第012回国会 通商産業委員会 第18号
昭和二十六年十一月二十八日(木曜
日)
   午前十一時三十五分開会
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 出席者は左の通り。
   委員長     竹中 七郎君
   理事
           古池 信三君
           廣瀬與兵衞君
           結城 安次君
   委員
           松本  昇君
           山川 良一君
           片岡 文重君
           佐多 忠隆君
           島   清君
           境野 清雄君
           油井賢太郎君
  衆議院議員
           中村 幸八君
           中村 純一君
  国務大臣
   大 蔵 大 臣 池田 勇人君
  政府委員
   大蔵省銀行局長 河野 通一君
   通商産業政務次
   官       首藤 新八君
   中小企業庁長官 小笠 公韶君
  説明員
   通商産業省通商
   企業局長    石原 武夫君
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  本日の会議に付した事件
○企業合理化促進法案(衆議院送付)
○商工組合中央金庫法の一部を改正す
 る法律案(衆議院提出)
○通商及び産業一般に関する調査の件
 (中小企業金融問題に関する件)
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○理事(廣瀬與兵衞君) これより通産委員会を開きます。
 先ず企業合理化促進法案につきまして、衆議院議員中村純一君より提案理由の御説明をお願いいたします。
○衆議院議員(中村純一君) 講和条約の成立によりまして、我が国は近く完全に独立することとなるわけでありますが、これに伴い、我が国の経済も又完全に自立しなければならないのであります。從いまして我が国の産業を振興し、輸出を増大させることは刻下の急務でありますが、そのためには企業の急速な合理化を促進することによりまして、優良な商品の廉価な生産を図り、我が国の産業が国際的競争に打ち勝つようにすることが最も必要であると存ずるのであります。
 我が国の企業は戰時中及び戰後の空白期間を通じて、その技術、機械設備、原材料、動力等の諸点において著しく国際的水準に立遅れな來たしておりますので、この際、これらの諸点につきまして、それぞれ合理化促進に必要な事項について立法化することといたしまして、本法律案を提出いたします次第であります。
 本法律案は、右の趣旨に鑑みまして、大要左のような措置を内容といたしております。一、技術の向上を促進するため、一定の試験研究を行う者に対して、(1)補助金を交付し、(2)政府所有の施設を貸與し、(3)試験研究用機械設備等の特別短期償却(三年間の均等償却)を認め、(4)右の機械設備等の固定資産税の減免を図ること。二、機械設備等の近代化を促進するため、(1)一定の近代的機械設備等の特別短期償却(初年度五〇%の償却)を認め、(2)右の機械設備等の固定資産税の減免を図ること。三、道路・港湾等企業の合理化に資する施設の整備を図ること。四、原材料又は動力の節約を目的として原單位の改善を図ること。五、中小企業の経営を改善するため、必要な診断、勧告等を行うこと。
 本法案の趣旨及び内容はおおむね以上の通りでありますので、何とぞ慎重に御審議の上、成るべく速かに御協賛下さるようお願いいたします。
○油井賢太郎君 只今提案者のお話を承わつたのですが、これだけでは非常に莫然として甚だ抽象的なんですね。もつと各項目について具体的な数字とか、或いは方策というようなものについての御説明を承わりたいと思いますが。
○理事(廣瀬與兵衞君) 如何でしよう、質疑は午後に譲りまして、午後一時から開きたいと思いますが。
○油井賢太郎君 午後一時で結構ですから、只今私か言つたように、この各項目に亘つた具体的の資料をそのとき我々のほうに配付なり、或いは御説明なり願いたいと思います。
○松本昇君 それは一時で結構でありまするが、そのときに、今出てはありませんが、海外からの原材料の輸入あたりについては、現在の企業の合理化をして行く上においてもかなりむずかしい状態にあるのですが、そういう、輸入面についてのこともそのときに一つ御答弁を願えるようにお願いしたいと思います。資金関係、その他について……。
○理事(廣瀬與兵衞君) ちよつと速記をとめて……。
   〔速記中止〕
○理事(廣瀬與兵衞君) 速記を始めて……。質疑は午後に譲りまして、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十六分休憩
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   午後三時五十分開会
○委員長(竹中七郎君) 只今より委員会を開きます。
 商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案並びに企業合理化促進法案を議題といたします。只今大蔵大臣が参られましたから、先ず大蔵大臣に対する質問をお願いします。
○境野清雄君 先般來商工中金の改正法案が本委員会に廻つて参つたのでありますけれども、その資金源の問題その他について一応大蔵大臣の明快な御答弁を頂いて、この法案の審議を促進しようという意味から、先般來大蔵大臣の御出席を希望しておつたのですが、たまたま昨日は他の事情で來られなかつた。今日お見えになりましたので、時間も何か制限があるとかいうような話でありますから、私のほうからは極く要点だけを質問したいと願うのであります。大体本年末は一般的に金融の引締りが甚だしいと思われることは、これはもう一般各業界ともそういうように考えておるのでありまして、特に中小企業部面に苛烈であるというようなことは予想されておりますので、中小企業のために非常な我々としては憂慮に堪えないところなんでありますが、これに対して政府はどんな対策を講ずるおつもりであるかどうか、その方針と具体策を先ず大蔵大臣から明示せられたいと思うのであります。
○国務大臣(池田勇人君) 中小企業金融の問題につきましては、常々から特に注意をいたしておるのであります。今年におきましても、そのときどきの状況によりまして、できるだけの手を盡したいと考えております。今年は特に例年とは違つた様相を呈するのではないかといる問題は、第一には物価騰貴の影響を受けておること、第二には相当生産が殖えていること、第三には輸出、輸入関係、殊に輸入のストツク等かありまする関係上、一般的に引締まりの傾向がある、又日銀のほうでもできるだけ資金の効率を上げるということから、不用不急の方面には出さないという方針をとつております関係上、いろいろな御心配があることと思うのでありまするが、中小企業と言わず、大企業と言わず、私は今年末をできるだけスムーズに越えるようにあらゆる手を打つ考えでおるのであります。只今一、二と申しますか、二、三と申しますか、私の耳に入つたところでは、かなり貿易商社で困つておる様子を聞いておるのでありまするが、こういうものも相当に片付けまして、年末を控えてのどさくさを成るべく少くしようといたしております。中小企業の金融について特にどうするかという問題は、補正予算が通過いたしますれば、中小企業方面に出る金も或る程度予想されるのであります。即ち農林漁業金融を使うとか、或いは国民金融公庫の出資をやるとか、今までは相当引揚超過になつておりまするから、私は日銀の操作も相当やらすつもりでおるのであります。商工中金に特に今どうするということは考えておりません。確定的の要求もまだ來ていないのであります。大ざつぱに二十五億とか、三十億とかいう声は聞いておりまするが、御承知のように商工中金は最近二年間に非常な発展でございまして、他の金融機関に見られないほど業務の拡張をして來ておるのであります。そこで今後ともこの今日の拡充のことは続けて行かなければならんと思いまするが、やはり商工中金は商工中金自体で自分の金融を考えるという方向に持つて行かなければ、政府からの預金で泳ぐということはこれは末のことで本義ではありません。今回の商工中金の改正も、商工中金の機構の拡充、資金源の獲得、こういう意味から御審議を御願いしておるような状況であります。
