第013回国会 法務委員会 第54号
昭和二十七年六月十二日(木曜日)
   午前十一時二分開会
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 出席者は左の通り。
   委員長     小野 義夫君
   理事
           伊藤  修君
           一松 定吉君
   委員
           左藤 義詮君
           玉柳  實君
           長谷山行毅君
           岡部  常君
           中山 福藏君
           内村 清次君
           片岡 文重君
           羽仁 五郎君
  政府委員
   法制意見長官  佐藤 達夫君
   法務府法制意見
   第一局長    高辻 正己君
   刑 政 長 官 清原 邦一君
   法務府検務局長 岡原 昌男君
   法務府特別審査
   局長      吉河 光貞君
   法務府特別審査
   局次長     関   之君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
   常任委員会専門
   員       堀  真道君
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  本日の会議に付した事件
○破壞活動防止法案(内閣提出、衆議
 院送付)
○公安調査庁設置法案(内閣提出、衆
 議院送付)
○公安審査委員会設置法案(内閣提
 出、衆議院送付)
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○委員長(小野義夫君) それでは只今より法務委員会を開会いたします。
 昨日に引続き破壞活動防止法案、公安調査庁設置法案、公安審査委員会設置法案、以上三案を便宜一括して議題に供します。先ず片岡君に御質疑を願います。
○片岡文重君 質問に入る前に、私は一言あとのこともあるので申上げておきますが、今日は総括質問であるという前提に立つて、総裁もお見えにならないのであろうと存じますけれども、少くともこの法律の持つ重要な内容、意義から行きまして、第一章に掲げる程度の審議に当つては終始総裁の御出席を私はお願いしたいと思う。それから法案全体を通じて持つところの今日の社会に与える影響等からいたしまして、当然総理大臣の御出席を頂いて、これに対する確たるお考えというよりも、この法案自体がその危険な内容を多分に包含しておるということを認めておるのでありますから、こういう法案を出さなければならない事態並びにこういう法案をあえて上程し、そうしてこの法律によつて治安を維持して行こうとするからには、この法案施行によつてもたされるところの反対なマイナスということも十分お考えになつての上であろうと存じまするので、そういう点に対する内閣の、政府の決意、覚悟というものも私は伺つて置きたいと思うのであります。従つて今日は総理並びに総裁はお見えにならないのでありますから、この点から御両者に対する質問は留保しておくということを前提として、これから御質疑を申上げたいと思うのであります。
 すでにこの三法案に対しては幾たびも各委員諸君から熱心なる御質疑がなされておるのでありまするし、政府委員各位からも極めて賢明な御答弁がなされております。従つてこの法案に対する問題となるべき点については殆んど解明され尽したかに考えられるのでありますが、法案の持つ内容が先ほど来申上げましたように、私どもにとつて極めて不安であるという点からいたしまして、質疑並びに応答を伺つておりますとますます疑惑が深まり、了解に苦しむ点が出て参るのであります。そういう不安を取除き、理解に苦しむ点をなくしておかなければならないと考えまするので、極力重複する点は避けるつもりでありますけれども、そういう意味から、でき得る限り一つ懇切な御説明を頂きたいと思うのであります。なお又逐条審議に入つて総括的な御質問を申上げることはどうかとは思いますが、内容の理解を深めるためには、立法の精神というものを伺つて置く必要が多分にあろうと、こう考えられますので、その点お含みを頂きたいと思うのであります。なお質疑の箇所々々において気付いた点は申上げたいと思いますが、そこで第一にお伺いをいたしたいのはこの法律の目的であります。一体この法律の出されるに至つた動機というものは、今日の社会情勢が不安であるから刑法や警察法だけでは治安の維持が保てないという考え方からこの法律が上程されるに至つたというふうに御説明があつたように聞いておりますが、而もこれは個人の破壞活動ではなくして、団体の行う破壞活動というふうに言われておつたのでありますが、この法律を持ち、それから刑法、警察法だけで然らばこの今日のいわゆる団体の破壞活動というものが防止し得るかということになると、これ又甚だ疑問であるし、この問題についても質疑は当然なされたと思うのでありますが、そして又これだけでは阻止できないというふうに御答弁があつたように考えられるのですが、一体これだけでも阻止できないということになると、更にこの法案が実施された実情に鑑みて、今後もこれに上廻るような更に強力な法案を上程される御意思があるのかどうか、先ずこの点をお聞きしたいと思うのであります。
○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。この法案は先般来御説明いたしました通りに、暴力主義的な破壞活動を防止したいということを目的とするのであります。この暴力主義的な破壞活動を防止する方法といたしまして、暴力主義的な破壞活動を行う団体に対して行政上必要な規制を加えたい。第二といたしましては、刑法の各罰則を補整いたしまして、必要な最小限度の刑罰を盛りたい。この法案によりましてそれでは暴力正義的な破壞活動がすべて防止できるかと申しますると、そうではないと考えておる次第でありまして、この法案は他の治安関係の法律と相待ちまして、この暴力主義的な破壞活動の防止に寄与、貢献したい、かように考えておる次第でございます。
 なお私どもといたしましては、この法案を立案するにつきましては、現下の事態に鑑みまして、日本国憲法の認める範囲内におきまして必要最小限度の立案をいたしたわけでありまして、現在はこの程度の法案を以て他の法律と相待つて暴力主義的破壞活動の防止に努めたい、かように考えておるのでありまして、更にこれに上廻る法案は今何ら立案の研究も構想も持ち合わせていないような次第でございます。
○片岡文重君 これに上廻る法律を作る意思は今のところは考えていないという御意見わかりました。この法律は現在の不安の情勢を阻止するということに目的がおかれておるということもわかりましたが、それではこういう不安な情勢をかもし出さない、出で来たものを抑えるのではなくして、かもし出さないために何らかの措置を講ずる、これが私は為政者としての最も大事なことだと思うが、こういう点について、つまり阻止するのじやなくて、かもし出さないような政策をお考えになつておると思うのですが、それらの点についてどういうふうな施策がとられておるか。これは特審局の御答弁ではちよつと困難かとは存じますが、若し意見長官でも御答弁ができるならして頂きたい。それも困難であるということなら、これは後日で結構ですから、総裁なり総理からなり御答弁頂きたい、できるならして頂きたい。
○政府委員(佐藤達夫君) 一応私本来の職責ではございませんかも知れませんが、只今まで法務総裁あたりのお答えいたしておりましたところ等を総合いたしまして、一応お答えいたしておきたいと存じます。
 只今のお尋ねは、これはもう御言葉にもありました通り国の政治全般に亘つての関連を持つ事柄でございまして、その角度から申しますならば、この法案の狙つておりますところは、現実の止むを得ない実害を食いとめて行こうという面にとどまることは当然でありまして、而してその根本に横たわつている一般の問題となりますと、或いはこれは例えば強盗の発生をとどめるためには、やはり国民全体が衣食に足りるように十分な社会上の施策をせねばならんというようなことが言われますのと同様に、この場合におきましても社会福祉上の経済措置と申しますか、或いは厚生上の措置と申しますか、そういうものも当然伴わなければならないことでございますし、又一般国民の側における批判力というものについての要請と申しますか、啓蒙と申しますか、そういう方面にも力を注がなければならないと思うわけであります。乏しい予算の中でそれは十分各担当の当局者において努力いたしておるというふうに申上げるわけであります。
○片岡文重君 ちよつと方向を変えて、先月の二十六日、二十七日であつたと記憶いたしますが、公聴会において二十名前後の公述人が意見を述べておられました。それらの意見については私どもの多分に傾聴に値いする御意見が述べられておつたように思いまするが、あの御意見の中で今私が御質問申上げたような意見もあつたと思う。こういう点から考えまして世の識者と申しますか、そういう人たちは、こういうかもし出されたものを阻止するよりもかもし出さないような方向に積極的に建設的な政治を行うべきであるという意見が極めて強かつたように思うのですけれども、それに対しては今の御答弁で、総合的な施策を行なつていると思うというお考えであります。併しこの総合的な施策が行われておるかおらないかは見解の相違であるし、今御出席の政府委員諸君にこれ以上お伺いすることは無理だと思いますから、その点はやめますが、もう一点これ又無理かと思いますが、この法案について、仮に参議院において政府委員各位がお考えになつておる以上の妥当な意見だというふうなものが考えられるならば、この案は修正するにやぶさかでないのかどうか、或いはこれは一旦衆議院の審議を経て来ておるし、政府としては面子もあるしするので、絶対この法案以上のものは出ないという確信の上に立つておられるのでしようけれども、更にこれがより以上のものが出て来た、又それが大方の輿論であろうと考えられた場合には、政府当局としてはこの案に対してどういう考えを持たれるか。それから先だつての公述人の意見に対して、どう政府側ではお考えになられたか、この二点を一つお伺いしたい。
○政府委員(佐藤達夫君) これも御推察の通り我々としてお答えするのは如何かと思いますが、併し従来私どものここでお答えしたところに触れますので、一応御答弁申上げますが、この国会における修正につきましては、これは理窟から申しますれば問題になり得ないことで、国会がこれを御制定になるのでありますからして、国会の御審議の結果によつてこれを修正されるということについて政府側からとやかく申上げるべき法律的の関係にはないわけであります。ただ私ども政府といたしましては、この案を一応自信を以て御提案申上げて、そうしてできるだけ立案者の意図の存するところを十分御説明申上げまして、御審議の参考に供するという趣旨でここに出向いているわけでございます。公聴会における各位の御意見というものも我々立案の際には当然予想して一応考慮した事柄が大部分でございまして、大いに傾聴すべき御意見もありますけれども、又それに対してはこちらから御説明し得る事柄が多いというふうに御了解願いたいと思います。
○片岡文重君 この種の立法は今日に始つたことではなくして、洋の東西を問わず、時の古今を問わず幾つも例を見られるのでありますが、この最近における例はともかくとして、日本の歴史を見ましても、私の調べたところでは、いわゆる武家諸法度、公家諸法度、こういうふうなものの中にも、或いは切支丹禁制のいろいろな法律、律令というものがたくさん出されている。ところがそういう法律令が出されましてから、その法律の対象となつた事態がそれによつて鎮圧された或いは禁圧されて、爾来そういう不安な情勢が、或いは法の目的とした情勢になつて行つたかというと、必ずしもそうではない。むしろ殆んど例外なしに、そういう上からの法律による押付けというものは失敗に帰しておる。切支丹禁制の場合についても、今日の知識から似てするならば、まさに噴飯と言つても差支えないほどに感覚のない法律であつたと思うのですけれども、当時は板倉何某という者はそのために自殺までするほどの事態を起しておる。而も徳川幕府がそれではその将軍治下において善政が布かれておつたかというと、それは悪政の結果そういう事態になつて来ておる。更に釈迦に説法で恐縮ですけれども、秦朝の始皇帝でしたかは、学者を坑にし書を焚くという苛酷なやり方で政府批判を禁止しましたけれども、その苛酷な禁制の法律を出して、数年ならずしてこの始皇帝は滅ぼされておる。こういう例は限りなく出て来るのでありますが、今日の日本においてこういう法律を作らなければならないということは、何か知らん私は末期的な感じを受けざるを得ない。で今伺つておりますと、総合された建設的な施策が行われておると思うというお考えでありましたけれども、職掌柄、お立場上常に扱つておられる問題は、そうした建設的な面ばかりではなくて、むしろ破壞的な事態にのみ直面しておられまするので、こういう破壞を如何にして阻止するかということだけに重きを置かれて、そういう歴史的な事態についてまで考究され、そうして今日はこういう法律よりももつと建設的な総合施策に向つて政府が更に力を尽すべきであつて、殊に特審局その他においても、この破壞の面からにじみ出て来るところの建設への意欲というものを汲み取るべきではないか。そうしてそれを他の経済諸施策との間に脈絡ある連絡をつけるような方途を講ずべきであつて、少くとも直ちにそれが立案の上に現われなくても、この司法関係と経済関係との間にもつと建設的な連絡がとられて然るべきではないかと思うのですけれども、こういう面について何か連絡がとられておるのかどうか。例えばいろいろな、一見したところでは破廉恥罪という見方が成り立つたとしても、併しながら家庭状況或いはその者の置かれておる経済環境、社会的環境等をつぶさに検討して見ると、こういう事態が起つて来るのは、こういう犯罪者が出て来るということは、少くともこういう経済的な面において誤りがあり、こういう文教の面において誤りがあるというようなところにまでメスを入れられて、文教或いは経済、そういう方面に総合的な施策を立てさせるというところに、社会治安を堅固に維持して行く基礎があると思うのですが、そういう面についての御研究があるならば一つお聞かせ頂きたいし、更に総合施策を樹立するためにとられるところの連絡というものがなされてあるならば、その機関と方法等について御説明を願いたい。
○政府委員(佐藤達夫君) これも私どもの手に余るお尋ねでございますが、この少くとも私の職掌から申しますというと、およそ法律、政令の形で現われまする限りにおきましては、例えば今度の国会に二百数十件の政府案が出ております。その中には先ほどお言葉にありましたような建設的なものもたくさん私はあると確信いたしております。そういうものも法制の、法律案の形の面におきましては私の職掌上から皆私が審査いたしております。これもその中の一つということになるわけでございます。法制上の面からの連繋は私は少くともとつておるわけでございます。但し遺憾ながらと申しますか、この根本の政策、或いは又それが現われるのは、先ず法案と申しますよりも、予算という形で現われて来るわけであります。従いましてその面においては申すまでもありません、各所管大臣が閣議においてきめられるところでございまして、従いましてその面におけるこの方向の如何ということは、先ほど私が漠然とお答え申しましたように、一般の方針として、限りある国費の範囲内において努力がなされておると承知いたしておりますというお答えをするほかはないわけでございます。
○片岡文重君 政府の政策の根幹に触れると思いますから、これ又それではこれ以上の質問を留保しておきます。
 それから別にお言葉にからむわけではありませんが、限りある予算の中でやるというお話があつた。これは私も同感です。これは今日の日本の財政ですから止むを得ないと思いますが、この財政の、予算の使い方が相当問題になつて来る。これは多分に意見がここにあり、議論の存するところですが、ここで御質問申上げたいのは、今日の特審局がお使いになつておられる経費について、これは恐らく私の欠席しておる機会にでも御質問があつたことと存じますが、この特審局を今日維持されておるために必要とする経費、それからいろいろなこの維持されておる経費の中には勿論人件費、物件費、それから更に捜査のために必要な経費……ああわかりました。じやこれは今調書が参つたようでありますから、これを拝見をして、その後に御質問を申上げることにいたします。
 なお総括的に私は、特にこの立法の精神を把握するためにはどうしてもこれ以上更に御質問申上げたいと思うのですけれども、御答弁がその限りではないということになりそうですから、その点留保いたしまして、細かな点で恐縮ですが二、三御質問したいと存じます。
 第一条の「団体の活動として」ということが述べられております。この「団体の活動として暴力主義的破壞活動を行つた」云々となつておりますが、この団体の活動ということは、勿論機関の決定による指示に従つて、団体が一体となつて有機的に活動することを意味すると思うのですけれども、その場合にこの団体の活動を指令する機関と申しますか、或いは指令の出て来るまでの経緯と申しますか、そういう点についてはどういうふうにお考えになつておられますか。それを一つできる限りこれは具体的に御説明頂きたいと思います。
○政府委員(関之君) お尋ねのこの団体の活動でありますが、これは従来もしばしばこの委員会におきまして対象となつた問題でありまして、これにつきましては基本の考え方といたしましては、団体の活動とは、団体の意思決定に基いて、その実現として役職員、構成員がなす活動というふうに考えているわけであります。で、今お尋ねの点は具体的にいろいろというようなお話でありますが、この基本の考え方に基きましてすべて考えるわけでありまするが、御承知のごとくこの団体と申しましても非常にその組織の内容、結合の方法、形式、強弱の程度というようなものにはさまざまのものがあるわけであります。例えて申しますならば、一般にいわゆる法人と称するもの、或いは法人格のないもの、即ち権利能力のないものであるとか、或いは組合であるとか、そのほかいろいろに社会的に存在しているというような団体であります、かくのごときようなものが、たくさんの団体であるわけであります。先ずそこでそういう団体においてどういうふうにして意思決定が行われるかということが先ず第一の問題に相成るかと思うのであります。そこでそれは先ずこれらの基本になる法律、法人などにおきましては法律、或いはその法人の内部における規約のようなものが、どういうような場合に団体の意思が決定されたかというふうに、先ず第一に基準として判断すべきものかと思うのであります。そこでそういうようなものがあるものは先ずそれを基準にいたし、又中には団体の内部規約その他におきまして明確に、これこれによつて団体の意思が決定されるというふうに、明らかに規定していない場合もあるかと思うのであります。そういうような場合におきましても、事実上団体組織の条理上こういうような場合に団体の意思が決定されるというふうに、当然団体組織の条理上考えられるべきものがあると思うのであります。さようなものの基礎といたしまして、かくかくの機関がかくかくの決定をいたした、それでかようなふうに方針をきめたということになると、これが団体の意思であるというふうに先ず考うべきものと思うのであります。その意思の実現として役職員、構成員が各種の活動をなした、かようなふうなことに関係がある場合に、団体の意思決定に基いてその実現としての活動がある。さような活動がこの第三条に基く暴力主義的破壞活動、或いは第四条、第六条に基きまして、かような具体的な事実、そして条件がある場合に団体の規制が行われるということに相成るわけであります。
