第012回国会 大蔵委員会 第13号
昭和二十六年十一月十四日(水曜日)
   午後一時五十一分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     平沼彌太郎君
   理事
           大矢半次郎君
           清澤 俊英君
           伊藤 保平君
           木内 四郎君
   委員
           愛知 揆一君
           岡崎 真一君
           黒田 英雄君
           山本 米治君
           菊川 孝夫君
           野溝  勝君
           松永 義雄君
           小宮山常吉君
           小林 政夫君
           田村 文吉君
           菊田 七平君
           森 八三一君
           木村禧八郎君
  政府委員
   大蔵政務次官  西川甚五郎君
   外務省條約局長 西村 熊雄君
   日本専売公社監
   理官      久米 武文君
   大蔵省主計局法
   規課長     佐藤 一郎君
   大蔵省主税局長 平田敬一郎君
   大蔵省主税局調
   査課長     龜徳 正之君
   大蔵省管財局長 内田 常雄君
   大蔵省銀行局長 河野 通一君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       木村常次郎君
   常任委員会專門
   員       小田 正義君
  説明員
   大蔵省銀行局資
   金運用課勤務  上東野正二君
   通商産業省通商
   業務局経理第一
   課長      羽柴 忠雄君
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  本日の会議に付した事件
○小委員長の報告
○退職所得に対する課税免除の請願
 (第十六号)(第十七号)
○勤労所得等に対する所得税軽減の請
 願(第二二号)
○戰災復興土地区画整理のための清算
 金および用地補償金に対する所得税
 免除の請願(第五四七号)
○法人税分割納付に関する請願(第五
 八六号)
○漁業権補償金に対する課税免除の請
 願(第三六四号)
○漁業に対する課税改善の請願(第六
 七七号)
○織物消費税の廃止に伴う損失補償の
 請願(第六〇〇号)
○陶磁器製品の物品税撤廃等に関する
 請願(第一八号)
○洋紙の物品税撤廃に関する請願(第
 六三号)
○運動用品の物品税免税点設定に関す
 る請願(第一二二号)
○漆器類の物品税撤廃に関する請願
 (第二六二号)
○児童乘物の物品税撤廃に関する請願
 (第三四七号)
○金庫、手提金庫の物品税撤廃に関す
 る請願(第四六〇号)
○漆器の物品税撤廃に関する請願(第
 四七五号)
○水あめ、ぶどう糖の物品税撤廃に関
 する請願(第一〇八号)(第四三一
 号)(第四七四号)
○水あめの物品税撤廃に関する陳情
 (第七八号)
○呉市平和産業港湾都市建設総合計画
 に関する請願(第二九〇号)
○北海道旭川市に国民金融公庫事務所
 設置の請願(第六九号)
○岩手県下の火災による農山漁村に長
 期事業資金融資の請願(第三九八
 号)
○満二十年以上の旧陸軍共済組合甲組
 合員に年金下附の請願(第四八〇
 号)
○たばこ小売の利益率引上げに関する
 請願(第六四号)(第六五号)(第
 一四五号)(第二二三号)(第四七
 三号)(第六一四号)
○たばこ小売の利益率引上げ等に関す
 る陳情(第五一号)
○保險業法の一部を改正する法律案
 (内閣提出)
○損害保險料率算出団体に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提
 出)
○日本専売公社法の一部を改正する法
 律案(内閣送付)
○物品税法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)(第
 十一回国会継続)
○財産税法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○米国対日援助物資等処理特別会計法
 の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○一般会計の歳出の財源に充てるため
 の資金運用部特別会計からする繰入
 金に関する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○所得税法の臨時特例に関する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○連合国財産補償法案(内閣提出、衆
 議院送付)
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○委員長(平沼彌太郎君) これより第十二回の大蔵委員会を開催いたします。
 先ず請願及び陳情に関する小委員長の報告を求めます。
○伊藤保平君 請願及び陳情に関する小委員会におきます審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 去る九日第一回の小委員会を開きまして、政府の説明及び見解を聽取し、質疑応答を重ね、愼重に審議をいたしましたのでありまするが、その結果は次の通りであります。
 先ず請願十六号、十七号は、退職所得は老後の生活に対する唯一の保障の性質を持つものであり、又一般勤労者の勤労意慾を助長するためにも、それに対する課税を免除せられたいとの趣旨であり、請願二百二十一号は、現行税法において重課されておる勤労所得等に対する課税を、諸控除率引上げ等の処置によつて軽減せられたいとの趣旨であり、請願五百四十七号は、戰災都市復興事業の土地区画整理により交付される清算金又は用地補償金は不当に低い額であるにかかわらず、所得税が課せられているため、同事業の大きな障害となつているから、所得税を免除せられたいとの趣旨であり、請願五百八十六号は、法人税の分割納付を認めてもらいたいとの趣旨であり、請願三百六十四号は、漁業権補償金に対する再評価税を免除せられたいとの趣旨であり、請願六百七十七号は、漁業に対する課税改善のために、(一)割当課税的方法を改めること、(二)不漁の場合の課税保護の制度を設けること等の措置を講ぜられたいとの趣旨であり、請願六百号は、昭和二十五年織物消費税廃止に伴つて生産業者及び販売業者が手持在庫品に対してこうむつた損失を補償せられたいとの趣旨であり、以上の各件はいずれも願意を相当と認めますので、採択すべきものと決定いたしました。
 次に請願十八号、六十三号、百二十三号、二百六十二号、三百四十七号、四百六十号、四百七十五号は、いずれも陶磁器製品、洋紙、運動用品、漆器類、兒童乘物、金庫及び手提金庫の物品税をそれぞれ撤廃せられたいとの趣旨であり、請願百八号、四百三十一号、四百七十四号、陳情七十八号は、いずれも水あめ、ぶどう糖に対する物品税は、他の原始的農業生産物及び砂糖と対照して不公平な課税であり、大衆課税であるから撤廃せられたいとの趣旨であり、各件いずれも大衆品につきましては事情の許す限り軽減又は免除することが適当と思われますので、採択すべきものと決定いたしました。
 次に請願二百九十号は、呉市が平和産業港湾都市に転換するについて、すでに適用を受けている旧軍港市転換法の効果を十分に発揮するため、旧軍港海面並びに旧軍用施設の開放又は返還について善処せられたいとの趣旨であり、請願六十九号は、北海道旭川市に国民金融公庫事務所を設けられたいとの趣旨であり、請願三百九十八号は、岩手県下の火災による農山漁村の損害は他県に例を見ないほどであり、且つ県の財政は困難を極めておるので、長期事業資金を融資せられたいとの趣旨であり、請願四百八十号は、組合加入後満二十年以上を経過した旧陸軍共済組合の甲組合員に対して年金の受給資格を付與せられたいとの趣旨であり、以上の各件はいずれも願意を相当と認めますので、採択すべきものと決定いたしました。
 なお請願六十四号、六十五号、百四十五号、二百二十三号、四百七十三号、六百十四号、陳情五十一号は、いずれもたばこ小売の利益率を引上げられたいとの趣旨であり、いずれも願意を相当と認め、採択すべきものと決定いたしました。
 右御報告申上げます。
○委員長(平沼彌太郎君) 只今報告のありました請願及び陳情につきましては、小委員長の報告通り決定することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないものと認めまして、小委員長の報告通り決定することにいたします。
○委員長(平沼彌太郎君) 次に保險業法の一部を改正する法律案、損害保險料率算出団体に関する法律の一部を改正する法律案、これは参議院先議でございます。なお日本専売公社法の一部を改正する法律案、予備審査、物品税法の一部を改正する法律案、これも予備審査、以上四案を議題として提案理由の説明を聽取することにいたします。
○政府委員(西川甚五郎君) 只今議題となりました保險業法の一部に改正する法律案外三件につきまして、その提案の理由並びに内容の概略を御説明申上げます。
 損害保險会社が巨額の保險契約を行う場合、一社でその危險を引受けることは到底不可能であり、危險の平均、分散を図るため、あらかじめ損害保險会社相互間において共同保險、共同再保險等の共同行為をしなければ、保險の引受を円滑に遂行し、保險需要を迅速確実に充たすことはできないのでありまして、このため損害保險会社の協定は、諸外国においても広く認められているところであります。
 更に、現実の問題といたしまして、外貨建積荷保險においては、国際競争が激しく、我が国損害保險会社の事業成績はかんばしくなく、その対外信用の低下を来し、海上再保險取引を著しく困難ならしめている実情でありまして、このような事態の改善を図ることは、目下の急務とされているのであります。よつて損害保險の円滑な引受を確保するため必要な範囲内において損害保險会社相互間の共同行為を認め、私的独占禁止法及び事業者団体法の適用を排除することとするためこの法律案を提出いたしたのであります。
 次に只今申しましたように、私的独占禁止法等の適用を排除したことに伴いまして、保險契約者等の利益を保護し、私的独占禁止法等の規定の趣旨が不当に侵害されることを防止するための措置を講じているのであります。
 即ち第一に損害保險会社、保險契約者等の利害関係人は、共同行為が不当にその利益を害するものと認めるときは、公開による聽聞の請求をなしうることといたしました。又大蔵大臣は必要と認めたときは、共同行為の取消変更をなし得ることとしております。
 第二に重要な共同行為については、損害保險会社は、大蔵大臣に届出なければならないものといたしました。
 第三に損害保險会社が、共同行為をなす場合に不公正な競争方法を用いる場合等における公正取引委員会の権限に関する規定を設けることといたしました。
 次に損害保險料率算出団体に関する法律の一部を改正する法律案について申上げます。
 現行法においては、損害保險料率算出団体については、現在独占禁止法及び事業者団体法の適用が排除されてはおりますが、料率団体の算出した保險料率は、会員たる損害保險会社を拘束じ得ないものとされております。併しながらこのような現行法の規定は料率団体を認めた趣旨を達成するに十分ではなく、料率団体の能率的運営を図るゆえんではないと認められるに至つたのであります。よつて政府は、一面料率団体の制度を強化しつつ会員の積極的支持によるその円滑な運営を期すると共に、他面独占によつて保險契約者の利益が不当に害されることを防止し、適正な保險料率の算出を確保するためこの法律案を提出した次第であります。
 次にこの法律案によりまする改正の要点を申上げますと、先ず料率団体が保險料率を算出したときは、大蔵大臣の認可を受けなければならないものとし、会員たる損害保險会社はその認可を受けた保險料率を遵守しなければならないものといたしました。
 次に、会員たる損害保險会社は、保險料率の算出の基礎となる條件に特別の事情がある場合には、大蔵大臣の認可を受けて、料率団体の算出した保險料率に対し一定の割増又は割引をした特別保險料率を使用することができるようにし、適度の競争をなす余地を残したのであります。
 このほか、利害関係会社が保險料率に不服がある場合についての救済規定を設けると共に、大蔵大臣は状況の変化に応じ、料率団体に対しその認可料率の取消又は変更の命令をなし得ることとする等所要の規定を設けているのであります。
 次に物品税法の一部を改正する法律案につきましてその提案の理由を御説明申上げます。
 現在、物品税法におきましては、輸出する物品に対しては物品税を課税しないこととしているのでありますが、現行の米国関税法の規定によりますと、輸入物品に対する関税の課税価格は、当該物品の輸出国における市場価格又は輸出価格のいずれか高いほうによることとなつているのであります。従いまして物品税の課税物品を米国に輸出する場合には物品税額を含んだ市場価格が関税の課税標準となり、我が国といたしましては、輸出振興上著しく不利な状態におかれることとなるのであります。よつて、我が国における市場価格とは物品税額が含まれないも
 のであることを明らかにするため、この法律案を提出いたした次第でありまして、即ち物品税は課税物品の消費者が負担する建前のものであることを規定上明らかにいたすと共に、課税物品の国内取引におきましては、物品の価格と物品税額とを区別して表示すべきこととする等物品税法に所要の改正を加えようとするものであります。
 次に日本専売公社法の一部を改正する法律案について申上げます。
 日本専売公社法におきましては、これまで公社の職員の休職に関する規定が整備されていなかつたのでありますが、今回国家公務員の場合と同様に休職に関する規定を整備することが必要と認められますので、この法律案を提出いたした次第であります。
 次にこの法律案による改正の概要を申上げますと、先ず休職の期間でありますが、職員が心身の故障のため長期の休養を要する場合における休職の期間は、従来原則として満一年と規定されていたのでありますが、これを三年を超えない範囲内で休養を要する程度に応じて、総裁が定めるものといたしました。
 次に、休職期間中の給與でありますが、第一に、公務上の負傷又は疾病による休職の場合におきましては、これまでは労働協約に基き給與の支給がなされているのでありますが、今回これを専売公社法のうちに織り込み、その休職の期間中給與の全額を支給することを明らかにいたしました。
 第二に、結核性疾患による休職の場合及びそれ以外の心身の故障による休職の場合につきましては、結核性疾患の場合には休職の期間が満二年に達するまで俸給、扶養手当及び勤務地手当のそれぞれ百分の八十を、その他の場合には休職の期間が満一年に達するまで同じく百分の八十を支給しうることといたしました。
 第三に、刑事事件に関し起訴された場合の休職の期間中につきましても俸給、扶養手当及び勤務地手当のそれぞれ百分の六十以内を支給することができることといたしました。
 以上が、この法律案の提案の理由であります。
 何とぞ御審議の上、速かに御賛成あらんことを御願い申上げます。
○委員長(平沼彌太郎君) 次に保險業法の一部を改正する法律案、損害保險料率算出団体に関する法律の一部を改正する法律案、以上一案について内容の説明を聽取することにいたします。河野政府委員。
○政府委員(河野通一君) 保險関係の二法案につきまして法案の内容を御説明申上げます。この二つの法律は、その他保險事業と独禁法でありますとか事業者団体法でありますとか、そういつた公正取引に関する法律との関係の調整のために改正をいたすのが趣旨であります。
 先ず保險業法の一部を改正する法律の内容について申上げます。先ず海上保險事業に関しまして損害保險会社等が行います共同行為、海上保險事業以外の損害保險事業に対しまして損害保險会社の行いまする共同保險及び共同再保險、これらの点につきましての一種の共同行為に対しまして私的独占の禁止及び公正取引の行いまする法律及び事業者団体法の規定の字句を排除すること等が第一点であります。先ほど提案理由の説明の中にもありましたように、保險事業というものが非常に巨額の保險金額に上りまするものを契約いたします場合には、單独の保險会社で一緒に引受けるということはなかなか困難な事情にあるわけであります。保險というものの性質からいいまして当然共同保險でありますとか共同再保險ということがどうしても必要に相成つて来るわけであります。殊に海上保險につきましては国際的な競争が非常に激しく、それらの点から保險の需要を迅速に確実にこれを充たして行き、且つ国際競争に耐えて行きますためにもどうしてもこれらの共同行為を認めて参らなければならんのであります。現にアメリカにおきましてもイギリスにおきましても、おのおの日本の独占禁止に関する法律等と大体似たような法律があるのでありますけれども、両者とも保險事業或いは特に海上保險事業につきましては、これらの公正取引に関する法律の適用を除外されておるのであります。これらの前例から申しましても、当然我が国におきましても独占禁止法の例外を作ることが必要であるわけであります。
 次にこういうふうな共同行為を認めて参りました場合に、それが非常な不正な競争になつたり、利害関係人に不当の不利益を與えるようなことがないようにして参らなければなりませんので、利害関係人は今申上げましたような共同行為につきまして主務大臣に対し公開による聽聞の請求をなし得ることにいたしたのであります。又公正取引の確保を維持いたしますために、今申上げました共同行為につきまして主務大臣は或る一定の場合におきましてはこの共同行為を取消したり或いは内容の変更を命ずることができるようにいたしたのであります。