○境野清雄君 只今のお話によりますると、商工中金は商工中金自体によつてその金の操作をしたらいいだろうというようなお話がありましたが、そういうことになりますと、從來唱えられている、又一般の中小企業者からも要望されておりました政府出資金の十億というようなものについては、大体大蔵大臣はお考えになつておらん、こういうふうな意味に解釈してよろしうございますか。
○国務大臣(池田勇人君) 政府出資金の十億というのは聞いておりません。これは御審議願つておりまするように、一般会計から出すか、或いは見返りから出すか、或いは運用部資金の運用、こういう大体三段構えになつておりますが、私は今までこの一般会計、見返り或いは資金運用部資金ということにつきましては計画はいたしておりません。ただ商工中金の特殊の事情に鑑みまして、相互銀行或いは信用金庫等と一緒に政府の預託金を引揚げるべきものを、商工中金については特に引揚げないこととすると同時に、災害その他の関係で二億三千万円か、四千万円か、特に出す、こういうことであるのであります。從いまして他の金融機関、市中銀行とは違つて、引揚ぐべきものを引揚げなかつたという十三億円は、それだけ潤うことに相成ります。
○境野清雄君 大蔵大臣は一昨日の参議院の本会議で、島君の緊急質問に対しまして、年末金融対策は中小企業と言わず、全体的な観点から対策を講じたいというように答えられているのでありますが、この全体的な対象とは、どういう方法と具体的な内容を以てするのか、その点を御説明願いたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) いろいろな手がございます。予算上或いは政府資金の運用として御審議願つた点以外におきまして、日本銀行或いは市中銀行の貸出操作もあります。又中金その他のところから、これは主として原始産業関係でございますが、原始産業を出しましても、それが中小企業に役立つこともあり得るのでございます。それから見返資金の大企業への出し方、造船資金の造船所への出し方によつても、中小企業で、潤うことになるのであります。金融というものは中小企業だけに限らず、金を大企業に出したものは中小企業に関係がないのだ、こういうふうには考えられん問題でありますから、私は年末金融を円滑に過して行くということにつきましては、あらゆる手を考えておるのであります。
○境野清雄君 そうすると、只今お話になりましたような全体的な対象によりまして、中小企業の刻下の資金難が相当緩和されるというようなお考えでありますか。
○国務大臣(池田勇人君) 緩和するというのでなしに、私は窮窟でやりきれんということのないようにしよう、こういう考えでございます。得てして通貨といるものは殖えやすい、又金さえあれば何でもできるというので、見越をやつたり或いは不当に業務拡張をやるということは、今の日本の状態としてはできませんので、できるだけ重要な仕事につきましては思いきつて出しますけれども、さして重要でないというところの分は成るべく遠慮て行く、こういう考えで窮窟な点をほどいて行こうというのであります。
○境野清雄君 同じ島君の質問に対しまして、商工中金に対して特別の資金を考えたいというような意味のことを言つたように私は聞いたのでありますが、この特別の資金の性質とか、金額、及びいつ頃これを実現するおつもりであるのか、そういう点に関して御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 要すれば考えるというので、先ほど申上げましたように具体的に案もできておりませんので、具体的にどういう案を考えているということは今申上げる段階に至つておりません。
○境野清雄君 先ほど私が一度ちよつと質問したのでありますけれども、大蔵大臣は御存じないというようなお話でありましたが、改めて商工中金に対しまして政府出資を行いまして、中小企業金融の中核的な機関とするというお考えがありますかどうか、それをお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 商工中金に政府出資をするという考えは前からも持つておりませんし、今も持つておりません。
○境野清雄君 商工中金法を今度改正するのでありますが、その取引範囲を拡大することとなつておるのでありますけれども、商工中金に対して資金供給の増大、特に今日の情勢においては政府資金の投入がなくしては到底この改正も私は無意義に近いものになるというようなふうに考えられるのでありますが、大蔵大臣は最近の機会、例えば來年度予算に商工中金に対する政府出資をするおつもりがあるかどうか、この点をお伺いしたいと思うのであります。
○国務大臣(池田勇人君) 商工中金に政府出資をする考えはございません。ただ問題は商工中金の資金内容を殖やすためにどういう方法をとるかと申しますると、やはり商工中金自体の拡充強化を図ることが第一でございます。かるが故に今回改正案を御審議願つて組合のみならず、組合員からの預金の吸收、貸付けもできるようにしようといのは、これは商工中金自体を拡充強化しよう、で、今まで商工中金には政府の出資はいたしませんが、資金運用部資金会計から商工債券引受によりまして、いわゆる広義の政府資金というものは出ておるのでありす。こういうことについての拡充強化は図ります。それをやるにしても商工中金の今の状態では、建前が一般の消化と資金運用部資金の消化との割合がありますので、それで一般からの資金吸收の拡大を図るといる意味において機構の拡充をやつておるわけです。それによつて政府資金が流れる、流れやすいようにしようというのが私が今考えておる方法であるのであります。それで国民金融公庫に政府が一般会計からこれに出資をするという考えは、商工中金の今までの経過から申しまして、私はしないといる考えでおります。
