第006回国会 本会議 第19号
昭和二十四年十一月二十五日(金曜日)
   午前十時三十六分開議
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 議事日程 第十八号
  昭和二十四年十一月二十五日
   午前十時開議
 第一 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第二 恩給法臨時特例改正に関する請願(十六件)(委員長報告)
 第三 由自討議
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○副議長(松嶋喜作君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
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○副議長(松嶋喜作君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。農林委員長楠見義男君。
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   〔楠見義男君登壇、拍手〕
○楠見義男君 只今議題となりました家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案につきまして、農林委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 現行の家畜伝染病予防法におきましては、家畜伝染病防遏の徹底を期するために、予防の面において種々の方法手段を講じておりますると共に、一度伝染病にかかつた家畜に対しましては、他に伝播の危險をなくするために、例えば家畜の殺処分、物品の燒却、埋却等の応急措置を講じておるのでありますが、他面これらの処分による家畜所有者の受ける損失をできるだけ軽減いたしまするための措置といたしまして、現行法の第二十四條の規定によつて、罹病のため殺処分を命ぜられた家畜、或いは予防の必要上、病性鑑定のため解剖に付せられた家畜、或いは又消毒のため燒却、埋却を命ぜられた物品に対して、国庫は都道府県を通じ三万円を超えない範囲内で手当金を交付しておるのであります。併しながらこの金額は、諸物価高騰、特に家畜価格の値上りを見ておりまする現在におきましては実情に副わぬ憾みがあり、従来も家畜価格の著しい変動に応じてその都度改正を見ておるのでありますが、今回の改正案においては、三万円の限度を九万円の限度まで引上げんとするもので、その金額の根拠は昭和二十三年度中における実績に徴して定められておるのでございます。
 本改正法律案の提案の趣旨及びその内容は以上のごとく極めて簡單でございまして、委員会といたしましては、本案に関連し、畜産行政について種々質疑を行いましたる後、討論において藤野、門田、板野各委員より、本案については、その金額において家畜の時価との間に尚相当の縣隔があり、将来の増額を希望する等、二三の希望意見の御開陳を経まして、採決の結果、全会一致を以て本法案は原案通り可決すべきものと決定いたした次第でございます。右御報告申上げます。(拍手)
○副議長(松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
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○副議長(松嶋喜作君) 日程第二、恩給法臨時特例改正に関する請願(十六件)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。
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   〔河井彌八君登壇、拍手〕
○河井彌八君 恩給法臨時特例改正に関する請願につきまして、内閣委員会の審査の経過及び結果を御報告申します。
 この請願は今期国会に提出せられましたうち、最も多数の人の提出せられた請願であります。第三回までの請願文書表に記載してありまする数だけでも五万四千四十八名から提出されたのでありまして、この利害関係者十六万四千人と見られておりますが、凡そその三分の一に達する多数の人の生活擁護のための悲痛なる要請であります。請願文書表はここに朗続することを省略いたしまするが、その大要を御説明申上げたいと思うのであります。
 先ず恩給の金額は、公務員の退職当時の給與の額とその在職年数によつて計算せられるということは、これは皆様が御承知の通りの事実であります。ところが、この原則がどういうふうに行われておつたかと申しますると、終戰以来公務員の給與額がインフレの高進によりまするところの物価の騰貴に伴いまして、つぎつぎに改訂せられ増額を経たのであります。即ち昭和二十二年一月には千六百円ベース、同年の七月には千八百円ベース、二十三年の一月には二千九百二十円ベース、二十三年の六月には三千七百九十一円ベース、かように急激な増加を見ておるのであります。かような事実があるにも拘わりませず、公務員から退職した者の恩給計算の基礎は、昨年の六月まではそのままに据置かれてあるのでありまして、ここにその改職者相互におきまして、又物価の騰貴の実情に照しまして、非常なる不均衡が出て参つておるのでありました。それ故に昨年の七月に特例法を作りまして、その給與べースに合せるように、即ち三千七百九十一円のベースに合せるように恩給をいたしたのであります。ここで以て一応の均衡は得ました次第でありまするが、更に御承知のごとく昨年の十二月には六千三百七円ベースに公務員の給與額が上げられたので、ここに又大幅な不均衡が出て参つた次第であります。そこで多数の退職者即ち恩給を受けておりまする人は、又々非常な不均衡な取扱を受けるというようなことになりました。殊に当時の物価騰貴の状況から見まするならば、その生活は実に惨澹たるものであります。そこで、これらの人々は、やはり同様に六千三百七円ベースに合うように恩給額の増加を要求して、その不均衡を正すということと同時に、将来給與ベースが変更せられることに、それに伴つて恩給計算のベースも又変更せられるようにという意味の請願を出したのであります。この議題となつておりまする請願はさような趣旨であります。
 そこで内閣委員会におきましては、第一に、長い年月に亘りまして国家のために忠実に勤務をいたした功労者に対しまして、その老後の生活の安定を脅かすというようなことにして置いて、そのままにして置くということはよろしくないという見解を以て、又第二には、国家機関を構成しておる人がさような悲惨な取扱に遭つて、そのままで放任されておるということは、国家の事務を正しく且つ能率的に遂行して行く上において重大な欠陷を生ずるの虞れがあるということを認めまして、愼重なる審査を始め、又同情深き態度を以てこのことを取調べたのであります。そこで先ず政府から当局者の出席を求めまして、政府の意向を質しましたところが、政府も又同一の考えを持つておるということが明らかになつたのでありまして、政府といたしましては、次の通常国会に是正の法律案を提出すること、それから又それに対しまして相当額の恩給額の増額を見込んだ予算を提出するということを、はつきり言明いたしたのであります。