 次に損害保險会社は今申上げましたような共同行為につきまして、一定のものにつきましては主務大臣にこの共同行為の内容を届出るようにいたしたのであります。この規定もやはり公正取引の維持確保の万全を期するために設けた規定であります。
 次に損害保險会社が右申上げましたような共同行為をなす場合におきまして、不公正な競争方法を用うるような場合におきましては、公正取引委員会の権限に関しましてその権限を犯すものでないという規定を設けたのであります。これによりましてやはり今申上げました公正取引の確保を図つて参る保護規定を置いたわけであります。以上が保險業法の一部を改正する法律案の概要であります。
 次に損害保險料率算出団体に関する法律の一部を改正する法律案について説明を申上げます。改正の理由につきましては先ほど提案理由の説明で説明があつたところでありますから省略させて頂きまして、直ちに内容について申上げたいと思います。
 第一は損害保險料率算出団体が保險料率を算出いたしましたときは、大蔵大臣の認可を受けなければならないことにいたしたのであります。次に料率団体が算出して大蔵大臣の認可を受けた場合におきましては、その保險料率につきましては会員はこれを守らなければならないということにいたしたのであります。現行法におきましては、この料率団体が算出いたしました保險料率につきましては会員を拘束してはならないという規定が実はわざわざ入つておるわけです。この規定を削除いたしまして、保險料率を料率団体が定めて大蔵大臣の認可を受けました場合には、これは当然会員を拘束するということにいたしたのであります。次に料率団体が認可を申請した保險料率に対して不服のありまする利害関係人は、一定の期間内に大蔵大臣に対して審査の請求をなし得るものといたしたのであります。又料率団体の構成員であります会員は、料率等におきまして保險料率の算出の基礎となる條件に特別の必要があります場合におきましては、大蔵大臣の認可を受けまして特別な保險料率を使用することができるということにいたしたのであります。これによりまして適正なる範囲の競争の余地を残して参りたいと、かように考えた次第であります。
 次に料率団体が算出し大蔵大臣の認可を受けた保險料率に対しまして不服のある利害関係人は、大蔵大臣に対して再審査の請求をすることができるようになつたのであります。これによりまして利害関係人、特に保險契約者の利益を適当に保護して参る途を開いたわけであります。そのほか今般の以上申上げましたような改正に伴いまして必要な罰則の規定を改正いたしたのであります。
 簡單でありますが、以上述べまして、一応法律案の内容の趣旨を説明申上げます。
○委員長(平沼彌太郎君) 次に日本専売公社法の一部を改正する法律案につきましては、政府の都合により内容説明は次回に讓ります。
 次に物品税法の一部を改正する法律案(予備審査)について内容の説明を聽取することにいたします。
○政府委員(龜徳正之君) 現行法におきましては、御存じのように物品を輸出いたしますときには物品税を課税いたさないで輸出しておるのでありますが、特に問題は米国との関係において生じておるのでありますが、米国の関税法の第四百二條におきまして、関税の課税標準となる価格はその国の輸出価格か或いはその国の市場価格か、いずれか高いものを標準として課税するという規定になつておるのであります。従来は便宜の、取扱で、事実上物品税抜きで関税を課税されていたのでありますが、その便宜の取扱をそのまま継続することにつきまして、米国の関税当局は非常にその点を了承しないというような方向に向つておるという状況であります。従いまして現行の米国の関税法を嚴格に適用されますときには、折角本邦より物品を輸出しますときには物品税を課税しないで輸出いたしましても、向うで関税を課せられますときには、物品税込の価格を課税標準として関税をかけられる、従つて日本が今後輸出をますます振興して行かなければならないというときに当りまして非常に障害になる、何とかこの点を解決したいというのが本法を提案いたしました理由でございます。でこの物品税法の内容の主たる点は、最終消費者が物品税を負担するものであるという趣旨を明瞭に謳う、それから同時にそれを裏付けする意味で、物品税を課せられます物品の取引がありました場合には、物品税額というものを別にしてはつきり決済する、又物品税の課せられます物品を店頭その他で販売いたしますときには、物品税額というものを別個に表示して販売をする、ただ非常にその点を嚴格に実行いたしますと、非常に煩瑣な結果にもなりますので、一万円程度以下のものについてはそういつた義務を免除するというような規定を設けておるのであります。ただこの点につきまして直ぐ疑問が起きます点は、若しも非常に価格が低落いたしまして、まあ極端な例をいえば物品税以下に価格が低落したという場合に、すでに製造者が納付しております物品税を返さなければならないというようなことになるのかどうかというような点が問題になるのでありますが、その点の誤解を避けます意味で、物品税は当該物品の消費者がこれを負担する建前のものとするというような表現を使つてその間の誤解を避けているのであります。なお問題はこういつた物品税法の改正の措置によつて米国の関税当局が、果して日本における市場価格が物品税抜きの価格であるというふうに了承するかどうかということが一番問題になるのでありますが、この点につきましては総司令部を通じまして米国の関税当局とも連絡いたしまして、この程度の改正であるならば日本における市場価格は物品税拔きの価格であるということで課税することになるという確答をも得ましたので本法を提案した次第であります。
○委員長(平沼彌太郎君) 内容の説明を聽取した右三案につきましての質疑は次回に讓ることにいたします。
○委員長(平沼彌太郎君) 次にちよつと間に入りますが、租税特別措置法の一部を改正する法律案の大矢小委員長より小委員会の報告がございます。お願いします。
○大矢半次郎君 租税特別措置法の一部を改正する法律案に関する小委員会の審議の結果を御報告申上げます。
 昨日本委員会散会後、直ちに小委員会を開きまして、木下水産委員長も参加して頂いて、大蔵大臣の出席を求めて種々懇談いたしたのであります。その結果政府原案はこれを容認するのほかはないが、漁業再編成の趣旨並びに漁業協同組合の現状等に鑑みましてこの際適当の措置をとる必要がある。で、第一といたしましては漁業会の再評価益税の納付に必要な資金としてこの際漁業証券の政府買上げを約十億円程度増加すること。第二といたしまして、明年度において農林漁業長期資金のうちに漁業協同組合関係の分として十億円程度の別枠資金を設けること。第三といたしましては、将来弱体の漁業協同組合に対しては国庫補助その他においてこれが育成強化を図ること。この三点は是非とも実現をする必要があるということに意見が一致いたしまして、大蔵大臣も大体これを了承せられたのであります。小委員会としては速かにこの趣旨に基きまして農林、大蔵両当局に対し具体的立案を要請するのが適当であるということに決定した次第であります。
 右御報告申上げます。
○委員長(平沼彌太郎君) 次に菊川委員、ちよつとお伺いしますが、連合国財産補償法案、これは都合によりまして順序を変更して差支ございませんか。
○菊川孝夫君 結構でございます。
  ―――――――――――――
○委員長(平沼彌太郎君) それでは財産税法の一部を改正する法律案、これについて質疑を行います。
○菊川孝夫君 財産税法の一部を改正する法律は、今回のは賠償指定されておつた施設に対して財産税の免除をされておつたのを、今度それを解除になつても、五年間を経過した後におきましても財産税を取るというための法的措置であるというふうに御説明を伺つたのであります。それで今後の財産税のあり方という点につきまして一つお伺いしたいと思うのですが、財産税法、財産税というのは今後も残しておくという方向を今主税局のほうでは考えているのか、それとも廃止するような方向を進もうとしているのかどちらか、その点を一つお伺いしたい。
○政府委員(平田敬一郎君) 今回提出いたしました財産税法の改正法案は、今お話の通り賠償施設など今まで財産の帰属がはつきりしないために、実は課税をしないでやつているものがございます。ところでこの財産税の一般の規定によりますと、五年の時効がございまして、との時効が今年のたしか十一月一ぱいで時効期間になるのでございますが、まだ帰属がはつきりしないというようなものについて課税を猶予しておりますので、その分につきましてはなお今後三年間財産税法で課税できるようにいたしたい。で、賠償指定施設が解除されまして、本人の所有に帰属します場合におきましては、その分を前の財産価格に算入いたしまして、その足らない分を財産税として納めさせる、こういうのが今回の改正の趣旨でございます。
 それから一般的の財産税法を今後どうするかということ、これはお尋ねの本旨かと思いますが、その点につきましてのお尋ねは、財産税というのは題目は臨時になつておりませんが、これは実は一回限りの臨時財産税でございまして、昭和二十一年三月三日現在における財産価格を調べまして、それに対しまして相当高率な課税をいたしまして、インフレの防止、財産の再配分を図る、こういう非常に巨大な目的を持つて実行されました特別な臨時課税でございます。従いましてこういう課税をたびたび行うということは私ども適当でないので、やはりこういう建前の性質上、将来こういうことをやるということはちよつと今のところ予測できないと思いますが、非常に臨時特別の課税であるというふうに考えておりますので、今、更にこういうものについて問題にいたしていないということを御了承願いたいと思います。これに対しまして相続税が御承知の通り一種の財産課税としてございますが、これは一律一般的に財産に対しまして課税するわけではございませんが、相続の機会を捉えまして、その機会に財産に対しまして相当大きな負担をかけるというのが相続税でございまして、この相続税を年々課税することによりまして、一種の財産課税の目的が達成できるのではないかというふうに考えておるわけでございまして、財産税を今後どうするかということにつきましては、今お答えいたしました通り一回限りのものであるという考え方でございます。
○菊川孝夫君 そうしますと、これは今度は解除になつた財産につきまして、前の財産税を一回納めてあるが、その算出の場合には前に納めたのと、すでに課税をした財産と、今度解除になつたものとを合計して、そのときに納めるべきであつた率を課税する。こういうことになるわけでございますか。
○政府委員(平田敬一郎君) その通りでございます。
○菊川孝夫君 そういたしますと、のときの時価というもの、財産税をとられたときの時価というものと今の時価というものは大分違つているのだろうと思いますが、財産税課税当時と、今解除になつたときと違つているわけでありますが、そこで財産の評価というものは、現在の時価によつて評価するというふうにやられるのかどうか、その点について伺つておきたいのであります。
○政府委員(平田敬一郎君) 財産税は御承知の通り、さつき申しましたように昭和二十一年三月三日現在のあらゆる財産を調べまして、一回限り課税いたしたわけでございますが、従いまして課税の公平を期するためには、その後解除されたもの或いは今後解除されるものにつきましても、すべて昭和二十一年三月三日の価格を評価いたしましてそれによつて課税する、こういうことに相成るかと思います。
○菊川孝夫君 そういたしますと、今の金で納めますると、その当時の貨幣価値からいたしますると、大分貨幣価値は下落していると言えると思うのでありますが、そうすると賠償指定を受けておつたために実質的には相当税金が安くなるということは、これは金額の額の面においては同額にいたしましても、実質的には安くなるということは言えるわけでございますね。
○政府委員(平田敬一郎君) 財産税につきましては延納、それから物納、いろいろな制度がございますが、そういうような際におきましても、お話のように納めるときの貨幣価値と、賦課されるときの貨幣価値とは違うために、若干の何と申しますか、実際払う負担額が違うということは、これはどうも免れがたいのであります。それを非常に細かく考えまして公平を期するというのも一つの方法かと考えますが、然らばと言いまして、一般物価騰貴率等によりまして貨幣の価値を修正いたしまして、それによつて納めさせるということは、これはどうも少し又行過ぎだろうと思います。例えば公債なんかにつきましても、大分貨幣価値は下落いたしまして、間接には非常に大きな損を與えておるわけでございますが、それを何とか補うというのもなかなかむずかしいのでございまするし、又そういう方法も進んでとるということにはなつていないのでございますが、そこまで非常に細かく考えまして完全を期するというのは、これは一つの考え方と思いますけれども、実際問題として又行過ぎではないかというので、むしろ今申しましたように財産税の課税時期における価格によりまして課税するというのが考え方としてはいいのじやないかと、かように私どもは考えておる次第であります。
○菊川孝夫君 そうしますと、最後に一点お尋ねしたいのは、今回の平和條約の発効に伴いまして返還される、返還されるというか、解除をされまする賠償指定施設につきまして、大体財産税としてあなたのほうで見積つておられるのはどのくらいあるか、その見積についてこの間ちよつと聞き漏したのですが、御説明願いたいと思います。
○政府委員(平田敬一郎君) 大体におきまして解除されるものが多いと思つておるのでございますが、解除されるものはどちらかと申しますと、会社所有と申しますか、その分が全体から申しますと多いようでございます。勿論個人の所有のものもございますが、個人のものは全体としまして比較的少いように見ております。従いましてそういう点につきましては、目下改めていろいろ検討いたしおりまして、法人の場合、解除されますと、企業再建整備法との関係がどうなるとか、いろいろな問題があるようでございまして、そういう問題をよく検討いたしまして、資料が整備しました上で適当な見積りをしてみたいと思つておりますが、本年度といたしまして差当り課税するという分はそれほど多くない、むしろ今後の主として問題である、かように考えておる次第であります。
○菊川孝夫君 もう一つ、それじや地方税にもこれは影響して来るだろうと思うのでありますが、この点の処理は、固定資産税との関係はどういうふうにお考えになつておりますか。
○政府委員(平田敬一郎君) これも御指摘の通り今一つ問題にいたしまして、目下実は関係のほうからもいろいろ質問が来まして、研究いたしておるのでございますが、大体現に使用収益いたしておりますものにつきましては、これはやはり固定資産税を負担するということは無論当然のことでございまするし、今まで使用していなかつたものが使用し出すというような場合におきまして固定資産税の課税を受けるようになる、これも私ども原則といたしましてはやはり当然のことではないかと考えておるわけであります。ただほんの一部しか動かない場合におきましてどうするか、なお若干の問題が、その時期等の問題がございますので、目下その辺の問題につきましても、一括いたしまして研究中で、今日まだ結論を申上げにくいのでございますが、近くよく検討いたしまして、妥当な結論を下すようにいたしたいと思つております。
○菊川孝夫君 今直接的な関連はありませんから、その程度にして……。
○委員長(平沼彌太郎君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は盡きたものと認めて御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議がないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
   〔「異議なし」「採決」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平沼彌太郎君) 別に発言がなければ、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決を行ないます。財産税法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手をお願いいたします。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(平沼彌太郎君) 全会一致であります。よつて本案は可決すべきものと決定いたしました。
 なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條により本委員会における質疑、討論、表決の要旨を報告することにして、あらかじめ御承認を願うことに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないものと認めます。
 それでは本院規則第七十二條により多数意見者の御署名をお願いいたします。
  多数意見者署名
   菊川 孝夫  野溝  勝
   森 八三一  菊田 七平
   木村禧八郎  小宮山常吉
   小林 政夫  山本 米治
   木内 四郎  愛知 揆一
   伊藤 保平  大矢半次郎
   清澤 俊英  黒田 英雄
   岡崎 真一  田村 文吉
