第019回国会 議院運営委員会 第44号
昭和二十九年四月十三日(火曜日)
   午前十一時九分開会
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  委員の異動
本日委員伊能芳雄君及び大和与一君辞
任につき、その補欠として重政庸徳君
及び阿具根登君を議長において指名し
た。
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 出席者は左の通り。
   委員長     寺尾  豊君
   理事
           松岡 平市君
           杉山 昌作君
           藤田  進君
           天田 勝正君
           松浦 定義君
   委員
           石原幹市郎君
           石村 幸作君
           上原 正吉君
           西川彌平治君
           榊原  亨君
           重政 庸徳君
           長谷山行毅君
           横川 信夫君
           赤木 正雄君
           加賀山之雄君
           上林 忠次君
           阿具根 登君
          小笠原二三男君
           矢嶋 三義君
           田畑 金光君
           戸叶  武君
           最上 英子君
  委員外議員
           千田  正君
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   議長      河井 彌八君
   副議長     重宗 雄三君
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  国務大臣
   法 務 大 臣 犬養  健君
  政府委員
   内閣官房長官  福永 健司君
   内閣官房副長官 江口見登留君
   法制局長官   佐藤 達夫君
   法制局次長   林  修三君
   法務政務次官  三浦寅之助君
   法務省刑事局長 井本 臺吉君
   郵政政務次官  飯塚 定輔君
  事務局側
   事 務 総 長 芥川  治君
   参     事
   (事務次長)  河野 義克君
   参     事
   (委員部長)  宮坂 完孝君
   参     事
   (記録部長)  丹羽 寒月君
   参     事
   (警務部長)  佐藤 忠雄君
   参     事
   (庶務部長)  渡邊  猛君
  法制局側
   法 制 局 長 奧野 健一君
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  本日の会議に付した事件
○委員の辞任及び補欠選任の件
○電波監理審議会委員任命につき本院
 の同意を求めるの件
○日本電信電話公社経営委員会委員任
 命につき本院の同意を求めるの件
○議員加藤武徳君の逮捕について許諾
 を求めるの件
○公聴会開会承認要求の件
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○委員長(寺尾豊君) 会議を開きます。
 常任委員の辞任及び補欠に関する件。
○参事(河野義克君) 自由党から、議院運営委員の伊能芳雄君、予算委員の重政庸徳君、外務委員の一松政二君、労働委員の古池信三君、運輸委員の愛知揆一君が辞任せられて、議院運営委員に重政庸徳君、予算委員に伊能芳雄君、外務委員に古池信三君、労働委員に愛知揆一君、運輸委員に一松政二君を後任として指名せられたいというお申出がございます。
 日本社会党第四控室から、議院運営委員の大和与一君が辞任せられて、阿具根登君を後任として指名せられたいというお申出がございます。
○委員長(寺尾豊君) 以上の通り決することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
○委員長(寺尾豊君) さよう決します。
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○委員長(寺尾豊君) 次に、電波監理審議会委員任命につき本院の同意を求めるの件。日本電信電話公社経営委員会委員任命につき本院の同意を求めるの件を議題といたします。
○政府委員(福永健司君) 日本電信電話公社経営委員会委員の再任につき両議院の同意を求めるの件について申上げます。
 日本電信電話公社経営委員会委員新関八洲太郎君は、四月三十日任期満了となりますので、これを再任いたしたく、日本電信電話公社法第十三条の規定により両議院の同意を求めるため、本件を提出いたしました。
 お手許の履歴書で御承知のように、新関君は、東京高商卒業後、三井物産株式会社に入社し、同社の平壊、メルボルン各出張所長、バンコック、バタビヤ、奉天の各支店長を歴任し、その後本店物資部長を経て昭和二十二年三月常務取締役に就任しましたが、同社の解散と共に、同年十月第一物産社長に就任し、現在に至つておるものであります。
 以上申述べましたように、新関君は、経済人として多年活躍して来たものであり、その経歴、識見から見まして、日本電信電話公社、経営委員会委員として極めて適任であるのみならず、すでに同君は、昭和二十七年八月一日最初の同委員会委員に任命されて以来、終始熱心に同委員会の運営に尽力し、電気通信事業の特殊性について深い理解を有しておりますので、この際同君を経営委員会委員に再任することが最も適当であると存じます。
 何とぞ慎重御審議の上速かに御同意下さらんことをお願いいたします。
○委員長(寺尾豊君) 飯塚郵政政務次官も出席されております。
○政府委員(福永健司君) 次に、電波監理審議会委員の再任につき両議院の同意を求めるの件につきまして申上げます。
 電波監理審議会委員諸井貫一、同横山英太郎の両君は、四月十四日任期満了となりますので、これを再任いたしたく、電波法第九十九条の三の規定により両議院の同意を求めるため本件を提出いたしました。
 お手許の履歴書で御承知のように、諸井君は、東京大学卒業後秩父セメント支配人、同取締役を経て現在秩父セメント社長に就任しているほか、秩父鉄道常務、日本煉瓦製造専務、日本経営者団体連盟代表常任理事、経済団体連合会常任理事、日本工業クラブ専務理事、経済同友会顧問、関東経営者協会顧問等の各職を兼ねておるものであります。
 又、横山君は、逓信官吏として永年勤続し、その間電気試験所第四部長となり、昭和七年転じて日本無線電信株式会社に入社し、技師長、取締役等に就任、昭和十七年電波物理研究所長となりましたが、昭和二十一年二月退官したものであります。
 以上申述べましたように、諸井君は経済方面に、横山君は電波技術方面に多年携わつて来たものでありますが、その経歴、識見等から見まして、両君はいずれも公共の福祉に関して公正な判断をなし得る人物であり、電波監理審議会委員としても最も適任であるのみならず、すでに両君は、昭和二十七年八月十五日最初の同審議会委員に任命されて以来、終始熱心に同審議会の運営に尽力されておりますので、この際両君の審議会委員としての手腕と経験とを生かすために再任することが適当であると存じます。
 何卒慎重御審議の上、速かに同意されるようお願いいたします。
○小笠原二三男君 これを会派に持帰つて相談するため、暫らくの間留保いたしたいと思います。
○委員長(寺尾豊君) 小笠原君の御意見のように決定することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(寺尾豊君) さよう決しました。
○小笠原二三男君 なお、資材として私はお願いいたしたいのでありますが、この審議会、経営委員会委員の過去一年間の会議に対する出席状況を御提出願いたい。委員長において取計らつて頂きたい。
○委員長(寺尾豊君) 承知いたしました。
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○委員長(寺尾豊君) 次は、議員加藤武徳君の逮捕について許諾を求めるの件を議題といたします。
 法務大臣は間もなく見えるそうです。それでは、それまでに官房長官から発言を求められております。
○政府委員(福永健司君) 昨日の本委員会におきまして、田畑さんから御質問のありました点につきまして調査いたしました結果を申上げます。
 衆議院における事例といたしまして、有田二郎君の場合におきまして、裁判所側から内閣へ手続をいたしまして、内閣が国会へ手続いたしまする間のことは、昨日申上げた通りでございますが、それ以後のことについてのことを申上げますと、有田君の場合におきまして、二月十七日に内閣から国会へ提出をいたしまして、国会の議決は二月二十三日のたしか午後四時頃であつたかと思いますが、二十三日に議決になつております。そうして国会から内閣に対しまして議長の名前を以て通知が参りました。これを受領いたしましたのが同日の午後八時過ぎでございます。よつて政府は、同日の午後九時頃裁判所に対しまして右国会の議決がありました、許諾がありました旨を政府から裁判所へ、その旨を文書によつて知らせております。
 藤田義光君の場合におきましては、三月三十日に提出いたしておりますが、これは前に申上げました通りでございますが、その後四月一日に至りまして、たしかそれは午後一時過ぎであつたかと思いますが、国会の議決が行われております。而して同日二時少し前に国会から内閣のほうへ通知を受けて、それに基きまして裁判所のほうへ、当目付で、政府のほうから更に裁判所のほうへ文書を発送したのであります。右のような次第でございます。關谷君岡田君の例は、皆さん御承知の通りでございますが、未だ国会の議決には至つておりませんが、本日、本会議に諮るやに伺つております。まだ現実には、本会議にはこの件はかかつておりませんのでございますが、大体、本日議決になるのではないかというようなことを伺つておるような次第でございます。
○小笠原二三男君 この際、本日加藤君のそれも問題になるでしようが、他に質問軒がなければ、法制局長に先ずお尋ねしておいて、委員会として解釈を一律的にはつきりしておきたい。
 それは憲法による議員の逮捕の問題でございますが、その条項は、どういう根拠で、どういう理由の下に規定せられたのか。明確にして頂きたい。単に議員の身分保障であるというふうに言われるかたもあれば、そうでないと言われるかたもあれば、いろいろ解釈された主観の上に立つて論議をすることではあいまいでありますので、客観的にこれらの点について御説明を伺いたい。
 もう一つは、刑事訴訟法によつて身柄を拘束するという場合の諸条件について、これも私素人でございますから、根拠を示されて御説明を願つておきたいと思います。以上の二点をお尋ねいたします。
○松岡平市君 私は、只今小笠原君の言われた点については至極御尤もだと思いますが、幸い官房長官が出ておられますので、その点についての政府の見解を一応質しておきたい。
 憲法五十条、国会法三十三条、三十四条の規定について、今小笠原委員の言われた点について、どういう見解を持つておられるか。特に、なおそれに関連して、一応閣議を経て院に請求をしておられるが、その閣議なるものは、ともかくこれは閣議であります。この請求をすることが妥当であるというふうに解釈するものであるかどうか。特に本件については請求することが妥当である。政府の責任において妥当なりという判定を加えられたものであるかどうか、加えられる閣議であるかどうかということについて、政府から今の小笠原君の言われたこの規定についての解釈、私はあとで、後段に申上げた点についての政府の取扱というものについて伺いたいと思います。
○政府委員(福永健司君) 内閣といたしましても、本問題は相当慎重を期さなければならないと思いますので、詳細につきましては内閣の法制局長官が後刻、只今突然でありますので、まだ参つておりませんが連絡いたしておりますので、法制局長官から正確なることを申上げることが適当であると存じます。ただ政府としてというお話でございますが、政府は、もとよりこういうことにつきましては、閣僚のそれぞれの主観等によつて処理しておるものではなく、法制局長官の正確な法律的見解を大いに参照いたしておるのでございますが、昨日も申上げましたように、許諾につきましては、政府が閣議にかけますのは、私の解釈するところを以ていたしますならば、事務的に手続を進めるについての閣議の決定と了解いたしております。従いまして議員の逮捕を許諾すべきかどうかということについては、もとより国会においておきめ頂くことで、政府自体がこの段階において大略の意思を決定してしまうというような解釈はいたしておりません。そういう手続をいたすかどうかということにつきましては、政府が閣議へこれを諮るものである。こういうように私は解釈いたしております。即ち実体的の意味におきましては、許諾そのものの実体的の決定というようなものは、国会にして頂くものである。こういうふうに解しております。併しこの点、更にその他の点につきましても、最も正確を期するために、そうした点に関する専門家であり、責任者でありますところの法制局長官が後刻参りまして、その御説明を申上げたいと思います。
