第016回国会 建設委員会 第19号
昭和二十八年七月二十八日(火曜日)
   午前十一時四十二分開会
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 出席者は左の通り。
   委員長     石川 清一君
   理事
           石井  桂君
           石川 榮一君
           三浦 辰雄君
   委員
           石坂 豊一君
           小沢久太郎君
           鹿島守之助君
           赤木 正雄君
           高木 正夫君
           江田 三郎君
          小笠原二三男君
           近藤 信一君
           田中  一君
  政府委員
   建設政務次官  南  好雄君
   建設大臣官房長 石破 二朗君
   建設省計画局長 渋江 操一君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       菊池 璋三君
   常任委員会専門
   員       武井  篤君
  説明員
   建設事務次官  稲浦 鹿藏君
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  本日の会議に付した事件
○土地収用法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(石川清一君) 只今から委員会を開きます。
 昨日に引続いて御質疑の続行を願います。
○小笠原二三男君 南政務次官はそういう意味合いで知事は事業認定の裁量等もあるので、土地収用の目的に副うような斡旋のみを受理するという形になるであろうという意味合いの話をした。そのことは、事業認定に疑義があるとか何とかいう斡旋申請のことではない、そういうことを聞いているのではない、事業認定前に土地の取得に反対だということで斡旋を申請するという場合には、都道府県知事が認定権を持つておる事業につきましても、都道府県知事は事業認定をすることにしたらいいのかしないようにしたらいいのか、まだその判断もつかないという状態においては白紙のはず……それが事業認定をして行こうというようなもくろみのありながら斡旋の受理或いは却下、こういうような行為をするということは、知事それ自身はこの斡旋制度について他の何と申しますか、予断を以て申請、却下等を行うということで、私は公正を欠くと思う。この行為発生後受理する行為と事業認定をするしないという行為とは、同じ知事においてもこれは別建で、極めて公正に考えられなければならんと思う。それが事業認定をする知事なんだから、そのほうに都合よく斡旋の受理、却下を考えて行くなどというような、そういう考え方は私はおかしいと思う。そういう意味で南政務次官がそういうこともあるのだから、都道府県知事はうまくまあ土地収用のほうのことだけを受理して行くということで、他は却下するでございましようなどという答弁は、とんでもない答弁だと私は言わざるを得ない。この点を第一点としてお尋ねします。
 第二点としては、仮に建設大臣が事業認定する事業であります場合には、都道府県知事はその事業認定については全然白紙であります。或いは建設大臣がこれを認定するかしないかもわからん状態のときに、ただ単に起業者とこの土地所有者との間の紛争解決のために、一方から土地を売渡すことに反対なんだ、斡旋してほしい、円満解決してほしいという申請がある場合には、その申請は私は受理せられて何ら差支えないと思う。都道府県知事の立場においてそれさえも上ないのだということはどうもおかしい、ようございますか、この点が第二点。
 第三点としましては、若しも然らば事業認定ということを県知事が頭においてそうしてなお且つ土地収用の面に副うだけで斡旋を行なつて行つた。認定前に斡旋に入つた。そうして事業認定前に斡旋の解決がした。そうして土地の売買はもう登記も済んでしまつた。こういう状態になつたときに、さて事業認定のほうはこれは不許可になつた。こういうことになつたら、そんなことだつたら我々はあの土地を売るのじやなかつた、斡旋委員のために、かれこれ言われたために斡旋を受けて、そして土地を売買してしまつた。ところがこれを事業は認定にならなかつた。そんなら売らずに頑張ればよかつた。売るんじやなかつた。私企業として、公益事業としてではなくて、私企業として事業がどんどん進められている。こういう状態が起る場合もあるのですよ。そのときは都道府県知事は責任を負うか。だましてとは言わんけれども、納得させて土地の売買をなしたが、事業認定にはならなかつた。こういうような場合に都道府県知事は責任を負うか。そういう裏のことを考えた場合にはどうもこの法律はおかしい。これが私の第三点の疑問なんです。三つお答え願いたい。
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。
 第一段の小笠原さんの御質問は、事業認定前に斡旋を申請して来た。認定前ですから、そこで知事といたしましては斡旋の申請があつて、その斡旋の申請を受付けるかどうかを判断するためには、今第三点で御質問になつたような場合も出て参りますので、あとで事業認定がないというようなことがあつてはこれは大変でございますから、一応は判断の基礎といたしましては、事業認定に足るいわゆるものであるかどうかも判断しなければならん。それともう一つ、この斡旋制度が土地の当事者の合意によつて進むように、そういうたのに設けられた制度であります。その目的から来る制約で、私は最初から土地のいわゆる取得について、事業に提供することについて反対のような場合は、これは斡旋することに適しないものとして、申請があつても受付けられないだろう、こう申上げたのであります。
○小笠原二三男君 私の第一点は、そういうことを聞いているのじやない。事業認定前の問題の場合に、あなたがおつしやつたのは、事業認定の裁量等も県知事が考える筋合なので、それで土地を取られては困るという側の斡旋について今あなたがおつしやるように受理しないだろう、こういう話だ。そこで私は県知事は事業認定権を或る事業については持つておる。その県知事たる立場と斡旋を受理するしないという都道府県知事の立場とは直ちにイコールではないだろう。それで片方の民選知事たる知事は、土地の住民の意向というものを尊重するという場合もあり得るのなんだから、その斡旋等が、先ほどから言う通りそういうようなこと等もあつて斡旋に付さなければならんというような場合もあり得るのしやないか。それを事業認定の権限を知事が持つているから、そのめどだけと斡旋の受理、不受理ということをやるということは、それは知事として独裁と申しますか、それは斡旋の受理、不受理について他のいろいろの権限を背景にして政治的に考慮されることが多過ぎるのじやないか。そういうようはやり方は知事としてとるべきじやないのじやないか、事業認定ということだけから斡旋という考え方を持つて行くということは非常にいかんのじやないか。そういう知事が、それでなお公正に斡旋の受理、不受理を決定したということになるかどうか、公正であると言われるかどうか、こういうことを第一点としてお尋ねしておるのです。
○政府委員(南好雄君) 私は小笠原さんに御返事申上げたのは、知事が事業認定権は持つておるが、その事業認定権を持つておる場合に、事業認定前に土地の紛争の斡旋の申請があつた、そうしますと知事は成るほど立場において二重のあれを、事業認定権というものを持つておる、斡旋の申請を受理すべきや否やということを判断する権限もあります。併し同一人が異る立場とは申しましても、自分で斡旋を受理しておいて、あとで、先ほどあなたがお問いになつたように、あとで事業認定をしないというようなことをやつては、これは立場が異つておつてもどうかと思いますから、それはそういう場合においては自分の行為として起きる結果でありますから、そういうことも判断しなければならん、この二つのいわゆる行為について一貫性を持たせるためにそういうようなことも判断しなければならんと、私はそれだけを申上げたのであります。
○小笠原二三男君 それで第三点のほうはどうなりますか、事業認定権が知事にない場合。
○政府委員(南好雄君) それは先ほど計画局長が申し上げましたように、その場合はこの斡旋制度においては、建設大臣に認定権のある場合でも、斡旋制度においてはこの法律におきましては知事にそのいわゆる斡旋を受理すべきや否やの認定を与えたのだと、こう申上げました。
○小笠原二三男君 だから第三点で私お尋ねしたように、県知事が事業認定もするという場合ならいろいろ将来のもくろみ、予想も立つでしようが、建設大臣が事業認定権があるという場合には、その事業が認定されるものやらされないものやらわからない。事業認定前にこの斡旋が出て来た場合には、都道府県知事は、都道府県知事の意向というものは、或いは住民を代表する意向にウエートが置かれて斡旋を受理する場合もあるかも知れない、そして受理した暁に円満解決して土地の売買等が、きた、事業認定は建設大臣から下りなかつた、こういう場合があり得るのじやないか、そういう場合には都道府県知事はどういう責任を持つのか。それでこれを二つに分けるならばそういう場合があり得るのじやないか、ないならないでいいですよ。あり得るとしたならば、都道府県知事はどういう責任を持つか、地元の者は反対だ……。
