第019回国会 運輸委員会 第7号
昭和二十九年十一月十五日(月曜日)
   午後二時十四分開会
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  委員の異動
十月十九日委員三橋八次郎君辞任につ
き、その補欠として鈴木一君を議長に
おいて指名した。
十月二十日委員松岡平市君辞任につ
き、その補欠として草葉隆圓君を議長
において指名した。
十月二十五日議長において大倉清一君
を委員に指名した。
十月二十八日委員吉田法晴君辞任につ
き、その補欠として大和与一君を議長
において指名した。
十一月十三日委員岡田信次君辞任につ
き、その補欠として松平勇雄君を議長
において指名した。
十一月十五日委員大和与一君辞任につ
き、その補欠として森崎隆君を議長に
おいて指名した。
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 出席者は左の通り。
   委員長     高木 正夫君
   理事
           重盛 壽治君
   委員
           仁田 竹一君
           松平 勇雄君
           村上 義一君
           大倉 精一君
           森崎  隆君
           村尾 重雄君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       古谷 善亮君
   常任委員会専門
   員       田倉 八郎君
  説明員
   運輸政務次官  岡田 信次君
   中央気象台長  和達 清夫君
   中央気象台予報
   部長      肥沼 寛一君
   日本国有鉄道総
   裁       長崎惣之助君
   日本国有鉄道営
   業局長     唐沢  勲君
   日本国有鉄道営
   業局船舶課課長
   補佐      荒木 善之君
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  本日の会議に付した事件
○派遣議員の報告
○運輸一般事情に関する調査の件
 (洞爺丸遭難事件等に関する件)
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○委員長(高木正夫君) それではこれより運輸委員会を開会いたします。
 先ず洞爺丸遭難事件及びその後の北海道・内地間の輸送対策のため議員派遣をいたしましたが、本件につきまして、派遣議員の御報告を願います。
○重盛壽治君 私から代つて御報告いたしたいと存じますが、皆様方のところにまだ報告書が届いておりませんので、私どもが簡潔に作つた報告書を朗読してやらして頂きたいと思います。それでは私から朗読させて頂きます。
 今回の洞爺丸事件に対しまして、私どもは高木委員長を初め重盛、仁田、村尾の四委員が青函連絡船遭難事件及び今後の北海道・内地間の輸送対策調査のため、函館及び札幌に派遣されましたので、現地において調査いたしました事項について御報告を申上げます。
 日程について申上さして頂きます。九月二十三日東京を出発しまして、二十四日青森から第十二青函丸に乗船しましたので、船中におきまして、貨車航送船の構造及び貨車積載個所を実地に見学、貨車の緊締状況等も見学をいたしました。函館に到着してから直ちに洞爺丸遭難現場に赴きまして、弔慰を捧げました。二十五日は海上自衛隊、海上保安部、函館鉄道管理局、函館海洋気象台の順序で当時の事情を聴取いたしました。二十六日は二班に分れまして、一班は市役所及び北海道庁渡島支庁を訪問し、第十五号台風の被害に対する見舞いと連絡船遭難事故の際の協力援助に対する謝意を表しました。他の一班は連絡船事故による遺族をお見舞いをいたしたのであります。二十七日は午前中に小樽港を視察した後に、直ちに札幌管区気象台に行きまして、第十五号台風当時の状況を聴取し、午後は北海道庁知事室で開催されました臨時青函間輸送対策協議会第一回協議会に出席し、おのおの経済団体、産業団体、道庁、海運局、国鉄等の当事者の希望並びに意見を聴取をいたしました。
 以上の通りの日程で調査を終りましたが、以下これらの機関でどのような調査をいたしましたかを後報告いたしたいと存じます。
 先ず最初に、私どもが明らかにしておかなければならないことは、調査の方向についてでありますが、私どもの調査は立法府たる国会の職能、殊に第二院たる参議院の性格に鑑みまして、事件の再発を防止するための制度的解決に資することを目的として行われるべきである、こういう意見の一致を見たのであります。従いまして、我々はこのような見地から調査いたしたのでありますが、主なる問題について私どもの意見を逐次申上げてみたいと思います。
 青函鉄道管理局の機構、人事について申上げます。青函鉄道管理局は十四隻四万八千トンの船を運航し、一日に約一万人の旅客と一万トン程度の貨物を輸送しておる機関であります若しこれが民間の会社であつたら、大汽船会社に相当するものである。その機構全体が船舶の運航ということに対して比較的軽く見ている気配がある。例えば局の幹部職員の経歴等を調べてみますると、当局から資料として提出されたものによつて見ましても、船舶部課長補佐以上の幹部職員中、船舶の運航に関係のある者は、僅かに高等商船学校航海科卒業一名、機関科卒業一名あるのみであります。又船舶の乗組員についても、五万トンに近い船舶所有者であるにもかかわらず、高等商船乃至商船大学の卒業者は極めて少く、大部分は実地出の者によつて構成されており、その原因の一つは、国鉄当局の船舶乗務員に対する処遇が妥当でないからよい船員が集まらないのだという議論さえ出ておつたのであります。勿論国鉄当局としては、その業務量の点から見ましても、鉄道に重点を置くことは了解できるのであるが、函館・青森間の鉄道管理局のごとき特殊な機関は、海上輸送の安全という点に重点を置くべきであつて、人的構成についても専門家を揃えていたら、或いは今度の事故も最小限にくいとめることができたのではないかということさえ痛感されるような次第であつたのであります。この際国鉄当局としては、青函局の機構並びに人事について再考する必要があるのではなかろうかと考えられたのであります。
 次からは一問一答式の形になろうかと思うのでありますが、私どもは先ず事件当時における鉄道管理局の警戒態勢についてお尋ねをしたのでございますが、洞爺丸から二十一時二十六分「エンジン・ダイナモとまりつつあり、突風五十五メートル」という無線連絡があつてから二十二時四十分SOSを受信するまで、一時間以上の時間があつたのに、その間局としては如何なる措置をしたか、こういう点につきましては、二十時十分LSTの座礁について、洞爺丸と海上保安部が交信しているのを傍受して、洞爺丸も事故が起きたようだということを知つたので、二十時二十七分、二十一時三十一分及び二十一時三十七分に連絡をとり、更に二十二時一分にその後の状態を詳しく知りたいと思い、無線電話によつて連絡をとろうとしたが、陸側の停電によつて無線電話による連絡は不可能となつた。他方二十時十五分頃からは石狩丸、十勝丸、大雪丸、第十二青函丸等も相当危険な状態になつたので、各船の情況把握については十分の注意をしていたが、洞爺丸のほうは座礁後僅かの時間で横転したことは知ることができなかつた。又その間の警戒態勢については、海上では補助汽船の出動準備をするくらいの程度であつたということでありまして、当時他の官庁はいわゆる警戒態勢に入つていたのに、管理局は一体何故に警戒態勢に入らなかつたか、こういう点につきましては、青函局としては、船舶は船舶自体で荒天準備をしているので、陸上に当面の責任者が多数つめかけても実際にやるべき仕事はなく、他の官庁と同じような態勢をとることは意味がないというような弁明がありましたが、前述のごとき多数の船舶を管理し、而もそれが稀有の荒天にさらされている場合においては、日曜日の平常勤務態勢のままでいいものかどうか、ここにイージー・ゴーイングな志気の弛緩があつたのではないかと深い疑問を抱くのであります。
 気象情報連絡通信施設の改善と観測施設の整備充実について、函館海洋気象台予報室は本庁舎より約五キロ離れた分室にありますが、この間の連絡は公衆電話一本でありまして、又この僅か一本の公衆電話によつて予報室は、NHKとか、電報局、海上保安部、支庁、消防署、国警、海上自衛隊、鉄道等に気象情報を流し得るに過ぎないのでありまして、従いまして一度情報を出しまして、これらの関係機関に連絡するには実に一時間半もかかるという状態でありました。又海洋気象台と札幌管区気象台を結ぶものは専用有線電信であります。予報室は中央気象台の無線放送を受信して天気図を書くのでありますが、この受信の電源は一般の電燈線によるが、或いは蓄電池によつてなされております。予報室では、事件当日十五時頃から電燈線がついたり、消えたりして無線放送の受信が困難になつたため、電池を使用することにいたしましたが、そのため受信機は一台しか使用できず、又電池による受信でありましたので長時間は不可能であつた。当日事態を案じて応援にかけつけた職員も、電話一本、受信機一台という状態では徒らに手を供いて傍観せざるを得ない状態であつたとのことであります。
 このように気象情報の連絡通信施設が貧弱なため、このたびの十五号台風下におきましては、次に申述べるように、遂には全く気象官署間の連絡も又外部との連絡も共に断絶するに至つたのであります。即ち十九時三十分頃予報室と本庁舎との電話線は不通になり、又二十時過ぎには予報室の電話も不通となりました。一方本庁舎と札幌管区気象台間の専用有線電信も十九時三十五分頃の連絡を最後に杜絶するに至りました。かくて予報業務は全く断絶するに至つたのであります。さて電線が暴風や強度の地震によつて切断されることは過去の多くの経験で明らかであります。気象情報や気象官署間の通信連絡が最も切実に要求されるのは異常気象時にあるのでありますから、暴風のために気象情報の発表や気象業務の連絡が杜絶するような施設しかないことは看過し得ない問題ではなかろうか、又外部との連絡方法が公衆電話一本であるため、関係機関に対する気象情報の連絡に一時間半もかかるという事情も放置することを許さない実情ではないかと言わざるを得ません。従いまして有線通信を基本とする現在の施設を無線施設を基本とするよう改善するとか、或いは関係機関に対する気象情報の迅速なる連絡を可能ならしめるために、関係機関の共同施設による専用通信施設を設けるとか、施設並びに業務の改善に特段の意を用いる必要があることを強調いたしたいと思います。
 次に、観測施設の整備充実について申述べたいと存じます。函館気象台による事件当日の気象予報は、台風の速度、風向について適切でなく、ために連絡船の船長をして気象判断に錯誤を生ぜしめたのではないかという推測をする向きもありますが、気象台側の説明によると、現在における気象技術の段階や我が国の観測施設よりして、気象予報の精度において限度のあることもやむを得ないものがあると考えられますので、本委員会がしばしば強調して来たように気象災害による毎年の莫大なる国富の喪失に鑑みて、国家財政の許す限り、逐次定点観測の増強、レーダーの設置、航空機の使用等、気象業務の整備充実について努力いたさなければならないと存ずるのであります。
