第009回国会 予算委員会 第9号
昭和二十五年十二月七日(木曜日)
   午前十時四十三分開会
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  委員の異動
十二月六日委員森八三一君辞任につ
き、その補欠として矢嶋三義君を議長
において指名した。
本日委員一松定吉君辞任につき、その
補欠として深川タマヱ君を議長におい
て指名した。
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  本日の会議に付した事件
○昭和二十五年度一般会計予算補正
 (第一号)(内閣提出・衆議院送
 付)
○昭和二十五年度特別会計予算補正
 (特第一号)(内閣提出・衆議院送
 付)
○昭和二十五年度政府関係機関予算補
 正(機第二号)(内閣提出・衆議院
 送付)
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○委員長(波多野鼎君) これより予算委員会を開会いたします。最初に大蔵大臣に対する質疑を継続いたします。
○羽生三七君 簡單な問題で大蔵大臣にお伺いいたします。先般来の新聞で、ドツジ氏と池田大蔵大臣との会談のことがいろいろ伝えられておりますが、その中に、見返資金の運用に関する明年度の計画について種々討議されたというように聞いておりますが、その場合対日援助資金の打切り後の日本の財政上の問題について、特に国内資本の活用ということでドツジ氏が強く指摘されたようでありますが、そういうことから考えて、来年度の公共事業費がどうなるとか、或いはその他のいろいろ運用上の種々の問題があると思いますが、それは別といたしまして、又その会談の内容がどういうものであつたかということを伺うわけではありませんが、国内資本の活用ということは、結局対日援助の打切り後においては重要な問題になると思うのでありますけれども、大蔵大臣が国内資本の活用についてどういうようなお考えを持つておるか。その点を一つお伺いしたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 何と申しましても、資本の蓄積は十分でございませんし、そうして片一方では、設備その他が非常に老朽化しておりますので、少い金をできるだけ有効に使わなければならんことは誰もが考えておるところであります。然るところ、日本の金融につきましては、御承知の通り、終戰後金融機関が殆んどいわゆる商業金融、短期金融のほうの建前になつて参りまして、而して長期金融というものにつきましては、日本興業銀行が或る程度その役割を持つております。これも本年度から金融債が出せることになりましたが、まだ十分の機能を発揮していない、こういう状態であるのであります。従いまして、私は長期金融をなすような金融機関が欲しいということを前から念願しておつたのであります。然るところ大体話がつきまして、一番大切な輸出につきましては輸出銀行を作ると、こういうことに相成りますし、又農林漁業方面の長期金融、又このうちには土地改良等いわゆる公共事業費から出ておりました部面についても、採算のつきます分については金融で、やつて行こうということで、農林漁業の金融に相当の金額を見返、或いは一般会計から出す、それから工業金融のほうにつきましては、或る長期金融專門の一つの銀行を作るか、或いは今の日本興行銀行中心でやつて行くか、これは今検討をいたしておりまするが、差向きは、日本興業銀行が長期金融に慣れておりますので、これに相当程度の資金を追加する、片一方勧銀或いは北拓等におきましても、今見返資金から出資しておる金融債を利用いたしまして、徐々に長期金融のほうをやつて行かすような方向で行きたいと思つておるのであります。従いまして、これが資金といたしましては、一般の貯蓄によりまして興業銀行、勧業銀行、或いは農林中金が市中の金を集めることも勿論でありまするが、これに加えまして、今まで鎖されておつた預金部の資金を、地方債を引受けた後、或いは国の短期証券を引受けた残りを長期金融のほうに廻すと、こういう考えでおるのであります。その金額はまだ検討いたしておりまするか、まあ大体百億乃至三百億程度は今年度に預金部のほうから出したい、来年度はそれの倍額ぐらいを出したいというふうな気持を持つております。それから何分にも預金部は、御承知の通り、市中金融機関に昨年の暮百億円の預託をしております。それから又、滞貨金融として四、五十億をやつております。これを引上げましてそうして出すということになりますと、市中の関係は、百億引上げて百億出したのでは金を使つたことになりませんから、先ほど申上げました通り、百億乃至二百億という考えで進んでおります。これはこの年内には引上げませんが、来年の三月には、貸付金と金融債の引受けと、こういうやり替えで行こうと思つております。高徳の預託というのは、これは全国の銀行並びに無盡会社、信用組合に預託しておるのであります。でこれを年末までに引上げますと、相当金融が引締つて参りますから、一月から三月までの間にこの百億金を引上げまして、引上げるときには全部の銀行から引上げる。そうしてその金を以て金融債のほうに代りますと、金融債のほうは興銀を中心として、又片一方では農林中金、商工中金のほうに行く。こういうことになりまして、金の使い方が我々の予期しておるような中小企業とか、農林金融、長期金融、こういうふうなことに使われるようになつて来ると思うのであります。あれこれにいたしまして、今までは日本の長期金融、或いは特殊金融の途が十分でなかつたのでありますが、今度ドツジ氏が来られまして我々が今まで希望しておつた方面に命が有効に使われるようになつた。次に見返資金の問題はこれは前にもドツジ氏が言つておられたようにお砂糖に蟻がつくというふうなかつこうで、皆が欲しがつておるのでありまするが、御承知のグレー報告によりますというと、一九五一年乃至五三年の、来年の七月から始まるアメリカの会計年度では、もう出さなくてもいいのじやないか。こういう勧告が出たということを新聞で承知しておるのであります。併し我々といたしましては、今年度三億ドル余りあつたものが来年からぴたつととめられては困りますから、まだ続けてもらいたいという考えの下に、一億ドルの援助があるということを期待いたしまして、それによつて予算を組みつつあるのであります。でこれが若し来ないというときになりますと、これは造船、或いは海運、その他私企業等になかなか困難な点がありますので、私といたしましてはそういう場合をも考えまして、今年五百億円の債務償還というのを今暫らく待つてもらつて、来年に繰越しまして、そうして来年になつてから債務償還をするか、或いは来なかつた場合に産業資金に振り向けるかというような方法をとりたいと思つておるのであります。で予算では来年の三月までに債務償還を今年度五百億するということになつておりますが、そういう最近の情勢が変つて参りましたので、債務償還をせずに一応見返資金勘定に置いておいて、そうして情勢によつて債務償還するか、エイドがなくなつた場合の産業資金に当てるためにもう暫らく様子を見る、こういうわけで進んでおります。片一方のほうも一般会計のほうで七百数十億円の債務償還を計画しておりますが、このうち二百億余りはすでに債務償還をいたしまして、農地証券その他を償還いたしております。五百億のうち二百四十六億円は警察予備隊、或いは海上保安庁関係のほうに使いまして、あと二百数十億残つておりますが、これは債務償還いたしました。預金部の持つている国債を債務償還して、そうして今言つたような金融方面に出して行こう、こういう考えを持つておるのであります。もう一つの問題は、政府が今年の一、二月の金詰りの状況に対処いたしまして、政府の金を百五十億円ほどこれ又銀行に預託しております。これも、あれはすぐ引上げることにしておつたのでありますが、金融の情勢から言つて、今まで引上げていないのであります。これをいつ引上げるかという問題でありますが、預金部の市中金融機関への預託を来年三月までに引上げます関係上、政府の百五十億円の預託金は今年度は引上げずに、来年度において引上げる。そうしてその金で以て、只今のところは政府のほうで食糧証券その他を買入れる。こういう計画で進んでおります。大体今私のところにあるラフな計画はそういうふうになつておるのであります。
○羽生三七君 お話で大要わかりましたが、そういう場合に、例えば本年度の見返資金の復活分、明年度に繰越されるもの、又明年度に考えられるもの等を含めて、この見返資金の運用全体が日本の予算の上に一種のクツシヨンの役割を果させる、というのがドツジ氏の考えであつたというように推測されるのでありますが、その場合に、これは非常な臆測になるかも知れません、又惡い解釈になるかも知れませんが、そのクッシヨンという役割をやる場合に、例えば警察予備隊というような、ああいう費用が、あの資金から計上されたと同様に、何か国際情勢の変化に備えてそういうことを考えられておるのか。或いは今大蔵大臣がお話になつたように、日本の産業の発展というような意味で、対日援助の打切られたあとの資金の活用という面で、クツシヨンの役割を果させようというのか。これはお尋ねするほうが多少無理かも知れませんが、そういうことについては大蔵大臣はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(池田勇人君) 一部の人の間にああいうものを置いておいて、再軍備とか或いは警察力の非常な拡大強化ということを何と申しますか、独断的に想像しておられる一部の人があるやに思われるのでありますが、私はそういうふうな気持は全然持つておりません。総理が再軍備の問題につきましてもはつきり答えられているように、私も又そういうようなことは毛頭考えていない。一にやはりエイド・フアンドがなくなつた場合のことを考えて、先ず今の状況を見まして適当な金融的措置をとるということで行つておるのであります。従いまして本年度におきまする警察予備隊は二百億円の予定であるのでありまして、来年度はこれよりも減らしたい、減すということで今話を進めておるのであります。
○羽生三七君 もう一つお伺いしますが資本の蓄積のことがやかましく言われて、特にこれはドツジ氏並びに大蔵大臣の強く指摘されておる点でありますが、最近の日本の産業界を見ておると、特に朝鮮動乱以来の顯著な傾向でありますけれども、それが本来の意味の資本の蓄積に利用されずに、非常な投機的な意味で、スペキユレイシヨンに利用されておるということは、非常に顯著な傾向になつておると思うのであります。例えば極めて不確実な資産内容であるような会社が、何割かの高率配当をやつても、社内の、工場の設備改善或いは能率の増進等に余り多くの考慮を拂わない、こういう傾向が随所に見られると思います。こういう問題については、やはり政府はこれに対する適当な指導とか、或いは監督をなさる意向を持つておるのでありますか。その点お伺いしたい。
○国務大臣(池田勇人君) 最近高率配当の会社が相当あるようであります。例えば三割とか四割とか、こういうふうな配当をいたしておりますが、私は個々の会社につきまして、そう無茶に配当できるとは考えておりません。四割程度の配当をしても会社は年十割乃至二十割程度の利益を挙げておるのであります。昨年燒酎関係の会社で、二割の配当を挙げた会社もあります。相当の利益を挙げておるのであります。それが今は燒酎会社が、どうかというと、今期はそう利益はありません。そして最近の三割とか四割という配当をやつている会社はみんな非常に利益を挙げている、而も御承知の通り従来は例えば二割とか三割の利益を挙げますと、殆んど税金で七・八〇%取られた。然るところ法人税を改正いたしまして三割五分フラットで取る。非常な利益を得ております。而も利益を出しますときには、御承知の再評価をして、相当資産を償却することができるようになつて来たのでありますから、私は無茶な配当をしておるというような事例を殆んど聞かないのであります。まだ配当し得るのであるが、将来を考えて配当していないというふうな気持が多いのであります。例えばここに三百円の時価の、株価の紡績会社が、これらの利益というものは、一億六千万円で九億の利益を挙げておる。こういうところが三百円の株価に対して四割の配当をいたしております。こういうのでありまして、私は四割の配当というものは、紡績会社、これは決して高率配当じやない。まだまだ配当し得るくらいに考えておるのであります。若し無茶な配当をした場合にどうか、政府が監督するかという問題でありますが、私は只今のところそれはない。そういう規定はなくなつたと記憶しております。併し私はそういう規定はあつてもなくても、今の状態では政府が特別な措置をとらなければならんというところまで行つていないという考えを持つております。
○木村禧八郎君 農林大臣はよそへもうすぐおいでになりますか。……それでは農林大臣と大蔵大臣とに関連する御質問をいたします。米価の問題ですが、先ず大蔵大臣にお伺いしたいのですが、米価が五千五百二十九円、生産者価格が五千五百二十九円、これはきまつたわけですか。
○国務大臣(池田勇人君) 本会議で関係大臣がお答えになつた通りです、米価審議会の答申を尊重しまして、今愼重に検討中であります。そして五千五百二十九円というのは、一応来年の予算或いは今年度の補正予算に組みます上において一応政府が想定しておる金額であります。まだ最後的にきまつた金額ではございません。
○木村禧八郎君 そうしますと、米価が変更になつた場合どうなるんですか。この予算の基礎として五千五百二十九円というものを、又それが給與ベースその他の算定の基礎になるわけなんですが、それに変更があつた場合にどうなるわけですか。
○国務大臣(池田勇人君) これは予算に関係いたしますのは生産者価格ばかりでなく、即ち消費者価格も入つておるのであります。私はその程度の変更が若しあるといたしましても、大した影響はないと考えております。
○木村禧八郎君 それでは消費者価格は幾らにお見込みなんですか。
○国務大臣(池田勇人君) 消費者価格につきましても検討中であるのであります。
○木村禧八郎君 それでは非常におかしいんですが、今度の米価の引上げの生計費に及ぼす影響、それと減税との振合、給與ベースの引上げ、年末手当等々と勘案して、そうして減税が国民の生計費にどれほど影響を及ぼすか、或いは米価の引上げがどれほど国民の生計費に影響を及ぼすか、こういう調査資料が我々のところへ来ておるんですが、その調査資料によれば、結局これこれだけの減税によつて国民生活の負担が軽減されるということになつておるんです。ところが消費者米価もまだきまらない。又生産者米価もきまらない。そういうのではこれは予算を編成した一番大切な基礎がきまらないのに又どうやら変更もあるかも知れないというのは、これは非常に不安定な予算であると思うんです。又減税がどれほど家計費の軽減になるか、米価との振合になると言うことは、私はその基礎がはつきりしないのに言うことは非常におかしいと思うんですが、大蔵大臣はそれでよろしいとお考えですか。
○国務大臣(池田勇人君) 私は予算を作ります場合におきまして、生産者価格は一応五千五百二十九円で、消費者価格につきましては十キログラム今四百四十六円の米価が、十キロ五百三十円と見ております。而て小麦の十キロ四百二十五円はそのまま据置き、精麦の四百円も据置き、そうして外米は内地米とパーであつたのを内地の九〇%、これで行つておるのであります。而して十キロ五百二十円というのは十キロ五百十円くらいまで行けるのじやないかというので今検討しておりますが、これは全体の問題といたしまして、予算上これが変りましても大した影響にはならないのであります。従いまして五千五百二十九円が或いは六千円とか、七千円になりますると、これは大変でありまするが、私の見通しといたしましては、五千五百二十九円と五千八百円とこの問題であります。だからいずれにきまりましても大した影響はないと思います。而も御質問の点は所得税、酒税、或いは物品税等を減税いたました場合に、標準世帶につきましては三・四%程度の減少、而して主食の消費者価格の影響によりましては一・四ということになつておりますので、少々の動きがありましてもとにかく主食の値上りは減税で十分カバーし得る。こういう考えでおるのであります。
○木村禧八郎君 只今大蔵大臣のお話では、減税の生計費に及ぼす影響で、主食の値上りによる生計費は酒税その他の減税で十分カバーできる、こういう御説明ですが、主税局から我々に渡されました税制改正による勤労世帶の生計費負担の軽減額調というのがありますが、それによりますと、この統計は非常に私はおかしいと思うんです。と申しますのは、この米価の引上げが勤労者世帶の生計費に及ぼす影響を見ました場合には、この全体の支出金額との比率をとつている、ところが減税の生計費に及ぼす影響を見ました場合には、その毎月の收入が五千円なら五千円、それを元にして税額を算定してその軽減額を調べる。本来ならば実際の総收入に対する比率を出さなければならないのを、勤労者の世帶主が受取る賃金だけを見ているんです。そうしますと、厳密に計算すれば減税の生計費に及ぼすこの軽減率は高くなる。それから米価の引上げの生計費に及ぼす率は低くなる。こういう計算になるのですがそれがこの表の中に一緒に取扱われている。これでは本当のその生計費に及ぼす影響の調査ということは言えないと思うんです。こういうようなものを元にしてどれだけ減税になるか。軽減になると言つてもこれは正確じやないと思うんです。この点は作り直して我々にお示し願いたい。これなどは余りに杜撰過ぎると思うんですが、大蔵大臣はどうお考えですか。
○国務大臣(池田勇人君) 御質問の点がはつきりいたしませんが、我々はその表で一応の計算ができると考えております。
○木村禧八郎君 一応のということはですね、計算の基礎が違うのです。こんな杜撰なものを出されて、我々これで満足して、これだけ負担軽減になるということは言えない。私は具体的に事務当局にこれを検討してもらいたいと思うのです。こんな杜撰な調査を我我に出されたのでは満足できません。こういうものに基いてどれだけ負担が軽減されると言われるのでは困ると思うのです。それから次にお伺いしたいのは、大蔵大臣は減税々々と言つておりますけれども、これはいつも大蔵大臣は税法上の減税と、実質的な減税とのすり替えをしよつちゆうやられるので問題になるのですが、その減税を考える場合に今度の給與ベース、千円を上げる根拠は物価が騰貴して、生計費が嵩んだから給與を上げなければならない。他面において財政上余裕ができたということもあるでしようけれども、引上げる主なる根拠はまあそういうところにあるのでございますか。
○国務大臣(池田勇人君) 我々の調査したものが杜撰であるとおつしやいますが、それではあなたのほうでというような調査をして、こういう計算をやつたらどうかということにつきまして、事務当局をしてやらせます。一概に杜撰であるとか何とかということを言われるのは私心外でございますが、木村さんのこういうふうな方法でやつたらいいじやないかという御意見がおありならば、あとから事務当局をして承わらしてもいいと思います。それから給與ベースの引上げというのは、生計費が上つて来たから引上げるのかという、こういう御質問でございますが、御承知の通り一昨年の暮にこしらえました六千三百七円ベースというものが決りまして、その後の生計費の状況を見ますというと、消費者物価指数というものは下りこそすれ上つてはいないのです。一昨年の暮が一三六・七、そして昨年の七月が一四〇です。昨年の十月頃は一三七、そして今年に至りまして二月、三月、四月は一二四・五、この九月が一三〇になつております。消費者物価指数というものは昨年以来下つているのです。生活はそれだけ楽になつたと言えるのであります。併し片一方では六千三百七円ベースというのは如何にも安過ぎる。そうして民間と比較いたしましても非常に気の毒だという考えの下に、何とか政府のほうの支出を少くして、そうして上げて行こうというので努力いたしました結果、財源を見出して、人事院の勧告の線とぴつたり合いませんけれども、そういう趣旨からいつて給與ベースを上げる。そうして又他面我が国の租税というものは相当高い。一方では減税をし、一方では給與の引上げをやると、こういうことで行つておるのであります。
○木村禧八郎君 先ほど資料が杜撰であると言つたことに対して、具体的にどういうところが杜撰だということを示せというお話ですから、私は事務当局にはつきりそれをお示ししようと思います。それはこの大蔵省のほうにも資料がある通り、勤労者世帶現金收入内訳、これを基礎にしまして現金收入全体そういうものと、減税との比率を出すべきです。これは出ます、すぐに……、それで五千円とか六千円、こういう場合にその減税率というのは世帶主の主たる勤労收入、そういうもので、一家のうちにはそれ以外の收入というものがあるのです。そういうものと比較する。そういうものと比較いたしませんと米価を引下げた場合の負担の軽減、家計に及ほす影響との比較をする場合にウエイトが違つて来ると思うのです。ですからやつぱり單なる五千円なら五千円もらつて来る、それ以外にそれだけでは生計できないので内職をしたり、借金をしたり、その他の收入があるのです。そういう全体の収入によつて支出をしておるのです。従つて全体の收入の中で支出しておるのでありますから、全体の收入と減税との比較をすべきです。又全体の支出に対して米価の引下げの家計費に及ぼす影響、こういうものを比較すべきにもかかわらず、この表ではそういう比較になつていない。米価のほうの負担の上るのを見る場合には生計費全体から見ている。ところが税金の負担軽減の場合にはその勤労者の主たる收入、借金とか、そういうものは入つていないわけです。或いは又副收入、内職、そういうものの收入が入つていない。ですから仮にその結論は或いは軽減になるかも知れません。或いは又増加になるかも知れません。併しこれは正確ではないと思うのです。こういう比較では余りに機械的です。それはあとで事務当局と私はお話合いして、正確な資料を作つて頂きたいと思うのです。それからその給與を昨年と比較しますと消費者物価指数CPIは下つて来ている。そういうふうに言つておられますが、本年に入りますと我々は朝鮮動乱の影響を重要視しているのですが、本年に入りまして、本年の四月から九月までに生計費は約一千百円ばかり減つておるのです。一千円以上減つておるのです。一千円以上減つておるのはそれでは物価が下つたから減つておるのかと言いますと、むしろ物価が上つたために減つておりまして、昭和二十五年四月の消費水準は、九年、十一年を一〇〇としまして七九であつたのが九月には七一に減つておるのです。消費水準が減つておるのです。ですから昨年の同期に比較すれば上つておるかも知れません。昭和二十四年の平均は七○です。それに対して九月は七一ですから僅か一%ですが上つておることになつておりますが、消費水準が折角昭和二十五年四月に七九まで上つて来たのに、動乱の影響でずつと下つて、九月には七一まで下つてしまつた。こういう朝鮮動乱の影響を織込まなければいけないわけです。従いまして大蔵大臣は前年同期に比較して物価が下り、生計費が楽になつていると言いますけれども朝鮮動乱が起つてからはそうじやないと思う。こういう影響を盛込まなければいけないのであつて、そうすると千円ベース・アツプして実質的な生計費は殖える。そういうふうにお考えですか。
○国務大臣(池田勇人君) 只今木村さんは前から一、二カ月、二、三月の事柄だけをつかまえられて、そうしてずつと将来を見通されるようでございますが、私はそういう考え方は取らないのであります。この賃金の引上げをいたしましたのも一昨年の暮からずつとお考えになりますと、昨年よりは今年は楽になつたという、而して朝鮮事変が起りましてから消費者物価指数の一二四というのが二三〇まで来ております。併しそれに対しましても昨年の状態よりも今年の状態がよほどよくなつて来ておる。而してもう減税だとか何とかおつしやいますが、来年の一月、月給取りが、又我々が歳費をもらつたり、月給をもらつたりしたとき、どんなになるかということが一月八日にはつきりわかると思う。米も或る程度上りましようが、麦や小麦を据置いてできるだけ生活を楽にいたしたいと思つて行つておるのであります。とにかくいろいろ不平はございましよう。併し全体として経済が安定し、生活は或る程度楽、勿論全体的に楽ではございません。苦しさが減つて来たということが言い得ると思うのであります。
○木村禧八郎君 私はだんだん消費水準が高くなつて来たことは認めるのです。併し朝鮮動乱が起つてから、高くなつた消費水準が下つて来ている。これが大きな問題として、大蔵大臣はこれは二、三カ月のことを問題にしたと言いますけれども、そこが我々と動乱の影響の見方が根本的に違うところなんです。その期間は成るほど二、三カ月かも知れませんが、この朝鮮動乱の日本経済に及ぼす影響というものは、そんな量的な問題、期間的な問題ではないと思う。これは私は質的な大きな影響があると思う。その点を大蔵大臣は見落しているのではないか。質的な大きな問題というのは、折角上つて来た消費水準が下つて来ているということ、これは單に量の問題でなく、今後も相当大きな問題になると思う。で私は後でお伺いしようと思うのですが、朝鮮動乱の影響を見守つたためにこの国会の召集が遅れ、補正予算の編成も遅れているということであつたのですが、どういうふうに朝鮮動乱の影響を織込んだか。そうして又最近朝鮮動乱の推移も深刻化しておりますが、今後どうそれを織込むかということが大きな問題になると思うのですが、その点大蔵大臣は單にこの二、三カ月だけのことを考えて見るのは軽卒だとこう言われますけれども、そこは非常に重大だと思うのです。私は、それでは大蔵大臣は、朝鮮動乱の影響をどういうふうに織込んだか。昨日三十六年度予算編成の大綱についてお伺いしましたが、大蔵大臣はどのくらい減税できるかということを先ず頭に置いて、そうして予算をそれだけ圧縮して、その関係で補給金とか、或いはインベントリー・フアイナンスというものを考えて、そのときにはそういう形で全然動乱の影響を考えないでそういうものを作つて、そうして朝鮮動乱の影響をこう考える。それでは朝鮮動乱についてどういうように考えるか。最初朝鮮動乱のことを考えないときの構想では、補正において七十億の減税ができると言い、又来年度は七百億の減税ができる。朝鮮動乱の影響を織込んでも大体六十四億、六億の減税の額が減つただけです。又三十六年度については依然とし大蔵大臣は七百億の減税ができるとおつしやつておる。それではどういうふうに朝鮮動乱の影響を御覧になつて、それをどういうふうに補正予算に織込むというのか、それを具体的にお伺いしたいのです。
○国務大臣(池田勇人君) 朝鮮動乱の影響につきましては、各国とも非常に頭を悩ましておるのであります。御承知の通りアメリカにおきましては、四百三十三億ドルの予算に対しまして百三十億ドルの軍事費を追加する。又最近では数十億を又追加しようと言つておるのであります。一方では統制を強化し、消費の節約に対して大統領もやつきになつておるという状態であります。イギリスにおきましても三億七、八千万ポンドの軍事費を又殖やして行こうとしておる。而も卸売物価は上つて来ておる、小売物価は抑えておる。これをどうやつて切り拔けようかというので非常に苦慮し、来年は或る程度の増税をしなければならんということです。西ドイツにいたしましても、フランスにいたしましても非常に困り拔いておるような状況であります。併し幸いに日本におきましては、大体安定の度を加えて来ておりまして、ドツジ氏の考え方から言うと、こういうときに減税するのは以つての外のことだという考えを持つておられたようでありますが、私としてはできるだけ経費を節約すると同時に、減税をして行かなければ国民の生活の安定はできないというので、相当の反対がありましたけれども、減税を押し切つたような次第であります。従いまして私は当初におきましては七百五十億の一般会計からの減税を考えておつたのですが、それが大体七百億程度に減つて参りました。而して朝鮮動乱によりまして、歳入面が非常に殖えて来た。こういうことからそのまま将来の貿易等を見通しまして、或る程度のいわゆる外貨の平衡資金というふうなことも申しますが、インベントリー・フアイナンスのための一般会計からの支出を見込んでおるのであります。朝鮮動乱の我々の個人生活に及ぼす影響といたしましては、或る程度の物価騰貴がございましよう。そうして又それに対して労働賃金も或る程度上昇の傾向を辿つております。私は物価の上つて来るのはできるだけ抑えますが、その程度におきましては、労働賃金も上つて来るということを期待しておるのであります。そこで問題の公務員の給與につきましては、今までの不足分を千円ほど引上げる。そうして庁方で減税をするのでありますから、公務員が一般労務者よりも来年の一月から相当楽になつて来る、こう考えておるのであります。