○境野清雄君 只今お話のありました商工債券についてでありますが、商工中金の発行する利付債券については資金運用部において引受けを行なつておるのでありますけど割引債券についても資金運用部において引受けることが私どもは適当じやないかというふうに思うのでありまするが大蔵大臣はどうお考えになつておるか。特に本件につきましては、多分自由党の政調会だと思うのでありまするが、三十億円の引受を新聞紙上に発表せられておるのですが、未だ具体化しておらない、そういうふうな経過だと思うのでありまして、先般私この問題を銀行局長に質問したのでありますけど、銀行局長の説明によれば、資金運用部資金の運用計画が予算と一体としてすでに決定されておるので困難であると思う、こういうような答弁があつたのでありましててこの資金運用計画を変更して、中小企業のこの緊急の要望に答えられるというような意思はあるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 只今の情勢では変更する気持はございません。ただ様子によつてはこれは私は将來によつて変更するか、或いはそれを変更しなくても、日銀からの融資その他の方法もなきにしもあらずであります。
○境野清雄君 これは今の商工中金と関係があると言えばあるのですが、先般來問題になつておるように聞いております国民金融公庫の貸付限度というものについて、連帶保証の金を百万円から二百万円に上げるという問題があるようでありますが、この問題につきましては大蔵大臣のお考えはどんなふうにお考えになつているか。
○国務大臣(池田勇人君) 御承知の通り国民金融公庫は連帶で百万円を限度といたしております。これは無担保でございますが、担保のある場合には二百万円にするように審議会で決定したそうでございます。実は私は寡聞にして聞いていなかつたのですが、問題は見返資金から中小企業に当てておりまする四、五十億円のうち、二十億円余り余つていると思うのでありますが、これを一般金融機関或いは商工中金だけでは十分にこれを消化しきれませんから、国民金融公庫のほうにこれを廻して、国民金融公庫のほうから不動産金融を主としてやらしたらどうかという考えがあつたのであります。私はその考え方が適当と思いまして、関係方面に話合いをさすようにしておつたのでありますが、それが間に合いませんでした。それで今のような担保付ならば三百万円だけは貸すことに審議会できめたそうですが、実は今私はここで聞いたような状況であります。
○境野清雄君 只今の問題は審議会で決定せられたような話でありますが、最初から貸付限度について事務当局及び公庫当局はもうこれを引上げをしようというような考えでいるということは私は聞いておつたのでありまして、これは公庫本來の性格に悖りまして、又零細企業大衆の要望に反するのではないかというようなふうに考えておつたのでありますが、そういうふうにいたしまして、現在の出資金六十億に対してすら公庫の窓口への要求は四分の一乃至三分の一きり満たし得ない状況にあるにもかかわらず、これが限度を若し引上げますならば、これらの大衆の要望というものは満たされないで、比較的大きな企業部門への融通に偏して來る虞れがあるのではないか、こういうように思うのでありましで、これに対する蔵相の考え方並びに審議会で決定しまして、認可申請があつた場合に、大蔵大臣はこれを許可する方針であるかどうか、こういう点もお伺いしたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 不動産担保で二百万円とか、三百万円とかいう相談は事務当局から受けたのであります。然るところ、それは私は小企業としての見返資金の運用を頭においてそういうことも考られると思つておつたのであります。然るところ見返資金のほうは片付きません。その間にそういう議論があつたから、事務当局のほうは審議会にかけて、今聞いてみると二百万円ということに大体審議会の答申があるそうです。これを認可するについては私のところに來ると思いますが、実際今聞いたような状態で、私は篤と考慮しなければならんと思います。私はもともと見返資金の分を出すとすれば、二、三百万くらい行かなければならんのじやないか。併し一般会計から出資並びに今度初めて資金運用部からの借入金を認めております。これを直ちに百万円以上のものに、たとえそれが担保があつても出すか出さんかということは、これは性格の問題というよりも、やはり金融の問題ということを考えなければなりませんので、只今のところ私はどつちにするかきめておりません。よく事情を調査の上決定いたしたいと思います。
○境野清雄君 今の点に関しまして、大体商工中金が平均三百四十万円くらいのものを出しておるものすら、相当この平均としては多過ぎるのではないかという議論もあります折から、併せて国民金融公庫と商工中金という二つの中小企業に対する金融機関というものの考え方から見ましても、私は二百万円に上げるということは相当これは問題があるのじやないかというようなふうに考えておりますので、この点に関しましては大蔵大臣も慎重に一つ御研究を願いまして、そうしてこれの決定にお当り願いたい、こう思うのであります。次に差当り私どもが考えまして、年末金融としてどんなものが簡單に取上げられるか、これはもう私から申上げるまでもないのでありますけれども、そういうような面から見まするなら、日銀の中小企業の別枠の増大、これが一番簡單にできるのじやないか。この資金の増大に関して大蔵大臣は積極的な熱意を示してほしいというのが私のお願いなんでありますが、これについてどんなお考えであるか承わりたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) そういう議論は前からもありまして、就任以來たびたび増加したのでありますが、今の情勢が、この別枠をきめたからと言つて、必ずしもそれだけ行くというところのものでもないのであります。例えば今も触れましたように、中小企業に対する見返資金の分も、初めは非常に要望があつて、特にこれを認めたのでありますが、なかなか出ません。要は私は銀行も成るべく中小企業のほうに出すという気持になり、又中小企業のほうでも銀行から金が借り得るような自己の信用を高めるということが第一だと思います。從いまして私は新聞紙上で御承知の通りに、一億円以上の貸出が大銀行で貸付金の半ばに近いというふうなことはよくない、こういうことからいろいろな指導をしておりましても、例えに申しまするように、川の畔に馬を連れて行つても水を飲ますわけにはいかん、こういうふうな状態でありまして、今後中小企業の問題は、私は銀行法の改正等と絡み合して万全の策を講じたいと思つておるのです。併しこの年末にかけてどうするか、こうするか、枠を殖やしたくらいでは、どうこう言うだけの問題ではありません。とにかく大蔵省、日銀、各金融機関を通じでうまく越えるように力を合せて、あの手この手でそのときどきの情勢によつて手を打つよりほかにはないと、こう考えておるのであります。
○境野清雄君 国庫余裕金の預託についてはお考えは如何でございましようか。
○国務大臣(池田勇人君) 私は国庫余裕金は、御承知の通りに昨年の二月にやりました。又一昨年の十二月預金部資金を百億円出し、それから昨年の二月政府の指定預金を百四十九億やりましたが、今揚げております。これは日銀もどんどん貸出をし、政府も国庫余裕金を預けるというふうなことでは一貫した金融政策ができませんので、本筋はやはり銀行は銀行としてやつて行く、これが大筋だと思つて引揚げておる状況であります。ただ年末を控えて中小企業の関係かありますので、先ほど触れましたように、商工中金或いは無盡会社、いわゆる新らしい名前の相互銀行或いは信用金庫のほうは据置いておる状況であるのであります。
