第007回国会 本会議 第8号
昭和二十四年十二月二十四日(土曜日)
   午後三時十二分開議
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 議事日程 第六号
  昭和二十四年十二月二十四日
   午後一時開議
 第一 最高裁判所裁判官国民審査管理委員の選挙
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○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
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○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。
 この際お諮りして決定いたしたいことがございます。通商産業委員長から、鉱害状況実施調査のため、山口県に重宗雄三君、駒井藤平君を明年一月四日より一月末日までのうち六日間、労働委員長から、一般労働問題実地調査のため、北海道に平野善治郎君を明年一月六日より一月二十日までのうち十日間の日程を以て、それぞれ派遣いたしたいとの要求がございました。これら三名の議員を派遣することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議員派遣の件は決定いたしました。
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○議長(佐藤尚武君) 次に議員派遣変更の件をお諮りいたします。過般決定しました建設事業一般の実地調査のための派遣議員中、アリーン台風による災害調査班の石坂豊一君を石川一衞君に、治水並びに災害復旧工事視察班の長野県を靜岡県に、地盤沈下対策事業視察班の石川一衞君を石坂豊一君に、それぞれ変更したい旨建設委員長から申出がございました。右の申出を許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議員派遣変更の件は委員長申出の通り決定いたしました。
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   〔原虎一君発言の許可を求む〕
○議長(佐藤尚武君) 原虎一君。
○原虎一君 本員はこの際、公労法第十六條の解釈について、吉田内閣総理大臣、増田、鈴木両国務大臣の責任に関して緊急質問をすることの動議を提出いたします。
○水橋藤作君 原君の動議に賛成いたします。
○議長(佐藤尚武君) 原君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許可いたします。
   〔原虎一君登壇、拍手〕
○原虎一君 (「総理と官房長官がいない」「二人共いないぞ」と呼ぶ者あり)総理大臣が出席されていないことは誠に遺憾であります。今度の国会におきまして、最も、労働大衆ばかりでなく、一般国民、大きく申しますれば世界が注視いたしておりました公労法の適用に対して、日本の政府が如何なる処置をするか、世界の注視の的であつたと言わなければなりません。そこで私は総理大臣の出席を正式の手続で要求いたしましたが、風邪を引いて出られなかつた。ところが、労働者は僅か二千円か三千円の年末手当のごときものを頂くのに、総理の最もお嫌いになる陳情、ハンスト等をやらなければならぬ羽目にあるにも拘わらず、私共が一生懸命に審議しておる最中に、風邪を引いておられるのに銀座で銀の船をお買いになつた。誠に残念であります。今日も御出席がないことは甚だ残念でありますけれども、私は参議院の任務を果すために左の緊急質問をいたしたいと思います。
 申すまでもなく、私共は、若し衆議院におきまして、党利党略によつて、法の不備に付け入つて法の精神を曲げるようなことがありますれば、私共は法の正しき運営のために常に留意し、正しい方向に引戻すために努力する任務があると思います。一昨日、昨日の運輸労働連合委員会におきまして、公企労法第十六條及び第三十五條の解釈につきまして、私と増田官房長官、鈴木労働大臣、大屋運輸大臣との間で行いました質疑応答によつて、次の重大なる政府の過失が明白になりました。即ち、労働省労政局長賀來才二郎君は、公企労法第十六條の解釈について、本年の六月一日同法実施以来、政府の解釈と全く相違する解釈を下しており、これを労働省労政局長著書として一般社会に多く出しておる事実であります。この本はこれであります。その内容はあとで御説明申上げますが、この十六條の解釈について、政府と賀來労政局長の解釈の相違点をくどくどしく述べる要はないのでありますけれども、簡單に要点だけを申しますと、即ち運輸労働連合委員会で増田、鈴木、大屋三大臣とも賀來局長のこの解釈は政府の解釈とは違うものであるということをたびたび断言いたしておりますことで明らかであります。併しその要点だけを重ねて申しますれば、公企労法第十六條中、公共企業体の予算上、資金上不可能な協定を政府が履行するため国会の承認を求めるためには……この両者のこの次の解釈の相違であります。賀來局長の解釈は、予算措置を付けて国会に承認を求めるのが政府の義務である。即ち政府のとる所定の行為とは、国会における予算の可決又は予算に定められた借入金の限度の引上げの承認である。即ち協定の履行に必要な国会の行為を言う。協定を政府が履行するために必要な行為であります。協定を不承認する行為を求めることができるとはどこにも書いておりません。そこで政府の解釈は簡單で、(「正しい」と呼ぶ者あり)政府は予算措置を付ける必要はない、御承知の通りであります。昨日決定いたしました協定不履行の承認も求められる。やはり予算を付けないで出すことが政府の考えでできる。だから今度予算を付けなかつたのだと、承認、いわゆる仲裁裁定の承認を否決するということも求められることができるという政府の解釈であります。この政府の解釈が今回国会の紛糾の原因であり、国鉄五十万の労働者の憤慨を誘発し、百数十名をハンストに追込んだ事実を吉田総理は銘記されたいのであります。
