只今は確認を求める件について一般質問の状態です。
○中野重治君 これはもう誰にも分つておるように、この用紙割当事務廳設置法というものができる時にも、非常に慌ただしく大きな問題を包藏したままできたわけです。そうして今ここでそれを確認するためにいろいろ新らしい問題が沢山出ております。それから例えばその一つだけを拾つても、審議会を事業者團体法に衝突せざるように如何に具体化して行くかということについての政府側の大体の見透しの発表も今のところはないというふうな状態ですから、これはどうしても設置法そのものの權討を十分やる必要がある、こう考えるわけであります。殊に附則の第三項の規利というものは、これは余程変つた規定で、私は法律に詳しくありませんが、こういう規定が喰つついておつて、毎通常國会でその都度確認して行かなければならんというような法律は外に余りないのではないかと思うのです。そのこと自身がやはり本法そのものを再檢討しなければならんということを意味しておると私は考えるのですが、その辺はどうでしようか。
○國務大臣(森幸太郎君) お説の通り、実際外の法案を見ましても、この通常國会に必らず一度は色上げをしなければならんという法律はないのでありますが、第二國会に決議しました時も、今お話のような草々の切那にこの法案を提出しなければならないような客観情勢があつたために法律が提案されたような事情になつております。これは今日用紙割当については相当の制約を受けておりますので、こういう法規の下に動かざるを得ないような情勢と思うのであります。これは誠に色の変つた法案の組立になつておりますので、いろいろこの立法上について、專門的に考えれば、いろいろな事業者團体法等におきましても議論があろうと思いますが、実際に適應するように関係方面とも折衝いたしまして、法律の本当の意義ある法律らしき法律として、これは当然或る時期には修正をしなければならんと、かように考えておるわけでありますが、この法案の成立ちの沿革等も御了承、御了察をお願いしたいと存じます。
○委員長(田中耕太郎君) 他に御質疑はございませんか。御質疑がございませんければ、御質疑は終了したものと認めまして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼び者あり〕
○委員長(田中耕太郎君) それでは御異議ないものと認めます。ではこれから討論に入ります。御意見のおありの方は替否を明かにしてお述べを願います。
○中野重治君 私はこれに反対です。それでなぜ反対かと言いますと、本法自身が非常に多くの問題を含んでおつて、それが末解決のまま、表面的には草々の中に法となつた。そのためにこういう特殊な附則が附いて來た。そうして今日も草々に表面的に片付けようとする状況が見えますが、そういうふうにして行くならば、本法そのものを本当に実際に適するように練り上げて行くということは、いつまで経つても実現できないことになる虞れが非常に大きい。私は他にさまざまな條件があるだろうと思います。けれども、それにも拘わらず用紙の問題というものは國の民主化にとつては、一つの決定的な要因ですから、どうしてもしつかりと十分に討議してやつて行く。そうして勿論特殊な附則というようなものをなくなして行くことに國会として取扱わなければならん。こう考えるからであります。
○高良とみ君 先程からいろいろ御説明を伺つたのでありますが、この新聞出版用紙割当のみに関する事務廳なんでありますが、例えば学会の用紙とか、雜誌とか、その他いろいろの要望が沢山出ておりますので、できるならば近い將來において成るべく早く審議会が成立して、もつと廣い範囲に、新聞用紙、そうして全面的に用紙に割当について考慮ができるような法律に改められることを私は希望しますので、その希望條件を附けて、私は若しこれが通らなければ事務廳が仕事が差支えるというならば、妨げはしたくないと思うのであります。
○委員長(田中耕太郎君) 外に御発言ございませんでしようか。ございませんければ、討論終結したものと認めまして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田中耕太郎君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれから採決に入ります。新聞出版用紙割当事務廳設置法附則第三項の規定に基く同法の継續に対する國会の確認を求める件につきまして、承認を與えることを可とするということに賛成の方は御起立を願います。
   〔起立者多数〕
○委員長(田中耕太郎君) 多数を以て可決決定いたしました。
 尚本会議における委員長の口頭報告の内容は本院規則第百四條によりまして、予め多数意見者の承認を得なければならないことになつておりますので、委員長におきまして本案の内容、本委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することといたしまして、御承認願うことに御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田中耕太郎君) 御異議ないものと認めます。
 それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出いたします報告書につきまして、多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可決することに賛成されました方は順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    高良 とみ  河野 正夫
    鈴木 憲一  山本 勇造
    堀越 儀郎 小野 光洋
○委員長(田中耕太郎君) 御署名洩れはありませんか……。ないと認めます。それでは委員会は休憩いたしまして、午後の委員会は一時半から開会いたします。
   午後零時十六分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時五十七分開会
○委員長(田中耕太郎君) それでは午前に引き續きまして、委員会を継續いたします。教育公務員特例法案は、昨日衆議院を通過いたしまして、今日本審査に付託されたわけでございます。政府原案は二点について衆議院で修正されております。第一点は第十四條第二項中「俸給の全額を支給することができる。」を「給與の全額を支給する。」に改める。」ことになりました。第二点は第三十三條中「國立学校の学長、校長、教員又は部局長の例に準じ」を削る、ということになつております。で、今日の教育公務員特例案の原案は衆議院で、さような意味において御審議をお願いしたいと思います。
○河崎ナツ君 第三十二條でございましようか。
○委員長(田中耕太郎君) 審議は前回に引續きまして質問の段階にございます。逐條審議は一應この二点以外には済んだわけでございまして、今日は修正された部分の質疑と、それから尚岩間君から前回一般質問の中で、まだ残つておるものがあるということを御留保になつておりますから、その質問なり、又外に質問の残つておる方もございますので、これから質問を継續いたしたいと思います。
○岩間正男君 この前に、実は今井給與局長の出席を求めまして、是非この法案との連関において質問いたしたいことがあつたのでありますが、今井給與局長は外の都合があつて見えられないということでありますから、文部省の関係者におきまして、十分なる責任を以て御答弁を頂きたいと思うのであります。その問題は、この法案の條項と直接の連関は持たないのでありますけれども、この法案の最も大きな裏付の問題であるところの給與の面において、重要な二三の点について質して行きたいと思うのであります。その前に先ずこの法案を見ますというと、この特例法におきましては、その「職務とその責任の特殊性に基き、教育公務員の任免、分限、懲戒、服務及び研修」と、こういうような面だけにおいて規定されておるのでありますが、更に最も重要だと思いますところの給與の面において、生活権の確保の面において十分な裏付の規定がないということが、この法案全体にとりまして、この適用を受ける立場から考えましても、又この法案の立法された趣旨から考えましても、不十分な点があるんじやないかと考えられるのであります。それはまあ一應措きましても、裏付としての、例えばこの前の國家公務員法のときにおきまして、両院においてやはり一番重要な問題となりましたのは、この法案とその裏付としての給與の問題、これを不可分にするということが最も大きな課題であつたと思うのであります。で、無論この特例法が提出されるというようなことになつた一つの原因は、言うまでもなくこれは過般のマ書簡によるものでありますが、マ書簡によりまして、はつきりその中に謳われておる二つの精神があるということは、言うまでもなく法案を通すと同時にその給與の面においてはつきりとこの公務員が明日の勤務に差支えないところの労働力を再生産することができるような、十全なる保障をいるということが謳われておるのであります。從いまして、その点を私はこの法案との連関において一つの重要な課題として取上げて質問申上げたいと思うのであります。
