第017回国会 通商産業委員会 第3号
昭和二十八年十一月四日(水曜日)
   午後一時四十四分開会
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 出席者は左の通り。
   委員長     中川 以良君
   理事
           松平 勇雄君
           加藤 正人君
           小松 正雄君
   委員
           石原幹市郎君
           黒川 武雄君
           西川彌平治君
           酒井 利雄君
           豊田 雅孝君
           西田 隆男君
           藤田  進君
           三輪 貞治君
           武藤 常介君
  国務大臣
   通商産業大臣  岡野 清豪君
  政府委員
   公正取引委員会
   委員長     横田 正俊君
   通商産業政務次
   官       古池 信三君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       林  誠一君
   常任委員会専門
   員       山本友太郎君
   常任委員会専門
   員       小田橋貞寿君
  説明員
   通商産業省石炭
   局長      佐久  洋君
   通商産業省公益
   事業局長    中島 征帆君
   中小企業庁長官 岡田 秀男君
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  本日の会議に付した事件
○通商及び産業一般に関する調査の件
 (鉱害復旧に関する件)
 (下請代金支払遅延対策に関する
 件)
 (火力外貨借款に関する件)
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○委員長(中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開きます。
 本日は最初に鉱害の復旧関係につきましての調査をいたします。鉱害の復旧に関しまするところの法律を、本委員会においてその際にいろいろと議論をいたしまして通過を見たのでございまするが、その後鉱害地における復旧の状態というものは必ずしも当初我々が法案を審査中に考えたように順調には行つていないようであります。而も北九州のごとき今次の風水害によつて被害を受けた地区におきましては、非常に複雑なる様相を呈しているように存ぜられるのであります。先ず最初に本日は石炭局長からその後の経緯並びに今次災害との関連をいたしました点等につきまして御説明をお願いしたいと思います。
○説明員(佐久洋君) 鉱害問題につきましては法律が二つございまして、一般鉱害というものと特別鉱害という二つに別れております。特別鉱害と申しますのは、戦時中強行出炭をするために採掘をいたしてその原因で発生いたしました鉱害でありますが、これは国の補助金と業者の納付金によりまして復旧をいたすという建前で、昭和二十五年から今日までかかつて逐次復旧をいたして参つておるのであります。もう一つ一般鉱害と申しますのは、戦時中の強行出炭とは関係なしに、従来からの累積されました鉱害の復旧の問題であります。これは臨時石炭鉱害復旧法という特別な法律を作りまして、昨年の八月一日に公布施行をされたわけであります。復旧の計画と申しますか、一般鉱害としてその当時調査されました工事費総額が二百三十億ほどになつておるのでありますが、復旧の直接の対象となり得る、即ち鉱害の進行度が安定したものを差当り一般鉱害の復旧対象に考えるということで、百六億の復旧工事量を予定いたしてあるのであります。それでこの一般鉱害の復旧に当りますものは、その中心機構として鉱害復旧事業団というのを九州と宇部に作りまして、この事業団が各業者からの納付金の取立て、それから工事費の支払という業務を行うということで、本年の一月にいろいろのいきさつを経て、若干時日を要したのでありますが、漸く復旧事業団ができ上りまして復旧事業に着手したのでありますが、昭和二十九年度におきましては、ざつと一億五千万円ほどの工事予定をいたしましてその工事を進めて参つております。それから昭和二十八年度におきましては、国の補助金が三億一千万円、これは予算にすでに決定済みのものでありますが、それを含めまして本年度の事業遂行に当つておるのでありますが、不幸にして先般の水害と、それから昨年秋頃からの石炭業界の不況のために炭鉱業者からの納付金の納入状況が非常に悪くなつて参つております。これは臨時鉱害復旧法の建前が復旧事難計画を立てる場合に、納付金を納める炭航業者がその事業計画に同意しない場合には、事業計画自体が成立たないような形になつておりますので、かたがた石炭の不況、なおかてて加えて水害というようなことのために納付金の醵出余力がなくなりまして、又その出す金が直接石炭の合理化というような方面に使う関係でない事情もございますので、なかなか事業計画に同意をいたさないのであります。併し一方鉱害復旧事業団は成立いたしましてどんどん仕事しなくちやならんという立場にあります。何とかしてこの金のほうの賄いをつけて事業計画を進めたい、こういうふうに鉱害復旧事業団の当事者も考えますし、私どももそうすることがこの法律の趣旨に副うというふうに考えまして、今日まで運用部資金の借入という方法を講じたいということでまる一カ月半ほど大蔵省との交渉を進めて参つたのでありますが、遺憾ながら今日に至つてもまだ色よい返事を得られないという状態になつておるのであります。この鉱害復旧事業団と申しますのは、法律に基いて作られました特殊な企業法人でありまして、利益を目的とする組織ではございません。従つて一般の市中金融機関からの融資ということは全然見込はない状態でありますので、なおこの鉱害復旧ということが食糧増産、民生安定というような趣旨から計画をされ、その趣旨で法律も制定されましたので、先ずこの運用部資金を借りることが一番筋も通るのじやないかというふうに考えて、大蔵省との折衝を始めたわけであります。今日までの経過を申しますと、最初は復旧事業団が運用部資金の貸付の対象になるかどうかという点が問題になつておるのでありますが、これはほかのこの事業団に類するものに貸付けた例もありますし、事業団自体が担保力というか、信用力という点において特に欠けているというところもなさそうだという結論になりました。結局運用部資金に余力があるかないかということだけが現在引つかかつている問題であります。鉱害復旧事業団ができまして、これは単に石炭鉱業者だけでなしに、その石炭鉱業のために相当の被害を受けている被害者の救済と申しますか、復旧自体によつて得る利益というものは非常に大きい、これが又特に九州の筑農地区におきましては大きな社会問題にまで発展しておりますので、私どもとしては何とかしてこの復旧事業団の仕事が進め得るように金融の途をつけたい、こういうふうに考えておるわけであります。ただ事務的な折衝としては、私は最善の努力をいたしたいつもりでありますが、遺憾ながら今日までまだ解決をしていない、こういう状況であります。
○西田隆男君 今石炭局長の御説明を聞くと、一般鉱害の事業団が発足して以来、二十七年度は一億五千万円の工事を施したのですか。
○説明員(佐久洋君) 二十七年度におきましては一億五千万円の工事量で、そのうち補助金が一億五百万円含まれておりますが、工事を済ましております。
○西田隆男君 二十八年度は今言う資金繰りの関係で事業団は事業を何もやつていないんですか。
○説明員(佐久洋君) 現在までに徴収された費用の限度においては勿論仕事を一部やつておるわけです。ただ本年度の計画を完了するためには、先ほど申しましたように事業団が金を借りないと完了ができない、こういうことでございます。
○西田隆男君 あなたの説明を聞いておりますと、炭鉱業者の納付金が納めるのが遅れておるという御説明がありましたが、二十八年度に炭鉱業者が当然納めなければならない納付金の総額は幾らあつて、現在事業団に納付する金額は幾らになつているかを御明言願いたい。
○説明員(佐久洋君) 二十八年度の公共関係の納付金総額が三億一千五百六十万八千円でございます。そのうち鉱業権者が本年度中に支払い得るという見通上の金額が一億七千三百万円、従つてその差額の一億四千二百万円、これが本年度の事業遂行のための不足になる、こういう金額であります。
○西田隆男君 一億七千三百万円というのはすでに納付済の金額ですか。
○説明員(佐久洋君) これは事業計画自体を立てる場合にその都度同意を求める関係もございますので、全額を納付しておるわけではございません。特別鉱害の場合はトン当り幾らという計算でございますから、事前に納めますが、この納付金のほうは事業計画それ自体をその都度きめて参ります、そのときに同意を得て納付する、そういう形になりますので、一億七千三百万円については業者も同意をいたしておりますので、十分確実な数字だと、こういうふうに考えてよかろうと思います。
○西田隆男君 業者が同意した数字であるかないかを聞いておるのではない、現実に一億七千三百万円を事業団が事業計画を作成した一部分だ、それに対して業者は幾ら金を大体事業団に納付しておるか、納付している金額を聞きたい。
○説明員(佐久洋君) 事業計画自体がすでに確定と申しますか、業者の同意を得ましたものについてだけ納めるという形式になつておりますので、その金額、すでに納付済の金額だけを申しますと二百万円であります。
○西田隆男君 二十八年度の業者の納付金額が二百万円ですか。
○説明員(佐久洋君) すでに二十八年度の事業計画について同意を得ましたもの、即ちこれは一件でございますが、二百万円、二十八年度としてすでに納付済のものは二百万円、こういうことになつております。
○西田隆男君 ちよつと私よくわからんのですが、今あなたの説明を聞いておると、三億一千五百六十何万円という金額がある、一億七千三百万円はすでに事業団のほうで業者の間に話合いがついて事業計画を立てた納付金の総額だ、そのうちに今あなたのおつしやるのは二百万円だけ納めておる、あと納まつておらんということですか。
○説明員(佐久洋君) 端的に申上げるとそういうことでございます。
○西田隆男君 それは先ほどの御説明で風水害があつたとか、炭価が下乗したという理由を言つておられるようですが、一億七千三百万円の納付金をせねばならない炭鉱が、二十八年の今日に至つても二百万円しか納めていないということは何とも我々は納得が行かんのですが、納付に対する事業団や石炭局は大体どういう態度を以て臨まれておりますか。
○説明員(佐久洋君) これは二百万円と申しますのは、この法律の建前が事業計画に同意をしたあとで、直後と申しますか、出しますので、今日まで事業計画自体が同意を得て確定いたしましたのは一件である関係上、それに基く二百万円が納付済ですが、今後は一億七千三百万円については十分同意を得られる、事業計画上同意を得られる見通しを持つておる、こういう数字でございまして、従つて一億七千三百万円というものは今後確実に入る、こういうふうに見ております。
○西田隆男君 まあ一億七千一青万円の確実に入る、入らんは別問題として、二百万円しか納付金がないということになれば、事業団は政府からも金は借りられない、銀行からも借りられない、納付金はない、二十八年度には二百万円だけしか仕事をやつてない、こういう結論になるのですが、そうなんですか。
○説明員(佐久洋君) これはもう勿論今日までやつた事業としては二百万円だけの事業でございますが、二十八年度の予算の確定が非常に遅れた関係で、この実施計画自体が、各省できめる実施計画自体が非常に遅れております。その関係で今までの同意を得た計画がただ一件に過ぎない、こういうことになつております。これは今後は、現に実施計画の確定自体を急いでおりますので、一億七千万円については十分に事業計画自体も遂行できますし、業者のほうとしても出すという大体内約を得ております。
○西田隆男君 あなたの御説明の話を総合しますと、結局炭鉱業者からの納付金がなければ借入金は一切できないのだし、工事を進捗しなければ政府の補助金ももらえないのだし、専業団というものは一切炭鉱の業者の納付金がない限り仕事は一つもできない、こういう結論が生れると思うのですが、その通りですか。
○説明員(佐久洋君) その通りと考えております。
○西田隆男君 それじやお考えになつているだけじや非常に困つたことなんで、今水害があつたないは別問題にして、鉱害に対する賠償の問題が九州地方では非常に尖鋭化しておる、事業所にはしよつちゆう鉱害を受けた代表者が詰めかけて来て、或る場合においては暴力でも振いそうなことがたびたびある。こういうことを我々は九州で開いてもおるし、実際見てもおるのですが、而も国が立法をして立法に基いて事業を施行せねばならん事業団そのものが、まるきり計画は立てたけれども、仕事は二百万円しかできないというようなことで大体通産省としてはべんべんとしておられていいものでしようか。
