第006回国会 予算委員会 第11号
昭和二十四年十二月一日(木曜日)
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  本日の会議に付した事件
○小委員長の報告
○昭和二十四年度一般会計予算補正
 (第一号)(内閣提出・衆議院送
 付)
○昭和二十四年特別会計予算補正
 (特第一号)(内閣提出・衆議院送
 付)
○昭和二十四年度政府関係機関予算補
 正(機第一号)(内閣提出・衆議院
 送付)
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   午前十一時二十三分開会
○委員長(黒川武雄君) これより委員会を開会いたします。薪炭需給調節特別会計予算に関する小委員会の委員長高橋委員より報告を求めます。
○高橋啓君 薪炭需給調節特別会計予算に関する小委員会は、予算委員会の決議により、付託された事項について審議いたしました経過を御報告いたします。
 本小委員会は十一月二十九日及び三十日の両日、農林大臣及び林野庁、大蔵省、会計検査院、経済調査庁、国家地方警察本部係官の出席を求め、質疑を重ねました結果、一応の所見を得ましたので、ここに簡單に要点を御報告いたします。併し何分にも短時間でありますので、複雑な本会計の内容につき委曲を盡し得なかつたことを申添えます。本特別会計が今日のような事態に立ち至つた主なる原因は、帳簿と現物の照合、即ち棚卸しが、林野庁においても会計検査院においても、長い年月殆んど行はれなかつたことに基因したものであります。右について、林野庁が会計検査院に委託検査においても、帳簿上の数字のみによつたことは特に遺憾でありまして、林野庁の人員等の関係上、一齊調査が不可能であつたならば、時々一部につき徹底的調査を行うことによつてでも、今日の結果は相当喰い止め得たことと思います。会計検査院が実地に調査を行い得なかつたことについては、その人員等から見て止むを得なかつた点でありますが、本年三月三十一日現在により長野県二郡について一齊徹底的調査を行つたことは、本特別会計の実態を明らかにする動機を與えたものでありまして、会計検査院のこの施行を待たないで、林野庁がこのような調査をしばしば行うべきであつたと思います。以上の点から考えまして、事業会計、公団会計については、特に重点的に、事業の進行と並行して会計検査を嚴重に行い得るよう、検査院の機構の拡充が必要と思われます。
 本特別会計に併う犯罪は、特にいわゆる空供出が多いようでありますが、今までの検挙の結果によれば、大規模のものは少なく、最高一件二百六十万円程度であり、政治的背景を有するものであるかどうかは、今のところ不明であります。国家地方警察においてと、捜査並びに検挙を続行中であります。
 未收金の多額に上ることについては、林野庁出先機関の措置宜しきを得なかつた例も認められ、その甚だしきものは会計檢査院から第五国会に報告されております。尚昨年十一月、配給機構を卸売及び小売の二階段にし、且つ卸売及び小売を複数制にしたための事務の錯綜、早急の登録制施行によつて、店舗選択の不適性等によることも認められ、特に最近における延滯は、本会計廃止に伴い、本会計の金融的機能が停止した結果、業者の資金難に基くものもあるとの観測も注目すべきでありますが、卸売業者中には、故意に政府に対する支拂を遷延する者もあるやに伝えられています。今後の整理については、農林省の方針は、未收金二十二億五千余万円は、大体三月末までにあらゆる手段を以て極力徴收し手持ち現物十億六千余万円は、十二月末までに売却を終了し、いわゆる現物の不足については、明年九月までに追求取立を完了するとのことでありまして、本院は今後不断にその成行きにつき注視する必要があります。
 尚会計検査院は、過年度分支拂について、会計法第二十七條違反として次期国会に報告する予定でありまして、この面からも審査の機会がある筈であります。
 本特別会計は、現在清算進行中でありまして、本事業の対象とする薪炭の生産、供出に困難を伴う特殊事情もあり、今後も多少債務の増加することも考えられますし、本年七月末買上げ停止による集荷業者及び生産業者の受けた損害については、今後愼重に調査、検討を要するものでありまして、その結果今後多少の支拂の増加も考えられますが、政府としては今後さして多額の追加繰入を要しない見込みであるとのことであります。
 本予算の五十四億七千万円の使途は、大蔵当局の説明をも聽取した結果、政府の方針が薪炭証券の償還のみに充てるものではなく、優先して集荷業者並びに生産者の債務の支拂に充当するものであることを確認いたしました。
 小委員会の所見は以上の通りでありますが、これらを勘案の上、五十四億七千万円を一般会計より薪炭特別会計に繰入れることの決定は、予算委員総会に譲ることにいたした次第であります。尚附加えて置きますが、各党から選ばれました委員全員がこの報告書を承認いたしております。
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○藤野繁雄君 私は本予算案と関係がある法律案について質問したいと思うのであります。予算案によつて見まするというと、油糧公団に十億一千六百万円、肥料公団に三十二億七千八百円の出資をするということになつておるのでありまするが、未だ私共の手許にはこの両公団の改正法律が出ていないのであります。從つてこの予算案を通過させるといたしましても、予算の執行上に支障があると考えるのでありますが、農林大臣のこれに対する御意見を承わりたいと思うのであります。
○國務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。只今藤野委員から御質問になりました両公団に対する資金増額の法律案は、本日政府により提出いたしましたことをお答えいたします。
○小川友三君 本委員会に提出された予算案に対する質疑打ち切りの動議を提出いたします。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
○委員長(黒川武雄君) 小川委員の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(黒川武雄君) 御異議ないと認めます。それではこれから討論に入りますが、暫くこのまま休憩をいたします。速記は帰らないで下さい。
   〔速記中止〕
○委員長(黒川武雄君) 速記を始めて下さい。これより委員会を再開いたします。只今理事会の打合せによりまして、討論は午後一時に正確に始めることにいたします。各党代表お一人づつとして、所要時間は先ず十分ぐらいということに決定いたします。御承知を願います。これを以て一時まで休憩いたします。
   午後十一時三十九分休憩
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   午後一時二十六分開会
○委員長(黒川武雄君) これより委員会を再開いたします。討論に入ります。討論は賛否を先にお述べになりまして、そして御討論をお願いいたします。帆石委員。
