第016回国会 予算委員会 第7号
昭和二十八年六月三十日(火曜日)
   午前十時十七分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
六月二十九日委員岩沢忠恭君及び杉原
荒太君辞任につき、その補欠として、
石井桂君及び平林太一君を議長におい
て指名した。
本日委員石坂豊一君辞任につき、その
補欠として西川彌平治君を議長におい
て指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     青木 一男君
   理事
           西郷吉之助君
           高橋進太郎君
           小林 武治君
           森 八三一君
           中田 吉雄君
           松澤 兼人君
           堀木 鎌三君
           木村禧八郎君
           三浦 義男君
   委員
           伊能 芳雄君
           石原幹市郎君
           泉山 三六君
           石井  桂君
           小野 義夫君
           大谷 贇雄君
           鹿島守之助君
           西川彌平治君
           白波瀬米吉君
           上原 正吉君
           高橋  衛君
           瀧井治三郎君
           中川 幸平君
           吉田 萬次君
           井野 碩哉君
           柏木 庫治君
           岸  良一君
           新谷寅三郎君
           田村 文吉君
           高木 正夫君
           中山 福藏君
           岡田 宗司君
           亀田 得治君
           小林 孝平君
           佐多 忠隆君
           藤原 道子君
           三橋八次郎君
           湯山  勇君
           加藤シヅエ君
           棚橋 小虎君
           戸叶  武君
           永井純一郎君
           武藤 常介君
           最上 英子君
           平林 太一君
  国務大臣
   法 務 大 臣 犬養  健君
   外 務 大 臣 岡崎 勝男君
  大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君
   文 部 大 臣 大達 茂雄君
   厚 生 大 臣 山縣 勝見君
   農 林 大 臣 保利  茂君
   運 輸 大 臣 石井光次郎君
   国 務 大 臣 緒方 竹虎君
  国 務 大 臣 大野木秀次郎君
   国 務 大 臣 木村篤太郎君
  政府委員
   内閣官房長官  福永 健司君
   内閣官房副長官 江口見登留君
   法制局長官   佐藤 達夫君
   経済審議政務次
   官       深水 六郎君
   経済審議庁次長 平井富三郎君
   法務省刑事局長 岡原 昌男君
   大蔵政務次官  愛知 揆一君
   大蔵省主計局長 河野 一之君
   農林大臣官房長 渡部 伍良君
   通商産業政務次
   官       古池 信三君
   通商産業省企業
   局長      中野 哲夫君
   通商産業省公益
   事業局長    中島 征帆君
   建設政務次官  南  好雄君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       野津高次郎君
   常任委員会専門
   員       長谷川喜作君
   常任委員会専門
   員       正木 千冬君
  説明員
   建設省河川局治
   水課長     山本 三郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○昭和二十八年度一般会計暫定予算補
 正(第2号)(内閣提出、衆議院送
 付)
○昭和二十八年特別会計暫定予算補正
 (特第2号)(内閣提出、衆議院送
 付)
○昭和二十八年度政府関係機関暫定予
 算補正(機第2号)(内閣提出、衆
 議院送付)
  ―――――――――――――
○委員長(青木一男君) これより会議を開きます。
○戸叶武君 吉田首相はその施政方針の演説で、日本再建の基盤は経済の自立であり、国内にあつては自給度の向上、外に向つては正常なる貿易の振興に最善の努力を傾けると強調しておりますが、これに対して岡野経審長官は、昭和二十八年度の経済規模は、その貿易規模において、輸出が約十二億ドル、輸入は十八億ドル、前年度の規模と大差ないと語つております。この二つの御意見を拝聴して見ますと、吉田首相は、今日においては貿易が極めて重大であるということを強調して、その希望意見を述べておるのに過ぎず、而も経審長官の説明は、現状はかくのごときものであると言つて、極めて悲観すべき状態を述べておるのでありますが、特に通産省から発表された日本貿易の現状という貿易白書によりますと、その日本貿易の如何に悲観すべき状態であるかということが詳細に述べておるのであります。年間五億七千万ドル余りの大きな赤字が記録されております。これに対して当然政府はこの日本経済再建の重点が貿易にあるとするならば、貿易の現状打開に対する具体的な建設的な対策というものは当然払われなければならないのでありますが、経済閣僚の説明を見ましても、極めて低調な羅列主義に終つて、かくのごとき施策によつて日本の行詰つた貿易の現状を打開し得るという確信が打ち出されていないように見受けられるのでありますが、ただこの経済閣僚の人たちが説明したような羅列主義では、重点的にどういう方法でこの行詰つた貿易の現状を打開するかということが国民にも我々にも納得できないと思うのです。そうして中共貿易の緩和とか或いは東南アジア貿易というものに対して非常に期待を持たせるような呼びかけをしておりまするが、現実的においてはこの貿易面における赤字を埋めるために朝鮮事変以来の特需に今まで頼つており、而も今日においては朝鮮事変が休戦になりましたので、特需に代るべきところのMSAに依存しようという態度が露骨になつて来ているのであります。こういう特需に依存し、或いはMSAに依存しなければ日本の国際収支のバランスがとれないというような不健全なこういうやり方というものに対して、政府はこれをどういうふうに打開しようとしているか、そういうことを具体的に経審長官なり或いは通産大臣なりから御説明を願いたいと思うのです。
○委員長(青木一男君) 戸叶君に申上げます。岡野国務大臣は病気にて出席できないのでありますが……。
○戸叶武君 それではあと廻しにいたしまして、次にこれに関連して、吉田首相及び岡崎外務大臣及び小笠原大蔵大臣はいずれも世界的な輸入制限と輸出競争に直面し、経済外交の推進を力説しております。その経済外交というものは抽象的な文字では極めてわかりませんが、如何なる具体的内容を持つているか外務大臣から承わりたいと思います。
○国務大臣(岡崎勝男君) 外交と申しますと、一々経済外交とか政治外交とかという区別はつけられませんけれども、併しその間におのずから色合いが違いまして、例えば国際政治面に大いに活躍するつもりでやる場合もありますし、又今おつしやつたような外交を経済的に重点を置いてやるという場合もあるわけでありまして、私の考えでは、只今のところ日本の急務は経済外交を推進することにあると思つて、こう言つているわけであります。そこでそれに対する具体的の方策としましては、勿論この輸出貿易の増進等は、国内の価格の問題とか或いは金利の問題とか或いは船舶の問題とか、国内で解決すべき問題がたくさんあるわけであります。これは只今お話のように、通産省なり経済審議庁なり、この方面で担当してやるわけでありまするが、それと表裏になりまして、各国との関係をよくして貿易を増進するという面を外交のほうでできるだけ推進をするという趣旨であります。そこで東南アジアの方面の状況につきましても御承知のように、フィリピン側の考え方も大分戦犯釈放等によりまして緩和されつつあるような実情にあるように思われまするが、仏印にも只今賠償問題の交渉を始めております。インドネシアには内閣が今できんとしておりまして、新らしい内閣の方針がどうであるかについては、非公式にいろいろ話をしておりますが、まだ具体的には持上つておりません。その他例えばビルマにおきましても、これは細かいことでありますが、例えば医者が欲しいというような場合には、こちらから医者を派遣する、それから医者の給料等につきましても政府としてできるだけ面倒を見て送つて、まあいろいろな面でそういうふうに感情の融和を図る努力をあらゆる方面でいたしております。なお、アラビア諸国に対しても経済使節を出しましたのは昨日申上げた通りでありますが、この結果、従来貿易量は少かつたのでありますが、これはもう少いからたとえ飛躍的に増大しても絶対数はそう多くはないのでありますけれども、併し例えば五倍とか十倍とかに貿易量が上る見込は十分あるように思つております。
 それから今年度の予算が通過しますれば、イランやイラクに公使館を置きたいという考えを持つております。又アフリカ方面がまだ十分開拓されておりませんので、モンバサを初め、その他の重要地点に領事館を置くつもりでおります。又ベルギー・コンゴーにつきましては、これは重要なマーケットでありますが、日本側がとかく閉め出される傾向にありますので、今後成るべく早い機会にベルギーに大使としております荒川昌二君を出張させまして、ベルギー・コンゴー方面の状況を十分観察して対策を立てたいと思つております。それから南米方面が、やはりこれは中南米が新らしく開拓し得べき方面でありますので、先般中米地方には伊藤忠兵衛君を団長とする使節団を出しまして、その結果大分いろいろの点で貿易協定、或いは支払協定等の話も具体的に進んでおりますので、これを推進すると共に、アルゼンチン、ブラジル等についても先般貿易協定を作つたのでありますが、ブラジルでは今年の終りから来年にかけまして四百年祭、サンパウロで四百年祭をいたしますので、これを契機に見本市等を更に推進して、できるだけ日本の商品を紹介すると共に貿易の促進を図りたい。その間に勿論通商条約のできる所はやりまするが、その他貿易協定等はできる所はこれもどんどんやつて行くつもりでありまして、日本側の国内の施策と相待つて、外交方面でもできるだけ重点をこういう経済の推進ということにおいて行こうというのが私の考えであります。
○戸叶武君 経済外交の点で特に外相に重ねて質問申上げたいのは、戦後における西欧諸国における経済外交の技術面が非常に異なつて来ておると思うのであります。私は昨年の十月から本年の一月に亘り、東南アジア各地を視察して参りましたが、経済、文化、政治、特に一つに結び付けてこの新らしい経済外交の躍動を目のあたり見ることができたのでありまするが、それは西ドイツなりスイスなりベルギー、イタリーというような米英に拮抗して新らしく市場を開拓しようとするものは、ソ連圏における中共にしても、チェコスロバキヤにいたしましても、経済アタッシェを置いて、特に産業なり経済なり文化なりに通暁した専門家を置いて、その国における実態を把握いたしまして、その国における経済動向と結び付けて楔を打ち込んで行こうという積極的な施策がなされておると思うのであります。これに対して吉田さんなり岡崎さんの外交は、旧来の霞ヶ関外交の復活の性格が多分にありまして、戦争に破れた国における窮乏の中から立上つて、この貿易の窮状を打開して行こうというような一つの革命外交とも言うべきものが出ていないのではないか。在来の外交のマンネリズムに陥つているのではないかという感じが私たちは深いのであります。而も大使館なり公使館なりに配置するところの通産省の関係の役人なり何なりというものは、待遇面におきましても、外務省の正統派と言われる人から見ると、非常に差別待遇が設けられているような傾きが強いのであります。外務省の役人上りにあらずんば外交ができないというような、こういう古い考え方を捨てて行かなければならないということが一つと、もう一つは、この貿易の打開に対して漠然たる自由貿易主義的なものの考え方では、少くとも東南アジアにおける実態を把握できないのが当然であつて、幾人古い頭の経済使節を派遣しても成果を挙げることはできない。新らしい東南アジアの動向というものを把握するだけの見識と教養と感覚が足りない使節を出しておつたのでは駄目だと思うのです。少くとも東南アジア諸国における新興の国家は、自国産業保護の建前からいずれも計画経済に入つておるのであります。これらの諸国との経済的協力というものはおのずからこの計画経済の線に沿うて結び付き、或いは計画倒れになつたその面を補強するためにどういう措置が講ぜられるかという点に直接結び付き得るような、そういうものがなければならないのだと思うのでありますが、こういう点に関しまして、本年の一月の六日からは、アジア各国における大公使会議もインドにおいて開催されたはずでありますが、それらの会議を通じ、或いはその後において何らか新味を持つたところのこの貿易の打開を中心としたいわゆる経済外交というものが推し進められているかどうか、それを外務大臣から承わりたいと思うのです。
○国務大臣(岡崎勝男君) お話の点は私も同感でありまして、経済的な外交を推進する上におきましては、今までの外務省出身の人ばかりでは足りない面もあるわけでありまして、かなり思い切つた措置として民間の有力者を大使なり公使なり、その他総領事等に実は起用しておるのでありまして、申すまでもなくアメリカの新木大使にしましても、或いはインドの西山大使にしましても、その他ベルギー、ブラジル、又この参議院でお馴染みの大隈信幸君をウルグワイにも派遣しておりまして、これらのほかにまだ例えばシンガポールには正金銀行におりました二宮君を総預事にしており、ボンベイにも林君という三井におりました人を総領事にしているというようなことで、できるだけ今まで経済問題に精通しておつた人が、たえ外交的な技術においとての経験が少ないにしましても、経済外交重点という意味で起用しておるのでありまして、今後もそうするつもりでおります。
 なお計画経済のお話でありますが、これはたびたび政府側からもお話しておりますように、自由主義と言い自由経済と言いましても、何も百年前のアダム・スミスの自由放任論をやつておるわけではありませんで、外貨の管理もやつておれば通貨の管理もやつており、大きな枠の中で、できるだけその枠の中にあつて個人の創意を生かして自由にやろう、こういうつもりでやつておるのでありまして、これは相手国においてもよく了解しておるところでありますが、更に我々としては貿易の自由なる発展を特に強く主張しておりまして、これに対して、いやしくも計画的に輸出入のバランスを無理に合せるというようなことのないように主張しておるのでありますので、やはり根本的にはできるだけ自由にという主張を曲げるわけには参らないと思つておるのでありまするが、それでもやはり貿易のバランスということはありまするから、一種の計画がそこに加わることは、これはもう当然のことであります。
○委員長(青木一男君) 戸叶君に申上げます。外務大臣は本会議から出席の要求がありますので退席されますから、若し質問の残余がありますれば、本会議の後に継続願いたいと思います。
○戸叶武君 大蔵大臣がおいでになりましたから、これに引続いて質問いたしますが、アメリカ政府が本年度の対外援助計画について議会に提出した説明書の中に、日本は重大な経済的危機に直面していながら、朝鮮特需による臨時ドル収入によつてその表面化を避けておる実情であるが、共産主義の中国市場を失つた現在では、東南アジアの新たなる原料供給源を確保しなければならないというふうな言葉が述べられております。これは私が前に指摘いたしましたように、日本に経済自立に対する基本態勢が作られず、この朝鮮動乱によるところの特需及び今度はMSAに頼つて極めて不健全なる形において国際収支の均衡を保とうというような現われが非常に強く今度のすべての予算面にも現われておるのでありまするが、今我々が今後数年間における日本の歩みを考えるときに、このような不健康な状態が続けられておつたならば、日本はひどい混乱が生れて来る、或いは混乱から属領的な卑屈な国家になり下つて行くと思うのでありますが、この問題に関連いたしまして、小笠原大蔵大臣は、国際通貨基金との間に、現行為替レートを基礎とすることを決定したから、これを堅持し、国際収支及び貿易の拡大均衡化を図りたいと述べられておりまするけれども、日本の貿易不振の動機となつたものは、昭和二十四年四月二十五日から一ドル三百六十円の為替レートを断行した際に、日本の東南アジア地域、スターリング地域における貿易進出に怯えたところのイギリスが、二十四年九月にポンドの三割切下げを断行して、それ以来日本はポンド地域から敗退に継ぐ敗退をしておるのであります。この当時すでに為替レートの問題に対する論議がやかましかつたのでありまするが、日本の背後にある勢力がイギリス側に気がねをして、日本の為替レートの引下げというものに肯んぜず、ジリ貧的に日本の貿易は不振の状態に入り、僅かにその翌年の二十五年における朝鮮事変がたまたま起きまして、その特需によつて息ついておるという極めて不健康な国際収支のバランスを保つというようなところに来ておるのでありまするが、今大蔵大臣はこの為替レートは変えないということを堅持しておりますが、この特需なり或いはMSAなり、そういうものにだけ頼つて行くという不健康な状態を保つならばごまかして行けるかも知れませんが、正常なる貿易態制を作ろうとするのには、今のような為替関係で果して貿易を打開し得るという確信があるかどうか、その点を大蔵大臣からお聞きしたいと思います。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 私どもは日本の貿易を伸張さすのに、まああらゆる手段を講ずべきでありますが、併し為替レートを引下げるというがごときことは、国の内外の信用に非常に影響するところ大であるのみならず、かくのごとき方法をとらずして、極力産業の合理化その他のことを行い、各種の輸出に対する対策を行なつて参りますれば、数年のうちにはこれをやり得ることと実は考えておる次第であります。御承知のように日本の貿易関係が、丁度お話のありましたような工合に、朝鮮事件で以て、あのときに一種の朝鮮事件ブームといつたようなものが起りました結果、日本の各種産業の合理化その他のことが非常に遅れて参つたのであります。日本の産業にまだ改善すべき点が非常に多いのにかかわらず、改善されぬで参つたのでありまして、これにつきましては、私どもはこの頃極力その合理化の促進を促し、これがために機械数等を、昨年も三千数百万ドル輸入を優先的にいたしましたが、さようなる措置をとり、今後もさような措置をとつて参ろうと考えておるのであります。ただ根本とするところは、私どもは、今仰せになりましたような、いわゆる特需その他のものを含めての約八億ドルといつたような貿易外の収支というもので日本が行く間は、これは健全と申されませんので、正常貿易によつてこれをやつて行くようにしなければならん。然らばどうして輸出を振興させ、どうして或る程度日本に必要でない輸入を抑制して参るかということになるのであります。従いまして、この問題につきましては、さつきも丁度外務大臣が申しました通り、経済外交の強化等、今日世界各国では四十数カ国と或いは支払協定、貿易協定等をいたしておるのでありまするが、そのうちにはなお日本のために改善すべき点も多々あるのでありまして、御承知のごとく、昨年の暮に調印をして、又本年更に日本に有利に改訂いたしました例えばポンド貿易の関係などは、これはあれでよほど数量が殖えて来るので、本年の貿易などもその点で総合的に行われれば相当前年度よりも殖えるという見通しがついておるのも、そういつた点から来ておるのでありますが、併しいずれにいたしましても、そういつたことを強化して参らなければなりません。なお私どもが御提案しておるのに輸出入銀行法の改正がございますが、これによりまして、今仰せになりました東南アジア方面にプラント輸出等が相当活発に行われて来ると考えております。五カ年間に亘つて海外投資ができ得るというふうに考えております。更に又輸出入取引法をやはり今議会に出しておるのでありまして、いわゆる競争が、無用な競争と言つては悪いかも知れませんが、そういうようなことがないように持つて参る考えでおります。御承知のように、商社の強化等につきましても、各種の税制措置をとりましたことも御承知の通りであります。どうも貿易の問題は右左に、言い換えますると、一朝一夕にはできませんが、これを怠らず努力を続けて参れば、一方には日本国内において国際競争力を持ち得るようにでき得るだけ生産コストの低減を図る等の措置と相待ちまして、相当やり得るのではないか。丁度本年の予算に出しておりまするものにつきまして御覧を願うのでありますが、例えば外航船に対して財政投資をしております。これもやはり本年はたしか七百億円くらい、外航船で運賃、保険料はわかつておるかと思いまするが、これも又本年新造船が三十万トンできますれば、それがやはり大きいいわゆる貿易外の国際収支に役立つということにもなりまするし、或いは電源開発等に本年の約七百十五億円ほど財政投融資をいたしておりますが、これも結局動力に代ることになつて、石炭、重油等の輸入を若干加減することにもなりましよう。すべて私どもは今国際貿易を正常貿易で行けるようにという目当で財政投融資等もやつておる次第でありまして、全部の政策を堅実に進めて参りますれば、数年の後には、一遍には行きませんが、一遍に行かんことは仰せの通りでありまするけれども、数年のうちには目的を達し得ると、かような考えの下に進めておる次第であります。
