第013回国会 本会議 第51号
昭和二十七年六月十三日(金曜日)
   午前十時四十五分開議
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 議事日程 第五十号
  昭和二十七年六月十三日
   午前十時開議
 第一 旅行あつ旋業法案(石村幸作君外六名発議)(委員長報告)
 第二 海上警備隊の職員の給與等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第三 宗教教化教材機具の物品税免除に関する請願(委員長報告)
 第四 労務用加配酒存続に関する請願(委員長報告)
 第五 労務用特価酒存続に関する請願(二件)(委員長報告)
 第六 労務加配酒存続に関する請願(委員長報告)
 第七 銀行従業員給與に対する大蔵省の干渉、統制排除の請願(二件)(委員長報告)
 第八 在外資産の調査に関する請願(委員長報告)
 第九 農業協同組合に対する課税滅免の請願(委員長一報告)
 第一〇 文化財保護法による指定国宝等の物品税廃止に関する請願(委員長報告)
 第一一 織物消費税廃止に伴う特別措置の請願(委員長報告)
 第一二 石炭手当に対する所得税免除の陳情(委員長報告)
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○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
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○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。
 この際、日程に追加して、運輸審議会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
 去る九日、内閣総理大臣から、運輸省設置法第九條の規定により、木村隆規君、三村令二郎君を運輸審議会委員に任命することについて、本院の同意を求めて参りました。本件に関し同意を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て同意することに決しました。
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、日本銀行政策委員会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
 去る十日、内閣総理大臣から、日本銀行法第十三條ノ四の規定により、岸喜二雄君を日本銀行政策委員会委員に任命することについて、本院の同意を求めて参りました。本件に関し同意を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て同意することに決しました。
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) 去る九日、内閣総理大臣から、北海道開発審議会委員加賀操君、堀末治君、木下源吾君は本月三十日それぞれ任期満了となるので、その後任者を指名せられたい旨の申出がございました。つきましては、この際、日程に追加して、北海道開発審議会委員の選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
○木村守江君 私は、只今の北海道開発審議会委員の選挙は、成規の手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
○菊川孝夫君 私は只今の木村守江君の動議に賛成いたします。
○議長(佐藤尚武君) 木村君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議長は北海道開発審議会委員に、堀末治君、加賀操君、木下源吾君を指名いたします。
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) 日程第一、旅行あつ旋業法案(石村幸作君外六名発議)を議題といたします。
 先ず委員長の報告を求めます。運輸委員長山縣勝見君。
   〔山縣勝見君登壇、拍手〕
○山縣勝見君 只今議題となりました旅行斡旋業法案につきまして運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 この法律案は、旅行斡旋業の健全な発達を図りまして、日本人及び外国人旅客の接遇の向上とその保護に資することを目的といたしまして立案されたものであります。