○松岡平市君 正確な点は、法制局長官からお聞きするといたしましても、これは、本院では最近珍らしい事案でありますが、衆議院においては、すでに一再ならず最近の機会においても同様類似の案件を取扱つておられるので私はお尋ねしたいのだが、許諾をすべきか否かということは、もとより院において判定することであります。併し許諾を求めることが妥当なりや否や、少くとも内閣の名において請求しておられる、許諾を求めておられる、そうすると、その閣議なるものは許諾を求めることが必要或いは妥当かどうかということを閣議でお諮りになるのか。閣議というものは、そういうことをお諮りにならず、ただ伝達機関として手続上何も欠陥がなければ、裁判所の請求を規定によつて閣議という名前で一応その手続が間違つておるか、おらんかということだけを閣議できめられるのか。それとも、これを請求をすることは妥当なり、許諾をするしないは別です。これは院がやることですから。が、許諾を求めるということが妥当かどうかということは、閣議でお諮りになるかどうか。その点を私はお尋ねしておるのであります。
○政府委員(福永健司君) これを、妥当であるかどうかという点を閣議におきまして仔細に検討するということになりますと、相当、問題は、これは発展して参ると思います。詳細にこれを検討いたしておりまして時日が経過いたしますというようなことになりますと、もとより意図はそういうことでなくても、故意に遷延せしめるというような挙に出たのではないかというような疑惑も受けますので、さような点につきましては、政府としてはよほど考えなければならんと存ずるのでございます。殊に国会翼議員の身分に関連することもございますので、私は内閣におきまして、実体的に果してこういう逮捕というようなことの許諾を求めることが適当かどうかということについての検討の余地は、私は余りないように考えるわけでございます。いやしくも裁判所がかくのごとき処置をとるにつきましては、十分なる検討の結果出されて参つたものと思うのでございます。たまたまこの種の手続につきましては、司法権から行政権、更に行政権から立法権へという、この三つのところをとつて行くことになるわけでありますが、非常に微妙な問題であると考えるわけでございます。もとより政府が手続をいたしまするについては、手続上の観点から検討するものがあろうかと思いますが、権限それ自体としては、私はそうした、果して妥当であるかどうかということを検討する権限は、妥当であるかどうかということにつきましては、これはいやしくも閣議にかける点からいいまして、なお法制局長官のほうとも、この点につきましては打合せて、見解を明らかにいたしたいと思うわけではございますが、実際上は、そうした余地は殆んどないように私は考えておるわけであります。それは一面におきまして、司法部からかくのごとき手続をとるについては、司法部は司法部として責任を持つてこの挙に出て来たのであります。この点も重々考慮しなければならんと存ずるが故に、そう考える次第であります。
○小笠原二三男君 関連しまして。
 結局、閣議で内容的に斟酌の余地があるものかないものかということは、関係法律の表現を以てすれば、国会法の第三十四条の二の規定以外に解釈の途はないだろうと思う。三十四条の二におきましては、「各議院の議員の逮捕につきその院の許諾を求めるには、」「求めるには、」とあります。内閣はこれこれこれこれのことをしなくちやいかん。それで、「その院の許諾を求めるには、」ということになつて、内閣は院の許諾を求める、求めないという内容に亘つての決定権があるかどうか、こういう点も政府側と、参議院側としては法制局長、これらに根拠を持つて説明して頂かなければならない。これ以上松岡君の論議を政治的に扱つて官房長官から聞くということでなくて、やはり客観的な解釈として問題をはつきり衝いた上で、又あとの質疑を展開されたほうがいいのではないか。私はこう思う。
○松岡平市君 そうしますというと、本件のみならず、従来衆議院等でやつておられるのには、閣議は、ただその手続を、いやしくも閣議で手続が整つておるか、間違つてないかどうかということだけを閣議で諮つておられる。このことについては今言うように、官房長官の御答弁は甚だその点について私はあいまいだ。何か内容に触れ得るような触れ得ないような、それでまあ、いろいろやつておると遅くなるなら、やらないような、やれるけれども、やらないような御答弁でもあるし、一体やつておられるのか、やる権限があるのかないのか、何らそこらあたりが私にはわからない。各員はわかつておられるかも知れませんが、私は頭が悪いのかわからんが、今の御答弁では、一体いつまでこういうものの取扱について、何かいやしくも議員の逮捕を請求するという閣議に、一体請求することが妥当であるかないかということを審議したかしないか、一向わからないような御答弁であるとすれば、今まで請求された議員は、どういうことかということは、私明らかでないと思う。小笠原君の御注意もありますから、いずれ後刻、それぞれ法制局長官なり、法制局長の法律解釈を明らかにして頂いた上、私はいずれでも結構でありますが、斟酌する余地はないのだから、そうでないということであれば、それで結構、又斟酌する余地はあるけれども、こういうことでしないのだ、急ぐためにしないのだということなら、それでよろしい。只今の御答弁では、一向に私は、どういうふうにしておられるか、閣議の性質が不明確でありますから、一応、小笠原君が今聞くなとおつしやられれば、審議を急ぐ必要がありますので、私は強いてお聞きしませんが、この問題については、単にこの案件のみならず、将来逮捕の許諾が請求される場合に、閣議というものが、そういうあいまいな形で行われておるということは、私は容易に承服しがたいことである。
○政府委員(福永健司君) 私は、閣議は断じてあいまいなものであると申上げておりません。つまり先ほど私がよく申上げたことを咀噛して頂くならば、おわかり頂けると思うのでございますけれども、手続的の観点におきましては、正に慎重に誤りなきことを期する意味において、検討はなされるべきだと思うわけでございますが、実体的には、私先ほど申上げましたように、司法権の司法部におきまして、責任を以てかくすべしということで、処置をとつて来ましたことについての、家体的には、最終的に結論をお与え頂くのは国会であろうと私思います。従つてその中間の政府が行うということについては、もとより手続上のことについては検討いたしますが、実質的な許諾をすべきか否かという、その内容につきましては、私はここで一段階を設けて、ここで果して許諾するのが適当であるかどうかということを考慮し、更に国会に行つてということではないと了解しておるわけであります。事実そういう意味で、手続的なことにつきましてはもとより、その点につきましても、やはりそのケースくによりましては、直ちに検討する必要があることも起り得ると思うのでございますが、実質的な意味におきましては、これはいわば政府は事務的に、政府を通して国会に出すということであろうと私は承知しておる次第でございます。
○矢嶋三義君 官房長官に一つ関連して伺つておきますが、官房長官は昨日も、国会法の三十四条の二によつて手続をとるだけだと。従つてこういう問題は、請求があつたならば、内閣から国会に一日も早く手続をすべきだと考える。こういうことを述べておられました。本日出された資料によりましても、有田二郎君の場合、藤田義光君の場合、いずれも翌日その手続がとられているわけです。だとすれば、別に斟酌もしないで手続だけだとすれば、加藤君の場合、七日の夜内閣へ参りましたものを、十日までかかる理由は私はわからないわけです。その説明として、あなたは昨日こういう案件については、慎重を要するので、閣僚が不在であつたので決定できなかつた。或いは持廻り閣議もどうかと思うので、慎重を期して、七日に来たのが十日になつたと。こういうふうに答弁されておりますが、その答弁はどうですか。只今の松岡委員に対する答弁と矛盾していると思う。それに対する御所見を承わつておきたい。
○政府委員(福永健司君) その点は、私は矛盾してないと思います。と申しますことは、事務印に進める上におきまして、翌日閣議がありますれば、これは、勿論最も望ましい状況でございますが、昨日申上げました通りでございまして、加藤議員の場合におきましては、翌々日が閣議でございました。そこで事務的に進めるわけでございまするけれども、これは議員の身上に関することで、非常に重大問題でございます。従つて昨日も申上げました通り、政府に裁判所から手続がとられましてから、閣議まで日数が多い場合におきましては、余りに遅れるということは望ましくありませんので、持廻りにするということも考えられるのでございますが、加藤議員の場合におきましては、一日おけば閣議でございましたので、定例閣議にかけた次第でございます。なお、但しこの種の議員の身上にも関する重大問題でございまするので、望ましい形としましては、手続を滞りなく進めるのではございまするけれども、所管大臣たる法務大臣から、こういう次第でこういう手続になつたという説明を伺つて手続を進めるということが妥当であろうと考えます意味におきまして、定例閣議で所管大臣の御説明を頂いたのちに進めるというのが、これ又望ましい形だと思います。従いまして速かに且つ慎重に扱うという意味におきまして、具体的の本件のケースの場合に、そういう時間が経過いたした次第でありまして、まあ矛盾ではないつもりなのでございます。
○委員長(寺尾豊君) 先刻の小笠原君の御質疑に対しまして、法制局長より御答弁があります。
○法制局長(奧野健一君) 先ず国会議員の不逮捕特権の憲法上の意義といいます、理由といいますかについてお答えいたします。
 御承知のようにこの点につきましては、大体二説ありまして、沿革的に申しますと、政府党から反対虎の議員に対する圧迫というようなことのないようにというような観点から、言い換えれば、行政権及び司法権の濫用に対して、国会議員の地位を保障することが、沿革的にそうであるということでありますし、現にそういう説をなすものもあるのであります。が併し、司法権の濫用というようなことは、殆んど現在考えられないと思うのでありますが、これは更にもう少し広い意味で、国会が最高の国権機関としての十分なる立法機能その他の国会活動の十分なる機能発揮を保障するという意味、この点は、丁度各議員の議院内における言論について院外において絶対に免責があるというのと同じように、国会議員の職能の遂行を保障するという点がよほど加味されて考えられなければならないと考えます。
 そこで、勿論不法な、或いは職権濫用といいますか、司法権の濫用的な不当な逮捕というようなものに対しては、これは許諾を与えないということは勿論のことでありますが、たとえ形式的には正当な逮捕要求であつても、国会の活動ということと及び司法権の必要性というものとを調和して、更に国家的な大きな見地から、国会としてはその許諾を与えるかどうかを判断し得るのではないか。即ち逮捕を求められておる犯罪の重大性、これは御承知のように旧憲法におきましては、現行犯以外は、内乱罪、外患罪というようなものについては、許諾を得ることなくして逮捕ができたのでありますが、こういつた犯罪の重大性というようなもの、或いは国会の活動というようなものを両方勘案して、更に国家的な広い視野において、国会が許諾を与えるかどうかを判断し得るのではないかというふうに私は考えておりますが、或る説では、不当ないわゆる司法権の濫用と思うようなもの以外は、許諾を拒否するということができないという説もあるようでありますが、両説あるということを申上げたいと思います。
 それから刑事訴訟法の逮捕の関係の問題でありますが、一般的に申しまして検察官が逮捕を行うという場合には、刑事訴訟法第百九十九条によりまして、検察官等が「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。」ということになつており、この第百九十九条の二項に、「裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官云々の請求により、前項の逮捕状を発する。但し、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない」というのが逮捕状発付の手続であります。この逮捕状を発せられましたならば、これによつて逮捕をいたしまして、その後一応取調べをして七十二時間、検事の手に入つてから四十八時間でありますが、逮捕のときから七十二時間以内に勾留状の発付を求めない以上は釈放しなければならない。そうして釈放できない場合には、そこで検察官から裁判所に対して勾留状の請求を求めるのであります。この手続は、刑事訴訟法第二百七条によりまして、裁判官に対して勾留状を求めますその場合に、「裁判官は、前項の勾留の請求を受けたときは、速かに勾留状を発しなければならない。」但し、勾留の理由がないと認めるとき、及び云々とあつて、「勾留状を発しないで、直ちに被疑者の釈放を命じなければならない。」というので、勾留状の請求がありました場合は、裁判官としては速かに勾留状を発しなければならないのでありますが、勾留の理由がないと認めるときは、直ちに釈放を命じなければならない。而して勾留の理由というものはどういうものであるかといいますと、これは刑事訴訟法の六十条に規定がありまして、「裁判所は、被告人が」これは「被疑者」と読替えるわけでありますが、「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。」即ちその第一として「被告人が定まつた住居を有しないとき。」住所不定というわけであります。第二は「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。」即ち証拠隠滅の虞れがあるとき。第三は、「被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。」言い換えれば、逃亡の虞れがあるとき。この三つの場合が勾留をする理由になる。即ちこういう勾留の理由がないときは、勾留状の請求に際して、勾留状を発しないで釈放しなければならないというのが、先ほど申しました二百七条であります。
