第007回国会 文部委員会 第11号
昭和二十五年三月十七日(金曜日)
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 委員の異動
一月十四日委員岩本月洲君辞任につ
き、その補欠として森田豊壽君を議長
において指名した。
一月十六日委員森田豊壽君辞任につ
き、その補欠として岩本洲君を議長に
おいて指名した。
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 本日の会議に付した事件
○学校教育法の一部を改正する法律案
 (内閣提出)
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   午後三時五分開会
○委員長(山本勇造君) 只今から文部委員会を開会いたします。学校教育法の一部を改正する法律案につきまして、前回に引続き質疑を行うことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本勇造君) 御異議ないと認めますから、さように取計らいたいと思います。
○河野正夫君 第五十條に次の二項を加えるというところに「高等学校には、前項の外、養護教諭、助教諭、技術職その他必要な職員を置くことができる」とあるのでありますが、学校教育法によつて小中学校には養護教諭を置かねなばならないことになつておる思います。特に高等学校には置くことができるとした理由を承わりたい。
○政府委員(稻田清助君) 養護教諭は、小学校、中学校には置かなければならないという現状の規定でございますけれども、現在といたしまして養護教諭の養成がなかなかこれに伴わないような状況でございますので、実質上非常に多くの学校を兼務して置かなければならんといつたような状況にあるのでございます。そういうような次第でございまするし、我々といたしましては養護教諭を必要といたしますることは、むしろ高等学校よりも小学校、中学校というような低学年のほうにその必要が多いと考えておりますので、今直ちに高等学校に対しまして養護教諭を置かなければならないということは、実情から見ますると、余りに高い理想のように考えますので、置くことができるといたしまして、実際問題といたしまして極力これが養成売笑というような点に力を入れて参りますのが、最も今の実情に適したものと考えてこういうふうにいたしたわけでございます。
○河野正夫君 今のお説は一応尤もに聞えるのですけれども、文部省の今までいろいろな法案に示した態度から見ますると、聊か腑に落ちない点があるのです。例えば教職員免許法というようなものにおいては、高い理想を示し現実を調和して聊か低調ならしめることが必要ではないかというような輿論も無視して、強行突破しようというような傾きさえある。ところがこの養護教諭の点についてはむしろ現状とその養成の困難さというようなものから論を進めて、必ずしも置かなくともよいというふうに言われる。その点で小学校にも中学校にも養護教員を置かなければならんことになつておつて現実に置かないでおる、それと同じような意味で高等学校にも置かなければならないことにして置かないでおくこともできようではないかと思うのですが、(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)その点は如何ですか。
○政府委員(稻田清助君) お話のように小学校、中学校に対しまする学校教育法の規定が或いはむしろ理想に過ぎるのではないかと考えております。これはその当時の予測と多少違いまして、保健婦、看護婦の養成に関しまする規定がその後改正されておりまして、先程お答えいたしましたように、非常に長い年数をかけて養成するというようなことになつております。従いましてこうした資格を前提といたしまして、免許状を付與すべき養護教諭というものを急速に充実いたしますことが非常に困難な状況にございます。そうして小学校、中学校におきましては、こうした養護教諭の活動によりまして衛生保健の養護という面を徹底する必要が非常に濃厚でございますけれどもだんだん高等学校程度に高学年に準行いたして参りますると、保健体育の強化、或いは理科におけろ生理、或いはその外の教科及び教科外の生徒活動等におきまして、生徒自体が自主的に保健衛生を充実向上するという働きに俟つ点か非常に多くなつて参ります。もとよりこの面における養護教諭の職能の重要性もあるのでございますけれども、事の順序軽重というような点から考えますると、まだ高等学校におきましては、小学校、中学校と一段階を画してもよい理由があると考えられるのであります。