○説明員(佐久洋君) 勿論先ほど申しましたように、事業団自体の使命が主常な社会性を持つておりますし、創立早々ではありますけれども、健全なスタートを切りたいという気持は私全く同感でございまして、そのために運用部資金の借入ということについて今日まで努力をいたしておりますし、又これは従来私どもだけの折衝では事足りずと考えまして、大臣にも直接大蔵大臣と御交渉を願うようにお願いをしておる過程にございます。
○西田隆男君 結局要約しますと、価産省としてこの問題の解決をどういうふうな方法でおつけになるつもりですか。大蔵省と折衝をして預金部資金の借出しは困難だと、営利事業でないがら一般銀行は勿論金は貸すまい、業者は炭価の値下りとか水害のために納付金を納めることは非常に困難である。こういう悪いことだけを御説明を聞いたのですが、そういうことで事業団が折角法律に基いてできても、事業団しての実績がちつとも挙らない、挙らないだけでなくて、法律がなければまだいいんだが、法律があることによつて鉱害の賠償、損害の補償についての社会性が非常に問題になつて険悪になる、弊害こそあれこの法律があつても得はないという結論に私は到達せざるを得ないと思う。そこで預金部資金が借りられない、銀行から金が借りられない、業者の納付金を納めない、業者の納付金については強制納付を命令する条文が一般鉱害の中にはあると私は記憶しておりますが、まあそれをやつて見てもまだ足りない場合にはうつちやつておくんですか、何とか打開の方法を講ずるのですか、どうするのです。
○説明員(佐久洋君) 勿論そのまま放つて置くというわけには参らんと思いますから何らかの方法を考えなくちやいかんと思いますが、その方法として具体的にどういう方法をとるかというところまではまだ実は考えがまとまつておりません。場合によつては法律自体の改正というようなことも或いは考えなくちやならんというふうに考えております。
○西田隆男君 お考えになつておるだけじやなくて、これは早急に実行してもらわんとどうにもならんのですが、預金部資金の問題なんかは今度の水害予算で又食われるような模様だし、恐らく預金部資金の放出は困難でしよう。一般銀行、市中銀行でも石炭局なり通産省のほうから話をして事業団に対して一時金の融通をしてもらうような方法を講ずるということも、これも一つの方法と思うのですが、そういう働きかけを今からなさるおつもりはないのですか。
○説明員(佐久洋君) 預金部資金のほうが全然見込がないというところに到達すれば或いはそういうこともやらなくちやいかんと思いますが、ただ銀行に対しては私どものほうが直接まだ働きかけはいたしておりませんが、事業団自体としては銀行との話を進めるだろうと考えております。
○西田隆男君 事業団はその見通しはどう言つている。
○説明員(佐久洋君) 今までのところでは直接事業団に貸すというところまでは話がついていないという報告を受けておりますが、ただ大蔵省との折衝の過程において返済能力があるかどうかという点が問題になりましたが、その点につきましては銀行が保証をしてもよろしいというところまで新は進んだという報告を受けております。
○西田隆男君 銀行が誰に保証するのですか。
○説明員(佐久洋君) 事業団に対して返済の保証をするという交渉をいたしたのであります。
○西田隆男君 誰が保証するのです。
○説明員(佐久洋君) 銀行がです。
○西田隆男君 誰に保証をするのです。
○説明員(佐久洋君) 事業団に。
○西田隆男君 事業団は銀行から金を借りるんでしよう。
○説明員(佐久洋君) その金を事業団自体が銀行から借りるというところまでまだ話は進んでいないようであります。ただ私が申上げましたのは、運用部資金の金を借りた場合に、事業団に果して返済能力があるかどうかという問題が最初出ましたので、それについては取引銀行が返済の保証をやつてもよろしい、こういうところまで話がついたのであります。
○西田隆男君 国に銀行が保証するのですか。
○説明員(佐久洋君) はあ。
○西田隆男君 その具体的な方法はどういう方法でするのですか。
○説明員(佐久洋君) そこまで詳しく私のほうは聞いておりません。
○西田隆男君 それじやお話にならない。話だけで結果がどうして生じて来るかということの全然早通しがつかないというのですが、重ねて開きますが、それでは石炭業者に対する納付金の問題について強制徴収をされる意思はありませんか。
○説明員(佐久洋君) 法律の建前から申しますと、これはいつでもできるわけでありますが、事業団のスタートそのものから、最初からこの強制徴収をやることがいいか悪いか、やり方の問題としてちよつと疑義がありますので、今すぐにやるという考えは今のところは持つておりませんが、併し金融の途がどうしてもつかないということであれば、或いはその方法をとらざるを得ないかも知れない、こういうふうに思います。
○西田隆男君 強制徴収をやるということは将来の事業団の復旧事務の運営上良い結果はもたらさないと私は考えておりますが、金がないために事業団そのものが仕事ができないし、できた法律の趣旨を生かすことは、何にもしないで置くということよりも、強制徴収でもやつて事業の進行を図つたほうが私はもつといいと考えます。なお通産省としてはそういう一番愚劣な方法をとらないでも預金部資金が借りられなければ、銀行にわたりをつけて銀行からでも金を借りられるようにしてやるということも一つの方法であろうし、法律の不備のためにあらゆることが行詰つてできない、打開できないという見通しがつけば法律改正をすることも、最悪の場合、最後の場合は一つの方法であると考えますが、今通産省としてはべんべんだらりとして、ただ事業団がやることをじつと見ておる、石炭局としては打つ手がないのだというところまでお考えになつておるならば、私は速かな法律改正が望ましいと思います。あの立法をする場合、我々の手落で、金が借りられることになつておつたけれども、政府の金を借りるのか、銀行から金を借りるのかという点まで突きつめた議論をしないままこの立法をしてしまつた。これは立法者としての我々非常に責任を感ずるわけですが、我々の責任を感ずる前に、行政をやつておるあなたがたはこの国会に来てはつきりした結論を出して、どうしなければならないという具体的な方針を御説明ができる程度までは、一つあらゆる方面に御尽力をしてもらわなければいかんと私は思うのですがね。今のままで行けば炭鉱業者から強制徴収をやることも非常にまずい方法だろうし、預金部資金が出る見込がないし、銀行も営利事業じやないから貸す見込がない、こういうことであれば、法律改正をして事業団そのものが若し資金に不足をした場合には確実な金の借りられるところができるようなふうに法律改正をするより方法がないと思いますがね。あなたどうお考えになりますか。
○説明員(佐久洋君) 私が今日までいろいろなことをやつて参つたのでありますが、なおこの市中銀行からの借入という問題は、私自身まだ市中銀行に直接交渉するというところまで至つておりませんので、そういう点も考えたいと思います。それからお説のように、なおそれも努力して見てどうしても駄目だというときには、現在の法律の建前ででき得る最後の途である強制徴収という方法も考えたいというように考えております。それでなおこの事業団の事業計画の遂行ができないということになれば、事業団自体の生命の問題にもなります。その場合にはお説の通り法律改正というところまで検討しなければならない、こういうふうに考えております。最善の努力を私は今後も図りたいというふうに思つております。
○西田隆男君 最善の努力をすると言われますが、これはしてもらわなければならんのだが、問題は時間の問題です。最善の努力をされても今年一ぱい駄目だつた、来年になつてやるというのでは、今度は国の予算も使えない、従つて被害の復旧はできない、事業団に対する鉱業権者も被害者も信用を全くなくしてしまうという結果が起きてからでは、これはもう事業団の事業の運営が実際不可能になると思うのです。従つて両者の信用を失墜しないうちに、時間的に早くあなたのおつしやつたような方法をはつきりきめて頂きたいと思う。もうこの事業団が発足してから相当の日にちがたつておる。石炭の値段が今から炭鉱業者が喜んで納付金を納めるというような価上りは私は到底望めない。値段は下る一方だと私は考えております。従つて今後はますます納付できないから、従つて事業団は仕事をすることができなくなつてしまうという段階に追込まれてしまう。そういう段階に追込んでしまつて、初めて法律改正をして、再び事業団に仕事をやらせるといつても、これは信用の問題でなかなかうまく行かないと思う。だから私が石炭局長に望ましいことは、通産大臣までも、大蔵大臣に話をしてできなかつた預金部資金の流用のことです。地方銀行に一つ通産省の係として斡旋をして、事業団と銀行で一日も早く話をして、それもいけないとということであれば、それは法律改正をするより仕方がない。今度の臨時国会は短かいから、この次の国会には、その結論を出して法律改正をするかしないか、法律改正をして国会に出すというところまではつきりした結論を急に私は出して頂きたいと思う。
○説明員(佐久洋君) 御趣旨の方法は私もよくわかつておりますので、仰せのごとく努力いたしたいと思います。
○西田隆男君 とにかく年間何千億かの石炭を生産して、一億七千五百万の鉱害納付金すら払えないということは我々には考えられない。各会社とも相当の利益配当をやつておるから、それは一つ石炭局としては非常に言いにくいことであろうと思うけれども、業者の代表を集めて納付金を速かにするように一遍ぐらい出てお話になつたらどうです。やはり政府当局が誠意と熱意を持つてやれば、そう訳のわからないことは石炭業者といえどもやるとは私は考えられない。石炭業者の納付金が集まらないとは考えられない。一番重要な問題は、これが集まれば別に金を借りる必要もない、これが集まらないから結局金が要るという問題が起きておる。一番重大な問題について石炭局としては一つもう一遍お骨折願いたい、そうして早急に結論を出して頂きたい。時間的に言つて通常国会は十二月上旬に始まりますから、通常国会中ではなくして、通常国会の劈頭にどうしてもいけなければ法律改正をするという肚をきめて改正法律案を出して頂きたい。これは政府から提案された法案ですから、政府のほうで然るべくやつて頂きたい。あなたお帰りになつたら省議でも開いてもらつて通産省の態度をはつきりきめてその方針に従つて努力して頂いて、十二月の通常国会に改正法律案を出すということを一つはつきりきめて頂きたい。私は強くこれを要望しておきます。
○小松正雄君 関連してでございますが、石炭局長にお尋ねしますが、この法律の趣旨というものは、石炭鉱業権者が復旧をしなければならない義務と責任があるにもかかわらず、その鉱業権者が或いは租鉱権者が微弱であるために、鉱害は次から次に瀕発し進んで行く、併し復旧する力はない。これに対して政府としては補助方法をして、そうして復旧を一日も早くなさしめ、その土地の関係の人に成るべく迷惑をかけないように早くするというのが私は趣旨として生れた法律と思いますが、どうでございましようか。
○説明員(佐久洋君) 御趣旨の通りでございます。
○小松正雄君 そういたしますと、炭鉱業者から納付金がないので復旧ができない、復旧ができないということについて石炭局長はまだその点について何にも手を打つてないということでありますが、手を打つてないということは、只今も西田委員からお話のありますように、あなたがその責任を考えられるならば、少くともこの業者を集めてどういうふうにするのだという積極的なことをやらなければならん、立法の趣旨から言つてもこういうふうにやらなければならんと思うのでありますが、どうでありますか。
○説明員(佐久洋君) 勿論この納付金が予定通り集まるようにという努力は、私も特に業者にこの問題のために集まつて頂いたわけではありませんが、その都度話はいたしております。なお西田委員からの御忠告もいろいろありましたので、更にその納付金をできるだけ出すようにという趣旨の伝達、なおその督励ということは今後といえども私いたすつもりでございますが、全然放任というつもりでは私はなかつたのであります。
○小松正雄君 そこでその業者として納付金ができないというその鉱害のところにおいては、政府自身政府の金でその復旧をするということに相成つておると思いますが、どうでございますか。
○説明員(佐久洋君) これは特別鉱害の場合と違いますので、一般鉱害の場合においては、納付金が集まらないものについては政府の金で復旧をするという建前にはなつておりません。
○小松正雄君 私のこれは誤まりかも知れませんが、はつきり石炭局長は、業者において一部の負担金を納めない限りはやらないということに解していいのですね。