○木村禧八郎君 どうも大蔵大臣は朝鮮動乱の影響について、勤労者の生活が楽になるというようなお考え方をしておるようですが、そこが根本的に我我の考えと違うのでして、只今イギリス、西ヨーロッパ等の国における再軍備費の増加ということをお話になりましたが、西ヨーロツパとかイギリスにおいて問題になつておるのは、再軍備と国民生活の調整をどうするか。これが大きな問題になつておるわけです。そこでどうしても再軍備をやらなければならないのなら、国民生活を余り圧迫しては困るから、やるのならアメリカからたくさん金を貸してくれということを交渉しておるわけです。問題は国民生活をどう維持して行くか。この再軍備の段階において、西ヨーロッパなどにおいてはそれが非常な悩みの種になつておる。折角消費水準が上つて来ておる、生産が復興して来る。ところが再軍備が起つて来て国民生活が低下するようになつた。これをどうするか、そのためには、再軍備のために国民生活が低下しない形においてやるのには、アメリカに援助をたくさん頼まなければならない、こういうことになつて来ておると思います。日本におきましても、世界的な再軍備の段階に入つて、日本経済がその一環として利用されるようになつて来ておる段階においては、国民生活をどう防衛するかというのが大きな問題である。大蔵大臣が言われるように国民生活が楽になつて来るという考えでやつて行かれたのでは、考え方が非常に甘いと思う。そこが根本的に考え方が違うのでありまして、大蔵大臣は何か朝鮮動乱が起つて滯貨が一掃された、特需が起つた、輸出が殖えた。それで何か経済が順調に行つておると、こういうような甘い考えだと思うのです。これは国民生活にどういう影響を及ぼしておるか、又今後どういう影響を及ぼして行くかが大きな問題であつて、この観点から、我々はもう戦争をしないのでありますから、例えば生産がどんどん殖えても、その生産力が軍備その他に使われるならば、軍需品生産に使われるならば、又軍需品の消費に使われるならば、幾ら生産が殖えても我々の生活水準は高くならないのです。我々は今後民主化された日本においては、又平和化された日本においては、国民の消費水準をどうして高めるかということが経済政策の一番大きな目標でなければならない。そういう方向にやや向いて来たわけです。それで大蔵大臣のおつしやる通り、動乱が起る前までは確かに消費水準は上つて来ております。ところが動乱が起つて来てから下つて来ているということは重大な問題で、これは單に期間の問題ではないと思う。私はこの問題についてまだ大蔵大臣に具体的にお伺いしたいことがあるのですが、農林大臣がいらつしやいますから、その関連においての質問に移りますが、大蔵大臣にお伺いしたいのは五千五百二十九円という米価、これは国際的な米価に鞘寄せする、そういうところからそういう生産者米価をお考えになつたのかどうか。
○国務大臣(池田勇人君) 木村さん、昨年に比べて今年はよくなつたということはお認めになりましよう。而して朝鮮動乱後ちよつと今物価が上つて、そうして政府の減税その他の施策が来年の一月から行われる、この八、九月から十二月までのピークというものは私は認めます。併し減税をし、給與を上げた場合において一月からどうなるかというのが今の問題である。だから私は来年からは減税もするし、公務員につきましては給與の引上げもやろう、而して民間の生産は徐々に上つて行く。成るほど八、九月のちよつとぐらいのピークは私は認めます。併し全体として昨年よりも今年はよくなつている。だからこの施策をやつて行けばよくなる。このピークの八、九月だけをとつての議論は私は取らない、こう言つておるのであります。然るに五千五百二十九円の生産者米価は国際価格に鞘寄せしたかという、こういう御質問でありますが、私は国際価格に徐々に鞘寄せすると、こう言つておるのであります。国際価格は、朝鮮米は百四十二ドルでございます。日本の港につく価格が石当り百四十二ドルでございますから、七千六百円ばかりになります。而してタイ米とか或いはビルマ米は予算では百四十ドルに見ておりますが、最近は百二十九ドル、或いは百三十二ドルで来ておりますから、大体は七千円程度であるのであります。而して今回の本年産米の分は五千五百二十九円で、国際価格にまだ鞘寄せというところまで行つておりません。我々の計画では、来年は一九五パリテイに或る程度の加算をいたしまして、六千百円余りを見込んでおるのであります。これは一度に国際価格に鞘寄せするということは非常に危險であり、労賃、生計費その他に及ぼす影響……、併し何と申しましても日本の経済は世界の経済に継がつて来つつある。世界の経済市場に乗り出しておるのでありますから、好むと好まざるとにかかわらずこれは国際市場に鞘寄せせらるべき運命を持つておる。これを如何なる程度で、如何なる時期においてやるかということが非常な経済問題、政治問題であるのであります。私は日本の経済の安定は、主食が国際価格に鞘寄せせられ、それに応じて一般の労賃が定められるときを以て終止符を打つべきだと、こう考えておるのでありますが、まだ只今のところ国際価格に米のほうが鞘寄せされておりません。麦のほうはどうなるかと申しますと、麦は今年三千七百五十円であります。大体六十八、九ドルになることになります。今小麦協定は七十一ドルが最低のあれでございますので、麦の価格は大体国際価格に鞘寄せされて来たと申し得られましよう、小麦協定に入つた場合の……。そこで問題は米と麦との比価の問題になつて来る。これは麦は御承知のように配給いたしましても、小麦を田舎へ配給しますと配給辞退が起る。で日本人には小麦よりも大麦のほうが割に買われやすい。而して又麦と米との価格は、米に対して小麦が九十五では日本人には合いません。そこで私は米の値を上げることによつて国際価格に徐々に鞘寄せをして、そうして米と麦との差を多くすることが日本人の食生活に合う。こういう考え方で麦の値は消費者価格を据え置きましてそうして米の値段を上げて行こう、こういうことに考えて進んでおるのであります。この点は農林大臣、安本長官も同意見だと私は思うのであります。
○木村禧八郎君 そうしますと、生産者米価を五千五百二十九円に上げたのは、米価を国際価格に鞘寄せしたというわけではないのでありますけれども、そういう意図からせられたということを承わつたのですが、併しこれについては相当問題があるわけでして、公聴会におきましても、日経連の堀越氏から、米価引上げについては反対であるという意見がある。その論拠として日本の米の輸入の量は国全体で生産せられる米の量、或いは消費者の米の量に対して極めて僅かである。そういうふうな点、そうして僅かである輸入食糧の引上げによつてもつと大きな消費量のほうに影響を及ぼさせ、そうして国民生活に大きな影響を與えることには反対だ。堀越氏の意見はそれが賃金の引上げに影響するから……、こういう御意見だと思うのですが、私は生産者価格についてはあえて反対するものではないですけれども、それによる消費者価格の引上げ、これが国民生活に及ぼす影響を大蔵大臣はどう考えるか。これは大蔵大臣がインフレを抑制しようという考えと、矛盾するものだと思う。政府はインベントリー・フアイナンスで一般会計から繰入れた。そういうような形で財政経理面からインフレを抑えることに努力しつつありながら一方米価を引上げた場合、税金を納めていない人は何によつてカバーするですか。米価の引上げの影響、この点どうですか。
○国務大臣(池田勇人君) お考えになつておる点が三つあると思います。米の生産者価格を引上げろ、消費者価格は上げるな。これは米価審議会の答申もそうであつたかと漏れ承わつておりますが、これは無理なことでございます。それだけ政府が税金を取つて補給金を出さなければならん、こういうことになるのであります。その政策は私はとりたくない。これが一点。第二点は、大蔵大臣は米の値を上げて行こう……、そうすれば賃金も上るじやないか、これはインフレ政策ではないか、こう言われる。それは一応インフレ経済を本然の姿に持つて行くことです。ですからそれは一遍にはできません。国際価格に鞘寄せするというので、生産者価格を朝鮮米の七千六百円に持つて行く、そうして賃金をそれに応じて一遍に上げてしまうということはこれはいけませんから、私は徐々にインフレを抑えながら、本然の姿に持つて行こうとしておるのであります。だから国際価格に徐々に鞘寄せして行く、こういうことで御了承願いたいと思います。而して第三の税金を納めない人はどうするかという問題、併し税金を納めない人がどれだけありますか。生活保護法その他で政府の給與を受けておる人はこれは別でございましよう。併し我々の見るところを以てすれば、殆んど全部の勤労階級は税金を納めております。そうでしよう。基礎控除二万五千円では月給取りは殆んど納める。こういう状態になつておるのであります。そこでこれは税金を納めない人は苦しいじやないか、こういう人は例外的にはあると思いますが、全体の施策としては私は税金をまけることだ、而して又間接税その他についてまけることが一番いい国の政策だと考えるのであります。
   〔委員長退席、理事藤野繁雄君委員長席に着く〕
○理事(藤野繁雄君) 木村さんに御相談しますが、衆議院から大蔵大臣は呼ばれておるそうですから、一つできるだけ簡單に願います。
○木村禧八郎君 どうも大蔵大臣の御答弁は非常に部分的な理論を以て一般を律するようなんです。例えば税金を納めない人なんかないじやないか。成るほど消費税は納めます。併しだんだん基礎控除を上げたり何かするのは、やはり低額所得者を擁護しようというのでだんだん失格者が多くなつて来るわけであります。その点の御答弁は余り極端だと思うのであります。そういう点は議論になりますからやめます。インフレを防止しつつ日本経済を再建すると言つておりますが、インフレを防止しつつ日本経済を再建するという根本の対策は、やはり実質賃金を高めるということが根本の対策と思うのでありますが、それにはやはり名目賃金を上げるよりも食糧の値段を安くするということ、或いは衣料の配給を豊冨にし、それを安くする。米の配給の量を多くし、それを安くするということ、こういうことが最も効果的だと思うのであります。米価の引上げが諸物価に影響を及ぼすということは大蔵大臣も御承知の通りでありまして、従つて消費者米価を軽々に上げるということは、これはやはり負担の公平から言つても問題でありまして、私はまあ税金を取つてこれは消費者価格を下げる、而もその税金の取り方は最近特需とか何とかで非常にあぶく的に儲けた方面から取る。あとで御質問いたしたいのでありますが、法人税なんかの取り方は実は少な過ぎるのであります。その見積りなんかも……、その方面で非常にたくさん税金が取れるのであります。そういうところから取つて消費者価格を下げるのです。それこそが本当の公平な経済政策のやり方なんですが、その点は大蔵大臣は、何か米価を国際的水準にまで持つて行くと経済が安定するのだ。そういうような前からのお話ですが、大蔵大臣は何かそういう既成の観念に捉われて、何でも米価を国際的の水準に持つて行けばそれが経済安定したメルクマールになる、こうしたどうも既成的な考え方から無理やりに国際水準に米価を持つて行こうとして、そうして日本経済全体の諸影響を考慮して、又国民生活に及ぼす影響、その他を考えて米価というものを考えていないと思うのであります。少し無理をしておるのである。そうして大蔵大臣の考えでは早く米価を国際水準に持つて行つて統制を外す、デコントロールをやるのだ、そういうことに捉われて、さつき経済を自然本然の姿に持つて行くと言いましたが、今の日本の姿は自然本然の姿で動いておりますか、動き得ると思いますか。今後輸入についても、昨日安本長官は、これは民間だけでは困難であるし、政府もよほど考えなければならないと……、やはり統制というものを加味しなければやつて行けない段階であります。従いましてそういうような自然本然の姿にするために、米価を特にわざわざ国際的水準にまで持つて行くと、こういうのはおかしいと思います。そのほかに理由があるのじやないですか。大蔵大臣としては米の値段を特に上げて行くということについては、米食の習慣その他いろいろ考えて、大蔵大臣は何かそういう国際的水準まで米価を高くして行く。それにはたださつきお話になつたようなことでなくて他にも重要な理由があるのじやないですか。米価を特に上げる、併し麦とか何とかは余り上げない。こういう食糧の価格体系について大蔵大臣には、何かほかに重要な理由があるのではなかろうか。この点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 日本の経済を国際的に見まして立派なものにしたいというのが私の念願であるのであります。別に他意はございません。米と麦との価格の問題につきましても、日本古来の習慣に合つたようなやり方をして行きたい。お百姓さんに小麦を食え、而も米の一〇〇に対して九五の小麦を食えと言つてもお百姓さんはなかなか食わぬ。都会の人は別であります。そういうことを考えて日本の経済を本然の姿に持つて行くには、米と麦の差も大きくしなければならないというのでやつているのであります。別に他意はございません。そうして日本の経済はどうしても国際的に成り立つて行かないという考えは誤りであります。どうしても国際的に見て正常な姿に持つて行かなければ長い競争はできない。これは他面から申しますと、農民に対しても非常に低い米価でやるということはよくない。各国の農業政策を御覧になりましても、アメリカは二十数億の農産物の補給金を生産者に対して出している。イギリスなんかも馬鈴薯を非常に高価に政府が買入れている。日本はその逆で農民から非常に安い米価で買つて補給金を出している。世界の農業政策からいつて逆なんです。この面からいつても米の値段を無理やりに抑えて行くのはよくない。麦は大体国際価格になつている。米を何としても値段を上げて、それが日本経済再建のマイナスにならないように、徐々に上げて行きたいというのが私の念願であります。ほかに他意はございません。私は衆議院の大蔵委員会に約束しておりますから、ちよつと……、又来ますから……。
○木村禧八郎君 それじや一言だけ……、只今日本の古来の考え方に従つてやるのだという、その点はどういう意味なんですか。
○国務大臣(池田勇人君) 御承知の通りに戰争前は、米一〇〇に対しまして麦は六四%ぐらいのパーセンテージであります。それが今は米一〇〇に対して小麦は九五、大麦は八五ということになつております。そうして日本の国民全体の、上から下と言つては何でございますが、大所得者も小所得者も同じような米麦の比率でやつております。これは完全な統制であります。私は所得に応じて、所得の少い人は麦を多く食う、所得の多い人は米を食うというような、経済の原則に副つたほうへ持つて行きたいというのが、私の念願であります。
○木村禧八郎君 農林大臣にお尋ねしたいと思います。農林大臣は米価の問題につきまして最初から今の大蔵大臣の考えと同じであつたのでありますか。国際的水準に早く持つて行こうという考えであつたかどうか。それからもう一つは、米の統制のデコントロールの問題、この二つについてどう考えるか。
○国務大臣(廣川弘禪君) それは池田君が、国際価格にだんだん近寄らして行きたいというときの池田君の考えがやはり五千五百円台だつたのであります。又我々のほうといたしましては飽くまで農家の生産費を基礎にして考えたのであります。で、この生産費を基礎としてできたものが大体五千五百四十円台であります。そういうようなわけで期せずして価格が一致したということで、最初の考えは少し我々とは違つておつたようであります。併し最後に米価を政府において決定する場合においては、現在述べているように安本のほうも我々のほうも意見をまとめて、あそこに行つたようなわけであります。それから統制廃止の問題でありますが、だんだん我々といたしましてはこの自由な、そうして又経済的な実用的な方面にこの配給機構を持つて行きたいというわけで、我々が考えておるように徐々に統制を外して行きたいという考えでおるのであります。
○木村禧八郎君 先ほど大蔵大臣が生産者価格五千五百二十九円はまだはつきりきまつていない。又消費者価格も予算書に示されておるように十キロ当りですか、現行の四百四十五円を五百二十円にする、輸入米四百四十五円を四百六十円にする、それから麦、精麦は据え置き、大体こういうようにきめるのですか。
○国務大臣(廣川弘禪君) 我々といたしましては、米価審議会の意見を十分尊重いたしまして、只今尊重しておるために、最終決定を一生懸命どこにつけようかと努力いたしておるのであります。それがために、審議会の意見は非常にむずかしい意見でありまして、生産者のほうは高くしろ、消費者にはそのままにして置けということなんで、その点我々といたしましては中間マージン等をできるだけ少くし、或いは又消費者に対しましては成るべく少くするように現在種々検討中であるのであります。
○木村禧八郎君 どうもこれは、農林大臣のみに申上げてはまあ妥当ではないかと思いますが、予算の一番大切な積算基礎となるもの、即ち賃金と給與と米価なんですが、そのうち米価がまだきまつていないというお話、これには私は驚いたわけです。そうしますと、これの変更如何によつて予算にいろいろな影響が出て来るわけです。この点非常におかしいと思うのですが、その点について農林大臣にお伺いしてもしようがありませんから、農林大臣については外の質問を又いたしたいと思うのです。先ほど大蔵大臣が米価を引上げて行つて麦とか精麦、小麦粉を引上げない。こういう主食の価格体系の変更については、所得に応じて食習慣を昔に復活させることが一つの理由である。所得の多い者は米を食え、所得の少い者は麦を食え、例えば農村に例をとればお百姓さんは昔のように稗です粟でも食え、米を食うのは主食の統制の結果だ。それだから食習慣を昔に戻すためにこういう食糧の価格体系を考えたのである。こういうような答弁でありましたが、農林大臣はこれについてどういうお考えでございますか。(「重大問題だ」「第三放言だ」と呼ぶ者あり)
   〔理事藤野繁雄君退席、委員長着席〕
○国務大臣(廣川弘禪君) 池田君は少し言葉が過ぎたと私は思いますが、(笑声)我々といたしましては、その土地の改良、或いは肥効等によつてどちらも得られるようにしたいと、こういう考えでおるのであります。(笑声)
○木村禧八郎君 これは非常に重大なことだと思うのです。(「放言だよ、第三放言だ」「重大問題だ」と呼ぶ者あり)それだから我々国民の生活水準はなかなか高くならないと思うのですが、これはアメリカで二億七千万ドルの対日援助費を議会に要求する場合に公聴会を開いた。その公聴会におきまして、日本の生活水準について議論が行われておるのです。その公聴会においてこういうことが言われておる。これは、ボルヒイス氏の証言であります。ボルヒイス氏はこういうふうに言つておる。大ざつぱに言つて、これは日本のことですが、生活必需物資の配給の点ではマッカーサー元帥の下で非常な健全化がなされておる。過去のどのときにもましてあらゆる富のより公平は分配が行われておる。従つて日本国民の大部分は、我々が米国内で慣れておるものに比べれば、みじめなほど貧弱な條件にある一方、大ざつぱに言つて、平均してほぼ戰前と同じような水準にあるように思われる。平均水準から判断すれば極めて貧弱な状態の食事だが、彼らはいつもそのように貧弱な質の食事だつたのである。蛋白質食物の点で彼らは著しく不足をしておるし、脂肪も非常に足りない。併し平均して栄養状態はほぼ戰前と同じだと断言できる。こういうように言つております。私々は昔のような食習慣に帰るという、そういう考え方で主食の価格体系を考えて頂いたのでは、これは非常な間違いであつて、農村のほうもやはり米、麦、稗を食べるよりは、少量でも栄養分の多い蛋白質、脂肪類を多くとればエネルギーが多くできるわけです。それであるのに、今のような考えで米価政策をお考えになつておると、アメリカでも日本国民というものは今まで貧弱な生活水準だつたのである、食糧も蛋白質が極めて少く、脂肪も非常に少い。併し日本人が今までそうであつたんだからあれでいい。こういうふうに見られては困るのであつて、我々及び我々の子孫はアメリカ人並みの生活水準まで行きたいのです。又行かせなければいけない。今の大蔵大臣の考え方はまるでそれと逆行するのであつて、そんなふうな考え方では今後の日本の生活水準の向上の問題についても自主性がないと思うのです。もつと何と言いますか、生活内容を豊かにさせるようにしなければいけないのであつて、所得の少い者は麦を食え、所得の多い者は米を食え、これでは私は、只今も放言というお言葉もあつたが、これは單なる放言ではなく、これが今回の米価の決定、或いは小麦粉或いは精麦の価格の決定に……、主食の価格体系の決定にそういう考えがあつたとすれば、これは重大な問題だと思うのです。国際的な水準までにはこれはまだ議論の余地がある。又消費者米価、これを税金で取るか、或いは又価格引上げによるか。これは議論のあるところだと思いますが、我々は税金で取るという議論でありますけれども……。そうでなく、その背後に今申上げたようなことがあるとすれば、これは失言ではないかと思う。農林大臣はどういうふうなお考えでありますか。
○国務大臣(廣川弘禪君) 現在の農村はあなたがた御承知の通り決してさようなものではないのでありまして、我我はあなたがたから予算決定を得て、特に農林省におきましては、生活改善課を設けておりまして、そして一般生活改善の方向に向けておるのであります。一例を挙げますと、協同組合におきましては、一万人分のパン燒機械を備えておるような協同組合もあるようなわけであります。それから又小動物、即ち山羊等の増加、戰後これらは非常に目覚しく発達して参りまして、この乳製品を農家において非常に取るような段階に至つております。例えば簡單な例で言いますと、味噌汁の中に山羊の乳を入れて、これを味わつておりまして、今まで古い人たちに何としても飲めなかつた動物の乳、これを老人まで味わうように、そこまで生活の改善をやつて来ておるのであります。(「どこですか」と呼ぶ者あり)でありますから、こういうようなことで、決して農村の收入の少い人のみ麦を食えというようなことではなく、農村などにおけるパン燒機械を見ても、或いは又乳製品を家庭においてやるにしても、又動物の肉の塩蔵等も非常に発達して参りまして、一時にそれを食べずに、塩蔵して長く使つておるようなことでありまして、食糧の改善は我々のほうでどんどんやつております。ただ收入の少い人が云々ということはこれは多分言葉が、舌がちよつと短かかつたんじやないかと思います。
○木村禧八郎君 農林大臣のお考え、それが常識だと思う。やはり所得の少い人でも白いお米が食べられるような政策をするのが政治であると思います。ですから私は消費者米価は成るべく安くするのが当り前だと思う。ところがそうでない。消費者米価を高くするのは所得の少い人に米を食えないようにして、所得の少い人は小麦を食えばいいのだから消費者米価を上げていいという、こういうことが主食の価格体系の中に現われている。それは非常に問題だと思う。ですから若し農林大臣が今健全な常識の上に立つてお答えになつたことであるならば、農林大臣はむしろ生産者米価については再生産を確保するために、私は引上げについて反対するものではありませんが、消費者米価についてはやはり所得の少い人でも勤労する人には、小麦を食べさせるより、これは日本人としての食習慣でどうしても米を食べたほうがいいのですから、米価については所得の少い人……、農村の人でも食習慣として、統制になつて小麦を食う習慣ができたかも知れませんが、それを逆転させるような考えで、価格体系をお考にならないように、消費者米価を下げるように農林大臣はむしろお考え願いたいと思うのです。その生産者価格については、これに反対するのではないのでありまするが、消費者米価はそういうふうに御努力願いたいと思うのですが、如何でしようか。
○国務大臣(廣川弘禪君) あなたのお考えのようにいたしたいと思つて、折角今これを、役所の言葉でいうと作業中というようなことで、運賃或いは倉庫料、或いは加工賃、そういつたようなのを組かくそろばんを彈いて我々といたしましては、ぎりぎりのところまで節約いたし、或いは又大きく一括して運送業者等と契約いたしておるのでありまするが、これらもできるだけ下げましてそうして米価審議会の意見を私は尊重して、そうして一般消費者に一つ納得の行くような線にまで持つて行きたい。こういうように努力いたしておるような次第であります。
○木村禧八郎君 もう一つお伺いしたいのですが、二十六年度の産米の価格ですね、補正予算の説明書に出ております六千百六円、この場合の消費者米価についてはどういうことになるのですか。来年のことですけれどもお伺いしておきます。
○国務大臣(廣川弘禪君) これは諸般の情勢をよく検討いたしまして、米価審議会に諮りましてきめたいと思つております。
○木村禧八郎君 そうですけれども、又消費者価格が上るのですか、この結果……。
○国務大臣(周東英雄君) 便宜私からお答えいたしますが、今の来年の六千百何がしというものは、来年のパリテイを百九十五と見ての計算であります。従つてこの買上価格と今年の米価の買上価格と両方合せまして、消費者価格を決定する方向になつておるわけであります。来年のを見込んで予算上どうするかということは、今度きまるわけであります。
○木村禧八郎君 消費者米価は今度上るのに又プラスして上ると、非常に常識的な考えですが、そう解釈していいのですか、
○国務大臣(周東英雄君) 予算上の面におきましては、結局米穀関係の予算は来々年の三月までですから、従つて一応予算上の買上価格等、来年度の米価を予想して消費者価格を決定するわけであります。
○木村禧八郎君 もう一つ農林大臣にお伺いしたいのですが、今度聞くところによると、食管特別会計ですね、あの食糧証券は日銀で持てないことになつたというのですが、そうですが。
○国務大臣(廣川弘禪君) 細かい正確なことは政府委員から答弁いたします。
○政府委員(伊原隆君) 食糧証券につきましては、今度の補正予算等におきまして、相当国庫に余裕ができるものでありますから、事実上日銀で持たないで済まし得るというふうな見方でありまして、決して法律的に日銀引受の食糧証券は認められないということはございません。
○木村禧八郎君 それは法律上はできないということではないでしようけれども、実際まああれは予算総則にあるのですけれども、事実上できなくなるのじやないのですか。
○政府委員(伊原隆君) 御存じのように食糧証券の残高は、年末から一月頃にかけて上りまして、三月末には百八十億、一方見返資金とか、預金部その他広い意味の国庫におきまして相当の余裕金が出るものでありますから、それの運用といたしまして食糧証券を持つております。現に日銀で持つておりますのは殆んどないと思います。
○委員長(波多野鼎君) 議事進行について石坂君からの発言の要求があります。