 憲法上逮捕の許諾を求めて来るという憲法第五十条の規定は、単に逮捕だけを要求するだけか、或いてそれに引続く勾留状の要求までも含んだものであるか、やや不明でありますが、恐らく今までの慣例で見ますと、勾留まで含む逮捕を言つておると思いますが、只今この内閣からの要求書を見ますと、裁判所に対し逮捕状の請求があつたので令状発付につき憲法第五十条云々により許諾を求めることを要求するというふうになつておるので、この点逮捕状の要求であれば、先ほど言いましたように犯罪が、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるだけで以て、裁判所は逮捕状を出し、更に勾留状を出すという場合においては、先ほど言つた刑事訴訟法第六十条の三つの要件がないときは、勾留状を出さないということになつて恐らく私は、両方含めた意味かと思われますが、その点は、やや明白でないのであります。そこで、逮捕勾留の手続については只今申上げた通りであります。
 次に、国会法三十七条の問題と三十四条の二の問題であります。これは国会議員を逮捕するために国会に対して逮捕の許諾を求めるのは、どの機関から求めるべきであるか、或いはその勾留状或いは逮捕状を出そうとする裁判所又は裁判官から、直接国会に求めるべきであるか、或いは検察官から求めるべきであるか、或いは内閣から求めるべきであるかという点は、立法の際、いろいろ問題になつたようでありますが、従来国会というものは、一応国務大臣、政府委員といつたような内閣と交渉を持つということが、旧憲法時代からの建前のようであつたので、そういう趣旨を尊重して、内閣から国会に許諾の要求をする。そうして裁判所から内閣に対して要求書を出して、内閣から、国会に対して裁判所から出た要求書の写を添えて、これを求めなければならないというので、直接検察官或いは裁判官と国会と交渉しないで、内閣を通じてやるという建前で三十四条の二というのができたと心得ております。でありますから、立法の経過から申しますと、むしろこれは、内閣を通じてやる、ややトンネル式な考えが多分にあつたと考えます。ただ三十四条の二のでき上つた姿を見てみますると、内閣は、写を添えてこれを求めなければならないというので、内閣が許諾を求めるという行動をやるのでありますから、これは内閣の行動は、閣議に基いてやるということでありますので、閣議決定を経てこれを求めるということになるだろうと思います。即ちそのためには、許諾を求めるのは、内閣の責任において許諾を求めて来るという建前になつておるので、その点、単なる内閣を通じて提出するというだけの、トンネルよりは、やや実質的な解釈が入れられる余地があるように見えますけれども、これは従来の慣行上内閣で以て司法権、検察権の発動をチエツクするというようなことは望ましくないのではないかというので、今度の国会法の改正等においても、速かにこれを求めなければならんというような改正をしようという意見も出ておるくらいで、慣例的に考えれば、内閣はこれを通す機関というふうに考えております。
○小笠原二三男君 内閣の法制局のほうからもはつきり……。
○委員長(寺尾豊君) 林次長が今見えておりますから、説朗をお願いいたします。
○政府委員(林修三君) 大体、この国会法、或いは憲法との関係、刑事訴訟法との関係の解釈は、今参議院の法制局長が仰せられました通りだと、私も、大体思います。大体のところにおきまして、特に、最後の点が問題のようでございますが、この国会法の三十四条の二というものは、できますときの沿革から申しまして、むしろ逮捕状を出す裁判官、或いは逮捕状を請求する検察当局から直接国会に請求したほうがいいのじやないかというような御意見もあつたようでございますが、これはできました経過は、先ほど奥野法制局長からお話がございました通りに、国会と行政府とが交渉する窓口は、やはり内閣である、こういうところから、内閣から出すようにということにこれはさまつたものと考えるわけでございます。併し今のお話がございましたように、内閣がやるのには、勿論閣議でも決定をして、内閣は要求をするわけでございますが、これは検察当局なり裁判所の考え方を添えて、実質的に審査するというのは、これは事柄の性質上、勿論どうかというところでございまして、やはり形式的に手続が間違つていないかどうかということを見て出すというのが、やはり法律上の建前でもあり、慣行でもある。かように考えておる次第でございます。
○小笠原二三男君 これ以上、解釈の一次的に規定するように参議院として考えて行くか、或いは銘々の受けたところでやつて行くかということは、それぞれ意見もあるところでしようから、これは議事進行上どうにか始末して頂けばいいのですが、ただ一点、重ねてお尋ねしますが、閣議は、そうしまずと経過的には、事務手続だという形でございますと、内閣の一員として、構成員としてある法務大臣が、決裁を与えられて裁判所に請求しておりますが、その法務大臣のこの種案件に対する職務権限並びに法務大臣のとつた措置と、この手続について決定する閣議との関係は、どういうふうになるのか。その点、御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(犬養健君) 若し、詳しく御質問がありますならば、刑事局長からお答えさせます。
 犯罪容疑が明らかなりと検察当局が認定いたしましたものについては、被疑事実を記載した調書一切を法務省に送つてもらいますと、昨日も申上げたのでありますが、実際上の経過措置としては、刑事局長はつぶさにこれを読みまして、要点を書き取りまして、厖大なものでございますから、便宜上要点を書き取りまして、私の指揮を求めるわけであります。そして逮捕請求を裁判所にすべき案件であると、私が政治責任において判断いたしましたものは、裁判所に逮捕請求を出すわけであります。裁判所は、それを内閣に通知し、内閣は只今の手続によつて国会の逮捕許諾を求める次第であります。私どもの考えとしましては、先ほどの当院の法制局長及び法制局次長から申されましたように、朕源から考えまして、その請求者が正式な資格がありや否応れ請求の書類に欠陥ありや否やということを検討するのが内閣の主たる仕事であると思います。勿論附随いたしまして、法務大臣に、この逮捕請求の事案の、どういうことであるかという質問は勿論でございます。併しその質問は、準備行為としての質問でありまして、内閣の行為は、只今申上げましたように、請求者の資格ありや否や、書類に不備ありや否やということが主たる仕事になつておると考えております。
   〔委員長退席、理事杉山昌作君着席〕
○小笠原二三男君 その点がわかつたので、私素人流にお尋ねすることは、内閣の構成員である法務大臣が指揮命令してとらせた措置が裁判所から上つて来た場合に、それも閣議に対して説明し、閣議の決定を求める担当大臣としておやりになるのでしよう。そういうことと、ごつちやになつておるわけですから。従つてその閣議決定というのは、指揮命令をした法務大臣も参加されておる閣議ですから、内容としても、これは常に内閣としては肯定する、これは内容としても、院の許諾を求めるに足る案件であると肯定する形で閣議決定があるのではないかという私疑義を持つておるわけです。ただ形式的だということにはならんのではないか。だから法務大臣の指揮零をする権限と、閣議に列席して、閣議決定に参画される国務大臣としての建前と、同一人でございますから、私は内容に触れないということは、その意味限りにおいては言い得ないのじやないかという疑点を持つわけなのであります。この点を明快にして頂きたいと、こういうわけであります。法制局のかたにでもお尋ねしておきたいと思います。
○政府委員(佐藤達夫君) 只今、法務大臣のお答えを私傍で伺つておりましたが、その通りだと思います。又小笠原委員のおつしやることも一応よくわかります。わかりますが、理論上の問題といたしましては、この逮捕の請求ということは、法務大臣の系統下に属する検察官のほうの発動から出て来る場合もございますし、自治体警察、即ち政府と関係のない自治体警察のほうからの申出の場合もありますし、場合によつては裁判所の申出を契機とする場合もございますからして、そういう点をすべて総合して考えますれば、只今法務大臣が答えた通りということにどうもなりそうに思つております。
○小笠原二三男君 重ねての質問で恐縮ですが、私の申上げることは、法務大臣の職務権限として指揮命令してやつた措置を、法務大臣の列席される閣議がこれを決定するということは、その法務大臣のとつた措置内容、これを閣議として肯定することになりませんか。こういうことなんです。そうでなくてただ手続上トンネルとしてだけこれが措置されるので、法務大臣の指揮命令する職務権限と、その閣議決定とは別だ。こういうことでございますか。というのは、先ほど来閣議決定というものは、ただ手続的な処理をするのであつて、斟酌を加える余地はないのだ。これが政府の解釈なんだ。こういう立場に立つておりますから、私は画配は一方的にあるんだ。今のような説明であれば、常に肯定する。内容としても、肯定する。従つて内閣の責任で国会に出すのだということ、この国会法の表現上、字面の通りの考え方のほうが正しいことになりはしないか、こういうことをお尋ねしておる。
○政府委員(佐藤達夫君) この国会法の三十四条の二で言つております。この手続そのものについて、先ほど私から奪えしましたように、いろいろな場合がございますから、ここで言う内閣は、この内閣はお取次の意思を決定するものであるということは、これに関する限りは、先ほどのお答えの通りだと思います。
 ただ問題は、法務大臣所管行政の運用の問題ということの面をつかまえてのお言葉のように思いますが、そういうことになりますと、農林大臣の所管行政の運用の面、その他の大臣の所管行政の運用の面と閣議との関係はこれ如何という、そつちのほうの根本問題になると考えております。
○小笠原二三男君 そうなれば、どうなるのですか。この閣議というものは……。
○政府委員(佐藤達夫君) 理論的に申上げますと、その措置が、もつと事前の段階において閣議に反映して、そしてよいか悪いかという話が出て来るか、或いはかねがねの法務大臣の方針というものについての閣議としての評判の問題、むしろあとの言葉のほうが正解であろうと思いますが、そつちのほうの問題であろうと思います。
○小笠原二三男君 そつちのほうとか、こつちのほうとか、言われてもわからんのだが、農林行政なり或いは法務行政なり、みんな一般類型的には同じものだ。こういうことであるならば、農林政策をかように決定する閣議決定内容に立至る決定と、法務大臣が所管事項として扱つたことを承認する決定とは、形式承認ではなくて、その内容そのものを肯定した承認ではないか。この点の疑義がそこにあるのだ。その点をはつきりしてくれということなんです。
○政府委員(佐藤達夫君) お尋ねの趣旨は、よくわかります。わかりますが、私の申上げておるのは、国会法の三十四条の二で言つておるのは、ここにもありますように、所轄裁判所又は裁判官が令状を発する前に、裁判官のほうから内閣へ提出した要求書があつた場合には、その写を添えてというように、極めてもう事務的な段階をここでつかまえておるのでありますから、この段階のこの面からの立場としての内閣の立場というものは、先ほど申上げましたように手続的なものだというのが、これが理論上当然だと思うわけです。その他の法務行政、その他一般の問題は、理窟から言えば農林大臣の所管行政の場合と同じでございましようということを申上げましたが……。
○小笠原二三男君 では国会法第三十四条の二は、あなたのおつしやるような手続規定をしたものである。これを私仮に了承しておきます。それで問題は解決しない。
