第010回国会 予算委員会 第31号
昭和二十六年三月二十四日(土曜日)
   午前十時七分開会
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  委員の異動
三月二十三日委員下條恭兵君、菊田七
平君、木内キヤウ君及び鈴木強平君辞
任につき、その補欠として和田博雄
 君、谷口弥三郎君、竹中七郎君及び
 駒井藤平君を議長において指名し
 た。
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  本日の会議に付した事件
○昭和二十六年度一般会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和二十六年度特別会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和二十六年度政府関係機関予算
 (内閣提出、衆議院送付)
○地方行政委員会からの申入れに関す
 る件
○全国知事会議の要望決議に関する件
○小委員長の報告の取扱いに関する件
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○委員長(波多野鼎君) これより本日の予算委員会を開会いたします。最初に御了解を得て置きたい点がありますが、それは総理は午後非常に差迫つた用事がございますので、午前中二時間という約束であります。自由党のかたは棄権をして頂きましたので、六つの会派でこの時間を分けますので、一会派について二十分ずつということになつております。どうぞこの点を御了承の上、御協力をお願いいたします。最初に社会党の内村君。
○内村清次君 二十六年度予算を審議検討して見ますると、予算編成の基礎條件でありまする経済情勢の見通し、特に予算の単価となる内外の物価、輸入の見通しは、朝鮮事変、世界的な軍拡インフレと特需景気、中共貿易の杜絶及びダレス特使の訪日など、内外情勢の激変に伴いまして、大きく変化しつつあるものと認めます。更に政府が秘密裡に画策いたしておりますところの日米経済協力の実施に伴いまして、日本の産業構造もその性格を大きく変改せんとする情勢にあるのでありまして、政府のこれらに対するところの見通しの誤まりからいたしまして、予算編成の基礎も性格も崩れて、予算補正は早急に必要であるのみならず、むしろ根本的組替えが絶対に必要であると思うのであります。即ち物価騰貴は、政府の言うところの昨年十月頃の物価を基準といたしまして、すでに二〇%の上昇を示しております。輸入価格は更に二倍から三倍に上昇しております。又運賃も約二倍以上の上昇を示して、食糧の輸入価格の値上りは価格調整費を約百億増額せねばならないし、輸入の困難も加えまして、輸出入の見通しや外為会計の編成も変更せねばならないと思うのであります。更に今後予算のインフレ的要因の増大も見通さなくてはならないのであります。即ち特需輸出の増加、輸入の困難によりまして、外為特別会計は二十六年度末は千七百六億の支払超過が見込まれております。その結果、一般会計としてデフレ予算ではありまするが、総合予算即ち対民間国庫収支といたしまして、一千三百九十三億の支払超過となります。終戦処理費は対日援助費よりも約五百八十三億超過でありまして、ドルの減価を考えますると、その害はもつと大きなものがあるのでありまして、その超過分だけが非生産的な支出であります。これも又インフレ要因になるのであります。又見返資金におけるところの経済再建費七百五十四億及び五百億の二十五年度の債務償還予定の未使用分を含めましての余裕金、又インベントリー・ファイナンスの五百三十七億、資金運用部資金の二十七年度への繰越金四百三十億などの余裕金を合計いたしますると二千二百十七億、この金額というものが政府の今後の使途次第によりましては、民需を圧迫したところの一種の軍需インフレ的要因を醸成するものと認められるのであります。このようなインフレ要因の克服や、又は調整や、本小委員会におきまして決議いたしましたところの地方財政平衡交付金の二百億の増し、物価騰貴によるところの各省事業費の不足、公共事業費の不足、生計費膨脹によるところの国家公務員に対する、或いは又地方公務員に対するところの給与の増額、農地改良費の増額、中小企業対策の変更など、どの項目を検討いたしましても、根本的組替えを必要といたすのでありまするが、池田大蔵大臣は去る十六旧大蔵省で記者団に対しまして、二十六年度の予算案の補正は、講和の時期にもよるが、講和が九月から十一月頃であるとすれば、補正予算は講和の前に出さなくてはならんと言われておるのであります。総理はこの予算の提出に当りまして、日本経済の見通しをどのようにお考えになつておられるのであるか、又本予算執行に当りまして、政府の予期するところの政策の滲透というものが円滑に行くかどうか、なお本予算の根本的組替えをなされる気持があるかどうか、又補正をされる意思があるといたしましたならば、その補正の時期というものはいつであるか、この点についてお尋ねしたいのであります。
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。世界の情勢、殊に最近共産主義に対する防衛とかいうような点からして、いろいろな複雑な形を以て国際の情勢が動いておりますが、これに対して動くたびごと予算を補正するということは、補正の予算に変革をするということはできないことであつて、一応の見通しを以て今度の予算は作つてあるのであります。然らば今後の見通しはどうであるか、しばしば申すことでありますが、国際情勢は占いを許さないのであつて、現在持つておる資料によつて一応の考案を立てる以外には方法はないのであります。故に将来事態に応じて、世界の情勢、客観情勢等の事態に応じて、補正予算なり、或いは更に一層申せば、補正以上の変革を要する場合もあるかも知れませんが、今日においては補正というようなことは考えておりません。政府の見通しが間違つておるだろう、故に政策の円滑は期しがたいと、こういうお話でありますが、政府としては一応の見通しを、一応の考案を以て予算を作つたので、この予算によつて組上げられた政策の実行は不可能であるという見通しは今日我々は持つておらないのであります。差当りのところ、予算の組替え若しくは補正ということは考えておりません。お答えをいたします。
○内村清次君 吉田総理の自由党青年部大会におきまする挨拶及び自由党の政調参与会総会におきまするところの発言は、来るべき国内的な選挙対策といたしましての発言といたしましては、余りにも今微妙に動いておりまするところの対日講和の前途に対しまして、平和を愛好する国民に対して大きな罪悪的な言辞であると思わざるを得ないのであります。行政の責任者といたしまして、軽々しき御意見であつたと遺憾に思います。勿論吉田総理のお考えは、過去各国会の施政方針演説に現われまするように、自由主義国家群に頼つてその一員に復帰するということを希望しておられるのでありますが、時によりますと、独善的な外交白書を発表せられまして、左にあらずんば右に付くべしと国民に呼びかけておられます。特定の国の歓心を買おうとしておられます。こういうことは私がここに申上げるまでもなく明らかであります。又講和の方式につきましては、全面講和が望ましいが、早く日本と講和を結ぶ国があれば多数講和で行くと、至極常識的なあなた任せで安易な表現をなしておられます。更に又外交に対しましては、相手のあることであるから、相手の国のことを常に善意を以て迎えねばならないと主張しておられます。全面講和が好ましい、相手の国のことを常に善意を以て迎えねばならないと主張しておられるところの総理が、事共産主義諸国との講和に対しましては激しくこれを論難して、米国は日本の共産主義を米国に対する反感と考えておる、共産主義国と講和するということが日本の安全を保障するものでない、不可侵條約を破つたのはソ連その他の国であつた。條約を尊重しない国と條約を結ぶことは意味がないと、はつきりと講和と安全保障の問題を拒否しておられます。又全面講和、中立は、裏を返せば共産主義を容認する意見であるとまで断定されております。誠に一方的でありまして重大であります。ここでお尋ねいたしたいことは、ダレス特使は帰国後、対日講和の草案を上院において説明せられまして、その草案の写しは参戦十二カ国はもとより、ソ連邦に対してもこれを送付して、その意見を求められておられますることが外電によつて明らかであります。総理はこの米国の公正なる斡旋も、事共産主義国家に対しましては無駄であり、迷惑であるとお思いになるかどうか。次に、日本国憲法の制定は確かに吉田総理の首班のときであつたと思うのでありまするが、憲法の前文に「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、」と主権在民を宣言いたしております。又「日本国民は、恒久の平和を念願し、」と述べて「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と述べております。これは明らかに日本の平和と、同時に又世界の平和に通ずるところの中立性を表明しておるものと思うのでありまするが、総理はどういうふうにお考えであるか。
○国務大臣(吉田茂君) 全面講和については常に私が申す通り、できれば結構である、好ましいことである、得べくんばそうしたい。併しながら相手国があることであるからして、対日講話を拒む国があればいたしかたない、これが私の議論の根底であります。できればしたい。併しながら相手かたが承知しない以上は講和を強要するわけに行かないじやないかというのが私の考えであります。又私の話の、演説でありますか、挨拶でありますか、どの場合であつたか、御指摘の場合はとにかくとして、いずれにいたしても、日本としては講和のできる国からして行くべきものである。一国も余計に日本は、平和関係に入りたいことを欲する国とは一日も早く講和をして行つて、これが全国に及ぶ、これが常識である。これはもう私の始終考えておるところであります。然らば日本に対して、日本の安全を脅かそうという国があれば、これに対しては反抗せざるを得ない。日本の安全独立は守らなければならん、その場合において、日本が幾ら軍備を撤廃しても、或いは又抵抗しないとは言いながら、併しながら日本の独立は守らなければならない。この独立を侵す国に対しては、自衛権の発動をせざるを得ない。今日共産主義国と自由民主主義国との間の国際の間の関係は非常に微妙なものであつて、日に苛烈になつておる。若し共産主義国が連合して集団的攻撃をいたす場合においては、我々は集団的にこれを防禦せざるを得ない。又日本の安全、独立なりを自由国家が日本と一緒になつて、日本を保護してくれるという国に対しては、共同防衛の一環になつて日本は行くべきであるという趣意を申述べたのであります。私の演説全体を御覧になればわかると思いますが、演説の一部を捉えてこうだ、ああだとおつしやつても迷惑至極であります。次に、ダレス氏との会談、マリク大使に対する話は結構であります。私はその成功を望むのであります。併しながら、できなかつた場合にはいたしかたないと申すのである。中立論については、これは抽象的に申したのであります。日本は独立せんと欲した、ところが中立條約或いは不可侵條約が過去においてしばしば破棄せられたのであつて、不可侵條約があるにもかかわらず、他国を侵害したことがしばしばある現状において、中立によつて日本の独立を守るということはおかしな話だ、こう申すのであります。私はそう確信いたします。又その他のお話は何であつたか、ほかに何でしたか。
○内村清次君 続いて私……、
○委員長(波多野鼎君) 内村君、あと五分ですから……。
○内村清次君 総理は本委員会におきまして、私の質問に対して、再軍備論は隣邦諸国を刺戟する、対日感情を悪化する、誠に迷惑であると言つておられますが、総理がソ連邦に対しましての悪罵は、ソ連邦の感情を刺戟しまして、みずから全面講和を崩そうとし、更に憲法にきめられておりますところの思想の自由、結社の自由等、基本的な権利を、事をかまえまして、共産党の非合法化の迷いの刀、迷刀をかざしておられる吉田総理は、みずから日本の国内に右か左かの三十八度線を画して国内平和を紊し、延いては日本の戦場化、朝鮮の二の舞をなす危険を誘発せらるるような御発言があるように考えられるのでありまするが、総理はどういうふうにお考えになつておられますか。それから第二点としましては、最近自由党におきまして、公務員の給与の引上げを考えておると、こう発表いたしております。これは総理と何か通じて、而も総理は大蔵大臣と検討して見ようということを言つておられるそうでありますが、勿論国家公務員及び地方公務員は、物価の上昇によりまして、生計費の上昇というものはひどいのであります。これはどうしても解決しなければならない時期に来ている。併しながらこれを政党のほうでやつておられまするが、今まで政府がやりましたあの給与体系というものは、常に人事院の給与体系を無視されたところの給与体系をとつておられます。総理は人事院に対しましては、もうすでに講和前におきまして、これを廃止しなくてはならないというようなことをお考えになつておるというようなことを私は聞いております。ところがこの人事院の即ち権能、人事院の公務員に対するところの、この国家公務員に対するととろの、こういう科学的な調査、こういう点を総理はどういうふうに考えておられるか、即ち国家公務員に対するところの給与の値上げをされようと考えておられるかどうか、それから次には人事院に対しまして、総理はどういうお考えを持つておられるのであるか、これを講和前に廃止されるのであるか、或いは講和後に廃止されるお考えであるか、この点が二点。それから時間がありませんから、もう一点申上げまするのは、開発問題でありますが、政府のほうでは二十億のクレジットをして、そうしてそれを大体電源開発に当てようと考えておらるると聞いております。勿論総理は電源開発の問題につきましては、相当熱意あるところの今まで言葉を聞いておりまするが、一体この総合開発の問題、こういうような問題に対しまして、具体的な御処置をなされておるかどうか、又どういうお考えを持つておられるか、この一環といたしまして、今回鉄道の電化におきましても、僅かにこの高崎線の電化に十六億です。又幹線の電化に対しては五億しか出していない。而もその幹線の電化に対しては僅かに五千万円しか実行予算を出さないということを政府は考えておる。こういうようなことで国鉄の独立採算が解消するかどうか、同時に又即ちこの輸送難が解消するかどうか、こういう点につきまして御答弁を願いたい。今一つは、建設問題でありますが、鉄道の建設問題、これに対しましては総理は、いわゆる戦後におきまして約百数十線の建設予定線というものが今放置されてあります。こういう鉄道の建設問題に対しまして、地方の文化的な、平均的な向上を考えるといたしましたならば、早くこれを取上げなければいけない、すでに参議院におきましても、もう決議として現われております。この決議をなぜ政府は実行されないのか、僅かに今回の予算には三億円しか組んでない、こういうことでよろしいのであるかどうか、この五点につきまして一つ御説明願いたい。
○国務大臣(吉田茂君) お答えを申上げます。私は事実を事実として申述べたのであつて、過去においてソヴイエトが不可侵條約若しくは中立條約を侵して、そうして侵略をいたしたという事実を事実として申したのであつて、その事実を申したからと言つて、ソヴイエトを侮辱するとか、或いは讒謗するとかいう考えは毛頭ない。それは事実を事実として申しただけであります。それから共産主義については始終申す通り、日本の治安を紊し、若しくは日本の安全を害する場合においては、断然たる処置をとらなければならん、こう申しておるのであつて、そのことのないことを私は希望いたします。併しそういうことがあれば断然たる処置をいたさなければならん、これは当然なことであると思うのであります。それから今の電力開発でありますが、二十億によつて電力を開発するというような具体的の考えは持つておりません。できれば二十億、三十億結構であると思いますけれども、話はさほどに進んでおりません。併しながら日本の電力資源が唯一の日本の資源で、この資源を開発することによつて日本の産業の前途、或いは従つて生産コストを下げるとか、いろいろな利益がありますからして、できれば日本に降る面の一滴といえども利用いたしたい。水力源の発達については如何ようにも政府は考えて、その発達を期したいと思います。然らばどうするかと言えば、結局資金ということになりますが、これは貸す人があつての話であつて、今日日本に対して貸してやろうと
 いうような篤志家はまだ現われておりませんから、さほどフランスのような具体的に話が進んでおるわけではない。希望とすれば二十億、三十億、多々ますます可なりであります。この日本の電力源の開発によつて日本の産業発達が期せられることでありますから、極力私は開発をいたしたいと思います。鉄道については、できれば結構でありますが、これ又財政全体と関連する話で、今日においては現在以上に鉄道の敷設のために力を盡すことができませんから、やむを得ず三億でありますか、四億でありますか、私は覚えておりませんが、できるだけの支出をいたして、この発達を図ろうといたしております。できれば日本国至るところに必要な交通線に対しては確保いたしたいとは考えております。
○内村清次君 それから公務員と人事院の問題……。
○国務大臣(吉田茂君) 公務員の給与
 については、私はこれは年来の主張でありまするが、何にいたしても日本の
 役人と申すか、公務員の給与は安いのであります。殊に物価値上り等、それらのために公務員は相当苦しんでおります。他省はとにかく知りません。とにかくじやない知りませんが、外務省あたりの役人も相当困つておることは事実でありまして、何とかいたしたいと考えますが、これも財政全局から考えて見て如何ともできないような状態で、余裕の財源を見つけて成るべく早く給与の引上げはいたしたいと思います。人事院の制度については、これは今日私はとやかく申しませんが、何となれば具体的な案がありませんが、併しながらその組織は実情に適しないものもあり、人事院の反省を促したいと考えております
○高良とみ君 予算の全般を拝見いたしまして、二、三御質問申上げたい点があるのであります。順序はいろいろありますが、先ず私ども心を痛めますことは、過去の戦争の跡始末のことでありまして、今日でも依然として白衣をまとつた片輪の人たちが街頭に、或いは車中に金を求めて歩いているのは、その実情から申しますると、末端におきましては傷病恩給等が僅かでございまして、高々三千円程度のものがその人たちの手に入る。而も両脚を失いました者が、その補償といたしまして二百八十円の年額の支給を得るのであります。両眼を失いました者が三百二十円の年間の補償を得るのでありますが、これは恩給から差引かれ、又生活保護等を受けます場合にも、少しでも家があつたり、或いは働いたりいたしますと、それが差引かれるのでありまして、こういう過去の戦争犠牲者が今日どういろ心境であるかということは、私ども国民としてどうしても忘れることのできないことだと思うのであります。
   〔委員長退席、理事佐多忠隆君委員長席に着く〕