○説明員(佐久洋君) 鉱害を発生させた鉱業権者が不明になつてしまつたとか、或いは破産とかいうような原因のために、全然能力がないということが明確になつた場合には、国の補助金等、公共団体の補助金によつて復旧をするという規定はございます。ただこの今の場合におきましては、その規定をすぐに発動するという状態では私はないと考えております。
○小松正雄君 それはあなたの考え方が私は余りにも責任的にも遠いのじやないか、立法化するときに第一に問題になりましたのは福岡県だけでも六百億か、あの金で復旧するならば、六百六億かと思いますが、そういう多額の金を要する、併しかかる復旧をすることについてもうすでにその責任者はおらない。ただ被害を受けて迷惑をしておるのは農家或いはその所に住む住民である。これらを救済する意味においてこの法律というものはできたかと思います。そうするならばこの前提として、業者が納付しない、併しこの多額の費用を要する事業をやらなければならん、或いは一億七千万の納付をやらなければできない。然るにこの金が僅かに二百万しか納まつていない。これから見ましても相当業者も納付することのできないというものがあると思う。特に又今回の風水害、或いは又石炭の過剰によつて販売ができない。そういうことに追込まれて炭鉱を中止したというものは相当あるわけでありまして、中止すると共にもうその復旧をするだけの、納付金をするだけの余力も、力もない、こういうのが相当あると思うのです。ですから、あなたがそういう信念に基くならば、早くこれはどういうふうになつておるのかということを聞く必要が私はあると思う。それはなされていないということになりますると、あなたがさつき答えられたように、今の段階ではそういうふうなことに政府が考えることではないと、こういうふうにおつしやられたようになりますが、それであつてはならない。繰返して申しますと、そういう大きな、福岡県内だけでも被害をかけておきながら、その業者というものはどこへ行つたかわからない。それがあるためにこういう立法によつてそういうものの部分だけでも早くされるというのが目的ではないかと思います。引続いて十カ年に亙つて復旧をするという建前になつておりますので、そこで、折角事業団が復旧をなそうとする三億一千万、これによつて業者が二百万、要するに一億七千三百万円というものを納めることが全然できないということに前提を置いたならば、三億一千万というものは政府の力によつて或いは公共団体の補助によつてなすべきことになつておる。規定から行きましても当然手を着けなければならないと私は思うのです。そういうことに対しては、業者がどういうわけで僅かに二百万くらいしか納めていないかということを調べる必要がある。根本から掘下げて石炭局長としては知る必要があるのではないかと思いますが、どうですか。
○説明員(佐久洋君) これは先ほどちよつと申上げましたが、二百万円しか納まつていないというのは、結局今日まで事業の実施計画が確定いたしました、と申しますのは、事業を実施する主管官庁と、その鉱害を起した炭鉱業者が同意をしたというのが、予算が編成されるのが非常に遅れました関係で、今日までに一件しかない。従つて、その同意に基いて出した金額が二百万円しかないということでありまして、現在までに事業計画を作りつつあつて、その過程において鉱害を発生さした炭鉱業者が同意をしておる工事昂が一億七千三百万円でございます。これは本年度中には入るのでございます。ただ本年度の最初考えました金額に比べますと一億四千二百万円というものが、本来鉱業権者が納付すベき金額でありながら、本年度は同意を一つ勘弁してもらいたい。自分の責任において鉱害を起したのだから来年に廻してくれんか、或いは再来年に廻してもらいたいという、そういう要望が非常に強くありまして、それをできるだけ出してもらいながらもどうしても今年は出せないという金額が一億四千二百万円でございます。で、今小松委員からお話のありました仕事をもう全然やめてしまつて行方不明になつたと、或いは非常な不況のために全然もう資力がない、従つて仕事もやつていない、今後もやる能力がないというものも勿論若干あろうと思いますが、只今申しました一億七千三百万円というのは、現に仕事をやつておつて本年度中には必ず出しましようという同意をいたしておるのであります。従いまして、現に仕事をやつておつて、来年ならば復旧に同意する、或いは再来年に廻してもらいたいというものについては一億四千二百万円というのは不足はいたしておりますが、といつて直ちにこれを国及び公共団体の費用において復旧するということは、ちよつと今の法律の建前ではできかねるのじやないか、かように考えております。
○小松正雄君 そこで私がまあ想像しておつた通りに局長も申されておりますが、業者として本年同意してその復旧をやれば早くでき上るのであつて復旧資金も又余計要らないということがわかりながらも、今日金融がつかないために同意できない、そこで来年に廻してもらいたい、又再来年に廻してもらいたいと言つているうちに、租鉱権なんか僅かな区域で以て仕事をやつているものは、とつてしまつたらやめる、こういう点があるわけでありましてそうした場合に、とるだけとつてやめる、どこへ行つたかわからないという……二年待つたがその附近の農家のかた或いは住民のかたが迷惑をする、それを迷惑させないということがあなたの本当の本心でなくちやならないと思う。そういう意味合いからもさつきも西田先輩から言われたように、金融の面がどうすればできるかということにまで突込んであなたもやはり通産大臣に迫つてもらつてやつてもらいたいと思うわけであります。それによつて速かに業者からも納付できるように、業者に対して金融方法もして頂いて、それらのところで迷惑しておる農民或いは住民の各位に速かに一日も早く復旧して起らないようにするように努力をしてもらいたいということをお願い申上げると共に、これは一言私の意見として申上げたいと思いますが、この通産委員会の、私は大体通産大臣、それに関連する各位のかたがたが何と言いますか、本委員会が処理する上において考えまするときに、同僚委員もそうではなかろうかと考えるのでありますが、どうにも熱意がない、早く言えば。何の問題にしても中小企業の金融の問題にしろ、何にしてもないということは、今回の補正予算に伴つて農業団体を中心とする農林委員会或いは公共事業その他に関連する建設の関係等におきましても熱心にこの両大臣は予算獲得に対しては努力をされておる、通産大臣としてのそういう金融の面等、或いはこういう持ちかかつている問題等もはつきりあなたが御要求なさつておればおわかりになつておるのに、どうすればいいかという線も出していないというようなことから考えましても、そういう建前から考えても、私は余りにも、私ども通産の委員として今日いる以上は、少くともこの通産委員会の運営がもう少し国民のために反映するように大臣をし或いはそれに繋がる各位が熱心に努力をするように私はしてもらいたいということをここに付加えておきます。
○委員長(中川以良君) 私からちよつとお伺いいたしますが、今のに関連いたしまして、国のいわゆる補助金の問題ですが、これはまあ二十八年度はここにもございますように、総額二億一千万円が出ておるわけでありますが、これが各省に跨がつている。例えば水道は厚生省、それから農地、農業用施設、これは農林省というふうになつておりますが、ところが最近いろいろと聞いて見まするところによりますと、先般その経費の節約をいたしました際に、こういう部面が各省とも一番削減のしやすい目標にされまして、その経費の節減のしわ寄せがたまたまこの鉱害の補助の予算にかかつておるように多分に考えられるのです。例えて申しますると、農林省関係ですと一億円ここに計上しておるのが、農林省では六千万円削減をして、これをほかのほうへ廻すなり節約に持つて行こうとしている。厚生省の水道の関係が六千万円か四千万円も削る。これは非常に大きな半分以上を剛つてしまうというようなことが現に知らない間に行われておるという事実があるのですが、これらの点は一体局長は御存じかどうか、その点を一つ明瞭にして頂きたい。殊にこれは通産省で予算を握つていないからぼやぼやしていると他省にとられてしまうということになるので、それならば今のお話のように、業者の同意を得て本年の予定計画通りのものが行くとして仮に業者がその必要額を払つたといたしましても、これは補助率は到底法律通りには払う財源がなくなるというようなことに私はなると思うので、これは当初の御発言と非常な大きな矛盾を来たすのじやないかと思いますが、そこのところはどうでしようか。
○説明員(佐久洋君) 各省の公共事業に対する補助金の削減の問題が起きま確定的ではありませんが、そういうところまで交渉が進んでおります。
○委員長(中川以良君) そうすると、この表に頂いているのはそういうふうに訂正をしなければいかんということですか。
○説明員(佐久洋君) そういうことです。まだ確定しておりませんから訂正と申しますか今までの経過だけ申上げますとそういうことになります。
○委員長(中川以良君) そうすると、これだけつまり減らされてもこれに見合うところの業者の同意は得られないから、事業には差支えないというふうな消極的なお考えでしようか。
○説明員(佐久洋君) 勿論全般的な公共事業費の削減ということがなければそれに越したことはないのでありますが、一般的にかなり大きな削減をいたしておりますので、鉱害については全然削減なしということも各省としてはなかなか事情上困難であるということで、或る程度の削減は止むを得ないと思います。これは国全体の計画の見合いから言つて止むを得ないと思いますが、ただ仕事ができなくなるような削減だけは絶対に私ども反対したいと思いまして、なお今後更に削減額の減少方を交渉したいというふうに考えております。
○委員長(中川以良君) 今西田、小松御両氏からもいろいろとお話があつたのでありますが、例えばこういう問題についても予算をあなたのほうで握つていらつしやらないから、各省が勝手にやつたとしてもあとからのこく行つて交渉をやつて取戻しをやるというのは手遅れになる、こういうことがもうすでにこの問題に対する原局において、まだ御熱意が足りない点が私は如実に現われているのじやないかと思いますが、こういう点は今後一層御注意を願いたいと思います。
 ほかに御質問ございませんか……、それでは只今の問題は一先ずこれで本日は打切りにいたします。
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○委員長(中川以良君) 次に下請代金支払延期に対しまする対策につきまして調査をいたします。本件に関しましては政府側より横田公取委員長、それから小川事務局長並びに岡田中小企業庁長官が出席されております。本件に対して豊田委員より御発言を求められておりますので、豊田委員から先ず御発言を願います。
○豊田雅孝君 十月の東京手形交換所の不渡手形の発生件数を調べて見ますと、二万六千百十六件でありまして、一日の平均が九百六十七件でございまして、最高記録を示して来ておるのでございます。その殆んど全部が五万円以下の小口で、その殆んどが中小企業者の振出手形であるということになつておるのでありますが、これは一つには政府、日銭の金融引締めが中小企業界にしわ寄せになつて来ておるということを如実に示しておるものだと考えるのでありますが、もう一つは大企業の下請及び関連産業に対する未払、遅払によるしわ寄せが来ておると考えるのでありまして、今や中小企業は金融難と大企業の遅払との板挾みになつて非常な不況に落されておるということに相成るのであります。而うして中小金融につきましては先般すでにこの委員会で私は問題にいたしたのでありますが、当時通産大臣或いは中小企業庁長官が責任を持つてこれに対処するという答弁があつたのでありますが、これに私は期待をかけておるのでありますが、本日はもう一つの大きな問題のこの大企業の未払問題について問題にしたいと思うのであります。下請に対する遅払、未払のこれは甚だしい一例でありますが、手形のごときも二百七十日もの長期のものがあるというような状態でありまして、而も下請業者が代金を督促すると取引をやめるというようなことで脅かされる、その結果中小企業者は泣寝入りをしておるというのが一般的な傾向になつて来ておるのでありまして、この下請に対する、或いは関連産業に対する未払、支払遅延は目をまさに蔽うべきものがあると私は考えるのであります。これにつきましては第一六国会の独占禁正法改正の際におきまして未払、遅払を公正ならざる取引として取締るということに相成つたのでありますが、その後公取におかれてはどういう措置を講ぜられたか、先ずこの点を伺いたいと思います。
○政府委員(横田正俊君) この下請代金の支払遅延その他下請業者に対する非常な不当な取扱に関しましてはこれをどうしても独占禁止法上の問題といたしまして取上げる必要があると考えまして只今お述べに左りましたように、前国会におきまして独占禁止法の改正の中にその問題を織込みまして、御承知の不公正取引方法の一つといたしまして経済上の地位の優越していることを利用いたしまして他の事業者に非常に不利益となるような条件で取引をするということを不公正競争方法の
