第010回国会 本会議 第50号
昭和二十六年五月三十一日(木曜日)
   午前十一時十六分開議
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 議事日程 第四十九号
  昭和二十六年五月三十一日
   午前十時開議
 第一 退職金並びに退職積立金に対する課税減免に関する決議案(吉田法晴君外十三名発議)(委員会審査省略要求事件)
 第二 弁護士法の一部を改正する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
 第三 民事調停法案(衆議院提出)(委員長報告)
 第四 商法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
 第五 商法の一部を改正する法律施行法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第六 非訟事件手続法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第七 有限会社法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第八 商法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第九 保險業法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院回付)(委員長報告)
 第一〇 船主相互保險組合法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院回付)
 第一一 生活保護法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
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○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
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○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。
 この際お諮りして決定いたしたいことがございます。本日、若木勝藏君から、理由を附して、教育公務員特例法の一部を改正する法律案両院協議会協議委員を辞任いたしたい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて許可することに決定いたしました。
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○議長(佐藤尚武君) つきましてはこの際、日程に追加して、両院協議会協議委員の補欠選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
○中村正雄君 只今の両院協議会協議委員の補欠選挙は、成規の手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
○矢嶋三義君 私は只今の中村君の動議に賛成いたします。
○議長(佐藤尚武君) 中村君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議長は教育公務員特例法の一部を改正する法律案両院協議会協議委員に高田なほ子君を指名いたします。(拍手)
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○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、電波監理委員会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
 一昨二十九日、内閣総理大臣から、電波監理理委員会設置法第六條第一項の規定により、上村伸一君を電波監理委員会委員に任命することについて、本院の同意を求めて参りました。本件に関し、議長は、あらかじめこれを議院運営委員会に諮りましたところ、同委員会においては同意しない旨の決定がございました。これより本件の採決をいたします。本件に関し同意を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者少数〕
○議長(佐藤尚武君) 少数と認めます。よつて本件は同意を與えないことに決定いたしました。
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○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、日本放送協会経営委員会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。一昨二十九日、内閣総理大臣から、放送法第十六條第一項の規定により、大原総一郎君、宇野親美君、西彦太郎君を日本放送協会経営委員会委員に任命することについて、本院の同意を求めて参りました。本件に関し同意を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て大原総一郎君、宇野親美君、西彦太郎君を日本放送協会経営委員会委員に任命することについて同意を與えることに決定いたしました。
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○議長(佐藤尚武君) 日程第一、退職金並びに退職積立金に対する課税減免に関する決議案(吉田法晴君外十二名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題といたします。