 で、これらの傷病恩給というものは、一般公務員等の傷病恩給に比べますと、約二十分の一にしか当らないというような統計も出ておる有様でありまして、この傷病者に対します社会福祉につきましては、厚生委員会においても十分考えており、一面は今まで五倍であつたものを更に二倍にしてあげたと申しまするけれども、これらの人たちは自分たちが非常に国家の命令によつて損な籖を引いたという感じを持ちやすいのであります。なおそれに併せて考えますことは遣家族でありまして、若し子供があつたならば養つてくれるであろうと、その晩年を悲しみ、或いは片輪になり、働らけず、大勢の家族を抱えた者は、この人たちが戦死しなかつたならばと思うて、暗夜ひそかに国家の命令をくやんでおる者が随分あると思うのであります。未亡人につきましては申すまでもないことであります。これらの遺家族に対しまする保護は、ドイツなどにおきましても、すでに二百万の戦争犠牲者に対しましては、十分な施設をやつておるということが最近にも報告されておるのでありまするが、私どもそのドイツのような全支出の三%を戦争犠牲者に払うということは日本の財政では只今は困難でありますが、その場合に中央における大きな支障になつておりますることは総理も御存じの通り、早く出されましたスキャップの覚書A・G二六〇号及び七六五号というものがありまして、これによりまして、一律平等な法則を以つて、生活保護等によつて国民を保護すべしということなのであります。併しこれらの戦争犠牲者の心中には、一律平等のみでは少しく割切れないものがあるのであります。この点が私ども引揚同胞の委員会及びその他の国民全体の意思を反映いたしましても、早急に前の戦争の跡始末として片付けなければならないことだと思うのであります。この人たちの遺族の申しまするには、次の再軍備とか、或いは次の戦争の用意というようなことは、聞いただけでも実に不可解な、又ぞつとする感じを持つというのも尤もだと思われる点があるのであります。そこで総理におかれましては、このドイツ、オーストリア等において、すでに緩和をされておりまする占領当時の国民に対しまする、殊に戦争犠牲者に対しまする制限を緩和し、これを拡大いたしまして、国民の間に不平なからしめるために御盡力頂ける御意思がおありになるかどうか、これは專ら総理の御盡力を以てしなければ、如何ともし得ないことだと私どもは了解いたすのでありまして、特にこの点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。傷病兵その他戦争犠牲者及び軍人の遺家族の状態については、私も甚だ同情いたしております。が、少しく話は元に戻りますが、過日遺家族の待遇をどうするかという、多分参議院においての質問と思いますが、これに対して私はつきりどうかいたしたいということをお答えいたしておるのであります。ただ今日直ちにということは考えなきやならんことは、一体かくのごとき犠牲者に対して差別待遇と申すか、甚だ遺憾な手当、保護を加えるということに至りましたのは、日本が軍国主義国であつて、平和を愛好せざる国民であつて、そうして戦争を好む国民である、こういう誤解から、終戦の直後におきましては、軍人であるが故に特にその家族を、特にその犠牲者を優遇をするということは相成らぬという厳重な司令部或いは連合軍の意思発表があつたのであります。で、当時は日本を敵国と考え又平和を害する国民であると考えての話でありまするが、その後日本の実情もだんだんわかり、日本国が必ずしも戦争を好み、若しくは平和を破壊する国民ではないのであるという実情がだんだんわかつて来て、連合国においてもこの点についての了解は非常に進んだと思います。故に戦後は勿論のことでありますが、今日においても連合軍としては、或いは極東委員会においても、この点についての誤鮮は大分永解いたしたと思います。故に政府は何とかしたい、或いは又それに保護を十分加えたいと考えても、政府の意思は誤解することはないと思いますけれども、併しながら、たまたま日本の一部に再軍備論が起りますと、直ちに世界の国の一部においては、日本は又再軍備をし、若しくは元の日本に返り、あの軍国主義国に立戻るという危険があるというので、いろいろ議論をいたしておるのでありますから、講和前における日本としては、種々の点について慎重にいたさなければなりまるんから、直ちにこの問題を取上げて、この議会にとか、或いは次の議会に出すとかいうことは、はつきり申すことは差控えたいと思いますが、併し政府としても、或いは国民全体としても、これらの犠牲者に対しては、相当の同情を持ち、又理解をいたしておると考えますから、今後いつかは御希望のようなことになると考えます。又そういたしたいと私は考えます。これははつきりお答えいたして置きたいと思います。
○高良とみ君 それと併せて考えられますことは、軍人ではありませんが、海外から引揚げて来た同胞に対する待遇でありまして、昨年度も三十七万というようなものが帰る予定で予算が組まれておつたのであります。それが僅かしか引揚げることができませんでした。ところがその資金が年末になりますと、ほうぼうに流用されてしまうのでありまして、本年度もすでに予算に上つておりますように、二十六億九千万余りが計上されておりまするが、本年度幾人帰るかわからない、その場合に、予定されておりますものを、同胞が帰らないからといつて、ほかの費目のほうに流用されておりますことは、留守家族といたしましては、実に断腸の思いに迫られるのであります。従つて今日もなお寒い地区におきまして、家もなく開墾等に従事しております同胞といたしましては、これらのものを、せめて引揚げたものに対する住宅の改善その他の福祉事業に使つてもらうことこそ、同胞に対する愛情ではないかという声が強いのでございまして、この点は大蔵省において、そう考慮されれば勿論できることでありましようが、なお国策といたしまして、留守家族及び引揚げて参りました同胞の心情をお汲みとり頂くことができるのではないかと思うのであります。その点もこれは前の戦争の跡始末なんでありまして、これらの人たちが国家に対して釈然としないものを持つておりますることは、私ども十分に同情を以て見るべきではないかと思いまして、総理はこういう費目につきまして、他に流用せず、又これを十分に住宅その他の福祉事業に向けるべきものとお考えになりますか、どうかを伺つて置きたいのであります。
○国務大臣(吉田茂君) 一応私からお答えをいたして置きますが、私としては誠に御意見の通りで、どうかいたしたいと考えますが、詳細のことにいては大蔵大臣からお答えをいたします。
○国務大臣(池田勇人君) 同胞引揚費といたしまして、毎年二、三十億或いは一昨昨年は四、五十億を計上いたしておつたのでありまするが、お話の通りに我々の期待しているように引揚げがないのでございます。従いまして余りました金は、そのときどきの財政需要に当つてるために使つております。而してすでに引揚げられたかたがたにつきましては、住宅その他別途の費用を計上いたしまして、できるだけのことはいたしているのであります。引揚者が予定通りに来ないから、それをすでに引揚げられた人にすぐそのまま廻すということは財政上如何かと思いまして、引揚げたかたには別途にこれが対策を講ずべきものであると予算上は考えているのであります。今までもできるだけのことはいたしておりまするが、今後におきましても、引揚者は必ずしも楽な生活をしておられませんので、これにつきましては今後十分今までのこと以上に努めたいと思つております。
○高良とみ君 その御趣旨において是非徹底させて頂きたいのは、ただ住宅等の費用が上げてあると言いますけれども、それが非常に僅かなのでありまして、各地を視察して見ますると、殊に人間らしくない家に住まねばならぬ事情の引揚者が多い。そこに国家に対する愛情というものが出ないことを更に附加えて申上げまして、特に大蔵当局の深甚なる御考慮を希望するのであります。
 次に伺いたいのは、戦争犯罪人として外地に七百二十名、巣鴨に千三百四十六名、及びその他を合せまして二千六十余名の同胞が戦犯として受刑をしておられるのでありまするが、巣鴨における同胞のことはここでは申しませんけれども、海外の遠隔の地にありまする人たちが、日夜どのくらい熱心に故国を思つておるかということは、私ども思わなければならんことだと思うのであります。その死刑の救命に対する運動ももとよりでございまするが、生き残つた人たちも或る地方におきましては、食糧は大の男で一日二合余りである。飢えに迫られつつもこれが自分たちの受ける運命であると思い、せめて講和條約はと願つておるのであります。私ども聞くところによりますと、講和條約に当りましても、これらの人たちの法的な立場は任務を果すまでは許されないかに伺うのでありますが、せめて内地における服役につきまして、講和條約に際しましては、一つ特に首相におかれまして、内地服役、或いは中には再審査を要望するに値いするものもあるのでありまするから、この点につきまして、御盡力を頂けますかどうか、お伺いしたいと思うのであります。
   〔理事佐多忠隆君退席、委員長着席〕
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。戦犯者中、外国ですでに刑の宣告を受けた者等の間に、数はしつかり覚えておりませんけれども、漸次日本に送り返され、若しくは減刑或いは赦免をされて帰つておる数は、ここ数にについてはつきり覚えませんけれども、相当ございます。又将来の問題については、これは私にはここでお約束はできませんが、成るべく同じような処置に出るように十分努力いたしたいと考えます。又講和條約等になれば、自然敵国関係は解消せられるでありましようから、相手国においてもその釈放或いは日本において内地服役というようなことについては相当考慮いたしてくれると思いますが、私といたしては、或いは政府としては十分努力いたします。
○高良とみ君 もう一つだけ。それは地方に対する平衡交付金の問題でありまして、教育の実情から私どもここにおきまして非常な努力を払つて教育財政の確立に盡力をいたすのでありますが、如何に学校の基準をきめまして学校の生徒及び建築、六三の建築を初めとし教員の待遇から諸設備のことについて、近くは教科書の配給等について国会においてきめましても、これが平衡交付金中に一緒に入れられてしまいまするために、末端に行けば地方庁及び町村はこれを教育に使うべき義務がないのであります。従つてどうしても弱い所にしわ寄せが行きまして、教育者及び兒童は今日の中央における教育財政の確立と地方自治庁を通しての各地方自治の問題に非常に頭を悩ましておるのであります。つまりこの点をはつきりいたしませんければ如何に平衡交付金を増額いたしましても、教育の確保はできないのであります。この点首相が常に熱心に教育に力を入れ、殊に国民道義、愛国心というようなことを言われるにつきましても、本当の首相の御趣旨は教育をしつかり確立することにおありになると思うのでありまするが、これは首相の御盡力をほかにしては解決し得ない段階に来ておると私どもは考えるのであります。即ち文部省の要求いたしまする標準教育費、或いは基準設立教育費というものを守つて行くように、地方自治権に侵害されないように御裁断を願いたいのであります。地方自治に対する尊重、地方分権に対する大事なことは勿論了承いたしまするけれども、これが平衡交付金として十把一からげに地方へ行けば教育はその使途を支配され富める県は十分やりまするけれども、そうでないところでは教育が受難をいたしております実情を申上げまして、御盡力を願いたいと思うのであります。
○国務大臣(吉田茂君) 御意見は私も甚だ御尤もに考えるのであります。又文部大臣から絶えずこの点については意見の開陳がありまするが、何分法律が、制度がそういうふうになつておるのでありますから如何ともできませんが、併しその制度の改正ができましたならば政府は無論これに対し異存はないのであります。何分妙だと申せば語弊があるかも知れませんが、制度がそういう工合になつておるために私も甚だ遺憾に思います。
○竹中七郎君 私は只今ちよつとお話が出ました地方平衡交付金の問題に関連いたしまして、首相は地方財政委員会の勧告というものと大蔵省の考え方におきましてその仲介の労をとられるのが首相のお役目であるとかように考えるのでございます。然るに第九国会におきましても地方財政委員会からの勧告によりまする地方補正予算八十億に対して三十五億、この二十六年度におきましては交付金におきましては約百九億、起債におきましても約二百億の大蔵省との食い違いができておるのであります。この問題に対しまして我我が考えますところにおきましては大蔵省というのはどの省の予算にも査定をする。まあ地方公共団体の予算というものが約五千億ばかりあるから一割ぐらい削つてもいいだろう、こういう大ざつぱなお考えであるのではないかということを先ず考えるのでございます。然るにこの地方団体というものは一万以上の市町村があり或いは府県がある。そしてその内容というものはおのおの違うのでありまして、東京都或いは大阪のごときは平衡交付金は一文も貰わんでもやつて行ける。市町村におきましても平衡交付金を貰わなくても金が余つておる所がある。併しその余つておるものを地方財政委員会がこれを吸上げてほかへ廻すことはできない。然るに大蔵省は十把一からげで一つの決算を考えましてそれでおやりになりますから、非常に経済の逼迫せられました県などにおきましては平衡交付金がたくさん参りますけれども、中間のいわゆる市或いは県というものはいろいろな事業をやり、その府県が今伸びようとしておる、こういうところに対しまして仕事をしようと思つても起債はなかなか許されない。そして平衡交付金は来ない、結局伸びるやつが抑えられる。こういうのでございますから、私は首相はこの自治体とういものを強化するお考えであるか。或いは抑えてしまうお考えであるか。プールにして、日本の自治体というものはもういいやつは一つか二つであります。こういう県は伸びてもいい、市町
 村でも平衡交付金を貰えるようなところはどんどん伸びるが、もうこれから伸びて行こうというようなところは抑えてしまう。こういうようなお考えであるかどうかということを私はお伺いしたいと思います。
 大体大蔵省のお考えなどをこの年末手当の問題を通じまして考えますというと五十億か違うのであります。これは二十四年度、二十五年度におきましては地方自治体の財政需要のうちで賄つた、二十六年度もその通りにやれ、こういうのであります。併しこの地方の税法は二十五年度におきまして改正されまして、二十四年度のときとは相当違つておる。然るに大蔵省におきましては二十四年度の決算を基礎といたされましていろいろのことをやられます。でありますから地方財政委員会の考え方と大蔵省の考えとは非常に違うのであります。その間に立たれまして首相はその按配をせられなくて、大蔵省一本の考えにおきましてやられ
 たのではないかと、かように考えるのであります。私も地方行政委員のほうをやつておりまして、いろいろ地方自治庁或いは財政委員会の問題を検討いたしましたがどうしても考え方が違う。もう一つは大蔵省は査定しなければならないというのでありますがこういうことはたくさんある。財政状態の非常に違いますところの自治体を対象とせられまして、かような見地でやられましては伸びようとしておる自治体はうまく行かない。こういうことになるのでございますが、総理大臣といたされましてはこういう按配をつまりなぜおやりにならなかつたか。又もう一つは地方自治体の中間のものは皆抑えてしまうお考えであるかということをお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 地方自治体を抑えてしまうとかいうような考えは毛頭ございません。又民主政治の根抵は地方自治から生ずるのであつて、地方自治については十分政府としても考慮は払いたいと考えます。今予算のやりくりその他につきましては大蔵大臣からお答えをいたします。
○国務大臣(池田勇人君) 平衡交付金の全体の枠の問題につきましては、大蔵省といたしましても地方の実情をできるだけ検討いたしまして、又地方財政委員会の意見も十分聞きましでこれにマッチするように努力はいたしておるのでありまするが、事実問題といたしまして財政委員会等との意見の相違は御指摘の通りであります。何分にも国家財政はそう豊かなものでございませんから、今後においてはできるだけ平衡交付金を殖やすようにはいたしますけれども、現状といたしましては今御審議を願つている程度が最大限でございます。そうして枠がきまりましたその枠内におきましての各公共団体の分配の点につきましては、地方財政委員会が各地の実情に沿つておやりになることと思うのであります。何分にも地方財政平衡交付金は施行後まだ日が浅いのでございます。その間におきまして各地の経済事情が変化しておりますので、お話のような点もあるやに聞いておるのでありますが、今後そういう点は十分直して行かれることと私は期待いたしておるのであります。
○竹中七郎君 もう一点お伺いしたいと思います。失業対策につきまして、大蔵省は現場の状態を余りに御考慮に入れておられないのじやないかと私は思うのです。それらにつきまして予算の考え方におきまして違うのではないか。失業対策におきましては、大体労働省におきまして労力費と申しますか労務費が八二%、あと事務費が九%、資材費が九%というのでありますが、本当の現状というものは労務費が五〇%になるとか或いは六〇%そして資材費が四〇%もかかる、事務費はこれは九%くらいでありますが、財政委員会におきましては、労務費が七〇%で、あと事務並びに資材費が三〇%というように考えております。財政委員会が考えておりまする以上に、本当の現場におきましてはかような状態であります。この開きというものは相当あるのであります。これが全体につきましてどの費目に対しましても出て参るのでございますが故に、大蔵省のお考えになりまする点と実際の自治体の状態とは違う。それで財政委員会がその実態をとらえましていろいろないわゆる平衡交付金の増額を政府に勧告すると、こういうように相成つております。この点につきまして大蔵省は相当お考えにならなければ、自治の健全なるいわゆる民主主義の政治ということはできないと考えるのでありますが、もう一度、大蔵大臣からお願いいたします。
○国務大臣(池田勇人君) 地方の実情につきましては昨年来十分検討を加えておるのであります。何分にも一万以上の各団体の実情を大蔵省が手に取るように調べ上げるということは只今のところは困難であるのであります。然るに先ほど申上げましたように、我々といたしましてもできるだけ地方の実情を知るように今後努力いたしたいと考えております。
○竹中七郎君 大蔵大臣は自分はお調べになればいいですが、大体地方財政委員会、内閣が一つの独立機関を持つてやつて来ておる、であるから地方財政委員会を御信用にならんということが、私は一番問題になる、かように考えるのであります。この点に対しまして、首相の御答弁を伺います。
○国務大臣(池田勇人君) 地方財政委員会を信用しないというのではないのでございます。地方財政委員会を信用しますが、我々にも我々の意見のあるところがありますので、そこで喰い違いの点があるのであります。地方財政委員会におきましても、まだ出発早々
 でございます。十分御存じない点もあるやに聞いております。我々の方も先ほど申上げましたような状態であるのであります。だから両者ともできるだけ地方の実情を十分把握したい、今その過渡期でありますので、両者の意見が遅う点があるのであります。
