第013回国会 農林委員会 第57号
昭和二十七年七月二日(水曜日)
   午後二時四分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     羽生 三七君
   理事
           西山 龜七君
           加賀  操君
           岡村文四郎君
   委員
           瀧井治三郎君
           宮本 邦彦君
           赤澤 與仁君
           飯島連次郎君
           片柳 眞吉君
           三橋八次郎君
           小林 亦治君
  委員外議員
           大野 幸一君
           伊藤  修君
  政府委員
   農林政務次官  小川原政信君
   農林省農政局長 小倉 武一君
   農林省農地局長 平川  守君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       安楽城敏男君
   常任委員会専門
   員       中田 吉雄君
  説明員
   農林省農地局建
   設部長     櫻井 志郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○農林政策に関する調査の件
 (接収地の補償の件)
 (馬鈴薯のバイラス病の被害状況に
 関する件)
 (農地及び農業用施設災害防止に関
 する件)
  ―――――――――――――
○委員長(羽生三七君) それではこれより委員会を開会いたします。
 七月十日までの日程を先ほど理事会の御協議を経て決定いたしましたので、お手許へお配りした案文によつて一応御了承をお願いしたいと思います。
 次はかねて問題になつております駐日米軍による農地或いは開拓地の接収による補償基準について、最近の新聞報道によりますと、決定したようであります。先般来この問題は当委員会でも検討したわけでありますが、最後的決定があつたようでありますので、この際農林当局から説明を煩わしたいと考えるわけであります。最初にその経過を御説明願いたいと思います。
○政府委員(平川守君) 先般御説明申上げましたように、補償基準の問題で大蔵当局と意見の食い違つておりましたのは、農地の接収される場合の作離れ料の問題であります。これについて農林省といたしましては、標準として農業所得の五年分を作離れ料として与えるという案でありましたが、それに対して大蔵省は三年分ぐらいということを申しておつたわけであります。その後事務的に大蔵省の主計局といろいろ折衝いたしました結果、大蔵省としては必ずしも一律に五年分ということは適当でないのじやないか、最高五年ということならば話がわかるけれども、場所によつては五年分まで行かない所もあつてもよいじやないかということを申し、我々のほうといたしましても、農家に対する作離れ料の算定が必ずしも農業所得だけでいかない場合もあるのじやないか、例えば立川の近傍でありますとか、或いは伊丹の飛行場の場合、そういう場合と北海道の奥地の場合というのとでは必ずしも農業生産と他の要素も加味されるのじやないか、そういう意味におきまして、一律に五年分ということは我々としてもそうしないでもよろしい。但し標準としては五年分になるようにしてもらいたいということで四年乃至六年、それでその何年分を適用するかということは、その場所における売買の実例でありますとか、或いはその外の目的で土地を手離した場合の作離れ料の実例であるとか、そういうものを参酌してきめてもろう、こういうことに事務的には話合いをいたしましたわけであります。総計におきましては、そういうわけでありますから、従来の農林省の主張しておりました補償金額というものがそう狂わないというように考えております。開拓地につきましても、これはその中に含めまして、そうして六年分ということを主張いたしておりましたので、その中に含めて六年分ということに適用してもろうということにいたしたわけであります。
 それからなお農地を一時使用せしめる場合につきまして、従来農林省といたしましては、それには農業所得の一年分を毎年使用料として支払うということを主張いたしておつたのでありますが、大蔵省としましては年所得の全額を補償することは少し甘過ぎるのではないか、使用される場合においては勿論最悪の場合には農業所得は零になるということは考えられるけれどもそれが農業に投下すべき労働で若干は他のほうで収入を得るという途も絶無ではないのであるからということでありまして、結局これにつきましては年所得の八割というもの、最低八割を補償するということに事務的には話をつけましたわけであります。これらの点につきましては、今後閣議等の正式の決定を見なければ政府の決定というわけではありませんけれども、事務当局同志の話合いといたしましては、その程度で話合いを付けました次第であります。
○小林亦治君 大変御努力を願つたようでありますが、この作離れ料の問題なんですが、開拓の場合はそうすると、この基準で申しますれば、四年分ということになる場合もあるのでありますか、或いは開拓の場合は別途に考えて、大体六年といつたように見通し得るかどうか。この希望としては前に申上げましたように、十年なり七年なり開拓のほうに幅を持たしてもらいたい、こういう強い要請をしたのでありますが、こういうようにきまつたとすると最高が六年で押えられて、場合によつては四年間ぐらいになるといつたような虞れがあるのですが、そこの点はどうですか。
○政府委員(平川守君) これにつきましては、書き方といたしましては四年乃至六年ということで、既墾地のほうと開拓のほうと含めて書いてございます。併し開墾につき接しては、前には別に扱うような基準を示しておつたようなわけでありまして、当然最高の六年ということに了解をつけておつたような次第であります。
○小林亦治君 それから一時使用の場合なんですが、最低八割ということをちよつとおつしやつたのですが、この最高面のほうは何か基準があるのか、それを伺いたいと思うのです。やはり大蔵省の言うように全額補償というのは或いはこれは虫がいいかも知れない。なぜなれば、その農産物年度の途中から使用せられた場合も一年分ということになると、非常に不当な補償を得るというような結果になりますので、八割という点はわかるのですが、これが最低であるのか、或いはその年度全部何用する場合、他に労働を転用し得ざる場合はやはり十割ぐらいになり得るのかどうか。
○政府委委員(平川守君) 最低と申しましたが、これは農地については八割ということで話をつけました。従つて八割以上になることを想定しておりません。ただこれにつきましては、実はまだほかの部門で少しもんでおりまして、一括して最低八割というように、このぐらいになるのではないかというふうに考えられましたので、最低という言葉をちよつと申上げましたが、農地につきましては、大蔵省との事務的な話合いはまだ八割ということにきめておりまして、それ以上に上るような場合があるような話合いにはなつておりません。
○小林亦治君 これは八割でも十割でも問題は補償額の決定の基準によると思うのです。例えば高い土地を使わないで、従つてそれに投下せられる労働力を他に転用するという場合には、その転用をなし得る労働力を換算して補償額というものを大体きめるのじやないのでしようか、今までの例によりますと……。
○政府委員(平川守君) これはその土地において従来作付をしております農作物を基準にしまして、そこで従来一年間にどれだけの所得を得ておるか、総収入から必要な肥料その他の費用を差引きまして、その農家の得る所得が幾らであつたかということを百としまして、その八割ということになるわけであります。開拓地の場合におきましては、先般ちよつと申上げましたように、これは生産力が最高まで行つておりません。従つて普通の熟畑化した場合の生産力を計算して、それに対して八割ということに計算する建前でおるわけであります。
○小林亦治君 まあ満足ではありませんが、大体この点書き物を見れば納得すると思うのですが、もう一つ重要な問題で、何回もこれは申上げたのですが、補償金に対する免税の点、この点はどうなつておるか。