○境野清雄君 最後に、これは大蔵大臣に聞く筋合のものかどうかと思いますけれども、大体今のお話によりますと、政府出資金というものはお考えになつておらないというような形でありますことと、今度の商工中金法の改正によりまして、組合員の預金を吸收できる、こういうような面から併せ考えますると、商工中金の機構というものに対して、從來の天降り的なものでなくて自治的なものにするというようなことが我々は考えられるのでありまして、延いては商工組合中央金庫法の第二十六条にある主務大臣が理事長、理事、監事というものを任命するというふうになつておることはどうも一方的な考え方じやないか、政府出資を今の二百十万円というような程度でおりまする以上は、これをもう少し何か粋を広めまして、一般協同組合なら出資者である協同組合の中から、こういう理事なり監事なりというものをとるというようなふうに改正せられてはどうかというような意見も持つておるのでありまして、これは通産大臣にでも質問するのが主体かと思いますが、多分共管のものと思いますので、一応大蔵大臣の御所見を承わりたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) そういう議論は農林中金にも出ておると思います。いいか惡いかはいろいろ議論があるところだと思いまするが、これはそのときどきの情勢によつて考えたほうがいいと思います。今の法律が絶対にいいので、このままでやつて行くとも限りません。併し事柄の性質上政府との密接な関係があります場合は、まあ日本銀行もそうやつておるのでありまするが、その人が民間から出ようが、或いは官吏の古手であろうが、そういうことでなしに、やはり政府の任命にしたほうが、私は特殊の金融機関という建前から、総裁、副総裁は任命したほうがいいのではないかという気持を持つております。併しそれがどこから出資するか、誰であるのかということは別問題として……。
○境野清雄君 大体お話を承わりますと、中小企業の金融難を打開するには、どうしても国家資金を思い切つて注ぎ込んでもらうより以外には方法はないのじやないか、こういうような考えから行きますと、先般の前々国会ですか、農林漁業金融のために農林漁業資金融通特別法案というようなものが通つたようでありますが、これと同じような中小企業に対しても特別会計設置が望ましいのじやないかというふうなことを強く私は考えておるのでありますが、この点に関して大蔵大臣のお考えは如何でありましようか。
○国務大臣(池田勇人君) 必ずしも賛成いたしません。
○境野清雄君 必ずしも賛成しないというお答えでしたが、その特別法案なら特別法案というものの金の額とか、何とかによつては賛成もするという意味でございますか。
○国務大臣(池田勇人君) 事柄が違うと思います。農林漁業金融といたしまして特別会計へ出すことにしたのは、農林漁業という原始産業であるということと、もう一段は共同施設ということであるのであります。商工中金も今までは共同施設と、こう言つておりましたが、こういうものは共同施設にある場合が農林漁業とはよほど少い。そこで農林漁業と商工中金というものは事柄が違う、こういうものは商工中金が個々の個人と取引をして、而して片一方の中小企業の保險その他で確保する、こういうやり方が、私は業態が違うのだから、そのほうがいい、こういう考を持つておるのであります。從いまして農林漁業をやつたから、これもやつたらどうかという御議論でありまするが、これは賛成いたしません。
○松本昇君 大蔵大臣に一つお願いと実情を申述べたいと存じますが、大臣となさいましては、中小企業に対しては非常な深い御理解を持つていろいろ特別な施策をしておいでになるようでありまするが、その一端として政府預金十三億を引揚を中止なさつたり、その他の方法を講じていらつしやるのでありますか、数日前ここで通産委員会の小委員会を開きまして、業者の代表者を集めて現在の中小企業者の金融の面についていろいろ実情を聞いて見たのでありますし、又我々も実際にいろいろな仕事の面で業者から非常に窮状を訴えられておるのは、申すまでもなく、昨年は朝鮮の動乱の問題で、思つたよりは割合に暮が過しやすかつたのでありますが、本年は昨年とはよほど事情が異なつておりまして、それは大企業のほうへ資金が廻れば自然にだんだんそれが中小企業にも及ぶというふうに大臣もお考えのようでありまするが、それでは相当のタイムのズレもございますし、いろいろな面において今年の年末は昨年とはよほど状態が違つておりますので、一例ですが、無盡にしましても、或いは商工組合中央金庫にしましても、そういう方面に何とか本当の希望を言えば相当の額になるようでありまするが、少くとも政府として二、三十億くらいな金は是非一つ出して頂くことは、これはただ單にお金の問題だけでなく、その気分が全体の国民の安定という上において、中小企業に與えるところの精神的影響は非常に大きいと思うのでございますが、この点について是非一ついろんな面においての何はございましようけれども、この点を特に一つ御考慮願いたいと思いますが、如何でございましようか。
○国務大臣(池田勇人君) 中小企業のかたのお困りもよくわかつておりますし、大企業の困り方も相当なのであります。そこで大蔵大臣は中小企業に二十億、三十億、或いは五十億出すからと言つても、これは安心なすつちやいけません。それよりもとにかく個々の人々には申訳ないかもわかりませんが、全体として、中小企業、大企業全体としてとにかく越年については万全の措置をとる用意がある、これで安心してもらわなければいかんと思います。それを事情をお聞きになりますと、私も知つておりますし、私も中小企業の家に生れた子供でわかつております。それは事情を聞けば皆困つております。これはもう何十億の会社の社長も皆お困りなんです。だから私は全体として考えて、常にもう日銀とも連絡をとつておりまして、いつもとは違う原因もあるから、今年は一つ万全の策をとるように、この頃は晝も夜も一万田君と一緒に会うようなことがあるので、十分な措置はとつております。で、私は中小企業の、言い過ぎかも知れませんが、二十億、三十億出すからといつてやれば、ぱつぱつと線香花火のようでいいかも知れませんが、もう立派な大きい経済、自立経済になるときには、そんな小さな金でとやかく言わずに、とにかく御安心して頂いていいように十分な措置をとるつもりであります。今政府預金を、政府の余裕金を預けるか預けないか、こういうことを言えば預けるのは邪道でありますから、いいお話でありませんですから、預けません。併し日本の経済を壊したり、年が明けないようになつちやいけないですから、そのときにはいろいろの手を打つている、今までも、一昨年の金融困難だというときに、今までに例のない預金部の金を使つている。そして、年が明けてから百五十億も出している、いろいろの手をやつております。それで一つ御安心を願いたい、二十億、三十億のことをとやかく私は言うときじやないと思います。
○松本昇君 今度の商工組合中央金庫のこの法案の改正の一部の中には、やはり今までは組合のものばかりでしたが、今度は個人の預金もやつて行こう、その場合に大蔵大臣となさいましては、個人預金もだんだん殖えて行くのだから、自然に資金の内容も充実して、そうして借金も相当殖えるだろうという御意見のようでありますが、実情を言うと、中金のほうのメンバーになる組合は、大体預金をするよりか金を借りたいというものが多くて、これは預金もするでしよう、預金もするでしようが、やはり借りるということが前提になつているものが相当多いようです。そこでどういたしましても、今日まで組合にじかに貸しておるものを更に組合員に貸そうとすれば、それには年金から中金が相当に充実して來るまでの間のタイムまでは、政府のほうでも預託金なり、何なりによつて、一時融資の途を開いて頂くことが必要じやないか、こういう考えを持つのでありますが、その点如何でございましようか。
