第005回国会 議院運営委員会 第3号
昭和二十四年七月二十二日(金曜日)
   午後三時十六分開会
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  本日の会議に付した事件
○臨時國会召集要求の件
○緊急対策事項に関する件
○舞鶴、函館両引揚港における引揚者
 に対する挨拶及び実情調査のための
 議員派遣要求の件
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○理事(高田寛君) それではこれより議院運営委員会を開きます。
 一昨日本院の門屋議員外六十七名から、臨時國会の開会要求書が提出されたのでありますが、これに関連いたしまして、議院運営委員会の開会の御希望もありましたので、今日開会いたす次第であります。尚今日は官房長官の外に、樋貝國務大臣、運輸大臣、労働大臣、通商産業大臣の出席も要求してございますから、逐次こちらに見えることと思つております。
○門屋盛一君 今回臨時國会の召集要求を出しました趣旨を簡單に申上げて見たいと思います。御承知のように、その以前に衆議院の、いわゆる共産党を除いた野党派の方から臨時国会の召集要求が出されておるのでありますが、これに対して政府の上でも、余り早期に國会を召集しようというような発表もまだないようであります。政府の方で別に改まつた声明をしたわけではありませんが、與党側の方の声明によりますと、曾つての芦田内閣時代に要求して四ケ月くらい放つて置いた実例があるから、そううろたえることは件らんだろうというようなことが新聞によつて見られる。それで、我々は参議院と衆議院の性格を考えました場合に、衆議院の方の要求が通つて、國会が早く開かれさえすればよいのでありますが、今参議院としての性格上、進んでこの開会要求をするということは成るたけ差控えたいと思つておつたのでありますが、衆議院のあれだけの正規の要求に対して、政府の方でどういうふうに考えられておるか、又與党側の方では早く開かなくてもよいのであるというようなことを言うということは、さなきだに今の社会状態が不安になつておるのでありますから、そういうことでは、参議院としても默つて見ておるわけに行かないのであります。政府側の上では、或いは税制改革とか、或いはいろいろの法案の準備ができた折に開こうというようなことも噂されておるのでありますが、我々の要求の主なる目的は、第五國会におきまして、労働関係法案の審議等において強力に主張しましたところの失業対策というものが確立されていない。失業対策が確立されていないままに行政整理が進む。又民間の企業合理化の上は閉会になりましてからは急速度に進行しておりますので、失業者の見込というものは第五國会中政府が説明されたよりも非常に沢山の完全失業者が出ておる、そういう状態から考えまして、緊急の失業対策事業法というものが出ておりましても、これの予算が僅かに八億であります。その八億の予算を、今労働省の事務当局の説明によりますと、一四半期に使つてしまつても足りないくらいしかないのであります。それで、この緊急失業対策の後の足りない予算の補正を図る意味からも、又緊急失業対策だけでは到底今出ておる完全なる失業者の救済はできない。尚これから本当の失業化せんとするところの多数の潜在失業者に対しても、何とか手を打たなければならんという建前から、先ず失業対策の確立ということを第一に挙げておるのであります。
 その次に、これも第五國会中から問題になつております本年度のドツジ・ポリシイで行きますと、長期産業資金の計画が殆どない。その結果中小企業の金詰りというものは想像以上に深刻に且つ迅速に來ておるわけであります。これも一日も忽がせにすることはできない。
 この二点と、更に國会が閉会になつて後に、いろいろと起りましたところの社会の不安な、状態に対する政府と國警との問題等から考えますと、この治安の強化策というものも急いで立てなければならんということを考えましたので、失業対策を確立することと、中小企業の問題を確立する、治安強化を図る、この三つの最も綿急な問題を目的として、税制改革とかその他の一般法律案とは切離しまして、極めて速かに國会を開いて、國民に安心を與えなければならん。国会の責務としましても、今國の最高機関である以上、こういう不案な状態になつた折に、國会を開いて置くということは、私は國政の審議運用上から言うても、最も大切なことだと考えましたのだ、敢えて衆議院から出ておるにも拘らず、我々性格を異にする参議院ではあるが、この際一層政府の反省を促して、極めて速かに開いて貰いたい、こういう希望で要求したような次第であります。
○理事(高田寛君) では官房長官。
○國務大臣(増田甲子七君) 門屋委員の御説は誠に御尤もでございます。そこで政府におきましても、今年の四月五日に総理の施政演説において臨時國会をできるだけ早い機会において召集しまして、第五國会で片付けることのできない問題については御審議御処理を願いたい、こういうことを演説の中において皆様に申上げておるわけでございます。第五國会の終了直後から、一面において政府は皆様の御議決にかかる予算案の執行、法律の施行に一生懸命努力しておりますが、又一面におきましては総理が約束された臨時國会の早期召集に向つて極力準備を各省事務当局をしてなさしめるに一生懸命でありましたが、そこへ以て來て今門屋委員の仰つしやつたような社会情勢、失業情勢、その他諸般の問題が急迫を加え、政府におきましてもこの準備を從來から督促さしておりましたが、一生懸命督促をさせておる次第であります。参議院における皆様の國会の召集の要求は、今門屋委員の仰つしやつた失業対策といい、或いは中小企業対策の確立、或いは治安対策の確立でございまして、それらの問題は何れも御説のように緊要なる切迫した問題でございます。我々も今鋭意失業対策につきましては労働省、或いは公共事業関係の各省、それから中小企業対策におきましては大藏省、或いは産業省、それから治安対策におきましては内閣総理大臣或いは樋貝大臣、それから不肖私らの立場で対策の確立を急いでおる次第であります。今御説明申上げましたこれらの三つの事項でも臨時國会を早急に開く必要があるという点については冒頭において私が申上げた通り極めた同感でございます。何といたしましても総理が或いはこの政府、或いは政府は支持する與党等が一番責任を感じておるのは税制の合理的改革、これに基いて若し出來れば税の軽減、それからそれについて予算を補正する、それから又同等の重さを持つておる失業対策、或いは中小企業対策、治安対策もこれも急がなくてはならん、とこう思つておる次第であります。そこで臨時國会の召集の時でありますが、我我は集備を一生懸命さしておりますことは今申上げた通りでありますが、今のところやはり予算にもどうしてもからんで参りまするから補正予算を作つて、そうして國会に提出して御審議を願いたい、こう思つております。その補正予算の前提となるところの税制の合理的改革ということについてはシャウプ・ミツシヨンの方々が非常に御研究なすつて下さいまして、北海道或いは西日本、各方面にあらゆる業界について実際に勉強して下すつております。而もその結論は極く近い中に得られるようであります。我々の予想いたしますところによりますと、來月中旬頃にはシャープさんの政府に対する勧告というものがあるのではないかというふうに我々は期待いたしております、そこで大藏財務当局等に尋ねて見ますと、勧告がございますとそれに基いて税制その他の準備はいたしておりますが、その準備の結了するまで予算案を大体目鼻を付けるためには失業対策なり、その他の関係も考慮しなければならんので一ケ月はどうしてもかかるということは事務当局が言つておる次第であります。固より督促は一生懸命さしておりますが、我々はできるだけ早く失業対策につきましても、或いは中小企業関係におきましても、治安対策におきましても、見返資金の関係におきましても、税制改革の点におきましても、補正予算の関係におきましても、早く成案を得たい、こう思つておる次第でございまするが、今のところ九月の中旬ちよつと過ぎになるのじやないかということを惧れております。最もそれ以前にできるだけ早く召集はいたしたい、予ねて総理も皆樣に御約束申上げたことで政府も一生懸命努力をいたしておる次第でございます。どうぞ御了承を願いたいと思います。
○門屋盛一君 今の官房長官のお話を承わつておりますと、私の申上げました今回の臨時國会の召集要求というものは、税制改革とは切離して今緊急のものを限つて早く開く必要があるという私の建前と、今官房長官のお話を伺うと、税制改革のつまりシャウプ勧告案というものが出なければ補正予算が組めない、補正予算が組めなければ失業対策も立てられないという考え方は少しどうかと思うのです。我々正式の手続を取つて國会を早く開けという要求と、政府の方は税制の目鼻がつかなければ開かんというふうに取つていいのでしようか。そうすると我々の要求はもうすでに政府の方で問題にしていないという結果になるのですが……
○國務大臣(増田甲子七君) お答え申上げます。我々は税制と失業対策と同等に実は見ております。又切り離して考えてもよろしいというふうに考えておる点につきましては門屋さんと全然同じでございます。ただ併しながら御承知の如く見返資金が一千七百五十億円となつておりますが、今のところまだ米國の上院は議決はされませんが、凡そ千四五百億ではないかとこう見ております。そのうち千四五百億の金は皆さんの議決によりますというと、これを生産の復興と通貨の安定のために使用若しくは運用することができるとこう書いてあるわけであります。この経済の復興のためにという文言に我々は非常にウエートを置いております。大体皆さん御承知の通りのことを繰返すことになるかもしれませんが、二百七十億の金は運輸省関係及び逓信省関係において、一切をこの基金から起します。現に起しつつある次第でございます。それからあと六百二十五億の金は市中銀行持ちの復金債を還す。その市中銀行の持つております復金債を還す場合におきましては、我々といたしましては、日本銀行に設けられました、皆さんの議決にかかる日本銀行法の一部を改正する法律によつてでき上つております政策委員会と協力いたしまして、中小企業の振興の方面に特にこの金を使うようにという、いわゆる紐附の融資をいたしたい。しるしのついた指定的に復金債の償還をいたしたい、こう思つておる次第でございます。それから残余の五百五億につきましては、いわゆる基幹産業である石炭、鉄、電力、船、この四つの基幹産業のみならず、土地の改良、紡績関係につきましても、或いは住宅の整備にいたしましても、或いは災害の復旧につきましても、これら諸般の方面に使つてほしいということを折角今関係方面と折衝中でございます。その金が恐らくまだ向うさんからオーケーが得られないわけで申上げかねるのでございますが、恐らく四百億程度ありはしないか、これが相当の雇傭量を吸收することに相成る次第でございます。然しながら尚百億ばかり残がありますが、この百億ばかりの残はいわゆる狹義の失業対策に使いたいとこう思つております。後程労働大臣から細かく御説明申上げると思いますが、即ち事業面に比べて労働費の多いような事業、こういうような事業は相当の雇傭量も出て参りますから、失業者を相当援護し得るものとこう考えております。そういたしますというと、すでに皆さんの議決にかかる見返資金はその通り執行すれば、運用若しくは使用すれば、即ちこれが失業対策に相成つておる次第でございまして、御説の八億円の金は固より繰上げて使うことにいたしておりますが、その金を使うのみならず、見返資金を早くお導きができるように今鋭意関係筋を交渉いたしております。