第005回国会 地方行政委員会 第2号
昭和二十四年三月十七日(木曜日)
   午前十一時一分開会
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  本日の会議に付した事件
○派遣議員の報告
○参議院議員選挙法の改正に関する件
○公聽会に関する件
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○委員長(岡本愛祐君) これより委員会を開会いたします。
 今日議題にしまするのは、過般行われました衆議院の総選挙の実施状況、選挙法規の適用の諸状況を視察して頂きますために、各委員を四班に分けましておいでを願いました、この御報告をお願いいたしたいと存じます。要点を御報告を願いまして、詳細のことは調査書をお出し願いまして、それを速記録に載せまして御報告をお願いすることにいたします。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡本愛祐君) ではさよう決定いたします。
 先ず九州においでを願つた吉川委員からお願いいたします。
○吉川末次郎君 九州に参りました調査報告を簡單に申上げたいと思います。
 二月の二十日から三月の一日まで十日間に亘りまして、私、太田敏兄委員及び鈴木直人委員の三名が出張いたしました。右の内鈴木委員は福岡に一日我々と行動を共にせられたのでありますが、その後は御欠席になりましたので、私と太田委員とが最後まで行を共にいたしまして、調査を完了いたした次第であります。
 先ず福岡縣に参りまして、それから別府市に参り、それから大分縣廳を訪ね、更に宮崎縣を視察いたしました次第であります。
 尚それに附加えましてリコールの問題について廣島縣の竹原町、その他を視察するところの予定でおりましたけれども、汽車の都合並びに十日間という日程をすでに選挙の調査だけで日を超過いたしておりましたような次第でありまするので、私の方に事情がありましたのと加えまして、遺憾ながらその目的を達成すべく参ることができなかつたのでありますが、併しそのリコールの問題につきましては、大分縣廳を通じまして大分縣の中津市役所並びに廣島縣を通じまして、廣島縣の竹原町等に詳細なる調査報告を本委員会に提出して頂くようにお願いして帰つた次第であります。
 右の処置におきましては、参議院議員選挙法令の改正立案に資するために懇談会を開きまして、そして各階層の意見を求めましたのであります。そのためには予め質問要綱のようなものを準備して参りまして、そうして縣知事、副知事、その他の縣当局及び市役所、その他の自治体当局、それから府縣及び市町村の選挙管理委員会の代表者、縣及び市町村の議会議員、各政党の地方支部の代表者、経済團体の代表者、労働組合の代表者、婦人團体の代表者、通信報道機関の代表者等を招致いたしまして、各方面よりのこれに関する意見を聞きました次第であります。各地におきまして極めてこれらの代表者から活溌なる意見の開陳及び討論等がありまして、極めて多大の参考になつたのであります。詳細のことにつきましては、只今委員長よりお示しの調査報告書を予定してございますので、早々提出するようにいたしたいと考えております。右御報告申上げます。
○委員長(岡本愛祐君) 次の近畿、中國の方へおいでを願つた黒川委員にお願いいたします。
○黒川武雄君 二月二十日に出発いたしまして、三月一日まで十日、兵庫縣、山口縣、島根縣における治安並びに選挙関係の調査に、岡本委員長、福永專門員と同行いたしました。参りましたところは、兵庫縣廳、姫路市役所、山口縣廳、宇部市役所、下関市役所、門司海上保安廳、萩市役所、島根縣の益田町役場、島根縣廳、以上の場所でありますが、今日は選挙関係について申上げますと、その各場所において、選挙関係の当事者並びにその近隣の選挙管理人の参集を得まして、選挙についての意見を聽取したのでございます。細かい点は省略いたしまして、結局結論を申して見たいと思います。数点に亘りますが、先ず一、選挙法令が小さい点で区々になつていて、徒らに関係者を惑わせておる、これを統一的に改正せられたい。一、選挙管理の事務系統を中央、地方を通じて選挙管理委員会一本建としたい。一、選挙管理委員会に人事権、予算権を與えて、これを強化したい。一、今回の総選挙の特色である公営制度は、全般的にいつて確かに成功であつた、今度一層公営を強化する方向に進むべきである。一、今回の総選挙は金の掛からない選挙を目指して選挙運動等の臨時特例に関する法律、その他の法令が制定施行せられたが、規定が細か過ぎ、窮屈で自由闊達な選挙運動を妨げ、却つて脱法的裏面運動に追いやる傾向さえ見られた。今後は言論、文書、図画等により選挙運動にもつと大きな幅を持たせて、自由活溌、明朗な運動方法を認め、選挙氣運の昂揚によつて、健全なる政治思想の涵養に努めなければならない。一、某方面においてその組織を利用して、規定すれすれの脱法的選挙運動をやる事実に対しては、適当な立法的措置を講ずる必要がある。一、不在者投票制度、選挙運動の制限、その他について具体的な選挙法令の規定改正の意見が数多くあつた。一、尚次の選挙の管理事務に要する事項については、國庫で全額を支弁するように予算を計上せられたいとの要望は殆んど各地合同に述べられたのであります。簡單でありますが、大体総合しますと、そういう意見が多かつたのであります。詳細に亘りましては、尚先程の委員長が申された通り速記録によることにいたしたいと思います。
