第007回国会 地方行政委員会 第14号
昭和二十五年二月二十一日(火曜日)
   午後一時二十三分開会
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  本日の会議に付した事件
○地方行政の改革に関する調査の件
 (治安問題に関する件)
○公聽会開会に関する件
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○委員長(岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。
○黒川武雄君 先ず東京の警務委員長から陳情書が出ておりますが、この説明を一つ先に聴取してみたいと思います。
○委員長(岡本愛祐君) お諮りいたします。黒川委員から、十大都市の議会警察委員長からの自治体警察の経費につきましての陳情をこれから聴取いたしたい、意見の開陳をさしたいという動議が出ましたが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡本愛祐君) 御異議なしと認めます。それでは発言を許します。東京都議会警務委員長高橋清次君。
○参考人(高橋清次君) お許しを得まして、一言発言をさして頂きます。東京都議会の警務委員長を勧めさして頂いております高橋清次でございます。貴重な時間を御割愛下さいまして、誠にありがとうございます。
 本日陳情に参りました趣旨は、お手許に差上げました陳情書にもございますが、自治体警察が、当然国から支拂いを受けなければならないところの経費につきまして、国費支弁をお願いする意味におきまして、陳情に参つたのであります。簡単に要旨を申上げたいと存じます。陳情書の内容を朗読さして頂きます。
 警察制度が変革されてここに二年をけみし、自治体警察の運営も漸くその軌道に乗つて来たことは、邦家のために、該に喜ばしいことであります。然るに、現在自治体警察が執行している事務中、国家より委任されたる、被疑者の費用、主要官庁、進駐軍関係の警備、或いは外国人強制送還、引揚者保護、拾得物、密輸品の没収等に要する経費(別紙参考資料参照東京都の例)は、非常に厖大な額に達しており、これは当然国家において負担すべきであるにも拘わらず、全国的に窮乏を告げる地方財政においてこれを負担していることは、誠に地方自治体として堪え得ざる重荷であり、かくては今後の自治体警察の発展は望むべくもない現状であります。
 関係各位におかれましては、よろしく自治体の窮状を御洞察下さいまして、可及的速かに国費支弁の方途を講ぜられるよう御盡力願いたいと存じます。
 尚警察財政確立のため、起債を増額し、その発展を図られたい。
 右大都市議会警察常任委員長会議の決議をもつて陳情いたします。
  昭和二十五年二月二十一日
      東京都議会警察委員長
       大阪市会警察委員長
       横浜市会警察委員長
       京都市会警察委員長
       神戸市会警察委員長
       福岡市会警察委員長
       広島市会治安委員長
     仙台市会総務財政委員長
 参議院地方行政委員長
      岡本愛祐殿
こういう趣旨で陳情に参つたのであります。
 その内容を簡単に申上げますと、国が支弁しなければならないと申上げました点につきまして、御説明申上げたいと存じます。
 先ず被疑者の関係でございますが、昭和二十三年の七月に法律改正になりまして、警察署には被疑者を四十八時間留置するということになつております。これ以上は、釈放するか、或いは検察庁の方に被疑者を送らなければならない、こういうことになつておるのでありまするが、今日の実情は、東京都で約八十数万人の被疑者がございまして、その八〇%が国の被疑者ということになるわけであります。これは取りも直さず四十八時間を経過したるところの被疑者でございまして、従前は拘留所へ一旦収容されまして、これが経費の支弁はもとより国によつて負担をされておつたのであります。これが今日では非常に諸物価も値上りいたしておりますので、この参考資料の四にございますが、国の方で支拂を受けたい額というものは、約二億一千四百八十六万七千八百九十六円という金額になるのであります。これは医療であるとか、或いは薬品、消毒、自動車購入、救急自動車、寝具の購入、洗濯、食器、又これに要しまするところの警察官の人員は一千百八十二名になりまして、年間一億八千九百十二万円の金額になるのでありまして、晝間青年警察官を志望して参りましたのに、この看守の役目を務めなければならないので、殆んど勤務ができないで、裁判所通いに日日を送つておるという現状でありまして、かくては首都の治安にも影響するところがあると思うのであります。どうかこの点をお取上げを願いたい。
 更に第一頁にございます国会の警備関係でございますが、年間所要経費が二千七百五十八万四千八百三十二円になつております。御承知のように、国会を警備さして頂くということは、東京都の一つの面目でもございます。併しながら、この経費がまるまる東京警視庁の経費にかかつておるのでありまして、これも国費支弁で何がしかの補助を頂きたい。
 更に二に謳つてございますことは、警衛並びに大臣官邸・私邸警護の関係でございまして、年間所要経費が四千七百四十七万二千余円になつております。
 更に進駐軍関係では、年間五千三十九万六千七百十二円ということになつております。これも、東京、或いは横浜、神戸、大阪というところでは、非常に進駐軍関係が多うございますので、この経費についても御考慮を煩わしたいという点でございます。
 更に拾得物関係その他沢山の国費を以て支弁して頂かなければならん点がございますが、別添の参考資料に書いてございますので、これをよく御審議頂きまして、至急にこの経費の支弁方をお願い申上げるために、本日参つたのであります。僭越でございますが十大都市の代表者といたしまして、皆様方に陳情申上げる次第であります。どうか速やかにこれが支弁方途を講ぜられますようくれぐれもお願い申上げまして、私の陳情の趣旨を終りたいと思います。有難うございました。
○委員長(岡本愛祐君) 只今の発言につきまして御質疑ございませんか。
○鈴木直人君 この陳情は尤もなことだと私も平素から考えておつたのでありまするが、例を警視庁にとつて説明されましたが、政府委員が出席されておるようでありまするから、その経過その他について一応説明を聴きたいと思います。
○委員長(岡本愛祐君) 齋藤国警長官、只今の陳情につきまして政府の所見を……
○政府委員(斎藤昇君) 只今の御陳情につきまして所見を述べろというお話でありますが、政府としての所見は私が申上げますことは必ずしも適当でないかもしれませんが、関係者としてお答えと申しますか所見を申上げます。
 只今の陳情の御趣旨は誠に御尤もな次第であると思います。一つはこれは自治体警察に、自治体自身に直接関係のない、もつぱら国家的な仕事を自治体警察がやるのは適当であろうかどうかという法律問題がございます。この点は法律問題でありまするから譲りまして、然らばそういう事項を担当しておる警察の費用の問題ということに相成りますると、これは御承知のように自治体の財政は、警察費或いは土木費その他何と言わず、全体的にその自治体の財政の需要を賄うように、税法と、それから今まででありますれば配付税で調節をいたしておつたのであります。今後はこの調節は地方財政法の改正によりまして、平衡交付金ということからされるように今財政当局の方で立案中のようでありますが、その曉にはこの財政的な操作によつて、警察に特に要する費用があるといたしますれば、これをどういうように国の財政から自治体の財政に持つて行くかという問題が残されておるのでございます。今日の警察法の建前をこの通り踏襲して行くとするならば、どうしても財政の面でそういつた国家的な必要に基く警察の費用は、直接その費用に対する補助金とか交付金とかという形でやるか、或いは財政全体の需要を見極めてやるかという財政上の問題かと思うのでございます。自治庁の方でもつぱら研究をされておるのでありますが、これはただ警察に関する費用のみならず、その他の地方庁が負担をいたしておりまする費用には、これに類するものも他に沢山あるわけでありまするから、これと一括して研究をし、この調整を図るというように財政当局ではいたしておるのであります。この調整も適正を期して貰いますよう、警察の面といたしましては財政当局の方に我々からも十分連絡をし、又陳情の御趣旨が成就するように努力をいたしておる次第であります。
○鈴木直人君 警察法の第四條の第二項の第七号に「皇宮警察の管理に関する事項並びに当該機関の要求のあつた場合において、東京都内における国会、内閣、各省(総理庁及び法務庁を含む。)、会計検査院及び最高裁判所の使用する建物及び施設の警備に関する事項」というものがあつて、国家公安委員会においてそういう事務を掌ることになつておりまするが、公安委員会としては、こういう東京都にある国の建物について自治体警察が警備をする権限としてあるのか、或いはいわゆる国家警察三万人のうちで直接警備をしているようになつておりますか。今の分は国家警察がこれをやつてもいいように考えられるわけですが、今の現実はいわゆる自治体警察がそれをやつているようになつているために、経費の関係がこうなつておるわけですけれども、現状はどの分が国家警察がその警備に当つておるか、その現状をお聞きしたいのです。
○政府委員(斎藤昇君) 現状は通常の状態におきまする警視庁管内の警備取締、これは今読み上げられました官庁に関係のあると否とに拘わらず、通常においては全部警視庁において都内の一般警備としてやつておるという建前をとつておるのであります。今読み上げられました條文は、当該官庁から要求があつた場合には云々となつておりまするので、臨時的に必要な場合には警備に当るという考え方を持つております。併し実際問題といたしまして、若干は国の警備員も使つておりますが、これは比率にいたしまして極く僅かでありまして、取上げる程の問題ではないと考えております。
○鈴木直人君 次にもう一つは第四の看守押送関係でありますが、これはいわゆる二十四時間以内においてはこれは警察が負担しまするけれども、その後においてはいわゆる検察庁ですね、いわゆる法務府方面において事務を分担すべき筋合のものであるけれども、設備の上において刑務所その他が不足をしているから、代用刑務所のような形においてやつていると思いまするが、そういう際においては、地方財政法にもはつきりしておりまするし、法務府でその経費をみずから取つて、そうしていわゆる国家警察の費用ではなくして、法務府自体がその分の経費を取つて、そうしてその経費と共にその事務を自治体警察に委託するというのが筋合だと思つておるのですが、この点に対する見解は如何がでしようか。
○政府委員(斎藤昇君) 只今の御意見の点は私の方もそのように思つております。予ねて法務庁といろいろ折衝し、又予算の際にも、そういう意味で強く要望いたしたのでありますが、まだ今日まで実現を見ておりません。その点は非常に残念に思つております。
○鈴木直人君 尚これに関係はいたしませんが、私は各府県市町村を視察いたしまして知り得たことは、いわゆる法務庁自体が例えば戸籍事務とか、或いは追放軍人の監視の事務とか、いろいろ法務庁自体が自治体警察なり、或いは市町村等にその事務を委託しておるものが相当ある、その法務庁関係のが殆んど予算がなくて、そうして事務だけを委託されておるというような現状なんです。この点については、実は私は法務総裁にもそのことを質問したいと考えておりましたが、今日は法務庁関係がおられないから申上げるわけに行かないが、法務庁といたしましては、今後こういう自治体に法務庁自体がなすべきものを委託する場合には、相当のそれに必要な予算を取つて、そうして地方に委託するということにして貰いたいということを強く私は考えておる一人でありますが、いわゆる代用刑務所の事務につきましても警視庁の数字を見ますと、約二億のものがそういう関係になつております。従つてこういうものは予算としてはむしろ法務庁がそれを請求して、法務庁自体がなすべきものとして、その経費を自治体警察に事務と共にそれを委託するというような方向に行つて貰いたいということを私は強く要求するわけでありますが、国家警察の方においても、一つ今後十分こういう方向に力を注いで貰いたいと私は希望いたします。