それで若し百億等の金が狹義の失業救済に使うことが関係方面との了解ができますれば、恐らく予算措置としては先ず先ずそれでいけるのではないか、こう思つております。即ち皆さんがすでに議決なさつておりますから、向うさんの了解がつきますれば、今のところ恐らく顯在失業者が五十万ぐらいあると言われておりますが、來年の四五月頃には……これは予測のことでございますからはつきりは申上げかねますが、そういうふうに考えております。これは関係方面で若し百億の狹義失業対策費というものが了解が得られず、すべて積極的に基幹産業の面にしか融資できないということになりますと失業救済の方面の役立ち方が、いわゆるどの産業だつて労働者を相当吸收できるのでありますが、役立ち方があわゆる狹義の失業対策に少ない。そういつたことになつた暁におきましてはその時一つ狹義の失業対策費として一般産業の財源とするものから適当の費額を計上して皆樣の御議決を願わなければならん、こう考えております。今のところは折角折衝中でございますから、今月例えば八月なら八月に國会を開いて直ぐどうこうということは、一方が成功すれば一應は皆さんのすでに御議決によつて対策にこれを移すことができるのでございますから……先ず先ずこれで行けるのじやないか、こう考えております。中小企業の関係につきましても今金融関係ばかりでなく、諸般の問題がございますことは私が申すまでもないのでございますが、金融関係等につきましても指定の復金債償還ということをいたしておりますから、この金は中小企業のここえ向けて欲しい、元金は政府としては還すのであるというふうに銀行に指定をする、いわゆる紐附融資をいたしますと相当の額がこれ又吸收し得るのじやないか、こう考えておる次第であります。それから治安の関係におきましても今折角一生懸命関係筋その他の方面におきましても、当該大臣、内閣総理大臣は固よりその事務の担当にあずかつておる各大臣において一生懸命努力中でございます。対策を得次第臨時國会を開きまして皆さんの御審議を願う、こういう積りにいたしております。
○門屋盛一君 官房長官の言われるのは私の考えと同じといわれるんですけれども、どうも大分同じでないように思うのであります。そうしますとこの失業対策に対しては見返資金の方の了解を得て使うということ以外にお考えになつておらなくて、國家税收入の方からドッヂ・ラインの中で予算の置替えを行なつてとお考えになつておられるように聞えるのですが、これはまあ後の問題といたしましても、労働大臣がお見えになつておりますから労働大臣の立場からお伺いしたいのですが、大体私に忌憚なく言わして貰いますれば、國会が終りましてまだ二月そこそこの間に失業対策というものを改めて立てねばならんというような、こと程それだけ鈴木労政というものは空つぽであつたということを劈頭に申上げたい。これは第五國会でしばしば私は言うておるんで、失業対策というものを立てずにおつてはいかんという時に、あなたは口を酸つぱくして失業者は心配ないといつておつたのでありますが、今でも失業対策は余り心配がないというお考えをされておるのか、お考えがどういうふうにされておつても、事実は私の言う通りに失業者が出て來ておる。今日あなたの方の手で御調査になつたもの、安本の方で御調査になつたものを内閣統計局の調査になつたものをここで総合して私は想像すれば二百三万の完全失業者が本年度内に出る。現在予想以上に失業者が出ておる。この八億の緊急対策費でどうするか。今のところ大丈夫だ、足らないところはいつでも準備して出せると安本長官も大藏大臣もこれは速記のついた委員会で言われたことであるから間違いないと思うのに、今労働省でお扱いになつておるのは八億円の金をこの四半期に一回に使つてしまつて、尚今緊急失業でこれらを救えない状態になつております。これに対して労働大臣としては今官房長官の言われたような線で補正予算を組むまではこの社会情勢は保つか保たんかということをお考えになつておるかどうか。私の考えではそんな悠長な考えを持つておつたんでは社会情勢はますます惡化する。今國鉄で第一次の整理以來非常に労組の方の自省によつて幸いにして九万幾らの整理を終つた。これで鬼の首でも取つたような氣でおられたらそれは間違いじやないか、問題は、これは出て來るところの失業者ははつきり出て來る。出て來たものを……、失業者の出る前に対策を決めて置いて、そうしてそれを本当に職業のないような面に、慌てずに生活の不安を與えないようにする。そういうところに労働政策というものがある。失業者が出て來てからうろたえて、この対策を立てるということはこれはよくない。よくないから私は第五國会でもそのことを主張した。けれども我々の言うことを採上げずに、必ず八億円あればいい。要るときには金は幾らでも出すと大藏大臣は言つておる。ところがその幾らでも出すことのできる金も今日では出せない現状になつておる。この際労働大臣として、今官房長官の言われたように、税制改革が終つてそうして補正予算を組んでやつて見るとか見ないとかいうこと、それから見返資金の運営によつて百億円なり運営を増すとしてもこれは他産業がどんどん起つて來て、その他産業に吸收されるのであるからこの産業が改めて起るまでには六ケ月なり一年かからないと……、こつちの産業が皆潰れてこつちの産業の起るまでには六ケ月なり一年の間がある、その間の失業プールはどこで賄うか。これは今右左にバランス・シートを書くように右に失業者が出て左に吸收するという表は労働委員会でも見せられておつたが、そのときその表の通りにはとても巧く吸收されないので、緊急失業対策というものはもつと大幅に立てておかなければいけないということを言つたが、まあ過去のことを言つてはしようがないが、今日の社会情勢の不安なときにあつて、労働大臣のお考えはどうであるか、労働大臣の立場から……、臨時國会は今の官房長官のお話を聞きますと、殆ど十月近くになるが、それまで放つて置いて差支えないかどうか、これをはつきりお答え願いたい。
○國務大臣(鈴木正文君) 門屋さんの御意見を拜聽しておつて、根本的には非常に我々の考える労働対策の考え方というものと、百八十度違つた角度で考えておられる、門屋さんの考え方からして我々の政府の考え方がまるで遠つておるというようなことはないように思います。結局指摘されたところの狹義のいわゆる緊急失業対策というものが、時間的の段階に應じて阻止し得るか、それからもう一つはそういう関係をも考慮して九月に臨時國会を開いて必要な場合の失業対策関係の補正正算を出すというそういうようになつて時間的によろしいか、こういうことが端的にお聞きになつておるような点のように思います。根本的なことは先程も官房長官も申上げましたし、私共もそれをこの前の國会からも今度の失業対策というものの考え方につきましては、しばしば申上げておつたと思います。今も変つておらないのでありまして、結局はこういう相当大きな量の失業者という問題は終局的には新しく國民経済の中に生れて來る雇傭面の中に吸收し終つたというときでなければ、失業対策は完全に遂行されたと、成果を挙げたと言えないのであつて、そうしてそう考えますというと例えば來年の三月三十一日まで今の庸傭というものを完全に新しく國民経済の中に吸收して行くというようなことは計画しても実際にはなかなかできないのであつてこれはやつて見なくちや明確なことは言われませんが、少くとも一年半なら二年なりという期間を置いてその的終段階においては國民経済の正常な状態に持つて行くという一つの大きな計画の中に、段階的な必要な失業対策をも織りまぜて行くという考え方がやはり至当であると思うのでありまして、大体の考え方はその通りになつておりますし、同時にすべての見返資金……すべての予算を通じての政府の新しい産業対策というものが窮極においてはそういう意味で考えるというと失業対策であり特に千四百億円前後、仮に三ケ年といたしますれば四千億を超えます。一つの纏つた、集中される資金の運用というものは、これはその儘失業対策の大きな意味をもつておる。例えば電源開発にその千四百億円づつ注ぎ込んで行つたならば、もう少ない計算をしてところで、八万人、多く計算した場合十三、三万人、大体そうすると十万人くらいは年を通じて雇傭というものは期待されるわけでありまして、一態大雜にいいますと、見返資金全体を通じて二十万人くらいの雇傭というものは期待されるのではないかという計算が出來上つておるのであります。
 それからそういつた間の時間のずれに処する緊急失業対策の問題でございますが、如何なる緊急失業対策でも、失業が極度に最高度に出て來ますと、何と言いますか、失業のピークと言いますか、その瞬間において全部を消化してしまうという、そういう失業対策はあり得ないのであつて、その瞬間においては、できるだけ順次雇傭面を拡大する政策を強烈に展開して行くと同時に、それを時間的の受止められない部分というものに対しては、狹義の失業対策なり……或いはこれはどこの國でも行われるそうでありますが、失業保險というようなものも併用いたしまして受止めて行く、そうして次の段階段階毎に漸次起つて來る全体の失業者の数を加えて行つて一年半なり二年なり行つたところで最終的に処理せられる、こういう計画を建つべきである。又その線に沿つては政府として決した計画を建てておらないのではないのであつて、建てておるのであります。それが今日まで全体の計画を決定する場合に至らなかつたのは、何と言いましても失業対策の一番重要な面を占めるところの、千四百億前後の見返資金というものが、本当の意味において関係方面のオー・ケーをも得て、どういう形でどこに投入されるかということが決定されぬ。これからその重要産業に投入されるということは分つておつたのですが、しつかりした具体的の枠というものが決定されなかつたら容易に最後の計画が決定されなかつたわけであります。それから只今官房長官のお話いたしましたように緊急策のその面も枠も決まり、方向もだんだん決定しておりますからして、今日においては今申しましたような檢討も加えまして、大体においてこういうふうにやつて行けますという案を建て得る時期に到達しておるのでありまして、その方向によつて近くその問題、案を提出して議員の皆さんにお傳えいたしたいと思つております。それから八億円の点、これは必要である場合に先ずそれを短期のものをも使つてやつて行くというような考え方も大藏大臣と話合つております。一應の了解も進めつつある。又それでもいいのかというぎりぎりの御質問でありましたけれども、これは今申上げましたように廣い意味の失業対策の見返資金、これは千億以上でありますからしてゐそのうち百億円くらいは從來の緊急失業対策に盛られたような性格のものであつて、そうして見返資金の方から出し得るならばそういう方面から出して貰いたいという考え方の下に、交渉を開始したのでありまして、率直に申しまして最初は極めて困難な状態であります、最近は関係方面でも諒とされて、相当の希望の持ち得る形で進んでおるのであります。ただ仮に百億円、その大体の内訳や決つておりまするけれども、一方においては投資という性格の強いものというような原則がありますので、こちらから出したところの百億円全部の部門が認められるか、最惡の場合は全然認められないという場合もあるのでありますが、そういうことはないと思いますが、全部のものが認められるか、或るものだけがそういつた原則の適合するという建前から認められて、或るものはこれは余りに直接的な使い捨て的な費用であるからして、これは見返資金としては認められないというような、認められるものと認められないものとが、双方出て來るということも考えられるのでありまして、官房長官も先程申しました予算的の別の措置によつての方法も、場合によつて考えると言いましたのは、そういうような認められないものが相当出て來た、而もそれはどうしても現在の失業状態から照し合せてやらなければいけないというふうなことが、見返資金の配分において明らかになつた場合には、そういうような考え方も採用し、言わば二本立でやつて行く方法もあり得るということを言つたのでありまして、私自身もそういうふうに考えておる次第であります。