○河野正夫君 これはやはり一般的なことになりますが、一般質問をかねてやることになることだと思いますので、ついでに一つお伺いしたいと思います。この四十條において定時制の課程について定義を定めておるのです。ところが定時制の教育については、この定義をすつきりするというだけではなくして、これは、その充実にあるのでありますが、例えば定時制のうち、特に地方の高等学校が分校を置いて、そこで定時制の教育を行うというようなことが可なりに行われております。併しながら例えば北海道には非常に遠距離に分校がある、そのために本校の方の教職員を充実させて分校に配置するか、乃至は定期的に配属せしむるというような必要が可なりあるのであります。そこで定時制の本当の効果を上げるためには可なりの人員並びに設備、経費を要する。然るに伝えられるところによると、来年度においては定時制課程の職員に対する、職員給與の国庫負担というものがなくなるのであります。そうして二十五年度に関しては、四割の給與補助を平衡交附金のうちから支出されるようでありますけれども、併しこれも必ずしも紐がついておるのではありません。従つて地方でこの平衡交付金を定時制課程の面に使わなくても文句が言えないという状況にあるのであります。更にこれが二十六年度以降になれば、何らかの法的措置をとらない限りは、定時制教育というものは全く地方自治体にのみ委されてしまう、或いは私立学校法人にのみ委されてしまう、こういうことになる。御承知の通りこのデフレ強行下、今非常に学生生活が函難になつておる、高等学校においてもアルバイト学生が非常に殖えて来ておる。しかのみならずその学生が非常に定時制の方面へ転ずるという数も多くなつているのです。この際本来からいえば定時制の教育は義務制にするくらいの理想を持たなければならんものだと思うのでありますが、まあそこまで行かなくても何らかの意味で国庫補助を必要とすると我々は考えております。この点についてシヤウプ勧告なり或いは平衡交付金の制度が行われる際に、文部省はどういうふうな考えを持つておるか。定時制課程の保護奨励のために、如何なる策をとろうとするか、これを念のために伺つて置きたい思います。
○政府委員(稻田清助君) 定時制課程に関連いたしきする教員数は、昭和二十四年の六月一日現在におきまして、專任教員が一万三千四百五十人というような数字を得ております。この專任教員に対しましてこれは国庫補助は本年度は一万四千人として、いわゆるA補助金で推算しております。このA補切金は平衡交付金のうちに入つて参りまして、平衡交付金の運用という点につきましては、文部省としては先づ第一に義務教育費を確保するというよう趣旨で、義務教育課程に対しましては特別の法的措置を講ずるのでありますが、高等学校等に対しましては一般の財政需要費算定の尺度を財政委員会において作りまする場合に、十分文部省として意見を申入れまして、定時制課程の水準を維持するように努力いたしたいと考えております。
 尚いわゆるA補助金として算入せられた分につきましては、平衡交付金法におきまして、国家が特に国家的の見地から見て、法令等によつて或る規模、内容を維持することを必要とする要請につきましては、財政委員会に対して申入れますることができるというような規定もございますので、従来までの沿革でこうした特殊の補助金を以て維持して参りました定時制課程の教員費の支出というような点につきましては、その條項によつて注文も付け得られることだと考えております。ともかくお話のように勤労者青年を対象とする定時制課程の充実拡充というような点は、義務教育に次いで我々といたしまして大事な問題だと考えておりますが、明年度の平衡交付金の運用につきましても十分その点は努力いたしたいと考えております。
○河野正夫君 もう二、三点質問さして頂きます。この法案の二頁の最終行「第八十三條第一項中「教育」の下に「(当該教育を行うにつき他の法律に特別の規定があるものを除く。)」を加え、同條第二項中「各種学校」の下に「その他第一條に掲げるもの以外の教育施設」を加える。」こうあるのでありまするがこれを改正案を読んでみますると、結局各種学校や、その他第一條に掲げるもの以外の教育施設はいずれも第一に掲げる学校の名称を用いてはならない、こういうことになるのであります。各種学校が小学校とか、中学校とか、大学とかいう第一條の規定に係わる名称は用いてはならないということは分りまするが、その次その他第一條に掲げるもの以外の教育施設も又大学等々の名称を用いてはならない、こうなりますると林間大学とか、夏期大学とかというような教育施設は、あれは大学という名称を用いているので、第一條に違反する……、この八十三條第二項に該当して、その名称を用いてはならないものが用いているこういうことになるだろうと思います。その点如何でございますか。
○政府委員(久保田藤麿君) 御指摘のように現行法だけで行きますと、第一條のその関係に入らないということだけで、そうした名称の使用禁止の規定からはずれて行くような今のところ実態になつておりますので、この教育施設を或る程度の物指へかけてその物指の限度で、そうしたものかたまたま第一條の枠に入らぬということのために、勝手な真似ができるということのないようにして、各種学校は各種学校としての責任からこの分野をはつきりして置く方がいいのではないかというふうに考えておりますが、これは先般御審議を頂きました私立学校法がこの十五日から施行になつておりまして、地方の私立学校審議会、私立大学審議会といつたようなところに、そうしたことの、いわば認定関係を一切お委せするよつた形になつて参りますので、特にそうした形をこの際法律的にははつきりしておいて、たまたまその物指についての決め方をどうするかということが、かなり問題に相成るのだと考えております。