第016回国会 建設委員会 第14号
昭和二十八年七月十六日(木曜日)
   午後二時五分開会
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  委員の異動
七月十五日委員飯島連次郎君辞任につ
ぎ、その補欠として高木正夫君を議長
において指名した。
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 出席者は左の通り。
   理事
           石井  桂君
           石川 榮一君
           三浦 辰雄君
   委員
           小沢久太郎君
           鹿島守之助君
           赤木 正雄君
           高木 正夫君
          小笠原二三男君
           近藤 信一君
           田中  一君
           木村禧八郎君
  政府委員
   建設政務次官  南  好雄君
   建設省計画局長 澁江 操一君
   建設省河川局長 米田 正文君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       菊池 彰三君
   常任委員会専門
   員       武井  篤君
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  本日の会議に付した事件
○土地収用法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
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○理事(石川榮一君) 只今から委員会を開会いたします。
 本日は公報でお知らせいたしてありますように土地収用法の一部を改正する法律案を議題といたします。一昨日に引続きまして質疑をお願いしたいと思います。
○小笠原二三男君 少し成るべく詳しく斡旋委員会を置くに至つた動機ですね、それから現在までのいろいろな実情、どうしてもこういうふうにしたほうがいいと、こういう点について御説明願いたいと思います。
○政府委員(澁江操一君) 斡旋委員の制度をとりました理由につきましては、一部は提案理由の御説明の際に申上げてあるのでありますが実は電源開発促進法、その他国の政策として電源開発問題が非常にやかましく唱えられておりましたのに伴いまして、それともう一方には御承知のように国の治水対策としての多目的ダム、洪水調節ダムというようにダムのスケールが非常に大きな形で河川改修の事業の一環として行われるということがだんだん具体化して参りましたのでございまして、そういうことに関連いたしまして、これはどうしてもダムのスケールの大きくなるに伴います水没補償、この問題が大きく浮び上つて参りましたわけでございます。もともとこの土地収用法の考えておりますのは公益事業の推進と、それに伴います犠牲となる私権の保護という関係の調節を、土地収用法は終局的に狙つておるのでございますが、そういう関係におきましても、だんだん新土地収用法ができるに従いまして、やはり一方には私権の保障に対する要求という問題がだんだん強まつておりますことはすでに皆様御承知の通りでありまして、そういういろいろの事情を背景といたしまして、現状におきましてはなかなかこの公益事業の計画そのものも、電源開発を含めまして、この補償問題に絡みまして進まないという状況が参つております。さればといつてこの事業計画を中止するとか或いは補償問題を中途半端な形において解決するということは、これ又非常に国家的な立場においてもいろいろ困難な問題を生じますので、それらに対する一つの手当としまして、これは補償問題の関係を非常に深く考えておられる関係者、或いは一方には起業者の立場からもそれぞれやはり一つの調停機関と申しますか、補償に対する調停機関の制度を設けたらどうかという声が起つて参つておることは事実であります。そういうことに関連いたしまして、一時電源開発に伴う、それだけを目的とした一つの補償の調停機関制度を設けたらどうかという意見も一部にはございました。併しながらそのこと自体がやはり収用法に一つの関連のあることでございまして、そういう関係から参りますならば、これは収用法の一部の改正で行つたらばどうかということが今回の改正になつて来たわけであります。
 それからなお附加えて申上げますと、現在におきましても調停に相当すべき事実上のいろいろ補償の紛争問題が起つております現地等におきましては、紛争の処理に関する一つの調停的な仲裁機関的な機能を果しつつあるような動きも実際問題として見えております。見えておりますが、併しこれは何らこれをオーソライズすべき裏打ちもございません。そういう関係におきまして、やはり現状のまま放置しておきますことは、結局起業者の立場から申しますれば、事業の執行が遅延する、遅延することは結果的に見て、電源開発一つを取上げましても、国民経済的に大きなロスになる。そうして一方に補償を受ける側の立場におきまして、どちらもこれが一つの適正な補償裁定という線に乗つて参りません以上は、これはなかなか了解しにくい問題になつて来る。こういう関係になつて参つておりますので、そういう点を彼此噛み合せましてこの制度を立てて行きたい、かように考えております。
 それからなお申上げますと、この土地収用法を然らばいきなり発動したらどうかという御意見もあろうかと思います。併しこの土地収用法自体につきましては、これは旧法の時代からもさようでございますけれども、強権発動ということそのこと自体が、これは起業者の側にとりましても、それから補償を受ける側にとりましても、いきなり強権発動という形に持つて来られるということは紛争を円満に解決する手段として必ずしも恰好なものではない。併しやはりそこに当事者の話合いというものが一つの基本線になりまして、それをうまくまとめて行くという形をとつて行くべきではないか。収用法に掲げるということになりますれば、先ず事業認定から始まりまして、土地細目の公告、収用委員会の招集、それに対する裁決、こういつたような幾つかの段階を重ねて参る結果になりまして、時間的にもかなりかかる。それと先ほど申しましたように、収用法の発動そのことがかなり紛争の当事者に対する大きなやはり何といいますか、重荷と申しますか、億劫な形になつて動いて来るというようなこともございます。それらのいろいろの条件、事情等を勘案いたしまして、こういつたような制度を立てることによつて、当事者の協議、補償問題の解決の促進に資することが或る程度期待できるというふうに考えまして、改正法案を出したわけであります。
○小笠原二三男君 建設省の直轄工事として今事業に着手している或いは着手しようとしている地域で、まだ土地収用のそれが確定しておらないという地域がございましたなら例示して頂きたい。若しも今そういうことができなければ、一応そういう資料を出して頂いて、どういうところで問題点があるかということを、事項を簡単に書き記したものを頂きたい。
○理事(石川榮一君) 資料ですか。
○小笠原二三男君 ええ資料です。
○理事(石川榮一君) 早急に資料を提供して欲しいと思います。今懸案になつておりますから……。
○田中一君 現在この法律が施行されて以来土地収用法を適用した事件、それから斡旋中の事件、この二つを資料として出して頂きたいのです。無論それによつて裁定が下つたならば、その裁定までの経緯を詳しく書いたものをお出し頂きたい。それから斡旋中のものは斡旋の経緯ですね、現在までの斡旋経緯をお出し頂きたい。それからもう一つは、土地収用委員会の私がちよつと気が付いた点とすれば、青森県、それから秋田県、山形県、それから新潟、福島、それから岩手、それから東京、千葉と、この辺の一応土地収用委員の構成ですね、どういう人がなつているか、又どういう経歴の人がなつているかというその概要でいいですから、それを一つ資料としてお出し頂きたい。
○理事(石川榮一君) 小笠原委員に申上げますが、今田中委員からの御要求のうちにあなたの御希望になつておる資料が含蓄されると思いますが、如何でしよう。
○小笠原二三男君 それで結構です。