○政府委員(平川守君) 免税の点は実は別途の交渉になりますので、主税局のほうと目下交渉をいたしておりますが、これはまだ正式の回答を得ておるわけではありませんが、大体の主税局方面の考えを伺つておるところでは、所得税に関しましては、租税特別措置法の適用によりまして、実際問題として所得税がかかつて来るということはないような措置がとれると、ただ再評価の関係で若干六%ですか、再評価関係の差額の六%ですか、税率が一番大きいのはやはり所得税の問題であります。これは累進的になります。この問題さえ解決すれば、先ず大体は満足できるのじやないかというふうに考えておりまして、この点については主税局も非常に好意的でありまして、大体その線で行けることになつております。まだ最終的な回答を得ておりません。そういう段階であります。なお折衝を進めたいと思います。
○小林亦治君 地元に回答をする関係で伺うのですが、大体いつごろまでにそれがはつきりきまるのですか。
○政府委員(平川守君) 実はいつごろまでということをはつきり申上げる段階にまだなつておりませんのですが、やはり具体的に地区をきめてやります場合にはその問題も明らかにせなければならんと思いますので、少くとも今月中ぐらいに明らかにしたい、かように考えております。
○岡村文四郎君 この問題は一時使用の場合に問題があると思うのです。これは一年きりのものか、又使用する地区が蒔付前の使用と蒔付けてあるものの使用とあると思う。又土地の体形を崩す、穴を掘るとか、或いはいろいろなことをする、収穫のみを考えたのではいかんと思いますが、体形を崩さないで畑なら畑、田圃なら田圃のままで使うのですか、どうですか。
○政府委員(平川守君) この点につきましては、今度の合同委員会で一々きめて参ります場合に、具体的な使用の方法まできめて参ります使用条件と申しますか、そういうものを明らかにいたしまして、それを前提として補償をきめて行くという考え方をとりたい、かように考えております。
○岡村文四郎君 これは百姓にしてみると大事なことですから、その点よほどお含みを願いませんと、一時使用は大体八割なんかにきめられると、実は使用の方法によつては大変なことになると思いますから、その点は局長のお考えでいいと思いますから、残りのないように細かくきざむと面倒になるかも知れませんが、きざんでも後日面倒が起らんようにお願いしたいと思います。
○三橋八次郎君 離作料四年乃至六年というようなことでございますが、勿論これは環境によつて四年になるか六年になるかということになるのですが、それはどういうような環境によつて四年になるか、どういうような条件によつて六年になるのか、一応お伺いしたいと思います。
○政府委員(平川守君) それはその附近についての農地の販売の実例、或いは他の目的で、例えば学校にする、これはその農地の所有者に作離れ料をどのくらい払つているか、或いは工場になる場合にどのくらい払つているか、その総額が地帯々々でかなり違つております。そういう実例を参酌してきめたい、こういうふうに考えております。
○三橋八次郎君 よくわかりますが、若しもこれは不便な所だからと言うて四年になり、便利な所だからと言つて六年になるというようなことになるのでありますると、農村事情から考えましてこれは逆になると思います。便利な所は例えば離作いたしましても、その労力を他に転用する可能性が多いのであります。山奥などでありますれば、農地を取られてしまいますれば、全く他にその労力を転用するということは困難なわけでございますから、そういうような事情も考慮いたしまして、ただ便利で地価が高いからどうということでなくて、そういうことも一応考慮に入れてやるお考えでありますかどうか。
○政府委員(平川守君) これは今後の運用の問題になると思いますが、私ども前からこの基準を作ります場合には、やはり水没地の農家のような場合を随分基準に考えておるわけであります。こういう場合は、必ずしも山の中であるから非常に安いということにはなつておらんのでございまして、そういう実例等も十分参酌してきめて参りたいと考えております。
○片柳眞吉君 この問題で関連事項でお聞きしておきたいのでありますが、それは数日前の新聞の投書欄でありまして、新聞の名前は忘れましたけれども、接収地の隣接地帯で薪炭を生産しておる炭焼の人の投書がありまして、その附近では非常な危険があつて到底炭が焼けない。これについては殆んど政府が考慮を払つてくれないという投書が出ておつたわけであります。私は非常に尤もな記事として見たわけでありますが、接収地そのものではないのでありまするが、その附近で非常に薪炭の生産の作業ができないという問題につきまして、何か考慮を払われておりますかどうか、政府のお考えをお伺いしたい。
○政府委員(平川守君) 従来実際問題として、演習が必ずしも中央の指示するように正確に行われておらないということのために、流弾が飛んで行くというようなことがあつたようであります。つまり、出先の兵隊さんが定められた標的に向つてちやんと打たずにいい加減なことをやるという実例等もあつたようであります。この点につきましては、司令部のほうでも非常にやかましく、具体的の実例があつたらどしどし言つてくれということで、私どものほうからもどんどんそういう実例を伝えておりまして、そうしますと、現地の司令部に対しましてやかましくその点を中央から言つてくれておるようであります。そういう事柄につきましては、これはまあ急に絶無になるというわけにも行くまいかと思いますけれども、駐留軍の本部にしても非常に注意をしてくれておるわけであります。それから、明らかに実弾の射撃をやる、又その影響があり得るという地帯は、これははつきりと区別をしまして、この地区は全面的に接収をいたします。従いまして、そういう所で炭を焼く、或いは木を伐るということは掛り得ないことに、これはきつちりと地区をはつきりさせまして、その部分は全面的に接収する。そのほかに、一応実弾の飛んで来る危険はない所であるけれども、いろいろな演習をやる上において必要であるという所についてもこれを接収をいたす。従いまして、接収をいたす以外の地帯においては、そういう実弾の危険等はめつたに起らないはずであると思うのでありますが、併し万一そういう所で以てそういう危険があり、又損害が生じたという場合については、この損害賠償に関する別の法律がございますので、これによつて損害を賠償して行く、これは先ほど申しました農地接収とは別問題の損害賠償のほうでそういうことが起りました場合には……、併し原則としてそういうことの起る可能性のありそうな所は全部接収をいたします。恐らくはそういうことは今後はなくなるのではないかというふうに考えます。
○委員長(羽生三七君) なお警察予備隊による使用についても話合いが進んでおるように聞いておりますが、この前お話を承わつたあと格別な変更がないか、ちよつと御説明を願いたいと思います。
○政府委員(平川守君) 警察予備隊につきましては、実は先方が非常に急いでおるのでありますけれども、まだ具体的の地区を決定して行く段階に至つておりません。この前御説明いたしました程度でありまして、全体の地区名だけは寄越してくれておりますが、その各地区についての細かい折衝に至つておりません。補償につきましては、今回の補償基準が当然予備隊にも適用されるというふうに私ども存じております。
○岡村文四郎君 これは接収した土地を、駐留軍がいつまでも日本におつてもらうということは考えておらんのですが、ここで或る年限が来ると引揚げてもらうと、こうなりますと、この接収した土地は勝手に御処分なさるのか、でき得れば元の地主に売戻すという形になるのか、その点おきめになつておるか、なつておらんか。
○政府委員(平川守君) 実はまだその点までは考えていませんで、一応接収いたしますと国有地になりますので、将来仮にそれが解除される場合には、又更に新たに開拓財産に移管をして開拓をするということになると考えております。