○委員長(岡本愛祐君) 四國班、それから近畿北陸班もお見えになる筈でございますが、本日御欠席でありますから、又他日に御報告を願うことにいたします。
 次に御相談申し上げたいのは、先程吉川委員も述べられましたように、この調査いたしましたのは、來年参議院議員の半数改選がある、そのときに参議院議員選挙法を現在のままでいいかどうか、その改正するとすれば、どういうふうに改正するか、その参考にするためにその主とした目的として御調査を願つた次第であります。そこで今後参議院議員選挙法の改正につきましては、この委員会が中心になりまして、研究を続けて参り、いずれこの委員会の委員の方々の発案によつた妥当な改正をいたしたい、こういうふうに考えておるのでありますが、どういうふうな順序で行つたらいいか、それをお諮りいたしたいと思います。私の考えておりますことは、この度の御出張御調査を願つた結果を集めまして、專門員の方で法制局の方と相談いたしまして、要項を作つて、それから全國選挙管理委員会並びに参議院全國選挙管理委員会、この方の意見も徴します。そうして段々纒め上げて行きたい、こういうふうに考えておる次第であります。この点につきまして皆さん方の御意見を承りたいと存じます。大きな問題といたしましては、第一選挙法をどうするか、今のままの全國選出の方と、地方府縣單位の選挙区、この二つで行くべきか、どうかという問題、それから議員の二百五十名という定員をどうするかという問題、それから選挙権、被選挙権の年齢を現在のままでいいか、上げる必要があるか、又下げる必要があるか、そういうようなことが大きな問題であり、それについて各会派でいろいろな御意見もあるかと思いますから、そういう大きな問題は各会派について意見をお纏め願つて、こちらで御相談するというようにしたらどうかと思います。こういうふうにも考えております。こういう諸点について御意見を伺いたいと思います。
○吉川末次郎君 我々は委員会が参議院議員の選挙法令を改正する案を作つて、これを法制化して行くということについての大体の考え方については、只今委員長が私案として述べられたことは私も大体考えておりましたことで、全く賛成であります。如何なる事項が改正するということについての考え方の対象になるかということにつきましては、委員長或いは御覧になつておらないかと思いますが、私達の意向を汲まれました参議院法制局の菊井課長が予め作成いたしました質問事項が非常に私の考えますところ極めて詳細に現法令を基本として、大体において問題とする点を網羅してできておつたことを考えましたので、大体において今菊井君が作成して呉れましたところの質問事項などを基本にいたしまして、委員長がお考えになつておりますような方向へ進んで行つて頂ければ大変結構であると思います。
○柏木庫治君 私は選挙法をどうするかという問題についての基本的考えとして、改正せなければならん、改正しようというような懐疑を持つことは妥当でないと思うのです。從來の選挙法、それからあれを一度やつた経驗と言いますか、あれで実際堪えられないような惡いところとか、改良を是非したいというようなところがあるならば、それに向つて進んで行つて、大体は先ずあれで私はいいと考えておるのでありますが、根本的の態度として、何か変えなければならんという態度でなくて、あれを止むを得ないところだけを改正して行くというような方針で私はこの委員会に臨みたいと考えており、又そういう態度で一つ行こうではないかという相談をしたいと思うのであります。
○委員長(岡本愛祐君) 結構です。先程吉川委員から述べられました、法制局で作成して頂いた調査事項、これはお手許に刷り物をお配りいたしました。御出張願つた各班にはそれをお持ち願つたような次第でございます。それからこれは私の方から法制局の方に注文いたしまして、参議院議員の選挙法と、衆議院議員の選挙法と対象いたしました対象表、それを作つて貰うことにいたしております。二十七、八日頃にできるということの報告がございました。活版にしてお廻しいたします。この選挙区区制問題につきまして去る六日の読賣新聞に参議院全國制を廃止という大きな見出しで「政府は過去二ケ年間の実績と経驗に鑑み、衆、参両院の選挙法改正について考慮中であるが、衆院の選挙法改正と睨み合せ來年四月施行の参議院三年議員の選挙に備えて先ず参院選挙法改正を採り上げることに決定、関係当局と連絡を行う一方全國選挙管理委員会で立案中である。改正の要点は、一、全國選挙区制の廃止一、被選挙権者の年齢制限の引上げ」。云々というようなことを書いております。これについて今日全國選挙管理委員会の方から金丸選挙課長が見えておりますから、こういうことを今立案せられておるかどうか、御説明願いたい。