○帆足計君 今回緑風会を代表いたしまして、次のような強い要望、條件の下に、これらの要望並びに條件が今後の予算の運営に反映され、又次期の予算編成に反映されますことを前提として、本補正予算に賛成の意を表するものでございます。
 講和会議を前にいたしまして、日本経済の安定自立ということは最も急を要する問題でありますけれども、敗戰の日本経済が自立安定を確保しますためには、尚復興のために、或いは補修或いは合理化或いは建設のために幾多の努力を必要とする情況でございます。然るに現在ドツジ公使の指示等によりまするところの経済政策がやや行過ぎた感がありまして、デスインフレの当初の目的がデフレに過ぎるような傾向を帯び、産業界並びに国民経済は非常な不況にさらされておるような現状でございます。然るが故に我々といたしましてはこの行過ぎのデフレを緩和いたしまして、建設的な安定を目途としたところの、せめてデスインフレの線に修正して頂くということが最も必要な要件ではなかろうかと存するわけであります。このような前提の下に、日本の復興のために最も今緊急な点であるところの諸点に重点をおいて頂きたいのでありまするが、なかんずく水力電源の開発並びに食糧の増産は最も急を要する問題でございます。これらに関連いたしまして治山、治水と電源の開発とを結び付け、更に土地の改良、災害の復旧等食糧増産樹立のため一段の政策の強化を必要とすると考えられます。
 尚食糧対策に関連いたしまして、現在農業関係の五公団の今後の方針につきまして早く政府の方針を明示して頂きたいと思います。
 尚現在食糧検査につきましては、人員の不足のために多大の支障を来し、生産者、消費者共に非常な支障を来しておりまする点等につきましても、至急人員を増加し、必要な設備を施して頂きたいと思います。これらと並んで工業におきましては産業の合理化、能率化のための資金を必要といたしております。更に前に述べましたような各種の補修、建設、合理化のための資金を政府は当然用意すべきであると存じます。
 尚これらの国土開発と並びまして科学技術の振興並に特に教育文化費につきまして格段の注意をされたいことを、御注意を喚起したいと思います。現在日本国民の生活は非常な不安と又苦痛にさらされておりますけれども、現在の敗戰のあとを受けまして、当面の生産水準の下におきましては、全面的に国民生活を今向上するということはまだ不可能に近い現状でございます。然るが故に苦痛にさらされております国民生活に対して、重点的にこれらの安定政策を図りますためには、食糧、衣料の安定はもとよりでありまするけれども、特に住宅復旧並びに医療費の節減合理化等につきまして格段の御努力、又当面深刻な問題でありますところの失業に対しまする対策も一段と必要であろうと考えます。医療費の問題につきましては、ストレプトマイシンが結核の特殊の症状につきましては非常な効果がありますにも拘わらず、政府の説明によりますると、その生産が完成しまして尚七万人分程度、当面は二十万の患者に対しまして二万人ぐらいの手当しかないというような驚くべき状況でありますので、これらの政策の運用によりまして、アメリカのみならずイギリス、又はドイツ、フランス等からの輸入によりまして、至急に国民の必要とするだけの数量の確保、これは不可能なことでないわけでありますから、他の方面の輸入を節約しても、それらの人につきましては、政策の運用によつて国民の期待に応えて頂きたいと思います。尚今後予算の実行に当りましては、冗費を極力節約し、国民の負担の軽減を図るべきであるのでありますけれども、今次薪炭特別会計の示しました赤字等につきましては、その調査の結果、幾多不行届の点が指摘されました点は我々の最も遺憾とするところでありまして、このようなことの再び起らないように政府当局の自粛自戒を要望いたしたいと存じます。緑風会といたしましては、前国会におきまして食糧の増産、住宅の復興、文化教育費等の追加につきまして意見を提出し、各会派の御賛成を得たのでありまするけれども、諸般の情勢に鑑みまして、当時一応保留せざるを得ない立場におかれました。今次の補正予算におきましては、これらの点の若干が採用されておりますることにつきましては満足の意を表するものでありますけれども、只今申述べましたような諸点を考えまするときに、尚不満の点があつたと指摘せざるを得ないのであります。然る故に只今申述べましたような條件並びに要望を、今後の予算の実行、諸政策の実行並びに来年度の予算編成に、十分これを参考にしまして我々の要望を汲みとりますことを前提として、期待いたしまして、そのような努力な我々の要望と條件の下に今次の補正予算案に賛成いたしたいと思います。
○委員長(黒川武雄君) 岩間委員。
○岩間正男君 日本共産党は今次の補正予算に対しまして全面的に反対するものであります。本国会が召集されたそもそもの目的というものは、吉田内閣の悪政の強行によつてあらゆる国民層に破綻が起つて来た、その政策の破綻をここで拾收するような予算をはつきり組むというところにあつた筈なのであります。現在国民の各層に、どのような一体現実的な要求が起つているかということを先ず最初に考えて見ますと、第一に、産業資本家の側におきましては、滞貨が莫大なものに達している、而して又それと共に金融難が異常な形で起つているのであります。特に長期設備資金というようなものが非常に欠乏しておる、これに対する要望が非常に多い、又有効需要に対する増大、こういう点においての要望が非常に起つておるのであります。又中小工業者の側におきましては、いろいろな破壊的な現象がありますが、特に税金を減らして貰いたいという要求は、これは全く今日彼らの一致した要望ということができるのであります。更にそういうような状態でありますから、明年末の税金は納めることができない。来年のことはどうなろうともこの年の瀬をどう超すか、このことに非常に苦悶をしておるのであります。從つてこれに応えることが必要である事柄であります。第三に農民の側においてはどういうことが起つておるかと言いますと、これは生産費を償うところの米価をはつきり設定して貰いたい、更に又輸入食糧なんかとの連関におきまして、農村恐怖は非常に最近その影を深くしておる、これに対するところの対策をはつきり樹立することを切望しておるのであります。第四番目に労働者側におきましては、何と言いましても現在の饑餓的賃金ではやり切れない、従つて当然これは法の命ずるところによつて賃金ベースを改訂して貰いたい、ベース改訂の要求は今日熾烈な要求としてなされておるのであります。又失業者が巷に溢れておる。従つて失業者対策に対するところの要望も、これは非常な大きな声となつておる、又年末越多資金のごときも、これは現実的な誠に当面した問題として深刻な要求となつているのであります。更に又我が国の教育文化の面におきますると、六三制のこの破壊的な現状、これに対する対策又最近経営が成立たなくなつておりますところの私学に対する貸付金をもつと大幅に殖やして貰いたい、更に科学研究費、生徒の側におきましては、育英資金の大幅増額ということが要求されておるのであります。更に国民の間に今日期せずして起つておりまする要求としましては、無闇に外国に頼らない、現在広域に世界を襲いつつありますところのこの経済恐怖の中で民族産業をはつきり確立する、そうして自立的な国民経済を強力に再建するというような要望が総体的に起つておる筈であります。從つて当然このような切実な要求を取上げて我々国会はこれに応えなくちやならないし、又政府は当然これに対して善処すべき筈なのであります。