○国務大臣(池田勇人君) 商工中金が充実して來ると、こうおつしやつておりますが、本当に充実した、私が大蔵大臣になつたときには二十五、六億、今は百七十億を越えましよう、こういうふうに充実した金融機関はありません。それはやはり我々のほうで面倒を見ましたし、又大蔵省ばかりではなく、府県のほうも県の余裕を預けるとか、いろいろな方法をとつておられる。それだけではやはりあまり縛る点があるので、もつとフリーに実態に副つたような制度に改めて、そうしてどのくらい入れるかというのを見るのが第一だと思います。政府の補助を当てになさつては本当の商工中金にはなれません。そこで私は今までいろいろな口添えや束縛をしておつたものは外して十分に働き得るようにして、そうしてその後の様子を見て考えるのがいいのじやないか、私は今機構の問題も出ましたが、まだまだ商工中金は今の人的素質から、諸種の状況からいつて、外のことばかりでなしに、内のことも改めなければならん。徐々にやつて行かなければならんので、一遍に大拡張せられると、金融機関というものはなかなかむずかしい。二年間に六倍にも融資が上つた。それに付いて行つておるかどうかということが僕は疑問なんです。だから徐々に金融機関の拡大強化を図るということにしか私は途がないと考えます。それはやはり中小企業者が自分らの銀行だという気持になつてそしてできるだけ預けるようにし、そうして又預けたのをあれにして金を借りるように商工中金を育成する気持に商工業者自体でなつて頂きたい。それには今回の改正法案が必要だ、私はこのことは一昨年頃から言つておつたことであるのでありまするが、漸く実現する時分になつたのであります。
○松本昇君 私も大蔵大臣と同じような考えを持つておるのでありますが、それだけは今大臣のお話のように、僅かの年月の間に非常な成績を挙げたということは、それだけ需要が、本当にそれだけつまり中金を利用する人が非常に殖えた。又実際に即応して非常に有効であつたという一つの保証もないこともないと思うのでありますが、この際できますならば中の機構その他について改善を要する点も多々あると思いますから、それをそのようにして頂くと同時に、やはりそれだけの需要があり、それだけの要望のあるものには一層政府のほうでも拍車をかけて頂くことを切に希望するものであります。
○境野清雄君 先ほど大蔵大臣のお話で、国庫余裕の預託は引揚げることが本筋だというようなお話でありましたけれども、本年はもう預託から引揚げにという形に転じておるのでありまするが、こういうようなことが年末金融には特別に窮屈だというような感じがするのでありますが、こういうような預託金を引揚げるというようなものも、こう急激にやらずに、徐々にやるべきじやないかというようなふうに考えるのでありますが、その点は如何でございましようか。
○国務大臣(池田勇人君) お説御尤もで、もう六、七月頃から銀行に通達さして準備さしております。
○委員長(竹中七郎君) 速記を止めて……。
   〔速記中止〕
○委員長(竹中七郎君) 速記を始めて……。
○境野清雄君 私は一言申上げたいのですが、それは別に今度の商工中金の改正法案にけちを付ける意味じやないのですが、大蔵大臣を二、三日前から私どもが待つておりまして、來たら僅かに三十分で終つてしまう。実際は質問を用意しておりましたものの、半分ぐらいきり聞けないというようなことでは、今後とも通産行政というものと大蔵とは密接な関係があるのでありまして、今後の委員会もちよつと申上げるだけしか、質問しただけで帰られてしまうという形では、今後いろいろな問題の審議が相当難航するのじやないかと思いますので、この次に大蔵大臣は、私が要求いたしたいのは、あまり時間を拘泥しないで、一つゆつくりいつてもらわないと、我々はもう三日も前から來る來るといつておりましたので、私が用意しておりました三分の一も聞けない。特に今一番重要な問題の特別会計設置の問題なんかも、あまりしつこく聞けばこれだけでもう二十分ぐらいかかると思つたので切上げたようなわけでありまして、ただ年末金融に対しては大蔵大臣の言つておるのでは、年末金融は更に緩和しないということになつておりまして、これは当委員会の中小企業專門委員会のほうでも、小委員会のほうでもこれは何らか対策を講じなくちやならないと思うのでありますけれども、今後一つ大蔵大臣の出席を要求するときに、時間制限を付けないように、今後は委員長のほうから格段のお取計らいを願いたいと思います。
○委員長(竹中七郎君) 只今の境野君の御提案はよく了承いたしまして、今後さように計らいます。
 御質問願います。
○境野清雄君 今の問題で丁度通産次官が見えられておるようでありますから、通産次官にお伺いしたいと思うのであります。長い間病気だつたというあなたにうるさい質問はしませんが、一応簡單に一つ御所見を述べて頂きたいと思います。大体先ほど來大蔵大臣に聞いておりますと、全国の中小企業関係業者からは、政府出資十億円というのはもうかなり前から要望されておつたというのにもかかわらず、今大蔵大臣の答弁では殆んどそれは聞いておらんということ、並びにそういうふうなものを出す意思はない、こういうようなお話であつたのでありまして、私どもとしては、出す出さないは別にして、十億円出してもらいたいと思つておりましたけれども、担当大臣が出さんと言われたんじや、これは出ないものだと思いますが、そういうような場合で見ますと、御承知の通り昭和十一年に本法案が出ましたときに、政府と民間と半額出資というようなことで、当時一千万円に対して五百万円出しておつたことは御承知の通りでありますが、その後再度いろいろな問題もあり、昭和二十三年か、四年かの最度の切替えにおきまして、四百二十万円の半額、二百十万円というものが政府出資となつておるような現状であるのでありまして、こういうような形であるのにもかかわらず、中央商工組合中央金庫法の二十六条では、理事長、理事、監事というものは主務大臣がこれを任命するというような、甚だ虫のいい条件だけ政府はとつておるというようなふうに私は考えるのでありまして、全国の相当多くの協同組合から出資をしておるという建前から行きましても、全国の協同組合の構成員の皆さんは相当商工組合の運行というものには或る程度組合を追かけておるというような事態にまで私はなつておるんじやないか、今後ますますこれを拡大強化しまするなら、それだけ地方の協同組合その他のものの負担か増しますので、こういう方面からも理事なり、監事を或る程度は出し得るような措置を講じないと、これは一方的なものになつてしまいはしないか、ましてや過般のような問題が起りまして、当委員会としても証人に皆さんを喚問して、当時慎重に質疑応答をしたのでありまするが、そういうものと睨み合せましても、地方の代表者がちつともおらない間にああいう問題か起つてしまうというようなことが今後もありますと、なかなかこれは大きな問題じやないかと思いますので、一応共管になつておりますので、大蔵大臣の御所見は聞いたのでありますけれども、通産省としてどういうお考えを持つておるか、その点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(首藤新八君) 今回の補正予算に対しまして、商工中金に対して財政資金を千億出資してもらうということは、当初から殆んど三カ月かかりまして、幾たびかの折衝を続けたのであります。