○戸叶武君 大蔵大臣は貿易面の打開に必要なるところの産業の合理化が朝鮮事変によつてむしろ遅れたという形で、逆に日本の貿易の弱体をカバーしておる点を他に転嫁しておりまするけれども、今日貿易面の打開に関しまして政府がやつておる施策の中における商社の強化とか、独占禁止法の緩和とか、或いは銀行の問題にいたしましても、すべてこの独占資本の面を強化して行くことだけに力を注ぎ、貿易打開の基本的な政策としては、コストの引下げという形において、飢餓貿易というよりももつと深刻な形において、産業合理化の名によつて、或いは労働組合の活動を抑制することによつて、即ち勤労階級の生活を圧迫し、その犠牲の上にのみ貿易の打開をなそうというような企てがなされておるのでありまするが、これは昭和二十四年九月に労働党のクリツプスの下において為替レートの切下げが断行されたときは、誰も断行されるということを予測しなかつたようでありますが、それ以外にイギリスの貿易の窮状の打開の途がなく、通貨の問題、或いは船舶の問題、そういう問題をひつ下げてアメリカ側と本当に命懸けで折衝して、クリツプスは遂に死んで行つたのでありますが、イギリスの窮状打開に尽したと思うのです。今の日本の吉田内閣の下において、今始まつたことではない、朝鮮事変の前からである。この貿易貿易、東南アジア貿易と叫びながら、何ら具体的実績を示していない。これからやるという、朝鮮事変のために遅れたという、事実上においてはMSAによつて糊塗しようとしておる。もつとしつかりとして正常貿易に乗つて行くために自分たちはこういうふうにやるのだというのを確信を持つて打出してもらいたいと思うのでありますが、私は今特にこの為替レートの問題だけに食い下るのではありませんけれども、政府はコスト引下げの名の下において、貿易を勤労階級の犠牲においてのみ進出を図ろうというような姑息な手段では真の貿易の打開はできないと思うのでありまして、いわゆる貿易の面におけるところの産業資本家を擁護すると同時に、勤労階級に対しては如何なる形において協力を求めんとしておるか、その施策を承わりたいと思います。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 私どもは、日本の貿易を勤労階級の犠牲の下に伸張しようというような考えは毛頭持つておりません。ただ私どもは、日本の遅れておる産業に近代的な設備を施し、又遅れておる合理化を進めて参るということによつてコストの引下げを行いたいと、こういう考えを申したのでありまして、その具体的なるものとしては、電源開発に大きな力を注ぎ、或いは鉄鋼につきましては、御承知のごとくに鉄鋼に対して三カ年九百十億円の合理化資金を投じて機械の近代化を図つておるので、本年を過ぎますると相当コストが安くなつて参る。又石炭等につきましてもそういうふうにやつておるのでありまして、いわゆる基幹産業を培うことによつて、そのほかの方面にもこれを及ぼして行こうと、従つて勤労階級の犠牲の下にというような考え方は毛頭持つておりません。やはりお互い国民が皆生活安定をし、まあ幾らかでも栄えて行くということのために、貿易の振興を図るべきであると、かように考えておる次第でございます。
○戸叶武君 労働階級の賃金面を抑えて、而も生活物資は高くなつて、インフレーシヨンの傾向は強くこの吉田財政の下においては出て来ております。これは明らかに勤労階級に対するところの脅威であり、而もこれに対して生活権を擁護しながら労働攻勢によつて闘わんとするならば、あらゆる悪法を作つてこれを抑えようとしておる。この全体的なものを考慮しながら貿易の打開に努めないとすると、ここには社会が極めて不健康な、不安な状態を醸して来るだけであると思うのです。現実においてコスト引下げと申しましても、この輸出すべきところのいろいろな資材、基本物資というものが二倍乃至三倍の高値でありまして、インドにおいても、パキスタンにおいても、日本貿易の敗退を目のあたりに見ておりまするが、コスト切下げというのは、空念仏だけであつて、事実上においてはコスト切下げが如何なる面において、具体的に如何なるものがどれだけなし得たか。而も現実においては二重価格による貿易によつて、外国からはダンピングと言われるような形で、硫安なり、或いは繊維製品なり、その他を投売りしようというような、めちやくちやなやり方が今現われて来ておるではありませんか。こういう形において、果して日本が国際信用をかち得るかどうか。一つコストがどれだけ貿易に必要なものが引き下つて来たのであるか、その実例を示して頂きたいと思います。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 計数的なことは通商産業相でありませんとはつきりいたしませんが、例えば石炭について申しましても、いわゆる石炭の合理化、近代化をやりました結果、今年の初めに比べまして、今日コストが相当下つており、市価が相当下つていることはよく御承知の通りであると思います。そのほか例えば今仰せになりましたように、日本が海外市場でダンピングというようなことは私何にも聞いておりません。或いは仰せになつた点は、日本国内において、硫安の国内における価格と或いは海外における価格とに差があるじやないかというような点で仰せになつたかと思いまするが、これは御承知のごとく、硫安というものは日本で大体二百二十万トンぐらい作つております。国内では百五、六十万トンの需要でありますから、あとのものを輸出するということによつて、これがむしろコストが安く行けるのでありまして、言葉を換えて申しますると、今のような近代の多量生産をするものにおきましては、若しそれの二割なら二割というものが、輸出するものが、これが生産制限が行われるといたしまするならば、すぐコストが高くなつて来るのは当然でありまして、これは私ども今いろいろな点を考えして、こういつた事は却つて、むしろ日本において生産のコストを下げる一つのもとになつているのじやないかとも考えておるのであります。更に、或いは今仰せになつたのには、例えば最近の綿糸とか、綿製品についてのお考えが出ておるのじやないかとも思いまするが、それは成るほど一時的に国内でちよつと綿製品が高くなつていることは仰せの通りでありまするけれども、これは私は今後の実態、実情でわかると思いまするが、今回のは一時的な変態ではないかと、こう思うのでございまして、又海外で日本の綿糸布等がダンピングされておるというような非難は、私は未だ曾つて耳にしたことはございません。まあ、いずれにいたしましても、今仰せになるような勤労階級者の犠牲でかれこれ物を安くするというようなことでなくて、むしろ設備の……、むしろじやない、それを設備の近代化、合理化、遅れておる設備の近代化、合理化を行うことによつて、コストを下げて参る、かように考えておる次第でございます。
○戸叶武君 通産次官おいでですか。
○委員長(青木一男君) 通産政務次官おられますか……。
○戸叶武君 それではよろしうございます。それでは、この東南アジアの貿易の問題に関しましては、我々社会党においても、ラングーンにおけるアジア社会党大会以来、各国の指導者の人たちと共にあらゆる面から検討いたしておるのでありまするが、この貿易の打開はアジア各国における協力が必要であるのでありまして、日本が古い形においてアジア各国に協力を求めようとしても、東南アジア各国においてはすでに社会主義的な体制に各国が入つて来ておるのでありまして、今の日本で考えているようなピント外れな貿易のやり方では、本当に各国とも胸襟を開いて協力態制に入ることはできないのではないかと思うのであります。その中で特に必要なのは、私たちは一番素朴な形において、農業技術の協力なり、或いは産業技術の協力なりによるこの技術協力の形において海外に人を派遣する必要があると思うのでありますが、この点に関してセイロン或いはインド、ビルマ等において我が党の代表者は各国の首脳者に意見を述べて来ておりまするが、農林大臣から、日本においてこの農業技術の移民、特に米産地帯に対して農業技術者の積極的な協力を行なつて行くというような何か具体策があるかどうか、農林大臣から御意見を承わりたいと思います。
○国務大臣(保利茂君) お答えいたします。セイロンからそういう要請を受けておりまして、セイロン農業の実態を日本の農業技術などから只今研究をして、できるだけ要請にお応えいたしたいという方針でやつております。
○戸叶武君 これはセイロンにおいて、インドにおいて、日本の五分の一の大体収穫しかないのでありまして、現にボンベイにおきましては、チヤンドラボース氏の一党の青年が、約二百名の青年を動員して日本の農業技術を導入いたしまして、モデル農場を作ることに成功しております。そういう点において、私はセイロンなり或いはインドなり、ビルマなり、タイなり、そういう米作地帯に対して、その国の政府と協力してモデル農場でも作つて行くというような積極的な方針を持つてもらいたいと思いますが、今度も石黒氏を派遣することになつているようでありまするが、それに関連して、我が政府として何かお考えがあるものと考えますけれども、農林大臣から重ねてその構想だけでも承わりたいと思います。
○国務大臣(保利茂君) お答えいたしますが、技術の援助等につきましては、特段の力をいたして行きたいと考えております。
○武藤常介君 緊急の問題でありまするが、このたびの北九州の豪雨によるところの被害は極めて甚大でありまして、さぞ被害者はお困りだろうと遥かにお察し申上げる次第でございます。これにつきまして、それの対策上で二、三お伺いいたしたいと思うのでありまするが、先ず以て農林大臣にお伺いいたします。
 今度の災害につきまして、議院の調査団はまだ戻つて参りません。併しながら政府としては大体今日までの機雷の状況がすでにおわかりかと存じます。随分洪水はあるのでありますが、稲作その他作物の盛んな時期の洪水は極めて少うございまして、こういう場合の農業に及ぼすところの影響は極めて大なるものと存ずるのでありまするが、これらの被害面積、又作物の状況、これを先ず伺いまして、これらに対するところの農林省としての方策は如何ようになさるか、これを先ず以てお伺いいたしたいと存ずるのであります。
○国務大臣(保利茂君) 六月の初旬の台風第二号によります農作物に対する甚大な被害のあとに、又々今回の大水害を引起した。農家を初め現地住民のかたがたが非常な困難に遭遇せられておるということは御承知の通りでございます。政府といたしましても、今日まだ的確な被害状況の実情を、恐らく区々たる情報はいろいろの筋から入つて参つておりますけれども、まだこうであるという決定的な数字を申上げる段階には至つておりません。併しながら今回の水害が尋常一様でない深刻な様相を呈しておりますそのことに鑑みまして、政府といたしましても本日の閣議におきましても緒方国務相を本部長として西日本災害総合対策中央本部を設けまして、その万般の処置を誤らないように処置を講じて行くつもりでございますが、農林省の関係につきまして、主として農林省関係についての二十八日の午後五時中央災害復旧対策協議会事務局に集計しております被害の状況は、数におきまして流失、埋没の総数が約二万町歩、主として福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、山口の各県を集計いたしますと、流失田が約二万町歩、冠水田が十二万町歩、畑地におきまして流失が三千町歩、冠水畑が一万町歩、堤防決壊が二千三百ヵ所という甚大な数に上つておりますけれども、別の情報によりますと、この数字は大分動いて参ると思う。そこで私どもとして早速、政府からは御承知のように内閣を代表して戸塚建設大臣に現地に出向いて頂いて、今日は多分熊本のほうにおいでになつておるんじやないかと思いますが、農林省も戸塚大臣と共に篠田政務次官を二十七日に立つて頂いて、福岡、佐賀等の激甚を極めておる地方の調査をやらしております。今日も又農業改良局長以下数名の係官を現地に派遣するように手配をいたしておりますが、一番当面大事なことは農業施設の応急復旧、植付け時期に際会しております際でありますから、できるだけ速かに応急復旧を農業施設についてやらなければならん。それから田植を植付けをして、恐らく私どもの想像いたしますところ、冠水した苗代は殆んど全滅しておると想像せられるのであります。従つて苗の不足というものが非常に多いのじやないか、そこで直ちに手配をいたしまして、今回の被害に遭遇せられなかつた地方、被害はあつても軽かつた所に対しては、できるだけ苗を一本でも倹約を願つて、被害地の農家に協力をして頂くように手配を進めております。なお、それでも場合によつては足りない場合が十分想像せられますので、全国、特に東北方面に御協力を願いまして、種籾を何とか出して頂くように、只今手配をいたしております。何とかしてこれだけの被害地ではありますけれども、たとえ一反歩といえども植付なり再播付なりができますように、これはもう最善の努力を払つて参りたいと考えております。
 なお食糧の関係でございますが、恐らくこの災害のあとに起つて参りますことは、衛生関係その他いろいろの問題が起きると思いますが、私ども食糧の関係からいたしますれば、幸いに麦にいたしましても、米にいたしましても、今回の災害を受けました地方に相当潤沢に在庫を持つております。例えば米について申しますと、山口県は一カ月の配給所要量が四万四千石、これに対しまする在庫米が十九万石ございます。福岡におきましては約十三万六千石が一カ月の所要量でありますが、在庫は六十三万石、佐賀県におきましては二万六千石に対して二十万石、長崎県は五万八千石に対して二十九万石、熊本県は四万六千石に対しまして二十五万石、大分県は七万一千石に対しまして十六万石というように、現地の在庫食糧は今日のところはかなり豊富にございますから、処置を誤まらず、又減水等によりまして輸送関係等も回復いたしますれば、十分配給し得る。特にまあ従来配給をいたしております市街地の食糧は無論でございますが、今回の災害が相当広汎に農村に及んでいる。従つてこの農村の食糧の関係につきましても十分の手配をいたして参る覚悟でおります。
○武藤常介君 只今農林大臣から詳細に伺いましたが、あらゆる手を尽されようと意気込んでおられることは非常に喜ばしい次第でありますが、従来からややもすれば政府の計画などが、こういう災害の場合には計画を立ててそれをあらゆる機関に発表されまするけれどもが、最後の結末に行くというと、どうも龍頭蛇尾に終るようなきらいが多いのであります。どうか今回は万全の努力を払われんことを切望してやみません。
 時間の関係上、次に移ります。次には厚生大臣にお伺いいたします。この水書のあとに病気が起るどかいうことは、これはもうきまり切つた話でありますけれどもが、丁度本年はまさに七月にならんとするときでありまして、悪疫の流行等も相当油断をすると蔓延するようなことになろうと思います。これに対して厚生省では万全の備えをしていることと存じますけれどもが、どうも従来の状態からいうと、この経費の問題で、これは県が支払うのであるか或いは国費の補助であるのか、それやこれやがどうも十分に行かないために極めて不徹底に終ることが往々にしてあるのでありまするが、これらの手配につきましてはどういうふうになつておりますか、これについてお伺いいたしたいと存ずるのであります。
○国務大臣(山縣勝見君) お答えを申上げます。今回の九州地区の災害につきましては只今農林大臣から話がありました通り、政府といたしましても誠に憂慮に堪えない次第でありまして、本日も閣議で対策について協議をいたした次第であります。厚生省所管についてのお尋ねでありまするが、先ず以てかような災害の際には仰せの通り緊急の災害に対する対策が必要でありまするから、直ちに福岡、熊本、佐賀、大分、山口、これらの各県に対して災害救助法が施行されまして、それに対して政府といたしましては、この法律に基く地方におきまする万般の措置をとつておるのであります。なお只今お尋ねにも触れておられましたが、この際一番大事なことは先ず以て災害地において困難を感じておられまするのは食糧と衣料でありまするが、その次に同時に大きく又起つて参ります問題は只今仰せの防疫の問題、公衆衛生の問題でありますが、この応急の対策といたしましては、さような災害救助法を適用いたして施行いたすと共に、災害が起りまして直ちに一万三千四百人分の衣料を急送いたしまして、なお引続いて一万五千九百枚の毛布を、これは厚生省の備蓄の中から送りまして、なお又七千のいろいろな衣料その他ケア物資等も只今急送いたしております。ただ問題はこれらの輸送に非常に鉄道等の関係で極めて困難をしておりまするので、只今も保安庁長官、或いは運輸大臣とも相談をいたし、何とか早くこういう物資が現地に参りますように手配をいたしております。
 なおお尋ねの重点の防疫の問題でありまするが、これにつきましては直ちに厚生省といたしましては社会局長を急派いたしますると共に、防疫官或いは細菌の技術者を含めました防疫関係の官吏を差添いたしますと共に、御承知の通り大体平時からかような際には各府県には救護班を編成いたしまして応急の対策を講じ得るようにいたしておりまするが、隣県の各府県に対して昨日も厚生大臣命令を以て派遣命令を出して、医療班或いは救護班の派遣命令を出しましたような次第であります。なお一番心配いたしましたのは流行病、伝染病でありまするが、只今は福岡県に八名、熊本県に五名、佐賀県に四名、それからそのほかに福岡県に一名の疑似、佐賀県に二名の疑似が、赤痢が起つております。大体その程度でございますが、只今のところ流行の兆はございませんが、大体かような伝染病は今後に起る問題でありますから、政府といたしましては消毒薬或いは医療、これらの現地に対する供給に万全を期しております。取りあえず隣県の各府県にかような医療品或いは消毒品の調達を命じておりますが、只今のところは大体現地の調達庁が可能でございまするけれども、なお万全の措置をとつて日本赤十字社或いは製薬会社等にも在庫の調査等をいたしております。なお赤痢患者に対しましては、或いはその他の伝染病の患者に対しましては、例えば赤痢患者が出ますれば厚生物資なんかの投下をいたすようにいたして伝播を防いでおります。
 なお仰せの予算措置につきましては本年度は、この伝染病或いはそういうふうな予防法に基く防疫費でありまするが、大体七億千六百万円とつております。大体七月までの暫定予算で二億八千六百万円を皆さんの協賛を得て出したいと思つておりまするが、大体それで賄おうと思いますが、若しも足りませんときには当然その他の措置をとつて万全を期したいと考えております。
○武藤常介君 只今厚生大臣からお話がありまして、大体承知いたしましたが、実はこの予算の問題は最後に私申上げてみたいと思つておるのですが、私が只今申上げましたのは、予算がありましても、お互いに分担の問題やなんかで往々にして遅延するというようなことがあるから、これに対して十分の注意を払つて頂きたい、こういうことを申上げたのであります。
 次に私は大蔵大臣並びに……、建設大臣は今日はお見えになりませんですか。
○委員長(青木一男君) 建設大臣は出張です。
○武藤常介君 それでは技術の関係でもよろしいのですが、お見えになりませんか。
○委員長(青木一男君) 建設省の政務次官が見えておられます。
○武藤常介君 このたびの水害は全く未曾有の水害でありまして、殆んど不可抗力である、こういうふうに言われておりまするが、私は二十年来の河川改修の経験を実は持つておるのでありまするが、河川は、河川によりまして非常に氾濫の激甚な河川であると、又さほど、川の量は多くてもそうでないというようなことに、概括的に申しまするというとなりまするが、これらは建設省の技官のかたは十分御承知のことであろうと思います。それで恐らくはこの河川改修というようなこと、或いは治山の事業というようなことは技術者としては相当考えて案を立てられるであろうと思うのでありまするが、ところが実際いよいよ着工になつてみまするというと、この予算の分取り戦と申しますか、或いは予算の配分が非常に広汎になりまして、極めて重点的な事業というものが行われない、ためにその大切な改修事業がほかのさほど急を要しない河川と同じような状態で進んで行く。こういうことがありまするというと、今日のような結果を起すのではないかと私は考えるのでありまするが、この河川の氾濫ということは極めて、いわゆる昔言うところの蟻の一穴より水が漏るという話がありまするがこれを支え得るか、得ないかということは、極めて最後のちよつとしたところにあるのでありまするが、それが一旦決壊するというと実にこれは大きな水になるのであります。これを防ぎ得ればそれが防ぐことができたという結果になるのでありまするが、どうも今日のようなこの御愛嬌主義な、いわゆる分取り的な予算の実行ではどうも結果においてこういうことが各方面に起るのではないか、こういうふうに考え、私は痛切に感じておるのでありまするが、これは今後とも建設省並びに大蔵省では予算の査定をするときに十分これらを調査されまして予算の配付を願いたい。今回の河川の状況は私は実際に行つて見ませんのでわかりませんですけれどもが、これらの状況がどういうふうな結果においてかような状態になつたのであるか一応お伺いしたいと存ずるのであります。では建設次官のかたからお願いいたします。
○委員長(青木一男君) 今衆議院の委員会へ行かれたそうですから、すぐ来てもらいますから暫らくお待ち願います。
○武藤常介君 それでは大蔵大臣のほうからはちよつと無理でしような。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 予算の配分方を重点的に示せという御意見は誠に御尤もでございまするが、なお大蔵省といたしましても今回丁度五人各担当官を派遣いたしまして調べております。又原因その他のことは多分建設省が十分調べてくれるでしようから、適切な対策をとることと存じております。
○武藤常介君 最後にこの七月の暫定予算において今度の災害費の臨時の支出は賄え得ますか、どうですか。これらは十分この際に検討しなければならんと思うのでありまするが、大蔵当局の御意見を伺います。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 七月分の暫定予算は御承知のごとく十五億だけ災害に対する予備費が計上してございます。なお四、五で十億、それから六月で五億、合計いたしまして三十億、災害に対する予備費を見ておりまするが、そのうち只今まで使いましたものは丁度凍霜害対策四億九千数百万円だけでございまして、それと火災に関する分が少し、そういうのでございまして、従つて二十五億ほどは現在は余ることに、尤も本院を通りますと明日は二十五億ほど余ることになるのであります。併し六億円は直轄河川に対する分といたしまして、本日の閣議で筑後川の五億円を初めとしまして丁度六億円堤防の決壊個所の仮塞ぎ止めに支出することに決定いたしました。そういたしますとあと十八、九億残る勘定になるのであります。これは全体として或いは足らないのではないかというふうに思われますが、よく実情を取調べまして、その上でいろいろ措置をとりたいと思います。
 なお全体として申しますると、二十八年度には只今の三十億円を含めまして百億円の災害に対する予備費が見てございます。従いまして本予算が通りますれば相当な処置をとり得ることと考えております。
○武藤常介君 応急対策につきましては政府は各省とも連絡をとりまして万全の努力を払われんことをお願いしてやみません。
 次に時間もないようですが、私は減税国債のことにつきまして大蔵当局にお聞きしたいと思うのでありまするが、減税国債は政府も御承知のようにその場凌ぎの施策であろうと思いまするが、御承知の通り減税国債は一時的の措置でありまするが、一旦この減税国債を発行いたしまするならば、これはやはり国債の相場になる、こういうふうな観念も持ちまして将来国債を発行する場合に、非常な困難を来たすようなことになりはしないか。それから又今日政府は低金利を奨励いたしておりながら、一方においては今回の減税国債のようにこれを個人的に見まするというと一割二分、法人ならば一割五厘という利廻になるような非常に高利になるところの国債を発行する。これは現在御承知のようにこの非常に盛んに行われておりまするところの例の殖産会社、極めてこの経済を混乱に陥らしめるところのあの殖産会社が各方面に氾濫しておる。これを何とか防遇しなければならんというので政府も相当の考慮はしておられますけれどもが、これらから考えて見ましてこの減税国債が如何にこの我が国の現在の経済状態に悪影響を来たすかということは私は火を見るよりも明らかでありまして、誠にこれは容易ならんものではないか。こういうふうに考えるのでありまするけれどもが、大蔵大臣のお考えは如何でございますか、これをお伺いいたします。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 減税国債は当初政府予算では三百億見ておりましたが、その後今度のお出ししてあります本予算は二百億円といたしてございます。これにつきましては私どもは、これから得ました金を産業投資特別会計に向けまして、それで電源開発などに使うのでございまするから、その資金の使い方としては頗る有効に使われることと考えております。なおお示しのような、何と申しまするか、納税者の立場から見ますると、そういうことにもなりますが、表面の利廻は、国債としては四分という利廻率ということになつておりますのと、それから又申上げたような関係で、これは今後これを重ねてすべきものではないと、こういう考え方を持つております。産業投資特別会計に振り向けるだけのものを考えただけのものでございます。今武藤さんのお話は公債政策についてはいかんじやないかというお話であると存じますが、この点全く私どもも御同感でございます。ただ今回の分はいわゆる財政投資に関係がございまして、二百億だけを見た次第で、今後の例にはいたさない所存でございますから、さよう御了承をお願いいたしたいと存じます。