 ところが今度の補正予算に当つてこれらの、以上挙げましたところの要求が果して実現されておるかどうか、私はこの予算を隅々から眺めたのでありますが、以上申しましたような要求が全く片鱗だに果されていないという、完全に国民大衆の要求が踏みにじられておる実態を見ざるを得ない、これは誠に残念なことであります。先ず第一の産業資本家に対する対策としまして、滞貨処理、有効需要の増大等の要求に対しましては、政府は独占価格の維持ということを飽くまで中心にしてそうしてやつておりまするところの補給金の撤廃に見られるように誠に、目茶苦茶な物価政策を採つておる、又有効需要の増大に対しても、殆んど役にも立たないような誠に雀の涙ほどの公共事業費しか出していないのであります。災害復旧におきましては政府みずから認めておる必要額の僅か十分の一にも足らないというような予算しか組まれていない。次に中小企業の要求でありますところの税金に対しまして、政府は国会を開く以前からしましてシヤウプ勧告以上の減税をするということを謳つておる。これをじやんじやん鳴物入りで宣伝しておつたはずであります。併しながらここに現われたところの減税の姿はどうであるか、誠に国民大衆は失望せざるを得ない、誠に秋風落莫というような感じであります。来年の減税のことは誠に空公約になろうとしておる、こういう中で、而も一方におきましては年末更正決定はますますこれを強行しようとしておる、何らこれに対する緩和策というものは考えていないのであります。又農民に対しましては、米価を引上げろという要求に対して、これは米価審議会の低いあの結論をさえも踏みにじつて、かかる四千二百五十円というような生産費を割るところの米価を押し付けておる。それだけじやない、更に輸入食糧を三百万トン以上輸入しまして、それとの関係におきまして農村の増産態勢というものはますます破壊される形になります。これを国際経済との関連におきまして、世界の恐慌を輸入するというような形におきまして、農村の恐慌は現下ますますその姿を深くしておる、こういう形になつておるのであります。こういうやり方ですから農民の側から非常にこれに対する不満と不平が至るところに起つておる。労働者に対する対策、これはもう誠に吉田内閣の最も貧弱なものの最たるものということができる。給與改訂は絶対にやらない、人事院の法的な措置によるところの勧告さえも今日国会に出されていない、越多資金止むに止まれないこのような要求、これに対しまして政府は当面しておるところの障碍を突破して、この要求にはつきり応えようとするような、かような誠意のある手が打たれていない。減税によつて実質賃金は上昇するということを言つておる。併しながらそれらの説明の中に、政府のからくりのあるところの一つのデーターによつてなされておることは、今日労働者の生活実態をはつきり我々が検討して見れば、如何にそこに大幅の深い溝があるかということが分るのであります。過般のCPIによつて政府が説明したところによりますと、この実質賃金の計算の中には、広汎に起つておりますところの賃金の遅配欠配というものは考慮に入れていないとはつきり労働省の政府委員が答弁されておるのであります。これは有効な措置にはならない。こういう言い訳で労働者の腹が膨れるわけはないのです。労働者の生活実態によりましては、現在一ヶ月三千円から五千円の赤字が起つておる、誠に皮を剥ぐような生活をしておるのが実態なんでありまして、これに対して応える何らの措置もなされていないのであります。それどころか更に第二次行政整理が当然強行されようとしております。企業整備もこれに伴つてまさになされようとしておる。而も失業対策におきましては、誠にこれは政府の説明を聽いたのでありますけれども、問題にならない、半失業者を含めて一千万人に上ろうとしておる産業予備軍の厖大な発生をしておる社会情勢に対しまして、果して現内閣のこのような貧弱な対策を以てどうして切抜けるか、我々はむしろ聽いて見たいところであります。次に教育、文化の面におきまして六・三制の予算は、両院の決議、全国民の要望によつて政府は止むを得ず十五億というような問題にならない予算を出した、併しこれは誠に言い訳に過ぎないのであつて、当然これを遂行するために、裏付けとしての厖大な予算が地方財政並びに国民大衆への寄附強行というような形でこの方に重くのしかかつて来るのであります。私立の貸付金、これも一億二千万円、これで以て戰災後の破綻に瀕しておる私立がどのようにこれを一体使えるか、而もこれを條件としまして一方私学校案というような、官僚の勢力をカムバツクさせるような一つの法案が、昨日委員会を通過してまさに国会に、本会議にかかろうとしておる状態であります。科学研究費、これも今度の補正予算には何ら組まれていない、来年度五億ということも言われておりますけれども、これもノーベル賞の湯川博士を出したというような、こういう態勢に何ら応える形にはなつていない、育英資金に至りましては、これは最近の学生のアルバイト生活が、失業者の群によつて、どんどん蚕食されつつある。更に農村恐怖が非常に強行されておりますとき、農村の子弟から非常に切実な要求が起つておるに拘わらず、この増額は、今年度は、この補正予算においては一文もなしで、来年度僅かに五〇%ぐらい増そうとしておりますが、これは物価の水準から考えましたときに、新規採用ということは殆んど不可能という形になつております。
 このような切実な国民の生活の要求に応える予算の措置がなされていないのみか、いやむしろ今度の補正予算の性格は、やつていることが何もならない、というのは私の言い方が悪いのでありまして、実は一方においてやつておる。それは何かというと吉田内閣の失政と不正、腐敗、そういうようなものを尻ぬぐいするための措置が殆んど大部分、この予算の中には多く組まれているのであります。それが而も人民の血の出るような税金からとつたところのものによつて賄われておる。これは多くを挙げなくても薪炭特別会計におけるところの五十四億の、このための措置、食管関係における百七十億、公団に出資しました四十二億等、これらの厖大な歳出を検討しますというと、これらの性格がはつきりしておる。更に運賃を引上げ、大衆の負担によつてこれらの赤字を埋めようとしておるのであります。更に大衆の要求を何らここで容れようとしないから、当然これに対する熾烈な要求が起つて来る、それを何らかの形で以てこれを押え付けなくちやならない、従つて弾圧的な予算は今度の補正予算において増加しておるのであります。例えば、裁判所の諸費の増大とか、ガソリン税創設費の名目を藉りたところの警察費の増大、警察電話が非常に拡充される、こういうような方面にこの予算が使われておる。補正予算の、而もこの性格は、單に補正予算だけの問題でなく、実は十五ヶ月予算のその氷点下に沈んでおる部面は隠されまして、そうして水上に現れた部面だけが示されておるというような形になつておるのでありますから、その二十五年度の予算を検討すれば、ますますこの性格はこれは強化されるということは、今から我々ははつきり指摘することができると思うのであります。