○石坂豊一君 私はこの場合、皆さんの質問の途中において誠に恐縮でありまするが、予算審議に重大なる関係のある問題でありまするから、委員長に要求したいと思います。それは昨日人事委員長がこの席に出られまして、人事院勧告強化に関する要求をせられたのであります。私どもは、決してその要求そのものについてかれこれ言うのではありません。ところがその際に委員長の報告によりますと、人事委員会一致の決議であること、並びにその決議に対して関係筋との交渉の結果、それを全面的に認容せられたという報告であつたのであります。然るに先ほど我が党が議員総会を開会いたしまして、その席上で我が党より出ておる人事委員の報告するとこれによりますと、非常にそれに間違いがある。で、決して満場一致の決議でもなし、又その域に至つておらない。又その関係筋との交渉については決して委員長の報告のように円滑に行つたのではないのである。こういう重大なる報告を得たのであります。この委員長の報告と我々の聽収した委員の報告との間に内容の隔たりがありますから、私どもはこの予算委員会において、各常任委員長の報告を聽取するに当りましては、それは常任委員会の決議によつてここになされるものと考えておるのであります。すでに地方財政委員長の平衡交付金の問題、又文部委員長の教員俸給に関する要求等についても、それを我々は受入れておるので、目下それに対する我々は審議をしておるわけです。それで決して私どもはこの要求に対して、その正しく要求されることについては、ここにこれを受入れることについては、我々は大いに敬意を拂うのでありますが、委員会の決議と違つたことを委員長が勝手に、歪曲という言葉を使つては誠にいかんけれども、それと違つたことを、自分の裁量によつて発表されるということは、これは誠に遺憾なことであるから、どうか委員長よりその真相を明らかにして当委員会に報告して頂くことをここに要求するものであります。それと第二点は、この委員会の審議を見ますというと、もう本日と明日だけであります。本日は総括質問にも入らにやならんので、多くの質問者も残つておるのでありますから、私どもはインフレ論者の木村君の説に非常に長く傾聽しておるのであります。どうか簡單にして、他の質問の方々に順序よく運ぶようにして頂きたい。あとのことはただ一般の要求でありますが、先のことは、党を代表して私は、要求するものです。
○委員長(波多野鼎君) 只今石坂委員から人事委員長の当委員会における申入の点について錯誤があつたのではないかという重要な発言があつたのであります。でその錯誤があつたかどうかを、委員長において調査してくれという御要求であつたと思います。そこで暫らく委員会を休憩いたしまして理事会を開いて、その取扱を協議いたしたいと思います。
 暫らく休憩いたします。
   午後零時十一分休憩
   ―――――・―――――
   午後三時十一分開会
○委員長(波多野鼎君) これより予算委員会を再開いたします。
 最初に御報告を申上げます。午前の委員会におきまして石坂議員から申出ありました動議、即ち人事委員長からの申入については錯誤があつたのではないかという件につきまして、その取扱方法を理事会を開いて協議いたしました。その経過並びに結果を簡單に御報告申上げます。理事会では本委員会の速記録を取調べました結果、人事委員長の説明の中に次のような字句があることを確認いたしました。即ち「本日人事委員会の與野党の委員が満場一致を以て次の点を予算委員会に申入をして、そうして予算措置を御配慮願いたいということの申合せを決定いたしました。」ということ、それからもう一点は、「以上は人事委員会の決定によりましてお願いするのであります。」こういう字句があることを確認いたしました。第三にこの発言が人事委員会における決定と食い違つておるかどうかというのが問題点でありますが、これにつきましては当予算委員会において論議すべき問題ではないから、予算委員会としてはこれを取上げない。右の通りに決定いたしました。この理事会の決定を御承認願いたいと存じます。御異議ございませんでしようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(波多野鼎君) 御異議ないものと認めます。総理が出席されるまで暫らく休憩いたします。
   午後三時十四分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時十七分開会
○委員長(波多野鼎君) 休憩前に引続いて予算委員会を開会いたします。吉田内閣総理大臣兼外務大臣が出席しておられます。羽生君。
○羽生三七君 吉田総理大臣にお伺いいたしたいと思いますが、先日の本会議で私がお尋ねした点について吉田総理のお答えが大分私の質問の趣旨と違つた点がありますので、改めてここでもう一度お聞き直しをいたします。それは講和がいつ開かれるかということは、時期の測定に関する問題でありますので、今日から予断を許しませんが、仮に一部伝えられるような早期講和ということが具体的な問題になつた場合に、どういう形で国民の意思を聞かれるかというのが、私のお尋ねであつたのであります。これに対して吉田総理は、そういう場合に国民の意思を聞かんということはない。又国民の講和論議を抑える意思はない。そういう意味の御答弁があつたのでありますが、私のお尋ねしたい点はそうではなくて仮に早期講和ということが起つた場合には、例えば国会を通じておやりになるのか、或いは各政党、或いは各会派の首脳部の参集を求めておやりになるのか、そういう手続上の問題をお尋ねしておるのでありますが、これに対して首相はどのような御見解を持つておるか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。私の本会議においてお答えをしたことの気持ちは、講和に対する輿論の帰趨といいますか、国民の要望なり希望なりというものは自然すでに現われておりますが、そういう輿論の向うところを政府が察して善処すべきものであつて、政府が指導すべきものではないというのが、これが民主主義である。こう思うので、私はその意味のお答えをしたいと思います。そこで今のお話でありますが、講和の問題が、実際的な問題が起つた場合にどうするか、政党の首脳部に相談するかというお話のように聞きましたが……。
○羽生三七君 或いは期間……。
○国務大臣(吉田茂君) 或いは期間……、私は、そのときの模様によつての話で今日からこうする……、講和の内容をまだ示されておらないときでありますから、私はこうするああするという具体的なお話はまだできにくいと思います。
○羽生三七君 そうすると、それは講和の條件、或いは内容についておきめになるとお考えになりますか。條件、内容如何によらず手続上の問題くらいはせめて総理がお考えになつていいのじやないかと思いますが、これは如何でしようか。
○国務大臣(吉田茂君) 今日から、條件とか内容というものができた場合にというような時期的なものを設けませんが、要するにそのときの状況によつて善処したいと思います。併しながら独断でいたすようなことはいたしませから、さよう御了承願います。
○羽生三七君 次のお尋ねは、若干私見が入るのでありますが、御承知のように朝鮮動乱を契機として、国際情勢が極めて深刻なものになつており、特にこの数日来の情勢というものは非常に深憂に堪えないものがあると思うのであります。こういう場合に我々日本国民としても、これにどういう形で対処して行くかということは、極めて重要な問題になると思いますが、こういう場合、私はあえて政府にそういう問題の見通しがあるとかないとかいうことを問うわけではありませんし、又こういう問題については、たとえ野党であつてもその政党の如何を問わず、やはり日本の将来について、十分真剣な論議が行われなければならないと考えております。先日或る本を読んで見ましたら、民主主義とは話会いである、ところが日本では果し合いであるということが書いてありました。私は別にそういう果し合いというようなことを考えておりませんので、極めて常識的な意味でお尋ねをしたいと思うのでありますから御了承を願いたいと思います。とにかくそういう形で世界情勢が非常に深刻になつておりまするので、何らか国のあり方というものが、真剣に追及されなければならない。これはもう政府でも異論のないところだと思うのであります。そこで問題になるのは、そういう深刻複雑な国際情勢の中で、講和会議以前に何らかの日本の意思表示ができるかというならば、これはもとより非常に困難だということは我々の了承するにかたくないところであります。併し日本国の憲法というものが嚴として存在していることは、又しばしば吉田首相が日本国憲法を早急に変えようというような考えは持つておらないという御言明にもある通り、この日本国憲法が嚴として存在しているのでありますから、何らかの問題を我々が考え或いは批判し、或いは検討して行く場合に、この日本国憲法の建前ということから、或る一定の結論が導き出せないことはないと思うのであります。そういう意味から考えて私どもがこの深刻な国際情勢を見て、日本国民の多くの者が非常に深く憂えているわけであります。この際話がやや横にそれますが、昨年の議会で私は数回繰り返して吉田総理に日本の経済の自立計画について何らか一定の見通しが必要ではないか。その年限りでなしに、例えば二年、三年の短かい期間であつても、一定の見通しの下に何らかの施策の必要があるのではないかというお尋ねをした際に、総理はそういう必要は認めない。こういうお答えでございました。ところが現内閣では自立三カ年計画を立てられたわけでありますが、それは結構でありますけれども、それと同様にやはりこういう朝鮮動乱というようなものを契機とする複雑な国際情勢に対処した場合に、何らかやはり国の基本的な方針、講和條約の内容とか條件を言うのではないのであります。日本の将来というものはこういうふうにあつて欲しい。日本の将来の行き方というものはこうならなければならない。そういう何らかの見通しというものが、総理の品から国民に安心の與えられるような形で発表されるならば、私は非常に国民も鼓舞激励される点があると思うのであります。ところが如何なる場合におきましても、やはり講和会議以前には問題がむずかしくて発表しがたいということで、いつも問題の所在は吉田総理の胸三寸の中にあるように我々には理解されるのであります。併し先ほど来申上げますように、講和会議以前でありましても日本国憲法が現に存在しているのでありますから、この憲法の規定に基いて、或る一定の方向を追求することは困難ではないのであります。そういう立場から考えまして、首相がここに日本の将来について、或いは今日の国際情勢について確乎たる見通しをお持ちになつて、これを中外に表明される御意思をお持ちにならないかどうか。この点をお尋ねしたいと存じます。
○国務大臣(吉田茂君) これは私が絶えず申しているところでありますが、講和或いは国際情勢等について国民の意思表示、或いは輿論の意思表示を、これは勿論我々が問うべきことであり、自由に発表せられるのがいい、やるのがいい、これは始終私は申しているのであります。然らば私がここで見通しをああだこうだということが適当なりや否や。これは現に我々としては新聞……、諸君の持たれる情報と言いますか、新聞の発表、表われて来る記事以外に何らほかに求むべき資料は持つておらないのであります。故に不確実な資料を土台とするか、或いは見通し見通しと言われますが、外交は占いではないのでありますから、相当の資料を以て判断すべきものである。而して従来と違つて当局者としては、こういう確定的の資料があると申すほどの資料は持つておらない今日でありますから、軽々しく見通しといいますか、方針はこうだというのはどうかと思います。併し私が国会において話しておること、説明しておること、若しくは政府の意見なりとして時々発表し、言明いたすところは、即ち或る見通しを以て考えておるので、国民は私の国会における説明等によつて、どういう考えを持つておるかということは自然理解されるものと思います。但しこういう見通しである、政府の方針はこうであるということは如何かと思つております。或る考えの下に、それから発足しての説明は相当いたしておるつもりであります。又これによつて国民が、政府として若しくは私として考えておることを理解してくれるだろうという期待の下に、私の国会における説明をなしておるのであつて、決して私一人で以てやつておるのではないということを御了承願いたいと思います。
○羽生三七君 質問はこれで終りますが、今のお答えも若干質問の趣旨とお答えとは少し違つておる点があると思います。私の言うのは見通しも勿論大事でありますが、見通しがどうだという御意見を承わりたいというのではなくて、現に憲法が存在しておるのだから、日本はこうあるのだという意思表示、又こうなければならんという意思表示の問題の所在について、ときには発表されても差支えないのではないか。こういうことなんであります。だから見通しを立てて首相がしばしばお使いになる仮定の問題に立つて意見を言うのではなくして、現に確乎たる日本国憲法が存在しておるのだから、その立場に立つてはつきりした問題、例えば国際情勢の推移によつて、日本はこのときに発言したほうが却つて有利だと思われるようなときには、その憲法の條文に照らして日本国自身として将来の見通しを立ててはいけませんか。それを端的に表明するということは今日は許されないのか。或いは首相はそういうお考えを持つておらないのかどうかということであります。
○国務大臣(吉田茂君) これは只今申上げた通り、政府として国民にこうであるというようなことを言う只今ときでないと考えますから、それで国際情勢はかくのごときであるということは申しませんが、私の説明の中には自然或る見通しなり、或いは考えを以て申しておるのであつて、その推移から、或いは類推して申すことに対して演繹して申せば、相当に結論を国民が了解するのではないか。これが恐らく民主主義政治ではないか。参考として当局者の考え方を種々の問題について言い現わし、十分それを総合して国民が判断する。国民に判断の資料を與えるのが我々の務めであるのではないか。こう始終考えております。
○羽生三七君 これは質問ではありませんが、最後に自分の意見を申上げて質問を終りたいと思います。それはこの前本会議で申上げましたように、今の首相のお考えはよくわかりますが、私は大事なことはやはり自分たちの問題を、考えを進めて行く場合に、或る一定の将来の見通しとしてこうなるだろうという結論を出して、それが自分たちの議論の出発点になつてはならないということはこの前申上げたのでありますが、どうも今の政府の方針を私どもが見ておりますというと、只今国際情勢の推移をお考えになつてもう一定の結論が出て来ておるのであります。それが講和なり、或いは国際情勢の見通しの出発点になりそうだ。これが私どもと首相との見解の違いになるので、私どもは、やはり首相の言われるように架空の理論をやつておるとお言いになるかも知れませんが、私どもは現実的な基礎の下に立つておるのです。将来ことによると国際情勢の結果、殊に米ソの対立を見る場合には多分こうなるのじやないか。だから講和というものはこうなければならんということで、結論が出発点に来る。こういうことはとらないのでありますけれども、これは議論の分れるところで多くは申上げません。私の質問はこれで終ります。
○佐多忠隆君 今のに関連して……。今の羽生委員の問題に関連してでございますが、吉田総理はしばしばまとまつてどうということを国民に強いたくない。そういう意味で自分の意見はまとまつては発表しないんだというようなお話のようでございますが、私たちが吉田総理の衆参両院の外務委員会その他で今までにお述べになつたことを大体考えて見ますと、平和をば熱心に求めてやまない。我々日本国民は国連軍が中共との全面戰争に陷らない、従つて第三次の世界大戦へ展開することがないようにということを非常に熱烈に切望しておられると思うのです。従つて又日本の再軍備の問題というようなことは起らないだろう。起らないで欲しい。特に日本国民としては絶対に再武装を考えないで、たとえ外国からその要求があつたとしても、これに応じないで、我々は飽くまでも憲法の精神を守り拔かなければならないということ、而もこの朝鮮動乱をめぐる非常な危機の中に立たされながらも、我々日本国民は昔言われたこのとき騒がずというあの態度を以て、特にアジアの経済復興開発と、アジア民族の生活水準引上げに寄與するということを通じて、それに並行して我が国の経済自立をば速かに達成しなければならん。それに全努力を傾けなければならないというようなことであつたかと思うのです。こういうようなことが先ほど総理もおつしやるように、折にふれて今まで成るほど国会において断片的に述べられておると思いますし、その限りにおいて我々はこの態度に全幅的に賛成することを惜しまないものだと思うのであります。そこでこういう今申上げたような、私が感じとつたその総理の態度をば一つのまとめた形において、或いは国会の本会議を通じてみずから発言を求めて、全国民にそれを呼びかけるというようなお心持ちはないのかどうかということをお尋ねしたい。私から申上げるまでもなく、トルーマンはこの動乱の中にあつて、みずから立つてそういう態度をとつているじやないか。或いは国会の領袖諸公を集めてそれにいろいろと相談をする。或いは又新聞記者諸君との会見を通じて自分がどういう見解を持つているか。どういう態度で対処するかという問題を、我々から見れば非常に機微に触れることまで大胆率直にこれを国民に訴えて、国民の理解と支持を求めている。これが民主主義の態度じやないかと思う。或いは又マツカーサー元帥は今日の新聞によりますと、新聞の求めに応じて米軍の配置、作戦の事実に至るまで発表して、自分の所信を大胆に披瀝しながら、世界の人々に対して自分に対する理解と支持を求めている。軍人のマツカーサー元帥において実に然り、これこそは本当に民主主義の態度じやないのか。そういう意味において民主主義を信條としておられるところの総理が、私が先ほど言いましたような形におけるまとまつたものを、この際国会を通じて御発表になることが非常に必要じやないか。我々はそれを切望するのでありますが、総理はどうお考えになりますか。
○国務大臣(吉田茂君) 御趣意は御尤もであります。ただ我が国とアメリカといいますか、アメリカの大統領と日本の総理大臣との間には、これはよほどの間隔があるのであつてアメリカのような殆んど独立独歩といいますか、世界の第一流の国となつておる国の大統領としては、率直に言い得る場合もありましよう。或いはもつと自由な立場において言われることもできるのでありましよう。又言うことがいいような場合もあるでしよう。ただ日本の現状において、講和を前にして非常に国際情勢の微妙なこのときに、而も私として非常に確実な情報若しくは資料なしに、いろいろなことを申すということがいいか悪いか。これは判断によりますけれども、私としては若し率直に我々の意見を言い得るときが来れば、御趣意に副うようにして行きたいと思います。今日においては、断片的に自分の或る考えから演繹して行つて、そうして国民の参考までに断片的に申すというよりほか仕方がない。又そのほうがいいのではないか。こう考えて結局あなたがたからお考えになると、愼重に過ぎるとか、憶病に過ぎるというお考えがありましようが、併し今日日本の立場としては、私としてはよほど愼重に言うべきものであつて、第一資料がない、第二に日本の国際関係、殊に講和を前にしての日本の地位は甚だ微妙な事態にありまするから、用心深く考えるほうがいいのじやないか。こういう考えでおります。御趣意には賛成であります。言い得る時期が来れば喜んで申しますが、只今はそういう時期にあると考えておりません。
○佐多忠隆君 よく総理は資料がないから、確たるよりどころがないからということをおつしやるのでございますが、成るほど我が国の今置かれている地位からすれば、在外公館その他を持たない悲しさに、そういうことも言えるかと思いますが、併し新聞その他が非常に発達している現状においては、それを通じても或る程度のことははつきりと看取し得るのではないか。新聞、ラジオその他をそれほど御懸念にならないでもいいのではないか。それを通じて必要な限りの資料は丹念にお集めになり、丹念に整理されたら、そこから有能な外務官僚、外務スタツフを駆使されたら、おのずからそれに足る十分な資料はできるのじやないか。仮にこれを戰前の在外公館が非常に完備していたときをとつて見ても、果して新聞その他で報ぜられる以上に的確な詳細な資料が得られていたかどうかということは、私は非常に疑問なきを得ないのであります。そういう意味では、資料のないということは何らそれを躊躇される理由にならないのじやないか。もう一点、総理は現在我々は占領下にあるのだから、その局に当る者は非常に愼重でなければならない。言えることと、言えないことがあるということをよくおつしやいます。外交のヴエテランとしての総理のお気持は我々にもよくわかる。併しそれだからこそ総理は、何が言つていいか、何が言つて惡いかということを最もよく御存じだろうと思う。而も私が先ほど要約して申上げました二、三の点は、すでに断片的にお話になつていることであつて、決して外に声を大にしてお話になつても差支えのない点ではないか。あれこそは本当に世界諸民族に日本の平和的精神をはつきりと叩き込まれる、いい考え方ではないか。それをむしろここで大胆率直にお述べになることが必要なんです。総理はよく国民はおのずから自分の断片の中から正確な認識を作り上げて来るであろうということをおつしやいます。成るほど国民はそれをやるでありましよう。併しもつと親切に考えるならば、そうして本当に政治家として民衆と共に歩むということを真剣にお考えになるのならば、もう少し親切に国民に対してそういうことをまとまつて、而も国会を通じて体系的にまとまつたものとしてお述べになり、訴えられることがこの際是非必要なんじやないか。重ねて私はそういうふうに思うし、希望するのですが、総理はどうお考えでしようか。
○国務大臣(吉田茂君) あなたと私と帰するところは同じではないかと思いますが、御意見は伺つておきます。なお私の今後のことについてはあなたのお話を参考として善処いたします。
○山田節男君 関連して……。先ほどの羽生君並びに佐多君の質問に関連して重複しておりまするが、併しはつきりさして頂きたい点を三つ、三つ質問申上げます。御承知のように朝鮮動乱が起きて以来、日本人を戰争遂行のために使うとか、或いは日本を再武装しようというようなことが外国の新聞雑誌等に出まして、総理としても今まで日本の憲法の建前上、再武装は絶対にしない、又朝鮮の動乱に日本人が利用されるということも好まないということを再三御声明になつておるわけでありますが、ところが極く最近の朝鮮の状態はああいうように中共がどんどんと進んで参りますと、もうすでに京城へも百キロほどに迫つて来るのではないかというような状態になります。そこで日本を再武装するということが、殊にアメリカで私は強くなつておるように考えます。と申しますのは、十二月三日のニユース・ウイークを見ますと、アイケルバーカー、この人は御承知のように第八軍の前司令官で、今日ペンタゴンにおいて国防省の日本に関するアドバイザーをしているかたでありますが、私は昨年の丁度十月三十二日アイケルバーカー氏にペンタゴンでお会いました。そのときにその人の言われたことが、去る十二月三日のニユース・ウイークを見ますと、極めてコンクリートに、どうしても日本は再武装しなければならないということが、ニユース・ウイークの外国記者の質問に応じて発表されております。こういうようなことになつて参りますると、好むと好まざるとにかかわらず、日本はどうしても再武装しなければならんという、私は全世界とは申しませんけれども、一部の連合国家がそういうことになるじやないかという、私はかなり確かな見通しを持たざるを得なくなつて来ておるのであります。こういうような事態になつて来ても吉田総理は、従来御主張になつておる通りに、絶対に日本は再武装しないという信念を、国民に、我々にもうはつきりと言明して頂けるかどうか。このことを一つお伺いしたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 私のこれまで申しておることは、我々としては飽くまで憲法の精神を遵守しなければならない。又国民も遵守するつもりであるということは、私は信じて疑わないのであります。そこでアイケルバーカー氏のごときは、日本の国民にとつて、或いは日本国にとつて非常に同情を持つておる人であつてその同情心からしていろいろ忠告もすれば、意見も吐いてくれることは、これはよく了承しますが、併し日本の我々としては、憲法がある以上、憲法の範囲において議論するより仕方がないと思います。又すべきであると思います。そこで今のお話でありますが、外国の新聞はいろいろ書いております。又書いておると承知しております。又反対論もあります。武装すべからず、再武装すべからずという議論も相当あります。アメリカのどれだけの人が再武装案を考えておるか知りませんけれども、現に我々としては再武装という要求なり、又希望なり、公式のアメリカ政府或いはその他の国からして要望を受けておらないのであります。従つてこの再武装の問題は、私としては憲法の精神を遵守して行くというよりほかお答えができない問題であります。又私が軽々しくこの問題を出したがために、講和前における日本の事態と言いますか、日本に対する連合国の感情、或いは誤解等を起してはなりませんから、私は今申す以上にお答えはできないと思います。
○山田節男君 次には、今私の判断を申上げたわけでありますが、とにかくこれは総理も御存じのように、日本を再武装しなければならんという、或る連合国の一部にはそういう空気がかなり強くなつている。そういうような状態で総理もマツカーサ元帥にお会いになり、或いは最近は共和党の領袖であり、ペンシルバニア大学の総長をしておられるミスター・スタツセンが参つてお会いになつているやに伺つております。そういうような、殊にアメリカを中心として日本を再武装しなければならんというように世論がなりつつあるという、そういうようなことの客観情勢から見まして総理に何かサウンドするような、日本国民のそれに対する態度をサウンドするような、何かの申入れと言つてはおかしいのでありますが、何かお話があつたかどうかということをお伺いしたい。
○国務大臣(吉田茂君) マツカーサー元帥にも、又スタツセン氏にも会いましたが、そのときにこういうことがあつたとか、ああいうことがあつたとか、話合つたとかいうことは申せませんが、併し再軍備に関する話は毛頭なかつたことをここに確言いたします。
○山田節男君 最後に先ほど羽生委員が御質問になつたときに、この講和條約の問題が具体的になつた場合には、各党に対して、何と言いますか、情報を示すと言いますか、向うから内示があつた場合には各党にやるかも知れない、それはそのときの事情によるというようなお言葉でありましたが、御承知のように幣原衆議院議長は超党派外交というものに非常に御熱心であります。昨日も私は親しくお会いして来たところ、誠に私どもとしても結構なことを言つておられたと思うのであります。吉田総理もこの超党派外交というものについてはあえて反対ではないというふうに伺つております。そういうように私は仮定して御質問申上げるのですが、超党派外交に吉田総理が反対でないというのでありまするというと、やはり、戰前の憲法における議会或いは政府とは違いまして、今日は民主主義であり、殊に外交という問題に関しては、これは党利党略でやるべきものではないということは、最も民主化した国であればあるほど、又政治家がステーツマンシツプが発達していればいるほど、この外交と申しますか、フオーリン・アフエアに関しては、党利党略外に置くということが今日常識であります。日本もそういうような建前になつておる。総理であり又外務大臣であるというお立場からすれば、もう当然超党派外交というものについでは、これはもう吉田総理が賛成であるということは、論理的に十分わかるのであります。そういうようなことであれば先ほど羽生委員の質問にお答えになつたように、その事態によつて各党に話をするかも知れんと、こうおつしやいますが、そうでなくて、若し講和問題、或いは今後起きる外交上の問題について総理の下に内示があるというような場合は、事の大小を問わず勿論それは責任のある各会派の党首に対してはこれを示して、そうしてやはり民主国家がやつているような外交の基調を設けるというような、こういう御意思があるのか。又そういうことをここではつきりおつしやつて頂きたいと思うのですが、この点に関する吉田総理大臣の御見解を伺つておきたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 超党派外交について私はしばしば或いは幣原議長にもその他にも申しておるのでありますが、趣意は非常に賛成である。結構なことで、あるということははつきり申しております。ただその実現する方法、時期等については考えなければならんと申しておるのであつて、御趣意にはちつとも私は異存はないのであります。又講和條約のごとき大問題について各党が一致して或る一点を見出して、その実現を図るということができたら結構なことだと思いますが、併しながら今日の情勢下、又講和條約の時期、或いは又内容等について一向わからない今日において、あらかじめその場合には各党の首脳を集めてお打合せをするとか、何とかいうことは、これは相手国の意向もありますので、ここで以てお約束できないということだけで、趣意には決して異存はないのであります。
