第013回国会 本会議 第64号
昭和二十七年七月七日(月曜日)
   午前十時開議
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 議事日程 第六十五号
  昭和二十七年七月七日
   午前十時開議
 第一 法廷等の秩序維持に関する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
 第二 昭和二十三年六月三十日以前に給与事由の生じた恩給の特別措置に関する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
 第三 農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
 第四 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基き駐留する合衆国軍隊に水面を使用させるための漁船の操業制限等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第五 昭和二十六年産米穀の超過供出等についての奨励金に対する所得税の臨時特例に関する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
 第六 製塩施設法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第七 航空法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第八 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基く行政協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第九 農地法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一〇 農地法施行法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一一 輸出取引法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一二 航空機製造法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一三 特定中小企業の安定に関する臨時措置法案(衆議院提出)(委員長報告)
 第一四 電源開発促進法案(衆議院提出)(委員長報告)
 第一五 閉鎖機関令の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一六 連合国財産の返還等に関する政令等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
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○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
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○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。
   〔大野幸一君発言の許可を求む〕
○議長(佐藤尚武君) 大野幸一君。
○大野幸一君 私はこの際、ダイナ台風の災害に関する緊急質問の動議を提出いたします。
○菊川孝夫君 私は只今の大野幸一君の動議に賛成いたします。
○議長(佐藤尚武君) 大野君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。大野幸一君。
   〔大野幸一君登壇、拍手〕
○大野幸一君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、この際ダイナ台風の災害に関する緊急質問をいたしたいと思うのであります。
 由来、黄河を制する者は支那を治め、治山治水は政治の大半と言われておつたのでありまするが、政府は、先月二十三、四日、南は宮崎県、鹿児島から、北は千葉、茨城県の二十五県に及ぶダイナ台風について、本日まで何らの報告を本会議場にいたされなかつたのは、誠に遺憾であります。特に本日重要なる所管大臣、農林大臣の出席を求めておきましたが、御出席なかつたのは誠に遺憾であります。すでに、もく星号旅客航空機遭難事件、或いは日暮里事件等においては、運輸大臣からみずから求めて発言をせられたのでありますし、法務総裁もメーデー事件のときには発言を求められました。
   〔議長退席、副議長着席〕
 こういう矢先に、すでに農林省関係では、農地関係だけでも四十三億以上の各県から被害報告を受けているようでありますし、建設省関係においても四十八億以上の被害報告を先月末までに受けているにもかかわらず、こういう問題について未だ報告を聞かなかつたのは誠に遺憾であります。これからは、我々は、常に、本院の求めがなくても、開会中はこういうことに対してみずから発表せられるところの用意があるかどうかということを、関係の大臣から聞いておきたいと思うのであります。従つて、これに対する予算措置を含めて政府は具体的対策を持つておられるかどうかということを、両省からお伺いしておきたいと思うのであります。
 その第二は長良川堤防決壊事件についてであります。(「廣川はどうして来ないのだ」と呼ぶ者あり)岐阜県海津郡海西村堤防決壊は六カ町村に亘って三千七百町が被害を受けた事件であります。由来この堤防は、長良川氾濫多しといえども五十年間無事故の個所であつたのでありますが、農林省直轄工事であるところの排水用鉄管取入工事が遅延に遅延を重ねまして当時からすでに不良工事と世の中から言われておつたのでありますが、二十六年六月竣工いたしました。ところが翌月七月に僅かの出水があつたのでありまするが、それで水が逆流して排水口にもう水を吐いておつたのであります。当時、住民は、将来必ず事があるからと言つて、現地当局にしばしばその対策について、修理について注意を促しておつたのでありますが、当局はこれに耳を傾けることなく荏苒今日に至つて、今般の出水を見たのであります。一体、今般の出水程度では堤防決壊の原因となるようなことにはならなかつたということは、農林当局も認めておるのであります。然らば、この原因は、少くとも工事の欠陷、即ち工事の瑕疵にあつたことは明らかであります。そうなりますると、国家賠償法第二條第一項によりまして、「道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。」と、こういうことになつておりまするのでありまするから、農林大臣は国家賠償法によつて賠償する意思があるかどうかということであります。本日御出席の小川原政務次官はすでに岐阜県に出張せられて詳細に調べられて来たはずであります。その結果、政府当局も常識上は工事に欠陷があつたものと認めなければならないということを言つておるのでありまするから、この規定の適用によつて全額を国家が賠償負担しなければならないということを私たちは確信いたしますが、この御意見の発表を承わりたいと思うのであります。
 次に法務総裁についてお尋ねしたいことは、公務員の不正と政府の施行工事の不完全とは、いつも付きものであります。近時官公吏の汚職頻繁であることはしばしばこの壇上から叫ばれておるところであります。長良川決壊の不祥事件は氷山の一角であるように考えるのである。よつて全国的にこういう工事の経緯を調べまして、再調査をして、ここにおいて検察のメスを入れる用意がございますかどうかということであります。長良川決壌の原因は監督者の汚職を伴つておることはすでに住民の周知の事実であります。集団的に破壊活動をなす者ありとして破防法の成立に努力されました法務総裁は、又一面、一人の官吏の不都合は集団的多数を、即ち六万村三千七百町矛の美田を一瞬にして烏有に帰せしめた、こういうことを考えるならば、破防法よりはむしろ堤防破壊防止法というようなものでも(拍手)成立するように努力する考えはないか。特に今申上げましたように事の事実はもう明らかになつておるのであります。この点は、国家賠償法の適用があるかどうかということについては、内閣の最高法律顧問として法務総裁は国家賠償法を適用すべきことの見解を明らかにしてもらいたいと思います。法務総裁は、国家を依頼者のごとく考えないで、公平な立場から法律の正しい適用を内閣に勧告する義務を持つておいでになる法務総裁に対して、この際、農林大臣に代つて勇敢に国家賠償法の適用あることの正直なる見解を表明せられんことを望みます。
 終りに建設大臣にお伺いしたいことは、この工事と建設省との責任を明らかにし、而もこの工事に対するところの将来の対策を承わつておきたいと思う次第であります。(拍手)
   〔国務大臣野田卯一君登壇、拍手〕
○国務大臣(野田卯一君) 只今お尋ねのありました災害の報告の問題でありますが、災害の報告につきましてはでき得る限り今後本会議を通じまして御報告申上げたいと存じます。若しそれができません際には直接書面を以て皆様に御報告いたしたいと考えております。
 第二点のダイナ台風等につきまして今までにとつた措置でありますが、これは直轄の工事、即ちお示しの長良川の堤防の壊れたあとの仮締切工事その他の問題につきましては、直ちに国費を支出いたしまして、目下晝夜兼行で締切作業を遂行中であります。
 なおその他の県工事、市町村工事等につきましては、資金運用部より繋ぎ資金を出すことに政府としては決定いたしまして、今その手続を進行中であります。
 第三点の長良川の問題でありますが、これにつきましては、破堤のため海津郡一帯が水につかりまして、非常に罹災者に対してはお気の毒に存じておる次第であります。目下原因等につきましては詳細調査中でありまして、今後その結果によりまして十分再びこういうことを繰返さないように最善の措置をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣木村篤太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。
 長良川の堤防決壊事件、誠に遺憾に存じます。その原因が奈辺にあるか、即ち水利施設の瑕疵に基くものかどうか、只今詳細に調査中であります。若し水利施設の瑕疵に基くものとするならば最終的に国家が賠償責任に応ずべきものと考えております。
 而してこの施設について不正行為が行われた、これに公務員が關與しておるといたしますれば、我々はこれは見逃すことはできないのであります。法の命ずるところによつて断固としてこれは処置するつもりであります。(「よくお調べなさい」「大臣はどうした」「廣川さんどうした」と呼ぶ者あり)
   〔政府委員小川原政信君登壇、拍手〕
○政府委員(小川原政信君) 只今御質問がございましたことについて私の長良川に行つて参りましたこともあとより御報告申上げますが、大体において被害の状況を申上げたいと存ずる次第であります。
 農地に関係いたしましては四十三億四千万円余の被害を受けております。林野におきましては、治山、林道を併せまして十五億五千万円余の被害でございます。水産におきましては漁港を含めまして一億四千万円余の被害でございまして、合計六十億四千万円以上に相成つたことは誠に遺憾の次第でございます。農作物の被害におきましては、水稻が水に浸された面積が六万八千三百三十一町歩と相成つております。その中の流失埋沒いたした面積が七百四十一町歩、かように相成つておりますので、誠に遺憾の次第でございます。
 で、これが現在の現状でございますが、これに対しまするところの対策といたしましては、農林、水産、これらの被害は約六十億四千万円でございますので、この国庫の支出予定所要額というものが約二十六億二千九百万円に相成るような次第でございまして、緊急これを復旧いたしたい、かように考えておるのでございましてそれに対しましての金は七億八千万円余の金を予備金より支出したいと、こう考えておるのでございます。その見返りの繋ぎ資金といたしまして、目下それぞれ各省に対しまして交渉をいたしておるような次第でございますが、直ちにこれは次々とこれを完了して行こうというようにいたしておる次第でございます。
 長良川におきましては、私も一応見ましたのでありますが、誠に遺憾この上もない次第でございまして、皆様に御報告申上げる上にお富ましても非常に遺憾に感じておる次第でございます。これは農業水利といたしまして、この工事におきまして急速にこれをとめるというわけに参りませんので、大体締切を行いましてそうして排水をいたしておる次第でありますが、その金が大体におきまして五千万円余りの金を支出いたしたい。かように考えておりまして、その水稻の状況はどういうことになつておりまするかと申しまするというと、これは御承知の通りに大分水につかりまして、そうしてこれを排水をいたしてだんだんとよい土地が現われて参つて。これの水稻に関する費用におきましても二千万円余の金を支出して、直ちに近県から取寄せましてそうしてその対策を行おう。こういう状況でございまして、各村々をずつと見せて頂きましたが、それに向つて非常に多数の苗をお送りいたしまして、そうしてこれを一日も早く補植をいたして行きますれば、先ずこの収穫におきましては、万全を期するということは今後の天候によることでありましようが、大体の上におきましては、これは目的通りに達することはできるであろう、かように見て参つたような次第であります。
 以上御報告申上げたような次第でございます。どうぞ御了承を願いたいと思います。(拍手、(「衆議院はいいかも知れませんが、参議院ではそんな答弁は通らないよ」と呼ぶ者あり)
     ―――――・―――――
○副議長(三木治朗君) 日程第一、法廷等の秩序維持に関する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 先ず委員長の報告を求めます。法務委員長小野義夫君。
   〔小野義夫君登壇、拍手〕
○小野義夫君 只今上程されました法廷等の秩序維持に関する法律案の委員会における審議の経過及びその結果について御報告いたします。
 先ず本法案の内容について、御説明いたします。裁判は国の重要な機能でありまして、健全に運営されなければならないことは申すまでもないことでございます。然るに我が国の最近の情勢を見まするに、多数の者が相呼応して、暴力を以て裁判所における審理を妨害する事件が頻々として起つております。若しこれをこのままに放置するときは、法律の権威を失墜して裁判の機能に重大なる障害を生ずる危険さえもあるのであります。本法案は、かような事態に対処して、法廷の秩序を破る者に対し、一定の制裁を科するの制度を設け、よつて以て法廷の秩序を維持し、審理の円滑を期するものであります。この制度におきまして制裁の対象となる行為は、本法案第二條に掲げるいわゆる直接侮辱であります。これに科する制裁はいわゆる秩序罰でありまして、二十日以下の監置又は三万円以下の過料であります。
 次に、この制裁を科する手続の主な点を御説明申します。この手続は極めて簡単でありまして、本質的刑罰ではない関係上、一般の刑事事件のような複雑な手続をとつておりません。即ち、行為が裁判官の面前における明白なものなので、証拠調べ等も原則として必要がないのであります。更に手続上重要な点は、検察官が關與しないということであります。裁判官がみずからの発意に基いて手続が開始されることであります。以上が本法案の大体の骨子であります。
 本法案は、もと裁判所侮辱制裁法案として、第十国会以来衆議院において継続審議されたものであります。当委員会におきましも、かねてより司法制度に関する小委員会の調査項目として取上げ、相当の調査を遂げていたのであります。かような経緯からいたしまして、委員会におきましては、慎重且つ熱心に審議をいたし、伊藤、岡部、中山、吉田、羽仁等の各委員より質疑がなされたのであります。その内容は広汎に亘つておりますので、詳細は速記録に譲りますが、主なる点について申上げますと、現行裁判所法第七十三條審判妨害罪等の適用によつて十分対処が出来るのではないかという点、濫用に関する点、不告不理の原則に関する点、裁判所を当事者の地位に引下げて、妨害者と対決させる結果となり、却つてその威信を傷つける慮れがないかという点、外国の立法例、監置と刑罰との相違、第三條に定める拘束の性質、妨害を受けた裁判所と制裁を科する裁判をする裁判所との関係、過料が制裁として殆んど無意義ではないかとの点、過料の執行の可能性等であります。これに対して提案者及び裁判所側からそれぞれ説明がありましたが、特に強調された点は、最近頻発するいわゆる法廷闘争に対して国民輿論の支持を得たいということであります。最後に、伊藤委員より、裁判所規則を以て、妨害を受けた裁判官は原則として制裁の決定を行わないこと、弁護士の訴訟法上の職務行為には本法は適用されないこと、運用上本法の制裁を科する前に先ず戒告を與えるべきこと等を明確にすべき旨の要望がありまして、質疑を終了し、討論に入りました。
 討論におきましては、羽仁委員より、「本法は憲法違反である。この制度は効果がなく、反対に濫用の危険がある。裁判制度を後退させる」等の理由による反対、吉田委員より、「本法は概念が不正確であり、破防法に通ずるところがあるが、裁判所の濫用はしないという言明を信じて賛成する」との発言があり、中山委員より、本法は現下の実情に鑑み必要であるとの理由により賛成と、それぞれ意見の開陳がありまして、かくて討論を打切り、採決いたしましたところ、多数を以て可決すべきものと決定いたした次第であります。
 御報告申上げます。(拍手)
○副議長(三木治朗君) 本案に対し討訓の通告がございます。順次発言を許します。羽仁五郎君。
   〔羽仁五郎君登壇、拍手〕
○羽仁五郎君 私は本案に反対をいたすものでございます。
 反対の理由を総論的に五点、各論的に五点、立法論的に八点に亘つて述べます。
 総論の第一は、最近我々の国内の社会又国際的な問題においてさまざまの社会的な対立が緊張を加えるに連れて、そのことから、ややもすれば我々の政治的自由或いは市民的自由というものに関して危機的な情勢が発生しておることは、実に慎重に考えなければならない点だと思うのであります。而もその状況は今後ますますいわゆる激化をして行く。そうした国内の社会状態又国際的な問題が激化するに連れて、若しその間に我々が判断を誤まりますと、政治的反対の自由という民主主義社会の根本原則そのものが或いは覆えされてしまうのではないかという重大な問題があるからであります。この点は、特に国権の最高機関として、そうして又、なかんずく長期の任期を與えられて、極めて高い見地から政治的な問題を考察し、立法権を正しく運用しなければならなや参議院の、特に私は留意しなければならない点であると思うのであります。眼前に国内においてさまざまの対立が激化する。その対立の激化というものに巻き込まれて軽々しく立法権を使用するならば、みずからを傷つけること実に恐るべきものがある。私は本法案は、第一に、現在国内及び国際に現われておるところの対立の激化に目を奪われて、政治的自由、市民的自由、特に政治的反対の自由というものを覆えそうとする点において恐るべき法案であると信ずるのであります。
 第二の点は、破防法の場合にも申上げましたが、我々は立法権を行使する際に常に念頭におかなければならないことは、法は少きを以て尊しとする。国民が我々に立法権を委ねてやるのは、片端から法律を作つて法匪のごとき国会を要求しているのではないのであります。併し、日本の国会、特に日本の官僚世界の間には、山のように法律をこしらえて国民を苦しめ、国内においてそうしたことをやつたのみならず、或いは植民地においてもそのようなことを重ねて、そうして日本の官僚が法匪という名を以て呼ばれたことは、諸君のよく知つておられる通りです。併し、現在或々が国民主権の上に立つて立法権を行使する場合には、常に念願におかなければならないことは、一つの法律を作る場合に、この法律がなければ現在の社会はやつて行けないものであるかどうかということを第一に考えなければならん。なくてもいい法律を作るどいうことは余計なことであるだけではない。許されないことなんです。そうして、同時に、この法律がなければならないものであるか、或いは全く濫用の慮れのないものであるか、この二つの條件にかなう法律だけが我々の立法権によつて立法を許されることである。なくても何とかやれるもの、そうして濫用の慮れが多分にあるもの、このようなものを軽々しく立法するということは、我々の立法権の濫用であつて、許されないことである、国民に対して許すべからざる行為をなすものと言わなければならないのであります。さてこの二点において、我々が委員会におきまして質疑を重ねた結果、本法はなくてもやれるのではないか、そうして而も本法は恐るべき濫用の危険があるのではないかという結論に到達したのであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 その理由の第一は、御承知のように、我々の新らしい憲法或いは我々の新らしい裁判所法、裁判に関する現在我々が持つておりますところの法律及び制度というものは、発足いたしましてまだ数年にしかならないのであつて、従つてねこれについて、裁判所側においても、又これに関係する国民の側においても、十分に習熟しているということは決して言えないのであります。その一例として吉田法晴委員から述べられましたが、例えば黙秘権のごときもその一つです。黙秘権というものが我々の間に確立されてまだ日が極めて浅いのでありまして、従つてこの黙秘権の濫用ということが今日現われていることは諸君の特に強調せられたい点であろうと思うのであります。併しながら、與えられてまだ日の浅いときにはこれが濫用されますが、併し最近に至つて、この黙秘権というものを濫用することは却つてこれは本人にとつて不利であるという経験に基いて、黙秘権の濫用という時代から、今日では従つてそれの正しい使用というものに移りつつあることも、裁判所側もそれに対して認めたのでありますが、このように、折角新らしい法律制度を作つて最近までは濫用が多かつたのでありますが、今日に至つてその濫用者もその濫用の不利なことを知つて正しくこれを使用する段階に今日来ているときに、従つて今日以後これらの新らしい法律及び制度が、恐らくは、やりとその正しい段階に入つて行くのではないかというときに、それを妨げるような他の立法をするということは、私は立法権の適正な活用ではないと思うのであります。この意味で、現在我々に與えられている裁判所法或いはその他の制度によりまして、こういう法律を新らたに立法しないでも裁判所の秩序というものは立派に維持できるのである。即ち本法は必ずしも必要欠くべからざるものであるということができない。然るに本法は恐るべき濫用の虞れがあるのではないか。この点について最高裁判所側を代表せられて岸刑事局長は「誠に本法は両刃の剱のごときものである。相手を傷つけるのみならず、裁判所もみずからこの法律によつて傷つく慮れがある。併しながら日本の裁判官は、恐らく慎重主義をとつて、この法を濫用することはないであろう。従つて濫用の虞れはない。」という答弁を私に向つてされたのですが、この答弁は、これを論理的に整理いたしますと、本法は恐るべき濫用の危険がある、のみならず辛うじて個々の裁判官が個人的に阻止するに過ぎないという、極めて危険な法律であるということを諸君が御了解下さると思うのであります。こういう意味で、本法は、これなくしては現在裁判が行えないものでもなければ、又恐るべき濫用の危険のない」ものでもない。このような法を立法するということは一般的に許されないことである。
 第三に、本法は日本の現在の裁判制度を前進させるものであろうか、後退ざせるものであろうか。この点についてつ特に政府なり或いは裁判所側なり、この立案者の衆議院の方々は、外国において裁判所侮辱罪法というものがちやんとある、いわゆるコート・コンテムドという法がある、その制度がある、従つて日本でもこのことを行うことは決して退歩するものではない、民主主義社会においても許されておるものであるという説明をされます。併しこれは実は全く理由がないものでありまして、外国においていわゆる裁判所侮辱に対する制裁が存在しておりますのは、その起源におきましても、そして又その技術におきましても、そして又そうした制度が行われます社会の有様におきましても、我が国とは遺憾ながら全くその性質を異にしています。この点については、さつき委員長からも御報告がございましたが、第十国会に本法の元のものでございました法案が提案されました当時、我々法務委員会においては弁護士連合会その他の方々の専門家の御意見を伺いましたときに、日本弁護士連合会の指導的な地位におられる山崎匡弁護士が、この点を特に強調されましたが、外国の裁判所は、皆さんがアメリカの映画我いはイギリスの映画でも御覧になりますように、全く対等の立場で裁判が行われています。而もこのアメリカなり、イギリスなりにおいて、或る時期においては、裁判に対して被告が非常な力を持つていて、初期のアメリカ等の場合には、場合によつては被告がピストルを携えておつて、そしてそれで裁判官を威嚇するというような、そういう状況を起源として、裁判所侮辱罪というものの制度ができて行つたのであります。併しながら、この点において諸君がよく御承知のように、我が国においては封建時代以来、被告が武器を携えて裁判長を威嚇するなどという状況は全くないのであります。反対に、諸君もよく知られるように、被告はいわゆる白洲の砂利の上に引き据えられて、裁判官は高い所に坐つて、その間には全く本等の関係はない。上下の関係によつて裁判がなされていた。裁判に対しては恐れ入るという言葉によつてこれに服せざるを得ないような関係があつたのです。このように、起源におきましても、又その技術におきましても、その制度が運用されました社会におきましても、いわゆる民主主義諸国における裁判所侮辱に対する制裁の制度は、それは日本の場合とは著しく異なつている。外国の場合には、平等の関係の上において初めて裁判所侮辱ということで制裁を加えるということに弊害がなかつたのでありますが、日本においては、今日もなおまだ、被告とそして裁判所と、或いは場合によつては弁護士と裁判所の間にさえも、まだ平等の関係は確立されていないのであります。そこに裁判所侮辱ということを制裁することが如何なる濫用の虞れがあるかは、おのずから明らかなるものであるのであります。
 総論の第三に反対しなければならないのは、最初に申上げました国内的な緊張というものが甚だしい。特に二言にして言いますならば、極めて現在いわゆる裁判所の問題がホツトの状況にあります。そういうホツトの状況というものは決して立法にとつてよい條件ではないのであります。むしろ、そうしたホツトの状況が或る程度まで冷えて静まるのを待つて我々立法者は立法の問題を考えるべきであつて今日のように熱い状態の中から直ちに立法をするということは、決して立法権の適正な活用をするものではないと考えます。
 最後に、総論的理由として反対しなければならないのは、然らば、この法によつて現在諸君が憂えておられるような裁判所における暴力というものは、これをなくすることができるかという問題であります。言うまでもなく、これについて裁判所側からも、恐らく本法によつてそうしたものをなくすることはできないだろうということを言つております。そうして見れば、本法は効果なくして今まで申上げて来たような弊害のみがあるものと言わなければならないのであります。
 各論的に反対しなければならない第一の理由は、一体、本法は何を法益として守ろうとしておるものであろうかということであります。この点について本法第一條はさまざまの美しい言葉を連ねておりますが、併し実際これを立ち割つて見ますと、裁判において、いわゆる裁判が迅速に行われるということを目的にしているにほかならないのであります。裁判を妨害する者があつて容易に裁判が進行しないのじやないか、これはどうしても一つの法律を作つて裁判が速かに進むようにしなければならない、それが本法の本当の狙いなんであります。併し、言うまでもなく裁判において尊重されなければならないのは、そうした強制に基くスピードではございません。我々が裁判に期待するものは、裁判がその裁判に関係したすべての人に向つて納得を與えるということでなければならない。然るに本法は、裁判において最も尊ばれなければならない納得という法益を捨てて、そうして、それよりも遥かに低い強制による迅速さというものを得ようとしているのであります。
 第二に、今日ややもすれば見られる傾向は、一体この政府とそして個人と法はいずれを守るべきかという点について、しばしば混乱が起つていることであります。民主主義社会の原則は、言うまでもなく政府を守るものではなくして、個人を守るものでなければならないのです。然るに本法は言うまでもなく、個人を守ることをむしろ諦めて、そうして政府を守ろうとしているのであります。
 第三に、そのように個人の権利というものを削減し、個人を守るという民主主義の根本を放棄してまでしなければならないような、現在眼前の明白な危険があるかどうかという問題であります。この点について私が裁判所側と質疑を交わしました結果得ました結論は、第一に、本法が問題にしているような眼前明白の危険というものは、あらゆる裁判所にあるのではないのです。多くの裁判の中の数において極めて少く、そしてその性質において極めて限られているのであります。その性質は、第一は、占領政策、政令第三百二十五号、それに関係する問題、第二は労働関係の問題、第三は出入国、朝鮮の方々に関係する問題、これらの問題においていわゆるいろいろな危険が起つているのであつて、今現在日本の裁判全般に亘りまして、又あらゆる問題において法が守られないという状況があるのではないのです。従いまして、これらは裁判そのものの威信に関係しているのではない。他に原因があるのであります。即ち政治的理由によつてそれらの現象が発生しているのである。裁判所内部にその原因があるのでなくして、裁判所の外部にその原因があるのです。それを裁判所の内部で解決するということはできるものではございません。従いまして、この点において第一に、むしろ政府が裁判所に対して反省しなければならない点があるのです。そして又この刑事的な刑罰によつて解決できない問題があるということを反省されなければならないのです。
○議長(佐藤尚武君) 時間が過ぎましたから、簡単に結論に到達して下さい。
○羽仁五郎君(続) 第三に、裁判所は、特に若い裁判官の手紙を朗読されまして、現在これらの問題に関して裁判官が非常に苦しんでいる。従つて何とか国民の後ろ楯を得て裁判を進めたい。そのために本法のごときものが要求ざれるということを述べられましたが、併し裁判というものは、諸君もよく知られるように、民主主義社会における最後の解決の場所であり、裁判官が神のごとき裁判官というふうに言われるのは、決して単に裁判官の地位が高いことを言うのじやない。人間社会における最後の苦しみ、最後の苦悶を代表するのが裁判官だという意味であります。従つて、裁判官が苦しんでいる姿ほど、この世の社会において美しく且つ尊いものはないのです。その裁判官の苦しみというものを本法のごときものによつて簡単に解決できるという考え方は、これこそ、裁判が我々社会における最後の解決の場所であり、そこにおいて十分に我々は苦しまなければならないのだという根本的原則を、全く理解しない考え方と言わなければならないのであります。
 次に、なおこの法律が、特に第二條におきまして誰が如何なる行為をなすことによつてこの法にかかるのだということが極めて漠然としております。従つて特に私が恐れる点は、弁護士の弁護権がこれによつて制限される虞れが多分にあると感ずるからであります。最近、弁護士の弁護権に対する不当な制限はアメリカにおいても問題になつております。そして、或いはヒユーゴ・ブラツク、ウイリアム・ダグラス、フエリクス・フランクフルタア、アメリカのこれらの最高裁判所の裁判官が、法廷侮辱ということを以て或いは弁護士の弁護権を制限し、或いは告発者がみずから裁判官になるというような風潮が発生して来ることに対して、重大な警告を與えております。その同じことが本法に対して考えられなければならないのであります。
 なお、本法につきましては、これら憲法主なさなければならない明確なる制限というものを守つておりません。その一つは、例えば先ほど委員長の御説明に、これはいわゆる秩序罰というものであつて、刑罰ではないと言われますが、併し二十日間に亘る自由の剥奪というものは、憲法において明記してあるように、正式の裁判によつてのみ許されることであります。それを本法は正式の裁判によらずして国民の自由を奪うこと二十日に及ぼうとしている。これらの点から考えましても、本法は断じて民主主義国会において許されるべきものではないと考えるのであります。
 時間が制限されますので、最後の結果につきまして立法論につきまして申上げることができませんが、一言にして申上げますれば、これは要するに効果なくして、而も恐るべき弊害のある立法であると言わなければならない。なかんずく私の憂えますのは、裁判というものは或る意味において裁判官の非常な苦悶ということを條件としなければできないことであると同時に、他面、裁判というものは或る程度においてユーモアを必ず必要としているものです。然るに日本の裁判は、皆さんが御覧になりましても、この点において全くユーモアに欠けております。ところが本法が発効いたしますと、その裁判において激しい言葉で言い争う、而もそれがユーモアによつて解決されることによつて裁判の権威が高められる。然るにユーモアさえもなくなつてしまう。そういう意味においても本法律案は断じて私の賛成し得ないところであります。或いは本法は、場合によつては裁判の持つておる最高の機能というものを麻痺させてしまうのではないかと思うのであります。
○議長(佐藤尚武君) 大分時間が経ちましたから……。