大蔵大臣が知らんという御答弁をされたことは極めて不可解と存ずるところでありますが、併しながらこの折衝に際しまて、大蔵省は終始政府機関でないものに財政資金を出すことは困難だという方針を飽くまでも貫徹して参つたのであります。そこで商工中金の今日までの経過並びに性格、更に政府の当初における出資の問題、或いは又只今境野委員の御指摘のような理事その他の政府の任命というような点を挙げて、普通の民間今社とは異なるのだということを詳細に主張しまして折衝したのでありますけれども、最後にどうしても大蔵大臣がこれを施行しないということになりましたので、遺憾ながら期日もありませんので、そのままになつたわけであります。從いまして若し今後におきましても政府資金が民間会社であることによつて出資できないということに決定いたしましたならば、御意見通り、これが役員の任命等に一考をせなければならんのじやないか。特に多数の協同組合を組織体といたしております点に考えをいたしました場合、実際に業に当つているところの協同組合の幹部を若干運営のほうにタツチさせるということも商工中金の運営上、完全ならしめる上においても必要ではないかというふうに考えます。併し非常に重要な問題でありますので、慎重に検討いたしたいと考えております。
○境野清雄君 今の問題は是非或る程度急を要するというふうにも考えておりますし、そうでなくてもこの間の不正融資と言いますか、贈收賄と言いますか、いわゆる商工中金の汚職事件というようなものもだんだん私どもが探求いたしますと、商工中金の役員間の暗闘にあるということまでも私どもは承知しているのであります。そういう点から行きましても、地方の協同組合というようなものにもう少し役員を移行して行つたらどうか、全部が社会人任命でなければいかんというような議論をするのではないのでありまして、この点幾分拡大せられましてやつて頂きたい。特に二十七条、二十八条には何か評議員か何かまで政府任命というような形になつているように私は聞いているのでありまして、そういう点から行きましても、この点に関しては通産省自体が、この金の裏付がないものは大体大蔵省は要求を聞くようでありますから、大蔵省とよく御折衝を願いまして、金の裏付がないので、この点は一つ通産省を信頼しますから、通産省が今の次官のお話のありましたような線に一つ強力に、それも早急の機会にやつて頂きたいということを希望しておきます。
○委員長(竹中七郎君) ほかに御質問ありませんか。提案者にちよつとお伺いいたしますが。商工中金法を改正した後におきまして、組合員が借りようとする場合、組合は商工中金に対し、一、組合員であることを証明するだけか。二、それとも組合員が借りることを組合が承認をも與えることになるのか、提案者は承認を要するというように午前中お答えになつたようでありますが、その承認とは如何なる意味か。第三に、組合は組合員の借入金に対して如何なる義務を負うのか。右の三点に対しましてお答えを願いたいと思います。
○衆議院議員(中村幸八君) 組合員が商工中金から借入れをいたします場合に、組合の承認を求むることは必要ではないと考えます。直接組合員が商工中金から借入れすることになります。但し商工中と組合員と直接取引をすることによりまして、中小企業等協同組合の折角の結束を乱すような、弱めるような虞れがなきにしも非ずと考えております。從いまして無条件で組合に貸すのではなくて、中金法の四十四条に「主務大臣必要アリト認ムルトキハ商工組合中央金庫ノ貸付、手形ノ割引又ハ保証ニ付其ノ金額又ハ方法ヲ制限スルコトヲ得」、この規定を活用いたしまして、組合員が中金から借りるということにつきまして、組合の承諾を求めて來いというような条件を付けるつもりでおります。この点につきましては、政府当局とも打合済みであります。一定の基準によりまして、そういう制限を付けたいと思います。
○委員長(竹中七郎君) さようなことになりますと、組合が承諾を與えないとこれは借りられんかどうかという問題があるのですが、この点如何ですか。
○衆議院議員(中村幸八君) 組が若し承諾を與えない場合におきましては、何かそこに組合員が借りられないということにつきまして、組合として納得がいかん点があるのではないかと考えますので、そういう場合には貸出ができないじやないか、かように考えます。
○委員長(竹中七郎君) 次に中小企業庁長官はどういうふうなお考えでございましようか。
○政府委員(小笠公韶君) お答えいたします。第一点のいわゆる組合員が中金から取引をする、特に貸付を受ける場合に、先ほど中村さんのお話のように承諾を得るというふうに指導して行きたい。こう考えておるわけであります。今お話がありましたように指導して行くのだが、いわゆる組合のほうが勝手に承諾を拒否するということがあつては公平な原則に合わないと思うのです。そこでそういうことのないように組合指導として特別の理由のない限りにおいて、承諾を拒否できないというふうな指導と申しますか、ということをやつて参りたい、こう考えております。それから第二点の問題で、組合員が商工中金からそういうふうにして借りた場合に、組合が債権債務上の責任を負うかどうかという問題につきましては、全然負わないということで参りたいと思います。
○委員長(竹中七郎君) そういたしますというと、今の提案者と小笠長官と若干の食い違いがあるようですが、片一方は承諾がないと貸さないと言われてをりますけれども、小笠長官はその承諾を拒否せんようにやるというのですが、この点提案者は如何ですか。
○衆議院議員(中村幸八君) 食い違いは別段ないように思いまするが、長官の言われるのも、承諾がない場合には貸さないことを前提としまして、そういうことのないように組合を指導するこういうふうに言われたように私は解釈いたします。
○委員長(竹中七郎君) ほかに御質問ありませんか。速記をとめて……。
   〔速記中止〕
○委員長(竹中七郎君) 速記を始めて下さい。
○油井賢太郎君 実は首藤政務次官おいでになつたからお聞きしておきたいと思うのですが、最近各地で以て破産、倒産をしている纖維業者が相当あるのです。殊に御承知のように東京、横浜の貿易商社にその傾向が多いのですが、それの影響するところも国内各地の輸出生産業者にも及ぼしております。こういうことについて通産省とされてはどんなふうに御計画をお立てになるかということを、この間通産大臣にもお聞きしたのです。そのとき、そういう話を急に出されても今すぐ回答することは困難だが、よく検討して返事をしようというようなお話があつた。それについて恐らく政務次官にもそういうことの伝達もあつたと思いますが、最近の情勢、殊に関西御出身の政務次官ですから、各地の状況もおわかりになつていると思いますか、対策をお立てになつておられるかどうか、簡單で結構ですから、お答え願いたいと思います。