 一つに追加いたしたわけでございます。すでにこのときにその弊害に基きまする適当な対策を予定をいたしておつたわけでございます。この法律に基きまして施行と同時に九月の一日に公正取引委員会の告示を以ちまして、公正取引方法の一般的指定をいたしまして、その中に只今申しましたような一項目を入れたわけでございます。これは何もこの下請の問題だけを目標にしておるわけではございませんでしたが、一番重要な問題がこの下請問題になつたことはおつしやつた通りでございます。この下請問題につきましては最近その弊害は実に著しいものがあるようでございますが、遡りまするとよほど前からそういう状態がございますので、公正取引委員会といたしましては、中小企業庁のほうのお話或いは中小企業からの直接のお訴え等に基きまして、相当以前から少しずつ調査はいたしておつたのでございますが、いよいよこういう法制もできましたので、中小企業庁と今年の夏頃から極めて緊切に連絡をとりまして、本日お手許に差上げてございます中小企業庁振興部公報課で出されました中小下請工場実態調査というこの書類にございますような調査を中小企業庁と私のほうの係員と、なお手が不足でございますのでアルバイトの学生諸君までも動員いたしまして、大体六百工場につきまして、業種にいたしまして十業種かなり詳細な調査をいたしました。これは先ほど申されましたように非常に言いたいのだけれども言えないというような実情もございますので、この調査には中小企業庁も私たちも非常に苦労をいたしたのでございますが、一応ここに示されましたような数字が出て参りまして、下請業者が如何に不当な待遇を受けておるかということが数字に出て参つたわけでございます。これは十月の十三日に中小企業庁でこの報告の結果を公表いたされますと同時に、私どもといたしましても新聞紙で御承知でございましようが、この下請代金の支払遅延問題につきましての私どもの一応の考え方を公表いたした次第でございます。この中小企業につきましての調査が一応済みましたのでございまするが、なおまだこの親企業のほうの実態というものは実はまだ十分に把握しておりませんで、現在取りあえずこの間調べました六百工場のうちの大分よろしくないと思われますもの、工場にいたしまして四十一工場、会社にいたしまして三十七会社につきまして、これは親会社側の調査を今鋭意やつておるわけでございます。ただこのほうもなかなか資料を任意に出して参りませんで、我々のほうとしましてはかなり苦労をいたしましてこの資料の収集に努めております。やがてそう遠くないうちにこちらのほうの調べも一応終りまして、この親会社のうちの特に不当なものにつきましてはこれを直ちに取上げまして、正式な問題としていたして参りたいと考えております。この今までの調査の経過に照らしましても、調査をいたしましただけで非常に効果がございまして、或るものにつきましてはすでにそれだけの代金の支払が非常によくなつたというような事情もあるようでございますから、これを正式に公取で取上げるということになりますと、単に取上げたその会社ばかりでなく、かなり一般に対する影響もあることと存じますので、この点につきましては成るたけ早い機会に正式に取上げることにいたしたいと思いまして、今鋭意事務当局で以て調査を進めておる状態でございます。この親会社のほうの事情としまして私どもが一応気付きました点は、親会社自体の中にも特需等を扱つております会社につきましてはかなり気の毒のような状態のものもあるようでございます。或いは資金の回転率の非常に遅いものにつきましてはいろいろな多少恕すべき事情もあるようでございます。全然そういうようなことのないもので極めて不当な条件を下請に押付けているものもかなりあるようでございます。それらにつきましては断固たる手続をとりたいと考えております。
○豊田雅孝君 只今下請のほうは調査完了せられて、今では親会社のほうを調査中だというお話でございますが、下請を調査せられた場合におきまして業種別に見てどういうものが特に甚だしいのか、又地方別に見てどういう状態にあるというようにお考えになりますか、更に下請を調査せられた結果だけによつて最も甚だしいような事例に対しては如何なる見解を持つておられるか、こういう点につきまして伺いたいと思います。
○政府委員(横田正俊君) 詳しいことは中小企業庁側から申上げるのが適当かと存じますが、極く概略を私から申上げますと、業種にいたしましてはやはり共益産業関係がかなり成績の悪いほうのようでございます。或いは造船工業というようなものが比較的悪いもののほうに入つております。従いまして兵器産業、特需というような点にかなり繋がつて来るものがあるようでございます。それから不当なものといたしましては大体支払代金の支払が甚だ不当に遅れておるというものが一番目につくわけでございまして、納品検査後現金或いは手形を払いますまでの期間にすでに三カ月、或いは三カ月というようなかなりの期間が経過しておる上に現金で払つてくれればよろしいのでございますが、その手形で払うものが非常に多うございまして、而もその九十日、百二十日というような、甚だしきは調査後でございまするが、最近に調べましたところでは、先ほど申しましたような二百何十日、二百日以上に及びますような甚だ不当なものがあつたようでございます。なお下請代金につきましても親企業も苦しいかも知れませんが、かなりこれをだんだん下押しにして参りまして、下請業者のほうでその増額を望みましても、全くこれは相手にしないというような契約代金そのものがかなり不当ではないかと思われるものもございますし、一番我々の目につきます点はやはり支払遅延、その結果下請業者がいわゆる金融に非常に困りまして、税金も払えない、賃金も支払えないというような極めて悲惨な状態に陥れられておるようでございます。
○豊田雅孝君 下請の調査をやられ、又そのあと親会社の調査を完了しないと公取としてはいよいよ処断の立場に入られないというようなことでございますると、その間に下請工場等はどんどん倒産して来るものが出て来る。殊にこの年末におきまして未払、支払遅延というようなことがありますると、一方金融は差迫つて非常な苦境に喘いでおりますから、この年末には私は相当由々しい事態が出て来るのじやないかと思いますが、今のように下請を調べて見れば事態はもうはつきりしておると思うのであります。更にそれが親会社まで調べて見ないといかんというところに非常に疑問を持つわけなんですが、荏苒日を送る段階ではないと思うのでありまして、こういう点について公取は如何にお考えになつておるか伺いたい。
○政府委員(横田正俊君) 只今直ちにいつ頃そういう手続を正式にとるかというお約束を日を限つて申上げるわけには参りませんが、かなり近い時期に取上げることを相当としますものにつきましては、今仰せられました年末等の問題に役に立ちますように私どもの活動をいたしたいと考えております。
○豊田雅孝君 これは御承知かも知れんと思うのでありますが、昭和二十四年の暮に公布せられました政府契約の支払遅延防止等に関する法律というのがあるのでありまするが、これによりますると、政府に納入した商品は十日間、それから工事は十四日内に政府で検収するということになつておりまして、商品代金は三十日以内、工事の代金は四十日以内に支払うことを原則として、故なくしてこれを遅延せしめた場合には当該係官を懲戒するということになつておるのでありますが、政府の支払についてはかような原則が立てられておる。民間の支払、民間の未払、遅払についてもこの法律に準ずるような基準を設定することが必要なんであります。こういう基準がありますれば、それに反した者はすぐ処断の途がつくのでありまして、政府の支払関係についてもすでにこういう建前がある以上は、私は民間の未払、支払遅延についても当然あつていいんじやないか。殊に第十六国会において公正ならざる取引としてさようなものは取締るという法律ができておるのでありますから、これに関連いたしまして只今申しまするような基準を設定することが必要であり、又適当であろうと思うのでありますが、これらについてのお考えを伺いたい。
○政府委員(横田正俊君) 只今のお話は公正な取引方法のいわゆる特別指定といたしまして或る種の取引分野に関しまして特別な公正競争方法を、取引方法を公正取引委員会が指定するその制度を活用してはどうかというお話と承わりますが、私どもといたしましても実はその問題も並行して考えておりまして、でき得ますれば適当な基準を、一応の基準をきめまして、それぞれいろいろな事情もあるでございましようが、一応その基準を中心に問題を解決して行く、そのために現在指定いたしました公正な取引方法よりももう少し具体的な形の特別な指定をいたしたいというようなことも考えまして、この点を併せて只今経済部において検討いたしておるわけでございます。何分まだそちらにつきましては十分の確信がある案が立たない状態でございまするので、この点も今後並行いたしまして十分に研究いたしたいと考えております。
○豊田雅孝君 すでに只今の問題については研究しておられるということでありまするので、これ以上追及はいたしませんが、未払、遅払とは一体何ぞやということがはつきりいたしておらんところに非常に問題があると思うのでありましてこれは政府支払に只今申上げますように一つの基準がある以上、それとのバランスの上からも適当な基準の設定というものが当然だろうと思いますので、至急にその点について御研究を急がれて結論を出して頂くようにお願いをいたします。これで終ります。
○西田隆男君 私今の質疑応答を聞いてこの資料を見てみますと、代金の支払に至るまで相当な日数がかかつておる。而も極めて長い、手形と言われんような期日の手形で払つておる。それでは中小企業がもう金融に困るのは当り前のことなんで、そこで私は中小企業庁長官にお聞きしたいのだが、こんな長い手形で一般市中銀行が割引しないことは勿論と思うのですが、そういう点を中小企業庁長官は勘案されて今度できた中小企業のあの金融金庫の資金の配分なんかについては考慮されておるのかどうか。
 それからもう一つの問題は、今後こういう実態がはつきりつかめたら中小企業のこの長い手形で市中銀行でどれくらい割引されておるか、或いは中小企業金融公庫で手形見返りの資金を出すだけの準備が、心準備があるのかどうか、こういう点について長官のお考えを承わりたい。
○説明員(岡田秀男君) 手形の特に、極端に経済常識から申しまして手形と申しがたい程度にまで長いようなものがかなりあるということにつきましては、この調査にある通りでありまして、これに対して如何なる手を打つかということにつきましては先般来公取の委員長のほうからお話になりました筋で、一方において不当なものを戒告をするという手が一つあるわけであります、一方におきましては政府の支払につきまして先ほど豊田委員から指摘がございましたが、その条文の活用を実効あらしめるようにいたしたい。昨年の暮におきましても次官会議におきましてこの法律の条項の有効的確なる適用をやるという決定をいたされますと共に、受領委任状を持つて参りました場合には下請にも直接払うような仕組みもいたそうというふうなことをいたし、又一方において全銀協におきましても政府のこの意向を体しまして、昨年の暮に金融の操作を通じて下請への支払を促進するような方向に業務の運用を持つて行こうという決議もいたしておるのでございます。私どもといたしましては、昨年さような決議をいてもらいましたし、同時にそれに伴いまして公取のほうにおかれましてもこの八月から特にはつきりした態度でやつて頂いておるのでありまするけれども、去年の暮からも先ほど委員長から申されましたように、寄り寄りこの方面につきましては御関心を持つて頂きまして御調査を願つたのであります。又日銀等におきましても、昨年の暮この下請の支払を促進するような意味合いにおいて気合をかけてもらつたのであります。それぞれの機関がそれぞれの分野におきまして支払促進の手を打つことによりまして、若干極く悪い例は残つておりまするけれども、大勢としてはやや改善しかけたような状況が見えておつたのであります。それでもまだ経済情勢のその後の推移等に鑑みましてどうもうまく行つておらん点がまだ相当残つておるという見地から、更に公正取引委員会におかれましても法律改正による新らしい法律が九月一日に施行に相成りました、それを機会にこの調査等をやりまして、一段とこの促進方をやつて行こうということにいたしたわけでございます。
