第010回国会 運輸委員会 第9号
昭和二十六年三月十七日(土曜日)
   午前十時三十一分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○モーターボート競走法案(衆議院送
 付)
○日本国有鉄道法の一部を改正する法
 律案(内閣送付)
○船舶職員法案(内閣提出)
○帝都高速度交通営団法の一部を改正
 する法律案(岡田信次君外五名発
 議)
  ―――――――――――――
○委員長(植竹春彦君) 只今から運輸委員会を開会いたします。
 先ず最初にモーターボート競走法案を議題といたします。提案者は衆議院議員坪内八郎君ほか四十九名であります。提案者から提案理由の御説明をお願いいたします。
○衆議院議員(坪内八郎君) 只今からモーターボート競走法案の提案理由を御説明いたします。
 この法律案の内容は、直接には、競走の施行主体、競走の運営、競走の監督等、モーターボート競走を如何にして行うかにつき規定しておるのでありますが、法律の窮極の目的は、第一にこの競走の実施を通じて現下日本経済の基礎となるべき海運事業の発展、即ち造船工業の技術改善、船舶機関の性能改革を、モーターボートを通じて図るという遠大なる意図にあり、且つ、広く海外に我が国のモーターボートの優れた点を宣伝することによつて、モーターボートの製造に関する事業の振興に寄与するということであります。モーターボートの競走は、昭和の初め頃より同好のアマチユアの間で行われておりまして、現在我が国にこれらアマチユア同好者の所有する競走用モーターボートだけでも全国で百数十隻に上り、これを運転するアマチユア選手もほぼ同数おりますが、かかる個人的嗜好により始められたモーターボート競走すら過去の実績より見ますれば、非常にモーターボートを初め舟艇の性能向上、関係事業の振興に役立つて参つたことは周知の事実であります。その具体的な点につきましては御審議の進行につれ、詳しく御説明申上げたいと思います。本法案の仕組により全国に亘り、而も権威を持つたモーターボート競走が多数の観衆の前で大衆的に実施せられるようになりますれば、早晩我が国のモーターボートの性能、生産技術といつたようなものは面目を一新すると思います。又ボート用モーターの輸出は、民間貿易で取扱つたものだけでも御手許の資料のごとく相当量に上つておりますが、この競走の実施と相待つて海外宣伝が当を得れば将来この輸出量は飛躍的に増加すると確信いたします。
 この法律案の狙いとして第二に申上げなければならない点は、海事思想の普及宣伝と観光事業に資するということであります。何と申しましても四面環海の我が国にとりましては、国民のすべてによろしく海事思想を徹底することが望ましいのであります。モーターボートの競走は、御手許に差上げた予定競走場一覧でもわかりますように海浜で行われることも少くなく、海上を疾走して覇を競うモーターボートの雄壯な姿はおのずから観衆に海事に関する関心を引越さずにはおかないと考えます。又競走場にはいわゆる国際観光地又はその附近に適地も少くありませんし、外来観光客の好みにも合いますので、観光客の娯楽としてもいささか資すころがあると存じます。
 最後にこの法律案の効果として忘れてならないことは、地方財政に寄与するということであります。
 本法案は、自転車、小型自動車の場合と同様、モーターボートの競走について勝舟投票券の発売を認めておるのでありまして、勝舟投票券の売上金の一部は、施行主体たる地方公共団体の收入となるのであります。この関係を簡單に申上げますと、要するに勝舟投票券の売上金の七五%は、投票者に対する配当に充て、残額二五%のうち五%は、施行の主体たる都道府県等の委任を受け実際に競走の運営の衝に当る競走会の費用に振り向け、あと一〇%残るわけでありますが、そのうち三%は国庫に納入、つまるところ施行主体たる都道府県の所得は一七%となるわけであります勿論都道府県の支出も相当ありますが、大体小型自動宙の場合と同様乃至ちよつと少いくらいの七―一〇%くらいは、純益的な收入となると考えられます。
 なお余り細部まで規定するのも、徒らに法案を複雑にすると考えまして、地方公共団体が競走会に競走の実施を委任することに関する事項、競走場、選手、競走用モーターボート審判員の適格規準といつたような法律の施行に必要な事項は、主管省となつております運輸省が省令として定めることとしております。これらの進捗の特況規定の内容等につきましては、あらましの腹案はできておるようでありますから御審議の都合で要すれば運輸省関係官の御協力も得たいと存じます。なお、この法律案は、自転車及び小型自動車の競走と同一の仕組で、地方公共団体がモーターボートの競走を施行し得る途を開くものでありますが、自転車及び小型自動車につきましては、各自転車競技法及び小型自動車競走法に基きましてそれぞれ活溌に競争が行われ、着々その目的を達成いたしておりますことはよく御承知のことと存じます。何とぞ愼重御審議の上速かに本法案が成立いたしますよう御取計らい願いたいと存じます。以上であります。
○委員長(植竹春彦君) 次に、本法案に対しまする專門員の調査報告を求めます。
○專門員(岡本忠雄君) これは予備審査でございますから、なお相当時日があると思いますが、御審議に便するために簡單に御報告申上げます。この法律案は、大体小型自動車競争法に準拠して作られております。御審議に便するために両者の異なる点を御参考に申上げたいと思います。第一に競走施行者でありますが、小型自動車では都道府県のほか五大都市を指定しておりますが、本案は都道府県のほか地方財政委員会が指定する市町村ということになつております。
 第二は競走場のことでありますが、小型自動車では競争場の数は、都道府県ごとに一カ所ということに限定されておりまするが、本案では制限がございません。海の性質上からかも知れませんが、制限がございません。
 第三に審判員の問題でありますが、本案では審判員を全国競走会連合会への登録事項として定めておりまするが、小型自動車にはこういう措置を講じてありません。
 第四に、勝舟投票券の購入、譲受け等の禁止につきまして、小型自動車では連合会、競走会いずれにおきましても職員は禁止されておらんのでありますが、本案におきましては連合会の職員は譲渡、購入を禁止されております。然るに競走会にはかかる制限が設けられておりません。この点は研究を要するようであります。
 第五に、国の監督についてでありますが、本法律案におきましては、競争監督官を設けまして、不正を取締り、指導等に任ずることになつておりますけれども、小型自動車にはそういう仕組はいたしておりません。
 以上申上げた点が両者の大体の相違でありますが、問題として考えられますことは、第一に競輪その他のいろいろな不正事件が従来問題になつておりますが、こういう弊害を未然に防ぐ措置として、本法律案に挙げられております監督官の設置、審判官の登録というような方法を考えまして、極力従来の弊害を未然に防ぐように工夫されております。更に審判官、選手、ボート等の登録基準につきまして、国として一定の條件を与え、それに従つて連合会が基準を作るようにするほうが、一段と弊害を除く方法としていいのではないかという問題が考えられるわけであります。
 最後に海事思想の普及、観光事業への寄与というのが目的にございまして、非常に結構なのでありますけれども、これは内容的にはこれに関係した事業は盛られておりません。従いましてこの点は間接的にこういう方面に寄与して行くということが法の構想になつておるようであります。
 以上簡單に御参考までに申上げました。
○委員長(植竹春彦君) それでは御質問は、例によりまして次回の委員会に譲りたいと思います。
  ―――――――――――――
○委員長(植竹春彦君) 次に日本国有鉄道法の一部を改正する法律案の審議をお願いいたします。先ず提案理由の御説明をお願いいたします。
○政府委員(關谷勝利君) 提案理由の御説明を申上げます。
 日本国有鉄道法の一部を改正いたしまして、国鉄職員が地方議会の議員を兼ねることができるようにいたす案は、前国会に提案いたし審議未了となつたものであります。
 この法案にはその後いろいろな御意見がございましたので、政府といたしましては、取りあえず第七国会において、法律第百五十九号制定の際、同時になすべきであつた條文の字句の整理のみをいたすこととし、本法案を提出いたした次第でございます。何とぞ愼重御審議下さいますようお願いいたします。