○羽仁五郎君(続) なお、諸君に対して、日本弁護士会連合会が公式にその理由を挙げて、裁判というものは決して制裁によつて進行するものではないのであつて、裁判所の威信というものは、おのずからこの裁判に対する国民の納得を以て、(「時間々々」と呼ぶ者あり)それによつて解決されなければならない理由を挙げて反対しておられますことも、諸君もよく御承知であろうと存ずる次第であります。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 須藤五郎君。
   〔須藤五郎君登壇、拍手〕
○須藤五郎君 私は日本共産党を代表して、只今上程されました法廷等の秩序維持に関する法律案に対して反対の見解を表明いたします。
 政府は破防法及びアメリカのために作られた刑事特別法を中心とするところの一連の弾圧法の法律的効果を実現するために、警察法の改悪、刑事訴訟法の改悪をせんとしているのであります。破防法及び刑事特別法は、主としてスパイ活動によつて、その法的効果の実現を期待しているのに対しまして警察法の改正、刑訴法の改正は、拷問によつて罪のでつち上げを予期しているのであります。この法律は、以上の法律に基く犯罪的弾圧の結果巻き起つたところの大衆的反抗運動に対しまして、全く国民の納得し得ない野蕃な階級裁判を行うために是非必要なものと考えているのは明らかであります。政府は、この法律の提案理由といたしまして、国民の一部に、裁判の重大な使命を理解せず裁判所の権威を無視して審理を妨害する者が続出するという遺憾な状態で、このまま放任すれば裁判の威信を失墜すると、こう言つているのであります。一体、裁判の威信とは如何なるものか。道理にかなつた公正な判決こそ威信の源泉ではありませんか。この法律は、法廷又は法廷外で、裁判所又は裁判官の面前その他直接知り得る場所で、その命じた事項、執つた措置に従わず、暴言、けん騒、暴行その他不穏当な言動をなした者に対し、裁判官がみずからの認定と発意に基いて、その場で官憲に逮捕させ、二十コ口の監置又は三万円以下の過料に処するというものであります。これは明らかに日本の裁判所フアツシヨ化法であります。現在、日本裁判所は如何なる役割を果しているかつアメリカ帝国主義者の支配の下で、これと呼応して日本国民の抑圧を行なつている吉田政府のための法律的合理化の武器となつているのであります。とりわけ最高裁判所長官田中耕太郎君の思想は、無恥と偏見に貫かれております。即ち彼は本年一月公表した年頭の辞において、全国の裁判官に対する訓示において、次のごとく述べております。即ち「ヒツトラー、ムツソリーニ、東條の軍国主義的国家主義は除かれたが、現在、似非哲学、僞科学で粉飾されたナチにも劣らぬ赤色インペリアリズムが世界制覇の野望を現わしている」と述べ、「この国際ギヤングを食いとめるため、朝鮮動乱においてアメリカはどの程度に国連に忠実であつたかを示した」と、恥知らずにも述べているのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)更に、「このような時局に、中立の可能を信じ、全面講和を信ずるような者は、道徳信念と勇気が欠除している」と罵倒し、「そういう世界観や理論を信ずる裁判官は不適格で、その地位にとどまり得ないものだ」と脅迫しているのであります。このように野蕃な人間を日本裁判所は頭に戴いているのであります。彼のこの言葉の中にこそ、現在日本の裁判が如何なる役割を果しているかを明確に物語つているのではありませんか。二のために、吉田三市郎氏ほか八十余名の在野法曹界は挙げてこの田中長官罷免要求のため立ち上つているのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)朝鮮における恥ずべき戦争に対して、かくも口を極めて賞讃の辞を贈る人間が世界中に果して幾人いるでありましようか。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)我が党は、かかる無恥と偏見にとらわれた犯罪的人物の追放と、本法案のごとき裁判所フアツシヨ化法を粉砕することこそが、日本国民の利益と完全に一致するものであることを指摘するものであります。
 以上が我が党の本法案に反対する理由であります。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) 日程第二、昭和二十三年六月三十日以前に給與事由の生じた恩給の特別措置に関する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。
   〔河井彌八君登壇、拍手〕
○河井彌八君 昭和二十三年六月三十日以前に給與事由の生じた恩給の特別措置に関する法律案の内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申上げます。
 この法律案は、衆議院の議員提出による法律案でありまして先月の二十日に内閣委員会において全会一致を以て可決すべきものと議決いたしたものであります。
 本案の提案の理由の概略を申上げます。現行の恩給制度によりますれば、昭和二十三年六月以前に退職した者の恩給は、その後に退職した者の恩給と比較いたして、現在平均四割程度も不利益となつております。かような著しい不均衡が生じておりまする原因は、主として、終戦後数回に亘つて行われました給與制度の改正、即ち昭和二十一年七月の給與改定、昭和二十二年十月の給與のでこぼこの調整等の諸事情に原因があるのでありまするから、これらの原因によつて生じたる恩給の不均衡を適当に是正しようというのがこの法律案提案の理由であります。
 次に本案の内容について説明を申上げます。この案衆議院におきまして、当初各政党二百六十九名の議員の発議によつて作られた原案がありまして、その後、衆議院において各派共同の手でこれを修正いたし、そうしてこの修正された案が参議院に送付せられたのであります。従いまして、只今議題となつておりまするのは、この修正せられたものが原案というのであります。衆議院における当初案によりますると、恩給。不均衡をば在職年数を基礎として是正しようといたしておつたものでありますが、かような方法によつて恩給額の改定を実施することは、予算その他の点において相当困難があるので、これをやめて、この原案のように、旧俸給制度の俸給額をば仮定俸給年額として恩給額を改定することに改めておるのであります。即ち、現在恩給計算の基礎となつておる仮定俸給年額は、最低が四級一号、最高が十四級職の最高俸相当額となつてつおるのを、それぞれ五級一号、第十五級職最高俸に引上げ、中間においては四号乃至六号を引上げんとするのであります。ただ、旧俸給制度の下における教育職員、警察監獄職員その他地方の官吏等は、永年動続にもかかわらず、俸給が比較的低くなつておるので、これらの者、即ち元の奏任官程度以下の者で在職三十五年以上、警察監獄職員で在職二十年以上の者については、一段階、即ちおよそ二号俸上位の仮定俸給年額に更に引上げて改定することといたしておるのであります。この改定の結果といたしまして、従来の恩給額は大体一割五分乃至三割五分増し、即ち平均いたしまして約二割の増加となるということであります。なお昭和二十二年七月から二十三年六月までに給與事由の生じた恩給については、すでに昭和二十一年七月分改定俸給類に応じて恩給額が計算せられておりまするから、その給與改定前の俸給額に適当な調整を加えて改定することといた、若しこれによつて改定前の恩給より低くなる場合には従来の恩給額のままとすることにされております。
 次にこの恩給改定の時期につきましては本年十月を目途としておるのでありまするが、このことは予算編成との関係もありまするので、本案には規定しないで、政令に委ねることといたし、本案では、少くとも昭和二十八年一月より遅れてはならないこととされておるのであります。そしてこの法律は公布の日から施行することになつております。
 以上が提案理由及び内容の概略であります。
 内閣委員会におきましては前後二回委員会を開きまして本案について愼重に審議をいたしたのであります。それで、その主要な点をここに御説明申上げたいと存じます。
 第一に、この法律案は当初の原案が修正せられたものであるというのであるが、その理由はどういうことであるかという点でありました。これに対する発議者即ち衆議院議員青木正君の説明によりますれば、修正の理由は三点あるということでありました。即ち第一点は、当初案は在職年数に重きを置いて恩給不均衡の是正を図らんとするものであつたが、このような方法によると、例えば在職年数に余り重きを置く結果として、係長の恩給が謀長の恩給よりも多くなつて来て、いわば恩給秩序を破壊するということにもなり、又過去の俸給の価値を変更する意味において、現在の給與制度から見ても適当でない。第二点は、実在職年数と加算年数とが必ずしも明確でないために、在職年数を正確に計算することは事務的にも非常に困難である。更に第三点は予算の点でありますが、国庫財源の問題と軍人恩給との関連を考慮した結果であるということを説明いたしております。
 第二には、この法律案によつて恩給の不均衡是正の問題は完全に解決されたのであるかどうかという点であります。発議者の説明によると、本来ならばもつと完全に行わるべき不均衡是正が予算的の制約のために歪められておるかのごとき印象を受けるけれども、若し然りとすれば、依然として問題を後に残しておるのではないか。眼目は不均衡の是正を完全に行うことにあるのであるから、若し財源がこれに伴わないというのであるならば、不完全な法案の成立を急ぐ必要はない。たとえ時期が多少遅れても十分な財源の裏付けの下に不均衡を完全に是正することが適切であるではないか。然るに、不均衡是正の十分でないことを自覚しながら、本案の成立を認めるということであるならば、問題を解決しないにもかかわらず解決した恰好にいたしておいて、そのために不均衡是正に対する今後の努力の熱意が薄くなることではないかというのと、或いは発議者は将来更に又不均衡是正の意向を持つておるのではないかという質問がなされたのであります。これに対しまして発議者青木代議士の御説明によりますれば、本案によつて完全には不均衡が是正されていないけれども、これ完全にするためには殆んど個人々々の場合について一々格付を行わなければならないので、これは現実問題として言うべくして行うことは困難であるから、結局或る程度の線を引いて、不備ではあるがこれで満足しなければならない。当初案を修正したのは単に財政的考慮だけからではなくて、恩給当局の意見を聞いてみても、修正案の程度における不均衡の是正すらも、又別の観点から見れば不均衡を生じている。従つて、これ以上の不均衡是正を望むことは、不均衡是正のために更に又別の不均衡を生ぜしめることとなる。このような事情もあつて思い切つた是正ができず、止むを得ずこの程度にとどめたのである。現在のところでは将来更にこれを是正するつもりはないという説明でありました。
 第三には、本案による恩給改定の結果、年間所要類はどの程度であるかという質問があつたのであります。これに対する答弁は、当初案では、人事院の資料に基いて衆議院において計算いたしましたところでは十七億円であつたが、大蔵省の計算によると二十三、四億円かかるということでありました。併しこの修正案では、年間国費十二億円、地方費においてもこれとほぼ同程度の経費を要するということになるであろう。又国家公務員の恩給改定は十八万人であつて、地方公務員も大体右と同数でるということでありました。現在国家公務員の年金恩給受給者の数は約三十五万五千人であつて、その恩給受給額は約八十五億円でありますが、本案の改定によつてこの額に更に只今申述べた十二億円が加わるわけとなるのであります。
 第四には、本法律案による改定の実施期日の点であります。提案理由では本年十月を目途としているが、その規定は政令に委ねることになつております。その理由はどういうわけであるか。又十月に施行することになれば、当然本年度の補正予算の問題になるわけでありますが、この財政的裏付けについて十分なる確信を持つているのであるかという、発議者に対してそういう疑いをかけたのでありますが、この点につきましては大蔵当局の了解を得ているかどうか、或いは実施期日は是非十月でなくても構わないのであつて、最悪の場合は昭和二十八年一月でもいたし方ないという趣旨であるかどうかという点について、各委員から熱心な質疑が集中されたのであります。これに対しまして発議者の説明は、実施期日を本年十月と法案のうちで規定することは、本年度の補正予算の編成を是非行うべきことをこの案によつて規定することになるのであつて、この点は立法措置として適切でないこと、もう一つは軍人恩給との関連等の理由もあるために、かような場合における他の立法例に倣つて政令で規定することとしたのである。本案の表現では本年十月を実施期日とすることを明確に規定しておらないが、最悪の場合を仮定しての駈引をしているのではない、発議者としては、是非実施期日を本年十月にいたし、補正予算において財政的裏付けをするように、責任を以て最善の努力をするつもりである。それから、大蔵当局からは確実に財源の用意をするというはつきりした言明は得ておらないけれども、発議者の気持は十分に当局が了解していると確信するという答弁がありました。なお又大蔵省の主計局長も出席せられまして実施期日を本年十月にするかどうかという点は、本年度の補正予算編成の問題に関連することである、且つ又軍人恩給の支給時期にも関連せざるを得ないことであるから、財源の用意をすると現在ここに言明することは困難であるけれども、軍人恩給の支給時期については目下早急に実現するよう真剣に検討中であり、而してこれと併せてこの恩給不均衡是正の財源についても十分に考慮を拂つて善処したい、即ち補正予算を組むことになるならば最善の努力を拂つて提案者の意図に副いたいという言明かあつたのであります。
 かようにいたしまして、周到にして且つ熱心な審議が重ねられまして、討論に入りましたところ、中川委員から自由党を代表して、恩給不均衡是正の問題はかねてからその必要を痛感しておつたのであるが、本案によつて不十分ながらも実現を見たことは喜びに堪えない。是正が十分でない点は遺憾であるけれども、これは目下の国の財政の現状からいたした方がないところである。この上は、補正予算が編成される際に、一日も早く取上げて本案の実現を見るように政府側の格段の盡力を望むという要望を以て賛成の意見を述べられました。次に、楠見委員からは、先ず以て衆議院の提案者及び各派の人々の長い間の盡力に対して深甚の敬意を拂いたい。ただ不均衡是正については完全に行われたとは思われないが、なお一層徹底的に解決するには時間の余裕がないのが残念である。実施時期については、提案者側で了解をしておる通りに、政府も最大の努力を拂うという大蔵省主計当局の言明を信頼して本案に賛成する。なお本案の影響するところは大きくて、旧軍人恩給の問題とも関連するのであるから、旧軍人恩給のほうも併せて早急に成案を得るように政府の最善の努力を望みたいという要望を以て賛成意見を述べられたのであります。次に、成瀬委員からは、本案はあたかも一定の予算の範囲内で割当てられたごとき感じがする。事実不均衡の是正は完全には行われておらない。従つて今後においても更に再修正をいたして是正が完全なものになることを期待する。実施期日は提案の通り本年十月であることを信じて本案に賛成すという意見が述べられました。又上條委員からは、恩給不均衡是正については、衆議院においても最初取上げられた原案のほうが妥当と考えられておつたのだが、予算の関係等のために修正を余儀なくされたことは残念である、将来なお検討の結果、是正の余地があるならば更に改正したい。実施期日は大蔵省当局の言明を信じて本案に賛成するというのであります。次に松原委員からは、自分は曽つて昭和二十三年に恩給の仮定俸給を定めた提案者として深く責任を感じておる。当時において作つた仮定俸給が正しいものでなかつたことが今日歴々と現われておるのである。今回衆議院においてこの不均衡是正に努められた積極的態度に敬意を拂いたい。併し予算面の一定額をきめてこれに歩調を合せたかのごとき感がするのは遺憾である。今回の仮定俸給がまだ低く抑えられておることは、是正が不十分であることを意味するばかりでなく、数百万の軍人恩給に影響するところであつて、甚だ遺憾に堪えないが、止むを得ず一応賛成する。なお本年十月から実施するという実施期日については、単なる期待であつて法律の規定ではないから、この点必ず本年十月から実施となるように努力をしてもらいたいという強い要望があつたのであります。そうして賛成の意を表されたのであります。又栗栖、竹下両委員からも、本案実施の期日についてでき得る限り早くなるように努力してもらいたいという要望を以て賛成意見が述べられました。
 かようにいたしまして採決に入りまして、全会一致を以て可決すべきものと議決いたした次第であります。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) 日程第三、農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案、(衆議院提出)
 日程第四、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基き駐留する合衆国軍隊に水面を使用させるための漁船の操業制限等に関する法律案、(内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。水産委員会理事千田正君。
   〔千田正君登壇、拍手〕
○千田正君 只今議題となりました農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案につき、委員会におきまするところの審議の経過並びにその結果について御報告申上げます。
 先ず提案の理由を申上げます。農林漁業組合再建整備法が制定されまして以来、これに該当する組合は再建整備計画を樹立して組合再建に努力いたしておりまするが、再建整備の目標としておりまするのは、同法第四條に定めてありますように、五年以内に第一に固定化債権と固定化在庫品を資金化すること、第二に固定資産と欠損金の合計額以上になるまで自己資本を増加することであります。問題はこの第二の自己資本の増加目標の点であります。再建整備法の対象となつております漁業協同組合及び同連合会が農林漁業資金融通法により融資を受け、製氷、冷凍施設等を作りました場合には、固定資産の額が増加いたしますが、現行法の趣旨からいたしますと、五カ年以内にそれだけ自己資本を増加しなければならないことになりますが、この場合、現状におきましても相当多額の増資をしなければならない状態でありますのに、更に増加目標が著しく増大いたします結果、再建整備の目標達成を極めて困難ならしめる慮れがあります。又・一方、農林漁業資金融通法により融資を受けましたものは、十カ年据置き、十五カ年以内の割賦償還となつておりますので、再建整備を行う期間である五年を経過いたしましても未だ三分の二以上は返済しなくてもよいのでありまして、この両者の間に相矛盾するところを生ずるのであります。従いまして再建整備を行う農林漁業組合の自己資本の目標額の算定方式を改正して、これらの不合理を是正したいというのが提案の理由であります。
 次に本改正案の内容でありまするが、以上の趣旨によりまして、借入金のうち未だ返済期限が到来していない額を除いて自己資本の増加目標を定めるようにするために、現行法第四條を改正して、「固定資産の価額の算定に当つては、農林漁業組合は、当該固定資産の取得又は拡充のためにした借入金の残額で返済期限の到来していないものに相当する金額を差し引くことができる。」ようにしてあります。
 委員会におきましては提案者並びに政府当局から詳細説明を聞き、慎重審議いたしましたが、詳細は速記録について御覧願いたいと思います。質疑を打切り、討論を省略し、採決をいたしました結果、全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第であります。
 以上御報告いたします。
 次に、第四の議題になつておりますところの、上程せられました日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基き駐留する合衆国軍隊に水面を使用させるための漁船の操業制限等に関する法律案につき、委員会におきまする審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。
 先ず提案の理由を申上げます。日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基いて駐留する合衆国軍隊の訓練のため、日米合同委員会において協定して一定の水面が使用せられる場合に、その水面における漁船の操業が駐留軍の訓練等の支障にならないようにこれを規制する半面、これによつて漁業経営上こうむつた漁業者の損失を国が補償しようというのがその理由であります。
 次に内容について御説明いたします。日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基いて、日本国内及びその附近に配備されたアメリカ合衆国の陸軍、海軍又は空軍の使用に供する水面を提供するために必要があるときは、内閣総理大臣が農林大臣の意見を聞いて、一定の区域及び期間を定めて漁船の操業を制限し又は禁止することができるようにすると同時に、この制限又は禁止によつて、従来その当該区域において適法に漁業を営んでいた者が、漁業経営上損失を被つた場合は、漁業経営上生じた損失のうち、通常生ずべき損失を国が補償すべきことを最初に規定し、これに関連して、損失補償の申請手続は、都道府県知事を経由して内閣総理大臣に対して行うこと、損失補償額は、内閣総理大臣が決定して、都道府県知事を通じて申請者に通知すること、補償金は一定期間内に交付し、これらの事務の実施には調達庁長官が当ること、又補償申請者の利益を保護する措置として、異議の申立と増額請求の訴えを認めた規定等を設けてあります。
 委員会におきましては、政府当局との間に質疑応答を重ね、慎重に審議をいたしましたが、質疑応答のうち主なるものを申上げますと、
 秋山、松浦、千田の各委員から、本法律案によれば、提供水面において漁船の操業を制限又は禁止したことによつて生じた損失についてのみ損失を補償することになつているが、操業制限の通知は如何なる方法によるか。又網干場等、漁船以外の方法によつて提供水面を使用している者に対して損害を與えた場合、或いは提供水面の区域外の水面又は隣接する水面等において、演習等のため漁業経営上に損害を與えた場合においても、同様に損失を補償すべきであると思うが、如何にする考えかとの趣旨の質疑が行われましたのに対し、政府当局から、提供水面においても演習等に支障のない限り漁船の操業を行う措置を講じ、制限を最小限にとどめ、漁業経営者の損失を軽減いたしたい。演習に当つても、制限通知の規定はないが、市町村を通じ、或いは各種の公示方法により事前に速かに通報する措置を講じたいと思つているが、具体的には駐留軍と交渉中である。漁業権又は入漁権に基いて漁業を営んでいる場合、或いは又網干場等は、各県の條例又は規則等によつて規定され、それが権利となつているので、これらのものについては、先般制定された行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法によつて補償するよう解決することになつている。又本法律案は行政協定第二十五條の二項に基き、施設、区域等に関連して直接損害を救済補償しようとするものであるが、区域外のもの或いは隣接する水面の場合、行政協定第十八條の三項に規定するごとく、日本においても同様の法規があることが必要であり、損失補償に必要なる経費は日米両国政府において分担する建前になつている。この無過失賠償責任の問題は新らしい問題であり、又経費等についても駐留軍と折衝しなければならないので、今般は法律を制定する段階に至らなかつたが、補償については責任を持つべきであると思うので、次期国会においては必ず提案する。一方、又見舞金等の問題についても、早急に解決するよう考慮しているとの答弁がありました。
 又秋山委員からの、補償する損失は通常生ずべき損失とあるが、具体的には如何なる算定方式により補償金額を算出するか。政府はこの種の補償金の総額のみを先ず計、上しその総枠から逆算して個々の補償金額を算定するようなことがあれば極めて不合理であり、漁業経営者に不安を抱かしめる事態も起り得る。従つて漁業経営者の実際の損失を十分に補償するに足るだけの算定方式を、漁業の実態に基いて妥当なものを早急に決定し、その累積したものを以て補償金の総額とすることく措置すべきであるが、如何なる方針をとつているかとの質問に対し、政府としては未だ具体的な算定方式は決定するに至つていない。補償金額の算出方法は客観性を持つべきで、不合理なものであつてはいけないが、半面又、国の財政上與えられた現在の枠を無視することもよくないので、両面から見て行きたいとの考えで、目下関係当局間において所得の算定、自家労力の評価等に関する資料に基き検討中であつて、速かに好結果が出るように努力するとの趣旨の答弁がありました。これに関連してなお損失の算定基準について質疑応答が繰り返されました。その他詳細につきましては速記録によつて御覧願いたいと存じます。
 質疑を打切り、討論に入りましたところ、秋山委員から、本法律案は漁船の操業制限に関するものであるが、この他に、漁船の操業ではないが、他の漁業上の制約を受ける問題が生ずるので、それらの損害をも補償する制度を速かに制定されたい。又通常生ずべき損失の算定基準も妥当な実効の挙るものを速かに作られたいとの希望を付して賛成の意見があり、松浦委員から、本法律案は日米安全保障條約に基くもので、日本国全体の国防上の問題であるから、国民全体の義務負担によつてなさるべき性質のものである。従つて損失が水産業に過重にかかるのは妥当でない。今後、国全体の国防上の必要から生じた損害の補償については、損害の全体を補償するに足るだけの金額を計上して補償することを希望して賛成するとの意見があり、千田委員からも、両委員と同様趣旨の希望を付して賛成するとの意見がありました。
 かくて討論を終了し、採決の結果、全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました次第であります。
 以上御報告申上げます。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。
 先ず農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) 衣に、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基き駐留する合衆国軍隊に水面を使用させるための漁船の操業制限等に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せれました。
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) 日程第五、昭和二十六年産米穀の超過供出等についての奨励金に対する所得税の臨時特例に関する法律案、(衆議院提出)
 日程第六、製塩施設法案、(内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長平沼彌太郎君。
   〔平沼彌太郎君登壇、拍手〕
○平沼彌太郎君 只今上程されました昭和二十六年産米穀の超過供出等についての奨励金に対する所得税の臨時特例に関する法律案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 本案は、昭和二十六年産米穀の超過供出等についての奨励金から生じた所得に対して、所得税を課さないこととしようとするものであります。本案は質疑を省略し、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
 次に製塩施設法案について御報告申上げます。
 本案は、国内における塩の生産を維持増進し、以て日本専売公社の行う塩に関する国の専売事業の健全な運営に資するため、公社は、塩田、濃縮施設及び塩田防災施設の災害復旧事業については、一定の比率で算出した金額の範囲内で、又塩田防災施設及び用排水施設の改良、新設事業並びに荒廃塩田地盤の改良事業については、予算の範囲内で、それぞれ補助金を交付することができることといたしますほか、製塩施設の保全及びその効用の維持のために必要な措置をなし得る規定を設けようとするものであります。なお現行の塩田等災害復旧事業費補助法は、この法律施行の日から廃止せられることとなつております。
 本案審議の詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。質疑を終了し、討論に入り、森委員、油井委員、下條委員及び木村委員からそれぞれ希望を付して賛成の意見が述べられ、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
 右御報告申上げます。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) 日程第七、航空法案、
 日程第八、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基く行政協定の実施つに伴う航空法の特例に関する法律案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。運輸委員長山縣勝見君。
   〔山縣勝見君登壇、拍手〕
○山縣勝見君 只今議題となりました二つの法律案につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 先ず航空法案についてでありまするが、平和條約によりまして、我が国の航空活動の自主性が全面的に回復されることと相成りましたので、現行の変則的な政令を廃止いたしますると共に、航空活動全般につきまして所要の規定を設ける必要がありますることは申上げるまでもないところであります。平和條約は、我が国が国際民間航空條約の規定を実施すべきことを定めておりまするので、本法案は、この條約の規定を全面的に取入れますると共に、我が国の自主的航空活動に対処し得るために必要な規則を定めようとするものでありまして、航空行政の基本となるものであります。
 運輸委員会におきましては、本法案が航空行政の基本をなすものでありまする点に鑑みまして、熱心なる審議を重ねたのであります。特に航空機の安全検査の責任の一元化及び航空事業に対する外資導入につきまして熱心なる質疑が行われたのであります。航空機安全行政の一元化の問題につきましては、衆議院における修正措置がとられたのでありまするが、この修正に対しまして運搬大臣は、修正の趣旨に副い善処したいとの答弁がありましたのであります。
 次に、外資導入の問題、即ち本法案第四條に、外国資本が議決権の三分の一以上を占めるものは、航空機の登録をすることができない旨の規定があるのであるが、運輸大臣の所見如何という質疑に対しまして、運輸大臣は、独立後における我が国航空事業のあり方よりする面と、外資を導入する必要性との面とを如何に調整するかという点に問題があるのであるが、本法案の立案の過程においては、種々の論議が行われ、電波法においては、外国資本が議決権の三分の一以上を占めるものに対しては、無線局の免許を與えないことを規定しておるので、それをも勘案して、本法案においても外国資本が議決権の三分の一以上を占めるものは航空機を登録できないことに原案としては落ち着いたのであるが外資導入の必要性の面よりするときは二分の一まで引上げたいとの意見が述べられましたのでありまするが、委員会におきましては、この点に関し愼重審議の結果、独立後における航空事業発足の際でもあるので、今後の推移を見守つて必要あらば所要の措置をとることといたしたいという結論に達したのであります。
 討論に入りましたるところ、一委員より、本法案は独立後における航空活動全般について規律せんとするものであつて、適切な立法と認むるものであるが、航空機の安全運航を確保するため、航空機の検査が適切に行われるよう、運輸、通産両当局が虚心坦懐に努力をいたすことを要望する。なお又一委員より、本法案は、航空事故については事故原因の調査手続の規定があるにとどまるが、航空審判のごとき制度を考慮すると同時に、救助を速かならしめるため救助体制の確立を要望するとの発言があつたのであります。更に又一委員より、次のごとき決議を付せらるるよう要望するとの趣旨の賛成意見がそれぞれ述べられましたのであります。次にその決議案を申上げますると、
   航空法案に関する決議
  航空機は最も高度の安全性が要求される交通機関である。従つて航空機の安全性を確保するためには、法律的にも行政的にも安全検査の責任が明確にされなければならない。
  航空法案においては運輸大臣による安全検査行政の一元的措置がなされているものと解釈するが、本法の実施に当つては、政府は、宜しく右の趣旨に副い、運輸大臣による責任ある一元的行政措置を講じ、以て責任の紛淆を未然に防がれんことを要望する。
   右決議する。というのであります。
 次に、採決に入りましたところ、本法案は原案通り可決すべきものと多数を以て決定いたしました次第であります。
 続いて、附帶決議につきまして採決いたしましたるところ、これ又多数を以て可決されましたのであります。
 次に、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基く行政協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律案につきまして御報告申上げます。