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。そういうことがあり得るだろうという御質問でありますが、事業認定というものは主観的の判断ではなくて、或る程度の客観的の判断をしなければなりません。事の軽重で成るほど府県知事と建設大臣は区別してございますが、事の軽重はありましても、判断の基準は私は変らんと思うのであります。従つて都道府県知事が斡旋を受理して任意にやつてあとで建設大臣が公共の事業でないというような判断が起きて来るというようなことになつて参りますと、知事の、いわゆる先ほど申しましたように事業の認定前でありますから、その場合における判断の一つの材料にはならなければならんのです。公共の事業であるかどうかということもそこに判断をして行かなければならんと、こういうことを申上げたのであります。
○小笠原二三男君 それならば又はかの方面からお尋ねしますが、私は皆さんの解釈だけでこうだああだと辻褄を合せて、こうなるであろうああなるであろうということを聞いておることにその疑問があつて、誰がこの法律を読んでみてもこうなるんだということになるのでなくちやいかん解釈はこうなるのだということであつて、法をこの通り字面を読んで行けば、そうでもないような場合があつてはいかんと思つて、私は斡旋制度はこの法づらから言えば、非常に広い範囲に亙つて如何なる斡旋でもできるのじやないかという立場に立つて質問しておるのです。従つてそうでないという立場が明確に法律的答弁があれば、私はそれで納得するのです。何も反対も肯定もしておるわけではないのです。もつといい答弁が欲しいからこう言つて聞いておるのです。こつちも汗を掻いておるのですから……。(笑声)
 そこでお尋ねしますが、それならば遡つてお尋ねしますが、土地収用に対して司法的な役割を果す土地収用委員会の権限というものは、これは土地収用委員会みずからが初めから持つておる権限なんですか、これは国の権限の委任せられたものなのですか。
○政府委員(渋江操一君) これは法律に規定、収用法に規定してあるわけでございます。法律的な理論は、私は国の事務を委任されておる、こういうふうに考えております。
○小笠原二三男君 そうするとこの斡旋制度の斡旋に付する、斡旋の受理、却下の認定権といいますか、都道府県の知事の持つておるこの権限は、これは民選された都道府県知事の固有の権限ですか、国の事務として委任されたものですか。
○政府委員(渋江操一君) やはりこれは国の事務の委任されたものを知事が処理する、こういうふうに考えております。
○小笠原二三男君 国の斡旋というものは今までどこかにあつたのですか。
○政府委員(渋江操一君) 事業認定が知事の権限で与えられておりますが、これは知事の固有の事務であるか、それとも国の委任事務であるかというようなお尋ねのように拝承しましたか……。
○小笠原二三男君 事業認定は、これは国の事務の機関委任だと私は思う。
○政府委員(渋江操一君) その通りに……。
○小笠原二三男君 そうではない、斡旋です。都道府県知事の斡旋という権利は、これは都道府県知事、いわゆる選ばれた知事の固有の権限ですか、国の機関委任というものなのですか、この場合の都道府県知事というのは、旧帝国憲法による地方長官である立場でありますかというのです。
○政府委員(渋江操一君) これは収用法全体の構成から考えられるわけでございますが、いわゆる憲法二十九条で考えられております公益事業の遂行と私権の調整、こういうことの一つの基準を与えておるわけでございまして、そういう観点から参りますれば、やはりこれは現在の、今までの法律概念からいいますれば、知事の国の事務の機関委任、こういうふうに考えております。
○小笠原二三男君 都道府県知事には斡旋についての、斡旋の内容についての何らの権限もない、斡旋委員は又斡旋についての何らの権限も責任もない、そういうようなものがどだい国の事務だということはどういうところに根拠があるのですか。
○政府委員(渋江操一君) 知事の権限は、この法律において与えられておる権限は、斡旋申請の受理、却下、斡旋に付すべきか否かまうことの問題、それから斡旋委員の任命行為、この二つを与えておるわけてあります。これはこの法律の根拠に基いて知事に与えられた権限であります。それからそれを法律的な概念として考えて参りますれば、知事に機関委任された事務である、こういうふうに考えます。
○小笠原二三男君 じや機関委任しなければ国みずからが行う事務ですか。
○政府委員(渋江操一君) これはむしろ収用法全体の建前からいいまして、この程度の事務は知事に委任すべきである、こういう程度の事務は国が処理すべきである、こういうことに仕分けをいたして規定をいたしておるわけでございますが、斡旋制度につきましては知事に機関委任すべき建前である、こういうことで規定をいたしたのであります。
○小笠原二三男君 そうするとこの都道府県知事というものは機関委任によつて土地収用という法に乗つかつてそうして土地問題は取扱われなければなりない、そうして住民の利益を代表する都道府県知事の立場は一切抹殺されてしまう、こういう形におかれると思いますが、そういう機関委任ということを今のこの民主政治で行えるものかどうか。その調整が、例えばこの斡旋なりについても、地域住民の利益を代表する立場に立つ都道府県知事の調整が、或いは発言が何らない。意見がどこにも現われない。そうして一方的に土地収用法というこの法だけで国の権力を背景にした立場で都道府県知事が権力を行使しておるということでいいわけですか。
○政府委員(渋江操一君) 土地収用法全体の建前が、今小笠原委員の仰せになりましたように、私権の保障というものを完全に抹殺しつつ土地の取得を考えておるという建前に立つているならば、これは明らかにその機関委任のあり方、仕方というものは地元住民の意見を全然考えていない、こういうふうに解釈されても止むを得ないと思います。併し現在の土地収用法の建前はそういう形になつておりません。そこに地元民といいますか、土地所有者の利益を一方に保障しつつ片方に公共事業の用地取得の方法を調整をとりつつやるという、先ほど申上げました第一条の目的から割り出した巨細な規定を設けておるわけであります。そういう関係からいいましてこれが地元住民或いは土地所有者の犠牲においていわゆる収用法の運用が行われているのだ、そういう形における事務の委任が知事に与えられておるのだ、こういうふうに判断すべき筋合のものではないというふうに私は考えます。
○小笠原二三男君 何かお尋ねしますと、土地収用法の第一条を振りかざしてお話になりますが、土地収用法の第一条は土地を収用するということだけを語つておつて、その範囲で、そのことが有効になる範囲で私権との調整ということだけを考えられておるようにあなたは一生懸命御答弁になりますが、何も題目が土地収用の法律であるからといつて、収用するための調整の機関というような場合には、或いは行政裁判等に訴えてその収用をしない場合もあり得るのです。そういうことのできない場合もあり得るのです。そういう場合もあり得る法律のこれは第一条の目的なんです。それで私権との調整という場合に、その調整ができない或いは私権のほうが尊重さるべきであるという結論が出たからといつても、何もこの土地収用法に違反するということではない、そうでしよう。それならば事業認定前に、而も斡旋制度は収用委員会にかかる前段階として当事者間の合意を成り立たしめようとしてできておるものなんだから、その内容というものは巾が広くて、円満解決したがために土地収用委員会に強制的にかかつて行くという場合もあるだろうし、又解決できなかつたがために土地収用委員会に事業認定になつて自動的にかかつて行く場合もあるだろうし、或いは斡旋案として土地の取得は望ましくないと出て、そうして折合つて土地の取得もしない、従つて事業認定のほうも申請を取下げる、こういう状態において事業認定が行われないという場合もあり得るでしよう。そういう広い段階の斡旋なわけなんです。その場合に土地収用のことだけが目的なんだ、特別それだけに限られた斡旋だけが受理されるんだということはおかしいじやないですか。行政訴訟さえも土地収用委員会にかかつたあとで行われて、その何というか、私権が侵されない場合の可能性も起る、そういうふうなこの土地収用法全体の法の建前からいえば、まして当事者間の合意だという斡旋の段階におきましては、土地の取得が望ましくないんだという意味合いで斡旋が申請なされる、その斡旋を受理するということが行われて何でそれが不都合なのですか。そのときの事情と状況に私はよる場合が相当多いと思う、まあその点を……。
○政府委員(渋江操一君) これは斡旋の受理の方法論と申しますか、方法についていろいろ御意見あがつたわけでございますが、成るほどおつしやる通りこれは土地の取得についてむしろ否定的な結論を出すべきである、こういう意見が斡旋の段階において立てられるということを私ども否定はいたしておりません。そういう場合を処理する方法としては斡旋の打切りという制度があるのだということを申上げておるわけです。即ちその観点において斡旋の段階というものを法律的な取扱いとしては打切るという方法で解決しておるのであるということを申上げておるわけであります。
 それから斡旋の受理の方法においても、そういう観点においてはこの法律の取扱いとしては斡旋の申請の却下という取扱いにおいて解決しておるのである、これだけを申上げておるわけであります。