○委員長(植竹春彦君) 次に専門員の調査の報告を求めます。
○專門員(古谷善亮君) 御報告申上げます。この法律案は只今提案理由の御説明がありましたように條文の整理でございますが、お手許に配付になつておりまする法律案に基きまして申上げますと、第二十一條というのは役員の欠格條項の規定でございます。第二十六條というのは職員の規定でございます。お手許に日本国有鉄道関係法令集というのを御配付申上げておるはずでございますが、ございませんければ只今差上げます。かような條文の整理を要するに至りました理由は、御手許に只今配付いたしております関係法令集の四頁を見て頂きますというと、そこに十二條がございますが、その十二條の三項、三項と申しますのは、この前の昭和二十五年五月十日法律第百五十九号によりまして追加になりましたものでございます。これは追加になります前までは今の四項が二項だつたのであります。この二項、三項が追加になりますときに、この二項を四項に、関係條文を整理するのを整理洩れになつておつた。こういう次第でここにこういう法律案を提案されたものであります。この前の、只今お話に出ました法律第百五十九号の、即ち二項、三項を挿入いたしましたのは、運輸省軽量及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律というので来ておりまして、これは四月二十九日に衆議院で可決になりまして、五月一日に参議院で可決しておる法律でございまして、その国会は五月二日の明くる日閉会になつておる第七国会でございます。言い換えますと第七国会の閉会間際に出まして、両院共一日で上げた法律でございます。
 以上簡単でございますが、経過だけを御説明上げます。
○委員長(植竹春彦君) これも予備審査になつておりますから、本日はこの程度にして次回に質問をやりたいと思います。
  ―――――――――――――
○委員長(植竹春彦君) 次に、船舶職員法案を上程いたします。提案理由の説明をお願いいたします。
○政府委員(關谷勝利君) 只今上程されました船舶職員法案について、提案理由を説明いたします。
 現行職員法は明治二十九年の制定にかかわる古い法律でありまして、その後必要に応じ一部改正を加えては参りましたが、船舶航行の安全を確保するにはなお不十分な点がありますので、政府といたしましてはこれが全面的改正につき検討を重ね今般漸く成案を得、現行法を廃止し、新法を制定する形をとつてここに提案する運びとなつたものであります。
 次に改正の要点を申上げます。先ず第一は、海抜従事者免許の更新制の採用であります。即ち、免許は五年ごとに更新することといたしました。現行法におきましては、一旦海技免状を受有すれば、たとえ、身心の欠陥、技術の進歩に応じた必要な知識の不足等のために、現に職員として不適格な者であつても、その職務をとりうる建前となつておりますのでその不合理を改めたのであります。
 第二は、小型船舶に対する船舶職員制度の採用であります。総トン数二十トン未満の帆船、漁船等につきましては、現行法は、その適用を留保しているのでありますが、かかる船舶の海難はゆるがせにできない実情にありますので、これらの小型船舶にも小型船舶操従士という新らしい資格の職員を乘組ませることといたしたのであります。
 第三は、海技従事者国家試験制度の是正であります。最近の国家試験制度のあり方に鑑み、現行法上のいわゆる認定学校卒業者に対する学術試験免除の措置を廃止することといたしました。
 第四は、船舶職員として船舶に乘組ますべき者の資格の表の改正であります。即ち資格の表を一層合理的なものとするため、一般船舶については、表の基準となる船舶の航行区域の区分につき所要の改正を加え、漁船については、一般船舶に比べ軽減の取扱をしていたのをやめて、妥当な資格に引上げることにいたしました。
 改正の要点は以上の通りでありますが、このほか、前に述べました資格の表の画期的改正に鑑み、同表の適用には必要な準備期間を設ける等所要の経過措置を講じております。
 以上簡單でありますが、本法案の提案理由の説明を終ります。
 何とぞ愼重御審議の上、速かに御可決あらんことを御願いいたします。
○説明員(松平直一君) 只今提案になりました船舶職員法案の大綱の御説明を申上げます。只今の提案理由に改正の要点は殆んど盛つておりますのでございますが、更にそれに補足いたしまして御説明を申上げたいと存じます。
 今度の船舶職員法の改正は、従来の職員法に比較しまして相当大幅な改正がございますので、只今提案理由にありました通り、旧法を廃止して新法を実施するという形をとつているわけでございます。先ず第一に、海技従事者の免許制及び免許の更新制の採用でございますが、この点は新法案の四條、八條、九條に載せてございます。只今の提案理由の御説明にもございました通り、従来とも船舶職員になりまするのには、試験を受けました免状受有者しかなければならないという規定がございますが、このことは一方から考えますと、一般の者には自由に船舶職員になることを許していない。即ち成る特定の資格を持つた者にのみ与えられる権利であるというような点から、これを医師とかそれから水先案内人、それから無電従事者等の免許法と同じ考え方から、免許法という形をとりまして、而もその免許を五カ年ごとに更新いたすことにいたしているのであります。その更新の際には更新に必要な試験を受けるということにいたしました点が、非常に従来と変つておる点でございます。
 次の第二の点は、小型船舶に対する船舶職員制の採用、これは現在の法律は五トン以上の船舶に一応大きく適用して網がかぶせてございますが、総トン数二十トン未満の帆艇、総トン数二十トン未満の漁船、又は平水地域を航行する帆船については一時その適用を留保して現実には適用をしていなかつたのでございますが、これらの船舶の海難の状況がなかなか軽視でできない状態でございます。即ち相当の海難を発生し、而もその原因が船舶職員つまり乗組員の海事知識の不足によるところの原因が非常に多いという点に鑑みまして、船舶航行の安全を確保する上に、これらのものにも最低限度の知識を持たせなければならないということを考えまして、この小型船舶にも職員制を布いたわけでございます。このことは三條の一項に謳つてございます。
 次は資格の新設であります。御承知の通り只今船舶職員としては甲種船長、甲種一等航海士、甲種二等航海士或いは甲種機関長等、その中に丙種航海士と丙種機関士という免状がございます。この二つの免状を持ちました者が乗り組むところの船舶は相当広範囲に亘つております。即ち近海区域から遠洋区域にまで及ぶ範囲の船には、この免状を持つた者が乘れることになつております関係上、この者が試験を受けますのに、むしろ小型の船に乗る者に対しては非常に高度の試験を課さなければならないという実情にございまして、多少無理な点がございまして、この丙種航海士というものの資格を二分いたしまして、丙種航海士の上に丙種船長という資格を一つ設けまして、それで丙種船長は従来の丙種航海士が乗れる船の上のほう、それから丙種航海士のほうは小型のものというふうに分けまして、最も実質に合いました試験で免状が、免許が得られるというふうに改正したわけであります。
 それから只今申上げました小型船舶の船舶職員制を採用いたしましたので、小型船舶操縦士という資格を新設いたしました。この点は五條の第一項に考えております。
 それから、第四は、海技従事者国家試験制度の新設、これは従来国家試験は実施しておるのでございますが、いわゆる認定学校の卒業者は学術試験を免除しております。体格検査のみを以て免状を交付しておつたのでございますが、先ほど申上げました通り、免許制というものを採用し、その免許のあり方というものを考えました場合に、こういう特権を認めることは妥当でないということに鑑みまして、学校を出た者、出ない者、すべて国実試験を平等に受けるという形に直したわけでございます。十三條に国家試験のことが謳つてございますが、従来認定学校卒業者は学術試験を免除できるという條項がございましたのを、それを削つたわけでございます。