 委員会におきましては、これについて更にいろいろ質疑をいたしまして、かようの点を明確にいたした次第であります。即ち第一には、昨年十一月三十日以前に退職した者の恩給が三千七百九十一円ベース若しくはその以下の水準に据置かれてある者は、この法律の改正によりまして六千三百七円ペースに引上げること、そういうように恩給法臨時特例を改正するということ、第二には、その改正によつて増額せらるべき恩給額は二十六億二千七百万余円ということでありまして、明年度予算の恩給総額は、これによつて五十六億二千六百万余円というものが計上されますることになりましたのであります。そこで本年度の計上してある予算総額はどうかと言いますと二十九億九千九百余円でありまするので、これで以て明年の一月から約十六万四千人がこの請願において要求してある通りの利益を受けるということになることが明らかになつたのであります。尚この第三には、この増加分を加えた恩給の支拂時期に関しましては、この法律案及び予算案が通過する時期に関係する次第でありまするが、事務当局といたしましては全力を挙げて速かに手に渡るようにいたすということを言明したのであります。併しながら四月一日には支拂ができるかという意味の委員多数の諸君の質問に対しましては、手続上これは困難である、どうしても七月一日の支拂時期においてこれを実行したいのであるが、それも又全員へ行渡るということはむずかしいであろう、とにかく、これについては最善の努力を盡すということを言明いたしたのであります。第四には、この改正法律の適用は、即ち増加をされる額の支給は一月一日からの計算でやるということを明らかにいたしたのであります。かような次第でありまして、内閣委員会は次期国会において政府案提出を待ちまして、この請願の趣旨に則りまして愼重審議を加えることにいたしたのであります。この件はどうぞ全会一致の御賛同を得て、これを内閣に送付するようにお願いいたしたいということを切望する次第であります。これを以て報告を終ります。(拍手)
○副議長(松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本請願は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて本請願は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
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○副議長(松嶋喜作君) 日程第三、自由討議。本日の自由討議は本院規則第百四十七條によるものとし、所見開陳の範囲を「日本経済の再建について」といたします。各発言者の発言時間はおのおの十五分間でございます。発言時間はこれを遵守せられんことを望みます。これより発言を許します。
   〔宇都宮登君発言者指名の許可を求む〕
○副議長(松嶋喜作君) 宇都宮登君。
○宇都宮登君 緑風会は早川愼一君を指名いたします。
○副議長(松嶋喜作君) 早川愼一君の発言を許します。
   〔早川愼一君登壇、拍手〕
○早川愼一君 我が国の経済再建方策を論ずるに当りましては、先ず以て戰後の我が国経済の実情の分析から論議を進めることが順序であります。併しながらこれは省略いたしまして、経済再建とは要するに日本経済の自立を図るということに究極の目的があると思うのであります。今日その方策につきましては、勿論絶対唯一無二のものというものはないのであります。各種の施策が相関連いたしまして、一つの施策が他の施策と相待ちましてその効果を発揮するのであります。即ち今日最も問題となつておりまするのは、インフレーシヨンの收束ということが極めて重要なる題目となつているのであります。併しながら又同時に産業の振興ということも自立経済のためにはなくてはならないところの重要な問題であるのであります。インフレの收束の政策を実施しますれば、自然に経済が安定し、自然に自立経済が確立されるということではないと思うのであります。政策の実施の如何によりましては、インフレが止みましても本体が滅亡するというような事態が発生するかも知れないのであります。最近の現象を見まするというと、インフレの根源であるところの国家財政の均衡を保つということは、もとよりインフレ收束の重要な点ではあるのであります。併しながら同時に一方におきましては、産業の振興、貿易の振興を図るということも、本体の生命を維持するためには是非ともなされなければならない必要な点なのであります。インフレを收束し、経済を安定するということは、インフレーシヨンのために非合理的になつているところの経済を正常な軌道に帰しまして、これを合理化するというために行うものであるのであります。経済の安定化と産業の合理化ということは、実は盾の両面でありまして、産業の合理化は経済の安定方策の後に来るものではなくて、むしろ現在の経済安定方策の一環として行われなければならないと思うのであります。然るに政府のなすところを見まするというと、インフレの收束を図るに急なるのため、産業界は極端なデフレ傾向を現わして参りました。又一方政府の金融引締め政策によりまして、企業者は企業整備即ち首切りが恰かも産業合理化かのごとき錯覚を起しているのであります。本当の意味の産業合理化ということは、今日遺憾ながら行われておらないと申しても差支ないのであります。過般稻垣通産大臣は、不況時代こそ産業の合理化が行われるのであるという御答弁があつたのであります。これは過去の経験に徴しましても誠に尤もな御意見でありまして、その当意即妙の御答弁には私共感服いたしたのでありまするが、併しただ漫然と産業合理化が行われるものではないのであります。真に企業経営者が熱意と努力を以てその方向に向わしめなければ、合理化というものは行われるものではないのであります。彼の昭和六、七年の我が国における産業界は、不況克服策といたしまして盛んに産業の合理化が行われたのであります。そうして後年、昭和十二三年の景気回復の時代を迎えたことは、我々の記憶に新たなところであります。併しながら当時と今日とにおいては、日本の置かれているところの環境というものは著しく違つておるのであります。当時におきましては、日本は国際経済市場に自由なる競争ができたのであります。又国外との交通もでき、情報も得ることができたのでありまするが、今日は遺憾ながらさような時代と相異なつておりまして、企業者にはみずから企業を合理化し産業合理化しするところの力がないのであります。況んや今日の我が国の税制を見、又金融政策を併せ考えて見まするというと、いずれも企業の合理化をすることを阻止するような状態に相成つておることは甚だ遺憾な次第であると思うのであります。或る化学工業会社が新聞によりますと数十億円の脱税をしたということが報ぜられております。併しながら一方この工業会社が一つの炉を改造し、設備改善をいたしますのには、数億円の金を要するということを我々は聞いているのであります。私はその脱税であつたかどうかということは、深く問うところの事実は知りませんが、今日企業家が折角努力をして資本の蓄積を図ろうといたしましても、税制はこれを許さないのであります。又日本銀行の総裁は経営者に向つて、首切りをやるならば、それに要する資金はどしどし出すというようなことを言われておるのであります。併しながら今日設備改善なり或いは産業の合理化のために、果してどこで金融の心配をして呉れる所があるでありましようか。我が国における生産技術が米国や英国等の技術に比べまして十年乃至三十年遅れておるということは、通産省が技術白書を以て明らかにしているところであります。戰争のために封鎖経済を行なつて来た我が国といたしましては真に止むを得ないのでありますけれども、この遅れを取戻すためには、その原因を究めまして、相当積極的な方策を講ぜねばならないのであります。ただ單に産業合理化の手段として人員整理や首切りを行うというような消極的な方策に終始せずに、技術の進歩によりまして経営を合理化することが本当の意味の合理化で、更に積極的に新らしい産業の分野を獲得することが今日最も重要なことではなかろうかと思うのであります。
 我が国は御承知の通り地域も狭いし、乏しい資源しか持つておらんのであります。その資源を有効に利用する途を積極的に講ずる必要があると思うのであります。その方法としましていろいろのことが考えられますが、一例としまして、先ず自然のままに流しておる水流を資源化する発電所の増設、電化施設の拡充をするということを申上げて見たいと思うのであります。