 賀来局長の本の内容の説明を簡單に申しますれば、賀来局長は本の序文の中の第五項で本法の重要性を強調しております。そして次のごとく書いている。「我が国組合運動の大きい欠陷であつた団体交渉、団体協約の正常な慣行と在り方、苦情、紛争の平和的処理方法の確立等が明確化されていることである。」この法律がそうであるということであります。第六項におきまして、その中に「この法律が強く期待する公共企業体の正常な運営にも影響し、ひいては国民公共の福祉にも影響するわけであるから、立法当局者としての責任上」、立法当局者としての責任上「本法の運用の正常を期したいために、直接関係者の参考資料としてここに本稿を上梓した次第である。」即ち「立法当局長としての責任上」と書いてあるのであります。更に第七項におきまして、「一般組合運動にとつても運動の正常化と労資関係の平和的調整のため必要なものと考え、労働運動関係者の各位にも参考資料として提供を期した次第である」。労働組合関係者に多く読んで呉れというのであります。そうして第八項の最後の方に「本稿は労政局労働法規課の諸君の努力に俟つところ多く、ここに謝意を表す次第である。昭和二十四年六月、労政局長賀來才二郎」、本の体裁もちやんと上に「労働省労政局長賀來才二郎著、新訂公共企業体労働関係法の詳解」、即ち詳細なる解釈として、発行者は「十一組出版部刊行」とされております。これはどう考えましても賀來個人の発行図書ではありません。法的にはそういう解釈も成り立つか知れませんけれども、常識的に誰が見ましても、政府即ち労働省の出版したものであるという社会的信用を得ておるのであります。即ち本の体裁、文章よりして、労働省労政局長としての著書として読者に十分信用を與えているのであります。而して加來局長以外に、労働大臣の名において、又他の局長の名において、或いは運輸省の名において、賀來局長の法第十六條の解釈は間違いであると判断できる政府の正しい解釈をしたものは一冊も法施行後は出ておりません。従つて地方の役人も、労働組合幹部も、この本を読む者は政府の解釈はこの通りだと信ずるのは当然であります。賀來君は、増田官房長官が労働大臣当時、やはり労政局長として本法立案の参画者であり、当時労働委員会おいて法案の説明を増田労働大臣と一緒にされた即ち立法当局者であります。そこで増田官房長官、鈴木労働大臣は、部下の局長が労働行政の重大な責任の地位にあつて政府の方針に反したことをしている事実を放任しておつたのであります。而も本法十六條の解釈が国会及び社会の大問題となつているにも拘わらず、両大臣はこの本のあることを知らなかつたし、賀來君のこの問違つた解釈も知らなかつたのであります。(「正しいからだ、その解釈は」と呼ぶ者あり)政府の方針に反する解釈であります。間違いかどうかはこれは別であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)即ち労働大衆は賀來労政局長の本を見て、法を信じて、合法的にして民主的行動で今回の問題の成功することを信じて、法制定の本年六月以来活動して来た結果においては瞞されたのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)労働者を欺瞞するような本を書く労政局長で、吉田総理は、労働組合の民主的発達を助成できるおつもりでしようか。私は最後に申上げます。賀來局長の法の解釈通りに今回国鉄裁定の履行の手続を政府がやつておつたら、総理の嫌がられるところの多数の労働者が総理に陳情を迫つたり、社会に精神的苦痛を與えるハンストは起らずに、一切国会が冷靜に判断して決定し、又労働者もこれを冷靜に承認し、米国を初め世界の各国は、日本国民が公企労法を最も民主的に効果的に運用して、日本が民主的に大変進みつつあるということを承認して呉れたであろうことを申上げまして、私の質問を終る次第であります。(拍手)
   〔国務大臣林讓治君登壇、拍手〕
○国務大臣(林讓治君) 総理に代りましてお答えをいたします。お尋ねの点に関する公労法の解釈につきましては、すでにあらゆる機会におきまして関係大臣からお答えいたした通り、政府といたしましては、予算案を仲裁裁定には添付することが必ずしも必要でないと考えておる次第であります。尚、労政局長の著書の表現のお話でありますが、政府の所見と異なりますならば、政府は労政局長が適当な機会に表現の言い足らざる点を或いは補足し、或いは明確にすべきであろうと考えるわけであります。尚、詳細のことにつきましては所管の大臣より答弁を願うことにいたします。(「議長議長」「答弁にならないぞ」「分つた分つた」「もう分つた」「暴言だ」と呼ぶ者あり、拍手)
   〔国務大臣鈴木正文君登壇、拍手〕
○国務大臣(鈴木正文君) 御指摘の点につきまして、政府の法の解釈は、只今林副総理から申上げた通り最初から終始しておることは、これは皆様にすべての委員会その他を通じて、今日まで御説明申上げて来たところによつて明らかであると存じます。(「分らん」と呼ぶ者あり)尚、賀來労政局長の書物の件、遣般の書物の件を御指摘になりましたが、従来も役人がその職名を附して一般的な通俗的な註釈書を書くということはしばしばある例でございまして、その中に御指摘の点の、政府の見解とやや紛更を来たすような点もあつたかと存じますけれども、飽くまでもあれは一学究としての賀來君の書いたものでございまして、(「公務員法をどうした」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)いわゆる有権解釈というようなふうのものは今日まで発表されておらないのでございます。ただ最近の十二月の初めにおきまして、この問題につきまして国鉄組合から次のような質問書が参つておるのでございます。それは「公共企業体労働関係法第十六條の解釈並びに協定(裁定を含む)の取扱について左記事項につき疑義があるので、貴委員会の見解を書面を以て回答願いたい」。そうして今の御指摘の点を聞いて来ておるのであります。これに対しまして有権解釈といたしまして、労働省労政局長名を以て国鉄の加藤委員長宛に次のような回答書が送られておるのであります。その内容は、
 公共企業体労働関係法第十六條第二項に「前項の協定をしたときは、政府は、その締結後十日以内に、これを国会に付議して、その承認を求めなければならない。」と規定しているのは、法律的には、予算上又は資金上不可能な資金の支出を内容とする「協定」そのものを国会に付議して、国会が承認するか否かを求めることであつて、貴質問の「協定したことによつて必要とされる資金計画(予算)」を国会に付議することは、法律上当然には必要としないと解する。
 これが前後を通じてたつた一回公式に有権的に発表された意見なんでございます。
 著書につきまして、この不備の点等につきましては遺憾と存じまするし、その序文にも言つております通り、怱忙の際のものであるので誤まりがあれば将来これを正すとも言つておりますので、御指摘の点につきましては紛更はないと存じます。
   〔原虎一君発言の許可を求む〕
○議長(佐藤尚武君) 原虎一君、発言を求められましたが、何でしようか。
○原虎一君 再質問を……。