○委員長(平沼彌太郎君) 次に野溝委員より所得税法の臨時特例に関する法律案について、この際質疑をいたしたいとの申出がありましたので、さよう取計うことに御異議ございませんか。ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて。それでは野溝委員少しお待ち願います。
 次に米国対日援助物資等処理特別会計法の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。
○小林政夫君 「援助役務に係る分」というふうに直すわけですが、援助役務の具体的な内容はどうなつておりますか。
○説明員(羽柴忠雄君) お答え申上げます。援助役務に関しましては、米国対日援助物資等処理特別会計法の第一條におきまして、「米国対日援助物資の取得及び処分並びに米国対日援助として提供された役務の処理に関する政府の経理」云々ということに規定してあります。更に第三條の三項におきまして、「米国対日援助見返資金特別会計への繰入金の額は、援助物資及び援助役務のアメリカ合衆国通貨による価額」、こういうふうに規定してありまして、この役務が問題になつておるわけでございますが、これはいわゆる技術援助というものを考慮いたしましたものでございます。併しながらこの技術援助に関しましては、今までにはまだ存在しておりませんで、且つこの役務につきましては、現在までのところ見返資金繰入の問題は起つておらないのでございますが、一応援助役務という観念につきましてはこういうことを予想しておつたものというふうに御理解願いたいと思います。
○木村禧八郎君 その技術援助というのは、それはどういうものを予定されているのですか。
○説明員(羽柴忠雄君) 技術援助と申しますと、これはアメリカの今度の国防予算のほうにもあるわけでございますが、大体アメリカから技術をいろいろ援助を受けまして、そうして例えば技術者を派遣して頂くとか、或いはその技術に関する具体的なやり方、そういつたようなものについての派遣方、人間並びに物、そういつたものの派遣をサービスとして受けると、こういうことを予想しておつたわけでございますが、具体的には全然起つておりませんので、本件についての具体的な役務ということは問題にならないと思います。
○小林政夫君 さつきの御説明で、援助物資を管理し扱つておつた向うの米人の給與等が、管理する管理人ですね、そういつた者の給與等が役務の内容になるわけですか、ちよつとはつきりしなかつたのですが。
○説明員(羽柴忠雄君) 給與につきましては、これは実は広い意味では役務になると思いますけれども、現実の問題といたしましてこの援助物資等処理特別会計において本件が問題になつているのではありませんで、そういつたような問題は、向うのガリオア予算というものの全般が問題になるわけでありまして、ガリオア予算のうちに物資の購入その他とあるわけでありまして、この会計におきまして取扱つておりますのは、物資の購入に限つたわけでございますので、その問題は起つて来なかつたわけであります。
○小林政夫君 そうすると向うの予算の中にはそういつた事務に携る人の給與は入つておる。我々今見返資金は日本の負債であるということが言われておるわけですが、そのときに一応この見返資金特別会計の中にはそういつた取扱者の給與というものは入つておらないのだが、債務として我々立てるという場合には、向うのアメリカの予算、ガリオア資金の予算に入つておる給與というものを、一応我々は債務として立てる場合には計算に入れなければならんわけですか。
○説明員(羽柴忠雄君) 我々が債務といたしまして観念しておりますのは、この援助物資特別会計において取扱いまして、物資の払下げを受けまして、そしてそれを見返資金に繰入れたものにつきまして債務と考えておるわけでありまして、これは広い意味におきます債務、債務の範囲がどの程度かということは、これは将来の問題でありますけれども、いわゆる積立義務というものを課せられております範囲内にはこれは入つておりませんので、これは債務以外というふうに私は観念しております。
○小林政夫君 そうすると今の向うの予算には計上されておつて、こちらの積立義務になつておらないその差額ですね、大体どのくらいあるのですか。
○説明員(羽柴忠雄君) 向うのガリオア予算の全貌につきましては、日本政府といたしましてはちよつとわかりかねますけれども、ガリオア予算と言いましても非常に広いものでございまして、ただ日本だけでなくて、その他の外国に対しましてもこういうものを計上しておりますので、日本に対しまするところのこの援助物資特別会計というものに繰入れる例の物資の払下げにつきましては、これは全部で大体十九億ドルぐらいになつておりますけれども、それ以外の点につきましてアメリカがどういうふうにこれをそれ以外に用いたかということにつきましては、ちよつとわかりかねると思います。
○木村禧八郎君 これはガリオアだけでなくて、イロアはどうなんですか、イロアの金は。
○説明員(羽柴忠雄君) これは普通援助物資はガリオアと称しておるわけでありまして、嚴密に申しますればガリオア及びイロア両方を含むわけであります。
○木村禧八郎君 これまではどうしておつたのですか、現在までは。
○説明員(羽柴忠雄君) どうしてというのは。
○木村禧八郎君 軍払下物資の対価につきましては、今までは対日援助見返資金特別会計へ繰入れることの規定を欠いていたのですね。ですからどういうふうにして処理して……。
○説明員(羽柴忠雄君) 従来援助物資につきましては、見返資金特別会計に繰入れる規定がございましたので繰入れておつたのでございますが、いわゆる援助物資に準じますところの軍払下物資に関しましては、その法律の規定を欠いておつたわけであります。従いまして、今まではその繰入れということは全然行なつておりませんでした。然るに昭和二十四年の七月一日から、実はこれは向うのメモが出まして、七月以降に入りますところの例の軍払下物資につきましては、一応見返資金特別会計に繰入れるための財源として援助物資特別会計に積立てておけと、こういう指令がありましたので、現在援助物資特別会計の中に積立てておるわけでございます。併しながら援助が一九五一年度を以て打切られることになりましたので、もはや援助物資は入つて来ない、それと同じように準援助物資も入つて参りませんので、見返資金特別会計に最終的に繰入れる必要が起つた、従つて今までデポジツトいたしました金額を今度繰入れる、こういう関係になつたわけでございます。
○木村禧八郎君 それはどのくらいですか。
○説明員(羽柴忠雄君) 約二十五億に上つております。
○木村禧八郎君 二十五億円。
○説明員(羽柴忠雄君) ええ。
○木村禧八郎君 そうしますと見返資金特別会計に繰入れることによつて、結局又対日債務というものはそれだけ数字は大きくなるわけですね。
○説明員(羽柴忠雄君) 債務といたしましては、広く債務を幾らとるかというような問題につきましては、全般的な数字といたしましては二十五億殖えます。殖えますけれども、この中でどの程度現実の債務としてとられるか、又どういう方法でとられるかということもまだ明確でございませんし、又そういつたような準援助物資についての二十五億について果して同じようにとられるかどうかということも、今までの積立方式が違つておりますので、援助物資につきましては今まで全部一カ月ずつ積立てておつたが、今回はまとめて積立てる。軍払下物資は援助物資と性質は同じでありますけれども、やはり若干違つておりますので、従つてこれが果して債務の引当に同じようになるかどうかということについては将来の問題だろうと思います。
○木村禧八郎君 この前大蔵大臣が、対日援助の債務はドル勘定としてのものが債務であつて、対日援助見返資金特別会計の円についてのものは債務じやない、こういうふうにはつきり言われておるのですよ。今のお話ですと、見返資金特別会計へ繰入れた分が債務となると、円ということになるですね。円表示のものが債務ということになるのですか。さつきちよつとお話が出ましたから……。債務の対象になるものですね。
○説明員(羽柴忠雄君) 債務の対象は、私はドルと解釈しております。併しながら現実に積立てられてあります金は円で積立ててありますので、それをドルに換算した額、そのうちどの程度が債務になるかという問題だと思います。飽くまで対外的な問題でありますので、対外債務といたしましてはドル決済というふうに了解しております。
○木村禧八郎君 そうしますと軍払下物資の分は必ずしも債務に入るものとははつきりはきまつてないわけですね。無論例えばこれが見返資金のほうに入ると、それを逆に円でドル換算するとこれも債務になるわけですね。ところがドル会計の中に入つていないでしよう。
○説明員(羽柴忠雄君) この見返資金に積立てます額は、先ほども申しましたように円の額でございまして、債務が幾らだ何ドルかということは直接の関係はございませんので、債務の額というものはそれとは別個に幾らというふうに計上されるものと理解いたしますので、この二十五億円が債務なりや否やということについて、ちよつと将来の問題として残されるのじやないかと、こういうふうに考えております。
○木村禧八郎君 それでわかりましたが、さつきのお話では、見返資金特別会計へ繰入れられた分を円でドル換算したものが債務となると、これも当然対象になるわけでして、今のお話では債務の対象になるのは向うの、アメリカのほうのガリオア特別会計、ガリオア資金勘定に計上されたものが債務になるのか、或いはあれを全部日本に邊つたわけでもないと思いますが、予算通りそれを今度日本に送つた分が債務になるのか、その点はつきりしないのですが、只今のお話ですと、これは当然債務の対象になるものではないということは、今の御答弁で明らかになつたと思うのですが、そういう意味ですね。
○説明員(羽柴忠雄君) そういう意味です。
○木村禧八郎君 これは当然債務の対象になるものではないのだと、なるかどうかわからないけれども、当然なるとは言えないと、その程度なんでしよう。
○説明員(羽柴忠雄君) 最後にこの点をもう一度明らかにしておきたいと思いまするが、見返資金特別会計の性質と申しますものは、これは要するに債務の償還なり、資金を公企業の投資なり、日本の国内で使う財源といたしまして、経済の再建その他を図るための財源でございますので、これは飽くまでその債務の対象たるところのドル価格というものと必ずしも見合つておるというふうに私は考えられないのじやないか、その債務たる……勿論向うがガリオア予算の中で、日本のほうヘガリオア、イロアとしてドル会計で注ぎ込んだ額を、向うはそのうちからそれを債務と考えておるだろうと思いますけれども、飽くまで見返資金の性質上からして、私どものほうは日本の国内で使うものでありまして、それが必ずしも債務になるというふうに断定できないのじやないか、こういうふうに考えております。
○木村禧八郎君 参考のために、今すぐでなくてもいいんですが、この債務の対象となる額は幾らで、それで向うの予算によるものか、或いはこつちへ援助……はつきり受けた実額によるものか、その点わかりましたら何か資料として出して頂けませんか。今後の債務の対象となる額ですね、それは何を指すものか。今でなくてもいいのですが、今わかればなおいいんですけれども……。
○説明員(羽柴忠雄君) 大蔵省のほうで一応作りました概算の資料がございますので、ここに持つておりますので、これを提出いたします。
○木村禧八郎君 最後にこの二十五億円でも相当大きい金額だと思うのですが、今後まだこういうふうに繰入れになることが予想される金額はあるのですか、この軍払下物資に……。
○説明員(羽柴忠雄君) 先ほどお話いたしましたように一九五一年度で対日援助の輸入が終つたわけでございます。若干ずれは二、三カ月あつたのでございます。それと呼応いたしましてこの払下物資の輸入が終つたわけでございますので、将来の繰入れということは予想しておりません。
○木村禧八郎君 この軍払下物資というのは、例えば進駐軍の靴とか被服とか、そういう古物ですか、或いは新しいものもあるかも知れませんが、国内にある或いはトラックとかそういうものですね……。
○説明員(羽柴忠雄君) まあこれは種種雑多でございますが、軍払下物資はSIM物資、それからQM物資と分れておりますものでありますが、SIM物資は大体向うから普通の援助輸入と同じように輸入して参りましたものでございます。主として着物、衣料品だとか医薬品とかキャンデー類とかいつたものがあるわけであります。QM物資のものは車両類その他スクラップ、それから食品も若干ございますが、QM物資は旧第八軍から払下げるわけでございます。まあ強いてその主なものと申しますれば、総合いたしまして衣料、それから食糧、それから靴とか、そういつたような大体身の廻り品、こういうものを軍払下物資というふうに承知をいたしております。
○木村禧八郎君 この点は、只今御説明になつた程度では了承しましたが、これが債務の対象になるかならないかは、それは大きな問題なわけですね。大きな問題なわけなんですよ。二十五億円でも、とにかく公務員の年末手当でも二十億しか出ないですからね。二十五億というものがまけてもらえるということになつたら、これは又相当大きいものだと思うのです。従つてこの点はつきりできたら今じやなくてもいいですが、これは対象になるものか、ならないかは一つはつきりしてもらいたいと思う。今一応対象にならないと思うという程度の御答弁なんです。ですからこれはまあ大蔵当局のほうで今すぐわからなければあとでもいいのですが……。はつきり対象にならないというふうに聞いていいですかな、どうですか。
○政府委員(佐藤一郎君) 御答弁して置きます。先ほど木村さんのお話でございましたが、見返資金特別会計に円として積立てております分と、それから日本が米国に対して債務として考える分と全然無関係である、こういうふうに考えてるわけです。そうしてこの軍の払下物資に見合うところのドルというものが債務になるかどうかというような点は、実は全然まだはつきりわかつておらないわけでありまして、見返資金に積立てろという向うの指示がございまして、見返資金に準じて積立てているというだけであります。今後これが全く同一に観念されるかどうか、これはまだわからないと申上げて置きます。
○木村禧八郎君 この際どうして今まで積立てたものを、援助物資及び特別会計に積立てていたものを見返資金特別会計へ繰入れなければならないことになつたか。それは、その意味でどうしてそういう必要が出て来たのでしようか。見返資金のほうに金が足りなくなつて……足りなくないでしようけれども、もつと多くそれから融資する必要上出て来たのか。それとも何か特別の必要があつて、この際今まで援助物資処理特別会計に積立てて置いたのを、特にこの法律によつて対日援助見返資金特別会計へ繰入れなければならなくなつたか、その理由ですね……。
○政府委員(佐藤一郎君) これは実は卒然として起つた問題ではないのでございます。軍の払下物資に関しましてのスキヤツピンが出ました際に、見通しとしては将来見返資金に積立てられるであろうという表現を用いているのであります。ただ併しながら当時としては見通しでございまして、最終的な決定はなされておらないわけです。従いまして私どももそれを法律の上で繰入れるという規定はこの際には置きませんでしたが、やはり当初のスキヤツピンで予想されておりますように、一応ここに積立てるということに最終的に決定をいたしましたので、こうしたわけでありまして、今日に至つて卒然としてこういう決定を見たというわけではございません。この見返資金に然らばなぜ積立たかということになるのでありますが、先ほども羽柴君から説明がございましたように、この取扱その他においても殆んど当時類似の点をとつてやつた等の経過もございまして、便宜的にこれを入れられたものと考えております。従つて性格的に全く見返資金に入れられておる一般のガリオアと同じかどうか、こういう点についての性格的な性格論は私どもとしては実は最終的にははつきりしないというふうに申上げるよりほかないと思います。
○木村禧八郎君 只今の御説明のようならば別に問題はないわけですよ。ただこれによつて今まで予想された以上にこの二十五億というものが講和條約を機会に余計我々の債務がこの際大きくなるのでは困るのであつて、その点を心配するわけなんですね。この軍払下物資というのはさつきお話のようにQM物資、こういうものとすれば、これは我々はギフトみたいに考えるわけである、贈與みたいに考えるわけだ。それを仮に債務のうちに若しか繰入れられたならば、そういうことが事実であると、私は寛大なる講和と言われておりますけれども、ちつとも寛大でないということになつて来るのですね。この点を心配したのです。この点はさつきの平田さんの御説明でいいのですか。
○政府委員(佐藤一郎君) 繰返して申上げる結果になるわけですが、実はその点ははつきりいたしません。まあはつきりあえてしようとする、こちらからしようとする段階でもないと思いますが、全体今木村さんのおつしやつたような見方もあろうかと思いますが、これはまだ最終的には何も決定しておりませんので、ここではつきりとその点について申上げるところまでは行つておりません。
○木村禧八郎君 これははつきりしないということでありますので、この法案に対する賛否の態度を明らかにする場合の一番まあ重要な点になるわけでもありまして、従つて何とかこれははつきりできないですかね。無理ですかな。
○政府委員(佐藤一郎君) この見返資金に一応積立てますということと、只今御心配になつておる点とが直接関連があるというふうには私は考えておりません。
○木村禧八郎君 それでは結構です。
○小林政夫君 もうこれで今回の繰入れで、あと軍払下物資というものはなとい、木村さんに対する答弁の中にそういうふうな話があつたように思いますが、兵隊はまだおるし、絶体にないですか、これは。