○飯島連次郎君 私もこの補償問題については、再三再四局長或いはその他関係御当局に質問しておつたのですが、先ほどの御報告で、特に農林御当局の労を併せて私は多とするものであります。ただもう一つお願いを申しておきたいことは、実はこういう補償基準がきまりまして、この基準によつて実際に補償額が支払われるまでに、実は従来の経緯を見ておると余りに時間が長くかかり過ぎる。曾ての極めて低い補償額ですらまだ未払の分があるやに実は聞いておるわけでありますが、それらについての随分陳情等が直接農林当局にも参つておるように考えるわけでありますが、今度の新らしく制定される補償額においては、そういうことがないような御注意が払われておることと思いますが、それらについての取越し苦労が完全に解消されておるかどうか、その辺の模様をちよつと承わりたいと思います。
○政府委員(平川守君) 従来の補償が非常に遅れがちでありました一つの大きな原因は、従来の調達におきましては、一件々々のケースにつきまして米軍のサインが必要であつたわけであります。全部向う側の係官が見てサインをしないと金が払えないという状態にあつたわけであります。今後はそういうことはなくなりまして、特別調達庁の決定でどしどし払えるということになりますので、今後はそういうことは万なかろうというふうに考えております。
○宮本邦彦君 これは平川局長に聞くのはどうかと思うのですが、大抵おわかりだろうと思うので伺うのですが、この接収とそれから警察予備隊の演習するのは、これはいずれも或る計画的な根拠を持つてやつておるのではないかと思うのですが、この計画はいつになれば大体終るのか、そういうことはおわかりなんですか。この前予備隊のほうは、できればこれだけ欲しいのだというようなことを言つておつたのですが、できればこれだけ欲しいのだということがいつまで続くということは、これはいつまで経つても開拓者というものは安心できないことになるので、大体いつ頃になればこの問題はけりがつくのだということがおわかりかどうか。それからそういうような交渉をされたことがありますかどうですか、今後どんなふうにその問題を取扱つて行かれるか、それを伺いたい。
○政府委員(平川守君) 駐留軍のほうにつきましては、これは私どものほうも目下折衝をしておりますので、全国的な計画を出してもらいたいということをやかましく言つておるわけであります。これについては、恐らく期限の関係もありまして、今一地区々々についての向うの要望というものが恐らく来週中ぐらいには出て来ることになつております。最後的に地区の面積、或いは地区のうちの一部分について意見が合わないというようなものが残るものは若干残るかと思いまするけれども、大体は今月中ぐらいに結論が出るだろうというふうに考えております。ただ予備隊のほうはどうも予備隊の計画そのものがまだ甚だ固まつておらんようであります。大体大きな演習場が何ヵ所かあるといつたような漠たる話であります。只今までに欲しいものがこれだけあるというような地区名だけが出て来ておるような状況であります。予備隊のほうは、そちらのほうの要望というものがいつ固まることになりますか、私どものほうにもちよつと見当がつきかねておる、差当りは向うの言つて来ておる地区だけはわかつておりますが、まだこれから新しいものが出て来るかどうか、その辺はちよつと……。
○委員長(羽生三七君) それではこの問題はこの程度にいたしたいと思います。本件については、農林当局の御努力は大いに多とするところでありますが、各委員の皆様から御発言がありましたように、今後この取扱について一層の善処方を希望いたすわけであります。
  ―――――――――――――
○委員長(羽生三七君) 次に、最近一部に見られる馬鈴薯のバイラス病の問題について、片柳委員から発言を求められておりますので、御了承願います。
○片柳眞吉君 この問題はこの間衆議院でも質問があつたそうでありますが、実は極く最近に東京都下の農協から陳情がありまして、私も非常に驚いたのであります。東京都以外にもこういうような事態があるかも知れませんが、私は東京都以外の事例はまだ確認はいたしておりませんが、東京都の事例を見ましても、非常な、今年の馬鈴薯の作がバイラス菌のついておる種馬鈴薯を使つたことで非常な減収になつておるのであります。東京都の農協のこれは調査でありまするが、減収率がこの罹災町村においては平均七八・八%の減収であります。殆んど使用した種薯に若干プラスのものしか出ていない、それだけしかないというような状態であります。これは反収が四百五十貫と見て、それで七八・八%の減収でありますから、殆んど収穫皆無に等しいような状態であります。これを貫当り四十円という価格で入荷しますると、減収による損害が六千四百七十六万八千円ぐらいになりまして、特に東京都下の農業が、水田は御承知のようにないのでありまして、殆んど畑作で、かような馬鈴薯の作というものは主作に近いような非常に高い比重を持つておりますので、実は非常な減収であるのであります。而も町村別に見て参りますると、殆んど被害のない町村が相当ありまするが、まあ或る村は集中的にこれは被害が出ておるわけであります。従つてこれはやはり明瞭に種馬鈴薯が悪かつた、菌のついた馬鈴薯の配給された町村に集中的にこれは出ておるわけであります。その意味で、これがどういう原因でかような不良な病気を持つておる種馬鈴薯が配給されましたか、その原因と、それからこれに対する対策と言いまするか、誰が結局責任をとるべきものか、これはまだ調査が或いは完了しておらんかも知れませんが、極めて大きな問題でありまますので、それに対する農林当局のお考えを先ず聞かして頂きたいと思います。
○政府委員(小倉武一君) 東京都下の馬鈴薯のバイラス病についてのお尋ねでございまして、損害の見方についてはいろいろあると思いますが、とにかく著しい不良の状態であるということはその通りでございます。その原因でございますが、北海道の美映という町と、上富良野、中富良野という二つの村から出荷されておる種馬鈴薯によつて作付けされたものが、発病の大体原因になつておるとこういうふうに言われるのじやないかと思つております。その三町村から出荷されましたものが、それではなぜバイラス菌を持つておつたかということでございますが、そういうことになりますというと、私どもだけの調べでも必ずしも明瞭でないわけであります。検疫のほうの手落がなかつたかということも調べてみたのでございますが、御承知のように馬鈴薯の検疫につきましては、圃場における検査を三度やることになつておりまして、その二度目乃至三度目に検疫官が行つてみるということになつておるのでありますが、この三町村につきましては、去年二度目のときに検疫官が出て参つているのであります。そして検疫の結果三町村の合格率は約半分足らず、村によつて多少違いますが、大体半分何がし、従つて半分しか合格しなかつたということもございますので、検疫の手落によつて今回の発病があつたというふうには私どもの調べでは只今のところ考えられないのであります。従いまして、関係者からは国家による損害賠償ということをいろいろお話があるのでありますが、損害賠償ということをいたすということまでにはこれはなかなか行かんのじやないかというふうに考えております。三町村から参りました種薯の数は約九千俵近くでございまして、そのうち発病の仕方によつて程度がいろいろございますが、六千俵内外のものが発病、罹病しておるというふうに考えております。損害の見方につきましてはこれはいろいろございますが、必ずしも平均的に七割以上の減収があるというふうにも見られないのではないかというふうに思つております。以上であります。