○委員長(岡本愛祐君) 外に御質疑ございませんか、それでは次に一般治安問題に関しまして御審議を願いたいと思います。総理大臣がおつつけ見えるそうでありますから、そのときに吉川委員から御質疑をお願いいたしまして、それまで樋貝国務大臣に対しまして治安問題に関する御質問を願いたいと思います。
 樋貝国務大臣にお尋ねしますが、警察法改正のその後の経緯と申しますか、それから現在政府における警察法改正に対する考え方、それについて承わりたい。
○国務大臣(樋貝詮三君) 御承知の通りに、警察の関係はひとり国内関係に止らずに国際上非常にデリケートな問題になつておりますために、私がありのままに私共の考えておることや、今の客観事情を率直に申上げることができないのは甚だ遺憾に存じておるような次第であります。併し私共の手許に集つて来ますところの、沢山の、日本全国から来る陳情書によりましても、或いは地方財政が耐えられない、自治体警察において非常に多くの負担をするというような陳情と、或いは又新警察制度の改正が終戦直後における人口を基準にして自治体に及んで、自治体の警察の人員がこれによつて決められておるというような、その後において非常に人口が増しておる、殊に特殊な人間が非常に多い町村等においては甚だ困つておる、殊に競輪や、或いはその他それに類した競馬等の盛んな土地におきましては、一般の犯罪に対しても十分な人手が廻らん、若し又それに廻るだけの人を、沢山と外から廻して行つた場合においては、財政が足りないという非常なことがありまして、一面において私共は、昨年以来この地方の費用を軽減することを考え、又いよいよ必要がある場合においては、十分の人が出動してこれを鎮圧する、現在の治安も十分に保つて行きたい、そうして日本が経済的に立上るということを考えて行きたいという、その線に副いまして努力しておつた、その後において根本の改正をして見たいというような考えを持つたこともありますが、当面の治安が非常に乱れておる点で、先ず第一に治安の点で安心したいということで、昨年は暮れてしまつたような次第でありますけれども、併し他面においては、私共の考えておるところに従つて、この治安維持に十分の力を割いておつたことも事実であります。併し劈頭に申上げたごとくに、非常にデリケートな関係にありますから、ひとり日本内部においてこうして欲しい、ああして欲しいということを考えるばかりでなしに、それが一々外に響いて参ります。日本の講和問題にも影響して参るような次第で、講和問題から警察に影響して来るのかも知れませんけれども、そういうような事情で私共も思うように任せないような状態でありましたので、昨年におきましても非常にいろいろな協力を拂いましたにも拘わらず、表面立つてこういうああいうというような具体策を挙げたり、或いはお示しすることができなかつたことを遺憾に存じておる次第であります。今日におきまして自治体警察の間におけるところの警察吏の分配ということも私共は考えておる次第でありますけれども、只今においてその経緯はずいぶん無理もありましよう。国内の自治体におきましてもそうでありましようし、国際的な事情からして、只今黙つていなければならないような状態になつております。
 それから又財政の点におきましても、現在の警察法におきましては、財政は差支ないという建前にできております。それに地方財政は一段の改革はできた、警察法の予想するところの改革はできましたけれども、併し実際においての喰い違いもどうすることもできませんで、更に最近において地方財政の負担について、警察でも十分に考慮して貰いたいということを申しておるような次第であります。尚昨年からいたしまして少くとも警察方面においての、或いは装備の点において、或いは自動車或いは通信等の点におきましても、それぞれ考慮をめぐらしておるような次第であります。今日においては決して今日の治安が紊れるということはない、昨年春から比較いたしますと、数十倍の力を私は今日持つておることを確信いたしております。従つて当面差当りの問題としては十分だと思いますけれども、只今申上げたことく財政等を鑑みますと、まだ非常に研究の余地があると考えております。
○委員長(岡本愛祐君) 御質問ございませんか。
○鈴木直人君 先程の陳情について一応国警長官から御説明をお聞きいたしましたが、大臣が出席をされましたから、大臣からこの陳情についての所見をお聞きしておきたいと思います。陳情は第三行第四行ですけれども、国家より委任されたる被疑者の費用、主要官庁進駐軍関係の警備、或いは外国人強制送還、引揚者保護、拾得物、密輸品の没収等に要する経費は、これは国から自活体警察に委任されているけれども、これに必要なところの経費は国からは貰つていないということです。非常に困つておる。これを国費支弁の方途を講じられるようにして貰いたい、こういうことなのです。所管大臣に御意見を聞いておきたいと思います。
○国務大臣(樋貝詮三君) 只今御質問になりましたことは一々御尤もだと思うので、大蔵大臣に対しましては時々にそのことを話しまして、考慮を拂うということを約束しているようなわけであります。併し例えば福岡におけるところの自治体警察が、密輸を捕えても国費が行かない、而もその収入は国の方へ入つておるような有様で、今の状態で行くと、地方自治体の費用が非常に負担が多くなつて、これを維持して行くことができないというようなことをこの間も陳情がありましたし、その外それに類したことがありまして、その都度大蔵大臣の方に取りついだり要求したりしているような状態であります。この請願の細かいことは別といたしましても、今のような大きい処置につきまして異論はないわけであります。これらはそれぞれの機関を通じてやりたいと考えております。
○鈴木直人君 今のに関連しまして法務総裁がおられますから、法務総裁の御意見を承つておきたいと思いますが、いわゆる被疑者を逮捕した場合に、二十四時間以内は一応警察において留めて置きまするが、それ以後は刑務所にそれを引取るということになるわけですが、最近刑務所が非常に不足しているというような関係もあつたりして、そしてその後においては警視庁に例をとれば、約八十数万人のうちの八〇%というものが、いわゆる刑務所に引取られずして、代用警務所のような形において、警察署の中に、警視庁だけでも置いてあると……、併しながらこれは当然国が支弁すべき性質のものであるが、これを自治体警察が今支弁しておる。その年額警視庁でいえば二億一千八百八十六万七千八百九十六円程度必要としておられる。これに対して……
○委員長(岡本愛祐君) 鈴木君に申上げます。総理大臣は二時二十五分までおられるそうでありますからその質問、後にして頂きます。
○鈴木直人君 一応これに対し法務総裁しては、この経費を国から取つて、自治体警察に配分すべきものであろうと思うけれども、それに対してはどういう考でおられるかという点を、後から、総理大臣が行かれてからお答えをお願いします。
○吉川末次郎君 特に吉田総理大臣のおいでを願いまして、本委員会において私が今日質問いたしたいと思いますことは、去る本月の十一日に衆議院の本会議におきまして、一議員の日本共産党に対する政府の対策というようなことについての質問に関しました政府の答弁に関してでございます。私の質問は五項目に亘るのでありますが、約十五分ばかり大変長い質問で恐縮でありますが、その五項目はそれぞれ互いに関連しておりますので、一括して申上げるようにいたしたいと思います。その十一日の衆議院の議事録がまだできて来ておりませんから、もつぱら当時における私は新聞の記事を中心といたしまして申上げる次第であります。
 それによりますと殖田法務総裁の答弁の要旨として報道せられておりまするところは、今から数ヶ月前のことでありましたが、私が参議院の、この地方行政委員会及び法務委員会の合同の委員会が開かれましたときに、三鷹事件であるとか、或いは平事件であるとか、その外当時の共産党がそれに関連しておると一般に伝えられておりました、それらの騒擾事件に関しまして、いわゆる治安閣僚と言われていらつしやいまする増田官房長官、殖田法務総裁、樋貝国務相等の各大臣に質問いたしましたときに、殖田法務総裁が私に答弁せられましたところと、その衆議院の答弁要旨として新聞に報道せられておりますところのものは、大体同様の内容のものなのであります。そのときにおいて私はこの法務総裁の御答弁を反駁いたしまして、それはどうも承服いたし兼ねるという意思を明らかにしまして、このようではこれらの治安閣僚の諸君は、時局を担任するところの任に堪えないものであるとまで実は極言いたしたような次第であります。でありまするからここに改めまして私は直接に内閣の首班者でありまするところの吉田さんに、当時における私の委員会の質疑をここに繰返しまして、吉田総理大臣の御答弁をこの機会に得たいということが私の目的であります。
 その五項目に亘りまするところの問題の第一点といたしまするところは、吉田総理大臣の共産党の基本精神についてどのような御認識を持つていらつしやるのかということであります。今日世界は二つの世界に分れておると言われておるのでありまして、その一は言うまでもなく共産主義の世界であります。でありまするからこの共産党をどのように我々が見るかということは、現在におけるところの世界を通ずる最も大きな政治問題と私は言えると思うのであります。そしてこの共産党の指導原理というのは言うまでもなくそれは共産主義であります。共産主義とは即ちマルクス主義、又はマルクス、レーニン主義であると言われておるのであります。日本共産党も非常に我が党は共産主義の党であります。マルクス主義の党であり、マルクス・レーニン主義を行動化し、実践化する党であるということをば平素より声高々と、堂々と天下に宣言、声明しておられるのであります。若しその通りでありといたしまするならば、その共産党の諸君が言うところのマルクス主義、又はマルクス・レーニン主義を了解することなくしては共産党の本体も分らない。又今日の世界の政治も了解することはできないということに必然なると思うのであります。ここに私が何もマルクス主義或いはマルクス・レーニン主義につきまして講釈めいたことを言うことは私の質問の外でありまして、又賢明なる吉田総理大臣又この委員会に御列席の同僚の委員諸君に対して何等その必要はないところであります。私は思いまするのにマルクスは十八世紀の末から十九世紀におけるところの産業革命、商工業の進歩発展を見まして、このような資本主義経済の発展というものは必然にそれが共産主義社会に進化し、移行するものであると考えたのであります。資本主義が発達したならば、必然的にそれが共産主義に変るものでありまするならば、それなら放つて置いてもよいではないかという理窟も成立つのでありますけれども、マルクスはその反面におきまして、共産主義社会を実現するということのためには、万国の労働者団結せよということを、かの有名な歴史的な文書でありまする、共産党宣言の結句に叫びまして、世界のプロレタリアは相結んで革命を決行するということの必要を高調したのであります。ここにマルクス主義が資本主義の進化的発展を重視して行くところの、極めて冷静な現実主義的なリアリステックな進化論的な見方に立つておりますところの面と、他面において何が何でも共産主義社会を実現するためには、革命を決行しなければならんというところの情熱主義的な、ロマンチックな革命主義的な、このレボリューショナリーな面がマルクス主義の中に、二つ互いに併存いたしておるということであります。マルクス主義が持つておりますこの二つの面の中におきまして、その後の方の革命主義的な面にウエイトを置いて発展いたしたものが、レーニン主義、或いはマルクス・レーニン主義と言われているところの本質と考えるのであります。このような考え方はひとり私ばかりの考え方でなくして、世界の多くの社会主義の学者の共通している見方というて間違いないと私としては思つているものであります。このようなマルクス・レーニン主義が、ロシア革命の指導原理となりましたことは、吉田さんも御承知の通りであります。又世界を通ずるところの共産党の指導理論であります。今その共産主義、マルクス・レーニン主義の経典であり、バイブルであると言われておりますところのレーニンの書きました「国家と革命」というような本を見まするならば、マルクス・レーニン主義が暴力革命を肯定するところの党であり、議会政治を軍に革命実現のための道具として、大衆への共産主義の宣伝動員のために利用せんとするに過ぎないものであるということは明白であります。
