第007回国会 本会議 第41号
昭和二十五年四月十日(月曜日)
   午前十一時四十一分開議
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 議事日程 第三十九号
  昭和二十五年四月十日
   午前十時開議
 第一 都道府県の所有に属する警察用財産等の処理に関する法律の一部を改正する法律案(岡本愛祐君外十四名発議)(委員長報告)
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○副議長(松嶋喜作君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
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○副議長(松嶋喜作君) これより本日の会議を開きます。
   〔吉田法晴君発言の許可を求む〕
○副議長(松嶋喜作君) 吉田法晴君。
○吉田法晴君 私はこの際、炭鉱争議の強制調停及び労使休戰の提議に関して緊急質問をすることの動機を提出いたします。
○岩間正男君 只今の吉田君の動議に賛成いたします。
○副議長(松嶋喜作君) 吉田君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。吉田法晴君。
   〔吉田法晴君登壇、拍手〕
○吉田法晴君 去る三月二十八日以来ストが中同され、労働大臣の請求により調停手続の進められている炭鉱労働者の賃金問題に関する争議については、今週中に調停案が提出せられる情勢にありますので、私はこの際、第一に、いわゆる強制調停の法的根拠について、第二に、スト中止、強制調停の政治的責任及びその結果としての保障について、第三に、低賃金政策と炭鉱生産力の復興方策について、第四に、現政府による労使休戰提唱の危險性等について政府の責任を追及し、言明を得て置きたいと考えるのであります。
 今度の調停は労働関係調整法第十八條第一項第五号の規定に基き、炭労のストが「その事件が規模が大きいため、若しくは特別の性質の事業に関するものであるために、公益に著しい障害を及ぼす事件」として、労働大臣から中央労働委員会に調停の請求がなされたものと言われているのであります。この労調法を炭労ストに適用した法的理由その他について、先ず官房長官なり、労働大臣の説明をお願いします。
 炭鉱が公益事業でないということについては論議の余地がありません。公益事業は同法第八條第一項所定の事業の外、第二項に規定するところに従い、その業務の停廃が国民経済を著しく阻害し、又は公衆の日常生活を著しく危くするものについて、内閣総理大臣が一年以内の期間を限り、国会の承認を経て指定することができるのであります。そしてこの指定は、告示の外、新聞、ラジオ等適宜の方法により公表することが要求されております。炭鉱については、こういう公益事業の指定の手続は取られておりません。炭労ストに労調法第十八條第一項第五号が適用されるためには、事件の規模が大きいとか、炭鉱事業が特別の性質の事業であるということだけでなく、それが「公益に著しい障害を及ぼす事件」でなければならんのであります。炭労ストが如何なる点において「公益に著しい障害」を及ぼしたか、在いは及ぼす虞れがあつたか、これが明らかにせられなければならんのであります。伝えられるところによりますれば、炭労所属三百六十組合三十一万の労働者が一週間ストを継続したとして、石炭五十万トン減が予想せられると言われたのでありますが、それが「公益に著しい障害を及ぼす」と考えられたのでありましようか、北海道において特殊向け石炭に事欠かせたとか、欠かせようとしたとか言われ、大牟田市において三井化学、東洋高圧等、三池炭鉱の坑口から直接ベルトで送られる工場において、貯炭がなくて操業に困難を来したと言われておりますが、それが「公益に著しい障害を及ぼす」という理由でありましようか。三月末坑所十四万トン、港頭四十八万トン、工場その他市場貯炭は百六十万トン近いものがあつたと言われております。公団手持のものは品質が悪く、坑所の石炭のうち、すぐに間に合わないものがあつたとしても、北海道の或る発電所の貯炭は特殊向けに廻せた筈であります。何が「公益に著しい障害を及ぼす事件」と考えられた理由でありましようか。法に定められたものの外、公益事業の指定は、総理大臣から国会の承認を経て初めてなされ、而も公示の外、公表が要求せられている点に鑑みまして、この点国会において明白にせらるべきだと考えます。