 旅行斡旋とは、内外人の旅行者のために、運送機関、宿泊施設等の旋行に関する施設の利用につきまして、対価を得て、その予約をいたしましたり、或いは修学旅行等、団体旅行の請負、手配等のサービスの提供をなしまする等、旅行に関する仲介、取次、請負等の行為を広く含んでおります。この関係業者は従来法規の規律の下には置かれていなかつたのであります。従つて若干弊害もあつたようでありまするので、今回一応この事業を登録事業といたしまして、その業態の実態を把握いたしまして、その指導育成を図ろうといたしますのがこの法律の主眼であります。本法によりまして登録いたしました業者につきましては、営業保証金を供託せしめ、以て全然無資力の者の業界に輩出いたしますことを予防いたして、併せて事故の場合の弁償に当てることに相成つているのであります。なお、本法におきましては、料金を届出制にいたしまして、監督の途を開き、以て不正悪徳業者を取締ることに相成つているのであります。
 この法律案の要旨は以上の通りでありまするが、何分にも本法案は新らしい規律でありますので、法律案の審議におきまして、業態の実情及びこの法律の運用上の諸点につきまして熱心なる質疑が行われたのであります。これらの詳細につきましては速記録を御覧願いたいと思うのでありますが、そのうち主なるものを申上げますと、先ず第一に、「旅行斡旋の業に携わつております者が登録されることによつて政府公認として認められ、これによつて不当に信用をかち得て一般の利用者が不測の迷惑を受けるというふうなことにならないか」という質問がありました。これに対しまして提案者の答弁は、「旅行斡旋業は自由業であるので、あまり圧迫を加えたくないという配慮の下に、軍に監督という立場から、業態を一応把握するという意図を以て登録にいたしたのでありますけれども、登録そのものは無條件で行うのではなくして、欠格條件に当るものにつきましては登録しないことに相成つている。又登録によつて却つて業者の自重心を加え、業態は一様に向上されるものと期待いたしているので、その心配はない」という答弁であつたのであります。次に「料金につきましては、これを如何に定め、又その有効な取締はどうしてやるか」という質問でありましたが、これにつきましては、政府委員の答弁は、「修学旅行とか普通団体というようなふうに、利用者の種類によつて斡旋行為ごとに料金の最高を示して、業者よりその料金の届出をせしめ、斡旋行為の都度届出をさせるのではない。而して若しそれが適正を欠くときには変更を命じ得るものである。又個々の行為の際において不当な料金を受けた事実が若しあるならば、罰則を適用して、業界の粛正を図るつもりである」という答弁であつたのであります。その他、本法の解釈、適用、構成等につきまして細かい質疑がありましたが、詳細は速記録によつて御覧願いたいと思うのであります。以上で質疑を終りまして、討論に入りましたところ、一委員より、「この法律は今まで弊害の若干存した旅行斡旋業の実態を掴んで適当な指導監督ができる点において利点があるけれども、一面において料金の取締或いはその他において若干困難な点もあると認めるので、その実施に当つては実情に即した取扱をし、窮屈な取締を避けるように、当事者において運用して欲しい」という希望を付して、賛成の旨、意見の開陳がありました。これを以て討論を終りまして、続きまして採決に入りましたところ、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。以上御報告申上げます。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
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○議長(佐藤尚武君) 日程第二、海上警備隊の職員の給與等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。人事委員長カニエ邦彦君。
   〔カニエ邦彦君登壇、拍手〕
○カニエ邦彦君 只今議題となりました海上警備隊の職員の給與等に関する法律案につきまして、人事委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 先ずこの法律案の提案理由について、政府の説明するところによりますと、先般の海上保安庁法の一部を改正する法律によつて新設されました海上警備隊には、海上警備官及びその他の職員が置かれ、これらの職員は国家公務員法第二條の特別職の職員とされましたので、新たにその給與の支給基準を定める必要があるとしてその勤務の実態に相応するよう、而も一般職又はその他の国家公務員の給與水準との均衡を考慮し、更に給與事務の簡素化を図ることを基本原則として立案したとのことであります。
