第007回国会 予算委員会 第14号
昭和二十五年三月十五日(水曜日)
   午後二時二十一分開会
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  本日の会議に付した事件
○昭和二十五年度一般会計予算(内閣
 提出・衆議院送付)
○昭和二十五年度特別会計予算(内閣
 提出・衆議院送付)
○昭和二十五年度政府関係機関予算
 (内閣提出・衆議院送付)
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○委員長(山田佐一君) 只今から会議を開きます。通告順によつて発言を許可いたします。田村文吉君。
○田村文吉君 大蔵大臣にお伺いいたしたいのでありますが、細かい点について尚後日お尋ねをさせて頂きたい点があるのでありまするが、今日は大体総括的の問題について三、四の問題をお伺いいたしたいと考えております。
 先ず以て、今日の世相が経済的に可成り險悪な状態に相成つておりますことは、大蔵大臣も特にお認めのことであろうと考えております。成る程ドツジ・ラインに従つて大蔵大臣が勇敢に超均衡予算を作られた点につきまして、その手術の鮮かな点につきましては、私共は秘かに敬意を表しておるものでございまするが、国家の財政の均衡予算がとれたのは結構でありますが、個人の懷勘定の均衡がとれなくなつて参りましたので、これが即ち今日の非常に経済界における不安となり、各種の世相の悪い面が出て参りました原因じやないかと考は考えております。そこで私は何が一番この問題の癌をなしておるだろうかということを昨年来常に研究を怠らず考えて参つておつたのでありますが、畢竟は私は税金が高いということの一事に盡きるのではないか、こういうことを考えて見まして、昭和十年度におけるあの一体予算というものはどんなふうであつたか、税の徴收はどんなふうであつたかということを参考に調べて見たのでありますが、勿論賢明な大蔵大臣は十分この数字を御了承のことだろうと考えておりますが、大蔵省及び日銀の御調査になりました資料を基にいたしましてちよつと比較して見たいのであります。国民所得の計算から参りますというと、昭和十年におきましては百四十五億と算定されております。本年度の予算に盛られました今年度、二十五年における国民所得の概算は三兆二千二百三十億と相成つております。国民所得は二百二十倍と相成つております。次に歳計でありまするが、歳出はどんなふうに相成つておりますかと申しますと、昭和十年においては二十二億六百万円と相成つております。本年度の新予算に計上されましたものは、御承知の通り六千六百十四億と相成つておるのでありまして、この倍数は三百倍と相成つておるのであります。これの歳出を賄うために盛られて参りました税金の中で、酒の税金は、二億九百万円に対して一千三百億に相成つておりまするから、大凡五百倍と相成つております。專売益金は、一億九千八百万円に対して千二百十億となつておりまするから、大凡六百倍となつております。これまではよろしいのでありまするが、所得税が一体どういうふうに相成つておりますかと申しますと、昭和十年においては二億二千七百万円の税收入でありましたものに対しまして、昭和二十五年度は所得税、法人税を合せまして二千八百七十三億と相成つておりまして、この倍数は千二百倍と相成つておるのであります。私はこの数字を見ましたときに、日本の経済の今日の一番の重点の悩みはここにあるものであるということをはつきりと認識し得たような感じがいたすのであります。即ち国民所得に対しまして昭和十年に拂いました所得税、当時は法人税も一緒でありますが、所得税の率は一分六厘、それが昭和二十五年におきましては八分九厘の割分に相成つておるのであります。これが、酒の税が五百倍、煙草の税が六百倍ということは驚くべき数字でありますが、さして私は考えないでおりますが、今の所得税が千二百倍になつておるということは、実に国の大きな病院であり、大きな手術をして治さなければならない点であると考えておるのであります。成程大蔵大臣は今度の予算を以て、税金もできるだけ減らした超均衡予算の上に、若干の復興予算として計上して、世界に誇るべき予算を組立てたと仰せになるのでありますが、この千二百倍になつておる所得税というものをお考えになつておるかどうか、この点を私共は第一に問題にいたすのであります。成程国の予算は出ずるを量つて入るをなすのでありますが、個人の計算におきましては、反対に入るを量つて出ずるをなさなければなりませんが、その入るをなすために、めいめいがその所得の中に、昔と比べると千二百倍、物価の釣合いから五百倍、六百倍が正しいのであるとすれば、その二倍の税率を拂わなければならないような状態に相成つておつたのでは、到底個人の懷勘定の均衡がとれるものではないのであります。これを端的に説明いたしておりますものは、国の借入金、公債というものがどんなふうになつておりますか、これはその当時の数字をちよつと比較いたして見ますというと、公債借入金は、昭和十年には百七億二千万円でありまして、今日は凡そ三千八百円と計算されると思いますが、借入金は三十八倍にしかなつておりません。言い換えますと、今日の三千八百億というものは国の歳出予算に比べますと、ようやく六割程度にしかなつておりませんが、一ケ年の歳出の六割を若し外に使用することができ得ますならば、日本の借金というものは直ぐ消えてしまうのであります。ところが当時の昭和十年における百七億は予算の二十一億に対しまして五倍以上の借入金をもつておつたわけであります。かようなことの結果は、国の財政といたしましては誠に堅実な歩みをお進みになつておるのでありますが、これを受けて立つ民衆の方から申しますと、非常な借金と非常な苦しみをしなければならない。これがそもそも今日としては非常に社会大衆の困つて来ておる状況を説明するものでないかと考えております。で私は何を措いてもこの際は、国家の超均衡予算もドツジラインにおいて行われるのは非常に結構なことでありまするが、同時に国民の負担というものをこの際徹底的にこれを減少するということが絶対に必要なのであります。これがそもそも病の因であり、今後の復興ができるかできないかという大きなキイ・ポイントに相成つておるのではないかと考えておりますので、一体所得税と法人税と併せて二千八百七十億でありますが、所得税二千四百八十億、これは当然半分くらい減少なさる、今お出しになつております所得税の税率は半分くらいまでお減じになることが絶対に必要な段階に立ち至つているのではないか、これに対してはあらゆる工夫と工面をいたしまして、この所得税というものを千二百億程度までに減らす、即ち戰前の昭和十年の六百倍程度までに少くも減らしてしまうということが必要でないかと考えておりますのであります。この点につきましていろいろ大蔵大臣も苦心されたのでありまするが、ただ私共の遺憾に思いまするのは、立派な手術ではありまするが、麻醉も、局部麻醉もしないで、赤ん坊が泣き騒ぐのを強引に手際のよい手術をといつて手術をなさるだけでは政治というものはいけないのでありまして、飽くまでもこれは局部麻醉もやり、又注射もやり、又手術のあとには栄養物をやり、これをよく看病して育てるという考えでありませんと、折角名医の手術もその効果を收めることはできないということを心配いたすのであります。この意味におきまして、無論来年度においては十分の減税をやるお考えになつておるとは思います。思いますが、これは今日の日日の現状から言つて、どうしても早急に解決して頂かなければならない問題でないかと考えます。尚これは御承知でもありましようが、私は新聞紙で知りましたので、正確な数字は分りませんが、アメリカの所得税率において三百六十円レートで計算いたします場合は、一人について二十一万六千円ずつの基礎控除があるということを聽いておるのであります。尚百万円の所得者がどのくらいの税率でお拂いになるかといえば、一割八分ということを大体聽いております。さようなことであるのに、日本では百万円もありまするというと、大体今度の税率では四割とか四割五分を拂わなければならんという点がありまするから、外国人が日本に寄留する場合に、税金を半分にしてやろうというような、誠に以て面白からざる議論も出て来るのであります。こういう点も考えまするときに、私は今日は何を措いても、あらゆる万難を排いても税金というものは、今の税率は半分まで引下げなければならないような結果に相成つておると考えますので、敢えて大蔵大臣のこれに対する御所見を一つ承りたいのであります。