○理事(石川榮一君) 一括でいいですか、じやそういうことに……。
○赤木正雄君 関連して……。私はこの前の委員会で、今その資料と申しますが、実際の資料をこの次の委員会にお持ち下さいと要求したはずなんです。だから今日この委員会にお持ちになつておるはずだと思います。
○政府委員(澁江操一君) この前の委員会で赤木委員から御意見のございましたのは、むしろ地質調査、その他ボーリングに関連いたしまして、調査の段階で非常な紛争と申しますか、困難を来たしておるような例があるかどうかという点でございます。この点は調べましたのでございまして、申上げますが、高知県の渡川水系の松葉川、これはボーリングのために事業認定を申請いたしております。これは改正以前の問題としまして、事業認定の手続をとる、こういう形を一応とつております。但し県営の発電事業であります。それから次は廣島県の江川の下土師これは建設省の直轄調査を目的としている地点でございますが、ボーリングを実施しようとしておりますが、これが極めて困難な状況になつておる、こういうことでございます。それから次は長野県天龍川水系の三峯川、これも直轄のダムでございまして、一部地質調査が不能の状況でございます。次は和歌山県の熊野川水系日置川でございます。これは関西電力の発電事業なのでありますが、これも調査不能の状況にあります。これがこの前の御質問に関連しまして調べました、調査困難のものの現在までわかつております例でございます。
○小笠原二三男君 続けてお尋ねしますが、その斡旋制度は、私にはわからんのですが、行政協定に基く演習地等の収用にもこれは適用になる部分があるのでございますか。
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。行政協定に基くいわゆる駐留軍の使用する問題につきましては、土地収用のこの法律によらずしてやつておるのが……、よらないのであります。
○小笠原二三男君 これは当事者でないお方にお尋ねするので、或いはお知りでないと思うのですが、考え方としては、こういう斡旋制度等を以て円滑を期するという趣旨から言えば、ああいう行政協定に基く云々という場合にはなおこういう制度があつていいというお考えですか、なくていいというお考えですか。
○政府委員(南好雄君) 考え方といたしましては、同じく私権を制限するような実例でありまするから、土地収用法を適用させて行く考え方もできるのでありますが、法律は別個にありまして、その場合には土地収用法の手続によらずして政府みずからがやつて行くという法律ができております。こういうことであります。これは二十七年の法律第百四十号でございます。日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置という法律がございます。これは全体の法律は十四条であります。附則が十までございます。
○小笠原二三男君 先ほど局長の御答弁では、一気に土地収用にかけるのではなくて、その前段階で斡旋によつて目的が達成できるということを期待してこういう制度を考えて行きたいということですが、まあ資料が出てみなければわかりませんが、概略してその紛争になつている問題点というのは、土地の収用されること自体にもう反対だという場合もございますでしようが、それを除いてはどういう問題が主たる紛争点になるのですか。いわゆる補償金額が折合わんとか、そういうようなものが一番大きな問題ですか。
○政府委員(南好雄君) お答え申します。御指摘の通りです。ともかく祖先伝来の土地だから金は幾らくれても退くのはいやだという例もございます。併し大体問題になるのは補償金額の算定について当事者間に異議がある。而もそれが非常に熾烈なために収用委員会も容易に決定しかねるという実例が多いように聞いております。
○小笠原二三男君 そうするというと、例えば建設省だけの問題に限つて考えます場合に、堰堤の直轄工事というような事業をやるという場合に、こういう制度をここに設けるということは、現地の地建なり或いは事務所の用地課がそれぞれ折衝するような部面のことを、自分たちは正面に立たないで、第三者の誰かに適当にやつてもらつて、そつとしておいても問題が解決して行くというふうな、そういう点だけを狙つたのとは違いますか。
○政府委員(南好雄君) 斡旋制度は先ほど局長が説明いたしましたように、土地収用すべきものと決定して、土地細目その他が決定いたして進んで参りますると、要するに公益的事業のために私権が或る程度犠牲になるのだ、結局当事者同士の話合でやるのだという考えよりも、頭ごなしに抑えるという点が強く出て参ります。そうなりまするというと、人間必ずしも普通の状態のままでございませんので、感情的になり勝ちの問題であります。そこでこの制度の狙いは、公益事業であるということが決定しておりましても、土地収用まで行かずに、そこまで行かずに、今問題になつておる土地所有者とかそういう人たちの意思を、つまり何と申しますか、法的強制というような大段平を振りかざさないで、穏かに話をして持つて行けるものならば、そこに感情的な対立が或る程度除かれるのではないか、つまり御指摘になりましたように、建設省直轄工事において、当該事務所長がなすべきことを第三者にやらすというような、そういう逃げ口上ではなくて、丁度民事の裁判その他に家庭裁判或いは調停裁判というものがあつて、それがすぐ裁判的な効果を発生させずに、一応調停をやる。どうしても聞かん場合には本裁判に持つて行くというような制度を、こういう場合に使つてみたならば、或いは非常にいつも紛争し勝ちな問題についていわゆる一つの解決方法ではないかというのでこの制度を考えて、法律改正のところまで持つて参つたような次第であります。
○小笠原二三男君 それで斡旋委員会に収用委員会からお一人出られる、他は推薦による学識経験者が出られる。で、一応の結論を得たと、ところがそれが当事者間で了解できなかつたとなつて正規の収用委員会というものに廻つて行つた場合に、斡旋委員会が出した意見と収用委員会が出す意見と違つて来ると、こういうような場合にはその一人出られた収用委員会の委員はどういう立場に立つのですか。
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。当然収用委員会の裁決と申しますものと斡旋委員会の一つの調停案と申しますものは同一であるはずはないと思います。併しながらその斡旋委員会の中の一人が、土地収用委員会の委員の中から出ております関係上、その方は非常につらい立場に立たされることもあるかと思います。思いますが、それはこの制度の本質から来るものでなくて、ともかく調停委員会の結論に対して当事者が異議があつて、それで調停が不成立に終つた、それで改めて土地収用委員会を開いてその案が出て来た場合には、これは相当民事に明るい方の一人でありますが、そこまでその委員の方の体面にこだわらなくてもいいものだと、こういうふうに私たちは考えております。
○小笠原二三男君 それでは委員をお一人収用委員会から出さなければならない理由はどこにあるのですか。
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。恐らく私は土地収用委員会の一つの過程によつて調停委員という意味で収用委員の一人をここへ持つて来たのでありまして、別段土地収用委員の一人でなければならんという理由も私はないと思いますが、一つの段階中における一過程という意味で委員の一人を選んでおいたほうがベターじやないかというので入れてあるのだ、こういうふうに私たちは考えております。
○小笠原二三男君 次にお伺いしますが、斡旋委員会が斡旋を打切る時期でございますが、これは自主的に斡旋委員会が、これはもう駄目だということを認定したとき打切るわけでございますか、他の何かが作用して打切るというようなことがあるのでございますか。