 函館港における港湾施設の整備について、函館港の整備は遅々として進まず、港湾施設の基本たる防波堤の修築は殆んど顧みられず、二千六百七十六メートルのうち千七百五十八メートルが未完成の現状にあるのであります。このたびの十五号台風下において防波堤外に投錨又は避難した連絡船洞爺丸ほか四隻はいずれも遭難沈没いたしましたが、防波堤内にあつた大雪丸ほか七隻の連絡船と一隻の大型外国船はいずれも難を免れ、而もこのうち石狩丸及び第六青函丸はそれぞれ二十一両及び四十三両の貨車を搭載していたのであります。事件前青函航路就航連絡船は十四隻四万八千総トンに達し、運航数一日十数運航、一日旅客輸送数は約一万人、貨物輸送量も一日約一万トンに達しているのでありまして、函館港がこのような日本最大の定期航路の発着港であるという特殊な事情を重視し、従来の港湾修築計画を再検討して、安全な繋留に必要な広さの水域を確保するため港湾施設の基本たる防波堤及び繋船浮標のごときは急速に整備する必要を痛切に感じたのであります。
 大体以上主なる問題につきまして、私どもの所見を申述べたのでありますが、大正元年北大西洋において氷山と衝突沈没いたしました英国旅客船タイタニツク号遭難の大惨事が海上における人命の安全のための国際条約成立の端緒となり、事件後四十年を経過した現在におきましても、同条約は海上における人命の安全の確保に偉大な貢献をなしている事実に鑑みましても、タイタニック号事件以来の海上における最大惨事たる今回の青函連絡船遭難事件につきまして、政府は特別に調査機関を設置いたしまして、その原因を徹底的に且つ広い視野において究明し、連絡船の船体の構造、港湾の修築、気象業務の運営、国鉄連絡船の管理体制の適否等を再検討し、この種悲惨事の再発を防止する対策を講ずべきことを強く要望いたしたいと存ずるのであります。なおまたこのたびの貴重な経験に鑑みまして関係機関はもとより、その地の各職場においても平時の惰性に流れず、従来の施設や仕事のやり方等について十分再検討し、改善を図るべき問題については自主的に、而も積極的にその実現に努力せられるよう望んでやまないものであります。
 次に、青函連絡船遭難事件後における北海道・内地間の輸送問題につきまして若干の御報告を申上げたいと思います。たまたま当日道庁におきまして道庁、海運局、陸運局、国鉄、荷主団体、同議会の各関係機関より構成されました臨時青函間輸送対策協議会の第一回の会議が開催されましたので、我我もこの協議会に参加いたしましたので、この会議の経過を簡明に御紹介いたしますと、国鉄総支配人の説明によりますと、事件前におきまして、本年第三・四半期における青函航送貨物輸送が一日十八運航、六百三十五両の計画でありましたが、事件後におきましては、連絡船五隻の喪失によりまして一四・六運航、四百五十九両、即ち事件前の貨物輸送計画に比較いたしまして七二%に落ちましたが、応急処置といたしまして実施いたしました宗谷丸の就航と道南海運株式会社の連絡運輸とによりまして、欠航を計算外にいたしますれば、事件前の貨物輸送計画の八四%まで回復し得ることとなつたのであります。さて当初計画に対しまするこの青函航送力の不足につきまして、海上輸送力はどのような事情にあるかにつきまして、北海道海運局長の説明によりますと、事件前の十八運航による本年第三・四半期青函航送力、宗谷丸利用等による応急措置実施後の第三・四半期航送計画が欠航率より勘案して本年第三・四半期において七万トン乃至十万トンが一般海送用の対象となるものと認められるのであります。これに対しまして海陸輸送経費の差の問題は一応別として、船腹は、現在北海道・内地間定期貨物船は、定期貨客船一隻を含め十七隻あり、この貨物輸送力は月間約九万三千トンであり、現在の船腹利用率は、積出貨物について五八%に過ぎず、従つて積荷能力はまだ余裕がある。輸送要請が相当大きい場合において、内航貨物船が過剰気味の現状なので、定期船の臨時配船或いは又不定期船の配船により、海運転換に対する受入れ能力は十分と思われるとのことでありました。
 なお青函経由の滞貨について申上げますと、十月二十日現在十八万四千トンでありまして、前年同月同日の十九万六千トンに対し減少を示しておるのでありますが、この現象に対しましては、関係者よりデフレの影響による工業生産の減少或いは輸送面の不安による手控え或いは海送転移による等の意見が述べられました。
 次いで各荷主団体代表者より、それぞれ各物資について特殊な事情が述べられたのでありますが、各荷主団体代表者は一致して国鉄による青函航送を熱望しておりまして、中には青函航送不足分については、国鉄が船舶を傭船して貨車運賃プラス保険料の枠内一般で全輸送を引受けよと強調する向きもありまして、このように荷主側は海運に輸送を転移するのを躊躇する。海運輸送を躊躇する理由の大きなものは、運賃差以外に、貨車輸送の場合に比し保険料が極めて高くなること、船でやる場合には保険料が高くなるというようなこと、或いは品傷みの危険がより大きいこと、戦後荷主の資本力が弱体化したこと等が挙げられたのであります。併しながら青函航送能力の復元はにわかにこれを望むことを得ず、一部は海送に転移されなければならないという現状でありまして、このため青函航送による貨物にランクをつけられたいこと、海陸輸送経費の差について、国において補償措置を講ぜられたいこと等の要望が強く主張されたのでありますが、輸送貨物のランクをつける等の技術的な問題については、協議会において至急解決すべきことが決定されるに至つたのであります。我々調査団といたしましては、海上輸送力は余裕があるのであるから、これが利用されるよう、この協議会において早く対策を決定し道庁より政府に提出することとし、我々としても各種の隘路について政府を鞭撻し、善処したいとの意見を申述べたのであります。この協議会においても明らかにせられましたように、海上輸送力は十分あるのでありますから、北海道、内地間の貨物輸送が著しく停滞することのないよう、海運転移を妨げる諸種の隘路の緩和に努めまして、年末の出荷最盛期を控えた荷主の切実な要望に応えてやらなければならないようなところが多いというふうに存ぜられます。
 いろいろと細かい点の報告はございますが、大体以上をもちまして一応の御報告に代えたいと思います。
○委員長(高木正夫君) 只今の報告に基きまして、政府並びに国鉄のほうから御意見を拝聴したいと思います。先ず国鉄側から一つこれに関係のある点につきまして御所見を承わりたいと思います。
○説明員(長崎惣之助君) 只今御報告がございましたように、当委員会の御方針といたしましては、今後再びあのような海難を惹起しない方途並びに当面の輸送に対する諸種の方法等についても、御意見並びに御注意、御示唆等があつたのでございます。いろいろの点でこれは方々に関係のある点でございますが、国鉄といたしましては、只今の御意見を体し、直接最も関係の深いと考えられまするのは、いわゆる船舶運営の機構というものについてなお一層留意し、又船員方面等につきましても、立派なものを作らなければならんというふうに拝聴いたしたのであります。誠に御尤もでございます。
 船員の採用或いは養成その他につきましては、これ又決して等閑に付しておるわけではございませんので、再教育或いは最初の採用に当つての厳選というようなことも留意いたしております。又給与その他の待遇につきましても、それぞれ十分にとは言えないかも知れませんが、我々といたしましては、できるだけの優遇の途、船員法、船舶法の規定或いは会社のほうの給与との振合い、いろいろのものを見まして十分私どもとしては努力はいたしておるつもりでございます。何と申しましても、お話のようにトン数は割合に多いトン数を持つておりまするけれども、これがやはり船員としましては、海洋を航行する、いわゆるオーシャン・ナヴィゲーシヨンという方面に行きたがる傾きがありまするので、ああいうような航路にいい人を置くのがなかなかむずかしいというような点もございます。いずれにいたしましても、御注意の点は今後十分に私は考えなくちやならん点であろうと思います。
 それから五万トンの船舶を持つておれば立派な会社ではないかというふうなお話も、これも又御尤もだと私は存じますが、只今のところ曾つて青函だけじやない、関釜の航路をやつておりましたときに比較いたしますと、むしろ船が減少しておるという点もございます。なおこれ又十分に私は今後も研究問題として、又早急にすべきではないかと考えております。私どもとして今一番恐れております、これが杞憂になればいいと思つておりますことは、あそこを航行するについて、船員諸君の士気と申しますか、それが沮喪しやせんかということでございます。そういうことがあつてはならんと思いますので、私先立つて函館に参りまして船長と懇談をいたし、そういうことのないように一つ十分な努力をしてもらいたいということをお話をし、船長諸君も誠にその通りであるということで大いに勇気を振つて、そうして青函連絡航路というものは我々の手で死守して行くのだというような意気に燃えてやろうというふうな気持になつてくれたので、その点はすぐにそういうふうになりますか、それはまあ多数の船員がおりますから、なんでありますが、一番先頭に立つてやる船長がそういうふうになつてくれたということは有難くもあり、私としては非常に心強く感じていることであります。何分にも今後季節風の強くなる荒天期に入りますので、徒らに心配ばかりをして欠航が多いというふうなことでは、これは非常に重大な問題でございますので、その点も十分に戒めて参つた次第であります。
 目下の措置といたしましては、御報告がありましたような手を打つておりますが、併し更に大体はこの種薯の輸送ということに重点を置いて考えたのでありまして、宗谷丸も種薯の輸送が終りましたならば、丁度ドックに入れなくちやならんということになつておりますので、それでもう打切りにしたいと考えておりますが、なかなかそういうわけに参らないのでありますので、ドックに入れなくちやどうしてもならんというぎりぎりのところまであれを運航いたしまして、幾分なりとも輸送に支障のないようにいたしたいと考えております。種薯の輸送は少し遅れましたが、もはや両三日乃至一週間ぐらいの間に終了いたすつもりであります。これにつきましては、北海道の只今御報告のありました臨時対策協議会というところで、非常に御協力をお願いしたのでございまして、私過日参りましたときも、副知事にもお目にかかつてお礼を申上げた次第でありますが、立派な実績を挙げまして、我々としては誠に感服いたしている次第であります。
 その他いろいろな御報告がございましたが、御報告の御趣旨につきましては、十分に一つ反省もし、実際速かに実行のできるものは速かに実行に移し、又将来十分に研究しなくちやならんものは研究を続けるというつもりでございます。これだけの大きな海難を起しまして、誠に、お話がございましたように、将来にかかる事故を起さないようにするということが、私どもに課せられた一番大きな責任であろうと考えるのであります。簡単でございますが、これで……。
○委員長(高木正夫君) 次に運輸省側として……。
○説明員(岡田信次君) 先般当委員会から青函連絡船事故に関しまして現地の御調査を頂き、只今御報告を有難く承わつた次第でございまするが、運輸省におきましても、あの事件の直後青函連絡船事故対策協議会を設けまして、国鉄と密接なる連絡の下に原因の調査、将来の対策等を講じて参つたのでありますが、大体今日まで二、三の点を除きまして結論に近いものは得ましたので、来年度の予算として計上すべきものは直ちにそれらの手続をとる。又即時実施し得るものは実施する。又今後なお暫らく研究、調査を続けなくてはならないものは、早急に結論を得るようにいたしている次第でございます。いずれにいたしましても、この気象関係或いは港湾の関係等相当の経費を要しますので、今後委員各位の絶大なる御支援の下に、再びかかる事故の起らないような対策を樹立、実施して参りたいと、かように考えている次第でございます。