○山田節男君 そうすればですね、講和條約が近いだろうということで、少くとも今年の春以降から社会党、或いは自由党、或いは民主党というような、講和問題に対する例えば全面講和である、いや多数講和であるというようなことを言われておるのでありますが、私も私個人としてはこういつたようなまだ具体化しない外交問題について、とやかく各党派がスローガンを掲げていることがいいかどうかということは、外交に関する限りにおいて、私は非常に疑問に思つているのであります。ところがその片方では吉田総理がおつしやたようですが、社会党が全面講和というのは空念仏だ、又一方では單独講和ということは、みずからこれを再武装の道に引張つて行くのだというようなことをお互いに論争しているのでありますが、こういうことは、私は先ほど申上げたように、民主国家の外交としては、そういう党利党略によつて外交政策がきまるものじやないと思います。外交はそういう意味におきまして、総理がそういう気持でおられるならば、全面講和がよいか、或いは單独講和がよいかということは、これはもう一つの外交問題であります。吉田総理がみずからイニシヤチブをおとりになる、殊にあなたは外務大臣であり、日本の外交界のことに携つている人であり、尊敬されている人であります。あなたがみずからイニシヤチブをとつて、民主党なり社会党なりの党の責任のある者に、首相が各党にイニシヤチブをとつて頂けば、これは事実上今日超党派外交……、私はすでに先ほど申上げたように、最近の朝鮮動乱のあの結果から見ますると、我々すでに準備しなければいけない。ですからそういうような全面超党派外交にはもう賛成なのでありますからして、どうかそういつたような工合にもう事実上超党派外交は今日からでもできるという状態であります。総理の今おつしやつた超党派外交に賛成だという御意見は、そこまで一つ発展をさして頂けるかどうかとうかということをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 私は全面講和には無論賛成であつて、でき得れば結構だと申しているので、決して不賛成を申したわけでもなければ、多数講和がいいと言つて、これのみに固執しているわけではないのです。客観情勢が許せば全面講和甚だ結構である。そうありたいものであるということの希望ははつきり述べております。ただ客観情勢がこれを許すか許さないか、客観情勢が許せば全面講和は甚だ望ましいことであるということを希望しているということは、従来とも少しも変つておりません。空念仏と言つたか、言わないか覚えておりませんが、これは多少おまけがありはしないかと思つておるのであります。趣意はそうであります。それからイニシヤチブというお話でありますが、これはどういうようなことをすればイニシヤチブになるのか、私はイニシヤチブをとつた気持でおるのであります。例えば幣原議長に、各党にこの問題について接触を保つてもらいたいと言つて、私が幣原議長にお願いをしたのである。これはあなたがイニシヤチブだとお認めになるか、ならんかは別でありますが、私においてはそのつもりでいたしたのでありますが、未だ実を結ばないことを残念に思つております。
○下條恭兵君 私は先ず最初に総理大臣に対し二、三のお尋ねをし、更に外務大臣としての吉田総理に又二、三お尋ねをしたいと思うのであります。私が最初にお尋ねいたしたいと思いますのは、問題は單に一通産省の省令としてお扱いになつた問題でありますから、或いは総理は詳しく御存じないとおつしやられるかも知れんと思いますけれども、問題の性質上これは恐らく総理として、或いは外務大臣として全然あずかり知らなかつたことではなかろうと考えますので、特に最後にお尋ねをいたすのでございます。先ず昨日付を以ちまして、通産省は中共向けの輸出の禁止を、一部の商品の輸出禁止を、明年の一月の五日まで一カ月間だけ実施なさるようにきまつたようでありますが、こういう措置は従来我々が身近に経験しておることといたしまして、このような国際情勢の緊迫しておる際のこのような措置が、どんな影響を持つかということに対しては、我々はつい近い歴史のうちに恐しい経験を持つておるのでございます。この中共向けの輸出禁止の問題は、而もこの問題が日本の鉄鋼業に対する影響ということは、延いて全般の日本産業に関する問題であると思うのでありますが、一方にそういう大きなマイナスが起ることを当然予想しながら、なおこれを実施しなくてはならないということに対しては、私はよほどの理由があるだろうと思うんですが、この理由を先ず最初に伺いたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) これは現在の朝鮮動乱に伴つて国連協力という趣意からして、この措置をとつたのであります。
○下條恭兵君 国連協力のためにこのような措置をおとりになる。これはまあ総理がそういうおつもりであるとすれば、私これに対する批判は又別にやりたいと思いますが、とにかく国連協力の趣旨からこのような措置をとらなくてはならないということは、私は常識ではわからんのでございますが、その裏には総理はさつきもいろいろ新聞で承知頂いておるだろうということをしばしば申されておりますけれども、こういうことは非常に重大な危險なる措置だと思いますが、こういう措置を国連協力という名をかりて……、名をかりてというのは私の言い違いでありますが、国連協力のためにはこのような措置までとらなくちやならんというような国際情勢なり、或いはその他の理由があるかどうかということを伺いたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 今度の朝鮮動乱は、成るべく平和に持ち来たし、若しくは成るべく或る時期において、とにかく最近の時期において、この朝鮮動乱を鎮め、平和を回復するということは、目下の急務と考えますから、国連協力を以て我が政府としては政府の方針といたさなければならない。又そのような方針から割り出して、今の措置をとつたと御承知願います。
○下條恭兵君 総理の御趣旨はわかりましたが、ここで私がお伺いしたいのは、国連協力は……、日本のこの禁止の品目を見ますると、中共向けの輸出の数量から申しましても、これはやつてもやらなくても、その量自体が朝鮮動乱の解決にどれだけの寄與があるかということに対しては、これは総理が如何に経済問題に不得手でございましても、恐らく想像は付くと思うのでございますが、これぱつちのものを、これぱつちという言葉は、これは世界経済の單位で申しますれば、これぱつちでございますが、日本の産業にとつては重大な問題がこのあとにありますけれども、この影響がどういうふうに来るかということに対してのお尋ねは、安本長官や通産大臣にやろうと思いますから、そのことは省略しますが、とにかく日本で僅かな鉄とか、或いはその他のものの輸出を一カ月間とめることが、朝鮮動乱をそんなに簡單に解決する途であるなんというふうにお考えになつておられるとすると、私はちよつと理解に苦しむのでありますが、その点をもう一遍詳しくお願いいたしたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 詳しく申しても只今の話が一番詳しいので、若し又お話のようにそれほど少量なものであるならば、禁止することによつて日本の国連協力の主義方針を一明らかにするのも一つの方法ではないかと、これは詭弁のようでありますが、そう考えるのであります。
○下條恭兵君 総理のいろいろ御苦心もあるだろうと思いますから、この問題についてこれより深く私はお尋ねすることはやめます。
   〔岩間正男君発言の許可を求む〕
○委員長(波多野鼎君) ちよつとあとで。
○下條恭兵君 次に私は、総理にいま一つお尋ねいたしたいのでありますが、朝鮮事変がつい最近までにはクリスマスまでに国連軍が引揚げてもいいというほど明るい見通しに立つて、そのために日本国民全般も非常に安心した気持はあつたと思うのでございますし、総理の施政演説にもそのような趣旨のことが申されたと思うのでありますけれども、極めてこの数日間の変化は重大な変化を来たしておると思いますのでありますが、その結果は日本経済に及ぼす影響というものは相当甚大ではなかろうかと私は考えておるのでおります、従いまして私は朝鮮事変の成行きの見定めを付けることが、即ち二十六年度の日本の経済生活の基準の目標をきめる根拠になると思うのでございますが、朝鮮事変の成行きにつきまして総理は如何ような見通しを持つておられますか。先ほどからたびたび占いはやらんとおつしやるのでありますけれども、どうも私の冒頭にお尋ねいたしました中共向けの輸出の禁止の問題から見ましても占い以上にもつと具体的なものをお持ちだろうと思うのでございますが、差支えない範囲において見通しを一つお示し願いたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 私が施政方針の演説をいたしたときは、マツカーサー元帥の声明にもあります通り、クリスマスまでには片付けるという声明がありましたから、その声明に基いてなしたのでありますが、併し今日国際情勢の変転極まりなきことは、これによつてもわかるのでありまして、朝鮮動乱が中共が介入してから今日において、数日来非常な危險な様相を呈しております。これは事実であります。併しそれがために又ワシントンにおいて英米両頭の協議をしておるとか、或いは一面においていろいろな動きがある。この動きも見定めなければなりませんので、私は終局においては、見通しと言われれば或いは占いと申すことになるかも知れませんが、今日において誰も第三次戰争を希望する者もなく、又この第三次戰争を引起す政策をとろうとする国もないでありましようから、この朝鮮動乱は中共の介入を契機として、時局が非常な拡大をするということはないのではないか。拡大を防ぐために列国はあらゆる努力を拂つておつて、国連等における今の協議なるものは、どうしてこれを局地的に制限するか、どの線でとまるかということを今協議しておるのではないかと私は想像いたします。又これは占い以上の事実であるかと思いますが、希望を加えての占いでありますが、もう暫らくの間、国連の行き方は、英米両国の協議の結果等を待たないという見通し、占いもつかないのである、又強いて占いを言えと言えば、今申したように第三次世界戰争に持つて行くということは極力列強共に避けようとしているだろうと思いますから、これが非常に拡大をするというのでなく、適当なところで以て自然とどまるのではないか。希望を加えて、こういう占いをするわけであります。
○下條恭兵君 総理から見通しを伺つたのでありますが、そこで私はもう一つそこに輸出禁止の問題をめぐりましてお尋ねしたいと思いますが、今朝の新聞は一斉に中共からの報復として粘結炭や鉱石の輸入がとまるであろうということを見通しておりますけれども、心配しておるのでありますが、私も又そう心配する一人でございますけれども、総理はこういう措置をおとりになりましても、なお日本に対する輸入のほうは支障なく中共関係から入つて来るというお見通しなのでごいますか。それともこのほうは当然入らないものという見通しを立てておられますか。その点を伺いたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 今日政府としても最も考えておることは、輸入の促進ということであり、輸入が制限せられると輸出が制限せられることになりますから、極力輸入の増大を図つております。そこで今の開らん炭その他の日本への輸入はますます多きを望んでおる次第でありますが、これがどうなるかということは、一に朝鮮問題がどういうふうに片付くかという結果によつて決定せらるべきものであつて、今の開らん炭のごときはむしろ向うが売り込みたい、売りたいという希望を持つて、取引申込があるような次第でありますから、若し非常な障害があればとにかく、普通においては輸入をすることは向うも希望し、又中国人は商売が上手な国民でありますから、戰争は戰争、商売は商売で、別品で取引をするような、そこに融通のきく取引方法もあるのじやないかと思いますから、絶対に入らないというようなことも先ずないであろう。これは開らん炭当局者の希望も考えて見て、そう直ちに悲感しなくてもいいのじやないか。これは占いであります。(笑声)
○下條恭兵君 私はまだ不明瞭な点がありますからお尋ねいたしますが、私もそういうノルマルでない取引の方法が、中国貿易にはあることは承知しております。併しこのノルマルでない方法というものは少くも割高につくか、量が減るか、いろいろな問題があると思いますので、飽くまで貿易というものは正しいルートに乗つた大きい取引でなくちやいかんと思うのでありますが、そういう意味から申しまして、こういうふうに私が今お尋ねしますのは、裏のそういう問題が実現するしないという問題よりも、この一カ月間の輸出禁止の影響が日本と中共の政府との関係にどういうふうに影響……、国際関係としてどういう作用をして来るかということを私はお尋ねしておる。その結果として私は結論が対日輸出、向うから言えば輸出でありますが、対日輸出にどういう影響が現われて来るか。こういうことをお尋ねしたわけでありまして、その点をもう一遍一つわ願いしたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 実際の事情を知らない私としてこうあるとは申せませんが、併し屁理窟を申せば、日本と中国との間には今平和関係が成立つておらないわけでありますから、開らん炭は一トンといえども入らない、こういうほうが正確な答えであると思います。併し現実に入つておるのでありますから、今申したような、戰争は戰争、商売は商売というゆとりのある考え方を中国人はするだけの度量のある国と思いまして、今のような占いを申したわけであります。
○下條恭兵君 外交界の長老である吉田総理に向つて、素人の私がこういうことを申上げるのは甚だ恐縮でありますけれども、重ねてもう一遍だけお尋ねしたいのは、吉田総理も全面講和を希望しておられることは我々と同様だということはしばしば総理自身が申されることでありますが、こういう僅かなことであつても、こういう国連協力の建前から輸出禁止というようなことを中共に向つて日本がやるということが、将来仮に成り立ち得る條件が備わつた場合に、中共との全面講和が成り立つ場合に、その措置が中共と日本との国交関係にプラスになるとお考えですか、マイナスになるとお考えですか。その点を一点伺いたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) これも将来に属することになりますが、プラスになるとはつきり言うわけには参りますまいが、少くともマイナスにならぬくらいなことになりはしないか。これは希望を加えてのお答えであります。
○下條恭兵君 それでは次にいま一つお尋ねいたしたいのは、今度は外務大臣としての吉田総理にお尋ねしたいと思いますが、今トルーマン大統領初めアトリー首相もはるばる大西洋を越えてアメリカに渡つて、いろいろ朝鮮動乱が第三次大戰に発展しない努力をやつておるようであるということを総理が今お答え下すつたわけでありますが、そこで私はお尋ねしたいのは、アメリカもイギリスも今結局朝鮮動乱の解決ということは、延いて対日講和も全面講和に対する努力をしておられるように私は新聞で承知しておりますが、こういう際に総理は外務大臣として、全面講和の促進に対する何か具体的な努力をおやりになつておられるかどうか。この点を伺いたいと思うのであります。
○国務大臣(吉田茂君) これは只今申す通り、私としては、全面講和になれば結構な話であり、日本としては講和或いは平和関係に入る国は一国といえども余計になることを希望するのであります、これは誰もそういうことは考えておりましよう。然らばこういうことをしておる、ああいうことをしておるということは、私としてはここに申したいのでありますけれども、お答えは申上げかねるのであります。
○下條恭兵君 具体的に努力をなさつておられるのか、おられないのか、はつきり……、今ちよつと御答弁の様子だと傍観しているような感じにも受取れたのでありますけれども、まさかそうでないであろうと私も了解いたしますから申上げませんが、私又これは外交論になるのは甚だ恐縮でありますけれども、お尋ねいたしますが、私新聞で承知しておるところによると、西ドイツのアデナウアー首相なんかは丁度吉田総理と似た立場におるんじやないかと思います。場合によると、日本は連合軍司令官が一人でありますけれども、向うは高等弁務官が三人いるようでありますから、日本よりむずかしさはあつても、そう簡單ではないと考えるのでありますが、この西ドイツの首相はドイツを三流国に落してはならんということで相当勇敢にいろいろなことを言つておられるようでありますが、これは勿論個人々々の性格も影響しますし、又その他の理由もありましようけれども、私は実は申上げたいのは、我々のみならず国民全部が朝鮮動乱はどう治まるであろうか。それから講和はどうであろうかということを心配している際に、もう少し具体的なことを、差支えない範囲だつて私は大いにあるだろうと思いますので、国民が得心の行くようにもう少し具体的なことを、どういう動きになつているとか、総理自身の、或いは外務大臣としてどういうことをおやりになつているとおつしやらなくても結構ですが、今どういうふうになつているかということに対しての御説明が頂きたいと思うのであります。
○国務大臣(吉田茂君) 西ドイツがどういうふうな事態になつておるか私は存じませんが、私としては申し得る限りのことをあらゆる機会において申しておるつもりで、さて今日総合してこうであるとかああであるとか、こういうことをしておるとか、ああいうことをしておるとか、日本の今日の微妙な立場からいつて、外務大臣として御説明ができないことを御了承願います。
○委員長(波多野鼎君) 岩間君、先ほどの中共貿易についての関連質問……。
○岩間正男君 私も関連しまして質問をいたしたいと思うのでありますが、非常にこの問題は我が国の基礎産業であるところの鉄鋼業、製鉄問題と重大な連関を持つておりますので、この問題に対しまするところの産業、更に関連産業の面におきまして重要な影響を持つ問題だと思うのであります。こういう観点から只今の御答弁では非常に不満足であります、恐らくこの御答弁を聞いたところの関係者は失望するだろうと思うのでありまして、もつとこれは明らかにして頂きたい。先ず第一にお伺いしたいのは、このような中共向け輸出禁止を突如として通産省令によつてやつたことは、先ほどの首相の御答弁によりますと、これは国連協力のためである。こういうことを言われたのでありますけれども、一体日本の現状におきまして国連協力ということがどういう根拠によつてなされておるのか。これが果して現在国際情勢のこういう中に置かれ、又まだ講和が結ばれないところの日本におきまして、これが果して可能なことであるかどうか。この点非常に重要な問題であると思いますので、先ずこの点から伺いたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 私の答弁は、あなたにはいつも満足を與えるだけのことは言えないと思いますが、(笑声)従つて私の答弁について不満足であればいたし方ありません。併し今政府の方針としてはでき得るだけ国連に協力をするということであつて、これは日本が平和愛好国として平和に協力するという憲法の前文にも書いてある通りの精神に従つていると考えていいと思いますから、これはその精神から出発して国連協力をでき得る限りする。併しながら今日まだ独立も回復しておりませんから、協力は甚だ消極的の協力以外にできないのでありますが、でき得るだけのことはいたすという趣意からいたしておるのであります。
○岩間正男君 私は、十分な満足な答弁をしてもらえば満足なのであります。ところが答弁が不完全だからいつでも不満足とこういうことになるのでありますから、(笑声)その点は十分に努力して誠意を以て答えるべきであろうと思うのであります。そこで只今のお話によりますというと、平和を愛好する立場から国連協力をやつておる、こういうようなことなのでありますけれども、果して国連協力の態勢が平和愛好ということになつておるかどうか。殊に今私の質問しておりまするところの輸出禁止の問題でありますが、これは非常に、先ほども申しましたように、日本の基礎産業にとつて根本的な影響を持つものであると思うのであります。これは現在の情勢から考えまして、開らん炭は日本の製鉄業の非常に多くの部面を占めておる。更に又鉄鉱石、こういうようなものが若し中共向けの禁止によりまして、先ほど首相の言葉によりますと、消極的だと言いますけれども、相当積極的な対策が打出される。こういうことになれば、当然これは輸入の途が塞がれて来る。こういうことになると思うのでありますが、取りあえず私のお伺いしたいのは、大体四百万トンのこの製鉄計画を持つておるところの一体現在の製鉄計画というものが、開らん炭並び海南島あたりからの鉄鉱石が入つて来ないことによつて大打撃を受け、根本的にこれは生産計画を変更しなくちやならん、而もその波及するところはそれだけでなくて、関連産業において重大なる影響を持つ。又鉄の統制問題に対しましてこれは再統制の方向をとらなければならないというような重大事態が発生すると思うのでありますが、この点に対して一体どういう対策を持たれているかということを伺いたいのであります。軍に首相の答弁では、中国という国は戰争は戰争、商売は商売だから、そこのところは分けておるのだろう……、むしろこれを言いたいのは日本なのでありまして、戰争は戰争、それから商売は商売とはつきりこれは分けて、そうしてこういうような一つの馬鹿げた方向に出るべきでないのが日本の現状であると私は考えるのでありますけれども、中国がそういうことをするだろう、これは古い時代の中国はいざ知らず、現在の非常に大きく、未だ曾てないくらい統一された中共においては、このような、今首相が申したような事態が起るというようなことは微塵も考えられない。従つて日本の製鉄計画に根本的な変更を加えなければならないような重大事態か発生すると思うのでありますが、これに対してどういう見通しを持たれるか。
○国務大臣(吉田茂君) これは意見の相違でありますが、あなたの言うような事態が起るとは私は考えておりませんから現在の措置をとつたのであります。この問題は意見の相違でありますから、お答えしません。
○岩間正男君 意見の相違でないので、事実であります。それも意見の相違というような問題で片付けられるような問題ではありません。現実にこういう事態が発生することに対してどう対処するか。そうすると根本的にお聞きしたいのでありますが、自由党は製鉄の統制を撤廃するというふうに言つておりますけれども、そうすると鉄の統制の問題は、今の四百万トンの製鉄計画というのが駄目になつた場合に、どういう方向をとられるのでありますか。これは具体的にお聞きしたい。これは意見じやありません。
○委員長(波多野鼎君) 今の問題については、周東長官から答弁するそうで……。
○岩間正男君 今の問題、答弁がないようでありますけれども、これは誠に尤もだろうと同情するのであります。そうしますと、これは現在の日本の生産計画というものに対しまして大きな影響を持つて来るのであります。殊に関連産業の人、製鉄の方面の人たちは殊に重大な問題に当面して、これはほかの方向から仰ぐ、例えば香港あたりの輸出を仰ぐにしても、これは結局不可能になります。更にこれは米国から鉄鉱を仰ぐといつても、これは現在におきまして、戰時体制に着々入りつつある米国経済におきましては、日本に鉄鉱石を輸出する余裕はない。そういう事態が起りますから、そうすると当然に鉄の欠乏ということが起つて来るのであります。そうして又多くこれは生産に対しまして、いろいろな大衝撃を與えることになり、或いはこの面で立ち行かなくなつて来る生産者も出て来ると思う。そうしますと私は具体的にお聞きしたいのでありますが、国連協力のために、そのためにこの輸出禁止をやつた、その結果何が起るかというと、日本の産業というものが著しい影響を受ける。そうして吉田内閣も今掲げておりますところの生産の拡大、更に輸出入貿易によりまして、日本の国策の第一の問題をこれで解決するという方向に進んでいるこの政策が非常に大きな打撃を受けることになるのであります。そうすると国連協力の途というのは日本の産業を破壊し、そうして非常に混乱に陷れるという、いわば望ましくないところの事態が、平和とは逆な方向にはつきり追い込まれると思うのでありますが、そういう途を首相は選ぶのであるのかどうか、御答弁願いたい。
○国務大臣(吉田茂君) 御心配のような事態は起りませんから御安心願いたい。政府としては善処いたします。
○委員展(波多野鼎君) ちよつと岩間君に申上げますが、関連質問でありますので、ほかの大臣がいなければ答えられないような問題についての御質問は……。
○岩間正男君 併し少くとも今の点を検討されなければ、首相としては断を下せないところの重大問題じやないかと思いますが、十分検討されたと思いますので……。
○委員長(波多野鼎君) 今周東安本長官が不在でありますから、細かい点については一応周東長官に御質問願いたいと思いますが。
○岩間正男君 それではその点は事務的なことはあとで伺うことにいたしまして、次に、それと関連いたしまして、委員長、ついでに私の質問の順序が、次の誰かの次になつていると思いますから、関連しますから先にやらして頂きたいと思います。
○委員長(波多野鼎君) ちよつと申上げますが、時間も余りありませんし、あなたの前の順番になつている深川君が待つておられますから、関連質問が済んで……。
○岩間正男君 それでは簡單に……、次に伺いますが、先ほどのたびたびの御答弁によりますと、全面講和が望ましいのだ、こういうことを首相は言われているのであります。ところが最近これに対しまして、ここに北京放送の五日、RP特約によりますと「周恩来中共政府外相が四日対日講和問題について大様次の声明を行なつた。」そうしてその中に、「中華人民共和国を代表する唯一の合法政府であり、必ず対日講和の準備、起草、及び調印に参加すべきである、」云々、そのほかのことも書いてありますが、こういうようなことが、正式に表明されているのでありますが、こういうふうな事態に対しまして首相はどう考えられるか。全面講和を望むというような点からしますと、まさにそういうような機会が近付きつつあるように考えられるのでありますが、首相としてはどういう一体考えを持つているか伺いたい。
