第007回国会 予算委員会 第20号
昭和二十五年三月二十四日(金曜日)
   午前十一時二十七分開会
  本日の会議に付した事件
○昭和二十五年度一般会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和二十五年度特別会計予算入内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和二十五年度政府関係機関予算
 (内閣提出、衆議院送付)
○理事の辞任及び補欠選任の件
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○委員長(山田佐一君) ではこれから会議を開きます。通告順によつて発言を許可いたします。井上なつゑ君。
○井上なつゑ君 私は文部大臣に大学病院の定員の問題についてお伺いいたしたいのでございます。で、御承知のように大学の定員は定員法によつて定められておるのでございますが、大学の研究機関でございます大学病院の定員の中に、特殊の技術を要します医師、歯科医師、薬剤師、看護婦というものがございますが、これは御承知の通りでございますが、技術の点で明瞭になりませんのが看護婦なんでございます。大学病院の看護婦は特別の技術を持つておりますことは普通の看護婦と同じでございますが、その身分は、大学病院だけではございませんけれども、普通の雇員として定員が取扱われておりますので、看護上非常に不都合を来すことが多いのでございます。御承知のように大学病院と申しますものは、医育機関の附属機関でございますから、一面教育の大きな部面を担当しなくちやなりませんし、一面国民保健上からいつて大学特有の治療をしなければならない大きな責任があるのでございますが、その両方相俟つて、国民が大学病院にさえ行けば病気は診断して頂け、そうして治療ができると思つております。病院がこの頃のような状態でございますと、何だか医育機関とそうして国民保健治療機関と両方が不明瞭になつてしまい、カモフラージュされる形になつておるのが往たなのでございます。その中でも特に甚しいのは、お医者さんの部面は非常に研究費も沢山とれてよろしいのでございますけれども、看護療養の部面でございます。大学病院の患者と雖も研究ばかりして貰うわけではございませんで、或る一定の期間十分な療養を要します。この療養の部面に非常に看護婦が多く要るのでございます。それは只今申しました通りに、看護婦の定員が普通の雇員と同じ枠の中でとられておりまして、特殊の技能者として認められておりませんところに大きな欠陥があるのではないかと思いますので、文部大臣に私伺いますが、看護婦の身分は、直ちに本官というわけにも参りませんけれども、雇員の中でも看護婦は、技術者としての雇員としてはつきりとそこに明瞭にして頂くことの御意思があるかどうか伺いたいのであります。それと申しますのは、看護婦がやめますと、この頃のことでございますので、どうも看護婦の待遇が悪いというような條件から看護婦になるものが少ない、就職するものが少くなりますと直ぐに雇員の定員が塞がれるというので、普通の事務員だとか、外の人達を以て埋められるという虞れがございます。そうして参りますと看護婦の勤務がますます過重になつて参りまして、ますます少くなつて行く、それから普通の雇員の方にしましても、看護婦の定員の中にとられましたら、いつ何時看護婦が多くなりのけということがあるかも分らないので、非常に只今大学病院あたりでも普通の事務員にしても、雇員にしでも不安な状態で勤務しておられる。これは結局大学の使命を全からしめる上に非常に大きな阻害になるものでございますので、その点をはつきり看護婦の定員をお定めなさる御意思はないかどうかということをお伺い申上げます次第でございます。
 それからもう一つお伺い申上げたいと存じますのは、看護婦の定員と申しましようか、大学病院の雇員の定員ということに非常に大きく支配されまして、御承知のように古い看護婦規則で、大学では厚生女学院と申しまして看護婦教育をいたしております。これは前の小学校の卒業生に四年くらいな教育をいたしまとて、そうして女学校の卒業資格を與えると同時に、看護婦の免状を與えて、おられる、これが大学の看護婦教育でございます。この厚生女学院の生徒を採りますときに、従来の何で二ケ年の教育をして、あと二ケ年間義務教育、只今は義務教育ということはできないでございましようけれども、そういうふうにして約束をして探つております。ところがこの定員ということに支配されて、あと二ケ年の看護婦になつてからの勤務をしたいと思うときに、定員が足らん、採れないということで外されるというのが、この頃の現状だそうでございます。この問題で昨年も東京の大学病院で大変な問題が起りまして、ハンガー・ストライキとか何とかいう問題が起りましたのでございますが、そうした定員外の枠にありまして而も置いて上げるからといつて契約した人達は、今年はこの三月卒業期を控えておりますが、これをどういうふうになさるおつもりでございますか。これを一つ伺いたいと思います。
 それからもう一つお伺い申上げたいのは、御承知のように文部、厚生両大臣がお認めになつて、二十三年に出されました保健婦助産婦看護婦法によりまして、看護婦の資質も非常に向上され、又待遇もそれに従つてよくして頂くということは皆様御承知の通りでございます。それによりますとこれは普通一般の看護婦教育でございます。普通一般の看護婦の教育程度を高くして頂くということは大変結構なことでございますが、この看護婦学校に勤務いたしますところの看護婦の教師が非常に不足いたしております。勿論先年来アメリカに参りまして、数名の看護婦は看護婦教師としての必要な資格は取つて参つてはおりますが、そうした数名の人だけではなかなかこれはうまく行かないと存じますので、国立学校設置法の中に六十幾つの大学ができまして、この間も商船大学ができたというふうになつておりますのでございますが、文部省の大学の中に一つ看護学部というようなものを独立して頂いて、そうした学校の教師を作つて頂くような御意思はございませんか、それを一つお伺いいたしたいのであります。勿論いろいろおつしやいますのには、これまでの日本の看護婦の教育がら、看護学部が果して外の学部と並立した、独立した学部に成立つかどうかということは大変皆さん懸念なさるところでございますが、これは諸外国の例にもありますように、諸外国ではちやんと看護学部というものは独立しておる筈でございます。それでございますから日本からも方々へ留学して勉強するのでございまして、決して日本においてのみ看護学部が独立し得ないということはないと存じますのでございますが、文部省で一つ御研究頂いてその点を何とか、そうした学部を一つ置いて頂くことによりまして、日本の看護事業がずつと向上し、延いては国民保健に大変大きな寄與をいたすことと存じますので、この点の御意思はないかどうか、お伺いいたしたいと思います。
 それからもう一点伺つて置きたいことは、大学病院の治療上のことでございますが、病院の電気の使用料でございます。これは文部省で予算をおとりになりまして、分けてとつておられますが、この予算が非常に少うございまして、現在でも大学病院で電気が十分に足りませんので、まさか手術中には電気を切らないと思いますが、時によりますと治療しなくちやならない患者の本当に大切な顏色を見たりいろいろなことをするというときの電気が十分でないというのが、只今の大学病院の現状でございますが、そうした方面の割当の予算も、もう少し大学病院に対して、外の研究費を取つて頂いたと同じように取つて頂くようなことはできないものでございましようか、その点お伺い申上げます。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) お答えいたします。細かい点は、今局長を呼んでおりますから、私でお答えできない点はあとからお答えをしたいと思います。看護婦の資格、定員という問題でございますが、終戦後看護婦の資格につきましても相当に検討を加えられ、それを十分引上げなければならんということでいろいろと改善が行われ来ておるということは御承知の通りだと思います。今まで確かに井上さんのおつしやるような点でいろいろと欠陥もあつたかと思いますが、今後は文部省としては、今お話のありましたような点は十分に考えて大学附属病院の看護婦については、今のような御趣旨で実行して行こうという考えでおります。定員の問題は予算上では看護婦は何んというふうに大体決まつておるわけであります。ですから定員が大体あるわけであります。それが今の予算関係から行きまして十分の人数になつておらんということは治療上、看護上の見地から言いますと確かに認められろだろうと思います。併し財政上なかなか困難な状況にありますから、文部省としてはできるだけこれを完備したものにしたいというつもりではおりますけれども、十分に行つておらないというわけであります。それで附属病院には御承知のように看護婦の養成機関がついておりまして、そうして大体そこの卒業生を採るということになつておるわけでありますが、そこの卒業生全部を入れるというだけの定員が大体ないのだろうと思います。併し大部分の者は採れる、九割以上は採れるというようになつておると私は考えております。細かい点は局長から申上げるようにいたします。現にこの三月その養成所を卒業する看護婦につきまして、確か卒業見込の者が約千百人くらいあります。そうしてその中の千人近いものは採用されるという予定になつておると思つております。それで定員外としてとつてあるものをどうするかというお話でありましたが、その点私細かいことは分りませんから、あとで局長からお答をいたします。
 それから看護婦の教育の問題でありますが、これも御承知のように、終戦後はアメリカの指導もありまして、非常に改善して来ておるわけで、前に比べれば格段の進歩が認められると思います。ただそれについて大学の学部、看護学部というような学部を作つたらどうかという御意見のようでありますが、無論そういうことも必要だろうとは考えております。日本の看護技術の進歩のためにそれは是非必要であります。看護婦の資格が漸次向上をする、そうして待遇の問題も無論十分考慮して行かなければなりませんから、それらも考慮して行きませんと、学部を作りましても目的を達しないという結果になりますから、漸次これを実現して行きたいという考えでおりまして、現在直ぐ学部を作ろうというところまで計画は進んでおりません。
 それから治療等の場合の電気の欠乏というようなことでいろいろ支障を生ずるというお話でありますが、そういうことも私ちよいちよい聞いおります。その点十分考慮しなくてはならない点と考えてはおりますが、二十五年度予算では、大学の施設の方面で約二億ぐらい増額してある筈であります。これは全部の大学の施設でありますから、それが病院に全部行くというわけではありませんけれども、病院の方にも相当行きますから、今までよりはそういう意味の物件費の方が楽になりまして少しはよくなるだろうと考えております。それから今度電気料の値上がありましたりして、大学の方の研究その他にいろいろ支障を予算上来すという話がありまして、その点は大学の方は特殊なものでありますし、数から言つても全般とすれば大した数でもないんだから、電気料等について特殊な何らかの考慮をして貰いたいと、又割当につきまして、電気の割当について特殊の考慮をして貰いたいということを安本、通産省等に交渉をしておりまして、大体それができるように向つておりますから、御心配のような点も漸次少なくつて行くだろうと、こう考えております。
○委員長(山田佐一君) 井上さん、よろしうございますか。
○井上なつゑ君 もう一つ伺いたいのです。只今文部大臣の御答弁を頂きまして非常に有難うございました。いろいろ文部省におきましても、この国民保健の方に力を注いで頂いておるということは分つたのでありますが、もう一つ最後にお伺いしたいことは、どうも文部省の中に保健と申しましようか、衛生と申しましようか、こうしたことを分つて頂ける方が非常に少いということが、これまでの経緯なんであります。文部省の何と申しましようか、体育課というか、衛生局といいますかよく存じませんが、大学病院の中のこの事情をよく御検討下さつたり、御相談下さつたりするような方が、一人専任をお置きになつておられると思いますけれども、尚更そのお置きになつておられる人に十分に注意をして、はつきりとした権限を持たして、こういう点を一つ掌握して頂くようなことはできないでしようか。お伺いします。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 細かいととろは又局長からお説明を申上げますが、体育部とか、体育課のお話が先ず出ましたが、その方はいろいろ事情がありまして、今まで体育局というのがあつたのを、機構改正の場合に局を廃止して課になつております。体育方面はそれで縮小されましたが、文部省としてはやはり学校体育という方は、一般体育とは特殊な点がありますから、これは重要視して、厚生省とは別個の見地で以て行政方面もやつて行かなければならないということで非常に重要視はいたしております。ただ局が課になりまして、縮小をされたという点は残念でありますが、併し、だからといつて軽視しておるわけではございませんで、できるだけその方面も十分努力して行きたいというつもりでやつております。それから保健の方は保健課というものがありまして、医学博士の方が課長としておりまして、できるだけのことはやつております。ただ大学病院内のいろんなことにつきましては直接は文部省は余り指導や監督をいたしませんし、大学の医学部がやつておるわけでありますから、まあ間接な指導にはなります。医学部としてできるだけのことをやるという面で自主的にそれをやつて行つて貰いたいという方針を実は文部省は持つておるわけであります。
○井上なつゑ君 もう一つ違つた方面で御質問して、お答え願いたいのでありますが、今年の新制中学を卒業いたしました子供達の就職と申しましようか、文部省ではどういうようにお考えになつておりますか承わりたいのでございます。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 今のお話は、新制中学の卒業生の就職のことでございますか。
○井上なつゑ君 そうです。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) これも直接は文部省が手を出す仕事でないけれども、まあ教育の立場から見ましても新制中学卒業生の就職の問題、又就職しない場合のいろいろな影響ということを考えますと、文部省も十分関心を持たなければならんということで調査はいたしております。併し文部省がこれを世話をするというわけに参りませんで、やはり職業安定所等と連絡をいたしまして、できるだけそれが円滑に行くように連絡はいたしております。実際今年度の卒業生の状況がどうなりますか、今調べておりますけれども、はつきりしたことはまだよく分りません。
○委員長(山田佐一君) 井上さんよろしうございますか。
○井上なつゑ君 ええ。
○委員長(山田佐一君) 田村さん。
○田村文吉君 今局長が見えられておるそうですから、井上さんに対する御答弁が済んでからで結構です。
○政府委員(剱木亨弘君) 只今看護婦の定員外の看護婦についてどういう措置をとるかというお尋ねであつたと存じますが、看護婦養成を出ました際に、定員の関係で全部採用できません場合がございました場合には、一応その余つた者を成規の学校の定員として採用できませんので、病院等にあります財団法人等に採用いたしまして、逐次この欠員ができましてから、成規の定員の中に入れて行くというような方法をとつておるのがございます。多分その点についてのお尋ねであつたと思いますが、できるだけ全部を採用するというための方法といたしまして、一応定員がございますので、止むを得ずそういつたような措置をとつておる場合があります。今度の看護婦養成といたしまして、従来は大体大学病院で養成いたしますものは、できるだけその病院で採用するというふうにいたしておつたのでございますが、今度甲種看護婦養成の制度ができましてから、そういう程度の高い看護婦の養成というのが、必ずしもその病院の需要だけでなくして、一般の需要にも応ずるという必要がございますあで、将来といたしましては看護婦養成を出ました者を、その養成いたしました病院で全部採用するということでなくして、相当一般の需要にも応ずるために、そこを出ました者に対しましては将来は他の病院に対しましても就職を斡旋するというような方法をとつて行きたいと考えております。
○藤田芳雄君 只今局長の説明で看護婦の問題がちよつと出ましたけれども、それに連関しますから一つお聞きしたいと思いますが、本年養成を終つて出て来る看護婦は、初めに養成所に入ります時に大学で二年間乃至三年間の勤務を約束されて而もそれを義務付けられて入つた筈なのであります。然るに何か定員法とかというようなものの理由のために、そうした約束といいますか、或いは義務付けられておつたものを取消されて、そして就職が保障もされなければ、それなりになつておるということのために大分困つておる問題がある。而もその義務付けられておる二年なり三年なりというものが、むしろ養成所の中の実地の方面に役立つために最も重要な期間である、いわゆる一人前の看護婦になるには、期間だけの養成ではなくその後の実地が一番大切であると言われておる。それをやらせられない。而も義務付けられたように約束されたものさえ、そのまま一方的にやめさせられておるというようなことから大分問題が起きておるところがあるのでありますので、只今の質問の中にそれが含まれておつたかどうか知りませんが、その点今一度お聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(剱木亨弘君) 昨年看護婦養成所を出まして、いずれも大学で採用しない問題があつたのでありますけれども、大体義務を果しましたけれども、できるだけは、採用するという方針は現在も変りはございません。ただどこでも定員の関係で採用できません時は、できるだけ他の病院に斡旋いたしますとか、或いは欠員ができてから補充するように、先程もちよつと申上げましたように暫く外の方で採用して置きまして、大学病院に欠員ができてから入れるというような方法をとつて参つておるのでございます。先に大臣からお答えいたしたと思いますが、約千百名位の卒業生がありますが、今のところ大体千名くちい採用できると思うのでありますけれども、あとの百名につきましても、欠員その他のでき次第できるだけ大学に採用したい。そういうように考えております。
○藤田芳雄君 六・三の公共事業費における経費の計上につきましての説明の中に、これで一応六・三の建築はできたという見通しの下に立てるのであるという話があつたのでありますが、事実はそうでなしにちつとも整つていない。而も二十五年度の予算が行われましても、二部教授は勿論、中にはやはり三部教授の面さえ取除かれていないというような不完全な形にあるのであります。二十六年度以降において、文部省においてはこういう方面に対してどういう方針で進まれるのかその点を一つお聞きしたいと思います。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 六・三制の建築費補助の問題は、御承知のように昨年の臨時国会で十五億、今度の国会に提案されておる予算で四十五億、合計六十億がまあ今実行されようとしておるわけであります。これで六・三の建築が一応完成するというふうに考えておるわけではございません。ただ今まで馬小屋教室とか、書室教室とか、小使部屋というような非常に不完全な施設状況にあるそれらは解消できる。又二部教授につきましても、非常に多くの二部教授をやらなければならん、三部教授をやらなければならんというような最悪の授業は解消できる。又主常に過剰收容の教室が沢山あつたわけであります、これも相当解消ができろというわけで、今まで非常な困難なものが一応これによつて解消する。こういう意味で一段落ということを申上げたわけであります。ですから教育の立場から言いまして六・三施設の完成ということは決してそう簡単に行くわけのものではありませんで、今後少くも数年間はかかるだろうと思つておるわけであります。ただその施設欠乏に上る教育的欠陷の非常に重大な状況が、これによつて一応解消される、こう考えたわけであります。ですから二十六年度以降におきましても、財政の許す限り毎年できるだけ補助予算というものは計上したいという方針で行つております。
○藤田芳雄君 只今の御答弁で、二十六年度以降におきましても建築補助は相当予算のできる範囲内において継続して行くという方針をお聞きして安心したのでありますが、併しこれは実情を見ますというと、二十五年度の予算でも極端にいわゆる義務教育として行うためには不完全と思われる面が多いのでありますから、六年度以降の予算の取り方につきましても格段の御努力をお願いいたしたいと思うのであります。
 両文部予算の中でどうもいろいろな方面からの陳情や或いは実情をお聞きしますのに、科学教育費というものが大変不足しておる。殊に新制大学が今度非常に沢山できて来た。大学の最も重要な面はといえば、その研究費である。然るに科学教育の研究費という承のが経費の計上が少いために、本当の研究のための経費がなくて、その部屋の維持のための光熱費くらいで終つてしまつておるというような実情である。そういたしますと、いわゆる新制大学というものは名ばかりでありまして、その内容が伴わない。で科学教育のための経費というものが二十五年度の予算では少いというふうに思うのでありますが、何かこれに対して文部当局においては御考慮なさつておる面があるかどうか。その点を一応お聞きしたい。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 科学教育、科学振興という立場から申しまして、その方面の予算が現在日本として重要であるということは全く同感であります。そうして二十五年度予算もそういう立場から申しますというと甚だ不十分である。遺憾であるという点も同様であります。併しながら科学研究に対する補助の予算は、一般の科学研究費といたしましては、二十四年度四億五千万円を五千万円殖やしました。併しこれは極く僅かでありまして、甚だこの点不十分だと思つております。他方で大学の方の研究費も非常に少いということで、これも十分考慮いたしまして研究費に対する予算というものは、大まかに言えば、そういう一般の科学研究費と、大学における講座研究費、大学附置の研究所の研究費というふうに分けられるわけであります。一般科学研究費の方は今申したように五千万円しか増額できませんが、大学の方の講座の補助研究費を約六億増額をいたしております。倍額近く増額をいたしております。それから大学附置の研究所の研究費の方も相当の増額をしております。そういうわけで甚だ不十分ではありますけれども、二十五年度予算では科学研究費に対する予算は、全体としては相当は殖しております。そうして重点を大学における研究という方面へ二十五年度予算には置いたわけであります。この結果一般科学研究費の方の増額が五千万円しかできなかつた、こういうわけであります。大学の方の研究費につきましても無論これで十分だというわけではありません。電気等も料金も高く枠も縛られておるということでいろいろの故障も起きて参りますので、そういう電気の方面から来る支出の増額ということについては先程井上さんにもお答えいたしましたけれども、大学の方は特殊なものであるということで、安定本部、通産省等に話をして大体了解が付くと考えておるのでありますが、この点は非常によくなるのではないかと、こう考えておるわけであります。