 次に、その要旨を申上げますと、第一に、海上警備宮の給與についてでありますが、陸上勤務者との人事交流を容易にすると共に、給與事務を簡素化するために、給與即ち、俸給、扶養手当、乗船手当、航海手当等は日額制とし、俸給については一般職の警察官の給與ベースを基準として海陸一本建として定め、扶養手当については一般職の国家公務員とおよそ同じ程度になるように定め、船舶に乗り組む者の給與については、右のほか海上勤務の特殊性を考慮いたしまして乗船手当及び航海手当を設け、この二つの手当を合せて俸給のおよそ四五%程度の額を支給しようとするものであります。なお海上警備官には一般職の国家公務員に支給される勤務地手当を設けておりませんが、これに相当する額のものは平均して給與に加味したとのことであります。第二に、海上警備官には一定の範囲内で食事を支給し、又職務に必要な被服を支給又は貸興することとし、第三に、海上警備官が私傷病により療養の必要がある場合には、国が国家公務員共済組合法に定める例により療養費の負担をすることとし、第四に、恩給法の適用については、三等海上警備士以上の海上警備官は文官と同様に、その他の海上警備官は、警察、監獄職員と同様に取扱うこととし、第五に、海上警備官には、以上申上げましたほかに、休職中の給與並びに寒冷地手当及び石炭手当等については一般職の国家公務員の例により支給することといたしております。第六に、海上警備官以外の隊員についてでありますが、これらの者の等級は一級から十四級までとし、その給與はすべて一般職の国家公務員の例に準じて支給しようとするものであります。なお、第七に、海上警備隊の職員の勤務時間及び休暇については、職員の健康保持及び福祉の増進を考慮して政令で定めることといたしております。
 この法律案は去る四月九日内閣より提出され、同十四日予備審査のため人事委員会に付託となり、同十九日衆議院より送付せられたものでありますが、本委員会といたしましては、四月十六日提案理由の説明を求め、同三十日内容の逐條説明を聞き、五月八日以降質疑に入りました。詳細は会議録に譲ることといたしまして、質疑応答の主なるものを申上げますと、第一に「先般海上保安庁法の一部改正法律案審査の際、海上警備隊の性格について村上運輸大臣の説明をしたところによりますれば、海上警備隊は警察予備隊と全然違い、むしろ警視庁予備隊又は大阪市警視庁機動隊の程度を出でないとのことであるが、他の大臣の答弁と矛盾するものではないか」との質疑に対しましては、「海上警備隊の任務も海上保安庁が従来行なつている業務の範囲内ではあるが、後者が主として平常の警備救難に当るに対し、前者は非常事態に対処するものであり、又警察予備隊が内閣総理大臣の認証を得なければ出動できず、その出動も極めて稀であるのに反しまして、海上警備隊は海上保安庁長官の命令で随時出動でき、その出動回数も相当多いと思われるので、これらの点において警視庁予備隊の線に近いと考える。」との答弁があり、第二に、「先般の海上警備隊を新設するための海上保安庁法の一部改正では、元来組織権限を規定する設置法たるべき同法の中に、職員にとつては重要な身分や服務に関する事項まで規定しているが、なぜ、このような法体系を混乱させる一時逃れの暫定的な措置をとらなければならなかつたのか。」との質疑対しましては、「独立後の状況判断から、海上における人命財産の保護又は治安維持のため、早急に有事即応の態勢を整える必要があつた次第である。」との答弁があり、第三に、「海上警備隊の任務も海上保安庁の業務の範囲内であり、海上保安官と本質的な違いがないというのに、なぜ特別職の扱いをしなければならなかつたのか。」との質疑に対しましては、「従来の海上保安庁の任務は、常時海上をパトロールして警備救難に当ることであるが、海上警備隊は、平常は訓練を主とし、特に大きな災害等が生じた場合、その非常事態に対処するため出動する建前であるから、身分、服務、給與等を変える必要があり、警察予備隊と同様特別職としたい。」との答弁があり、第四に、「村上運輸大臣が、海上警備隊は警視庁予備隊の程度を出ないと言明したのに、なぜ本案は警察予備隊と殆んど同一の給與基準を定めようとするのか。」との質疑に対しましては、「海上警備隊の目的等は実質的に警察予備隊と大差がないからである」との答弁があり、第五に、「海上警備隊の職員と海上保安庁のその他の職員との間には、当初のみならず将来も相当人事の交流があるものと予想するが、両者の給與体系が異なつている結果、将来非常に不便と混乱を生じないか。」との質疑に対しましては、「海上警備隊について給與体系を異にして日給制としたのは、給與支給の便宜からであるが、海上警備隊員とその他の職員との交流は、当初は別として、むしろ適切でないと思う。」との答弁があり、第六に、「海上警備官の俸給日額の計算基礎には勤務地手当や超過勤務手当の平均額等が加算されているので、恩給の国庫納金や医療費相当額等が控除されていても、こういう有利な俸給日額を基礎として寒冷地手当や恩給を算出すれば、給與体系を異にする海上保安官その他の一般公務員との間に著しい不均衡を生ずるが、なぜこうした不均衡を来たしてまで日給制をとる必要があるのか。」との質疑に対しましては、「俸給日額の計算基礎についてはいろいろ御批判もあろうけれども、一般職の警察職員及び船員の俸給額を基礎とし、かたがた警察予備隊の給與との均衡も勘案した結果、このような俸給額に落ちついたものであり、海上警備官の勤務は船舶乘組が主体であつて、而も全国各地を往来するため、勤務地手当の、ごときものは平均額を支給するほうが却つて実情に即し、又給與事務の簡素化のために日給制をとる必要がある。」との答弁がありました。