○武藤常介君 重ねてお伺いいたしますが、今回だけ三百億を二百億に減らして発行したい、こういうふうなお考えでございまするが、大蔵当局におかせられましても、これの非なることはお悟りになつていらつしやるでありましよう。併しながらこれは一時的のものでありまして、来年において財政上に必ずこれを再び発行することもないように、又なくても経済が立つように考えられるかというと、私は決してそうでない。やはり一回こういうことを発行するというと、なかなかこれはやめない。かようになるというと、我が国の経済を混乱に陥れる。只今、個人の場合は四分のなにというのがありましたが、これは額面に対してはそうでございましようが、例のいわゆる減税という方面から見まするというと、計算いたしますと、一割二分である。実にこれは有利な公債でありまするが、こういうものを市場に流すということは、これは実に容易なことではないのでありまして、私はこれに対しては絶対に賛成し得ないところであります。これは勿論今回の総予算においてなお重ねて研究をすべきものであろうと思いまするが、取りあえずこの機会に私の意見を発表いたす次第であります。時間もないようですから、私はこれを以て質問を打切ります。
○木村禧八郎君 私は大蔵大臣にこの暫定予算の予算補正総則六条の問題について、もう少し具体的に質問いたしたい。
 昨日、条件は金利などはいわゆる五分というようなお話であつたのですね。これは高過ぎるじやないですか。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 一応の話として五分と申しておりますが、今検討中でございます。
○木村禧八郎君 その条件をもう少し共体的に、例えば普通この期限二十年以上のものは年三分、或いはクオーター乃至三分半、二十年以下のものは二乃至三%というのが通常であると言われておる。従つて私は相当高いように思われるのですが、そういう金利の点、それからこれをどうして償還するか、更に又この援助を受けた金を、いわゆる外貨になるのですが、どういうふうにこれを使うのであるか、その使う場合にこれは火力発電設備の輸入であるというけれども、どういう会社のどういう設備を輸入するのであるか、そういう点、それから輸入する機械の品目、アメリカのどういう会社から輸入するのであるか、更に又その輸入する機械は日本においてできるものはどういうものであるか、日本においてできないものはどういうものであるか、こういう点について詳細にこれを伺わなければ我々は簡単に暫定予算としてこの六条に、ここに出ておるこれだけで、又昨日の河野主計局長の説明だけでは了承できない。更に又昨日も言いましたが、外貨が九億ドルもあるのになぜ四千万ドルぐらいのものを高い金利を払つて、そうして而も向うから借りた外貨はみんな向うのアメリカの機械会社から機械を輸入してもらつて、何ら日本の電気機械の生産に役立たない、こういうものを、なぜこの際そういう借款を受けなければならないのか、こういう点を具体的に我々は検討しなければならない。従つてその点大蔵大臣に十分詳しく御説明願つて、大蔵大臣で細かい点は勿論おわかりにならない点もあるかも知れませんが、そういう点は事務当局のほうで結構ですから詳しく承わらないと我々は納得できない。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 一応の予算では二十五年五分としてあります。最近の印度の例で見ますると四分四分の三、よそのできました例を見ますとブラジル四分四分の一、但しこれは期限五カ年、北ローデシア、十九カ年四分四分の三、それから印度二十五カ年で四分八分の七、これは電力の分ですが、それから製鉄業の分は四分四分の三、フィンランドが、これは製材や製紙ですが、十八年の分で四分四分の三、こういうような工合であります。そこであとのことについて少し申上げますと、昨日もお尋ねがありましたのでそれから申上げます。昨年の九日中部、関西、九州三電力会社がかねてその火力発電プラントを米国に発注してその所要外貨についてワシントンの輸出入銀行から借入れたい意向であつたのでありますが、又政府におきましても、この計画を認めまして外資審議会に附議して一応認可を与えたわけであります。ところがその三電力会社の代表と開発銀行の中山理事が渡米いたしまして、日本の大使館と共に交渉に当りましてほぼ成立の見通しを得るに至りましたが、丁度ワシントンの輸出入銀行が世界銀行のほうと、何と言いますか、貸出の資金分野というものの関係がありまして、輸出入銀行ではこれはやらない、こういうことになつて世界銀行にこのほうが移ることになつたのであります。又借りるほうもその三電力会社でなくて日本開発銀行に貸す、その世界銀行のほうが……こういう建前になりましたので政府のほうでは開発銀行に対しまして債務の保証をするという形式でお出ししているような恰好になつておるのであります。これにつきましてはこの保証のほうは外貨建の円貨の額できめられまして、元利金についてそれぞれ区別してございますが、併しそれならば入つた金はどうなるかと申しますと、これは全部向うでドルで相手に支払うものでありまして、こちらに入るときは無為替で入つて来るのであります。ドルで先方で支払う。どこでどういう注文をするかと言われますから申しますと、中部電力に対する融資はそのうち七百二十万ドルでありまして、これはゼネラル・エレクトリツクに注文するのであります。関西電力が二千二百万八千ドルでウエスチングハウスに注文する。九州電力の分が一千百七十万ドルでこれもやはりウエスチングハウスに注文するのであります。合計四千九十万八千ドル、こういうふうになつておる次第であります。更になぜこういうようなものを入れるのかという昨日からのお話でありましたが、向うの発電機械の性能は非常に優秀なものでありまして、高温高圧のために能率が非常に高いのであります。従つて発電原価が非常に安くなります。こういう高性能のものは現在のところ日本においては遺憾ながら今日のところ製作されておりません。従つて我々のほうはサンプル輸入の意味でこれを輸入いたしまして、アメリカの技術を会得した後においてこれを国産化いたしたいとかように考えておるのであります。御参君までにちよつと申上げますと、アメリカのものは高温が五百十度、高圧が九十二気圧でありますが、日本のものは四百八十度、気圧が六十気圧という工合でありまして、機械の性能において非常な差があるのであります。こういうものをサンプル輸入として認めた、こういう次第であります。
○木村禧八郎君 この通省省のほうではこういう火力発電機の輸入についてどう考えますか。こういうものはいろいろ問題があると思うのです。サンプル輸入であるといいますけれども、サンプル輸入、サンプル輸入していれば国産化しようと思つてもできないのです。ですから国内に発注すればトライアル・オーダーとしてやつて初めて国産化できるのであります。従つてなぜそういうものを国内で賄うように措置をとらないか。政府は、特に大蔵大臣に私伺いたいのですが、やはり自立経済の場合外貨を節約しなければならない。外貨節約ということはやはり国内でできるものは国内で作るということ、やはり自給度を高めるということが重要な政策ではないかと思う。そこでこれはどうしても技術上止むを得ないものは仕方がないのですが、併し多少性能が落ちても、多少ですよ、国内で賄えるものはなぜ国内でやらないのか。国際収支バランスがこんな危機になろうとしているときに、而も又若しそういう機械を輸入しなければならないのなら、なぜ又外貨が九億ドルもあるのに今持つている外貨を使つてやらないか。なぜ借金をするのか。五分という利子は高い。今のお話でも外国のほうはもう少し安いようです。そこが私はどうも納得できないのです。今外貨があるのに、なぜ日本の外貨四千万ドル程度が使えないのか。使えば金利がつかない。金利がつかないばかりでない。いわゆる特需から政府は脱却しなければならんと言つている。特需を切替える場合、アメリカの軍需品生産をここで或る程度減少する、或いはやめる場合に、国内の電源開発機械を電力機械メーカーにこれを発注すればそれが肩替りできるのじやありませんか。そういうことをしないで、外国から機械を輸入しちやつておいて、そうして特需が減れば景気が悪くなる、そうして平和恐慌、平和恐慌と言つて何か平和に責任があるように言つて、もう一度朝鮮戦争でも少し盛んになつて、軍需発注でも多くなることを期待する向きがあるのです。政府が目立自立経済と言いながら自立経済政策を現にやらないのです。その最も代表的なサンプルが今サンプル輸入と言いましたその代表的サンプルがこの補正予算の六条なんです。これは最も政府の自立経済計画を裏切るサンプル的なものです。この点大蔵大臣は、私は今後の問題もあるのです。外資導入、外貨導入と言つて、こういう意味の外資を、外資援助を受けるべきではなかつたと思う。前の池田大蔵大臣が言つておつた当時の外貨導入ということは、日本が輸出を殖やす場合一或いは電源開発する場合、そちらのほうに資材を使う、資材を使えば輸出に向けるところの資材が少くなるから、生活物資の輸入が少くなる、その輸入資金をカバーする意味で外資を導入するということであつたんです。ところが、こういう意味で外資を導入するということが外資導入政策ではなかつたはずであります。この点大蔵大臣に……。自立経済政策と矛盾するんではないか。又特需から脱却しなければならないと言いながら、その脱却する具体的な方法がここにあるんです。日本の回内の電気機械メーカーに火力発電機械を注文すれば特需は減つてもカバーできる。なぜこれをやらないでわざわざアメリカからそういう機械を輸入するか、この点についてお伺いしたい。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 私は、日本を自立経済に持つて行くためにあらゆる努力をしなければならんと考えております。その努力の一つとして、性能の優れたものを入れて、あとはこれに倣う、いわゆるサンプル輸入によつて日本の各種の火力発電のむしろ性能を高めて行くということが電源コストを安くすることになつて、結局それが自立経済の大きな助けになる。このただ三つの機械を入れるということが、日本の今後の火力発電に大きな働きをして行くのであつて、この点から見るとこれは自立経済にむしろ近付く一歩であると考える。いわんや今あなたがお考えになつたように、木村さんも知つておられるが、九億何千万ドルしか今ありません。これは去年の特需の一年ちよつとの分です。これはこれからの貿易関係が少し活溌になれば、これくらいの金は常に要るのであります。日本といたしましては、ほんの特需の一年ちよつと分しかない。これくらいの米ドルというものは、日本の貿易を行なつて行く上においてもこれは要るのであります。併しこの四千万ドルは二十五カ年という長いものでありまして、一年半とかそういう短いものりではありません。二十五カ年、こういう長いものであるので、これこそ私は、これは考え方であなたと違うけれども、私はこういう長いものこそ外資導入の一つのいいものだと、実はこう考えておるのであります。今お話したように、電気はこの機械を見倣つて、そうして立派な火力発電機械ができて行くことについては、これは私衷心から望みまするし又同じものができるならば、これは申すまでもなく国産品を使うことはこれは当然でありまして、ただ性能の差が結局大きな影響を産業部面にもたらすので、私どもはこういつたものを入れることがやはり現在の自立経済を進めて行く上においても必要であると、かように考えておる次第であります。いわんや九億ドルしか持つていない外資、それで入れたらいいじやないか、そうじやありません、これは一年ちよつとしかありません、特需だけのものについて言えば。ほかの貿易関係で見たら一年分もありやしない。輸入するものの半額しかありやしない。そういうような状況でございますので、私どもはやはり二十五カ年、こういう長きに亘つて得られるいわゆる長期なものは、これは外資を入れるべきである。かまうに考えております。
○木村禧八郎君 大蔵大臣の御説明は、いつも両刃の御答弁をするんです。昨日の米価についても、最初ははきつり言えば二重米価であると言つておつて、次になるとはつきりと二重米価ではないんだ、こういうどちらにでも……、逆の戦法と言うんですか、お使いで、今の御答弁もそうなんです。質問のしようによつては、大蔵大臣が、僕もどうも木村君の説に賛成だと言つてみたり、又質問の仕方によつては反対してみたり、いろいろ理窟は付けられると思います。併しですよ、これは最後の、この問題が正しいか正しくないかは、これは技術家に聞かなければならんのです。本当に技術家に聞かなければならん。それから更に、この輸入ばかりでなく、いわゆる火力発電の輸入ですね、いろいろの設備の、いわゆる佐久間ダムの問題、ああいう問題についても外貨の割当はどうなつておるか、水力開発の機械も、例えばアトキンソンと間組ですか、ああいうところの契約は……、アトキンソンなどが輸入する機械など、こういうものの外貨割当はどういうふうになつておりますか、そういう点も伺いたい。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 只今の、先ず火力発電について申上げますと、あれは外資審議会にかかりますときに、いつも、スタックと言つておる科学技術審議会、それへかけます。ですから日本でサンプル輸入としてすべきものであるかどうか、優秀なものであるかどうかということを科学技術審議会へかけます。それにかかつて、これは入れるに及ばん、内容として、というなら入れませんが、これは日本にしても入れる必要があるというスタックの答申がありますと、それで初めて、いわゆる優秀な機械だけをサンプル輸入する、こういう建前をとつておるのであります。
 それから次の佐久間ダムのアトキンソンの問題につきましては、私はまだ実は詳細に聞いておりませんが、併しそのアトキンソンのいわゆるダム等の建設に対する技術と、それからそれに対する機械とを入れる。これも技術と機械の輸入で大体金額は七百五十万ドルぐらいじやないかと思います。これはバンク・オブ・アメリカから入れるので政府保証等を必要としないのであります。バンクオブ・アメリカから入れるのであります。この分については今回科学技術審議会でどういう決定をいたしましたかこれは聞いておりませんが、このほうでこれはやはり優れたる機械である、是非日本に入れる必要があるという答申がありますればこれに基くことにいたします。まだこのほうを実はよく承知いたしておりませんので、これはそれが具対化しましてから申上げたいと存じております。
○木村禧八郎君 具体化してから伺つたのでは私は手遅れじやないかと思うのであります。具体化する前によく御意見を伺い我々の意見も、素人でありますけれども、自立経済の問題と関連して具体的な問題でないと抽象論で駄目なものでありますから、その自立経済の問題の具体的の一つの案として今伺つているのであります。そういう意味で御理解願いたい。私はこの問題を非常に重視しましていろいろ調べて見たのであります。私は電気機械や何かは全然素人でありますが、いろいろ調べて見たところ日本でできるものが相当あるのです。相当あります。ここに例えばアトキンソンが佐久間ダムに輸入しようと思つている機械は中古の機械である。それからニューの機械、その中で日本でできないものもある。併しできるものもあるのでありますから、やはりこれは日本の電気機械メーカーとしては非常に問題にしているようであります。調べて見ましたら……、而も輸入する場合にこういう機械の免税としてくれという運動になつて、若しこれが免税されないならば、日本の電気機械工業のほうはどうもならん。そうしたら如何に日本の電気機械工業が発達しようとしても非常に困難になるのでこれは重大な問題である。それで時間がございませんから私は詳しく申しません。これは資料がございますが、いろいろな機械が日本でできるものが相当あるのです。あるのになぜ中古の機械をアメリカから輸入しなければならないのか、佐久間ダム建設の……。而もそれが七百五十万ドルぐらいのドルが技術輸入と設備輸入ということによつてアトキンソンに行つてしまう。これは二百五十万ドルぐらい行くということになりますと、残り五百万ドルというものは日本の外貨になるかというと、それがいわゆるアメリカの電気機械メーカーが売出すところの機械になつて入つて来る。これでは日本の自立経済はどうしてできますか。電源開発、これは重大な問題です。一般にいわゆる電源開発景気が来るとまで言われたのになぜ電源開発景気は来ないのか。その開発機械は全部外国から来る中古の機械を輸入して、そうしてアトキンソンその他そういうアメリカの土建業者がそれで相当儲かる。これでは私は自立経済と幾ら言つても矛盾すると思うのであります。それで国内でできるものは国内に発注すべきである。具体的に私は若し必要があれば技術家を呼んでこの予算委員会で技術家に説明してもらいたいのです。例えばアトキンソンで輸入しようとしているスタンダード・クーブル・クレインは日本でできるかできないか、それから、ミキシング・プラントは日本でできるかどうか、或いは冷却装置とか或いは製砂機とかディーゼル・シヨベルとか、それからダンプ・トラックとかいろいろあります。こういう相当のものはできるんですよ。従つてその点は、外貨割当のときにも、日本でできるものはやはり外貨割当すべきではないと思うのです。それで勿論アメリカとの外貨導入の場合は、向うの製品輸入と、これは何というんですか、バーター的になる。こういうので、日本でできますけれども輸入しなければならない、こういう問題はあるかも知れません。併しそれにしても一つ大蔵大臣は、この点は、一つ、私は大いに問題だと思いますので、それで私は実はこの暫定予算の六条があるので調べ出したんです。実は急速に調べたんで、私も素人でよくわかりませんが、私、素人考えで調べたところでは、どうも私は納得が行かないのです。こういう非常に重要な問題が含まれておるこの問題を、暫定予算、こういうものになぜはめ込んで来たか。これはもつと、予算委員会、なおその他の専門委員会で慎重に検討しなければならない。にもかかわらず、暫定予算にこれを突つこんで来て、これは実は本予算のほうになぜこれを出さないか。本予算のほうに書いておりますが、暫定予算にこれを入れる必要はないじやないですか。非常にこういうことは、私は、軽率ではないか。それで何かこの審議期間の差し迫つておるときに、暫定予算では、大体これはまあ否決できないだろうから、否決すれば行政上混乱が起るから、皆がしぶしぶこれ承認するであろうから、この際これを突つこんで、そうしてこれを通してしまうという、若しそういう考えがあれば、私は、これは非常に問題である、こう思う。この点大蔵大臣の御意見を伺いたい。
○国務大臣(小笠原三九郎君) それは別途に法律が出ておりまして、その法律が通ると七月すぐにでもやる必要が起つて参りますので、この分だけを暫定予算に入れた次第であります。それから今これはアトキンソンを使つてダムを建設するというと、本来四年のものが三年ででき上る。こういうことになるので、日本で一年間電力が早くできるかできないかということは、非常に大きな百数十億の影響がある。或いは見方によつては、二百数十億の産業に及ぼす影響がある。こういうふうなことになるので、アトキンソンにやらせることになつたということを承知しております。なお、私はさつき間違いましたが、昨日附で許可をいたしておるそうです。それから貸付金七百万ドルで、ちよつとあなたの言われたように、そのうち機械の輸入が四百五十万ドル、技術援助の対価が二百五十万ドル、こういうふうになつております。それからお話になつたように、国産で製造可能のものは極力国産品を使うことになつておるのですが、併し国産でできるものでも、工期の関係とか、国内の製造力の関係で、量的、時間に間に合わないという分だけは、いわゆる科学技術審議会等の議を経て輸入する。こういうふうになつておると承知いたしております。但し、本件は、大蔵大臣が実は扱つておらないので、通商産業大臣のほうのあれになりますので、私は、今そういうふうに承知いたしておるということだけを申上げておきます。
○木村禧八郎君 大蔵大臣より私のほうがもう少し調べておるようです。今その緊急必要と言いましたけれども、実は電源開発自体が問題で、もう開発しておりながら、このいわゆる渇水になると非常に電力が少くなる。それから豊水になると、開発計画と別にずつと電力が出て来ておる。開発というものと電力の需給というものと余り今のところ関係がないのです。豊水ということが非常に開発よりも優先しておる。そういう実情であります。併しこれは急がなければならん関係ですよ。なぜ非常に急ぐために、わざわざアメリカの機械をこんなにお古までも買つて、而もその中で日本でもできるものをお古までも買つてやらなければならんかということは、もつと検討の余地がございます。いろいろ又詳しいことになりますと、これは時間もございませんし、大蔵大臣に質問してもこれは無理かと思います。ただ、私は、大蔵大臣に今御質問申上げたい趣旨は、いわゆる自立経済の場合如何に抽象論をやつても駄目なんで、そういう場合どうしても日本でできるものは、技術的にできるものは日本でやらなければ駄目だ。このことは外貨割当のときに十分考えなければならんことだと思うのです。これはほかにたくさんあると思いますよ。これは単なる一つの例です。この火力発電機械とか、水力発電の設備機械とか、あとまだミシンもあるでしよう、或いは写真機もあるでしよう、時計もあるでしよう、化粧品もあるでしよう。我々は又自動手についても、技術的に日本はできないということはないのに、外国自動車がたくさん入つている。こういうものは、外貨割当をやるのを、今大蔵大臣が言うような、外貨ポジシヨンがだんだん悪くなつて行くのに我々は理解できない。どうしても自分の国で技術的にできるもの外国で賄うという建前を通さなければならない。そういう点でこれは十分大蔵大臣の管轄として、外貨割当について私は考慮される必要があるのじやないか。時間がございませんから最後に通産省のかたからう大臣がおられないので、従つて事務当局のほうで結構なんです。この問題は、技術的な具体的な問題ですから、大臣よりもむしろ事務当局でおわかりのかたで結構です。通産省はこの電源開発機械、火力機械、或いは水力機械でもいいんですが、今後の輸入について、国産でできるものについてどう考え、そしてこの税金です、関係……、免税の問題が起つているんですが、これらの問題をどう考えておられるか。これを明らかにして頂きたいのです。特に今度の佐久間ダムの問題について、七百万ドルですが、この輸入についてそういう問題があるようです。通産省は、これに対して、具体的にどういう態度をとつておられるか、国内の電気機械メーカーを呼んで、そうしてこういうものはできるかできないかを諮問して見たことがあるのかどうかですね。そういうことは全然やらなかつたのかどうか。こういう点について、通産省のこれは具体的問題ですから事務当局のほうからでも結構ですから御答弁願いたい。
