第013回国会 電気通信委員会 第26号
   公聴会
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昭和二十七年五月二十七日(火曜日)
   午前十時四十一分開会
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 出席者は左の通り。
   委員長     鈴木 恭一君
   理事
           尾崎 行輝君
           山田 節男君
   委員
           大島 定吉君
           寺尾  豊君
          小笠原二三男君
           水橋 藤作君
          池田七郎兵衞君
  政府委員
   電気通信省電気
   通信監     山下知二郎君
   電気通信大臣官
   房人事部長   山岸 重孝君
   電気通信省業務
   局長      田辺  正君
   電気通信省業務
  局国際通信部長  花岡  薫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       後藤 隆吉君
   常任委員会専門
   員       柏原 栄一君
  公述人
   一橋大学教授  古川 栄一君
   日本新聞協会編
   集部長     江尻  進君
   元満州電信電話
  株式会社副総裁  進藤 誠一君
   国鉄労働組合企
   画統制部長   横山 利秋君
   日綿実業株式会
   社常務取締役  石橋 鎮雄君
   東北大学電気工
   学科実験実習指
   導員      太田  康君
   全国電気通信従
   業員組合中央執
   行委員長    久保  等君
   日本通信建設株
   式会社常務取締
   役       渡辺音二郎君
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  本日の会議に付した事件
○日本電信電話公社法案(内閣送付)
○国際電信電話株式会社法案(内閣送
 付)
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○委員長(鈴木恭一君) 只今から日本電信電話公社法案及び国際電信電話株式会社法案に対し電気通信委員会の公聽会を開きます。
 委員会を代表いたしまして一言公述人各位に御挨拶申上げます。このたび政府より日本電信電話公社法案及び国際電信電話株式会社法案が提出されまして、目下当委員会で審議中でございますが、この法案の内容は、電信電話公社及び国際電信電話会社を新たに設立いたしまして、創始以来国の経営でありました電信電話事業を、国内部門は公社に、国際部門は会社に経営させようとするものであります。電信電話の経営形態の変革ということは、国家的に重要事項でありますので、委員会におきましては極めて愼重に審議をいたしておるのであります。ここに国会法の規定に基きまして、真に利害関係を有するかたがた及び学識経験のあるかたがたから御意見を拝聽いたしまして、審議の一助にいたそうという趣旨でこの会を開きましたのでございます。公述人のかたがたにおかれましては、公私御多忙のところをおいで頂きまして誠に有難うございました。厚く御礼申上げます。
 これより御意見を伺いたいと思いますが、御発言の順序は委員会において適当に定めましたので御了承を願います。御意見は賛成、不賛成を明らかにされまして、且つその理由をお述べ願いたいと存じます。
 それから委員各位に申上げますが、公述人にお願いいたしておきました岸喜二雄君より、病気のために出席いたしかねる旨の通知がございましたので御報告申上げます。公述人のかたがたに対する質問は、午前中の分は午前中の公述べが終つたあとで、又午後の分は午後の公述人が終つたあとで一括してお願いいたしたいと存じます。
 それではこれより御意見の発表をお願いいたします。御発言の際は御氏名と職業をお述べ願いたいと存じます。古川栄一君。
○公述人(古川栄一君) 私一橋大学教授古川栄一でございます。時間が限られておりますから、率直に問題のあります点を申上げたいと思います。
 只今委員長から御説明がありましたように、日本の電信電話事業につきまして、国内につきましては日本電信電話公社として改組されることにつきましては、趣旨といたしましては賛成でございます。ただ次に述べますような点につきまして若干の意見を有するのでございます。それは、このたび公社はいわゆる公共事業体として発足することになつておるのでございますが、大体公共企業体といたします経過は国によつて違うようでございますが、大きく分けまして二つあるように考えられるのであります。その一つは、従来私企業といたしまして営まれましたものが、公共的性格によりまして国家資本を入れまして、これを公共企業体として改組する行き方であります。イギリスにおきましては、この経過を迫るものが多いように思われるのであります。第二は、全く国家事業としまして、いわゆる公企業として営まれたましたものが、それに私企業的な能率運営と申しますか、合理的な体制を整えまして、より一層一般公衆の利便を図るために公共企業体に改組する行き方であります。本日本電信電話公社法案の行き方は後者に属することは明らかでございます。従いましてこれらの法案に盛られておりまする内容を吟味するに当りましては、従来の公企業といたしましてのいけないところをできるだけ排除いたしまして、私企業的なよろしいところを、つまり能率的な運営と、従いまして経営管理の責任体制というものを確立するというところに重点を置いて検討して見る必要があるのじやないかと思うのであります。なお電信電話公社は決して競争企業ではなくして、独占企業でもございますので、こういう角度からこの法案に盛られております点につきまして検討して見ますと、私といたしましては次のような点に若干の疑問と、これを考慮する必要があるのじやないかと思うのであります。
 第一は、経営委員会制度が取入れられておるのでありますが、それは国鉄の監理委員会と違いまして、その性格は相当はつきりしておりまして、公社の業務の運営に関しまして重要事項を決定する機関として考えられ、その項目が並べられておるのでありますが、この点は恐らく株式会社制度におきます取締役会制度の考え方を取入れられまして、内部の執行を担当されます総裁以下の経営上の経営管理の仕事に対しまして、広く業務運営に関しまして知識を経営管理の上に導入いたしまして、よりよき運営を図ろうというところが趣旨であるように思うのであります。その意味におきまして、この制度は私は非常に結構な制度だと思うのでありますが、ただ次の点に関しまして考える余地があるのじやないかと思うのであります。
 第一は、内部の特別委員はお二人でありまして、外部の委員が三名になつておりますが、広く專門的な経営管理上の、或いは業務上の知識を取入れるためには、委員の数を二人くらい、五人程度に外部委員を増すということが考えられる余地がないかと思うのであります。と同時に、これはアメリカ等の経験でもそうなのでありますが、取締役会は非常にうまく行つておるところと、必ずしもりそうではないところがあるのでありまするが、いろいろ理由はあるのでございますけれども、その一つの理由といたしましては、外部のかたはいわゆるパート・タイムのかたでございまして、必ずしもこの仕事に始終関係なさつておるわけではない。而も報酬は多く非常に少いのであります。この法案によりますと、外部の委員はいわゆる報酬を受けないことが十六条の規定に載つておるのでありますが、若干旅費その他の出頭に伴う実費はお受けになりますけれども、原則としては無報酬であります。このことは相当考える余地があると思うのでありまして、やはり委員のかたには報酬をおきめになりまして、たとえパート・タイムでありましても、業務運営という非常に実質的に重要な仕事を担当されるのでありますからして、これに対する報酬規定を設くる必要があるのじやないかと思いますが、以上簡単に経営委員会制度について申上げました。
 第二の問題は財務及び会計に関しまして若干の意見を申上げたいと思います。公社の性質に鑑みまして、第三十九条には発生主義会計が原則とし取入れられておりますのは全面的に賛成であります。事業体といたしましては是非とも事業成績の内容を明らかにいたしますために、発生主義会計を全面的に導入することば私は当然のことと考えるのであります。
 次は予算制度でございますが、恐らく今度の公社法案における非常な特徴は、従来の官庁式予算制度を事業体の予算制度に切替えるというところに重点があるように伺つたのでありますが、この点につきましては私は全面的に賛成いたすのでありますが、ただ若干この法文に盛られておりますところから推察いたしまして、なお且ついろいろの事情があると思うのでありますけれども、事業体の予算にすつかり切替え切れないような、若干もやもやしたところがまだ残されておるように思うのでありますが、百尺竿頭一歩を進めまして、もつとすつきりした予算制度を導入いたしまして、公共企業体本来の、一番最初に申上げました私企業のよいところを取入れる点、この点に重点が存するように私思うのであります。と申しますのは、第四十条におきまして、公社の予算は弾力性を与えるということが謳われておるのでありますが、これはむしろ当然なのでありまして、今度の予算はここに謳つてありますように、予算と事業計画と資金予算、それから成立つてますが、いわゆる予算は官庁式予算ではなくて事業体の予算でありますからして、事業計画の表明であり、その他におきましては、事業の責任体制つが予算を通じて明確にされると考えるのであります。従つて資金予算に関しましては、これは国家の金が入つておるのでございますし、いわゆる財政基金が、要するに資金が使われるのでございますからして、この点に関しましては非常に厳重なる監督が必要であると考えますが、事業そのものを反映いたしますところの事業予算は、むしろ事業の合理的運営に関して弾力性を持つことはむしろ本質なのでありまするからして、弾力性を与えるという趣旨の意味が私には必ずしも正しく理解できないのであります。と申しますのは、この四十条の規定は、更に四十三条におきまして予算総則の中に予算に与えられる弾力性の範囲がきめられるというふうに謳われておるのでございますが、事業予算に関しましては、当然弾力性を持つべきでありまして、その範囲を予算総則で与えるという意味は私には理解しかねるのであります。最も事業予算の内容は、いわゆる建設改良に関しますところの工事的な予算と営業上の予算と二つありますからして、営業上の予算が今申します事業予算のむしろ経常的な予算でありまして、建設的なものに関しましては、国家資金との関係からして相当の拘束性を資金面からして持つことは当然でありますが、営業予算に関しましては、むしろ予算の弾力性は当然の問題と考えられるのでありまして、予算総則を通じてその範囲をきめるということは私にはどうも納得がいたしかねることを申上げたいと思うのであります。同時にこの予算は郵政大臣が責任を持つて検討なさると同時に、更に大蔵大臣が必要な調整を行なつて閣議の決定を経なければならないという規定が四十一条にあるようでございますが、これを事業予算の範囲、つまり営業予算、勿論建設予算と関係がございますけれども、郵政大臣のむしろ責任でありまして、大蔵大臣は資金計画、又それぞれの関係における長期短期の借入計画に関しましては国家の金融面との関係が複雑でございますからして、この面に関しまして大蔵大臣がいろいろ調整上の権限をお持ちになりますことは、これは当然と思われるのでありますけれども、事業予算そのものにまで大蔵大臣が調整を行われるという趣旨には私は理解しかねるものがあるのであります。と申しますのは、今申上げましたように、公共企業体が独立採算を以て中核体といたします場合には、事業予算の編成とその遂行が、実に郵政大臣以下の責任体制確立の場、方法でございますからして、事業予算に関しましては、郵政大臣の責任ということを明確にされる必要があるのじやないかと考えるのであります。以上予算編成の問題であります。
 次は、なおこの予算編成に関しまして、今申しましたように、工事予算は当然継続的に年限が長くなりますからして、継続費の規定が含まれておることは私は大賛成であります。これは従来はこの方面の規定がなかつたようでありますが、当然のこととして私は大賛成をする次第であります。
 次は、利益及び損失の処理に関しまして若干意見を申上げたいと思います。この法案によりますと、予算総則におきまして、すでに国庫納付金に関する事項も規定されておるようでありますし、更に六十一条に参りまして、公社は毎事業年度経営上の利益を生じました場合におきましては、その繰越した損失の補填に充てまして、残余があつた場合にはあらかじめ予算で定めるところにより国庫に納付すべき納付額を控除してから積立金として整理する、こういう国庫納付の規定があるようでございますが、公社を設立されていますことは、従来の公企業からして、公共事業体に変つて行くのでありまして、すでに営業或いは料金等につきましては、国家の厳重なる監督の下にいわゆる公共的性格を明らかにしたのであります。従いまして国庫納付金をいたします場合において、あらかじめそれを考慮いたしまして、例えば料金を高くいたしますとか、そういうようなことは不可能な事情になりまして、而も独占的性格からいたしまして、サービス等にいたしましても、国家の厳重なる監督を受けておるのでございますからして、まあ原則としましては、利益が上らなくてもこれは公共企業体といたしまして、国民の電信電話に対する利便を図るという趣旨は十分達し得ると思われるのでありますが、勿論コストを低下し、更に企業努力によりまして余剰を生じまた場合においては、これを国庫納付金として取上げるということに関しまして、この公共企業体の作られております経過からいたしまして、十分私には納得がいたしかねるものがあるのであります。と申しますのは、如何なる公共企業体でありましても、例えば専売公社のようなものは、これはむしろ税金を事業体を通じて稼ぐという大きな役割を持つておると思うのでありますけれども、電気通信事業は、一般電信電話へのサービス、利便、そういうところに趣旨が置かれておるのでございますからして、公共企業体として発足いたしましても、それに納付金制度を加味するということには非常な私は疑問を持つのでありまして、むしろこれは自己蓄積といたしまして、将来のコストの低下、サービスの向上等に経営者、総裁以下責任を持つてこれを利用するというふうに考慮をすべきでありまして、納付金問題をここに挿入することにつきましては、私反対意見でございます。と同時に、余りいわゆる野放しというような心配を生ずる虞れがあるといけませんので、これはさつき申しましたように、予算制度を通じまして責任体制を明らかにするのでありますからして、十分事業内部におきまして責任を持つて能率的運営、殊に利益が出ても全部積立金にするとか、利益を納付しないということからして、無駄とか、そういう心配のないように、企業内部におきまして十分の監督制度というものを確立することが、これとの関連において考えられるのではないかと思うのであります。と申しますのは、すでに大蔵大臣或いは会計検査院等からいたしまして、いろいろの外部からするところの、勿論国会も当然でありますが、監督が行われておるのでありますか、公社自身の制度といたしましては、第七十一条におきまして、会計規程を通じまして、その中味を明確にする制度をとるのであります。そうしてその結果を今申しました会計検査院なり、大蔵大臣なり、国会なりに報告する制度が、いわゆる経営者としての、総裁といたしましての管理制度になつているのでありますが、この会計規程は私の拝見いたしましたところでは、飽くまでいわゆる財務会計規程でございまして、内容を正確に明示するという点に中心がおかれておりまして、能率的運営に関するところの会計規程としては必らずしも明確でないようであります。尤も裏返しに読みまして、公社の事業を企業的な経理、予算の適正な実施に役立つように会計規程を定めるという意味におきましては、若干管理会計的な規定も考えられているのでありますが、今申しました納付金制度を排除する代りと言いますか、排除することに対しまして、企業体としまして責任を持ちますためには十分進んだ現今の管理会計規定を規程のうちに明確にすることによりまして、例えば内部監査制度のようなものを取入れまして、一層その責任制度を明確にするということが考えられるのではないかと思うのであります。これとの関係におきまして、やや内部に入りますが、総裁、副総裁各一名になつておりますが、こういう電気通信事業のような大規模の運営におきましては、アメリカ等の実情を見ますと、その執行面に関するいわゆる副社長、バイス・プレシデント、これをいわゆる内部統制をいたします、インターナル・コントロールでありますが、副社長というものが明確に分かれておるのであります。つまり執行面の責任者と、スタツフ面と申しますか、そういう監督面の責任者が明確に分れているのでありますからして、できるならば私は総裁の下に副総裁二名を置きまして、一人は執行面に対する責任者であり、もう一人は内部統制、管理経営の面から事業の合理的な面を明確にするところの会計規程を監督する副総裁を置くことが一般の理解を容易にし、内容に対して信頼を持ち得る重要な制度と考えるのでありまして、そういう面を会計規程の上においてもう少し織込まれることを希望する次第であります。
 最後に、国内の電信電話事業に関しましては、いわゆる公共企業体としての公社案であり、国際電信電話に関しましては、先ほど委員長の御説明のような株式会社にしまして、全く私業体制に切替えられるということでありますが、この点に関して私は若干疑問を持つのでありまして、恐らく国内電信電話と国際電信電話とは、性格上から言いまして相当な相違があると思うのでありまして、行く行くは国際電信電話も株式会社にしまして、すつきりした私業体制を取入れるということに賛成なんでございますが、今にわかに両者を切離して、片方は公共企業体、他方は私企業とすることには若干の疑問があるのでありまして、先ず両者を取りあえずやはり公共企業体にしまして、従来の公共企業としてのいろいろの非能率、官庁経営に伴うところの欠点等を是正する最もいい過渡的な経営におきまして、公共企業体制度もやつぱり国際電信電話会社に取入れまして、国際電信電話も同時に公社として発足し、暫らくの余裕を見まして、国際電信電話会社はこれを民営に切替えるという漸進的な行き方をとられることがむしろ合理的ではないかと考えるのであります。
 以上簡單でございますが、私見の一端を述べた次第でありまして、日本電信電話公社につきましては、今申しましたような若干の点を除きましては全く賛成でございます。
○委員長(鈴木恭一君) 有難うございました。次は江尻進君。
○公述人(江尻進君) 日本新聞協会編集部長をやつております江尻進であります。本日公聴会に付議されました両法案について、言論界代表として意見を述べよという仰せでございましたが、私のほうの協会といたしましては、正規の意思決定機関であります理事会を開く時間的余裕がございませんので、主な新聞通信社五社の責任者の会合を求めまして、この法案を研討いたしまして、一応の見解を取りまとめた次第でございます。以下申述べます内容は、これに対しまして大体言論界の意のあるところを体して所見を述べる次第でございますが、言論界代表という意味をそのような範囲においておとり願いたいと思うのであります。
 結論から申しますと、両法案に対しては、若干の条件を付けますけれども、賛成でございます。この電信電話事業は、申すまでもなく我々の仕事であります新聞、ラジオなど、民衆に事実や意見を伝える仕事をする、いわゆるマス・コンミユニケーシヨンの機関、そういう機関の機能を十分に発揮させるところの原動力になるものでございまして、又これによつて社会が初めて成立するという基礎的な重要な働きをするものと考えるのでございます。そういう意味におきまして、誠に社会的に重大な影響のあるものでございますから、その運営の適否に対しては、我々言論界としては非常な関心を持つものでございます。ところでその両法案提案の理由は、いずれも活溌な企業活動を促すために公社乃至株式会社を作るという趣旨でありますが、今度の改組はそういう方向に一歩でも前進するならば誠に結構だと存ずる次第でございます。理想的に申しますれば、電信電話はすべて民営として、而も独占企業の形を打破することによつて本当の意味のサービスの改善向上があると信ずるものでございますが、今回の案が現在あるところのいろいろな制約から一挙にそういう理想案に進まないまでも、将来そういう形に進むことを期待するものでございます。以上の立場から申しまして、我々が期待しているところは、この改組によつて電信電話が十分に与えられたところの社会的機能を果し得るようになるかどうか、これを又別な言葉で申しますれば、サービスの改善に役立つかどうかということに関心を持つものでございますが、そういう観点から若干の希望を申上げておきたいと思うのであります。
 第一は、この公社にしろ会社にしろ、設立する際の資産の評価をできるだけ切下げて、適正な価額で見積つてもらいたいということであります。現在あるところの資産は、戰災その他で相当消耗しておりますし、国際的な水準から見れば価値の低いものではないかと考えるのでございます。又種々無駄な施設も附属しておるのではないかと考えるのでございますが、こうしたものをそのまま両機関に高い帳簿価額で引継ぐというようなことになりますると、将来の営業原価は非常に高いものになるのであります。これが結局料金を引上げる結果になるわけでありますが、そういう点について両機関とも十分の御考慮を払われることを希望する次第でございます。又施設と同様に人的な問題でございますが、仮に施設を非常に能率的なものにし、外国の企業体がやつていますように機械化することができますれば、現在水ぶくれしておると考えられるような人員も、そのまま維持する必要がないのじやないかと考えられるのでありますが、こうした点も施設と同様に十分検討を加えられんことを要望する次第であります。
 更に国際電信電話公社につきましては、政府の現物出資に対して与えられた株式は、政府が処分することになつております。この処分のやり方如何によつては、厖大な政治資金が公然と与
えられるというような結果になるのではないかということを憂えているのであります。そういうことがないように、あらかじめ十分一の考慮を払われることを希望する次第であります。そういう事態は容易に起り得るようなことがこの法案から予想されるのでございますが、新らしい機関が発足の当初において、そのような不正な取引の対象となり、国民に不当な経済的負担を負わせ、その信を失うことになりますと、この企業体の将来は憂慮すべきものと考えるのでございます。曾つて満鉄で行われましたような、政府の政治資金捻出の財源化しないということを特に希望して置きたいのであります。又そういう意味ではその株式の処分に当りましては、一部のもの、殊に一部の電気通信のメーカーなどによつて株式が独占せられないということについても、十分の御注意を願いたいと存ずるのであります。
 第二の点は、二つの両方の組織とも総裁や社長に対してできるだけ外部からの干渉統制を少くしまして、成るべく広く運営上の権限を持たせ、これによつて自由に施設の改善を図り、サービスの改良を来たすということをやつて頂きたいと存ずるのでございます。殊に公社には経営委員会というようなものを作りまして、経営の責任がどこにあるかということがはつきりしないような組織になつております。又これによつて経営能率が阻害されるという仕組になつておるように見受けるのでありますが、この委員会は不適当のものと考えるのであります。できればこの委員会を廃しまして、総裁以下役員に経営上の一切の権限を持たすべきではないかというふうに考える次第でございます。殊に利益金を挙げました場合に、これを国庫納付するというようなことをやめまして、この利益金は企業運営上に最大限度に利用できるような権限を総裁に与うべきものではないかというふうに考えるのであります。又理事の人員、人数というものは制限の規定がないようでございますが、一般の団体の規定と同様に何名以内というふうに明記すべきものではないかと考えるのであります。又両機関とも経営幹部の人選につきましては、昨年来電力会社の人選で問題になりましたような、そういう醜態な事態にならないよう、何人にも納得できるような公正な人選が行われることを希望するのでございます。又公社の経営委員会を仮にどうしても設置しなければならないという必要があるといたします場合でも、その委員の任期は全部不同なものとして、一度に全員が交替しないような制度にされることが望ましいと考える次第でございます。
