第016回国会 通商産業委員会 第3号
昭和二十八年五月三十日(土曜日)
   午前十時四十七分開会
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 出席者は左の通り。
   理事
           松本  昇君
           三輪 貞治君
           小松 正雄君
   委員
           西川彌平治君
           豊田 雅孝君
           海野 三朗君
           藤田  進君
           山口 重彦君
           團  伊能君
           白川 一雄君
  政府委員
   通商産業政務次
   官       古池 信三君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       小田橋貞壽君
   常任委員会専門
   員       山本友太郎君
   常任委員会専門
   員       林  誠一君
  説明員
   中小企業庁振興
   部長      石井由太郎君
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  本日の会議に付した事件
○通商及び産業一般に関する調査の件
 (中小企業対策に関する件)
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○理事(松本昇君) それでは只今から通商産業委員会を開会いたします。
 本日は委員長は止むを得ない用事があられますので、私その間代理をするということでございますからよろしくお願いいたします。
 それでは只今から開会いたします。
 本日は昨日の会議に引続いて、中小企業問題を中心に進めてみたいと思つておりますが、中小企業庁からも振興部長の石井部長がこちらに見えておりますから、最初に現在の中小企業の金融の面についての事情等を簡単に御説明願つて、それによつて皆さんがたの御意見なり御希望なりいろいろ御発表頂くことがよろしいかと思います。では石井部長から御説明願います。
○説明員(石井由太郎君) 中小企業の金融につきましては、平素いろいろの施策を尽しまして、その円滑化に努めておるのでありますが、最近相互銀行、信用金庫等が丁度二年前の法制の整備によりまして著しく伸張して参りまして、中小企業金融のために相当活躍いたしておりますことが先ず特徴的な事項であると思います。即ち相互銀行におきましては二十六年出発以来二カ年の日時を経過する間に資金の量は約二千五百億、信用金庫につきましては約千五百億の資金に達しておるのでございまして、従来の無尽会社或いは信用組合当時に比べますると、又一般金融機関の預金貸出量の増加に比べますると、おおむね倍増という程度の比率を示しておるのでありまして、その面から最近中小企業金融に最も貢献しておるのじやないかと考えております。又準政府機関と申しまするか、組合金融の中核体でございました商工中金におきましては昨年三月末約二百億の資金運用量でございましたのが、本年三月末には概数で申しますと約三百六十億の資金運用量でございまして、これ又約八割の資金増加を一年間にいたしておるわけでございます。この面からの中小企業金融の改善というものは相当見るべきものがあると存ずる次第であります。国民金融公庫につきましては、詳細は大蔵省の金融課長が見えておりますので、御説明があると存じますが、これ又逐年資金を増加いたしまして、中小企業者に対する極めて質素な、且つ最も親切な金融機関としての世評を受けておる次第でございます。一般市中銀行、或いは地方銀行等の中小金融の状況は、一頃非常に全貸出比率の中で中小企業者に対する分が減つて参るという傾向がございまして、例えば全国銀行勘定で見ますと、昨年七月頃におきましては、全貸出量の二四・七%程度が中小企業向けと申しまするのは、資本金三百万円以下の会社並びに個人向け融資ということに相成つておつたのでございますが、最近の統計におきましては、逐次上りまして、二六%近くが中小企業向け融資という比率に相成つておるのでございます。併しながらかくのごとき表面的な資金の比率或いは貸出量の増加だけでは、未だ以て中小企業金融が真に改善されておるとは申上げ得ないのでございまして、例えば下請関係の支払が非常に停滞いたしておりますとか、或いは不渡手形が増加しておりますとかいうような事例に見られますごとく、まだまだ中小企業金融の十全な疏通ということは、今後十分に努力しなければならん節が多いかと思うのであります。なかんずく下請関係の支払の遅延問題は、昨年夏頃以来世上に極めてやかましい問題になつたのでございますが、政府といたしましては、十二月に先ず政府関係機関の下請払いを促進しようという見地から、各省、各庁、各公社は各政府契約の相手方に対しまして、その下請への支払を促進するように各契約担当官において随時勧告をする、又時期によりましては、直接払いを下請にするように委任状をとるというような措置をも講じまして、先ず官庁関係の調弁につきましての下請支払を促進することを進めたのでございます。同時に民間企業の下請払いの促進につきましては、全国銀行協会連合会の協力を求めまして、当協会の融資実施規正委員会におきまして、下請支払の融資を特に優先的な融資の方針をとる、又下請企業が親企業から受領いたしました手形で期間の長いような手形は、通常の手形割引の条件よりはずれておりましても、これにできるだけとるようにするという態度を決定いたしまして、金融機関側からもこれを促進する取扱を進めてもらつたのでございます。両方の措置によりまして、下請支払関係は最近相当好転しておるというのが、私どもの承知いたしておるところでございまして、日本銀行の融資斡旋部等の調査によりましても、下話関係の支払は一頃に比べますると、相当好転いたしておる。特に従来大企業で納品の仕切日或いは支払日というようなものが全然一定せず、持つて来たまま、都合のいいときに払うというような建前でありましたのが、逐次改善されまして、納品の仕切日と締切日と支払日とを明確にして仕切をつけるという傾向が、大企業におきましても相当顕著になつて一つておるようであります。但しその半面におきまして、従来のように書くの契約関係ではなく、はつきりとした契約関係に基いての単価なり納期なり、或いは検査規格なりをはつきりして受渡しするという傾向が強くなつて参りまして、例えば値段についての値引を要求される、或いは納期の厳守が要求される、或いは検査規格が昔よりやかましくなつて来たというような苦情も、下請中小企業方面から聞かれておるところでございますが、併しこの辺につきましては、取引の常道から申しましても、ただ故なく下請の支払期間を延ばすのに比べますれば、正しい行き方と言わざるを得ないのでありまして、中小企業庁といたしましては、各中小企業に向いまして診断制度の徹底、或いは各種の金融措置等を講じまして、いい品物を正確に納めるという態勢を整えさせつつある次第でございます。