○国務大臣(吉田茂君) 私としては新聞の記事を一々取上げてお答えはできない。
○岩間正男君 これはいつでもの紋切り型であります。どうもいつでもそういう紋切り型で答えているのでありますが、そこで私はこういうような対日全面講和の機運というものは、非常に情勢の変化によりまして、最近動きつつある。そういう可能性は十分に大きくできつつある。こういうふうに考えられるのであります。そこで首相も全面講和を望んでいるということを再三第七国会でも言われた、又今日もこの席におきましても言われている。果してそれであるならば、こういうような際に突如として通産省においてとられました中共貿易の禁止、こういうような措置は全面講和、こういうような遂に対しまして、これが望ましい、できるだけそれを実現することが望ましい、こういうことを言つておられる首相の意思と反して、今度とられたこの措置というものは一体同じ方向をとつているかどうか、まるで我々の考えでは全然食い違つて、あべこべの方向をとつているというふうに考えられますが、首相はどういうふうに考えられるか。
○国務大臣(吉田茂君) 新聞の記事を土台としての議論は私としてはお答えできない。
○岩間正男君 もう一問だけ。時間の制限がありますけれども、併しこれは重要な問題だと思う。今日一体日本の国民大衆が聞きたがらないわけはない、そうして又これに対していろいろな関連を持つところの産業資本家も非常に関心を持つているので、この点を明らかにされることは重大だと思うが、時間がございませんから多く言わないのでありますけれども、結局中共貿易の禁止命令というのは、先ほど首相によつて言われましたところの、全面講和が望ましいという問題とははつきりこれは別な方向、全く逆な効果を来たす方向に行きつつあることは明らかなんです。従つて首相は望ましいとは言つておりますけれども、何ら裏付けのある具体的な行動によつてこれを示しておられない。むしろ逆に反対の方向をはつきりとられている。このことは今私の申しました質問の中で明らかだと思うのであります。従つて一体どのような努力を現実的に展開されるる考えであるか。單に望ましいとか、希望とかいう言葉がよくこの委員会でいろいろな閣僚からも言われるのでありますが、そういうことでは問題にならんと思うのであります。もつと具体的にその点を話してもらいたい。
○国務大臣(吉田茂君) 私の説明は、今までの説明を以て盡しておると思いますからお答えはいたしません。
○深川タマヱ君 被占領下の総理大臣でございますと、誠に緊迫いたしております国際情勢につきまして御答弁なさいますことは、影響の及ぶところをお考えになりまして、誠に涙ぐましいほどのお心の遣い方をなさいます御態度につきまして、同じ血を分けた私どもも誠に御同情いたし、又了解に苦しむところではございませんけれども、やはり不安は確かに不安でございます。極東の情勢が誠に緊迫いたしておりまして、最近は聞くところによりますと、四国外相会議並びにその他の仲裁が成立いたさないときは、国連軍は朝鮮から全面的に退却いたさなければならない、その曉にはマツカーサーのお話しによりますと、アジアは勿論ヨーロツパとおいても民主主義国は全面的に敗退するかも知れないと言われております。総理大臣は常に日本の安全は国連に依存すると言われております。ところがその国連の最高司令長官であられるマツカーサーが、かくも不安なる表現をしているかかる段階におきましても、なお且つ日本の総理大臣は国連に依存することによつて日本の安全が保障されるとお考えになつていられるか、若し御不安なれば、一体如何なる方法を講じたならば、今日この段階において日本の安全が保障できるとお考えになるか承わりたいと思います。
○総理大臣(吉田茂君) 国際情勢の見通しは、今日において甚だ微妙な、見通しのつきにくい結果は先ほども申した通りであります。今後どういう事態が起きるか、それは私も見通しがつきませんが、併し国連は世界の平和を目的としておる団体といいますか、組織でありますから、日本政府として、日本国として平和を希うならば、これに協力するのがよしとし、又これが世界の平和の一環として日本の平和を考える以上は、国連に協力し、又これによつて一応日本の安全を図るのは、これは当然なことであると思う。併しながら国連に協力することが唯一の安全保障なりとまで私は言つたことはありません。将来国際済勢の変転極まりなき場合には、いろいろな安全の方法を考えなければなりませんが、少くとも国連によるということは、日本の安全を図る一方法なりと考えているのであります。
○深川タマヱ君 国連につきましてちよつとお尋ね申上げますが、私はそもそも国連というものは、世界の最大問題を解決するに、武力によることなく、話せばわかる、世界民主主義の線に沿いまして、お互いに胸襟を開いて語り合うという趣旨でできたのだと存じますにもかかわらず、最近の国連は、あの国は国連に入れない、或いは国連に入れるにはこういう條件がなければならないとか、誠にむずかしいことを言われますが、了解しにくいことでございます。世界で、独立国である以上は、むしろ国連のほうから頼んででも、どこの国でもいい、皆入つてもらつて、細大漏らさずあすこでいろいろ取上げて話合うならば、今日のような事態の起ることも少くて済むのじやないかと存じますが、国連の機構に対しまして総理大臣は如何お考えでございましよう。
○国務大臣(吉田茂君) 私は国連がかあるべしとか、こうであるとかという意見は差控えます。お答えできません。
○深川タマヱ君 私は今日の世界情勢は、もう少し大国が胸襟を開いて語り合つたならば、こういう大騒動にならなくて、平和的に解決できるのじやないかという気持をいつも持ちます。感情の世界には衝突があるけれども、理性の世界にはいつ、誰が、どう考えても、そう考えなければならない一致点が必ずある筈だと存じます。むずかしい言葉で申しますと、普遍、妥当、必然性ということが必ずそこにあると存じます。やはりうまく妥協ができないのは、各国が本当に世界の平和を望んでおるというのではなく、各国が肚がある、何か知らんけれども自分の国に有利な肚を持ち過ぎるところにうまく話合ができないのだろうと、こう考えるのでありますが、最近におきましても、アジアにおいては日本の軍備再建をさす、ヨーロツパにおいては西ドイツの軍備を再建させるというような声が高過ぎますので、それが中共を刺戟して、ソ連を刺戟して、遅れないうちに、早く日本の軍備再建がきまらない、できないうちにというようなことになつて来るのではないかと思うのですけれども、それに対して如何お考えでございましよう。
○国務大臣(吉田茂君) 国連の成立した趣意は、まさにあなたのお話のようなことでありましよう。併しながら世界の今日の情勢からいつて見て、その趣意方針通り行かないところに苦しいところがあるのだろうと思いますが、私はこれ以上国連の組織或いは態度等について私として批評、言論を試みることは愼しみたいと思います。
○深川タマヱ君 極東の現状に鑑みまして、恐らく早い時期に対日單独講和が成立するだろうという見通しであります。その上は、日本の国が、ソ連の拒否権の外にあつて、自由に安全保障ができるように、アメリカとの間に別に協定を結ぶだろうという話でございまして、当然その間には、日本に対する軍備再建の要請があるだろうと思います。併し、これは私が今総理大臣にお尋ねしても、絶対総理大臣は、そこではお答えができないであろうと存じますので、お答えを求めはいたしませんが、日本の国は危急存亡の時でありますので、休会などいわせないで、引続いて外務委員会におきましては秘密会議を催して、こういう問題については、葬儀済んでの医者話にならないように、早くいろいろ論議を盡して、総理大臣がこの進駐軍のほうに何か御意見を持出して、お助けができるならば、それも結構であろうと思いますが、一つ至急秘密会議を開きたいと考えるのでありますが、それに対して総理大臣は如何お考えでございますか。
○国務大臣(吉田茂君) 只今のところは、私としてこういうこと、ああいうことを、マツカーサー元帥に要望するとか、或いは協議を開くとかいうふうな考えはいたしておりません。又これは現在の朝鮮動乱といえども、先ほど申した通り、若し国連或いは英米の間に、平和に事を了するというような話合いができる。或いはその結果、朝鮮動乱も局限せられるというようなこともあり得ることでありますから、誠に現在は心配な事態でありますが、暫く成行きをお考えになり、又我々も考えて善処することがいいと思います。軽軽しくこの際、活動はしたくないものだと私は考えます。
○下條恭兵君 私は総理大臣に以下の点をお尋ねしたいと思います。先ず第一はお尋ねしたいのは、今中共貿易が減ることが予想されるということは、総理自体もお認めのようでございますが、そうでなくても来年度は、輸出入とも十三億以上にならなくちやならんことに目標を立てておりますことは、一昨日安本長官からこの席で御説明があつたのでございます。たださえ輸出市場の獲得、輸入買付先の選定ということが大きい問題だと思うのでございますが、従つて外務大臣としまして、輸出市場の拡張に対して、具体的に、どのような努力をおやりになつておられるか。又この鉄鉱石や、粘結炭につきましても、どのような買付先を開拓する御努力をやつておられるか。これらの点を伺いたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 御承知の通り、今日は協定貿易主義でやつておるので、協定を更に拡げるというようなことも一つの方法でありましようし、又協定の組織は、いわゆるコンベンセイシヨンとかいう組織でやつて、売れば買う、買えば売つてやろう、こういうようなことが土台となるために、輸出入とも思うようにならんというような点もありましようが、こういうようなところは、こういうような事情を、成るべく除くというようなことに努力をいたしたいと思います。併し委細のことは、通商大臣その他からしてお聞取り願いたいと思います。
○下條恭兵君 私のお尋ねしたいのは、外務大臣として、そういう市場の拡大などに対して、どのような手を打つておられるか、この具体的な案をお尋ねしたいと思うのでございます。なぜかと申しますと、私は先ほど実はどうせ総理に鉄鉱石の話や粘結炭の話をしましても、これは無理だと思いましたから、当然これは安本長官と通産大臣に詳しくお尋ねして、只今誰もが心配しておる点を早くはつきりさせたいと思います。午前中実はこの予算委員会で、そり問題に対して緊急質問の通告をいたしておつたのであります、従つて私はその点はそのほうにお尋ねいたしますけれども、外務大臣としまして、日本に外交がないかも知れませんが、外務大臣もおられるのでございますし、何といつても総理は、今委員長からのメモによりますとぢき関係方面にお出掛けだそうでございますので、時間がないので私成るべく簡單にしますけれども、もう少し通商関係なんかのこと、貿易関係なんかのことは、何もここで御発表なさつたためにひどい支障を受けるということは私はないと思いますので、これは長期の産業計画は政府も必要だが、民間でも必要だろうと思います。これを労働組合の頭に入れることも必要だと思います。これは国民全部の関心事でございますので、近い将来にどこの国との通商協定がどうとか、今折衝中だとかいうことは当然あると思いますので、そういうことを具体的に一つおつしやつて頂きたい、こういうことをお願いしておるわけでございます。
○国務大臣(吉田茂君) 外務大臣としては、こういう手を打つておる、ああいう手を打つておる、現にこういう話が成功したといつて御披露できれば甚だ結構でありますが、これは自己の抱負、若しくは将来の希望に属することで私としてはいたしたくないと思います。併しながら貿易の拡張、これは日本が今日貿易によつて立たなければならん羽目におりますから、いろいろな方法を以てこの輸出入とも拡大するように努力は決して惜しまないものであります。併しながら我々としてはできた成果については御報告ができますが、こういう手、ああいう手で以て相手を苦しめようとは言わないけれども、望むということをあらかじめ申すことは、我々相手もあるものでありますからして発表ができないことを遺憾と思います。
○下條恭兵君 相手があるから発表できないということは、私は非常に不思議に思うのでございます。通産省関係なんかのことで相手があるから発表ができないということをおつしやるのは全く理解に苦しみますけれども、まあ発表できないとおつしやいますならば、それ以上お尋ねすることをやめますが、日本の在外事務所が方々に開設されまして、これは少くとも日本の貿易に対して大きな寄與をしておると思います。又将来とも各地に開くための努力を政府は当然やつておると思いますが、近い将来にこれらの事務所が開設されるような運びになつておるところが何カ所くらいあるか、或いは今折衝しておるものが幾つくらいあるかというような点、その地域が差支えなければ、総理はなかなか詳しいことを言うことをお嫌いのようでありますけれども、西ヨーロッパの地区で何カ所とか、或いは南アメリカ大陸で何カ所というような程度でもよろしうございますから、成るべく具体的に一つ御説明願いたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 正確を期するために事務当局から答弁いたします。
○政府委員(太田一郎君) 代つてお答えいたします。今日まで設立を許可されました在外事務所は十六カ所ございます。政令で発表された通りであります。それから近くもう一カ所タイに設立を許される予定になつております。今年度中には、できましたならばもう数カ所設置を許可して頂きたいと思つて今折角交渉中でございます。
○下條恭兵君 あとのかたもありますから私最後に一つ希望を申上げまして、今日の私の質疑を打切ることにいたします。一昨年の選挙に自由党総裁として非常に大勝を博された理由は、いろいろな理由もありましようけれども、講和会議を前にしまして自由党総裁たる吉田現総理が外交界の長老であるというようなことが、国民の信頼を買つた点が多分にあると私は思つておつたのでございますけれども、そのとき投票した日本の国民の気持ちというものは、恐らく今の御答弁のように何でもかんでもおれ一人に任せて置け、何でもかんでも関係者があるからできない、相手があるからできないというので、丁度西ドイツの主相と正反対な態度をとつて民主主義を蹂躙するような、審議権尊重の決議案を参議院が可決して出さなくちやならんような、こういう姿になつて来るものと国民は予想しておらなかつたと思うのであります。でそういう意味におきまして、総理は明日でも御出席下さると思うのでありますが、従つて私は明日改めてお尋ねすることにいたしましたけれども、もう少し民主主義のルールに従つて、差支えないことはおつしやることはいいと思つております。私ども西ドイツのことばかり例をとつてはどうかと思いますけれども、私は、戰敗国でも五年間も忠実にポツダム宣言を受諾した責任を履行しておる日本人が、満五年以上たつた今日、そうそう総理といえども小さくなつておる必要があるかどうかということは大いに疑問を持つておるのであります。従つて九月十八日に我が党の講和会議に対する具体的の條件というものをすでに発表しておりまするけれども、自由党ではそういうことをなさつておらないかと思うのでございますが、総理は單独講和の場合でも、全面講和の場合でも、日本が経済自立するための最小限度の領土的な條件はどのようなものをお考えか、一言だけ最後にして終りにします。
○国務大臣(吉田茂君) これも甚だ遺憾なことでありますが、私としては申すことができかねます。
○木村禧八郎君 時間がございませんので簡單に二点御質問申上げたいのです。その第一点は、朝鮮動乱の我が国に対する影響の問題、第二点は、安全保障の問題、この二つについて御質問申上げたいのです。
 その第一は、総理は、朝鮮動乱が起つたその推移を見るために国会の召集が遅れた、こういうふうにおつしやいました。この点について私は本会議で御質問申上げましたが、御答弁がまあなかつたわけで、ここで重ねてお伺いするわけでありますが、総理は朝鮮動乱の我が国に対する影響をどういうふうに御覧になりますか、それからそれを補正予算の上にどういうふうに現わされたか、この点をお伺いしたいのです。これは国会がこのように召集が遅れた一つの重要な要因でございますので、この点明確にして頂きたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 朝鮮事変の結果として、日本に経済的に……あなたは経済博士でおいでになりますから私どもよりもおわかりになつておると思いますが、非常な影響を及ぼしたということは申すまでもないことでありまして、併しながら同時に日本として惡い半面も考えられなければならないので、万が一そういうふうになつた場合、惡い場合を生じた場合等のことを考えなければならないこと、それで予算の上におきましても、朝鮮事変の結果どういうふうなプラス、マイナス共に考えて見て、それに善処するためには徐ろに朝鮮事変の一種の経過を顧みて処置しなければならん。そこで現在の予算が、補正予算及び三十六年度の予算ができたわけでありますが、どういうふうにこしらえたということは大蔵大臣から申します。
○木村禧八郎君 私は時間がございませんので、結論的にお話申上げて御質問いたしたいと思いますが、私は経済的に見る限り非常に惡い影響があつた、こういうふうに見ておるのです。これは見方によつていろいろあるのでありますが、一般に世間では朝鮮動乱の結果特需が現われ、輸出が殖え、何となく景気がよくなつたような形において影響をいたしておると思うのです。その点実際に調べて見ますと、国民の生活水準は下つておるのです。その影響国としては、生活水準が下つたということは非常に大きな影響なんでありまして、政治をやる上において国見の生活水準を上げるということが、今後の我が民主主義国家における経済政策の基本と思うのですが、動乱の結果下つておるのです。それでまあ特需とか、輸出が殖えて、外貨が殖えたが、外貨の裏付けとしての輸入がうまく行かない、今後これは重大な問題と思いますが、そういう意味で……。
 更にもう一つお伺いしたいのは、最近いわゆる朝鮮動乱の推移が非常に変化しました。この影響についてやはり総理は、特に私は経済的な観点からお伺いしておるのですが、甘く見ておるのではないかということを恐れる。と申しますのは、さつきの中共への貿易の問題がありましたが、そればかりでなく、特に総理にお伺いしたいのは、若し国連軍が朝鮮の遠くのほうから撤兵する、そういうことが新聞に伝えられておりますが、そういう場合には日本の船舶がそういうほうに動員されるかも知れませんし、又今までのいわゆる特需というものがどういう変化が来るか、これは相当大きい変化をすると思う。従いまして私は最近の朝鮮動乱の推移が日本経済に及ぼす影響は相当重大なものがあると思われますので、特に輸入が大切という場合には、先ほどの中共の問題ばかりでなく、日本の船舶の問題、そういう問題からもすぐに相当影響が現われて来るのじやないかと思う。どうも総理の施政演説におきまして、マッカーサー元帥が朝鮮の前戰に行かれたから間もなく、朝鮮動乱は終るのであろうというように考えられておつたと思いますが、併し人間でありますから、神様でないのですから、見通しが違うことは仕方ありませんけれども、最切総理が考えておられたのと、その後における朝鮮動乱の推移を見まして、よほど考えを直さたければいけない、そういうように重大になつて来た、こういうふうに総理はお考えになつておるか。それに対処するいろいろな準備をお進めになつておるかどうか、この点お伺いしたい。
○国務大臣(吉田茂君) 只今申す通り、朝鮮動乱は最近の中共介入後における朝鮮の様相というものは非常な変化を来たしたことは御承知の通りであります。その以前においては、国境において満韓といいますか、朝鮮の国境まで平定ができる、平和な状態に回復し得るということを誰しも考えておつたのでありましようが、突如として中共軍が介入して来た、そこでこんな様相を呈して来て、その様相がどうなるか、これは予断を許さない話であります。私が今日こうなるであろうと言つたところで、これは占に過ぎませんが、併し考えて見ますると、平和に片付き得るのではないか。ワシントンあたりの状態を見ても平和に片付くのではないか、これは希望を加えての観察でありますけれども……。そこで平和になるかならんかは一つの結果を待たなきやたらないが、併しいずれにしてもこの動乱の結果日本に及ぼす影響は、政治的にも経済的にも又治安の上においても相当影響は大であります。大であるがために、然らばどういうことをしておるか、動乱が極く最近に起つた様相であつて、その様相がどういうような結果を招来するか、これはその結果を見て善処するよりほか仕方ないと思います。一応の見通しは見通しとして、そうしてその結果を見て善処するのが政治であろうと思います。政府はその善処することに怠りなく、万遺憾なきを期しております。
○木村禧八郎君 まだ御質問申上げたい点があるのですけれども、あとにまだ御質問の人がおりますから、簡單にお答え願いたいと思うのですが、只今の問題、仮にですね、この朝鮮動乱が平和に解決されても、その後はやはり世界的な再軍備が非常に強化されると思いますので、そういう影響は、やはりいい影響ばかりでない。一般には何か朝鮮動乱のために景気がいいというよな解釈をされるのは、これは考え直さなければならない。こういう方面について、私は総理がもつとしよつぱく、この事態を甘くじやなく、しよつぱく考えたほうがいいのでありまして、その点は一つ希望して置きます。
 第二の安全保障の問題ですが、国連協力ということを先ほど総理は申されましたが、私は安全保障というのはですね、日本がどういう形でもこの戰乱の中に捲き込まれないこと、そういうことが日本の安全保障だと、まあ素人考えで考えておりますが、仮にですね、朝鮮みたいな形で安全保障をされたんでは、これはたまらないと思うのです。一遍戰場になつて、それで国連が治めた。治めてもですね、まあすでに大きな破壊が現われ、大きな人命が損なわれておる。こういう形においての安全保障では我々は決して好ましいものではないと思う。先ほどもお話があつたように、破壊されないというような、如何なる形でも日本が戰場にならないという形の変全保障こそ望ましいと思うのです。こういう安全保障をするためには国連協力、今のような形の国連協力でよいのかどうか、総理のお考えになつておる安全保障というものの内容はどういうものであるか、朝鮮みたいな形でも安全保障と考えるかどうか、この点最後にお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 先ず第一、この朝鮮事変を甘く見損ぎたのじやないかというお尋ねでございますが、私としては相当辛く見ておるのでありまして、決して甘くばかり考えておるわけではないのであります。例えば例を挙げて見るというと、日本の治安等もこのために相当人心不安な状態で影響を及ぼしておることは蔽うべからざる事実でありますから、決して甘く見ておるのではない。(岩間正男君「見方が違う」と呼ぶ)
 さてこの安全保障の問題でありますが、私は今日日本の位置としては国連に協力するというのが一つの方法である。然らば将来はどうなんであろうか、これは講和條約の内容をなすもとでありますから、今日私がここにおいて、講和條約の内容たる安全保障はかくあるべし、こうあるべしということを言うのは差控えます。併し諸君としての御希望なり、お考えのような、議論のような安全保障では困るということも一つの考え方であると思います。これらの考えについては、私は常に申しておるのでありますが、自由に国民として希望なり、要望なりは言い現わされるがよい、ただ私としては静かに国連の帰趨を考えておるよりいたし方ない、こう政府としては考えております。
○内村清次君 第五国会以来対日講和の問題につきましては、終戰以来五ケ年間の国民の熱望もありますし、又総理といたしましても国民の熱望に応えて施政方針の中に織り込んで、この政府の方針を鮮明にせられておりまするが、国会以来この問題が中心になつて論議せられておりまするこの論議と同時に、総理の今回までの施政方針から見ますところの考え方とを考え併せて見ますときにおきまして、これはときにおいてその一貫した表現がなされておらない点も見受けるのでありまするが、併しただ一貫しておりますのは、総理といたしましては、アメリカを中心とするところの西欧民主主義国家群、即ち又世界の自由国家群と相提携をして、この講和問題を片付けたいというようなこの希望が、特に第七国会の施政方針に強く打出された。その後におきまして朝鮮動乱が起りましたその当時におきましても、国連協力、積極的協力というようなことも強く打出されておられまして、客観情勢からいたしまして、国連内におけるところの共産主義国家群と、民主主義国家群とのいわゆる相当な対立関係にあることは、これはもう世界何人といえども認めておる問題でございまするが、この西欧民主主義国家群、自由国家群というふうに割切つての表現の仕方で、総理は講和問題に対しまする政府の所信を述べられておりまするそれ自体が、いわゆる近まりつつあるところの対日講和の問題に対しまして相当刺戟を與えておりはしないかと、私はこの点に対しまして杞憂するものであります。勿論この考え方からいたしまして、いわゆる講和の形式でありまする全面講和或いは單独講和という問題も起つては参りまするが、併しそういうような一貫されたところの御思想又御方針、この御方針が却つて日本の存在につきまして、希望につきまして、他の対立をいたしておりまするところの国家に対しまして相当刺戟を與えるような情勢に相成つておりはしないかということを杞憂するのでありまするが、総理はそういうようなお考えはお持ちでないかどうか。やはり自分は自分の思想としての所信をはつきりと打出しておるのだというお考えであられるのかどうか。然らばそのお考え方は一体どういうふうなお考え方で今後進まれようとしておるか。総理のお話を聞きますると、全面講和は好ましい、これは併しながら講和を望むところの多数の国家とやつて行くんだというようなお考え方であつたとしましたならば、これは誰でも表現できる問題である。だから一体総理はどういうような考え方でこの問題に対処されるか、この点が第一点であります。
 第二点の問題は、これは朝鮮事変が起りましてから、これに対する国民のこの対日講和に対するところの刺戟、或いは又国内的な経済問題に対するところの刺戟、或いは又総理が第八国会では、特に愛国心というような表現をされて、国民の愛国心を助長するような、又そうなくてはならないというようなお考え方も発表されておりまするが、外務省から発表いたしました二回の外交白書、二回目の白書につきましては、総理みずからお筆を入れられたというようなことも仄聞いたしておりまするが、そのうちにつきまして、いわゆる国連への積極的協力を打出すために、特にこういう戰争の状態の中においては、日本国民といたしましては、これに協力をしない者は即ち敵前逃亡と同じことだというような極言までされておられる。そうしてそれに愛国心を繋いでおられる。こういうようなお考え方でこの白書というものが発表されておるのであれば、白書というものはこれは各省の所管事務に対しまして公正なる統計、或いは客観情勢を公正に述べて国民に訴える、そうして国民の気持を聞いて見るというようなことでなくてはならないと私たちは考えておりまするが、そういうような誘導的な、自分の思想のほうに誘導して行くというようなお考え方で更に私が問わんとするところは、更に又外交白書というものをお出しになるようなお考え方があるかどうか、この二点を先ずお尋ねいたしたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 私の全面講和、多数講話といいますか、とにかく講和に対する考え方は終始一貫いたしておるのでございます。全面講和甚だ結構だ、全面講和にありたいものである、併しながら客観情勢が許さなければ、日本と講和をしたい、講和をする意思のある国と先ず講和をして行く、その国がだんだん多数になつて行けば、やがて全面講和に至るのであつて、早期講和を望む我々としては、一刻といえども早く平和関係に入りたいというのが趣意であつて、全面講和がいけないとか、或いは全面講和よりも單独講和乃至多数講和のほうに持つて行こうというような意思を持つて考えておるわけではないのである、一に客観情勢にある、この客観情勢が許せば全面講和甚だ可なりということは絶えず申しておることであります。