 そこで今度は、一般の閣議決定という問題と、この法務大臣が指揮命令してとつた措置を承認するこの閣議決定というものは同じだ。こうおつしやるのですから、そうすれば、この法務大臣のとつた措置は適当である、即ち具体的に言うなら、加藤議員の容疑内容を肯定し、逮捕してこれを取調べる必要がある。こういう点を内閣としてもお認めになつて御提出になる。こういう形になるのではないかと、私はその点をお尋ねしているのです。それであなたは、そういうこともございましようと言つていますが、ございましようではなくして、ここのところは、もつとすぱつとやつてもらいたい。
○政府委員(佐藤達夫君) それが、先ほど触れましたように自治体警察或いは裁判所そのもの。政府とは関係のないものから発足したものである場合と、検察という法務大臣系統のものから発足した場合とは、これは違うということもおわかりになると思います。
○小笠原二三男君 それで、私それもわかつたが、法務大臣の指揮命令ということは、検察当局の請求をよろしいと認定し裁判長に逮捕請求をする。そういう意思をきめるのが法務大臣ですから、その逮捕をすべきであるときめた意思に基いて、裁判所がその通りそれを肯定して逮捕請求を国公に持出すために内閣に手続して来た。それを閣議に諮るという段取りになつた場合は、この案件ですが、加藤君の案件の場合は、法務大臣が関係して指揮してやつたことなんですが、同じ結果として内閣に現われて来たのですから、この閣議決定は、内容を肯定し、内閣の責任として提出するということにならないかと聞いているのです。
 けれども、その点についても明らかでないというなら、検察当局それ自身から逮捕請求のある場合は、もつと適切な場合がある。その場合の閣議決定というものは、内容を含まないと言えるか、内容までこれははつきり肯定した上で、内閣の責任で国会に出すのだと、こういうことになるのか。その点一々の事例についてお答え願いたい。あなたは一々の事例について違うというのだから、違う内容を御説明願いたいと、こういうわけなんです。
○政府委員(佐藤達夫君) 違うと申しましたのは、私は理窟だけ一本槍で申上げておりますから、自治体警察や或いは裁判所の発議に基く場合とは違いますということを申上げておるのであります。(「どう違う」と呼ぶ者あり)それから、どう違うというお言葉でございましたが、法務大臣の指揮下にあるものではないわけであります。自治体警察と言い、裁判所というのは、全然。だから、それは抜いて頂いて、今の残つた問題というものは、抽象的に言えば、これは検察行政一般に対する法務大臣の問題或いはそれに関しての更に内閣の問題という系統の事柄であつて、先ほど申しましたように、例はおかしな例を申上げましたが、農林大臣の所管行政の問題と同じ問題でございましよう。抽象的に私どもの立場から言えば、それに尽きると思います。
○小笠原二三男君 そうすると、この点だけは明らかですね。ただ単に形式的なものではない。そこには内閣としての意思が加わり、加わらない場合もあるでしよう。併し加えると、こういう場合には、少くともなると考えられますが、そういうふうに了承しておいてよろしゆうございますか。この場合において……。
○政府委員(佐藤達夫君) 検察部内において逮捕の請求をするということは、検察部内の仕事であり、法務大臣の管内の仕事でございますから、そういう関係は、そこに出て来るわけであります。
○小笠原二三男君 どうも、私素人で抽象的に言われるとわからないのですが、その関係とか、あのこととか言われても、何のことを言うのか、わかつたようでわからんので、又念晴しに聞いてみますが、その関係ということは、いわゆる内容的にも嵐配し得る余地があるということを指しておりますか、指しておりませんか、端的にお答え願いたい。
○政府委員(佐藤達夫君) 端的に申上げますと、国会法三十四条の二に言う内閣の活動というものとは、別の問題でございます。三十四条の二に言う内閣の活動は、先ほど申しましたようにいろいろ形式的の手続を踏んで裁判所からの要求があつたということであれば、あとはもう事務的なものでございますから、ここには今おつしやるような政治的考慮その他の政治責任の問題は入つて来ない。手続上の問題にとどまるということを申上げたのであります。
○小笠原二三男君 だから、それは括弧に入れておるので、それは私は聞いていないのです。併しながら閣議というものは、これは形式の閣議でございます。いやこれは一般行政としての閣議でございますなんというものは、現実にないのですから、国会法によつて国会側の受ける問題としては、これでよろしいでしよう、あなたの解釈は。併し内閣として閣議決定をする場合には、こういう手続をも処理するのでございましようが、一般行政として内容に立入つて処理でき得るものである。こういうことになるのでございましよう。その点だけ尋ねておるわけです。
○政府委員(佐藤達夫君) 要するに、話を具体化いたしますと、検察当局が簡易裁判所のところへかけつけて、そうして逮捕状を請求する。そのときそのものの問題としてお考え頂ければ、話がわかるわけで、三十四条の二とは全然違う部面のものである。それは検察部内の行動の問題でございますから、法務大臣は、勿論それについて責任を持つておるということでございます。
○小笠原二三男君 法務大臣か責任を持つておることは、内閣が連帯で責任を持つておることと違いますか。
○政府委員(佐藤達夫君) それは申すまでもなく一連のものでございます。
○小笠原二三男君 一連のものであれば、その閣議決定というものは責任を持つて決定したのでしよう。逮捕すべきものである、この事案は逮捕すべきものであると、内閣の責任でこれは決定したものと、こういうことになるのでございましよう。
○政府委員(佐藤達夫君) その閣議決定というものが、二度仮にあるということを考えて頂けば、極めてはつきりするわけでございましようが、その閣議決定の性質というものについては、すべての案件について閣議決定を経なければならんということは、これはないわけで、先ほどいろいろな例を申上げましたように各大臣の部内の事柄については……。すべて閣議決定ということになつておるから話はそこでこんがらがつて来ると思います。併しそれにしても閣議決定があろうとなかろうと、各省役人の行政行動については、皆内閣の所管大臣が責任を持つておるわけでございます。その面はその面として、又残つておるということになると思います。
○理事(杉山昌作君) ちよつと、この際申上げますが、インドネシアの国会議長のサルトノ氏が今ここへ参観に参りましたので、ちよつとそのことだけ御披露申上げます。
   〔拍手起る〕
○小笠原二三男君 私、恐縮でございますが、この内閣の責任であるという形が一般的であるとすれば、これはもう私たちの審議の仕方は余ほど違つて来ると思うので、さつきからお尋ねしているのですが、もつとお尋ねする時間を与えて頂くならやりますし、まあその程度でやめろというなら、私やめます。
○天田勝正君 私は決してやめろなんて言いませんよ。そこで、ただ、それを私は整理して私の胸のうちにもきちんとたたみこんでおきたいと思う。
 それは、最後の小笠原君の質問によつて、私は事が明らかになつたような気がするのですけれども、この私の受取方というものは、法制局長官の答えでは、閣議が二度あつたと解釈すれば余ほど事は明瞭になると、こういう言葉を使つておる。それを解釈いたしますと、検察庁が裁判所にかけつける前に、法務大臣の指揮命令を受ける。この受けるときには、内閣の連帯責任者の一人である法務大臣でございますから、そこで法務大臣は閣議にかけてもよろしいし、又かけないで一般的に自分が任された範囲としてこれを処置してよろしいし、いずれにしても結果においては内閣全体の連帯責任である。そういう立場に立つて、この際は法務大臣として処理されたのでございましようけれども、その決定に基いて裁判所にこれを申達した。裁判所がこれを内閣に持込んで参つた。こういうことで、そこであとの国会に持出すときのことは、単に手続的にやつたのだけれども、その前のきめるときには、法務大臣が決定されましても内閣全体の責任、こういう形で処理した。こういうふうに私は受取つたのでありますが、法制局長官、その通りに解釈してよろしうございましようか。
○政府委員(佐藤達夫君) 私の申上げます趣旨は、大体お話のようなことに尽きると思いますが、要するに国会法の三十四条の二として、ここへ出て参る場合の内閣というものは、飽くまでも事務的なものであるということ、それから只今小笠原委員の御質問のようなことは、一般検察行政の問題であるということ、従つてそこには、はつきり区別せられるべきものがあるという趣旨を申上げたわけであります。
○天田勝正君 わかりました。
 そこで、その前段の裁判所に請求するまでの行為といたしましては、検察庁の仕事である。こういうことをあなたは言われる。私はそれを解釈すれば、検察庁の仕事とは法務大臣の指揮監督下の仕事で、従つて責任ということになれば、法務大臣の責任ということになる。そこで法務大臣の責任とは、これは各所掌事務を分轄してありますから、法務大臣の仕事とは言うけれども、大きく言えば、当然内閣の連帯責任ということになり、閣議にかけるかけないは、これは手続の問題で別の話である。であるから、当然法務大臣が指揮命令をしたことは、やつぱり内閣の責任、こういうふうに整理して解釈してよろしいのですか。もう一遍念を押しておきます。
○政府委員(佐藤達夫君) 一般の検察行政の問題としては、もとより内閣のその面の責任になるわけであります。
○小笠原二三男君 そういうことを聞いたから、法務大臣に一つお尋ねしておきますが、そうすると法務大臣は、指揮命令して逮捕請求し、それが結果として裁判所からこういう結論として上つた来て、閣議に参画せられてこれが決定をみたということは、法務大臣が加藤君の逮捕状は、請求が尤もである。逮捕の内容、実体を持つておると無論御認定になつたから、指揮命令したのですから、この点は問題ありませんが、そういう法務大臣として指揮命令したことが、結果として同じ形で裁判所から出来て閣議決定になつた場合に、法務大臣のとられた措置並びに法務大臣の見解が、内閣の見解として承認されたものと、あなたは御解釈になつておられますか。
○国務大臣(犬養健君) 三十四条の二に関係の逮捕請求を裁判所から内閣にいたします際には、これが内閣が院の判断に任せることでありまして、内閣の措置としては、先ほど申上げましたように請求者の資格が整つておる限り、関係書類が不備でないか否かを判断する事務的なものだと思います。又別に、逮捕請求が仮に不当だと思いましても、この三十四条に関する限りは、これは院の判断に任せるべきものでありまして、その関する限りは、やはり事務的な措置である。こういうふうに考えております。
○小笠原二三男君 再度お尋ねしますが、そういう場合に内閣が不当だと考えても、その不当だとすることはできないということをおつしやいましたが、そうではなくて、内閣が不当だと考えるような措置は、絶対閣議には出て来ないのではないですか。それはあなたの考え違いじやないのですか。法務大臣が指揮したことが同一結果として閣議に出て来たものを、閣議がこれを不当だとするようなことまあり得ない。そういう形でなければ、法務大臣は職責を尽くされないのじやないのですか。この点も明らかにして頂きたい。
○国務大臣(犬養健君) 誤解を招く虞れがありますから、もう一遍申上げます。
 裁判所を通じて内閣に逮捕状の請求がありましたときは、内閣はその資格、書類の備、不備を検査するだけで、事務的な措置であると考えております。
○小笠原二三男君 では、もつと立ち入つてお尋ねしますが、閣議において、こういう裁判所からの要求が問題になりました場合に、法務大臣は、自発的に積極的に過去の御自分の指揮命令してとつた措置について御説明になるというようなことは一切ないのでございますか。
○国務大臣(犬養健君) 実際の場合としては、ここに至る経過報告をいたします。それは併し、何と言いますか、飽くまで三十四条の二に関する閣議の内容は、書類は整つているか整つてないか、請求者の資格があるかないか等についての審議でありまして、経過報告の可否は別の問題に属します。
○小笠原二三男君 いろいろお尋ねしましたけれども、法務大臣というのは、人格的に分裂している性格を持たなければ運営ができないような結果に我々素人流として考えられてならない。同じ内閣の閣員の一人である法務大臣が指揮し、そのことが閣議決定になることそれ自身は、国策法の規定でやるだけであつて、そうして内容的な場合においても、閣議において問題にされない。それは法務大臣御一人の責任として処理されるというような形に伺えるような、そういうよう内閣というものは、私は考えられな。私としては一応この程度で打切つておきます。