 それから自信があるかという御質問でありますけれども、失業対策の如きは至難中の至難事でありまして、何れの國でも胸のすくような名解決というようなことには、なかなか一挙にはでき上らなかつた。どこの國でもそうであつたのでありまして、破綻を起さないように粘り強く辛棒強く一つ一つ取組んで、一年半なり二年なり、或は最終の事期において安定の状態に持つて行くという粘り強さと、そして一つ一つの事実に対する忠実な注意を持つて行くということに盡きると思うのでありまして、私達はそういう方向を着実にやつて行く決心でもありますし、準備も整えておりますし、その意味におきましての自信はございますとお答えできると思います。
○門屋盛一君 労働大臣だけが粘り強くしておつても、失業者というものは粘り強く我慢はできない。私は何も根拠なくして言つているんじやない。昭和二十四年四月現在において、失業者はすでに四十三万人ある。二十四年の五月末における企業整備による離職者七万人、それから行政整理によつて二十万人、在外同胞の引揚者はどうなりますか、大体二十万というものは予定される。この関係の調査によりましても、安本の調査によりましても、企業の合理化によつて出る失業者は百三万人、新規学校の卒業者が十万人、本年の完全なる失業者は二百三万人、それから二百三万人だけで來年も殖えない、再來年も殖えないならば、粘り強くぽつぽつ計画を立ててもいいが、その外に百八十八万というものは半失業の状態になつておるものがある。これを三分の一と見ても六十三万人の失業者がある。農業地の過剩人口は四百万、これを合せると四百六十三万は、潜在失業で結局七百万に近い失業者がある。これに対してこの内閣のこれらに対する予算はどうか。二十四年度の公共事業費は五百億を以て賄える。労力は人口に直ましては四十三万、今労働大臣が金科玉條のように言われておる見返資金の運営によつて、私はまだ労働大臣より多く見ております。三十万人を吸收できる。一般産業に吸收されるもの二十七万人。こういうふうにゆつくり見ましても僅かに百万人しか吸收できない。残りの百三万人というものは現在二十四年度の失業者がここにある。これに対してどれだけの手当ができるかといいますと、今二百二十五億の保險経済を全部からつぽにしてしまつても、三十五万人しか年度に直すとできない。六ケ月では七十万人だが、年度では三十五万しかできない。これはあなたの方の資料だから間違いないだろうと思う。緊急失業対策事業費によつて八億円で四万人、これは大きな数字の違いがある。その他職業補導によつて五十七万人やつても残りの四十六万人というものは失業吸收をすることができない。それで見返資金からこの緊急失業対策事業法の金をどういうふうにして出せるか。私の考えでは出せないと思う。簡單に出せないから、このことを考えておるのではないか。つまり労働省と大藏省でやつさもつさやつておるではないか。そういうことが苦になつたから第五國会に、失業者は直ちに使えるかと言つたら、大藏大臣も直ちに使える金があると言つておる。一國の國務大臣が当該委員会でもつて、國会議員に嘘を言つて知らん顔をしたりすることは、これ以上治安上危險なことはない、社会不安を來たすことはない。僕は共産党ではないけれども、これははつきり言える。そういうことをやるからいけない。だから率直にどうしてもこれは緊急失業対策に対する施策を施こそうとすれば、五十億の金は、一般税收入による予算から置替えなければならん。絶対に置替えることができないかと言えば、これは私はできると思う。價格調整費の減額は四百億は私は予想できると思う。二十三年度剩余金は百六十億円あります。使えるものは百六十億円ある。これだけでも見返り資金から入つて來る金を除けましても、五百六十億というものは本年の予算の置替えによつて、四十六万の失業者に安心させることができる。尚これによつて四十六万人の失業者を安心させるということは、四百六十三万人の潜在失業者をも安心させることになる。これは増田労働大臣の時代からしばしば申上げたのでありますが、この社会不安を除くということは、立法措置によつてのみ除き得るものではない。飽くまでも安定施策を施さなければ除き得ない。その安定施策を施さずに、粘り強くやるとか、自信があるということではいけないのであつて、これは労働委員会でも予算委員会でもないからこれ以上お聞きしませんが、私のお聞きしたい要点だけお答え願いたい。労働大臣としては、又官房長官の言われる九月末までに臨時國会を召集したので間に合うのか。それまでの間の失業者を賄い得る自信があるかということだけを簡單にお答え願えれば結構と思います。これは嘘を言つたら、速記がついているから後で承知しませんよ。
○國務大臣(鈴木正文君) こういうことはあるともないとも言えないのでありまして、私共が言き得るのは、門屋さんは百億一文も見返資金からそういつた公共事業費へ……
○門屋盛一君 緊急失業対策事業法には使えないというのです。
○國務大臣(鈴木正文君) 私達はあの事業と同じ性質のものをあの費用の中から見返資金の折衝によつて使われるという前提の下に、只今も申しましたように、全部は取れないのじやないかと思う節もありますけれども、相当の部分が実現化する。そうであるならば、官房長官が今申しましたように、八億の金を急いで緊急に使いつつ、長官が言つた次の國会を待つということによつてやつて行けると思つております。
○委員外議員(佐々木良作君) 今労働大臣と門屋委員との間にぐるぐる廻つておりますけれども、労働大臣の今の話は、これは基本的な原則論の上から出ておりますけれども、この原則論なれば、本來臨時國会の予算と定員法を出すときの話であつて、今現実に定員法が通つて、そうして漸次首切られつつある時の話には、これはずれ過ぎで、これはちよつと問題にならんのじやないかと思うのですが、もう問題はそういう基本論が聞きたいのではなくて、今考えておるような方法でもつて臨時國会を召集される意図か。それだけで間に合うかどうかという問題であると思います。で、重ねてお伺いしたいと思いますが、先ず先きに言われたように、余りはつきりしなかつたのですけれども、官房長官に、今度の臨時國会には、第五臨時國会で総理大臣が約束された、つまり税制改正を成るべく早く臨時國会を開いてやるのだと約束した。この約束に從つて大体九月末までに開こうという予定でおられるのか。或いは國会法の三條、それから憲法の五十三條に基き、今の臨時國会召集の要請に廳ずる落として言われるのか。どつちかお伺いしたいと思います。
○國務大臣(増田甲子七君) 佐々木さんにお答え申上げます。
 政府といたしましては、臨時國会をできるだけ早く召集いたしたいということは、かねてからお約束も申上げたし、鋭意考えておるということを申上げた次第でございます。そこで、皆樣方から、又衆議院の四分の一の方から、國会法の規定に基く要求もございました。又その要求の目的というものは、すべて今門屋委員にお答えいたしました通り、政府としては、極めて同感でございます。そこで失業対策についてはこれこれ、中小企業対策についてはこれこれ、治安対策についてはこれこれという私の考えを申上げまして、そこで尚税制等のことについても申上げましてできるだけ、できればもつと早くこれは開きたいのですが、先ず九月中旬以後ということに相成るのではないかと、こう考えております。
 そこで今労働大臣からも具体的に細かに御説明申上げました通り、皆樣の議決になつた通り見返資金が善用活用されるならば、それが即ち失業対策と同じ中小企業対策にもなりまするし、いたしますからして、そこで間に合わないところは、尚門屋委員のおつしやるように、一般歳入を財源とする補正予算ということにもなりはせんかと、こう考えておりますが、今のところでは、見返資金の善用活用によりまして、失業対策を実施し得る。それから中小企業対策を実施し得ると、こういうつもりで動いております。どうか御了承願いたいと思います。
○委員外議員(佐々木良作君) そうすると、あれですか。この、現在考えておる臨時國会の召集が、今の臨時國会の召集要求が今の四分の一の議員で出されると出されないとに拘らず、從來政府で考えておつた通りにやろうとこういうことですか。
○國務大臣(増田甲子七君) 佐々木さんにお答え申上げます。
 今のところは、つまり門屋委員が、九月中旬等では、とても間に合いはしないじやないか、こういう御質問に対しまして、この七月の只今、並びに八月等は、或いは、九月の中旬以前も包含いたしまして、見返資金の善用活用によつて、失業対策なり、中小企業対策なりというものを確立し、又実施に移しておる、こういうことを申上げておる次第でございまして、皆樣の要求目的であるこの失業対策なり中小企業対策につきましては、尚この二、三ケ月の、やり方に徴しまして、勿論皆樣の要求にもかかつておるのでございまするし、こちらの適当な策案を樹立いたしまして、御審議を願うということも勿論なくてはならんとこう考えております。
○委員外議員(佐々木良作君) ともかく五十三條には、「内閣は、その召集を決定しなければならない。」と書いてあるんですよ。第五國会のときに要求されておつた問題に対して、新しく國会から要求が出たのであるが、これに対して臨時國会の召集を決定しなければならないので、その要請に應じて決定されたのかどうかということなんです。そうして若しその要請に從つて、九月の末ごろに臨時國会を開けばいいというふうに決定されるならば、その理由は、今鈴木労働大臣がその間、労働対策に全然自信があるという意味じやなくて、先程官房長官が言われたように、一日も早く召集して、それをやらなければいかんのだけれども、まだ準備が整わないから、その審議ができるまでになつていない、つまり政府としての原案ができないから待つて貰いたいということなのか、どちらかでなければならんと思いますが、それをはつきりして貰いたい。
○國務大臣(増田甲子七君) 決定しなければならんことは、我々は十分心得ております。
 五十三條の規定によつて、皆樣の御要求もございましたし、いずれ早急に決定しなくてはならんと、こう心得ております。そこでいつ頃開かれる見込みか、その見込みを言えという門屋委員の御質問に対してお答えしたのが、今のところ幾ら準備をしても九月中旬、又鋭意準備をしておりますが、その準備の過程に徴しまして、私の見込みを申上げた次第でございます。それから九月中旬頃までに我々はこの審議を願うところの原案を作りたいと思つておりますが、この七月並びに八月、或は六月という過去を含めてもよろしうございますが、從來の経驗に徴しまして、その間の必要をも、我々の提出する策案の中に織り込みたいと、こう思つておる次第でございます。
○委員外議員(佐々木良作君) 重ねてもう一つだけ……。そうすると、この五十三條の條文に從つて出された臨時國会召集要求に対して、これに対しての答が、今の日時の規定も何もないから、政治的な要請に從つて、大体九月の中旬頃に開きたい、それまでに準備を十分整えて開きたい。準備を整えないで開くのはナンセンスだから、準備を整えて開きたい。こういう意味ですか。これの要求に対する答として、準備が整わないから、その準備を整えると九月中旬頃になるから、その頃まで待つて貰いたい。そういうことになるわけですね。