○小笠原二三男君 どうも私はあなた方の答弁を聞いて、そうして何かお尋ねすると土地収用法第一条、そうして土地収用法第一条は土地を取上げるというほうにウエートがあつて、そのことのための法律なんだから、斡旋も土地を円満解決で取つて行くというほうだけなんだというふうに再三御答弁になられる。その解釈からいろいろこの法の字ずらを解釈されておるが、私はそれは実情に副わない、或いは又土地収用の精神に副わない場合があるんじやないかということを何としても疑念を持つ。私が具体的に例を挙げて申上げたことについて計画局長は事前にそういう場合もあり得るということを計算に入れてそうしてそういうこともわかつていてこの法律をお作りになつたのですか、私たち質問しているうちにそれについて考えて、その場その場で御答弁なさつておるのですか、私は事前の、事業の認定前の斡旋についてどうしても疑義がある。事業認定前の……、もつともつと斡旋は、斡旋受理の問題は巾が広く行われる場合もあり得るというふうに私は考えておるのですが。
○政府委員(渋江操一君) 公益事業のために土地を取得するという観点において私権の保護を図ろうという立場に立つての法律的な制度的な解決法というものは、土地収用法の上では、認定の場合においては認定の拒否という消極的な意味においてこれは解決しておるわけです。それからその後の土地細目につきましても同様でございます。それから今の斡旋の場合においてもそういう斡旋の拒否という形において解決しておる。こういうふうな考え方で私どもは問題を処理しておるわけでございます。
 補償の問題その他につきましては、これは公正な一つの基準の下に行われる、こういうあれに立つておるわけでございます。従つて今小笠原委員のお話を素直に持つて行くならば、その場合には、認定の場合における認定の拒否ということでなく、公益事業でないということをむしろ積極的にといいますか、そういつたようなお考えのようでありますが、認定の拒否は、即ち言い換えるならばそれは公益事業として認定していないのだということを裏付けておるわけであります。そういう観点において土地所有者なり何なりの関係の、つまり公益事業のための用地取得ということに対する一つの何といいますか、制限といいますか、収用権の制限をそういう段階において抑えて行く、こういうふうに私どもは考えておるわけであります。
○小笠原二三男君 事業認定の拒否ということでなくて、こういう場合もあり得るじやないですか、事業認定前にそういう斡旋等が根本的な対立の下に行われるというようなことの結果、それは公益事業として認定すべきものであるけれども、補償の問題その他いろいろ困るし、斡旋委員会のほうは又それを受理した結果、成るほどその通りであると認定をした斡旋案が出た、従つてこの地域にこの事業を行うのは不適当だ、だから他にこれを持つて行く、こういう場合もあり得るでしよう。或いは又その紛争の段階のうちに国会等において有力な政治家等がおられますから、いろいろ政治的な配慮があつて、その事業をそこで認定して行うということをしない、中止する或いは他にそれを持つて行く、行政協定の場合の演習地等についてはままそういうことがあり得る。過去においてもあつたわけなんです。そういうことが内閣総理大臣の認定だつたり、一方一般の公共事業としてその程度に応じて建設大臣の認定になつたりする場合も問題で、さつき私が言うように都道府県知事が斡旋をして売買契約が成り立つた場合に、他の政治的な配慮なりその他のことでその事業の認定をするしないの前にその事業はよそのほうに持つて行つてやる。こんなふうに変る場合もあり得るでしよう。そういうことは都道府県知事に、幾ら建設大臣に聞いて連絡をとつておつたつてわからん。建設大臣は認定させるつもりである、こういうことを都道府県知事に意見として言い、やるのだと言うならば、土地収用の目的に副うか副わないかわからんが、斡旋にかけるのだということで斡旋にかける。或いは土地収用の方向だけで斡旋にかける。そして不満だつたけれども納得させて売買はできる。ところがその事業は別なところに持つて行つた。こういうような可能性も起つて来るじやないですか。そうしたら必ずしも土地収用のためにだけ斡旋を受理するのだということはおかしいじやないですか。
○政府委員(渋江操一君) 斡旋が斡旋を申請した当事者の意思に反して他の土地に……。
○小笠原二三男君 いや、意思に反しない、大賛成になる場合もある。初めからの申請が、土地を取られては困る、どこかに持つて行つてもらいたい。こういう斡旋ですよ、私のさつきから言つておることは。
○政府委員(渋江操一君) それで当事者が黙つて賛成であると否とを問いません。要するにどうせ斡旋申請の対象にしておつた土地なり或いはその公営企業なりというものが、仮にその斡旋の段階においてこれは候補地を変更するほうが妥当であるというふうな結論をする場合に、これはやはり問題がいろいろ考えられると思いますけれども、その土地を全然対象としないことになつて参りますれば、一応その段階で斡旋は打切りでございます。新らしい土地所有者、つまり新らしい斡旋の対象となるべき土地所有者、その関係における起業の具体性というものを取り込んだ新らしい斡旋申請を受付けて、それによつて斡旋をするという方向に解決されるべきものと考えます。
○小笠原二三男君 私はそれにも不満ですけれども、それじや今度は最後に一点だけお尋ねしますが、起業者のほうから斡旋申請をした。それから地元は土地の取上げに反対だ、それでも斡旋になりますね。そうして反対し反対し続けたのに、斡旋委員の努力効を奏して、不満であるけれども漸く納得させて、そうして土地の売買が完了し家屋の移転等が行われた。が、さて建設大臣のほうが事業認定をさあしようという段階になつたら、他の故障等によつて或いは政治的な配慮によつてそこではもうやれないときめてしまつた。そこでの事業認定はしないということになつた。こういう場合が仮にあつたとしたならば、地元の住民に与えた損害は国が補償するのですか。よくあるからね、大政治家が現われてあつちへ持つて行つたりこつちへ持つて行つたりするから……。
○政府委員(渋江操一君) その事業認定そのものについては、先ほど政務次官からお答え申上げた通り一つの客観的基準があつて、それによつて一応判断しておりますから、これは建設大臣の認定を、斡旋申請受理の関係において知事が認定するという場合においても、先ずその判断においては私は相違はないというふうな建前に立つている。従つてそういう関係において斡旋申請の受理を知事に行わしむることをその観点に立つて規定しているのであります。
 そこで今お話がありました斡旋が成功した後における事情の変更のために新らしい事態が起きたということは、結局斡旋としては一応それによつて当事者の合意が成立し、当事者の合意ということは、そこに土地売買の契約が一応当事者としては成立したということになつているわけであります。その一応打切られた後に新らしい事態が起つたということは、むしろその売買契約そのものについては一応効力的にはこれは契約として成立している。こういうふうに解釈すべきではないかと思います。
○小笠原二三男君 それはその通りです、法律的には。併しそれでいいんですか、それでそういう政治なり行政なりが行われていいのですか。土地収用については喜んで提供するというような場合は万々一にもない。先祖伝来の土地、美田、これらを固執して持つていたいというのがこれは地元の声なんですよ。
○政府委員(渋江操一君) これはむしろ国家賠償の問題の一つに関連するかと思いますが、これは今の斡旋そのものの中から割出してどうこうという問題とは別ではないかというふうに私は考えております。
○小笠原二三男君 じや、一つだけ。これは電力会社等の私企業が、当事者間の合意でございますからと言つて、法律的にそれは国としては逃げる場合もできるでしようが、仮に若しも国がそういうことを起業者としてやつて、なお事業は別なほうに行つてそこには行われない、移転は完了した、美田は一部損壊された、そうしてそれは政府占有地である、こうなつて、そのままで地元のものが済むと思いますか。そういうことが政治責任として或いは国として済む……、斡旋による合意に上つてきめたとカ何とか形式上は言つても、事業遂行のために一大犠牲を負わせたそういう地域住民に対して、これは国としては重大な責任を負わなければならんと私は思うのです。それはもう契約によつて法律的に処理されたものだから知らんと、そういうようなことで公共事業のための土地収用をやるのだ、そういう制度なのだというわけには行かんと思うのです。でそういう場合の政治責任なり、或いは補償と申しますか、賠償とかそういう問題なり、或いは買上げたものを売戻す、売戻すばかりでなく精神的な負担、それらについてはどういうふうに処理されるのですか、何らかの処置はしなければならんと思うのですが、何らの処理もしなくてもいいと政府はお考えなのですか、これが私の聞きたいところです。何もしなくてもいいんだ、法律でやつたのだからかまわないのた、こういうことになりますか。
○政府委員(渋江操一君) この規定の運用といたしましては、斡旋がごの法律の命ずる手続に従つて、而もいろいろ今お話もございましたけれども、その間における関係においていろいろまあ表現上肉付けがございましたですが、小笠原委員の仰せられましたところでは……。併しそれは法律の処理問題とは別になるべきものというふうに私は最終的に判断をいたしておるのであります。法律上は飽くまでこの法律に命ぜられた手続に従つてこの斡旋委員が良心的な公正な態度で以て処理されておる限りにおいては、その結果についてはこの法律上の成立した効果というものを動かすことはそれは如何かというふうに考えて申上げておるわけであります。