○国務大臣(池田勇人君) 誠に御尤もな御意見でございまして、田村委員のおつしやることには、我々も日頃から考えを向けておつたのでございます。昭和十年の国民所得は、これは特別の調査をいたしましたので、大体正確なものと思つておるのであります。当時の歳出から考えて、今は非常な厖大なあれになつておるのでありますが、この歳出を賄いますための税收入をどう見るかという問題でございます。今年の予算におきましてもお説の通りに、私は極力所得税の減額に努めたのであります。従いまして、たばこの收入は減らない、酒は殖やして、そうして所得税は五百億余り減税をするこういう考えで、全く田村さんと同じような考えで実はやつておるのであります。日本の税はお説の通りに非常に高いのであります。ただこれを一ドル三百六十円で換算いたしまして、負担額を見るということはどうかと思いまするが、併しいずれにしても高いということは確かでございます。従つて私は次に来るべき年度におきましても、所得税を極力引下げるように努力して行きたいと考えております。大体歳出を切り得る見通しも付けておりますので、この切り得た分につきましては、できるだけ国民の税負担の軽減、殊に所得税の軽減に向けて行きたいと考えておる次第であります。お話の通りに、アメリカにいたしましても、イギリスにしましても、フランスにいたしましても、大体歳出の五、六倍の国債を持つておるのであります。日本は一般会計歳出の六割程度しか持つておりません。これは日本が急激なインフレに見舞われた結果であります。今国債が少ないからといつて債務償還を止めたり、或いは国債を発行して税の軽減に充てるというわけには参りません。私は普通の経済状態、財政状態に還つて行きますれば、何も建設公債を嫌うものではないのであります。今は何分にもインフレの終熄時でありますから、普通の経済政策でなかなかやつて行けない。従いまして将来の問題はともかく、只今といたしましては、歳入に対して国債が少いからこれを増発してインフレ政策を採るというふうなことは、今のところ暫くできないのではないかと考えておる次第であります。
○田村文吉君 今アメリカの所得税の比較の場合に、三百六十円の率を用いることが必ずしも正当でないというようなお話がちよつとあつたのでありますが、又今はインフレで膨張しておる時代である云々のお話がありましたが、各般の政策が、例えば資産の再評価にいたしましても、元のような価格で一応算定を考えて、これに物価は定着するものであるというふうのお考え方で今日お進みになつておるのでは恐らくなかろうと考えております。私共にこの上公債を濫発してインフレを促進するというふうには考えておりませんが、少くも日本の国民としては、もうすでに昭和十二年以来長い間戰争の惨禍に悩み、而も終戰後においてはこの悲惨なインフレに見舞われて、もう堪えるところのないようなところにまで疲弊困憊しておる際でありますから、今日ここにどうしても民力の涵養をなさつて起上りをしなければならないのに、かようにして民力を枯らす一方ではさつき申上げたようなことになるのでありますから、私は将来について大蔵大臣がそういう考えを持つておられるということには敬意を表しますが、今日日本の実情というものは、さようなことを許すことができないような状態に差迫つておりながら、五百億の償還をおやりになつたり、尚その外に見返資金から五百億も出たりするようなこともあるのですが、債務の償還をお急ぎにならないで、この際は何とかして民力の涵養を心掛けるべきだと信ずるのでありますが、諸般の事情もありましようから、私はその点について、大蔵大臣が良心的に私の説に御賛成下さつておるのではないかと考えておるのでありますが、諸般の事情でできないが、何とかしてこれを如何なる方法を講じてでもこの際に民力の涵養のために努力することが、日本の国民に新しい精力を吹き込んで今後の起上り……今一番心配しておる問題は失業問題で、何故かというに、所得がない、あつても税金で取られるから、国民は買いたくても買えない。あらゆる中小企業も購買力が減つて来て誠に困つておる、こういう状態でありますので、中小企業の商売を止めようと思えば、今度工場に行つて働こうにも職がない。こういうような有様が私はこれからまだ半年一年と非常に深刻になつて行くのではないか。なかなか六十億やそこらの失業対策費をお出しになつてからしても、これは燒石に水なのであります。而もそれによつて救われる人は極めて一部分の人しかないのであります。私の心配するのは、今後いろいろ起つて来る、殊にインテリを主とする失業の問題でありまして、これは結局思想問題にも大きな影響を及ぼす。今日若し一千二百億の金を民間に廻して頂いて、これが有効需要となつて、せめて国内で困つている生産に対してこれを補うことができ得ましたならば、国民は明日の日から元気を出して働いて、国の復興というものに努力するということができ得るのであります。その意味におきまして私は、金がないということになれば、私は又大蔵大臣に対して金をこの点から出す方法があるのではないかということをお尋ねしてみたいと考えておるのでありますが、ただ三百六十円のレートですべてを計算してとお前の言うのは御無理だと仰せになるが、現在三百六十円で外国との取引をせざるを得ないのでありますから、この点は本会議のときもちよつとそういう言葉が出たのでありますが、やはり三百六十円は三百六十円でありまして、来年再来年から又物価が昔に還るということをお考えになることは、非常に危險な考え方と考えるのであります。将来デノミネーションでも行われれば、むしろ国債というものは大きくなつてもデノミネーションで切下げられるのであります。そういう点については御心配はない筈はないと私は考えるのでありますが、今一度その点について御所見を承りたい。
○国務大臣(池田勇人君) 国債対策の問題は、三百六十円で計算いたしますのでありまするが、税の負担はその国の財政状況、経済事情によつて変るのであります。従いまして日本で基礎控除が二万五千円ある。アメリカにおきまはして八百ドルですか、こうだからというので本質的の負担は私は考えられない、やはり日本の財政状況によつて事情が違うものだと思つておるのであります。
○田村文吉君 私の予期するような御答弁を頂けなかつたのでありますが、次にお尋ねしたいのですが、新聞の伝えるところによりますと、昨日の閣議におきまして、日本における外国人の技術者とか、或いはその他の人達に対する税金の税率を特に変えてやるような考があるように聞いておりまして、近く法案にしてお出しになるようなことに伺つております。これは誠に問題は簡單のようでありまするが、少しく愼重にこれは考えて頂かなければならぬ問題と考えるのであります。私共は過去の明治時代における日本の独立に立ち至りますまでの間における條約改正に関する問題が、国民の非常な問題として遂に不祥の事件まで起つたくらいであるのでありまするが、私共は外資の導入は望ましい。今日世界の各国から日本に対してどんどん外資は入れて頂きたいが、その外資を優待するの余りに、その外資に特別の税率の控除を考えたり、或いは日本に在留して技術その他の指導者として来られる方々であるといえば、特別の税率を以てこれに応えるということは、どうしても我々の国民感情からして許されないのであります。この点につきましては、大蔵大臣は十分御考慮のことと考えておりまするが、新聞紙上においてさようなことを承つておりますので、大蔵大臣にお伺いを申上げる次第であります。
○国務大臣(池田勇人君) 日本経済再建に外国の資本並びに技術者を必要とするのは非常なものがあるのであります。私は一定期間外国技術者の勤労所得につき、又外国資本に対しまして減税することは止むを得ないのではないかと考えております。只今でも、イギリスにおきましてもフランスにおきましても、アメリカ資本に対しまして実際上軽減の措置を採つておるのであります。私は日本におきまして外国技術者に対しまして或る程度の軽減措置、又外国資本に対しまして一定年間の軽減措置は止むを得ないことであり、経済復興に対しましては適切なる措置であると私は考えておる次第であります。