○政府委員(羽柴忠雄君) この軍払下物資といたしまして払下げる物はないわけでございます。まあ今後あるといたしますならば、これは直接向うのドル貨で車を払下げるということはやります。これは援助物資勘定に入りませんので、援助物資勘定に入ります軍払下物資に入るものはこれで終る、こういうことになります。
○委員長(平沼彌太郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は盡きたものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。……別に御発言がなければ討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決を行います。米国対日援助物資等処理特別会計法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方のお挙手をお願いいたします。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(平沼彌太郎君) 多数であります。よつて本案は可決すべきものと決定いたしました。
 なお諸般の手続は、前例によりまして委員長に御一任願いたいと存じます。それから多数意見者の署名をお願いいたします。
  多数意見者署名
    田村 文吉  岡崎 真一
    黒田 英雄  清澤 俊英
    大矢半次郎  伊藤 保平
    愛知 揆一  山本 米治
    小宮山常吉  小林 政夫
    菊田 七平  森 八三一
    松永 義雄  菊川 孝夫
  ―――――――――――――
○委員長(平沼彌太郎君) 次に一般会計の歳出の財源に充てるための資金運用部特別会計からする繰入金に関する法律案について質疑を行います。
○木村禧八郎君 ちよつと一つ、簡單です。銀行局長いないですか。
○政府委員(佐藤一郎君) ちよつと見えておりませんが。
○木村禧八郎君 銀行局のどなたか……。
○政府委員(佐藤一郎君) 運用部のほうでしたら……。
○木村禧八郎君 実はまあ貯蓄債券ですか、あれに関係あるのですがね。この資金運用部で貯蓄債券を取扱うという問題があるわけですけれども、あれはどうなんです。法案として大蔵大臣が出す出すと言つておりますが、それから財政演説でも言つているのです。あれはどうなんです。まだ……。
○説明員(上東野正二君) 貯蓄債券につきましては、これはまだ研究中でございます。
○木村禧八郎君 けれども大蔵大臣財政演説で述べているのですよ。あれを出すということを……。今研究中というのはどういうのですか。この国会には出ないのですか。
○政府委員(佐藤一郎君) ちよつと私、銀行局長がいないとわからないのですが、只今のところまだ法案を現在練つておりまして、最終的にきまつておらないのです。そういう段階ですから……。
○木村禧八郎君 それじや財政演説ではつきり大蔵大臣述べておるのですから……、インフレ対策として出すのだというのでしよう。それで米の統制撤廃もあの財政演説で述べておる。それでまだ練つておるというのはおかしいでしよう。この問題はそれじや別の機会に伺うことにします、銀行局長に直接に……。これは関連ありませんから……。
○委員長(平沼彌太郎君) 他に御質問もないようですから、質疑はこれで盡きたものと認めて御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。……別に御発言がなければ討論は終結したものと認めて御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決を行います。一般会計の歳出の財源に充てるための資金運用部特別会計からする繰入金に関する法律案を原案通り可決することに御賛成のかたは御挙手をお願いいたします。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(平沼彌太郎君) 全会一致であります。よつて本案は可決すべきものと決定いたしました。なお諸般の手続は、前例によりまして委員長に御一任願いたいと存じます。それから多数意見者の署名をお願いいたします。
  多数意見者署名
    松永 義雄  森 八三一
    菊川 孝夫  菊田 七平
    小宮山常吉  山本 米治
    愛知 揆一  大矢半次郎
    清澤 俊英  黒田 英雄
    岡崎 真一  田村 文吉
    小林 政夫  木村禧八郎     伊藤 保平
  ―――――――――――――
○菊川孝夫君 この際丁度主税局長がお見えになつておりますので、法人税の改正、その他の税法関係に関連いたしまして緊急質問と言つちやおかしいのですが、一つ御質問申上げます。それは今当院の内閣委員会において審議されておりまする行政機関職員定員法の一部を改正する法律案についてでございますが、私は何回も局長にも大臣にもお尋ねしたのですが、先ず税法か定められて、その捕捉を完全に行なつて、負担の公平を図らなければならないということは何度もお尋ねしまして、局長も大臣もこの件につきましては私の主張と同様であるというお話でございましたが、つきましては今回の定員法改正に当りましてこの国税庁関係の定員の状態は一体どうなつているか、これは勿論、税務官吏の極く一部の、いわゆる涜職事件を起すような人たちの追及は嚴しくやらなければならんと同時に、善良なる税務官吏の身分は保障して……というのは相当大きな企業家で、いろいろの弁護士も持ち或いは計理士を使つて、そうして合法的に脱税をしようというような人もなきにしもあらずであります。そういう連中と、取組む場合には、或いは暴力と対抗しなければならん場合もありましようし、時と場合によりましてはその連中が権力を利用いたしまして税務官吏を圧迫するようなことがある。そういうような圧迫にも屈せずに敢然として法を守るという意味から、いいましても、善良な税務官吏の保護ということを私は強調したいのであります。つきましては国税庁の職員の定員改正に当りまして、一体現在員との関係はどうなつているかという点について一つお伺いしたいと思います。この税務官庁関係の定員について、それから本省の、あなたの主税局の関係の定員は一体どうなつているか、その点をよくお伺いしたいと思います。
○政府委員(平田敬一郎君) 税務官庁の職員の定員改正の問題でございますが、その点につきましては先般大臣もお話になりましたし、私どもも先般から申上げておりまするように、成るべくこの際調査の徹底を期するという意味からいたしますると、職員はそういう見地からして考えますとこれはもう相当多く要る。多いに越したことはないということに相成るわけでございますが、併し一方におきましては、やはり内閣全体といたしまして、この際行政整理をやりまして国民の負担を一般的に軽減する、こういうことでございますれば、やはりそういう考え方からいたしまして、この税務の職員につきましても辛抱するところは辛抱する。こういうところに行かざるを得ないのではないかと考えたのでございます。従いまして今回におきましては、今手許に正確な数字を持つて来なかつたのでございますが、税務官庁の職員につきましてもたしか一割七、八分でございましたか、その程度の行政整理が行われるということになつているようでございますが、大蔵本省といたしましても大体類似の整理をやることに相成つておるのでございます。税務官庁につきまして一番痛感しておりますことは、数の問題は勿論でございますが、特に有能な税務官吏を育て上げる、どつちかと申しますと仕事をよくする、能率を挙げる、常識のある有能な税務官吏を多数育て上げる、これが一番何と申しましても大事なことであると考えるのでございまして、そういう点につきましては従来とも努力いたしておりますが、今後も大いに努力いたしたい。そうしますれば御指摘のような問題につきましても、今後苦干の整理が行われましても大体支障なくやつて行けるのではないかと、勿論多いのに越したことはないのでございまするが、私どもさつき申しましたような一般の方針に順応いたしまして、やはり国民負担の軽減という趣旨からいたしますると、若干の整理は仕方がなかろう、かように考えております。ただこの詳細な内容につきましては国税庁が直接所管しておりまするので、その政府委員が来ましたときに更に計数なり具体的なことを御説明申上げたほうがよろしかろうと思いますので、今は極く一般的なことをお答えするにとどめたいと思います。
○菊川孝夫君 今局長さんのお話では、一般の整理の行き方には仕方ないということを言つておられますけれども、政府の方針としては、経費の節減ということは勿論大事な問題でありましようが、それに急な余り、必要な部門における人員の補充或いは確保ということを惜んだということは却つて、いわゆる先ほど申しましたような惡い傾向が起きて来る。特に税務官吏のごときは私は熟練者でなければならんと思いますので、長い間養成して、十年、十五年養成した連中をこの際行政整理によつて一割七、八分を首切る。
 その人たちの行く先は大概今までの実績から見てみますると、それぞれの会社或いは工場等の税務顧問というような恰好になる人もあり。税務代理士というような恰好になる。今までの顔を使つて、そうしてむしろ合法的脱税の、一番内部に通じているのですから、合法的脱税と言つては極端かも知れませんけれども、先ずその手助けをやつているという人もなきにしもあらずだと思いますが、特に無理やりにやめさせて、慣れた連中を無理やりに首切つたということになると、やはり時の政府に対して反感を持つことになりますので、この際一番内部の税務行政に詳しい者などはやはり合法的な脱税をやりよいようであります。そういう連中を一割七、八分も追い出すことになりますと、みんなそこへ潜り込んで行つて、常に私が問題にしております捕捉率の低下という面をむしろ促進する結果になるのではないか、ここで一般の給與所得について、これは捕捉率は一〇〇%近い捕捉率をとられているけれども、むしろ捕捉率の惡いほうに拍車をかけるというような結果になることを私は恐れるわけであります。従いまして税務官吏の整理という問題については愼重に当らなければならん、こう考えます。従いまして私はここで本委員会におきまして委員長に一つお取上げ願いたいと思うのでありますがと申しますのは、只今内閣委員会におきましてそれぞれ関係委員会から合同審査を申入れまして、連合審査によつて今政府が出しておられる定員法の改正案につきましてそれぞれ所管の委員会の見地から審査を行なつておるわけであります。従いまして当委員会といたしましても、今この重大な税法関係の大きな法律を通すことになりまして、これの運用の公正を期さなければならんと思います。仮にこれが不日本委員会を通過して、本会議を通過した曉においてはその運用の公平、それから捕捉率の公正を期さなければならんと思います。それがために何と言つても第一線に働く税務官吏の確保、質の向上と共に量も必要量の確保ということが私は必要だろうと思います。従いましてそういう見地から今回の定員法の改正が果して妥当であるかどうかということを、一つ我々も参加いたしまして、内閣委員会に連合審査を申込みまして、そうして審議する必要を認めますので、ここで本委員会の決議を以ちまして内閣委員会に定員法改正に関する連合審査の申入れをされんことの動議を提出いたします。一つ委員長においてお諮り願いたいと思います。
○委員長(平沼彌太郎君) それではお諮りいたします。只今菊川委員より定員法の改正につきまして内閣委員会と連合委員会を聞くという動議が出ましたのでございますが、如何したものでございましようか。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平沼彌太郎君) それでは御賛成のかたの御挙手を……。ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて。続行いたします。只今の菊川委員からの緊急動議につきましては、後刻理事会においてよく研究することにいします。
○大矢半次郎君 主税局長も見えておりますし、税のことが問題になりましたので、関連して私ちよつとお伺いしたいと思います。今度の所得税法の改正におきまして、配当所得が源泉によつて二割課税することになつておりますが、これも課税の適正を期する趣旨だと言つておられます。どうしても従来の通りでやつて課税の適正を期し得られないか、又こういう方法をとる必要があるということを御説明願いたいと思います。
○政府委員(平田敬一郎君) 先般も簡單に申上げたかと思いますが、若干敷衍しまして御説明申上げますが、御承知の通り株式の配当につきましては、現在の税法によりますると、従来源泉で課税しておりましたのを、昨年の改正で源泉課税をやめまして、その半面総合課税をいたします場合におきましては二割五分の配当控除ということを行うことにいたしたのでございます。従いまして私どもこれをやりますことによつて、株式配当の総合課税を相当期待いたしていたわけでございまするが、実際問題といたしまして、最近の実際の状況を見ますと、株式の名義書換えなども十分に行われないので、従いまして申告などの状況を見ましても、あるべき申告がなされていない。それから又会社等の名義になつておるものがあるようでございまして、そういう場合におきまして個人の課税が全然かからないで済むと、こういつたような関係もございますので、この際二割程度は配当を支払う際に少くとも所得税としまして源泉課税をしたらどうかと、こういうので今回提案いたした次第でございます。細かく申上げますと、配当の資料その他につきましては、なお支払調書などもとつておるのでございまするが、手数の関係等もございますので、余り小株主のものにつきましては或る程度やはり資料を徴しますのを節約したほうがいいのじやないかというような点も考え、そうしますと二割程度源泉で課税するということになりますれば、その辺のところもよほどうまく調節できるのじやないかということを併せて考えまして、このような改正案を提案することにいたした次第でございます。
○大矢半次郎君 そこで個人のほうはよろしいとして、法人のほうは、法人のうちには相当配当所得を有するものがあり、これが法人税で控除することになつておりますけれども、法人の所得が少くて控除不足を生ずる場合があると思うのでありますが、何かそれに対する救済策を考えなくてもよろしいのでございましようか。
○政府委員(平田敬一郎君) 法人の場合におきまして、やはり法人税の税額から源泉で押えました所得税額を控除しますことは、銀行預金なり或いは公社債の利子に対する所得税と同様な関係に相成るのでございます。ただ御指摘の通り控除不足になりまして赤になつた場合に、赤の部分を返すかどうかの問題でございますが、これは一応私どもも検討いたして見たわけでございまするけれども、先ほど申しましたように株主の株式の名義書換えが十分行われないで会社の名義になつておるものが相当ある。而もこの調査がなかなか簡單なようで簡單でない。徹底して調査を行えばわかるじやないかという議論もありますが、なかなかそう参らん部面もあるのでありまして従いましてそういうような際におきまして、法人が持つているということによつて赤が出た場合に、返すということになりますと、どうも少しこの負担の適正を期する趣旨から行きまして行過ぎな場合が出て来はしないかと、まあその辺はなおよく検討の余地がございますので、実は今回の法律案には返すということまではいたさなかつたのでございます。なお銀行預金の利子とか公社債の利子等を所有する場合におきまして、法人に赤字が出た場合もこれは従来も返していないのでございますが、まあ差当りそれと同じような扱いをしようというのでございます。ただ一部法人の中にも、保險会社等で投資の目的で持つていると、そういう場合におきまして赤が出た場合に、取り放しで返さないというほうがいいかどうか、まあその点の問題等につきましてはなおこれは来年一月一日以後支払う配当のことでございまするので、この次の税制改正の際に一応なおよく検討して見たいと考えておる次第でございます。
○大矢半次郎君 一般法人につきましてはお話の通りの事情で実行しにくい点があり、又必ずしも実行しなくても大した支障がないと思いますけれども、保險会社につきましては、非常に外部負債が多くて、これを資産に運用している関係上、どうしてもこれは特殊の考慮を払う必要があると思うのでありまして、現に国債、社債等につきましては租税特別措置法の第二條でありますかによりまして、減税の措置も講じられておりますからして、この配当所得の源泉課税についても同様の取扱いをいたすのが適当かと考えますから、来るべき税制改正のときには特にその点御考慮願いたいと思います。
○政府委員(平田敬一郎君) 只今お答えいたしました通りでございますが、ただ保險会社の場合におきましていま一つ問題がありますのは、契約者配当金に対する課税等の関係をどのように考えるか、実はその辺にも若干検討すべき余地があるように考えておりますので、そのような問題をよく検討いたしまして、妥当な結論を出すようにいたしたいと考えております。
○大矢半次郎君 仰せの通り保險会社につきましては契約者配当金の問題があるのでありますけれども、これは今日新らしく起つた問題ではないので、多年の問題であり、又配当所得にのみ関係するものではなくて、貸付その他全般の所得に関係するものでありますからして、これは別の機会に十分検討の上解決されるのが至当ではなかろうかと存じます。終戰後保險会社の現況から考えましても、これが育成強化を図るのは急務と思いますからして、この点を考慮せられまして御善処をお願いしたいと思います。