○小笠原二三男君 斡旋委員が公正な立場を以て得た結論と言いますが、斡旋委員は公正な立場に立つていないのですよ。そういう意味においてあなたの言う公正な立場というのは、土地を所有しようというほうだけに乗つかつて公正だと思つている。相手さえうんと言つてくれればそれが合意だ、こういうことなんです。仮にそういうことを公正というなら、土地を収用しようとも収用してはならないとしても、どつちでも自由な裁量ができるように斡旋制度もなつており、又地元のほうでの土地の取上げは困るという立場の斡旋も可能であるとして、どつちの立場にも立つて斡旋申請ができ、受理ができるという立場になつておつて、そうしてどつちかに裁定が下つて合意が生ずる、こういうことになることが公正だと思つている。それを片側だけ乗つの、片側のほうにだけ引つ張つて行くりが公正だ、で公正にやつたのだから法律的には完了しておると、こういうことにはならんと思う。私の問い質しておることは、そういう事態が起ることを考えるので、国がそういうことは法律的に処理されたのだからかまわないのだというなら、その言う前提として、斡旋というものは、事業認定前の斡旋においては特にその土地収用をされては困るという斡旋も受付けられ、それも斡旋に乗る。或いは土地収用を円満にやつてくれという起業者の斡旋も受入れ、そうしてその斡旋委員は両方の言い分をまともに公正に聞いて、そうしてなお円満な解決に導くように努力してほしい。こういうふうに基礎が公正にできていなかつたら、問題が起つたときには土地収用しようとしたほうにおいて責任を負うべきである。こういうふうに私は主張したいと思つてお尋ねしておつたわけなんです。
○政府委員(渋江操一君) 斡旋の成立が、一つお含みおきを願いたいと思いますことは、一つの強制的な処理として、当事者の意思に反した形をとつているのではございません。飽くまでそれは当事者の意思に従つて斡旋が成立するかしないかということをかからしておる建前に一応なつておるわけでございます。それから斡旋の委員の構成においても、起業者の利益を代表する者だけを斡旋委員の構成員に持つて行くという建前には考えておらない。これはやはり土地所有者、犠牲者側の利益を代表する者も或る程度加わるということを一応前提として立てておる。そういう制度的な一つの建前の上に立つて私の考えを申上げておるわけなんであります。従つてそういう制度的な配慮の上でなされた斡旋の結果というものを私どもは否定してかかるということになりますれば、これは法律そのものを否定してかかるという結果になるわけであります。それはそういうふうには考えらるべきものでないというふうに考えております。
○小笠原二三男君 まあこの程度にしたいところですが、もう一つじやお尋ねしますが、起業者のほうは土地を取得したいということで斡旋申請をすれば、それは直ちに受理せられる。その場合に土地を収用せられるるほうの側の方は、絶対土地の取上げ反対だという意見を持つておつてもそれは斡旋にかかるわけですよ。そうしてその場合には斡旋委員は如何なる自由な斡旋案も出せますから、斡旋申請に土地収用の申請が出ておつても、片側の土地を持つているほうの意見にウエートをおいて、これは土地をここで収用すべきでないという斡旋案も出るのですよ。そのことを反対にひつくり返したならば、土地収用をされるほうの者が土地収用されては困るのだという申請をした場合に、それが仮に受理せらるるとなれば、起業者のほうは又土地を収用したいという意見を以て斡旋委員会なら斡旋委員会に臨むわけです。そしてその場合に斡旋委員はその申請の意に反して、土地がこれこれの価格で適正に収用されることが望ましい、それで君たちはそういう無理なことを言わんでまあ円満に土地を手放すようにしたらばどうか、こういうことで斡旋に努力するということもあり得るのですよ。そうだとしたならば、この後段のほうの土地を取上げられては困るという申請は受理できない。受理できないということは、何の必要もないのじやないですか。事業認定前におきましてはどつちにしたつて斡旋委員は自由な裁量ができるのだから、そして一方の当事者から斡旋を申請した場合でも直ちに斡旋のことが知事の意向によつてはできるのですから、だからそういうことを考えたならば、これは両者の立場に立つて斡旋が一応受理せらるるという可能性もあるだろうし、それは都道府県知事の自由な裁量でできるのだ。十五条のこの二の二項という、この「紛争があつ旋を行うに適しないと認められる、」認め方というものは、都道府県知事は如何ように認めても差支えないのじやないか。政府の考え方は一方的に寄つた考え方でございますか。
○政府委員(渋江操一君) 斡旋の申請のあり方は、結局問題はこういうふうに分れると思います。斡旋申請はいやしくも当事者双方の合意の上でなければ申請すべきでないという考え方の上で成立しなければならんというお考えのようにもとれます。併し結局斡旋は受理によつて全部が左右されるという問題ではございませんので、斡旋の最後の成果というものが成立するかしないかということは当事者の意思に……、先ほどから繰返して申上げておるように、当事者が不同意であるということになつて来るということは、一方が斡旋に応じがたいという不同意の意思表示がある以上は斡旋ということは打切らざるを得ないのであります。そういう点においてこれは当事者の一方、収用者側の一方の意思を意思として強行されるという結果とはならないのであります。こういうふうに考えておりますので、仮に申請がたまたま相前後した関係に立つて、片方のほうが斡旋を、むしろ土地の取得に応じがたい、それから又片一方のほうは、起業者のほうは斡旋を受理してくれということで土地取得の斡旋の申請をした。結果において斡旋が仮に土地取得の問題について結論が出たとき、この斡旋委員として、当事者が不同意であるということならば斡旋打切りという形にならざるを得ない。そういう関係において当事者の意思に反して斡旋が成立するという場合は想定されない。仮に申請の場合において受理されたにしても斡旋成立はできない、こういうふうに私は思うのです。
○小笠原二三男君 私は斡旋というのは、斡旋の段階で円満に解決したい趣旨だろうと思います。そして若しもできなかつたらできないとして済ませるということだろうと思います。そうだとするならば、初めは土地の取得に反対だという立場をとつておる者でも、斡旋委員が会つてよりより正式に協議等をして行くうちにだんだん事情もわかり、そして真意も汲み取れると申しますか、納得して行くという場合もあり得るのだろうと思う。そういう努力をして行きたいというのが斡旋制度の趣旨だと思うのです。だから初めから土地の取得に反対だという申請があつたものは受理しないのだということではなくて、その申請を受理して、斡旋委員が会つて意向を聞いてみて、そして又片方の事情も述べてそしてその意思をだんだん変更させて、出た自由な斡旋案に乗らせて行くという努力を一段階としてやつて行くということが何で不都合なのか。
○政府委員(渋江操一君) そういう観点に立ちますから、斡旋の最初の意思表示が途中で変更になつた。初めは土地の取得に応じがたいという意思であつたのにかからず、途中で応じてもよろしいという当事者の意思の変更があれば、これは最初の申請を拒否された事態を途中で更に斡旋の申請という形に切替えることは毫も妨げない。一旦一意思表示をした以上は、受理の拒否という事態に立至つた以上は二度とその問題については斡旋申請を受付けないという形になつておるのではございません。
○小笠原二三男君 その出だしですよ、斡旋委員会というものに行かなければ困るでしよう、そういう事情変更だつて何だつて……。だから形式上受理して、初めて途中でそういうことが起つて来るとならなければならんわけでしよう。ところがあなたの言うのは、斡旋を受理しないというのだから、受理しないものが途中の段階でどういう変更をやつても、初めから一つも話合いも何もできるはずのものじやない。だからあなたの言う理論で言えば、これは先ず形式的に受理をして、まあまあそういうことはないのだ、実はこうこうこういうことがあつてどうなんだと言えば、それでは考え直しましようという可能性があるということだ。或いは最終まで頑張る場合もあるし、最後まで頑張つたら打切つたらいいだろうし、可能性が出て来たらそれを芽とし葉つばとして、枝を張らせて、そして結論を得て行くという努力をする、これが、斡旋制度の建前だろうと思う。だからどうも南政務次官でも計画局長でも、初めに斡旋の場合の一方の申請が、土地の取得に反対だという申請があつても、それを法律的には受理できるのだというような話があつたという誤解を……、私は先ず誤解と言つておきますが、誤解を受けるような答弁をしておつたのが、だんだん聞かれて行つたら、いや、そういうものは十五条の二の二項で、都道府県知事は許可しないの、たというふうに、その意見を固めて来たために、又そのどうも柔軟性を失つて来ているのではございませんか。
○政府委員(南好雄君) 私は今の御質疑等を拝聴したのでありますが、小笠原さんの今のお話は、起業者が、起業者側から斡旋の申請があつてそして土地所有者が反対しておつた……。
○小笠原二三男君 場合もある、それは前段で別です。それは別……。