○櫻内義雄君 朝鮮動乱の見通しにつきまして総理にお伺いいたしたいのでありますが、本年度予算もこの朝鮮動乱により大きな影響を受けて参つたのでございます。で現在この朝鮮動乱の見通しについては、三十八度線で一応安定するのではないかというような見方と、それから更に再度積極的な行動が国連軍によつて行われるのではないかという二様の見方がある。一部に三十八度線で安定してもらいたいという希望的な観測、こういうものがまちまちになつておるのであります。その際におきまして、去る七日国連軍総司令部の発表としまして、マツカーサー元帥は、中共の宣戦布告なき戦争によつて提起された未解決の問題に暗雲を投げておる不明瞭なものに対し、国際間の最高水準によつて回答が与えられるべきだ、かように申しておるのであります。その後の新聞報道に或いは解説等によりますと、これは国連軍総司令部としては更に積極的な行動をとるのではないか、こういうようなふうに観測せられておるのでありますが、この朝鮮動乱の見通しによりまして特需と民需を如何に調節して行くか、或いは特需に応ずるための原料獲得を如何にするか、又現在やかましく言われておりますところの重要物資の割当についてどういう措置をとつて行くのか、といういろいろな問題がここに起きて来ると思うのであります。更には国民に対して政府としての現在の動乱の見通しを明瞭にしておくということは、国民が政府に対する協力をする上において欠くべからざることではないかと思いますので、総理の御見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) お答えをしますが、朝鮮動乱の見通しというお尋ねでありますが、これは私には自分の考えをここで述べます確的の資料は持つておりません。新聞以上の何も持つておりません。又機密にも属することでありますから私から総司令部等について尋ねることも差控えております。従つて三十八度線を越すか、越さないかということはわからないことでありますが、大勢から申すと朝鮮問題は余り長くないうちに始まるのではないか、こう思います。それは常識で判断をいたすのでありますが、長く中共軍にしても三十八度線を行きつ戻りつしておることを繰り返すということは中共政府も好まないでありましようし、いわんや国連としては成るべく早く東洋の平和を回復したいとい、ことを考えて種々の手段を盡しておるので、その他の国も同じ考えをいたしておるでありましようから、朝鮮の動乱はそう長くいつまでも続きはしないであろう、希望をいたせばそう考えます。
 そこでお話の民需はどうするか、或いは日本の現状はどうするか、今日の原料と申せば殆んどアメリカが一手に握つてる状態である。聞くところによればワシントンにおける各国の競争といいますか、代表者は一に原料の獲得を争つておるというような状態で、アメリカのワシントンにおいて原料の確保を唯一の手段として、おのおの自国の産業の前途を確保しておる。この間に立つて日本がどれだけの獲得ができるか、これは総司令部も日本のために十分応えてくれておるのでございますけれども、見通しと申せば、見通しはないのであります。一にワシントン政府の決定によるものであり、又米国との間の釣合と申すか話合の結果にもよることでありましようから、今日のところではどれだけ確保できるかということは予断を許しませんが、併し政府としてはGHQを通じて成るべく日本の産業が生き立つように、更に民需についても十分な物資が出廻るようにいたしたいと盡力はいたしておりますけれども、どれだけということは今日どこの国も見きわめはついていないと思います。只今ワシントンにおいて各国とも折衝中である、こう承知しております。
○櫻内義雄君 先般新聞報道になりました州兵二箇師の派遣につきましては、総理は確たるその報道を受けていないということでございます。その後今日十七日にはペース陸軍長官の談話によつて統合参謀本部のこれは結論である、点頭部隊と防衛部隊が戦後の日本に緊急な措置であるということを報
 道しておるのであります。ところでこの州兵二箇師の派遣の伝えられるところの一部の要因といたしましては、北海道の治安確保というように言われておるのでありますが、現在相当国内の治安確保につきましてはいろいろ問題がある。先般の三国人の米兵に対する暴力問題もございましたし、特に北海道はその点では重視しなければならないということは大橋総裁も言われておるのであります。そこでこれらの問題について現状のままで治安については政府としては万全であるとお考えであるかどうかということと、最後に極く簡単なことでございますから附加えてお尋ねしたいのでございます。
 御承知の日発と配電会社の間で相当なトラブルがございまして聴聞会も昨日で終つておるのであります。ところで公益事業委員会がこの三月三十一日に確定指令を出すのが順序でございます。併しながらこのままの状況で確定指令を出すのを政府としては見ておられるのか。当然確定指令が出てしまえば、日発は恐らく集中排除法によつて総理に提訴すると思うのであります。そういたしましと、ますますこの問題はこじれるのでございまして、結局伝えられる人事問題或いは株式の比率問題について政治的な解決が必要じやないか。そういたしますれば五月一日からの新会社の発足にも障害を来たす
 し、又総理が多年御主張になつております電力の開発等にも障害が及んで来ると、かように考えますので、この最後の二点についてお伺いいたしたいと存じます。
○国務大臣(吉田茂君) 只今御承知の通り日本の治安、日本のほうは占領軍が全責任を以てこれに当つておりますので、この州兵二箇師団の派遣の目的等についてもこれは占領軍の全責任においてやつていることでありますから、私からしてとやこう申すことはいたさないほうがいいと考えております。又詳細なことは軍機にも関係することでもありましようからあえて尋ねても見ません。その他日本の治安、安全については日本占領中の占領軍の責任においてなされるのでありますから話合をいたしているのでありまして、従つてその占領軍が今日の事態において日本の安全が脅かさるる事態でありとするならば、必ず占領軍司令宮からして何とか話がありましようが、私の承知しているところでは、現在のところ何ら心配はない、相当の兵力を持つて、日本の周辺においてその安全を守るだけの兵力を持つていたしているということを承知いたしております。北海道の治安についても同様であります。
 次に電力の問題でございますが、これは御承知の通り公益事業委員会が一応の始末を付けると言いますか、具体案を作ることになつておりまして、その答案と申しますか、具体案については一応作つたのでありますが、それに対するいろいろ疑義があり、お話の通り公聴会等も開かれての問題になつております。その結果についてはまだ承知いたしておりませんが、いずれ公益事業委員会からして最後の具体案を持つて来るものと考えております。只今のところまだ受取つておりません。公益事業委員会の答案を見た上で政府は能度を決定したいと考えております。
○東隆君 私は北海道を中心として政府の施策について二、三、お伺いをしようと思うのであります。北海道は戦後に残された四つの島のうちの二番目に大きな島であつて、御承知のように未開発資源も相当ありますが、豊富なこの天然資源は根こそぎ持ち出され、この傾向は今後ますます甚だしくなるのでないかと、こう恐れておるのであります。北海道独自の経済力がないために、政治的な変革や経済上の変動が行われるときには最も大きな影響を北海道は受けておるのであります。良きにつけ悪しきにつけ大きな影響のあるのは丁度風船玉のあの弱い所が一番先に膨れて、そうして果ては破けて行くようなものなんで、ゴム風船のような北海道というより、日本を風船玉として、そのうち一番破れやすいところがこれが北海道だと、こういうふうに私はいつも思つておるのでありますが、この一番弱い点に対して私は万全の策が施されれば、それから起きて来るところのいろいろな問題は先手先手で以て策ができるのではないか、こうも考えておるわけで、こういうような見地から私は先ず第一番目に桜内さんから御質問のありました北海道の治安の維持をどうするか、こういう問題なんであります。一番危険なところにあるのでありまして、これをしつかりやつて行かなければならんと思うのですが、私は簡単に一つ力強く首相の決意をお聞きし、そうして、それを一つの法務総裁と大蔵大臣に聞いて頂きたいと思うと同時に、私は心から北海道の者がそれを聞いておると、こう申上げたい。治安の維持をどうするか、こういう問題か第一点なんであります。
○国務大臣(吉田茂君) 北海道の周辺といいますか北辺にサガレンがありその他千島がある。従つていろいろな流言飛語の飛んでおることは御承知の通りであります。又流言飛語を飛ばすことのみを業としておる者もあるのであろうと思います。いわゆる神経戦をこれによつて激化させようという策略といえば策略があるのかとも思われますが、御承知の通り流言飛語は甚だ盛んであります。併しそれがどれだけの根抵があるかとということは誰しも知らないことであると思いますが、併ししつかり確的に申すことは例えば、先ほど申した通り北海道の周辺といえども占領軍は相当の設備、施設をいたしておるそうであります。でありますから周辺については必配はない。又北海道内の治安については国警その他或いは警察予備隊等において十分の注意をいたしておりますから、内外ともに差当りのところ何も心配はないと私は考えております。
○東隆君 北海道の次は資本蓄積をどうするかという点でありますが、北海道総合開発法ができ、開発庁が生まれて公共事業費は約全体の六%ほど来ることになつておりますが、北海道は明治初年のごとくに先ほどもありましたように国境に接しておるのでありまして、あの国境に接しておつたときに、明治政府が国歩艱難のときに注いだときのあの開拓の熱意、そういうようなものから考えますと、私は北海道に対するところの熱意の入れ方が非常に少いのでないか。こういうふうに考えるのでありますが、開発庁関係の仕事を通して本腰を入れてそうして首相はおやりになる気か、その心がまえを一つお聞きしたいのであります。
○国務大臣(吉田茂君) 明治の初年における北海道開発の計画等については私は存じませんが、併しながら現内閣としては現内閣に至つて北海道開発審議会を設け、又主管大臣を置いてこの開拓の事業に専念さしております。故に政府としては本腰とかいうような問題は全然なくて、如何にして開発を完成するかということに全力を盡しておるわけであります。今日において心がまえ如何とお尋ねを受けるのは政府として甚だ心外に存じます。
○東隆君 私は、北海道の開発については本腰を入れてやるんだと、こういうふうに首相のお答えを聞くつもりで実は質問をしたのでありますが、太平洋戦争の末期になりますと北海道は放棄をされようとするような気分が非常にしたのであります。これは非常に先ほどの質問は皮肉な質問でありまして首相は心外であると、こういうお答えをされるのは御尤もなことだと思うのでありますが、今申上げましたように北海道はあの太平洋戦争の末期頃には放棄をされるようなそういう気分を非常に持つたのでありまして距離的にも今は非常に短縮されてしまつておる場合に、私は明治のあの時分よりももつと大きな形で以て北海道を見なければならん、こういう気持があつたわけであります。
 その次に私は今の公共事業費は決して多いものではないと思うのです。又あの程度のもので以て開発をしても決して北海道はなかなか開発ができない、こう考えざるを得ないのであります。そこでどうしても外資の導入を考えなければならんと思うのでありますが、外資を導入する心組がおありであるか。又若し外資を導入して北海道の開発をする、こういうことになりました場合に私はパブリック・コーポレーシヨン、或いは政府が直接これをやるか、こういう形で以てやるほうが私は望ましいのであつて、私的な営利会社等を通してやつたのでは将来において禍根を残すんじやないか、こういう考え方を持つておるわけであります。従つて外資導入によつ北海道の開発をする心持がおありであるかどうか、この点お伺いいたし、後の條件はどういうふうにお考えになるか、合せてお伺いいたします。
○国務大臣(吉田茂君) 北海道開発の規模といいますか、又範囲等によつては勿論外資の導入に待たなければならないと思います。ただ、ただに北海道ばかりでなくその他においても、例えば水力電源を開発するにしても、現在我々の持つておる資力では倒底賄い切れないのでありますから、外資導入は如何にしても図らなければならんと思います。併しこの導入については先ず計画が第一であります。成る計画が立つてその計画が外資を導入しても元利支払いに支障がない、又外国の資本家がこれならば金を出そうということにならなければ外資は導入できないのでその計画が第一であります。その計画を開発庁においていたしておるものであります。故に将来成る計画が立つて、その計画は規模雄大といいますか到底日本の資力で賄い切れないという場合に、而してその計画が利払その他において何らの支障もない、又投資家側においても、これならば結構だというような完全な計画が立つて、その計画によつて外資が入つて来るというところに進まなければ、将来のことは今日これをコーポレーシヨンによるかよらないかというようなことは、これは相手方のあることでこの場合もあるでありましようから、今においては計画を立てることが第一であり、その計画を進めつあるものと御承知を願いたいと思います。
○東隆君 次にお伺いいたしたいのは国有鉄道や或いは地方自治体がやつております交通関係の仕事を初めとして、幾多の国の事業或いは地方公共団体等の仕事、公企業と申しますかそういうものがたくさんあるのでありますが、この仕事を民営に移す、こういう考え方がこれは非常に言われておるのであります。私は政府の今の自由主義経済思想といいますか、そういうような観点から申しますと、私は公企業を民営に移す、こういうことが当然理論的に出て来ると、こう考えますが、政府はこの点についてどういうふうにお考えになつておりますか、民営にするほうがいいんだと、こういうそこに根抵を置いてお考えになつておるか、その点をお伺いいたしたい。
○国務大臣(吉田茂君) 政府としては成るべく行政を簡素にする、政府の機構を小さくして行つて、そうして国費のかからないように、歳出の縮減、節約になるようにいたしたいと思いますから、政府の事業の中で民営に移し得るものは成るべく民営に移したいと思つております。併し年来官営でやつて来た仕事を民営に移すについては、いろいろな手段を考えなければならず、又官営事業に関係しておる当事者と言いますか、そういうものの利害を考えてやらなければなりませんから、希望といたしては官営は成るべく民営にいたしたいと思います。併しその実行に至つては相当手段を盡さなければならんために、希望はありますけれどもなかなか実行ができにくい。殊に国有鉄道のごときについては問題がいろいろあるのであります。国有鉄道外においてもすでに議論があり、できた国有鉄道が完成された今日においてこれを民営に移す、そうするとどうしたらいいかということについては研究すべき幾多の問題が残つております。故に主義としては民営論を考えられますが、その実行についてはおのずからいろいろ方法等も考えなければなりませんから、その実現については相当時を要すると思いますけれども、主義としては成るべく政府の組織は簡単にし、そうして歳出の節減になるように持つて行きたいと、こう思つております。
○東隆君 私は政府は役人のやる仕事は能率が挙らないとこういう国民の批判を非常に過大に考えて、そうして国のやる仕事を、民営の原則を、私は私企業の民営の原則である独立採算制に実は持つて行つておると、こう考えるのであります。で考え方から申しますと辺鄙なところには、これはもう殆んど鉄道も敷きませんし、電話も、道路も、これは殆んどもう希望がないだろうと思う。辺鄙なところと申しましても、これは北海道はその代表だと言つてもいいのですけれども、県に参りますとここは我が県の、北海道だとこういうようなことを表現をされるのでありまして、不便なところの代表に北海道がなつておるとこう考えるのでありますが、私はそういうようなところに文化的な施設をどうやつて持つて行くか、こういうふうに考えて来たときに独立採算制では、これはどうしてもいかないとこう考えますので、政府は公企業の今とつておるところの独立採算制の考え方をどういうふうに調節をして、そうして辺鄙なところに文化的な施設を持つて行くか、その調節方法はどんなふうなことを考えておられるのか、これをお伺いいしたいのであります。
○国務大臣(吉田茂君) 政府は独立採算制を官営について考えておるとおつしやいますが、私は、むしろ逆であつて、独立採算ができるならばこれは民営に移すべきだと思うのであります。独立採算ができなくつて公共費で以て補つて行かなきやならない、而もそれが国営になるという仕事について、仮にそれが独立採算ができなくても、或いはできないまでも、政府は国費を以て補つて行つて必要な仕事についてはその発達を図る、これが政府の事業であるべきものである。仮に独立採算ができ、又独立採算ができるような事業のところまで発達したならばよろしくこれは民営に移して、そうして政府の官営から民営に移すべきであると、こう私は思うのであります。又先ほど申した通り、これによつて政府の形を、規模を成るべく縮小して、そうして民営事業の発達と共に政府自身も歳出の節約になるように持つて行きたいと、かように思つております。故に独立採算制を以て国有鉄道その他の基礎方針とは考えておりません。
○木村禧八郎君 私は先ず第一にお伺いしたいことは、憲法第六十條が国会における予算審議の上に非常に支障を来たすのではないかと考えられますので、総理はこの六十條につきましてこれは適正でない、従つて改正する必要があるとお考えかどうか。即ちこれまで二十六年度予算を我々は審議して参りましたが、これまでの予算審議と違いまして、これまでの予算審議においては今回のようなことはなかつたのでありまして、今回のような予算審議の形は特に参議院におきまして初めてでございます。憲法第六十條によりますと、総理も御承知の通り、予算について「参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受取つた後、国会休会中の期間を除いて三十旧以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。」こういうことになつておりますので、衆議院において自由党が絶対多数を占め、そうして予算を可決し、通過してしまつた場合、仮に三十日の期間を置いて参議院に回付された場合、参議院においてはこれを修正することもできない、否決することもできない、これを審議未了にすることもできない、実際問題として…一そういうことになると思うのです。世上たまたま今般の予算審議においては、非常に低調であるという批評があるのです。これは批評するも勝手でありますか、併し御承知のように、これまで委員の出席も非常に蓼々たるものでありまして、確かに低調であつたことは事実である。併しその原因はいろいろございましようが、私はどうもその有力な非常な重大な一つとして、参議院においてはどうも今回の予算についてはもうどうもいたしようがない、実際問題として……修正もできない。或いはまあOKの問題もございましようが、それは別問題といたしまして、それは楽しみがないといつては変ですが、とにかく希望がないわけです。勿論修正ができたくてもここで予算を慎重に検討して、その性格を明らかにし、そこに欠点があれば次の機会において補正を組んでやるということもありましよう。或いはいろいろ異議が決してないことはないと思いますが、その予算委員の、参議院の予算委員の意気込みと言いますか、楽しみというものが非常に削減されることは否定できないと思います。従いまして、私は何とかこの憲法六十條の規定は若し参議院で審議未了にしたような場合には、前年度予算を踏襲するような形にして置けば、参議院においてそう責任が生じないと思うのですが、若し審議未了にした場合、前年度予算を踏襲できないと予算がなくなつて国政が混乱しますから、そういうことはできない、非常に苦境に追込まれると思います。参議院としてはどうもこの点が今度の予算の上ではこういうことが初めてでございましたので、何とかこの点について改正される御意思がないかどうか。どうも我々今度の二十六年度予算を審議して参りまして、それを通じて痛感しておるわけでございます。総理の御意見をお伺いしたいわけです。