 この法案は、行政協定の実施に伴いまして、日本に駐留する合衆国軍隊が使用いたしまする飛行場及び航空保安施設、並びに、合衆国によつて、合衆国のために、又は合衆国の管理の下に、公の目的で運航される航空機及びその乗組員につきまして、航空法の特例を設けようとするものであります。運輸委員会におきまして審議の結果、本法案は原案通り可決すべきものと多数を以て決定した次第であります。
 以上御報告申上げます。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 両案に対し討論の通告がございます。発言を許します。小酒井義男君。
   〔小酒井義男君登壇、拍手〕
○小酒井義男君 私は社会党第四控室を代表いたしまして、只今議題となつております航空法に賛成をし、同時に、上程をされておりますところの行政協定に基く航空法の特例に関する法律案に反対をいたします。
 御承知のように、敗戰以来七年間、我が国においては、航空機を所持することも、日本人による航空機の操縦も許されなかつたのでありますが、このたび、これが我が国の民間の航空事業を自主的に行うことのできる機会を得るに当りまして、これに必要な法律を制定することは、これは当然必要なことでありますし、更に将来の民間航空の発達を我々は希求しますがゆえに、この法案に含まれているところの趣旨が十分実行の上に移されて行くということの期待をするものであります。併しながら、去る七月の一日にわずか羽田空港が我が国の管理に移されたのみでありまして、その他の飛行場はまだこれが我が国におけるところの自主的な管理を行うに至つておりませんので、政府としても民間航空に必要なるところの飛行場の我が国の自主的な管理が行えるような措置をとるべきであるということを要求しておきたいと思います。同時に、この民間航空の名によつて、若し軍備のための空軍の再建を意図するというようなことがありますなれば、これは我々は憲法の建前からも決して見逃すことのできない問題でありますので、これらのことが将来行われる危險性があるときには、飽くまでもこれを阻止するための反対を続けて行くという態度を明らかにいたしておいて、航空法に対する賛成の意思を表明するものであります。
 続いて、上程をされておりますところの日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基く行政協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律案に対する反対の意見を述べたいと思います。
 御承知のように我々が航空法に賛成をいたします趣旨は、この法案の中において航空の安全性を確保するに必要な国際民間航空條約に規定されているところの條件を備えているものでありますから、私は航空法のそうした趣旨を活かして行く上において、この特例を認めるということになつたのでは、折角我々が賛意を表したいところの航空法が、実質的な意味をなさなくなるからであります。御承知のように、本国会において、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基く行政協定に関係するところの法案がたくさん出ております。私はここにその法案を携えておりまするが、国有財産の管理に関する法律、関税法等の臨時特例に関する法律、所得税法等の臨時特例に関する法律、地方税法の臨時特例に関する法律、国税犯則取締法等の臨時特例に関する法律、道路運送法等の特例に関する法律、たばこ專売法等の臨時特例に関する法律、郵便法の特例に関する法律、電信電話料金法等の特例に関する法律、電波法の特例に関する法律、土地等の使用等に関する特別措置の法律、行政協定に伴う刑事特別法、行政協定に伴う民事特別法、行政協定の実施に伴う水先法の特例、国家公務員法等の一部を改正する法律、更に只今ここで可決をせられましたところの水面を使用させるための漁船の操業制限等に関する法律、それと現在上程されておりますところの航空法の特例に関する法律と、この十七の法律案は、これは我が国の経済に、国民生活に如何に大きな制約を加えるかということは、それぞれの法案審議の際に各委員が十分討論をされるものと信じます。私はこの航空法の制定によつて、我が国民は、海上からと陸上においてと、更に空からの三つの方向から、多くの経済的な制約と、行動の上におけるところの制約とを受け、このために幾多の不利益な條件がかけられて来るということを見逃すことができないと思います。吉田内閣によつて行われて来ておりますところの、この行政協定に伴うところの屈辱的な我々に與えられたところの條件というものは、我が国の歴史の上に私は拭うことのできない汚点を印するものであるということを強調しなければならないと信じております。
 かかる理由の下に、我々は、航空法の特例を許すことによつて、航空法に定められているところの安全を維持するための必要な條件が、これが阻害せられ、国民が更に空からの暗い蔭の下に不安と危險の下にさらされなければならないということに対して、強い政府の反省を求めて、反対の討論とする次第であります。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより両案の採決をいたします。
 先ず航空法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) 次に、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基く行政協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。これにて午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十六分開議
○議長(佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。
 この際お諮りいたします。厚生委員長から、社会保障制度に関する実地調査のため、島根県に山下義信君、常岡一郎君を、本月十三日より七日間、農林委員長から、麦の統制廃止後の事情、接收農地及び開拓地状況その他農業事情について実地調査のため、広島県及び福岡県に瀧井治三郎君、加賀操君、岡山県及び愛媛県に宮本邦彦君、赤澤與仁君、山崎恒君を、本月十日より会期中七日間、秋田県及び北海道に池田宇右衞門君、島村軍次君、小林亦治君を、本月十日より会期中九日間の日程を以て、それぞれ派遣いたしたい旨の要求書が提出されております。各委員長要求の通り、これら十名の議員を派遣することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて各委員長要求の通り議員を派遣することに決しました。
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) 日程第九、農地法案、
 日程第十、農地法施行法案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。農林委員長羽生三七君。
    ―――――――――――――
   〔羽生三七君登壇、拍手〕
○羽生三七君 只今議題となりました農地法案及び農地法施行法案について、農林委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。先ず最初に農地法案について申述べます。
 農地改革の成果を維持するためには、先ず以てこれが原則を制度として確立しなければならないのでありまして、従来農地改革の法律的基礎は、農地調整法、自作農創設特別措置法及びポツダム政令である自作農創設特別措置法及び農地調整法の適用を受けるべき土地の讓渡に関する政令の三法令でありますが、講和條約の発効によつてポツダム政令は国内法に切替えることになり、これに代つて新たに立法措置を必要とすることになりましたので、これを機会に、以上三法令の内容を整理統合し、農地改革の成果維持のための基本法として本法律案を提案するに至つたのであると述べられております。
 従つて、本法律案は内容的には右の三法令のそれと大差ないものでありまして、その主な点を拾つてみますと、大要次のようであります。第一は、農地又は採草放牧地について、使用及び收益を目的とする権利を設定し、或いはこれを移転すること、並びに農地又は採草放牧地を他の用途に転用することを許可制となし、又地主における小作地の保有に制限を課することは従来と同様でありまして、若しこの制限に抵触する土地が生じたときは、曾つて行われたような、すべて国がこれを買收する方式を改めて、一定期間内に他の者に讓渡するよう義務付け、これが果されない場合においてのみ国が買收するという簡易な方式によることとし、第二は、小作地について賃借権の解除、解約の制限及び小作料の統制並びに採草放牧地及び薪炭林等について利用権の設定を調整するの措置は従前に引続いて行われ、又自作地を申出によつて国が買收し、直ちにこれを売り戻して、その代金を年賦拂とすることによつて、金融同様の効果を收めるよう措置せられ、第三は、未墾地の買收及び売渡の手続について、従来これが法制化に不十分な点がありましたので、これを整備し、都道府県開拓審議会の活用等によつて適地買收の手続を愼重且つ明瞭にし、又売渡後一定期間、その土地の自由な処分を禁止して、開拓の成果の維持を保障することとし、第四は、農地改革によつて創設せられた農地は、従来その他の農地と取扱を異にしておりましたが、今後は原則としてかような差別的な取扱を取止めて、その諸手続を簡素にし、極力理解しやすい表現によることに努め、第五は、国が現在までに取得した未墾地のうち開拓に不適当となつたものを旧所有者に返還するよう措置した等であります。
 而して、これらのうち、農地を農地以外のものに転用する場合、農地を農地以外のものに、又採草放牧地を採草放牧地以外のものにするため売買し、又は使用收益を目的とする権利を設定し或いはこれを移転する場合、並びに小作契約を解除解約する等の場合において、政府原案では都道府県知事の許可さえ受ければよいことになつているのに対して、衆議院において、知事がこれらを許可しようとするときは、あらかじめ都道府県農業委員会の意見を聞かなければならないことに修正して本院に送付せられたのであります。
 次に、農地法施行法案についてでありますが、これは農地法案の施行に件う諸般の経過措置及び関係諸法令の改廃等について規定するものであります。
 委員会におきましては、本法律案の目的及びこれに基く方針の当否、農地改革の経過及びその成果、農地改革の逆転とその防止並びに農地改革の成果の維持、農地の潰廃とその防止、農地の零細化とその防止並びに過小農対策、農地について相続制度の当否、農地改革と違憲問題、山林の開放、自作農の転落防止、自作農維持資金の確保、農地担保金融の当否、農地所有限度の当否、農地及び採草放牧地の取得資格の適否、農地の処理に関する都道府県知事の権限と都道府県農業委員会の権限並びにその調整、開拓審議会の構成及びその機能、讓渡支換金徴收の当否、市町村の合併とこれに伴う不在地主の考え方、小作料及びその減免措置の当否、耕作者の土地及び立木に対する利用権設定の取扱方、未墾地買收の経過及び買收未墾地の開墾及び入植の状況並びに未墾地買收の調整、国土の総合利用とこれに関連して農地と林地との調整、本法案第七十二條が規定する売渡した土地の買收方法の適否、農地の一般価格と政府買收価格及び両者の調整、駐日米軍等による農地及び開拓地の接收対策等の諸問題について熱心な質疑が行われたのでありまして、これが詳細については会議録に讓ることを御了承願いたいのでありますが、その一、二を紹介いたしますと、
 本法案は、諸般の事情に照合するとき未熟な点が少くないと認められるが、近く改正の意思ありやとの質問に対して、現段階においては完全であると思うが、時運の推移に即応して改正するにやぶさかでない趣きが答えられ、又農地改革の成果を維持するためには、自作農維持資金の確保が先決せらるべきであるとして、これが実行に関する政府の決意が質され、而もこの場合、農地担保の金融については、農地改革に逆行する結果を招来することを懸念して愼重を期すべきであるとして、政府の見解が確かめられましたところ、これに対して、闇金融の跋扈は寒心に堪えないものがあり、速かに禍根を絶つて、自作農維持資金の確保については、その必要を痛感して、長期低利の融資の実現を期待している。而して差当つての措置として、申出によつて自作地を国において買收し、直ちにこれを売り戻し、その代金を年賦拂とする途を設け、金融同様の効果を狙つて、約八億五千万円の資金を用意している。農地担保の金融は今のところなお問題が残されている趣旨の答弁があり、これに対して自作農維持のため適当なる融資制度の速かなる確立が要望せられたのであります。更に又、国の巨額な投資と農家及び開拓者の営々の努力によつて培われた農地及び開拓地が、駐日米軍或いは警察予備隊の用に接取或いは使用せられることに対して極めて重大な関心が拂われ、かような用途に対して農地及び開拓地を使用することは原則としてこれを避くべきであり、万一真に止むを得ない事情によつて接收或いは使用せられなければならないときには、政府においてこれが補償救済を徹底するよう熾烈な要望が行われたのであります。
 かくして質疑を終り、討論に入りましたところ、三橋委員は、本法律案には幾多の欠陷があるので、逐次これが改正を図ると共に、運用に万全を期し、農業生産の増強と農民生活の安定の達成に遺憾なからしむべきである旨の要望を付して賛成があり、飯島委員は、諸般の事情に即応して、改めて速かに本法案に再検討を加え、名実共に農地改革の基本法として完備したものたらしめ、自作農維持に関する資金制度を確立し、且つ駐日米軍或いは警察予備隊等による農地及び開拓地の接收或いは使用に関する対策を確立すべきであるとの條件を付して賛成があり、社会党第二控室を代表して小林委員から、本法案の内容については幾多の不備があり、修正を企図したのであるが、今回は近い機会に改正せられることを期待し、且つ行政的措置によつて足らざるところが補われることを要望して賛成があり、岡村委員は、前討論者と同様の不満があるが、農業の基本的政策に関する立法の実現を期待して賛成があり、続いて採決の結果、全会一致を以て両法案は衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 右報告いたします。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 農地法案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。三橋八次郎君。
   〔三橋八次郎君登壇、拍手〕
○三橋八次郎君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして、只今上程になりました農地法案並びに同施行法案に対し、條件と要望を付しまして賛成するものであります。
 農地改革は戰後における農業の三大改革の一つでありまして、我が国の農業にとりまして極めて重要なる制度であることは申すまでもございません。本法律案の提案理由の趣旨を見まするに、その前段においては農地改革の成果の維持に関する大方針を述べているにもかかわらず、その後段においては、ただポツダム政令の国内法に切替の機会に、従来の三法案を整理統合して農地改革の成果維持のための基本法としたと述べられているのであります。これはまさに羊頭狗肉と言わなければならんのであります。本法律案は、従来農地改革の法律的基礎となつておりました農地調整法、自作農創設特別措置法及びいわゆるポツダム政令三法令を統合したもので、極めて事務的にできており、我が国農業の基本法としては幾多の欠陷を有するものと言わなければなりません。この法律の目的にもありますように、耕作者の農地取得を促進し、その権利を保護し、その他土地の利用関係を調整し、以て耕作者の地位の安定と農業生産力の増進を図るという意味におきましても、日本の農業の実情に副うことが最も必要なことでございます。又農村の発展なくして生産力の増強を期待することはできないのでございます。自作農が小作農に転落したり、地主制度が復元したり、農村の民主化が逆行するようなことがありましては、農業生産力の発展も期待することは不可能になると思うのでございます。
 農業生産力なるものには二様の意味があるのでありまして、土地の生産性と労働の生産性がこれであります。日本の農業状態におきまして、反当農業所得におきましては、五反歩未満のものを一〇〇としますれば、五反歩から一町歩は九三、一町歩から一町五反歩のものは八二、一町五反歩から二町歩のものは八三、二町歩以上のものは七五となつておるのであります。次に、一家族農業所得の一人当りの農業所得を見ます場合におきましては、次のようになつております。五反未満のものを一〇〇といたしますれば、五反歩から一町歩のものは一四四、一町歩乃至一町五反歩のものは一八四、一町五反歩乃至二町歩のものは二一六、二町歩以上のものは二八九となつておるのでありまして、土地生産性と労働生産性とは逆行することが認められるのであります。即ち、零細農家は労働集約による土地生産性が増大するが、半面におきましては労働生産性が低下しますから、ここにおいて適正規模の経営ということが問題になつて来るのでありますが、世界農業センサスによりますと、北海道を除く全国での経営面積五反歩未満のものが四二%を占めておる情勢に鑑みまして、小農の保護政策又は農村の入口問題等の基本的な事項についての解決を行わずして適正規模を云々するときは、我が国農家の半数は圧迫せられ、却つて農業生産を萎縮せしむる虚れがあるのであります。
 農地法案第三條は、農地の買手の資格の條件といたしまして、下限を現在三反歩以上の耕作を営んでいるものと規定しておりますが、この規定は、貧農への土地分配を制限し、且つ下からの農業発展を目指す勢力を抑圧しまして、生産意欲を萎縮せしめる慮れがあるのでありまして、現在以上の零細化は我々も望むものではないのでありますが、現在の零細経営をやつておる者に対しては、更に発展意欲を與うべき必要があると思うのでございます。それは又日本農業の特色としての土地生産性の伸展にもなるのでございます。いずれにいたしましても、小農経営が漸次増加の傾向にある今日、小農経営の発展を妨げ、これを抑圧するときは、我が国農業を壊滅に導く虞れがあるのでございます。
 昭和二十七年四月二十一日の朝日新聞は、「農地改革から六年」という解説におきまして、新聞社の通信網によつて、各地で調査し、その実情と展望を掲げておりますが、その中に次のようなことが述べられております。
 農地改革によつて零細化が促進せられたこと、農地改革前の高率小作料に代つて、低米価政策と税金、殊に固定資産税の重圧によつて、生産意欲が阻害せられた。税金の滞納による農地の差押えや農地の売買が増加して来た。
 次に農地改革の精神に逆行ずる動きや、改革の推進を足踏みさせるような事例がすでに現われておる。旧地主殊に山林地主の動向、旧地主が最近再び活撥に動き出したことは事実である。中富農層と貧農暦の経済力の開きが拡大したこと、農地の移動、集中化の傾向等が見られる。山形県では、小作地買上げが昨年中に三百三十五件、岩手県の下閉伊郡、気仙郡では、小作料の物納は半ば公然化しておるというようなことを指摘しておるのでございます。
 次に、農業委員会の活動が低調で、新らしい村作りの中心勢力としては力不足というような批判が農村に多いようであります。又、委員会に対しては、地主に有力な決定ばかりするという不平や、山林地主と農業委員会の行動を監視すべきだとの声も聞かれるのであります。政府は、政策の対象を富農、中農に置いている故に、農地法案では未墾地五万町歩を旧地主に返還することを予定したり、農業委員会の権限を縮小しようとしたり、又、次三男対策に至つては掛け声ばかりで、その実績が上つておらんという批判もあるのでございます。
 農地法案は、本法施行以前の在村地生所有一町歩以上の小作地は政府の買收の対象にしないことにしておりますが、これは明らかに地主土地所有の温存を図ろうとするものでありまして、農地法案の施行の前後にかかわらず、制限面積を超える一切の小作地に対しては、強制讓渡の措置を講ずべきであります。昔の地主及び旧地主と違つた形の地主が発生することにつきましては、十分監視すべきことであるのであります。地主制度復元を阻止するために、法的に明確にすべきであると思うのであります。
 次に、施行法案第十四條の規定によりますれば、徒らに不生産的な土地投資を強制し、経営の発展を阻害するものでありますから、旧売渡価格による売渡方式を採用すべきであります。
 農地法案第二十條は、地主に耕作能力があり、小作人が農地を取上げられても生活に困らない場合には、地主の土地引上げを認めておるが、これは地主土地取上げを合理化するものであるから、耕作者保護の重要性からしでも、不当土地の取上げが起らぬように措置すべきであります。
 農地法案第十四條は、買收される土地の農業施設は、市町村農業委員会の認定によつて、買收、非買收を決定することとしておりますが、この認定は常に適切であるという保証はなく、又農業施設の妥当ならざる温存は、土地支配の拠りどころを残すことにもなりますから、これは創設農家が、その創設地における農業用の利用のために必要とし、買入れも申入れしたる場合は買收を行うことにすべきであり、なお申入れの期限は制限すべきではないと思うのであります。
 第八十條も、その措置を誤まるときは、地主復元の機会を與えることになるから、注意を要することであります。
 なお農業動態調査によりますれば、昭和二十六年二月一日前一カ年間において、水田の潰廃八千九百六十八町歩のうち、災害による潰れ地四千七百六十一町歩を差引きまして、四千二百七町歩が他の用途に転用されておるのであります。かかる熟田の潰廃は農業生産拡充に見逃すことのできない問題であり、土地收用法が農地法に優先して適用される関係にありますが、農地に対する保護規定を明らかにして、土地收用法の発動を制限する措置を講ずべきであると存ずるのであります。
 農地改革の成果を維持する要諦は、自作農維持に必要な資金融通の問題も急速に解決すべきであり、今回政府がとられた姑息的な手段では解決できないのであります。又農産物の価格維持に対しましても措置すべきことが必要であり、都道府県農業委員会の農地買收計画に関する権限の剥奪も、農村民主化の逆行と言わなければなりません。
 要するに、日本農業の構造に実即する基本法こそ必要なのであつて、本法案を日本農業の視野から見るときは、幾多の疑義の存するところであります。併し、本法案は、漸く六月二十日に本委員会に本付託となつたばかりでありまして、会期も切迫し、徹底的審議を盡す余裕もなく、且つ又十月二十五日に失効するポツダム政令のことも考え、農地制度の空白を避ける立場から、その空白が農民に及ぼす影響等を愼重に考慮いたしまして、今回は忍びがたきを忍んで本法案に賛成するものでありますが、政府は農業生産力の増強と農林業の視野から、国土の保安に寄與し、日本農業の特長を育成して、農民生活の安定を確保し、農村の民主化を促進するため、速かに本法律案に再検討を加え、農地改革の基本法として名実共に完備せしめるよう切望いたしまして、両法案に賛成の意を表するものでございます。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 小林亦治君。
   〔小林亦治君登壇、拍手〕
○小林亦治君 先ほどの委員長の御報告の通り、農地改革という大きな使命を担つたところの自作農創設特別措置法及び農地調整法の適用を受けるべき土地の讓渡に関する政令等、いわゆる革命力を持つところのこれらの法規は、ポツダム政令でありますために、本年十月二十五日以降はその効力を失う結果、農地の取引が自由になり、再び不在地主が発生する等、さなきだに農地改革の成果が崩れつつある際に、なお一層の野放し状態となつて、農地関係の混乱を見るに至るは必定であります。そこで農地改革の趣旨を将来に繋ぐためにも本法案の制定は極めて重要であると考えますので、その限りにおいて、私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、本件両法案に賛成するものであります。
 申すまでもなく、一つの重要な制度を形成する法規は、それが憲法であると、法律であると、或いは命令であるとにかかわらず、常に進歩的であり、その社会の要請に応えて十分なる内容を持つべきであると考えるが、今この観点より両法案の内容を検討するときには、なお幾多の不備欠陷が存在するのであります。折角の農地改革であつたにもかかわらず、山林、原野の開放が置き去りにされたために、山林地主が再び農村に君臨し、反動的復古調の波に乗つて、封建牙城の修理を急ぎつつあるときに、これら山林将軍に再び土地が返つて行くという反動的傾向に対しては、断固たる警戒を加うるの必要を痛感するものであります。旧地主は土地開放にあらゆる策謀を弄して、農民への土地配分に妨害を加えて参つておる今日の状況に対し、法案第八十條の二項によつて、これら反動地主、山林将軍に凱歌をあげしむることにはならぬであろうか。嚴重な警戒を要するところであります。
 過般、政府が昭和二十六年度現在として発表したところの開拓不適地の見込面積は、大は北海道の二万二百五十町歩、千葉と東京は零でありますが、京都府の十八町歩に至るまで、全国の総計が実に四万六千七百四十九町歩に達する。(「農林次官聞いているか」と呼ぶ者あり)而もこれは恐らく公簿面積でありましようが、これを実測面積に引き直せばその幾倍なるやを知るのであります。私は幾たびも本壇上より訴えております通りに、開拓は行き過ぎであるということは、これは地主側の巧みなる謀略宣伝であります。開拓は現に予定の三分の一にも達しておらない。而も開拓地を欲するところの農民は圧倒的に多いのであつて、行き過ぎはおろか、漸くその緒についたばかりであります。農地開拓の狙いは、地主をなくすることにあつたにもかかわらず、法律によつて地主が再び復活することになつたなれば、それこそ誠に恐るべき反動政治と申さなければなりません。農林委員として私の微力の故に、法案第八十條第二項は削除修正に至りかねましたが、政府はかかる反動地主の毒牙を未然にこれを抜き去るために、本法施行前に速かに各地の現況を調査せられて、小林将軍どもの野望を封ずるに足る措置をとらなかつたならば、本法の制定は、あたかも山賊に武器を與うるの結果になるのであります。
 次に、農地法案第一條、第三條、第四十四條、第六十四條において然りでありますが、政府は増産政策については今なお錯誤を改めようとはしておらないことであります。すなわち專業農家にあらざれば生産力が低いと見ておる点でありまして、これらの者にあらざれば新たに農地を讓り受け或いは未墾地の買受資格なしといたしまして、これを三反歩以上の耕地を有する者に限定しておることは、甚だしい錯誤であると同時に、農村の実情に対しては頑迷も甚だしいと存じます。殊に、永年農村に居住し、日雇農業により一家の生計を立つる者は、何とかして自分の田畑を欲しいという願望を抱いておる。このささやかなる希望に対して鉄のカーテンを下すことは余りにも残酷ではあるまいか。今日、娘を売らなければならないところの階級というものは、第一に圧倒的に農村の日雇農業労働者であり、次は小農階級であることは、統計の示す通りであります。かようなことを我々は政治家として忘れておつたんでは相済まんと思うのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)本法の制定に当つて、これらを抜本的に救済するの絶好のチヤンスでもあつたにかかわらず、事ここに及びかねましたことは、私どもは、農林委員として、国会議員として、国民代表として、誠に申訳ないと存じておるのであります。大農に比べまして小農の生産力というものが如何に割高であるかということは、只今木壇上より三橋君からも諸君に御案内のあつた通りであります。従つて、第六十四條の運用に当つては、能う限り本條のいわゆる農業を営む者の生活上必要な業務に従事する者という解釈を大幅に拡張して、農村居住者、取り分け日雇労務者の便宜に副わしむることにより、以上の欠陷を補われんことを強く政府に要望しまして、賛成の討論に代える次第であります。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。(拍手)よつて両案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) 日程第十一、輸出取引法案、
 日程第十二、航空機製造法案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)
 日程第十三、特定中小企業の安定に関する臨時措置法案、(衆議院提出)
 以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。通商産業委員長竹中七郎君。
   〔竹中七郎君登壇、拍手〕
○竹中七郎君 只今議題となりました輸出取引法案、航空機製造法案、特定中小企業の安定に関する臨時措置法案のうち、先ず輸出取引法案につき通商産業委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。
 我が国が貿易を拡大して行く上には、国際信用を高めるため、不公正な輸出取引を防止する必要があり、次に又我がほうの輸出取引の秩序を確立するために、特に輸出業者の協定又は輸出組合の設立を認めることが必要であります。又これは業界多年の要望でもありまして、この目的達成のため本法案が提出せられた次第でありますが、その骨子は次の五点であります。第一点として、仕向け国における工業所有権の侵害など不公正な輸出取引を防止し、且つその違反者に制裁を科することとしていること。第二点として、輸出価格が低いため、仕向け国産業の利益を著るしく害し、或いは輸出価格が変動して取引の成立が困難となる場合などに限つて、輸出品の価格、数量等につき輸出業者の協定を認めていること。第三点として、民主的な輸出組合の設立を認め、自主的に、不公正な輸出取引の防止とか、輸出品の価格、数量などにつき組合員の守るべき基準を定め得るとしていること。第四点として、前述の輸出業者の協定及び輸出組合の決定に関しては独禁法及び事業者団体法を適用しないことにしていること。第五点として、通商産業省に諮問機関として輸出取引審議会を設置して、学識経験者の意見を取入れ、運用の円滑を図つていること。
 さて、本委員会におきましては、審議に際して特に広く業界からも意見を徴し、且つ経済安定委員会とも合同審査を重ねて愼重を期しましたが、質疑の主なるものは次の通りであります。輸出業者としてメーカーをも認めるか否かとの質問に対して、政府側より、実績なくとも輸出の意思と能力があれば輸出業者と認めるとの答弁があり、輸出組合の数はどれくらいまで認めるかとの質問に対しては、合理的範囲で且つ審議会にかけて認可するが、多くとも五十以内であるとの答弁。次に、組合と協定の競合はどう措置するかに対しては、運営上で組合をやや優先的に扱う、アウトサイダーへの措置如何に対しては、輸出貿易管理令の承認制などによる。又、審議会のメンバーの比率如何に対しては、大多数は民間業界人を選任するとの答弁などがありましたが、詳細は速記録に讓りたく存じます。
 かくして討論に入りましたところ、先ず民主クラブの境野議員より、通商産業省設置法案が目下当院内閣委員会で審議中であり、その成立は未定であるから、附則第四項において未成立の法律を改正することは不適当であるとして、「本法律案の附則第四項を削る」という修正案が提出され、その他の政府原案については、相手国側にとらわれ過ぎていること、国内生産者へ不利益を與える慮れ、アウトサイダーへの対策などに不備があるが、運営面での措置に期待して賛成するとの意見が述べられ、自由党の小林議員より、完全なものと思わぬが、運営に万全を期することを要望する旨を付して賛成意見が述べられ、社会党第二控室の島議員よりも同様の希望を付して賛成意見の開陳あり、次いで緑風会の加藤議員より、メーカー加入の明文化などを望むものであるが、年来の要請である事業者団体法の撤廃までの橋頭堡として賛成するとの意見が述べられました。
 次いで採決に入りましたが、境野議員の修正案並びに修正部分を除く原案とも、いずれも全会一致で可決せられ、よつて本法案は修正可決すべきものと決定いたしました。
 次に、航空機製造法案に対する通商産業委員会における審査の経過並びに結果について御報告申上げます。
 航空機の製造は、御承知のように終戰直後連合軍総司令官の指令によつて禁止されておつたのでありますが、今年三月八日附覚書によつて生産が認められました結果、航空機工業再建への途が戰後七年にして漸く開かれたのであります。更に又、平和條約も発効するに及んで、近き将来においては航空機工業の全面的な活動も期待されるに至りました。本法案はこのような客観的情勢の推移に即応して立案されたものでありまして、その目的は、航空機及び航空機用機器の生産技術の向上を図ることにより、これらの性能を確保し、併せて航空機工業の健全な発達に資せんとするところにあるのでございます。
 通商産業委員会における審議中、特に問題となりました点は、この法案と日本国憲法第九條の戰力保持禁止との関係についてであります。この点について通商産業大臣は、憲法第九條第二項は、第一項の国権の発動たる戰争等の放棄を確保するための規定であるから、政府が陸海空軍等の戰力を保持することを禁止しているものである。従つて民間の企業が注文に応じて武器を製造すること及び製造にかかる武器を需要者に引渡すまでの期間これを所持すること自体は第九條第二項で規定する範囲外の問題であると答弁、航空機製造法案には違憲の疑いはない旨を主張されたのでありますが、委員会においては、憲法学專攻の学識者の委員会出席を求めて参考意見を徴するなど、審議に愼重を期したのであります。その詳細は他の質疑事項と共に会議録に讓ることにいたします。
 かくて質疑を終了、討論採決の結果、多数を以て可決すべきものと決定いたしました。
 なお、採決後、この法案に欠けている航空機工業に対する助成措置並びに本法案及び航空法案を施行するに当つて特に留意すべき点の二項目について附帶決議が行われたことを御報告いたしておきます。附帶決議は次の通りであります。