○片岡文重君 抽象的な御説明としては私よくそれで十分だろうと思うのですが、例えば執行委員会なら執行委員会というもので決定をするということであるなら、執行委員会で決定された或いは闘争委員会で決定されたというようなことになれば、これは論議の余地がなくて明確だろうと思います。ところがその機関の中で正式に執行委員会としては成立しておらない。そういう場合の事態の収拾として、或いは団体行動を推進せしめる上の便宜の方法として、例えば連絡会議というようなものも持たれる場合がある、例えばですね……、そういう場合にこの連絡会議というものは正規の機関ではないけれども、組合を全部拘束しないのかというとそうでもない。で、じやこの執行委員会とイコールに組合を拘束するのかということになつて来ると、これは規約に定めない機関ですからそうは行かない。従つてそういう場合には組合員の中においてすらいろいろと疑義を生ずるわけです。連絡会議の決定した指令であるから従うとか従わないとかいう問題が起つて来る。その場合にその連絡会議の指令によつて行動がなされる、或いは議論があつてもその行動がなされたということになれば、この団体は全体の、連絡会議の結果によつてなされた行動に対する責任を負わなければならないのかどうか、その責任は個人だけにとどまるのかどうか、これがつまり団体の活動として認められるかどうかということに疑義が生まれて来ると思うのですが、その点についてどうですか。
○政府委員(関之君) お尋ねの問題はさような連絡会議の決定が団体の意思の決定と認められるかどうかという問題に相成るかと思うのであります。そこで只今申上げたごとくに、団体の意思決定があつたというためには、法律の規則があるなら法律による、そうでなければ団体の定めた規約、或いはその団体が当然に認めている条理その他によつて、かようなふうにして決定されたものは団体の意思であるということに相成るわけであります。そこでお尋ねのこの連絡会議の場合でありまするが、お尋ねのごとくこの点は、それがお尋ねのような連絡会議であるといたしまするならば、直ちに以てそれが疑いなく団体の意思決定であるということは断定はできなかろうと思うのであります。従来におけるところの連絡会議のその団体全体における役割とか、そして連絡会議においてやつたものが団体全体に対して覊束力と申しましようか、団体の意思としてこれに従わなければならないとかいうふうに、団体の上から見まして疑いないもの、こういうものでなければやはり団体の意思と言いかねるのではないかと思うのであります。これはその連絡会議の具体的なその団体における方針を決定する機関としての地位、役割、そうして全体として認められるかどうかというような具体的な問題を考察して見なければならない問題であると思うのであります。お尋ねにつきましてはそういう具体的な事情を勘案して見なければ一概には申上げかねると思うのであります。
○片岡文重君 団体の中のいろいろな機関というものは分れてありますけれども、その機関の中で正式に決定されたものについては今の御説明では疑義はない、明確である。ただその規約にも定められないような場合に今問題が起つて来る。これはおつしやる通りであります。そこでこの問題が起つて来た場合に、これが団体の活動なりや否やという判定は一体どこで誰がなさるのですか、その点一つ……。
○政府委員(関之君) 先ず第一段階におきましては、公安調査庁におきまして一応のさような疑いが、団体の活動として暴力主義的破壞活動が行われた、それで更にその団体が継続又は反覆して将来さような活動をなす虞れがあるという四条、六条の条件に当る疑いのある事実がありますると、公安調査庁において一応の調べをするわけであります。そうして長官におきまして各種の証拠上こういう疑いが深い、これを請求するとか……規制の請求をしなければならない、かようなふうに判断いたしますると、これを委員会に諮るわけであります。そこで公安審査委員会におきまして審査のために必要なる調べをして、そうしてこの活動が団体の活動として行われたものであるか否か、そうして活動として行われたことになれば、これこれの規制処置がよろしかろうということになるわけであります。更にそれが団体側において不服がありますならば、その関係を事実関係、法律関係において裁判所において審判を受ける。かような関係になるわけであります。
○片岡文重君 この法案によりますと、大体御説明の筋道を迫ると思うのでありますけれども、団体の正式な指令であるや否やということが、組合自体において、団体自体において問題がある場合は、この団体以外の第三者たる立場にある公安調査庁が、それに対して団体の活動なりや否やの判定を下すということはどうしてできるのですか、その具体的に判定を下し得る一つ筋道といいますか、それを一つ説明して下さい。
○政府委員(関之君) 今お尋ねの点でございますが、団体におきまして、いや、これは自分の団体の、団体としての意思じやない、二、三の者が勝手にきめたことであるというような、そういう御意見が団体でお持ちになることも十分にこれはあろうかと思うのであります。さような場合でありまするが、この法案におきましては先ず第一に規制処分の請求をなす全責任は公安調査庁の長官が負つておるわけであります。長官は全責任を以てその団体の活動が行われたか否かということを認定するわけであります。その認定は申すまでもなくすべて客観的な……、裁判所に持つて行つた場合においても認められる客観的な証拠によつて認めるわけであります。そこでこれは、只今のような団体側の、いや、これは自分の正式な団体の意思決定じやないというような御意見は、公安調査庁の審理官の審理の前に十分に弁解して頂けることになるわけであります。で、公安調査庁長官は団体側のさような御意見を十分に聞き、又あらゆる一切の文書その他の証拠を以て、客観的に判断できる各種の証拠を判断いたしまして、そうしてこれはやはり団体の活動であるか或いは団体の活動でないかということを判断いたすことに相成ろうかと思うのであります。そこで十分に御疑点とされておる、この団体側において、これは自分の団体の活動じやないというその弁解といいましようか、意見は審理官の審理のときに十分に提出して、そこで十分な意見を述べる機会を与えられておるわけであります。そこでそれらを長官として斟酌するとか、一つの有力なる判断の資料として判断して、そうして客観的に団体の活動があつたのだというふうに認められる場合においてのみ請求するということに相成るのであります。
○片岡文重君 それではその場合に、公安調査庁の調査の際に弁明を与えられる代表者はたしか五人であつたと記憶いたしておりますが、この五人の選出は一体どのようにしてなされるのかということであります。組合側に一任されておると思うのでありますが、例えばここに一つの団体がある。例をとつて申しますれば労働組合で、Aという労働組合がある、その中には共産系の諸君もおるでありましようし、反共産系の諸君もおるでありましようし、又これに中間的な幹部もおるでありましよう。こうしてその執行部は形成されておる。そうしてたまたまその定数を欠いた、正規の執行委員会であつたかどうかは多分に疑問の持たれておるような事態で指令が発せられる。そのために或る種の行動が起る。それが規制の対象になつて問題を起して来たという場合に、これに対する公安調査庁の調査に対して組合側からの弁明をなすために送られる代表は五人であるといつた場合に、この組合員、大衆全体、少くとも大多数の組合員が要望する代表が必ずしも送られるとは限らない。そういう場合は代理人としての五人の選出というものは全然組合側に任されておるのか、或いは何らかそこに手が加えられるのか、その点について。
○政府委員(関之君) この十三条の当該団体の役職員、構成員及び代理人の五人でありまするが、これのどういう人をここの五人にするかということは、これは全部組合側に任されておるわけでありまして、調査庁のほうにおきましては何らの意見を申上げないということに相成つておるわけであります。なおお尋ねのような団体の中において各種のいろいろな派が分れてのいろいろな問題が勿論あろうかと思うのであります。それで十三条におきましては、そういうものもそこで十分に五人の中で現わして頂いて、そして十分にお話を聞く、そうして又さようなことで十分できなければ、調査庁におきましては更に調査官をして飽くまで実体がどうなつておるかという点について慎重な調べをいたしまして決定をすることに相成る、かようなふうに思うのであります。
○片岡文重君 それからもう一つ、この第一条の法文を見ますと、「公共の安全の確保に寄与することを目的とする。」となつておりまして、この場合警察法とこの破防法との関連性、これについてちよつと横道に入るようですけれども、これは忘れてしまうといけないから伺つておきます。質問の趣旨わかりませんか。
○政府委員(関之君) どういう……。
○片岡文重君 警察法を拝見すると、この警察法では「公安の維持に当ることを以てその責務とする。」ということになつております。つまり公共の安全秩序維持のために当ることは、この警察法の使命であると考えるのですけれども、この破防法の表現を以てすれば「安全の確保に寄与することを目的とする。」というふうに述べられておる。これが警察法とこの破防法と一体どういうふうな関係を以てこれから活動するのであるか。
○政府委員(佐藤達夫君) この法案の建前は先ほども触れましたように、この刑罰関係の補整ということ、これが一つでありますが、これは、このほうは普通の刑事手続と同じでございますからして、その関係において司法警察の職員が働く場面が出て来る。それからもう一つの面における規制処分と申しますこのほうは、刑罰関係ではなしに、行政上の処置でございますからして、それに必要な手足というものが問題になつて来る。その場合において、この法律では今の調査庁を設けまして、調査官がそのほうの責任者として活動する。但し警察官の援助を受ける場合があり、或いは連絡をいたしまして協力を受けることがあるということでございまして、直接にこの警察法そのものとこれとの関連というものはまあ必然的の関連はないというふうに考えておるわけであります。
○片岡文重君 どうも時間が余りないので大変残念ですが、次に進みます。この第二条の規制の基準を見ますると、これも又しばしば問題になつたようでありますけれども、この第二条によつて、この破防法が持つところの、危険な内容を持つておるという実質を遺憾なく表明しておると思うのでありますけれども、この第二条に与えられた規制と申しますか、特に第二項の正当な活動を制限したり或いはこれに介入することがあつてはならないということに対する違反したときの罰則を設けてないという理由についてはしばしば説明があつたと思いますけれども、もう一度それを設けない理由、それから若し違反した場合にはどうするかということをもう一遍はつきりとお聞かせ頂きたいと思います。
○政府委員(関之君) 御承知のごとく今日におきましては、一般公務員の職権を濫用して国民の権利を侵害したというような場合におきましては刑法の百九十三条以下にその規定があるのであります。これ以外には現在のところは公務員の職権を濫用した場合についての規定はないわけであります。そこでこの公安調査官はどういうような権限を持つておるか、そうしてこの百九十三条の規定でありまするが、これは一般公務員の職権の濫用でありまして、そうして百九十四条、百九十五条、百九十六条になりますると、これは裁判、検察とか或いは警察の職務を行うようなそういう相当強い程度の強制権を持つたものに関する特別的な規定であるわけであります。かような二つの一般の公務員の職権の濫用の規定と、そうして特別な公務員の一警察等の特別な公務員についての職権濫用罪、こういうふうな二つの規定があるのでありまして、さてそれらの系列の中に公安調査官を並べて見まして、どういう措置をとるのが法律体系としてよろしいかということがこの問題に対する私どもの考え方であつたのであります。御承知のごとく公安調査官はこの法案の中におきまして、全く行政調査権を持つていないのであります。すべて調査は任意の方向でやりまして、裁判官の令状をもらうことはもとより、その規定はありませんし、いわゆる間接強制、御出頭を願つて、それが来なかつた場合には処罰するというような行政上のいわゆる間接強制の権限も持つていないのであります。すべてもう任意で、相手がたが御承諾頂ければいいし、御承諾頂けなければもうそこまでが限界で、それ以上の調べがつかないということになつておるわけであります。そこでこの公務員の中には、一般的に行政上の間接強制を持つておるのは、これはおおむね各種の行政上の若干の調べをするとかいうような部分はすべてさような権限を持つておる。更に進んでは例えば経済事務官であるとか或いは労働基準監督官であるとか、相当強い権限を持つているのでありまするが、これらはやはり刑法百九十三条の一般公務員の職権の濫用罪だけが適用になつているわけであります。そこで私どもが見ましても、かように間接強制の権限さえない、全くの任意の調査しかできない公安調査官は、やはり今日の法律体制からいたしますと、犯罪といたしますれば百九十三条だけで賄うのが、一応全体の国家の他の公務員との場合と比較検討いたしましてやはりそれが相当ではないかというふうに考えて、この程度にいたしたのであります。
 それで次に然らば犯罪にはならん……、犯罪になりますれば、勿論百九十三条によりましてこれは起訴処分をされるわけでありまするが、犯罪にならない程度の不当な行為をいたした場合にどうなるか。これは勿論行政上の監督権によりまして懲戒をなし、又懲戒処分を行い、懲戒処分程度にならないものにつきましてもそれ相当の訓戒とかいろいろな処置をいたしたいと思つておるのであります。特になお職員の規律の厳重な監督等につきましては、私どもとしましては、この法案の持つ重要性に鑑みまして、特別なる監察の機関を設け、そして厳重なる監督をいたしまして、末端機関が過ちなくこの法案の運用をするようなふうに厳重なる監督をいたしたい、かように考えておる次第であります。
○片岡文重君 これは抽象的な御説明だけしかして頂けないと最初から考えておりましたが、厳重な監督を行う、厳重な指導を行う、これは当然なことでありまして、又そう事実なさることと存じます。併しながら例えばこの場合、「その他の団体の正当な活動を制限し、」ということを謳つておりますけれども、この正当な活動なりや否やということの判定は、今日の労働闘争等を見ましてもしばしば問題になつております。これが正常なる争議行為なりや否やということがしばしば問題になつておるのであります。殊にこの破防法反対のために行われるという労働組合側の実力行使、これが而もそれは夏季手当その他の賃金要求が主たる目的である。それに政府に対しては破防法反対の抗議を含めるというような事態が起つた場合に、これが果して正当なる組合の争議行為なりや否やということについては多分に見解が分れておるようであります。このように実際面に当つての正当なりや否やの判断というものは極めて困難であろうと考える。而も一方この困難な事態にあるにかかわらず、これを調査し或いはこれを摘発し、審理するというかたたちの学識経検算については、先般来伊藤委員からも御質問があつたようでありますが、その御答弁を伺つておりまして、私どもは現に今日行いつつある労働組合運動に対する容喙と申しますか、立入り、或いは学校事件等を目のあたり見ておりまして、この正当なる活動に対する判断というものは極めてむずかしいものだ。是非は別として、公平な立場から見て極めてむずかしいものだ。従つて善意による職権濫用もなされないとは限らない、こういう場合に一体誰がその正当な活動であるかどうか、つまりこの職権濫用であるかどうかは公安調査庁でなさるとしても、この組合の運動が正当な活動であるか否かの判断、先ずこれを誰がするのか、そこから一つお伺いしたいと思う。
○政府委員(関之君) この第二条の第二項の規定でありまするが、お尋ねのごとく、今日の労働運動におきまして、労働組合法上におきましても、何が正当な活動であるか、或いはこれが正当な活動ではないというようなそのけじめは極めて困難な問題であると私ども考えているわけであります。そこでこの誰がその正当な活動と判断するかどうかというお尋ねでありまするが、これはこの公安の調査の事務は公安調査官がいたすわけでありまして、さような判断はやはり公安調査官が責任を持つていたすということにこれは相成るわけであります。併し第二条のここに特段なるかような規定もあるのでありまするからして、特にかような団体の正当な活動というようなことにつきましては、単に一人の調査官につきましても、十分に過ちなきように各種の場合、特に組合運動につきましての従来の判例その他もよく示し、又その一人だけでなくて、全体としての地方における公安調査官、或いは地方における公安調査局或いは本庁などにおきましても、十分にこれらの点についてあらゆる一切の法律的検討を加えて、そうしてかようなことの判断を明確にして、十分なる過ちなきように運用をして行きたい、かように考えている次第であります。
○片岡文重君 どうも抽象的なお答えだけで、実際問題に入つて行く場合に、私どもとしては極めて危惧の念に堪えないのですけれども、正当な活動に対する判断がなされない、或いは公安調査庁まで行く間に正当な活動の判断がなされないということは、少くとも公安調査庁において適切な断が下されるまでは、その調査に実際当つておる公安調査官の判断に基いて調査或いはその他の行動がとられるわけだ。従つて公安調査庁に行くまでの間に、すでにこの団体は権力を持つ者の一方的な判断に基いての行動が行われ、それによる被害が当然あると考えられるのですが、こういう場合に対して、然らばどういうふうにそれを防ぐことができるか、若し防ぐことができないとすれば、どういうようにしてこれを救済するか、或いは保障を与えるか、そういう点について……。
○政府委員(関之君) この第二条の二項の点でありまするが、この「その他の団体の正当な活動」ということは、従来のお尋ねにもありまして、そのお答えとして、要するにこれは法令の下における正当なる活動というふうにお答えいたして来た次第であります。ところでこの第二項は、本来これはもう書いてなくても勿論当然なことでありまして、それを特に意味を強める意味におきましてかようなここに掲げてある次第であります。ところでこの法案におきましては、要するに第四条と第六条の規制措置をする、その必要上の証拠資料の収集ということに相成るわけでありまして、団体の活動として暴力主義的破壞活動を行なつた団体に対して、当該団体が継続又は反覆して将来又同様の行動をする、そういう事実が団体にない限りは、それに対して調べをするということは正当付けられないわけであります。そこでお尋ねの点でありまするが、さようなことと、そしてこの公安調査官は全く任意の調査でありまして、相手方におかれましては自由に、若しそういうことを調べたときに、いや、そういうことは私どものほうでは答弁の限りではないとしてお断りを受けるならば、全然それよりも一歩も中に踏み込めないわけであります。実は公安調査官にかような強制調査権を与えず、全く任意にいたしたのはさような点を考えてのことでありまして、さようにいたしまして二十六条も任意の調査でありまするからして、すべてにおいて御心配のようなえらい権利まで持つて来る、侵害までになるというようなことは、調査の段階においてはないではないかというふうに只今考えている次第であります。そこでさような場合にはすべてその団体におきまして断わつて頂く、そういうことになりますれば、おのずからそこに団体側において御迷惑するような点も少なかろうかと、かように考えておる次第であります。