○國務大臣(増田甲子七君) そうです。
○委員外議員(佐々木良作君) それならそれではつきりして結構なんですが、それなら鈴木労働大臣みたいに絶対大丈夫だ、その間の心配はないということはおかしいと思う。それは定員法が審議され、新に失業者が出るという時の論拠であつて、今失業者が出つつある際に、ともかくやつてしまつた際であるから、ともかく一日も早く臨時國会を開いて、その対策をはつきりしなければならんのだけれども、その準備ができないからと、これなら話が分るんだけれども、自信があつて、大丈夫だということなら、臨時國会を開く必要もなくなると思う。その辺の論拠がおかしいと思いますから、今の言い方が、官房長官から言われた意味で九月末頃だということなら一應了承いたします。
○門屋盛一君 そこで鈴木労働大臣に、その準備が九月の下旬までかかる、その間あなたの予定されておるところの百億の見返資金が、緊急失業対策の事業法による事業資金として使えなかつた場合、仮りにそれを使う場合に、どういうふうにして使うかということが問題になる、現在の失業対策事業法によるものは、國家だけの負担でなくて、これに伴うところの地方費負担が沢山ある、併しそれはまあ使い方は別問題としても、百億円のものが、その産業の見返りによつて吸收されるということでは、緊急失業対策にならん。そういう場合でも臨時國会を開かんで行く自信があるかというんです。どこから金を出して來るかというんです。
○國務大臣(鈴木正文君) 私共の折衝の実際から了解しておるところでは、今進んでおる見返り資金の中から公共事業的なものを百億円と言われておりますが、それは一般の基幹産業とか或はそれに類する産業とかに融投資して行く、それとは相当性質が違つて、相当普通の意味の緊急対策のような性格を持つたところの事業、例えば、まあ決定したものではありませんけれども、道路にしても東京中心の特殊の産業道路、或は庶民或は労働者階級の諸君のための住宅とかいうふうなものも取上げられておるのでありまするけれども、決定したのではありませんけれども、そういつたものはいわゆる都会中心の、いわゆる普通の意味の緊急失業対策と殆んど同じ性格を持ち、又失業者の吸收率、吸收力というような点からも同樣のものを持つておる、これらのものがさつきも申しましたように、百億全部認められるのかという問題は未決定でありますけれども、相当部分が認められるものと考えております。
 それから八億円の使途というものにつきましては、必要に應じて活用を図るという問題は、当然でもあり、一應了解を得て進んでおる、こういうふうな考え方を以て行きましたならば、失業対策自体の点から、國会が開かれるのが早くていかんことはないのでありまして、早ければ結構なのでありますけれども、今官房長官の言うように、その間どうかという御質問と心得てお答えしたのでありますが、これが十月になり、十一月になつたら大変でしようけれども、今申しますように、見返り資金がそういうような意味で、こちらの意図が相当程度達成されると同時に、現在持つておるところの資金を、緩急を図つて運用して行くならば、それまでやつて行くことができるということをお答えしたのであります。確信があるといいましたのは、その間の数段階を指したのでないのでありまして、さつきもしばしば申上げましたように、ここ一年なり二年なりの全体的の見通しというものについては、粘り強くやつて行けば確信がありますということを申上げたのであります。
○門屋盛一君 どうも分らないのですが、今労働大臣の言われるように、百億の見返り資金が緊急失業対策の事業費として使われれば、それは労働大臣の言われるように、労働省の関係からは臨時國会の必要がないように考えてもいいんです。私の聞いておるのは、若しその御交渉がうまく行かない場合に、もう八億円というものを使つてしまえば、後に予算がないのだから、それに対してもあなたの方から國会の召集期日は九月の末になつてもいいのか、それを伺つておるんです。そこで実際問題はここまで言いたくないんですが、それをカヴァーするために今使わなければならん緊急失業対策の費用は八億円全部使つても足りないのに、あとの金の見通しのつくまではというので地方からの要求を抑えておる事実があるのです。そこで私はこれを念を押しておるんです。それはどういうことになるんですか。その百億円の自信があるならば、第二四半期でどんどんみんな使つてしまつたらいいじやありませんか。それを使わずに、二億円使うとか三億円使うとかけちなことをやつておる。あなたの言われるように百億円に対してそれだけ自信があるのだつたら、あすこへ、八億円の皆指令を出したらどうですか。それが実際行われていないところは、百億円に対する自信がないのじやないですか。若しその百億円が使えないようなことになつたら、それだけでも緊急失業対策資金の関係だけでも臨時國会を開かなかつたら、予備費も予算もないんですから、これはどういうふうになさいますか。これを聞いておる。極めて具体的の問題で伺つておるんです。抽象論じやないのです。はつきりお答え願いたい。
○國務大臣(鈴木正文君) 今の御指摘の八億円、それはさつきも申上げた通りでありまして、必要に應じてお説のように出して行くようにいたしたいと思つております。又そういう方針で進んでおります。
○門屋盛一君 第二四半期に残すんじやないですか。
○國務大臣(鈴木正文君) それから後の方はさつきも申上げたように考えておりますが、見返資金自体の関係は、繰り返して申しますが、こちらの意図の通りに全部が通るということもどうかと思いますけれども、全然通らないということはないという確信の下にやつております。
○門屋盛一君 不安がなければ結構なんですが……
○委員外議員(中西功君) 今緊急失業対策関係の費用として、百億ということが大体言われておりますが、その外に災害の復旧費、或いは今滯貨で非常に困つておりますがこの滯貨に対して或る種の融資をしなければならん、これはもう緊急の問題だと思うのです。それでなければ今に貿易産業でさえも潰れてしまうという状況に來ておると思います。その他六・三制の問題も、一應政府としてもこれは何とか辻褄を付けなければならん。一般の産業資金においても然りだと思いますが、一体そのような失業対策だけでなくて、緊急に出さなければならん資金、そういうものを大体どの程度に政府は考えておるか、それを先ず聞いて置きたいと思います。
○理事(高田寛君) 大藏大臣は御要求がなくて出席の要求をしておらなかつたのです。
○委員外議員(中西功君) それでは私は百億については結構ですが、数字が分つておらなければ……、一体鈴木労働大臣は、見返り資金は現在幾らあると思つてやつておるわけですか。
○國務大臣(鈴木正文君) 私自身は、これは見返り資金の常に流動して行く正体を常に見守つておるわけではありませんから、実は見返資金はすでに第一四半期の場合、第二四半期の場合はどういうふうに食糧として集つて來て、どういうふうに資金化されておるかということは詳しくは存じておりません。それは当該の大藏大臣の方が知つておられると思いますが、私は分りません。
○委員外議員(中西功君) だから私は大藏大臣を呼んで貰つた方が問題がはつきりすると思いますが、一体見返資金があると思つてやつておるんですが、そんなにないんです。ないものを一生懸命新聞であるあるといつてやつておるんです。そこに私はこれは非常に問題があると思う。だから労働大臣が大体どのくらいあるかということを勘定に置かず、百億だというようなことを言つておるのが実に無責任だと思います。さつき門屋氏から言われましたように、そんなに何でも彼でも、産業資金なんかまでも見返資金に依存しても、そんなないものに依存してもしようがないと思います。それは政府としてもさつき言われたように、價格調整費を削るなり、或いはその他のことをやつて金を出さなければいけないと思います。そうでなければ今の失業対策関係だつて私は解決できない、そう思うんですが、それならもう一つ官房長官がおりますから聞きますけれども、準備ができていないという話ですが、それならば一体今大体政府で用意しておる法律案件……はこれは了解しました。
○理事(高田寛君) 外に何か御質問ございませんか。
○委員外議員(佐々木良作君) 一つだけ解釈をどう政府で考えておられるか聞いて置きたいんですが、憲法第五十三條の解釈を官房長官にお伺いします。臨時國会召集の議論が中心だと思いますから、憲法第五十三條の解釈をどういうふうに官房長官は考えられておるか、自由党でもこれに基く要求を確か出されたことがあつたと思いますが、この委員会でこの解釈を決定するせんは別としまして、純粹に法律的な考え方から、政府代表としての解釈の考え方をちよつとお伺いして置きたいと思います。
○國務大臣(増田甲子七君) 五十三條の「四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」こういうふうに、この文句通りに我々は心得えております。召集を決定しなければならないと心得えております。然らば時期如何という問題でございますが、時期については御承知の通りどのくらいに決定しろということはございませんが、この憲法の精神はできるだけ早急に決定すべきものである、こう心得えております。
○委員外議員(佐々木良作君) そうしますと、この時期の問題も常識的な政治責任だというふうな解釈をしておられるわけですか。
○國務大臣(増田甲子七君) 佐々木さんにお答え申上げます。この「召集を決定しなければならない」というのは常識的な政治責任とも心得えておりません。
○委員外議員(佐々木良作君) 召集決定はしなければならないが、いつ召集するかという、いつという点については、余り遠からざる時で、そうして政府の政策が一番要求に應じてできる状態の下においてやるという政治的な見解で時期を決定すればいいというふうな心得えですかというんです。
○國務大臣(増田甲子七君) 政治責任は、政治道徳を守つて、憲法の精神に合致するごとくできるだけ早く決定しなければならん、その決定というものは只今も門屋君に縷々……佐々木さんにもお答え申上げておる通り、どのくらいな時期に凡そ見当がつくか、而もできるだけ早く召集したいというので我々は勉強しておりますが、そこで九月中旬なら中旬、下旬なら下旬と見当がつきましたならば、そのときに内閣はこれを決定し、そうして召集するということをしなくちやならん、何れにいたしましても政治道徳の見地からも、亦憲法の精神を尊重する見地からも、できるだけ早く決定すべきものである、こう考えております。
○委員外議員(中西功君) さつきの鈴木労働大臣の百億という問題ですが、これは関係方面と交渉がなされておるという話ですが、それはいつ現在の話ですか、今現在ですか、それとも二三日前の話ですか。
○国務大臣(鈴木正文君) それは明確に日柄を覚えておるわけではありませんけれども、四つの基幹産業その他全体の、何というか、ホール・ピククチユアーというか、全体の産業について見返資金を考慮すると共に、個々の事業についても折衝を続けておるのでありまして、今折衝を開始したというわけではありません。
○委員外議員(中西功君) そうすると、日にちははつきりましせんと、私もはつきりしませんが、政府が折衝を開始したという、そこでその資金として百億になつた。そういうわけで、それを更に大臣が言つている。併しですね。最近そういう問題について非常に情勢の変化が現にあつたのではありませんですか。そういう点を無視してですね。何か言われているような氣がするんです。その点それでいいんですか。私は衆議院の或所で割合に聞いているんですがね。そういうことをですね、無視しい、何やら言われているような氣がするが、而も、だから何かうまく行けるような感じを我々に與えようとしているという氣がしますが、