○戸叶武君 今度の問題は、憲法第五十条に言つてしるところの「両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、」という立法府に参画している国会議員の身分保障の問題それから裁判所を通じて捜査上の必要から逮捕許諾請求の問題が出た。この二つの関係の明確化をめぐつて今問題にされているのだと思うのでありますが、この憲法第五十条というものの趣旨を十分尊重した上で求を出していると私たちは認めなければならないと思います。そうして手続的に内閣を通過して国会に来たのでありますが、この立法化の動機からいたしましても、政府の反対党に対する弾圧のための逮捕等を阻止する目的で作られたことは明らかなのでありますが、今回のことは、国会の審議権をめぐるところの汚職事件であると思うのです。非常にデリケートの関係にありまして、これをいろいろな関係で引延ばして行くというようなことになると、却つて逆に、国会がその権限を強く主張する余り、司法権の独立というものとの調節の関係において、非常に私は動きというものが世間から注意されると思うのです。できるだけこういう問題は、やはりおのおのの立場というものを尊重して、それを傷つけない範囲内で問題を早く解決してやるということが妥当じやないかと思いますが、これに対して犬養総裁と佐藤法制局長官の御見解を承わりたいと思います。
○政府委員(佐藤達夫君) 一言にして申上げますならば、今お言葉にありましたようなことをも含めて、事はすべて国会の良識ある御判断に待つことになるということであろうと思います。
○委員外議員(千田正君) さつき小笠原君の質問に対する内閣の責任についての答弁が、いささか我々としては脆に落ちない点があるのであります。
 そこで法制局長官と法務大臣に伺いたいのは、憲法第五章の内閣に関する点の第六十六条の末項におきますところの、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」と、こういう明文があるのでありますが、法務大臣も取りも直さず検察行政としての責任を負うべきであつて、当然、いわゆる行政権の行使であると、こういうふうな立場から考えた場合においては、内閣は行政権の行使について国会に対して連帯して責任を負うところの義務があるべきであると私は考えますが、この点はどういうふうに考えられますか。
○政府委員(佐藤達夫君) 先ほど触れましたような国会法の問題、今の具体的の逮捕請求という手続の問題ということを離れまして、一般の検察行政ということは、お言葉にあります通りに、内閣の当然の行政事務でございますからして、その意味において、連帯して国会に対し責任を負うことは、これは当然のことで、法務委員会等において検察行政に関する件というようなこととで、いろいろ御質疑を受けておるのは、その一つの現われであろうと思います。
○委員外議員(千田正君) そうしますと、只今小笠原君の質問に対する御答弁にあつたところの面においては、やはり最後的の結論から言いますというと、今度の本院に対するところのいわゆる許諾の請求に対しては、当然これは内閣として連帯して責任を負うべきところのものではないかと私は考えますが、この点はどうなんでありますか。
○政府委員(佐藤達夫君) 先ほど来のお話に触れますが、国会法の三十四条の二については、これは立法技術の問題としては、例えば内閣を経由せずして裁判所から直接国会に許諾を求めるという方式も、これは立案の際に私は出た案だと思いますが、そういうことは考えられるわけであります。仮に裁判所から直接国会に許諾を求められても、事柄としては一向これはおかしくない事柄であります。ただ国会と一般外部の役所との交通は、成るべく内閣を通じてやることが議院内閣制の趣旨からむしろ自然であろうという形で、恐らくは内閣がお取次をするという立法政策上の見地で三十四条の二ができて来ておると思います。従いまして、三十四条の二に関する限りは、内閣はお取次の窓口であると、飽くまでもそういう趣旨で読んで頂かないと、お話がこんがらかるのではないかと思います。
 そこで先ほどのお話の出ました一般検察行政は、これは内閣の行政責任の問題として別個の問題になると、こういうふうに考えます。
○長谷山行毅君 先ほどから法務大臣或いは法制局長官からのお話を総合しますと、結局国会法の三十四条の二の、この場合の閣議というものは、単に手続を進めるための閣議であつて、この内閣についての実質的な調査権というものはないのだと、こういう結論のようでございます。
 それからもう一つ、法務大臣がその閣議に入るのであるからして、その場合に、この内閣において実体的な責任があるかどうかという問題について、今いろいろ論議されておるようでありまするが、これは法務大臣が一般の検事を指揮する権限というものは、検察庁法の十四条にきめられておりまして、個々の事件に対しては、ただ検事総長に指揮をするだけが許されたことであつて、検事総長が若しその指揮を聞かなければ、これはどうにもならないというふうなことになりまして、若し検察庁のほうでどうしても逮捕請求を出すということになれば、これは当然内閣としては、今の国会法の第三十四条の二の手続を経なければならない。こういうふうになるだろうと思うのですが、そのように解釈してよいのですか、どうですか。
○政府委員(佐藤達夫君) その通りだと思います。
○天田勝正君 関連して……。
 これは、私がさつき申したのと今の長谷山君のは違うと思う。(「いいんだ、違わないんだ」と呼ぶ者あり)私は、法務大臣が指揮監督権があるから、そこで検察庁が裁判所に許諾の手続を求める。この決定をいたす場合には、やはり責任は法務大臣にあると、この場合には閣議を経ると否とにかかわらず法務大臣にあるということは、即内閣にその責任があるということになるのです。私はそういう解釈でさつき質問しておつた。というのは、それぞれの農林大臣やその他の大臣についてもいろいろ問題かごさしますということを法制局長官が答えておるということは、それは内閣の所掌の事務の分担上、これは何大臣によつて専断してよろしいと、こういう、要するに任ぜられ方がそれぞれあるのです。だから、その任ぜられた範囲において、その責任を法務大臣が行なつておる。そういたしますと、個々の問題は閣議にかからないであろうから、そこで若し失敗した場合においては、閣内においては一大臣の責任として免職なり何なりということで片がついても、今度は外部、即ち国民なり、或いは国会なり、そういう外部の機関なり国民なりに対しては、内閣が連帯して責任を負うものだと、こういうふうに私は解釈したので先ほど質問申上げたのだが、その通りではないのですか。
○政府委員(佐藤達夫君) その通りだと思います。
○小笠原二三男君 だから、長谷山君の言うた場合は、これは法務大臣が指揮したのではないのだ、だからその責任は内閣にはないと、あなたの言うこととは違う。それで、さつきからの論議ではつきりしたことは、国会法に基いて国会に出して来た。これは手続上のことである。けれども、法務大臣が検察行政一般として指揮した限りにおいて、それが而も検察当局も認めるところとなつて、そうして行われた行為自体は、法務大臣の責任で行われたものであり、それは取りも直さず外部に対しては内閣の責任として措置したことである。従つて国会側から、内閣はこの逮捕請求は至当なものと考えられますか、と質問を逆にされる場合はに、内閣側の答弁としては、それは至当なものだと考えられると、御答弁になるよりほかないと思う。この国会法に基く手続上のことで内容には関知しないという問題ではなくて、実体論で内閣にそういう質問がされる場合には、法務大臣としては責任を持つてそう御答弁になる。法務大臣の政府を代表する国会に対する答弁としては、私は内容的にも内閣の責任ということで抽象されて言われておる言葉なのだと、こう思うのです。そういう結論さえここであれば、私はそれでよい。ただ長谷山君の場合は、法務大臣の権限というものは、制限された権限なんだ。だから長谷山君の言うように、検察当局が指揮命令を受けないで独自な行動をとつたものまで内閣は責任を負う必要はない。併しこの加藤君の問題に対しては、法務大臣の指揮することと検察当局の考えられたことと一致しておるのです。そういう意味では、外部に対しては内閣全体として責任を負うのだと、こういうことになると思う。
○長谷山行毅君 ちよつとそこに、私が考えておることと違うようなんですがね。これは逮捕状の請求でありますから、逮捕状を請求するには、罪を犯したことを疑うに足る相当な理由があるという場合は逮捕状を請求できるということになつて、検事がそれを請求したときは、逮捕状の請求でありますから、これをこの検察庁法の十四条で法務大臣が総長を通じて指揮をやるとか何とかいうことができるかできないかなんですが、そういう指揮することも可能であると私は思うのですが、併しそれを検事が聞かない場合もあり得るのだ、今の法制上の建前から。そうすると、実質的なそういうことで請求されればこれを裁判所から、今度は内閣を通じて国会に求めるので、その点これを適当な逮捕の請求であるかどうかということについては、実質的には国会においてやるのだ。こういうふうな意味で私はさつきの質問を発したつもりですが、その点についての御見解を法務大臣からお伺いいたします。
○国務大臣(犬養健君) 御質問の趣旨に副つてお答えできるかどうかわかりませんが、逮捕請求、即ち国会法三十四条の二に関する限りは、内閣は、先ほど申上げましたように逮捕請求の内容が法規に合つておるかどうかを調べまして取次ぐという行為だけだと思います。従つてその取次いだ行為の是非善悪の判断は、院が御主人であると思います。
○小笠原二三君 長谷山君のおつしやることも一理あるように思うのです。併し、少くとも法務大臣が、検察当局を指揮監督できる、それは或る制限はあります。検察当局の独自の権限はあるけれども、併し法務大臣そのものも職務権限として持つておる。持つておるものを行使して、その通りの形で出て来ておるのですから、法務大臣としては、この事案について逮捕請求すべきものという認定をしておるのですから、その認定を一般の検察行政というのは、内閣の各種な一般行政と同じものだということを先ほどから言つておりますから、その立場に立つ限り外部に対しては、内閣全体の責任として、このことを至当なものであるという見解をお持ちになるだろう。そのときの閣議は、手続上の閣議になつても、外部から質問されたら、それは内閣の考えとしては、法務大臣がそう措置されたことは至当なものだと言わざるを得ないだろうと思うのです。そうすれば、これは内閣としては、内容に立入つてもこの加藤君なら加藤君の逮捕請求というものは、この容疑については、十分その逮捕状を出すことは十分な理由があると肯定したことを、外部に対して、それは責任はお持ちにならなければならないと思う。私はそういう意味合いでそういう問題はもう結論を得たと思つておる。
○藤田進君 これはただ吉田総理大臣から、当院の議長宛に許諾を求めて来ておる書類の趣旨から、若干お尋ねしたいと思う。
 この内容を通読いたしますると、先ず東京地方検察庁の河井信太郎より当裁判所に逮捕状の請求があつた。こういうふうに書かれておりますが、これは単なる写でありますので真偽のほどはたしかめなければわかりませんが、恐らく間違いはないと私は思うのであります。
 そこで、先ず順序を経て私は簡単にお尋ねいたしますから、簡潔に御答弁願いたいのですが、法務大臣は、この河井信太郎の逮捕請求にかかる事案について指揮をなさつているかどうか。先般の本会議におきましては、本件について厖大な資料の中から抜書を受けて判断したとおつしやつていたと思います。この点、念のため法務大臣は、この請求に関しまして指揮しておるかどうか伺いたい。
   〔理事杉山昌作君退席、委員長着席〕
○国務大臣(犬養健君) 一つ、御趣旨を取違えておりましたら、どうぞ御注意願いたいと思います。
 御承知のように検察庁法十四条によりまして、私の指揮できますのは、検事総長であります。検事総長より、議員これこれのかたに対する逮捕請求を指揮してもらいたいということになるのでありますが、実際上の場合は、材料がなくては指揮の前提である判断ができませんので、書類を送つて参ります。ところが実際問題として、その厖大なる書類を私が全部読むということは極めてむずかしい場合がある。大部分そうでございますし、又専門的なところもございますので、先ほども申上げましたように、刑事局長が読みまして、私に持つて来る。従つて検事河井信太郎を直接指揮するということはございません。
○藤田進君 本件加藤武徳君に対する逮捕は、逮捕すべきだという判断で出していられる。それは検事総長を通じてだと思います。そこで次にこの請求を受けて東京簡易裁判所は、向井周吉さんですか、この名において書類も来ておりますように、吉田総理宛に許諾を求めている。その手続を要請して来ている。そこでその次に、吉田総理大臣名で本院河井議長宛に、ここに書いてある二行、簡単でありますが、東京簡易裁判所から要求があつたから、かくかくの規定によつて貴院の許諾を求める、こう書いてあります。単に文章上の表現ではない。さつきからの御議論によつてもありますように、これは一旦当院に回付されました以上は、参議院として許可すべきであるか否かについては、再三御答弁の通りこれを決定いたします院の独自な立場で決定をいたします。併し内閣総理大臣が出されているこの文章等から、又本件の経過から見て、貴院の許諾を求める、許諾をくれという書類がここに来ていると私は思うのです。許諾をくれというふうに出しているが、そのまま、本院においてどうするか。こういうふうになつているが、先ほどからの答弁から言いますと、貴院の許諾を求めているということを言つていない。取次いでいるのだから、然るべき御処置に相成りたいという、そういう御答弁があつたように思うのです。この文章が果して間違つているのかどうか。貴院の許諾を求めると、はつきり書かれている以上、許諾をしてくれということに自然これはなるわけですが、その点如何でしよう。