   附帶決議
 一、戰後諸外国における航空機工業の進歩は、目覚しいものがあるので、七年の長きに亘つて休止を余儀なくされたわが国航空機工業の再建は、誠に容易ならざるものがある。
   然しながら、航空機工業は、一国の文化、産業の尺度であり、これが確立促進は、わが国将来のため絶対必要なものと認められるので、政府は、速にこの工業再建のため、彈力且つ適切な助成措置を講ずべきこと。
 二、航空機工業は、素材、設備、技術の各方面を通じて最高度の水準を要求される産業であるから、この航空機工業に対する行政は、徒らに無用の干渉乃至二重の監督により企業の発展を妨げることなからしむると共に、進んで関連生産部門との調和を図り、素材より製品まで一貫した総合生産行政の実行を確保するよう措置すること。
  右決議する。
 以上の通りであります。
 次に、特定中小企業の安定に関する臨時措置法案につきまして、当委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。
 本法案は衆議院議員南好雄君外二十二名の提出にかかるもので、中小企業の占める割合の多い工業部門で、長期且つ強度の不況に悩むものに対し需給調整措置を講じようとするもので、その要点は、第一に、中小企業が大部分を占める工業で、長期間に亘り不況に悩むものは、本法で指定業種として指定する。第二に、この指定業種に属する業者は自発的に調整組合を作れる。この組合には大企業も加入できますが、組織は大体中小企業等協同組合と同様に、加入、脱退は自由で、議決権は一人一票とするものであります。又この組合は連合会を作ることもできます。第三に、組合又は連合会は自発的に調整規程、総合調整計画を作り、通商産業大臣の認可を受けて生産調整等を行い得る。第四に、この自発的調整活動が効を奏せず、中小企業の立ち直りが望み得ないものは、通商産業大臣が、調整規程又は総合調整計画を参酌して、同種のすべての業者に対して生産調整などを勧告できる。第五に、この勧告も効を奏しないときは、通商産業大臣は勧告と同一内容の省令を出して、アウトサイダーにも生産調整を強制することができるとしています。このほか本法案には、これが実施に関する諮問機関として、経営者、消費者、労働者、金融界等を代表する者並びに学識経験者から成る中小企業安定審議会のことを規定しています。
 以上が内容の主なものでありまして、当委員会では本法案につき経済安定委員会と連合審査を開き、審議に愼重を期したのでありますが、詳細は速記録に讓りたいと存じます。
 かくして質疑を終り、討論に入りましたところ、境野委員から、本法案の別表中に麻鋼製造業と琺瑯鉄器製造業で政令で定めるものを加える趣旨の修正案が提出されました。この修正案並びに修正案を除く原案につき各会派の代表から賛成討論があり、次いで採決に入りましたところ、全会一致を以て本法案は修正議決すべきものと決定いたしました。
 右御報告を終ります。
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。
 先ず輸出取引法案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。
     ─────・─────
○議長(佐藤尚武君) 次に航空機製造法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
     ─────・─────
○議長(佐藤尚武君) 次に特定中小企業の安定に関する臨時措置法案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。
   〔カニエ邦彦君発言の許可を求む〕
○議長(佐藤尚武君) カニエ君、何ですか。
○カニエ邦彦君 只今本議場は定足数に達しておりません。従いまして本日はこれにて流会されんことの動議を提出いたします。(「反対」「休憩」と呼ぶ者あり)
○議長(佐藤尚武君) 暫時休憩いたします。
   午後二時三十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時十七分開議
○副議長(三木治朗君) 休憩前に引続きこれより会議を開きます。
 日程第十四、電源開発促進法案(衆議院提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。経済安定委員長佐々木良作君。
   〔佐々木良作君登壇、拍手〕
○佐々木良作君 只今議題となりました電源開発促進法案につきまして、経済安定委員会におきます審議の経過と結果を御報告いたします。
 先ず本法案の概略を提案理由によりまして御説明いたします。自立経済の達成という緊要な課題を達成するためには電力の確保が絶対必要要件である。速かに電源の開発及び送変電施設の整備を行なつて電力供給を増加し、産業の振興発達の基礎を築くということが提案の理由であります。従いまして、このために本法案は、昭和三十一年におきまして、鉱工業生産を戰前、つまり昭和七年から十一年の平均に比しまして約二倍に引上げるということを前提にし、同時に国民の生活水準を現在より約一〇%、一割向上せしめるということのために、同年度の電力需用を需用端におきまして大体四百八十億KWH程度というふうに想定して、この四百八十億KWH程度を確保するために、先ず既存の民間電力会社を初め自家発電及び公営による電源開発を極力促進することを原則とし、政府は、次に述べる電源開発株式会社を含めて、これら四つの開発担当者についてそれぞれ所要資金の確保に努めることを義務付け、且つ固定資産税などの半額軽減を行うということにしたわけであります。二番目に、既存電力会社などによつては著手困難又は適当ならざる大規模な或いは国土の総合的な開発、利用、保全を必要とする特定地点の電源開発については、新たに電源開発株式会社を設けることとして、主として政府の一般会計からの直接出資及び将来は外資導入によつて総合的且つ急速なる電源開発を行わしめて、電力会社、自家発電、公営によつてもなお足らざる電源開発に当らせることとした。なお、この特殊会社は原則として電源開発を目的として、完成した電力設備は逐次電気事業者に対して讓渡、貸付或いは卸売りをするものであるが、資金及び税金面での特典によつて民間電力会社が行うよりは低廉になり得る。そういうふうにして豊富低廉な電力を成るべく速かに増加するものであるということ。三番目に、電源開発の円滑なる実施を図るために、電源開発に関する基本計画を審議し、関係行政機関の施策を総合調整するために、電源開発調整審議会というものを作つて、水又は土地に関する諸権利などの総合的な調整をも行うこととした。以上簡單に述べましたが、以上が本法案の内容の概略であります。
 次いで、本委員会の審査におきましては、本法案の重要性と関連性とを考慮いたしまして、通商産業委員会、大蔵委員会へ建設委員会等の各委員会と連合審査を行い、公聽会も行いまして、各界の意見を聽取し、そののちにおきまして單独の本委員会に移しまして審議を行なつた。通算しますと三十数回に及ぶ愼重な審議を行なつて来たのであります。同委員会におきましても熱心な質疑を繰返されたのでありますが、その詳細につきましては速記録に讓ることをお許し願いまして、ここにはその主要な質疑につきまして要約して御報告することを御了承願いたいと思います。問題別に整理いたしまして御報告いたします。
 第一に資金の関係でありますが、現在民間電力会社の電源開発を阻む一番大きな原因は、資金が不足であるということにある。何故に一般会計による財政資金を直接民間電力会社にやるという方法をとらずに特殊会社を設けてこれに出資するという方法をとつたか、まあこういう意味の質問に対しまして、大体以下のような答弁があつたと思います。一般会計から、換言いたしますと、国民の税金からの、而も融資ではなくて財政投資という形をとるのであるから、直接民間電力会社には出しにくいものである。若し出すとするならば、資金の用途、会社の運営等について国民的な監視をするということが必要になつて来るのであつて、そうなれば現在の商法上の電力会社の性格を或る程度変更するということにならざるを得ない。又現在民間電力会社に対しましては、見返資金、或いは資金運用部資金、開発銀行資金から、その開発所要資金の相当額に当るものを現実に融資しているのでありまして、極力開発資金の確保には現在実際に努めているのである。現在より以上に政府による資金的援助を特定の民間企業に対して行うということは、又別の意味におきましては他産業との均衡を害するという危險性もあるという点からも困難である。従いまして、民間電力会社などの開発資金は、大体現在行われているような従来通りの援助を積極的に行なつて、これだけでは開発が不足するので、その不足する部分を、政府の直接投資、財政投資によつて、財政投資をやりやすい特殊会社というものを作つて、その不足する部分だけを直接な投資によつて電源開発を多くするのである。こういう意味の答弁があつたと思います。
 次に外資導入問題でありまして、この外資の導入問題につきましてはいろいろな角度から質疑が行われ、答弁も行われたのでありますが、電源開発に当つて国内資金のほか外資導入を予定しているのであるかどうか。或いはその受入体制としては特殊会社というものが本当に適当と思つているのか。外貨債務の政府保証はなぜ特殊会社だけに限定するのか。例えば現在の民間電力会社に対してもそういう外貨債務の政府保証というものを付けてもいいじやないかというような意味の、あらゆる角度からの外資問題についての質問があつたわけでありますが、これに対しまして、外資導入を現実に期待している。そのために法案中に、例えば政府保証であるとか、社債の発行限度の特例だとかいうような規定を設けた。又外資導入はまだ併しながら確定していないのであるが、確定していないということと外資が入つて来ないということとは全然別問題であつて、最近ますますその入つて来る見込が濃くなりつつあるのであるけれども、特殊会社の暫定的にこしらえられたところのこの資金計画に、現実にまだ未確定であるところの外資の導入を織り込むということは実際問題として時期尚早であり、不可能であるから、その資金計画の内容の中には入れておらない。一応この対質導入を除外して、国内資金でも電源開発計画を遂行し得るように一応の計画を立てているのだ。外資が入れば当然これによる資金をもこの会社に織り込むつもりであるというような答弁があつたと思います。
 更に、現在外資の導入に当つて最も期待を持ち得るのは国際復興開発銀行による導入である。国際銀行による各国への電源開発への投資の実例を見るというと、大体政府又はこれに類する機関に導入されており、或いはこれに政府中央銀行又はこれに準ずるものの保証を付することが大体要件となつているように見るのである。こういう理由のために、外資導入の受入体制として、この出した特殊会社というのが一番適当なように思うし、その外貨債務に政府保証を付けたのもその理由であるというふうに述べられた。又民間電力会社にも外資が導入されることを我々は期待しているのであるし、望むものである。併しながら法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律という皆さん御承知の法律がありまして、これによつて政府が民間事業会社に対して直接債務保証をすることが禁ぜられているのであつて、民間電力会社の外貨債務の保証を現在行なつていないのである。現在日本開発銀行法の一部を改正して、政府に代つて開発銀行が債務保証のできるようにして、かかる方法によつて民間電力会社にも外資導入の途が開かれるような措置を講じつつあるのだ。まあ大体以上の答弁があつたわけであります。この外資導入をめぐる問題につきましては、委員会におきまして、若干意見の対立とか或いは見方の相違とかいうものがあつたと思います。なお資金の確保並びに公正な配分の必要につきましては、同様な意味で多数の意見は大体一致したように感ぜられたわけであります。
 資金と外資導入の問題の次に、今度はこの特殊会社を作るという問題につきましての質疑応答の内容であります。どういうわけで特殊会社を設置するか、その理由、並びに特殊会社設置のため民間の九つの電力会社等による開発を阻止するような結果になりはしないか。又どういう特権を特殊会社に與えているのか。こういうような、まだたくさんあつたと思いますが、大体こういう意味の特殊会社の設置の理由をめぐつての質問がなされたわけでありまして、これに対しましては、昭和三十一年度に、先ほど申上げましたように、大体四百八十億KWH程度の電力を確保するためには、今後五カ年間に約四百万キロワツトの電源開発が必要なのであつて、そのためには、民間の九つの電力会社、それから自家発電、公営などによる電源開発に対しては、極力資金的にも税金面などにおいても国家的な援助を図るつもりであるし、図ろうとしておるのであるけれども、これだけではなお開発は大体三百二十万KW程度にとどまるのであつて、所要量に対して不足を生ずるのであるから、この三開発担当者によつてもなお開発不足の電力を補充的に開発をする必要があるので、これがために特殊会社を作るのだ。これが一つの特殊会社を作る理由でもあるのだ。それから又、資金はすでに述べたような事情で、見返資金、資金運用部資金、開発銀行資金などの資金を電力開発に動員し盡した現在、これよりもよりたくさんの電源開発には、どうしても直接の財政投資を行う必要があるのであつて、民間電力会社に一般会計からの財政投資は実際上先ほど言つたような理由で困難である。従つて財政援助によるために別個の特殊会社を設立するということが必要であるし、又外資導入についての上述のような理由も考慮して、特殊会社が一応一番正しいのじやないかということでこれを作つたのだ。それから国土の総合的な開発、利用、保全をも考慮して、且つ大規模な電源の開発を行うためには、営利事業である民間会社よりは、こういう特殊会社のほうが適しておるのである。且つこれらに伴う補償問題などについても民間電力会社よりは公正妥当にやり得るのではないかと、こういうふうに考えておる。まあ以上が特殊会社設置の理由の主な点であつたと思うわけであります。次に特殊会社は民間電力会社が資金その他の理由で力の及ばないような電源の開発を行うのが目的であつて、民間電力会社などと並行してこれにプラスして電源開発を行うのであつて、決して九つの電力会社による電源開発を圧迫し、阻害するというものではないのだ。こういうふうに述べられました。
 それから、この特殊会社は、特権と同時に、特殊会社なるが故に政府の特別な監督をも受けることになつており、主なる特権としては、民間電力会社と異なる点は、発行株式の二分の一以上は政府出資によつて資金的に安定するようにしていること、それから政府保有株式については建設利息の配当などがなくて、そのためにその分だけ電源の建設費が安くなるということになり得る。それから社債発行限度の特例が認められて、外資導入等に対しても、その分の十分な考慮をしてある。それから四番目には、外貨債務について上述のような政府の保証があつて、外資の受入体制が整え得るようにできておる、それから登録税が減免されておるというような、大体五、六点の答弁があつたと思います。
 なお、特殊会社を作るとしても、それをこの法案のような一社とするのか、或いは一時話が出ておつたような数社とするのか、こういう一社、数社という問題につきましては、現在の財政資金支出の余力を考え、資金資材の有効重点的な活用、それから総掛費の節減等というような観点から、取りあえず一社にしてスタートすることが正しいと考えておる。若し数社を作ると、将来各地到る所に特殊会社ができる傾向を生じて、総花式となつて実を結ぶことが少くなる危險性があるように思う。又特殊会社形態なるがための運営上の非能率になるという問題その他の欠陷の是正については、まあ一応のでき得る限りの考え方はしたつもりである。例えば予算、決算、会計などの会計法令の適用を一応除外したこと。或いは新商法による株式会社といたしまして、運営面においては一般の普通の民間企業と余り異なることがないように運営できるようにしたとか、或いは役職員は公務員ではなくて、その任免、給與などについて公務員法の適用を受けないようにしたとかというような点で、従来の公団とか公社とかに見られたような欠陷を排除するための一応できるだけの考慮を拂つたつもりであるというような説明がされております。
 それから項目の大きな問題の四番目に、技術者要員の問題が出ておりまして、特殊会社が設立せられても開発に必要な技術者要員を確保できない危險性があるのではないか。又参考資料として配付された資料から見てもこれだけでは大体人員が少な過ぎて、本当の仕事ができなくなる慮れがあるのではなかろうかというような意味の質問が繰返し各角度からなされたと思います。これに対しましては、技術者の要員の給源といたしましては、予備の一般人のほかに民間電力会社及び外地より引揚げた電力関係技術者等も考えておること、それから参考資料の人員表は、この特殊会社の人員は、最初成るべく少くしたいという方針によつて作られたものであつて、そのためには、例えば具体的に当該地域の電力会社へ仕事を委託することも考えられるし、或いは外部のコンサルテイング・エンジニアなどの利用なども考えているのだという答弁があつたと思います。併しながら、以上のほかにその他の数字的な答弁も相当出ておりましたけれども、この人間が少な過ぎるのではないかということ、及び技術要員を本当に十分に集められるかどうかということにつきましては、委員会におきましても相当議論が行われまして、非常に心配をされておる強い意見も出ておつたことを附け加えておきます。
 それから第五番目に、開発地点の選定問題につきまして、特殊会社の開発地点はどういうふうにして決定するのか、又どういう選定基準によつてこれをきめるのかというような質問に対しまして、各年度における企業形態別の、又、水力、火力別の電源開発の大きさにつきましては、政府が電源開発調整審議会の議を経てきめる電源開発基本計画というものによつて、大綱的に調整決定をすることになつておる。この基本計画に基いて政府が決定すべき関係開発会社の開発地点の選定は、法文の十二條に示すところによつているのである。具体的に選定基準となるであろう諸点は、大規模で、民間電力会社では現状においては資金その他の面から見て着手することが困難であり、或いは又国土総合開発の見地から、民間電力会社よりも、特殊会社によつてやらせるほうが妥当だと考えられるようなもの、更に、補償関係などが非常に複雑であつて民間電力会社では解決が非常に困難になろうと思われるようなもの、こういう候補地点のそのおのおのの優先の度合につきましては、地域別の電力需給及び水火併用の度合、更に開発地点の経済性の優劣というような問題を考慮斟酌して決定されるというふうに考える。以上の答弁に対しましては、民間電力会社の開発意欲を阻害しないように考慮すべしという相当強い意見が述べられておつたと思います。
 更に、開発地点の選定に当つて大規模国土総合計画を考慮するほか、地域別の電力需給の均衡の保持を考慮すること、そのためには水力のほか火力開発をも行うべきこと、というような要望が相当強くされておりました。
 なお、特殊会社のみならず、各開発担当者に対して、電源開発に伴う水、土地、家屋などの損失補償について十分考慮するようにという強い要望が私あてに、例えば公文書を以ちましても水産委員会及び農林委員会からも出ておつたわけであります。これは特殊会社の問題だけでなくて、すべてを含めた電源開発について、今のような損失補償について十分考慮されたしという意味の要一望であつたわけであります。
 次に開発会社の業務内容及び存続期間の問題でありますが、開発会社の業務は建設が主であるのか。又建設完了後の貸付、讓渡、それから電気事業者に対する電気の供給即ち卸売というようなものは一体どういう関係にあるのか。卸売をやらなければ、現在最も問題になつておるところの電力需給の地域別の不均衡或いは料金の地域差の不均衡というようなものを均衡化するのに役立つことが相当困難ではなかろうか。併しながら、若し卸売をやれば又旧日発の再現というような問題も出て来るのではなかろうか。又会社の存続期間も十年ぐらいで終了するというふうには考えられない。或いはそのつもりであるかという、その期限の問題等につきまして、相当突つ込んだ質問が繰返し行われておつたと思います。以上のような質問に対しましては、特殊会社の業務内容は電源の建設ということが主体である。なお、その建設完了した電力設備は、第一に讓渡又は貸付を行うこと、二義的に卸売を行うこと、それから、この特殊会社設立によつて民間の九つの電力会社などの行い得る限度以上の電源開発を行うことによつて、電力の供給をより豊富にして、且つ民間電力会社で行うよりは先に言つたような理由で低廉にもなり得る電力を供給するのであるから、今後この豊富にして低廉な電力をソースといたしまして、需給及び料金の地域差の是正に相当程度寄與し得ると考える。又地域別の電力需給状況などを勘案して開発地点をも選ぶことになつており、又讓渡、貸與の際に一定の條件を付して地域別の電力需給などを調整するようにするということも考えられる。以上のような方法で電力需給の地域別の不均衡及び料金の地域差の是正にも寄與し得ると考える。又この特殊会社は卸売を一義的に考えていないこと、電源開発を独占的に行う会社ではないこと、それから特殊会社の開発所有する電力設備は十年後におきましても全体の大体一三%にしか過ぎないこと、電力の国家管理が現実に行われていないこと等々の理由からして、旧日発の再現云々の批判は当らないと思うとい、う答弁がされております。それから特殊会社の存続の期間につきましては法文中には明記しておらない。予定された電源開発の完了、これに伴う讓渡、貸與、卸売等の関係で実際に存続期限は左右されるものであつて、その存続の見通しについては必ずしも明らかでないという趣旨の答弁があつたのでありますが、この期限問題につきましてはいろいろな質問によつて答弁が各面からざれました意味もありまして、必ずしも明瞭ではないように考えられます。
 次に工場抵当法との関係につきまして、これは專門的な立場から相当突つ込んだ質疑応答が繰返されております。特殊会社は電気供給事業者であるのか。若し電気事業者でないとするならば、工場抵当法にいう工場の観念には電気の供給を目的とするということになつておるから、工場抵当法の適用による財団の設定ができないことになるのではなかろうか。外債担保としてはゼネラル・モアゲージは抵当権に対しては弱いのであるから、抵当権設定の場合には主務大臣の認可を必要とする旨の規定を設ける必要があるのではないか。或いは水利権を財団組成に当つてどういうふうに扱うのかというな意味の質問が專門的になされた。これに対しまして、特殊会社は電源開発をすることを一応の原則としておるのであるから、電気を供給することを目的とする電気事業者ではない。従つて工場抵当法の適用を受けて財団を設定することには一応の疑問があるように思われる。これは解釈上の問題だということにもなつたと思います。抵当権設定の場合の主務大臣の認可の必要については十分に研究をする必要を認めた。又水利権は財団の中には入らぬといたしましても実際上財団と一体をなしておるのであるから、これが財団設定の場合に実質上その内容となつていなければ事実上担保価値が殆んどなく、借入、社債の発行は困難ではないかとの質問でありましたけれども、これに対しまして、水利権は河川法による公法上の水の使用権であつて、種々公益の上の見地から制限を設けておる関係もあるので、これを以て直ちに財団の組成物件とすることはむずかしい。以上のような答弁によつて、工場抵当法との関係につきましては研究の余地があることが明らかになつたと考えます。
 それから国土総合開発計画との関係につきまして、国土総合開発計画と電源開発計画との関係、それから矛盾した場合の取扱というようなものをどういうふうに調整するのかという問題につきましては、本来国土総合開発は全体計画であつて、電源開発計画はその部分計画をなしておるものである。現実的には、電源開発の緊要性に鑑みて、国土総合開発計画の決定前に電源開発計画を先行せしめる場合も生ずるけれども、電源開発計画の決定に当つては、十分国土総合開発計画の審議状況などを反映せしめて支障ないように図るつもりであるという答弁があつたと思います。
 最初に申上げましたように、この委員会は相当長期に亘りましてあらゆる角度から質疑応答がなされましたために、只今報告しましたことで盡きておるわけではないのであります。一応整理して要点だけを御報告したわけでありますから、内容につきましては十分速記録を一つ御覧をお願いしたいと思います。
 大体以上のような質疑を終りまして、それから質疑の終了の段階になりまして、質疑終了されましてから、杉山委員の修正案、それから奥委員の修正案、二つの修正案が提出せられたわけであります。大要を申上げます。
 先ず杉山委員の主な修正案の内容は、第一に、第二條の定義における「電源開発」というのは「水力又は火力による発電のため」に改め、つまり水力も火力も両方含めて、火力も含むということを明確にすること、これは第二條の修正であります。
 それから二番目に、第三條を、経済安定本部総裁は電源開発基本計画を電源開発調整審議会の議を経て決定し、且つこれを関係行政機関の長に通知すると共に、一般に公表し、利害関係者からの意見の申出ができることとして、その申出があつた場合は、行政機関の長は、これを考慮して必要な措置を講ずること、というふうに改めた。これは第三條の修正であります。
 それから三番目に、第四條の「電源開発に関する総合調整」については、電源開発の主務官庁が、他の関係行政機関の処分が電源開発の円滑な実施に支障を及ぼす慮れありと認めるときのみ、後者と協議し得ることとなつていたのを、これを修正して、関係行政機関のほうからも、電源開発の実施が国土の総合的な開発、利用、保全に重大な影響を及ぼす慮れありと認めるときは、電源開発の主脇官庁と協議をなし得ること、こういうふうに原案を修正しまして、片方からのものを相互的な協議に改めるというふうに修正をされたわけであります。
 以上の第三條、第四條の修正は、大体次に述べます損失補償に関する修正と共に、これは第七條になるわけでありますが、第七條の損失補償規定の挿入と共に、先ほど申上げましたところの農林委員会、水産委員会からの要請の内容と合致するものであつて、これを取入れられたことだと思います。
 それから第四番目に、電源開発などに必要な資金の確保の努力を政府に義務付けましたところの第五條の規定に、更にその資金を各開発担当者に対して公正に配分することの努力を義務付けることを追加いたしまして、且つこれに対応して、審議会の所掌事務を規定しました第八條に、電源開発に要する資金の調達及び配分に関して審議調査することの一号を追加したことであります。これは、先ほども質疑応答の中に出て来ましたところの、特殊会社が開発をすることによつて、特殊会社以外のものの開発を資金面から圧迫する可能性と危險性を成るべく除去しよう、そういう意図に基く修正内容だということであります。
 それから第五番目に、電源開発によつて水、土地、家屋、立木等に関して損失を受ける者に対して、当該電源開発担当者が公正な損失補償に努めることを義務付ける條文を新設いたしました。先ほど申しました第七條の新設であります。且つこれに対応して、審議会の所掌事務を規定した第八條に、電源開発により生ずる損失の補償に関し調査審議することという一項を追加しております。これは先ほど説明の通りであります。
 それから第六番目に、第十二條におきまして、特殊会社が行うべき開発地点を定める場合に、原案では「大規模な」電源開発とあつたのを、大規模のほか「又は実施の困難な」電源開発というふうに追加し、且つこの場合は、只見川などのごときものを指すのだという意味のことを例示することとされております。それから原案では「国土の総合的な開発、利用及び保全に関し特に考慮を要する」電源開発とあつたのを、この場合は北上川などを指すものだという例示が附け加わつております。更に原案のほかに、「電力の地域的な需給を調整する等のため特に必要な、火力又は球摩川その他の河川等に係る電源開発」ということを追加いたしまして、この三つの問題の追加は、先ほど質疑応答の内容の中で申しましたところの地域的な需給の調整というための開発ということが入る、その例示として、先ほどと同じ意味で球磨川ということが入つたということであります。なお右に挙げました開発地点であつても、特殊会社以外の民間電力会社などが具体的な計画を附して電源開発を行うべきことを主務官庁に申出たもので、その計画が適当であつて、且つその実施が可能であるというふうに審議会が確認したものにつきましては、民間電力会社等に委ねることとして、特殊会社の開発地点から除くというふうに第十二條の修正がなされております。
 特殊会社の事業範囲につきまして、水力のほか火力の電源開発をも行い得ることとなりました修正が第二十二條第一号の修正となつております。且つ卸売を行う場合に、料金その他の供給條件につきましては主務官庁の認可を必要とするが、公共事業会第四十條の適用を除外する旨の規定を新設いたしまして、且つ主務官庁は、貸付、讓渡、卸売料金等についての認可に当つては、審議会の意見を尊重しなければならない旨の規定を新設してあります。
 それから八番目に、先ほど質疑応答の際に述べて問題になりました工場抵当法の適用につきまして、新たに一條を新設いたしまして、特殊会社は工場抵当法の適用を受けられるというふうにいたし、更に主務官庁の認可を受けなければ抵当権の設定ができないということを明らかにしております。
 第九番目に、その他、審議会の委員中、民間学識経験者から任命する者七人を八人に増加し、従つて委員総数は十四人が十五人に増加したこと、及び役員を内閣が任命するときに株主総会の意見を聞くことと改めて、少数株主の意見をも一応反映する途を開いたことなどが大体杉山委員から提出されました修正案の大要であります。
 次に奥委員から出されました修正案は、大体次に述べます部分を除きましては、全く杉山委員から出された修正案と同一であるわけであります。その相違点だけを申上げます。
 それは、第一に、第十二條第二項におきましては、特殊会社が行うべき地点から除外される地点については、特殊会社以外の民間電力会社などが「具体的な計画を附して電源開発を行うべきことを主務官庁に申出たもので審議会が確認したもの」を除くというふうになつておりまして、杉山修正案のほうでは、「主務官庁に申し出たものであつて審議会においてその計画の内容が適当であり、且つその計画の実施が可能であると確認されたもの」というふうになつておりまして、この点は、実質的には、質疑応答の際に出て来た場合には、修正意見を出されたかたは、余り実質的には変りないんだという話でありましたが、法文の読み方によりましては、その確認をなすときの基準が明らかに示されておるかおらないかという意味で、相当大きな内容上の差があるのだということが相当質疑応答の中で問題になつておつたと思います。なお、その次に、同じく十二條の中におきまして、杉山修正案にありました三つの具体的な河川名の例示を完全に削除しておられること、それから今の点が第十二條にかかる修正意見であります。
 それから二審目、附則に次の三点を追加されておる。即ち第一に、附則第十八項で、特殊会社のみでなくて、民間電気事業会社にも登録税の免除を規定しておること、それから第二に、附則第二十項で、電気事業会社の社債発行限度の特例を現行の二倍から五倍に引上げることを規定したこと、これは内容が非常に條件が附いております。それから第二に、附則の第二十一項で、電気事業会社が資金運用部資金引受で直接社債を発行し得ることを規定しております。
 この附則についての三点と、この十二條の問題と、それから列記三点の河川名の問題と、つまり十二條において大体二つ、附則において三つ、これが奧修正案とそれから杉山修正案の相違であるわけであります。この両案を一緒に質疑応答を繰返されたわけでありますが、この質疑応答の詳細につきましては一つ速記録に讓りますので御承知をお願いしたいと思います。
 先ほど申上げましたように、最初問題になつたのは十二條二項でありまして、一体何を確認するのか。民間電力会社が具体的な計画を附して主務官庁に届出さえすれば、その届出が確認されたことになつてこれが全部除外されることになるのか、ならないのか。そして奥委員の修正案の場合には、そういうふうに申出さえあれば、それがそのまま確認をされて、従つて特殊会社で行い得ない地点になつて、つまりその意味では民間電力会社の優先の意味であるというような解釈が成り立ち得るという質疑応答の中で意見が出ておりました。又この両案の相違点でありますところの三つの河川の例示につきまして、相当突つ込んだ意見及び質疑が繰返されまして、法制局の意見なども質したわけでありますが、一応法制局の意見によりますというと、例えば第一号の「只見川」というのは大規模な電源開発の代表的なものを例示したものであつて、「その他の河川等」というのであるから、有力な開発候補の一つであることを意味するのであるけれども、必ずこれは優先的にやらなければならないというふうには解釈はできないというふうな意見が法制局の意見であつたと思います。併しこの点につきましては、相当突つ込んだ意見と質疑が繰返されたことを附加えておきます。その他附則の三つの問題につきましては、前にも問題になつたことであつて、現在そういう特例がほかの電力会社に対してもすぐやり得るかやり得ないかということが、相当繰返されて意見交換がされたと思いますが、内容は省略をいたします。