 なお最近不渡手形の増加が中小企業にとつて非常に一つの大きな問題と相成つておるのでありまして、世上で非常にやかましくなつておるかと思うのであります。統計によつて調べますると、二十六年中における全国の不渡手形は二十九万四千枚、三百二十一億であつたのが、二十七年には三十八万七千枚、四百十九億という金額に上つておるようであります。即ち二十六年におきましては月平均二万五千枚弱、二十七年におきましては三万一千枚程度に相成つておるわけであります。二十八年になりましてから、一月三万三千枚、二月三万六千枚、いずれも記録を更新しつつある悲しむべき状況であります。ただその原因を調べてみますると、なお一般的には中小企業者の一件平均の手形金額は十万円前後という金額でございまして、勿論私どもの関係いたしまする中小企業関係の手形が多いことを推測せしめておるのでございますが、その原因は一般的には資金難にあると思われるのでございますけれども、なお最近銀行等正当な資金関係を持たないにもかかわらず、手形を濫発しておるというような傾向が多いように窺われるのであります。即ち不渡手形の中で銀行から取引停止の処分を受けておりまするものが、二十六年には三万五百八件、即ち月平均二千五百枚程度、二十七年には四万六千三百十四件、月平均いたしますると、四千件にやや近い数字と相成つております。この取引停止の状況を地域的に見てみますると、不渡手形の七〇%以上は大体東京で発行いたしておるのであります。而も東京における不渡手形と取引停止の関係を調べてみますると、不渡発生に伴いまして、銀行から正式に取引停止の処分を受けたものは、即ち換言いたしますと、一応銀行と資金関係があつて手形を発行したと思われるものは一割以内という状況であります。これが大阪に参りますと、大阪では不渡手形を出しました人員の中の三割程度は、銀行からやはり取引停止の処分を受けておるという状況でございまして、まあいわば正当な資金関係のある業者が手形を出し、それが不渡りになつておるという率が高いというふうに思われるのであります。勿論東京における不渡の非常に多いということ、それから銀行から正式に停止処分を受けておる数が少いという間の関係には、一度出しただけで、二度、三度目には正式に出さないという事態になつたから、取引停止になるものが多いのでありますれば、これは何も恐るべき現象ではありませんけれども、ただ手形交換所の調査等によりましても、どうも正式に取引関係のない銀行を支払場所として手形を出しておるものが非常に殖えておるという、いわば詐欺類似の手形が横行しておるということでございまして、これは中小企業者の関係者が多いこととは思いまするけれども、非常に憂慮すべき事態と考えております。これに対しましてまあ不まじめな手形の発生防止につきましては、金融機関のほうで用紙の統一等を中心としていろいろ防止対策を講じておるようでございまするし、又中小企業者自身につきましては、中小企業信用保険制度でございますとか、或いは信用保証制度等を利用いたしまして、事前に正常な金融をつけることによつて手形不渡等の憂慮すべき事態を発生させないように未然に防止するということを根本方針として指導いたしております。
 なお信用保険制度及び信用保証協会の話が出ましたので、これらの機関の活動状況を申上げますると、信用保険制度は発足以来非常に利用件数等も少うございまして、曾つての当委員会等におきましても、その効果如何というようなことが論議されたこともあつたのでございまするが、これも一種の社会保障制度と同じような制度でございまするので、逐次その利用が普及して参つておるのであります。年度一ぱいで、信用保険制度が動きましたのは二十六年度からでございまするが、二十六年度におきましては三千七百六十五件、四十八億七千万円というものが本制度によりまして資金の融通が受けられておつたのでありまするが、二十七年度におきましては七千七百十二件、五十一億五十二百万円という数字に相成つております。ただ昨年秋頃から本制度に対しまする利用が非常に活酸化いたしまして、従来四、五億という月平均の利用率でありましたのが十億の利用を増し、三月に至りましては、十五億一百万円という利用に相成りました。この制度は各種金融機関を通じて利用され、又各地域、各業者、中小企業者に均霑しているということであります。信用保証協会は現在五十一の財団又は社団法人制度の信用保証協会でございますが、三月末における保証件数六万九千四百五件、保証金額二百四十三億、なお保証協会の出資の総額は四十五億余ということに相成つておりまして、年にいたしますと、大体六百億以上の中小企業者向けの資金が本制度によりまして融資されておることになるかと思うのであります。
 以上中小企業金融の現況並びに関連の状態についての概略を申上げた次第であります。
○海野三朗君 政府の中小企業に融通したお金は何ほどになつておりますか。昨年度の政府が中小企業に融資したお金は何億でありますか。そのことと、それからもう一つ、政府が中小企業に融通しようという、そのお金のうちの何%が融通されておりますかということ。それから中小企業に融資する場合に、その条件は普通の銀行が貸付けるところの条件に準じておるのでありますか。その基本方針を伺いたいということ。