 第三の点は、これはこの法律に直接関係はないかとも思うのでありますが、改組に際しましては、経営の方式を従来の官僚的なやり方を一擲しまして、あらゆる面においてサービスの向上を図られるように希望する次第でございます。専売公社とか、国鉄の場合では、これは成るべく多く売りたい、或いは多くの客を輸送したいというような意図がございますが、電信電話の場合にはそういうことは余りなくて、特権化しているという傾向がありますので、そのようなことが期待できないわけでございますが、それでサービスの重点を復旧度を高めるということに置いて頂きたいと存ずる次第であります。又一例を申上げますと、電話の技術など明治時代に作られたものをそのまま今日にも適用して極めて煩瑣な手続をやつているようでございますが、この改組後は窓口、現場と経営の本部との中間段階を成るべく少くしまして、現場の責任において最小限度に処置ができるよう、即ち利用者によつてできるだけ便利のような規定を造つて、そのような運営方針をとられることを希望する次第でございます。
 以上でございます。
○委員長(鈴木恭一君) 有難うございました。次は進藤誠一君にお願いいたします。
○公述人(進藤誠一君) 私は長く逓信省におりまして、電気通信が一般会計から特別会計になつた時代を通じまして電信電話の事業に従事いたしたのでありまするが、その後満州電信電話株式会社に参りまして、その運営に携わつたものでございます。併し終戦と共に長らく事業を離れておりまして、最近の事情につきましては、よく存じていないのであります。このたび両法案を拝見いたしまして、この両案につきまして意見を述べる次第でございますが、結論はその趣旨におきましては賛成でございまして、最小限度二、三カ所国会において修正を願いまして、賛成したい、こういうのであります。
 先ず企業形態でございますが、私は電信電話の企業形態は公社がいいと考えます。従いまして将来これを純民営に持つて行くということにつきましては反対であります。公社というアイデアは最近アメリカから入つて来たように説明してありまするが、実は満州ではよほど前から公社の観念で事業が運営されておるのでありまして、古いことを申しますれば、満鉄がこれが公社の精神を持つておるものと思われますが、それは別としまして、昭和八年に満州電信電話株式会社というものが半官半民の形においてできました。これは形式におきましては民間株式会社の形態をとつておりますが、その実質におきましては今日言われておる公社であつたと私は信じます。なおそれから少しいたしまして、満州に満州拓殖公社というものができまして、この会社でははつきりと公社という名前を表面に出しておるのでありますが、私の経験では、満州では満鉄、満州電電、満拓、この三つか今日いわゆる公社的な運営をいたしたものと信じております。それで今回の両法案を拝見いたしまするというと、かように考えます。私どもの従事した満州電電株式会社はこの日本電電公社と国際電信電話株式会社との丁度中間に位しておるのでありまして、従いましてこの公社のほうは満州電電よりも幾らか国営に近いのであります。それから国際電信電話株式会社のほうは満州電電に比べて民営のほうに近くなつておる、大体かようなことになつておると思います。そうして私はこの電信電話という事業の本質から見まして、この事業の経営形態は公社が最も適当であつて、国営も民営もよくないと考えます。
 それではこの電気通信事業の本質、即ち一体性、それから自然的独占性、それから強度な公益性、これから来る当然の帰結でありまして、公益性と能率的経営を併せてやるのは、古い言葉で申しますれば士魂商才と申しまして、どうしても国営の精神を持つて民営の才能を加えてやる、この形態しかないと考えます。国営でありますと、いわゆる士族の商法という言葉がありますが、民営につきましても、これは英国の言葉でありますが、こういう言葉があるのであります。マーチヤント・イズ・ノツト・グツド・キングということでありまして、商人はよい王様ではあり得ないのであります。公共性の確保ということは商人の経営によつては確保できない。こういうのでありまして、どうしても公共的の精神を以て民営の才能を加えてやるということになりますれば、公社の形態に落着かざるを得ないのであります。民営万能のアメリカにおきまして、最近公社という観念が続々と現われて来たことは、この理由なきでないと考えるのでありまして、今日我が日本におきまして、この企業形態を考える場合に、この点ははつきりと私は明記して置く必要があると考えます。その意味におきまして、この法案の国際電信電話株式会社のほうは、これは形から言いますと、民営の形態をとつておりますが、内容を検討いたしますれば、私はこれはやはり実質は公社に近い、かように言つてよいと思います。従つてこの国際電信電話株式会社のほうも、運営よろしきを得れば、これはこれでも差支えない、かように考えるのであります。それからちよつと附加えて置きますが、私の今形態を申しましたのは事業全体のことでありまして、電信電話におきましては、工事の機械設備をやる、このことが非常に民営の主張の大きな原因になつておるようでありまするが、私の言うのは、この設備につきましては、純民営でどしどし競争でやつてよいと考えるのであります。何らそこには公共性もなく、経済的運営でよいのであります。ただこの設備なり工事の請負をやるにつきましては、何らの法律的立法は要らんのであります。どしどし普通の民営形態においておやりになつたらよいと思うのであります。そのことを誤解のないように附加えて置きます。
 それから第二に、この法案の目的といたしておりますところは、要するに電信電話がよくなるように、電信電話が早く付くように、サービスがよくなるようにということであります。電信電話のサービスが悪いということは、これはもう私どももよく知つております。同じ通信事業にいたしましても、戦後郵便はよほどよくなりました。それから同じ電信電話のうちでも電信のほうは幾らかよいのであります。電話が一番悪い、これはどいうわけかと言いますると、殊に郵便は要するに人手でやるサービスでありまして、機械設備を余り利用しないのであります。従いまして人の訓練指導がよければ早く立ち直つてよくなるのであります。電信も電話と比べれば機械よりも人に依存するところが多いのであります。国営と民営とは、国営必ずしも悪いということはないと思います。私は電信電話のほかに簡易保険の関係にも長く従事しましたが、保険事業におきまして、民間の保険と簡易保険と比べて簡易保険はこれは口幅つたいようでありますが、民営よりも能率を挙げ、好成績を挙げておると思うのでありまして、国営なるが故に民営よりも劣る悪いということは、私はこういうことは言えないと思います。然るに電話がかくのごとく悪いのはなぜかと言いますると、それは要するに人に依存することが少く、機械設備、技術に依存する事業であるからであります。この電話が悪いということは今日非常に悪いと言われまするが、今日始まつたことではないのでありまして、数十年前私どもが携わつて、一般会計及び特別会計を通じて、あらゆる時代に携わつたのでありますが、いつでも電話が満足に付いたことは一回もないのであります。これは一体どういうことであるかと言いますると、その原因はどこかと言いますると、先ずこういうふうな機械設備をする事業におきましては金が余計要るのでありまして、収益が挙り、利廻りも民間企業と比べて劣らんくらいの利廻りはあるのでありまして、従つて我々は公債によつてやるということを主張するのでありますが、政府は公債を許されないのであります。それから公債を許されなければ、みずから働いて利益を蓄積して、これによつてやろうということを考えますが、これ又予算を縛られ決算を縛られ、そうして収益を国庫にとられてしまうのであります。これは一般会計のときは幾らとられたか、殆んど表面の数字も出んのでありますが、日本では長らくこの電気通信事業特別会計の収入を絞りとるということに昔からなつておつたのでありまして、特別会計になりましても八千二百万円という、毎年、当時の金にすれば大きな金でありますが、納付金をとられたのであります。その八千二百万円ときめられてあるのでさえも、やはり大蔵大臣の査定権によつて一億円になり、二億円になり、最後は八千二百万円と書いてありながら、二億五千万円も一年にとられておる状態であります。これがこの電話が今日まで悪い原因であります。この点が直らない限りは、如何なる形態ができても如何なる法案ができてもよくなりません。それでは今度の両法案がその点がよくなつておるかと言いますると、若干よくなつておりまして、電信電話債券を発行することができる、或いは外債を政府で補償するというような点もありまするが、これ又それではそれによつて一体資金が本当に集まるかと言いますと、これ又今日の日本の経済状態では大して期待はできないと思います。従いましてどうしたらよくなるかと言いますと、従業員、経営者が非常に働いて能率を挙げて、そうしてみずから資本を蓄積してそれを建設のほうに廻すことしか私はないと思います。それではその点が今度の法案によつてよくなつておるかと言いますると、これ又若干はよくなつておつて、例えば予算に弾力性とか、或いは給与総額の範囲内で能率的な給与を従業員にやつていいとか、いろいろ挙つておりまするから、その点は趣旨においてよくなりまするが、ところが依然としてこの法案におきましても、予算の査定権は大蔵大臣が持つており、そうしてこの予算の決定その他会計の細目手続はやはり大蔵大臣がこれから定めると書いてありまして、この法案に明らかでないのであります。そういうことになりますと、私はこの法案そのものでは非常にいいものになつておりますが、実際今後のやり方如何では又昔のように元の木阿弥になる虞れが多分にあるのではないか、その点をこの法案において、そういうことがないようにするということが絶対に私は必要であると思います。その規定は六十一条のあの納付金を納付する、これは現在独立採算でこんな規定はないのであります。現在よりも更に公社にして改悪しようというのでありまして、これはどういうことか甚だ合点が行かんのでありますが、こういうことは絶対に、今さえないのに改悪して規定を加えるというのでありますから、一体この公社法案は電話をよくするのやら悪くするのやら甚だ私は疑問に考えます。これは是非修正して頂く必要があるのでございます。それから予算の査定権、予算の規則の手続の細目の決定ということも、これ又郵政大臣が責任を持つて大蔵大臣と協議してやるべきである、大蔵大臣が決定すべきものではこれ又ないと、この点も修正を要すると思います。
 それから第三にもう一つは、今度のこの公社法案と共に国際会社法案が二つ並んで出ておるのでありまして、このために非常に複雑にいたしております。国際会社ができた以後の公社の収支予算がどうなるかということもはつきりさせておりません。それから又国際電信電話株式会社のほうの事業目論見書も定款も付いていないのでありますから、的確な意見は申上げられませんが、ただ私が指摘しておきますのは、国際電信電話会社ができることによつて公社の収入には大穴があくということであります。それは今の電信事業でありますが、電信事業は今でも赤字でありまして、僅かに国際電信において黒字になつておるので、国内電信は全然赤字であります。その黒字である国際電信を会社へ持つて行くのでありまして、残る電信は赤字を更に赤字にするのでありまして、これに対しましては一般会計からでも繰入れるということがない以上は、どこから出すかというと、電話がその損失をカバーするほかないのであります。そうしますると、電話の建設に持つて行くべき金、電話のサービスをよくする金はそれだけ減る。従いまして国際電信が会社へ行つたために公社が電話をよくしようというほうは却つて悪くなるのじやないか、かように私は考えます。そこでこの点と公社を犠性にしないで国際電信電話会社を作るということができるならば私はよろしいと思いますが、それはどうしたらいいかと言いますると、国際電信電話会社の株は一応は公社が持つのであります。ところがこの法案によりますと、附則の二十項、二十一項、二十二項でありまするが、皆これは政府が処分してしまつて公社には持たせないのであります。そうしますると、儲かる事業をとられる、それによつて受くべき配当もとれなくなつてしまう、これは一体どういうわけか甚だわからんのでありまして、これはせめて国際電信の有利な株を公社が持つて、それから配当を受けて電信に流す、従つて電話のほうの犠牲のないようにすることが必要じやないかと考えます。この点を修正する必要があると思うのであります。
 それから次に国際電信電話会社の性格でありますが、これは一体何のために作るかと考えて見ますると、昔国際電気通信の設備の会社があつたのでありまするが、それは政府が国際電気通信の施設をやるのには莫大な金がかかつて政府の予算ではできない、そこで会社を作つてこれをやつたのでありまするが、そういう沿革があるのでありまするが、今日この会社はなくなつております。ところが今度作ろうという会社は一体国際電気通信に莫大な設備、資本が要るかと言いますると、昔のようなそういう理由はないのであります。大正十三年当時は長波時代でありまして、一つの無線局を作れば非常な金がかかるというので民間の資本を借りたのでありまするが、今日は短波でありまして、そんな大きな資本がかかるわけはないのでありまして、今日電信電話で金がかかるのは電話でありまして、一番金のかかる電話を公社でやるのでありますから、金のかからない国際電気通信をそういう意味において民営にする必要は出て来ないのであります。では何がその国際電気通信を民営とした理由かと言いますると、これは私の考えるところによりますれば、これは、国際貿易その他日本の平和的海外進展に貢献するということにあると考えます。この理由にも少し書いてありまするが、海外情報政策或いは貿易の進展のみならず、私は国家的に今後の国民外交を進めて行くというようなところに、主として国外折衝、外国との国際折衝のために自由に活発に活動をすることができる運営形態が必要である、こういうところに理由があるのであろうと思います。そういたしますると、この国際電信電話会社の性格は非常に強度の公益性を持つたものであります。国家的な公共的な使命を持つたものであると考えざるを得んのであります。そうすれば国家が株を持つて、そうしてこの会社に対する指導、監督権を十分に持つてやることが必要であるのではないか、ただ儲かればよいという、いわゆる民営に期待すべきものじやない、即ち私の言うこれも公社的性格を多分に持つた会社であるというわけであります。そういう意味において、今日講和が発効した今、日本の平和的海外発展を企図するときに、この会社を作ることは私は賛成でありまするが、この公社との関連において多々考えるべき点があるのではないか。で、その一つは、先ほど申しました株を持つことを禁じてあるのを解くということでありますが、なおその他私は古い考えかも知れませんが、こういう会社を許すことは国家の公企業を特許するのであるから、多くは五十カ年とか、三十カ年とか年限があるのでありますが、それは不適当だと考えるならば、これを将来国際情勢の変化等によりまして、必要があれば、これを国営、若しくは公社に戻すということが必要ではないか、何となれば、この国際会社を作る理由は私は永久的なものではなく、国際情勢が変つて、却つて公社のほうがよい、国営のほうがよいというようなことが起らないものでもないと考えまするから、そういう場合に問題を紛糾させないために、何か買戻し条項というようなものがあるほうがいいじやないかとも思いますが、併し、この点は今日の憲法で、法律で作つた会社を又法律でやめさすことは、そんな規定は要らん、こういうことならばそれでもいいかと思います。それから今のような性格であると考えますから、これの経営に対して、国家が指導権を持ち、殊に重役等の選考について認可制を行なつておりまするが、これ又当然でありまして、公社のほうには総裁の資格制限が随分挙つておりますが、このほうには何らない、ないけれども、この会社の使命から言いまして、国際会社のほうも十分立派な、この目的に副うような資格がなくちやならんと考えます。この点は郵政大臣の認可制に期待しておるのであります。もう一つの疑問は、国際電信電話会社のほうは、国際通信においては一体独占なのか、独占でないのか、独占らしくもあります。独占らしくありますから、他の会社が国際会社を作ることは禁ぜられておるようでありますが、公社が国際通信をやる場合には禁止がないのであります。これは一体公社と国際電信電話会社とが、国際通信で競争させるという御趣旨かどうか、甚だ不明でありますが、仮に競争させるとすれば、アメリカ等のごとく、二つの無線系統、RCAとか、マツキーというようなものであるものならば立派に競争できるのでありますが、そうでない以上は、例えば、仮に無線は国際電信電話会社がやる、海底線は公社がやるというのでありましたならば、これは競争にも何にもならんのであります。海底線は過去において、十九世紀においては非常な優勢なものでありましたが、今は儲からん、極めて不利益なものであります。無線には到底太刀打ちできんのであります。従いまして公社が海底線をやつて、会社が無線をやるというのでは競争にもならんのみならず、公社のほうが又マイナスを加えるのでありまして、そういう点についてどういうような案が今後出て来るのか、それについて私は知りませんから、ただここでこの点だけを注意として申上げて置きたいと思います。
 以上私の申上げる点は大きいことだけにとどめたいと思いますので、これで終りますが、なお一つ、二つ御注意願いたいと思いますのは、一つは公社のほうは、とにかく形においては民営でありますから、労働法規におきまして、一般の民営の企業に対するものである。そうしますと、ストライキはできることでありますが、通信のごとき事業が一日たりとも止まるということは許されんのでありまして、この点に対してどういう措置が考えられておるかということが大いに考慮せらるべき点であります。それからもう一つは、これも本法案には直接関係はないのでありまするが、旧国際電信電話設備会社でありましたね。それがGHQの命令で解散をさせられて、政府がそれを引継いだのであります。そのときの評価というものについて、旧株主の間に相当不満があるようでありまして、今度国際電信電話株式会社ができる機会において、何らかの措置を要望しておるように私どもの耳にも入りました。これにつきましては、私は事情を全然知らないのでありまして、当時の事情は持株整理委員会、笹山委員長でありますか、あのかたなどは一番よく御存じだと思います。又株主の代表にも質して頂けばよくわかるのでありまして、これは愼重に御考慮を願いたいということだけを申添えて置きます。以上簡単でありますが……。
○委員長(鈴木恭一君) 有難うございました。次に横山利秋君にお願いいたします。
○公述人(横山利秋君) 私は国鉄労働組合の企画統制部長の横山であります。公述をいたします前提として、この法案が立案されるに至つた要件について二つ先ず申上げてみたいと思うのであります。
 その第一は、民営移行論についてであります。今日までこの民営移行論がやはり終始つきまとつており、この法律案においても、片一方は民営的なものでありますが、片一方の公社法案についても、将来においてその雰囲気がなしとしない。政府の提案理由はこの点につきましては、第一に公社法案は全国に亘る厖大な組織及び設備を有し、且つ巨額の事業費を要する公共企業であることが第一、第二番目には強度の公益性、技術的統一性及び自然的独占性を有する企業である。第三に民営は公租公課の賦課が加わり、経営合理化をしてでも料金値上を招来する。年々巨額の拡張資金を民間資本にのみ求めたことは、日本の資本蓄積の状態から見て望み得ないことなどを挙げまして、運営形態が適当でないということを言つておられるのでありますが、一方においてそれらの理由に何ら変るところがないにかかわらず、国際電信電話事業を国営から切離して、国際電信電話株式会社に分離し、民営形態として別に法律案を提出せられておるわけであります。まさにこれは自家撞着に陷つて、これがために今後の電気通信事業に幾多の不安定性を与えておることは、私は疑いを入れない事実であろうと思うのであります。本来公共企業体そのものは民営形態に適しない、こういう前提に立つて立案され、制定され、運営されなければならないと信ずるのでありまして、この意味からこの法案の基礎条件が社会大衆、又直接これに従事する労働者諸君に対して、なお今日においても疑義を与え反対をもたらしておるゆえんであろうかと思うのであります。
 第二番目には、公共企業体というものが日本における発達の歴史がまだ目が浅いのでありまして、今主として社会的基盤の異なるアメリカにおける公共企業体の形態、運営をまねて考えられておるところであります。而もこれは昭和二十二年のあのマツカーサー書簡が発せられた際に、僅か二、三行、そこに国鉄、専売が公共企業体に代るのがよろしいのだ、こういうふうに書いてあつたために急遽国鉄、専売が根本的な検討と批判の結果、十分な検討を加えるといとまもなく、今日の国鉄、専売の日鉄法それから専売公社法ができたのであります。今回のこの法案は多分にこういう倉皇の間に生まれた国鉄、専売の両公共企業体の法案の形態並びに運営と混ぜたのであります。実質的には殆んど変るところがないと思つておるわけであります。こういう建前から行きまして、私ども国鉄に従事しておる者或いは専売の諸君もそうであろうかと思うのでありますが、この不合理な国鉄法或いは専売公社法のこれをまねて立案制定をせられようとしておることにつきましては、不合理な運営を熟知しておる我々にとりまして、又それに関係する関係者にとりましては、誠に、極言すれば、ばかげたことである。これは誠に遺憾なことである。こういうふうに考えざるを得ないのであります。聞くところによりますると、当時におきましては、或る程度現在の国鉄、専売のあり方と矛盾を解決するために案が幾つもできたそうであります。併しながら今日ここに私どもの手許にあります法案というものは、全くその初志は消えてしまつておるわけであります。若しこの法律がこのまま立法されるに当りましては、国鉄、専売の自主性なき公共企業体経営四カ年間の苦しみの歴史を、これからこの電通公社並びに関係の従事員が辿られるということを考えますときには、私は同情をし、且つ誠に憤激を覚えざるを得ないと思うのであります。以上この二点が、この法案制定上の二問題であると私は考えております。特に公社につきましては、関係当事者としてもう少し詳しく述べまして、この法案に対する皆さんの深甚なる考慮を促がしたいと思うのであります。
 第一に、二十二年のマツカーサー司令官から出されたいわゆるマ書簡は、明らかに当時日本における共産主義勢力に対する、これを弾圧するためにのみ大きな理由を以て出されたのであります。即ちマツカーサー書簡は、当時の政治的考慮を以てなされた現実的な効力を中心としたものであると考えられるのでありますが、然るにその書簡の中にあつた政治的行為の中から生まれた趣旨において国鉄、専売を公共企業体にするという、それが適当であるという文章によつてにわかに研究がなされ、研究の完成を待つ間もなく、占領軍の数々の示唆を受け、勧告を受けて、国鉄、専売は公共企業体として発足をいたしました。ですから今日においても、或いは当時におきましても、純然たる経営論から言うならば、国鉄専売或いは電通ばかりでなく、まだまだほかに公共企業体の対象として考えられるべきものは、純然たる立場から言うならばあるはずであります。ともあれ、このような倉皇の間に研究と準備の不足のままに国鉄、専売は多くの矛盾と副作用を生ずるに至りました。即ち電信公社法案が生まれたところの日鉄法によりまして、国鉄の財政上の自主性は認められません。而もその中でその独裁性を鋭く追及されました結果、建設改良等の工事は渋滞し、技術研究部門は縮小されましたし、労働者の労働条件は一大打撃を受けましたし、補修政策は地方路線の修復や設備改善の停頓と犠牲によつて行わざるを得ない羽目になりました。特に従事員の伝統的な訓練制度も大きな支障を受けましたために、直接的な原因がほかにあるとは言いながら、悲惨な桜木町事件の惹起を招くことになりましたのは、当国会の行政監察委員会或いは予算委員会において、指摘、勧告を受けたところであるのであります。今回この法案が殆んど日鉄法と同様、財政的行為に対して詳細な規定による制限を加えていることに対しまして、このような点の反省を加えられるように切に要望をいたしたいと思うのであります。