○國務大臣(鈴木正文君) 見返資金の問題は、敢て公共事業関係だけでなく、すべての、見返資金というものは、一方においてはホール・ピクチユアーというか、全体の枠、一方においては個々のケースについてという形において折衝が続けられておりますから、公共事業費だけでなく、全体を通じて大凡の了解はつけて行く。併し個個別々には、一つ一つのケースについては、最後的決定を待つて行くというコースと取つておりますから、そういう点においては、まだ全般的にきちつとしたものは決定していないが、併し根本的に方向が変つているとか、駄目になつているということは、見返資金については、公共事業費についても同樣でありますが、そういうことはない筈であります。
○理事(高田寛君) 尚申上げますが、すでに運輸大臣も、通商産業大臣及び樋貝國務大臣も見えておりますが、外に御質問ございませんか。
○門屋盛一君 私の方で今の各大臣の出席要求をしましたのは、新聞を通じて分つている程度でありますが、それでははつきり安心ができませんので、当運営委員会を開いた機会に、運営委員会を通して、各々所管事項について、今我々は社会不安を醸しつつあると思つていることに対して、幸いに不安でなければ結構でありますが、そういうことに対して、進んで大臣の方から御説明が願いたいということが出席要求に申し添えてあつたわけでありますが、併しその説明がないとすれば、敢て要求するわけではありません。
○島清君 今憲法五十三條の解釈の問題でございましたが、官房長官のはよく分りましたですが、國会は開かなければならん憲法の趣旨であるという、かように解釈しているということはよく分ります。私はそれには、一定のやはり限度があると思います。國会は三つ、通常國会と特別会と臨時会との三つありますが、この通常会と臨時会の期間は決つておる。やや決つておりますが、臨時会にはこの期間は決つていない。政府の御決定になる期間ですね。併しながら私は、少くとも特別会は、選挙が終了いたしました二十日以内にこの召集をしなければならんという規定がありますので、臨時会というものは、趣旨からいたしまして、少くとも選挙を終えましたところの特別会よりも、この短かい期間において、要求があれは、召集を決定しなければならんと、そういうふうに私は解釈しております。この五十四條と五十三條との関係について、政府の御解釈を伺います。
○國務大臣(増田甲子七君) 島さんにお答え申上げます。通常國会は十二月の初旬、それから特別会は総選挙後三十日以内という点については、期日が極めて明確化されていることはお説の通りであります。そこで五十三條に基く、政府がイニシヤテーブをとつて、臨時会を開く場合は、これは問題ありませんが、この後段の場合はいかような範囲において、召集をどういうような期間において決定するか、島委員に、私ちよつと聞き落したか知りませんので、お尋ねしますが、三十日よりももつと短い期間に召集しなければならんというふうに伺いましたが……
○島清君 そういうわけであります。
○國務大臣(増田甲子七君) 私共といたしましては、不幸にして島委員と同意見でないのが遺憾でありますが、それはできるだけ早く開くということを決定すべきものと、こう心得ております。
○島清君 それではその問題の解釈について、ちよつと法制局長の見解をお聞きしてみたいと思うのですがどうですか。
○法制局長(奧野健一君) これは丁度会社その他の法人の少数株主権の行使、或いは少数社員の要求による臨時総会の要求と大体似ているのではないかと思います。御承知のように、商法等におきましては、臨時総会の請求があれば、十日以内に取締役が召集をしなければならない。若ししなければ裁判所の許可を得て少数株主の総会の要求したものができるということになつておる。その他の法人等におきましても、例えば二十日以内にやらなければならん、そうでなければ監事がやるというふうに、期間と、若しやらない場件にはどうするかということが大体明確にされておるのでありますが、この憲法では、そういういつまでの間にやれとか、若しやらなければどうなるかというような規定は全然ないのでありまして、これは國家機関の自律に委ねておるものというふうに解釈されておるものと考えます。そこでこの憲法五十三條の趣旨は少くとも法定の四分の一以上の要求がありますれば、必ず内閣としては召集の決定をしなければならないので、これをやらないというこはとできないと思います。ただその時期については規定がありませんから、これはできるだけ早くといいましても、内閣といたしましてはいろいろな準備等がありましようから、準備のでき次第速やかにやらなければならないというふうに解釈すべきもので、必ずしも特別会は三十日とあるから、少くともそれよりも短く解釈しなければならんとは考えませんが、勿論それより短いことを予定しておるのではないというふうに考えます。
○島清君 どうも増田さんと、不幸にして私とは見解を異にしておりますのですが、私はこの特別会というものは、ことさらに國会を開かなければならないという重要な條件がないのにも拘らず。即ちその有無の如何に拘らず三十日以内には開会をしなければならんというふうに明確に規定しておる。そこで國家の最高の機関たる國会議員の中で、それだけの臨時國会を開らかなければならないという要求がありました場合には、少くともその精神においては、特別会を開らかなければならないという、その期間を超えてはいけない、その期間内に召集を決定しなければならんのじやないか。これが私は民主憲法を解釈する意味において、非常に、そう解釈することによりまして、いうところの國会が國家の最高機関であるということが生きて來ると思います。臨時会だけは召集を決定をしなければならんという、期間を憲法に規定しないのは、そういうことは一應大まかな、民主主義者として、常識として明記する必要はないというふうな解釈の下に、私はそういうふうな抽象的な規定が設けられておるのだと思うのです。そこでそういうことは、非常に私は憲法解釈の重大なる問題だと思いまするので、私は残念ながら見解を異にしておつたという程度にして後日研究したいと思つております。
○理事(高田寛君) それでは門屋委員の御発言に基きまして、ここに出席を見ておる各大臣からその所管事項につきまして、緊急対策を必要とするような事態があれば、その所管事項について御説明を願うということで御異議ございませんか。
○門屋盛一君 ちよつと要求者として附言して置きますが、今憲法論をいろいろと言われておるのですが、今日関係大臣に來て頂きましたのは、我々が國会議員として見ましたところでは、失業対策と中小企業の問題と治安問題は極めて事態が逼迫しておる、これは衆議院から臨時國会の召集を要請したけれども、これは聞きつ放しになつておる、それで我々の方は院の性格としては、衆議院の方で開くようになれば我々の方が要求しなくてもいいのであるが、衆議院の要求に対して政府は聞き流しておるが我々はそういう悠長な事態でないと認識して、改めてここに正規の手続を取つて要求を出したということはこの委員会の劈頭に申上げた。そこで我々はあくまで事態が急迫しておるから臨時國会を開かなければならんという認識の下に要求してあるのだが、関係國務大臣はそれまでの必要がないというようなことであるとか或いは準備ができないということも聞くのです。ただ衆議院のように出しつ放しで政府に委かしておくということは國会議員としてできない、今後とも我々は事態が推移しますれば、この要求に対して是非とも政府の意向を聞きたい、その意向を聞くのは我々出した者が代表が行つて政府から直接聞くのでなしに國会の機関を通じて聞きたいというので運営委員会を開いて貰つた、そこで私の憲法上の解釈はいずれになるとしてもこれだけの熱意を以て臨時國会を要求しておるにも拘らず、この臨時國会を要求しておるにも拘らず、この臨時國会を開かない前に失業問題が惡化し、社会問題が惡化するようなことがあれば、それは挙げて政府の責任に帰する、そういうことを前提としてお考えの上で各大臣は御説明なりその御所信なりを述べて置いて頂きたいと思う。我々の言うことが杞憂であるならば國家のために非常に幸いなんだ、我々はもう臨時國会を開かなければ國民が不安な状態から救えない、安心することができないと思つて要求しておる、そういう意味で各大臣の意見を聞きたいということで要求した、併しそれはお答えができないとか説明の時期でないというならば、どうでもこうでも発言せいというわけではない、ここに案件が出て一つ々々質問するのではない、その点一つ誤解のないようにして頂きたい、ただ治安の重任を負つておられるところの樋貝國務大臣に対しては、院は違いますが、衆議院においては治安強化、警察強化の決議案が出ておる筈だ、だからこれに対してもすでにいろいろのことをお考えになつておるのではないか、若し衆議院全体で以て多数の意見で決議したというようなものまで放つたらかし、それから参議院の方の我々六十八名の者は治安強化のためということを一つの要求に入れてある、そういうことに対しても臨時國会の召集時期は憲法解釈にこだわつて開く時期が遅れて、いまわしい事態の発生したときは全部の責任を政府は取らなければならないということになる。責任を政府が取つても、それがために不幸を見る國民が迷惑であるということを申上げておきます。
○國務大臣(増田甲子七君) 憲法論が出たし、奥野法制局長の御見解もありましたしするが、今のところの政府側としても考え方は先程申上げた通りでありますが、尚もう一ぺん念のために申上げます。去年、当時野党でありました民主自由党が國会の召集を要求いたしましたのは七月二十七日であります。それに対しまして当時の政府は少しも返事がなかつたために九月十一日と更に今度は期日を指定してお願いした。そうしたら九月十一日の召集が九月三十日に決定されて詔書を以て公布されております。召今奥野法制局長の言われた点も私共の考と大体において同じであるというふうに私は承知しておりまするが、憲法論からいたしますと、やはり政治道徳を守り、憲法の精神を尊重して準備を著々と急いで、できるだけ早く召集すべきである、こう考えておる次第であります。そういう意味において今急いでおりますから、どうかこの点は重ねて御了承願いたいと思います。それから憲法論は別といたしましても、事態は非常に切迫しておるのであるから、政府は大いに勉強せよ、そうして早期開会すべく努力せよという門屋委員の御意見誠に御尤もでありまして、成るべく御趣旨に則りまして一生懸命今準備をさせ今努力させておる次第であります。
○委員外議員(佐々木良作君) 今のことに一言私らの方から申上げて置きたいと思います。憲法論が中心ではありませんが、この五十三條の解釈につきましては、先程奥野法制局長から言われた解釈の中で株式会社の例が引かれましたけれども、これはちいつと無理である。(笑声)私法関係と全然関係である、これは全然考える必要はない。恐らくこれは確定するわけではありませんが、五十三條の解決点になるのは、政府の準備が中心でなくて、要求された事項、例えば中小企業対策、治安対策、失業対策というものの如何、この対策の緊急性如何にあると思う。從つてその緊急性如何、準備するのが政府側にある場合もあり、或いは政府が準備しなくても、議員が準備する場合もあります。内容はあくまでも中小企業対策、失業対策、治安対策の緊急性如何にあることが恐らく常識判断、政治道徳の中心になるじやなかろうかと思いますので一言申上げて置きたいと思います。例えば若しこれが逆に全会一致で以て、四分の一以上ですから、全議員の要求が合つて、具体的内容をぴたつと我々が持つておつたとするならば、政府の準備は恐らく一つも要らない。そういう場合、政府は一つも準備がないというので一ケ月も二ケ月も召集決定せずに置いたら憲法違反の疑せ免れ得ないと思う。そういう解釈からいたしまして、いろいろ解釈がありましようが、恐らく対策の緊急性如何にあると思いますから、解釈の決定は留保しましても、先程門屋さんから言われた意味で、この緊急性を十分に檢討されて、決定あらんことを特にお願いして置きたいと思います。