 それで過般出されました法律の第四十六号、これは昭和二十三年の五月三十一日に施行されておるんでありますが、その第十四條の第三項によりますというと、「現業に從事する職員、教育職員、税務職員その他その職務について特別に取扱うことを適当とする事情のある職員については、職務の級の分類及びその各級における俸給の幅につき、政令で、前二項と異つた定をすることができる。」というようなことがはつきりと謳われておるのであります。言うまでもなくこのような規定を法四十六号においてした精神というものによつて、昨年の十一月におきまして、日本教職員組合と文部省との間において、この一つの交渉が持たれた、そうしてその結果、これは中労委に提訴された、その中労委の裁定案の中に、教員のこの給與については、他の一般の勤労者と比べて非常にこれは文化の面において、更に修養費の面において特設の考慮をしなければならない、文部当局はそれについて鋭意努力をすべきであるというような趣旨のことがはつきりと調停案として示されておるのであります。恐らくこの四十六号のこのような規定をしたについては、やはり教員のそのような特殊性が認められた結果によつてなされたものと考えるのであります。ところが過般のその後の給與当局の実施面を見ますというと、教員大衆からその要求があり、又日教組の方からそのような切望があつたに拘わらず、給與局においては何らそのような特別な教員の給料に対する考慮をなして、そのような特例のようなものを別に規定しなかつた。数回の折衝が持たれたということは聞いておるんでありますが、それが大藏当局によつて結局採択されないでしまつたということを聞いておるんであります。これに対しまして、一体文部省は、法によつて謳われ、更に中労委の裁定案によつてもその精神が明示されておるこの問題を、果してどのようにこれを聞き、そうしてこれを実施しようとするのであるか、そうしてどのような努力を又過去において傾けられ、それがなぜこのような現在の形になつておるかというその経過についてお聞きしたいと思うのであります。言うまでもなく文部当局としましては、このような精神に則りまして、十全のこれは努力をすべきであると私は考えます故に、その経過を委細承りたいと思うのが第一点であります。
 第二点はその後の俸給の調整に当りまして、二千九百円ベースから更にこれが三千七百円ベースに切替えられたその切替の措置にの非常合点の行かない点があるのであります。それはこういうようなことでありますが、例えばある勤務年限、それから年齢、そういうようなものが大分違つておる、三年か四年の開きがある、併しそういうような適用者を一つに集めて、それを一つの同じような俸給で縛つてしまつた、例えば二千九百二十円、それから三千二百円、こういうような一つの幅を持つておりますところの適用者を、その間はまあ大体年齢にしまして三年の開きがある、その三年の開きがありますものを、これを三千七百七十円という線において、同率に縛つてしまう、同じようなことが、これは上の方においても行われておるんであります。その結果何が起つておるか、つまり勤續三年の人の場合を例えば考えて見ますというと、この勤續三年の者は勤續一年の者と同じような俸給で縛られてしまう、そうしていろいろなこれは待遇上で考慮さるべきものを持つているに拘わらず、同じような俸給を抑えられてしまう、その結果どうしてもそこに割切れないものが残る。そして職務に対して何らかここに飽き足らないものがあつたのであります。これはどうしても、何といいますか、望ましくない状態ではありますけれども、不公平な感じを持つて勤務に対する熱情の喪失ということが始つて來る。このようなことが起るような俸給の頭打ち、こういうようなことをなされて行くということならば、非常にこれは大きな問題が起るのではないか。更に又例えば一年違いによつて三千七百七十円で一方は抑えられておるが、ただ僅かに一年違うために別の俸給の標準をあてがわれまして、四千四百二十円の線である、ただ一年の違いがそのような大きな開きになる、そこに約六百五十円もの大きな開きが起つて來る。これは職場に対して非常に均等しないところの不公平な感じがどうしても日常の職場を支配するのは止むを得ない情勢と思うのであります。而も私の更に心配いたしますのは、今度の俸給のベースがどう決まるか、これは一両日中に決定を見るのでありますが、五千三百円或いは六千三百円と、どの線で決まるにしましても、この適用を受けるときに、現在持つておりますところの、そのような一つのむらが、更に引延ばされて行くときには、もつともつと大きな開きになつて來る。さつき申しました六百五十円というような大きな開きが今度の新らしいベースの適用によりましては、その二倍ぐらいの大きな差額になつて來る。このような調整を十分しない限りはここに今申しました私の心配は、ますます深められて行く事実を見るのであります。ここに例を申しますと、私がこの夏の間に用事がありまして、郷里に帰つたのでありますが、若い教員層に会つて、その話を実際聞いたのでありますが、どうもこういうようなやり方では馬鹿々々しくてもう実際勤務を一生懸命でやる氣にならない。三年も前に卒業している者と三年後の者が同じ俸給で縛られている。そして又ちよつとの違いでべらぼうに大きな差ができる。こういうことではどうも合点が行かないということを言い、どうして一体こんなことをやつたのか、というようなことも私は質問されたわけであります。実は迂闊にして私もこのような事実が職場に起つておるということは知らないで、その説明を聞きまして、そのような馬鹿なことは、まさかないだろう、これについては調べて見ようと言つて実際調べて見ますというと、このようなことが行われておる。こういうようなことは実際に即應しない。勤務能率を決して高める方法ではないのである。今度の調整において少しでもこの点の問題を十分に解決するところの特別な措置が講ぜられない限りは、今言つたところの矛盾が職場を包むことを私は非常に憂うるものであります。その点について文部省はどのような考えを持つているか、どのようにこれを一掃されようとするか、職場に今漂つているような不公平な観念をどのように一掃されようと考えているか。この二点について文部当局のしつかりした御返答を望むのであります。
○説明員(井手成三君) 教員の職務の特性に應じまして、俸給の表が別個に定めらるべきであるに拘らず、一般の表に入つているという点について特別の考慮をするような努力をしたか。そうしてどういう結果になつたかというのが第一点のように思うのであります。第二点は、切替えの場合において可なり大雜把といいますか、事実に即しない切替えをした結果、非常に職場において勤務及び経歴等に対する不公平な結果になつて能率発揮において影響がある。これに対して今後の切替えのときに殊にその差がひどくなるからどうするつもりかという質問であります。
 第一点では我々関係者といたしまして、可なりこの特殊性という点から別個の表を得ようとしたのでありますが、残念ながら私共の研究が不十分であつたのか、或いは努力が足りなかつたというような批評を受けるかも知れませんが、一般の表において教員の俸給を持つて行こうという結果になつてしまいました。更にこの点につきましては我々としましては、教員の職務の内容の分析等を強く徹底しまして閣僚の了解を得、政府当局の態度を決めるような方向に持つて行きたいと、そういう考えを持つております。
 それから切替えの問題でありますが、教員につきまして、非常な顯著な例が出てしまつたので、今のような御質疑を受けたのでありますが、政府委員一般の方の部面にも多かれ少なかれ切替によつて或る種の不公平、或る種の不当の利益を得た結果が多少出てしまつたのであります。これが今お申述べになつたように教員に非常に大きかつたという点について私共も後で聞いて、実は私の着任前でありましたが、聞きまして驚いておりまして、関係の人とよく研究しまして、今後の切替には今のような御趣旨に合うように努力したいと思います。若し不十分でございますれば、関係の局課長が見えましたから補足さして頂きたいと思います。
○委員長(田中耕太郎君) 速記にこれでよろしうございます。暫時休憩します。
   午後二時十七分休憩
   ―――――・―――――
   午後三時十四分開会
○委員長(田中耕太郎君) それでは休憩前に引續きまして会議を開きます。質疑を留保されておられましたから……。
○岩間正男君 先程の問題につきまして、二点の重要問題について質問いたしたのでありますが、文部次官の説明がございましたが、もつと詳しい説明を係から……。
○説明員(井手成三君) 只今関係官が材料を取つておりますので、もう暫く御猶予願います。
○河野正夫君 予備審査のときに伺つた点を含むのでありますけれども、本審査の場合ですので、それに速記を取つてなかつた質問だつたから改めて念を押して置きたい点が二点ございます。
 その一つは三十二條、旧三十三條になりますが、三十二條の恩給法に関する暫定的な規定がございますが、これによりますると、將來地方教育委員会所轄の学校における新任者は恩給法の適用は全然拔ける。当然拔けて來るわけでございますけれども、こういう場合は國家経済、特に地方財政の現状からいたしまして、各地方委員会でそれぞれ何程かの退職資金とか、恩給法とかいうようなもの、恩給規定とかいうようなものをそれぞれ規定したらよいであろうというのでは相済まないのではないかと、こう思うのでありますが、この点について文部当局は如何なる腹案をお持ちになつておるか、これを一つ伺いたいのであります。
 それから第二点は、政府提出、衆議院送付、修正して送付せられた原案によりますると、第三十三條でありまするが、地方公共團体の職員に関して規定する法律、いわゆる地上公務員法が成立施行されるまでの間は政令で特に必要な場合にはこれらの定めをすることが必要になつておりますけれども、この政令で特別の定めをすることのできる内容でありますが、これは國家公務員乃至は地方公務員と雖も國民として憲法の保障する権利は保有しておるのであります。ただ公共の福祉というために今回公務員法の改正において種々の制限を受けるように相成りました、遺憾ながらそうなつたのでありますが、それは併しながら法律でそういう定めをした。学者の或る人によつては憲法違反の疑いすらあるように論議する方もあるのでありますが、今その点を省きまして、とにかくそれは法律でそういう規定をしたのであります。然るに政令でまさかそういう内容に亘る……そういう憲法の保障する権利を制限するような内容に亘るものを定める筈はないと思うのでありますけれども、この点について当局からこの特別の定めをするという場合の内容が如何なるものであるかということを明らかにして頂きたいと思うのであります。以上二点。