○政府委員(中島征帆君) 私は、通産省の公益事業局長でございます。この火力設備の輸入につましては、通産省といたしましても、先ほど大蔵大臣のお話の通りに、国産でできるものは、勿論、国産で賄うという方針に変りないのでありまして、我々公益事業局の立場からすれば、優秀な外国機械を入れるということは、むしろ望ましいのでありまするけれども、やはり国全体の立場から、又重工業国という立場から言えば、先ほどのような方針によらざるを得ないのでありまして、そういう意味において、今度の火力機械の輸入については、個々の機械における関係のところで十分協議をいたしまして検討を加えております。従つて国政の機械メーカーの能力がどの程度のものであるか、又量的にどの程度の数量ができるかということにつきましても、十分検討いたしまして、それぞれのメーカーの意見も聞いております。それで会社から持出して来ました輸入希望の機械乃至は数量につきましては、そういう意味におきまして検討いたしますというと、多少範囲が広過ぎますので、国産でできるものは、できるだけ切りました。と同時に、同じ国産で可能なものでありまして、佐久間ダムの開発工期の関係からいたしまして、それまでにこの国産の機械の完成が間に合わないというふうなものもございますので、その不足分につきましては、国産のものができても一部分だけは補助する。こういうような考え方をとつております。従つて今度の火力機械の輸入に関しましては、これは一つの試験的な輸入というふうに考えております。仮にこれが如何に優秀でありましても、更にこれを今後継継して輸入するということは、一応考えないと、こういうふうな態度をとつております。むしろ今度の佐久間ダム乃至は火力機械の輸入に関しましては、第一には、工期の短縮のために只今国内で間に合わないものを入れる。それから技術的に現在の機械技術ではできないものを先ず入れまして、国産の機械製造技術の向上を図る。この二つの意味で、火力乃至は水力機械の輸入をいたしているのでありまして、従つて今度の、例えば、火力機械が入りまして、これが成功いたしますと、当然日本の火力機械の製造技術もこれに倣つて相当な向上をするということを期待しての上でありまして、現在、先ほど大蔵大臣のお話がありましたが、日本で六十気圧程度のものが初めて出た程度でありまして、今使われておりますものの最高の気圧は四十気圧科度であります。今度輸入する機械は九十五気圧以上でありまして、その間に九十気圧、四十気圧で非常な差があります。六十気圧のものが先ず今初めて、一、二台出た程度でありまして、それに更に改造を加えることによりまして、或いは九十気圧にもなり得る。高圧のものになりますというと、相当技術的な問題がありますので、相当やはりこれにつきしては外国の機械につきましては十分これを倣う必要があるという意味から勧めて三台乃至四台入れるというふうなことにいたしたのであります。今後につきましては、単に単純に外国機械が優秀であるというだけで入れるということは、電力用機械につきましては差控えるべきだというふうに私どもは考えております。
○木村禧八郎君 関税の問題……。
○政府委員(中島征帆君) それから関税はこれはいずれ或る程度公私の借款の問題が附随しておりまして、この機械を入れたために、一面におきまして国産の機械メーカーを圧迫するということがないという前提に立つておりますから、保護関税的な意味のものは必要ないというふうに考えられますが、それは一方資金を貸付ける外国側の立場からいたしますというと、日本のために特に貸付を行うという場合に、関税までかけるということは甚だ面白くない、こういうふうな感情もこれは否定できないのでありまして、そういう意味におきまして、私どもはできるだけこういつた輸入機械につきましてはコマーシャル・ベース以外の意味もありますので免除してもらいたい、こういうふうな希望を大蔵省のほうに言つて交渉いたしております。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 大蔵省としてはその入つて来るものの内容如何ということでやつておりますが、まだ検討中でございまして、関税をかけるとか、かけんということはまだきめておりません。それから又かけるとも免除するとも全然きめておりません。更にこの間直した政令にはそれを入れておりません。この分は免除するということを入れておりません。
○木村禧八郎君 最後に簡単ですからお伺いしたいのですが、予算補正総則の六条というものは、これはどうしても掲げなければならないのですか。どうも建前が、その技術的にどうなんです。これは河野さんでもいいですがね。建前がおかしいと思うのですよ。今まで暫定々々と言つてて、今質問をしたようなことはこれは非常に大きな問題です。政策的と言つてもあれでしようが、そこで若しこれは削れるなら、これは本予算のほうにも出ていますね。それでいいのじやないかと思うのです。その点ちよつと伺つておきます。
○政府委員(河野一之君) 木村さんのおつしやる点でございますが、まあ暫定予算にどういうものが載つけられるかという点について木村さんの御意見と我々の考えていることと違つている点については差し置きまして、この電力関係の外資の導入につきましては、法律が現在国会に提出されているわけであります。そうしてその法律におきまして元利保証の支払をする、元利の保証をする制度を予算で定めることになつているのであります。その予算で定める形式が予算総則に相成つているわけでありまして、この外資の導入に関する契約が七月中に成立しそうな状況にございますので、この法律が通りました場合において、その面において保証ができない。従つて契約ができないということがありましては困りまするのでこの暫定予算に計上いたした次第であります。
○木村禧八郎君 その点ちよつとおかしいのです。それはこの暫定予算を組まなければならなくなつた責任は政府にあるのですね。それを又外資導入の予算を出して来て、我々がそういうものをこの暫定予算で承認せざるを得ないように追い込んで来るわけなんです。而もその法律が出て来るのでしよう。交渉していて、そうして七月できそうになつて来ると、実は暫定予算を組まなければならん状態になつているので、その契約自体が、実は日本はまだ暫定予算であるから、七月中には調印できないのだと、こういうことになる筋合いだと思うのですよ。それは契約が具体的にできるのは結構でしよう。いや、結構でも内容が問題であるから、これは又私はにわかに賛成はできませんけれども、暫定予算にこういうものを持つて来るということ自体が、何だかこれまでの政策的なものを織り込まないという趣旨から言つて、非常にこつちで承認せざるを得ないように法律が出て我々を追い込んで来る。むしろ法律のほうを暫定予算に差支えないように変えるべきだ。法律を変えるのにはやはり交渉のほうが変つて来る、私はそうなると思う。そのほうが本筋じやないのでしようか。
○政府委員(河野一之君) この保証自体は、法律を現在国会に提出いたしておりまして御両院で御審議を願つているわけであります。仮に法律が通りましても、その法律におきましては支払保証の限度は予算で定めるということになつておりますので、それと、その予算ということは本予算もありますが、暫定予算もあります。この暫定予算の七月中の期間において、その契約を起す事態が十分予想されますので、従つて法律が通つてもその関係でできなくなるということがありましては困りますので、そういう意味におきまして、暫定予算にこの保証の限度を定めましたので、決して私は違法ではないと考えております。
○木村禧八郎君 その七月中に保証しなければならんような事態が起り得る可能性があるのですか。どういう関係ですか。
○政府委員(河野一之君) 大体この契約は七月中に成立しそうな状況にあるわけであります。
○木村禧八郎君 それで具体的にそういう保証をしなければならんような可能性があるんでしよう。本予算でなぜいけないのでしようか。
○政府委員(河野一之君) 世界銀行が借す場合におきましては、政府の保証を要求しているのでございます。従いまして世界銀行から借りる場合に開発銀行に対して保証いたしません限り、この外資導入の契約はできないわけであります。
○委員長(青木一男君) 先ほど武藤君の建設省当局に対する御質疑がありましたが、河川局治水課長が見えておりますから、もう一度簡単に質問を繰返して頂きたいと思います。
○武藤常介君 先ほどの問題で政務次官が御見えになつたのですが、政務次官では無理だと思いまして技術者をお願いしたのでありますが、実はお聞きする筋合いは、今度の北九州の水害が、あの地方の河川の状況とどういうふうな関係にあつたか、又その地方で河川の改修を現在いたしておりましたならば、その遅速との関係はなかつたか。私はこういうことを伺いまするのは、現在ややもすると、この河川の改修がどうも総花式になりまして、急を要するところも又さほど急を要しないところも総花式にやつて参りまして、河川改修の法律が十分に発揮できない、こういうところに私はあるのであります。成るべくこれは重点的に行うことが必要であろう。そうして改修の効果を十分発揮するように、こういう意味からその地方の状態をお伺いする次第なんであります。
○説明員(山本三郎君) 只今の御質問にお答えいたします。北九州地方におきましては、明治二十二年に相当の出水がございましたが、その当時の記録は資料によりましても、殆んど掴み得ない実情でございます。それ以後におきまして一番大きな降雨がございましたのが大正十年でございますが、そのときの雨に比較いたしますと、今度の昨日までの雨を、例えば一番被害のひどかつた筑後川の流域にとりますと総雨量を概算いたしますると、大正十年のときには約十二億トンの雨が降つております。今度は十八億トン、即ち五割増の雨が降つており、而も強度が非常に瞬間的に強い雨があつた。こういう状況でございまして、私どもが河川の計画を立案いたしまするのには既往のいろいろの資料を、雨量なり或いは流量なりの資料をいろいろ調査いたしましてそれを基にいたしまして計画を立てるのであります。例えば筑後川につきましては大正十年の洪水の場合の雨なり、水の流量なり、或いは水位なりを精査いたしまして、それを基礎にいたしまして計画を立案いたしておつたのでございまして、それをその計画に則りまして大正十二年から工事を行なつておつたのでございます。そういうふうな状況でございまして、その工事が現在までに大体七〇%前後完成いたしておつたのでありまして、もう少しでその工事が終ろうという場合でございましたが、今回の雨は只今申上げました通りにその量を遥かに突破いたしたのでありまして、筑後川におきましては現在造つておりまする堤防を至る所オーバーいたしまして、四十カ所以上の破堤が生じた、こういうふうな状況になつておりまして、私どもといたしましては計画に考えられておらなかつたような、予想をしないような雨が生じた、而も気象的に考えますると、台風によつて生じました雨は御承知のように動いて参りますので、相当強い雨でございましても時間的に限・度がございますのでありますが、北九州地方には洪水の起るのは大抵低気圧の停滞する場合が多いのでございまして、これの予想というものは気象学的にも、まだなかなか学問的にも確立されていないというような状況でございまして気象台のほうにもいろいろと私どものほうからお願いしているのでございますが、まだ掴み得ない実情でございます。そういうわけでございまして、予期しないような大雨の結果ああいうふうな被害を生じたわけでございます。
○武藤常介君 大体わかりましたが、私のお伺いする趣旨は、技術者の本当の研究をややもすれば無視して工事が総花式に広汎に流れて重点的に工事が進まない。そういう結果が往々にして、こうなつたのではないか。なお只今伺いますると、その工事も七分通り促進したそうでありまするが、まだ残つている。仮にそれが完成いたしましても今回の災害を救うことができ得なかつたのであるかどうか、こういうことも参考にお伺いしたい。
○説明員(山本三郎君) お答えいたします。例えば一番被害の起りました筑後川につきましては、予算の状況におきましても、その地帯が重要な地帯でありますので、重点的に予算を配分しているわけでございまして、九州一円の河におきましては最も工事が進展しておりました河川でございます。それから今度の出水があつてもでき上つておつたら切れないかというお話でございますが、これは細かい数字になりますが、只今施行中の工事は毎秒川の断面を通る流量五千立方メートルの水が安全に通過できるような工事でございます。恐らく今度の出水は、詳細に調査しなければわからないと思いますが、七千立方メートル以上の出水が流下して参つたと思うのでありまして、完全にできておりましても安全とは申上げられなかつた、こういうふうに思つております。
○武藤常介君 有難うございました。これで打切ります。
○委員長(青木一男君) 暫時休憩いたしまして、一時より会議を再開いたします。
   午後零時十六分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時十六分開会
○委員長(青木一男君) 休憩前に引続や会議を開きます。中山福藏君。
○中山福藏君 私は吉田内閣の文教政策についての質疑を申上げたいと思います。大体、天野元文相並びに岡野前文相の文教に対する施設というものは、遺憾ながら何ものをも残していない。私は、従来日本の文教政策の基本確立に当つておられる文部大臣の職が伴食大臣というような名目を以て呼ばれておるということについて、常に遺憾の感じを持つておつた人間でありますが、今日に至るまでそういうふうな文教に関する国民の考え方がまだ十分に払拭されていないように見ておるのであります。従つて、文部大臣に対して、私は、この文政の地位、いわゆる国民の精神確立の基礎を涵養する任に当られる文部大臣が、他の政策と比較して、この文政の地位というものはあらゆる政策に優先すべきものであると、私自身は考えているのでありますが、文部大臣はこの点についてどういうお考えを持つておられますか、それだけの覚悟を持つて、将来この日本の精神問題というものを取扱われるという覚悟をきめておられるのでありましようか、どうでありましようか、その点を先ずお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(大達茂雄君) 私は、文教行政の先ず振興せられることが他の国家事務に優先するとまでは考えておりませんが、併し、国家の発展、国運の将来をきめる根本になるものであると、かように考えております。
○中山福藏君 この際、質しておきたい事柄は、私は行政組織法を一応改正して、この文部大臣の地位を確立する必要があると、不断から考えておるのであります。従つて、現在この行政組織法の中には副総理大臣という地位は明白になつていないのでありまするが、将来私は、この文部大臣というものは、行政組織法を根本的に改正して、その地位を副総理が兼任するというようなところまで持つて行かなければいかん、それだけの重味を国民に知らしめなければ、到底この文教政策の重要性を認識させることは、日本人という国民性に鑑みて、私は不可能じやないかと見ておるのですが、あなたはこういう点について何か考慮されたことがありますか、お伺いいたします。
○国務大臣(大達茂雄君) 私は今お述べになりましたような構想につきましては考えておることはありません。
○中山福藏君 それでは文部大臣にお聞きするのですが、六月二十九日の、これは朝日新聞ですが、「大達文政の基本方針」というものがここに掲げられておるのであります。「地・歴教育の徹底へ」という見出しでありますが、その中の項目を見まするというと、「地理、歴史教育の徹底化」「道徳教育の充実」「勤労青少年教育の振興」こういう見出しがここに出ておるのであります。そうして、その最後の段階にこういうことが書いてある。「わが国再建の根本が国民の道義の高揚と愛国心の振起にあるという見地から、小、中、高校などにおける道徳教育についても、現状を十分に検討して、これを充実徹底させる」と、これは大変結構なお題目であります。そこで、一番最初に私がお尋ねしたいのは、旧憲法、いわゆる帝国憲法の時代においては、大体、忠君愛国の思想というものが全国を風靡しておつたことは、文相御承知の通りであります。従つて、この思想というものは、この考え方は、いわゆる旧憲法の第一条及び教育勅語を出発点として、すべて日本の法律、宗教、道徳というものは、これに寄り添うように政府が努力して来られた。然るに新憲法時代になりまするというと、第一章第一条の規定に基いて、全然主権の所在というものは違つている。そこで、この新憲法の精神は、民主主義を徹底させるということから出発しておつて、憲法第十一条のいわゆる基本的人権、第十二条の不断の努力によつて基本的人権の擁護に当る。第十三条において自由の権利、生命の権利、幸福を追求する権利というものがちやんと明白に書いてある。そこでお尋ねするのですが、現在、政府の考えておられることは、旧憲法時代の法律、道徳、宗教を以て新憲法の肉付けをしておるもののごとき感を国民に与えておる。又この考え方、判別が、思想的に、国民の頭は勿論学生の頭にもできていないように考える。殊に文部省自体がその判別が付いていないように私は考える。大体文部省はこの国民道徳の中心というのをどこに置かれるのでしようか、その中心を明示して頂きたいのです。これは私は、天野文相にも一応尋ねて、これが非常な問題になつたが、国民道徳の中心というものは、皇室であるということを答えた。天野文相が答えました。これは旧帝国憲法時代の考え方なんです。そうして、これが学習院大学教授の清水幾太郎君なんかの非常な論議の種となつたのでありますが、今日大達文相はこの点についてどういうお考えをお持ちになつておるのか。いわゆる国民道徳の涵養の基本方針をどこに置かれるか。どこに置いてあなたの文教政策についての意見の御発表をなされたか。それを伺いたいのであります。
○国務大臣(大達茂雄君) お答えいたします。私は、今日我が国の再建の基礎になるものは、国民道義の昂揚、これに待たなければならぬと思うのであります。私が教育の方針として特にこの道徳教育に重きを置かなければならぬということを考えておりますのは、私は、学校における道徳教育というものは結局、平和な幸福な社会を作るために必要な人格を陶冶する、それのために完成した人格の素地となるべきことを学校の学生、生徒、児童に体得をさせる、こういうことであると思つておるのであります。従つて、これの実践的な習慣その他実践的の面から体得させて行かなければならぬ、又子供の智能の発育の程度に応じまして、そうして道徳的の知識を与える、かようなことによりまして、その社会において要求せられる人格を作り上げる、こういうことが私は学校における道徳教育の根本であると考えております。そうして、これらの人々が社会に送り出されることによつて、一国の道義の昂揚を期待したい、こう思うのであります。そこで、お話の通り、今日は我が国は、新しく民主国家として或いは文化国家を目指して再出発をしておるのでありまして、旧憲法の時代とはその政治の形態も違います。変つておるのであります。従つて、今日の社会において要求せられる道徳というものは、少くともその徳目においては前の時代とは違つて行かなければならん。これは当然であろうと思うのであります。元は御承知の通り教育勅語が我が国の学校における道徳教育の中心をなしており、終戦後、教育勅語がその地位を失つたのであります。併しこれは、いわゆる教育勅語という形式は、いわば天降りの形式で国民に道徳の規範が示された。その形がなくなつたと思うのであります。教育勅語の内容に盛られておるところは、我が国民族に伝統する道徳精神というものは、勿論これが全部捨て去るべきものではなくて、しかのみならずその精神というものは、今日なお尊重せらるべきものが非常に多い。勿論それが具体的の現われといたしましては、徳目として例えば、「一旦緩急あれば」云々、こういうことは、今日の社会の実情にも合いますまい。又、今日の政治の形態とも異なるところがあろうと思う。併しその根本になつている精神は、国を愛し、国土を愛し、民族を愛する、そういう精神であろうと思うのでありまして、その底に流れる精神は一貫した民族の伝統の精神でありましても、そのときの社会事情、政治の形態、さような変遷に伴いまして、これは国民の道徳的の常識によつておのずから取捨されるものである、かように考えております。
○中山福藏君 どうも文相のお答えは、従来の日本の政治家、政府の方々の考えの範囲を一歩もはみ出していないと私は考えるのであります。そういう程度の考えだから、文部省の教育方針というものに国民がついて行けない。何ら、従来の生活様式、道徳、宗教、それから法律の動向というものを示した事柄について、これらの法律、道徳、宗教というものはこういうふうに目標を付けて行かなければならんという、その目標が現われていない。あなたの言葉には、従来の道徳或いは生活様式というものを尊重して行かなければならん、愛国心というものは実に必要なものである、これ以上には出ていない。私のあなたに求めているものは、道徳の目標をどこに置くのかということをお尋ねする。新憲法を擁立して、場これに裏付けるところの生活様式、道徳、法律というものの涵養に当るのか。或いは従来の生活様式、道徳、法律というものを以て新憲法の裏付けをしようとするのか。どこにその目標を置かれるのかという質問をしておる。どうかそういう点を明確にして頂きたい。
○国務大臣(大達茂雄君) 私は、只今申上げましたように、今日の道徳の目標になる点は、新らしく我が国が出発した民主社会、文化国家、平和な民主的な国家、これを実現するために、これを建設するために必要とせられる道徳、これがために要求せられる道徳、かように考えております。
○中山福藏君 それではお尋ねいたしますが、こういうふうに承わつていいんでしようか。いわゆる旧帝国憲法時代の日本の生活様式、道徳、宗教というようなものは、旧帝国憲法に表示された日本の目標を涵養するために、裏付けをするためにあつたものである。新憲法時代においては、新憲法を擁立するために、新たなる道徳、法律、宗教というものを作り上げなければならんとおつしやるのでしようか。その点を念を押してお聞きしておきます。
○国務大臣(大達茂雄君) 私は、国民の道徳と申しますか、民族の道徳は一日にしてでき上るものとは思つておりません。無から有を生ずるように、昨日までの一切を脱ぎ捨てて今日新しいものが一日にしてでき上るものとは思つておらんのでありまして、やはりその民族に伝統する道徳、精神というものがあると思う。そして、それは、そのときの時代の要求に応じ、国家の形態に応じ、その社会の要求に応じて適応されるところに、新道徳が生れるものだ。今までの道徳はこれは全部いけない、旧憲法の下のものであるからこれは全部やめて、今度新たに全然別途の道徳が発足するものとは思つておりません。
