第017回国会 予算委員会 第2号
昭和二十八年十一月四日(水曜日)
   午前十一時六分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
十月三十一日委員岡田宗司君、村上義
一君、中山福藏君及び最上英子君辞任
につき、その補欠として江田三郎君、
河野謙三君、北勝太郎君及び松浦定義
君を議長において指名した。
本日委員杉原荒太君、棚橋小虎君、泉
山三六君及び武藤常介君辞任につき、
その補欠として木村禧八郎君、曾祢益
君、藤野繁雄君及び一松定吉君を議長
において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     青木 一男君
   理事
           西郷吉之助君
           高橋進太郎君
           小林 武治君
           森 八三一君
           中田 吉雄君
           松澤 兼人君
           堀木 鎌三君
           三浦 義男君
   委員
           石坂 豊一君
           伊能 芳雄君
           小野 義夫君
           鹿島守之助君
           小林 英三君
           佐藤清一郎君
           白波瀬米吉君
           高橋  衛君
           瀧井治三郎君
           中川 幸平君
           宮本 邦彦君
           吉田 萬次君
           井野 碩哉君
           岸  良一君
           北 勝太郎君
           河野 謙三君
           新谷寅三郎君
           田村 文吉君
           高木 正夫君
           江田 三郎君
           亀田 得治君
           小林 孝平君
           佐多 忠隆君
           藤原 道子君
           三橋八次郎君
           湯山  勇君
           加藤シヅエ君
           曾祢  益君
           戸叶  武君
           永井純一郎君
           一松 定吉君
           松浦 定義君
           木村禧八郎君
           千田  正君
  委員外議員
   風水害緊急対策
   特別委員長   矢嶋 三義君
  国務大臣
   内閣総理大臣  吉田  茂君
   外 務 大 臣 岡崎 勝男君
  大 藏 大 臣 小笠原三九郎君
   文 部 大 臣 大達 茂雄君
   厚 生 大 臣 山縣 勝見君
   農 林 大 臣 保利  茂君
   建 設 大 臣 戸塚九一郎君
   国 務 大 臣 緒方 竹虎君
  国 務 大 臣 大野木秀次郎君
   国 務 大 臣 木村篤太郎君
  政府委員
   法制局長官   佐藤 達夫君
   法制局第一部長 高辻 正己君
   大蔵大臣官房長 石田  正君
   大蔵省主計局長 森永貞一郎君
   大蔵省主計局次
   長       原  純夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       野津高次郎君
   常任委員会専門
   員       長谷川喜作君
   常任委員会専門
   員       正木 千冬君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○委員長の報告
○連合委員会開会に関する件
○昭和二十八年度一般会計予算補正
 (第1号)(内閣提出、衆議院送
 付)
○昭和二十八年度特別会計予算補正
 (特第1号)(内閣提出、衆議院送
 付)
  ―――――――――――――
○委員長(青木一男君) これより予算委員会を開きます。
 議事に入るに先だちまして御報告を申上げます。会期は本日を以て尽きるのでございますが、今朝ほど議長のところで委員長会議がございましてその席上、私から三日間の会期延長の希望を申出ておきました。この会期延長はいずれ成規の手続を経て決定されると思いますが、予算委員会としては、委員長の只今の提案を前提として、一応先ほどの委員長理事打合会において議事の日程を協議いたしておきました。それによりまして、これより政府の予算案の説明を聴取した後に、午後一時から総理大臣の質疑に入る予定でございます。
  ―――――――――――――
○委員長(青木一男君) この際、お諮りいたすことがございます。風水害緊急対策特別委員長より、予算委員会との連合審査の希望申出がございましたが、これは委員長としては同意いたしかねるのでございますから、お断わりいたそうと思います。さように御異議ございませんか。
   〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
○委員長(青木一男君) 異議ありますか……然らば採決をいたします。
 委員長の発議通り、これを拒絶することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(青木一男君) 多数でございます。
 風水害緊急対策特別委員長より、この提議が容れられなかつた場合には、委員長として発言を求められております。これは議院規則によりまして許可することは当然でございます。但し議事の進行とも関係がありまするので、先ほど委員長の発言は三十分以内ということにきめましたから、さよう御了承願います。この発言は政府の説明が済みましたあとにいたすつもりでございます。
  ―――――――――――――
○委員長(青木一男君) これより大蔵大臣の補正予算に対する説明を聴取いたします。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 昭和二十八年度補正予算の編成に関する基本方針並びに補正の大綱につきましては、すでに本会議において説明いたしましたが、その後補正内容の一部について修正を行なつた点もあり、予算委員会の御審議をお願いいたすにつきまして、改めてその内容を御説明申上げます。
 先ず歳出について申しますと、今回の補正予算はその性質上災害関係が中心であります。即ち、第一に風水害対策費であります。成立予算におきましては、当年発生災害のための予備費として百億円を計上いたしておりますが、去る六月の西日本水害を始め、累次の風水害により公共土木施設、農地等の被害が甚大であつた上に、前国会で成立した特別措置法による国庫負担の増加もありますので、今回災害予備費の追加十五億円を含めて風水害対策のため三百億円を追加計上いたしました。なお、その実施に当つては、今後の防災上の考慮をも加えまして工事の種類、緊急度合等により極力重点的に工事を取上げるよう措置して参る所存であります。
 第二は冷害等対策費であります。異常な気象条件により水稲その他の農作物は著しい不作でありましてこの結果冷害地等の実情は深刻なものがありますので、この際特に土地改良、開拓、その他の救農土木事業の実施、補助率の引上げ、営農資金の利子補給、種籾の確保、罹災農家に対する米、麦の廉売、延納、生活保護費の追加等各般の臨時救済措置を講ずることとし、農林漁業金蔽公庄出資の増加二十五億円、災害対策予備費の追加三十億円を含め、冷害等対策のため百出五億円を追加計上いたしました。
 第三は農業保険費であります。今春の麦及び蚕繭の被害により農業共済再保険特別会計において約四十億円の赤字を生じておりますが、その後の災害により水稲の被害も相当額に達する元込でありますので、この際一般会計より八十五億円の繰入を行い、基金二十五億円、積立金五億円と併せて再保険金の急速円滑な支払を期することといたしました。
 以上の風水害対策費、冷害等対策費、農業保険費を合せて今回の補正予算五百十億円のうち災害対策費として五百億円を計上いたしておるのであります。
 第四に奄美群島復帰善後処理費であります。幸いにして奄美群島の復帰も近く実現することとなりましたので、琉球政府諸機関の引継、運営、公共施設の整備、産業の振興、その他復帰に伴う経費として十億円を計上いたしまして、受入措置の万全を期しておる次第であります。
 次に、これらの歳出に対する財源について説明いたします。今回の災害は誠に異常でありましてこれが対策には前述のごとき多額の経費を要するのでありますが、財政経済の現状に鑑みましてこれが財源は既定経費の節減と租税等の自然増収を以て賄い、極力村政の膨張を避けることといたしたのであります。
 第一に、既定経費の節減について申述べますと、前述のごとき災害対束等緊要な経費の財源を捻出するため、公共事業費、食糧増産対策費につきましては、災害復旧費を除き、新規事業の抑制、既定計画の、重点化等により当初予算額より五十九億円の歳出の節約を実施することにいたしております。
 次に、平和回復善後処理費につきまして年度内の所要見込を勘案し、七十一億円を減額することとし、又住宅金山公庫につきまして、支出の実情及び年度内の資金繰りを考慮し、一般会計からの出資のうち二十二億円を減額繰延べることといたしましたが、もとより既定の建設計画には何ら支障を来たさしめない所存であります。更に特定道路整備事業につきましても、所要職源の引当部分を資金運用部資金の借入れに振替えることとして一般会計よりの繰入れを十五億円減額いたしたのであります。
 一方歳入の増加につきましては、租税及び印紙収入におきまして最近までの収入実績その他一般経済事情を勘案いたしますと、当初の予定に比し三百億円に上る自然増収を期待し得る見込であります。又政府資産整理収入、雑収入におきましても、最近の実績も見ますと、四十四億円程度の増収を品込み得ることとなつております。従、まして、これらにより今回の補正予算におきましては、歳入において三百四十四億の増額をいたしております。
 次に、特別会計におきましても、災害対策と関連しまして農業共済再保険、特別鉱害復旧、特定道路整備事の各会計におきましてそれぞれ予算の補正をいたしております。
 以上を以ちまして昭和二十八年度補正予算の概要の説明といたす次第であります。
○政府委員(森永貞一郎君) 大蔵大臣の説明を若干計数的に補足いたしたいと存じます。お手許に「昭和二十八年度予算補正(第一号)の説明(修正の分)」という資料がお配りしてあると存じますが、ここに掲げてありまする項目の順序に従いまして簡単に申上げたいと存じます。
 先ず第一は補正予算の規模でございますが、歳入、歳出共三百四十四億を増加いたしまして予算規模は九千九百九十九億となりました。歳出におきましては五百十億を増加いたしましてその財源して歳入の増加三百四十四億、歳出の減少百六十六億、さようなことに相成つております。歳出が増加いたしました五百十億の内訳は、災害対策として五百億円、その内訳といたしましては風水害対策費が三百億円、冷害等対策費が百十五億円、農業保険費の不足補填が八十五億円でございます。別に奄美群島復帰後処理費として十億円を計上いたしまして、合計五百十億円でございます。これを賄いまする財源といたしまして三百四十四億の歳入の増加は、租税の自然増収が三百億、雑収入等の増加が四十四億、これが歳入増加によるものでございます。歳出の減少によりますものは公共事業費等の節約五十九億、住宅六庁出資の減少二十二億、特定道路節減等による繰入の減少十一五億、平和回復善後処理費の減少七十億円、合計百十六億円と相成つております。
 次に歳出の各項目につきまして申上げます。災害対策費は五百億円でございますが、その事項別は風水害対策費が三百億円、その更に内訳を申上げますと、二十八年度の災害復旧事業費が二百四十三億円、これは公共事業費だけでございます。公共事業費以外の災害復旧その他災害関係諸費四十二億二千万円、災害対策予備費が十五億円、以上で三百億円に相成ります。冷害等対策費百十五億円、その内訳は冷害等臨時対策事業費六十五億円、この中には農林漁業金融公庫への出資二十五億円を含んでおります。それから冷害等臨時対策諸費、これは事業費以外の一般的な対策費並びに失業対策、生活保護等でございますが、二十億でございます。災害対策予備費として冷害関係に充当いたします分を別に三十億円、以上合計百十五億円でございます。農業保険の不足補填が八十五億円、合計五百億円でございます。災害対策予備出費が当初予算に百億組んでございまたので、それと合せますと六百億にもります。なおこのほかに当初予算には過年度災の災害復旧費四百四十四億円が組んでございましたから、それを含めました本年の災害関係経費の総額は千四十四億という巨額に達するわけでございます。
 次に今回新たに追加いたしました災害対策費五百億円の各省所管別を申上げますと、大蔵省所管におきまして十億、これは災害対策予備費と農林漁業金融公庫に対する出資でございます。それから文部省所管におきまし十一億八千万円、これは文教施設等災害復旧残でございます。厚生省所におきまして十五億、これは厚生施設の災害復旧その他諸搬の災害対策、並びに生活保護費の増加でございます。農林省所管におきまして二百十六億、これは災害復旧費、災害土木助成費、冷害関係の右業費その他冷害関係諸費でございます。運輸省所管におきまして約五億九千万円、これは港湾等運輸省所管の公共事業の災害復旧費でございます。労働省所管におきまして三億円、これは失業対策事業費の増加でございます。建設省所管におきまして百七十八億、これは建設省所管の公共事業の災害復旧費並びに災害土木助成と冷害関係の事業費でございます。この五百億に当初予算の百億を加えまして六百億円になりますことは先ほど申上げましたが、この中からちよつと性質の違うものといたしまして、農業保険費不足補填八十五億を除きました五百十五億につきまして、災害別に、又予備費と補正予算別に使用見込みの内訳を示しますと、二ページの下にございますような結果になるわけでございます。災害予備費からすでに支出しましたものが八十四億円、今後支出を予定いたしますものが十六億円、既支出の八十四億円のうち狭い意味の災害復旧費に充当いたしましたものは三十一倍円くらいに相成つております。補正予算では三百七十億が各項目に計上されております。予備費として四十五億円を計上いたしておる。さような内訳に相成つております。
 次に、災害対策費の中の風水害対策費三百億円につきましてその内訳々、申上げますと、二十八年度災生復旧事業費が二百四十三億円でございます。それから公共事業以外の災害復旧、災害復旧の範疇に入らない災害、土木事業、その他の災害関係諸費用が四十二億二千万円でございます。災害対策予備費が十五億円、合計が三百億円になるわけでございます。これらの予算を計上いたしました基礎になる本年度の災害報告額は三ページの中ほどにございますが、二千六百二十億を基礎にいたしております。これは十月五日現在の各県からの報告を集計いたしたものでございましてその後における移動が若干あることを御了承頂きたいと存じます。この二千六百二十億を一応千七百七十五億と査定額を見込みまして、この査定を見込むにつきましては、過去三カ年間の各業穂別の平均査定率を使用いたしまして精細に検討いたしました結果、千七百七十五億円くらいが事業費として見込まれるわけでございます。この事業費の見込額に対しまして現行法によります場合の国費の負担額は千三百七億になるわけでございますが、前回の国会におきまして成立いたしました特別措置法によりまして、各種の高率補助の途が開かれました結果、それによる国庫負担の増加があるわけでございまして、その増加額が二百五十七億円でございます。現行法による分と併せまして合計千五百六十五億円が二十八年度発生災害に対する国費の所要額として見込まれる次第でございます。この国費所要額に対しまして財政事情の許す限り災、復旧卒業に重点をおいて増額することといたしまして予算編成をいたしたのでございますが、結論といたしましては、災害復旧事業費は二百四十三億円、予備費に十五億円、災害に関連する治山、砂防、土木助成及び文教、厚生関係災害対策費等に四十二億円を計上いたしたわけでございます。
 二十八年度発生災害復旧事業費の二百四十三億円でどの程度の災害復旧ができるかということが問題になるわけでございますが、大体二割見当の復旧が可能であるという計算になります。と申しますのは、補正予算に計上いたしておりますのは二百四十三億でございますが、先ほどちよつと申上げましたように、本年度の当初予算に計上されておりました災害予備費のうちからすでに災害復旧に充てられた金額が三十一億ございます。又当初計上の予備費の中で使い残りが十六億円ございましてこれは当然今後の災害復旧に充当せられ得るわけでございます。更に又先ほど申上げました今岡の三百億円のうちの災害対策予備費十五億円のうち十億見当のものが公共事業関係の災害復旧に充当できることを期待いたしている次第でございましてそういたしますと二百四十三億にそれらのものを加えて参りますと、三百億円が当年度発生災害の復旧事業費に充当せられるわけでございます。大体二割見当になりますが、なおそのほかに、のちに申上げます冷害対策の中に、本年度乃至は過年度を問いませんが、災害復旧費といたしまして農林省関係の事業に七億円、建設省関係の事業に五億円、合計十二億円を見込んでいる次第でございまして、これらを活用いたしますときには、三百億円は三百十二億円ぐらいまで増加するわけでございまして大体千五百六十五億円に対しまして平均二割見当の復旧が可能と相成る計算でございます。
 次に、災害関係諸費四十二億二千万円の内訳でございますが、文部省所管の十一億八千万円は学校その他の教育施設、国宝その他の文化財の災害復旧に必要なる事業費でございます。農林省所管の八億六千万円は、災生復旧事業の範疇には入らないのでございますが、例えば農地等の地辷り防止、山地の崩壊防止等のために必要なる緊急治山、耕土事業の補助、被害農家に対する米麦の安売り損失補填、牧野復旧事業費、そういつた補助金でございます。厚生省所管八億円、これは今次の災害に伴いまして、伝染病予防の関係のために必要である各種の経費、罹災母子世帯に対する特別貸付、或いは国民健康保険の特例のための経費、簡易水道、上下水道の復旧、新設等に要する経費、火葬場、屎尿処理場等の復旧費補助、そういつた厚生施設関係の復旧費等でございます。運輸省所管は一億五千万円でございましてこれは災害復旧と同時に併せ行われる港湾等の修築工事のために必要なる補助金でございます。建設省所管の十二億三千万円、これも災害復旧工事と併せて行われる直轄河川の改修工事、或いは海岸の堤防の復旧と併せて行われる蒿上げ等の改修工事、河川上流部の土砂崩壊等を防止するための緊急砂防であるとか、或いは道路の修繕、都市の土砂崩れ防止、水防資材費の補助、そういつたような経費を見込んでおります。次は災害対策予備費十五億円でございますが、これは本年度内に当然支出せらるることを予想せられるものでございますが、今後各省におきまして災害復旧費の実地査定が進行するに伴いまして、若干調整を要する面も出て来ることをおもんばかりました結果、大蔵省所管に予備費として計上しておるわけでございまして今後年度末までに査定の進行に伴いまして、当然災害復旧費に充てられるべき経費でございます。約十億は公共事業関係、五億を公共事業以外の災害復旧費等に充当せらるるものと予定いたしております。以上で災害対策費三百億円の説明を終ります。
 次は冷害対策費百十五倍円でございます。四ページにございます。この事業別内訳といたしましては、救農土木事業費に四十億円、農林漁業金融公庫の出資に二十五億円、それから生活保護費に七億円、失業対策事業に三億円、その他の一般的な営農関係経費に十億円、予備費に三十億円、合せて百十五億円でございます。所管別に申上げますと、大蔵省所管が五十五億円、これは出資と予備費でございます。厚生省所管七億円は生活保護費でございます。農林省所管の四十億は、事業費が三十億、一般的な冷害対策費が十億でございます。労働省所管三億円は失業対策費でございます。建設省所管十億円は事業費でございます。
 そこで先ず事業につきまして事業費が農林省所管と建設省所管と合せまして四十億あるわけでございますが、その内訳を申し上げますと、農林省関係におきまして、開拓事業六億円、土地改良九億七千万円、治山三千万円、林道二億円、漁港施設二千五百万円、臨時救農施設四億五千万円、農林水産災害復旧事業七億五百万円、附帯事務費二千五百万円、合計三十億でございます。建設省関係におきましては、道路事業五億円、河川等災害復旧事業五億円、合せて十億でございます。両方合せて四十億になります。いろいろ事業のバラエティを設けましたのは、冷害地の実状によりましていろいろ適当の事業も違つて来るわけでございまして、そういう観点から各種の事業に配分いたしたわけでございます。なお冷害地のことでございますので、収入を失いました農家に賃金収入を受け得る機会会を確保するということがこの救農土木事業の趣旨であるわけでございますから、今回の事業補助を一認めるにつきましては、従来補助の対象を一定規模以上のものに限定いたしておりましたのを緩和いたしまして、小規模の事業につきましても補助が行われるという途を開きました。臨時救農施設として四億五千万円を計上いたしましたのは、従来の補助の規格に合わない小規模な事業につきましても補助ができるようにという途を開いたものでございます。なお又冷害地の実情を考慮いたしまして補助率を引上げまして農道関係を四割といたしますほかは、その他のものは現行法におきましては五割乃至三割のいろんな格差があつたのでございますが、冷害地の実情を考慮いたしまして、今回に限り農道以外を一律に五割という補助率の引上げをいたしております。以て救農土木事業が円滑に行われることを期待いたしておる次第でございます。
 以上申上げました専業費三十億円に見合うものといたしまして、農林漁業金融公庫の出資二十五億円を計上いたしております。この二十五億円は、この三十億円だけではなくて、後に申上げます災害対策予備費三十億円の中からも事業費に廻されるものが相当あることを予定いたしまして、それを含めたものに対する裏打ちとして合計二十五億円の出資といたしております。生活保護費七億円、失業対策費三億円につきましては、格別御説明申上げる必要もございません。一般的な営農関係諸費、一般的な冷害対策費として十億円が組んでございますが、この内訳は、被害農家に米麦を安売りいたしまして、その代金の延納を認めることになつておりますが、その損失補填金として一億六千万円、それから別途営農資金百五十億円を冷害地の農家に貸付けることにいたして、別途法律案を提出いたしておりますが、その労農資金の貸付利子の利子補給補助金二億四千八百万円、その他種籾の確保に必要なる経費、麦の増産奨励、粉食の奨励等に必要なる経費、或いは副業の奨励に必要なる経費、それらを含めまして約六億、合計十億円を組んでおる次第でございます。それか一つ災害策予備費三十億円、これは冷害によります被害の状況が今後逐次一層明らかとなつて来るに伴いまして、必要なる事業に使用することを予定しておる経費でございますが、現在のところ大体の見込といたしましては、救農土木事業費に二十億円見当、保温折衷苗代等の助成に五億円見当、その他一般的な予備費といたしまして五億円見当を予定いたしております。これは今後の調査の進行に伴いまして確定いたして行く所存でございます。
 次は農業保険費の不足補填八十五億円でございます。本年の春の麦、蚕等の減収に引続きまして水害、冷害によりまして相当農産物の減収があるわけでございますが、それに伴いまして農業共済再保険特別会計の支出する再保険金が当初の予定を遥かに上廻つております。その財源の不足を一般会計から補填することといたしまして取りあえず八十五億円を農業共済再保険特別会計に繰入れることといたしたのでございます。
 以上で災害対策費五百億の説明を終りまして、次は奄美群島復帰善後処理費でございます。金額は十億でございます。これは裁判所関係、各種の行政機関関係、その他国の機関を沖縄琉球政府から引継ぎまして、これを運営するのに必要なる経費、生活保護、失業対策事業、公共事業費等、或いは教育施設の整備、産業の振興等に必要なる経費を見込みまして十億円を計上いたしました。引継ぎの関係につきまして未だ確定いたしていない事情、並びに詳細なる経費の配分につきましては、なお今後の調査に待つものがありますので、大蔵省所管に善後処理費として十億円を計上いたしまして今後の事態の推移に応じまして各省所管に随時移し換えて使用して参る経費でございます。以上が歳出の増加でございますが、以下歳出の減少いたしましたものにつきまして簡単に申上げます。
 先ず、公共専業費等の節約五十九億円でございます。公共事業費等につきましては、それぞれ緊急なる需要がありまして当初予算に計上せられたのでございますが、災害復旧費等の緊急止むを得ない財源の一部を捻出いたしますために、新規事業の抑制、既定計画の重点化等によりまして五十九億円を捻出するごとといたしました次第でございます。その内訳は公共事業費におきまして三十八億八千万円、食糧増産対策費におきまして二十億三千八百万円でございます。節約率は事業の種類によりまして若干格差を設けました。治山治水につきましては約二%、食糧増産対策関係につきましては約七%、その他は概ね一〇%の節約を行うごとといたしております。