 次に本法によつて、この郵政省、電通省の機構の大改正となると思うのは当然であろうと思いますが、この点についても国鉄の二回に亘る機構の改正が各方面において大きな批判を呼んだことを一つ御考慮願いたいと思うのであります。これは一つには企業の運営が従来のそれと異なつて、実質的に運輸省が行政監督の立場に立つこととなつたことと、大体内部組織におきましても、基盤の異なるアメリカの企業運営をまねまして、例えば資材、経理、営業等の各部門の上下の系統を直接輸送部門から切離したこと、そうして上下の機関を地方管理局と管理部を別にしまして……、一つにしまして、四段階制から三段階制にいたしましたこと。二十七の管理局を通して設置したこと等によるものであります。このことは公共企業体として責任制を確立する、こういうことを主たる理由としたのでありましたが、却つてそれぞれのセクト制の擡頭を招き、各部門がそれぞれ自主性を強調する結果となり、円滑な総合一貫性を欠く結果となつてしまつたのであります。このこともやつぱり日本における公共企業体の総合的研究と、各企業における歴史的事情というものを尊重しなかつたゆえんであろうと考えるのであります。財政上の自主性がなくなつたこと、それから本年度におきましても十分に保証されていないこと等は労使の関係に大きな影響をもたらしております。例えばこの法案が三十六条において、公労法の適用を受けるべく規定をされているのでありますが、又財務会計の項において数々の規定がなされているのでありますが、これらのことは公社当局が今日の国鉄当局と同じような団体交渉や、その他労使の紛争において国会の議決による給与の総額内という制限、七十二条でありますが……、によつて本質的に統治者能力を失つているのであります。今日まで国鉄における賃金紛争が、必然的にすでに両統治者間におきまして真摯な交渉が行われない。当局側は、私は統治者能力が余りないからと言つて逃げを打つ。どうしてもそれが政治問題となつて国会の論議となる結果をもたらしているのであります。私どもは終局的に言つて公共企業体でありますから、国会においての最後の議決となることについては、必ずしも否定するものではありません。併し少くとも今日までの紛争の欠陷を補うためには、七十二条を削除すると共に、公労法の十六条、三十五条を改正いたしまして、仲裁裁定が公社及び政府を拘束することになることなく、労資の賃金紛争をより迅速且つ誠意を以て解決できるようにしなければならない、こういうふうに確信をいたしておるのであります。本法案の御審議に当つては、そういうところを併せて御審議を願い、七十二条の改正をもして頂きませんと、仏作つて魂を入れない結果になると考えるのであります。
 そのほか国鉄における体験を詳述いたしますと限りがないのでありますが、ここに言いたいところのものは、今申上げましたように、この法案が正しい意味の公共企業体としての立案でなく、以上のような歴史の中に不完全且つ不備な国鉄、専売に類似して立案されたことが最も大きな欠陷であるということを指摘をいたしたいと思うのであります。私どもは最初申上げましたように、公共企業体というものは民営論議が成立たない前提の下にこそ立案をされ、且つ運営をされなければならないと確信をいたします。そして国民大衆のために社会公共のためにこそ考えられなければならないと思うのであります。そのためには年々の収支のバランスだけを追及する狭義な独立採算制は排撃されなければなりませんし、そのためには一部の政党や一部の資本家の利益に奉仕することだけは絶対に排撃をされなければなりません。それにもかかわらず、この二つの点が今日なお例えば国鉄におきましては、鉄道及び社線の、元の社線の自動車路線の払下法案として国会に出て来たり、煙草の民営論が出て来たり、或いは又国際電信電話株式会社法案となつたり、会社の人事が政党の都合のいいように立案され、或いは運営されたり、形式的な独立採算制を以て補給金をやらん、借入金も余り出さん、建設公債の発行はなかなか承認しない、郵便料金は上げない、すべて自前で解決しろ、こういうふうに強要されておるのであります。こういうようなことでは、公共企業体は何らの積極的な運営をも期待することはできないと考えるのであります。全電通労働者の諸君はもとより、関係の諸団体がつとに電信電話事業の再建の方式を提案し、建設的な方向を推進しておる熱意は大いに尊重されるべきであるにもかかわらず、以上のような現実がこれらの熱意を冷却させ、勤労の意欲を蹂躪しておることを十分お考え願いたいと考えるのであります。公共企業体は国民大衆のために能率的な運営を図る意味においては私は十分に考えなければならんと思います。そのためには無駄とむらと無理とは、まあ簡単な表現をいたしますと、こういう三つの点を廃止しなければなりません。我々は本来の完全な国営においても、所期の目的は達し得ると考えておるのでありますが、率直に言いまして、今日の官僚の学閥或いは権力追従主義等においては、容易に払拭は困難であります。その場合においての公共企業体は第一に無駄をなくすることであります。これは法案並びに運営の面において具現をされるようにお願いをしたいと思います。それはどういうことかと言いますと、政府や国会或いは郵政省による二重三重の監督や束縛を最小限度にとどめることが第一であります。又内部におきましては、管理機構を縮小して現場における運用を全からしめることであります。そうして公共企業体の自主的な一元的経営を図り得るようにすることであります。第二番目のむらをなくするために長期の建設計画を立てさして、それに向つて全努力を集中できるように財政上の自主性を認め、且つ政府による人事容喙の制限をしないことであります。第三番目の無理という点につきましては、労働条件の犠牲による企業運営や狭義の独算制を追及する無理を廃しまして、従事員の積極的意見を取上げて、これを伸長せしめるようにして頂きたいと思います。こういう点が排除されますときに、公社は本当に魂が入つた建設的な、いわゆる政府が一応提案理由に挙げております内容を私は貫くことができると思うのであります。
 抽象的ではありますが、以上の前提に立つて私はこの法案に対して具体的な結論を述べたいと思います。第一には、日本における電信電話事業の安定と発展を、又これから大衆のために建設的に推進するためには民営論議を払拭することであります。このような疑念が今日なお存する限りにおいては、公共企業体は基盤を確立し、関係する従事員の協力を得て健全な発展をすることはできません。従いまして私は国際電信電話株式会社法案に対しまして反対をいたします。まさにこの法案は最近の政策の多くがそうであるように、儲かる企業は国から資本家に移して行き、儲からない企業は狭義な独算制を強要して行く、こういう資本主義的な本来の利潤追求の現われと私は見ておるのであります。この法案によつて国内通信との有機的な連携は著しく阻害されるでありましようし、利潤追求の結果、却つて実質的なサービスは落ちるでありましよう。関係労働者は身分上に大きな犠牲を強いられることは必然であろうと考えるのであります。又この際電通の当局が最近次々と建設倉庫、輸送等の傍系会社を設立をされるようであります。電通事業の一部をこういうふうに少しずつ切離して行くようなやり方につきましては、注意を喚起いたしまして、電通事業の総合的立場を失うことのないように希望をいたしたいと思うのであります。
 第二番目には、この日本電信電話公社法案について結論的に申しますと、仏作つて魂を入れない、こういう意味において私は反対をいたします。魂を入れなければ駄目だ、こういう意味であります。具体的に申しますと、第一には経営委員会についてであります。国鉄にも管理委員会がございます。経営委員会は一つの考え方だとは思うのでありますが、この特別な決定機関を設置しながら、国及び国会より受ける法規上の束縛に重要な改正が現行の国鉄に比して何ら認められておりません。ですから一生懸命にやろうと思つた経営委員が先ほど述べられたように報酬はなし、それからきめたことは国鉄、専売と殆んど同様に、国、国会或いは又関係省から制限を受けるというふうになりましては、何のために経営委員会を設けたのか、その意義たるや誠に失われて行くと思われるのであります。ですから若しこの経営委員会を設けるならば、これに権威を持たして、第四章財務会計の項においては、公共企業体の自主性を設けるように大きな努力を払わなければおよそ意味がないと思うのであります。それから役員及び職員の項でありますが、一番細かい点はいろいろありますが省きまして、一番私の申上げたい点は、二十九条以下、例えば任用の基準、給与、降職及び免職、休職、懲戒、これらの項が書いてあるのであります。これは国鉄にも書いてあります。併しながら根本的に私は皆さんに意見を申上げて基本的な再検討をお願いをいたしたいと思うのであります。どういうことかと言いますと、これらは本来労働条件であります。公共企業体労働関係法を仮に適用いたしましたにしても、十八条の二項におきまして、これらは団体交渉の対象としてきめられておることであります。労使の関係に委ねられておることであります。又企業的な経営をするにつきまして、労働者との関係にゆとりを持たせ、幅を持たしてやつて行くということは大いに企業としては重要なことであります。そういうことをなぜ法律の中で枠をきめなければならないかという根本的な点について、私は国鉄法の場合にも極めて強調いたしたのでありますが、今日又それを全然国鉄法と同じようにここに羅列をいたしておるのであります。こういうふうなことをいたしますがために、別項の給与の総額と合せまして、電通の公社当局は、法律にきめられておるから、こういうことについては私どもは当事者能力もありませんと言つて労働者を政治闘争に追いやる、まあ一部で私どもにときどき批判がされておるのでありますが、政治闘争に追いやる、こういう結果になるのであります。こういうことはこの法案にきめなくても、公社がそれぞれ自主性を持つておきめになればいいのであるし、労働者は団体交渉の結果いろいろ納得したところに落着けて、それで納得をして労働者が働らくという、こういうふうにすべきのが当然であります。いわんや公共企業体として、これから企業能力を伸長させ、労働者の勤労意欲或いは協力を得るという立場におきましては、これらの二十九条以下三十三条までは削除をすべきである、私は特にこれだけは皆さんにお願いをいたして置きたいと思うのであります。
 それからそれに関連をいたしまして二十八条の第二項であります。ここも国鉄法と殆んどではなくて、まるつきり同じであります。第二項には、職員であることができない人の中で除外例として、町村の議会の議員である者はまあ兼職ができる、町村の議会の議員はこの職員と兼職ができるということになつておるのでありますが、本来国鉄だとか、或いはこの電通関係の職員は町村の末端にまで滲み渡つて存在をいたしておりまして、町との関係というものは非常に関係が多いのであります。これは従来はこの町村ではなくして、更に高いところまで兼職ができておつたのであります。これは単に組合の役員であるから、そういうことを言うのではありません。地方における鉄道とか、或いは電通、郵便局とか、或いはそのほかの我々の立場から言いましても、町村、地方議会と密接な連繋をとり、協力機関を作る意味におきまして、この二十八条の町村というのを地方自治団体の議会の議員というふうに是非御修正を願いたいと考えておるのであります。
 それから三十四条の服務の基準に「職員は、全力を挙げてその職務の遂行に専念しなければならない。」、但し「組合の事務に従事する者については、この限りでない。」、こういうような項目がございます。これもやはり国鉄法と同じでありますか、こういうふうに但書を設けるならば、もつと幾らでもあります。全力を挙げずに一部を別の職務の遂行のかたわらやることができるというのは、勤務及び休暇規定を考えましても多くあるのであります。逆に私はこういうふうな「全力を挙げてその職務の遂行に専念しなければならない。」ということを謳うことによつて、却つて職員の基本的な人権を蹂躙をする、こういう虞れがあることを常に痛感をいたしておるのであります。こういうことは抽象規定であります。抽象規定が却つていろいろの場合に民主的であるべき職場において封建的な反動的な空気が支配し、職場が暗くなるということも考えまして、三十四条につきましては削除をせられるようにお願いをいたしたいと思うのであります。
 最後はこの「財務及び会計」に関しての問題でありますが、妙なことを申しますが、私はこの公社の法案を通読いたしまして勘定をいたしましたら、「してはならない」、「なければならない」、「いけない」という文字が四十六ございます。子供みたいなことを申しますが、実はこれが先ほどからお三人のかたも口を揃えて言つておられるように、これでは自主性がない、企業体が本当に積極的にやるのを阻害をしておる、極端な言葉で申しますれば、これは電通公社に対して国がその破壊活動を防止する法案だというふうに極言もされるのであります。こういうふうなところが、特にこの「財務及び会計」この中にしてはならない、しなければならないという文字が一ぱいあるのであります。ここのところを基本的にお考えを願わなければたらないと思います。四十一条、四十二条、四十三条、こういうようなところにつきましては、特にこれが言われるのでありまして、国会に審議を求め議決をする、政府を通じて決を求めるというようなことは、予算の本当に総括的な事項を定める予算総則と言いますか、そういうふうなことだけにして、あとは一切、例えば歳入歳出の予算一切は単に参考として国会に出し、それについては審議の対象とはしない、そうしてあとは一切公社にやらして、その経営の結果について責任を追及する、こういうふうにせられるのが至当であろうかと考えておるのであります。その点は四十三条の七号まできめてあるのでありますが、結論的に言いまして、私は仮に認めるにしても一号だけで、二、三、四、五、六、七、これらにつきましては、これは公社に任せ、あとは郵政大臣なりに報告をするにとどめて、これは一切削除をしても差支えない、こういうふうに考えるのであります。特に労働者として強調いたしたいのは、七十二条の給与準則の規定であります。先ほど労働条件について言及いたしましたが、これは最もその根本的なところでありまして「公社は、その役員及び職員に対して支給する給与について給与準則を定めなければならない。」、そうして支出は「予算の中で定められた給与の総額をこえるものであつてはならかい。」、この規定が全く労働者として一番根本の問題である賃金の値上げ、その紛争、これらは国鉄もそうであり、恐らく電信電話公社においても今後とられるでありましようが、当事者能力がないからといつて全く逃げてしまわれる、そうして労働者が挙げてこれを国会に持つて来る、国会の周りを取り巻く、或いは国会に入つて皆さんにお願いをする、それがああだ、こうだということになるのでありまして、本当に企業を健全に、而も労使の関係を紳士的ならしめるためには、この給与準則の七十二条につきましては削除することが一番本法案の成立に当つて重要な問題であるという考えをいたします。
 それから利益金の処分乃至は損失の処理につきましては、先ほどどなたかおつしやいましたように、政府へ上納する制度というものをやめて、そうしてこの独立採算を追及されるならば、それを積立て、又は従事員の労苦に報いるというふうな方式において、この六十一条については修正をされることが大事な問題であると考えます。
 最後に余り目立たないところで大事な点でありますが、八十条の恩給についてであります。この恩給は八十条におきまして、現在公務員たる者が引続いて公社の職員になつた場合には、「二十条に規定する文官として勤続するものとみなし、当分の間、これに同法の規定を準用する。」と書いてあるわけであります。ですからこれから勤める人には恩給法というものは適用されません。これは国鉄もそうであります。私は必ずしも恩給を全部公共企業体に適用してくれというふうな言い方はいたしませんが、今日まで既得権として持つておりましたこの恩給法を今後の人に対しては適用しないというならば、それに対して代りの措置を何らか図らなければ、極めてこれは従事員にとつて誠に不都合ではないかということを最後に申上げまして、以下細かい点につきましては省略をいたし、結論的には私はこの両法案に反対をいたします。国際電信電話株式会社法案につきましては絶対反対、それからこの公社の法案につきましては仏作つて魂入れず、こういうことで修正がなされなければ、これはいけない、こういうふうな結論を申上げて各位の深甚なる考慮をお願いいたしたいと思うのであります。
○委員長(鈴木恭一君) 有難うございました。時間の関係で午前の公述はこの程度にとどめたいと存じます。この際只今までに公述されましたかたがたに対して委員のかたから御質問がございましたならば、御質疑をお願いいたします。便宜上と申しますか、整理の上で順次そのかたに一応質問を集中いたしまして、次に順次移りたいと思います。最初古川栄一君に対しての御質疑をお願いいたします。
○水橋藤作君 古川さんにお尋ねいたしますが、お説によりますと、公社は賛成だが、民営にも賛成であるという具体的なあれが我々には察知できなかつたので、ただ結論として時期が早いのじやないかというふうに我々は拝聴したのですが、この点をもう少しはつきり公社がいいとか、或いは時期が早いからもう少し見合せるとか、公社にしておいて後日どうするとかいうような面をはつきりお聞かせ願いたいと思います。
○公述人(古川栄一君) 私はやはり一応公社にしておきまして、いきなり今の官庁式の公企業から民営に移すのは時期尚早でありまして、不賛成でありますが、国際電気通信は国内とは若干事情を異にしておりますから、機動性とかいろいろな点から言いましたならば、或る意味では民営がいいと思われますが、それには相当いわゆる時間的経過を必要とするのじやないか。でありますから先ず公社に移しておきまして、そうして相当そういう態勢を整えましてから次第に民営に移すということは賛成でございます。その次第に移すということの期間ははつきり何年ということは申上げかねるのでありますが、いきなり民営にするのは不賛成、こういう意味なのであります。
○水橋藤作君 もう一つお伺いしたいのですが、今国営から公社に移管された場合ですね、先ほどどなたかから申されたように、電話の普及はなかなか思うように行かないのですね、それを公社にすれば、電話がまあ何といいますか、資金面とか、それから機構その他によつて今までよりよくなるという見通しをお持ちになつておられるかどうか、この点を一つお伺いしたい。
○公述人(古川栄一君) これは現在の運営については、公社のほうは非常に積極的でよろしいと思いますが、今ののお話の資金面でございますが、この点は、例えばいきなり民間から借入れをするとかいうことには、巨額な金額でありますからして、相当に困難性を伴うと思うのであります。その場合公社でありますならば、大蔵大臣の資金面からする制約がございますけれども、財政資金を相当使い得る可能性が十分残されておると思いますから、そういう意味におきまして公社案に実は賛成なんであります。資金面を十分に、巨額の資金を使う点におきまして、いきなり民営に移しますのは、どなたかからこれはさつき述べられましたが、当分の間まずいのでありまして、資金調達の面で公社案は非常にいいと思います。
○小笠原二三男君 関連してお尋ねいたしますが、現在の段階では、この公社でいいのじやないかということは、結局国内の電信電話関係の公社と国際関係の公社と二本建で行くという公社案でございますか。それとも現在の総合的なものをそのまま移行された一つの公社という意味でございますか。この点お伺いいたします。
○公述人(古川栄一君) 私が暫定的と申しましたには、いろいろ細かいことを申上げますと、評価の問題とか、先ほど御意見があつたようでありますが、非常にむずかしい問題が伴うと思いますから、一本の公社案にしておきまして、逐次民営に切替える準備をやるということを考えるべきじやないかと思います。
○小笠原二三男君 もう一点お伺いいたしますが、機構として会計監督というような内部的な統制のために副総裁を一名殖やせという御意見でございますが、副総裁を一名殖やして、内部機構はどういうふうにしてこの監督をして行かれようとするのか。その殖やされた副総裁御一名はやはり特別委員として経営委員会のほうに参加されるかたであるのかないのか。細かいことですけれども、ちよつとお聞かせ願いたい。
○公述人(古川栄一君) これは大規模経営になりますと、直接に執行いたします面は、これは命令権を総裁から委託されまして、我々の専門語で申上げますと、ライン系統については是非とも副総裁一人が必要であると思いますが、外からいろいろな雁字がらめの形式的な大蔵大臣、会計検査院等の監督はできる限り最小限にとどめまして、内部の能率的運営のためには、そういう実施面に対しまして更に我々の言葉で言いますとスタツフといたしまして内部的な統制機構を確立する必要があるのじやないか。これは内部統制と言つてもいいと思うのであります。それには責任が非常にはつきりした相当権威のあるかたを置くのが、これは普通常識なのでありますが、そういう意味におきまして執行面に対する総裁と、統制面、内部的な監督面に対する総裁と二人置くことが事業の合理的運営にとつては、これは十分論議し尽されている重要な問題でありまして、経営管理の自主性とか責任態勢の確立という面には機構上不可欠のように我々は考えるのであります。従いまして副総裁一名置きます場合におきましては、これは当然内部的な責任者でありますから、経営委員会にも特別委員として参加すべきであると思います。そうすると三人対五人では数が八になりますから、そういたしますならば六対三にしますと九名になりますから、それがいいのではないかと私は考えています。
○小笠原二三男君 もう一点お伺いしますが、予算の問題について弾力性、自主性を与えるということについていろいろ示唆を頂いたわけでありますが、実際上の問題として資金予算は厳重にやる、事業予算には極力弾力性を持たせる、こういうようなことに、この関係機関である公社を通じて政府並びに国会との関係はどういうふうに手続上はやつて行けるということでございましようか。この点をお伺いいたしたい。
○公述人(古川栄一君) まだ私の拝見したところでは、官庁式予算制度の名残りが多分に残されておるように思われるのでありまして、資金予算は、これは大蔵大臣が国全体の金融面からいたしましてどうしてもこれは監督権を持つべきでありますが、事業予算というのは、事業自身の責任を示すのでありますから、そのうちの一部分として資金予算は当然織込まなければなりませんが、事業計画を反映いたします収支に関する予算は、これは郵政大臣が責任を以ちまして国会の全面的な、総括的な承認を求める必要があると思いますが、それまで大蔵大臣が調整するということは不合理ではないか。つまり資金予算と事業予算と少し混同しておるきらいがあるのではないか。こういう面でありますが、やはり公共企業体でありますから、事業計画につきましても総括的な国会の審議をしなければならんと思いますが、これは郵政大臣一本でいいのではないかと思います。それでよろしゆうございましようか。
○小笠原二三男君 だんだんわかつて参りましたが、それではちよつと関係する公述がありましたので、それを参考にして具体的にお教え願いたいのですが、横山さんは予算総則程度のものだけを国会の審議に求め、附帯するものとして事業予算関係はこれは参考資料として出す程度でいいのではないか、こういう公述があつたわけです。そういうようなことを一つの例として古川さんのほうのお考えをお伺いしたい。今の御答弁の中で、事業予算関係は郵政大臣によつて、形式的にはそういうことはございませんが、郵政大臣によつて国会に出されて来ると、こういうような実質的な形を考えておられるわけですか。