○政府委員(澁江操一君) この法律案の建前におきましては、只今お話のありましたように、その当事者に対して斡旋案を提示はしてみたが、併し当事者の受入れるところとならない、いわゆる斡旋で収用することが不成功に終るというような関係におきまして自主的に斡旋を打切るという場合もございます。それからもう一つこの法律で規定せられておりますことは、斡旋中において一方において起業者が土地収用法を発動するということを或る期間制限いたしております。即ち斡旋委員会にかかつてから三カ月の間というものは、それは起業者側から斡旋の申請を出した場合は勿論、土地所有者側から斡旋の申請をした場合におきまして、三カ月間というものは斡旋委員の斡旋の結果を待つ、こういう立場におきまして、三カ月間は土地収用法の発動を制限いたします。併し三カ月経過いたしましても斡旋の見込がないという場合においてはこれは収用法の発動も考えられまするので、そういつた場合におきましては、収用法の発動に基きまして斡旋制度そのものが収用に移るという関係におきまして打切る、これは打切らなければならないという場合を言つております。
○小笠原二三男君 そうすると、この三カ月間のうちには斡旋案はなんぼでも練り直して出すことができますか。
○政府委員(南好雄君) お言葉の通り何度でも出せると思います。
○小笠原二三男君 そうするとこれは斡旋委員会が努力する、或いは適当にやる、それは自発的に行われることでしようが、三カ月間やつてみるのだというふうに形式的にやつて、すぐ土地収用にかけて行く、合法的な根拠をそこに見出してやつて行くという場合にも使われる懸念もございます。
○政府委員(南好雄君) 恐らくはそういうことは私はないと思いますが、別に斡旋委員会に付さなければならんという法的義務はないのでありまするから、とにかくどつちか当事者から申請があつた場合に一応その斡旋をやつてみるということになるのであつて、結局収用委員会へ持つて行くためにわざわざ斡旋委員にかけるというようなことは私は恐らくあるまい、こういうふうに考えております。
○小笠原二三男君 私はどうも専門家でないからわかりませんが、現地でそれぞれやつておる様子をみると、或いは都道府県知事という方の立場或いは地方の有力者という立場、学識経験者というような立場の方は、事業を推し進めて行きたいというふうの側に立つ人のほうが多いようですね。一般には。それでそういうような方々の間で収用されるほうの側の立場を尊重し認めて斡旋なり土地収用なりに真に当つて行くというようなことは少いのじやないか。結局は納得させようとかかつて行く行き方のほうが実例としては多いのじやないかと私は考えるわけですが、そういうようなきらいは現在までも、又今後こういうことがあつてもならないと言い切れることができますか。
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。ないと言い切るまでの確信はございませんけれども、最近の風潮といたしましては、むしろ公益的見地から、確かにそこにダムを設けたらいい、或いはこういう結論が出ておりましても、現地の特定の人の熾烈な反対がある場合には容易に収用委員会の結論も出て来ないというような実例のほうが多いのであります。これはいろいろな意味で見られるかも知れませんが、新法施行以来の事業認定、調停数などを調べて見まするならば、事業認定数が百三件でありまして、裁決数が僅か二十五件、そのうち駐留軍関係が十二件である。百三件も事業認定をやつておりましても、具体的裁決が二十五件ぐらいしか出ておらない。そのうち半分が駐留軍関係だというような実例を見ましても、私は最近の風潮といたしまして、私権の保護ということが極力強く打出されておりまして、なかなかこの法律が狙つておりますような、今又小笠原さんが御心配になつて御質問になつたようなそういう憂えよりも、むしろもつと華々しくこういう事業はやらしてやつてもいいのじやないか、そういう場合には或る程度私権の犠牲を強制してもいいのじやないかという意見すら衆議院の委員会には出たくらいでありまして、将来はなかなか断言できないと思いますが、最近の傾向におきましては非常にこういう強権の発動については何と申しますか、慎重な態度を以て各位が臨んでおいでになるように考えております。
○小笠原二三男君 強権の発動に行く前に問題が一方的に片付けられるという事態が多いのではないかというふうに考えて私は質問しているのです。ということは、土地収用法等に該当するその地域の住民というものは、大体今頃の事業ですと山間僻地の農民というような方々が多い、そして非常に封建性の強いところの地域の方々が多い。そこでまあ誰かがやつてくれるのだということでお願いして置く、委任して置く、こういう形が非常に取扱の上では多いと思う。その場合に町村長であれ村会議員等であれ、その地方の指導者である人がたは先に、何といいますかね、私たちのほうの側から言えば陥略させられてしまうほうが多い。そうしてまあ国のためだ、地方の開発のためだ、まあこれで我慢せいということで逐次まあ協議がなされて、内容はさつぱり本人は御承知なかつた。こういうふうな実情が割合にあるのでございます。そういうことで事件にならんというような問題が多いのじやないかと思うのですが、それを斡旋委員というような方々が出れば、なおそういうことを合法化して行くために使われるという場合がないだろうかという懸念を私は持つております。それで事業認定があつたところは全部土地収用の強権発動に行くか、行かんかという論議になつているその件数なんですが、それは先ほど御説明になつたのは、その土地収用の件数、今係争中の事件になつているもの何件などと言つたのは、それは各事業に全部あつたもののうち、それだけ今残つているというようなことなんですか、それだけ事件になつて来ているので、あとはその前に解決しているということなんですか。
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。それはお言葉の通り裁決数が二十五件で、あとは裁決に至らないで当事者間の協議が或る程度まとまつた、こういう数字でございます。なお御質疑になりましたのは、私権が、国家的事業のためだ或いは土地の開発のためだと言うて押し付けられる慮れのためにこの制度が濫用されんかというような御質疑であつたように拝聴いたしましたが、これは必ずしもこの斡旋制度を当事者が承知しなければならん義務も何もないのでございます。ただ若し当事者が欲するならばこういう制度もやつて、対立的感情に入らん前に斡旋できると、こういう制度を設けただけのことでありまして、別にこれは用いるとも用いないとも結構なのでありまして、ちつとも義務を強制をしておりません。
○小笠原二三男君 話は私くどくなるのですが、それは個人でも或いはまとまつた人数としてでも斡旋を申請することができるわけですか。
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。起業者のほうからも斡旋制度の申請はできまするし、それからつまり対象、問題の客体になつている方々、集団的にも個人からも斡旋制度の申請ができます。
○小笠原二三男君 それならばらばらに客体になつているほうから申請して、同じ事業内の問題であつても、個個に斡旋案を出して頂くことはできるのですか。
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。恐らくはその場合々々になつてみないとはつきりしたことは申上げられませんが、と申しますのは、法律的に解釈して参りますならば、一人の斡旋申請に対して一人の斡旋の結論が出て来る、又一人が申請すれば又やるということは法律的には考えられます。併し若し時を同じうして、或いは極く短い期間に多数の人が斡旋を申請した場合には、同一の事件として、申請者を集めて一つの事件として斡旋するようになるだろうと、実際のいわゆる事務処理の方法といたしましてはそういうふうに私たち考えております。
○小笠原二三男君 最後にたつた一つお伺いしておきますが、今まで建設省の直轄事業でこういう問題が起つた場合に、地方の有力者、地方の政治家、そういうふうな方を、出先機関で依頼して、側面的に斡旋し、こちら側の案を受諾せしむるように工作をしたというような実例はございませんか。
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。いわゆる当局案を地方の有力者に依頼して無理押しに納得させたということは聞いておりません。聞いておりませんが、なお念のために、或いはそういう実例がなきにしもあらずですから、よく調査いたしまして後ほどはつきりした答弁を申上げます。