 歳出減少の第二は住宅金融公庫に対する出資金の減少二十二億円でございます。住宅金融公庫は当初予算におきまして、個人住宅及び賃貸住宅四万五千戸、産業労務者住宅六千五百戸、合計五万一千五百戸を建設する計画でございましてそのための所要資金二百二億円の貸付けを行う予定でございましたが、その後における貸付金の現実の支出状況を見ますと、予定通りの建設戸数に対する貸付契約が締結された場合におきましても、年度内に実際に資金が払い出される金額には相当余裕が見込まれるのでございます。その余裕を見込みまして二十二億円を減少いたした次第でございますが、もとより当初の建設計画五万一千五百戸を削減いたす趣旨は全然ございません。又それだけの建設計画に対する貸付を実行するにつきましては、何ら資金上支障はないはずでございます。
 それから特定道路節減等による減少十五億円でございます。この特定道路と申しますのは、いわゆる有料道路といたしまして、通行者から料金を取つて借入金或いは国費を償還して行くという建前のものでございますので、財源を借入金で賄うことがむしろ原則とすべきものでございますが、今までにすでに一般会計から繰入済みのもの等もございますので、一般会計繰入れののち二十五億のうち十五億円を減額いたしまして、その分を資金運用部からの借入れに振替えた次第でございます。その際特定道路につきましても、一般公共事業費同様に節約を実施することといたしまして、約一割を節約いたしまして資金運用部資金からの貸付金は十二億九千万円にとどめることにいたしております。
 最後に、平和回復善後処理費の減少でございます。七十億を減少いたしております。平和回復善後処理費は昨年度からの繰越約五十八億、当初予算計上額百億、合計百五十八億ございましたが、今日までに支出済の額が三十数億円でございまして、現在残つておりますものが百二十三、四億に相成つております。そのうち本年度内に現実に資金を支出いたします必要なる金額が約五十億円でございます。七十億円は本年度内におきまして資金不用の見込が立ちましたので、今回の補正に対し、七十億円を修正減少し、財源に充当いたしました次第でございます。
 次いで歳入につきまして御説明申上げます。歳入の増加額は三百四十四億二千九百万円でございます。そのうち租税及び印紙収入の増加三百億二千百万円、政府資産整理収入の増加が二十一億六千万円、雑収入の増加が二十二億四千七百万円ということに相成つております。
 租税収入三百億円の内訳でございますが、これには増加と減少があるわけでございまして、増加いたしますものは所得税の百七十億円、これは源泉において徴収する所得税でございます。それから法人税の八十億円、砂糖消費税の三十六億円、物品税の二十億円、関税三十二億円、合計三百四十億円でございます。これに対しまして減少いたしますものは、所得税のうち申告所得税四十億円でございます。これは相次ぐ災害その他によりまして、申告所得税におきましてこの程度の減少が予想せられるのでございましてこれを減じまして合計三百億二千百万円、これか増収と相成つております。いずれも最近までの収入状況、一般経済事情等を勘案いたしまして、検討いたしました結果でございます。
 政府資産の整理収入の増加二十一億六千万円でございますが、これはこれにも増加と減少がございます。増加いたしますものは、国有財産を売払いました二十六億四千万円、これは旧軍用建物、工作物、船舶、機械等の売払収入の増加でございます。減少いたしますものは、農業共済再保険特別会計に対する出資金を四億八千万程度返してもらうつもりでありましたが、先ほど申上げましたように、この会計では再保険金の支払額が相当増加いたしますので、返してもらうことができません。その減少を見込みまして、差引二十一億六千万円の増加と相成つております。
 次は雑収入の増加二十二億四千七百万円でございます。この内訳は官有財産の利用収入八千百万円、納付金の増加、これは日本銀行納付金の実績に現れた増加でございます。五億五千六百万円、その他諸収入の増加十六億円、これは船舶及び積荷再保険料の収入の増加五億六百万円、金融機関調整勘定利益分配金の収入五億三千八百万円、その他雑収入五億一千九百万円、合計二十二億四千七百万円と相成つております。
 以上、歳入歳出につきまして御説明申しげたのでございますが、以上の結果、当然の結果といたしまして、今回の補正予算そのものを通じましては、国庫資金の収支に対する影響はゼロでございます。撒布超過にもならず引揚げ超過にもなりません。当初予算に計上せられました千三百億円の撒布超過額に対しましては、それから加わるところも減ずるところもないわけであります。但し今度の予算に関連しまして地方財政におきまして若干の問題がございます。災害復旧費を計上いたしましたその裏打ちをなす地方起債、乃至は災害による地方団体の歳入の減少をカバーするために、或る程度資金運用部におきまして地方債を増額して引き受けなければならん情勢があるわけでありまして、現在のところその金額は百八億円程度と見込まれております。それに対する郵便貯金その他の原資回収金等を含めまして原資の増加は九十八億程度を出でない見込みでございます。なお、地方債の外に特定道路の財源振替え等によりまして十四億円を見込まれますので、従いまして、二十四億円ぐらいのものは資金運用部関係におきまして撒布超過の要因となつて追加せられることになることを付加えて申上げておきたいと思います。
 次は特別会計でございますが、以上申上げました一般会計の補正に関連いたしまして、特定道路整備事業特別会計、農業共済再保険特別会計、この二つにつきまして補正が必要でございます。なおもう一つ特別鉱害復旧特別会計につきましては、特別鉱害復旧計画として復旧を予定しておりました住宅が先般の災害によりまして被害を受け、その分につきましては本年度に繰上げて復旧する必要があるということから、特別鉱害復旧住宅の後年度復旧分を本年度に繰上げ実施するために必要な資金一億二千万円を資金運用部資金から同会計に借りることにいたしまして、それに伴う補正を計上いたしております。
 以上説明を終ります。
○小林孝平君 先ほど委員長は、このあと風水害特別委員長の説明を聞くというお話でございましたけれども、私は聞き落したかと思いますが、この委員長の報告のあと、当然我々の質疑を許さるべきものと考えるのでありますが、その点如何ですか。
○委員長(青木一男君) 先ほどの委員長、理事の打合会におきましては、そこまでは考えておりません。発言を許す程度の申合せでございますから。(「当然質問は許される」と呼ぶ者あり)
○小林孝平君 当然この委員会でそういう重要な発言があるのでありますから、我々の質問を許すのは当然だと思うのです。従つてこの時間を適当に定めまして、直ちに委員長の報告されたあと、我々の質疑を許されたいと希望いたします。(「賛成、反対」と呼ぶ者あり)
○委員長(青木一男君) そのことは時間の関係もありますから、本日は報告を聞く程度にとどめます。
○小林孝平君 この委員会で、それなら特別委員長はどういう発言をするかわからないのです。勝手な発言をされて、我々がそれに対して何らの質疑もできないということではこれは困ると思うのです。こういう例は未だ曾つてないのではないかと思う。委員長は時間の関係と言われますけれども、時間は十分あるはずである。先ほど三日間の会期の延長を申出られたそうでありまして、我々もこれを了承したのであります。十分時間があるはずでありますから、当然質疑を許さるべきが至当だと思います。これを勝手に委員長がこの質疑を許さんということは専権だと思う。
○高橋進太郎君 先ほどの理事会で大体の時間を予定してありまして、その中で委員長の今の報告は報告としてお聞きするということになつているので、芳し必要があればきまつた質問時間のうちでやることにして、先ほどの取きめのように取計らつて頂、きたいと思います。(「国務大臣に対する質問時間と違いますよ」と呼ぶ者あり)
○中田吉雄君 その問題につきましては、只今委員長の言われましたように、実際質問するかどうかをきめていなかつたわけですから、一つ昼食の関係もあるわけですから、理事会でどうするか諮つて頂くようにして、何とか円満に収拾して頂きたいと思います。
○委員長(青木一男君) 委員長は中田君の言われましたように、いずれ理事会で相談いたします。この際は報告を聴取するにとどめます。水害地特別委員長矢嶋君、三十分以内において御発言を願います。
○委員外議員(矢嶋三義君) 委員長のお許しを得まして、風水害対策特別委員会の委員長といたしまして当委員会に御報告を申上げます。
 本国会で成立しました風水害対策特別委員会は、去る六月下旬西日本を襲いました災害によつて大災害を受けた西日本地域の災害に対するために、去る六月三十日本院に設けられました水害地緊急対策特別委員会が第十六国会において、更に閉会中において審議結論づけたものを尊重して、これを引続き審議して行くという基本的態度を確認いたしまして、その角度から当特別委員会が前特別委員会から引継いだ事項、並びに現在当特別委員会で審議しつつある事項について御報告申上げたいということを先ず以て申上げておきます。
 なお、この特別委員会は十月三十一日、災害予算について当予算委員会に対し連合審査の申入れを確認いたしまして、申入れたのでございまするが、本日当委員会においてこれが拒絶されたことにつきましては、風水害特別対策委員長としては遺憾に存ずる次第でございます。と申上げることは、六月下旬に大災害が起つた、そこでこれを速急に復旧するために、第十六国会において全会一致の形で二十四の法律を成立せしめたわけでございます。その法律を適用するところの地域は政令に委任されてある。この政令の決定というものは予算と関係があるというので、随分と審議いたしましたが、本日までその政令はなお公布されていない実情にあるわけでございます。更に特別委員会としましては、政府側に各県からの被害総額、それからそれに対する各省の査定、次に各省が大蔵省に要求うしたところの金額、最後に確定したところの復旧予算額、こういうものを災害の種類別に表にして出して欲しいということを十日前から災害対策中央本部を通じて各省並びに特に大蔵当局へ要求して参つた次第でございますが、その資料の提示が頂けないのでございます。従つて特別委員会といたしましては、各省にこのたびの補正予算が盛られているところの災害復旧予算が如何ように配分され、更に各省の内部においてその種類別に如何ように配分されたかということを一切承知していないわけでございまして、特別委員会としては今の経過から申しまして、是非ともそういう点を明確にいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
 なお、先ほど主計局長からも御報告ございましたが、この治山治水の非常にやかましく言われている現在、食糧増産費並びに河川改修費等、こういうものを五十九億も削減したということは、如何なるお考えの下に削減されたか、それらの点につきましても、特別委員会としては糾明いたしたい。こういうふうに考えておる次第でございまするが、本日までその機会を得ないままおる次第でございます。
 なお参考に申上げますが、二十八日の朝、私は農林省当局に対しまして、例えば農林省関係の排除費の予算配分は幾らになつているか、そういう点を二、三尋ねてみたのでございますが、大蔵事務当局との話合いがつかないでまだきまつていないという答弁であつたわけでございます。なおその頃における我々の審議の過程においては、被害の査定額を尋ねましても、これは明確でないのでございます。具体的に例を申上げまするならば、例えば台風十三号による文部省関係の被害の査定額はきまつておりません。従つて文部省は大蔵省に要求もいたしておりません。ところが大蔵省側からは本年度と来年度合せて七億五千万という配分があつたと、こういうような一つの事例でございますが、そういう点が明確になつておりませんので、或いは二割、或いは三割の復旧と言われるけれども、どういうところから出て来ておるのか、そういう点を明確にいたしたい。こういう立場から当予算委員会に対しまして連合審査の機会をお与え下さるよう委員長から申出たわけでございますが、一応これは拒絶の形となりましたので、特別委員会の委員各位が委員外発言を後日求めるような機会がございましたならば、委員長並びに当委員会において然るべくお取計らいを願う次第でございます。はつきりと申上げておきますが、特別委員会の委員は超党的に本日までこの対策に善処して参りました。これを審議を引延ばそうとか、そういう考えは毛頭持つていないということをはつきりと申上げておきたいのでございます。
 次に申上げたい点は、風水害対策特別委員会は、現在八月以降の大災害に対しまして六、七月の災害にとられた法的措置と同様のものをとらるべきであるということを政府に申入れ、内閣提出の形においてその法律案が今国会に出ることを要望しておつたのでございますが、すでに内閣から提出されておりまするので、その審議の過程にあるわけでございます。ただ基本的態度といたしましては、水害地緊急対策特別委員会並びに風水害緊急対策特別委員会、このいずれも大災害を三点的に急速に復旧せしめるというところの大方針で本日まで参つた次第でございます。そこで私ども現在一審心配いたしている点は、六、七月の災害に二十四の立法がなされ、そうしてその政令の公布について随分ともめて、そのために国会の召集が遅れたと若しするならば、むしろそういう二十四の立法をなさらないで、六、七月災害の直後国会でも開いて、早急に予算を災害地に流したならば、却つて効率的な使用ができて効果があつたのじやないか。本日まで延びて、十分の予算が流れればともかくも、不十分な予算が災害後数カ月も経つて流れて行くというようなことでは、却つて二十四の立法をなして災害地の皆さまがたに大きな期待を持たして、その期待に反するような愚かな政治というものになるのではないか。この点を非常に懸念いたしている次第でございまして、二十四の立法の精神並びにその政令の内容、災害の実態等、そういうものを十分と本予算委員会で審議して頂いて、当初の立法精神、基本的態度というものが生きて、そうして国民からこの国会というものが信頼され、国会の権威を確保するという立場からも、本予算委員会における予算の審議は極あて重大であり、私ども特別委員会としては大きく期待申上げているということも申上げておきたいのであります。
 次に申上けたい点は、私ども委員会において審議して参るに当りましては、大臣並びに各省の説明員各位の速記に残された言明、並びに各省から我々委員会に提示されました資料というものを足場にいたしまして、本日まで審議して参つた次第でございますが、その過程において大臣の言明が、或いは提示されるところの資料というものが時々によつて変つて一貫していなかつた点を認めざるを得ません。例えば本会議において論ぜられました予備費二百億の補正予算への財源としての使用、或いは安全保障諸費関係、更には当委員会において議決してつとに政府に申入れました災害復旧年次計画、三・五・二の三というものは堅持する、三以上やる。更には或る法律によるというと、その復旧年次計画というものを法律の中に規定しているものがありますが、それは尊重して取運ぶということを言明いたしておられるわけでございますが、そういう点がその後くずれて来たという点については、私ども委員会の運営をするに当つて非常に困つた次第でございます。
 なお、皆さまがたの今後の審議において明確にして頂きたいのでございますが、こういうふしも考えられます。それはこの大災害を早急に復旧するために法律を作つた、高率補助の法律を作つた。そこで非常に査定を厳重にして更には抵抗の比較的薄いところの予算を不当に削減して、そうして災害復旧の全額というものが小さくなるように事務当局において努力したというふしがあるわけでございます。時間の関係上具体的に申上げませんが、どうか各項目に亙つて十分な御検討を切に要望申上げる次第でございます。
 次に、是非とも明確にして頂かなければならない点は、今時の災害における復旧費の国費所要額、というものは幾ばくであるかということでございます。この点について特別委員会において速記に残されたものは、千八百億以外残つておりません。十月の二十六日の委員会が最後であつたのでございまするが、その委員会においても国費の所要額は千八百億と記録付けられております。然るに十月二十八日からこの所要額が千五百六十五億という数字が出て参つた次第でございまして、若干先刻森永主計局長から説明があつたようでございまするが、私ども明確な資料を頂いておりませんし、この点本日まで明確に糾明することができないままにおる次第でございます。その後この保守三派の協定というものが成立いたしました。この点について本会議で若干の質疑応答がなされたのみでございまして、この本会議における質疑応答の結果から我々が推察するときに、どうも不明確でございます。このたび補正予算案が更に修正されて出されておりまするが、それは保守三派の協定に基いてなされたことは各位御承知の通りでございます。この保守三派の協定は如何なるものであるか、これを如何ように実現しようと政府当月は考えているのかと、そういう点を明確にすることが最も大切なことであつて、特別委員会といたしましても、大臣並びに政府委員の出席を請うて、この点を明確にいたしたいと考える次第でございますけれども、当予算委員会において予算の審議をなされまするので、一応当予算委員会においてその点を明確にして頂くようお願いを申上げて、その推移を見守りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。(「本論々々」と呼ぶ者あり)只今申上げておるのは本論でございます。(「特別委員会でやることじやないか」と呼ぶ者あり)そこで予算の点について更に御報告申上げますが、立法、それから政令内容の検討、それから所要予算の検討審議というものは、つい数日前まで超党的にやつて参りました。なお第十六国会において設けられました水害地緊急対策特別委員会時代からも衆参両特別委員会は緊密な連絡をとつて超党的に運営して参つた次第でございまするが、最後の段階においてこの超党的な態度がくずれまして、而もその保守三派の協定というものが不明確な状態にある次第でございます。これにつきまして特別委員会として態度を決定し、政府側に申入れた件について時間的に順序を立てて御報告申し上げておきます。
 先ず十月の十三日には、特別委員会といたしましては、災害復旧は短期間に是非とも完成せしめなければならない、そのために十分の予算措置を講ずべきであるということを骨子とするところの決議をなして、緒方対策本部長並びに大蔵大臣に再三再四これを申入れ、予算編成に善処するよう強く要望いたしました。次に十月二十二日、全会一致を以て災害復旧費に対するところの意思決定をなしました。なお特別委員会としては災害の実態について種々報告を聴取し、なお親しく災害地を視察したその結果から、我々はこのたびの災害復旧については国家財政ともかれこれ勘案し、少くとも次のような予算を計上すべきであるというところの意思決定を全会一致を以てなしたわけでございます。その金額というのは、災害復旧に要する国費所要額の少くとも三割以上であるべきである。でなければ今次の大災害というものの復旧は期しがたいという決議をなして申入れた次第でございます。次に十月二十四日、今次災害に関係があるところの農林委員長、建設委員長、それに水害地特別委員長である私と三者がこれらの点について種々協議し、次の点において意見が一致いたしまして、政府側に申入れをいたしました。それはお手許のプリントか配付されていると思いまするが、要点は、伝えられるところの災害対策費三百億円、冷害対策費七十億円、この程度では今次の災害対策は期しがたい。そこでかくのごとき予算に対しては当該委員会としては絶対に承認しがたいから、再三再四水害地緊急対策特別委員会から申入れてあるところの線に副つて政府は再考すべきであるというところの申入れをいたした次第であります。なお当時の情勢では、災害対策費の増額がどうもうまく行きそうにない、併しながら災害地のかたがたの声を聞き、又我々が政府から受取つておる資料に基いて判断するときに、この程度ではどうしてもいけないという立場から、各政党の態度も一応打診いたした次第でございまするが、そのときに改進党は、自由党と改進党という党と党の立場においてはこのたび補正予算案は修正をやらない、併しながら専門的に長期間に亙つて検討して来た水虫地緊急対策特別委員会の超党的に一致した結論については、それを両毛して災害復旧が実情に副うように行われるところの予算の修正をやりたい、こういう基本的態度であることを私ども承知いたしておる次第でございます。そこでこれらの線に副つて両院水害地緊急対策特別委員会の合同打合会が持たれ、最後的に両院の特別委員会の申合せ事項として確認した申合せ事項は次の通りでございます。これも印刷が配付されておると思いまするが、要点を申上げまするというと、二十八日頃から災害復旧国費所要額は千五百六十五億というような数字が伝えられておるが、両院の特別委員会としては今までそれぞれの特別委員会で政府側から明言のあつた千八百億円と確認する。そうしてこの千八百億円の三割を災害復旧に要する予算額として計上すべきである。それからもう一点は、これを申合せました十月二十八日現在出されておりました百八億円の繋ぎ資金は本年度は引上げないこと。これらの二点について両院の特別委員会は完全に意見が一致いたしまして、これを政府側に申入れた次第でございます。この両院の特別委員会の申合せ事項が尊重されなかつたということは非常に特別委員長としては遺憾に思つております。でその後出されました三派協定につきましては、私ども各位のこの問題に対する明確化を期待するわけでございますが、ただこの際に一言申上げておきたい点は、三百億円を予算化して残りの百、九十七億とか、或いは百四十四億三千万という数字を出しておりまするが、それは如何ように算出されたか、我々は委員会では明確に聞いておりません。これらの金額については十分調査して、復旧工事の進捗度と相待つて誠心誠意努力する、こういう表現で政府は答弁されているのでございますが、この際我々が想起することは、特別委員会発足以来国会の開会が遅れている、従つて予算が成立しない、で災害地は資金切れがして災害復旧に困つておる、そこで繋ぎ融資を出すようにということを再三再四決議して政府に申入れました。その当時政府は必要があれば如何ようでも繋ぎ融資は出すということを常に明言しておつたわけでございまするが、これは詳しく申上げませんけれども、繋ぎ融資を出すととは非常に実情に離れて、地方公共団体をして非常に困却せしめた過去の実績があるわけでございます。それを併せ考えるときに、この三派協定の融資は調査の上出すということ、それだけでは私どもどうしても納得できないわけでございまして、これを開きましたところの災害地の地方公共団体の或いは執行部、或いは議会というものは災害復旧計画が立たないのではないかと考える次第でございまして、この点を明確にすることが今後の災害復旧を計画に乗せて、そうして順調に進ませるところの最も大事な要素であると、こういうふうに考えておる次第でございます。
 最後に、この当予算委員会に切にお願い申上げたい点は、只今の三派協定の件と、それから来年度の災害復旧については或いは九百億組むとか、或いは七百億組むとか、こういうことを言われておるのでございますが、過年度災害で予算化されなければならないものが千七百億円あるということは政府は速記をつけて答弁いたしております。これらとの関係を如何ように考えて、来年度の予算に如何ほどこの災害復旧費を組むお考えであるか、或いは今のは第一次補正でございまするが、第二次補正においてそういう計画があるかどうかという点が明確にならないというと、大災害に襲われた地域というものは本当に困る実情にあるわけでございます。そこで私はこれは当委員会の理事会で検討さるべき問題かと思うのでございますが、私は地方公共団体の首長のかたがたに当委員会に出席してもらつて参考意見を聞くことが大事ではないかということを考えております。と申すのは第十六国会で我々は超党派的に二、十四の法律を作つて、そうして災害地に対しましては、もうこれで災害復旧は急速にできるというような大きな期待を持たしたわけです。その線に沿つて各公共団体はすでに議会において予算を議決した所もあります。執行計画を立てているのです。然るに現在になつて前に確約した線と違つた内容のもの、或いは予算が決定されました場合に、今後の地方公共団体の財政運用計画というものは私はめちやめちやになるのではないか、こういう点を非常に懸念いたしている次第でございます。なお災害復旧に対する国費の所要額につきましても、例えば台風十三号は五百九十三億と、こういう数字を私どもに出されておりまするが、これについては十三号台風に襲われた知事会議は千三百億と公共事業費を報告しているのであります。この千二百億を仮に七割と見ましても八百四十億になるわけでありまして、こういう点非常に懸隔があるわけでございまするので、この地方公共団体の首長から参考意見を聴取して、各位の予算審議の資料とされることは私は時宜に適したものではないかとこういうように考えている次第でございます。
 一応ここで報告を終りまするが、要するにこの特別委員会といたしましては、百年に一度も襲われないほどの大災害に襲われた今次の大災害を急速に復旧させたい。更にこの十六国会から本日までの立法府のとつた経過から考えて、国会に対する国民の信頼、国会の権威というものを維持できるように今次の災害の予算というものが議決されたい、こういう点に現在特別委員会の希望というものは集約されている、こういうふうに申上げることができると思うのでございます。
 私ども特別委員会といたしましては、最終的にこれを審議し、一応の結論を出されるところの当予算委員会において十分慎重審議され、災害地の国民の期待に副うような結論を出して頂きますよう、切にお願いいたしまして一応の御報告を終る次第でございます。