○公述人(古川栄一君) そうなんでございまして、総則程度にきめられたものはこれは出す必要がございますが、事業の内容は参考資料としてで結構じやないかと思うのであります。
○山田節男君 古川教授にこれは一つ非常にアカデミツクな質問でありますが、一体今度行政組織を簡素化する、飽くまで合理的にやる、能率化をやる、而も民主主義の原則に則つてやつた。こういうことを大臣が説明されておるわけです。これをもつと経済民主主義というのをアカデミツクと言いますか、経営学的にこれを考えると、殊にこういつたサービス産業、これは国鉄も然りですが、こういうような厖大な資本、施設、人員、而もこの事業がサービス産業である、こういう場合にやはり経営者が経営の部面、例えば経営委員会に従業員の、職員の代表を参加させる。今あなたは経営委員の増員、それから理事のことについても触れられておるようですが、この経営に対して従業員の代表を参加させるということが経済民主主義の、或いは産業民主主義の原則じやないか。御承知のようにもうドイツはワイマール憲法以来、戦後におきましても、西ドイツでは今日州憲法或いは連邦憲法によつて、経営に対して労働者の参加を認めておるわけです。御承知のように共同決議権と言いますか、バイ・ベステイムングス・レヒトというのがあります。これは労働者の権利として労働者の経営参加権を認めておるわけです。日本の憲法にはそういうものはありませんが、概念的に考えて殊にこういつたような種類のサービス産業に対しては或る程度の従業員、職員の代表をこれに参加せしめ発言権を持たせる、マネージメントに対する一つの介入権を持たせるということが、これは原則じやないかと思う。それに対する御見解と、それからこれは社会主主義経済というのではなくして、いわゆる産業民主主義の立場から言つて、例えばアメリカの大きな産業、例えば電話で言えばベル会社のごときは、これは労働者が、職員が経営参加をしておりません。おりませんけれども、いろいろ部面において従業員にかなり大幅な発言権を持たしておる。この法案を見て私は全然そういうことが、大臣の提案理由の説明で一言も触れておらんのみならず、この本文にはそういうことは一つもない。こういう点に対する古川教授の感じと言いますか、御意見を承わりたい。
○公述人(古川栄一君) 今の御意見御尤もでございますが、経営委員会はむしろ内部の人が入らないで、外のそういう専門家がもつと広い視野から経営管理上の問題を決議するのが必要でございますから、私は内部からいわゆるドイツ式の、殊に最近きめられました基礎産業でありますけれども、いわゆるミツト・ベステイムングス、レヒトというようなものはないほうがいいと思います。但しさつき申しました予算という意味が資金予算だけではないのでありまして、企業に即した事業計画から生み出されました予算でありますからして、この予算編成には、内部の現場面に携つております労働者の皆さんの御意見を十分反映して、そういう思慮の上に事業計画として組立てられるべきであつて、経営委員会は飽くまで外部の広い視野からそういう電気通信関係に利害関係の深い、而も専門家で以て構成しまして、こういう計画面と実施面とは一応分離させるのがむしろ私は合理的のように思われるのであります。そういうふうな予算組立ての上において十分現場の御意向、それから経験を反映させるように仕向けるのが至当だと思うのであります。その意味において経営参加と言いますか、発言権を十分、現場の実務に即した資料を提供するという意味におきまして、意見を参照するのでありまして、経営委員会にまで労働組合内部のかたの参加は私は或る意味では今の段階では必要ないではないか、こう思うのであります。
○山田節男君 それから本法案、日本電信電話公社法案全体を見て、殊に第四十一条の予算の作成以下決算に至るまで大蔵大臣の権限が非常に私は強いのじやないか。大体郵政大臣が直接の責任者であつて、その上に又大蔵大臣がある。屋上屋を重ねる。曾つて公団法を我々が作つて大蔵大臣にかなり強い権限を与え過ぎたのであります。ということは、ああいつたような公団的な事業はこれはまあ会社経営とは違いまして、生産面もあるし、全然サービス的のものもありますし、コンミツシヨナーのものもあります。それで大蔵大臣にかなり強い権限を与えて見た。与えて見ましたけれども、御承知のように公団は汚職公団になつてしまつた。この法案を見ても、今度は更に予算の作成から、或いは資金の部面におきましてかなり強い、公社という観念から大臣が上に二重になつておるというような、こういう法案が先ほどお話になつた公団の経営という部面からのお考えから見て、余りに強きに過ぎる、或いは悪く言えば官僚主義に堕するというような感じがあるかどうかお伺いいたしたい。
○公述人(古川栄一君) それは今申しましたように、果してこの予定通り行くかどうか非常に問題は残されておりますけれども、そのために経営委員会制度を十分活用すべきであつて、公共企業体でございまして、国の資本を使つておるのであります。先ほど御質問がありましたように、今後は国家資金を十分に投入しなければ大規模の運営ができないのでありますから、その限りにおきましてはやはり郵政大臣が乗つかつて行かなければ当然ならないと思うのでありますが、いきなり総裁の上に郵政大臣が乗つかつておるのではなくて、この法案では経営委員会という事業経営につきまして専門的な広い面から考える委員会を通じて乗つかつておるわけですから、その点で私は郵政大臣が乗つかるのは当然だと思いますが、その上にそれと同じような立場で大蔵大臣が乗つかるのには不賛成であります。大蔵大臣は先ほどから繰返しますように、資金面に関しまして責任がありますから、資金計画とか、借入計画の全体の資金面に関する限りは大蔵大臣が管掌すべきであつて、郵政大臣は公共企業体の性格から見まして乗つからなければならんと思います。ただその場合経営委員会がどの程度活躍するか問題でありますが、その意味において経営委員会の大きな活躍を期待すると同時に、それがうまく動くような機構を作り上げて行くことが大切じやないかと思います。
○山田節男君 さつきの水橋委員の質問に関連してですが、あなたは例えば国際電信電話株式会社をいきなり国営から民営に移すということはまあいけないといいますか、時期尚早である、先ず公社にして然る後に民営に移す、これはあなたの経営理論からいつて、すべて国営のものは、たとえ民営にする場合でも一応公社、半官半民のものに、一応民営というものに馴らしてそれで民営に移すべきだ、こういう原則論なのか。或いは今回の国際電信電話の場合に、こういう特定の場合のみ先ずこれは公社にして然る後に民営にすべきだと、こういう御意見なのか。原則か特例か。この点を明かにして頂きたいと思います。
○公述人(古川栄一君) 実は私甚だ恐縮なんでありますが、電気通信事業そのものの、殊に国際関係のものにつきましては余り知識がない者でございますので、これは純粋な民営で以て運営可能の機動性を持つた、殊に外国との競争というようなものに対して非常な力を発揮すべき事業の性質のものでありますならば、これは私は民営にすべきだと思つております。然るに先ほどから繰返して申しましたように、現在公企業として、而も官庁式の予算で縛られて、事業的な性格が非常に稀薄になつていますものを、殊に資産の再評価とか、どの点でこれを分離すべきかで非常な困難な多くの問題があるように思われますので、そういう意味におきまして暫定的に公社として態勢を整えまして、そうして無理のないところでその性質上例えば競争とか、外国事業との関係等においてよろしいものならばこれは民営にすべきであつて、原則は私は私企業がいいと思うのでありますけれども、今日のやはり歴史的な経過から申しますと、いきなり行くことは非常な無理があるのではないか。又非常に困難な技術上の問題があるのではないか、そういう意味において段階的な点を申上げたわけです。
○山田節男君 その困難な問題という、これは勿論あなたは内容よく御存じないという御前提でおつしやつているのですが、ただ専ら資金上の意味か、或いは技術的な意味か、この場合あなたのそうおつしやる何か具体的な理由はございませんか。先ず民営にしないで公社までにすべきだという、あなたの国際電信電話に関する知識の程度で何か具体的な理由は挙げられませんか。ただ困難だということでなくて、何か具体的な例は挙げられませんか。
○公述人(古川栄一君) お答えになるかどうか疑問でありますが、電気通信関係というのは国内、国際非常に交錯しているのではないか、私想像でありますけれども……。それを然らば果してきつぱり民営と公社に割切つて、それを独立化させる機構になつているかどうか。それから今まで尤も最初電信電話会社であつたのでありますが、そのかたがたはいわゆる電通省の中に一本に入つて、相交錯して仕事なさつています。そういう事務的関係から申しましての、施設の関係から申しましての事業の現段階ではまだ独占的な形のように思われますからして、そういう事業の性質から申しましても、いきなりすつきりと切離して、片方は公社で、片方は株式会社というのはむずかしいのじやないかというふうに存じます。その程度であります。
○委員長(鈴木恭一君) 次に江尻進君に対しお願いいたします。
○水橋藤作君 簡単にお答え願つて結構だと思います。先ほど江尻さんは電話事業は非常に人員が水膨れしていると、こうおつしやいました。それから又国鉄が非常に輸送方面に力瘤を入れているが、電信電話は余りそういう、つまり何といいますか、誠意がないということを指摘されたんで、私尤もだと思います。そこで本院といたしましても二回に亘つて促進決議をいたしましたけれども、これを政府が受入れてくれない。そこで国ができないとしてそれを公社にしてこれが目的を達せられるかどうかということを非常に我々は心配するが、江尻さんは公社に賛成されておりますが、江尻さんの賛成されておる見通しですね、それを簡単で結構です。それともう一つは、従業員が水膨れをしておるというお考えのあれはどういう意味をお考えになつて水膨れしておるということを言つておられるか、その点を……。
○公述人(江尻進君) まあ言葉が少しきついかと思いますが、国際的な先進国の前例から見ますと、そういうことじやないかと考えるわけであります。人員が企業の形態に比較して多過ぎやしないか。
○水橋藤作君 そうしますと、外国よりも従業員が余計、つまり電信電話には従業員を余計使つておると、こういうことを比較して……。
○公述人(江尻進君) 企業内容について比較してですね。
○水橋藤作君 比較して余計使つておると、こういうふうにお考えですが、これは我々からするならば余計なことですが、反対の実情が今現実とかけ離れて……(「意見はいかん」と呼ぶ者あり)それからもう一つはあとのほうですが、この公社にすることによつてこのいろいろ電信電話の普及が遅れておるのが、或いは又国鉄と比較するならば、戦後の復旧なんかも比較すると非常に遅れておるということは事実なんです。同時に国民の要望に応えるように、国会でもいろいろ骨を折つておるのですが、政府の力ででき得なくて、それで公社にした、そのことが公社によつて目的を達せられるという見通しですね、その点をちよつと……。
○公述人(江尻進君) それは必ずしもこの形ですぐそういう結論が出ると考えておるわけではございませんで、国営よりも若干は経営のやり方が一貫性を持ち楽になるのじやないか。自由な経営ができるのじやないか。但し先ほど二、三申上げましたような条件が満たされればという前提に立つて申上げております。
○小笠原二三男君 民営なり独占事業の半々というようなこと、これはまあ理由になる点でありますが、それらによつて民営というのが理想論だ、理想的形態だということでありますが、これを実際問題として逐次民営にするということになりますれば、独占事業を打破するということでは競争させる相手になるように聞えるのですが、そうしますと、大都市等におきましては電話会社をそれぞれ分離して作るとか、或いは資材とか建設とか、こういう部面の会社等も作ると、いろいろそうしたことをおつしやつておられるわけでございましようか。その点をお伺いいたします。
○公述人(江尻進君) どうも誠に知識がなくて勝手なことを申して恐縮なのでございますが、まあ我々の理解しておる範囲では民営の競争会社が数社あつてその間に同様の事業を、或いは同様の事業を並行して行なつて差支えないのじやないかと、こういうふうに考えて申上げたのであります。
○小笠原二三男君 公述の中にありましたが、資産の評価を切下げ、適正価格で譲渡せよということなんですが、私ちよつと伺いまして、資産の評価を切下げ、適正価格でやれということはどうもわからんのですが、どういうことを言つておるのか……。ただ不当な価格で払下げ譲渡してはいかん、適正価格でやれということであるならばわかりますけれども、評価を切下げるということは、何か他の一般払下げや何かと違つて、もつと安くして而も適正な価格でやれということはどういうことだか私わからんのですが。
○公述人(江尻進君) 評価を切下げてとは申上げてないつもりでありますが……、適正な価格で払下げると。
○小笠原二三男君 そのほうに重点があるのですか。
○公述人(江尻進君) それからもう一つは、不必要な施設までも引継ぐ必要はないのじやないかと、こう二つのあれであります。
○小笠原二三男君 もう一つは政府が各一般市場へ出して売捌く、市場価格で売捌くというところから起つて来る政治資金等の問題について御注意がございましたが、江尻さんとしてはですね、この政府の持株を処分するとすればどういう方法が一番適正であるとお考えになつておるか、名案がありましたら一つお伺いしたいのです。
○公述人(江尻進君) それは別段にございません。但し抽象的に申しますと、能率的に民間会社で新らしい施設を作るのにはどの程度の費用が要るがということと、一方においては現存の施設の評価価額というものを突き合せて、両者の間の歩み寄りによつて決定すべきではないかと、こんなふうに考えております。
○小笠原二三男君 関連しまして、進藤さんはこの政府の持株を公社有として、その利鞘によつて電気施設の拡充等の資金に充てたらどうかということですが、江尻さんはやつぱり民間なりその他一般に公開して株を持たせるというほうの御意見でございますか。政府所有というか、公社所有のほうで、株式を処分しないで不当な疑惑を生じないようにしろということに御賛成でございますか。どちらでございますか。
○公述人(江尻進君) 一般に開放すべしということに賛成です。
○委員長(鈴木恭一君) 次には進藤誠一君にお願いいたします。
○山田節男君 進藤さんは満州で公社的な、而も電信電話事業を実際おやりになつたかたで、非常ないい御意見を伺つたのです。一体、殊に電信電話の事業を国営でいいという点は、たとえ経済的にペイしなくても、必要な場合、或いは公共の利益の場合には収支を度外視しても施設を設ける、或いは拡充するという一つの特典がある、こういう点から考えまして、公社でやはりそういう利点を、国営の場合の利点が活かし得るかどうか、こういう問題ですね、これに対してはどういうお考えでしようか。
○公述人(進藤誠一君) 私の経験では、公社でそういつたようなことはできると思います。
○山田節男君 できるとおつしやるのは何ですか、自発的に飽くまで独立採算、収益主義で行く、公社としてできるという確信はおありになりますか。
○公述人(進藤誠一君) さようでございます。
○山田節男君 それから、お説のように、電話がとにかくサービスが悪い、そうして不便だ、これが大体今度公社にしようという案なんですが、公社を電信電話の独占企業体としないで、丁度今日の国鉄と私鉄の場合と同じように、やはり電話で、例えばどうしても地理的にもなかなか公社が作らないような所は、そのブロツクならブロツク、小さいながらも民間の電話会社を設けて、やはりアメリカのようなお互いに競争もし、サービスの改善ということもし、又収益にもなるし、それから又公社で、今あなたペイしないところのものもでき得るとおつしやいますが、現実にできない場合には、自主的に作る一つの電話会社、こういつたようなものがやはり共に併在して行くということのよし悪しということに対する御意見を伺いたい。
○公述人(進藤誠一君) 鉄道の例をおつしやいましたが、鉄道は通信とはよほど又事情が違うのでありまして、鉄道では国鉄が主たるものをやつておりますが、これは他に施設もたくさんあるし、又バスもあれば船もあるし、そういつたような種類の異なる競争はいろいろあるのでありまして、通信におきましては、そういうのは全然ないので、それから通信の一体性というものは切離すことはできない。これは満州の電々ができた事情をお話しますといいのですが、満州で関東州及び満鉄附属地というものは、日本の国営でやつたところが、同じ奉天、新京でもその附属地以外の所は、同じ都市でありながら別な中国系統の会社がある。これでは公衆の不便はどうにもならん。それからなお満州では、地方に県営とか、或いは小さな株式会社経営で、あちこちに電話がある。これが皆てんでにやつておるので、公衆の不便はたとえようがない。そこですべてを統合て満州電々というものを作つた。その結果非常に公衆の便利も得た。それらから言いましても、通信というものが不可分でありまして、一部ずつ独立経営するということはできない。自然的独占性、自然的の統一性と言いますか、一体性、こういうものが特にひどいものである、こういう特色があることを一つ申上げておきます。
○山田節男君 それから、最後にお述べになつた、国際電気通信株式会社を電気通信省が吸収した、そうして新たに今度国際電信電話会社を作るということに対する御発言ですが、これは我我委員としてもすでに二、三陳情を受けておるような点ですが、又この法案が国際電信電話会社、これは今皆さんのおつしやつた、日本の国内の電信電話公社と、国際の電信電話株式会社を作る、これはもう法案の審議の山の一つになつておるわけです。先ほどのいきさについて、ちよつとお触れになりましたが、進藤さんは国際電気通信がマツカーサーの覚書によつて電気通信省に吸収されるときのいきさつをよく御存じでしようか。
○公述人(進藤誠一君) その点は、さつきも申上げましたように、私はよく存じておりませんから、この点につきましては私としては意見はございません。ただそういうことが面倒が起るということを御研究なされればいいと思います。そういうことを申上げたのみであります。
○山田節男君 これは公述人に御質問じやありません。これは委員長にお考えを願いたいのですが、この法案の審査、国際電信電話株式会社法案の審査の過程におきまして、私は電気通信省にマツカーサー覚書によつて国際電気通信会社所有の財産を移譲した、ところが先ほど進藤さんの御発言にあるように、これは持株整理委員会の所管として整理しておる。現在清算事務所もあるわけです。旧株主等からも陳情、請願も受けておりますようなわけであります。できればこの国際電信電話株式会社法案の審査の過程において、この問題を是非一つ参考人か何かの形において一つ呼んで頂いて究明するということを一つ次回の委員会に諮つて頂きたい。おきめ願いたいと思います。
○委員長(鈴木恭一君) 委員会に諮りまして御相談いたします。
○小笠原二三男君 つかぬことを伺いますが、進藤さんは純然たる民間会社の御経験ございますか。
○公述人(進藤誠一君) ございません。
○小笠原二三男君 満州電々と今回の国際電気通信株式会社と政府と申しますか、上級官庁と申しますか、或いは軍と申しますか、これらから統制される、拘束される、その程度から見て、類似的なものでございますか。基本的な性格が全然違つておりますか。この点結論的にお尋ねいたします。
○公述人(進藤誠一君) 満州電信電話自体は、今の日本の状態よりももつと複雑でありまして、日満両国政府の監督が出ておるような状況でありまして、非常に面倒ではありました。ありましたが、資金を作る点におきましても、又経済的の運営の点においても、そうは私どもは骨が折れませんでした。ただその経験におきましても、大蔵大臣が金融大臣としての権能と予算大臣としての権能を両方一緒に持つておる。満州のごときは、日本では対満事務局の監督、後には大東亜省の監督であります。大蔵大臣の監督はないのであります。ただ社債を募集するとか、日本の政府が幾らか株を持つておるという関係で、大蔵大臣が資金の面から喙を出す。ところがそれにひつかけて予算の説明をせいとか何とか言われる、そういう経験があつたものですから、今度もそこの点は、金融大臣と予算大臣というものは明確にして、法案にもきめて欲しい。両方一緒にして会社の運営を困難ならしめるようなことがないようにしてもらいたい。これが私の経験から申上げるところであります。
○小笠原二三男君 御経験の点、先輩である進藤さんの意見を伺つておりますと、公社論において明快な意見を伺つて、それで後段になりますと会社も又可と、こういうことになつておられるので、聞いておつて私非常に会社案というものがこの際において絶対論的な根拠があるのかないのか、この点どうもはつきりしないのです。で、その点をもう少し補足説明して頂きたいと思うのですが、お聞きしたところでは、この資金等が今日において急速にかからないというような点から言えば、民営の要はないということで、公社論としての論理は一貫しておるわけです。そこへこの会社論の理由として、貿易その他海外発展に寄与するという点がある、或いは自由競争という立場がこれをなお可能にするということなら、会社でいいのではないかと、こういう御意見のように承わつたのです。それでこれは提案理由等でも言つておるのですが、通信関係の会社ができるということが貿易を促進させ、或いは海外への発展に寄与し、或いは国際電信電話事業の海外での国際的な自由競争にとつて有利だというその理由が私にはさつぱりどうも素人でわからんのです。なぜ国がやり或いは公社がやつていけなくて、民営であれば或いは電波獲得なり或いは海外通信の拡充なりが自由闊達にできて、そうでないものならばできないのだということがどうもわからんので、この点一つ教えて頂きたい。
○公述人(進藤誠一君) 誠に御尤もでございます。私もその点に対して明快な答弁はなかなか困難であります。それで私の主張から言えば、公社という性格が非常に適当であるし、やつて差支えないと思いますが、今度できます公社が、仮に私たちが考えました修正かできても、なお相当まだ束縛されたものであろうと思いますし、従いまして、そういうものではやはり国際間の折衝なり競争にはどうも少し十分でないと思います。それでこの理由にも書いてありますが、今の国際情勢で諸外国が民営でやつているんで、やはり日本も民営だという面を被つて行かんとなかなかやりにくいと、こういうのがその状況なのであります。それで国際電気通信のほうは国内から電話が入るからいいというのではなく、相当国家的な、国策的な考慮を要する点が非常に多い。全然別な観点から必要がありやせんかという私の見方であります。それで公社論でありながら、この国際会社を私は認めるというのは、さつき申上げましたように、全然純民営会社じやないんで、実体は公社によほど近い、だから私は賛成だと、いわゆるこれは国策会社だと、こういうのであります。従つて株も政府が持つても公社が持つてもいいので、それを何も売り払つてまで民間にやつてしまわなければならない理由は私にはわからない、こういうような意味であります。
○小笠原二三男君 私たち請願のほうで受けている会社設立希望の意見等を聞き、又この間大阪等に行つて貿易その他財界のほうの主張を聞きました場合には、会社なんだから無用な拘束は一切やめてもらいたい、こういう希望なんで、そういう意味の会社を望んでおられるのではないかと私まあ忖度いたしたわけです。ところが進藤さんのほうは、拘束をし、統制をしているから、公社に近いのだから、そういう会社経営がいいのだ、野放しの会社はいかんという議論になるようにお伺いするのです。そこでやはり現実的に要望している財界等の自由企業、徹底的な自由企業ということに対しては、進藤さんはそれはいけないとなされておるのであれば、この法案にある拘束程度の統制が望ましいとお考えになつているのか。或いはどの点が緩和せられ、どの点が厳重になればいいというような御意見がございますか。まあ補足して教えて頂きたいと思います。