○田中一君 先ず伺いたいのは、土地収用法というものが強権だ強権だとおつしやるのですが、成るほど私権を法律によつて取上げるのですから強権には違いありません。併しながらその法律を直接その事件に、土地収用法によつて事件を解決しては不便だという点を、先ほど小笠原委員も質問されて、いろいろ言つておりましたけれども、どうも不便でないように思うのですが、実際にやる上において、そのさつき言つた客体の、斡旋委員会を作つたほうが客体の利益になる場合が多いという建前からやつたのか、或いは事業を遂行する人たちが斡旋委員を持つたほうがいいという建前からこういうことを考えたのか、先ず政府がどの観点から考えたか伺いたいと思います。先ず最初にそれを伺いたいと思います。
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。本案が、打明けて申しますと、省議にかかりました際には、田中さんと同じような質問を私したのであります。いろいろそのときの話を聞いてみますと、この案の改正の趣旨は、決して起業者の利益になるように考えたのではなくて、いきなり強権発動の形に入つた、土地収用というものに持つて行くよりも、ものやわらかい、極く少数の五人の委員で当事者の意向をよく聞いて、そうして一応斡旋したほうが感情的の対立を避け得られる、こういう点でむしろいわゆる何と申しますか、土地収用法の犠牲になる方の便宜になるのだと、その趣旨においてこの改正をやるのだ、こういう説明でもあり、それから改正の法律を読んで参りますと、実際問題として三月待たなくてもいい、いわゆる土地収用の細目が決定していないところは法的構成によつて待たされるのであります。そういう点を考えて参りますと、この制度が実際運用されてどういう効果を発生するかは、なかなかそう簡単に断言できませんけれども、法律改正の趣旨は、飽くまでいわゆる犠牲者のためによかれと、で、私権尊重の立場から、手段の上にも手段を尽して私権を守つて行くと、止むを得ない場合において土地収用の決定に持つて行くのだと、こういう考え方に一貫しておるように私も納得したのであります。
○田中一君 これは甚だ申訳ございませんが、次官の御説明、御答弁親切丁寧であり過ぎるので、一つ簡単にお願いいたします。私も簡単に質問いたしますから……。
 そうすると斡旋委員はやはり土地収用法という裏付の下に斡旋をするということになつておるのですか、それとも土地収用法に行く前に、土地収用法によらないところの別の方法をとろうという考え方を斡旋委員は持つということでしようか、どちらですか。
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。土地収用委員会の委員の方も一人入つておいでになるから、少くとも土地収用に関連して或る程度の考えはその方は持たれると思いますが、法律の考え方から申上げますと、全然土地収用委員会と別個のものでありまして、斡旋委員会は斡旋委員会としての斡旋案が出て参る……。
○田中一君 斡旋するのに斡旋委員は何の法的根拠を以て、身分じやございませんよ。何を目標にして、土地収用法というものを斡旋委員は持つて、これが絶対の最後の段階というものを持ちながら斡旋すするのか、それとも土地収用というものを一擲して、別のもので、例えば人道上とか私権上とか、民法上とかいう別のもので斡旋するという立場をとるのか、それを伺つているのです。
○三浦辰雄君 それに関連して一緒に……。田中さんがやがてこれから続けるであろう質疑の前に関連してお聞きしたいのは、事業の用に供するための土地等の取得に関する関係当事者がこの際この斡旋を依頼する段階は、例えば起業者から、言えば、斡旋を依頼する段階は、例えば事業の認定というものを受けない前であつても、その他第三条に掲げる仕事であれば、その関係当事者がこの斡旋というものを依頼していいという段階にあるのか、その点も併せて御答弁願いたいと思います。
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。これは事業認定前に斡旋を申請することができる、それから田中先生の御質問でございますが、土地収用法のいわゆるバツクで斡旋委員会が動くのかという御質問だろうと思いますが……。
○田中一君 いや、そうでないのです。もう一遍説明しますがね。斡旋委員会は、恐らく斡旋委員は自分勝手な斡旋をするんじやない、起業者から依頼されても、客体から依頼されようとも、やはり最後の線というものはあるわけですね。例えば今のお話のように、物件細目とか、すべてのものが発表される前に、土地収用法の、無論三十幾つかの土地収用してもよろしいという事業であるに違いないのですから、従つてその場合斡旋委員という者は何の裏付を以て斡旋するのか、やはりその背後には土地収用法を適用している事業なのですから、斡旋委員が幾ら斡旋しても……、しなかつたならば土地収用法を発動することもできる、従つて斡旋委員という者は、やはり自分の背後には土地収用という法律を背負つて斡旋するのですか、それとも土地収用というものは全然関係なしに、独自の見解で、民法上のいろいろな別の法律で以てこの斡旋委員という者は乗り出すものか、どの観点から、どの立場から斡旋委員は斡旋に乗り出すのかということを伺いたいのです。
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。御質問の趣旨が私ちよつとぴたつと来ないのでありますが、斡旋委員は斡旋する場合においていろいろのことを考えて斡旋するだろうと思うのでありますが、結局この斡旋委員の出した斡旋案に当事者は承知しなければならん理由もないわけであります。ですから結局両当事者が納得するだろう、納得しなくてもかまわんという無責任な立場でやり得ないといたしますならば、あらゆる面を考えまして、これなら最も妥当であるという結論を出して、恐らく案を出すだろうと考えます。
○田中一君 私が伺つているのはそういうことではないのです。この事業そのものが土地収用法を発動してもいい事業なのです。従いまして客体のほうですよ、被害者のほうですよ、被害者のほうは、やはり最後に強権を発動する、土地収用法というものに最後はかかるのだという前提の下に考えているのです。土地収用委員会にかかろうと斡旋委員会にかかろうとですね。その場合に斡旋委員会を持たれるという理由は、土地収用法よりも、もつと別の立場で以て斡旋委員という者は立つのかどうかということなんです。斡旋委員会の斡旋が成功しなかつたら土地収用法にかかつてもやらなければならない、やる、従つて斡旋委員という者が全然土地収用法というものから、この制限から逃れて、独自の人類愛的なものとか、或いは民法上の、そういう別の法律の裏付で以て、十分に行かないまでも、やればできるという建前で斡旋されると考えているのか、斡旋委員の判断する範囲、これが最後は結局土地収用法でこの事業はやられるのだという見方で見る場合、皆見ているんですが、三十幾つかの事業ならば……、そうしますと斡旋委員の斡旋するという心がまえというものがどういう心がまえでするようにあなた方は考えているか。
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。斡旋委員は、それはお説の通り当然土地収用法の適用を受ける業種でありますから、結局はその土地収用の段階に入つて参りますんですが、少くとも斡旋委員が判断の材料にするその判断の基準は、全く私は自由だと思うんです。独自の見解において、独自の立場で斡旋の結論を出すべきものだと私は考えております。
○田中一君 そういたしますと、斡旋委員という者は、最後にはこの法律の下における制約を受ける、従つてその独自の見解でやつたところがこの法律の制約を受けなければならない。受けないでいいという見解で、斡旋委員の斡旋案というのはこの土地収用法に適合しないものであつてもいいというお考えで以て、それを呑むというお考えですか。