○田村文吉君 御所見の御発表を頂いてのでありますが、これは私共の、恐らく日本国民のすべての人が咽喉から手が出る程の外資の導入ではありますが、その人達に特別の待遇を與えて、特別の税率を以てまでしてお願いをするということについては、恐らくは大部分の国民はその感情に同調しないと私は考えまするが、これは法案でもお出しになりました後の国会において審議される問題であろうと考えますが、ただこの機会に一言、かようのことは百年を誤る大きな間違いであるということに、私は過去の歴史を考え、古今の史実を勘案いたしまして間違いであるというふうに私は考えますので、十分に御検討を遊ばされんことをお願いいたしまして、この点に対して質問を終ります。
 次に大蔵大臣にお尋ねいたしたいのですが、先刻のお言葉の片鱗にもあつたのでありまするが、日本の今後の物価というのはどういうふうの見通しを将来についてお持ちになつておりますか。或いは二年三年このまま自然々々に物価というものは値の下る情勢に行くものとしてお考えになつておりますか、或いはいわゆるデイスインフレであるから、著しい値段の暴落等は来ないで、そのままにやつて行つて、然る後にデノミネーションならデイミネーションでやられるというようなことをお考えか、そうでなくて、去年よりは今年、今年よりは来年、来年よりは再来年と、じわじわとずつと下げておいでになるお見通しでございますか。この点についてのお見通しを一つ承りたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 物価は、予算上は大体において横這いの予定で行つておるのであります。何分にも只今は御承知の通りに、価格補給金というものが相当の役割をまだ演じておるのであります。これは来年度内におきましてできるだけ沢山外ずして行きたい。その煽りを食います特殊の物資につきましては価格の暴騰がございましよう。併し又片一方で統制を外ずしました結果といたしまして、物価が下る面もあると思うのであります。ここ暫くの間は上つたり下つたりをいたしまして、全般的には物価は大体横這いと考えておるのであります。而して私の考え方は、徐々に外国の物価に鞘寄せしたいという考えを持つておるのであります。来年度か再来年度の問題は、日本の経済の復興の度合と外国の情勢によつて決まることと考えておるのであります。私は暫くは横這い、或いは強いて言えば、全体としては低落の傾向に行くのではないか、二三年先の見通しはつきませんが、デノミネーションということは只今は考えておりません。
○田村文吉君 これはひとり大蔵大臣だけでなく、総理大臣としても、安本長官にされましても、今後の日本の物価というものをどういうふうにこれを押さえるかということについては、大体のお見通しをお持ちにならないで今後の御政治をなさるということは、非常に困難なことではないかと思うのであります。ただ今は表面的にデイスインフレの線でやつて行くのであるから、上るものもあり、下るものもあるて、暫く横這いの状態で行くだろうということでありますが、決して私は将来値段が下るということについては、必ずしも希望を持つものでもありません。値段が下れば生活の安定の部分も起りましようし、いいのでありますから、別に私はそれに対してどうこう申しませんが、どうも一国の政治をなさる廟堂にお立ちの立場からして、将来はこのインフレで上つた物価をどう收めようということくらいについての、大体の御所信が私はありそうなものだと考えたのでありまするが、重ねてこれについて、全然御所信がないということならこれは止むを得ませんが、若しお考えがあるならば、私はこういう点については重大なことと思うのでありますから、我々の民間の人達には来年、再来年、物価は上るか下るか、昔の相場まで値段を直しておしまいになるか、或いはそれともデノミネーションでおやりになるのかというようなことには非常に関心を持つておるのですが、今後明るく働いて行くという上から言つて、どういう見通しをお互いが持ち、又それに対して極めて摩擦の少いように全部が努力して、協力して行くということが必要なことに相成るのであります。御所信はあつても今発表の時期ではないとおつしやられれば、これはもう私は見解の相違でありますから、とやこう申しませんが、一体政治をなさる上には、それくらいのことは必ず御所信がなければならんものと私は考えますので、重ねて御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(池田勇人君) 先程お答え申上げた通りでございまして、補給金を廃します関係上、高低ができて参ります。統制を外ずします関係上、相当の動きがあると思いますが、何れにいたしましても、我々は統制を外ずしまして経済の本然の姿に立ち帰ろうといたしておるのであります。それで、外国との貿易が自由になつて参りますると、我々はどうしても外国の物価市場に鞘寄せせざるを得ないのであります。私の見通しといたしましては、徐徐に統制を外ずして行き、日本の物価を外国の物価に鞘寄せして行くということにあると思うのであります。併し国内の産業状態によりまして、保護関税政策を採る場合もありますので、外国の価格と全部同じようにするというわけには参りませんが、これは好むと好まざるとに拘らず、外国の物価に鞘寄せして行くということになつて来ると思うのであります。
○田村文吉君 外国の物価に鞘寄せなさるということは、これはもう経済の自然でありますから当然でありますが、その尺度をなすものは為替レートであります。為替レートを三百六十円で外国の物価に鞘寄せするということも当り前であるし、昔のように一ドルに対して二円とする勘定で鞘寄せするのも外国物価にくつけるものなんです。今のような、三百六十円という仮定のもので外国物価に鞘寄せして行くのが自然であるというようなお考えは、為替レート三百六十円は動かないという前提の下に立つての御意見でありますか、私はこれは後に申上げますが、当然変るべきものと考えておるのでありますから、今の御言葉では為替レートというものは少し矛盾したような……外国物価に鞘寄せするとおつしやつても尺度がない、その点は如何でしようか。
○国務大臣(池田勇人君) 外国物価に鞘寄せいたしますという議論の下には、三百六十円レートを基本にして行くことは当然であります。三百六十円レートが動くという前提の下におきましては物価の問題は議論にならないと思います。
○田村文吉君 日本の経済の情勢がよくなつて参りまするというと、三百六十円で外国に比較して物価が安くなる、そういう場合には為替レートは三百六十円にしておく必要はないから、三百円にするとかいうような議論も起つて来るわけなのでありますから、私はそういうことを伺いたいのでないのでありまして、将来日本の物価というものは昔のようなものまで直すお考えがあるのかどうか、直さないで或る程度の、米の値段は四十三円といつたら四十三円の大体程度は持つて行かれるというおつもりか、年々これはお互いの時の集積と努力の結果によつては物価はどんどん下げて行かれるのだと、こういうお見通しを持つておられるか、その御方針が承りたかつたのであります。
○国務大臣(池田勇人君) 一ドル二円ということ、或いは戰争直前には一ドル四円程度になつておつたのでありまするが、そういうところへ今の物価を持つて行こうという考えはございません。それはデノミネーションの問題になつて来ると思うのでありまするが、私はそういう考えは持つていないのであります。三百六十円レートを基準にいたしまして、国際物価に鞘寄せして、そうして日本の経済を国際経済に繋がらして行くという考えであるのであります。
○田村文吉君 次に私は細かい問題になりまするが、紙の物品税についてちよつと伺いたいのでありまするが、だんだん物品税をお廃しになるつつありますので、結構なことでありまするが、紙は文化の大切な資料でありますに拘らず、未だに物品税一割を課せられておるのでありまするが、殊に不思議なのは、最も我々から申しますると美術的なものであると考えております手抄きの紙が今度物品税が免除になりまして、洋紙とか、一般の大衆の使われます大事な文化の資料になる紙の物品税が残つております。伺いますと三十五億とかの予算に響くので、これは理論的には正しいけれども止めることはできないと、こういうようなふうに伺つておりますのでありますが、若し全部をお止めになることができなければ、例えば板紙でありますとか、価格の非常に低いものからでも除々にお外ずしになるというようなことができないものだろうか、尚又実は今日物品税は価格から代つて頂ける性質のものではなくなつたのであります。純然たる消費税と相成つて参つておりまするので、価も金は翌月の初めに現金で納めますので、今日は一般の商品から申しますると、二ケ月くらいの金の延びが大部分になつております。皆手形で受拂いをしております、ところが現金で翌月の五日に取られることになりますので、今日は非常に中小企業者及び製造業者が金融に苦しんでおる際に、前金で取られるようなことになりまするので、或いはこの時期を二月くらい徴收期を延ばすとかいうようなお考えがありませんかどうか、お伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 物品税は物価にも影響いたしますので、今年一月におきまして大体年百億円の減税をいたしたのでありまして、理論的に申しますると紙なんかは相当部分免税にすべき点もあるのでありまするが、やはり財政事情と睨み合せまして除々に軽減して行きたいという考えでおるのであります。私は今の税制で以て先ず個人の所得税を減額し、その次に物品税を減額すべきだという考えを持つておるのであります、尚納期につきましては物品税の納期を延長しましたり、或いは担保制度を拡充いたしまして、公債によらなくても適当な方法で延納を認めることを考えておるのであります。