 それから外交白書なるものの話でありますが、これはしばしば質問を受けますが、これは情報部からして事実を事実なりとして国際情勢を記述したものでありまして、外交白書なりといつて取上げて一々私が読んでいるようにお考えになりますが、これは関係部局においてその集めた研究の結果を国民に事実として参考までに発表するものであつて、意があつて單独講和に持つて行くように、そういう故意に、あのパンフレツトは特殊の意思があつて、目的があつて、そういう方針の下にこしらえておるわけではないのであることを御承知願いたいと思います。
○内村清次君 又出されますか、どうですか。それが要点です。
○国務大臣(吉田茂君) それは出すだろうと思います。必要において出すという計画、定期的に出すという計画ではないのであります。材料がたまれば、又有益な材料と考えられるものがたまれば出すのであつて、定期的に出すのではありません。
○委員長(波多野鼎君) 総理は司令部へ出頭するる時刻が迫つて参りましたから、明日継続して頂くことにいたします。で暫らく休憩いたしまして(「異議なし」と呼ぶ者あり)四時半から開会いたします。
   午後四時七分休憩
   ―――――・―――――
   午後四時四十五分開会
○委員長(波多野鼎君) 休憩前に引続き予算委員会に入ります。
 農林大臣に対する質問を継続いたします。
○羽生三七君 先日本会議の際の質問に対して、廣川農林大臣は明年度予算を見てくれというお話で、御自身も大分明年度予算に期待される点が多いようでございましたが、お差支えのない範囲で大体どういうことをお考えになつているのか、明年度の農林行政に対する予算的措置の大要について御説明願いたいと思います。
○国務大臣(廣川弘禪君) 第一に今まで鎖されておりました農村に対する金融方面を打開して行きたい、こう考えております。これも長期、短期ともやつて見たい、こう考えております、それからあとは共済組合の基金の繰入れ、こういつたようなこともやつて見たい、それからあと病虫害等に対しても思い切つて一つこの方面にも予算をやつて見たい、それからあと土地改良その他についても十分これを考えて見たい、その他は特にしたいというような点はございませんが、今までよりも予算を多く我々としては要求いたしているようなわけであります。
○羽生三七君 どうでございます、率直にお尋ねするのでございますが、明年度予算を見てくれろとおつしやるほどの予算的措置と期待してよろしうございますか。
○国務大臣(廣川弘禪君) 限られた財政の枠においては、私は十分要求したものが満たされると、こう考えております。
○羽生三七君 問題の食糧統制撤廃問題は延期になつたわけでありますが、これはまあ我々の推測かも知りませんけれども、若しドツジ氏の指摘がなければ或いは統制撤廃になつたのではないかと推測される筋も相当あるのであります。若しそうなつた場合には、仮に若しドツジ氏の指摘がなくて統制が撤廃になつたとした場合には、例えばこの場合に起る影響というものは一体どういうふうにお考えになつて、その方針を立てられておつたのか。この前の本会議に申上げましたように、将来には必ず価額上の問題が第一番に起るし、又地域的なアンバランスが起つて来る、そういう問題が起つて来ると思います。あとでお尋ねいたしますが、輸入食糧の見通しの問題、国内における供出数量の問題、いろいろあると思いますが、大体少なくとも廣川農林大臣自身が統制撤廃がいいとお考えになつたとは思いませんけれども、併しそういう問題が論議をされておつたとしたならば、そういうことによつて起るいろいろな諸般の影響というものをどういうように理解されて統制撤廃を考慮されたのか、その点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(廣川弘禪君) あなたの御心配のように我々といたしましても全部統制を廃止するということは、非常な影響を及ぼすものと考えておりましたので、農林省といたしましては、最初からこの撤廃をしないというようなことでやつておつたわけであります。
○羽生三七君 そうするともう一つ重ねてその点をお尋ねいたしますが、農林省としては統制撤廃が尚早であるという見解でお進みになつたわけですね。
○国務大臣(廣川弘禪君) その通りでございます。
○羽生三七君 その次にお尋ねしたいのは、現在輸入食糧のうちガリオア資金や、或いはコンマーシヤルで入つて来るもの、まあいろいろ合せまして今年度三百四十万トンが輸入されたわけでありますが、このうち、タイ国から入つて来る米は、現在の価格はちよつと存じませんが、少くとも本年当初にはCIF建で百二十ドル前後と記憶しておりますが、タイ国の国内価格は非常に安いもので、三・四〇%程度はまだ価格切下げの可能性を持つておるように思うのでありますが、そういうタイ米の買付けなんかについて、今後十分貿易上の施策を講ぜられるお考えがあるか、この点お伺いいたします。
○国務大臣(廣川弘禪君) これは政府委長から答弁させます。
○政府委員(安孫子藤吉君) タイ米の価格については、いろいろな現地の特殊事情もありまして、只今のところ早急に位下げをするということは困難かと思います。全般の情勢から申しますと、新米については若干値上りをするのじやないかという予想すらございますので、大幅な切下げということはなかなか困難かと思います。
○羽生三七君 来年度の食糧の輸入の総額は、先日の新聞にもあつたのでありますが、大体本年度の三百四十万トンに対して三百八十五万トン程度というように言われておりますが、そうして行く場合に、果して持越し量その他からいつて、来年度の需給が完全であるかどうかということが問題になるわけでありますけれども、それと同時に朝鮮動乱や或いは世界事情の変化が急速に起つた、何らかの変化が起つた場合、日本の食糧政策の上に非常に大きな影響を及ぼすと思うのです。これは仮定の上に立つて非常に憂えるのですが、起らなければ何も問題はありませんけれども、あとの全体に何らか変化を起すような事情があつた場合に、一体食糧政策については、どういう対策をお考えになつているのか、この点は大臣からお伺いいたします。
○国務大臣(廣川弘禪君) 我々といたしましては、将来の、要するに大動乱になるというように、そういうことを考えていないで、現在の情勢で実は立案いたしているようなわけであります。又その輸入する地域、その他の細かい点については、政府委員からお答えさせます。
○羽生三七君 輸入数量の点で、新聞などに伝えられておる程度のものかどうか、もうちよつと正確に御説明願いたい。
○政府委員(安孫子藤吉君) 来年度の、来会計年度になりますが、大体食糧の輸入計画は、私どもといたしまして三百二十万トンで組みたいと思つております。それに関連して、新聞紙上に散見いたします二百七十万トンと申しますのは、今会計年度におきまして、予算上は三百四十万トン組みましたが、どれくらい入るかという見通しの問題が現在あるわけであります。非常に堅く見ますと、二百七十万トンくらいの今年は輸入になるのじやなかろうか。併しそれでは需給上もいろいろ問題がございますので、又只今お話のありましたような状況下にもありますので、できるだけ輸入をして置いたほうがよかろうという趣旨でいろいろ努力をいたしておりますが、その結果としては、大体三百二十万トン程度の輸入ができるであろうという、今会計年度については見通しを持つております。来会計年度についてもやはり三百二十万トン程度の輸入計画を立てて進みたいと思つております。
○羽生三七君 価格の点でありますが、先ほどちよつとお話もあつたように、朝鮮動乱前までは大体低落の一途を辿つておつたようでありますが、その朝鮮動乱後価格の値上りがどの程度のものか、これはちよつと私自身もう少し資料を持つて来てお尋ねするのが筋でありますけれども、この点ちよつとお尋ねいたします。
○政府委員(安孫子藤吉君) 朝鮮動乱の関係、又それに関連いたしまして各国が割合に食糧について買漁りの傾向があるという事情から若干値上りを見た時期はございますけれども、只今のところはそう顯著ではございません。従つて予算上組みました価格というようなもので、大体本年度の買付けはできるのではなかろうかと思つております。特にカナダなんかにつきましては、ドル・キヤツシユで買うような方法もできましたので、最近その見積をしたわけであります。これはアメリカのものなんかに比べまして、相当安い価格で買える見込もありますので、大体予算上の單価から余り大きな釣がなしにその輸入が金額的にはできるのではなかろうかと思つております。
○羽生三七君 その次には、自作農創設特別措置法の一部改正法律案が前に議会でも、前議会でも審議未了になつたわけでありますが、土地台帳法の期限の関係もあつたとは思いますけれども、どうして強引に政令で公布されなければならなかつたのでありますか。事情はそれだけでございましたか、その点を伺います。
○国務大臣(廣川弘禪君) 全くその通りでありまして、土地台帳法の一部を改正する法律案が成立いたしたものでありますから、土地の賃貸価格その他が混乱いたしまするので、万止むを得ずああいう処置を講じたわけであります。
○羽生三七君 その次に、自作農創設特別措置法の関係で、やはり農地関係にもいろいろ影響が出て来るわけでありますが、日本の農村の民主化の上に市大な役割を果して来ました農地改革というものの精神が、なお依然として堅持されなければならないという点は、マ書簡により明らかでありまするけれども、この効力の喪失によつて政府としては農地改革の根本的な精神そのものと背馳するということはまさかお考えになつてはおらないと思いますけれども、地方のそれぞれの機関に対して適当な指示をやつておられますか、どうでありますか、その点お伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(廣川弘禪君) 我々といたしましては、マ書間の趣旨を尊重いたしまして、根本的な方針を変えるようなことはございません。
○羽生三七君 次に農村工業の問題でありますが、日本で工業生産力を増強するという場合には、大体いつ外国から原料を輸入してこれを加工することによつてやはり日本の工業生産力を高めるという考え方もあるわけでありますか、農村工業という点から考えまするというと、例えば甘藷によつて、台湾から入つて来る砂糖の代りの砂糖の工業化というものをもつと考えて行く、或いは澱粉によつて工業用アルコール或いは飲酒用アルコールの高度の工業化或いは加工というものを考えて行く、或いは乳製品或いはその他果実類等の加工を通じて、もつとそういう意味の工業を考えて行く、こういうことが言われておるわけであります。なぜ私がこういうことを申上げるかというと、結局日本の中で考えられておる工業生産力の発展というのは、いつも外国からの原料を加工するという立場から考えられておる。ところで若し日本でこういう問題を本気で取上げてやりますならば、私はこの面で、農村人口問題の面においても、日本の工業生産力の発展の上においても相当大きな利益があると考えておるのであります。これは本来農林省の所管に属することであるかどうか存じませんけれども、そういう問題について農林省が積極的な助成というものをお考えになつておる点があるかどうか、この点を伺います。
○国務大臣(廣川弘禪君) 適切なお話でありますが、これは農村の人口問題を解決する上におきましても、又日本の農村の産物を相当よそに出す上におきましても極めて大事な問題でおりますので、我々といたしましては仮に甜菜糖の問題、或いは非常に余つておるりんごを、これを一つシャンパンにするとか、或いは又その他の産物を工業化するために非常に努力いたしておりまして、今度資金なんかもその方面にやはり我々は流して見たい、こう考えておるのであります。
○羽生三七君 そういうことをいつも私前に農林委員会におつた頃申上げたのでありますが、結局落着くところはこうやつて生産をしてもなかなか需要がこれに伴わない、ところがその需要の伴わないという理由は、結局日本の国民の食生活というものか、根本的に以前からの習慣を堅持しておつて、なかなか修正し難いという点にあると思うのであります。ところが本当に日本の食糧の自給ということを、私が申上げたようにアウタルキーという意味でなしに、本当に日本の生産力の発展の基礎としての食糧自給という点から考えた場合でも、私は食生活の転換ということを本当に考えなければ駄目だという考えを持つておるわけであります。そうすると折角作つた乳製品でも、十分バターが店頭に山のように積まれておる、而もこれは栄養カロリーの点からいつても非常に高度のものであるにもかかわらず、それが更に利用されない。生産のほうは若干促進されても、これに対して消費面といいますか、日常の家庭生活でこれを完全に消化するという素地というものは何らないわけであります。農林省でも適当に考えてはおられると思いますけれども、そういうものを含めての、総合的な食生活を含めての総合的なやはり食糧対策というものが立てられなければならんと思いますが、これは大臣でなくてもよろしうございますが、何かそういう意味の計画があつたらお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(廣川弘禪君) お話のようなことは、農林省といたしましては、生活改善課を通じてそのように努めておるのであります。我々が畜産の奨励を叫び、或いは又水産物の増量を叫んでおるのもやはりそこにあるのでありまして、根本的な食生活の改革をいたしまして、そうして足りない米麦の量をその方面によつて十分補わなければならんという構想の下にやつております。
○東隆君 先ほど羽生君からも質問がありましたが、興農臨時議会の中身は昭和二十六年度の予算の中にあるからそれを見てくれ、こういうお話なんでありますが、先ほどお示しになつたものを見まして、実は余りいい御馳走ではないと、こう考えるわけであります。もう少しまだほかにあるのではないかと、こう考えるのですか、御馳走のメニューをもう少しお話を願いたいのであります。
○国務大臣(廣川弘禪君) 今御馳走を作つておる最中でありますので、適当なる時期に一つメニューを出したいと思います。
○東隆君 メニューがわかりませんと、今回の補正予算は、実のところ申しますと、お晝に招待をする、こういうお約束をして頂いて、実は晝飯を食わないで来たのでありますが、お晝には遂に亭主である農林大臣はどこかに旅行をされておりまして、おやつの時間に帰つて来て、そうして而もそのおやつには何かいいものを出すかと思いますと、澁茶と煎餅ぐらいで済ましておるわけであります。御馳走をもう少し欲しいと思いまして、いやしいのでありますが、台所のほうを覗いて、そうしていろいろやろうとしておるわけであります。情勢判断をしようとして来ておるのであります。そこで出て来たのが先低どの長期、短期の資金の途を開くとか、或いは共済組合関係の補填金をたくさん出そうとか、病虫害の防除であるとか、或いは土地改良、そういうようなことだけでありまして、私は実のところ申しますと余り新味がないので、大変どうも困つたところに招待をされた、こう考えるわけでありますが、それは別といたしまして、昭和二十六年度に私は若し大きく手を打たれるといたしまするならば、あの昭和の初めに、五・一五事件が起きたあとに行われました救農議会でいろいろ決定をされた事項がありますが、農山漁村の経済更生計画の運動、それに関連をして負債の整理組合法であるとか、或いは金銭債務臨時調停法であるとか、或いは産業組合法を改正してやるとか、或いは特定の農山漁村に、その当時としては非常に大きな命を出して、そうして経済更生をやつたわけでありますが、私はそれの再版をやつて欲しい、こういわけではありません。というのは、その結果は完全に太平洋戰争の餌食になつてしまいまして、そうして甚だ不幸な結果になつたのでありますから、私はそれをこの際再版をしてもらうという気持はありませんけれども、併しあの当時におけるぐらいな意気込みが私はあつて然るべきだと、こう考えるのであります。而も救農議会を興農議会にするんだ、こういうふうに言われて、そうして大分その方面に考えを進められたと、こう考えますので、何かそういう方面に、例えば新農村の建設運動でもいいし、又興農運動でもこれはよろしいのでありますが、そういうような意図がおありでありますかどうかお伺いいたします。
○国務大臣(廣川弘禪君) お晝の御馳走がなかつたというお話でありますが、興農の基はやはり農産物の価額を上げて行くことであるのでありまして、今度の米価を上げたことは非常な大きな興農運動の私は起点をなすと考えておるのであります。それから又今度の国会に現われておりまするのは、あなたの趣旨を借りて言いますと、御馳走をうまく食べるために今まで膓の中にあつたものを全部片付けるような形になつておるのでありまして、仮に漁村における災害の補償であるとか、或いは又今まであつた報奨物資の問題を片付けるとか、そういつたような幾多の点があるのであります。そういたしまして来国会に本当にやつて行きたい、私はこう考えておるのでありまして、一つ最も関心を持つておられる協同組合の更生を図るための法律というようなものも来国会においては作つて見たい、そういうふうに考えておるのであります。そうして順次余り派手でなく、地味ではありまするが、真に農村を私は更生させたい、こう考えておるようなわけであります。
○東隆君 農家の戸数は国民の半分を占めておるのでありましていろいろな差迫つた問題もたくさんあるだろうと思いますけれども、私はこいつに大きな手を打つことが日本の自立のためにも必要だ、こういう点でもつともつと一つ大きくお考えを願いたい、こう申上げたいのであります。
 次に、私は農業方面の指導陣営というと少し語弊がありますけれども、指導陣が私は非常に今弱つているのじやないか、特に分裂をしておる、そのために折角強力にいろいろな施策をしようといたしましてもそれが滲透をしない、こういう状態に置かれているのではないか、こう考えるのであります。改良普及技術員の問題もありますし、又農業協同組合におります技術員もおりますし、又共済組合にもいるし、まあいろいろな方面にこれは分れておりまして、而もそれが総合された形で効果を現わしておりません。そこでこれに対してどんなような考えを持つて力強いものにされるのか、それについてお考えがありましたらお伺いをいたしたい。
○国務大臣(廣川弘禪君) その指導陣営につきましては、私たちといたしましては、来年度におきましても数を増し、又質を揃えたいために予算を請求いたしておるようなわけでございます。
○東隆君 今の状態の下においては、実のところを申しますと、簡單でありますけれども、指導をいたしまする場合に、非常に不便な形がたくさん今の制度の下には出て来ておるわけであります。これを例えば簡單な例をとつて見ますると、札幌では食糧が非常に不足をしておりまして、そこで道路が広いものですから、道路の端を起して、そうして野菜を作つたりなんかしたわけです。ところがこれは忽ちにして病虫害の巣窟になつてしまい、そうしてその附近の専業農家が、これで以て非常に脅威を感ずる、こういう状態が出て来るわけです。これに対して指導部面からこれに手を施すことができんわけです。これは畜産の方面においても同じでありまして、農相は首相から犬の口輪かなんかもらつたそうでありますが、犬の病気にいたしましても、野犬はジステンバーにはなかなかかからないのであります。純系の犬を持つている愛犬家の犬はジステンバーにかかる。それと同じようなものでありますが、野犬はやはりジステンバーの巣窟になつておる。こういうような場合にこれを十分に一つやつつけて、病虫害や伝染性の病気を拡げないようにするためには、指導の陣営というものは或る程度公法人的な色彩を持つたところの組織の下に行われなければ本当の効果が出て来ないのではないか、こういう考え方を持つわけです。その意味から戰前にありました農会は、これは公法人としての組織であります。そうして而もいろいろな点で指導の方面その他については相当な威力を発揮することができると思うのでありますが、今の状態においてこのような組織を考える気持はございませんか。
○国務大臣(廣川弘禪君) 大事なことでありますので十分検討いたしたいと思います。
○東隆君 今の問題は、これは技術関係の者が力を十分に発揮するために非常に大切なことでありますので、公法人的な色彩を持つた一つの団体をいろいろな観点からお考えを願いたい。こう思うわけであります。
 更に私は今の農業災害補償法の関係で、共済組合ができておるわけでありますが、この共済組合が予防衛生の見地に立つて仕事を進めますと、病虫害の防除はもとより、生産方面にも十分に手を伸ばすことができますし、又家畜の衛生管理その他の方面にも、これは十分に手を伸ばすことができる。又基本的な土地の條件を整備するというような土地改良方面の仕事にも十分に手を伸ばすことのできる。これは強制加入の形式を持つたところの団体でありまするが、これと先ほど申上げました公法人的に農会のような仕事を総合して、一つの指導方面における体系を確立するような考え方も一つお考えを願いたいと思のですが、その点御意見がございましたらお伺いをいたしたい。
○国務大臣(廣川弘禪君) 十分検討いたしまして総合的なことを考えたいと思います。
○東隆君 この共済組合は私は社会保險だと、こう考えておるのでありますが、そのように考えて差支えありませんか。
○国務大臣(廣川弘禪君) 広義に解釈すればそう解釈できると思います。
○東隆君 農業共済組合が農家にとつての社会保險である、こう考えますと、私は失業保險とかその他の労働関係における社会保險、これはこれの賄いは労働者、経営主、国のこの三者がおのおの分担いたしまして、この社会保險の会計を賄つておるわけであります。農業の場合においては、農家と国で以て賄つておる。その場合に農家は労働者であり、同時に経営主であるという考え方でありますと、これは一本になつておるわけでありますが、そうしてそれと国と合さりまして一応考えられますが、その場合に私は今の日本の状態から考えると、農業の経営をやつておるのは国がやつておるのだ、こういう考え方を持たざるを得ないのであります。その理由は、農地改革後においての農地というものが、これは所有権があるわけでありますけれども、土地は担保力もありませんし、又生産をしたところの農産物は、それは農家が価格をつけるわけではなくて、国が価格をつけております。同時にその供出は、低米価で以て買上げられて、丁度戰時共産時代のあのソヴィエト・ロシアで以て、現物税で以て取上げたようなああいう形、又因業な地主が取上げたようなそんなような形が、これは一応は考えられるのであります。従つて私は国が農業経営しておる、農家は、農業の総收入から狭義の経営費を差引いた残りの農業所得、それは農家の自家労働に対する報酬だとこう考えますが、その自家労働に対する報酬によつて農家が生活しておるんでありまして、その面においては私は農家は労働者だとこう考えるのであります。この考え方から行きますと、農業の経営主は国家であり、そうして農家は労働者、こう考えますと農業共済組合におけるところの分担の場合におけるところの割合は、私は三分の一ずつにいたしますと、農家が三分の一で国が三分の三を考えなければならんとこう考えますが、こういう意味で私は先ほど農業共済関係のものに対して大きく金を出して、そうして不足を補填をするというようなことを言われたので、これは理窟が非常に合うと思うのです。その意味において農業はこれは国がやつているのだと、こういう考え方を私はとろうと思うのですが、その点について如何ようにお考えになりますか。
○国務大臣(廣川弘禪君) 農業の経営主体は国であつて、農民は労働者であるというお考えのようでありますが、そう簡單にも私は行かんと思います。但し災害等につきましては、目下我々として考えておるのは、非常な災害に会つた場合に、現在では殆んど非常災害とでも申しましようか、そういうことに会つた場合に、国として実際に手を盡す何はないのであります。そこで私としましては、この点を現在直して行きたいと考えまして、災害更生法とでも申しましまうか、そういつたことまで今考えておるのでありますが、前段の共済組合の掛金の率等についても、やはりこれは相当将来考えなければならんと思つております。
○東隆君 私が農業は国が経営しておるのだというのは、これは農林当局のほうで今後農業に対して大きく手を打つ場合に、非常にこの考え方に立つた場合に大きく打てるのではないか、こういう考え方から実は質問をしておるわけであります。農業の基本的な條件であるところの土地、これに対して国家が大きく土地改良その他の形で以て国を強うする、こういうことが行われて、従つて生産が上つて来る、こういう態勢ができますれば、これは農家としては非常に私はいい結果になる。で私はこの場合に、農業はこれは国がやつておるのだと、こういう考え方に立つて、そうして農業に対するところのいろいろな助成その他各般の指導、助成の仕事を考えて頂くならば、私は相当なものができ上つて来ると、こう考えます。その意味において少しく農業は国会がやつておるのだと、こういうことはこれは多少理論的には不自然には見えるかも知れませんけれども、併し現状を考え、過去の歴史的なものをずつと考えて参りますと、農業というものは私は国がやつておる、こういう感を深くするのであります。そういう点から一つ施策を考えて頂きたいと、こうお願いを申上げます。
 その次に、私は金融の問題で先ほどいろいろお話がありましたが、北海道では農業協同組合法によつて家屋共済、或いは生命共済を実は始めておるわけであります。そうしてそれの全国連合会も先頃その創立総会を開催しました。そんなようなことになつておりますが、農業保險の問題は、これは日本では明治二十年代にドイツから来ましたペー・マイエツトの日本救治論という本ですか、別名農業保險論というものを書いて、その中で、日本のように零細な農業国では農業保險をやらなければならない、こういうようなことを書いておるのであります。その時代に農業保險というものができておりまするならば、日本の農村の金融の行き方というものは、現在の中央金庫やその他を通しての現われ方と全然異なつたところの形のものができておつたろうと、こう考えるのであります。農家が、掛金をしたものが集まりまして、全国的に集まつて、そうしてそれが長期の金融になる、そうして土地も担保力をなくし、それから農村にあるところの不動産としての家屋は、これは殆んど価値のないものでありますが、これに保險を附することによつて抵当物件としての価値を作り上げる。又財産というようなものが、担保力のある財産が農家にはありませんが、借金をしてそうして経営を拡大をして行かなければならんと思いますが、その場合においてもどうすれば金を借りられるかと、こう申しますと、これは農業経営をやつた收入のうちから経費を差引いて、余剰が幾ら、その余剰で何カ年間で借金が抑えるか、こういうような形ができなければ、私は金の融通もむずかしいと思う。そういうような意味で、どうしても農家の中心であるところの労働者に対して、労働者としての農家に対して、経営主といいますか、労働者に対して援助することがどうしても必要なことですが、今までの状態から申しますと、営利保險会社がやつておりまして、これはコストの関係で農村には入つておらなかつたのであります。こんな関係で農村は金融方面においても非常に不自然な形に現在は置かれております。先ほど長期、短期の金融を考えると申しましたが、これを有効適切に行うためにも、この制度を十全に活かすことが必要であろう、こう考えますので、私はあえて農林大臣は、この場合に農業協同組合法によるところの共済保險の事業を大きく取上げて、全国的に一つ運動を展開して行きたい、こう考えるのでありますが、御所見をお願いいたします。