 このマルクス主義、マルクス・レー二ン主義の理論的な理解がなくして、若し民自党がただ共産主義が反対であるというようなことを唱えておりまするといたしましたならば、そうでないことを私は望むものでありますが、それは街にうろうろいたしておりますところの、反動的なごろつき団体のいわゆる反共団体と私は異ならないことになると考えるのであります。ここに先ず私の質問を展開いたしまする前提といたしまして、このマルクス主義、マルクス・レーニン主義について、国際政治通でいらつしやるところの吉田内閣総理大臣がどのようにお考えになつておるかということを先ず承わりたいと思うのであります。
 第二に私は吉田さんに御答弁を願いたいと思いますことは、先に申しました殖田法務総裁の答弁についてでありますが、殖田法務総裁は先般のこの委員会における私の質問に対しましても、又十一日におけるところの衆議院本会議におけるところの答弁におきましても、新聞の報道いたしまするところによりまするというと、このように答えていらつしやる、共産主義対策に対しては、すべての極端分子に対する方策と同じである。即ち思想、言論及び結社の自由は新憲法の規定するところであるから、それについては自由である。併しただ行為が不法行為となつたときにおいてのみ初めて処罰されるのである、と述べておられるのであります。当時この委員会におきましては、私はこのような答弁は、殖田法務総裁が教育されて来られた、成文化された法律のみが法であるというところの、法律官僚の形式法律主義の誤謬に陥つた考え方であつて、同時に共産党の指導原理に対するところの無智を暴露する以外の何ものでもないというように申したのであります。尚そのときに殖田法務総裁その他の治安閣僚諸氏よりもその答弁を聴きまして、遙かにマッカーサー元帥の方が共産党の本質をよく理解していられる、それは昨年の七月四日、フォーカス・ジュライの米国独立記念日において、マッカーサー元帥が発したところの声明書を挙げてそういうことを言つたのでありますが、私もそうしたサゼスションに従われたものであるかどうか知りませんけれども、先般の衆議院の答弁においては、私の挙げた七月四日のマッカーサー元帥の声明の一節を引用せられているのであります。そのようなことはさて措きまして、考えまするに、マルクス主義というのは、私が思いまするのに、唯物弁証法において一つの認識論又は哲学であります。唯物史観におきましては、一つの社会学の学説であります。その剰余価値論におきましては、一つの経済学のセオリーであると思います。その革命論及び国家論におきましては、一つの政治理論でありまして、かれこれ相合して一つの総合的な理論体系を作り上げ、又広汎なる一大フィロゾフイーを私は形造つているものであると考えるのであります。その唯物弁証法であるとか、唯物史観であるとか、経済理論を研究いたしたり、これを主張いたしますることは、学者はその中にも幾多の欠陥があるということを指摘いたしているのでありますが、それはさて措きまして、それを研究し主張するというだけに止まりますならば、それは殖田法務総裁の言われる通り、思想学説の自由でありまして、飽くまでも干渉さるべきところの限りでないと私は考えるのであります。問題はその中の政治理論でありますところの、国家観及び革命に対するところのマルクス主義の見解でありまして、それによつて立つところの共産党というものが、殖田法務総裁の言われるところの学術研究団体でもなく、又単なる思想団体でもなくして、飽くまでも政権の獲得ということを目標といたして立ておりますところの政党であり、行動実践のための結社であるというところの一事であります。
 共産党の目的は共産主義の実現にあるのでありまして、その手段の如何は敢えて問うところではないのであります。その目的の達成のためには、或るときには嘘も言うでありましよう。或いは隠れ蓑をかぶつて自己をカムフラージュするようなこともあるのでありましよう。或いは又ロシア革命に見られるようなテロリズムを行うというようなこともあるのであります。共産主義者にありましては、すべての言動はその目的達成のための戦略戦術に過ぎないのでありまして、それは時と場所とに適応いたしまして、千変万化いたすのであります。形式的な法律官僚には、失礼でありまするが、それを理解把握することが困難なのではないかと思うのであります。若し殖田法務総裁が言われるような、そういう外面に現われたる形式主義的な立場についてのみ共産党の本質を見ておりまするならば、日本共産党が出しておりまするところの政策綱領としての印刷物と、我々日本社会党が出しておりまするところの政策綱領というものを対照して御覧になりまするならば、この二つの政党の間には殆んど異なるところはないのであります。その表面に現われたるところのそうした印刷物上の文言上の共産党の綱領政策が、共産党の実態そのものと同一でありまするならば、我々社会党の者は、何も共産党から別個の政党を組織しているところの必要はないのであります。世の中に、自分は目的達成のためにはテロでもやるものであるというような本質を持つておりまするところの団体が、合法社会においてその同志を集め、その大衆を傘下に組織化せんとするときに、自分達はその目的達成のためには嘘もつく、テロもやるというようなことをば表面に表すところの馬鹿はないのであります。このように考えて見まするというと、植田法務総裁の過去における答弁や、又衆議院におけるところの答弁は、余りに浅薄でありまして、余りに形式法律主義的であることによつて、重大なる政治的な認識の誤謬をおかしていらつしやるということを私は断定せざるを得ないのでありますが、この私の考え方についての内閣の首班としての、吉田総理大臣の御答弁が承わりたいことが、私の第二点の質問要点であります。
 第三番目に、右と同一の見地におきまして、吉田さんは、若し国民中の何者かが、我らはヒツトラー主義の、或いはムッソリーニ主義に従つて政治行動をなすものであると堂々と公然主張いたしまして、それを旗じるしとして政事結社を組織いたしましたときに、その結社の自由を御承認になるでございましようかどうかということを総理大臣より併せて御答弁が願いたいのであります。
 第四項として私は吉田さんにお伺いいたしたいことは、昨今世間には、日本共産党は解散されるのではないかというような風説が伝わつているのであります。私は日本共産党を解散するのはいい、又悪いというようなことをここに言おうとするものではありません。若しその世間の一部に流布されておりますところの風説のように、吉田さんは日本共産党を解散するところの意思を持つておられるのかどうかということをこの機会におきまして、私は日本共産党の諸君、その他の、そのことを憂えていられる国民諸君と共にこの機会にはつきりと吉田総理大臣から御答弁が願いたいと思うのであります。
 第五番目に、私が御質問申上げたいことは、私の考えますのに、日本におきまして、赤色革命は必至であると実は考えておるのであります。それは武力蜂起というような物騒な形でその革命は起るのではなくして、比較的平和的な手段でありまするところの、労働組合のゼネラルストライキの形を通じて、その赤色革命は行われて来ると思うのであります。マルクスが明言いたしておりまするように、ゼネストに対抗し得るところの力というものは世の中にないのであります。私は三十年前に一学生としてドイツに滞在いたしましたときに、ドイツの自由主義的な外務大臣でありましたところのラーテナウが暗殺せられまして、それに対するところの反抗の意思表示として、ドイツの全労働者が全国に亘つてこのゼネラルストライキを決行いたしました実情を実見いたしたことがあります。又吉田さんも御承知のように、ドイツの共和革命は労働組合のゼネストを通じて行われて、そのためにカイゼルは国外に逃げて行かなければならないようになつたのであります。これは共和主義の革命であり、これは民主主義のためのデモンストレーシヨンのゼネストでありますが、日本に起つて来るところのゼネラルストライキを通じての革命は私は赤色革命であり、共産主義革命であると考えるのであります。而も軍隊なく、警察力の極めて微弱なるところの日本におきまして、それが今日行われないのは、進駐軍が駐屯いたしているからであると考えるのであります。その進駐軍の力によりまして先般のいわゆる二・一ゼネストは中止せられましたけれど、進駐軍一度日本を撤退いたしまするならば、このゼネラルストライキは、直ちに私の言うところの革命に移行するであろうということを考えるのであります。これに対するところの吉田内閣総理大臣の御見解はどうであるかということが第五点の承わりたい私の質問であります。その一々につきまして総理大臣より直接に我々の納得行きまするような明快なる御答弁を承わりたいと思うのであります。誠意ある御答弁を承わりたいと思うのであります。
 殖田法務総裁につきましては、先に申しましたように、先般の委員会において私は不信の意を表明いたしました。でありますからこの問題につきましては御答弁を承わる必要はありませんが、尚吉田さん以外に、鈴木労相及び樋貝警察行政担当の国務相が吉田さんの御答弁以外に、尚この際答えたいとお思いになるようなことがありまするならば、鈴木労働大臣と樋貝さんの補足的な御答弁を承つても結構であります。専ら直接的に内閣総理大臣より、その五項目につきまして誠意ある明快なる御答弁をお願い申したいのであります。
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。共産主義の基本方針、又はマルクス・レーニン主義を何と考えるかという御質問でありますが、これに対する、理論的に自分はこう考えるというようなお答えは差控えます。併しながらその基本方針なり、マルクス・レーニン主義が国憲国法に反する行動をなす場合は、これを政府としては断然取締らざるを得ないのであります。又法務総裁の答弁は政府を代表いたした答弁であります。法務総裁一個の答弁ではなくて、政府を代表した答弁であります。これに対する批判は自由でありますが、併しながら私としては代表答弁でありますから、これに附加える必要はないのであります。
 又ヒットラー・ムッソリーニ主義についても同様であります。これが国憲国法に反する行動となる場合は取締らざるを得ないのであります。
 又共産党の行動を、将来これを解散するかしないかというようなお尋ねであると思いますが、この行動が若し明白に国憲国法に反する場合は、これ又断然取締らざるを得ないのであります。
 赤色革命についてのお尋ねでありますが、これは赤色革命なるものは如何なる形において起るか、仮想の問題については例によつてお答えをいたしません。
○吉川末次郎君 私は吉田内閣総理大臣の御答弁に対しては、甚だ不満足であるというところの意思をこの機会に申上げて置きたいと思うのであります。又殖田法務総裁の答弁は、政府を代表するところのそれに対するところの答弁であつて、意見が全く同一であるとおつしやつたのでありますが、それは先程申しましたように、殖田法務総裁の答弁に対しては、私はその当時申しました言を再び繰返して申したいと思うのでありますが、民自党は、共産党に対する考えとして、大体私の思うところ二つある。
 一つは街において共産党は天皇制に絶対反対しているからこれは打倒しなければならんというような、極めてマルクス・レーニン主義の理論を知らないところのそうした考え方、それは相当盛んなものであると思いますが、そういう考え方、もう一つは私が指摘いたしましたような、法律官僚の形式主義的な見解でおりまして、共にこの二つの世界の一つを指導いたしておりますところの共産主義、マルクス・レーニン主義の本質というものに対する理解を毫も持つておらんところの答弁であつて、内閣総理大臣がそうした見解において、今日日本の政治を指導し、世界政治に対処しておられるということについては、私は非常に不満を感ずると共に、その当時申しましたように、かくのごとき無智なる内閣は時局担当の任に堪えないものでありまするから、我が日本国民のために一時も早く退陣せられるということが、国家のために必要であるということを再びここに繰返して、吉田さんに対する討論を打切ります。