○議長(佐藤尚武君) 再質問ならば残りの時間三分間許可いたします。
   〔「明瞭だつたじやないか」「頑張れ」と呼ぶ者あり〕
   〔原虎一君登壇、拍手〕
○原虎一君 私の総理に対する質問は、法の解釈が賀來君のが正しいか政府の解釈が正しいかということではありません。賀來君の解釈が政府の解釈と違うということは、三大臣とも運輸労働委員会で言明しておるのであります。違うところの解釈を、法制定当時から政府の解釈と違う本を出した労政局長の責任を何とお考えになるか。それを私は総理に伺つておるのであります。(「それを放任した政府が悪い」と呼ぶ者あり)それを何も労働大臣に解釈のどちらがいいか悪いかということを今日問題にする必要はありません。そういう労政局長が部下におつたということを知らないところの鈴木労働大臣、こういう労働大臣に対して総理大臣は民主的労働組合の発展をなし得るとお考えになつておるかということをお聞きしておるのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)増田官房長官の傳助長官にこういうことを聞いても分らんから、だから吉田総理に出て貰いたいと申上げておるのであります。我々は法の解釈を正しくするところの参議院の議員として任務がある。ああいう問題が起きて来たことは、法の不備から来ておると政府は考えなければならない。それを申上げておる。こういう政府の方針と全く違う解釈を出しておる、その労政局長、而もこれが六月一日、法の実施の日に本を出しておるのであります。それを今日まで知らないで、こういう本をどんどん出して、実際労働行政をやつておる局長を默認しておつた官房長官即ち元労働大臣と現鈴木労働大臣に対して、如何なる処置をとられるかということを私は聞いておるのです。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)従つて、総理はまだ今日は出て来ませんから、もうこれ以上林副総理にお聞きしたところで御答弁はできないと思いますので、改めて総理の御出席を願つて御答弁の上で再質問をいたしたいと思います。(「分つたか」と呼ぶ者あり、拍手)
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○議長(佐藤尚武君) 参事をして報告いたさせます。
   〔海保参事朗読〕
本日委員長から左の報告書を提出した。
 国家公務員に対する臨時年末手当の支給に関する法律案可決報告書
本日議員から左の修正案を提出した。
 国家公務員に対する臨時年末手当の支給に関する法律案に対する修正案(木下源吾君外四十名発議)
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○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、国家公務員に対する臨時年末手当の支給に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議なしと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長櫻内辰郎君。
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   〔櫻内辰郎君登壇、拍手〕
○櫻内辰郎君 只今議題となりました国家公務員に対する臨時年末手当の支給に関する法律案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 先ず提案の理由並びに内容について申上げます。本案は最近における公務員の勤務状況に顧み、且つその経済事情をも考慮し、この際、臨時措置として、今年度に限り年末手当を支給しようとするものであります。この手当の支給を受ける者は、手当の性質より見て国家公務員全般に及ぼすことは必ずしも適当でないので、特に上級の国家公務員を除く一般職及び特別職の国家公務員であつて常時勤務に服する者に限られております。又手当の額は、各省各庁で捻出できる財源の範囲内で賄えるように定め、頭割り七百円に各人の給與月額の三分の一相当額を加えた額を基本額とし、これに過去の勤務期間を考慮して段階を設けることとなつておりますが、最高支給額は五千円に止めることになつております。尚この法律の実施に必要な細目は内閣総理大臣が定めることになつているのであります。
 さて本案は十二月二十一日、二十二日の両日、大蔵、人事連合委員会を開き、愼重に審議し、各委員より熱心なる質疑がありましたが、その主なるものを申上げますと、一委員より、国有鉄道職員に支給する十五億五百万円は、待遇の切下げを穴埋めするものか、それとも年末手当の性質を有するものかとの質疑に対し、政府委員より、これは多分に年末手当的な意味を含めたものであるとの答弁があり、又一委員より、年末手当はこの程度支給すれば十分であるというのであるか、それとも財源があればもつと支給する考えであるかとの質疑に対し、政府委員より、年末手当は諸般の情勢より考えて、最低千五百円、最高五千円を支給するのが適当であると考えたのであるとの答弁があり、更に又一委員より、常時勤務に服さない職員に対し何故年末手当を支給しないかとの質疑に対し、政府委員より、予算の都合、従来の慣行等もあり、又年末手当を支給するとして、どの範囲に限るか、困難な問題もあるので、これを支給しないこととしたとの答弁がありました。その詳細は速記録により御承知を願いたいと存じます。
 かくて十二月二十四日、質疑を終局し、討論に入り、木下源吾委員より次の修正案が提出せられました。即ち政府提出案によれば、臨時年末手当は常時勤務に服する者に対して支給することとなつておりますが、今回の年末手当は、賞與の性質を有するものであるから、常時勤務に服さない者にもこれを支給するよう、第一條及び第二條第二項中にそれぞれ必要な修正を行おうとするものであります。この修正案について、中川以良委員より反対の意見、油井賢太郎委員より賛成の意見が述べられ、採決の結果、少数を以て否決せられたのであります。次いで原案について、木内四郎委員、西川甚五郎委員、小川友三委員及び九鬼紋十郎委員よりそれぞれ賛成の意見、岩間正上委員、川上嘉委員、木下源吾委員、木村禧八郎委員及び米倉龍也委員よりそれぞれ反対の意見が述べられ、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
 右御報告いたします。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 本案に対し、木下源吾君外四十名より、修正案が提出されております。この際、修正案の趣旨説明を求めます。木下源吾君。