 この両修正案の質疑を一応終りまして討論に入つたわけでありますが、討論に入りますというと、古池委員から、奥委員提出の修正案による民間電力会社などへの登録税免除及び資金運用部資金による直接電力債の引受は、現状においては民間の会社としては行き過ぎであつて、社債発行限度五倍の特例は一兆三千億にも上る社債発行限度となつて、実情に相当遠いものになるから、早急に設けるという必要については疑問である。そういう意味も含めて奥委員の提出の修正案には反対である。そうして杉山委員の提出された修正案については、おおむね原案の意図するところを明確化したものであると同時に、委員会の審議の最中に、審議の過程におきまして、先ほどの他の委員会であるとかその他からいろいろな要請のあつたものも適当にその中に入つておるのであつて、その部分は実は奥委員の提出の修正案も同じであるわけなんですが、そういう意味も含めて賛成であること、そうしてこの杉山委員提出の修正部分を除いた原案にも賛成であるという意見が述べられ、それから須藤委員からは両修正案及び原案のいずれにも反対であることの意見が述べられ、それから又山川委員からは、杉山委員提出の修正案に賛成であり、残りの原案に賛成であるという討論が行われ、同時に次のような内容の附帶決議の要求が出されたわけであります。その内容は大体六つに分れております。
 第一に、特殊会社を通じての外資導入について政府の努力を促すようにすること。
 二番目に、特殊会社の業務は原則としてむしろ卸売に主点が置かれるように考慮すべきこと。
 それから三番目には、公共水利に関する基本法制の整備の必要を認めること。
 四番目に、堰堤建設というようなこの問題に当りまして、造林、治山、それから砂防等に関しまして万全を期するということを附加えること。
 それから五番目に、一般の電気事業者に対しまして、政府資金の確保、社債発行の特例、課税上の特典、先ほどの奧修正案に出ておつたような内容を指すものであろうと思いますが、そういう特典について別途特別の立法措置などを考えるようにすること。
 それから六番目に、特殊会社の開発地点につきましては、先ほどの川の名前の問題を含めて、あそこに掲げてあるのは、法制局の意見に従つても一応は例示的なものであるから、審議会において愼重審議の上決定すべきものであること。
 大体以上の六点の内容を含む附帶の決議の要求があつたわけであります。
 かくいたしまして討論を終結いたしまして採決に入つたわけでありますが、最初に奥委員の提出された修正案のうち、杉山委員の提出された修正案と相違する分についてのみ採決をいたし、その部分は否決せられ、次ぎまして奥委員の提出されました修正案中、只今の否決された部分を除いたものは大体杉山修正案と同様でありますので、杉山修正案を議題にいたしましたところ、多数を以て杉山修正案が可決され、次いで杉山修正部分を除く原案について採決いたしましたところ、多数を以て可決すべきものと決定されました。かくいたしまして委員会におきましては修正可決ということに決定をしたわけであります。
 以上で報告を終るわけでありますが、最後に一つだけ附加えて報告をさせて頂きたいと思います。
 委員会において審議の方法につきましていろいろ御意見が出たやに承わつておりますが、私といたしましては、全期間を通じまして、最も公平にして、最も愼重な審議を続けて来た、そうして最後の場合においても同様であつたと私は確信をしております。それから第二番目に、この法案の処理をめぐりまして、特に最近におきまして、国会外においていろいろな動きがあるとか、或いはデマがあるとかいうことを聞きますけれども、私は、従来私どもの、少くとも私の委員会では経験したことのないところの、予備付託の期間を通じましては大方三月になろうとする審議、本付託の期間だけをとりましても、大体二カ月になろうとする審議、実質的な審議は委員会で十分に私は繰返されたと思うのであります。従いまして、今のような外の動きがあるとか、デマがあるとかいう問題を除外いたしまして、私は委員会において愼重な審議がされたと思いますので、その愼重な審議がされたことを御了解されまして、この本会議におきましても最も妥当なる決定がされることを特に希望を附しまして報告か終える次第であります。(拍手)
○副議長(三木治朗君) 本案に対し奥むめお君ほか一名より成規の賛成者を得て修正案が提出されております。この際、修正案の趣旨説明を求めます。奥むめお君。
   〔奥むめお君登壇、拍手〕
○奥むめお君 今日電源開発促進法案が上程されますこの日を選んで、わざわざ毎日新聞の第三面に「電源開発法握りつぶし工作暴露」という写真入りの大きな記事が出ているのでございます。これにつきまして、先ほど電産中央本部から、「陰謀に乗るな」という声明を持つて、副委員長初め合計四名のかたが自由党だけを除いてあとの各党を説明に廻つておる。緑風会にもおいでになつたのでございます。私、自分もこの中に写真を入れて、同僚議員と一緒に……全く無実のデマ記事で、(「その通りだ」と呼ぶ者あり)非常に国会の品位を汚されたばかりでなく、私ども議員の信用を害する、阻害したという意味では、非常にこの記事は、私、政治的に重大な内容を持つものだと思いますので、(「その通りだ」と呼ぶ者あり、拍手)先ず電産のこれを読みます。「七月七日附毎日新聞所載の「電源開発法案握りつぶし工作暴露」なるデマ記事は、明らかに自由党を中心とする悪質な政治工作の一環をなすものである。(「違うぞ」「その通り」「議長注意」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)電産は七日関係議員諸氏を招致し詳細を質した結果、全く記事の如き事実なきことが確認された。(「議長注意」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
○副議長(三木治朗君) 修正案の弁明を願います。
○奥むめお君(続) 関係しております。「われわれは斯るデマに迷うことなく、全労働者、需用家と共に、断乎として利権法案である電源開発促進法案の通過阻止に邁進する。国会議員諸氏の国家公益に不可分の電気事業を憂う良心に訴え、明確な反対態度の表明を要請する。」これだけでも、今朝から、私、主婦連合会の会長でございますが、この新聞に出ました六月十日に何とかいう所へ私どもが公益事業委員長に招かれて行つたということが出ておりますが、私が六月十日はどこにいたかということを、今朝来、多くの会員から電話で問い合せられておる。又尋ねても来ておるそうでございます。私は、六月十日と言えば、これは私の、法案に関係のないことでございますから省きますが、(「関係ない」「関係ある」「明らかにしなさい」「許された時間内だからはつきり堂々とやれ」と呼ぶ者あり)私はこういう毎日新聞ともいうべき一流新聞が、こういう悪質なるデマを載せるということは、絶対の権威において許すべからざることだと思うのでございます。(拍手)これはなぜかと言えば、本来ならば(「新聞社に言え」と呼ぶ者あり)こういう、これは單に私だけの問題ではございません。国会の名誉に関する重大なる問題でございます。(拍手)本来ならば、この種のデマ記事の出どころを明らかにして、そして、その結末を付けてからこの法案は上程されなければならないところのものでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)
○副議長(三木治朗君) 修正案の説明を願います。
○奥むめお君(続) 私は電源開発促進法案につきまして、主婦の立場を代表して、只今委員長の報告されました杉山修正案と奧修正案、これの相違は、はつきりいたしたのでございますから、私の関係するところの奧修正案の大意を述べまして、この修正案がどういう経過を辿つて出されたか、どういう経過を辿つて否決されたかというこの事情を、少しばかり申上げなければならないのでございます。
 これは日本の憲法にも前文というものが書いてある。私もこれにならつて前文を以てこの法案が辿つた複雑怪奇なる経過をお話して、御了解頂く上の便宜に供したいと思うのでございます。(「うまいぞ」「堂々とやれ」と呼ぶ者あり)この法案が参議院に正式に出されましてから六十日、今日が最後の期限の切れる日でございます。如何に難産であつたかということはこれでもわかるだろうと思うのでございますが、なぜ難産であつたかということは、政府並びに提案者側の説明答弁がいつも食い違つておつたのでございます。答弁は新らしい疑問を又産む、前言はあとの言葉で取消される、どこに真意があるのかわからないというふうなことがしばしばございまして、委員会は長引かざるを得なかつたのでございます。
   〔副議長退席、議長着席〕
 委員長も誠に忍耐強く委員の審議を主宰していらしたことには、私もほとほと同情と感心をいたすものでございます。併しそういう複雑ないきさつを以て審議がなかなかすつきりと運ばないものでしたから、まあ、いつ果てることやらと私自身も思つておつたのでございますが、まあ最後の頃に大蔵大臣と安本長官とお二人が緑風会においでになつて説明をなすつた。まあ我々はあのときの答弁がこの法案の本当のところだろう、このように言つておる次第でございます。
 この法案のように莫大な国家の金を使つて電源開発株式会社を作るというこのことは、誠に事重大でございますから、もう一度そんなにちぐはぐな答弁をするようなものでなくて、すつきり一本になつて責任の持てる内容を以て、そうして政府案として、自由党案でなしに政府案として全責任の持てるものを出し直して欲しい。これは多くのかたから出ておりました。私自身もそれを願つて参りました。併しこれは、最後には脱兎のごとき勢いで、ばたばたと審議、討論、採決を終つたのでございます。提案者側におかれましては本案の成立をなぜか非常に急いでいられた。(「選挙目当てだ」と呼ぶ者あり)杉山、奧、二つの修正案が提出されましてから……、この経済安定委員会には改進党と民主クラブの委員はないのでございます。両案の修正案が出ましてから、両社会党のほうから、これをともかく比較研究して党の態度をきめなければならないから少し待つてもらいたい、こういう申出が委員長にもありましたし、私に対しても事情を述べて協力方を申込まれましたので、私からも委員長のほうへ電話を以てこの旨を伝えまして、その日は休んだのでございますが、こういう日にも委員会は続けられておるのでございます。又、去る二十六日、これは皆さんも御承知のように、この日も又国会は二十日以後のあの大混乱でございまして、国会法十三條の改正問題で荒れ狂つていたときでございますから、連日の終夜国会で議員はみんな疲れ切つておりました。幸いにして両修正案の質疑が行われまして、四時半、五時近くに一旦休憩に入つて、もう余り疲れておるから休もうじやないか、こういうことを多くのかたから申出て、私も申出て、併しこの疲れ切つて連日終夜下、無理をして来ました議員たちが、休まなければ身体も続かないと申していたのでございますけれども、この日も又再開されまして、十一時過ぎまで審議は続けられたのでございます。私は委員長に、あなた労働組合出身の輝ける委員長じやないか、労働基準法違反です、こういうことを私は申した次第でございます。又二十八日にはこの法案の討論、採決の日でございましたが、又々国会は、あの通りの混乱のまま、いつ開かれるかもわからなかつたので、各控室は対策も練ることに忙しかつた。その際でございましたので、委員会は、討論、採決の委員会は十一時からと書いてございましたけれども、私は電話で聞きましたが、できるかどうかわからない。私も恐らくできまいと、これで一時間ほど私は止むない用で出かけて来なければならないから、私がその旨を伝えてから、十一時過ぎに外出したのでございます。ところが……
○議長(佐藤尚武君) 奥むめお君、修正案の説明をして下さい。
○奥むめお君(続) これが説明でございます。十一時四十五分という妙な時間に開会されて、討論採決は修正案を出した私の留守中に終つているのであります。(「三日も出ないのだろう、委員会に」と呼ぶ者あり)併し今考えてみますと、今日は七月の七日、討論終結をしてからもう十日も経つているのでございます。私は、委員長が、或る同僚委員に、自由党がうるさくてしようがないからもう開くよと、こう言われたということを聞きまして、(「つまらない」と呼ぶ者あり)全くこの若き委員長は、外からの圧力なくしてはこんな無理をなさるはずはないのだと、こう思つたのでございます。(笑声)
 次に私は、この法案審議の過程におきまして、皆様の御了解を頂きたいことは、初め大蔵大臣も提案者側も外資については非常に自信薄すでございました。大蔵大臣のごときは、外資導入はベターである。併し何分にも相手のあることであるから、外資が入らない場合のことも考えねばならん。私は国家資本でもできると、こう言い放つて、又国民貯蓄は去年は五千三百億を予定していたが、六千三百億、つまり一千億も目標を突破している。今年は六千八百億、或いはそれ以上にも上るであろう、こういう場合に最も重要である電力のために千五百億くらいの金を出すのは何でもないと私は考えている。若し出すだけの金がなかつた場合には他を抑えると、こう言つておられたのでございます。私といたしましては、私は戰前戰後を通じて、子供銀行、婦人の貯蓄組合の奨励と指導に当つて来ておるものでございます。ですから(「いいよいいよ」と呼ぶ者あり)私どもはこの責任ある立場から大蔵大臣の説明に非常な衝撃を受けて、本案に関心を持たざるを得ないようなわけになつた次第でございまして、国民貯蓄、郵便貯金、そのほかの金が国民たちの身を削るような苦しい節約の中から積まれているということを考えるだけでも、私どもにとつては財政資金の使途については全く関心を持たざるを得ないのでございました。(「その通り」と呼ぶ者あり)又初めの半分ほどの期間は、提案者並びに大臣の答弁は、これは飽くまで電源開発の施設を作る会社であつて、できたものは讓渡し、又は貸與する。ただ工事の過程において一部発電したものを卸売する場合もあろうという程度の答弁、説明でございましたが、そんな短かい期間の会社に外資が入るか、いい人が集まると思うかと、こう問い詰められまして、だんだんと今度は讓渡というふうな意味は軽くなりまして、長く継続する株式会社を作るということが明らかにされているのでございます。私はこの法案を読みまして、第一章、第二章は速かなる電源の開発、電気の供給増加をきめておりますのですが、第三章に至つて極めて厖大な政府資金を放出して、電源開発株式会社という特殊会社を作るのがこの法案の目的であつたというふうに読まれたものでございます。言うまでもなく、この会社の資金は、俗に言う財政資金によつて、政府の手持ちの資金か、それとも国民の税金で賄われるべきであるということは明らかでございます。私はこの種の金をこういう特殊会社に放出することに反対するものでございます。電力の国家管理ができない限り、差当り原則としては各電力事業者の自力開発に待つべきものだろうと思うのでございます。現に各電力会社におきましては、旧日発以前に、昭和十二年までに、水力、火力合せて七百万の電力を自力で開発しているのであります。ただ戰後経済事情が一変したのですから、各電力会社の開発力を原則とするとは申しましても、金がございません。ですから、これは政府が開発銀行法を改正いたしましたのもその辺にあろうと思うのでありますが、政府が面倒を見ることによつて各社が競つて開発をして行く、これを指導し鞭撻するのが最も能率的な途だと、私はこう考えたいのでございます。ですから、この会社案につきまして、私が主婦連合会の立場からいつも電気料金値上げ反対で猛烈に全国の婦人会を扇動しておりましたものですから、(笑声、拍手)私に対しては、政府の金だから配当が要らない、税金も要らない、電力がたくさんできるし、電力料金が安くなるのだから、あなたが賛成する法案だ、こういう風に教えてもらつたものでございます。併し大変な一〇〇%の魅力を感じてよくよく検討してみますと、全く税金分と負担分が安く付いておるだけ確かに安いのでございます。それだけでございます。而も私が考えますのに、財政面について、独立後の日本の前途、今後我が日本は独立をいたしましたので、幾多の新らしい支出が待ち構えております。外債の処理、賠償の支拂、軍人遺家族の援護、それに自衛力、軍備の増強も到底増税をしなければやれないであろうと案じられるくらいでございます。緑風会の大多数はこういう考えで、実はこの電源開発促進法案に対して養成しておりません。併し私の所属しております緑風会の多くのかたは、原案を正しいものに修正し、ともかく、今、日本の事情は電力の急速なる開発を急ぐのであるから、この法案さえよく直して、そうして電源開発の途を開くべしとされましたので、私は修正案を提出したわけでございます。さて、私の修正案は、先ほど委員長から詳しく述べられました。私はその中で、只見川そのほか河川等にかかる大規模な又は実施の困難な電源開発、二、国土の総合的な開発、利用及び保全に関し特に考慮を要する北上川その他の河川等にかかる電源開発、三、電力の地域的な需給を調整する等のため特に必要な火力又は球磨川その他の河川等にかかる電源開発、この三つを第十二條から削らなければならんということは、これは私一人の意見ではなくて、緑風会の多くの心あるかたの熱心なる要求だつたのでございます。
 私が修正案を出すにつきまして、私のほかに二十二名の賛成者が御署名いたしております。その一人は署名に間に合いませんでしたけれども、今朝も私のために励まして下さつておりますのです。二十二名の賛成者を得て、緑風会の中から、この川の名は絶対に削らなければならない。(拍手)本案の中に電源開発調整審議会を置くといたしまして、第七條に電源開発調整審議会を置くと書いてありまして、審議会は、電源開発の基本計画に関し、又それを行うものの決定に関し、規模、方式等に関し調査審議をすると定めているのでございます。然るに、まだ会社もできない、審議会もできないうちに、只見川、北上川、球磨川の三つだけ固有名詞がこの法文の中に明記されているというのは、法律として全く体をなさないのだということを、現に二人の法律專門家も私に申されまして、国会始まつて以来、初めてこんなみつともない法律を作つた、これは後世までも本国会の恥かしい記録として残るであろうと、からかわれたのでございます。又、私は思い出す。野田大臣は、今後予算を使う議員立法はやめましよう、こういう指示を與えられているので、これは問題になつたようでございましたけれども、(「大問題だ」と呼ぶ者あり)私は、こう言われた野田さんが、電源開発促進法案の推進者の一人であつたということは解しかねるものでございます。(「そうです」「その通り」と呼ぶ者あり)又この特殊会社法案こそ最も莫大な予算を伴うところの議員提出立法である。(「その通り」と呼ぶ者あり)これは官僚出身のナンバワーン野田さんともあろうものがこういうことを推進なさる、これは何としても解しかねるところでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)今日大いに電源を開発して豊かにして、安い電気を供給するということは、国民的な魅力でございます。国民的な魅力、国民的な願いであるところのこの電力開発に、この魅力に便乗して何か当りをとろうとする者が万が一にもありました場合にも、これを阻止しなければならないのは先ず野田大臣でなければならんと、私はこう言いたいところでございます。私といえども只見川、北上川の重要性をよく知つております。殊に産業の中心地であるところの九州におきます球磨川の重要性は最も明瞭なところであつたと理解しておるのでございます。ですから、この球磨川は原案の資料によりますと第二期工事に入つているのです。これは間違つております。恐らく審議会ができますならば、これを第一番に取上げて、そして早速、球磨川或いは北上川、只見川はもう着手されるものと、又そうなければならんと私は信ずるだけに、どうしてこういうあるべからざる文句を、固有名詞をわざわざ法律の中に入れて、そして利権法案などと言われる材料を出しているということは全く困つたことだと思うから、反対したのでございます。(「利権法案ではない」「利権法案だ」と呼ぶ者あり)それにつきまして、私はこの附帶決議によりまして、これは單に例示的なものに過ぎないのだと、こういうことを現わしておいでになる。併しこうして法文の中に明記することによつて心理的な効果を狙つているということは、誠にあと味の悪い、又恥かしいこの法律案になつた、案文になつたと私は考えて、もう絶対に反対せざるを得ないのでございます。若しも将来、これから議員立法はだんだん多くなると思うのでございますが、議員立法に利権を伴う固有名詞があつちにもこつちにも書き入れられるということになりましたならば、これが前例になつてそういうことが続いて起るということになりましたら、一体どうしたらいいでしよう。私は国会の責任問題だというべきだと思います。
 なお、私は、緑風会のこの法案を杉山さんが修正案の中に盛込みなすつて、杉山さんの初めの修正案にはこの川の名前はなかつたのでございます。これは緑風会の私を除いた二人の委員が自由党とお打合せをなさいましたときに、自由党からこれは持つてお帰りになつたお土産の三項目であつたのでございますので、(拍手)私は驚きましただけでなしに、緑風会の議員総会も揉みに揉んだのでございます。現に高瀬政調会長も川の名前を入れることは絶対反対であることを議員総会でおつしやつていらつしやいましたので、私も勇気付けられまして、この問題は何としても国会審議の名誉にかけましても外さなければならないというようにいよいよ強い決心を持つ、たわけでございます。それで、それが総会にかけられましてから、今度は、奧、お前も一緒に行つて三人の委員で自由党と折衝して来いということになりまして、この日は夜中の二時まで自由党の委員のかたと私ども三名は、審議、協議を重ねたのでございましたけれども、私といたしましては、緑風会の議員総会における皆さんの多数の熱心なる御支持、絶対に川の名前を入れることは正しくないという主張を背負うて出かけて来ましたからには讓ることができませんと私が主張いたしまして、結局明らかになりましたことは、これは民主クラブと自由党が話合いの結果できた言葉で、(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)だから、これはどうしても削ることができない。(「何と取引したのだ」と呼ぶ者あり)私はこれはがつかりしたのでございます。(「破防法と取替えたのだ」と呼ぶ者あり)この種の法案というものは、とかく政治的な取引をやるのじやないかと人から疑惑の目を以て迎えられるものなんです。よほど愼重にいたしましても、なおそういうことが邪推されやすいわけでございます。にもかかわらず、私どもはこの川の名前をそういう政治的な談合の結果入れられたということにつきましては、いよいよ反対せざるを得ないのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり、拍手)併し私はそのとき申しました。民主クラブの十六名と緑風会の五十七名とを両天秤にかけてこらんなさい。(「議長注意」「くさいものに蓋をするのか」と呼ぶ者あり)どつちが……(「議長注意」と呼ぶ者あり)併しこれは、これは事実でございます。(「耳が痛いか」と呼ぶ者あり)結局こういう事情で川の名前を削ることができなかつた。(「議長注意」と呼ぶ者あり)私はこの……(「常識がないよ」と呼ぶ者あり)私は自分も緑風会から命ぜられまして、自由党の委員の方々と協議をいたしました責任者の一人といたしまして、(「くさいものに蓋か」と呼ぶ者あり)私は、自由党が何の権利があつて、(「議長注意」と呼ぶ者あり)天下の公党たる緑風会に指図がましく入れるべからざる文句を入れさせるのであるか。(「議長注意」「ばあさんしつかり」と呼ぶ者あり)緑風会の多数の方々の正しい修正の期待を何の権利があつて押しつぶすのであるか。(「その通り」「頑張れ」と呼ぶ者あり)私はこういうことを緑風会の名誉と権威のために鬪かわなければならんと感じて来たのであります。(拍手)
 次に、先ほど委員長が御報告になりましたように、電源開発株式会社と既設の民間会社、又これから電源を開発しようとしてすでに調査をし準備を進めております(「修正案の説明じやないよ」と呼ぶ者あり)民間電気事業者と、これも両方立てなければならない、両方。なぜならば、電源開発株式会社が如何に莫大なる政府の金を持ちましようとも、これから法律を作つて、人を集めて、審議会を作つて、基本計画をきめて着手するのですから、明日からでも電気が出るものではない。二、三年はかかるのでございます。(「懲罰だよ」と呼ぶ者あり)この仕事も私も認めます。電源開発株式会社も私は認めております。同時に、両方、既設の電気事業者も同時にこれを助けて、資金の手当ができやすいように一応の枠を拡げておく。今すぐ金をやるというのではありません。日本にそんな金はありません。併し一応の金の枠を拡げておくということは、答弁ではしばしばそれを明言せられましたけれども、法律的な措置がないものですから、私が修正暗におきましてこれを取上げたのでございまして、緑風会の議員総会におきましても、自由なる民間の事業意欲によつて、すでに水利権を持つているものを、国策の名で若しも取上げられるようなことがあるならば、又、金さえあればできるのだ、すでに準備も調査も済んでいるものが、金さえあればできるのだとこう言つているのを、お前は金がないじやないか、できないじやないかということを言つて取上げてしまうということは、これはむしろ一つの憲法違反にでもなるくらいじやないかというくらいの、こういう御意見で、そうして緑風会では非常に熱心にこれを支持して下すつたかたが多かつたから、私の修正案に入つたわけでございまして、私は、この法律案を私個人の考えでこしらえたものではありません。本来ならばこれは緑風会の一致案としてまとまるべき性質のものだつたのです。それがために残念でたまらないのでございます。(拍手)私は、緑風会の杉山さんの案として出されました修正案、これはむしろ自由党の修正案だとも言えるのであります。(拍手)或いは自由党に押し潰された(「明らかになつたぞ」と呼ぶ者あり)杉山案だと、こう言えるのであります。これが私は一番残念なところであります。私は緑風会の議員でございます。私はこの意味から(「議長注意して下さい」「言論の自由だ」と呼ぶ者あり)電源開発促進法案に対しまして、修正の又修正の案を出したわけでございますけれども、私はこういう国家の大きな金を使う会社案、又大きく国民がみんな困つておる電力を開発するというこの法案を、政党と政党の間のいざこざにこれを利用されることはかなわぬと思います。(「そうです」と呼ぶ者あり、拍手)又、私は、この法案に対して政治的な取引が行われるというふうなことは、絶対にあつてはならないと思う。私個人の問題ではなしに、私は緑風会が多数を以て私に期待して下すつて、この修正案の作成を期待して下すつた皆様方の共鳴を私は力にして今日ここに立つておるわけのものでございます。十分に皆様におかれましては検討して下さいまして、正しいことを主張することが如何に勇気の要ることであるかということを、(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)私も今つくづくここに立つて思つておるのでございます。私は、緑風会の皆さんが私に賛成して下すつたかたも今日姿をお見せにならないかたが幾人もございます。私は正しいことを主張することが如何に勇気が要るものであるかということを痛感しております。どうぞ皆さん方の御判断によりまして、奧修正案が多数の御賛成を得られますようにお願い申上げる次第でございます。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。結城安次君。
   〔「このくらい破防法で緑風会がやればいいのだがな」と呼ぶ者あり〕
   〔結城安次君登壇、拍手〕
○結城安次君 本日の新聞のことでは、只今奧さんから詳しく御報告がありましたので、私から蛇足は加えませんが、併し、(「やりなさい」と呼ぶ者あり)余りにも荒唐無稽ということで、私どもは本日直ちに毎日新聞社に参りまして、取消の申込をいたしておきました。殊にあの中で、一例を申上げまするならば、細川旅館云々、私は一遍も行つたこともございませんし、又存じません。それから、六月十日の「桂」ですか、私は小林、奧両議員と参議院外で会つたことは一遍もございません。殊に十日の日には、同僚高田議員、高木議員、自由党では植竹議員、社会党では小泉議員等と一緒に航空議員連盟として帝国ホテルで四時半から九時過ぎまであすこに滞在いたしておりました。(笑声、「アリバイが立つた」と呼ぶ者あり)かくのごとく荒唐無稽なことが本日上程の日に当つて出されましたということは、誠に私は、本院のため、又新聞界のために残念とするところです。これだけを簡単に申上げておきます。(「一身上の弁明だ」「このところ一身上の弁明が大はやりだ」と呼ぶ者あり)
 さて、私は本案及び杉山修正案には反対、(拍手)奧議員提出の修正案に賛成いたすものであります。反対の理由は極めて簡単で、この法案によつては電源の開発も促進することはできないばかりでなく、却つて本法案の実施によつて促進が阻害されるということは明瞭なのであります。昨年秋以来、電力の不足のため、再興の意気に燃えておつた日本の産業界の與えました影響は非常に大きく、操業短縮のために、賃金の不抗い、又労働者の解雇、労働者の大量解雇等、誠に憂慮すべき状態が続出いたしまして、電源開発の要望は国民の大きな声となりまして、政府も又これに対応して、財政面、資金面におきまして助成策を講じておつたことは御承知の通りでございまするが、この際、電源開発促進法案というのが提出されたのでありまするから、私は誠に結構なことと賛成いたしたいのであります。併し、内容を見、又提案者並びに安本の説明を聞きますと、その内容の杜撰と、調査資料の不正確、説明の不統一等は、言語道断と申すのほかはありません。私は、本法案の実施によりまして、若し電源の開発が促進せられますならば、法案の内容の是非等は論外といたしまして、賛成いたしたいのでございまするが、法案第一章、第二章はとにかくとして、第三章の電源開発の重大任務を特殊会社に負わせる、即ち昨年解消して目下清算中の自発と同様の機能を持つようなものを復活して、特殊会社という名称によりまして、その重大な任務を実行せしめるという提案者のお考えは、全く私にはわからんのであります。皆さんも御承知の通り、日発は、昭和十二年、電力管理令によりまして、電力を豊富に且つ低廉に供給し、日本産業の大飛躍を目途として、一部官僚と軍部青年の合作によつて、国民のごうごうたる反対を押切つて成立いたしましたことは、御承知の通りでございましよう。併しながら、日発存続十四カ年、この間に作りました電源は僅かに六十万KW、年に四万キロ強であります。当時日本においては大体二三十万キロなければならないというときに、僅かに四万キロ強の増加しかしなかつたということが、今日の非常な不足の原因となつております。過去と申しましてもそう遠くはない日発失敗の事実を無視して、ここに特殊会社によつて開発させようということは、全く乱暴な計画と申すほかはないと存ずるのであります。私は、本法案のあいまいなもの、又不備な点、法文と説明との矛盾等、批判すべき点は多々ございますが、これらは不問といたしましても、本案の成立が、電源の開発を阻止、阻害するという三つの理由を挙げまして、御説明いたしたいと存じます。
 その第一点は、本法案の実施によつては電源開発が促進するどころではなく、却つて遅延するということであります。即ち、提案者の説明によりますと、今回計画した特殊会社は、民間会社でできないような大規模な地点、若しくは地方事情が非常に複雑な地点を開発するので、民間の電源開発と並行すると崩しております。併し現在安本から提出されました参考書類というものを見ますると、第一期工事として昭和三十年頃までに七カ地点、八十四万四千キロ、第二期工事といたしまして昭和三十五年頃までに八カ地点、百八十三万キロ、合計二百六十五万KWを予定地点として列記しております。が、こからはいずれも一現在の会社が調査設計しておりますもので、そのうちの数カ地点はすでに現在の会社が実行に移さんとして手続中のものであります、即ち、法案に難工事で民間でできないものだといように申しておりますにかかわらず、実際は民間で実行しようとするものを奪つてやるという結果になるのであります。従つて民間でいたしまするならば即時に着手のできることが、新らしい特殊会社ということでやるために、結果は現在の調査と同じようなことになりましようが、少くとも、新会社、特殊会社というものができた以上は、そこの幹部、そこの陣営、技術陣というものは、一応の調査は必ずやするでありましよう。これも又当然必要なことであります。そうしまするとうそれだけの月日、先ず早くて半年、遅れれば一カ年くらいは当然に遅れるということが明瞭な事実であります。若しも本法案に示すごとく、又最初に説明者の言うごとく、大規模又は困難な所だけをやるというのならば、今からそれらの調査研究では、二、三年は到底かかれるものじやない。而も会社を今急に創立してこれに国家資金を投入すれば、その資金は一体誰が使うのか。その資金は未利用になる。今金があればどうにかなるという会社が多いのに、この特殊会社なるものを作つてそこに金を遊ばしておく。電源開発にちつとも役立たないという結果となりましてこの法案は電源開発の急に応えるという目的でできましたものが、かくのごとき結果を招来するということは、皆さんもよくおわかりのことと存じます。
 又建設に従事する技術陣と申しますが、これも五万、十万KWという大きなものになりますれば、しつかりした人又は厖大なる組織を必要とすることは当然であります。然るに技術陣に関して説明者の申しますことは、朝鮮、満州の引揚者、日発の失業者、これらが数千名ある、成るほどこれはございましよう。併し鮮満から引揚げた者又は日発の解職者といえども、相当腕のある者は今頃遊んでおる人はありません。今残つておる人というのは、恐らく停年による退職者とか若しくは余り働けない人ということになりまするので、若しこれらを集めまするならば、成るほど頭数だけは集まりましよう。併しこれが本当の烏合の衆でありまして失業救済による道路事業ならまだとにかくとして若しも決壊でもするようなことがあつたら殆んど計り知らざる損害を與える大きなダムの建設事業に従事するということは到底不適当でありまして、電源の開発促進ということは思いも及ばざるところであります。安本長官や説明者は、設計事務所を使えばいい、先ほど委員長の説明にもコンサルテイング・エンジニア云々ということがありました。これは発電所工事を知らない人の言うことで、発電所建設工事は設計事務と現場事務と大きく二つに分れますので、設計事務は成るほど設計事務所に頼んでもよいでしよう。併し現場事務は設計事務所やアメリカの技術団に頼むわけに参りません。それにもかかわらず、安本の計画によりますと、全国十二カ地点を開発するのに、本社六十名、一地点五十名、合計六百六十名でやるというようなことは、全くこの発電所建設ということに何ら御経験のないかたの設計で、計画の杜撰な立派な証拠であります。