○説明員(井手成三君) 訂正いたしました三十二條の條文に関連しての御質問でございましたが、新らしく教育委員会の所轄に属する教育職員になつた者の恩給に当る者をどうするかという御質問でございます。これは非常に重大な事項でありまして、何とかするというような印象を與えておるとすれば惡いと思います。教育委員会法の六十八條の、「前二條に規定する職員の給與」とありますが、この職員は教育委員会の任免に係る教職員のことを含んでおる條文でありますけれども、それについて「法律に別段の定のある場合の外、地方自治法第八章に規定する地方公共團体の長の補助機関たる職員の給與に関する規定を準用する」とありまして、地方自治法の八章は退隱料を與えるということになつているわけであります。これが教員たる特殊性の立場から何か特別に規定を設けなければならないということがある以外は、原則としてこの地方自治法の退隱料の規定に持つて行くつもりであります。これを持つて行く場合において少くとも教職員のために合理的な優遇ができるという必要があるならば、私共はこの特例を動かしたいと思つておりまするが、原則は退隱料に行く、こういう工合にお考えを願いたいと思います。又それは今後の地方公務員に関する法律が制定されまする時には、恐らくその原則を採るんじやないかと、かように考えております。尚訂正した三十三條の政令にどの程度の権限を許されているかという御質問でございますが、勿論憲法の精神に反するような規定は規定できないことは当然であります。從つて法律が規定し得ないようなことは勿論しません。法律と雖も憲法に違反するようなことはできないと思います。ただ我々の承知いたしておりまする法律常識上は、委任されておるその限度内においては、法律が規定し得ると同じことを規定できると、こういう工合に考えておりまするから、お答えといたしましては、憲法に違反するような、憲法の精神に反するような規定は全然いたしません。併し法律が許されておる事項であつて、而もそれが妥当であるような範囲でありますれば、この規定を一應押して行きたいと考えておるのであります。
○河野正夫君 今の第二点のお答えでありますが、法律に許されているようなことは政令で決めることができる。一般論としては御尢でありますけれども、この國会は絶えず開かれておるのでありまして、必要とあればどんな改廃も國会に提案することができるのであります。昔のように絶えず國会が開かれていなかつた時代と違いまして、今日では殆んど御承知のように一年中開かれておるような状態になつているのであります。尢もそこで解散があつて、國会の空白時代が暫く何十日かく續ということはあり得るのでありますけれども、併し今すでに予想されておることであるとするならば、そうして法律で決めることを妥当とするようなことであるならば、それは政令に委任することはどうも適当でないと思うのであります。例えばこの特例法案の中において政令の根拠となるべき一定の指示を與えた條文というものがあるのが妥当だと思うのであります。ところが衆議院の修正は如何なる理由でなされたかはまだ説明を聞いておらんのであります。私の信ずるところによれば、この國立学校云々の数字を削ることによつて、言つて見ればその政令の範囲において、今まで私が質問の前後において申上げていることで、お分りだろうと思いますけれども、特段の國家公務員法の改正において問題となつたような点をこの政令において定めようということは、どうも不当であるという意味で修正がなされたと私は信ずるものであります。そうでなければこういう原案のままでも決して差支ない。これを修正したという衆議院の立場を重んじて、これが若し本院でも通過するといたしまするならば、その修正の意見というものは当然行政府の政令を発する場合の行動を縛ることになると私は思うのであります。その点は如何でございますか。
○説明員(井手成三君) 法律の委任に基く政令がその委任の限度においては法律が規定する事項と同じことを規定できるという原則については御承認を得たと思います。私共の原案といたしましては、そういう委任は余りひどくするということは憲法の趣旨に反しますから、一定の暫定期間というようなタイムを切る。又規定の方向等を法律で示されることがないことと思いまして、原案といたしまして、一定の本当の立派な法律ができるまで、それまではいろいろな点で、例えば教員だけの地方公務員たるの問題の研究ができても、一般の地方公務員については研究が済まない。その間急いで法律が出るということは却つて惡いことがありますので、一時暫定的な政令に委して、地方公務員の全体の法律ができて、そのときにしつかり決めようというので暫定にいたしました。又規定の内容も我々の方としましては政令で手放しで委任するよりも大体公立学校の教員の方向で規定するがよい、そういうような制約をつけて出したのであります。衆議院の方ではこの規定方向についての制約を削除ということになつたのであります。私共は法律を冷やかに見ますれば、今度は規定の内容について法律が指し示めさなかつた。從つてこれを受けた政令としては或いは規定内容が強くなつたように思うのであります。但し國会における意見その他経過というものは行政府として十分尊重しなければならないと思いますので、衆議院の修正において現われました意見、或いは参議院の委員会、本会議等で意見が出ますれば、我々行政府としては十分この制定に当りましては尊重しなければならないと思つております。衆議院において如何なる意味で修正されたのであるか、その点につきましては委員会の修正の発言その他、実は詳しくは專門員かどこかで正確にお調べを願いたいと思いますが、私の承知しておりますところでは、地方公務員という身分ができた以上、地方公務員の制度に準ずるといいますか、それの方の制度をより重く見て、これに引き付けるような角度でこの政令を作るべきであるというので、こういう國立に準ずるということはいけないというのでお削りになつたのであります。私共は地方公務員のいろいろな制度を十分に調べまして、尚且つ他の國立の学校教員との関係、それから又教員というものの内容等を全部比べ合せまして、妥当なる規定をいたしたいと思つております。
○梅津錦一君 今の問題に関して質問いたします。これは地方公務員中特に教育公務員という特例法案修正案でありますから、これに対してこの教育公務員という立場から第三十三條中のその箇條を削るということに対して、教育公務員という特殊性から政府のお考をお聞きしたいと思います。
○説明員(井手成三君) ちよつと御質問の趣旨を把握しかねたのでありますが、この削つた結果どういうような政令を作るだろうかということをお答えすれば足るかと思うのでありますが、私共はこれを削られた結果は政令に対する法律上の制約はない。但し修正するに至つた議会における出た意見を十分尊重しなければならない。衆議院においては、地方公務員たる身分を持つているのだから、他の地方公務員の制度を十分尊重して、これに近い意見を入れるべきじやないだろうかという趣旨に考えております。但しこれは教育公務員でありまして、教育者であるという立場の一つの大きな要請は前提にあると思います。單なる事務員に対する規定と自ら違うと思います。又同じような学校であつて、公立と國立において両方が全然権衡が取れないことも困る。そういういろいろな点を噛み合せまして、こういう政令を作るのが至当であると私共は只今考えている次第であります。
○三島通陽君 私はこの第十四條のことでちよつと伺いたいのでありますが、衆議院の修正せられました点に賛意を表しておるのです。というのは衆議院の修正は確かに政府原案より私共の心配している点で一歩前進していると思われるのです。私共の心配しているこの教員の結核の問題なんですけれども、これはたびたび外の委員の方からも御質問がありましたけれども、これは單に教員の問題のみならず、これが生徒とか、兒童とかに傳染するということは非常に大きな問題だと思うので、この点についてこういう給與とか、或いは休養させるとか、いろいろな問題はあるけれども、もつとなぜ一体日本の教員に結核が多いのかという問題を根本的に研究して、そうしてこれに対する対策とか或いは手当とかいうようなものを考えるべきじやないかと思われるのです。それで文部省におかれてもいろいろ結核の早期発見とか、療養所とか、いろいろなことをやつておられるとか思いますけれども、この施設を私共よく分りませんので、一應体育局長もお見えのようでありますので、どういう施設をしておられるか、又この法律の修正の精神が私共最も心配している点なんで、そういう点を將來どういうように考えて、手当及びその対策を講じなければならないかというお考えがあれば伺いたいと思うのであります。
○説明員(東俊郎君) 今の御質問でございますけれども、教員の保養の問題でありますが、先ず現在教員に対して私共が保健上行なつております方法は、四月と秋十一月、二回に定期身体檢査をいたします。四月の方はこれは定期身体檢査であり、学徒と同時にいたしまして、そうしてツベルクリン反應、それから精密檢査までいたすことになつております。秋は縣の方が主になりまして、特別身体檢査と称して縣が主体になつて、やはり國家がこれに身体檢査補助費を出して、そうしてやはり同じ精密檢査をいたすことになつております。この二回が我々が教員の結核に対する早期発見の一つの方法として今取上げているところであります。それでそこにおいて見付かりました者に対しては、各縣に一つずつ教員保養所というものを設けております。これは現在のところはまだ全國には行き渡つておりません。大体二十七縣は全部できております。昨年度の申請がありました三縣が今度できあがりまして、三十縣はできあがるわけであります。その保養所に入れまして、そこで早期治療をいたすことになつております。それでその外に最近厚生省との方の了解によりまして、保健所を全面的に活用するということによりまして、保養所プラス保健所というこの二つの面から治療の早期診断、早期治療というものを時機を失しないでやるというふうに進めておるわけであります。現在のところ教員の結核というものは外の一般の結核の患者と比べましても、むしろ少いというような結果になつておりまして、昨年度の教員の健康診断におきまして、結核患者として発病しておる者の発見されましたのは全体の二・二%ぐらいでございます。