○国務大臣(吉田茂君) 所管大臣からお答えします。
○国務大臣(池田勇人君) 予算審議につきまして、下院の上院と申しますか、衆議院と参議院との違いは各国にもございます。又我が国におきましても、旧憲法時代には貴族院に先議権というようなことがあつたのでございます。而してこの憲法第六十條の問題は二院制の問題、その他いろいろな問題と兼ね合せて考え、相当議論があるところと思います。我々は今憲法につきまして、いいとか、悪いとか批評することを差控えたいと思いますが、現状においてはおつしやる通りであります。併し衆議院で可決したものだから、参議院で何も審議に効果がないというようなことは我々は毛頭考えておりません。十分御審議願いまして、究めることは究めるのにそこに存在の理由があると思うのであります。
○木村禧八郎君 これは全然意味がないということではなかつたわけです。そういうふうには言いませんでしたが、意味がないことはないのですが、実際問題として参議院で修正案を作りましても、衆議院で絶対多数で可決したのですから、これを参議院に修正送付しても、或いは両院協議会を開いても参議院の意思は通らない、こういう意味なんです。あとは議論になりますからこれでやめます。
 次にお伺いいたしたいのでございますが、総理大臣は講和問題につきましては、常に国会を通じてその推移等について国民に明らかにするということを、しばしば言明されておるわけでございますが、この講和問題につきまして、国民はシーボルト総司令部外交局長が帰任されまして、そうして離日総理と会見されたことにつきまして非常な関心を持つておるわけでございます。それで新聞の伝えるところによりますれば、吉田首相は昨日マツカーサー元帥を訪問されて、そうして講和締結前における日本政府の権限強化の問題、講和條約締結とポ政令の基本的調整の問題、共産党非合法化問題などについて約一時間に亘り要談したと伝えられておる。これは新聞報道ですから、どの程度まで真であるかどうかわかりませんが、とにかくこの新聞報道によりましても、講和問題が又一歩前進したんだと、こういうふうに感じられておりますし、シーボルト総司令部外交局長と、又マツカーサー千元帥と総理との会見は、非常にこの際重要な意味を持つておると思いますので、その点につきまして、発表して差支えない範囲におきまして、総理の御見解を承わりたいわけです。
○国務大臣(吉田茂君) シーボルト氏は昨日私のところに帰任の挨拶に見えたのであつて、講和問題についてそういう新らしい発展があつたとか、何とかいうことは、シーボルト氏の立場としても私にお話になるはずはないのであります。又マツカーサー元帥との会見は、これは占領軍司令官として日本に常駐せられる司令官に、政府の当局者が種々の問題について話合うのは当然であり、ただその内容が何であつたかということは申すことはできませんが、一つ申せることは、新聞の報道は全然嘘であります。(笑声)
○木村禧八郎君 総理から今の御答弁を伺いまして我々は非常にがつかりした。というのは今後新聞を読む場合にこれは非常に困ると思うのです。これまでも殆んど新聞よりほかに信頼できないが……、併しこう、いうことにかかわつていますと質問の時間がなくなりますので、次にお伺いいたしたいと思います。先ほど社会党の内村氏の質問に対しまして、総理は補正予算の必要はないと今のところ考えておると、こう言われておりますけれども、予算を編成したときと最近とでは、非常に国際的にも、国内的にも経済情勢が変つておると思うのですが総理はそれは変つておられないと、こういうふうにお考えになつておるのでございますか。
○国務大臣(池田勇人君) 代つて答弁いたします。予算編成の当時と只今とはお話の通り或る程度変つております。併し変つたから直ちに補正予算を只今作らなければならんかという問題につきましては、私は直ちに作る必要ばない、今後の情勢を見てから考えればいいと、こう申上げるのであります。
○木村禧八郎君 今後の情勢を考えて作ればよいということは、それは当り前のことなんです。問題はもう現実に、この予算は現実とすつかり遊離してしまつているのです。それはそのほかの問題についても総司令部の人が指摘しておりますが、政府は今度の地方選挙を前にして事実を明らかにしていない、国民の前に……。何か事実を隠蔽し、そうしてこの地方選挙に備えようとしている。特に物価統制の問題につきましては、総司令部の経済科学局長特別補佐官兼企画課長のモロー氏が、新聞記者に語つておるわけです。四月選挙を控えているためか、日本政府が物価統制に消極的態度のように見える、併しよい加減の統制は日本自身のためによくない、日本側財界で億自主統制を唱えているが、その意味はあいまいで、効果も挙らないことは明白だ。どうも国会における政府のいろいろな質疑に対する答弁は余りに政略的である。今の日本の経済の実情が多小変つたと今大蔵大臣のあれですが、多少じやありません。昨年十二月十六月にアメリカが非常事態宣言をしましてから、第二段階の大きな変化を国際経済は起している。それが国際商品の騰貴となり、もうその影響として一十六年度予算はまるで現実と遊離してしまつている。この予算公聴会の公述人鈴木武雄氏もこの点は明らかにしているのです。国会議員諸公に対して実にお気の毒である、このまるきり現実と遊離した予算を審議される国会議員はお気の毒であるということが言われておる。公述人にそういうことを言われまして、我々はこの予算を審議しなければならない。これについて大蔵大臣は多少情勢が変つている、必要があれば追加補正としてやるというそんな無責任なことでは私はいけないと思う。直ちに補正を……又大蔵大臣は近く補正を出さざるを得ないと思います。開発銀行その他についてそういう補正はすぐ出す。又まるきり現実と遊離しているこの予算について、適正な補正をこの際出さないということは非常に怠慢だと思う。(「その通り」上と呼ぶ者あり)地方選挙を待つ、皆地方選挙を待つのです。地方選挙が済めば予算補正をやらなければならんと思います。やらざるを得ない、こういうことを国民に明らかにしなければ、私はいけないと思う。パリテイー指数でもはつきりと、予算では一九五に組んでおりますが、億つきりと二二〇、或いは二三〇にもう変つているのです。パリテイー指数はこれは予算編成の単価の基礎になるのです。このように明らかに変つていながら、そんなのんきなことを言つていられないと思います。全く現実と遊離した予算である。これに対して大蔵大臣は今のような御答弁をされるが、地方選挙が済めばやる。これはやらざるを得ないと思う。それでなければこの予算の実行はできません。総理は先ほどこの予算によつて支障がないと言つていますけれども、それは余りに現実と遊離したお考えです。予算を仔細に檢討すればするほど、この予算が如何に現実と遊離しているかということは明らかにわかるのです。この点を総理大臣に御答弁は求めませんが、大蔵大臣に私お伺いしたいのです。もう補正の時期……、今補正するかしないかの問題じやないと思う。補正の時期はどのくらいであるか、補正の規模はどのくらいであるか、又選挙後における経済統制の問題、これについて政府はどういう用意をしているか、この点を若しお答え頂かなければ、これは国民に対して甚だ不誠実だと思うのです。もう補正予算は出すか出さないじやないのです。出すということは、出すという言明はすでに衆議院においてなされているのです。だから問題は補正の規模如何、補正の提出の時期如何、それから経済統制の問題、いつからこれをやるか、又どの程度にやるか、この三点についてお伺いいたしたいのであります。
○国務大臣(池田勇人君) 予算の補正には二通りの場合があると思います。例えば最近御審議願うようか開発銀行というような新たな出来事につきまして、僅々についての補正の問題がございます。これは私は開発銀行を予算の補正として出す、議第一号として出すことにいたしておるのであります。もう一つの補正は総合予算の補正、こういう大きい考え方の予算の補正があり得ると思うのでありますが、而して木村君の言われるのは、私は総合予算的の補正の問題だと思います。この点につきましては、個々のアイテムにこれだけの過不足が起つたというので、一々そういうアイテムごとにやるべきに問題じやございません。経済の動き、財政の状況全体を見て、或るときに考えなきやならんので、そういう観点に立ちまするというと、昨年の予算編成のときから今は或る程度事情が変つて来ております。併しこれからの見通しも考えて行かなきやならない。例えば米、麦の輸入補給金につきましてどれだけ要るということだけではないのである。いろいろな点を考えて、そういう場合において財源をどうするかといういろいろな点から全体的に考慮しなきやならないので、補正につきましてはもう少し様子を見てでないとできない。何も地方選挙があるからどうとかいう問題ではございません。動きを見てからやるのであります。従いまして予算の二十六年度が始まりましても御審議願いまして、予算で相当の期間やつて行けるのであります。相当の激変がありましても、而して激変があつた場合、国内の点についてやる場合は、これは早い機会にあるかも知れません。あなたのお話のように全体的な物価の変動、経済の動きによつて予算の補正というものはそう早くは来ないと思うのです。従いまして規模その他につきましても、申上げられません。これは今からそういうことを申上げる事態ではないのです。次に、統制の問題につきましては安本長官からお答えすることにいたします。
○委員長(波多野鼎君) ちよつと私から発言いたしますが、今本会議で教育公務員特例法の討論が行われておりますが、これは十一時五十八分に終了しまして、記名投票に入る予定だそうであります。従つて本会議に行かれるかたは五十人分までに議場に行つて頂きたいという注意がありましたからお知らせしておきます。委員会はこのまま続行いたします。
○国務大臣(周東英雄君) 統制の問題についていつからどういう規模でやるか、必ずやるだろうというお話であります。殊に地方選挙を前にしてやらんと言つておるが、あとでやるだろうと、非常に穿つた御親切な御質問でありますが、私どもは決して国民大衆に嘘は申しておりません。これは政府なり、我が党の堅持しておるところでありまして、現在必要でない形においても統制はなお外して行きます。ただ問題といたしまして先ほど、いつかここで申しましたように、いろいろな国際情勢の関係からいたしまして、国際的な物資等の割当等が起つた場合に、そのものを有效適切に使わせるということの必要から、場合によつては使用制限等が行い得るということは、たびたび申上げておる、これは国民にはつきりと私どもは新聞を通じ、国会を通じて申しておるのであります。ただあなたのお話によつては、価格統制を又やるだろうということが前提のようですが、今後そういう面は関係方面とも了解を遂げて、近日のうちに相当数の品目を外すことが認められております。こういう面からいたしまして、不合理な価格統制をやつて、国際的な物資の輸入によつて生産を続けておる今日、国際価格の動きということによつて統制することは必ずしも適切な問題ではないと考えております。いわんやこの席において、あなたは予算の面において、現在の国際情勢ならば予算編成……補正予算を出さなければならんというお話でありますが、大蔵大臣は愼重に考えております。物価の見通しにつきましては、一、二月の関係について上つておることは事実です。併し私はこの席を通じまして、恐らく国際的な価格の上昇によつても、頭打ちが来ることだろうと申しましたが、今日の状況はそういう状況が来ておるのです。今日の新聞紙を通じて、御覧になりましてもう、統計を見ましても、やはり外国においてちよつと一体みの形、そういう面を見ますと、一、二月は上つても、今後同じ足どりで上るかどうかは考えなければならん。そこを大蔵大臣は苦慮しておるので、よく将来の見通しをつけて考える。今日只今個々の状況を合せまして、価格の、予算の補正をなす必要はないと考えております。
○委員長(波多野鼎君) 木村君は時間が参りましたので、岸間君。
○木村禧八郎君 もう三分残らております。最後に、簡単にいたします。三分しかありませんから、只今の御答弁に対しまして、簡単にもう一度お伺いしたいのです。大蔵大臣は相当期間この予算で以て行けるというお話でございましたが、相当の期間というのはいつ頃でしようか、この点についてお伺いしたいと思います。第二に、安本長官は最近の物価は頭打ちと言われましたけれども、今後の国際物価の上昇は大体七月頃から相当高くなつて行くものと見なければならん、アメリカの予算が本当に動き出すのは七月頃からです。大体国際物価も、日本の物価も上り出す、上昇の初期にあるので、今後にこそむしろ物価の問題は大きく考えて見なければならんので、最近頭打ち、物価が横這いまするということはとんでもない甘い考えです。国際情勢から見ても、今後六、七月頃から本格的に物価は上つて行くものと見なければならん。そういう前に物価対策を立てなければならんと思うのですが、この点に対するお考えは如何ですか。第三に、もう一つ国民生活水準は、どうも今新聞の伝えるところによれば、周東安本長官も三カ年計画通りに引上げて来たにもかかわらず、二十五年度を以てそれは頭打ちで、国民生活水準は今後それ以上に上昇するのは困難じやないかという観測がほうぼうに出されておるのです。この三つについてお伺いしたいのです。
○国務大臣(池田勇人君) いつ補正予算を組むかにつきましては、只今のところ申上げられない、それだけ見通しがはつきりいたしておりません。ただこの御審議を願つておる予算で相当程度賄えると、こう考えておるのです。ただ個々の問題、今の審議中におきましても、開発銀行だとか、こういうような補正予算は、或いは最近の機会にあるかもわかりませんが、全体的な予算につきましては、補正ということは只今のところ私は早急には来ないと、こういう確信を持つております。
○国務大臣(周東英雄君) 只今の木村君の御意見は尤もであります。私どもは七月以後にどういうふうに上つて行くかわかりませんが、只今の状況においてこの前非常に心配になつたようなことが一応世界的にも続けられる形になる。今後予算の動き万によつてアメリカ等においては、七月以降においても上るという見通しがあるかも知れませんが、それはよく考えて実際の見通しがついたとき予算等において処置すべきであると私は申したのです。併しながら物価対策といたしましては、そういうことの予想というものは、正しいかどうか、ともかく将来に備えても、私どもは積極的に国際的な原料の輸入によつて生産されるものについて、それが再輸出されるものについては、直ちに物価統制を以てこれをやる必要はないのではないか。むしろ輸入物品が直接国民生活に及ぼすようなものについては、でき得る限りその上昇がしないように、或いは必要ある場合に、財政的処置は考えることがありましようが、又数量等の確保によつて運賃等の止むを得ざる値上りというものは、それを価格に含ませるということも一つの方法であります。要するに数量の確保と、それから財政等の処置によつて国内的に直接関係がある物資については、できるだけ価格の上らん方法を考えるということがあろうと、さように考えております。又国民生活水準等の関係についても従つて同様のことが考えられなければならん、私は将来の問題として鉱工業生産水準は上る、これは木村君も承認されると思うのです。生産指数が上り、そのほうの景気がよくなればそのほうの関係において工場賃金指数も上つて行く傾向にあると見なければならん。その際において低額賃金所得者に対するものはどうなるかということでありますが、やはり今後の処置としてインフレというものの抑制ということは考えて行かなければならんのですから、むやみに賃金を上げるのみを望むものではありません。従つてそれに対する処置としては先ほど申上げました国民生活に対する必要な物資、殊に食料品、衣料、原料等に対する価格の安定数量の確保ということを十分考えつつ、生活水準の維持を図つて行くことが一つの行き方ではないかと、かように考えております。
○岩間正男君 最初に時間の問題でありますが、実は私は今本会議で反対討論をやつて来たところであります。従いまして当然これは記名投票に参加したいのでありますが、委員長からたつての御要望かございましたので、私だけ残つて委員長と、それから総理に対する質問を続行する、こういうことになるのです。ところが、只今十分で切上げてくれという話がありましたのですが、これに対しては断じて了承することができない。従いまして只今十二時丁度であります。二十分の時間を総理は御多忙でありましようが、確保されんことを切望して私は質問に入りたいと思います。
 先ず第一に、領土問題でございますが、この問題は私は歯舞の帰属の問題について総理に質問したのでありますが、これに対しまして、当然これは日本の領土に講和後編入さるべきものであるから、これについて返還を要請したいということと言われたのです。これについての問題は、これはこの前申しましたように非常に論議のあるところでありますが、今日はこれには触れません。私はこれと連関しまして問題となつておりますところの小笠原、奄美大島、沖繩、こういう所に対しましてこれは返還要求をされるのが当然だというふうに考えております。ヤルタ協定によつて歯舞の問題は決定されておるのであります。然るに今申しました小笠原、奄美大島、沖繩につきましては国際協定には何ら明記はない。こういう観点からしますときに当然これは日本領土である。御承知のように小笠原は東京都に属しております。奄美大島はこれは鹿児島県の一部であります。沖繩は沖縄県である。ところがこれに対しましては、総理は意見の開陳がございませんから、講和が近付いたという問題と連関しまして、当然この問題に対しては総理の御意見を伺いたいと思つておりますのでお伺いするのですが、歯舞を返還されるという御意見を持つておられる総理は、同時に今の三カ所に対しても要求を持たれると思いますが、この点については如何でございますか。
○国務大臣(吉田茂君) 講和條約の内容についてはお答えいたしません。
○岩間正男君 講和條約の内容とおつしやいましたが、歯舞の問題も講和條約の内容であります。これについてははつきり意思表示をされておりますが、なせほかの三つの点については意思表示をされないのでありますか。この点を伺いたい。
○国務大臣(吉田茂君) それはダレス氏も取上げておられる問題でありますから申したのであります。
○岩間正男君 この三つの問題も非常に取上げられておる問題でありまして、現に小笠原のごときは、これに対して参議院の外務委員会でも証人を呼んで聞いておる問題であります。更に奄美大島の問題では非常に多くの請願が国会に参つております。これは総理はどういう見解を持つておりますか。御要求として、希望としてでも結構でありますから、これは述べて頂きたい。
○国務大臣(吉田茂君) お答えいたしません。
○岩間正男君 お答えされないことの理由がわからない。一方には見解を表明されて、一方には見解を表明されない。これは甚だ一方的のことになると思うのでありまして、この点は非常に国民諸君も不満に思うところであると思うのであります。問題になつたのは、将来信託統治になるかも知れないということを言われておりますが、こういう事実になるのかどうか。その場合に信託統治の性格として一般信託統治、或いは戦略的の信託統治、この二つの方式があると思いますが、戦略的な場合におきましては、当然これは国連の決定ということが重要になつて来ると思うのでありますか、総理はこういう問題についてどういうふうに考えておられますか。お伺いしたい。
○国務大臣(吉田茂君) 講和條約の内容をなすものであるからお答えをいたしません。