○中山福藏君 私の質問が徹底しないのか知りませんが、御答弁が頗るあいまいだと私は思う。私は、歴史、地理の教育を徹底せしめなければならんとおつしやるから、これと関連してお尋ねしておる。従来の歴史では新憲法の肉付けはできないのです、本当から言つたらですね。これは御承知の通り、十八世紀のヨーロッパの思想から流れて来て、アメリカ独立宣言の第一条に日本憲法の第十三条にいう言葉がはつきり現われておる。アメリカの独立宣言の第一条を御覧下さると、天地万物を造つておる造物の主というものが人類に対して平等な権利を与えておると書いてある。いわゆる生命の権利、自由の権利、幸福を追求するの権利、こうなつておる。これが民主々義の基底なんです。而して日本の憲法の第十三条には同じ言葉が使つてある。生命の権利、自由の権利、幸福を追求するの権利、これが民主主義の基底になつております。日本のこの憲法においても、いわゆる民主主義を確立するということになれば、この歴史の由来というものを国民に知らせ、同時に学生に対して、この憲法のよつて来たるところの結果というものを現わして来なければ、今日、敗戦後の日本の民族を満足せしめることができない。ここに学生の動乱が来ておる。前の文部大臣、その前の文部大臣なんか、こういう点はちつともわかつておらんから、学生の暴動を抑えることができない。私があなたにお尋ねしておるのは、その点が頗るあいまいなんです。だから、歴史を教えるとおつしやるが、従来の歴史の内容を以て新憲法というものを活かして行くことができるかどうか、若しできなければ、憲法第九十六条に基いて国民投票法を作つて、こういう点についても、あなたのおつしやる現在の日本の法律、道徳、宗教、生活様式にぴつたり合うところの憲法を作らなければ、これは解決できない問題である。そこで私はこういうお尋ねをしておるのです。こういう点についてはどうお考えですか。
○国務大臣(大達茂雄君) 歴史教育を徹底するということは、これは民族の今までの足取りをはつきりさせ、自分のことをよくわからせる、こういうことであろうと思います。又、世界歴史と申しますか、外国の歴史を教えるということは、過去において我が民族が世界各民族の間に伍してどういう地位におつたか、これを明らかにするゆえんだろうと思います。地理を教えるということは、現在の我が国の国土というものがどういうものであるかという知識を与えるためであります。又、世界地理を教えるということは、世界の民族の現在の情勢を知らせるということであります。私は、そういうことを教えることが、我が国民の自分をよく知ることでありますから、その自分みずからを知り、自分の世界における地位を明らかにするゆえんでありますから、そこに、国を愛し、民族を愛する気持が湧き出る、こういうものだと思つておるのであります。そこで、歴史の教育でありますが、従来の歴史、こういう言葉をお使いになつておるのですが、それはどういう意味でありましようか、今まで旧憲法下において歴史教育として採用せられた、或いは教科書の内容になつた、そういうものをそのまま教えるのかどうか、こういう……ちよつと私には意味がわかりかねたのでありますが、そういう意味だとすると、これは何も昔通りの歴史の形を教える、こういう意味ではないのであります。
○中山福藏君 そこで私がお尋ねしたいのは、現在芝居なんかもそろそろ忠臣蔵が始まつて来ておる。それから絵画その他浪花節なんかを聞いておりましても、日本人の生活様式というものは、古代と申しましては大変古いようになりますが、戦前と少しも変つていない。而して今、日本人自身がそういう生活様式というものを好んでおる。そうすると、幾ら新しい憲法を作つても、あなたのおつしやるように、文教政策の高揚をやらなければならんとおつしやつても、なかなかあなたの理想というものは実現できないと思う。だから、こういう絵画、演劇その他のものを、新憲法の裏付けにぴつたり合うようなところに持つて来なければ、百年河清を待つがごとき結果になるのじやないかと思うのであります。こういう点については文相はどうお考えになつておりますか。
○国務大臣(大達茂雄君) 新憲法の最も重点を置いておる点は、基本的人権て申しますか、人間の自由であります。そこで、只今お話の、具体的に申してどういう意味になりますか、映画、演劇、そういう種類のものに一定の方向を与えて、それを一定の方向に向かせる、そういうことは、只今申上げました新憲法下においても、実はいけないということになつておることであります。現にその趣旨において今日検閲制度というものも廃止されておる、私は、ただ、忠臣蔵が鑑賞されておるとか、又、昔のような映画が皆から喜ばれておる、これが直ちに我が国が昔に立ち返つた、民主社会というものが昔の国家主義社会に戻つた、そういうことにはならんと思うのであります。私は日本の国民の道徳的良識を信じておるのであります。先ほども衆議院の委員会でもお話が出たのでありますが、まあ要らんことを申上げるようでありますが、昔の芝居に出て来る、主人のために子供を身代りにする、封建社会においてはこれを讃美するという道徳観がある。今日さような芝居が幾ら世間で行われても、まさかそれが立派な道徳であると考える者はないと思うのであります。私は国民のそのとき、そのときの道徳的の良識によつて、その時代々々の徳目は時代に副うように取捨せられて来ていると思うのであり、又今後もそうであると思うのであります。私は、我が国が民主国家を志し、高度の文化国家を志して行くことに変りがなければ、国民は自然にそれに副うような徳目を取捨するものである、かように考えております。
○中山福藏君 文相のお答えは、大体、各議会の初頭に行われまする総理大臣の施政方針の範疇を一歩も出でないという結論にならざるを得ないのであります。御承知の通り憲法第十九条には、その思想取び良心の自由というものを明確に規定しております。或いは二十条には信教の自由というものを明らかに規定しておる。二十三条には学問の自由というものを明らかに謳つております。あなたのそれくらいの覚悟で、この憲法の中に規定されたこの自由、いわゆる憲法の保障した点を是正して行く、何と申しますか、指導力を朝日新聞に御発表になつたくらいの程度で是正して行くとか、或いは指導して行くとか、或いは参考に供するとかいうことができるとお考えになつていらつしやるでしようか。
○国務大臣(大達茂雄君) 私が道徳教育云々のことを申しましたのは、学校教育の範囲内であります。そして文部省が現に法律に根拠して行なつております社会教育の限られた面でありまして、一般の人間の思想の自由、これをどつちへ向く、こつちへ向くというふうに規制して持つて行く、或いはそういうふうに指導して行く、さような意味ではないのであります。
○中山福藏君 それでは、時間がありませんから、結論として、こう伺つていいのですか。結局我が国の思想問題は、すべての日本の生活様式が過渡期にあるのだから、要するに文相の狙いどころは、新憲法に表示された民主主義というものを確立するために、あらゆる道徳、法律、宗教というものをそのほうに引きずつて行こう、こういう覚悟をしておるというふうに承わつておいてよいのでしようか。その点を伺つておきます。
○国務大臣(大達茂雄君) 私はあらゆるそういうものを私の力で引きずつて行くというような意味は毛頭ないのでありまして、これは私は民主主義に反するものだと思うのであります。ただ、学校教育において、児童に向つてその人格の完成の基礎になるべきことを体得させ、又その知識を与えることによつて、我が国の将来立派な民主国家として育成されて行くようにしたい、こういうことを言つておるのであります。
○中山福藏君 私は、この民主主義というものを文部省においてはもう少し十分徹底して、民主主義の由来というものを、即ちルーテルの思想だとか、カルビンの思想だとか、いろんなヨーロッパのいわゆる人権尊重という点から生れ出たものだということを卒直に国民に知らして、日本古来の憲法とどういうふうにそこに差別があるか、従つて、過渡期における新旧憲法の差異におけるこういう思想上のこの断層を埋めるためには、国家の上層部にある指導的な木鐸者としての立場にある人人が、この断層を埋める大きなる仕事をしなければ、日本の再生というものは誠におぼつかないものじやないかと実は心配しておる。今あなたのお答えを聞いても、この断層に対する十分埋合せを付けるだけのお覚悟と、何と申しますか、施策というものが現われていないように私は思うのです。それで心配するのです。何も大達さんをいじめるために私は質問をしておるのじやないのです。今まで文部大臣が余りに安閑として、何一つ仕事をしていないから、私はこれをお尋ねするのです。一つもやつていないのです。三月末までには中央教育審議会というものの答申を待つて……、前の岡野文相は何と言つたか。地理、歴史を正科にするかしないかということを決定すると言つた。然るに今頃まだおめおめと中央教育審議会の答申が来ないからどうしていいかわからない、その答申を待つているというようなことが、あなたの言葉の中に現われているのです。そういうなまぬるいことは私は待つておれない。考えてごらんなさい。戦争が終つてからすでに八年ですよ。足掛け九年になつておる。その間に一体日本の文部の識者は何をしておつたか、こういう私は国民の目に見えない声を聞くのです。非常にこれは私は大きな問題じやないかと実は考えて、その上であなたにこの御質問をしているのであります。どうかこういう点は十二分にお考え下さつて、早急に文部省のはつきりした態度をきめて頂きたい。私は、いろいろすることはないと思うのです。旧憲法というものの裏付けをした絵画、演劇、すべての書物、すべての小説、これはすべてことごとく日本の旧憲法の裏付けをしておつたものであります。新憲法の裏付けをするには、この生活様式の変動によるところの新旧憲法の断層というもの、落差というものをどういうふうに埋めて行くかということが一番大事な問題です。それに対する何らの対策というものが現われて来ない。誠に悲しむべき私は今日の日本の教育界の現状だと言わざるを得ないのであります。どうかそういうような次第でありますから御奮起を願います。私はこれ以上大連文相をいじめてかれこれしようとは思つておりません。併し地理、歴史を社会科から外しておやりになることは結構です。外すくらいの勇気も持たなんだ哀れな文相を私共は曾つて持つておつたのです。あなたによつてそれが外されれば、誠に結構だと私は思う。それじやその地理、歴史の内容ですね。今までの戦争を綴つたような日本の歴史というものを、それを改めて行かれるのか、或いは戦争の連続というような形式の歴史を以て歴史教育を徹底させられるのか、その内容というものはどういうふうになつておるか。この際お聞きしておきたいと思います。どうか一つ。
○国務大臣(大達茂雄君) 只今のお言葉の中に、地理、歴史の科目としてこれを社会科から外すというふうにお受取りになつたようなお言葉でありましたが、これは必ずしも地理、歴史を独立した科目にするかどうか、するとしても、これを高等学校でするのか、中学校の高学年でするのか、そういう点は実はまだきめておらんのであります。要するに、地理、歴史についての系統的な教育を授けるようにしたい。どういう形でやるのが一番適当であるか、こういうことになれば、これはおのずから、何と申しますか、教育技術、教育方法の問題でありまして、それにつきましては専門家がいわゆる教育課程審議会というもので研究をしております。で、その答申も近く出るはずでありますから、その答申も十分尊重してきめて行きたい。ただ要点は、地理、歴史についての従来の終戦後の学校教育と多少違つて、もつと系統的な知識を与えたい、こういう意味でありまして、直ちにそれを独立の科目にするとか何とかいうところまでは行つておりません。その点は一応さように御承知を願つておきます。
 それから地理歴史のそれじや内容をどうするか、これもやはり専門家の手にかからなければ一概に申せません。ただ従来戦争前に使つておつた教科書若しくはその内容をそつくりそのまま継承して引続いて学校で教える、そういうことにはならんと思いますから、その点も御了解を願つておきます。
○中山福藏君 時間がありませんから私はこれ以上文相に質問をしたいと思いませんが、ただその中央審議会が三月まで答申するというのが今日まで、六月になつてまだ答申がないというのは、これは大体教育審議会の委員なんというものはややもすると偏見でドグマなところがあるのです。教育家というものは特にそうです、うぬぼれが強いのですから。併しそのうぬぼれは全然悪いとは思いません。うぬぼれるくらい確信がなければいけないのですが、もう少し督励して早く文部省の態度を御決定を願いたいのであります。私は今教育問題は一番心配しております。このことを一応お願いしておくのでありますが、時間がありませんから農林大臣に一点だけお尋ねをしておきたいと思います。
 私はこのたび殊に災害なんかがあつて相当米が要ると思つておりますが、大体日本の一カ年の米麦の海外からの輸入というものは二千万石だと言われておつて、これに必要な経費が一千四百億円というようなことを言つておられるのですが、私は昨年シヤムに参りましたときにこういうことを言つておるのです。日本から派遣された商社の代表者が二十五、六人バンコックに滞在をしておる。それで日本の内地米に準ずる輸入の米の値段が日本では百七千五百円であるが、そういう値段であるのに、海外から買付ける米の値段が石当り一万二千円というようなことを言つておるのですが、バンコックには大体二十五だつたと覚えておりますが、約二十五の商社の代表者がここに滞在して米の買漁りをやつておる。ビルマには三社しか派遣されていない。だから海外から買うところの米が石当り一万二千円というような高値は要するにこのバンコック、東南アジア諸国に派遣されておる米屋の商社の代表者がお互いに競争して米の買漁りをやつておる結果この高値になるのじやないかということを心配しておるのですが、これはどういうわけでしよう。ビルマには三社です。バンコックには約二十五の代表者がおる、これはどういうふうな形式によつて派遣されますか、農林省から一々許可を与えてやつておるのですか、その点をお伺いしておきたい。
○国務大臣(保利茂君) 食糧事情が非常に逼迫いたしました節に、外地米或いは麦の買付に非常に苦心をした時代があります。お話のようにそのために商社が競り合いまして、そのために現地価格をつり上げる、従つてそのために非常な不利益をこうむつたという事態は御指摘の通りにございました。そこで昨年これを整理指定をいたすことにいたしまして、只今指定いたしておりますのはアメリカ、ビルマ、タイ、台湾、イタリアについて輸入商社の指定制をとつております。タイの商社がたしか五社か、六社に整理をいたしておりまして、それから起きておりました曾つての弊害は一応除去することにして、これで暫らく見送つてやつてみたいと考えております。
○中山福藏君 農林省から官吏が一人監督というような形式で現地に出向いておられると私は見ておるのですが、農林省の派遣される人選はどういうふうな人が行くのですか。又この米の買付に対する機密費とかいろいろなものがあるのでしようか。それから又指定商というものを御許可になるのはどういう手続をとつて指定商の資格が与えられるのであるか、その点を一つ聞いておきたいのです。
○国務大臣(保利茂君) 私は詳細のことはまだよく承知いたしませんけれども、食糧庁の職員を外務省の職員として差向けておることはやつております。
 指定商の選定につきましては過去の主として輸入実績を尊重しましてきめておるようでございます。これは大体それでいいのじやないかというふうに思つております。
○中山福藏君 現地で米の買付の状況を見ますと日本人同士が非常な競争をやつて、その間に非常に弊害があるように私は見て来たのです。一々個人に関する事柄を取上げるということは私としては忍びかねますから申上げません。これはよほど注意をなさらないととんでもないことに、一般消費者が損害をこうむるということだけ申上げておきます。
 そこで私はお尋ねするのですが、第二の問は、戦前は大体日本人は魚を六百万トン一年に食つておりました。戦後は大体三百万トンに減つておる。この魚に対応するところの、いわゆる魚を食わない数量に対しては、蛋白質という関係から麦というものをこれに代つて外国から輸入しなければならんことになる。四面環海の日本で戦前のトン数に返すことはできないというような農林政策はよほど私は考えなければならんと思つております。大体日本人は一カ年に六百万トン食つていたが、今は三百万トンしか食つていない。そこでこのことは大きな海を控えて、成るほど各国との漁業条約によつて制約されたところもあるでしよう、併しながらこういう点については、農林省としてはいち早く着目して、そうして麦の代替品と申しますか、魚を原状に回復さして、そうして日本の食糧事情を緩和しなければいかん、こういうことを考えておるのですが、そういう点についてはどういうふうな手を打つておられるのでしようか。
○国務大臣(保利茂君) 水産業の状態は、御承知のように戦争から占領という悲惨な状態の下に、相当戦前活発に行われておりました遠洋漁業が制約を受けまして、多くの国際漁場に進出することができなくなつた、そういう事情で制約を受けております。従つて漁場のあり万も、沿岸乃至沖合漁業に中心が向いておる。その沿岸漁業等、かなりせり合つて、小さい区域に押し込められておりますために、船型は小さくなり業者は多い、資源が荒れて来るという状態に置かれておつたのが、占領期間中までの実情であつたと思います。そこで昨年独立をいたしまして、今日のように国際漁場に進出ができるようになりました。ところが今申しましたように、そういうふうな漁船等におきましても小型、中型というものが中心でやつておりましたから、遠洋に一遍に出かけると申しましても船型がこれに伴わないというようなことで、只今極力沿岸の漁業はできるだけ沖合をやつて行く、沖合の漁業は遠洋へという転換をして、遠洋漁業の振興を図つて参る、大体漁獲状況を見ますると戦前と大体近いところへ来ている。今日も十億万貫の漁獲は回復いたしておりますから、今後はやはりお説のように国内蛋白給源としての食糧の関係に寄与して行かなければならんことは勿論でありまするが、同時にこの一面の水産業の持つている使命はやはり貿易にできるだけ貢献をして行くという意味から、両面から日本の水産業を考えて行く必要があるのじやないか、そういうふうで御趣意は全く私ども同感であります。
○中山福藏君 最後にもう一点お尋ねしておきますが、大体未開墾地で開墾の可能性のあるのは五百五十万町歩と言われておりますが、このうち百三十万町歩を政府が買上げてその半分くらいはすでに開墾ができていると思うのです。それで私はデンマークが七十九年前にドイツと戦争して、あの小さい国で賠償を払うために農業政策を非常に振興さして、結局農業という点においては世界一ということになつたということを記憶しておるのです。今日日本が食糧の自給政策をとるためには、農地の開墾というものは勿論必要でありましようけれども、先ず以て農林省の頭の開墾というものが必要じやないかと考える。これはデンマークの例を見ても誠にはつきりしておるので、ただ土地が狭いからというようなことばかりに頭痛鉢巻をしておつては大変だと思うのです。だから私は若き我々のホープと言いますか、保利農相は従来の型を破つて、この小さい国でありながら農業において我々はこういうふうな自給政策を確立し得たのだという記念塔品をお残しになるようにお願いしておきます。殊に私はお伺いしたいのはこの副業、例えば酪農というような点に関し、或いは二男、三男坊というようなものはどういうところに其の労働力というものを持つて行くかという点についてのお考えを、最後にお伺いして私は質問を終りたいと思います。
○国務大臣(保利茂君) 食糧の自給度を高めて参りますということは、これはもう経済的にも政治的にも今日は全国民的な要請になつておると思います。従つて多額の国費をこの面に費やしておるわけでありますから、この用いた国費が著実に増産の実を挙げて参りますように地についた増産計画をやらなければいかんじやないか。例えば大きい用排水の改善をいたしますれば、その受益地帯の農耕技術というものは改善せられる前の農耕技術と同じようなものであつたのでは、せつかくの宝が宝として活きて来ない。そこにまあ農耕技術の面において、その経営の面において考えて行かなければならん問題が残つておるのじやないかと私はまあ想像いたしております。なおそういう点につきましては十分努力を払つて行くつもりでありますが、なおこの農村の次男、三男の問題はこれは農村の問題と申しますよりも、我が国の経済と人口とのこのアンバランスから来ておる深刻な問題であります。もとより農村におきましてできるだけ農村に吸収し得る人口を擁し得るような農村を作り上げるということが大事ではございますけれども、例えば入植等によつて吸収し得る人口というものは、これはまあ掛声では開拓入植などということを申しますけれども、実際はなかなかこれは実効のあがるものではございませんし、全体から言いますと、やはり経済施策の全般及び外交の成果によつて、移民その他人口問題全体の解決と合せて考えて行くべきであろうと思います。ただ、終戦後混乱時に農村に非常に集中しました人口は、一頃は全人口の四七%内外農村に集中しておつたと思います。今日はこの二、三年にずつと四四%ぐらいのところで落着いておるようでございますが、いずれにいたしましても総人口の割合から言いますれば、まあ今日ぐらいがもう農村人口としてははち切れるような一ぱいなところじやないかというように見て、これを基礎として対策を講じて参りたいと存じます。
○中山福藏君 どうぞ十分御対策を講じられることを望みます。若しあなたが御在職中に結果を挙げたら私はそのまま納まりますが、現われないときはもう一回更に他日日を改めて御質問申上げるということを申上げて私の質問を終ります。
○三橋八次郎君 私は農業政策につきまして農林大臣に対しまして二、三点質問をいたしたいと思います。真の独立は目立経済の確立であり、自立経済の確立は食糧の自給度の高揚であると思うのでありますが、農林大臣におきましては食糧の増産に対して如何なる政策を持つておられますか、所信を伺いたいと思います。
○国務大臣(保利茂君) お答えいたしますが、食糧の自給度を引上げるべしという声はこれはもう官民挙げての強い要請になつて来ております。政府といたしましても、この食糧増産については特段の苦心をいたして、何とか十年くらいのうちには全体の食糧総合計画を以て自給達成を図ることができないかというような目標の下に、差当りまあここ五年くらいのところで米換算で千五、六百万石の増産計画をやりたいということで、まあ今年度も強い政府の意思を決定しようとしておるのでございますけれども、一面又財政の事情からいたしまして十分の予算措置を講じ得ることができません。大体今年度は農地の土地改良或いは農地の拡張等に二百二十六億、耕種の改善二十五億というようなところで今年度は。来年度からこの五カ年計画を五年後に完成するために是非とも政府内部においても力を入れて完成をして行きたいという大体の計画を以て臨んでおります。先ほども申しまするように、いずれにいたしましてもこの農地の改良、拡張、これを中心としてその拡張改良せられた農地の上に立つて、農業技術の改善進歩を図る、そうして反当収量を引上げて行くと同時に、それが又農家経済の向上安定に寄与して行くように持つて行かなければならん、こういうふうに考えております。