○政府委員(首藤新八君) 最近纖維業者の破産者が各地にぼつぼつ出ておることは事実であります。同時に又ひとり纖維業者のみならず、年末を控えまして中小工業に金融的な破産者が相当出て來はせんかというようなことを我々は杞憂いたしておるのであります。御承知の通りこの春国際物価の下落と輸入超過から、国内の業者が極く一部の産業を除きまして大部分は非常な圧迫を受けている。その後多少好転しかけた場合に電力の危機に遭いまして生産が上昇しなかつた。更に又最近は朝鮮の停戰交渉が進行いたしたために再度事業が惡化して参つたということが、中小企業全般の金融面を非常に圧迫しているのが現状だろうと思つているのであります。そこで先般來何か年末金融のために対策を講じなければならんじやないかということで、大臣から閣議にこれを提案いたしまして、そうして閣議でこれを審議したらしいのであります。その結果は先ほど私は不在でありましたが、境野委員から大蔵大臣に詳細な御質問があつたかと思いますので、大蔵大臣の年末金融に対するところの考え方が大体御答弁があつたのではないかと考えます。私は一昨日日銀総裁に会いまして、現在の中小企業の状態を申上げ、何か特別に考慮をしてもらいたいということをお話したのでありまするが、ただ関係方面の意向が相当強固である、從つてどれもこれもというわけには恐らくいかんだろう、けれども、救済の必要のあるものに対しては救済して参りたいというような気持でおるということも、日銀の総裁のお話であつたわけであります。どちらかと言えば余り積極的ではないというような感じを受けたのでありまするが、併し政府といたしましては、中小企業の現在の窮境、特に年末の危機を控えておりますので、閣議の結果がどういうふうになつたかということをまだ私は実は聞いていないのでありまするが、積極的にできる限りの対策を講ずるべきだというふうに考えているのであります。
○油井賢太郎君 只今次官のお話の中にあります朝鮮動乱或いは電力の減退等によつて生産が減つたために、何か中小企業者の状況に惡影響を及ぼしたようなお話もありますけれども、これは一体輸出貿易というものを、ここにずつと見渡して参りますというと、あのためにまあダンピングをしなくて済んだというような面もあるのです。一概にそうばかり言い切れないのですね。それで日本の輸出貿易政策というものは、何でも余計さえ作ればいいというような誤まつた政府の方針によつて、却つて中小企業者は今日苦境に陷つているということも各地に見受けられているのです。こういう点については、只今の次官のお話ですが、もう少し深く検討する必要があると思うのですが、あなたとしてはどうお考えですか。
○政府委員(首藤新八君) 全くお説の通りでありまして、今日まで中小企業の対策と言えば、即金融だと申上げてもいいほど金融が一番大きな問題であつたのであります。併しながらこの金融をしかくさように動くように円滑にした場合に、結果はどうなつて來るかと申しますると、御指摘の通り輸出の如何にかかわらず生産が増強いたしてそうしてその生産の増強したことによつてデフレを招き、そうして業者みずからが倒れる、自殺行為をやるという結末にもなりまするので、單に金融のみを以て中小企業を助長育成するということに対しても、大いに慎重な態度をとらざるを得ないのじやないかというような気持もいたすのでありますが、それだからと言つて、金融をゆるがせにすることは無論できないのでありまして、窮極は輸出の振興という以外にはないのです。そこで輸出の振興をいたしまするために、やはり企業の合理化、これを徹底的に強力に推進する。そうして一日早く原価をできるだけ安くいたしまして、そうして輸出のほうに高度の生産を上げても、それか滯貨とならないような方向に持つて行く以外に日本経済の打開の途はないと私は確信いたしておるのであります。本日提案いたしました企業合理化の促進も、やはり目的はその辺に重点をおきまして、そうしてこの本国会に御協賛を得たいという考えの下に合理化促進策を出したわけであります。無論これもそうどこまで大きな効果があるか知れませんけれども、併しいずれにいたしましても、企業合理化の目的を達成いたしまするためには、あらゆるケースな動員いたしまして、そうしてどの途からでも取上げて、そうしてできる限り企業の合理化、いわゆる原価の引下げに邁進して行きたい。そうして中小企業の金融の潤沢になつたことによつて生産が増加いたしましても、それが滯貨とならないように、輸出の方向に消化できるという態勢を整えて行くことが対策の適当なものだ、併しこれは言うべくしてなかなか早急にできるものではないのでありまするから、徐々ながらもそれを目的とした方針に進んで行きたいと考えております。
○油井賢太郎君 企業合理化の関係の点については、これは明日でも又改めてお伺いしますが、私の質問しているのはちよつと趣旨が違うのです。要するに日本の政策が、貿易政策のやり方が自由主義的になり過ぎて、何でも余計さえ作ればいいじやないかという、輸出振興策そのものがダンピングというようなことになつて來ているのですね。そういうものの対策をどうするかということなんです。結局金融関係にもなりますけれども、生産の増強はしたけれども、滯貨金融はしてはいけないとか、そういつたような指令が日銀なり或いは政府当局から出ているために、中小企業者はむざむざと自分の身を削つても安い、ダンピングを行わなければならないというような妙な現象になつているのですが、こういう面について余り野放し的な自由経済も考えものじやないか、そういう点についてはどうお考えなんですか。
○政府委員(首藤新八君) 実はこの問題につきまして、私の個人的な見解を述べますれば、輸入に或る程度計画性を持たせなければならん。これは余り自由放任いたしまするために、貴重な外貨を濫費いたし、そうしてその濫費した上に、徒らに必要のないものを生産いたして、そうして却つて業者みずからが自殺的な行為になつたりして、又日本経済に相当圧迫を加えておるような結末になつておると思うのです。そこで或る程度、内地の需要或いは輸出を測定いたして、そうしてそれにマツチするような輸入をやることが外貨を節約する意味においても、或いは日本経済を堅実に発展せしむるためにもむしろとるべき対策ではないかというふうな一応の私は考え方を持つております。併しながら、これを全面的に実行いたしまするためには、なお客観情勢がそこまで至つていないような気持もいたしておりますので、現在計画は……計画ではありません、構想はいたしておりますが、まだ具体化はいたしていないのであります。尤も稀少物資その他に対しましては、それぞれ対策を講じておりますが、併しどうしても根本的に中小企業の経済の安定と、それから日本全体のいわゆる不必要な生産によつて経済界を撹乱するということを防止するためには、どうしても輸入に或る程度の計画性を持たせることが必要ではないかというふうな考え方を持つております。
○油井賢太郎君 もう時間の関係上、私は最後に申上げたいと思うのですが、只今の輸入の件は、これはもう天下周知の事実です。併し輸出の点について、輸出振興という名前に隠れて、いわゆるダンピングによる中小企業への圧迫ということが今まあ政務次官のお話ではさつぱり取上げられない、これはよほど輸出振興ということの対策を考究される上において御検討を願いたい点だと思うのです。いずれ又機会を見て、今日はもう時間が余りありませんから、希望条件だけにして、この次の機会においてもう少し具体的か例を挙げて政務次官の御意見を承わりたいと思います。今日はそれまでで。