○片柳眞吉君 只今の御答弁、やや結論を急ぎ過ぎておると思うのですが、私もここでまだ、国に責任があつて、国家に対して賠償を請求するというようなことを言うところまでは行つておらんのであります。むしろ私どもは、今後の例もありますので、この原因がどこにあるのかはつきりいたしませんと、これは今後も困ると思いまするし、又今のお話でありますると、検疫に何らの手落がなくして、而もかような病気のついた種薯が入つて来るということは、これは我々如何にも理解できないのであつて、やはり理窟としてはやはり横疫上の或る程度の手落がなければ、途中でバイラス菌がつくということもこれはないと思つておりまして、ですから国の問題、責任問題は別といたしまして、やはりその原因関係ははつきりしてもらいたいというふうに思つております。又減収率もこれは農協の調査でありますから、或いはこれほどには至つておらんかも知れませんが、併し先ほど申上げましたように、全然発生しない村と、発生している所は極めて集中的に出ていることによつて、例えば病気のついた貨車一車着いた村は殆んど全滅に近いというような関係になつているんであつて、どうしてもこの点からもやはり検疫上のやはり私は手落ちがあつたと見ることのほうが常識ではないかと思うのでありまして、今にわかにここで結論を私はつけるわけではありませんが、一つ今わからなければ更に一つ原因を探究して、その後の対策はいろいろと意見を申上げたいと思うのでありまするが、重ねてその点につきまして……。
○政府委員(小倉武一君) 検疫の問題に関連してでございますが、御承知の通り馬鈴薯の検疫は完璧には行われていないと申しますか、制度として防疫法自体が完璧でないように私は思うのであります。そういう意味におきまして、制度の欠陥としてこういうふうな事態が起り得るということは、これは勿論想像はできますし、又或いは制度上の欠陥によつて出て来たのではないかというふうにも思うのであります。併しそのこととまあ片柳さんのおつしやられる通り、責任の問題とか、或いは違うかも知れませんが、それは別といたしまして、制度上どういう点が欠陥があるかと申しますと、これは御承知かも知れませんが、薯ができてしまうというと、薯を見たのではこれはわからない、従つて圃場検査をやる。圃場検査をしてから出荷されるまでの間の繋ぎということは制度的に確保されていないわけであります。従つて今の制度上の検疫が完璧に行われたということを認め、それを前提といたしましても、東京都なり或いはその他の府県に来る薯が必ず無病のものであるという保証は実は今の制度の上ではできないという、甚だ妙なと申しますか、欠陥があるのであります。そのほかになお植物防疫官が数が非常に少い、あの広い北海道に七人しかいない、補助員四百人余りを使つているのでありますが、そういうわけで人員的にも必ずしも、必ずしもと申しますより甚だ不足でございますし、制度的にももう少し何か工夫が必要ではないかという意味においては、これは確かに制度上の欠陥にきざした現象ではないかというふうに、これは勿論考えられるのであります。
○瀧井治三郎君 これの問題についてちよつとお尋ねしたいのですが、この前の種苗検査のときにも申上げたのですが、この苗の検査は農林省でやつておられる、そうして種の検査は北連が代行しております。もうすでにそれが途中で切れております。成るほど馬鈴薯の病気は早ければ大体わかりますが、もう薯になればわからない。而も検査は苗の検査は農林省でやる、種の検査は北連でやつているというな始末でございまして、私は現場に行つて見ておりますが、売行きがよければじやんじやん種薯として種薯の検査の荷札をつける。ただ荷札をつける程度をやつているように見られます。かような大きな問題が出ました今日、今後は一つ農林省として一貫した責任のある検査でおやりになることが望ましいことであると、こう考えます。よつて希望申上げておきます。
○飯島連次郎君 片柳委員から提議されたこの問題は、私の群馬県でもかなり顕著な発生をしております。私の県内では私は詳しいことはまだ手に入れておりませんが、近く正確な数字を以てこれは陳情なり、或いは善後措置に参上したいと考えているのであります。ところがやはり私の県の状況を見ると、山間部のほうにもかなり出ている。で、これは多少北海道出身の議員のおいでになる席で、若干お耳障りかも知れませんが、私の県というのは、関東の山地では北海道のじやがいもの種に関しては殆んど迷信に近いほど高い信頼を寄せておつて、じやがいもの種に関する限り、北海道にあらざれば殆んどもうこれは収穫は期待できないというくらいの高い信頼を持つておつたのが、今度の事態で大分信用を失墜したと申しますか、この信頼度が薄くなつたのじやないかと私は思います。そういうことは第二の問題といたしまして、この東京都下の状況をお述べになりましたが、局長の手許に集つている大体の罹病の地域なり、並びに損雲の範囲なりというものをもう少しお間かせ頂きたいことと、私はまあ自分の小さな経験と知識から判断をして、実は私の県の集荷地帯でも、御承知のように農林省の馬鈴薯の原種畑が設置されているような状況で、長野と並んで何も北海道から種を無理に買わなくても、近県で何とか経済的に種薯を枇給したいという考えの下にあるわけですが、その附近にもかなり発生をしているように聞いておりますので、やはり何か必ずしも北海道の種薯だけに限つたこの病害の発生ではなくて、そこに一つの気象条件によると言いますか、特に発生せしめるような特定の好条件が集まつて、今年の大被害の発生ということになつたのじやないかということが多少考えられますので、被害地の地域等についての状況を極めて概要で結構ですけれどもお聞かせを願いたい。
○政府委員(小倉武一君) 東京都の場合に似たようなひどいバイラスの発生になつたのがあるかというお尋ねでありますが、私ども全国的に調査したわけではありませんが、聞いているのを申しますと、千葉県と神奈川県に多少、多少と申しますのは要するに関係町村なり面積が少ないという意味だと思いますが、あるということを聞いておりますが、直接にそれも聞いたわけではございません。そこで只今のお尋ねにお答えをすることができないのでありますけれども、今お話のように北海道の種薯だからなつたということではなくて、例えば東京都の場合におきましても、明らかに地種を使つている例というのが相当あるのでございまして、バイラスだからといつて必ずしも北海道の種だというふうに考えますと、これは北海道の種によくございませんし、我々もそういう点は考えていないのであります。たまたま今回東京都の原因をみますと、丁度出荷先が三ヵ町村から出荷されているものについて、どうも集中的に出たということに特別の事情があるのではないかというように思われるわけであります。気象的なその他の条件について本年特に発生状態がひどいかどうかという点は、私は特別ないのではないかというふうに考えております。なおお尋ねの点は調べましてお答えいたします。
○岡村文四郎君 馬鈴薯のバイラス病、これは重要な問題で、実に困つた問題だと思つておりますが、北海道は種の産地になつておりまして、実は私の勘定で十二、三組の人が地方等検査して廻つております。そこで非常に被害の多い所と少ない所とあるようでありますが、私の考えでは現在のままでやつておりますと、非常にこれをなくすることが困難です。そこで私のうちでは馬鈴薯の種を作つておりますが、帰つてみると圃場検査を厳しくやるものですから、そうするとこれでは駄目だ、やめなさい。こう言うので種薯をやめておりますが、そこで澱粉にするには差支ございません、収獲の点は割合に収獲は減らんものですから。そういうわけで農林省のやつております原種圃の薯を区別してもやはり出るのです。ですから一切の薯を作ることを一応やめて、そうして六、七年経つてから、作るのでないと、こう蔓延した時分には非常に困難だ。そこで内地のかたの話を聞きますと、割合に今までそういうことがないものですから、種薯にしてこつちに来ますので、植付までの措置が非常に足らんようです。北海道では随分懇ろにやつておつても出るものですから、これは御迷惑をかけるばかりで、これを進めていると農林省が若しこれを撲滅するような、やめないで何かあれば別ですが、そうでないとやはりばつたりもう御迷惑をかけて、この間も阪連の総会でえらい賠償金を要求せられたが、あれば払うが、なくて払えんということを申しておられました。これでは作つた人が非常に困るのです。そんな状態では馬鈴薯というものを作ることは一応やめる、こういうふうに肚をきめてかからんと、これは何年経つてもこれはなかなかなくならん。それからそのほかにうんと消毒をやつて防除をするそうして原種圃のやつも今申しますように直ぐわかりますが、澱粉にも全部ひけるものです。それは植えてあるものを引くと畠が明きますから、それに何か植えればいいのですが、なかなかそうはいかん。そのために非常な収獲の減になつて損をしますから、これは農林省のほうで十分に御研究になつてそうしてやつてもらいませんと、このままでやつておりますと非常に御迷惑をかける、実は北海道ばかりでなくて、長野で作つても結局同じことになると思うのですから、これは大英断で特段の方法を立てないと、非常に迷惑をかけていかんことになると思いますから、特段の御研究と御考慮をお願い申上げておきます。