○公述人(進藤誠一君) 御質問の点は、私はどこまでも民営ではいけんというのは、これが民間の人が本当に独力で民営でやられるとおつしやるならそれでいいのでありますが、そうじやなくて、外資導入については政府が保証するとか、その他いろいろ特権がきめられておるのですから、そういう政府の保護を受けなければやつて行けないというのが電信電話事業の本質なんです。従いまして自由奔放に民間に、マーチヤントに任せるものじやない。やはり或る程度国家の統制が必要だ、その統制下において自由な民間の手腕を発揮するところがこの狙いじやないかと、かように思うのであります。
○委員長(鈴木恭一君) 次に横山利秋さんにお願いします。
○小笠原二三男君 国鉄の横山君にお聞きしますが、国鉄はこれは専売公社と同じように公社としての過去二年間の経験を持つておるわけです。私先ほど公述人の古川教授にお尋ねしたのは、とにかく、殊に国鉄のようなサービス事業ですね、この経営をやはり民主化するということには、労働者の、従業員のあらゆる職場における発言権といいますか、これが相当強くなくてはいかんと思う。で、国鉄はこれはもう労組は非常に大きな組織労働であつて、たとえ一般労組法の全般的な権利は保障されなくても力が相当あるわけです。それで過去二カ年間日本鉄道公社法の枠内で、労組として経営の参加と言つては語弊がありますが、各職場における発言権というものがかなり獲得されたかどうか。又今あなたのおつしやつたように日本電信電話公社法案の二十九条から三十五条までは削除してくれ、こういう悲痛な叫びがあるわけです。それから判断すればもう公社法によつては少くとも労働管理、それから労働者の経営に対する発言権というものはもうカヵ年の闘争にもかかわらず、全然実現できなかつたという意味かどうか。この点についてちよつとあなたの御経験から簡潔に一つお教えを願いたい。
○公述人(横山利秋君) 極めて簡単に御返事を申上げます。公共企業体労働関係法の第八条の第一項におきまして、管理、運営については団体交渉の対象とすることができないというふうに規定されておるのが癌であります。併し実体論といたしましては、国鉄労働組合も国鉄の輸送復興のためにしばしば御意見を提出しております。職場におきまてもいろいろなことを言うておりますが、それがちつとも軌道に乗らない。正式な軌道には乗らないのであります。で、当局側におきましても、いい意見だと言つてもそれをまあ労働者の意見として取上げずに、自分で勝手にやるというふうな結果に相成つておるわけであります。それから第二のお尋ねの、私が削除をお願いした点につきましては、これはそれとは関係なく、憲法並びに公労法においても保障せられておる労働条件であるから、これは枠をきめる必要がなく、団体交渉の対象として両当事者に委ねるべきである、こういう議論を申上げておるわけであります。
○山田節男君 成るほどそれは公共企業体労働関係法の第八条、団体交渉の対象とすることはできない。いわゆる経営に関する点、併し例えばイギリスがやつているようにいわゆるスチユアート・シヨツプ・システム、これは私は国鉄の幹部の諸君に話したことがある。少くとも一つの苦情処理機関或いはサービスの改善とか或いは能率化、合理化というような意味で何か組織的でなくても、職場によつては従業員が一角の発言権を持つて参考に供するという、そういう部面は国鉄のあの広い職場で一つもないのですか。
○公述人(横山利秋君) かねてそれは我々としては強調をし、法律の枠内においても、例えば協力会議といいますか、そういう名前を使つたことがありますが、協力会議という形でも国鉄当局としては考える余地がないと言つたことがあります。その点については、一つ国鉄当局として何かを考えようということになつたことがありましたが、ほかの原因からこれが軌道に乗りませんでした。今日職場にありますのは、安全、衛生、苦情処理、こういうような点についてもあなたの御意見のような委員制度ができております。労使双方から委員が出て処理をしております。併しながらそれは表面的に軌道に乗つて行くのは、やはり労働条件が主でありまして、我々から管理運営について、経営について、輸送復興についてのいろいろな意見はまあ正式に軌道には乗らない。これが法律があるために、当局側としては幾分諒とするところがあつても軌道に乗せられない、こういう隘路だと思います。
○山田節男君 公社になる前と公社になつて二カ年たつた今日と、依然として昔の運輸省或いは鉄道省時代の官僚主義が抜け切つていないか、又次第に抜けつつあるかどうか。この認識の点、これはどういうふうにお考えになりますか。
○公述人(横山利秋君) 率直にお答えして却つて説明がつかないと問題になるかも知れませんが、一時は相当民主化しましたが、最近においては又若手学士さんが皆ぽんと飛び上つて任用されたり、そういうことが復活して参りました。それから特に御質問に附加えて申上げておきたいと思うのでありますが、国鉄の輸送実績、経営実績というのは最近非常に上つております。上つておりますが、私は、これは公共企業体になつたから上つたのだというふうには考えておりません。私が先ほどから申上げたように、公共企業体になつたこと自体について、これはいろいろ矛盾と、それから多くの副作用を生んでいる。今日国鉄の輸送復興が逐次軌道に乗つているのは、そういう公共企業体になつたからというだけでなくして、もつと本質的なものがある。速かに国鉄の輸送をしたいという労使双方の意欲がいろいろな方面に伸張した、こういうふうに考えるべきであります。私はそう考えております。
○委員長(鈴木恭一君) それではほかに御質問がなければ……。
○小笠原二三男君 お四人に最後にお尋ねしますが、国際のほうの会社におきまして、第九条から第十六条まで、先ほど進藤さんにも伺いましたが、簡単に申しますと、社債の募集、或いは資金の借入、或いは役員の選任、改選、定款の変更、利益金の処分、合併、解散の決議、事業計画、それから財産の譲渡、それから担保、それから監督上必要な命令、業務報告、これら全部郵政大臣が許可なり認可なり或いは命令なりして、拘束力を持つているわけであります。こういうものが一般的に会社であると言われるものであるかどうかお伺いしたい。これだけの統制と拘束を受けて会社であるとして、自由企業が闊達に伸びるものであるかどうかということについてお伺いしたい。どなたでも結構であります。
○公述人(進藤誠一君) 簡単に申上げますと、できると思います。それはこの郵政大臣の監督は、監督をして、この会社の当局者のやる仕事をやりにくくするとかどうかするのじやなくて、むしろ助成し、助けるということに皆役立つであろう、そういうわけでありますから、これは心配することなく、十分に当局者は腕を伸ばせる、こういうふうに思います。
○小笠原二三男君 特に御意見がなければよろしうございます。午後のかたにもお伺いしますから、お考え置き願います。
○委員長(鈴木恭一君) 別に御質問がなければ、これで午前の公述を終ることにいたしまして、午後は二時から開始いたします。
 なお、委員のかたに申上げますが、午前中のお四人はどうしても午後御支障がありますので御出席できないそうでありますから、御了承願います。
   午後一時十七分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時二十一開会
○委員長(鈴木恭一君) それでは休憩前に引続きまして、これより公聴会を再開いたします。
 石橋君にお願いいたします。
○公述人(石橋鎮雄君) 私は日綿実業株式会社の常務取締の石橋でございます。私は長年この会社におりまして、海外において貿易に携わつたものでございまして、今日の日本電信電話公社法案及び国際電信電話株式会社法案につきましては、貿易業者の立場といたしましては賛成するものでございます。只今よりこの会社法案につきまして、簡単に理由とするところを相述べたいと思います。
 戦後我が荒廃せる日本の経済の再建と、この国力の回復というものは、我我八千四百万の国民がひとしく熱望するところでございまして、この経済の回復と再建及び国力の回復はいろいろ手段もございましようけれども、我々貿易業者から見ますれば、どうしてもこの貿易の進展ということが一番大事ではないだろうかと思います。御承知の通り我が国には何らの資源もなく、全部製鉄にせよ、繊維工業にしろ、原材料を海外から入れ、そうして製品を海外に売らねばならん立場にございますので、この海外との貿易と申しますか、物を買い、物を売るということがこの貿易の盛衰のよつて岐かれるところでありまして、それには我々貿易業者としては武器とするところはただ会社に営々働いておるところの社員、その人件費というのが我々経営にも非常な問題でございまして、この人件費につきまして、電信料と申しますか、電信のサービス、電信料の高低、これが又非常に貿易に大関係を持つものでございまして、この外国との通信の良否は一にかかつて我々貿易の盛衰にかかるもりのでございまして、この通信が円満に行かないときは商売もできない、買えるものも買えない、買える綿も買えないというようなことがございまして、我々業者といたしましては海外との電信の往復と申しますか、この交換がスムースにほかの国より一刻も早く交換ができるようになるのを切望しておる次第でございまして、電信がよく行くには、一番迅速及び正確に行くのを希望する次第でございますが、今日まで電通省で取扱つておられた時代を我々顧みますると、誠に我々として不満足に堪えないものがございまして、殊に繊維業者におきましては、大阪が本部でございまして、みんな本社が大阪でございますので、大阪へ全世界から電信がやつて参ります。そうして前の晩に大阪の局に電信が参りますと、それが翌日朝我々が八時半、九時に会社へ出勤するときにちやんと電報が来ておるといいんですけれども、それがときによると十時、十一時或いは正午というふうに遅れることもございまして、そのために海外からは一日千秋その返事を待つておりますのに、返事がない。又こちらから出す返事も今日出したのが明日或いは明後日、返事が着いたという例もございまして、そういうふうで我我まあ業者としては非常に国際電信が不円滑に行つておつたということについては貿易上非常に困難を感じておりました次第でございます。それは何が故にそういうふうであつたかと想像しますと、従来電通省では国内の電信電話と国際の、海外の電信電話を一緒にやつておられたのであります。而もこの国内のほうは取扱方が約九五%くらいあつて、国際のほうは僅に五%くらいの仕事しかございません。それでややもすれば国際のほうは国内に比較しまして軽く見られておつたような形勢もございまして、そこに我々が非常に不満を感ずる次第でございまして、これはどうしても国内と国際の取扱を分けてやらんといかん。と申しますのは、国内は従来の国内の技術員、技術者で結構でございますけれども、海外となりますと、みんな英語で行きますので、その海外の外国電信を扱う従業員のかたは英語の知識、それがないといかん。それから又海外から来ますので、もう普通夜やたらにやつて来ますので、海外から夕方出すと日本に夜分着きます。そういうふうで技術の面及び労働力の方面において特別の技術が要るように思つておりますので、今度電通省におかれましては、再々私どもは、殊に大阪の海外の外国通信の人を殖して下さいと言つて再々お願いしましたけれども、お役所のことで、又は予算関係とか或いは上長の許可が要るとかで、なかなか人間の増加も思うようになりません。それと次は海外との機械化と申しますか、連絡でございまして、これはアメリカなんかにおきましては、RCAを初めたくつさんのああいう民間会社があつて非常にサービスをよくしております。ところが日本のほうは電通省のお役所でやつておられますので、最近一番照会が来ておりますところのパキスタンのカラチでございますが、あすことの商売も我々は是非直通の電波をつけて下さいと、これは二年、三年前からお願いしておるけれども未だにこれが実現しません。それだから今パキスタンからは廻り廻つてこつちへ参りまして四時間と二十分、こういうふうな時間がかかつておる。ニユーヨークからは僅に四十六分で来る。こういうふうなレコードになつておりまして、これは何とか早く、一例でございますが、パキスタンとの直通電波、ジヤカルタの直通、それから濠州との直通、そういう日本の重要市場との直通電波を是非この際やつてもらわんと、到底海外の諸外国との貿易の競争には敗けてしまいまして、安本あたりでもその辺十五億ドルほどの貿易の計画がございますけれども、これも充たされないということについては、我々貿易業者としては国家に対しても非常に遺憾に思つておる次第であります。何とかしてこれは通信の迅速正確を期したいと思う次第でございます。
 次にこの公社と民間、この民間会社でございますが、今日午前中からいろいろ話もございました通り、国際の事業と公社の事業比はどうかということになりますと、これはやはり公社と申しますと、北は北海道から南は鹿児島まで厖大なる事業をやつておりますので、これは公社の中にこの国際の事業をやつては、これは前の電通省とちつとも変つりはありません。これはどうしてもこの国際通信部は是非民営にして、そして諸外国に負けんように施設の改善、従業員の訓練と申しますか、貿易が盛んになるように我々はしたいと思います次第でございます。それからその従業員のかたに対して申しますと、この国際通信のほうは、従来の経験によりますというと収支はいつもまあ黒になつておりますので、これは会社になりましても今までの待遇以上にできるだろうと思います。それと利益が出た場合は、国庫に返すとかそういうことをせずに、施設の改善、機械の増設と、そういう方面に、サービスの改良に是非これは使うてもらいたいのが第一の切望でございます。それから又会社になつたときも、料金が上るようなことがあつても困りますので、これは今後会社になつても絶対上らんようにして頂きたいと思う次第でございます。
 それからこの法案のことでは、私、商売人で余りよく存じませんけれども、ここにありますように、第十一条に「取締役及び監査役の選任及び解任、定款の変更、利益金の処分、合併並びに解散の決議は、郵政大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」又第十四条に「郵政大臣は、第十条、第十一条及び前二条の認可をしようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならない。」と、これは我々民間としてはお役所の、まあこれは監督はしてもらわなきやならんですが、余り固縛りに縛つてばかりいてはいけませんので、少くも取締役及び監査役の選任には、一つ我々業者の意向も取入れて、我々の意向を反映してやつて頂きたいと、こう思う次第でございます。
 まあこういう事情でございますので、この会社法案には我々業者としては心より賛成をいたす次第でございます。
○委員長(鈴木恭一君) 次に太田康君にお願いいたします。
○公述人(太田康君) 東北大学電気工学科実験実習指導員、太田康でございます。自分は地方におりまりする関係上、そして又法律の専門家でもないし、ただ一介の研究の学徒ですが、ただ地方の場合の実情を申上げて委員のかたがたの参考にして頂きたいと思います。
 電気通信事業の経営形態は国営か民営かという問題は、日本だけの問題ではなく、世界的な大きな問題であると私は考えます。私は電気通信事業の発達こそ文化国家の推進に大きな原動力となり、且つかかる重要企業は公共的見地によつて国営こそ最上且つ最善の手段であると考えます。社会主義政策を基調とする近代福祉国家の方向に対して逆コースの感を免れ得ない。近頃の考え方としては、重要産業は原則的に国営形態をとるのが普通となつておるように私は考えます。社会主義政策の建前で国営企業化されるというならば、国家政策全体の建前から、私企業は国家政策全般の点で束縛されます。国家政策の建前から重要産業の一環としての電気通信事業であるので、公社化されるということは、計画経済的な行き方に対する逆な方向を辿つているように私は考えます。
 次に日本電信電話公社法案について、本法案を読みまして特に感じましたことは、本法案全部を通じて経営面に自主性を持たせようとする意図は頷けます。確かに経営委員会に例をとつて見ますと、特別委員の総裁と副総裁にも議決権を与えるなど、国鉄、専売などと異なり進歩は認めまするが、事業の民主化という見方から一段と進めて、中央地方の従業員も経営に参加せしめるべきだと思います。
 二、本法案によると、国鉄の場合と異なり、事業の公共性を持ち企業の合理化を図るために独立採算が強調されております。ここに民間資本が入り込み、或いは外国資本の導入により経営権の侵害を行われる危険性があり、電通事業が国際独占資本の支配下に置かれるという危惧を私は持ちます。
 三、財務会計制度については、公社の独立自主確立のために、従来の消費会計的な予算制度を捨てて、これを企業会計的予算統制による決算中心制度に改め、且つ消費節約のみならず弾力的な制度にしたことは認められますが、事業の公共性から来る損失を生じた場合に、これに対して国家補償が明文化されないが、かかる場合、従業員の労働強化或いは料金の値上げなどが行われ、経営の合理化は不能であり、且つ公共性を失うのではないかと私は考えます。
 四、本法案によると、給与準則を定めることになるが、労働協約に基いて行われねばならんが、給与総額の枠に縛られるため自主性はなく、従来と何ら変りなく、又最悪の場合にはそれより下廻る場合もでき得るのではないかと私は考えます。
 次に国際電信電話株式会社法案について、国内通信と国際通信は分離されるべきではないと私は考えます。何となれば、国際通信の線を国内全部に施設するということは困難でありますし、又考え得ざることでありましよう。併し現行のごとく特定局、普通局などがある場合に、新たにこれを国際電信電話株式会社を設けましてこれと緊密な連絡をとるということは困難でないかと私は素人として考えます。次に通信の秘密保持が、国際情勢の変化によつて保持されるかどうかということを私は危惧を持ちます。次、国際資本家の利潤追求のために、従業員の身分を保障せず、労働の強化或いは人員の整理などを行い、最悪の場合には日本の国際的な信用の失墜なども起るというような場合があるだろうと私は考えます。最後に、黒字であるところの国際通信を民営にせねばならない意図について何か不明朗なような感じを私はジヤーナリズムのほうから受けました。以上の見地より、電気通信事業は現在のままにおいて機構組織を改善し、財務、技術、資材などの隘路を打開し、能率的、合理的に切換えるべきだと思います。
 結論といたしまして、事業的な性格でありますが、民営の長所として能率的経営又は合理的経営が問題になつておりますが、これは国営であつても不可能ではないと私は思います。ただ現在の従業員に対する再教育或いは大幅な人事異動、但しこれは高級官僚に特に行わねばならないと私は考えます。仮に公社にいたしますとしましても、現在の官僚によつて実際面において運営される限り、法制化が完全であつたとしても失敗に終ると思います。
 次に機構の面ですが、例えば私の田舎に今から十年ほど前です、その時に二、三百回線ぐらいの取扱局の親局と、その周りに小さい局が百回線ぐらい持つておりました。そこでその頃は線路工が六人と、機械工が一名だつたのです。ところが現在は、尤も回線は二百回線ほど殖えておりますが、管理所が生れまして、相当数の人が殖えております。サービスの面につきましては、現業員は非常に明るく接して下さいますが、事務官庁の特に所長以上のかたにはときどき考えさせられる場合があります。
 技術面につきましては、手持の資料を持つて来なかつたので簡単に言わして頂きます。例えば長距離通信にはマイクロ・ウエーブを用いるべきだと思います。尤もそれと並行しまして搬送ケーブルを用いるのもいいと思います。次に電話機の場合ですが、現在大都会におきましては、M4が非常に普及しております。併し例えば福島県の原ノ町の場合を申上げますと、M3自体が田舎における官庁、会社などに若干入つておるだけであつて、あとは磁石式の、それ以前の電話機が多いのであります。それから五百回線以上の回線を有する普通局に対しては共電式施設を用いるべきだと思います。次に自動交換機の場合、非常にリレーの接点が悪いことをしばしば聞きますが改良の余地があると私は考えます。
○委員長(鈴木恭一君) ちよつと太田さんに申上げますが、この二法案に対しての御意見をお伺いしておるので、その御意見の中心を一つ外らさないようにお願いいたします。
○公述人(太田康君) はい。要するに本法案は、国際及び国内通信の公共性を無視し、且つ本法案を施行せしめることにより国鉄、専売両公社より、なお且つ国民より遊離し、民営の長所は現われず、独占企業の持つ官僚臭から脱するどころかむしろ危惧の感を抱かしめるであろうと思われます。
 私はかかる観点より本法案に対して反対します。どうも皆さん失礼しました。
○委員長(鈴木恭一君) 有難うございました。
 次に久保等君にお願いいたします。
○公述人(久保等君) 私は全国電気通信従業員組合中央執行委員長の久保等であります。今回国会に上程せられました日本電信電話公社法案並びに国際電信電話株式会社法案に対しまして、以下意見を申上げたいと思いますが、以下申上げますことは、直接電信電話の事業に携つております従業員の立場から申上げるわけであります。同時に又これから申上げることは、全組合員の意向でもあることをあらかじめ御了承願いたいと思うわけであります。
 最初に結論から申上げますと、この両法案に対しましては、私ども反対であるわけでありますが、その特に大綱的に理由を申上げまするならば、電気通信事業は明治初年から今日まで八十年間、いわゆる自然的な独占性と技術的な統一性という観点から、一省の下に今日まで運営せられて参つたわけでありますが、今回政府が出されました法案によりますると、これを二つに分断し、更にそのうち一つにつきましては、国際電信電話株式会社法に基くところの、いわゆる民営にこれを切替えんといたしているわけでありまして、特にこの点については強く私ども反対を表明いたしたいと思うわけであります。以下大体三部類に分類をいたしまして申上げて見たいと思います。
 先ず最初に、特に分断反対の理由について申上げたいと思うわけでありますが、かねがね私ども電信事業を預かる従業員といたしましては、戦後における荒廃した電気通信事業というものを如何に建直すか、更に又戦後における強烈なる一般需要者に対する要望を如何にしてかなえて行くかということについて、真剣に今日までこれが再建方途について研究を重ね、又努力をいたして参つたわけでありますが、その結果一応電話につきましては、戦前最高におきまして約百万個であつた電話が、量の面におきましては、今日百二十四万六千という程度にまで上昇を示して参つておりますし、更に電信の場合につきましても、戦前最高を例にとつて申しましても、約八千六百十一万通程度の取扱通数があつたわけでありますが、今日は殆んどそういつたレベルにまで回復をいたしているわけであります。併しながら質的な面において幾多の問題を残しておりますし、質的な面における、或いは又電話の場合におきましては、現在なお且つ二百万になんなんとするところの需要があるわけでありまして、現在すでに施設せられました電話にいたしましても、まだ僅かに百二十四万余であるとするならば、現在ございます施設以上に更に増設をしてもらいたいというのが現在の実情でございますので、そういつた点について、如何にこういつた需要を満たして行くかという問題になつて参りますと、勢い、特に建設資金の確保を如何にやつて参るかという問題も一つあるわけでございますし、更に又国家予算によつて今日まで賄われて参つているわけでありまして、従いましてその予算自体を如何に企業の自主性を活かす上に立つて運営して参るかという、いわゆる財務、会計制度の確立という問題があるわけであります。従いまして、こうした問題については私どもといたしましても、真剣にこの打開策を今日まで研究もし、努力もし続けて参つているわけであります。ところが、この間それならば政府が今日までこうした電信電話の問題に対して如何に対処して参つたかということを申上げますると、戦前の問題は別にいたしまして、戦後の概略を申上げまするならば、昭和二十四年の七月に、先ず電信電話の復興という問題について如何に対策を樹立するかということで、電信電話復興審議会を設立いたしまして、内閣総理大臣に対する諮問機関として、電気通信事業の企業についてのいろいろ方法を考慮いたしたわけでありますが、その結果、電信電話復興審議会で出されました結論は、やはり電気通信の公共性という問題、或いは又企業的自主制という問題、或いは又電気通信の独占的という性格、これは本質的な性格であるが故に、結局結論とするところは、公共企業体に移行すべきだということが電信電話復興審議会としても結論が出されておるわけであります。勿論電信電話復興審議会の運営その他の問題については、私どもとしましても若干疑義のある点もございますが、とにかく出されました結論は、公共企業体に切替えるべきだというのが結論であつたわけであります。