○政府委員(南好雄君) そういう場合に、土地所有者の意見が変つて行つてそして合意が成立する、そういうのは当初から斡旋が受理されて行くわけです。それから逆に、土地所有者のほうが絶対如何なる条件でも土地のいわゆる提供に反対だということを持ち出して斡旋を申請したような場合は、それは御承知の通り本法が土地収用というものを目的として出ておりますから、それは斡旋の拒否という形において斡旋の手続の中に入らん、こう申上げておる。最初から土地所有者のほうが絶対反対だというようなそういう趣旨の斡旋申請は本法の考えているようないわゆる斡旋の中へ入らん、こう申上げておるのであります。
○小笠原二三男君 時間がないようですからまあ又次回にお話しますが、内灘のような問題だけ頭にこびりついて南政務次官も答弁になつておるのならば、それは少しかたくなだと思う。土地の取得に絶対反対だいう反対の斡旋申請もございましようけれども、その地域は先祖伝来かようようの事情にあるところであつて、而もこういう美田等における農民の収入、食糧増産のためにはこれこれのことに寄与しておる。然るにここで行う、遂行せられる事業の経済効果は、我々の考えから言えば食糧増産の経済効果よりも劣つておる。従つて我々としてはこの地域がそういう事業認定をして事業を遂行されることは困る。従つて土地の取得に反対せざるを得ない。この事情御勘案の上然るべく斡旋をお願いしたいというふうにやわらかく固くいろいろの趣旨を以て結果は反対であるという、斡旋申請いろいろあるのですよ。それを反対の意思があるとか、我々としてにわかに同じがたい、然るべく斡旋をと言えば、これは智反対の範疇だということで受付けない、こういうことだらこれはどうも斡旋制度の趣旨というものは余りにかたくなに一方的だ。ただ単にそうならば、土地収用の前段階として以上の形式を履んで、あわよくいつたら収用するし、うまくなかつたら打切つて、そうして土地収用にかけて……、そうして一挙に土地収用にかけたのではなくて、十分な民主的手続をとつたのだが、土地の住民が頑迷固陋にして解決を得なかつたのだから堂々と権力を持つてやるのだ、こういうことのただ筋道を立てるためにだけ斡旋制度がある、そういうふうに誤解されたつてその釈明の余地がないのじやないですか、如何ですか、内灘ばかりではないのですよ。
○政府委員(南好雄君) 私の答えましたのは、内灘ばかりを何も考えて返事をしているのではないのですけれども、繰返して申上げますが、起業者が申請したような場合に、たとえ土地所有者のほうの反対があつても、斡旋の途中においていろいろの条件によつて承知する、そして当事者同士の合意が成立するというような場合があると、これは私も認めますし、又斡旋制度というものもそういうときにおいて本当の効果が出て来るだろうと私は思います。併し逆に土地所有者のほうが、如何なる条件においても絶対土地のいわゆる提供は困る……、もつと結論を申上げますと、事業遂行をやつてくれるな、こういうようなそういう斡旋をしてくれというようなものは、つまり私は十五条の二の二項によつてこれは斡旋という段階に入るべきものじやなくしてその段階において斡旋を取上げてはならんものだと、こう解釈してお答えを申上げておるのであります。
○小笠原二三男君 最後に……最後が三回ばかり続きましたが、この法律が施行になりました場合には、都道府県知事にあなたの趣旨を政府から通達するとか、或いは何か施行細則のようなもので明記せられるのですか。
○政府委員(南好雄君) お答えいたします。法律の解釈については、解釈をつけて都道府県知事のほうへ配付する予定であります。
○小笠原二三男君 都道府県知事が演書地接収反対という県議会の議決を得、その理事者たる知事として、それに反対するののだということで、機関委任されている権限であろうとも、反対であるのだからその反対の斡旋の受理をしたと、こういう場合には政府はどういう御処置をなされますか。制裁規定がありますか。
○政府委員(南好雄君) お答えいたします。別に制裁規定はございません。
○小笠原二三男君 じや、そのことは法律的に効果を発しますか。
○政府委員(南好雄君) 法律的には効果を発生しません。
○小笠原二三男君 発生しないというのはどういうことですか。そこで斡旋が行われるということの、その斡旋委員会の成立を認めないということですか。或いは斡旋案が無効であるということですか。
○政府委員(渋江操一君) 法律の解釈といいますか、法律の運用に関しまして知事がいわゆるそういう土地取得に反対であるということを斡旋をして、受理して、斡旋委員会のその結論を受理した方向でまとめたと仮に仮定いたしますと、これは斡旋の効果としては私は成立しないというふうに考えております。で、斡旋の効果そのものは、結局それは当事者の合意成立という形において出て来るわけです。これが斡旋として正規の効力があるかないかということは、結局まあ当事者がそれに同意したということによつて処理され得るわけです。仮にその途中で、先ほど小笠原委員の仰せになりましたように、当事者の意思が変つて、それで土地の取得そのものの当事者の合意が成立するような斡旋の方向へ向つたと仮にいたしますれば、これは手続の欠陥を補正するなり、そういう方法によつて適法な形に切換えてやるということで問題を解決すべきであるというふうに考えております。
○小笠原二三男君 私は、法律的な効果はない、無効だということは、私の質問した限りの内容については言い過ぎではございませんか。斡旋委員会に付すということは、法律的には私は無効ではないと思う。それは知事の権限として、斡旋委員会の斡旋弄受理し、斡旋委員を選任し、そうして斡旋に当らせるということはできると思うのです。ただそれが両当事者間の合意が得られないだけだと思うのです。そこまで行く行為が無効だということはどこで言えるのですか。相手は調達局長ですもの、特に行政協定によると、起業者を代理する者は……、それは調達局長が同意するわけはないですよ、今のような内閣総理大臣が事業認定をする限りにおいては……、それは私はわかつている。ただそういうことで事を進めて行くということを、これは私は法律的に違法だとか無効だとか、そういうことは言えないだろうと思います。
○政府委員(渋江操一君) 要するに法律の運用としては、いわゆる適法性といいますか、適法性を欠く、こういうことで考えるべき筋のものだと思います。
○小笠原二三男君 だから県知事はですね、県知事はやればやわ得るものなんだということになるわけなんです。そうでしよう。
○政府委員(渋江操一君) ですから事実上のその斡旋という事実があつたことを、これは否定するとか否定しないとかの問題ではございません。ただそれは法律の命じている、いわゆる適法性を欠いているのじやないかと、こういうことを申上げておるわけです。
○小笠原二三男君 どうも話が何ですね、おかしくなつて、私も少し頭を冷やしたいと思うので、本日はこの程度で打切りまするが……、まだまだございますよ。
○赤木正雄君 関連して……。どうも先ほどの話を聞いてみますと、私どもは初めに極く素直に受けたこの斡旋委員会の性質と目的、それからだんだん検討して行く間に、斡旋委員会の同意というものは大分変つて来た。と申しますのは、端的に言うと、初め起業者のほうからだけ言つておるものと思つた。今度は土地所有者のほうから斡旋委員会に何してもらつてもいい。それを県知事が受理しないということは、これはとにかく間違つていると思うのです。斡旋委員会が成立せぬするは別ですよ。けれども今の法案から言えば、県知事がそれを受理しない、これは土地収用の精神から反する。それは間違つていると思うのです。併し今日は私は質問をおきますが、そういう大きな問題が出て来ましたからこの次一つ……。
○委員長(石川清一君) 本日は速記が一時までという先ほどの予定でございましたので、大分御勉強を願つたのでありますが、午後になつて速記があれば引続いてやりたいのでありますが、速記がなければ御懇談をすることもございますから御懇談をしたいと思います。先ほどから水害地緊憶対策特別委員会委員長矢嶋三義君と建設、文部に関する小委員会の小委員長山田節男君が参りまして、特別立法に関するお話がございますので、それを承わりたいと存じますが、午後は先ほど申したような状況に従つて、速記のあるなしの状況によつて会議を進めたいと思います。
 では休憩します。
   午後零時五十二分休憩
   ―――――・―――――
   午後三時二十八分開会
○委員長(石川清一君) 只今から委員会を再開いたします。
○田中一君 この法律の建前が、改正案の建前が、第二章「事業の準備」の末尾にこれが挿入されるのです。改正されるのは……、そうして十六条から初めて認定になつて来たのです。「事業の認定」と……。従つてあなたの考えておる趣旨は、政府の考えておる趣旨は、収用とか調停とか、或いはそういう事業認定後の問題に対してこの斡旋委員会を適用するのではなくて、主としてあなたの、政府の考え方というものは、事業の認定の前におけるところの事業の準備の過程においては土地収用を始めることはできません。準備が終つて、やつとこれなら行けるというところで初めて事業認定を申請するわけです。従つてその前段の立場においてこの斡旋委員会を持とうというのが真意でございましようね。
○政府委員(渋江操一君) この十五条以下をこういう条文の配列にしたということ自体は、これは私どもとしては初めからそういう考えを持つていたのですが、要するに事業認定前においてもこの紛争斡旋という形はとり得るものであるし、又とられて差支えないものであるということを考えて、十五条以下の条文の配列としては認定前の処理の場合もあり得るということでそこへ挿入したわけなんであります。その場合にいわゆる田中さんの御質問の中で、工事施行計画、そういつたようなものの不準備或いは準備が十分でないという欠陥を斡旋という段階で一応話を横にそらしておいて、転嫁しておいてそして斡旋期間三カ月を置いておいて、その間に一応本収用の手続にかかる予備行動の準備期間というようなことで運用して行こう、そういう意図は全然初めから考えておりません。
