第011回国会 本会議 第3号
昭和二十六年八月十八日(土曜日)
   午前十時十四分開議
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 議事日程 第三号
  昭和二十六年八月十八日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
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○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
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○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、国務大臣の演説に関する件(第三日)。
 昨日に引続き、これより順次質疑を許します。堀眞琴君。
   〔堀眞琴君登壇、拍手〕
○堀眞琴君 今度の国会は国民によつて非常な関心を持たれておるのであります。なぜならば、今度の国会こそは、二週間後に控えたサンフランシスコ会議に上程さるべき講和條約草案について、政府から詳細な説明があるものと国民たちは期待しておるからであります。従つて政府としては、国民の前に、日本の今後の重大なる運命を決すべきところのこの講和條約草案について詳細な説明をなすべきであります。又国民もこれに対して十分論議を盡すべきだと思うのであります。ところが一昨日の総理大臣の演説は極めて平面的であり、單に講和條約草案の成立の経過を述べただけでありまして、深い内容に触れるところは何もないのであります。国民はこの総理の演説を聞いて恐らくは大きな失望を感じただろうと思うのであります。(「そうだ、その通り」と呼ぶ者あり)吉田首相の肚には、恐らくは、外交のことは自分に任しておけ、国民は默つて随つて来ればいいのだという気持を持つておるのだろうと思うのでありますが、(「違う違う」と呼ぶ者あり)若しそうだとするならば、これほど独善的であり、これほど非民主的なものはないと申さなければなりません。(「同感」「認識不足だ」と呼ぶ者あり)若し政治なり外交なりが国民の支持の上に立たなければ、それは強力な発動はできないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)国民の支持なき政治外交がフアツシズムだと言われるのはそのためであります。又今度の国会に要請されております全権委員等の任命に関しましても、政府のとつております態度は極めて独善的であります。私は、自由党が民主党とどういう連携をしたとか、しないとかいうようなことを、ここで取り上げておるのではありません。全権委員等の職務の性質から言つて、これを一般職とすべきか或いは特別職とすべきかについては極めて疑義のあるところであり、單に人事院規則によつてこれを律することは極めて不合理であると申さなければならんのであります。むしろ、特定の法律を設けまして、そうして全権委員等の任命を行うべきであると思うのであります。のみならず、この全権委員等の任務でありまするが、講和條約に調印するための全権、それから、それに引続いて講和條約の裏付けとなるべきととろの、いわゆる日米安全保障條約或いは太平洋條約、こういうものの調印と、この両者を兼ねるのか、それとも講和條約署名だげに限るのであるか、その間の関係も極めて明瞭を欠いているのであります。(「明瞭になつているわ」と呼ぶ者あり)これは要するに吉田首相の独善的な官僚的な非民主的な態度から出ていると申さなければならんのであります。この点に関しまして、私は先ず総理大臣がどのような態度、見解を持つていられるか、これをお尋ねいたしたいと思うのであります。(「わかつている」「同じことを聞くな」と呼ぶ者あり)
 次に日本国民の主権の回復に関してであります。本草案の前文並びに第一條によりますというと、前文には、連合国は日本と対等主権国として協力関係に入るという旨の規定があり、又第一條には、戦争を終結すると共に、日本国民の主権を認めるということを規定しているのであります。講和の本来の意味から申しますならば、戦争状態を終結して、平和状態に復帰する敗戦国の主権を回復して、そして主権対等国として国際社会に復帰する。とれが講和の意味であります。従つてこの国民の主権の回復の條項は極めて適切であり、我々も又その当然なることを信ずるのであります。併しながらこれに関連しまして問題があるのであります。先ず第一に、戦争が終結して主権が回復するのは本草案に調印した国々との間だけであります。そうでない、調印をしないところの国々との間には、依然として戦争状態が継続しておるのでありまして、従つて主権の回復はそこには認められないのであります。吉田首相も一昨日の演説でそれを考慮してか、一応の政治的独立という言葉を使つております。これ又この調印をしない国、未調印国は、本草案第二十六條によりますれば、三年以内に日本と個別に講和條約を結ぶことになつております。併しその講和條約の内容は本草案と同一のものであるということが條件とされております。ところで、今日ソ連や新らしい中国は本草案に対して全面的に反対の態度をとつておることは、皆様御承知の通りであります。又インドもこれに対しまして反対の態度をとつておることもこれも明らかであります。従つてこれらの国々が三年以内にこの草案と同一條件の講和條約を結ぶことができないとしたらどうなるでありましよう。更に又ソ連や新中国が戦争状態の継続ということを理由にいたしまして、日本の主権の行使を制限する、そのために日本に進駐を開始するということも一応は考えられるのであります。(笑声)こういう場合、政府としては如何なる見解と又如何なる見通しを持つているかを伺いたいのであります。(「答弁無用」と呼ぶ者あり)
 もう一つ問題となるのは日米安全保障協定に関してでありますが、この問題の内容につきましては昨日同僚議員によつて述べられておりまするので、私はその詳細を略することといたしますが、ただ、ここで日本の国内に外国の軍隊が駐屯する、日本の国内に外国の軍事基地が設定される、その上、外電の報ずるところによりまするというと、その外国に対しまして治外法権的な地位すらも保障しているということであります。若しこのようなことが事実であるとするならば、これによつて日本国民の主権が制限を受けることは勿論であります。エジプトが自国の体験からしてこの日米間の軍事協定に対しまして反対しているのは、我々としてもここに頂門の一針として考えなければならないと思うのであります。政府はこれに対して如何なる見解を持つておるか。(「反対の見解を持つておる」と呼ぶ者あり)これが第二の私の質問であります。
 次に中国問題に関するものであります。本草案二十三條(a)項は條約署名国といたしまして十四ヵ国を挙げておるのであります。併しながらその十四カ国の中には中国は含まれておらないのであります。講和は日本の独立と平和をもたらすためのものであり、そして又それは同時に極東の平和と安定にとつても非常に大きな意義を持つことは、今更説くまでもないのであります。而も中国は日本と最も密接な関係にあり、戦争という面から見るならば、日本と十数年の長きに亘つて戦い、その受けた損害や苦痛はほかの国々と比較にならぬほど莫大なものであると申さなければなりません。若しこの中国を除外いたしまして講和が成立するということになるならば、日本は勿論、極東にとりましても容易ならぬ事態が発生することを憂えざるを得ないのであります。さればこそイギリスは中国代表として北京政権の参加を要請して参つたのでありますが、アメリカは国民党政権の参加をとつて譲りません。結局去る六月のダレス・モリソン会談におきまして、米英間の妥協が成立し、中国政権のいずれを参加せしめるかは日本の選択に任せるということになつたと伝えられておるのであります。ところが吉田首相の昨日の答弁によりまするというと、日本政府は、この中国代表の二つの政権のうちいずれを選択するかは日本に任せられるということについて、何ら知るところがないと答弁をいたしておるのであります。併し政府当局者はアリソン公使とも米英会談以後に詳細に会談を遂げております。恐らくその席上におきまして中国問題に触れたであろうということは想像にかたくないのであります。若し政府がこれをもし関知するところではないというならば、ダレス・モリソン会談として伝えられるところのものは、すべて虚偽の報道であつたと申さなければならぬことになるのであります。なおニューヨーク・タイムズの報道するところによりますと、日本政府の選択については次のような條件が留保されていると言われております。一つは、その決定に際して日本は講和條約の全調印国と協議をすること、もう一つは、米英両国は最後的な決定に対してそれぞれ市拒否権を持つ、この二つの條件が留保されておるのであります。政府は中国選択問題に関しまして依然として関知せずとの態度をとるのか。若しそうではなくて、外電の報ずるようにその選択を任されたとするならば、どのような態度を以て果してこれに当るのであるか。私はこの点に関して首相の率直な答弁をお願いしたいと思うのであります。
 次に私の質問いたしたい問題は領土問題でありまするが、この問題につきましては昨日も和田君や木内君などによりて質問いたされましたので、私はただ一点だけ明らかにして置きたいと思うのであります。それは日本から引離される領土の最終帰属に関する問題であります。本草案第二條(b)項乃至(f)項の各項によりますというと、台湾、膨湖島、南樺太、千島その他一切の領土権を日本は放棄することになつております。併しその最終決定は本草案には何ら規定していないのであります。御承知のように、イタリアの講和條約によりまするというと、イタリアは旧植民地の一切の領土権を放棄するという規定をしておりまするが、併しその最終処分は、條約発効後一年以内に米英仏ソの四大国が協議してこれをきめる、その一年以内に決定しないときにはこれを国連総会に付託するということになつております。日本の場合にその最終決定についての規定がないということは、今後の国際関係に非常に大きな影響を與えるものと考えなければなりません。なお、本草案の構想の基礎となつておるのは昨年秋のいわゆる講和七原則でありまするが、この講和七原則によりまするというと、領土問題については四大国においてこれを協議し、一年以内に決定しないときにはこれを国連総会に付託すると、いうイタリアの講和條約と同じ規定があつたのでありまするが、アメリカとしては果して講和七原則の場合と同じような態度を以てこれに臨んでいるのであるかどうか。恐らく首相とダレス特使乃至はアリソン公使との間の会談においてこれらの問題についても詳細なお話合いがあつたことと思うのでありますが、その点について御説明を煩わしたいと思うのであります。
 それから安全保障の問題でありまするが、安全保障の問値につきましても、これ又昨日の同僚議員の質問によりまして一応述べられておるのであかます。私はそれを繰返すことをここには省きまして、ただ次の二つの点だけについて質問したいのであります。第一点は第五條(c)項にいうところの個別的自衛の固有の権利についてであります。それから第二点は同項の集団的安全保障取りきめについてであります。
 先ず第一点、個別的自衛の固有の権利についてでありまするが、吉田首相は昨日和田君の質問に対しまして、再軍備の意思は毛頭持つていないと言明しております。新憲法の第九條が今日厳存している以上、それは当然だと申さなければなりません。然らば自衛の権利の手段として首相は当面如何なるものを考えていられるのであるか。吉田首相は或いは言うかも知れません。警察予備隊である、或いは海上保安隊、こういうものを増強することによつて自衛の手段としよう、現に昨年の警察予備隊設置に際しまして、本会議における質問に首相は答えました。外国からの侵略に備えるのがその目的であるということを述べているのであります。若しそうとするならば、それは名称の違いこそあれ、再軍備と何ら異なるものではないのであります。而もその後の警察予備隊の訓練であるとか或いは武器装備等の点から徴しまして、明らかに再軍備と何ら異なるところがないのであります。政府はこの自衛の手段としてこれが一層の増強を考えているかどうか、はつきり御答弁を願いたいと思うのであります。
 もう一つ安全保障の問題としまして、(「まだあるのか」と呼ぶ者あり)太平洋條約の問題があります。外電の報ずるところによりますというと、本條約は七月十二日、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの三国間に仮調印され、日本の参加を待つばかりになつている、こう伝えられております。その目的から見まして一昨年成立いたしました北大西洋條約とほぼ同じ性質のものと見て差支えなく、ただ違う点は自動的参戦の義務があるかないか、或いはその期限が無期限となつているかどうかというだけの違いでありまして、その狙いとするところは全く同じ、即ち特定国又は特定勢力に対抗するためのものとなつているのであります。このような集団保障條約というものは、日米軍事協定と共に今日の国際対立を一層激化するものであることは、北大西洋條約に徴して明らかであります。アジアの諸国、特にインドのごときは、バギオ会談以来強い反対を表明して今日に至つているのもそのためであります。私は特にここで昨年二月成立いたしました中ソ同盟條約との関係を想起しなければならぬのであります。同條約第一條によりまするというと、「日本国又は直接或いは間接に日本国と侵略行為について連合する他の国の侵略の繰返し及び平和の侵害を防止するため中ソ両国はなし得るすべての必要な措置を共同してとること」、「中ソ両国の一方が日本国又はこれと同盟している他の国から攻撃を受け、戦争状態に陥つた場合には、他の締約国は直ちになし得るすべての手段で軍事的又は他の援助を與える」ということになつているのであります。従つて太平洋同盟は必然的に中ソ同盟條約と真向うから対立することは勿論であります。そのために日本が遂に戦争に巻き込まれることも予想せざるを得ないのであります。このように見て参りますというと、日米軍事協定といい、太平洋條約といい、日本の安全保障の裏付けとなつているところのものは、実は安全保障ではなくて不安全保障、危険保障であると言つても過言ではないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)政府はこれに対する如何なる見解と見通しを持つているか。
 それから最後に一点だけお尋ねしたい。本草案に対しましては、西ヨーロッパ諸国……(「時間々々」と呼ぶ者あり)
○議長(佐藤尚武君) もうすでに時間が来ております。降壇を願います。
○堀眞琴君 再質問を……。
○議長(佐藤尚武君) もう再質問の時間もありません。
   〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
○国務大臣(吉田茂君) お答えいたします。
 講和條約に未調印国との関係はどうであるかという御質問でありますが、これは技術的に申せばその間に戦争状態が継続するということになります。併しながら、そのために日本が日本の独立を侵されるとか、或いは安全に対して脅威を受けるというようなことはないと考えます。(「独断だ」と呼ぶ者あり)又駐兵によつて独立を侵害するというお話でありますが、駐兵によつて独立を侵害されている国はたくさんあります。イギリスのごときもアメリカの飛行兵によりて独立が侵害されていると言わるべきでありますが、誰もそういう議論をいたした者はない。(拍手)又駐兵協定についていろいろ御議論がありましたが、多くは新聞の報道を基礎としての御議論でありますから、私において答弁する責任はない。
 又安全保障の問題については、昨日も申す通り、まだ成案を得ておらない。構想についての意見の交換があつただけでありますから、いよいよ成文ができて、そうして條約の形になつたときに御相談をいたします。