○田村文吉君 一応私の質問はこれで打切ります。後日もう一度又お願いしたいと思います。
○委員長(山田佐一君) 承知しました。次に木下君。
○木下源吾君 それでは一つお伺いしましようか。大臣は官公労組合の諸君と会わないようにしておるというような状態なんですか、これはどういうわけなんですか。
○国務大臣(池田勇人君) そういうことはございません。通産省の職員組合と或いは相当時間会いますし、最近も全大蔵とも会つております。何分にも御承知の通りに、国会開会中は委員会も相当ありますので、殆ど暇がない。或いは国会共鬪委員の方にも先般会いました。何も私は会わないというようなことは考えておりません。
○木下源吾君 一体大臣に給與ベースの、いわゆる給與問題についてしばしば陳情をしなければならんとか、折衝をせにやならんとかいうことになつておる根本は、どういうわけで大蔵大臣を、中心にしてそういうようにやらなければいかんとお考えになつておりますか。
○国務大臣(池田勇人君) 御質問の点がはつきりいたしませんが……
○木下源吾君 大蔵大臣に官公労組の諸君がどうしても会つて、これを解決して貰わなければならんということの要請、陳情、或いは折衝をしなければならんという状態を、どういうところからそれが起きておると考えておられるのか。
○国務大臣(池田勇人君) 向うの方の考えは分りませんが、私の想像では、六千三百七円ベースの予算を組んだ関係上、予算の編成の責任者が大蔵大臣であるという関係だと思います。尚国民負担の方をやつております税の関係も、これは間接にあるとは恐らく考えます。
○木下源吾君 実はこの給與に関することは、人事院がやるようになつておるのですが、そこで人事院がこの間も、この席上でも或いは外ででも、総裁あたりも人事院が政府に反対だところ言つておる。どうもその人事院の勧告の立場から公然と政府に反対する。けしからん、こういうように人事院の人事官が言つておる。殊に先般私はここで、この政府は封建的ではないか、自分もそう考えますと人事官が答えておる。又一昨日か、私は総裁に国鉄裁定を踏みにじり、或いは又人事院勧告を無視しておるという、これはこういうやり方は政府は憲法に違反しておるのではないか、総裁は憲法学者であるから、これを見解を求めたところが、どうかという見解を求めたところが、私もそう思いますと言つておる。私はこういう政府の中に現象のあることを我我国会議員として、甚だ不可思議に堪えない。そこで、大蔵大臣に関する限り、どういうわけで一体そういうことが起きるんだと、その根本についてお考えになつたことはないのか、この点を一聽きたいのであります。
○国務大臣(池田勇人君) 私は淺井人事院総裁の御言葉を直接に聽きませんが、政府がやつておることは憲法違反ではないと思います。国鉄の裁定につきましても、公共企業体労働関係法によりましてああいう処置を取つたので、憲法違反とは考えておりません。
○木下源吾君 私はそういうような現象、つまり政府の中に人事院がこの政府のやつておることはけしからん、反対だ、公然と委員会で……速記録を御覧になれば分るのですが、私は思うに給與のことは従来大蔵省がやつておつたんで、当時の大蔵省というものは国民の金を集めと自分のポケットの中に入れれば、自分のものの如き観念で給與をやつておつた。私は、従来はそうであつたと言うても過言ではないと思う。然るに今日は人事院という制度が設けられて、これはそういうような考え方で給與と言うのではないのだ、こういうことは、人事院ができたことは先刻来御承知の通りと思うのでありますが、今尚大蔵当局が、金は俺の方で握つておるのだ、如何なる制度ができようが、何と言おうが、そういう人事院なんていうようなものは我々は知つたもんじやないのだ、こういう考えであるならば、端的な言葉で言えば、今日のセクショナリズムという、そういう傾向が私は多分にあるのではないか、こういうように思われるのです。又現にそうだというようなことを裏付するような事実があるが、これらについて一つ大蔵大臣はどういう御見解を持つておるか。それをお尋ねしたい。
○国務大臣(池田勇人君) 御承知の通りに、予算編成の方針は閣議で決まることであるのであります。而して予算編成の重大問題は今のベースにあることも政府は十分承知いたしておるのであります。大蔵省がセクショナリズムでどうこう、こうこうと言うことはできない問題でございます。大きい政府の方針であるのであります。従いまして私といたしましては、大蔵大臣として政府の決定に基きまして予算を編成した次第でございます。
○木下源吾君 政府の閣議で決まるということでありますが、同時にやはり給與の関係はその担当の人事院というものが閣議に相当なやはり私はこれは影響力を持つておるとこう思うのです。少くもこの人事院制度が設けられた以上は、政府としてはこれを十分に活用せなければならんもんだ。閣僚のみが閣議でない。やはり人事院という一つのああいう独立した制度のようでありまするが、根本の問題なんで、一体閣議でも人事院なんていうものには関係なくどんどん進行しておるのでございますか。
○国務大臣(池田勇人君) 人事院の勧告が出ましたので、我々閣僚は人事院総裁並びに人事院の関係官の説明を受けたことはございます。而してその勧告案によりまして検討の結果、賃金ベースは動かさないという関議決定をいたしたのであります。
○木下源吾君 そこでこの人事院の勧告は昨年の十二月の四日と記憶しておりますが、すでにこのベースを改訂せぬということは、その前から政府がしばしば言つておるのですな。勧告があつて閣議をやつたんではないと思うが、その点を一つ……
○国務大臣(池田勇人君) 予算編成の根本問題でありますので、賃金ベースの変更はしないということで決めました。その後人事院からの勧告がありましたので、勧告の内容を検討し、やはり既定方針通りこの際変更しないということになつたのであります。
○木下源吾君 私は総理大臣にお伺いしようと思つて今日は出席を要求しておつたのですが、見えません。そこでまあ大蔵大臣でよろしい。公然とこの同じ政府の中に政府に反対しておるものがある。この前は中小企業庁の長官が、三月危機があるというようなことで、政府の方針と違うことを言うたというので、首にしたわけですね。そういう事例がある。これはよその方で言うておるが、国会で言つておるのですね。反対でという人事官がある。これに対して一体政府はどういう考えでおるか。先には中小企業庁の長官の罷免は、かような国会で何も言うたわけではない。それを罷免しておる。堂々と一方は政府のやはり人事官が、総裁が政府に反対だとこう言つておるのですが、これは一体不問に附して置くつもりかどうか。
○国務大臣(池田勇人君) 中小企業庁長官の辞められたのは、私が通産大臣になつてから辞表が出ましたので辞めたのであります。而して私が通産大臣になる前に前大臣の意向を聽きますと、ああいうことを言つたから辞めさせるのだというようなことは聽いておりません。誤解のないように願います。人事院というのは役所の成立の経過から申しまして、一応内閣よりは独立の恰好になつているのであります。従いまして総裁は閣議にも出ませんし、内閣と独立の恰好になつておりますから、これが内閣の意見と違うからどうこう、こうこう、いわゆる任免その他についてどうこう、こうこうという問題は一つも起らんと思います。