○片岡文重君 全然今までトラブルを起しておらないような団体に対しては、仮に百歩譲つてあなたの御意見が正しいとしても、例えば第四条の規制にかかつて、一旦六カ月なら六カ月の規制を受けている、或いは受けたことのある団体等に対しては、当然この第六条の問題が浮び上つて来るわけです。少くとも公安調査庁においては終始その職掌柄この団体に対しては、監視と言つては語弊があるかも知れませんが、注意は怠らないはずです。その場合に遠目に眺めているだけではその真相はつかめないのですから、当然この公安調査庁はその担当の係官を派してその団体の、中止されている団体の行動、機関の動き等に対して深甚なる注意を払うであろうことは容易に私は想像できると思うのでございます。現に今日そういう危険の全然ない、公労法による労働組合、或いは極めて建設的であると評価されている労働組合等の大会、中央委員会においても、しばしば実際に私どもは見聞きいたしている事例からいたしましても、この第六条の一歩手前にあるというような団体に対する公安調査庁の注意ということは極めて熾烈に行われると思います。その場合、特に争議直前或いは争議中におけるところの労働団体の機関の行動というものは極めて祕匿を要する場合があると思う。そういう場合にかかわらず、これが調査庁の係官が入つて来られて、これを今のあなたの御説明では、拒否してよろしいというふうなお話でてありましたが、それでなくてさえ組合側としては一方的な取扱いを受けることがしばしば多いのであります。従つて所轄警察或いは特審局等の首脳部の方々についてはそういうことはないでしようけれども、現場に直接に接触しておられる諸君の感情を故意に害するといつた場合におきましてはこの団体の行動に極めて不利であります。従つて成るべくそういうことのないように組合としては注意をして行動をいたしております。特にそれが建設的な、いわゆる穏健だといわれている組合等においてはそういう傾向が多分にある。そういう事例を勘案して参りますると、この正当な活動なりや否やの判定がなされる前に、すでに一方的にこの公安調査庁の係官のみの認定によるところの行動が行われる危険は十分あり得ると考えられる。そういう場合にもなお且つ拒否することができるかどうか。あなたのおつしやるように、お前は今入つてはいけないということが、この第四条の規制を受け或いは受けたことのある団体等を対象として考えた場合にも、なお且つあなたのおつしやるように、あなたは保証することができるか、そういうことは拒否して差支えないということができるかどうか、一つ特に法的に……。
○政府委員(関之君) お尋ねの点は拒否して頂いて結構であります。又拒否することができるわけであります。公安調査官は前にも御説明申上げましたごとくに全くの任意上の調査でありまして、相手方がこれに応じない、或いは拒否すれば、もうその点からは出られないというのが法律の建前であるわけであります。その拒否にもかかわらず無理に中へ入つて行くということになりますれば、或いは職権濫用とかいろいろな犯罪の成立が考えられるわけでございます。もう相手方が応じない場合公安調査官はそこから進むことができないというラインであります。ですからお尋ねのような点において、その場合に拒否ができないというような御心配は全然ないと思うのであります。
○片岡文重君 それでは第三条のリの号において「検察若しくは警察の職務を行い、」云々ということが述べられております。この場合にこれは凶器又は毒劇物を携えて多衆共同してなす刑法九十五条の行為であるというふうにあつて、この「検察若しくは警察の職務を行い、」云々というこの行為に対して拒否することは、行動若しくは態度だけを以てするのではなしに、凶器又は毒劇物を携えて多衆共用してというこの条件があつて初めて成立するものと考えられますが、若しこの場合に凶器云々という条件を揃える特殊な条件がなければ満足せないでありましよう。満足しない状態においてその公安調査官の調査が行なわれようとする場合に、多勢の力で、とにかく一人じやどうも工合が悪いということで、執行部なら執行部全員がここに入つては困りますということで拒否する、入つて来ることを拒否する。或いはその場合に多少何らか感情的になつておつてトラブルが起つたというような場合には、この凶器とか毒劇物とかいうような問題は、例えば場合によればライターが凶器になる場合もあるでありましようし、いたずらに持つておつた小石が凶器になる場合もあるでありましよう。そういう事態が起つて来た場合に、なお且つこの公安調査庁の調査の介入を拒否することができるかどうか、又した場合に一体どういうことになるのか、その点を一つ、
○政府委員(関之君) これは大変講釈めいたことになつて恐縮でありますが、リの刑法第九十五条の罪は、公務の執行を妨害したり又は職務強要するということに相成るわけであります。そこで今お尋ねの調査官が組合の玄関なら玄関に参りまして、ここまで入つたところが、いや、入つてもらつちや困る、それを強いて入ろうと思うと、公安調査官の正当な公務の執行にはならないのであります。そこで出て行つてくれというようなことは当然これは言えるわけでありまして、公安調査官が強いてその言葉を排して、なお且つやろうとすれば住居侵入の問題がそこに生じて来るのであります。さように公安調査官の調査権というものはこの法案では弱く規定しているのでありますからして、いろいろの場合今私が申上げましたような趣意に副つて御考察を願いたいと思うのであります。
○片岡文重君 全くこれはくどくて恐縮ですけれども、私はこの点はにがい経験を持つておりますから特にお尋ねをしておきます。然らば組合員の諸君が気付かない前にもうすでに入つておつた。そうして執行委員会或いは闘争委員会等の決定をメモしておつたというような場合にこれは許可なくして入つて来ているんですが、そういう場合にはどういうことになりますか。
○政府委員(関之君) 公衆が平然と多数の入り得る所へ入るのは、これは勿論調査官も自由と思うのでありますが、特定の住宅などに、何らそこの管理権者の許可なくして入るということはこれは違法であります。これは法律上から申しますと、或る場合によつては住居侵入が成立するかと思います。それでさような場合に入つたらば、さような疑いのあることを何かしておりますならば、出て行つてくれといつて外へ連れ出すくらいのことは結構であります。勿論何らの犯罪にならないと思うのであります。当然組合としては外へ出すことは当然できるものという、ふうに考えているわけであります。
○片岡文重君 その調査官が入つて来ておつたことを気付いた、で速かに外へ出て行つてもらうことはできる。而も入つて来た場所というのは、特に執行委員会とか闘争委員会等であればまさか青空の下で開くことはありませんので、一定の建物の中で当然なされますから、住居侵入は成立つということです。ではその場合にいわゆる正当なと申しますか、労働組合の正常な行為が行われつつあつた場合にはそれで済むでありましよう。然らば更に一歩進んで、この法案が想定しているごとくに一つの危険な相談をしておつた場合、又それが多分に感知される場合、この情勢ではどうにもならない、一つの変電所を襲撃しなければならない、或いは放送局を襲撃しよう、こういうような問題がまさに討議されている、而もこれが明らかに討議されているということが何らか他の方法で感知できるような場合に、なお且つそれは入つていけないのかどうか、そういう場合には又その特例があるのかどうか、その点を一つ。
○政府委員(関之君) お尋ねのようにこの或いは謀議と申しますか、何かの会合、或いは刑法或いはこの法案におきまする予備、陰謀というような三十七条以下に規定してある犯罪が、そこにあるかどうかという問題になるわけであります。犯罪になりますと、これは刑事訴訟法上で申します現行犯に相成るわけであります。現行犯に相成りますと、何人でも逮捕できるということになつて来るわけであります。それですから犯罪がそこに行われていなければ、如何なるそこに活動がありましようと、或いは若干の組合の行過ぎ的な行動がありましたといたしましても、そういうものがない限りは公安調査官は絶対に入れないのであります。ただそこに犯罪が屋内に行われているというようなことに相成りますると、現行犯の問題がそこに出て参りまして、刑事訴訟法の今度は線に乗つかつて、何人でも現行犯人は逮捕できるというような条文が刑事訴訟法の条件に従つて動いて来ることに相成る次第であります。
○片岡文重君 それでは公安調査庁といえども、その公安調査庁の係官といえども、明らかにそういう事態が感知された場合には入つて行つて調査して差支えないという結論になると思いますが、その点よろしいですか。
○政府委員(関之君) 先ほど現行犯の場合は刑訴の条件に従つてと申上げたのでありまして、仮に屋内に起きた場合、係官がすぐ入れるかどうかということにつきましては、刑訴を調べましてあとで正確なところをお答えいたします。
○片岡文重君 それでは御答弁は後ほど伺うことにいたしまして、この正当な活動ではなかつたと仮に判断をされた、公安調査庁において判断をされ、公安審査委員会においてそれが決定付けられた場合に、この係官は、正当なる活動ではないと判断をして、そして従つてそういう調査が行われた。而もこれは組合員がこれを拒否することなしに行われた。で、組合のほうでは、これは正当な活動であつたということで争いとなつて、審査委員会においてはこれは正当な活動であつたということになつた場合に、その間においてたまたま、勿論これは公務員法の命ずるところに従つて公安調査官といえどもこの祕密を守る義務は当然あると存じますが、併しながら職掌柄、これは今こういう戦術を行なつている、争議行為としてこういう戦術を相談しておつたということをその中に入つて聴取した、聞くことができた。而もこれがそれに対して組合側は何ら侵入することを拒否しなかつた。不用意のうちにメモされてしまつた。而もそのメモされたことが外に漏れて、企業家との間の争議が非常に不利になつたというような実害はないとは言えないと思うのです。例として考えましてもあり得ることだと考える。で、そういうような場合に、正当な活動であつたと認定された場合は、どういうふうにして国家はその団体の損害を補償するのか、或いは又それをどういうふうにして救済するのか、そういう点について一つ……。
○政府委員(関之君) 第二条の第二項でありまするが、第二項がここに「その他の団体の正当な活動を制限し、」というふうに書いてありまして、これと調査との関係におきまして御疑念をお持ちになるのも御尤もと思うのであります。併しこの第二項といたしましては、これはもう当然いたさなければならない、およそ正当な労働組合の活動を制限したり、まあこれに介入しちやいかんのだということをはつきりする意味においてここに記載いたした次第でございます。然らば仮に正当でない活動なら全部制限したり介入したりしてよろしいというようなことには相成らんのでございまして、これは今申しましたように、およそもう調査官は職権を濫用して組合その他の団体の正当な活動を制限したり又はこれに介入しちやいかんということを厳にここに規定いたした次第であります。調査官といたしましては、然らば正当なる活動でなかつたら制限してよいとか、或いは介入してもよいとかいうことにならないのでありまして、すべて条件といたしましては、第四条のかような暴力正義的破壞活動を行なつた団体、さような団体が継続又は反覆して将来かような活動をする、こういう疑いがある場合には調査を開始するわけであります。ですからそういう条件がある場合に開始するわけでありまして、組合の正当でない活動ならば全部これを制限したり、或いはこれに介入していいということにはならないのでありまして、そこに隔りがあるわけでございます、ですからその点はこの二条からお尋ねのようなお疑いが出て来ると思うのであります。二条の二項はそういう趣旨ではつきり書いたものでありまして、すべて調査官の活動というのは四条乃至六条、団体規制の必要のための証拠書類の収集という範囲に、その合理的な範囲に限定されて行わなければならないわけであります。
○片岡文重君 御説明の趣旨はわかりますが、結局この正当な活動を制限をする危険がないということは言えませんでしようね。これは当然正当な活動を制限する危険が十分に考えられる。更にこの第二条の第一項を以てするならば、「思想、信教、集会、結社、表現及び学問の自由並びに勤労者の団結し……」云々という憲法で保障されたところの不動の基本権というものがややもすると侵害されるかもしれないということが考えられるからこそこういう条文が載せられたものであり、従つて又この第二項においてもそういう一項の考えの上に立つて作られた法律であるから、その趣旨を体して、その調査に当つて、或いは規制のためにはこれを濫用したり、或いは正当な活動を制限しちやいけないということが必然的に生れて来るというふうに私は考えるのですが、で、従つてその虞れある事態についてはこの際篤と究明しておかなければならん、まあこう考えるわけです。そこでこの正当な活動を制限する危険がないかというと、今私設、例して申上げました通り、これは明らかに正当な組合活動を制限するものです。現に被害が起るということは、他日起らせないような方法を講じなければならない、被害が起らないような方法を講じなければならんのですから、少くともその戦術だけでもそれは制限をするものであるし、なお一つの例として今申上げたのですけれども、深く考えるならばいろいろとそういう類似の例は出て来ると思う。そういう場合に一体どうしてこれを救済するのかということであります。どうしてこれを補償するのかということです。
○委員長(小野義夫君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
○委員長(小野義夫君) 速記を始めて。それではこれで休憩いたします。午後は一時半から開会いたします。
   午後零時二十一分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時二分開会
○委員長(小野義夫君) 只今より法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引続き三法案につきまして片岡君に質疑を願いますが、その前に先ほど保留された問題について答弁を願います。
○政府委員(関之君) 片岡先生の先ほどの御質問の中で留保した部分につきましてお答えいたしたいと思います。
 先ず第一のお尋ねは、屋内において現行犯が行われた場合に公安調査官がそこへ入つて逮捕ができるかどうか。
 これは刑事訴訟法上の問題でありまして、調べますと、結局刑法の正当防衛又は緊急避難、かような場合に当る以外は公安調査官は他人の屋内に入つて現行犯の逮捕はできないということに相成るのであります。
 次は、調査官が調査上知り得た労働組合の争議の戦術その他正当な活動の祕密を他に漏らしまして、そうして組合側に不利益を与えた、かような場合にどういう救済方法があるかというお尋ねであります。この点につきましては、一つは刑事上の問題とそうして民事上の問題と、二つあるわけであります。先ず刑事上におきましては、その祕密が調査官が適法な職務の執行上知つたものでありますならば、これを他に故なく漏らしますと、公務員法第百条第一項、第百九条の職務上知り得た祕密を他に漏らしたということに相成りまして、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処せられることになつているわけであります。
 次は民事上の問題であるわけであります。この点につきましては国家賠償法又は民法七百十五条との解釈においていろいろ説が分れておりまするが、一応次のように考えられるのではないかというふうに思うのであります。それは民事上はその調査官の職務の遂行は、国家賠償法第一条にいう「公権力の行使」というには当らない。それは全くの任意の調査であつて、相手に強制するような強い権限でないから、公権力の行使というには当らない。従つて国家賠償法上の問題には当らないけれども、民法七百十五条の使用者の責任、この場合の使用者は国家に当りますが、この民法第七百七五条の条件に該当いたしますならば、その法条によりまして組合側は国家に対して賠償の請求ができる、かようなふうになると考えるのであります。
○片岡文重君 そういたしますと、公安調査庁の係官が行なつた調査、或いはそれに類する行為のために団体が不当な被害といいますか、損害をこうむつた場合には、その係官が枠を逸脱したものだという場合には刑事上の処分を受ける。これは組合側にとつてはまあ極端な言葉で言えば関係のない話であつて、その公務員の規制のために行われる当然の処分であると、こう考えられるわけでありますが、問題はその団体がこうむつた損害を如何にして救済するかというところに私の質問をする趣旨があるわけであります。その救済する方法としては民法第何条でしたか、結局賠償責任を国家が負うのである、その賠償責任を負うという理由は、使用者としての立場から負うのであるというふうに伺つたのですが、それでよろしいですか。
○政府委員(関之君) さようでございます。
○片岡文重君 そういたしますと、その調査庁の係官が行なつた行為というものはやはり公務員として行なつた行為である、従つて与えられた権限内の事項を係官が行なつて、そのために組合が不当の損害をこうむつたという場合には、当然国家がその損害の賠償の責任を負うべきであると、こうお答えを頂いたと思うのであります。併しながら私が心配して御質問申上げている場合というのは、どう言いますか、まあ公安調査庁の係官が私の責任において行なつたとでも申しますか、少くとも権限のない行為、即ち与えられた権限を逸脱して行なつて、そのために損害を与えたのですから、これはたとえ損害賠償の責任を組合側は要求しても、公務執行以外の事故として、国家はその賠償責任を回避することができるのではないか、このようにも考えられますが、その点如何ですか。
○政府委員(関之君) 結局民法第七百十五条の問題に相成ると思うのでありまするが、これによりますると、「或事業ノ為メニ他人ヲ使用スル者ハ被用者カ其事業ノ執行ニ付キ第三者ニ加ヘタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス但使用者カ被用者ノ選任及ヒ其事業ノ監督ニ付キ相当ノ注意ヲ為シタルトキ又ハ相当ノ注意ヲ為スモ損害カ生スヘカリシトキハ此限ニ在ラス」、こういうふうに書いてあります。結局調査官の場合にはこの七百十五条の条件に従つて行われるということに相成ると思うのであります。若しこれでいけなければ、結局民法七百九条のその当該の個人に対して責任が行く、こういうことに最後の段階はなると思うわけであります。
○片岡文重君 そうなつて来るといよいよ以て事は重大だと思うのですが、少くとも公安調査庁の係官がどの程度の処遇を受け、どの程度の俸給が与えられておるかわかりませんが、少くとも団体がこうむつた被害というものは相当大きな額に上るものと、例えば経済的に換算をして行けば相当多額に上るものと考えられまするが、それが若し七百十五条ではその範疇に入らないということになつて、七百九条の不法行為による損害賠償だということになつて来ると、とてもこれは賠償の責任は私負い得ないと思う。任じ得ないと思う。ということになると、この団体はその損害を提訴したり或いは法的な手続をとることはできるでしようけれども、手続をとつたにとどまつて、実質的に損害を救済してもらうことはでき得ないということになるのではなかろうかと思いますが、その点どうでしようか。