○説明員(石井由太郎君) 政府が中小企業向けに政府資金を融通する形といたしましては、開発銀行を通じまして、中小企業向けに放出しております資金でございます。これが第一であります。昭和二十七年度におきましては開発銀行におきまして、約三十六億、見返資金特別会計の資金を開発銀行が業務を開始します前に日本銀行において取扱つておりました中小企業向け融資が約、これは不的確な数字で後ほど訂正するかも知れませんが、十七億程度だと心得えておりすす。
 それから国民金融公庫が一般会計からの出資並びに資金運用部からの借入で行いました融資額が百九十億、それから資金運用部の金融債引受を通じまして、商工中金の金融債引受を通じまして中小企業に流れた金が約三十億であります。それから政府の一般会計からの資金を商工中金に貸付けまして、これを中小企業者に流したのが二十億でございます。なおこれは正式に中小企業者に長期の金といたしまして流すべく流した金でございまして、そのほかに随時国庫の余裕金を或いは市中銀行、或いは信用金庫、或いは相互銀行等に預託いたしまして、中小企業への金融の一端になるようにという施策を補足的に講じております。
○海野三朗君 昨年でありましたか、政府から中小企業に融資をするからと言つて、政府の役人が山形県に来て、誰だか知らないが大きなことを言つておつた。ところが中小企業の者がこれから融資を受けんとする段になりまして、条件が非常にむずかしい。そうして又その手続が何日もかかつておるので結局借りられないという結果に終つておるやに聞いております。私は山形県出身でありますが、政府から来ていつでも金を使え、金があるからというようなことを言いふらしておりながら、これによつて救われた業者は甚だ稀であると私は考えるのであります。そういう点の政府に本当に地方の中小企業者を救うという意思があるのかどうかということについては非常に疑念を抱かざるを得ないのでありまして、どういう基本によつて融資しておられたのであるか、これを承わりたいと思います。
○説明員(石井由太郎君) 政府資金が中小企業者に流れます道は只今申上げましたように開発銀行を通じまして流れまするのと、それから商工中金を通じて流れまするのと、国民金融公庫を通じて流れまするもの、これを主要なルートといたすわけであります。将来中小企業金融公庫等が発足いたすことになりますれば、これも一つの政府資金の中小企業向けに流れるルートになるわけであります。国民金融公庫の資金の貸付方針といたしましては、大蔵省の金融課長から御説明願いたいと思うのでありまするが、商工中金並びに開発銀行の融資の方針につきまして申上げますれば、先ず開発銀行の中小企業向け融資でありますが、これは各中金融機関を代理店に使用いたしまして、中小企業者はその代理店に融資を申込む、そうしますと代理店でそれを審査いたしまして、一〇〇%その回収について責任が持てるという場合でございますれば、金融機関自身が貸付けの決定をいたしまして、そうして事後に開発銀行に報告いたしますれば、開発銀行から所要の資金が廻されるということになるわけでございまして、一般銀行から資金の融通を受ける場合とほば同様な日数で手続が進むわけでございます。ただ違いまするところは、利息が一般の金融機関よりもやや低利である。期間も長期の金を使えるという点が市中金融機関より融資を受けるときと違うわけであります。又市中金融機関が一〇〇%返済について責任を持つことができないけれども、半々ならば責任が持てる、或いは三割ならば市中金融機関として責任が持てるというような場合でございますると、これは開発銀行の中小企業の融資部のほうへ書類が廻りまして、そこで審査を受けて貸付けられるわけでございます。従いまして、期間といたしましては、丁度市中金融機関が貸出をいたしまする場合に、東京の本店等に伺いを立てて貸出しまする場合とほぼ同様な扱いになるわけでございます。ただこの場合の両者の場合の市中金融機関の貸しまする態度でございますが、これは十一大銀行の支店でありまする場合と、或いは地方銀行の支店でありまする場合と、或いは相互銀行、信用金庫等がその代理業務をやつております場合には、それぞれの金融機関が持つております持味というか、融資態度というものがおのずから反映することは避け得られないことであります。政府の金といえどもやはり返済についてみずから責任を負うのだということになりますと、その幅においての審査をして貸付けておるわけでございます。商工中金の貸出の方針につきまして申上げますれば、これは商工中金は政府の出資も入つておりまする金融機関でございまするけれども、同時に民間の資本を主たるベースとして、又資金運用部の資金でございまするとか、或いは金融債でございまするとか、資金運用部資金のごときは、殊に郵便貯金或いは簡易保険の積立金といつたような零細まこれ又庶民大衆の金を、いわば信託的に運用いたしておる関係もございますので、金融機関としての審査を一応するわけでございます。但し商工中金の場合でございますれば、能う限り、中小企業者が組合組織等を通じまして、その経営を合理化し、改善して行けるようにという指導をも加えつつ融資をいたしておるわけでございます。その融資するに適合いたしまする限り、開発銀行の代理貸の業務を通じましても、又商工中金自身の資金を対象といたしまする場合につきましても、融資は中小企業の育成ということを念慮しつつ行なつておるわけでございます。
○海野三朗君 地方別について幾らという御記録がございますか。若しありましたら伺わして頂きた。
○説明員(石井由太郎君) 全体につきましてのあれは、若し御要求でございますれば後刻資料等として提出したいと存じておりますが、只今お手許に配付いたしました「中小企業金融」という五月下旬号でございますが、その八頁を御覧頂きますと、これは開発銀行の中小企業向け融資でございまするが、大体地域別に融資の指数及び金額が計上せられております。これによりまして大体の概数を開発銀行の中小企業融資につきましては御承知願いたいと存じます。
○海野三朗君 受付けてもその条件にかなわなかつたというて却下したものもございましよう。
○説明員(石井由太郎君) それは勿論全部が全部貸出を受け得るというわけではないのでございまするが、開発銀行の中小企業融資につきましては、これ又只今の資料の六頁、貸付状況という欄におきまして申込の受理とそれから貸付承諾、左側の半ば頃に大体の状況を示してございまするが、即ち件数にいたしますると、千十二件の申込に対しまして、九百六十九件、約九割六分というものは貸付承諾をいたしておる状態でございます。