○藤田芳雄君 只今の御説明にもありましたように、その重要さと比べまして予算に計上されました額は誠に不十分であるというのでありまして、その点についての当局としてこの後何らかその不十分を補うような意思なり或いは法案なりを考えておられるかということをお聞きしたわけなのでありまして、それはとかく教育とかいう面になりますと、非生産的なものであるというような概念的な考えから予算が極端に切詰められて行く、そういう虞れがあるのであります。ところがこの科学面の経費になりますというと、むしろ最近におきます輸出貿易を進める上におきましても、或いは生産の合理化を図る上から見ましても、この科学方面に経費を掛けまして、ここで一つの工夫なり発明、発見なりされましたならば、それがために得るところの企業の合理化とか、或いは輸出貿易の振興というようなものには直ちに響くものであり、而もそれのできることが一日早ければそれだけ莫大な国家の利益にもなつて来る。そういう生産面の上から見ましても、これは必要なことなのでありまして、そういう点を十分認識いたしますと同時に、日本の国はいわゆる平和国家として立たなきやならん、立つ上にはどうしてもこの面から世界の第一流になつて行かなければならんじやないか、そういう面から見ましても、この方面の経費というものは非常に重要であり、相当国家として力を入れてやる必要があるのだと思うというようなことから、特にその衝に当られる文部大臣からそうした方面への御努力をお願いしたいという意味においての質問であつたのであります。これは首相なり大蔵大臣のおられるところならば尚都合よいかと思いますけれども、予算委員会でありますから全般にかかる問題と存じまして特にその点をお聞きしたわけであります。
 尚今度の予算の中には平衡交付金として各都道府県に政府の補助金が参るのでありますが、そのうちにはいわゆる教育費が含まれておる。これについては標準教育費というようなものを設定するというふうに言われておるのでありますが、これに対しては賛否おのおのあるように伺つております。併しながら従来の戦争以前における教育の実態から見まして、いわゆる国庫が半額をやる以前の地方の教育に対する経費の出し方などから見ますというと、とにかく教育の方面の費用は抑えられて、できるだけ詰められて、そして他の方面に持つて行かれる傾向があつて、甚しい時には教員の給料さえ不拂いというようなことさえ起つたことがあるのであります。これが国庫負担になりましてからどうやら、そういうこともなくなつて来たと思います。今回平衡交付金を出されるにつきましては、どうしても教育の安全な最少限度のものを維持するために標準教育費というようなものを設定する必要があると思うのでありますが、ただここに一つ考えねばなりませんことは、この標準教育費を最低に抑えましても、如何に最低としましても片輪になる程の最低であつては困ると思います。その最低の捉え方にもいろいろある思いますが、終戦以後の教育の経費を考えて見ましても、地方の公共団体や或いは国庫で負担して出す経費で賄われるものより、PTAとか或いは外郭団体の寄附とかというようなもので賄われておる面が非常に多いのであります。標準教育費を設定いたされます時には、それらをも考慮されなければならんと思うのでありますが、若しもそういうものを設定されるものといたしますならば、そういうものはどんなふうに考慮されておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 只今のような御質問は、実はこの参議院の予算委員会でも二回程ありまして大体お答えいたしました。平衡交付金制度と言うものが新らしく実施されるということと関連いたしまして、義務教育の水準を確保して行くというような国家的に重大な問題は、一方でやはり義務教育費の確保については特殊の措置を必要とするという見地から、義務教育の標準経費確保に関する法律というものを用意いたしまして、もう近く国会に提出になると考えております。細かい点はそれで御覧頂きたいと思いますが、その内容は大体義務教育費というものを合理的に精密に計算するには、こんなふうに計算すべきである。そしてこんなふうに計算された義務教育費というものは予算上措置されて必ず支出されなければならないというのが趣旨であります。その場合の標準的の義務教育費計算の仕方、内容についての御質問だと思いますが、これはやはり財政と睨合せて決めて行かなければならん問題でありまして、教育上ここまでは義務教育費でやらなければならないということを考えましても、中央財政、地方財政でできないことを考えても仕方がないから、やはり財政と睨合せて決めて行くわけであります。それで今度提案しようとしております法案で、一体その点をどの程度考えておるのかということを申上げますと、これは二十四年度の実情をよく調べまして、いろいろの資料に基いて最低の経費を決めて、その実情が今提出されております中央の予算及び予定される地方予算と決して矛盾しないというところで押えております。俸給につきましては、定員定額の場合に、小学校は五十人生徒單位に対して一・三五、中学は一・五というのを、一・八に引上げたものになつております。ですからそこは非常に余裕が二十四年度よりは出るということになつております。その他の学校の生徒一人当りの経費というものは、大体二十四年度を基準といたしまして、実際地方で税金なりPTAの寄附なりで支出された状況を見て基準を決めてあるわけであります。それで十分だというわけでは無論ありません。その経費を決める基準単価というものは、毎年の財政の状況、教育の方針等によつて毎年修正されて行つてよいものでありまして、義務教育無償というような憲法の原則から申しますというと、甚だまだ不十分な内容であります。まだ教科書だとか、ノートだとか、そんなものは入つておりません。ですから今後財政状態が改善をされて行つて、日本経済も回復するということになれば、やはり憲法の義務教育無償という原則に応じて漸次その内容を改められて行くべきであると、こう考えております。併し二十五年度について実施される標準経費というものは、今申上げましたように、俸給費は大体今申したような割合で行きますし、それから生徒経費の方は、二十四年度に実際各地方で以て支出された状況の資料に基いて考えて参りたいと思つております。
○藤田芳雄君 標準教育費については、大分誤解されておる面もあるようでありますが、只今のようなお話であるならば、何も他の反対を受けるような内容は含んでおらないと思いますので、その点文部省方面でもこの誤解のないように一つ御努力を願いたいと思うのであります。
 最後にもう一点、この教員の給與問題でありますが、先日来この予算委員会で、総理大臣及び大蔵大臣との質問経過を辿つてみますと、とにかく公務員は現在の生活が困つておるという点は、政府でも認めておるようであります。このままであつてはいけないという点は認めておるようであります。何とかしなければならんということも考えておる。けれどもベースは上げないという方針には何ら変りがない。予算の範囲内において何かできるならば、或いは余裕があるならばやりたいということは、総理大臣も昨日言つておつたわけなんでありまして、そういうふうにして考えて参りますと、いわゆる実質賃金を上げるような形においてやるというふうに考えられる。その実質賃金については二通りの考え方があるようであります。一方初めから大蔵大臣の言つておりますことを聞きますと、所得税の方面で軽減さして、そうして物価を下げることによつて、実質賃金を上げるのだというふうな説明でありました。ところがこの所得税の問題は、いわゆる地方税と切離して考えることができません。地方税の問題も漸く提出されましたようですが、実際手に取つて見ますというと、軽減どころか却つて地方税を含めると殖えるというような見通しこそ付け、決して下つておらん。そういたしますと、その方面における実質賃金の増加ということは考えられそうもない。そうするというと、他の面でといいますと、或いは住宅を提供するように努力するとか、或いは厚生の面において何らか処置するというようなことが考えられるのでありますが、住宅や厚生の面におきましては、いわゆる公務員には何らか打つ手があるかも知れませんけれども、教職員については、そういう方面からの実質賃金は何ら上る余地がないようであります。事打つ手もないように思うのであります。そうすると今のような形において何らか政府が実質賃金を上げるとか、或いは予算の範囲内で何とかやり繰りをするとかいうことでは、教職員だけが置いてきぼりを食うような形になりはしないかということが考えられるのであります。超過勤務手当を以てそれに代えてやるというような話もありましたが、教職員には超過勤務手当というものはない。そうするというと、その面からも教職員のところには支給することが不可能である。いろいろな面から見ますと、何かこの教職員の待遇だけは他の公務員と別に置いてきぼりを食うような形に考えられるのでありますが、若しそういうような場合に対して、文部大臣はどんなふうにお考えになつておられるか、その点を伺いたいと思います。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 教職員の待遇の問題は、国家予算としては、国立学校の教職員が対象になるわけであります。地方教職員については、国家財政との間で平衡交付金によつて関係を持つて行くと、こういうことになるわけでありますが、文部省の立場から申しますれば、先ず国家公務員である教職員につきましては、他の国家公務員と同様にやはり待遇されて行かなければならないものであると、又地方公務員である教職員については文部省直接の管轄ではございませんが、やはり国家公務員に準じて地方公務員も待遇され、一般地方公務員と地方公務員たる教職員との間に差別はあるべきでないという考えで行つております。又ベースの問題は、教職員だけの問題でなく、一般の問題でありますから、私から特に教職員だけを切離してどうということはお答えできないと思います。ただ今までも申しておりますように、私は教職員というものは、国家公務員である場合でも、地方公務員である場合でも、仕事が一般行政事務とは非常に違つておるという点は考えられてよいと思います。そうしてそういう点から、自然お話のあつたような超過勤務というようなことも、外と同じようには考えられないということにもなつておるわけでありまして、何とか俸給表等において、教職員についての特殊な俸給表というものを作つて、待遇を改善し、確保をしたいというつもりで、できるだけの努力を今しておるわけであります。人事院でも、教職員については、その仕事の内容、地位等からいつて、特殊の俸給等の考慮が必要であるというようなことも考えておるようでありますから、いろいろ交渉いたしておりますが、まだ具体的には進行はいたしておりません。御質問になつたような、ベースを上げないで、その他いろいろ考慮するということも、私の考えでは、教職員だけが特別な差別待遇を受けるというようなことのないようにできるだけ努力したいというつもりでおるということを申上げたいと思います。
○藤田芳雄君 実は私の今の質問は、只今の最後の後段の面をお聞きしましたのです。若しもそうした場合に、ひとり教育職員のみが取残されることのないように、前からしつかりと御研究を願つて置きたいということなんです。その前の方で言われましたところのいわゆる人事院でも、教育職員は他の公務員の場合と違つて、他の公務員が六千三百七円ベースであつても、教育職員はそれよりも上でなければならないということを認めておるということを人事院でも言つておりますし、今も大臣の方か、らもその性質上当然そうあるべきであるということの話もあつたのですが、話だけは随分前からあるのですけれども、なかなかその形が実現して行かない。ただ單に努力だけでは分からないのですが、一体実現の目標をどの辺に置いて努力なさつておるのか、或いは人事院と話合つておられるのか、その辺若しお考があるならばお聞かせ願いたい。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 今具体的にはまだお話する程度まで進行いたしておりません。ただ国家公務員である大学の教職員というものと、地方の教職員というものとの間に、やはり仕事の相当の違いがあります。勤務の状況も違つておるというようなところで、人事院としてもその間の又関係をいろいろ考えておられる。一方ではその差別を考えなくてもいいという話もあり、一方では全然別個に考えるべきだという話もあります。従つて特殊な俸給表を作るというような場合でも、国家公務員である場合と、地方公務員である場合に、或いはまあ大学という場合と義務教育との場合とは別個に考えなければならないのじやないかということも考慮いたしておりまして、まだ具体的にどの辺の目標というところまで話が進んでおりません。
○藤田芳雄君 このことは、話だけはずつと前から出ておる、誰しも承知しておりながら、その具体的な実現が延び延びになつておるのでありますが、これは教育進展のために、特に最近の新制の大学における教育学部の入学希望者の数とか、或いは学芸大学の入学希望者の数が、他の大学に比較して少いというようなことも、そういうところにも相当に原因があり、起因するものと思われますが、そういう面から見ましても、これは教育進展の根本的な、基礎的なものに繋がりを持つものでありますから、一日も早くそうした形が実現するように御努力を願つて私の質問を終りたいと思います。
○田村文吉君 簡単な問題を一、二文部大臣にお伺いしたいのですが、前国会でも藤田委員からお尋ね申してあることと思いますが、尚去る十五日の日に積雪寒冷地帯における負担の軽減に関する決議案が皆さんのお力で通過いたしましたその際に、丁度文部大臣が御出席されておられまして、負担軽減に関する問題の原因の一つとして例を挙げました学校教育費の問題であります。校舎を建てる場合において、積雪寒冷地帯におけるものは、雨天体操場のようなものは絶対に離すことのできない必要品になつておる。即ち学童一人に対する坪数の上から行きますと、これらははつきりと絶対必要に相成つておるのであります。伺いますると標準学校というものが十一校ができますように伺つております。そういうものをお組入になつておるように伺つておるのですが、ただ過去においては殆んどそういう問題が軽くあしらわれておるのでありまして、形式的に若干作つてやるという程度であつたようなことは甚だ遺憾に存じておりますが、私はお願いしたいのは、ただ言うて来るから若干の色を付けてやろう、ということでなしに、実際のそういう雪国に、或いは寒冷の所では雨天体操場というものはもう欠くべから、ざるものである。又これが維持の上から申しますと、窓が一つ破れても暖かい所ならば別に補修を急がなくとも相済みますけれども、寒い所でありますと先ず一つ破れても我慢ができん。又燃料も沢山要る。こういうことが常識的にお分りのことと思いますので、標準教育費を御算定なさる場合にも、この辺のことは十分に一つ御考慮を頂かなければならんものと考えておりまするが、たまたま平衡交付金の制度によつて若干の模様も変るのでありますが、こういう機会に文部大臣から、そういう点については余り形式的に、或いはお義理に作るという形でなく、本当にその必要を認めて御賛成になるということが必要であると思うのであります。これに対して文部大臣はどうお考えになつておられますか。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 先ず六・三建築費補助の場合におきましても、寒冷地においては特殊な考慮をいたしております。最低限を実は生徒一人当り〇・七坪と押えて、そうしてそれに満たないものを先ず補助をするという原則を立てたのでありますが、寒冷地については〇・七坪ではどうしても構造の状翼のいろいろな状況か暑つて不十分であるということを認めまして、〇・七八くらいでありますか、ほんの僅かでありますが加えてはあります。それからそういう〇・七坪という最低教室の収容量というだけでなく、やはり寒冷地については特に優先的に雨天体操場を造らなければならんということで、この六十億の予算の中にも、甚だ僅かではありますが、その方も含まれておると思います。それから標準教育費のことでありますが、これは御説のように文部省は無論考慮をいたしておりまして、あの法案の中で寒冷地については手当等について、これを附加するような計数をつけております。あの疾案の内容は計算の仕方を細かく書いてありますが、基準単価というものを決めまして、それは一般の基準になる單価、一人当りの單価、それに対して都市の希望によつてどういう計数を掛ける。又学校の種別によつてどういう計数を掛ける。又学校の規模の大小によつてどういう計数を掛ける。又地域によつてどういう計数を掛けるというようなことが詳しく出ております。その中にははつきりと法文上考慮されることになつております。
○田村文吉君 今の問題でありますが、〇・七に対して〇・七八ぐらいになるというお話、約一割くらい殖やして見るということでございましようが、過去における実際の取扱いはいつでもほんのおしるしだけ付けて、言い訳をして凌ぐという傾きになりたがつておりますので、この点が私共甚だ遺憾に考えております。例えば戦災後に住宅営団が家を建てますときに、全然雪の降らない所でも、七坪半、雪の降つでおる所でも七坪半というような標準を立てる。柱も雪の中ではとても維持ができないような三寸を切れるような柱を立てる。それは横浜で設計されて、それが今全国に使われる。それじやたまらんからというので、一割だけ漸くお願いして殖やしたわけであります。そういうような傾向がどうしても暖国の方々には雪国の生活がお分りにならない。そのためにどうも非常に負担が多くなると、こういうことでありますので、切にお願いしたいことは実際に御見聞下されて、実際を見事て、そうした雨天体操場の構造を考えて、五割余計要るものなら五割余計勘定して頂きたい、ただ喧しく言つて来るから一割付けてやろうという考え方でなしに、本当に実際に即した点をお考え頂きたい。こういうふうにお願いし、希望を申上げまして、その点に対する質問は私打切りたいと思います。
 それから第二にお伺いいたしたいのは、今度のシヤウプ勧告によつて寄附金を二百億ぐらいは減じる、それで地方の財政の方から出すことにする。こういうふうな話でありますが、在来のPTA等の負担の多かつたということは十二分に御承知でありましようが、これに対しては今度の税制の改革と同時に、PTAの寄附等については、文部省としてはどうお扱いになる御方針か、どんな程度の訓令をお出しになつてこれが実現をお期しになる御予定でございますか。何か御腹案がありましたら承ぢりたい。で実は寄附は減つたと言われたんだけれども、ますます寄附は大きくなつて行くというようなことではシヤウプ勧告の趣旨にも停るわけであります。さりとてただ或る程度というように言うておつただけでは殆んど收まりが付かない。事これはどの程度にかはつきりとした文部省としての御方針をお決め頂く必要がある、こう考えるのでありますが、御腹案がありましたら一つ承わりたい。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) お話がありましたように、シヤウプ勧告案によ。りますと、大体一ケ年の寄附を四百億程度と推定されて、その中の百億はまあまだ寄附金に残して、三百億ぐらいは地方税源を殖やしてその中に取入れてしまうということになつておると思います。その三百億税源に取入れた寄附金の中の非常に大きな部分が教育のための寄附だろうと思う。これを考えましても、先程藤田さんから御質問がありました標準義務教育の標準経費というものを確保して行かなければならないという理屈になると思う。つまり教育に対して三百億の大部分が寄附されておつて、これが税源の方に行く。寄附の代りにそれだけを今度は地方の人達は税金として出す。余分に出すということになりますれば、その余分に出した分は教育に使われなければ意味をなさない。今まで教育に寄附されておつた寄附金を、税金の方に入れて税金として出す。そうしたらそれを教育の方に使うということにならなければ、今までの寄附金をやめて税にしたという趣旨が通らないことになります。ところが、義務教育に関する標準経費の法律というようなものを出しておきませんと、その寄附をやめて税として余分に取つた分を教育に出さないで、土木その他に廻されてしまうという心配が非常に多いと思う。そうしますと折角寄附はやめるということにじましても、教育の方は又前通り足りません。それで寄附を仰がなければならないという結果になつて趣旨が全く没却される。こういう点から申しましても、義務教育費の確保に関する法律というものは、どうしてもシヤウプ勧告とも関連して出さなければならんという考えを持つておるわけであります。ですから、その法律が通りまして、税の方から今まで寄附金で貰つておつた分まで廻して、標準経費として支出を必ずされるということになりますれば、寄附金は非常に少くて済むという結果になります。若しそうでなくて、税の方が殖えた分が、教育に廻らないで、土木とか警察とかという方に廻つたとなると、税は余分に出した、而もPTAの寄附は今まで通り又出さなければならんという結果になつて、寄附を抑えるわけに行かない。併しあの法律が通つて、そうして標準経費があの法律通りに計算実施されるということになれば、事実今までよりは経費が非常に少くて済む結果になるわけでありますから、あの法律ほ主に経常費でありますが、その方の寄附というものがなくて済むだろうと思います。その寄附に対する文部省の態度は、今までも成るべくこれを無理に要望しないようにということを通牒で出しておるわけでありまして、決して文部省が奨励しておるわけでも何でもない。今まででも成るべく寄附というものは受けないで行けるようにということを言つておる、わけでありますから、まあその方針をすつと貫いて行くという結果になるわけでありまして、今までは文部省でそう言つても事実、どうしても困つて寄附を貰つておつたのだろうと思います。けれども今度は今言つたようなふうに、寄附の実際の必要が少くなつて来るということになれば、今までの文部省の方針が実行できるという結果になるのだろう。で、文部省としてそれでも尚余り寄附の、半強制的寄附が多くて弊害を生ずるということになれば、何らかの措置を講じなくてはならない、かように考えておりますが、まああの法律ができれば、そういうことをしないでも済むのじやなかろうかというような予想を持つておるわけであります。