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。田中さんの御質問は、結局斡旋委員の斡旋の範囲が土地収用にかくべからざるものであるというところまで行けるかどうかという御質問だろうと私は思うんです。それは私はできんと思います。気の毒だから、これはもうともかく斡旋の範囲に入らないのだ、だからもう何と申しますか、立退かなくてもよろしいというような斡旋案を出せるかという御質問だろうと思うのでありますが、それは当然私はできんと思います。
○田中一君 そうしますと、結局その事業に対する斡旋委員という者は、最後に土地収用法という後楯があるからこそ斡旋ができるのであつて、斡旋委員会が、この仕事がどうもよくないからといつて、土地収用法以上の判定を下した場合には恐らく呑まんと思うんです。その収用委員会は……。そうしますと、結局斡旋委員会というものが必要でないということになるんです。それよりもどつちみち法律によつてやられるものなら法律を正しく理解して、法律で以てやつてもらつたほうが有利たという場合が多いと思うんです。この法律に準拠してやつても、結局土地収用法の裁定の問題になるんです。裁定はやはり同じように巾が広いのです。従つて話合いで以て物をきめますと、これは税金の問題、いろいろな問題で以てそういう摩擦の面が多々ある。現在も斡旋委員会的なものはあるのです。法的な裏付があろうがなかろうが所詮斡旋です。これは法的な何も権力を持つているわけじやないんです。国のやる場合に都道府県の長とか或いは村長とか、県会議員とか、いろいろ話合いをして斡旋をしております。従つて斡旋委員会というものは本当の民意を代表するような裏付がないならばこれはなくてもいいのです。私はそう考えている。殊に土地収用が強権だ強権だという。強権というものは強い権力という考えなのか、印象的に強権というと無理なことを強いる、無理強いする法律という考え方を表現されていると見る、それならば誤解があると思う。私は土地収用法でやられているこの通りをやられても、決して客体というものは損害を受けないこともあり得ると思う。なぜそこに中間的な斡旋委員会を設けなければならないかということがどうも納得しかねる。結局土地収用法上、最後にこの法律によつて斡旋委員会の行う斡旋というものもその範疇から出ないわけです。これが全然別な、この法に触れないで、もつと有利にその客体を持つて行くことができるというのなら、これは丁度法廷における刑事裁判の弁護人のように、死刑囚が無期になることもあり、死刑囚が無罪になるようなこともある。そのような判断は下せない。それならば土地収用委員会にかけて、権力のある裁定を受けたその客体がどのくらい利益があるかと考えなければならないのです。結局中途半端なもので、最後はこの事業を遂行するのだというための斡旋委員会、かかるものは無用であります。けれども、これに対する御答弁がはつきりしますならば又納得しますが、もう少し斡旋委員会の権限と、それから斡旋委員会の何によつて、弁護士が死刑囚の裁判のときにもやはり同じように刑法なり民法なりいろいろなものから弁護をするわけなんですね。こうなれば、土地収用委員会の委員に利害関係者が入つておりますから、このほうがもつとこれに対する客体の被害者のほうの意思が通ずると思うのです。恐らく斡旋委員というものは該当する利害関係者が入つてないと思うのです。やはりこの法に裏付のあるものを押付けようとする以外に何もないのです。もう少し詳しい説明をして頂きたい。私はそういう見解を持つております。
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。そういう観点に立つて御質問になれば、或いは斡旋制度というものは余計なものだ、こういうお考えが出て参るかとも思います。私も一時そう思つたことがございます。併しながらです、当事者は全然この斡旋委員会の斡旋と申しますかで拘束しないのであります。ただ斡旋の申請があつた場合は、三月間だけは強権の発動である土地細目の決定とかそういうことがやれない、そういうことを規定してあるだけで、こういう点は、逆にいわゆる被害を受ける人たちにむしろ有利になつているものと私たちは解釈しているわけです。それから御承知の通り、斡旋委員会に申請することによつて、斡旋を申請した人は、事業者の場合は手数料を取ることができるような場合には取りますけれども、いわゆる被害を受ける犠牲者のほうでは、斡旋を申請したことによつて全然費用の徴収までも考えておりません。従つて斡旋をしてみようと思つて、斡旋委員会の斡旋を得てみようと思つて斡旋をなさつてもよろしいし、それからやらなくてもよろしい。それからその斡旋に当事者のほうで聞こうと思えば聞いてもいいし、聞かないと思えば聞かなければ土地収用委員会に入つて行く。更に土地収用委員会といえども、これに若し承服がならなければ裁判に訴えることもできるのであります。非常に何と申しますか、手続がまあ普通だつたら長い、こういうふうにも考えられるのであります。
 で、先ほどから強権と申しますことについて田中さんは非常におつしやるのですが、売つた買つたという当事者の随意でやる場合ならば、これはもうこういう法律の適用を受けるんじやないのですが、土地収用法の場合は、当事者が或る場合にいやでもとにかく一定の価格で出さにやならんという決定が出されるから、私は相当今日のいわゆる所有権制度の上においては強い制度じやないか、不服は飽くまで司法裁判に持つて行けますが、こういう法律によつて国民のいわゆる自由意思を或る程度拘束しているから一種の強権発動のようなものだ、こう申上げているのであります。
○田中一君 収用委員会にも調停の権限もあるのです。従つて斡旋委員会なんて何ら関係ない。現在やつていますものを補償するのに、当事者はかりがやつているのでなくて、その間に知事なり何なりが入つて斡旋をしています。若し斡旋委員会という法的根拠を持つ機関を作つて三月云々というのなら、収用委員会を変えたらいいのじやないか、収用委員会の巾を拡げれば幾らでもできます。利害関係者が入つてなくて、弁論がうまいとか、理窟がうまいとかいうようなことでだまされるのが往々にして地元の人間なんです。山の中の法律のほの字も知らない人が多いのですから……。従つて土地収用法を、収用委員会にかければ、成るほど法律によるところの納得する形が出て来る。殊にあなたはさつきから金、金というけれども、特に収用法では金で買うというのではありません。止むを得ん場合には金で買うということになつている。古い法律はあなたの言うように強権で以て取上げて、それで一定の金額というものを知事なら知事が勝手に裁定した。今の土地収用法はそうではない。例えば一町歩の田圃を取られれば一町歩の田圃を代りにやらなければならない、こうなつている。曾つては熟田であつたが、今度は開墾地を熟田にするまでの費用を金で払わなければならないのですから、裁定をしてやつてもよろしい。或いは家を取られる、家は移転しなければならない。そうすればこの家を起業者に対して、あそこの地に運んで建ててくれと言われれば起業者は建てなければならない法律なんです、土地収用法の新法はですね。今自分の家を退ける力も暇もありませんから、あそこに家を建てて下さいと言われれば、起業者は向うにその家を解体して持つて行つて建てなければならない。金のみで解決するものではない。従つて土地収用法の本当の精神というものは、少くも実質的にも精神的にも成るべく最小限の被害にとどめようというのが土地収用法の精神なんです。何でもかんでも法律で以て命令して金で解決……涙金で追払うというものではない。この点も僕は、次官も相当よく土地収用法をお読み願つたと思う。その中間に入つて顔のきく人、弁の達つ人、頭のよい人、金のある人、法律の知識のある人がひねくり廻して斡旋するという形のものは、対等なるもの……片方は大きな事業会社の社長です、片方は一農民です、電源開発の場合は農民が多い、そういう人たちに斡旋委員がどういう形で斡旋するかということになると、結局この事業を遂行しようという観点から斡旋するに違いない。それならばだまされて調印するよりも、はつきりと収用委員会にでもかけられて、法律の分析もし、説明も聞いて納得する形のほうがもつといいというような観点から、私は斡旋委員会というのは無用だ。今おつしやつたような巾のものをやれば、収用委員会の条文を変えて、その精神を織込んだほうが非常にいいと思うので、こう申上げるわけです。
