第004回国会 労働委員会 第4号
昭和二十三年十二月十日(金曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○公共企業体労働関係法案(内閣提
 出、衆議院送付)
○職業安定法第十二條第十一項の規定
 に基き、職業安定委員会委員の旅費
 支給額改訂に関し議決を求めるの件
 (内閣提出、衆議院送付)
○労働委員会の調停斡旋仲裁等の不当
 処理等に関する調査に関する件
  ―――――――――――――
   午後零時三分開会
○委員長(山田節男君) 只今から労働委員会を開会いたします。公共企業体労働関係法案の逐條審議も一先ず終了いたしましたので、本日各委員において修正意見をお持ちの方は御提出願いたいということをかねて申上げて置いたのでありますが、本日修正意見をお持ちの方の案を議題といたしたいと思います。修正意見をお持ちの方はございますか。
○原虎一君 私は十五條を次のごとく修正いたしたいと思いますので修正意見を提出いたします。この第十五條は政府の代表即ち公共企業体の代表と公共企業体の職員を代表するものとの交渉委員会でありますが、それを年一回は義務的に開かなければならんことになつておりますが、これでは余りに團体交渉を尊重する意味から言いますと回数が少い。尤も経済が常態にありますときには、或いは予算前に一回開けば事足りるということも考えられますけれども、こういう変態といいますか、ノーマルでないときにはもう少し回数を殖やすということが必要だと思います。それでその趣旨を盛りまして次のように條文を修正願いたいと思うのであります。
 「公共企業体及び組合を代表する交渉委員の会合は、第八條に定める團体交渉を行うために、毎年四回開かなければならない。但し一方の請求があれば臨時に開くことができる。」
 かように修正をいたしたいと思うのであります。尚十七條、二十四條、三十四條でありまするが、一條ずつ御討議願うならば、逐條的に説明をして行きたいと思います。十七條、二十四條、三十四條を序でに全部説明いたしましようか。
○委員長(山田節男君) 一緒にお願いします。
○原虎一君 そうしますと十七條でありますが、十七條は御承知のように本法案の最も重要なる條項だと思います。即ち公共企業体職員の罷業、爭議行爲を全然禁止して、團体交渉をバツクする重要な爭議権を全部剥奪しておるのであります。公共企業体が社会公共のために一般私企業と違う性質を持つということは頷かれまするが、それかといつて労働者の罷業権を制限する。公共企業のために、公益事業であるがために制限をするということは、世界各國にも例のある事柄であり、又頷けるのでありますが、全然それを禁止してしまうということは我々の承服できないところであり、それは必ずしも産業平和のために絶対の條項とはいい得ないのです。逆の結果を生む場合もありますので、これはやはり私企業における公益企業のいわゆる労働法に制限されている点を考慮して次のように修正をいたしたいと思うのであります。
 第十七條「公共企業体及び組合が爭議行爲を行うには、調停委員会に調停申請がなされた日より二箇月を経た後において、一週間の予告期間をおかなければならない。」
 全然この方法を今のように直してしまうのであります。續いてそれでは二十四條でありますが、二十四條は即ち調停委員会に調停を掛ける場合における手續を誰がなすかというのであります。二十四條の五号に「日本國有鉄道の労働関係に関しては運輸大臣又は労働大臣、日本專賣公社の労働関係に関しては大藏大臣又は労働大臣が調停委員会に調停の請求をしたとき。」こうありまするが、労働行政に関してはやはり労働者が一本で行うということが必要なのであります。併しこれは先般政府委員からの説明を開きますと、やはり運輸大臣及び大藏大臣はそれぞれ関係の國営事業を監督する立場にあるから、調停の申請権を運輸大臣にも、大藏大臣にも與えたということになつておりまするが、これは労働大臣と運輸大臣の意見が全く違うような場合に、いずれを採るかという問題が事実上起きて來る場合がないとは限りませんし、労働行政を一本にして行くという点からいえば、やはり労働大臣が一切扱う、併しながら運輸大臣、大藏大臣は事業の監督の立場におりまするから、やはり労働大臣はこの大臣の意向を聽いた上で調停に付する、こういう建前を採るべきだと考えますので、次のように條項を改めたいと思うのであります。二十四條の五号でありますが、「労働大臣が、日本國在鉄道の労働関係に関しては運輸大臣の意見を聽き、日本專賣公社の労働関係に関しては大藏大臣の意見を聽き、調停委員会に調停の請求をしたとき。」そうしてやはり調停の申請をする権限が労働大臣にある、こういうふうになるのであります。