こういうふうな患者に対しまして、私たちは今二年の休養というものを考えておりますのは、これは今まで三年でございましたが、二年でも不当ではないというようなふうに考えられます点は、早期診断と早期治療というものが徹底的に行き渡つて参りまして、殊に早期治療の技術が非常に進歩して参りましたために、治療期間が非常に短縮されて來ておりますということと、もう一つは我々が行います一般の早期浸潤の程度の者におきまする氣胸療法は、大体において一年未満で開放性の結核も閉鎖性に変る、そうして我々は大体氣胸療法を何年間續けたらよいかということで、今医者の中で問題になつておりますが、大体の意向は二年間續ければよい、初めの一ケ年、半年くらい十分にやりますというと、大体において閉鎖性の結核になりまして、それからあと半年くらいを十分な注意の下にそれを置いて置く、それからあと一年間は大体において普通の仕事もできるようになつておる、これが一般の状勢でありますので、大体二年というものを区切りにしてよいのではないかという我々の考えになつております。殊に外科的治療が発達いたしまして、むしろ一年くらいでもよいのではないかというようなことが我々の中でも出て來ておるくらいであります。そういうふうな形で、私といたしましては、結核に対しては相当明るい希望を今持つて來ております。殊に教員の場合は今申しましたようなふうに、教員自身常にそういう健康診断の機会を十分に與えられておりますし、教員自体が疾患、健康ということに対して、普通一般の全体のレベルから見れば相当知識階級であるということを考えますと、十分に自分で自分の健康を守れるということと、與えられた環境ということ、そうして現在の治療の程度の進歩ということを考えますというと、私は教員の結核に対する問題は今後一般の結核に対する問題に先頭に立つて、明るい遂に進んで行くのではなかろうか、そういうふうに考えておるのであります。これでよろしうございますか。
○三島通陽君 只今体育局長のお話は大変明るいようなお話でありますけれども、併し又学者の中にも、教員の結核の率が非常に多いということを言われる人もありますし、又二年では無理だ、やはり三年はどうしても休養の期間が要るということを主張せられる方もあるようであります。併し私今ここでこれを論じようとは思わないのでありまして、この十四條の修正の精神から行きまして、どうしても教員の結核というようなものはひとり教員の問題のみならず、この及ぼす影響というものが大切な兒童への非常に大きな関係があるから、どうぞこの第十四條の修正の精神を酌まれて文部省としても十分この原因を突き止めて、その対策及び手当等をやつて頂きたいと思うのでありますが、これ以上は御答弁は要求いたしません。私の質問はそれだけであります。
○河崎ナツ君 三島さんのお言葉大変私も御尤もだと存じ上げておりますが、体育局長の今の御説明で、ちよつと話が横へ外れるような質問かも知れないと思いますが、保養所が三十縣できておりますが、それはそこで療養といいますか、今日の結核の療養と言いましても療養の仕方が非常に変つて來ておりますが、この数多い療養所の設備はどういうふうな新らしい結核の療養、治療をし得るような設備になつておりますか。その辺のところを……、数は多くても実際意味をなさない場合も沢山ございますが、それは如何なのでございますか。
○説明員(東俊郎君) 只今の保養所の内容の問題でございますけれども、保養所の内容といたしましては、これは大体縣の方の予算の問題もございますし、我々といたしましてはできるだけその早期診断ということの目的が達し得られるようなふうに、少くともレントゲンの設備までは備えなければならんということを言つておりまして、現にそれは備えておりまして、医者も必ず置くことになつております。早期治療の方は、縣立で使いますのは氣胸療法でございます。それとあと安靜療法でございます。氣胸療法と、レントゲンの設備及び血沈及び一般の診察、これだけの設備を持つている。尚現在早期診断にはいろいろの複雜な方法もございますけれども、そこまでは予算の関係で行つておりませんが、保健所というものと十分な連絡を取るようにいたしまして、保養所でできないものを保健所が力を貸すということで、最近厚生省の方と話し合いがつきまして、これは教員も学徒も一緒に、学徒の保健は教員の保健と共に先程申しましたが、これは離すことができない。この二つにつきましては、保健所と保養所と、そして学校の方と、これだけが一体になつて纏めてやつて行くということに話がついております。それでやつて行けば、今のところ十分できるのではないか、そう思つております。
○河崎ナツ君 まあ大体伺つて見ますと、設備をしているつもりのようでございますが、一番この年限が関係いたして参りますものですから、治療のやり方によりまして年限も短縮どきるように、今日療養が目に付く方法で着々その方向に進んでおりますけれども、問題は、レントゲンが本当に徹底的に各療養所に、備えられているかということですが、そのつもりなようでありますけれども、それは全部各縣に行つているのでございますね。
○説明員(東俊郎君) そうでございます。
○河崎ナツ君 それで今氣胸療法のことをおつしやつていますけれども、氣胸療養は、本当の入口でありまして、最近は肺の一部を徹底的に切取ることもやつております。そういうような外科療法ですね。外科療法のそういうことを本当に手を付けまして、そういう外科的にやつて参りますれば、年限はこの間からの皆さんのおつしやつたような全部で五年というような、長いことに越したことはございませんけれども、併し長いということでなく、外科的に行くというのが、もう今日の結核の……私も結核でで苦労した者ですから、結核の療養としてはその途が一つ残されているわけでございますから、その意味におきまして、文部省で療養の年限をお縮めになるんだつたら、一方そちらの方の設備におきまして、着着手を打つて下さつて、そういうふうな外科的に徹底的な治療をして、そして一方年限も縮めて、且つは全治に至らしめるような御配量がありませんと、ただ療養所の数とか、或いは足らないところは保健所と連絡を取るとか、口では取ると言つても、実際は保健所の数も本当に幾つかの数でありますから、いいと言つてもないような、全くそんなわけでございますから、各縣に一つぐらい教員のための結核の療養所が、現在療養所と言つても少いわけですが、その辺のところを申し訳のことではなくて、本当に子供への影響というものはこれは外のどの職業の人の結核の問題より大きな問題ですから、そういうことを徹底せしめるということもあるし、且つは安心して教員当事者の方々に療養して頂けるというようなことに対して、一つ文部省の方でそういう方法は分つていらつしやるのですから、これを十分せしめるような方法をお示し下さつて、そして誰だつて療養するのは、やはり短かく療養をして早くよくなるようになるのがいいのですから、二年と言えば、一方設備方におきまして、徹底的に、しよつちゆう言いますが、最新式な方法ができて來るような方向へ、文部省においてお進めして頂けばと思います。この教員の保養所の運営、そういうことについての関連はやはり文部省の方の責任でありますか。それとも結核全体の問題に対しての厚生省の問題でありますか、保健所は厚生省に属しております。この療養所の方はどちらの責任か、それを伺いたい。
○説明員(東俊郎君) 今の最後の問題でありますけれども、教員の療養所は文部省の方であります。
○河崎ナツ君 そういうことでありますならば、これは是非文部省の責任において、殊に結核の方のことでありますからして、結核の日本における最新の治療の方法におきましても、設備におきましても、万全の遺漏のないようにお考え頂かなければ、この十四條の休養の二年とか三年とかの問題は、これは徹し得ないと思いますから、そのことは呉れぐれも文部省におきましての責任の一つとして御努力願いたいと思います。
○政府委員(小野光洋君) 河崎委員の御心配、誠に尢もでありますが、第十四條で給與の全額を支給することができると、かように規定いたしましても、別に原案においてさように規定いたしましたことも、しないということをその半面の意味で含めたわけではなかつたのでありますが、給與するということに、ああいう修正をされまして、政府といたしましても、誠に尢もな修正と思つておるのでありますが、又二年ということも、ただ年限のみでなく、実質的にその二年を最も治療に有効に使わなければならんのではないか、又早期診断その他についても十分適正な方法を講ぜよというようなこと、これは誠に尢もでございまして、文部省といたしましても、教育推進の重大なる根幹になるので、教職員の保健につきましては、今後とも國庫におかれましても、又地方教育委員におきましても、かような点について十分力を注ぐように努力すると同時に、努力して頂くように要望したいと思つております。
○岩間正男君 さつきの私の質問に対して保留してあるのですが。
○説明員(松下寛一君) 先程岩間委員から御質問がありましたが、第一の御質疑の点につきましては、先程次官からお話がありました通りであります。第二の点につきましては、すでに御承知と存じまするけれども、二千九百円ベースに切替える際におきまして、教職員につきましては、或る程度教職員の勤務の特性から申しまして、関係官廳と本当折衝いたしまして、大藏当局と折衝いたしまして、教職員の給與はうまく行つたように承知いたしております。併しその三千七百九十円ベースに切替える際において実施いたしましたところが、結果的に非常に不都合な点が判明いたしました。と申しますのは、教員の給與については勤續年数を標準として算定いたしましたために、相当勤續年数の長い人と短かい人では、支給の上で追い込まれて、いわゆる頭打ちの状態が結果において相当数出ましたし、支給の際でもこれをその当時において処理することは、いろいろな点において困難でありました。併し私共といたしましては、そういう状態は甚だ不自然であり、誠に不合理であると存じましたので、実施に人を派しまして、その切替後の実施を只今正確に調査しております。そうしてできるだけ早急にそういう点を是正したい。そういう階段的な結果をなくするようにできるだけ理想的にさせるような恰好に合理的にいたしたいと、かように今考えておりますから、御了承を願います。