○亀田得治君 議事進行について。私は法務委員会がありましたので本日出席が遅れたのですが、小林委員から先ほど委員長が冒頭に報告されたことを開きますと、何か予算の審議は六日の午前中で終るようにしたい、そのために私ども社会党議員団に対する時間もお話があつたようです。まあ、時間はないようですが、これは内々聞いている時間ですが、ところがこれは私どもとして御再考願いたいと思います。私どもは一日も早く予算案が成立することを望んでいることにおいては変りがない。従つて会期を更にどうこうというような考えは少しもありません。併しですね、内示されているような時間の程度ではこれはどうしても審議が尽せません。で、いわゆる三派のかたがたはそういう党の決定で、一つの考え方を持つておられるでしようが、それに加わつておらない私どもとしてはこれは実際いろいろ質疑して質すべきことが非常にたくさんあるのです。そういう意味で、決してこの議論を予算案からもつとほかのほうに拡げていろいろな国政全般について論及すると、そういう意味じやなしに、狭くこの予算案に限つて考えましても随分たくさん問題があるのです。それが私どもに対するあのような短い時間では到底これは無理だと思うのです。これは日も十分あることですから、予算委員長のほうでもう一度理事会で御相談を頂きまして、先ほどの矢嶋君に対する質問の問題とも併せてこの点を一つ然るべく御配慮願いたい。休憩前に一つお願いいたしておきます。
○中田吉雄君 資料の要求なんですが、二つの資料の要求をお願いしておきます。数日前から、この国会の性格に鑑みてできるだけ早くやりたいというので、委員長を通じまして資料を要求しているのですが、頂きましたのにはまだたくさん出ていない。例えば今主計局長も言われたように、この予算の増額修正に伴つて地方財政が当然増額修正を要するのですが、そういう修正財政計画等についても要請をして出しているのですが、只今頂いた資料にはありませんので、一つ至急に御連絡頂きたいと思います。
 もう一つは、三党の協定ができたということですから、その成文を是非頂きたいと思うわけであります。これは過般の国会におきましても、我が党があらゆる努力をして入手した自由、改進、分自三党が昭和二十八年度一般会計、特別会計及び政府関係機関各予算案修正についての三党間の了解事項を我が党の曾つての予算委員でありました岡田宗可氏が発表されました際に、そういうものはないというようなことでありましたが、第十六国会が済みましてから殆どこの三党協定と同様なものが新聞にも発表されています。而もこの三党の行政費の節約で一般会計百一億幾らというようなことになつて、地方公共団体に対してもこれに準じて節約をさせる、大体二百億の節約が可能であるという措置をとるようにするというような重要なことがございまして、特に関心を寄せたんですが、先般の地方制度調査会におきましては、全くこれと同様の趣旨に則つて地方財政の再建計画、財政計画等に約二百億の修正減額、節約するような案が出て、特に義務教育につきましては、小学校予算定員一割、実定員において五七%、中学については予算定員の一割、実定員の五九七の三万人の整理をするというような、この三党秘密協定に基く地方財政の再建計画なり、税制の改革案が政府に答申されて、非常に重大なる結果に至つておるわけであります。私昨日衆議院の予算委員会を傍聴さして頂きましたが、この三党の協定に参加された改進党のF氏が、只今おいでになつておる大蔵大臣との質疑応答においても、三党の協定についてすでに多くの疑問を持つて長時間に亙つて応酬されておつたのを開きましたので、一つ至急に議事を進行する意味から言つても、従来お願いしておりますところの資料、並びに五党の協定の全文を、成文を一つ至急に出して頂いて、適当な機会をみてその三党の代表のかたに一つ御説明を願つて、予算審議に支障のないようなお取計らいを願いたいことを希望しておきます。
○委員長(青木一男君) 暫時休憩いたします。午後は一時半から再開いたします。
   午後零時三十四分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時五十四分開会
○委員長(青木一男君) 休憩前に引続き会議を開きます。
 内閣総理大臣に対する質疑に入ります。
○森八三一君 時間の関係もありますので極く簡潔にお尋ねをいたしたいと思うのです。
 昭和二十八年度の補正予算の提案に当りまして、我が国の経済情勢を観察いたしまするに、世界経済の基調と比較して多少インフレ的な傾向を示しているものと判断せざるを得ないと存じます。更にそういうことに関連いたしまして財政規模の圧縮に努める所存であるとか、或いは今後ともインフレの傾向を抑制するため万全の配慮を加えて参る考えでありますというように述べられております。私はこの基本的な態度については正しくそうでなけりやならんというように考えるのであります。といつてただ徒らに財政規模の圧縮をするということだけが能事ではございませんので、それが生産的な手段に使われることでありまするなれば、必ずしも一定の枠にこだわつて行くということに局限する必要はないように思うのでありますが、申上げまするように基本的な考え方につきましては全くそうであるというように理解をいたすのであります。
 そこでお尋ねいたしたいことは、そういうような情勢に置かれておるとは申しましても、六、七月以降累次に亙つて発生をいたしておりまする本年の災害、しばしば述べられておりまするように全く未曾有の大災害でありまして、一刻も早くこれが復旧、復興を期せなけりやならんということもこれ又必然の要請であると申すべきであると思います。そこでこの二つの問題をどこでかみ合わして行くかという点が非常に重要な要点になるわけでありまするが、それに関連いたしまして何としても当面する水害、災害の復旧は一日も早くこれを完成しなければならんのでありまして、そのために所要される経費についてはこれは万難を排して予算化せらるべきであると思う。それにつきましては既定の予算を膨脹せしめて参りますということになりますると、述べられておりますようなインフレ的傾向のある上に更にそれを助長する思わざる結果に逢着するわけでありますので、そこに十分な配慮が必要であると思うのでありますが、今回の予算編成に当りましてそういうような二つの要請に応えて行くためにどういうような具体的措置をお講じになつたか。私をして言わしめまするなればまだまだ不生産的な、と申上げては多少言い過ぎかと思いますが、インフレを回避する財政規模の圧縮を考えつつ、要請された災害対策費を十分に盛り込んで行く方途がないというわけではないのではないかというように考えるのでありますが、諸般の情勢について今回の予算編成にどういうような最善の考慮が払われましたかを先ずお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 詳細は大蔵大臣から御説明があると思いますが、ともかく政府としては今御指摘のように一方においては災害に対する手当をし措置をいたす。これは捨て置くべからざることでこの事態に処してできるだけのことはするが、併しながら同時にそのためにインフレを招来するということになりますと、国民生活全体にその災いを及ぼすからなるべくインフレにならないように、同時に災害に対してはなるべく速かに応急の処置を講じたい、ここにおいてか、枠ということに自然なるのであります。一兆を超7ないというふうにして、そうして成るべく不要な或いは今年度中に使い切れないような予算はすでに決定した予算といえどもこれは後廻しにというふうにして、できるだけ起債によらず持つておる財源で賄つて行くということに大蔵大臣は十分の注意をいたして予算編成をしておるわけでございます。詳細は大蔵大臣からお答えいたします。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 今の日本がインフレに向つてならんことは森さん仰せの通りでありまして、ところが現在の日本の状況を達観いたしますと、御承知のごとく日本の鉱工業生産は戦前に比べて一四七、八、先ず五割近くふえております。これに反して輸出貿易のほうはと言いますと、僅かに昨年の例では三割二分そこそこしか回復しておりません。言葉を換えて申しますと、朝鮮事件後日本が産業の合理化、近代化等を怠りました結果として、こういうような国際的に物価高であるということのために輸出貿易が阻害されてその結果国内の又需要を非常に減らしておるので、そういつた事柄はいわゆる客観的に見てもインフレの危険状態にあることは森さんもよく御承知のことと思うのであります。
 従いまして私どもとしてはいろいろな点からインフレに対して立ち向かつて行かなければならんのでありますが、例えば財政面について申しますならば、飽くまで政府資金の散布による財政的なインフレは阻止しなければならん。かように考えておるので、勿論金融面、生産面、国際収支面その他各方面に対する努力をするのでありますが、今、限つて財政面だけ申上げますれば、そういうような工合でございますので、そこで財源の許す限りにおきまして、今、最も緊要と考える災害対策費の捻出をいたしたような次第であります。言換えますれば、財源の許す最大限度を尽して、今度の災害対策費を計上いたしておる。これが実情なのでございまして、私どもも勿論今度の災害をできるだけ迅速に、又できるだけ効果的にこれをやらなければならんということについては全く御同感でございます。
○森八三一君 財源の許す範囲で最大に考慮を払つたと述べられておるのでありますが、その財源についてお伺いをいたしたのは、吉田総理もしばしばこの議場を通じて日本経済の口立達成を強く主張せられ述べられておるのであります。その一つの対策といたしまして国際収支の面からも、国内食糧の自給度を高めて行くということについては、万難を排してこれが実行に当るということをしばしば述べられておるのでありまして私どもは置かれておる日本の食糧事情から考えますれば、これも当然そうしなければならんと存じておるのでありますが、ところが今回の補正予算を拝見いたしますると、我々がまだ数カ月前に審議をいたしました昭和二十八年度予算におきましてそういうような要請に応えるために食糧増産に必要な経費を議決をいたしておるのであります。その食糧増産の砂川が、今回のいわゆる財源の一部に充足されているということになりますと、そこに非常に大きな矛盾か冒されておるのではないかというように考えざるを得ないのであります。今回の災害対策によつて、かねがね我々が主張し、政府もそういうように態度をきめて進んでおられまする積極的な食糧増産がが、足踏みをするということになりますれば、延いて食糧輸入に関係をし、国際収支に非常な関係を持つて来るということになるのでありまして、求められておる財源というものに誤りが冒されておるのじやないかというように見ざるを得ないのでありますが、こういうことで総理のしばしばおつしやいます食糧自給の確立ということか所期の足取りを以て進行し得るとお考えになるかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 食糧増産が大切であり、国内自給度の向上を図ることは仰せの通りであります。ただこの災害対策費等の財源として、なぜそれなら食糧増産対策をさいたかというお尋ねでございますが、実は御承知のごとくに二十八年度の予算は七月三十一日に通つておるというような事情がございまして時期的に非常に遅れております。さようなことで食糧増産対策費等中にもまだ時期的に使用されずに残つておる分が相当見込まれるのでありまして、その点からこれをさいた次第で、何も食糧増産を怠るという意味は毛頭持つておりません。又次年度その他におきまして食糧増産対策につきましても十分な配慮をいたしまして食糧の国内自給度を図る。これは国際収支の面からも森さんもよく御承知のごとく大体日本で五億五千万ドルを入れているというような事情でございますのでこれは極く大切な政策と思つておりますが、今食糧増産対策を変えたのではなくてそこに時期的に余つておるものがあるからそのものを一時使つて行こう、余るべきものがあるからそれを使つて行こう、こういう考え方であります。
○森八三一君 更に今回の補正予算は去る二十九日に提案になりまして僅かに一両日を出でずして再び予算の修正が行われたのであります。この修正の行われました過程を仄聞いたしますといわゆる三派の話合によつてこういう結果が巻き起つたように承知をいたしておるのでありますが、当初本会議におきまして提案理由の説明を行うときにも、確信を持つて御提案になつたというような御説明かあつたのであります。それがまだ正式に議場を通じて十分審査されておりませんうちに、議場外における、審査によつて修正が行われるというようなことになりますると、これは議会の審議ということにも非常に悪い一つの慣例を作るという結果になるのではないかということを非常に恐れるのでありますが、修正せられるに至りました経緯につきましてその辺の事情を十分にお伺いをいたしたいと思います。
 更にその結果を見ましても、結論的には災害対策費が三百億、冷害関係の対策費が百十五億ということでありまして、この一顧を以ていたしましては、発生いたしました数次に亙る災害の復旧なり或いは非常に困難な情勢に置かれておりまする冷害地の問題を解決いたしますためには、まだまだ十分とは申上げかねると思うのであります。そういうようなことが各社の委員会におきましても十分論議をされておりますために、災害対策費にいたしましても或いは冷害関係の費用にいたしましても増額すべきであるというような意見が述べられておりますことは、政府当局も十分御承知のことであろうと思うのであります。ただ併しそれぞれの仕事を進めて参りますためには、資材の関係、労力等の関係もございますので、ただ徒らに大きいことがいいというわけではございませんが、我々の常識を以て判断をいたしましても、こういうような額では到底困難をいたしております冷害地なり災当地の復旧を図るということは、困難であるというように思われるのでありますが、若し時間の進行に伴いまして工事その他一進捗いたしまして年度の途中にこれ以上の復旧工事が可能であるというような事態かはつきりして参りました場合には、どういうように対処されますのか。私は平底に承りたいことは今の見込といたしましては、申上げますような労力の関係、岬町の関係、資材の関係等からいたしまして、この程度以上のことは本年度中に進行しないであろうというお見込のように思うのでありますが、若し幸いにして災害地における人々の努力と相待つて工事の進捗が図られまして、本年度中にこれ以上のことができるというような見通しがはつきりしました場合には、第二次補正予算を御提案になり、そうして冷害地、災害地等における困難な国民の要請に応えて行くというような態度をおとりになるお考えがありますかどうか。この二つについてお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 私どもは先に出しました案を四、五日のうちに修正するに至つた経緯につきましては、これは大体御承知のことと思うのでありますが、三党のほうでそういう協定ができて、又この協定によつてこれを政府が修正することは政府においても十分検討いたしましたが、そのことが一日も早く今日の災害復旧費或いは冷害対策費等の実行を望んでおる方方に対する希望を充たすゆえんであると考えましたのでこれに御同意をして政府が政府提案を改めた次第でございます。
 それにつきまして私どもは、今お話の点でございまするが、実は本年災害復旧対策として三百億、更に冷害対策として百十五億を今度出すことに右つておりますが、災害のほうは大体におきまして、一応私どものほうは各省間の十月五日現在で二千六百二十億という損害の報告を、過去三カ年間における査定の実績と、それから各種別の査定をいたしました結果、公共事業費におきましては千五十百六十五億、こういうふうに政府の負掛額を決定したような次第でございます。このほかに最初よく千八百億といわれた時分は例えば文教、厚生等の分を含んでおりましたが、これはその後別の枠で出しておりまして、予算中にも出ておりますから御了承願いたいと思います。
 そういうふうなわけでありますが、併し今お話のありましたような工合に、私どもは大体冷害対策費中の十二億数千万円等を加えますると、大体二割からの工事量がやれることになります。過去の実績から見ますと昨年が二割三分なにがし進行しております。あとは二割以上進行しておることはございませんので、まあその辺で財源の関係も、始終あるわけではございませんから、過去の工事進捗状況等から見てもそれでよいのではないかというふうに見ておつたのでございまするし、又丁度今、森さんも懸念されたごとくに、実は本年は過年度災害に対する四百四十億を含んでおりまするから、この三百億とか冷害対策等を加えますると、実に本年の工事量は約一千億になんなんとするものであります。従いましてこれは人夫賃、資材等に払われるのでありまして相当大きなものでありまして、それが果して順調に行くかということについては、よほど各方面とも懸命な努力を私は必要とすると思つております。併しながら幸いにも進行しまして、工事の状況から見ましてこれはもう少しあれば工事が進むのだということにつきましては、例えば直轄の河川等につきましては大体五割程度進むものもあるような工合でございます。過日のいわゆる三党申合によりまして三・五・二のその三に達するところの分は必要に応じて個々に実情を取調べまして、それで必要な場合には資金融通等の措置を講じまして実際に不便なからしめる、実際に適用せしむる、かような工合にやつて参りたいと考えておる次第であります。
 なおこの四十五億が新たに冷害対策に加わりました結果、農業保険のほうは八十五億となつて、そこに約四十五億最初見たより欠陥を生じておるように思いますが、別に二十五億の基金を使うことと、更に全度御提案申上げて御協賛願つておる五億円の積立金の取崩し、それで三十億ありまするのと、又これは必要な場合には資金上の措置もとり得ますので、農業保険の支払等にはこれはできるだけ迅速にやつて万遺憾ないことを期したい、かように考えておる次第でございます。
○森八三一君 只今大蔵大臣の御答弁によりますると、幸いに工事が進捗して行くような場合においては、三党の申合せに基いて百五十七億の融資を以てこれに応えてゆく。その実情を十分勘案して遺憾なきを期するというように述べられておるのでありますが、その百五十七億という融資は一体その資源がどこに求められるのか。更にそういうような融資の行われまする結果は、当然その金利の補給という問題が併せ考えられなければならんというように我々は考えるのでありますが、今風の予算にはそういうような措置の何ら現われておりませんことに対して、非常に疑義を持たざるを得ないのでありますが、そういうような措置は一体どうお考えになるのか。
 更に私が前段お伺いいたしましたそういうような諸般の対策を以ていたしましても、なお且つ予算的に融資的に不足を生ずるというような結果が生まれて来るという場合におきましては、第二次補正をおやりになる御意思があるのかどうか、これは非常に重要なことでありまして護岸工事等の決壊いたしておりまする地域については、今日もなお毎日二回ずつは水害をこうむつておるというような悲惨な状態にあるのであります。これは一刻も早く修復をいたしましてみずからその災厄を救つてやるということを考えなければなりません。当然地元においてもそういうような本当に困難をしておる人々があるわけでありますので、工事はかなり急速に進んで行くものと思うのであります。そういうような場合に予算がないからとか、或いは融資の方途がないということで、毎日水つかりの状態を放つて置くというわけには参りかねると思うのでありますが、そういうような場合にはそれに即応して第二次補正を出すというようなお気持があるかどうか、その点もう一遍お答えを頂きたいと思うのでございます。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 今御答弁申上げましたごとくに、実は本年度、二十八年度の、工事量は約一千億にもなんなんとする異常な工事量でございまして、それが果してそういうように順調に進行して行くかどうか、今の三割のところまで行くかどうかということについては、これは私どもは実際川間としては少しむずかしいのじやないかと思いますが、併し森さんの御懸念のような、例えば海岸或いは河川与の堤防で急ぐもの、又は出水期に備えなければならん再び起つて来る再災害防止に必要なもの、これらに対しては、勿論適当な処置をとることが当然でございまして、私どもは只今のところは今出ておる計表等で見まして、又実際報告から見まして、一応いわゆる百五十七億といわれておる中で資金措置をとれば足りるように考えておりますが、若しまだ足らんようなことがあれば、これは又別に考えまするが、今のところはそういうふうに見込んであります。これは私どもは大体一千億と口にこそ言いますが、なかなか千億の工事量を遂行するということは容易ならんことでありまして、本年度の予算が…木して効率的に有効に消化されるかどうかということは、お互いにこれは非常なる努力をして行かなければならんと私どもは考えておるのでございます。
 併しなお百五十七億はどうするかということにつきましては、現在の資金運用部の資金がそれだけのものがございませんので、資金運用部などより、例えば地方起債を斡旋するということをやる。これは例えは森さん御承知のごとく愛知県等であれは地方起債等も相当できる所もありますので、そういう所で斡旋等もやる。こういうことで実情に副うようにいたしたいと考えております。
 なお資金運用部にいたしましても、大体御承知のごとくに上期というものは政府資金のいわゆる吸上期でございまして、その時期における貯蓄成績は甚だおもしろくございません。それで丁度第三四半期からはいわゆる資金の散布超過時期に向うのでありますから、従つて今後の貯蓄成績等は努力如何によつて相当な成績が上るのじやないか。一応は只今現状の見通しで立てた資金運用部の計画でございますけれども、資金運用部で資金運用の措置が許せばそれに対する措置はとつて参りたい、かように考えておる次第でございます。
○森八三一君 過去の経験からいつて、災害の二割程度以上に進捗した例は稀である。更に過年度災害等を加えますれば一千億以上にもなるので資材、労力等の関係からいつて年度中にはこの程度以上に進行しないであろうと述べられてはおりますが、私が申上げまするように、非常に災害で困つておる地方におきましては異常な努力が払われるであろう。そういう場合に計画されておる予算或いは計画されておる資金母を以て不足する場合には、それに対する心がまえはお持ちになつているかどうかという点については御答弁がございませんのでありますが、そういう場合には一体どうお考えになるか。仮定の問題ではありますが、幸いに進捗した場合にはどうするかという点だけもう一遍お伺いしたいと思います。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 只今のところ災害に対する第二次の補正については考えておりませんけれども、若しそういう必要がどうしても起つて参りますれば、財源等のことも合せ考えてみなければならんと存じております。
○佐多忠隆君 私は先ず吉田総理にお尋ねいたしますが、MSAの援助をめぐる交渉、更にその継続かとも思われますが、池田特使がワシントンに行つての日米両国の話合等々の様子から見まして、或いは又吉田総理が重光総裁と会談をされた会談の模様等々から見まして、吉田総理は日本の防衛力増強の方針について大きな変更をされたのじやないか、されつつあるのじやないか。こういうふうに考えるのですが、この点についてのお尋ねはもう少し後にしまして、その変更をされる前提としてしばしば言われておることは、国際情勢が最近非常に変つて来た、こういうことを言つておられるのでありますが、この最近に変更した国際情勢というものを吉田総理はどういうふうに判断をしておられるのか、先ずその点からお聞きしたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 世界の情勢についての見通しということを申せば、結局は自分の主観論になりますが、とにかく感じといたしてはスターリンのなくなられて以来、又その後の朝鮮戦争がやまつたとかそういうような状態から見まして、これは憶測でありますが、ソヴイエトの戦争的気分といいますか戦争的攻勢というような気分は幾分やわらいで、それで西欧吾川と話ができれはというような気分になつたのではないかと想像いたします。又同時に西欧諸国も武力で解決するという考えよりも、或いは会合によつて、或いは三国といいますか四国会談というか、とにかく会合によつて、交渉によつて事態の収拾を図る、又緊張した世界情勢を緩和して行くということにしたい。この緩和するということにしても、新聞の伝えるところによつては、イギリスとアメリカと多少考えが違つておりますが、イギリスとしては一件ごとに解決してもそれは一つの平和に対する進めではないか、何もすべての問題を一どきに解決するというのでなくていいじやないか、一件ごとに解決して行つてもこれが平和の情勢を招くゆえんではないかというような考えから、とにかくソヴイエト政府の代表者と会合をして、そうして話合うということを努むべきではないかというのがイギリスの考え方のようであります。アメリカとしては史にソヴイエト政府が、誠意というのは言葉が角だちますけれども、ソヴイエト政府の平和に対する熱意についてもう少し承知いたしたいというのがアメリカ政府の考え方ではないかと思います。いずれにしても会合によつて処置をしたい、武力によつて解決をするというのではなくして交渉によつて話合がつかないかということの気分になりつつあるように思い、又ソヴイエト政府としても会合は御免こうむるとは言つておらずに、いろいろ条件を付けて延ばしはしておりますが、会合に対して拒否するという態度には出ておらないようであります。故に国際情勢は戦争の危険に近付いたというよりは、むしろ遠ざかりつつあるということが、これが一般の常識ではないかと私は考えております。