 次は三十四條、これは同樣仲裁の場合でありまして、仲裁の場合も今申しました調停と同じように労働大臣の権限において申請をなされるようにいたしたい、つきましては、三十四條の五号を次のように修正いたしたいのであります。
 「労働大臣が、日本國有鉄道の労働関係に関しては運輸大臣の意見を聽き、日本專賣公社の労働関係に関しては大藏大臣の意見を聽き、仲裁委員会に仲裁の請求をしたとき。」
 こういうふうに修正をいたしたいと思うのであります。以上私の修正意見の説明を終ります。
○委員長(山田節男君) 速記を止めて……。
   午後零時十五分速記中止
   ―――――・―――――
   午後零時四十四分速記開始
○委員長(山田節男君) 速記を始めて下さい。本日の午後の衆議院の本会議で、公共企業体労働関係法が本会議に上程されるそうでございますが、本付託になる筈でございますから、午後又労働委員会を開会いたします。さよう御了承願います。それではこれにて休憩いたします。
   午後零時四十五分休憩
   ―――――・―――――
   午後四時三十八分開会
○委員長(山田節男君) それでは只今から午前に引續きまして労働委員会を開会いたします。只今衆議院から「職業安定法第十二條第十一項の規定に基き、職業安定委員会委員の旅費支給額改訂に関し議決を求めるの件」が送付され、本付託になりました。本件につきまして御質疑はございませんか……。別に御質疑もないようでありますから討論に入りますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○波多野林一君 本件につきましては、すでに委員会において檢討済みでありますから改めて討論の必要もないと存じます。ここに討論終結の動議を提出いたします。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山田節男君) 討論終結の動議が波多野君から提出されました。討論は終局したものとみなして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山田節男君) 御異議ないものと認めます。それでは直ちに採決に入ります。本件を可とされる方の御挙手をお願いいたします。
   〔総員挙手〕
○委員長(山田節男君) 全会一致でございます。よつて本件は可決されました。本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて予め多数意見者の承認を得なければならないことになつておりますが、これは委員長において本件の内容、本委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨、及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山田節男君) 御異議ないと認めます。それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書につきまして多数意見者の署名を附することになつておりまするから、本件を可とされた方は順次御署名をお願い申上げます。
  多数意見者署名
    一松 政二  早川 愼一
    門屋 盛一  波田野林一
    原  虎一  村尾 重雄
    平野善治郎
○委員長(山田節男君) 次にこの労働委員会で、中央労働委員会並びに地方労働委員会の不当処理の調査承認を得ておりますので、これにつきまして政府委員から中央労働委員会或いは地方労働委員会の処理しました爭議件数、或いは要した日数、その他この労働委員会の活動に関しまする説明を政府委員よりお願いいたします。