○小林政夫君 大矢さんが先ほど御質問になつた、個人の場合の配当所得の控除をするということは、提案理由の中にははつきり書いてあるのですが、條文はまだ作つていない。二十七年度中に作れば間に合うのだということで作つていないそうです。そういう泉税制課長からの答弁でありましたが、そういうことであれば、あの提案理由の説明はおかしいので、こうするつもりだというふうなことになつて行かなければならんと思うのです。その点が一点。それから私も今の大矢委員と同様の質問をし、特に法人或いは個人の場合においてもですが、特に法人の場合において欠損法人並びに少額所得法人であつて、配当控除額に所得が足らないものについての取過ぎの分を返す、というような処置は是非やつてもらいたいと思います。
   〔委員長退席、理事大矢半次郎君委員席に着く〕
○田村文吉君 今の問題に関連して、主税局長さん、その問題についてどういう考えを持つておられますか。
○政府委員(平田敬一郎君) 今の所得税の問題につきましては、今度の配当の課税は臨時特例でございまして、一月から三月までの暫定的な処置をいたしておるのでございますが、これをやはりこの次の国会におきましては基本法律に織込む考えでございます。その際におきまして、これは当然の條理といたしまして、この分は個人の所得で総合いたします際には引くべきものであると、これは理の当然のこととして考えておりまして、当然そういう趣旨の改正を考えております。
 保險会社の場合におきましては、先ほど申上げた通りでございまして、法人一般の場合にはどうするか、保險会社の場合にはどうするか、或いは保險会社類似のようなものも他にあるかも知れませんが、法人の場合に赤字が出た場合に返すか返さないか、この問題につきましては先ほど申上げたようにいろいろまだ検討を要する問題が残つておりますので、そういう問題をよく検討いたしまして適正な結論を出すようにいたしたいと存じております。現在も預金の利子或いは公社債の利子等につきましては、法人の場合におきましては返すことまではいたしていないのでございますが、その辺将来どうするかという問題と一緒に妥当な結論を出すようにいたしたいと考えております。
○松永義雄君 今税制改革のお話が出ましたから原則的なことを少しお伺いすることができれば非常に結構だと思います。来年度は相当日本の財政経済に苦しい面が現われて来るかと思うのでありますが、直ちに結論を申上げたいと思いますが、何か根本的に税制改革を行う意思がありますか、研究しておられることがありますかどうか伺いたいと思います。
○政府委員(平田敬一郎君) その点はたしか大臣からも先般どなたかにお答えになつたかと思いますが、今の考え方といたしましては、今回提案いたしておりまする所得税臨時特例を恒久法に織込みまして所得税の改正を行い、法人税につきましては、大体法人税法の改正を今回行いますので、それで所要の財源を賄うことにつきましてはいろいろ問題はございますが、間接税についてどうするか問題でございますが、これは昨年と本年の二度に亘りまして相当廃止いたして参りました。例えば取引高税は一昨年やめましたし、それから織物消費税も昨年の一月一日まででやめたのでございますが、物品税につきましても年々相当の減税をいたして参つたわけでございます。ただ来年度どうするかということになりますと、今までのように間接税につきまして減税ということはなかなかむずかしい情勢に来ておるのではないかと思います。物品税につきましても、いわゆる減税と言えるような改正はちよつと無理であろうかと存じます。まあ若干の合理化のための改正と言いますか、補正と言いますか、そういうことにつきましては目下検討いたしております。前二回に亘つて行いましたような減税を行うことは困難であろうと考えております。砂糖消費税につきましては、統制を大体来年の四月からやめることができるのではないかと見ておるのでございますが、その際におきましては若干の増税を行うということを考えております。それ以上に更に何か考えておるかということでございますれば、そういう点につきましては目下のところまだ特別に取上げて検討いたしておりません。
○松永義雄君 この間鈴木武雄君の公聽会のときのお話によると、何かこう増税でもしなければやり切れんような状態であるというようなお話でありましたが、何と言いますか、サープラスというのか、そういう言葉が当るのかどうか知らんけれども、何かそういつたようなことが鈴木武雄プロフエツサーのお話の中にあつたと思うのですが、そういうことにお考え及んでおるのでしようか。
○政府委員(平田敬一郎君) 私公聽会のあれはよく聞きませんで、詳しいことは存じないのでございますが、何か特別の経費というような、特別に仕分けしまして、その部分の財源に充てる分を何か特別税でやつたらどうかといつたような意見もあるように聞いておるのでありますが、私どもそういう方法はやはり如何であろうか、やはり全体の財政計画を適正にいたしますために租税収入、全体の財源がどうなるかということと、それからそれに対応いたしまして歳出面をどのように配分して行くか、総合して計画して行くというのが、やはり考え方としては妥当ではないかと考えているのでございますが、別段今お話になりましたような点につきまして、これも特別の検討はいたしておりません。
 それで財政の事情といたしましては、大臣も先般からお話になりましたように、私が今申上げましたような程度の改正で来年度としては進むような財政計画をいたしたい、こういうような現段階の状況でございます。
○理事(大矢半次郎君) それでは次に連合国財産補償法案を議題といたしまして質疑を行います。なお申上げて置きますが、外務省から西村條約局長が見えておりますが、他にお急ぎの御用があるそうでありますからして、西村條約局長に対する質問をお願いいたします。
○小林政夫君 この平和條約の第二十二條の特別請求権裁判所の機能はどういうものであるかということを先ず御説明頂きたいと思います。
○政府委員(西村熊雄君) 二十二條に言いまする特別請求権裁判所というものは現在までのところどの連合国との間にも問題にされたことはないのでございまして、今後若しそういうものが設けられるならば、先ずそれに該当する紛争事件はこの裁判所にかけるという途を開いて置くためのものでございます。
○小林政夫君 そうするとこの連合国財産補償法案においてこの第十八條第三項でも言われておる特別の協定がある場合においては前二項の規定を適用しない、即ち補償審査会に審査を請求するというようなこともやらないという、この協定ということは今の特別請求権裁判所へ付託、或いはその他の異議を付託するということを意味するわけですか。
○政府委員(西村熊雄君) 御指摘の第十八條第三項に予定しておりまする協定の問題でございますが、この協定につきましても今日まで数次意見を交換したことはございます。日本政府としてはこの在日連合国財産補償法を制定いたしまして、これを履行いたすことによつて大体請求者の満足を得るという確信があるので、実際この法律の実施の状況を見て、その上で若し紛争が起るようなことがあるならば、その際に最も適当と思う紛争事件の解決の手段を相談いたすことが望ましいという態度で今日まで参つて来ております。わかりやすく申しますと、今年の一月平和條約締結の問題について米国当局と私どもと話をした頃、当初から先方は在日連合国財産の補償について原則的規定を附属書に規定すると同時に、その関連におきまする紛争事件の裁定機関に関する一項を設けたいという考えであつたわけでございます。その点はそういう考えであつて、先方の案がこういう法案にまで変つたこと、それから又平和條約が十五條のような規定が設けられました点につきましては、西田局長から御説明があつたところと思いますので繰返しませんが……。
○小林政夫君 いや、それ言つて下さい。
○政府委員(西村熊雄君) その話の経過を通じて日本政府がとつた立場は、この問題については裁判的機関を設けるような紛争というのは起らないと期待しておるのです。日本政府は連合国との話合いの結果受諾した補償義務は忠実に履行するから、先ず我々の履行の誠意に期待してもらいたい。その上で或る程度紛争が起りましたならば、これはこの法案に規定いたしておりまする審議機関にかけて大体解決できると思うし、それでもなお且つ解決が困難なような事件が残るようになりましたならば、先ずこの際最も妥当な方法を考えようじやありませんか、而もその方法としましても、日本政府としては裁判所みたいなものを設けるということは困難だと思う。何となれば憲法にもございますように日本としては特別裁判所を設けることができない。あらゆる紛争事件は先ず司法裁判所で解決とたいど、こういう考え方に基いておるので、成るべくならば国際條約に基く一種の裁判所を設けることに、万止むを得ない場合はともかくとして、現在のところではそこまで行かないで、むしろ仲裁的な、和解的な機関で予想される紛争事件がまあ起るとするならば、そういう方法で解決したいということで現在まで来ております。大体米国政府のほうでも日本政府の考え方はよく了解してくれておるようでございますが、具体的にどういうことになりますかということは、まあ極力本法を制定しまして、或る期間これを実施して見た上でなければ確たる見通しはつかないと考えております。
   〔理事大矢半次郎君退席、委員長着席〕
○小林政夫君 万一それが実施されて見て、どうしても話合いがつかないということで、この十八條第一項、第二項の方法で解決がつかないという場合に特別協定するという趣旨のようですが、そういう場合に、その協定というものはやはり條約と同じようになるので、やはり国会の批准を要請されることになるわけですか。
○政府委員(西村熊雄君) その点もまだ今後或る時日がたちまして、協定を結ぶ必要があるかないかを見なくてはいけません。必要があるとすればお互いに話をして協定を締結するということになりましようかとも思いますが、その協定も必ずしも裁判所という形式をとらないで、二十二條に言います他の合意された方法という、今申上げましたような和解的な仲裁的な、機関になる可能性もあると、こう思います。いずれにいたしましても協定という形をとりまするならば、言換えて見ますれば国家間の約束、国家間の條約の性質と形式を持つ文書になりまするならば、政府としては当然国会の御承認を受けるべきものであると考えております。
○小林政夫君 これは内田さんにも質問したのですが、ちよつとはつきりしなかつたので、その第十八條の第一項の補償審査会の決定は最終決定になるのかならないのか、若しならないとすれば、それから先の方法はどうなるのか。
○政府委員(西村熊雄君) この第十八條の第一項は無論最終的性質のものは持ち得ないわけでございまして、これに不服な請求権者は先刻申上げましたように日本裁判所に提訴する、政府を、相手にしまして提訴するという途は当然開かれておるわけでございます。
○小林政夫君 これは日本の裁判所できめるのですね。
○政府委員(西村熊雄君) さようでございます。
○小林政夫君 わかりました。
○菊川孝夫君 條約局長にお尋ねしたいのですが、平和條約の十五條の「日本国内閣が千九百五十一年七月十三日に決定した連合国財産補償法案の定める條件よりも不利でない條件で補償される。」という件についてお尋ねしたいのですが、これはつまり法案を作成するときに実質的には條約にある。イタリアの條約にはこういうものは入つておるという話でございますが、私もよくわかりませんが、それは細かく入つておるそうでありますが、従つて形式的にこれは法律案としては出ておりますけれども、実際にはこの平和條約の十五條によりまして、これより有利なほうに改正すればいいんで、向う側に有利のように……。不利のようには全然できんということになつておりますので、従いまして国会の審議は、形式的には法律であるかも知れませんけれども、実質的には法律ではないということを言い得ると思うのでありますが、そういうふうに解釈してよろしうございますか。
○政府委員(西村熊雄君) それは御解釈の仕方でございまして、一般條約論になりますが、條約の内容が既存の法律に関係しておる事項乃至は條約の内容が将来における立法の内容を規定している場合が相当多うございます。そういう場合には政府といたしましては無論その條約を批准することによりまして、條約を当然日本裁判所が適用するということをやつてもよろしうございますが、従前から、明治当初からでございますが、日本政府では必ず條約によつて要請されておりまする国内立法をいたしましてから條約を批准するなり、條約の結果国内法を修正すべき場合には国内法の修正をやりましたあとで條約を批准することにして来ております。そういうふうに條約が国内の法律と関連する場合には、條約に署名いたしまする場合には、そしてそれを批准しようといたします場合には、政府といたしましては無論條約の内容に副う立法義務を国として負うことでございます。これは菊川委員も御承認頂けることだと思うわけでございます。それと同じ関係が十五條とこの七月十三日に閣議決定を見ました補償法案に含まれている條文にあるわけでございますが、若しその当時連合国、合衆国のほうで希望いたしますならば、七月十三日の法案にありました原則をこの條約の十五條の内容として規定するか、乃至條約の附属書としまして規定する結果になると思うのでございますが、両国政府の話合いの結果は、成るべく條約は簡單な文章にしたいということで、七月十三日までに両政府の間で実質的に合意に到達しました内容を日本としては法律として制定するということになつて、まあ十五條のような規定となり、この法案のようなことになつたわけでございますが、でございますから十五條があるが故にこの法案の立法措置が不要であるのではなかろうかという御意見には、明治憲法以来いわゆる立法義務を包含しておりまする條約の批准についてとられて来ております日本の慣行から見まして、ちよつと承服いたしかねるわけでございます。
○菊川孝夫君 私の質問の仕方が惡かつたせいか、ちよつとピントが狂つておるように思われるのでございますが、私の申上げておるのは、いわゆる法案としてですね、まだ法案であるうちにこれを條約の中へ挿入して来る問題……、私は條約の締結、批准に伴つて、條約の調印、批准に伴つて、即ち締結に伴いまして国内的な立法義務というものはこれは当然のことでありますから……併しながらこれでは、法案のままで條約の中へ入れてしまつて、法案を中に入れてしまうということになりますと、国会の審議権の問題に私は関連して来る。従つてこの法案そのものをもう国会においてはいじることができない。少くとも連合国側に不利な状態に全然修正することはできないのでありまして、止むを得ざることで……まさか国会において連合国にこの際補償を有利にしようということを考える者は当然ないのでありますから、これはもう債権債務の人間の常識から考えましても、有利なことを誰も考える者はありません。従つてそういたしますと、国会の審議権から考えまして、明治憲法当時のことを、條約局長は歴史的なお話がございましたけれども、今まででもそういう例がございましたのですか、法案のままで、法案を條約の條文の中に入れて来て、あとでこの法案はそのまま通すというような前例がおありになるのでございますか。
○政府委員(西村熊雄君) 前例は……、今回が初めてでございます。考え方は逆でございまして、法案を條約に取入れたのでなくて、條約案を法案の中に取入れたのが事実なんでございます。ですから菊川委員のような立場をとれば、日米間の話合いの過程におきまして、そうしますと七月の十三日の法案に掲げられた條件が十五條の中に入るか、乃至は條約の附属として入ることになつていたわけです。それを日本政府のほうで先方の希望に応じて、こちらが将来法律をこの趣旨で、話合いの條件に従つて立法をいたしますから……平和條約には法案に言及いたしまして、その法案に定める條件よりも不利でない條件ということになつたわけでございます。考え方はこれは逆でございます。條約案から法案が生れて来た、法案が條約案に入つたのではないのです。
○小林政夫君 それに関連して……。そうするとですね、結局平和條約のほうは今特別委員会で審議しておりますが、この法案を、平和條約の調印を承認するしないという問題は、我々がこの法案を呑む呑まないという場合は、向うで審議されておる点だけが承認されても、結局承認はできなかつたという結果になるわけですね。そして、ですからこの法案を承認する、少くとも平和條約の十五條を承認するということはこの法案を承認することであつて、万一この法案を審議の結果不承認ということであれば、平和條約を承認しないという結果になるわけでありましようから、併行的に、少くとも同時に平和條約の審議終了するまでにこの法案の結論を出さなければならんというふうに考えているわけですか。
○政府委員(西村熊雄君) そういうことがないうことを希望いたします。併し本当の仮定の問題として、仮にこの法律案が成立しなかつたということになればどうなるかと申しますと、平和條約を批准することによつて、日本は十五條(a)項によりまして、七月十三日の閣議決定を見ました法律案の定める條件に従つて補償をする義務は負うことになります。
○菊川孝夫君 そういう場合には、閣議決定でこういう法案を決定後は、一応アメリカとの間の話合いができておるのでありまするから、條約を調印をする前に国会の審議を求める義務が政府にあるのじやないかと私は思うのですが、その点……。
○政府委員(西村熊雄君) そうは考えませんのでして、條約に対しまして、條約の批准につきまして国会の御承認を求めるために十五條の内容をなす七月十三日の法律案、即ちこの法律案でございます。これについても実質的に御承認を得る意味が含まれております。平和條約案を案として第十五條の規定を受諾したときに、平和條約と離れましてこの案件を国会の審議に付する必要はないと考えます。