 中国問題については、これは如何なる国が調印をするかということは連合国において決定すべき問題であつて、日本としてはこれに対して容貌する権利はないのであります。故に中共が調印するか或いは国府が調印するかということは、連合国において協定せらるべきものであつて、我が国としては静かにその決定を待てばよいのであります。(「それば皆秘密外交だ」と呼ぶ者あり)
 領土の最終決定についてのお尋ねでありますが、日本政府は、日本国としては、無條件降伏の結果として海外その他の領土については領土権を放棄するだけの義務を持つのであつて、その後において如何なる国がこれを領有するかということは日本政府のあずかり知らざるところであります。
 安全保障條約、太平洋條約等についてのお話がありましたが、太平洋條約については政府は何らの協議を受けておりません。安全保障條約については先ほど申した通り成案ができた上で更に承認を受くるつもりでおります。(拍手)
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○議長(佐藤尚武君) 岩間正男君。
   〔岩間正男君登壇、拍手〕
○岩間正男君 私は日本共産党を代表して吉田総理に質問するものであります。
 第一に聞かんとすることは、講和草案並びに会議召集手続等の法的根拠についてであります。言うまでもなく我が国は一九四五年九月二日ポツダム宣言を受諾することによつて米、ソ、中、英の四大国を中核とする全連合国に降伏したのであります。日本は米英両国のみに降伏したのではなく、ソ同盟、中国を含む連合国全体に降伏したのでありますから、従つて講和條約は当然連合国全体と結ぶ義務があり、そのために米、ソ、中、英の四大国が講和草案の起草に当ることになつていたのであります。これは、はつきり国際文書の明記するところであり、一九四七年以来、ソ同盟が折あるごとに対日全面講和を提唱して来たのはそのためであり、又中華人民共和国はその中央政府が樹立されて以来しばしばこれを繰返して来たのであります。然るに米国は一方的にこれを拒否して来たのであります。そろして今我々の眼前に示されましたこの草案は、主として米国がその起草に当り、ポツダム宣言その他重要なる国際協定を無視した單独講和草案であるのであります。これは明らかに国際法的に見て非合法且つ無効なものであると言わなければならない。
 次にこの草案の成立過程を見るに、これは明らかに反ソ反共のデマ宣伝を土台として作り上げられたものであることは明らかである。かの引揚問題のごときは最もその露骨な例ではないか。又、下山、三鷹、松川事件等の発生並びにその結末を見れば、内外反動勢力が如何に日本の国民感情を反ソ反共に動員し、利用し、かかる世論の積み重ねによつて日本を防共の基地たらしめんとして狂奔したか明らかであります。かの不合理極まる共産党の幹部追放や十数次に亘る民主的平和新聞の弾圧のごときも、單独講和の陰謀を国民の前に暴露し、押し迫つた戦争準備の危険を警告せんとする共産党並びに人民大衆への弾圧にほかならぬのである。(「嘘を言え」と呼ぶ者あり)而もこの露骨な反動的性格は、目下全面講和を叫ぶ平和集会の不法な禁止弾圧の上にも遺憾なく現われておるのであります。この祖国の危急に立ち上り、平和と民族の独立を守る愛国運動がなぜ悪いのであるか。然るにこれが今全面的に弾圧されておる。現に大阪の集会では、市役所の吏員が警察官に殴打されて大怪我をし、東京都におきましても、港区では、平和集会の不当な禁止に抗議した区会議員窪田みつさんは、愛宕警察署の警官のために後方から首を絞められて人事不省に陥り、その上を土足で踏む蹴るの暴行を受けているのであります。(「何を言つているのだ」と呼ぶ者あり)広島、長崎を再び繰返さないために、今日、日本の婦人は立ち上つているのである。この平和を守る女性にさえ瀕死の重傷を負わせなければ、このような単独講和の陰謀は推し進められないのであるか。単独講和というものはそれほど情ないものであるか。このことは全世界の平和愛好人民と共に日本国民の深く銘記すべきことであろうと思います。吉田総理は、平和論議、講和論議は弾圧しないと涼しい顔をして答えているのであるが、現状ではこのよろなフアシズム的狂暴が至る所で行われ、幾多の平和運動家が逮捕投獄されているのであります。この事実を一体何と見るか。このようにして、人民の眼をおおい口を塞いで、でつち上げられた世論をもとにして作られた単独講和草案を一方的に押し付けるために、頭から会議を否定し、單に調印のみの会議がサンフランシスコで開かれよろとしているのであります。それはまさに無理やりに手を押えて判をつかせるというやり方であります。併しながら、元来かかる非合法によつてでつち上げられた講和会議が降るであろう運命は、極めて明らかであると言わねばならない。殊にインド、ビルマ、イソドネシアを初めとするアジアの諸国は、こぞつて調印を拒否し、太平洋のその他の諸国も日本軍国主義の復活を警告しているのであります。又西欧においても、否、すでに世界の大多数を占める平和愛好的人民勢力は、徹底的にこれに反対しているのであります。
 最後に、驚くべきことは、この條約に隣邦中国が故意に除外されていることであります。そもそも太平洋戦争は日戦争の延長であり、日本帝国主義は一九三一年九月十八日以降中国を侵略し、その国土を広大な地域に亘つて破壊したのである。そのこうむつた犠牲は、人員にして約一千万人、財産にして十八兆億を超えているのであります。その事実を深く顧みるとき、日本国民は誰しも、中国を代表するところの中国八民政府の参加により講和條約を締結する以外には、今後アジア並びに世界平和への保障を考えることはできないのであります。無論かかる不法に対して中国人民政府は、その政権樹立以来繰返し反対を表明しているのである。現に一昨日の新華社北京放送では、周恩来外交部長が長文の声明を発表し、「かかる講和草案は国際協定を破壊したもので、原則的に受諾できない。従つて米国及びその他の国がたとえ條約を締結しても、中国人民は絶対に承認しない。中国の参加がなければ会議は無効である。」と、強硬に抗議していすのであります。吉田総理はかかる抗議を何と見るのであるか。その結果こうむるであろうところの日本の不利と損失の責任は、一切これは吉田内閣が負わねばならないものであると我々は思うのであります。(「答弁の必要なし」と呼ぶ者あり)
 第二に、私は今次講和の中心眼目をなすところの日米防衛協定について質問するものであります。昨日来のこれに対する総理の答弁では何らその内容が明らかでありません。従つて我々日本国民を納得させるものではないのである。併しながら、あと二週間後に調印される協定内容が――而も民族の運命と世界平和にとつて極めて重要なこの問題を、知らぬ存ぜぬで頬かむりを続けることは絶対に許されないのであります。どうも首相の説明では辻棲が合わない。細目はわからないけれども、安全……批准條項はあるのだと言つててる。局部については、はつきり言つているが、全体についてはぼやつとしている。これは現在の民主党対策ではないか。こういうふうに思う。そこで私はどうしても、もつと具体的に聞かなければならない。もつと具体的に質問したい。
 伝えられるところによると、日米防衛協定によつて、アメリカ軍に講和締結後も依然として日本に駐屯し、その基地は横須賀軍港を中心として全国至る所に作られ、その兵士は国内を無制限に交通して憚からず、基地外においても軍事訓練は自由に行われると言われている。而もこれらアメリカ軍とその所属員に対しては、すべての税負担が免除されるのみならず、基地内におきましては勿論、基地外でも、日本の警察権、裁判権が行使されず、いわゆる治外法権が設定されるのであります。これは曾つての中国における上海の租界以上であります。殊に驚くべきことは、これら軍隊駐屯に伴う費用の大部分が日本国民によつて負担されるということである。占領下の現在におきましても、日本国民は毎年一千億以上の終戰処理費の負担に歯を食いしばつて堪えて来たのであります。而も朝鮮――戦争勃発後は、日本の軍事基地は――に拡大され、農民の土地取上げに頻発し、基地の周辺は無数のパンパンが群がつているのであります。━━━━、重視、低賃金、低米価、労働強化、企業倒壊、失業等による国民生活の破壊と、文化、社会、風教、道義の廃頽を心から嫌悪すればこそ、日本国民の講和への期待は日一日と熾烈となり、今や待ちがたい焦燥感は、一部国民をして或いは單独講和も又止むなしとする傾向さえ生ぜしめたのであります。併しながら、たとえ單独講和を口にする国民層といえども、根が悪質な売国奴でない限り、人民生活の安定と完全なる主権の回復を衷心から願わない者はないのであります。然るにその待ち設けた講和の実体が全然その志に反し、税金は依然として安くならないのみか、ますます高くなり、アメリカ軍隊は今や名実ともに戰鬪軍として日本の二百有余の基地に屯し、━━━戦闘訓練を行うことになればどうであろうか。吉田総理は日本の主権條項が最終草案に記入されたことを誇り顔に報告しているのであります手が、他国の軍隊が事実上一国を支配したいる限り、主権の独立は空文に過ぎないのである。(「その通り」と呼ぶ者あり)これはかの強大なイギリスにおいてさえ、北大西洋同盟に基くアメリカ軍の駐屯が国の独立を危くしている事実がある。総理は反対のことを答えられたが、この事実をどう見るか。ましてや弱小国日本にアメリカ軍が無期限に駐屯すれば、それは植民地以外の何ものでもないのである。これこそは平和への講和ではなく、講和とは実は名ばかりの軍事條約の強行であり、植民地的軍国体制の出現であります。吉田総理はアメリカ軍の駐屯を日本が希望したのだと答えていますが、一体それはどこの日本人であるか、(「何を言う」と呼ぶ者あり)長い間苦しんで来た日本人は、講和によつてアメリカ軍が一日も早く日本から撤退することを望んでいるのである。(拍手)而も又昨今のニュースの伝えるところによりますと、日米防衛協定の結果、日本には陸軍二十個師、並びにこれに伴う戦術空軍や、沿岸保安隊の創設が日程に上つていると言われております。最低五千億を下らないであろうところのこれら厖大な再軍備費の負担は一体どうなるのであるか、たとえそのために血を搾るようにしてこれまで隠匿して来た国家予算を投入するとしつても、国民の税負担は講和後の賠償問題ともからんでいよいよ強化されるのであります。(「寝言を言うな」と呼ぶ者あり)その結果は当然、労働者、農民、市民の生活を脅かし、(笑声)又それは教育、社会保障、失業対策、とか公共事業等、人民生活になくてはならぬ政策にも、しわ寄せされることは明らかであります。(「何を言つているんだ」と呼ぶ者あり)すでに六三制のごときは、天野文相の必死の声明にもかかわらず(「共産党何を言つているんだ」と呼ぶ者あり)その存立を危くする経済情勢が刻々深められている。吉田総理は曾つて六三制を始めた最高責任者として、この新学制を守り抜くことが講和と関連して果してできるかどうか。その決意のほどをはつきり伺いたいのである。又若し守り抜くとすれば、その財政的裏付けを現在の経済情勢でどうするか。名前ばかりの干からびた六三制ではもはやどうにもならないので、私はこの点を併せてお開きしたいと思う。更に再軍備につきましては、第十国会以来、吉田総理はこれを行わないということをしばしば言明して来たのであります。その理由とするところは、日本国憲法とり関連と目下の経済事情にあつたはずである。併し今や問題は、行うとか行わないというような論議よりも、行わせられるという、この実情にあるのであります。たとえそのような事態に立ち至つたとしましても、なお初志を曲げずに断乎としてこれを拒否するかどうか。若し拒否する覚悟があるならば、再軍備の條項を含むところの日米防衛協定には当然調印をしないことの約束をここですることができるはずであります。(「ふざけるな」と呼ぶ者あり)これに対して果してその約束ができるかどうか伺いたいのである。一国の首相の政治的信念と責任にかけてこの点をはつきりと御答弁が願いたい。(「何を言うか」と呼ぶ者あり)
 私の第三に質問をしたいことはソ同盟の会議参加の問題であります。ソ同盟のサンフランシスコ講和会議への参加は、戰争屋どもが如何なる中傷を加えているにもかかわらず、不合理な単独講和を全面的に訂正し、国際協定に基く公正なる全面講和の主張を実質的に貫くことが、その主要なる眼目であろうことは想像するにかたくないのであります。そして、これは又、過日ソ同盟の最高幹部会議長ジユヴエルニク氏によつて提案された五大国平和條約会議提案の精神でもあります。即ち心から世界平和を希求し、原爆の徹底的禁止と軍備縮小により、第三次大戰への危機を未然に防止せんとする人類の叡智の表現であり、こうした精神によつて貫かれているソ同盟の会議参加に対し、吉田総理は賛成か反対か、如何なる見解を有するか伺いたい。(笑声)
 以上すでに述べたように、国際法的に見て非合法且つ無効な単独講和草案に対し、全権を送つて調印することをやめ、すべからくポツダム協定・日本国憲法の精神に則つて、世界平和のための全面講和の開催を要求すべきであると思います。改めて吉田総理の答弁を求めるのである。(笑声)若しかくのごとき世界歴史にも曾つてその例を見ないところの屈辱的な條約に調印し、講和に伴う軍事條約が実現するならば、国内の反撃は到る所に起り、その結果、吉田内閣は足元から崩壊せざるを得ないのであります。かかる前途の不安を予知すればこそ、全権団の構成が最初から大きな蹉跌を来たし、見せかけの超党派的構想は完全に失敗を喫し、政府は面目を失したのである。今又むし返しの構想により、体裁を繕おうとして、猫撫で戸で国会にその片棒を担がせようとしても、良識ある国会はこれを承認することはできないのであります。(拍手)我々はいりまいでも近視現眼であつてはならない。今やすでにアジアの民族解放運動と世界の平和愛好人民勢力の画期的躍進によりまして、單独講和の陰謀は刻々に失敗し、全面講和の可能性は具体的現実となつているのである。(「そうだ」と呼ぶ者あり)而してそれを決定的ならしめる一つの大きな鍵は、実に我々日本民族の平和を愛し独立を希うこの決意にかかつていることを、ここに我々は思うべきであると思います。この重大なる歴史的転機に当つて吉田総理の確信ある答弁を要求するものである。(拍手、「答弁の要なし」「無用々々」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
○国務大臣(吉田茂君) お答えいたします。
 講和條約は非合法云々という御意見でありますが、日本政府としては六年の間正式機関と認められた機関からして招請を受けた以上は、その招請を受諾するのが何が非合法であるかと私は言いたいのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)又講和條約にソヴイエトが調印するかどうかは、私は共産党以上には知らない。(「その通り」と呼ぶ者あり)が、現に招請に応じてサンフランシスコには全権が送られるそうであります。送られた全権が調印するかしないかは、これは今後の話で、私はその間の事情は存じません。
 治安維持について政府がとつた措置について、これは言論の圧迫なりと言われるが、これは講和條約とは何ら関係がないのであります。治安を乱す以上は如何なる者といえども、これは取締りをいたします。(「事実を言え」と呼ぶ者あり)又講和條約についての言論は自由であるということはかねて申しているのであります。国民の輿論が最も自由に発表されて一向政府としては異存がないということは、しばしば私が言明するところであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)
 安全保障條約については、昨日も申した通り、構想については私がここで、はつきり申上げておきましたが、併しながらその成文は未だできておらない。従つて又いつ調印するかというようなことは、これはいい加減なことであります。(「ごまかすな」と呼ぶ者あり)ごまかすのではない。故に、事実を言つているのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
 次に六三制の問題について、これは政府においては変更する意思はないのであります。