 次に、労働大臣の勝手な解釈によつて、労働法第十八條第一項第五号が適用せられますならば、公益事業以外のいわゆる民間産業の争議にしましても、この條項の適用されない争議はないと言うことができましよう。かかる行政の專制に対しましては法上の保証が必要であります。「公益に著しい障害を及ぼす」というのは、同法第八條第二項の「業務の停廃が国民経済を著しく阻害し、又は公衆の日常生活を著しく危くする」ということと同じではないかと考えられますが、若しそうだとしますならば、公益事業の指定が国会の承認を要し、公示と公表が要求せられているように、「公益に著しい障害を及ぼす」か否かは労働大臣によつて一方的に決められるのではなく、国会の承認その他民主的方法によつて決めらるべきものと考えます。今回の措置は、政府が法の不備を利用し、法の精神を蹂躪して、争議彈圧をなすの緒端を作つたと言い得ないでありましようか。今後のこの條項適用についての労働大臣の所見を伺つて置きたいと思います。
 次に、政府はこのたびの調停を労働大臣の職権に基く強制調停と称しております。閣議においてどういう言葉が使われたかは知りませんが、各新聞が筆を揃えて強制調停という言葉を使つておりまするところを見れば、政府がこの言葉を使つたと信ずべき十分の理由があります。然るに法にはどこにもそういう言葉はないし、又調停手続中の争議行為について、或いは調停案そのものについても何ら強制的な要素はないのであります。それに政府が強制という文句を使い、或いは使わせますことは、調停手続中、争議行為を禁止し、或いはでき上つた調停案を強制する意思があるのではないか、少くとも社会的な雰囲気というか、輿論を誤まり導いて、炭鉱労働者の正当な争議権を圧殺せんとするフアツシヨ的意図を抱くものではないかと考えられるのであります。官房長官なり、労働大臣の明確なる答弁を求めます。
 第二は、政府の政治的責任と、その結果としての保証についてでありますが、私は政府がスト中止の勧告が出されるまでに何をしたか問いたいのであります。何にもしておらぬのであります。最後の段階に至つても北海道、大牟田等特別な石炭の配炭について当然なすべき、又なし得ることについて何にもしておらないのであります。この責任は追及されねばなりませんし、又かくのごとき経緯を経て、政府はなすところなくストが中止せられ、いわゆる強制調停に付した責任は、政府として如何に果そうとするのでありましようか。国家公務員は罷業権を奪われ、団体交渉権を制限せられておりまして、法はその救済方法として人事院の勧告の制度を設けました。公共企業体の労働者も罷業権を奪われ、団体交渉権を制限せられております。その償いは調停なり、仲裁手続をとり、仲裁が最後的な労働協約と同一の効力を持つということによつてなされております。炭労のスト中止という事態まで持つて来て調停を請求した労働大臣は、この保証、救済を如何にして、どんな形でなそうとせられるか承わりたいのであります。
 第三は、炭鉱における賃金政策と、石炭産業の復興方策について通産大臣にお尋ねしたいのであります。炭鉱の賃金は御承知の通り一昨年十二月の賃金協定により、一方坑内三百六十三円、坑外二百十六円、月にしますと、坑内二十二方として七千九百八十六円、坑外二十五万として五千四百円、これが今日まで継続されているのであります。言換えますと、炭鉱においては一昨年十二月の賃金ベースが固定せられて今日に至つているのであります。労働者数においては、一昨年末に比して昨年末には約五万に近い人員が減つており、出炭は三百十九万トンから三百三十二万トンと、強くはないが増加の傾向にあります。即ち賃金はストツプせられたままに人員は減され、坑内外の比率を坑内に重点を置いて、労働は強化せられ、この上に立つて能率の向上と、生産費、特に労務費の低下が図られたのであります。賃金の低さを時間外労働で補つていた傾向が先ず抑えられたのであります。