○片柳眞吉君 そこでこの問題は、実は政府の責任についてもまだはつきりいたしませんが、もう一つは今滞井さんのような御意見も実はあるわけです。或いは圃場検査は相当励行したけれども、実際出荷する場合に種薯と普通薯とを或いは梱包して、種薯にならないものを種薯の名において出荷をした、こういうようなことも出ているわけです。実は農家のほうの話を聞きますと、責任の点をどうしたらいいか実は迷つているわけであります。結局北連から北連全販連、それから東京都の経済連、それから単協を通じて農家は買つている。そうすると農家のほうは村の協同組合に文句を言つて行く、協同組合は都の連合会に持つて行き、都の連合会は全販連に持つて行つて、結局帰終的に見て今岡村さんの言われたような、或いは北海道の出荷を担当している方面に責任が逐次戻つて行くというような問題になつて、でありますから、この問題は一つよく原因を探求して頂きまして、原因の如何によつてやはり適当な善後措置はこれは一つ是非とも政府において考えて頂きたい。或いは検査制度の刷新なり、或いは今岡村さんの言われたことを私も過去の経験から見ると、私がおつた頃には政府が薯を配給しておりましたが、その当時には実は大してこういう問題は起らなかつた。むしろこの両三年が非常にバイラス菌というものが各地に発生して来ておるので、或いはその被害が膏肓に至つておるというような実は感じも私は素人でございますが、いたすわけであります。従つてこの問題を根本的に研究をして頂きたいということと、原因と結果に応じて政府においても或いは検疫制度を刷新するなり、或いは場合によつては国において適当の補償をするというような問題も、少くとも善後措置としてはこれはお考えを願いたい。ここで具体的な結論を出すことは早いと思いまするが、少くとも原因結果に応じて適当なる善後措置を講ずることだけはこれは一つ政務次官も御出席でありまするから、その点を一つはつきり確約をして頂きまして、この問題ははつきり一つ原因を探求して頂きたいと思うのです。
○政府委員(小川原政信君) 私は先般来野原氏の後を継ぎまして、政務次官に任命をされましたのでありますが、至つて乏しうございまして、その任ではございませんのでありますが、どうか皆様方の絶大なる御指導と御支援によりまして、一日でもその職責を全うできるような御援助を賜りたいとかように考える次第であります。
 只今片柳さんより防疫の問題につきましてこのお話がございましたが東京及び東京附近に発生いたしました状況を聞きまして、非常に私も意外といたしたような次第でございます。これについては相当のこれは研究が要ることであろう、一応北海道におきましても御承知の通りに検査をいたしまして、その検査したものがこちらに参りまして植付けられまして、もはや収穫をせんというときに殆んどその土地が一面に私ども歩きましても、誠にお気の義な状態で何と申上げてよいやら北海道という本場に住んでおりますだけに御同情に堪えないのであります。単に問題は御同情申上げるとか、申し上げんとふいうような簡単なものじやない、この責任というものはこれは痛感いたさなきやならんと、こういふうに考えておるのでありますが、何にいたしましても、今農林省の窓口に入つたばかりでありまして、全く情勢もわからんのでありますが、幸いに農林に詳しいかたがたがおられますので、これらのこともよく聞き求めまして、そうして国家のために損失のないようこ、一日も早くこれらの方法を考えなければならんと、自分といたしましてはさような考え方をいたしておるのでありますので、どうか皆様方におかれましても、よいお考えがございましたならば御遠慮なく一つお話をして頂きまして、そうしてともどもにこの害を防ぎたいとかように考えておるような次第であります。何分よろしく御指導賜らんことをお願い申上げます。今日のところはまだ私といたしましては、この程度より申上げることができませんので、当局といたしましては、それぞれ詳細なる調査はいたしておりますのでありますが、その方針を一定してどうするというところまでは行つておらんのでありますが、やがてこの問題が又爼上に上ることと考えますから、今日はこの程度において御了承賜れば結構かと私はかように考えます。
○委員長(羽生三七君) 速記をとめて下さい。
   午後二時五十九分速記中止
   午後三時十七分速記開始
○委員長(羽生三七君) それじや速記を始めて下さい。
 それでは馬鈴薯のバイラス病の問題はこの程度にいたしまして、次にダイナ台風の被害状況について農地局建設部長の御説明を願うことにいたします。
○説明員(櫻井志郎君) ダイナ台風の今日まで集りました状況を御報告申上げます。
 農地関係といたしましては、現在のところ被害総額四十三億四千七百万円、それから林野関係では十四億五千二百万円、水産関係では一億三千二百万円、こういう被害報告が参つておりますことはお手許に差上げました一覧表でおわかりの通りであります。そのうち林野、水産、水産はお手許に、主としてこれは漁港関係でありますがその内容をお手許に差上げてありますが、まだ調査中で報告が十分参つておらない点が大分ありますので、当然これより相当程度増加するものと思つております。林野関係も同様奥地の林道との関係等もありまして、これも多少増加するのではないかと思つております。
 次に詳しい府県別の表につきましては、農地関係だけお手許に差上げたわけでありますが、その表で示します通り、茨城県ほか二十四府県の集計といたしまして、四十三億四千七百万円という数字でありまして、そのうち農地そのものの被害額は合計の欄で御覧の通り五億七千五百万円、農業用施設であります灌漑排水施設等及び農道等の被害は三十七億強、こういう数字になつておりますが、これは災害が起りまして府県が非常にあらい報告をやつておりますので、繋ぎ資金の要求或いは予備金支出等を要求する関係上、私どものほうで一応従来の被害報告と査定数字の関連性から推察いたしました査定見込額というものを算出いたしまして、昨日安定本部のほうに予備金支出の数字的な交渉を始めたわけであります。その査定数字は三番目の欄の査定見込額という欄に出ております数字であります。それが合計いたしまして、三十一億五千三百万円という数字を安定本部のほうに提出いたしました。この査定見込額につきまして、法律できめてあります補助率を掛けましたものが国庫補助金の欄に出しております数字でありまして、合計二十億二千三百万円、この数字を要求いたしておる次第であります。なおこれはダイナ台風の経過的な報告でありますが、今後精査されるに従いまして、この数字が或る程度変化されて参りますことが一つ。それから御承知の、一昨日から昨日にかけましての特に裏日本方面の水害、その中でも特に富山県の黒部川等が決壊しておりまして、黒部川水域の十数町歩が浸水しておる、こういうような状況でありますが、今朝私は自分の家から富山県のほうに電話をかけて見ましたのですけれども、やはり数字的な状況を判断するには今朝ではよほど困難でありまして、逐次これらの数字が報告されるものと思つております。現在のところでは富山県、島根県、或いは石川県、新潟県、これらは相当な被害があるということを、電話若しくは電報で申して参つたのであります。以上簡単でありますが、経過だけ御報告申上げます。
○委員長(羽生三七君) 只今のダイナ台風の被害状況について御説明を承わつたわけでありますが、この問題の一つとして、先般岐阜県の長良川の沿岸地域に相当大規模な被害があつた。その被害は耕地面積約三千数百町歩に及ぶ大規模なもののようであります。この件について、議員大野幸一君並びに伊藤修君から委員外発言を求められておりますので、御了承を願いたいと思います。では大野さん。
○委員外議員(大野幸一君) 御指名を感謝いたします。