○国務大臣(犬養健君) これは書式のことでございますから、ほかの……。
○藤田進君 観念として……。
○国務大臣(犬養健君) これは私の考えでございますが、許諾を求める取次をするという意味でございますから、政府が許諾を求めるということになつていると思いますが、併し念のために法制局長官から書式上の用語として、専門語でございますから、私よりもつと専門家が答えたほうがいいかと思います。
○政府委員(佐藤達夫君) 専門家でございますが、これは上手下手は別でございまして、要するに、その許諾についての御判断を求めるというふうにお読み頂かねばならんことだろうと思います。
○藤田進君 これは国会法の、みずがら吉田総理は書いておいでになる三十四条の二ですね。これは、内閣が許諾を求める、それにも写しを付けてこうだと、はつきりしている。許諾をするかどうかについて御判断を求める、これは、無論当院として考えるべきものであつて、吉田内閣総理大臣としての文書は、許してくれと、こういうふりなのです。それを又曲げたような恰好では了解できません。
○小笠原二三男君 こういうことは簡単なようだけれども、ままあつてはならないから、前例には絶対したくないのですけれども、仮に最悪の場合、議員も多数おりますから、前例になる場合があるからしつこくお尋ねしているわけなんです。それで、これは形式上の文書表現で、内容はこういう意味なんだなんて言われたり、国会法三十二条の表現は、こうなつているけれども、実はこういう解釈なんだと言われたところで、我々はその通りでございますかと承認するわけには行かんのです。内閣はこれこれこれこれの手続を以て国会に許諾を求めると国会法が規定し、それに則つてこの文書の表現がその許諾を求めるとはつきり出ているだけでは、字面の通りでございます。こういうことで、内閣が責任を以て措置した行為であると、こういうことになつてもらわなければ、国会は何を対象として真剣な審議ができるか。まあ私のほうはメンセンジヤー・ボーイでちよつと出しましたから、あなたのほうで如何ようにでも、なんというような、手軽なものならば、そんなものは紙屑籠にでも入れておきますよ。内閣は、そういうようなでたらめと言うとお叱りを受けるかも知れませんが、軽卒な行為はなさるはずはないのです。従つて、私は飽くまでも形式、実体共に内閣が責任を以て、内閣の意思としては許諾を求めたいということで、院に許諾を求めて来ているのだ。これが一番筋が通る。私はそういうふうに考えざるを得ないのです。
○藤田進君 今日出されておる委員の任命の場合の文書を見ましても、貴院の同意を求めます。こう書いてあるのですね。これも吉田さんの名前で、これは官房長官の説明で、同様の解釈だとすれば、まあ内閣としてはこれがいいのか悪いのか、それはもうわからないのですが、この字句から言えばですね。併し、然るべき御判断を願いたいのだ。こういうことになつてしまうわけで、さような法制局長官が今御答弁したような字句の解釈は、これは全然日本語としてなつていないというような気がいたします。改めてこれは責任ある官房長官からのはつきりしたお答えを願いたい。そういう三百代言みたいな法制局長官の答弁なんか聞きたくない。
○政府委員(福永健司君) 許諾を求めますための言葉は、法律上まあ文章に現わすならば、ああいうふうに現すわすというのが常識的であろうと思います。先ほどからいろいろ説明がございました通り、許諾を求める手続を内閣からとることになつておりますので、文章におきましては当然ああいうような表現になるわけでございます。従つて、御判断はもとより国会においてなして頂くのでございます。別にその中に一方的の結論を内閣においては予想して出しておるというものではないわけでございます。
○藤田進君 字句から見て、吉田さんは河井議長に対して、文書で許諾をして下さいと、こう言つて、まあ見えておるわけなんですね。そうではないのでしようか。
○政府委員(福永健司君) もとより文字に現われていることは、その通りでございますが、その手続を取りましたことが意味するものは、結論は一つしかないという意味ではございませんわけでございまして、そういうことになると、それでは腹の中を言うということになるような印象を受けるかも知れませんけれども、先ほどからもしばしば話が出ました通り、三十四条の二に規定するところのものは、手続上のものでございます。内閣が窓口としてさような手続をとるということに、現在規定されているわけです。その手続をとる以上は、許諾を求めるという形式で書類を出さなければ。それは、常識的にそういうことになるのじやないかと存じます。
○小笠原二三男君 それじや、私はどれが本当だか立証してみたいと思うので、法務大臣にお尋ねしますが、内閣総理大臣から、こういう要求が来まして、これが付託された議運に法務大臣が出ておりますが、法務大臣であるあなたが、趣旨説明を刑事局長に昨晩させましたが、これは指揮命令をした担当法務大臣として御出席になつて趣旨説明をしたのでございますか。それとも内閣総理大臣の、これによつて、御出席になつて来ているのでございますか。
○国務大臣(犬養健君) ここへ昨晩出席を許して頂きましたのは、国会法第三十四条の二の行為に関する法務大臣の出席でございまして、従つて裁判所が逮捕請求をいたしました、そもそもの指揮をいたしました私といたしまして出席したわけであります。
○小笠原二三男君 そうしますと、昨晩御出席になられた法務大臣は、内閣総理大臣の意を体して、総理大臣が出て趣旨説明をすべきところを代つて出て来たものである、こういうふうに了解してよろしうございますか。
○国務大臣(犬養健君) 私は飽くまで逮捕請求という事実について説明を要すべきものを、当院から御要求になりましたので、国会法第三十四条の二に関する行為の、そもそもこの行為を起した者、指揮者として、ここに上つた次第であります。
○小笠原二三男君 そうしますと、議院運営委員会としては、内閣を代表する人の御出席を頂かないでこの審議に入つたという形になりますが、私たちとしては、総理大臣、神経痛のため出られないから、あなたが出て来て、この取次役であると再三言つております。取次役のあなたが、国会法に基いて昨夜出席したのだと考えておつたのですが、違いますか。
○国務大臣(犬養健君) これは沿革から申上げますと、こういうことになります。
 形式から申しますと、裁判所が出て御説明してもいいわけなんであります。併し私が出て説明するほうが、従来の関係から言つて御便宜と思いまして出て来たわけであります。
○小笠原二三男君 私は、政府を代表して出たのかどうかと聞いているのです。政府を代表しない者の出席要求などは私たちは考えておらん。昨日議運の理事会等で、政府からその趣旨説明を聞こうということで御出席願つたのが法務大臣なんだ。けれども、あなたの立場というものは、この内閣の一員として内閣総理大臣吉田茂を代表して出ておられるのだが、併し又、たまたま所管大臣であるから、最も好都合だろうというので、ただ出て来ただけでしよう。飽くまでもあなたの御発言というものは、国会法に基いて許諾を求める案件について御説明のため、その質疑を受けるために出て来られたのでしよう。そうでなくて、局部のどこかその辺のやる仕事を、あなたがわざわざ裁判所に代つて代弁したいと思つて出て来たのじやないのでしよう。そういう意味合いのことを私は聞いているのです。
   〔天田勝正君発言の許可を求む]
○小笠原二三男君 端的に、どんどん聞くから。
○政府委員(佐藤達夫君) こういうことだろうと思います。
 今話に出ましたように、裁判所から出て御説明申しても然るべきことということは、要するに国会法第三十四条の二の関係における説明役としての問題になるわけであります。ところでその説明役を政府部内にこれを求めた場合にどうなるかというと、やはりこの関係のことは法務行政一般を受持つておられる法務大臣の一応の所管事項に入ると思います。今の検察行政ということを離れまして、国会へのお取次の世話人という趣旨の代表者としての法務大臣ということが考えられるわけでございます。
○小笠原二三男君 それで弁解になつた。そうしますと、お取次役である。取次いだ最終の責任者である内閣総理大臣吉田茂に代つて法務大臣が御出席になつたのだ、そう了象いたします。そうでなければこれは議運としては審議のしようがないのです。
 そうなりますと、今度は、それは肯定します。そうなると、内閣の構成員の一員として出ているんですから、そのかたが代つてその何とか局長に代つて、何とか局長に趣旨説明をさせた。その内容というものは、これは逮捕状を出さなければならない理由というものを、逐次昨晩お述べになつた、あなたが、代つて述べさせた。内閣の責任で、これは述べさせた。だからこの内閣としては、逮捕請求が至当であるということをお認めになつて、ああいう御説明になつておる。そういうふうにしか議運として考えられない。この案件について説明をしたんですよ。この案件について、法務大臣、政府委員が説明したんです。
○委員長(寺尾豊君) 小笠原さんの今のいろいろ御質疑御意見と、法務大臣のが非常に食い違いをしておると私は思います。若干ここで一つ懇談会なり何なり、一つ移してはどうですか。
○天田勝正君 ちよつと待つて下さい。
○小笠原二三男君 私が質問したのから答弁してもらおう。
○国務大臣(犬養健君) 御答弁申上げます。
 それは、小笠原さんの御意見は、私は違うと解釈いたします。
○小笠原二三男君 どういう点に。
○国務大臣(犬養健君) それは、なぜかと申しますと、それは今法制局長官が申しましたように、逮捕請求に関する関係者として出ておるのでありまして、内閣の一員が出席しなければ、この御審議を願う要件が備わらんと思つておりません。従つて裁判所が説明してもいいのでありますが、若し便宜上内閣の誰かが、裁判所よりも便宜として内閣から説明に便宜上来る。つまり欠くべからざる必要条件でなく、便宜上来るとすれば、法務大臣が一番、そもそも逮捕請求の指揮をしたので、出るのが妥当であろうということでありまして、内閣は、たびたび申しますように国会法第三十四条の二に関する限りは、判断をいたさないで、具備要件を検査しただけで、判断は両院、つまり参議院や衆議院が御主人でありますから、内閣はその内容にタツチしておりません。従つて裁判所が御説明してもいいのでありますが、御便宜上、裁判所でない内閣の誰かが便宜上当然御説明すべきものとすれば、法務大臣が妥当であろう。こういうわけであります。
○小笠原二三男君 これは、重大なことを私は伺いましたが、そうすると、ただあなたたちとしては、出たくもないところへ便宜上出て、便宜上御説明になつておることであつて、最終的には裁判所が責任を負うことだ。こういうことですか。
 然らば、便宜上御答弁になつておることで、若しもそれが失言なり事実に反したことがあれば、それは、裁判所に責任を追求できますか。私たちはそんなことはできない。便宜上出て来たのはどういうわけですか。
   〔松岡平市君発言の許可を求む〕
○委員長(寺尾豊君) 議事進行の発言を松岡君に許します。
○松岡平市君 諸君にお諮りいたしますが、今お聞きしておると、重大な……(「私の議事進行のほうが早い。あなたは遠いからわからない。」と呼ぶ者あり)
○委員長(寺尾豊君) 委員長は正確にやつております。
○松岡平市君 今いろいろ質疑応答を聞いておりますと、法制局長官と法務大臣との御答弁の間にも多少の食い違いがあるようであります。特に小笠原委員の質問と御答弁の間にも、にわかに合致するものが見出しがたいような状況でありますので、私はこの際、暫らく委員会を休憩されて、政府のこれに対する答弁を速かに一致し得るがごとくされんことの動議を提出いたします。
○松浦定義君 私は、只今までの政府の、政府というか何というか、これはわからん。御答弁を聞いておりますと、非常にこのままでは進み得ない状態である。
 そこで、私はお尋ねいたしますが、我々はこの議運に付託されまして、それからこの問題をどうするかということは、一応まだはつきり結論が出ておりません。通常でありますれば、或いは問題になれば理事会等を開いて、それをやりますが、昨日その経過を開くために、我々が、議運が要求したのでなく、委員長が大体においてお取計らいになつて、法務大臣並びに刑事局長をお呼びになつておる。我々が要求したのじやないのです。従つてそういう意味からいたしますと、我々はこの議案に対する経過を昨晩は聞きましたが、それではどういうふうにするかということを、本質的な問題を掘り下げて、適当な提案理由の説明者は誰であるかということをはつきりしなければならん。そういうことが今のお話の中で出て来ればいいのですけれども、結果的に見まして、法務大臣のお考え方は、我々の要求したような線ではない。そうしますと、今までのことを簡単に言いますと、何のために会議を持つておつたかわからなくなつてしまう。そういうことでありますから、今松岡君のお話されたことも、これは含めまして、一応理事会等を開いて、そうして最もこれが軌道に乗つて審議が進むようにお取計らいを願いたい。