 我が国の石炭は米国や英国等と違いまして、埋蔵量が極めて少いのであります。世界の石炭資源の僅か〇・二%というものであります。年々の出炭量はこれに反しまして世界第五位であります。今から百四五十年もいたしますというと、恐らく石炭のない国になるのではないかということが心配されておるのであります。元来石炭の用途というものは、動力資源としてこれを利用するということは極めて幼稚なことでありまして、むしろ熱源として、又化学工業原料として、その用途は極めて広いのであります。鉄道の機関車が石炭の優秀な六千五百カロリーのものを使いまして、その発熱カロリーは僅かに四・八%というものが利用せらるるに過ぎないのであります。石炭の利用価値としては極めて幼稚であります。一日も早くもつと有効な他のエネルギーに頼らなければならないと思うのであります。而もその石炭を国有鉄道は年間七百万トンも利用しておるのでありますから、これをもつと有効に利用できるような方向に転換をいたしまして、鉄道としては自然に流している水を堰き止めて、これを電力化して、これを輸運用の動力源に利用することを考えなければならぬと思うのであります。鉄道を電化いたしますには最初は相当の投資を必要といたしますが、一但施設が終りますなれば年年相当の経営費を節約することができて、例えば東海道線、山陽線等三千四百キロを電化しますのに、約八百十三億の資金を要するのであります。併しながら、これを不用となりましたものを他に転換しますというと、純粹に要る金は六百億に過ぎないのであります。而も年間石炭費の著しい節約となりまして、約百億の利益を生ずるのでありまするから、結局六ケ年においてすべてが回收できるという計算になるのであります。而も電化いたしますというと、このために、その施設工事に相当の労力資材を必要とするのでありますが、今日有効需要が非常に減つておりますときに、失業者が沢山あるのでありまするから、これを失業問題の解決の一端とすることもできましようし、又鉱山、鉄鋼、車輛等の産業界は、需要減、金詰りによりまして非常に不況なときに、これらの産業界に一道の光明を與えて、それらの工業を勃興せしめることができるのであります。かような観点からいたしまして、是非とも鉄道の電化ということは、今日鉄道運賃の値上げということよりも、先ず以て鉄道の経営費を合理化するというためにも、極めて重要な政策であると思うのであります。かような例を申上げますればまだ多々ございましようが、今日各般のいろいろの施策がありますが、産業の合理化ということに政府ももつと真劍になり、各党各派におかれても当面の党利党略を超越して、日本産業再建の将来のために産業合理化の問題を取上げられまして、その実行の速かならんことを切願いたしまして、私の討議を終りたいと思います。
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   〔小林英三君発言者指名の許可を求む〕
○副議長(松嶋喜作君) 小林英三君。
○小林英三君 民主自由党は討議の発言者といたしまして松野喜内君を指名いたします。
○副議長(松嶋喜作君) 松野喜内君の発言を許します。
   〔松野喜内君登壇、拍手〕
○松野喜内君 国会や政府は国民の心を以て心とせねばならぬ。国の自立経済を立てて経費や税金を軽減いたしまして、殊に惡税を撤廃いたして、民間の自発的創意工夫に努力をいたしましたならば、国民の收入は増し、いわゆる豊かなる生活やら平和なる生活、文化的の生活ができるようになることでありましよう。責任者たる我々は、国民のために産業政策よろしきを得ねばなりません。経費に無駄があつてはなりませず、極めて有効適切に活用をせねばならぬ。能率を上げる工夫が必要であり、合理化、科学的の経済政策、又賢命であらねばなりません。
 経済の再建には生産計画が必要である。而もその主なる原動力といたしましては、私は第一に電源開発を提唱したいのであります。国民の幾多の示唆を與えておられる我が林学博士本多靜六氏は、日本再建の唯一の科学的方法として貯水池式の発電所を主張されております。曰く、第一、ダムを築いて雨水を貯え、これを利用して水力電気を起し、且つ灌漑用とすること。二つには、ダムの上部二十度以上の傾斜地は保安林として皆伐を禁止し、麓や風土の許す所には栗とか、「くるみ」、樫、「うるし」などを植えて、山羊をも飼育したいものである。三つには、渓谷には砂防工事をすることを提唱しておられます。博士に従えば、水を治める者はよく国を治めると言う。年々の水害によつて八千町歩からの山々が崩れ、二万町歩以上の耕地が埋れ、六百万石からの米が失われておる。人畜の損害も又極めて甚だしい。この発電所計画によりますれば、大洪水を防ぐばかりか失業者もこれで助かる。農村工業も従つてこれによつて興つて来る次第であり、現に富山県の庄川地方におきましては、これが水力電気に成功しておる。日本の村々にかくして電化が拡まつて行きたいものである。
 工業と電力につきましては、殊に領土の狭い我が日本が経済再建を図るには、もつと工業の振興政策を図らねばならぬと考えます。農村にも工業を加えて輸出政策を企図せねばなりません。加工の要素としては労力や電力及び技術が挙げられておりまするが、過剩にも見えるこの労働力は、これをよく活用すれば経済価値が更に二倍加、三倍加するというものでありまして、能率の低いところの労力を改めることをせなかつたならば、国際貿易が始まつても生産費高のために競争倒れとなると考えます。技術に至りましては東洋第一、否、世界第一と言われる程に至らしめたいものであります。殊にスイスの時計がその精度において世界一を示しておるというようなふうに、我が国の製品も進めたいものであります。我が国の現在水力発電設備は六百四十万キロワツトで、政府の五ケ年計画が完成すれば七百七十万キロワツトになる次第です。資源の乏しい日本において、この惠まれた水力電気こそは誠に有望な原動力と言わねばなりません。我が国の未開発の千三百万キロワツト以上あるもの、これも一つ是非とも活用せねばならぬ。政府が力を入れまして、本年度電力関係見返資金に百四十五億円を計上せんとし、又五ケ年計画としては三千億に近い金を要する次第なのでありますから、これがためには外資の導入がなくてはできない事業であるのであります。国民の資本を蓄積させるように、又外資の導入に望みをかけねばならぬというのですが、この労力を軽視したり資本の横暴があれば労働問題が起る。而して労力の偏重やら資本が軽んぜられれば、又結果はまずいことになる。否、自然力や経営力に着眼することが更に必要であり、つまり生産の四つの要素、労力と資本力と自然力と経営力のいずれも尊重せねばならぬ。この四つのものの調子を整えることこそ、我々政治家、指導家の責任であらねばならぬと信ずるものであります。何事を始めるにも先立つものは資本ですが、国家は国民の総資本の蓄積を図らねばなりません。電源開発にも最大の隘路は資本問題であります。敗戰国の日本の今日としましては、どうしても自力では及ばないから、外資導入に頼らねばなりません。国民が吉田首相、外相に大なる期待をかけている重点の一つはこれであります。ドイツは曾て外資導入一億ドルを二十五億ドルに回転いたしましてインフレを克服したことがあります。日本も回転能率の研究と受入態勢の用意とが極めて必要であります。自立経済への道程として止むなく外資導入によるのでありますが、国民の精神としては自立の精神が根本であらねばなりません。政府が政界の安定を企図する重点もここにあるのであります。フーヴアーはアメリカにおいて二十年前に商務卿時代に專門委員会を作つて、「産業における無駄」と題する報告を出しました。昨年は再びトルーマンの委嘱を受けまして行政上における無駄の調査を行いました。動員された能率の專門家は約三百人、本年初めその報告書を発行されました。一々具体的の例を挙げて、ここで何程、あそこで何程と細かな計算をいたしまして、結局中央政府全体において一年一千万ドル、邦貨三十六億円といつた節約可能なりとの結論を出しましたのであります。無駄の多い日本では百億以上の節約となるのではないかと思います。政府は先般二割乃至三割の行政整理を実行いたしましたが、更に專門家によつて具体的の調査を行わしめたならば、人件費、物件費において二割、三割の経費を節約し、国民の納税の負担を軽くして、政府の苦心しておられるところの健全財政をも、又必要なる有望事業をも促進することができると思います。日本経済の再建も各国の信頼も、もはや掛声のみでは実現ができません。行政機構の末端から積み上げて、最も合理的な組織と制度を作り上げて、実質的法に再建の具体案を作らねばならないと信じます。フーヴアーは、政府が物品を購入するのに、十ドル以上の費用をかけて十ドル以下のものを買つて来たといつたようなことを指摘しております。こういうふうな物の見方を以てしたならば、日本の政府方面にも確かに経費の軽減ができることと思うが、どんなものでありましよう。我が国にも多年研究された上野氏初め能率專門家が少くないのであります。私は行政能率調査委員会を設置する必要があると信じ、これを政府に強く要望し、勧告するものであります。