ところがこれは従来としてもそれならば一応はつきりした物指を決められるものなら法律的にも、又場合によつては必ずしも法律でなくてもそうした規定を設けようといつたような御要望は、地方にかなりあるのでございますが、事実その学校の種類なり、又その土地なり、又そのときによりまして、かなり嚴絡に考えなければなりません。又そういう融通が或る程度きくことにおいて、又各種学校の意味があるのでございますので、抽象的形では或る程度のことは示せろかと思いますが、又厳格に物指を決めてしまうこと自体は、私立学校法の趣旨として狙いました地方のそうした審議会にお委せし、又そうしたところの認定を尊重しなければならんというような考え方に根本的に背馳しますので、一応抽象的でありますがそうしたときの認定に間に合うような程度の物指、極く大まかに申しまして、例えばその教育が公衆的に行われるものとか、一定の教育計画に従つて一つの関連性の下に教育がなされるといつたようなもの、校庭、校舎、校具その他必要な設備を持つているもの、教員数、生徒数において或る程度の規格を特つておるといつたようなもの、一定期間継続して行われるといつたようなもの、教育が反復、継続して行われるといつたようなこと、まあこうしたようなことを抽象的に選び挙げるといつたような程度で、この枠を決め得るかと考えておりますが、時にそれから進んで聞こうした種類のものは認定の中には入らないとか、こうしたものは入れて貰つては困るといつたようなものまでは実は入りかねると思つておりまして、そうした教育の枠を一応地方のそれぞれの審議会にお委せするということで、濫立或いはそのために起きまする混乱ということを避けるようにいたしたいと考えておる次第でございます。
○河野正夫君 御説明がどうも画然としていないのでやや不満でありまするが、要するにここのその他第一條に掲げるもの以外の教育施設というのは社会通念上簡単に教育的な何かをやつておるというものを悉く指すのでなくして、或る特定のものを指すと、而もそういうふうなことについては私立学校の審議会等々で、相当議を練つて混乱を起さないようにするという御意思のように了承したんですが、それでよろしうございましようか。
○政府委員(久保田藤麿君) 具体的なものを押えるということが可なり附難でありますことと、一般的に全国に共通するような意味でそうした形を作ることが困難であるということを申上げましたのと、地方のそうした審議会がこれを認定をなされるについて必要であると思えるような基準的な性格のものを、非常に抽象的ではありますが、それ以上は示されないといつたような限度まで努力しましてそういつたものをお示して、具体的な認定をお取計い願いたいと、こういうように御了承願いたいと思います。
○河野正夫君 然らば要するに、ここにいう教育施設についての何程かの基準というものの説明を、文部省として責任を以て示すと、こういう意味のことを今御説明があつたわけでございますか。
○政府委員(久保田藤麿君) 只今申上げましたように、非常に抽象的な限度ではございましようが、そうしたものはぜひお示ししまして御参考に供したいというふうに考えております。
○委員長(山本勇造君) 外に御質問はありませんか。
○鈴木憲一君 六十八條の二の項ですけれども、大学の名誉教授に関する件ですが、これは何程かの基準を定める必要があるのじやないかというような意見が大分あるようでありますが、こういうことに対して、当局の御意見は如何ですか。
○政府委員(剱木亨弘君) 法律といたしましては、大体各大学の自由に認めるという立場をとつているのでございますが、実際これを行います場合においては、各大学間で恐らく国立大学でございましたら、国立大学相互間におきましてお互に連絡をとりまして、大体これにどういつた基準を與えるかといつたようなことを申合せで作つて実施する、こういうふうになると考えております。
○河野正夫君 第六十八條の二の「名誉教授の称号を授與することができる」という件についてでございますが、ここに多年勤務した者であつて、更に教育上功績のあつた者、この二つの條件があり、更に当該大学の内規による、こういうふうに三つの條件があるわけごありまするが、これは教育上、特段の功績があつても、多年勤務しなければならないものであるかどうか。更に又教育上、学術上の功績はそれ程でないけれども、まあ普通よりもやや優れている、併しながら非常に多年勤務したというふうな場合でもよろしいかどうか、こういう点についてもう少し詳しく御説明を願いたいと思います。
○政府委員(剱木亨弘君) 今御質問の個所につきましては、この大学の名誉教授たる要件といたしましては「大学に学長、教授、助教授又は講師として多年勤務した者」という要件と、「教育上又は学術上特に功績のあつた者」、この二つの要件を具備することが必要だと考えております。
○河野正夫君 ここに「多年勤務した者」とありますが、この多年というのは社会通念上どのくらいの年数を、いうか。もとよりそれは当該大学の定めるところによるでありましようけれども、大体法案を作つた人はどの程度のものを指しているかを伺いたいと思います。又従来各旧制大学、專門学校等で、名誉教授の称号を與える場合の慣例等とも関連してお答え願います。