○天田勝正君 議事進行。
 私は御両君の議事進行を、それぞれ認めるにやぶさかでないのですが、私は御承知の通り、昨日質問を留保して、官房長官がここに来られないという事情を了承して、今日に持ち越しておる。それで併し順序は、法務大臣から質問しないというと、官房長官に入り得ないということで私は申上げてある。それで又休憩になりますと、又どちらかが来られなくなるということでは、私は困る。ですから今の議事進行については、私の意見を言わして頂きますならば、極めて明瞭です。さつきから小笠原君が言つた通り、字面通りに解釈すればよろしいので、即ち法務大臣を三十四条の二の行為としてここに出席しておりますということを、先ほど来言つておる。三十四条の二によれば、内閣はこれこれこういうふうにと書いてあるのであつて、裁判所はこれこれとも書いてないし、法務大臣はこれこれとも書いてないし、検察庁はこれこれとも書いてない。だからこの字面の通り解釈しさえすれば、この問題は、極めて明瞭であつて、内閣はこれこれというのだから、内閣を代表して出て来たと私どもは解釈するのが当然であつて、そのことを、小笠原君がいろいろな言葉を以て質しておるのだけれども、それは違う。こういうことになつて来たから、事がどうも面倒になつて来た。私は、内閣はというのだから、単に窓口として通すとか通さないということは別として、いずれにしても、ここに来てこの許諾を求めるということは、内閣を代表して来た。こういう解釈でよろしいのである。そう解釈すれば、そこのところは進むと思う。
○委員長(寺尾豊君) 官房長官から発言を求めておりますから。
○小笠原二三男君 官房長官から発言を求めても、それは政府代表としての発言であるか、ちよつと、一々明らかにして発言を許可しなければ、徒らに議事が混乱しますから、委員長において問い質してから、やつて頂きたい。
○委員長(寺尾豊君) 如何なる御発言ですか。松浦君の……。
○小笠原二三男君 政府代表ですか。
○委員長(寺尾豊君) 政府代表といたしまして、松浦委員の御発言に対して官房長官が発言を要求されておりますが、如何取計らいましようか。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(寺尾豊君) 官房長官。
○政府委員(福永健司君) 先刻松浦さんの御発言中、どういうように議事を進めるかということと関連して、いろいろとお述べになりましたが、手続的のことで申上げますと、政府といたしましては、文書によりましてお手許にありますような形をとりまして手続をとりました次第であります。慣例上もかくのごとくいたしておるわけでございまして、その文書によりまして手続いたしましたことにつきまして進めることについて、当委員会で誰から話を聞いてみようとか、誰を呼んで来いと、いろいろの御処置はあると思いますが、そういうわけですから、適当な御処置をおとり頂いて、本件に関する御審議をお進め頂きたいと存ずる次第でございます。
○藤田進君 先ほど松岡君のほうから、議事進行があり、これについて若干補足的な提案が松浦君からなされた。私はこの際休憩せられることについては賛成いたしますが、再開は、理事会ではなく、休憩の理由が、先ほど言われましたように政府の代表吉田茂を提案者としてここへ求められているわけですが、果して内閣総理大臣に代るべき政府代表というものがお見えになつているか否かについて非常なる疑義がある。こういうことだから、政府の答弁等も一つ統一してもらう。そのためにも休憩、このように言われておりまするので、いろいろ質疑のお答えが、或いはまちまちであり、或いは昨日来秘密会でありますから、速記録を落してありますが、この内容について触れませんが、この秘密会の内容と、先ほどの法務大臣の発言とは大きな食い違いがございますし、これを昨日の記録の中から読んで頂けばわかります。これをやはりこの際、時間を与えたいと思いますが、極く短時間に検討して、統一した政府の答弁を頂きたい。
 なお、私は一点加えて、先ほど法務大臣は、本来ならば裁判所が来て、或いは呼んで、説明をさせるべきだが、ここに代表しているかのごとき御発言がございました。従つて裁判官向井何がしでしたかを呼ぶ、ここに、議院運営委員会に出るなりして、説明、質疑応答等は、所要のやはり手続が必要だと思うのですが、その根拠となる法律も知らせて頂きたい。私の見解では、裁判官をさような議院運営委員会に呼ぶことについては困難性があると思いますし、国会法の論議の過程にも、この問題が出ているわけですが、併しその方法ありという御発言でございますし、法制局長官という専門家の立場からも、再三御発言になつておりますから、何法の何によつて呼び得るということを併せて御答弁を御用意願いたいと思います。
○天田勝正君 関連して。私も、だんだん言われておりますから、休憩してもよろしうございますが、問題は、今藤田君の御指摘になつた点は、極めて重要でありまして、裁判所がこれに出席して説明する。こういうことについては、我々はよく考えなければならない。というのは、国会法第七章七十一条以下を御覧下されば明瞭なんでありますが、即ち「委員会は、議長を経由して国務大臣及び政府委員の出席を求めることができる。」政府委員においては、かく明瞭であります。それから会計検査院長及び検査官についても、その次の七十二条にこれも又出席説明を求めることができる。こういうことでありますが、同じ七十二条の後段に「最高裁判所長官又はその指定する代理者は、その要求により、」、即ち裁判所長官が、その代理者のほうの要求によつて、委員会の承認を得て委員会に出席説明することができるというのであつて、その自主性はこちらの国会側の委員会にあらずして、実に最高裁判所のほうにあるのであります。だから向うが出て来て、この委員会で承認を求めて発言するならば、それはできるけれども、我々のほうから、政府委員を呼ぶごとく呼びつけるということは、これはできないことであつて、国会法改正の小委員会でも十分これは討議された。そこでそれを呼ぶ場合には、証人としてしか呼べない。こういうことにこれは解釈が一致しておる。でありますから、我々は、最高裁判所からその出席を求めるのが妥当だという解釈には同意しがたい。
 だからこれらも含めて御研究を願いたい。
○小笠原二三男君 議事進行についてですが、藤田君のおつしやることは、法務大臣が便宜々たと言つて、何か代理するかのような発言があつたから、誤解等もあつたので、院としては、裁判所の構成員を呼ぶことについては、それはなし得ないというような解釈で、解釈はできているのですから、従つてああいう誤解を受けるような御答弁をされるから紛糾するので、休憩することは賛成です。ただこの問題についてはその審議は慎重に而も速かに結論を出すということになつていますから、昼食も必要でございますが、少くとも、今から一時間なら一時間休憩することとし、委員長において政府のほうとよく相談の上、誰が政府代表で、どういうかたが検察当局を代表して事情説明に当るということをはつきりさせる必要があろうかと考えます。そうして軌道に乗せた上で、休憩後再開のあれでは、懸案になつている天田君の経過に関する質疑等から軌道に乗せられるようにして頂きたい。それまでの準備がつかないにしても、一時間経過しますならば、議運を開いて頂きたい。そうして審議に至らないような状況であるなら、状況であることを、委員長において御報告願いたい。そうして厳正に、この委員会をやつて頂くようにお願いいたします。
○長谷山行毅君 先ほどの裁判所云々の問題ですが、これは……。
○小笠原二三男君 休憩中にやればいい。
○委員長(寺尾豊君) だんだんの御意見がありましたが、議事進行の松岡、松浦両君の御意見、又藤田君、小笠原君等の御意見に従いまして、政府にもその間十分これを御検討願つて、結論を出して頂く。こういつたような意味合いで、又食事を兼ねまして、暫時休憩をいたします。
   午後一時十八分休憩
   ―――――・―――――
   午後四時六分開会
○委員長(寺尾豊君) 再開いたします。
 公聴会開会承認要求に関する件。
○参事(宮坂完孝君) 厚生委員長上條愛一君より、厚生年金保険法案について、来たる四月二十七日に公聴会を開会いたしたいという要求書が出ております。
○委員長(寺尾豊君) 本要求を認めるに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(寺尾豊君) さよう決します。
  ―――――――――――――
○委員長(寺尾豊君) 続いて、議員加藤武徳君の逮捕について許諾を求めるの件を議題といたします、
○小笠原二三男君 議事に入る前に、法務大臣、前回の経過についてどういうことをおつしやるか知りませんが、一応法務大臣の所見を取りまとめてお聞きしたら、それに対する質疑等は内容の審議に入るときにやつて行くことにしまして、天田委員の経過に関する質問を昨日から要求しているというのに入つちまつて、そうして天田君の質疑が終つたら、内容の調査に取りかかるということにして、その過程において又問題点があつたら、法律解釈論もやるならやるとして、審議を進められるように、先ずこういう点を明らかにして置いて、逐次進行して頂きたい。
○委員長(寺尾豊君) ちよつと、御了解を得たいと思いますことは、衆議院が間もなく本会議が、今振鈴が鳴つているようでありますが、これには、關谷、岡田両君の逮捕許諾の件が上程されており、そうなると、法務大臣はそのほうに行かして頂きたいと、それから又官房長官も、特別の事情のために早く退席をさせて頂きたい。こういうような御要望がありますので、いずれをお聞きいたしましても御尤ものように思いますので、一応御了承を願いたいと思います。
 速記を止めて。
   〔速記中止〕
○委員長(寺尾豊君) それでは、速記をつけて下さい。
○天田勝正君 昨日来、各委員から官房長官に対しまして殊更に許諾の請求が遅らされたのではないかと、こういうことで質疑が展開されておるわけであります。私はこの事柄が出て参ります経過を見ますというと、そういう疑いが内閣側にあるように認めざるを得ないということは、すでに内閣がこれを扱う以前において、やはり責任としては内閣全般でありましようが、法務大臣が扱つたときに原因しておる。余り古いことを申上げませんけれども、このことを本院として取上げたのは、四月七日の本会議でありまして、亀田得治君の緊急質問がここで展開されておるのであります。その日の開議は一時三分でありますから、恐らく亀田君は一時五分か六分に登壇されたはずであります。そこで質問したことはいろいろありますが、例を挙げると非常に長くなりますので、簡単に法務大臣の答弁を言うてみますと、亀田君は加藤君等の名前は全然指しませんで、すべて「あと一名」「参議院議員」と、こういう言葉を使つて全部の質問をやつておられるわけです。で、こうしたあと一名ということが、新聞にも全部伝えられておるけれども、一体法相は、これに対してどうなされたのかという趣旨の質問をなされておる。それに対して法務大臣は、井本刑事局長が私の判断を請いに来たのは、「正式にその場合に逮捕請求の対象となりましたのは、御指摘のように關谷、岡田の両議員でございます」云々と、こういう答弁をされておる、この答弁と昨日の法務大臣の答弁を聞いておりますと、そうでなしに、昨日は私が、その際加藤議員云々ということを井本刑事局長に質したところが、まだそれは書類的に不十分だからこれを出さないのだ。こういう工合で、すでにこの四月七日の本会議で亀田得治君の質問がなされたときには、そういう本院議員の一名がすでに請求されておるという御事情を十分承知されておられた。十分承知しておられて、それは本会議では知らぬ存ぜぬというふうに答弁されておるのでありますから、ここで私ども考えるのには、一つ殊更に延したのではないかと、こういう疑いが生ずるのであります。これに続いて、これを質してから、実は官房長官の質問に入りたいのですが……、そこで官房長官に対してこの際お聞きしたい。