○柏木庫治君 総理を始め治安閣僚がお見えになつておりますからお尋ねいたします。
 私は吉川委員が先程言われました、吉田内閣には担当する力がないという問題は、吉川君と反対意見でありまして、吉田内閣は時局を担当するに最もふさわしい力を持つておる、こう考える上からのお尋ねであります。
 それは過日起りました福島県で、警察が大衆に一時占拠された、このときのこの不祥事は国民の誠に悲しい思い出となつておるのでありますが、ただ私のお伺いいたしたいことは、警察は正義の者を守る。でありますから、警察が正義の者を守るということに始終いたしておりますならば、善良な国民からは非常に親しみを持つて見られなければならんと思うのであります。然るに承わりますと、平の警察なんかが占領されましたときに、大衆はどうであつたか、町民はどうであつたかと申しますと、実際問題としては心の底で決して警察に好意を……、警察を守り、取返すというような態度に出ずに傍観しただけでなく、少しは心のどこかの隅で愉快だなというような思いをいたした者もあるかのような、周囲の情勢であつたのでありますが、これは第五国会のときに、私が警察官が、主食取締りに二千から二千五百人乗つている人間を、三十人か五十人の違反者のために、総員下車をさせる。それは間違いであると、総理と法務総裁の意見を承わりまして、一年に二千四百列車、人員で言えば、七百万人の者を総員下車をさしておつたものを、吉田内閣において、綺麗に止めたことは、私非常に喜ばしいと思うのでありますが、その後、間狩防犯課長であつたかと思いますが、声明に、警察は汽車から総員下車を命じたのではない、協力を願つたのだ、而も朝早く、夜晩くは絶対にやらなかつた、こういうふうにはつきり言つておりますが、朝早くやらないか夜晩くやらないか、郡山の駅をお調べになつたら、今からでも分かるのであります。ああいつたような最も厳格であらなければならない方々が、私は事を曲げて抗弁するようなことが、国民から嫌われることになるのじやないかと、こう思いますので、私は今日、警察が非常に国民と大衆と、善良な者と一つになつて治安を全くいたす、又私達国民は、警察の労苦に向つて心から親しみと尊敬を持ちたいと思うのであります。この上から例えて申しますと、今はどうか知りませんが、実際罪あるかないかわからん極めて善良な者を縄で縛つたり、何か鉄をはめたりするというようなこと、そういうふうなことが、善良な大衆からも嫌われることになるのじやないか、私はこの際強い力を持つており、而もみずから歩みにおいて右顧左眄しない、信ずるところを断乎行い得る吉田内閣において、治安問題を全うする方法として、警察官が大衆に対して接する態度を大衆から親しまれるように進める方法を御研究をお願い申したい。何かこれに対して思いをいたされたことがあるか否かというようなことをどなたでも承わりたいと存ずるのであります。
○国務大臣(樋貝詮三君) 只今の御質問に答弁いたしますが、平事件は正にお説のごとくに非常に残念に存じております。併しその後におきましての警察力は国警であると、自治警であるとを問わず、非常に私が先程申上げましたようなことくに、ひとり私共に力を以て警察に臨みたいという考はありませんので、できるだけ明るく、それから国民と共に進むということを考え、即ち民主的であろうということを考えて、願つておるわけでありまして、今日においての警察と、一代前の警察国時代の警察とを御比較下されば、余程進歩をしておることは事実であります。それで又今のお説のごとくに、確かに古い警察の残渣が幾らかあるということも、惰性として事実でありますけれども、折あることに私共はこれを拂拭いたしまして、そうして新らしい方向に向つて警察を一致せしめたい。警察に與えられた條件はたとえ不利益であつても、私共はその條件下において最良を盡したいということで努力いたしておる次第であります。
 又先程途中下車等について、汽車の途中下車で荷物を下ろしたというようなことは、僅かの者のために多数の者が迷惑を蒙むつておるということの御質問がありましたが、これ等に対しても、私共政府におきましてはそのことを知らんならば別、知つておる場合ではできるだけの努力を拂つて、そうして国民の意思にも副いたいということを考えておるようなわけでありまして、私共は相手が直接行動に出るならば、そうして非合法に行くならば、どこまでも力を以て応待したいとは思いますけれども、警察自身は決して違法なことだとか、或いは好んで力を用いるとかということはいたしませんで、止むを得なくんば幾らでも力を出そうということを考えておるような次第であります。どうか愛される、本当に心から親しむところの警察としてお引立てを一緒に願いたいと考えております。
○委員長(岡本愛祐君) 総理大臣にお伺いするのですが、吉川君の質問も、中ソ同盟條約が日本に攻勢の目標を置いておる。それから共産党がコミンホルムの批判に屈したことは、平和的国会主義を捨てて、破壊的な暴力革命に移行するということになりはしないのか。これに対処するには、国内の治安対策をどういうふうに総理大臣がお考えになつておるのか。いつか、昨年の四月六日の本会議におきまして、私は総理大臣に、治安対策について種々質問をいたしたのでありますが、そのとき総理大臣のお答は、警察制度を最も有力なる効果ある制度に直すにはどうしたらいいかということを研究しておるのだというお答でございました。それで先程樋貝国務大臣は、国際情勢もあるからいろいろ考えておるけれども、警察制度の改善ということもなかなか容易に運ばないという話がございましたが、最近起ります小さな市町村における自治体警察の腐敗堕落というものは、日々の新聞に見えております。これらを何とかして早く建直しをし、又小さいものを廃して、その人員の半分は大きい自治体警察の中に入れ、その半分は国の警察の中に入れて強化したらいいじやないが、そういうふうなことぐらいは日本の自主性でできそうに思うのでありますが、そういう事柄に対しまして総理大臣はどういうふうにお考えになつておるか、この機会に御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 警察問題は内外の情勢と共に捨ておくことのできない問題として今日いろいろ研究しております。併しこれは予算にも関係いたしますし、又従来外国の情勢から申しますと、日本は警察の名において再軍備をするのではないかというような疑惑などもあるものでありますから、日本の現在の警察の欠点を改めるためにこれだけのことをしなければならない、こうした方がいいというようなことを内外において十分事情を分らせるためにもあまり急速にいたしまして、そうして再軍備、或いは又警察の形において、軍隊を養うというような疑惑を起すというようなことがありましたならば、講和條約を前にして甚だ面白からざる感情を内外に與えまするから、この問題は愼重に注意をして研究を今尚いたしておりますので決して捨てておいておるわけではありません。お答えいたします。
○濱田寅藏君 治安問題ではないのでありますが、先日地方行政委員会で本多国務大臣が答えられて我々が失笑したのでありますが、標準義務教育費に関する法律案を文部省が出して、これを閣議に諮つた際に自治庁側が反対した。お前のところが反対するならば俺の方は平衡交付金制度は認めないぞと、まるで子供の喧嘩のような状態であつたということでありますが、そういう点を総合して見ますというと、未だに強力な各省間におけるところの縄張り根性が非常に甚だしい、そういう点は大いに一つ総理大臣としても今後注意をして頂きたい、これは希望であります。
○委員長(岡本愛祐君) 他に治安問題について関係各省に御質問ございませんか。
 殖田法務総裁がお見えになつておりますからお尋ねしたいのですが、過般北海道の市長会会長から警察法の疑義につきまして、法務府の意見を照会いたしました。ところが二月四日附で法務府の法制意見第一局長から、その疑義に関する件の解答がありました。
 第一点は市町村公安委員会は、警察法第四十三條の規定によつて、その区域内における警察を管理する権限を包括的に市町村警察長に委任することができるかという問題であります。これに対しての法務府の答は、市町村公安委員会は警察法第四十三條の規定によつて、その区域内における警察を管理する権限を包括的に市町村の警察長に委任することができないという回答をなすつておられます。
 それから第二点は、市町村公安委員会がその定める規則によつて、市町村警察職員の任命及び罷免を市町村警察長の専決に委ねることは、警察法第四十八條の規定に違反しないかという問に対しまして、答は市町村公安委員会がその定める規則によつて、市町村警察職員の任命及び罷免を市町村警察長の専決に委ねることは、警察法第四十八條の規定に違反する、こう答えておられます。
 それから第三点は警察法が條例で定めると規定しておる事項の決定を、條例によつて包括的に市町村公安委員会に委任することができるかという問に対しまして、警察法が條例で定めると規定している事項の決定を、條例によつて包括的に市町村公安委員会に委任することはできない、こういうふうに答えております。
 それからもう一点ございました。第四点が市町村警察職員の教育、訓練、礼式及び服制並びに市村警察の装備に関する事項を、市町村公安委員会の規則によつて定めることは、警察法第五十條の規定に違反しないかという問に対しまして、それらは市町村規則によつて規定すべきであつて、市町村公安委員会の規則でこれを規定することはできない。市町村警察装備に関する事項は、予算の範囲内で市町村公安委員会でこれを定めることができる。こういうふうに答弁をなさつていらつしやるのであります。こうなりますと、大阪の市のやつておりますこと、その他全国で法務府の解釈に違反をしているという事例が起つて参るだろうと思います。これに対しまして法務総裁はどういうふうに御意見をお持ちになり、又樋貝国務大臣とどういうふうにお打合せになつているか、それを承わりたいと思います。
○国務大臣(殖田俊吉君) 私は只今お読み上げになりました意見については、実は存じません。これは意見局に大体一任をいたしておるのであります。非常に重大なことであれば、無論私に申してくるのでありますが、これはデイレクティーブの意見として答えたものと存ずるのであります。お話のごとくこの意見に反して行政が行われておる場合がしばしばあろうかと思うのであります。これは意見は一つの勧告でありまして、これを強制するという方法は只今のところないわけであります。警察とよく協議をいたしまして、成るべく御意見の通りに運営をやつて行きたいと思います。それらのことが起れば樋貝国務相とよく御相談をいたしまして、又国費なり或いは自治警察は御承知のように沢山ありまして、これを包括する一つの機関がありませんので甚だ面倒でありまするが、違法のことのないように努力をいたしたいと思います。
○委員長(岡本愛祐君) 只今の問題で御質疑ございませんか。
○鈴木直人君 先程私は法務総裁に質問いたしておりました、いわゆる代用監獄という意味において警察で留置をしているために必要とするところの警察の費用、これは自治体警察だけでなく、これは国家警察も同じでありますが、その費用について当然法務庁所管のものであるからして、法務庁として責任を持つてその経費は法務庁自体で何らかの処置をなすべきであると思うのであります。これに対するところの法務総裁のお話を承わりたいと思います。