○政府委員(剱木亨弘君) 従来国立大学では国立大学の名誉教授といたしましては二十年を勤務の要件といたしまして、それから裏門学校におきましては三十年を要件といたします。そので尚一級教官であるということを何年必要だというようなことまで内規がありまして、相当に嚴密に守られて参つております。それで恐らく国立大学におきましては、今までの慣例がずつこありますので、大体二十年ぐらいのところで基準となつて行くだろうと考えます。
○河野正夫君 この法案によ。ますると、Aの大学からBの大学に転任せられて、仮に通算二十年というような場合でも差支ないと思われる節もあるのですけれども、立案者はそういう場合については考えなかつたのでございますか。
○政府委員(剱木亨弘君) この附則の中で規定いたしてありますように、今度新制大学に切替つたのでございますので、例えばその前の專門学校から大学になつたもの、旧制大学から大学になつた場合におきまして、その同性のありまする大学、いわゆる続継いたしました大学におきましては、これは同二に勤務年数を継続して考える。ただそうでありません他の大学、若しくは專門子校、いわゆる同一性のないものから転任した者につきましては、その前のものを換算するかどうかということにつきましては、各大学において決めて貰うということにしたらいいと考えております。必ずしも規定はいたしておりませんが、恐らくはやはり相当無條件に他の大学の年数ということをやるというようなことはないと考えております。
○河野正夫君 今の問題に更にもう一点だけお伺いいたしますが、学術上の功績というのはよく分りまするが、教育上の功績というのは多年の勤務ということを除いて考えると、どういうことを指しておりますか。それを伺いたいと思います。
○政府委員(剱木亨弘君) やはり長い年限を勤続しておるばかりでなく、実際教育に熱心に従事しまして、その大学の教育に功績のあつたということは必要だと思いまして、いわゆる名誉教授にするだけの価値があるかどうかということの判定の基準になると考えます。
○河野正夫君 従来各大学、又は高等專門学校等で名誉教授の称号を授與する場合に、非常に値段を高くといいますか、小人数だけしか名誉教授を置かない学校もあつたようでありますし、又比較的大量にそういう称号を授與する場合もあつたか思います。そこで今日は大学自治の原則がより以上に認められ、又こういう法律によつてそれが名香教授を授與することの権限を法的に認められるとすると、そこに名誉教授の濫造というものが行われはしないか、一部では心配する向もあるようでございますがその点は如何でございますか。
○政府委員(剱木亨弘君) 従来も相当名誉教授につきましては、やはり大学の名誉、自尊と申しますか、そういうものを確保する面におきまして、相当厳格にこれは行なつて参つたのであります。参考までに現在の名誉教授の数をちよつと申上げますと、旧制の国立大学全部で二百七十四名、旧制の高等学校で三十名、旧制の專門学校で三十九名、その他の学校で八人、合計三百五十一人でございます。これは全部の国立大学の名誉教授の数でございまして、そう沢山の数ではございません。ただこれは国立だけでありまして、将来この法律によつて私立学校も公立学校も、全部名誉教授を置けるようになりますけれども、併し大学としてのやはり価値をこれによつて判断されるということになりますので、恐らく各大学とも十分自粛いたしまして相当な方にやはり名誉教授を出すということになると考えられますので、そうこれで濫造されるというようなことはないと想像いたします。
○河野正夫君 この八十四條の改正でございますが、この趣旨はどこにあるかということを承わりたいのであります。従来とても各種学校その他。教育施設についでは、昨年などは特に特殊な学校施設に関しては、かなり手厳しい閉鎖命令等が行われておつたと思うのであります。ところがここでは更に第十三條による閉鎖命令と違つた形のものを作つておるわけであります。その点についての趣旨を御説明を願いたい。
○政府委員(久保田藤麿君) 各種学校に閉鎖命令を出します場合の扱い方は、先般の私立学校法の一番中心になつた問題でございまして、私立学校審議会にかけ、審議会がそれの処理を一応決定するという形になつております。たまたま現在の形で申しますと、各種学校にやや近いものであるか、各種学校であるかどうかといつたようなことの認定をやりまして、確かにこれは各種学校である、従つて各種学校としての枠に入れて、その範疇で法的措置をやらなければならないという形、二段に始末をして行くという形になるのでございます。これをたまたま一応認定のできる形を先程申しましたように抽象的ではありますが、そうした基準を何かお示しすることによつて、その権限を委任ざれた私立学校審議会が個々の具体的な場面に当嵌めて、その始末のでき安いように法律関係を明確にしようというのでございまして、現在の規定のままではこれの認定を與かる資格審議会側で、多分にお困りになるだろうといつたような点を明確にしたいというところに趣旨があるのでございます。