○三橋八次郎君 只今の御答弁によりますると、食糧の自給度の向上は朝野の声である、こうおつしやいましたようでございますが、それほど重要な朝野の声を財政の関係で五カ年計画を中止をしなければならんということから見ますると、政府は余り食糧の自給というようなことに対しまして、関心が薄いのではなかろうかと思うのでありますが、この点如何がでございますか。
○国務大臣(保利茂君) これは予算面から御判断になつて薄い厚いと言われますれば、これはもういたし方ないことでございますけれども、政府は全体として何としても日本の経済自立を達成して参ります基盤としての要件として、食糧の増産、自給度の向上ということは、これはもう基本的な要件であるという考えの上に立つて施策を講じて参るつもりでおります。
○三橋八次郎君 その次の問題は、食糧の増産は何と申しましても農家の生産意欲の培養ということと、農業経営の確立ということを前提とすることは勿論のことでございます。今までの農政のあり方を見ますると、農家を単なる生産者とみなしての農政或いは政策というものが非常に多かつたように思うのであります。農業経営の安全を確保することは、かような政策では困難だと思うのでございまして、生産意欲はそれに従つて低下をいたしまして、又新技術の普及ということも徹底しないというような結果になると思うのでございます。農家を経営者とみなしての農政は、農家の生産意欲高揚の上から極めて重要なことだと思うのでありますが、農家を経営者とみなしての農政に今後転換する意思があるかどうかということをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(保利茂君) いずれにいたしましても、先ほども申上げまするように、四割四分から占めております日本の農村の人口でございます。従つてこの農家の経済が安定いたすということでなければ、私は国の安定を図るということができない。従つて農家経済の安定ということは、日本の家庭経済の安定ともつながる非常に重要な点でございまして、もとよりこれは農業といえども明らかに経済行為でございますから、農家の経済が安定して参るように心がけなければならんということについては、全く同感でございます。
○三橋八次郎君 今のお答えは少し的をはずれておるようでございますが、勿論農家の経営を豊かにするということが前提でなければならんのでございますが、これまでの農業政策というものを見ますると、農家に労働力を強要いたしまして増産のところまではいろいろな手が打たれておりますが、その農産物はどういうように処置せられ、そして農家の経営はどうなつておるかということにつきましては、殆んど無関心であつたと言つてもいいのでございます。従いまして、今後の農業政策はどこまでも農家の経営を豊かにし、底から本当にわいて出るような増産を期待するような、こういう政策が必要だと思うのでございますが、そういう政策に変える御意思があるかどうかということについて。
○国務大臣(保利茂君) お答えいたします。農政の先輩諸公も最もその点に苦心を払つて来られていると思われますが、結局今日の一番中心的に考えて行かなければなりませんことは、先ほども申しまするように、食糧の自給度を高めて参りまするために、農家の増産意欲を旺盛に持つて頂くということでなければならん、無論施設もそれに伴つて行かなければならん。そうして増産をして頂いた農産物が適正なる価格で安定をして、農家の経済がこれまでより向上、安定して行くというような、農産物の価格安定の施策ということが当然伴つて行かなければならん、こういうふうに考えております。
○三橋八次郎君 農産物の価格安定につきましては、早く一つ価格安定法の提出をお願いしたいと思うのでございます。次の問題は、増産意欲の高揚は経営を豊かにすることによつて大部分の目的を達することができると思うのでございます。農業経営を豊かにしまするには、農家の総合収入というものを増加するというような方策が必要であると思うのでございます。今までは米麦以外には殆んど見るべき政策はないのでございまして、米麦は又生産費を割つて供出しなければならんというようなことから考えますると、総合収入を増加するためには米以外にも相当の国家の施策が必要であると思うのでございますが、とにかく総合収入を増加するということでなければ、米麦というものが非常にこの経営上重要な収入ということになりますから、米の値段なども少し安くても非常に強く農家経済にこたえるということになるのでございます。従いまして、米の生産費を低下するというような意味におきましても、総合収入を増すための農業政策というものは極めて重要だと思うのでございますが、今後新農林大臣はそういうことにつきましてどういう決意がありますか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(保利茂君) 日本の農業形態が米麦生産を中心として営まれているということはその通りでございます。従つて農家の或いは有畜農業であるとか或いは農村工業であるとか、要するにこの多角経営の方式によつて農家の経済が安定をするように、そうして向上をして行くようにということが、私は農業政策多年の一貫した方針であろうと思います。そういうことは今後といえども十分努力をいたし、又御意見も伺つて、できるだけ実際に適合した、適地に適合する施策を以て進むことにいたしたいと考えております。
○三橋八次郎君 農業経営を豊かにする政策に欠けておりますために、農家経済が非常に底が浅いのであります。従いまして、前作の収入は後作の生産資金にしなければならんと、場合によりましては青田を質に入れまして経営資金を得て行かなければならんということが、これが実情なのでございます。従いまして、一旦災害などに見舞われますると、殆んど経営は行詰りの状態になるのでございます。凍霜害或いは先般の長雨による被害に対しましては、その被害そのものよりも、被害そのものも重要でございますけれども、それによつて次の米作を減収することを防止させることは、経営上非常に重要なることと思うのでございます。従いまして、非常にこれは急を要することでありまするが、これらに対しましての対策並びに支出の予定計画等を承わりたいのでございます。
○国務大臣(保利茂君) 凍霜害の災害対策につきましてはすでに成案を得ておりますから、予算措置もとつておるわけでございまするが、台風以後による麦の収穫時の災害につきましては、只今事務当局の間において予算折衝をいたしておるところでございます。ただお話のように後作の生産に障害を起すというようなことがあつては、それは由々しきことになりますから、できるだけ後作に支障のないように営農資金等の融資、或いは農業共済金の概算払い等によりまして、それらを中心として農家の再生産をつなぎ得ますように措置を講じて参るという考えで対処して参つております。
○三橋八次郎君 今回の北九州及び中国の一部に発生いたしました水害に対しましては、実に気の毒に堪えません。殊に稲作にとつて穀倉地帯であるこの方面の救済策ということは、すでにいろいろ計画されておることと思います。又先ほども御答弁がありましたからこの点はよろしうございますが、ただ丁度田植時期の直後でございます。まだ田植の始まつておらん所もございますが、そういうような所に対しまして今後の稲作の減収防止ということにつきまして、或いは又農家の保護、救済というようなことにつきまして、どういうような方策が考えられておりますか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(保利茂君) お答えをいたしますが、私は焦眉の問題としましては、今度の罹災住民に対する食糧を確保するということと、お話のようにまあ植付が大方三割ぐらい済んでおつたのじやないかと想像せられます。先ほども今朝到着されました或る県の県庁のお話によりますと、かなり広範な苗代が荒廃腐蝕をいたしましたために苗の確保については現地におきましても相当苦慮いたし、従つて、この山手方面の被害が強くない地方に対して苗の節約を図つてもらうと共に、万一を予想しまして相当大量の再まき付けを委託いたしまして、そしてまあ今日再まき付けをいたしまするならば、およそ二十日ぐらいで移植し得るようなところまで成長するのじやないか。そういたしますと、現地の専門家の話によりますれば、七月の中過ぎ二十日前後までに植付けすることができるならば、一割ぐらいの減収は止むを得ないと見られますけれども、その程度で食いとめができるのじやないかというようなことを申しております。私どもとしましては、いずれにいたしましてもこの水の引きましたあとの植付けは焦眉第一の問題でございますから、苗の確保は被害を受けられなかつた地方の農家の方々に御協力願つて苗を一本でも出して頂きたい。足りなければ今申しまするように種もみを確保いたしまして十分できるだけの処置をとつて行かにやあならん、こういうことで只今手配をいたしておるところであります。
○三橋八次郎君 日本の農業というものから考えますると、労働生産性を向上するということは極めて重要な問題でございます。労働生産性の向上というようなことにつきましては、やはり科学技術の普及ということが重要だと思うのでございます。せつかく国では普及事業というものがあるのでございますが、あれも当初考えたものよりはよほど進展の速度がのろいようでございますが、あれを本当に拡充強化いたしまして、そうして日本の農業の労働生産性を向上するために役立たせることは非常に重要だと思います。この点につきまして農林大臣としてはどういうお考えを持つておられるかということが一つ。
 次は農業普及事業と極めて密接な関連のあります農業に関する試験研究機関の拡充強化の問題であります。如何に普及事業が立派に育成いたしましても、その根源をなす試験研究機関が貧弱であります場合においてはその効力がございません。地方の試験研究機関というものは、或いは国の試験研究機関でもそうでございますが、非常に継子扱いをされておる傾向があるのでございますが、日本の食糧増産という意味から考えますると極めて重要である。まさに縁の下の力持ちでございますので、これらのものに対しましては農林大臣は今後如何に拡充をして行くつもりであるか御意見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(保利茂君) お答えいたします。
 如何に農地の拡張改良を図りましても、農業施設の上で国幣を費やしましても、結局増産の任に当るかたは農家の個々の方々でございますから、農家の個々の方々がその改良改善せられた施設に適合した農業を営まれなければ実際期待するところの増産の実は上らん、これはもうお説の通りだと思います。従いましてその試験研究、いわゆる試験場等の改善拡充ということは当然でございますが、同時に試験場等において、試験研究の結果が改良普及事業と相待つて、その試験場の成果が直ちに農家個々に滲透して参るように持つて行かなければ、私は実際の試験は試験、耕作というのでは、意味はなさないことになる。だからその点においては、特に改善を図る面があれば、私は大いに改善しなければならん。いずれにいたしましても、そういう試験研究の成果を個々の農家の耕作技術の上に生かして頂くようにするということが、限られた農地でございますから、この農地の上で増産の実を挙げて行くのには、それ以外にはなかろうかと考えております。
○三橋八次郎君 その次にお伺いしたいのは、日本の食糧は、耕作技術、地勢などの関係によりまして生産費が割合と高いのでございます。この生産費を低下せしめるということは極めて必要なことであると思います。そこで今の米価政策を見ますると、結局農家から安く買いまして、消費者にはそれよりも高く払下げる、売る。その消費者が、買つた農家が消費しておる食糧よりも高いものを食うて工場で働きまして、硫安なり、生産資材を作る、こういうことになりますると、いつまで経ちましても農家のほうにしわ寄せが参りまして、農産物の価格が安定するとか、安くなるとかいうことは恐らくこれは絶対にないと思うのでありまして、常にいたちごつこを繰返すというようなことになると思うのでございます。生産費を低下し、農業経営を楽にして増産に寄与するために、農林大臣は二重米価制度を採る意思はないかどうかということをお伺いしたいのであります。
○国務大臣(保利茂君) この問題につましては、すでに大蔵大臣や前農林大臣からも申上げておることと思いますが、今日私どもはできるだけ早くいわゆる統制を撤廃をして、そして一面において農家の生産意欲を向上し、一面において食糧の流通を円滑にして行くためには、統制を撤廃することのほうが正しいという考え方の下に、今日までこれを目標に努力をして参つて来ております。併しながら今日の食糧事情からいたしますれば、直ちに米の統制撤廃を行い得るという条件は整つておらないということで、今年度は昨年と同様の管理方式を以て進んで参り、お話の二重価格の問題については、新米価の決定をどう定める、買入価格をどうきめるか、それによつて消費者価格をどうきめるかということの問題でございますけれども、これは極めて重要な問題でございますから、新米価決定の際に十分考えて検討して行く考えでございます。
○委員長(青木一男君) 三橋君時間を経過しておりますから簡単に。
○三橋八次郎君 その次には農業に関する特殊法律の目的達成のための予算でございますが、急傾斜地、湿田、砂丘、積雪寒冷単作、いろいろあるわけでございますが、あれはそれぞれ期限が付いている法律でありまして、従いましてその目的を達成するためには相当たくさんの金を出して頂きませんと、その期限内には目的の貫徹はできないということになるわけでありますが、農林大臣はこの特殊法に対しまして、十分予算を計上いたします熱意があるかどうかということをお伺いしたいのであります。
○国務大臣(保利茂君) お話の点につきましては、今日までも相当援助を図つて参つておりますけれども、今後も更に努力をいたす所存でございます。
○三橋八次郎君 最後にお伺いしたいことは、どうも今までのお話をじつと伺つておりますると、政府の農業政策というものは一貫しておらんというような感じがするのでございます。例えてみますると、今回の麦価の決定につきましても、大麦、裸麦は四%、小麦は二%というようなことでございますが、これは生産する農家の身になつてみますると、極めて遺憾の点が多いと思うのでございます。又国内の小麦の生産というようなことから考えましても、こういうような政策では恐らく小麦の生産というものは後退する虞れがあると思うのでございます。又小麦につきまして、昨日もお話があつたようでございますが、本当に消費者のためを考える小麦の値段であるならば、これは国際小麦協定というものに入らずに、もつと安く買う方法もあるわけでございますが、これは国際小麦協定に入つて、国際価格であるから二%よりも引上げん、ところが一方におきまして、硫酸アンモニアを見ますると、硫酸アンモニアの消費者は農家でございます。国際価格というようなもので若しも硫安を輸入するとしたならば、恐らく国内硫安の値段よりも安く農家の手に入るでありましよう。小麦の値段の決定におきましても、硫安の値段の決定を見ましても、ことごとくそのしわが農家にかかつて来るようなことになるのでありまして、今まで農林大臣がお答えになつたように、どこまでも農業経営というようなものを安全に確立して行かなければならんというようなことと、今とつておりますこの政策とを比較対照してみますると、全く矛盾しているような傾向がはつきり現われるのでございますが、この矛盾をどういうように農林大臣はお考えになつておりますか、御所信をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(保利茂君) 麦価の決定につきましては、麦の統制を外しております建前で、米の扱いとはいささか異になるという考えを私どもは持つておりますけれども、又そういう建前で米価審議会の諮問にもかけましたのでございますが、米価審議会からの答申は御承知のような趣意になつておりますから、米価審議会の答申の趣旨を尊重いたしまして、今日の三麦間の需給状況等を勘案し、又本年の麦災害等の事情も考慮いたしまして、適切な価格だと信じましてああいう決定をいたしたわけであります。肥料の点につきましては正にその感じから申しますれば、その通りの感じでございます。これは先般来肥料対策委員会で審議を願つておりました。私は何とかこの委員会で結論を出して頂くことを期待いたしております。この矛盾を調整して参らなければならん、これは一つできるだけ早い機会に解決いたしまするように努力をいたす考えであります。
○藤原道子君 関連してお伺いしたいのでございますが、先ほど三橋さんの食糧増産計画についての御質問を伺つていたのでございますが、今非常に食糧の増産が急がれますときに、軍事基地施設に非常に農地が使われておるのみならず、その周辺に歓楽街が次々に建てられておりますが、これが農地をどんどん潰して行つております。これが聞くところによると、正当の正規の議を経ないので、委員会の議を経ないで勝手に農地が潰されておるというケースが非常に多いのでございます。或るところに参りますと、農地の名目になつておりながら立派な歓楽街になつておる。そうして供出等に対しましては、悪徳業者が闇値で米を買つてそうしてこれを、納めてもなお儲かるものでございますから、そういうことが各所に起つておりますが、これらに対して当局はどのような措置をしておられるか、若しこれが不正な手段によつてなされたということが明らかになりましたときには、どういう対策をおとりになるお考えであるかということを、私は食糧増産の意味におきましてお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(保利茂君) 御注意のような点につきましては、私も十分注意をいたしておりますが、とにかくこの無理な国費を費やして干拓或いは開墾等で耕地を拡張して参らなければならない現情からいたしまして、無論今日の国情から基地の提供は止むを得ないと存じますけれども、できるだけ農地にそれが及ばないように、ただむやみやたらに農地が荒されているというようなことは、無断でそういうふうなところへ提供せられているというようなことはございません。併しなお十分調べてみますけれども、私としましては、農地がそのためにできるだけ潰されないように十分気を附けて、又努力をいたす考えでおります。
○藤原道子君 若し不正な方法によつてなされている土地がございました場合には、立派な歓楽街になつていて、而もそれが農地の名目であるということがわかりました場合には、どういう処置をなされますか。これは明らかに随所にございますからこの点念のためにお伺いをいたします。
○国務大臣(保利茂君) お答えいたしますが、若し農地がそういうふうに使われているとすれば、それは必要な手続をして許可の上にそういうことが行われている所であろうかと思います。個々の事例につきましては、私はまだ存じませんが、不当にそういうふうにやられておるということはおだやかでないので、十分気をつけて私はなお調べてみます。
○藤原道子君 まだちよつと満足できないのでございますが、明らかにあつた場合には、どういう処置をおとりになるか。
○国務大臣(保利茂君) それは若し違反をいたしているということであれば、当然それに伴うところの処置は講じ得る手段があると思いますから、必要な手段はとります。
○亀田得治君 初めに法務大臣にお伺いいたします。本論に入ります前に、刑事訴訟法の一部改正が一これはずいぶん反対の意見も私ども各方面から聞いておりますが、この国会に出される予定であるかどうか。
○国務大臣(犬養健君) お答えいたします。刑事訴訟法の改正は、この議会に御審議をお願いしたいと思いまして提出する予定でございます。又今お示しのように反対の意見もございますが、大体においてこれは余談になるかも知れませんが、日本弁護士連合会即ち在野法曹とも絶えず連絡をとつておりますが、この前の国会に御審議を願いましたような範囲においては、大体御異存がないように存じている次第でございます。
○亀田得治君 内容に入つた議論は本日はいたしませんが、刑事訴訟法としては随分大きな改正でありますから、今度のような短かい国会には甚だ不適当じやないか。取扱方として、賛成反対は別としてそういうふうに思うのですが、この点如何ですか。
○国務大臣(犬養健君) これはお言葉を返すようになるかとも思いますが、結局会期の短かい長いということは、反対の御議論の様子も観察することが必要だと思いまして、只今申上げましたように広く各委員の忌憚のない御意見も非公式に伺い、又在野法曹の意見も幾度となく伺つて、この国会に御審議をお願いすることが、そう無理ではないのではないかという政治上の判断を私の責任においていたしたわけでございます。
○亀田得治君 それでは一つ本質の問題に入ります。選挙違反の問題でありますが、問題がたくさんございます。二つだけ私はお尋ねしたいのです。
 一つは福永官房長官に関する問題です。これは十分所管大臣としてすでに世間の話題になつたことですから、お調べになつていると思いますが、あなたのお調べになつた範囲でお答え願いたいのですが、どういう内容のものか、それから現在までにどれだけ起訴されたか、今後どの程度に発展する見通しか。
○国務大臣(犬養健君) これは私からお答えしても一向差支えないのでありますが、御承知のように素人でありまして、落度があつてもいけませんから、先ず政府委員から答弁させて、又政治上私が答弁を申上げることが必要だと思う部分が生じましたら、私から答弁させて頂きたいと思います。
○政府委員(岡原昌男君) 只今お尋ねの浦和地検において捜査、公判請求いたしました事件の資料は只今丁度手許に持つて参りませんので、概略だけを御報告して、いずれ後刻書面なりでお答えいたしたいと思います。この事件につきましては、浦和の市警において、かねて下のほうの事件を捜査して参りましたところが、だんだんとその全貌が明らかになりまして、五月から六月の中旬にかけまして百数十名の取調をいたしました。この間浦和の市会議員ほか著名の方々もいろいろ検挙されまして、最後に竹入貞人氏、これが総括主宰者になる人でございます。その人の起訴を以て大体の全貌ははつきりして参つたわけでございます。その詳細は冒頭申上げました通り、具体的数字その他に亘つて、今日実は自殺関係かと思いまして、そちらの関係を主として持つて参りましたので、ちよつと間違いがあるといけませんのですが、ただ調べました被疑者のうち、主だつた者三十数名は公判請求をいたしてございます。なお略式命令その他下のほうの人たちの処分は相当たくさんございますが、これも大部分取調べを終りまして、最後に一部極めて事情の軽い人の分については、すでに不起訴の処分にしたものもあるようございます。なお一番問題になるだろうと思います竹入氏の資金関係等につきましても、現地の検察庁において、極めて詳細に事情を捜査したようでございます。結局竹入氏の個人的な出費ということで処分がなされたように報告が参つております。(「どういう性質の選挙違反だ」と呼ぶ者あり)大体買収を中心にした選挙違反でございます。細かく申しますと、竹入氏或いは片倉製糸の主脳者たちの間で、いろいろ話の末に、各市町村等の主だつた人がたに、或る人には一万円、或る人には三万円というふうな工合にいわゆる選挙運動資金と申しますか、簡単に申しますと買収金と申しますか、正確に申しますと、選挙運動報酬でありますが、それを供与した、かような事実でございます。