○菊川孝夫君 その点意見の対立になりますから……わかりました。あなたの解釈はわかりましたが、そこで次に十五條の(a)項の中でもう一点お尋ねしたいのは、「返還が申請されない財産は、日本国政府がその定めるところに従つて処分することができる。」という條項でございますが、この点につきましては、将来これはもうどういうふうに、日本国政府の所得になつてしまうというふうに解釈してよろしいのか。これは一応これについて話合いができているのかどうか、この点について伺いたい。
○政府委員(西村熊雄君) これは「日本国政府がその定めるところに従つて処分することができると。」とありますので、日本の決定如何にかかるわけでございます。十五條全体につきまして、私どもとしてはこの條約案について話をする際に、連合国財産の返還というものはすでに過去六カ年のうちに大半完了しており、政府の還付の指令に基いて、而も残つておる案件もそう多くないので、そうして又平和條約ができ、それが発効するまではなお時日のあることであるから、その残つておる期間にできるだけ返還を促進するように少くともやつて行きたいし、日本政府も努力する。そのことによつて事実上第十五條に掲げられるような問題を完全に解決したいという立場をとつたわけでありますが、その点は合衆国政府も共に諒としてくれまして、十五條の規定、従来この問題の解決が遅れたのは、日本政府の責よりも、むしろ関係連合国人側の請求の出方がむしろ遅かつたその点にあるという事情もよく了解してくれまして、返還請求のための所定の期間内に請求がなかつた場合には、日本の決定するところに従つて処分をしてよろしいという條項も入つたような次第でございます。
○菊川孝夫君 重ねて返還と関連してでありますが、補償についても、返還されない場合には補償ということも関連してお尋ねするわけですが、特に未調印国との場合、インド或いは中国……これはもう中国のどちらとも言わずに中国全般としましても、中国の補償の問題も相当あると思うのですが、中国の補償の問題が、まだ調印が締結されるまでには相当長引くと見なければならんと思いますが、今の情勢から考えまして、そういたしますると、日本で持つておつた財産が、財産権を所有しておつた人が、その後個人である場合には死亡だとか或いは長い年月が経つに従つていろいろ患われることもあるし、喪失するというような事態も相当予想されるわけでありますが、そういたしますると、これよりも有利な條件で、連合国や他の国と今後條約に調印した場合には皆敷衍しなければならんということになつておりますから、これと同じ條件で日本としては折衝しなければならんと思います。そうなつて来ると補償の問題に絡みまして、あとから未調印国その他との調印をした場合におけるところの補償の問題は、非常にだんだんと補償は緩くなつて来るというようなことも考えられるわけでありますが、そういう点を條約局長はどうお考えになりますか。
○政府委員(西村熊雄君) その関係は二十六條にありまして、大体この條約と同一條件又は実質的に同一の條件で二国間の平和條約を結ぶ用意ということになつておりますので、この條約に署名しない連合国、例えばインドとか或いは又中国との間に平和條約ができる場合には、恐らく十五條の趣旨と同趣旨の條項ができることによりまして問題は解決し得ると考えております。
○小林政夫君 先ほどの條約局長の説明で、我々この法案をどうしても通さなくても、要するに十五條の(a)項によつて七月十三日閣議決定の法案によつて賠償の、補償の義務を負う。これはこの法案が通ると通らないとにかかわらず賠償の義務を負うと、これはそうだと思います。併し実際において政府は、この法案が通らなかつた場合においては執行ができない。その補償をしようと思つても、その義務は確かに負うことになつているのだけれども、この法案が通らなかつたら執行ができないのじやないですか。
○政府委員(内田常雄君) 小林さんの御質問に私からお答え申上げます。條約局長の申上げたことは理論的にはそうでありますが、條約局長も先般述べられておりましたように、初めはこの補償に関する細部の手続、執行する十五條の條文乃至は附属書に入る形であつたそれを、切離して日本の国内法という形に持つて来ることにいたしまして、そういう形の下に本年の春以来連合国側と打合せて参りましたかち、従つて理論的には法律が制定されなくても十五條の補償義務は負いますけれども、連合国との交渉の経緯、道義的責任等に鑑みまして、この際條約の承認と同時に、一緒に法律として公布することが望ましいと考えることが第一点であります。
 第二点に、これも條約局長が言われたのでありますが、條約を実施するためにあとから国内法を作る場合に、その実施すべき事項が法律事項である場合には法律を作るわけでありまして、その補償に関する事項はそのこと自体が法律事項でありまして政令等で十五條を受けて規定すべき事柄でないと思いますので、どうしても国内法の、内容から申しましても法律による必要があると思います。殊に憲法七十二條によりますと、政令を政府が制定する場合には、憲法又は憲法に基く法令を施行するために必要があるときに政令が出されるといのことになつておりまして、條約を施行するために直接政令が出せるかどうか、憲法の解釈上も疑問があると思います。その点からいたしましても法律として制定することが法律的にも適当だろうと考えます。それからなお條約が承認されるといたしますと、この十五條に基く只今の措置のこの立法事項は、條約を承認した同じ国会の意思として、憲法に基きまして内閣が今回国会に提案したこの法律案に同一のその国会の意思を以て賛成をされた。條約のほうは、これは内閣が調印して国会の承認を求める。或いは法律のほうは、これは内閣も国会も提案権はありますけれども、立法権は国会のみが持つておられるのでありますから、その点條約とは違いますけれども、国会の意思が働くことは承認であつても或いは立法作用であつても、同一国会の同一意思ということで、そこに分裂があり得ないだろうと考えます。従いまして條約を承認されるからには、この仕組が法律になつておりましても、自由な修正審議ということが実質的には行われないので、條約を承認される、條約の十五條を承認されたその意思の限りにおいては実質的に限定があり、無論形式的にはこれは法律でありますから自由な審議の対象になり得るのだろうと思います。実質的にはそこに限定がある。かように考えるべきだと思います。
○小林政夫君 その通りのことを私は思つて質問したわけなんで、要するにこの法案を呑むという意思がなければ平和條約を承認するというわけには行かないのだろう、こういうことを條約局長に質問したのだけれども、條約局長は必ずしもそうでないと、こういう先ほどの御見解を言われたので、私はそうじやない、要するにこれを呑むということでなければ、平和條約を承認することはできない。そうであればそれはまあその承認とこの法案の成立が遅れるということであつても、それはかまわんでしようけれども、要するに大体この法案は承認するのだ、作るのだという意思を持つてでなければあの條約を承認するわけには行かない。そうなつて来ると大分問題なので、吉田首相が常に寛大な條約と言われるけれども、この法案の内容は非常に苛酷であると我々は思う。その点についてはどうですか、條約局長。
○政府委員(西村熊雄君) 私先刻の答弁が甚だ言葉が足りませんので不十分であつたことをお詫び申上げますが、内田局長の御答弁の通りだと考えます。十五條を実施する意味において、日本国としては、この法案を制定する條約上の義務を負つておる、こう考えておるわけであります。万一さようなことがございませんことを希望いたしますけれども、不成立の場合にはどうかと言われますから、その場合には七月十三日の案を日本としては実施する義務を持つておりますというふうな御答弁を申上げた次第であります。この法案の内容が苛酷である、こういう御思料は甘んじてお受けする次第であります。併しながら、これは内田局長からも御説明になつて下すつておると思いますが、日米両専門家間の話合によりまして、私どもとしては極力日本の負担が軽減されることを希望し、又合衆国政府代表としても、ほかの連合国の非常に甚大な関心を持つておる事項でございますので、必らずしもアメリカ政府の希望通りには行きませんが、最大限度に日本側の要望に副うように努力してくれたことをよく私ども了解することができました。一面非常に苛酷のようでございますけれども、とにかくこの法律によつて補償を受け得るものは、戰争中日本政府が何らか法的措置をとつた財産であるか、乃至は日本政府が戰争中法的措置をとつて、身体の行動の自由を束縛した連合国人の持つていた財産に限定されておる、そういう点に御注意願いたいと思うのであります。この二面から非常にしぼられておるということが一つでございます。それからもう一つはこういう人の持つておる財産乃至はこういう措置を受けた財産に対して生じた損害の原因につきましても、できる限り戰争行為に基くものに原因を限定したということが一つでございます。この二面からしぼりまして、できるだけ日本の負担が少いように配慮せられております。その面からしまして私どもは決して苛酷ではない、こう考えておる次第でございます。ただ苛酷だと比較的に感ずる点は、それはイタリアの場合には三分の二というふうになつておるのが、日本の場合には全額……、三分の二という限定がないという点でございますが、これはまあ内田局長が御説明になつたと思いますが、イタリアの場合は戰争末期における連合国の共同交戰国になつたという特殊の事情がある。日本の場合はそういうことではなくて、徹頭徹尾旧枢軸国という立場にありますので、そこから来る感情の差があつた、こう思う次第でございます。それからなお且つこの賠償債務の実施につきまして、日本の財政に及ぼす影響というものを考えまして、一カ年間、一会計年度百億以内という一つの枠を設けることによつて、日本の全体の健全財政に惡影響を及ぼさないように配慮してくれると同時に、この補償が円によつて行われる、その円貨の海外送金という面につきましても、又日本の貨幣制度の維持という面から極度に日本のために配慮されておるという点などからお考え下されば、必ずしも苛酷とばかりは言えない、アメリカとしてはできる限り日本側の要望に副うよう努力してくれたということは御報告申上げることができると思います。
○小林政夫君 平和條約の中には殆んど経済に関係することは皆條約の條文から外されておる。殆んど今後の、平和條約調印後の、効力発生後というが、調印後の折衝に任されておるというふうな状態であつて、一つ明らかに経済関係が表面に出ておるのはこの法案なんです。それによつて考えると、将来フイリピン或いはその他の国との賠償交渉においてもなかなか我々としては、この法案の趣旨から行くとそう甘くは考えられない。かなり嚴しい要求を受けるものと思わなければならんと思うのです。非常に寛大々々と言われるけれども、まあ非常にきつくやつておいて、その中でできるだけ今の支払方法を一年百億に限るとか或いは外貨の使い方について手心を加えるとかいうような点についての便宜は與えられており、或る程度の斟酌はしてもらつておるけれども、実際問題としてはかなり嚴しいものである。そこで爾余の経済に関係した問題については、昨日の予算委員会において木村さんと総理との間において大分論議がございましたが、経済問題においては甘くはない、相当嚴しいものであるということは言えるのじやないか。今後の、これは意見みたいなことになりますが、今後の折衝においても決して腹を緩められません。相当嚴しいものがあるものと覚悟しなければならんと我々は思うのですが、その点は、如何ですか。
○政府委員(西村熊雄君) 御意見拜承いたしました。事務当局といたしまして御批評頂いたことについては、まあ努力の足らなかつたことを思うのでありまして、慙愧に堪えない次第でございます。決して連合国、殊に合衆国の政府といたしましては、平和條約によつて日本に苛酷な財的負担を課すという意思は毛頭なかつたことをよく存じております。三月の米国案におきましては賠償打切りということになつておりました、併しその合衆国の寛大な考えにどうしても承服しない一、二の国がございました関係上、例えば十四條の賠償條項というようなものが変りましたことについては誠に残念に思います。併し十四條を見ましても、この平和條約の結果日本の経済が崩壊することがないようにという配慮は十分下されておりまして、條約文面において嚴とした枠がそのためにはめられておるのでございますから、サンフランシスコ会議で私ども模様を見ましても、賠償の要請を強くしている国は非常にこの平和條約に対して不満を述べたのであります。更に十四條だけでなしに、我々にとつて一番不愉快でございます中立国財産の引渡しを規定しております十六條についてすらもがなお且つ不足を述べまして、日本政府が自発的にあれ以上のものの救済措置をとることを期待するという進言をした国が数カ国ございます。そういうふうな関係で私どもの目から見れば非常に財的に重い負担が課せられるという事実は決して隠すものではございませんし、そういう意味でサンフランシスコで吉田全権も経済問題に関する部分で御発言をなさつておるわけでありますが、それにもかかわらず、合衆国政府がこの平和條約によつて日本の経済が崩壊することがないようにという配慮は條約の文面にはつきり出ておりますので、政府といたしましてはこの條約で受諾した枠の中で誠意を盡して相手国と交渉することによつて、できるだけ実際的財的の負担を軽減するように努力して行かなければならんと考えております。
○小林政夫君 もう一点伺います。この案の、今の我々が認めざるを得ないという経過から言うと、今度の安全保障條約の実体が行政協定に委ねられる。そうして本会議においてもしばしば言われておつたことでありますが、万一立法措置を伴うべき問題が起つた場合には国会にお願いする。予算措置を伴うことが起つた場合には承認をお願いする。そういうことを言われておりますが、はやり一応行政協定を取結ばれた後においては、この法案と同じように国会においてそれを以て法案として或いは予算案として提出はするけれども、我々の審議によつてそれを変えるというようなことはこの法案と同様に、まあ相手側に不利になるような変え方というか、日本側に有利になるような変え方はできにくいと承知して、いいわけですね。
○政府委員(西村熊雄君) 御質問の趣旨がよくわからないのでございますが、安保條約三條にいう日本における合衆国軍隊の配備の條件を明確にします行政協定について、これができ上つたならばそれについてその結果立法を要するものは法案として国会の議決を経ることになるし、予算措置を伴う場合にはその予算案について国会の御審議を請う、こういうことになるということは従来とも総理がたびたび御説明、御返答なさつておられる通りであります。今御質問の趣旨は、そういう結果仮に法案が出て法案が修正又は否決され、又予算案が修正又は不成立になつた場合には、こういう法案なり予算案なりの根本になつた行政協定それ自体の変更が必要になるのではなかろうかとこういう御趣旨でございましようか。
○小林政夫君 いや、その変更がもうできないのじやないか。要するに事後承諾できめられた、出された通りを我我は呑まざるを得ない、審議してもこの條文の解釈を明らかにするということにはなるけれども、法案の実体的な問題について、結局我々は行政協定できめられた、政府間においてきめられた通り呑まざるを得ない、この法案と同じようにという結果になるのだろうというわけです。
○政府委員(西村熊雄君) それは行政協定につきまして今後話合いをいたしまして、それがどういう内容のものになるかということがはつきりいたしませんと答弁いたしかねるわけでございます。私どもとしては、国民の権利義務に関係するような国民の権利乃至義務を制限乃至剥奪するようなことになる行政協定というようなものは、そういうふうな結果になるような事項というものについては協定すべきではない、できるだけそういうことはないように努力しなければならんという考え方でいるわけでございます。万一協定の結果そういう立法が必要ということになればこれ又なりましようし、又法案が不成立の場合にはこれは随時日米間の協議によりまして、私は行政関係事項は調整できるように思います。私自身としては、そう国民の権利義務に関係の深い事項は入らないのではないか、入らないように努力すべきじやなかろうか、こう考えておる次第でございます。
 それから又予算案の問題につきましても、それも行政協定の結果、日本の負担する費用は幾ら幾らでなくちやならんというようなことにはなるまいと考えておりますので、極めてゆとりのある方式でございますので、国会の議決権と行政協定の執行との間に、政府にとつて困難の事態が生ずるような形になることは極力避くべきであるし、又そういうことはしてはいけない、こう考えておりますので、国会の立法権なり予算審議権なりは十分尊重しまして、国会として何ら行政取極の結末審議権を制限されるというような結果にならないように努力すべきものである。こういうふうな気持でいる次第でございますが、問題は今後の問題でございますので、将来或る程度具体化いたしました場合でございませんと、御質問に自信がある御答弁はできない次第でございます。心持としては、御懸念のことのないように政府としてはすべきものである、こう考えている次第であります。
○小林政夫君 まあこれは平和條約の審議をしているわけじやないので、問題を指摘するにとどめまするが、相当その点は問題だと思います。