○田村文吉君 よく了解いたしましたが、今のお話にあつたように、税が殖えたのだから、寄附は減らしてもいいのだということになるわけで、観念的にはそれでもよろしいのでありますが、実際の扱いになりますと、御承知のように、PTAの寄附というものは非常にデリケートでありまして、如何なる形でも取ろうと思えば取れるというような性質があるのでありますので、それが今日国民が非常にちよつと高額の税金の負担に苦しんでおります際でありますから、何とかして、仮に今のお話の四百億を三百億減らしたものならば、寄附もしつかりとそれだけ減るようなふうに考えて処置をおとりになりませんと、多分そうなるであろうだけでは非常に不安があると思うのでありますので、或いは各学校における寄附は、その行政費の幾らを超えちやならんというようなことが或る程度規制される必要があるのじやないか、これは私の考でありますが、そういう点がありますので、ただ一片の寄附を強制してはならないという程度の文部省の方針だけでもいいか、もう少しくその点を突込んでお決めになる必要があるのじやないかということを、私の見解として申上げて、文部大臣のお考をお願いいたして置きたいのであります。これで私の質問を終ります。
○委員長(山田佐一君) それでは午後に継続することにいたしまして、この際一時半まで休憩をいたします。
   午後零時三十九分休憩
   ――――◇―――――
   午後一時五十三分開会
○委員長(山田佐一君) 休憩前に引続きまして会議を開きます。通告順により発言を許可いたします。岩間君。
○岩間正男君 まだ委員の出席が少いようでありますが、成るたけ出席を督励して頂きたいと思います。
○委員長(山田佐一君) かしこまりました。
○岩間正男君 この前丁度標準教育費のことについて質問をやり始めましたところで緊急動議が出まして私の質問は一応中断された形になつたのでありますが、今日はその質問を継続さして頂きたいと思います。
 その前に、この前私は劈頭大臣に質しました問題でありますが、過般の日教組の機関紙の教育新聞に出た問題でありますが、これについて文相はそういうようなことのお話があつたかどうかという私の質問に対して、そういうことは事実無根である、こういうお話であつたのであります。併し私としましてはまあ個人的な問題でありますが、日教組の関係者でもありますし、それから又このことは大臣が公的な労働組合の機関紙に出た問題について公式な所でこれは否定されたのでありますから、やはり日教組のプレスコードの違反の問題としては非常に大きい、これは日教組の全体の面目に関する問題でありますから、私は早速その後その関係者の諸君に会つて取調べた。ところがやはりこの問題については大臣ははつきりそういうことを言われたというのが十人程あるわけであります。それでどうもその問の空気が非常におかしいことになるのでありますが、尚大臣はそれに対してその後の日教組との会談の席上において、君達はあれを、新聞にああいうことを出して貰つては困るとおつしやつたということをその諸君が言つておるのであります。これは私は日教組の肩を持つわけではありませんけれども、そういうような点から考えて、大臣が果して、もう一度これをお尋ねするのは失礼でありますけれども、やはり、一応質して置きたいと思うのであります。果して大臣がこの前言明された通りであるかどうか。或いは日教組の諸君がそういうふうな事実がある、こういうことを言つているが、そうするとどういうことになるのであるかどうかという問題、更に又大臣の気持としては、プライヴエイトな気持で言つたのを公式にされては困るというような意味を、自分としてはるういうことを言つたのではないと、こうおつしやつておるのであるが、その問のことについてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) その問題についてはこの前お答えした通りでありまして、つまり私は経済についてはいろいろ変動過程がある。経済変動過程として整理過程というものがある。その意味のことを話をした、こういうことははつきり言つております。併しそれを聞く方で以て新聞に出たように解釈して、勝手に書かれたということはあるかも知れません。併しあの通りの言葉で以て私は言つたというわけじやない。日教組の役員とその後の会見で話したということを申上げましたが、それはああいうふうの、如何にも誤解されるようなふうの言葉で、何か文相の暴言だとかいうようなふうにやられちや甚だ困る、こういう話をしたわけであります。それから又この前言いましたように、その整理過程として企業界で整理されるものができる。これは当然の話なんですから、これは話をしたと、併しそれを放つて置いててどうしたつていいのだということを言つたわけじやないので、それと引続いてその整理過程というものができるだけ犠牲が少く、円滑に経過するようにするのが政府の政策である、それに対しては失業対策もやらなければならないのだし、又一方において産業の発展を図つて失業者の吸收を図つて行くのだ、こういう話もその後で続けてやつている、これを出さないで整理過程のところだけをとつて、而も自分の解釈したようなふうに書かれたということは甚だ心外である、こういう話をしたわけであります。
○岩間正男君 今のような御説明がありましたので、その間の行き違いがあつただろうというようなことは察せられます。ただそういう日教組の書いたことが事実無根であるというようなお話では今ないようでありますから、この問題はやはり日教組の、これはやはり二十万の人達の面目にも関する問題でもありますから、この問題についてやはり十分に大臣の立場を明らかにして頂きたい事と、こういうふうに考えます。併しこの問題は中心でありませんから、この問題についてはこの程度におさめまして、お伺いしたいのは、この前標準教育費の大体経過についてお尋ねしたのでありますが、その前に私は日本の財政経済の中におけるところの、一体文教費、こういうような問題について、この前の国会におきまして事も最初に大臣に質したのであります。今非常にこの位置が危くなりかけている。そこで文部省としてはこれを標準教育費というような法案で以て何とか平衡交付金の中に紐を付けようとこれは大童になつて努力されておるようでありますが、問題はこのシヤウプ勧告事のこのような方向そのものにういて、根本的な検討を加えられたことがあるかどうかという問題であります。この問題が重要じやないか。と言いますのは、私はやはりこの問題を根源に遡つて明らかにして置かなければならん。我々は標準教育費の問題に追込まれたので標準教育費標準教育費というので、あれがいかにも当面の一番重要な問題であるように問題を極限して、そうしてまあ堀に追込まれてしまつておるけじやないか。然るに日本のこの文教費、殊に今までの財政経済の中において非常に劣弱な位置しか占めていなかつた教育費、これを確立するためにもつと基本的な、やはりここにはつきりした態度を打出すことが必要じやないか、その際に手がかりになるのはやはり日本が敗戰によつて最初に教育を復興させろとその指標を求めた。そうしてこれに対しましては極東委員会の教育指令というものがはつきり出されておるのであります。果して現在とつておりますところの文部省の方針が、いわゆる極東委員会の教育指令の精神どいうものをはつきり履行するというような方向に行つておるか、或いはそれと甚だこの懸隔のある方向に行つておるか、この点につきまして大臣はどういうような考えを持つておられるか。つまり私は、この根源に遡つて先ずお伺いいたしたいと思うのであります。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 教育の財政問題、予算問題との関連においての御質問だと思いますが、文部省の方針としては無論一貫して日本を文化国家として恥しくない立派な国家にするという意味で以て教育政策を実行しておるわけであります。ただ併し御承知のような敗戰後の経済崩壊、財政的窮乏という状況の下において、なかなか理想通りの施策が十分徹底できないといぢことも止むを得ないことだと思う。できる範囲においてできるだけの予算計上もし、これの実現を図つておるというのが今日の実情であります。
○岩間正男君 これは日本の政治全般に関するそれと連関した問題になるのでありますが、ポツダム宣言とか、それから労働組合に関する十六原則、それから極東委員会の教育指令、こういうようなものが非常に重要なんでございます。ということは私達がこの敗戰によつてはつきり世界に公約したのだ、戰争を放棄しそれから飽くまで平和国家、文化国家を推進するという念願を世界に表明した。そうしてそれをするためにこれを教育面から考えますならば、はつきりそのような方向において教育の機会均等を確立して、そうして今までの不均衡なるこの経済的な根拠によつていろいろな、富める者は教育の恩典に浴し、貧しい者は才能がありながらそういうものに浴することができなかつた。そういうようなものを徹底的に打破つて教育を民主化する、そうしてそれが又世界平和の、恐らくこれは私は一つの経済の民主化と並んで大きな一つの革命的な事項である、従つてその点に対しまして日本は当然邁進して行くということが非常に重要だと思うのでありますけれども、今の文相のお話では、今の経済事情ではなかなかそれをやりにくい。従つて経済の許す範囲においてやる。こういうような決意しか聞くことができないということは、甚だこれは遺憾に堪えないのであります。果して現在のようなやり方で以て日本の民主化が推進されるかどうか。そうしてその基盤としての教育行政は確立されたとお考えかどうか。この点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 教育の機会均等ということは、まあ根本的に一番重大な要素であります。その実現に向つては全力を挙げておるわけであります。そうして義務教育九ヶ年を実施しておる。それに伴ういろいろな困難がありますが、これに対しても甚だ不十分ではありま亨が、漸次困難を克服して来ておるのであります。現在でも無論甚だ不十分ではありますけれども、この一、二年間その欠陥が漸次除去されておるということはお認めになつて頂けるだろうと思います。大学につきましても新らしい教育制度の下で昨年四月から出発をいたしました。内容につきましてもできるだけの改善を加えておるわけでありまして、これを一年々々比べて頂ければ、そのテンポは無論予想通りに十分早いとはいえませんが、漸次所期の目的を実現しつつあるものと私は考えております。
○岩間正男君 これは現実の認識の程度の問題になると思いますけれども、大臣の只今の御答弁を聞きますというと、日本の教育は民主化されつつある。それは十分な望ましい、満足な段階でないけれども、そういうふうになつておる。教育の機会均等化も実現されておる。こういう御答弁であります。併し果とてそうであるか。一体大臣は本当に日本の教育の現状を御覧になつておるのであるかどうか。私は多くの例を挙げる必要もないと思いますが、一、二点これを指摘すれば明らかであると思う。六三制はどうなつておるか。六三制を御覧になればこれは分る。これは最初のスタートした……第一次吉田内閣の時にスタートした。而も八億円というような馬鹿げた問題にならない予算、その後の混乱は物凄いものになつた。そうして中央財政が非常に不足をして、地方財政に大きくそれが背負わされた。そうして地方財政は御承知のように非常に現在におきましては破滅の状態に達しております。
 又地方の財政も、地方によりまして、非常に均衡を欠いておる村がある。そこで或る地方においてはこの六三制の校舎というものができたにしても、或る地方ではできない。寄附を何とか集めて大いにやろうとして努力はしたけれども、これもできない形である。従つてそこで何が起つておるかというと、大臣も実際御覧になつておるかどうか、例えば東京の例を引いて見れば分る。恐らく機会均等を確立するためには、中央の財政を十分に取つてそうして六・三の建築を最低限度で、今の経済状態が苦しいならば最低限度において満足させるというような方法をとれば何とかこれを收容することができるのでありますけれども、これを收容することができない。毎年建つところの校舎はその收容人員は十分の一、二十分の一である。こういう形で止むを得ずこれは私立学校に委託するというような形をとつておる。それでどうしても経済上の貧弱な設備もない、教員は不足しておるところの新制、中学よりは私立学校の方が何ぼかましであるというので、最近においては私立学校に殺到しておる。これは昨年あたりの例を見れば分るのでありますけれども、私立学校は五倍、六倍というような募集人員を見ておる。従つてそこに何が始まつておるかというと、再び戰争前にとられたところのあの受験準備の態勢ができておるのであります。そうしてこの子供達はその入学難に打克つために受験準備をする。ところが受験準備そのものがはつきり教育の機会均等を打ち破つておる。つまり受験準備ができるようなそのような子供達というものは、余程恵まれておるところの財政的な基礎の上に立つておる子供である。従つて貧しい子供にはそれができない。そういう恰好で私立学校に押すな押すなで殺到して行つておるのでありますけれども、こういう形でこれは教育の機会均等が完全に打破られておると思う。又地方の情勢を眺めて見れば、寄附金という問題が出ております。校舎が建つ時に寄附金を取る。一口何千円というような寄附金が課される。併しこれを一体負担できるのは果してどういう階層の人達であるか。これは何とか経済的に恵まれた人達はそれをやることができるだろうと思いますけれども、併し恐らくこれは貧しい階級が大部分を占めておるのでありますから、そういう人達は寄附を出すことができない。従つてどういうことが起るかというと、学校に対する発言権がないのでありますからして、そこに一方におきましては又寄附にからんでボスが発生する、これらのものが学校を支配して、そうして再び戰争前のあの教育の不均等な、そうして富める者が恵まれて富めない者が、貧しい者が非常に虐げられるという形になつておる。この事実を一体大臣は御覧になりお認めになつていて今のような御答弁をなされるのであるかどうか。この点はつきりお伺いしたいと思います。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 教育の機会均等という理想が十分に思うように行つておらんということは私もお答えした通りであります。完全に実現しているとは考えません。併しながら三ケ年の義務教育延長というものが現に実施されておる。ただそれを実施するにつきまして、教育を十分やる施設等でなかなか欠陷があるということは事実でありまして、その点私は甚だ遺憾に思つております。けれども、何しても三ヶ年の義務教育延長の措置をするということは、一応教育界から言えば大きな革命的な仕事であります。従つてその転換の時期におきまして、いろいろと欠陷、困難が生ずるということは、これはもうどうしても止むを得ないことだろうと思うのであります。これをできるだけ早く除外しまして、それがうまく行くようにするというのが政策であります。それをやつているわけでありますが、まだ転換の時期の困難というものを十分克服し得ないというのが実情でありまして、それでお話のありましたような、いろいろな機会均等実施についての支障というものも起きていることは私も承知をいたしておるのであります。けれども今お話になりましたような教育の機会均等を根本的に崩壊し、破壊するという程のことが一般的に起きているとは私は認めておらないのであります。それらのいろいろの支障は漸次克服されつつ、教育機会均等の理想に接近していると私は考えます。
○岩間正男君 一つの改革的なことをやるときに、それに伴つて犠牲が起るというようなこと事はお話がありましたが、これは昨日も中小企業なんかと連関した問題で出たのであります。これを避けるように十分な準備をしてやるべきだつたのでありますが、これが全くそういう点が考えられない、而も試行的に始まつたことによつて、而も一番重要な予算の確立ということがなかつたために、現在追込まれている。そこで私もミイラ取りがミイラにならないように残しめなければならんと思うのであります。今のお話では、幾分機会均等が推進しておるので、それが破壊されているというふうには考えない。併しさつき私の指摘しましたのは、もつともつと附加える材料を沢山持つております。例えば中小企業界も破壊しているので、東京の例を引きましても、東京の場末の学校の方では、最近はもう子供が学校に来なくなつた、来たくても寄越せな、そこで非常に長期欠席が多くなつて来ておる。これは現在の産業の情勢、経済の情勢と決して切離して考えることのできない問題であります。そうして機会均等を唯一の、一番最大の目標として掲げて発足したところの六三制は、その形におきまして、その精神において根本的にこれは崩れておる。こういう事情が、ますくどんどん情勢が加えられ行く、成る程形式的に見ますならば、六三制の校舎は去年よりは今年は少し多く建つたという形になつております。態勢も整つたように見えます。併しながらその内容そのものはどうである、果して最初に掲げたところの、日本民主化の一つの大きな基盤として私達が推進しようとした教育の改革の方向に行つているかどうか。この点については、大臣の只今の説明によつては絶対に私達は承服することはできないのであります。併しこの議論に導くために私は質問しているのではありません。そこでその点はこれは後日に残します。私は何故このような議論をしなくちやならないかと言いますと、この基本的な問題は飽くまで経済の問題である、日本の財政経済の中に占めるところの文教予算そのものの性格によることである。これがどのように確立されるかということにこれは懸つている。又将来の日本の教育の運命もそこに懸つておる、そこで私がここで改めて大臣に思い起して貰いたいのは、極東委員会の教育指令であります。この中には何と書いてあるか、はつきりと現在のような情勢について戒めておる、この中には地方団体が地方財源から十分な予算を捻出し得ないために貧しい地域の教育永準が低下することのないように、教育費は大部分、大部分ですよ、中央財政から支出すべきである、中央政府は日本全国の教育水準を適当に維持する責任を有す、こういうようなことをはつきり謳われておるのであります。我々はこういう立場に立つて、今まで全額国庫負担こそが日本の経済現状に適応したところの教育機会均等の唯一の途であると思つて我々は闘つて来たつもりであります。併しながらこれは十分に実現できなかつた。六三制において然り、それから教員の待遇におきまして然り、学校の経費の運営において然り、そういう形において実に微弱な教育予算しか取られて来なかつた。こういう形の中で文部省もそれは一面努力する、つらい努力をされたのでありましよう。
 殊に今度の平衡交付金との連関におきまして、何とかこれを維持しようというので標準教育法案が考えられこれが近た国会に出される、その形だけ考えますと一応それが正しいように思われ、そうして全国から、この内容を掴んでいないところの人達のこれに対するところの、何とかこれを通して貰いたいという運動も起つております。併しながら果してこのものが、最初の我々の掲げておるところの目標、日本教育自体が、今はつきり世界から要請されておるところの教育体制を確立するところの法案であるかどうか、この点について十分検討をすることなしに私達は日本の現在の教育を本当に担当することができない、こういうふうにはつきり考えるのであります。そこで私は先ず第一に標準教育費というようなものを考える前に、又平衡交付金の中に教育費を入れるというようなことを考える前に、飽くまでも日本の現実に立つて考えるならば、中央予算においてそれらのものとは切離した独立の予算として教育を確立するという点において、シヤウプ勧告がどうであろうとも、我々としては断乎として日本の現実の上に立つてこれを確立するという文部省は努力をすべきじやなかつたか、こういうふうに考えるのでありますが、この点を文部省に意見を質し、この点をどういうふうに考えるか。そしてそのような努力をされたかどうか、シヤウプ勧告が来ると、吉田首相がこれは朗報だと言うのと同じような考えで直ぐそれに服してしまつて、そういう考えで教育費を足許から足拂いを掛けるようなことをやられたのじやないか、こういうふうに考えたのであります。そのようなことを考えられたかどうか、又そのようなことを努力されたかどうか、その二点について伺います。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 教育の民主化の一つの方向としまして、やはり教育の地方分権化ということが考えられておるのであります。今までの教育の中央集権的な統制というものが民主主義教育に反するのではないか、だから教育を地方分権化することが民主国家としては必要であるという見地で、すべての施策が実行されて来ておるのであります。その見地から一応平衡交付金制度によりまして、地方の教育費その他の足りない分は、中央財政から補給して保障してやるという制度で行くのが私は本当と考えております。その場合に、お話に出ましたような地方の貧弱町村等がこの水準の義務教育を実施するに当つて、財政的に非常に困難があるという場合は、平衡交付金によつて、その七割でも八割でも保障されるのでありますから、それによつて実現されて行くと考えておるのであります。