○政府委員(賀來才二郎君) 大体ここに表を差上げてあるわけでありまするが、大体の状況を申しますると、本年の一月から六月までに中労委及び地労委が扱いました件数は斡旋が二百六十八件、調停が百八件、仲裁が一件、それから十一條、四十條違反の扱いが百六十四件、そのうち裁判所の方に請求いたしましたのが九件であります。七月以後の統計は未だはつきり出ておりませんが、大体の状況を申上げますと、只今申上げました一月から六月までの件数よりもやや増加をいたしております。逐年逐月取扱い件数は増加しつつある状況でありますが、特にこの際に申上げたいと思いますことは、最近組合法十一條、四十條違反が相当増加をいたしまして、この取扱件数の増加率は非常に高いのであります。これは使用者側の方で相当整理をやらなければならんというような状況に立至りまして、組合側に対しまして強く出ておるのも原因でありますが、一方組合側におきましては、何でも十一條違反に引つ掛けて提訴するという傾向が非常に強くなつて参つたのも一つの原因だと考えております。全体といたしましては、中央労働委員会の取扱で特に不当であるというふうに我々の方で認められるものはないのでありまするが、ただ最近の取扱の現状は一つの事件にいたしましても、或いは調停の問題にいたしましても、全國的な視野でこれを考えなければならない事件が多いのであります。具体的に申しますと、賃金の問題で、山口縣の宇部鉱山の賃金の調停を山口縣の委員会がやりまして九千百円という調停案を出しております。これは山口縣の宇部にあります宇部鉱山の現在の経営の状況からいいますと支拂能力はありまするし、必ずしも不当な調停とは言えないのでありますが、これを全國的な視野から眺めて参りますと、宇部において九千百円の調停案を出すということは、これは全國的に非常な影響もありますし、又やや高過ぎるという感じを持つて参るのであります。さような意味におきまして、地方労働委員会の取扱をやはり全國的な視野から考えて貰わなければならないということを最近は強く感じて参つたのであります。更に又例を申しますと、大阪の地労委がこの春の全逓の爭議のときに、大阪における全逓の給與は幾らであるべきかというふうな地域的な調停案を出しましたが、これが中労委が出しましたところの調停案と甚だしく均衡を破つた調停案が出たのであります。その結果大阪では全逓の爭議が、その地労委の案を大阪の逓信局長が呑まないからというふうな名目で爭議行爲に入つた例があるのであります。そこで政府といたしましては最近労調法の三十六條を改正いたしまして、中労委は地労委に対しまして、その取扱について助言を與へ、示唆を與える、或いは指示することができる、又その取扱の状況を報告を求めることができる、こういうふうに労調法の施行令の三十六條を改正いたしたのであります。その結果例えば宇部鉱山の取扱を、調停を山口縣の地労委が始めましたときにはその報告を求めるのであります。そうして求めまして、九千百円というような調停案を出す場合には、全國的な視野からいたしまして、さような調停案をお出しになることについては御注意願いたい、或いは全國的な視野から言いますと、八千円台が適当であると考える、こういうふうな指示、示唆を與えることができることにいたしたのであります。但し、地労委が独自の立場を以ちまして、さような示唆がありましても、山口縣の地労委としては、かようなものが正当であると考えるというふうに調停案を出すことそれ自体についての権限に中労委がこれを制限しよう、かような意図ではないのであります。又それはできないことにいたしております。どこまでも中労委、地労委は独自の立場で調停、斡旋、仲裁ができる、かようなことにはいたしておりますが、併し只今申したような扱いになりますならば、地労委といたしましても、相当その行動については注意するであろうと考えるのであります。更に先程申しましたように、十一條違反の取扱が非常に多くなりますと共に、各縣の地労委を区々な状況が出ておるのであります。或る地労委ではあの程度のものは十一條違反である、或る地労委ではその程度のものは十一條違反にならない、こういうふうなことになる傾向が最近出ております。その結果は勿論それぞれの地方裁判所で判決もいたしますし、更に不服でありますときは二審と出て参ります。最近では最高裁判所に現在これもやはり山口縣の小野田の大濱炭鉱に事件が今出ておりますが、その結果判決例というものが出ましたならば、それによつて全國的にも取扱は統一して來るものとは考えておりますが、現在のところやはりその裁判所の判決例もただ一件出る程度であります。取敢えず中労委といたしましては、やはりそういう連絡調整に当る必要があろうという建前で最近そのことができるようにいたしたのであります。勿論この中労委のそれらの取扱に関しましては、労働省からは独立して扱わせますけれども、併し全体としての行政上の責任は労働大臣が持つているのでありまして、労働省といたしましては、中労委と密接なる連絡を保つてやる、尚法律の解釈につきましては、やはり中労委は一應の行政的な立場からいたしまして、地労委に示唆を與えますが、最後的な解釈はやはり労働大臣が責任を以て解釈いたすことにいたしておるのであります。最近労働委員会の選挙の方法に関しまして、関係筋からの要望もありましたし、又公務員法が施行せられますと、現在公務員で中労委、地労委の委員になつている人達は委員の兼任ができなくなるということもありまして、どうしても最近の機会に労働委員会の選挙方法について研究し、改正をしなければならん立場に立ち至つているのであります。それらの実施によりまして、地方労働委員会の活動も今まで不慣れであつたがためにその処置で、不当とは申しませんが、適当でないような処置をされましたことは、逐次改正をせられ、改善せられて行くものと考えております。