○河野正夫君 今のお答と関連して、先程の私の質問も関係を持つて来るのでありまするけれども、例えばその事に好し悪しを問わず、団体等規正令によつて解散を命ぜられた団体幹部等が経営しておる学校或いは学校類似施設といつたようなものについて、この八十三條乃至八十四條の適用をして行こう、こういうのならば一応は相分るのでありますけれども、更に一歩を進めて、国民の自由なる教育活動を一定の方向に持つて行つてしまおう、こういうふうな考え方からこれらの條項が悪用せられる場合には、国民の教育活動というものが極めて窮屈なものになることを憂うるのでありますが、例えば私人の私宅において勿論継続的に、乃至は恒久的にマルクスの資本論の講読をやつておる、こういうような場合にこれは八十三條の第二項にいうところの「第一係に掲げるもの以外の教育施設」である、だからそれでこれは学校という名称は使わないけれども学校みたいなものである、各種学校に届出でよ、届出でない場合はその当該教育をやめるべき旨を命ずる、こういうふうなことになつて来ると思想彈圧を入れて、更に国民の教育活動彈圧にまで至る、こういう憂いがあるのであります。松下村塾の昔から徳川時代においては非常に有志というか、志ある者が、或る程度彈圧を蒙りつつも自由なる教育活動をし、そこに国民の生気が溌溂と動いておつた。こういう点は一方の極端を叩くことを考慮するあまらに、そういう自由なる活動を阻害するということであつては相成らん。そういう点を私は憂うるのでありますが、当局の考え方は如何でございましようか。
○政府委員(久保田藤麿君) 只今御指摘のように、こうした形を作りますことが、或いはそふした自由な教育活動を阻害するのであるまいかといつた御懸念も一応私は御尤もと感じますが、そうしたことの認定を一応私立学校法で地方のそうした審議会にお委せを頂いたわけでありましで、それに対してできるだけそれをどう扱おうという意味の拘束を受けることは、私学校そのものの本旨を一応乱るのではないかと考えます。私共の立場としましては只今申しましたようにできるだけ抽象的な程度のことはお示しする方が、或いは御便宜かと考える限度でお示しをしますので、そもそも私立学校法の審議会にそうしたことを委すか委さんか、むしろ委すことによつてそうした自由活動が擁護もされ、又尊重もされて行くのじやなかろうかと、こうした線を私立学校法にお願いして頂いたものと私共は理解しておりまして、審議会の方でもそうした運用をするものと考えております。
○河崎ナツ君 各種学校のことにつきましてもう少しお伺いしたい。面接この法律の改正の條項に直ぐどうこうということではないかも知れないのでありますけれども、各種学校の認可を、認定する、その認定ということについての大体各種学校では、どういうことを條件にしておるのでありましようか、それを先にお伺いしたい。各種学校に対しまして、どういう場合にその認可を認定するというふうの條件でございますね、そのことを先ず聴かして頂きたい思います。
○政府委員(久保田藤麿君) 大野委員の御質問にもちよつとお答えしたと思うのでありますが、非常に抽象的な形以外にお示しすることは、その條項を只今おしやるような基準的な形で持つて参りますということは、却つて私学審議会の活動を拘束するような危険が考えられますので、例えは今現在の段階では、たまたま教職員の適格審査に絡んで先生が二人以上、生徒が二十人以上には一応その施設は学校的なものと考えて、それに従事する関係の職員側は職員の適格審査々受けなさいといつたようなここが示されておるのでございます。これにつきまして、地方の声としましてこれが一つの基準になつて、二人あれば十分だ、又生徒が継続的に二十人寄れば一応学校だから認可の申請もしなければならないが、一応これの基準があれば各種学校として認可をして呉れるのが当り前じやないかといつたような一つの基準を出しておりますが、決してこれはたまたまその適格審査に関係して、そこまで洗つて置けば先ず間違いはあるまいといつた意味から言われておる線に過ぎないのでありまして、これよりも多くするとか少くするとかいつたようなことは、その土地の事情なり又やつております事業なり、或いは外のものとの関連において地方の審議会にお決め頂くというように持つて行きたい。むしろ我々の方から何者以上でなければならんとかいうほどの厳格な形は却つてお示ししない方がよくはないか。ただ財団法人の認可と又今度新らしくできます学校法人の認可、恐らく各糎学校もいろいろだ国家的の意味の保護の関係から法人組織にだんだんなつて来つことを期待しておるわけでありますし、事実そういう方向に今向いておると考えておりますが、その方の関係から、或いは財産の面で或いは役員の面で或る程度の並行的な一つの基準といつたようなものが出て来るかも知れませんが、学校としての形から行くという考え方はいたしておりません。