○岩間正男君 地方の教育の分権化ということを言われましたが、これは軽軽しく形式的に使われると非常に危険なことになると私は思う。これは例をアメリカに引きますならば、アメリカのような地方の分権ということは、日本の場合と発足において異にしておる。自主的に下から上に成長するような形で長年かかつて、そうしてそこには経済的な自立の態勢もとられておればこういう場合において地方分権も考えられる。日本のようなところで、それとは反対の方向をとつて来たものに対しまして、今地方分権だといつてそういう態勢をとるということは、これはまるで違うじやないかと私は考えます。併しながら一番問題になるのは経済の問題、経済的に一体今の地方にこのような教育を委託されて、十分にこれが地方分権を確立するというような方向に行くことができるか、これは言うまでもなく明らかだと私は考えます。経済の建前からしてこれは完全に崩れて来る。どうしてむ日本の貧弱な経済の現状におきましては、強力に中央の予算をとつて、併しその中央の予算を運営する面におきましては、それによつてその管轄省であるところの文事部省が権力を潟存するというような点については徹底的にこれは排除してこれを民主的に運営して、こういう方策をとるべき場合ならば中央におけるところの全額国庫負担というのは決して間違つた理想ではない。この機会にこそ日本の教育機会均等を確立さるべきであると私は確信しておる。そういう点から言いますと、最初立てられた文部省の案と、シヤウプ氏の来朝によつて盛られた文部省の説明とは随分変つて来ているのじやないか、これは高瀬文相をここで責めてもおかしいことになると思いますが、今回大臣はそういう説明はされて、いなかつたと思います。飽くまでも中央において全額国庫負担の線を確立すべきであるといつておられたと思う。そういう点からここに文教政策そのものが経済の変動を受けまして、その年間におきまして日本の文教政策そのものが変つているという事実を我々は指摘しなければならないのでありますが、こういう議論につきましては、議論が長引くといけませんと思いますから、標準教育費の中に入りますけれども、この法案がいよいよ出されるということで審議が始まると思うのでありますが、これはまだ現在出されておりませんね。この計画についても、この前のお話では間もなく出されるというお話でありますが、あれから四、五日経ちますけれども、まだ出されていないことについてもお伺いしたいと思いますけれども、大体問題はそんなら標準教育費法案の中に盛られておるあれによつて、どれだけの経済的の自立が行えるかというところに問題がかかつて来る。ところが最初文部省の原案によりますと、これは生徒の一人当りの費用が四千五百円というよ巧な單価になつておつたと思います。これが併し現状におきましては三千二百円というようなことになつておると思うのでありますが、この三千二百円で以て一体どれだけのここに教育費の確立が望まれるか、先程も田村議員の御質問に対して高瀬文相は答えられたようでありますが、寄付金が今年度は、今まで四百億の要求が百億に減る、そうしで三百億から減る。従つてその寄付金は大部分は教育費に出した寄付金であるから、当然これを今度の平衡交付金の中に入れて、そうして教育費をそれだけ増大しなければ目的に適わない。若しそうでないことをやるというと、結局税金は地方税においてこれは四百億増加される。更に今までのような寄付金が取られれば、教育費の負担ということはますく過重になるだけであるというようなお話があつたのでありますが、私のお聞きしたいことは、三千二百円というようなもので以て一体どれほどの教育ができるか、このあらましの内容、教員の費用並びに生徒費、こういうものはどの程度取られるかということのあらましの内容、更に今申されました寄付金を削減してそれを税金にした地方税という形で取上げる。それだけの何割かが今度の標準教育費に盛られるのであるか、この点明らかにして頂きたいと思います。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) この点につきましては大体の数字は、午前に藤田委員から御質問があつてお答えしたのでありますが、標準教育費の中の単価に入れるべき内容については、これは財政状態と睨み合せまして、どれだけのものを入れるべきかということを毎年決定して行くべぎものであります。それで三千二百円という単価を決めたということは、来年度の財政と睨み合せて妥当だというところを決めたいのであります。その三千二百円の単価とそれに対するいろいろの計数がかかつて予算ができるわけでありますが、大体のところを申上げますと俸給の方が約五百億、それからその他の一人当りのいろいろな学費というのがありますが、それが二百五十億という見当になつておると思います。その二百五十億の細かい内容につきましては非常に細いものになりますから、必要があれば資料で御届けをするということにいたしたい、それだけの数字が一体どこから出て来たのかと申しますと、俸給の方は只今定員定額の場合に、小学校五十人単位に一・三五を一・五に、一・七を一・八とするというような意味で国家が補助する金額が、これが今までの標準で言えば半額である、それの倍数が俸給に当る、それからその他の生徒の経費というものは、実際二十四年度においてどのくらい地方で使われておつたかという資料を調べて、二十四年度に使われておつた資料というものを基礎にして出すと、こういうわけであります。
○岩間正男君 あとの寄付金をどれだけ今度の平衡交付金に入れておるかということについてはお答えがなかつたのでありますが、私から申上げたいのでありますが、併しその平衡交付金として出されておる予算書を見ますというと、大体二十二億の増になつております。僅かに二十二億で以て今申されました結核教員の費用も取り、それから産前産後の費用も取る、それから教員を一・三五を一・五に、一・七を一・八にすると、こういうことになりますと、果して現在の、我々は今資料を持つておるのでありますが、これはここでやるべき筋合のものではございませんので、分科会の方に持込みますけれども、これではつきりすることでありますけれども、これでは現在の定員を現在の俸給で満足させる。そういうことしかできない。このことは余りにもはつきりしておるのじやないか。そこでこれはもつとお聞きしたいのですが、午前中田村議員に答えられた中で、三百億減らすならばもつと大巾の増額が平衡交付金の中で取られなければならないのじやないか。仮に三百億の寄付金の中の三分の二が、これが今さつき大臣が話されたようにそのまま実行されるとすれば、二百億程度のものが平衡交付金で殖えるべきだ、僅かに平衡交付金にづいては二十二億しか殖えていないのであります。つまり去年の二百三十一億が今年の二百五十三億にしかなつていない、そうなりますと大臣が先程言われましたあの問題がここで非常に混乱するのじやないか、つまり児童経費の方も詳しく検討しなければならんのでありますけれども、そういうことは抜きにして申上げるのでありますけれども、依然として寄付は強化される、そうして現状におけるところの平衡交付金程度の三千二百円程度をやつただけでは、恐らく現在の教員を現在の俸給で満足させるだけのものである、教員給については……。それから児童経費その他の問題については、依然としてこれは学校の経常費の方の賄いが付かない、PTAの組織を通じて今までと同じような、それと殆んど同額的な寄付を取る以外に方法がないということが、数字的に明らかじやないかと思うのですが、この点大臣にお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 先ず第一の点は、PTAの寄付金がこれから減つて行くというようなことと関連して、寄付金を全体として先ず四百億と推定し、三百億を税源に廻すという問題でありますが、これは平衡交付金の中に入るべき金でありません。これは地方税の増徴の中に入るべきものでありますから、それで平衡交付金が殖えるという理窟にはならないと私は思つております。
 それから次の御質問の点ば、要点はどの点にありましたか。
○岩間正男君 教員の現員と現在の給料の程度……。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) その点は文部省として、生徒数に対する教員を一・三五と一・七という数字で出した予算額に、今度は一・五で出し一・八で出した予算額の数字の差額、それから結核教員を何%と推定して出した数字等を合せて二十数億ということになつておるのでありますから、岩間さんのおつしやるような結果にはならんものと私は信じておるものであります。
○岩間正男君 まあさつきの大臣の説明で、この平衡交付金の増額がなくても、あとの地方財政の問題だ、その点は少しお話のような点があると思います。併しそれにしても中央の予算というものが地方財政を決定する、これは大きな裏付けになるのでありますから、平衡交付金がこれだけ一体殖えたにしましても、仮に平衡交付金で行きますと、中央から三割、あとは地方で七割出す、こういうことになりましても、二十二億殖えたとしますというと、それとの裏付けとして僅かに六十億程度のものしか廻つて来ないのじやないか、こういうふうに考えるのでありますが、そうしますと教育費は大体今まで寄付金で占めておつたのでありますから、三百億減らす、その額が今の点を満足されるということは了承できないのであります。
 それから第二の点でありますが、教員の現在の数と、それから現在の俸給の点でありますが、これはいろいろな地方における交渉で文部省が進められておるところの平均の額よりも非常に上廻つているところもある。それから最初予定されたところの教員の首切りが、非常に最初の数よりも少かつたというようなことで、現在非常に保有されている、こういうような面もあるのでありまして、これはあとで資料をつき合して分科会でやれば明らかなのでありますけれども、我々は実際関係の方面、日教組の諸君達の実際のデータによつてこういうことを検討して、恐らくそれを上廻つたというような形には出ない、こういうことを確めておるわけであります。併しこの議論には今の数的根拠が必要でありますから、この議論をそれ程続けようとは思いません。併し三千二百円というようなこの低い標準で以て、果して最初文部省が意図されたような最低限度においてもこの教育を維持するという態勢ができるのであるかどうか、この点改めてもう一度大臣の意見を確めたいと思うのであります。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 三千二百円という単価は、これは基準単価でありまして、都市の大小とか、地域的な條件とか、いろいろそれらに対して又掛ける係数がありまして、東京あたりは相当高くなるわけであります。併しそれでも尚実際は非常に不十分であるということは認めます。ただこれが最低もうぎりぎりこれ以下なつて教育が傷つけられるという限度を示しておるのでありまして、法律の趣旨は、少くともこれだけ支出しなければならないというふうに書いてあります。併しながら地方としては、これ以上是非とも出して貰いたいというのが法律の趣旨なんで、又事実それができるかというようなことになりますと、私は地方でやる気があればできる筈だと思うのであります。何故かといえば、平衡交付金の計算の場合におきましては、御承知のように標準的な地方行政費の合計額と、標準的な地方歳入合計額の七割との比較、七割との比較で以て不足した分を平衡交付金で交付されるのですから、標準的な歳入が今後あればそこに三割のマージンがあります。これを使つて、教育のために法律で決めた最低限度以上に出すことは、私は必ずできる筈であると思いますし、法律でも、最小限度少くとも、ということでありますから、地方としても教育のために出して貰うものと予想しております。
○岩間正男君 そこでお伺いしたいのですが、この法案の提出が遅れている経緯ですね。これについてお伺いします。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 法案は只今手続中でありまして、私共としては今日か明日かというふうに手続の終るのを待つておる状況であります。これも手続の問題でありますから、正確なことは私もよく知つておらないというわけで、はつきりしたことをお答えはできませんけれども、私が推測するところでは、この法律は地方財政平衡交付金法と密接な関連がある、それから又地方財政平衡交付金法というものは、地方財政委員会法と密接な関連がある、ですからこれら三つが合わさつて検討が終らないと、手続が進まないという関係もあるだろうというふうに想像をいたしております。
○岩間正男君 この問題について自治庁とか、それから地方財政委員会あたりにおいていろいろ議論があるということも聞いているのであります。文部省がここまで追込まれて、先程申しました教育予算の独立ということをシヤゥプ勧告との連関なしに考えて行くということができながつたために、次善の策として、この標準教育費というような案が出された。これはまあ例えば昭和七年頃のあの何と言いますか、地方の物凄い恐慌時におきまして、教員給がニケ月も三ヶ月も拂われなかつた、そうしてそこにボスが非常に跋扈した、まるで教員に対して俸給は呉れてやるのだ、お前達は俺達が飼つているのだというような態度で以て臨んだ、そういうようなところに追込まれる、こういう点から考えると、一応標準教育費というものの法案の存在理由があるように見えるのであります。ですからここで私が問題にしたいのは、先程も申しましたような、如何にもそういうような幻想を與えているけれども、三千二百円というような、こんな低いところの予算で以て、果してそういうものが確立できるかどうか、この点について十分にこれを検討する、そうしてごの性格を内容的に検討する、そうしてこれを本当の姿をこれは国民大衆の前に明らかにすることこそが、私達の当然とるべき責任と思うのであります。従つてここでは盡しかねるところの問題は、皆分科会の方に持ち込みまして、私達は仔細に検討するということを條件として、只今の標準教育費の問題はこれで打切りまして、次にお伺いいたしたいのは、問題が小さいようで非常に大きいのでありますが、教員の免許の問題であります。私は法案については今文部委員会で審議されておるのでありますから、これを問題にするのじやない。ただその財政的な基礎であります。先ずお伺いしたいのでありますが、中学校、小学校、こういうよろな義務教育に当るところの教員達が、この新らしい教育の体制によつて、今度は免許状を取らなければならない。そのために講習会を受けなくちやならない、こういうことになつておるのでありますが、この費用の負担の点であります。これに対して一体文部省はどれだけの予算を取つておられるか、そうしてそれが非常に小さく削減されたという情報も見ておるのでありますが、こういうような点について先ず伺います。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 教員免許状と関連いたしまして、現職の教員の再教育が重大な問題になつておる。それに関連しての予算の御質問と思いますが、文部省として現職教育関係の予算はお手許にありますように、合せて四千四百万円、大学における現職講座の関係で、二千四百万円、通信教育講座関係で二千万円、こういうことになつております。併し地方の小中学校の教員の方々の教育の問題でありますから、これは地方の予算の問題が非常に深い関係を持つております。その点も御心配になつておる点ではないかと思う。実際今まで聞いておりますところでは、こういう現職教員の教育のための講習等をやりましても、そういう地方の予算がない、旅費とか、宿泊とかというような点で非常に困つて、それがために思うように実行できないという事情があつたということを私も聞いておつて、心配しておつたわけでありますが、併しいろいろ調べてみますと、地方でもこの問題は非常に重要視されて参りまして、予算も段々相当の額が地方で計上されて来ておるように思います。実際全国に亘つて調べたわけではありませんけれども、東京附近の地方について調べたところによりますというと、相当の計上があるようであります。まあこれを実行するについて、できるだけ経費を少くしてやるということが先ず第一必要でありますが、それについてはできるだけ開催の場所というものを多くして分布しまして、自宅から通つて講習が受けられるようにすることが先ず第一に必要な点である、つまり宿泊料も要らない、旅費も要らないでやれるようにするということが第一の点でありまして、そういう趣旨で来年度からの講習開催については、場所を非常に多くして便宜を與えるというようにやつておるわけであります。東京とか、埼玉とか、千葉とか、神奈川というような附近において調べたところによりますというと、御心配になつておるような点が非常に少くなつて来ておるというように思いますので、この再教育の御心配も、御心配になるような点もなく、今後は漸次実行できるようになると考えておるわけであります。
○岩間正男君 こまかい問題だから、余りその点をお聞きしたくもないのですが、ただ簡単でいいのですが、埼玉だつたら例えば一人当りどのくらいでありますか。
○説明員(玖村敏雄君) 埼玉の方の調査をいたしましたところによりますと、三十分間で通勤し得る範囲において講習をいたしますと、一ヶ月に要するところの交通費が四百円でおります。それから一時間の所でやりますと六百円であります。これは一ケ月の通勤券を買求めますので非常に安く付くわけであります。それから埼玉では、宿泊を要するような遠距離の場所で講習はやらない、若し特別な学科について、必要がある場合に浦和へ来るというふうな場合には、宿舎を提供する、そうして四十円乃至七十円の実費を徴収すると申しております。受講料は取らない。それから都道府県としての、一つまり埼玉県としての研修の手当は一人につき一千円を計上しております。それから趣旨に……。
○岩間正男君 大体概算で結構です。一人一千円というところで……。
○説明員(玖村敏雄君) そういうふうになつております。
○岩間正男君 これは大臣は、いろいろです、この会場は近いところでやるというお話があつた。殊に四千四百円取つておるというようなお話でありますが、これは殆んど文部関係の講習を、やる側の費用であつて、受ける側の費用は含まれていないということが一つ。それから今東京とか埼玉のお話もありましたが、私は最近の、一千円組んだということを今伺つたのでありますが、東京では電車切符を呉れておるだけだと思います。それから埼玉でありますが、ここに埼玉の例があります。我々の持つておる資料ではこれはやはり受講料が従来百円取られて、旅費が四百円、それからパンフレツト代、これが大体百六十円ということになつておりまして、一単位を取るのに大体六百六十円かかる。二十三単位を取るとこれが驚くなかれ一万五千百八十円ということになる。それから宿泊の場合でありますが、宿泊をするというとこれに対しまして宿泊料が日に四十円、七十円というような宿舎を設けてやるというようなお話でありましたが、それは全部吸収できるのかどうかこれは分りません。若し宿泊するとすると、大体これは一泊五、六百円かかりますのです。こういうものを計算しますと、二十三単位を取るのに六万五午七百八十円という数字が出ております。果して助教なんかの諸君が、六千三百円の現在の給與ベースの中で、このような莫大な費用を出して一体受験をすることができるかどうか。講習を受けることができるかどうか。而もこれを成る一定の期日までに取らなければ、これは資格がないというので、結局は結果において首切りが行われる。で、私はここで大臣にお聞きしたいのであります。一体義務教育の仕事を担当するところの教員諸君が、こういうような人達に対して、国家並びに府県の公共団体の財政によつて、これを取らせるのが本当であるか、或いは今言つたような個人の負担においてこれを取らせるのが本当であるか、大臣は一体どう考えておられるかを、この点先ず承わりたいと思います。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 教員の資格を取る問題でありますからして、又教員自身にとりましても目分の研究の問題でありますからして、教員自身も或る程度の負担を取られるということは、決して不合理ではないと私は思う。けれども実情から申しまして相当の額に上る負担を、教員にだけで以てやるといつたつて、とても困難な問題であります。そこでできるだけ国としても、地方公共団体としても、それに対して予算的措置を講じて行くということも必要なわけであります。文部省としてはできるだけ地方予算におきまして、そういうための予算の増額を希望しておるわけであります。それに応じて漸次地方でも予算の増額をして来ておるということは、お認めになるだろうと思いまして、現在でも無論教員の生活状況から言えば、可なりに苦しいことがありましようが、やはり或る程度は教員も負担されるということは決して不合理ではない。