 かくて昨十三日、質疑を終了し、討論に入り、千葉委員より、先般海上警備隊の新設を規定した海上保安庁法の一部改正は憲法違反の疑いがあり、又この法律案に定める給與は他の政府職員の給與に比して著しく均衡を失するとの理由を以て反対、木下委員よりも反対の意を表せられ、討論を終り、採決に入りましたところ、多数を以て原案通り可決すべきものと議決いたしました。以上御報告申上げます。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 本案に対し討論の通告がございます。発言を許します。千葉信君。
   〔千葉信君登壇、拍手〕
○千葉信君 私は海上警備隊の職員の給與に関する法律案に対して反対いたします。(拍手)
 基本的な反対理由から申上げますならば、もともとこの海上警備隊なるものの設置は、軍隊の創設であり、吉田首相流に言うところのいわゆる防衛力の漸増に籍口する戦力の保持だからであります。本院公聴会において自衛戦力は憲法違反ではないと放言した御用学者がおりますが、一体どこの世界に、攻撃のための戦力、侵略のための戰力を蓄わえると言う国がありましようか。世界のいずれの国でも、アメリカでも、ソ連でも、その他の如何なる国でも、侵略のための、攻撃のための軍備だと公言はしていないのであります。特に我々がここで銘記しなければならないのは、去る四月十九日リツジウエイ将軍は「備隊は軍隊にならなければならない。そのことは締結された條約によつても義務條項として含まれている。」と発表しているのであります。この意味からは、その正否は別として、芦田氏が、軍隊は持たなければならない、その限りでは憲法は改正されなければならないと言つていることは、吉田首相が、国民を瞞着し、愚弄しながら、事実上軍隊を創設しつつある今日の態度に比べて、一日の長ありと言わなければならないのであります。又吉田首相の態度は歴史の審判の前に峻烈な断罪を受けなければならない非民主的な態度であることは、余りに明白な事実であります。(「ノーノー」「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)かかる意味から、我々は、この法律案が憲法違反の上に立つて、更に次の罪悪を重ねようとしているものであるという立場から、先ずこれに反対をするものであります。
 次いで私は、この法案の具体的な内容について、随所に散見する不合理、不将極まる点の主要なる部分について、反対の理由を申上げます。
 先ずこの給與法は、占領治下における止むを得ざる客観情勢下に、ポツダム政令によつて設置された警察予備隊と呼ばれる軍隊の給與法そのままの燒き直しだということであります。この法律案は、委員長報告にもありました通り、七月一日には保安庁に切換えられ、そして、この法律自体が消滅するものでございますが、そういう意味から、海上保安庁法による海上警備隊の給與法だというので、提案は海上保安庁の所管でございまして、従つて人事委員会における答弁の矢面には、運輸大臣、海上保安庁長官、海上保安庁人事課長が当られたのであります。併し、これらの諸君の答弁は如何にも他人事の問題に終始し、如何にも迷惑千万なことであるという態度に終始されたその状態は、委員会の速記録に徴しても明らかな事実であります。第一が、運輸大臣は、海上警備隊は警察予備隊とは全然違い、むしろ警視庁予備隊又は大阪市警視庁機動隊のごときものだと言い、明らかに大橋国務大臣と食い違つた答弁をして、物議を醸しておるのであります。更にこの法律案の内容に至つては、殊更に日給制をとつて通念的な月給制度に逆行し、露骨に昔の軍隊の給與制を採用しておること、これも、ポツダム政令による警察予備隊の給與制度をアメリカの指図によつてとられたやり方をそのまま踏襲して活として恥じないやり方であります。而もその給與は余りにも高過ぎる。私はその給與が余りにも高過ぎるといつて非難をするためにこれを取上げておるのではなくて、高いこと大いに結構。併し給與というものは、適正な高さを保たねばならないと同時に、他と公平でなくてはならないのであります。同じ国家公務員でありながら、この警備隊の給與は他の公務員に比べて不当に高いということが、この際、問題とされなければならないのであります。