 なお事件直後衆参両院並びに衆議院の運輸委員会からも御調査においで下さいましたので、これらの御報告に対しいろいろ参考に供し、又本日拝聴いたしましたいろいろな貴重な御意見、御示唆を十分織込んで今後に対処して参りたいと、かように考えておる次第であります。
○委員長(高木正夫君) 只今の国鉄総裁並びに岡田政務次官の御所感は、報告の細部に亘つてのことは無論でき得なかつたように思いまするので、これから質問の形で審議を進めて行きたいと思います。つきましては、この報告なり、只今の政府並びに国鉄の御所感につきまして、御質問のある方は順次御発言を願いたいと思います。
○重盛壽治君 その前に気象台長が来ておられるようだから。気象に関連した御報告の時間を頂いて、その点の意見をちよつと……。
○説明員(和達清夫君) 只今の御報告によりまして、適切な御批判、又御理解ある今後の御示唆を頂きまして有難うございました。
 今回の遭難事件につきまして、気象判断、即ち予報警報の発布につきましては、私どもといたしましては先ず適当にいたしたものと存じております。併し御指摘のように今後努力改善しなければならないことも確かに存在いたしております。気象台は日頃人員、経費の不足から、特に庁費の面における不足から、例えば電話の数のお話におきましてもわかりますように、十分な業務遂行をいたすのに困難をいたしておつたことは事実であります。私どもは只今の御指摘の中でも、日頃業務をいたすもとになりますところの庁費というものにつきまして、今後できるだけ努力して十分な業務の遂行できるようにいたしたい。又皆様の御協力を、或いはお助けを得まして、そういうふうになりたいと熱望しております。なお通信におきましては確かに災害時に障害を受けるような気象通信は意味がないのでありますから、今後何年かの継続になりましようとも、これを改善いたしまして、少くとも障害を受けるような有線は無線に切替えるというような気象通信全般に関する改善をいたしたいと存じております。又観測施設におきましても、できるだけ御指摘のような近代的設備をいたしまして、そして今後気象に関する限りかかる種類の災害防止が完全に行われますように最大の努力を払いたいと存じております。
○委員長(高木正夫君) 御質問のある方は順次御発言を願います。
○大倉精一君 ちよつと参考のためにお伺いするのですが、気象関係の問題なんですが、洞爺丸事件の当時に波のうねりですね、波のうねりというものに対する気象観測並びに気象警報については、どういうような格好になつておるのか御報告願いたいと思います。
○説明員(肥沼寛一君) 洞爺丸事件のときの気象通信の問題でございますが、気象台の通信は電電公社の有線を専用しておりまして、中央気象台から札幌へ、これは気象専用線の幹線が二本、一番線と二番線とございます。どちらも有線でございます。それから札幌から函館に対しまして一本有線で連絡しています。それが現在持つております線でございまして、函館といたしましては、気象の予報を出しますのには、中央気象台で放送をいたします。MBという放送とJMCという放送と、これをとつて天気図を作成して予報をいたします。それからこれは地方におりますと、受信能力その他の点で外国の受信までできませんので、中央気象台で作成いたしました天気図の上から、台風その他の正確な位置、速度、強さ、そういうものは今の有線によりまして指示報という形で函館へ流しております。こういう形ででき上りました予報警報というのが、先ほど御報告にありましたような非常に貧弱な通信でございますが、函館の分室で予報警報を作成いたしまして各所に通知をする、そういう形態をとつております。
○大倉精一君 私のお伺いしたいのは、この洞爺丸事件の当時に、あの海峡の波のうねりが非常に異常なうねりを来たしておつた、平生大体強風の時でも三メートル乃至四メートルの波のうねりが、突如として六メートル、七メートルの波のうねりが出て来た。又、而もそれが日本海方面からずつと入つて来たというようなことを聞いたのですが、そういうような予報というものは、一応気象業務としてそれぞれやつておられるのかどうかという点ですね。
○説明員(肥沼寛一君) 海岸の測候所ではどこでもうねりの観測をやつております。又船の観測からもうねりの報告は入つて来ております。函館といたしましては、あすこの分室で港内の波の状況は一応見ている形になりますが、実際予報警報の中にそのうねりの状況を盛込みますためには、風の強さを予想いたしましてそれからの推定を加える趣旨になつております。
○大倉精一君 やはりその場合に、洞爺丸の時に、今度はこういう風が吹いて、今度は六メートル、七メートルの波が来るかも知れない、こういうようなことはわかつておつたのですか、どうですか。その辺どうお考えになりますか、ちよつとお伺いいたします。
○説明員(肥沼寛一君) これは非常に風が強いというような時には、そういうことを入れるのが建前でございますが、函館のあの時の警報の中には、風が二十五メートル乃至三十メートルの平均風速ということで、波のことはたしか触れてなかつたように記憶しております。
○大倉精一君 そこであの洞爺丸がひつくり返つたというのは、風が強いためにひつくり返つたのか、或いは波が高かつたためにひつくり返つたのか、こういうふうなことが出て来るのですが、これは国鉄側のほうからでもお伺いしたいのですが、風が何メートル吹いたから、風によつて倒れてしまつたのか、或いは波によつて決定的な事故となつたのか、その辺についての御見解をどなたか専門的な方から。
○説明員(荒木善之君) 原因につきましては、海難審判庁が全貌を明らかにするだろうと思いますが、国鉄といたしましては、調査の結果から見ると、風よりもむしろうねり、波浪による転覆が考えられております。
○大倉精一君 そこで波のうねりの予報がなされていなかつた。従つて、船長はやはりそういう強い風が吹いた場合においても、三メートル乃至四メートルの波というものを予定して出航したのじやないか。そうして途中で、或いは座礁時において、こういう予想もつかないような大きな波にぶつかつて、どうすることもできなく、翻弄に任せた、こういうように思うのですが、この点の御見解どうでしようか。つまり風の予測はついておつた。相当強い風が吹いておつた。併しあそこの海峡の今までの実績から言えば、六メートル乃至七メートルというような波は殆んど予測されなかつた。従つて波に関する限りは予測のつかないままに、あまり考えないままに出航をし、そうして突如として異常の六メートル乃至七メートルという波にぶつかつて、処置なし、こういうことになつておつたと思うのですが、その点どうでしようか。
○説明員(荒木善之君) 大体風が三十メートル程度吹きますと、それに伴つて三メートル程度の波高が生ずると思うのですが、あの場合は、気象予報で行きますと、風が北西に変るということを盛んに放送されておりましたので、北西に変りますと、波の高さも大したことはないというような判定を船長がしたのだろうと思います。ところが実際は北西に変らずに、南西の風が吹きまして、日本海のうねりが直接港内に入りこんだというところに問題があるかと思います。
○大倉精一君 そこで私は非常にこの問題が将来に亘つて重要な問題だと思うのですが、こういう海難事故に対するところの、波のうねりの予報というものは、是非とも必要じやないか。特に日本海方面からこの波が入りこんで来たということが大体想定をされるのですが、その場合に、日本海方面の波のうねりの観測をし、それが大体いつ頃、どこで、どのくらいのうねりが出て来るのだ、こういう予報があつたならばという気がするのですが、その点について如何でしようか。
○説明員(和達清夫君) 波の予報或いはうねりの予報、こういうものは、当然中央気象台系統の気象観測におきましては行うことにいたすべきものと存じております。風が強ければ、それに従つてどのくらい波を生ずるか、勿論風向にもよりますし、継続時間にもよります、その他地形にもよりますが、それらはおよそ海上で実際仕事をしておられる方は或る程度は御存じなのでありますけれども、警報その他においては、成るべくいろいろなことを漏れなく申すのが本当であろうと私は考えます。
○大倉精一君 まあ波のことはこのくらいにしたいと思うのですが、ただ将来こういうような場合に、波のうねりの予報も、予報作業の中に加えて、そうして予報をする、こういうふうなことが是非必要だと思うのですが、台長さんどうですか。
○説明員(和達清夫君) このたびのは通信その他の問題がありますけれども、将来においては必ずそういうものを加えまして、特報警報を作るようにいたしたいと思います。
○大倉精一君 この問題は、大体風で船がひつくり返るというよりも、むしろ波のうねりの予報とそれから現地の関係というものが決定的な要素になつておると私は思うのですが、更にもう一つお伺いいたしたいのですが、従来人員整理というような関係でもつて、当時函館その他におけるところの無電に従事しておるところの従業員が一名ですべての操作をしたということを聞いているのですが、そうした場合に、方々から入つて来る、そういうことになれば、一応そこで報告その他に時間的なズレが出て来ると思うのですが、そういうような関係、当時の状況はどういう状況であつたのか、御説明を願いたい。
○説明員(肥沼寛一君) あすこの分室では、ふだん三名勤務が建前になつておりまして、当日台風が来まして警報を出したということで、あすこの予報の係長と予報官と二人これに応援しまして、五人でやつていたはずでございます。実際無線機は、あすこでは一台しか電源その他の関係で動いていなかつたようでありますが、これは一台で中央気象台の放送だけならとれる建前になつております。
○大倉精一君 ですから、その一台だけでということになると、中央気象台だけのものはとれるのですが、その他のデータがとれない。そこでやはり気象予報関係についての時間的なズレというものが出て来て、これが当時の状況判断に非常に大きな影響があつたのではないか、こういうように私は考えるのですが、その点どうでしようか。若しあすに二台三台というものがあつて、或いは人員配置も適正にやられておつたならば、逐次入つて来たデータを機を逸せずその方面に連絡をとる、こういうことができたと思うのですが、その点について欠陥がなかつたかどうか、ちよつとお伺いします。
○説明員(肥沼寛一君) 気象の放送は、先ほど申しました通りJMCというのは三時間ごとに放送をいたしております。これを受信いたしまして、天気図を書くので、三時間おきの作業でしておけば、次の新しい資料が入つて来る建前になつております。その間絶えず資料が入つて来るという形にはなつておりません。但し今申し忘れましたが、中央気象台のほうでは、一時間ごとの天気図を書きまして、そのときそのときの台風の位置、速度、強さは指示報として函館のほうへ知らしております。但し函館・札幌間の線が切れましたために、十九時三十分以後には指示報が残念ながら届いていなかつたと想像します。
○大倉精一君 その中央気象台との関係はJMB、JMCというのがあるのですが、その間に有線電話が切れてしまつた、こういうことで、その他の方面のデータというものはやはり無電でとつておられると思いますが、中央気象台関係だけでなくて、その他の現地方面のデータは無電でおとりになつたのではないのですか。
○説明員(肥沼寛一君) その他の無線放送というのは、必要があれば函館といたしましてはハバロフスク放送をとりますが、これは外国のもので日本の資料は入つておりませんが、これをとります場合には、大陸の方面から強い低気圧などが来て、その状況をつかみた、ときにとるのであります。あの場合にはこれをとる必要はなかつたと思います。従いましてJMCの放送をとつたということは……。もう一つ先ほど申し忘れましたが、札幌でJMFという放送をしております、これは三時間ごとでございます、これはとつていたと思います。