○木村禧八郎君 只今の田中さんの御質問は非常に尤もと思いますので、具体的な例によつて一つ答えてもらいたい。今現実にどういうケースによつてこの改正の第二点を必要とするに至つているか、今差迫つてそういうことを必要とする例があるに違いない、あるからこういう法律を出して来られる。どこのどういう場所のどういうところでこういう法律を作らなければ支障があるのか、これを具体的な例を出して、若しこの法律を作らなければこういう障害があるのだ、何県のどういうところでどういう事業をやるためにこういう法律が必要であつたか、そういう具体例がなければこういう法律を出す必要がないのです。その裏付となつている事実を併せて、それによつてお答え願えれば非常に問題ははつきりして来ると思うのです。
○政府委員(南好雄君) 先ず田中さんの御質問にお答え申上げますが、私も一時はそういうふうに考えたことがあるのであります。併し土地収用委員会にかけてみますると、何と申しますか、先ほど局長が申しましたように、同じ利害関係の意見を聞くにいたしましても、仕組が非常に仰々しくなつて参ります。それよりもそこまで行かぬ段階において、五人の委員で納得ずくで利害関係人なんかをもつと手軽に呼んで、いろいろ意見を聞く場合が効果的な結論が出るかも知れない。これは丁度恐らく私なんかの考えでは、簡易な調停裁判のような形を持たして、もつと言いたいことを当事者に十分言うて、勿論委員の任命その他についてもなかなかむずかしい点はございますけれども、そういうことが非常にうまく行きますならば、こういういわゆる土地収用に入ります段階前において調停制度を設けることも、私は田中さんの言うように全然無駄な制度であるというふうに考えなくなつて賛成したようなわけであります。
 それから木村委員の御質問にお答え申上げますが、この改正は、これを適用する具体的の実例があつて、そういう必要があつてこの制度を改正したのではございません。丁度法律をいじつて参ります際に、強権発動の前提になる一つの調停制度を考えてやつたほうがいろいろの問題について解決を早めることになるのじやないかというのでやつたのであつて、どこどこの県に、何々にこういう実例があつたためにこういう改正が必要であるというようなそういう実例にぶつかつてこの法律の改正を試みたわけではないのであります。
○小笠原二三男君 私一通りだけ質問してやめておいたのですが、それで先ほど三浦さんの御質問で、ひよつとあなたの今おつしやつていることと違う結果が出て来るのではないかと思う実例についてお尋ねしますが、事業認定前でも斡旋申請はできるのだ、こういうことですから、多分それは起業者のほうから申請して来るのじやないかと思うのです。そうすると事業認定がまだまだ下りそうもないという、三月も四月も前に斡旋申請してしまえば、事業認定が下りた途端に三カ月以上たつておつて、もう収用委員会にかかるのだ、そういう仕組になるようにも起業者のほうで使えると思いますが、その点はどうなりますか。
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。そういうことにたまたまなる場合もありましようし、事業認定があつてから斡旋を申請することもありましよう。ですから法律的には事業申請がなくとも斡旋申請はできると、こう申上げた。
○小笠原二三男君 だからそういうことは、私の申上げたようなことが可能であるとなれば、事業を促進したい、早く事業を進めたいということになれば、当事者間でごたごたごたごた長くかかつてやつているよりは、事業認定前に起業者のほうで斡旋申請をしてしまう、そうして早く三カ月間という期間は切れてしまつて収用委員会にかかる、こういう方法上便宜的に斡旋を、心からでなくて申請するということもできる。それで事業は時期的に早く解決して進める、こうなる場合に使われるのじやないか。
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。小笠原さんの質問は、そういう御質問のふうになさるとそういうことにもなります。併し逆に申上げると、事業認定があつても、若し斡旋の申請があればすぐにもやれる、いわゆる土地細目の決定などが三月間なりどうしてもやれぬということにもなるのであります。
○小笠原二三男君 いや、それとは比較にならない。事業着工を延ばしてやりたいという、希望するほうは多分それは農民なり何なり客体のほうなんだから、まさか起業者のほうからそういうようなことをしなくとも済むような場合には斡旋申請などはしなくとも済む。そうではなくて、起業者のほうが事業認定前にも斡旋申請できるという途が開ければ、そのほうも利用したほうが起業者には有利だということは確実に出て来ますから、そうなつて来れば、これは形式的にまだ使われるだけで、結局起業者はどんな斡旋案が出ても呑まないという、形式さえとつておればすぐ土地収用のほうにかかつて行く、こうなるのじやないかと思います。
○政府委員(南好雄君) 斡旋制度の申請は起業者もやれますし、当事者自体もやれるのであります。で或る特殊の地点にダムを作ろうという計画ができた。そういたしますと、そのできた途端にやるのは、恐らくどんな所にどうやるのかわかりませんから、或いは斡旋制度を利用するとしますれば、成るほど起業者がやる実例が多かろうと思います。併しそういう場合には今小笠原さんのような設例になつて行くと思います。併し土地収用のあれがきまりまして、そうしていつでも土地収用がやれるというような段階になつたときに、土地所有者から斡旋をしてくれという申請があつた場合には、その場合には三カ月少くともこの法律に基いて土地細目の決定などができないということにもなるのであります。私は起業者の点ばかりを考えた法律だというようにお取りになるのは、少し本改正案に対して酷な御判断のように思います。
○小笠原二三男君 いや、あなたは事業認定後にも農民の収用される側のほうで、そのほうからも斡旋を求めることができるのだから、三カ月だけは辛棒するという状態が起きるのだからあいこだというような意味合のことを言いますが、そういうことを防ぐために、起業者のほうは事業認定前に斡旋を依頼して来ると、こういうことにして、一方的な斡旋申請があればこれが受理されるわけですから、だからその斡旋申請が、三カ月で終つてしまえば、あとは今度は土地を収用されるほうの側は、そのほうで今度は私のほうから斡旋を求めると言つても、それは二度やるわけではないのですから、だから一方的に起業者のほうにこれを利用されるという場合のほうが多くなつて来るのじやなかろうか、そうなればあなたの、立法の趣旨は立派に先ほど申したようだろうけれども、実際上はそういう事業を進めて行くために便宜的に起業者が往々にしてこれを悪用し、あえて悪用と申しますが、悪用し、而も又起業者がこの斡旋案を呑むという場合には、起業者が納得させよう、押付けさせようとした案のほうが工合よくものになつた斡旋案である場合に限つて、そうでない限りは黙つて放つたらかして収用委員会のほうにかけて事務的に処理して行こうと、こういう傾向が強くなるのじやないかと思います。それではあなたがたの立法の趣旨と実際上は違つて来るか、或いは立法の精神が本当のところはそういうところにあつたのではないかという疑いを持つ、こういうわけなんです。その点がはつきりしないとさつぱり私たちにはわからない。
○赤木正雄君 それに関連して、いろいろ話がありましたが、やはり事業をなさる場合に、土地収用法ではなかなか困難だと、その観点からして先ず斡旋のようなことをしたらいいではないか、起業者の立場からそのほうが便利だ、こういう観点から出ておるようにどうも思われるのです。だからして今まで多くの場合をそのままに終らさして、やはりこういうようなものがあつたほうが実際事業をするほうからいいのか、或いは土地を収用されるほうからいいのか、これは非常に大きな疑問がある。若しこの法案をそのまま読むならば、どうしても起業者に非常に有利であつて、事業をされるほうに対しては非常に圧迫のような感じがするのです。