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   〔木下源吾君登壇、拍手〕
○木下源吾君 只今大蔵委員長の御報告中にもありました通り、我が日本社会党は、この案に対する修正をいたしたいと、こういうわけで修正案を提出しているわけであります。
 そこで私は、原案に対して反対をしている我が日本社会党は、何故にこの修正案を出したかということについて、先ず御了解を求めたいと思うのは、私共元来この原案につきましては、これは給與体系が着々として民主的に合理的にでき上つているものを、その体系を紊るものである、かように先ず考えております。御承知の通りこの案が、少くも情勢を御覧になれば分りますように、政府はしばしば六千三百円ベースは改訂しない、かように申しております、又国鉄の裁定に対しましても、政府はこれに服さない、これを不承認をしている、かように申しているのであります。そうして一方においで賞與という性格のあるものを出しておりまするが、提案の理由の説明を聞いても分りますように、これは正にこのベース改訂を当然行わなければならぬものを今回の年末手当においてすり替えようとする、又すり替えられておることが明瞭であります。国鉄の裁定に対しましても、この裁定とこれとをすり替えておるということは明瞭である。提案の理由の中に臨時年末手当と書いてありまして、そうして、その提案理由の同じ中に、特に国鉄の裁定もあることであるから、これらを加味してこれを出すのである。こういうふうに書いております。私共三号委員室で大蔵と人事の連合委員会を開いておる隣りでは、労働、運輸の委員会が開かれておりまして、そこでは十五億五百万円という金は国鉄の裁定の一部である、こういうふうに言われております。同じ政府で、私共の方へ参りましてはこれは年末手当である、賞與である、こういう答弁をしておるのであります。このことの矛盾をお考えになつても分りますように、今回のいわゆる賞與の意味を加味するところの臨時年末手当というものは、政府は正に当然根拠のある制度を無視いたしまして、何らの根拠がないところの年末手当というようなものでごまかそうとしておる。これは甚だ遺憾である。勿論この額におきましても、すでに国鉄その他の公務員の組合からは、俸給の月額の一月か一月半という要求をしておるのであります。このことは、併しながら政府の今回の措置は、全く公務員がやつて行けないんだ、経済上この年末をどうすることもできないんだという、いわゆる注射の役割をこれでやろうとしておるのでありまして、注射の役割をしようとしておるのであります。私共は、でありますから、この注射をやるということは、公務員に本当に働いて貰わなければならないという建前からは当然なことである。ただこの原案に反対することは、その給與を返上するというのではありません。そのこと自体は、注射しなければもう駄目だというこのことに対する当然の措置としてこれは出さなければならないし、又公務員が当然これを要求し、取る権利があると私共は考えておる。で、かかる意味においてばかりではなく、更にこの内容を検討して見まするというと、今回の年末給與というものは、税を計算して見ますと、大蔵大臣は極めて少いようなことを言つておりますけれども、実際に計算して見まするというと、殆んど八割までもこれが税になつてしまうという計算が出ておる。そういうものがあるという計算が出ておるのであります。五千円貰つたものは四千円まで総合調整で取られてしまう。こういう結果になつておる。成る程表面はこれだけのものをやるからといつて政府は非常に顔が立つでありましようけれども、現実に受取る側においては本当に雀の涙程であり、注射の効きめというものは微々たるものである、こういう点から考えて見ましても、このようなごまかしの、而も今正にもうこれ以上に堪えられないという労働者の弱点に付け込みまして、恩惠的にこれを與えるというそのこと自体に対しても、我々は反対である。国家公務員法第二十八條に基きまして、当然公務員はベースの改訂を要求し、これを取る権利を持つておる。国鉄においても仲裁委員会において、当然この制度の下において取る権利を持つておる。この持つている権利をですね、それを行使させないで、そういう立派な制度を行使させないで、そうして一方には恩惠的にこれだけやるんだ。而もその恩惠たるや只今申上げたような額にしか過ぎない。でありますから、我々は本質的にかかるやり方に対しては反対である。何も金を、それを返上するというのではない。この点は私は明らかに諸君に申上げて置きたいのであります。而もこの注射をやらなければ倒れる者の中にいわゆる非常勤の職員というものがいるのであります。この非常勤というのは、政府はどこに一本線を引けばいいかというようなことを言つておりますが、御安内の通り、(「さつぱり分らない」と呼ぶ者あり)定員法におきまして、例えば農林省関係でありますが、ここには実際必要なものを定員法によつて削除されている。仕事はやつているんです。それはどういう名目でやつているかといえば、日日雇い入れる者という名目であります。一日雇い入れるという名目であります。私は今農林省の一例を言つているだけであります。而もその実際は毎日々々積み重なれば、いわゆる常時勤務と何ら本質、内容において変つたものではない。同じ我々は公務員に国の仕事をやつて貰つているのだ。同じ机を並べておつて、一方はですね、この注射によつて多少の生き返りができる、一方は死んでしまう、こういう羽目になる。このことを考えます時にですな、いわゆる非常勤の名によつてこれらを一蹴するということは甚だ不適当である、注射をするならば同時にそれらも注射をするのが当然であるというのがこの修正案の内容であります。(「どこで線を引くんだ」と呼ぶ者あり)我々は諸君が常にこのことを言われる。予算のことを心配され、或いは只今のようにどこへ線を引くかとか……国会の権限というものは、私は諸君も御承知の通りであろうと思う。我々は予算を心配し、そうして、そういうことをやらなければならぬという、我々は、立場じやないことを諸君がすでに御承知だと思います。でありますから、この法案の内容におきましては、内閣総理大臣の指定するものと謳つてあります。私共は不可能なものを可能にしようというのではない。すでに一銭もないという中から五十三億を捻出するところの手品使いがいるのであります。今やこの非常勤というものは二十万乃至三十万あります。