○河崎ナツ君 今のお答えの中に、各種学校の将来に対しまして一つの非常な使命を、河野委員から国家的保護という、或いは水準というような方向に考えておるというようなお言葉がございましたが、そういう意味でこの各種学校というものの日本の教育系統において、今までは余りどつちかといつたらこの間の委員会のときにも、どなたかからまああれは冷遇されておるという言葉がございましたが、非常に本筋の系統でないかのごとくに取扱われて来たのでありますが、今も河野委員が言われたように、各種学校の運営におきまして非常に重要な意味を来す場面もあり得るわけで、日本の新教育は大抵その各種学校的なところから出発して、明治以後特に大正以後もこの教育の新らしいものから、そこから動いておるといつたような跡も残しておりますが、殊に現実の各種学校の様子を見ますと、殆んど日本の今日の各種学校は、生徒は大部分女子でありますし、学校の大部分も女子を対象にしたものでありますし、而も女子の職業教育の部面を随分担つておるものでございままして、殊に社会人としての女子の教育の部面におきましての非常に大きな責任を実際的に持つておる立場に立つておる意味におきまして、各種学校に対する文部省の考え方というか、殊に女子教育の立場から将来非常に重要に考えて頂かなければならんと私は考えておる者でございますが、今のような名極学校に対しましての文部省の單に認可するという立場ばかりでなしに、これを指導するというような差出がましいようなことにまでは出ないにいたしましても、どう推進して行くかということについて文部省に態度が決つておりますれば、もう少し詳しくお聴かせ願いたいと思うのでございます。
○政府委員(久保田藤麿君) 只今御指摘のように、各種学校をその他の学校と同列に或いはそれ以上に国家的な意味で助成して行けという御趣旨かと伺うのでありますが、特殊学校も外の学校と同じように学校法人としての手続をしまして、学校法人の受けると同じ形の助成関係を受けられるというようなことに規定いたしております。場合によつては却つてそんな手数なことをやるよりもそれらに類似した程度で、幾らかの弱さと申しますかルーズな線を残して、準学校法人といつたようなことにでも行けますように途は開いてございます。準学校法人と学校法人とは国家的に受けるそうした保護的な点では別に差違もございませんで、或いは多くのものが準学校法人といつたようなことで落着つくのか考えておりますが、いずれにしましても学校法人、準学校法人なりの限度で特殊学校なるが故にその他の学校と違うとかいつた差別は只今御指摘のような線からは全然ないものと考えております。
○河崎ナツ君 今の御返事によりまして、各種学校に対する文部省の態度のやや方向を伺いまして、喜びを少し増しておる者でございますが、更に各種学校の今日の現状は、先程も申しましたごとくに女子の職業教育を大部分背負つておるものといたしますと、文部省が女子の職業教育をこういう分野で将来もなして行こうというつもりでございますか。この頃伺つておりますところによりますと、文部省は新制中学、高等学校なんかの中で職業科として大分御考慮になつておるようでありますが、ああいう方向で女子の職業教育を将来はやつて行こうというわけでございますか。それと並行して各種学校の名においての職業教育を又併せて推し進めて行くというお考えでございましようか。その辺のところを伺わせて頂きたいと思います。
○政府委員(稻田清助君) 只今の御質問の中にございました中学校における職業、家庭科の考え方でございますが、申すまでもなく中学校は就職前の子弟に対しましてそれぞれの適性に応じた就職、進学の指導をする必要があるのでございます。そうして中学校における外の教科と連関して君えまして、実際生活に関係した面を取上げまして、職業、家庭科という教科が成立つておるわけでございます。実際生活に関連する仕事というものを相当広く取扱つて、その中から段々とその適性なり希望に応じた仕事を專門的にやつて行くというふうに導きますると共に、これに関連する職業及び家庭の知識、理解を與えるという趣旨でいたしておるわけでございます。で、これは経験領域をこういうふうに取扱いますとが、最も重複を避けて極力効果を上げるという見地を以ていたしておるわけでございまして、家庭的な仕事かり職業的な仕事に発展する、従来の中学校におきまして或いは職業のみを選び或いは家庭のみを選ぶということを改めた次第でございます。でこうした六・三・三の学校以外の各種学校におきましては、それぞれの社会上の必要或いは生徒の希望によりまして、純粋な職業的の学校もございましようし、或いは純粋な家庭的な学校もございましようし、それは又それぞれ目的を以ていたすのでございますので、それは全き自由と考えられております。
○鈴木憲一君 先程政府委員のお答えによると、名誉教授のことでありますが、これは大体学校当局を信用して委任するというような結論になつて誠に自由さを保存しておられる。ところが一方にこれは制約をする必要があるのではないかという心配が大分ある向きもあるらしく、基準を定めてはどうだというような意見があるわけなんです。それと引換えまして、この各種学校の方は片方は非常に自由さをやつて学校を信用して掛つているが、各種学校の方になりますと非常な制約を加えるように考えられるのですが、これは何か、名誉教授と各種学校とを比較するということはどうかと思うのですが、この法文の中で片方では非常にそういう制約を置く、片方では自由さを保存する、そこは何か役人が非常に余計な心配をされる面からそういうことが出て来たのではないかというふうにも考えられるのですが、片方を大いに自由にしておいて、片方を制約される、そこの関係は何か深い理由があるのですか、どうですか、お伺いしたい。