○国務大臣(殖田俊吉君) 一般に刑務所又拘置所が甚だ狹隘となりましたために、即ち終戦前に約四万数千人の囚人を収容しておつたのでありますが、只今ではそれが九万数千約二倍に増加いたしまして、これに対する設備が間に合いません。年々相当多額の経費と資材を費しまして、設備を急いでおるのでありますけれども、何分にも御承知のような財政状態その他でありますために、未だに戦前の標準のスペースに達しておらんのであります。而も犯罪は、軽微なる犯罪は可なり増加をいたしております。自然拘置所、特に拘置所の設備が不十分でありまして、そうしてお話のごとくこれを無理に警察に委任して、代用拘置所というような形でやつております。誠に遺憾でありますが、それは多数あるのであります。なるべくこの状態を速やかに改めたいと存じまして、財政当局にも非常に強く請求いたしまして、実はその方の設備を余程急ぎまして、拡張いたしております。併しながらまだまだ今の鈴木さんのお話のごとく大分残つておるのでございます。今折角これが整備を急いでおりまして、ただ、只今お話の経費の分担の問題でありまするが、実に御尤もなことであると思うのでありますが、それらの経費を支出しまする方法につきまして、いろいろ面倒があり、又経費も自分のところで賄いますのが手一杯でありまして、それ以上の経費を実はまだ貰えておらないのであります。併しそこに実際と理窟の上で可なり食い違がありますし、面倒があるのであります。しよつ中警察との間に問題を起しておるので、善処に苦慮をいたしております。私に実にここで今、数字等につきましてはつきりしたことを持ち合わせておりませんし、それからどういうふうに今コムプロマイズしておるかにつきましても、はつきりしたことを申上げる資料を持ちませんので、役所に帰りましてよく取調べまして、具体的にお答えを申上げたいと思います。
○鈴木直人君 もう一つこの際申上げます。総裁が来られない前に私は意見を発表しておいたのですが、市町村に廻わりまして、市町村の委任事務と経費の関係をこの前徹底的に調査したのですが、その中に国から委任された事務で、最も事務だけを委任されて経費の少いものは法務庁関係です。それで戸籍事務、或いは追放者、名簿整理とか、或いは政治結社の届出とか、その他に関するところのポツダム勅令に対する事務とかというようなものを、これは法務庁自身がやるべきを市町村にやらせておるのでありますが、その他各省が相当委任されておる。相当費用は来て、人も来ておる。併しどうも法務庁関係のものが事務を委任されて仕事は忙しいけれども、予算が殆んど来ておらないというのが、これは非常に特徴ある、各省の中でも最も法務庁のやつが実は経費において市町村は困つております。
 この代用拘置所はその一つでありますが、どうも法務庁は裁判所、或いは検察庁という方面には力を入れるかも知らんが、その方面にも不足しておるかも知らんが、少くともそういうふうに自治体に委任する事務についての予算の取り方に熱意がないように思うので、一つ総裁の方面において、ここの場所限りでそれを聞いて答弁をするだけでなく、今度帰りまして、その方面に強く一つ我々の参議院の意思を部下の方に伝えて、検討して貰いたいと思います。それについての一つ御意見を承つて置きたいと思います。
○国務大臣(殖田俊吉君) 御尤もな御意見でありまして、第一戸籍事務でありまして、これはもう古くから国の事務でありながら実は自治体に任かしまして、経費を殆んどやつておらん。これは昔からの仕来たりでありますが、それからお話の追放関係でありますとか、或いは団体規制令の事務、これは新らしい事務でありまして、これにつきましてもお話の通りでありまして、経費の分配が甚だ不十分であります。この二十四年度から幾らか増したつもりであります。二十五年度も増すつもりでありますが、幸い平衡交付金の制度が今度できますので、それに織込みましてもつと十分なことができればいたしたいと考えております。それからこれは鈴木さんのお話でなく、よく陳情を受けておりますから、私共は誠にそれは御尤もなお考でありまするから、なるべく御希望に副うように努力をいたしておるつもりであります。今後もいたしますもりであります。
○鈴木直人君 部下にも徹底して貰いたいということです。
○国務大臣(殖田俊吉君) 部下にも徹底するのでありますが、何しろ相手が財務当局という強いものがおりますために、どうも私共微力で実現が甚だ遅いので、甚だ申訳ないと思います。
○委員長(岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか――じや、もう一点、両大臣がおられますから伺いますが、先程私から吉田総理大臣にも質問したのですが、今警察で癌といいますのは、何としても縦の連絡、横の連絡が取れないこと、殊に自治体警察の中の弱小のもの、小さい市町村に置かれた自治体警察、これが実力もなければ、又宿命的に非常に堕落し易いのであります。新聞に毎日のように現われておりますが、それを私の方の委員会で調査をいたしてみますると、誠に情ない有様で、武生の裁判所の放火事件、これなんかは朝鮮人やテキ屋の親方やら、そういうものと自治警察の方の署長以下とも関係がありますし、又法務府といいますか、検察庁の方とも関係があるのです。それから又滋賀県の守山町の自治体警察が焼けた、これなんか実にひどいのでありまして、この書類にも詳しく書いて置きましたが、当番の巡査部長が情婦の所へ入り込んでいるところに火事が起つて焼けてしまつた。そういうような事件、それから高知県の安芸郡の室戸町の警察署の汚職事件、これは統制物資の販売者と自治体警察の署長以下が醜関係があつた。それを署員から告発されたという事件であります。それと同じようなのが、やはり広島県の上蒲刈島村という所にも同じような事件があります。又最近栃木県の塩谷郡喜連川町の警察署に紛争事件が起りました。これもそこのボスと署長の馴合の事件であります。こういうような、問題が非常に発生しております。これはどうしても私は弱小自治体警察というものは廃止しなければいけないというふうに思うのです。それで自治体警察全部を廃止するのでなくて、三万以下とか五万以下とかは廃止をして、人員の半分は大きな自治体で大阪とか、神戸とか、或いは北九州の町とか、人口が急激に殖えて行きつつある所に、半分は廻してやる。その半分は国家警察の要員に入れるというようなことは、これは何も国際情勢を顧慮するとかそういうことでなくて、日本の自主性においてできる問題でなかろうか、こういうふうに考えるのですが、こういうようなことについての御意見と、それから裁判所や検察庁はこの頃随分焼けます。方々で焼けまして、それは今言つた武生のみならず、米子の裁判所、検察庁が焼けてしまう。これは昨年でしたか、それから今立地区の警察署も焼けてしまつた。それから福井県の刑務所が放火未遂で終りましたが逃走した。弘前の裁判所に放火があつて焼けてまつた。こういうような裁判所、検察庁の火災というものは頻々と起つている、こういうことについてどういうふうに法務総裁はお考えになつておられるか、そういうようなことについて伺いたいと思います。
○国務大臣(殖田俊吉君) 警察に関しましては、樋貝国務大臣から具体的なお話があると思います。大体におきまして私は先程総理の答弁されました線で行くよりいたし方がないと思います。只今お話の各地に、殊に裁判所、検察庁に火事が頻々に起りますことは誠に遺憾であります。私もどうしてこれを防禦するかということについて実は肝胆を砕いておるのでありまして、皆んなと相談いたしておりますが、これを泊り場も増しまして夜警を厳命にするということも限度のあることでありまして、要は外部から来るものはこれは社会全体の情勢でいたし方ありませんが、内部のいろいろな問題から起りますものも可なりあります。これは私は綱紀が緩んでおるとこう考えております。これは私の責任でありますから、何とかして綱紀も粛正いたしたい、しきりに実は訓令を発し、手を盡しておるような次第であります。然るに拘わらず幾つもああいう事態が起りますことは誠に申訳ないことと思います。併し今一層緊張いたしまして、十分に綱紀を正しまして、そうしてかような不祥事件のないように努力をいたしたいと考えております。若し具体的に何かいい方法があればそれを採用いたすつもりであります。
○国務大臣(樋貝詮三君) ちようど終戦後におきまして思想が非常に動揺いたしまして、最近におきましてもその動揺が続いておるような状態で、御承知の犯罪だと当り前のように考えてこれを犯すというような傾向になつておりまして、その落付きを一日も早く落付けたい、そうして正しい考えを持つて進みたいということを考えております。機会ある毎に、それを実現しようと試みていることは事実であります。又私が丁度警察と共に消防の方も担当しておりますので、今のいろいろの御説は、お叱りを受けた点は御尤もだと考えております。殊に公共の建物がややもすれば火事になるというようなわけで、その財産の方面から来るところの損害も、我々国民に対して非常に大きい負担になると思いますので、これを防ぎたいというわけで消防の方面にも絶えずそのことを申しておるような次第でありまして、警察に関する限りにおいては、できるだけそれを防止したいという考えを持つておりますようなわけであります。又自治体におけるところの警察が俗に言う腐つておるということは、小自治体において特にその著例を見ますが、これをどうすればそれが防げるかということをも考えまして、いろいろその方面で手を盡しておるのは事実であります。昨年からすでにその方面にも幾多手を盡しておりますが、思うに委せんような、いろいろの事情がありまして、遷延今日に至りましたことは、何とも申訳けないのでありますけれども、併し今日でも決してそのことを捨てておるわけではないのであります。私の考えるところではそう長い間でなく、今のお説のようなことが、救われる道が、開けるのではないかと考えております。幾多のことがあります。そのことは今ちよつと申上げることができないのを遺憾といたしますけれども、結論だけ申上げますればそういうわけで、長い間とは申しません。暫くの間お待ちを願いたい、こういうことを申上げる次第であります。その間においてできるだけ與えられた條件で十分に目的を達したいつもりで各方面に調査をいたしまして、努力をいたしております。御承知の通り警察におきましても、現在においては非常事態になれば総理大臣のところに集つて参ります。私のところで一手に握ることができるのであります。平時においては、自治体警察は、自治体に委せる。消防においても何様こちらで指示するのでなしに、自治体で発案して進んで行けという考えを持つならば、現在消防の方は、ややもすれば二百万ばかりありますところの消防団員が右往左往しようというような傾向さへもありますので、これらを一体といたしまして、そうしてこの今の目的に到達させたいというように思つておる次第であります。只今のお叱りは十分に御尤もだと考えております。
○委員長(岡本愛祐君) 尚高槻市とか、北九州の五市とか、広島市、高松市その他から人員の増加に伴う自治体警察吏員の増員を至急にして呉れ、そうしなければ治安の維持ができないという陳情がありますが、それに対して樋貝国務大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。警察法ではこの自治体警察の定員は法律によつて定めるということになつておりますが、もう警察法施行以後二ヶ年ぐらいになつて来ますから、その法律も出さなければならんと思いますが、そういうことに対して政府はどうお考えになつておるのか伺いたいと思います。
○国務大臣(樋貝詮三君) すでに昨年におきまして、国警の当局の人達にもその意中を漏しまして一応研究はいたしております。それを私共実現しなければならんのですが、今では自治体の警察吏員の総体は九万五千ということになつておりますが、従つてどこかを削らないと殖やすということはできませんので、小さい自治体その地戦災を受けた自治体等におきましても、必ずしも現在の状態を以てよしとしているものではないのでありまして、従つて九万五千の中で按排するとすれば、大都市から削らないと人が出て参りません。併し集団的に兇暴な犯罪が起る場合には、大抵大都市が多うございます。東京は御承知の通り政治の中心であり、大阪におきましては経済の中心であるというようなことになつておりまして、これが大部分を食つております。警察吏員の削りようがないというような今日の状態であります。そうすると全体の九万五千を増さないというと困るということも出て来るわけであります。現に関東におきましては川崎、関西におきましても尼崎その他は大阪に比較にならんくらいに少いのであります。而も特殊の人が入り込んでおるというようなことで、これらも考慮に入れなければならんというので、それらは大体現状に即して政治上に関係のないような体制にしようというふうに考えておりましたけれども、九万五千の自治体の警察吏員で満足しておるということが現われても困るし、又九万五千を増した場合において、果して地方財政がその負担に堪え得るかということも考えなければならんようなわけで、一応の仮案は考えて見ましたものの、尚検討しなければならん、そこに先程申上げました国際状勢ということも多分に響いて参りまして、今日においてはまだ成案を得て皆さんに御決定を仰ぐ段取に達しておりませんわけであります。