○岩間正男君 資格を取るのだから、従つてこれは職業に関することだから、相当の負担をすべきであろう。こういうお話でありますけれども、それば教員の生活が現在食えておる、余裕があればそのようなお話は成立つと思います。而も問題は義務教育の教員なんです。ころいうような場合におきまして義務教育の教育者を養成するという場合、これは当然国家が私は負担すべき性格のものであると思います。而も地方においてそれに対してできるだけの補助をさせるようにしたい、こういう話でありますけれども、これはとても問題になるところの補助をどこでもやつていない。そこで私はなぜくどくどとこんな細かいことを今まで申したかというと、このことは日本の教育に非常に重大な関連を持つからなのであります。一体現在教員免許法というものが施行されるようになつて、去年あたりから又講習会なんかやられたのでありますけれども、どういうことが一体教員に起つて来るか、これを大臣はどうお掴みになつていらつしやいますか、一定の期日までに、二年後なら二年後にこれをとらなければ首になるのですから、もう子供の教育を一生懸命にやるということがそれ程重要なことでなくなつて来る。それよりも何とかしてその試験をパスして行かなければならない。そこのところを何とか自分で苦しいところをパスしなければならないというので子供を自習させて、そうとて勉強を始める。それから教育の方はそつちのけになつてまるで副二的な、資格をとるという方に皆追込まれて、ここに教育の破壊がある。又現実に起つておるところの、経済状態によつて起つておりますところの農村の苦しい姿、中小企業の潰滅しておる姿、ここから起つている教育のものすごい破壊、こういうものに対して挺身して、何とかしてこのような問題のために教育を守り抜こう、今日では学校の中で、教室で単にこれを教えるというような形だけでは本当の教育は守り抜けないところまで到達しておる。親の生活の基盤が崩れておりますから、それと共に子供の生活も崩れておる。従つてこのようなものを支えるためには、もつと広い意味においても又これらの問題について解決をするというような社会的な関心がなければ、本当の教育はできない。それでなければ空想な、まるで温室の中に入つたところの架空的な教育なんです。そういうようなことを日本の戦争前の教育はやつておつた。そのような教育を本当に社会化し現実化するためには、どうしてもその方面に多くの精力を割かなければならんというような窮状にまで追込まれておるのが、日本教育の現状であるということを、私はここで申上げざるを得ない。どころが現実の教員はどうであるかというと、資格のない教員達は何とかしてこの資格を一、二年の間にとらなければならんというのでそこに追込まれておる。本来の教育に挺身するというような問題は、第二の問題になりつつある。そういうようなことにこの教員免許法という形で以て文部省は五十万の教員を追込んで来ているのじやないか。而も何らこれに対するところの財政的な裏付けもない、援助もない。これは教員の苦しい六千三百円ベースでは問題にならない。地方におきましては助教、このような人でありますと三千四百円程度です。二千五百円程度の者もあります。これらの中から汲々とやつている。ここに日本教育の破滅がないか。この点を一体大臣はどのように掴んでおられますか。形式的に教育を論じてはならないと思います。これは現実の中で論じなければならない。このことを要請することは、日本の戦争前のあの教育の姿を打倒して、新らしい真に現実に立脚した社会主義的な、そういうような教育をはつきり確立しなければならないと考えるから言つておるのであります。この点について大臣の認識の程度を伺いたい。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 教育の効果を上げるにおきまして、教員の素質、学力というものは一番大事であるということは全く同感でありまして、その意味におきまして義務教育の教員の資格というものをぐつと引上げたわけであります。それに応じて免許制度が変つて来まして、今お話のような問題も起きて来たというわけで、我々としては義務教育というものを重要視し、これを十分効果的にいたしたいという趣旨で実行しておるわけであります。お話のありましたように、現在仮免許状を持つておる者が講習によつて或る単位を終了して、本当の免許状を貰うということについてはいろいろの努力、費用がかかるわけでありますが、若しこれを取らなければ、それじや直ぐさま職を失つてしまうのだといろふうになるのかと申しますと、必ずしもそういうわけでありませんで、資格が、本免許状を持たねば教員になれぬという者でも、仮免許状を持つておる者でも、必要あれば教育を続けることは差支ないのでありますから、お話がありましたように、直ぐさま職がなくなつてしまうというわけではありません。併しながら仮免許状を持つておるというような資格の者でなく、本当の免許状を持つた、完全な資格を持つた教員で義務教育が完全にやれるようにしたい。又その必要があるということは文部省も認めておつて、できるだけ講習会等を受け易いように工夫をして努力をして行く。それがまだ不十分だということをお話になつておると思いますが、何らの努力をしていないというわけではありませんので、今課長からも話したようないろいろな工夫もし、又財政上も甚だ不十分でありますけれども、国家予算も或る程度出し、又地方予算もできるだけ増額するように文部省として勧告をして、或る程度は実現されているのでございます。その方面に対してはできるだけの努力をしておるわけであります。
○岩間正男君 大臣の答弁の中に資格を取らなくても職を失わないというお話がありましたが、これは本当でありますか。免許法の中にはつきり助教の場合は、一九五二年の国家試験を通らない場合には、これははつきり駄目になるとあるが、これは如何ですか。
○説明員(玖村敏雄君) 助教免許状の所有者は、二十六年の三月三十一日までは現状のままでおいて、これが二十六年三月三十一日に新らしい臨時免許状に切換えまして、もう一年間続けて行くことができます。その次からはできません。
○岩間正男君 やはりそうでございますね。
○説明員(玖村敏雄君) そうです。
○岩間正男君 これは大臣の思い違いだと思いますので、この点は教員免許法を提案された大臣として、そこのところは御訂正願いたい。
 その次に大体講習をやるときに、これに対して文部省はいろいろな何をとつておるのですか。一単位八十円とか、五十円とか、幾らとか、そういう受講料をとつておるのですか。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) とつておりません。
○岩間正男君 とつておらないのですね、そうでございますか。我々の聞いたのとは少し違いますから、もう少し確かめたいと思います。では免許法の問題について質問は大体これくらいにしたいと思うのでありますが、最後に申上げたいのはこの教員の講習たたと言われておるのは、何を一体目標にして言われるのですか、何を目標にして講習しているのですか、一体どこの教育をやつておるのか、日本の教育を講習をしておるのですか、日本の現実に適応して、戦争前に我々が教育の社会的な視野がない、そうして何かガラス張りの中で、温室の中で教育をやつた、いろいろな経済的な事情も知らなかつた、世界情勢も知らなかつた。そういうことのために教育が技術化されて押込まれ、そうして日本人にそういう人間が沢山生産される。そういうことがあの戦争の大きな原因になつておると思うのでありますから、我々ははつきりここでそのような誤りに対して訂正したい。飽くまで現実の上に立つて、そこからスタートして下から上に伸びて行くというところが教育の民主的な姿である。こういうふうに考えるのです。ところがこういう態勢が最近全く崩されて来て、名前は民主的教育であるけれども、民主的教育というものを体験されることなしに、何か一人の講師が命令を持つて来て押しつけるというような恰好で上から下への教育をやつておる。その内容はどうか、思想の内容のいろいろここに選別があつたりして、戦争前のような思想統制ということがここに行われて来ておる姿がはつきり見える。これは講習会のテスト、最後にやるテストの問題なんかを我々が検討すればはつきりすると思う、文部省にそのようなものに対して資料を出すように委員会で話しておるのでありますが、未だにこれは出されておりません。我々はまだ資料を持たないのでありますけれども、そういうところにこの教員免許の性格というものが非常に大きく出ている。つまり現在の統制的な教育、そうして日本の現実というものから離れて何か架空的な、そうしてどこやらの国の教育を何とか付け込んで上から下に押付けるというような形で以て、教育の民主化どころじやないところの、まるであべこべな反対の教育の態勢をとられる。それを途行するところの任務を免許というような形で行われる。これは余りにも明らかだと思います。こういう点について大いに論じたいのでありますが、時間がないからこの辺にして置きます。
 それと連関して私が申したいのは、学力の低下の問題、不良化の問題、こういうような問題が非常に起つておる。これは教員の質の低下の問題、これとも連関するのであります。教育予算が絶対不足だということも連関があります。教育機構が現実に即応してないということにも関連があります。例えば中学の生徒で以てその学力を調べて見るというと、小学校の五年生、四年生くらいの学力しかない。それから最近の青少年の不良化というものは甚だしいものであつて、昨年あたりの統計によるというと、全国の犯罪数の半分以上が青少年の犯罪になつておる。その中には非常に、何と言いますか、強盗とか殺人とか、そういうような物凄い犯罪も含まれておるのであります。こういうようなものに対しまして、文部大臣はどのような対策を持つておられるか。殊に私が付加えて申上げたいのは、最近家出人が非常に多いのであります。これは読売新聞だつたと思いますが、これにもございますが、今年の一月二十五日付の中に、少年の集団家出激増、それで憧れは上野、浅草というようなことがここに出ております。警視庁管下の家出人は昨年中だけでも七千六百十二名になつておる。今年はまだ一月も終らない一月の半ばの中にすでに六百人を突破しておる。これらの原因は一部を除いて皆経済的な問題が多くの原因をなしておる。殊に東北の農村から最近こういうような者が非常に吐き出されておる。こういうような現象が出ておるのでありますが、こういうような様子に対しましては、文相はどのような対策を持つておられますか。この点私は伺いたいと思うのであります。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 最近における学校の学力低下という問題がよく言われております。それにつぎましでは文部省としても十分関心を持ちまして、いろいろ調査もしておるのでありますが、新らしい教育制度の実施に伴いまして、いろいろとその実施方法について、十分に教師の側も慣れておらない、生徒の側も気持の転換もできてないというようなところから来る影響もあるかも知れません。又御承知のように今日の社会生活の動揺、不安というようなことが、やはり児童、生徒の気持にも影響をいたします。勉学心というような方にもそれが影響を與えておるということもありましよう。又経済的に書物が十分買えないとか、ノートも買えない、学用品も十分に得られないということもあるかも知れません。これらは又一般的に今日の日本の非常に苦しい国民生活、社会生活の影響だと思いますが、私共が調べたところでは、それはお話があつたような特に激しい学力の低下ということもありますけれども、一般的に見ましてそれ程現在におきましては非常な学力の低下があるとは考えておりません。けれども無論それがさつき言つたような影響のあることも事実でありますから、これは除去して行かなければならない。これは日本の社会生活の漸次安定して行くこと、経済生活の漸次改善して行くということと伴つて行かなければならない問題と思うのであります。それからそういうようなことのために、一方では又少年犯罪というようなものが非常に殖えて来ておるというような問題でありますが、これも確かに事実であります。統計にも現われております。で甚だ残念なことでありますが、これもさつき言つたようなし一般社会の影響というものが非常に大きいだろう。学校の教育だけでは根本的に完全に何ともできない点もあろう。これは漸次社会生活の改善ということに俟つ。併しそれだからと言つて、これを放つておくというわけには行きません。できるだけ防止、予防の対策を立てなければならないということで、御承知のように内閣には少年の不良化を防止する審議会ができてお。まして、そこでいろいろ誰され、検討され、答申がある筈であります。又文部省の中に青年教護委員会というものがありまして、やはりそういう方面の検討をやつております。又婦女子の不良化ということにつきましては、純潔教育審議会というものを文部省に持ちまして、それぞれの専門家、関係者を集めて対策を練つて実行をしておるというわけで、文部省としてもそういう点に、対しましてはできるだけの対策を実行しておるのであります。
○岩間正男君 いろいろ御説明がありましたが、学力低下の問題について文部省が今まで調査された事実がありますか。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 正確に統計的に調査したという結果は出ておりません。
○岩間正男君 その上に立つてさつきのような御発言だというと、我々の認識とは大分違つて来る。我々は或る程度のそういう調査とか、資料の上に立つておる。この点は何がその原因だという考ないろいろお話がありましたけれども、現在の教育内容の問題もあり、それからまあ何と言つたつて、経済條件が非常に大きな問題になつておると思います。こういう点についてここで細かに論じておる暇はありませんから省きますが、殊にこの不良化の問題、こういうものについていろいろ対策があるというに拘わらず、これは文部省としては統計的にどう掴んでおりますか。例えば一昨年あたりからの統計を御覧になれば、今までお調べになつたと思いますが、漸次減少の方向とお掴みになつていらつしやるか、漸次上昇しておるというふうにお掴みになつていらつしやいますか。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 個々にはいろいろと調査もいたしておりますけれども、全国に亘る完全な統計というようなものはまだできておりません。
○岩間正男君 今のお話は、これはむしろ私は文部省あたりで作成する統計だと思うのでありますが、こういう統計ができていないことが先ず第一であります。それから常識的に考えて見ても、最近の社会の動きを見ましても、かようなものが実は非常に激増しておる。これは警視庁あたりの統計を御覧になればはつきりするだろうと思う。警視庁から一昨年あたりから青少年の不良化の統計が出ておる筈でありますから、是非文相は御覧になつて頂きたい。そうして対策は取つておるというような曖昧な御答弁だけではこの段階を、私はこういうような問題の本当の徹底した方策にはならないと思いますので、もつと真剣に考えて欲しいと思うのであります。
 で、文部省は約千人ばかりの教員を何か政治的な形で、文部省から言わせるとこれは政治的追放じやないと言つて、追放しておりますけれども、その後に一体何が起つておるかということを御存じですか、この点どういうようなことが起つておるか、ちよつと文相の所見を質しておきます。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 只今約一千人の教員が整理されたというお話でありますが、私共の調べたところでも、大体地方公務員である教員についてその程度の整理があつたと思うのです。併しながらお話になりましたような何か政治的な意図を持つてこれが整理されたとは、私は考えておらないのでありまして、やはり教育界の能率を上げ、教育の効果を上げるという目的を以て、いろいろ標準に照らし適当な処置が行われたものと私は考えております。その結果どういうことが起つてお、るかということは、少し漠然とした御質問でありますから、もう少し具体的にお話を願いたいと思います。
○岩間正男君 政治的な首切りであるかないかということの論議はここでやりません。もう事実が明らかだと思います。それから今の何が起つておるか、これについて文相はどれたけ掴んでおるか分らないのでありますが、先ず第一に私がお聞きしたいのは、教育が一体元のような自主性を持つておるか、非常に卑屈になつて権力の前にぺこペこするというようなことはないか、こういう点を伺います。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 私はそういう点については、全く現在はないと信じております。整理というものがただ上からの命令に服従しないとか、何だとかというようなことだけで行われるというようなことになりますと、それは整理されるのが怖いからぺこぺこして卑屈になるということもありましよう。併しながらこれは整理された標準がそんなことじやないので、やつぱりその人の教育能力とか、勤務状況だとか、学校の中での活動のいろいろな状況等に照らして、合理的に行われたと考えるのでありますから、残された人が卑屈にならなけりやならんというような事情は起きないと考えます。
○岩間正男君 私は一〇〇%今の文相の答弁を信じません。現実にはまるで反対のことが起つておる。第一勤務状況が悪いとか、何とか、そういうものを切つたのだというお話でありますけれども、我々が知つておる範囲では、最も優秀な、そうして終戦後のあの破壊の時代から教育を守り抜いた、東京なんかの例でも分りますように、食糧不足で非常に困つたあの時代に、何とかして子供達の、学童の学校給食をやらせようとして、ぼろ服を着て、そうして破れた靴を履いて、あの炎天の中をてくてく歩いた諸君が大部分切られておる。このような非常に真剣な骨身を創つた人達が、この一千名の大部分であるという私は確信を持つておる。これこそがあの教育を興したところの実は原動力であつたのでありますけれども、こういうものを切つたということを、はつきり私は言うことができると思います。その結果何が起つでおるか、文相は御承知ないから私ははつきりこの際申上げて置きたいと思う。この首切りの結果もう余計なことは言わない方がよい、正しいことは言わない方がよい。そうして強権の前にぺこぺこしておれば自分の首は安全た。成るたけもう正面切つて何も言わない方がよい。それと同時に職階制が強化されて権力というものが非常に強力になつておる。従つて再び戦争前のあの強権に対する卑屈な態度というものが、今日本の全国的なあらゆる職場に、これは蔽うておるのであります。この事実を一体文相は否定することができるかどうか、見て御覧なさい。実にこれは問題にならない。この点はいつかの文部委員会の席で申上げたのでありますが、恐らく私は歴史は高瀬文相をはつきり批判するときが来るだろうと思う。このような馬鹿げた首切りに対して、これは日本の教育に対する挑戦なんだ、はつきり申上げて置きます。何故かというと、戰争前の教員はどうだつたかというと、非常に卑屈だつた。権力の前には非常に卑屈だつた。権力者がおるというとその前にぺこぺこする。右を向けと言われれば三年でも右に向いておる、こういう形であります。これは一つは生活権が確立されていないところから来た。そうして権力者の前に。ぺこぺこ頭を下げておつて、実に、だらしのないものでありました。東京なんかでは何が行われるかというと、入学試験で権力者の子供を何とか学校に上げてやる。こういうことが教育の目標であつた。こういうような形で行われた教育、だからして世界の情勢も分らない。世界の一隅に押し込められて縮こまつておる。だからあの太平洋戦争が勃発して権力が猛然として起つた際に、軍部の強圧的な指令の前に、その手先としてラッパを吹いて子供にあのような教育をしたのが日本の教育ではなかつたか。このことの反省から新らしい教育は出発しなければならない筈であります。だからそのような形で以てあの反省の中から教員組合の運動というものが立上つた筈であります。然るにどうです。かような権力に対して正しい批判を持ち、再び日本のあの軍閥時代の愚かさを繰返さないために、はつきり教育の自主権を確立するためにこそ立上つたところの彼らの首を切つだ。その後に何が起つたかというと、権力に対するところの実にだらしのない卑屈な態度が起つておるのであります。このことが日本の自主性と根本的に深い関連を持つのでありますから、決して私は等閑に付すべきものじやないと思うのであります。そこで私は極東委員会の指令について申上げたいのであります。こういう條項について文相はどう考えるのか。この教師と学生は独立不羈の考え方を持つように奨励しなければならない。文相に敢て聞きたいのであります。こういうふうな形で教育体制がとられておりますか、この点についてはつきりお答えを願いたい。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 地方教員の整理等の問題は、これは教育委員会が專ら実行しておることは御承知の通りであります。そうして教育委員会の委員というものは地方で以て公選によつて、人望のあり、優秀な方たが選ばれて委員会を構成し、而も会議体を以て行政をやつておるところでありますから、そこで以て十分愼重に検討をして、適当な計画の下に整理が実行されたのでありまして、私共としては教育委員会の権威を尊重し、信頼し、それが適切に実行されておるものと信じておるのであります。それから独立不羈の精神を養わなければならんと、こういうことでありますが、これは現在実施しておると私は確信しておるのでありまして、生徒、児童の思想を特に一定の型にはめようというような誤まつた教育をしておつた人達もあつた。そういう人達は教育基本法第八條違反で分あります。それによつて適当な処置がとられることは当然でありまして、それはつまり教育の中立性というものを守り、生徒、兒童の思想の自由というものを擁護するために是非必要だと思つております。
○岩間正男君 実に文相の答弁は不思議な感じを持ちます。文相はどこの教育を見ておつしやつておるのでありますか、日本の今の教育の職場で何が起つておるか、あなたは御存じないと思う、憤りさえを感ずる、独立不羈の精神に今鍛えられておるということがどうして言えますか。これはまるで逆なことが起つておるのです。闇黒です教育は……、そう考えておるに過ぎないのであります、文相は……これは幻想だ、私は敢て申します、教育委員会というようなことをおつしやいましたが、我々も教育委員会法のときには随分努力したつもりであります。完全な日本の教育を運営するために教育委員会の法案を修正して、そうしてこれは相当の修正ができてやられたところが、あの法案はあの通りに使われておりますが、これは実におかしい。それからどのように教育委員会が運営されておるか、文相は御覧になりましたか、例えば教員の首切りのときに、あの委員会が最後の決定をするとき私は立会つて見たのであります。どのような形で首を切られたか、文相は御存じないです。傍聴人は入れない、その席にはどこかの国の人がおつて委員長に耳打ちをしながら通つたというのが日本の現実だ。これでも教育委員会が完全に運営されたと文相は断定されますか。このような自主性のない、卑屈な、このような形において、日本の教育が自主性を持つておるという、どこからそれが出るかと疑うのです。そこでもう三遍お聞きしたい。一体独立不羈という精神はどこに養われておるか。今の教員にそういつた精神があるか。権力に対するところの卑屈な屈従である。尚殖田法務総裁が見えておりますから、私は前国会においてあなたにお聞きしたのだが、大阪における首切りの実態についてお聞きした。人権蹂躙も甚だしいということについて再質問した筈です。その時あなたは調べてお答えすると言われた。あれからすでに三、四ケ月経つておりますから調べはついていると思いますので、この席上で今の文相の後にお答え願います。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 教育委員会の運営につきましては、教育委員会の自主的な考えによつてやつているわけでありまして、今お話のあつたような点につきましても、この教育委員会が自主的なそういう方法をとつてやつたものと私は考えます。
○岩間正男君 法務総裁、お答え願います。
○国務大臣(殖田俊吉君) 昨年でありましたかお尋ねがありまして調べましたが、私は別段人権蹂躙というような事実は認められませんでした。
○岩間正男君 今の法務総裁の調べられた点について、もう少し具体的にお聞きしたい。どういう方法で、どういうふうな処置をとつて調べたか、逃げ言葉では我々は承服できません。