若し一般の公務員を、現在のように食うにも事を欠くような状態で、而も無責任至極に放置しておいて、それで、一方、予備隊、警備隊等ばかり不当に高い給與に決定するならば、そこから却つて不平不満も起り、非能率的な状態も起るのであります。今この法案によりますると、十六歳の警備隊員の本俸は七千七十円であります。厳密な本俸の比較で一般職の十八六歳の公務員の本俸は四千円であります。十六歳で七千七十円、十八一・六歳で四千円でいいという政府の態度は、ただただ呆れるばかりであります。第一、諸君の良識がこういう事実を果して正しいと認めるでありましようか。(拍手)又、例を二十四年の法律第二百号による寒冷地手当にとれば、一般職は、本俸、家族手当の八割以下であるのに、準備隊の場合には、本俸、家族手当、勤務地手当、超過勤務手当、乗船手当、営外手当の八割というやり方であります。殆んど倍以上の寒冷地手当を出すことにして法律第二百号の趣旨を事実上蹂躪しております。又、恩給法の問題、勿論軍隊だから、いつ白足袋に返り血を浴びて討死をするかも知れないから、恩給のことについては最も重点的に考えたのかも知れないが、第一、公務員が今までの恩給法でも今準備されておる新恩給法でも負担することになつておる恩給負担金、恩給納金は、この際は取らないことになつておるのであります。そうして恩給額計算の基礎になるものは、一般公務員にあつては本俸額であるのに、警備隊の場合は、本俸、勤務地手当、超過勤務手当の平均額が加算される。それほどまでの片手落ち、それほどまでの御機嫌買いをしなければ軍隊は作れないではないかという吉田内閣の気持はよくわかります。ごうまでしても軍隊を作らなければならないという約束をさせられた吉田内閣の苦しい立場もよくわかります。こうまでして権力に噛り付いていたいという吉田内閣の気持、こうまでして戰争利得者、軍需利得者、財閥どものお先棒を担がなければならない吉田内閣の立場もよくわかります。(拍手)併し、それだからこそ、そのためにことごとく犠牲となる国民大衆のために、私は断固吉田内閣の方針に反対し、本法案に反対するものであります。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) 日程第三より第十一までの請願及び日程第十二の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事野溝勝君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書は都合により附録に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔野溝勝君登壇、拍手〕
○野溝勝君 只今上程せられました大蔵委員会付託の請願並びに陳情につきまして、本委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。
 大蔵委員会におきましては、特に小委員会を設け、紹介議員からの趣旨の説明、各委員の意見及び政府の見解を十分に聽扱いたしましてその上、質疑応答を重ね、愼重に審議をいたしたのでありますが、その結果は次の通りであります。
 日程第三の請願は、宗教法人の使用する宗教教化教材機具の物品税を免除せられたいとの趣旨であり、日程第四、第五、第六の請願は、労務者に対し従前通り労務加配酒制度を存続せられたいとの趣旨であり、日程第七の請願は、銀行従業員給與に対し大蔵省が干渉統制しているのは不当であるから、これらの排除策を講ぜられたいとの趣旨であり、日程第八の請願、在外資産が価値不明のまま賠償に当てられることは、関係者の忍びがたいところであり、連合国との賠償交渉の際にも詳細な資料が必要であるから、政府は在外資産の調査をこの際行われたいとの趣旨であり、日程第九の請願は、社会的性格と組織上の特質を有する農業協同組合に対し法人税を軽減せられたいとの趣旨でありますが、單に農業協同組合のみならず、広く一般協同組合に対しても、ひとしく軽減措置を講ずるのが妥当と考えられます。日程第十の請願は、文化財保護法の精神に則つて指定国宝等の物品税を免除せられたいとの趣旨であり、日程第十一の請願は、織物消費税廃止により生産業者並びに販売業者が不当に損害を受けたから、その補償をせられたいとの趣旨であります。
 以上各件はいずれもその願意は妥当と考えられますので、これを議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。
 日程第十二の陳情は、北海道における公務員の石炭手当に対する所得税の免除又は控除制度を設けられたいとの趣旨であり、その願意は妥当と考えられますので、これを議院の会議に付し、内閣に送付すべものと決定いたしました。
 右御報告申上げます。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) 参事に報告させます。