○岩間正男君 甚だ不満だと言わなければなりません。かせそれなら歯舞についても慎重な態度をとつて意思表明を控えられないのであるか。こういうところに全面講和というものの形というものは全く壊されて、一方的な或る特定国だけとの講和を望んでおられる態勢がはつきり腹の底に読まれる。こういうことを我々は確認したいと思います。非常にこれは残念でありますから、こういう点について、もう少し率直に表明さるべきじやないか。どうしてこういうような一つの筋の通らないことが起るのであるか。而も一方は国際協定に規定されており、一方は国際協定に何らの規定がない。むしろ歯舞については見解を表明すべきじやなくて、小笠原、奄美大島、沖縄については当然公然たる見解を表明されるのが、これは現内閣の責任ある態度であろうと思いますが、これがなされないということは甚だ遺憾に思うのであります。併しこれに対して御答弁がないと思いますから、私は次に質問を進めたいと思います。
 次は、共産党の非合法化の問題でありますが、これは非合法化については、総理はどういうふうに考えておられますか。その時期方法等についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) これはしばしばお答えいたした通り、共産党が日本の治安を乱すとか、その他日本の害になるようなことをいたしました場合には断然たる措置をいたします。
○岩間正男君 何もこれは共産党だけの、そういうような何は問題でなくて、あらゆるところにそういうような右翼団体なんかの問題が起つておると思う。これを特に共産党というような、特定の政党を目指してやつておる。これは我々はポツダム宣言並びに日本憲法を明らかに蹂躪するものである。こう断定せざるを得ないのでありますが、そういうことを政府が考えておられる、そこに一体どういう国際的の関連があるのであるか。殊に昨日のマツカーサー元帥との会見におきまして、総理は新聞情報を否定されましたけれども、この中にそういう問題について話合つたということを述べられておるのでありますが、それは何ですか。講和の態勢が非常に近付いて来た。従つて国内体制を整備しなければならん。これとの関連において共産党非合法化ということが政治的の意味を持つものでありますか。憲法やポツダム宣言との関連並びに国際情勢との関連において、初めてそういうことを政府が考えざるを得ないかという、これについて承わりたい。
○国務大臣(吉田茂君) 如何なる団体といえども国に害をなすような行動のある場合には、共産党以外といえどもいたしますが、共産党の問題について聞いたからお答えいたしただけの話であります。
○岩間正男君 何が共産党だけが一体害をなすのであるか。そう考えておるのは、単独講和であり、日本を軍事基地化する。或いは戦争態勢に追い込むということを考えておる者にとつては害をなすと考えるが、併し全人民は一体どういう害をなすと考えておるか。そういうことを考えておるのはただ独断である。そういう点からこういうことを一体ポツダム宣言や憲法に違反しても進められる考えを持つておられるのでありますか。この点をはつきり承わりたい。
○国務大臣(吉田茂君) 国内治安を維持することは政府の権限であります。若し国の害をなすようなものは、共産党といえども、共産党といえども無論弾圧いたします。
○岩間正男君 それなら自由党といえども弾圧すればいいので、そういうふうな不当なことをやるならば、あらゆる政党に対して弾圧をすればいいと思う。特定の政党だけに対して政府が憲法に規定する権限を逸脱して考えるのは何故であるかということを伺いたい。
○委員長(波多野鼎君) 答弁いたさないそうです。
○岩間正男君 これは答弁しないのじやなくて、できないのじやないかというふうに思うのであります。もう少し道理の立つように、日の照つてる下で道理の行われる点をやつて頂きたい。私はそういう意味から首相に対しまして、是非これは今後我々が予算を審議し、又国会の運営をやつて行く上に重要な問題でありますから、総理の倫理観並びに政治道徳の問題について伺いたい。その第一点の問題としましては、国会の予算審議を通じて、いつでも我々の頭にこびりついて離れない問題が一つある。それは何かというと、これは額は小さいかも知らんが、性格は大きいのでありまして、実は鉱工品貿易公団補填の十六億……、(「相手がいないぞ」と呼ぶ者あり)委員長、これは帰ることを一つ吟味してもらいたい。こういう国会無視が行われて、このような形で共産党非合法化とか何とか言われているのは言語道断である。これは国会の権利の侵害である。委員長の権限において是非とも実行して頂きたい。まだ時間におきましては九分しか過ぎておりません。こういうことが許されるならばどううことになるんです。何が憲法の擁護であるか。何が一体この国会の審議権の尊重であるか。事実総理は身を以て行なつているじやないか。一議員が重大な問題について質問しているときに、ドアを排して逃げ去るさいうのはどうだ。これは何だ、逃亡じやないか。委員長、これを即刻命令されたい。冗談じやない。
○委員長(波多野鼎君) 政府側から何か御発言ありますか。
○政府委員(岡崎勝男君) 吉田総理は本日は止むを得ない用事がありまして、十二時に退去いたしたい希望であつたのであります。ぎりぎりのところまでおれば十分過ぎまでおれるということでありましたので、只今までおりましたけれども、これ以上はほかの方面の関係上どうしても無理でありますので、委員長にお断りしまして退去いたした次第であります。どうぞ悪しからず御了承願います。
○岩間正男君 委員長は了承されたのでありますか。
○委員長(波多野鼎君) 了承しません。聞いただけであります。
○佐多忠隆君 議事進行について……。只今の政府側のお話では我々は事情を了解しかねる。これ以上議事を進行することは意味がないと思いますから、改めてこの問題に対して委員会としてどういう態度をとるかということについては、理事会で一応お諮りを願いたいと思います。
○岩間正男君 只今の佐多君の御提案に対して私賛成するものでありますが、その前に先ほどからの道理を私から一応述べさして頂きます。先ほどからも申しましたように、実は私午前中教育公務員特例法の討論をやつて参つたのであります。その討論者としてこれは当然記名投票をしなければならないという責任を感じておつたのであります。而もこれは我々と非常に深い関連を持つた法案であります。而もそれをも割いて、恐らく総理の和合があるだろうと思うからこそ、私は時間を繰合せて、委員長の再三の懇望に応えた。私は最初に念を押して、始まつたのが十二時であるから、二十分の時間は確保されたい、これは当然至極の要求である。国会議員が職務を遂行するには当然過ぎるほどの要求であると思う。然るに私の質問が半ばにも達しない、而も重要なる問題、総理は答えられないような問題になると、ひよつと、ああいうような形で逃げてしまう。これは言語道断だ。これに対して官房長官の言ではのつぴきならん…、国会の審議を抜きにして如何なるのつぴきならん用事か、理由を挙げて頂きたい。私はそれを要求する。国会の審議はかねがね第一義である、あらゆる出席に対して第一義である、国会の要求に応じて出るのは第一義であるということを、これは官房長官並びに官房副長宮も言明されておる。吉田総理も現に私の質問に対してはそういうことを言われておる。実際にのつぴきならん……、これを外して途中で退席しなければならないようなのつぴきならない事情というものを挙げて頂きたい。我々はこれを挙げて頂かないうちは了解できない。
○政府委員(岡崎勝男君) 総理大臣はいろいろ国務を担当しておりますので国会は勿論尊重しておりますが、時間の差繰りというものはどうしても生ずるのであります。で本日も十時から十二時まで、こう申上げて、ほかの予定を組んでおつたのであります。併しながらここに参りましたのは十時約十分か八分か過ぎだつたと思います。そこで他方に連絡をいたしまして、二時間でありますから十二時十分過ぎまで向うのほうを延ばすようにアレンジしまして、それで十分までおつたのであります。つまり初めの予定の二時間というものはそれを切りまして、ほかの予定を作つたのでありますから、これは御了承願いたいと思います。
○岩間正男君 私のお聞きしておることには御答弁がない。どういうふうなのつぴきならん要件かと、その内容を聞いておる。それに対してはお答えがない。私はお聞きしたいことがまだまだあつたわけであります。今申しました早船が女を連れて逃げて八千万円も使つておるというようなこと、その結果鉱工品貿易公団には十六億も補填していながら、一方公務員の給与、こういうものについては何ら考えられていない。平衡交付金でこういうものは非常に大きく切られておる。こういうものが道義国家として許されるか、首相が言われておる道義国家としてこういうようなことが許されるか。或いは又一方では道義国家を口にしながら、この競馬とか、競輪、オート・レース、宝くじ、遊興飲食税、こういうものを挙げますと、これに一百億以上の財源を求めておる。これは道義国家として許されるか。或いは又三十八度線の問題についても承わりたい。北鮮軍が三十八度線を突破して来ると三十八度線は巌としてあるといい、情勢が反対になつて来ると三十八度線は元来なかつたのだといい、又情勢が変つて来ると、最近は三十八度線は地図上の線であるから戦術的には、これは越えてもいいのだろうというような意見が又行われている。こういうふうに情勢によつて変る。こういう問題に対して国際輿論に全く定見がない。こういう場合におきましては、日本はこういうものに対してははつきりした意見を持つべきである。或いは又伍修権代表の演説であります。その中には例えば現在の朝鮮事変に対しまして言つている問題でありますけれども、国連の中で述べた問題があるのであります。これに対して、果してほかの国がアメリカの一州を占領して、そうしてそれが侵略に対するところの一つの防禦だ、こういうふうに言つた場合にはアメリカ国民はこれは納得するかどうか、これも非常に重要な問題でありまして、こういうような問題について私は聞きたかつた。なお又現在の平和擁護運動というような運動に対しまして、実際これは根本的に誤まつている。私は実際外務省から世界平和擁護運動というものに対する資料を求めた。ところが、これに対して外務省から出した資料のごときは全く問題にならないものである。いわゆるこれは、平和擁護運動などということについて出しているこの資料を検討したところが、こんなものは問題にならない。こういう世界平和の六億にも余るところの署名が集められている運動が理解されなければ絶対日本の体制は成立たない。そうして、これによつて戦争が起えるのだ起るのだという戦争論議にだけ問題を進めて行くということは非常に誤まつている。平和を護るという論議、いわゆる平和論議に切替えなければ日本の憲法並びにポツダム宣言の関連においてもこれは成立たない。世界平和を護るということは口先の問題だけであつて、実はそれの反対に、それを看板にして戦争態勢をするのでは話にならん。こういうような重大問題につきまして、私は二十分間にこれを圧縮して、而もあらゆるものを圧縮してやろうと、こういうふうに考えておつた。体は疲れているので、体のあらゆる何を努力をして、そういう話を聞こうということにぱつと逃げられてしまつたのは、これは甚だ問題だと思うのであります。さつきのあれは官房長官どうですか、もう一遍内容を伺いたい。
○内村清次君 これは昨日の委員会で実は総理の出席を促して、そして委員会におきまして総理に対する質問をやろうということに決定したわけですが、これはやはり総理の御都合で今日に延びたわけでもあります。予算委員会といたし香しては重大なこの週末期間におきまして一日延して……総理の御答弁を尊重して今日まで延したのでありますから、只今の状況も私はよく見ておりましたが、共産党の岩間君が質問中に御退席になる。その御退席になつたことは総理みずから委員長にいわゆる御通告があつたかどうか、委員長はそれに対してどう答えて帰られたのかどうか、この点を一点聞きたいのでありますが、私は先ほど官房長官の言われました総理は国務の相当お忙しい予定も組んであるのだ、こういうようなお話でありますが、十二時から直ちに次の国務におつきになるか、つまりですね、これは常識といたしましても御晝食のお時間もとられなければならない。そういうことを考え出して見ますと、発言中に御退席になるという御態度に対しましては私は余り国会を軽視されている態度が見えはしないか。私もこの問題につきましては、この前の委員会におきましても、党や人によつて一つ御答弁の態度をお変えになつて頂きたくない。やはりお互い国政は堂々としてこの席上において論じようじやないかということをお約束いたしまして、これはたしか理事会の問題にもなつて、この点に対して総理自身がこの委員会に答弁されなくてはならないのを、総理の代理として林副総理から以後この件については十分気をつけますという誓約までとつてあるのであります。こういう点から勘案して見ますると、どうしても今の問題はやはり前言に対しますところの不謹慎な態度も現われておると存じます。そこで私は先ほど佐多君から動議が出ておりますように、この問題はなお理事会におきまして御論議頂きまして、適当な処置をとつて頂きまするように、その動議に賛成をするものであります。
○委員長(波多野鼎君) ちよつと今の内村君の発言について、私に連絡があつたかどうかという点なんですが、これはこういうことなんですよ。木村委員の発言中、十一時五十分頃です、十二時十分になつたら退席したいということを秘書官を通じて私のところに申出があつた。私はそのときに、それは困る、各派二十分という割当にして昨日から準備をしているのだから、総理は大体今朝六分ばかり遅れて来ておりますから、それはまあ勿論取り返してもらわなきやならんが、そのほかに二十分間という各派の割当時間はちやんときめてやつておるのだから、今までの質疑の進行状況を見ておりましても、各発言者はよくこの二十分という時間を守つて頂いてずつと来ておるんだから、共産党の二十分の持ち時間が済むまではおつてもらいたいということを秘書官を通じてはつきり申した。それは通じておることと思つておる。ところが十二時十分ちよつと前、八分ぐらいですかの頃に、秘書官が又やつて参りまして、十分になつたらどうしても退場します、いや、それはさつき私が言つた通りどうしてもおつてもらいたい、暫らくおつてもらいたいと、もう一遍念を押しましたが、どうしても退席するというのですから、私としてはどうもいたし方ない、ただそれを聞いただけなんです、聞きおくよりほかに手はないのです。そういう事情であります。それから今動議がありまして、この総理の態度について甚だ遺憾である、この点を理事会で調査して善後策を講ずるというお話がありましたが、皆さんこれに御賛成頂けましようか。
   〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(波多野鼎君) 暫らく休憩いたしまして、直ちに理事会を開きます。
   午後零時二十三分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時五十四分開会
○委員長(波多野鼎君) それでは只今より休憩前に引続いて予算委員会を開きます。最初に理事会で申合せた件を御報告して御承認を得たいと思います。
 一つは今日の議事の運営の問題でありますが、即ち地方財政平衡交付金に関する小委員会の報告につきまして、委員会で賛否の決をとるべしという動議が出ております。その動議をどう扱うかということで昨日から相談しておつたのでありますが、昨日報告しましたように各派でまだ態度のきまらない派がありまして、その態度の決定を待つて今日の午後採決をするという段取りになつておりました。そこで採決に入るまでにいろいろの意見が出まして、こういう手続をとつてくれという意見があつてそれを認めたのであります。即ち小委員会の報告ができました、その報告について、大蔵大臣並びに岡野国務大臣はどのような所見を持つておられるかということを確かめた上で、採決に入つてもらいたいという要望がありまして、それを認めたわけであります。でありますから、先ず大蔵大臣、並びに岡野国務大臣の所見を聞いて、これに対する質疑をいたしまして、そのあとで採決をするということの可否という問題で、一応決をとりまして、採決をすべしというのが多数でありますれば、第二段に賛成反対の採決をするという順序で進めて行きたいと思つております。
 それから総理の退席の問題なんでありますが、これは皆さん御覧のり通りのいきさつでありまして、これについて総理の反省を保すべき措置をとるということは決定いたしまして、先ず第一段として委員長から総理に遺憾の意向を伝え、そうして今後の善処方を要望するという点と、それから十二時十分にはどうしても退席しなければならなかつた緊急の理由は何であるかということの説明を委員長から求めてくれ、それを理事会に報告して、更にその後の措置を考えるということに申合せいたしました。この二点を御了承頂きたい。
 それでは大蔵大臣が来ておられますので……。
○佐多忠隆君 議事進行について…。地方行政委員長の予算委員長に対する申出があるようですが、これを先ずお取上げ願います。
○委員長(波多野鼎君) どうも失礼しました。地方行政委員会から当予算委員会に対しまして申入れが来ております。竹中委員。
○竹中七郎君 委員長が参りましてお願いするところでございますが、私からお願い申上げたいと思います。要望事項、これは皆様のお手許にお配りしてありますが、読上げて見ます。
    要望事項
  地方財政委員会は昭和二十六年度における地方公共団体の基準財政需要額が基準財政収入額を超えると認められる額を基礎として、同年度における地方財政平衡交付金の総額を千二百九億七千五百万円と算定し、地方財政平衡交付金法第六條第二項の規定によりこの額を予算に計上することを内閣に勧告した。然るに内閣においては、昭和二十六年度予算案には右総額を千百億円と査定して、計上するに止めている。当委員会においては全国知事会議の要望にもとつき、数県につき地方財政の実体調査を行うと共に前国会に引続き地方財政の緊急対策に関する小委員会を設け、地方財政委員会、大蔵省、文部省、労働省その他の説明を求め愼重審議を行つたのであるが、地方財政委員会の勧告に述べる如く、若しその勧告総額の計上を見ないときは二十六年度の地方財政の窮乏を著しく深め、ひいては地方自治を混乱に陥れるおそれがあると認める。
 よつて貴委員会においては昭和二十六年度予算の御審議に当り右勧告の趣旨が達成されるよう特段の御配意を煩はしたい。
  昭和二十六年三月二十三日
   地方行政委
   員会委員長    岡本愛祐
予算委員会委員長   波多野 鼎殿こういうのでございまして、これは詳しく申上げますると長くなりますので、簡単に趣旨を申述べますというと、我々のほうにおきましては小委員会を作りまして不肖私が小委員長となりまして、前後四回に亘りまして只今申上げました地方財政委員会、大蔵省その他の省のかたがたに来て頂きまして、いろいろ検討したのでございます。その地財委と内閣との、いわゆる大蔵省との間の意見の相違の点はいろいろあるのでありますが、先ず第一に給与改善に必要なる経費、年末手当支給に必要なる経費、地方教職員の級別格付基準の改訂による経費の増加、国庫補助金及び法令等に伴う負担の増加、小学査兒童人口の増加に伴う経費の増加、公債費の減、公共事業費に伴う地方負担の増加、かような点でございまして、その差額が百三十億八千五百万円であります。これが充当の費用といたしまして、両方の違いは、既定経費の節約というのは同じであります。地方税の増加というのも同じでありますが、地方債の増加におきまして百八十五億の差があります。使用料、手数料及びその他の収入の増加、これにおきまして地方財政委員会は小さく見ておるので、十八億と見ているのでありますが、大蔵省のほうにおきましては百八十一億九千四百万円、かように考えているのであります。平衡交付金におきましては、これは百五十九億七千五百万円に地財委は見ているのでありますが、大蔵省は五十億と見ているので、これが百九億七千五百万円違う、こういうような状態でありまして、我々両方のいわゆる地財委と大蔵省の関係を見ましても、実態の調査におきまして地財委のほうがどうも現実に即している、かように考えましたので、その点につきましてかような要望書を出しまして皆様がたにおきまして御努力願いたいと、こういうわけで本日この要望書を提出した次第であります。どうかよろしく御審議願いたいと思います。