○国務大臣(殖田俊吉君) 当該の事務当局をして調査せしめたのであります。それで私はその報告を聞いたのであります。
○岩間正男君 これは何遍聞いても何ですから、具体的な調べ方、どういうような方法で調べたか、後で資料でも頂きたい。そうでないと私はそういうような一片の何では承服できない。何故かというと私が質問したのはこういうことた。二十四時間以内に依願退職するか、或いは懲戒免官にするか、両方の辞令を出して二十四時間以内に返答しなさい。若し返答ない場合には懲戒免職する。こういうようなことが今の日本で行われていいか、このような馬鹿げた人権蹂躙が教育者に行われているが、これに対してはつきり調べて答弁を願いたいということを私は言つたのであります。併しその事実は証人を出して喚問すればはつきりするから……。そういう事実を人権蹂躙とお考えになりませんか。
○国務大臣(殖田俊吉君) つまり教育委員会が自分の考えによりましてさような処理をいたしたわけであります。私はそれを以て必ずしも人権蹂躙とは考えていないのであります。
○岩間正男君 極悪犯罪人に対しましても、その言開きをさせるというのが法の精神ではありませんか、現在は……苛くも、一国の教育を担つているところの教員を、かような形で追い込むのが人権蹂躙でないと言えますか。法務総裁はそう言い得るのであれば、もう一遍言つて御覧なさい。
○国務大臣(殖田俊吉君) 私は人権蹂躙でないと思います。
○岩間正男君 問題にならん、これにいつまでも係つておられんから私は先へ進めるが、このような法務総裁を持つているのである。馬鹿げたことだ。そこで教育委員会の話でありますけれども、教育委員会が自主的にやつておるから何も関知しない、併しその運営はどうか、これは天下周知のことであります。例えばこの前は現職教員が立候補していいことになつていた。ところがその立候補していいように我々が国会で修正したのが地方においてどうです、どこかの干渉によつて全部これができないような形になつた。そうして選挙の二、三日前に引下した県が沢山ある。こういう形で法律が実施されたのであります。その後の運営は何です、ロボット以外の何物でもない。誰が教育委員会を今日運営しておるのか、こういうことについてもう少し我我は目を開いて、そうして日本の民族の将来に深い関係を持つのでありますから、もつと我々は誠意を披瀝して今日国民の前に責任を明らかにしたらいいじやないか、日本政府であり、日本の国会議員であるならば今日それをやるところの責任がある。これを日本の民族の将来に訴えたい。この問題をいつまでやつていても埒が明かないと思いますから次に進みます。この学生の育英資金の問題でありますけれども、育英資金が非常に足らない、今年度すでに予算書によりますと増額されているようでありますけれども、最近の学生生活の破壊というものはひどいものだと思います。実際大学を見ましても、東大あたりを見ても、去年の七月あたりから八五%、九〇%はアルバイトに追込まれている。而もそのアルバイトをやることができない、もう失業の大群ができておりますので、その学生のアルバイトの仕事はどんどんどんどん奪いとられておる。だから育英資金がこれに対するところのただ一つの纏り途であるから、これに対するところの要求が非常に多いと思います。最近殖えているのは中小企業、農村からの申込です。三年前の農村の状態だと、農村関係からは余り育英資金の申込がなかつたということを言つております。併し最近は非常にこれは殖えておる。こういうような中で文部省が今対策をとられておるのでありますが、もう少し根本的に文相はもつとこれらの窮迫しておる学生の生活を、何とかこれを根本的に予算措置をされる、こういうことをお考えになつていらつとやるかどうか。それからもうら、いよいよそのように苦しんで学校を出て、さて問題になつて来るのは就職難の問題であります。一体何パーセントが就職できるものか、これについて文部省はそういうような調査をされておるか。これに対する対策をどのようにされておるか。この点を私は伺いたいと思います。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 学生の生活状態が現在の経済情勢から非常に困難になつて来ておるということは事実でありまして、文部省としてもできるだけの対策を講じなくてはならないと努力しておるのであります。この一つの対策として日本育英会の奨学貸付金の予算計上を増額するという問題でありますが、これは御承知のように二十四年度九億でありましたのを、二十五年度の予算では十五億に増額をして、六億殖したわけであります。無論これで十分というわけには参りません。大体の統計から申しますと、こ十四年度は高等専門学校以上の学生の八%くらいできたのでありますが、二十五年度は一〇%くらいまで行くだろう。文部省は何とかして一二%くらいまでは出したいということで努力はいたしましたけれども、予算上なかなかそこまでは行けなかつたわけであります。併し九億を十五億に殖すということは、現在の予算状態としては、数字的には相当の増額であります。ただ一方で学生の窮迫がますます加わるという点から甚だ不十分になつているということで、その点は甚だ残念でありますが、今後におきましても、今日のような学生生活の困難が続く以上は、できるだけ予算計上に努力をして参りたいというつもりでおります。
 それから両育英会だけでなく、御承知のように学徒援護会というのがあります。それに文部省も予算を計上いたしまして、学生の宿泊所の経営とか、学生アルバイトの斡旋等もやり、実業界との連絡もやつているわけで、その方面からの学生アルバイトの開拓も相当できておると私は考えております。そういう努力をやつているということを御了承頂きたい。
 それから卒業生の就職の状況でありますが、これは本年度はまだ丁度卒業期に現在なつておるような状況で、はつきりしたことは全体として分りません。併し確かに昨年に比べれば就職状況は悪くなつておるだろうと思います。これも学徒援護会その他を通じまして実業界と文部省は連絡いたしまして、実業界の人達と始終接触を保つて、その開拓には全力を尽くしておるわけでありますが、文部省が直接就職斡旋をするというわけには参りません。そしてできるだけその方面も円滑に行くようにという努力はいたしております。
○岩間正男君 育英資金が大体五〇%増加されたのは外の予算にはないような多額の支出だというようなお話でありますが、育英資金そのものが大体最初の量が非常に少いと思います。そうして現在本当にそれを欲しておる者の数からいうと十分の一にも及ばない。こういう形でありますから、この点もう少しやはり私はお聞きしたいのは、額が何パーセント殖えたかというようなお話じやなくそ、もつと根本的にこういうようなものに対して対策をお考えになつていらつしやるかどうか、育英資金の問題と学生生活をどういうふうに維持して行くかという問題と、それから就職の問題、こういう点について伺つたのでありますが、併し今は別にそれに対する対策をお持合せがないようでありますから、この点はまあこのくらいにしますが、とにかくこういういろいろ挙げましたよう状態によつて、これはいろいろなことが起つておるのです。最近これは新聞に出た問題でありますけれども、あのような首切りが行われたあとで、例えば教員が、一方におきましては非常に不倫なことをやつておつた、そういうような例もある。未亡人とかそれから女教員を籠絡して、百万円くらいの金を捲き上げたということは、現にこの東京の中にそういう教員が出て来ておる。そうしてこういう教員の下に、この前ラジオでやつておつたのでありますけれども、私ははしなくもそれを耳にして愕然としたのでありますけれども、埼玉県の或る学校におきましては、最近今春というものを発行しておる。人券というのは人の券という意味でありますが、人の札、馬券とかいうようなあの券であります。これはどういうことをやるのかといいますと、これは人と人とを、学生同志を競争させる、そうしてそれに券を発行する、そうして勝てば取るのです。こういうような賭博であります。このような賭博を学校内でやつておる、もの凄いものであります。馬券とか競輪の券とか、それから最近いわゆる野球で賭けをやつているなどということは我々も聞いておりますが、まだ人を走らせて賭をやつておるということは聞かない。而もこれが学校の校庭で行われているという事実、こういう事実を一体文相は御存じなのかどうか。而もこういうような情勢に対して吉田内閣は取締ができるのかどうか。私はどうもあの宝くじを奨励し、そうして競輪を今日のように発展させ、そうして馬券、そういうような方向に国民の賭博的な射倖心を煽るというような政策を一方で公然と執つている吉田内閣にとつては、今の子供がその結果を模倣してやつた人券を、人券というような馬鹿げた、実にこれはまだ聞いたことのないようなことについては、まだ取締ができないのじやないか、こう思いますが、何かこれは文部省並びに法務府に対策がございますか。あつたらお伺いして置きたいと思います。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 人券というようなことが行われたということは、私は新聞だけで承知しております。又その外現在確かに生徒、児童の風教上甚だ面白くない事実が相当沢山起きておるということは事実であります。これは無論教育の立場から申しましても何とか止めなければならないことであります。併し文部省といたしましては、教育の立場でこれをやつて行くのでありまして、法律的に刑罰とか何とかそういうことで取締をして行くということは、文部省の仕事ではありません。ただ併し人券その他社会の風教に著しい悪影響を與える、公共の福祉を害するというような事実があるならば、これは法律的に取締る、処罰はできる筈であると私は考えておるのであります。文部省といたしましても、教育的な見地からこれを予防し矯正するというのが役目であるのであります。ですから学校教育を通じ、或いは社会教育を通じ、PTAを通じ、あらゆる手段を通じてそういうものの善導に努力をしておるというのが我々の立場であります。
○国務大臣(殖田俊吉君) 只今お話の人参のようなものが、調べまして若しそれが賭博でありまするならば、無論嚴重に取締をいたします。これは犯罪であります。大体終戦後投機的の風潮が盛んでありまして、決して喜ぶべきことでありませんのて、法務府、検察といたしましては、できるだけこの射倖的の方面を制限するということに鏡意努力をいたしているのであります。
○岩間正男君 これは政治的な責任についてはここでお聞きしてもはつきりしないと思いますから、明日総理にこれは伺いたいと私は考えております。つまりそういうような方策を一方で取つている吉田内閣が、一方において子供津が人券というような賭博類似のことをやつたにしても取締り得るのかどうか。これを政治的に私はお聞きしたい。法的には確かに今法務総裁がお答えになつた通りであるかと思いますが、政治的に考えればこの問題は別な意図を持つ筈でありますから、それは保留いたします。その次にお伺いしたいのでありますが、これは堀越委員からもお話があつたと思います。科学研究費の問題でありますが、第六国会におきまして、我我参議院は満場一致を以て科学研究費のことを可決したのであります。科学研究費を大巾に増額するということを可決したのであります。然るにどうかというと、現状においてはこれは問題にならない額じやないかと思います。文相にお聞きしますが、このぐらいの誠に問題にならない色付けの程度のことで以て、日本の科学技術が振興される、日本の科学研究が盛んになると、こうお考えになつておられますか。この点お伺いいたします。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 科学振興の必要ということは前国会で参議院で議決があり、又今国会において衆議院で議決がありました。我々としても無論これは重大な問題として努力しているのでありますし、又御決議の趣旨に沿うようにできるだけ努力しているのであります。予算的な措置として甚だそれでは不十分ではないかという御質問と思いますが、私共としても決して十分とは考えておりません。前にお答えをしましたように、直接科学振興に対する予算的措置といたしましては、一般の科学研究費として二十四年度の四億五千万円を二十五年度は五億円、五千万円殖すということと、一方大学における科学振興のための研究費予算として、教授一人当りの講座研究費というものを約六億増額いたしました。それから大学附置の研究所の研究費として一億何千万円か増額した。これが直接文部省関係での科学振興のための予算的措置ということになります。併し科学振興、技術水準の向上は文部省だけの問題でありませんで、やはり科学の工業化という点から通産省も非常に関係がありまして、あちらにも科学振興についての予算もあります。農林省の研究所も同じような趣旨であります。鉄道にもあると思います。それらを合せれば相当の金額に上つております。ただそれで十分かと言われますと、決して十分とは考えません。殊に一般の科学研究費については、五千万円の増額で甚だ僅かでありますけれども、なぜそれ、らが少かつたかといえば、この前御説明いたしましたように、限られた制約された予算の範囲内において、重点をどこに置くべきかということを考えた結果、二十五年度の予算措置においては、大学における研究費にできるだけ重点を置いて殖やそうということで、そういうような結果になつたわけであります。私共が一般科学研究費について考えておりますところは、日本学術会議の決議による申出もありまして、それらも参酌いたしました結果から考えますと、最小限度十一億ぐらいは是非共欲しいという目標の下に努力をいたしたのでありますけれども、制限された予算の範囲で重点を大学研究費という方面に置いたという関係から、増額が一般科学研究費については五千万円ということになつたわけであります。決して国会の決議を無視しているわけではありませんで、その趣旨に副うよう全力を盡したわけであります。
○岩間正男君 国会の決議を作るときにやはり問題になつたのは、決議のしつ放しでは仕方がない。これを何とか日本の現状から考えて科学技術を振興する以外に、こういう日本の狭い国土で人口の多いところでは方法はない。生産性を高めるにはこの遂に頼らなくてはならないというようなことで、これは随分そういうことが論議されて出されたのであります。併しその結果は今お話の通りなんであります。これはここでいろいろな細かい例を上げてお話しする余裕を持ちませんけれども、実にこれは問題にならないと考えるのであります。殊に私はここに問題にしなければならないと思うのは、電力料金の値上げの問題であります。電力料金が今度のやり方を見ますというと五倍、六倍というふうに上げられる。恐らく文部大臣が考えておられみところの科学研究費はこの電気料金に全部食われてしまうのではないか、こういうような調査を文部省はなさつたことがおありでありますかどうか。科学研究費は殆んど電力費に食われてしまう額です。そうしてそのために例えば工大あたりを見ますというと、電力料金を節減しておるために十分な研究ができない。或いは電力を超過しては困るというので止めてしまつておる。そういう形が起つておるのでありますから、これくらいのまるで四億五千万円のものを五億円にした、これくらいの科学研究費を増額されるというようなことで、電力料金にも足らないと思うのでありますが、この電力料金に対する対策、こういうものを一体文部省はお持ちになつていらつしやるかどうか、この点を一つ。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 電力料金の値上による影響につきましては午前も実はお答えした通りであじまして、確かに大学の研究所方面には非常に大きな影響を與えておるのであります。それで文部省といたしましては、そういう影響をなくしたいという考えから、安定本部及び通産省に交渉をいたしまして、大学における研究のために使う電気というものは特殊な扱いをして貰いたいということで、了解を求めておるわけであります。大体その了解がついたわけであります。それから四億五千万円を五億円というお話でありましたが、それは大学の方の研究費でありませんで、一般科学研究費が五億でありまして、大学の方は六億殖やして十何億かになります。
○岩間正男君 政府のやり方を見ますと、湯川記念館というものを作る、これもこの前もお話したのでありますが、こういう形で湯川氏のあの功績が何かしかのそういう狭い形で表現されるところに、如何にも日本の姿があると私は思うのであります。湯川氏があれだけの成果を挙げた蔭にはどのような多くの犠牲が一体拂われておつたか、日本的な犠牲があつたかというような問題を十分に掴み、そうして今日本の目指しておるものは何か、こういうことを十分に考えるときに、この問題の解釈に対して私達は今文相が話されたようなことを、これはアメリカにおる湯川氏のところに報告することはできないと思う。我々はそれをしたくないと思つて十分に蘭つたつもりでありますが、それが政府によつて実現された形を見ますとこういう形であります。果してアメリカにおる湯川氏は湯川記念館というものを作られることによつて満足されるであろうか。問題はそういうところにない。ピラミツド型に積み上げた、そうして浸透した、そういう一つの政策が十分に打出されて、その中から自然におのずからそういうような研究が助成されます方向にやらなくてはならない。それが日本の置かれておる一つの基本的な問題である。こういうふうに我々は考えるのでありますから、只今の文部省のとつておる……これは政治力の貧困とは言いながら甚だ残念に思う次第であります。尚これに対しましては飽くまでも我々は科学研究費の増強のために努力したいと考えております。最後にお聞きしたいのでありますが、これは法務総裁と文相にお伺いしたいのでありますが、現地の文化の姿であります。一体今の文化の、映画或いは街に氾濫しておるところの雑誌、殊に最近特徴的になつて来ておりますのは戦争物の復活であります。つまり戦争物、例えば太平洋戦争に取材したところのいろいろな体験談というような形で、それが出されておる場合もある。或いはちやんばらの復活というような形で実は出ております。こういうような傾向に対しまして、丁度これは日本の過去の姿を見ますというと、昭和七年頃にあの満洲事変に持つて行かれる前に、こういうような態勢が非常に出て来ておるのです。文化の中のエローグロ、そのエローグロを取上げて、その後に何が来るかというと、参こういうような好戰的なもの、そうして仁義、半七捕物帳のような仁義の世界、浪花節の世界、この浪花節的なもの、こういうものを日本人は失つていないということがありありと現在の出版界、或いは興行界、映画の姿、こういうものを見るときに私は指摘することができる。最近物凄い……これは吉田内閣の反動的な政策とも連関するのでありますが、それの一環においてそういうものが復活され容認されつつある。ここに戦争が挑発されるというような基盤が徐々に形成されつつあるところの姿を、私は過去の足跡の中からこれを発見することができると思う。民族はそこのところを一遍通つた、こういうことを考えるときに、この問題は軽々しく見逃すことはできない問題であると思うのであります。従つて法務総裁にお伺いしたいのでありますが、最近そのような、過度の何というか、この戦争物というような、いろいろ復活してるものに対して、一体法務府はどういうような見解を持つておられるか。それから文相にもこれに対して文教政策の上から、まるでこの平和の方向と、そして講和を促進するためには少しも役に立たないどころか、却つて反対にこれを遅らせるために役立つところのこのような傾向に対しまして、どのような政策を送行されようと考えておられるか。この点をお伺いしたやと思います。
○国務大臣(殖田俊吉君) 最近の出版界の傾向につきましては、私も非常に憂慮いたしておりまして、その点岩間さんのお考えと全く同様であります。併しながら、従来でありますればこれを取締るというようなことが直ちに考えられたわけでありまするが、新憲法下におきましては思想の自由、表現の自由というものは最も尊重されなければならんのであります。且つ又只今は新聞紙法も出版法も廃止をされまして、何らこれらに対しまして取締るべき法規の根拠を持たないのであります。然らば直ぐにそういう法規を作つたならばどうかというような考えも一部にはあるのでありまするが、これは軽々にいたすべきことではないと考えております。要は私は国民の良識を高め、国民の道徳性を高めることによつてこれを防ぐ外に途はないと思うのであります。その点につきましては、文部当局におかれましても十分にお考えになることと思います。私共は政府の内部におきましてはその方向に向つて一段と努力いたしたいと考えております。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 私も最近の出版界、映画界等につきまして、教育的見地から申しましても、甚だ好ましくないような傾向が相当著しく現われておるということは、全く同感であります。併しそれは私の目についておる著しい点でエロとかグロとかという方面の問題でありますが、御指摘になりましたような軍国主義的、或いは好職的な傾向が著しく出版界、映画界等に現われておるということにつきましては、私ははつきりした認識を持つておりません。若しそういう事実があるならば、無論日本は平和国家としての建設を目標としておる立場から言つて、これを極力排除しなくてはならん、ということは考えておるのであります。では文部省としてどういう対策があるのかということになりますと、文部省は無論教育の立場から教育を通まして、学校教育なり社会教育なりそういう機会を通して、あらゆるそういうエログロというものを排除する方策を考えて行くわけでありますが、御承知のように出版界でも倫理規定とか、又映画界でも倫理規定というものを自主的に相当にやつておるように思います。又今日の新聞では、相当著名な文化人が集まつて、兒童に悪い影響を與えるような出版に対して何らかの手段を講じようというような自主的団体もできるということであります。ですから文部省はそういう方面の自主的な団体の活動をできるだけ刺戟し勧誘し、自主的な立場で以てそういうものを排除して貰うということに努力して参りたいと考えておるのであります。
○岩間正男君 法務総裁の御答弁は、一応それは正しいのじやないかと思います。尤もこれは法務総裁にこの点をお伺いしたのは、或いは無理だつたかも知らんのでありますが、とにかく官僚統制的な点を廃止するということは、我々は確認して置きたいと思います。過去の職手前に思想統制、官僚統制というような形で、出版とかそういうような事に対していろいろな制限が加えられた方向については、我々はこれは賛成することはできないのでありますから、その点は飽くまでもその線は堅持して欲しいというように考えます。