 中小企業金融公庫とこの手形の期間の長いものとの関連でございまするが、この手形の長いのを金融公庫の金で尻拭いするということが必ずしもできないとか、して悪いとかいう問題ではなくて、実は公庫の資金の量から考えて参りまして、一応はこれは長期の資金に限定をいたしておるわけでございます。従いまして本来長期であるべき金、設備資金でございますればこれはもう疑問はないのでございまするが、運転資金に相成りまするというと、短期の金が非常に手形の関係で期間が長いというふうなものを全部尻拭いするといたしますれば、これは今の公庫の資金量百五十億の十倍や二十倍では足らんかと思うのでございます。その点に実はこの問題と公庫の関係とを直接に結び付けることの非常な弱点があるわけでございます。今度長期の運転資金を貸付けます場合にもどのようなものを長期の運転資金と見て公庫で取上げて行くかということの選定につきましても、実は非常に苦慮いたしたのでございます。最近公庫のほうにおきまして長期運転資金の貸付を開始するに当りまして先ず差当り資金量と睨み合せまして、このようなものは先ず取上げて見ようじやないかということにいたしましたのは、先ず第一に資本構成の内容の改善を促進するために必要な運転資金を貸してやつたら非常によろしいじやないか。現在の各企業の資本構成が非常に悪くなつておりまして、例えば流動比率を抑えて見ますというと、商工業を通じまして一一〇か一二〇にもなつておるものは非常にいい例でございまして、商業なんかは殆んど一〇一とか一〇〇・八とかいうような非常な低い程度になつておりまするので、これに或る程度長期負債が加わりますることによつて流動負債が少くなり流動比率が上ればそれだけ企業が安定するというような意味合いにおきましてさようなものを取上げたようなわけでございまして、その他例えば経営の合理化に伴う長期の運転資金でございますとか、或いは事業の継続発展に必要な試験研究費であるとか、試作費或いは鉱山におきますところの探鉱費等でありまして経営の改善上必要なものは取上げて行こう。或いは企業の建直しのための資金、例えば政策転換のために金が要る、或いは金融機関以外の高利の債務がありまするものを整理して行くために金が要るとか、或いは災害復旧のために要る資金でありますとかいうふうなものは長期の運転資金としてこれを取上げて行つたらどうかというふうなところまでは一応解決をいたしたのでございまするが、長い手形の金の裏付を公庫でやるということになりますれば、到底今の資金量ではやつて行けまい、こう思うのでございます。又一方におきましては長い手形の金を公庫のほうでどんどん貸して行くということになりますると、或る意味においてはその不公正なる取引をやつておりまするところの親企業の尻拭いを公庫が無条件でやるというようなことに相成りましては、又弊害の助長ということに相成ろうかと思いまして、その辺の兼ね合いというものはかなりむずかしいものがあろうかと思うのであります。その点につきましては極力この公庫の資金量を先ず殖やして、それに応じまして先ず適切と思われる項目を次々に拾い上げまして長期の運転資金というものの貸出分野も逐次拡げて行きたい、かような考えで現在おるわけでございます。
○西田隆男君 長官の話はわかるのですけれども、中小企業の金融問題を解決するためには公正取引委員会で公正な取引をするように何らかの目安を立てて取締をするということがこれが基本であることは間違いないのですが、それができるまでは、この資料にあるように長期の手形の支払に充当されては、恐らく下請工場というものは利益どころじやなく原価さえもらえない。仮に二、三カ月が手形の常識とすれば十カ月とか二百七十日とかいうような手形をもらつてもこれは代金の支払を受けたということにならないと思う。実質的に手形それ自身が換金できないということになれば、設備をして企業として当然運転資金があれば成立つて行く企業であつても支払遅延のためにその企業は倒産しなければならんと思う。中小企業金融公庫の本来の使命は、今長官が言われた通りなんですが、潰れてしまうような企業に設備資金や運転資金を貸す必要はない、こういうような逆の結論も私は生じて来ると思う。従つて公正取引委員会のほうで豊田委員が言われたことを早急にやつて頂くことは一番基本と思いますが、その間こんな支払の条件の悪い手形は普通の市中銀行では割るというようなことはしないと思いますから、中小企業の企業診断をされると同時にやはり企業内容も恐らく診断されると思いますので、そういう際に当然こういう資料にあるような支払の遅れておる手形を持つておることはわかると思います。ですから企業の実態を見て設備資金を貸し、或いは長期運転資金を貸して効果をもたらすことができるというような極めて狭い範囲のものにだけでも公庫のほうで何らか金融の方法をつけてやる、或いは公庫自身が当らなくても公庫の何と言いますか代理店と言いますか、そういう所で資金の需要量の面と睨み合せて多少の融通をつけて何とか救済の途を早急に請じてやるということが必要じやないかと思います。
○説明員(岡田秀男君) 先ほど申しましたように悪い手形、があることは確かでございます。これは特殊の例であろうかと思います。それを直接の対象として公庫が金を貸すということになりますと、先ほど申上げましたように今の公庫の金の分量その他又これが非常に全国的に多いということになつて来ればとても公庫では貸し切れない。併し先ほど申しました長期の運転資金の貸出を始めました一つの項目として、企業の資本の構成が非常に悪いものにつきましてこれを是正するような意味合いにおいて長期の運転資金々貸すということを先ほど申しましたのでありますが、さような例えば長い手形をもらつておりまするところの下請の資本の状況、これを見ますると恐らくかなり資本構成がよろしい状態ではないのではないかと思うのであります。それは貸した金を返してもらえんという状態では貸すわけには参りませんけれども、その他の点においては相当企業としてしつかりやつておる、併し資本の状態が非常に不安定になつておるために企業自体も不安定になつておるというような事例でございますれば、公庫の長期運転資金がそこに入る。それによりまして直接その手形に見合う金融の融資ではございませんけれども、それによつて当該企業の金繰りも安定するということもあるわけでございますから、この公庫の長期運転資金の貸出が始まりましたということを極力さような方面におきまする企業においても利用して頂くことによつて間接的ではございますけれども、そういうふうな資金繰りの緩和に役立つて頂くことができれば公庫の立場としても非常に幸いだということになろうかと思うのであります。
○西田隆男君 この一資料でお調べになつておる件数は、これは全国的のものを皆拾い上げてやつたわけではないでしよう。そのうちの代表産業のようなものを全体の中からこれは資料としてお取りになつたのでしよう。金岡的に言えば相当に多いと思うのです。それは中小企業の金融が非常に金融難をもたらしておる主な原因だと思います。従つて中小企業庁のほうでいろいろ研究してお考えになつて頂くことは必要だと思いますが、只今の質問に対して委員長としましては研究しておるということでありましたが、研究も大事ですが、一つのめどをつけることも大事でありますから、悪い所は次々に面して行つて完全無欠なものを作つて早急に私は出してもらいたい。殊に年末を控えて、できれば年度内に、それを年末までにぽんと一つ出してもらいたい。そうすることによつてお互いの考え方自身が非常にゆとりを持つて来るのじやないか。あれもこれもと言つておるときではないから、公正取引委員会としては早急に私は出してもらいたい。こう考えておりますから、それを一つ私の要望として委員長耳にとめておいて頂きたいと思います。
○委員長(中川以良君) 私からちよつと申上げたいのですが、今日頂いたこの実態調査を拝見して、こういうものが早くできることを私ども願つておつたのでありますが、いつも話は概念論になりまして、殊に業者のかたがこういう公開の席上或いは中小企業庁においてお話になるのは、江戸の仇を長崎で討たれるものだから、実際を申されないというふうな非常な遺憾な点があつたのでありますが、これを見ましても、例えば今驚いたのは契約書を取交していないのが七九%二とある。大体口約束みたいなもので契約されて、下請値段がきめられておる。甚だしきは一方的に値段を押付けられておるというものが相当あるようであります。又納入から検収まで、私もしばしばこの委員会で申したのでありますが、この表によつて見ますと、一番長いものは納入から検収まで百五十日、やかましく言つて納められて、いよいよ検収してくれるのが百五十日もかかる、而もその検収が終つてから支払があるのは長いのが三百日、これが両方ダブるとすると、自動車工場が一番最長のものが出ておりますが、仮に同一会社であつたとしても四百五十日、実に十五カ月、一年三カ月要して初めて金になるというような状態で、これはとんでもないことだと思う。こういうものを政府なり公取が黙つて見ておるという手はないと思います。こういう点を十分一つ御検討願つて今同僚委員のお話のように、早く一つはつきりした対策をお示し頂いて各方面に裨益をして頂きたいと思うのであります。
 それからなおこれにはございませんが、官庁が例えば或る兵器工場に発注するとか、特需も入りますが、それにはその部門的の、いわゆる官庁の予算というものがあつて、それによつて見積られておる。それの或る部品而も完成品をその兵器に引つけて納める。それを下請に出しておる。これはただ納入するだけで何ら手数はかからない、取付け手数も何にもかからない、当然引つく部品なり或いは容れ物というものがあるのでありますが、それが官庁の予算より遥かに安く納まつておる、下請工場がその親会社に対して。而も親会社は官庁に対する提出の見積りの予算を見ると官庁の予算と大体同じように出ておる。これは全く利鞘を不当利得をしておるということになつて来るのでありますが、これは相当あると思います。これは危険負担とか、或いは納入の手数とかで或る程度とるのは当然でありましようが、極端なしわが官庁なり或いは特需関係のほうから出ておる。予算を下廻つて強いて安い発注を下請工場に押付けておると思う。これはこういう調べがないのでありますが、できればそういうものは一遍調べますと非常に面白いものができるのじやないかと思います。そこでそういう点で一つ下請工場の分を是非作つて頂きたい。
 それからもう一つ私の気付いております点は、例えばいろいろ製作をするのに型を作る。型式というものは納入する代金より数倍高いものが多いのであります。型を折角作つて発注を受けたところが、その次の発注の時期になると他の工場が出血受注と申しますか、何でもとりたいというので安い値段で結ばれて行く、これは出血受注というのがわかつていながら、型を作つて当初犠牲を払つた工場には注文をしないで、安いほうに食い付いて行く。又そういうようなことを一つの牽制策として、一方型を作つて犠牲を払つてやつておるのに犠牲を更に強いるというような問題も私はあると思うので、そういうような調査がないようでありますが、そういう面も非常に多いのでありますから、こういう点も一つ今後御調査なさる上において一つお考えを頂きたいと思うのであります。
 それからなお下請工場のそういつた立場だけでなく、私はまあもつと大きな大局的な立場から申しまするならば、たしかいわゆる親工場に対しましても、これは相当考えなければならん面もあろうと思うのです。例えば政府の支払が非常に遅れておる。特需の支払が遅れておる。先般の内灘の問題のごとき、砲弾なんか随分受けたのでありますが、ああいうような問題が相当あると思うので、先ほど豊田委員からお話のございました、官庁の発注の場合に、支払が遅延したときにはいろいろないわゆる罰則的な規定があるようでありますが、これが本当に行われていないのでありまして、この点も私は御注意を項かなければならんと思うのであります。
 それから今のように、これからだんだんMSAや何か出て参りまして兵器関係が多くなつて参つた場合には、やはり親工場には或る程度の前渡金制度というものを、曾つてとられたようなことをやれば、これが再び行われまして、そういつたものが下請工場に紐付きになるというふうな考え方を講じられて行くべきじやないかと思います。なお金融を親工場につける場合も、下請工場にこれが成る程度のものが紐付きに正しくなつて行くというような点も考慮されて、両々相待つて私は今後の日本の生産というものがいろいろな矛盾、無理がない、而も下請に全部支払わんというような今日の不合理は是正して参らなければならんじやないかと思います。この点は御注意を頂きたいと思います。今のこの点につきまして公取委員長からお話を承わり、又岡田長官からも御意見の御開陳を私はお願いしたい。
○政府委員(横田正俊君) 只今の私ども仕事をしますのに誠に貴重な御示唆を賜わりまして非常に有難く思つております。この調査の中にははつきり出ておりませんが、その間におきまして今お話のような下請代金の非常に低くいたしまして、いわゆる下請業者に出血を強いるがごときものもあるように聞いております。この点につきましてはやはり不当なものにつきましては現在ございます不公正な取引方法の規定によりまして適当に処理できると考えております。なおその他の点につきましては私のほうと申しますよりも、政府そのものの政策と関連いたしまして、少くとも私の委員会に関する限りにおきましては、今日のこの委員会において委員長、各委員から述べられました御意見を十分に尊重いたしまして善処いたしたいと考えております。