 我々は国民の生活にも又無駄が多いことがあるから、これを排除せねばならぬ。その日常生活、衣食住にも、時間にも、金にも物にも、無駄が多いのであります。この消費面を改善することによつて国費は助かり、各家庭の経済も豊かになると信じます。愛媛県の一少年が、親を亡してみずから農業を営み、以てその供出をば立派に仕上げたに励まされて、村の人が、全部励んだために、供出の完納も逸早くできたということでありまするが、天はみずから助くる者を助くと申します。人に依存する依頼心ではなく、自立の精神、自立の経済、ここに国民の精神を向けようではありませんか。国民の総動員に行く精神もここにあると思います。いわゆる日本の経済の諸政策について観じ来たればいろいろありますが、第一に、かような生産政策と又消費方面のことについて所信を述べた次第であります。(拍手)
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   〔小林勝馬君発言者指名の許可を求む〕
○副議長(松嶋喜作君) 小林勝馬君。
○小林勝馬君 民主党は奧主一郎君を指名いたします。
○副議長(松嶋喜作君) 奧主一郎君の発言を許します。
   〔奧主一郎登壇、拍手〕
○奧主一郎君 本日の自由討議で、日本の経済再建ということでありますが、僅か十分乃至十五分でかかる重大な問題を論議することはなかなか不可能でありまして、結局奇想天外なことはないのでありまして、ありふれたことを申上げるに過ぎないと、かように思うのであります。
 結局経済の再建は、生産の増加、輸出の増進の二つより外にないと思うのでありますが、過日の池田大蔵大臣の財政方針の御演説を拜聽いたしますると、大蔵大臣は、先ず大体において我が国の経済は安定したと、かように申されたと記憶しておるのでありますが、如何にも日本銀行券の発行高を見ましても、又闇物価の情勢を見ましても、この春以来、先ず大体において横這いをしておるのであります。又企業等の倒壞等を見ましても、余り大きな倒壞もない。かようなことを見てみますると、如何にも経済は一応安定しておるということは肯けるのでありますけれども、併しこれをよく内面的に掘り下げて探究して見ますると、あながち大蔵大臣の言われておるようなわけにも参つておらない。即ち日華事変の前の年、確か一九三六年頃と今とも比較して見ますると、生産指数におきましても、その当時を百といたしますると、先ず大体において今日は六十乃至七十程度回復しておるのであります。けれども、御承知の通り人口が約二割以上殖えておる。或いは又我が国の国土が御承知の通り半減しておる。或いは又農村の模様を見ましても、非常に本年は農村が疲弊しつつある。或いは又中小企業をとつて見ましても、或いは勤労者の状態を見ましても、非常なる金詰りに悩んでいる。こういうような点を考えまして、私は大蔵大臣の言われるがごどく、あながち経済は一応安定したということは申されない。いわば一応下熱剤を用いて熱を止めているというに過ぎないかとも考えられるのでありまして、先ずこれを財政或いは金融或いは為替方面について見てみたいと思うのでありますが、御承知の通り本年度の補正予算或いは来年度の通常予算を見ましても、大蔵大臣の言われるごとく、均衡財政であるということは全く間違いがないのでありまして、大蔵大臣も恐らくこの予算を組まれるには非常なる努力をなされたということは、大いに我々も敬服するのでありますが、併しこの予算を実行するためには、その裏打ちとして金融政策ということに非常に考慮して貰う必要がある。一歩誤まつたならば、この超均弁予算というものは嚴しきデフレ予算になるということを考えなければならぬのでありまして、我が国は御承知の通り重大病人であります。これを回復さすためには、先ず重湯をやり、又三分粥をやり、しまいには白米の飯を食わす、こういう順序をとるのが普通でありますけれども、今日の時局はそういうことを許さない。重大病人に一挙に白米の飯を食わそうというのでありますから、余程大蔵大臣としては、この施政を誤まらないようにして貰いたいと思うのであります。それには先程申しましたように、この予算を実行するためには、その裏打ちとして金融政策に誤まりなきを期して貰いたい。かように思うのであります。
 先ず金融政策の面から申しますると、今日最も困つているのはいわゆる設備資金の欠乏でありまして、御承知の通り従来は復興金融金庫というものから融資を受けておつた。ところが復興金融金庫の融資というものは御承知の通り打切りになりました。又その回收が非常に嚴しいのであります。又我我が非常に期待しておりましたところの見返資金の放出でありますが、これも大蔵大臣は約八十億の見返資金の放出を言うているのでありますけれども、併し今日まで放出された金額は確か四億程度である。日本窒素肥料或いは飯野海運がありましたか、合せて四億程度しかまだ出ておらない。一方只今申しましたように復興金融金庫は金を締めてしまつた。尚、回收を嚴しくやる。こういうようなわけで産業設備資金というものは非常に窮乏している。産業設備資金の窮乏ということは、即ち工場の改善ということも非常に不可能になる。或いは技術の高度化ということも非常に不可能になる。御承知の通り日本のすべての産業は軍国時代に非常なる無理をしているために、すべて工場の設備等も陳腐化しているのでありまして、これを改善するためには、どうしても先程申しました設備資金の拡充ということが必要であるのでありまして、これには或いは大蔵大臣は各府県に小銀行を設けよう、これも無論結構でありますけれども、果してこれで万全を期するということは或いは不可能ではないか。私といたしては、やはりここに興業銀行だとか、或いは商工中金であるとか、或いは農林中金であるとか、こういう方面においての増資だとか、或いは債券発行限度の拡張だとか、こういうものを至急にやつて貰いたい。御承知の通り今日会社において自己資金においてそれを求めようといたしましても、今日の有価証券、株界の状態から申しますると、殆んど不可能なんでありまして、仮に若し自己資金を調達し得たといたしましても、大体旧債の返還に充てられるのでありまして、約二、三割程度しか設備資金の方へ向けることができないというような状態であります。又長期融資を市中銀行から求めようといたしましても、御承知の通り市中銀行は貴重なる預金を扱つているのでありまして、そういう長期融資というものは性質上から申しましてもできないのであります。従つてどういたしましても興業銀行だとか、或いは協同組合だとか、農業協同組合だとか、或いは今申しました商工中金だとか、或いは農林中央金庫というようなものの増資を至急にやつて貰いたい。又先程申しました見返資金の放出というものも、恐らく手続が非常に煩雑であるのではないかと思うのでありますが、こういうものを簡素化いたしまして、そうして一日も迅速に早く放出する必要がある。私はかように考えるのであります。
 幸いに又外国為替におきましては、御承知の通りこの頃政府の方も非常に向うと交渉を円満にやられまして、最近は日英の通商協定もできる、或いは又通商使節も派遣するというようなことも聞いているのでありまして、これは非常に結構であります。併し尚一日も早く我が国の船舶によるところの通商であるとか、或いは海上保險の自営であるとか、或いは輸出CIF価格或いは輸入FOB価格取引の設定であるとか、いろいろの施策をこれ又一日も早く実行する必要があるのでありますが、いずれにいたしましても、すべてのそういう方策を実行いたしましても、若し尚これでいけないということであると、やはり円の切下げということも、好むと好まざることに拘わらず、これは考えざるを得ないというふうにも考えられるのでありますが、ただ、これは非常に危險であるのでありまして、その影響というものは非常に大である。即ち日本は輸出よりも輸入の多い国でありますから、恐らく勤労大衆を犠牲にして、そうして輸出の増進を図るということになるのでありまして、即ち飢餓輸出の状態を呈することがあるのでありまして、これは一種の麻藥である。この頃はやるヒロポンの注射であるのでありまして、果して結果がいいかどうか。これはその麻藥を使用するところの医者が藪医者であるか名医であるかに全くよるのでありまして、果して大蔵大臣が名医であるかどうか。これは賢明なる皆さんの御判断に任するより止むを得ないのであります。いずれにいたしましても経済の再建ということは、即ち日本の各方面における再建を考えずにただ経済の再建ということは考えられない。即ち思想上におきましても、或いは政治上におきましても、すべての方面におけるところの再建あつて初めて経済の再建というのは考えられるのでありまして、仮にこれを政治上にとつて見ましても、或いは今日の政党について見ましても、余りに日本の政党は御承知の通り、資本主義政党だとか或いは社会主義政党だとかいうことにこだわり過ぎてやしないか。如何に資本主義政党でありましても、社会政策を無視して政治は運行できない。又社会主義政党にありましても、或いは共産主義政党にありましても、資本ということを無視して事業というものは考えられない。私は何が故にもう少し政党が……或いはアメリカの政党でも同様でありまするが、共和党といい、或いは民主党といい、或いは英国の保守党といい、労働党といい……日本のごとく各政党が余りにイデオロギーに囚われ過ぎている。私はもう少し国民政党として、いわゆる国民全般の政党として政党が立つて貰いたい。これらが要するに国家再建のために最も肝要である。(拍手)私は国民が堅忍不抜の精神を持つて行くならば……