 ソヴイエト同盟がサンフランシスコに参加することについて何と考えるか――これは何とも考えないのであります。(笑声)講和條約に参加してくれれば結構な話であると思います。それはソヴイエトの自由である。(拍手、笑声、「再質問の必要なし」「聞くのが厭だろう」「ソヴイエト大使」「聞くのが辛かろう、もつと辛くなるぞ」と呼ぶ者あり)
   〔岩間正男君登壇〕
○岩間正男君 故意か偶然かわかりませんが、只今の答弁の中で最も重要な再武装に対する決意の問題、そうして現在の決意がここではつきりされる限り、私はそういう條項が含まつているところの條約には調印できないはずである。これに対して当然首相がいつも堅持しておるところのその精神から言うならば、当然ここをはつきり国民に公約できるはずであるということを(「はつきりしておる」と呼ぶ者あり)私は要求したのでありますが、これに対しては何らの答えもない。いつでも現在は不明瞭で問題はわからないというように逃げて来たのが、ここ長い間の政府の態度であります。これは例を挙げれば、例えば州兵派遣問題につきまして、第十国会におきまして、この州兵というものが今までの占領軍とは性格が非常に達うようである。ロバート・マーテインはこれは戰略軍であるということを述べておるのでありますから、この外人記者の言を私は引用しまして、従つて若しも日本に占領軍以外の戦略軍が入るならば、これに対して日本政府はポツダム宣言の精神により、これは受諾することができないのじやないかということを私は質問した。併しそのときは、政府はこれについては何んら私はわからない、従つて答弁の限りでないと言つて逃げた。果して一カ月後どうであるか。今日、州兵が日本にやつて参つて来ておるのである。これは占領軍であるか戰略軍であるかは、その性格は未だに明らかでない。ポツダム宣言の規定によれば、当然占領軍は日本を非武装化し或いは日本を徹底的に民主化する目的以外には、これは日本にいることはできないはずである。然るにこのような州兵について徹底的に政府はこれを糾弾糾明することなくしてこれを許しておるという、このような態度、この態度は今度の講和條約にはつきり現われておるのであります。(「何を言つている」と呼ぶ者あり)従つてこの重大な再武装の問題につきましては、当然これは吉田総理は、民族の重大なる運命に関する問題でありますから、再び立つて、ここでこの演壇を通じて国民大衆にその信念を明らかにされることを要望するのであります。(「わかつているじやないか」「答弁の必要なし」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
○国務大臣(吉田茂君) お答えをします。
 今度の條約の中には再武装の問題は含まれておりません。私はしばしば申す通り、現在のところ、再武装ということ、再軍備ということは、日本国の情勢がこれを許さない。だから、しない。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) これにて質疑通告者の発言は全部終了いたしました。国務大臣の演説に対する質疑は終局したものと認めます。
     ―――――・―――――
   〔三輪貞治君発言の許可を求む〕
○議長(佐藤尚武君) 三輪貞治君。
○三輪貞治君 私は、この際、災害復旧に関して緊急質問することの動議を提出いたします。
   〔「賛成」「養成」の必要なしと呼ぶ者あり〕
○高橋道男君 只今の三輪君の動議に賛成であります。
○議長(佐藤尚武君) 三輪君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。三輪貞治君。
   〔三輪貞治君登壇、拍手〕
○三輪貞治君 私は只今の岩間君の非常に派手な講和論議の後塵を拝しまして、地味ではありまするけれども、(「余計なことを言うな」と呼ぶ者あり)国民の非常な関心事でありまするところの災害対策に関しまして、日本社会党を代表いたしまして、農林、建設、大蔵の各大臣、及び地方自治庁長官に対しまして質問を試みたいと思います。
 ややもすると目睫の間に迫つておりまする講和の問題のみに目を奪われまして、足下の問題を見逃し、或いは軽視する傾向なきにしもあらずでありまするが、我が党におきましては、差迫つておりまする公務員のべース・アツプの問題、或いはインフレ傾向の激化に伴う物価高に対する対策、労働対策、台風期を控えての対策、これに伴う補正予算の問題等を審議すべき必要を認めまして、臨時国会の要請をいたし、従つて当国会の会期が一週間以上なければならぬことを強調したのでありましたが、時日がないとの理由で、講和全権承認にとどまる国会のみに限定され、会期も僅かに三日間と決定されましたことは、誠に遺憾の極みであります。
 さて、今年も又例年の台風季節が訪れて参りました。第一陣の台風ケイトは、すでに六月末九州南部に上陸をいたしまして、南九州と四国、近畿の各地方を襲いまして、死傷者、家屋倒壊、田畑の流失冠水、その他の損害を莫大に與えたのであります。今年も又自然の暴威の前に我が国の後進性と政治の貧困を露呈することをば恐れ且つ憤る者は、本員一人でないと思います。台風は我が国の地理的宿命とも申すべきものでありましようけれども、これは地震などに比べまして、発生地、強度その進路等が大体予知することが可能であり、又、毎年且つ同じような時期に定期的に来襲することまでわかつておるのであります。それにもかかわらず、年々歳々依然たる惨害と損失を繰返しておるということは、誠に文化国家の名に恥じる情ない話であります。本年もこれから続いて台風の後陣が来襲することが予想されまするが、この災害対策というものは、昨年に比しまして旧態依然として何ら見るべき進歩を示していないと思われるのであります。国庫の支出の額、即ち政府の腰の入れ方が、その年の、或いはその後の災害の発生に大きな関係を持つことを考えますると、うたた寒心に堪えないものがあるのであります。農林公報の第三十四号によつて見ますると、これは河川改修工事と氾濫面積の相関関係を調べているのでありまするが、これによりますると、満州事変が始まりました昭和八年以来、年を逐つて工事費が減少をいたしまして、それに応じて反比例し、氾濫面積が増加をしておるという数字があるのであります。昭和二十四年の調査でありまするが、最近十カ年平均の氾濫面積は、年二十五万六千町歩でありまするが、最近における五カ年平均は三十六万八千町歩と激増いたしまして、工事費の減少、即ち政府の関心の底下が、てきめんに氾濫面積の増大と従つてその災害の増加となつて現われていることをば発表しているのであります。
 そこで建設省が六月末発表いたしました建設白書によつて見まするというと、昭和二十二年より二十五年までの河川災害復旧の進行状況は、二十三年災害に対しまして五一%、二十四年災害に対しまして三八%、二十三年災害に対しましては実に一二%の復旧状況に相成つておるに過ぎないのであります。台風の災害の中で最大なるものは、これに伴つている豪雨による洪水でありまするが、河川の復旧状況にして右のごとき遅々たる状況であるとしまするならば、台風季節を目前にいたしまして、誠に心細い限りであるわけであります。建設大臣におかれましては、果してかくのごとき復旧状態で台風期を迎えまして、なお且つ荒廃せる国土を保全し、尊い人命と産業を守るに万全なりというお考えであるかどうか。又、若し然らずとするならば、現在進行中と思われまするところの補正予算或いは来年度予算編成に当つて如何なる構想で御折衝を進めておるか。これはお茶濁しでなしに、詳細且つ具体的に親切に御説明を願いたいと思います。この点に関しましては大蔵大臣の御所見も併せてお伺いしたいと思います。
 なお、洪水の害を防ぎますところの最も有効な方法は、合理的治水工事と、それによるところの水の統制にあると考えられます。よく人口に膾炙されておりまする有名なアメリカのTVAの気象管理について、安芸博士の述べておられるところをば見ますると、テネシー河の流域は天然資源に富み、人口も多い所であるが、洪水がしばしば繰返され、土地はすつかり荒れ果てて、よい土地を待ちながら食糧さえ移入しなければならなかつた。そこでTVA即ちテネシー河河域公社が設立され、多数のダムが作られて、河は運河となり、大水力発電が行われるようになつた。一九四二年の冬に上流地方に大豪雨が襲つたけれども、以前は間違いなく大洪水になるところであるが、この河の集水地域には数百カ所に及ぶ雨量観測所があつて、そこから樵夫、農夫或いは商人によつて、電話、ラジオで雨量が刻々通報され、又全地域に設けられた数百カ所の水位観測所からも、そこの水位がTVAの予報課長の下に通報される。それらの通報が技術者の手で総合され、いつ、この河のどこで、水位がどれくらいに上るかが判断をされた。この確かな判断に基いて、TVA中央調整所が各支流ダムに指令することによつて、組織的水位予報と水の統制下に洪水が防がれ、而もこの水の大部分があとになつて水力発電に使われた。かようにあるのであります。このように国の予算を思い切つて計画的な国土計画の下に治水工事に廻されるならば、どんなに狭小である日本の国土が豊かなものになるであろうかと考えられるのであります。私はこの際、建設大臣の包蔵される国土計画の大綱と、この計画に基いて着々これをば実現せんとする熱意のほどを伺いたいと思います。
 次にお伺いいたしたいことは、台風といい、豪雨といい、全国的な問題ではありまするけれども、地域的にその頻度と災害状況に著しい差があることは、皆さん御承知のところであります。年々歳々甚大なる被害をこうむる府県にとりましては、全く年と共に痩せ細つて行く状態でありまして、地方財政はために非常に逼迫をし、その復旧に追われて、積極的施策の遂行は止むなく等閑に付される状況であります。一例を申上げまするならば、一年の予算が僅かに三十億か四十億の府県にいたしまして、その年々の災害は百五十億に上るという府県もあるわけであります。又十年に一回もそのような災害をこうむらないところの地方さえあるわけでありまして、その頻度と災害の状況は誠にまちまちであるわけであります。そこで、そのようなたびたび災害をこうむる地方におきましては、被害者は一種の宿命観に階つております。この災禍をば再び招かないための積極的な防衛策に挺身協力する気力と社会性をも喪失するがごとき状態を間間散見するのであります。而も毎年これを繰返しておるわけでありまして、このことは、延いては非科学的にして而も無気力な宿命観と社会意識の欠如を招来いたじまして、このような状態の中に溌剌たる政治の伸張を見ることはできないことは、皆さんよく御承知のところであります。これは近代的な文化国家として一大恥辱と言わなければなりません。
 そこで、これらの地方に対しまして、全国一律の考え方でなしに、特別な立法措置でも講じて、これに基いて災害復旧費或いは進んで防災施設費を支出する等の措置をすることが絶対に必要であると思われるわけであります。又現案におきましても、そのような計画と運動を起しておる地方もあるかのように承知いたしておりまするが、建設大臣は、このような特別に災害をこうむる地方に対する特別立法の問題に対しまして、如何ようにお考えになりまするか。又この問題は最古大蔵省と関係が深いのでございまして、聞くところによりますると、大蔵省がそういつた立法の障害になつておるということも聞いておるのでありまするから、この際大蔵大臣の御所見も併せて承わりたいと思います。
 次に農林大臣にお伺いいたしまするしが、現在におきましては、全国的に長期に亘りまして降雨がなくて、旱魃の被害さえ見られておるのでありまするけれども、今年二月以降六月末に至る期間におきましては、全国各地に不連続線が発生いたしまして、ケイトその他の台風となり、異常な豪雨をもたらし、水害は各地に発生して、河川の氾濫、堤防の決壊、道路、水路、橋梁等の流失、耕地の埋没等、農林関係の施設並びに農作物に対する被害は甚大なものでありまするが、これに対する災害復旧と農作物に対する災害補償の実績をお伺いしたいと思います。
 なお、この際、このたびの水害に見られる特徴は、あたかも水稻の植付け直後でありましたために、耕土の流失が甚しくて、応急に原形に復旧して、植付けは何とか間に合わしたけれども、長年に亘るところの生産力の減退と、よつて来たるところの收穫の減少は、蔽おうべくもない事実となつて現われることは必定であります。農林大臣におかれましては、このような土地の生産力を保全するために、国がこれらの生産力を保障するために、何らかり立法的な措置、例えばアメリカにおける土地保全法のごとき、或いはこれは新らしい考え方でありましようけれども、共済制度を耕地にまで拡張するといつたような、抜本塞源的な対策の用意ありや否やをお伺いいたしたいと思います。
 次に時間がありませんから一々数字を挙げませんが、農林省関係の耕地災害復旧のうち、過年度災害の多くの部分は復旧が未解決のまま残されておるという事実は、全国各都道府県或いは市町村の怨嗟の声になつております。末端農家におきましては、非常に緊急を要しまするから、国の補助がなくても、借金をしてでもこれを応急にやるのであります。ところがこの危険率の多い、而も当てにならない、利益の低い農業という企業に対しましては、金融の途は全く閉ざされており、而も高利が待ちかまえておるのであります。さような状態におきましては、非常に経営的に成り立つておらないところの農家の経営は、赤字を累積せしめるという現実が現われております。この過年度の災害の復旧促進と新規災害の速かなる復旧こそは最も契緊のことと思われるのでありまするが、この点、農林大臣の御所見を承わりたいと思います。なお、併せて災害復旧の融資と拡大と手続の簡素化、非補助災害の復旧に関する融資の便法等、具体的にお述べ願いたいと思いま
 次に、農作物の災害に対しましては農業災害補償法が適用されておりまして、農家の災害をできるだけ少く食い止めることに相成つておりまするけれども、この制度も永年農家の側から見ますと多くの欠階と不満があるわけであります。何よりの問題は、支給される保険金が実際に受けた災害を補償し得ないことであります。これでは仏作つて魂入れずと言うべきでありまして、実情に即して改善される必要があるわけであります。この点について農林大臣の御意思をお伺いいたします。
 次に、近来稀に見る惨害を起しました京都の中和池の決壊の問題についてお伺いいたしたいと思います。私は上京の途路、京都に立ち寄つて参りまして、その現場をつぶさに見ましたが、梅雨明けを狙つて突如京都地方を襲いました豪雨は、またたく間に多数の人命を奪い、家屋、田畑等に莫大な損害を與えたのでありますが、なかんずく農林省所有名義にかかつております平和池の決壊は、約百名の尊い人命を奪いました。更に百四十名余りの重怪傷者を出しました。未だに行方不明が二十一名もある。而も家屋、田畑を流失又は浸水いたしまして、一大惨禍を惹起いたしておるのであります。そもそもこの中和池は、一昨年十一月、農林省の直轄で、而も全国五カ所のモデル・ケースとして、巨額の資金を投じて、近代的土木技術の粋を集めて完成したといわれるのであります。これは昭和二十二年度の非常にたび重なつて参りました災害のために、災害を防ぐ、即ち防災の堤防として初めて試みられたものであるのであります。ところがこの池の構築に当りましては、現在被害をこうむつております篠村等では、決壊による非常な災害を恐れまして、反対の運動等も猛烈に行われたようであります。ところがその反対を押切りまして施行せられたのであります。ところがその防災のための池が前述の通りの惨害のモデルとなりました。今や地元の人は平和池と呼ばずして魔の池と呼んでいるのは誠に皮肉の至りであります。自然は如何なる粉飾をも認めず、現実を容赦なく我々の前に露呈して深い反省を求めているのであります。工事施行の不完全と管理のサボがその原因であると聞く場合に、私は、工事施行者である農林省の責任の重大であり、而もこのて種惨禍は曾つての国電桜木町事件に比て優るとも劣らざる政府当局の怠慢であると言わな分ればならんのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)杖とも柱とも頼む父、夫を失いまして、生活の糧である田畑を流され、農具を失い、住むに家なきこれら気の毒な罹災者を政府は一体どう見るのでありましようか。ここにおきまして、私は今回の災害について関係当事者の責任を追及すると共に、この災害の直接的原因が必ずしも天災によるものでなくして、工事施行上の手落とその管理の不十分によると率直に認めますが故に、これらの災害の犠牲者に対しましては国家賠償法の適用を要求するものでありますが、農林大臣は如何にこの責任をとらんとするのでありますか。併せてその対策もお伺いたします。なお、本件に関しましては、検察当局におきましては、月余に及ぶも決壊の原因発表をなさず、農林省又責任を回避するがごとき態度の否めない事実は、誠に遺憾至極であるわけであります。