○木下源吾君 そこです。そういうようなことでは使われている者は不安でたまらない。使われている者は、人事院が公務員の福祉のために設けられた。一方においては、公共の福祉のために完全に労務を提供してやらう、こういうことで、人事院が設けられている。ところが給與の面における実権を握つている政府は、人事院が何と言おうと、そうしてあれは独立だから勝手なことを言おうとかまわん、俺は俺だ、俺さえ出さなければ、公務員というものはどうなろうと、そういうことは関係ない、但し公務員の福祉、幸福というようなことは人事院やれるならやつて見ろと、こういうように国民にはとれるのですが、それで一体政府としては、実際の仕事はこれらの公務員の諸君がやるんです。大臣だつて、手が五本あつて、足が十本あるわけじやありません。これらの公務員諸君がやるんだが、それでこの行政の、国民のためのよき行政が執れるとお考えになりますか。
○国務大臣(池田勇人君) 公務員の給與の問題につきましては、我々は十分検討いたしたのであります。人事院の勧告を政府が聽く聽かないは政府の責任においてやることでございます。而してその政府の考え方につきましては皆様方に批判を仰いでいるのであります。何も政府と人事院との強い弱いの関係じやありません。この点は御了承を得たいと思います。
 又第二の御質問の公務員の給與につきましては、我々はいろんな検討を加えまして、とにかく今ベースを動かすことはできないが、何とか実質賃金の上るようにというので減税をいたしましたし、いろんな方法を考えているのであります。今後におきましても、現在これを等閑に付するということはございません。我々としてはお話の通りに、公務員というものが国家の公僕として非常なるお働きを願わなければならんのでありますから、大臣として十分考えて行つておるのであります。
○木下源吾君 実質賃金の上るようにと言いますが、逆に実質賃金が上らなかつたとする場合においては、どういう考えを持つておられますか。
○国務大臣(池田勇人君) 実質賃金が上らない場合におきましては、これは又いろいろな手を考えなければなりますまいが、それは程度の問題でございます。私は今申上げたのはCPIの関係から申しましても、昨年の三月に比べまして実質賃金が上つて来る、上つておるという事実を認めておるのであります。
○木下源吾君 昨年の三月を基準とする問題は別といたしましても、政府の言つておることと人事院の言うておることが違う。若しこれが違つておる場合において、一体公務員はどこへこれを訴えればよろしいか、これをお尋ねします。
○国務大臣(池田勇人君) 公務員がどこへ訴えるかということは、公務員の方々のお考えでありましよう。政府は人事院の勧告により得ないという理由を付しまして、賃金ベースを上げないで皆様方の御審議を願つておるわけでございます。
○木下源吾君 私はこの三月問題ですが、これはしばしば論議をして、大蔵大臣と意見が全く喰違つておるということも考えておるから、それは言いますまい。ただ併しながら、民間と公務員との間の開きが少い、こういうように政府は答弁されております。けれども政府は、やはり国の中の最大の雇傭者ですよ。そうすれば民間の給與でも、民間の多数の雇傭者を使つておるものとの比較でなければならない。労働大臣、或いは大蔵大臣は、民間には工場閉鎖のやつもある。やつて行けない。金詰りでどうにもならんやつがあるのだ。そういうところでは賃金を上げるどころじやない。拂えないものがある。それらに比べれば、公務員がいいのだとおつしやる。この基準は私は、大蔵大臣の対象にしておるのは間違つておる。何故なればです。現内閣は自由主義である。自由主義なるが故に、そういうように倒れて行くようなものは、政府の範疇に加わらない。権力の範疇に加わらない。そういうようなものの加わらないものを、対象にする必要な時には対象とする。又そうでないときには、それらは勝手に潰れろ、これでは一つも私は理窟が合わんと思う。そういう理窟は私は全然成り立たんと思うのです。先般ここで大蔵大臣が言われるのには、中小企業の定義を誰かが言えと言うたならば、人間を何ぼ使つておるもの以上、賃本金が何ぼ以上というようなことをおつしやつたのですが、私共はね、今日中小企業というのは、政府の保護も受けなければ、銀行から金を借りることの対象にならないものを私共は中小企業なりと思うておる。現実にそうなんです。そういうものが中小企業の大部分を占めておるのです。それは政府が金を貸してやるのではない。保護をするのではない。補助金をやるのではない。銀行に金を貸してやる枠を授けてやるわけでも何でもない。そういうように政府とは無関係である。あなたが本心で言われたように、倒れようが死のうが、政府とは無関係なんだ。そういうようなところに使われておる労働者を、公務員のベースのときにはその賃金を持つて来てここで並べて説明をする。私はこれはどうも理窟が合わんと思う。やはり政府は、補給金をやつたり、或いは国民の税で保護してやつておる、或いは銀行に借金を返し、国債を戻して、銀行に貸してやれと言う、その借りた企業、そういうものを対象としなければならん。私はそれを対象とするべきだと、こう考えておるのだが、この点について大蔵大臣明確に一つ。
○国務大臣(池田勇人君) 私はそう考えておりません。やはり国民全般の賃金と比較をすべきものと考えております。
○木下源吾君 国民全般の賃金を比較するということはだな。しばしばあなたは言われておりますが、そうすれば公務員というものの賃金の基準が一般企業の、つまり工場労働者との比較において一体どこを取ればいい。どこを取ればいい。それこそ今遅欠配さえしておるもの、そういうものと取りますか、これを一つ。
○国務大臣(池田勇人君) 先般政府から発表いたしましたものは、いわゆる政府で調べました工場賃金と較べております。そうして公務員のあれを比較しておるのであります。私が外の機会に申上げましたのは、この工場賃金は主として大産業の一部、或いは中小企業の極く一部を入れておるのであつて、全般の推定にはならない。昭和二十三年の調査によりますと、この工業賃金と中小企業の賃金との差は二三割という結果が出ておるということを聞いておるのであります。従いまして、政府といたしましては、一応はつきりしておる賃金と較べまして参考として申上げておる。中小企業の労務者の賃金を言つておるだけで、正確な統計はございませんから、一応高い方のあれに比較して政府の考え方を言つておるのであります。
○木下源吾君 この人事院との関係で、もう一つお伺いしておきたいのですが、人事院は別の方面で今職階制の法案を国会に、この前の国会から出しております。職階制というのは御承知の通り、能率的によく働かせる、又働かなければならないように人間を機械的に、機械のように、そういうように仕組んだ一つの法案になつておるのですが、それが出ますと、当然それは給與の基準になるわけですね。この給與の基準になりますというと、今までの、つまり分を下げないという建前になつていますから、凸凹のあれは調整されて、上げる部分が沢山できる、少くとも私は予算に相当にこれは盛らねばならんものだと考えておる。で、一方ではそのような法案を出しており、一方では政府は二十五年度予算では従来の給與のこの方針で予算を編成しておられる。ここでお尋ねしたいのは、若しも職階制が通過して、そういうような俸給の凸凹が直るために予算が必要なときには、政府はこれに追加予算でも組むというお考えがございますか。
○国務大臣(池田勇人君) 私は今の予算を変更するような法律案は出ていないと思つております。前議会にそういうのが出ておるそうでありまするが、予算には影響がないと考えております。
○木下源吾君 それだから、大蔵大臣は予算に影響はないと考えていますということなんだから、給與のことなんぞは念頭にないということなんですよ。そうではないのだ。予算に非常な関係がある。だから人事院なんというものに対しては、私はもう閣議でこれを一つ廃止したら面倒なくていいのじやないか(「異議なし」)と呼ぶ者あり)それ程の、一方に法律を何し、やつておるんだが、大蔵大臣と来ては、とにかく給與のことに対しては無関心だ。(「勿論」と呼ぶ者あり)先程あなたが言われた、まあ食えれば公務員はいいじやないか、それは心配しておるのだと言われますけれども、本心はそこにないと私はそう考える。若しあるならば、そういう法案が出ておることなんぞは、あなた方は連絡を取り、そうしておらなければならないわけです。この点は人事院と嘗て給與その他についていろいろ連絡なぞを取つたことございますか。