 それから、第五が、船舶職員として船舶に乘組むべき者の資格の表の改正、これは法案の最後のほうに表が付けてございます。この詳細はいずれ又御審議を願うことといたしまして、ここに定めてありますこの表を再検討いたしまして、一層合理的なものとしたというわけでございますが、なお附け加えて御説明申上げますと、近海区域第二区、第三区という航行区域がございますが、これに載つておりますものの資格は、近海区域第一区と同じ扱いをいたしております。ところが第二区、第三区はお手許の資料を御覧頂けばわかります通り、相当遠距離の地域になりまして、むしろこれは遠洋区域と同一に取扱うほうが適当であるということに考えまして、近海区域と称するのは又第一区、第二区、第三区を遠洋と同等に取扱うようにいたしました。従つてこれに伴つて多少乗組員の資格の変更をいたしてあるわけでございます。
 次に漁船の問題でございますが、漁船に乘組ますべき者の資格というものは、従来船舶職員法は一般商船の資格について法律で定めまして、漁船は特殊扱いをいたしておつたわけでございます。むしろ一般船舶に比較しまして、漁船のほうはいわゆる軽減措置のごとき措置をとつておつたのでございますが、現在の漁船の遠洋の状況、その航行の範囲というものを詳細に檢討いたしました結果、むしろ場合によつては漁船のほうが遠距離へも行き、小型であるにもかかわらず、その航行の範囲が非常に広いというような状態から、漁船というものを一般商船に比べまして軽減の措置をとるよりは、むしろ重くてもいい、重くなければならんというような面もございますので、この漁船に乘組ませる者の資格については更に再檢討を加えまして、これを一般商船と並べまして、法律事項としてきめたわけでございます。これは只今申上げた法案の終りのほうに、漁船に閲する別表が載せてございます。大体以上が今度の改正の要点でございます。併しこの通りの相当の改正を加えまして、この法律が若しも成立いたしました場合、直ちにこれを実施いたしますと非常な影響を與えますので、この実施は三年間の猶予を置くという経過規定を設けたのでございます。更にこの資格も変ります、定員も変ります、免許制を採用する等、そういう細かい点につきましては、それぞれ適当な経過措置を講じまして、急激な変化による影響を与えないように措置をしておるわけでございます。
 以上大体御説明申上げました。
○委員長(植竹春彦君) ちよつと速記をとめて下さい。
   (速記中止〕
○委員長(植竹春彦君) じや速記を開始して下さい。次に専門員の調査報告を求めます。
○専門員(岡本忠雄君) 概略申上げます。
 本法の目的は、船舶航行の安全を図るために最小限度の定員、資格を定めるにあるのでありますが、本法はこの資格の表示を以て同時に定員を現わしております。で、この本法全体を通じまして見ますると、船舶航行の安全に主眼を置きながら、船主の経済を或る程度考慮しておるものと考えられます。現行船舶職員法と相違する主なる点は、提案理由の説明の通りでありまして、現状に即して考えますると、おおむね適当のように考えられまするが、全体を通じてなお次の諸点が検討を要するものと考えられます。
 第一点は、機関の種類による限定免許に関連しまして、資格に関する第五條の規定、試験の実施に関する第十二條の規定、定員に関する第十七條の規定及び罰則に関する第三十二條の規定につきまして、法文の普通の読み方からしますると、本法の企図するところは必ずしも明確でない点があるようであります。
 第二点は、免許の取消等に関する第十條の規定でありますが、船舶職員の懲戒は海員懲戒法が廃止せられまして、本法によるものと海難審判法によるものとの二本建になつております。でありまするが、この第十條の但書に「但し、これらの事由によつて海難審判法第二條の海難が発生したときは、この限りでない。」という條項がありまするが、これらの事由、即ち次の一号、二号の事由によつたかどうかは審判の裁決に待たねばわからないことであります。併し本法の企図するところは理事官、これは検事に相当するものでありますが、理事官が審判開始の申立をしたときは勿論のこと、事件を審判に付すべきものと認めたときは海難審判庁に一任するということでありまするが、その点が明らかでありませんので、検討を要するものと考えられます。
 第三点は、懲戒手続につきまして本法は第十一條に聴聞の方式をとつております。勿論行政処分に不服のあるものは訴願もできまするし、一般裁判所に訴えもできるのでありまするが、水先法や他の海事法規との権衡もありまするし、保安庁には保安審議会もありまするので、この審議会にかけて愼重な手続を更にとる必要があるのではないかという点がもう少し検討を要するようであります。
 第四点は、船舶職員名簿の掲示に関する第二十二條でありまするが、この規定は、この職員名簿につきましては船員法によりまして海員名簿の備付けを命じて愼重に縛つてあります。従いましてこの本法におきまして、更に二重に縛る必要があるかどうかということは検討を要するようであります。
 第五点は、附則の二であります。先ほど経過規定の御説明がありましたが、経過規定の附則の二と、第十七條との関係でありますが、この附則の二を見ますると、別表二は本法の本体であるごとく見えます。一応の節は理論的にも通ると思いまするけれども、提案理由の御説明にもありました通り、本法は資格の表のいわゆる画期的改正が主眼でありまして、それは第三表以下であります。而してその適用には昭和二十九年九月までの準備期間を必要としておるということが提案理由にも説明がありましたし、ここにも規定があるわけでありますが、その準備期間は極めて適当でありまするが、この準備期間の定め方が普通の法律では、例えばこの際六カ月と言えばすぐ常識的にわかることでありますけれども、三年という期間をここに本法は設けんとしておるのでありますが、本法の経過的な規定で措置されております。従つて本法も普通の法律のように改めるほうがいいのではないかという点が検討の必要があるようであります。
 第六点は、附則の十であるのでありますこれは学術試験の免除の場合の規定を定めております。海員養成所の卒業生が洩れる慮れがありますから、條文の整理を要するものと思われます。
 以上六点のほかに試験の合格標準とか、或いは試験官等について法律事項とすべきかどうかというような問題がもう少し検討せらるべきであろうと考えられます。更に附加えて最後に申上げたいと思いまするが、本法に省令に委ねられてある事項は約十件、更に政令に二件委ねられておりますが、政府から皆様がたのところに配付されました参考資料等を御覧願いますると、これらの点についての御審議上非常に御便宜だと考えられます。
 なおもう一点附加えまするが、先ほど全日本海員組合の陳情がございましたが、これに対しまして必ずしも同じ考えでないと考えられまする船主側についても陳情の意思ありや否やを確かめて見ましたところ、この船舶職員法案につきましては長い間審議会で揉んだ結果でき上つたものであつて、盛られたものは船主側から言うと、自分たちの意思が盛られておるから、この際反対の陳情をする理由は一つもないということでありましたので、この方面についての相対する意見としての陳情はここに辞退されたわけでありました。
 以上御報告申上げました。
○委員長(植竹春彦君) それではこの審議はこの程度で、次に移りたいと思います。
  ―――――――――――――
○委員長(植竹春彦君) 帝都高速度交通営団法の一部を改正する法律案を御審議願います、本日は質問であります。順次御発言をお願いいたします。
○菊川孝夫君 では提案者に二、三御質問申上げます。
 第一に、この提案理由の中で所要の資金を米国の対日援助見返資金、資金運用部資金等の政府の資金に依存することができる。この受入れ体制を整えるためと、こういうのが大きな提案理由になつておるわけでありますが、そのために今の民間出資の分を買入れ償却する。こういうわけでございますね。民間の資金が入つておつたならば、この対日援助の見返資金がなぜ使われないかということが私は大きな問題だと思うのですが、と申しますのは、今度の電力再編成が、これはまあ独占禁止法に基いて再編成しなければこれは見返資金を使わせないと言つて押えられたということを我々は聞いておるのですが、それはポツダム政令による電力再編成の問題で、僅かな民間資金が入つておる、民間資金が入つておると言うけれども、殆んどが民間資金である。それにもかかわらず見返資金が使われるのである。ここで償却しなければならないという理由はこれには関係しないと思う。それから資金運用部の資金運用のために政府の資金に依存するため民間の資金を償却しなければならんというのも、それはどういう法律的な根拠があるのかどうか。これについても一つ御説明願いたいと思います。