 高瀬文相の御答弁で、戦争的なものに対して、これはそういうようなものについてのそれ程関心を持つていないというお話でありますが、この点はやはり一つの感覚の問題で、時代のむしろ感覚、その人の感覚の問題でありますから、それだけでは言えないのでありますけれども、併しこれは最近の輿論の傾向にも現われております。例えば二月頃の「世界」なんかを御覧になれば、そういうような点を十分に指摘した文献がある筈です。こういうものを御覧頂けば、はつきりそういう態勢が出ておることは、何も私達が申しておるのではありません、この対策の問題でありますが、以上私は約二時間に亘つていろいろな点からお聴きしたのでありますが、吉田内澗の文教文化政策、こういう政策について、やはり今日判断して見る必要があると思う。どうしても例えば入場税に現われた例を挙げればいいのでありますが、大衆の娯楽、参文化、こういうものに課税する。財源として取立てるという方面は非常に強調されておりまするが、これを大衆のそういうような設備、そういうよふな施設、そういうような方向にこれを使うという面においては、殆んど絶無的なものではないかというように考える。こういう考え方、そうして何らごこに積極的な文化文教に対するところの政策というものが打ち出されていない。こういうような基本的な政策が、いろいろな形を以て、或いは学生の生活の崩壊の問題となり、或いは育英資金が足りない問題となり、研究室がこれ以上やつていけない問題、エロ、グロの問題、教員の講習会が教員の苛酷な負担によつてなされておるという事ような杉、生徒の不良化の問題、あらゆるものがそういうようなところから私は出ておるというふうに考えるのであります。こういう点について、現在の形を維持して行つたならば、果して日本の文教、文化というものは正しいのか、今はつきり世界に公約しておるところの平和国家、文化国家どいうものを、基礎のある、かけ声ではないところの具体的な内容のある施策とじて、日常の我々の実践の中にはつきり築き上げるというような杉としてこれが確立されることはむずかしいのじやないか、こういう感想を、私はこの二時間の質問におきまして感じたのであります。以上私の最後の結論的なものを申上げて、私の質問を打切りたいと思います。
○石坂豊一君 私共先程来岩間君の明論卓説をよく謹聴しておつたのでありまするが、中には非常な意見を交えられた質問で、そのために答える方も非常に長い時間を費しておられることでありますが、私共は大雅量を以て今日まで伺つたのであります。ただ私は今それについて附加えて伺うつもりはないのでありまするけれども、岩間君の御質疑になつた中で、極めて私共も同感に感ずることはこの学術研究費に対する予算が相当盛られておりまするけれども、尚今日の学術振興のためには乏しきを感ずるような感を抱いております。又育英資金についても相当増額をいたしてあります。この内容について私調べたところによりますと、相当増額はされているけれども、それが教育方面に従事する、即ち元の師範教育の方に赴く人の学校の授業料を補足するという方に多く廻つて、真に育英資金に廻るというのが余り多額でないようにも聞いている。いずれにしましても、かような経費が多少にせよ乏しきを割いて増額されたということは、私共は喜ぶべきことと考えるのであります。たたこの上、より以上のことを希望するということは、今日は不適当かと思いまするが、政府はかくのごとき費用を育英資金又は学術研究費に廻しておきながら、極めて……私はこの際において、政府の所信を伺つておかなければならん必要は、最近新聞紙を見ますというと、旧制の高等学校を卒業して、旧制の大学へ行くという暫定的……、暫定的でない、経過的措置は今年を以て終りを告げる。然るにこの際において、その大学に進む生徒、学生は、大半オミットされてしまう、その学生の数は一万九千にも及ぶということを見ておつた。これは非常に憂うべきことで、育英資金までも出し、研究費までも出して、ぞれが若き学徒の研究心を十分に満足せしめて、国家の興隆を期さなければならん。この緊切な場合において折角養成した学生の行くところを遮つてしまうということは、これはどういうものです。他面において、各府県に大学ができているから、そこへ進むような方法も考えられるわけですけれども、そういう大学に対しては、高学年の学生を牧容する設備も何もない。一年生から入れて行かなければならんことになつている。そこへ三年生が飛び込んで行くということはできることじやない。どうしてもこれは旧制大学に收容しなければならない。かくのごとき大量の若い学徒を野晒しにして置くということは、これは又将来のため、又現在日本の文化興隆のために非常に憂うべきことであり、将来の日本を立つて呉れることには、かような人達が当つて呉れるのである。少年老い易く学成り難し、一寸の光陰軽んずべからずしと昔から戒めてある。若い時に学ぶ諸君の門戸を閉してどうなるか。文部大臣はこれらの学生を如何に門戸を開いて収容なさるお考えであるか。又これに対して何のお考えもないのか。又設備をしてかように跡始末をつけてやるというお考えならばそれを伺つて置きたい。私は多く問う必要はありません。この足下に起つておる眼前の事実を憂えるの余り特に御質問をいたすのであります。上実は本会議において緊急質問もいたしたいと思つたぐらいでありますが、只今文部大臣に対する絶好の機会と考えまして質問をいたしたい。どうぞ明らかにこの点を御答弁を願いたい。
○国務大臣(高瀬荘太郎君) お話がありましたように、旧制の高等学校というのは今年度で卒業生がなくなるわけであります。そうしてその学生が旧制の大学に入るという機会も今年でなくなる。旧制大学における生徒募集を今年で止めるという方針で行つておるのです。それで今のようなお話が起きるのであ力ます。その場合に旧制高等学校の卒業生は今年出る者だけでなく、今まで旧制を終えまして、旧制高等学校を終えて旧制大学へ入れない、いわゆる白線浪人という者も相当沢山残つておるというところから、果して全部が旧制大学へ今年收容し切れるかどうかという問題が前から心配されておつたわけです。それでこれは無論文部省として心配しなければならない。できるだけの方法を講じようということで、先ず今年度は旧制大学の募集人員というものを各大学にできるだけ拡張して貰う。今までよりも余計募集して貰おう、大学によりましては三割ぐらい余計募集をいたしております。それで少しでも余計収容をしよう、と同時に今まで旧制の大学は大体同じ日に一一斉試験をやりました。だからその一ケ所へ非常にまとまつてしまつたりして、それが入れなくなるということになる。それを何とか緩和する意味で今年は旧制大学を二つに分けて入学試験をやる。大学によつて先にやるものと後にやるものと二つに分ける。そうすると第一回の方で若し落ちた人は第二回の方でやれるという二つの機会がある。今までよりも機会が多くなる。それで或る程度緩和ができると考えたわけです。併しそれでも問いわゆる白線浪人というものが残るけれども、お話のように一万数千人はもう残りません。文部省の予定ではまあ五、六千人か、六七千人だろうと思います。それをじやどうするかということが今後又残る問題で、何人残るかということはまだ実は試験の結果が全部判明しませんから数がよく分りませんが、大体の見当は今申上げた通り来年も旧制大学を募集するということにするということになればそれは全部解消いたす。ところが御承知のように新制大学というものが去年から出発して、今年は二年ができて、来年は三年ができる。新らし新製学の学生がどしどし殖えておる。それで新制大学に対する講義もそれぞれどんどん多くなつて来ておるという関係から、旧制大学の学生を入れようとしましても施設の関係で非常に困難もあるし、先生のその受持つ時間の関係から言つても非常に困難が出て来るというところで、相当の困難があります。併しまあそれも検討をする、と同時にそういうことで旧制を又募集するということは困難であるとすれば、今度は新制が来年は三年ができます。ですから三年に連絡をするということになれば、年数から言つて少しも損することになりません。新制三年の募集人員を思い切つて一度殖すとか何とかして、収容人員を殖すということになれば授業の方から言えば混乱も、困難もなくなります。そういう方法も考えられるということで、今度の結果を見ました上で以て、来年度の対策を立てるということで鋭意検討をしておるわけでありますから、これをすつかり見放しちやつてどうでもしろというつもりはありませんので、適当な解決は策打つつもりであります。
○石坂豊一君 もう一、二点、只今の御答弁によりまして一応了承いたしました。併しこの入学試験によりまして外れた者が必ず鈍才はかりではない。入学試験で点数を取つた者が必ずよい生徒に限つたことでもない。高等学校の螢雪の功を積んでもう大学に入ろうという向学心のある者は父兄の中において非常な、先程岩間君も言われた通り学資を得るに困難をして、父兄も非常な困難辛苦をして向学心を満足さぜるようにいたしておる。又当人共もいろいろの仕事をやつたりして苦心をしておる。そういう目に余るような気の毒な学生が甚だ多い。かく申す私も或る育英事業に参画しております。その高等学校時代において優秀な生徒がどういうはずみかやはり試験において落第をしで来て、非常に悲しんで、行くところがないというて、路頭に迷わなければならないというような心配をしておる人も多数に見受ける。高等学校は決して完成教育とは言われぬのでありまして、どうしても大学まで修了せなければ学成つたということは言われないのであります。この点については大臣におかれましては、今の答弁においては御心配をなさつておるようですけれども、特にこれは深刻なる教育上の問題のみならず、社会問題であるということを考え下さつて、相当の解決策を立てて頂かれんことを要求いたして置きます。
○木村禧八郎君 この際法務総裁がお見えのようですから、御質問いたしたいと思うのです。昨日の予算委員会及び本日の本会議において堀議員からも質問がありましたが、実は国有財産の拂下げの問題に関連しまして、謀不動産株式会社社長の田村秀吉という人が、大蔵省の管財局長その他に対して饗応をした。そういう疑いによつて取調べを受けた。こういう事実がございますかどうか、この点お伺いいたしたい乏思います。
○国務大臣(殖田俊吉君) 田村秀吉と申す方の政令違反、追放令違反の嫌疑でありますが、告発が出ておりまして、只今捜査中でございます。詳しいことは申上げられません。
○木村禧八郎君 大蔵省の管財局長以下の官吏脅その謀不動産株式会社との関係において取調べた事実はございませんか。
○国務大臣(殖田俊吉君) 田村氏の件は政令違反の容疑で以て、只今捜査をいたしておるのでありまして、涜職等のことについては捜査をいたしておりません。
○木村禧八郎君 私の伺つておるのは、大蔵省の管財局長以下大蔵省の官吏を取調べた事実があるかどうか。
○国務大臣(殖田俊吉君) 田村氏が被追放者でありまして、追放者でありながら政治活動をしたということの嫌疑で今捜査をいたしておるのでありまして、恐らくお話の点は政治活動の相手方がそういう人々であろうということでございましよう。それらの点は今申上げます通りに捜査中のことでありますから、成るべく具体的にお聞き下さらないようにお願いしたいと思います。
○木村禧八郎君 ああ、そうですか。それでは差支があれば敢えて追及いたしませんですけれども、大蔵省の管財局長という役人か、官吏が、それとの関連において取調べられた事実があるかどうか、こういう点についても御答弁されることは差支あるのでございますか。その事実だけで……。
○国務大臣(殖田俊吉君) その問題は、告発されましたのは先月の終りのことであります。検察庁でどういうふうにして捜査しておりますやら、具体的に人を呼んでおりますやら、又書面上その他の捜査をしておりますやら、私からはつきり申上げられません。それから又たとえ調べられておりましても、それは政治活動の相手方でありますから調べられたりはいたしましようが、その調べられた方が共犯者であるとか、犯罪者であるとかいうことは全然別問題であります。
○木村禧八郎君 よろしうございます。
○田村文吉君 青木安本長官に二、三お尋ねいたします。
 一番先に伺いたいのは、関税改正の問題が交渉されておるようでありますが、どんなお見通しでございますか、簡単に……。
○国務大臣(青木孝義君) 関税改正と申しましても、御承知の通り関税の自主権というものは確立されておりません。従いまして個々の種目について只今検討はいたしておりますが、結論に達しておりません。今後尚十分検討いたしまして、その方針が定まると思いますが、只今のところではまだそういう状況であります。
○田村文吉君 私の知りたいことは、諸般の関係がありますから、簡単には御答弁もできますまいが、凡そ講和会議ができる前に関税改正がされ得るものと考えておるのですが、大体見当はおつきになつておりませんか。
○国務大臣(青木孝義君) これは御承知の通りガリオアやイロアで入つておるものが大きいのでございまして、従つてそういうもののあります限り、それらの物資については別に関税の問題は余り起つておりません。併しながら個々の物資についてどういうふうな程度に定めらるべきものであるか、定めたらよいじやないかというような問題については検討中でございます。従つて今はつきりここでいつ頃決まるというようなことは私から申上げられません。
○田村文吉君 私は古い昭和十年頃を申すのはどうかと思いますが、その時分における関税収入というものは所得税収入の七、八割を占めておつた。大きな財源であつたと思いますが、今年計上されておるのはほんの僅かしか計上になつておりません。今後日本の経済が自立して参りまする点から申しましても、相当に関税收入というものは見込まれてよかるべき筈のものである。それが今日まで延びておりまして、而もいつ頃になつたらそれが見当がつくということは今後の財政計画を立てる上からして重要なことでありまするので、今後政府といたしましてはできるだけ早く関税改正を合理的に解決されるように御懇請、なさるなり、或いは御交渉なさることを希望いたしまして、この問題はこれで打切ります。
○国務大臣(青木孝義君) お言葉のように我々も、できるだけ早く関税収入等が日本の財政の上に貢献をする、役立つというようなことも考えたいし、又そうあるべきだと思います。現在のところはそういうところまで行つておらないことは只今のお言葉の通りであります。お言葉のように我々もできるだけそういう問題が早く解決するように努力いたすつもりであります。
○田村文吉君 次に本年度の貿易の情勢は、予算書に概略書いてあるのでありますけれども、どういうお見込みでおられますか、実は我々は、政府も昨年言つておられたように今年は貿易が大いに振興されるものと期待しておつたのでありまするが、今の情勢から申しますると、いわゆる貿易協定でポンドの関係、或いはドル資金の関係等ですでに制約を受けておりますので、国内に品物が余つて参りましても、これを輸出する方途がないというようなことで現在の日本は、折角貿易を盛んにして失業者を救済するのだという昨年総理及び安本長官も盛んに言つておられました施策が、さつぱり実現されないような誠に窒息状態の感じがいたすのであります。これにつきまして本年度はどういうお見込みか、そういう障害がありますならば我々は何とかしてその途を開いて頂かないと、日本八千万の国民の今後の生活安定の上から言つても非常に困ることになるかと考えております。でありますので、貿易の見通しは大体どういうふうにお立てになつておるのか。従いまして三百六十円という円為替をお決めになりましたこの問題を御変更なさるかどうかということは、まだ長官からここで伺うことも無理なことで、時期でないと考えますけれども、ただ非常に困つた場合に為替レートを一つ引下げたらどうか。三百六十円を四百五十円にしたらどうかと、こういうことは一応考えられることでありますので、果してそうすれば輸出の方も大いによき影響を得られるか。そうでなくてレートは変つても今の国際情勢、各国との取引状況の大きな障壁があるのでできないのか。そうすると今後の輸出貿易というものに対しては大した期待は持てんのかどうか。この点を国民としてはひとしく不安に考えておるわけであります。で長官はそれに対してどういうお考えを持つておいでになりますか、率直に承わりたい。
○国務大臣(青木孝義君) 御承知のように昨年の十二月から今年一月にかけまして、自由貿易に一応転換したと、こういう姿であります。我も段々貿易の量が増加して行くということは、これはもうお言葉のように前々から強く主張もいたしておりますし、多くの期待を持つておる次第であります。御承知の通り二十五年度に対しまする我我の希望も、輸出におきましては大体六億ドル、輸入におきましては十億二千万ドル、或いは十億ドルと言つておりますが、そういう数字が実現することを期待いたしておる次第であります。併しながら――三月の関係から見まして、一月は予定通りには行つておりません。三千数百万ドル、それから二月が四千万ドルというように少し予定には達しておりませんけれども、併しながら大体ごの状態は好転して行くであろうというような希望と、もう一つは外貨の関係でありますが、協定貿易に基きましてドル、ポンド地域、スターリング地域との協定というもので、それの方式に従つて進んで参りましたけれども、ポンド等の外貨の不足というようなこどから、やはりドル関係に切換えるというようなことも多少行われておる次第でありまして、我々としては是非予定のように進行して行くことを念願しております。今のところでは大体予定の程度には、今年は輸出ができるのだという見通しでおりますが、これは将来の世界の景況というようなものに関連をいたしますので、確言はできないと思いますけれども、その点は期待をいたしております。殊に現在の日本の貿易では三百六十円の為替レートがどうか。ポンド等の闇値が大部下がつたというようなことから、これについての御心もいろいろあつたり、或いは又日本におきまする陶磁器の輸出等が大部困つておるというようなことを我々も承知をいたしておりますが、これは全般的に考えて見まして、やはり日本のは輸入が多いということが絶対的な事柄に属しておりますので、三百六十円は或いは多少高いというお考えもあるかも知れません。又そういう主張も多々あるのではありますけれども、我々はこの三百六十円の為替レートを、先ず維持して行かなければならんというふうに考えておる次第でございます。
○田村文吉君 為替レートは御変更なさるということを言明なさる筈もありませんし、それについては深く御追及申上げるわけではないのでありますが、今お話になりました輸入が十億ということでありますが、援助資金を除きまして本年度の予算は五億九千百万ドル、輸出が六億三千万ドル、こういう御計算に一応なつておるわけです。そこで而もこれの建値が輸入は四〇%FOB、それから輸出は四〇%IFにすると、昨年の勘定と建て方が違つております。そういう御勘定でこういう御計算が出ておるのですか。第一に伺いますが、一体この輸入のFOB四〇光、輸出のCIF四〇えというのは、実行でき得るお見込みでございますか。どういうふうになりますか。
○国務大臣(青木孝義君) 私共の考えとしては、大体それは実行可能なものであるというふうに考えておる次第であります。
○田村文吉君 船との関係はどうですか。
○国務大臣(青木孝義君) 船は今一つ問題になつております。御承知かも知れませんが、大体外航船というものを何とか考えなければならん。それには外国から船をチャーターするような方法で、運賃を引下げるというような問題もございますが、何しろ御承知の通り日本の外航船というものは非常に欠乏いたしておりまするし、従いまして造船を急いでおるというような形で、エードーソアンドもその方面に相当使われておるということであります。若しこの場合に我々は日本の造船と船舶の将来というようなものを考えますれば、いろいろこの際外国からも借入れることについても、そう無條件では持つて来られないというような問題も伏在しておりますので、いずれにしましても当面この貿易の上で、貿易外の受取勘定を増加するということについては、今後とも十分検討いたしまして、善処いたしたいと思つております。
○田村文吉君 要は現在日本に大変失業者が出ておる、どの救済問題は輸出貿易を盛んにして、国内の生産を高める。こういう点が昨年の首相及び長官の狙いであつた。国民も先ず一応納得して、さように向うべきものと考えておつたのですが、近頃行われて参りまする貿易協定の模様を見ましても、或いは又或る地方に対して、日本からの過去の輸出が多かつたために、輸入するんだということで、輸出を全部停止しなければならないような事態も起つておるのであります。誠にこの東洋方面に対する貿易の前途が実は暗い。この点について若し今のようにしてやられると、如何に日本の国民があがいても、もがいても、努力しても、結局窒息しなければならん、こういうことを心配するのでありますので、もつと明るい見通しがあるかないか。この点について私は伺いたいのが真意でありますから、若しそういう点について、こういう点でこうなつて、将来の輸出貿易というものは盛んになり、産業も興るというお見通しがはつきりお分りでしたら一つお知らせを頂きたい。
○国務大臣(青木孝義君) 今御質問の、それでは大きな明るい見通しが当面にあるかどうか。こういう御質問でございますが、これは今取り立ててこれが明るいとはつきり申上げるわけにも参りませんが、御承知の通り協定貿易ということを前提といたしまして、尚未協定国との間に段々協定を結びつつありまするし、又協定国が増加しておるような状況でありますし、又東南アジアにおける後進国の開発計画というようなものも睨み合わせまして、日本の輸出もそれに俘つで増加しなければならんということでありますが、今日本会議でも一応御答弁をいたしたのでありますが、何しろ日本の現在の輸出貿易に対する合理化の進行過程というものを見ましても、戦前におきましては我が国の軽工業、特に繊維貿易は極めて著しい功績を残しておりますが、現在日本は、戦争後におきまして相当に技術の点で遅れておるというようなことから考えて見ましても、鉱工業製品における技術的な改善が必要であるし、又輸出されておる現状から見ても、技術の改善、設備の改善、近代的な設備が必要であるというような諸條件がございますので、これらを漸次充して行く過程でございますし、なかんずくこの軽工業から重工業に推移して行く過程というものが相当困難であるということは、我々もよく考えておるところでありまして、いずれにいたしましても、この移行過程をうまく切り抜けながら、明るい見通しを立てて参りたいというのが我々の希望でございます。