○菊川孝夫君 この平和條約の十五條に「所有者が強迫又は詐欺によることなく自由にこれらを処分した場合は、この限りでない。」従いまして返還するものはすべて強迫又は詐欺によつて日本政府がやつたことになるわけでありますが、実際條約局長は、今まで日本政府のとつた措置は強迫又は詐欺であつた、こういうことを一体認めて来たか、この補償と重大な関係があるわけでありますが、国際法を無視してすべて戰時中は日本政府は強迫又は詐欺をやつたということをお認めになつたのでありますか。今は負けたのだから仕方がないと言われるかも知れませんが、これは民族百年の問題なんでありまして、後世に残すわけでありまして、日本民族が太平洋戰争中に強迫又は詐欺を行なつた、そうして今度はそれを補償することになるわけでありますから、この條約とこの法案と関連いたしますると、日本が強迫又は詐欺をやつたということをあなたがたが、あなたがたというと語弊があるかも知れんが、認めて来たことになる。そしてこれを歴史の上に残して行くことになるのでありまして、今は負けたのだから仕方がないと言つてしまえばそれまででありますけれども、而も條約局長はこういう字句を使うことが果して妥当なものであるかどうかということが一つと、もう一つは国際法を無視して脅迫、詐欺をやつたものである故にその補償をするものであると解釈していいかどうか。
○政府委員(西村熊雄君) これはこの法案を御覧になりまするとよくわかりますように、日本政府が補償の義務を負うのは、戰争中日本が公権の発動によつて或る措置をとつた財産乃至公権の発動によつて個人の行動の自由を束縛した連合国人の持つておる財産につきまして法案に規定している損害賠償要因となります戰争行為が行われたときだけでございます。決して御指摘の文句によつて日本が十五條によつて補償する連合国人の財産は強迫又は詐欺によつて連合国人をどうこうしたというものでは決してないのでございます。この條項が入つていないのは、戰争が開始されたときに日本にありました連合国人の財産、その所有者である連合国人が全く自由に日本人乃至第三国人に讓渡した場合には、これは有効でございますから、何ら補償の問題にはならんという意味でございます。決して御指摘のような解釈にはなりません。
○菊川孝夫君 ところが條約の十五條を読んでみますると、「所有者が強迫又は詐欺によることなく」、こう書いてあるわけでありまして、自由に処分した場合はこれだけでいいわけでありまして、そうでなければこの返還するものがすべて強迫、詐欺によつたものであるということははつきり反対解釈が成り立つと思うのでありますが、すべて強迫、詐欺によつてやつたものは返還すると書いて、併し強迫、詐欺によることなく自由に処分したものはこの限りでない、こう書いてあるのでありますから、すべて返還するものは強迫又は詐欺によつたのだということを認めることになる。この強迫、詐欺のあと始末として補償というものが出て来る。ところがこの法案を見ると、強迫、詐欺ということが全然出てない、この辺の問題を一つ……。
○政府委員(西村熊雄君) これは十二月七日から、ここに規定してあります一九四五年九月二日までの間のいずれかの時に日本国内にあつた連合国人財産は前所有者に返すという意味でございます。これらに該当する連合国人財産でありましても、その所有者が強迫又は詐欺によらないで自由に処分したものは、その処分の効果を認める。だから返還する必要はない、こういう意味でございます。仮にこの條項に該当する連合国財産であつて、その所有者が強迫により又は詐欺によつて讓渡している場合には、その讓渡は詐欺又は強迫に基くものでございますので、これは民法の一般原則からいいましても取消し得る原因になりますので、この場合には返還しなくてはならん、こういう趣旨でございます。御懸念のような解釈といいましようかが生れる心配は毛頭ないと、こう思うわけでございます。
○菊川孝夫君 そうすると「強迫又は詐欺」という字句はどういう必要からここに挿入されたのですか、自由にこれを処分した場合だけでいいと思うのですけれども……。
○政府委員(西村熊雄君) 如何にも自由処分という形式をとりながら、実際は戰争中でございますので、敵国人に対する関係上、強迫乃至詐欺は加えられる可能性があるわけでございますので、「強迫又は詐欺によることなく」、これを特に注意的に加えたわけでございます。
○菊川孝夫君 いや、ちよつとそこがわからんのですが、それで日本政府が戰争中にとつた措置は、一応向う側から見ると強迫、詐欺というふうに取つているものであつて、日本国としては実際には強迫、詐欺でなしに、国際法に基いてやつたのかどうかということを條約局長に聞いているわけです。
○政府委員(西村熊雄君) これは政府だけを言つておるのではございませんので、戰争中連合国人が持つておる財産を讓渡する場合に、それが完全な自由意思に基くものであるならば、それはその効力を認める、日本としては返還の義務を負わない、こういう意味でございます。その讓渡が強迫又は詐欺に基く場合、強迫又は詐欺は必ずしも政府とは限らないと思うのです。
○菊川孝夫君 それは強迫、詐欺は政府ばかりでないので、民間でも民間人が大いにやつているのですが、民間人のやつたことを何も條約に入れる必要はないのじやないですか。これは日本の民法なり刑法で処分すればいいので、わざわざ條約に強迫又は詐欺ということを入れる必要はないと思います。
○政府委員(内田常雄君) 成るほど菊川委員の御指摘なされるように強迫、詐欺という言葉は余りいい字ではございません。併しこれはこれらを自由に処分した場合というのを修飾しておるのでありまして、表面的にはその本人が自由に売買したというようなものであつても、それが戰争の圧迫の中において或いは憲兵の強迫に基いてやつた事例がたくさんあるのでありますから、そこで表面的自由だけをいうのではなしに、その自由意思の形成の動機が強迫、詐欺等によるものは返還の義務を日本側に負わせる。尤もこれは返還の場合でありますが、返還につきましても補償につきましても、これを日本の返還に関する法律或いは現在政令がございますが、又補償に関する法律を作ります際には、勿論こういう嫌な文句を載せる必要はございませんから、返還の場合ですと戰争の下において敵産管理法その他公権力の行使として処分されたものとか、或いは詐欺というような言葉を使わないで、現に現在返還するときに使つておりましたロングリー・トランスフアードという言葉を使いまして、何といいますか、不当な処置によつて処分したものは返す、こういうように我が方が返す法令を作ります際には積極原因だけを制限的に返還の政令に基いていたす。そのことは恰も補償政令の場合においてそれぞれ原因を制限的にしているのと同じ形になつております。具体的にもいろいろ例があるようでありまして、その圧迫の影響の下に調印をさしたような例がたくさんあるのでありますから、自由意思を修飾するという意味でこれはなつたのでございます。
○菊川孝夫君 管理局長の説明だと、大体私も納得できるのでありますが、強迫という言葉は日本の憲兵は確かに日本人に対しても相当な強迫を加えたのですから、敵国人に対してはこれは物凄い強迫があつたことは認めるのだが、それを詐欺というような字句を使われて、これは一体原語は私はよくわからぬのですが、原語も詐欺というようにどうしても訳さなければならぬものになつておるか。詐欺というふうに訳さなければならないものなら止むを得んが、もつとほかの方法があるならば、これはこんな永い永久に残さなければならぬ、これは何百年先になつても日本人が、我々の子孫がこれを見るのだが、我々の先租は詐欺をやつたという印象を世界にはつきりと認めたとい、ことを残すということは、これは翻訳として非常にまずいのじやないかと思う。條約局長、その点原語と日本語との関連を説明して下さい。
○政府委員(西村熊雄君) 原語もフロードでございますから、やはり詐欺であります。実は強迫、詐欺というのは、司法上の通念で並列されるものでありますので、連合国のほうでその用字を使つたと思います。フロード、いわゆる詐欺でございます。
○菊川孝夫君 そうすると、やはりこれはそういうようなものを押付けられたものである、止むなく押付けられたものであるというふうに了解していいですか。これは折衝過程まで入つてお聞きしなければならんと思うのですが、ダレス氏との折衝の際に、こういう言句は局長はもつと細心の注意を払うべきだつたと思う。これは将来の文献とも言うべきものだと思う。
○政府委員(内田常雄君) 今のその点については條約局長が発言されましたように司法上の用語でありまして、民法上に詐欺又は強迫というような文句があるのでありますので、司法上の慣用語でこの自由意見というのを修飾したので、新しく発明した言葉ではないようであります。御了承願いたいと思います。
○菊川孝夫君 そういう民法上の解釈を今お聞きしようと思つているのではなくて、我々の言うところは、こういう後世に残すような文献にこんな言葉を使わなくても、ただ実際の効力においては何ら影響しないにもかかわらず、これを認めて来たということは條約局としてのこれは手落ちだと思うが、その点についてどうお考えか。
○政府委員(西村熊雄君) 御批判は甘んじてお受けいたします。
○木内四郎君 私は極めて簡單に伺いたいのですが、さつき小林さんとの質問応答ですが、念のために明らかにしておきたいと思うのですが、この国会におきましては、條約に関する法案が提出された場合に、さつき内田政府委員からもお話があつたように、形式的には飽くまで修正の権限がある。併しこの十五條の場合には、その内容までここに織込んであるのだから、條約で調印する以上は実際には修正の権限がない、こういうふうに言われた、私はその通りだと思うのです。行政協定などについては別に内容を示しているわけでもないので、形式的にも実質的も国会において十分審議し且つ修正する場合には修正する権能があるものと了解するのですが、條約局長の御説明もその通りだと思うのですが、それでようございますか。
○政府委員(内田常雄君) 條約局長が御答弁なさるでしようが、その前に今の木内委員の御発言ですが、私は実質的には修正する権限がないとは申したくないのでありまして、実質的にも形式的にも権限はあるのでありますが、條約は承認さるべきものであり、その條約の中にこの法律を調つて、條約審議の委員会におきましても、御承知の通り私らは説明を盡しているのでありますが、それが承認される以上はその修正に実質上の限界がある、こう私は申上げたいのでございます。決して権限がないとは言わないのであります。
○木内四郎君 行政協定については別に形式的にも実質的にも、国会はこの條約を承認しましても、安保條約を承認しましても制限されるところはないもの、こういうふうに解釈していいですか。
○政府委員(西村熊雄君) 行政協定につきましては、具体的にその内容が或る程度固まりませんと、木内委員の御質問に対して実は私答弁ができない次第でございます。御質問の趣旨がよくわからないのですが。
○木内四郎君 さつき小林委員との質問応答で大体おわかりになつておるのだと思うのですが、国会において審議し、成いは修正すれば、それによつて行政協定が万一実行できないような場合には行政協定のほうを変えなければならぬ、そういうことになるのじやないですか。
○政府委員(西村熊雄君) 行政協定の内容といたしましては御懸念になる点のことは実はないと考えておるわけであります。御懸念になるというのは、まだ話が進んでおりませんので、その内容から、どの程度行政措置を必要とするという点についてまだ見通しを立てておりません。ただ考え方としては、国民の権利や義務を制限するような内容のものであつてはならない、極力そういう考えで私ども行かなければならぬ、こう考えておるわけであります。
 第二点の経費分担について、これは予算面がございますので、予算案として必ず出るであろう、こう考えられるのでございますが、行政協定の経費分担のきめ方も、予算案に出ますような具体的な額というものを行政協定できめるような内容のものにはならないだろうと考えるわけでございます。というのはそういうことをしましては、行政協定の実施面に当つて極めて困難な事態を生じますので、何と申しますか、十分議会の予算審議権と、政府の行政協定実施の義務の面について困難を生じないような方式を考えることが事務当局の責任である。こういうような気持でおりますことを御説明申上げたわけであります。
○木内四郎君 御答弁の趣旨、お考えになつておるところは大体わかるのですが、行政協定に関する法案なり予算が出た場合には、我々がこの條約を承認した場合に、十五條に関連しているような或る種の束縛を受けないで審議できる立場にあるというものと了解したいのですが、その十五條にあるような、内容まで示してある條約を承認した場合とはおのづから違つた立場にあるということだけで私は結構なんです。
○政府委員(西村熊雄君) 私どもも木内委員のような考え方でおるわけでございます。全部今後の問題でございますから、考え方としては木内委員と同じ考え方であります。
○木内四郎君 もう一つこの十一條のことを内田さんに伺いたいのですが、株式補償の條文の意味を私どもにわかりやすく御説明願いたい。
○政府委員(内田常雄君) この株式会社は法人でありますから、その株式会社が連合国人である場合には別に株式の問題を論ずる必要なく、その連合国人たる株式会社の積極財産がこの四條に掲げてある原因によつて損害を受けた限度において物理的、算術的に補償いたします。ところがその株式会社が日本法人であつて、連合国人でない場合に、今度は連合国人たる自然人又は法人がその株式を持つておるというような場合、その持つておる株式は戰争中いわゆる強迫によつて敵産管理として処分されてしまつておりますから、その株式は條約の十五條の前段によりまして返還しなければなりません。ところが返還いたしましても、返還されたものは一つの有価証券でありまして、株式としては返りましても、その株式が代表する会社の資産の中身は戰争によつて損害を受けておるものが多かろうと存じますので、その場合を規定したのが十一條でございます。その場合その株式に係る損害を算出するためには、先ず株式の発行会社を一つの主体と仮に見立てまして、その会社が物理的に受けた損害を計算するのが第十二條に書いてあるのでありますが、その際日本の法人である会社が、戰争の結果受けた損害の全部を計算いたしまして、その損害に対してその会社において、連合国人が持つておる株式の割合で補償をいたすことは、補償の行き過ぎになる場合が、終戰後の会社に関するいろいろな経理措置の関係で出て来ることがおもんばかられるのであります。そこでこの十二條の第一号、第二号というような金額を会社の損害額から差引いて計算する。つまり連合国人である株式の所有者に補償すべき金額をできるだけ小さくするために一号、二号を先ず差引く、つまり連合国人によつて株式を持たれておつた会社が、企業再建整備にかかつて債権者の債権を切捨てた、又連合国人以外の株主の株式も十分の一に切捨てたという場合が通常の場合でありますから、これらは日本人の負担によつて会社の損害を処理しておるのでありますから、従つて日本人の負担によつて処理した会社の損害は連合国人に補償しない、こういう趣旨であります。一号、二号はその通りであります。ところが三号は、非常に説明が困難でありまするが、ともかく我が方に有利な規定として設けたのでありますが、その会社が企業再建整備によつて日本人たる債権者或いは日本人たる株主の出資金を切捨てておるほか、切捨後において又会社が事業がうまく行つて利益が出て来て、会社の内容が漸次充実して来ておる、こういう場合もあり得ると思います。そのような場合に、一方においてこの会社が受けた戰争の損害だけを計算して、それから一号、二号を引かれるにしても、それを連合国人株主プロパーにおいて補償すれば、又どうも行き過ぎのような気がいたしますために、何らか事をかまえて更に差引く分を附けよう、その場合に一体会社が終戰後正当な活動によつてどれだけ儲けたかという計算は非常にしにくいものでございますから、そこで会社が開戰時に持つていなかつた財産でその後取得した、その後その財産の働きによつて財産を殖やした分があれば、嫌な言葉を申上げるようでありますが、仮にそれがインフレ利益による会社の益であつたとしても、そういうものは差引いてしまつて、連合国人株主に対する補償はできるだけ小さい形で我慢をしてもらいたい、こういう趣旨で第三号を置いたのであります。これらの点はかなり連合国の間にも問題を起したのでありますが、結局主たる相手側でありましたアメリカの代表のほうで辛うじて呑んで頂きまして、このようなことになりました。このような規定はイタリア等ではございません。イタリア等ではこのために非常に苦しんでおるようでありますが、そのために補償の実行もできないでおるということでありますが、我が方はこういう三号のようなものを入れておけば、或る程度自然の形で補償の実施もできるであろう、こういうことでございます。
○菊川孝夫君 議事進行について、実は私質問の発言を許されましてやつておつて、関連だというので私も遠慮しておつたわけでありますが、委員会の議事の運営の円満を期するために……、ところが私のほうでは遠慮して引つ込んでおるやつを、次へ、ほかの管財局長の……條約局長に質問しておつて、関連だとおつしやるので私は遠慮しておつたのでありますが、そういうふうにどんどんと質問中に他方へ入つて来るというのは、委員長において一つ議事の運び方を御勘案願いたいと思います。私に許されておつたのだけれども、関連だと言われるから、関連と言われる以上はお互いだと思つて何しておつたのですが、次々どんどん入つて来られてしまうのでは、議事の運び方を御考慮願いたいと思いますので、委員長に御注意を申上げます。今後そういうふうにやつて行くのであつたら、これは却つてやりにくくて仕方がないと思うのでありまして、この点は一つ委員長から御注意願いたいと思います。