○国務大臣(池田勇人君) 国会に、繋属しておる法律案は一応は知つておりまするが、重要な問題しか記憶に残らない場合が多いのであります。全部を全部知らんといつてそれに無関心だというのは酷評だと思います。それから給與ベースにつきまして、これは人事院の総裁、或いは関係官と直接にも会つておりますし、又予算関係に影響する場合におきましては、大蔵省職員が常に連絡をいたしております。
○木下源吾君 それでは別の方向のお尋ねをします、ガリオア資金というのは、日本の、つまり救済資金でございますね。援助資金ですか……
○国務大臣(池田勇人君) ガリオア、イロアという名前でやつておりまするが、我々は昭和二十四年度から、これを対日援助見返資金という名目の下に予算を組んでおります。
○木下源吾君 でありますが、やはりアメリカの何では、いわゆる復興資金と援助資金と別々な区別になつておるのでありましようね。
○国務大臣(池田勇人君) そういうことは聞いておりまするが、どれがガリオアで、どれがイロアというはつきりしたものはないのでございます。
○木下源吾君 大部分はやはりありますが、はつきりしなくても。
○国務大臣(池田勇人君) 大部分は私は、年によつて違いまするが、イロアとして、いわゆる援助物資として来ておると思つております。
○木下源吾君 この点ですが、その直接国民の援助をするようにこの金がですね、物資が来て、見返資金の特別会計に入つてから使われておりますか。
○国務大臣(池田勇人君) 御承知の通りで、このガリオア、イロアの資金の中には年によつて違いまするが、主食もありましようし、或いは鉄鋼、石炭、肥料もあります。又原棉もあり、石油もあるのであります。
○木下源吾君 そういたしますと、これは物資は援助の物資であるから、その資金は何に使つてもまあよいというようにお考えになつておるのですか。
○国務大臣(池田勇人君) 資金につきましては国会の承認を得て使うことになつております。そうして実際の問題といたしましては、見返資金を日本政府で使います場合には関係方面の了解を得て使うことになつております。
○国務大臣(池田勇人君) 御承知の通りに、今出ております見返資金の内訳を申しますと、六百億ばかりが復金債の償還でございます。これは預金部並びに銀行に廻つておりまして、銀行或いは預金部からいろんな方面に出ているのであります、金は。それから二百七十億円の国鉄並びに電気通信に出します金は、殆んど全部本年度に出て参りました。而してこれが鉄道なり通信の会計へ行きました場合には、これは車輌とか或いは通信機等に使われまして、それが大産業に、それに附着した中小企業にも参つておりましようし、而して又直接投資の分は、一昨日までで百五十五億出ております。昨日と今日で二十八億の予定であります。今月中に、今会計年度を通じまして二百五十億出ることになつております。これは水力発電或いは造船に大部分が出て、鉄鋼、石炭に数十億、化学肥料等一部のものに十億足らず、こういうことになつておるのであります。造船に出た金は大造船会社の方に行きますが、これに密着接続した中小企業も相当あると思いますので、中小企業の方にも相当行つておると思います。特に中小企業に対しましては、月一億円くらいずつ、銀行の金と半々にして見返資金から出ることにいたしたのであります。一月二月はあまり出ませんで、合計五千七百億円でございまするが、三月になりまして、今申出が三月まで累計二億円になつております。私は今月末までには二億五千万以上の見返資金が中小企業の方に出ると考えます。併し今あなたの中小企業の定義は私の考えている定義と違いまして、銀行にも繋がりのない企業を前提にしますと、あなたのおつしやる中小企業にどれだけ行つておるかということはむずかしい問題だと思います。
○木下源吾君 只今の銀行の二億のやつ、十五ケ月のやつだと私は思うのですが、今大臣が言われておるように、中小企業には金は一つも貸しても呉れませんし、借りてもいませんよ。そういうことは別といたしまして、私は援助資金によつて主として日本の大産業と大金融資本のみが助かつておつて、そうしていわゆる中小企業、農民、漁民、労働者はこの恩惠を蒙らない。蒙つていない点を指摘したいのです。先ずそれはそれといたしまして、この見返資金というものはインフレを收束せしめるために、ややもすればデフレになる。その場合に潤滑油の役割、挺子の役割にするのだということを、曾つてここでおつしやつたことがあるのですが、この役割を努めておるとお考えになつておりますか。
○国務大臣(池田勇人君) 私は務めておると考えております。而して見返資金に入りました金は、できるだけ早く我が国の産業界、金融界に還元しなければならんというので、還元いたしておるのであります。で大体予定通りに還元しつつあります。従いまして私は、今年度から来年度への移り変りの分は、全体の金額の一割五分程度くらいしか繰越さないと考えます。或いはことによつたら一割程度、百四、五十億くらいしか繰越ししないように使つておると思つておるのであります。
○木下源吾君 あなたは、大企業にやれば、それに関連しておる産業の中小企業が潤うと言う。この方針は民自党のイデオロギーであるし、経済政策の基本であるが、そういうようなお考えでやつておる通りに金が今日動いておるとお考えになつておるか。私はそれは決して動いておらない、その金が若し動いておるなら逆にいわゆる不必要な一方に耐乏を要請しておるが、不必要な消費にそれを又再生産するために使われておる、こういうように私は見ておるのですが、そうでないということを大蔵大臣は断言し得ますか。
○国務大臣(池田勇人君) 見返資金につきましては極く精査いたしまして、直接投資をいたしておるのであります。今申上げましたように、水力発電に百億円、それから造船に七、八十億円、炭鉱或いは製鉄会社に四、五十億円、その他化学薬品、これは二、三の会社でございますが、そういう所へ出しておるのでございます。これが濫用せられておるとは考えておりません。貸出しの場合におきましては、償還計画から資金の必要程度を十分各省で審査いたしますと同時に、日本銀行で審査し、又これを大蔵省で審査して、各関係方面の了解を得るように、関係方面でも審査しておるのであります。
○木下源吾君 然らば日鉄の争議は何のために起きたか、今炭鉱争議はどういうために起きておるか、こういうことについて御調査になりましたか。
○国務大臣(池田勇人君) 日鉄の方は、昨年の十一月から特別に出しておつた二千円の問題が、三月から切れるからその問題で起きたと解しております。見返資金と直接に関係ないと考えております。併し調査が十分でなければ調査してからお答えいたします。
○木下源吾君 あなたはそれでは不十分です。要するに日本の援助資金の見返資金が真に先程も言うように、勤労階級やら農民や中小企業の援助にも復興にも、何の役にもたつておらん所に使われておるということは、これは明瞭です。この点は如何に大蔵大臣がここでおつしやつても、幾らでも実証を挙げることができるのです。ついこの間までは見返資金が、これは実際に動き出すための時間的ずれのためにと、この間の補正予算の臨時国会あたりではそういうようなことを言つておつたんだが、今日すでに千百億も二百億も出ておつても、尚時間的ずれというここはもう今では言われない。今の金詰りの状態、そうして中小企業の悲惨な状態、又労働者のストライキが各地に盛り上つている状態、公務員の生活の窮乏のどん底に来ておる状態、悉くこれはあなたの言つておることを裏切つておる。全くそれを裏切つておる。それは言うまでもなく自由主義経済と、そうして現状に即しないところの野放し経済というものの結果だと我々は断ずるのであります。今日午前中に私は参議院で、アメリカから帰つて来た諸君のお話を聽きました。アメリカにおいては昨年の或る時期においては非常に不景気であつたが、本年の上半期、昨年の下半期、景気が上昇して来ている。何が原因か。それは言うまでもなく国民の購買力、勤労階級の購買力が高まつて来たからである。こういう報告を聽いたのですが、あなたも恐らくお聽きになつたろうと思います。今中小企業というようなむずかしい言葉でなくても、商店では、毎日の売上げ、その万般の売上げの多い方がいいか、商売するために資金を借りに行つて貸されないで、無理やりそこら中に探して歩けば月三割の利子を取られてやるのがいいのか、言うまでもなく毎日の売上げが多い方が商人は喜ぶし、それが安定するのである。それは何によつて齎されるか。我が国の経済状態において、何も贅沢品を売つているところを私は言うのではない。それはいわゆる労働階級の收入というものが、今のようなもう餓死線上にあるというような、それでは売上げが多くはならないのですよ。この状態は生きた事実なんです。どうしてそれを経済安定のためにその線に持つて行こうとせられないのか。大きいところに金を貸せば下に滲透して流れる、そういうような安易な日本の経済の状態ではない。戰後の日本の改革状況はそんなことではないということにどうしてお気ずきにならないか。