○理川(高田寛君) ではこの失業対策の問題につきましては、先程來いろいろ御質問又御説明もありましたが、尚中小企業対策、治安対策について御説明がありば一つお願いしたいと思います。官房長官には別段御質問はございませんか。
○國務大臣(樋貝詮三君) 治安のことにつきましては、只今御質問の点やはり決議も前議会にありましたようなわけで、著々我々の方ではやつております。その点非常に治安の方面には徴妙な関係に移つておりますので、内容についても各方面に私共は默つておるような状態であります。その点は特に御了解願いたいと思います。しかし目下著々と進んでおるということは事実であります。それから現在、御承知の通りに、誠に治安状態について不安の状態にありますけれども、現在與えられたところの制度を以て、明言することはできませんけれども、今日與えられたところのあの制度を以て治安は大丈夫だという考を持つております。先程そういう点について他の方面でも質問がありました。現に三鷹事件と言い、下山事件と言い、起つたじやないか、大丈夫大丈夫と言うけれども、誠に不安だぞというお話もあります。しかし現在の状態で、次々起るところの状態、それから今日世上に及ぼしておるところの不安の状態、それらはいろいろの手は打つております。その点は私はそういう事情で申上げませんけれども、左樣御了承願いたいと思います。
○理事(高田寛君) 労働大臣は外に御用事が起つたそうですが、労働大臣に対する質問は打切つてよろしうございますか。
○國務大臣(鈴木正文君) 一應お答えしましたけれども、用事が出て参りましたから、これは釈明という程ではありませんけれども、締め括りだけつけて参ります。自信がございますと言つたことは、先程も言いました通り長い眼で見て頂けば大丈夫だということでありますし、それから今の論議に中心になつております失業対策の面から、九月では絶対いけないという結論が出て來ないかということが、ぎりぎり今日私を呼んで皆さんがお聞きただしになろうとした点であろうと思います。失業対策の点からだけ考えましても、國会の開会が早くていけないということは絶対にある筈はありませんけれども、内閣全体の考えといたしまして、準備その他から延びるというならば、先程増田長官が言つたような、九月頃までくらいならば何とか持ちこたえて、それからあとの全体の計画を進めて行くと言うことができると存じますということをお答えしたのでありまして、できるだけ遅く開けとか、或いは遅くても構わないという意味ではございません。この点だけ明確に申上げて置きます。
○門屋盛一君 九月末までくらいならば大丈夫だというのは、八億円を食い延すつもりではありませんね。
○國務大臣(鈴木正文君) そんなことはありません。
○理事(高田寛君) それから運輸大臣も又用事があるそうですから……
○門屋盛一君 運輸大臣からは、一番問題にされている國鉄整理の状況及び経過について御説明があるものと期待しておつたのですが、私はその御説明は大臣のお考え方に任せるとしまして、今度の臨時國会召集を要求しましたのは、可なり私は良心的な立場に立つて、且つ科学的に一つの案を持つて要求しておる。先程から官房長官なんか、政府の準備ができない、できないと言つておりますけれども、予算に対しては、政府がこれを編成する責任がありますが、それ以外は皆議院提案でやつて行けるのであります。そこで議院提案としての準備は着々と進んで、殆どもう完結に近いものがある。要求者としては、明日開かれても議案のないようなへまなことはやつていないということを申し添えたい。その意味がら予算の編成は政府に責任があるのでありますが、この失業対策は長期建設事業と緊急失業対策とに分けて行かなければならぬ。いろいろな点から、予算は政府の責任で編成するのであるが、我々國会議員としても予算を一應組んで見なければならぬ。こういう建前から非常に関係があるのですが、どうも國有鉄道の方も、我々が見るところでは余り成績芳しからざる状態にあるのですが、率直に、時間がありませんが、損失予想はどのくらいなんです。金の都合があるのですか。
○國務大臣(大屋晋三君) どうも今の問題で、初めこの予算を、國対の予算を組くだときに、予見した收入がどうも思うように得られないのです。門屋君のおつしやる通り……。そこでまだすつかり集計して、目の子算で覚えておりませんが、ひどいときには旅客運賃を値上げしまして、その後いろいろな、貨物、旅客を通じまして、或るときには一日に予定した額よりも三千万円も減收というようなこともちよいちよいありまして、まあこのまま今日の経済界が続くと仮定し、或いはより以上惡くなるというような場合があつたとして、お客さんの旅客の運賃收入、それから貨物の運賃收入、併せまして相当、数十億の赤字が出るのじやないかと懸念をされております。
○門屋盛一君 数十億ではどうもこつちの予算が組みにくいのでございますけれども、これは運営委員会ですからこれ以上突つ込んで聞きませんが、近く運輸委員会を開きますから、どうかそれまでにはつきりした一つ何を御準備願いたいと思います。
○國務大臣(大屋晋三君) それでは……、國鉄が行政整理をやりまして、いろいろ下山事件とか、三鷹事件とか、或いはその他大中小のいろいろの事件を起しておりまして、一面においては誠に当局として不行届きの面もありますし、又一面においては誠に不都合な分子もおる。いろいろなことがございまして、ここ暫くしましたならばすつかり安定いたすことと思いまするが、今日までまだ十分に列車が國民に安心して乗れるというところまで、実は立ち至つていない点は私運輸大臣といたしまして聊か恐縮に思つておる次第であります。さてこの國鉄の整理は、新聞その他で御承知でもございましようが、簡單に御報告申上げます。去る七月の一日に組合を呼びまして、かねて当局で研究をいたしておりました、今回のこの職員の配置轉換のGHQ方面の、アメリカの鉄道管理方面からインストラクションを受けました方式で、轉職又は降職、駅長であつた者を助役に下して不必要に首切りを避けるというようなシステムを長い間準備しまして、轉降職を上の方から段々やつて参りまして、この先任順というセニオリテイ・システムというアメリカのシステムを應用しまして、そうして結局ポジションのなくなつたものを、定員法の規定によりまして、七月の四日第一回、それからつい数日前第二回の申渡しをいたしまして、総計九万四千三、四百名の人を免職いたし、且つ十一、二万の職員の轉降職をしたしました。その間に組合とも一應の話合をやりましたが、いわゆる國体交渉という名目の話はいたしません。これは御承知の定員法で不必要ということになつています。さようなわけで、その間に人心の不安というものを多少來しましたが、先ず廣島、札幌の鉄道局の分が少し遅れましたが大分この二十五日くらいまでで殆んど全部が終了いたすという筈に相成つておる次第でございます。
○委員外議員(中西功君) 私はちよつと樋貝國務大臣にお聞きしたいのですが、さつき不安とか、下山事件、三鷹事件といろいろ起つております。私共産党の者ですが、共産党がやつたかのように宣傳をされておる向きがかなり顕著であります。実際三鷹事件のごときは、事件直後に、五分も経たん中に何とか腕章をつけた人が五十人も來まして、そうしてこれは共産党がやつたのだ、これは共産党がやつたのだといつて、そうして現場を見ておる。或いは読賣新聞の写眞は、ハンドルに紐がついておる。外の日本ニュースで撮つたものにはついていない。ついていないのが事実です。警察も認めておる。ところがわざわざ紐がついておる。こういうものを読賣新聞は出しておる。これはハンドルの問題と非常に関係がある。大体ハンドルというものは、あれはついてなければ電車は動かない。でそういうものが読賣の場合は非常に念が入つておりまして、わざわざ紐で括つたようにして、ちやんと写眞が撮つてある。こういうような写眞がどこから來たかは私知りません。併しとにかくこういう不明朗のことがある。更に共産党員の二人に対する逮捕は、四時に逮捕状が出ておる筈です。ところが一時には朝日新聞が号外を出しておる。その他新聞社にはもつと早く、情報が流れておる。こういうことがなされておるのですね。もつと事実を調べたならばもつと沢山のことが出ております。実におかしいのですよ、これは……。そういうふうなことが非常に沢山ありますが、こういう問題について、樋貝國務大臣としては本当に冷靜に客観的に調ベてやつて行くつもりかどうか。その点を少し聞きたいと思います。現在のいわゆる不安問題と言われておる問題に取つて、極めて重大なことだと思います。
○國務大臣(樋貝詮三君) 私の方はもう大体事実上は別といたしまして、法律上から申しますると、自治体警察には監督できないような今の状態でありますけれども、政府は自治体警察に干渉すべからずという建前でありますから、自治体警察は皆ばらばらに行けという建前になつておりますけれども、実際におきましては、國警は自治体警察から援助を受けることができるようになつておりますから、如何なる事情になりましたかは具体思のことはよく存じませんけれども、併しながら私共根本に考えることは、三鷹事件にいたしましても或いは下山事件にいたしましても、全部科学的に進みたいという考えを持つておりまして、政党が、例えば今共産党とおつしやいましたが、共産党がこれに関係しているだろうというような予断を以て事を運んでおつたわけではないのでありまして、下山事件についても、他殺的であり自殺的であり、こういうことにいたしましても、又他殺においてもどういう人がその背後関係であるだろうかというような、いろいろな説がありましたけれども、それらすべてに対しまして甲乙なしに研究をいたしましたようなわけであります。過日におきまして新聞紙上を賑わしました、例えば懸賞をかけて、そうして他殺であるならば犯人を檢挙するというようなことも新聞には傳えられましたけれども、併しながら私共はあれを止めるでもない、止めんでもない、暫の間時期を待つて貰いたい、ああいうことが予断を與えるような結果になるからということは、しばしば申したわけでありまして、例えばあれが警察官に対する不信任になつてみたり、或いは又どこか関係しているだろうというようなアマチュアが出まして、現場を荒しては困るという心配もありましたし、又今申しました通り現在こつこつやつておるところの科学者であるとか、警察官に対しまして不信任を與えては困る、こういう点につきまして、できるだけ科学的な公平な目から見て犯人があるであろうか、ないであろうか、あるとすれば誰であろうか、というような研究をしておるわけでありまして末端に対しましては或いはそれらのことを知らないからして、從つてお答えができんかも知れませんけれども、根本の精神においても、只今申上げたようなわけで甲乙なしにやつております。その点は御了承願いたいのであります。