○海野三朗君 こういうふうな中小企業の行詰りはどういうところからその根本をなしておるのでありましようか。
○説明員(石井由太郎君) 中小企業の金融難の真因如何、本当の原因はどこにあるかということにつきましては、中小企業庁といたしましては、毎年十一月を期しまして中小企業者の金融実態の調査をいたしております。約八千軒程度の中小企業者に当りまして、漏れなく調査をいたしておるのでありますが、このサンプル調査によりまして全体の外貌をキャッチするわけでございます。最近の調査の結果によりますると、やはり売行き不振、或いは売掛金が殖えて来たとか、或いは手形の期間が長くなつて来た、或いは非常にマージンが少くなつて来たというような事由によるものが約六〇%を占めておるわけでございまして、やはり経営上の困難ということが大きな原因をなしておるものと考えております。従いまして、ただ金融がついただけでは解決されないのでありまして、売行き不振を打開する、従つて市場の開拓をいたしまするとか、或いは値幅が少いので、銀行から見ると危くて貸せないというのでございますれば、コストの低下なり、品質の改善なりをやりまして、利益を殖やさせる、或いは売掛金の回収に悩んでおるというのでございますれば、売掛金の減少、即ち現金売りによつて売上げを殖やすというような経営実態面の改善を伴わなくしては、結局は金融はつかないし、又金融をつけましてもその辺が解決していないことには、結局融通を受けました資金を返すときに破綻を生ずるということに相成るわけでありまして、その辺、の診断、合理化の促進ということを中心にして指導助成をして参りたいと考えておるわけであります。
○白川一雄君 私は、過去において中小工業というものが日本の国力を作つたものでというように考えておるのであります。現在におきましても、今後日本の立直るのは重工業ではなくて、中小工業が充実して初めて日本の重工業も大工業も興るのだと、こういうように考えておりますので、現在の中小工業のこの行詰りということには、まあ言葉を換えて申しますれば、非常状態だろうと思うのであります、やはりこれに対して非常な方法を講じてこれの再建を図つてやらなければ、なかなか国力の回復というものは困難ではないか、そういう意味におきまして、只今お開きましたこの金融の方法についてもいろいろこれは講じられておるようでございますが、私は逆に現実の面のほうからお考えを願う点がなければならないのではないか。果して中小工業者が今日の……中小工業に携わつておる人間は非常に多いのでございまして、又日本の現在の悩みであります人多くして職少いこの悩みを解くためにも、中小工業で人が働けるようにするためには仕事を育成しなければならない。現在の現実の状態は、成るほど金が出るという機構はできておりますけれども、実際金を出すところの面において、果してこちらの御計画通り円滑に動いておるかどうか。大企業におきましては、企業自体が政治力も持つておりますし、又渉外力も持つておりますが、零細な中小工業というものは、銀行の金の借り方も知らないというものが実情であるように思いますので、特に地方銀行等におきましては、やはり目先きが非常に有望なものでなければ容易に金を出さないのが実情でございます。併し、仕事というものは、やはり目先きは少々悪くても、先の見通しがあるという場合にはこれを盛り立ててやらなれば仕事というものは盛んになつて来ないのではないか。こういう点から、政府当局におきましては中小工業が現実に金を手に入れて仕事を生かすという、その点に対する指導をしておる現在の方法、実情というものについていささか御説明を願いたいと思うのであります。
○説明員(石井由太郎君) 中小企業の経営面の改善につきまして、中小企業或いは政府といたしまして最も力を入れておりますのは、企業について診断制度を実行いたしまして、つまり、中小企業者の経営につきましての専門家或いは技術についての専門家がその企業の内容をよく調べまして、どこに欠陥があるか、或いは販売に欠陥がある、或いは生産過程に欠陥がある、或いは機械設備が悪い、このような各種の面をよく調査いたしまして、そうして、どのようにやつたらその工場が、或いはその事業が立直るかということの勧告をいたして、いわば処方箋を書く仕事を進めておるのであります。これは企業合理化促進法の中において認められておる制度でございまして、勿論中小企業者自身からの要望がございませんければ、希望がございませんければ行えない制度でございます。診断を求められますれば政府の指定いたしました診断員が無料で診断をして上げる。そうして、それを直すべき方策を授ける。この方策の裏打といたしまして、多く資金の要る場合が多いのであります。例えば設備を改善する場合にも資金が要る。職工が多いから首を切れということが起りますれば、これ又いろいろな資金が要るというような資金面と結び付くところが多いのであります。このような資金につきましては金融機関と連携をいたしまして、能う限り斡旋に努めておるわけでありますが、将来発足をいたします中小企業金融公庫等はその運用方針の中に只今の診断、勧告の実施のために資金の優先的貸付というようなことも業務の中へ織込んで参りたいというようなことも考えておる次第でございます。従来一々の事例でございますればこれは丁度企業診断の効果が挙りました事例集を中小企業庁で用意しておりますので、この事例集を配付いたしまして説明さして頂いたほうが適当かと存ずるのであります。この診断件数は商業につきましては三万、工業につきましては約一万を数えまして相当の成果を挙げておるということを確信いたしておる次第でございます。
○白川一雄君 今の診断制度は組織的には地方に対してはどういうようにやつておりますか。都会中心主義になつておるのですか。