○説明員(岡田秀男君) 政府の支払促進の法律に関しましては、先般来申上げましたように、この条項が本当に生きて運用されまするようにという趣旨から、昨年の暮におきましても次官会議の決定を以ちまして、各省各庁より下請支払を促進するように契約先にも勧告し、時期によつて受領委任状を以て直払いをするというふうなこともやるようにという決定もいたし、又最近もこの趣旨を更に確認し、その施行を的確ならしめるような趣旨によりまして、今一度はつきりしたことを取極めておきたいというふうな考えも持つて、連絡を目下やつておるような状態でもございまするので、この条項のしつかりした活用ということにつきましては、なお一層の努力を払いたいと考えておる次第であります。政府のMSAの関係等につきましては、政府から前払いをするような方法というお話もございましたのであります。が特需に関しましては、今JPAその他アメリカの機関がやつておりまする点でございまするから、我々のほうで直接にどうこうできるかどうか、よく私も了承いたしておりませんでございますが、いずれにいたしましても下請関係が非常な悪い状態になつておりまするものを、普通の経済観念において妥当と認められる線まで引上げるというような方法につきましては、あらゆる角度から努力を払つて参りたいと存ずるのであります。それにつきましては、私はやはり金融方面におきまする措置だけではいけないので、下請それ自体の特色の発掘と申しますか、技術の向上と申しまするか、親工場からなめられるような状態それ自体を改善して行くというふうな努力を併せて争つて行かなければ、問題の根本的解決にはなるまいというふうな趣旨から、企業診断でございまするとか、或いは又系列診断でございまするとか、各般の指導をやりまして、これが技術水準の向上乃至は下請と親工場との間の関係を円滑なる状態におく指導等いろいろやつおるわけでございまして、今度の公庫ができまして長期の金が出るというふうなことも、例えば下請の工場におきまするところの技術水準の向上に役立つということに和成りますれば非常に幸いであると存じておるのでありまして、あらゆる方面につきあの手この手と合せました上で、本問題が正しい軌道に乗りまするように今後とも努力をして参りたいと、かように存ずる次第でございます。
○石原幹市郎君 中小企業の話が出ておりまするので、関連がありまするから一つお伺いしたいと思います。
 それは冷害地における中小企業者の困窮と言いますか、救済の問題でありまするが、先の委員会において、同僚の堀氏から、北海道における例を挙げて特に強い要望があつたのでございます。そのとき委員長も、本委員会でも研究して見るということでありましたが、先般の風水害のときの災害地における中小企業者に対しては、いろいろな措置がとられておるように思うのでありますが、今回はまだ何らの措置がないのでありまするが、これはやがて相当深刻な問題になるのじやないかと思うのであります。そこで風水害の問題は災害特別委員会かなんかでいろいろ研究したようでありますが、冷害地の問題は農林委員会でこの問題を研究するというわけにも行かんと思いますので、本委員会で取上げて研究してもらいたいと思うのでありますが、この問題に対して中小企業庁等におきまして何か考えておられるようなことがあるか、或いは地方がどういう実情になつておるか、又この委員会としても、今後どうして行つたらいいかというようなことについて、長官なり委員長のほうからお答えを頂きたいと思います。
○説明員(岡田秀男君) 冷害に対しまする中小企業の関係の問題といたしましては、冷害によつて農村の購買力がなくなる、力がなくなつて参る関係から、商工業者の農村に対する売掛金が固定しまして、回収が困難になつて来る、そのあおりを食つて当該商工業者の商売が非常に苦しくなつて参るから、これに対して何らかの手を打つ必要がありや否やの問題に帰着するかと思うのでございます。水害の問題に関しましては、私どもといたしましては、この復興資金という観点から水害地に対しまして主として金融の措置でございまするが、いろいろと手を打つたのでございます。水害を受けました地方の農村その他が力が弱まつたために、その方面に売掛金を持つておりましたところの商工業者が困るということにつきましては、特にその金利を安くするとかどうとかいうふうな特別の措置はいたしませんで、或いはその売掛金の関係につきましては、更にその元でありまするところの大阪方面の大問屋から当該地方におきまする商工業者への手形の催促をそうむやみに強く言わんように斡旋をしてやりますとか、或いはそれに伴つて大集散地におきまするところの商工業に対しまして、若干の運転資金の操作を加えるとかいうふうなことはあつたのでございまするけれども、特別にその金利を補給するとかいうふうな意味合いにおきまする特殊の措置はいたさなかつたのでございます。丁度これが下請の関係と同じような関係じやないかと思うのでありまして、親工場が支払を非常に延ばすために下請が困るということ、つまり農村が金を払つてくれんために商工業者は困るということと若干似たようなところがあるかと思うのでございます。今のところ私どもといたしましては、特に金利をまけるとか、保険をどうするとかいうふうなとこまで考えてはおりませんけれども、冷害対策といたしまして農林省のほうにおいて直接のいろいろの操作をなさる、或いはそれに伴いまして公共事業が起されるというふうな関係から、それが循環いたしまして、遠く関係商工業者にも若干の潤いが来るかというふうなことが、丁度水害地の経験から見まして或る程度期待できるように思うのでございます。水害地におきましても当初非常に懸念されておりましたのでございますが、取引の関係につきましては、直接の被害者からそれに関係する商工業者、更にそれに売掛金を持つておりまするところの大本の商工業者というふうな関係が、やはりこの水害というものを中心といたしまして、妥当な線で収まつておりまして、まあ大過なく過ごして来ておるのでございます。さような意味合いから、冷害地に関しましても特別な取扱ということをやらんでも、いろいろなことがめぐりめぐつて一応の安定点に行くのじやなかろうかと水害地の例から想像いたしておるのでございます。
○石原幹市郎君 大体わかるのでありますが、風水害のときは被害は一時非常に多かつたのでありますが、局所的であろうと思うのであります。ところが冷害のほうはずつと広範囲に蔓延して非常に広く瀰漫しておるわけでありまするから、このしこりというか、影響は徐々に現われて来るかと思いますから、この問題はよく中小企業庁でも調査をされ、研究されて、非常な騒ぎになつてから対処する手を考えるということではなしに、いろいろと調査されて研究をしておいてもらいたいということを私ここにお願いを申上げておきます。
 それから委員長もこの前研究して見るというようなお話で、ございましたが、私はこの問題を農林委員会で研究するというわけに行かんだろうと思います。やはり通産委員会で、これは冷害の影響でありまするけれども、検討してもらうということにお願い申上げておきます。
○委員長(中川以良君) 本問題は先般のお話合いで各会派で一応意見をまとめて頂いて、そして本委員会でそれを承わつてどうするかということをきめよう、こういう打合せをしておりますのですが、今日は又これが済んだあとで各会派の御報告を伺うことにいたします。ほかにございませんか……、それでは下請代金遅延に関しまする調査は、本日はこの程度で終りたいと存じますが、御異議、ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  ―――――――――――――
○委員長(中川以良君) それでは次に火力借款に関する件を議題といたします。
 先週末の委員会におきまして政府から提出をされました火力借款対象事業計画及び新設予定発電設備概要がまだ説明が済んでおりませんので、先ずこの説明を聴取いたしまして次いで本日配付されておりまするところの貸付契約証書につきましても説明を聴取いたします。その後におきまして質疑に入りたいと存じます。
○藤田進君 先般来の約束は本日、特に月或いは火曜と論議の結果、水曜日ということで通産大臣などもお見え頂くことになつていたと思うのです。会期も三日間少くとも延長されておりますので、それらの事情も勘案して、やはり大臣の御出席もお願いしたいと思います。
 もう一つの点はいろいろな資料について今回の火力借款に関する限りと言つていいくらい、どうも出し渋つておられるようにも思うし、又その出されているものが極めて不親切なように思います。殊に通産関係についてはまだしもといたしましても、大蔵関係についてこの火力借款をめぐるいろいろな経過なり資料があるはずであります。例えば外貨の問題にいたしましてもこれらが殆んど出されない、総括的に要求したために出しにくいのであつたかも知れませんが、それは当局としてはわかるはずなので、この上とも委員長におかれても一つ督促をして頂きたいと思います。
○委員長(中川以良君) なおその点でございますが、藤田委員から御要求のありました資料のうち、世界銀行の貸付規程は翻訳が大変手間取るそうでございまして、六日に翻訳が完了するそうでございます。従つて配付は七日になる予定ということを政府側から申入れが今日来ております。従つて七日はまだ会期中でございまするので、七日にはこの委員会をいたすことに委員長は取計らう考えでございます。それからなお本日は政府側の出席は中島公益事業局長でございますが、今のお話のごとく大蔵大臣並びに東条為替局長を要求をいたしておりまするが、予算委員会の関係で出席が不可能のようでございまするので、取りあえず本日は外資課長を出席するように更に只今要求をいたしております。それからなお通産大臣は本日は本会議並びに予算委員会の関係で、まだはつきりお見えになるかならんかがわからないのでありまするが、できるだけ来てもらうように要求をしております。併し古池政務次官が追つてこちらに出席することに相成つております。
○説明員(中島征帆君) では配付資料につきまして簡単に御説明を申上げます。
 この前の、委員会に火力借款対象事業計画と新設発電設備概要と二枚の資料を配りましたが、この前の火力借款対象事業計画と申しますのは、これだけでは甚だ不完全なように見えるのでありますが、実は文字通りとりましてこういうものを作りましたのでございます。本日配付いたしました契約書の前文の翻訳の中に事業計画契約証書というのがございますが、これの一番末尾にこの関係のものがあるはずでございます。で世界銀行と電力会社との事業計画契約の中に別表といたしまして、それぞれの会社につきましての約定計画というものがございますが、この約定計画と申しますのは、各社が現在持つております開発計画を主体とするものでございます。この中には全国水力、火力それぞれの地点別に挙げてございますが、この資料によりますと、資料の十六頁だと思いますが表になつております。この中に今回の借款の対象となつております発電所が、火力発電の末項の多奈川という所がございますが、これが今度の借款の対象になつておる火力設備でございます。この多奈川につきましては、この表にありますより更に細かい計画が必要でありますので、これだけ取上げまして別に関西事業計画として……この多奈川の計画だけにつきまして、その前の前の十三頁に関西事業計画とございますが、こういうような恰好で、多少これは修飾を加えてございまして、その事業計画だけをこの前御説明申上げたわけでございます。内容は要するに全体につきましてこの約定契約で以て全体の今後の開発計画、既定の計画というものはどういうふうなものがあるということをここで一覧表に出しまして、そのうちで借款対象であります火力発電の計画というものはどういうものであるかということをこの事業計画の中でやや具体的に謳つておる、こういうことでございます。この事業計画の中に盛られております要綱を抜出したものが数字的に抜出しましたものが新設予定発電設備概要の表になるわけでございまして、これによりまして出力、利用率或いは生産費というようなものが一覧表になつておる、こういうことでございます。要するにこの事業計画の内容を要点だけ申上げますと、この前の会に配付いたしました新設発電設備概要という横の表の表で一覧できることになつておりますが、例えば中部につきましては六万六千キロワツトの出力あるものを据付けまして、この利用率を五〇%としてあとどういうふうな効果があるかというような予定の数字になるのであります。つまりこの場合におきましては熱効率が三〇・五、石炭の消費率が乾炭が〇・五一二キログラム、それからボイラーの圧力が八十八キログラム、ボイラーの温度が五百十度、その前提といたしましては石炭が五千五百カロリーのものを使う、こういうことでございます。石炭の単価を五千八百十五円といたしますと、石炭費は三円二十二銭になり、全体の発電原価が一番下にあります通り五円九十五銭七厘になる、こういう想定でございます。関西、九州共に同じようなことになつております。