○田村文吉君 今の問題ですが、ややもすると、国内の産業の合理化が足らないとか、技術が幼稚であるというようなことで、国内を攻められるような傾きが過去においても非常に多かつたのでありますが、私はそ写考えませんので、もつと自由に商売ができるようにさして頂くようになれば、又自由に日本の国内の船で運べるようになれば、又自由に各国の障壁というものを取除くことができるようになりますれば、おつしやるまでもなく日本の経済は合理化して、どんどん進んで行き得るもので、何ら心配ないと、こう考えておるのですが、この点は見解の相違でもございまするので、深く申上げません。
 次にお伺いいたしたいのは、物価の見通しなのでありますが、今大蔵大臣は、又経本でも物価は横這いだということの一応の御説明で、現状は大体分のでありまするが、今後経本の長官としては、物価は一体自然と下つて行く傾向を助けて行こうというおつもりでありますか。併しいわゆるデイス・インフレであるから物価は下げないで、このままでずつと行く、いつまでも行く。併し或る時期が来たらデノミネーシヨンでも何でもやらなければならん。こういうことにお考えになつておるのか、或いは五ケ年先の計画がお立てになれなければなれないでよろしいのですが、一体物価に対してはどういうお見通しをお持ちになつておられますか。この問題は今後の失業者対策に非常に大きな問題を持つておるのであります。で長官として物価の見通しはどういうふうにお考えになつておられますか、伺いたいと思う。
○国務大臣(青木孝義君) この問題は昨日木村委員から大蔵大臣に御質問があつたということを記憶いたしておりますが、我々が経済安定本部として物価の将来について考えておりまするのは、申すまでもなく我々がこれまで吉田内閣として主張して参りましたディス、インフレの線を守つて行きたいと、こういうのであります。現状から見まして、いろいろ物価が下りつつあると、こういうことでありますが、昨日も問題になりましたが、一方におきましてこの価格差補給金等がございます。これを漸次削減して参りまする方針でありますが、重要物資について、残つておるもの、そういうものがやはり価格差補給金を削減いたしますれば、おのずから幾らかでも上つて行くということを考えます。又個々の価格につきましては闇価格と画価格というものの、全くこの何と言いますか、不自然な形と言いますか、闇価格が非常に下ると、そういたしますと画価格におきましてもそれを自然に下げるとか、或いは又統制の撤廃に伴いまして、その調整を図つて行くというような過程にありますので、恐らく今の価格におきましては、そういう凸凹があることを認めなければなりません。併しながら、我々が全体の物価体系、並びに物価というものから考えて参りますれば、そこに多少の凸凹もございますけれども、大体において、横這いの状態を保つておると、こういうまあ説明を申上げておるのであります。併しながらCP工の問題であるとか、CPSとか、そういうこの統計の上で多少下り気味である、こういうことは言い得ると思いますが、ともかくも我々はそこにできるだけ調整と均衡を保つて行きたいという考で臨んでおります。なかんずく日本のこの失業問題というものも考えなければなりませんし、又これに対応した処置もとらなければなりまませんということは、我々の考えの中に勿論入つておりますし、又当面の問題で、例えば私鉄の問題で、運賃の値上という問題もございますが、これらも上ることによつて、どの程度一般物価ゐ上に影響があるかというようなことも、只今やつておりますが、そういう点から見まして、大した大きな我々の予想から開きがないというふうに考えておる次第でございます。尚将来の物価につきましても、現在の状態を辿りながら、日本経済の進行過程に応じた措置をとつて行かなければならんということは、勿論我々の配慮の中にあるわけでございます。五ケ年計画とか或いは三ケ年計画とかいうようなものは、我々の想定の中に置いてないというわけではありませんけれども、ただ復興五ケ年計画というものは一応発表をいたしてお事りません、従つてそういう御質問も出たであろうかと思いますが、ともかくも我々は見通しのできる一、二年先の状態というものを考えながら、作業を進めつつある状態でございます。
○田村文吉君 私は現在の問題はいいです。現在横這いであるとか、現在デイス・インフレであるとか、デフレで、あるとかいう見解はいいですが、私は、大蔵大臣に伺い、あなたにも伺つて非常に淋しく感ずることは、日本の大事な財政を握つていて、経済安定の本を握つていらつしやる大蔵大臣とあなたが、一体この先物価はどういうふうに、なるんだという見通しをつけて、それに対する方針ですね、それを少しもお考えになつていらつしやらないということは、実に私は淋しいのであります。又国民としても悲しいのであります。で、一体これはアブノーマルに今とにかく上つておりますね、昔の値段に比べたら。一体これはずつと自然自然と、去年よりは今年、今年よりは来年と、物価というものはじわじわと下げて行くべきものとお考えか、そうでなくてレベルを持つて行つて、或る時が来れば仕方がないからデヴアリユエーシヨンでもデノミネーシヨンでもやらなければならんというお考えなのか、それを、御方策が立たないで政治をなさるということは、私は無理じやないかと、こう考えるのですがね。その点についてどうお考えになつていらつしやるのか、多分そうなるでしようから、なつたらなつた策をするというのでは、これは政治じやない。だからどうしても将来はこの収まりはこうつけたいつもりだ、併し諸般の事情によつてできないかも知れんけれども、何かそこに目標というものがおありになつてよろしいんじやないかと、こう考えますので、先ず物価についてはこの先どう收めて行くおつもりであるのか、まあ経済安定本部長官というわけですから、一つその意味でも見当だけでもおつしやつて頂きたい。
○国務大臣(青木孝義君) これは御質問の内容については、なかなかむずかしい問題でありまして、御承知の通り世界経済というものと、日本経済というものを切り離して考えるということは、全く今日のところはできないどいうことと、もう一つは日本経済の復興再建というリミットがございまするために、いろいろと複雑であるということは御承知の通りでありますが、我々が現在のこの復興の状態から見まして、どうなつて行くかということを、私の一応考え方から申しますれば、勿論この通貨の切下げ、そういうような問題も考えの中にありましようし、又どう処理したならば一応その目的が達成されるということもございますけれども、先ず我々は一応当面の問題として、これがこの通貨の安定、通貨価値の安定ということが一応考えられる。然らばです、それに伴つた更に生産というものが対象になつて来なければならん。その生産ということを考えますのに、御承知の通り日本の自立経済ということを一口で申しますけれども、現在のところではともかくもこのカウンター・パート・フアンドというようなものに頼つていなければならんとか、或いは日本の過去の経済、自立経済が行われておつたと考えられる過去の経済におきましても、非常に輸出入の関係におきましてはバランスがとれない。結局貿易外の受取勘定とか、支拂勘定のバランスはともかくこのいつでも貿易の欠点を補つていたということも御承知の通りでありまして、従つて日本の今の物価の見通しから見てどうするかという問題になれば、これは余程先の見通しを樹てましてやらなければなりませんが、何しろ現状としては、これを調整して行くということが、なかなか大きな困難な問題あります。殊にインフレが一応収束した、そして安定の軌道へ乗りかけて来た。こうなつておるような状態でありますので、なかなかその見通しを簡単に申上げてそれで御満足が行くというような答弁はできにくいと思います。又我々としましても大体現状から見まして、できるならば日本の円が昔のような、例えばドルに対して二円六厘とか、或いはポンドに対して九円七十六銭三厘とか、そういつたような時代を考えれば、恐らく切下げたらそうなるだろうと、そういうことも考えますが、要は根本的には生産の上昇と市場の関係というものを考えなければならんのだと私は思います。そういうことでありますので、今直ちにここで田村さんの御希望通り、御満足にお答えするということができないというのは、今申上げたような理由であります。
○委員長(山田佐一君) お諮りいたしますが、明日ずつと安本長官に……。
○木村禧八郎君 物価の点だけです。簡單に……、今の田村委員の御質問に対する安本長官の御答弁を聞いていますと、もう非常にはつきりしていることをごまかしで御答弁になつているように思うのです。と言いますのは、大蔵大臣は財政演説で物価は今後下げて行きたいということがはつきり出ているのです。財政演説で言つています。これは御承知の通りだと思う。ですから今後は物価を下げて行くという方針であるということはもう明らかだと思うのです。財政演説で言つておる。それからもう一つ事実としては三百六十円で為替相場が非常に円高になつて来ておるから好むと好まざるとに拘わらず国内物価を下げなければ輸出ができない。こういう状態になつていることをもうお認めだと思う。これは現にそうなんです。現にうんと下げなければ輸出できない状態です。従つて今後物価がインフレ政策をとらざる限り、殊に安本長官も言われている通り、生産を殖やして行くという、そうすれば物価は下らざるを得ない。ですから今後は物価は低落の方向を迫るであろう。今の政策を基にすれははつきりそうなるのです、それをですね、その事実を下るか下らないか分らない。そういうような御答弁では対策の目標がないと思う。問題は下つて行くことははつきりしているのです。この今の條件によるとただこれを、物価をこれから段々下げて行くのか、その下るのに任して行くのか、それで最終的安定に持つて行くのか、或いはデイス・インフレというものは物価を上げるかも知れない、下げるかも知れない、現状に安定するということであるから、物価が低落すればそれに対して、物価が低落しないように有効需要を殖やして物価を上げる政策をとらないか、この点を田村委員もお尋ねだと思う。私もこれ程はつきりしていることに対して、只今のいろいろな條件を並べて御答えになりましたけれども、この点はもう非常にはつきりしているのですから、簡潔に結論を一つお伺いいたしたいと思う。
○国務大臣(青木孝義君) 物価を下りつぱなしに下げる、こういうことであればですね、御承知の通り滞貨の問題等もありますのでこれはどんどん下げたらいいじやないか、あるものはどんどん安くつても高くても出してしまえばいいじやないか、こういうことの簡単に言えば結論になる。併し有効需要を増すというあなたのお言葉のように、日本経済全体としてこれを考えて行きます場合には、下がれば下りつぱなしでよい、こういう考えではございません。やはりそこに全体としての調整が考えられなければならんと思います。例えばいろいろと御質問がございましたように、失業者をどうするのだ、或いは又直接投資したらどうか、そういうような問題がございますから、或いは又千二百億の債務償還をどうしたらよいか、こうしたらどうだというような御意見、又我々がいろいろ苦慮しております点等から考えましても、物価がいくらでも下ればよい、下りさえすればよいのだと考えてはおりません。従いましてそういう意味から漸次下りつつある。併しながら下りつつある価格のものも沢山ございましようけれども、それは例えば闇価格が下つた、それならば闇価格が少し下つて来たからと言つて直ちに統制の面におきましてもこれをそのために撤廃するということには行つておりませんし、又そういうようにも考えておりません。やはり問題は有効需要の問題もございます。又失業対策の問題もありまするし、我々としては木村さんのおつしやる通り段々下つて行きさえすればそれでよいのだ。そういうふうには考えておりません。
○木村禧八郎君 只今お伺いしますと国民経済を或る一定の水準のバランスを保つて、恐らく政策を建てる場合の目標は個々の価格ではなくて物価水準だ。物価水準であれば、何を目標にするかと言えばCPIですね、これを目標にするより仕様がない。公定価格の上るものもあり、或いは闇で下るものもあると言いますけれども、物価水準を目標にして国民経済のバランスを考える必要がある。そのCPIは下りつつある。それで只今安本長官の御答弁ですと、それは下りつつあるということを御答弁になつていながら政府は物価は横這いだ、これは矛盾しておる。それじや下りつぱなしでいけないというならば、それに対して有効需要を殖やす政策をとつておられるか、逆なことで債務償還は有効需要を殖やしていない、国民経済を奪つて銀行の貸出しに向けてしまう。銀行は金利の状態から貸出をしない。そこで金が詰つて有効需要が殖えない。殖やす政策をとつておらない。それから公共事業費その他で金が殖えても、あれは国民から税金をとつて他に購買力が移動するに過ぎない。そういうような形はちつとも有効需要の増加にならない。ですからそこは矛盾しておつて割り切れない。この点物価水準の問題ですから……。
○国務大臣(青木孝義君) 木村さんのおつしやいますのは、日本の統制経済、計画経済が厳格に行われておる。そういう場合において物価は釘付けである。そういう意味で或る程度に物資が……定められた前提の下に、御議論が立つておるように思われます。従いまして現在御承知の通りに日本の今自由価格になつておるものも相当ございますし、又統制を撤廃して参ります過程でありますので、その間における多少の動揺は免かれません。絶えずダイナミツクな状態というものは経済界の法則でありまして、極端に下つた、極端に上つたという場合における我々の配慮というものがそこにあるのでございまして、やはり木村さんのおつしやるようにきちつとそこについて行くということは、これは理想としてはその通りでありますけれども、なかなかそういう時期は恐らくなかろうと思う。比較的下つておる、比較的上つておる、こういうので或いは極端にインフレであり、極端にデフレである、こういうような関係的な言葉であつたり、或いは表現の仕方における言葉が適正でないかという問題があるかも知れませんけれでも、我々としまして極端に動揺するというような状態は好ましくない。できるだけそれは狭い範囲の動揺であるというようなことを経済的には考えて、そうしてデイス・インフレといつた言葉が使われておるものだと自分は了解しておりますので、そういう意味で申上げておる次第であります。
○田村文吉君 閣議に出られますのを押さえておつたのですが、この問題は私まだデイスカツシヨンのあれがあると思いますから、明日でも一つ……。
○木村禧八郎君 あと一つだけやつて終りにします。私これで止めようと思つたのですが、私は物価水準を計画経済の下における物価水準に関して質問をしておる。こういうような非常にこじつけたような答弁があつたのですが、それはそうじやないのです。それは誤解のないように、無論私達は望ましいと思つておるその方が……、けれども実際問題として実際政策を論ずる場合、或いは計画経済に持つて行くといつても持つて行けない。現実に立脚する場合には、現実論から出発して御質問をしておるわけです。それは現在が蓄積過剰になつておるという問題なんです、蓄積過剰の問題です。要するにケインズの理論によれば蓄積過剰の場合は、そういうデフレ的になつて行くのですから、そのときの物価水準は下つて来る。この問題を言つておるのであつて、いわゆる経済バランスのことを言つておるのであります。ですからそういうように曲解して答弁なさることは、これは安本長官らしくないと思います。物価水準がきちつと安定しで動かない、これは理想かも知れませんけれども、そういうようなふうに一般論の実際問題を論じておる。織物はどんどん下つて生産者は倒産しつつある。そういうことを問題にしておるわけですから、先程の御答弁には賛成できない、もう少し真剣にこの物価の問題はやつて頂きたい、ただ答弁のために答弁するというのではなくて、今後の日本の経済再建なんかをどうして行くか、今の現実の物価の動きというものに立脚して、真剣なまじめな御答弁を要求いたします。
○国務大臣(青木孝義君) 木村さんのお説ではございまするが、決して不まじめに押付けたり、或いは議論を議論とするような考えで申上げておるわけではないのでありまして、実は私も真剣にお答えを申上げておるわけであります。勿論今おつしやるCPIを基準として、我々のところでは大体今統制は段々外して、自由経済への移行過程にあります。併しながら物価の問題は極めて重要であります。物価庁の機構等も、或いは人員を減らすとかいう問題が今出ておりますが、それにも拘わらず我々はこの物価の問題、物価の調整という点には非常に重点をおいております。従つて決して疎略に考えておるわけではない。これはもうおつしやる通り消費者の立場というものを強く考えております点は、特に経済安定本部としても物価庁の方の立場としても、その点が明瞭であると思います。それでありますので、この物価がどういうふうに調整されて行き、そうして生活関係並びに国の生産というようなものの状況と、そうしてその結果どういうふうに調和が保たれて行くかということは極めて重要でありますが、決してこれを軽く考えたり、ただ議論のための議論として相手を説得するということだけに私は考えを置いているわけじやありません。併しながらこの物価が多少下つて行くものもある、それから又上るものもある。こういう状況であります。昨日説明がありましたが、全体として百七十に上つたり、百二十八の程度に下つたり……、そういうことは始終現在行われておるのでありまして、そういうことを無視して申上げておるわけではありません。我々は下つたものを下らないと言つておるわけでもないし、この間も御答弁申上げましたようにフイツシヤー方式の転換といいますか、世界の情態によつて変つて来た、趨勢がそういうふうに変つて来たので、日本も変つたというようなことは木村さん御承知の通りで、決して我々が政策のためにそういう転換をしているとか、変えておるとかいうようなわけてもありません。故意にそういうことをやつているわけではありませんので、この点は一つ御信願を願いたいと共に多少価格において下るものもありますし、物価水準、物価体系として見ましたところで、そう極端に下つておるということは、即ち現実の問題としてお言葉のように繊維類が相当投売りされております。外国貿易の点におきましてもこの価格が下つたらよろしい。それは合理化をやつておりますから、その生産コストが下るということが狙いでありますけれども、それが却つてダンピングになるというような問題にもなり、おのずからそれに対する制約がない。又税の問題とか、或いは財政的な問題、それに金融的な措置、いろいろと考えながら今案行いたしておる最中でございまして、その物価の点からのみいわば皺寄せさせてのお言葉のように聞えましたので、只今申上げましたような御答弁を申上げた次第であります。若しここでお気に障つたような点がありましたら御容赦願います。
○委員長(山田佐一君) 次にお諮りいたしたいことがございますが、理事高橋龍太郎君から理事の辞任を申出られております。これを許可することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山田佐一君) つきましては高橋龍太郎君の補欠として伊達源一郎君を指名いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山田佐一君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。
○木村禧八郎君 地方税法の実施時期についてこの前伺つたところが、大体四月一杯に実施できる。こうはつきり御答弁があつたのです。ところが本日のラジオ放送でも政府は大体六月一日頃実施の予定である。こういうことを言われた。そうしますとこれは相当問題になるのでありまして、この前選挙と関連して、どうも選挙対策としてそういう実施をずらしておるのではないかというような疑問もあつた、又そういう質問もあつたのです。ですから明日本多国務相に来て頂いて、その点について尋ねたいと思うのですが……。
○委員長(山田佐一君) 午前中総理も見えますから、本多国務相にも要求しておきます。
 それじやこれを以て散会いたします。
   午後四時五十九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     山田 佐一君
   理事
           内村 清次君
           岩木 哲夫君
           田村 文吉君
           堀越 儀郎君
           岩間 正男君
           木村禧八郎君
           岩男 仁藏君
   委員
           木下 源吾君
           和田 博雄君
           羽生 三七君
          池田宇右衞門君
           石坂 豊一君
           岡崎 真一君
           小林米三郎君
           城  義臣君
           團  伊能君
           堀  末治君
           赤木 正雄君
           井上なつゑ君
           西郷吉之助君
           伊達源一郎君
           玉置吉之丞君
           藤野 繁雄君
           帆足  計君
           松村眞一郎君
           川上  嘉君
           藤田 芳雄君
           小川 友三君
  国務大臣
   法 務 総 裁 殖田 俊吉君
   文 部 大 臣 高瀬荘太郎君
   国 務 大 臣 青木 孝義君
   国 務 大 臣 増田甲子七君
  政府委員
   検     事
   (検務局長)  高橋 一郎君
   大蔵政務次官  水田三喜男君
   大蔵省事務次官
   (主計局長)  河野 一之君
   大蔵事務次官
   (主計局次長) 石原 周夫君
   大蔵事務官
   (主税局調査課
   長)      忠  佐市君
   文部事務官
   (初等中等教育
   局長)     稲田 清助君
   文部事務官
   (大学学術局
   長)      剱木 亨弘君
   経済安定事務官
   (動力局長)  檜岡 尚士君
   経済安定事務官
   (物価庁第四部
   長)      菅野 宗吉君
  説明員
   文部事務官
   (大学学術局教
   職員養成課長) 玖村 敏雄君