 更にここで注意しなければならないのは、このような予算は、このインチキな、でたらめな予算の背後に、こういうような政策を通じまして現在の日本の民族の自主性、こういつたようなものをどんどんと破壊しそうして国を売るような政策がはつきり着々と実行されておるということであります。即ち新らしい貿易の方式をとつて、輸入振興によるところの協定貿易、こういうものが今日どんどんその態勢が増加されつつあります。これは結果におきまして、外国の恐怖を輸入することであり、日本経済を外国独占資本の従属の下に売り渡して国内産業の崩壊を必至ならしめる方向なのであります。これらの最もはつきりした現れは、昨日本院を通過した外国為替及び貿易管理法であることは明白であります。吉田内閣のこのような売国政策は、なしくづし的に崩壊の道をとらすことであります。全面的講和の途を閉すことであります。吉田首相は本委員会において全面的講和を、これを希望するとこう言つておる。併しながらこれを裏付けるところの政策、財政的な措置、これは何らなされた形がないのである。而も單なる希望としてその希望を表看板にすることによつて、実はその裏におきましてはどんどん單独講和、なしくづし講和の仕事が強化されておるのであります。このような実に日本を危うくするような政策の現れであるところの本年度の補正予算に対しまして、私は日本共産党を代表しまして全面的に反対を表明するものであります。
○委員長(黒川武雄君) 岩木委員。
○岩木哲夫君 我が民主党は今回の補正予算につきましては、不満を持つものでありまするが、通さんよりはましだという観点におきまして、後で申上げまする強い希望條件を條件といたしまして賛成をするものであります。元来私達が臨時議会を召集せよと要望したゆえんのものは、当面する災害復旧或いは失業対策、又当面する乃至は長期のこの金詰り打開に対する対策、シヤウプ勧告等に基く税制改革の急速実現化、生活安定と賃金の問題の解決施策、見返り資金の急速活用化を願い、又輸出滞貨に対しまする対策を至急採るべきであるという要望に基きまして、臨時議会の開催を要求したのであります。ところが、現れましたるこの今回の補正予算のその内容、性格が、今先に申上げましたような要点は、政府自身も当初から夙に御了承の上、恐らく補正予算を臨時議会召集の手段に臨まれたと思われたのでありますが、実際はその内容が著しく変化いたしまして、或いは矛盾をいたしております。或いはそういう重点に背馳した内容が現われておるということは、私達の最も遺憾とするところであります。元来今回の補正予算の財源の使途なるものは、自然増收、過年度收入及び価格調整費の削減等によるものが概略六百億と想定されるのでありまするが、次に薪炭特別会計及食管特別会計等の政府機関並びに特別会計に繰入れ、赤字補填をするものが、そのうち三百六十億を占めておるというようなことでありまして、先程来申上げました施策に対する予算盛上げは、極めて低率であるのであります。薪炭特別会計の内容につきましては、衆議院、参議院とも非常な活溌な意見がありまして、極めてその内容に不審、疑わしいものがあるのみならず、又特別会計におきましても、大臣の答弁は、おのおの異りますが、六十億乃至九十億の「いも」の増産による赤字などが、その大なるものといたしまして、而も薪炭、食糧とも、これらの赤字がすでに小売価格で消費者に転嫁された上に、この一般会計から更に補填をするという二重の国民、国家負担を敢ていたしておるという内容等におきましては、極めて私達の遺憾とするところであるわけであります。
 元来吉田内閣が主義、主張とされておりました性格が、ドツジ・ライン、シヤウプ勧告案等、その他講和会議近きにありというようないろいろな変化に伴いまして、必ずや可なり、拘束された從来の政策が、活溌に顯現、昂揚されるものと信じておつたわけでありましたが、今この内容におきましては、今申上げまする通り、全く政府機関と赤字補填のためにこの補正予算が盛られて、本来の性格が殆んど発揮昂揚されておらない点があるのであります。吉田内閣は九原則は我が党の思う通りの政策であつて、すべてが一致すると宣伝され、ドツジ・ラインは全く我が党の趣旨が殆んど容れられたのである、シヤウプ勧告案に至つては、近来の大朗報だと大いに声を大にされたのでありましたが、併しやられること、予算に現れましたることが、非常にこの点と矛盾撞着しておる点は、今私がこの席上で繰返す必要はないのでありまして、すでに十分御承知のことだと思うのであります。減税をされるといわれまするけれども、この減税なるものの、物品、織物税等の時期を失したる措置或は直接税で増税を図り間接税で減税を図るというような措置が、この当面するデフレ産業破壊の瀕死の状態に対しまして、又一面国民生活安定の上に果して重要なる復興要素であるかどうかは甚だ疑問とするところであるわけであります。又当面するこの金融対策におきましても、この千四百幾らかの見返り資金の活用が、本日に至つて未だ四億内外にしか実際現れておらず、近き将来二百億乃至三百億は予想されましようとも、昨年政府は国民所得の増徴を見積りまして、厖大なる自然増收から増税を図つて、これらに見返えるべきものとして、見返り資金の放出を以て産業不振を打開し貿易振興を図らんとした処置に拘わらず、とる税金は先に取上げて、出す見返り資金は今日延々として未だにその全貌が分らないというような事態は、今日のデフレ要因の極めて大なるものであるとは、ひとり我々が申すばかりじやあなく、一般世論におきましても、経済界におきましても一致せる意見であるわけであります。シヤウプ勧告案におきましても、いろいろ我々におきましては果して税制改革によつて、この日本の産業復興なり、輸出振興が本当に自主的に盛り上げられるような内容にあるか、又物価政策、生活安定の問題におきましても誠に機微を穿つたものであるかどうかにつきましては、その政府の採るべき税制施策、殊に地方税との睨み合せ等におきましては重大なる関心を有するものでありまして、今回の補正予算にその一片が現われ、将来の本予算にも、この補正予算におきまする一端を以てその一つの指標だと政府当局は言われておりますが、補正予算のみに現われましたる税制の一部改正の曙光は、誠に私達の期待と反するものが沢山あるのであります。取引高税を廃止されるというて声を大にされておりまするが、来るべき議会においては、附加価値税等が現われて来るという事態は、誠に私達は政府の言明とその從来の趣旨というものと極めて矛盾を感ずるのであります。