○委員長(波多野鼎君) なお忘れておりましたが、本日全国知事会議の名を以て当委員会に要望決議が参つておりますから、これを読み上げて御参考に供したいと思います。
  地方財政平衡交付金増額に関する要望決議
  国は地方財政平衡交付金法第三條により、地方財政不足額を補填するために、必要且充分な額を平衡交付金として、国の予算に計上しなければならない義務がある。而して同法第六條第二項により、地方財政委員会は内閣に対し、充分ならざるも必要欠くべからざるものとして、昭和二十六年度予算に一、二〇九億円を計上する様勧告した。(更に給与べース改訂の実績により、一人平均五〇○円―六〇〇円程度の不足が予定せらるるに至つたので、地方財政委員会ではこれが措置につき、地方財政平衡交付金増額の再勧告を用意している。)
  然し政府は敢えて原案たる一、一〇〇億円を固執して、全く地方財政の実情を無視したる机数の計数を、独断的に地方に押付けんとしている。斯くの如き態度は到底吾々の容認し能わざる所である。
 各府県は財源不足のため地方財政平衡交付金については、何れも地方財政委員会の勧告を基本とし、更に再勧告を期待して相当の増額を予定し、辛うじて昭和二十六年度予算を編成し得たのであつて若し内閣が飽くまでも原案の修正を拒否するときは、地方財政は勢い破綻に類せざるるを得ない実情に立至るベきは必至で、今や吾々の関心と期待は一に国会に於ける審議にかかつている。
 国会は宜敷く叙上の事情を正視し、速かにこれが打開の方途を講じ地方の輿望に応えて、地方を財政の破綻より救われんことを強く要望する。右決議する。
  昭和二十六年三月二十三日
         全国知事会議
 以上のような要望決議書が参つております。今地方行政委員会からの要望もありますし、又その前の文部委員会からの当委員会に対する要望も出て青りまして、この予算委員会においては特に地方財政平衡交付金の問題について小委員会を設けて、特別の調査審議をしたのでありまして、その結論が昨月当委員会に報告されたのであります。でこの結論について採決を行なう前に、大蔵大臣並びに岡野国務大臣はどのような所見をこの結論について持つておられるかということを承知したいという要望がございますので、先ず
大蔵大臣からその所見を述べて頂きたいと思います。
○原虎一君 議事進行について……、大蔵大臣、岡野国務大臣に対する所見開陳はどなたが要望されたのですか、本人からの申出ですか、それともどなたかの要望によつて説明を求められるのか、その点はつきりしない。
○委員長(波多野鼎君) 理事会におきまして、そういう要望が出まして、これは理事会として取上げて、この要望を容認するということでございましたので、委員長が代表しまして、今のような発言をして大蔵大臣並びに岡野国務大臣の所見を聞くという段取りにしたのであります。
○国務大臣(池田勇人君) 小委員会におきまして、次のような結論に到達いたしたと、その結論は昭和二十六年度地方財政平衡交付金の総額については、地方財政委員会の勧告千三百九億余円が妥当のように思われる。これはもとより最善のものではないが、差当り必要な最小限度の額であつて内閣決定に対しては、百九億余円を増額することが必要である。なかんずく年末手当支給の予算経費、給与べース改訂による増及び教職員給与の級別格付基準改訂による増等については、特に地方財政委員会の勧告額を下らない増額が必要で、大蔵省の査定は不当である。平衡交付金につきましてのこういう御結論であるようでありまするが、先般来たびたび申しておりますように、我々といたしましてもできるだけ地方の財政事情を検討いたしまして、国の許す限りの額を出しておるのであります。昨年度に比べまして当初予算では五十億、補正予算から申しますと十五億円で如何にも小額であるようでありまするが、予算編成の当時におきましてはこの程度で止むを得ないものといたした次第でございます。而して今国会における皆様がたの御審議もありますし、又今後の経済事情等の変化も考えられますし、又一面では特に国と地方との仕事の分量等の変更もないことではないと思われますので、いろいろな事情を勘案いたしまして、やはりこの平衡交付金の増額等につきましては努力いたしたいと思います。ただ問題はこの結論にありますように、百九億円でなければならんということよりも、私はできるだけ国の財政を差繰りして増額するように努力するということが、皆様がたの本当のお考えではないか、そういう点は我々も同感でございまして、今後とも努力いたしたいと思つております。次の地方債の増額は地方財政委員会の勧告通り二百七十五億円とすべきであるというふうな結論であるのでありまするが、私はこれも二百七十五億円と、こういうふうに釘付けすべきでなしに、やはり今後の事情を見まして、丁度昭和二十五年度におきまして、当初三百億円を実際足りないので七十億円殖やした、この経過等を顧みまして、今後の情勢によりまして四百億円をできるだけ実情に副うようにこの枠を殖やすべく努力することは勿論、この枠以外の方法におきましても必要な地方公共団体の資金につきましては、何とか融通のできるように努力いたしたいと考えておるのであります。
○委員長(波多野鼎君) ほかに質疑がありましたらやつて頂いてかまいません。岡野国務大臣に発言を求めます。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。私この席でたびたび申上げました通りに、地方財政委員会の出しましたところの予算につきましては、私は財政委員会の数字に対して、さもあるべしという考えでこの財政委員会の報告に対して、相当努力をして、平衡交付金の枠並びに起債の枠について、殖やしてもらうということにして何をしたのでありますけれども、併しながら何しろ国家財政といたしまして、非常に窮屈な点もありますし、又同時に、中央地方を通じましての財政金融政策上どうしても平衡交付金千百億、並びに起債額四百億ということでなければ、国のいわゆる経済面のインフン方面から見ましても立つて行かんし、又財源から申しましてもそうなければいかんということで、一応これを承諾しているのでございます。併しながら将来、即ちこの予算を執行して行きます来年度におきまして、若しどうしてもやつて行けんというような事態が出て来たり、又或いは新らしいことが起りましたら、そういうようなことがあれば、どうしてもこれを増さなければならんということは、私は確信しております。この点において、大蔵大臣にもよく要請しております。丁度昨年、昨年と申しまして今年度でございますが、二十五年度に当初三百億円の起債の枠であつたのを、どうしても足りなかつたから七十億増額しまして、三百七十億にしたというような情勢もありますから、私はこの問題は、今回はこのままで一つ抑えて頂きまして、そうしてこの予算を執行して参ります中途におきまして、いろいろな諸情勢におきまして、又地方財政の点をよく検討させまして、どうしても立つて行かんという場合には、大蔵大臣とも協議し、同時に閣僚各位とも協議いたしまして善処いたしたいと、こう考えております。
○委員長(波多野鼎君) 小委員会の結論に対しまして、大蔵大臣並びに岡野国務大臣から所見を述べられましたが、この所見について若し御質疑がございましたら質疑をして頂きたいと思います。
○木村禧八郎君 只今大蔵大臣から極力努力するというお話がありました。地方財政平衡交付金の増額につきましても、又地方債の増額につきましても、この小委員会の結論の数字そのものには同意ではないかも知れないけれども、極力努力するというお話がありました。併しこの地方債の増額につきましては、実際努力すると言われても実情は困難な状態にあるのに、そういうことを言われることは私は無責任ではないかと思うのでございます。例えば第七造船の資金が必要になつて来ておりまして、今度は七十億円第七次造船の船舶金融をやる場合、預金部資金のほうにそれが食い込むわけだと思うのであります。又これは預金部資金ではありますけれども、開発銀行についても資金需要が来れば見返資金のほうにその枠が食い込んで来る。こういうふうな新らしい需要がよそに起つて来ておる実情の下で、大蔵大臣は極力努力すると言われたけれども、実際においてはできないような実情になりつつあるのにこれを努力すると言われることは非常に無責任だと思う。若しか努力されるとするならば具体的にどういう点でどういうふうにするか、相当増額できることになるか、その具体的の内容を我々はお聞きしたいのであります。
○国務大臣(池田勇人君) 私は何も無責任にそういうことを申上げておるのではございません。現に御承知の通り金融債の枠と地方債の枠は違うのであります。同じ四百億円の枠になつておりまするが、お話のように第七次造船だとか、或いは開発銀行の見返から出す金の、その裏付けとかという問題は、金融債のほうの四百億円の問題でございます。地方債の四百億円、これとは特別関係ございません。ただ問題は預金部資金がどれだけ集まるかということと、それから地方の需要がどの程度になるかということ、而して金融界の情勢がどうか。こういういろいろなフアクターから考えるべき問題であるのであります。今の七次造船の関係と地方債の枠とは直接には関係がない。こう私は考えておるのであります。
○木村禧八郎君 この点は、大蔵大臣余りに何というか、形式的な御答弁であると思います。預金部資金のそういう枠が、ボリユムがきまつておつて、それで金融債のほうに、その枠がとられて来る、やはりこれは地方債に影響して来るのは当然だと思います。常識から考えて……。ですから先ほど無責任といつたのは、大蔵大臣はそういう形式的な地方債の枠と金融債の枠は違うのだと言つても、預金部資金の総額、このボリユムは、これはきまつているものですから、どうしても影響が来ないわけには行かないと思います。じや大蔵大臣にお伺いいたしますが、金融債のほうの枠が減つて来る場合、それがやはり地方債のほうに影響をしないで、別個に地方債の枠は枠として努力できるのですか、どうですか。
○国務大臣(池田勇人君) 第七次造船並びに開発銀行の出資によつて影響することが予想される分は金融債引受けの四百億円の枠であります。で、片一方の地方債引受けの四百億円というものは、預金部資金全体の問題でございます。で、今問題の地方債の枠の四百億円というものは資金部資金がどれだけ集つて金融債にこれだけ、そうして住宅公庫についてはこれだけ、こういうふうにきまつているのであります。全体の預金全部の枠に対してこの地方債の枠は影響いたしまするが、第七次造船の殖える分につきましては、金融債引受、一般産業資金の枠内で賄うつもりでありますから、直接に影響はないのであります。ただ影響するのは預金部資金全体の問題であります。そこで金融債引受の四百億円のうちに第七次造船が入つて来たから、それ以外の産業資金で四百億を殖やすということになつて来ると、地方債の四百億円がどういう影響があるかという問題になるのでありますが、私は只今のところ第七次造船等の産業資金、いわゆる私企業投資の問題については、四百億円の金融債の枠のうちでとめようといたしておるのでありますから、地方債の引受けには直接影響はない、こう申上げておるのであります。併し地方債の四百億円を殖やすということになりますと、預金部資金の増加の状況も見なければなりませんし、又余裕金として翌年度へ繰越す分につきましてどの程度喰い込むかという問題もあり、全体の問題には影響いたしますが、第七次造船と直接に関係があるとは私は考えていないのであります。
○堀木鎌三君 事務的な御答弁としては、木村委員にお答えになつたことは、私大蔵大臣の御説明は一応成り立つと思うのです、ただこの決議案を、小委員会における決議案をできるだけ尊重すると言われますが、一体どの程度に尊重されるかということが私は一番問題になると思う。それは事務的に言えば、今大蔵大臣の言われましたようにいろいろな條件を考慮しなければならんことも私わかるのであります。併し問題は、この決議を尊重されるという以上は、何と申しますか、要するに平衡交付金で百九億でありますが、百億以上、或いは百九億に近い、実質的につまり百九億をもらえる計画を立てても、それが幾らか減額値されても、大体その地方のほうはどうにかやつて行けるという見通しが立つようなものでなければ私は尊重とはならない。さすれば尊重するといつて平衡交付金を十五億をお廻しになつても、百九億の中で十五億を昨年度のようにお廻しになつても、それは結局計画の変更を要することになる。それから地方債の二百七十億、これを額そのもの、鐚一文もどうこうということはありませんが、ともかくも二百七十五億の地方債の増額というものを予定して事業計画を立てる。そうすると、尊重すると言つて、そのうちで十億くらい或いは十五億くらいの地方債が殖えたつて、これは事実上計画はできないのであります。そういう点につきまして私は尊重なさると言うならば、大体ここできめられた額の計画が実際施行できるように御尊重なさるつもりであるかどうか。これが私は要点だと思うのであります。金額かつきり、この額でなければならないということでなくして、尊重するとおつしやるならば、少くとも実質的には予定計画が余り変更にならないで済むのだ、これくらいの枠を事業計画に考えておつて、実施上大して支障がなくなるという程度に尊重するのだ、こういう考えでありましようか。その点をもう一度お聞きいたしたいのであります。
○国務大臣(池田勇人君) そういう細かい点になりますと、なかなか私は見通しがつかないと思います。で地方財政委員会のほうで百九億円要る、こういう百九億円の数字につきましても、これは私が察しまするに、災害の地方負担は全部三分の一ということで計算されていると私は聞いておるのであります。然るところ、今国会において御審議願うことにいたしておりまする災害に対する地方の負担は、税収入と災害の分量によつて勘案することにいたしまして、こうやりますというと、この百九億円が私は三十億円ぐらい減るやに計算ができているのであります。そうすると、私は地方自治庁と話をして、百九億円が七十九億円になるのではないかと思うのであります。而して又国と地方との仕事の分量の分けかたによりまして、違うフアクターも今後予想できるのではないか、こういうことを考えます。又片一方におきましては財政需要と財政収入の問題、殊に財政収入の問題につきまして、最近の状況から申しますと、私は或る程度もう少し検討しなければならぬ点があるのではないかというふうなことを考えますと、ここで幾ら幾ら殖やすというようなことは申上げないほうが、私は実情に副つていい工合にできるのではないか、こう思うのであります。而して又四百億円の災害の枠にいたしましても、昨年の実績を見まして、今申上げました通り、又昨年の当初の考えかたというものと実績は変つて来ているのであります。そこで又地方債の枠四百億円というのは、預金部の長期資金としての引受もあり、短期債で賄つている場合もあるのであります。而して又これ以外に、他の金融機関から借り得る場合を指定しておるわけではございません。こういうことから考えますと、その事業の状況によりまして弾力性を持たして行くのが私はいいんじやないか、ここではつきり申上げて、抜き差しならんようになるのも如何かと思います。今後やはりこういう問題は、情勢を見ながら、そのときに考えて行くのが適当であるという考えかたにいたしておるのであります。
○堀木鎌三君 大蔵大臣の言われることもよくわかるのですが、併し大蔵大臣の裁量の余地が、幅が広くては、この決議があろうがなかろうが、大蔵大臣の裁量の幅は一緒だということじや、この決議を尊重したということにはならないのであります。だからあなたがここで以つて査定された、災害復旧費の地方と国庫との負担の割合が食い違つて来た、その分はこの百九億に見込んであるのだが、その分は三十億になるから三十億を減らそう、地財委のほうもそれで納得する、納得するべきはずでありましようから、そういう内容の査定に当りまして、実質的な変化が起りました分は、これは私は何も額に捉われる必要はない。ただその点ははつきりなさる必要が私はあると思うのです。ただ一番曲者は、最後に言われました財政収入全体との関係からいろいろ……、こういうお考えがあるのですが、無論これも大きな枠として十分私は考えられると思うのです。併し大体現在の情勢におきまして大蔵大臣が判断されるというふうな点から見ますと、どう考えるか。つまりやはり一つ地方債に例を取つて言いますと、大蔵大臣は地方債に非常に例をお取りになりまするから……、私実は地方債の資料をここに持つていればいいのでありますが、ともかくも二十六年度末において二十七年度に持ち越されるところの地方債というのは、予定されたものが正確ではありませんが、六百億くらいにはなつておる。少なく見込みましても四百億くらいはあるわけです。こういうふうな予定になつておるのですが、そういうふうな面から見まして、御倉重なさる場合には、地方債の増額に例を取れば、これは来年度に繰越す分が或る程度減つても止むを得ないのだと、こういう程度にまでお考えになるか。それから平衡交付金につきましては増額を尊重されるならば、その増額については他の国費との睨み合わせもありましようが、委員会の意向も入れて、全体との比較権衡からもう一遍見直しても、そういう点どうお考えになるか、この点をもう一度お伺いいたします。
○国務大臣(池田勇人君) それは先ほど申上げましたように、各般の事情を検討いたしまして、而も又地方の財政収入等をも睨み合わせて考えなければならぬ問題だと思います。何も私は予算がきまつたから絶対に年度中において動かさんというわけのものではないのであります。やはり情勢によりまして補正予算を組む必要が起つた場合におきましては、これは補正予算を組むにやぶさかではございません。又地方平衡交付金の分けかたの問題につきましても、私は地方の情勢の変化によりまして検討しなければならん点があると思います。而も又地方債の問題につきましても、一応四百億円で、今各事業別に割当をやつておりますが、どうしても納まり切らんというときには、これは五、六月頃においてこれだけのことをしたいのだが、四百億ではこういう事情で足らんというときには、御指摘になりましたような二十七年度に繰越すべき預金部の予定額に異動がありましても、何らやぶさかではないのであります。やはり中央、地方を通じての財政計画が、経済状況とマツチしてうまく行くようにやつて行くのが我々の本心であります。
○矢嶋三義君 議事進行について。只今大蔵大臣の所見を承わり、なほ地方自治庁長官の御意見も承わつたわけでありますが、これを要するに、大蔵当局と地財委当局との見解の相違と、それから現在の予算案はこのままにして置いて、将来努力しようという点に盡きていると思うのであります。奨来努力するということについては、これは当然のことであつて、地財委当局も、政府案と地財委案との百九億の差額を増加するのみでは将来解決できない。更に増加してもらわなければ、地方財政は持ちこたえられないのであるということを証言されているわけであります。将来努力するということは、子供の頭を撫ぜる類のものであると思います。問題は現在の問題であります。これを如何に処理するかということが本委員会の問題でありますので、文部委員会、地方行政委員会からこの要望事項、並びに全国知事会からここに提出されている要望決議、更に本予算委員会の議決によつて設けられました小委員会において討議され、小委員長によつて報告されましたこの報告書を、如何に本予算委員会が処理するかという点に私は議事を進めて頂きたいと思います。