○委員長(山田節男君) 只今の賀來政府委員の御説明に対しまして、御質疑ございませんでしようか……。私からちよつとお尋ねいたします。今度の労働委員の改選に際して、從來の公職、公務員といいますか、或いは官公吏、それから学校の教授ですか、教育関係、こういう者は全部駄目になるわけでございますね。
○政府委員(賀來才二郎君) さようでございます。
○委員長(山田節男君) 別に御質問ございませんか。
○早川愼一君 労働委員会の機能が多分に司法的機能を有しておるのであります。で、ありますから、委員が或る程度労働法に精通する必要があると考えられますが、それに対して労働省はどういう御処置を採つておられますか、お伺いいたしたいと思います。
○政府委員(賀來才二郎君) 御尢もな御質問でありまして、委員の各位は余程研究をして頂いておりませんと、間違いを起して参るのであります。そこで具体的な方法といたしましては、かような方法を採つております。先ず労働省とそれから法務廳と中央労働委員会とが三者連絡協議会というものを持つておりまして、そうして問題が出ました都度、その法的な取扱について研究協議いたしまして、その協議の結果を各地労委に知らせるということを一つやつております。それから各縣地方委におきましても、やはり地方の檢察廳とそれから縣廳、それから地労委との三者連絡協議会というものを持つておりまして、そうして常時法律上の研究をしておる。それから各三ケ月ごとに地方委のブロック会議を開いておりまして、そこに研究議題を出しまして、中労委から行つてそのブロック会議で指導いたしますと共に、労働省も場合によりましては参りまして、そうしてその指導に当つております。それから地方勞働委員会の事務局長の会合を年に三回乃至四回開きまして、その際に研究をいたしますと共に指導もいたしておりますが、何しろ勞働省の委員は相当勉強いたしますが、使用者側の委員の勉強が足りないのであります。それからもう一つは、地勞委の委員が最近非常に忙しいが、特に最も重要でありますところの中立委員が非常に忙しいのであります。十一條違反の問題にいたしましても殆んど中立委員が最終的な決定をやつておるような恰好でありますが、この中立委員のうち弁護士の方なんかが特に法律的な立場で活動して貰わなければならん、にも拘わりませず地労委の手当は非常に少いのでありまして、弁護士の方は地労委に出まして仕事をされますと、つい弁護士の方の本職が離れて行く、それがために非常に損失を受ける、そこでもう地労委の中立委員になりたいという人が段々少くなりまして、慣れた有能な委員の方が翌年にはもうどうしてもお願いできない、又新らしい委員が出て参ります。そこで中労委の場合のように末弘、中山、桂などという初めから委員をやつている方は堪能でありますが、地労委の委員は始終変つておりますので、この点は非常に大きな欠陷がありまして、將來若し労働組合法或いは労働委員会制度を改正するといたします場合には、この中立委員だけでも專任にするというふうなことが考えられませんと、司法的な処置をやるにつきまして不十分だ、こういうことを考えております。
○委員長(山田節男君) 別に御質問ございませんか……。それでは本日の労働委員会はこれを以て散会いたします。
   午後五時五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     山田 節男君
   理事
           一松 政二君
           早川 愼一君
   委員
           原  虎一君
           村尾 重雄君
           門屋 盛一君
           田村 文吉君
           波多野林一君
           水橋 藤作君
  政府委員
   労働政務次官  竹下 豐次君
   労働事務官
   (労政局長)  賀來才二郎君