 次に、地方自治庁長官にお伺いいたしたいのでありまするが、現在全国都道府県におきましては、これらの相次ぐ災害に対する復旧工事に多額の費用を要するの結果、或いは地方税法が不適当であるという結果から、財政的困窮状態に階つておりまして、去る十四日から現在も開かれております全国知事会議の協議に現われた通り、合計五百六十七億円もの地方財政不足額を生じているわけであります。すでにこれに対する国庫負担並びに平衡交付金の増額、起債の枠増大の要請も申入れられているものと思います。なお、知事会議は更に無期延期をいたしまして、現在も続行しているという状態でありまするが、場合によつては知事会議においては、公共事業の返上、或いは応急の切抜けのために地方公務員の給與改訂のストツプもこれに籍口して止むを得ないという空気さえ見える状態であります。かくては又この面の地方財政窮乏のしわ寄せが勤労階級の生活の上に重圧とならないとも保障できない状態であると思います。地方自活庁長官は、この地方財政窮乏を誰よりもよく御承知のはずでありますから、これに対して如何に処せられんとするのであるか。併せてこれに関して大蔵大臣の御所見も承わりたいと思います。
 以上で私の質問を終ります。(拍手)
   〔国務大臣根本龍太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(根本龍太郎君) 只今の三輪議員の御質問に対してお答え申上げ
 先ず第一点は、耕地災害復旧と農作物災害補償の実績について述べよということでございます。御承知のように、戰前並びに戰後とも我が国の災害が非常に多くなりまして、そのために農地並びに農産物の被害の多いことは御指摘の通りでございます。これは誠に我が国経済再建の基盤として重大の問題として取上げなければならんということも御承知の通りであります。然らば現在の農地災害の実況について申述べますというと、これは非常に詳細な問題になりますと、時間と、それから繁雑になりますので、極く大網について申上げますというと、過年度災害のうち農林関係だけを申しますれば、今日六百三十九億円に達しております。これを、現在の物価指数が高くなつておりますので、これに換算して見ますというと、大体七百九十億程度でございます。これは事業量でございまして、これに対する政府の補助が大体四百七十七億必要と言われておるのであります。更にこのうち二十六年度中に事業を執行いたしたいと考えておるのが百二十九億円程度でございます。これに対しまして、本年度過年度災害分に対する政府補助金を八十三億予定いたしております。このうち三分の二はすでに支拂済でございまして、あとの三分の一はできるだけ速かにこれを交付する手続をとつておる次第であります。なお本年度の災害の状況を申しますというと、現在までに判明いたしておる農地関係の災害は約二百八億円でございます。林野関係が六十億円、水産関係六億円、計二百七十億円に達しておる次第であります。なお、これに対しまして、現在御指摘のように、速かに復旧いたしますために融資の途を講じておるのでありますが、すでに三回に亘りまして、これは建設省分も合せてでございまするが、十三億五千万円貸出を行なつております。なお、これに対しまする予備金支出はできるだけ速かに、即ち我々の考えといたしましては、九月中には是非予備金支出をいたしたいと思いまして、その査定を今急いでおる次第でございます。
 次に、農産物の災害補償の実績についてでございますが、これ又非常に細かい資料がたくさんあるのでありますが、これを一々申上げることも煩に堪えないと思いますので、いずれ書類を以てお諾いたしますが、大綱を申述べますというと、二十五年度におきまして、水稻における共済の掛金の総額が四十六億、陸稻において一億九千万円、麦において四億六千万円、繭において二億三千万円、計五十五億二千万円になつております。これに対しまして政府の負担金が、水稻におきましては十九億七千万円、陸稲に対しましては九千六百万円、麦については二億一千三百万円、繭については一億九百万円、合計二十三億九千万円になつておる次第であります。ところがこれに対しまして、現在実質的に支拂わなければならない金額は、水稻におきまして六十三億一千七百万円、陸稻におきましては四千八百万円、麦において二十五億七千万円、繭において一億七千万円、計九十一億一千九百万円という多額に達するのでありまして、これに伴い政府負担額は五十一億程度に達するのであります。これが現在は政府において負担しなければならないという、実に農業共済にとつては重大なる段階に達しておるのであります。これに伴いまして、先ほどの第三回にありました問題と関連いたしまして、農業共済保険の金額を補償するというような制度を考えておるかどうかという問題と関連しまして、現在我々は大蔵当局と共に熱心に検討いたしておる次第であります。但し御承知のように、火災保險その他におきましても損害の金額を補償するという制度は未だどこにもございません。併しながらこれは一般のこうしたところの保險金制度とは異なりまして、農業におきましては特別に国家的な意味において考えなければならん点もあるのでございます。併しこの損害をすベて国家においてやるということは到底でき得ませんので、従つてこの根本的な改正に当りましては、どうしても掛金の増加ということも必然的に伴うのであります。そして、この掛金の増加に対し政府は又資金を出しまして、そうして我が国のように災害の多い不安定な経営をしておる農村に対しては、この面において是非とも安定したところの基礎を與えたい、かように思いまして、今大蔵当局と共に根本的な対策を考慮中でございます。
 次に第三の御質問の耕地保全に対する抜本塞源的な立法措置を考えておるかということでございますが、これにつきましてはすでに第一国会当時からいろいろ議論されまして、いろいろと国会における御審議の結果、先般、農林水産業施設災害復旧事業臨時措置法が制定されまして、ややこれに対する臨時的な措置ではありますが緊急の措置が講じられております。併しこれのみでは非常に不満足なのでございますので、耕地保全につきましては、何と申しましてもやはり根本的には治山治水が伴わなければならない。かような観点からいたしまして、これ又第十国会におきまして森林法の制定によりまして、幼齢林並びに治山のために必要なる地区については伐採制限をなすと共に、又一面におきましては植林を増強しておる次第でございます。なお、耕地保全ということを先ほどお示しになりましたように、こうしたところのいろいろの立法措置を一括して出すかということも問題になると思いますが、これは考えようによつてはそういう方法もあり得るのでありますが、併し耕地保全というこの仕事は非常に広汎な分野に亘るのでありますので、これは現在のところは考えておりません。むしろ耕地保全に必要な各般の措置を強化することによつてその目的を達成いたしたい。さようでありませんというと、立法の形式だけができて実際措置が非常に困りはしないかと思いますので、只今さように考えておる次第であります。
 最後に、京都府の平和池決壊につきましては、誠に私どもも心から同情を申上げると共に、胸の迫る思いをしておるのでございます。この原因如何ということでございまするが、只今まで調査しておりまするが、まだ明確なる、はつきりとしたところの結論は出ておりませんが、第一番の原因は、あの溜池が設計ざれた当時は、約五十年間の長きに亘る降雨並びに万般の資料を基にして設計したようであります。然るに今回の豪雨は過去五十年のデータを遙かに超えておる。而もそれが一時に参つた。そのためにこの溜池周辺の山の崩れ、決壊が二百カ所に及んでおります。更にそのために十六万立方メートルのこの容量に対し三万六千立方メートルの土砂が一時に崩れ入つて来た。これがそもそも決壊の原因と見られておる次第であります。なお又この溜池につきましては、御指摘のように設計並びに工事着工当時反対があつたというので、非常に検討を加え、この管理規程は相当嚴重に規定しているようでありまするが、この規程によりますれば、六月中は洪水期になりますので全部空にして置くべく規定しているのであります。ところが今回の災害に当りましては、実は丁度その時期が農村の田植時期、並びに早く植えた所はどうしても水を十分にたたえて置かなければならないという理由からして、空虚にして置くべきところを満水にしておつたという事実が明白になつております。そういうところに、先ほど申しました五十年来曾つてない多量な雨量が一時に土砂と共に流れて来たので、あの災害を起した。これが重大な原因であると見ておりますが、只今御指摘のように、百名に上るところの尊い人命を犠牲にし、厖大なる損害を與えておりますので、この責任如何は関係者にとつて重大な問題でございます。その意味におきまして、これは科学的に、技術的に検討すると共に、又地方関係においても十分なる調査を進められたその結論において、その真相を明らかに申上げたいと存じます。なお、御指摘の通り、これについては、当地の住民のみならず、実は洪水調整並びに防災用の溜池が逆に災害の原因になつたということになりますれば、今後の治山治水上特に溜池の設計に当つて、非常なる不安と或いは又恐怖を與えまするので、今後これらの原因を究明し、責任を明確にいたしたいと存じます。なお、これに対する救済の措置でございまするが、我々といたしましてはすでに融資の途もいち早く付けましたし、なお又これが復旧の計画も着々進めている弐第であります。なお又災害地につきましては若干の見舞金を包みまして、我々の意のあるところを示すと共に、現地京都府におきましてもこれに対するいろいろの措置を講じて頂いている次第であります。この責任は農林省において負うべきであるとの御指摘でありますが、これは先ほど申上げたように、事実、科学的、技術的にその結果が出ましたならば、それについて責任を明らかにいたしたいと存じます。ただここで一応御注意を喚起しておきたいのでありますが、この事業はすでに皆さんも御承知のように、大分前から要請せられて、これを取上げて着工するに至つたのは昭和二十三年になつております。従つてこれは実は片山内閣当時において設計並びに着工したものでございます。そうしてこれがやがて政府の委託事業として京都府において委託執行したものでございます。なお、この設計については普通の設計と若干違つた点もございます。これは、従来はこのような溜池は水が溢れたときには自然に上から流れるようにしておりましたのを、これはトンネル式にしているというところに特徴があるようであります。これも京都府の権威者並びに農林省の技術当局が、それが一つの方法として採用すべきだというので、この方法がとられたようでございます。繰返して申上げますが、この災害には、実に現地の罹災者に対して深甚の我々は遺憾の意を表すると共に、政府はあらゆる合法的になし得る手段を講じまして、復旧と並びにこれらの救済に当りたいと存じておる次第でございます。(拍手、「大臣は現地視察したんですか」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣野田卯一君登壇、拍手〕
○国務大臣(野田卯一君) 三輪議員の御質問にお答えいたします。
 先ず第一に、最近災害が相次ぎまして、復興にいそしんでおる国民に甚大なる苦痛を與え、再建のテンポを遅らしておる点につきましては、全く遺憾に堪えません。又災害を受けられました各地域の皆さんに対しましては、深甚なる御同情を申上げる次第であります。
 御質問の第一点の復旧率の問題でありますが、御指摘のように復旧率が甚だ低い点につきましては、建設大臣といたしましても甚だ残念に思つております。併しながら、御承知のように予算を見ますと、二十五年度の予算におきましては、災害復旧費は四百九十五億円になつております。又本年度、二十六年度の予算におきましては四百億の復旧費が上つておるのであります。我々の希望といたしましては、この倍額程度を望むのでありますけれども、この四百九十五億、或いは四百億の災害復旧費がいずれも公共事業費の約半ばを占める、半分を占めるというような大きな額になつておるのでありまして、今日の財政状況から見まして、これを非常に多く殖やすということにつきましては非常に困難があるだろうと思います。併しながら私どもは十分に努力いたしまして、補正予算或いは来年度予算におきまして、その増額につきまして最大の努力をいたしたいと考えております。又この予算の使用につきましても、できるだけこれを効率的に使う点につきまして十二分に配慮いたしまして、特にこの災害の経費の使用につきましては、その時期を失するということになりますと、この金の値打ちが非常に減るのでありますから、成るべく早くこの費用を交付するという方法をとつておる次第であります。又復旧につきましても、軍に原形復旧ということでは甚だ使つた金の効率が上りませんので、本年からは、原形復旧に加うるに、できるだけ改良を加える。例えて申しますなれば、木橋が流れました場合に、その木橋の復旧につきましてはできるだけこれをコンクリートの永久橋に変える、或いは又、土で作りました堤防が破壊いたしました場合には、その復旧に当りまして必要な個所はそれをコンクリートにする。こういうような点も新らしく措置いたすことにいたしておるのであります。少い金を最高度に能率を発揮いたしまして、災害復旧に役立てたいというふうに考えておるのであります。
 次に質問の第二点の災害を予防する根本対策の問題でありまするが、これは御承知のごとく治山治水の問題に帰するのでありまして、先ほど農林大臣が言われましたが、山林の濫伐を防ぎまして、又造林を推進する、これは是非やつて行かなければならんと考えております。又建設省の関係におきましては、砂防工事を推進する又河川の改修を進める。或は又橋梁につきましては、私も先般災害が起りましたあと、京都或いは秋田と各地方を視察して参つたのでありまするが、木橋は大部分やられております。木橋は殆んど流れておりますが、永久橋即ちコンクリートの橋は大体被害がありません。こういう点を見ましても、橋梁は今後できるだけ永久橋を架設すべきものであるというふうに考えております。又河川の改修が進捗するにつれまして、内水の問題を生じております。これにつきましては排水機の設置等によりまして対処すべきものであると、こういうふうに考えておる次第であります。