ただ私達が遺憾といたしているのは、薪炭特別会計、食管特別会計ももとよりでありまするが、このデフレ状態、この産業不振の状態、尨大なる輸出滯貨に対する処置、殊に年末金詰り、長期資金涸渇等に対しまして、この実情を如何に打開するかということを、あらゆる委員会、本委員会或いは本会議等において、それぞれ委員が質問されましたに対しまして、政府はこのくらいなデフレ、このくらいな事態は止むを得ないのである。又賃金の改訂の問題或いは国民生活安定の実情等につきましても、やがてよくなるであろうということで一蹴いたしているのであります。併し私達の眼や耳を掩うても、国民大衆のこの実情は、政府が如何なる言を吐かれましても掩うべくもないと私は信じております。(「その通り」、「そのぐらいにせい」と呼ぶ者あり)かくのごとき政府と我々の見解が著しく相違をしているということは、誠に私達の不可解とするところであります。又政府は近く講和会議が開かれるであろうということを、本会議劈頭に総理大臣の施設演説の中に謳われておられるのでありますが、これに伴う産業復興、経済施策に対します抱負或いは建設予想というものが、これ又委員会、本会議におきましては、殆んど見るべき政府の考え方が現われておらないということは、極めて我々の矛盾且つ遺憾とするところであるわけであります。又失業対策におきましても、その他災害復旧におきましても、いろいろ政府のとられた措置も、もとより或る意味におきましては了解ができないことはないのでありますが、先程来申上げました通り、今回の臨時議会、補正予算の本来の趣旨、性格、内容等から見まして、私達は吉田内閣であるならばこれくらいのことはやりそうなものであるという、ひとり我々のみならず国民の期待を大いに外したということは、誠に国民と共に我々の遺憾とするところであります。(「だから反対をする」と呼ぶ者あり)私達はかような幾多の政府の施策の矛盾、欠陷或いは我我の不満とするところがありますが、まだ通さんよりはましであろうというような観点から、(「どうも変だね」と呼ぶ者あり)次のような希望條件を述べて賛成をするものであります。(「ロジツクに合わん」と呼ぶ者あり)
 政府は今回の予算、更に明年度の本予算におきましての政府閣僚各位の答弁の内容におきましても、財政と産業復興政策とにどうもマツチした総合的な強い政策が現われておらない、現わそうとしない。財政は財政の問題、産業は産業の問題と言つて切り離している。徒らに自主経済、自由経済を唱えるだけでありまして、この国民経済涸渇の今日、どうしてもこの財政と産業復興経済とは結付けた施策を強硬に採るべしという我々の強い希望があります。
 更に当面する年末金融は極端悲惨なものでありまして、私達は取り分け中小商工に対しまするこの実情ということは、全く目を掩うものがありまして、若し将来の総出振興に政府が專念せられるならば、従来の六〇%を占めたこの中小商工に対しまする、取り分け輸出が自由に、貿易政策が新たに施行された今日、この日本の中小商工に対しまする当面の金融、取り分け年末の金融対策に至急に対策施策を講ずべきことを要求するのであります。
 又失業対策におきましても、労働失業対策は、或いは災害復旧その他に吸收されるという政府の施策等も時々聞くのでありますが、今日知識失業者は四百数十万と算せられているのに対しまして、こうした対策が殆んど放任無策のままであるということは、いよいよデフレ、不景気深刻ならんとする年末、明春にかけての国民生活の重大なる危機を招来し、且つこれが思想問題にも悪影響をいたしますことを思いますれば、これらの失業対策に対しまして政府は至急且つ重要なる方策を採るべきだと思うのであります。
 又物価と賃金の調整におきましても、政府が主宰する統制物価、食糧であるとか、運賃であるとか、電力、ガス、或いは重要産業等のマル公はどんどん引き下げまするが、併しこれが基本的産業経済物資に影響する循環を思い合せますれば、今日の賃金態勢、賃金政策のままで放任するということは、これ又由々しき事態が予想されるのでありまするから、この物価と賃金政策に対しまする総合的な調整政策を採るべきだと思うのであります。
 更にもう一点は、世界的食糧緩和に伴いまする我が日本農業の恐慌が招来されやしないかという、もう現実に即したこの実情、これに対する今回の補正予算にも殆んど見るべきものがなかつたのでありまするが、この日本の農業復興対策に対しまする緊急且つ適切なる施策を施すと共に、一面世界的食糧緩和の状態に際会いたしまして、国民の念願して止まない三合配給を早いうちに、極めて早期のうちに施行すべきだと我々も要望する次第であります。
 以上あらまし主なる希望條件等を申上げました。本予算におきましては幾多の矛盾且つ不満はありまするが、先程来申上げておりまするような、通さないよりはましだという観点から、この際賛成の意を表するのであります。
○委員長(黒川武雄君) 木下委員。
○木下源吾君 どうも通さないよりましだから、こんな予算でも通そうというのは、誠に私は不まじめだと思う。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)国民に対してどういうようにそれで説明ができるか。この予算委員会の中でのみ説明ができるか知れないけれども、この点はなかなかそういう生やさしいものではございません。これは緑風会の代表の諸君も又民主党の諸君も、そのことははつきりみずから自覚しておられる。ただ吉田内閣に頼んでおけば、頼りにしておけば、いつか役に立つであろうというのは、淡い望みである。そういうことは余裕のある、力のある者のそれはたわ言である。そんなことで到底今この事態が收拾できるか、一体現内閣は、私はその性格から並びに常にいろいろなことを言うておることを聞いておつて、この内閣は日本を復興すると口先では言つておるけれども、独立を達成しそうして平和日本を建設するということに対しては常にその実行は逆である。そういうことは望んでも木に緑つて魚を求めるようなものである。だからしてこの予算が、たとえもつともつと体裁をなした予算だと雖も我我は反対する。そういうごまかしには我々は乗つておられない。日本経済が安定していると彼は言うておるけれども、一体誰が安定しておるのであるか。少数の独占金融資本のみがこの政府の権力の擁護の下に安定しているではないか。大衆を見よ、血の出るような叫びが聞こえないか、耳を掩つておる、私はこれを端的に言うただけで沢山やと思う。この予算に盛られている二百億の減税と称するけれども、これは当初からそんな税をとることが間違つている。であればこそ二百何十億の剰余金というものが出て来ておるのである。最初から間違つておる、とるのが、今僅かにそれを訂正したに過ぎない、過ちを改めたに過ぎない。而も税を軽減しておると言えばです、大衆の税を減じているもののごとく見えるけれども、真赤な僞りである。諸君も知つておられる通り、今日の税は健康保險にも、失業救済人夫の日給百七十二円からも又交通費給與からもとつているごとく、転んでも起きても勤労者には税金がかかつておる。一方において社会保障制度を呼びながら、それが確立しなくてもそれに邪魔にならないような、助けになるような税制改革をすべきである。だから私はかくのごとき税の軽減ということは、ただ言葉の上でそうして大衆をごまかすものである。