黒字を出している大炭鉱については、出炭坑或いは能率の向上を條件として、一時金なり、生産奬励金的なものが僅かばかり出されておりますが、逆に中小炭鉱においては一昨年の賃金水準の八割しか拂つていないところがあるのであります。否、むしろ中小炭鉱においては申合せをなして、八〇%に切下げている実情であります。五千四百円の八〇%四千三百円、その外に苦心をして基準外賃金を稼いだとしても五千円満たない賃金で、どうして家族を抱えて食つて行けましようか。だから炭鉱労働者の家の中は荒れ、服装は見る影もないのであります。曾て炭鉱の魅力の一つのごとく言われた、ガスも、薪も、電燈料金も値上げられて、この面からも実質賃金は切下げられました。炭鉱に魅力を失つた労働者は陸続と炭鉱を出て行つておるのであります。それも身体の弱い人、勤労意思のない人等が出て呉れるのならばいいのでありますが、炭鉱の魅力がなくなつて、大量にこうして出るときには、いい人が山を出、残つた者は栄養も十分取れず、栄養不足で、困難な坑内労働から来る水血症、血液の水分が多くなる水血症にかかつた者が多くなるようで、どうして石炭生産の増加を企図し、石炭産業の真の復興を望むことができましよう。炭労はかくてみずからの生活の最低の線を守るため、石炭産業の復興の使命を果すべく、賃金の値上げを要求したのであります。昨年の三月以後賃金の更改期ごとに賃金の値上げを要求して、団体交渉を続けて来ましたが、依然として一昨年暮の協定線以上に出ることはできなかつたのであります。米価は上り、生活費は高み、福利補助的なものは失われ、そうして逆に時間外労働は嚴に制限され、中小炭鉱において、賃金が一昨年十二月協定の八割に切下げられても尚辛抱して来たのでありますが、最後の抵抗線が破れて今次の労働争議に入つたものであります。
 他産業の平均賃金、或いは電産の新給與水準八千五百円は問わないとしても、金属山における賃金が一ケ月三百円乃至八百円上り、一――三月の一時金の外、六月末までに基準賃金を上げることについて、双方検討する旨の協約のできたことについては、政府はよく御承知の筈であります。かかる低賃金炭鉱労働者の生活の危機を放置して、如何にして通産大臣は石炭産業の復興を図ろうとするのか承わりたいのであります。炭鉱の魅力がなくなつて、毎月五千人前後労働者が減つているという事実については、すでに申上げました。終戰後我が国は低賃金政策は取らない、それはダンピングの原因となり、戰争の原因となるというのでありましたが、現在の吉田内閣となつて、このことは全く忘れ去られております。炭鉱における低賃金の結果はどうなつているかというと資金を投じ、機械化を促進するよりも労力を使つた方が安上りだというので、機械設備の復旧改善は停滞し始めております。これでは曾て終戰後考えられた人間の苦役からの解放、これによる労働生産性の向上は期すべくもないのであります。これは現在の炭鉱における資本の蓄積の困難或いは炭鉱に対する資本の投下の不足にもよりますが、機械設備による能率と生務の向上、資本の有機的構成の改善による炭鉱の後進性の克服は、現在望むべくもない実情であります。炭価の補給金撤廃後、復金融資に見られた設備改善の資金もない。一部大炭鉱に或いは利益率の多く見込まれるところに見返資金からの設備資金貸與はありますが、それは主として新坑開発のためのものであります。政府は炭価補給金を撤廃し、その後何らなすところなく、昨年四月以降一挙に純然たる自前主義を強行しておりますが、日本経済の復旧を戰前の七割に止めて、その負担を基礎産業というので炭鉱のみに負わせ、炭鉱は理窟抜きに費目別に予算を押えて、遮二無二生産費の低減を図つているという実情であります。その大部分の犠牲が労働者にしわ寄せされているのであります。池田通産大臣は、ここで中小炭鉱は潰れてもいいと放言せられるならば別でありますが、根本的に炭鉱の、なかんずく中小炭鉱の設備の改善、今後一層の機械化のために措置を講じ、現在のごとき見返資金だけでなく、炭鉱融資の途を別途開く意思はないか。炭鉱労働者の生活を破壊し、炭鉱労働力の量的、質的低下ではなく、炭鉱労働者が炭鉱に安住し、その力を一杯に振い得るような措置を講ずる意思はないか。通産大臣の所見をお尋ねします。尚、今度の調停を成功せしめる方法の一つとして、復金金利の引下げ、或いは復金融資の返済の方法等について考慮の余地はないか、併せてお尋ねします。