 当局に、この長良川決壊に対する調査を特にされたことがあるか。若しあればその状況を先ず御説明願いたいと思います。
○説明員(櫻井志郎君) 二十四日の朝午前九時に決壊したのでありますが、当日私が東北方面に出張していておりませなんだ関係上、係員が二名現地に急行いたしまして、その後急遽帰つて参りましてから、政務次官のお供をいたしまして、二十七日現地に参つたわけであります。その状況を簡単に御報告申上げます。
 長良川堤防の決壊は、昭和二十五年度農林省施工の勘定事業であります長良川国営農業水利改良事業の取入口から決壊いたしております。この事業は、昭和二十二年度農地開発営団の事業として農林省の認可を受けた仕事でありますが、農地開発営団が閉鎖機関となりましたので、そのまま農林省に引継ぎまして、農林省の国営事業ということで仕事を継続して、今申上げましたように、二十五年度完了、こういう仕事になつております。この決壊した当日の水位は、長良川のその地点におきます計画洪水位よりも約一メートル五十センチ程度低い水位でありましたにかかわりませず決壊した、こういうことうありまして、農林省の関係者といたしまして、誠に遺憾に堪えないことであります。決壊の原因につきましては、今後なお建設、農林等で合同調査をしたいと思つておりますが、参りました当時は漸く仮締め切りができました程度でありまして、まだ決壊口ば非常に深い冠水状態にありますので、現地調査等は非常に困難であります。今その手配をいたしておりますが、なお私どものほうからも昨晩三者を現地に派遣いたしております。決壊しました関係からいたしまして、高須、輪中のニヵ村を除きまして、その他の村全体に浸水いたしまして、約二日後の二十六日の午前十一時に最下流の西江村の方面にその水が到達している、こういう状態でありまして、殆んど高須、輪中の二ヵ村を除きました全地域に対しまして非常に冠水被害を及ぼしている、こういう状態であります。決壊の状態につきましては以上の通りでありますが、二十八日に参りまして、三十日に帰つたのでありますが、その朝再び現地へ参りましたのですが、相当減水いたしております。すでに決壊口附近の農地では植付けを始めておりましたが、なお下流方面では相当程度の冠水をいたしております。従いまして、植付けをいたしました所につきましても、今後相当の改植をしなければならん。その改植の面積等につきましては、三十日の朝までにおよその面積え推定するという約束でありましたが、その数字が当日まだ出ませんでして、県の見込みとしては五百町歩乃至千町歩じやなかろうか、こういう程度の数字でありまして、確実な数字はつかんでおりません。農林省といたしましては、直ちに現地に臨時事務所を開設する手筈も講じ、且つは改植用の黄を輸送する自動車を……農地事務局に保有しております自動車等を動員いたしまして、知事の指揮下に入れて改植用の苗の運搬をやらせるとか、或いは現地の決壊口附近の農地復旧のために農林省保有のブルトーザーを急遽現地へ廻しまして、その減水の結果、復旧でき得るような状態になり得るように、復旧を講ずるそれぞれの一応の臨時措置をいたして帰つたような次第であります。以上簡単でありまするが……。
○委員外議員(大野幸一君) 廣川農相が責任者を処分するということを言われたと言つているのですが、これはどういう根拠からそういうことを言われたものであるか。
○政府委員(平川守君) 大臣がどういうふうに言われたか、実ははつきりは伺つておりませんが、要するに農林省の施工の場所から決壊をいたしておりますので、今後その原因等については詳細に調査をいたしまして原因を明らかにいたしたい。それに伴いまして、これについて責任の所在を明らかにいたしたいということを方針といたしております。その旨を述べられたと思います。
○委員外議員(大野幸一君) この揚水取入、いわゆる農林省直轄工事はいつに始まつていつ終つたのでありますか。工事を行われた内容及びその工事請負人、工事の形態はどういうふうになつておるか……。
○説明員(櫻井志郎君) 工事の認可いたしましたのは、先ほど申上げましたように昭和二十二年度でありますが、その後農林省に引継ぎまして、この決壊の箇所の工事は二十五年の九月でしたか、二十五年の十月に工事にかかつておるはずであります。時日につきまして若し間違いがありますれば、あとで訂正をいたします。たしか十月頃に工事に着手いたしております。それから請負人は大成建設株式会社であります。
○委員外議員(大野幸一君) いつ竣工する予定であり、現実に竣工したのはいつであるか。それからその予算関係はどういうふうになつて来ておつたのか。
○説明員(櫻井志郎君) 竣工約束は二十六年三月三十一日の約束でありましたが、事実工事ができましたのは六月末ということであります。甚だしく遅延をいたしておりまして、これは会計検査院からもたしか批難事項として取上げられたはずであります。工事費の内容等につきましては、これはつまりポンプ場を離れまして、ポンプ場から川の流心まで行つておりますその工事ですね、堤防の下の暗渠から出まして桑畑下のヒューム管、その先の開渠、これらのものを合せまして千五百五十二万九千六百八十九円という数字になつております。
○委員外議員(大野幸一君) 私の聞いておるところでは、それが又二千七百万円に増額されたような新聞記事があつたのですが、そうではありませんか。
○説明員(櫻井志郎君) 只今申上げました数字は決算報告の数字でございます。
○委員外議員(大野幸一君) 工事の完成したのを農林省はやつぱり検査はされたものでしようか、どうですか。
○説明員(櫻井志郎君) 事業所長から工事が完了いたしますと同時に、京都農地事務局長に完了届が出ております。それに従いまして京都農地事務所建設部で工事検査をいたしておる報告がございます。
○委員外議員(大野幸一君) 今度の浸水の、いわゆる増水の程度を予想しておつたものでしようか、どうかということです。今度の増水の程度は完成当時から予想しておつたものであるかどうか。
○説明員(櫻井志郎君) 私ちよつとはつきり聞きとれなかつたんですが、今度の増水の程度ですか。
○委員外委員(大野幸一君) ええ。
○説明員(櫻井志郎君) 当然この程度の水位は長良川の水位を見ますと、先ほども申しましたように、計画洪水位から一メートル五十センチなお低い数字でございます。この程度の水は一年に一、二度出る程度の水位かと存じます。現に工事が完了いたしまして、昨年の七月十五日にこれよりちよつと高いかと思いますが、殆んど同程度の水位の増水が一度出ております。それからそれに近い増水も昨年に一、二度あつたはずであります。今年の三月の雪落水にもこれよりちよつと低いですが、相当増水した水位が出ております。
○委員外議員(大野幸一君) この工事に瑕疵があつたものだと、まだ調査しなければわからないが、常識上はそう考えて然るべきものであると私は思うが、当局としては現在のところまではそうお考えになりませんかどうか。
○政府委員(平川守君) 厳密には調査をいたしませんければ言えないことでありますけれども、常識的に考えまして、計画洪水位よりも低い水位であるということでありますから、何らか工事なり或いはその後の管理なりに欠点があるというふうに考えるべきものだろうと思います。
○委員外議員(大野幸一君) 本日資料として御配付になつたダイナ台風農地関係査定見込額調は現在において岐阜県の部分についてはその変更をしなければならないと考えられておるか、その調査の時期はどうであるか。
○説明員(櫻井志郎君) この数字は一応長良の分が含まれておる数字であつたと存じておりますが、先ほども申しましたように、この数字は暫定的にと申しましようか、経過的な報告数字であります。従いまして、その事実に基きまして当然この数字は増減下る数字であります。
○委員外議員(大野幸一君) そうなると、長良川の海西村堤防決壊に関する限りは一般の災害関係として見るわけには参らなくて、国家賠償法第二条の「その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。」という法文にまさしく牴触し、これが適用になるものだと考えるが、当局はどう考えておるかということであります。