国民生活の安定しないところに日本の経済は安定いたしません。政府はどこに一体安定しているというこの実際の説明がついておるのか、何もついておらない。労働者において然り。昨日私は証券取引所にも行つて参りました。ここでは株が暴落しておる、曾つてのような投機の対象ではないのであります。現実の仕事の経営があすこに現われているのである。この一端を見ても全日本の企業が今破壊されているということは明瞭である。政府が一体この臨時国会で何をやらなければならないか、日本国民の要請に応えて何をやらなければならないか、言うまでもなく彼が首を切つた。行政整理をやつた、民間の企業整備によるところの大量のこの国民を救うことが最大の目標でなければならない。本予算の精神とこの現れた政策において一体誰が救われておるか、断じて否である。当初これらの人々は概ね輸出産業に吸收されると言つたわではないか、只今諸君が言われたようにこれらの輸出は全く鉄の扉で遮ぎられておる、滞貨は今言う通り山積しておるであろう、果して然らばこの失業対策を別の明るい創意を以て確立してこの国会に臨むのが当然である。誠に私は国民を欺くも甚だしいものである、大衆と労働者の不利益とその苛斂誅求の上に立つて当面の問題を糊塗しておるに過ぎない。第五国会から今日に至るまでの間のあの台風の跡仕末、国民の果敢なる要求である教育費、この答えのために一体日本政府は予算の面から誠意を表わしているか。かくのごとき予算を提出して補正予算である、そうして日本の経済を安定し復興の兆しがある、軌道に乗つた、これは單なる政府の机上のプランに過ぎない。我が日本社会党は全国民の当面の生活擁護のために、勤労大衆の生活擁護のために、延いては日本産業を破壊する、破壊されておるこの現状において、断じてかかる予算に賛成することはできない。どうか緑風会の諸君も民主野党、民主党の諸君も考え直してこの我々の主張に賛成せられんことを切に願うものであります。(拍手)
○委員長(黒川武雄君) 岩男委員。
○岩男仁藏君 新政クラブはいろいろと内容を検討して見ましたが、承服し難い点も多々あるようでありますが、いわゆる補正予算でありまして、緊急にこれを実行しなければならん事柄も沢山あるのであります。それで以下述べる二、三の希望條項を付しまして賛成するものであります。(「しつかりやれよ」と呼ぶ者あり、拍手)
 御承知のように来年度の本予算にこれは連なつておるところのいわゆる十五ヶ月予算でありまして、その一部をなすこの補正予算は、その氷山の一角、その現われであります。でありますから私は愼重にこれをいろいろと研究いたし審議をいたして見たのでありまするが、どうも今申上げましたような関係から、態度を保留することがよいのではないかとも思うたのでありまするが、さつき申上げたような事情賛成したのであります。(「偉いぞ」、「靜かにしろ」と呼ぶ者あり、笑声)その一つは農業についてであります。これは先般私は農林大臣に対しても質疑をいたしたのでありまするが、どうも民自党内閣といいますか、吉田内閣といいますか、現内閣は農業を軽視するような傾きが多分にある。(「然り」と呼ぶ者あり)これは農民がそう言つておる。私もそう認めておる。(「あなたもそうだ」と呼ぶ者あり)私もそうであります。(「それでは反対しなさい」と呼ぶ者あり。笑声)今度の補正予算を見ましても何らその施策というものが実行化されておらない。(「だから反対せよ」と呼ぶ者あり)僅か災害復旧の費用が二十億円出ておる。あとは事務的の予算ばかりであります。当然計上しなければならん共済組合その他の足らん分を追加したという程度に止つておるということは、皆さん御承知の通りであります。ところが今日の日本のこの状態、殊に転換期に直面しておるところの農村の現状、農民はどう言つていますか、農村に恐慌来ると恐れ戰いているのであります。全国民のうちの約半数、三千万と言う人もあります、四千万と言う人もあります、私は四千万以上であると言う。この半数以上いる農民は今日どういう生活をしているか、農業経営が安定しているかどうか、これを考え、又日本のこの食糧事情というものを考えまして、何と申しましても生活必需品のうちの必需品は食糧であります。この食糧の問題が解決せずして、日本のいわゆる国民経済というものが立直るか、再建ができるか、(「この予算じやできないね」と呼ぶ者あり)国民生活が安定できるか、農村経営の安定なくしてこの問題が解決するか、ここに思いをいたしまして、私は先般の委員会で、これについて農林大臣の意見を聽いたのでありまするが、大した御名案を持つておられんのでありますので、心淋しく思うのであります。どうぞ、これは国策の中の本当に大きい国策であると私は考えております。農林大臣ばかりだけではいけません。吉田総理はこの点を十分御検討されまして、少くとも食糧の自給自足、これを一大農業政策を確立する、これに対する予算措置を講ずる、これもぐずぐずしておつては駄目であります。二十五年度の予算に必ずこれを実現させる、これを私は強く要望するのであります。(「請願する者與えられずだよ」と呼ぶ者あり」これが一條件だ。
 次のこれは帆足委員からもさつきお話であつたようでありますが、あながち緑風会に追随するものではありません。二十四年度当初予算並びに今回の補正予算、或いは来年度予算の大体の構想は聽いたのでありまするが、財政経済の政策の面から見ましても、金融政策の面からこれを眺めましてもどうも妙な点がある。大蔵大臣は、政府はデイスインフレを目標として、現在の状態はそこにあると、こう言つておる。私は遙かにこの線を超えてデフレの傾向が非常に濃厚である、否濃厚ではない、デフレ恐慌に陷つておる、金詰り、糞詰りをしておる、各重産業その他の国民大衆は経済的に行詰つて窒息状態である、(「だから反対せいと言うのだ」と呼ぶ者あり)今にして名医が出ずしてカンフル注射をせねば参つてしまうのであります。これは現実の問題なんです。間違いない、(「その通り」と呼ぶ者あり)この現情に鑑みまして速やかに吉田総理はこの名医たることを私は希望するのであります。これによつて産業は振興いたします。いわゆるデイスインフレの線も上昇いたしましよう。上つて来ることができましよう。やや国民経済も安定するでありましよう。速やかにこれに対するところの財政経済政策を確立して、確立していると言いましようが、私から見ればそうでない。そうしてこれを実行すると同時に金融政策、早く手を打つ、そうしてその薬の効き目のあるようにせねば、この病人は救えないのであります。これが希望條項の第二であります。(「政府にはその意思はない」と呼ぶ者あり)
 治山、治水の問題、これも又帆足さんと同じ意見のようにありますが、これは誰も考えているのでありましよう。これもどうも生ぬるいような気がします。これもお考えを願います。第三の條件。