○政府委員(首藤新八君) 今の御意見でありますが、政府はこれに対しましては、すでに御承知と存じまするが、纖維品を初めといたしまして、相当多くの業種に対して輸出要許可品目に指定いたしまして、それぞれ政府の許可を得なければならん、一定の価格の許可を得なければこれを輸出できないという方法を現在とつておるのでありまして、これによつてダンピングを防止するという方針をすでに三、四カ月前から実は実行いたしております。これが相当事業の安定と言いますか、いわゆる濫売を防止する点において相当効果を挙げておると思います。現にこれがために要許可品目に指定してもらいたいという業種がだんだん殖えて参つておるのでありまして、政府もそれぞれの業界の実情をよく調査をいたしまして、濫売に陷つておる、ダンピングに陷つておるというような業種に対しましては遠慮なく要許可品目に指定いたしておるのであります。そうしてできる限りダンピングを防止したいということを考えております、
○油井賢太郎君 もう一点。只今のお話御尤もなんですけれども、ダンピングを阻止するために、要許可というようなことをされておるのは、これも一つの施策かも知れません。併し、先般申上げたように、各地における破産、倒産というもののよつて來たつた原因は何だ、結局輸出貿易商社が政府のいわゆる施策に合つたような、表向きですよ、高い値段を出して生産者に注文を出して、発注しているのです。ところが生産者のほうでは値段に釣られて相手の商社の信用とか、何とかいうことを研究するだけの余地もなく、それだけの気もなく、ゆとりもないというふうな関係上、値段さえ高ければこれは日本の貿易のためにもなるのだというくらいのつもりでどんどん注文を引受ける、その結果が今日各地における破産、倒産の原因となつているのが相当あるのです。そうしますというと、一方的にただダンピングを阻止するための政策を講じたからいいということは却つて惡結果を來たしている、惡影響を來たしているというような状況も相当あるのです。こういうことは通産当局におかせられても常に各地の状況や何かを仔細に検討されまして、ただ一方的に一つの政策を行えばそれで以て全部万全の政策を講じられたというふうにお思いにならないで頂きたい。このことについての具体的の点は又この次の機会にでも詳しく申上げて要望したいと思いますから、今日はこれで終ります。
○片岡文重君 今の油井さんの質問にも関連するわけですが、輸出のほうの関係は今日時間がございませんから、後に譲りますが、ただ年末金融の問題について、先ほど境野委員から質問をされたときの大蔵大臣の答弁は、私の伺つておる限りではあまり具体的なものはなくして抽象的なお話であり、殊に商工中金に対してだけ特にどうこうということは考えておらないとはつきりおつしやつておる。中小企業自体においてこういう問題は自主的に解決すべきであるということが言われておつたのですが、自身で解決すべきことは勿論望ましいのですが、一人歩きのできない子供にやはり一人歩きをせよと強要するような手段も私は考えものだと思うし、仮に一人歩きできるとしても歩き得ないような状態にある場合には、それに対してやはり援助をするのが当然であろうと思うが、通産の責任者として、次官はもう少し大蔵当局が年末金融に対して具体的に積極的な援助、指導を與えるように一つ懇談をされて見る御意思はありませんか。
○政府委員(首藤新八君) 先ほど申上げました通り、通産省といたしましては、今春來内地の経済界の推移から考えまして、年末の中小企業者に対しましては多分の不安を持つておるのであります。かるが故に先般來大臣を煩わしまして、閣議にこれを提案しまして、中小企業の年末金融に対して格段の措置を講ずるよう閣議決定をしてもらいたいという実は要請をいたしておるわけであります。まだ閣議で最終的な結論が出ておりませんと見えまして、大臣からその結果は承わつておりませんが、幸い本日は大蔵大臣がこちらに出席しましたので、多分境野委員もその問題に重点を置いて御質問されたであろう。從つて大蔵大臣もそれについて何か御答弁があつたのであろうと、こういうふうに想像しまして、先ほど御答弁したわけであります。通産省といたしましては、特にこの年末の金融に関心を持つておりまして、今後も大臣を通じまして閣議にこの問題をできるだけ円滑に解決するように努力して参りたいというふうに考えております。
○境野清雄君 私は関連じやないのですが、さつきの油井君の質問と通産次官の答弁とが食違いがあるようであつたと思うので、油井君おりませんが、一言だけ次の機会にお答え願いたいと思うのは、油井君の質問しておる要点と言いますか、要するに日英通商会談の結果はもう通産省の御承知の通りでありまして、今日ポンドの手特が多くなつてドルが不足しておるということから、例えば紡績ならば紡績というものを例にとりましても、どうしても今の情勢で行けば高い雑綿を買わなくちやならんというような現段階に追込まれておると、こういうような形から言つても、要するにそのボンド地域と、それからドル地域というものをどういうような解決によつて日本の輸出を旺盛にでき得るのかということも、油井君の考えておつた一つの観点だと思いますので、そういう点に対して一つ何か資料でもお持ち願つて、次の機会に一つ詳細に御説明願いたいと思います。
○佐多忠隆君 ちよつと資料の要求ですが、合理化に関する資料ですが、政府のほうでは、特に通産省では今年の初め頃からですか去年からですか、合理化審議会をお作りになつて、そうして各業別に細かにいろいろな御調査、御審議をなさつたと思うのです。それの報告書或いは資料あたりができておりましたら、全部一括してお出し願いたいのです。
○政府委員(首藤新八君) 了承しました。
○境野清雄君 今のような要求したものから言いますと、これには資料を欲しいのがありまして、大体何かあれを政令で定めるというような面がありますのと、基礎産業というようなものや何かで、その順位と言いますか、何か企業局のほうにあると思いますが、そういうような品目の、何かこの法案にありましたが、その点資料がありましたら頂戴いたしたいと思います。
○説明員(石原武夫君) その点は政令で業種をきめて、費目別の短期償却を適用される、その政令で如何なる業種をきめるかという問題があるわけです。これは通産省だけでなくて、ほかの関係省のほうの事業も中にありますので、今目下大蔵省といろいろ打合せをしておりまして、我々のほうの分としては、大体こういうものを是非指定したいということを申上げる段階にございまするが、ほかの省の関係もございまして、一括しては大蔵省からでないと、ほかの省、ちいつと私わかりませんので、我々のほうの所管の関係のものにつきましては、我々のほうの大体考え方を特に申述べることはできると思います。なお先ほど佐多先生から要求がございましたこういう審議会をやりましての資料でございまするが、まとまつたものが実はあるのでございますが、余分が今手許にございませんので、極く少数でございますから、今直ちに皆さんに御配付するだけの部数がないので甚だ恐縮でありますが、少数の部数で一つ御勘弁を願いたいと思います。
○境野清雄君 今法案が手許にないのですが、何か技術の研究か何かで、通産省の予算が二億円と二億五千万円というのがございますね。それの從來の予算の使い方に対しての使途の資料を頂戴したいと思います。
○説明員(石原武夫君) 明日までに合計四億五千万円でございますが、それの内訳を資料としてお手許に差上げるようにいたします。
○委員長(竹中七郎君) 本日はこの程度において散会いたして御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(竹中七郎君) それでは散会いたします。
   午後五時十九分散会