   〔委員長退席、理事羽生三七君委員長席に着く〕
○国務大臣(廣川弘禪君) 農家の金融問題は、実に重大な問題でありますが、それに関連しまして協同組合の内部でやる保險制度、これを取上げる意思はないかということでありますが、私はこれは着想が非常に大きいので、十分検討いたしまして考えたいと思います。
○東隆君 もうすでにやつておる仕事でありますので、早急に一つ御研究を願いまして、そうしてできるならば、というよりも、二十六年度の予算に一つ十分にお盛り下さいまして、そうしてやつて頂きたい、こうお願い申して置きます。私の質問はこれで終ります。
○下條恭兵君 私は中国向け輸出の中止の問題につきまして、安本長官並びに通産大臣に緊急質問をお許しを願います。
○木村禧八郎君 私は農林大臣にまだ残つていたんですが。
○理事(羽生三七君) それじや下條君が済んでからでよろしゆうございますか。
○木村禧八郎君 ええ。
○下條恭兵君 この中共向け輸出の禁止の問題は、実に日本の産業にとつても重大な影響を及ぼすだろうというふうに考えられるのでありますが、この処置をなすつたところの政府の考え方につきましては、すでに総理大臣に先ほどお尋ねしましたので、私は両大臣に対しましては、この影響の現われ方に対して、政府はどのような見解をお持ちになつておるか、それからその影響に対する対策はどういうふりにお立てになつておられるかということをお尋ねしたいと思うのでございますが、先ず心配せられますのは、当然こういう輸出禁止の措置がとられますと、報復手段として向うから出すものも出さなくなるというのが通例だと思うのでありますが、通産大臣はこの点に対しまして、果してこういう措置をとりましても、輸入のほうだけは円滑に進み得ると考え下おられますか、又減少するならばどの程度減少しますか、或いは全然来なくなるという見通しを立てておられるか、その点を通産大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(横尾龍君) 本日発表しました省令によりまして、全く向うに輸出をせないというのでなしに、よく調べて輸出するというわけでありますから、全面的というわけではないのでありますが、向うのほうで我が国に最も必要なる粘結炭の輸入を送つて来なかつたりするかどうか、こういうことかと思いますが、現在までに入つておりまする粘結炭がある程度あるのでありますが、これはアメリカのほうに是非振り向けて懇請して入れたい考えであるのであります。又アメリカ、インドに粘結炭がありますので、この方面に極力手を盡して得たいと思つております。鉄鉱石は現在余り入つて来ておりません。この点に対して、二十六年度に対して、余り心配ないかと思います。さように御承知を願います。
○下條恭兵君 細いことは又事務当局にお伺いするとしましても、通産大臣に今一点お尋ねしたいのでありますが、中共地区から入つて来ました粘結炭に対して、仮にこれがインドなりアメリカから輸入するように変りました場合、この場合の日本着の値段の差額はどういうふうになるお見込でございますか、この点をお尋ねいたします。
○国務大臣(横尾龍君) お答え申します。又今香港経由で開らん炭が入つておりまするが、十二ドル見当でございます。そうしてアメリカのほうが、十七ドル見当でございます。御存じの通り開らん炭とアメリカ炭とは非常に品位が違いますので、大差はないかと思います。
○下條恭兵君 時間の関係もありまして政府のほうはお急ぎだと思いますから、どうか手つ取り早くお答え願えるならば、安本長官からでも、或いは通産大臣からでも、どちらからでも結構でございますが、石炭の比較は十五ドルと十七ドルで、二ドルの差しかないと、併し品位の差があるということで、これでは実効価値から言うと、どつちが安いのかはつきりわからないのでありますが、このミドルの差があつても、アメリカ炭のほうが安くつくということであるのか、或いは高くつくのか、インドの炭ならどうなるかということを、もう少しはつきりお答え願いたいと思います。
○国務大臣(横尾龍君) 先刻申しましたのは、十七ドルと申しましたのであります。十二ドルと十七ドルであります。併しアメリカのほうが非常に品位がいいのであります。でありますから使います上においては大した差はない、むしろアメリカのほうがアツシユが少いために却つていいんじやないかと思います。
   〔理事羽生三七君退席、委員長着席〕
○下條恭兵君 それじや従来開らん炭を入れました理由は、経済的にいつてアメリカ炭がいいのにもかかわらず、開らん炭を何か政治的な理由が何かで輸入したというふうに受取れるのでございますが、何かそういう理由でございますか。それとも船の関係からいつて同じ価値、或いは少しくらい高くても船腹の関係から、近い所から取る方が有利だというところから来ておるのでございますか、そういう点を一つお知らせ頂きたいと思います。
○国務大臣(横尾龍君) 今のお話の点につきましては、我々としては成るべくアメリカのほうを要求したいと思いまするけれども、なかなかそう思うように輸入が許可されないので、開らん炭を、手近でもありますし、量もかなり多いので、そのほうを入れておつたのであります。
○下條恭兵君 そういうことがあると思つたので、私はこのことをお尋ねしておるのでありますが、開らん炭が入らなくなつて、従来本当は欲しいけれどもアメリカの炭が入れることができなかつたということであれば、こういうことで開らん炭が入らなくなつて来る、そうした場合にはアメリカなりインドなりから確実に輸入して計画通りの生産ができるというお見通しがあるかどうか、その点をはつきりお答え願いたいと思います。
○国務大臣(横尾龍君) 御質問の点、御尤もでございます。併し現在におきましては、アメリカから相当入る考えでおります。
○下條恭兵君 それでは安本長官にお尋ねしたいと思いますが、一昨日私は安本長官にお尋ねいたしました時に、来年度の輸入計画とそれから生産の計画、生産の見込と、これに対して必要な原材料の輸入の見込をお尋ねいたして、これはあとで文書でいいから頂きたいということをお願いして置いたのでありますが、昨日生産の見込額だけは頂いたのでありますけれども、これに続けて若し輸入計画の配分についてお尋ねすると非常に時間的に経済だつたと思うのでありますが、この頂いた表の中で大体中共地区から輸入する見込でおつたものがどの品種とどの品種で、その数量はどれくらいになつておりますか、これを一つお尋ねいたします。
○国務大臣(周東英雄君) お答えしますが、大体今の御例示になりました炭についてお話いたしますと、大体開らん炭を当初は百五万トンくらい予定はいたしておりました。ざつくばらんに申しますと、今年の上半期は約四十万トンくらい入つております。従つて今通産大臣からお答えいたしましたように、今日のような形のあるということ以外に、いろいろ国際情勢を考えまして、あらかじめその開らん炭の問題はもうすでに別にアメリカに置換えて移転準備をいたしておりました。従つて只今のところ、見込でございますから今後の情勢はいろいろ変るかと思いますけれども、相当量アメリカのほうから最初の予定量よりも余計に入れてもらえる、今のところ見込でございます。鉄鉱石については、当初から余り中共のほうで予定いたしておりません。先ほど通産大臣から申上げましたように、今日までのところ殆ど言うに足らん数半でございますので、入つておりません。初めからこれはほかのほうへ向けて準備しておりますので、本年に関する限りは問題ないと思つております。問題は来年度の問題でありますが、当初から、従つてこういうことにもなりますれば、来年の問題もあるし、愼重に立てております。お手許に配付いたしました生産数量に応ずる鉄鉱石なり、粘結炭はそれぞれほかの国のほうへ予定いたして努力をいたすつもりであります。
○下條恭兵君 先ほど通産大臣は粘結炭をインドからもと言つておりましたが、仮にアメリカから全部入らん場合にインドから取るというような折衝を今やつておられますかどうか、この点を一つお伺いいたします。
○国務大臣(周東英雄君) インドに対しても今手数料で交渉を始めております。
○下條恭兵君 その場合の値段の工合は、どういうことになりますか、この点も一つ。
○国務大臣(周東英雄君) これは細かいことはどのくらいかどうかということはまだ研究しなければいけませんが、多少は私は上るということがあるのじやないかと思います。勿論その上り方が先ほど通産大臣申上げましたように、灰分等の相違で、質的の優良さということから効率は高くなるであろう、でありますが、ただいろいろ運賃なり或いは今後の国際情勢によつてやはり強気でございますから差があるということはあるかと思いますが、なんぼかということについては、配分の関係、質的の関係、使用量の関係等でおのずから違つて参るかと思います。
○下條恭兵君 それからこの中で、ソーダの生産額がこの表には入つておらんようでありますけれども、塩が重要な原料だと思うのでありますが、そうしてこの塩が中共地区から従来は相当量入つておつたと思うのでありますが、これの対策はどうなつておりますか、伺いたいと思います。
○国務大臣(周東英雄君) 細かいところは事務官から申し上げますが、大体塩についてもあらかじめサウジ・アラビア、或いは台湾それからインドネシア等、新らしくはイタリアというような面に塩の問題については輸入の交渉を始めております。
○下條恭兵君 余り時間を取るのもどうかと思いますので、極めて大ずかみにお尋ねいたします。そうすると安本長官は、只今の情勢におきまして大体物の量では、この二十六年度の生産計画に対して支障がないだけの原料炭なり銑鉄なり或いは塩なりが入るというお見込であるわけでございますか。
○国務大臣(周東英雄君) 先ほどの御質問の前提である中共の貿易関係が最惡の関係になりましてそれはあらかじめ予想に入れた転換方策を講じておりますので、その他の国際情勢の大変化ということは別でございますが、今のところは二十五年度は大丈夫、三十六年度についてもそれぞれの目標について進めつつあることを申上げて置きます。
○下條恭兵君 大変どうも自信のある御答弁で頼もしいのでありますが、総理は先ほど、今度の朝鮮動乱の状況の変化から国連に協力する必要からこういう措置をとつた、こういうふうに御答弁されたのであります。そうしますと、少くもこの間の施政演説のときは非常に気楽な施政演説を朝鮮動乱に対して試みておられた総理が、その後急に変つた朝鮮の様相からこういう措置をおとりになつたのだということがはつきりしているわけであります。従つて輸出禁止の措置も、この事情の変化から当然起つた問題だと思いますけれども、それに対して非常に今の通産大臣なり安本長官の御答弁は、大分前からこういうことを折衝もやつておつた、準備もできておつたように言つておられるのは、どうも辻棲が合わんように思われるのでありまして、総理の言われるのは、朝鮮動乱の様相の変化からというわけですから、このほうは受取れるのでありますが、今物動という言葉は使わないかもしれませんけれども、実際に今の予算のほうの御説明は、少し先走つているような感じが私にはするのでございますけれども、大体いつ頃から、開らん炭が全然入らん場合、或いは塩が中共地区から全然入らん場合、それから鉱石が全然入らん場合というようなことをいつ頃から見込を立ててそういう折衝を始めておられたのか、この点を一つお尋ねしたいのであります。
○国務大臣(周東英雄君) 今のお尋ねでありますが、これはこの間あなたの御質問に対して私が答えておるのであつて、総理は輸出禁止についての御答弁であつたと思います。併し開らん炭についての輸入の計画が上半期において予定通りに入らないということは先ほど申上げた通り、従つてそのときは当然我々としては転換方策を考えて置くことが必要であるのでありまして、何も早過ぎたというのではなく、むしろ褒められるかと思いましたが、えらくお叱りをこうむりまして恐縮であります。
○下條恭兵君 いや私は別に意地の惡い意味で申上げているのではありませんので、意地の惡いお尋ねをすればこの問題には別の方法があろうかと思いますが、私はそういう意味で言つているのではありませんので、これはこの問題の影響するところは、今朝新聞を見ましたら或いは昨夕ラジオを聞きました、あらゆる日本人がことごとくこんなことになつて将来どうなるのであろうかという心配をしていると思いますので、それで私はこういうお尋ねをしているのでありますが、そこでおしまいに安本長官は、一昨日予定通り入らなかつたという御説明もあつたと思います。併し全然入らなくなつてしまう場合のことは、これは御説明の中には私はなかつたように思いましたので今そのようなお尋ねをしたわけであります。
 そこで次に輸出のほうの問題になりますが、中共地区に大ずかみに言いまして、三十五年度どれくらいのものが出ておつたか、そうしてこれは全然出なくなると思う、今の重要物資だけでなくして、将来商品に対してもそういうことが言えるようになると思うのでありますが、その輸出の穴のあいたところは、十三億ドルからのものを輸出をしようという場合に、どこに市場を求められようとしておるのか、この点をお尋ねします。
○国務大臣(周東英雄君) お尋ねでございますが、この点は最近は輸出は少し上廻つておりまして、上半期で約十七百万ドルくらい、それから下半期で少しく七、八ぐらいで三百万ドル、大体そのくらいでありますが、全体の数は大体から言うと少いのです。中には出ているものも、機械とか鉄鋼製品、これはいろいろな関係で出ておりましたが、仮に出なくなつても、ほかでこれは欲しいという所がたくさんありますから、別にそう輸出に影響はないはずだと考えております。
○下條恭兵君 大体輸出の伸び工合から言つて、恐らく安本長官の言われるような結果になるかも知らんと思いますが、これは先のことだから御尤もですけれども、とにかくこの問題に対して、将来政府は海外の市場だつていつどういう変化から輸出のまずくなる所も起きるかも知らんと思いまするし、又輸出できる所もできなくなる所もあるかと思いますけれども、勿論いろんな手は打つておられると思うのでありますが、輸出市場の拡大のために、通産省なり政府当局としまして、従来日本の商品が行つていなかつた所に、何か新らしい市場の開拓に折衝を始めているとか、そういう所がありましたら参考に伺いたいと思います。
○国務大臣(周東英雄君) この点は、御心配の点同感であります。できるだけ新らしい方面としてはやはりポンド地域、スターリング地域が問題だと思います。そういうことも含めて御承知のような今度スターリング地区との協定が成立いたしまして、従来より八割強増強いたしまして、九千五百万ポンドくらいに……、合計いたしまして一億七千ポンドということになりましたのは、そういうことを考えて懇請して漸くでき上つたような状況であります。もとより決して私は楽観はいたしません。悲観もいたしません。常に場合を考えましてでき得る限りの、もう御心配の通り輸入ができるかどうかということは万全の措置を考えて見たいと思つております。
○下條恭兵君 最後にお尋ねしたいと思いますが、まあ石炭或いは鉄鉱石関係が今安本長官の御説明されるようなふうに行けば大変結構でありますけれども、大いに安心できるわけでありますが、そうして塩も仮に予定通り六つて来るといたしましても、非常に距離が遠くなつて、船運賃がうんと嵩んで来ると想像されます。それから値段につきましても、私はどういう関係になつているかとにかく知りませんが、こういう近い所の安い塩が入らなくなる関係から、ソーダの値段が非常に上つて来る。そうするとスフでも人絹でもあらゆる化学工業製品が全部その影響を受けて値上りを来たすようなことがあり得るかと思いますが、こういう点について御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(周東英雄君) 塩については大体中共地区、台湾……すぐどうなるか問題だと思いますが、それにいたしましても、将来の問題を考えて、遠い所から入つて来る原塩の関係で各方面に及ぼす価格については、愼重に考えて処置して行くつもりであります。併し今の価格の問題もさることながら、物を入れて置くということに総力を挙げて努力している次第であります。
○下條恭兵君 最後に、私は今の価格の問題を取上げる理由は、こういう基礎物資の値上りを来たしますと、結局そのあほりはすぐ大衆のほうに行きまして、却つて思惑買をして儲かる向きもあるかも知れませんが、反対に大衆の消費生活に非常に大きい影響があると考えますから、私はこの問題を特にお尋ねしたのでありますが、そういう意味からいたしまして、政府としましても、万全の措置をおとりになることをお願いしまして、私の質問は終りたいと思います。
○委員長(波多野鼎君) 暫く休憩いたしまして、午後七時から再開いたすことにいたします。
   午後五時五十六分休憩
   ―――――・―――――
   午後七時十五分開会
○委員長(波多野鼎君) 休憩前に引続いて予算委員会を開きます。
 岡野国務大臣が出席しておられますので、自治庁関係についての御質疑を願います。
○河崎ナツ君 岡野執務大臣にお伺いいたします。実は一般質問のときに質問いたしましたのですが、岡野国務大臣がそのときにお見えになりませんでしたものですから……、あとで或いはお見えになつてお話になつたかも知れませんが、私がおりませんで伺えなかつたものですから改めて念のためにお伺いいたしたいと思います。と申しますのは、平衡交付金に関係することでございまして、平衡交付金の中に入れられておりまして、この四月以来そうなりました結果、実は地方でこういう問題がたくさん起つておるのであります。視察にも参りましてたくさんその問題にもぶつつかりましたのですが、又各都道府県が調査いたしましたその報告にも随分たくさん起つて来ておるのであります。と申のますのは兒童福祉法によります施設に收容されております浮浪兒だとか、孤兒だとか或いは精神薄弱兒だとか不良兒だとかその外に聾盲唖という人たちですね、ああいうふうな人たちの施設に收容されております子供が、まあちよつと三十万人ほどございます。その各施設の費用が平衡交付金に入りまして、そして地方にやられておるわけなんですが、それがこの平衡交付金に入れられておりまして、平衡交付金が地方で圧力の強いほうについ押されるというような形になつておる結果、今申しましたような子供たちが收容されておりますその施設が、どつちかといつたら非常に政治的に無力ですから、そういうところがどうも四月以来うまく行きませんで、もうこれは総計数十件に余るくらいです。それくらい数十件事例がございますが、その施設に対する、まあそんなのは兒童保護費と申しておりますが、その兒童保護費が行かないために、或いは第一行かないために経営が成立たない。或いは少し下火になつている。或いは又施設で子供を預かれない。或いは新らしい施設を計画しておりますけれども、それは取りやめになる。願い出ておるけれどもまあ取りやめてくれとか、或いはそういう施設は開いておりますけれども、收容保護費関係のそういう施設に收容する子供を預つておりますと経営が成立たないから、だんだんそういう子供は断つて、新らしく富裕兒ですね、そういうふうな費用を拂える家庭の子供を預かるというふうに入替えられておる。そうするとそういう施設というものの使命が果せなくなるわけですが、今までちやんときめられておりましたのを、少し額を少く支拂うようになつたとか、まあいろいろそういう故障が実はたくさん起つておりますのです。こういうふうな問題が全国的にたくさんございますのですが、平衡交付金の関係からそういう結果になつておるのですが、こういう問題は先ず最初に、そういうふうな平衡交付金のことについておあずかりになつて御関係になつていらつしやいます政府の大臣といたしまして、何とかうまい方法をお考え願わなくちや、第一その三十万の施設收容兒がかわいそうなんでございます。且つ又引続いてそういうふうに收容しなければならん子供が、次々收容しなくちやならん子供がまだ四十万人ほどございまするんですが、それらがまだなかなか手が伸びないわけでありますが、こういう問題が平衡交付金に関連いたしまして各所に起つておりますが、平衡交付金の操作の上におきまして、何とかうまい方法はございませんでしようか。先ずそのことにつきまして一応伺つて置きたいと思うのでございますが、御答弁願います。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。平衡交付金ができましてから、兒童福社費なんかは皆平衡交付金の中に含まれて、そうして分配されることになつておりまして、御説のようなこと私ども二、三伺いまして、と申しますのは、地方自治、これはまあ打明けてざつくばらんに申上げますれば、それだけの割当はあるのだけれども、ほかの方面に金が要るとか何とかいうことで、そのほうを減らしてほかのほうに廻すということをされております。ところが法令の精神から申しますというと、平衡交付金は御承知の通りにひも付で行つておらんものでございますから、地方団体にこれが任されておるというような一種の法の欠陥がございますので、私もそういうことをちらほら目にせんわけでもございませんから、自治庁といたしましては、地方の財政に干渉権はございませんけれども、まあ一番大事な兒童福祉とか、それから保健の問題とか、そういうことは大事なことでございますから、そういう方面にこういうふうな割当をしてあるのだから、是非々々できるだけその方面に廻してくれというようなことの勧奨をいたしておる次第でございます。
○河崎ナツ君 それにつきまして、なぜそういうことになつて来るかということにつきまして、私は素人でございますから、こういうふうに考えるのですが、或いはそれはこうだよ、と又お教え願つてもいいと思うのでございますが、交付金を標準財政で計算して地方へお出しになりますね、その標準の基準をおきめになるものが少し少くて、地方のほうでは今までの兒童福祉、兒童保護費として出したのではほかののが困る、足らないというような場合には、まあ地方の交付金を増してやらなければいけませんわね、そうなのか、それともそれは普通に出しているのだけれども、算定はしているのだけれども、今あなた様がおつしやいましたように、少し強いほうへちよつと押されがちだというようでありますならば、これはまあ普通に出してもつい……強いほうというのは、なかなかこれで強うございますからね、なかなかその弱いほうまで廻つて来るのが長い間かかる。かといつて、子供は生きておりますから、生活しているのですから、ですからなかなかそういうふうに自治庁がうまくやるまで待つておられませんという面からいたしますれば、こういうことはできないものでしようか。或いは生活保護費のほうの保護費は平衡交付金に入れないで別になつておりますね。いわばあれは一般の人の生活保護費でありますが、これは施設に收容されておりまする弱い子供たちですから、無力な子供たちですから、生活の上におきますれば性質は同じような性質のものでありますから、生活保護費が枠から別に出されて取扱われておりますような形のやり方で、兒童保護費のほうも或いは枠の外から出すとか、かような方法もちよつと私は二つほど考えて見たのでございますが、さてその局にお当りのかたがたからいたしますれば、どのことのほうがしやすいのでございましようか。又どのほうが合理的なのでございましようか。又どのことの方が……子供は弱いものですから、その生活のことを考えてやりなさいまして、法は法でございましようけれども、それをうまく法にしないようにするということにいたしまして、その点につきまして專門家のお立場からお教え願いたいと思います。
○国務大臣(岡野清豪君) 只今先ほど申上げましたように、平衡交付金の法律の精神から行きますと、ひも付きで出すわけに行きません。併しながら従来出しておりました同じ割合で又若干財政需要が殖えますれば、それに応じまして出すことに計算の基礎はなつておるのでございますけれども、只今のところではこちらから名指すことができません。でありますから、私はそんな話を聞きましたものでございますから、どうか一つ一番弱者である、一番弱者といいましても将来を背負つて立つ子供でございますから、そういうものを大切にしなければならん、それが重点的に支拂わなければならない、こういうことで自治庁のほうといたしましても、地方団体に対してそういうようにしてくれという、まあ指図がましいわけでございますけれども、お奨めをしておるわけでございます。併し私もまだその結果が如何になつておるかをまだつきとめておりませんが、若しこれが、今御意見のようなことが全般的になつて行きまして、そうしてどうしてもその兒童の福祉のために、今の平衡交付金の方法の遺憾の点が改正されないということになりますれば、私といたしましては、法の改正まで行つたほうが一番いいことじやないかと思います。お説のように同じ国から出しまするものが、ただ地方の強い力を持つておる方面の事業とか、施設のほうに使われて、そうしてその兒童福祉を賄い得ないでおる立場から、いつも予算が足らないで困るというようなことがありましては、国全体としてよくないことと存じますから、それは何とか一つ、必ずその方面に金が使えるような方法をとつて参りたい。具体的に言いますれば、平衡交付金を改正しまして、全く切り離しまして、これは必ず兒童福祉のために使うのだ、又このものについては、ほかのほうに使つてはいかんのだということの法制的な基礎を作つたほうがいいと思つております。まだ私もその事情をちらほら二、三聞きましたばかりでございます。若し何かいろいろお調べ下さいました御資料がおありになりますれば、よく承わりまして、そうしてその方面で実情を調べまして、どうしてもそういうことができないということになれば、そこまで考えたければならん事柄だと私は考えております。
○河崎ナツ君 大胆の御決心を伺いまして私も非常に安心いたしましたのでございますが、事例は私どももたくさん持つておりますし、まだ半分くらい、実は半分の県の報告は出ましたが、これは七月一ぱいくらいで締切りだつたものですが、この間社会事業大会が全国にございました。その全国社会事業大会のときに、じかにその局に当つているかたがたに、それは向うから訴えられましたので、前には県を通しまして県の報告だつたのですが、やはり県としても報告したくない事柄ですから、そうたくさんございません。でも半数くらいの県の報告はございました。あとのほうは勿論参りません。けれども今度施設のかたにお目にかかつたときに、どんどんそういうことを言われまして、それでは又そういうことを伺わせて下さいと言つて置きましたので、随分参りましたのでございますが、いずれまとめまして、実際のところをお目にかけまして、本当にそういう御意思でございますれば、実際のところから適当な法を作つて行きたいというところへお立ち下さいますならば、どんなにか三十万の幼い、又惠まれない子供が喜ぶことでございましようか。実例はたくさんございますから、是非誠意を持つてそこまでお立ち下さつて、新たに守り抜くような法制的措置をどうか今のお言葉のように実行下さいますようにお願い申上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
○国務大臣(岡野清豪君) まだそういう方面以外に、県とか市町村で実はあなたがたに対してもそういうことを言われると、又問題も起きると思つて、そういうことは報告しないがちなものでございますが、私先般、特に地方の財政を監査するために地方財政委員会の監査委員会というものがございますが、その人数を殖やして頂きまして、そうしてこちらからちよつとでも疑いがあるというようなときには、役人を向うへ出しまして、そうして実情を調査して、そうして公正にこの大切な国家が出します平衡交付金が適切に使われておるかどうかということを監査させるために、監査委員の数を増してやつて行くようなこともいたしておりますから、その辺のところもおくみ取り下さいまして一つ御協力願えれば結構だと思います。