 今度は岩間さんの真似をするようでありますが、六・三制の建築の費用の問題。これは今回の補正予算では十五億、これでいいかも知れない。来年度の話を聽いたところが四十五億、六十億で、高瀬文部大臣は地方の実情を調べたことはない、一回も地方に出たことはないから知らん筈だ。教育を振興しようと思う本当の熱意がある、お気持があるならば田舎の隅々に実地調査においでなさるがいい、この現状を見るがいい。そのために地方財政がどれだけ苦しんでいるか、(「村長をやらせろ」と呼ぶ者あり)これは少なくとも来年度予算において四十五億では足りません。それ以上必要なる額を必ず計上して頂く、こういうようなことを希望いたします。この要望が実現することを私は前提條件といたしまして、(「実現しないよ」と呼ぶ者あり)不承々々じやありますが、賛成いたします。
○委員長(黒川武雄君) 木村委員。
○木村禧八郎君 私は、各委員から吉田内閣にいろいろ希望、期待を繋がれてこの予算に賛成されたようでありますけれども、私は吉田内閣にはその性格から言つて全く期待を繋ぐことができないと存じますので、無所属懇談会を代表いたしまして本補正予算案に反対するものであります。
 反対理由の第一は、この補正予算案編成の基礎となりました我が国経済の現状とその見通しに対する認識が独断的であり、全く間違つておるという点であります。即ち我が国経済の現状は、インフレの一挙收束の措置と強制的な資本蓄積方策とによつてデフレーシヨンの状態を呈しておることは明らかなんであります。これはインフレ処理が通貨面の安定、マネタリー・スタビリゼーシヨンに重点が置かれ、これに対して経済政策、エコノミツク・プランニングが裏付けられていないで、むしろ逆に経済統制を撤廃して自由放任経済に移行する政策を採つておることから生ずる当然の結果なんであります。このためにデイス・インフレの代りにデフレが招来されておるのであります。にも拘わらず政府は経済の現状は安定しておるとこれを強弁しておる。その証拠として政府が物価の安定を挙げておりますが、これは自然に安定したのではなく、安定措置によつて通貨が増発を止められておるのである。問題はドツジ・ラインによつて安定措置を講じた結果、つまり通貨増発を強力にやめた結果として、どういう状態が現れておるかという点にあるのであります。その状態が失業と厖大な滞貨、生産の減退傾向、こういうものを見ればデフレであることは疑う余地がないのであります。この事実を無視して政府が経済の実態が安定しているというのは、理論的にも実際的にも世間に通用しないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)全く独断である。経済の見通しにつきましても、自由経済に復帰いたしまして、ローガン方式によつて恐慌状態を呈しようといている世界経済に入つて行くことになりますために、我が国農村産業はその前途に重大な困難が予想されるのであります。にも拘わらず世界経済の実情に目を掩うて、徒らに今後経済安定が強化されると希望的独断を又いたしておるのであります。この独断を、安定という言葉を声を大にして又多数の力を頼んで強調することによつて正当化しようとしているのに過ぎないのであります。福沢諭吉先生は「空樽の音は高し」ということを言われました。中味のない空つぽの樽の音程、徒らに高く鳴るのであります。中味の充実した樽は叩いても音はたてません。本予算案によつて示された吉田内閣の現状認識及び政策は空樽の音に等しいのであります。(「光クラブ」だと呼ぶ者あり)空樽政策であり、空樽内閣であります。
 反対論の第二は、この補正予算案が、デフレ強化の予算案であるということであります。即ち財政面においては食糧管理特別会計、これを金融措置でできるのに税をとつて一般会計から特別会計に繰入れる、これがデフレ的影響を及ぼすことは明らかである。更に復興金融金庫の来年度回收する分を本年度に繰り上げて復金回收を強化する。こういうような政策を盛つておるのであります。更に政府はこういう予算のデフレ面を金融面でカバーしておると言つておりますが、金融面を見ますと、遊んでいる資金が沢山ある、国民から購買力を吸収してこれが使われないで遊金、アイドル・フアンドとなつておるものは沢山あるのであります。例えば見返り資金然り、預金部資金におきましては二百億円も国民から貯蓄を集めてこれを使わないでアイドル資金になつておる。更に又復興金融金庫で回収した金、これが使われないで遊んでおる。こういうように金融面からもデフレを強化しておるのであります。この金融政策は財政政策と裏腹になる問題でありまして、從つて金融面においてこういう金融面の無計画、こういうことがこの予算案を実行した場合更にデフレを強化して行くと見られるのであります。
 反対論の第三は、大蔵大臣は財政演説で、補正予算の眼目とするところはシヤウプ勧告の趣旨に則つた国民負担の軽減の一部を本年度内において実現すると述べているのでありますが、本補正予算案に現われました二百億円の減税は、これは單なる税法上の見せかけの減税でありまして、国民の大部分を占める勤労者の負担の実質的軽減ではないことが明らかとなつたことであります。例えば実質資金の算定に当りCPIの算定方法を変更いたしまして、統計の技術的操作によつてCPIを低くして人為的に実質賃金が上つたことく見せかけまして、勤労所得税の自然増収を百五十億円も計上しておるのであります。これは実質的には明らかに増税なんであります。更に又官庁給與の据置、或いは又米価の値上げ、補給金の削減に伴う家計負担の増加、貨物運賃八割、海上運賃九割五分の値上げの負担等を挙げますれば、国民負担の軽減どころか、負担の増加となるのであります。勤労所得税を増徴しながら地方では申告納税について約百九十億円も自然増収を見込んでおるのであります。申告納税の自然減収の根拠は、所得の捕捉率の低下したことと所得見積りを低くしたことにあると政府は言明しておりますが、これは明らかに政策的な一種の減税措置なのであります。税法によらない見計いによるところの減税措置は不合理、不公平であります。そればかりでなく、担税力の乏しい勤労所得税を実質的に増徴して、担税力の余裕のある申告納税を自然減収という形において軽減するの税負担の公平の原則に反し、シヤウプ博士の税制勧告の精神にも反するものであります。又物品税におきましては、自家用自動車の税率を一〇〇%から三〇%に一番大きく引下げ、その他ゴルフ用道具或いは真珠、貴金属等の贅沢品の減税を行なつております。これなどは今の日本の現状から見まして、決してこれを適切でないと思うのであります。更に又その他の物品税、織物消費税、こういう税の軽減もその恩恵は結局購買力の大きい者に多いのでありまして、直接税の軽減に比べまして現状においては確かにこれは不公平であると思うのであります。
 無所属懇談会は以上の論点に基きましてこの予算案に反対するものであります。
○委員長(黒川武雄君) 小川委員。
○小川友三君 本議員はこの予算案に対しましては満腔の敬意を表して賛成をするものであります。