 第三点の、地域的に見まして災害の頻度の多い土地に対して特別な対策を講ずる考えありや否やという点につきましては、最近の災害の状況を見ておりますと、終戦後におきましては、災害が各地平均的に起つておる傾向がございます。戰前におきましては、毎年、災害が起つた県というものは大抵二十三から二十五の程度でございました。ところが最近終戰後におきましては、この災害県の数が四十幾つというわけで、殆んど全部に亘つておるのであります。本年の例をとりますなれば、六月以前の融雪災害、ケイト台風、七月におけるところの豪雨による災害、こういうものを通じて見ますると四十三の都道府県になつておるのでありまして、その程度につきましても、融雪災害におきましては、申すまでもありませんが、北方で、北海道が第一、山形、新潟、秋田というような順序になつております。又ケイト台風におきましては、三輪議員の郷里であられる宮崎が第一等であります。次が高知、鹿児島、兵庫、岐阜というような分布になつております。又七月中の豪雨の災害につきましては、第一は山口県、第二は京都、福島、秋田、それから広島と、こういうふうに分れておるのでありまして、今日はこの災害がやや全国的になりつつある。こういう特異の現象が現われておるのであります。勿論、台風等につきましては、どうしても九州及び四国方面に災害が多いのでありまして、この点に対しましては十二分に注意を拂いまして、重点的に復旧を推進する必要があると考えております。又災害の多い県につきましては、この前の第十国会におきまして制定せられました公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法におきましては、御承知のように災害の程度、損害額を当該地方団体の財政力とのバランスをとりまして、財政力の少い所に大きな被害が起つた場合におきましては、国庫は場合によつて全額負担をするというような途が開かれておるのでありまして、これを以て対処いたして行きたいと考えております。差詰めのところ、特別な地域のために特別な立法をするということは、目下のところは考えておりません。今後必要に応じて考慮いたしたいと考えております。
 以上大体三つの点をお答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
○国務大臣(池田勇人君) 災害関係につきましては両大臣がお答えになつた通りでありまして、大蔵大臣といたしましては、災害の復旧費はできるだけ増額すると同時に、災害を未然に防ぐ意味におきまして、治山治水のほうに重点的に予算を廻すようにいたしております。従いまして今年度におきましても、災害復旧ということになりますると前年度より減つておりまするが、治山治水のほうの費用を入れますると増額に相成つておるのであります。今後もそういう方針で進んで行きたいと思います。
 御質問の、平衡交付金の不足によりまして、災害復旧に対しまして各府県が返上するとかいうふうな議論があるということをお話になりました。私も耳にいたしております。併しこの平衡交付金の算定は、災害ばかりではございません。私は只今、各府県、各市町村等の本年度の財政状況、又、過去昭和二十四年、二十五年度の予算決算の状況をつぶさに審査いたしまして、そうして是非とも必要なれば補正予算に計上するつもりでありまするが、徒らに増額の要求があるからといつて、それに乘つかつて増額するということは、大蔵大臣といたしてはいたしません。実情を十分究明して、必要な所には出します。必要でない場合には我慢して頂くよりほかにないと思うのであります。(拍手)
   〔国務大臣岡野清豪君登壇、拍手〕
○国務大臣(岡野清豪君) 只今の三輪議員の御質問にお答え申上げます。
 地方財政が非常に窮乏しておるということで、去る十四日以来知事が集まつてその窮状を訴えて来ていられることは、逐一承知しております。又地方財政委員会からもそれについて検討を続けているということを私は報告を受けております。そうして、これに対する対処の仕方は、要望の通り平衡交付金並びに起債の枠の拡大、こういうことになります。私の立場といたしましては、地方財政がいうところの、これほど困つているということが本当にそうであるならば、何とか善処しなければならない。こう思つております。ただ問題は、平衡交付金は国家財政が出す。又起債の枠あたりは、やはり国民経済全体のいわゆるインフレ対策といたしまして、政府の金をどこまで使つていいかというようなことが、結局、大局観といたしまして経済の根本基礎になりますから、そういう意味から制約を受けることと思いますが、併しながら私の感ずるところでは現状をこのまま放置することはできないと思います。でございますから、只今大蔵大臣がお答え申上げましたごとく、大蔵省と十分協議いたしまして、よく検討いたしまして善処いたしたいと考えております。お答えをいたします。(拍手)
     ―――――・―――――
   〔椿繁夫君発言の許可を求む〕
○議長(佐藤尚武君) 椿繁夫君。
○椿繁夫君 私はこの際ベースアツプ並びに講和後の労働対策について緊急質問をするの動議を提出いたします。
○高橋道男君 只今の椿君の動議に賛成いたします。
○議長(佐藤尚武君) 只今の椿君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。椿繁夫君。
   〔椿繁夫君登壇、拍手〕
○椿繁夫君 私は日本社会党を代表して、講和後の労働対策について政府の所信を質したいと存じます。
 一たび朝鮮における休職会議の開催が伝えられますや、日がなお浅いので的確な数字をつかんでおりませんが、特需、新特需によつて一息を入れていた我が産業界は異常の衝撃を受けまして、私の居住する関西地方におきましては、工場閉鎖、操業の短縮、給料の遅拂いを続出いたし、事業は倒壊寸前の危機にあるものが多数出て参りました。このことは、昨日来政府の強調されている生産の上昇が平和的な産業の基盤の上に打立てられたものでなかつたことを物語り、政府の経済施策の結果によるものにあらず、全く世界的な軍備拡張競争の外部的な需要を充たすための上昇に過ぎなかつたと言えるのであります。我々は開城における休戰会議の成功を衷心から期待し、且つ朝鮮戰局が速かに終結し、現在では全く禁止的状態に置かれている中国とのバーター貿易の回復を心から期待したものであります。この新らしい情勢の展開によつて倒壊に直面する平和産業の危機を打開し、勤労大衆に失業不安の解消を得させたいと考えておつたのであります。然るに吉田総理からは講和後の中国を含むアジア経済の交流に関しては一言も触れられず、僅かに日米保障條約と経済協力について述べられたに過ぎませんために、私ども働く国民の不安は新たな障害に当面いたしました。それは日米保障條約とは、先ほどから論議されつつおりまするように、特定国の軍隊の駐留を許す、軍事基地を提供する等、伝えられるがごとき内容を持つものでありますならば、最近の国際情勢、特にアジア各国の動きからして、歴史的にも地理的にも密接な関係がある東南アジアとの交易は一体どうなるのであろうか。日米経済協力とは、原材料の七〇%までも外国の供給に待たなければならぬ我が国として、それは保証されてるのであろうか。ドル圏から輸入された材料で好きなものを作つて自由に輸出することができるのであろうか。或いは又民主的平和的産業の発展を制約されるようなことになりはしないか。こういう心配を私どもは持つのでございます。この機会に、政府は、日米保障條約の善隣東南アジア各国への影響、見通しを明らかにされ、進んで経済協力の構想をつまびらかにされ、産業界と労働界に充満する不安を解消せしむるの措置をとられんことを希望する次第であります。
 五月三日、リツジウエイ総司令官の声明に基きますと、占領以来の政令等の再審議の権限が日本政府に委讓され、これに基きまして政令諮問委員会は創設されたものと存じます。この委員会の最近の動き及びその都度発表されますところの内容は、日頃政府が強調されている日本民主化の考えとは似ても似つかぬ反動的なものがしばしばなされているのであります。
 その第一は、最近総理に答申したと伝えられる行政機構の改革に名を借りて、中央地方を通じてとはいえ、七十四方に達する人員整理を発表しております。その結果は、受入態勢の全くできていない我が国のこと、行政職員に異常な不安を抱かしめ、延いては社会不安を激化せしめつつあります。この機会に御出席をお願いいたしましたけれども、総理大臣がおいでになりませんから、次の機会でも結構であります。総理から、そういう勧告はあつたけれども、それほど心配しなくてもいいという内容をこの国会を通じて明らかにされることを私は希望いたします。
 次に労働大臣にお尋ねをいたしますが、七月九日、この問題を起す政令諮問委員会は、労働組合について我が国の現状においては全く実情に即さない交渉単位制を導入しようとし、又労調法では公共事業の争議差止め命令を一方的に行い得るような制限を考慮し、更には二・一ゼネスト当時とは全く事情を異にする労働情勢なるにもかかわらず、政令三百二十五号に代る治安立法を考慮していると伝えられる。その他、労働委員会の官僚化、中央集権化など、日本民主化の主要なる担い手である労働組合の活動を大幅に制限せんとし、労働基準法においては女子労働者の時間外労働の制限を撤廃し、長時間労働を法律で認め、超過労働に対する割増賃金率の引下げを認め、臨時工の雇入れ制限を緩めて、期限付契約であれば何年でも臨時雇制を認め、解雇手当は一文たりとも支拂わなくてよいとさえ意見書には極言されておるのであります。更に重大なことは、使用人五名以下の工場、事業場には、基準法の適用を除外し、或いは手続の簡素化と称し、十名未満の工場には労働者名簿の備付けの省略を認め、実質的に本法律保護対象から除外しようと企図しておることが明らかであります。若しかくのごとき諮問委員会の答申が尊重されて法制化されることになれば、我が労働者の六一・一%は基準法の適用から完全に除外されることになる。政府がどんなに実情に即した改正と言われましても、労働者にとつては既得権の剥奪であり、紛れもない改悪であると断ぜざるを得ません。ともあれ我が国の産業構造はかかる零細企業の上に成り立つておることを銘記して頂きたいのであります。我が国は国際連合の一機関であるILOに本年正式にその参加を許されました。そして、その加入に際して、イギリス代表より労働三法は改悪しないことを誓約しろと要求され、日本政府代表の一人はその旨を国際会議の総会に証言して加入を許されました経過については、政府もすでに報告を聽取されていることと存じます。以上申述べましたような諮問委員会の答申案を如何に処理されるか。国際信義に厚い吉田内閣のことでありまするから、その良識に訴えて、労働三法に関しては民主化の逆転ともなりまするから、答申案を反古にされ、特に労基法のごときは單なる経済法ではなく、国際的背景を持つ人格法であるとの見地から、今後の改正を私は要望してやまないのであります、政府は昨日も生産指数の上昇を理由に日本経済の復興を強調されました。この半面、昨年六月以来の物価騰貴は実質賃金の低下を来たし、消費水準は急激に下降しつつあります。即ち朝鮮動乱、殊に各国における軍需の増大に伴つて、生産上昇の裏には、常傭工の雇入れを著しく制限し、臨時工を増大せしめることにより、低賃金と労働強化により生活に喘ぐ三千五百万の勤労者が犠牲となつておることを忘れてはなりません。而もかかる生産の上向線は、特需、新特需の特定産業にのみ言えることであつて、国民生活に必要なる平和産業はむしろ低下の傾向にある。これが朝鮮休戰会議までの日本経済の実態でありました。今後といえども、戰時生産の一翼を担う限り、跛行状態からの脱却は到底不可能であると私は思います。
 最後に政府の賃金政策について承わりたい。政府はただ言葉の上のみで生活水準の引下げほしないとしばしば言つておられますが、実際はますます生活水準は下つておる事実を率直に認められる必要がありはしないかと思う。国民の生活水準を向上させ、低賃金政策の戻れを抱かしめないような賃金政策の確立が、目下緊要であることを私は申述べたいのであります。すでに八月一日に(「時間々々」と呼ぶ者あり)米価の消費者価格が吊上げられ、電力は八月十三日から上つております。とれが運賃、瓦斯、水道料金等に刎ね返つて参りまして、勤労階級の実質的な賃金はますます低下の傾向にあります。このとぎ公務員の給與ベースについて、人事院はすでに一万一千三百円前後の給與引上げ勧告を用意しておると伝えられておりますが、未だにその勧告がなされていない。これは政府の圧力によつて公正なベースを勧告することができないのだとも伝えられております。どうぞ世間にかくのごとき疑惑の起らないように、人事院はその公正な立場でその権能を行使されて、速かに勧告を実現されんことを要望してやまないのでありまするが、一体いつ頃この勧告をなされるのであるか。いつ、その勧告をして、ベース・アツプを実施することを政府に迫るおつもりでいられるのか。総裁からこの機会に御答弁を頂きたいのであります。(「時間」呼ぶ者あり)この国家公務員のベース改訂に伴いまして次にお尋ねをしておかなければなりませんのは、(「時間々々々々」と呼ぶ者あり)地方公務員のベースについてであります。今地方団体が全く財源の捻出に弱つておりますが、(「議長、時間」と呼ぶ者あり)政府がここでベース改訂を行なつた場合、地方団体のベース改訂財源の世話を見てやるつもりであるか。大蔵大臣に私はこの機会にお答えを願いたいのであります。いろいろ申上げたいのでございますけれども、すでに時間が参りましたので終りまするけれども、最後に、最近(「議長、時間」と呼ぶ者あり)国際貿易機関が憲章を発表いたしました。それによりますると、我が国も近くこの会議に加盟することを政府は努力されるでありましようが、その発表されておる憲章によると、「加盟国は、すべての国が、生産性に対応する公正な労働基準の達成及び維持に、従つて又生産性の許す賃金及び労働條件の改善に共通の利益を持つことを承認する。加盟国は、不公正な労働條件は、特に輸出向けの生産におけるものは、国際貿易に困難をもたらすものであることを承認する。」このような憲章を分けにいたしております。応が国は今後貿易を伸張することによつて国の経済自立の六道を確立して参らなければなりません。こういう観点において、最近政府のとられつつありますところの非民主的な労働対策に私は衷心から遺憾の意を表し、その猛省を促してやまない次第であります。(拍手)
   〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
○国務大臣(池田勇人君) 最近の経済状態、殊に朝鮮停職後の我が国の特需関係につきまして非常に減つたという御心配が御質問の第一の根拠になつておるようでございますが、停戰協定の始まりました七月分特需は、三月、四月、五月の平均特需の殆んど倍に相成つております。で、御質問の根拠が違いますのでお答えしにくいのでありまするが、とにかく朝鮮開発その他いろいろな点から考えまして、特需が急激に減るということはございませんが、一ヵ月の例を以てすれば急激に殖えておることを御承知願いたいのであります。
 なお又日本の貿易が、輸出貿易が輸出承認の統計によりまして六月非常に激つたというので騒がれましたが、輸出承認は月によつてずれるのであります。従いまして輸出承認の統計から申しますると、六月は九千三百万ドルの輸出承認でございましたが、税関の実際の為替統計によりますと一億二千七百万ドルで、相当の違いがあります。ずつと累計で見ますというと輸出は決して滅つておりません。五月においては最高でございましたが、今なお七月につきましても輸出は一億二千七百万ドルと、昨年に比べて五割増、この二、三ヵ月に比べて一、二割増、四、五、六、七月は大体順調な輸出貿易を続けております。そして又輸出以外の外貨の獲得、貿易外の取得も、七月は六千八百万ドル、こういう状態でございまして、外貨の獲得には心配はございません。従つて輸出も順調に行つております。
 それで、これに伴いまする国内の生産状況も予期通りの成績を挙げておるのでございまして、労働問題その他につきまして手放しの楽観はできませんが、私は悲観する必要は全然ないと思います。
 又日米経済協力の内容その他につきましての御質問でございまするが、これは先の国会で申上げましたように、日米経済協力、或いは東南アジア開発も、一に日本が立派な物を安く作れば、どんどん多々益々弁ずであります。高い物で品物の悪いものならば、これは日米経済協力も世界の貿易参加もできないのであります。一に我々の努力によるのであります。
 次に行政整理につきまして、政令審査会が七十四方人の整理を出しておりまするが、我々はまだ受取つておりませんし、又これは将来の問題として政府は愼重に行政整理につきまして検討を加えたいと思います。