 更に繰返して申上げますが、全く本日の問題でありまして、この結論の中にもありますように、第三項にある「なかんずく年末手当支給に要する経費、給与べースの改訂による増及び教職員給与の級別格付基準改訂による増等については、」云々という、これのごときは、現在できないで地方公共団体は困惑、混乱の極に達している。それがあらゆる機関を通じて陳情或いは請願、要望、決議の提出となり、この予算格に対しても多数の陳情或いは請願がなされているはずであります。従いまして私は大臣に対してこれらに対する見解を聞くことをここで打切つて、本予算委員会は、これを如何に処理するかという態度を決定されるよう審議を進行されんことの動議を提出いたすものであります。
○岩崎正三郎君 今の動議に私は反対では決してありませんが、その前にちよつと大蔵大臣に質問したいのです。
 それは災害復旧の全額国庫負担が、今度は地方で出すというふうになつた。だから三十億ばかり余裕ができて来るだろうというようなお話であつたと思いますが……。
   〔「委員長、委員長」と呼ぶ者あり〕
○委員長(波多野鼎君) すぐ済みますから……。
○岩崎正三郎君 それでその三十億の余裕ができるだろうという御説明でありましたけれども、実はこの災害復旧事業国庫負担法案というものにつきまして、私ども建設委員会で二、三日前に予備審査をやつたのでありますが、その際におきまして大体の委員の意向は、今平衡交付金の問題で地方が困つているのに、全額国庫負担をこの際減らすというのは誠に困る。この立法の趣旨にはいろいろな意味で賛成するところもないわけではないけれども、今日平衡交付金の問題で地方財政が困窮しているのに、更に又地方に災害復旧の問題で余計に負担させるということは非常に困るという意味からして、何ならばかような法案は、前年度の通りのものを一年延期したらよかろうという意見が多数あつたのであります。そういたしますというと、今大蔵大臣が三十億くらい余裕ができるだろうと言つた見通しは、誠に危いことだと私は思うのであります。仮に今そのほうに自信があるとおつしやるならば、その自信のある根拠を示してもらいたい。
○国務大臣(池田勇人君) これは考えかたの問題を申上げたのでございまして、只今我々のほうで提出いたしております予算案その他の法案全体から来る問題であります。而して今の全額国庫負担に戻すということになりますると、今の百九億円というものも又変つて来るのであります。これは三分の一負担ということになりますから、全部国庫負担ということになりますと、地方の負担額がよほど減つて来ることになります。そうすると三十億以上に、百九億円というものが動いて来るのであります。私といたしましては予算案、各種の法律案を組みまして、こういう計画で行つておるからという説明であるのであります。これが昭和三十五年度にやりましたように全額国庫負担ということになると、いわゆる災害復旧その他の事業は減りまして、そうして地方の歳出もうんと減つて来る。こういうことに相成るのであります。
○委員長(波多野鼎君) 矢嶋君にちよつとお願いしますが、今動議を出されましたが、質疑の通告者がまだありますので、暫く質疑を続けまして、それからにいたします。
○木村禧八郎君 先ほど大蔵大臣にお伺いしたのですが、預金部の金融債の引受の点でございますが、開発銀行に対して見返資金から百億出資して、そのうち四十五億円は一般私企業投資のほうを減らす、それから残り五十五億円は預金部の金融債の引受の枠を減らす。それから第七次造船計画に基く見返資金の船舶金融増加七十億円についても預金部の金融債の枠を減らす。そうしますと百二十五億円というものが預金部の金融債引受の枠を減らすわけでありますが、この百一十五億円というものは一体どういうことになるのでありますか、この運用計画はどういうようになるか、この点についてお伺いいたします。
○国務大臣(池田勇人君) 七次造船に要します経費は見返の百十五億円のうちから出す予定でおつたのでございますが、その着手の時期を早めた関係上、昭和二十六年度におきましては百十五億でできません。従いまして金融債のほうから立替えしようかという考えでおるのであります。而して開発銀行のほうに充てる百億円のうち四十五億円を私企業として予定しておりましたが、五十五億円の差額につきましては経済再建費から一応出そうという考えでおるのであります。そこで経済再建費から出さんという場合において、預金部のほうで肩替りするかどうかという問題は、まだ未決定のものでございますから、先ほどの答弁にもそのつもりでそういうことを予想せられるという程度でお話申上げているわけで、従いまして若し仮に第七次造船とそれから開発銀行の五十五億円というものが、四百億円の金融債引受のほうから出るということになりますと、金融債の引受はそれだけ少くなりますが、一般私企業の産業資金として出ることになりますので、私は大体賄いつくのじやないかと思つております。
○木村禧八郎君 私の質問いたしているのはその点ではなく、預金部の四百億金融債引受の枠から百二十五億円というものが枠を外されますから、その百二十五億円というものはアイドルいたしております。アイドルと言つても、全然出し得ないわけではありませんけれども、その運用はどういうふうになるのか。
○国務大臣(池田勇人君) 開発銀行のほうへの百億円は、法案が通りまして設立して、直ちに動いて行くことになります。経済再建費から一応出すわけでありますが、これを情勢によつて預金部のほうから出すことになりますれば、四百億の金融債で引受けるというのが、五十五億円だけ出るのであります。而うして第七次造船の分につきましては、これは一般市中銀行から出ますので、その金につきましては市中銀行の金融債の引受と、こういうことになるのでございます。
○木村禧八郎君 要するに預金部で金融債四百億引受けるはずであつた。その枠の中から百二十五億というものが金融債引受になると、そうして金は、結局は第七次造船とか或いは開発銀行として見返資金のほうから出るから、その釣合において預金部のほうに余裕が出ると、そう考えられるのですが、その余裕金というものは、どういうふうに運用されるかということを伺つておるわけです。
○国務大臣(池田勇人君) 余裕金が出ますかな。今の四百億円の金融債引受というのが、初めから七十億円ばかりの第七次造船の分を金融債の四百億円の中に入れると、こういうふうになるのであります。それから開発銀行のものはまだきまつておりませんが、経済再建費から出しまして、そうしてその後の情勢によつてこれは預金部のほうから出しますという場合におきましては、四百億円の金融債の引受の分をやめて、そうして開発銀行から出すようになるのであります。而して見返資金と預金部との関係は、食糧証券その他の売買によつて調整すべきと考えております。
○木村禧八郎君 そこが問題なんです。ですから食糧証券その他の売買、これは余裕金、今までのいわゆるアイドル・フアンドと言われておる、食糧証券、短期証券の引受なんですから、それをいわゆる余裕金と言つておるわけなんです。それを大蔵大臣は、結局開発銀行と第七次造船の事業が出て来て、これを見返資金から賄うとインフレになるから、他方においてそのインフレ分を相殺する意味においてその余裕金のほうで引締めをしなければならないと、こういうふうにお考えになつていると思うのであります。そこで百二十五億円というものは全然遊ばせて置くという意味ではありませんので、今まで言われているアイドル・フアンドということになるわけであります。非常に短期の食糧証券その他の運用に廻るということは、これは余裕金です。余裕金というものは、大蔵大臣も御承知の通りそうなんです。その百二十五億円というものは……。そうしますと、そこに余裕金が出て来るわけでありまして、これをどうして地方債の引受に廻せないかという問題が起つて来ると思うのです。そういう意味でお伺いしているわけなんです。
○国務大臣(池田勇人君) 何も今までの計画を変えないつもりでおりますので、いわゆる産業資金につきましては今までの計画と何ら変りない。あなたのアイドル資金と言われるのは、金融債に使つた残りの、二十七年度へ繰越す予定額、或いは見返資金の中に、私企業とか公企業に出す以外の経済再建費を一応計画していないからアイドル・マネーと言われるのであります。この繰越し予定額の分については、何ら変りはないのであります。
○堀木鎌三君 実は私質問をよそうと思つたのでありますが、岩崎君に対する御答弁で大蔵大臣がおつしやつたことが、いよいよ以て不可思議になつて参つたのであります。災害復旧費を全額地方費負担というふうなことであれば、余りにもこういうふうな……そういうことも考えられる。そうすると災害復旧費は、今度期限が切れまして、二十六年度からは一部国庫負担になるのだということがきまつた、予定で出ているはずなんです。そうすると大蔵大臣の言われることはああも考えられる、こうも考えられと、ただ考え方を教えているに過ぎないので、現実的な解決に私は何もならぬような考え方にならざるを得ない。ただ考え方にはああある、こうあるということは、池田君から教わらなくても、考え方は幾らでもあります。併し現実の問題としてどうするかという問題が、考え方をお述べになるにしても、その後考え方が具体策になるという責任のある考え方でなければ、我々はこの問題の解決として考えられない。こう考えざるを得ないのでありますが、どうお考えでありますか。
○国務大臣(池田勇人君) 一応の考え方は、予算案と提出法律案で御承知を願いたいのであります。而して今後の問題につきまして、この考え方はこう変つたらばどうなるか、こういうお話でございますから、そういうときにはそういう考え方にせざるを得ない、こういうのでございます。(笑声)
○佐多忠隆君 大蔵大臣の我々の小委員長報告に対する感じ、心構えをお聞きしたのですが、その今お述べになつた御意見では、私たちの報告書の第六に書いてある平衡交付金の増額乃至は二十六年度予算の補正については、池田大蔵大臣は今後の情勢を十分見極める必要があるとし、情勢によつては適当な措置をとる必要があるということは予想されると述べましたが、補正予算に対し、先ず第一に平衡交付金を殖やすかどうかは約束できない。又起債の枠については相当弾力性があるが、これも年度の経過を見てからのことで、金額等も申上げかねるとのことでありました、という報告をいたしておるのでありますが、我々が大蔵大臣に聞きたいことは、この六に述べてあることをもう一遍繰返してお聞きするということではなくつて、更にこれより、こういう事情をいろいろお聞きした上、我々がこういう報告書を作つたので、その報告書に対してこの六に述べておられる意見より、或いは感じよりも、更に前進をした考え方をしておられるかどうかということを聞いておるのです。この点一つはつきり具体的に先ずお答え願いたい。
○国務大臣(池田勇人君) 前進というお言葉でございますが、私はこの前の本席上におきまして、これは予算総会か或いは小委員会か知りませんが、本席におきましての或る委員からの御質問に対してのお答えだつたと思います。而して今回はその委員のかたがたがお集りになつて、私は小委員会で出された結論を見たのであります。質問の点は同じでございまして、皆さんのお考えが非常にきついということになれば、やはりできるだけそれにマツチするというあれでございます。答えについて前進とか後進ということはございません。あなたがたの音意思の強いということがだんだんわかつて来る、こうすれば我々も協力するということはだんだんする。これを前進するということなら前進とお考えになつてよろしうございます。(笑声)
○一松政二君 議事進行について…。
○委員長(波多野鼎君) 質問が残つておりますから、そのつもりで……、質問が残つておりますことを御承知の上で……。
○一松政二君 承知しました。長くやりません。先ほど矢嶋君から動議が出ましたが、我々は小委員会に付託して、今質疑のあつたようなことは大抵小委員会で質疑を盡していると思うのです。そうして小委員長の報告もあつたわけでありますから、この小委員会の検討した内容に亘ることは、一応小委員会にお任せ願つたのじやないかと思うのです。そうして小委員会が結論を出したのであるから、その結論をどうするかということが今の問題でなければならんと思うのであります。そこで私は矢嶋君の動議が出て来ておるものと思うのです。更にここで同じ問題を蒸し返して質疑をするということは、いささか重複になりやしないかと思うのでありますから、私は委員長においてそれらを勘案しつつ、早く結論を見出して頂きたいと存じます。
  ((賛成)と呼ぶ者あり)
○佐多忠隆君 そういうお感じがあるかとも思いますので、私は繰返して議論をするのでなくて、この報告書が出た後に、どういう態度の変化なり前進があつたかということを具体的に聞いておるのです。そこで更に次のことをお聞きしたいのですが、我々は八に載つてあるようなことから達した結論は、先ほど一、二、三、四として述べた通りであります。ここで述べられていることが明瞭でありますように、我々の判定は、地方財政委員会の勧告を是とする、これを取上げるべきだということ、なかんずく年末手当支給に要する経費、給与ベース改訂による増及び教職員給与の級別格付基準改訂による増等については、特に地方財政委員会の勧告を下らない増額が必要で、大蔵省の査定は不当であるという結論、決定をいたしておるのであります。これは小委員長の報告にもありました通り、当時の小委員会の全会一致の決定であるのであります。そこで大蔵大臣は、将来考慮するか、あらゆる努力をするか、それは具体的に今金額を明示する等々のことができないという御答弁なので、その点は私たちも了承をいたします。併しこの結論を原則的にはお認めになるかどうかという点をはつきりして頂きたい。
○国務大臣(池田勇人君) 原則的に認めるとおつしやいますが、その原則的の程度の問題でございます。時期と金額はわからない。併し御趣旨尤もの点がありまするから努力しよう、こういうことであります。これは原則的に認めるのか認めないか、存じませんが、皆様の御意見のあるところはわかりましたが、今後いろいろな情勢を勘案して努力しよう。これは原則的に認めないのだとも言えます。併し金額については言えないということはおわかりでしよう。了承をなすつていらつしやるのだから……。原則的に認めるとか、認めないとか言われても、今までの答弁で御了承を願うより仕方がございません。
○佐多忠隆君 原則的にお認めになつているかどうかという点は、特に三に誰つてあります年末手当支給に要する経費、給与ベース改訂による増及び教職員の給与の級別格付基準改訂による増、これらの意見の相違は、すでに前国会から同じことを繰返しておられるので、三遍も同じことが意見の不一致のままに出て来ているので、同じことを三遍も未決定のままに置いておくのはおかしいじやないか。従つてこれに対して適当な判定をすべき時期だというので、小委員会は大蔵省の査定が不当だというふうな判定をいたしたのでありまして、従つて若し原則的にこれを承認されるのならば、今後は計算の方法としては、地方財政委員会の勧告の方式によつておやりになることをお認めになるはずである。その辺を原則的にお認めになつているかどうかということをはつきり明示願いたいと言つているわけであります。
○国務大臣(池田勇人君) そういう点につきましても、今後検討して行きたいと申上げるのであります。
○委員長(波多野鼎君) 別に御質疑がございませんければ、先ほど矢嶋委員から出されておりました動議についてお諮り申上げます。
 矢嶋委員は小委員会の報告を委員会において取上げるかどうかということについての結論を早く出せということでありました。これは先ほど開会に当つて申上げましたように、理事会においてもその方針でやつて来たわけなんでありますが、理事会においての席上で、多少質疑がしたいという意向がありまして、その質疑を繰返しておつたわけなんでありますが、終りましたから、それではこれをどういうふうに、この小委員長の報告を当委員会としては取上げるかという点についてお諮り申上げます。
 先ず最初に只今議題となつております地方財政平衡交付金に関する小委員会の報告についてです。この問題を表決に付するか、しないかについて先ず採決いたします。繰返して申上げますが、この問題を表決に付するか、どうかについて採決をいたします。この報告について表決に付することに(「委員長、議事進行」と呼ぶ者あり)賛成のかたの起立を求めます。表決に付するか否かについて採決するわけなんでありますが……。
   〔佐多忠隆君「ちよつと委員長、わからないのでありますが」と述ぶ〕
   〔内村清次君、発言の許可を求む〕
○委員長(波多野鼎君) いや、議事進行ですか。
○内村清次君 ええ。
○委員長(波多野鼎君) 内村君。
○内村清次君 先ほどの理事会におきまして決定されました、只今までの委員会の議事進行につきましては、本委員会といたしましては承認をいたしたわけでありまするが、ただこの問題がこの委員会に提起されましたときの状態と変つて参つたことは、大蔵大臣のこれに対する要望或いは又説明、こういうような点や、又は岡野国務大臣の答弁というものがありましたわけである。政府の大体責任、関係の大臣の説つ明もあつたわけでありますから、まあこれに対しまして、私たちは、これはまあ今回のこの委員会での議事進行の仕方であつたわけでありますからして、会派といたしましては、政府の態度につきましても今聞いたばかりでありまして、この点について少しく協議したいこともありますからして、五分間くらい一つ休憩をさせて頂きたいと思います。
   〔「賛成心々」と呼ぶ者あり〕   〔岩間正男君発言の許可を求む〕
○委員長(波多野鼎君) 議事進行ですか。
○岩間正男君 議事進行です。
○委員長(波多野鼎君) 岩間君。
○岩間正男君 非常に私は疑問を持つ、というのは、大体これは何ですか、参議院の審議というやつは、何回も何回も捲き返しやるのですか。昨日ですね、たしか矢嶋君の動議が成立していると思う。表決に付すべきである。この委員会で以て決定をすべきだ、それが採決されて決定しているのです。今更これだけ顔を揃えてから、それに対して諮るなんて理由は私はない。一遍決定されたことをここで又採決するかしないかなんてやつたら、これは春の日が五十時間あつたつて間に合わない。こういうやりかたは、すべて決定しているのですから、これについて本委員会がこれを採択するかどうか、こういうことを原則的に御決定になつて、今内村君からの動議もありますから、この点についてお諮り願いたい。(「異議なし」と呼ぶ者あり)余りおかしい議事法じや困る。
○一松政二君 小委員会の報告書を本委員会はこれを承わつていればいいのであつて、それから先にそれを飛躍的に何か考えることは私は別問題だと思う。小委員会は、一つの委員会でやることは、余り人数が多ければいろいろ問題もあろうから、特に少数の人を選んでそうして小委員会で決定する。小委員会の報告を本委員会に報告があつたのだから、それで終つたのだ、それをどうしようということはこれは別問題だと思う。
○委員長(波多野鼎君) いや、ちよつと待つて下さい。それは別問題だから、矢嶋君から動議が出たものだから改つめて問題になつたのです。それはあなたの言われる通りです。
○岩間正男君 昨日成立しておるので、当然かかる。それで日程まできまつていたのだ。昨日決定した、その委員会の一致の決定というものは、それじや無效になるのですか。そういう意味ですか。はつきりよくわからないからお聞きするのでが、一遍きまつたものを……、