○政府委員(関之君) 現在の国家の公務員がその職務を執行するに当りまして、他人に故意又は過失によつて損害を加えたという場合に、その救済の方法の手続としましては、今申上げましたように国家賠償法、そうして民法第七百十五条で行つて、どうしてもそれらに当らないものは個人に対する賠償責任と、こういうことになつておるわけであります。これは国家全体の制度、がさようなわけに相成つているのでありまして、本法におきましてもその制度の下においてそれぞれの賠償の方法を考えるという以外には方法はないものと考えでおるのであります。
○片岡文重君 そういうことになりますと、結論的には救済の方法はないということに窺われるのですけれども、この法案の中にはそういう規定はなく、そのほかにもそういう場合にはなくなつて来る、こういうことになるわけですが、この法案にはないけれども、他の法律においてそういう場合があろう、こういうことなんですか、その点はつきりして下さい。
○政府委員(吉河光貞君) 御質問のような場合は検事並びに司法警察官が犯罪を捜査する場合にも起り得ることだろうと考えております。ただ関政府委員からお答えした通り、日本におきましては国家賠償法という特別な法律が制定せられてあるわけであります。更にそれで賄えない場合には民法七百十五条の規定によつて国家が賠償責任に任ずる、この条件に合わない場合に民事上の損害賠償の請求が国家に対してなし得るわけであります。いよいよその七百十五条の適用がない場合にはこれは個人に請求する。で賠償の問題は三段構えになるわけでありますが、これが一般に現在日本の国家としてとつている制度と、かように申上げた次第であります。
○片岡文重君 いや、先ほど調査能力があるかないかという御質問をいたしました際には、現行犯であつても調査することができないということの御答弁だつたと窺えたのです。従つて司法警察官かその中に捜査又は検挙等で立入る場合にはそれは正当なる法的裏付けを持つて、即ち権利を持つて、権限を持つてその職務を執行するわけです。従つてお尋ねしておるような事態は余り起らないと思う。そういう場合にそれが若し不当にその団体が権利を侵害され、損害をこうむつた場合には、これは国家補償法等で賠償されるでしようけれども、今の場合は、公安調査庁の係官はそういう場合には捜査権……、とにかく立入ることすらできない建前になつておつて、そうして入つておつた。而もこれは善意でやつておる、故意過失ではない。その係官はこれは当然自分の職責であると考えてその組合の機関内に立入つてメモして帰つて来ておる、こういう事態があるのです。ですから今の特審局長ですかのお答えとはちよつと違うと思う。権利のない者が行なつた事態ですから、その点を一つ区別してお答えをして頂きたい。
○政府委員(関之君) お尋ねの点につきましてでありまするが、公安調査庁の調査官もこの法律の二十六条以下の規定に基きまして、相手方の意思を排除してまで行うというそういう強制権はないのでありまするが、一応団体規制の証拠資料を収集するという意味におきまして任意的な調査権があるわけであります。任意的な調査権があつて、それはやはり公務の執行ということになるわけであります。そこで公務執行上特定の事件などを限定して、そうして調べて、そうしてそれに関連して調べている間に組合側の運動方針その他祕密なところを知つた。そういう場合にそれを他に漏したというような場合になつて来ますと、只今申上げたような国家賠償法、又は国家賠償法の問題ではありません、民法七百十五条の問題が生じて、組合側ではその規定によつてこれらの請求ができる、こういうことになるわけであります。
○片岡文重君 そうしますと任意調査権を持つておるから、拒否されるまでは入つておつて調査されて差支えないという結論が一つ出て来るわけですか、その点はそれでよろしうございますか。
○政府委員(関之君) 特定の管理者のある屋内に入るには承諾を要するわけであります。承諾を得て中に入りましてお話を伺つておる、そうして出てくれと言われれば出ざるを得ない、それまでは相手の管理者の承諾の下にそこの任意の調査をするということに相成るのであります。
○片岡文重君 この問題の一番先御質問申上げたときも、私が設例として申上げましたのは、許可を得て入つて来たのではないという前提なのです。現在多く見られる実例は、やはり一々に入室或いは家に入る許可を得ておりません。大体いつの間にやら入つて来ておる、そうしてその組合の動きをメモしておるというのが特審局その他の実際であります。従つて特審局か或いは警察官か区分はよくわかりませんが、とにかくそういう実態に置かれている。従つて今後こういう法案ができ、法律が施行されて、こういうお役所ができて来ると、こういう法律に裏付けされたところの行動は当然行われて来るのであるし、職務に忠実な諸君は、善意の行動で組合の情勢をつぶさに知つておこうということは当然考えられることであるし、その結果としていろいろの団体の行動を知るためにその機関の会議等にはでき得る限り入つて来るということが考えられる。そういう場合にそのこうむつた組合の損害はどうするかということをお尋ねしたわけであります。従つて無断で侵入された場合か私は問題になると思う。勿論許しを得て入つて来ても、これ以上いられては困るというときにはもうすでに大体メモされておる、それが多くあるわけです。夢中になつて連日討議をやつておる、部外者が入つて来たことに気が付かずにやつておつたということがあり得るわけです。そういう場合の損害補償ですから、必ずしもこの有責の場合のみとは言い得ない、つまり無条件で国家がその責に任じ得るとは言い得ないと思う。といつてもこの七百十五条の条件に無条件に入るとも考えられないのだが、その点についてはつきりした御回答を頂きたい。
○政府委員(関之君) その屋内に入るけれども、調査官が管理者のある屋内に入る場合につきましての法理的な問題につきましては、先ほどお答えいたしたごとく、特定の管理者があつて、入るにはその者の許可を受けなければいけないというような、承諾を要するというような場合におきましては、無断に入れば、調査官は住居侵入罪が成立するわけであります。中に無断で入つた、そこで住居を無断に侵したという犯罪中にたまたま祕密を知つた。その場合のその祕密を外に漏した、この場合が七百十五条に当るかどうかというお尋ねの趣旨だと思うのでありますが、これもこの七百十五条の解釈としては或いは異説があるかと思います。大体私どもとしましては、やはりそれは調査官が特定なる或る一つの事件について証拠資料を収集するという、その執行についてのものである。やはりその場合でも承諾を得て入つて知つた祕密を他に漏らした場合と同じように七百十五条によつて行けるものである、かようなふうに七百十五条については考えられるものと思つておるのであります。
   〔委員長退席、理事一松定吉君委員長席に着く〕
○片岡文重君 この七百十五条の規定を見ますると、これは「被用者カ其事業ノ執行ニ付き第三者ニ加ヘタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス」とあつて、その事業の執行についての問題なんであつて、従つて事業の執行し得る権限を持つて行われた行為というものが前提になると思います。ところが今の場合は、そういう行為をする権限を持たないものですね。つまり権限を持たない者の行為が前提になつておる、それに対して七百十五条が適用できるかどうか。特に先ほど来の繰返して御説明を伺つておれば、明らかにこの七百十五条の但書に相当する事柄は当局によつてなされるものと判断せざるを得ない。つまり「使用者カ被用者ノ選任及ヒ其事業ノ監督ニ付キ相当ノ注意ヲ為シタルトキ又ハ相当ノ注意ヲ為スモ損害カ生スヘカリシトキハ」と、こう書いてあります。この但書の前段です。これは当然政府としてはなされるということは繰返し説明されております。従つてそういう点を以てしても、又この七百十五条の第一項は明文ではないが、明らかにその事業に携わり事業を遂行する権限を持つた者の所為、行為だと考えられる。然るに今の場合は、これは調査官は権限を持たないで組合の中に入つて来たという場合ですから、無条件でこの七百十五条が通用されるとは考えられない。この場合どういうことになりますか。
○政府委員(関之君) 公安調査官は一般的に任意の方法ではありまするが、団体規制のための各種の証拠資料を収集するという権限が法律上あるわけであります。従いましてお尋ねの、承諾を得なければ特定の人の特定の建物に入ることができないということは、これはそういう制限されてはおりまするが、その前に、全般として団体規制のための必要な調査をすることができる。そうして従つて証拠資料の収集ができるということに相成るのでありまして、この「執行ニ付キ」というのは、そういう公安調査官が団体規制のための必要な証拠資料の収集とか調査とか、そういうことにつきということに相成りまして、家に承諾がなければ入つてはならないのだ。こつそり入つたというような場合も、やはり七百十五条の解釈としましては、ここにその場合が当るのであると思うのであります。
 次に後段のほうでありますが、これは前回も法制長官からお答えしたことく、今日の法律の建前が故意、過失ということを原則としておりまして、かような条件に該当する場合に国家において責任があるというようなことを、法律全体の建前としてかように相成つておるわけでありまして、かような法律の条件に該当するや否やをきめて、そうしてそれで手を尽して行つてみる、かようなふうに制度がなつているので、この方法によるよりほか方法がないものと考えるのであります。
○片岡文重君 そういうことになりますると、結論としてはこの正当な活動に対する判断若しくは認識を公安調査庁の係員が誤つて、組合の或いはその他の団体の活動に不当な危害を与えたというような場合には、今日のところ国家としてはこれを救済する方法はないということに結論付けられると思いますが、それでよろしうございますか。
○政府委員(関之君) この七百十五条によりまして、故意のほかに過失、過失による場合、七百十五条によつて団体側では賠償請求するか否かの措置をとるということに相成るかと思うのであります……。
○片岡文重君 故意でも過失でもないのです。私の言つておるのは、故意とか過失とかいう判定はどういうところからどういう機関でなされるか知りませんが、少くとも公安調査庁の係員が任意調査権に基いて入つて行つておるのですから、これは拒否されるまでは入つて行つてもよろしいのだというお答えがあつたはずです。出て行つて下さいと言われるまでは入つて行つて任意調査をしても差支えないということは先ほど御答弁があつたようですが、その点をはつきりして下さい。
○政府委員(関之君) 家に特定の管理者がおりまして、そうして一般としてはそこへ入るのはその人の承諾を要するというような場合、家がここにあるわけです。それに対しましては公安調査官は勝手に入るということはできないのであります。勝手に入りますれば住居侵入罪になります。そこで入つて、承諾を得て、よろしいですか、お入りなさいと言われて入つて、いろいろなことをお話を聞いて、出てくれと言われればそのままで出て来なければならない。こういうふうになるわけです。
○片岡文重君 そうしますと一応今日はの挨拶をして入つた。傍聴者の中に入つてそれを聞いておつた。そうしてメモをして、それが偶然何らかの機会にその機密が漏洩した。そうして組合は行うべかりし争議行為を行い得なかつた。戦術がとり得なかつた。そのために組合は敗れた。或いは不当な損害を受けたという場合には、これは故意、過失ではないと思うのです。その公安調査庁の係官は少くとも善意な行動、而も当然な権利に基いて行なつた行動である。そういう場合にどういうことになりますか。
○政府委員(関之君) その承諾を得て中に入つていろいろのお話を聞いたり又は会議を傍聴した、これは承諾の下に行われた適法な調査の事務になるわけであります。お尋ねの点は、恐らくさようにして知つた団体の祕密を、調査官が外へ出ましてそうして誰かに漏らしたということじやないかと思うのでありますが、そこでその場合について先ほどお話いたしましたごとくに、さような祕密を、職務上知つた祕密を漏らした場合には公務員法の百条の規定、百条と百九条によりまして一年以下の懲役又は三万円以下の罰金、この公務員法の条文に当る場合にはかような刑罰に処せられる。そうしてそれが民事上の問題としましては、只今申上げましたごとくに民法七百十五条の問題に当る、かようなことに相成るのであります。
○片岡文重君 時間の都合もありますからはしよりますけれども、そうするとこの問題は二つあると思うのです。一つは今おつしやられたように今日はの挨拶をして入つて来てなされた行為と、それから今日おおむね行われておるように、何らその別に悪意といつてはないけれども、これは入つて来られる人達のために思うのたが、悪意ではなしに、馴れておる気やすさかもしれませんが、別に挨拶をすることもなしに入つて来て、そうして傍聴者の中に入つて組合の機関の討議等を聞いておる場合があるわけです。そういう場合は、善意に解釈をすればとにかく今日の挨拶をして来なくても別に咎め立てはしない。特に顔見知り等の場合には、又入つて来る係官もあえて損害を与えようとしてやることもないと思うのです。そうして顔見知りになつておつて、なお又平気で入つて来て、傍聴者の中でメモをとるくらいのかた達は組合員、組合の幹部とも相当顔なじみになつておると判断されるのですから、そういう間柄になつておれば、故意に組合の祕密を漏洩したりしようとは考えられない。けれどもたまたまそうしてメモして、併しながら一方は商売ですからそれはメモするでしよう。或いは記憶にとどめるでしよう。そうしてこの知り得た秘密が漏れる場合と二通りあると思うのですね。前者の場合は何も問題が起らないと思うのです。ただその場合に問題が起るということは、起るとすれば、それはそれによつて係官の機密を漏洩した、官吏服務規律、国家公務員法ですか、国家公務員法の違反という問題が一つ起るのと、それから組合に対する七百十五条若しくは七百九条の損害賠償の責任が起つて来るという場合にとどまると思うのです。後者の場合はこれはどういうふうに判断をせられるか知りませんが、決して無条件で七百十五条に該当するとは考えられないじやないでしようか、そういう場合には……。で而もこれは故意でもなければ過失でもない強いて言うなら勧告に従つてやつたということに或いは係官は抗弁するかも知れません。そういう場合が起つたときは一体どの法律によつてどういうふうにこれは救済され得るだろうか、こういうことであります。
○政府委員(関之君) 結局これは七百十五条の解釈の問題になるのでありまして、私どもとしてはこの承諾を得て入つた場合も、お尋ねのような承諾がなくて入つていて知つた秘密、それを漏した場合も、同じように一応七百十五条の問題になるだろうと考えておるのでありまするが、なおこれはこの場でのお答えでありまするからして、なお詳細に判例その他に基きまして責任あるお答えをいたしたいと思うのであります。
○片岡文重君 それではこの問題はこの後に又一つはつきりとした御答弁を頂きたいと思いまするので、留保いたしておきます。
○羽仁五郎君 ちよつとそれに関連して、今の問題に関連して。これは意見長官に伺つておきたいと思うのですが、これはこの間からたびたび質問してもなかなか納得の行く御答弁がないので、やはり後に私もう一ぺん伺いたいと思いますので、御用意願つておきたいと思うのですが、要するにこの法案が三権分立の趣旨を確立するのか紊すのかということは、あなたの御答弁ですと、行政上の責任に属することまでも司法に任せるのは三権分立を紊す。そこで政府が治安維持という責任上やるべきことは行政の範囲内でやる。そこで示威行進の六カ月停止とか或いは機関紙の六カ月停止とか、或いは役職員がその地位から排除されるとか、或いは更にそんなことで団体解散とかということが行政権でできる。又やるべきだけれども、これは司法権でやるべきでないということをお答えになつておりますね。そこで起つて来ます問題は、今片岡さんがお話になつている問題に今お答えになつたことも、今伺つて納得しないわけなんですが、そのもう一つ根本にあるのは、そうすると行政権が著しく国民の重要な権利を侵害するような行為をここで行政上の責任においてなしますね。なしたことから来るところの、それが不当であつたということが後に裁判において明らかにされるといつた場合に、その行政権が或いは示威行進を停止したり機関紙の発行を停止したり、場合によつては団体を解散までしておる。その団体を再び再建するということは場合によつてはできない。死んだ者を生き返えらせるということはできないというくらいな損害を受けるわけであります。それに対する賠償は、単にさつきから御説明になつているような、その不当な処置をやつた官吏が、或いは刑法で、或いは国家賠償法でするという程度のことでは賠償されないということはもう明らかになつたと思うのです。今片岡さんの御質問の中でも、例えばそこで組合がストライキの決定をやつたところが、そこに公安調査官という者が入つて来てその祕密を漏らした。そのためにストライキができなくなつてしまつた。その損害というものは、仮にその調査官が罰を受けようと、それから又仮に国家が何か賠償の措置をとろうとも、そのストライキの決定が外に漏れたために、それを、ストライキをなすことができなかつたという損害は、これは償われることができない。この損害というのは、即ち政治的責任の問題じやなかつたかという点なんです。そこでそういう政治上の、これはもう行政上の問題では私はないのじやないか、その点をあなたがもう少しはつきり答えて頂きたい。そうするとそこに出て来るものは政治上の問題だと、そうすると私が繰返して申上げているように、政治上の責任をとることのできない、いわゆる常勤……、常勤というよりも、つまり何というのですかね、パーマネント・オフイシヤルス、まあ日本語に訳すとどうも不便になる、だから申上げませんが、或いはキヤリアー・オフイシヤルスと言つてもいいけれども……、つまりそういう正常の出所進退というものはなされないかたですね、そういうかたがそういうことができるかという問題なんです。だからこれが問題ではな
 いか。でそういうことは一体それじや誰がやれるのだと言えば、政治上の責任のとれる人でなきややれないのじやないか。そうしますと、これでは調査官がそういうことをやれないことは言うまでもないのですね。従つてこの任意調査の限界というものもそこに又できて来る。それから公安調査庁の長官がそれがやれるかといつたらやれないのです。それで公安審査委員会の委員長が、或いは委員長乃至その委員会がやれるか、これは今のこの法律の建前ではできないですね。政治上の責任はとれない、そういうところに大きな問題が私はあるのじやないか。これは今の片岡さんの御質問で、先ず第一には今の答弁でも納得ができないので、政府委員のほうで更に御研究の上お答えになる。その問題についても伺いたいと思うのです。
 第二には、今申上げたもう少し根本的な問題についても次の機会に私からこれはまとめてそれぞれの例を挙げて伺いたいと思いますので、その際に十分の御答えが頂けるように御研究を願えれば非常に有難いと思います。