○政府委員(平川守君) その点につきましては、只今法務府のほうとも打合せをいたしております。実はこういうような事案に対しまして従来は賠償をいたした例がございません。この賠償法の関係を如何に考えるべきかということを法務府とも打合せをいたしてその結論を得たい、かように考えております。
○委員外議員(大野幸一君) この国家賠償法こそ法務委員会において伊藤修議員を法務委員長とし、我々が委員として最初に第一号としての法案として我々が審議した法律であるのであります。当時の法務委員会の審議経過として、我々はこういうときこそ金額補償の責任を国家に負担せしめたものであります。これがあたかも私たちも国に適用されるとは思つていなかつたわけでありますが、この点については後ほど元の法務委員長から又御質問があるでしようし、一方的法務府の解釈にされないように当時の立法の経過をよく御研究の上一つ研究してもらいたいと思うことを申上げて、次は伊藤委員に譲ります。
○委員長(羽生三七君) それじや伊藤さんの御質問の前に、政務次官も現地へ行かれましたので、政務次官から一応お話を承わつて、それから御質問願います。
○政府委員(小川原政信君) 今回長良の災害は、誠に遺憾に存じておる次第であります。皆様に非常に御心配をかけておりますことも、私ども非常に痛感をいたしておる次第であります。調査をいたしましたが、目下まだ水が相当ございますので、相当係官が熱心に調査をいたしておりますけれども、結論を見出すまでには至つておりません。併しながらこのままでおくわけには参りませんので、農林省といたしましても善処をいたさなければならん、その原因の調査の上におきまして適当の処置を講じたい、かように存じまして、係々に手を分かちて原因調査に当つておるような次第なのであります。いずれにいたしましても、これは復旧をいたしまして、元のごとく美田に帰したい、かような熱意を持つて全部が部署について働いておる次第であります。あらかじめ御報告だけを申上げておきたいと存じます。
○委員外議員(伊藤修君) ちよつと私は本会議で質問しておりまして、或いは重複するかも知れませんが、先ずお伺いいたしたいことは、一体政府におきまして、岐阜県の三大河川の重要性ということを認識してああいう工事をなさつておつたかどうか、御承知の通り岐阜の三大河川と申しますのは、奈良朝以来の問題の河川でございます。宝暦年間におけるところの薩摩義士が、あの多くの犠牲を払つて築き上げた今日の決壊箇所の附近のいわゆる千本松原というような、ああした偉大な人命の犠牲を払つて築き上げた難工事であります。多年の人類の努力によつて、今日の長良川及び揖斐川、木曾川の三大河川というのは完成しておるはずであります。この水害予防の設備というものは、恐らく私は全国を歩いてみても、あれほど立派なものはまあ今日ではあり得ないと思います。御承知の通り岐阜県は盆地であります。他に類例のないいわゆる輪中組織を持つております。一たび水が決壊いたしますれば、平地に入つた水は外に出ない。低いのです。而も三大河川の水位というものは違う。又三大河川の流水の時差もある。昔から四とき、八とき、十二ときと言われておる。山に降つた水が平地に参るまでに四ときで揖斐川に参るといたしますれば、長良川は八ときを要する、木曾川は十二ときを要する、こういう関係にあるために、水が逆流する、こういうような地勢にある。非常に日本有数な問題の土地であります。而も先ほど申しましたごとく、多年の我々の努力、国民の努力によつて今日の美田を築き上げておる、日本有数な農作地であると言わなければならんと私は思います。かような美田を僅か所管のかたがたの監督の不行届によつて、一朝にして壊滅に帰せしむるという、このあり方は我々として到底納得できないのです。できたことに対しまして将来償えば足るという考え方であつては、私は到底相成らんと思います。この点に対する御見解を先ずお伺いしたい。
○委員長(羽生三七君) ちよつと私から申上げておきますが、小川原政務次官は最近の御就任で、本日初めてここに御出席になつたようなわけでありますので、御了承おき願います。
○政府委員(小川原政信君) あなたのおつしやることと、私たち見ましたことと、同感でございます。一言もそれに対しましては、ああこうの考えを持つておりません。これは大臣も非常に心配いたしておりますばかりでなく、又当局におきましても非常に心配をいたしまして、一日も早くこの復旧には全力を注ぎたいという決心を持つておるのでございますが、何にいたしましても、未だあなたの前に、皆様がたの前に詳細な御報告を申上げるまでの材料がまだ収集されておりません。追つて皆様に御報告申上げることと、こう考えるのでありますが、あなたのおつしやる通り、皆様の御心配になつておる通りに、どこまでもこれは完成をいたしまして、元の美田にいたしたい、こういうような考えを持つておるのでございます。
○委員外議員(伊藤修君) そうすれば次の段階といたしまして、今日の被害状態を一日も早く回復しなくてはならん、先ず以て排水です。昨日最高裁判所の五鬼上事務総長に高須の町に、高須の裁判所設置のために行つて頂きましたが、電報で、まだ水があつて行けるかどうかわからんというような回答があつたのですが、現地はまだよく実情は存じませんが、さようなことであるとするならば、あの海津郡一帯の、これは殆んど輪中になつておりますから、この海津郡一帯の排水をいつまでに完成する予定であるか、又今日の作付した稲作に対しまして、これを更に作付できるのか、枯死せしめて、今年は無収穫になる状態であるのか、それは如何ですか。
○説明員(櫻井志郎君) 排水がいつまでに完全にはけるかという問題につきましては、確実な推定はやや困難な状態にございますけれども、大体あの中に入つた水は二千万立米乃至三千万立米の水ではなかろうかと、こういう一応の推定をいたしております。一方今御指摘になりました排水でございますが、この高須輪中の中にできました排水機場の総能力は二十五立方メートル毎秒、これが七つの排水機場の総排水能力でございます。それと排水閘門の自然排水の最高能力が六十立方メートル毎秒の能力でございます。これらから推定いたしまして、締切後十日ぐらいはかかるのではなかろうか、こういうような推定を下しておつたわけでありますが、今日はまだ岐阜県から報告は参りませんけれども、私どもの推定も大体そんなところではなかろうかという程度の考えを持つております。一方今の御指摘の収穫の問題でございますが、決壊当時におきましては、あそこの高須輪中全体の水田面積が約二万五千町歩でしたか、そのうち七割程度植付ができておつた、こういう大体の推定を県で立てております。そのうちなお長谷川寄りの東江村と、もう一つ何村でありましたか、ちよつと名前を忘れましたが、この二ヵ村は殆んど完成いたしております。この二ヵ村は大体大丈夫、その他の村につきまして、済みました七割のどの程度改植しなければならんか、こういう問題がそこに出て来るわけでありますが、今三十日の午前に私県を離れるときの推定では、五百町歩程度ではなかろうか、なお、最悪の場合を考えますれば、或いは一千町歩になるかも知れません。これは実は非常に急ぐ問題でありまして、御承知の通り愛知県、三重県、滋賀県等に苗の手配をいたしておりますが、それをはつきりきめるのと、それからトラツクの手配をする関係上、どうしても早く改植の数字をつかみたいということで県も一生懸命になつておりますけれども、今申上げました通りに、はつきりした数字はつかめない。片方高須輪中の中の苗場がまだ残つております。苗を極力生かさなければならんということで二十七日あたりに苗場だけを小さな堤防等で苗場を囲みまして、そこに大きなポンプを持つて来て前場の水を出してそうして苛を救う、こういう努力を講じております。移植等につきましては例えば一反歩当り五把の苗の供出をして欲しい。輸送等で非常に苗が痛みますそうで、どうしても一町歩当り三千把の苗が要るそうであります。三千把の苗を運ぶためには一台のトラツクが一町歩分の苗しか運べない、こういうような状態であります。非常に数字をつかむことを急いでおりますが、只今申上げた通りまだ三十日現在でははつきりした数字は出ておらん。今日多分今晩か明日の朝か武藤知事がお着きになるそのとき相当しつかりした数字を持つて来るということになつております。