   〔参事朗読〕
本日委員長から左の報告書を提出した。
 昭和二十七年度における国家公務員に対する臨時手当の支給に関する法律案修正議決報告書
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、昭和二十七年度における国家公務員に対する臨時手当の支給に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
 委員長の報告は修正議決報告でございます。修正案の印刷が間に合いませんので、朗読を以て代えることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。参事に朗読させます。
   〔参事朗読〕
    昭和二十七年度における国家公
    務員に対する臨時手当の支給に
    関する法律案に対する委員会低
    正案
   第二條第一項中「百分の五十」を
  百分の七十」に、「百分の三十」を「百
  分の三十五」に、「百分の十五」を「百
  分の二十」に改め、同項に次の但書
  を加える。
    但し、第一号の場合において、
   その額が三千五百円に満たない
   場合においては、三千五百円とす
   る。
    ―――――――――――――
○議長(佐藤尚武君) 先ず委員長の報告を求めます。人事委員長カニエ邦彦君。
   〔カニエ邦彦君登壇、拍手〕
○カニエ邦彦君 只今議題となりました昭和二十七年度における国家公務員に対する臨時手当の支給に関する法律案につきまして、人事委員会における審議の経過について御報告申上げます。
 先ず本法律案の提案の理由について申上げます。これについて政府の説明によりますれば、国家公務員に対する夏季の特別手当に関しては、なお今後において給與全般の問題と関連して研究することとして、取りあえず諸般の事情を考慮して本年度に限り六月に臨時手当を支給することとしたものでありまして、その内容といたしましては、臨時手当の支給範囲は常勤の一般職及び特別職の国家公務員全部として、その額は在職期間に応じてそれぞれ給與月額に百分の五十、百分の三十、百分の十五を乗じた額とし、支給の日は六月十六日といたしております。本法律案は内閣より提出せられ、五月三十一日衆議院より送付せられて参つたものでありまして、人事委員会においては直ちに本法律案の審議に入り、特に国鉄、専売公社等、政府関係機関職員及び地方公務員等の場合について関係政府委員の説明を求めると共に、一般の国家公務員との均衡の問題等について愼重な検討を行なつたのであります。その詳細についてはこれを会議録に譲ることといたしまして省略いたしますが、国鉄、一専売公社及び地方財政委員会より、それぞれの臨時手当支給の見通しについての説明が行われたものであります。なお「現在の公務員の給與水準は物価の趨勢等から考えても可なり下廻つているものであるにもかかわらず、給與月額の〇・五を支給するのみで果して現状に適応したものと言えるか」との質問に対して、政府側より、「予算上は年間を通じて給與月額の一カ月分を計上しているが、年末手当の支給額との関係もあり、又現在の情勢かち考慮して一応。五月分が適当であろうと思う」旨の答弁がありました。
 本法律案につきましては、六月十三日質疑も終了いたしましたので、討論に入りましたところ、千葉委員より、臨時手当の額をそれぞれ増加修正して、百分の五十を百分の七十、百分の三十を百分の三十五、百分の十五を百分の二十と改め、在職期間六カ月以上の職員については三千五百円の最低保証額を規定する趣旨の修正案が提出せられ、木下委員より修正案に賛成、北村委員より修正案に反対、政府原案に賛成、溝口委員より、年末手当については昨年同様又はそれ以上のものを努力することを條件として、政府原案に賛成し、修正案に反対の討論があり、採決の結果、多数を以て本法律案は右の修正案通り修正議決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申上げます。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 先ず委員会修正案全部を問題に供します。委員会修正案の表決は記名投票を以て行います。委員会修正案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(佐藤尚武君) 投票漏ればございませんか……投票漏れはないと認めます。これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
   〔拍手、「みつともないよ」「公務員に恨まれるなよ」「人の収入の減ずるのを喜ぶようなことではしようがないじやないか」「宣伝するなよ」「選挙対策するなよ」「選挙民は逃げるよ」「覚えてろ」「自由党みつともないぞ」「奥さん方がおられますよ」「貧乏のくせに」「何を言う」と呼ぶ者あり、笑声〕