 本決議案につきましては吉田法晴君外十二名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案の審議に入ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。吉田法晴君。
   〔吉田法晴君登壇、拍手〕
○吉田法晴君 只今議題となりました退職金並びに退職積立金に対する課税減免に関する決議案について簡單に提案理由の説明を申上げます。
 先ず決議案文を朗読いたします。
   退職金並びに退職積立金に対する課税減免に関する決議
  現在退職金と退職積立金とは、低賃金と不安定な雇傭関係とに悩む勤労大衆にとつては、激浪の中の唯一つの救いの舟に等しい重要な意義を持つている。それは單に企業内での労働政策としてのみならず、勤労大衆の生活の支えとなる社会政策の問題でもある。しかるに現在では、退職金は給與所得に上積みされて課税されるために、高率の所得税が課せられ、退職者の生活の前途に、非常な圧迫を及ぼしている。又退職積立金として留保される部分に対して法人税が課せられることは勤労者の生活を擁護せんとする目的に反し、ために勤労者の勤労意欲を阻害するのみならず、企業の負担を一層重くする。
  故に政府は速やかに退職金並びに退職積立金の特殊性に鑑み、社会政策的見地から、これ等に対する課税減免の措置を講ずべきである。
  右決議する。
 退職金の本来の性質につきましては、或いは賃金の後拂と見るもの、或いは慰労金と見るもの等、いろいろ議論がございますが、これを支給せられる退職勤労者にとつては、退職後の生活費に充当する金銭であることに間違いはありません。然るにこの退職金制度も、又これに代るべき社会保障制度も、我が国においては未だ全国全産業に確立せられず、長い年月に亘つて労働力を消耗喪失した老年の労働者、勤労者は、生活の保障なくして困難な今日の生活環境に放り出されているのでありますが、たまたま不十分な退職金又はこれに代るべき金銭を支給せられ、それがその後の生活を保障するに不十分な額でありましようとも、給與所得としてこれに課税せられ、その大半が徴收せられ去る実情にあることは、周知の事実であります。然るに健康保險による保險給付は課税せられません。厚生年金により保險給付として支給を受ける金銭も、租税その他の公課は原則として課せられないのであります。退職金がその本質においては老後の生活の資となる社会保障制度的な金銭給與であろうとも、その支給者がただ私人或いは私法人であるが故に課税の対象とせられているのであります。従つて退職金が、社会保障制度不完全な現在、社会保障制度に代つているその本質的役割を考えるならば、当然免税とすることに国家も協力すべきでありましよう。然るに現行税法においては、退職金に対しては給與所得の上積みとして高率課税がなされるのみならず、その計算方法が複雑なため、單に労使間に無用の摩擦を招き、勤労者の将来の希望と今日の安定を失わしめるのみならず、退職者の生活を圧迫し、社会不安を誘発する慮れがあります。又退職積立金については、これが積立をなす場合において益金として三五%の法人税が課せられるほか、同族会社に対しては更に五%の積立金課税がなされることになつているため、社会政策的見地より見て必要とせられる最少限度の退職積立金の積立をも困難ならしめている実情であります。
 以上の通り退職金が一般給與所得と異なる特殊性に鑑みまして、国家的、総合的社会政策の見地より、これを給與所得と切り離した別個の取扱をなし、退職金及び退職積立金に対する免税又は租税負担の軽減を図るよう、政府において速かに措置を講ずることを強く要望する次第であります。何とぞ満場一致本案に御賛成あらんことを熱望する次第でございます。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本決議案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本決議案は全会一致を以て可決せられました。
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○議長(佐藤尚武君) この際、日程第二、弁護士法の一部を改正する法律案、日程第三、民事調停法案、日程第四、商法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、(いずれも衆議院提出)、日程第五、商法の一部を改正する法律施行法案、日程第六、非訟事件手続法の一部を改正する法律案、日程第七、有限会社法の一部を改正する法律案、日程第八、商法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)、以上七案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。法務委員会理事宮城タマヨ君。
   〔宮城タマヨ君登壇、拍手〕
○宮城タマヨ君 只今上程になりました弁護士法の一部を改正する法律案につきまして、法務委員会におきましての審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
 現行弁護士法によりますれば、弁護士は国会若しくは地方公共団体の議会の議員その他常時勤務を要しない公務員以外の報酬のある公職を兼ねることができないことになつております。これでは、弁護士が各種行政部門におき。まして積極的に活動し、以て官界の民主化を図る上におきまして多大の障害となりますので、
   〔議長退席、副議長着席〕