 最後に、政府の労使休戰、賃金安定期の協定提唱についてお尋ねいたします。総司令部エーミス労働課長の、団体協約に平和條項を入れろ、労使は誠意を以て団体交渉を行い、速かに団体協約を締結せよということを中心とする勧告は従来もしばしば言われて来たし、労使双方に対する勧告であります。だが、これに便乘しました政府の労使休戰、賃金安定期協定の提唱は、この度の炭労ストのいわゆる強制調停と同じ方向を企図するもので、現在の低賃金を釘付けにし、公務員の給與についての人事院の勧告は聞かず、国鉄裁定の問題も頬かむりし、憲法に認められた勤労働の団結権、団体交渉権、罷業権を制限するものではないかと考えられるのであります。我々は會と戰争準備のため労使休戰、産業報国という体制をとらされました。労使休戰、賃金安定という提唱を鈴木労働大臣や賀来労政局長より聞くときに、軍閥の下における労使休戰、産業報国運動を想い起して慄然膚に粟を生ずるものであります。これこそ自由党吉田政府の真の資本家的労働者政策かも知れません。政府の真意を官房長官及び労働大臣に承わりたいと思うのであります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木正文君登壇、拍手〕
○国務大臣(鈴木正文君) お答えいたします。
 石炭の争議について労調法の十八條五号を発動した件であります。これは勿論只今御質問の中にありましたような、公益事業に指定する云々というふうな問題とは全然関係がございません。将来において、それはずつと遠い将来にまで亘つて絶対という意味ではございませんが、現在、又近い将来においてもそうでありますが、公益事業にこれを指定しようというふうな考え方、準備、そういつたことをしたことはありません。御質問の中にありましたように、公益事業ではなくしても、極めて大きな事業であつて、そうしてそのストライキが国民経済に大きな影響を與えるというような情勢判断をした場合においては、労働大臣が中労委に対して調停を要請することができるというのが十八條五号の決めておる全部でありまして、それ以上でも以下でもないのであります。勿論その調停自体は労使双方に対して強制力を持つておるものではないのでありまするし、又調停を要請したからといつて、ストを止めなければならないという強制力をも持つておらない、これはもう御承知の通りであります。当時の情勢におきまして、成る程或る程度の、大体二十日前後だと思いまするが、その程度の貯炭というものはありましたけれども輸送の関係或いは石炭の種類等によりまして、重要なる基礎産業の方面に打撃を與えるという情勢が、そのまま放つて置きますれば濃厚になつて来ておるという観点に立つたこと、即ちこれは吉田さんも御承知でありましようけれども、あの当時の段階におきまして、労使で以て商議を再開するという希望も殆んどなくなつてしまつた。私自身あれを発動するに当りましても、各方面からもその要望はあつたのでありますけれども、その要望があつてから五日間くらいは極力これを抑えて、何とかして自発的に労使双方の協定ができ上るように、又商議が進むようにというので待つておつたのでありまするけれども、最後の段階に至つてその望み絶対になしと判定し、一方において只今申上げましたような情勢を判断して、労働大臣の権限において、中労委にその調停を開始するということだけの要請をしたのでありまして、これを強制調停と言うのは当らないと思います。私自身も政府の内外において強制調停というような言葉は毛頭使つたことはありません。調停の要求である、強いて言うならば、要請調停であるとでも言うかも知れませんが、中労委に対して調停を開始して欲しいということを要請した、それだけの意味であります。従つて今中労委が行なつておりますところの調停につきましては、今申上げましたように強制力は持つておりませんし、又その調停が進んでおる過程において、政府がこれに容喙するというふうなことがあつてはならないのが労働関係法の建前でありまして、私自身そういう態度で臨んでおります。ただ中正妥当な協定ができ上るために政府の協力が必要とせられる面がありまして、それを求められた場合におきましては、協力を惜しむものではないというだけの意味でございます。更にその結果について保障をするのか、強制であるから保障するのかという御質問の趣意でありましたけれども、今申上げましたように強制ではありません。飽くまでも今後の商議は労使双方を交えたところの中労委を加えたところの調停にあるのでありまして、政府は従つて責任を負わないというのはおかしい言葉でありまするけれども、協力はいたしますけれども、御質問の趣意のような関係にはならない筈であります。