○田中一君 私が伺つているのはそういうことを伺つているんじやないですよ。あなた思い違いしているようですが、この斡旋委員会の主たる目的は、事業認定する前の事業の準備過程におけるところの紛争をなくそうというところに重点があるのでしようと伺つているのです。あなたは卒直に言つて下さい。すると大分局限されて来るのですから……。
○政府委員(渋江操一君) 紛争の解決を準備過程の処理問題というふうに取扱うか取扱わないかということは、これは一つの問題だと思います。それで私はそれを田中さんの今のお話のように、事業着手の一つの前段階としての紛争問題の処理が極めて重要なウエートを持つている。だからそれに重点をおいてできるだけやるというお説には私は賛成なんです。
○田中一君 あなたがこの法律を作るときにどういう意図を以てやつたか、この法律の配列から見まして、事業の準備過程における紛争処理を考えて斡旋委員制度を設けようとしたのじやなかろうかと聞いているんですよ。従つて事業が認定されたならば、おのずから土地収用委員会にも諮られるのですよ。まだここで事業の準備をしている過程において試掘その他をやりますが、これはやめるかもわかりません。この場合に事業認定を受けてやるのだという場合の前段において、例えばそのときに必要と考えたからこれをあなた考えたのでしようと伺つているので、あなた方のほうに対していい意味の御答弁を伺いたいと思つて私は聞いているんですよ。事業の認定を受けてしまえば本工事です。従つて今まで我々の質疑したような重大な問題が起るのですが、その前に他人の土地に立入つたり何かするような場合いろいろの紛争が起る。その前にその場所で以て事業をするかしないか決定されていないのですね。決定しようとする意思で以て立入つたり何かするという場合に、その紛争処理のために斡旋委員会を設けようということのほうが多いのじやないですか。
○政府委員(渋江操一君) 段階的に申しますと、任意買収というか、任意売買という一つの当事者間の交渉というのが先ず最初にあつて、それから今の法律上の建前としては事業認定、それによる強制収用という段階があるわけです。その中間に持つて行つて斡旋という方向において当事者の話をまとめよう、こういう考え方に立つておるわけなんです。
○田中一君 事業認定を受けた後でも無論斡旋委員というものがあるならそれを活用して結構なんです。いいんですよ。併しながらこの法律を改正しようとするところの意図は、事業認定をする前に紛争があつもやならないから、斡旋委員会でやつて、この坤点ならこの地点でよろしいというなら、その個所で事業認定を受け、土地収用法の及ばない前段におけるところの斡旋委員会というものを設けて紛争処理をしたいというのが真意じやなかろうかと聞いているんですよ。そうだと言えばいいんですよ。
○政府委員(渋江操一君) その点は誠にその通りであります。
○田中一君 そうでしよう。そうすると問題が違つて来るのですよ。今度はそうするとすべての問題が違つて来るのですよ。事業認定を受けた場合には土地収用法を適用する壕合もあるし、又してもいい、他人に斡旋してもいいのです。その土地収用法をかけられない段階において斡旋をやつて、完全なる準備行為というか或いは試験掘でも、地点をきめる場合にも、事業をやる前の一般の紛争をなくすために斡旋委員会に任せるのだということをはつきり言えば局限されて来るのですよ。そうしておりながら斡旋委員というのは何ら権限もない。事業をするほうにしても問題はまだやるかやらないかきまつていない、そうでしよう。試験をやつて、やつときめたら、初めて事業認定を受けて本格的になる。その場合には調停委員会なり収用委員会、何でも協議できるのですよ。その前段階におけるトラブルをなくすもののほうの斡旋委員だというもののほうがウエートが高いでしよう。そういう詳明を受けると非常に話がわかつて来る。
○政府委員(南好雄君) それは田中委員の紛争についての実際上の御経験から割出してお話が出ていると思います。そういう点については私ども十分な確定したことがないから、その点十分にお答えにならんかも知れませんけれども、そういう而に活用される場合が多いということを申上げる程度で、実際問題の処理ということになつて参りますと、いろいろバラエテーがあると思います。
○田中一君 なぜ第二章の十五条に斡旋委員というものを入れたのか、なぜここに入れたのです。最後の準備の行為に……。
○政府委員(南好雄君) これは条文の配列としては事業認定前の手続ということになりますから、それで事業認定前の措置としてこの手続を入れた、こういうことです。
○田中一君 もう一つ伺いますが、計画局長は、あなたがこれの発案なのですか、河川局の希望なのですか、それとも東電やなんかの電力会社の希望ですか、あなたが提案しようという意図は、条文の文字の上での説明のみであつて我々は実態をつかみたい。実態によつて被害者がプラスになるかマィナスになるかを心配している。実態をあなたははつきりしないで、条文で掲げて議論するから、どうも私は納得行かない点があるのですよ。江田君の議論も小笠原君の議論も、実態を知つて質問しているのです。計画局長がその実態を知らないということになると、河川局長が来て本当の実態を述べて、なぜこれを作らなければならないかということの御説明をしないと論議が別になつて、あなたと私のほうとピントが合わないそういうところが実際準備が足りないと思う。
○政府委員(石破二朗君) どういういきさつでこの法案を建設省が準備したかということにつきましてほ、私が比較的多く関係いたしておりましたので、私から御答弁申上げます。御承知のごとく最近ダムの建設が非常に多くなり、而も工事が施行されておるのは御承知の通りでございますが、最近十津川にいたしましても藤原にいたしましても、地元民と建設省の出先の役人との間にいろいろ話がまとまりませんで困つている実情であります。建設省といたしましては、この問題をどうして解決するかという点で、先ず第一には補償の要綱のようなものを作つて、補償する場合にはこういう点をこういうふうに考えて補償せいというようなことを先ずやろうということを、建設省関係の土地を買収する際の補償の要綱というものを作りまして、大蔵省と協議中でございますが、一二の点を除き、ほぼ話合いはついております。そこでこれを忠実に守つて、出先の役人が土地所有者とよく話合えば或る程度従来のような紛争げ起きないかと思いますけれども、何しろまあ建設省の従来のやり方がまずかつたのでございましようか、一般的に役人に対する信用というものが薄くなつたせいでございましようか、地元のほうの方に言わせますと、建設省の連中はどうも我々を値切ることばつかり考えておると、何を言つているかどうもよくわかんというようなまあやはり不安が残るだろうと思う。そこでこれを地元側の方に、建設省の役人の言うことだけじやどうも信用がならんという御不満があるならば、一つ建設省の役人がみずから説明するよりか、公平な機関で、一つこの土地は大体こういう値段が通り相場ですよということの先ず指値を出してみて上げる、それでも納得がなお行かんという事情であり、而もどうしてもその土地を取得する必要があるという場合には、そのときに初めて土地収用をやろうじやないか、そうすれば或る程度土地所有者も納得が行くであろうし、又世間も、建設省はいろいろ安く叩くことばつかりやつておつて、どうしても話がまとまらんでおつて土地収用したというような非難もなくなるであろうし、こういう点からこのことを言い出したのでございまして、それ以外にはいろいろ御議論もありましたけれども、少くとも我々関係者の間におきましてはその他のことは一切考えておりません。
 まあ御質疑、御答弁の過程におきましていろいろまあ法制的に不用意なことも、私もこの間申上げたかも知れませんが、まあそういう実情は以上の通りでございます。
○小笠原二三男君 今田中君の質問で、この法の配列の上、体裁の上から行つて、斡旋段階の部面は事業認定の条章の前に配列されてあるのだから、事業認定の前に、或いはその他の事業認定、又事業を遂行するがための準備行為として、そういう一小部分の土地の取得についての紛争を解決する斡旋制度なのではないかというようなことについて、多分はそういうことが多い問題でしようとか何とかあいまいな御答弁でしたが、この点はつきりして頂きたいのですね。いわゆる事業認定後その事業の影響の及ぶ範囲の土地の取得ということは該当しないということなんですか。
○政府委員(渋江操一君) 私の申上げた先ず第一の問題は、条文の配列としては、いわゆる認定前においてこういう紛争斡旋の申請ということも行われるし、又その紛争解決と斡旋という活動も行われるのでありますから、従つてそういう意味では事業認定前に手続としては規定しておくのが当然であるということで、そういう立法の仕方をしたということを申上げたわけであります。それで……。
○小笠原二三男君 わかりました。それけだのことでしよう。それで結局その事業に必要な土地全部を対象にして斡旋が行われるということなんでしよう。それで条文の配列がどうこうであろうと、そんなことには何ら影響はないのでしよう。田中さんが聞けば、何か田中さんの言うことがさも御尤ものようなことを言うが、田中君の言うことがおかしいから私は聞いておるのです。どうですか。