○説明員(石井由太郎君) この診断制度は、中小企業庁において、業種或いは地域別に大体の計画をきめまして、府県庁が中心になつて実施いたすことに相成つておるのであります。併しながら、地方によりましては御承知のごとく適当な診断員がいないということ、診断をします先生がいないという場合も多いのでございます。東京からその道のかたを招聘をいたしますれば一日の日当一万円を要するというようなことでございまして、とても中小工業者としては手が出せないというようなことに相成つておつたのでありますが、不成立に終りました予算におきましては、中央に、東京、大阪、神戸、名古屋或いは福岡というようなそれぞれの権威者のおりまする地域に有能な診断員をプールいたしまして、地方庁の要請によりましてこれを無料で派遣するという等の事業をもいたすべく予算を計上し、一部承認を受けておつたわけでありまして、今後の予算におきましてもその項、目を盛込むことによつて地方の御要望がありますれば有能なる診断員を僻遠の府県にも派遣できるようにいたそうと、こういうふうに思う次第であります。
○西川彌平治君 それにやはり関連をいたしておりますので、少しく伺つてみたいと思いますが、その工場診断に対しましては、私の知つておる範囲におきましては、只今御説明のありましたように、私は或る程度の効果を挙げておると私は考えておりまするが、いわゆる先ほどお話がございましたように診断をいたしまして処方箋を書くのだと、こういうようなお話でありましたが、その処方箋は成るほどなという処方箋は書いてあるようでありますが、処方箋だけでありまして、それから先が少しも進んでおらないように私は見受けておりまするが、それに対しましては、それぞれの御意見はあると思いまするが、具体的に何かいま少しく力を入れて頂く方法はないだろうかということ。
 それからいま一つは、先ほど大工場に対する下請工場の支払関係は漸次改善しつつあるというお話がございましたが、私の調査をいたしております範囲におきましては、よくなるどころではない、逆に悪くなりつつあるという傾向もあるのであります。こういう点に対しまして、大工場に対する、いわゆる資金難が小工場にどんどんしわ寄せをされおる。まずまず小工場が破綻一歩に近付いておるというような、私は状態がまだたくさんあるようでありますが、これに対しまして、いま少し政府のほうで大工場に対する手はないものだろうかというようなこともお伺いいたしたいと思うのでございます。
 それと、その企業診断の結論といたしまして、どこの診断をいたしましても、仕事の量が不足であります。殆んど九〇%が企業診断の結果は、仕事が不足であります。そうして、その工場の、いわゆる賃金ベース等を考えますときにおきまして、大工場においては一万八千円、二万円というようなべ一スの工場があるのにかかわらず、中小工業は甚だしいのは五千円を下廻つておるというようなベースの工場がございます。かようなことを考えますときにおきまして、どうしてもこれは仕事の量をうんと殖やして参らなければならない結果がそこにはつきり生れておると私は考えておるのでありますが、そのようなものに対するお考えは如何なものでしようか。
○説明員(石井由太郎君) お話の第一点は、診断の後始末の問題だと思いますが、診断のやりつ放しで処方箋を書いて医者は帰つてしまつて、あとは知らないふりをしておるという問題でございます。これは事実御指摘のような感が深かつたのであります。ただ、市中金融機関でも主として設備資金融資等を中心といたしまする金融機関、或いは商工中金等は診断勧告の実施のための融資を極めて積極的にやつておるのでありまして、或る市中金融機関のごときは、診断勧告の実施のために融資いたしました実績表を私どものほうへ持つて参りまして、このように予想外によく行つているというような報告書も出ておりますので、先ほどの診断事例集と同時にお配りいたしまして御参考にいたしたいと存じております。又後始末をやりまする診断の効果を的実に実施しているかどうかということをトレイスする必要があるわけでございまして、この件につきまして、これも不成立になりました予算におきましては、各府県に巡回指導員を設置いたしまして、診断効果を的実に実施しているかどうかということを一々見て廻る、いわば国民健康診断の制度における保健婦のような仕事をいたす職員の設置をいたすことにいたしまして、これ又相当の予算が大蔵当局の承認を得ておつたのでありまするが、不幸不成立に終りましたが、最近提出されまする本予算におきましては極力これを盛込みまして、御趣旨のような点を考えておるような次第でございます。又診断の結論の多くは売行き不振、仕事不足という点であると思います。先ほど申上げました金融難の原因があると同じような結果でございまして、一般に通じた事例かと思われるのでございます。このためには何といたしましても市場開拓をやる必要がある。良品廉価の原則を貫きまして市場開拓をする必要があるわけでございますが、この点につきますると、国内の市場からこれを国外市場へ、即ち輸出振興へと持つて参らなければならんわけでございまして、昨日の本委員会における論議もございましたが、中小企業の多くは軽工業に従事しておる。この軽工業を中心として輸出の促進を図らんことには、国際収支の改善もさることながら、中小企業それ自身が押しつぶされて上まうというようなことになるわけでございまして、私どもといたしましては、中小企業に対しましては、内には経営の改善、良品廉価を実施し、外には転出へのつながり、転出の振興という方向へ進めることによつて仕事を多くして行くということに待つて参りたいと考えておる次第であります。
 第二点の問題でございます下請支払の改善問題でございますが、先ほど申上げましたのは、実はこれも一つの傾向を申上げたのでございまして、全部が改善されておるというわけには事実参らないのです。私どもが主として問題といたしましたのは、大企業が十分な資金を持ちながら、又仕入先のうちの巨大な事業の生産原材料に対しましてはどんどん金を払いながら、隷属しておりまする中小企業なるが故に支払を遅延しておるというようなのを指摘いたしましてその改善を図つたのであります。親企業それ自身が滞貨を抱え、或いは赤字に苦しむ、乃至は銀行信用が一ぱいになつておるというような場合でございますると、これはなかなか問題がむずかしくなるわけでございまするが、相当の預金残高もある、大企業の原材料等を仕入れたものはどんどん金を払つている、利益も相当あり、重役賞与も相当払つておるというのにもかかわらず、下請に対しては三カ月、四カ月、五カ月も遅らしておるというようなものを、いわば征伐しようというのが私どもの趣旨であつたわけであります。