○委員長(山田佐一君) 木下さんにちよつと申上げますが、大分御意見が入つておるように思います。而して質疑者もあとがつかえておりますから、御意見のなには討論のときにお願いしまして、質疑者に讓つて頂けませんか。
○岩間正男君 今のに関連して、発言中失礼ですが、今の木下君の質問と関連して、見返資金の貸出先のこれは資料があるだろうと思いますが、その資料を出して欲しいと思いますが、これは如何ですか。
○国務大臣(池田勇人君) 前後いたしますが、岩間委員の御要求の資料は後刻お出しすることにいたします。
○岩間正男君 成るたけ早い機会にそれでは出して頂きたい。
○国務大臣(池田勇人君) 大体私、覚えておりますが、百億円近いものは殆んど全部発送電でございます。それから八十億円ばかりの造船会社は、これは出る予定でございますが、今まで出ている三十億円ばかりは四、五の造船会社、それから製鉄関係は日鉄と鋼管だけ、それから炭鉱は三井、三菱、その他四、五でございます。それから肥料関係の方は三井化成でございます。これは直ぐできますから二、三日も待たなくてもよろしい。
○木下源吾君 余り時間を取らないようにと委員長が言つておりますから、簡單にお聽きします。国鉄の今度の建設勘定が二百四十億で、うち四十億が見返り、二百億は国鉄自体の損益勘定から使うということになつている。この二百億の損益勘定は今年初めて出て来たわけです。昨年は建設百五十億ですか、全部見返のわけであつたのだが……。この二百億の損益勘定は当然私は従業員諸君の報酬に振向けられる部分がこのうちにあると考えるのが常識だと思いますが、大蔵大臣はどういうようにお考えです。
○国務大臣(池田勇人君) 私はそう考えておりません。これは会社の固定資産の償却と同じようなものでございます。国鉄の資産から申しますならばこの程度の資産の償却はやらなければならないものと考えております。
○木下源吾君 そうすると、国鉄の職員、従業員は業績をよくしてそうして收入を挙げるために、いくらやつてもやつても自分には一銭も入つて来ない。こういう状態が国鉄のつまり仕事が発展して行く、それが円滑に行くとお考えになられますか。
○国務大臣(池田勇人君) 原則として給與の総額からやつて行くべきものと考えております。
○木下源吾君 それでは專売の方をお聽きしますが、この前の確か国会であつたと思うのでありますが、予備金を消化するのに、一口に言えば、塩を十二万トン買うのに国会の承認を求めたと言いますね。この点はどうですか。
○国務大臣(池田勇人君) 補正予算の際に承認を求めたと思います。
○木下源吾君 今回百二十万トン買うことになつておるようですな。この点はどうでございますか。
○政府委員(河野一之君) 只今の專売公社の予算の実行計画におきましては百五十七万トンを買うということにいたしております。
○木下源吾君 それをどうしてこの国会に今度は掛けないのでありますか。それを一つ。
○政府委員(河野一之君) この前の時は、十二万トン余計買いますにつきまして予備費を修正減少するという予算の補正をやつたわけであります。今回は予備費を使うことでありませんので、中の單なる流用の問題でありますので、特に補正予算を必要としない。こう考えます。
○木下源吾君 そういう流用する金があれば、いわゆる專売裁定の一億二千八百万円というものが流用できると考えて差支ありませんか。
○国務大臣(池田勇人君) 私はそういう物件費を流用することは適当でないと考えております。
○木下源吾君 それは大蔵大臣だけの考えであると承知して差支ありませんか。
○国務大臣(池田勇人君) 大蔵大臣としてお答えいたしたのであります。
○木下源吾君 私はまだまだ沢山大蔵大臣に聽かんならんことがあるのでありますが、先程委員長の言われたなにもあるし、今日は大体に端折つて置こうと思いますが、もう一つ、この開拓者関係の、これは小さい問題を一つ質して置きますが、開拓者の資金融通法による融資期限ですか、あれは三ケ年になつておりますが、これの実情は尚多少延ばさなければならんというように我々は考えておりますが、当局はどういうふうにお考えになつておりますか。
○政府委員(河野一之君) 開拓の進み工合でありますが、入植せられました土地によりましては生産力がそこまで行かなかつたということで、法的にはおつしやつたような問題がある所もございますが、大体において予定通り返して行けるであろうというふうな推測をいたしております。
○木下源吾君 只今のは償還を三ケ年となつておるのを延長するというわけですか、貸出を……。その点はどうですか。
○政府委員(河野一之君) 政府の貸付金につきましては、この條件を変更いたしますには、まあ法律が要るわけであります。少くとも国会の議決に基くことを要するのでありまして、現在のところ全面的にこの問題を木下さんのおつしやつたような方向に取扱うというところまで考えておりません。
○木下源吾君 もう一つお尋ねしたいのは、政府は例の法律百七十一号を廃止しようとしておりますが、そこでそういたしまするというと、職種別の賃金の算定の基礎がなくなるわけでありますが、この点についてはどういうふうにお考えになつておりますか。
○政府委員(河野一之君) 現在百七十一号は廃止するつもりで目下提案の手続を取つておるわけでありまして、その中には進駐軍関係の特別賃金の問題があつたと思うのでありますが、これは飽くまでもこの職種別賃金と申しますものは、進駐軍その他の関係の工事につきまして、請負の場合に、これを政府に契約をいたします際に、その賃金を超えたものはいかんという間接的なものであります。百七十一号にありますものは、従つてこういうような事態になりますれば、当然それが廃止されてよいと考えております。ただ職種別の賃金というものが、現在の進駐軍労務者の基準賃金になつておるという意味において木下さんの御質問があるのだろうと思いますが、これはもう職種別の賃金の形で残されなくとも、現在の制度におきましては、特別調達庁の長官が大蔵大臣と協議して定めるという恰好で十分おつしやる目的は達し得ると、こう考えております。
○木下源吾君 只今主計局長が言われたような措置を大蔵省がおやりになつておると承了して差支ありませんか。つまり言うと、大蔵省はこの職種別の賃金をこれを廃止することに努力しておるのだというような私共は噂を聞いておるのであります。そうではなく、これを存置させようという意図であるということを今局長は言われるのだが、そういうように了承してよろしうございますか。
○政府委員(河野一之君) 職種別の賃金というものは当然廃止せらるべき運命のものであります。百七十一号に根拠を置くものでありまして、職種別賃金は、民間の全般の賃金を定めまして、これはプリヴェイリング・ウエイジでありますが、これを基礎にしなくては進駐軍関係の契約はしてはいかん。ただ進駐軍労務者についてはこれは現在これを基礎にして定められておるという実情でありまして、職種別の賃金の方が廃止されれば、その基礎は当然なくなる。ただ給與のことでありますから、職種別賃金というものはそのままではありませんで、現在の賃金を特別調達庁長官と大蔵大臣が協議して維持して行くというような実際上の運びになるのではないか。こういう意味で申上げたのであります。
○木下源吾君 その維持して行くというのが大切なんです。分りました。
 本会議で同僚田村議員の提案で積雪寒冷地帶における行政費用の損耗、生活損耗、そういう点について特別な措置をやりたいという決議案が通過しておるのでありますが、この点についていろいろ承りたいのでありますが、これは次の機会に留保をいたして置きまして、私の質問をこれで終ります。