○説明員(金丸三郎君) 只今委員長からお尋ねがございましたが、参議院議員の選挙法の改正につきまして全國選挙区の制度をどうこうせいということは、全然まあいろいろ話題には上つておりましたけれども、改正をするというような意図を持つてはおりません。又「読賣」の記事によりますというと、総理から特別の命がございまして立案中であるというようになつておりますけれども、私共の委員会の方にさような指示があつた事実も全然ないのでございます。ただ今回の総選挙が行われました臨時特例の法律につきまして、いろいろと輿論の批判もございますし、実際に選挙を執行いたしました府縣市町村等の選挙管理委員会等の要望もございまして、何らかの改正を行う必要があるのではないか、また同時に参議院議員の選挙と、地方各市の選挙につきましては昭和二十二年に制定されました文書図画等の特例に関する法律がございますけれども、現在の経済事情、社会事情等から考えまして、やはり或る程度自由な選挙が行われるようにすべきじやないか、まあかような考えと來年参議院の選挙も行われますので、法律が何本建てにもなるのはどうもやはり面白くないのではないか、というようなことから全般的に選挙運動の特例に関する法律というものを研究して行つたらどうであるかということで、只今そのような選挙運動に関します事項を、委員会といたして研究いたしております。また同時に若しそういう改正が行われるといたしますならば、参議院議員の選挙法につきましてもどういう事項が檢討されなければならないであろうか、というような見地から参議院議員の選挙につきましてもいろいろと研究はいたしておるような次第であります。
○委員長(岡本愛祐君) 今の説明に御質問ございましたらお願いします。
○藤井新一君 只今金丸選挙課長から御説明があつたが、これに関しまして参議院の両院法規委員会においては、法規委員会法第十八條によりましてこういう法律を作る場合には、立法に関して、勧告をするということになつておるので十四日の日に参議院全國選挙管理委員長白根竹介君、或いは全國選挙管理委員長海野晋吉君或いはその他の方々、及び内閣官房次長の郡祐一君、全國選挙管理委員会事務局長鈴木俊一君、金丸三郎君、こういう方をお呼びして、読賣新聞の記事は果して政府が出したものか、全國管理委員会が出したものかということを懇談的にお尋ねしたのですよ、ところが、その席上において郡祐一君は絶対にそういうことはない、又考えてもいないという発言がございました。更に全國区参議院選挙管理局長の鈴木俊一氏もこれに同調いたしまして、何らそういうものに対する案も持つていないということをはつきりと申されましたので、この読賣新聞の記事は、事実無根であるということを肯定しております。右報告いたします。
○委員長(岡本愛祐君) 藤井委員がお見えになります前に、九州班並びに近畿中國班の出張調査の御報告を願つたのでありますが、お見えになりましたから四國班の御報告を願いたいと思います。要点をお話願つて、詳しいことは報告書を出して頂いて、それを速記録に載せるということにいたします。
○藤井新一君 四國班は岡田喜久治理事と、私と寺尾豊君でございましたところ、寺尾委員は御病氣のために、ついに参加しなかつたのでございます。我我二人は先ず香川縣の坂出市に参り更に高松市、徳島縣の徳島、鳴戸市、愛媛縣の松山市、そうして更に新居濱市と、六ケ所を巡視いたしました。そうして各会とも盛大でございまして、非常に得るところがございましたが、詳細は速記録にお讓りいたしますが、殊にその中で徳島はどういうことであつたか知りませんが、徳島の軍政部の方が見えておりまして、そうして軍政部の方も御発言をされました。その席上において、成るたけ簡單にやつて貰いたい、日本の法規はあまり複雑多岐である、これではどうも選挙にならないから、成るたけ立案をする場合には簡明簡直にやつて頂きたいという、非常に熱意のある発言がございましたことは、非常に私らも得るところがございました。それから全体を通じて衆議院議員選挙の特例法です、これはむしろ改惡でありはしないかというのが結論でございます。例えば街頭演説においても、候補者がいなければならんとか、或いは立会演説の場合においても、時間が短かいとか、或いは質問ができないとか、或いは候補者が來ない場合は三十分の休憩をする、そういうようにとにかく欠点が非常に多いから先ずこれをもつと、こういう場合に自由自在にできるようなことにしてはどうであろうかというのが各市ともございまざした。その詳細は速記録に十分書いてございますから、私の報告はこれで終ります。