○委員長(岡本愛祐君) 治安問題について両大臣に御質問ございませんか。
○鈴木直人君 これは具体的な問題ですけれども、この間大阪、岡山に参りましたときに、大阪の警視庁から一応陳情がありまして、そうして法務庁の意見を聴きたいというようなことでありましたので、一応申上げて置きたいと思いまするが、御承知の通り警察法の附則の第九條に「この法律施行の際又はこの法律施行後新たに市町村が警察の責に任ずることとなつた場合において、現に警察の用に供する固有財産及び都道府県財産又は国及び都道府県の所有に属する物品で国家地方警察に不必要なものは、市町村警察に必要な場合は、無償でこれを当該市町村に譲與するものとする。」と、こういうことになつておるのは御承知の通りでありますが、現在大阪市の警視庁が使つておりまする旧軍用財産でありますが、お城の跡だと思いますが、それをこの法律によつて無償で大阪市に譲與すべきものであるという法律上の見解をとつて、その方面に交渉しておるんですけれども、大阪の財務部では、この財産は旧軍用財産並びに行政財産であるからして無償で譲與はできないと、こういうようなことになつておるので、結局両方で見解を異にしておるものですから、法務庁に警察法附則第九條、先程私が読上げましたその解釈を照会しておる。ところが法務庁としては、まだその回答が出ていない、こういうことなんでありますが、これは総裁は御存じでしようか。
○国務大臣(殖田俊吉君) 存じません。成るべく早くその問答を一つ出すようにいたしましよう。
○岡田喜久治君 私は先般新潟、山形両県の視察を太田委員と同行いたしましたその結果につきましては、当時一応の報告をいたして置きました。然るにこの問題は具体的でありまするが、山形市自治体警察庁舎につきまして、昨年の「都道府県の所有に属する警察用財産等の処理に関する法律」によりまして、これが現在におきましては国家警察と自治体警察が共用いたしておりますが、併しこの実情は到底共用を許さざる状態でありまして、どうかこれを独立いたしたい。然るにこの法律によりまして、今鈴木君からお話が出ました通り違法にならない。これが問題を生じておるんであります。これはどうも困つた事件であるようでありまして、是非共これは何らかの適当な処置を講じなければならんという感を深くして参つたのであります。よりよりそれぞれ、関係方面と調査且又相談をいたしておつたものであります。これは是非本委員会におきまして取上げまして、何らか適当な検討をここに加え、且又処置を講ずるという必要が切なるものがあろうと存じまするので、是非そういたしたいと思うものであります。幸い本日山形市当局の方が陳情に参られまして本席上におります関係上、この際取敢ず山形市当局から、この問題は実際問題であり、具体的な問題でありまするので、陳情御聴取を頂きたいと存じます。然る上更に又私共少しこれに関連いたしまして質疑応答を重ねたいと思いますので、委員長において是非さような取計いをお願いいたしたいと思います。
○委員長(岡本愛祐君) 只今岡田委員からかねて調査に山形県に出張されたときに、お帰りになつて、この委員会で御報告をされました山形市の警察の庁舎問題につきまして、山形市側から陳情が出ております。丁度今日は山形市長以下お見えになりまして、意見を開陳したいという申出があります。異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡本愛祐君) ではそういうふうに取計らいます。先ず鈴木山形市長御開陳願います。
○参考人(鈴木重屹君) 私山形市長の鈴木重屹であります。今回市の警察署の庁舎につきまして陳情の機会を得ましたことを深く感謝いたします。
 御承知の通り、警察制度の変革によりまして、自治体警察、国家警察の二本建になつて参りましてから、すでに二年余になりました。当山形におきましては、両者共最も緊密な連絡をとりまして、今日まで円滑な運びをして参つたのであります。何らそこにトラブルもなく、又世間で申しますところの不祥事件もなく、この点私共非常に幸に存じておつたのでありまするが、昨年の五月の十九日、法律第七十三号が公布になりまして、私共が共用して使つておりまする警察の庁舎、その他すべてが、全部固有になつてしまつたのでございます。
 そこで市の警察の庁舎、或いは国警の庁舎をどうするかという問題が起りまして、この解決のためには、こと警察に関します限り、できるだけ穏便に筋の立つた行き方で解決をしたいというので、関係方面にも、それぞれ交渉を続けて参つたのでありますが、何しろこの法律の故に如何ともいたしがたく今日に及んで参つたのであります。たまたま本年の一月十九日、岡田委員、太田委員の御両所が山形においでになりまして、自治体行政の視察をされました際に、この問題を具に申上げ、又実地に警察の庁舎を御視察願いまして、成る程これは捨置けない問題である、本会に陳情したらよかろうということで、本日御招致に預かつた次第でございます。どうかこの点十分御賢察を願いまして、速やかに方策を立てて下さるように、切にお願いする次第でございます。
 尚公安委員長、それから市議会の総務委員長も参つておりまするので、内容につきましては只今から簡潔に御説明申上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○委員長(岡本愛祐君) 次に今泉山形市公安委員長。
○考参人(今泉虎男君) 山形市警察のために、こうした貴い機会を與えて頂きまして深く御礼を申上げます。
 警察法の施行によりまして、自治体警察が誕生いたしまして、満二年を経過した今日におきまして、何故に山形市がここまで警察庁舎問題を持出さなければならなかつたかと申しますると、一言にして申すならば、これまで我々の主張や要求が容れられず、殆んど国警県本部の単独方針に従わざるを得なかつたというに盡きるのでありまして、次に順序を追つてその経緯を申上げます。
 第一に山形市警察と山形地区警察が庁舎を共用するに至りました経緯と、これに対する我々山形市の要求でございます。
 山形県の警察は従来十三の警察があつたのでありますが、昭和二十三年警察法の施行によりまして、国家警察と自治体警察に分離されまして、国家警察は十三署で定員五百八十四名、自治体警察は三十署で定員六百九十五名となつたのであります、そのうち今回問題となつた山形市警察は定員百四十二名、山形地区警察は定員四十三名であります。この両者は警察法施行と同時に、従来の山形警察庁舎に同居いたしまして今日に至つたのでありまするが、三階建庁舎の延建坪約三百七十八坪ありまして、その他に増築いたしましたものが百十七坪ありますから合計いたしまして四百九十三坪、大体五百坪のうち、五分の二は山形市警察が使つており、五分の一は地区警察が使つております。そして残り五分の二は講堂とか、留置場とかに共用しておる状況にあるのであります。
 さて現在のように共用するに至りましたのは、全く国家警察県本部の単独方針でありまして、これにつきましては山形市警察は勿論、市当局、公安委員におきましては何らの相談もなかつたのであり、これは県が単独で決定して、二十三年一月二十一日付で以て、その当時の警察署長に通牒を出したものが現在残つておりまするが、元の署長は辞めることになつており、勿論まだ公安委員が選任される以前のことでありますから、現在の当局者には何らの相談もなかつたのであります。
 同年二月六日に、いよいよ公安委員と新署長及び署員の配置が決定いたしまして、山形市警察が発足したのでありまするが、その当時は警察法附則第九條には「国家警察に不必要な財産は市町村警察に無償で譲渡する」と定められておりまするし、前述のように従来の庁舎の主要部分を市警察が使用することになりましたので、この庁舎には市警察が一応権利を持つたものと考えていたのであります。間もなく四月下旬になりまして、自治警察発足に要する初度調弁費が国庫から助成されることになつたのでありまして、山形市といたしましては、市長、議長、公安委員が同道いたしまして、警察庁舎整備に要する相当額の交付方を再三懇請いたしましたが、県本部では山形県に割当てられた全体の金額も極秘にしまして一方的に取決めました結果、山形市警察には庁舎増築分九十万一千円、その他七十四万四千円、合計百六十四万五千円に過ぎなかつたのであります。
 この外財産譲渡を受けたものは、老朽の自転車二十五台と机、椅子の一部と、国警が当然不必要となりました市内の交番所ぐらいのものでありまして、当時自動車は四台もあつたのでございますが、一台も分與されず、官舎も国警が使用することになりましたので、実際面で市警察の活動が停止される状態となりまして、止むなく市費をもつて五百五十万円以上も足し前をいたしまして整備をいたしたような次第でございます。
 他県では各自治体当局代表を入れて、処理委員会等を作り、民主的に取決めたと聞くのでありますが、山形県では極秘のうちに、関係方面には何等の話合いもなく取決めをいたしたのであります。山形県全体に二千六百万円の助成金が交付されたということも暫く経つて分つたことでありまして、最初は各々自治体の割当を決定してからでさえも、どこに幾らという個々の金額は全然発表しなかつた程なのでございます。
 かように山形市といたしましての意見や要素が何等顧みられるところがなかつたので、止むを得ず折を見まして地区警察を新築して現庁舎のうち、地区警察が使用している部分と交換する機会を狙い、かたがた県本部にもその旨を要望し続けて参つたのであります。
 ところが昨年三月十九日法律第七十五号「都道府県の所有に属する警察用財産の処理に関する法律」が公布いたされまして、「自治体警察と共用しているものも含めて、県から国に無償譲渡する」と定められまして、この結果国警本部は、我々自治体警察には何等の打合せもなく、法律通りの取運びをしたのでありますが、私共は同年九月末になりまして、新らしい法律とそれによる県本部の取計らいを聞きまして驚駭いたしたような次第でございます。
 この法律によります措置も、他県では財産処理委員会等を作つて、民主的に円滑に決定したと聞いておりますが、山形県に関する限り事前の打合せは一言もなかつたのであります。その後再三に亘りまして、国警県本部及び県公安委員会に折衝いたしました結果、それぞれの当局者も山形市の要望は理の当然であるから、何とかしたいと分つて呉れ、山形県議会も又新らしい認識に立つて善処したいと深く諒解したのでありますが、かかる法律が出た以上如何にすれば所期の解決を見出し得るかということで悩んでおります実情でございます。この間国警本部の内意さえも伺いまして、国警県本部と山形市の意見の円満合致に努力いたしましたことは勿論でありますが、生憎十一月末国警県本部隊長の更迭が起りまして、徒らに時間の遷延を見たのは遺憾の極みに存じます増す。
 第二として、然らばどうして市警と地区署が分離して各々独立した庁舎を持つ必要があるかという理由を申上げます。先ず根本的な事柄を申上げると、運営管理の主体を異にする警察が同居することは、いろいろと紛らわしい結果を来たし、各々が自ら警察を統制するに非常な困難を感じております。即ち一見いたしますと相協力する態勢がひとりでにできておるような形にあるから、便利でこそあれ不便はないように見えるのでありまするが、実際は自治体警察は自治体警察といたしましての特色があり、国警は又別な面で特色がありますから、おのおのが望むような運営の方向に強力に持つて行くことは容易ならざることであり、その結果に相互の業務執行能率にも影響するのでございます。このことは国警自身も同居することは拙い、別々の庁舎に独立することが最も理想的であると言つていることによつても明らかであるのでございます。その他細かいが重要な点ではいろいろの不便もあり、国民を迷わすようなことが数多くあることは申すまでもないのでございます。