 次に條約局長に一つお尋ねいたしたいのでありますが、十五條の(c)項の(i)で「文学的及び美術的著作権がその日以後」云々、これは「権利を承認する。」ということになつておるのでありますが、これはいわゆるその受けておつた損害を補償するということには全然関連がないのでございますかどうか、この点について一つ。私どうも補償法を研究して見ましたところ、この「文学的及び美術的著作権」の権利につきましての補償の條項はないように記憶しておりますが、これはどうですか。
○政府委員(西村熊雄君) 著作権につきましては日本政府は戰争によりまして既存の著作権保護條約、言い換えますとベルヌ條約も日米著作権條約も何らその効力に対して影響を受けなかつた、有効に存続するという立場で、文部省がずつと所管省でございますが、取扱つて来た関係でございます。それでございますから、実際問題といたしまして著作権に関する限り日本におきましては連合国の著作権の侵害に対する補償という問題は事実上起つておりませんのでございます。條約の文面からいたしましても、補償條項は入らないことになつた次第であります。
○菊川孝夫君 次に先ほど私が連合国財産補償法案とそれから條約との関係についてお尋ねしたときに、最後に西村條約局長は、小林君の質問に対してお答えになつたときに、いわゆる安全保障條約の行政協定についての御答弁でございますが、局長の御答弁のような工合に行くと我々としても一応納得ができると思いますが、ちよつと併しあなたのは甘いように思いますので、具体的に一つ私は例を挙げて、こういう場合はどうだというように御質問申上げて見たいと思います。と申しますのは、今後朝鮮の動乱の動き如何によりましては、日本に空襲警報或いは警戒警報といつたようなものも一応予想されるわけであります。又防空演習なども駐留軍の責任においてやられるかも知れんと思います。その場合にこれに違反したような場合、いわゆる燈火管制をやるにもかかわらず、うつかり燈をつけてしまつたような場合に、日本国民がそれによつて何らかの制裁を受けなければならんというような法律を設けなければならんかも知れんということは、全然そういうことはないということになれば、何も命令に違反した者もそのままであるということであれば結構でありますが、何らかの制裁規定を設けなくちやならん。仮に行政協定においてそういう違反をした者については一年以下の懲役に処すというようなことで行政協定を結んでしまつた。ところが国会においては一年の懲役なんというのは長過ぎる。科料くらいで結構だというふうに修正をしたというような場合が起きたと仮定しました場合に、それでもあなたは條約局長として、それは協定をもう一遍やり直して、それじや一千円の科料というくらいに直してもらうように協定をやり直すということはできるかどうか、こういうことを一つ。これは細かい問題ですが、これはほかにも立入権の問題その他いろいろあると思いますが、まあそういう場合にはどうだということをお尋ねしたいと思います。
○政府委員(西村熊雄君) 非常に具体的な例をとられましたので、答弁しにくいのでございますが、私どもとしては御指摘のような場合は、行政協定の内容をなすべきものではないという考え方でございます。第三條に明確に言つております通り、行政協定は「アメリカ合衆国の軍隊の日本国内及びその附近における配備を規律する條件は、両政府間の行政協定で決定」されるものであるという固い信念を持つておるわけでございます。でございますので、この引用になりました例は、占領管理下における占領軍の権限がまあ頭にあるものでございますから、そういう事態もお考えになるかと、こう思うのでございますが、私どもの考え方としては、平和條約が発効すると同時に占領軍というものはとにかく全く存在をしなくなるものでございます。占領軍といたしましては、戰争法規上被占領国及び被占領国民に対して、非常に広い権限を及ぼすわけでございます。併しそういう性格は平和條約発効と同時に、完全に消滅すべきものであると存じておりますし、アメリカも又その点はよくわかつておりまして、ダレス氏のごときは、平和條約発効後において日本に残る合衆国軍隊は日本政府が同意する地位を持つものであると、こう言つておるようでございます。で御指摘のようなことを仮に合衆国政府が考えたとしましても、日本政府はそういう考え方には同意を與うべきではない、こういう考え方でございます。
○菊川孝夫君 そうしますと、私が申上げましたようなことは單なる杞憂であつて、日本政府としてはそんなのには応じないという方針であるということを、あなたは政府の責任において明言されるわけですな。そういうことを言われて……。
○政府委員(西村熊雄君) いや、私はまあ一條約局長でございますので、決して政府の責任において、政府に代つて答弁することはできませんが、考え方としては一條約局長として申上げますが一條約に基いて一国の軍隊が他国にある場合には、それは国際法上大体どの程度のまあ特権を享有するかということにつきましては、どの国際法にも書いてございます。書いてございますが、それによつてわかりますように、決して駐屯国の国民に対して條約によつて、軍隊が直接こういう権力を及ぼすということは、国際法上当然には予想されていないわけでございます。ですから国際法上当然予想されている程度の特権というものは、これは国際法の原則でございますから、政府として、日本側としても認めるべきものであると確答できると思います。それ以上に亘りましては、要するところは両国政府の合意ということになると思うわけでございます。でその合意という問題になりますが、それに当つての私どもの考え方としましては、占領軍と條約に基いておる軍隊とは本質的に全然違う。それから一般国際法上通例享有しておる程度以上の特権というものは、日本側としては與えることは避くべきである、こういう考えでございますということを、これは一條約局長として申上げておるのでございまして、政府として申上げるということは、私はそういうおこがましいことはできないということを御了解願いたいと思います。
○菊川孝夫君 成るほどわかりましたが、そこでアメリカ軍が日本に駐留するということは、これは單にあなたの考えで、今御説明になつたようなために駐留するというより、更に進んで、いわゆる非常事態の、日本が外部からの侵略を受けることを守るのだという趣旨でありまするから、仮に侵略の危險が追つたという場合には、非常事態ということも、予想されるわけであります。そうなつて来ますると、日本政府に対して直接これは司令官から命令しないし、駐留軍司令官は国民には直接何ら権利はないかも知れないが、日本政府に対して、日本政府の法律にいわゆるこういうふうに国民を守らせなければならんということを行政協定で結ばれなければならないという事態が私は予想されると思うわけでありますが、そうなつた場合のことを私は今申上げたのであります。
 次に関連してお尋ねしたいのは、例えばエジプトの今の問題になつておるスエズ運河地帶におけるイギリスの駐留、これとよく似たような状態に置かれるのじやないか、総理大臣はアメリカ軍がフランスにおる或いはイギリスにおるという状態と同じだと言うのですが、ちよつと私は性格を異にして、むしろイギリス軍がスエズ運河地帶におけるような状態が、日本の置かれておる悲むべき状態であるが今の立場ではないかと思いますが、その国際法と申しますか慣例等に関連いたしまして、その辺のイギリス駐屯軍のエジプト国民に対する臨み方ということから関連しまして、私が今申上げましたような事態がありませんかどうか、この点お尋ねしたい。日本がまさか満洲に行つて関東軍が満洲国に対して臨んだような態度をアメリカやイギリスがとるものとは私も考えたくないし、又そういうことがあつては困ると思いますけれども、併しイギリスがエジプトに臨むような態度ぐらいは覚悟しなければならんと思うのでありますが、その点はどうですか。
○政府委員(西村熊雄君) エジプトにつきましては、エジプト独特の歴史から来ておる面が非常に多いと思うわけでございます。安全保障條約に基いて日本にいる米国軍につきましては、大体前々御説明申上げておりますように、北大西洋條約に基いて合衆国軍隊が西欧諸国にいるものとほぼ同性質のものと考えております。全く対等の立場に立ちまして、日本地区の安全と平和について国際連合の措置乃至は一般的安全保障によりまして、確たる安全保障ができたと認められるまで暫定的にアメリカ軍に日本にいてもらうという考え方でございますので、エジプトにおけるように永年の宗主権国家がイギリスの占領、戰時占領に入り、それが後に自然とエジプトの国際的地位が向上するにつれて漸次独立の段階に進む、そうして最後の段階、まあ英埃同盟條約によつて英軍の運河地帶に駐屯という現象、これをまあ解消したいというエジプト人の動きでございますが、それと全く歴史と環境と性質を異にするものと、こう考えておるわけでございます。
○松永義雄君 ちよつと條約局長にお尋ねいたします。聞くところによりますとアメリカ、フイリピン間、及びアメリカ、英国間の基地協定の中に、その基地内に置かれたフイリピン人又は英国人の例えば犯罪者といつたような場合、同時に犯罪による被害者がアメリカ人であるようなときに、その被告人と言うか、その者の裁判がアメリカ側によつて行われる場合があるという規定が存在しているというんですが、そういう点はあるでしようか、ないでしようか。
○政府委員(西村熊雄君) 両條約が今手許にございませんのではつきりした御答弁はいたしかねます。
○松永義雄君 もう一遍質問を繰返して……その資料の出るのを待つて……。
○政府委員(西村熊雄君) 資料は印刷物がございますからお手許にいつでもお届けいたします。併し御説明申上げたい点がありますが、それは日米間におきましては基地ということは未だ曾つて一度も問題になつたことはございません。米国としても未だ曾つて基地を設定したいということは言われたこともないし、日本としてもこれを供與するということは一度も考えたことはないのでございます。でございますから米英とか米比の基地協定ということは余り御参考にならないと私は考えておるわけでございます。地区と申しましても一定の地区を限りまして九十九カ年なら九十九カ年間限りまして、その地区に関する管轄権を相手国に與えることでございます。ですからそういう場合には御指摘のような権限をその地区内におきましては、いわゆる基地の供與を受けた国が行使し得る場合もあるように考え得るのでございます。日米間におきましては未だ曾つてそういう基地を設けようという考えは日米相互から微塵も、一回も問題になつたことはないということを御了解願いたいと思います。そういうことがあつてはならないと私どもは考えておるわけでございます。
○松永義雄君 そこから先は議論になろうと思いますが、日米間の関係と、それから米英間の関係との濃淡の点でありますが、仮にアメリカ軍が日本に駐屯するということになるということは、米英間の関係よりは日本の立場が弱い立場だということを想像されるとすれば、何かそういつたような問題を生ずるようなことはないのであるかという点であります。
○政府委員(西村熊雄君) そういう御懸念は毛頭ないということをはつきり申上げたいと思います。又そういうことはあつてはならないというのが私どもの考えであり、アメリカの政府に対する立場であるということを御信頼願いたいと思います。
 委員長にお願いいたしたいと思いますが、御質問のことがいろいろ一般條項に入りましたですが、私御勘弁願えないでございましようか。
○森八三一君 條約局長に一点だけお伺いいたしますが、先刻の小林委員との質疑応答によりまして、條約局長のお気持は十分わかりましたが、今後結ばれるであろういろいろの協定につきましては、国民の権利義務に関するような問題には触れないというように十分に努力をし、そうあるべきであるということについては十分理解できますが、同時に又国会の予算なり法律の審議に関する権限には何らの掣肘が加わつて来るようなことはあり得ないというようなふうにお話になりました。一応理解はできるのでありまするが、そういうように考えて行きますると、この提案されておりまする補償法の中の百億というものについて国会の審議権が自由に発動をしてよろしいというように理解していいのかどうか。今後結ばれるであろう協定についても同様の問題が起きるのではないかと心配する関係からお伺いいたしまするのであります。
○政府委員(内田常雄君) その点私はこれは趣旨論になりますけれども、百億を超えない範囲で一会計年度で補償するということは、むしろ日本側の利益のために、他の賠償債務その他との関連において、一時に非常に大きな財政支出を来たすことを避けるために、相手側の了解を得て一応苦心の下に入れた條項であることを御説明申上げたいのであります。法律論になりまするが、この十九條の書き方が、百億を超過するときはその超過額を翌年度に繰延ばすと書いてあるのでありますから、日本の国会といたしましては、仮に内閣が百億超過の予算を組んだといたしましても、国会としては勿論百億で補正予算を切ることは可能だろうと思います。他面この法律が国会の御賛成を得て成立いたしました以上は、百億になるまで提出された予算を国会が削減されるということは不可能ではないかと考えます。
○森八三一君 私のお伺いしておるのはいろいろの協定等は国会の審議権を拘束するものではないというようなお話、御答弁を聞きまして御質問をいたしておるのであります。そうだといたしますれば、この百億というものが殖えることは国民の利益のためじやない。こう政府はお考えになつておるわけでありますが、国全体の財政の関係を睨んだ場合には、もつと国民のために急を要する支出がある場合には、これを五十億に減らして他の国民的要求に副うというふうに一定の限度のある財政を運用して行くということが必要であるというように私どもには考えられる。そういう場合にこの百億というものを修正することも、或る面では国民の負担が殖えることになりますけれども、他の面ではより以上に国民の利益が増進されるということが考えられれば当然であるということになるのでありますが、そういうことが可能であるかどうか。先刻来のお話によりますと、すでに七月十三日の協定によつて一応限度がきめられておるので、それを修正するということは困るというお話のように承わるのでありまするが、若しそうだといたしますれば、従つて抽象的、総括的におつしやいます国会の審議権というものには何らの拘束を加えないということと矛盾をして来るのではないか。そこで将来結ばれるであろう諸般の協定において同様のことが出て参りますといたしますれば、今後そういうことによつて大蔵委員会にいろいろの法律案が出て参りましても、我々は形式的に審議はいたしまするけれども、実質的には何らの審議権を持たないという結果になりはせんかと、こう考えますので、お伺いいたしたのであります。
○政府委員(西村熊雄君) 補償の支払いの方法といたしまして、一カ年間百億を限度としてよろしいというのは、連合国の日本に対する非常な好意的配慮から来た一つの條件でございますが、これは七月十三日の補償法案にもすでに織込まれておることでございますので、この法律の御審議を願うに当りましては、何と言いましても事実的結果は国会において是非御承認を願いたいということになるわけでございます。御審議の点は成るほど御自由でございますけれども、別にこれを五十億と改めましても、條約の関係におきましては、十五條で七月十三日の閣議決定の法案の定める條件よりも不利でない條件ということを受諾いたしておりますので、政府といたしましては百億までは毎会計年度払わないと條約の義務を履行できないという結果に陷るわけでございます。この限度におきましては御指摘の通り国会の審議権は自由だと申しましても、実体的に制限を受けざるを得ない結果になる、これはお説の通りでございます。それでございますので、御質問の第二点でございますが、行政協定の関係におきましてもそういうふうな結果にならないようにすべきであるという御意見と思います。が、この点は私どもとしても誠に御尤もだと思つている次第でございまして、今後の問題ではございますが、その面については十二分の注意を払いまして、御懸念のようなことがないように努力して行きたいと、又努力することが事務局の責任であると考えております。
○森八三一君 只今の局長のお話、よく理解いたしましたが、そこでこれは希望になると思いますが、そういうような誠意を持つて御努力を願うといたしましても、相手方のあることでありますので、ときにお話のような誠意が貫徹し得ないということもあり得るかと想像するのであります。さような場合にはあらかじめ協定の結論を結ばれる前に、或いは常任委員会等の制度もあるわけでありまするので、事前にお諮りになるというようなお気持がございますかどうか、云ういうことは事実問題として不可能であるといたしますると、結局やはりそれは事後承認で押し付けられて呑まざるを得ないという結論になつてしまう懸念がある、こう思うのでございます。その辺は局長にお伺いするのはちよつと無理かと思いますが、如何でございましよう。
○政府委員(西村熊雄君) 御意見は誠に御尤もだと存じます。ただ一條約局長でございますので、正面から政府に代つて御答弁できない立場にあることを御了承願いたいと思います。お懸念のことはよく考えたいと思います。
○委員長(平沼彌太郎君) ちよつとお諮りいたしますが、大分時間も経過したようでございますが、委員会は本日はこの程度で打切ることにして如何でしようか。
   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(平沼彌太郎君) じや御異議ないようでございますから、本日の委員会はこれで散会いたします。
   午後五時三十四分散会