 第三に地方公務員のベースの問題でございまするが、昨年国家公務員につきましては大体千円の引上げの予定で行きましたが、実績は千二百円に相成つております。地方公務員はどうかと申しますると、当初の国家公務員千円の引上げに右にならえで行きますると、各県平均が千五六百円乃至千七八百円の地方公務員は引上げになります。今度若し国家公務員を千円とか或いは千五百上げますると、地方公務員は千七八百円或いは二千五百円の引上げになりましよう。従いまして我々は平衡交付金その他の調査におきまして、地方公務員は大体国家公務員と同じような賃金であるということを前提にして置いてありますると、実際は、あに図らんや地方公務員は国家公務員よりも相当給料が上なのであります。なぜそういうことが起るかと申しますると、初任給からして違います。又昇給の年限その他は地方が甘くなつている。従いまして、職種別に申上げましても、前回の国家公務員の給與引上げ前におきましては四百円くらい地方公務員が平均高かつた。これは東京都とか大阪府のように非常に高い所は一応除いてやつた計算と思いますが、相当高いのであります。こういうふうな制度を前提にして、国家公務員が千円上れば地方公務員は千五六百円又その上に加算するというような制度がいいか悪いかということを先ず我々としては検討しなければならんというので、そういう問題を検討しながら、地方の財政状況を見て、そうして、そこに過不足のないように、又非常にお困りのないようないい案をでかそうと今検討いたしておるのであります。国家公務員の給與り引上げにつきまして、我々は地方公務員の給與の引上げを全然眼中に置かぬというのではありません。併し今の実態がいいかということを先ず検討して後、そうして両方の権衡をとりたいという考えで行きつつあるのであります。(拍手)
   〔国務大臣保利茂君登壇、拍手〕
○国務大臣(保利茂君) お答えをいたします。
 労働組合法、労働基準法等、いわゆる労働三法が戰後の立法として我が国経済民主化の大きな根幹をなしております一つであるということは、よく承知をいたしております。そうして更に又この労働関係法が狙つておりますところは、労働條件の国際的水準を如何にして確保して参るか、これが二大基本方針であると存ずるのでございます。しばしば申上げておりまするように、この関係につきまして、この二つの基本的な方針は、政府は従来とも又今後とも固く堅持して参る方針でおります。ただ、先ほど椿さんの御所見にもございましたように、講和独立後においての我が国経済の充実乃至国民経済の運営は、かつて貿易産業の如何にあるということの御所見に対して、私どもは全く同感でございますわけではございまするが、日本の脆弱な産業基礎の上に立つてこれを果して参りまするためには、私は独立後における産業宇和を如何にして確保して参るかということが非常に大きな命題、課題と存ずるのであります。而して労働者の利益を守りつつこの産業中和を確保して行く、この二つの観点からいたしまして、そうして先ほどの二大基本方針の上に則つて、而して実施以来の労働各法について、私は相当多くの検討をしなければならない問題点があると存ずるのでございます。従いまして、まだ、先ほど御指摘の委員会の御意見なるものは、椿さんのお話ではかなり多くの臆測が入つておるようでございまして、決して真実ではございませんわけでございますが、私どもも問題の性質から極めて愼重に只今研究をいたし、研究の結果ができましたならば、一つ御協力を頂いて、共に日本産業の発展のために寄與して参りたい。こういうふうに考えておりまして、只今はまだ検討中でございまして、これ以上申上げ得る何ものもございません。(拍手)
   〔政府委員浅井清君登壇、拍手〕
   〔「答弁如何によつては人事院は危いぞ」「人事院無用論」「人事院は廃止だ」と呼ぶ者あり〕
○政府委員(浅井清君) 人事院の給與ベースの勧告が遅れますと、いつもこれは内閣の圧力によつて延ばしておるのではないか(「その通り」と呼ぶ者あり)というような噂が出るのでございまするが、(「からくり人形だ」と呼ぶ者あり)人事院が給與ベースの勧告を遅らせるように内閣から申入れを受けましたというようなことは、設立以来未だ曾つてないことでございますることく、今回とても決してさような事実はないものと御承知を願いたいのであります。従いまして、勧告の時期というものにつきましては、一に人事院の責任でございます。人事院といたしましては、補正予算の編成に間に合う限りにおきまして、できるだけ最新のデータを用い、殊に八月の米価改訂をも織込んで勧告をいたすということは、これ人事院としてまさになすべきことかと存じております。従いまして、遅れたのではない。成るべく最新のデータに基く勧告をいたすがために今日に至つたものでございまするが、もはや大体準備も整つておりまするので、もう間もなく勧告いたすことと存じております。
 次に人事院の勧告の実施の時期はいつかとのお尋ねでございまするが、これは国会がおきめ願うことであろうかと存じまするけれども、人事院といたしましては、人事院の今度の給與ベース、即ちおよそ一万一千三百円が八月一日の切換えになつておりまするために、この八月一日を以て実施してもらいたいことを期待するというような文言を勧告書の中に入れることにいたしております。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍伍君登壇、拍手〕
○国務大臣(橋本龍伍君) 行政改革に関しまする政令諮問委員会の答申につきましてお答えをいたします。
 政令諮問委員会は、御承知のように五月のリツジウエイ声明に応えまして、内閣総理大臣の諮問機関として、学識経験者の意見を聞くということで設けられているものでございます。内閣官房長官と大橋法務総裁と私とは、大体原則として出ておりまするが、これは関係の責任当局者として、委員の質問に応じ説明をするために出ているものでありまして、委員各位の御意見に賛成、不賛成にかかわらず、私どもといたしましては積極的な意見を申述べないことにいたしておるのであります。そういう趣旨で、政令諮問委員会は、行政機構の問題につきましても人員の問題につきましても研究を重ねられまして、先般十四日に一応の意見をまとめられました。政府といたしましては、これは重要な参考として承わりまするけれども、別途に責任を持つて考えなければならん問題でございます。
 椿議員から今お話のございました、新聞に出ました七十四万というお話の数字がありましたが、これは恐らく四年先に行われまする地方議員の選挙に際しましても、もう少し議員の数を減らしたらどうかというような意見が出ておりまして、その人数も計算をされておつたようでございますから、そういうようなものも含まつた数字かと思います。中央地方ともにいろいろな意見がありまして、今言つたようなこの議員定数を減らせというような意見も中間に出ておりましたし、それから又いろいろなこの特殊な仕事に関しまして、こういう仕事をやめたらどうかというふうな意見も出ておりましたが、軍に行政改革の問題につきまして、政令諮問委員会の答申案をそのまま数字的にも取上げてどうこうということはできぬものであります。政府といたしましては、講和後の独立の新日本にふさわしい行政組織を整えまするために、簡素で能率的な機構を考えたいと思いまして検討中でございまするが、まだ成案も出ておりません。
 なお行政改革に際しまして、退職者の出ます場合におきましては、この手当その他の退職の條件については十分考慮する必要があると思うのでありまして、これも併せて検討中でございます。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 吉田内閣総理大臣の答弁は後刻に留保せられました。
 議事の都合により、これにて午後三時まで休憩いたします。
   午後零時二十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後八時四十一分開議
○議長(佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。
     ―――――・―――――
   〔千葉信君発言の許可を求む〕
○議長(佐藤尚武君) 千葉信君。
○千葉信君 私はこの際、給與ベース改訂に関して緊急質問をすることの動議を提出いたします。
○高橋道男君 只今の千葉君の動議に賛成いたします。
○議長(佐藤尚武君) 千葉君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。千葉信君。
   〔千葉信君登壇、拍手〕
○千葉信君 私はここに、公務員給與の改訂に関する勧告につき、労農党を代表して緊急質問をいたすものでございます。
 私は、今度の国会が、成規の手続を以て要求された開催要求を殊更に無視して、山積している現下解決を迫られた多くの問題を無視して、單に全権承認のみに限定した政府の態度に痛憤を禁じ得ないものでありまするが、分けても、遷延を重ね来たつた公務員の給與べースを据置いて、公務員諸君が惨めな生活に喘いでいる実相に際会するごとに、今更ながら政府のこの問題に対する怠慢と人事院のだらしのない態度を糾彈せざるを得ないものがあるのでございます。特に人事院のごときは、その設置せられた理由に鑑みるまでもなく、又公務員法第二十八條を振りかざすまでもなく、又ましてや朝鮮動乱以降における物価高騰の数字をここで言い立てるまでもなく、人事院が勧告の義務を怠つている事実に国民は頗る奇異の感を抱いておるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)若し人事院が晝寢をしているのならば、もうそろそろ目を醒まさないと、人事院廃止という風邪を引きそうになつて参つております。いわんや今日は第十一国会の最終日でございます。一体、総裁はこの国会に間に合うようになぜ出そうとしないのか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)午前中の総裁の答弁の中では、近い機会にという言葉がございましたけれども、その言葉はもうすでに七月中にも数度に亘つて人事院から與えられている答弁でございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)伝えられるところによれば、人事院は、この国会において給與問題が論議されることを好まないものの圧力に屈して勧告を棚上げしたという、頗る穿つた説が流布されていることを総裁は御存じであろうか。従来しばしば本院人事委員会において補正予算編成以前に提出することを確言した人事院として、本月二十二日頃までに補正予算の編成が一段落するという大蔵当局の作業の状態をどう横目で睨んでいるのか。事ここに及んで人事院は公約を守るつもりであるか。公約を守るとなお且つ言い切れるかどうか。その点も御答弁を承わりたいのであります。
 次にお尋ねしたいことはその内容についてであります。本院並びに衆議院の人事委員会におきまして、大体の金額は一万一千二百六十三円だということが明らかにされましたが、この際、問題となることは、その本俸における倍率の問題であります。昨年十二月現給與の改訂に当つて、浅井総裁は、政府原案の倍率が人事院案の七倍半に対し八・三倍に当つて、開き過ぎるという立場から、調整号俸の切下げの問題と共に、勇敢にこれに反対されたことを我々は記憶に持つておるのでございます。然るに今次勧告として伝えられるところによれば、これを更に増大して十倍強に達しておるという。生活給か能率給かの論争をさておいても、これは如何に抗弁しても抗弁の余地なき無定見さであります。さなくば、これを余りにも迎合的であると論難せざるを得ないのであります。
 次にお尋ねしたいことは、今度の勧告では改訂すべきその時期について明示するかどうかということでございます。その理由は、這般来、夏期手当の問題をめぐつて激しい団体交渉が行われ、人事院も又連日その陳情を受けられたはずであります。広く給與問題の一環として、これ又情勢適応の原則に基く人事院の責務であるにかかわらず、近く行われるべき勧告が本年三月若しくは五月を基準として行われるから、問題は自動的に勧告の結論に含まれるという見解を以て終始されたようでありまするが、それならばそれで、人事院としては、今次勧告による改訂は三月若しくは五月に遡つて適用すべしという明確な見解の表明を行う必要ありと信ずるが、午前中に承わりました椿議員に対する答弁によりますると八月一日ということでございます。八月一日としたその理由をここで明快に承わりたいと思うのでございます。
 次にお尋ねしたいことは、先の国会において本院が全会一致を以て決議いたしました現業職員の特別俸給表設定に関する問題を如何に処理されたかということについてであります。第一は、郵政、電通の外に、建設、農林、厚生等の職員が含まれたか否か。第二は、その特別俸給表の具体的内容如何。第三は、その格付若しくは切替に何らかの考慮を加えたか否かということであります。
 最後にお尋ねしたいことは、問題になつておりました地域給の関係であります。先の地域給の勧告は、給與の改訂と時間的にずれてしまつたということを理由に、実績を保証する、既得権を保証するという意味の給與政策を加味したために、かなり不均衡を生じたことは周知の事実であります。従つて若し今後給與べースの改訂と同時に地域給の改訂を行うとすれば、人事院としては当然にその給與政策上保証した方針を修正することの必要に当面するはずであります。この際、人事院は、その意味から、勇気を振つて地域給の再勧告を行う決意があるか否か。併せて承わりたいのであります。
 最後に私は附言いたします。食うや食わずのみじめな窮乏に堪えながら、それでもわずかに人事院あることに一縷の希望を繋いで、営々として国家の重要なる仕事に一身一家を捧げつつある公務員諸君のために、この際、速かに勇断を振つて勧告を行われんことを心から希望すると共に、(拍手)又そのことこそ愚劣に横行する人事院廃止論をはねのけるたつた一つの方途であることを特に総裁に進言して、私の質問を終る次第でございます。(拍手)
   〔政府委員浅井清君登壇〕
○政府委員(浅井清君) 千葉さんの御質疑にお答えを申上げます。千葉さんからだんだんと御激励の言葉まで頂いたのでございまするが、これは恐らくは人事院が勧告を遅らせておりますることに対しまして、何らかの圧力が加わつておるから、その圧力を排除せよとの御激励かと存じますが、さような圧力は人事院設置以来未だ曾てなかりしごとく、今回とてもないのであります。人事院は別に勧告を遅らせておるわけではなくして、補正予算に間に合う限りにおいて最新の資料を用いたいと思い、職員諸君からいろいろの御希望もございますから、できるだけこれを取入れたいと苦心をして参つたのであります。只今千葉さんの申されました現業の特別表のごときはその最も顯著なる例でございます。
 第二に、上下の差が大きくなつておるのではないかというお尋ねでございますが、これは勧告を読みますればおわかりになると思いますが、お示しのごとくこの前より多くなつておりまする。この前に上下の差が政府案において大きいのに対しまして人事院が反対をいたしましたる理由は、即ち上に厚く下に薄いからでございます。上下に厚くすれば、格差が大きいことは必ずしも反対いたす理由にはならないと存じます。(笑声)
 第三に、実施の時期についてどこまで遡らせるかということについての御質疑がございましたが、午前中御答弁申上げました通り、八月一日現在において人事院はこの勧告が実施せられんことを期待するというような文言を勧告文の中に書いておるのでございます。只今千葉さんは、或いは五月或いは三月まで遡らせたほうがいい、又そうすべきであるというお尋ねでございましたが、これは意見の相違でございまして、この点はいずれ勧告を御審議願いまするときにだんだんと申上げたいと存じます。第四に、特別俸給表のことにつきましてお尋ねがございましたが、仰せのごとく現業の特別俸給表はこの勧告の中に含まれておるのでございます。ただ最後まで、実は今日までも問題となつておりまする点は、この現業の特別表の適用の範囲を如何いたすかという点でございます。先ず現業と申しますれば、電通、郵政、大蔵二現業というのが先ず常識でございまするが、そのほかにこれをどこまで適用するかということが残された問題でございまするからして、結局人事院といたしましては若干問題を将来に残しまして、電通、郵政、大蔵二現業と、特殊の職員に対する俸給表と、かような建前で臨んでおる次第でございます。この特別俸給表の内容を説明せよということでございまするが、これは勧告を御覧下さるより仕方がないのでこぎいまするが、ただ狙いといたしましては、第一には、一番問題となつております頭打ちの点を解除いたすという点が主眼となつております。そうして、このいわゆる現業特別俸給表なるものは給與準則制定までの暫定的な措置でございまして、なお、この現業の俸給表に関連いたしまする多くの問題は、いずれ給與準則の制定をいたすときに解決いたしたいと思うのでございます。(「地域給の問題を忘れている」と呼ぶ者あり)