○森崎隆君 今のに関連しましてお聞きしますが、すべて情報が函館へ行つて聴取されますには、停電であつた場合にはこれはだめだということがはつきりわかつておるのですね、それを停電があつた場合に、暴風があれば停電があるという可能性は非常に増大して来るわけです。このプロバビリティに対する措置をきめておくということは日頃から考えられておると思いますが、停電がある場合には処置なしということで、何にもその場合の応急対策はとられてないわけですね。そのとられてないという責任はどこへ課すべきですか。どういうことで停電になれば全然情報は向うへ通報されないという、こういう非常によくない制度の欠陥がどこかにあると思う。これはどなたがおつても遠慮なく言つて頂きたい。ちよつとその点素人の我々の常識ではわからない。普通でしたら何か、親父の危篤のとき電報でも行かなければ、自転車で行くとか走つて行くとか、何かの手はとるのです。自動車の事故があつた場合に、電話が不通という場合には、誰かが走つて行くという手は必ずとる。何もないから、停電だということで捨てておくというのでは全然ないと思いますが、そういう点についても全然代替設備、手段がないですね、それについて御意見を一つ聞きたい。
○説明員(肥沼寛一君) これは気象の警報を出しますには、どうしても受信ができなくては差支えがございますので、予備発電機まではまだ設備があちこちできておりませんけれども、電池式のは持つておるのが多いのでございます。函館もそれがあつたはずでございますが、ただふだん使つておりませんと、電池の電圧が下つて来て、大事なときにとれないということが今まで往々起つておるので、これは残念でして、今後整備しないといけないと思つております。電池はあつたはずです。
○森崎隆君 やはり代替の聴取機関はあつたわけですね。それが事実上十六時以降ですか、十八時以降ですか、役に立たなくてキヤツチできないことになつたわけですね。而もそれ以後の情報というのは非常に重大な情報であつたということは、これは我々確認してよろしいのでございましようか。
○説明員(肥沼寛一君) 函館の夕刻の状況をまとめて申上げますと、午前十一時半に警報を出したのでありますが、函館の風の状況は十七時、午後五時でございます、これまでは予想通り東風が吹いていました。東風が吹いておりますということは、警報の中にも盛られた内容でございまして、予想通りと思つていたわけでございます。十七時を過ぎまして風が南に変りました。これは少し予想とは違つた方向へ行つたのではないかということは、恐らく函館は気がついたろうと思います。ところがその次の資料、というのは十八時の資料ですが、十八時の資料の放送が全国のものを中央に集めまして、JMCとして放送するのにたしか二時間くらいかかります。それを待つている間に函館の有線は切れて指示報ももらえなくなつて、それを受信した時期は二時間くらいあとになつておりますから、そういう点であそこでは情報が一番大事なときに、自分のところの観測以外のものが手に入らなかつたのだろうと想像されます。
○大倉精一君 どうもさつきの無電の話がわからないのですが、あそこの無電の受信先はどこなんですか。大体函館なら函館の無電が一台ある。その無電の受信先というものはどこからなんですか。
○説明員(肥沼寛一君) 中央気象台の発言の無電であります。
○大倉精一君 中央気象台からだけの連絡ですか。あとはハバロフスクですか。
○説明員(肥沼寛一君) 中央気象台と札幌でございます。
○大倉精一君 一応これで終ります。
○委員長(高木正夫君) ほかに御質問ありませんか。
○仁田竹一君 総裁の御答弁ですか、説明ですか、十分聞きとれなかつたので、或いは私の質問にお答えになつておつたかもわかりませんが、ちよつとお聞きしたいと思います。私どもの調査委員の報告いたしました事柄は、海上職員もさることでありますが、それに対する陸上の職員中に海事専門家が機関と甲板の商船学校を出た者は二人しかいない、こういうふうなことがありますと、海陸一体になりませんと十分救助作業はできません。然るにこれだけの船舶とこれだけのトン数を所有している青函局から見まして、あまりに陸上に専門家が不十分ではないかということで、主として陸上におきまする専門家の職員が不十分であつたろうということを報告書に申上げておいたのでありますが、今回の洞爺丸の問題でも考えられますが、若し陸上の専門家がもう少し充実しておりましたならば、すでにもうエンジンが両方ともとまつて、そうしてSOSが発せられた、それも受信したということになりますと、これはもう当然あのときの状態が沈没すべきであるということはきまりきつていることなんです。それを船が沈んで、そのうちの誰かが自分で泳ぎついて、その人が電話をかけて初めて洞爺丸が沈んだのだというふうなことが知れたという形になつておりますが、恐らくそれは数時間のちに洞爺丸が沈んだということがわかることになると思うのでありますが、これはもう専門家が若し陸上職員のうちに充実しておりまして、あのときの状態、あの風や、そうして何回かエンジンの動いている間は風に向つて舳を向けて三時間往復した。その後エンジンがとまつた、SOSがもう二回も三回も来たということで、これは沈没するであろう。そのときにもうすでに救助作業の対象としなければならない。それを船が沈んで、而もそれが何千海里、何百海里先じやない。目と鼻のあの狭い港内のことであります。こういうようなことを考えてみましても、結局は陸上の職員中にそのような事態に関する専門家がおらなかつたことが、数時間のちに而も漂流した人の電話によつて初めてそれがわかるというふうな結果になつたのであろう。従つて陸上の職員にもう少し専門家がおられるべきであろうというお尋ねをしたわけでありますが、その答弁を聞き漏らしたのですが、その点一つ将来そういうふうにやらなければならないというお考えを持つておりますかどうか、御答弁を願いたい。
 もう一つは、船長の権限でございますが、私、今これを拝見してみましたので当つておりますかどうかわかりませんけれども、御承知のように船長の権限は、船員法によりまして、船長は航海に関する最高指揮者としての責任を負わされておるわけでございます。まあ普通そうなんでございますが、ところが一方国鉄の職員としての船長の地位になりますと、服務規程によりまして、船長の直接の指揮者は鉄道の管理局長になつております。而もその船長は最高の責任を船員法によつて負わされておりながら、一方においては船長の直接の指揮者というものがおつて自分の自由にならない。従つて船長として最も肝要な事柄であります天候とか、或いは海の状態に考慮を要する場合といえども、これに適応する航海をするように努めなければならないという義務が船長に負わされておるのでありますけれども、これに対して、船長がその船をとめることもどうすることもその権限は与えられておらない。その裏には、何か航海不能その他の場合の連絡等につきましても、船が出せない場合には淺橋長に連絡するという義務は負わされておりますけれども、それも自分で航行を中止するという権限は結局与えられておらないようでありますが、一方では船員法によりまして、航行に対する一切の責任は船長に負わされておる。この点私一般の船舶と国鉄の船舶従業員の職制の服務規定と矛盾を来たすのではないか。船長の権限は、船員法によつてお考えになりまするか、或いは国鉄職員によります船舶従業員の職制というものによつて、特に今度のような場合はお考えなさるかということをお尋ねいたしますると同時に、何か船員法か或いは特別法でもお作りになりまして、ここらをはつきりさせませんと、実は船を預つております船長は、特殊な運航でありますだけに、いろいろ何と申しまするか、運航上の大きな悩みを持つておるのじやないか。従いまして先般のごとき何か上司の連中が乗つておつたので云々というふうな話も出ておりまするが、やはりこういうふうなことがそのようなことをなさしめなければならないように船長に強要さるべき一応の筋が通つておるのだし、管理局長が船長の直接の指揮者になつておるというふうな事柄がやはり一つの裏付けとなりまして、あのような話も、成るほどそういうことがあるのではないかと思わせる原因を作つておるのだと、こういうふうに思いますが、特に洞爺丸の場合の船長の権限はどういうふうにお考えになつておられますか、この点一つお尋ねいたしたいと思います。
○説明員(唐沢勲君) 只今のお話の最初の点でございますが、陸上勤務者に海上経験の者が少いというお話でございますが、これにつきましては、或る程度の経験者もおるわけでございますが、この数字もここにございますが、いずれにいたしましても、もつと陸のほうに海上の経験者といいますか、船の実務者が相当おれば、あの場合にもつと適切な措置がとれただろうというようなお話でございますが、この点は先ほど総裁がお話になりましたように、全体といたしましてどういう機構か、或いはどういう人の配置を考えたらよいかという点につきましては、今後更に十分検討いたしたいと思うのでございますが、当時の状態といたしましては、十分責任のある海務課長が、又海上の実務経歴のある課長を責任者としておりまして、それぞれの指揮をしておつたのであります。又その他のいろいろな運航指令とかそういうようなものも、実際にはそういつた海務課長の指揮の下にいろいろ連絡調整をするというような仕事をしておりますので、海の実務者がどれだけおることが一番いいか、もつと多くしなければならんかという問題につきましては、なお検討をする必要があると思いますが、いずれにいたしましても、海のいろいろなそういつた場合のことをよく頭にある者が一人でも多く陸上におるということは、いきおいそういつた海のほうとの連絡が円滑に行くということは間違いないことでありまして、それらのことにつきましては、十分そういつた方面を考え併せまして人員の配置というようなものについても考えて行きたいと思つておる次第でございます。
 それから次の船長の権限の問題につきましては、鉄道の服務規程の面と船員法の面とにおける問題でございますが、これは船員法におきまして、船長の権限、義務というものがきめられておりまして、これに対しましては国鉄の職制というものは及ばないというふうに考えております。従いまして船長が天候その他におきまして危険なりと認めた場合におきましては、全責任、全責任といいますか、権限を持つてそれをとめるということができるわけでございまして、これを棧橋長を通じて報告をいたしまして、それによつてあとの船繰りをどうするかというような、いわば船主としてと申しますか、そういつた輸送上の観点からいろいろな手配をする必要がありますので、そういうことを報告するのでございまして、船員法にきめられました航海の安全という見地からいたしましての航海をするとかしないとかいうような責任は挙げて船長が持つているというように考えておりまして、この点につきましては、今後はもつと明らかに規定の上においてもそういう点を何らか明らかにする必要があるというふうに考えております。