○岩間正男君 議事進行に関する動議を出したいと思うのでありますが、どうもこういう形で、こんな寥々たる形で一体進められるのか、昨日も総理に対して出席を要求して、総理は軽視しないと、こういうことを言われておるのでありますが、問題は言葉ではなくて、総理が出られるか出られないかという行動の問題だと思う。大体今日の審議そのものが或る意味では変則ではないか。昨日はこつちへ回付された問題について一応総理の意見を承つたのでありますが、本予算に関する本格的な質問は何らなされていない。従つて当然総理に対するこの点からの質疑を開始しなければ、正しい、正確な審議とは言えないと思う。そういう意味におきまして、本委員会ではこの問題について、明日からの閣僚の出席工合、この問題をもつと検討されて、そうしてこの前からのお話では、向うの衆議院の会議が終ればもつと関係閣僚は全部出られるというお話しだつたが、本日見ますと、こういう寥々たる形である。これが遅々としてこの審議が進まない原因である。こういうように考えますので、この点を検討されること。もう一つは今日こういう形では審議も殆んど意味をなさないと思いますから、今日の審議はこれで打切られんことの動議を出します。
   〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山田佐一君) 動議は賛成者がありまして……
○羽生三七君 動議が採択になればとにかくそうでなければ、この機会にちよつと二、三分ですが、この問題とは違つた緊急の問題ですが……
○委員長(山田佐一君) そうしますと、岩間さんにお答えいたします。総理には明日の出席を要求いたしました。お説御尤もと思いまするから、成るべく各閣僚にも出て頂きたいと思いまするが、実は期日も切迫いたしておりまするし、今日の審議状態から見ましても、木下君の一問一答で大蔵大臣と一人で一時間取りますので、こういう工合ですと、質疑の通告も沢山あるのでありますから、大臣が大勢並びましても、なかなか進捗しないのじやないかと思います。その辺に対して又明日でも理事会を開きまして審議の方法を御協議願いたいと思います。
 只今羽生君からのなんですから、二、三分ですから、散会はちよつと御辛抱願つて……
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○羽生三七君 この機会に更に大蔵大臣にお伺いしたいと思うのですが、それは只今私別室の農林委員会で報奬物資の関係の問題についていろいろ協議しておつたわけでありますが、これに対しては、すでに衆議院の予算委員会でも大蔵大臣は御承知になつておると思いますし、それからこの問題の内容は、言うまでもなく報奬物資が生産農家に配給されて、その後現品の値下りや消費税関係の変更等によりまして、莫大な損失が農家並びに協同組合に起つて、十数億の補填をしてやらなければ農業協同組合が今や立ち行かないということから起つた問題であります。それで先日農林大臣は、この問題については約十五億の補償は貰うように大蔵大臣に協力を求めておる、大体見通しは付いたというお話であつたのでありますが、本日の農林大臣の答弁を聽きますと、その後情勢の変化によつて、それが大蔵大臣であるか、或いは通産大臣であるか分りませんが、非常に困難になつたということでありますけれども、そうなりますと、実に全国の大多数の農業協同組合が運営極めて困難な状態になるのであります。これは先程本会議の席上でも農林大臣が答弁されましたが、農業会を解散して協同組合に改めた趣旨から言つても、是非農業協同組合は育成して行かなければならないと言つておるのでありますが、それが資金上の面から殆んど立ち行かない状態に陷りつつあるのであります。これに対して大蔵大臣が農林大臣を助けられて、何らかこの十五億の出所について予算上御協力下さる御意見があるかどうか、これを承りたいのであります。
○国務大臣(池田勇人君) この問題は二週間ばかり前から起りまして、一億数千万の手形の不渡から出たのであります。而して私の方でいろいろ調査いたしましたが、この善後策をどうしたらいいかということについては、私はしばらく銀行の手形回收を待たすように指令をいたしております。その金額が、農林大臣が十五億とおつしやつたかどうか分りませんが、私の知つておる限りにおいては、そうまで行つておりません。手形の回收を急がないように、そうして報奬物資の戻される方につきましては、又、引取ろう。戻した場合についての損はどのくらいあつてどうするかということは、私には分つておりまするが、今ここではつきり申上げる段階に至つておりません。しばらく御猶予願いたいと思います。
○羽生三七君 今の一億数千万円は手形の方でありますが、私が十五億と申したのは、先程申上げた現品の値下りやら、市場関係でありますが……値下りやら或いは今申上げた消費税の関係からであります。それからこれは非常な余分な、出過ぎたことかも知れませんが、今度の予算の中に十二億というものが刑務所の囚人を使いまして、そうして印刷所を国家が経営するという予算が十二億組まれております。これは別段まだ法律案は出ておりませんが、まあそのような予算は、私原則上から言いましても、とにかく今日の囚人というものはそれを矯正するために刑務所に入れるのでありまして、これを労働者として扱う意味で入れるのではないと思います。そういうことは又同時に中小企業を圧迫するにも拘わらず、又沢山な失業者が出ておるに拘わらず、刑務所の囚人まで使つて十二億の予算を組まなければならんということはない。これは是非削つて頂きたいし、その他農林関係で三億というものは他から融通の可能性があるということであります。十二億と三億とプラスして十五億になります。そうすると、今の農業協同組合の要求される額と合致する。私の言うのは決して暴論でなく、思いつきでありません。この十二億は予算上外の適当な財源に廻す。何も貢献するところはない、刑務所の囚人は労働者扱いすることなく、これは何とか善導されることとして、その予算を何とか是非組替えされるように、大蔵大臣の特に御配慮を願いたいのであります。
○国務大臣(池田勇人君) 手形の不渡の場合と措置と報奬物資を返した場合の損失の問題とは別でございます。これは私も承知しております。併し引渡しが戻つた場合の損の金額十五億ということについては、私は聞いておりません。だから、これは検討いたしまして、今案を練りつつあるのであります。而して今の刑務所関係の十二億円の分は、実はそれだけの歳出がありましても、歳入が又別にあるわけでございます。歳入歳出で余り損が行かんようにいたしております。刑務所の人も遊ばしておくわけには行きません。併しそれが民業圧迫になるということが議論になりまして、民業を余り圧迫しないように予算の執行を考えようという各閣僚間の申合せがあるのであります。
○委員長(山田佐一君) では今日はこれを以て散会いたしたいと思います。
   午後三時五十七分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     山田 佐一君
   理事
           内村 清次君
           岩木 哲夫君
           高橋龍太郎君
           田村 文吉君
           寺尾  博君
           岩間 正男君
           木村禧八郎君
           岩男 仁藏君
   委員
           岩崎正三郎君
           岡田 宗司君
           木下 源吾君
           羽生 三七君
           森下 政一君
          池田宇右衞門君
           石坂 豊一君
           岡崎 真一君
           城  義臣君
           小林米三郎君
           團  伊能君
           堀  末治君
           鈴木 順一君
          前之園喜一郎君
           赤木 正雄君
           井上なつゑ君
           西郷吉之助君
           藤野 繁雄君
           帆足  計君
           小川 友三君
  国務大臣
   大 蔵 大 臣
   通商産業大臣  池田 勇人君
  政府委員
   地方自治政務次
   官       小野  哲君
   大蔵事務官
   (主計局長)  河野 一之君
   大蔵事務官
   (主税局調査課
   長)      忠  佐市君
   通商産業政務次
   官       宮幡  靖君