○岩間正男君 さつきの井手次官の御答弁並びに只今の説明によつて二つの点がはつきりいたしましたが、第一に、そうすると、教員の特殊性というものは文部省も十分に認めておられる。又そのような特殊なやはり一つの給與の方法をですね。講ずることについてはこれは文部省は御異存がないものと、こういうふうに私共の方で只今の御答弁を把握していいわけでございますね。
 それから第二の點につきましては、この三千七百円ベースの差額のときに非常な不合理が起つておるということを、事實認めておられる。そうしてこれについては、目下調査中である。今度の調整の場合には十分にこれをしたい、こういうふうな御意向は分つたのでありますが、そこで現實に問題が今日、明日のところに起つておるのですが、今度の給與改訂の際にこれをなされる意向があるかどうか、それから階段的なものを取拂うというようにおつしやつたのでありますが、これを先刻申しました勤務意欲の減退するような面をなくするように、そうして頭打ちのああいう形というものを拂拭するような方法をはつきりお考えになつておられるかどうか、その點をお尋ねしたいと思います。
○説明員(井手成三君) 岩間さんのおつしやつたことは、重々御尢もだと存じておるのです。今日まで出ました給與のでこぼこは、他の職域においても相当あるのでありまするガ、特に教員において目立つておるという點につきまして、我々関係當局者といたしまして非常に遺憾に思つております。ただ左遷にしても、すでに得た既得権を下げて左遷するということは毛頭できないと思うのであります。結局既得権を下げない、そうしてその他の者を左遷するということになりますと、或る部分が上つて行くという段階になります。結局これは全体の切替えということについてコントロールしておるところの實施本部、實質的には大藏省の給與局長以下と、本当な折衝を要すると思うのであります。そのため私共は今度、この不合理なところをできるだけ早い機会に、できるだけの然意を以て除去して行きたいと思つておるのでありまして、あとは私共の力の足らんところがあろうかと思いますが、誠心誠意やろうと思つておりますから、御了承願いたいと思います。
○岩間正男君 只今の井手次官の力強い言明を得まして、非常に喜んでおる次第でございますが、今日は大藏給與局長が見えないので、実はこの點について大藏省にはつきり意思表示をしたいてしう意見があつたのでありますが、そういうようなことが、この何ですね、今日の委員会の質問の中に提出されたということを、文部省からも十分にこれをお傳え下さい。それで我々といたしましても、この問題を当然バツク・アツプしまして、そうしてこのような不正な調整のために、又或いは教員の特殊性というようなもの、それからそういうようなものに対する認識不足、そういうようなことから、何かそういうような有効な方法が握り潰されたという形に対しまして、十分に今後ともこういう問題の是正のために戰つて行きたい、こういうふうに考えております。その點特に念を押して置きたいと思います。
○説明員(東俊郎君) 只今岩間委員のお示しの點は十分了承いたしました。大藏当局に対しましても、その御趣旨に副つて、私共も最善を盡してやつて行きたいと考えておりますから……。
○中野重治君 この法案の中にはいろいろな問題があつて、それは今まで各委員から問題にされておりますが、その中で今まで日本になかつたものとしいて、新らしくできた教育長、指導主事という人々を直接養つていつて、それを通して教育の問題を盛んにして行く、こういう法式が全く新規な方式として織込まれておるのでありますが、文部省は九月二十日以後、教育長、指導主事以下の講習をやつていますが、これは今までのすでにできておるどういう法に則つてやつて來ておるのかということと、それから今出ておるこの法案、新らしい法案と、何らかの関係があつてやつておるのかということをお尋ねいたい。
○説明員(井手成三君) 新教育制度が漸次発足いたしまして、制度自体はできておりまするが、この中身を実現すべき者が十分にこの精神を把握していないというような虞れを感じておりますので、政府側もとより非常に熱望しておりましたが、いわゆる関係当局の方からも非常な助言とサジエストを受けまして、私共は順次教育の各関係者に対しまして実習を、講習を進めております。これには相当多数のアメリカの権威者が加わつて頂いております。その中身は、何と申しましても、教育基本法に基く、即ち新憲法に尾を曵く大きな民主的教育に切替えるということが根本でありますが、具体的な事項といたしましては、それが漸次法律化した來た最近の教育委員会法のようなものが、最も大きなテキストになつております。尚教育のやり方、從前の教え方というようなものにつきまして、題材の扱い方、又教徒との接触方法、或いは文書の扱い方等につきまして、かなりに変つた角度で講習をいたしております。
 この法律を予想して何かやつておるかという仰せでございますが、教員の地位が一般の公務員とはかなり特色のある地位にあるということは、十分に頭に置いておりますが、この法律自体につきましては、まだ今日までの講習の過程におきましては、この法律の内容を盛り込んだようなことをやつておりませんから、これが出ますれば、多少の経費を使いまして、この趣旨は十分に行き渡るようにしたいと考えておるわけであります。
○中野重治君 そうしますと、この種の講習は新らしい平和的な、民主主義的な教育を盛り上げて行くための工作として、行われておるというふうに受取れるわけですが、九月二十九日の教育タイムスにこういうことが出ておつて、これが若し事実であるとすれば、今井手君の方からお話のあつたことをどの程度信じていいか、非常に疑わしい。それは読み上げますと、去る九月二十日、教育長、指導主事講習受講希望者に対し、全國一齊に筆記試験が行われたことについて……以下が教育タイムスの言葉になります。これは私の言葉ではありませんから、余り感心しない言葉で書かれてありますが、「われころ天晴れ好き教育長、指導主事たらんと馳せさんじて受驗した者、兵庫縣下の五十三名、二時間半の間一心不乱に脳みそをしぼつたその成積の好し惡しは別として、せんころの結果発表された者補欠も入れて十七名、その顔ぶれは縣の課長、視学、主事で半分以上の十名、地方の課長、視学が二名、あとは校長三名、師範教官三名、しかも本應関係の視学は受驗した者皆パス、こうなるとはじめから予定の行動といいたくなる」ということを書いております。そうして更にその次に、どういう問題が出たかということについて具体的な事例を挙げておりますが、ここに挙げられておるものについて見ると、これは試驗問題全部は挙つておりません。教育の民主化ということについて……。特に教育の民主化の問題につきましては、新らしい法令も出ておりますし、司令部から覚書も出ておるし、極東委員会の指令もありますが、そういうふうなものと却つて逆行したような問題が出ておる。それで、一体どういう問題が出たのか、その試驗問題の全貌を示して貰いたい。それからこういう試驗問題について文部省が責任者としてやつておるわけですが、こういう試驗問題はどういう解答が出たとき、それが正しく解答されたと認められるのか、それからこの試驗委員というようなものはどういうふうにして編成され、どういう諸君で仕事をやつておるのか。教育タイムスにこういう記事が出ておるのですが、受驗者総数と合格者との関係はどんな工合になつておるのか。こういうことについて御説明を願いたい。
○説明員(井手成三君) 非常に申訳ない次第でありまするが、合格者の比率が各種の試驗につきましてどの程度であつたか、実は数字を持つておりませんので分りません。若し必要でありますれば、後から数字は申上げたいと思います。ただ試驗の結果、予め予定されておつたものが通つて、それ以外のものは落ちたというような批評を、中野さん個人でなくて、誰か新聞関係の記事のようでありますが、そういう批評をされたとしますれば、私共非常に遺憾でありまして、私共としましては、あらゆる試驗も同樣だと思いますが、これは今回アメリカの相当な識者を交えて企画をし、やや日本の中味を向うにぶちまけた試驗をやつておりますので、我々としては公正に立派にやつたつもりであります。その結果、たまたま予定者が及第して、それ以外の者が落ちたというような結果になりましても、私共としましては、毛頭そういう意図はなかつた、本当によい試驗をしたということだけは、固く申上げたいと思います。
 第二の試驗問題のことでありまするが、私実は、これも具体的にはすべての問題について承知いたしておりません。或いは私の着任前の問題もあろうと思いまするが、そのうち一二私の耳に入つたものがあります。これも試驗問題を、或る種の試驗問題を出した。併しそれの批評は民主的であり、そうして新らしい我々の新憲法の精神、それから國際的な日本の平和社会への加入というようなことを目指してその答案を書くべきでありまして、どういう問題が出ましても、取扱い方は、我々の期待は、勿論新らしい時代に副うものでなければならんと思つております。尚これはちよつと速記を止めて頂きます。
○委員会(田中耕太郎君) 速記を止めて。
○委員会(田中耕太郎君) 速記を始めて。
○中野重治君 文部省の方でやはり今までいろいろな試驗をやつて來た。その根性が、根性というと惡いですが、性格がしみついていて新らしく民主的な精神で試驗をやつて行こうという際にも、それに拘束されているのじやないか。何故かというと、やつた試驗の問題を公表したからといつて、そうしい新らしく受驗する人は皆なその方に試驗勉強を集中するだろうという考え方自身が試驗勉強根性です。若しそうでないなら次から次と新らしい手を打つて行く肚があるならば、過去の試驗の問題を公表することは、少しもいわゆるパス目的の試驗勉強の奨励にはならない、このことは明瞭だと思います。その点はどうお考えになるか。