 更に引続きまして昭和二十五年の第七国会におきましては、衆議院におきましてやはり電信電話の問題につきまして如何なる企業形態がいいかということについて公共企業体に移行するのがやはり妥当だ、而もこれはすでに電信電話復興審議会でも結論が出ているので、早急に諸般の対策を考慮して、政府としてはこれを公共企業体にすべきであるということが第七国会においてやはり決定付けられているわけであります。そういつた事情と相睨み合せまして、電通当局といたしましてもいろいろ公共企業体という問題につきまして法案その他の問題で研究を重ねて参つたわけでありまして、本年の極く最近までに至つて、実は第八次に及ぶところの試案が作成されたという経過を辿つて今日に及んでおるわけであります。従いまして少くともこの経過自体の中に民営という問題は何ら論議、勿論個人的な意見はあるにいたしましても、少くとも一つの流れの中には民営というような考え方は生れておらなかつたのが、従来の国会乃至は政府の諮問機関等における動きであつたわけであります。ところが突如といたしまして本年の三月に至つて、実は閣議において電気通信の国際部門についてはこれを民営形態にするということが決定を見たわけでありまして、私ども特に重大なる関心を、この電気通信事業の今後の企業形態のあり方については関心を持ち、努力も重ねておりましたので、昨年来特に頻繁に大臣その地ともこの問題についてはいろいろ交渉もいたし、又お願いもいたしておつたわけでありますが、その過程においては何ら民営という問題については私ども聞いておりませんし、又実は予想もしておらなかつたのでありますが、突如といたしまして本年三月、国際についてはこれを民営にするというような形が生れて参つたわけでありまして、まさに以上のような経過から見まするならば、経過と実情というものが無視されておるという点を指摘いたしたいわけであります。従つて私どもといたしましては、特に国際部門についてこれを民営にするということについては、その理由について全く理解ができないわけであります。ところで現在の国際部門における一応収支状況がどうなつておるかということを簡単に申上げてみますると、昨年の実は四月一日から本年の一月までの概要でございまするけれども、先ず収入の面におきましては三十二億六千六百万円でありますが、これは勿論概略の金額でございますが、更にその間における支出の状況を申上げますると、十一億一千六百万円という数字になつておるわけでありまして、この支出の中には勿論若干の雑費その他は含まれておりませんけれども、いずれにせよ概略申上げまするならば、支出の面におきましては、収入の面と比較いたしますると三四%程度だということが申上げられるわけでありまして、二十一億五千万円程度のものが黒字だということが、この昨年の四月から本年の一月までにおける大体の収支の概略であります。こういつた点を考え合せて見まするならば、俗な言葉で申しますと、いわゆる儲かる面については、これを民営に払下げるという態度、こうした態度が全く公共性を無視した利潤追求政策の本質であるというふうに遺憾ながら我々としては断ぜざるを得ないわけでありますし、而も又今回一応公社に切替えんといたしておりまする日本電信電話公社につきましても、将来は更にこれを民営にしたいという考え方も持つているやに伺われるわけでありますし、更にその場合における民営は、決して電信をも含めたところの民営論を唱えておるわけではありません。電信電話の中でも更に又比較的儲かると考えられるところの電話について、これを民営にしたいという考え方であるわけであります。いずれにせよ、そういつた方向に進む限りにおいては、私どもといたしましては、残された国内の通信のうち、更に又電話については近き将来にこれが民営に切替えられるという形においては、果して、日本の電気通信事業の将来というものを考え合せました場合、これでよろしいかどうかということについて多大の危惧を感ずるわけであります。而も現在における諸外国の例を考えて見ましても、日本のように従来国営であつたものを民営に切替るという例は余り聞かないわけでありますし、特にイギリスにおきましては、すでに御承知のように現在すべてが国営になつて参つておるわけであります。国際電信電話のほうにおきましても、一九四七年にこれは公共企業体に切替えられておるわけでありますし、更に電信については、これは国営で運営せられております。更に又国内の電話については一八八九年以来、これは国営に切替えられておるような状態であります。勿論その他いろいろ現在国営において運営せられておる所もあるわけでありますが、時間の関係からそういつた点は省略いたしたいと思いますが、いずれにしろとにかく今まで国営であつたものを逆に民営に切替えるというような例は聞かないので、むしろ従来民営形態であつたものが公共企業体或いは国営という方向に切替えられる趨勢にあるというふうに判断せられるような情勢から申しましても、今回出されましたところの国際部門について、これを民営に切替えようということは、むしろ時代逆行的の方向に進んでおるということを申上げざるを得ないわけであります。
 それで国際電信電話株式会社法案の点についでの反対理由を申上げて参りたいと思います。今回政府が出されました国際電信電話株式会社法案に対する提案趣旨の説明といたしましては、特にサービスの向上を図りたいということと、更に電波獲得上民営に切替えることが極めて適切であるというようなことが主たる理由として挙げられておるわけであります。ところでサービスの向上の問題について一応簡単に二、三触れて見たいと存じますが、いわゆる公衆に対するサービスといたしまして非常に扱い時間が長い、経過時分が非常に長いという問題が指摘されております。この問題につきましては、勿論そういつた問題があるとしましても、現状においてそれならば民営に切替えた場合に急速にこの点が解決できるかという問題でございますが、現在の経過時分の問題につきましては、いわゆる外国から日本に入つて来た場合、それから日本から外に出て行く場合、これを考え合せた場合、諸外国から日本に入つて乗る場合の通信の経過時分と国内から出て参る場合と比較対照いたしますと、具体的な数字もありますけれども、ここでは申上げることを省略いたしますが、いずれにいたしましてもほぼ同じ時間でありまして、そういつた点から申上げますと、ひとり日本の国内における通信の経過時分が長く、いわゆるサービスが特に悪いという問題は比較的経過時分の点からは言えないのではないかというふうに考えておりますし、更に又施設の面につきましても、特に昭和二十七年度の増設計画もあるようでありますが、この増設計画にいたしましても、僅に二億五千万円程度の予算でございますし、又一般加入者に対するサービスの向上を図る意味での施設を増強整備いたすにいたしましても、例を挙げますと、テレ・タイプ等によりまして専用線を多くして利用者に備え付けるという方法をとりましても、これ又経費の面から行きますならば、必ずしも多額の経費を必要とするわけではないのでありまして、せいぜいとにかく西、五億程度の経費を支出いたしますれば、相当施設の改善もなし得るわけでありますが、これを又民営に切替えなければなし得ないという理由がないように考えておるわけであります。更に又現在特にいろいろ問題になつております点の大きな原因は、戦前におきましては、約七十二回線ばかりの回線を持つておつたわけでありますが、現在は三十七回線という状態になつております。こういう状況も民営に切替えることによつて一挙にこれが復旧できるという問題ではないわけであります。御承知のように特にアジアその他の方面におきましては、日本の国交そのものにおきましても旧に復しておるという状態ではありませんし、そういつたいわゆる国際間における複雑な事情、日本の又置かれている特殊な立場というようなことが、こういつた国際間における通信というものが旧に復し得ない大きな原因となつておるわけであります。こういつた点も勘案いたしまするならば、やはり一挙に民営に切替えることによつて、こういつた隘路が打開されるというように考えることは非常に皮相な考え方ではないかというふうに考えるわけでございまして、むしろ現在におきましてやり得る部面をやつておらないという面が確かにあるわけでございまして、一例を機構の問題について申上げましても、現在の国際部門における機構というものが極めて複雑であり、言い換えれば取扱局を更にこれを管理すると言いますか、その上部機関の機構が複雑過ぎるというような点が指摘されるわけでありまして、国際電報局、或いは国際電話局等の上部には、国際管理所、或いは又これが国内管理所というようなところ、或いは搬送管理所、或いは電信管理所、或いは電話管理所というような幾つも上部機関を持つておるというような形、即ちこの問題は勿論国際部門に限らない、昭和二十四年の例の郵政省と電通省を分離いたしました当時におけるいわゆるライン・オルガニゼーシヨンと称します機構改革以来の普遍的な問題であるわけでありまして、こういつた点についても私どもかねがねから厳重にこういつた点を指摘いたしまして、これが改善方について当局と交渉をいたして参つて来ておるわけでありますが、こういつた点についても、何ら手が触れられておらないというのが今日の実情でありまして、従いましてこういつた点を民営に切替えることによつて問題が解決するというよりも、むしろ現在においてやはりこの諸点を改正するという努力が何故なされないかという点も私指摘いたしたいと思うわけであります。更に電波の獲得上、これが民営に切替えることが望ましいと申されますけれども、電波の獲得はただ単に民間の会社形態にしたならば、獲得しやすいという問題よりも、極めて国際的な、特に国家の力と言いますか、各国間における力関係という問題が電波獲得上非常に大きな問題であるわけでありまして、日本の現在の状況は先ほどもちよつと触れましたけれども、日本の特殊な事情というものがやはり今後仮に民営に切替えられましても、大きなウエイトを持つわけでありまして、電波の獲得戦は或いは民営或いは国営という企業形態の問題でなくして、やはり国力の消長問題に大きな原因があると断ぜざるを得ないと思つておるわけであります。而もむしろ国際に切替えることによりましてその非常に不便と申しますか、困難な点を考え併せますならば、施設の保守面におきましてもこの電信電話というもの、即ち国内における電信電話と共用されておるという問題、或いは又運用面におきましては、有機的な電気通信の本質から申上げましても、こういうた点においてむしろ切替えられることによつて有機的な連繋が阻害されるということが予想されるわけであります。更に又一般利用者のかたの考えられる料金問題につきましても、私ども必ずしも民営に切替えられることによつて料金自体が将来恒久的に割安になるというふうには考えられないわけでありまして、当然国際部門を分離することによりまして間接費の増加を来たさざるを得ないわけであります。そのことが当然コストの割高という形になつて現われるでありましようし、又民営に切替えられることによりまして税金その他の負担、或いは又株主に対する配当というような問題を総合勘案いたしました場合に、将来において料金が必ず安くなるということは言い得ないというふうに考えておるわけであります。更に又従業員の立場から考えました場合におきましては、身分上の不安定ということも勿論でありますし、更に又人事の従来特に国際部門と国内部門と申しましても、技術的な問題については全く同じ面もあるわけでありまして、人事の交流或いは技術の向上という面から申上げましても、そういつた点が画然と分離せられた場合におきましては、その接触面における給与のアンバランス、或いは又技術その他の面におきましても、一つの断層を描くということが考えられるわけでありまして、こういう点が電気通信の持つ有機的な性格から申上げましても、好ましい現象だとは考えられないわけであります。こういつた点を考えて参りますと、電気通信事業の各部門につきましても、公共性という点が無視せられまして、やはり利潤本意に経営せられて行くということについては私どもといたしましては賛成しがたいわけであります。
 最後に日本電信電話公社法案に対する意見を簡単に申上げて参りたいと思います。特に法文の内容について申上げたほうが時間的に経済と存じますので申上げたいと思いますが、先ず条文を申上げますと、最初に第十一条を申上げます。第十一条の経営委員会の委員の構成の問題でありますが、この点については私どもやはり公共企業体というものの性格から申上げまして、必ずしも労働組合の代表という意味ではなくて、従業員即ち職員の代表という形のものを是非この経営委員会の構成に入れらるべきだというふうに考えるわけであります。その理由といたしますところは、経営そのものがやはり執行面をあずかる従業員の技術或いは又経験或いは又日頃持つております建設的な意見、こういつた面が経営委員会に反映されないでは、経営委員会の決定せられることと執行面における執行は完全に円滑なる運営が期待できないのではないかというように考えるわけでありまして、経営委員会の存在が企業体の一つの帽子というもの、シヤツポというような関係に置かれる限りにおいては、有機的な運営は期待できない、そういう面から申上げますならば、少くともこの経営委員会に一名程度の職員代表を加えるべきだという考え方を持つているわけであります。次に二十一条のところでは、大きな問題ではありませんけれども、少くとも総裁についてはやはり他の経営委員会につきましても、国会の承認云々というような形になつておりますだけに、国会の承認を経て内閣が任命するという趣旨にすべきであるというふうに考えているわけであります。次に第二十八条の二項に参りまして、ここのところでは現在法案を見ますと、町村議員だけが一応例外という形になつておるようでありますが、府県地区町村という形のものについては、やはり職員としての身分を保有できるような形にすべきだというように考えております。第三十二条に参りましては、第二項のところについてこれを一部修正すべきだというように考えておりますし、五項、六項、七項以下全部削除というように考えておるわけであります。この理由といたしますところは、特にこういつた問題につきましては、組合自体の団体交渉の対象ともたし得る問題でありますし、そういう点から申しますならば、徒らにいろいろ細かい点が規定せられておりまするが、こういつた点についてはむしろ自主的な経営者更に又は従業員自体の相互における話合いに問題を譲るべきであるというふうに考えておるわけであります。僅かに第二項のところでは若干字句を修正する程度によつてこの法文の形態が整うのではないかというように考えるわけであります。即ち一項はそのままでありますし、二項のところを若干修正しまして、あと三項と四項だけは残しまして、あとは全部削除すべきだというように考えるわけであります。次に四十一条に参りまして、四十一条の大蔵大臣のところを抹消いたしまして、郵政大臣から直ちに内閣というところに持つて行くべきだというふうに考えておるわけであります。次に第四十三条でございまするが、予算総則の問題でございます。これはいろいろ午前中の公述人のかたがたも御指摘をなさつておつたようでありますが、この四十三条の第二号、三号、四号、六号、これは削除すべすきだというように考えるわけであります。即ち第二号は五十三条の第二項にも関連いたしますが、両方ともこれを削除すべきだというふうに考えます。と申しますのは、特に予算の流用等について細かくこういつた制限規定を設けることが、少くとも公社の自主性、経営の企業的な自主性という面から好ましくない、こういう考え方から只今申上げました四十三条の各号を削除すべきだということを申上げたわけですが、先ずこの二号は五十三条の二項と同じような趣旨におきまして五十三条の二項も削除になるわけであります。更に関連条文といたしましては、四十三条の四号と関連がございます第六十一条も従いまして国庫納付金の問題は削除ということにいたしまして六十一条が修正になるわけであります。更にこの四十三条の六号と関連のあります第七十二条の一部も削除、即ち給与総額の問題でございますが、これも一部削除ということになるわけであります。更に又次に第五十四条の但書のところでございまするが、これは郵政大臣の承認の問題でございまするが、これも私どもこうした拘束を設けることは好ましくないというふうに考えまするので、第五十四条の但書のところになりますけれども、これを削除すべきだというふうに考えるわけです。
 次に第七十五条でございまするが、この第七十五条のところも郵政大臣が大蔵大臣と協議しなければならないという事態いろいろ羅列されてありますが、これも七十五条全部削除すべきだというふうに考えております。次に参ります。第八十条でございまするが、この問題についてはいろいろ問題が現在あるわけでありまして、恩給制度の問題としていろいろ現在論議の中心になつておりますが、結論を申上げますると合理的な退職制度を決定しなければならないというような形にいたしまして、退職金制度の確立を私ども主張いたしたいと思うわけであります。更に従いまして三項以下につきましては原案通りでありますし、その間における過渡的な措置として第二項のところに掲げておりまする点を若干修正しまして、恩給法の準用という措置をとつて参ればよろしいというふうに考えるわけであります。最後に第八十一条でございまするが、これについては共済規則を特別に制定すべきだ、公社自体としての特殊な状況から考えられるところの共済規則を制定すべきだというふうに考えるわけでありまして、この点についても勿論過渡的な措置といたしましてはこの第八十一条に言われておりまする点を準用するという形にすべきだというふうに考えます。
 以上が公社法案に対する内容の一つ一つについての大体の大まかな私どもの考え方を申上げたわけであります。以上要するに公社の問題につきましては、その公共性と企業的な自主性を確保するものでなければならないわけでありまするが、特にこの企業的な自主性という問題につきましては、この法案自体としては特別に留意をしなければならない点であろうかと思うわけでありますが、その点は只今各条文について申上げました意見によりまして、十分にこの点愼重に御審議を煩わしたい、是非只今申上げた点についての改正ということにつきましての結論が出ることを私ども十分期待申上げたいと思うわけであります。
 以上極めて概括的でございましたが、両法案に対する私どもの考え方を申上げたわけでございます。
○委員長(鈴木恭一君) 有難うございました。次に渡辺音二郎君にお願いいたします。
○公述人(渡辺音二郎君) 私一般的に利害関係者の一人として出席さして頂いたわけでありますが、その際にも申添えました通り結論といたしましては国内と国際との電気通信の有機的な関係を十分に今後考慮されるということを希望いたしまして、この両法案に賛成するものでございます。勿論今新らしく国際及び国内の電気通信事業を日本で経営いたしますというような新らしい事態の上に立つて法案を作つて頂くのでございますれば、いろいろの点で御提案になりました法案には不満がございます。併しながら電信にいたしましても明治二年、電話にいたしましても明治二十三年から国有国営でやつて参りました国内電気通信事業及びその後電波の獲得の急務に迫られまして、日本無線電信株式会社を設立いたしまして国際間に立遅れました日本の国際電気通信事業を確立いたしまして終戦に及びました。この歴史的な事実の上に立ちましてこれを平和回復の今日どういうふうに処理いたしますかというような問題になりますと、そう新らしいキヤンバスの上に絵を描くようにくつきりとしたものはでき得るはずがないのであります。従いまして随分当局者といたしましては、長年の宿痾に苦しんだ国内電信事業及び一時列国の中に伍していささかも遜色なく発達して参りました国際電気通信事業が、戦時及び戦後の誠に貧弱なる姿に立ち至つたものを独立日本の今日どういうふうに建直すべきかという立場からお作りになつた案というふうに考えますと、誠に苦心の跡が惨憺として忍ばれるのでございます。従いまして私の申上げますことは、誠に案そのものは理論的に、抽象的に申上げますれば随分不満の点があるが、今のまま国内、国際の電気通信事業を独立日本の今後の再建設という重大なる時期に放任して置いたらどうなるかということと比較した場合に、これ以上に立派な案が一体誰ができるか、どうしてやり得るかということを考えますと賛成せざるを得ないのでございます。若し私をして一学徒として、或いは又一事業人として批評することを許されるならば、次のような不満があります。それは負けた日本ではありまするけれども常に一国には一国の基本的な通信国策というものはなければならないはずである。これが果して今度の両法案に盛り込まれているであろうかどうかということでございます。何かこの両法案の基礎になる法案がもう一つあるんじやないか、あるべきじやないか、それが出ていないのは不思議じやないかという気がいたします。それは具体的に申上げますれば明治三十三年の電信法というものは一体今度の両法案によつてどうなるのであろうか。勿論法案の中身、提案理由、要綱を拝見いたしました。が、この明治三十三年の電信法というものを潰すのであるか、新らしくするのであるか、その点がはつきりしておられないのであります。丁度明治三十三年の電信法ができました当時、あたかも逓信省には秀才雲のごとくおられまして、母法をドイツに求め、或いは正確にはプロイセンに求めまして、日本の電気通信国策の基本を法文化したと私は聞いております。その基本的な電気通信国策をきめましたところの電信法なるものは、今度の両法案によつてどうなるのであろうか。むしろ国民の一人としては生れ変るべき新日本の電信法というものが、或いは電気通信法というものが先ずできて、そしてその上に立つて思想表現の自由を確保すべき通信手段、このうち国民が政府にお預けする部分と、国民が自由にその技術的手段を用いるべき分野というものをはつきりきめる、その国民が政府にお預けする部分のうち今更プロイセン的な、ビスマーク的な官業政策よりももつと進歩した公共企業体、或いは民営というものにそれぞれ分けて委ねるべきかどうかがここで議論さるべきではないか、かように考えます。これは併し非常に先ほど申上げましたように抽象的なペダンテイツクな議論でありまして、敗戦後復旧に忙しいお役所のかたにそうしたことを急に求めることは無理かも知れません。併し議員諸公は少くともこの法案の基礎となるべき、根本法であるべき電気通信の基本法を一日も早くこの両法案と共に若しくは相次いで成立されるべきではないか、かように考えます。