その公職の兼職範囲を拡めまして、衆参両院議長、大臣、知事等、国家公務員法及び地方公務員法上の若干の特別職を乗れることができるようにいたしますと共に、他面その在職中は弁護士の職務を行うことができないことといたしまして、公務員法との調整を図ろうといたしますのが本改正案の骨子でございます。なお、その他、弁護士となる資格につきまして、衆参両院の法制局の参事を法務府事務官と同様に取扱う旨の改正及び若干の附随的な小改正を加えんとするものでございます。
 法務委員会におきましては慎重に審議いたしましたが、その詳細は速記録によつて御了承頂くことといたします。討論に入りまして鬼丸委員より、訴訟上におけるその必要性に鑑みまして、弁護士が受任事件について、所属弁護士会を通じて公務所又は公私の団体に対して必要な事項の報告を求めることができでる趣旨の規定を設ける旨の修正案が提出いたされました。採決の結果は、修正案及び修正点を除くその他の原案全部につき、いずれも全会一致を以て可決すべきものと決定されました次第でございます。
 次に民事調停法案につきまして、法務委員会におきましての審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
 調停制度は、大正十一年借地借家調停法が施行されましてから、逐次各種の調停法が制定せられ、今日においては民事の全域に亘つて行われております。然るに各種調停法が必要に応じて制定されました関係上、その間一貫したものがございませんで、区々となつておる点も多々ございますために、実際運用上かなりの不便がございます。そこで、これを統一する要望はかねてから強かつたのでございます。本法案は、この要望に応え、家事調停以外の民事全域に亘る調停を一本の法律にまとめますと共に、今日までの実績に鑑みまして、各種調停法の短を補い長をとつて新らしい調停制度を確立せんとするものでございます。
 当委員会におきましては、伊藤委員より重要にして精細な質問がございまして、愼重審議いたしました。討論においては、伊藤委員から、法律で規定すべきものを最高裁判所の規則に讓つた点が多いという理由の反対討論がございました。採決に入りましたところ、多数を以て可決すべきものと決定いたしましたのでございます。
 次に商法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、商法の一部を改正する法律施行法案、非訟事件手続法の一部を改正する法律案、有限会社法の一部を改正する法律案、商法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案につきまして、当委員会におきまする審議の経過とその結果について御報告申上げます。
 この五法案はいずれも商法の一部を改正する法律(昭和二十五年法律第百六十七号)に関するものでございまして、商法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案は、主として会社編に規定してございます訴の担保に関する改正でございます。他の四法案は、改正商法の施行に伴いまして、それぞれぞれ経過措置を定め、非訟事件手続法、有限会社法を改正商法に合致いたさせますこと、及び関係法律を整理するものでございます。
 改正商法に対しましては、御承知のように、施行期日の変更或いは一部改正の要望が非常に強いので、これらの点と睨み合せまして、当委員会は極めて熱心且つ愼重に審議いたしましたのでございまして、伊藤委員、中山委員等より熱心なる質疑がございましたが、討論を省略し、五法案を一括して採決いたしましたところ、全会一致を以て可決すべきものと決定いたしましたのでございます。
 右御報告申上げます。(拍手)
○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 先ず弁護士法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。
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○副議長(三木治朗君) 次に民事調停法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
○副議長(三木治朗君) 次に商法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、商法の一部を改正する法律施行法案、非訟事件手続法の一部を改正する法律案、有限会社法の一部を改正する法律案及び商法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、以上五案全部を問題に供します。五案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて五案は可決せられました。
     ―――――・―――――
○副議長(三木治朗君) この際、日程第九、保險業法の一部を改正する法律案、日程第十、船主相互保險組合法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出、衆議院回付)、以上の両案を一括として議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。
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○副議長(三木治朗君) これより両案の採決をいたします。両案の衆議院修正に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて両案は衆議院の修正に同意することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
○副議長(三木治朗君) 日程第十一、生活保護法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 先ず委員長の報告を求めます。厚生委員会理事小杉繁安君。