○政府委員(渋江操一君) ですからそういう関係で規定の配列はしておいた。そこで斡旋の行為が準備段階のときだけ行われて事業認定があつた以上はもはや斡旋というものは働く余地はない、こういうふうには考えておらないわけであります。
○小笠原二三男君 それで前の通りまあはつきりしておるわけです。
○江田三郎君 それで政府のほうでこの法案を通そうというのなら、一つこの妙な事務的なやり取りはやめられたらいいじやないかと思うのです。そうでなしに、とにかく我々がここでじつと聞いて受ける印象は、どうも建設省の方は一方的だということなんですよ。結局土地収用なんかかけると、今の官房長のお答えでもありますように、その前に斡旋制度とか何とかいうものを作つて、そうしてまあ建設省も公平にやつておるのだという印象を与えたいということになると思うのです。その前にもつと建設省というものは土地収用に当つて本当に土地を取られる者の身になつて考えるという考え方が足らんということなんです。それは赤木委員から指摘されたように建設省の人が苦労していないということなんです。例えほ前国会のときに建設委員会で問題にしてもらいましたが、ダムを作る場合は冷害の問題ですね、ああいうことなんかについても農業技術の上からもはつきり被害があるということはわかつておる。ところがそういうことでもたびたびやかましく言つてもなかなか冷害というようなことは考えられない、そして現地へ出て来てやり方を見ていると、冷害というものは殆んど問題にならんように言われる。ところが農林省の試験では……。そういうことについて何でもかんでもこの斡旋制度をやるというのも、如何にしてこの土地を取る、まあ最小の努力で……、被害者を納得させるというようなことに努力を払うのでなしに、世間から非難のないような形に持つて行くかというような、そこがあなたたちが何ぼ否定されてもそういう気持がある。そういう点もう少し土地を取られる者の身になつて考える、そういうことが欠けているのですよ。だからこの十五条の二の二項ですか、そういう問題に対する答えでも聞いておるというと、非常に冷やかな答えが出て来るのです。そういう態度ではこの土地の収用というようなものはなかなかうまく行かんということなんです。斡旋制度が規定せられても規定せられんでも、その態度を改めん限りはこれは私はうまく行かんと思うのです。だからこれはもう事務的の答弁の範囲でなしに、もつと大臣として建設省は土地収用に当つて根本的にどういう心がまえでいるのかと言えば、作文みたいなことを答えるかも知れませんけれども、そのときに大臣がもう少し誠意を持つてお答えされるということが、私はこの法案を成立させるかどうかということになると思うのです。どうもただ事務的にああ言えばこう、ああ言えばこうというような答弁ばつかりしておつて、これは一カ月かかつても同じこと……。
○政府委員(石破二朗君) 事務当局の答弁では誠に申訳ない次第であります。一応私から答弁さして頂きますと、江田議員の御発言誠に御尤もでありまして、冗談でなしに、私も本気で考えておる者の一人でございますが、御承知の通り戦争中から建設省の土地収用の、土地買収の用地係というものが非常に不足して参つております。これは戦争中ほかに転職がうまくこういう人が比較的行つたということがありますのと、それから戦時中新たに土地を買収するという事例が少なかつた、こういう二つの原因であろうと思いますが、各地方建設局における弱点の大きいものの一つに用地係の職員が非常に少いということが大きな原因になつております。これにつきましては実はその制度を作つて、その連中の待遇もよくしてやろう、そうすればいい人も集まつて来る、一生懸命に勉強してくれるだろうと考えてもおります。それから又工事事務所長にこの用地の取得の事務をやらせますと、どうしても工事費を本工事費のほうに銭を廻したがつて、用地費を惜しむ危険も出る。又工事を急ぎ過ぎる危険も出るというようなところからいたしまして一つこれは土地の何と申しますか、言い方を変えますと、土地所有者の味方になるような用地の専門の事務所というものも作つてみよう、こういうようなこともいろいろ事務的には考えております。そういうことで事務的に我々のできる範囲で土地所有者に満足が行つてもらえるようにできるだけのことをしよう、こういうことは考えております。
○江田三郎君 これは用地係の人が不足しておるとか、或いは経験が乏しくなつているとかいうことがありますけれども、例えば戦争前だつて我々は農民運動をやつて、河川局の人とは敷いたレールの上へ上つたりしてがたがたやつた例はたくさんあるのですよ。そういう場合に戦争前の用地係の人だつてやつていることというものは実に向つ腹の立つようなことばかりです。如何にして人をちよろまかして行くか、如何にして人を呑ますか、如何にしてボスを使つて如何に妙な切崩しをやつて行くか、何ら積極的な主張を持たんで、そういう手練手管ばかりやつて来たのが多かつたのですよ。そういう点が、たまたま戦後にあなた方もそういうようにお考えになり、斡旋制度というようなものも、本当に文字通り斡旋制度というものを活かそうと考えておられるなら、そこによほど今までと変つた考え方を持つてもらいたい。赤木先生の言われるように、河川局の人々ほ収用の苦労というものを本当にしない。ただ役所という建前でやつて行こう、そういうような人々がいるところでこんな制度ができたところで、これはもうただ如何にして土地で儲けて行くかというようなことの一つの誠に巧妙な、こまかしの手段に使われることが落なんです。そういう点にやはり大臣からでももう少しこの用地買収に当つてはどういう態度をとるんだ、斡旋制度の問題でも、昨日から一昨日からやつているものはやはり却下するとか何とかいう……もう少し土地を取られる人たちの側に立つて見ればそういう答えはでないのです。実際に又そういうことでないと斡旋制度というものはできないのです。非常に幅があつてよろしい、それも申請があれば受付けて、とにかく誠意を尽してやつてみる、やつてみてできなくても仕方がない、できなくてもやつてみる。而もそういう根強い努力が重つて行かなければこういう問題というものはいつまでたつても円滑には行かんのです。
○小笠原二三男君 だから午前からも話したし、もう前回に話したんだが、もう事務当局としては大臣に代つた答弁はできないのですから、まあ都道府県知事が、受理するしないの認定権については都道府県知事に任せられているものであつてそれで土地の取得されることについては困るという意味合いの申請についても、事情によつては受理せられる場合があり得るんだと、これは都道府県知事の裁量にあるのだ、こういうふうにでも枠を拡げ、含みを持たせた答弁でもあれば、先ずまあこの段階では納得せざるを得ないだろうと思うのです。而も午前中聞いたら、計画局長は、この都道府県知事の認定権なるものは国の事務の機関的委任だと言い切つておりますけれども、一方国の事務の機関委任として土地収用委員会があつて、正式にやることの前に、都道府県知事が任命した斡旋委員が斡旋するという意味合いを考える場合に、二つの委員会と申しますか、機関が別建のものである場合には、少くとも地域住民に選挙せられた都道府県知事が当該住民の意向をも汲んで斡旋に付する場合もあり得るというふうになつても、何ら土地収用委員会の土地収用の方途は、問題は別なんだから、疑義は起らんのではないかと、さように思う。どうもこの認定権も、国の事務の機関委任であるという説には、私は法律家でありませんけれども、恐らく新らしくこの生み出される認定権なんですから、国の事務だぞと言えるかどうかは疑義がある。ただそれ以上の究明する力を私持ちませんから、この際はシャッポを脱いで、はあと言つて来ておりますけれども、まあ皆さんのほうで、事情によつては知事の裁量によつてそういうことも受理しながら斡旋によつて土地取得なら取得の方向に円満解決する努力をやる場合もあり得るというようなことくらいは話したつて何ら困るということはないと思うのですが、どういうものなんですか。
○政府委員(渋江操一君) そのだんだんのいろいろのお話を承わつてこれは江田委員のお話もございましたし、一応私どもとしましても大臣にもお話いたしまして、今後のこの規定の運用をどういうふうに取扱うかという点を相談さして頂いて、その後に答弁さして頂きたい。かように考えます。
○委員長(石川清一君) 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
○委員長(石川清一君) 速記を始めて。
○田中一君 前段のボーリングの問題ですが、これは先般も政府にいろいろ伺つたのですが、ただボーリングだけの問題をここで取上げてよいかどうか、私が申上げたように例えばボーリングするについては電力が必要だ、デイーゼル・エンジンを使う場合もあるし、ディーゼル・エンジンを使わない場合もある。その場合は電線を引つ張る、長いところは一キロ、二キロも電線を張りめぐらす。ところが試験掘の場合には又本格的な道路に向つて電柱なり鉄柱を立てて電力を持つて来るということは考えられないことです。その場合そうした空中の架設物にまでそれを及ぼしたらどうか。もう一つは穴を掘れば水が出る場合もあるし、油も出る場合もある。濁水が出る場合もある。従つてそうした最小限度水路という問題も一応その枠内に入れたほうが、将来試験堀した場合に起る結果において必要なんじやなかろうか。それも地元民に対して重大な影響があるような問題が数々起るのじやないかと思う。殊に他人の立木その他に電線を張りめぐらしたりするような場合がたくさんあると思う。そこまでのことを考えて、どつちみち一部改正するならそこまで枠を拡げて考えたらどうか。直接地元民に被害を与えるわけではないから、そういう点まで考慮に入れて考えたらどうかということを先般も伺つておるが、大分あいまいな御答弁ですが、実際に若し、そういう問題は絶対ありませんと答えるならば、専門家に来て頂いて、河川局長に来て頂いて、そういう事実があるかないかの事実を確かめられてやつて頂きたいと思います。その点について官房長に……。