○内村清次君 ちよつと関連して。これは先般法務総裁にも私から、労働組合の正常な活動に対する制限、いわゆるその公安調査官あたりが制限するような、規制するような行為というものがこれによつて随時できる状態であつて、そのために非常にこの労働組合の活動というものが鈍つて来るのだ、こういう点に対してはどういうお考えかという点に対しては適確な答弁がなかつたわけですがね。そこで只今のに関連いたしますと、例えば実例を挙げて申しますと、先般の宇部の窒素の争議関係で、事務所破壞というような、爆発物の転送がなされておる、そうしてそれが家屋を損傷した、こういう事件ができておる。これは労働組合の正常な争議行為に出て、そうして期間も相当長くなつたときに、例えば経営者側が不当労働行為で介入したかどうかはわかりませんが、とにかく第二組合というものができて、第一組合と第二組合のこのできた現状においてこういう事件が起きて来た。そうしてきてそういうような争議行為の発生した中において、これはこの法によるといわゆるこの第三条ですか、第三条の二項によつて爆発物取締の罰則が明記されておるわけですね、これによつて第二十六条で公安調査官というものは必要な調査をすることができる。そうして第二十七条においては「調査のため必要があるときは、検査官又は司法警察員に対して当該規制に関係のある事件に関する書類及び証拠物の閲覧を求めることができる。」こうなつておるわけなんです。事件は、関係者を調べるために、今も争議が長く続いておる。これは早く解決しなくちやいかないというようなことで、地方労働委員会の判定を待ちつつ、やはり労働者は労働者として権利保持のために団結を固めようとしておるのです。又これを固めるためにはいろいろの会議をやるのでしよう。ところがそういう会議に公安調査官がこういう事件に対する認識如何によつて介入して来るのですね、自然に介入して来る。調査をするために。そうするとその幹部あたりをちよつと調査上必要だと、こうやつて来られたならば、もうただでさえ解決が非常に困難になつておるのに、今日こういう介入が今度なされることによつて労働争議というものが非常に長引くばかりでなくて、いわゆる経営者側よりもむしろ労働者側に不利な事態になつて来る。こういうことが、この二十六条や二十七条というものはそういうことも考えてやられるような規則になつておるかどうか。あなたがたの御判定では、当然それは第三条の即ち一号によつて当然やらなくちやならんというような御見解かどうか。こういう点を一つ御説明願いたい。
○政府委員(関之君) この公安調査官の調査は、これはもう何回も御説明いたした点でありまするが、相手方の承諾が……要するにいやだ、私はもうあんたに話をするのはいやだ、呼び出して、来てくれ、いや、私は行かない、そういうことがあれば、もうそれ以上はできないわけでありまして、それを或いは裁判長の令状を以て拘引をするということは全然できないわけであります。そこに厳格な一線があるわけであります。もとよりお尋ねの労働組合のこの各地の争議の場合の、これはむしろ宇部などのことは私はよく詳しく存じませんが、この爆発物の問題があるなどといたしますならば、これはむしろ刑事訴訟法上の犯罪捜査面のほうが公安調査官の調査よりはなお問題かと思うのでありますが、検察官又は司法警察官として、その事実とそうして今のその問題の審査なり解決というその線を睨み合わして、非常にむずかしい問題が生ずると思うのであります。併しその公安調査官に関する限りにおきましては、そういうふうに組合のかたに出て来てお話を伺いたいと言つても、いや今日は用があつて駄目だ、こう言われればもうそれまでの話でございまして、その団体側の都合によつてそれ以上には出られないわけであります。それでありますからして、調査官のほうにおいてお尋ねのような場合に、それに積極的に強制的に介入するというようなことは殆んど考えられない問題であるわけであります。でお尋ねの二十七条のこの問題でありまするが、これは書類は勿論これは検察官又は司法警察官のかたが役所へ行つてそこで見せてもらう、ただそれだけのことでございまして、それ以上に何も考えていないのであります。
○内村清次君 ただ当時の状態では第二組合もできた、それからこの経営者側も熾烈に対抗しておる。爆発物によつて家屋の損傷がなされた。こういう事態が一体誰がそれをやつたかということはまるきりわからない。第一組合のほうは、これは第二組合でやつたのじやないか、或いは又経営者がやつたのじやないか。ところが経営者のほうは、第一組合の者がそういうようなことをやつたのだ、こう言つておるのです。とにかくこういう事件というものが起きて来た。これを一つの対象物として、これは破壞活動防止法案のいわゆる一号に該当する問題であるからして、いわゆるこれは認定によつて団体を規制するという建前からして、その方針に副うような関係で、その調査官というものが調査し始める、介入して来る。事実今度は介入しておりますからして、当時はこの法律がなかつたのですから、介入しておるのですよ。警察官は何回も介入しておる。そのために非常にこんがらかつて来ておるのですけれども、これが、この法律が一旦通つて参りますと、この調査官というものがその中に、こういう破壞活動の場合に、法律の適用を受ける事件が起つた。だからこういうようなことを調査しようというようなことで介入して来るような危険性は勿論多分にあるわけですな。こういうことができるかできないかという問題です。これはいわゆる警察官に任せておつて、刑事訴訟法の問題でのみこの犯罪の根拠を探るだけであつて、決してこの法律は適用して来ないか、こういう考えであるかどうかということを私は最後に聞きたいのですね。
○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。宇部窒素の場合は具体的な事件はよく知りませんから抽象的な設例としてお答えしたい。政治目的を持つて爆発物の不当な使用が行われた、工場が爆破されたというような事態が客観的に発生して、これは明らかに政治目的を持つてそういう行為が行われたと認められるような疑いがある。で調査官が調査する場合におきましては、そういう事態が起きました場合に、これを特定の団体が団体活動としてこれをやつたという疑いのある理由がなければ、漫然とめつたやたらに人を調べるわけには行かない。調査活動を発動するには疑うべき理由がある、或る団体が団体の活動としてそういうことをやつたという疑うべき理由がある場合におきましては、これは調査をするのは当然であります。併しその場合におきましてもその調査は、「必要且つ相当な限度」で行われなければなりません。その調査に名を借りて資本家対労働組合の中に介入して、労働争議の斡旋、媒介、或いは妨害をやるというようなことは、そういうことは許されない。併し疑うべき理由がある場合におきましては「必要且つ相当な限度において」調査をするということは、これは当然であります。併しその調査につきましても、公安調査官は任意の調査を前提といたしておりますので、調査をすべき相手のかたがたの意思を無視していろいろな調査はできない建前になつております。
○内村清次君 その疑うべき理由がある、こういう認定はどういう事象によつて拾つて行きますか、こういうのが私は問題だろうと思う。たしか今回はあれは三カ月も揉んで、これはどちらもくたびれてしまつた問題ですが、とにかくそういう疑うべきところの認定、これはどういうようなことであなたがたのほうでは考えられておるのですか。
○政府委員(関之君) お尋ねの問題は、一般の犯罪捜査も、又この法案によりまする公安調査庁の調査官の調査も、又それは一般のその他各行政命令におけるいろいろな執行の問題も同じなのであります。特定のそれらの公務員はすべて法律によりまして、これだけのことを調査しろという権限を与えられておるわけであります。その調査の開始はリーゾナブルに自分の調査しなければならない対象がそこにあるというふうに、その者が自己の責任を以て判断をいたしまして、そうしてこの程度ならばこの疑いがある、然らばこういうような調査をしようというようなことに相成る。それはやはりその公務員が法律によつてそういう権限を与えられ、同時に義務を負わされておりまするから、その公務員が自己の責任においてかようなことをいたすと、かようなことになるわけであります。これはあえてこの法律のみならず、冐頭に申上げたすべての一般の調査或いは執行をなす公務員のすべてを通じての問題であるわけであります。
○政府委員(吉河光貞君) ちよつと補つて申上げますが、宇部窒素は経済上の争議だと思うのであります。ああいう純然たる経済上の争議につきましては、公安調査官が入つてこれを調査するというようなことは考えられないような次第であります。
○内村清次君 そうあなたのほうで規制して……勿論これははつきりした、労働争議そのものは経済上の問題ですけれども、問題は、この法にも、先ほど言つたような司法に当てはまるような事件が起きて、その争議中に、そうして見るとこれはいわゆるその経済問題で処理して、警官も立ち会わない或いは又その調査官も立ち会わないと、これをあなたがたが明確にしてもらえば私たちは或る程度納得いたします。納得いたしますが、こういう事件が今後必ず起きて来るのです。誰がやるかわからないけれども、使用者側がやるかわかりませんよ。そうしてやはり自分たちに有利な宣伝もやりましようが、或いは第二組合もできる現実ですから、第二組合が第一組合を誹謗するための戦術をとるかもわかりません。これはいろいろな事態が今後起きて来る。それに対してはやはりこの法案にこういう規定もありますから、これに関与してやはり調査官というものの活動がなされて来ると、これは司法警察官その他と連繋をしつつやつて来るでありましようが、こういうことのためにこの妥結というものが非常に遅れて来る。もうそのほうにこれは第三者も全部目を取られてしまう。或いは目的に使用する人たちもあるかもわかりませんし、この事件で自分たちのほうを有利にしようという考え方をする人が恐らくある。そういう事態というものは労働者側にとつてすべて不利な条件になつて来る。問題が長引くことも不利でありましようし、或いは一概に申されませんが、長引くということは、内部的な資金その他が非常に少いというところの組合においては第一に資金問題に困つて来る。こういうような不利になるわけでございますけれども、そういうような事件が仮に起きた場合においてはこの法律というものが適用されて、そうして捜査をし、そうして捜査の段階においては、その犯人の心証を明らかにするために調査をする。或いは会議の妨害とか、これは無形の妨害です。会議をしている者を引張つて行く、私は積極的に申しませんが、その会議の構成員、執行委員あたりに目星をつけて、そうしてこれを引抜いて行く、こういうようなことをされたのでは会議は成立しない。民主的な会議ですから成立しない。そういうことを狙つて行かれたならば、これはあなたのほうでは当然に法にいう捜査だと言い、見るほうから見ればこれは資本家側に加勢しているものだ、或いは破防法に対するところの、この直接の団体の規制を目的とするような下調査ではないかというような、こういうようなことをも我々は想定されて非常に危険である。こういう規定というものは非常に危険である。こういうことを私は考えているのです。それに対して明解な一つ、危険でないと、適用しないというような御答弁が頂けるかどうか、その点……。
○政府委員(関之君) お尋ねのお言葉を拝承いたしておりますると、或る資本家側が或る工場労働者側との間で争議を起す。或いはその争議の間において第一組合、第二組合等に分裂して、そしてこの第三条第二号の場合の爆発物使用というような問題が起きた。どうもお尋ねの……そういうようにお言葉の中から拝承いたしたのでありますが、それらの行為は全然私はこれに当らないだろうと思うのです。それは第三条第二号の冐頭に、「政治上の、主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対するため、左に掲げる行為の一をなすこと。」こういうふうに頭にかぶつているわけであります。全くお尋ねのような争議の事例はおおむね経済的だけにとどまつているわけであります。政治上の主義或いは施策を推進し、又はこれに反対というようなことは殆んどないのではないかと思うのであります。さようなる場合は、この法案で第二号に勿論例えば爆発物使用ということがありましても、政治上の問題でありませんから、そういう場合は全く純粋的な経済的問題にとどまつているからというふうに、私は一応お話の趣旨を拝聴している間にそういう感じを持つたのであります。併し爆発物使用という、これは爆発物の取締の罰則の違反になるのでありまして、それに則つた犯罪が生ずるのでありまして、それか刑事上の犯罪といたしまして、刑事訴訟法に基き各種の捜査権を発動することは、これは別問題であります。只今のお話を拝承しておりますると、この法案につきましてはさように考えておるのであります。勿論捜査の、調査の対象が、政治上の主義の推進であるとか、目的の活動に限定されるわけでありますから、それらの点はよく調査官のほうにも勿論重大な問題でありますから、調査の基準等、枠については明瞭に規定いたしまして、私どもとして、およそ経済上の問題だけに介入する意思は殆んど考えられないのであります。厳格に規定いたしまして、職員も十分訓練いたしまして、それらの点はおよそ誤りのないように注意いたしたいと考えておるのであります
○片岡文重君 問題は飛びますけれども、今出ておりますからそれについて私ちよつとお伺いしたいのですが、経済上の問題として、画然とその判別がつく場合には、おつしやる通りの措置が当然とられると思うのです。ところがこの法律が想定しておるところの団体の行う破壞活動というものはそういう生やさしいものではないのではないかと考えられるわけです。あらゆる機会、あらゆる場所、時、所とを問わずに、とにかく機会が与えられるならばそういう行動に出ようとする。たまたま今内村委員の説明は宇部窒素の争議の問題を例にした。例えば電源関係の争議が起つた場合に、その争議の最中において電源、発電所或いは変電所等が襲撃を受ける、爆破される。こういうような場合は、その争議の解決を早めるということよりも、その争議に便乗するところの政治目的を持つた破壞活動が行われるわけであります。そういう場合いやしくもあなたがおつしやつたようなことで済ましておられるかどうかということになると、これは問題になると思いますが、そういう点はどうなさいますか。
○政府委員(関之君) いろいろお話のような事態の発展して行く形はさまざまなことが想定されると思うのであります。併しこの法案におきましては、飽くまで団体と認められるものがありまして、その団体と考えられるものが、団体の意思決定に基いて、例えば第三条第二号のごときは、政治上の目的を以てかような破壞活動をするということが規制の条件になるわけであります。そこでさようなことがその中心のこの法案の規定するところでありますからして、その線に沿つて調査をする。そしてその線に当れば調査をして、第四条、第六条において規制するということに相成るわけであります。
 そこでお尋ねの点は、具体的な一つの問題のように拝承いたしますが、さてどういう団体がどういう行動をするかということは全然わからないのでありますから、この法案のプリンシプルに従つて問題を考えて処理するというふうに相成るわけであります。
○片岡文重君 それからこの法案が対象とするところの団体が政治上の目的を以て破壞活動を行う場合には、今後の社会情勢に応じましては、そう公安調査庁や警察官が捜査や認定に容易なる情勢を作つてやつてくれるとは考えられません。むしろ如何にしてその機構を紛淆せしめるかということも又破壞戦術の一つとして私は考えられるだろうと思う。で例えば今のこの電源関係の争議が起つた場合、変電所或いは発電所を爆破する、破壞をするということは大きな社会不安をかもし出す有力な一つの戦術としてとられるはずであります。そういう場合に、たまたま争議が起つておるときにそういう戦術を考えることは、これはあなたがたといえども否定されないと思う。むしろそういう団体の首脳部となつたならば一応そういう戦術はお考えになるだろうと思う。そうした戦術がとられ、爆破されるということになれば、それは明らかにそれによつて社会不安をかもし出して、そしてその社会不安に乗じて内乱を誘発せしめる。そうしてこの政治上の目的を達成しようということに結附けているのですから、明らかにこれは政治上の主義を或いは施策を推進し、支持し云々というこの第三条第二号に該当する事柄だと私は思う。従つてそういう場合には、又そういう懸念のある場合には、明らかにそこにたとえそれが任意調査であろうと何であろうと、公安調査庁の係官は出入して、捜査を行うであろうことは容易に私は推察されるのですが、それでもなお今内村委員の御質問にお答えになつた答弁でよろしいのでございますか。
○政府委員(吉河光貞君) 御質問の御趣旨よくわかるのであります。特定の破壞団体が大衆団体の紛争議を利用して、その機会を捉えて各種の破壞的な活動をなす可能性がある、いやその危険性が相当強いという点もよくわかるのであります。でこういうものについての捜査なり調査の活動は極めて困難であるという御指摘もよくわかるのであります。私どもといたしましては、責任のない大衆団体に御迷惑のかからないように、飽くまでその暴力主義的な破壞活動をとる特定の団体における捜査なり調査に集中すべきである。この点については十分に職務規律その他において公安調査官の調査の指針を徹底して行きたいと考えております。
○片岡文重君 どうも抽象的なことを言うだけで、具体的な面が起つて来ないから、それ以上御答弁ができないかも知れませんが、私はそういう程度のことではこの法律の通用にますます以て不安を覚えざるを得ないのです。
 それでは一体お尋ねしますが、この団体、この第三条の二項の団体の定義でありますが、この一体「団体」というのは、「多数人の継続的結合体」という註釈を附けておりますが、この「多数人」というのは、勿論二人以上でもそれでよろしいのじやないかと思うのですけれども、この「団体」というのは、例えば一つの労働組合なら労働組合の中においていろいろな考えを異にする集合体といいますか、結合体であります。例えばAという労働組合の中にあつて、共産党員を主体とするところのフラク、或いは反共系の同志諸君が集つているフラクなり、或いはそのいずれにも属しないというような諸君もいるでしよう。こうしてそれぞれがその労働組合の推進に当つての考え方を異にしている。共産党諸君はこういう方向で行くべきであると言う、組合の運動は、組合運動を政治目的に利用しようとする。例えば利用しようという目的を持つてその一つの組合の中に団体を持つ、団体という言葉が悪ければ少くとも集りを一つ持つ。それからいま一つは、少くとも或る政党なら政党の推進隊たらんとして一つの目的を持つ。こういうふうに法人格の上からは一つの労働組合として、AならAという言葉で表現をされておつても、その内容に立至つて見るとさまざまの集合体があるわけです、集まりがある。この場合に一つの集りを団体と見なすのか。これは勿論法人格もとつておりませんけれども、共同の目的を以て行動していることは事実であるし、多数人であることも事実である。この場合にこれが団体と見なされるのかどうか、その点を一つ。
○政府委員(吉河光貞君) 御質問の通りであります。ここで第三条第二項に抽象的に団体の定義を掲げましたが、共同の目的を達成するために自然人、多数人が継続的に結合を結び、そうして団体の意思決定に基いてその構成員なり役職員なりがこれを実現するために活動するという一般的要件が充たされますれば、フラクもグループも全部団体として対象になると考えております。