○佐多忠隆君 国際品情勢が戦争の危機よりも平和的気運、平和への方向が非常に大きく出ておるという点を直視された総理のお考えに対しては、私たちも完全に一致をし、賛成をいたすものであります。
 そこで更にお尋ねをいたしますが、今総理もお話のように、ソ連や中共の百平和攻勢に対応してイギリスのチャーチル首相は、英、米、仏、ソ四大国の巨頭会談を提案し、更に新ロカルノ条約の交渉を提唱して、更に進んでソ連との不可侵条約を結んで平和への基礎を固めようと主張しておると思うのであります。更にアデナウワー西独吉相もこの構想に賛成をして、先ずソ辻を安心させるために、欧州防衛共同体条約参加の六カ国が東欧衛星諸国を含めてソ連との間に不可侵条約を結んでこれを北大西洋条約代構に結び付けることの必要を力説いたしておる。ヨーロツパではこういう気運が非常に強くなつて来ておるのですが、これはヨーロツパにおけるのみならずアメリカにおいてすら伺じような気運が認められると思うのであります。即ち最近世界を一周してアメリカに帰つて参つた民主党の大統領候補スチーブンソンはアイゼンハワー大統領との会見において同じように対ソ不可付条約の意見を出しております。即ちソ連と欧州防衛共同体との間に、又はソ連とポーランドその他の東欧諸国と北大西洋同盟機構加盟諸国との間に、相互に不可侵協定を結び、西欧諸国と共に共産諸国を安全保障の対象にするということを主張をいたしておると思います。それと前後してアイゼンハワー大統領自身すら九月三十日には、ソ連が本気で東西の関係を調整する気味があるかどうかを見極める必要が迫つて来たと述べ、更にダレス長官も十月六日ソ連との不可侵条約締結の可能性を検討中であるというふうに語つておると伝えられております。これらの点から見ると、国際情勢は東西両陣営の対立の激化よりも緩和の方向に進みつつある。而も各国の首脳者はその方向へ積極的に進めるべく非常なる努力をしつつあると思うのであります。これはヨーロッパにおいてのみならず朝鮮においても高級政治会議は近く開かれるでありましようが、そこでも朝鮮からのすべての外国軍隊の撤退と朝鮮問題の平和的な解決、更に進んでは朝鮮の中立化を保障しようというところまで指向されておる、少くとも方向としては指し示されておると思うのであります。
 こういう情勢であると私は思うのでありますが、そうするならば、先ほどの総理の御認識を更に深めてこういう世界的な情勢に同調しながら、更に日本自身がもつとこれらの方向を積極的に推進をする。即ち例えば朝鮮を中心にしての外国軍隊の撤退の問題、或いは朝鮮問題の平和的な解決の問題、朝鮮の中立化の問題、更に進んでは日本自体からも外国軍隊を撤退させる、そうして日本の中立を日本をめぐる利害関係諸国で保障をさせるというような方向に積極的に持つて行くという政策がとられて然るべき情勢であり、段階であると思うのですが、それらの点について総理はどういうふうにお考えになるか。
○国務大臣(吉田茂君) 積極、消極の差はあるかも知れませんが、日本政府としては国連に協力する、世界の平和を持ち来たすことについても協力する、或いは世界の繁栄の増進に4協力すると言つて、世界における平和攻勢に協力することについては異存がない。のみならず協力いたすつもりでおりますが、然らは積極的にどうしたらいいか、こうしたらいいかとか、ああしたらいいかというお話でありますが、これは政府としては、この際こうするとかああするとかいうことはここにおいて言明することは差控えたいと思います。
○佐多忠隆君 各国の指導者、首脳部が平和の問題に対して非常に積極的な熱意を示しております。その事実を認めながら、最も平和を主張しなければならない、而も憲法には非武装を軒つてまで平和を熱願しておる日本の特殊な希望が特に強く述べられなければならないと思うのですが、にもかかわらず、総理がそれらの点に対して積極的な熱意を示されない、少くともここで表明をされない点においては、私たちは非常に遺憾の意を表するものでありますが、これは議論になりますから他の機会に譲つて、とにかく総理も先ほど言われたように戦争の危機よりも平和への傾向を非常に強くお認めになつておると思うのであります。そうで、あるならば、国際情勢の変化に応じて、或いはMSAの援助その他を頼りにして、日本の兵力を或いは防衛力を増強をするというようなことは毛頭必要がないというふうに私たちは考えるのですが、この点に対して総理はどういうふうにお考えになるのか、更にお答え願いたい。
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたしますが、日本の防衛については安全保障条約にも漸増ということを約束いたしておるのであります。又アメリカ政府としては、成るべく予算を減したい、軍事予算も滅したい、日本における駐屯軍も成るべく数を減して、以て経費の節減を図りたいという希望を持つておるのであります。日本政府として又日本…として、他国の軍隊によつて防衛に当つてもらうということは、これは一時の変態でありまして、日本国が独立している以上日本みずから防衛に当るべきものであり、原則としてはそうでありますが、敗戦後の日本として国力がこれに副わないから、それで安全保障条約というようなものを結んだのであります。にしても、漸増ということを約束いたしておるのであります。又只今申した通り、駐留軍としては成るべく日本から兵隊を引揚げたい、引揚げるに従つて日本としては日本の国防に欠陥あらしめざるためには増強して行かなければならんという結論になるのであります。この二つの理由から増強を考えなければならん立場におるのであります。如何に増強するかということは今検討いたしております。
○佐多忠隆君 世界情勢は非常に大きく平和の方向に進みつつある。而もアメリカは国際情勢或いは国内情勢の判断から日本から引揚げようというふうな方向に進みつつあるというお話でありますが、アメリカがそういう三味で日本から引揚げようということは、一つには先ほど言つたような国際情勢において平和への傾向を強く認識をしたこと、もう一つには駐留することが国内に物的に或いは人的に非常な犠牲を払わなければならない、それに対する国辱の他のいろいろな批判と言いますか、反対とまでは行かないまでもいろいろな批判が起きて来て、そういう国内的な事情から引揚げるというような問題になつて来たんじやないかと思う。そうだとすれば、国際情勢がそうであるとすればそれだけ引揚げて少くなつたとしても、その空間を埋めなければならないということは国際情勢からは結論は出て末ない。或いは国内情勢としてみてアメリカは非常にその負担に耐えないというような意味で日本から引揚げようというが、日本自体はその負担に耐えないことはアメリカの比でないので、そういう意味では国際情勢からみても国内事情からみても、今は兵力を増強する、或いは防衛力を増強するという方向に方針が変更になることはあつてはならないのであつて、むしろ反対にアメリカは引揚げるが、それに相応して日本もそういう世界情勢を認識して、むしろほかの生活安定その他の方面で間接侵略等々に対する積極的な対処策を講ずるということで、問題に対処して行くという方針をこの際こそ強く打ち出すべき時期だと思うのですが、総理はどうお考えなるのか。更に漸増の方針をすでに約束をしておるからとおつしやいますけれども、日本の国力その他からみれば漸増し得る状態にすらない。ところがどうもMSAの交渉、或いは池田特使の日米会談或いは吉田重光会談等々によると、防衛力の漸増どころか飛躍的な増加の方針に非常に大きく変更されたとしか見えないのです。その点はどういうふうにお考えになつておるのですか。
○国務大臣(吉田茂君) 日本の防衛力漸増若しくは増強というものは、国際情勢よりは日本の独立を守るということを主眼にしており、又独立を守るというためには米国軍の駐留ということになつたのでありますがその米国軍が引揚げるという以上は、日本が増強しなければならない立場にあるのであります。防衛は必要ないと言われるならば別でありますけれども、私どもとしては、一国が独立をしておる以上はその独立を守るために防衛ということは考えなければならん。故に現在の国際情勢はとにかくとして、東洋における日本の国の独立を守り又国民の生活を保障するためには、成る程度の防衛力を持たなければならない。その防衛力は国力に応じて増強して行く、この方針で政府は参ります。
○佐多忠隆君 そうすると、その防衛力を増強するという方針は、吉田重光会談で言われた駐留軍の漸減に即応し、且つ国力に応じた長期の防衛計画を樹立する、これと共に差当り保安庁法を改正し、保安隊を自衛隊に改め、直接侵略に対する防御をその任務に付け加えるというふうにお変えになるつもりなのかどうか。従つて、そういうふうにお変えになつて、更に保安大学の訓示では将来は日本は再軍備をするということまで言明をされたと伝えられておるのですが、その真否のほどを更に御説明を願いたい。
○国務大臣(吉田茂君) 重光会談において長期の防衛計画について研究しようということは今申した点であります。又将来日本が防衛力を増強し、戦力に至れば遂に憲法改正ということにもなる。これは当然でありますが、併しながら、日本の独立を護るということは、これはみずからの手においてなすべきことは当然であり、原則であります。今日のアメリカの駐留軍によつて保護せらるるということは変則である。やがて将来日本がみずからの力によつて日本を防衛するというような国力ができれば、これはみずから防衛するのが当然であります。故に長い将来はとにかくとして日本の独立はみずから護るという原則が立つ以上は、或いは再軍備をいたすということもありましよう。ありましようが今日においてはこれは考えない。けれども防衛力を増強した結果戦力に至り、遂に軍備を持つということも考え得られないことはないのであります。併し今日は考えておりません。
○佐多忠隆君 そうすると防衛力の増強の内容としては、新聞その他でいろいろ伝えられておるんですが、一体差当り総理は防衛力をどういう種類でどの程度に増強するという大綱、方針をお持ちなのか。更にアメリカはアメリカの判断からして日本にどういうものを要求しているのか、その点を御説明願いたい。
○国務大臣(吉田茂君) 米国政府としては、日本の防衛はどうするかということは、全く日本国の自由であり日本国民の判断に任すべきものであるという考えを持つておりますから、こうしてもらいたい、ああしてもらいたい、これだけの勢力を持てとかこれだけのものを持てとかいうようなことの註文はしておりません。而うして日本はどれだけのものを持つてどれだけの防衛計画を立てるかということは、政府としては研究いたしておりません。今日まだ発表する時期に至つてはおりません。
○佐多忠隆君 アメリカは、それは日本自体がきめることであるとして何ら提示をしていないというふうなお話でございますが、併ししばしばアメリカのいろいろな人とかダレス案等々が伝えられて、殊にこの間の池田ロバートソン会談で米国側が覚書として……したものによると、アメリカ側は極東における戦略的態勢から見て日本が窮極において三十二万五千乃至三十五万の地上兵力を持つことが必要であると考えるということを非常に強く主張をしたというふうに伝えられておるんですが、この点を総理はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(吉田茂君) お答えいたします。米国政府がこれだけのものを持つことが必要であるとか、或いは希望するとかというようなことは新聞等にございますが、併しながら池田氏との間においては、互いに率直に両国の立場を述べただけの話で、要求というのでもなければ註文ということでもないと私は考えております。併し内容については今確かに覚えておりません。
○佐多忠隆君 どうも米国側の覚書にはそういう数字がはつきり出されて、而も会談のたび、ことにその数字が問題になつておる。それに池田特使は非常に押されて何らかの妥協をしなければならなかつたんだというようなことが伝えられておるのですが、我々は日本の防衛力の問題がそういうアメリカの極東における戦略態勢から割出された必要数字によつて制約をされるということに対して、非常な不満、非常な反感を持つものなんですが、どうもその点については総理は口を固くしてお答えになりませんので更にこれ以上は追及をいたしませんが、それらのアメリカの希望なり要求は別として、日本自体は現在どういうふうに増強をしようというふうにお考えになつておるのか。成るほどそれは詳細には検討中でありましようが、大体の心積り等々はおありになるはずだと思うので、特に池田特使その他をば個人の資格であろうとも向うにおやりになつて、そうして池田特使もそれらの問題についてはいろいろな数字その他を挙げながら折衝をしたと伝えられておる。外国においてそういう問題が協議されておるのに我が国内において日本の国民が何ら知らされていない。国会においてすらそういうことが片鱗だも示されないということは我々のどうしても承知しがたい点でありますので、その点について更に御説明を願いたい。
○国務大臣(吉田茂君) はつきりここでお答えをいたしますが、米国の注文によつて日本の国防はいたしません。日本みずから日本政府が見るところによつて国防計画は立てるものであります。決して米国の希望がこうであるから、或いは米国の防衛計画はこうであるからと言つてそれを日本で参考することありといたしましても、日本の防衛計画は日本自身の必要と考える程度で計画を立てる考えであります。決してその点については御心配は、要りません。
 又米国政府が池田特使にどういうことを言つたか私は内容は今覚えておりませんが、併しながら決して強要したことはないし、又強要したことがあれば我々のところに報告があるはずであります。いずれにしても日本政府としては防衛計画は日本政府が必要と考える斜度においてこれを立てます。その計画は只今政府において研究中であります。いずれできましたならば予算その他の措置によつて議会の協賛を経ることは当然であります。
○佐多忠隆君 池田特使とロバートソン会談において非常に問題になつた点は、日本で国防力を増強する、再軍備をするということに対しては、憲法上の問題或いは社会的な政治的な制約、或いは経済的な制約等々があることが縷々として述べられたということを伝えられているんですが、総理はそういうふうな日本における制約をどういうものとお考えになつているのか、その点の御説明を願いたい。
○国務大臣(吉田茂君) 池田特使は日本の政治上経済上に置かれた地位を説明し、又アメリカ側の同じような状況について互いに腹蔵ない話をし合つて、彼我の間の事情を通ずるというために行つたのであります。故にその話の途中おいていろいろな話は交換されたでありましようが、併しながら政府としては、又池田特使としても同じことでありましようが、日本の現在の事情、例えば憲法において戦力を持つことは許されないとかというような現在の事情を説明するために行き、又日本の国力が今日厖大なる軍事計画を持てなんて言われたつて、それはできないのだということも説明いたしたろうと思います。
○佐多忠隆君 それらの説明を池田特使は、総理の特使として説明をアメリカ側にはいたしておるのであります。日本側においても少くともこの国会その他においては詳しく御説明を上要求して然るべきだと思いますので、御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(岡崎勝男君) これはMSAの交渉にも関連がありますので私からお答えいたしますが、これはもう従来から総理も国会でずつと説明をいたしておるのと同様であります。経済的にどの程度防衛力がふやし得るか、又社会的にどういうふうに国民は思つておるか、憲法上の制限は勿論のこと池田特使も恐らくそういうことを説明されたのだろうと思いますが、我々も始終そういうことは国会でも申しておるあの通りであります。
○佐多忠隆君 始終申しておるあの通りであります。そのあの通りなるものは我々には実ははつきりしていないのでございます。今まではつきりされたことがないんです。従つてその点をはつきりと具体的にお示しを願いたい。
○中田吉雄君 関連して。アメリカのニューヨークタイムスその他の情報では、ロバートソンその他がびつくりするほど詳細な五つぐらいの資料を持つて来て、軽くあしらうつもりだつたがなかなか熱心にやるので、非常に状態が違つたというほど厖大な詳細な資料を打つていたように情報は伝えておるわけですから、外国に見せるくらいなら国民にも一つそれをお示し願つて国政審議の判断の資料にして頂きたいと思う。
○国務大臣(岡崎勝男君) 新聞は何と伝えておるか知りませんが、只今総理がおつしやつたように防衛の計画は研究中でありまして結論が出ておりませんから、そういう計画を池田特使といえども話し得るわけではないし、それは間違いだろうと思います。で只今、池田特使は御承知のように非常に綿密な人でありますから、日本の国民一人当りの所得額であるとか税金だとか物価だとか金融赤いろいろの問題だとかこういう点については非常に詳しく書類を持つて行かれたでありましようし又丁度、行を共にされた人は、大蔵政務次官の愛知君であるとか、或いは当院の議員でありますが、ずつと大蔵省で働いておられた宮澤君だとかいうことで、財政経済問題については相当いろいろの資料は持つて行かれたのは事実であります。併し一緒に行かれた人の顔ぶれを見ましても、これは一般的には財政経済上の問題であつて、各般の問題が出ましたから防衛問題も勿論出たはずでありまするけれども、これについての何かえらい何段階かの計画を持つておるということは私は信じておりません。
○佐多忠隆君 私は一般的にその防衛計画そのものについて詳しくどうと言つているのではなく、先ほども御質問をしたように憲法から言つて法制的な制約、或いは政治的な社会的な制約、或いは経済的な制約その他の制約いろいろ相当詳しく説明をされたと思うのです。それらの制約なり不可能性の問題を私たちは私たちもとして一つの研究なり判断は持つておりますけれども、その前に政府自体がそういう計画をお持ちなんだから、それならばアメリカにそれを納得させられることに非常に御苦労をなさつたようでありますが、その前に我々国民にもその点だけは一つ、それに倍する努力をして納得させるようにおやりになることが当然だと思う。それをこの席上で是非やつてほしいということを要求しているのですから、もう少しその点を詳しく御説明を願いたい。
○国務大臣(岡崎勝男君) これは詳しく申上げるということになると、私のやつている範囲ではありませんから、大蔵大臣なり或いは保安庁便宜なりからお話があるだろうと思いますが、要するにこの前MSAの交渉を始める前に手紙を交換いたしましてそれを発表しております通りでも、憲法上の制限もあれば経済上の制限も勿論ある。そこで予算上それをどういうふうに組むかということになれば、これは財政上のいろいろの問題と取組まなければならんわけです。又例えば増員をするという場合につきましても、国内の若い人たちの気持、どの程度立派な人が応募するかというような予測を立てなければならんのですが、又同時に保安庁としては来年度に何方という人が職を去るでしよう。二年ぐらいの期間でありますから来年は相当数の人が減る。その減るのを埋めて更にどの程度応募して立派な人を得るかという見込の問題もありましようし、いろいろ各般の問題もあると思います。一々は予算なり保安庁の見込なりそういう点にかかつているわけです。
○湯山勇君 今の池田・ロバートソン会談に関連いたしまして、防衛力増強の制約として社会、政治、経済、そのほかに特に今度のでは教育が大きく取上げられていると思います。その防衛に関して総理大臣は従来と違つた御意見を述べていらつしやる。で、その教育をどうするかという内容は別といたしまして、防衛力を増強して行くために現在とつている教育の基本方針を変える御意図があるのかどうか。或いは再検討される御意図がおありになるのかどうか。これは非常に重要な問題でございますから総理大臣から御答弁頂きたいと思うのです。
○国務大臣(大達茂雄君) 私からお答えを申上げます。過日の新聞によりまして私も池田・ロバートソン会談において教育の問題が取上げられたということを承知いたしました併しこれに関連をして従来の政府の考えておりまする教育の方針に改訂を加えるというようなことは政府としては考えておりません。あそこにありました何か愛国心云々ということが出ておつたようでありますが、これは御承知の通り従前から国民の愛国心を振起するために適当な方法をとらなければならんということは考えておつたのてありますが、特に今回のさような問題と関連して取上げられたということではありません。
○湯山勇君 それでは池田・ロバートソン会談の内容において述べられておる教育の、何と申しますか自発的にそういう精神、空気を助長することに対して双方ともに責任を持つというようなことに対しては、これは全然周知しない、そういうことは将来も考えない、こういう意味でございますか。
○国務大臣(大達茂雄君) 池田・ロバートソン会談に取上げられたことについて報ぜられたことにつきましては、全然政府といたしましては周知いたしておりません。又日本の教育の制度、方針につきましてアメリカ側で責任を持つというようなことは、ちよつと了解しがたいことに思います。
○佐多忠隆君 池田・ロバートソン会談で、池田特使が政治的な、社会的な制約として「これは憲法起草にあたつて占領軍当局がとつた政策に源を発する。占領八年にわたつて、日本人はいかなることが起つても武器をとるべきではないとの教育を最も強く受けたのは、防衛の任に先ずつかなければならない青少年であつた。」そこで「会談当事者は日本国民の防衛に対する責任感を増大させるような日本の空気を助長することが最も重要であることに同意した。日本政府は教育および広報によつて日本に愛国心と自衛のための自発的精神が成長するような空気を助長することに第一の責任をもつものである。」で会談当事者がこういうふうに討議をしておる。そのことは日本の教育その他について、従来の民主憲法或いは平和憲法で認つた平和主義その他を大きく切替えるという方向を指さしておるとしか思えないのですが、総理はこういう趣旨を総理の特使にお渡しになつたのか。更にこういうことを制約をして来て、これに対しても総理は責任を持たれるおつもりなんかどうか。
○国務大臣(吉田茂君) 先ほども申しました通り、池田特使は日本の事情を説明に参つたのでありますから、各般の教育問題その他についても話はいたしたでありましよう。併しながらことごとく私がこうしろああしろという指図をしたことはありません。又その結果今の愛国心を涵養することは当然の話でありまして、何も今日において事新らしくできたわけではない。愛国心を養成するということはいずれの国においてもなすべきことでありますから、池田君が言つたとしたところがこれは別段おかしな話ではないと思います。併し池田君の言つたことは無論政府に対して拘束力はないでありましようし、少くとも私としては、池田君の言つたことは私の代理で言われたのでありますから、その言つたことについて実現を実施するように努めることは当然であります。当然でありますが、子供の使いじやありませんからことごとく一々こうしろああしろと言つて口伝えに教えたことはございません。
○佐多忠隆君 子供の使いのような些些たる問題ではない。而も愛国心或いは国を守るという精神を涵養するという点については我々といえども何ら異論はありません。ただ併しながらここで述べられていることは、武器をとるということをやるまいと誓つたことが場障害に左つている、従つて武器をとつて国を守るのだ、再軍備をやつて国を守るのだ、そういうことが愛国心だというふうな教育をしなければならんということを両者で話合つたとしか我々は受取れないのであります。そういうことについてまで総理は御指示をなさつたのか、責任をとられるのかということを聞いておる。
○国務大臣(吉田茂君) あなたの御解釈は御解釈でありますが、それを直ちに再軍備なりととるのがおかしいじやありませんか。
○亀田得治君 今総理大臣がえらい怒られましたが、あの声明書を見れば誰でも、あそこに書いてある愛国心とは平和主義を捨てるものだ、武器をとることが愛国心になる、初めから文章を読んで来ればそういうふうに解釈できます。先ほどの総理の御答弁から推察しますると、総理自身もそのことを認める。あの場所じやなしに普通に抽象的に愛国心というものが書かれておる、それを言つてるんじやないんですよ、あの場合の愛国心というものは。明らかに占領後日本の青年が武器をとらん平和主義によつて教育されて来たのは事実なんです。それを否定する意味で愛国心を書かれておる。それをあなたが先ほど認める、そういうことならあなたの愛国心というものは結局は武器、こういうことでしよう。怒らないで、大事な問題ですから、誰でもあの新聞の記事を見た者は不可解に感じておる、明確にこれは冷静にお答え願いたい。
○国務大臣(吉田茂君) 冷静にお答えをいたしますが、これを以て私は再軍備なりという意味とは解しません。
   〔亀田得治君発言の許可を求む〕
○委員長(青木一男君) 永井君に発言を許しました。