従いましてその反対でありまする大企業につきましては、これは大企業それ自身の経営の改善、好転ということを待つほかはないわけでございます。併しながらそうばかりも言つておられませんので、私どもはこのような支払関係の非常に悪いものは、これは少くとも公正な取引を確保しようとする独占禁止法の精神に反するものじやなかろうかと、いう見地から、公正取引委員会に対しまして適当な調査の実施を求めまして、公取におきましても最近調査を開始いたしておるようでございます。現在の独占禁止法のどの条項に当てはまるかは存じませんが、少くとも相当の資金を擁しながら、且つ大企業にはどんどん支払をやつておりながら、又十分な賃金べースを維持しながら、下請の支払だけを特に遅らせてれるというのは、何らか公正取引の確保に関する法律でありまする独禁法のどこかの精神に実は牴触しているんじやなかろうかという見地から、公取の調査をも依頼し、調査を求めておる次第でございます。
○海野三朗君 今いろいろ詳しい説明を伺いましたが、結局するところ、この日本の内地におきましては品物が不足しておるのではなくて、はけ口がないのが根本であると思うのであります。この中小工業の問題も、結局するところ対外貿易にある。又最近の中共の内情を引揚者から聞くところによりますと、日本内地で生産されるところの軽工業に属する方面の品物が非常に中共から要求せられておるのであります。結局するところ、人間が多くて、日金がなくて、仕事がないというのは対外貿易ができないというところにある。そういうふうに私は考えるのでありまするが、政府の御当局の御所見を承わりたい、こう思うのであります。結局中小企業の行詰りは何か、対外貿易ができないのだ、中共なり東南アジアヘの貿易は自由にできないのだ、そういうところに根本があると思うのでありますが、政府御当局の御所見を承わりたいと存じます。
○政府委員(古池信三君) 只今お説のございました通り、我が国としましては将来どうしても輸出によつて国の産業を盛り立てて行かなくちやならんということは全く御同感に存じます。中小企業にいたしましても、或いは又中小企業が下請となつて製品を作つておりまする大企業の場合におきましても、日本の立場としましては、もう貿易振興によつて海外に品物を売出す、これが最も重要なる産業政策であろうと思うのであります。従いまして東南アジアなり或いは中共方面に対する貿易の振興ということにつきましては、我々としまして、勿論国際情勢もございまするから、それらの点も勘案いたしまして、極力努力いたしたいと存じておる次第でございます。
○藤田進君 事務当局ですから細かい質問をしてみたいのですが、中小企業の消長を示すものに統計がいろいろあると思うのですが、最も新らしい資料で、中小企業の閉鎖か、或いはその数の上において殖えておるか、その増減など今わかりますか。
○説明員(石井由太郎君) これは私どものほうで発行しておりまする資料でございます中小企業情報と申しますが、これに大体中小企業の主要なる消長を示す指標、例えば只今開廃業の状況でありますとか、大企業との賃金差でございますとか、労働基準法の違反件数でございますとか、賃金不払の実例でございますとかいつた消長の動きが示されておりまするので、近い機会にこれを配付いたしまして御参考にいたしたいと思いますが、只今お話の件数を申上げますと、大体の幅は現在労働省の統計調査によりますると、月平均にいたしまして開業約二千軒強、廃業約九百軒ということの幅で動いておるのであります。月によりまして若干の増減異動はございまするが、それが大体の趨勢でございます。
○藤田進君 これはまあ月によつて違うでしようし、それから全体としては千百殖えて行くと思いますが、二千の開業と九百の閉鎖ということになりますと、これは変動もあると思うのです。それで私の知りたいのは、終戦直前の一九四〇年あたりから知りたいけれども、併し若し資料がなければ戦前のどこからでもいいです。それから現在最も新らしい期間までの消長を知りたいことと、できれば地域別に、府県別ならば一番いいですが、そういつた点。それからもう一つはおのおのの産業によつて違うけれども、やはり健全性を示す一つの資料があると思うのです。バロメーターになるものがあると思うのです。例えば産業によつて違うけれども、普通言われているのは一般の経費と人件費の割合とかいつたようなこと、これなどが若しわかる資料があれば提供して頂きたいと思います。今直ちにお答え願わなくてもいいのですが……。
○説明員(石井由太郎君) 大体御要求の資料に近いと思うのでございまするが、中小企業庁で用意してございまするので、部数が揃つておると思いまするので提出さして頂きたいと考えております。
○藤田進君 私どこだつたかはつきり覚えていないのですが、いい資料があるのです。役所に行けばあるのですが、机の上では見られるんだけれどもさて頂きたいときには、どうも政府のほうのと言いますか、外部へ出してはいけないというようなこともあるので、資料がかなりあるようですが……。ああいつた点がやはり事務当局では折衝できないので、どこか頼めば頂けますか。具体的にはここで言われなくても、あとでいいのですが……。
○政府委員(古池信三君) 資料のお話がございましたが、国会におきまして特にこの通産委員会として御要求のありまする場合には、我々のほうとしても場十分に御期待に副うべく資料をできるだけ御提出するように努力するつもりでございます。なお、必要によつて既成の資料がなければできる限り新らしく作成をいたしたい、御満足の行くように努力いたしたいと思います。
○海野三朗君 只今古池次官から貿易の必要性を認めておるというお話でありまするが、それに対して現在政府は如何なる手を打つて如何なる段階まで来ておるのでありましようか。又いつになつたならばこの貿易のめどがつくのでありましようか。その打つておられる手を伺いたいのであります。