   〔副議長退席、議長着席〕
 必ず将来日本は再建する日があるものということを確信いたしまして、私の自由討議を終りたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
   〔三木治朗君発言者指名の許可を求む〕
○議長(佐藤尚武君) 三木治朗君。
○三木治朗君 日本社会党は波多野鼎君を指名いたします。
○議長(佐藤尚武君) 波多野鼎君の発言を許します。
   〔波多野鼎君登壇、拍手〕
○波多野鼎君 私は経済安定の問題につきまして、日本社会党を代表して本日の自由討論をいたします。
 私の取上げる問題は二点でございます。第一点は、経済九原則の実施方法について現政府が誤まれる態度をとつているということを批判しながら我が党の主張を述べたいと思います。第二点は、財政と金融の分離の問題、即ち政治と経済の分離の問題につきまして、この点についても政府は誤まれる態度をとつているということを批判しながら我が党の主張を述べたいと思うのであります。
 経済九原則につきましては、これはあの原則が発表されましたのは昨年の十二月十八日でありますが、その九原則の趣旨はどういうところにあつたかと申しますれば、これは日本の経済の安定を図りながら單一為替レートの設定に向つて行く。先ず経済安定を図りつつ單一為替レートの設定を早めて行くというところに九原則の狙いがあつたことは御承知の通りであります。経済の安定を図るために九つの点を司令部が指摘したわけなんでありますが、この九つの点の実施につきまして、政府の側におきましては非常に間違つた態度をとつておつたのであります。それはかりではなしに、この九つの点の実施が十分行われない先に單一為替レートの設定を急いだのであります。その結果として今度は逆になつて来て、單一為替レートを維持するためにいろいろな政策をとらざるを得なくなつたということになつて、我が経済は非常に苦難の中に追い込まれたのであります。例えて申しますと、経済九原則の第一点に、綜合予算の均衡を図るということを言つている。これは誰も異存がない。併しながら二十四年度の予算におきまして、御承知のようにこれは均衡以上の予算で、大きな黒字予算を組んでしまつた。非常な行き過ぎであります。又第二の点につきましては、例えば收税計画を促進強化するということを述べております。これも異存はない。ただ、やり方におきまして、吉田首相自身さえも苛斂誅求だということを本議場でも言つておりますが、苛斂誅求という言葉が当る程の徴税強行をやつた。これも行き過ぎである。第三の点につきまして、例えば金融機関からの融資を嚴重に引締める。これもいい。これもいいが、この第三原則におきまして、司令部はこういうことを言つておる。国民経済の回復に貢献する諸事業への融資は、これは寛大に認めろということを言つている。にも拘わらず、政府はこの国民経済の回復に貢献する諸事業への融資さえも制限する方法をとつて来た。これも行き過ぎなんであります。第四の点、賃金の安定をやれと言つている。これもいい。併し賃金の安定ということは、決して賃金の釘付けではございません。ところが政府の方では安定と釘付けとを混同してしまつた。そうして釘付け政策を強行して来ておる。現在においてもその態度を改めない。これは正に勤労者の生活権の脅威であり、購買力の收奪であると言わなければなりません。かように九原則の実行の仕方において、或いは行き過ぎ、或いは過ちを犯しておる。而もそういう過ちやら行き過ぎはなぜ犯したかというと、これは日本経済が單一為替レートの設定をした結果なんです。為替レートの維持のことの方が大事になつてしまつた。そのための犠牲をこういう形で負わして来るということになつたのであります。他方におきまして、九原則の中において、例えば第八の点として挙げております。すべての重要国産原料と工業製品の生産の増大をせよということを言つておる。ところがこの点につきましては非常に怠慢なんだ。今日の御覽のように企業がどんどん倒れて行くときに、中小企業の災害が大きいということは、もう一般的な世論なんでありますが、そういう世論が出て来る程に企業活動を萎縮さしてしまつておる。これは重要国産原料と工業製品の生産の増大をするという九原則の趣旨と全く相反しておる。又九の点として、食糧供出計画の能率を向上するということを言つております。この第九点につきましても政府は誤解をしておりまして、例えば食糧の増産をやるとか、或いは食糧のコストの引下げをする。そうして世界的な競争に対面するというような政策をとらないで置いて、そうして逆に生産費も償わぬような米価の決定をやつて来た。或いは供出の強権的な強制をやる。これは全く九原則の精神と逆なことをやつておる。こういうことをやるのも、問題はどこにあるかと言えば、急いで單一為替レートを決定した、そのレートを維持したいがために、それに專念するが故に、こういう経済活動の萎縮、勤労階級の負担の増大というような政策をとらざるを得なかつたのだと私は考えるのであります。こういうふうな経済九原則の実行につきまして間違つた考えをとつて行つた結果が、今日一般に言われておるところの非常な金詰りを来たしておるのでありまして、この金詰りということは、九原則の間違つた実行の仕方ということの集中的な表現に過ぎないのであります。
 この金詰りの深刻化ということを考えます場合に、私が問題とする第二の点、即ち財政と金融との分離というこの問題に絡めてこの問題を考えて見たいと思う。財政と金融とを分離しろ、つまり政治と経済とを分離して、経済は経済でやつて行け、政治は経済に関與してはならぬというこの原則をとりましたが、そういう原則が今日の衰弱した日本において果して妥当であるかどうかということを本当に問題にしたことが曾てあつたかということです。経済が充実しておりまして、又経済活動が恒常的な段階にありますときには、国家即ち政府は、この経済活動に対しましていろいろの意味の干渉、いろいろの意味の保護ということをする必要はない。それは経済に任して置けばいい。政治と経済とはその意味において分離しておつても構わないのであります。併し経済が非常に衰弱しておるときは、政治の突つかい棒をしなければ経済回復はできない。それはどこの国の歴史を見たつてその通りだ。我が国の実情についてちよつと考えて見ますと、例えば金融面だけをとつて考えて見ますと、戰前即ち昭和九年、十年頃を見ますと、その当時通貨の発行高の平均が大体十五億円、十五億円の平均発行高があつた。その当時全国銀行の預金はどのくらいあつたかと申しますと、これも平均でありますが、大体八十八億くらいの預金があつた。即ち発行高の約六倍の銀行預金がありまして、この銀行預金が預金通貨として動いて商品の流通を媒介しておつた。ところが今日はどうであるかと申しますと、最近の通貨発行高は御承知のように大体三千億円見当なんであります。三千億円見当であるのに対して全国銀行の預金高は六千四百億円に過ぎません。即ち通貨発行高の僅か二倍の預金しかできておらない。戰前においては六倍の預金があつたが、現在では二倍の預金しかできておりません。だから預金が不足しておるということになる。他方生産指数を見てみますと、これは戰前の一〇〇に対しまして現在では鉱工業の生産指数は七五に上つております。