○仁田竹一君 只今の御答弁ですけれども、海務課長ですか、これは何か高等商船を出た人らしゆうございますが実はずつと話合いをしたのでありますけれども、前言つたことを繰返すようでありますけれども、当然沈没すべき、素人が考えてみましても当然沈没すべきはずの状態にあるのにもかかわらず、一体これがなぜこれに気がつかなかつたか、この点については先生何もよう答えません。これは五十マイル、百マイル先でなく、目の前のことで、それだけの報告があれば当然これは沈没するものと考えるべきなんだ。それを前申しましたように、数時間後、而も遭難した人が浜辺まで泳ぎつきまして、その人からの報告を聞くというようなのは、これはもう殆んど想像のつかない手落ちなんだ。なぜ一体手配をしなかつたかと言いますというと、私どものほうで如何ようにもすることができなかつたと、こういうことなんてす。それは何も百トン、二百トンの鉄を持つておるのを……タッグ・ボートをもつてあの大きな船を曳いて行くこともできませず、鉄道自身としてはどういうこともできなかつたかも知れんけれども、このときにこそ海上保安庁、或いは自衛隊にいたしましても、或いはあらゆる官庁或いは民間の各種の団体等にも呼びかけて、これは必ず沈むのだ、早く救助作業を一つお願いすると、なぜ一体君たちしなかつたかと言いまと、これに対しても何も答弁もありません。特に自衛隊のごときは全然報告を受けておりません。海上保安庁が漸く報告を受けておるので、自衛隊のごときは承知しないようなことで、特に専門的に当らなければならない自衛隊に対しては何ら通知しておらない。自衛隊のほうが初めて警察へ行つて事情を聞いたというような実情にあるわけです。結局は専門家というあの人自身が、沈んだということを知らされるまで沈むことを予期しておらなかつた。こんな専門家じやだめですよ、こんなものを置いたつて。だから言葉はいろいろに申されますけれども、要するに陸上と海上との何といいますか、海事専門家のバランスがとれておらない。だからこんなことになつたのだということを私は申上げておるのでありまするが、それからなおその船長の権限でございますが、船長は船員法によつて、御承知のように絶対の責任を与えられておるのでありますが、その船長に直接の指揮者があるということはどういうようなことになるのでありましようか。指揮者がありまする以上、指揮者の命令によらなければ、船長は如何に今日は荒天だから船をとめようと思つても、法的にはとめ得るかも知れませんが、実際は指揮者があるのだから、指揮者の意見を聞かなければ、実際問題としてはやはりとめられないのじやございませんか。指揮者があるのでございますから、法の上においては権限は与えられておりますけれども、実際問題として、指揮者がおりますのに指揮者の言葉を聞かずに船長が船をとめ得るでしようか、実際問題といたしまして。そうしてなおいろいろのそのほかに小さな問題はいずれともみんな義務が負わせられておりますけれども、権限は殆んどない。国鉄のほうの職制のほうでは、勿論それはもう本法があることでございますから、船員法によつてやればやれるのだと言えばそれだけでありますけれども、それはまあ法的な理由はそうかも知れませんけれども、実際は何と言つても船長のもう少し権限を、危険だと思えば自分で船をとめられるだけの権限を与えてやりません限り、これは船長は非常に苦しいと思うのです。この職制の行き方ではそういうふうなことが、まあ今度の場合はどうか知りませんけれども、多分にそういうふうなことが欠陥となりまして、今度の問題も起した一つの隠れた力になつておるのじやないか、こんなふうに考えますが、御意見どうでございましようか。
○説明員(唐沢勲君) 先の問題につきましていろいろのお話、誠に御尤もと思いますのでございますが、あの時ももつと早く、今にして思えばもつと早く皆を招集する手配とか、その他の手配ができたのじやないかと私ども実は考える点もあるのでございまするが、非常にまあ、結局あまりに想像を絶したような事態であつたので、今までよりもつと早く、こういう船の状態をキヤツチして、すぐいろいろな方面へ手配するということも考えられることでございます。恐らくそれほどと思わなかつたのじやないかと思うので、いろいろ船の状態を何度も繰返して確めてみたり、いろいろなことをやつおるようでございまするが、あの状態だつたら、もつと早く万一のことを想像して、もつと手配をしたほうがよかつたのじやないかというふうにも考えられるので、いろいろと今後の問題としては、もつと万全の策をやるように考えなければならんのじやないかというふうにも考えまして、例えば局長その他の招集にしましても、もつと或いは早くし、或いは部外の協力にしてもそういうふうなことも考えられるのでございまして、海難の救助の態勢というようなことにつきましては、今後はなお万全の策を講じなければいけないというふうに考えておるわけでございます。あとの船長の権限の問題につきましては、識者としては勿論総括的な指揮は、指揮といいますが、監督といいますか、上長には関係局長がおるのでございますが、局長につきましてはいろいろの船繰りの問題であるとか、その他いろいろな身分上の問題もございますし、あらゆる問題について船長を指揮するわけでございますが、航海の安全に関しましては、船長が全責任を、法律上も責任を持つており、従いましてこの出航をしないというような、天候によつて、不安全と見た場合には運航をとめるというような権限は、法律によつて持つておるという考えでございます。今回の場合におきましても、例えば天候見合せも、船長独自の判断で、天候見合せをしております。又出航の判断も自分から判断をいたしまして、何時に出航するということを通知しておるのでございまして、従来もそういうふうに慣例でもつて全責任を船長で持つて出航、欠航をきめておるというようなことでございまして、それに基きまして船便を変えるとか、或いは客をどうするとか、積荷をどうするとかいつたような指示は局長で、或いは局長を代行しております船舶運航指令のほうでいたしますけれども、その出航とか欠航とかいつた天候に基く判断は、船長自体がやつておるような次第でございまして、これは全部船長自身も知つており、そういう慣例になつておる。ただはつきりとそういう点を明らかに明文をもつて示してなかつたという点について、御指摘のような遺憾な点がありますので、こういう点については、今後はつきりさして行きたいと思つております。
○森崎隆君 函館の気象関係の方が来られておりますか。
○委員長(高木正夫君) 函館は今日は見えておりません。
○森崎隆君 では中央気象台の方にさつきお聞きしたことについて、関連してお聞きしたいと思いますが、今の中央気象台からの通報が普通ならキヤツチできるが、停電のときはできなかつた。そのときにはまあ電池設備でこれをキヤツチすることになつておる。事実上これは役に立たなかつたということは、一つの重大なポイントだと考えるわけでありますが、それで電池が役に立たなかつたということはいつ発見されたかどうかということ、並びにその電池設備では十分でないから、例えば二十年度予算の当初予算の中に、気象台として、函館局に限りませんけれどもどこでも停電の際に十分に中央気象台からの天気予報の通報をキヤツチできるような設備をもつと改善してもらいたいという要求をした事例があるかないか。又その事例があつた場合ない場合といえども、旧年度予算の当初に、国家予算の中にそういうような改善の予算が組まれるように、気象台として要求したかどうか。そういう点について、はつきりおわかりになりましたらお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(肥沼寛一君) 只今の御質問に答える前に一言別のことをお答えしたいのでありますが、あの当時、中央気象台にも札幌も放送はいたしておりましたけれど、気象台の通信線が有線でありますために、北海道各地の資料が札幌に集まらず、従つて中央にも集まつていない、放送はしておりましたけれど。その中に北海道では、たしか数地点しか資料が放送されていないという、こういう事実です。従いまして無線を受信いたしましても、受けた結果としては北海道の資料が殆んど得られていないという、こういう事実が一つございます。
 それから電池のことでございますが、これは毎年きまつてということではございませんが、私も札幌の気象台長をしておりましたときに、北海道の通信施設が非常に悪いんで、電池その他の要求をしたことも何回かございました。併しそれは全面的にはなかなか不可能で、やりくりで電池を少しずつ整備して行つた状況でありましたために、函館のはつきりした状況は私今わかりませんけれども、どうであつたかそこはわかりませんが、北海道全般としましては、電池で停電のときは受信するという状況はとつております。
○森崎隆君 更に聞きますが、有線であるために十分に北海道管区のほうからの気象通報の資料が得られなかつたということは、今度初めてじやないわけですね、これまでに……。停電すれば全部そういうような情報収集は不可能であつたという事実は再三あつたわけですね。この点如何ですか。
○説明員(肥沼寛一君) 電池がドロップしてしまいましたためにとれなかつた。そういう場合には、有線が切れておりませんときには、札幌まで気象の専用線で有線で聞き合わしていたという事実はございます。併しそれが非常に頻繁であつたということはないと思います。そういう事実は過去において何回かございます。
○森崎隆君 では、そういうような手段で今度の場合ですね、十五号台風の急襲の場合には、資料の交換はできなかつたのですか。
○説明員(肥沼寛一君) 今回は先ほども申しましたように有線があつちこつちで遮断されてしまつたということで、今回は非常に残念ながらできなかつたのであります。只今ここへ資料を持つて来ておりませんが、北海道の気象管区のたしか数地点だけが線が残つていたという状況でございます。勿論これはあの半日或いは一日の間全部ではございませんで、大事のときにこつちが切れ、片方が残つたときに又片方が切れていたということで、そういう或る時間切れたということだけを申しますれば、全部切れております。
○森崎隆君 そういうような数個所で切れて一分の交換ができなかつたということは、今までもあつたわけですね。
○説明員(肥沼寛一君) 何回かはございました。併しああいう全面的のは非常に稀でございます。
○森崎隆君 そんな場合、やはり部分的にも不可能な場合があつたということは今もお認めになつたわけですが、そんな場合、これに対して中央気象台の責任者としましては予算の面、設備の充実という面で今までも単にやりくりを何とかしておつたと思いますが、これは人命に関係することだと考えると重大な問題だと存じますが、そういう予算的な措置について努力をされました経過がありますかどうか。
○説明員(肥沼寛一君) 只今のようなことは当然予想されますので、気象台といたしましては、有線だけに頼るのは危険だということで全国で二十四、五個所だと思いますが、無線の交信施設を持つております。それでこれだけでは不足なんでありまして、これを漸次殖やしたいということを考えていた段階でございます。現在二十四、五個所は無線で直接資料は交換できるような施設を持つております。北海道の例を申しますと稚内と浦河と札幌だけでございます。
○森崎隆君 勿論それでは十分でないというお考えはよくわかりますが、まあ漸増的にこれを整備して行くというお考えでこれまでの予算には逐吹出しておつたわけですね。
○説明員(肥沼寛一君) 漸増的に増加して行きたいという希望で計画をして来ております。
○森崎隆君 この点は、非常に今度の事件につきましては私は重大なポイントだと考えるわけですが、これにつきましては又日を改めまして他の委員から御質疑があろうかと思いますが、これは非常に大切だと、これは極端に言いますると気象台関係では万全を尽したと、現段階までの御答弁の結果から見ますと私どもはそう考えます。而もこの事件が起きたということになりますと、これは明らかに政府の責任になつて来るわけですから、船長の問題は別にいたしましても、政府の責任になつて来る。ところがそういうような予算も要求せずに、バツテリも十分でない。そういうことで今まで気象通報の資料の交換ということが十分得られないままに放置して、事もなかつたからそのままでよかつたが、今度こういう問題になつたということになると、これは気象台関係にも大きな責任があろうと考えるわけであります。そういう点も非常に大事なポイントと思いますので、それ以上の質疑は今後に保留したいと思います。