 それからもう一つは、五箇條の御誓文の丸を埋めさせることが、それだけで適当か不適当かというようなことは、私共は考えません。併し凡そ教育長とかそれから指導主事とかいう人々に講習を受けさせるための試驗に、何か教員の性質を高めるためには大学教授の講義を聽かせるとかいうのがよいのでないか。そういうものの中から選ばさせるということは、丸で幼維園の入学試驗のようなこういう方式で試驗を課すということは、教育長というものを実際は重んじていないということになりはせんか。私といたしましては、一人前の人間に課する試驗とは思えない、この点文部省はどういうふうな考えでおられるか。
○政府委員(小野光洋君) 中野委員の御質問と申しますか御意見を交えたお話は、私共も御尢もと思うのでありますが、全國の各府縣をして行わしめた今度の教育長の試驗につきましても、私共自身も各府縣が政府当局の意図を十分体して行なつたのではないのではないかと思われるような多少の非難も伺つております。今後は十分そういう非難がないようにいたしたいと思うのでありますが、先程の御質問の中でおつしやられたこれを発表してはいかんということも、これは発表してもいいではないかという議論も確かにあつたと思います。そうして又そういつた試驗問題も、今後同じような試驗問題を出さなければならんということもありませんし、苟も教育長というような重要な教育政策の役割を果すべき相当の人格、識見、手腕、力倆を持つていなければならぬ者を試驗するのでありますから、そんな簡單なことでするということは妥当ではないのではないかというようなことも考えられるのでありますが、ともかくかような試驗をした方が正しいのではないかというような諸般の情勢はあるのでありますが、文部省が自由にこの試驗をこういう方向でやりたいというようなことはちよつと行い得ないような筋もあります。その辺御了承願いたいと思います。今後できるだけ眞に教育長の資格を定めるのにふさわしいような行き方を十分研究して実施いたしたいと思つております。
○左藤義詮君 ちよつと議事進行について……。中野さんの非常に御然心な御質問で、私共も同感したのでありますが、文部当局の御意見もありますので、今後十分質すことにして、まだ中野さんの御質問もあると思いますが、大分時間も移つて参りましたので、この程度で質疑を打切られた本案を討論採決せられんことを希望いたします。
○委員長(田中耕太郎君) 左藤君の動議につきまして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田中耕太郎君) 御異議ないものと認めます。それではこの程度で以て質疑を終了いたしまして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼び者あり〕
○委員長(田中耕太郎君) では討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○岩間正男君 私は先程の質問の中にも申したのでありまするが、この教育公務員法は特例ではありますけれども、任免、分限、懲戒、服務、研修と、こういうような、どちらかというと教員の身分拘束面、無論それだけではありませんが、そういうような面に重きを置いて作られておるのでありますが、この法案の全体につきまして、今日の段階、それからここに出された現状のいろいろな情勢もあるとは、思うのでありますが、この法案の將來に対する希望としましては、是非この裏付としての経済面の考慮を十分にされることを切望したいのであります。殊に教員の待遇改善の問題、厚生の問題、研修の問題、このような重要な、いわば教育を單なる一つの精神的なもの、観念的なものに終らせないで、本当の裏付のあるところの具体的な運営をなし、そうしてこれに血液を十分に豊かにするという面において、そのような措置が私は是非近い将來においてなされなければならないと思うのであります。そういう意味からおきまして、この法案は十全の法案と私は考えることはできないないのであります。現状におきまして成るたけ取急いで、この法案を適用しなくちやならない、立法しなくちやならないというような情勢を考慮に入れまして、大略的に賛成を表したいと思うのであります。更にこれにつきまして希望條件として附加えて置きたいのでありますが、先程申しました経済の面の裏付、この面を十分にされるように、殊にこの法案の中に謳われておりますところの第一の問題としましては、待遇改善の點におきまして、ともするというと教員は今まで非常に不遇であつた。それから又教員の職務の特殊性におきまして、文化面それから修養面において、これは他の職務よりもそのような費用において、これは何十パーセントかのものを要求せられておるというのは、当然のこれは誰でも認める状態でございますから、この辺において十全の裏付をなされる。更に厚生の面で現在問題になつておりますのは結核の問題であります。これは我々としましては、飽くまで三年の猶予期間が欲しいところでありますが、止むを得ざる事情によりまして、二年となつたのであります。併しこの運営については、先程文部省のいろいろな意見も伺つたのでありますが、現状を見ますときに、この実施面において今まで日本教職員組合と團体交渉を結んでから約一年半の間に実施されたところの人員を見ますというと、僅かに九百十八人に過ぎない。この統計だけ見ますというと非常に教員の罹病率が少いし、これらの適用を受ける者が少いような印象を受けるのであります。現状を我々はつぶさに見ますときに、こういうものをたやすく受けて、早期の場合にこれを発見し、更にこれをたやすく受けるようないろいろな何といいますか、機械の面におきまして十全なものがなされていないという現状を私は指摘することができると思う。例えば予備教員がいない。これは甚だ足りない新制中学においては大体現在採用される最低限の線において約七万人が不足しておる。小学校においては十万人が不足しておる。現状においては、更に結核療養を十全にさせるためにはそのような予備教員があつてこそ、初めて次の我々の対象である子供たちを後任者に託して精神的慰安を以て療養のために精進できるのでありますが、現状におきましては教員の責務が、職務がこういうようなものに縛られまして、実は自分の身体がみすみすそのような方向に落ちておるのを知りながら止むを得ず任務を継續する。これはどうしても外の職務でちよつと考えがつかない程、教員というものは自分の子供に対するところの一つの愛情と職務の立場において縛られておる点が実情なのであります。そういうような今の十全な裏付がなければたとえこのような法案の面において謳われておつても十全の措置がなされないことは明らかでありますから、この点について文部省は今後においてその方の予算確立のために十全の努力をされたい。
 更に研修面でありますが、現在においても教員の研究費は十分ではありませんが、相当な額が團体協約において出されておる。然るにこの法案においてはその裏付が謳われない。これについては必ず必要な経費を出すということをはつきり謳われることが、少くとも現状の線においては必要であります。從つてこの法案においてはその面がぼかされておることに対して或る種の後退を考える、相当な後退を考えざるを得ない。こういうような面においてやはり將來におきまして、このような当然教員の研修ということが職務上の特殊性として認められておる限りにおきまして、この裏付をすべきである。要するに文部行政の中心問題と深い関連を持つのでありますけれども、このような予算の獲得において、從來の文部行政は、ともすると観念的に流れておつて、日本の政治の現実に対して、強い深い楔を打込むということに対して努力が欠けておつたと思うのであります。それがこのような法案の形となつて現われておると考えられる節もあるのでありますから、この点も、今後当局者におかれましては、十分の努力をなすことによつて、今後五十万教員諸君の物心両面の運営が十分なされることを私は切望しまして、これを最後の希望條件としまして、この案に賛成する次第であります。
○鈴木憲一君 私も本案に、前岩間委員が言われたような立場を全面的に了承をして賛成する者であります。ただ質問の際にも、特にこの法案が早く完了するように念願したいために、二、三の質問もいたさずにおつたのでありまするが、この際それらの点を文部省に強く要求をいたしまして、希望を附加えたいと思います。
 その一つは、同じ子供らを教育する任にある、而も小学校の程度のことを同じように教えておる教育者が、この教育公務員の中から外れておるものがあるというのは、厚生省でやつておりやする少年教護員であるとか、或いは法務廳でやつております少年矯正院であるとか、これらの教官は、免許状を持つており、而も一般学校で教えておるような、同じ課程を教育しておるものであるにも拘らず、この特別法より除外されておる。こういうようなことにつきましては相当お考えになつたことだと思うのでありまするが、今後各省とも折衝をされて、やはり教育公務員の中に包含されるように願いたい。これを第一の希望とする。
 次は大学の教授の問題でありまするが、最近大学設置委員会等で非常に問題になつておるようでありまするが、現在の教授陣の配置が、非常に学科的に、戰時体制をまだ拭い切れずに、その教育が強くあつて、非常にその配置状況が不平均である。一方に非常に教育者が沢山集まつておる。一方は非常に少い。こういつたようなことや、又全般的に見て、新制大学の在り方から見まして、教育の機会均等というようなことをモットーにして出発しようとする新制大学の立場からも、教授陣の不足というようなことが非常に言われておりまするが、これら等よく睨み合せられた上に万全の措置を講じられないというと、この三十一條によつて相当強い影響を持つことになるのではないかという心配がありまするので、この点万全の措置を考えられたい。
 更に岩間委員も言われたことでありまするが、教員の今後における昇任とか採用とかというような問題が新たなる制度によつて出発するわけでありまするが、今後この新らしい制度の歴史を作つて行くのでありまするが、この歴史が、英國が歩いたような学校委員会のごときことなどの歴史もよくお考えになつて、万全を期せられないといけないのではないかというようなふうに強く感じるものでありまするので、それらの点を十分考慮されたい。