   〔理事一松定吉君退席、委員長着席〕
○片岡文重君 そういたしますと、この団体は別に規約を持ち或いは法人格を持つているものでもない、何ら法的の保護を受けているものとは考えられませんが、併しながらその団体の、つまりそういう場合に区別をする……どう申したらよろしいでしようか、そのフラクと、一つの労働組合を親団体と、申しましようか、その親団体の中にあつていろいろと考えを異にする集りがあるわけですから、而もその考えを異にする集りがなお且つこれの規制の対象になるということになると、この法的には何ら手続のとられておらない、而も法の保護を受けておらない団体が規制の対象になつたり、或いはその捜査の対象になつたりするということについては多分に疑義が持たれると思うのですが、その点は何ら差支えないのですか。
○政府委員(吉河光貞君) ここの第三条第二項に規定しております団体は抽象的一般的な定義でありますが、実際の場合におきましては法人格の有無を問いません飽くまでそういう自然的な社会的な事実を捉えましてこれを規制したい、かように考えているわけであります。
○片岡文重君 そういたしますと、それらの団体が規制の対象となつて、或いは第四条或いは第六条の規制を受けると、一体それは法的にどういう効果があるのでしようか、法益といいますか、その効果はどういうところにあるのでしようか。
○政府委員(吉河光貞君) その団体に対しまして四条或いは乃至六条の規制をいたしますると、その団体の活動が部分的に或いは全面的に多分禁止されるわけであります。
○片岡文重君 そのはつきりとした規約を持ち代表者を持ち或いは法人格を持つて、行動を規律的に行なつている場合にはおつしやる通りの措置がとられる。而もそれは効力を持つでありましようけれども、そういうものではなくて、誰が代表者であるかも知れない、判然としておらない、ただ併しながらその集りのあることは事実です、これは多く例があるのですから。そういう場合に一体それでは規制の対象は誰がなるのか、それで誰が規制の代表というか、つまりこの代表は誰が代表者としてその規制を受けるのか、それから解散したと言われても、規約があつたりして、規則があつたりしてはつきりと作られているものじやない。そういうものが対象になつた場合に、一体どういう法律的な効果があるのか。もう少し具体的に御説明頂きたい。
○政府委員(吉河光貞君) 規制手続の面は別といたしまして、例えば或る団体の内部に一つの別個の団体が結成されている。これが非常に破壞的な活動をやる、団体の活動としてやるという場合に、それの先ず実体を把握しなければなりません。その団体の実体を把握しなければ規制の請求はできない。実体を把握した場合、規制の条件に合致した場合におきましては、これに対して例えば解散なら解散という規制をいたします。その構成員或いは役職員、構成員としてその団体の……破壞団体の役職員、構成員であつた者は再びさようなグループの活動を継続するわけには行かない。やれば違反になる。検挙の対象にならざるを得ない、かような立て方になつているわけです、もとよりかような団体が祕密な団体或いは非公然の団体である場合には調査が非常に困難であることも当然であります。やはりその困難にもかかわらず、その実体は把握されなければならない、かように考えております。
○片岡文重君 それは確かに抽象的にやはりそういう御答弁にならざるを得ないと思うのですが、実際に例えば労働組合なら労働組合においてフラクという言葉で呼ばれておりますが、少くともそういう特定の共同目的を持つた多数人の集りがあるのです。併しそれは何遍も繰返すようですが、決して規約を持つたり代表者を定めたりしてはおらないのです。併しながら政治上の主義を持つて、或いは目的を持つて行動することは事実であるし、しばしば争議行為等の中にそういう行動が行われる。従つてはつきりとつかまえどころかあるならばそれでよろしいでしよう。おつしやる通りに規制の対象になり得るのであるし、又規制することもできるけれども、実際においてつかまえどころがないのです。代表者もおらない。捜査がむずかしいだけじやなしに、代表者もおらないし規約もないし、法へ格もとつておらない、而も行動はしておる。もつとはつきり言うならば、指示がどこからか来ているというような場合もあり得る。こういう場合に、同じ性格を持つた者がどの組合にもおるかも知れない。そういう場合に一体而もそれが幾つもの組合の中における集合体が関連を持つて同時に起ち上るような場合もあるかも知れない。それは又同時に起ち上ろうが、個個に起ち上ろうが、それは別問題として、少くともそういう集りはあるわけですから、その集りをなお且つこの第三案の二項に規定するところの団体である、而も規制の対象になり得るのであるというならば、どういうふうにしてそれを規制をするのですか。あなたは今、規制を受ければ解散もしなければならない、行動もできないとおつしやるけれども、その団体がないのですからやりようがないと思うのですが、それをなお且つ団体として規制できるかということなんです。
○政府委員(関之君) お尋ねの点は、お尋ねのようなそういうフラクがこの三条二項の団体に当るかどうかという瀬戸際の問題であろうと私は思うのです。ここで団体とは、特定の共同目的、これも一つの重要な要件でありまして、即ち多数人の継続的結合体であることが要件になるわけであります。お尋ねのようなフラクに果して……、或る漠然とした目的はあるかも知れませんが、その目的につきまして継続的な結合体であるかどうか、それでまあ普通の例といたしますれば、そこに若干の組織があり、或いは内部的な、これは文書になつているか或いは紙に書いてあるか知りませんが、若干の申合せその他もありましよう。そういうような例であろうと思うのです。そこで一体その団体というのは、結合の度合いがどこまで進んだのが団体であるかという問題に相成るかと思うのでありまして、そこでこれは御指摘のような或る団体内における特定な人の集り、これが一体どの程度特定な目的が確立されているかどうか、そうして又果してこれは継続的なものであるかどうか、いわゆる社会的な人の結合体としての若干の組織があるかどうかというような問題を、事実関係を調査いたしまして、そういたしますと、そこに団体であるか否かの一応の判断ができると思うのであります。そこで団体であるといたしまするならばこれに規制をかける。もとよりすべての人の集団的なものが全部団体であるとは私ども考えていないのであります。中には単なる人の集合であつて、そうしてこの団体には当らないものはたくさんある。併しその境目の問題がなかなかむずかしい問題でありまして、そこには認定上かなり困難があると思うのでありますが、今申上げたようないろいろな事情を以て団体として認定してやる、そうでないものはこれは団体でないという判断をして行くことに相成るかと思うのであります。
○片岡文重君 そういたしますと、特定の共同目的を達成するための多数人の継続的結合体だけではこの規制の対象たる団体にはなり得ない。このほかに更に団体としての行動が規律ずけられると申しますか、少くともつかまえることのできるという条件がなければならんわけですね。
○政府委員(関之君) それは団体の本質といたしますれば、特定の共同目的を達成するための多数人の継続的結合体でありまして、さようなものは何らかのつかまえどころが社会的にあり得るというふうに考えるのであります。全然もうつかまえどころがないと、これは誠にその結合がばらばらでありまして、何の目的があるのか、或いはどういう一体組織でやつているのか全然わからないというようなことに相成りますると、団体と認定することはこれは無理かと思うのであります。やはりこういうものは何かつかまえどころがあるというふうに私どもは考えておるのであります。
○片岡文重君 少しそれは実際問題を御研究になつて頂く必要が私は失礼ながらあると思うのです。例えばフラクをやる場合にも、誰が招集するかもわからないのです。とにかく大会が持たれ、フラクをやるということになれば、その場所に誰が招集するともなく集つて来て、きめられた行動はそれに従つてやはり或る行動に入るのです。ところがそのフラクのメンバーであるかどうかということも実際は認定できない。自分自身がフラクに入つたからといつて、そこの構成メンバーでない場合もあり得るのです。そういう人たちが解散を命ぜられたつて痛くも痒くもないのです。実際はつきりした枠の中に入つているのではないのですから、今日はここのフラクに行つて様子を聞き、明日はここのフラクに行つてやるかも知れません。従つてそのフラクの決定したことに従つて行動をやるけれども、自分はこちらのフラクに属するということもあり得るのです。従つてそういう場合にこの法律によつて規制をされたところで、解散の対象にされたつてちつとも痛くも痒くもない。而も実際にそういう団体が行動しておるのです。だからただこれだけでは、あなたのおつしやるような無条件でそれは団体ですと、こう断定することはできないのではないかということなんです。
○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。先ほど私がお答えしたのは第三条第二項の要件に合致しなければならないということをお答えしたのであります。成るほど一つの大きな団体になりますと、傾向を異にする構成員のかたがたがございます。幾通りもあるだろうと思います。このかたがたの間の異動、離散集合というようなことも極めてルーズであります。而も構成員を離れて、独自の団体としての意思決定をいたしまして、その意思の実現のために構成員、役職員のかたが活動するという、継続的な社会的結合体までに至つておらないようなものもあるかと思うのであります。この要件に合致しなければこれは団体として取上げることはできません。少くともこの要件に合致したものを団体として取上げるわけでございます。
○片岡文重君 大分御答弁が直つて来たと思うのでありますけれども、そうしますと、継続的結合体というこの継続的という言葉は、一体どの程度の期間を抽象しておりますか
○政府委員(吉河光貞君) この言葉は、結局一般の社会通念に照しまして合理的に判断さるべきものである。いやしくも団体というものは一時的な集合ではないと、従いまして社会的に相当な期間存続すべきものでなければならないと、かように考えております。が、事実認定の問題として、只今申上げた通り、これはやはり社会通念に照しまして合理的に判断さるべき問題であろうと考えております。
○片岡文重君 社会通念に照して合理的とおつしやるけれども、どうも継続的という社会通念は、不敏にして私よくわかりませんけれども、実際問題として、団体が行動する場合に、今日集つて今夜解散してしまうというような単なる集会、集合というようなこともありますけれども、それはここにいう継続的結合体ではないのですから、当然この団体も規制の対象にはならない。併しながら今説明いたしましたように、フラク等の場合に、一つの期間から次の期間の開催まで、別に参加する或いは脱退するという意思表示もなされないで、当初に、例えば今日なら今日持たれた大会なり中央委員会等の持たれたときにフラクが持たれて、そのフラクにたまたま出席しておつたということを、先ほど来しばしば申上げるように、規約もなければ何らの規定もないのですから、出席するしないというようなこと、それから又その決定に服する服しないというようなことだけによつて、そのフラクの所属なりや否やと判断する以外に私はないと思うのですけれども、こういう情勢下にあつて、私なら私が今日のフラクに出席をして、そのフラクに属するか否かは意思表示もしておらない、然るにその次の大会までの間において不幸にしてこの法律の規制を受けるような事態にそのフラクがなつたという場合に、私は一体この団体の一員としての処分を受けるのか、或いは受けないのか、これはつまりこの継続的結合体の具体的な判断がはつきりしておらなければ、そういう場合に私どもは行動の自由と申しますか、自分の行動を誤まることになりやせんか、こう思うのですけれども、如何でしようか。
○政府委員(吉河光貞君) 御質問のフラクの問題でありますが、フラクにも千差万別いろいろな形のものがあると思うのです。ここに取上げられるフラクというものは、結局この条件に、団体の定義に合致するものでなければならない。団体とは、やはり個人として活動するのではなくて、多数人がそこに結合いたしまして、一つの個人と離れた共同の意思決定をやり、その意思決定に基いてその実現のために行動することによつて、個人が活動する場合よりもその活動力を数倍も数十倍も高めることができる。ここに団体活動の重要性があるのではなかろうかと考えるのであります。従いまして、実際そういう結合体にみずから参加して、その団体の意思決定の下に、その意思の実現のために実質的に活動するというものでなければ構成員とは認められないのではなかろうかと考えております。でお説の場合は非常にデリケートな場合ではなかろうかと考えておる次第でございます。
○片岡文重君 いや、そこなんですよ、デリヶトな問題なんで、デリケートな場合ですから私は伺つておかなければならんと思う。ここに定義をしておる条件に合致しなければ団体の規制を受けない、この法案の対象にはならない、御尤もであります。従つてこの法案に述べられたところの定義の内容が私にはわかりませんので、そこでまあお伺いしているわけなんです。それじやあどこがわからないのかと申しますると、先ほど来御説明申上げておるように、大体その継続的という期間は一体どのくらいなのか。それに対しては社会的通念に従つて判断するというお話ですが、継続的という言葉の社会的通念というものはどうも私にはよくわからない。それから共同目的を達成するためということについては、如何なるフラクといえどもこれは共同目的を持つているのです。その目的の破壞的であるか建設的であるかは別問題として持つている。そこでこの法案の対象となるものは、破壞的な活動を行うことを目的とするか否かは別として、少くとも手段として取上げておる団体であることには、フラクであることには間違いないわけです。併しながら問題はそういう目的の如何ではなくて、この法案が働くか働かないかの分れ目になるところは、そういう目的の如何ではなくて、団体の構成要件がどうであるか、この法案の適用を受けてその団体が解散をさせられたり、或いは規制を受けてその受けた規制に従つてその団体が動きが取れなくなるようなものであるなら、これはもう疑問が起らない、ここに書いてあるのですから……。ところが、誰が代表者であるか、法人にもなつておらない、何人メンバーがおるのか、どういう綱領で動いておるのか、そういうこともはつきりしておらない、そういう団体がなお且つこの法の適用を受けると先ほどおつしやつたから、それでは一体どうしてそれを……少くとも代表者を呼び出そうとしても代表者の氏名もわからないし、甚しい場合になればフラクの名称すらない場合がある。この法律の適用のしようがないと私は思うのですけれども、なお且つこの法律が通用できるのですかと、こういうことをお伺いしているのです。
○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。第三条の二項は、非常に抽象的に団体の定義を掲げておるのでありますが、この法案によつて規制しようとする団体は、四条、六条に更に絞りをかけて謳つております。暴力主義的な破壞活動を団体の活動として行なつた団体で、而も継続又は反覆して、将来更に暴力主義的な破壞活動を行う危険性のあるというような団体であります。さような意味におきまして、本法案で規制しようとする団体は、四条、六条との関係において考えるべき問題であろうと考えております。
○片岡文重君 そうしますと、ここに掲げられておる団体以外に団体のあることは認めると、併しながらこの法案の目的とする、対象とする団体とは、第四条又は第六条の規制を受け得る団体でなければならないということになつて来るように伺つたのですが、そういうことに解釈をしてよろしいのですか。
○政府委員(吉河光貞君) 実は御質問の趣旨がちよつとわかりかねるのでございますが、第三条第二項の団体の一般的な定義と、四条、六条に掲げておる条件が充たされる場合には、これは団体に対して規制をかけなければならないと、かように考えておるわけでございます。
○片岡文重君 私の伺つた最初の動機は、この四条、六条の発動がなされても、肝腎かなめの法を受けるほうの団体がはつきりしていなかつた場合にはどうなるかということが問題なのです。然るにこの団体とは、ここに掲げてあるこの一行足らずの定義によつて動かないものであるという御答弁であつたから、これだけでは非常に組合活動をやつて行くのに危険な場合があるので、私はその点をはつきりしておきたい。法律の発動だけはしても、代表者もわからなければ名称もわからないような団体、併しながら、それはやはり特定の共同目的を達成するために多数人の継続的結合体であるということには間違いないと私は思うのです。その場合にただこれだけでは、ここに若し規約がどうであるとか或いは理事がどうであるとかいうことが書いてあるなら別として、そうでなかつたら、今までの御答弁では私どもちよつと納得行きかねる。この四条、六条が発動する以前に問題を取上げなければならん。その取上げなければならん問題について今お尋ねしておるわけです。
○政府委員(関之君) この特定の共同目的を達成するための多数人の継続的結合体というこの団体の先ず認定、その確定の問題でありますが、これはもとより客観的な証拠によつて定められなければならないものと私どもは考えておるわけであります。ただそこにフラクがあつて何かごそごそやつておると、これはもう団体だと、それだけではならないのでありまして、やはりこれは公安調査庁の長官が責任を持つて、特定の共同目的とは何かと、そうしてその多数人の継続的結合体とはどういうようなふうにして結合してどういう継続的な結合体であるということを、これは客観的な証拠によつて認定しなければならないと私どもは考えておるわけであります。そうして明らかにそこに客観的な証拠によつてこれは団体であるという認定ができまして、そうしてその団体が只今申上げたように四条、六条の条件に該当する場合に、これを証拠によつてやはり認定して規制をかけて行くということに相成るわけであります。何だかわからないものがそこにあるのに、ただぽつと規制をかけるということは考えられないのでありまして、一切の私どもの調査を尽しましで、そうしてこの条件を証拠によつて立証して、そうして規制をかけて行くということになりまするからして、その団体の実体、構成員の範囲、役職員の範囲ということもおのずからそこに、全部とは行きませんでしようが、大体団体の実体が明らかにつかみ得る程度には明らかにされなければならないものと、かように考えておるわけであります。
○片岡文重君 そうなつて参りますと、私どもの懸念はやつぱり大きくなつて来るのですが、結局今の御説明にありました通り、この団体というものは、特定の共同目的を達成するための多数人の継続的結合体にして、なお且つこの三条の一項の一号、二号に定めるところの行為を行なつて、初めで四条、六条の規制を受けることになるわけですね。これはよろしうございますね。
○政府委員(関之君) はあ。