 賛成する理由を申上げますが、現在の吉田内閣は島国根性的な鎖国政策を一擲しまして、開国、国際的な政策を採入れまして、そうして近い将来において移民問題その他あらゆる問題の解決をここに見出だそうとしまして吉田総理が非常な苦心をせられておると同時に、又池田蔵相もアメリカ側の案、連合国側の意見を採入れて諸般の調整を編み込んで本補正予算案を作つたのであります。(「自由党に入れ」と呼ぶ者あり)税率は下らないという点は国民自体が相当の責任を持たなければならんのであります。終戰後九百五十万人近く入口が増加しておる。住宅が足りないのに、着る着物が足りないのに、食糧が二千万以上分足りないのに、どしどし無制限に子供を生んでおる国民全体が責任をしよつておると言い得るのであります。敗戰下この一大事実を我々国民は深く認識して、三年や五年は産兒制限をしてまでも税を軽くするということを国民各位が担わなければ、この税を下げるということは、どの内閣が出ても相当に困難なる問題であると本議員はかたく信ずるものであります。親米政治家の小川友三は本案に対しまして大賛成をするものであります。
○委員長(黒川武雄君) 平岡委員。
○平岡市三君 私は民主自由党を代表いたしまして本補正予算案に賛成の意を表するものであります。本補正予算案によつて明年一月を期して所得税の給與所得の源泉徴収分の軽減、物品税の軽減、織物消費税の廃止等によりまして、シヤウプ博士の勧告案よりもより多額の二百億円の減税を行うことができ、又明年度におきましては、今年度の当初予算に比しまして約九百億円程度の減税を期待し得ることは誠に政府当局の御努力を物語るところであります。(「空樽の音が高いぞ」と呼ぶ者あり)次に歳出について観察するのに、今年の夏、全国市町村長会議において決議されました新制中学の校舎建築補助金の支出及び地方配付額の増額の二大要望に対しましては、前者の建築補助金は、公共事業費中に十五億円が計上せられており、明年度も更に四十五億程度を計上することを政府は明らかにいたしておりますし、又後者の配付税配付金は九十億円の補正増額が行われておるのであります。勿論両者共にその金額について十分とは思いませんが、今日の財政事情の下においてはこの程度で止むを得ないと思うのであります。(「アーメン」と呼ぶ者あり)又公共事業費は百六億六千万円を計上し、そのうち八十五億円は颱風その他の災害に対する復旧工事費の追加でありまして、かくして災害の応急措置に対応すると同時に、失業対策費十七億九百万円を計上して失業応急対策を講ぜんといたしておるのであります。他方において、主食配給価格の引上げ、陸上、海上の両貨物運賃の引上げ、価格調整費の削減等が見込まれておりますが、これらによる生計費への影響は、減税その他の施策によりましてこれを吸收せしめて経済の安定を期しておる次第であります。(「提案理由説明」と呼ぶ者あり)甚だ簡單でありますが、以上の理由によりまして本補正予算案に賛成の意を表するものであります。(「了承了承」、「結構々々」と呼ぶ者あり)
○委員長(黒川武雄君) 討論は終局したものと認めまして、採決いたしますことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(黒川武雄君) 御異議ないと認め採決いたします。昭和二十四年度一般会計予算補正(第一号)、昭和二十四年度特別会計予算補正(特第一号)及び昭和二十四年度政府関係機関予算補正(機第一号)を、原案通り可決することに賛成のお方は御起立を願います。
   〔起立者多数〕
○委員長(黒川武雄君) 多数と認めます。よつて本案は可決と決定いたしました。尚本会議における委員長の口頭報告は、委員長において本案の内容、委員会における質疑応答並びに討論の要旨及び表決の結果を報告することとし、御承認を願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(黒川武雄君) 御異議ないと認めます。これより委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の御署名を願います。
  多数意見者署名
    岡田喜久治  城  義臣
    田口政五郎  中川 幸平
    西川 昌夫  西川甚五郎
    平岡 市三  深水 六郎
    高橋龍太郎  田村 文吉
    寺尾  博  堀越 儀郎
    伊達源一郎  飯田精太郎
    井上なつゑ  西郷吉之助
    玉置吉之丞  藤野 繁雄
    久松 定武  帆足  計
    油井賢太郎  高橋  啓
    岩木 哲夫  小杉 繁安
    仲子  隆  深川タマヱ
    藤森 眞治  岩男 仁藏
    小川 友三
○委員長(黒川武雄君) 御署名漏れはございませんか。なしと認めます。これにて散会いたします。
   午後二時四十四分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     黒川 武雄君
   理事
           内村 清次君
           高橋  啓君
           高橋龍太郎君
           田村 文吉君
           寺尾  博君
           堀越 儀郎君
           岩間 正男君
           木村禧八郎君
           岩男 仁藏君
   委員
           岩崎正三郎君
           岡田 宗司君
           木下 源吾君
           栗山 良夫君
           森下 政一君
           和田 博雄君
           岡田喜久治君
           城  義臣君
           深水 六郎君
           田口政五郎君
           中川 幸平君
           西川 昌夫君
           西川甚五郎君
           平岡 市三君
           岩木 哲夫君
           小杉 繁安君
           仲子  隆君
           深川タマヱ君
           藤森 眞治君
           油井賢太郎君
           飯田精太郎君
           井上なつゑ君
           西郷吉之助君
           伊達源一郎君
           玉置吉之丞君
           久松 定武君
           藤野 繁雄君
           帆足  計君
           池田 恒雄君
           小川 友三君
  国務大臣
   法 務 総 裁 殖田 俊吉君
   大 蔵 大 臣 池田 勇人君
   農 林 大 臣 森 幸太郎君
   郵 政 大 臣
   電気通信大臣  小澤佐重喜君
   建 設 大 臣 益谷 秀次君
   国 務 大 臣 青木 孝義君
  国 務 大 臣 木村小左衞門君
   国 務 大 臣 本多 市郎君
  政務委員
   内閣官房副長官 郡  祐一君
   行政管理政務次
   官       一松 政二君
   地方自治政務次
   官       小野  哲君
   大蔵政務次官  水田三喜男君
   大蔵事務官
   (主計局長)  河野 一之君
   林野庁長官   三浦 辰雄君