○岡田信次君 只今菊川さんのお尋ねでございますが、お説の通り見返資金につきましては民間資金を排除する必要はない。これは船舶の問題でも同様でありますし、電力の問題についても同様であります。ただ資金運用部の資金を運用する場合にはこれを排除しなければならん。この法律が只今国会で審議をされておりまするが、その第七條に「資金運用部資金は左に掲げるものに運用することができる。」というのがございまして、国債だとか、国に対する貸付だとか、いろいろなものがございまして、「特別の法律により設立された法人で国、第三号に規定する法人及び地方公共団体以外の者の出資のないもののうち、特別の法律により債券を発行し得るものの発行する債券、」この條項によつておるのでございます。
○菊川孝夫君 それでは米国の対日援助見返り資金に依存するためとこの提案理由に言われておるのですが、これはどういうためにこれが入つておるのですか、その点について提案理由に大きくこれは第一番に謳われておりますが、なぜそういうふうに書かれたのか、御都合が悪ければ速記をとめても結構ですから、その理由を一遍お聞かせ願いたい。
○委員長(植竹春彦君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(植竹春彦君) 速記を始めて。
○菊川孝夫君 今度はいよいよ法案のほうに入りまして、公法上の法人というふうに、第一條第一項を改正することに案がなつておりまするが、これは日本国有鉄道法の第二條には公法上の法人という言葉は現われておりますが、そのあとに、「日本国有鉄道は、民法第三十五條又は商事会社その他の社団に関する商法の規定に定める商事会社ではない。」ということを謳つておるわけですが、これを明らかにする必要はあるんではないか、これに相当するような條文を入れる必要はありやなしや、この点について一つ御説明願いたいと思います。ただ公法上の法人のいうだけではこれはちよつと……、それではこの三十五條又は商事会社その他の社団に関する商法の規定に定める商事会社であるかどうか。
○岡田信次君 国有鉄道法には今菊川さんからお話のあつたような文句が挿入されておりまするけれども、その後できました国民金融公庫でありますとか、日本輸出録行でありますとか、そういう公法上の法人には特に商法上の法人としての適用を受けるという條項が入つておらないので、そういうふうにしたわけであります。
○菊川孝夫君 それはどちらが……、これは同じような日本国有鉄道法にいたしましても、この高速度交通営団法にいたしましても、立案されると言いますか、担当の管轄は運輸省であるはずでございますけれども、同じ法律として、これは要らんものを日本国有鉄道法は挿入しておるのか、それとも高速度交通営団法にはそれを謳わなくてもいいというこの理由はわからんのでございますが、その点をちよつと御説明願いたいと思います。
○岡田信次君 或いは不十分かとも思いまするが、日本国有鉄道は、こういう公法上の法人というのを謳つた最初のものだそうでございまして、その後できました、先ほど申上げたもののほか、港務局というものがあるのでございます。これもやはり運輸省関係でございまして、その後は、これらがはつきりしておるからというので、こういう字句を挿入しないということに相成つておるそうでございます。
○菊川孝夫君 次にお尋ねいたしますのは、高速度交通営団法の第二條でございますが、資本金六千万円ということに相成つております。法律上ちやんと明示されておりまするが、これは資産再評価によつて、今回の改正に、これを改正する必要がなかつたかどうか。この点について御検討をされ、提案者のほうでこの際、改正する際に、その必要ありやなしや。大分法律ができた当時と違つておると思うのですが、経済事情が。
○岡田信次君 この営団が、創立当時資本金六千万円と定めましたのは、当時東京都内の地下鉄道を整備するために、約六億円くらいの費用は要する、従つて六千万円の資本金にいたしまして、十倍の交通債券を発行して、資本を作るというところから、六千万円にしたのですが、お話のように、今後整備するためには相当巨額な金が要る。大体計画だけをやるにいたしましても、五百億くらいの金が要る。そういたしますると、資本も当然五十億とか四十億とか三十億とかいうふうに増加しなければならないと相成るのが当然でございます。それは営団法を定めた当時は、資本金を法律で謳つたのでありまするが、今度は特に法律で謳わないで、適宜時宜に応じて資本金を殖やして行つたらどうかというので、今度は資本金のことを謳わないでやつておるのでございます。
○菊川孝夫君 併し、現行法ではちやんと六千万円と謳つてあるんじやないですか。これを改正する必要があるのじやないですか。
○岡田信次君 只今菊川さんのお尋ねは第二條の「資本金ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ増加スルコトヲ得」と相成つておりまするので、特にこの六千万円を何億円というふうに直さなくてもいいじやないか、但書を適用して行つたらいいのじやないかと、こういうような考えなんです。
○菊川孝夫君 もう一遍詳しく質問したいと思うのですが、第四條につき汚して、「出資ニ対シ勅令ノ定ムル所ニ依リ出資証券ヲ発行ス」とございますが、現在勅令というのはそのまま生きておるかどうか、これは私もよく検討しなかつたのですが、提案者のほうでは、改正の際にこれをそのまま生かしておいていいかどうか、こういう改正をやられるときに、勅令によつて証券を発行するということは、今でもこれは有効であるや否や、この点お伺いいたします。こんな勅令は今でも生きておるのですか。
○法制局参事(岡田武彦君) 私から代りましてお答えいたします。今の御質問でございますが、現在施行令たる勅令は生きておりますので、法律のほうの勅令もそのままにいたして置いたほうがいいのではないか、むしろ政令に直しますというと、施行令も更に直さなければなりませんので、現在これをいじつてないわけでございます。
○菊川孝夫君 今頃勅令によつて証券を発行するなんていうのは、どうもこれはちよつとおかしいと思うのですが、時代錯誤的ではないかと思う。大体この高速度交通営団法そのものは昭和十六年三月六日の制定にかかつておりまして、どちらかというと戦時立法的な色彩の極めて濃厚なものと言わなければならんと思うのです。今日から考えましてこれは提案者はお認めになると思うのですが、そこで先ず根本的に一つお尋ねいたしたいのでございますが、こうして民間の出資を買収消却して、殆んどこれは東京都と国有鉄道の出資に今度はなつてしまうと、こういうわけでございます。従いまして今これをそのままの姿で高速度交通営団という姿で残して置くという必要がどこにあるかと、まあ言わなければならんと思うのですが、第一番に、そこでこれははつきり申しますと、国有鉄道の経営に移してしまうという行き方がむしろ現在の情勢には適合するのではないかという、こういうように私は考えるのですが、そのままの姿で東京都だけを残して置くというのは、ちよつと私たちは納得が行かないのですが、その理由を一つお伺いしたいと思うのです。民間の資金は消却してしまうのはこれはまあ預金部の何で残して置くのだ、それで東京都の出資だけはそのままに残して置くという理由はちよつとわからないのですが、その点ちよつと御説明願いたいと思います。
○岡田信次君 この東京都の地下高速度交通機関を如何なる形態に置いて経営すべきかという点につきましては、いろいろ議論があることと思うのでございますが、先ず国有鉄道がみずからやつたらどうか、或いは東京都内のことであるから東京都がやつたらどうか、それから更に純然たる法人たる民間の交通機関でやるかというような議論があるかと思うのですが、国有鉄道につきましては菊川さんも御承知のようになかなかの多事でございまして、国有鉄道の資金その他の関係から東京都だけに厖大な金を投資するというわけにも参りませんでしようし、又東京都にいたしましても地方公共団体と申しますものの行政は、非常に多岐に旦つておるという関係で、行政上の資金を地下鉄道だけに集中するということもなかなか困難なふうのも思われますので、東京都が経営するということも、早急に東京の地下高速度交通機関を整備するというふうには行かないと考えられるのでございます。又純然たる民間と申しますと、これは先ほども申しましたように非常に巨額の建設費等も要しますので、簡単に民間の資本だけでもできないのではないかというふうにも考えられますので、幸いに高速度交通営団というものが現存しておりますのでこれにやらせたらどうか、然らば東京都が資本の一部を持つのであるということになりますというと、何しろこと東京都に関するもので、東京都がこれにつきまして或る程度の関心を持ち、東京全体の交通網の整備という考えから一部の金を投ずることが決して無駄ではない、意義のあることだろうと、かように考えて、こういうような形態に相成つておることと存じます。