○委員外議員(伊藤修君) そういたしますと、御努力によつてそういうお手当は下さると思いますが、それによつて植付けられたところのものは植付けするわけでしよう、そうした結果、収穫についてはどうですか。考慮されますか、或いは収穫には今のところ影響しないとかいうお考え方ですか。
○説明員(櫻井志郎君) 私作物の専門家でありませんので、責任あるお答えはできかねるのでございますが……。
○委員外議員(伊藤修君) そういたしますれば、いつ頃に苗を植付けることができる予定ですか。
○説明員(櫻井志郎君) お答えいたします。苗は改植の必要な所は七月の二日から改植を始めて一週間以内に改植を終りたいと、こういう計画で臨んでおります。ただ局部的に冠水がひどい所はなかなかその計画通り或いは行かないかも知れません。一応の計画としてはそういう計画で県が苗の手配、トラツクの手配等を進めております。
○委員外議員(伊藤修君) もう二点お伺いしたいのですが、今度はそれじやこの工事を施工したところの工事施工者、これに不正行為があつて検察庁が手入れしているらしいですが、こういう点について、失礼ですけれども、その所管の方々との何らかの関係はおありにならないですか。全然御存じなかつたとかいうことになりますか、或いはだだ業務上の過失ということになるのですか。先ず原因のほうからお尋ねしましよう。
○説明員(櫻井志郎君) 決壊の原因につきましては先ほど農地局長からもお答え申上げたのでありますが、これはまだ今後の十分なる調査に待たなければなりませんので、原因ははつきり現在では勿論いたしておりません。今御指摘になりました何か不正事件との関連性でございますが、岐阜の国警がこの問題に対して手入れをしておるような報告を受けております。それは私どもが今日まで受けております報告につきましては、その事業所の資材主任が昨年でしたか一昨年ですか、私はつきり記憶いたしておりませんが、鉄材の購入につきまして何か鞘取りをした、そういう事実があるような報告を聞いておりますけれども、それも当人を調べたわけでありませんので、京都事務局の建設部長からそういう口頭報告を聞いておりますので、はつきりしたことはわかつておりませんが、なおそのとき附加えての報告では、その人の不正事件とこの工事の関連性における大きな不正事件は絶対ございません、こういう報告は附加えていたしております。
○委員外議員(伊藤修君) 勿論御承知の通り或る事件を摘発する場合におきましては、他の明瞭な事件を端緒にいたしまして、そうして狙うところの本問題、即ちこの事件で言いますれば、この決壊の原因をなすところの不正工事というところにメスを入れるというやり方が検察のあり方です。本問題についても少くともそういう点を目標にして進んでおることは窺い知れる。即ち当時土砂の買入その他工事についていろいろ贈賄饗応をして飲み歩いたというようなことが指摘されておりますが、勿論そういうことが疑の的となつておる事実の有無は存じませんが。少くともやはりこういうような基本的に私政務次官に先ほど伺つたほど重要な箇所であるのですから、やはりこういう工事に対しましては、先ず以て地方の責任当局に直接御監督あつて然るべし、況んやこういうような刑事責任を起すように至つたのならばなおさら国家の不名誉だと考えますから、これは将来とも、できたことは止むを得んとして、御考慮を煩したいと、かように考えます。
 次にお尋ねしたいのは、この由つて以て起つたところの結果ですね、若しこれが事実といたしますれば、少くとも工事の監督不行届きであるということはもう明かに原因は指摘された。そういたしますと、国家賠償法によつて国家は責任を負わなくちやならんです。その場合において個人賠償とそれから地方公共団体に対する賠償と二つが考えられます。これに対しましては相当数に私は上ると思います。これは農林省としてはどういうお考え方を持つていらつしやるか。法務府と協議したというのでは、法務府の訟務局長だけでは勿論解決しない。責任あるところの農林省において先ず基本的に考え、その訴訟進行、賠償に対する交渉とかいうことは訟務局の所管に属しますけれども、基本的に賠償するや否や、その数字というようなことはやはり農林省が勘案されて予定を立てられることである。勿論恐らくそういうことになつておると思いますが、現在そういう考えでどういう点を御把握になつておるか、それをお伺いしたい。
○政府委員(平川守君) 先ほども申上げましたように、実は初めての事例でございまして、こういうケースは今まで全くございませんわけで、法律的な関係につきましては法務府のほうと只今折衝打合せをいたしまして、原因のほうも明かでないものでありますから、こういう場合はどうか、こういう場合はどうかということで打合せをいたしております。農林省といたしましては勿論責任の所在を明かにし、その原因の如何によりましては、只今の賠償となろうかということで、只今研究をいたし、原因の究明と併せてその対策をも研究いたしております。
○委員外議員(伊藤修君) 私はこういうことは速かになさるべきことであつて、原因は検察庁の摘発を待つまでもなく、進んで所管局のほうにおいて原因は独立的に先ず確定せらるべきである。そうして被害を蒙つた国民の権利をできる限りそれは速かに償つてやらなくちやならんと思います。それで公共団体の本日御承知の通り逼迫しておる財政ですから、これらに対する補償は十分お考え願いたいと思う。これは研究に日をかして地方民が困ることは誠に我々としても見るに忍びないです。速かに一つ御進行を煩したいと、かように考える次第です。
○委員外議員(大野幸一君) 今国家賠償の問題が起きて来たら、少し答弁が変つて来たようですが、これは速記録で明らかなことく本件の災害は工事が去年の六月に完成し、普通のこのくらいの増水、水の増すことはこれは予想されたことであり、そうして曾つてすでに過去にもこのくらいの増水それ以上の増水があつた。であるから、ここから堤防が決壊したとすれば、管理に瑕疵があるか、営造物の管理に瑕疵があるかということは、今までの状況によつてはそう思われると、最初に答弁されておる。これは私は今までの状況によつてその事実は認めなくちやならんと思います。而もこれは国家に関するところの無過失損害賠償である、過失があろうとなかろうと、営造物の設置又は管理に瑕疵があつた場合、瑕があつた場合、それだけによつてもう損害を賠償しなきあならんというのが国家賠償法の第二条の精神である、この点は一点の疑いないものと私は思います。これから調査されることは、常識上から言つてすでに最初の答弁中にそれは明らかになつておるものと了解し、それで私は次に国家賠償の問題に移るわけですが、今伊藤委員から言われましたように、刑法上の問題とは別に国家の無過失賠償責任という前提に立つて速かに人心を安堵せしめるように政府においても正直に国家賠償を全額するということを私は発表なさるべきものだと思います。これは後になつて取消さなければならんものじやない、こう考えますから、速やかに国家賠償法によつてこれは適用さるべきものだという工合に地方民を安堵せしめるように発表してもらいたいということを申上げておきます。
○政府委員(平川守君) 先ほど申上げましたのは、原因につきましては詳細に調査をいたしませんとはつきりいたしませんので、国家が賠償すべきか否かということは、その原因によることでありますから、その点がはつきりいたしませんと、結論を今明確に出すことは困難であるけれども、併し常識的に見て今の場合はどうであるか、こういうお尋ねでありますが、常識的に見ますと、非常に予想外の災害であつたということではないのであります。従つて何らかそこに瑕疵があつたのではないかと思われますということを申上げたのであります。なお、詳細に調べました結果、明らかになろうと思います。
○委員長(羽生三七君) 本件につきましては、伊藤、大野両議員から御発言がございましたが、当面の応急対策と共に、本問題の由つて起つた原因等を十分御究明の上、速かに善処方あらんことを希望いたしまして、本日はこの程度で散会いたしたいと思います。
   午後四時三分散会