○片岡文重君 そこでこの団体というものが一つ問題に浮び上つて来るのですが、この団体というものを考えてみると、労働組合等の中にはいわゆるフラクというものがあります。そのフラクというものの構成は、代表者もはつきりしておつて、規約も明らかに定まつておるし、その決議、行動についての方法も明らかになつておるものもありますけれども、誰が代表者で、どういう機関で決議をするのか、どういう行動をとるのか少しも明瞭になつておらないで、而も行動は活溌に行われておるフラクがあるわけなんです。従つてそういうフラクというものは決して第四条や六条の発動を見ても、代表者もわからないし、いわんや事務所、住居等があるわけではないのですから、これに向つて通知をすることもできない。而も行動は行なつておるという場合に、なお且つこの団体という言葉の中にそれが包含できるのかどうかということなんです。若し包含できないとするならば、一体そういつたものはどういうふうにして規制をして行くのか、こういう点についてお伺いしたかつたので、先ずここに言う団体というものの具体的な定義というものを、これだけでよろしいかどうかということについてはつきりした御答弁を伺いたい。
○政府委員(吉河光貞君) だんだん御質問の御趣旨もよくわかつて参りましたが、なお一点お尋ねしたいのでございます。その実体のわからんフラクというようなものがある、これはわからないのか、ないのか……。わからない非公然のフラクで実体のつかめないもの、これは規制をかけるためには、飽くまで調査によつてその実体をつかまなければなりません。その実体をつかんで規制をかけて行かなければなりません。併し実際客観的にも団体的な結合がない、ここに定義されているような結合はないというようなものは団体に入らないものではなかろうか多数人が集りまして、個人の意思とは離れた共同の目的を達成するために結合した、そしてその団体の活動をやる場合に、団体の意思を決定する、その意思に基いて動くというような関係が認められなければ、団体とは認められないのではなかろうか、かように考えるわけであります。
○片岡文重君 結合体という定義ですね。そうするとこれはどういうことになりますか。それを一つお教え願いたい。
○政府委員(関之君) これは人の集りでございますね。これには勿論内容においていろいろの手合があると思うのであります。単にがやがやの烏合の衆から、順次内容において相互の間の意思の統一であるとか、或いは進んでは更に明確な団体としての目的、全体としての目的を打出して、そうしてその構成員の個々の加入であるとか脱退であるとか、無関係になるとか、それから更に進んで法人のごときいろいろのものがそこに考えられるわけであります。そこでさような中でこの法案におきましては人の単なる集合ですね、人の単なる集合、そういうものはもとより考えていないわけであります。そこで進みまして、とにかく団体として、個人の、その構成員の個々を離れた、構成員の全体の特定なる共同目的というものを先ず持つていなければならないのであります。そこでばらばらの人の集合はかようなものを持つていないのであります。個人、個々の構成員を離れた団体として、その個人の加入脱退にかかわらず、特定の目的を追求するという、その目的を先ず定めなければならないわけであります。さような目的を定めるについては、その目的を打出す各種の意思の決定機関であるとか、或いはそれを行うところのいろいろな団体の役割であるとか、いろいろなものがここに考えられるわけであります。そしてさようなものを考えまして、それを多数人の継続的な結合体、要するに目的を達成するために……、その目的をそういうふうに考えているわけであります。それでそこに、単なる人の集合と違うというところに、かような結合体という点をこの団体の要件の一つに掲げているのであります。
○片岡文重君 どうも私の頭が悪いのですか、今の結合体の説明はよく私には呑み込めない。単なる集りではない、これが第一点、それからその次は一体どういうことになるのでしようか、目的を共同に持つて集つておる、これが第二点、それだけで結合体ということになるのですか。どうも今の御説明ではよく私にはわからないのですが……。
○委員長(小野義夫君) ちよつと速記をやめて。
   〔速記中止〕
○委員長(小野義夫君) 速記を始めて。
○片岡文重君 それでは団体の意味は一応その程度に切つて、更に入つて行つたならばその面が一層詳しくなると思うのでありますが、第三条の一項の一号のイでありますが、これによりますと、内乱、それから内乱の予備、陰謀、それから内乱等の幇助に規定する行為をなすことは暴力主義的破壞活動である、こう定義を下しております。そこでこの法律を総括的に審議をいたしました際に、各委員から殆んど同じように、これは不当に第二条に定めてあるような集会、結社その他の自由を奪うものである、従つてこういう法案でなしに、こういう不穏当な行動を取締るためには刑法の改正を以てするのが妥当であるという意見が質問の中に窺われたように私は思うのですが、然るに政府委員の御答弁では、刑法に定められておる七十七条、七十八条、七十九条等は個人を対象とするものであつて、団体を規制し得ないものである、こういうふうな御答弁があつたと思うのですが、一応そういうふうに理解をしてよろしいかどうか、この点確認して質問したいと思います。
○政府委員(関之君) お尋ねの点は、お尋ねの通りに御答弁申上げた次第であります。
○片岡文重君 そういたしますと、この刑法第七十七条を見ますと、これこれの内乱の罪というものを規定して、「内乱ノ罪ト為シ左ノ区別に従テ処断ス」、こういうことを定められておる。そうしてその処断の内訳は一つには「首魁ハ死刑又ハ無期禁錮ニ処ス」、二番目に「謀議二参与シ又ハ群衆ノ指揮ヲ為シタル者ハ」云々、更に三番目には「附和随行シ」云々、こう三つに分けて書かれております。明らかにこれは個人の行為ではないと思われる、行為自体は勿論個人でやるのですけれども、これは団体の行動であるということは私は明瞭でないかと思う。或る者は首魁となり或る者は謀議に参画し、或いは群衆の指揮を行う、或る者はそれに勢いをつけるために附和随行する、こういうようなことは、明らかに一人だけの、或いは個人の行為一つ一つを分割して行けば個人の行為には違いないが、明らかに団体としての行動がとられておる、こう私は考えられるのですが、この点は如何でしよう。
○政府委員(吉河光貞君) 内乱罪にいたしましても騒擾罪にいたしましても、これは一つの多数人の集合的犯罪である、で多数人が朝憲紊乱を目的として暴動をなすということが内乱罪の構成要件になつております。その暴動が行われた場合におきまして、その参加者の行為の態様に従つてその各人を処罰するという立て方になつております。で、これはあらかじめ一つの団体というものを、この法案で論議しておりますような団体というものを前提とした観念ではない、むしろ多数人の集合犯罪であるというふうに刑法の解釈上も、刑法の学説上もそれぞれとられておる次第であります。
○片岡文重君 その御説明は一応御尤もであると思いますが、結局問題は、この多数人が集合して行うところの危険な不穏当な行動といいますか、活動を防止することが目的であるとするならば、たとえそれが継続的に行われて、或いは画策されておつても、特に先ほど来の御説明によれば、公安調査庁の調査というようなものも、現行犯であつても、現在謀議が行われておるということがわかつておつても、任意調査の範囲を出ないというよう心程度のものであるならば、この刑法の集団行動を規制するだけの法律で以てして十分私はこの破壞活動を行う団体を規制することができると考えられるのですが、そのできない理由を一つ述べて頂きたい。
○政府委員(関之君) お尋ねの点につきましては、これは刑法内乱罪、又は騒擾罪の御説明は只今特審局長から申上げた通りで、それは要するに一つの結果として現われた集合的な犯罪になるわけであります。ただそれは、そういう一つの外形的なその集合的な犯罪行為自体だけをこれで処置する、その背後にどういうものがあるかということは全然考えていないのであります。ところでこれは提案理由においでも従来申上げたごとくに、最近の暴力主義的破壞活動は、要するに団体の組織、組織を基盤として行なつておるその疑いが非常に濃厚である。従つてその団体の組織の活動力に向つて所要の規制を加えて行かなければならないというのが考え方の基礎になるわけであります。そこでかような、内乱行動であるとか或いは騒擾行為であるとかいうものは、その生れ出た犯罪行為という結果的なものであります。その背後に或いは相当の組織というものによつて有無相通じ、或いは団体行動によつて各種の出版活動をなし、一種の宣伝活動をする破壞的な各種の活動が、それらのものを基盤として具体的な犯罪行為が結果として発生するわけであります。そこで起きた結果だけを見てやるのも、これも一つの考え方だと思うのでありますが、それよりも憲法の枠内において、許される範囲内において、その団体の組織活動自体によつて行われるところの活動自体に対して所要の規制を、憲法の許す範囲内において加えることが目的ではないかというふうに考えまして、団体の規制ということをこの法案において一応考えて見た次第であります。
○片岡文重君 この点は論議尽された点でありますから、余りしつこくお尋ねするのはどうかと思いますけれども、時間的に長期に、継続的に亘つて謀議といいますか、陰謀或いは予備行為がなされる危険のあるのは防止しなければならん、その起る事前に防止しなければならない。それを防止するためにはこういう法律によらなければならないという御説明を一つ拝聴したい。
 それからもう一つは、こういう行為は個人の行為よりも団体の行動のほうが、その何と言いますか、活動力は旺盛である。言葉は違いますけれども、あなたのおつしやる意味はそういうふうに解釈できるのですが、そういう点からこの法案は作られておるというような御説明であつたと思うのですが、そう解釈してよろしいのでございますか。
○政府委員(関之君) 大体お尋ねの趣旨の通りでありまするが、要するに第三条各号に掲げるような刑法に掲げてある既遂の罪をなす行為、その行為は現下の事態に鑑みまして、その事態の発生するまで待つて、手を拱いて見ているということは、公共の福祉の安全の確保において堪え得られないものである。その事前といいますか、それに接近した危険行為を予備、陰謀行為、扇動というラインで抑えてやるのが公共の福祉の安全のために必要である。その次にはかかる破壞活動が結果として現われる。かような破壞的な活動は、その背後におきまして団体のその組織力に乗つかつて、それを基盤にして展開されている疑いが非常に濃厚である。而もそれは個人の場合よりも極めて危険性が大きいと、さようなことでその団体に対して所要の規制を加えて、そうしてその活動力を減殺する、かようなことがこの法案の狙いになるわけであります。
○片岡文重君 どうもそれだけでは、予防のためにこの法案が作られたということに重点を置かれるならば、むしろこの内乱等の謀議、予備、陰謀等についての規定もあるのでありまするから、これを団体にこういうことはやつてはいけないということをこの現行刑法の上に明確に謳うことによつて、今までの御説明の程度であつたならばその目的は達せられるのではなかろうか、こう思うのですが、どうですか。
○政府委員(吉河光貞君) 実はこの法案を立案するに当りましていろいろと考えたのであります。検討したのでございますが、現行刑法におきましては、団体の犯罪行為能力を認めていたいのであります。従いまして団体を、これは羽仁先生からもかねがね御指摘がありました、団体を刑事上の処罰の対象とすることは原則として認められない。こういうような場合を一つ、大変失礼でございますが、例として申上げますと、内乱をやろうということを目的にしている団体がここにあるとすると、それはただ目的としているにとどまつている団体としてそういう団体がある。で、その団体が内乱の予備、団体の活動として予備行為をやり、団体が内乱の予備行為をやろうという意思決定をいたしまして、構成員なり役職員が、団体として内乱の予備行為をやつた。やつた者は確かに刑法で取締を受けるわけです。だが団体そのものには手を触れることはできない。而も団体はこの目的のために絶えず新らしい構成員を補給し、指導者を養成し訓練して行く、そのこと自体は予備ではない。現実に予備行為をやつたものだけが刑法で取締りを受ける。その危険性は、決して社会的な危険性は除去されないというので、こういう団体に対しまして、公共の安全を保持するために必要止むを得ない規制をかけて、その団体の活動を制限したい、かように考えておる次第でございます。
○片岡文重君 どんな政党でも、どんな危険な団体でも、内乱或いは騒擾それ自体を目的としている団体はないと私は思うのです。やはりそれは一つの手段として考えておる。到底民主的な方法を以てしてはその団体の主義主張を貫徹することはできない。或いは施策を推進することができないというところから、その主義主張を貫徹し、考えを徹底せしむるための手段方法として取りあえず急がなければならないというところから、その手段として破壞的行動がとられる、こう思うわけです。そういう点からいたしますならば、これは破壞活動のみを目的としておる団体というものはあり得ないと私は考える。それが一つ。それからいま一つはそういう考え方の上に立つならば、団体が予備、陰謀に着手するまで解散せしめ或いは規制をするということをしなくとも、社会に実害を与えるということはないのであるし、社会に実害を与えないものであるならば、あえてこれを解散せしめ、つまり自然人であるならばこれは死刑でしよう。解散をせしめるというようなこと、苛酷な方法をとらなくても私はよいのではないか。特にこの場合に考えられますのは、先ほどしつこく団体という意味をお尋ねしましたけれども、その質問の過程において御答弁の内容からいつて、対象となる団体というものは極めてあいまいであるということが明瞭に私は考えられる。そういうことになつて来ますると、これは恐らく政府が考えておられるような団体ばかりについて適用されないのではなかろうか。特にこの第三条の一項の二号などを見ますると、これは曾つて治安維持法には明らかに国体を変革し、私有財産制度を否認するという厳重な枠がはめられている。然るにこの法律では一つの政治上の主義若しくは施策を推進し云々とあつて、そういう厳格な枠というものがはめられておらない。自分に反対する者、或いは気にくわない者は、極端に言うならばそういう団体、そういう人々に対して容赦なくこの法案が適用されるような危険が多分に感知されるわけです。そういう点を考えて、殊にこの日本の現在の文化過程というものが、終戦後民主化の一路を辿りつつある、折角民主主義というものが培養されつつある、培われつつあるときに当つて、今日の日本の文化程度は極めて低いのだという批判がある。而も政府はこの文化程度というものをもつと上げなければならない。更に民主化して行かなければならないということを主張されておるのでありますから、真実その民主化というものを徹底させようと欲するならば、その民主化されて行くことにより多くの努力とより多くの方法が考えられて然るべきではないか、そういうことを考えて参りますと、この法律によつてどんなにでも悪用される危険が多分にある。そういうことによつて、あの大東亜戦争当時の、まさに風にそよぐ葦のごとくに戦戦競々として、自分らの主張や主義というものを発表し得なかつた恐怖というものが、今日学者、文化人の間に再び芽生えつつある。民主主義というものが、再び萌芽にして摘み取られようとする情勢下に置かれておる。民主主義を更に高度に発展せしめなければならないという現段階においては、こういう悪用される危険多い法律を以て徒らに萎靡せしめるよりも、多少の不満はあつても、多少のマイナスはあつても、私はむしろ現行刑法の限度にとどめ、或いはこれに手を加える程度にとどめて、こういう法律はむしろ作らないほうがよい。若しどうしても団体というものの規制を単独立法としてなされなければならないということであるならば、私はこの団体というものの観念をもつと明確にし、それから第三条の内容についてももつと厳格に具体的に指示を与える。そうして殊にこの第三条第一項の二号「政治上の主義若しくは施策を推進し」云々ということ、こういう漠たるものでなくて、法の対象として政府が考えておるところを率直明快に表現しで、他に悪用することのないように立法措置を講ずべきではないか、こう考えるわけであります。大分意見が入りましたけれどもそういう点から参りましても、なお且つ私はこの破防法というものをこのまま通さなければならないのかどうか。そういう点についてどういうふうにお考えになり、どういう措置を今後それらの文化人、或いは新聞雑誌その他の言論、思想の自由が脅かされる事態をどういうふうにして救済しようとされるか、それらの点について伺いたい。お考えを承わつておきたいのですが、併しながらこの第二条にそういう点が述べられておる、或いは第何条でしたか、そのほかにも捜査に当つては基本権を侵してはならないという数カ条の規定がある。それによつて保障をしたということではなしに、これは単なる訓令規定の域を出ないのである。更に極端に言うならば気安め程度のものである。裏から見れば第二条その他の訓令規定は、それ自体この法が如何に危険の多い薬であるか、政府の言葉を以て言わしむるならば、恐らく危険の多い薬であるというふうに私は考えるのですが、それらについてどういうふうに考えておられるか。それからどういうふうにしてそういうマイナスとなる点を救済して行こうとされるのか、この点一つ伺つておきたいと思います。特に問題が問題ですから特にこれは立法の精神に関しますから、御列席の政府委員において御答弁が困るとするのであるならば、総理なり法務総裁の御答弁を伺つてもよろしい。
○政府委員(吉河光貞君) 一応私からお答えいたしたいと思います。如何なる団体でも内乱だけを目的とするような団体はないだろう。結局その思想と申しますか、窮極的な目的をこの現在の社会ではほかに達成する途がないというので、窮余の一策としてこういう内乱というような行為をやることになるのだろう。かようなわけであるから、こういう団体までも規制の対象として行政措置を以つて取締るというようなことは行過ぎではないかという第一の御質問の点でありますが、これは実は根本的な立案の問題にかかつていることであると考えております。法務総裁を初め政府委員は、この点につきまして、これこそ民主主義を破壞するものじやないか、少数者の意見が国民の多数の支持を得ないで、国会制度を通じてその目的が達成し得ないというような理由からしてさような行為に出るということは、絶対に許さるべきものではない。すでに日本国憲法におきましては憲法を改正する方法を憲法に規定しておる。然るにもかかわらず、国会を通過せずして、国会によらずして少数の意見を内乱という方向によつて達成しようというような行き方は絶対に許されない。又そういうような活動に出る団体に対しては、民主主義を擁護する上においてもこれは公共の安全を防衛するために規制を加えなければならないというのがこの法案の立て方になつているわけであります。治安維持法においては国体を変革し私有財産制度の否認を目的とする明確な事項が打出されているのに、この法は第三条第二項の政治上の目的云々と非常に漠然としている。何でもかんでも包含されるのではないかという御指摘でございますが、この点につきましては私どもは過去におきまする治安維持法こそこれは非常に欠陥を持つたものだ。治安維持法におきましては、国体を変革しとか、私有財産制度を否認するという目的で結社を組織し、指導し、従事し、加入する、或いは結社外でその目的を遂行するためにする行為をするということが、すべて手段方法の如何を問わず犯罪とされる。非常に犯罪、違法性がこういう国体変革とか私有財産制度の否認という一点から湧き出して来た。その手段の如何を問わないという立て方になつております。その制度は、その目的内容にいたしましても非常に広い。今日社会主義を唱える者は当然この私有財産制度の欠陥を指摘してこれを主張する。或いは憲法改正を唱える者は国体の変革というような点まで延びるかも知れない。現在尤も国体という言葉はございませんが、そういうような点に亘るかも知れない。それの手段方法の如何を問わずすべていけないという立て方ではなしに、この法案におきましては、いやしくも暴力を以て政治目的を貫徹するという行き方を排斥しなければならない。極端な暴力的な行動、内乱とか、第三条第一項二号に掲げられておりますような行為に出る行動は、飽くまで民主主義の態勢を育成強化する上にもこれは排斥されなければならない。さような行為を団体の活動としてやる団体に対しましては、公共の安全を確保する上に、どうしてもこれに行政上の規制をかけて行かなければならないという立て方にしているのであります。私どもといたしましては、先ほどいろいろ御指摘もございましたが、団体につきましては、団体の一般的なものとしてはすでにこれで十分ではないだろうかと考えている次第であります。ただ運用上におきまして、この線以下の団体類似のものがあるけれども、これが団体として取上げる実体がなければ取上げるべきでないと考えている次第であります。更に進んで政府はこういうような法案を出して、今一番大事な時期に、やつと日本国民が独立国家として一本立ちになつたようなこの時期に、民主主義の育成強化に万般の施策を講じて行くべきでないかという点でありますが、この法案が、私どもの見解といたしましては、この民主主義を守るのだという点にこの法案を打出した次第でございます。その他の政府の施策につきましては法務総裁、又は先ほど法制意見長官からも縷々御説明をした点であります。大体かように考えておる次第であります。