○委員外委員(中西功君) 自治体警察に対しての監督権もないと言われておりますが、まあ併しとにかく今新聞自身が紙面でなしておることというのは私は逸脱しておると思う。或いは又警察当局がなしておることも明らかに逸脱しておる。或る目的を以つてなされておることは極めて明白である。そうした場合に一体一つの、例えばこの間の以前の、八高線ですか……何かの非常な惨事がありました。そればかりじやない。鉄道は十何人ぐらいが死ぬくらいのことは沢山できておるのであります。それを一つ鉄道事故というふうにして、まあ率直にそういうふうに見るか、或いはまあ事故自体としては、八高線事故のごときは、非常にひどいものでありますが、今の警察のやり方、それから新聞の書き方、これが不安の根源です。このことに何かの問題を関連させて、そうしてこれを拡大しておるのです。こういうことは治安の少くとも責任を取つておられるという國務大臣は、当然こういう問題について何かの措置をなさるべきだと思う。新聞自身がああいうふうなことを勝手にやつておるのだということは、私は当然非常に重大な問題だと思います。而も不安だ不安だといつて不安の根源をとにかく作つておる。そういうふうなことについて、もう少し冷靜にやられるかどうか、もう一度私は聞きたいと思います。
○國務大臣(樋貝詮三君) 首脳部におきましては相当現在でも冷靜にやつておりますけれども、併し現場に当るものは、いろいろ刺戟されますというと、それでついお互いに激昂するというような場合があり得ると思います。成るべくそういうようなことのないようにそれを注意を発して、例えば新聞でも御覧になつた通り、國警等でも政府がアドバイスを與えることは別として干渉することは禁止されておる。況んや自治体の警察においては隣人としてのアドバイスを與えることは別といたしまして、そういうふうな差出がましいことは言わない、注意を施すに過ぎないのであります。この点を御了承を願いたいのであります。現在の機構制度が十分であるかどうかということは御了承願いたいのであります。私は明るい警察であるということを始終考えております。併しながら弱い警察であるということは全然考えておりません、強い、正しい明るい民主的な警察であるという、それが樹立されることを願つておるのであります。
○理事(高田寛君) 通商産業大臣に何か外に用事が……
○門屋盛一君 何か臨時國会に対する必要かあるかないかとあんたの方で……
○國務大臣(稻垣平太郎君) 臨時國会を開く必要があるかないかという御質問で、はつきりお前の考えを言えと仰つしやいましたので、私は中小企業対策に関する限りは、私は必要ないとはつきり申上げて置きたいと思います。但し門屋さんの方で何か非常に御名案があつて開くことが必要であるということなら、私は是非開いて頂きたいとこう思います。併しこの私自身としては、中小企業対策とこういう問題は結局中小企業に対する対策でなくして全体の産業対策と言つたものである。問題は中小企業の対策と言われますけれども、中小企業の根本の金詰り、根本はそこまで行く、金詰りということは大企業の下請その他の関係もありますから、全体の産業の金詰りであると思います。それを論じておると時間がなくなりますので、簡單に全國中小企業の問題を言わして頂きますならば、長期資金については、御承知のように從來日銀を通じて勧銀、興銀が十億円を、途中で十二億五千万円に増やして、これを倍にして二十五億円にしたということを御承知の通りであります。長期資金についてはこれで緊急の需要には十分應じ得ると我々は考えておるわけであります。ただ今度は長期資金の問題につきましては、これは我我の方で、中小企業廳でいろいろ各業種別或いはそれぞれの業種團体から聽取したところによるというと、大体長期資金とか或いは設備資金として合計二百八十五億円、これを聽取しました場合は何割かそれを掛けておることは御承知の通りであります。率直に申上げます。二百八十五億円は要らないと存じますが、とにかく二百八十五億円といたしまして、その半分の百五十億円くらいを政府の方で何らか面倒を見ないと、一般市中銀行の誘いの水にならない、こういうためであろうと思います。百億乃至百五十億円を預金部資金から放出したい。これを拡大するという考え方はまとまつておりますが、ここで問題になるところは、從來のいゆわる貸付順位甲乙丙の、この点の障害を第一に取除かなければならん。丙の順位を切り捨てる。或いは丙の順位を切捨てることができなくても枠を拡げる。從來五十万円以上は大藏大臣にお伺いをたてるといつたような、こういつたような制約を取り去らなければならん。殊に中小企業はそれが必要であるということで、それについての折衝を今関係筋とやつております。今日も実は一日も早く、一秒でも早くこれをやりたいということでやつております。その受入れの枠を拵える必要があるということであります。そこで預金部資金から百五十億円出すということについては、関係筋の了解を一日も早く取りたいというので今極力努力しております。恐らくこれは私は可能だと存じます。ただ問題は資金を出す方の態勢はそういうわけで整つたが、受入れる態勢が整つていないということを逆に私は申上げたい。受入態勢を整えるお世話をしなければならん。お世話をすることが一番必要である。この受入けの方法としてはこれは中小企業の業者同志の方々が何と言いますか、信用保証組合といつたようなものをお作りになることも一つの方法である。或いは親工場が子工場のためにいわゆるトンネルになつて、親工場の保証の下に小工場へ、下請工場に流す。こういう方法も必要である。現に今の預金部資金から一般市中銀行を通じて私自信が二三の斡旋もしてあげたようなわけであります。親工場を拵えて親工場が下請工場の保証人の立場になる。そういう組織を全國的に進めるように今しようようしております。それから又その次にはいわゆる商業部門においては從來の問屋制の活用を考えなければならない。問屋の保証において小賣業者が融資を受ける、こういう方法も考えて行くことが必要である。こういう方法についても考えておるわけであります。それから各都市にお願い申上げて、或いは各府縣にしようよういたしまして、府縣において信用保証協会というものの設立をお願いしておるところであります。東京都は五億、大阪三億、京都の如きは三千万円でありますが、非常にうまく運営をやつておられるように私は承知しております。この間も京都の市長さんにお目に掛つたときに、運営は非常にうまく行つておる、三千万円だが三億円或いはそれ以上の額に動いておるというお話でした。中には又非常に信用保証協会というものの運営が非常に拙くて一向に役に立ちませんといつたような都市の方もあるようであります。これは或る意味において銀行との折衝の仕方の拙さということもあるだろうと思います。実際面からこれに対する指導をやつて行く必要があろう、こういつた形で今度も御承知のように政府の資金を約百億程市中銀行に預金した。これもできるだけ中小企業に流して貰うという意味で、特別の曰くつきでやつたようなわけであります。実際面の受入態勢の方ができていないというのが実情であります。そこで受入銀行が貸し得る形で親工場の保証とか、或いは信用組合を作るとか、そういう政策をもう少し浸透させるということをやつておるわけであります。尚どうして浸透させるかという方法についても我々考えておりますが、時間もありませんから……
○門屋盛一君 今通産大臣の御発言を聞いておると、國民の誤解を招くように思いますから、私の方から聞きますからお答え願いたい。中小企業に関する限りは臨時國会召集の必要なしということは、通産大臣は行政的、政治的によつて……中小企業の窮迫しておる状態は把握しておるが立法的措置を採るようなことはないから臨時國会を召集する必要はないというふうに解釈していいのですか。
○國務大臣(稻垣平太郎君) その通りです。
○門屋盛一君 我々の方では、受入態勢を作つたら今の銀行制度を変えなければならんとか、いろいろ我々の方では別途に研究されておる。その意味においてあなたのお考えの小中企業を活かすという点と合致するが、我々の研究した結果は立法的措置を採らないとうまく行かない。このためにはどうしても臨時國会が必要である、このことのためには臨時國会を開かなければならん。あなたの行政的、政治的に中小企業は十分にやつておる。で開かん……
○國務大臣(稻垣平太郎君) その通りであります。法的措置が必要な面がありますれば承つて、非常に御名案であれば私は研究さして頂きたいと思います。只今の段階においては私は今言つたような措置を、又そういう意味で行政的に取るためには、実を言うとそういつた方面に力を入れたい。時間を外え割きたくない、このくらいに考えておるということを申上げたい。
○理事(高田寛君) 外に通商産業大臣に御質問ございませんか。それでは島君。
○島清君 樋貝さんだけにお残りを頂いて大変恐縮ですが、私はやはりいろいろの失業対策の必要性、それから中小企業対策の必要性、こういつたような問題からして社会不安というようなものが起つて來るのだ。こう思うのです。それであなただけをお残り頂きまして、あなたにお聞きするということは何かしら技葉末節の問題に触れるようで非常に残念でございますけれども、併しながら本題を治安の小さい範囲内におきましてお聞きしますならば、何といいますか、ドツヂ予算といいますか、これに締めつけられましたところの業者の諸君は非常に非鳴を上げておる。そこで只今門屋委員からも数字的なものをあげて失業対策の必要性を絶叫されたように、今年の秋頃になりますと、昭和五、六年時代のあの恐慌の七倍の深さ、廣さを以て押しかけて來るのではないかという学者もありまして、今日この企業の整備等が始まつた今日においてすら治安状態は頗る惡い。更にこれが進んで深まつて参りますと私達は今の治安能力を以ていたしましては國民をして安心してその業に就かしむるというようなことは到底不可能ではないか。こういう心配があるわけなんです。この心配が予想されますので、これを未然に、私達は私達の努力によつて防止したいものだ、こういう趣旨に基づきまして、治安対策に基づきまするところの臨時國会の召集を要求しておるわけなんでございますが、樋貝國務大臣はそういつたような諸々の経済諸條件が惡くなりまして失業者が港に氾濫をする、それからそういう人々がどうも食うためには人の物をも失敬するというようなことが、これは單独行爲ではなくして集團的に行なわれましたような場合、こういうようなことも予想されるのであります。こういつた場合に惡化しましたるところの経済諸條件の上に立ちましたところの國民が、更にこれ以上惡くなりました場合に一体この治案が確保できる、こういうふうにお考えになつておられるかどうか。更に先刻の御答弁の中には著々としたその手を打ちつつあるというようなことを言われましたが、併しながら私として申上げることは、こういう事態が起つたからというて警察力を増やさなければならないというようなことにはどうもならんと思う。そういうことでありまするというと、只今門屋委員の説明に相成りましたところの、いわゆる七百万に近いところの失業者が、この不案の状態におののきますると、この家族を入れて殆ど國民の半数に近い連中が失業者になつてします。こういう人々の釀し出されますところのいわゆる不安の空氣と言うか、何と言うか、そういうものに対して、警察力を如何に今の日本の國家の予算面を増やして見たところでこれはどうにもならない問題であると思う。そこで私達の考えるところによるというと、政府は何か知らん、この治安を維持するところの能力というものを、中西君の代弁を申上げるわけではないが、その責任を何か知らん共産党当りに轉嫁をして、それで共産党と喧嘩をしておる、迷惑をしておるのは我々善良なる國民であるというような印象と感じを受けるのです。そういう問題を率直に一つ自信があるならばあると、ないならばないと、明確な御答弁を煩したい、こう思うのです。