 それからもう一つ、政務次官が来られておりますからお聞きしたいのですが、補償の問題でございますね、補償はいつ御決定になるのですか。犠牲者に対する補償金は……。
○説明員(岡田信次君) 只今事故の原因につきまして海難審判所において糾明中でございますので、その結論によつて補償問題を解決したいと、こういう考えです。
○森崎隆君 この問題の原因が最終的に結論が出るまでは補償を決定できないということですが、それはどういうような理由に基くのですか。例えばこの原因の糾明の中に、乗組員全体が決議をして、とにかく船を出せと強力に言つて、船長に圧力をかけたという事実があるということになりますと、これは補償に対して非常に大きな問題が出て来ると思う。恐らくそういうことは私はないと思う。そうしましたならば、原因糾明は相当時日もかかることだし、それはまあ個別的な事項につきましても、非常な努力も傾けなければならんので、原因糾明は相当時間かけてやるべきだと思いますがね。それとは別個に補償の問題はやれるのじやないかと思いますが、そういうことについて……。
○説明員(岡田信次君) 補償の問題でございまするが、国鉄当局に何らかの手落ちがあつたとか、或いは欠陥があつたとかという場合でないと、現在の法律の建前から補償はできないと、かように承知いたしております。
○森崎隆君 それじや国鉄側に全然責任がなかつたという結論が出た場合には、補償は全然やらないのですか。
○説明員(岡田信次君) 恐らくそういうことになりましよう。
○村尾重雄君 今の問題ではないのですが、先ほどから森崎委員、ほかの委員から気象台の、この現地気象の、当時の十五号台風のキヤツチと通報についていろいろと質疑が取交わされたのを聞いておりまして私少し疑念に思う点があり、それからして発言しようと思うのです。それは現地へ行かれた仁田さんなり、委員長なり、又重盛さんおられるので、私のと考え方が食い違つたらいつでも訂正したいと思います。正確な資料に基いて私申上げるのではないが、今委員と気象台長とのお話伺つていると、非常に現地の気象台が当時中央から受けた通報に対するキヤツチ、その資料ですね、それに基いて予報をしたことが何だか杜撰な、実にあいまいな感じを受けたのですが、我々現地で伺つたのには、例えば函館気象台にしても、札幌気象台にしても、責任をもつてのこの答弁を伺つておりますと、日本海を北上する十五号台風が、三陸を渡つて行く、最初この方向が北上した、それが急に津軽海峡を通過する様子に見えた、これも正確にキヤツチして、それを通報していると僕らは聞いている。それが急に西南に、而も時速五十メートルという、あの当時の事件を起した突風に変つたことすらキヤツチしたと、ただそれを通報するのについて、その予報として正確に西南に変わり、五十メーターというほどの恐しい風になるということだけは十分にみんな……、それを予報だからしてそこまで織り込まなかつた。ただそれもはつきり津軽海峡通過ということと、それから西南に変つたということと、それから或る程度その風も二十メーターから三十メーターという枠内で通報した。その通報も受取つたが、受取つた側の各機関での連絡において電話線が切れたり、通信の不備な点から、又怠慢から十分な伝達はなかつたが、函館気象台としては、そこまでやはり責任上通報を出したということを我々は調査して知つたのですがね。今の伺つていると、何だか非常に十五号台風について、気象台として不備であつたという点のような、御答弁を通じての感じを受けたのですが、もう一応その点でどうお考えになつているかを伺いたい。
○説明員(和達清夫君) 私は一番最初に、気象台としては先ず適当に予報警報を出したと思うと申上げました。これはもう大筋は通つたものとして、細部について予報部長が答えられたと私は信じております。
○森崎隆君 ちよつと一つ……。今政務次官が申されました国鉄側にさえ責任がなければ補償はしないというようなことでありますが、国鉄に責任がなければしないという意味じやないのですか、どうなんですか、その点をはつきり……。例えばですね、気象台関係に責任があつても政府に基本的な責任があつても、国鉄が直接持つべき責任がなければ補償しないというのか。そのあたりをはつきりして下さい。
○説明員(岡田信次君) 今の海難審判所におきましては、国鉄のみならず、政府の責任はどうかと思いますけれども、或いは気象台その他に責任があるかどうかというような点も取調べ、審理中でございますので、それらの点がはつきりいたしまして、国鉄として責任があるということになりますれば、補償の措置を講ずるはずでございます。ただ政府の責任は果して海難審判所あたりでやるかどうかはちよつとお答えしにくいのでございます。
○森崎隆君 私が申しますのは、それでわかりますが、私が申しますのは、例えば気象台としては、政府が決定した予算の枠内で与えられた設備を十二分に活用しまして、できるだけの善処をした。而もこういう悲惨事が起きたことに対しましては、設備全体については政府に責任があろうと思います。そういう場合の責任は、この補償の基本的な原則、条件には入らないのかどうかという問題は別にしまして、これはまあ今やつているところでなんだろうと思いますが、結局さつき、国鉄側に責任がなければ、補償はしないというお言葉は、国鉄側にさえ責任がなければ問題はないという意味じやないんですね。全体を含めてなんですね。
○説明員(岡田信次君) 政府の責任の点を除きましての限度でございます。
○森崎隆君 政府にはもう全然責任がないという基本原則に立つておられるのですね、現政府は。防波堤の問題とか、今の予算上設備は不十分で明らかに今の場合はあるわけですね。有線がストップすれば殆んど情報がキヤツチできないということがはつきりしている。そういうことの責任がどこにあるかということ、そういうことは全然考えないで、政府にはもう責任がない。連絡船を運航している国鉄側に、或いは船長とかそういうところに責任がなければ補償はしない。政府の責任ということは全然枠外に考えていられるのですか。
○説明員(岡田信次君) 只今までのいろいろな調べました資料に基きましては、政府には責任がないというふうに考えております。
○森崎隆君 これは政務次官が考えておるので、最終決定の問題じやない、予想しているわけですね。あなたの御予想ですね。政府が責任ないものと確信しておるわけですね。
○説明員(岡田信次君) その通りでございます。
○森崎隆君 それじやわかりました。
○重盛壽治君 これは岡田さんに別にいろいろ文句を言うわけじやないのですが、国鉄に責任がなければ補償しないとか、政府に責任がなければ補償しないとかいうことじやなくて、今度の問題は運輸事業に携わる者としての責任問題として補償をしなければならん。これは当然のことで、だから補償の限度に軽重はあつても、補償はする。国鉄に責任がなければ補償しないとか、政府に責任がなければ補償しないということじや困る。何か少しお考え違いがその辺にあるのじやないか。私は私なりの考え方から行けば、こういう問題が起きれば、当面の責任者は国鉄であるから国鉄が補償する、ただ額の問題とかいろいろな問題はこれからの海難審判所の或いは各調査機関の結論が出ましたときに額は決定されるということでよかろうと思います。その点別なことですが、その点御認識を政務次官に伺つて、それがはつきりせんければ、先ほども言われたように、責任がなければ支払いませんよということになれば、又別の角度からの議論が出ることになると思う。これは大体僕の推測の通りだと思いますが、その点の見解を明確にしておかなければまずいことができて来ると思います。それから、全般的の問題として、その後の洞爺丸事件がどうなつておるか。それから運輸省全体の処理して来たところのその他の処置はどういうふうに進んでおるか。更に又洞爺丸の引揚げの状態はどこまで来ているのか、その後の情勢をもう少しつまびらかにこの際国鉄としてしなければならん、報告する必要があるのじやないかと思いますが、前段の問題は岡田さんから一つお聞きしておけば結構です。
○説明員(岡田信次君) 責任がないといたしますと、今の国鉄に責任が、国鉄だけの責任じやなくて今気象台その他の職員が怠慢だつたというために若し責任があるとします。そういう責任がないといたしますと、ちよつと賠償金を支払う根拠がないのでございますね、現在の法律では。ただ残るのは道義的と申しますか、精神的と申しますか、そういうのをどうするかということでございますが、それにつきましては、先般お見舞金ということでもつて処理をしたというふうに考えておるので、どうも責任がない場合に賠償金を払うということは不可能なことだろうと思います。
○重盛壽治君 今日まだ責任の所在が明確にされておらんから私はあえて政務次官と議論するのはやめますけれども、総合的な責任というものは政府に持つて行くべきか国鉄に持つて行くべきかというところだと思います。誰が見ても、素人の私が調査の結果から見ても、先ほど来私が言うように、この災害にあわれた方々の遺族や一般国民がどの程度で納得するかという軽重の問題はありましよう。ありましようが、総合的な面は、責任は仮になかつたとしても、責任を感じて処理すべき問題だと私は考えます。この問題はそういうことになりますと、これは非常にむずかしくなつて、海難審判所の機構の問題、機構の問題を一つ取上げても、海難審判庁長官が今の理事官とかその他の任命権を持つておる。こういうことに対する考え方も相当変えて行かなければならない。これは本当に理事官が明確な考え方を出し、明確にものを打ち出そうとするとすれば、その上におる審判庁長官が人事権を把握しているということになると、日本人の常として、弱いところを握られておる人の前などでは、正当な意見でも、まあこの人たちはそういうことがなかろうと思いますが、話さないということが従来の官庁の悪い例になつておる。この問題と結びつけて気象台を言うのではないが、気象台は学者の人が非常に多いために、こうもしてもらつたらああもしてもらつたらという実情もなかなか言い出されておらないということが至るところの気象台に行つて見ると出ておるのでありまして、こういう点も考えなければならんと私は思います。私は従つて政府の考え方、特に運輸省の考え方としては、この問題に対する総合的な意味合いからあの連絡船を扱つておつた、持つておつたというところから考えても、責任の一端を持ち、そうして補償して行くという考え方の上に立つべきじやないか、これは私の意見ですが、そういうことでなければなりません。そこでそういう問題になつて来ますと、私は今言つたような機構の問題とか、それから今までの調査、更に進んで、ここに調査報告がありますが、こういう関係者だけによるところの調査でなくて、もう少し専門的な調査機関を設置し、そうして将来の問題をなくすると同時に、もつと大きな問題として取上げて行かなければならん問題じやないかというふうに考える。こういつた点をやはり政府、運輸省ということじやなくて、あなたの言われた道義的という面からも十分考えて補償を処理したいという形の御返事を承わらんことには私は納得できないと思いますが、その点どうですか。まあ従来と同じことだということなら、それならそれなりの御返事であつても結構ですが。
○説明員(岡田信次君) 重盛さんの後段にお答えいたしますが、この事故のその後の二度と起らないというための対策でございますが、部内だけでやつておるわけではないのでございまして、例えば今後の青函連絡の船体の問題、それにつきましては、日本のあらゆる造船界その他の機能をしぼる委員会を作り、それぞれ慎重に検討いたしております。又港湾等につきましても同様にあらゆる方面の智恵を拝借していろいろな対策を講ずる措置をとつております。