   〔小杉繁安君登壇、拍手〕
○小杉繁安君 只今上程されました生活保護法の一部を改正する法律案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 去る三月に制定されました社会福祉事業法の中に、福祉に関する事務所の制度が設けられ、社会福祉行政の第一線機関として活動することに相成りましたので、これに対応して所要の改正をいたそうとするのがこの法案の提案理由でございます。
 次にこの改正法案の要点を申上げます。第一は保護の実施機関についてでありますが、現在市町村長が保護の実施機関とされておりますが、福祉に関する事務所の設置に伴いまして、これを福祉事務所を管理するところの都道府県知事及び市町村長としようとするものであります。第二は福祉事務所を設置しない町村の長の協力義務に関する事項でありますが、これらの町村長は保護の実施機関ではなくなるわけでありますが、緊急の場合には実施機関に代つて保護を行い、且つ又一定範囲の事項について実施機関に協力せしめようとするものであります。第三は費用の支弁に関する事項でありますが、現在保護費等の支弁は市町村が行うものとされていますが、これを保護を行う都道府県又は市町村が行うものとしようとするものであります。第四は費用の負担に関する事項でありますが、その一は現在保護費等については市町村及び都道府県がそれぞれ一割ずつを負担しているのでありますが、これを保護費を支弁した都道府県又は市町村がそれぞれ二割を負担し、八割を国が負担することとしようとするものであります。その二は、現在居住一年未満の被保護者に対しては、都道府県がその保護費等の二割を負担することとなつていますが、このような居住期間による負担率の差別扱いを撤廃しようとするものであります。第五は保護施設に関する事項でありますが、現在保護施設は、都道府県、市町村以外は公益法人が設置し得るものとなつていますか、社会福祉事業法によつて社会福祉法人なる特別法人が作られることになりましたので、この公益法人の代りに社会福祉法人が施設を設置し得ることとしようとするものであります。以上がこの改正法案の骨子でありますが、厚生委員会におきましては、政府当局から詳細に亘り説明を聴取しましてから愼重審議をいたし、委員と政府当局との間に熱心なる質疑応答が交わされたのでありますが、その詳細は速記録により御了承願います。かくて討論省略の上、採決いたしました結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。
 以上御報告申上げます。(拍手)
○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
   〔千葉信君発言の許可を求む〕
○副議長(三木治朗君) 千葉信君。
○千葉信君 私はこの際、一般職の職員に対する地域給に関する緊急質問をすることの動議を提出いたします。
○上原正吉君 只今の千葉信君の動議に賛成いたします。
○副議長(三木治朗君) 千葉君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(三木治朗君) 御異議なしと認めます。よつてこれより発言を許します。千葉信君。
   〔千葉信君登壇、拍手〕
   〔「政府委員どうした」「官房長官どうした」と呼ぶ者あり〕
○千葉信君 私は、国家公務員の勤務地手当の問題に関し、先に政府側より提出を明言されておりました支給地域の区分の法案が会期終末を目前にした今日未だ国会に提出されていないために、全国各地の公務員諸君の士気を阻喪し、その間に政府に対する強い不信の念を招来しつつある現状に鑑み、この際、政府の責任ある答弁を求めるために、緊急質問を行わんとするものであります。
 戰後の激しい経済的変動、諸物価の高騰により、諸般の制度も又これに応じて大幅の改訂を加えられつつある今日、ひとり公務員の地域給に関しては昭和二十三年以来一度の改正も行われることなく、「勤務地手当の割合及び地域の区分はなお従前の例による」という一片の法規により、その間の物価の地域的変動、地域的特殊事情の変化、近くは朝鮮動乱の影響等にもかかわらず、実に二年有半に亘つて釘付けにせられたまま現在に至つておりました。この間、広く公務員諸君の不満を買うに至つていることは天下周知の事実であります。あまつさえ昨年の給與法改正に当つては、この地域給に対しては、ただ單なる予算上の考慮から、一律に五分減額という大よそ合理性を無視した強行措置が行われ、而も人事院勧告が出されるまでの暫定措置という名目であつたこの強行措置が、一月、二月以来と、もはや六月の声を聞く現在に至るまで放置されているという、およそ給與政策に一片の関心を有する者ならば誰しも不誠意極まる措置であるとして追及せざるを得ないやり方がとられているのであります。この人事院勧告すら、現在の給與に関する人事院の勧告すら容れられずに、低い賃金べースに加えて、かかる異例の強行措置に苦しむ公務員の唯一のつつましやかな期待は、これは飽くまでも暫定的な方法でおり、地域区分に関し人事院御告が提出されたらそれに基いて直ちに決定するという政府の責任者である官房長官の答弁にかけられていたのであります。一方、昨年八月給與ベース改訂の勧告に当り、地域給の支給区分については最も信頼し得る資料に基いて合理的なものに改めるものを発表した人事院は、一日も早く、一刻も早く、その改訂を期待する公務員の窮乏を知つてか知らずか、その調査に愼重を期せられ過ぎて、勧告は遅延に遅延を重ねて、第九国会も過ぎ、第十国会も終末に近い去る五月十七日漸く提出せられるに至つたのであります。この勧告の内容の是非に関しましては別の機会に讓ることといたしまして、ここに奇怪なことは、先に第九臨時国会における参議院人事委員会の席上において、「地域給の地域区分の決定は今すぐやるのが一番いいと思うが、まだ人事院の勧告が出されていない。