 第三にどうして現在の庁舎を山形市警察が持つ必要があるかという点について申上げたいのでございます。第一には現在の庁舎の使用区分については、先に申した通りでありますが、定員四十三名の地区署がこれを専用とするなれば当然半分以上は不用となり、その半面、定員百四十二名の市署が専用すれば十分であり、而も将来二百六名に増員されましても概ね十分でありまして、今更巨額の出費を要する市署庁舎の建築は国家的に見て不経済であると考えられる次第であります。
 第二には、発足後間もなく交付されました国費の初度調弁費は、前述のように甚だ少く、すでに市署発足のために相当額の市費を支出した今日におきましては多額を要する市警察庁舎の建築は不可能に近い状況であります。
 第三には警察業績から見ましても、山形市署は県全体の二割に相当する犯罪事件を取扱う重要な立場にありまするが、山形地区署は市警の一割乃至二割程度に過ぎませんで、従つて留置場その他の設備も現在の規模のものは不必要であると考えられるのでございます。
 ここで聊か市署と地区署との犯罪比較を詳述いたしたいと思います。昭和二十三年度におきましては、山形県全体で一万七千七百九十七件の犯罪発生のうち、山形市署は三千七百二十四件、山形地区署は四百六十五件で、市署は全県下の二割以上を占め、地区署と比較すれば八倍の犯罪が発生しているし、この検挙率も国警の平均率を遥かに上廻る成績を上げておるのでございます。現在共同使用中の留置場には、二十三年度中には延べにして、市署は二千三十八人を留置したのに対して、地区署に百七十六人に過ぎないのでありますから、十一対一の割合で使用されたことになる次第であります。昭和二十四年度におきましては、県全体では二万二千六百三十九件の発生に対しまして、市署四千百二十件、地区署九百四十五件、留置場の使用は市署延べ二千八百二人に対し、地区署二百三十八人で、大体前年通りの割合を示しているのであります。
 第四には現在の庁舎は山形市民の負担において完成したものでありまして、山形市民とは到底切り離し得ないものであることであります。即ち現在の庁舎は、昭和十一年に当時山形市の故吉岡鉄太郎氏が、山形市の治安のために新築してこれを寄附したものでありまして、一切の設備等はこれ又市民の寄附によつて整備されたものでありまして、県有財産とは申しながら、県当局はなんらの負担をもしていない事実であります。
 第五には現庁舎は、山形市のほぼ中央に位しておりまして、且つ山形市役所に近接しておるので、市民には極めて便利でありまするが、たとえ市警察庁舎を新築するといたしましても適地がなく、一方地区警察は市の中央部に限定しなくとも、その管轄の点で不便がないと考えられる次第であります。
 第六にはすでに市警察が、警察法附則第九條に盛られた内容を信じまして二階建延百十七坪を増築いたしておりますること等であります。以上を以ちまして第一に山形地区署と山形市警察とが庁舎を共用するに至りました経緯と、共用しております状況について申述べ、第二に地区署も市署もそれぞれ独立の庁舎を必要とする点を強調いたし、従いまして第三には山形市が現庁舎を是非専用したいと熱望しております理由を申述べた次第でございます。
 顧みまして山形市警察は微小ではありましようが、少くとも十万市民の警察であり、山形県下公安委員連絡協議会と、県下自治体警察連絡協議会の名におきまして、国警と自警の相互間並びに自治体警察相互間の連絡協調を常に緊密にいたしまして、二十三年度乃至二十四年度におきましては東北管区は勿論、全国において冠たる成績を収め、全国警察力の一環といたしまして微力をいたしておるような次第でございます。
 この庁舎の問題は、最早市民の熾烈な輿論として持ち上つております次第でありまして、警察の管理に当りまして、私共公安委員会といたしまして最も苦慮いたしておる問題であります。
 何卒貴委員会におかせられましては、山形市民並びに公安委員会の心を御諒察の上、格別の御賢慮、御配慮下さいますよう深くお願いして止まん次第であります。
○委員長(岡本愛祐君) 最後に松澤山形市会議員。
○参考人(松澤太治郎君) 山形市の市議会の一員といたしまして一言附言いたしたいと思います。
 現在山形市警が使用しております庁舎は、とにかく山形市民の負担において完成したものである。山形市民とは切つても切れない関係があるということなんでございます。昭和の十一年に有力者である吉岡鉄太郎という方が、非常な義侠的な気持からこれを建設しまして県に寄附したものでございます。当時一切の備品はこれ又市の寄附になつたものでございまして、その当時県は少しも負担をいたしておらないのでございます。尚国家警察と自治体警察の分離の当時も七百十五万円の設備をいたしましたが、そのうち百六十四万五千円の初度調弁費を頂きました。併しそのお金も市民の半ば強制力とでも申しますが、定額郵便貯金というようなもので裏付をいたしたというようなことからして、特にこの山形市民が現在の庁舎に非常な愛情を持つているということでございます。若しこの要望が達せられないというようなことになりますれば、市民の気持からいたしまして、忍びがたいものがあるということを一言申上げる次第であります。
○太田敏兄君 この問題は先に岡田委員から申述べられたように、過般我々が現地に出張します際に、つぶさにその事情を承つたのでありまするが、更に只今の関係者の陳述によりまして明らかでありまするように、これにつきましては山形市当局の申出には相当の理由があると思います。これは従前のように警察制度が一本であつたような場合は問題はないのでありまするが国家警察と自治警察の二本立になりました今日では、かような問題が起つて来るのも当然であろうと思うのでありますが、この問題の元になりまする都道府県の所有に属する警察用財産等の処理に関する法律、これの各條を、一見しまして特に感ぜられるのは、この全体を通じまして国の優先の思想を以て一貫されておるということでありまするが、今日のごとく地方自治体がむしろ国家の根元であるとする国家観念の下におきましては、こういう地方自治体の立場を全く無視するようなやり方は当を得ないと思うのでありまするが、この法律の第四條の後段に、「その他この法律の適用について争があるときは、国家地方警察本部長官又は都道府県知事の申立に基き、内閣総理大臣がこれを決定する。」、とありまするので、幸い本日は齋藤長官及び樋貝国務大臣も御出席になつておりますので、この問題につきまして一応齋藤長官及び樋貝大臣の御見解を承わりまして、その上で質疑をいたしたいと思うのであります。
○国務大臣(樋貝詮三君) このことは非常に具体的な細かいことでありまして、私も過般山形地方へは参りましたのでありますが、そのときに細かい事情をついに耳にしたことはないのであります。従つて内容もよく存じないのであります。いずれ国警長官その他の方が詳しく事情を知つていると思いますから、その方から御答弁申上げることにいたします。
○政府委員(斎藤昇君) 私一言所見を申述べます。只今の御陳述によりまして、今までの経過と現状、それから市当局及び市警の持つておられる御希望の点ははつきりいたしました。現状について、及び市の側の御希望の点は、私は御尤もだと思います。経過につきましては、県の国警本部が極めて独断的であつたというお話でありましたが、この点は調査をして見なければ何とも申上げかねると思うのであります。少くとも私の方といたしましては、極く最近に至るまでこの山形市の警察の庁舎問題は全然知らなかつたのであります。若しこれが新警察法施行当時、或いはその後間もなく我々の耳に入つておりますならば、市の当局の御希望せられておつたような解決が得られたであろうと思いまして、今になつて残念に思います。今日といたしましては法律の定めるところによりまして、国警に必要なものはこれは国の財産とする。必要でないものは無償で自治体に交付する。国警も自治体もこれを共用しておる場合は、国の財産として市の使つておる分を無償で貸與する、こういう法律になつておりますから、従つてこの建物は両方共用しておるのだという県会の認定がありました以上は、これは国の財産とし、そうして市が使つておられるところは、市が無償で永久に使うというこの行き方で行く外はないと思います。併しながら今もお話しになりましたように、この庁舎は両方が入つておるにしては余りに狭すぎる。将来のことを考えても狭い。それからさような曉には地区署と自治体署は別の建物の方がいいのだということにつきましても、十分頷ける点があると思います。国警の地区署と自治体署が一つ建物にいる方がいいか、別の建物に入つた方がいいかは、いろいろ利害得失はありますが、私といたしましても、大体原則としては分れておる方が望ましいという御意見に対しては賛成であります。従いましてこの警察法施行当時におきましては、現在の庁舎で国警に必要なものはこれは国警が入る。併し一緒におれないというものは自治体の署の建物を作るという建前を取りまして、当時約十八億という金を国庫で取りまして、そうして初めて建てる自治体のその署の建設費に当て、十八億のうち半額の九億が国費の補助、後の半額はこれは自治体の実際上の負担にならない起債という立て方で、自治体の署の必要なものを作るという建前を取つたのであります。当時におきまして自治体署を新設の必要のあるところの希望を募つたのでありますが、我々が考えておつたよりもその申出が非常に少なかつたのが全国の実情であつたのであります。そういうようなことから出発をいたしまして、当時におきましてすでに自治体署を建てるという建前で、一つの建物を建てる。併しながら実際は今のお話のように自治体署署員の方が多いから、従前の署を自治体の署にやつて、新らしく建てる建物に国警が入るというように、これは自治体の御希望からさように交換をいたした所も非常に多いのであります。併し山形におきましてはそのことがなかつたのでありまして、これは山形の国警本部が非常に独善であつて、そういうことの相談に乗らなかつたのか、或いは当分は両方共用して行けるのじやないか、市の署長もなる程そうだということで、そのままになつておつたのか。市の市長は公安委員にそのことを何も言わなかつたのか。そのことは調べて見なければ何も分りませんが、そういう過去の経緯につきましては、今論議する必要はなかろうと思いますが、今日といたしましては、先程述べられた法律によりましてこれは国の財産にし、そして共用しておる部分は自治体が無償で使う。で将来更に両方とも狭くなつて来る、或いは現状でも狭いという場合に、この現在の建物を自治体の署のものにする、自治体の所有にするという方法は今日の法律ではちよつとむづかしいのであります。別に建物を市で作り、それと交換をするといことも考えられるのでありまするけれども、これは国有財産法の規定に照しまするとなかなか実行が困難な点が多いのであります。併しながら今までのいろいろな歴史的な経過その他がありますから、我々といたしましては而もこういつた事例は一山形だけではありません。今後も起り居ることだと思います。今後現在両方が共用しておりましても、将来自治体署が大きくなる必要上、どうしても、一方で専有しなければならない。或いは国の方で持ちたいという実際上の事態が起つて来るだろうと思いますので、この法律はそういつた事態に適用し得るように必要に応じて、できるならば私は改正が望ましいのじやないか、かような考えを持つておるのであります。
○委員長(岡本愛祐君) 右の点につきまして、大蔵省の管財局の第二課長森岡君が見えておりますから、今国警長官の述べられた市で新しい建物を作つて、それに国警に入つて貰つて交換するということができる方法があるかどうか。これから非常に縁故の深い、つまり市民が金を出して作つた警察だ、警察の建物だというような縁故から、極く低廉な売拂いが可能であるかどうか、そういうことについての説明をお聞きしたい。