又物価の方を見ますと、日銀卸売物価指数によりますれば、戰前を一〇〇といたしまして現在は二〇七五〇、即ち戰前の約二百七倍におつております。そこで生産と物価とを勘案しながら今日必要な通貨量の大体を推測いたしますと、戰前の約二百倍のものが必要であるということになる。ところで、戰前の通貨発行量は十五億円でありまして、今日では三千億だというのでありますから、これは正に二百倍に相当しておりますから、その点からだけ見ますと、通貨の過不足はないというようにも考えられますが、先程指摘いたしましたように、貯金の蓄積が前に述べたように非常に少額でありまして、預金通貨の面において非常な大きな不足がある。仮に戰前の通貨対預金の比率から申しますれば、今日銀行預金は約一兆八千億円、一兆八千億円くらいあつて丁度間に合う。これが六千四百億しかない。即ち銀行預金の面において一兆二千億円くらいが不足しておる、それだけ資本の蓄積がなつていないということだ。でありますから、金詰りが深刻にならざるを得ないのは当然だ。この深刻な金詰りに対しまして、政府即ち財政の面からの或る手助けがなければ、どうしてもこれは切り拔けられないことは分り切つておる。ところが政府の方では、今日の金融逼迫はこれはやがて緩和される、預金も増加しつつあるじやないかというようなことを言つておりますが、最近の預金の増加は、これは銀行決算期における銀行側の操作の結果現われて来ておるものが多く、いわゆるウインドウ・ドレツシングなんで、見せかけの預金が殖えておるだけの話なんであります。特に今年度の今度の補正予算並びに来年度の予算の大綱を見ますと、あれでは預金が殖える可能性は勿論ありません。特に勤労者の賃金を釘付けにしてしまうというようなやり方をやつておりますから、その面から預金が殖えることは勿論ありませんし、更に又地方いわゆる有産者側からの預金も殖えないと私は見ておる。それはシヤウブ勧告によりまして預金の秘密性が打破されることになる。預金の秘密性が打破されることになりますから、有産者の側でも銀行預金を忌避することになるに決まつております。現に御覽なさい。千円札の発行さえもなかなかできない。千円札の発行をすれば箪笥預金になつてしまうからというので、この発行を躊躇しておる状態なんであります。でありますから、こういうような事情の下において預金の増加を見通すなんということは、恐らく間違いであろうと私は思う。で、問題の根本は、財政と金融とを分離するというこの原則を、日本のこの衰弱した経済、蓄積の足りない経済にそのまま当て嵌めることが間違いであるというところにあるわけなんであります。現にアメリカにおきまして、今年度の予算に四十億ドルの赤字を組んだ。四十億ドルの赤字予算を組んだということは一つの大きな示唆であろうと思う。アメリカの事情は勿論過剩生産の故にああいうことになつたと思いますが、過剰生産であるにしろ、過小生産であるにしろ、とにかく資本主義経済が今日のごとく衰弱状態になつておる。特に日本は戰争の影響を受けて更に甚だしい衰弱状態に陥つておるというときに、政治的な支柱、即ち財政面からの経済の援助がなければ経済は立つて行かぬ。このことはアメリカ自身が証明しておる。それにも拘わらず、日本のこの衰弱した経済において財政と経済との分離を飽くまでも強行しようとする。例えば今度の補正予算におきまして、食糧管理特別会計の運転資金さえも、その運転資金さえも租税から繰入れて行こうという、こういう嚴格なやり方で、果して日本経済が立つて行くかということを、どうか皆さん方も愼重に御検討をお願いしたいと思うのであります。私はこれを以て終ります。(拍手)
    ―――――――――――――
   〔藤田芳雄君発言者指名の許可を求む〕
○議長(佐藤尚武君) 藤田芳雄君。
○藤田芳雄君 無所属懇談会は木村禧八郎君を指名いたします。
○議長(佐藤尚武君) 木村禧八郎君。
   〔木村禧八郎君登壇、拍手〕
○木村禧八郎君 私は日本経済再建の基本的構想につきまして卑見を述べまして、皆様方の御批判に訴えたいと思うのであります。
 先ず日本経済再建の意味でありますが、これには狹義の意味と広義の意味と二つあると思うのです。狹義の意味は、この間、経済安定本部で復興五ケ年計画というものを立案したときに、そこの復旧建設部会でとり上げたごとく、経済の再建復旧とは、電力とか鉄道或いは港湾、住宅、そういうものの建設、或いは河川の治水、或いは開墾とか都市計画、こういうものを一定の水準に復旧し建設する、これが狹義の意味の経済再建と思うのでありますが、更に広義の経済再建という意味は、これは一定の人口、例えば昭和二十八年における日本の人口が八千七百六十万人になるとすると、この一定の人口を完全雇用させまして、フル・エンプロイメントさせまして、そうして、この人口に一定の生活水準、例えば昭和五年一九年、この平均の生活水準をこの八千七百六十万人の人口に與え、そうして、この八千七百六十万人の人口に対して昭和五年一九年の生活水準を可能ならしめるところの日本の再生産規模を作り上げるというのが、私は日本経済の再建、広義の意味における経済再建と思うのです。私はこの場合、この広義の意味の経済再建を問題にいたしたいと思うのであります。
 そこで、この広義の意味の経済再建を行うに当りまして、先ずその性格が問題になると思うのであります。その性格としては二つあると思うのであります。その一つは、この経済再建が自主的な、自立的な再建でなくてはならない。これはマツカーサー元帥も、経済安定九原則を指令いたしましたときに、経済の自主性がなくては政治の自主独立はない、こう言われておりまするが、その通りでありまして、従つて日本経済再建をする場合において、どうしても自主的経済、自立経済ということが非常に必要であると思うのであります。吉田首相は曾て本院において、或る議員が自立経済、自主経済について質問いたしましたときに、これを自給自足経済と混同いたしまして、そうして日本は、これからは自給自足経済というような昔の軍国主義時代の経済に帰るのではない、こう答弁をされておりますが、私はこれはもう大変な失言であろうと思います。吉田首相は、講和問題に対しましてときどき失言をいたしましたが、それ以上に私は大きな失言であると思うのであります。日本経済の再建に当りまして、自立経済と自給自足経済を一国の総理大臣が混同しておるようで、どうして日本経済の自主的再建ができましようか。私は講和問題に関する失言よりも、この自立経済と自給自足経済に対するこの誤解、失言の方が、更に私は一層重大であるというように考えておるのでありまするが、(「脱線々々」と呼ぶ者あり)とにかく自主的、自立的経済というものが日本経済再建にとつて第一の大切なる性格であると思うのであります。それから第二には、言うまでもなくこの経済が平和的な民主的な経済でなくてはならない。即ち憲法に保障されているような文化的にして健康的な生活を八千七百六十万人の人間が平等にこれがエンジヨイできる、享受できるようなものでなければならないのであつて、一部特権階級に特権的な生活を保障するとか、そういうような内容であつてはならない。こういうふうに思うのであります。そこで、こういうような性格の日本経済を再建するに当りまして、私は四つの大きな問題があると思うのであります。