 地域給の問題を最後にお述べになりましたのを、お答えいたすのを忘れましたから追加致します。地域給に関しましては、今度の勧告におきましては、そのままにいたしたいと考えております。そのままにいたしたいと申しまするのは、給與政策上落すべきところを落してないものは変えないということでございます。人事院の考えまするところによりますると、まだこの線は現状において動かすべきでないと考えておるのでございます。もとより給與法の本文によりますれば、人事院はこの地域給に関しましては絶えず研究しなければならんことに相成つておりまするからして、絶えず今後も研究し、逐次訂正をいたしたいと思つておりまするけれども、先ず大体のところにおきましては、曾つて勧告いたしましたそのままとなつておる次第でございます。
     ―――――・―――――
   〔須藤五郎君発言の許可を求む〕
○議長(佐藤尚武君) 須藤五郎君。
○須藤五郎君 私はこの際、平和運動等の取締に関して緊急質問をすることの動議を提出いたします。
○高橋道男君 只今の須藤君の動議に賛成いたします。
○議長(佐藤尚武君) 須藤君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて須藤五郎君の発言を許します。須藤五郎君。
   〔須藤五郎君登壇〕
○須藤五郎君 私は日本共産党を代表して、最近日本全土に行われておる平和運動の弾圧に関し、首相及び法務総裁に質問をいたしたいと思います。吉田総理は昨日の本会議におきまして、過去六カ年間、講和に関し、平和に関しての論議を彈圧した覚えがない、全く自由に論議させた結論として今日の講和態勢ができたと言つておられますが、(「その通り」と呼ぶ者あり)果してそうでありましようか。否、首相の言は全く脆弁そのものであります。終戰当時、我々は戰争を憎悪し、平和に対し異常なる熱意を示したではありませんか。時の軍閥と闘つて議会から追われた先輩齋藤隆夫氏を、正義の士、先覚者として迎えたのも我々でありました。(笑声)然るに六年を経過した今日の有様はどうでありましようか。再び曾つての反動時代が来たらんとして、口に平和を叫び再軍備反対を説く者を彈圧して憚るところなき有様であります。(「それは共産党だよ」と呼ぶ者あり)首相及び法務総裁は今日全国的に起つておる平和運動をどう考えておられますか、法務総裁の信じておられるごとく、平和運動が若し日本共産党の独占的運動であるならば、我々共産党員といたしましては誠に光栄この上なしとしなければならぬところであります。併し事実は決してそうではありません。平和運動は、平和を愛し戰争を憎悪する日本人民すべての運動であります。総裁の考えは日本人民を侮辱するも甚だしいものと考えます。イタリア社会党党首ピエトロ・ネンニも言つております。「平和運動を自分たちのみの運動と主張したことは一度もなかつた。これは、全人民の希望であり、要求である。」という意味のことを、ベルリンの第一回平和会議で言つておりますが、全くどこの国を見てもその通りであります。世界平和擁護委員会の提案する原子爆彈の使用禁止、軍備の縮小に対しては、イタリア元大統領デ・ニコラ、フランス検事総長モルネ、エジプト国会議長アブデル・バシア、メキシコ元大統領ラサロ・カルデナス、フインランド首相ケツコーネン等々の人々も心から賛意を表しているのであります。日本におきましても、大山郁夫先生を初め、学者、宗教家、政治家等、各界の指導者、有識者がこれに参加しておられるのであります。
 法務総裁は中和運動に二種類あるように考えておられるが、平和は飽くまでも一つであります。平和を求め、平和を愛するものの運動も又一つであります。平和に二種類あるがごとき言辞を弄し、崇高なる平和運動を分裂し、弱め、弾圧する者こそ、その実、平和を破壊し、日本を軍事基地と化し、日本人を戰争の手先とする好戰者、即ち講和ならざる單独講和を結ぼうとする者の行為であります。これは断じて許すことができないのであります。
 私は同僚諸君に次の事実を訴えなければなりません。(「同僚だけでいいよ」と呼ぶ者あり)
 大阪市において、去る十三日、在阪の学者、リベラリスト主催で、阪大理学部教授伏見康治、社会党杉山元治郎両氏の講演と、映画「緑の学園」上映の内容にて、平和友の会結成大会をやろうとしましたところ、ウイロビレー書簡違反の疑い、時期が悪い、構成メンバーが悪いという理由の下に、これを禁止し、市大、阪大の教授たちの交渉に対しても、市警はその覚書違反の何ら具体的証拠も挙げ得なかつたのであります。而も市警は約一千五百名の機動警官隊を動員、中之島に配置し、通行人とか全く関係なき大衆にまで暴圧を加えたのであります。この結果、十六名の検挙者中一名の重傷者を出したのであります。どうしてこの内容が悪いのか。我々は常識を以ては判断ができないのであります。
 京都においては、八月六日、原爆記念日に、円山音楽堂における宗教人懇談会主催の「平和の夕」を最初は許可を出しそうにしておきながら、前日になつてこれの禁止を通知して参つたのであります。そこで、宗教家を初め、京都大学、同志社大学等の教授も交渉団体に加わり交渉したが、当日は、催涙ガス班三カ分隊を含む鉄兜の武装警官千五百余を繰り出して、浴衣に団扇の市民までも会場から閉め出して、「平和の夕」を禁止したのであります。
 又、東京においても、八月十五日を中心とした無数の平和集会をことごとく一つ残らず禁止し、港区においては、平和集会の禁止の抗議に赴いた区会議員窪田みつ女史に対し、愛宕警察の警官が背後より首を絞める等の暴行をあえて行なつているのであります。
 以上述べましたところは、全国に起りつつあるこの種の彈圧のほんの一部分であります。もつともつと人権を無視した弾圧はほうぼうで起つておるのであります。政府はなぜ平和運動がそれほど恐ろしいのか。中和運動をすら彈圧しなければならぬほど堕落してしまつたのか。前にも述べましたごとく、中和運動は決して共産党の独占運動ではありません。神を信ずる者、仏を信ずる者、人類の発展と福祉を愛する者は、皆明和を愛し、この運動に参加しておるのであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)首相の耳には毎日議会の周囲に起るところの日蓮宗の太鼓の音が聞えないでしようか。あの人たちは、日蓮上人が国難に殉じたと同じ至情を持つて、今日破壊されようとしているところの祖国の平和と独立を守らんと太鼓を打ち続けるものであります。労働者、市民も又、誤まつた講和の結果、再び祖国が戰禍に省き込まれることを憂えて、中和擁護の旗の下に平和運動を推し進めているのであります。これすべて、民族の至情、愛国心の発露であります。首相はこの人民の至情をすら彈圧し去らんとするのか。世界には平和の声が日一日と増大しつつあります。五大国平和條約締結アツピールには、ソ同盟の署名投票を除いても、すでに四億三千万の人々が署名をし、平和條約を結ばせて見せるとの不動の決意を示しております。日本におきましても、彈圧にもかかわらず、八月十五日現在で、五大国平和條約締結アツピール五百十八万、全面講和投票四百六十五万が集まつております。首相はこの数字をどう見られるのか。これでも共産党の一人相撲と言うのか。国民の月を蔽い、耳を塞ぎ、口を閉ざして、全く国民の意思を無視して勝手な講和を結ぼうとしているが、これはまさに曾つての軍国主義者どもが天皇の名に隠れて横暴を働いたことく、吉田総理は、国民の至情より出たる平和運動をすら反米運動のレツテルを貼ることによつて、みずからの非を蔽い隠し、暴力的にこれを断行せんとしておるのであります米国民が如何に平和を愛しておるか吉田総理は御存じか。六月二十五日、毎日新聞の記事によりますと、マリク休戰提案は京城に原子爆弾のようなシヨツクを與えたと言われており、アチソン氏が驚き嘆いたことく、アメリカ国民の平和を望む意思は意外に大きかつたのであります。及シカゴに集まつた米国の平和愛好者は、朝鮮よりの撤兵を叫び、朝鮮における完全な平和の回復。あらゆる意見不一致を解決するため、即時大国間の交渉を行うこと。軍縮を行い、更に大量殺人兵器を一掃すること。これを満場一致可決しております。このアメリカ人民の正しい意思を裏書きするように、マリク提案以前に行われたギヤラツプの世論調査でさえ、住民の三分の二が朝鮮よりの米軍撤退を支持しているのであります。又聞くところによりますと、最近アメリカの原子爆弾製造工場の周囲では、アメリカ市民が原爆製造反対のスローガンを掲げて大示威行進を行なつているのであります。日本における平和運動を反米運動と理解する総理や法務総裁は、アメリカ人民を侮辱するものではないか。それとも世界人民の声に耳を閉ざして一握りの独占資本家に奉仕しようとするのか。吉田総理初め自由党の諸君は、この講和の結果招来するところの祖国の破滅、測り知れざる国民の不幸に対して、如何なる責任をとるのか。必ず諸君は歴史の審判の前に立たねばならぬと思うが、その勇気と確信があるのか。大いに反省を求めるものであります。
 最後に一言申上げたいと思います。私が共産党に入つた動機は、かわいい孫が一入できたからであります。私は孫の将来を考えるとき、この孫の幸福を念ずるために、私は共産党に入党したのであります。恐らく皆さんの中にも、お孫さんのあるおじいさん、お子さんのあるお父さんもたくさんいるはずであります。皆さん、(「脱線々々」と呼ぶ者あり)どうぞ、この重大な時期に過ちを犯して、将来皆さんのお孫さんや子供さんを不幸にしないように、十分よく考えて行動されることを要求するものであります。(「答弁無用」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣大橋武夫君登壇〕
○国務大臣(大橋武夫君) 政府といたしましては、平和運動そのものにつきましてこれを取締るというようなことは一切いたしておりません。(「その通り」「その通りだ」と呼ぶ者あり)平和を希望いたしますことは日本国民といたしまして自然の情でございまして、従つて純粋に平和を希う言動に対しましてこれを取締るというがごときことは、過去においても決してこれをなしたることはなく、(「それをやつているんだよ」と呼ぶ者あり)又将来もかようなことは絶対にいたすつもりはございません。(拍手)ただ平和運動その他の名称に隠れまして一部の分子が連合国の占領目的を阻害するがごとき場合、又は公安を害することが明らかであるというような場合におきましては、その個々の場合において取締ることのあるのは勿論当然でございまして、(「その通り」と呼ぶ者あり)只今須藤君の例に挙げられましたごときはいずれもこれに該当いたすという報告を受取つております。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、講和全権委員の任命につき国会の議決を求めるの件(二件)及び講和全権委員代理の任命につき国会の議決を求めるの件(二件)、以上四件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。議院運営委員長山田佐一君。
   〔山田佐一君登壇、拍手〕
○山田佐一君 只今議題となりました講和全権委員の任命につき国会の議決を求めるの件、講和全権委員代理の任命につき国会の議決を求めるの件、各二件に関する議院運営委員会における審査の経過並びに結果について御報告申上げます。
 本件は、先ず内閣総理大臣から、衆議院議員星島二郎君、参議院議員徳川宗敬君を講和全権委員に任命するため、国会法第三十九條但書の規定によつて国会の議決を求めて参つたもりでありまするが、本件を付託されました本委員会といたしましては、案件の重要性に鑑み、人事、法務、外務の各委員会と連合委員会を開き、二日間に亘り熱心に愼重審議いたしました。先ず内閣官房長官から内閣総理大臣に代つて提案理由の説明があり、次いで各委員から政府委員に対して重要な質疑が行われました。詳細は会議録によつて御承知願いたいと存じますので、ここではその大要について簡單に申上げます。
 先ず質疑の中心となりましたのは、講和全権委員の任命手続として国会法第三十九條但書の規定によつて行われることが適当であるかどうかという点でありまするが、これに対しては政府は、講和全権委員を国家公務員法の規定による一般職の公務員であると考えており、又これまでの先例等によつて見ても、特例法の制定又は現行法の改正を待つて特別の手続をとるというような必要はないものと認めるとの答弁がありました。
 次に、本件にいわゆる講和全権委員等は、講和会議のみならず、日米安全保障協定にも調印するかどうか。若し調印するとすれば、未だその内容が発表されていない日本安全保障協定について、あらかじめ調印する全権委員等の任命に関する議決を国会に対して求めることは応当ではないかとの質疑に対しましては、日米安全保障協定の内容は未だ相互に協議中であるため発表されるに至つていないけれども、その趣旨はすでに内閣総理大臣の演説において明らかにされており、この協定が実質的に講和條約と不可分の関係にあることを考えれば、この協定の趣旨に賛成される全権委員等が講和條約の調印後に日米安全保障協定にも調印することは十分に期待されるとの答弁がありました。又講和全権委員代理の職務内容に関する質疑に対しては、全権委員代理は、全権委員に事故ある場合、その職務を代行するものであるとの答弁がありました。
 次いで連合委員会を閉じましたところ、更に衆議院議員松本六太郎君、同じく吉武惠市君、参議院議員大野木秀次郎君、同じく伊達源一郎君を講和全権委員代理に任命するため国会の議決を求めるの件が本委員会に付託されましたので、先の講和全権委員任命につき国会の議決を求めるの件と一括して議題とし、若干の質疑が行われた後、討論に入りましたところ、次のような発言がありました。
 即ち社会党を代表して菊川委員から、本件については賛成であるが、全権委員の職務の重要性にもかかわらず、これを一般職の国家公務員として、国会法第三十九條但書の規定によつて国会の議決を求めることは、今後に問題を残すことになるから、将来において十分考慮する必要がある旨の発言がありました。次に自由党を代表して鈴木恭一委員から、本件について賛成である旨、第一クラブを代表して三浦委員から、(「代表にあらず」と呼ぶ者あり)国会法第三十九條の但書により議決を求めるの件として賛成である旨の発言がありました。次いで労農党を代表して鈴木清一委員から、講和全権委員という重要な職務を一般職の国家公務員として任命の手続をとつたことは不当であると考えるから本件に反対である旨、又共産党を代表して兼岩委員から講和全権委員が調印すべき講和條約及び日米安全保障協定は日本の将来に決定的な影響を及ぼすものであり、且つ日本国憲法との関係においても重大な問題であると考えるから、本件には反対である旨の発言がありました。
 以上を以て討論を終り、採決を行いましたところ、多数を以て内閣総理大臣要求の通り議決すべきものと決しました。
 以上の採決を終りました後、更に衆議院議員苫米地義三君を講和全権委員に任命するため国会の議決を求めるの件、並びに参議院議員鬼丸義齊君を講和全権委員代理に任命するため国会の議決を求めるの件が本委員会に付託されましたので、これらを一括して議題に供しましたところ、かくのごとく形式的に同様の案件を分割して提出されたことは、前者と後者においてそれぞれ全権委員等の権限について相違があるかどうかとの質疑が行われ、(笑声)これに対して内閣官房長官から、全然相違はない、同一であるとの答弁がありました。更に若干の質疑が行われた後、本件については討論を省略して採決いたしましたところ、多数を以て内閣総理大臣の要求通り議決すべきものと決しました。以上簡單でありまするが、これを以て御報告を終ります。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 討論の通告がございます。発言を許します。兼岩傳一君。