○菊川孝夫君 私の御質問申上げるのは、この形で見ますると殆んどの資金は今岡田さんのおつしやつたように、見返資金がまあ大した期待ができないとしても、あとの資金運用部資金の運用で建設しようということで、従いまして国の資金で以てやつて行こうということははつきりしておると思うのです。これは国有鉄道も出せないし、又東京都も大して出せない。この債券の引受は殆んど資金運用部資金の運用で以てやつて行こうとしておるのでありますから、国がやるのとちよつともこれは変らない、私はそう思うのでございますが、なぜこのまま営団法によつてやつて行かなければならんかということについて、私はちよつとこの改正を出されるに当りまして、この改正をして国のそのままの姿でやつて行くというなら別でありますけれども、民間の資金だけはどちらかというと、切り捨ててしまつて、国の資金一本でやつて行こうという際に、ただ僅かに東京都が出資しておるのは一千万円出資しておるだけだ。それにもかかわらず、そういう性格にだんだん営団の性格が変つて行くにもかかわらずそのまま営団という姿で残して置かなければならん……、むしろそれよりももつと根本的な改正をやつたほうがいいじやないかと私たち考えるのであります。というのは国有鉄道の一つの事業としてやつて行くというようにしたらどうかと思いますが、提案者のほうでは民間だけを切り捨ててやつて行くということは、私ら了解できないと思うのでありますが、なぜ国有鉄道一本でやらないか、東京都は事業を経営するというよりも、むしろ行政という面で置くのが、これからの行き方でなければならんと思いますが、山手線にいたしましても殆んど一番幹線は国鉄が経営しておる。それにもかかわらずこの地下鉄だけは東京都に合弁式みたいなことでやつて、而も僅かな出資だ、而も今後の出資は国の資金を注ぎ込む。国がそういうふうに注ぎ込むというふうにするならば、国鉄の経営にするというのが、これは最も正しいやり方ではないかと、こういうふうに考えるのでありますが、提案者のほうではどうお考えですか。
○岡田信次君 国有鉄道がみずからこれを建設し、経営するという点につきましては、先ほど申上げましたように、国有鉄道は日本の鉄道の幹線の全体を経営いたしております関係上、特に東京都だけに力を注ぐというわけに参らんという考えからなのでございます。それから今の東京都の関係は先ほどの資金運用部資金の條項にも申しましたように、地方公共団体並びに国が出しておるものにはこれを出せるという関係は、何と申しましても東京の交通には東京都みずからが相当関心を持つていなくてはならないだろうと、そういう両方の関係から東京都にも幾分の資金を出してもらうと、こういうような考えなんです。
○菊川孝夫君 次に、今度の改正の要点が、管理委員会の設置に私はあると思うのであります。管理委員会の設置につきまして「第十四條ノ五」に「委員ハ帝都高速度交通営団ノ業務ニ関シ適正ナル判断ヲ為スコトヲ得ル者ノ中ヨリ主務大臣之ヲ命ス」こういうことになつておるわけでございますが、この行き方は従来こうした委員会の設置に当りましては、何回も国会の議決を求められた際にも問題になつたのですが、單に退職官吏のおば捨山的な性格が非常に濃厚に出ておるという批判も一部には出て来ております。なおこの「業務二関シ適正ナル判断ヲ為スコトヲ得ル者ノ中ヨリ主務大臣之ヲ命ス」ということは、一体判断を主務大臣がして勝手に任命してしまうということになれば、国の資金を注ぎ込んでこれは厖大な資金を注ぎ込むわけでありますけれども、管理委員会の責任というものは極めて重いものだと思うのです。この管理委員会は一体どこに対して責任を持つことになるか、主務大臣に対して責任を持つのであるか、その点についてはつきりしないのですが、これは国鉄の管理委員会が国会に対して責任を持つということを、この前のときにも実は話が出たのでございますが、余り国会と管理委員会との関連も今まではついておらなかつた。これはこの管理委員会の責任は誰に対して責任を持つのであるか、これは本当に国に対して責任を持つようにしなければならんと思う。従つて国会の承認、主務大臣の推薦によつて国会の承認というような必要が私はあると思うのでございますが、今大体こういう性格の委員会は皆そういう法律、條文になつているはずでございますがこれだけは主務大臣が命じるというのと、それから日本国有鉄道総裁の推薦したる者云々ということだけがあるだけでございますが、国会の承認という條項を入れなかつた理由、入れる必要は私はあると思うのですが、あなたはないとお考えになつて、こういう提案をされたか、この点について一つ御説明願いたい。
○岡田信次君 大体こういう委員会の委員の任命は、国会の承認を得るということに相成つておりまするが、この交通営団の事業の規模なり、或いは経営地区の範囲、或いは事業資金の全額を国が負担しておるのでなく、この点につきましては申上げませんでしたが、大体今度問題になつております池袋、神田間の建設資金につきましても、預金部の交通債券に民間賃金として入りますものが十五億円ございますし、大体四十八億円ばかりかかるのでございますが、そのうち預金部資金以外で一般の民間から交通演舞に応募してもらいます分が十五億円でございます。従いまして事業資金の全額を政府が負担しておるものでなく、それから全国的の業務を営んでおるものでない。そういうような考えから国会の承認を待たないで、主務大臣の任命にすることにいたした次第でございます。然らばこの管理委員会は誰に対して責任を負うのかということでございまするが、これは主務大臣に対して責任を負い、主務大臣を通じて国に責任を負うというふうにでも申上げていいのではないかと思います。
○菊川孝夫君 そうなつて来ると、管理委員会というのは、今まではなかつたわけです。現行法ではないわけで新たにこれを設けられるわけですが、管理委員会設置の私は必要がないのではないか。むしろ運輸大臣が監督すればいいのであるし、管理委員会の設置の必要をどこに求められたか、運輸省には民営鉄道部という管理機関もちやんと備わつて、そこには部長もあるはずでありますし、足羽さんのような監督局長がちやんとおるわけでして、この監督には運輸大臣の命によつて監督すればいいので、運輸大臣に対して責任を負うような管理委員会なら私は必要はない。むしろ監督局長はそのための監督局長であると私は思うのでございますが、この点に対して管理委員会の必要を認めないと思うのですが、なぜこういう管理委員会を今度新たに條文で起されたか、その点について……。
○岡田信次君 管理委員会設置の理由でございまするが、この交通営団は相、政府資金も要りますし、非常に公共的の性質を帶びておるということは申上げるまでもないのであります。併し何と申しましても、その経営に当つては私企業的の能率的経営をやらなくてはならんということは申すまでもございませんので、業務の執行機関の活動を妨げるようなこういう機関を作つてはどうかと考えられまするが、一方この法人が非常に公益性を持つているという点を考えまして、民主的に業務を運営させる必要から、執行機関の経済的の経営活動を阻害しない程度に業務の大綱を決定する機関が必要であると思われますので、管理委員会を設けた次第であります。