 最後に、政令を今後出されるだろうと思うのでありまするが、先程河野委員から質問があつた点でありまするが、この政令を発せられる場合においては、極めて純正な、公平な立場から、從來の傳統的な我が國の教育の殼を全く脱して、そうして本当に純正な立場から政令を考えられたい。教員が再び自由を拘束をされないように、のびのびとした教員生活の中に、闊達な教育が今後行われるようにということを強く念願するものでありまするので、この政令を考えられまする場合には、特にそういう点に捉われない純正な、公平な立場から企画して頂きたいという希望を申述べまして、本案に賛成をいたすものであります。
○堀越儀郎君 私も賛成いたしますが、希望條件を申述べて置きたいと思うのであります。衆議院送付の修正されました第三十三條のことでありますが、このために却つて公立の学校長なり教員等が國立の学校長或いは教員等との差別が設けられるようになると、却つて趣旨に反すると思うのであります。政令の場合に何らか制限を加えられるような條項があるならば、國立の場合と公立の場合とバランスの取れるように、勿論公立の場合は地方公務員の列に入つておるのでありますから、地方公務員と同等に扱うべきだと考えられますけれども、又一面教育公務員法によつて特別の身分を保障されておるのでありまするから、同じ教育公務員法として國立の場合と公立の場合とバランスの取れることをお考えになつて政令をお出しになるよう、特に強い希望條件を申し述べて本案に賛成したいと思うのであります。
○委員長(田中耕太郎君) 外に御発言ございませんか。
○高良とみ君 今回の法案が、教育公務員法の教員としての地位を確立し、殊に職務に專念させることを目的としておられることに対しまして、賛意を表するものであります。外の委員からも御希望ありました從來の教育者に対する待遇の不備な点につきましては、できるだけ早い機会におきましてその権衡を保持し、又研究を進めて行く機会を與えますと共に、品位と知性とを養成いたしまして、國家の重責である教権の確立のために、上は大学から下は幼稚園に至りまするまで献身することができるように、この趣旨を公務員法の中に特定して設定されることには賛成であります。それと共にこの今日修正になりました三十三條でありまするが、政令で以て特別の定めをすることができるとなりますると、非常に廣汎な指定権を委任されることに政府がなるのでありまして、これはどういうふうにでもなることを一面心配するものであります。國立学校に準ずると言いますれば、それで以て準ずるのでありまするが、この点は只今他の委員からもお話がございましたが、私の希望といたしましては、將來一つの都市に國立の大学もできるし、地方立のものができますし、又は縣立、市立、私立もできるのでありますが、その教授、教員たちが皆違う質格を持つようなことでは非常に頼もしくないと思うのであります。堀越委員と同じく、同じ資格を與えられたい。同じ保護と奬励を與えられたい。その点につきましては、更にこの地方、今回のこの法律で折角地方公務員のも保護をした特例だと思いましたところが、この衆議院から來ました修正によりまして、まるで外れてしまつたようなことになつてしまつて、これでは地方教育公務員というものはどうなるのか分らないという感じを私共は持つておるのであります。私の希望といたしましては、教育が幼少な年齢ほど大切でありますので、どうか地方の都立、市立、町立、村立の学校の教員までも、その品位と地位におきましては、この趣旨に副う職務に專念させるという趣旨を全ういたしますると共に、大学の教授と同じ教育者であるという自覚を持たせ、又その保護がありまするような立法を以て政令を早く出して頂かないことには、地方公共團体に属する教育公務員というものは、誠に不安な地位にあると信じまするので、これを條件といたしましてこの法案に賛成いたします。
○河野正夫君 伺つておりますると、人それぞれの御解釈があると思うのでありますが、本法案は私止むを得ず賛成するものであります。本法案は教職員に、その職務に專念せしむるために設けられたのではなくして、教職員の責任の特殊性に基いて、特段の保護を與えようとするところにあることは、提案理由を説明された大臣、その他の質問に対するお答えによつて明瞭だと思うのであります。外の委員の述べられたので、重複を避けまするから簡單に申しまするが、ただこの法案は、岩間委員の言われたように福利厚生の面において保障するところ極めて少ない。特にすでに既得権として結核療養などについて全國の教員が得ておつたところのものを、たとえ母法たる國家公務員法に基づくとはいえ、休職二年となつて現職三年の療養というようなものがなくなつている点などは、甚だ不満とするところであります。特に高良委員の御発言にもございましたけれども、この法案全体を貫いて見ますると、國家公務員たる教員の保護に厚くして、地方公務員たる教員の保護に薄い点が見出されるのであります。その一つの例は第七條と第十四條との比較において見出されるのであります。もとより第十四條は高等学校以下の教職員について規定するものでありまするから、必ずしも地方公務員たる教員ばかりではありませんけれども、現実において今日國家公務員たる教職員の大部分は、これは大学或いは將來、今日まだありまするのは、高等專門学校の教職員であります。いわゆる高等学校以下の教職員というものの大部分は、殆んど公立学校の教職員、即ち地方公務員であります。第七條においては、心身の故障はいずれもその大学管理機関において決定して範囲内において療養ができる。然るに第十四條においては結核性疾患のためだけに限つているというような点で、甚はだ欠けていると思うのであります。特に恩給の施行についてはこれは國家公務員は全部受け得るのでありまするけれども、もとより新らしい地方自治法によりまして退隱料というようなことにはなつておる。又官吏たる身分のなくなつた地方公務員なる教員について、新任者については恩給を與えないというのは、これはまあ國家全体の措置から見ると当然でありまするが、ただそれを地方の財政の現状において地方自治に任して置くというのでは、責任の特殊性に基づく保護をしようとする法案とすれば、やや片手落ではないか、こう思うのであります。然るにかくのごとく地方公務員ということにして、そういう不利益な点を與えつつ、一方において昨日予備審査において井手次官の説明を承りますと、第三十三條において規定せんとする政令の内容には、前の國会で問題となりました政治的活動について、教職員の地方公務員の活動を制限せんとする意図あるやに私は見受けたのであります。それは併しながら衆議院において井手次官の説明を承りますると、母法たる國家公務員法がそうであるが故に、特例法案の中において附則としてこの政令を出すことができるのだというようなお話でありまするが、先程衆議院の修正意見というものを承りましたところが、それは母法がそうではない。地方公務員というものだから、地方公務員に準じとあるのであるが故にこれを削るというのが、その修正の御趣旨であつたと承りました。然らば即ち地方公務員たる教職員の母法たる國家公務員法にあらずして地方公務員法であらねばならない。こういうことが当然出て來るのであります。そして今や官吏たる身分が無くなつてしまつたところの、地方公務員となつた教職員については、これを縛るところの法律というものは、公務員法的な関係の法律というものは、もはやないのであります。その意味において井手次官は空白であると、こう申されると私は思うのであります。併しながらこの際において、例えば憲法において許されたところの政治的な言論活動、政治結社の自由というようなことについて、政令において特段の研究をするというようなことを若し意図せられるのであるならば、私は断乎として反対せざるを得ないのであります。併しながら先程來の質問によつて承つたところによりますると、そうではなくして、いろいろとその教員たる立場において、法律の範囲内において、政令を定める。但し委任立法は法律と等しいようなものであろうけれども、國会の意向やいろいろの点を考慮して、内容を定めるというお話がありましたので、私はこのお言葉を、私の要求するがごとく、單に廣汎に委任立法を與えるものであると三十三條を理解しないで、それは表面上はそうでありますけれども、併しながら人事委員会や労働委員会などで、問題となりました点と、先般の國会において問題となりました公務員法改正の間における言論、更に先般來のこの條文についての質問について現われた意見などは、当然お酌み取りあられるであろうと思います。そうでなければ、私は政府の今後するところの処置について、大いに批判の立場を取らざるを得ないと思うのであります。まあ縷々申述べましたが、諸般の事情からこの公務員特例法案が必要であることは認めますが故に、不満ながら賛成の意を表する次第であります。