○政府委員(石破二朗君) 只今田中委員の御指摘になりましたような場合も事実出るだろうと思います。併しながらこれは土地所有者の権利に非常な影響がある問題でもありますし、我々が従来研究いたしましたところでは、ボーリングする際にはディーゼル・エンジンを持つて来れば現在のところ大体間に合つておるということも聞いておりますので、まあ成るべく土地所有者にいわば簡便な方法で、土地所有者の権利を侵害するわけでありますから、できるならば成るべぐ狭くしておこうというようなことで現段階ではこの程度の法律でよかろうと一応考えておる次第ぐでございまして、よく実情を、更にこれではとてもいかんというような事態が将来起るとすれば、そのときには考えなければいかんと思いますが、現段階ではこの程度でよかろうと思います。
○田中一君 それでは「試掘着しくは試すい若しくはこれに伴う障害物……」、
 この場合にディーゼル・エンジンを以て行うとお書きなさい、それならよい。それがない限り或いは、電線が引つかかります。これはこの試掘並びに試すいは必らずディーゼル・エンジンを以てというなら差支えありません。
○政府委員(石破二朗君) 御意見誠に御尤でございますが、先ほど申しました通り成るべく簡略な措置で取りあえず、おのおの所有者の権利を侵害するのでございますから、試掘する人には或いは犠牲かも知れませんが、土地所有者の権利を制限することを成るべく狭めようとする趣旨でありまして田中委員の御指摘のようにディーゼル・エンジンですべしと言わんでも、電線は土地所有者には無断では引けない建前になつておりますので、御指摘のような御心配は法文に入れなくてもよかろうかと思います。
○田中一君 それでは政府としてはそういう事態が起きない、又起させないということを確約いたしますね。
○政府委員(石破二朗君) 確約いたします。法律に書いてある以上のことを絶対に見逃がさないことを確約いたします。
○小笠原二三男君 だんだんの御質疑でございましたが、相当論議も続けられておりますので、この辺で質疑を打切り、討論に入られんことの動議を提出いたします。
○石川榮一君 只今の小笠原委員の動議に賛成いたします。
○委員長(石川清一君) それでは別に御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石川清一君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
○小笠原二三男君 議事進行についてですが、南政務次官も御出席になつておられませんですが、それでも討論を展開して採決をするお見込でございますか、委員長に念のために伺つておきます。
○委員長(石川清一君) 速記をとめて下さい。
   午後四時八分速記中止
   ―――――・―――――
   午後四時三十一分速記開始
○委員長(石川清一君) 速記をつけて下さい。
 次官がお見えになりました。御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
○田中一君 私はこの土地収用法の一部を改正する法律案、これに対して強い希望条件を附けて賛成をしようと思います。
 それは先ず第一に、この法案が、政府はこの法律の成立後に及ぼす結果を予想せずして提案した。この態度につきましては委員会並びに国民から強い批判を受けなければならないと思います。釈明がいろいろありましたけれども、少くとも立法するについては、その法律がどこまで波及するかという見極めをつけてやつて行かなければならないと思います。今後ともそのような提案の仕方については十分注意をして頂きたいと、先ず第一にお願いしておきます。
 次の、問題の一つでありますところの試掘その他の項目につきましては、曾つて本法を審議したときにおきまして、この委員会におきましてボーリングその他のものを項目に入れたらいいじやないか上いう質疑を再三再四いたしておりましたところ、政府委員である計画局長は、かかるものは必要としないということを再三に亙つて断言しておりました。併しながら情勢の変化、又これの見通しのきかないまま提案されたという政府の態度について相当批判しなければならないと思います。
 第三といたしましては、斡旋委員会というものがありましても、土地収用によりますところの土地の取得を目途としての斡旋委員会に過ぎない。少くとも被害を受ける者は、自分の発言、自分の意思を十分に表現し得るような機関がほしいのであります。にもかかわらず、どこまでも土地収用、土地取得そのものに対する代弁者に過ぎない、或いは斡旋業務を営むに過ぎない、斡旋委員会の構成に対しては、今後ともこの人選その他については公正を期せられることを強く望みます。同時に政府といたしましても、補償要綱その他のものも早く確立いたしまして、この土地収用に上りますところの被害者に十分なる補償並びに換地その他の施策を以て迎えられるように要望いたします。
 以上三点を申上げて、不満足ながら賛成をいたす次第でございます。
○委員長(石川清一君) ほかに御発言はございませんか。
○赤木正雄君 私も一二要望いたしまして……。この斡旋委員会の問題でありますが、ややもする売起業者だけの利益に陥らないようにする。やはり土地所有者の立場もよく考えて、斡旋委員会としては公平な措置をせられるように、而も人選に当つても十分その点を考慮されて、公平な、いわゆる本当の斡旋委員、ややもすると今までのボス的な存在でなく、そういうことを根本的に改正した斡旋委員会になることの希望を附けて賛成いたします。
○江田三郎君 この法案の審議を通じてまあ私が受けた印象は、建設省の態度というものがですね、今赤木さんからも言われたように、どうも起業者の立場に立つた考え方が強過ぎる。従来も土地収用等に当つては土地を失う人々の立場というものが余りにも冷やかに扱われたということに私ども大きな不満を持つておりましたが、その考え方が一向に改つておらないという印象を受けましたが、まあその後官房長なりその他の政府委員の答弁の中に、そういう点は今後改めて行くのだ。こういうようなことがありましたから、まあ私はそれで一応了解しますが、ただそういうことは、建設大臣としてももう少し熱意を持つて法案の審議に参加されまして、大臣として、事務当局でなしに、大臣としても本当のこれから土地収用等に当つての建設省の態度というものを率直に表明あることが望ましいと思う。たまたまその機会がございませんから、あえてそれが出て来なければどうこうということは申しませんけれども、こういう点について十分政府のほうで反省をして頂きたいということを附加えて賛成します。
○鹿島守之助君 この法案には賛成いたします。併し現在日本の総合開発なり電源開発が遅れている、これは国際的に見て……。議論が多くあつて実際において進まない原因の一つは土地の問題だと思います。この改正によつてどれだけそれが促進されるか問題だとは思います。併しないよりはましだ。ですから政府は総合開発、電源開発を層促進する上においてもつと強力な措置を考案して預きたい。こういう希望条件を附してこの法案に賛成いたします。
○委員長(石川清一君) 別に御発言はございませんか……。別に御意見もないようですから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石川清一君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。土地収用法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(石川清一君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定しました。
 なお本会議における委員長の口頭報告の内容と事後の手続は、慣例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石川清一君) 御異議ないと認めます。
 次に、本案を可とされました方は例により順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    石井 桂    石川 榮一
    石坂 豊一   小澤 久太郎
    鹿島 守之助  赤木 正雄
    高木 正夫   江田 三郎
    小笠原 二三男 近藤 信一
    田中 一
○委員長(石川清一君) 御署名漏れけありませんか……。
○説明員(稲浦鹿藏君) 大変慎重に御審議願いまして有難うございました。法律の通過しました時には、いろいろ御意見なり御注意を賜りましたが、十分に考慮しまして、間違いのない、又建設事業の進展のために努力いたす覚悟でございます。どうも有難うございました。
○委員長(石川清一君) 明日は本日議題になりました残りの案件と請願、陳情を御審議願うことにいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十一分散会