 次に反対の第二点といたしましては、提案者は電力料金を安くするのが本法案の目的だと申しまして、その理由といたしまして、投入する国家資金の配当の制限若しくは無配当、又貸付金の利子軽減及び租税の減免処置と申しておりますが、特殊会社にこれらの特典を與えまするならば、それだけ安くなるのは当り前で、これは誰でもできる。若しこれだけの特典を民間の現存会社に與えまするならば、私はもつとより以上安くなるだろうと推察されるのであります。殊に低金利によつて外資を導入するのだという最初の御説明は、最後におきましては、外資の導入は困難ではないが当分見込がないかも知らん、当分見込ないということは、当分低利の金は使えないということ、ここ何年間は外資導入による低金利の金が使えないということになりますれば、電力代を安くするというようなことは思いも及ばざるところだと存じます。
 又提案者の説明、参考資料によりますと、電力会社は一KWH二円六十五銭、特殊会社は一KWH二円四十五銭と申しておりますが、誠にその計算は杜撰極まるものであります。電気料金のコスト計算の場合に発電費用及び営業費の取り方は種々ございますから、とやこう申しませんが、コストの最も大きな部分を占めますものば金利であります。その建設費、金利を背負う建設費が一体どうでありましよう。一例を申上げますると、安本から提出されました特殊会社開発計画地点表というものがございまするが、出力並びに建設費が頗るあいまいで、例えば阿賀野川の本名発電所は五万七千キロ、二十五億七千余万円で、一KWH四万五千円でできるというので、当時私は安過ぎはせんかと言つたところが、いや、これは前後にある発電所の関係上これでできるのだと、はつきり私に答弁しております。然るに、最近同一地点に対しまして、東京電力及び東北電力から発電所関係の実施の申請が出されたと聞いております。その調査によりますると、東京電力のやつが出力五万七千キロ、建設費四十二億円余、東北電力のやつが出力が七千キロ減りまして五万キロ、建設費三十一億円余、キロワツトの單価といたしましていずれも四割乃至六割の高値となつております。我々に提示した二円四十五銭でできるというような安価で特殊会社がやれるようなものでないということは御承知願つたことと存じます。かような調査資料によつて安く売るというようなことは、誠に実際か知らない、これが本当の机上の空論ということだろうと存ずるのであります。
 それから第三に、私は反対理由として、本決案は、電力再編成によりまして折角緒につきつつある電力界を混乱に陷れ、更に電力行政を複雑にいたしまして、電源開発に重大な支障を及ぼすものと断ぜざるを得ないのであります。先ず問題となりまするものは、提案者の説明によりますると、特殊会社は建設工事完了後は民間に譲り渡し、特殊会社としては電力販売を継続的には業としないという御説明でありましたが、今度の修正案を拝見いたしますると、火力というものを加えております。更に又会社の存続期間は期限がないのだから何年やつてもいいんだというようなことになつておりまするが、これでは自発とどこが違うのか。私は日発そのものには賛成しなかつたのであります。併し、発電は日発に、配電は配電会社にという、この発電配電の主義は画然と通つております。然るに、今度の特殊会社ができますというと、特殊会社、それから民間の会社、又公営事業者及び自家用、各種の企業形態に分かれまして、その結果は、発電地点において、又開発資金において、及び発生電力を処分する手段方法等において、各社間に想像のできないような困難の事情のできることは殆んど疑いのないところであります。殊に資金関係におきましては、不足がちな資金をほうぼうの会社が分け取りします結果、国家資金投入といういわば非常な強い裏付けを持つております特殊会社が、民間並びに公営の追随し得ざる強味を持つことになりまして、提案者がたびたびこれは日発の再来ではないと申すにかかわらず、日発の再来となることは明瞭な事実であります。又民間でやれないようなコスト高の所をするのだ、非帶に金はかかるがこれはそういう所をやるのだという御説明でありまするが、我が国の目下の経済状態は、そういう算盤に合わないような所をやるだけの力があるでしようか。又そういう算盤に合わないような高い所をやつてできた高い電力を使用する、これを使用し得る仕事があるでしようか。この点について私は全くそういうことはできないことだというよりほかにないと思います。若し国土総合開発の必要土、コスト高でもやるのだと言うのならば、総合開発を目的とした電力以外の便益があるのでありますから、それらについては国家資金を廻せばいいので、特殊会社でなければならんという理窟はないと存じます。
 以上が私の本法案及び杉山修正案に反対する理由であります。いろいろ申上げたいのでありまするが、まだ同僚議員からたくさん細かい反対のお説もあると存じます。私は大綱にとどめておきます。以上が反対論でありまするが、奥議員の修正案については、杉山案に反対したと同様に私は批判すべき点は私としては持つております。併し電源開発のため民間にお歩いても最も苦しんでおりまするのは資金であります。極端に申しまするならば、資金が十分であるならば、開発できない所はないと申しても或いは差支えないのではないかと存じますが、この資金の点におきまして、奥議員の修正案は、すべての発電所、発電業者に、同様に公平に政府は資金を世話しなければいかん。或いは民間会社の社債発行等に関し、従来よりもより強力なる法規の裏付けをする、又電源開発の順序がすこぶる明確になるというようなことがございますので、たとえ特殊会社と並行して進んでおりましても、民間会社も相当に開発できるだろうとい希望を持ちますために、これら促進法、とにかく名前が促進法なのでありまするから、私は是非成立いたさせたいというのが私の希望なので、不満でありまするが、これだけでも通るならば奥議員の修正案には賛成いたしたということが私の賛成した理由であります。
 以上を以て私の討論を終ります。
   〔カニエ邦彦君発言の許可を求む〕
○議長(佐藤尚武君) カニエ君、何ですか。
○カニエ邦彦君 只今議員の数を勘定いたしますると、定足数に達しておりません。そこで、議長におかれましては、定足数を再度お勘定になりまして定足数が若しか欠けているならば、(「勘定の必要なし」と呼ぶ者あり)本日はこれにて散会されんことの動議を提出いたします。(「賛成」「定足数ある」と呼ぶ者あり)定足数ありません。
○議長(佐藤尚武君) 定足数は十分ある模様であります。(「見ろ」「その通り」「進行」と呼ぶ者あり、拍手)定足数が満されておりますのでこのまま討論を続行いたします。(拍手)古池信三君。
   〔古池信三君登壇、拍手〕
○議長(佐藤尚武君) 議席にお着き下さい。カニエ君議席にお着き下さい。
○古池信三君 私は自由党を代表いたしまして、只今議題となつておりまする電源開発促進法案について、先ほど委員長から報告のありましたごとく、委員会決定通りの修正議決をすることに賛成の意を表し、只今奥議員より御提案になりました修正案に対しましては遺憾ながら反対の意を表明せんとするものであります。
 現在我々国民がひとしく熱望しておりまするのは、日本経済の速かなる自立でございます。これが達成のためには産業の発展と貿易の振興並びに民生の安定向上が図られねばなりませんが、現在これを阻んでおりまする最も大きな原因の一つは電力不足であります。終戰以来しばしば電力不足がございまして、これが如何に我が国の産業の発展或いは民生の安定に重大なる影響を與えたかということは、我々が親しく体験したところであります。電力の確保こそは、実に我が自立経済達成のために絶対な必要條件であると申しても過言ではないのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)戰後日本に残された資源といたしまして先ず第一に挙げられるものは水力電源であります。現在までの調査によつて我が国の包蔵水力を一応二千万KWと想定いたしましても、なお、その三分の二は未開発のままに残されているのであります。今日の急務は、先ずこの未開発の有力資源を急速に開発いたしまして、以て国の再建に資することであります。本法案は、この要請に応え、速かに電源を開発して、国土の総合的開発を期すると同時に、豊富低廉なる電力を供給して、産業の発展に寄與すると共に、国民生活の向上を図らんとするものであります。私はこの趣旨において本法案に賛成の意を表するものでありまして、以下その理由を順次申述べたいと存じます。
 先ず第一には、本法案によりまして電源の開発が促進せられ、将来豊富な電力の供給が期待されるということであります。本法案の意図するところは、五年後において需用端電力量四百八十億KWHを確保し、戰前即ち昭和七年乃至十一年に比べまして生産活動を約二倍にし、国民生活を現在に比し一割程度向上せしめようとするものでありまして、このためには今後五年間に約四百万KWHの新規電源開発を必要とするのであります。然るに、既存の電力会社、自家用発電或いは公営事業等に対しまして資金その他の面において極力国が援助を行いましても、なお五年間に開発し得る限度は約三百二十万キロと想定せられておるのであります。故に、この開発不足の部分を補充いたすために、本法案によつて新たに電源開発株式会社を設け、比較的一般力会社等の開発しにくい地点の開発を担当せしめんとするものであります。ここに一言申述べておきたいことは、今回新たに設立される特殊会社は、全国の有望な地点を殆んど独占的に開発するのではないかという批判についてであります。先ほど結城議員からの御討論の中にもさような節があつたようでございます。この点につきましては修正案の第十三條におきまして詳細なる規定が設けられておりまして先ずこの会社をして開発すべき地点は、大規模な地点か又は実施の困難な地点、或いは国土の総合的開発上考慮を要する地点、更に電力の地域的需給を調整するために必要なる地点、このいずれかに限定をされておるのであります。而も、この限定されておるばかりではなく、これの中の地点といえども、他のものが、即ち電力会社なりその他特殊会社以外のものが具体的計画を具して申出て、これを電源開発調整審議会において適当であり且つ実施可能であると認めました場合には、その申請をした人が民間の電力会社であろうと、或いは公営事業であろうと、或いは又自家用発電の場合でありましようと、当然にその地点の開発はこの特殊会社の予定地点からは除外せられるのであります。従つてこの特殊会社による電源の開発は、決して既存の電力会社その他のまじめな開発を圧迫するものではないのであります。むしろこれらと相並行して、その足らざるを補うべき機能を発揮するものと信ずるのであります。即ち、これによつて電力の供給は全体的により豊富になり、以て産業の発展、民生の向上に資すること大なるものでありと私は考えるのであります。(拍手、「軍需産業に使うだけじやないか」と呼ぶ者あり)
 次に、本法律案賛成の第二の理由といたしましては、これによつて比較的低廉な電力の供給が期待されるという点であります。この点につきましても、只今結城議員からの御発言がございましたが、由来、電気事業は御承知のように極めて長期に亘つて巨額の資金を寝かせるのであります。即ち発電のコストの中で資本費の占める割合が極めて少くないのでありまして、本法案におきましては、特殊会社に対してはその株式の二分の一以上を政府が占めることになつておりますが、この政府の所有する株につきましては建設利息の配当はあらかじめ免除しておるのであります。更に将来の配当につきましても、政府の持株でありますから、低率にとどめることができるのであります。更に又固定資産税であるとか登録税等についても相当の減免措置が講ぜられておるのであります。又そのほか、発電をやる以外に、或いは洪水の防止であるとか或いは又灌漑用水等の用途を併有するようなダムを建設する場合には、公共事業との間に、その間の費用の共同負担の方法もとられることになつておるのであります。かようにいたしまして、特殊会社は、建設費におきましても或いは又運転費におきましても、他の場合に比して必ず低廉な電力を供給し得るような建前になつておるのであります。而もこの低廉な電力はそれぞれ電気事業者に対して卸売せられ、或いは又設備自体が譲渡又は貸付せられるのでありますから、結局一般の需用者にとりましては比較的低廉な電力を使用することができるのであります。先ほどいろいろ細かい数字を結城議員からお出しになりましたが、これはその算出の根拠のとり方次第によつていろいろ異なるのでありまして、私は煩を避けてここにその数字に亘ることは省略いたしたいと考えます。
 第三に、本法案によつて電源の開発が一層速かに実現されるという点であります。先ほど結城議員は、本法案によつてむしろ開発は遅れるであろうということを言われたのでありまするが、併し私はむしろ逆に速かに実現されると考えるのであります。何となれば、現在各地の電力会社その他の事業者によつて計画せられ、すでに工事に着手されておりまするものは、全国で水力五十六カ地点、その出力合計百五万KW、火力二十九カ所、その出力合計四十七万KWに及んでおるのであります。而して各電力会社を初めいずれも極めて熱心に工事の促進に努力せられておるのでありまして、その苦心と努力に対しましては大いに敬意を表するものでありますけれども、而も今後数年間において冒頭述べましたような電力量を確保するためには、こればかりでは到底十分とは申し得ないのであります。この際は、あらゆる可能なる方法を盡し、電源開発を促進する趣旨の下に、今回特殊会社を設立して国の援助を得て、他の事業者と並行してその足らざるを補わなければならない。或いは又国土の総合的開発を実施することは最も時宜に適した措置と言わざるを得ないのであります。かように、あらゆる機関を動員し、あらゆる手段を講じて本問題の解決に努力を盡すならば、所期の目的は必ずや迅速に実現を見るであろうことを確信して疑わないのであります。
 次に第四といたしましては、本法案によつて電力需給の地域的アンバランスを是正されるということであります。電源開発株式会社が開発いたしまする地点の選定につきましては、地域的の電力需給状況が勘案されるということは、法文の示すところでありまして従つて、民間の電力会社にとり着手困難なる地点といえども、地域的需給の観点から速かに開発される可能性が増大して参るのであります。而してかような地点が開発されました暁には、その発生電力を直接卸売をする場合はもとより、その設備を貸付又は譲渡する場合におきましても必らず地方的需給の不均衡是正に大いに役立つこと論ずるまでもないのであります。この特殊会社が国家の財政的援助によつて電源の開発を行う以上は、地方的に不利な点を是正し、全国民に電源開発の効果を均霑せしむべきことは当然のことでありまして、現下最も適当な措置として賛意を表するものであります。
 次に電源の開先に当りまして現在長も困難なる問題の第一は所要資金の問題であります。極めて多額の且つ長期に亘る資金の調達に関しましては、各事業者の特に苦心をいたし、努力を拂つているところであります。民間資本の協力は申すまでもなく、この際、政府におきましても、資金の面においてあらゆる便宜を図り、援助を與えて、これが促進を図るべきことは、国民のひとしく要望するところであります。修正案第五條におきましては、「政府は、電源開発及び送電変電施設の整備に必要な資金を確保し、且つ、電源開発等を行う者に対し、その資金の公正な配分が行われるように努めなければならない。」、かように規定いたしまして、更に「資金の調達及び配分」は第九條によつて、審議会の調査審議を経ることとし、資金の面におきましても飽くまで民間会社等を圧迫することなく、公正妥当なる運用を期しておるのでありまして、資金難打開のために政府の一段の努力を義務付けておる点は最も時宜に適したる方策と信じまして、賛意を表する次第であります。
 更に、電源開発、特に水力電源の開発に当りまして常に問題となつておりまする困難なる問題は、水並びに土地の使用に伴う諸種の権利の調整、この問題と損害補償の問題であります。電源開先に関連する具体的問題は極めて多岐に亘つておりまして、例えば灌漑用水、工業用水、飲料水のごとく、直接水の使用に関するもののほか、或いは流木、舟運、漁業等の権益の調整、或いは水底に没する土地、家屋等に対する補償、或いは天然記念物の保存の問題、更に洪水防止に関する対策等、およそ治山、治水、利水の各方面に跨がつて解決を要する問題は実に多いのであります。本法案におきましては、これがため、第三條、第四條及び第七條等の規定を置くと同時に、第八條以下におきましては電源開発調整審議会の規定を設け、関係各省大臣及び学識経験者を集めて、以上の諸問題の公正適切なる解決を図らんとしておるのであります。このことは、本問題の処理に対しましては従来に見ざる一つの大きな進歩前進を示すものとして、大いに賛成の意を表する次第であります。
 大体以上に私は申上げました理由によつて、いわゆる杉山案による修正案、これとこの修正部分を除いた原案に対して賛成意見といたしたわけでありまするが、次に只今奧議員から提案されましたいわゆる奧案という修正案につきまして、反対の意見を申述べたいと思うのであります。
 奧案と杉山案との間には四つの違つた点があるのであります。二の四つの点は、先ず第一に本文の第十二條でありまして、この本文の第十二條の規定は、先ほど佐々木委員長からも報告がございましたが、要するに奧案によるこの條文は法律として極めて不備なものと断ぜざるを得ないのであります。何となれば、その第二項におきまして即ち会社の目的ということに関連いたしまして、「基本計画において電源開発を行う地点につき会社が行うべきものと定める場合は、左の各号の一に該当するもののうち、会社以外の者が具体的な計画を附して電源開発を行うべきことを主務官庁に申し出たもので審議会が確認したものを除いた電源開発に係る地点に限る。」「審議会が確認した」とありますけれども、何を確認するかということがさつぱり漠然としておるのであります。かような意味合いにおいて、この條文は法律として極めて不備、不明瞭なものであると断ぜざるを得ないのであります。
 次に、その第一、第二、第三号、それぞれに河川名を付けたことはいけないと、こういう御意見のように承わりましたが、併しながら、これはそれぞれ例示としてわかり易い河川を一つずつ例に挙げたのでありまして、むしろこれによつてこの條文は、はつきりいたしたことはありましようが、このためにこの奧案のほうがよいという理由にはならないのであります。私はむしろ杉山案に同意をいたし、奧案に反対をいたすのであります。
 次の三つの点は、これはそれぞれ附則に係わるものであります。簡単に申上げますと、その第一は、附則の第十八項に租税特別措置法の改正があります。即ち土地又は建物に関する権利の取得、或いは所有権の保存の登記、或いは又社債の拂込の登記について登録税を減免する規定であります。これは従来特殊会社にはよくある規定でありますが、この登録税減免の規定を一般の商法による民間の会社に及ぼそうというのがその趣旨でございます。併しながら、この問題は従来殆んどこれは前例が一つもないのであります。従来はいずれも特殊会社、政府が特に厳重に監督をいたしておる会社に限つておつたのである。従つて、今回前例のない扱いを特にこの附則を選んでこれによつて改正するということには、私は反対せざるを得ないのであります。
 次には第二十項でありまして、要するに社債の限度外発行の特例を一般民間会社たる電力会社に認めようというのであります。これは数字を申せばすぐにおわかりのことと思いますが、現在電力会社が発行しておりまする社債は百七十億であります。然るに現在の商法の一般規定によりましても社債の発行限度はまだ一千九百億の余力があるのであります。一千九百億の余力があるのでありますから、現在のままでも十分にまだその目的は達成し得るのであります。これをこの修正案のように五倍といたしますれば一兆何百億という数字になるのであります。今直ちに一兆何百億という大きな数字にまでこの社債の発行限度を拡張する必要ありや否や、これは皆様の御判断に待ちたいと思うのであります。私はあえてかような修正の必要を認めないのでありますから、これに反対をいたします。
 第三の附則は即ち第二十一項、資金運用部資金によつて一般会社の社債を引受けよう、こういう意見でありますが、これは御承知のように、資金運用部の資金というものは、従来も、国債、地方債その他政府機関或いは又政府が出資又は保証をしているような特殊な法人に限られておるのでありまして、大正十四年以来預金部預金法が制定されて以来、一般の会社に貸出したり、或いは社債の引受をしたという前例は全然ないのであります。かような前例のないような重大なる事項を單にこの法律の附則によつて賄おうということは、実に私は無理があると思う。従つて私はこの附則の修正に対しては反対せざるを得ない。
 以上四つの点につきまして私はいずれも奧議員修正案に対しましては反対をいたすものであります。
 ただ、ここで申上げておきたいことは、この最後の附則の三つの点でありますが、これは社債の限度外発行のことで、今申上げましたように数字から言いましても今直ちにかような修正を行う必要のないことはおわかりであろうと思います。他の二つの点、即ち登録税減免の規定と、それから資金運用部資金によつて電力会社の社債を引受けるかどうかという問題は、これは前例はありませんけれども、併し、私が申したいのは、前例がないからすべていけないという意見はとらないのである。前例のない問題でありましても必要且つ妥当なものであれば、これは大いに改正してよろしいと思うのであります。併しながらこの改正の方法が、今回は急いでこの法案の附則に規定してこれによつて修正の目的を遂げようというのは、私は正しい途ではないと思うのであります。これは要するに、或いは独立の法律なり、或いは又それぞれの資金運用部資金法文は租税特別措置法等の改正法で、別途に愼重に調査審議の上、改正案を提出することが最も妥当である。かように考えておるのであります。従いまして、この奧議員提案に対しまして御賛成のかたといえども、他の点につきましては杉山案と殆んど同様なのでありまするから、杉山案の修正に御養成下さつて決して差支えはないと私は固く信ずるのであります。その他いろいろ奧議員のお話がありましたが、時間の関係もありまするので、これに対する駁論は省略いたします。
 要するに、私は以上數々述べました理由によりまして、今日我が日本の国民の間に澎湃として起つておりまする電源開発促進のこの気運のうちに、皆さんの御賛同を得ましてこの法案が成立いたしまするならば、必ずこれによつて電源の開発は促進せられ、国民多数の要望に応え得るものであるということを固く信じまして、委員会決定通り修正議決に賛成をいたし、奧案に反対いたすものであります。
 これを以て私の討論といたします。
   〔三輪貞治君発言の許可を求む〕
○議長(佐藤尚武君) 三輪貞治君、何ですか。
○三輪貞治君 参議院規則第八十四條により、議長において出席議員の数の計算をなされんことの要求をいたします。
○議長(佐藤尚武君) 三輪貞治君から出席議員の数を計算することを要求されましたから、これより氏名点呼を行いますから、指名に応じてお答えを願います。議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
○議長(佐藤尚武君) 氏名点呼に応じて返事をして頂きます。手を挙げるばかりでなくて、返事をして頂きます。
   〔参事氏名を点呼〕
○議長(佐藤尚武君) 点呼の結果を御報告いたします。
 議場に現在する議員は、議長を除いて九十四名でございます。(拍手)
 即ち定足数がございますから、議事を継続いたします。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
○議長(佐藤尚武君) 栗山良夫君。
   〔「汚ないぞ」「恥を知れ」「懲罰だぞ」「それが参議院議員か」「妨害じやないか」「合法的にやろうというのだ」「勘定できないのか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
○議長(佐藤尚武君) 静粛にお願いします。
   〔栗山良夫君登壇〕
○栗山良夫君 電源開発促進法の原案及び両修正案に対しまして日本社会党第四控室を代表し、反対の意見を表明するものであります。
 申すまでもなく、我が党は、第一国会以来、電力危機の打開を図り、電力を安定させるために真剣な努力を傾けて来たものであります。石炭、電力等のエネルギー資源を確保いたしますことは、我が国産業の発展のための優先的絶対條件でありますから、電力を安定させるために一刻も早く電源の開発を急がねばならないことは全国民の常識となつているのであります。そうして、この輿論を実現に移すための施策を進めます二とが私どもの重大なる使命であります。併しながら、この真剣な国民の要望に便乗いたしまして行うところの電源開発が、特定政党の党利党略のために利用せられるとか、或いは開発された電力が特定の需要に片寄つて使用せられるとか、或いは特定地区のみに偏重して配分されたりするとか、不明朗不公平に運用せられるようなことがあつては断じてならんのであります。若しこれらの弊害を完全に除去いたしまして、真に国民の要望に応えて公明正大にこれを行うということでありまするならば、議論の分れるわけはないのであります。我が党も又率先して協力を惜しむものではございません。然るに、本法律案の審議に入りますや、混迷に混迷を重ねましたことは、只今申上げました諸点に幾多の疑惑を包蔵していたからであります。
 私は以下主なる反対点を指摘いたしまして、我が党があえて反対をいたしまするゆえんが、真の電源開発を望み、電力の公平なる配分によりまして我が国の発展に寄與いたしたい熱意の現われでありますることを、本議場を通じて広く国民諸君に訴えんとするものであります。
 私は第一に、本法律案を提案せられたる自由党の態度に反対であります。自由党は一昨年四月第八国会に、我が党の強い反対を押切つて電力事業の再編成に関する法律案を提案いたしたのであります。そうして、その提案説明の中心を次のように述べたのであります。即ち、「かくのごとく再編成によつて初めて電気事業の経営の合理化、供給力の増強、サービスの改善が招来せられ、延いては電力事業に対する外資導入再開の前提條件が成熟するものと確信するのであります。即ち、今回の再編成は、單に経済力集中排除の要請に対応するという消極的な見地のみならず、我が国の最重要の基礎産業としての電気事業の正常且つ健全なる発達を促進するという積極的な目標の下に実施するものであります。」こう述べたのであります。当時この法律案は廃棄となりましたが、その理由は、只今問題となつておりますところのいわゆる電力事業の復元に関する問題につきまして、自由党内の意見の調整が困難となつたために、自由党内においてみずから審議未了としたということは周知の事実でありまして、廃案の理由は、再編成に対する根本方針が変つたためではなかつたのであります。然るに、このたび自由党が、電力事業の九分割後一カ年を出でないのに、再編成の根本方針を変更いたしまして小規模な旧日発の復元を企図し、電源開発促進法の成立を強要するということは、天下の公党として誠に恥ずべき行為であります。重要なる基礎産業に、朝令暮改式の、不徹底な、実に不徹底な組織の変更を加えることは、我が国の電気事業の発展のために誠に遺憾であります。殊に本法律案の審議に当りまして、私どもが提案者及び政府に対しましてその理論的矛盾を追及いたしましたが、十八回に及ぶ連合委員会を通じて、終始一貫、日発の復元ではないこと、九分割による電力再編成は誤まりでなかつたこと、特殊会社は一応の開発を終れば順次設備を電力事業者へ貸付又は譲渡を行い、昭和三十五年頃から清算に入るところのいわゆる電源開発土建会社であることを力説したのであります。然るに、この特殊会社の性格及び運用の構想について痛烈な批判を受けまするや、提案者及び政府側は、本法律案の成立のために、是が非でも協力を得なければならない会派に対しましては、委員会における説明をひるがえして、電力の卸売を主とし、又、社会は永久に存続する意思であることなどを打明けて、了解に努めたいといわれているのであります。法律を提案する場合は、基本方針及び運用の構想を最も率直に且つ具体的に述べて、多数の賛成を得て成立を図るのが、私ども政治家の常識であります。破防法におきましては、政府及び自由党はその基本方針を一歩も譲歩しない強硬な態度を貫いたのでありますが、この自由党が、本法律案におきましては、例示という名目で開発地点を予定する固有河川名を挿入し、事実上審議会の審議を拘束するような杉山修正案をすら呑んだのであります。立法技術士から見ても、私どもはこのような法文の例を知らないのであります。本法案のごとく、特殊会社の設立を急ぐのあまり、本法案の性格、その運用の構想などについて、臆面もなく場当り的に口を変えて臨むということは、全く私どもの了解し得ないところであります。真の電源開発を企図するというよりは、電源開発特殊会社を何としても設立したい、そのためには、説明は如何ようじでもいたしましようという態度は、看板に偽わりのあることを示すものであります。そこに巷間伝えられるような利権法案だとする好ましくない風聞が発生するのであります。私ども立法の府にある者といたしましては、このような環境の中で生れんとする本法律案は未練なく流産させまして、真の電源開発を期待し得る、そして超党派的に支持できる案を再提案せらるべきものであると考えるのであります。このような不明朗な環境で生れるところの月足らず兒は恐らく育たないでありましよう。育たないということは、電源開発が意のごとく進まないであろうということであります。この際この法案を成立せしめなければ電源開発が不可能となるかのごとき言辞を弄する人もありますが、国会は今国会限りではございません。月足らず見を生むよりは、次の国会で月満ちた健康見を生むことのほうがより一層真の電源開発の促進となるのであります。
 私の反対の第二点は、自由党の電力政策に反対であるからであります。電源の開発は勿論電力安定の基本命題ではありまするが、私ども国民といたしましては、ただ電力が豊かになればよいというだけではなくて、その開発された電力そのものの運用がより問題であるわけであります。従つて電源の開発を考えますると共に、電力事業の運営に関する方策も又同時に併せて行わなければならんのであります。昨年五月の電力九分断後の電力政策に関する国民の批判は、一つには、自由党の鉄、石炭、電力等に対する重要産業の政策の誤まりが電力事業にはね返り、一年足らずの間に二回に亘つて電力料金の値上げを行なつたこと、二つには、各電力会社の独立採算的経営のため、電力の全国的需給が乱れ、又電力料金の地域差がますます増大しておること、三つには、大品産業へ原価を切つた割安電力を多量に割当てました結果、中小企業以下一般需用の電力料金を不当に高騰さしたことなどに向けられているのであります。この弊害を除くためには、今後開発される電力、多額の国家資金を直接又は間接投資によつて開発する電力をば高度に活用しなくてはなりません。このためには、強い世論の支持を受けておるところの我が党の政策である全国一社の電力国策会社を設立いたしまして、一には、発生電力を全国的規模において有機的に需給調整をいたします。二には、電力料金は地域差を撤廃いたしまして、全国均一とし、且つ大口産業偏重の弊を改める等の実現を図りますると共に、一方において、石炭、鉄鋼等の基幹産業を併せて国家の統制下に置きまして、エネルギー資源及び重要基礎物資の安定した供給を促し、全産業発展の基礎を作らなくてはならないのであります。然るに、自由党はこれらの抜本的重要産業政策の途行を怠るのみでなく、今次国会にはこれらの理念と全く相反するところの電力事業復元法案を提案し、ますます電力需要の混乱と、そして料金の地域差の拡大を図らんといたしておるのであります。これらの基本的重要政策の実行を怠りながら、電力不足に苦しむところの国民の漠然たる電力開発の要望に便乗いたしまして、電源開発会社の設立を図るがごときことは、すなおにこれを理解するわけには参らんのであります、(「その通り」と呼ぶ者あり)