○重盛壽治君 この問題はいずれもう少し明確になつてから議論する問題であるし、責任の所在云々の問題もそのときに論議すべき問題だと思うのですが、ただ私ども参議院運輸委員会の委員としての立場から申上げますならば、運輸委員会もそうであろうし、運輸省全体としても、この問題を起したことは甚だ遺憾であつた、遺憾であつたという一面には青函局の局長であるか或いはどうであるか、局長であろう、局長のとられた措置の中に、その下におられた人々の措置の中に、或いは気象台に働く人の措置の中にも、どこにも一人で負う責任じやないかも知れませんが、この点がこうされたらということを考えるならば、若干の責任は皆にあると私は思う。確かにこの問題は大きな問題ではないか。強いて突つ込んで言うならば、政府が今までこういう面に比較的金を出さなかつたということに大きな責任があると存じますが、これはおきます。これに関連して私は一遍気象台に聞いておきたいのだが、気象台と現地との連絡は、私どもが調べたところでは、まだ若干不十分ではないかというふうに考えるが、特にあのときには、先ほど村尾さんが言われたのだが、気象台が十六時頃までに入れた連絡というものは、大体三陸沖を抜けるのではなかろうか、そうして十七時、十八時頃になつて入つたものは、函館湾に行くのじやないか、西南風に風が変つて須津方面に抜けるということが入つたときには、すでに遺憾ながら国鉄の関係方面にあの地方の気象台が通報連絡を十分とることができ得ない状態のときに、西南風に風が変つて、函館湾へ行くように変つて来ているんだ。そういうことを考えるならば、これはもう気象台としても責任がないと、やるだけのことはやつた、併し万全は期したけれども、限られた人と限られた設備の埓内においての万全を期したということであつて、あの台風に対する万全を期したということは言えないのではないかと私は思う、このように考える。従つてこういう面から特にあのとき非常に問題になつたし、私どもも考えたことは、例えば日本海方面にレーダーが二、三カ所あつて、それの連絡が十分であつたとするならば、これは西南風に変る、さつき風と波がどつちが中心であつたかというので、今度は波のほうが大分強かつたということを言われたが、風も波も、そうしていろいろな連絡等の不備とも総合してああいうことになつたので、あの時の風の方向もぐるぐる変つておつた。即ち船の構造にも原因があつて、そうして大きなことになつた。前に進むような形でできている船にうしろから波が入るのは当然である。つまり船が風の変化で反対の方向になつて、そこへもつて来て波が高かつたのでうしろからどんどん入つて来た、これは誰しも見て考えることですよ。これでは完全に責任を完遂できたんだということにはならない。持つておる力とそうして持つておる機械という限度においてはやるだけのことはやつた。だがもう少しやるべきものがあつたんじやないかという問題がそこに残されておる。それに関連して、日本海方面からも気象観測をもう少し完全にとる方法が一つ、これを気象台長はどういうふうに考えておるか。
 更にこれは若干私的になりまするが、この間中国派遣議員団のほうに、私どもの関係議員を通じて、中国との気象交換をしたいがどうかという要請書をお持ち願つたと思うが、その結果はどういうふうになつておりますか。若しそれがわかつておつたならば教えてもらいたい。以上二点について。
○説明員(和達清夫君) 中国のことについてお答えいたします。中国には要請書は持つて参りません。私が周恩来総理と議員団、文化団の代表の方々の会見のときに列席しておりましたので、この席で機会を得て、このことについて周恩来総理にお願いしたんであります。そして原則的に理解を得たと思います。但しそれは原則的でありまして、あとでそのほうの担当の人たちといろいろお話いたしましたけれども、現在の中国の状態では早急にこの問題を解決することは困難であるということが私にも了解できましたので、将来においてできるだけ早くそういう機会があつたならば情報をこちらが入手できるようにしてもらいたいということと、そして部分的でも何とかならないかという希望を強く向うに述べて終つたのであります。
○重盛壽治君 日本海方面へレーダーを取付けたことについて……。
○説明員(和達清夫君) 次に日本海の事情について申上げます。日本海に定点観測がありますれば、勿論基礎資料としては非常に有力なものとなります。我々気象をやつておるものは、基礎資料があればそれだけに正確な予報や警報が出ることは申上げるまでもございません。併し非常な多額の経費を要することも申上げるまでもないと思いますし、先ほど来の警報の出し方につきましても、先ずさきほどの経費がかからずに、なお取残されている気象施設の整備こそ第一番にやるべきものと私は信じております。その基礎なくして、ただ金の莫大にかかるものは、それが非常に効果的でありましても、丁度たとえてみますならば、食の十分でないのに着物を十分に着るというようなことの関係にも当るのではないかと思うのであります。
 なおレーダーにつきましても、非常に有効な武器でありまして、まあこのほうは定点観測ほどの多くの費用は要しません。これにつきましてもできるだけそれを活用したいと考えておるのであります。
 話を元に戻すようでございますが、日本のように狭い土地で少し台風の道筋が変りますというと災害の起ることが非常に違うのであります。このようにむずかしい予報警報を出さなければならないところは恐らく世界にも珍しいのじやないかと思うのであります。こういうようなところで私どもは大筋を通して、今回は私どもはその大筋を通すということにおいては、先ず適当に行なつたと思つております。警報を出しまして、そしてそれには修正をして、そして災害が起らないようにすることが万全の措置でありまして、私どもはできるだけそれに努力をしなければならないことはよく存じておりますし、又今後もできるだけいたすつもりでおります。ただ警報を修正し得なかつた、もう少しよくする……、警報を修正し得なかつたというところにおいて、我々がこういうことができるように日頃の施設をもつとしておかなければならなかつたという点につきましては、誠に仰せの通りであると思いまして、今後も一層に努力をしてその措置をとりたい、又そういうような御理解も頂いて、何とか施設を充実して頂きたいと存じておるのであります。
○重盛壽治君 気象台長のほうは、今最終的な言葉でよくわかりましたが、大体予算をお組みになる立場じやなくて、仕事を如何にして、どうして災害を防ぐかというお立場でございますので、その点最後に付加えて頂いたから結構でありますが、これに関連して一応運輸省に聞いておきたいことは、この問題が起きたから特に刺激を与えたということもありましようが、仮に起きなかつたとしても、日本のような地理的な関係から考えますというと、港湾施設の問題或いは気象台に対する予算が非常に貧弱であつたと私は痛感しているのです。従つて今年度の新しい予算、それから特に補正予算、これは補正予算は風水害予算で、これは単なる函館の洞爺丸事件の問題ばかりでなく、北海道全般を見る場合に、汽車の中から見ても全部立木が途中からへし折られている。山は皆なぎ倒されておる。こういうような状態から見たならば、やはり災害の補正予算というものが当然とられなければならないし、特に根本的に私は今年の新しい運輸省の予算は組替えをする必要があるのじやないか、こういうように考えるので、補正予算にどのくらいの考え方を持つておるか、恒久予算に対してどういうようなお考え方を持つておるかを、一応運輸省から聞いておきたいと思います。
○説明員(岡田信次君) 災害に関しましての補正予算は、目下大蔵省と折衝中でございまして、大体政府といたしましても、或る程度の補正予算を組まざるを得ないという態度になつておりまして、運輸省関係についてはその額、内容を折衝中でございますから、いずれ近いうちにきまると思います。
○重盛壽治君 恒久予算のほうは別にまだ、いわゆる今度の新年度の予算に関連して、この間三十年度の運輸省の一般方針というものは一応私どもの目の前に現われたのですが、あの形、あの姿だけではいかん段階に来ているのじやないかと私は考えるのですが、その点について、運輸省として何かお考えがあるか。
○説明員(岡田信次君) 三十年度の予算につきましては、今回の災害その他に鑑みまして、先般お手許に出しました基本方針の予算に修正が加えられるはずでございまして、修正を加えて目下大蔵当局と折衝中であります。
○大倉精一君 ちよつと先の重盛委員の質問に関連して気象台長にお伺いするのですが、台長があちらへ行かれて中共との気象情報交換についてお話されることについて非常に期待を持つて私はおつたんですが、帰朝談にも、只今の御答弁にもあるように、中国との交換が今のところ困難である、こういうような御報告がありましたが、その困難な内容がどういうわけで困難なのか、ちよつとお聞かせ願いたい。
○委員長(高木正夫君) ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止]
○委員長(高木正夫君) 速記を始めて下さい。
○説明員(唐沢勲君) 先ほどお尋ねの洞爺丸の只今までの状況を申上げますと、遺体の引揚げ、その確認というような点を先ず申上げますと、結局目下不明の者は、一般のお客さんにつきまして五十八でございます。外人が八、計六十六でございます。総計いたしますと、職員その他みんな合せまして百六十三でございます。それからまだ遺体はありましても引取者のないというのが二十四ございます。その後は船体からもう出ませんので一般の今までの方式を変えまして、御承知のように船体の浮揚にかかつておるわけでございます。浮揚をしながら捜査を進める、こういう方法をやつております。洞爺丸、北見丸、十勝丸、目高丸、第十一青函丸全部これをサルベージの会社に請負せまして、この作業にかかつております。いずれもいろいろなこの浮揚の準備作業と、それから遺体の捜査をその線に並行してやるというふうにしておりますが、目標としまして洞爺丸が三十年の三月三十一日、十勝丸が四月十五日、日高丸が五月三十一日、第十一青函丸が五月十日、それから北見丸が深いところにありますので遅くなりまして八月二十日というのが一応引揚げの目標になつておりまして、それから遺族関係の方につきましては、御事情をよくお話申上げまして、それぞれ不明の方につきましては、情報あり次第御連絡するというふうにいたしまして、函館からはお引取り願つておるというような関係でございまして、なお弔慰金等につきましての引渡し等の準備も着々進んでおるというような状況でございます。
○重盛壽治君 犠牲者の合計は何人でございますか。
○説明員(唐沢勲君) 死亡の合計は千十九名、それから不明が六十六名でございます。この不明は恐らく勿論死亡でございましようから、この合計が犠牲者であるということになるわけでございます。
○委員長(高木正夫君) 私からちよつとお聞きしますが、年末輸送及びその後の輸送状態はどうでございますか。