○政府委員(古池信三君) お答え申します。これは非常にむずかしい問題でありまして、いつになつたらどの程度貿易が好転するかということは、内地の産業の問題もございまするが、又相手方の事情もございまするので、ここではつきり申上げるということ日はこれはちよつと困難であろうと存じます。私たち考えるところによりますると、先ず何としても外国に出すのにふさわしい品質の優良なるものを速かに作り、且つコストをできるだけ下げて国際価格と競争ができるような、要するに良質廉価の品物を早く作り得るような態勢を作る。更に対外関係としましては、できるだけ早く主流となるべき国々との間の通商協定を結びまして、相手方の好感を得、又相手方にも利益1になるような意味合いを以て貿易の振興ということを図つて行かなければならんと思います。一方だけ、こちらだけがいいというようなものでは、これは到底貿易の振興はできないと思います。共存共栄というようなことを考えつつ内地の産業の合理化も促進して参らなくちやならん、かように考えております。
○海野三朗君 今私はそれを伺つたのではありません。貿易促進に対して如何なる手を打つておられるかということをお伺いしたいと思います。今内地で品質のいい物を作れ、それは御尤もでありまするが、今日本の製品でも東南アジア及び中共方面では非常に欲しがつているものがたくさんある。貿易促進に対して如何なる手を政府は打つておられるか。ただ漫然と時期の至るまで待つておられるのではないか。国際的の情勢がこうであるから、ああであるからと言われますが、それではならないのであつて、今如何なる手を政府は打つておられるか、その具体的なことを承わりたいと申上げたのであります。
○政府委員(古池信三君) 具体的の手と申しましても、甚だこれは申上げにくいかと存じますが、要するに今申しましたような対外的な総合的な通商上の折衝をして行く。これが市場開発のやはり具体的な貿易促進の方法であろうと思います。
 それから第二は、先ほども申上げましたように、幾らこちらがそういう外交交渉に骨を折つてみても、でき上つた品物が外国で欲しい満足できるような品物ができなければこれは幾らしたくても貿易はできないのであります、これが根本の対策であろうとかように考えて、それにつきまして着々いろいろな面に手を打つておるような次第でございます。
○白川一雄君 只今のお話のように、いい物を安く作れということは昔から言われておることで、今更聞かなくても原則論として当然のことであろうと思います。ただそれができないので現在困つておるのであります。ただそれが一朝一夕に簡単に仕事というものはできるものじやありませんので、又現在のネツクをどうして打開するかということが中小工業に非常に関連性のあるものではないか。例えば物を売りつけられるような立場にある国と講和条約ができて、こちらから売る立場にある国との講和条約はまだできないというような不仕合せの面も出ておりますし、聞くところによりますと、日本以外の国は香港を通じて異にどんどん物を売つておる。ただ日本だけが罐詰にされて日本で望む市場に物を売ることができないというような、こういう不自然を早く取除くことが現在の当面の問題ではないか。吉田総理大臣は、新聞紙上に伝えるところによりますと、中共地区は僅か三%ぐらいのもので大した過去の実績はないのだというようなことを言われたということでありますが、今日の日本は三%ぐらいでもそれを回復するということが大事なのではないか。我々として知りたいのは一体中共に物を売つてはいけないという制約はどういう程度にアメリカから加えられておるのか。軍需物資と言いますが、軍需物資というものも線を引いて見ますと、極端に言えば水でも軍需物資だと言うこともできるように考えられるので、どの程度が軍需物資になるのか、その辺も当局のほうでおわかりならばアメリカの日本に対する制約の限度というものを我々に知らせて頂くと、今後このネツクを取除くのに非常に効果的ではないか、こういうふうに考えます。
○海野三朗君 只今のに関連いたしまして、貿易の促進に対して如何なる具体的な方策をおやりになつておるかということを伺つたのでありますが、只今のお話のようにいい品物を作ればどこにでも売れるのでありますが、現在の日本の製品にいたしましても東南アジア、中共方面においては涎が流れるほど望んでおるのであります。それができないということは、今の政府のやり方が更にこの封じられたるところに我々日本人をそのまま押込めて悟然として知らないふりをしておるかのごとくに考えられるのであります。私はこの意味において政府御当局がいま少し現実の姿をはつきり眺めて頂いて、そうして或いは中共と言わず、東南アジアと言わず、向うに行つて日本の製品の展示会でもやるというようなお考えがないのか。いつまでたつても私は売るべきところに売ることができないで、そうして高い原料を売付けられておる我が日本といたしましては、中小工業へ幾ら政府がじたばた踏んで金を貸してみたところで、結局するところ、格子なき牢獄の中に追込められるよりほかに途がないと思うのであります。この貿易についての具体的な方策と申しましたのは、日本の製品を外国に持つて行つて展示会でもやる御意思がないのか、そういうところの御意見も承わりたい、私はこう申すのであります。
○政府委員(古池信三君) お答え申上げます。只今お尋ねの御趣旨もだんだんとわかつて参りましたのですが、お示しのように、今後海外に持つて行つて日本の商品の見本市を開くというようなことは是非やりたいと考えております。すでに東南アジア方面におきましても、具体的な計画が今進められておるのであります。又これに関連いたしまして輸出品に対するいろいろ信用保険制度の強化、これは今までもやつておつたのですが、今後は更に一層これを強化して輸出商の便宜を図つて参りたい。かようにも考えておりまするし、又御承知のように戦前は日本にも相当大きな商社がございまして、これが日本の貿易振興の上に役立つておつたのでありますが、戦後はそういう大きな商社も少くなつて参つておることも御承知の通りであります。今後は合理的な範囲におきまして十分商社の力をつけて行くというような意味におきましても、政府としてはできるだけ尽力をしたい、かように考えております。
 更に最初お話になりました中共方面に対する輸出品の制限、これは御承知のように国連関係その他の問題もありまするけれども、我々としましては平和的な用途に向けられる品物で、而も中共方面で強く要望しておりまするものは、できるだけ向うに送つて取つてもらうような方法も講じたい、かように考えておるような次第であります。