○永井純一郎君 重要な問題について論議が闘わされて来たように考えます。只今佐多君の質問に対しまして総理が答えられたところを私ども国民が聞けば、政府はとかく従来よりも一歩進んで軍備をするという方向に行きつつあるという感じを持たさるを得ません。
 それからもう一つはつきりいたしました点は、併しながらその場合でも防衛計画をどうするかということは、アメリカによつて指図されないで日本みずからがきめる、これは総理が今はつきり言われたところでありまして私どもそれは当然のことだと考えますが、その点につきましてはかねがね国民もどうもはつきりしておらなかつた。ところが只今の総理のお答えで防衛をどうするかということは日本みずからがそれをきめて行くというお答えを得まして、はつきりいたした点は私は大変いいことだと考える。私はそこで今日の国民特に三十府県以上に亙つて災害を今度は受けておる、一部分じやないのです。今度の災害は大体申上げるならば殆んど全部の国民、特に働く階級の人々がそのために非常な困難な生活をしておるということが、殆んど全部がそうしておると言つても私はいいと考えます。そこで私どもは災害被災者から考えますると、衆議院で行われましたような再軍備をするとか、或いは自衛力の漸増だとか、或いは保安隊だとか、そうでなくてそれは自衛隊だというような論争は、これはむしろ生活が困窮している被災者や働く人たちから見ますると、全くの今日は抽象論に聞える。併しながらこれは事憲法に関することでございますから、非常に重大なことでありまするが、大体政府がやろうとしていることはもうわかつた。そこで被災者から言うならば、その抽象論はそれとして一歩進んで具体的に物事を総理に質したいという気持にまで来ております。その点は私は与えられた時間がないので総理に率直にお尋ねをして行きたいと思いまするが、二つのことがあつて、その一つを選ぶということ上り私はないと思う。二者択一である。それはどういうことかと言えば、来年も必ず私は風水害があると思う、これはもう確実にあります。これはその原因については私が本会議で数字を挙げて総理に申上げたところでおわかりの通り、又専門家がすべてそう言つております。今年は三百ミリもの雨が降つたから堤防が破壊したけれども、来年若し雨が降りまするならば、川底が非常に高く全部の河川が上つておりますから、大メーターから七メーター川底が上つておりますから、そこで今度は三十ミリか四十ミリ小雨が降りますると一遍にその雨量というものは氾濫してしまう。こういう状態にありまするから、私は今度の補正予算に二百四十二億ぐらいしか組まなく、その他の予備費等を合せて三百億前後であつて、その二割にも満たないということも勿論不満な点でありまするが、それよりも私片二十九年度の予算の編成というものも重大だと思う。それは結局どういう意味で重大かと言いますると、具体的な問題として幾ら一体二十九年度予算にこの災害を復旧すると旧時に災害を予防する経費を組むかという問題は、数学的に具体的にもうはつきりして立ておる。総理が我が国の防衛はみずからの自分の国の考え方できめ得るとはつきり言われたのでありまするから、何ものにも先んじてこの災害復旧費の金を組まなければならん。そのほかにこれは本年度の補正予算に二割しか組んでおりませんから、来年度はどうしても最低六割は組まなければならん。それから今までずつと災害がありましてその復旧ができない、そちらのほうに金を廻さなかつたために復旧ができておりません。従つていわゆる過年中の災害分がそのまま放置されて今日残つておる金が千七百億に及んでおる。建設省と農林省所管の費用ですね。それと今度の災害復旧分とを含めまするならば、どうしても最低三千億ぐらいの金を注ぎ込んで行かないと、来年度は又再び本年あつたような六、七月災害と同じようになる。これはもうはつきり予算の上でしておりまするが、その上でなお且つ保安隊を増強したりして、五百億も六百億も今日よりも増加をするということは、それこそインフレになるのであつて、絶対に許されない、これはもう明らかであります。私は時間がありませんから、総理に重大な問題としてお伺いするのは、自分の国で防衛計画はきめ得るのでありますから、ここで両者を成り立たしめるという抽象的な答弁では、国民は納得しません。どちらを優先にするかということを、はつきり答えて頂きたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) お答えいたします。これは二者択一の問題ではなく、防衛も必要であり、国土保全も必要であり、これを財政上如何に按配するかということが、財政当局の手腕であるべきものだと私は思います。併しながら同時にお話のような点については、我々も今日の日本のごとき風水害を絶えず受け、而も長年の間治山治水をうつちやらかしたわけではありますまいけれども、手が及ばなかつた。その結果が今日に至つたのでありましようから、根本的に治山治水の方策は立てなければならんと思います。従つてこの方策を立てた結果がどれだけの費用が要るか、どれだけのことをいたさなければならんかということは、これは政府において治山治水委員会でありますか、において研究いたしております。而して政府としては限りある財源でありますが、そのうちの最も緩急に応じて必要とするものに支出をいたすべきものであつて、二者択一の問題では私はないと思います。つまり国の必要として措置しておかなきやならないもの、又施さなければならん費用を財政当局者が按配して行くのが、財政当局の手腕であるべきものである、択一の問題ではない私は思います。
○永井純一郎君 総理は数字をよく研究されておらないから、そういう答えができるのだと思うのですが、択一以外の問題ではあり得ないのです、数字の上から言つて……。ですから私どもはこれを念を押して聞くわけですが、軍備もしよう、拡張して行こう、併し同時に過年度災害さえ千七百億もあるものを、それから今度の残つた分も考えて三千億近いものがどうしても組めるわけがない。二つを成り立たしめるということは、私はできないと思う。それは大蔵大臣に適当に調整をしろというような問題ではなくて、一に総理が言われた通り、どちらにするかということを私はあなたがきめるのだと思う。それ以外にありません。両者を成り立たしめるということは、数字の上で私はできないと思う。どちらを少くとも先にするか、優先にするか。結局閣議でもそれが問題になると思う、二十九年度の予算編成で……。どちらを先にするかということを言つて頂く必要があると思う。
○国務大臣(吉田茂君) お答えいたします。私のお答えは同じことであります。緩急よろしきを得せしめるという以外にお答えできません。(「答弁になつていない」と呼ぶ者あり)
○永井純一郎君 それでは総理の答弁になつておらないことを、あなたみずからが知らないのだと思う。これはそういうことでなしに、牧牛を一遍よく御覧になつて、あなた自身がよく私は考えて頂かなければならぬことだと思う。それは時間がないそうですから、数字を挙げてもう少しわかるように大蔵大臣が説明しなければ、私のほうで説明したいくらいですが、これは是非とも私は三十県以上の府県に、その災害を受けた国民に対して私は総理はそこまでみずから検討をして、どちらにするかということを、是非ともみずから判断をしてきめて頂かなければならぬ、こう考えます。これはなお二十九年度のとききに、私は数字の具体的なことについてお話を伺つて行きたいと思います。時間はないですか。
○委員長(青木一男君) まだもう少しあります。
○永井純一郎君 それではもう少しあるようですから、私はもう一つお伺いをしたいと思いますが、日米会談、このことについては、私は本会議で総理にお答えを求めたところ、国費を使つておらないし、私的な代表であるから、国会において報告する必要がない、こう言われた。ところが衆議院のほうでは共同声明が出たために、経過内容は大体あの通りだというような活がありました。ところが大蔵政務次官の当院の愛知君が行つておられる。これは政府の代表として、政務次官として行つておると思う。愛知君からは、大蔵政務次官からは、私は報告が来ておると思う。それを当院に正式に報告することを要求いたします。
○国務大臣(吉田茂君) それのお答えは大蔵大臣から。
○委員長(青木一男君) 大蔵大臣は、今、本会議に行つておりますから。
○永井純一郎君 それではあとで大蔵大臣に改めて……。
○一松定吉君 私は与えられた時間が僅か十分でございますから、主として水害対策に関しまして総理大臣の御意見を承わりたいのであります。若し専門的な言葉になりまして、総理のほうで御答弁が御困難であります場合は、建設大臣のほうから御等分を願えれば結構でございます。
 近年しきりに続きまする水害について、我が日本のように数千の大中小河川のある川では、水虫対策というものは、常にこれを十分に練つておいて、かくのごとき被害を少しでも少くしなければならんことは、政治の要諦であると私は考えております。こういうときに、殊に昨年から本年にかけまする水害は、我が国における近末未曾有の被害であることは、これは異論のないところでございますが、これにつき十して政府の水害防止に対します恒久的な政策を一つ伺いたいのであります。総理大臣から伺うことができなければ建設大臣でも結構でありますから、どもらからでも、なるほどと我々が納得するようなことをお示しを賜わらんことをお願いいたします。
○国務大臣(吉田茂君) 建設大臣からお答えをいたしまする
○国務大臣(戸塚九一郎君) 本年の各地における水害が非常に大きな災害をこうむりましたことは、誠に遺憾なことでありまするが、この原因についてはいろいろありましよう。今年の災害が雨量とかいうものも多かつたこともありますけれども、やはり治山治水について戦争を境として多少緩んでおつた、不十分であつたということは、私もどうしても認めざるを得ません。で、北九州の水害を初めといたしまして、逐次大水害があつたのでありまするが、政府では恒久的に今後の災害を防ぐ意味で、治山治水の対策協議会を設けまして、恒久対策を練つて先般一応の基本の要綱を得たわけであります。今年の災害によつて経験したところでも、降つた雨が非常に早くたくさん下流へ流れて行くという二と、又山が荒れておつたという原因もありますが、土砂を流した。これが更に木材をも併せ流しまして、三つの力が合わさつて大きな害を与えたというようにも見受けられるのでありまして、そういう点から考えまして、従来の植林が不十分であつた、或いは過伐のものを有しておく手当が不十分であつたというようなことも考えられるのでありますし、又自然山が荒れておるというような関係もありまして、砂防を十分にやつていなかつたというような点も考えられるのでございます。それで只今申上げましたように、成るべく降つた大が、平たい言葉で言えば、川口までゆつくり行くようにしかけることが、今後の日本の治山治水の対策として最も重要な点ではないかというようなところを、重点的に考えまして、今回の治山治水基本要綱にも植林砂防に最も重点を置いて今後処置して行きたいと、かように考えておる次第であります。なお、従来は川の河床がだんだん上りまして、よく各地で御覧になりまするように、従前と比べて河床が非常に上つておる。それがために水の流れが早く行くというようなことも考えられまするし、又川の流れる筋道につきましても、堤防のすぐ横に割合平素からの流れ路があるというような川もございます。そういう点については、今後は相当大規模に川の中流を浚渫して、これは従前には川の浚渫ということはなかなか費用の点からも労力の点からも容易でありませんでしたが、幸いにして近年はそうした浚渫の機械等も発達して参つておりまするのでこれを今後大きく行なつて参りたいというような点も要点になつております。なお植林と申しましても、直ちに効果が挙るということにも相成りませんので、上流に丸いて降つたを調節するための堰堤を作る。ダムを作つて少しでも水を食いとめて置くというやり方が必要である。これらの点を大体の要点に考えまして、その他従来の河川の改修その他に行われておりましたところを盛り込んでこれを一応の基本の要綱の要点としてやつて参りたい、かように考えておる次第でございます。
○一松定吉君 只今建設大臣のお述べになりましたことは、一々御尤ものように思いまするが、何故に川の流れがそんなに早くなるのか。何故に土砂が流出することが多いのかということの原因をたしかめて、その原因を防止するということでなければならんのですが、その点について特にこういう点に噴きを置きたいのだという、その御意見を承わりたいのです。
○国務大臣(戸塚九一郎君) 原因と申しますと、非常に雨量が多かつたとかいうようなこともありまするけれども、これを防ぐ意味で只今も申上げましたように、成るべく降つた水がゆつくり流れるようにしたいというのが狙いでありまするが、従つて植林を十分にするということと、殊に砂防工事を十分に施して砂と共に水が流れるということを防ぎたい。この砂防ということについては、従来他の河川改修その他と比べて、私はやや不十分であつたというようなきらいも見えまするので、今後の治山治水対策といたしましては、是非とも砂防を大きく取扱つて行きたい。かように考えておる次第であります。
○一松定吉君 あなたが砂防に力を入れるというその政策は、私最も賛成するところであつて従来治山治水という政策について砂防ということが余り行われていなかつた、そういうことのために雨が降る、降れば石、砂を洗い流す、石、砂を洗い流されたことによつて堰堤が破壊し、人家をも流し、美田を流出せしむるということが多かつた。そこで砂防ということに力を入れなければならんということについては、私が自分のことを言うて甚だ恐縮でありますが、建設省におりまするときに、全国の土木課長を集めて、特にこの点を力説し、土木課長が満場一致でこれに力を入れるということに取りきめたにかかわらず、その後どういうわけか知りませんが、砂防というものが相変らず遅々として進まない、そういうようなことで私は野におりまして、常にそのことを憂慮に堪えなかつたのでありまするが、果せるかな、それがこの非常なる水害ということに結果を生みまして、私は実に慨歎をしておつたのでありまするが、今回あなたのように砂防に極く認識の深いかたを十三億、砂防が三千八百二十五億、堰堤が千六百七十三億ということに、今までより、より多く増額せられたことは、私は非常に喜んで、おるのでありまするが、併しながらこの十年計画によりましても、なお河川の六千百九十三億に比較して砂防の三千八、百二十五億はまだ私は少いと思う。こういう点を、あなたのその砂防に重点をおかれる眼識によつて更に十分に検討せられて、砂防ということに重点をおかれさえすれば、水害というものは年々歳歳少くなることは、実例がこれを証明し得て十分であります。私はその実例を今ここには挙げませんけれども、山梨県における二つの川の一つは砂防をし、それがために水害がなくして、一つは砂防をしないために年々水害がある、或いは大分県の大分別府方面における砂防工事の完成によつて水害がない、砂防という方面に重きをおいていなかつた方面では水害が非常に多い、或いは佐賀県、島根県、和歌山県、広島県或いはその他の府県は砂防をやつたところの方面は被、がなくて、同じ県で砂防をやつてないところは被害が非常に大きかつたという実例は、あなたは建設当局として十分御承知のことと思うのでありますが、なかんずく京都府の宇治、川原方面における河川に砂防の工事をしたところは全く水害がなくて、砂防工事のなかつたところは水害が大きかつたということで、その附近のものが非常に砂防工事というものの威力を認識して、京都府庁にわざわざ出掛けて感謝の言葉を述べたというようなことのために、京都府の砂防の人が力を得て、これは砂防なるかな、砂防なるかなということで大いにやろうという計画を立てられたということを、私は新聞で見まして非常に喜んでおるのでありまするから、あなたもそういう方針に向つて十分にお取扱いになることが必要でありまするが、それと同時に、私はお願いしておきたいことは、この建設省のいわゆる砂防方面の関係である河川局、或いは農林省のほうの治山課というような方面において、治山課のほうで山の方面にのみ力を入れ、建設省のいわゆる河川課のほうでは堤防の方面にのみ力を入れるというようなことが、非常に私は面白くない現象だと考えておるのでありまするから、願わくは一問一答は時間がないから申しませんが、あなのほうの河川課に砂防に非常な権威のあるかたを御採用になつて、そうして堤防に力を入れるということよりも、砂防に先ず力を入れて、先ず山から始めて治水というものの完全を期するということに改めなければならんと思うのであります。それが一つ。それから私の知つておるところに上りますると、大学のいわゆる土木科に砂防に関する講義のないということを私は聞いておるこういうようなことであれば、日本の治山治水ということに対して我が大学の考えが大いに改めなければならん、こういう点も私は思いまするから、これはいわゆる文部大臣のほうで一つ御検討に相成り市して、そういうことがあれば、そういう弊害を改めるようにして頂きたい、かように私は考えておりまするから、これに対するあなたのお答えを求めるというようなことはいたしませんが、ただ一つお願いをいたしたいことは、この治山治水につきましては、農林省と建設省の両方が、農林省は山、建設省はいわゆる山より下というようなやり方はよくないから、これを一元化していわゆる国土局だとか、或いは砂防局だとかというようなものを設けて、この弊害を除去するということのお考えがありますかどうですか。それを一つ伺つておきたいのであります。
○国務大臣(戸塚九一郎君) お答え申上げます。砂防につきましては、誠にお話の通り、私も先ほどから申上げた通りでありまして殊に今後自然金の関係などで十分に計画通りに進まないような場合には、私は砂防に最も重点を置いて参りたいと、かように考えておることを附加えて申上げておきます。農林省との関係につきましては、農林砂防、即ち山林砂防と河川砂防と分れておるようでありまするけれども、この点については緊密な連絡をとりまして、先般来基本要綱を大いに作るに際しましてもよく連絡、打合せをいたして、その間に齟齬のないようにいたして参りたいと、かように考えておる次第であります。なお、今後機構等の問題につきましては十分に研究をいたしたいと存じております。
○一松定吉君 そこで、今回のこの被害に対しまする予算というものが、各委員から御質問を申上げまするように、非常に樺少でありまして、これだけの僅少の予算では完全なる防水施設ということができないと私は思うのでありますから、これらの金を重点的に、建設省には長い間の統計等があるはずでありまするから、各河川で非常に水害の多い河川から先に重点的にその予算を振当てて、そうしてこの膏薬張り的の仕事をするために、算を分捕りするというようなことを成るたけ避け、そうして重点的にやり、而してそのようなものに対しては、膏薬張りでは仕方がないから、年々歳々値久的の水害防止の目的を一つずつ達成することのできるようなお考えが最も必要だと思いまするが、その点に対するお考えは如何ですか。
○国務大臣(戸塚九一郎君) お答え申上げます。お話のごとく膏薬張りの行き方をよろしいとは思いません。殊に今年のような災害につきましては、一層重点的に、少いながらの予算でありましても、これを活用して参りたいと、かように考えておりまして、来年の出水期前までに、殊に耕地に関係のあるような所、或いは交通上非常に重要な所、又更に水害を起す危険のあるような所について、重点を置いて予算を効率的に使つて参りたいかように考えております。なお今後の治山治水の対策の上からも、今のお話のように、どうしても重点的に考えて行かなければならんことは申上げるまでもないのであります。そのつもりで進んで参りたいと思つております。
○一松定吉君 そこで、今のように金はない、仕事は運ばない、いつ水害があるかもわからないという危惧の念を国民が持つていることは、これは政治の上に重大な影響があることは言うまでもございません。そこで、金がないけれども、この被害を何とか早く防止しなければならんということについては、どういう政策をとつておるか。例えば建設公債というものでも御発行になつてそうしてかくのごとき被害を一日も速かに復旧せしむるというお考えがあるのか。そういうようなことはしなくても、相変らず通常の予算だけで賄つて行くということになりますると、五年、十年、二十年もこの被害の復旧はできないということになると思うのでありまするが、その点についての御所見如何。
○国務大臣(戸塚九一郎君) 財源の捻出に関しましては、私がここでいろいろ申上げることは少し出過ぎるようになりまするので、財務当局と十分に連絡をいたしたいと考えます。
○一松定吉君 もう時田が参りましたから結論に入りまするが、この台風十三号の襲来によりまして、非常な被害をこうむつておりまする今日におきましては、政府としては根本的にこの水害対策を検討せられ、なかんずくこの砂防工事に重点を置いて検討し、今までのそういうようなことについて力を用いる機能が十分でなかつた点は機能を改めそうしてこれらの根本対策を練つて頂きたいということを要望いたしますと同時に前国会におきまして講じられました災害復旧に関する特別立法を今回の被害にも成るたけこれを、でき得べくんば、適用することができなかつたら準用するような方法によつて善処せられて、一日も速かにこの罹災民の憂いを取除かれることに御協力あらんことを切にお願いいたしまして質問を終ります。
○永井純一郎君 建設大臣に関連してお尋ねしておきたいのですが、先ほど総理にお尋ねをしたことは、結局このことになつて来る。私も本会議で建設大臣に砂防について特にお尋ねをしましたが、今一松氏からの御意見の通り私も考えるわけで、この砂防こそ一番重大だと思う。これをこのまま放つておけば、必ず来年はもう少量の雨量で大氾濫をすることは確実なんだ、そういうことを総理は何にも御存じないわけなんです。それですから二者択一、私の議論に対して答えにならないお答えしかできないということになつて来る、ところが砂防が一番又金を食うのです、御承知の通り。ですから財源については財務当局と御相談をしてと言われますけれども、それをやれば、結局どちらかということにならざるを得ないわけなんです。私はここで念のために建設大臣に伺つておきたいのは、この重大な砂防は何をおいてもやらなければいかんと思う。そのために建設大臣が考えておる、こうすれば砂防が短期間に完全にやれるという考え方が私はあるはずだと思う。基本要綱の中には、そうするということと、数字がただ並べてあるだけなんです。財源措置については特に私は建設大臣は少くとも二十九年一度幾ら組むべきだ、それからその後三年なり五年なりで砂防は特に主点的にやつて、どういう財源措置をして行くならやれると思うという考え方を、私はお持ちであるはずだと思う。それをここで私は重ねて伺つておきたいと思う。
○国務大臣(戸塚九一郎君) 先ほど一松委員にもお答えを申上げましたように、若し金が不十分である場合にも、砂防には最も重点を置いて参りたいというふうに考えているということを申上げた次第でありますが、砂防そのものにつきましても、随分金を食うことでありますので、思うように行かないという場合もあるかも知れません。併しお話のごとく、これに最も重点を瞬いて行きたいということには変りありません。ただその財源としてどういう計画を持つかというお尋ねに対しましても、私がここで財政当局でもない者が、財源を捻出をすることを考えるのは、只今もお話申上げましたように出過ぎると思うのでありますが、私どもは意見としてはただ財務当局に言う場合があるかも知れません。ここでこういう方法で行きたいということを申上げることまでは差控えたいと思います。
○永井純一郎君 その財務当局とこれから相談されるのは勿論ですが、建設省が、特に砂防が重大なことは宝町家が前から力説しておるところだし、我々もそれを痛感しておる、それに対してみずからの考えを持たないということは私はないはずだと思う。ですからそれは堂々と予算委員会で我々としてはこういうふうに財源措置を講じてやろうと思うということを述べられたい、こういう要求をしておるのです。若しそうでないと、先ほど来私が申上げるように、又今度総理に聞かなければならんことになるわけです。つまり財源の範囲内でというような、大蔵大臣が言うようなことを言つておつては、財源というものはないのです。ほかに、みんな軍備費に使いますから、財源はないのです。これは明らかなんですから、建設当局としては、こういうことで財源措置をやつて、具体的に砂防だけは成完をしたい、そうして防災の施設を完了したいという考え方を示して頂きたい、こういう意味なんですから、それによつて責任を今後は我々があなたについて追求するというようなことをするわけでは決してないのです。考え方だけを承わつておきたい、こういうわけなんです。
○国務大臣(戸塚九一郎君) お話の御趣旨は私もわからんわけではありませんが、例えば建設公債を以て当てるとかいうことも考えられましようし、いろいろありまするけれども、これは私がここで申上げてもどうにもなるものでもありません。
○永井純一郎君 あなたの意見を開きたいのですが、あなたの意見をおつしやつて頂きたい。
○一松定吉君 関連質問をいたします、たつた一分間。今の建設大臣のお言葉によりますと、財源は私は云々してない、大蔵省云々というようなことを言われるが、あなたは内閣の閣僚とする考えを持つておらんから、そういう答弁をなさるのです。内閣の構成員としてあなたは国務大臣という建前からすれば、これが最も国家のために必要である、これはどうしてもやらなければならんというときには、あなたは国務大臣として堂々と大蔵省に交渉して、それができなければ、職を賭してでもやるくらいの決心がなかつたら、本当に国家は救えませんよ。(「そうだ」と呼ぶ者あり)そういうような考えを持つておつたら、幾らたつてもこの災害の復旧はできませんよ。そういうことはもう一遍考え画して、自分の国務大臣たるの地位に鑑みて、そうして一つ考慮して頂くということを要望いたします。