 それから今日もう一つ別の表が配付になつておると思いますが、これは本日新設予定発電設備概要という見出しをつけましたやはり二つの函になつております表でございます。これはこの前も似たような表を配つておると思います。この前のやつは今度のやつにお差換えを願いたいと思うのであります。本日配付いたしました表によりまして御説明申上げますが、これでは現在東京電力で計画いたしております鶴見第二発電所の設備はどういうふうな性質のものであるかというものをここで出しております。これは大体規模で申しまして、中部電力の六万六千キロワットに相当するものでありまして、これと比較するのが一番わかりやすいことになるのでありますが、ただ違います点は、中部、関西、いずれも新らしく敷地を購入いたしまして、設備を新らくし建設する、こういうことになつております。鶴見第二の場合には、すでに発電設備がございまして、それに新らしく今度の新規設備を附加するという関係になりますので、敷地の関係その他附属設備等の関係におきまして、かなり鶴見発電所のほうが有利な条件にございます。従つて発電原価をそのまま比較するという場合には、その点を相当斟酌する必要がございますので、例えば鶴見第二におきましては、欄が二欄ございますが、左のほうの一番下に四円八十四銭というのがございます。それからその次の欄には五円二十八銭と、こう二つございますが、これと、それから先ほどの中部の三重のものと較べますと、五円九十五銭でありまして、いずれも安いということになつておりますが、この安いという事情には、先ほど申上げましたような事情のほかにも事情はございますけれども、斟酌を要する点があるということをあらかじめ御了承願います。
 只今の表でございますが、右と左と二つ欄がございますが、これは違います点は、左がちよつと不足しておりますけれども、左は利用率を六〇%としてやつた場合、右側五〇%としてやつた場合、この二つの場合でいろいろ数字が違つて来るわけであります。何故かというと、鶴見の第二の場合におきましては、東京電力におきましては、現在は六〇%の利用率を挙げるという構想の下にいろいろの数字を弾いております。中部においては五〇%の利用率だという想定の下に数字を出しておりますので、これを合せますためには、利用率は東電の場合五〇%としなければらないのであります。そういう関係で数字をいじりまして、最終的には五円二十八銭ということになるのだという数字でございます。この二つを比較いたしますというと、いずれの場合におきましても、熱効率の点につきましては、中部の三重と比べましていささか劣つております。中部の場合は三〇・五%、これは今度入れます関西、九州に比べましては一番中部は低いわけでございますが、それに比べても鶴見第二の場合には二九%或いは二八%という数字で熱効率は劣つておる。
 それからいま一つの大きな違いは、鶴見の場合は重油専焼の設備として取りあえず設計をいたしております。いずれは石炭と混焼するような設備も附加されるわけでありますが、只今の設計では重油だけを焚くという設計でございまして、従つて、現在といたしましては燃料としては重油のほうが安く消費できるという関係から、その点からもコストが安くなるという関係でございます。
 それからいま一つの点は、輸入設備につきましては、今度のトータル四千二十万ドルという借款の計画を全部設備費の一部として入れておりますが、この四千二十万ドルの中には、いわゆるエスカレーシヨンと申しまして、引渡しのときにおきます契約価格の変動に応じるために若干のゆとりを見ておりますが、実際にはどうなるかわかりませんが、現在の契約価格に比べましてそれだけ高くなつておりますが、一割ほど見込んでおりますけれども、その分だけは未確定なものが一応機械の購入費として中に入つておるという点で、その点につきましても輸入設備のほうがいわば高く見積られておるということが一つございます。
 それからいま一点は、現在鶴見で発注いたしております設備は、二社に対して発注いたしておりますが、いずれも初めての、新らしく特許権を購入して作る試験的な設備でございますので、各社ともかなりこれにつきましては勉強いたしておりまして、或る社のごときは相当な赤字を出して引受けておるという関係もございますので、必ずしもこれが国内で今後継続的に生産し得る機械の正常な原価であるかどうかということにつきましては、まだその点につきましては未確定だということを言わざるを得ないのであります。そういう関係におきましても、国産の場合は一応機械の設備費というものは安くなつておりますが、必ずしもこれが本当に安いのであるかどうかという点につきましては、まだ疑問があるということを御考慮願いたいと思います。
 それから次に右側の表でございますが、これは今度国内で発注いたしております設備の中で、全部が全部を国内で作るのでなくて、そのうちの一部、非常に困難なもの等につきましてはやはり外注をいたしております。外国に注文いたしまして、輸入する品目をここに挙げてございますが、これは全部でございませんけれども、主なるものはこういうものである、それが全体の機械の代価に比べてどうなるか、何パーセントを占めるかというのが註の2にございます通りに一割から三割くらいに及んでおるというわけでございます。そういうような表であることを御承知願います。
 それから次に本日配付いたしました契約証書でございますが、これは前にも御説明申上げました通りに、三つございまして、世界銀行と開発銀行との貸付契約、それから世界銀行と政府との間の保証契約、それと電力会社との間に行われます事業計画契約の三種類になつております。その内容につきましては、先般要旨につきまして御説明申上げた通りでございまして、各条項に対しまする見出し等によりまして大体御了承願えるかと存じまするので、内容につきましては一応省略させて頂きますが、なおこれを読むにつきましては、冒頭にもございます通りに、貸付契約の第四号というものがこれが補充的な規定として必要になるわけでございますが、先ほど委員長から申されました通り、目下翻訳中でございまして、まだ一両日かかるというわけでございまして、本日御配付できないのは甚だ申訳ないのでございますが、大体の要点、抄訳的なものが手許にございますから必要に応じて私どものほうから御説明いたしたいと思います。
○藤田進君 質問を申上げたい点は余り細かい点はもう意味がないと思いますのでこの火力借款の日本の産業に与える影響、或いは電気事業、更には電力料金その他電気事業の運営の資金調達といつたような、大蔵関係も相当部分ある、いわば火力借款をめぐる大きな問題についてお伺いしたいと思うのです。更に将来の問題については水力その他機械設備等の借款が問題になつておりまするので、これらに対する政府の方針をお伺いしたい、こう考えているのであります。従いまして、私はできるだけ大臣にやはりおいで願つたほうがいいのではないだろうか。大蔵大臣のほうは予算審議中で特にお忙しいと思いますので、大蔵省関係については適当な局長か、或いは次官にお願いすればいいと、このように考えておりますので、さように取計らつて頂きたいと思います。
○委員長(中川以良君) ちよつと速記をとめて。
   午後三時四十八分速記中止
   ―――――・―――――
   午後四時九分速記開始
○委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。
○藤田進君 今度の火力借款が輸銀の方面から出発して途中で今度いわゆる世銀に変つているわけですが、これに関連してやはりいろいろな問題が今日提起されていて、例えばアメリカ自身の対外援助なり或いは又貸付なりこういうことが基本的に変つて来ている面がある。これについてはロバートソン氏の声明もあるし、又アメリカの財務長官の声明からも、明確に輸銀から世銀に変つたという事情は読みとれるわけです。それは要するにアメリカと競争する相手というか、援助して他国の国内産業が発展して、それが廻り廻つてアメリカの業者との競争関係になるとか、アメリカの、例えば今の場合重電機工業、こういうものに悪影響を及ぼす、機械が売れなくなる、こういう融資については扱わない。又輸銀では比較的短期借款以外は扱わない。いわばこの世銀の殆んどの支配権というか、相当なイニシアチブを握つている、あそこの総裁自身がウォール街の代表であるというふうに言われているくらい、世銀とアメリカというものは非常な密接な関係にある。こういうところから世銀に対して肩代りになつてしまつた。而も今度日本の借款にまつわつては、アメリカの重電機業者がつまり非常に積極的に働きかけをしておる。むしろそのてこ入れで今度の借款というものはできたし、その過程においても手を引くことができないようなすでに深い泥沼に入つてしまつていた、それは繋ぎ融資をしてもらつてしまつたし、又その設備も三電力共に外注してしまつていたし、こういういわばせつぱ詰つて、詰腹を切らされてしまつたのが今度の借款であるように思われるのです。そこで問題はその契約条件、結果的に見て条件が非常に不利なものである。これは諸外国と全く同様なものであるということを、吉田総理自身も本会議で答弁されておりますけれども、恐らく吉田さんが諸外国の実例をみずから検討して、成るほどこれは諸外国と同一な、およそ同一なものであるという了解ではなしに、何と言いますか、御説明なされたかたがたが諸外国と大体同じものです、だから日本に特に苛酷なものでもないということを呑み込ませて本会議で答弁になつていると私は思うのです。なぜならばイギリスにしても或いはフイランドその他資料も一部出されておりますし、今度国会図書館の調査速報にも若干の条文が出ておりますけれども、これは日本のような私的資本というか、民間産業に委ねられている電気事業の借款、こういつたものとは根本的に事情が違つているということ、これがやはり見逃されていると思うのですね。こういう事情を勘案いたしますと、今度の借款ほど重大な日本の国内に与える影響というものはなかつた、このように考えます。なかんずく三電力会社に対しては、自己資本、これは増資なりその他の面でこの調達、或いは又国内の資金調達、更に電力判の確立という面等々から、いわば三電力会社自身としてはもう赤字経営ということは、無論赤字経営を私は賛成している者ではありませんけれども、九なりの面が政府の措置に、例えば融資の斡旋なり或いはそのためには政府が国内的な保証なり、最終的には電力料金というものを自動的に会社が要求する線に従つて上げて行かなければならない。こういう国内の政治に明確に干渉している措款であるから、無論これについては十月十八日の朝日新聞などでも伝えているように、岡野通産大臣も今後は注意しなければならん、今度は仕方がなかつたのだ、ということの談話が発表されておるわけです。こういう事情から果して政府としてはあの借款についてこの間政務次官の古池さんが言われたような、極めて満足すべきものであつたのかどうか、前後がどうも食い違つているように思います。これらについて輸銀が世銀に変つた事情と、更にこれらの条件が今申上げたような事情に基いて国内の産業には極めて殊に電電機部門については悪い影響を与えているというような点で通産大臣はどのようにお考えになつているか、具体的に簡単で結構ですから先ずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。輸出入銀行から世界銀行に変つたというのは、これはお説の通りに、向うの制度の運用の方策が変つたために世銀に移されたわけでございます。それから向うのメーカーが非常に金融上走り廻つたというようなことも情報が入つております。それは無論自分のほうのものを買つてもらいたいために、それには金融をつけてやるために努力することは、これは国内でも同じことでございまして、或るメーカーが売ろうとする、そのためにその会社がよそから金を借りなければできんという場合には、間接的にメーカーのほうから需要者のために銀行へ運動してやるということもあるのですから、そういうこともあり得ると、こう考えます。それから日本と……、これはたしか私はそう承知しておるのでございますが、ほかの国との釣合いの丁度比較表のようなものも資料としてお手許へ差上げておると思いますが、御覧の通りに、大体日本だけが苛酷な条件であつたということにはならないわけでございます。而も五十五カ国の国が一緒になつて、而も理事国というのが二十くらいあるそうですが、そういうような理事会を経なければ融資の決定ができない、而もそれは各国とも各国の利益を代表しているのでございますから、どこによくし、どこに悪くするということは事実上できませんし、又いろいろな契約条文なんかも大体例文がありまして、その例文をそのまま当てはめる、こういうことになつておるのでありまして、私自身としては、よく事情を承わりますれば、ほかの国と差別待遇を受けて非常に日本の国だけ悪いということは考えられないのであります。それから三電力会社がいろいろの資金の調達とか何とかいうようなことで相当に指図を受けると申しますか、我々政府といたしましても世話をしてやらなければならんような契約条項になつておりますけれども、これはもう申すまでもなく向うが金を貸しておらなくても、政府といたしましては公共事業のことでございますから相当面倒を見て、そうしてその会社が十分成立つて、そうして日本の生産業に対する供給、又は一般消費家庭に対する電力の供給というようなものも確保する、そのためには会社が何を申しましても資力の点においてしつかりしていなければならん、そういう意味においてやらなければならんのは当然でございます。それから極めて満足であるとか不満足だとか、又私の何かしやべりましたことに対して、政務次官との話が食い違つているということでございますが、事は得てして交渉の途中でいろいろ出てきたことを判断する場合においてはよかつたり悪かつたりしますけれども、結局結論といたしまして、契約してしまつて、その結果を見ますというと、我々といたしましては、少くとも四千万ドルの借款ができたということにつきましては非常に満足をしておりまするし、それから先ほど申しましたが、条件につきましても何も日本だけが非常な不利な条件でやつていなかつたという点を見まして満足しておる次第でございます。