○三輪貞治君 昨日も貿易の問題でいろいろ御意見を承わつたり質しましたが、どうも聞いていると日本の場合は特に政府の確固たる信念と申しますか、非常に強さというものがないように思うのであります。いつも遠慮されて消極的である。私は丁度昨年の二月、三月、四月にかけましてずつとインドのほうを廻りましたが、丁度インドのボンペイでソヴイエト圏の品物の展示会を開いております。ところが同じ州に、ニユーデリーではアメリカの技術援助の会議を開いておる。丁度日本で言えば大阪で中共の展示会を開き、東京でアメリカとの会議を開く、こういうことを実際にやつておる。而もそれについて質してみますと、中共に場所を費してボンベイでそんな展示会を開けば、アメリカの技術援助が加わらなくなりはしないか、こういうことを聞いてみますと、加わらなくてもいい、加わらなければ我々はほかの技術を入れるからいいのだ。これくらい強い肚でやつている。日本の場合は私は昨日もちよつと触れましたが、例えば中共貿易が制限されておるバトル法についても、一体どこまでこれを守らなければならんということについて疑問がある。又同じ圏内に入つている西洋の陣営の中でも、日本よりも非常に緩和された状態にある国が多い。特にイギリス等は殆んど日本と比較にならないくらいの軽い制限しか受けていない。日本だけそういう制限に甘んじ、而もなお昨年の岡崎さんの御答弁のごときを見ると、日本くらいの制限が当り前であつて、イギリスも日本と同じような制限を受けるべきである、国連協力の立場から……、こういう考え方です。非常に弱いと思う。もつと積極的に日本の中小企業というものはそういうものを打破ちつて行かなければ救われないのだという確信を持つてやつて頂きたい。特に具体的な一つの事例がございます。今度のイランとの出光興産の場合のごときも、昨日の通産大臣の意見を聞いてみますと、日英通商会談との推移を見守りつつ慎重にやりたい。これはその通りだと思う。ところがガソリン、油ぐらい国際的なカルテルの中で日本が独占的に値段をきめれて押し付けられている状態はないと思う。燃料とか、動力源というこの基本的なものがそういうふうに向うの思う通りにきめられる状態ですから、そういつた国と東南アジア等で競争した場合に、古池政務次官が言われるように、安い、いい製品を作れないような状態に置かれている。それを打ち破る絶好の機会ですから……。それに対して経済的な用意がされておるか知りませんが、併しこういう場合に政府は思い切つて堂々と所信を貫いて行かれるという態度を一つ国民に対して見せて頂きたい、こういうことが必要なのであつて、いつも消極的で遠慮をされている。私は一体どこの国の政府かという疑念を国民が持つと思う。日本がこうしなければならないということをしつかりと考えて頂いて、人の顔色ばつかり窺つて非常に遠慮する。これもいいでしようが、一つ思い切つてやつて頂きたい。決してそういうことをやつたからといつて、これは向うの必要によつて買わされたり、向うの必要によつてやらされている部分もたくさんあるのですから別に遠慮も要らない。こういうふうに考える。こういつた問題について所信を伺いたい。
○政府委員(古池信三君) 只今三輪さんから極めて適切な御激励の言葉を頂きまして、只今の御説の中には私どもも同感な点が多々あるのであります。政府といたしましても、十分にお言葉の趣旨に副いまするように積極的に努力をして行きたいと存じます。どうぞよろしく……。
○豊田雅孝君 先ほど来いろいろ質問が出て伺つておりますが、中小企業問題は年来の問題でありますけれども、特に最近の輸出の不振といわゆる平和恐慌の傾向によりまして非常に不況が深刻化しつつあるのでありまして、それが中小企業にしわ寄せになつて来ていることは言うまでもないのであります。先ほど振興部長から御報告のありました下請に対する未払の好転も一時はそういうふうになつておつたと私も思うのであります。併し最近は白川委員からお話がありましたごとくに、非常に悪化しつつある。又今後悪化するであろうというふうに考えるのでありまして、殊に中小炭鉱の問題一つ取上げても、これは容易ならん問題だと思うのでありまして、今後中小企業対策というものは、今にして真剣に適当なる方策を確立いたさなかつたら、とんでもないことになると私は思うのであります。さような意味におきまして今度の新内閣の重点政策の一つは、中小企業対策でなければならぬと私は確信いたすものでありまして、つきましては、通産大臣、大蔵大臣に特に中小企業対策の中におきましても、差当り金融、税制の問題が取上げられなければならぬと思います。この際通産大臣、大蔵大臣に是非とも御出席を願いまして、そうして中小企業対策を今後一体新内閣としてはどうするのかという信念を承わり、又私どもはそれに応じて質問いたしたいと思うのでありまして、この点を要望いたします。
○理事(松本昇君) 只今豊田委員からの御希望もありますし、この貿易問題と中小企業問題、こういうものはなかなか短時間で、三十分や一時間で話がついてしまうということはなかなかむずかしいと思いますので、この次の会議にもう一遍両大臣の出席を求めまして、そうして皆さんからの御希望も一つ御開陳を願いますし、又政府の御意向も皆さんにお伝え申上げる機会を作りたいと思います。本日はこの程度にいたしたいと思いますが、如何でしよう。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○海野三朗君 ちよつと一言……。終戦後におきまして配給のよく行われなかつた時代に食わないで死んだ裁判官がありました。これは法律を守つて死んだのです。今国際間の関係を遵奉して行くときには我々は死ぬよりほかに途がないのである。死んで国際関係を守つてそれでいいのか。人間という立場から見ましたならば、私はここに今の政府に対して一大反省を促さなければならん。我々は死んでいいのか。中小企業者は、我々国民は何としてもこの貿易規則に縛られておつてはならないのでありますから、私はここに断乎として今の政府に一大反省を促したい。我々は死んでいいのか。規則を破つてでも生きるのでなければならないのではないか。これが私は人間の本性であると考えるのであります。どうぞ一大御決意をお願いしたいと思います。
○理事(松本昇君) それでは本日はこの程度にいたしまして、一応散会いたします。
   午後零時二分散会