○菊川孝夫君 今の岡田さんの説明で、成るほど戦後の日本のすべてのやり方は、こうした委員会を設けて、如何にも民主的であるというふうに、まあ私らから言うならば、或る程度どうもこれは偽装的なものが多いように思うのです。何でも委員会は、殆んど我々が知らんほど委員会はできます。法律ができるたびに委員会ができている。ところが実際にはその委員たるや三つも四つも委員を兼ねている。中には、名前を申上げることはどうかと思いますけれども、或る人のごときは、何でも委員といえば名前が出て来るというような人もあるわけです。主務大臣が任命するというと、結局形式的にそういう人の顏を揃えるだけであつて、たまたま一月に一遍か半年に一遍くらい寄つて、そうして世間話をして別れるというような委員会に堕しつつあるという非難が国民の中にもある。それにもかかわらず旅費とかその他の報酬は相当出ているという、而もこれは上流階級と言いますか、そういう連中ばかりがそこに坐つてしまつている。例えば労働組合の代表というような者はこの頃は殆んどシヤツトアウトされている。そういうふうにして運営され、而もこれは任命までも主務大臣が勝手に任命するということになつて来たら、管理委員会の性格なんというものは殆んど無意味だと思うのですが、岡田さんの今の御説明を承わつても、この点につきまして、監督局長が今日は出ておられるのでお伺いいたすのですが、これが今まではなかつたわけなんですが、なかつた場合に非常に不便であり、非民主的であつたかどうか。この点、これがなければ監督局長としてそれを監督できないかどうか、十分な監督ができないかどうかという点について、一つお伺いしたいと思います。
○政府委員(足羽則之君) 只今の菊川さんの御質問にお答えをいたしたいと思います。こうした委員会がなければ監督局長として十分な監督ができぬかどうかと、こういう御質問のようでございますが、業務の運営をどう監督するかという方法の問題でありまして、一つの見方を変えた組織、そうした組織ということで成り立つ、こういうふうに考えるわけであります。只今御提案の岡田委員からいろいろ御説明がありましたようにこの交通営団の性格というものが従来と特に変つておるわけではございませんが、併し今回公法上の法人であるという従来の考え方を明確にして、そして或いは資金の面につきましても、従来なかつた国家資金がそれに投入し得る一つの途を開く、いろいろ内容的にも営団の仕事が膨脹するにつれて内容がいろいろ変つて参るわけでありまして、それに関連して営団の経営をどうするかという問題は相当従来よりもなお複雑になると思うのでございます。そこでこれの運営について監督官庁がそれを監督するという従来の行き方も、勿論今後も当然そういうふうにやつて参るつもりございます。又やつて参るわけでありますが、同時にこの経営の内部にあつて営団の事業について経験と、それから理解の深い人の一つの会議体を設けまして、これによつて経営の大綱であり基本的事項である事業計画、それから資金計画、或いは予算と決算、こうした最も大綱の点についてこれを審議し、これを議決する。こういう機関を内部に設けて、そうしてこれをきめて行くという行き方も一つの方法として、相当今後大きな仕事を営団としてもしなければならん次第でございますし、そういう機構を持つことも必要かと、こういうふうに考えている次第であります。
○菊川孝夫君 もう一つ最後にお尋ねします。これには役員が営団にはありまして、理事会の決議と、それから「管理委員会ノ議決ヲ経ルコトヲ要ス」ということになつておりますが、管理委員会の議決とが食い違つた場合にはどちらが優先するというふうな立法の精神であるか、これには一方の理事会は執行機関であつて執行の責任を持つはずであります。この議決と管理委員会の議決が食い違つた場合、これはどちらが優先するのであるか、それから主務大臣が責任を負う、こういう今の御説明でありましたが、理事会が私はむしろ責任を負うべきでないか、理事会の責任を管理委員会に転嫁するというようなことになつて、却つて責任の明確化がぼやけて来るのではないか。この前の国鉄の機構改革の際にも、責任体制の明確というようなことを盛んに言われましたが、あういうふうな機構改革をやられた。今度は屋上屋を架すような管理委員会を設けられて、却つて責任の所在が不明確になつて来るのではないか。又ここで総裁の意見と理事会とが対立する、そういうことはあり得ないとおつしやればおつしやれるようでありますが、日発、これと今度の公益委員会とがあのような深刻な対立をやつて、みつともない喧嘩をやつておる例もあるのでございますから、将来においてこういう問題はどうこれをさばかれるものであるか、そういう構想について一つ……。
○岡田信次君 今菊川さんのおつしやつた理事会というのはないわけでございますけれども、菊川さんのおつしやる意味は、日々の業務を執行するために理事が総裁といろいろ相談してやるという意味のものだと思いますが、その理事会と管理委員会との意見が違つた場合はどうするかというお話でございますが、これはまあそういうことはないだろうと思いますが、若しありました場合は、総裁は管理委員会の議決に従うべきじやなかろうか、かように考えます。
○菊川孝夫君 そうすると、もう一遍はつきりして置かなければならんのは、管理委員会は総裁の業務執行を左右する権限を持つのですか。
○岡田信次君 管理委員会は先ほど足羽局長からもお話がありましたように、営団の予算でありまするとか、或いは決算でありまするとか、今後の事業計画でありますとか、或いは資金計画というようなことを決定して、それによつて営団の業務の大綱が定められるものと考えております。その大綱を定めましたことに従つて総裁以下の役員がこれを実行に移すというのが、何と申しますか、理事会と申しますか、その職務であろう、かように思つております。
○菊川孝夫君 こういつた一つの事業形態におきまして、何と言つても収支の予算、事業計画、資金計画というものは、これは最も大事な問題だと思います。これがすべて管理委員会に握られてしまつたということになつて来ると、総裁がその議決に従つて全部やつて行くということになると、はつきり申しますと、この管理委員会というものは、一般の商事会社における株主総会というような性格を持つものであるかどうか、その点を一つ……、
○岡田信次君 大体そういうふうにお考えになつていいんじやないかと思います。
○小酒井義男君 二つ三つお尋ねをいたします。民間持分の消却、これはできるだけ速かにということになつておりますが、大体目標はどのくらいにお考えになつておりますか、先ずその問題について伺いたい。
○岡田信次君 今小酒井さんのお尋ねの期限につきましては別にあれがないのでございますが、成るべく速かな機会に買入消却をいたしたい。又価格でありますとか、一時にどのくらいの量をするというようなことにつきましては、今後営団と出資しておる民間団体との交渉によつてきめて行きたい。そのために今回の法律の改正におきましても、何と申しますか、附則の十項に、全部を消却しなくても資金運用部資金を出すことができるというようなあれを設けておるわけでございます。
○小酒井義男君 改正要旨の五項ですが、「交通営団ノ役員及職員ハ刑法其ノ他ノ罰則ノ適用ニ付テハ法令ニ依リ公務ニ従事スル職員ト看做ス」と、こうなつております。「刑法其ノ他ノ罰則」という「其ノ他」の範囲像大体どのくらいのものですか、これを一つお伺いします。
○岡田信次君 この交通営団が、先ほど来申上げますように公法上の法人ということを明確にいたします関係上、その職員を或る程度公務員に準ずると申しましても、その経営上は民間の経営を必要としますので、全部公務員にするわけにも参りませんので、収賄罪でありますとかその他につきましては公務員と同じようにするという精神なのでありまして、今お話の「刑法其ノ他」の「其ノ他」というのは、これは余り深い意味がないように思います。
○小酒井義男君 関連しますが、現在の営団は民間資本と、それから国家資本とが出資をしてやつておるという関係で、この営団そのものが私鉄経営者協会の加盟団体としてやつておるわけであります。これが民間資本が排除されて都と国の資本だけでやられるようになつて行きますと、ここに従事しておる従業員の労働関係の法規の適用が問題になつて来るんじやないかと思います。これに対して提案者はやはり営団の従業員は一般の労働法規の適用を受けることができるというふうの御解釈をなさつておりますかどうか。
○岡田信次君 小酒井さん御承知のように、国鉄とか専売公社の職員につきましては公共企業体労働関係の法規の適用を受けておるわけでありますが、この営団につきましては普通の労働三法の適用を受ける、こういうことに相成つております。
○小酒井義男君 これは現在はそうされておるわけですが、将来もその適用を受けて行くべきだというふうに今の御答弁を了解してよろしうございますか。
○岡田信次君 この点私も考えたのでございますが、ここ暫らくは現在通り労働三法の適用を受けて行くのではないか、かように考えます。