○田中一君 関連して、これは例えば藤原ダムでもほうぼうに問題が起きておりますが、その地元の人たちからも意見を聞けば、若し聞いてないならば、これは赤木さんの質問もあるように、一つ藤原ダムの何というか、促進期成同盟の、ダムを作つてくれという側の村民がいますから、これをお呼びになつてここで伺いましよう。どうも農民側の見方から作つた法案じやないように思いますから、委員長諮つて下さい、御答弁の次に諮つて下さい。
○木村禧八郎君 この問題は、田中さんが言われるように、問題をはつきりさせるためにはどうしても、なぜこういう法律を必要とするかという具体的な事例を挙げてもらいませんと、今までの土地収用法では起業者側にどういう点が不利であるか、或いは又収用されるほうの者にどういう点が不利であるか、こういう点をもつと具体的に出して頂かなければ、こんな思い付きぐらいの案では非常に杜撰である。思い付きでないというならば、はつきりこれまでのいろいろな事例を調査された結果、その経験によつてこういうものが出て来たときにはその裏付けがなければならんわけです。これを出してもらいたいということと、もう一つは、やはり改正の第一点のほうについても、電源開発、治山治水等のためのダム建設のための測量或いはボーリング、こういう場合の事例ですね。どういうところにおいてこういう法律をやろうとするあれが出て来たか、これも具体的に、こういう法律を制定しなければどういう点に支障が生ずるのか、これまでの土地収用法ではどうしていけないのか、これを具体的に示して頂かないと、こんな抽象的なことを議論していたのでは非常に我々検討するのに困難ですから、資料を提供して検討しましよう。
○田中一君 関連して……、藤原ダムの今までの経緯を御説明願いましよう。それもお願いいたします。(木村禧八郎君「委員長、さつきの資料の答弁がない」と述ぶ)
○小笠原二三男君 私が質問しましたし、赤木さんが関連でやりましたし、田中さんも関連でやりましたし、今又資料要求で木村さんから関連の御発言がありましたが、今度又三浦さんからも関連のあれがありますが、こういうことをやつていて迷いませんか、委員長の御所見を承わりたい。
○理事(石川榮一君) それでは皆さんに御協議いたしますから、速記をやめて下さい。懇談に入ります。
   〔速記中止〕
○理事(石川榮一君) 速記を始めて下さい。
 木村委員から更に発言を求めます。
○木村禧八郎君 これは繰返しになるかも知れませんが、資料を要求いたします。今度のこの法律案の改正は二点でありますが、この二点について、なぜこういう法律の制定が必要になつたか、その具体的なケース、具体的な事例、こういう法律を制定しなければ、どうしてこれまでの土地収用法だけでは都合が悪いか、この法律を制定すればこういう点が円滑になるのであるという有利な点、これまでの収用法ではこういう点が不利である、具体的な今問題になつておる事例によつて説明してもらいたい。そういう意味でそういう資料を出して頂きたい。それに基いて検討しなければ、抽象的な論議を交わしても私は能率は挙がらないと思いますので、先ずその資料を要求いたします。
○政府委員(南好雄君) 木村さんにお答え申し上げます。この法律の改正は、一定の具体事実があつて、それを解決するために改正をしようとするのではございません。案の趣旨を説明しております通りに、これには裏も表もないのでありまして、土地収用という段階に入る前に丁度調停制度みたいなものを一つ設けて、斡旋制度というものを設けたならばよいのではないかという考えからこの改正を試みたようなわけなのでありまして、具体的な実例があつて、こういう必要上のためにこの改正が必要なのであるというような、そういう具体的な実例はございませんから、御要求のような資料は恐らく私はできまいと思うのであります。
○木村禧八郎君 それは私はおかしいと思うのです。具体的な一々の仮に事例が出せないとすれば、今までの土地収用法では具体的にこういう点に支障がある、そういうことが明らかにならなければ、なぜこの法律を出して来たのです、意味ないのですよ。だから改正のこの二点について、これまでの土地収用法では具体的に過去の経験からいつてこういう点が不備である、こういう点が不備である、そういう点の調査がなくてなぜこの法律を出されたか、それじや思い付きじやありませんか。そんな私は杜撰な法律案はない。法律は徒らに多く制定するべきではないのです。従つて具体的な根拠がない法律なんというものは私は意味がないので、それは必ずそういう資料がなければならんはずです。ですから御答弁があいまいでどうしても我々に納得行かないのです。もう少しそれは検討される必要がある。資料は不十分です。こういう不十分な資料では審議は困難です。
○田中一君 議事進行について……。どうも今の木村君の質問にも恐らくお答えが同じだと思うのです。従つて我我は先ほど来要求している資料を全部お出し願つて、資料がないとおつしやるけれども、藤原ダムではそういう実例が現在起つておりますから、河川局長からでもその説明を聞いて、この審議は河川局長の御説明を聞くまでは打切りたいと思うのです。
○小笠原二三男君 これは審議打切の議事進行が出たので重ねてその点について、もう動議ですから意見は言えないと思いますが、問題点は、私のようなものにわからないのは、この斡旋委員会は事業の認定後でもいいんだときめたり、又それで三カ月だけでやるのだ、或いは土地細目、権利細目、物件細目等が、公告があつたらもう三カ月内のことでもやめてしまうのだ、そうして又法規で何らの根拠も背負つていないのだ、そうしてやつてみるのだ、できなければやめるのだ、収用委員会であとやつたらいいだろうというふうで、実例はこういう困つたことがあるのだということもないのだ、そうなれば何のためにこんな雲をつかむようなものをこしらえるのかというふうに、誠に素直に私は考えて来るのでわからなくなる。多分そうでなくて、さまざまな理由と根拠があつておやりになられたものとして、私は前回の説明なり今日の局長の詳しい趣旨説明を聞いておつたのですが、だんだんどうも焦点がぼやけてしまうのですね。それでこういうふうに関連々々が起つておるのではないかと私は思うのです。で、私のほうの頭の悪いことも重々わかつていますけれども、この法律そのものはどうも大した役に立ちそうでもない。どつちかといえば納得させるがために一方的に大変うまく使われるようになるのじやないかという危惧の念も持たれるというようなところから問題があると思うのですが、私は速記をつけてこれ以上あれだこれだと議論しておつても始まらんことで、資料が出ないならば具体的なモデル・ケース的な事件を取り出して、こういう困つた点があるのだというふうな点を御説明頂いて、事実に基いて成るほどなあというふうになるように審議が進められるほうがいいと思う。従つて田中さんおつしやるように速記をとめて、この取扱をどうするか、又政府側の率直な御意見も承わつてまとまりをつけて行くようにして、どうせ今日これは上るものではないわけですから、一つ今後どうするかということを諮つて頂きたい。
○赤木正雄君 それに関連しまして……。
○理事(石川榮一君) 今田中君の動議もありましたから、この動議は賛成者発言しておりませんから……。小笠原君の意見がありました。質疑を中心とする意見であります。これに対する政府委員の所見を一つこの際聞きたいと思います。
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。いろいろの御質問のあつた点は、こういう具体的の実例ああいう具体的の実例と、木村さんの御質問があつたものですから、そういう実例の下においてこういう法律を改正したのではないのだということを申上げたのであります。
 ただこの法律案を改正する趣旨はどうかと申上げますならば、今までも具体的にいわゆる法的根処のない斡旋があつて、案外それがうまく行つた実例もあるのであります。又その実例がなくて、その斡旋が効を奏せなくて、収用に入つた実例もあるのであります。そういう意味のいわゆる過去の実例を調べろ、資料を出せと言うならば、それは後ほど調べて差上げます。こういういわゆるメンバーで、こういうことを斡旋してこれが成功した、これが不成功になつたというような実例は、それは出すことはできると思います。