○江田三郎君 今の質問に関連しますが、建設大臣はそこまで言われたつてお答えにならないわけです。それでは一体何のための建設大臣かということがわからなくなつてしまうのですが、結局そうなると、あなたのほうは何を考えたところで財源に関することだから自分ではきめられない、大蔵大臣に聞いてみたところで、大蔵大臣は、防衛の関係はどのくらい要るか、これは私ではわからんということになる、これはやつぱり総理にお聞きしなければならん。先ほど永井君のほうから質問がありましたが、私はもう一遍総理にお伺いしたいのですが、従来建設省は災害復旧については、理想としては六・内の二カ年計画ということを言つておられた、それが今度の三党協定で三・五・二というところに後退したと思うのですが、少くとも三・五・二という後退した線だけは、今後原則として守つて行くのかどうかということなんです。この点は一つ総理に米本的な方針になりますからお答え願いたいと思います。三・五・二という三カ年の復旧という線は守られるのかどうか、総理。
○国務大臣(吉田茂君) 大蔵大臣からお答えをいたします。
○国務大臣(小笠原三九郎君) これを基準として参る所存でございます。(「逃げないではつきり答えて下さい」と呼ぶ者あり)
○江田三郎君 そこで三・五・二ということでやつて行かれると、少くとも本年度の災害を千五百六十五億としても、およそ七百何十億円というものを来年度でやつて行かなければならん、それから本年の三割に達しない部分を、二割との開きの部分を、これを三党協定によつて融資その他の方法で片付けられるとすれば、これはやはり来年度加えて行かなければならない。それに過年度災害が三・五・二――今年の災害も三・五・二で片付ける、過年度災害についてもやはり三・五・二の原則で行かなければならん。そうすると、それが加つて来る。大体大ざつぱに計算いたしましても、それだけで以て千八百億程度の災害復旧費が要ることになる。少くとも三・五・二をやるということになれば、これだけの金が要るわけなんです。なおその上に緒方氏を会長とするところの治山治水協議会のほうで、根本的に治山治水の対策を考えているということを発表しているわけなんです。これは三カ年計画で一兆八千億円要るわけです。少くとも災害ということを考えているのだ。治山治水ということを考えているということならば、最小限政府の今発表したことからしても、それだけのことはやらなければならんのだが、それは来年度以降、そういう予算の組み方をするのかどうか。この点をはつきりと総理のほうでお答え願いたい。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 三・五・二というのは本年の異常なる災害に対する分についての話でございまして、過年度災害等につきましては、これは大体過日も衆議院で答弁いたしました通り、本年の四百四十億程度を以て従来の例によつて計上するという考え方になつております。併しながらすべて予算というものは総合的にものを見なければなりませんし、来年度の財源その他というものを睨み合せまして、これを実行して参るということは当然でございます。従いましてあらかじめ……。
○江田三郎君 だから総合的な答えを総理に頼んでおる。あなたが総合的なお答えができるならいい。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 総合的なお答えは、財務当局として私が今やつておるのでございますけれども、まだ二十九年度予算というものは編成の方針等も取りきめておりませんので、一応の見通しの下でやつておるということだけでございまして、二十九年度の予算の輪廓等は明かにされておりません。従いまして輪廓のはつきりせんうちに、どういうことをおつしやつても、これはなかなか御答弁がむずかしい。御承知のごとくに、大体各省から出ておるものは、防衛関係諸費を本年度と同様と見まして、約二兆円を超えるものが出ておるのでございまして、それを如何に調整して参るかということが、今後の予算編成の課題でございまするところから、それ以上のところは只今のところ御返事はいたしかねます。
○江田三郎君 今の答弁で行きますと、少くとも大蔵大臣の答弁か二行つても、来年度本年の災害について五割を組むということは、これは認められる。それから本年融資で片付けるものは片付けなければならん、これは当然なことです。過年度災害について本年度同様四百何十億円程度のものは、これは見るのだということを言われておるわけなんです。それだけで大体千二百億円程度の災害復旧費というものは、これはどうしても今まであなたがおつしやつた、政府が発表した点から言つても、責任としてやらなければならんように、はつきり数字として浮彫りされておるわけなんです。ただこれだけのものはやるのかやらんのか、この点だけでもお答え頂きたい。研究中だ、研究中だと、この程度のことが答えられなければ、政府のほうは今後災害復旧については、ただこの国会だけは何とかごまかして通過したけれども、あとは考えないのだ、そういうことでは一体全国の罹災者、或いは今後災害がいつ来るかわからんような状態に置かれておる全国の国民は、何を一体頼りに安心したらいいかということになる。これははつきりして頂きたい。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 災害対策につきましては、只今申しました通りに、大体本年度の今の査定、国庫で負担すべきものを千五百六十五億と見まして、それに対する三・五・ニを基準としてやつて参る所存でありまして、大体の数字はさように相成り申すが、災害、についてはそう考えておるが、全体としての財政計画というものから、すべてのもの、が出るいうことは、これは申すまでもございませんので、然らば全体としての財政計画はどうかと仰せになるから、それは今中止げた通り、今出ておるのは二兆円にもなつておる。併しこれについては今後按配をして行かなければならん、こういうことを申上げておるのです。従つて私どもも災害というものは、できるだけのことをやらなければならんのは当然です。又災害復旧を急ぐことはよくわかるし、又その財源を見出すために努力する考えでございますけれども、全体のものが立たんときに、これをはつきり何ぼ何ぼといえとおつしやつても、これは私はお答えができんと思います。只今申しましたことは、これを一応の目安して進んでおるということは申上げられます。
○委員長(青木一男君) 関連質問ですからこの程度にして、あなたの順番のときに……。
○永井純一郎君 砂防の関連、これは重要なことです。
○委員長(青木一男君) じやあ永井君。
○永井純一郎君 大蔵大臣にお尋ねいたします。先ほど来建設大臣と問答をして、建設大臣は砂防が重大なことであることを認められました。なお且つこの砂防をこのままにして瞬きますと、来年も又必ず大きな水害が起つて来るということも認められております。ところがその重要な砂防が一瞬金を食うのです、御承知の通り。又これを放つておきますと、必ず来年は三十ミリか四十ミリの雨が降りましたら大水害が来ることも確実です。そこで農地だけでもその危険にさらされておるものは三百万町歩以上だと言われておる。それで災害を受ける危険にさらされておりまする国民が二千万人を越しておるということも、建設大臣は政府の数字を発表してよく御承知のところなのです。ところが肝腎の財源の点でか行詰つて、建設大臣では、私では答弁ができない、総理大臣に聞いてもさつぱり要領を得ない、わけがわからない、こういう状態なのです。そこで私は大蔵大臣に砂防だけは何ものにも先んじて早急に完成をいたしませんと、それを削つておいて保安隊の兵隊を殖してみたところでこれはなんにもならない。そんなことはなんにもならないのですから、国土はどんどん荒廃して行く一方ですから。その砂防についてどういうふうに考えておられるか。これは放つておくわけには行かんのです、必ず水害が起ることはもう明らかなのですから。結局あなたのところでその答弁を促すほかはないのでこういうことになつたわけです。建設大臣はこれを十分認めてこれを放つておくと、又水百が来ることは確実だということを認めておられる。ですから、私はその点を大蔵大臣に砂防をどうするかということについての考え方を伺うわけです。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 災害のよつて起る原因を絶つために治山治水の対策が必要であり、それがために過日来常任委員会等を作つてやつておるのでございまするが、その治山治水対策中、最も砂防というものは最初に来る重点的に注意を払うべきものであるということは、私もこの点は全然同感でございます。併しながら御覧下さつたように、治山治水関係だけのあの対策諸費でも、一兆八千億円というものが出ておるのでございます。従いましてこれをどういうふうに予算化するか、つまり国の限られたる財源において、どういうふうに予算化するかということは、極めて重大友問題であります。ただこの砂防問題を最初に取上げて、治山治水対策の第一に取上ぐべきものであるということについては、私はどういうふうに建設大臣は答弁されたかは存じませんが、私はさように考えております。
○永井純一郎君 もう一つですから、念押しに伺いますが、結局総理大臣は、先ほど私が言うたのに対して、防衛とそれから災復旧なり治山治水は両立する、そうして両立させて行きたい、こう答えた。大蔵大臣はどうですか、その点。私は両立しないと思います。砂防だけでも、災害復旧全部でない、その根本である砂防だけでも完全にするための経費というものは両立しません。両立するというならばそれを数字的に示して頂きたいし、又両立はしないと思うならばそれでもいいのです。お答えを願いたいと思います。
○国務大臣(小笠原三九郎君) おのおの理想を求めれば両立しないかもわかりません。けれども円といたしましてはよく調整をとるために両立して持つて参るべきであると考えます。
○委員長(青木一男君) その程度に……、それでは極く簡単に。
○永井純一郎君 極く簡単にいたします。それでは調整をとるという、その調整のとり方を数字を大体挙げて噴きたい。そんなことは、数字は我々でも、もう二十九年度の予算は我々でもちやんと頭にあります、何がなんで何が幾らと……。調整のとり様がないじやありませんか。私は調整ではなくて、どちらが先にとれるのかという方針の問題だと思います。総研はその方針は答えられないのですから、大蔵大臣に答えてもらわなければしようがない。調整じやない、むしろ方針です。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 方針といたしましては、これは閣議の決定を必要とするのでありますが、私の考えるところによれば、すべてそのときの緩厳よろしきを得てやるのがいいと考えております。
○木村禧八郎君 私はこの重要な予算に関する質問時間もございませんから、この災害補正予算案と日本の財政の基本問題との関連において、ただ一点基本的な問題につきまして総理に伺つておきたいと思います。
 この我々に配付されました二十八年度予算補正の説明によりましても、日本の今の財政は重大な段階に立ち至つておるのでありますから、それははつきりとこの説明書にも書いてあります。最近の経済情勢を通観すると、朝鮮休戦成立後の世界の物価は、緩慢ながら下落の傾向にある、然るに我が国の物価は漸騰、遺憾ながら多少ともインフレ的な傾向を示しておると判断せられておる。従つてこのインフレの防止が重大な課題になつているということを書いてあるわけです。こういう財政状態の下で、どうしてこういう今…のような重大な災害費を賄うかという問題は、これこそ一番重大な点だと思うのです。そこでこれまで財源問題を中心に論議が行われておつたのです。この補正予算をめぐる一瞬中心課題は財源問題だと思う。財源があるかないかの問題です。財源がないと言えばないのです。あると言えばあるのです。財源は政治問題ですから、客観的にここに財源がどうしてもないというものではない。これこそが、先ほど大蔵大臣は、総合的に判断する判断すると言つておりますけれども、大蔵大臣はちよつとも総合的に判断していない。この財源問題は単なる財政金融だけの総合ではない。日本の政治、外交、経済全体の総合的なものでなければならん。その外交、政治、経済の基本的矛盾がここに出て来ておる。はつきり現われておる。今度の災害予算が僅かに三百億円くらいしか計上できないという点は、日本の外交、政治、経済の基本的矛盾がここに出て来ておる。従つてこの災害予算こそは、ここにおいて日本の政治、外交、経済を根本的に考え直さなければならん段階に来ておる、そういうことを物語ると思うのです。それでどうしても政治、外交、経済の総合的判断の下に、この予算を我々は審議しなければなりません。そういう意味で総理にお伺いいたしたいのであります。今岡のこの予算は災害復旧に対して総理は十分と一体お考えになつているのか、先ほど来の説明を伺いますと、これが十分であるかのごとくいろいろな理由につて建設大臣や大蔵大臣が合理化しようと努めておられますが、総理は日本の外交、経済、政治の総合的判断の下において十分とお考えになりますか。
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。無論希望を言えば、もつと支出して十分なことをいたしたいと考えますが、併しながら財政の現状においてこれ以上出すということは、インフレその他の結果を来たしますからこの程度以外に政府としては支出しようがない、故に止むを得ずこの程度で一応とどめたいというのが政府の考え方です。
○木村禧八郎君 そこが問題なんです。これ以上出すことは、インフレその他のことを考慮すると出せないと言われる。そこでこれ以上出したら、なぜインフレになるか。この財源処置については、或いは公債を出してみたらどうかという意見もあります。公債を出せばインフレになります。従つて公債を出せない。出せないから結局この三百倍程度の財源を賄うためにも、住宅金融公庫の出資を削つてみたり、更に又公共事業費を削つておる。これまでの公共事業費はやつぱり緊急止むを得ないものとして出されておる、住宅公庫の金もこれが不必要として決して出されておるものではない、そういう民生費が削られておる。公債が出せないから民生費が削られた。それじや民生費が削られなければ公債を出す、公債を出すとインフレになる、ここが問題なんです。なぜこれ以上出せばインフレになるか。私は基本的な原因について、これは日本の外交、政治、経済の総合的判断の下において総理にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 日本の財政経済の全般から考えてみまして、これ以上出せばインフレになると確信いたしますから、これ以上は出しません。(笑声)
○木村禧八郎君 なぜインフレになるのか、その常をお伺いいたしたいのです。これこそが声曲だと思うのです。この理由を我々は即くまでも検討して、そうしてインフレになる原因を突きとめてインフレ要因を排除することに努めなきやならないのです。そのインフレ原因を突きとめないで、それでただ殖やせばインフレになるなるでは、これは私は本当に心から日本の国を憂える考えではない、ただ頭の中で憂えているだけであつて心で憂えているのではないと思うのです。従つてこれ以上出せばどうしてインフレになるか。
○国務大臣(小笠原三九郎君) これは御説明するまでもなく、インフレには各種の原因が亙るが、併し恥に財政資金の撒布超過となること、財源を超えて資金が出されるということはインフレになるということは、これは御説明するまでもないと存じます。
○木村禧八郎君 それでは、現在の財政は、すでに御承知のように今度の予算は約千三百億の撒布超過ですね。従つてそれは大きなインフレ要因を持つているわけです。なぜそういう撒布超過が出て来るのか。それから又今度は約三百億の公債を発行いたします。それから更に過年度、二十六年度の四百五十億、あれを使うわけでしよう。そういうインフレ要因をたくさん持つているわけです。剰余金を四百五十億使うのですよ。従つてなぜそういうふうになつて来るのか。なぜそういうふうになるか。それを御説明願いたい。
○国務大臣(小笠原三九郎君) ちよつと御質問の点がよくわかりかねる点もあるが、私どもが言つているのは、これは過年度申しますが、二十六年度の分でございましよう。そういうものはこれは使つてもよいが、私どもが新たに公債を発行するとか、その他のものを使つてはならんということを言つたのであつてそれから特にここで私は申上げたいのは、あなたは千三百億の撒布超過になるからすでにインフレ要因がそこに潜んでおるのではないかと言われますが、この点が潜んでいるので、常に私は繰返して財政金融の一体化ということを説いておるのです。そこで本年のごときは、大勢的に言えば、財政金融の一体化の実が挙がつて或る意味におけるインフレの、要因が断たれていると私は見てよいと思う。例えば今度の予算に計上しているのは、自然増収は三百億ですが、それが最後にはもつと見込まれるでありましよう。それから御承知のごとく本年は米の不作で、供出米等の関係があるからこれは資金の撒布超過がなされるが、何百万石減ずるということも出て来るように思われますので、二、三百億は違つて来るでありましよう。又外国から物を買入れますのが、これも農林大臣の説明で、米が百六十万トンということもございますから、これも大ざつぱに考えて二、三百億は減ずるでありましよう。それから政府のいわゆる民間に預託しておる資金運用部の指定預金がありますから、その操縦と、又日本銀行と、そこで私は金融の一体化ということを言うわけなんです。日本銀行が三千数百億に上つた一これは数字は絶えず移動するから、今日の数字を申上げたわけでありませんが、一時三千五百億以上にも上つたいわゆるオーバー・ローンに対する措置、この日本銀行の金融措置、こういうことをやれば大体においてインフレ要因が断たれる。のみならず、これはやはり計数と実数が違つて来るのは、木村さんお調べになればよくわかりますが、例えば二十七年度の場合には、計数では八百億から撒布超過になつておる、これではインフレになるじやないかという議論が出たことは、私は当時の記録で承知しておりますが、現実の問題は却つて四億の吸上げ超過に終つたという事実もあるのでありまして、私は財政金融の一体化をやつて行けば、これで行けると思います。但し私が繰返してこの前申しましたのですが、今御記憶があるかどうか、それは存じませんが、二十八年度はこれでやつて行ける、二十九年度からは大変なことで、金融財政の一体化で井直するには、もう余りに重大な段階に来ております。こういうことを私は申したことを記憶しております。従つて本年度のこの補正予算以後につきましては、補正予算編成等に当つては、かりそめにも政府からインフレ要因を起さないように努めて来ておる次第です。但し三十億や五十億の違い、その程度のものはやはり金融措置で或る程度のインフレを断つことはできる一思います。これは申すまでもなく程度です。木村さんよく御存じのことと思いますが、そういう点を申上げておる次第であります。
○木村禧八郎君 そこの問題です。インフレ要因の断ちかたが問題なんです。先ほど二十七年度はインフレになろうかと思つたけれどもならなかつた。これは千百億も使わなかつたからです。予算を繰越しておる。だから二十八年度には二十七年度の未使用分一千億以上も繰越されておる。だから二十七年度にはそんなに撒布超過にならなかつた。それが本年度にしわ寄せして来ておる。一千億以上も二十七年度に未使用分がある。九千六百五十四億の予算が成立し、又ここに五百億の補正予算が出て来ておる。大蔵大臣はこれを一兆にならないように苦心惨憺して九千九百九十九億としましたが、実際には昨年度の約一千億の予算というものは本年度に使われるのです。だから実際の予算規模はこれに約一千億加えて行かなければならん。又翌年度にどのくらい繰越すか、勿論これを差引かなければなりませんが、一千億加えて参らなければならん。実際そうですよ。そういう大きなインフレ要因がある。併し大蔵大臣はインフレ要因があるが、今年度は金融措置で食い止め得られると、こう言つておられる。併し私どもはまだ重大なインフレ要因を見落しておられると思う。これはこの予算自体の性格の問題です。私は日本の財政経済で、このような大きな不生産的ないわゆる保安隊の費用とか或いは防衛分担金とか軍事的支出をするから、そこに基本的にインフレ要因がある。幾ら財政のバランスを合わしたところで、大蔵大臣、日本の物価をずつと御覧になれば、ドツジ・ラインで物価は安定したと言いながら、ずつと上つております。決して物価は安定しておりません。やはり上つております。そこに基本的のインフレ要因がある。この基本的要因を排除しないで、その上に災害予算を積上げて行くからインフレになる。そのインフレを防止するために民生安定費を判るわけです。公共事業費を翻る或いは住宅金融公庫の出資金を判る。二十九年度の予算が市大だと言われましたが、実はこの災害予算は二十九年度の予算の重大さを物語つておると思う。私はそのはしりだと思う。如何にこの災害予算が日本の財政の厖大さを物語つておるかは、そこに私はあると思うのです。従つて結局防衛費、これに手を触れなければ駄目だ、インフレ要因の排除はできません。政府は如何に財政の均衡をとつて、インフレを防止するなんと言いましても、一番根本の不生産的な、予算のうち相当大きな金額を占める防衛費に手を染めなければ、インフレ要因の排除はできません。それを残しておいて、その上に予算を積上げておる。だから財政規模を縮小すると言いながら、大蔵大臣の扇にかかわらず、どんどん財政規模は拡大して行くじやありませんか。全く政府には方針というものがない。そこで最後に、如何ように、ここで議員の質問に対して、総理大臣或いは大臣が立場を合理化して答弁されても、問題の核心に触れて思い切つてその対策を施す意思がなければ、インフレは私は食止められないと思う。特に今後今のMSAの問題、或いはあれを中心として私は又不生産的な支出が殖えて来ると思うのです。そうしたらどうしてもインフレの問題が又起きて来ます。災害予算が十分に組めないと総理大臣は言われるが、組めない根本原因は結局防衛費に殆んど手を触れないからです。日本の財政経済が今のような六百二十億防衛分担金、或いは又六百数十億の保安庁費を組んだり、そんなような余裕がある経済とは考えられないです。この点を基本的にやはり考え直さなければならん、こう思います。ですからこれは防衛費に手をつけて防衛費を削る意思があるか。なぜ防衛費を削らないで、住宅公庫の出資金をなぜ削るのですか、民生安定費をなぜ削るのですか、公共事業費をなぜ削るのですか。今までそれは不要な支出であつたのでありますか。そうであつたら国民を欺むくものであります。不急不要です。戦争の危険がないのになぜ防衛費を殖やすのか。住宅難に困つておるのになぜ住宅金融公庫の出資金を減らすのですか。なぜ公共事業費を減らすのですか。公共事業費を減らして災害復旧費を殖やしたつて何にもならん。総合的に考えておらないんでは方いか。こういう矛盾がここに出て来る。ですから私は総理に時間がございませんから、防衛費を削減する意思がおありかどうか。これは削減しなければ、どうしたつて重大なるインフレの段階に入ります。この点についてお伺いをいたします。
○国務大臣(吉田茂君) 削減する意思はありません。
○国務大臣(小笠原三九郎君) ちよつと誤解があるようですからお話をしておきます。私どもは立場が違う関係もありますが、防衛諸費は毛頭削減する考えはありません。これは日本のために是非必要なるものと考えております。なお住宅金融公庫から削つた二十二億について言われましたが、これは住宅の問題は御承知のように、その後の契約、その他の進行状況から見まして、元の建設計画に相当する分は確保されておるのであります。ただ支払いが遅れるのでありまして、本年度内に金が要らないから、それで二十二億余つておる金であるから、これを使うのであつて、住宅の根本を何ら変えたものでないことは、これは繰返し私がお話しておる通りであります。何ら住宅出資金を減らすというような考えは持つておりません。従つてこれは契約に基いて払つて行くのでありますから、金が現実に余る。余るからこれを使うという話であつて、この点はよく了解を願つておきたいと思います。更に又、この公共事業費とか、食糧増産対策費等についてのお話がございますが、これも今年の予算は御承知の通り、七月三十一日に通つて実施期は例年と違つて少し遅れております。あとはいわゆる四、五、六、七の四カ月が骨格予算で、そのときは御承知の通り木村さんに言つたら、もつと根本的に変えてくれと言われたが、大体元の案をそのまま持つて来たものであり、そこで実施期が遅れている等がありまして、やはりこれも金が余る見込みが立つているのと、地域が多少違いますが、冷害その他災害と地域が違う。そこでそのうちを割いておるわけでありますが、何ら食糧増産対策費をおろそかにする意味ではない。余つておる金を使つて行こう。又余し得るところの金を使つて行こう。更に言葉を換えて言えば、最も資金を国家的に効率的に使つて行こうという配慮から来ているのであります。