○説明員(森岡謹一郎君) お答えをいたします。今国警長官から御答弁があつたと思いまするが、昨年の都道府県所有の警察用財産が、国警県本部の庁舎になる前でありましたならば、解決の方法があつたろうと思うのでありますが、現在県本部の庁舎といたしまして国有財産となりました以上、これを処分いたしまするのには、国有財産の諸規定に従つてやらなければならんわけであります。それによりますると、警察で警察の用途を廃止されるということに相成りますならば、これを市を相手といたしまして売拂うということは、これは現行法で可能であります。併しながら只今お尋ねがありましたが、その際市を相手といたしまして随意契約を結んで処理するということもこれ又可能であります。従いまして山形市当局で望んでおられますように、これを無償で譲與するということは現行法の国有財産なり、その他の関係法令からいたしまして、これは困難であろうと思うのであります。御承知のように国有財産の譲與は極めて制限的に規定をいたしております。有償で譲り渡すということが原則になつておるわけであります。特別な、只今問題になつておりますような警察の諸規定によつてやる場合、或いは学校教育法の規定によつてやる場合極く限られた場合のみに無償譲與ということが考えられておるわけであります。従いましてこれは非常に困難であります。又問題となつております交換の問題も、これ又非常に嚴格なる制限がありまして、簡単に交換をいたすということもむづかしいのであります。従いまして、只今問題となつておりまする山形市の御要望を全面的に容れると申しまするか、その要望に応えるためには、どうしても法律改正ということをやらなければいけないと思うのであります。法律改正をいたします際に、只今のような具体的な問題を取上げまして、原則的な、一般的な国有財産法を改正する、或いはこれに対する特別法を作るということは、ちよつと筋もおかしいかと思うのであります。又これをやりますことも相当困難ではないかと思う筋があるのであります。従いまして只今の昨年出ました都道府県所有の警察用財産処理に関する法律というものの改正、その他の処置を講ぜなければ、只今の要望には応えられないのじやないかというように考えております。
○岡田喜久治君 この問題は幸いに只今いろいろお聞き及びの通り実情が余程判明したと思います。且又これに絡まつた関係当局の努力もあつたわけでありまして、いずれも実態におきましてこの特殊の事情、この困難な事情につきましては、よくこれを認識して下すつたと思います。合せて又現行法の下において、これが解決は頗る容易ではあるまい。従来では然るべき法規の改正等によつて行う必要もあるだろうという点に至るまで、よく認識が届いたように思うのであります。私思うに全く同様でありまして、何と申しましてもこれはどうも困つた状態でありまして、捨て置くべきものではない。畢竟当時の財産処理の実際的方法についても当を得なかつたかのごとき感がありますし、且又法規自体も、つまり都道府県の所有に属する警察用材産に関する法律、この法律の制定におきましても遺憾ながら遺漏があつたのじやないかと思うのであります。して見ますればどうもこれらの事情を更に又研究を進めるなりして、即ち一面においては国警本部の方におきましては、この種随所の事件というものは、ひとりこれは山形のみに留まらんと思うのであります。我々聞くところでも少なくとも七、八箇所におきまして、同様の問題を起しておるかのごとく聞きます。これは一つ責任を持つて国警本部の方におきましても、全国に亘つての庁舎の実情というものを内調いたされまして、そうしてこれに対するいわば救済の策といいましようか、適当な処理方針を勘案せられんことを是非望むのでございます。合せて我々委員会といたしましても、この処理方針につきまして、一段の研究を進めることに、私希望してやまんのであります。いずれこれは或いは立法上の改正に副うた手段をどういたすべきかということにつきまして、研究を進めまして、とにかくこの問題をどうかして、これは解決をしていきたい。言うまでもなく国警といい、自活体警察といい警察全体の建前から申しまして、何も相異なつたものではない。所要の庁舎のごときは、おのおの必要とするところに従つて、どうしても当を得しめたところの措置を講ずることが当然であろうと思うのであります。ただ単に形式上従来県有財産であつたものは、原則としてこれを国に帰属せしめてしまう。従つて国に帰属するといえば国警、即ち国家地方警察の方がどうも所有権の主体であるかのごとき立場に立つて、自分の思うままに不必要な分に至るまでこれを使用するとか、或いは又共用するとかいうような形におきまして、いわば自治体警察というものを全く附けたりにしてしまつて、これを押付けがましい状態で以て預かるということであつてはなるまいと思います。
 これと同時に予算はどうしても、自治体警察も国警もあつたものではありませんので、全警察機能を発揮せんがために、只今申したことく、私は各々必要も不必要な実態を極めまして、それに応じて、それに従つて、或いは財産帰属のごときものも適正にしなければならん、何と申しましても、当時過渡期の際におきまして、あわただしく、強要というような暫定形体を以て処置されるのでありますから、強要形体は、いずれはこれは正常の形態にこれを復帰せしめねばならんことは当然であろうと思うのであります。それがためには、只今申した問題に遭遇したところが少くないと思いますから、この問題はその意味において、是非ともこれを何らか正常な措置を講ずべく、お互いが考究を進めることにいたしたいと思うのであります。
○委員長(岡本愛祐君) それでは、只今警察署の庁舎の問題は、当委員会としても今後研究を進めることにいたします。
 尚今日治安の問題に関しまして、海上保安庁の方から、稲垣海上保安庁次長が見えております。最近の密入国、密輸入の問題、その他海上の保安につきまして、現状並びに来年度におけるこれらの取締りに関する強化の問題、そういうことについて要点を御説明願いたいと思います。
○政府委員(稻垣次郎君) 御説明申上げます。海上保安庁は、昭和二十三年五月に始庁いたしまして現在に至つておりますが、総員約八千の人員の下に、海難救助、海上における不法取締、それから船舶の検査、船舶乗組員の免状の件、水路測量、燈台或いは機雷の掃海、こういうふうな方面の雑多な仕事をやつておる状況でございました。治安の方面におきましては、昨年二十四年一月から十二月までの一年間の間に、検挙人員は五千三百九十七名に上つております。そのうちで密漁に関するものが千五百九十六、海事関係法令違反が千四百七、不法入出国が九百五十三、経済統制法令違反が六百九十六、密貿に関するものが四百七十一、その他の法令違反が八十九、窃盗百七、その他の刑法犯七十八名、こういうふうな数になつております。全国に巡視船が五十九艘配置されておりまして、海岸線の長い割合に、極めて海上における取締の巡視船は手薄でございます。情報その他は、国警、自治警方面の情報を得まして、そうしてこうした方面の取締りについているわけであります。
 海難発生の状況をお話いたしますならば、昨年の一月から十二月までに五千六百二十八艘の海難を起しております。そのうちでS・〇・Sを出しました、即ち救助を求められました船の数が千六百九十七艘でございまして、そのうち、私の方で救助しましたものが九百七十五隻、即ち救助率は五一%に上つております。人命の救助の状況は、救助、要救助者が七千六百四十七名ございました。その救助率は九〇%でございます。保安庁の仕事は、海上における安全並びに治安の確保という、二つの大きな使命を持つている状態で、現在における船舶の不足、或いは装備の不足というようなこともございまして、来年度におきましても、経済官庁とよく御協議願いまして、新船の建造に邁進して御期待に副うように進んでおる次第でございます。
○委員長(岡本愛祐君) それでは二十四年中における海難救助、それから治安の方の取締まりの状況そういうのを表にしてお出し願います。尚二十五年度における予算要求、それについても細かいことは治安の問題だけでなくて、調書を出して貰いたいと思います。
  ―――――――――――――
○委員長(岡本愛祐君) 最後にお諮りいたしますが、地方税法の改正案が二十日までに出て参る筈であつたのでありますが、まだ出ておりません。併しいずれ遠からざるうちに出て参りますが、この法案については公聴会を聞くことが必要だと存じます。そこで公聴会は、法案の提出を成るべく早い機会に開くことにしてはどうかと考えておりますから、手続の問題を研究して見たところ、法案は現在のところまだ出ておりませんが、提出されて予備審査にかかつた場合には、公聴会を開くということを予め委員会で決定して置きまして、提案と同時に議長の承認を得る手続を取つて差支えないそうでありますから、そういうふうにしたら如何がでありますか、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡本愛祐君) ではそういうふうに取計います。
 尚今日配布いたしました公聴会の案がございます。その案で如何でございましようか、又公聴会に呼びます人は大体十人くらいにして一日に済ましたいと思います。一人が十五分くらいにしたいと思いますが、こういうことにつきましては委員長に御一任頂きたいと存じますが御異議ございませんか。
○堀末治君 十人呼ぶのですか。
○委員長(岡本愛祐君) 十五分ずつ。
○堀末治君 十五分で終えないのじやないですか。やり出しますと予算委員会で二十分と言つても三十分、四十分となり随分長くなりますよ。
○委員長(岡本愛祐君) 今度はそういうことはないようにして、理論を止めて要点だけを聞きたいと思います。そうして広く聞いた方がこの問題はいいと思います。十五分にして、二十分まで許すということにして、午前五人午後五人ということにして一日に済ましたい、で予算委員会におきましては二日にしております。二日にしておりますが、二日目にはだれますから一日にしたいと思います。或いは二日にしてもいいです。
○堀末治君 大体日にちはいつ頃ですか。
○委員長(岡本愛祐君) 今予備審査にかからなければ開けませんから、手続だけは進めたいと思います。
○堀末治君 結構です。
○委員長(岡本愛祐君) 尚人名につきまして、もつといい人があるじやないかというお気付きがあつたらお出しを願います。
○濱田寅藏君 この間国会図書館から貰いました資料の中でも、いろいろ事業方面の意見に多数にありましたが、労働組合関係の意見は一つも採録されていない、それは遺憾であるということがありました。大きな労働団体の代表者にでも一つ地方税法改正案に対する意見を聞くことも必要じやないかと思います。
○委員長(岡本愛祐君) 如何がでありますか、只今の濱田君の御提言で……
○鈴木直人君 今のような御意見を参考にして委員長に一任を……
○委員長(岡本愛祐君) それではそういうことを考慮して御一任願うということにいたします。それでは今日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     岡本 愛祐君
   理事
           吉川末次郎君
           岡田喜久治君
   委員
           谷口弥三郎君
           三木 治朗君
           黒川 武雄君
           堀  末治君
           岩木 哲夫君
           林屋亀次郎君
           柏木 庫治君
           鈴木 直人君
           太田 敏兄君
           濱田 寅藏君
  国務大臣
   内閣総理大臣
   外 務 大 臣 吉田  茂君
   法 務 総 裁 殖田 俊吉君
   国 務 大 臣 樋貝 詮三君
  政府委員
   国家地方警察本
   部長官     斎藤  昇君
   海上保安庁次長 稻垣 次郎君
  説明員
   大蔵事務官
   (管財局第二課
   長)      森岡謹一郎君
  参考人
   東京都議会警務
   委員長     高橋 清次君
   山形市長    鈴木 重屹君
   山形市公安委員
   長       今泉 虎男君
   山形市会議員  松澤太治郎君