 次に、労使休戰の問題でありまするが、これは考え方に多少の行違いがあつたと思います。実際は電産の労議が片付いたときに、新聞方面から談を求められたその際に言つたのでありまして、電産にしろ或いは全鉱連にしろ、完全ではないかも知れんけれども、一応賃金の修正的な措置が行われて、そうして労使双方がそれを承諾して、今後はその基礎の上に団体交渉を進めて仕上げをするという時期に入つておる。この団体交渉の仕上げに当つては、折角ここまで基礎が固められたのであるからして、これらの産業は少くともその団体交渉において、向う半年くらいは安定した形に上で企業能力が発揮されるように協力して頂きたい、こういう提唱をしたのでありまして、直さに全産業に向つて同じ條件が整つたと認め、全産業に向つてそういうことを申したわけでもないのでありまして、実際は電産争議の解決直後、談を求められたときに感想を語つたのに過ぎないのでございます。同時に又休戰というふうな言葉は一度を使つてはおりません。條件の整つた部門から一歩一歩安定への労使の努力を積み重ねるべき段階に日本の経済は来ておるのではないか、それから遠い将来においては、すべての産業がそういう方向において仕上げをする時期が来るであろうということを申したのに過ぎないのであります。
   〔国務大臣増田甲子七君登壇、拍手〕
○国務大臣(増田甲子七君) 吉田さんにお答え申上げます。
 すべて労働大臣が明確に御答弁いたした通りであります。殊に強制調停という言葉は、言葉の濫用である、どういうわけでこういう言葉が使われておるか私は了解に苦しむということをあらゆる機会において明言し続けております。
 それから労使云々の関係でございまするが、これも産業平和というものは、もとより政府においても、又国民の皆さまの熱望するところであります。労使の協力によつて初めて生産が高揚されるのでございまするから、吉田さんも同感されると思います。但しその具体的の問題に対する政府の態度は、只今鈴木労働大臣が御回答申上げた通りと御承知願います。(拍手)
   〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
○国務大臣(池田勇人君) お答え申上げます。
 第一の御質問は、炭鉱労務者の賃金の問題でございます。御承知の通りに坑内夫は九千円、坑外夫が五千四百円という基準賃金に相成つておるのでありまするが、只今労働者側はベース・アツプを要求し、事業者側は事業量の引上げによりまする能率給の上昇というので協議を重ねつつあるのであります。私は適正なる基準賃金が決められることを期待いたしておるのでありますが、何分にも我が国の石炭は外国の石炭に比ベまして相当高価にあるのであります。石炭企業の合理化をいたしますことは、我が国産業復興に最も必要な点でありますので、昨年来企業の合理化のために、見返資金から三十社に対しまして四十億円程度の融資をいたしております。又外国からも能率のよい機械を輸入いたしておりまするし、又外国の技術者も只今二人程参りまして、生産の増強を図り、いわゆる労働生産性の向上に努めておるのであります。
 次に、中小炭鉱の融資の問題でございますが、昨年末中小炭鉱に十数億円の融資をいたして、そうして危機を切抜けたのであります。今後も中小炭鉱といたしましては、やはり事業組合を作りまして、お互いに信用を高めて金融の途を付けて行くより外にないと思うのであります。我々は事業組合ができました場合におきましては、商工中金を通じまして、できるだけの融資をいたすべく考えておるのであります。尚、最後に復金の金利引下でございます。先般来大体枠を決めまして、下げるべき検討を続けております。近いうちに発表し得ると思うのでありますが、炭鉱方面に対しましても、特に炭住と言いますか、炭鉱労務者の住宅に対しまする貸付金につきましては、できるだけ沢山金利を下げる、こういうふうに考えて進んでおるのであります。いずれ近日中に発表されることと御了承願いたいと思うのでりあます。