○亀田得治君 ちよつと念を押しておきますが、地検からの報告によりますと、総括主宰者の竹入氏とは稲永長官自身は関係なかつた、これは明確に書いてありますか。
○政府委員(岡原昌男君) 先ほども申上げましたが、結局資金関係についてかなり詳細な調べをしておりました。その一部の捜査の状況等につきましては、丁度捜査の中間段階においても、かなり細かく調べるように指示したこともございます。その結果、各会社からの何と申しますか、片倉関係の会社からの寄附金みたいなものが竹入氏の手に集まりました。それによつて選挙の資金が賄われた、それらの点につきましての詳細と申しますか、運動方針と申しますか、そういうことについては福永氏は当時中央の諸般の党活動その他に忙しくて、具体的な指示をすることができなかつた、かような報告でございます。
○亀田得治君 具体的な指示はできなかつた、こういう書き方ですか、全然関係がなかつたというのですか、どういう結論ですか。
○政府委員(岡原昌男君) 結局具体的な指示ということも――具体的指示と申しますと、要するに犯罪事実関係でございますか、指示ができないと同時に選挙運動方針等についても総括的に任せたといいますか、そういつた趣旨に報告されて来ております。
○亀田得治君 まあもう少し問題を残しておきましよう。そこで五月三十一日に川上市会議員が自殺をいたしておりますが、これについて拷問が問題になりました。あなたのほうのお調べではどういう結論でございます。
○政府委員(岡原昌男君) この点につきましては、私どものほう並びに法務省の人権擁護局等におきまして詳細な事情を調査いたしました。なお現地の法務局等においても独自の立場で調査をいたしたようでございます。そのいずれもが本件の自殺の直接の動機となるようないわゆる人権蹂躪、殴つたとか、拷問を加えたとかいうようなことはない、かような報告に相成つております。
○亀田得治君 法務省でそういうお調べをされるに至つた理由は、これは私も想像はしておるのですが、はつきりしておかないといけないと思いますからお尋ねするのですが、そういうお調べをするに至つた理由は、福永官房長官らが、この自殺直後に外部に対して、苛酷な取調があつたという意味のことをはつきりと語りました。それから世論が湧いて来た、そういうことで法務省としてもお調べになつたわけですか。
○政府委員(岡原昌男君) さようではないのでありまして、私どもといたしましては、あの事件の報告が電報で入りまして、入りまして直ぐ折返し本件についての詳細の事情を調査するようにという手配をいたして、それに基いて調査が始つたことでございます。
○国務大臣(犬養健君) ちよつと補足して私からお答え申上げます。只今局長からもお答え申上げましたのですが、実は私も全国の法務局、つまり人権擁護の仕事を扱かつております法務局等を通じて、各検察庁に間合せたのですが、ともかく人が四人も死ぬということは重大事でありまして、或いは数の多い第一線において、いわゆる拷問、或いは拷問でないにしても、何と言いますか、異常心理に陥つておる被疑者に対して、普通の人には別に思いつめる動機にならないでも、異常心理者に対してはいわゆる寸鉄人を刺すような片言隻句があつたのじやないか、そうなつたらばやはり私の責任であると思いまして、かなり繰返し繰返し調べさしたのでありまして、新聞記事によつて始めたということではないということを御了承願いたいと思います。
○亀田得治君 これは重大な問題ですから、新聞記者のかたが勝手にお書きになろうとは思つておりません。新聞によりますと、拷問があつたという意味のことを福永官房長官が言われたことは、法務大臣もこれは新聞で御覧になりましたか。
○国務大臣(犬養健君) その通りか、それに類似したことは二、三読みました。これは弁解というわけでもございませんが、私のほうでは、これはいろいろな退学違反の事案を扱いました当人として申上げるのでありますが、大体この当事者は、やはり自分のために夜昼働いた人が拘留されたり調べられる、そうしてその人たちは普段すれていない人であればあるほど、非常にシヨツクを受ける。これは他人でなくて正常の当事者という場合に、本人も非常に悪い言葉を強く印象される、こういう意味で、私どもは大体当事者の言われることは人情御尤もと思いますが、なおその意味で冷静に事態を調べさす。そうすると、その場合に事実よりもそれほどでなかつたことが多いのでありまして、そういう意味で、とかくそういう発言がありがちだと思つておる次第でございます。
○亀田得治君 拷問がないという結論であります。併しそういうことが言明されたことも、法務大臣としては御見になつておる。法務大臣は随分同僚として同情的にお考えになつておるようでございますが、併し官房長官というような重要な地位にあるかたが、そのような暴言を吐かれたことに対して、これは法務大臣としてそういう個人的な事情を抜きにして、法務大臣という地位から考えまして、あなたはどのようにお感じになりますか。
○国務大臣(犬養健君) 法務大臣は各検察庁を指揮、監督しておるものでありまして、自分の部下に拷問をしたものがあつたということは不名誉でありますので、従つてそういう発言は困るわけであります。併し同時に私は人間であり、福永君の友人でありますから、人間としてやはりそういうことを強く印象されるのは無理もない、おれも同じ立場だつたら、そういうことを言うかも知れないと思つたことは事実でありまして、一個の人間として告白をいたしております。
○岡田宗司君 今の問題に関連して質問いたします。福永官房長官の選挙違反の問題につきましては、五月三十日の予算委員会におきまして、私はこの点について緒方副総理にいろいろとお質しをしたのであります。幸い福永さんもお見えになつておりますので、私福永さんからお伺いしたいと思うのでありますが、五月三十日の予算委員会におきまして、私が、公明選挙を進めることを首相以下一生懸命やつておられるこの内閣において、その内閣の番頭である福永君のところから非常に大掛りな選挙違反を出したということは、これは非常に大きな政治問題である、こういう観点から緒方副総理に対していろいろと御質問を申上げたのであります。その質問の最後におきまして、私は緒方副総理に対して、その問題についての政治責任はどうかということをお伺いしたのであります。これに対する緒方国務大臣の答えは、それは本人としては、仮に直接自分に関係のないものでも、政治的の責任を感じておると考えます、こう答弁をされておるのであります。勿論その後の事態から徴しまして、あの五月三十日のときよりも更に一層問題は深刻になつておると思います。その翌る日におきましては自殺君が出ております。更にその後多くの人々が取調を受けております。そうして最後には選挙の総括責任者が起訴されておるのであります。これは私はやはり緒方副総理の言われるように、福永官房長官の政治的責任であるという問題が十分にあろうかと思うのであります。又内閣自体も責任を負わなければならん。単に現在のところにおいて、その取調が福永氏自身に及んでないといたしましても、聞くところによれば、思斎寮においでになつて取調を受けたようでありますが、よしんば越訴されていないにいたしましても、政治的責任というものはあろうかと思います。緒方副総理も政治家でございますから、そこのところはやはり同じように考えられて政治的責任を感ぜられると思つておると、こう言われておるのであります。そこで私は福永君にお伺いしたいのでありますが、果して緒方副総理の言われるように、あなたは政治的責任を感じておられるかどうか、その点を一点お伺いしたいのであります。
○政府委員(福永健司君) あの選挙の当時、私は丁度官房長官を命ぜられまして、余り選挙のほうへは行つているいとまがなかつたのでございますが、夜分帰りますと、選挙の関係の諸君は、只今岡田さんのお話のごとく、公明選挙の趣旨による選挙をどうしてもしなければならないというので、違反があつてはならんということは、私はしばしば申しました次第でございます。さようなことであつたにもかかわらず、ああいう事態が生じましたことは誠に遺憾に存じておる次第でございます。政治に携わるものといたしまして、私はこの点遺憾に存じておる次第でございます。
○岡田宗司君 遺憾に存じておるということは只今もお伺いいたしたのでありますけれども、誠に遺憾なことだと思いますが、遺憾に存じておるということを、政治的責任を感じておるということとは違う。私のお伺いしておるのは、遺憾に存じておるということの御返答を聞きたいのじやない。政治的責任を感じておられるかどうかということです。
○政府委員(福永健司君) 岡田さんのおつしやる意味が、政治的責任ということになると、政治家としてどうしようとおつしやるのか――私よくわからないのでございますが、私は全くこの点につきましては遺憾に存じておる次第でございます。
○亀田得治君 後ほどこれは聞こうと思つていたのですが、丁度福永さんが今答弁に立たれておりますからお聞きしたいと思いますが、あなたは川上さんの自殺があつた直後に官房長官どころじやない、代議士までやめたいと、こういうことをお話になつておる。私はこれを見て、人は誰でも過ちがある、併しその過ちがあつた結果に対しては、随分立派な行動をとられる人だと、大阪で新聞を見てこう感じました。ところがいつの間にか総理なり、或いは副総理なり、どなたに御相談になつたか知りませんが、全然逆になつております。いつ心境の変化を来たされたのか、その点を一つお聞きしたい。
○政府委員(福永健司君) 先ず角田さんにも申上げなければなりませんが、私は川上君が自殺をいたしました直後に拷問があつたとは申しておりません。実はああいうような事態が起るということは非常に遺憾であるし、全く私もあの当時込上げて来るものがあつたのでございまして、自分が選挙によつて出されたというような立場は別といたしまして、個人といたしまするならばこういうようなことが起るような選挙は非常に残念でございまして、そういう意味で私は感情的に本当にこういうことがある代議士なんというものは、全く気持として堪えがたいというような意味でああいう心境を洩らした次第なのでございます。一面私は選挙によつて選ばれた者といたしましての責任を考えますと、これは又よく考えてみなければならない次第でございまするし、向うに参りまして遺族等に会いましても、一生懸命に選ばれた者としての責任を果さなければいけないのだということを懇々と関係君等からも言われまして、それも御尤もたと思つて、只今そういう心境で政治に精進をいたしておる次第でございます。
○亀田得治君 総理又は副総理にあなたの進退について御相談されましたか。
○政府委員(福永健司君) 私は浦和からその報告がありましたとき、急遽副総理に連絡をいたしまして、こういうことで御心配をかけて誠に申訳がないということを申上げました次第でございまして、辞意を正式に表明いたしましたことはございません。
○亀田得治君 それからもう一つ大事なことを今福永さんから言われましたが、拷問があつたということを言つたことはないというふうに言われたようですが、拷問という言葉を使つたかどうかは別として、苛酷な取調べあつたという意味のことをあなたが言われたことは間違いないでしよう。
○政府委員(福永健司君) 私は拷問があつたとか、或いは苛酷な取調べがあつたというようなことを言つたことは記憶いたしておりません。ただ警察に行つて死骸となつて帰つて来るというようなことが起ることは非常に残念である。このことはどういう事情であるかよく調べて、真相が明らかにされなければならないと、こういうことは申しました次第であります。
○亀田得治君 そうすると、新聞の記事は間違いだということですか。
○政府委員(福永健司君) 当時の新聞にも、新聞によりましていろいろに書かれておる次第でございまして、今亀田さんのおつしやるように全部が書いているわけではございません。なお、私何分にもああいうような通知がございまして精神的にも非常に大きな衝撃を受けておりましたので、私の当時使いました言葉を全く正確には、全部は記憶いたしておりませんけれども、私といたしましては拷問があつたとか、或いはひどい調べがあつたとかというようなことを直接申した記憶はございません。
○亀田得治君 そうすると、これは実に官房長官としては賃大な問題ですから、若し新聞が間違つて書いてあるとすれば、当然新聞社に対して抗議なり訂正を申込んでおられると思いますが、そのような事実はありますか。抗議訂正を申込まれましたか。
○政府委員(福永健司君) 私も只今いろいろ報道機関と接触する仕事もいたしておるのでございますが、ときたま言葉のニュアンスというものが、言つた本人の考えておるのと違うように伝わることも、ときには経験をいたしておるわけでございます。あの際に私はあの言葉それ自体を使つたのではございませんが、ああいうような印象を与えたと、まあ多くの新聞ではありませんが、そういうように表現をされるような印象を与えたというようなことにつきましては、みずからも考えて見たのでございますが、今も申上げましたように、同じことを申しましても、その言葉によつてどういうニュアンスが感ぜられるかということはいろいろの場合がございます。私はあの新聞記事を見ましたときに別段、そういうようなこともございますのでこれが訂正方を申入れるというような処置はとらなかつた次第でございます。
○委員長(青木一男君) 岡田君、関連質問ですか……、簡単に……。
○岡田宗司君 先ほどの私のいろいろの質問に対しまして御答弁が依然として私には納得できないのであります。私は緒方副総理の言われました福永君も政治的責任を感じておられると思いますというのに対して、福永君は政治的責任を感じておられるかと言うと、遺憾でございますということを幾度も繰返して言つておりますが、福永君も常識があるならば、この副総理の言葉はまともに解釈されたら如何ですか。そこで改めてもう一度お伺いするのですが、副総理の言われました、福永君も仮に直接自分に関係のないものでも、政治的の責任を感じておると考えます。この言葉に対してあなたはどういう解釈なり或いは感じを持つておられるか、それをお伺いしたい。
○政府委員(福永健司君) 只今岡田さんのおつしやいました政治的責任という言葉は、解釈が非常に私もむずかしいと思うのでございますが、相当広い意味の言葉のように感ぜられます。緒方さんがどういう意味でおつしやつたか、それは必ずしも私が考える通りであるかどうかはわかりませんが、政治に携る者といたしまして、私が衷心遺憾に存じております。この遺憾に存じておりますることも、この政治的責任の中に含まれるものと解釈する次第でございます。
○委員長(青木一男君) 岡田君簡単に願います。
○岡田宗司君 只今のお答えですと、遺憾に思つておりますということも政治的責任であると、こういうことでありますが、公明選挙を進める内閣のやはり中心におられるかたが、自分の側近からあのようなたくさんの違反者を出して、そうして、みずからも取調べを受けたというような事態が起つておるときに、この公明選挙を進める立場にあるあなたが、ただ遺憾だと思つておりますということで、政治的責任が果せると、こうお考えかどうかということをもう一度重ねてお伺いしておきます。
○政府委員(福永健司君) 只今岡田さんのおつしやいました点につきましては、私も相当に煩悶もいたしました次第でございまするが、先ほども申上げましたような次第でございまして、この御指摘の点につきまして、私が直ちにどうこうというような措置をとることが、私として然るべきであるかということは、私自身よく考えてみました次第でございます。官房長官でありまするという立場はもとより責任重大でございます。同時に、国の最高機関としての議会におります役員といたしましては、これに劣らず重大なる立場でございまするが、こういうようなことにつきましての身分的なことということになりますと、これは又相当慎重に考えなければならない次第でございます。さような意味で、私はいろいろ考えました結果、先ほど申上げましたような心境にある次第でございます。
○岡田宗司君 もう一点だけ。
○委員長(青木一男君) 岡田君まだありますか。
○岡田宗司君 もう一つ……。
○委員長(青木一男君) 簡単に願います。
○岡田宗司君 官房長官は公明選挙をどう考えておられるか、官房長官という役目は公明選挙をどう進められる立場にあるか。この点についてのお答えを願いたいと同時に、少くとも内閣の一員としておられるのでありますから、公明選挙を進める立場におる人が、そういうような大きな問題を惹き起したということは、政治的責任という見地からすれば、当然官房長官をおやめにならなければならない、こう考えるのでありますけれども、只今の福永官房長官のお答えによりますと、別に官房長官の職を辞すほどに当らないと公明選挙というものを軽んじられておるが、官房長官としては、公明選挙とは如何なるものか、公明選挙に対する官房長官の責任というか、役割というものについてはつきりした御答弁を願いたい。
○政府委員(福永健司君) 選挙はまあ公明に行われなければならんということは、私も強く痛感をいたすものでございます。特に只今の私にとつては一しおそうでございます。これは官房長官といたしてのみならず、議員としてすべてそう考えなければならんと考えておる次第でございます。さような意味で先ほども申上げましたような小視の次第でございます。
○亀田得治君 本日の答弁を基礎にして、いずれ又お伺いすることもあろうかと思いますが、時間がないからやめまして、一つだけ特にお伺いしたいことは、佐賀地方裁判所から三池代議士の公職選挙法違反に関連して逮捕状の請求が衆議院のほうに出されております。これは福永さん御存じでしようね。
○政府委員(福永健司君) 只今亀田さんのお話の三池君に対する問題でございますが、実はあの書類が提出になりましてから相当遅れまして、私は報告を受けたのでございますが、そこで早速院のほうへ提出しなければならん、手続をとらなければならんということを田中副長官に申しましたのでありますが、それから間もなく、それを正確に申しますと、どういう言葉になりますか、撤回するとか、取消すという旨の通告に接しましたので、その通告によりまして再び処置をいたしました次第でございます。
○亀田得治君 これは理窟はもう時間がないから抜きまして、あなたがお知りになつたのはいつですか。時日関係だけを聞いておきましよう。六月四日にはあれは新聞に出ております、大々的に……。そのときには少くとも知つておるでしよう。もつとそれより前ですか、裁判所から来ておるのは五月二十三日……。
○政府委員(福永健司君) 相当遅れまして私は……。
○亀田得治君 裁判所から来ておるのは五月二十三日のはずです。あなたのお知りになつたのは新聞に出たあとですか、先ですか。
○政府委員(福永健司君) 新聞にどう出ておりましたか、何でございます、私実は実際参つたより大分遅れて報告を受けました次第であります。
○亀田得治君 それは自然休会に入つた後ですか。
○政府委員(福永健司君) 勿論そうでございます。大分遅れてから伺いましたので……。
○亀田得治君 それではいつその要求書は取引げになりましたか。一日や二日間違つてもよろしいのですが、いつ頃ですか。休会が明けてからですか、明ける前ですか。
○政府委員(福永健司君) 何日か前でございましたが、これも正確には何でございますので、実は若し必要がございましたら、この事務を扱いました田中君とよく打合せをいたしまして、乃至は本人に来てもらいましてお答えをいたしたいと思います。若干正確を欠くことを申上げては如何かと存じますから……。慎重を期したいと思います。
○亀田得治君 いつ、頃ということはわかりませんか。
○政府委員(福永健司君) 正確には記憶いたしておりませんです。
○亀田得治君 それじやこう聞きましよう。あなたがお知りになつてから何日くらいしてその書類を取下げになつたのですか。その間に一週間か十日位あつたのですか。これは昨日も総理大臣並びに法制局長官に聞いたことですから、恐らく本日はあなたが用意されたことたろうと私思つていたのですが。
○政府委員(福永健司君) 若干実はその間に日があつたように記憶いたしますが、実は用意して参りましたのは、私自身に対することだと思つておりましたので、この件につきましては、田中君がずつとやつておりましたので、私自身は只今のところ正確なことは……。
○亀田得治君 じやこれは私が先ほどからお尋ねした日時関係を、主観的な問題はよろしいですから、日時関係を明確にしてもらいたいと思うのです。それからもう一つ、この要求書をあなたが見られた後に……、総理大臣宛の要求書です。これはめつたにこんな要求書は裁判所から来るものじやありません。従つて恐らく総理大臣にあなたこのことをお伝えになつたであろうと私考えますが、お伝えになりましたか。
○政府委員(福永健司君) いろいろの書類が非常にたくさんございますので、それを私がいちいちこういう点がございますということを総理大臣に言つて行くわけではないのでございます。
○亀田得治君 珍らしい書類ですよ、これは。
○政府委員(福永健司君) 手続を経まして廻つて参ります書類が何日に、誰のところにどういうように参りましたかということにつきましては、これ又正確を期する意味におきまして、私ちよつと……。
○亀田得治君 いやこれは日時を聞いておるのじやないのです。総理大臣に、こういう要求書が佐賀裁判所から来ておりますということをお話しになつたことがあるかどうかということを聞いている。
○政府委員(福永健司君) 通例私どもはそういうような書類につきまして、一々総理大臣にこういうことが参りましたということに言つておりませんし、本件につきましても、それにつきまして特に総理大臣のところへ持つて行きまして報告はいたしません。
○亀田得治君  いたしておらない……。
○委員長(青木一男君) これにて暫時休憩いたします。
   午後三時二十九分休憩
   ―――――・―――――
   午後六時五十六分開会
○委員長(青木一男君) これより休憩前に引続き会議を開きます。
 政府に対して要求したる資料にして、まだ提出にならないものは、至急提出を希望いたします。
○政府委員(江口見登留君) お答えいたします。昨日資料の提出を命ぜられたのでありますが、各省に照会しまして取寄せておる最中で、機密文書の取扱いについて各省の分を提出することになりましたが、新らしく次官会議の申合せによりまして、機密文は取扱規程を作つたところもありますし、併しながらあの文書取扱規程の中にそういう事項を押入いたしたものもあります。それを提示しまして印刷にしますために、相当時間をとりますが、もう一日か二日資料の提出をお待ち願いたいと、かように考えます。
○木村禧八郎君 実は理事会の申合せによつて、討論採決に入る前に、秘密保持に関する内訓に対して資料を要求いたしましたが、その資料を見て、そうして質疑を終るという意味で、資料の提出を求めてきたわけです。理事会の申合せは資料の提出を待つて、そうして討論に入るというわけであつた。昨日要求していましたけれども、この暫定予算審議は二十九、三十、二日しかないのでありまして、従いまして昨日申入れたらすぐに本日に間に合うように手配されるのが当り前であつて、而もこれは四月頃に次官会議できまつているのであります。四月頃にきまつているのであります。今初めて作るものではないのであります。いつも資料、この資料だけではございません。委員会で資料を要求した場合には、重ねて資料を要求しないと出て来ない場合が実に多いのであります。従つてそういう意味では私はこの資料は、きちんと予算審議に間に合うように出して頂きたい。只今の御説明によりますると、一両日中に出す由でございますから、その点は私は了承いたします。