○羽生三七君 一点だけ伺いますが、先に岩間君から地方公務員の年末給與の問題で大蔵大臣に質問された際に、大蔵大臣は、それは地方自治体自体が然るべく手配することを期待する、こういうお話があつたわけであります。私どもは今日まで政府自体がそういう努力をなさるという期待をしておつた。ところがその期待は地方自治体のほうへかけられておつて、政府自体においてそういう努力をするという意思が見受けられなかつたのでありますが、岡野国務大臣とされては、閣僚の一人として政府自体がそういう努力を拂うことの必要をお認めになつておるのかどうか、この点をお伺いいたします。
○国務大臣(岡野清豪君) もう一度御質問の趣旨を伺いたいと思いますが、これは給與の問題でございますか。年末給與の点につきましてはもうすでに参議院でも御決議下すつたような点もございまして、平衡交付金が足りないから、そうして出してもらいたい、これは私も地方財政のほうに関係しておりますものですから、あの意見書につきましては成るほどそれだけのものは要るだろう、こういうことで要求をして来たのでございますが、又地方財政のほうから考えますというと、どうもそうもたくさん出ない、こういうようなことになつておる。併しながらこの地方公共団体が給與のベース・アップをするとか、それから年末手当をするとかということは、やはり地方団体の自治権の発動でありまして、地方公共団体がやるのが至当だと思います。
○羽生三七君 それはわかりますが、若し財源がどう努力しても足りないという場合に、国家でこれに対して援助の手を差延べることが適当とお考えになつておるかどうかという問題について伺いたい。
○国務大臣(岡野清豪君) 国家としては、できるだけのことをして頂いたと、こういうことになりまして、平衡交付金が三十五億程度、こういうことになつております。
○羽生三七君 そうすると三十五億で岡野国務大臣は御満足なさつておるわけですか。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申します。この点私としては甚だ苦しいのでございますけれども、地方財政委員会のほうの立場からいいますというと、八十三億、今追加が出まして八十八億になりますが、これがなければならん、こう思います。ところが中央財政の方面から行きますというと、三十五億しか、できませんと、こういうことも、これを大蔵大臣が申しておるので、又我々は閣僚の一人としても、それにやはり補正予算を決定するときには参加しておるわけでございますから、この立場のところ甚だ答弁に苦しいわけでございますけれども、併しながら私といたしましては、自治庁の長官といたしましては地方の財政並びに地方の公務員がよくなつて行くということが望ましいことでございますから、中央財政がどうしても三十五億しか出せないということになれば、地方の公共団体に対して財政委員会を通じまして、公共団体にできるだけのことをして、何とか是非中央の国家公務員が受けておる待遇の例によつてやれるように、いろいろ工面、苦労をさせたいとこう思つております。
○羽生三七君 財源の点でそういう立場をおとりになるというように了解しておりますが、若し我々が適切な財源を示した場合には、恐らく明日になると思いますが、そういう場合には閣内において大いに御努力せられんことをお願いいたします。
○木村禧八郎君 二点だけお伺いしたいのですが、これは来年度のことに関連するのですが、地方の税金は来年度殖えるお見込ですか。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。実は今年、二十五年度の予算としましては、税法の改正をして頂きましたので、一千九百八億が取れるということに実はなつておるのです。ところが御承知の通りに、七月三十一日にあの法案が通りまして、そうしてそのあとの半年でその一千九百八億を取ろうとしておるわけであります。なかなか徴税の技術もまだ十分とは申せませんし、それから又一年の分が半年に縮まつてなにしなければならぬということで、徴收に非常な困難をいたしておる次第であります。で、今年の徴收成績はまだはつきりしたことはわかりませんけれども、或いは減收になるのではないかとも思います。それからして来年度といたしましては、まあ一般に国民の所得が殖えるから、その点において幾分増收があるのではないか、こう考えております。併し来年度の見込といたしましては、まあやまやま一千九百五十億ぐらい取れるものじやないか、こういう見込みを財政委員会は立てております。
○木村禧八郎君 シヤウプさんが第二次勧告をされましたが、ああいうような、特に住民税におきましてあのとり方をお変えになる意思がありますか。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。住民税の点につきましては、住民税と固定資産税でございますが、この新税法を実施いたしましてから大変あちらこちら御非難があるようでございます。でございますが、只今のところではシヤウプ第二次勧告がありまして、それについて何とか考えたいと思つて、今実は案を練りつつあるところでございますが、併し只今のところでは、本国会にそれが出せるか出せんかというところがはつきりいたしません。でございますから、只今の段階で申上げれば、先般作りました税法そのままを実行して行くつもりでございます。
○木村禧八郎君 そうしますと、住民税におきましては、最初の通り税金を基礎にしておとりになる、こういう方針でございますか。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。あれはオプシヨンになつておりますから、来年度はその所得税を基礎にして行くか、所得の総額にやるか、所得の総額から所得税を引いてやるか、この三つの方法がありますから、その三つのどれかに落ちて来るだろうと、こう思います。それは現行法通りでございます。
○木村禧八郎君 現行法通りというのは、二十五年度は税を基礎にしてあるわけですね、その通りにおやりですか。
○国務大臣(岡野清豪君) 二十五年度は所得税に対してやるのでございます。来年度はこれを、総所得を見てやるようにするか、若しくは総所得から所得税を引きました額に或る一定の率をかけてやるかというような方法が残されておりますから、それを考えておる次第であります。
○木村禧八郎君 それからもう一つ、法人税ですね、これについては随分問題があるのですが、あれは何かお考えになる……、地方税です、法人住民税ですね。
○国務大臣(岡野清豪君) お答えいたします。これも只今税法の改正案を練つております一つのポイントでございます。でございますから、住民税が、個人の住民税が非常に高い。それから法人税は、一番高くても二千四百円とかいうようなことになつておりまして、如何にも法人が軽いという感じでありますから、法人に対して住民税の割合を少し殖やしたらどうかということも一つ考えております。
○岩間正男君 さつきの住民税でございますけれども、第二次シヤウプ勧告で、本年度のその現行年度の所得にかけるように、そういうふうに勧告されておるというふうに今記憶しているのですが、現在の現行法では、前年度の所得に課税する。ところがそこに、現在のような経済情勢では所得変動が非常に起るわけです。そこに不合理が非常に出て来ると思うのでありますが、この点は今度の税制改正において考えておりますか、どういうふうに処置されておりますか、この点お伺いします。
○国務大臣(岡野清豪君) お答えいたします。今年の住民税は昨年度の所得税にかけてあります。そして来年の住民税は今年の所得税にかけるわけであります。そういたしますというと、実は所得税が減税になつておりますから、来年度の所得税に対してかける住民税というものは減收になるわけでございます。そこでその点を如何にしようかということについていろいろ、これもやはり改正をしなければならない一つのポイントとして考えております。
○岩間正男君 私のお聞きしているのは、その年度の所得額にかけるようにたしか勧告されていると思うのです。ところが前年度というのは、今の現状なんですが、その点はどうなりますかというようなことをお聞きしているのです。
○国務大臣(岡野清豪君) お答えを申上げます。その点におきましてとにかく現年度の所得にかけるようにしようかということが、やはり改正の考えられる要点になつております。
○岩間正男君 その際源泉課税的なやり方そういうことまで考えておられますか。どういうふうになるのですか。
○国務大臣(岡野清豪君) それもやはり源泉課税にして欲しいといういろんな市町村の要求もありますし、又源泉されちや困るというような公共団体もありまして、その辺はやはり今各方面、即ち県、市町村のすべての団体に対してどれが一番いいだろうかということの意見を徴しつつある次第でございます。
○木村禧八郎君 もう一点、簡單なことなんですが、来年度の平衡交付金ですね、どの程度なんですか、二十六年度のは。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。来年度の平衡交付金の要求は、今いたしておるのでありますけれども、併しまだはつきりした何をもらつておりませんので、どのくらいになるか私のところではわかりません。まあできるだけ地方財政委員会が要求した額だけは、本年度が減らされたのだから来年度は余計頂かなくてはならんと大蔵大臣にも申しております。
○木村禧八郎君 九月二十日の閣議で一応きまりましたのは千八十五億ですか。大体その程度なんですか。
○国務大臣(岡野清豪君) 九月三十日の閣議では千八十五億になつておりましたけれども、その後に財政委員会から意見書を出しておりますから、それに対して中央財政からまだ相当の額をもらいたいと思つてやつておるわけであります。
○木村禧八郎君 そうしますと、まだきまらないのでございますね。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。まだきまつておりません。
○岩間正男君 私は数点お伺いしたいと思うのであります。
 先ず第一に、先ほど羽生さんのほうから出ましたこの今度のベース・アツプと、それから年末手当の財源の問題でありますけれども、それにつきましては我々の手許に全国市長会長並びに知市会、そういうようなこの地方財政の関係者のほうからも、政府にも恐らく伝達されていると思うのでありますが、こういう非常に今度の窮迫した事態に対して、是非これは政府が支出するようにというような満場一致の決議案なるものが交付されていると思うのであります。これは、多分御覧になつたものと思うのでありますが、こういう要望に対して、止むを得ない要望に対しまして、これはどういうふうに処置されるというふうに考えておりますか。この点先ず第一点としてお伺いいたします。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。できるだけ中央財政を切り離して地方に廻して頂きたいというのが私の立場でございます。大いにそれに向つてや参つております。
○岩間正男君 この要求を妥当と御覧になりますか。それともこれはどうも実情に合わないと、こういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(岡野清豪君) これは財政委員会の意見でございまして、妥当と考えております。
○岩間正男君 まあその点で努力されていると思うのでありますが、どうもそれが全然現在では解決の途が見えないというような形で、これは大臣も御覽になつたと思うのでありますが、院外に時ならないこの提灯行列が今やられておる、こういうような態勢が毎年々々繰返されているのでありますが、今年度は最も深刻な形でこれがなされていると思うのであります。これは言うまでもなく、ベース・アツプが多年の要望にかかわらず、これが二カ年も延ばされておる。そこに持つて来ましてこの前の選挙の公約におきましてはベース・アップを、これは直ちにするような幻想を公務員に與えております。然るに今年度出されましたこのベース・アップの方向につきましては、これは非常に論議があるところであり、これに対しては人事院総裁も不満の意を現にこの委員会でほのめかされている、こういう形になつております。ところで年末の窮迫した中で出されたところの年末手当が、最初は大体一カ月になりそうであつた。ところがその後の折衝において半カ月、半カ月といいますと去年の額と大した変りはないと思う。今年の平均は三千五百円になるということでありますけれども、去年の情勢から考えますときに、非常に今までのベースが低かつたという負担が嵩み重つて来ておる。これが今非常に大きく写し出されている、そこに半カ月しか出されない。而もこれは国家公務員の少数の場合でありまして、百三十万を数えるところの地方公務員の場合は、市町村長や知事会から切々の要求がなされていることが明もかに証明しているように、実にこれは財源措置がなされていない。だからこれは蔵相の説明によりますと、いろいろ雑收入をどうするとか、それから節約をどうするとか、そういう面で捻出できるんだろう、又税收について努力すればできるんだろうと、こういうようなことが無責任な形でなされておりますが、現実にここまで押迫つた現段階において、この当然の処置がなされなければならない。こういうところに追い込められております。若し政府が現段階において何らの措置もなさらないで、そうしてこれをこのまま見送るということになつたならば、單に給與を受けるところの百三十万の職員の問題ばかりでなく、実にこれは地方財政の関係者における市町村町や、それから知事におきましても大きなこれは政府に対するところの問題を持つだろう、こういうように思うのです。実に政治的に大きな関連を持つところの問題であることは、これは火を見るよりも明らかなものであります。これに対しまして依然としてやはり政府においては、この状態をこのままにして見送るという考えを持つておられるかどうか、ここに重大なる我々は関心を寄せざるを得ないのでありますが、この点もう少し、單にこの一つの数字いじりや、それから責任逃がれの答弁ではなく、今の日本の国内に起つておるところの、地方財政の中に起つておる、又地方の公務員の間に起つておるところの情勢に対して如何ように措置するか、もつと突込んだ点で以てこれは是非御答弁頂きたい、こういうふうに考えるのでありますが……。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。お説、至極御尤もでありまして、百三十一万人の地方公務員の年末手当に対しては、何とかしなければならんと考えております。けれども政府は大蔵大臣が申上げましたように、多分申上げたと思いますが、できるだけいろいろほかの財源を以ちまして、初め九億であつたのを三十五億にいたして、あとは地方で何とかしてもらいたい、こういう返答を與えておるわけであります。
○岩間正男君 この市長やそれから知事の決議に対しまして、至極同感だという意見を岡野国務相は述べられたのでありますから、当然これは政府の、現在大蔵省がとつておられるところの政策とは相容れないものだと我々は解釈します。そうしますと、岡野国務相はこの間の政府の意見の不統一と申しますか、統一されていないものに対しまして、当面の責任者として一体何とかそれを適当にやりたいとか、やるということではなく、やはり一時逃がれの答弁では、私は問題は解決しないと思う。大きい問題をこれは先に孕む。そういう観点を持つものでありますけれども、これに対してもう少し断固たる意思を持つて、この問題の解決のために乗り出すという一体御決意がありや否や。この点が全国百三十万のこれは公務員諸君が見守つておるところだと私は考えるのであります。或る場合におきましては当然だ、至極尤もな要求であるというならば、これに対して岡野国務相は閣僚としての最善を盡して、或る場合には閣僚の椅子ぐらい、まあ辞職するくらいの覚悟を持つてこの問題に当られる決意があるか。これを百三十万の恐らく公務員諸君が私は望んでおると、こういうふうに考えるのです。この点は如何ですか。
○国務大臣(岡野清豪君) 只今まで微力ながらできるだけの努力をいたしましたけれども、中央財政の事情で三十五億しか出ないことになつておるということを御報告いたします。
○委員長(波多野鼎君) 岩間君にちよつと申上げますが、八時で散会することになつておりますから、その点含んで一つ願いします。
○岩間正男君 どうもやはりこの尤もだけれども努力をして来たけれども、それだけではどうもこの窮迫の事態を私は乗り切ることはできないのじやないか、問題を先に残すのじやないか、こういうことをむしろ憂うるものであります。併しこの点で私のむしろお聞きしたいのは、辞職を覚悟してもこれをやられる一体御決意があるかどうかということです。このことが恐らく私だけでなくて、公務員諸君の聞きたいところだと思うのでありますが、その点についてはこれはお答え頂けなかつたのでありますが、お答え頂けますか。それとも……
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。やめまして若し満足のできることならやめてもいいと思います。併しながらやめることが何らの効果もございませんから、そういう意思はございません。(笑声)
○岩間正男君 それはまあ非常に何と申しますか、悲観論、敗北論と私は考える。それをやつて見ないうちに、そういう事態が大きな政治力を持つかどうかわからぬようなことを言うことは、これは余り自分を過小評価していらつしやるのじやないかと私は考えます。併しこれは意見の相違になりますから、この点は問題をあとへ保留したいと思います。
 そこで私はその次にお伺いしたいのでありますが、大体現在の地方財政の中で、非常に大きく問題が残つて来るのは、今度の補正予算の面で出されておりますところのいわゆる八十八億の問題だけが取上げられております。そうしてこれはその後、この前半衡交付金が決定されてからのいろいろな法の改正とか、それから災害発生とか、臨時的の措置に関してだけ、これは問題が言われておるのでありますけれども、やはり今度これを以て最後になるかも知れないこの補正予算において、我々は問題視しなければならないのは、この地方財政の根本的な問題であります。というのは、地方財政の需要額と、それから基準財政收入額、その間の差だけ平衡交付金で埋めるということになつておるのでありますが、それで一体この基準財政收入額が見込み通り取れるかどうか、これに関連してお伺いしたいのでありますが、現在地方税の実施状況はどうなつておるか、これが大体恐らくまあ細かい数字は出ていないかと思いますが、大ざつぱでも結構でありますけれども、そういうものについて把握されておりますかどうか、その点お伺いいたします。
○国務大臣(岡野清豪君) 詳しいことは政府委員に答弁させます。
○説明員(武岡憲一君) 今年から実施されました地方税法の実施の状況につきまして、実際の税收入がどうなつておるかということのお尋ねであると思いますが、まだ地方財政委員会といたしましても、各団体の正確な財政の、税收入の見積りについての資料を持つておりませんので、詳細のことはお答えいたしかねます。ただ全体的に先ほど大臣からもお話がございましたように、政府の相当遅れておりました税制といたしましても、相当根本的な改正がございましたので、いろいろ徴税の実際につきましては各団体とも非常に困難を感じておられるということは事実でございます。
○岩間正男君 この見込だけまだ取れていないと、こういうことは明らかなことであると思います。東京だけでも第一期分の、例えば住民税のごときは七〇%も納まつていないというような実情を我々は聞いておるのでありますが、これは地方ではもつとひどい所がたくさんあると思います。ところが今その理由としまして、そういうような徴收できない理由といたしまして、今年度この地方税法が第八国会まで延ばされてそれが通つた。そうして徴税技術の面からこれが遅れた。こういう点だけを挙げておられるのでありますけれども、一体これだけが大きい理由か。果して地方税そのものが、一切もう地方の財政状況におきましては、地方の住民の限度を遥かに突破しておるのじやないかと、こういう点につい、て、今の理由だけでは我々納得することができないのでありますが、どう一体見ておられるのか、その点は如何ですか。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。御承知の通りに、地方公共団体は一万数百ございまして、そうして報告なんかにまだ馴れていない点がありますから、早急に報告を取寄せつつあるのでありますけれども、どうしてもこれがちぐはぐいたしまして、概括的の結論を出すに至る資料の集まらないのが実情でございますから御了承を願います。
○岩間正男君 これは資料が集まらないからそういう見通しについてはまだ確立されていないというふうに聞けるのでありますけれども、それは個々の実例とかいろいろな実態が示しますように、実際これはもう徴税の限度を遥かに突破して行つて納められない。更にこれは国税の負担その他の朝鮮事件後における物価の値上り、こういうようなもので現在のこの人民の生活状態の中から来ておる点が一番大きいのじやないか、こうまあ我々は考えるわけなんでありますが、この点につきましては、まあ意見の相違になるかと思いますから、これは後に残しまして大体どういうふうなお見込を持つておられるのですか。とにかく地方税徴收状況は大体今年度において何とかこれは取ることができるというふうに考えておられるのですか。若しそうでないとしたならば、これに対してどういう一体対策を考えておられるのか。それともただそれを見守つて、これを單にこう放置して置くというような政策をとられるのであるか。この点はつきり伺つて置きたいと思います。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。取ることができると私は思つております。併し先ほど申止げましたように、非常に困難が伴つておる、又同時にそれが如何になつておるかということは、先ほども申上げましたように、一万数百の中には報告に馴れない所もありますし、又報告するだけの段階に至らないものもあります。又集まり方も遅いのでありまして、結果がどうなつておるか、従つて結果がわからないから将来の見通しがどうなつておるかということはまだはつきりいたしておりません。
○岩間正男君 只今のお話では、取れるつもりだが、非常に困難だというが、恐らく非常に困難の事態が起ると思います。そうなると当然ここに最初の平衡交付金の決定されますときの、つまり基準財政需要額と收入額との間に大きなギヤツプが出て来る、こういうふうに思うのでありますけれども、この問題をやはり現在から検討して、今度の補正の間で問題にするということはやはり非常に重要だと思う。なぜかというと、この補正予算が恐らく今年度の最終補正予算になるというふうに思われますので、この欠陷を大きく先きの年度まで持越して行くことになれば、地方の財政の確立ということはあり得ない。更に平衡交付金の建前からいいましても、当然地方財政の確立のために平衡交付金を出しておるという精神から考えまして、これは平衡交付金の本来の目的に反しておると、こう考えるのでありますが、この辺の検討については現在どう進められておりますか。これは非常に重要な基礎的の問題と考えるのでございます。如何でございます。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。新地方税が施行されますことにつきまして、地方には四百億の増税ができたわけでございます。殊に平衡交付金が施行されましてまだ年月も経つておりません。併しながら我々といたしましては、平衡交付金の仮決定も最近いたしましたし、それから又この仮決定が本当に適正なりや否やについて今検討最中でございまして、平衡交付金の本当の決定は来年一月になります。そういたしまして来年の一月頃になれば、徴收の状況も或いは幾分見通しがつくんじやないかと思いますし、平衡交付金の適正なる配付もできますから、大体において私は地方財政といたしましては、非常にうまく行つておるとは申しませんけれども、順調に行つておるとは思つております。
○岩間正男君 それでは時間も参りましたので、私の質問はまだ少しございますが、保留いたしまして、これで打切ります。
○委員長(波多野鼎君) それでは理事会の申合せによりまして、本日はこれにて散会いたします。
   午後八時一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     波多野 鼎君
   理事
           石坂 豊一君
           野田 卯一君
           羽生 三七君
           伊達源一郎君
           藤野 繁雄君
           櫻内 義雄君
           東   隆君
           木村禧八郎君
           岩間 正男君
   委員
          池田宇右衞門君
           泉山 三六君
           大島 定吉君
           小野 義夫君
           工藤 鐵男君
           中川 以良君
           長谷山行毅君
           一松 政二君
           深水 六郎君
           安井  謙君
           山本 米治君
           岩崎正三郎君
           内村 清次君
           河崎 ナツ君
           佐多 忠隆君
           下條 恭兵君
           山田 節男君
           吉川末次郎君
           若木 勝藏君
           楠見 義男君
           西郷吉之助君
           高橋龍太郎君
           菊田 七平君
           鈴木 強平君
           中井 光次君
           深川タマヱ君
           堀木 鎌三君
  国務大臣
   内閣総理大臣
  外 務 大 臣  吉田  茂君
   大 蔵 大 臣 池田 勇人君
   文 部 大 臣 大野 貞祐君
   厚 生 大 臣 黒川 武雄君
   農 林 大 臣 廣川 弘禪君
   通商産業大臣  横尾  龍君
   郵 政 大 臣
   電気通信大臣  田村 文吉君
   建 設 大 臣 増田甲子七君
   国 務 大 臣 岡野 清豪君
   国 務 大 臣 周東 英雄君
  政府委員
   内閣官房長官  岡崎 勝男君
   外務政務次官  草葉 隆圓君
   外務事務次官  太田 一郎君
   大蔵政務次官  西川甚五郎君
   大蔵大臣官房長 森永貞一郎君
   大蔵省主計局長 河野 一之君
   大蔵省主計局次
   長       石原 周夫君
   大蔵省主計局給
   與課長     磯田 好祐君
   大蔵省主税局調
   査課長     忠  佐市君
   大蔵省理財局長 伊原  隆君
   厚生省薬務局長 慶松 一郎君
   厚生省公衆衞生
   局長      三木 行治君
   厚生省保險局長 安田  巖君
   農林政務次官  島村 軍次君
   食糧庁長官   安孫子藤吉君
   林野庁長官   横川 信夫君
   通商産業大臣官
   房長      永山 時雄君
   経済安定本部総
   裁官房長    平井富三郎君
   経済安定本部産
   業局長     増岡 尚士君
   経済安定本部貿
   易局長     湯川 盛夫君
  説明員
   地方財政委員会
   財務部長    武岡 憲一君