 で、つまり土地収用に入る前に案外私的の斡旋をして成功する実例もあつたものでございますから、そのいわゆる斡旋を法的に根処を与えようとしてこの本制度をやつたのであつて、そういう意味の資料ならば出せる、何か具体的にぶつかつて、具体的な実例を解決するためにこの制度を考えたのかという御質問だつたから、そういう意味はないと、こう申上げたのであります。
○三浦辰雄君 今政務次官のお話で、それは誰だつてこういつた事業に対する土地収用法の発動する前にそれぞれに私的斡旋とか調停とかいう、実際そういう言葉はどう言おうとも、そういう発動の前にいろいろ当事者の間で、或いは第三者を入れて相談して事が円滑に早く行くようにすることは、これはもうあらゆる事例においてあるわけです。と思うことは当然誰でも知つている。ところがわざわざこの法律の中に入れるという、而も入れるに当つて、先ほど私が疑問として聞いた点だつたのだが、事業認可というようなものを得ない前に、この三条に掲げてある三十幾つの仕事であるならば、その当事者は斡旋に持つて行くことができるというのですね。そうしてその条項のあとで、但し、「当該紛争があつ旋を行うに適しないと認められるときを除くの外」と、一部排除する、斡旋を受けてもそういう問題がここに伏兵というか何というか一枚入つているわけです。こういつたいきさつですね、事例は出にくいというならば事例を出さなくてもいいが、このものに現われたこの関係は一体どうなるのですか。従来も斡旋調停というものは行われたのですよ、すべて。それを今度は法律に直す、その法律を直す機会に、事業認定を得ない前にも交渉をして斡旋に持つて行けるという、そうして或るものについては知事さんがその斡旋を蹴飛ばすことができる。こういつた問題が一体どういう点から出たかというと、先ほどから小笠原委員あたりから出ておりますように、これは収用委員会に繋がるのですね。恰好だけは……。つまり収用委員の一つなんです。その収用委員会の推薦した人なんです。田舎でも山のほうの人なんか、収用いよいよ近し、収用の人たちの斡旋でできた委員会は恐ろしいものだ……、あに図らんや、まだ事業認定さえしていないところのものさえ対象になると、この辺を説明しないから、斡旋委員という者の性格、新しく作ろうという段階、これがわからないと私は危険だと思うので、これを聞きかけておつたら関連に花が咲いてしまつたのです。私はその趣旨で改めてお伺いいたします。
○政府委員(澁江操一君) 斡旋の対象になる案件というものを土地収用法上規定されておる、これは当然であろうと思います。それ以外の事業に関連して、土地収用法の対象にならない、公益事業に該当しない事業について申請があつても、これはできないことでございますから、その意味で第三条に該当する事業ということを規定いたしました。ただそれが収用法上に要求されておる一つの認定手続、それを経る経ないということで、斡旋は事業認定前にも行われる、こういう建前にはなつております。併しそれに対して第三条に該当する事業であるか事業でないかということは、これは判定を誰かが下さなければならないわけであります。それに対して一つの知事が認定をして行くという立場に立つておるわけであります。それを法律的に規定をしたわけであります。従つていわゆる事業認定者が斡旋を求めようとする事業そのものが第三条各号に該当しないものであるというならばこれは排除せざるを得ない、そういう点を勘案いたしまして、斡旋に該当しない案件であるという場合においてはこれは知事が排除するという形をとつておるわけであります。
○三浦辰雄君 そうすると知事が当該紛争が斡旋をさせるに適しないと認められるときを除くのほか、この十五条の二に書いてある、第三条各号の一に掲げる事業者として関係者がやつたけれども、三十三項目の中の一項でもないのだという場合だけが知事が斡旋を不適と認める場合なんですか。
○政府委員(澁江操一君) それもございます。それからもう一つは、申請の当事者、これはいわゆる利害関係人でございます。利害関係人外の斡旋申請は、これは収用法上もやはり利害関係人ということに限定しております。従つて土地使用者、補償を受ける対象でない者、或いは起業者、それに該当しない者、これが斡旋申請をした場合においては、これは形式的に受理するわけに行かん、こういうことになつて参ります。もう一つは今収用法上、一つの取得すべき対象となるべき土地そのものが、合理的にこの公益事業に必要であるかないかということを一応原則として謳つておるわけです。どうしてもこの土地を使用しなければその事業が実行できないということを、収用法の第四条になりますか、合理的な土地使用の条件に該当する、或いは具体的なそういう起業の計画があるというふうな一つの条件を予定しております。そういうことに無関係に斡旋申請を求めて来ても、それは斡旋として取扱うに値しない、そういう場合には排除する、こういう建前になつております。
○小笠原二三男君 私の発言中に、関連でどんどん行つてしまつて、私のほうにいつ戻つて来るのですか。
○三浦辰雄君 今のお話は事業認定というものを第三条で、ここにもあるのだけれども、僕も余りよくは知らないのだけれども、第三条には「土地を収用し、又は使用することができる公共の利益となる事業は、左の各号の一に該当するものに関する事業でなければならない。」、こういうふうにしてあるだけなんですよ。そうしてずつと三十三まで掲げてあるのです。そうしてまだ事業認定ができていない、だから極端に言えば、あそこにしようかここにしようかとまだきまらないでも、すでに交渉を始めて、まとまらないならば大蔵省へ、紛争の何といいますか、調停に行くという場合さえも考えられるのだな。
○政府委員(澁江操一君) お話のように、たまたまそれは第三条に該当する事業でないものを誤つて斡旋申請をして受理をした、受理した結果斡旋案が出されたというようなことによつて、斡旋としては、土地収用法上の建前から取扱いに適当していないという、いわゆる斡旋の動機そのものにおいて非常に疑義のあるということであれば、これは関係当事者の間でそれを呑む呑まないということは自由な立場になつております。そういう場合においては斡旋申請そのものの動機に過ちがあるということであれば、これは当事者がそれを受理しないという立場において解決されて一向差支えない。
○三浦辰雄君 あなたは現行法の土地収用法の頭だけで答弁しているようだけれども、この新らしい土地収用法の一部改正は、その中心点は斡旋の段階なんだよ、その段階に立つてこの十五条の二は一体何て書いてあるのか、第三条には公共の施設の事業種類だけを列挙して、その土地の取得によつて、使用じやありませんよ、土地の取得に関して、わざわざ違つた字を使つております。取得に関して関係当事者が出て来た問題について……、もう少しゆつくりでいいから、考えてお答えなさい。
○小笠原二三男君 ぐるぐる発言が廻つて、私の当初の質問にまだ答えても頂かないうちに議事進行になりまして、それに絡んで私も賛成的な意見も言つたから、又関連が出て、発言をお許しになられておられますが、私からんで申上げるのでないが、事態を整理して、どこかこれはどつちかに誤解か食い違いがあることで、いつかははつきりと筋道の立つ問題だろうと思う。それで本日は田中さんからも動議が出ているから、頭を冷やすことにして、そうしてまあこの程度にすることとし、今後の取扱いをどうするかということを懇談の中で話合い、そのときに又政府側に質問があつたらざつくばらんに懇談で、速記がないときですから、話を聞くなら聞くとして、一応速記をとめて始末をつけるようにして頂けませんか。
○理事(石川榮一君) 一応速記をとめて。
   〔速記中止〕
○理事(石川榮一君) 速記を始めて。先ほど田中委員から本日はこの程度に質疑を一応打切りまして、そして資料を提供させまして、その上で質疑を続行いたしたいという動議が出ております。この動議に対して御賛成の方は手を挙げて下さい。
   〔賛成者挙手〕
○理事(石川榮一君) それではそのように決定します。そこで資料の提供ですが、政府委員のほうから次回までに、皆さんから発言されました資料を成るべく詳細に亘りまして提出して、そうしてこの質疑を続行いたしたいと思います。今日はこの程度で打切りたいと思います。
 散会いたします。
   午後三時五十二分散会