○委員長(岡本愛祐君) 先程から参議院議員の選挙法を改正する必要がありとすればどういうふうにすべきか、この立案をこの委員会の委員の発議といたしたらどうかという御相談をいたしたのであります。吉川委員、それから柏木委員から御意見の開陳がございました、それで、遅くおいでになりました委員がおられますのでもう一度繰返しますけれども、今度の調査によつて報告書が出ますからそれを皆集めまして、專門員の方でそれを集めて皆さんの御意見を聽く、そうして法制局並びに全國選挙管理委員会、参議院全國選挙委員会、その意見も聽いて段々纒め上げて行く、こういう方針にいたしたいと思つております。それに対して、御意見ございますか、両院法規委員長もおいでになるから一應御意見を伺つておきたいと思いますが、
○藤井新一君 誠に御結構でございまして、両院法規委員会においても重大な案件といたしまして、目下考慮いたしております。最近には学界の有力者或いは事業界の方を二、三お呼びして意見を聽いて、その意見に基いて地方行政委員会の方に勧告をしようと思つております。その勧告というものは大体今委員長が言われたような方向に行くだろうと考えております。これはこの際思い切つて徹底的にこの委員会において立案を急いで、そうして成るたけこの会期にできるようにしたいと思うのであります。というのは若し第五議会にできないで、第六議会においてやる場合には、もう選挙の間際でございますから非常に不徹底を買う嫌いがありますから、この会期において、これを完遂するように委員長におかれましても、そのようにお取計らいを願いたい次第であります。
○委員長(岡本愛祐君) 外に御意見がございませんか。
○柏木庫治君 私は参議院の第一回にやりました選挙法基準といたしまして、あれより言論の自由を束縛するような改正がどの面に現われてもいけないと存じます。言論はあれ以上自由豁達にやらせる、言論を圧迫するような選挙法の改正は今度の衆議院の改正なんか、まるで言論圧迫でありまして、文化國家としてあんな選挙法は私は恥ずべきことであると思うのであります。言論の豁達は自由自在に進めさせても、圧迫はどの面においても許さないということをはつきり堅持して貰いたいと思うのであります。
○委員長(岡本愛祐君) それではこの参議院選挙法の改正につきましては、先程お諮りいたしましたように、これからやつて行く方針にいたして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡本愛祐君) そういうふうに決定いたします。別段選挙の問題に対しまして御意見ございませんか、ございましたらこの機会に……。
○藤井新一君 この選挙区その他参議院の性格について公聽会を実は開いては如何かと思いますが、我々の委員会だけにおいてするよりはむしろ重大性のものですから、公聽会を一度地方行政委員会で開催されてやつた方が輿論の声を反映せしめる上において有効適切である、かように考えます。
○委員長(岡本愛祐君) 今藤井委員から参議院選挙法について公聽会を開いたらよくないかという御提案がございましたが、他の各委員の御意見はございましようか。
○柏木庫治君 私はその必要を認めません。選挙について一年以上を携つて來た私達で他の意見を聽かなければならぬと考える理由を認めませんので、他の方の御注意を受けてやらなくても、参議院みずからがそれを代表してこの委員会でやるならばそれで私は十分であると思います。それだけの良心を皆んなが持つていると信じます。
○黒川武雄君 大体私も柏木委員の意見に賛成でありますが、ただ藤井委員が何日開きたいという御希望でありますか、お尋ねしたいと思います。
○藤井新一君 私らは何日というのでなく、この第五議会の開会中にやればいいだろうということでございますが、今思いつきでそれを申上げたのではございませんが、四國地区を廻つてみると、思い思いの意見を持つており、全く方途を過つておるような考えを持つておる者も発見したものですから、その第三者の意見がそういうものであるから、開いたならばよかろうという考えを申上げたわけでございます。黒川委員の言うように何日ということになると、私もはつきり申上げることはできませんか、できるならば第五議会の開会中においてやればいいと思うのであります。
○委員長(岡本愛祐君) 公聽会の件はこの法律案が正式に委員会において付託されてからでしか行うことができない規則になつておるのです。それでそういう必要があるかどうかもう少し樣子を見たいと思いますから、その件は今日公聽会を開くことにするとかしないとか決めないでこのままにして置きたいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡本愛祐君) それでは今日はこれで散会いたします。
   午前十一時三十分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     岡本 愛祐君
   理事
           吉川末次郎君
           岡田喜久治君
   委員
           藤井 新一君
           黒川 武雄君
           林屋亀次郎君
           柏木 庫治君
           西郷吉之助君
  説明員
   総理廳事務官
   (全國選挙管理
   委員会選挙課
   長)      金丸 三郎君