 次は行政機構改革の一連の事柄としてこれが取上げられておりますことは、誠に国民の一人として納得が行かないのであります。と申しますのは、行政機構の改革ということはややもすれば一つ減らせばそれでいい、或いは又よそがこれだけ減らすからここも減らせというような平等論に陷りやすいのでありますけれども、今ここに取上げられておりますところの日本の新らしい国内電気通信事業及び新らしい国際電気通信事業を如何にすべきかということは、そういう一時の政策的な処理ではできないことでございます。即ち誠に簡単な両法案でございますけれども、これは明治の初め若しくは明治二十三年以来溜まり溜まつた懸案を多少尽さないところはあつても、何とか解決したいという熱意に溢れたものである。又もう一つは国民の日常生活に密接に影響するこれは問題である。又今後これをやり直すということがなかなかできにくい問題であります。社会科学が自然科学と違いまして、実験ができないとよく言われまするが、私どもの知つておる限りにおきましては、イギリスが最初民営でありました電信電話を国営にした。又国営であつた国際通信を民営に直し、労働党がその一部を国営にし、更に又今保守党がこれを地ならししておる。これによつて何らの利益がない。迷惑をこうむるものはこれを利用する我々国民でございます。要するに二度と再び実験というようなことのできないこの社会科学的な存在であるところの事業、これを根本的にこの際改めようというのでございますから、そんな行政機構の改革なんというような一時的な問題と噛み合せて考えられるべきものではないということを痛切に思います。というのは、この大事な国内及び国際電気通信事業の今後のあり方を見ますと、国内につきましては公社、国際につきましては特殊会社、これに対しまして拝見いたしますと、郵政大臣が認可をし、或いは郵政大臣を経由し、郵政大臣が報告を求め、そして大蔵大臣と協議をし、閣議に諮り、国会に提出するというような手続がいろいろな問題について規定されております。公社ができ、特殊会社ができまして、残る大きな問題は、こういつた大きな公社と特殊会社を監督するという大役を郵政大臣がおやりになる。この郵政大臣の監督の幅を考えますと、誠に国民として、郵政大臣という言葉だけを聞きますと何ともいえないそぐわない気がいたします。何かむしろ電気通信省というものがもう一度必要になるほどの重大性を国民は感ずるのでございます。これが私の根本的な、抽象的な不満でございます。
 それから国際電信電話株式会社法そのものにつきましてよりも、この案が生れました動機等に関する私の不満といたしましては、どうしても今後国内電気通信事業と国際電気通信事業というものが競争するということがあり得ない、にもかかわらずあり得る。これは最初に十分に法案を作る場合に配慮すべき問題じやないかというふうに考えます。それともう一つは、元の国際電気通信株式会社というもの、これは終戦後GHQの命令によりまして解散させられたのでございますが、これと今度の新らしく生れます国際電信電話株式会社との関係がはつきりわからない。これが不満でございます。というのは、この二つは非常に将来累を残す問題でございますので、何とかこの際法によらなくても、一つの、国民を納得させる公の措置を講ぜられる必要があるのじやないかと思います。それから折角今まで発達して参りました電波行政及び電波行政機構というものにつきまして、この両法案を拝見いたしますと、何ら考慮されておらないのじやないか、むしろ世界の趨勢から見まして逆になつておるのじやないかというような気がいたします。つまりこの電波行政というものをこの際逆にしなくとも、この両法案は立派に成り立ち得べきものではないかと考えられます。この両法案を通すと共に、或いはその機会に発達し来つた電波行政の芽を少しでも摘むというようなことがありとせば、これはいささかとばつちりを電波行政に与えて行くというふうに考えられます。国内電気通信事業は、国際電気通信事業に対して明治維新以来画期的な改革をいたします熱意が当局者にありとしますならば、その際に電波行政においても飛躍的な向上が共にあつて然るべきではないか、かように考えられます。殊に国際電信電話株式会社法案の提案理由には、電波の割当というものが大きな理由になつておるのであります。にもかかわらず、内容そのものにおきましては、むしろ戦後の電波行政というものの発達に逆行しておるのではないか、かような憾みを持つております。以上これは私が先ほど申しました抽象的ないわゆる批判的な見解でございますが、併しながら、さらばといつてそれでは今のまあ国内も国際も電波行政もそのままでいることに比べてどうであろうかと申しますと、やはりこの両法案を通して頂き、且つこれを修正するものは修正し、今後改むべきは改めて行つたほうが将来に大きな希望がある、かように考えます。その一つは、公社の将来でございます。その内容そのものは成るほど専売、国鉄等に比べまして大して私は飛躍的な案とは思いませんが、併し今までのやり方から見ますと、継続費の活用をし、繰越費用の適切を図り、民間資金の利用を極度にする、又或る程度納付金というような制度も認めながら又独立採算制を一歩でも確立するということによりまして、大きな希望が達せられ、更にその上に今までの人事政策よりも飛躍した労務管理を当局者がなされるならば、それに大きな労働意欲が加わりまして、公社の将来というものは見るべきものがあるのじやないか、かように考えます。又国際電信電話会社そのものに対しての将来を考えますと、このまま国内の電気通信事業と共に現状のままで行つた場合は勿論でございますが、公社の一つの仕事として営みます場合よりも会社に移すことによりまして、国際通信の特性が発揮される、又新らしい日本のこれからの貿易その他の国際生活に伴う通信の活溌なる施設ができる、かように考えるのでありまして、希望が誠に多いと思われるのであります。それでは一体国際電気通信の設備と保守を曾つて国際電気通信会社の頃でしたか、今度一歩進めて運用までやらせる要がどこにあるだろうか、こういう要があるだろうかというような疑問が起るわけでありますが、私自身はむしろオペレーターの経験を持つておる男でございまして、国際線にもかかつたことがございますが、相手が外国のオペレーターであるということ、それから国際条約の内容というものは国内電気通信の規則の基本になつておる、又すでに機械化されました今日、直接通信が非常に発達した、又時差の問題がある、更に利用者層が非常に電報そのものの利用価値を認めておる、又通信内容が非常に優秀なオペレーターを要求しておる、又高度の問題がある、それからすでにアメリカにおきましては、国際電気通信においてはオペレーターの時代からテクニシアンの時代に移り、更に今日はエンジニアの時代に移つておるというふうに言われるほどの高度の技術を要求しておる、かような点から考えますと、ややもすれば平等にものが取扱われやすいお役所、それが公社になりましても、果してそう早く脱却できるとは思えない。この点からむしろ新らしい企業時代から高度の技術を尊重する、オペレーターよりエンジニアの時代へというこの新時代思想を待遇の上にも制度の上にも反映するほうが独立日本の将来のためによろしいのではないか、かように考えるわけであります。まあ現状のままで行つたんではこれは本当に国内、国際を問わず、日本の電気通信事業というものは憂うべき欠陷を包蔵して、いつの日かこの欠陷が救いかたなきものとなつて我々国民の肩にかかつて来るのではないかという心配がいたします。この際公社法なり、或いは特殊会社であるところの電信電話会社法なりによりまして、この現状を打破する大臣、次官といわず、従業員一体となつて打破して、物質的な施設をよくすると共に、精神的にここに生れ変つて叩き直すということがどれだけか新日本の電気通信事業の発達のために役に立つかというふうに考えるものであります。従いまして私は世界の傾向とか列国の企業形態の現状とかこういうものは大してこの問題については価値ある資料と思つておりません。世界がどうあろうと、国有化運動がどうあろうとも、とにかく今の日本が、電気通信事業というものが大事であるということの認識さえあれば何とかここで現状を打破しなければならん。それにはどういうことが具体的に一番聰明な対策であるかということだけを念頭に置いて解決すべきではないか、かように考えます。
○委員長(鈴木恭一君) 以上で公述人のかたがたの御意見の御発表は終了いたしました。委員のかたから公述人に対して御質問がありましたならば、公述人の御発言の順序に従つてお願いいたしたいと思います。
○水橋藤作君 石橋さんに二、三御質問したいと思いますが、石橋さんの仰せの通り、国際的に電信電話の必要性は同感でありまして、仰せの通りだと思うのです。その必要性からして会社にしたほうが能率或いはサービスがよくなるという見解にお立ちになつておるようでありますし、先ほどのお話の中でも国内通信と国際通信を別に取扱わなければならんということも希望されておりましたが、これも我々一応尤もな点があると思うのでありますが、その際別に取扱うと、国際と国内との仕事の分担と申しますか、非常に複雑になります面から行きますれば、会社にすることによつて、より以上複雑になるんじやないか、公共企業体のままで別に取扱う現在のままでいいのじやないかと、我々はそういうふうに考えるのであります。これに対して、会社になれば特に御希望のようになるという見通しをお伺いしたい。
 それからパキスタン方面との通信が非常に遅れると言つておられますが、これもまあ一応その通りでありまするが、これとても民営にしたから直ちにその目的が達しられるということも我我はちよつと考えられないので、これにはいろいろ事情がありまして、相手国のあることですから、なかなか民営にしたから直ちにその不便が解消されるとも我々は考えられないのであります。それにつきまして何か特殊な考えをお持ちになつておられるかどうか。
 それから石橋さんの立場でお考えになると、平和産業の貿易方面から行くならば、最も人的に匹敵するほどの、産業といたしましての、経費はかかることも我々はその通りだと思いまするが、先ほどのお話のように、人員を増すとか或いは設備を殖やすとか等から行きまして料金が安くなるというふうにも又我々は考えられないのでありまするが、料金が上らんようにするには何か腹案と申しますか、考えをお持ちになつておられたなれば、それを又参考までにお伺いしたいのであります。
 それから現在の、昨年からの黒字はこれは永久性がないと我々は考えるのであります。その理由といたしましては、御存じの通り朝鮮動乱とか或いは国際情勢その他で駐留軍或いは進駐軍が八割も使用しているが故に相当大きく黒字になつた。これが平和的になつた場合に、値上げもしないでそして補修も十分にして、十分の会社の経営が成り立つかどうか、この点も我々幾らか心配になる点もあると思うのですが、こういう面に対しまして、会社にすれば人も増せるし設備もできる、而も平和産業だけでも現在よりよくなるという、具体的に何かお考えをお持ちになつておられたらば御回答願いたいと思います。
○公述人(石橋鎮雄君) 只今御質問の、国内と国際の取扱の面で摩擦はかいかと、こういう第一の御質問でございますが、現在でも海外から参りまする海外電信が国内に参りましたときは、例えばアメリカから来まして東京から大阪の商社に行くときは、これは国内の取扱は国際通信部でやつておりまして、主要都市には、東京、横浜、或いは東京、神戸、大阪、名古屋とこういうたくさんの国際通信を扱つておる各都市には、現在も国際通信部の支局がございまして、国内の取扱もこの国際通信部でやつておりまして、国内のほうでは今やつておられないように伺つておりますのです。それだから今後公社になつた場合に国内と国際を切離した場合には、こういう貿易港と申しますか、神戸、大阪、名古屋、東京、或いは門司あたりまでは国際通信部が国内をやりまして、札幌、鹿児島、門司とか或いは辺鄙な青森の山奥、そういう所にたまたま海外から通信が参りましたときには、そのときだけ公社のかたにお願いいたしまして、それはもう余りたくさんの電線の数もないと思いますので、そのときだけ公社のかたにお願いして、一日に一万通からの海外からの電信の大部分の九十何%というのは、東京、大阪ですか、これは現在の国際通信がやつておりますように、今度会社になりましても会社で全部国内の取扱はできることと思いますので、この点につきましては公社とは何ら摩擦とか牴触するようなことはないと思います。
 それからパキスタンからの問題でございますが、これはパキスタンと言わず或いはジヤカルタでも結構でございますが、現在はパキスタンからの一例をとりますれば、日本に来るにはいろいろ、直接参りませんで、パキスタンから欧州を通つてアメリカへ行つて、アメリカの東海岸から西海岸、西海岸から横浜、東京というふうに各局を廻り廻つて来ますので、非常にその間に時間もとり、又ミユーチユレートのポシビリテイが非常にございますので、そこでこれらの点につきまして我々業者といたしましては、パキスタンとかジヤカルタとか、こういうふうに商売が一番よくできる都市と大阪と直通の電波を設けましたときには、非常に時間が短くて、その誤字も少く、そして我々貿易のその電信を、一つの商売に一万円かかるのが五千円でいい、そういうふうに簡単に行くようになると思いますので、これは是非直通の電話とか或いはほかの無線電話会社と特別の契約をして、早く日本の内地に来るように契約をする、それを今日まで我々は電通省には幾たびかお願いいたしましたけれども、今日までなかなかそれが手つ取早く行かないで、先ほども申しました通りにパキスタンとの直通電波も、今日までなお、向うの事情もございましようけれども、なかなか思うように……、我々業者としては実は歯痒い感じがしましたので、これは我々民間になりましたときには、我々の業者がパキスタンには何十社とございますので、我々の手を使つて向うの政府と直接交渉するとか、或いはRCAの人と直接話をするときには、こういう改善は現在の電通省のやつておられる以上に速かに成功すると確信を持つものでございます。
 次に設備或いは料金の問題でございますが、これは私料金を上げて行くのは困る。と申しますのは、設備を改善したために料金が上つたり、或いは人を海外にどんどんこれから派遣して、その交渉に行くとか、まあそういう非常な経費を、設備改善とか或いは迅速性のためにそういうふうに経費を払うために上つたりなんかしては困るということで、これは国際的に電信料は、相当契約がございますので、日本だけでそう上げたり下げたりということはできませんけれども、ややともすれば国内だけで、或いは国内電信部と国際通信部の間だけで料金を取合うとか、そういうことでもございましたら困りますから、ただ念のために、そういう場合のことを懸念になりましたので、料金が上らんように、却つて料金を引下げてもらいたい希望を非常に抱くものでございます。
 それから只今四番目の黒字計算が今後ずつと続くかどうかは疑問だとおつしやいましたが、これは私もはつきり、これはやつてみんとわかりませんけれども、併し現在の貿易状態から行きますと、年々歳々この電信の往復使用数は、本年はこれにもございます通り、昭和二十六年は一律に一万の電信が行つております。昨年から見ると約二割ぐらい上つておる、又来年も使用度数、発着の電信の度数がだんだん当分は殖えて行くのではないかと思いまして、そういう場合には今すぐ赤字になるとは存じませんけれども、これは今のところ私もはつきり申上げられません、やつてみないとわかりません。
○水橋藤作君 仰せの通り海外通信は主として貿易方面にお使いになつておるということもよくわかります。仰せの通りだと思う。併しながらやはり文化的或いは外語運動とかいろいろな意味において使つておる面も相当あるので、恒久性のある事業でありまするので、貿易のことのみ考えて我々はいる立場でないので、ちよつとお伺いしたわけなんですが、成るほど石橋さん仰せの通り、大きな都市には国際レポートがありまして、その市内を通じて国際電信としての一貫した運営はできるのですが、小さな場所では、日本全体をして直通できるところは僅かでありまして、大きく見ますと、ないほうが多いのですね。そういう意味におきまして、仮に公社と会社となりますると、従業員は或いはこれは国際のだから、まあそんなことはないかもわかりませんけれども、これは国際なのだからというので後廻しとなることがあつて、むしろ配達が遅れるようなことがありはせんかということを我々は心配もしておるのでありまするし、それから先ほど仰せの通りテレタイプと申しますか、そういつたものと局との間に会社のかたがたがそれを利用して、そして電報の時間のかかるやつを調整しようと思えば、これも貿易会社等も専門的にお使いになるのだから、これも可能だと思います。そういう意味におきまして、遅れることはいろいろ特殊な事業のためにおやりになる場合は方法があると思うのでありますけれども、ただ会社になれば、今の国際通信が安くて而もいろいろ設備が改善できるという見通しについての考え方がこれと反対の結果になりはせんかというふうに我々は国民の代表といたしまして心配するわけなので、あなたがたの事業の面から仰せになることはよくわかりますが、そういう意味におきまして二、三質問したのであるわけなんで、有難うございました。
○小笠原二三男君 途中から私お聞きしましたので、要領を得ないかと思いますが、パキスタンのカラチの直通電信のお話を伺つて、私も素人で全然わからんのですが、こういう問題は民間になれば、差向きいいことで、国なり公社では駄目なことだというような条件でしたが、何か私考えるのに、日本だけが優秀な設備を持ち、或いは優秀なスタツフを持つておつても、相手がそれだけの設備なりスタツフがなければ結局お互いに対応して通信ができないというようなことがいろいろ阻害しておる条件になつておるのではないかとも考えますが、そういうことは全然ないのですか。電波さえ割付けをもらえば、業者の間で早速やつて行けるという問題でございますか。若しも仮にそういうようなものであるならば、これは吉田内閣の怠慢を私たちは追究しなければならんと思う。そういうふうに民間になればすらすらと行くような諸条件を、国の力を以てなし得ないということはこれは最も怠慢至極なことでして、大いに追究しなくちやならないと思うのですが、どういうもんでしようか。
○公述人(石橋鎮雄君) 只今の御質問に対してお答えいたします。仰せの通りにこの電波の獲得と申しますのは、相手のあることで、日本だけでもつてどうにもならぬということは御尤もでございます。そこで只今おつしやいましたように、政府の怠慢、そういう問題ではございませんで、現在の電通省の御当局におかれては過去二年間一生懸命の努力はなさつて下さいまして、或いは司令部の係のアメリカのかたに頼むとか、いろいろ手を尽されましたけれども、なお且つそれでもちよつと御役所式のようなことがございまして、これは現在の政府の責任、怠慢なんというようなことは毛頭ございません。これにつきまして我々業者から言いますと、相手はカラチでございまして、これは電気技術面におきましては、日本より数等以下のほうでございまして、これを一つ尻を叩いて早く日本並みに持つて来るには、日本から技術員が行くとか、或いはカラチにおる我々業者の人が向うの政府と話をするとが、手とはいろいろの手があるのでありまして、そういうときにはそういう民間会社になりますと、世界万国に亘つて我々はその機構を利用しまして、そうして向うの器械が悪ければ、日本の手持品の電波の機械を持つて行くとか、日本でいかんなら英国から買うてやるとか、そこにはいろいろ手もありますので、そういうようにして民間会社になつたときは、そういうサービスと言いますか、そういうところは十分我々は行く自信があつて申上げた次第でございます。
○小笠原二三男君 大変結構なお話を伺いましたが、そういうことが黒字になつておる国営事業のそれによつて打開できないということは誠に遺憾なことだと思います。事情はわかります。
 それから次に株式の問題でございますが、政府に吸収せられた会社でございますが、そのほうに対して新会社設立となつた場合に、株式の何%なり当時の損失と申しますか、強制取上げに対する見舞金と申しますか、そういうような形で無償配付を旧会社にするとか、或いは何らか手当をするとかというようなことについては、新会社をやつて行こうと考えられる資本家なり或いは事業家としてはやつぱり考慮すべきことなんでしようか。それともそういう必要は認めないということなんでございましようか。これはいろいろ話を伺つておりますので、参考のためにそういう業界のしきたりについて伺つておるのでございます。
○公述人(石橋鎮雄君) 只今の御質問に対してお答えいたします。現在外国通信部の各設備は今のところ政府のものでありまして、我々のものではございません。ただ電報を打つのに前納金を毎月何千万円を我々納めておりまして、それで一つこの株式も政府が現物出資をなさいまして、そうして経費の要る運営の方面を我々民間の者が取りあえず負担いたしまして、これは貿易商社ばかりでございません。この外国電信を利用すれば先ほどおつしやつた通り新聞社とか、外務省、或いは倉庫業、保険業者、船会社等たくさんの民間業者がございますから、それで今後我々は貿易業者を主体として海運業者或いは銀行、保険、倉庫業者、あらゆる外国貿易に関係しております我々民間会社の者が応分の株を持つてやつて行くというつもりにしております。
○小笠原二三男君 私そういうことを聞いているのでなくて、政府が現物出資して持つておる、この持株のうち幾分かを市場に出さないで、或いは株でなくても金でもようございますが、売却代金の一部でもようございますが、旧会社に対して何らかの考慮を払うべきだという御意見に対しては、新らしくこれを背負つてやつて行くというほうの側のおかたとしてはどういう御意見をお持ちになつているかということを伺いたい。まあこれは細かいことですから御返事がなければ御返事なくていいのです。
 次にお伺いいたしますが、譲渡される資産の評価について、この評価の方式はどういう方式が望ましいと引取るほうの側としてお考えになつておられますか。又それが資産評価委員会等で、お一人だけ関係のかたが入つてそこで決定になるというこの手続については、どうお考えになつておられますか、お伺いいたします。
○公述人(石橋鎮雄君) その手続と評価につきまして、まだ只今のところははつきり考えておりません。
○小笠原二三男君 黒字だということでも将来黒字の大部分は電信のほうだろうと思うのです。電話のほうは或いは又これは日本が自衛力を吉田内閣の言われる通り漸増して参りまして、駐留軍が引揚げるというようなことになれば、電話需要は激減するということが当然だろうと思うのです。そういう場合に電話のほうの施設を維持し、或いは拡充とまでは行かないでしようが、それを保守する、こういう部面についても電信のそれと同様に、民間会社としてそういう損の廻つて行くものの設備を同等に扱つてやつて行ける御自信がございますか。偏頗な扱いにならないかということをお聞きしておきたい。
○公述人(石橋鎮雄君) 只今電話のことについてお話がございましたが、これは仰せの通りに最近は進駐軍、アメリカ等が使うものが非常に多いのでございますけれども、我々業者といたしましても最近アメリカから多量の食糧を輸入する代金におきまして、電報では間に合わんことが往々ございまして、我々も電話で相当この頃商売をしておりますので、話をしてオツフアーをとり、こちらから返事をしておりますが、進駐軍が余り電話を使うので、我々業者は最近電話は余り高価なので、ポートランドとかシヤトル、サンフランシスコ、ワシントンなぜとよく電話したくても、ちよつと電話はできんようなこともございますので、進駐軍がそれだけ度数が減つたら、我々業者がそれだけだんだん殖えて行きはせんだろうか、こういうふうに思われまして、あながち電信は黒字で電話はこれから赤ということも、情勢を見て頂かんと今直ちには私何ともこれは申上げかねますような次第でございます。
○小笠原二三男君 只今のその御意見は非常に積極的な御意見で大変結構だと考えますが、私これで終ります。
○委員長(鈴木恭一君) 次に太田康君に御質問ございますればお願いいたします……。別にございませんければ次に久保等君に対してお願いいたします。
○水橋藤作君 先ず最初に久保さんに、ちよつと僕は聞き違いかどうかわかりませんが、先ほどの公述中に国際電信電話会社の条項とこうおつしやられたように私は聞いたいのですが、日本電信電話公社のお考え違いではなかつたかどうか、先ず念のためにお伺いしておきます。
○公述人(久保等君) ちよつとあれは言い違えたかも知れませんが、具体的に、どの点で、何か……。
○水橋藤作君 いや、これが記録に残りますので、あなたの各条項説明をされたのは日本電信電話公社と我々は解してよろしいかどうかということなんです。
○公述人(久保等君) その点は私が条文の具体的な内容について申上げたのは、確かに日本電信電話が公社法案について申上げたのであります。株式会社法案のほうについては、条項の内容に亘つての御意見は申上げておりませんので、若しその点間違いがございましたら御訂正を願います。