 第三点といたしまして、法律案の内容に関して承服しがたい点、及び提案者並びに政府の説明と法文との間にある矛盾等について主なるものを指摘いたしたいのであります。先ず第一に、提案者は、電源開発所要資金は莫大な額に上るから外資に依存しなくては困難であるという前提に立ちまして、最も外資の導入の容易な企業形態として全国一社の特殊会社を選んだのであると主張をいたしたのであります。然るに、その後の海外の状況から外資導入の自信を失いまするや、この大前提を翻して、大蔵大臣は、外資の導入を希望しつつ、国内資金を以て重点投資を行なつて電源開発を推進するのであると説き、更に資金の不足を生ずる場合は融資の規正を以て臨む、年当り一千五百億円程度の重点投資は何でもないと、こう受け流したのであります。併しながら本法案の目標とする電源開発は、昭和三十一年度に鉱工業の生産水準を基準年次の二倍に引上げるための産業用電力の確保にあるのであります。然るに、若し資金の統制を行いまして一今日以上に一般産業への金詰りを強化させますれば、電力は開発されたが産業は伸びない。逆に言えば、必要以上の予備電源を持つこととなり、電源開発に遊休投資をする結果を招くこととなるのであります。従いまして、国内資金を以てする電源開発におきましては、国策的な長期継続事業といたしまして徹底した再検討を要するのであります。第二には、電源開発行政の政党支配化であります。本法律案の運営の中心は電源開発審議会でありまするが、その委員十五名中六名は現職の閣僚が予定せられておりまして、閣議にも準ずる強力なる発言が審議会を動かすであろうことは想像にかたくないのであります。又特殊会社の役員はすべて内閣が任命することとなつておりまして、ここに一貫して強い電源開発行政の政党支配が実現するわけであります。提案者の説明によりますると、電源の開発は、特殊会社、電力事業者、地方公共団体、自家用等、それぞれその分に応じて全力を挙げて開発に当るべきものであつて、資金の確保とその公平なる配分を行うとあります。六百十万KWの開発予定の中で、特殊会社の担当は全体の四割、二百四十五万KWであります。残りの三百六十五万KWは他の開発担当者が行うわけであります。然るに特殊会社以外の他の開発担当者に対する資金確保のため具体的措置は法文上何ら講ぜられていないのでありまするから、開発審議会が開発地点を振当てるに当りましては、資金難のため、勢い特殊会社以外の者をして行わせる予定の開発すら特殊会社が行うということになり、遂には電源開発会社は全国一社の強大な開発独占企業体となる慮れがあるのであります。この点に関しまして提案者の説明に最も忠実なるものは、原案及び杉山修正案でなくて、むしろ奧修正案であろうかと私は存ずるのであります。第三は、建設技術要員の問題であります。電源開発の技術要員は、御承知の通り昨年行われた日発の解体によりまして、九電力会社にそれぞれ引継がれて、電力会社ごとに再組織されまして、鋭意開発工事に従事いたしておるのであります。従つて新設の開発会社に強力なる技術要員の組織を確立いたしますることは、量質共に非常な困難が予想せられます。提案者の説明によりますると、開発会社の工事地点はおよそ十カ地点とのことでありまするから、私どもの経験では一カ所当り百五十名といたしましても千五百名を超える要員が必要と考えるのであります。然るにこれに対しまして二百四十名が予定をせられておるに過ぎません。そして不足分は当然直営を以て行うべき建設技術業務まで他の電力会社或いは工務所に請負又は委託させるというのであります。電源開発工事は、優秀なる総合技術陣の下に、計画、設計、監督に至るまで一貫して行うことが工事を完全ならしめる絶対要件でありまするが、一方、電力会社の技術要員を弱体化してはなりませんから、必然的に海外引揚技術者或いは老齢技術者に求めるのほかなく、強力なる技術陣の組織化は非常に難事であります。私は委員会におきまして、提案者等に具体的な自信のある構想を追及したのでありまするが、遂に完全なる理解に達する説明が得られなかつたのであります。第四は、電力需給の円滑化と電力料金地域差の是正の点であります。委員会における参考人の公述におきまして、九州、北海道の代表は、本法案に賛成する條件といたしまして、地域差料金の撤廃を叫ばれたのであります。併し提案者の試算によりますると、特殊会社の開発発電原価は二円四十五銭、電力会社は二円六十五銭となり、二十銭割安となる計算が一応出されております。併しこれは非常に有利な天龍川の開発を加えているからでありまして、これを除きますると、特殊会社の資本費を法律を以て特殊軽減を行いましても、なお且つ電力会社の発電原価よりも高くなるのであります。従つて、曾つて日本発送電が行なつていましたごとく、全国的に電力の卸売をすることによつて料金のプールを断行するか、或いは我が党の主張する電力事業の全国一社化を行わない限り、地域差の撤廃は困難であります。従つて、若しこの法案を鵜呑みにしますと、電源開発と地域差の撤廃とを結び付けて、電力料金の地域差がなくなり、電力の需給がうまく行くものと信じておる人々に、非常な失望を與えることになるのであります。
 最後に、私はこの法律案の委員会における討論採決が自由党によつて非民主的に行われたことを指摘せざるを得ません。四月十五日以来、我が党は愼重なる態度を以て連合委員会及び経済安定委員会の審議に参加をいたしました。そして六月二十日、経済安定委員会において質疑が打切られたのであります。然るにこの法律案は冒頭に述べましたごとく幾多の重要な問題点がありまして、これを是正するため修正案提出の動きがありまして、直ちに討論に入る困難な事情にあつたのであります。かくて六月二十六日、漸くにして、あの国会の未曾有の混乱の中に、杉山及び奧修正案が正式に且つ初めて委員会に提案せられたのであります。自由党は多数の力を頼み、動議によつて議事進行を強行することを広めかしながら、修正案の質疑を打切つて討論採決に入ることを強く要望せられたのであります。(「当然だ」と呼ぶ者あり)かくて参議院混乱のうちに委員会を進め、二十三時を過ぎた深更に及んで両修正案の質疑打切りの採決を強行し、越えて六月二十七日討論に入つたのであります。(「嘘を言うな」と呼ぶ者あり)我が党は国会の混乱事態の収拾のため全精力を傾けており、到底原案及び突然提出をせられた両修正案に対して党議をまとめる時間的余裕がないので、正式に討論延期の申入れを委員長に行なつたのであります。然るに、自由党は委員長に強要いたしまして、遂に野党の欠席のまま、自由党、緑風会の一部委員のみでこの両会派の賛成討論に入つたのであります。委員会の運営として実に異例の処置であります。翌六月二十八日、再び混乱した参議院の中で委員会は強行再開せられ、我が党及び午後の出席をあらかじめ申出で採決の延期を申出でました修正案提出者奥委員の列席を待たずして、前日に引続いて討論が行われ、次いで採決に入つたのであります。同一法律案の討論が二日に亘り、而も他の会派の欠席のまま行われ、修正案に対して賛成者がないという珍現象を生じたのであります。経済安定委員会は十名の小委員会であり、民主クラブ、改進党には委員がないのでありまするから、又国会の混乱で本会議上程の日も予定しがたい状況でありましたから、このような無理な議事の進行を図ることなく、全委員出席の下に円満なる結論が得たかつたのであります。こうして自由党の非民主的な議事運営によりまして後味の惡いものを残したことは、誠に遺憾であると申さなければなりません。特に本法律案が本日本会議に上程するごとに決定いたしまするや、毎日新聞が七日朝刊を以て、私及び原案反対者数名を挙げて、その行動を覊束し、事実無根の記事を以て誹謗したことは、参議院の空気を有利に導き、一挙に原案を可決成立せしめんとする野望でありまして、厳重に抗議をするものであります。取材記者は、私の噂に聞くところによりますると、毎日の社会部の永渕一郎という方だということでございまするが、殊に私に関する電気事業者及び電産労組との関係は全くでたらめでありまして、電産労組は、五日の中央執行委員会の記事につきましては、全然委員会の中でさような発言が行われたことはないということを今日の常任執行委員会において確認をし、毎日新聞に抗議、取消の要求をいたしたのであります。(拍手)電産の方針に従つて行動をいたしました私が、電産の抱き込みに金を使つたというがごときことは、およそナンセンスであります。本会議の採決を直前に眺めまして、反対派のみを一方的にデマを以て誹謗することは、明らかに国会審議権に対する脅迫行為であります。(拍手)若しこのような不明朗の記事で議員各位の態度が影響を受けるようなことがありますれば、(「ないないと呼ぶ者あり)国会の運営上誠に由々しき一大事であります。(「一人で力んでいるじやないか」と呼ぶ者あり)討論を終るに当りまして、私に関する全く事実無根のデマであることを明らかにいたしまして、反対討論を行うものであります、(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 永井純一郎君。
   〔永井純一郎君登壇、拍手〕
○永井純一郎君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、只今上程になつておりまする電源開発促進法案の原案並びに二つの修正案のいずれにも反対をいたします。
 而して私どもが電源開発そのものに反対するものでないことは言うまでもありません。(「反対だろう」と呼ぶ者あり)問題は、如何にして電源を開発するか、その開発の方式であります。この開発方式につきましては今日まで種々の案が考えられたようでありまして、諸君御承知のところであると思いまするが、結局のところ政府部内におきましては、今度議員提出の形で提案されました自由党案と公益事業委員会案とが相対立したまま今日に至つておると思います。而してその対立が決定的なものであつたことは、私どもが委員会における両者の論争においても明らかなところであります。即ち、端的に申上げまするならば、開発の方式は特殊会社か民間会社かということであつたと言えると考えます。而してその対立は最後には遂に修正案の形をとつて現われて参つたように思われます。即ち、一つの修正案は、原案を通すための全くの字句修正的なものでありまして、本質的には何ら原案と変りはないのでありまするし、又他の一つの修正案は公益委案に近いものであると言つて差支えない。このように考えるのであります。私どもは食糧と電力を諸経済政策の基本と考えており、この電力につきましては、発電、配電を通じて一連の計画的公益的措置が絶対に必要である、こう考えておるのでありまするので、原案並びに二つの修正案のいずれにも勿論賛成をいたさないわけであります。以下ここにその理由の主なるものを述べることといたします。
 先ず反対の第一の理由は、大規模電源開発のための機関といたしましては誠に中途半端な不徹底なる特殊会社案なるものを政府はあえてなぜ採用したかという点であります。政府は昨年多数世論の反対を押切りまして電力事業の九分断を断行いたしましたが、その理由とするところは、電気事業を民間の事業に移すことによりまして、その合理化を促進し、外資導入の途を開き、サービス面の改善を図りまして、豊富にして低廉なる電力を供給することであつたのであります。然るにその結果はどうかと申上げますると、御承知の通り重役の数が徒らに殖えたのみでありまして、合理化は殆んど行われず、外資導入は全く今日に至るも緒につかず、而も電源開発は藉口して遂に二回に亘る大幅の電気料金の値上げを行いまして、国民怨嗟の的となつておるのであります。即ち、今回政府與党が全国一社の形を持つた特殊会社の構想を持たざるを得なくなつたことは、明らかにみずからのその失敗を告白したものであると共に、(「ノーノーと呼ぶ者あり)政府が電気事業に対して無定見、無方策なることを指摘せざるを得ないのであります。(拍手)
 第二の点は、この特殊会社の性格についてであります。提案者の親切によりますると、この開発会社は暫定的なものであり、又電力の卸売をいたさないものであり、建設完了後はその発電施設を電力会社に譲渡し又は貸付けると申しております。全く不徹底な中途半端な性格のものであつて、何を目的に一体作られたのかを国民は了解に苦しむのであります。ただ単に国家投資に便宜的な組織といたしまして構想されたに過ぎないと考えられますが、ところが、この国家資金、財政資金を厖大に集めまして、この会社が使用する際には、その内部の機構陣容等を見てみまするとわかりまするごとく、設計から施工までその殆んどすべてを業者に請負わせることとなつてしまう。單なるトンネル会社となりおおせてしまい、公益性の強い電力開発事業が業者の食い物となる虞れがあり、且つその間におきまして政治的利権の介在する危険大なるものがあるということは、国民が非常に心配をいたしておるところであります。
 第三点は、政府が唯一の口実といたして来たところの外資導入の点でありますが、これとても、かくのごとく臨時的で而も多分に利権と政争の舞台となりやすい恰好をとつたこの特殊会社に外資が特に入りよいとは到底考えられないのであります。例えば導入されるといたしましても、極く僅少のものが試験的に入るに過ぎないと考えられるのであります。
 次に第四点といたしましては、申すまでもなく電源開発事業は單なる企業の対象としてとどまるものではなくして、それは実に全産業の基幹をなすと共に、農業水利、水運、漁撈、治山、治水、開拓、災害防除等に繋がる総合的国土開発の見地から重大でありまするし、これらに対する十分なる考慮が拂われなければならないと思います。即ち、農業水利事業、治山、治水事業等の調整等に関して、弥縫的な対策を以てこれに対処するようなことではなくして、総合的開発計画と密接に並行いたさせまして、その実施を図らなければならないし、又水没地等に対する換地の提供、河床低下、木材流送、遡河魚族の減少等の損失に対しては、施設による完全補償について明確な規定を設けらるべきであるというふうに私どもは考えるのであります。
 又電源開発調整審議会の構成のごときは、一層民主化いたしまして、電源開発に関係あるあらゆる利益代表者を参加せしめるは勿論のこと、消費者代表、一般産業界代表、農業代表、労働組合代表等をも参加せしむるごとくなすべきであつたと思うが、これらの点につきましては極めて大まかな規定にとどめておりまして、ここに官僚的な独善と利権化に対してその余地を與えておるということは、無責任の誹りを免れないと言わざるを得ないと考えるのでございます。
 次に反対の第五点といたしましては、第十二條におきまして、只見川、北上川、球磨川の三つの地名を法文の中に明記した点であります。政府並びに自由党が、何でもかでもこの法律案を通過せしめて、電源開発株式会社という特殊会社を作り上げるために、あらゆる妥協と申しますか、話合いを、民主クラブ並びに緑風会の一部に対しまして試みて参りましたことは、すでに御承知のことであると思いまするが、その結果、前代未聞の不体裁のかくのごとき法文を作り上げました二とは、私は、これが参議院でありまするだけに誠に遺憾といたすところであります。(拍手)私どもは、電源開発事業が重要且つ焦眉の急を要するものであり、且つ又莫大なる資本の投入を必要とするものであることを承知いたしまするが故に、このたびのごとき粗笨極りない構想を以て軽卒な処置を実施に移さんとすることは、徒らに貴重な国費を濫費いたしまして実効を收むるに至らないことあるべきを恐れるからであります。ここに私どもは、政府は速かに本案を一応撤回されまして、新しい構想の下に、政府みずからの責任において改めて提案されることを政府に望みますると共に、最後に特に緑風会の諸君にお願いを申上げたいのであります。それは禍根を将来に残す心配のある内容を多量に持つておりまするこの悪法を是非否決させて頂きたいことであります。聞くところによりますると、緑風会の中には多くの心ある有志の方々がこの法案の通過を好んでおられないと承わつておるのであります。破防法に次いでのこの惡案の産婆役を再び緑風会が演ずることにならないことを念願いたしまして、私の反対の討論を終りたい。かように存ずる次第であります。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 石川清一君。
   〔石川清一君登壇、拍手〕
○石川清一君 私は改進党を代表いたしまして只今議題となつておりまする電源開発促進法の自由党政府案並びに杉山修正案に反対の意思を表明いたしますと共に、奧案の現実的良心点に賛意を表したいと思います。
 世界文化の創造とその完成のためには、何をおきましても電力にこれを求めなければならんことは、今更私が申上げるまでもありません。従つて、我が国におきましても、急速な電源の開発、発送電力の充実、需給の調整等については、国民各層を挙げて重大な関心を持つておるのでありまして、その動向に注目を拂い又監視をするのは当然であろうと存じます。日本の民主化は先ず電力界からでありまして、又電力需給の面にあり、最後には最大の需要量獲得にあると存じます。今、我が国が自立自主経済達成の道を電源の急速な開発に求めまして、無際限に増加して行く人口と、世界経済恐慌の余波を受けようとする産業界と、その結果として生ずる慮れある失業問題等の根本的な解決を図らんとし、産業構造の国際的水準到達への努力が経済的文化基盤の民主的育成を裏付けておることは、国民ひとしく認めておるところでありまして、その方向につきましては理解しておることと存じます。事新らしく今更政府が言うごとき電源開発は、自由党の専売特許的なものでは断じてございません。過去二回に亘つて行われました電力料金引上げ時に巻き起りましたところの物淒い消費者の反対の輿論、又政府の無施策に対する峻烈な批判は、單なる引上げに対する反対のゼスチユアではなく、電力が国民経済とその日常生活にまで直結しておることを示すものでありまして、この輿論の動向を見究めて電力事業界の真の民主化と、それを推進する国家権力の支援が行われなければならんと存ずるのであります。然るに、只今議題となつております自由党政府原案なるものは、電源開発に名をかりまして、四カ年近くお濠端にひざまずいた腰抜け外交を隠蔽し、国連旗の陰に隠れて朝令暮改の紙屑法律の濫発による内政の失敗を糊塗せんとするものでありまして、党利党略に狂奔の果て、政治も行政も無機能無能力に落ち、命旦夕に迫つた斜陽内閣の遺言状のごときものであります。(拍手)遺産の争奪が起らなければよいと私は心配をいたしております。すでに早くより解散近しの声に扇動せられまして右往左往する與党勢力保持のために、かかる遺言状が一議員一枚ずつ特別の法律として出されようとした気がまえが、会期四回の延長となり、政府與党内部の対立抗争の余波をこうむらせ、遂に参議院をして混乱に陥れたのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)国会の破壊活動を防止するためには、電源法、破防法のごとき遺言状的法案の撤回をするより方法ないと存ずるのであります。
 先に電気事業可編成に当つて政府、自由党は如何なる態度をとつたでありましよう。当時ポツダム政令の基礎をなすマツカーサー書簡は発表されず、これは政府の懇請によつてなされたと伝えられたのであります。而も第九回国会の劈頭、ポツダム政令によつて、特に本州においては関西自由党の分派行動を阻止するため、潮流主義を取入れた九分割案が強行されたのでございます。これは民主主義の根本精神である議会制度をみずから否認し、而もその討論に恐怖を抱き、これを袞龍の袖に隠れて議員に箝口令を布くに至つては、民主主義や自由を唱える資格がないのみならず、政党政治としての政治的責任を汚すものと断ぜざるを得なかつたのございます。即ち電気事業再編成の方法については、日発を中心とした全国一社案、旦発を解体しての五分創案或いは七分翻案、九分創案、十分創案等が、利害関係、政治的背景等の上に立つて論ぜられたのであります。全国一社案については長所も欠陷もあること勿論である。五分創案も又、日発九配電の解体整理等の困難も横わつてはおつたのでありますが、真に我々が日本電気事業の再編成を白紙に立ち返つて考えた場合は、五分割案が理想であつたことは、何人も認めておつたのであります。(拍手)我が改進党は強く五分割案を主張したのでございます。然るに自由党は、その決定が内部抗争を強め、党分裂の導火線となることを恐れて、遂にポツダム政令による九分割案の強行となつたのでございます。この経過から考えましても、政府は九分創案によつて再編成されました九電気事業会社のために、資金、資材は勿論、その他について協力すべき政治的責任を負うておるのでありまして、九電力会社に対しまして資金その他事業上に競合する会社を設立すべきでないと存じます。従つて本法案のごときはむしろ撤回すべきであると存じます。
 電気事業再編成の是非は別として、電気事業再編成後の現状を見まするとき、昨年五月以来、一カ年余に亘つて、九電力会社は経営の合理化と企業意欲の向上に努め、昭和三十年までには三千数百億円を投じて、二百五十万キロ以上の電源開発計画を樹立し、更に新たな構想と計画を持つかに聞いているのであります。この計画の実現のために本年度において八百七十億円を計上し、そのうち三百億を対日見返資金の中から優先的に確保し、着々と完成のために努力しているのであります。この中には、我が国の財政の規模から、或いは産業構造から考えまして、妥当と思われる点が多分に見出せるのでありまして、国民に関心を持たせ、それに協力せしめんとする意図が政府にあるとしましたなら、突如として建設のための建設、即ち土建会社的本法案は提出すべきでないと存ずるのであります。(拍手)我々の聞くところによれば、土建会社は闇成金の王者であり、政党献金の第一人者であると言われ、その狂態振りに眩惑されて、遂に国家権力と財政資金を投じて土建会社を作り、その上に安坐して総選挙に臨み、なお政権に噛り付かんとするのだという風評にも耳を傾けざるを得ないのでございます。電力の開発は国民の待望するところであり、経済界から異論の生ずるはずもございません。ただ杞憂されますことは、この会社が別の目的のみを追求して、国家の財政資金を以て赤い灯青い灯のみの電源開発に終始専念しないかという点でございます。(「なかなか文学的だぞ」と呼ぶ者あり)電源開発特殊会社の新たな設立は一朝一夕に国家資金を以てしても容易にできるものではなく、計画の実施と事業途行はできるものではありません。わけても人的資源を如何にするかが重大な問題であります。先ず急速に開発するためには調査機関と技術経営の陣容とが整備されなければならないのであります。特に大規模の開発事業には長年月を要し、調査研究には超人間的努力が必要であります。更に高度の工学的技術等も必須の要件でありまして、一夜作りの、建設しましたら直ちに貸付或いは譲渡する短命な会社に就職する優秀な技術者は見当らぬと存ずるのであります。而して、これらの総合的調査とこれに当る技術陣容は、電気事業の歴史的経験の所産によるものでありまして、今日では九電力会社の中にその調査計画の実施に必要なる人々がいるのでございます。これを、如何に国家的権力を持ち、財政資金を以てし、或いは吉田首相の最後的なワンマンを以てしても、作ることは不可能でございます。又電力会社から大量引抜きすることも道義上許される行為ではありません。(「その通り」と呼ぶ者あり)なお又、苦しまぎれの政府の答弁、説明によりますと、引揚者、戦災者、失業者の中に埋もれた実に優秀な技術者があると言い切つているのでありますが、それは十数年前の優秀者の藻ぬけの殻であり、或いは数年後の優秀者としての卵か「ひよこ」でありまして、急速な電源の開発の用には失礼ながら供せないと存ずるのであります。(「それで修正案に何故賛成なんだ」と呼ぶ者あり)わけて全国一社という国家的構想は、基礎産業、基幹産業の国営或いは国管の方式として生れるのでありまして、とくにその例を英国に見ているのであります。併し、そのためには、広汎な社会保障の制度が歴史的に経験的に確立され、企業そのものと労働の條件が一体となつて社会化され民主化されて、初めて計画経済は軌道に乗るのであります。残念ながら我が国のごとく、統制と言えば直ぐ闇を連想し、国家的事業と言えば汚職收賄の絶えない現在の情勢下においては、学者の議論としてならともかく、一夜の思い付きで実施されるべきではないと存ずるのであります。併しながら、一面、経済の社会化は必然の方向でありまして、それには限られたこの四つの島の自然的條件が十分検討の上尊重され、その四つの島に住む国民の経済と文化と、その中にある生活感情が一体となつて国際経済に対応しようとするとき、初めて公共の利益や、国民生活上の福祉を日常守ろうとする国家的事業として始められるのであります。火筒の音、煙硝の臭いの近づくに従つて、再びあの暗い総動員法をまねようとする国家観或いは経済観には、愼重の上にも愼重を期すべきであります。朝に自由放任経済を唱え夕に強力統制を唱えて右往左往する自主性なき姿や、何でも自由にできるという独善的フアツシヨ的自由は、それ自体、自由党政府の凋落を示し、その無能と無力の現われのほか何ものでもありません。又保身栄達よりほかに途なき官僚の手に若し踊つているとしたら、自由も民主化も、政党とし政治家として語る資格なしと断ぜざるを得ないのであります。今我が国において開発されんとする河川流域別地点は、只見川、天龍川、北上川、石狩川、十勝川、吉野川、熊野川、庄川、球磨川等でありますが、これらの河川を一体化する産業的、経済的、文化的総合性は、何らないのであります。国土の総合開発と産業の振興を背景とする電源の開発は、現電力事業界をそのままにしておく限り、その電力会社に有機性を持たせ結合せしめる国家的構想でなければならんのであります。従つて全国一社の特殊会社の構想は生れる筋合いのものではありません。二或いは三地域に跨がる河川のみが一応は問題視されるのでありますが、その規模の特に大なるもの、開発上採算性なきものは、別途の立場と方法によつても開発できるのであります。試みに全国一社とする事業計画の内容について見まするに、あえて全国一社とする理由は見出せません。その電源開発計画によりますと、一、二期を通じて二千六百億円を投じ、二百六十万KWを開発せんとするものであります。このうち約一千億円は民間資金で見込まれているのでありまして、財政資金のみによる全国一社という理由は見当りません。現に九電力会社は一千万KWの発電力を有し、二百五十万KWの開発計画に着手しております。而も自由党政府の横車、圧迫に対応してますく開発に対し積極性が現われているのであります。特に一応送配電は銅の増産と共に完備し、生産印消費の一貫性の上に立つて需用と供給の円滑化を図らんといたしているやに聞いているのであります。
 ここに若干の問題となるのは、東京を中心として東北、北陸の一部、中部の一部等を加えた関東電力ブロツクの提携であります。只見川、北上川、天龍川等の開発との関連性であります。又中国、関西、北陸の一部、中部の一部を一体化した経済圏への電力供給と開発の琵琶湖、熊野川、天龍川、庄川等の関連だけでありますが、これとても何ら現九電力会社の事業分野の中から見て、全国一社賛成という理由は引出せないのであります。四国、九州、北海道等の孤立した電力関係の地点は、現下の事業と他企業との関係下では、全国一社の中には何ら含まれる要素を持ち合さないのであります。むしろ流域別、地域別の開発が、アメリカにおけるテネシー流域開発という地域流域開発にならつて考えられるべきであります。従つて、我が国のごとき複雑な政治経済の情勢下においては、河川行政との一体化、地域産業との総合化を、多種多様な産業構造の中で推し進めねばならぬ限り、建設のための建設としての電源開発は勿論問題にならず、現九電力会社の事業分野を基礎として計画されるべきであります。
 自由党政府は、国家財政資金を投じ、或いは課税上その他の便宜を與えて、コストの引下げを云々して宣伝いたしておりますが、いずれにしても国民の負担に属するのでありまして、何ら問題にするに当らないと存じます。又全国一社案は政府の諸政策と一体化したものでなければならないのであります。ただ表裏一体化しているのは選挙目当てだというに至つては、まじめに論議さえできない状態であることは、すでに各党の反対の中に明らかになつております。国家的事業或いは統制事業の非能率はすでに過去において国民の前に明らかになり、現在もその傷痕は消えておりません。本全国一社案には高き国民的情熱を湧かしめる理想がないからでございます。政府は、党利党略のために国家的背景の中に立てこもり、国家的権力を握つて国民を扇動し、或いは鞭打つべきでないと存じます。この電源開発特殊会社はそれを端的に表明しておる唯一のものでございます。電源開発の全国一社なるものは、決して電力の正常な発達を促進するものではありません。若しこの電力開発特殊会社が政府案のごとく設立されるならば、開発地点や開発地域点をめぐつて電力会社と先ず競合が激化し、次いであの手この手の地方公共団体の陳情請願運動となり、土地の買收、施設個所の争奪等、選挙を中にして大ボス、小ボスの暗躍が起ることが予想されるのであります。かくては折角自由党政府の手によつて再編成された九電力会社の経営の合理化に対して熱意を欠かしめ、その企業意欲を頓坐せしめ、電力界を混乱に陷れしめるばかりでございます。電力は産業界の生命であり、国民生活のエネルギーである点から考えれば、この国の山河に流れる一滴の水にも創造の力のあることを知らなければなりませんし、四つの島に限られて住む八千四百万の国民のあることをも知るべきであります。電源開発に関する国民の関心と意欲を失わしめず、自立経済達成の民族的悲願を国民生活の中から起さしめることは、先ずそれぞれの企業の自由と自主性を認めることでございます。九電力会社に対しても、自家用発電に対しても、平等に、或いは、より積極的に、資金上その他の協力をするのでなければなりません。電源開発について計画立案中においては幾つかの論議が生まれで、その計画も一応は樹立されます。併しそれを最後的に決定するのは資金総量でありまして、我が国の経済力と産業構造の両面から見まして、開発資金にはおのずから限度のあることと存じます。電力会社の資金も圧迫せず、電源開発特殊会社も資金に困難を感ぜず電源が開発されるということは、誠に痴人の夢に等しいナンセンスでございます。それ故にこそ、政府は本年当初の国会の劈頭に、総理大臣の施政演説の中において外資の導入を説明されたのでございます。(「時間だよ」と呼ぶ者あり)恐らくその当時から電力開発会社案が用意されておつたものであり、最大の理由でもあつたと思いますし、新聞も又かく盛んに報道しておつたのであります。我々は幸か不幸か未だその朗報と確実な証言に接しておりません。電力会社の押入り会長がアメリカ大使としてのアグレマンを拒否されたあの裏面史などから見ますと、政府と自由党の打つ手はあのくらいが関の山と想像しておるのでありまして、自由党や政府は赤面をいたしたでありましようが、国民は大拍手いたしたのでございます。商業採算を無視した党略的臭気紛々たる電源開発会社は、外資導入の資格なきのみならず、電力事業の健全なる発達を阻害するのみでありまして、これが原因となつて現電力事業界に外資導入を不可能ならしめる点を私は心配いたしておるのであります。かくて外資導入の動向と我が国財政資金の電源開発に投入される限界を十分知る必要が生じて参ります。国民生活の安定と我が国経済の発展上の融和点に財政資金は投入されるのでありまして、それが無制限に許されるものではありません。戦争によつて低下した我が国経済力の底の浅さは誠に残念ながら認めざるを得ないのでございます。駐留軍の現地調達、朝鮮動乱による特需等によつて辛うじて支えられておる我が国経済の現状であります。朝鮮のあの惨禍、国内に激増しようとする騒擾事件等を考え、又七カ年近き間、ガリオア、イロア資金とし、飢餓と復興に役立つて来た今日の見返資金を、湯水のごとく思うて、民族の宿命的悲劇を党利党略から繰返すべきでないと存ずるのであります。見返資金の妥当適切な処理こそ日本経済復興の中核をなす独立精神の根本問題でありまして、インフレーシヨンの要因も又ここにその萌芽が潜んでおるのでありますが、政府は、国会を無視して断行した電力九分割の責任と、外資導入、見返資金流用等は、一貫性ある政治責任とその行動によつてとられるべきであります。政府與党の態度も又これと一体化しなければなりません。腰抜け外交に次ぐ腰抜事業を今こそ肝に銘じて考えなければならぬときと存じます。
 電源開発会社の将来は、国内、国際諸情勢の変化によつて支配されること勿論であります。電力行政も又国家権力支配下に動揺することもありましようし、九電力会社の総合協力化の下に行われることも起きて来ると存ずるのであります。要は電力事業の公益性と電力開発会社の支配権との融和点にあると思います。公益事業委員会の制度、本法に盛られておる電源開発調整委員会の運用、行政改革によつて改正されるかも知れない電力審議会、これらを私利私益、党利党略に利用されては、損害をこうむり、迷惑をするのは国民だけであります。電力行政の面から見ても、單なる土建会社的電源開発会社の設立の意義はないと私は信じておるのであります。
 以上概要申上げましたごとく、自由党政府原案並びに杉山案に対して、我が改進党の唱えて来ました五分割案を基礎として反対の態度を明らかにいたしたのであります。特に今回修正しました杉山案の河川名につきましては、すでに各党の討論によつて明らかな点でありまして、この点こそ、本電源開発法案を誠に醜く、政党の裏面史をはつきり私は示したものと存じております。ただ、奧案は良心的にこの法案の持つておる弊害矛盾を是正する点において、現在の段階における最良の修正案ではございませんけれども、その良心的な点と、その良心的行動に賛意を表する次第でございます。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 鈴木清一君。
   〔鈴木清一君登壇、拍手〕
○鈴木清一君 私は原案並びに両修正案に対しまして、労農党を代表いたしまして反対の討論をいたすものであります。