○藤田進君 まあ結果的には満足したと言わざるを得ないだろうと思いますが、併し機械の発注もしていないし、繋ぎ融資も受けていないしというような状況下にあつては、かなり事情が違つていたと思う点は大臣みずからの当時の発表談話によつても明確なわけです。そこで今日日本の外貨というものを考えたときにすでに外銀にかなり多額の無利子で預託をしておるという状況下において、かような非常に、日本の憲法の許す範囲とは書いてあつても、地方自治団体或いは日銀その他まで拘束するような条件、そして而も国内の重電機産業いうものを、だんだんと疲弊をせざるを得ない状態、先ほどの資料を見ても東京電力の鶴見の第二を見ましても、発電原価というものは安いといろいろに説明されているけれども、それはそのはずです。そういう状況下にあつて而も無利子の外貨預託がありながらこういうふうになつたということは、取りも直さずやはり政府の交渉なり手続が少し当を得なかつたように思われるのでありますが、若しあの当時の大臣の談話の通りを我々がそのまま聞くならば、以上申上げたように外注はしておるし、繋ぎ融資は受けておる、こういうせつぱ詰つたところで仕方なくこういう借款になつた、このように思われるわけですが、その点は如何ですか。
○国務大臣(岡野清豪君) 輸出入銀行から世界銀行に代りまして、それから輸出入銀行の当時は余り詳しい条件を聞かなかつて、それから世界銀行に行きましてからああいう条件が出て来たことを発見しましたときに、実を申せば少しうるさい手続だなという感じがしました。これは恐らくあなたのようなお考えを持つたおかたもあつたかも知れません。併し今仰せの通りに、もうすでに注文もし手付金も打ち、又繋ぎ融資もされ、而もそれができるならばできるに越したことはないということで続けたわけです。併しさてあの当時に交渉最中に発表せられましたいろいろな条件等を考えて見ますというと、むずかしい問題ではありましたけれども、併しその後の交渉の経過によりまして今何ら心配ない、初めは日銀とか地方公共団体が入るようになつておりましたけれども、併しそれも何から除きまして、そうして又日本の憲法の許す範囲内ということになつたわけですから、私はその点におきまして途中で考えましたことと、それから只今の結論とは多少変つてもいいんじやないか、こう考えております。
○藤田進君 そうしますと開発銀行の資金の増額の問題、これは国会に関連する問題ですが、或いは日銀なり、或いは地方自治団体というものは全然今度の協定からは省かれておるわけでしようか。
○国務大臣(岡野清豪君) それは向うの例文にはそういうものがあつたらしいのです。そして併し我々の憲法はそういうものでないということを説明して、向うは良識に訴えてそれならそれでよろしいということになつたわけであります。
○藤田進君 示されている資料からこれを見ますと憲法の許す範囲と、これはまあ当然でしようが、その範囲においてむしろ当初の世銀の言つておる通り入つている、このようにこの条文上明確なわけですが、それでも且つそれが否定できるとすれば、その点は更に明確に一つ御答弁願つておきたいと思います。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申します。それは両方の話合いで申合せができておるそうでございます。
○藤田進君 どういう申合せですか。
○説明員(中島征帆君) この契約面から明確に除かれましたのは日本銀行を含むという条項が除かれております。ただこれは了解事項といたしまして解釈上日本銀行も含むのだということで、結果において大して変つておりません。
 それから地方団体等の考え方につきましては、これは政府が契約をするのであり、地方団体は政府とは別個のものであるから、政府が如何に契約をしてもその通り実行できないことがあるぞというこちらの意見に対しまして、それは無論憲法の範囲内で政府が義務を負えばよろしいのだということで、これは向うとの交渉の経過、議事録上そういうふうなことがきまつてございます。
○藤田進君 実質的に省かれていないということが向うの解釈では発表になつておると私は聞いておりますが、まさに話合い、申合せというものは省くのだ、除くのだということでなしに、入るのだ、ただ日本銀行という字句を一部抹消した、このように聞いております。それでは国内の直接与える影響として無論公益事業であるからこれら電気事業については政府が十分面倒を見なければならんということでこれは尤もだと思うわけですが、併し従来の慣行からすれば、融資或いは過去においては補給金、最近においては電力料金の値上げ、これらについて絶えず政府とそれから業者の間には大きな開きを持つて来ていると思います。例えば電力料金値上げについても査定という形においてかなりの料金値上げについての変更がなされて来ておる。ところが今度の場合には電力会社がかたり強腰で出ることによつて政府は如何ともしがたいここに約束を間接に電力会社にしたことになつてしまつておる。従つて若し電力会社において資金調達なり、殊に電力料金の値上改訂についてどうしても自信がない、延いては外債に対する責任も果せないという最後の切札を持つておるのであつて、その場合でも従来のように政府は一方的にその査定ができるかどうか、その場合にこの世銀に与える影響をどのように考えておられるか、この点を御説明願いたいと思います。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。世の中の物事というものはそうとことんまで割切つてしまつてはいかんものじやないかと思います。契約というものは成るほど最後の土壇場に行きましたらそれは債権者が必ず債務者から物を取つてしまう、こういうふうに契約はできるものでございますけれども、併し円満に仕事がやつて行けておる間はそういうふうに私は極端なところまで行かんと思います。同時に公益事業でございますから、政府はこういうような協定がなくてもその事業会社が資金に非常に困るとか、又採算がよくないとか、又料金を上げなければ立つて行かんとかいうようなことが出て来れば、それに対して適当な配慮並びに斡旋をしておるわけでございますから、これによつて、外国の金貸業者によつて日本の政府若しくは会社が金縛りに会つたというふうには私はとりたくない、又とらんでもいいのじやないか、こう考えております。
○藤田進君 大臣は少し質問申上げたポイントが外れておると思いますが、今度の協定を見ますと事業計画がある。これにはやはり設備一切、送電線に至るまでの事業計画遂行について政府に相当の大きな拘束がかけられてしまつておるわけです。ところが今の開発事業を見ると年々開発すればするほど発電原価は高くなるし、又老朽設備を非常に多量にかかえておる日本の電力事情からすれば、これが補修等は相当なものになつておるわけです。この遂行が若し困難である、支障を来たすということになれば、政府が自動的に補償をしてやらなければならん、料金の面とか或いは融資の面とか、こういうことについてすでに電力業者間に電力料金の値上げという形で問題が出ておると思います。こういうことについて従来ならばかなり強い立場で政府は査定をしていたけれども、今度の場合には外債という後楯が、この約定がやはり後楯となつて政府が最後の果には手を挙げざるを得ない。このことはもうすでにその間の事情を知つておる者は憂慮しておるところです。これをどう切抜けるかという点が非常に問題になると思います。延いては来年度四月までは電力料金は上げないということを絶えず言つて来られたが、これは無論もうすでに十一月になつておる今日、電力料金の査定については時間的、物理的に来年度というか、四月以降になることはこれはもう当然でしよう。けれども四月乃至五月というか、電力料金の改訂というものがこの火力借款を大きな契機として上げられようとする方向にある。こういう事情からして先ず大臣は電力料金については相当政府として、会社に対して対抗するところの手段があるということであればそれを一つお答え願いたいと思うのです。会社の、電力事業者の大きなこの借款というものは武器を与えている、国内的にはですね、この点がそうではないという材料があれば御説明願いたい。
○国務大臣(岡野清豪君) 私の考えといたしましては、会社の健全なる経営が一番大事なことだと思います。そういたしますというと、これはよそから借款をしておろうがおるまいが、電力会社というものが健全に経営されて行くということは、まあ通産省としてもしよつちゆう気を付けなくちやならないことだと思います。そういたして見ますというと、ロングランで見ますというと、料金というものは、私は安い設備でできておる、只今のできておる電力の料金と、それから電源開発五カ年計画に乗せまして、水力発電とか火力発電というような新らしい投資をしまして新らしい設備の、いわゆる固定存本をかけたその設備から出て来るところの電力というものは、当然私は上るべきものだと思います。併しながら、それが急激に、一年に二百万キロワツト・アワーとか、三面万キロワツト・アワーというて出るわけのものではないのでありまして、漸を追うて出るものでございますから、そういたしますというと、我々といたしましては急激の変化というものはしたくない。料金も急激に上げちや困るということで、漸漸にこの新らしい資本に副うような料金にして行かなければならないと、これは根本方針に私は考えております。併しながら、只今のところでは、この年度内は私は上げないということをはつきりこの間申上げました。只今のところでは、年度内においてはまだ上げなくてもやつて行けるという新設備が拡充されておりません。そこで私どもといたしましては、今後はその料金につきましても十分な注意を以て監視し、同時に補助してやつて行きたいとこう思いますものですから、この料金というものは健全な経営をして行くならば、これはロングランでは上げなければならん。併し、只今の政策としては、いろいろな物価とか、いろいろな方面の国民生活の安定の立場から行きまして、電力料金なんかは生産にも影響しますし、それから多数小口の消費者というものにも影響しますから、上げてもらいたくない。上げないためにはどうすればいいかというと、それに対してはほかの税法上の措置とか、又政府資金を出しておれば、その政府資金の条件を緩和して会社の利益を増すというようなことで料金には影響させない、こういうことにして行きたいと考えております。それから当然その強くなつて来るだろうということは、私はそうは考えませんで、これは合理的に料金というものは我々が査定をするものでございますから、たとえ外国から金を借りておろうがおるまいが、上げなければ左らん料金は上げざるを得ないし、上げんでもいいという経理内容なら上げないで済まして行くという政策は私はとれると思います。
○委員長(中川以良君) ちよつと申上げますが、只今衆議院の本会議が始まりまして、通産大臣に対する質問が始まつたそうでございますので、遺憾ではありますが、これで一応御退席を願うことにいたします。
 それでは大臣明後日是非一つ出席願います。
 それでは本日はこのくらいでどうでございましよう、御異議ございませんか。今日はこれで打切りたいと思いますが……。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中川以良君) それでは明後六日午前十時より委員会を開きます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十五分散会