   〔兼岩傳一君登壇、拍手〕
○兼岩傳一君 私は日本共産党を代表して反対をいたすものであります。
 この三日間、第十回国会は、全国民の注視の中に審議されたのでありますが、この国会において問題の中心点に立たれました民主党の内部においては、非常な議論が行われ、或る議員は、この講和の使節は元来喪章を付けて参加すべきであるという憂国の言葉さえ発せられたと伝えられております。併しながら民主党の内部におきましては、種々討論の結果、到達をされました結論は、講和條約と日米軍事協定を切離して、條約にだけ調印するということを條件として、承認は勿論、全権委員、同代理を自党から出すという結果に立ち至られたのであります。又、勤労大衆の代表、社会主義革命を目標とされる社会党におかれては、(笑声)全権任命の承認という国会法第三十九條の問題と、條約調印というこの内容を切離して、條約には反対だが、全権任命の承認には賛成するという態度をとられたのであります。(「違う違う」と呼ぶ者あり、笑声)單独講和の全権任命を承認して、如何にして全面講和、再軍備反対、永世中立の三原則を守り通されようとするか。具体的に承わりたいものであります。(笑声、「しつかりやれ」と呼ぶ者あり)
 我が党は何が故に反対するか。(「ソ連があるから」と呼ぶ者あり)朝鮮の停戰、これに伴う朝鮮からの全外国軍隊の撤退、これこそは全世界の平和愛好人民の熱烈なる要望であります。この圧力の前に、(「捕虜送還」と呼ぶ者あり、笑声)朝鮮から撤退せざるを得ない━━━━━━━口法的に駐屯させること、そのためにこそアメリカ提案の対日講和條約が急がれており、軍事協定がこれと全く不可分に推し進められておる理由がまさにここにあるのであります。━━━━━アジア十億の反対を押し切り、世界の厖大なる━━━━━━して、強引に、大急ぎで、外国の新聞には全部出ることが日本人民にはまるでわからないという状態において日本に調印を求めておる魂胆はまさにここにあるのであります。(「共産党だけだ」と呼ぶ者あり)この草案に調印するならば、日本は恐らく第二の朝鮮たるの運命を迫るであろうことは火を見るよりも明らかであります。(「余計な心配をするな」「懲罰だにと呼ぶ者あり)日本民族の独立、アジアの経済提携による繁栄、世界の平和を念願いたします我が党は、かかる悲惨なる日本の運命を避けるために、欺瞞的、屈辱的なる講和そのものに反対することは勿論、かかる屈辱的且つ欺瞞的なる調印をなさんとする全権の派遣に断乎反対する理由はまさにここにあるのであります。(「どこにあるんだ」「わからん」と呼ぶ者あり)若し我々のこの心からなる而も明々白々たる見通しを元にしておるところの反対論が受入れられないで、不幸にして全権団が承認され、且つ構成されるとしても、それはまさに屠所に曳かれる羊の悲劇にほかならないのであります。(「その通り」「共産党には賛成できないよ」と呼ぶ者あわ)
 今から百年前、安政年間一ペルリがアメリカ軍艦四隻を率いて日本に参りました。(「古い古い」呼ぶ者あり)その結果アメリカとの間に結ばれました半植民地的な治外法権、関税自主権の喪失、一方的な向うさんだけの最惠国條約の締結一かかる屈辱的な不平等條約のために、我々の祖先が如何に恥辱と苦痛を長く嘗めて来たかを思い浮べるべきであります。(「嘘をつけ」ソ連はどうした」と呼ぶ者あり)この條約改正のために我々の先租は血のにじむ鬪いを続けられなければならなかつた。そうして我々の同僚大隈議員のおじいさん大隈重信の片足が爆彈のために吹つ飛ばされたのも、この半植民地的な條約を拭い去るための政治的闘争の歴史の一駒であつたことを銘記すべきであります。(「うまいぞ」「もう終りか」と呼ぶ者あり)
 以上の討論を以て、日本共産党は全権の任命に断呼反対するものであります。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより採決をいたします。
 先ず講和全権委員の任命につき国会の議決を求めるの件(二件)を問題に供します。衆議院議員星島二郎君、同苫米地義三君、参議院議員徳川宗敬君が講和全権委員に就くことに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。(拍手)よつて三君は講和全権委員に就くことができると決せられました。
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) 次に、講和全権委員代理の任命につき国会の議決を求めるの件(二件)を問題に供します。衆議院議員松本六太郎君、同吉武惠市君、参議院議員大野木秀次郎君、同伊達源一郎君、同鬼丸義齊君が講和全権委員代理に就くことに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて五君は講和全権委員代理に就くことができると決せられました。
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) 参事に報告いたさせます。
   〔海保参事朗読〕
本日議員曾祢益君外五十六名から委員会審査省略の要求書を附して左の議案を提出した。
 領土権確保要望に関する決議案本日議員内村清次君外五十六名から委員会審査省略の要求書を附して左の議案を提出した。
 在外同胞引揚促進に関する決議案
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、領土権確保要望に関する決議案(曾祢益君外五十六名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。本決議案につきましては、曾祢益君外三十六名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案の審議に入ることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者少数〕
○議長(佐藤尚武君) 少数と認めます。よつて本決議案の委員会審査省略要求の件は否決せられました。
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して在外同胞引揚促進に関する決議案(内村清次君外五十六名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。本決議案につきましては、内村清次君外五十六名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案の審議に入ることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者少数〕
○議長(佐藤尚武君) 少数と認めます。よつて本決議案の委員会審査省略要求の件は否決せられました。
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、運輸審議会委員任命につき事後承認の件を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。昨日、内閣総理大臣から、運輸省設置法第九條の規定により、栢原語六君、冨山清憲君を運輸審議会委員に任命したことについて本院の承認を求めて参りました。本件に関し承認を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本件は承認を與えることに決しました。
   〔議長退席、副議長着席〕
     ―――――・―――――
○副賞長(三木治朗君) この際、日程に追加して、商品取引所審議会委員任命につき事後承認の件を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。昨日、内閣総理大臣から、商品取引所法第百三十九條の規定により、南正樹君を商品取引所審議会委員に任命したことについて、本院の承認を求めて参りました。本件に関し承認を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本件は承認を與えることに決しました。
     ―――――・―――――
○副議長(三木治朗君) この際、日程に追加して、日本銀行政策委員会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。
 昨日内閣総理大臣から、日本銀行法第十三條の四の規定により、中山均君を日本銀行政策委員会委員に任命することについて、本院の同意を求めて参りました。本件に関し同意を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て同意を與えることに決しました。
     ―――――・―――――
○副議長(三木治朗君) この際、日程に追加して、日本国有鉄道監理委員会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。
 本日、内閣総理大臣から、日本国有鉄道法第十二條の規定により、飯田精太郎君を日本国有鉄道監理委員会委員に任命することについて、本院の同意を求めて参りました。本件に関し同意を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て同意を與えることに決しました。
     ―――――・―――――
○副議長(三木治朗君) この際、日程に追加して、水産省設置法案及び水産省設置法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案の審査を閉会中も継続するの件、行政機構の整備に関する調査を閉会中も継続するの件、(いずれも内閣委員長提出)、国家公務員の給與問題に関する調査を閉会中も継続するの件(人事委員長提出)、地方行政の改革に関する調査を閉会中も継続するの件(地方行政委員長提出)、破産法及び和議法の一部を改正する法律案及び会社更生法案の審査を閉会中も継続するの件、検察及び裁判の運営等に関する調査を閉会中も継続するの件、(いずれも法務委員長提出)、講和に関連する諸問題並びに国際情勢等に関する調査を閉会中も継続するの件(外務委員長提出)、租税特別措置法の一部を改正する法律案の審査を閉会中も継続するの件、金融政策並びに制度に関する調査を閉会中も継続するの件、(いずれも大蔵委員長提出)、国立大学管理法案、公立大学管理法案、国立大学管理法及び公立大単管理法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案の審査を閉会中も継続するの件、教育及び文化に関する一般調査を閉会中も継続するの件、(いずれも文部委員長提出)、社会保障制度に関する調査を閉会中も継続するの件、(厚生委員長提出)、農林政策に関する調査を閉会中も継続するの件(農林委員長提出)、水産物増産対策に関する調査を閉会中も継続するの件(水産委員長提出)、通商及び産業一般に関する調査を閉会中も継続するの件(通商産業委員長提出)、一般運輸業情に関する調査を閉会中も継続するの件(運輸委員長提出)、郵政事業の運営実情に関する調査を閉会中も継続するの件(郵政委員長提出)、電気通信事業運営状況に関する調査及び電波行政に関する調査を閉会中も継続するの件(電気通信委員長提出)、労働行政の実情に関する調査及び労働関係法規改廃問題に関する調査を閉会中も継続するの件(労働委員長提出)、河川、道路、都市及び建築等各種事業並びに国土その他諸計画に関する調査を閉会中も継続するの件(建設委員長提出)、日本経済の安定と復興に関する調査を閉会中も継続するの件(経済安定委員長提出)、昭和二十六年度予算の執行状況に関する調査を閉会中も継続するの件(予算委員長提出)昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算及び昭和二十三年度特別会計歳入歳出決算の審査を閉会中も継続するの件、特別会計、政府関係機関及び終戰処理費の経理並びに国有財産の処理に関する調査を閉会中も継続するの件(いずれも決算委員長提出)、議院の運営に関する審査を閉会中も継続するの件(議院運営委員長提出)、国会図書館の運営に関する審査を閉会中も継続するの件(図書館運営委員長提出)、在外同胞引揚問題に関する調査を閉会中も継続するの件(在外同胞引揚問題に関する特別委員長提出)、電力問題に関する調査を閉会中も継続するの件(電力問題に関する特別委員長提出)、公職選挙法改正に関する調査を閉会中も継続するの件(公職選挙法改正に関する特別委員長提出)、
 以上三十五件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。これら三十五件の審査及び調査を閉会中もなお継続するの件は、各委員長の要求通りこれを決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつてこれら三十五件は各委員長要求の通り決定せられました。
     ―――――・―――――
○副議長(三木治朗君) 本日午前の会議における椿繁夫君の質問に対する答弁のため、天野国務大臣から発言を求められました。この際発言を許可いたします。天野国務大臣。
   〔国務大臣天野貞祐君登壇、拍手〕
○国務大臣(天野貞祐君) 総理に代つてお答え申上げます。
 政令諮問委員会は、政府部内の諮問機関であつて、その意見は政府において更に十分に検討するものであります。制度の民主化については政府の常に意を用いておるところでございます。(拍手)
○副議長(三木治朗君) 議事の都合により暫時休憩いたします。
   午後九時四十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後十一時四十六分開議
○議長(佐藤武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。
 お諮りをいたします。来たる九月四日、米国サンフランシスコにおいて開催される講和会議に、本院から五名の議員を派遣したいと思います。なお、その人選は議長に御一任願います。以上の議長発言に賛成の諸君の起立を求めます。(「反対」と呼ぶ者あり)
   〔起立者多数〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本件は議長発議の通り決せられました。
 只今の議決に基き、派遣議員を指名いたします。廣瀬與兵衞君、(拍手)中川以良君、(拍手)金子洋文君、(拍手)鈴木直人君、(拍手)大隈信幸君。(拍手)
 これにて散会いたします。
   午後十一時四十七分散会
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○本日の会議に付した事件
 一、日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 一、災害復旧に関する緊急質問
 一、ベースアツプ並びに講和後の労働対策に関する緊急質問
 一、給與べース改訂に関する緊急質問
 一、平和運動等の取締に関する緊急質問
 一、講和全権委員の任命につき国会の議決を求めるの件(二件)
 一、講和全権委員代理の任命につき国会の議決を求めるの件(二件)
 一、領土権確保要望に関する決議案
 一、在外同胞引揚促進に関する決議案
 一、運輸審議会委員任命につき事後承認の件
 一、商品取引所審議会委員任命につき事後承認の件
 一、日本銀行政策委員会委員の任命に関する件
 一、日本国有鉄道監理委員の任命に関する件
 一、水産省設置法案の審査を閉会中も継続するの件外三十四件
 一、議員派遣の件