○政府委員(剱木亨弘君) 名誉教授の方は従来ありましたが、それが新制度になりましてから、各学校で名誉教授としてやりたいという希望はありましても、それを認める根拠は全然なかつたのであります。それを新たにどうしても根拠を法律で規定する必要がありましたので入れたのでございますが、その入れ方としては今御指摘の通りできろだけ自由なろ立場で入れようとしたものであります。各種学校の方は、それは従来も各種学校の教育に類するものを行なつております場合は勧告することができることになつておつたのでありますけれども、その勧告をしつ放しで以てそのあとの措置に対して何らの規定もん人いておつたのでありまして、これはやはり勧告いたしましてそれにも拘わらず、又認可を申議しても認可がなかつたという場合に、尚それを続けて行くということに対しましてはそれを止めさせるという規定は置いたのでありまして、そう極端に私立学校を拘束するというふうな意味が別にあつたわけではないのであります。ただ法的にこれを調整と申しますか、欠けておるところをはつきりしたというものでございます。
○鈴木憲一君 今私はそういうふうに両者を対照してお聴きしたわけなんですが今一つそういう面でお伺いしたい点があるのです。それはこの前のときにお伺いした高等学校の養護教諭の問題ですけれども、大きい方はとにかくとして小さい方からやつて行くのだというような、まあ発育の度によつてやつて行くのだ、尚養成のことも考えてそういうふうにして行くんだというようなお話があつたのですが、そういうふうな考え方ならば、幼稚園の方の養護教験はどうされるのか。これらは余計に強く入れる必要があるのじやないか、こういうふうに考えられるのですが、その点如何ですか。
○河野正夫君 それに関連してもう一つ伺わして頂きたい。つまり学校教育法の八十一條に「幼稚園には、園長及び教諭を置かなければならない」となつておつて、これには養護教諭を置かなければならないということがないのは如何なるわけかという鈴木委員の御質問ですが、それと関連して、もう一つこの八十一條の第一項には「園長及び教諭」とあつて助教諭がないのはどういうわけであるか。教職員免許法の第四條の五の八号には明らかに幼稚園における助教諭という制度が決めてある。然るにここには助教議を置かなければならないとない。助教諭を置くべき所がない。第二項では「必要な職員を置くことができる」となつておつて教諭ではない、助教諭でもありません。この教諭と助教諭について鈴木委員の質問に関連してお答え願いたい。
○鈴木憲一君 尚一つ附加えたいことがありますが、それに関係あるのでありますが、この政令三百十六号を見ますと、この二十八條に幼稚園の場合でも養護教諭の職にある者は明らかにそのまま養護教諭になつておるようになつておるのですけれども、こういうふうに、ちやんと一面には許されておるのですから、これを法文化して、はつきり養護教諭を置くようにする必要があるのではないかと思うのです。それも併せてお尋ねして置きます。
○政府委員(稻田清助君) 誠に御尤もなお話でございまして、現在といたしましても、幼稚園には最近の統計で四二名程の養護教諭がいるわけでございます。幼稚園の教育の制度、或いは管理の問題、或いは養護課程の問題等につきましては、尚十分調査研究いたしまして、幼稚園に関する制度を充実する必要が私共はあると考えております。目下幼稚園の教育課程に関する研究等から着手いたしまして、種々委員会等において研究いたしておるような次第でございます。そういうような幼稚園全体に関しまする一つの構想が確定いたしました場合には、それに関連する法規の整備ももとより必要と考えられるのであります。今日高等学校につきましてこの改正をいたしましたのは、たまたま定時制課程の規定を置くというようなことと関連いたしまして、その條文をいじる機会が出て参りましたので、高等学校については従来の欠点を補つてここに整備いたしたわけでございます。適当なる機会に幼稚園につきましても諸種の法的整備をいたす必要があろうと存じております。
○河野正夫君 助教諭はどうですか。
○政府委員(稻田清助君) 只今申上げましたように、幼稚園の職員の構成その他幼稚園の一般管理、教育課程というようなものを一緒にして十分幼稚園の保育制度というようなものを考える機会があろうと考えます。
○河野正夫君 今のお答えでは満足できない。そこに幸いに劔木さんがいらつしやるのですが、教職員免許法についていろいろ御説明もあつたのですが、免許法の方には明らかに幼稚園の助教諭が規定されておる。そこで一方は幼稚園の臨時免許状というものもあるわけでありますから、これが学校教育法にないということはおかしい。この法案の不備は幼稚園教育の体系的な研究を俟つまでもなく至急に整備されるべきであると思うが、その点は如何ですか。
○政府委員(剱木亨弘君) 今回の学校教育法の一部改正は、実は打割つてお話いたしますと、今直ぐこれをやるよりももつと全面的に再検討してやつた方がいいのではないかというような意見も相当立案のときにあつたのでありますが、これは主として今三点につきまし、差当り必要なところだけをやつて、全面的なものは当然全面的な研究をいたして、改正する必要があると考えております。そこで幼稚園の助教諭を入れるということもないという意味ではないのでありまして、結局やはり「その他必要な職員を置くことができる」ということで一応置けるのですから、この際それをすべて入れて置く必要はない。差当りこの法規上は置けるのでありますから、改正しなかつたのであります。併し将来改正が必要な場合には、そういうところを考慮して改正いたしたいと思います。