(「ノーノー」、「その通り」と呼ぶ者あり)そうしてこれらの人々こそは食糧の検査に、或いは薪炭の検査に、或いは補助員として、常時勤務者より以上に国の仕事を担当しているというこの事実に鑑みて、ただ恐らく諸君の中には、委員会においても、政府に希望を述べて置けば実現するかのごとくおつしやる方もございまするが、そういうことでこの政府が本当に実行するかということについては諸君すでにお分りであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)これですね、我々の持つている権利は法律を作ることである。ここで法律を作ることのみが、これを実行させる上における我々議員のこれは最も重大な責任であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)でありますから、私は希望意見やそういうものは何らの価値はない。况んや現内閣のような無節操な、不届きなと、私は言いたいのでありますが、(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)これは今日までの実績によつて、いずれが妥当であるか、諸君はお分りでありましよう。(「こつちが妥当だ」と呼ぶ者あり)このような政府に対しましては、もとより私共は我々の当然の権利を以て法律を制定し、政府をしてこれを行わしめるのである。(拍手)政府は恩惠的に、そうして呉れてやるということ態度を改めない限り、我が国の民主化というものは全く逆転するものであるということを御了承願いまして、賢明なる諸君の御賛成を得、本修正案が速かに可決せられんことを希望するものであります。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 本案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。岩間正男君。
   〔岩間正男君登壇、拍手〕
○岩間正男君 最初に端的に申上げますが、この修正案に対しまして我々は賛成であります。原案に対しまして、それを除いた原案の全体の部分に対しまして反対いたします。で、その点を申上げたいと思う。
 現在公務員の生活がどうなつているか。これは誰よりもよく政府の諸公が知つておる筈であります。又知らなければならない義務がある。ところが知らない振りをしていると言わざるを得ないのであります。だからこそ二千九百二十円、これを税引きにしますと約二千円、戰争前ならば十円札そこそこの年末手当を出して、如何にも恩を着せたような顏をしているのであります。而もこの二千九百二十円はただの二千九百二十円ではない。年末手当という性格の外にいろいろな性格を持つた二千九百二十円なんであります。先ず第一に、本年四月以来積りに積つて来た六千三百円の不足、この不足によつて起つた赤字を補填するところの意味を持つておるのであります。次にペース改訂は絶対にこれをしないと言つて、いわばそのベース改訂をしないという言いわけ賃みたいなのがこの二千九百二十円であります。更に第三には、国鉄に対しては仲裁委員の裁定の一部履行の義務を果すのだ、こういうような意味を持つておるということを言つておるのであります。誠に複雑怪奇な性格を持つた二千九百二十円であると言わざるを得ないのであります。政府の智慧者は、これで、まるで一石二鳥だ、一石三鳥だ、そういう妙手を考えたと、ほくそ笑んでおるのでありましようか、これではまるで味噌も糞も一緒だと言わざるを得ない。尤も第三の理由につきまして、裁定の履行云々の件については、委員会で野党側の猛反撃に会つて、慌てて政府は引つ込めたという醜態を演じておるのであります。ところで、この法案を審議するに当つて最も重要なことはベース改訂の問題であります。ベース改訂は当然これをやらなければならない。六千三百円を実際に実施した本年の四月から、公務員の生活はすでに二七%から三五%の赤字を示している。これは民間の賃金と比較してもはつきりその数字が出ておるのであります。だから人事院はその法律に従つて勧告すべきであつて、勧告義務はすでに一年前に発生していたのである。ところがそれを今日まで怠つていたのであります。政府はそれをいいことにしまして、待遇改善については何らの措置をしないのみか、却つて賃金を切下げる、首切りをやる、労働強化をやる、超勤その他の諸給與はこれを大部分削減するということをやつて来た。だから公務員の生活は現在どのようだかと言いますと、まるで生身を剥ぐような誠に剥身生活であります。今日一世帶で平均二万円くらいの負債となつておるのであります。ところが人事院が遅蒔きながら勧告をした今日でさえ、政府は頑としてベース改訂をやらないということを言つております。それならその根拠は何かと言いますと、例えば増田官房長官の説明によりますと、最近は均衡政策が漸くその功を奏してインフレもどうやら終熄した、生活は安定している、CPIは四月に一〇〇であつたものが今は九五ぐらいになつている、だからベース改訂はこれをやらないで、所得税、物品税、織物消費税などの軽減又は廃止によつて、そうして実質賃金を高めたいということを言つておる。一にも実質賃金の向上、二にも実質賃金の向上ということを言つているのであります。併し実質賃金を向上するということは結構である。我々も無論これには賛成である。それの賛成の主張を持つている。問題は政府の現在の政策で以てそれが果して実現できるかどうかというところにあるのであります。現に大蔵当局は国鉄や海上運賃の値上げ、米価の値上げ、補給金の廃止等によつて、物価は今後一一%方上昇するということを認め、これを減税によつて吸收できるということを言つている。だが果してこれは可能かどうか。果して減税が行われるかどうか。政府は今所得税の大幅軽減を大童になつてじやんじやん宣伝しておりますが、これは眉唾ものと言わなければならない。又仮に名目的な多少の軽減はあるとしましても、一方物凄い地方税の強化、このことを隠しておるのである。これをどうするか。これは大企業家の間からも猛烈な反対が起つている筈でありますから、この実態については二十五年度予算が出されればはつきりするわけであります。減税は当然、国税、地方税を一本にして論ずべきである。それを單に地方税を切離して国税だけの問題で都合のより点だけ宣伝しておるというのが政府の今のやり方であります。納める者は同一人でありますから、このような政府の手心の加わつたやり方に対しては我々は絶対に承服することはできない。これを総合して考えるというと、来年度は減税どころか遥かに増税なのである。この正体を考えますときに、これで一一%の物価の値上りを吸收し、尚その上、月三千円の赤字をどのようにして解消するか。これは観物である。これは全くできない相談であると言わなければならない。こんなことをやつていて勤労者にその犠牲を押付け、低賃金をますます強いることになれば、労働の生産性はますます低下し、購買力は止まり、産業は不振となる。このような政策は我々の絶対に反対するところであります。ベース改訂は絶対にやらなければならない。ベース改訂を伴わないこんな一時逃れの年末手当、而も労働者の血を吐くような切実な要求を何ら充たすに足りないような法案に対しては、我々は反対である。いよいよ年末手当の給與袋をあけて見るというと、却つて淋しくなる、淋しさがひしひしと迫るというのがこの今年の年末手当の実態であります。全く先に見通しのないような法案には我々は賛成できない。