○木村禧八郎君 その住宅金融公庫の問題誤解があるといけないから附加えておきます。なぜ余るか、もつと原因を究明すべきです。住宅に困つているのになぜ余るのです。そこに根本の問題がある。大蔵大臣は住宅にお困りにならないから、そんなように考えておられる。それは資材がどんどん高くなつていること、土地がないことなんです。ですから抽籤に当つても、土地がない。それから資材がどんどん高くなるから、当つても金がない。そういうところに政府が対策を講じないで、余るなんと言う。だから削つてしまう、全く政治が逆立ちしていると思う。又効率的に使うと言われるが、外交、政治、経済全体から見て、今戦争の危険がないのに、なぜ防衛費を多くするのか。効率的に使うのならこれを削つて災害費に廻すのが効率的だと思う。
 最後に私は外務大臣がおられるから一点だけ外務大臣に質問しておきます。この予算とも関係があるのですが、外務大臣に簡単に二吉だけ伺つておきます。結局防衛費を削ることはできないということが、この災害予算が十分でない、政府がもつと出したいが出せないという結論になると思う。そこで私今度貿易促進議員連盟の派遣議員の一人として中国を、新らしい中岡ですね、この眼で見、この耳で聞いて参りました。中国は、これは行かれた自由党のかたに聞かれても、改進党の方に聞かれても、鳩山自由党のかたに聞かれても、これは一致した意見です。中国はどこへ行つても戦争する意思なんかありません。外務大臣お出でになつてみればわかる。平和を熱愛しています。私はこの眼で見、この耳で聞いて来た。それだのにどうして中国いわゆる中共と言つてそれを想定敵国としてどうしても日本が再軍備をし、この防衛費を殖やさなければならぬのか、この点です。従つてだからこの災害費が十分に出せない。従つて外務大臣はやはり中国は日本を侵略する、そういうようにお考えですかどうか。この点がこの予算とも関係がありますから、一応伺つておきます。総理にもこれは御見解を伺えればなお紅梅と思います。
○国務大臣(岡崎勝男君) 中国が平和の意思のあることを伺つて非常に結構だと思いますが、而も中国は百六十万以上の正規兵を持つており、二百五十万以上の予備兵を持つております。我々は中岡よりもつと平和な意思がありますけれども、十一万やそこらの保を隊を持つておるのでこれは必要に応じて殖やしても、我々の平和の意思は一向変らないのであります。
○木村禧八郎君 今御答弁ありましたから…、それは軍隊を持つているということがやはり平和でないということを意味しておられるのですか。中国がそういう軍隊を持つているから平和でたい、そういう御答弁でありますか、平和の意思がないのだという場……。
○国務大臣(岡崎勝男君) 中国が軍隊を持つておつても平和の意思があるので非常に結構である。我々も保安隊を殖やしてもやはり同様に平和の意思を持つておるのだ、こういうことを申上げたのであります。
○小林孝平君 先ほど大蔵大臣は既定経費の節約に関連しまして、二十八年度の予算は七月の三十一日に通つたから予算が余るのだ、こういうお話でありますけれども、今度は明後日ぐらいにこれを通そうとしているが、なお使えないのじやないかと思う。大蔵大臣の説明によれば、期間が長かつたから、七月で年度の途中であつたから余つた、そういう理窟は私は通らないものと思う。特に三派の修正によりまして十億円政府原案より食糧増産の経費を殖やしておるのです。大蔵大臣はそのとき使えない見込みなら、そのとき断わられたらどうですか。大蔵大臣のやり方は一方では頭を撫でて、一方ではほつぺたを叩く、こういうやり方だと思う、どうです。
○国務大臣(小笠原三九郎君) それは御承知の通り、十億の問題と五百億に達するのと大分違いますが、私が申した意味はそういうわけで遅れておるものもあるので、それで本年度内に資金を使えるものができるならという意味において申しておるので、資金を効率的に使う意味から申上げたので、財源の点から申上げているのであつて、決して何も七月三十一日に通つたからそれで余るじやないか、こういう意味で申上げたのではない、このことはよくおわかり願えると思う。それは年度を通じたときでもこの間お話があつたが、大体四月に通つても金を使うのは六月じやないかというお話が出た。若しそれならば七月に通つても九月に使えるのじやないか、これはものの考え方ですが、私どもは食糧増産対策費を何ら疎そかにするものではない。併資金は効率的に使う意味から、ここに使い得る金があるからそれを使う、こういう意味であります。
○小林孝平君 大蔵大臣はそうお答えしますけれども、それは違うのでありて、例えばこの食糧増産の経費が余つたから使うというなら、その既定経費のうちで流用したらいいのです。それを一方では削つておいて、一方で殖やすという複雑な手続は国民をこまかすという以外に意味はないのです。なぜそういう複雑なインチキ的なやり方をやられたのか、それをお尋ねいたします。
○国務大臣(小笠原三九郎君) それは既定のものからそういうふうに削つておるが、併し必要に応じて出すのであつて又地域その他工事の内容においてもしうだろうと思います。併し私は農林省予算についてみても、個々の事情が果してどういうふうになつておるかどうかそれもよく存じません。併し現実においては、冷害対策その他に行つておるものと、それは地域関係も偉いましようし、片一方は冷害等に対するもので、片一方は一般的な食糧増産に対するもの、この点も違うと思います。
○小林孝平君 ちよつとこれだけ……。地域が逢うとおつしやいますけれども、既定経費の食糧増産の経費は、どこで使つてもいいのです。わざわざ冷害対策という費目でやる必要はないのです。そんなことを大蔵大臣が言われておつては非常に困ると思うのです。あの中で流用することは何ら差支えない。これを今のように一方では翻り、一方では殖やすというのは、冷害対策の費用を会十に見せかけようという大蔵大臣のこれはこまかしです。どうしてそういうごまかしをやられたのか、私はお開きしたい。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 私はごまかす意思はありません。
○小林孝平君 そうなるのです。
○北勝太郎君 去る三十日の本会議における保利農相の答弁によりますと、冷害に対する恒久的方策の一つとして、品種の改良、耕作方法の改憲等をするからと安心されておるようでありますが、方法の一つとしては勿論そうでなければならんと信じます。私も勿論大いに科学の尊者の一人であり、これを巧みに農業に応用することに、農夫として四十有余年間努力を続けて来た一人なんでありますが、農業は自然相手の仕事でありますから、これにも限度があると思うのであります。成る一ほど今年程度の寒さであれば、農相の言われる通り冷害を防ぐには可能性があるのでありましようが、若し万一稲の幼穂形成期とか、或いは開花期等において今年以上の寒さが来たならば、新品種も新農業法も実は、かいがなくて、必ず皆無作に陥ることは避けがたいであろうと思います。又これは縁起でもない話をするようでありますが、ここ数年のうちには、同期的にみてもつとひどい低温が来るという臆説さえ流布されておるような始末でありますが、本年以上の低温が来ない申し分でありますが、科学の過信のほうではあるまいかと考えます。先日も申し上げました通り、今年は天災ではなく人災だというものがあるごとく、この災害の起つたのは科学の過信が禍のもととなつておると思うのであります。本年私も農夫として、新聞その他で夏の低温をあらかじめ知らんではなかつたのでありますが、耕作技術の進歩、品種の改良等で必ず取つてみせるという自信を持つておつたのであります。或いは臨床苗代をやるとか、或いは肥料の加減をするとかいうようなことによりまして、幸い難を免れたようなものの、実に際どいところであつた。若しも低温の時期がいま少しずれて行きましたならば、ひとしく私も皆無作に陥つたに違いないと思うのであります。だから今年の低温を基準に農林大臣が今後を考えて安心されるならば、それこそ科学の過信に陥ると思うのであります。自然相手の仕事でありますから、農業においては科学の推移にも限度があると思います。絶対不安のない安定農法をとらすことこそが農政の基本でなければならんと信じます。例えば先日も申上しげましたが、常習冷害地等では、水田の一部を絶対に冷害にかかることのない牧草等に転換して、酪農を加味する等の農業の政策が必要であると存じます。食糧問題の極めて重大なとき、総理大臣として国民が米でなければ食糧でないというような誤つた考え方を持つておるのをこれは一掃させて、反収のカロリーの最も多一収穫ということに着想することが必要であると思うのでありますが、これに対する総理大臣のお考えを承わりたいと存じます。
○国務大臣(吉田茂君) 農林大臣からお答えをいたします。
○国務大臣(保利茂君) 私からお答え申上げます。今年以上の冷害が来ないと誰が保証し得るか、これは全くその通りだと思います。天地の恵みの上に立ちます農業でございますから、これはもう科学だけにというわけには無論行かんかも知れませんけれども、併しそれはどこまでもやはり進歩した科学の上に立つて農業経営が営まれて行くようにならなければならんだろうと思います。そういう意味から北委員もみずから御体験で或いは今日あることを予期せられて、それに備えられて耕作をせられた結果、最悪の事態に立至らずに食いとめられたというお話、私は北海道の実情は実は見ておりませんけれども、東北の実情をつぶさに拝見いたしますと、又農家の諸君もここに若し温水溜池があつたならば、或いはここに若しわせ種を植えておつたならばということは、どこへ行つても聞かされておつたところでございます。そういう意味におきまして冷害に備うるところの経営のあり方というものは、今日は相当進歩したものがあるはず、品種の上におきましても、又耕種の上におきましてもあると存ずるわけでございます。併しこれがなかなか徹底しない。科学に過信しておつた結果が冷害になつたと言われますけれども、むしろ逆でございまして、昨年の豊作が特に晩生稲が非常な成績をおさめましたがために、多少の不安はありながらも晩生稲のほうにかたよつたというところに、今年の被害の深刻さがあるようでございます。これは私はむしろ逆のようではないか。従いまして無論そういう上から品種、耕種の改善につきましては徹底した普及をいたさなければならんかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○北勝太郎君 実はこの間の本会議における農林大臣の御答弁に満足せず、只今も又満足しておらんのであります。そこで総理大臣に伺つたのでありますが、米でなければ食糧でないというような国民の間違つた考え方を総理大臣は直させるようにするお考えはないか。極めて簡単な問題であります。御答弁を願います。
○国務大臣(保利茂君) 総理大臣からも(「総理に対する質問じやないか」「総括賛同じやないか」「委員長少し注意して下さい」と呼ぶ者あり)私は食糧当局としてしばしば御注意も頂いておるわけでございますが、日本の食糧問題の解決というものは、米のみに依存しておつたのでは解決する時機はない。従つて粉食その他麦の利用について、更に一段の利用を考えるようにということは総理大臣の御意見でもあるわけで、私もそう考えておるわけであります。(「総理大臣自身がそう言つたらいいじやないか」と呼ぶ者あり)。
○北勝太郎君 次に承わりたいのでありますが、今農林大臣のお言葉に関連してでありますが、今度の問題は一つ是非総理大臣から御答弁を願いたい。それはこの食糧問題の転換に関連しましてH下バターの不足問題が出ておるのでございます。これに対して輸入論者があるそうでありますが、国際収支の重大な今日でもあるし、国民の間には将来における食糧問題の見地から食生活の改善の声が高く、且つこの声に応じて農民が漸く酪農の振興に向おうとしておるこの際でありますから、実は各国のバターが安いと言いますが、それはそれぞれ保護政策をやつて価格を安く保たせておるのであります。そこでそういうような安く保たせておるところの外国バターを入れて来るということは、極めて外国側の上手なダンピングの手にまんまと乗ることでありまして折角の燃え上ろうとする酪農熱を砕き、日本の農家の経済を甚だしく窮地に陥れ、そういう工合にして我が酪農を再び立つ能わざらしめるに至る重大な岐路に立つておると思うのでありまして、遂に臍を噬むの愚に陥るかと思うのであります。成るほど外麦の利用上、粉食奨励からバターの不足は誠に困るのでありますが、かようなときにはむしろ人造バターのほうに力を入れよ、こういう工合にしてもらいたいと思うのであります。幸いに人造バターは日本品の品質は頗るいいというのでありますし、価格は天然のバターの半分なのであります。そこで有名な畜産国であるデンマークでさえ、自国内では人造バターを使つて、そうして外貨獲得のために天然バターを外国へ輸出している。こういうような実情でありますから、貧乏国の日本が天然バターでなければ食わないというような考え方、こんな理窟に合わんような贅沢は速かにやめさせなければならん。この理窟に合わんことを企てる閣僚が若しおるとするときには、どうか吉田首相はかかる誤れる人たちに、この際暫くは人造バターにせよとのいわゆる首相としての一言指示を与えてもらいたい。このことはすでに贅沢に酔わされようとしておる我が国民の目を覚ますためにも最もよい薬になると思うのであります。ただ、この場合私はお願いしたいのは、例の貧乏人は人造バターを食えというような考え方ではなくて、(笑声)病人か年寄りのほかは栄養の点でも満足であり、又国策に沿うところのことであるから、賢明な国民はむしろ一つ人造バターを食え、こういう工合に一つ教えて頂きますことが実は小さいことのようであるが、極めて現在の国情から見て大切なことだと思うのであります。総理大臣の御見解を承わりたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 食糧問題も大事でありますから、バターの輸入も自然大事であります。但しそのために日本の酪農に影響を及ぼし若しくは衰頽せしめることのないような範囲において、外国のバターを輸入しても、私は差支えないと思います。
○佐多忠隆君 先ほど時間がなくて中途で切れましたので、更に二、三問題を総理大臣にお尋ねしたい。
 中共貿易の問題について総理にお尋ねをしたいのでありますが、中共貿易の重要性は今更私が説くまでもないと思うのであります。輸出については御承知の通り戦前は総額の二〇%、輸入は一〇%という程度のものを占めておりました。更に戦後でも二十五年には千九百万ドルであつたものが、二十六年には六百万ドルになり、二十七年には十分の一になつて六十万ドルに激減をいたし、その後今年に入つて若干は殖えておりますけれども、それでも一三月の間に三十万ドル程度しか出ておりません。こういう状態を見ながら、政府はいつも中共貿易については過大に評価してはならないからということを言い続けて来られた。ところが朝鮮休戦の成立前後から、御承知の通り西欧諸国では非常に積極的に中国に出て参つております。例えば昨年あたりイギリスにしても、スイスにしても、イタリーにしても、ベルギーにしても非常に殖えておる。今年に入りまして一三月には更に非常左激増と言つていいくらいの増加をいたしております。そういう状態であるときに、西欧すらそういう力を入れているときに、日本だけが殆んどこれに努力をしないで、従つて今申上げたような誠にみすぼらしい状態に陥つていて中共における貿易の問題をめぐつて西欧諸国に対して完全に敗退をしているというような状況であると思うのでありますが、これを政府は今後どのように措置して行こうとされるのか。殊に一昨日の晩帰つて参りました中共貿易促進のための議員団諸公は三千万ポンドですか、三千万ポンドに及ぶ貿易協定を更に結び、それに対して賠償、補償の条項であるとか支払の条件等々についてまでのいろいろな話合いをやつて来たようでありますが、それらの点を考えながら政府は今後格段の努力をするおつもり左のか。こういう情勢であるにもかかわらず政府は従来と同じように中共貿易は大したことないんだから、それに代位するものとして東南アジアを考えるんだというあの方針一本でお進みにたるおつもり左のか。その辺のことを一応心がまえとしてどういうふうに考えておられるかを先ず総理大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(吉田茂君) 心がまえとしてお答えをいたします。中共の貿易が若し日本との間に再び復活ができれば結構なことであります。ただ今日日本と中共との間には平和条約もなく、国交も回復せず、日本の在外公館も設置されておりませんから、この貿易振興は希豊するところでありますが、手段はどうするか、その手段が今日はないのであります。併しながら復興は望みます。
○佐多忠隆君 国交調整の間延をお話でありますが、それならば若し国交調整ができていない、或いは国交が再開されていないが枚にこういう状態にあるんだということならば、本当に真剣にこの方面に打開の途を、正常貿易拡大の打開の途をお考えになるのなら、貿易関係のみならず、更に進んでは国交調整の問題なり、国交再開の問題等々にまで進むべきであるし、ほかの東南アジア諸国その他に対してはそういう手を打つておられると思うのですが、それにもましてそういう方向にお進めになることが然るべきだと思いますが、総理はその点はどういうふうに思いますか。
○国務大臣(吉田茂君) 進みたいと考えますが、併しながら現在中共政府は、日本に対して日本人の引揚げについても日本政府と面接交渉することを避けるというような状態で甚だ困つております。
○佐多忠隆君 それはやはり日本が中国を相手にしようと思えば、山崎に対しても一応いろいろな条件も整えなければならないと思うのです。特に山岡が日本を非常に警戒をしているのは、日本がアメリカの再軍備その他の手先になつて、日本に陣地を構築をして、そうして中川を脅かすと、そういう態勢にあるから自分たちは日本と手を握れないんだという感情であると思います。併し同時に又我々日本国から言えば、さつき岡崎外務大臣も言われたように、反対に我々から言えば、中国が相当な兵力を持つておる、或いは日ソ友好条約を結んでおる等々のことが我々に対する脅威であるという問題も考えられ、主張できる。そこで問題は、双方からそういう態勢を解いてお互いに手を撮り合うような方向に進めて行くことこそが両方の国交調整を進展させる途であると思うのですが、総理はそういう方向に向つて国交の調整なり打開をして行くおつもりがあるかどうか。
○国務大臣(吉田茂君) したいと思いますが、只今申した通り手段がないことは遺憾であります。
○佐多忠隆君 どうもよくわからないのですが、それじやそういう問題は非常に大きな問題で、今のところお答えができないのかも知れませんから、もつと卑近な問題から打開して行く方途をお尋ねをいたしますが、戦略物資は輸出ができないということになつている。ところが昨年の実績を見ますと、アメリカの対、外援助の受益国であるフランス、西ドイツ、ノールウエイ、イギリスが共産主義諸国に向けて戦略物資を輸出した。で、アメリカでいろいろ問題にはなりましたが、それにもかかわらず、アメリカはバトル法に規定されておる援助停止条項の発効を見合さなければならなかつたというような状況であります。戦略物資についてすらそういうふうに西欧諸国は対処をいたしておるのでありますが、日本にもそれくらいの気がまえで、中国貿易を開くおつもりがあるかどうか。同じ戦略物資といいましても、亜鉛鉄板その他等々の、一体戦略物資と言えるかどうかというような問題からの打開でいいと思うのですが、それらの点をどうお考えになるか。或いは又更にイギリス政府のごときは安全保障上の対象とならん非戦略物資の対共産圏貿易を促進するのがイギリス政府の政策である。貿易なしではイギリスは生活ができないし、又この非戦略物資の共産圏向け輸出は自由世界の利益にもなるものと考えるというような主張から、これは政府の声明ですが、こういう態度で非常に積極的に共産圏との貿易すら努力をいたしておる。そうだとすれば、日本は少くとも中共貿易に関する限りは、更に積極的に、もつと西欧諸国にもまして積極的にそういう態度をとるべきだと私は思うのですが、総理はどういうふうにお考えになるか。池田特使は、アメリカ側は日本政府の中共貿易問題に関する政策と行政措置を称讃をしたと言つて非常に得々としておられるのですが、その結果がさつき申上げたむしろみじめな姿になつておるので、これは称讃されたことを得々とすべきではなくて、逆に、このみすぼらしい姿を取返すための粒極的な努力をすべき段階だと思うのですが、総理はどういうふうにお考えになるか。
○国務大臣(吉田茂君) 大分細かい専門的のことでありますから外務大臣からお答えいたします。
○国務大臣(岡崎勝男君) 原則としては西欧なみと考えてやつております。又そのつもりでいろいろの物資の解除もいたしております。但し、今お話のように、これはココムで大体きまつておる制限措置でありますから、私の考えでは、たとえアメリカから文句を言われようと言われまいと、それは別といたしまして、ココムの約束にあるものをもぐつて売り付けるというようなことはいたしたくないと考えております。
○佐多忠隆君 ココムの関係であれば必ずしもアメリカと直接に御相談をなさる必要もないし、アメリカのいろいろな指令に従う必要もないと思うのですが、その点はどういうふうにお考えに在りますか。
 それからもう一つ、これは総理に特にお聞きしたいのですが、奄美群島の復帰の問題ですが、ダレスが声明してからすでに三カ月になる。それで、十月の初めだとか、十一月の初めには復帰するのだ等々言つて非常に期待いたしておるにかかわらず、これがまだ確定をいたしていない。予算は今度の補正予算で十億という予算を要求しておられますが、この予算要求に関連して、一体復帰の期日はいつになるのか、或いは今まで確定をしていないというのはどういう事情によつて確定をしていないのか。その辺のことを総理に御答弁願いたい。
○国務大臣(吉田茂君) 外務大臣が主管でありますから、主管大臣からお答えいたさせます。
○国務大臣(岡崎勝男君) 中共向けの物資につきましては、おつしやる通りココムで相談いたしますから、特にアメリカと相談するということではないのであります。
 奄美、大島の復帰につきましては、我々は十二月一日を目途として今いろいろの措置を進めております。そのために今度も補正予算を計上し、法律も御審議を願つておるようなわけであります。併し、これは実際の引継ぎでありますから、いろいろ細かいことがあつて、多少時日が遅れるかも知れないと思つておりますが、併しどんなに遅れても、年内には必ずやれる、こう考えております。
○江田三郎君 先ほど中共貿易の問題について総理のお答は、中共貿易は大いに促進したい。併し引揚げの問題についてみても、中共のほうでこちらを相手にしないから困るのだ、こういうようなお答えでありましたが、それならば、若し今度中国へ参りました視察議員団が帰つたのを契機に、もう一度こちらから中共貿易を促進するために通商代表部の交換というようなことを提案せられる御意思はないか。又向うからそういうような申入れがあつた場合にはこれを受けて行かれるだけの御意思があるか、その点をお尋ねします。
○国務大臣(吉田茂君) 主管大臣からお答えいたします。
○国務大臣(岡崎勝男君) この実際上のいろいろの措置につきましては、まだ帰つて来られても、実際私は報告を聞いておりませんし、向うの実際の様子をよく報告を聞いてから考えたいと思います。併し只今のところ通商代表部というようなものを交換し設置するという意向はありません。
○委員長(青木一男君) 江田君簡単に願います。
○江田三郎君 向うからそういうような申入れがあつた場合にはどうされます。
○国務大臣(岡崎勝男君) 只今のところはありましても、受諾する意思はありません。
○曾祢益君 私は総理大臣に日本の防衛問題についての基本方針についてお尋ね申上げたいと思うのであります。従来の政府の防衛問題に関する方針と申しますものは、安保条約があるから、外からの外敵の侵略に対しては、安保条約によつてアメリカが日本を守つてくれる。従つて日本としては間接侵略に応ずるような、これは名前は警察予備隊から保安隊、或いは自衛隊と変るでありましようが、そういつたような間接侵略に対するものをやつて行けばいい。少くともその基盤の上に立つておつたと思うのであります。併し従来の立場では、国際情勢の進展からもうやつて行かれないという段階が来たのではないか。即ちアメリカ軍隊が駐留するという基盤に立つてのいわゆる軍備はしない、戦力は持たない、軍隊は持たない、こういう立場がここに崩れて来たのではないか。従つてここに日本の防衛に関する政府の基本的な見解を、従来とはつきりと変えた基本的計画を持つ必要が出て来たのではないかと考えるのですが、先ずその点について総理のお考をお示し願いたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) これは従来安全保障条約にもあります通り、直接、間接の侵略に対して、日本は防衛隊を以て当るということは、主として米国軍が直接侵略に当り、そして日本の保安隊としては、或いは防衛隊としては、治安の維持等に当る考えでおりましたが、併し米国側の希望としては、これは安保条約には私は成るべく早く米国軍は引揚げたい。又日本がこれに従つて防衛力を漸増する、米国軍は漸減をしたい、こういうことは安保条約に書いてあります。故に米国軍が駐留軍を成るべく引揚げたい。これは初めから了解されておる通りであります。今米国政府としては、経費の節減の上から駐留軍は少くしたいという必要に迫られております。故にこれに従つて保安隊と申しますか、日本の防衛も漸増しなければならん立場におりますから、日本の防衛力漸増という方針、或いは増強という方針で今後対せざるを得ないのであります。又将来において常に日本の独立後外国の兵力によつて護るということは我々の希望しないところであり、独立国としてなすべからざるところでありますから、いつか護り得るような時代が来ましようが、差当りのところは日本の防衛力の漸増によつて、或いは増強によつて一時対処する。国力の増加に従う、漸次米国軍が引揚げても、日本の防衛に差支えないまでの処置にいたしたいと思つております。