   〔一松政二君発言の許可を求む〕
○委員長(波多野鼎君) ちよつと一人だけ発言……、岩間君発言して下さい。
○岩間正男君 どうも私そこんところ納得行かんのですが、昨日そういう動議が出まして、午後から諮ると、それでこの委員会に対して、而もそれが昨日委員会で決定されておつたと思うのです。一松君は何かおかしいことを言つて、委員会で決定して……。
○一松政二君 小委員会を設けて、小委員会が或る結論を出して本委員会に報告したならば、その報告で終るのであつて、それを今度は委員会が採択するか、採択しないかということを、それを、その採択という意味は報告以上の何を採択するということですか。
○委員長(波多野鼎君) それはですよ。昨日矢嶋委員から動議が出まして、この委員会の席上で、委員会ではその動議は成立したんです。そこで理事会としてどういうふうに動議の趣旨を実現して行くかということを相談したわけなんです。先ほど報告した通りです。今更その問題を蒸し返しては困るのです。(岩間正男君「蒸し返すことはない」と述ぶ)
○東隆君 先ほどですね。本委員会の運営については、理事会で協議が行われまして、併しながらその協議に対しまして今日の委員会で矢嶋君から、すぐこれをどう取扱うかを採択すべきかどうかということをきめるべきだと、先ほどの動議があるのです。ですから理事会における運営の方法については、この動議のほうが私は優先すると思うのです。若し何でしたらこの辺で内村君の休憩動議もございますから、一応休憩することにしては如何ですか。
○一松政二君 私はですね。若し取扱をどうするかということの可否なら今やつて頂きたい。今休憩をして又べんべんだらり長くやられたのでは私はかなわんと思います。だから早くやつて頂きたいと思います。
○岩間正男君 この問題を明らかにして置かないといかんから、何回でも発言しますが、昨日きめられた動議が成立しておつて、それに対する矢嶋君のさつきの発言は催促と見られるものだと思う。(矢嶋三義君「その通り」と述ぶ)そうでしよう。そういうことなのに問題をあとへ戻して、一遍きめてちやんと動議が成立して決定されておるものを、又戻して諮るか、諮らないかということをやつていたら春の日が五十時間あつても間に合わないと思うのです。こういう意味でその問題はいいので、あとは諮られることについて……。
○小野義夫君 昨日私はここにおつたのですが、そういう採択をするというような情勢でありましたから、我々は党議にも諮らなければならんし、殆んど大多数の委員が御不在であるというような場合に、かかる問題をきめることは、甚だしく不穏当であるとい抗議を申述べました。従つて委員長はその不穏当ということお認めになつて、而して理事会にお諮りになつて今日にまあ持越して来たんです。而して今回矢嶋君が新らしくこの問題に対して動議を提案されておるのでありますから、昨日なつたというのは岩間さんの或いはそのお考えが出違つておるんじやないかと、こう考えます。(岩間正男君「とんでもない、速記録を見ろ」と述ぶ)
○矢嶋三義君 動議の提出者として発言いたします。昨日私がこの小委員長の報告を如何に取扱うかについて決定して頂きたいという動議を提出してありますが、それは成立いたしました。(「その通り」と呼ぶ者あり)そのときに自由党の代表の方からも、この小委員長の報告というは今見たばかりである、我々はこれがノーか、イエスかということは、採択に当つてノーかイエスかいずれの態度をとるかということは党議に諮らなければならんから、皆揃うまで猶予してもらいたということで、猶予したわけであります。従いまして私は本日の本予算委員会においては、早急にこの問題が取上げられると思いましたが、問題がバツクして、質問戦が展開されましたので、私はここに昨日の動議が成立しておるから、速かにやつてもらいたいということを私は請求、催促したわけであります。私は今更又バツクすることは昨日の速記を見てもわかりますが、委員会の経過から申しまして、政治道徳の立場からも私は遺憾だと思います。
○佐多忠隆君 今矢嶋委員の御発言ですが、直ちに採択するかどうかをきめるというお話でありますが、それをきめるためには大蔵大臣、岡野国務大臣の意見を聞いた上で、不審な点があるからもう一遍聞こうということで、聞く段取りになつたことは昨日申上げた通りなんであります。そこで今お聞き及びの通りの事情が判明したわけで、この報告書をこのまま採択するか否かを決定すべき段階に来ておると思うので、そういうふうに議事は諮るべきだと思います。(「その通り」と呼ぶ者あり)併しただ今いろいろな報告を聞いて、各党各派としてそれじやどういう態度をきめるかということについては若干の打合せをしたいのであります。暫時休憩をしたいという動議があります。一つそれを御採択願いたいと思います。
○一松政二君 私はその問題は昨日決定しておると思うのです。今さつき矢嶋君の発言通り、我々は昨日これを決定することを暫時猶予をして今日に持越したわけです。ここへ来て又昨日と同じことを繰返すことは私は反対であります。
○委員長(波多野鼎君) 暫らく休憩いたします。
   午後四時七分休憩
   ―――――・―――――
   午後四時四十四分開会
○委員長(波多野鼎君) 休憩前に引続いて委員会を再開いたします。只今の員長理事打合会の申合せによりまて、先ほど委員長が宣告いたしました小委員会の報告を表決に付するか否かについての発言はこれを取消します。これより小委員会の報告について採決に入るのでありますが、その前に討論を行いたいと思います。小委員会の報告に対して御意見のあるかたは五分間以内において順次御発言を願います。
○一松政二君 議事進行についてちよつと伺います。小委員長の報告を採択するか採択しないかという場合に、我々は大きなる疑問が起る。ということは、この報告書を読みますればかなりはつきりした意見を、審判官の役を務めておる。そうして我々は予算委員として審判を下した上に安閑としておるわけには私は行かんと思う。そこでこの小委員会の報告を本委員会が採択した場合に、本委員会としては予算修正の義務を負うのか、或いは予算を修正せんとするのか、或いはいつかは出さるべきであろう追加予算に、或いは補正予算に、いの一番にこれを盛り込むことにおいて我々は義務を負うのか、負わないのか、これは予算委員長として、或いは小委員長としてこの点をはつきりさして頂かなければ我々としてはこれの採択に対してその賛否を決しかねる。でありますから、その点に対するはつきりした小委員長として、又は委員長としての御意見を承わりたい。
○委員長(波多野鼎君) 只今一松委員の御質問にお答えいたします、てこの小委員会の意見書を本委員会において採択いたしました場合に、その結果どうなるかという問題であると思いますが、いろいろなことが起ると思います。一つは予算の修正をするという問題が起きると、そういう途もあると思う。それから予算に対して反対の態度をとるという途もあると思います。(「その通り」と呼ぶ者あり)又補正予算を組む場合に、第一次的にこの問題を考慮しろというふうに申出るという途もあろうかと思います。いろいろな途が開かれておると思いますが、そのどの途を選ぶかということは、これが採択されたあとに御相談すればいいのではないかと考えております。
○一松政二君 はつきり、私はこの小委員会の結論を見ればかなりはつりしておると思います。これが反対される、予算にただ反対されるからということであれば、予算委員会の委員のかたがたのうちには反対意見もあろうし、修正意見もあろうし、賛成意見もあろうかと思うのであります。でおのおのその立場は異なると思います。従つてそういう複雑な内容を含むものを直ちに賛否に問われることは私は如何かと思う。私どもは政政の説明でもはつきりしておる通り、政府も何とかこれを措置しようと、我々も地方の要望もあるし、我々自身としてもこの行き方について、この方向については異議はない。ただ数字をはつきり挙げて、そうして審判を干した結果、我々は無責任な態度をとることになることを恐れるわけであります。で予算委員としてこれは良心的に考えて、その方向をはつきりせなければ私どもはこれに賛否を決しかねるわけであります。重ねて御答弁を願います。
   〔内村清次君発言の許可を求む〕
○委員長(波多野鼎君) 議事進行ですか。
○内村清次君 ええ、只今一松委員の発言は全くこれは一昨日のこの委員会における蒸し返しです。もうこれはすでに一松委員はこの問題につきましては小委員としての責任を持つてこの小委員会に参画されまして、そうしてこの結論を出されたかたである。(「その通り」と呼ぶ者あり)而も又この結論についてはこの前の委員会におきましては、これはただ単に委員長は報告の義務があるからここに報告をしたのである。その義務のあるところの小委長の、即ちこの報告に対しては、これは委員会が一致してこの小委員会を作つた性格からして、これを了承するか了承しないか、これは当然表決せなくてはならない問題である。正面も又この一松委員はこの問題は一昨日におきましても、相当この点については何か自分はこれを委員会に諮ることがどうも納得行かないというような発言もされておるのであるが、自分の委員のその任命を受けて、そうして自分の責任の即ちこの委員会の結論を出したことにおいて、この委員会に出すということはです、出すということは自由党の即ち議員の人たちが即ち承諾をしておる。(「その通り」と呼ぶ者あり)その承諾したところの、一列にお加りにならなくてはならないあなたが、その委員会にそのときには御欠席をなさつておる。こういうような無責任なことをしながら、この問題を更に蒸し返して行かれるということは、私たちは不可解に堪えないのであります。すでに結論は出て、それでは矢嶋君の動議をこれを採決するかどうかということについて、採択するがちよつと態度だけは待つてくれというのが、この自由党のかたの要求で、今まで待つたわけです。これを予算化する、或いは又この修正をするというようなことは、何も小委員長に質問をされても、小委員長は目論んでおられないことであつて、(「その通り」と呼ぶ者あり)各委員のかたがこの結論によつてどうしようと、これは各委員の即ち予算委員としての義務からして今後の動きは決定されるものである。そういうことは小委員長が先ほどはあなたの質問に対しまして答弁はされましたけれどもが、何も小委員長は意図のあつた問題ではないのであります。この平衡交付金の問題というものは全国の知事会議でも決議しておるような大きな問題であるから、取上げようではないかということは承諾した問題である。こういうようなことにつきまして更にあなたが失言……発言されるということは、なお且つ議事進行の名にかられまして、そうしてこの委員会を混乱させようというお考えでありまして、こういうような議事進行につきましては我々は取上げる必要はないと考えております。(「その通り」「異議なし」と呼ぶ者あり)
○一松政二君 委員長……、
○委員長(波多野鼎君) 討論ですか。
○一松政二君 いや、討論じやありません。今の内村君の発言中に発言とか失言とかはつきりしない点がありましたからそれについて……私は小委員会を設けてこれを本委員会に報告して、それを本委員会が了承するというならこれははつきりわかる。小委員会の報告をただ了承するんならただ了承する。それから先の態度をきめるというなら別問題である。それで今それを採択する、採択するという言葉が私にははつきり含み込めない。でありますから、ただ委員長の報告があつて、報告を了承するかしないかという問題でありますから別問題……でありますから私は予算委員としてはつきりした結論を出して匿いて、それから先に態度をきめればいいということに対して、私は予算委員としての私が、自分自身が考えて見て私は多少そこに疑念を持ちましたから委員長にその見解を求めたわけであります。誤解のないように願います。
○委員長(波多野鼎君) それでは先ほど申上げましたように、小委員会の報告に対して御意見のあるかたは五分間以内において順次発言を願います。
○一松政二君 私はこの小委員会の報告を政府に対する強い要望である、或いは勧告であるという意味においてならば私はこれを了承するにやぶさかでありません。でありますけれども、これを本委員会が取上げ、そうしてこれを修正案に持つて行く、或いはこれを補正予算にいの一番に計上するように本委員会としてこういう動きをするということであるならば、これは私は反対なんであります。でありまするから、先ほど申上げまする通りに、その動き方によつて賛成もすれば反対にもなるわけであります。でありますから、私はこの報告書をただ了承するという点ならば了承するにやぶさかではありません。でありますから、私は私の立つて、これは反対討論であるのか賛成討論であるのか、私自身わからない。でありますから、私はこれが二十六年度予算を修正するという意味においてならば反対であるし、それから補正予算にいの一番に計上すべく我々が動くということについては私は反対でありますから、但し私はただ強い要望である、或いは勧告の程度にこの委員会で了承するというならば、それにあえて異議を差挾むものではないので、ただ報告書を了承するという程度ならば別に異議はありません。
○佐多忠隆君 日本社会党を代表しまして本小委員会の報告に全幅的に賛意を表すると同時に、この結論が速かに実現されることを望んで賛成いたします。
○藤野繁雄君 この平衡交付金に関する小委員長の報告は一般予算と同時に採択するのが適当と考えるのでありますが、今回採決することになりましたので、縁風会としては小委員長の報告の趣旨には賛成の意を表するものであります。併し小委員長が報告いたしました金額、時期、方法等については、今後なお愼重に検討を要するという意味を以ちまして賛成いたします。
○櫻内義雄君 私は国民民主党を代表いたしまして、只今議題になつております小委員会の報告を採択するに賛成いたします。
○矢嶋三義君 私は第一クラブを代表いたしまして、この小委員会の報告に全面的に賛意を表することを……なお本報告書の趣旨が実現されるよう当委員会において努力することを要望するものであります。
○木村禧八郎君 私は労働者農民党を代表いたしまして、地方財政交付金問題に関する小委員会の結論に全幅的に賛意を表しますと同時に、予算委員会においでこれを採択されることを希望いたすものであります。
○岩間正男君 私は日本共産党を代表しまして、この小委員会の報告に賛成するものであります。我々とましてはこの国家財政のしわ寄せが非常に地方財政を脅かしておる。そのためにいろいろ起つておる問題については触れませんけれども、現在におきましては公務員のこのベース改訂、こういう問題だけでも例えば日教組の要求なんか見ますというと一千億の増額を要求しております。又さつき委員長から読み上げられました全国知事会議の要望決議を見ますというと、再勧告の要求さえされておるのであります。そういう点から小委員会におきましても、むしろもつと大幅の増額を自分たちは要望しておるのでありますけれども、とにかく全体との統一した立場におきまして、最小限度これを我々は要求したのでございますから、当然この線を支持して、飽くまでこの実現のために努力することを誓いまして、私はこの報告に全面的に賛成いたします。
○委員長(波多野鼎君) 他に御発言もなければ、討論を終りまして、直ちに採決を行います。地方財政平衡交付金に関する……(「議事進行について」「採決々々」と呼ぶ者あり)発言を許しておりません……に関する小委員会の報告について採決いたします。
○野田卯一君 その前に一つ議事進行について……、なぜかと申しますと、今皆さんの御発言を聞いていますと、内容がいろいろ條件附になつている。でありますから、例えば藤野委員のおつしやつたことは、趣旨としては異議がない、併しながら時期、方法、金額というものについては愼重に考慮を要すると、そういう但書附の賛意を表している。他のかたは全面的に賛成だ、こういうふうにいろいろ違つておりますから、私はこの委員会の運営を公正にして、国民の信頼を得られるようにするために、そういう條件附のやつを、大きく分けまするならば、藤野さんの言われるようなラインと、全面的に賛成と二つに分けて採決をして頂きたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
○佐多忠隆君 議事進行について……先ほど委員長から御報告があつたように、この報告について賛成か反対かの態度をはつきりすればいい。(「そうだ、その通り」と呼ぶ者あり)その後この問題は如何に扱うかということは、更に具体的な問題として(「その通り」と呼ぶ者あり)別途考慮する、別途に進めるということで然るべきだと思います。賛否の態度だけでいいと思います。(「賛否の態度に條件附はない」と呼ぶ者あり)
○委員長(波多野鼎君) 本報告に対しで賛成のおかたの御起立を願います。
   〔起立者多数〕
○委員長(波多野鼎君) 出席委員の総数は委員長を除きまして三十九名であります。そのうち賛成者二十五名であります。よつて小委員会の報告を予算委員会として採択することに決定いたしました。
 本日はこれを以て散会いたします。
   午後五時三分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     波多野 鼎君
   理事
           石坂 豊一君
           平岡 市三君
           佐多 忠隆君
           伊達源一郎君
           藤野 繁雄君
           櫻内 義雄君
           東   隆君
           木村禧八郎君
           岩間 正男君
   委員
          池田宇右衞門君
           泉山 三六君
           小野 義夫君
           岡崎 真一君
           工藤 鐵男君
           古池 信三君
           白波瀬米吉君
           野田 卯一君
           一松 政二君
           安井  謙君
           山本 米治君
           山縣 勝見君
           岩崎正三郎君
           内村 清次君
           永井純一郎君
           原  虎一君
           吉川末次郎君
           和田 博雄君
           高良 とみ君
           西郷吉之助君
           新谷寅三郎君
           高瀬荘太郎君
           高橋龍太郎君
           前田  穰君
           駒井 藤平君
           谷口弥三郎君
           竹中 七郎君
           深川タマヱ君
           堀木 鎌三君
           矢嶋 三義君
  国務大臣
   内閣総理大臣
   外 務 大 臣 吉田  茂君
   大 蔵 大 臣 池田 勇人君
   国 務 大 臣 岡野 清豪君
   国 務 大 臣 周東 英雄君
  政府委員
   内閣官房長官  岡崎 勝男君
   地方財政委員会
  事務局財務部長  武岡 憲一君
   大蔵政務次官  西川甚五郎君
   大蔵大臣官房長 森永貞一郎君
   大蔵省主計局長 河野 一之君
   農林政務次官  島村 軍次君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       野津高次郎君
   常任委員会專門
   員       長谷川喜作君