 次に、この法案と連関して考えられますものは、地方教員、地方公務員の保証の問題であります。政府はこのたびの年末手当の支給に当つて、よく公平の法則ということを何回も耳にたこが寄る程言つている。地方公務員は国家公務員並みにするということを言いましたが、併しその予算的措置には何ら触れていない。一片の通牒を出しているだけで、その財政的な措置をしない。そうして、すべてを地方財政に押付けようとしている。ところで、補正予算による新らしい配付税九十億のうちのすでに五十五億はこれは使途が決定されておるのでありますから、従つて三十五億残る。三十五億残るというようなことでは絶対にこれは不可能なことであります。この不足分については、年度末には国庫で何とか保証するというようなことを、これは関係の大臣が言つておりますけれども、而もここで必要なのは、具体的に保証の仕方を法制化するなり、予算化するなり、又ははつきり確約をすることでありますが、そのことがされていないから、末端におきましては支給されないという実情が起るのであります。今度の年末手当の支給で、実は一番儲かるのは政府であります。その所得税のはね返りを見ますというと、国家公務員の分が少くとも十二億ある筈であるし、地方公務員の分が八億、合計して二十億ある筈であります。これが国庫の新らしい財源となるのであります。これに民間からのはね返り、例えば民間ではどういうことになつておるかというと、この年末手当は石井鉄工では一万円、北辰電機五千円、海上火災一万八千円、京浜鉄道五千四百円、関東製鋼七千八百円、関東電気一万五百円、共同通信では九千二百五十円、日本経済では一万一千五百円、大日本印刷では八千百円、花王石鹸一万三千五百円、こういうような工合でありますから、額におきまして二倍から三倍、員数におきまして二倍以上でありますから、これにたとえ賃金の遅配、欠配分ということを考慮しましても、その所得税のはね返りは約百億以上になるということは言えるのであります。政府はこのような財政を持ちながら、これをどのように使うのであるか。こういう点について何ら方向を明示していないのであります。勤労者から取つたものは、これは勤労者に返すべきである。地方から取つたものは地方に返すべきである。これは血の出るような、赤字補填というような性格を持つたところの年末手当でありますから、その性格から言うて我々は、はつきりそう考えられるのでありますが、政府はそう言つていない。政府は又本法案が常勤のみを対象としておりますが、非常勤でその勤務実態が全く常勤と変らない者、先程木下議員から提案がありましたこういうような問題については何らやつていない。この修正をさえ、これは否決する方に努力しておるのであります。又吉田内閣の労働政策の犠牲者とも見るべきところの日傭労働者に対しましては、何ら具体的な年末手当の措置を講じていないのであります。こういうような現状でありますから、これが実施されてもどういうことが起るかということは実に保し難いのであります。
 以上、時間がありませんので簡單に申述べたのでありますが、労働階級をここに追込んでおる。労働階級は苦しんでおるから、藁でも掴むような気持で、この年末資金を待つておることでありますから、まるで飢えた飼犬にパンでも投げるというような、このようなやり方には、労働者の基本的人権を尊重する建前から言いましても、その権威を高める上から言いましても、我我日本共産党は絶対反対せざるを得ないのであります。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 中川以良君。
   〔中川以良君登壇、拍手〕
○中川以良君 私は只今上程になりました国家公務員に対する臨時年末手当支給に関する法律案に対し、民主自由党を代表いたしまして、政府原案に賛成をし、修正案に反対の意を表するものでございます。
 我が国再建途上におきまして、国民はひとしく今や苦難の途を歩んでおるのであります。別して公務員諸君に対し国家がこれを遇することの未だ十分ならざることは、私共の最も遺憾と存ずるところでございます。国民の公僕として、又祖国再建の先頭に立つて精励努力をいたしておる公務員諸君が、幾多の生活難と鬪い、悲惨なる生活苦に悩んでおられる実情は、今更私がここに申すまでもなく、目を蔽う数々の惨澹たる事例は実に枚挙に遑がないのであります。かくては国民の公僕としてその使命を果し、又国民の儀表としてその気品を保ちつつ、何ら後顧の憂なく全精神を公務を傾倒することができないのでありまして、(「その通り」と呼ぶ者あり)私はこれら正しき公務員諸君の今日の立場を、国民と共々衷心より御同情申上げて止まざる次第であります。特に今や年末に差迫り、これらの人々の御心労は如何ばかりのことかと(「しらじらしいことを言うな」と呼ぶ者あり)推察になお余りあるものがあるのであります。政府が今回これらの実情に鑑み、(「嘘も休み休み言え」と呼ぶ者あり)ここに本法案を提出し、公務員諸君の労苦を幾分たりとも緩和し、平素の精励に応えんといたしましたることは、最も当を得たることと存ずるのであります。而して私共は今次のこの処置を以て決して満足いたすべきものとは存じないのであります。我らの念願いたしますところは、我が国の経済復興が成り、一日も早く我々が戰前の生活水準を取戻して、かくのごとき事態がおのずから解消をされまして、明るい平和日本の再建の完遂にあるのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)これには單に政府の責任のみを論ずることなく、(「政府と民自党だ」と呼ぶ者あり)国民各層各分野が挙つて憂国無私の熱情をおのおのの本分に捧げ、(笑声)今日の苦難を敢然として乘り切ることであるのであります。(拍手)さればこそ今や我が国は、ドツジ・ラインに沿つて経済九原則の果敢なる実施により健全均衡財政を打立て、国民ひとしく耐乏生活を耐え忍び、(「ひとしくない」と呼ぶ者あり)我が国経済復興の確乎たる基盤を築成せんと努力いたしておるのであります。(「そり通りだ」と呼ぶ者あり)かくて諸般の情勢は日を逐うて有利に展開し、永い我らの労苦は漸く報いられんといたして、前途は極めて明るく好望となつて参りましたことは、皆様御承知の通りであります。今や祖国再建のため、我が国経済は極めて重大なる一大転換期に直面をいたしております。この時において、政府が本春来堅持して参りましたデイス・インフレ政策を今直ちに緩和をいたしますがごときは、到底不可能なることは論を待たざるところであります。(拍手)この難局に処して政府がよく今回の処置をとつたことは、我々はむしろその労を多とすべきであると存ずるのであります。(拍手)