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○副議長(松嶋喜作君) 日程第一、都道府県の所有に属する警察用財産等の処理に関する法律の一部を改正する法律案、(岡本愛祐君外十四名発議)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。地方行政委員長岡本愛祐君。
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   〔岡本愛祐君登壇、拍手〕
○岡本愛祐君 只今議題となりました都道府県の所有に属する警察用財産等の処理に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、法律案の趣旨並びに地方行政委員会における審議の経過と結果を御報告申上げます。
 先に第五国会において制定されました都道府県の所有に属する警察用財産等の処理に関する法律は、一昨年三月、警察法が施行せられ、我が国の警察制度が国家地方警察と自治体警察とに分離した際、警察の用に供されていた都道府県所有の財産及び物品のうちで、国家地方警察に必要なものは、都道府県が無償で国に讓渡すること、及び警察法施行の後、昭和二十三年六月三十日までに国家地方警察の用に供するため、都道府県が取得した財産及び物品についても同様とする旨を規定いたしております。又他方警察法附則第九條には、警察法施行の際又はその施行の後、新たに市町村が警察の責に任ずることになつた場合において、現に警察の用に供する国有及び都道府県所有の財産及び物品のうち、国家地方警察に不必要で、市町村警察に必要なものは無償でこれを当該市町村に讓與する旨を規定しております。而して右二つの法律に基いて警察用財産及び物品の帰属がすでにそれぞれ定まつたのであります。ところがその後の情勢の変化により、国及び市町村相互間において、現在その一方の所有する警察用財産等が不必要となり、且つ他方がこれを必要とする場合が生じて参りました。殊に元来市町村民の寄附金等を主にして建設されて都道府県有となつていたものであつて、右法律によりまして無償で国有に帰し、現在国家地方警察の用に供せられている警察官舍、官舍等を、地元の市町村警察用として讓渡するを適当とし、政府側においても、これを妥当と認めている場合がすでに幾つか生じております。そこでかような事情に鑑み、右二つの法律で無償で授受した警察用財産及び物品について、国家地方警察と自治体警察との間で、その一方が不必要となつたときに他方が必要となつたときは、その所有権を国から市町村に、又逆に市町村から国へ、無償で円滑に讓渡することのできる法律的根拠を設け、都道府県の所有に属する警察用財産等の処理に関する法律の不備を補わんとするのが、この法律案の提案の趣旨でありまして、地方行政委員全員がその必要を認め発議いたしました。尚この改正については、国家地方警察、大蔵省等関係当局においても異議のないところであります。
 地方行政委員会においては、四月八日討論の後採決に入り、全会一致を以て原案の通り可決すべきものと決定いたしました。以上御報告申上げます。(拍手)
○副議長(松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
 本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十七分散会
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○本日の会議に付した事件
 一、炭鉱争議の強制調停及び労使休戰の提議に関する緊急質問
 一、日程第一 都道府県の所有に属する警察用財産等の処理に関する法律の一部を改正する法律案