○議長(佐藤尚武君) 投票の結果を御報告いたします。
 投票総数百五十三票、
 白色票即ち委員会修正案を可とするもの五十一票、
 青色票即ち委員会修正案を否とするもの百二票、(拍手)
 よつて委員会修正案は否決せられました。
     ―――――・―――――
   〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名  五十一名
   重盛 壽治君  門田 定藏君
   清澤 俊英君  江田 三郎君
   三橋八次郎君  若木 勝藏君
   小酒井義男君  栗山 良夫君
   梅津 錦一君  荒木正三郎君
   内村 清次君  羽生 三七君
   高田なほ子君  和田 博雄君
   菊川 孝夫君  河崎 ナツ君
   木下 源吾君  金子 洋文君
   野溝  勝君  須藤 五郎君
   岩間 正男君  千葉  信君
   木村禧八郎君  水橋 藤作君
   鈴木 清一君  岩崎正三郎君
   大野 幸一君  千田  正君
   東   隆君  田中  一君
   山田 節男君  羽仁 五郎君
   矢嶋 三義君  村尾 重雄君
   永井純一郎君  カニエ邦彦君
   島   清君  佐々木良作君
   相馬 助治君  山下 義信君
   赤松 常子君  小松 正雄君
   伊藤  修君  棚橋 小虎君
   波多野 鼎君  三木 治朗君
   原  虎一君  曾祢  益君
   下條 恭兵君  松浦 清一君
   片岡 文重君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名   百二名
   藤森 眞治君  藤野 繁雄君
   早川 愼一君  波多野林一君
   野田 俊作君  中山 福藏君
   徳川 宗敬君  田村 文吉君
   伊達源一郎君  館  哲二君
   竹下 豐次君  高橋 道男君
   高橋龍太郎君  高田  寛君
   高瀬荘太郎君  高木 正夫君
   杉山 昌作君  島村 軍次君
   河井 彌八君  加藤 正人君
   小野  哲君  岡部  常君
   石黒 忠篤君  飯島連次郎君
   赤木 正雄君  結城 安次君
   山川 良一君  村上 義一君
   森 八三一君  島津 忠彦君
   上原 正吉君  岡田 信次君
   青山 正一君  玉柳  賓君
   中川 幸平君  九鬼紋十郎君
   大矢半次郎君  郡  祐一君
   廣瀬與兵衞君  岡崎 真一君
   楠瀬 常猪君  加藤 武徳君
   城  義臣君  植竹 春彦君
   山本 米治君  古池 信三君
   山縣 勝見君  石川 榮一君
   木村 守江君  西山 龜七君
   大谷 瑩潤君  一松 政二君
   深水 六郎君  仁田 竹一君
   草葉 隆圓君  徳川 頼貞君
   左藤 義詮君  大島 定吉君
   小林 英三君  中川 以良君
   川村 松助君  宮城タマヨ君
   溝口 三郎君  堀越 儀郎君
   小野 義夫君  野田 卯一君
   重宗 雄三君 大野木秀次郎君
   入交 太藏君  西川甚五郎君
   杉原 荒太君  松本  昇君
   鈴木 直人君  石村 幸作君
   長谷山行毅君  高橋進太郎君
   鈴木 恭一君  愛知 揆一君
   安井  謙君  平林 太一君
   長島 銀藏君  平沼彌太郎君
   菊田 七平君  小川 久義君
   溝淵 春次君  團  伊能君
   瀧井治三郎君  駒井 藤平君
   栗栖 赳夫君  油井賢太郎君
   北村 一男君  中山 壽彦君
   白波瀬米吉君  岩沢 忠恭君
   木内 四郎君  大屋 晋三君
   泉山 三六君  黒川 武雄君
   横尾  龍君  木内キヤウ君
   谷口弥三郎君  稻垣平太郎君
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) 次に原案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
 本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十六分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、運輸審議会委員の任命に関する件
 一、日本銀行政策委員会委員の任命に関する件
 一、北海道開発審議会委員の選挙
 一、日程第一 旅行あつ旋業法案
 一、日程第三 海上警備隊の職員の給與等に関する法律案
 一、日程第三乃至第十一の請願
 一、日程第十二の陳情
 一、昭和二十七年度における国家公務員に対する臨時手当の支給に関する法律案