○中野重治君 私はこの法案には反対であります。他の委員諸君は、いろいろな條件を附けて賛成されたようでありますが、私は無條件に反対であります。その理由を簡單に述べます。第一は大体この前國家公務員法ができたときにも、私共はこれに反対しました。それから今度の改正という名による改惡にも反対しました。それは教育面への適用でありますから、私共はこれは教職員の活動を二重に縛るものとして、反対せざるを得ない。そして若しこの方式で教育が運営されて行くならば、日本の教育は民主的に再建されるのでなくて、破壊されてしまう。それだから反対する。これが根本であります。次にこの法案を調べて見ますと、この法案の中心は大学並びに新制高等学校以下の教職員の任免、昇任、降任、懲戒、そういうことに関する規定を内包しておりますが、これについて見ると、大学では管理機関、それ以下の学校では教育委員会が、人事、待遇、そういうものをすつかり実際に握つているという建前になつている。そこでこの教育委員会と大学管理機関とが、民主化されていないようなのが、現在の実際の有樣なんですから、教職員は國家全体に奉仕するものであるという名前にはなつているけれども、実際には民主化されていないところの、大学管理機関、及び教育委員会が握つている、大資本家的官僚の隷属物に現実の問題としてはなつてしまう。それだからこの法案の方式で行くならば、日本の教育はそういう極く少数の人々、特定の官僚人の奴隷となつてしまう。それだから我々はこれに賛成することができない。そこで実際教育委員会はどういう状態であるかということを申上げますと、これは本当は私がしやべる必要はないことですけれども、大掴みに言うならば、これは官僚と教育関係のボスで完全に独占されている。これは今度の教育委員会の選挙の結果から見ても、そう言わざるを得ない。從つて人民の代表が教育行政を行うということは、これは名前だけではそういうことが言えるかも知れないけれども、実際は教育は官僚政治のお飾りになつておると、こう言わざるを得ない。これは東京の現状について言いますと、東京では教育委員会の関係の事務局の上部官僚が、今度の教育機構改革をチヤンスにして、その人員を増員して仕事の仕組を強めておる。そこで実権はそこに握られてしまつて、教育委員会の方は、その報酬さえも月二千円でいい。そうして一ケ月、四時間仕事をすればいいということを言われておる話を聞きます。そういうことに陷つておる。教育委員というものがあれ程騒いで選出されたけれども、実際はこういうことになつておる。それから教育を指導する教育長、課長、指導主事、こういう人々がいわゆる旧視学という人々で占められておるということは、さつきの私の質問及び文部省側の答弁によつても分る通りであつて、これでは視学制度を止めると言つたところで、旧視学制度そのものは着々と復活されつつある。こう言わなければならない。
 それからその試驗については、これもさつきの質問、答弁で明かなように、内容は極めていかがわしい。それは祕密に行われておる。又講習会の内容も発表されていない。こういう方式であれば、昔通りのあの天下り的な、官僚的な教育が今後も民主主義の名前の下に強化されて行くより外はない。大学について見ますと、これは大学法案が進行中であるように聞きますが、大学法案というものはどんな内容を持ち、どんなに進行しておるかということはまだ十分明らかになつていない。或いは國家代表とか地方代表とかいうものが入るようなふうになつておるようにも聞きますけれども、それが実際どういうふうに進行するかということは、外の問題で実行されていることを考えると、これは少しも民主的には進んでいないと、こう言わなければならない。殊に大学教育を民主化する原動力であるべき学生團体、教職員は、その組合員は、この問題に関して発言権を持つていない。それですから事実上学生團体の活動は文部次官通牒で、又教職員は公務員法で、團結権、罷業権、結社、集会その他の政治活動の自由を奪われておる。こういうふうな状態である。更に教育公務員法は一層これを強めて法制化しようとこういうものですから、我々はこれに反対せざるを得ない。他の面で見ますと、土木費の中の不生産的なものや、警察費とか、それから独占資本を強調するための費用、宴会饗應費というようなものは非常に沢山出ておりますけれども、それがどれ程ひどいかということは、今問題になつておる政治上の腐敗事件にも現われておりますけれども、教育の方へは政府は予算を出さないのみならず、これを削減するという方式で來ておりますから、大学から小学校までの日本の教育は、実質上質が低下し、殊に地方委讓云々で、貧乏な地方は、これは結局人民に対する寄附や、強制賦課の取立てと、こうなつてしまつておる。教育委員会や大学管理機関はそういう大きな仕事の全体としての下請機関になつてしまつておる。この点でも我々はこれに徹底的に反対しなければならない。それから他の委員からも言われましたように、この法案は教職員の生活保障には触れていない。併し研修の問題はいろいろ言つておる。研修の問題を、例えば教育基本法がどう実質的に保障するかという点になると、これは行方不明になつてしまつておる。こういう状態では研修しようと思つても実際は不可能であるし、從つて教職員は一般に内職なるものをやつて、そうして勉強したい人でも、内職でそれを稼がなければならんということになれば、これは金の面で墜落されられる條件の下に置かれている、こういうことになつております。先程教職員に多い結核の問題をどうするかということで、いろいろ療養所に関する文部省からのお話がありましたけれども、併し療養所が幾つあるかというようなことは、他の委員も言われましたように、これだけでは何にもならないのであつて、そういう療養を受けられるような生活條件を戰い取る権利が保障されなければ何にもならない、ところがその方はこの法案で禁止されるのですから、あの問題一つだけでも、こういう方式はよろしくない、全く破壊的であるということがよく分ると思います。それですから、こういう面からずつと見て行きますと、これは全体として、一九四五年のポツダム宣言に違反するということになる。それから同じく四五年のGHQから日本政府に與えられた日本の教育制度に関する管理政策に対する覚書、これにも背くということになる。四六年の日本國憲法にも背くことになる。又同じ年のアメリカから見えた教員使節團の報告にも戻るということになる。四七年の日本教育制度の原則に関する極東委員会の指令にも戻るということになる。実際あのアメリカの教育使節團の報告の中にありました言葉をはつきり読み返えす必要があると思います。例えばその中には、「教師の能力がもつともよく発揮できるのは、自由の雰囲氣の中においてである。行政官の任務はこの雰囲氣を作り出すことであつて、その逆ではない。教師は他の公民の持つ一切の特権と機会を與えられ、思想、議論の自由を持ち、相当な給料を與えられねばならない。教員組合と、教師の團体は、結社の自由が與えられねばならん」と言つております。このことは、本当にまじめに考えますならば、こういう法案は破壊しなければならん。これは私がさつき挙げましたこの五つの根本的な原則に背くのみならず、終戰後日本教職員組合が、あらゆる戰いを通じて戰い取つて來た労働三法による既得権をも破壊してしまうことになる。こういう理由からして、共産党は、この法案に無條件に反対します。
○委員長(田中耕太郎君) 外に御発言はございませんか。御意見も盡きたようであります。討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田中耕太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれから採択に入ります。本案を可決することに賛成の方の御起立を願います。
   〔起立者多数〕
○委員長(田中耕太郎君) 起立多数と認めます。では多数を以て可決することに決定いたしました。尚本会議におきまする委員長の報告の内容は、本院規則の第百四條によつて、予め多数意見者の承認を経なければならんことになつております。これは委員長において、本案の内容、委員会における質疑應答、討論の要旨及び表決の結果を報告するといたしまして、御承認を得たこととして御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田中耕太郎君) 御異議ないものと認めます。それから本院規則第七十二條によつて、委員長の議院に提出いたしまする報告書に、多数意見者の御署名をお願いいたします。
 本案を可決するということに賛成されましたところの方は、順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    木内キヤウ  高良 とみ
    岩間 正男  河崎 ナツ
    山本 勇造  三島 通陽
    梅津 錦一  堀越 儀郎
    河野 正夫  鈴木 憲一
○國務大臣(下條康麿君) ちよつと御挨拶申上げたいと思います。実はこの教育公務員特例法案は、いろいろ御議論のある法案であるに拘らず、而も大変早急に提出いたしまして、御審議を急がせ申上げましたに拘らず、極めて迅速に御決定頂きまして、誠に当局として、感謝に堪えないのであります。私共は、その教育公務員特例法案というものが、教育公務員を保護する規定と考えまして、我々が、文部省はかねてから教育に無能であるという立場から、その実施につきましては、十分皆樣方の御趣旨のあるところを尊重いたしまして、その達成に努力いたしたいと思つております。尚今後ともよろしくお願いしたいと思います。本日はどうも有難うございます。
○委員長(田中耕太郎君) それからちよつとお諮りいたしますが、請願がまだ二件付託になつておりますが、本日はこれで散会することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田中耕太郎君) それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     田中耕太郎君
   理事
           河崎 ナツ君
           松野 喜内君
           高良 とみ君
           岩間 正男君
   委員
           梅津 錦一君
           左藤 義詮君
           大隈 信幸君
           木内キヤウ君
           梅原 眞隆君
           河野 正夫君
           堀越 儀郎君
           三島 通陽君
           山本 勇造君
           中野 重治君
           鈴木 憲一君
  國務大臣
   文 部 大 臣 下條 康麿君
  政府委員
   文部政務次官  小野 光洋君
   文部事務官
   (調査局長)  辻田  力君
  説明員
   文 部 次 官 井手 成三君
   文部事務官
   (体育局長)  東  俊郎君
   文部事務官
   (学校局次長) 松下 寛一君