 その第一は言うまでもなく人口問題であります。人口問題につきましては、御承知の通り終戰後千人に二十人の割合で激増しております。終戰後最近までに八百万人も人口が殖えておる。これはスエーデン一国に匹敵する人口が終戰後最近までに殖えてしまつておる。この絶対的な人口増、これをどうして調整するか。これは重大なる今後の日本の経済再建にとつての問題であろうと思うのであります。第二の問題は、相対的過剩人口、即ち雇用の問題、エンプロイメントの問題、失業対策の問題であろうと思うのであります。それから第三の問題は、貿易バランスの問題であろうと思うのであります。貿易收支の問題、自立経済をやつて行く場合に貿易バランスをどうしてとつて行くか。国際收支をどうして合わして行くか。この点につきましては、日本の生産技術の問題、それから労働の生産性の問題、それから生産設備の改良の問題。更に日本の円貨の問題、一ドル三百六十円の問題、これは問題であろうと思うのであります。先程奧さんから一ドル三百六十円の円貨改定の問題についてのお話がありましたが、これは少くとも一割五分乃至二割の円貨切下げを行わなければならぬと私は主張するものであります。と申しますのは、三百六十円為替相場を設定したときに、これはもう円高過ぎたのであります。吉田首相は、三百六十円の為替相場は、アメリカ物価が低落したり或いはポンドの切下げが行われるであろうというような将来の事情を考慮して円安に決めたのである、最初一ドル三百円とか三百三十円の説があつたけれども、これを三百六十円に決めたので、円安に決めてあると言つておりますが、そうではないのであつて、その当時の事情を聽きますと、実は三百三十円に決める筈でありましたが、その後アメリカの物価が一割下つたので、これを三百六十円にした、従つて四月二十五日に一ドル三百六十円の為替相場を決めたときには、一月頃三百三十円説がありましたが、アメリカ物価の一割の低落を考慮して三百六十円に決めた。従つてアメリカの物価と日本の物価との関係においては三百三十円と同じことなのであつて、決してこれを円安にしたのではないのであります。従つて三百六十円というものは、決して将来のことを見込んで円安にしたのではない。これは今年の一月から四月までのアメリカ物価の低落を入れて三百六十円にした。従つて三百六十円が円安であるという吉田首相の、将来を見込んで円安にしたのだというあの説明は、間違つておると私は思います。若し一ドル三百六十円の為替相場を変えないで、これをどうしても維持して行くとすれば、日本の経済は自主性を失つてしまうのです。固定した日本の対外価値によつて三百六十円を何でも維持するために、日本の経済は三百六十円くらいにおいてアジヤストしなければならない。少し通貨を余計に殖やそう、物価を上げようとしてもできない。雇用を殖やそうとしてもできない。賃金を上げようとしてもできない。生活水準を上げようとしてもできないのです。一ドル三百六十円という対外価値を固定することによつて、日本の経済は自主性を失つてしまう。彈力性を失つてしまう。こういうような為替政策はとるべきではない。日本経済の自主性を失わしめるものである。そういうふうに思うのでありますが、若し三百六十円を変えませんと非常な出血が来ると思うのです。私は、少くとも世界の物価の低落、それからポンドの切下げ或いはこれからの価格調整費の補助金の削減等によつて、少くとも五割程度の日本の国内の生産費を切下げなければならない。併しながら海外のポンド地域における輸入物価の値上りその他がありますから、彼これ差引いて、私は、ローガン方式その他によつていろいろ生産費を切下げんとしてどうしても切下げることができない分、即ち二割程度は円価の切下げを行う、行わなければ失業、労働強化、賃金の切下げ、こういうものが起つて、非常に日本経済は混乱に陷ると思うのです。そういう点が問題になると思います。それから第三は、生活安定と資本の蓄積、これは先程波多野氏を言われましたが、日本の経済再建に関して余り資本の蓄積がひど過ぎる。そのために国民生活が非常に圧迫されておる。国民生活の安定と資本の蓄積との調整をどうするか。これがやはり日本経済再建について重要な問題であると思う。更に第四には、投資と市場の問題、インヴエストメントとマーケツトの問題、例えば石炭四千二百万トンを本年計画として堀つてしまえば、これは売れない。売るところのマーケツトがなくて滯貨となつてしまう。こういうふうな不経済な経済になつております。このインヴエストメントとマーケツト、これをどう調整するか。この四つが日本経済再建について重要な問題であると思うのです。
 ところで、こういう内容を含んだ日本経済を政府はどういうふうに再建しようとしておるか。日本の経済はどういうふうに再建されようとしておるか。先ず波多野議員も言われましたように、経済安定九原則の線に沿うて再建方策は進められておるわけであります。それに則つて、いわゆるドツジ・ラインによつて日本の経済の再建工作が進められると思いますが、このドツジ・ラインは、私に言わせれば、これは通貨面からの安定工作をやつておるのである。そうして極めて古典的な、クラシカルな安定方策、即ち財政面と、それから為替面、その二つの面から一挙にインフレを抑えて行く。そうしてその後は日本経済の自主性によつてこれを調整を図つて行く。あとは統制をどんどん撤廃して、そうして日本経済の自然調節に任して行く。即ち経済の合理性、採算性或いはこの価格の作用による、プライシング・フアンクシヨンによつて経済の調整を行なつて行く。或いは有効需要によつてこの経済の調整を行なつて行く。こういう政策になつておる。果して私はこういう有効需要政策によつて、或いはこういう経済の合理性を貫くという採算主義によつて、日本の経済の、先程申上げたような内容の再建ができるかどうか。私はできないと思います。
 更に、超均衡予算を組みましたために、インフレの処理から起つたところのいわゆる安定恐慌は、必要以上にこれはひどくなつている。その上に対外面から来るところの、これは調整恐慌、即ち為替相場を円高に決めておるために来るところの、海外物価に対して日本の国内物価を鞘寄せしなければならないことから起る調整恐慌もこれに加わつておる。その調整恐慌も、ポンドの切下げ、海外物価の低落、補助金の削減によつて更にひどくなつておる。こういう内容になつておるのです、一言にして言えば、自由経済方式によつて日本経済再建をやろうとしておる。即ちアダム・スミスの見えざる手によつて導かれて、先程申上げたような日本経済の再建を図ろうとしておるのでありますが、果してこれでできるでありましようか。財政面において抑えられており、赤字を出すことができない。そこで、この非常な安定恐慌或いは調整恐慌、いわゆるデフレ恐慌を、これを緩和する途はただ金融政策より外はないのです。ところが日本銀行から貸出しを多くする金融政策によつてこれを緩和しようとしましても、日本の今の金融機構、又今の日本の銀行、こういうところに金を出して、果してその銀行が計画的に日本の経済を再建する方面に金を廻すでありましようか。今のようなデフレを続けて行くならば、私は日本経済に必要な産業までも潰れてしまう。有効需要がなければ産業は成り立たないと、こういうような方式なんです。で、私はそういうような、今吉田内閣がとつておるような自由経済方式によつては絶対に日本の経済の再建ということはできない。先程申上げたような意味での再建は、私はできないと思います。どうしても計画経済エコノミツク・プランニングというものを、マニタリー・ステイビライゼーシヨンの裏付け、通貨措置に裏付けをしてこそ、初めて私が先程申上げたような日本経済の再建というものは可能であると、その下において初めて日本の昭和二十八年において八千七百六十万の人達が、平和的にして民主的な、文化的にして健康な生活を私は送ることができるのであると、そういうふうに確信しておるものであります。(拍手)
    ―――――――――――――
   〔岩間正男君発言者指名の許可を求む〕
○議長(佐藤尚武君) 岩本正男君。
○岩間正男君 日本共産党は板野勝次君を指名します。
○議長(佐藤尚武君) 板野勝次君。
   〔板野勝次君登壇、拍手〕
○板野勝次君 私は日本共産党を代表して日本経済再建について所見を述べて見たいと思います。