○説明員(唐沢勲君) 輸送の状況につきましては、先ほどの御報告にもありましたように、本年度は六百五十両程度の航送を目標としておつたのでありますが、こういうことになりましてから、もつと能率的にということで、いろいろ工夫しまして、十月前から四百六十四両くらいの計画を立てましたが、いろいろと天候の加減や欠航もありましたりしまして、結局実績は四百たしか十両くらいの実績になつておりまして、去年の実績に対しまして七一%か二%くらいでございますが、宗谷丸の就航と道南海運の活動によりまして、宗谷丸のほうは大体予想通り順調に一日平均五百トンくらい運んでおりまして、道南海運が三百トン余りだと思います。結局昨年の実績に対しまして八二・三%の輸送力でやつておりまして、十一月になりましても大体同様な成績でございまして、去年の実績に対しましては、航送とそれから宗谷丸及び道南海運合せまして去年の実績の八四%ぐらいの成績でございまして、滞貨といたしましては、二十一万トン程度でずつと横ばいでございまして、去年などに比べれば、おしなべてと申しますか、輸送状況は割合に去年よりも低いように思われます。又一番問題になりました馬鈴薯の輸送につきましては、我々としましては、これだけは特に努力をいたしたつもりでございますが、出荷の方面の協力も相待ちまして、大体修正しました計画で運びまして、種馬鈴薯はおおむね所期の通り十一月二十日頃までは約二百二十万俵でございましたか、一応種馬鈴薯として計画すべきものとして、この事故以後において計画しました数量が運べる見込みが立つております。他の海運関係への経緯につきましては、的確な数字がなかなかつかみにくいのでございますが、これも少くとも馬鈴薯などにつきまして、その他まとまつたものにつきまして、相当実績が挙つているのが事実でございまして、なお若干の資料がございますが、必要があればあとで調べて申上げます。
 海運の方面におきましても、昨年よりは一般のほうへも相当行つていると思うのでございます。今後年末に対しましてどういうことになるかと思うのでございますが、これにつきましては、我々としましても最大の努力を続けまして、船繰りがつく限り、船員のほうや職員なども努力をしてもらいまして、できるだけの輸送を確保しようと思うのでございますが、先ほど総裁からも申上げましたように、宗谷丸につきましても、大体十一月一ぱいの予定でおつたのでございますが、滞貨の模様等も考えまして、ドックへ入れる時期が来るまで臨時にでも運航して滞貨を捌くことに努力して行きたいと、かように考えております。
○委員長(高木正夫君) そのドックへ入れるというのは、ぎりぎり一ぱいというのはどのくらいでございますか。
○説明員(唐沢勲君) 十二月の二十五日にはどうしても期日がありまして入れなければならんだろうと考えております。
○委員長(高木正夫君) そうすると年末輸送は、大体お見通しとしては、先ず先ず行けるというお見込みですか。
○説明員(唐沢勲君) どの程度の滞貨がずつと残りますか疑問でございますが、去年の様子から見ますと、大体十二月二十五日頃まであつたのでございますが、今年の滞貨もこれだけ輸送力か落ちているけれども、まあ去年よりもむしろ低いくらいの二十一万程度でございますから、年末になつてそうひどい混乱といいますか、大きな滞貨の山ということはなくて済むのじやないかというふうに一応考えております。
○委員長(高木正夫君) それからもう一つ、対策協議会の手配ですがね。あれは私ども行つたときにも、私ども意見を出しておいたのですが、それがスムーズに行つておりますか。荷物の種類によつていろいろ違つて来るわけですね。それは主として道庁が主宰した協議会で調節してくれということをお話をしておいたのですが、別に今のところ問題が起つていないのですか。
○説明員(唐沢勲君) 対策協議会のお話も承わりましたが、輸送の順序といいますか、そういつたようなものをつけるということは、輸送機関の私どもとしては、これは送る、これは送らない、これは先にするということはなかなかできませんので、道庁のほうで各出荷団体とか、それらのものと協議しまして、こういう荷物は成るべく船で送る、こういうものは早く送る、これはあとにしましようといつたような輸送の調整を自主的にして頂きたいというようなお話があつたと思うのでございますが、この点は現地においてそれぞれいろいろと御相談してやつて頂いておると思いますが、先ほど言いましたように、海運のほうに行つた数字も相当あるように思いますし、又現実に私どものほうでいろいろの苦情もそう切実に聞いておりませんが、併し品物によりましては、馬鈴薯に重点をおいたために小豆が送れなかつたので値段が上つたとか、いろいろの点のお話はございますが、なかなかこの輸送調整という問題は我々としてもなかなかむずかしい問題でありますし、又道庁その他においても困難だと思いますので、部分的には、又ものによりましては、いろいろと御不満あると思いますが、大きな筋としては、そういつた方法をとるより仕方がないと思いますし、又大きなものにつきましては、或る程度の効果は挙つているんじやないかと、かように考えております。
○大倉精一君 ちよつと関連してお伺いしますが、津軽海峡のあそこの航送は大体欠航が多いようなんですが、風速何メーターくらいまでは航行するに差支えないんですか。
○説明員(唐沢勲君) 欠航の率は、実は過去において見ましても、そのときに上つて大体違うのでございますが、去年の実績を見ますと、たしか計画したのに比べて、十月は計画通り行つておりますし、十一月が二%、十二月で四%くらいの欠航だつたと思つております。その前年などを見ましても、多いときはやはり一〇%くらいの、しけもあるし、いろいろでございますが、殊に風や冬分の季節風の強いときは吹雪をあそこは非常に伴うと思うのですが、そういう関係でレーダーを設置する前は非常に欠航が多かつたのでございますが、レーダーを設置しましてからは、そういう点で欠航は非常に比較的少なくなつております。
 それから風が何メートルという問題でございますが、これは航行の安全は私も素人でございますけれども、聞いてみますとその風の向きとか或いは波の高さ、うねり、いろいろなもの等が複雑でありまして、単に風速だけではなかなか何とも言えない、又突風というようなものにつきましても、瞬間に強く出ても、航行しているときには心配が比較的少いというようなことでありまして、過去の実績から申しますと二十五メートルくらいの風では皆航行をしていた例がたくさんございます。一概に風速だけで何メートルという基準もつきかねますし、そのときそのときの判断で、船長が判断をいたして航行しているような実情でございます。
○大倉精一君 どうも最近洞爺丸事件が起つたり、それから相模湖の事件が起つたりするというと、途端に機械的にものが運ばれるようで、相模湖の事件が起れば定員々々ということで、エレベーターも定員でもつて動かされる、非常に変なことになつているようなんですが、特に洞爺丸事件以来、あそこは十メートルか、十五メートル風が吹くと、もうとまつてしまうということで非常に困難を来たしているようですが、先ほど総裁のお話によるというと、士気が衰えることを心配しているが、幸いに士気旺勢でこの航行は我我の手によつて確保するのだというお言葉があつたのですが、どうも現状を見ると、そぐわないような気がするのですが、これはどうなんでしようね。現状はどうも欠航々々でもつて、本省べ出て来るのに大体予定の日にちの一日か二日前にみておかないとうつかり来れないというようなことになつているのですが、そんなようなことになつているのですか。
○説明員(唐沢勲君) あの事故以来欠航の率が多くなつていることは事実でございまして、十月の実績を見ましても、去年は殆んどなかつたのでございますが、今年は一〇%近く欠航になつておりまして、これは天候そのものを去年と精密に比べてみないと何とも言えないわけでございますが、まあ常識といいますか、によつて考えまして、この事故に鑑みて非常に安全率をみているということははつきり言えると思うのでございます。そこでまあ万一ということを、一応どうしてもそういうことになる虞れがあると思います。又気象の通報のほうにいたしましても、恐らく念を入れていろいろな場合を想定して結局安全度を強くみるということになつていることは争えないことであると思うのでございます。そうかといつて大丈夫と判断して行けということも言えませんし、又実際船員にしてみますれば、安全をとるということも尤もだと思うのでございまして、結局今までの程度とか、いろいろなもので判断をするのに経験で及ばないような意外な事故があつたために、その経験をそのまま、今まで通りその経験によつてやつて行くというわけにも行かないという点に非常に問題があると思うのでございまして、これらの点はやはり各方面のいろいろの研究なり、それから意見を交換しましたりして、いろいろ判断をしまして常識的な線をおのずからの間に打ち出して行くというふうな方法をとる、或いは又これをもつと科学的、合理的にしていろいろな設備を更に改善するなりして、どこまではいいかというようなことについて、いろいろな方法をとりましてやつて行く、勿論ただ単に怯えるだけでなくていわゆる対策といいますか、そういう点も考えなければいかん、いろいろな面からも科学的であり、合理的であり、而も常識的であるといつたような線が打ち出されなければならないと思うのでございますが、そういう点がにわかに整うということは言えないと思いますので、結局各方面の設備なり、研究なり或いは何といいますか、制度なり、いろいろな面から考えて、こういう点は漸次改善して行かなければならないというふうに考えております。
○大倉精一君 あとでもう少しその他の点に関連してやりたいと思いますが、甚だうまく御答弁になつたのですが、安全率を求めることは是非ともやつてもらわなければならないが、度を過ぎるととんでもない迷惑をするということになる。或いは又洞爺丸事件当時におきましても、あそこの輸送は万難を排してこれを確保するというような方針であつたようなのですが、洞爺丸事件以来、その御方針がちよつと変つたというような現象場的なものがあるわけです。で、そういうようなことは度を過ぎないようにやつてもらわないというと工合が悪いと思うのです。で、最近の状態を見ておると、洞爺丸事件以来、或いは相模湖の事件以来、注意するということよりも、むしろ萎縮してしまつた、萎縮してしまつて各方面に誠に迷惑をかけておるというような現象が出て来ておるように思います。従いまして、私はそういうようなことに関して、萎縮をしないように、注意すべきは十分注意してもらつて、安全度を見るときは十分安全度を見てもらうと同時に、やはり積極的に目的の成果を挙げて頂くようなことをやつて頂きたいと申上げたいわけです。なおいろいろその他の問題について御質問申上げたいことがあるのですが、今日はこの程度にしてもらつて、明日この問題及びその他の問題で用いてもらいたいと思うのですが……。
○委員長(高木正夫君) 他に……。
○仁田竹一君 札幌の輸送対策協議会でいろいろ各種団体から希望がありましたが、私どもそれを承わつて非常に適切だという意見も出て来たのですが、あの協議以来、多少物資輸送の面に従来よりか変つたというようなものがあるのでございますか。やはり従来通りの輸送をやつておられるのでしようか、どうですか。その点は大分鉄道の方からもお見えになりまして、納得したらしい顔をしておつたようですが、この実情はどうですか。
○説明員(唐沢勲君) 先ほども若干申上げましたように、この馬鈴薯などにつきましては、国鉄のほうで計画を立てまして、定期船を利用し、或いはチャーターしまして、相当の量を舞鶴方面或いは京阪神方面へ運ぶことをやつておりまして、そのほか的確な数字は今ここに資料を持つておりませんが、相当従来よりも海運のほうへ行つていると聞いておりまして、室蘭或いは稚内あたりの港からも去年あたりも出ているところが多いということを聞いております。品目別に、本来ならば鉄道に行くべきものが海に行つたという的確な数字を部門別に持つております。相当そういう点の効果は挙つたと思つております。
○委員長(高木正夫君) 本日はこれで散会いたします。
   午後四時四十四分散会