 反対の理由といたしまして第一に申上げたいのは、外資の導入が当てが外れまして、この法案提出の実質的なものが何もなくなつてしまつたということなのであります。この法案の一番基本となる点は、電源開発株式会社という特殊会社を作つて、この特殊会社の形態によつて大規模特定地域の電源開発を行うというところにあつたわけであります。言うまでもなく、開発の方式には、国営、公社、民営、特殊会社等、いろいろあるのでありますが、ところで今回の電源開発に当つてなぜ特殊会社形態をとらなくてはならないかという点が問題のあつたところであると思うのであります。この法案を作成するに当りまして特殊会社形態をとらなければならなかつたその一つの理由として挙げられておりましたのが、大規模又は国土の総合的開発、利用及び保全の面からいたしまして、政府が強力に監督し得る特殊会社の形態をとる必要があるということをたびたび叫ばれておつたわけであります。第二の理由といたしまして、開発のコストを安くする必要から特殊株式会社形態をとりたいということをたびたび政府が申しておつたわけであります。又第三といたしまして最大の理由は、外資導入体制を整備する必要から、こうした特殊会社形態を必要とするということを挙げておつたのであります。即ち、政府はその説明におきまして、電源開発を急速に実施するためには多額の長期資金を必要としまして、これが確保については現在の財政負担能力よりして、今後見込み得る政府資金を以てしても必ずしも十分とは言えない。従つてこれがための多額の外賓を必要とするけれども、特定大規模地点の電源開発に必要な長期抵利の外資を導入するためには、政府機関よりの外資に頼らなければならないということを叫んでおつたのであります。かかる外資を受入れるためには政府資金を主体とする電源開発株式会社を設立することが適当であると言うておるのであります。なお、それに附加えまして、外賓の安全性を確保してその導入を促進するためには、政府によるところの元利の保証等の措置が必要であるが、このためにも特殊会社たる電源開発株式会社を設立することが必要であるとたびたび述べておつたのであります。周東安本長官は、曾つて二月二十二日の記者団公式会見の発表のときにおきましても、政府は電源外資を中心とした政治的借款の実現に努力しており、政府の電源開発法が国会で審議される頃には、はつきりするのである、この問題については帰国中のマーケツト経済科学局長も本国政府と今打合せ中であると、その当時述べておつた点から見ましても、外資導入を主体といたしまして、この法案を特に政府では強調しておつたように窺われるのであります。(「それは、はかない夢だ」と呼ぶ者あり)――然るに以上の三つの理由のうち、実質的な最大の原因となつておりました重要な外資の受入れの態勢つきましては、去る三月十一日の外資導入に関するマーカツト声明によりまして外資導入が困難となつたことにより、その根拠は全く失つてしまつたのであります。第二に、講和後の経済自立のため電源開発を急速に行わなければならないという点については、それは我が党といたしましても何人にも劣らずこの点は強調いたしておるのでありまするが、併しその電源開発の目的は、飽くまでも平和産業を拡大いたしまして、平和的貿易を通じて国民生活の水準を引上げしめるという点になくてはならないのであります。然るに、本法によつて予定されておりまするところの電源開発は、日米経済協力に基く軍需生産産業の拡大のために必要な電力供給を目的としておるのであつて、これでは幾ら電源が開発されましても平和的な国民生活水準の向上は何ら期待することができないのであります。このことは朝鮮動乱後の日本経済の実情を報告いたしました御承知の第六次経済白書がこれを証明しております。例えば電力をも含めた生産が四〇%増加しておるのにもかかわらず、国民生活水準はむしろ五%下つておるということをはつきり白書では認めておるのではありませんか。
 次に、反対の理由といたしまして、我が党は電気事業の経営形態については一貫して電気事業一社化による社会化の方式を堅持いたしております。日本最大の資源たるところの電力資源の全国民による公平なる享受、電気の技術的特質に基くところの事業の徹底的合理化、正しい料金政策の実現、資金、質材の合理的運用或いは事業の責任体制の確立のためには、電源開発をも含めまして、発電、送電、変電、配電等の事業が全国一元的に運営されねばならないということを、我が党は常に主張しておるのである。然るに、我々のかかる主張に対しまして、昨年五月、自主的な企業努力の進展による良質、豊富、低廉を名目といたしました電気の供給を理由といたしまして、電気事業の再編が強行され、九電力会社が誕生いたしましたが、期待に反しまして、七月の料金の値上げの問題、続いては八、九月の電力危機を招いたではありませんか。これは九分割の失敗を物語るものであります。然るに今回の電源開発促進法は、この点には何らの反省検討も加えてはおりません。又々電源の開発のみを発送電、変電、配電事業等と切り離して行わんとするものでありまするので、我が党といたしましては全く主張と相容れないものでありまするので、反対の第三点とするわけであります。
 第四には、本法案によるところの電源開発調整審議会が著しく非民主的であるということ、即ち、毒気事業の経営方針に社会大衆の意思を反映せしめて公共的な運営を行うためには、電産労働組合等が主張しておりまするように、電気生産者代表、電気消費者代表、学識経験者等によりまして構成される電力委員会とか、或いは電気事業監督委員会というようなものが必要であらればならんと思うのであります。これによつて、事業に関する基本計画とか、或いは料金決定、金融、資材調達、電力の配分、利益金の処分等についての重要事項を建議立案して、政府、経営者に実施せしめ、事業運営の監督を行う必要があると言わねばならないのであります。然るに現在電気事業に社会大衆の意思を反映する機会は僅かに国会に開かれておるのみであります。而も両院の通産委員会があるとは言いましても、その成果なるものは極めて微弱でありまして、又公共事業会によるところの公聴会或いは異議申立等の手続はあるにはありましても、その法的煩雑さ、官僚的事務処理は、所詮大衆とは誠に縁の遠い機関となつておるのであります。(「公式論はやめてくれ」と呼ぶ者あり)本案に盛られた電源開発調整審議会のごとき機構におきまして、現実の利害の調整が行われるものとは到底考えられない。逆に一部権力者とそれを取巻くところの土建業者の暗躍の舞台となるに過ぎないと断ぜざるを得ないであります。信ずべき報道か、或いは政治的策略かは別といたしまして、本日、新聞等に盛んにいろいろのことが流布報道されておるのでありまするが、私どもはむしろこういう報道を招いた点等も考え合せまして、むしろこの案は撤回すべきであるということを叫ぶと共に、奧案に対しまして一言申上げたいのは、民営会社に政府資金を取入れるというような点の修正につきましては、むしろ原案と私は余り懸け離れた修正であると思うのであります。その意味におきまして、原案並びに奧、杉山両修正案に対しまして、我が党は反対の意を表明するものであります。
○議長(佐藤尚武君) 須藤五郎君。
   〔須藤五郎君登壇、拍手〕
○須藤五郎君 いつも與党的立場をとられていらつしやる緑風会の諸君が本日に限つて非常に出席の悪いことを甚だ遺憾と存じます。(笑声)
 前置はそれだけにいたしまして、これから討論に入ります。私は只今上程されました電源開発促進法案に対し反対の意見を述べたいと思います。
 その反対する理由の第一点は、この開発促進案により開発されたる電気が如何なる目的に使用されるかという点であります。開発の目的は我が国産業の振興及び発展に寄與するためとされておりますが、果して如何なる産業の発展を図らんとしておるのか。すでに現在開発に着手しておる個所について見ましても明確なごとく、即ち利根川水系の箱島発電所は千葉県に新設されたる川崎製鉄所のために、又小河内ダムは多摩基地内の諸施設に送電するためのものであり、天龍川水系の高丘ダムは中日本電工名古屋工場に送電するためのものであります。このように、電源開発をやつて産業一般を潤おすというのではなく、アメリカの軍拡及び日本再軍備のための軍需工場に送電するのが目的であることは明瞭であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)、政府は、開発された電気は軍需工場のみに送られるものではない、ダム建設により洪水が調節され、潅漑用水として利用される点もあり、又農村の電化のために役立つと言うでしよう。ところが四国の住友アルミ製錬所はどうでしようか。その電源地は高知県の山中にあり、そこからアルミ工場へ流れる電気は四国全体の電力消費量の半分を占めておるのであります。その結果、高知県は無燈火農村が一番多い県であります。軍需生産のための電源開発は、他の平和産業を潤おすどころか、それを犠牲にし、又農民にとつて一番大切な水を奪い、土地を奪い、あまつさえダム建設による水温の低下による減收を来たしておるのであります。だからこそ電源開発ダム建設の行われる所では必ず農民の反対反抗が起つておるのであります。即ちこの法案は平和産業や農民の犠牲を要求しておるのであります。
 反対の第二点は、資金の問題であります。提案者の説明では、最初外資は当てにしていないと言つておりましたのでありますが、審議の途中から外資を是非入れるというふうに変つて参りました。そうして最近になつて一千五百万ドル外資が入ると伝えられておりますが、果して事実でありましようか。トルーマン書簡では、「本年度予算の大綱は決定済みで、今から対日クレジツトを計上することは不可能である。欧州諸国との関係もある。大統領としては予算の混乱と国際紛争をかけてもやると言うことはできない立場にある。従つて日本政府としては日本国民の努力を結集して先ず自力による復興と建設に邁進されたい。」と、引導を渡しているのであります。自力とは何を意味するのでしようか。予算で捻出するというてもそれは皆国民の血税であります。見返資金残高、開発銀行への政府出資金、これらも皆税金であります。これらの国費の使途は多方面であるべきでありますが、これを電源開発にのみ使う考えでしようか。而も、かくしてでき上つた電気はその殆んどが軍需方面に使われてしもうのでは、国民は全くたまつたものではありません。国民がこのからくりを知るならば恐らく黙つてはいないと思います。そこで次に起つて来るのが料金値上げの問題であります。諸君、今日の料金は果して妥当なものでありましようか。(「うまいぞ」と呼ぶ者あり)そうでもありません。軍需工場、米駐留軍関係に大量の、且つ生産コストを大幅に割つた電気を送るために、我々一般家庭電気消費者又は中小企業家は、前者から生じる赤字を補填するために生産コストの数倍の値段を拂い、而も停電常ならぬ電気を使わされておるのであります。この状態は行政協定の第七條によつて進駐軍から米駐留軍に引継がれ、今後長く続くものであります。法案の提案者は、開発会社が発足するならば、昭和二十九年度になれば家庭用電気又は中小企業に対しても今日のごとき不便はかけないと言つておりますが、日産協の調査では、日本の生産を計画通り推進させるためには年間三百八十五億KWHを要すと言つております。同年度需用端発電量総計四百三十四億KWHと対比するならば、その差は約四十九億KWHとなり、二十六年度電燈電熱消費量約六十億KWHに及ばないことになります。即ち家庭電気はいつまで待つても軍需産業の犠牲とされることに変りはないのであります。我々国民の血税で開発される電気がこのような状態を続けることは許しがたいことであります。なお私たちは今日一千億の巨費を投じてこの特殊会社を作る必要があるかどうかを考えてみたいのであります。戦争中の最大発電量は昭和十八年度の三百八十六億KWHであり、昨五十一年度総発電量は三百六十六億KWHであります。而も昨年度と今年度との国際收支を見ますと、アメリカ圏内の経済恐慌発展の結果、輸出特需の停滞を来たし、延いては電力不足の見通しは非常に不確実となつたのであります。我々は開発会社に一千億の巨費を投ずる前に、先ず全面講和を結ぶごとによつて大量の電気を消費するところの駐留軍の撤退を求め、平和を守ることによつて軍需産業から平和産業に転換するならば、今日の発電能力を以てしても大体やつて行ける見通しは付くのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)何を急いで軍需産業に奉仕するため一千億の巨費を投ぜんとするのか。その前に、戦争犠牲者の救済等々、なすべきことは山積しておるのではないか。私はこれらの矛盾を指摘するものであります。
 最後に電源の開発に関し一言いたしたいと思います。電源の開発は一国の生産力の基礎であり、これは社会党展の一つの方向であり、又社会主義の基礎であります。その場合において、その電源開発は飽くまで平和建設、国民生活水準の向上に役立つものでなければなりません。このようなことは資本主義の世界では到底できないことでありますが、社会主義を以てするならば可能であります。一九一七年十月ロシア社会主義革命が達成されるや、指導者レーニンが社会主義経済建設の第一義的なものとして電化を強調した理由もそこにあります。この場合におきましては電源開発は工業発展の基礎であつたのみでなく、農業の機械化、集団経営化、農業生産力の飛躍的発展の基礎でありました。又電源開発は、同時に、水利の開発、土地問題の解決、同時に労働問題の解決と絶対不可分の関係においてのみ発展的な意義を持つものであります。ソ同盟におきましては見事にそれをやつております。最近のヴオルガ河電源開発を見ればよくわかることであります。一挙に千四百万ヘクタールに及ぶ砂漠熱風地帶が沃野として農民に開放され、無盡蔵の農業生産物が生まれ、ソ同盟全体の国民生活水準の一層の向上に役立つものであります。(「よく聞け」と呼ぶ者あり)農業問題、労働問題を解決し得ない自由党、労働者農民の大衆を敵とする自由党が電源開発など、とんでもないことであります。若し今日計画されておるごとく無理にやられた場合には平和産業や労働者農民の利益を真向から踏みにじり、自由党の選挙運動に利用され、一部土建屋どもを利するにとどまるものであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)我々はかかる利権法案に対しては、原案、修正案を問わずすべて反対であります。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより採決をいたします。採決の順序についてあらかじめ申上げます。奥むめお君外一名提出の修正案と委員会修正案とは共通の部分がございますので、先ず奥むめお君外一名提出の修正案のうち、委員会修正案と共通する部分を除いた部分につき採決し、次に奥むめお君外一名提出の修正案と委員会修正案との共通部分につき採決し、次に委員会修正案の残りの部分につき採決し、次に修正部分を除いた原案につき採決をいたします。
 先ず奥むめお君外一名提出の修正案のうち、委員会修正案と共通する部分を除いを部分を問題に供します。表決は記名投票を以て行います。奥むめお君外一名提出の修正案のうち、委員会修正案と共通する部分を除いた部分に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(佐藤尚武君) 投票漏れはございませんか……投票漏れないと認めます。これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○議長(佐藤尚武君) 投票の結果を報告いたします。
 投票総数百七十四票、
 白色票二十票、
 青色票百五十四票、
 よつて奥むめお君外一名提出の修正案のうち、委員会修正案と共通する部分を除いた部分は否決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
   〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名  二十名
   田村 文吉君  館  哲二君
   小林 政夫君  楠見 義男君
   片柳 眞吉君  奥 むめお君
   飯島連次郎君  結城 安次君
   宮城タマヨ君  三好  始君
   有馬 英二君  紅露 みつ君
   石川 清一君  松浦 定義君
   松原 一彦君 深川榮左エ門君
   岩木 哲夫君  櫻内 辰郎君
   堀木 鎌三君  岡村文四郎君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名 百五十四名
   藤野 繁雄君  野田 俊作君
   竹下 豐次君  高橋龍太郎君
   高橋 道男君  高瀬荘太郎君
   高木 正夫君  杉山 昌作君
   新谷寅三郎君  河井 彌八君
   小野  哲君  赤木 正雄君
   山川 良一君  村上 義一君
   森 八三一君  島津 忠彦君
   上原 正吉君  森田 豊壽君
   岡田 信次君  玉柳  實君
   中川 幸平君  大矢半次郎君
   郡  祐一君  廣瀬與兵衞君
   岡崎 真一君  楠瀬 常猪君
   加藤 武徳君  城  義臣君
   植竹 春彦君  山本 米治君
   古池 信三君  小杉 繁安君
   山縣 勝見君  石川 榮一君
   木村 守江君  西山 龜七君
   大谷 瑩潤君  一松 政二君
   深水 六郎君  草葉 隆圓君
   徳川 頼貞君  左藤 義詮君
   大島 定吉君  黒田 英雄君
   小林 英三君  中川 以良君
   川村 松助君  寺尾  豊君
   溝口 三郎君  三浦 辰雄君
   堀越 儀郎君  小野 義夫君
   野田 卯一君 大野木秀次郎君
   入交 太藏君  宮田 重文君
   西川甚五郎君  宮本 邦彦君
   平井 太郎君  杉原 荒太君
   松本  昇君  秋山俊一郎君
   鈴木 直人君  石村 幸作君
   高橋進太郎君  石原幹市郎君
   堀  末治君  鈴木 恭一君
   愛知 揆一君  安井  謙君
   平林 太一君  長島 銀藏君
   平沼彌太郎君  竹中 七郎君
   菊田 七平君  小川 久義君
   溝淵 春次君  團  伊能君
   瀧井治三郎君 池田宇右衞門君
   駒井 藤平君  林屋亀次郎君
   油井賢太郎君  北村 一男君
   中山 壽彦君  白波瀬米吉君
   岩沢 忠恭君  鈴木 強平君
   栗栖 赳夫君  西田 隆男君
   大屋 晋三君  泉山 三六君
   黒川 武雄君  横尾  龍君
   境野 清雄君  大隈 信幸君
   木内キヤウ君  稻垣平太郎君
   成瀬 幡治君  重盛 壽治君
   門田 定藏君  清澤 俊英君
   千葉  信君  三輪 貞治君
   小林 孝平君  三橋八次郎君
   若木 勝藏君  中田 吉雄君
   小滝  彬君  小酒井義男君
   栗山 良夫君  梅津 錦一君
   荒木正三郎君  内村 清次君
   佐多 忠隆君  羽生 三七君
   高田なほ子君  森崎  隆君
   吉田 法晴君  和田 博雄君
   菊川 孝夫君  岡田 宗司君
   河崎 ナツ君 小笠原二三男君
   木下 源吾君  金子 洋文君
   須藤 五郎君  岩間 正男君
   兼岩 傳一君  江田 三郎君
   堀  眞琴君  鈴木 清一君
   岩崎正三郎君  大野 幸一君
   上條 愛一君  田中  一君
   山田 節男君  齋  武雄君
   村尾 重雄君  永井純一郎君
   吉川末次郎君  カニエ邦彦君
   佐々木良作君  小林 亦治君
   松永 義雄君  中村 正雄君
   伊藤  修君  三木 治朗君
   棚橋 小虎君  波多野 鼎君
   原  虎一君  曾祢  益君
   下條 恭兵君  片岡 文重君
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) 次に、奥むめお君外一名提出の修正案と委員会修正案との共通の部分を問題に供します。表決は記名投票を以て行います。共通部分に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(佐藤尚武君) 投票漏れはございませんか……投票漏れないと認めます。これより開票いたします。投票を参事に計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開銀〕
   〔参事投票を計算〕
○謹呈(佐藤尚武君) 投票の結果を報告いたします。
 投票総数百七十六票、
 白色票百二票、
 青色票七十四票、
 よつて奥むめお君外一名提出の修正案と委員会修正案との共通の部分は可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
   〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名  百二名
   藤野 繁雄君  早川 愼一君
   野田 俊作君  館  哲二君
   竹下 豐次君  高橋龍太郎君
   高橋 道男君  高瀬荘太郎君
   高田  寛君  高木 正夫君
   杉山 昌作君  新谷寅三郎君
   加賀  操君  小野  哲君
   赤木 正雄君  山川 良一君
   村上 義一君  森 八三一君
   島津 忠彦君  上原 正吉君
   森田 豊壽君  岡田 信次君
   玉柳  實君  中川 幸平君
   大矢半次郎君  郡  祐一君
   廣瀬與兵衞君  岡崎 真一君
   楠獺 常猪君  加藤 武徳君
   城  義臣君  植竹 春彦君
   山本 米治君  古池 信三君
   小杉 繁安君  山縣 勝見君
   石川 榮一君  木村 守江君
   西山 龜七君  大谷 瑩潤君
   一松 政二君  深水 六郎君
   草葉 隆圓君  徳川 頼貞君
   左藤 義詮君  大島 定吉君
   黒田 英雄君  小林 英三君
   中川 以良君  川村 松助君
   寺尾  豊君  溝口 三郎君
   三浦 辰雄君  堀越 儀郎君
   小野 義夫君  野田 卯一君
  大野木秀次郎君  入交 太藏君
   宮田 重文君  西川甚五郎君
   宮本 邦彦君  平井 太郎君
   杉原 荒太君  松本  昇君
   秋山俊一郎君  鈴木 直人君
   石村 幸作君  高橋進太郎君
   石原幹市郎君  堀  末治君
   鈴木 恭一君  愛知 揆一君
   安井  謙君  平林 太一君
   長島 銀藏君  平沼彌太郎君
   竹中 七郎君  菊田 七平君
   小川 久義君  溝淵 春次君
   團  伊能君  瀧井治三郎君
  池田宇右衞門君  駒井 藤平君
   林屋亀次郎君  油井賢太郎君
   北村 一男君  中山 壽彦君
   白波瀬米吉君  岩沢 忠恭君
   鈴木 強平君  栗栖 赳夫君
   西田 隆男君  大屋 晋三君
   泉山 三六君  黒川 武雄君
   横尾  龍君  境野 清雄君
   大隈 信幸君  木内キヤウ君
   稻垣平太郎君  小滝  彬君
 反対者(青色票)氏名  七十四名
   田村 文吉君  小林 政夫君
   楠見 義男君  河井 彌八君
   片柳 眞吉君  飯島連次郎君
   結城 安次君  宮城タマヨ君
   成瀬 幡治君  重盛 壽治君
   門田 定藏君  清澤 俊英君
   千葉  信君  三輪 貞治君
   小林 孝平君  三橋八次郎君
   若木 勝藏君  中田 吉雄君
   小酒井義男君  栗山 良夫君
   梅津 錦一君  三好  始君
   有馬 英二君  荒木正三郎君
   内村 清次君  佐多 忠隆君
   羽生 三七君  紅露 みつ君
   石川 清一君  松浦 定義君
   松原 一彦君  高田なほ子君
   森崎  隆君  吉田 法晴君
   和田 博雄君 深川榮左エ門君
   岩木 哲夫君  菊川 孝夫君
   岡田 宗司君  河崎 ナツ君
   櫻内 辰郎君  堀木 鎌三君
   岡村文四郎君 小笠原二三男君
   木下 源吾君  金子 洋文君
   須藤 五郎君  岩間 正男君
   兼岩 傳一君  江田 三郎君
   堀  眞琴君  鈴木 清一君
   岩崎正三郎君  大野 幸一君
   上條 愛一君  田中  一君
   山田 節男君  齋  武雄君
   村尾 重雄君  永井純一郎君
   吉川末次郎君  カニエ邦彦君
   佐々木良作君  小林 亦治君
   松永 義雄君  中村 正雄君
   伊藤  修君  三木 治朗君
   棚橋 小虎君  波多野 鼎君
   原  虎一君  曾祢  益君
   下條 恭兵君  片岡 文重君
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) 次に委員会修正案の残りの部分を問題に供します。表決は記名投票を以て行います。委員会修正案の残りの部分に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(佐藤尚武君) 投票漏れはございませんか……投票漏れないと認めます。これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○議長(佐藤尚武君) 投票の結果を報告いたします。
 投票総数百七十六票、
 白色票百一票、
 青色票七十五票、
 よつて委員会修正案の残りの部分は可決せられました。(拍手)
   〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名  百一名
   藤野 繁雄君  早川 愼一君
   野田 俊作君  館  哲二君
   竹下 豐次君  高橋龍太郎君
   高橋 道男君  高瀬荘太郎君
   高田  寛君  高木 正夫君
   杉山 昌作君  加賀  操君
   小野  哲君  赤木 正雄君
   山川 良一君  村上 義一君
   森 八三一君  島津 忠彦君
   上原 正吉君  森田 豊壽君
   岡田 信次君  玉柳  實君
   中川 幸平君  大矢半次郎君
   郡  祐一君  廣瀬與兵衞君
   岡崎 真一君  楠瀬 常猪君
   加藤 武徳君  城  義臣君
   植竹 春彦君  山本 米治君
   古池 信三君  小杉 繁安君
   山縣 勝見君  石川 榮一君
   木村 守江君  西山 龜七君
   大谷 瑩潤君  一松 政二君
   深水 六郎君  草葉 隆圓君
   徳川 頼貞君  左藤 義詮君
   大島 定吉君  黒田 英雄君
   小林 英三君  中川 以良君
   川村 松助君  寺尾  豊君
   溝口 三郎君  三浦 辰雄君
   堀越 儀郎君  小野 義夫君
   野田 卯一君 大野木秀次郎君
   入交 太藏君  宮田 重文君
   西川甚五郎君  宮本 邦彦君
   平井 太郎君  杉原 荒太君
   松本  昇君  秋山俊一郎君
   鈴木 直人君  石村 幸作君
   高橋進太郎君  石原幹市郎君
   堀  末治君  鈴木 恭一君
   愛知 揆一君  安井  謙君
   平林 太一君  長島 銀藏君
   平沼彌太郎君  竹中 七郎君
   菊田 七平君  小川 久義君
   溝淵 春次君  團  伊能君
   瀧井治三郎君 池田宇右衞門君
   駒井 藤平君  林屋亀次郎君
   油井賢太郎君  北村 一男君
   中山 壽彦君  白波瀬米吉君
   岩沢 忠恭君  鈴木 強平君
   栗栖 赳夫君  西田 隆男君
   大屋 晋三君  泉山 三六君
   黒川 武雄君  横尾  龍君
   境野 清雄君  大隈 信幸君
   木内キヤウ君  稻垣平太郎君
   小滝  彬君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名  七十五名
   田村 文吉君  小林 政夫君
   楠見 義男君  河井 彌八君
   片柳 眞吉君  奥 むめお君
   飯島連次郎君  結城 安次君
   成瀬 幡治君  宮城タマヨ君
   重盛 壽治君  門田 定藏君
   清澤 俊英君  千葉  信君
   三輪 貞治君  小林 孝平君
   三橋八次郎君  若木 勝藏君
   中田 吉雄君  小酒井義男君
   栗山 良夫君  梅津 錦一君
   三好  治君  有馬 英二君
   荒木正三郎君  内村 清次君
   佐多 忠隆君  羽生 三七君
   紅露 みつ君  石川 清一君
   松浦 定義君  松原 一彦君
   高田なほ子君  森崎  隆君
   吉田 法晴君  和田 博雄君
  深川榮左エ門君  岩木 哲夫君
   菊川 孝夫君  岡田 宗司君
   河崎 ナツ君  櫻内 辰郎君
   堀木 鎌三君  岡村文四郎君
  小笠原二三男君  木下 源吾君
   金子 洋文君  須藤 五郎君
   岩間 正男君  兼岩 傳一君
   江田 三郎君  堀  眞琴君
   鈴木 清一君  岩崎正三郎君
   大野 幸一君  上條 愛一君
   田中  一君  山田 節男君
   齋  武雄君  村尾 重雄君
   永井純一郎君  吉川末次郎君
   カニエ邦彦君  佐々木良作君
   小林 亦治君  松永 義雄君
   中村 正雄君  伊藤  修君
   三木 治朗君  棚橋 小虎君
   波多野 鼎君  原  虎一君
   曾祢  益君  下條 恭兵君
   片岡 文重君
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) 次に只今可決せられました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。(拍手)修正部分を除いた原案は可決せられました。よつて電源開発促進法案は修正議決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
○議長(佐藤尚武君) 日程第十五、閉鎖機関令の一部を改正する法律案、
 日程第十六、連合国財産の返還等に関する政令等の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題とすることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長平沼彌太郎君。
  〔平沼彌太郎君登壇、拍手〕
  〔「簡単簡単々々」と呼ぶ者あり〕
○平沼彌太郎君 只今上程されました閉鎖機関令の一部を改正する法律案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 本案の主な改正点を申上げますと、第一点は、閉鎖機関整理の現状に鑑みまして、清算未結了の機関のうち、民法、商法等に基いて清算することが適当と認められるものについては、その指定を解除し、特殊清算人であつた者に株主総会等を招集せしめて、指定解除機関の清算人を遅滞なく選任せしめることとし、指定解除に伴う政府への報告、利害関係人の異議の申立等について規定を整備しようとし、なお特殊法人の指定解除後の清算については、別途政令で定め得ることにしようとするものであります。第二点は、平和條約の発効に伴いまして閉鎖機関の在外財産の処理について特殊清算の対象の範囲を拡張して、その本邦外にある本店、支店その他の営業所に係る債権債務をも含ませることとし、閉鎖機関の在外負債のために、その国内資産のうちから留保されている資金について、平和條約に基く在外負債処理問題が決定次第、それによつて処理することができるよう所要の措置を講じようとすること等であります。
 本案は衆議院において修正されたものでありますが、その要旨を申上げますと、改正案による閉鎖機関の特殊清算の対象の範囲の拡大を、本邦外にある本店、支店、その他の営業所に係る債権のみにとどめ、差当り債務につきましてはこれを除外しようとするものであります。
 本案は、質疑の後、討論に入り、木村委員より賛成意見が述べられ、採決の結果、全会一致を以て衆議院修正送付の原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
 次に連合国財産の返還等に関する政令等の一部を改正する法律案について御報告申上げます。
 本案は、このたび締結されましたインドとの間の平和條約第五條の規定により、インド又はインド人が有していた財産で、開戦時から終戦時までの間に本邦内にあつたものを返還すること、及びこのような財産で開戦時本邦内にあつたものが返還されず、又は戦争の結果損害が生じている場合には、連合国財産補償法に規定されている条件と同一の条件で補償を行うこととなつておりますので、これに対応いたしまして、在日インド財産の返還又は補償を行い得るようにするため、連合国財産の返還等に関する政令、連合国財産である株式の回復に関する政令及び連合国財産補償法の規定に所要の改正をいたそうとするものであります。即ち、我が国が平和條約に基いて財産の返還又は補償の義務を負う国として、日本国との平和條約第二十五條に規定する連合国のほか、今回のインド及び今後サン・フランシスコ條約第二十六條の規定に基いて同様の條約を締結することが予想される相手国を、必要に応じ政令で定め得ることとすると共に、財産の返還又は補償の請求期限等、これに関連する若干の規定を整備しようとするものであります。
 本案は、慎重審議の後、討論採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
 右御報告いたします。
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。
 先ず閉鎖機関令の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
   ─────・─────
○議長(佐藤尚武君) 次に連合国財産の返還等に関する政令等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)
 本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時四十二分散会
   ─────・─────
○本日の会議に付した事件
 一、ダイナ台風の災害に関する緊急質問
 一、日程第一 法廷等の秩序維持に関する法律案
 一、日程第二 昭和二十三年六月三十日以前に給與事由の生じた恩給の特別措置に関する法律案
 一、日程第三 農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案
 一、日程第四 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基き駐留する合衆国軍隊に水面を使用させるための漁船の操業制限等に関する法律案
 一、日程第五 昭和二十六年産米穀の超過供出等についての奨励金に対する所得税の臨時特例に関する法律案
 一、日程第六 製塩施設法案
 一、日程第七 航空法案
 一、日程第八 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基く行政協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律案
 一、議員派遣の件
 一、日程第九 農地法案
 一、日程第十 農地法施行法案
 一、日程第十一 輸出取引法案
 一、日程第十二 航空機製造法案
 一、日程第十三 特定中小企業の安定に関する臨時措置法案
 一、日程第十四 電源開発促進法案
 一、日程第十五 閉鎖機関令の一部を改正する法律案
 一、日程第十六 連合国財産の返還等に関する政令等の一部を改正する法律案