○森八三一君 私は昨日大蔵大臣に対しまして、公務員等の夏季手当の問題に関しまして質問をいたしたのでありますが、その問題となつておりまする夏季手当増額のことは、昨日も申上げました通り人事院の勧告が十分に採用されておりませんから、号俸区分の均衡を失しておりまするので、是正すべしといたしまする我々の要請が不問に附されておりますることや、最近の一般的な経済事情や民間給与との関連を考慮して、近く行われるでありましよう人事院勧告に対する想像などが、あれこれ総合されまして提起されておることと存ずる次第でありまして、何らかの考慮を必要と思うのであります。大蔵大臣は六月暫定予算の審議の際はとくと考慮をすると答弁をされ、昨日は、今回は本当に考慮すると答弁されております。察しまするに昨日の答弁は、最近の機会において増額支給するように取計らうの意味と理解するのでありますが、この際重ねて大臣の御所見を明確にいたしておきたいと存じます。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 夏季手当の件につきましては、重ねて御質問の御趣旨もありますので、善処することにいたします。
○湯山勇君 大蔵大臣にお尋ねいたします。只今善処するというお答えがあつたのでありますが、この善処は地方公務員に対しても同様に御善処願われるのかどうか。この点を簡単にお答え頂きたいと思います。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 法律は一般公務員だけでございます。出し善処することにいたします。
○湯山勇君 次に緒方副総理にお尋ね申上げます。総理府の責任者である緒方副総理は、只今の大蔵大臣の御答弁の通りに、やはり同じお考えで以て善処されるかどうかこの点簡単にお答え頂きたいと思います。
○国務大臣(緒方竹虎君) 只今大蔵大臣から申上げました通り重ねて御意見もありましたので、善処することにいたします。
○湯山勇君 私、外務大臣にお尋ねしたいのですが、あとにいたします。
○松澤兼人君 只今の質疑応答で、大略明らかになつたのでありますが、併し意見を尊重するとか或いは善処するとかいう言葉は、大変都合のいい言葉でありまして、我々の知りたいと思つておりますことは、如何なる予算的な措置を講ずるかという問題でありますし、或いはその率はどのくらいにするのであるか、或いは支給の時期はいつであるかという点を確認いたしたいと存ずるのでありますが、もう少し詳細に大蔵大臣の御見解を表明して頂きたいと存じます。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 御質問の点もございまするが、先ほど申上げました通り先に森さんから御質問の趣旨もありますので善処することにいたします。
○松澤兼人君 重ねてお伺いいたしますが、問題はやはり一般職の給与法を改正しなければ、法的な根拠ができないかと考えられるのでありますが、若し国会におきまして給与法を改正いたしますということになりますと、当然政府としては予算的な措置を講じなければならない関係が生ずると思うのでございますが、この点につきまして法律を改正する御意思及び改正された場合におきましては、予算的な措置を講ぜられるかどうか承わりたい。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 今お尋ねの趣旨もありまするけれども、私としてはただ善処するということだけをお答えいたしたいと存じます。
○松澤兼人君 いつまで聞いておりましても、結局善処するという言葉に尽きるようでございます。或いはこれは何かの政策上の関係からそれ以上のことは発言できないというふうに了解もできるのでございますが、先般衆議院におきまして同じくこの夏季手当の増額につきまして決議が行われたのであります。私が申上げるまでもなく、現下の物価高及び経済上の事情によつて公務員に対して年末手当のうちから〇二五を繰上支給するように速やかなる措置を講じなければならんという決議が行われたのであります。このときにも恐らく大蔵大臣は善処するとお答えになつているのだろうと思うのでありますが、この決議の趣旨は、大蔵大臣におきましてもその形式及び内容等を十分に尊重されて善処されるお考えでございますか。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 衆議院の予算委員会における決議は、夏季手当増額ではございま世ん。十二月の十五日に支給さるべき〇・五カ月分のうち〇・二五を繰上げて支給するという問題でございます。それが決議になつた次第でございます。これにつきましては更に考慮することを御返事申上げてございます。
○松澤兼人君 昨年人事院が給与改訂の勧告を出しましたときに、昨年の十一月一万二千八百二十円という切替えをしたのであります。これは我々から考えて見ますと、余りにも勧告を下廻つた切替えであると存じているのであります。近く人事院が給与改訂の勧告を出すということを聞いているのでありますが、この勧告が出された場合には、政府は法律の趣旨から考えまして、当然これに従つて予算的な措置が講じられなければならないと考えるのでございまして、従つて新らしい給与改訂に伴うところの予算の更正が行われなければならないと思うのでございますが、人事院の勧告が出された場合、これに対して大蔵大臣は如何ようにお考えでございますか。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 人事院の勧告がなされた場合におきましては、財政上の問題を考慮して処理いたしたいと考えております。
○委員長(青木一男君) これを以て質疑の通告は全部終了いたしました。なお昨日の委員会において……
   〔平林太一君議事進行について発言の許可を求む〕
○委員長(青木一男君) ちよつと今委員長の発言中であります……。外務省伊関局長の談話問題の扱い方につきましては本予算の審議の際又改めて委員長及び理事打合会において協議することといたしますから御了承願います。(「了承々々」と呼ぶ者あり)
 それではこれより討論に入ることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(青木一男君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれより昭和二十八年度一般会計暫定予算補正第二号、昭和二十八年度特別会計暫定予算補正特第二号及び昭和二十八年度政府関係機関暫定予算補正機第二号について討論に入ります。御発言のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
   〔平林太一君「議事進行について…さようなことは会議規則に準拠してやつておるのではないか。なぜ発言を許さないか。」と述ぶ。「発言だけは許したらどうか」「議事進行についての発言を聞き給え」「打ち合せはどうするのか」「平林さん横暴だ」と呼ぶ者あり〕
○委員長(青木一男君) では簡単にお述べ願います。
○平林太一君 一分間申上げます。今日のこの西日本に来襲せる風水害というものは、近年稀有の大災害でありますことは申すまでもありません。併しこのよつて来たる理由というものは、いわゆる不敏不徳なる内閣総理大臣の責任、吉田茂君のこれは責任を負うべきものであり、その不徳不敏のいたす結果、かくのごとき大災害を来たしたのであります。その理由といたしましては、曾つて不敏不徳なる往年の東條内閣の総理大臣東條英機のあつた際に、我が国は遂にあの敗戦という大災厄に遭遇したのである。同様なる意味において今回のかくのごとき大災害、而も西日本一帯のあまたの罹災民の悲惨なる事実というものは、取りもなおさずこの不徳不敏なる総理大臣あるその結果である。故にこの際吉田茂君は全西日本の罹災者に対してその不敏不徳を陳謝することをこの際要求いたします。この際吉田茂君が来席していなかつたならば、その番頭たる緒方君より陳謝すべきことを、大臣の良心として罹災民及び全国民にこれを陳謝すべきであります。
○委員長(青木一男君) 議事進行に関係ないと認めます。(「答弁がないということはないじやないか」「進行々々」「答弁無用」と呼ぶ者あり)議事進行に関係がないと思います。(平林太一君「ないというならば、それを肯定したということである、その不徳不敏ということを、それでよろしいか。速記録にとどめておく。総理とかくのごとき閣僚のある間は、いわゆる我が国には国難相次いで起るということを予言するものである」と述ぶ。「議事の妨害だ」「何を言う」と呼ぶ者あり)
○委員長(青木一男君) 小林孝平君。
○小林孝平君 私は日本社会党を代表いたしまして、本暫定予算案に反対するものであります。以下簡単にその理由を申上げます。
 先ず第一にこの暫定予算には防衛支出金、保安庁経費を計上しているのであります。これは日米安保条約に反対し、且つ事実上の再軍備である保安隊に反対している我が党としては、絶対に認めがたいところであります。
 次に四、五、六月と三カ月も暫定予算が施行されているのでありまして、今ここに又七月も暫定予算が施行されようとしているのであります。かかる状態からいたしまして、七月の暫定予算にはでき得る限り日本の経済や国民生活に対して配慮をした政策が織り込まれて一向差支えないのみならず、むしろ当然織り込まれるべきものと考えるのであります。ところが暫定予算の編成に当つて、かかる配慮が全然払われていないのは、遺憾に堪えないところであります。例えば緊急を要する凍霜害対策及び風水害対策について、何らかの誠意を示すべきにもかかわらず、全く顧みられず全然その経費が計上されていないのであります。更に国家公務員等の夏期手当の〇、五カ月分増額については、かねて我々はこれを強く要求しているところであり、且つ又六月分の暫定予算の審議の際にも、この問題について大蔵大臣はとくと考慮すると言明されたのであります。然るにもかかわらず、これについて全然予算措置がなされていないのでありまして、誠に遺憾に堪えないと共に、我我の承服しがたいところであります。右の二項目は額としても僅か三百億円程度であり、而も緊急を要するものであります。政治を民生安定に主眼を置く限り、これらの費用を政策費として、本予算に廻すことは許されない問題であつて、当然この暫定予算に計上すべきであります。かかる意味において、我々は遺憾ながら、この七月の暫定予算案に反対するものであります。
○委員長(青木一男君) 高橋進太郎君。
○高橋進太郎君 私は自由党を代表して衆議院送付にかかる昭和二十八年度暫定予算補正第二号に関する政府原案に賛成の意を表するものであります。
 本予算案に関しては慎重審議を重ねたるところ、各項目いずれも緊急止むを得ざる内容を有し、暫定予算として誠に適当なりとの結論に到達いたしたる次第であります。
○委員長(青木一男君) 加藤シヅエ君。
○加藤シヅエ君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、只今議題になりました七月暫定予算補正三案に対して反対をいたすものであります。
 元来本予算の中には、政府の政治、財政、経済上の根本方針が織り込まれるのでありますが、暫定予算には最小限度必要欠くべからざるものにとどむべきものであります。但し民生安定の見地より支出を要する場合、或いは自然災害等に対する対策費として支出を要する場合においては、適当額の経費を計上しなければならないと思うのであります。このために我が党は暫定予算提案以前に政府に対する要望書を提出し、西日本一帯の水害に対する応急対策費、国家公務員、地方公務員の夏季手当等の必要欠くべからざるものを計上されんことを要望したのであります。然るに政府案によれば凍霜害対策或いは西日本風水害に対しては緊急対策として何ら見るべきものはなく、五百億に上る被害に対して僅か十五億の緊急対策費を計上したに過ぎないのであります。今回の北九州を襲つた豪雨による未曾有の水害は一千億円の被害であると言われておりますが、困窮にあえいでいる地方自治体はますますその極に達しているのは言うまでもないところであります。又夏季手当といたしまして、七月暫定予算中に別に○・五カ月分を計上することは、経済上の悪条件の中に呻吟している全国の公務員に対して、当然考慮されねばならないところであると思うのであります。然るにこの苦難の生活にあえぐ公務員の叫びを全く無視した政府の態度に対しましては、産業協力者と申された総理の心意が奈辺にあるか疑わざるを得ないのでありまして、政府の不誠意に対し反対せざるを得ないのであります。
 反面政府は防衛支出金百四十五億円、保安庁経費三十一億円の巨額に上る経費を計上しているのであります。これを民生安定費、災害対策費、公務員手当等に比べますときに、本暫定予算が再軍備的な性格を持つものであるということができると思うのであります。このことは木村保安庁長官の放言、或いはMSAの援助の問題等の政府の態度を待つまでもなく、本暫定予算に明らかにその再軍備の性格を見ることができるのであります。我が党は衆議院におきまして左派社会党と共同して組替動議を提出いたしましたが、参議院におきましても以上の観点に立ちましてごの政府案に反対するものであります。
○委員長(青木一男君) 森八三一君。
○森八三一君 私は只今議題になつておりまする昭和二十八年度暫定予算補正第二号三案に対しまして、原案に賛成をいたすものであります。
 ただ、この際一言申上げたいのは、この予算の執行に当りまして、相次いで起つておりまする災害の対策は一日もゆるがせにすることができません。極めて大切な問題でありますることは政府当局もよく御承知のことであります。各般の対策が順次予算に基礎を持ちつ進められて行くと思いますが、徒らに調査等に日時を要しまして、応急対策の実が上りませんようなことにとになりましては甚だ遺憾でありますので、対策は立てられましても、実施いたしまする末端におきまして事務上の手続が煩瑣を極めて、そういうことのために又この趣旨が十分に達せられません。効果が現れて参りませんようなことも過去においてはしばしば経験したこともありますので、今回の災害が極めて大きいことにも鑑みまして、立てられます対策が速かにその実が上りますように、この予算の施行については最善を尽されたい希望を申上げます。
 その次に、これは直接予算の施行に関連する問題ではございませんが、昨日この議場におきまして総理の御答弁の中に、直接総理が立ち会つておられるときの閣僚の皆様や、政府委員各位の答弁については責任を十分にとるが、総理のいらつしやいませんときのことについては、必ずしも全面的にそういう態度はとれないというような表現があつたように記憶いたすのでありますが、この議場における質疑は、質問をいたしまする委員と当局との間だけの問題ではないはずでありまして、この質問を通じて一般国民がいろいろの問題について理解をして行くということになるわけでありますので、今後の答弁につきましては、いやしくもこの議場で表明されまする諸般のことについて、軽々にそれが変更を見るというようなことがございませんように、十分整理し責任を持つて臨まれるというような態度でありたい、当然そうなければならんと考えますので、今後の審議につきましてこういう点に格別の留意をされたい希望を申添えまして本案に賛成をいたします。
○委員長(青木一男君) 木村禧八郎君。
○木村禧八郎君 私は七月暫定予算の政府原案に四つの理由から反対いたします。
 第一の原由は、この暫定予算は四、五、六の暫定予算と性格が違つておりまして、政府の説明によれば、二十八年度本予算の一部として出されておるのであります。従いまして三十八年度予算がまだ通らないうちにこの一部だけの、この七月だけの暫定予算をこれをここで承認するわけには行かないわけです。四、五、六については緊急止むを得ざる経費だけを出して来たという答弁でありましたが、この七月暫定予算は本予算の一部として出して来るという、こういうことであつて、その内容についても今までの説明としての暫定予算の域を超えているものがあると思います。こういう意味で私はこの予算に賛成できないのであります。
 それから第二の理由は、この暫定予算の本体である二十八年度本予算について私は反対であります関係上、その一部としてのこの七月暫定予算に賛成できない。本予算に対する反対意見はこれは又本予算のときにおける討論において申述べたいと思いまするが、要するにこの本予算の特徴は財政規模、減税、投融資、経費の配分、この四つの点に特徴があるのでありますが、財政規模につきましては政府は縮少していると言いますが、これはこまかしでありまして、補正予算の出て来ることを考えれば必ず財政規模は非常に大きくなるのであります。而も政府は国民所得を水増しをして計算し、更に又投融資までもこの財政規模の中に加えて如何にも国民所得に対する財政規模が小さいがごとく見せかけておる。こういう点についてこれは本予算のときに詳しく審議もし討論もしたいと思いますので、この程度で私は財政規模については意見を申述べませんが、第二の減税についてはこれも時間がございませんから簡単に申上げますが、これもいわゆる名目的な減税であつて、この減税の反町食糧価格は上り、鉄道運賃は上り、而も今度は秋には電燈料金が上ろうとしております。又電話料金も上ろうとしておるのであります。従つて実質的な減税にはならない、そればかりでなく、この裏付けになつている税制改革は大法人や富裕者のみに非常に厚くして、富裕税も廃止しようとしている、こういうような非常に不公平な税制を裏付とし、又名目的な減税であるという点で賛成できない。投融資につきましても赤字公債を出しておる、この赤字公債は結局は軍事的生産的支出のために充てられるものであるので、こういう投融資についても賛成できない、経費の配分にも民生費とそれからいわゆる生産的軍事的支出との割合、これは政府は保安庁費を減らして民生費を殖やしたと言つておりますが、これはやはりもつと具体的に検討して行けばそれはごまかしであると思います。社会保障費が予算の〇・〇七くらい、一割にも達しない、軍事的生産支出は二割にも達している。こういう点で我々は本予算に賛成できない、そういう意味でこの一部としての七月暫定予算には賛成できない。
 反対の第三点は、この暫定予算は総則の六条に世界銀行からのいわゆる外資導入ですか、その金利保証が六条に出ておるのです。これは世界銀行からの外資借入の条件で私質問いたしましたが、それ自体に私は問題がある。約四千万ドル借りる外資が、全部がアメリカからの機械輸入に充てられてしまう、こういうような形の外資導入はすべきでない。更に又金利も一般諸外国に貸付けている金利より高い、条件が不利である。こういう意味からもこの条件自体に反対でありますが、又暫定予算にこういうものを出して来るべきでない、そういう点で賛成できない。
 最後にこれは夏季手当の問題でありますが、この前六月暫定予算において、大蔵大臣はとくと考慮すると言われた、それがこれに実現されておりません。こういう意味で私は大蔵大臣はとくと考慮すると言われましたが、それは誠意を以てこれを考えておらない。
 以上の四点を以て私はこの暫定予算に反対するものであります。
○委員長(青木一男君) 堀木鎌三君。
○堀木鎌三君 私は改進党を代表いたしまして、只今議題になつております昭和二十八年度補正予算第二号三件につきまして賛成の意を表するものであります。
 七月分の暫定予算につきましては、従来の四六月分の暫定予算とやや趣きを異にいたしまして、二十八年度の予算を基礎といたしましてその一カ月分を計上いたしております。又部分的に見ますと、相当新らしく考慮すべき経費も組まれておるのでありますが、大体これらはおおむね妥当なものと認めるのであります。
 ただ、ここで申上げて置きたいことは、最近起りました風水害に関しましても十五億しか七月分について計上いたしてありませんが、大蔵大臣の説明によれば、四六月分が相当多額繰越してありますために、七月分としては事態に対処するのに実際問題として余り支障を来すことはないのでなかろうか、ということを考えます。なお、公務員の夏季手当等につきましても、先ほど大蔵大臣から御説明がありました等を勘案いたしまして賛成をいたしておくのであります。
 併しながら二十八年度一般会計その他につきまして、今後についての態度はここではつきりと保留いたして参るつもりであります。二十八年度の予算一般を審議するに当りましては、改進党といたしましても相当各般に亘つて論議すべき多くの問題を残しておると考えますので、将来に対する我が党の方針は、この七月分の暫定予算に対して賛意を表しますることによつて、将来に拘束をされるものでないということを明らかにいたしまして賛意を表する次第であります。
○委員長(青木一男君) 三浦義男君。
○三浦義男君 私は純無所属クラブを代表いたしまして意見を述べさせて頂きたいと思うのであります。
 現に起つておりますこの内外の諸情勢の大きな変化、又このたび起りました稀有の豪雨によります九州及び中国地方の大水害の処理について考えてみましても、いろいろ二十八年度の予算につきましては意見を持つのでありますが、ここに議題になつております昭和二十八年度一般会計暫定予算補正第二号外二件は現在の国政を運用して参ります上におきまして、どうしても必要なる最小限度のものであるという意味におきまして私はこの予算に賛意を表するのであります。
○委員長(青木一男君) これを以て討論の通告は全都終了いたしました。
 これにて討論を終結し、直ちに採決に入ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(青木一男君) 御異議ないと認めます。
 これより昭和二十八年度一般会計暫定予算補正第二号外二件を一括して採決いたします。三案に賛成のかたの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○委員長(青木一男君) 起立多数であります。よつて三案は可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は前例により委員長に御一任を願います。
 次に賛成のかたは順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    西郷吉之助  高橋進太郎
    小林 武治  伊能 芳雄
    西川彌平治  石原幹市郎
    小野 義夫  石井  桂
    泉山 三六  鹿島守之助
    大谷 贇雄  白波瀬米吉
    上原 正吉  森 八三一
    中川 幸平  吉田 萬次
    岸  良一  井野 碩哉
    新谷寅三郎  田村 文吉
    三浦義男   堀木 鎌三
    高木 正夫  中山 福藏
    武藤 常介  柏木 庫治
    最上 英子  瀧井治三郎
    高橋 衛
○委員長(青木一男君) 御署名洩れはありませんか。
 御署名洩れはないものと認めます。
 これを以て散会いたします。
   午後七時三十六分散会