○前之園喜一郎君 二、三お尋ねいたしますが、提案者のお一人である岡田先生は、その筋の権威者でありまして、大体私どもも大した意見もありませんが、ただ根本的な問題について私は釈然としないものが二、三あるのであります。それらの点についてお尋ね申上げたいと思いますが、岡田委員のほうで御説明なされ、なお国有鉄道或いは政府のほうで、補足的に御説明下すつても差支えありません。先ず第一にお尋ねいたしたいことは、この法律案の提案理由によりますると、今後の計画路線を完成するためには、約五百億円を必要とするということでありますが、池袋―神田間の建設計画というのは四十八億を必要とする、大体約一割くらいの費用を以て今度のこの線はやられるということのようでありますが、私お伺いしたいのは、今後の計画路線、いわゆる計画の全貌について一応御説明を願いたいのであります。その後、残りの十分の九というのは、どういうような路線計画をお持ちになつておるのかということを承わりたいと思います。なお池袋神田間の建設計画に対する具体的な御説明をお願いしたい。何か資料のうちにもそういうものがないようでありますので、そういう点もお伺いいたしたい。先ず第一に、計画の全貌について御説明をお願いしたいと思います。
○岡田信次君 今前之園君からお話がありましたように、交通営団が未開業線としまして持つております路線の全体が、今回の池袋―神田間を含めまして、七十五キロ余りあるのであります。札の辻―五反田間、五反田―馬込間、品川―新橋間、これは資料もあるようでございますが、今お話申上げましたように、全体で七十五キロあります。つまり札の辻―五反田間、五反田―馬込間、品川―新橋間、芝佐久間町一丁目―上巣鴨間、恵比壽―南千住間、新宿―池袋間、高田馬場―東陽町二丁目間と申しますか、途中の区間が拔けておりますのでおわかりにくいと思いますが、これらの線を含めまして七十五キロ三百メーターあるわけでございます。今度の神田―池袋間は七キロ大分でございます。
○前之園喜一郎君 後ほど資料をお出しになるわけでありますが、今御説明になりました計画線というのは、一年でなさるのじやなかろうと思いますが、年次的にどういうふうになりますのか、それらの順序についてのお見込を承わりたいのであります。
○岡田信次君 先ず第一は、今度の法律改正の根本をなしておりまする池袋―神田間が、先ず第一であります。それから続いて、続いてと申しますか、次に参りますのが、神田から更に東京駅なり有楽町を通つて新宿に出る線が、その次の問題になつて来るだろうと思います。それから以後の線につきましては、その後の情勢によるのではなかろうか、かように考えます。一
○前之園喜一郎君 年次はわかりませんが、神田―池袋間というのは、大体今年二十六年度におやりになる予定であるのか、どういうふうになるのですか
○岡田信次君 池袋神田間は、二十六年、二十七年、二十八年の三カ年で完成せしめるという計画に相成つております。
○前之園喜一郎君 それから提案理由の説明の中に、その所要額の大部分を米国対日援助見返資金、資金運用部資金等の資金によるということでありますが、この五百億の大部分というのは、大体どのくらいに当るのか、承わりたいのであります。
○岡田信次君 神田―池袋間は、約四十八億円の資金を要するのでございますが、そのうち、見返資金が一億五千万円で、資金運用部の資金が約三十億、その他が一般市中引受のお金であります。
○前之園喜一郎君 この計画はずつと前からお進めになつておつたものだろうとは思いますけれども、私ども何か知らん突如としてこういうものが議員提案として出て来たような感じを受けるのであります。従来私そういう記憶はないのでありますが、無論この計画は、岡田委員その他の提案でありますから独創的なものであろうと考えるのでありますが、政府その他とお打合せになつておるものでありましようか。或いは大変失礼なことをお伺いいたしますが、これは政府が計画されたものを便宜、議員提案という形でお出しになつたものではないかという感じがするのです。私ども国会議員が法律案を出すということは当然のことであります。我々大いにこれをやらなければならんのでありますが、今日までの傾向を見てみますると、どうも政府で出しにくいようなものを議員提案にして出すというような感じを我々非常に受けるのであります。一例を申上げまするならば、国有鉄道の民間払下げの法律案のごとき、これは当然政府が出さなければならない法律案である。ところがこれを議員提案として出そうという計画、非常に我々はその裏に何物かがあるのじやないかという国民の声を聞いておるような状況であるのであります。この法案のごときは非常にいい法案であると私も考えます。今日の東京の交通状況から考えて、非常に必要なものであると思うのでありますが、これが本当に議員の独創的な法律案であるということであると、私は満足するのでありますが、それらの点について腹蔵のないところを御説明を願いたいと考えるのであります。これが議員提案として通過いたしましたときに、政府がこれを直ちにこういうような取扱をするのかどうかということについても、私ども多少の心配を持つておるのであります。それからもう一つ私が根本的な問題として考えておりますることは、先ほど菊川さんも御質問になりましたように、これはやはり私は国有鉄道の一部として計画さるべきものじやないかと考えるのです。なぜこれをこの営団を以てやらなければならないかということは了解できないのです。こういうようなことを、将来やはり各方面においてやられるものであろうかどうか、このことは政府当局に、監督局長にお伺いしたいのでありますが、そういうことについて、根本的な問題に関する政府の御所見を私は承わりたいのであります。更に私が考えますることは、どうもこの鉄道建設というもの、その他について都会集中主義である。過ぐる参議院の本会議において鉄道建設の決議案も通過しており、全国から夥しい請願で要望もあるのに、僅かに二十六年度はそういうような建設費というものは三億幾らに過ぎない。全国百数十の要望があり、而も今日の国情から考えて、どうしても建設しなければならないものが多いのです。それらは顧みないで、單に池袋―神田間においては四十八億、全額においては五百億という巨額の金を投じてやるということは、これは都会集中に偏するものである。こういうことに対して私は国民は納得しないのじやないか、相当に反撃があるということを私は覚悟しなければならんと思うのですが、こういう点に対する岡田委員の御意見、並びに政府の御所見を私は承わりたいと考えるのであります。要約いたしますると、これはやはり国有鉄道としてやるならばおやりになるのが穏当ではないかということ、もう一つは都会集中に過ぎるのじやないか、今後地方鉄道、各地方から要望されておるころの鉄道などに対してどういうような御処置をなさるつもりであるかということも、併せて政府の御答弁をお願いしたいのであります。先ずそれだけのことの御答弁を得まして、続いて私の質問をいたしたいと考えます。
○岡田信次君 前段のお尋ねでございまするが、大体東京都の交通状況から見まして、早急に高速度交通機関を設置しなければならんというわけで、昭和十六年にこの交通営団ができたのでございますが、その後戦争のためにできなかつた。戦後の状況もますますこれらの交通機関の整備が必要と相成りましたので、三、三年前から何とかして地下鉄道を建設したいという考えが進んでおつたのでございまするが、昨年の夏少し前からこれが具体化しまして、その当時は大部分見返資金によつてこれをやりたいというような考えでおつたようでございまするが、その後の情勢からこういう資金運用部資金を使うことになりましたので、今度法律案を出すことに相成つたのでございまするが、先ほど前之園先生のおつしやつたように、実は政府においてこの法案は計画して更に進めて参つておるのを、最近議員提案に振り替つたのでございますが、不肖私がその方面について経験を持つておりました関係上、私がお引受けして提案いたした次第でございますが、別に政府が提案しちや都合が悪いという性質のものでないということだけは、一つ御了承を願いたい、かように思います。それから国有鉄道がみずからやつたらどうかというお話でございますが、これは先ほど菊川さんにもお話いたしましたように、国有鉄道がみずからこれを実施いたしまするとしますと、資金その他の関係から却つて公団は御質問のように、都と申しますか、都会に集中するというふうの非難を却つて浴びるのではないかというふうにも考えられるわけであります。併しながら、何しろ国有鉄道は中央線なり或いは山手線なり、その他東京都の都内の交通に対して非常に大きな力を持つておりますので、やはり国有鉄道を通じて資金を通じてこれを整備せしめるのが一番いい方法じやないか、特に高速度交通営団というのは現存しておりますので、この機能を十分に発揮せしめるという意味合いからも国有鉄道みずからがやらないで、こういう形態でやつたほうがいいのじやないか。かように私も考えておるのであります。なおこのほかは政府委員のほうからお答えいたしたいと思います。