○曾祢益君 只今の総理の御答弁は私が申上げましたように、情勢が変化したので、防衛に関する基本方針をこの際変えた、変えなければならなくなつた、このことを自認せられたものと考えるのであります。何となれば従来は政府は安保条約前文にあります自衛に関する責任を漸増的に負う、こういう点に関しましてもそれはアメリカの期待であつて、これは日本として約束したものではない。従つて基本的には成るほど一国のことは一国で防衛するのが当り前だけれども、安保条約がある限り、ここ暫くの間はアメリカが外を護つてくれるのだから、防衛計画の漸増か急増か知りませんが、そういうものはない、そうして日本の持つておるものは純然たる間接侵略に対するものである、こう言つて来られたのでありますから、従いましてこの点は明白であつて、本日少くとも総理は同僚各委員の質問に対して、安保条約で漸増を約したという言葉を二回少くとも使つておられますが、これは従来の見解から甚だしい飛躍であつて、私が申上げたようにここにはつきりと防衛の基本が変つて来たものであると承認せられたものと解釈しまして誤りないか。いま一応御返答願いたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 私は私の申したことを変更したということは考えません。何となれば漸増ということは始終申しておるものでありますから、期待と申しましても、期待することを日本は認めておるのでありますから、期待したからといつて日本の我々の考え方が、その期待が実現されたからといつて、我々のこれまで考えたことが根本的に違つたとは私は考えません。従来の通り安全保障条約にある通り、日本の防衛力は漸増してそして米国軍は漸減する。この基本の下に安全保障条約があり、この基本の下に防衛計画を立てておつたのであります。
○曾祢益君 どうもなかなか御答弁がうまいのですけれども、結局これは変更であつて、発展的変更と言つてもよろしうございますが、これは重大なる変更であろうと思うのであります。のみならず安保条約の問題だけでなくて、今度は日本の間接侵略に対応すべきいわゆる防衛態勢と申しますか、これにつきましてもいわゆる吉重会談においてはつきりと従来の線を変えられまして従来は勿論直接侵略に対する趣旨のものではない、間接侵略に当るものだ。併し現実に直接侵略があつたときには、これは放つて置くわけではないのであるから、そういう場合には直接侵略にもぶつかるけれども、それは任務でない、趣旨でない。従つてそれは軍隊でもない、戦力でもない。こういう解釈で来られたのに、これはやはり吉重会談を契機としてその方針は変えられたものと判断して間違いないか、この点も総理から答弁願いたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 如何ように御判断、解釈せられても、それは御自由でありますが、これは過日衆議院においても説明いたしました通り、保安隊が保安隊として任務を遂行しておるときに、外国の直接侵略を受けたその場合に、銃を担いで逃げ出すということはできないはずでありますから、直接侵略があつた場合に保安隊はこれに当らない、任務以外であるということは言えないはずであります。併しながら誤解を防ぐために、或いは保安隊の精神高揚と言いますか、かかる場合においても侵略に当るのだということをはつきりせしむることがいいと考えて保安庁法を改正したいと思つております。けれども従来の趣意は結局事実上保安隊が直接侵略は我々の任務でないから逃げ出すんだということはあり得るはずでないのを、ただ法制化、法文化しておらないということに欠点があると考えまして、ここに法文化する考えで目下研究を進めております。又電光総裁との会談においても、日本の防衛計画については十分研究しようじやないかという話合いをいたしまして、ここにおいても保安庁法もそのうちに改正しようという話合いをいたしたのであります。
○曾祢益君 どうも二つのことをわざと混同させておるような感じがするのでありますが、任務上は直接侵略に対抗するものではない。併し場合によつて直接侵略が起つたときには、これは戦うのは当り前だからということを、当り前のところから法文を直すということと、間接侵略に当るという保安隊の少くとも公に発表した目的を変えて、直接侵略にも対抗し得る性格のものにするところに、防衛の基本と憲法問題の基本に触れた問題が起つておると思うのであります。併しこれは両立論でありますから、時間がありませんので次に参りますが、私の言わんとするところは、かかる重要な防衛に関する基本方針が、変更と言おうが発展と言おうが、現実に総理が先の国会に話されたことより変つた一大進展があつた。それを今度の国会においてみずから進んで国会を通じて国民に告げられるのが私は穏当であろうと思う。それをおやりにならないで、逆にMSA交渉に関連して、そうしてアメリカに池田特使を派遣された。このやり方が国民としても不可解であり、その結果は日本の問題を外国に先ず相談して行くというかような形に見えるのが甚だ遺憾でございますが、そこで先ほど池田君が何をやつても、日本の防衛問題は、防衛計画は日本の必要と考える範囲でやると、非常にはつきりと言われて、一部の同僚諸君はそれで満足されたようでありまするが、私はそれは必ずしも真理の一部しか言つてないのではないか。勿論日本の防衛計画を日本が立てるのは当り前であります。然らばその防衛計画というものは、外国と相談なしに日本単独の防衛計画をお考えになつておるのかどうか。それとも集団保障の一還としての防衛とお考えになつておるのか。若し集団保障の一環としてお考えならば、こつちの防衛計画を立てた上に、外国との間のこれの調整の話合いをするのが当り前ではないか。私はかように考えますので、いま一応総理のお考えをお聞きしたいのであります。
○国務大臣(吉田茂君) 池田特使は、しばしば申すようでありますが、日本の事情を述べ、又米国の事情を聞き、彼我の事情を通ずるために参つたのであります。そして防衛問題につきましてもアメリカ側の考えるところを聞き、又我々の考えておるところを言うというので、話合いを進めて来たのであります。その結果としてどうなるか、その結果として米国側の希望はこうだ、日本側の希望はこうだということの線が明瞭になつたろうと思いますが、そこで今度は日本側だけの如何なる計画を立てるか、これは米国側の考え方を無論参考にいたしますが、日本政府としては日本政府独自の考えから防衛計画を立てて参ります。その防衛計画に対して米国側は更に集団保障の一部に入れるか入れないか、これは米国との今後の相談によつて決せられるわけでありますが、今日日本が考えておりますことは、つまり保安庁で計画いたしておることは、日本の防衛力としてはどれだけのものを持てばいいか、又持つことができるか、又それが国力に相応するかという点から独自の立場からして考えておるのであります。その計画ができて、これに対してアメリカがどう考えるか、これは又今後の考え方です。又国会に、今後日本の防衛計画ができた場合に、国会に予算を計上し、又予算の中に防衛費を計上し、又日本の防衛計画に副う必要な法律を決定するという場合には、議会の協賛を得ることは当然でございます。併しながら外国との間の、彼我の事情を相話合う場合に、外国側に相談したということを言われるのは少し話が過ぎておると私は考えます。又米国側に相談して日本側にあとから話すという考えは毛頭ありません。如何なる防衛計画を立てるかということが、現在日本政府の当面しておる問題であります。
○曾祢益君 池田特使の使命というものはかなり何と言いますか、いわゆる防衛問題等に関連する一般的な事情のお互いの立場を探り合うといいますか、そういうことであつたというお話がありましたが、併し特使がいやしくも共同コミユニケを発表するというようなことは、これはかなり異例ではないか。会談の結果でありまするから、勿論世界の輿論が、これは注目の的でありまするから、何らかのステートメントが出るということはあるかも知れませんが、併し共同コミユニケを出したということは、これはかなり大掛りな本格的な、一極の政府と政府との間の公けの国際会談の形をとつておりはせんか。従つて勿論それ自身が条約的な、日本の国会を拘束するというようなものではないことは、これは当然といたしましても、ただ総理大臣の特使の資格において総理大臣が先ほどもちよつと言われたと思いますが、私自身を拘束する、併しそれは政府を拘束することはない、政治的にこういうことは果して言えるか、私は政治的には日本内閣を全体として拘束するものではないかとかように考えますが、その点は如何ですか。
○国務大臣(吉田茂君) これは先ほども申しました通り私の特使でありますから、その池田君のなした言論については私個人を拘束いたしますが、政府は何ら関係はないと私は解釈しております。
○曾祢益君 それは総理大臣個人の特使というようなものは、我々は憲法の解釈から言うと考えられない。これは総理大臣はやはり内閣の首長とされて、内閣は連帯で責任を負うべきものであつて、総理大臣個人吉田茂氏の特使なんというものは考えられないのではないか、かように考えるのでありますが、その点は飽くまで政府はこの共同コミユニケについて内閣は何ら責任はないというふうに考えてよろしいのですか。
○国務大臣(吉田茂君) 私の先ほどの説明の通りであります。
○曾祢益君 どうも興奮されたので話がしにくくなりましたが、どうも今の御説明は、これは政治論としても憲法論としてもなつてないように考えるのでありますが、時間がありませんので次の問題に移ります。
 私は昨日の衆議院の予算委員会における政府の、総理大臣及び主として保安庁長官の御答弁でありまするが、これは非常に従来の憲法の解釈から言うと画期的な一つの、何と言いますか、従来とは違つたものがあつたと思うのであります。それは申上げるまでもないことでありますが、従来の政府の御説明は保安隊は軍隊でない、又軍隊でなくて戦力でもない。であるから憲法の範囲内である、こういう基盤に立つておつたことは当然でございます。私はそれがいいと言うのではなく、そういう論拠に立つておられる。ところが昨日の御答弁ではこれを通覧するに、これは軍隊であつても解釈は自由だ、軍隊であることは認める、併し戦力ではない、こういうことに帰着すると思うのです。併し一体さような解釈は憲法に立脚した理論として成り立つものであるか、これは非常に私は重大な問題だろうと思うのです。私が憲法九条第二項について御説明するまでもなく、憲法九条第二項の趣旨は陸海空軍、又はその他の戦力を保持しない、交戦権ということもありますが、やはり軍隊、戦力という関係から言うならば、陸海空軍、これを簡単に言うならば、軍隊、軍隊は勿論戦力であります。その他のエニイ・アザー・ポテンシャルズ・オヴ・ウオー、もつと正確に、英語か実際はできた憲法ですから、裏を話せば本当は戦力という言葉も潜在戦力とでも書くべきです。従つて陸海空軍、即ち軍隊は当然戦力であつて軍隊を持つてはいけないことは当り前なんです。而も軍隊でなくとも戦力は持つてはいけないという憲法の解釈に間違いありますか。少くとも今までは総理或いは木村さんも軍隊ではない、戦力でもない、而もその戦力の解釈においては誠に勝手極まりない融通無礙なる、近代戦を遂行できる云々というような特殊な解釈をしておられました。その解釈も非常に恣意的な解釈でございますけれども、軍隊でもない、戦力でもないというものには一つの論理の一貫性があつた。ところが軍隊であることを認めて、憲法で言つているその他の戦力であつてもいけない、ところが軍隊であるけれどもその他の戦力ではない。だから憲法九条の規定に反しないのだという一体理窟はどこから出るのか、これははつきりお示し願いたいと思います。
○国務大臣(木村篤太郎君) 私は軍隊と戦力とは全然別個の観念であることを確信しております。そこで軍隊とは何ぞやという定義如何によるのであります。通俗に言えば鉄砲を持つておる実力部隊が軍隊であると或いは人は言うかも知れません、一体曾祢さんがはつきり軍隊とは何ぞやというこの定義をしたものがあれば私はよくお調べを願いたいと思います。これは解釈如何です。そこで従来保安隊は御承知の通り保安庁法第四条によつて明かに「わが国の平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護するため、特別の必要がある場合において行動する」のであつて、国内の平和と秩序を維持しております。外敵の侵入に対して対抗し得ることを建前としていないのです。そこで性格上は一種の警察とみてよかろうかと考えております。そこではつきりとこれは軍隊、いわゆる通俗的の軍隊でもない、こういう次第であります。併し今度保安庁法を改正いたしまして、これは未定の問題でありまするが、改正いたしまして、外敵の侵入にも対処し得るということになると、ここが問題であります。そこで外敵にも対処し得る一つの実力部隊を軍隊なりと称するならばこれを称してよかろうと、こう思つておる次第であります。併しながらこれを学問的とか或いはもう少し高度に軍隊とは何ぞやということになりますと、これは非常に問題であります。普通軍隊と申しまするのは、交戦権を持つておるのであります。或いは動員とか或いは統帥とかということのいろいろな問題が出て来るのであります。そこで仮に今保安隊が保安庁法を改正して外敵にも対処し得るようになつて来ましてもいわゆる憲法第九条第二項において交戦権は持つことを禁止されておるのであります。又動員の面においても制約されておるのであります。いろいろの面から制約を受けておりまするから、いわゆる軍隊とは性格を異にしておると言わざるを得ないのであります。これであります。普通軍隊と言えば、交戦権を持つ或いは動員その他統帥ということ、或いは軍法会議というようなものを皆これは持つておることになるのであります。そうすると仮に保安庁法を改正して外敵に対処し得ることになつても、併しそれらのいろいろなものは持つていないのですから、いわゆる軍隊とは性格を異にしておる。併しこれを先ず前に申上げましたように、ただ外敵に対処し得るものを軍隊なりと称するなら、それは軍隊と称してよかろう、こう申すのであります。だから通俗的にこれを軍隊と言うことは一向差支えない、こういうことを我々は考えておる次第であります。
○委員長(青木一男君) 時間がないようですから簡単に……。
○曾祢益君 最後に簡単にもう一点。その点はどうも伺つていてもわからないのですが、非常に法律論をやつておられる。軍隊に関する法律論をやつておられて軍隊の定義についての国際法上の例等をお出しになりましたが、これに対するお答えは暫く留保しておきますが、併しそういう法律論をやつておられるかと思うと、私の憲法論については直接お答えがない。私はその憲法と軍隊とを全然変えたということ自身がこれは憲法解釈の間違いである。成るほど軍隊という言葉は使つておりません。陸海空軍その他の戦力、即ち事理明白であります。戦力の中の主なるものが陸海空軍、エニイ・アザー・ポテンシャルズ・オブ・ウオーでありますから、あなたの戦力ということだけを特殊な解釈をされておるという点が、第一これは憲法論に対する御答弁になりません。この点は甚だ遺憾でありまするが、あなたの御説明では何人も納得できないと思います。それからもう一つは今度は通俗的な意見をされておる。いわゆる軍隊というものは統帥権或いは交戦権があるのが本当である。それはその通りでしよう。然るに今の保安隊或いは今度あなたが考えておられる自衛隊というものはそういうものは持たない、或いは持たせるかも知れないが、持たせないとあなたは言つておる。一応その解釈を承認して、そういうものであるというなら、これは軍隊じやないというのが本当である。今度は通俗的に軍隊と言つてもいいというのは、これはこの法律論ではなくて、あなたの政治論である。でありまするから、この点は総理お聞きしたいのでありまするが、政府のそういつたような無理な解釈というものは、いわゆる自衛隊というものについて吉田重光会談において一つの内容をおきめになつておる、その自衛隊そのものがいわゆる戦力的なものである。あなたの解釈では、私に言わせれば軍隊であるという改進党の解釈と、あなたのほうの、いやそういう戦力的な軍隊を持つてはいけないのだ、持てないのだ、それがよし欺瞞であつても一応そういう立場でとつておられる政府との間に、一種の政治的歩みよりで軍隊と考えてもいいというようなあいまいなことを言われたのではないか。若しそうだとすると、このような基本的な憲法の基本に関する解釈をそういう政治の取引の道具に供するようなことは、誠に国民に対する甚だ非民的なやり方ではないか。だから政治論は政治論として、法律論は飽くまで厳格な法律論で押通して行かなければいけない。従つて今、昨日になつて急に軍隊でもいいというこの解釈をここで確認されるのか、やはり軍隊ではないのだとはつきりするのか。この点はこの際明確にして頂きたい。(「総理が答弁しろ」と呼ぶ者あり)
○国務大臣(木村篤太郎君) いや私がお答えいたしましよう。そこで私は軍隊と言つてもいいというのは、軍隊だという意味じやないのです。いわゆる軍隊というのは今申上げましたように、交戦権を持ち、或いは動員もやることになり、或いは用法会議を持つということでありまするから、保安庁法を改正いたしまして外敵の侵入に対処し得るような部隊を持つても、これは真正の意味における軍隊ではないのだ、真の軍隊ではないのだ、いわゆる軍隊ではない。(「闇の軍隊だ」と呼ぶ者あり)併しながらこれを仮に通俗的に仮にすべて普通の人が軍隊と言うなら、それでもよろしい、(「おかしいよ」「重光をごまかすのか」と呼ぶ者あり)それでもよろしい。吉田重光会談において、いわゆる自衛隊ということはいわゆる真の軍隊ではないが、これを二面において私の言うように通俗的に軍隊と言うなら、これは軍隊と言つてもいいのでありますから、自衛隊と言つても一向差支えない、こういうのであります。
○委員長(青木一男君) 時間が来ましたから簡単に願います。
○曾祢益君 軍隊ではない、こういう解釈ですね。
○国務大臣(木村篤太郎君) さようであります。
○河野謙三君 私は今の国会はいわゆる救農国会と言われますが、これは罹災農民に対する救済が半面であつて、その半面はこの国会において処理しなければならんことは、一方において罹災農民の救済に当ると同伴に、一般国民に対してこれからの一カ年間におきまして食生活において不安なからしめる、これが今回の国会において我我が政府と共に審議すべき重要なことである。そこで時間がありませんから、極く簡単にお尋ねいたしますが、食糧政策におきまして、その中の米の問題で吉田総理は、米の自由販売につきましては、従来ともその御方針は変つていないかどうか。吉田内閣の経済政策の基調は私が言うまでもなく統制経済から自由経済へ順次統制を撤廃して自由に持つて行かれる、その結果、国の経済復興に非常に寄与されたことは私は認めます。伊上残る米の問題につきまして、自由経済、米の自由販売というものを全然否定せられたか、その方向は依然として変らないか、これを私は伺いたい。
○国務大臣(吉田茂君) 主管大臣からお答えいたします。
○国務大臣(保利茂君) 米の統制を撤廃したいという根本の方針は何ら変つたところはございませんけれども、前国会におきまして当委員会に井野委員から御質問がありました際に、総理からお答えいたしておりまするように、今日の需給状態においては、これを強化する必要はありまするけれども、緩和する考えは持つていないのであります。
○河野謙三君 そうすると、米の円山販売の方向は今日捨てない、ただその時期において少しく先にずらした、こういうことですか。
○国務大臣(保利茂君) 今後の需給状況によることと存じます。
○河野謙三君 そういたしますと、自由販売の方向は内閣の性格上捨てない、こう言うならば、一部の政党が言うところの米の二布価格にはくみするものではないのですか。
○国務大臣(保利茂君) 価格のあり方としては、二重価格制に俄かに賛成するものではございません。
○河野謙三君 そういたしますと、そこで私は伺いたい。今国民が一番政府に開きたいのは、これから来年の一月以降の米が一体幾らにきまるだろうか。自由販売の方向を捨てないで、順次それに歩みよつて行くという従来の政府の主張というものが変らないなら、ここで凶作係数も一段と上ります。食糧庁の負担すべき何ものもありません。余力がありません。そういたしますと、かねて七百三十五円とかいう予定価格を農林大臣は政府の方針において発表されたが、更にこれが七百三十五円が七戸四十円なり七百五十円になる可能性が当然起ると思いますが、それを木を上げないとおつしやるのですか。それともそれはまだはつきり系数一を弾いてみなければわからんとおつしやるのですか。これを伺いたい。
○国務大臣(保利茂君) 消費者価格につきましては只今慎重に研究をいたして、おるところでございます。
○河野謙三君 慎重に研究はされるのは当り前です。食糧の問題を軽々にやられてはたまるものですか。ただこの段階まで来て、一月一日以降の米の価格は自由販売の方向を捨てない自由党内脚におきましては、当然生産者価格も上れば、それにスライドして消費者価格を上げて行つて、闇価格と配給価格を順次歩みよつて行かなければ自由販売にはならないのです。それを生産者価格は上つたけれども消費者価格のほうは今までと措置だと、こう言うのならば自由販売の方向を捨てたことになるのです。七百三十五円か七百四十円か知りませんけれども、自由販売の方向を依然として捨てないと言うのならば消貫者価格は上るのですか。国民全体は自由党内閣におきまして生産者価格も上れば消費者価格もそれに比例して成る程度上るだろう、そこに不便があるのですね。私は何百何十円ということを聞こうとしているのじやない。従来の政策から行きまして当然或る程度米の消費者価格は上るのも止むを得ない、これが内閣の性格である、こういうことですか。
○国務大臣(保利茂君) 建前といたしましては、私どもとしましては今年の米につきましては完遂奨励金の分は、これはもう国会の意思もはつきりいたしておりますから、これは除外するとしまして、その他の買入費用に所要の経費をかけたものを消費者に持つて頂くという建前でございますけれども、今年の特殊な食糧事情に鑑みまして、その面からだけで消費者米価を決定し能わざるいろいろの要素があるようでございますから、慎重に研究をいたしております。
○河野謙三君 私は細かいことは後日農林大臣から伺います。でありますから米の値段を上げるか上げないかくらいの基本方針は総理大臣に伺いたいのです。次に伺いたいのは、米食率は下げませんか。今内地の凶作に応じて外米を百万トンから百四十万トン、更に百六十万トンの外米を輸入すると言つておる。これは今のところは国民のほうでは入るか入らんか、絵に画いたぼた餅だが、あなたのほうは米食丁を今後一年間は現在の米食率を責任を持つということですか。それとも下げたくないという希望の程度ですか。これを私はつきり伺いたい。総理大臣から伺います。総理大臣からこの程度のことは……。
○国務大臣(保利茂君) 総理大臣からお答えすべきでありましようが、私からお答えいたします。今政府が一年間の配給米を持つておるわけじやありませんから、これはどうも申上げるまでもございませんけれども、ともかくも今日の一般家庭の最低消費量は何としても確保いたしたいという決心でやつております。
○河野謙三君 その程度の御言明はたびたび伺つております。この段階まで来たならば米食率は責任を持つくらいなことは言えそうなものじやないですか。言えないのですか。それを又言わなければ食糧政策は安定しませんよ。闇の価格は安定しませんよ。供出も安定しませんよ。はつきりとあなたの決意をこの際お示し願いたいと思います。
○国務大臣(保利茂君) 私は私でこれは責任を持ちたいと思つております。
○河野謙三君 然らばあと一分ほど時間があるようですから総理大臣にこの際ちよつと伺いたいのですが、総理大臣は過日の衆議院で鉄道の民営につきましての賛意を表明されたようでありますが、国鉄の民営につきまして自分も将来そうしたいものだというようなことを言われておりますが、この問題と同じような問題で数年前に煙草の民営を総理大臣は熱心に主張された。私はその当時占領治下にあります日本におきまして民営は有難いけれども、何分占領治下でありますから、米英の煙草資本が入つて来て、この米英の煙草資本の搾取の対象に内地の煙草耕作農民がされる危険がある。かようなことを考えましてその当時は非常に煙草の民営に疑いを持つたのであり汚すが、現在独立した今日、而も最近の専売公社の運営の堕落腐敗、これからいたしまして、私は曾ての総理の煙草民営の主張、これを私は思い起しまして、今こそ速かにやるべきときではないかと思うのですが、この煙草の民営論につきましての総理の御見解を伺いたい。
○国務大臣(吉田茂君) 私の理想としましては、成るべく官業は縮小したいと考えるのであります。このほうが経済的であり、事務の上から言つて見ても能率的と考えますが、併しながら民営に移す場合には、鉄道でもそうでありますが、煙草専売でも同じことであります。種々準備行為が必要と思います。専売を民営に移したいという考えはありますが、これに対しては十分慎重に考慮いたし、研究いたして、そうして処置いたしたいと思います。
○委員長(青木一男君) 本日はこれにて散会いたします。明日午前十一時より開会いたします。
   午後五時二十六分散会