 凡そ日本経済再建のためにはいろいろな問題が取上げられておるようでありますけれども、これは併しながら、もはや今日となつて見ましては、少々の小手先の細工では、につちもさつちも行かなくなつて来ていると申すより外ないのでありまして、今期国会におきましても、日本の進んで行つておる方向は誠に暗澹たる方向に向つて来ておるのであります。吉田総理は施政方針演説の際に、インフレは進行を停止して国民経済は正常安定化していると、こういうことを申したのであります。併し経済が正常安定化していない証拠には、本日、日本経済再建についてという問題を論議しなければならない中に、吉田総理は日本一の大嘘つきであつたということを証明しておると思う。第一次の吉田内閣は、闇とインフレを強力に進めて参りました政府であります。今度の第三次の吉田内閣は、経済恐慌と産業破壞をやつて来る内閣であります。総理が第四国会で申しましたごとく、終戰以来今日まで政府が進めて参りましたものはインフレ政策でありましたが、このインフレの政策によりまして身ぐるみ勤労大衆は素裸かにされてしまいました。そうして購買力は底を突いてしまつた。国内市場は全く行詰つてしまつた結果、この日本経済は国内市場を頼りにしてはもはや再建ができないというので、飢餓輸出を中心にしたところの貿易に再編成しまして、貿易によつて血路を開こう、輸出によつて血路を開かなければならないと、ここに政策を転換して来たわけであります。従つて吉田内閣は経済九原則も独占資本本位にこれを実施しまして、重税と、首切りと、そうして安い賃金の土台の上に、本年度の予算を組む場合におきましてもこの基礎の上に組んで、そうして日本経済を貿易中心に再編成し、これを中国資本に従属させて、同時に買弁的な独占資本の支配を確立しようとしておる。こういう方向しかとつていないのでありまして、これを吉田内閣の貿易政策について見ましても、第一に生産が上昇する以上に輸出の増大を狙いまして、国内に必要な品物を飢餓輸出をやつて行く。第二には、飢餓輸出のための原材料、そうして輸入食糧をますます増大して行つておる。而もこの貿易が高い価段と高い運賃、そうしてその輸入の額は著しく厖大になつて来まして、ますます入超の額を高めて来ておる。而も餓飢輸出を強行すればする程、日本の経済はますます細つて行き、收奪されて行く。この負担は全部人民大衆の上に転嫁されて来ておるのであります。第三には、輸入の市場や、輸出の市場が片寄つておる。そうして少しも永続性がないばかりか、発展性さえもない。而もこういう将来性もない、発展性もない上に厖大な貿易計画を立てております結果、賃金を引下げて、そうしてコストの引下げを強行して来、このために勢い国外市場に対してはダンピングとなつて行き、輸出の面では日貨排斥の運動を招くような方向に持つて行き、更に輸入の面におきましては、外からの押付け輸入に依存しておる。こういう貿易政策の上に立つておる。第四には、吉田内閣の貿易政策では飢餓輸出の計画が集中生産と結合しておりまして、そこから産業の大規模な崩壞と中小企業を沒落させる、こういう結果に導いておりまするし、第五には資本主義の市場がますます狹隘になつて来ておりますために、吉田内閣の貿易政策が計画通りに実現することは全く不可能なような状態になつて来ているのであります。現に輸入の滯貨はすでに八月末で八十億、輸出の滯貨は日銀の調べによりますると、六月末には八百四十億、このうち最後の七割は輸出の不振であると言われ、その三割は国内の購買力の不振であるということを日銀の調査は発表しているのであります。こういうふうにしてお先真暗な貿易をやりながら、前の国会におきましては全く自主性を失つた見返資金特別会計法を通過させて行き、そうしてこの援助資金を頼りに我が国の巨大なる資本を助けて行くという政策をとつて行く。今期国会におきましては、国内における自立の体制を放棄する一歩といたしまして、帝石法案或いは日鉄法案等のいずれも外国資本に依存するような政策に推し進んで行き、我が国の民族資本を守り、国内の自主的な体制を確立しようとする熱意は何ら見えていない、更に又吉田政府は、外国為替よび外国貿易管理法案を今期国会に提出するに至りまして、どこまで日本の国内体制を自主性を失わして行くか、国内の体制を破壞して行くのか計り知れないような状態にまで追い込んで来ております。而も外国為替及び外国貿易管理法案が国会を通過するようなことがありますならば、従来の石炭や鉄鋼などの国内産業に優先的に資金の融通をしておりましたものも、これを貿易第一主義に更に切替えて参りまして、国内の産業は破壞され、企業の金詰りは更にひどくなつて参りまして、そうしてこの集中貿易の結果、中小貿易業者や銀行は最後的な打撃を受けなければならない。そうして逆に外国の銀行や外国の商社の進出というものを自由に許して参りまして、日本の貿易、延いては産業を外資の制圧の下に置こうとする。こういうふうな方面に導こうとして来ているのどあります。このような危險な状態のうちに我々は安閑として日本産業の再建についての悠長な考えを述べているときではないと思う。私達は何よりも先ずこの危險な状態の中から自主性を回復する途を見付け出して行く。これなくしては日本の産業再建も日本の独立も断じてあり得ないでありましよう。若しこの状態にして推移して、單なる金融技術や、單なる為替技術や、單なる電源開発を口先だけで叫んでおるならば、一歩を誤まりますならば、日本の独立は望み得ない、こういうふうな状態に行くより外ないのでありましよう。私達はここにどうしても思い切つて国内の体制を変えて行かなければならない。飢餓輸出の貿易の体制を切替えて、外国に市場を見出して行くよりも先ず国内における体制を確乎として打立てて行く。こたがためにはどうしても今大衆の上に重税がかけられておる、或いは安い賃金で労働者を苦しめて来ている、或いは農民には低い、採算の償わない米価を押し付けて来ておる、こういう体制をやめてしまわなければならない。いわゆる大衆に対する重税や、低賃金政策というものを変えて行かなければならない。外国依存の片貿易や、或いは不自然な遠隔の貿易をやめてしまつて、そうして国内市場を開発して行く、これより外ないでありましよう。
 一番日本経済再建の根幹をなしますものは、何と申しましても、講和会議を前に控えておる日本は、従来と雖もポツダム宣言を嚴正に実行して来ていなかつたのであります。我々は再びここでポツダム宣言を読み返して見、どの部分が実行されていないかへ検討することこそ日本経済再建の唯一の途であると考えるのであります。(拍手)吉田総理は数日前の参議院の議院運営委員会において「ポツダム宣言にあろうとなかろうと」、こういう言葉を吐きまして、ポツダム宣言さえも場合によつては無視するという態度を表明するかのように窺えたのでありまして、このような考えを持つておる吉田内閣がこの春以来憲法も無視し、極東委員会の十六原則も無視してしまつて、勤労大衆に無謀なる彈圧を加えたり、或いは朝鮮人学校の閉鎖を命じたり、或いは労働組合の分裂政策さえもとつて来た。ますます勤労大衆を圧迫して来た。これでは吉田内閣の飢餓輸出政策と共に、国内の自立体制を失つて行く方向になるのであります。私達はそのような方向でなくして、もつと我が国の民主化を推進して、国会議員の諸君が憲法を無視するがごとき吉田内閣の態度に対しては一歩も讓らない。民主主義を徹底して、ポツダム宣言を嚴正に実行するこの態度をとつた上に、今重税に喘いでいるところの日本の国民に何よりも先ずその負担を軽減し、大衆課税を撤廃し、食える労働賃金、繰返して申上げますが、生産費を償う米価等の上に、今までのような大資本を儲けさせる物価体系ではなくして、人民の生活の安定を期し得るような物価体系を立てた上に、平和産業の無限の拡大を図つて行かなければならないでありましよう。これがためには、どうしても今まで行われて来ましたような大資本本位、大資本を中心とした産業の、経済のやり方を切り替えまして、国民本位の人民本位の産業に切り替えて行くより外ないでありましよう。貿易につきましても、自主性を持つた貿易に切り替えて来る。これ以外にはないのでありまして、我が党が提唱いたします貿易の自主性、貿易を国営に移してこれを人民のために運用して行く管理機構の確立、重要産業並びに金融機関をも又国営に移して、これを人民の利益のために運用する管理機構の確立をやつて行く。(「時間だ」と呼ぶ者あり)この上に立つてのみ初めて我が国の経済の再建の一歩を踏み出すことができるでありましよう。
 併しこれを行つて行く先ず最初の切つかけとなるものは、何よりも先ず我が国の中央政界に暗雲を垂れておりますところの不正腐敗を徹底的に追及し、先ずこのことから始めなければならないでありましよう。例えば薪炭特別会計の不正の問題、赤字の問題、食管の会計の赤字の問題を初め、各種公団の不正から、各種独占的な大会社内における様々なる不正、(「時間だ」と呼ぶ者あり)この不正を追究し、これを抉り出すことによつて、この不正をなくしてこそ、初めて我が国の経済の再建の第一歩を踏み出すことができるのでありまして、この途を選ぶ勇気が議員諸君にあるかどうか。一に再建の鍵がここにかかつておることを強調するものであります。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十二分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、日程第一 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案
 一、日程第二の請願
 一、日程第三 自由討議