 次に只今提案されました修正案における提案の理由はよく了解されるところでありまして、私共も真に同情に堪えないものがあるのでありまするが、ただ政府が本法律案を出しまするまでには、御承知のごとく、誠意を以てあらゆる努力を傾注して参つたのであります。これら関係方面との折衝の経過に思いをいたしまするとき、本修正案が仮に通つたといたしましても、実質上実行不可能なる実情にあるのであります。即ち政府は支給すべき人員、又支給額、並びにこれが捻出方法等詳細に亘り計数を明確にして、関係方面の了解を得ておるのであります。而して非常勤公務員の全国における数及びこれが支給額等は、早急には判明いたし難いところでありまして、且つ又如何なるところで支給範囲の線を引くかということは極めて至難である。これがためには年内における全般の支給にも支障を来たす虞れがあるのであります。(拍手)今や百七十万人の公務員は、年末に当り一刻も速かに支給せられることを待ちこがれているのであります。今や寸時も延引を許し得ないのであります。かくのごとき実行不可能なる案を掲げ、(「どうして実行不可能だ」と呼ぶ者あり)一時的に多数の人の歓心を買うがごどきスタンド・プレーをいたしますことは、正しき国を思う政治家の採らざるところであります。(拍手)かくのごときことこそ、これら不幸な人々をして一層の不幸に陷らしめるゆえんであります。(拍手)若しそれ、苟くも内情をよく知りつつ政略的の法律を作り、徒らに政府を苦境に立たしめんとするがごとき考えがあつたといたしますならば、我が参議院の神聖を冒涜するものと論じても敢て過言でないのであります。(拍手) 私は以上の見地より誠に遺憾ながら本修正案に反対いたしますると共に、政府はこれら不幸な人々に対しては、成るべく早い機会において別個の立場より本法律案とは切離して特別の考慮を拂い、この尊き労に報いられんことを切望するものであります。(拍手) 次に、政府は本法律の施行に当りまして、願わくばこれら財源捻出の結果、公務員諸君の業務実施上支障をもたらすとか、又公務員諸君の厚生福祉の面に悪影響を與えるとか、或いは又公共の面等において一般国民に迷惑をかける等のことがないように一層の留意を願い、更に将来における正しき公務員の立場に一層の理解を寄せられて、これらの精励に報いられることに遺憾なからんことを切望するものであります。又公務員諸君には、これを以てしては十分なる満足はでき難いことと存じまするが、今日の我が国の実情下における政府の意のあるところを諒とせられ、将来への希望を失われることなく、明るい、正しい日本再建を目途させられ、ますます公務に御盡瘁あらんことをひたすらお願い申上げる次第であります。
 最後に私は、今日の現状は、公務員の面のみならず、一般民間企業における経営者にあつたも又従業員にあつても、この年末に当つて多くの者が経営難或いは賃金不拂等に四苦八苦の受難を受けつつある幾多の現状に思いをいたし、心から御同情を寄すると共に、(笑声)国民経済の安定が、政府の施策よろしきを得ると共に、国民各層各分野の奮起と熱意とにより一日も速かに達せられんことを祈つて、政府原案に賛成し、修正案に反対をいたす次第であります。(拍手、「幾らお辞儀をしても駄目だよ、そりや」と呼ぶ者あり)
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局いたものと認めます。
 これより採決をいたします。先ず木下源吾君外四十名提出の修正案全部を問題に供します。本修正案の表決は記名投票を以て行います。本修正案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(佐藤尚武君) 投票漏れはございませんか……投票漏れはないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○議長(佐藤尚武君) 投票の結果を報告いたします。投票総数百六十票、白色票即ち本修正案を可とするもの七十三票、青色票即ち本修正案を否とするもの八十七票、(拍手)よつて本修正案は否決せられました。
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      七十三名
      小川 友三君    岡本 愛祐君
      楠見 義男君    高橋  啓君
      深川タマヱ君    伊東 隆治君
      油井賢太郎君    平野善治郎君
      中井 光次君    林屋亀次郎君
      小林 勝馬君    大隈 信幸君
      木内キヤウ君    櫻内 辰郎君
      奧 主一郎君    安達 良助君
      木内 四郎君    齋武  雄君
      境野 清雄君    岩木 哲夫君
      紅露 みつ君    大畠農夫雄君
      岩崎正三郎君    山田 節男君
      深川榮左エ門君    木檜三四郎君
      淺井 一郎君    岡田 宗司君
      天田 勝正君    吉川末次郎君
      羽生 三七君    内村 清次君
      栗山 良夫君    河野 正夫君
      山下 義信君    板野 勝次君
      細川 嘉六君    中野 重治君
      中西  功君    岩間 正男君
      兼岩 傳一君    鈴木 清一君
      水橋 藤作君    千葉  信君
      木村禧八郎君    堀  眞琴君
      赤松 常子君    姫井 伊介君
      カニエ邦彦君    小泉 秀吉君
      大野 幸一君    千田  正君
      藤田 芳雄君    伊藤  修君
      青山 正一君    森下 政一君
      川上 嘉君    佐々木良作君
      中村 正雄君    原  虎一君
      若木 勝藏君    三好  始君
      米倉 龍也君    三木 治朗君
      波多野 鼎君    木下 源吾君
      門田 定藏君    河崎 ナツ君