我々のほうも人事院ほどのスタツフを持つておるわけではないので、地域の区分は人事院の勧告に従うのが一番よいだろうと思うので、それを待つている。……暫定的に現行の方法をとつたわけであつて、勧告さえ出ればそれに基いて至急にやりたいと考えている」旨を明確に答え、又五月十一日の本会議における私の緊急質問に答えて、「地域給の問題に関し、政府としては、人事院から勧告がありましたならばこれを審査し、できるだけ早い機会に、間に合えば本国会に法律案の提出をいたしたい」旨を答弁せられ、かの一律に五分減を強行する措置も、数年に亘る地域区分の釘付けもただひとえに人事院勧告の提出されないことを理由としておられた政府が、一旦人事院より勧告が提出せられ、会期は残るところ幾ばくもない今日に至るまで、法律案提出の措置をおとりになつていない事実、これに対しては誠に我々の了解に苦しむところであります。
 すでに地域区分の問題が人事院においても取上げられました一昨年以来、遅延に遅延を重ねた勧告にしびれを切らして、国会に対しても、又政府に対しても、つつましい要求を携えて、各地方の貴重な財源を割いて多大の労力と多大の費用をかけた調査資料を携えて、はるはる全国各地より上京して陳情し、その合理的な改訂のために懸命の努力を行なつておる公務員諸君の実情は、今更ここに云々するまでもなく、議員諸君が身を以て体験せられておるところであります。然るに今又、人事院よりの勧告が提出されたにもかかわらず、会期もぎりぎりに迫つて、なお政府より法律案の提出も見ない現状は、噂に噂を生み、地方在住公務員諸君の間に失望と不満とが欝勃として生じていることを訴えておられるのであります。
 御承知のように、この地域給の問題は最近に至つて忽然として生じた問題ではありません。人事院は、すでに一昨年当初よりその調査に着手して、おり、その合理的な解決の促進は公務員諸君の強い要望として現われていたことは言うまでもなく、国会においても常に取上げられていたところでありまして、人事院の勧告が提出された際の政府の措置に関しましても、すでに官房長官より責任のある答弁があり、その早急なる実現を確約せられたのであります。あれほどの確約を行い、これほどの余裕期間を與えられながら、かかる羽目に立ち至らしめた政府の怠慢に対しては、私は追及すべき言葉すら知らないのであります。若し政府にして怠慢にあらずとして強弁する勇気を有するならば、果して現在に至るまで如何なる努力を行い、如何なる措置をとつて来られたか、改めて御答弁を願いたい。而うしてあれほど明確な答弁を行なつた官房長官としては、恐らく現在の不合理極ます暫定措置をそのまま強行されることは万々あるまいとは思うけれども、然らば果してこの合理的な解決に関し如何なる見通しを持ち如何なる措置をおとりになる考えであるか。責任のある御答弁を頂きたいのであります。会期終末を目前に控えた今日、公務員の不安と焦躁は日ごとに高まりつつある現状に鑑み、重ねて政府当局の誠意ある明確な御答弁を期待して、私の緊急質問を終る次第であります。(拍手)
   〔政府委員岡崎勝男君登壇、拍手〕
○政府委員(岡崎勝男君) 千葉さんの御質問にお答えをいたします。
 人事院の勧告が出ましたので、政府は、これをそのまま取入れて法律案の形にいたしまして、所定の手続を経るために関係方面に折衝をいたしておつたのであります。ところが予想に反しまして、話が手間取りまして、どうも思うような進展を見ないのでありますので、もう当初予定いたしました六月一日という日も非常に迫つて来て、なくなく困難な状況でありますので、改めて試案といたしまして、期日の点を除きまして、法律案、勧告だけの法律を先ず通して、期日は政令に譲るということで行きたいと考えまして、更に非公式にそういう話もいたしておるのでありますが、一般公務員のほうは別といたしまして、この独立採算制といいますか、国鉄とか専売とかの方面は、給與予算の全般に制限があるものでありますから、法制上もなかなかむずかしいような関係もあつて、誠に残念でありますが、いまだに関係方面との了解が付きかねておるのであります。(「重大な政府の責任じやありませんか」と呼ぶ者あり)政府としてはできるだけ勧告そのものを実現いたしたいと思いまして、殆んど連日に亘つて関係方面と話合いを続けて来たのでありまするけれども、今のところ解決の見込がないような状態でありますので、御了承を願いたい。こう考えております。(「責任をどうおとりになりますか」と呼ぶ者あり、拍手)
○別種長(三木治朗君) 本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時一分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、教育公務員特例法の一部を改正する法律案両院協議会協議委員辞任の件
 一、両院協議会協議委員の選挙
 一、電波監理委員会委員の任命に関する件
 一、日本放送協会経営委員会委員の任命に関する件
 一、日程第一 退職金並びに退職積立金に対する課税減免に関する決議案
 一、日程第二 弁護士法の一部を改正する法律案
 一、日程第三 民事調停法案
 一、日程第四 商法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案
 一、日程第五 商法の一部を改正する法律施行法案
 一、日程第六 非訟事件手続法の一部を改正する法律案
 一、日程第七 有限会社法の一部を改正する法律案
 一、日程第八 商法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法案
 一、日程第九 保險業法の一部を改正する法律案
 一、日程第十 船主相互保險組合法の一部を改正する法律案
 一、日程第十一 生活保護法の一部を改正する法律案
 一、一般職の職員に対する地域給に関する緊急質問