○水橋藤作君 もう一つお伺いしたいのは、組合としての立場から御意見をお述べになつたと思うのですが、我々のところに国際電信電話株式会社国際無線従業員組合という委員長宛に陳情と申しますか、要請が来ているのを見ますと、組合といたしましては、必ずしも久保さんが今おつしやつたことと同じでない。違つた意見が述べられておるのでありまして、これにつきまして我々ははつきりしないので、その組合なるものは如何なる性格であつて、そうしてその違い方はどういうものであるかということを明確に久保さんの立場でお述べ願いたいと思います。
○公述人(久保等君) 私冒頭に申上げましたように、少くともここ二、三年に亘つて特に電気通信事業の再建というような問題で論議を公開の席上におきまして、或いは又若干非公式的ないろいろ研究機関等も持ちまして、研究を重ねて参つた結論的な点を私が申上げたわけです。たまたま今回の法案に関連しまして、個人的な、或いは意見乃至は動き等があつたやに私も実は聞いております。併し国際部門につきましては、国内部門と若干違つた過去の経歴があるわけでございまして、特に例えば大正十四年以後日本無線電信株式会社というようなもの、或いは又昭和七年に国際無線電話株式会社というようなものが、設備面だけで会社経営の形で経営せられて参つた歴史があるわけであります。そういつたような点から、いわば会社当時の経営に参画した従業員が、現在の国際部門の中に若干施設面であるわけでありまして、そういつたかたがたが個人的な考え方としてそういつた考え方、特に今度国際部門を民営にしたほうがいいのではないかという考えを持つておられる諸君もあるようであります。若干国際部門と国内の通信の従業員の空気と言いますか、状況というものには、違つた点があるわけでありますし、その点国際部門では多少複雑な事情もありますことから、若干そういつた動きはありますが、これは少くとも私どもいわゆる現在の全国電気通信従業員組合の中に入つていない諸君が多少あることから、個人的な動きとして現われておるように存じておるわけであります。まあそういつた点、私どもの全国電気通信従業員組合自体といたしましても、その点非常に何と言いますか、今後の問題として十分に考えて行かなければならない。組合運動としても十分に考えて行かなければならない面が現在あるわけであります。併しまあそういつたようなことが現実的には若干違つた動きをしておりますが、これは何もいわゆる全国的な空気がそういう形で、私がまあここで申上げておるようなことが浮いておるというように誤解されると重大な問題だと思いますので、特にその点国際部門における若干の入り込んだ事情のあることも十分御了承願いたいと考えるわけです。
○水橋藤作君 よくわかりました。ただ文章だけ、要請状ばかり見ますと我我ちよつと不審を抱いたわけなんですが、一部の動きと判断してよろしいように思いますので了解いたしました。
○小笠原二三男君 今回法案が出て来るまでの過程的な段階として、国会或いは機構上の審議をやるところにおいても、公社案ということが大体一本の結論であつたものが、三月末閣議で突如として会社案というものが一部に出て来たということについての理論的な背景等についてはいろいろ我々考究いたしますが、組合としてそういうものがこの内容で出て来た動機というものをどういうふうにつかんでおるか。組合としてというよりも、従業員の中で、或いは職場の中でこういう分離された形態で出て来たことの直接の動機、或いは何と申しますか、政界その他における利害関係等どういうふうな形で集約されてこうなつて来たものと把握しておるのか、この際率直にお伺いしたい。
○公述人(久保等君) その点は先ほども私申上げたように、少くとも私どもが理解できる理由は、突如と言いますか、三月になつて閣議の決定を見たという関係についても、実は理由を発見することは私自体としてもできないわけですが、ただその間特に利用者のかたがたの熾烈な要望があつたということは聞いておるわけです。或いはまあそういつたようなことが相当大きなウエイトを占めたかどうか知りませんが、ただ私どもがこれを一応理論的に納得する理由としては、先ほどもちよつと申上げたように、俗な言葉で言えば、儲かる面は民営にしたほうがいいのじやないかという考え方がたまたまこういつた形に現われて来たのじやないか、そのように理解する以外に実は従来からのいろいろなことを仔細に検討しても、それ以外に発見することはできないということが私どもの率直な経過であります。
○小笠原二三男君 次にお伺いしたいことは、いろいろ言われるように機構のことですが、機構上ライン・システムについていろいろ批判がございますが、従業員としてこの批判に応えて、公社経営の場合にどういう機構がいいというふうに対抗的なものをつかんでおられるか。そういうものがありましたらこの際御披露願いたいということが一つ。それからもう一つは、最近私仄聞するところによると、ライン・システムから起つて来たためか、官庁内部における繩張りと申しますか、業務、営業、まあ営業においても運用とかその他に分かれるようですが、これらがおのおの公社経営になつた後における機構上の問題について、それぞれの部局が意見を持つて、いわゆるその部分のライン・システムの下級機関に対して大いに輿論を喚起せよというふうに、それぞれの筋で主張を下部に伝えて輿論喚起に努めて、大いに公社になつた場合に公社内において有利な地歩を占めようという動きがあるということを私聞いたのですが、そういうことが内部において事実あるならばあるとしてそれについて批判を加えて頂きたい。以上二点について……。
○公述人(久保等君) 特に国際の場合についてですが、機構改革の問題については先ほどもちよつと申上げたように、国内部門についても同じように、非常に昭和二十四年の機構改革以来現場部門が機構の面から見るならば軽視せられて、管理部門が非常に頭でつかちな形になつておるという点はあるわけであります。このことは国内の場合についてもやはり同じように言えるわけです。国際部門について機構改革についてどういう意見を持つておるかという点になりますと、私どもは先ほどの公述の際にも申上げましたように、取扱局のすぐ上部の管理部門につきましてもいろいろ国内部門との間に錯綜をしておるわけでして、管理上自体につきましても四つ乃至は五つというような非常に多くの管理部門に分かれておるというような点も、特に国際部門について考えて見ましてもそれを整理統合するというようなことが当然なされなければならないと思いますし、同時に国内部門についてもその問題は全く同様な問題として実は現在あるわけです。これは公社問題とは全然別問題といたしましても、昭和二十四年のこうした機構改革がなされる際におきましても、私ども強力にこういつたものが日本の国情に副わないし、又こういうことによつて結果的にはもう必ずうまく行かないことが余りにもはつきりしておるのじやないかというようなことで、当局に対して厳重に実は反省を求めたわけでありますが、如何せん当時の実情といたしましては、全く極言すれば自主性を失つたような形で実施されたわけであります。その結果が現在のような実情になつて参つておるのであります。従つてそういつた場合に、公社問題を論議すると否とにかかわらず、従来からの懸案でありますし、私どもといたしましてもこういつた面については現業部門を強化する、機構の面において強化すると同時に、上部団体をでき得る限り簡素化すべきだという考え方を持つておるわけでありまして、この点について現在いわゆる従業員の立場といたしましては、あらゆる部面において結論的には一致いたしておるというふうに考えるわけですが、たまたま具体的な細かい問題になりますと、相当愼重に考究しなければならぬ余地があるのじやないかというふうに考えております。
 なお繩張り争い云々の問題ですが、その問題につきましては外部へ働きかける云々の問題につきましても、私も承知いたしておりませんが、ただ内部的にとかくライン・オルガニゼーシヨンというシステムがそういう傾向に走る危険性を持つておるのは事実であります。国際部門について申上げたと同じように、いわゆる電気通信事業の上から如何に管理部門を考え、取扱い部門を考えるかという点については、十分愼重に考えて行かなければならぬということで、私どもといたしましてもこの点特に専門部門等を設置いたしまして考究を重ねておるわけでありますし、早急にこの問題について結論を出したいと思つて、目下具体案を作るという準備を進めておるような状況でございます。
○小笠原二三男君 第二の点についてお答え願いたい。と申しますのは、も一度申しますが、大臣は過般の委員会における答弁では、公社機構についてはこれは政府が決定するのが望ましくない、従つて公社ができ、総裁ができ、公社自体において考究の上急速に公社機構というものを考えるべきである。こういう御答弁があつたのですが、ところが私たまたま仄聞しますというと、本省における各部局において、やはり機構の問題についていろいろ考究せられておつて、それらがさまざま意見が一致を見るに至らない状況のままで各部局の下級機関等に対して、この部局はこの線の機構改革を以て進むように部内の輿論を喚起するというようないろいろな動きがあるというふうな点を伺つたのですが、内部におればそれはわかつておられるでしようから、事実であるなら事実としてお伝え願いたい。知らないなら知らないで結構です。
○公述人(久保等君) 只今の御質問ですが、機構改革の準備ということで、確かにそういつた準備を進めておつたわけですが、最近国会における大臣の言明と殆んど同時に、一応機構改革の準備の周延については現在休止いたしております。従いましてそういつた論議を、正式の一つの委員会、移行準備室というようなところで現在はやつておりません。
○小笠原二三男君 それで、内部的にそういう動きもないわけですか。
○公述人(久保等君) まあその点は、特に事業に直接携わる者としては、勿論そういう準備室が作られる作られないにかかわらず重大な関心を持つておるわけですし、又それぞれ若干、それこそ個人的な行動と言いますか、そういう点において全然やつておらないということを私自体がここではつきり責任を持つてお答えすることはできかねるわけですが、少くとも正式と言いますか大臣のまあ命令と言いますか、役所の仕事として準備をすることについては一応差しとめた、現在保留したという状態になつて参つておるわけです。
○委員長(鈴木恭一君) 別にございませんでしたら、次に渡辺音二郎君に対してお願いいたします。
○小笠原二三男君 渡辺さんにお伺いしますが、渡辺さんの従事しておられる会社の事業はどういうことをなさる御事業で、そうして又電気通信省との関係はどういう関係であり、将来公社乃至会社ができますと、それとの関係はどういうふうになつて行く会社であるか、あなたのお話の前提になる基礎要件として私お伺いしておきたいのです。
○公述人(渡辺音二郎君) 私の今役員をしておりまする日本通信建設株式会社は、これは電信電話の建設工事を請負うのが目的でございまして、これは今度提案されております国際電信電話株式会社のような特殊会社ではございません。同時に請負いを発注いたします先も、必ずしも電通省ばかりではございません。又今後皆様の御審議の結果、公社に電気通信省の国内事務がなり、又は特殊会社としての国際電信電話株式会社が生れましても、現状というものは何ら変更はない。やはり一般業者と同じように競争入札で仕事をやつて行く会社であると、かように考えております。
○小笠原二三男君 各公述人のかたがたからも申されたし、質問もしたことで、重複するのでございますが、国際会社につきまして、新らしくできる会社につきまして、皆さんよく、会社経営になれば特性が発揮される、それから貿易上も活溌な施設が拡充されるということを重要な理由として挙げておられるのですが、私素人なものでございますから、民営であろうが公社営であろうが国営であろうが、これはやろうと思えばできることであつて、絶対的な要件としてこういう経営……何と申しますか、経営体ですかが変らなければならんということについて、どうもすつと胸に入らんものがあるので、この際一つ私たちに教えて頂くという意味で、もう少し経験に照らしてと申しますか、御認識のある点について御発表願いたいと思います。
○公述人(渡辺音二郎君) どうもそれほど実業の経験のない私が誠に申上げるのも恐縮なんでございますが、御質問がございましたので、私にできる限りのことで申上げます。私、北支那におきまして電信電話の純然たる民営会社の役員を八年半やつておりました。その後又帰りまして役人になりまして、戦後の電信電話の復旧の業務面を担当する局長になりました。やめて五年後、又民間の今重役をやつておるのであります。そういつた点からは一番、何と申しますか、まあ官営のいいところと悪いところ、民営のいいところと悪いところを身を以て体験したというような気持を持つております。そこで今御質問の、なぜ形態を変えなければ事業がよくならないかという点でございますが、これは形態という言葉自体が非常に誤解を招きやすいのでありまして、中身を逐一、今度提案されました公社案なり或いは特殊会社としての国際電信電話株式会社案というものと、現在の国有国営の特別会計下におきまする国内及び国際電信事業のやり方と、具体的に財務の面、会計の面、或いは人事管理の面を比較いたして参りますと、その結論は形態に引つ括られて批評されるわけでございます。従いまして純然たる大体民有民営というものでは、公社或いは今度の特殊会社というものはないと思います。殊に公社に至りましては、成るほど法文では国と独立した法人である、又国の予算と独立した公共企業体であるというふうに書いてございます。又国際電信電話株式会社も、会社という名前は使つておりまするが、随分その人事、財務、経営の面で監督官庁の支配が加わつております。従つて私は、この官営の一番民営的な公社、民営の一番官営的な特殊会社とは、これは二つ比べますと、そう大してそこに実質上の差がない。或いはイデオロギーから言いますれば成るほど一概に企業形態を改めるということが一つの大きな思想の違いのように思いますが、具体的な内容の一つ一つを比べますれば、この二つはいわば右から来たものと左から来たものが丁度真中あたりで背中合せになつて双子になつたというふうに考えられます。従つてそういう意味で、むしろ御質問の要点は、今までの官営官有の欠点というものが一体どんなところにあるのか、又国際通信事業を純然たる民有民営にできない理由はどこにあるか、この方面から政府の立案されたかたに具体的に立証して頂くということによつて御質問が解消するのではないかと思いますし、又具体的な私どもの体験から言いますれば、これは又何と申しますか、従業員は勿論ございますが、私ども役員そのものか株主に対して毎日責任を感じております。又この株式の出資されましたお金に対しての責任も持つております。併しそういう企業的なものが果して今の官有官営の状態であり得るかどうか、又あつたといたしましても、それが利益金処分の面、或いは欠損の補填の面、欠損に対する当事者の責任の面、こういうものが発揮されているかどうか、これも大きな私は要素ではないかと思われます。私も長らく逓信省に御厄介になりまして、いろいろと官有官営のいいところも学んで参りましたが、一番記憶に残つております勉強の一つとしては、パリーの大学の救援が、役所の仕事は放つて置いても死ぬということはない、併し企業は放つて置けば死ぬのである。企業が死ねば従業員も死ぬのだというような意味のことを、フランスが戦争後特別会計にする前に発表されたものを読んでおります。要するに会社と共に生き、共に死ぬという気持が今の国有国営の事業でどの程度発揮できるだろうか。役員が任期がある、その任期のうちに自分の責任を果して仕事をする、それから利益金の処分をする、その処分に対してとにかく株主の意向を十分に反映する、こういう機構が国有国営には絶対ないのであります。そこらが企業としての電信電話事業というものを考えますと、消費経済若しくは官庁経営の理論から生れた今までの財政原理というものは当然改められなければならない。これは自分は身を以て役人をやり、民営の事業をやり、今文民間で仕事をしております場合に考えられることであります。月末になりまして、従業員の給料をどうか遅配のないように、又株主に対しまして、投資額に対する妥当な報酬を何とかして捻出する、又安く早く工事を切上るというような、いろいろな今の国有国営のままの事業から果してできるかどうか、こういう点から御質問の裏からのお答えになつております。
○小笠原二三男君 そういう話を聞いて、公社と特殊会社とは裏腹の問題で歩み寄つて来ておるのだというようなことで、私も腑に落ちた点があるのですが、午前以来公述人のかたがたが公社そのものに御賛成のかたでも修正の御意見の、希望のあつたかたは、すべてこの公社の責任態勢を明らかにして強化して行くと共に、又大蔵大臣、その他における監督、統制を成るべく排除して、特に財務、会計制度において自主性を持たせる、こういうことでございますが、これらの修正がなされた暁の公社というものと、今会社として出ておつて、これだけ許可、認可命令等の監督管理を受ける特殊会社とは、私ども変りがない程度のもので、これは会社と言つても、公社と言つても、そういうふうに願えたら望ましいと思われる公社形態と私は運用上変りがないような感じがするわけであります。でそういう立場に立つ特殊会社であるものは、絶対的に特殊会社でなければならんことではなくて、望ましい形の公社であれば、あつてもこれは当然それでもよろしい。これ以上一歩も抜けないのじやないかという感じを私は持つわけであります。この点如何ですか。
○公述人(渡辺音二郎君) 実は午前中の御意見伺つておりませんので、人様の御意見を聞かずに批評ができませんが、今の御質問の点は、やはりそれでもこの公社案と特殊会社案とは、やはり一線画さるべきものがあるように思われます。それはやはり国の予算と同じように審議されて来た、内閣にかけて、閣議にかけて決定されて国会に出るという点と、片方は特殊会社で監督はなかなか厳しいとこれは思いますが、それに対してもやはり会社法によるところの会社の妙味が残されておる。殊に新商法による会社の妙味はやはり十分にこれは発揮される、そういう点はやはり提案されました公社と特殊会社とは一線画されておる、さように考えます。
○小笠原二三男君 最後に一つ、公述の当初に当つて渡辺さんは私は利害関係者としてというふうな御発言があつたので、そのほうで一つ伺いますが、利害関係者として国際電信電話のほうが公社になつた場合におきましても、建設部門等については、これは公社自体が直営することなしに民間に請負わせてやるということについては、直接の利害関係者としてどういう御意見を持つておりますか。
○公述人(渡辺音二郎君) これは誠に言葉が不適当で、そういうふうに御了解になつたと思いますが、私が利害関係者と申しましたのは、公述人として申請いたしました理由にも書いてございます通り、電信電話事業に三十六年従事しておるということと、目下国立電気通信大学の講師をしておるということと、それから現在の会社の役員をしておる、こういうような私の経歴から見て、この日本が始まつて以来の重大な法案が国会で審議されるときに、どうも一言私の平素考えておることを申上げておきたいという意味で利害関係という言葉を使いましたので、私現在やつております仕事の問題につきましては、別に先ほど説明した以上に、特にこの両法案が通過いたしましたがために利益を得ようとかいうような期待も持つておりません。
○小笠原二三男君 それでよくその事情はわかつたのですが、組合のほうの話では、どうもこの公社は民営に移行する一つの前提として行われることである、その証拠には一部は国際会社というもので会社になり、又公社経営の中でも建設会社或いは倉庫会社、或いは輸送会社へ、それぞれの部門はそれは民間経営に委ねて、そうしていろいろな請負等をやらせるというふうにどんどん切離して行くような動きがある、そういう前提に立つ公社案には絶対反対だと、こういうような意見をとつておるわけであります。それで一つこれはそういう意味では渡辺さん言いずらいところでしようが、こういう公社経営において建設部門まで実際直営でやるということは、或いは民間にやらせるということについては、どういう御意見を持つておるか、やはりこれはお尋ねしたい。
○公述人(渡辺音二郎君) 今の御質問の点は、私がお答えするより当局者がお答えすべきものと思いますが、ただ民営にすることを前提としない公企業体であれば賛成だという御意見は新聞でも私よく承知しておりますし、又、この間の料金値上げの公聴会のときにも拝聴しました。それは今の電信電話会社の設立前すでにそういう御議論でございまして、従いましてこの会社と今の意見との関係はむしろ無縁に近いのではないかと思われます。これは又公社若しくは特殊会社としての国際電信電話会社ができました場合に工事をどの程度請負わせるか、これは誠に経営者の判断によるほかありません。併し総括的に見まして一体工事というような仕事そのものが官の力がなければできないものであるかというようなことから見ますると、私はやはり十分に民間の技術と資金でやり得るし、又そのほうが便利であると、かように考えております。
○水橋藤作君 渡辺さんと久保さんにお尋ねしますが、私は関心を持つておりまするので御両者の御意見を参考にしたいと思うのであります。それは渡辺さんも長らく逓信省関係に従事しておられたので、いろいろこの問題も関心を持たれておると思うのですが、それは名称ですね。つまりもとは逓信省であつて、それから電信電話が電通省と分れた、そして郵政省に変つた、又電信電話及び電波が包含される、そこでこれを郵政省でいいか、案を出しますれば通信省とか、或いは逓信省、これはいろいろあると思うのですが、これにつきまして現在の郵政省そのままの名称が適当とお考えになるか、或いは逓信省とお考えになるか、又は通信とか何とか、名称はどれが適当であるかということにつきまして久保さんと渡辺さんの両方の意見をお伺いして参考にしたいと思います。
○公述人(久保等君) いわゆる官庁としての名称が只今具体的に言われている三つのうちどの点がいいかということは、その点と公社の問題との関連性がちよつとよくわからないのですが、名称を変えるのがいいかどうかというような問題になりますと、私は原則的に言えば余り名称の変更をするのは好ましくないのじやないかというふうに考えております。それはなぜかと申しますと、少くとも電気通信事業というものは高度な公共性を持つておるものであれば当然国民大衆の利便ということをやはり第一義的に考えて名称という問題を考慮して行くべきであるということを考えて参つた場合に極端に言えば朝礼暮改的に名称をどんどん変えて行くということはそれだけ電気通信事業に対するやはり一種の愛着、緊密感、そういうものを削減して行く結果になると考えるわけであります。そういう点から言えば余り名称をしよつちゆう変えるということは、気分的に一新していいのだという考え方も或いは成り立つかも知れませんが、従いまして只今の三者のどの名称が適当であるかという問題になつて参りますと、名称を余りしよつちゆう変えないという形で、而も実態が最も的確に表現できる名称を使つて行けばよろしいのじやないかというふうに考えるわけであります。
○公述人(渡辺音二郎君) 名称の問題はなかなか沿革がございますので、大体逓信省という言葉自体も明治の初めは駅逓局と言つてトランスポーテーシヨンの時代で、これがテレコミユニケーシヨンの行政を扱う役所ができました場合は電通省という名前が使われましたのは当然だと思います。郵政省というものはその場合、対照的に扱われたと思いますが、郵政省そのままの名前は私は必ずしも適当だとは思つておりません。と申しますのは、今の郵政省はなかなか重大な貯金その他の仕事をやられます。今後この公社或いは特殊会社ができると監理官が配置されて監理されるように法案で拝見します。従つて本当を言えば成るほどたびたび変えることは国民は迷惑しますが、実態のわからない郵政省というような看板を掲げておくということはなお一層国民に迷惑をかけるのではないかと思います。従いまして私の意見としては通信省が一番いいじやないかと思います。
○委員長(鈴木恭一君) 他に御質問ありませんか。
 それではこれを以て本日の公聴会を閉会いたしたいと思います。
 終りに臨みまして一言御挨拶申上げます。公述人のかたがたには非常に御多忙のところ枉げて当委員会においで頂きまして有益な御意見を拝聴することができまして誠に有難うございました。厚く御礼申上げます。
 本日はこれを以て散会いたします。
   午後四時四十六分散会