○國務大臣(樋貝詮三君) 今のお説の如く経済上の事情が変れば從つて治安の方面にも影響をすることは誠にお説の通りでございます。從つてこの経済上の点についても、今日の日本に與えられたところの最良の方法で行きまするということは絶えず心配をしておるような事情であります。ひとり治安の方面であるから、警察のことであるから、警察だけよければよろしいというように私も考えておるのではない。例えば今度の行政整理にしても、行政整理がなかつたとすればどうであろう、行政整理が少なかつたとすればどうであろす、或いは又今日よりは強かつたとしたならばどうであろう。今日いろいろな事情がこの治安方面に影響を來しておることは事実であります。一つだけの原因ではないと私は考えております。從つて治安のことを考えまする場合において、外の政策は勿論のこと外の出方如何ということは絶えず注意しておることは事実でありますけれども、又自分の正当なりと信じておることに対して、如何なる方面でも私はそのことを主張しておることは事実であります。併し只今申上げましたのは警察の方面からだけ、仮にいろいろな條件を打切つて見た場合にどうであろうかということを考えて申上げた次第であります。從つてその方面から言えば今日不安は沢山ある。殊に実際以上にも言われておる部面もありますから、その方面もあることは事実でありまするし、國民が又不安を感しておることも事実でありましようし、そういうような場合において鎭靜させることを努めるのみならず、実質において不安を來しておるような場合には、これが若し警察力……、最後には用いたいと思いますけれども、警察力を以てしなければならんというような、警察として違法な力を用いることは奬励してはおりません。逆にそういうふうな出るなということは絶えず申しておるわけであります。けれども、併しながらこれに対して非常な攻撃を加え、違法なる攻撃が加えられて來るという場合には、それは止むを得ないと考えておるのであります。そういうような暴力を以つて來るならば、できるだけそれに対して理解を與えることを努めますけれども、どこまでも暴力を以て來るという場合には仕方がないので力を以て應待するより仕方がない。今日の警察状態がそういう状態であることを残念であると考えておる。どちらかと言うならば警察力が弱いのでないかという非難さえも多く聞かれるような状態であります。從つて時の政治というものを我々は考えてどこまでも進まなければならんということを申上げ、又ただ單に人数を増しましたところでその持つておるところの、例えば科学的捜査その他の点において欠けることがありましたならば、人数ばかりいたずらに置いても何にもならない。力をもつてむしろ應待するという結果になりますために、從つて費用はかかりますけれども、警察力の充実の上から申しましても、今申上げましたような科学的捜査その他の点につきまして、なるべく警察力を應用しないように、そうして最後には仕方がない、これより外に方法がないという段におきましては、警察力を発動するように考えておる次第であります。
○島清君 今大臣が諸般の経済的な條件が惡くなつて來るかどうなるか分らないというような趣旨の御答弁でございましたが、これは惡くなつて來るということは火を見るよりも明らかでありまして、それでこれ以上惡くなるのではないかというところに、臨時会の召集の要求のポイントがあるのでございまして、その点を今度は治安事項をつかさどる大臣としてでなく、國務大臣としてお伺いしたいのですが、下山事件の起りました時分には、何かしら國警長官の齋藤さんを更送するとか、或いは馘首するというようなことが眞実はどうであるか私は存じませんが、新聞の面によりましては何かしら國家警察の方にその責任があるのだというようで、政府が責任を轉嫁せられるように思つた。ところが幾許も経たずして今度三應事件が出て來ると、これは又一党のしわざであるというように責任を他の方向に轉嫁して言われるような氣がする。こういうような面から感じます我々の感じというものは、自信を持つて治安維持に当つておるとは私達どうしても考えられません。只今運輸大臣の話を承つて見ますと安心をして我々が汽車の旅行ができない状態にある、そういつたような原因からか私は知りませんが、收入の面から非常に赤字が出ておるということを言つておりますが、一つの例を鉄道に引いて見ても、そういつたことを言われるわけなんでございまして、そこで國務大臣といたしまして前言にもどりまするが、総ての條件というものは誠に苛酷になりまして、誠に惡くなる一方でございまして、國民は一刻々々として不安の淵に落ち込んで行くような状態にある。そういつたような状態にある場合においても、そういうことを予想される場合においても臨時会を早急に召集決定されるようなお氣持にならないのかどうか、この点を一つ國務大臣としてお答え願いたい。
○國務大臣(樋貝詮三君) 齋藤君のことも三應のこともいろいろありますが、三應の点につきましては、今申したようなふうに政府といたしまして、どの党が後押しをしておるのだろうというような予断をもつてかかられたことは今申された通りそれは疑いないと思います。それから齋藤君のことに関して私は個人の問題はそれ程深くは存じなかつたのですけれども、ただ治安の責任はこの内閣として持たねばならんということを初めから聞かされてもおりまするし、又責任を持つということになれば、同時に少くともあなた方の欲するようなふうに、警察が非違を抑えられる監督権を持たなければ、消極的にでもその方面のことができなければ、責任を持つのも非常に困る。急に非常状態になりまして、事実においてその事件が與えられてみましたところで、細かいいろいろな事実というものは握つておらんわけでありまして、そういうようなことを勧告されましたところで困る。それまでに十分に連絡をしたい、こういう考えでやりましたので、從つて連絡を密にして呉れ、こつちからも言い只今お話の如くに経済上のどういう処置をとるかということも又警察にも不可分に影響しますので、政府からも連絡をとろう、向うからも連絡をとつて呉れ、お互にこれは連絡をとるのが当り前だ、そこでお互いの連絡をとつて來る。現在の警察法から行きますと如何ようとも、廣くも狭くも解釈ができるような規定になつておりますので、從つて、その点、若し齋藤君でありましようが、國警側が考える如くに教い解釈をとるならば、こういう結果になる。廣い若し政府で考えておる如くに解釈をとるならば、こういう結果になるということは國民の皆さんから見と貰つた通りの結果と思いますし、あれに深く拘泥しておつたことではないのでありまするが、たまたま傳えられたことは、何らかそれに拘泥したようなことになつておるのを甚だ残念に思う次第であります。從つて犯罪にしましても、只今申しました如くに、経済上の不可分の関係に立つておるということを十分に認識した上に、警察の理想からいえば、何にもなかつたことがそれが理想で、それから警察が現れて來るようなのはこれはどちらかといえば、欲しないわけでありますから、願わくば私共は警察が、荒い処置などはしないような結果になることを願つておるような次第で、從つてその線に沿つて政治の施策その他を考えておるような状態であります。
○理事(高田寛君) 他に別段御質問はございませんか。では今日は……。
○門屋盛一君 最後まで残つておいでになる樋貝國務大臣に、お言づけ願いたいのですが、樋貝國務大臣としてはこの重大な治安の責に任ぜられて誠にお氣の毒ですが、私はこの治安を強化するという立法的処置も今の場合止むを得ず必要になつて來たことと思うのですが、併しこの社会不安を除かぬ限りは、まあ先程島先生も言われたように、これは半分くらいを警察官にしなければおさまらんようになる。それでその点が一番心配だつたので今日各大臣にお出で願つていろいろ御意見を伺つたんですが、非常に切角來て頂いて、どうも期待はずれのしたのは労働大臣なんで、どうもこういうことではこの内閣の治安対策というものは安定施棄に重きを置いてないということを社会に思わせるような結果になるのです。今後閣議等におきましても、立法処置もまあ必要止むを得ず、必要なんですけれども、まずこの安定施策を講ずる。安定施策の具体策を早く示して貰わなければならん。ただ粘り強くやつていればいいといつたところで、これはどうもこんなところで失業者はおさまるものではないのですから、こういう考え方の大臣があつて、そういう労働施策をとつていたんですが、それでは國務大臣の方の荷が重過ぎるという氣がいたしますので、一つ今日最後まで残られた國務大臣として、閣議の席でももう少し安定施策の方に力を入れて貰うようにお願いしたいこととそれから私達はどこまでも私達の見方が違つておつて、悠長に構えておられる時期ならば結構ですけれども、一日も早く臨時國会を開いて、この不安を除かなければならん。こういうふうに考えておりますから、成るべく一つ早く開くように、憲法上の解釈もあることでありましようが、そんなことでなしに、早く開くようにして貰いたい。それから準備の点は政府の方でできなければ、我々の方ではできておりますから、國会さえ開いて貰えばいいのですから、國会を開かずには議員提案もできないし、又國民の請願陳情も受入れられないのです。
○委員外議員(中西功君) 定員法を止めることは一番簡單だからね。
○岡元義人君 この問題が済んだら一つだけ飛入りでお願いしたいのですが……
○理事(高田寛君) では樋貝國務大臣に対する御質問は打切つて宜しうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○國務大臣(樋貝詮三君) では御趣旨はよく傳えます。
  ―――――――――――――
○岡元義人君 誠に飛入りで申訳ありませんが、実は前の議員派遣の件で運営委員会で予算上の処置が問題になつたのですが、そのときのソ連からの引揚関係がはつきりしておりませんので、とにかく第一船團の予算を出したのですが、今度第二船団が入つているので、この点だけでも予算の御諒承をお願いしたいと思います。お諮り願いたいと思います。
○理事(高田寛君) それは如何いたしましようか。
○門屋盛一君 それは議長の委任事項ですから、議長の権限内ですよ。
○理事(高田寛君) それでは閉会中は議長の権限に一任ということにいたします。では外に御発言はありませんか。それではこれを以て本日は閉会いたします。
   午後五時二十六分散会
 出席者は左の通り。
   理事      川村 松助君
           大隈 信幸君
           高田  寛君
   委員
           島   清君
           下條 恭兵君
           小林 英三君
           重宗 雄三君
           門屋 盛一君
           小林 勝馬君
           奥 むめお君
           岡部  常君
           岡元 義人君
           藤井 丙午君
  委員外議員
   経済安定委員長 佐々木良作君
           駒井 藤平君
           中西  功君
  ―――――――――――――
   議長      松平 恒雄君
   副議長     松嶋 喜作君
  ―――――――――――――
  國務大臣
   通商産業大臣  稻垣平太郎君
   運 輸 大 臣 大屋 晋三君
   労 働 大 臣 鈴木 正文君
   國 務 大 臣 樋貝 詮三君
   國 務 大 臣 増田甲子七君
  事務局側
   事 務 総 長 小林 次郎君
   (参事)
   事 務 次 長 近藤 英明君
   (参事)
   委 員 部 長 河野 義克君
  法制局側
   法 制 局 長 奧野 健一君
   (参事)
   第 二 部 長 寺光  忠君