○政府委員(足羽則之君) 只今私たちのほうに御質問になりました国鉄でやるべきではないかという第一点の質問と、それから次は新線の建設が、かかる地下鉄の計画なんかを通じて見られるように、非常に都市中心主義ではないか、こういうふうにまあおつしやいまするけれども、この点について運輸省としてのお答えをいたしたいと思います。国有鉄道はこの東京都には或いは山手循環線、或いは中央線の一部都内の高速度の交通機関でやつておりまして、非常に都内の交通について大きな役割を果しておる。それに関連をして同じ高速度交通機関であり、首都の非常に大きな交通の仕事を担当するこの地下鉄を国鉄がやるべきではないか、こういう御意見が、先ほどからも菊川委員の質問が出、又只今質問があつたのでありますが、それに対しましては、只今岡田さんから御説明もありましたように、国有鉄道といたしましては、全国的に鉄道経営をいたしておりまして、やるべき仕事は全国的に非常にたくさんあるわけであります。そこでこの東京都を中心とするこの地下鉄の経営或いは建設につきましても非常に業務上或いは設備上重要な関連がある。こういう意味で国鉄が何らかこれに関与をしておるという点は、或いは資金の面につきましても、今回法案を御審議願つておりますように、関与する点の重要な関連は非常にあるのでありますが、併し、国鉄自体がこれに全部当るかどうか、こういう問題は、地下鉄が東京都を中心とする交通を担当しておりますものであり、又国鉄は全国の交通網の整備及びこれの運営に当る。こういう点から見まして、これに国鉄が全力を挙げて国鉄だけでこれに当るということは事業の性質上、この事業の規模なり或いは地域的な点、いろいろそうした点を国鉄の性格から見まして不適当である。こういうふうに考えておるわけであります。従つてそれには特殊の公法上の法人である交通営団を主体にして東京都の高速度交通網の整備としての地下鉄の整備に当らせる、こういうことが適当である。こういうふうにまあ考えておるのが運輸省の見解でございます。なおこの都市中心主義ということに対する御質問でございますが、この交通営団は今岡田さんの御説明がありましたように、東京都の交通網の、地下鉄としての交通網の整備を図るために作られた機関でありまして、東京都の地下鉄網の整備ということは戦争前から非常に力強く叫ばれ、又それの必要性を非常に考えられておる点でありまして、それで交通営団をしてこれに当らしめるということは、国の交通に対するいろいろな問題があるわけでありますが、その中の特にこの東京都に対する問題として取扱つてまあ然るべきものと思うのでありまして、これによつて新線の建設が都市中心主義であるというふうには、実は私たちは考えておらないのでありまして、なおほかのいろいろな新線の必要性の叫ばれております点につきましては、運輸省としてはその問題は又別な視野から別の機会にこれを取上げて推進して参りたい、こう考えておるわけであります。
○前之園喜一郎君 今政府の御答弁を聞いておりますると、全く私どもは腑に落ちない。これは今御答弁の内容を分析すると、これは鉄道で計画してやつておるのではないので、都会中心主義にはならない、こういうような御答弁でありますけれども、この資本の大部分というものは、殆んど全部といつてもいいものが、見返資金特に国の資金であるという面からいいまして、国民の受ける感じというものは、やはりこれは国の経営である、事実において国の経営に等しいものであるという感じを持つだろうと私は考えるのであります。又事実その通りであると私どもは思うのであります。この点においても政府は非常に考えが違う。全国から多数の建設の請願が出ておるのに、僅かに三億幾らしか二十六年度にはないということは、全くこれは運輸当局並びに日本国有鉄道の無力を示すものであると思う。而も東京の鉄道に五百億を、地下鉄に本年度四十八億を出すというような予算を組む。日本国有鉄道が、僅か三億幾らを全国に投じて、国民の要望に応えることができないということは、私は政府並びに日本国有鉄道の無力と無責任に基因するものである、かように考えております。最近監督局長に対する非難の声が相当に高いのであります。私はこのことを特に御忠告を申上げておくのであります。重ねて私は伺いますが、今御答弁になつたのは、監督局長としての御意見なんですか、運輸省並びに国有鉄道の総合的な御意見であるのか、はつきりと御答弁を承わつて、更に質問したいと思います。
○政府委員(足羽則之君) 只今お話がありました中で、私はちよつと申上げたいと思いますが、地下鉄の四十八億の計画は、池袋―神田間の三カ年の計画に対する総額でございます。今年度だけの予算ではございません。
○前之園喜一郎君 それは説明がありましたからわかつておる。
○政府委員(足羽則之君) それから只今私の申上げましたのは、監督局長として申上げたわけでございます。
○前之園喜一郎君 これは今御答弁の通り、監督局長個人としての御意見と承わります。総合的な政府の意見を統一して御答弁を願いたいと思います。できれば運輸大臣の出席を求めて、更に質問を継続いたします。なお岡田先生に一つお願いいたしたのは、資料が非常に不足しておるようでありますが、この営団の定款、それから財産目録、その他御提出を願いたいと存じます。それから現在の役員の氏名、それから政党的な関係がありますならば、何党に属しておる人であるかというような、人事関係の詳細なるものを御提出願いたいと思います。それらの資料を頂いて私は更に質問をさして頂きたいと思います。
○委員長(植竹春彦君) 只今の前之園委員の御希望に対しまして、運輸大臣は病気で当分退院の予想がわかりませんので、關谷政務次官に灰皿出席を要求いたしておきます。
○前之園喜一郎君 止むを得ませんが、運輸省乃至日本国有鉄道の総合的な意見を決定して、御答弁願いたいと思います。又政務次官の個人の御意見だということになると何にもならん。
○委員長(植竹春彦君) さように、御希望通りの趣旨で御答弁がありまするように連絡をいたしておきます。速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(植竹春彦君) 速記を始めて下さい。
○岡田信次君 前之園君からのお尋ねの資料につきましては早急にお届けいたしますが、さつきのお話の中でちよつと聞き洩したのでございすまが、役員に何か政党関係があるかどうかというようなお話であつたようでありますが、役員の中には政党関係者は一人もおりませんでございます。
○前之園喜一郎君 それじやその他の資料で結構でございます。
○委員長(植竹春彦君) それでは本日はこれで散会いたします。
   午後零時三十一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     植竹 春彦君
   理事
           岡田 信次君
           小泉 秀吉君
           高田  寛君
   委員
           仁田 竹一君
           内村 清次君
           菊川 孝夫君
           小酒井義男君
           高木 正夫君
           前田  穰君
           村上 義一君
          前之園喜一郎君
           松浦 定義君
  衆議院議員
           坪内 八郎君
  政府委員
   運輸政務次官  關谷 勝利君
   運輸省鉄道監督
   局長      足羽 則之君
   運輸省鉄道監督
  局国有鉄道部長  石井 昭正君
   運輸省鉄道監督
  局民営鉄道部長  唐澤  勲君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       岡本 忠雄君
   常任委員会專門
   員       古谷 善亮君
  法制局側
   参     事
   (第三部長)  岡田 武彦君
  説明員
   海上保安庁海事
   検査部長    松平 直一君