      駒井 藤平君    小川 久義君
      岩男 仁藏君    鈴木 憲一君
      岡村文四郎君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      八十七名
      濱田 寅藏君    赤木 正雄君
      井上なつゑ君    宇都宮 登君
      大山  安君    加賀  操君
      柏木 庫治君    鎌田 逸郎君
      河井 彌八君    木下 辰雄君
      小杉 イ子君    小宮山常吉君
      島津 忠彦君    鈴木 直人君
      竹下 豐次君    高瀬荘太郎君
      高田  寛君    高橋龍太郎君
      田中耕太郎君    田村 文吉君
      久松 定武君    藤野 繁雄君
      松村眞一郎君    宮城タマヨ君
      村上 義一君    矢野 酉雄君
      山崎  恒君    山本 勇造君
      結城 安次君    阿竹齋次郎君
      飯田精太郎君    伊藤 保平君
      岡元 義人君    小野  哲君
      九鬼紋十郎君    大屋 晋三君
      植竹 春彦君    中山 壽彦君
      宿谷 榮一君    新谷寅三郎君
      松嶋 喜作君    川村 松助君
      小林 英三君    徳川 宗敬君
      西田 天香君    玉屋 喜章君
      水久保甚作君    徳川 頼貞君
      穗積眞六郎君    堀越 儀郎君
      町村 敬貴君    岡田喜久治君
      池田宇右衞門君    横尾  龍君
      中川 以良君    寺尾  豊君
      大野木秀次郎君    加藤常太郎君
      城  義臣君    淺岡 信夫君
      堀末  治君    西川甚五郎君
      大島 定吉君    黒田 英雄君
      平沼彌太郎君    石坂 豊一君
      紫田 政次君    今泉 政喜君
      松野 喜内君    黒川 武雄君
      藤井 新一君    深水 六郎君
      平岡 市三君    北村 一男君
      入交 太藏君    中川 幸平君
      左藤 義詮君    西山 龜七君
      池田七郎兵衛君    重宗 雄三君
      廣瀬與兵衞君    小串 清一君
      山田 佐一君    大隈 憲二君
      佐々木鹿藏君    稻垣平太郎君
      尾形六郎兵衞君
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) 次に本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、国会法第三十九條の但書の規定による国会の議決に関する件(広島地方專売公社調停委員会委員)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。本月十六日、内閣総理大臣から広島地方專売公社調停委員会委員に中原健次郎を委嘱することについて本院の議決を求めて参りました。本件は、内閣総理大臣の申出通り広島地方專売公社調停委員会委員に中原健次君を委嘱することに同意の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て委嘱に同意することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、地方行政調査委員会議委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。本日、内閣総理大臣から地方行政調査委員会議設置法第五條の規定により、高橋誠一郎君、渡邊銕藏君、杉村静三郎君、神戸正雄君、鵜澤總明君を地方行政調査委員会議委員に任命することについて同意を求めて参りました。本件に関し同意を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本院は右の五名を地方行政調査委員会議委員に任命することにつき同意を與えることに決定いたしました。
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、地方自治委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。本日、内閣総理大臣から地方自治庁設置法第四條第三項の規定により、齋藤邦雄君、遠山信一郎君を地方自治委員に任命することに同意を求めて参りました。本件に関し同意を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本院は右の二名を地方自治委員に任命することにつき同意を與えることに決定いたしました。
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) この際、議員派遣変更の要についてお諮りいたします。過般決定いたしました教育文化施設、文化財保護の実地調査のための議員派遣中、第一班木内キヤウ君を鈴木憲一君に、左藤義詮君を河崎ナツ君に、第二班鈴木憲一君を木内キヤウ君に、第三班河崎ナツ君を堀越儀郎君に、尚、第二班派遣地佐賀県を福岡県に変更いたしたい旨文部委員長から申出がございました。右の申出の通り許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議員派遣変更の件は委員長申出の通り決定いたしました。
 議事の都合により、これにて暫時休憩いたします。
   午後四時三十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後十時四十一分開議
○議長(佐藤尚武君) 本日はこれにて延会いたします。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後十時四十二分散会
     ―――――・―――――
 本日の会議に付した事件
 一、実地調査のため議員派遣の件
 一、議員派遣変更の件
 一、公労法第十六條の解釈について吉田内閣総理大臣、増田、鈴木両国務大臣の責任に関する緊急質問
 一、国家公務員に対する臨時年末手当の支給に関する法律案
 一、国会法第三十九條の但書の規定による国会の議決に関する件
 一、地方行政調査委員会議委員の任命に関する件
 一、地方自治委員の任命に関する件 一、議員派遣変更の件