○片岡文重君 まあその問題は一つ総理なり総裁からもう一遍一つ伺うことにいたしまして、刑法七十九条を拝見すると、内乱等の幇助、これについてこの規定する行為をなすことが暴力主義的破壞活動であるということが謳つてある。この七十九条の規定を見ますると「兵器、金穀ヲ資給シ又ハ其他ノ行為ヲ以テ」云々と、こうありますが、「其他ノ行為」という中には一体どういう事柄が含まれるのか。この団体としての規制を受ける場合に考えられる「其他ノ行為」というものを一つお示しを頂きたい。
○政府委員(吉河光貞君) 刑法七十九条につきましては内乱の幇助、又はその予備陰謀を規定しておるわけであります。例示として「兵器、金穀ヲ資給シ又ハ其他ノ行為ヲ以テ」というふうに謳つておるのでありますが、この「其他ノ行為」というのは、結局幇助罪の性質から鑑みまして、刑法の一般原則の幇助、実行を容易ならしむる行為と御説明申上げることになるのではないだろうかと考えるわけであります。そういう行為は、では個々に取上げてどういう行為があるかというような問題は、その行為の客観的な価値を判断して事実認定をさるべき問題ではなかろうかと考えております。
○片岡文重君 例えばですね、この間の宮城前の広場での事件、或いはあの岩之坂上交番ですか、何かの交番が襲撃された。そういう場合に負傷者の手当を行なつた看護婦さんの何か一団があるそうだが、そういう行為は、或いはそういう内乱が起つて怪我をしたり病気になつたりした場合に、それらの団体だけでそれを収容し或いは介抱することができないというような場合に、他の労働組合なり或いは他の政党の者が見ておられないというところでこれを介抱する、或いは食糧を供給してやるというようなことは、これは人道上として私は当然あり得べきことだと思う。こういう場合にこれはこの第三条に規定する行為に含まれるのかどうか、その点を一つ……。
○政府委員(吉河光貞君) この怪我人、或いは何の手当をする、これが内乱の実行を……、内乱の例を取りますが、容易ならしめるというような意思のない場合、ただ怪我をしたその人間を治してやるということは、これは実行を容易ならしめる意思のない場合は含まれないと考えております。ただ傷を治してやるからもう一遍行つて来いというようなことや、事前にそういうようなことは一切引受けるからやれというようなことになりますと、これは実行を容易ならしめる意思を持つてなされた場合というふうになりますので、該当する場合もあると考えております。
○片岡文重君 その場合におつしやられるようにさあ繃帯するのだ、しつかりやつて来いということになれば、これは極めて幇助の性格が明瞭でありますけれども、そういう態度はわからない、人道上とにかく見てはおられないのである場合には、これは反対であるけれども世話をしてやらなければならん場合も人間として私はあり得ると思う。そういう場合に明らかにこれは幇助ではない、反対だけれども、この人は助けてやつたのだということがわかつた場合には問題はないでしよう。けれども平素政府からどうもあの団体はおかしいと見られておつた場合に、その団体に所属しておる者がそういうところに手を出す、或いはその中の一部の者が行つて介抱する。或いはその行く場合に、正式な実行機関の決定に従つて行つた場合ならば、まだ何でありましようけれども、連絡機関その他の方法で、取あえずそこにおる者だけで行つたような場合、こういう場合どうなりますか。
○政府委員(吉河光貞君) 結局これは事実の認定の問題であろうと思います。従来からのその団体とか個人の動きを見て、実行を容易ならしめる犯意があつたというような認定は絶対にできない。認定をするにはやはり認定をするだけに足る証拠がなければならないと考えております。
○片岡文重君 どうも問題が細かくなつて来て大変恐縮ですが、こういう事態は当然破壞活動が……まあどういう問題を指して破壞活動というか別として、少くともここに掲げられるような行動がなされた場合には、幾つも私は起り得る事例だと思いまするのではつきりいたしておきたいのですが、然らばそういう明瞭になつているときはそれでよろしい。不明の場合にはその事例に従つて判断する。それ以外に返事はないでしよう。そこで、それでは一体或る政党なら政党が、考え方としてはとても今日の情勢下ではこの民主的な方法だけでは自分たちの考える政策を早急に行うわけに行かないというところで、その政府の考えるような破壞活動を以て内乱を起し、或いは不安な社会情勢をかもし出して、そこに乗じてこの政府を立てようという、いわゆる政府のいう朝憲紊乱の事態を惹起せしめるというようなことで活動はしておるのですけれども、そういう綱領を掲げて活動しておる政党というもの、或いは団体というものは余り私はなかろうと思うのですが、従つてそういう政党なり団体が、その他の団体が機関誌を発行し、或いは街頭に立つて資金カンパを行う、こういう場合に、その機関誌を購入し或いはその資金カンパを行う。或いはその街頭等の場合にはともかくとしても、現実に大口寄附を行うというような場合には、この七十九条の「其他ノ行為」ということには含まれるかどうか。
○政府委員(吉河光貞君) 団体が内乱を目的とするという、そして諸般の活動をするという場合につきまして、まだ実際の内乱の予備、陰謀とか、予備、陰謀の幇助というような具体的な活動に出ていない。ただその団体として窮極の目的を達成する当面の手段として、内乱をやるということを団体の意思として決定して活動している。その活動自体は普通一般の活動であるというような場合につきましては、これに金を出そうとか、寄附をするとかというようなことは幇助には該当しないと考えております。
○片岡文重君 いや、現実に行動には着手しなくとも、その団体自体がその暴力を以て政府を顛覆せしめよう、自分達の政府を作ろうという考えの下に行動を起しておる。起しておるけれども、その点は外部に伺つては秘匿されておるからわからない。それで善意の第三者が……、まあこれは必ずしも善意かどうかは別として、少くとも設例として、善意の第三者がこれに金品を、支給をしたという場合には、この七十九条の「其他ノ行為」に該当するのかどうか。
○政府委員(吉河光貞君) 御質問の場合は該当しないと考えております。
○片岡文重君 それから七十八条、七十九条において、この内乱の予備又は陰謀をなしたるもの、これは七十八条、それからこの七十九条は幇助ということになつておりますが、これに対して三条のロ号では……。
○羽仁五郎君 今のに関連してちよつと一言承わりたい。問題は非常に重要なんで、さつきの看護の問題ですか、如何なる状況の下においてにせよ、そういう怪我した人があつて、それを医療の専門家が看護する、看護婦なりお医者なりが……。これについて、それが再び繃帯をして、丈夫になつて出かけて行つて闘えという場合ならば本法の適用或いはその他の刑法の適用を受けるというようなお答えがさつき特審局長からありましたね。そうでしたね。それは私非常に重大な問題だと思う。でこれは当然その如何なる状況の下においてにせよ、負傷した人があつて、それに対して医療上の手当をするということは、これは刑法に関係することじやないですよ。でこれは他の法律によつても保護されていることで、従つてそれがどういうことを意味するかということはこれは全く別問題で、従つてこの看護作業、医療作業そのものは、刑法によつても関係して行くものじやないということははつきり答えでおいて頂かないと、これは大変な問題だと思う。ですから私の伺うのはこれは人道上の問題ですから、看護については何人も……。今そこでごたついておられるなら、私の質問をよく聞かれて、それであとで説明して、はつきり答えて頂きたいのですが、治療及び看護については絶対にこれは刑法に触れるものじやない。法の上に立つものです。いやしくもこれを危くするような、その看護をすることは、再び丈夫にして立たせて闘うのだというようなことになれば、赤十字の精神はどうするのだ。そういうことを今言われるのは大変なことです。それは見解上個々の場合について判断する。ところがそんなことじやないのです。その治療し看護するということは法の上に立つ人道的な行為ですよ。これは破壞活動防止法どころじやない。如何なる……、刑法を以てしてもこれに手を触れるということはできない。そのあとにおいて起つて来る行為というものはこれは又別です。でなぜそういうことをはつきり答えておいて頂かないと大変だかというと、負傷した人があつた場合に、この看護する人が、そういうふうに疑われちや困ると言つて、お医者さんなり看護婦さんがそこへ飛出して来ないことがあるのだよ。だから共産党の人であろうとも何であろうとも、これは政府とても共産党の人の生命は尊重しないということは、憲法の名において言えない。又これは共産党の人ばかりではなく、たとえ罪を犯した人の生命といえども尊重しなければならん。戦争の場合に敵といえどもその人の生命というものは尊重しなければならない。だから負傷した人や怪我した人があれば、直ちにそこへ馳けつけて治療をするなり看護するということは、国際的の慣例として確立されている原則ですよ。それをはつきり答えておいて頂きたい。看護、治療というものは如何なる刑法の適用の下にも立たない。
○委員長(小野義夫君) 質問の要旨はわかつたようです。
○政府委員(関之君) 先ほど局長からお答えいたした点に、言葉を補充いたしましてお答えいたそうと思います。
 それで先ず特審局長の第一の例といたしまして、事前に連絡いたしておりまして、一切の負傷や、その他気持が悪くなつたらおれたちが全部介抱してやるから大いにやれ、やつて来いということに相成りますと、現在の刑法では共同正犯になる。或いは行つて来いということが幇助になるか、いずれにいたしましても犯罪になることは疑いないのであります。行つて来いというその言葉であります。今申上げたのは負傷して来て介抱する、その行為それ自体は、これは犯罪ではないわけであります。よくなつて、例えば、そら行つて来い、又やつた、それが又これは共同正犯になるか、犯罪の幇助になるか、それは助言従犯ということになりますか、その点は刑法上責任を追求さるべき行為である、かようなふうにお答えした次第でありまして、看病自体、治療自体は飽くまで正当なる行為であろうと私は思つております。
○羽仁五郎君 思うとか思わないということではなく、それはそういう場合までほじつて余り追つかけるような御答弁をなさることはやめたほうがいいですよ。男らしく、窮鳥懐に入らば猟師もこれを撃たぬということがあるでしよう。そりや窮鳥懐に入つたら、そばへ来たら撃つたらいい。併しいやしくも怪我をした人を看護する、そのときにもう大丈夫だ、心配しないで、元気にどこへでも行きなさいと言つたからあれなので、そうしてもう一遍闘つて来いと言つたから犯罪だというようなことまで追求することはやめろと言うのです。そんなことまで言う世の中になつてしまつたら、これは特審国家ができるよ。特審社会ができます。これから私はそういう答弁は一切やめてもらいたい。それは特高イデオロギーの残存です。だから看護や治療は心配なくやつてもらいたいというように答えるこそ、民主主義国家における私は紳士の口から出る言葉としては、そういう言葉だけを期待します。その前後に明らかにそういう行為があるというのなら、それはそのほかのほうからおやりなさい。その治療や看護と関係しておやりになるということをやめるというふうに私は希望します。そういうお答えができませんか。できなければ法務総裁からそういうお答言え頂きたいと思います。
○政府委員(吉河光貞君) 答弁あいまいでありまして、御指摘の通りでありす。看護、医療行為自体は幇助ではないと思います。
○委員長(小野義夫君) ちよつと速記をやめて。
   〔速記中止〕
○委員長(小野義夫君) 速記を始めて。
○羽仁五郎君 これは非常に重大な問題です。私の兄貴は現に医者です。で、医者としての良心に基いて、如何なる人であろうともその治療をしたいというふうに考えている。ところがそこへ運ばれる患者は非常に多い。なぜ多いかというと、世間の多くのお医者さんは、共産党のかたや何かの病気の診療ということを躊躇される傾向があるのではないか。これはお医者さんに対して失礼ですから断言しません。併しそうではないかと思える節がある。併しこれは非常に私は大問題だと思う。それで共産党のかたであろうと自由党のかたであろうと、病気であり怪我をなすつているということに対して、お医者さんが何の心配もなく手当ができ、看護婦さんが何の心配もなく手当ができるというようにしてもらいたい。その意味から言つているので、法理論上からこれは申上げていることです。つまり医療行為そのものというものは決して如何なる法の下にも立つものではないと思うのです。これは医師法によつてもそうした保護を与えられている、秘密を守るということについては……。だからこれは世間ではどうかするとそういう昔の特高、今度の破壞活動防止法案の適用の上で、そういう点で看護婦さんやお医者さんが危険を感ぜられるということは、人道上由々しい問題であるから、そこを申上げておるのです。
○委員長(小野義夫君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(小野義夫君) 速記をつけて。
○羽仁五郎君 私が政府に向つて質問したい第一の点は、政府は今までこの委員会において、本法は諸外国における類似の法令というものの研究の上に立脚しているということを言われております。そこでその政府が本法立案に対して参考とした諸外国の立法というのはどういうものであるか、これを先ず列挙せられたい。
 それから第二に伺いたいのは、それらの法律とそれからこの法律というものがどういうところが違うかというところをはつきり答えて頂きたい。そして又どういうところが同じであるか。
 それから第三に伺つておきたいのは、諸外国の立法例というものがその後にどうなつているかどいうことです。例えばこれは私は必ずしも偽証というふうには申上げることはできないのでありますが、この政府から議員各位に配付せられておるところの資料というものには余り重大な間違いがあることで、私は感服しません。その一つとして、例えばオーストラリアにおける共産党解散法案というものを表題において、オーストラリア共産党解散法案というふうにお出しになつておることは、これは極めて議員に対して誤まつた印象を与える虞れがある。これは政府がいわゆる故意であるか或いは過失であるか、或いは未必の過失であるか、そういうことを私は問いません。併し議員に差出される政府提出の資料というものには、いやしくも重大な誤りがないことを私は希望する。で、オーストラリアにおける共産党非合法化法案というものは、一旦下院を通過したことがある、又両院を通過したことがある。併しながらその後に最高裁においてどうなつたか、それから更にその政府がどうしたかということも……、これは結果においては現在法として生きておるものじやない。そういう点を誤解を与えるような意図がおありになつたと、私は毛頭推察しませんか、併しそういう点において常に正確にせられたい。これらを含めて、第三に申上げるのは、これらを含めて諸外国における、アメリカにおけるスミス法なりマツカーラン法なり、それがその後にどういう事件が起つておるか、又それに対して裁判所においてどういう裁判がされておるか、又これに対してアメリカなり国際世論はどういう批判をしておるか、非常に立派なものだと世界中手を挙げて喜んでおるか、或いは困つたものだなと……、いやしくも本法案を立案せられるに当つて、諸外国の同様の立法例を参照せられたというからには、以上申上げた三つの点くらいについては十分な御用意があるはずである。願えれば本日直ちにそれについて伺いたいし、若し本日はもうすでに時間の関係もあるからということならば、明日なり次の機会において是非伺つておきたい。
 なぜこれを伺うかという理由を委員長のお許しを得て簡単に申しますが、多くのかたとお話をしている間に私の得た印象は、こういう法律は外国にはないだろうと考えるということ、それから反対に外国にもこういうのがあるそうだ、だから日本でもやつていいじやないかという非常に二つの簡単な理窟で本法律案が或いは賛成され或いは反対されておる。私はこれは妥当な判断じやないと思う。従つてもう少し進んで、外国にも類似のものがある。併し相違する点、類似する点、これこれこういう点では全く違つているという点もはつきりし、それから又それがその後外国で廃止されてしまつているとか、或いはその後どうなつているか、重要な点だけ……その第三の点を申上げて置きますが、アメリカにおいてはスミス法、マツカーラン法がその後どういうふうになつているのか、それからオーストラリアの共産党解散法として成立しておつたものがその後どういうようになつたか、若しそれが廃止されたとするならばその経緯、もう一遍政府がやろうとして、而も失敗したその経緯、それから政府が……これは私のほうからは出しませんよ、あなたのほうからお出しになつたことについてお伺いしますが、南アフリカにおいて共産党解散法というものが出ている。これが一体どういうところが似ているのか、どういうところが違うのか、それから南アフリカにおいてはそれらの法案をめぐり、又それらの法案を背景にして、事実南アフリカにおける一般的な情勢がどういうふうになつているかということを、そんなにお調べになるのも大変でしようが、日本の普通の新聞、雑誌などの資料でこれはおわかりになるだろうと思う。それを御覧になれば十分わかることですから……、勿論私も政府に協力してその点お調べが不十分の点は助力したいと思うのでありますが、併し一応この立案の責任を持たれた政府のほうから以上の点をお答え願いたいと思います。外国の立法例としてお挙げになつているのはこの三つでしたかね、もう一つありましたか……。主なものはその三つでしようが、その三つについてお答えを願つて置くというふうにしましよう。
○委員長(小野義夫君) それでは本日はこの程度で散会いたします。
   午後四時四十五分散会