○岩間正男君 私は遅く参りましたので、或いは先程からのことと重複する点があつたら御容赦願いたい上思いますが、この改正点の「第八十四條第一項を次のよう改める。」とある各種学校の問題について二、三点お尋ねしたい。第一に一体このような條文を設けて統制する必要があるのか。どんな必要からこれは一体起つて来たのか。これが第一の質問であります。その次に提案説明を見ますと、これは各種学校の規定を整理するというふうになつておりますけれども、これはとうもこの規定を整理するというようなところは、この條項の中には見えないのしやたいか。むしろ各種学校に対するいろいろな統制かなされておる点か非常に強いのじやないかと、こういうふうに見えるのでありますか、その二点を先ず先にお伺いいたします。
○委員長(山本勇造君) それは済んだと思いますかね。併しそれは……。
○岩間正男君 簡單に答えて貰いたいのです。
○政府委員(久保田藤麿君) 第一にこうしたことがなぜ必要かという部分でありますか、現在の法規には非常にそうした點が曖昧でありまして、こうした認定権を地方の審議会にお委せをいたしましたことを、又審議会でやつて頂くことをオーソライズする意味でこうした規定を整理して、地方のそうした審議会の運営を円滑にいたしたい。これは私立学校法かこの三月十五日から施行になりますに絡んで早急を要すると考えたことからやつた次第でございます。整理申しまする意味は、只今のことも含めまして、今現在のところでは、各種学校がこの学校教育法の中でたまたまそうした意味では、勧告によつて、お前の方は各種学校に類する学校だから各種学校としての手続をしたらどうかという、そうした整理ができておりませんので、そうした意味から、整理したということを申した次第でございます。
○岩間正男君 この吉田内閣の今の政策は統制撤廃の方に向つておる。それと丸でそういう政策とこの條文は反対の方向に向うと思うが、こういうことによつて学の自由とか、そういうことが統制される点がないか、どうなんですか。この運用次第によつては、これは非常にいろいろに使われる。この点はどうですか。
○政府委員(久保田藤麿君) 只今の点も、先程河野委員か御指摘になりましてそのときにもお答えしたのでありますが、地方のそうした審議会に御指摘の運営を委すか、委せんかという議論にむしろ集結される問題かと思うのでありますが、一応私立学校とそうした私立学校審議会の範囲を決めて頂く。そうした運営がよかろうということに相成つております。この審議会に対してそういうことの扱いが明確にできるように足場を與えたということでありまして、この審議会が悪用するか、せんかとい問題でなくて、むしろそれが運用できる足場を明確にすることが、地方の審議会のそうした活動に権威付けになる。又それか非常に責任を持たれるということにあらしめたいと考えておるのであります。
○委員長(山本勇造君) 成るたけ重複しないように願いたいのですが。
○岩間正男君 最初ちよつと分らなかつたので、先にお伺いしたように重複しているところかあると思いますが、私の観点から申上げます。
 今のは非常も希望的な観測で、殊に今までこういうふうなところが文部省の今のような説明で実際やつて見ると、これは飛んでもない使い方にされている場合が非常に多い。殊に近頃のやり方を見ますと、非常に統制面が強化され、或いは思想の彈圧というような面に、これはこういう法令が使われて来る。こういう危険がある中にこういう統制が必要であるかどうか、我々としてはこういうものに対して賛成するわけに行かない、こういうふうに思うのですが、これは私の意見ですから、これで只今の質問は打切りにいたします。
○三島通陽君 段々約束の時間を過ぎているようでありますから、この辺で本日の質問を打切りにする動議を提出します。
○委員長(山本勇造君) 只今の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本勇造君) それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十二分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     山本 勇造君
   理事
           岩本 月洲君
           木内キヤウ君
   委員
           河崎 ナツ君
           河野 正夫君
           大隈 信幸君
           堀越 儀郎君
           三島 通陽君
           岩間 正男君
           鈴木 憲一君
  政府委員
   文部事務官
   (初等中等教育
   局長)     稻田 清助君
   文部事務官
   (大学学術局
   長)      剱木 亨弘君
   文部事務官
   (官吏局長)  久保田藤麿君