 そういう経過を辿つて来た上に、四月七日には内閣に裁判所のほうから提出されて、そこでその書類がここに来ておるわけです。先ほどの質疑でも明らかのように、これは二段に分れて、最初の法務大臣が指揮命令したときは、閣議に諮る諮らないにかかわらず法務大臣としてやつたのだから、閣僚の一人としてやつた事柄について、対外的には内閣の連帯責任だ。こういうことで処置されて、それを裁判所に要求し、裁判所が今度内閣に持つて行つたときには、今度はそれを国会に提出するについてはこれは窓口事務として行われた。こういうふうに先ほどの質疑によつて私は整理されたと、こう了解いたしますので、そこでこの第二段のほうの三十四条の二によつてここに出されたわけでありますが、第二段のときは、今言つたように窓口として扱われた。そういたしますならば、これは事務的な処置でありますから、それほど重要に考えなくてもよろしい。つまり具体的に言いますと、閣僚が一人や二人おらなくても、それは処置できるはずだ。そうすれば、速かに本院に提出されたことであろうと私は考えられるのに、他の例を挙げますると、一昨年の八月解散のような実に重大な決定をなす場合に、閣僚全部が知らないようなことでも、従来吉田内閣はやつた例がある。例を挙げれば切りがありません。そういう重大なことでさえ、閣僚全部が揃わないでも決せられておる。然るに今言つたように窓口事務である、言つてみれば、内閣としては軽く扱つてもよろしい処置について、閣僚が一人、二人いないといつて、これがずらされた。こういうようなところに、私どもはその前の法務大臣の扱と関連して、更にこれが官房長官が扱うようになつた場合においても、ずらされたのではなかろうか。こういう疑いをどうしても持つ順序になるのでありますが、その点、先ほどの官房長官の答弁であると、窓口として当然に取扱うのだということと、それを極めて重大視して、閣僚一人いなければこれが決裁されない。従つて本院に提出が遅れる。こういう事柄とは、一体どういうふうに受取つたらよろしいでございましようか、お答え願いたいと思します。
○政府委員(福永健司君) いわゆる二段に分けてということで、裁判所へ検察当局から書類的の手続をする前のことにつきましては、これは私どもといたしましては何ら承知いたしておりませんので、この点につきましては後刻法務大臣についてお質しを頂きたいと思うわけでございますが、いずれにいたしましても内閣へ出て参りましてからの手続の進行につきましては、極力速かにと考えておる次第でございます。
 只今天田さんの御指摘になりました一、二の閣僚が当日の閣議に出席できなかつたので云々という点は、実は当日よそに出張いたしておりました閣僚もおりますが、そういうような閣僚につきましては、私どもはこの署名を求める、それまで云々というようなことは、まあ時間的にも相当かかりますので、さようなことまでは考えていなかつたわけでございますが、当日先ほども申上げましたように東京におり乃至は東京の近くにおりました、具体的に申しますと、吉田総理と戸塚建設大臣でございますが、比較的近い所でございますので、まあ当日出席はいたしておりませんでしたが、これをほかの決裁書類等と共に署名をとる手続を実はとりましたものでございますから、さようなことで国会へお廻しすることは、夜になつてからもどうかと思いまして、翌日の朝になりましたような次第でございます。まあ最も早くという点から申しまするならば、その日のうちということも考えられるわけでございますが、今申しましたような手続を経ておりましたために翌朝になりましたわけでございますが、故意に大変時間を延ばしたというような事情でないことにつきましては、御了解を頂きたいと思います。
○天田勝正君 その経過的なことについては、昨日小笠原委員の質疑によつても、私も十分今御説明の通りに承知いたしておるわけであります。ただ先ほど来の質疑で、この窓口として内閣は扱つて本院に提出したのである。こういうことをお答えになつておりますから、それならば、何も東京在住の閣僚が出席されないにしても、その内容に立至つてチエツクするということでないのでございますから、持つて行つてこれを承認する形をとつてもよろしいでございましよう。ところが、そういうことでなくつてわざわざ出られないからというので、二大臣の出席のできる日を待つた。こういうことに私どもは、殊更に延ばしたのではなかろうかというふうな疑いを持つわけです。それで私が例を挙げましたように、一昨年の解散の場合などは、閣僚の中でも知らない人のほうがむしろ多かつたということが定説にすらなつておる、あの事柄を言えば長くなりますが、あれは天皇の国事権を規定した中で、要するに内閣の助言と承認ということが一つの条件になつておる。それを、天皇のところに持つて行きまして、これは、天皇の大権という筋ではなくつて、天皇の権利という言葉で表現すれば公布権とでもいいますか、そういうものを天皇が行使される、併しその政治的な責任は、助言と承認ということで内閣にあるということでありますから、それならば、これは一人でも閣僚が欠けては、内閣の承認とか或いは助言とかということにならないというふうにも解釈できる事柄でありますから、それこそは、全閣僚がいなければ工合が悪い。こういうことになりましようけれども、今のことは、あなた自身がおつしやつておられるように窓口として扱つたのだと、こう言うのであれば、一人、二人おらなくてもよろしいでありましようし、又内容に立ち至らない窓口であるならば、持つて行つてすぐ署名してもらつてもよろしい。私ども素人は、こう考えるわけですが、一つ官房長官も、私が追及するというふうに解釈しないで、追及すると思うから、いろいろ言葉を濁されたりすると思う。私はこの内容に立ち至つて、これからまあ審議するわけですが、このほうとは関係なく事態を私は明らかにして行きたいと思うから、御質問申上げておるのであつて、だから、どうもそれは少し勘違いしておつたので遅れたというのなら、それでよろしい。事態が明らかになればよろしいのですから、まあそれを率直に、私はお答え願いたいと思います。
○政府委員(福永健司君) 大体において、天田さんのおつしやるようにやつた、(笑声)と申しますことは、吉田総理があの日の閣議に出ることができませんでしたので、お話のようにすぐ持つて行かせまして、署名を求めたわけでございます。吉田総理の出るのを待つておつたからじやないのであります。出張いたしておりました閣僚等の署名等は、もとよりそれをもらう等のことはいたさずに、内閣から国会に手続をいたしました次第でございます。ただ大磯まで書類を持つて行かせまして帰つて来ると、夕方になつただろうと思います。さような次第で、その翌日になりましたようなわけで、大体におきまして、まあびしやつと天田さんの仰せの御趣旨の通りには行つておらないかとも思いますが、大体そういう考え方で進んだつもりではございます。併し厳格に申しますと、もう一時間や二時間早めて、前日のうちにも出せたのじやないかということになりますと、そういうことが全然不可能であつたとは申せないわけでございます。まあ大体我々常識に従つてやりました次第でございますが、必ずしも最も早い速度ということに至つていなかつた点につきましては、和も、これよりいたし方なかつたとまでは言い切れない次一第であります。
 その点につきましては、まあ今後、気を付けたいと思います。
○天田勝正君 了承いたしました。
○藤田進君 これはどうですか。議長の手許に来たのは、十日の何時頃ですか。
○事務総長(芥川治君) 十一時四十分と記憶しております。
○委員長(寺尾豊君) どうでございましよう……ちよつと速記をとめて下さい。
   午後四時二十九分速記中止
   ―――――・―――――
   午後四時五十四分速記開始
○委員長(寺尾豊君) 速記を始めて。
○天田勝正君 私の法務大臣に対する質問を先にやらして頂きたいと思います。
 それは、法務大臣がおられないとき官房長官に申上げたわけですが、内閣がこの書類を裁判所から受取つてから本院に提出するまでの閥、その窓口として行われたについても、必ずしも最短距離ではなかつた、遺憾であつたということが、先ほど官房長官によつて明らかにされました。私は誠に妥当なお答えだと思つて、直ちにそれ以上追及するのをやめたわけであります。そこで内閣に至るまでの間について、特に法務大臣にお聞きしたい点は、昨日法務大臣が他の委員の質問にお答えになつた点と、それから過日本院の本会議、四月七日の本会議でございますか、その際亀田得治君の質問に答えられた点と、私はどうしても食い違いがある。こういうふうに考えるのであります。即ち四月七日の亀田議員の質問に対して、あなたは、逮捕の請求を法務大臣の手元に検察庁から持つて来られたのは三名であると伝えられておるが、それが二名として出て来たのは、やはり法務大臣が言わねば手加減したのではなかろうか。こういうふうな質問に対して、そういうことはない。正式にその場合逮捕の請求の対象となつたのは、御指摘のような關谷、岡田の両議員であつて、これはいつ如何なる場合にも、この点は真実を申上げたつもりだ。こういうふうな答えになつておるのです。ところが、昨日からあなたの説明を聞きますと、岡田、關谷両議員の書類を法務省の井本局長が持つて参つたときに、自分としては、加藤君のはどうだということを聞いたが、すでにこれは書類上の不備があるから、これをあとに廻すというふうに自分は聞いたのだ。こういうふうに答えられたと私は記憶いたしておるのであります。そこでこの点は、いずれが真実なのか。こういうことを先ずお伺いし、大臣といたしまして加藤君云々の問題は、昨日の御説明では、四月七日の本会議のときは、すでにあなたが御承知になつておられた。そのときは裁判所に出されて、それで裁判所からは、夕方までには内閣に来ておつたわけですから、時間的に見ましても、本院の本会議が開かれたのは午後一時三分でございまして、従つてそのときは、十分法務大臣は承知しておられたのに、いわば加藤君については、知らぬ、存ぜぬという答弁があつたわけです。これは、やはり一つの私は食い違いであろうと思います。当然そのときには、加藤君のも出されて云々というふうに答弁されて然るべきであつたはずですが、そういうところが重なつたところが、何か荏苒日を送つたのではないかという疑いが出て参るわけです。
 先ずこの二点について、お答えを願いたいと存じます。
○国務大臣(犬養健君) お答えを申上げます。食い違いのような御印象を与えましたとしたら、私の説明の不備でございますので、改めて申上げます。
 四月七日の午前……四月五日でしよう、關谷、岡田両氏に関する逮捕許諾の関係の指揮を求めて参りましたのが四月五日の朝でございます。そのときに、本日は、先ずこの二人のことについて指揮を求めますと言つて、いわゆる被疑内容を説明したわけでございます。そうして慎重審議しました結果やむを得ない。なおいろいろ世間でも伝えております加藤君のことについては、書類の不備もあり、法務省としては、もう少し捜査を続けてもらいたいということもあり、検察庁とも話合いをしておるので、本日は、これは議題にいたしませんと、こういうことでございます。但し本会議におきましては、当時、衆議院でも秘密会でだけ申上げたことでございまして、本日は、天田さんが秘密会でないところで話をされましたので、私もそれに対してお答えするわけでありますが、参議院の本会議におきましては、ほかに何名あつたかということは、御本人の名誉にも関し、捜査も途中でもございますので、これは答弁申上げかねますと、こう申上げた次第でございます。何とぞ御了承願いたいと存じます。
○天田勝正君 それでは、ちよつと補足して、一遍に答えてもらいましよう。一つの答えでよろしいですから。
 私は、あとの点で申上げたのは、つまり亀田君の質問は、検察庁でこれが問題になつたところの四月三日からずつと説き起した。そして今のあなたのお話のように、五日にこれこれ、それが更に六日の衆議院の本会議においてこれこれ……、本会議であつたか委員会であつたか。ただこの質問では、「衆議院において昨日質問が出ておりますが云々」と、こういうので、委員会か本会議かはわかりませんが、とにかく衆議院でこの問題が問題になつている。それに対する答弁があつた。こういうようなことがそれぞれ説明されまして、そこで亀田君も心を使われて、今私が言うように名前を消して言つております。他の一名の参議院議員、こういう言葉をずつと用いられておつたわけですが、だけれども、その一名の議員とは、あなたがすでに五日に相談を受けたか、自分のほうから局長に質問したかで知つておられた。知つておられたのに、一つもその点については答弁がなされておらない。こういうことが、私は、要するに荏苒日を送つたような印象を我々は受ける。この点はどういうことでございましようかということをお聞きしているわけです。
○国務大臣(犬養健君) お答えを申上げます。
 これは、ここにおる刑事局長からも御説明を申上げると思いますが、御質問を受ける午前中は、なお書類の補充をいたしておつたのであります。即ち、言い換えれば、なお書類の追加作成をやつておる最中であつたのでありまして、従つてそういう経過途上にある、殊に国会議員の身上につきましては、あくまで決定までは名誉を重んじて、内容を申上げるべきではないと、こう考えた次第でございます。ぎりぎりまで書類を補充して行くことにいたしております。
○天田勝正君 さつきも言いましたように、私は、午前中はそういう書類の整備を行われた。そのまま受取ります。だが、本院の本会議というものは、さつき申上げましたように、一時三分から始まつておる。従つてそのときは、すでに書類の整備もできて、大臣はこれを本会議でたとえ名前を出さないまでも、質問者が一名の参議院議員ということを言つておられるのですから、抽象的に一名の議員については、という御答弁があつて私は然るべきだと思う。そういうくらいに事件が運んでおりませんと、それを更に裁判所に出して、裁判所から夕方までに内閣に届くという手順が恐らく運ばなかろうと、こういうふうに私が思うから、すでにそのときは御存じになつておつたののではございませんかと、この亀田君の質問は一時五分頃から始まつておるのです。そこを聞いておるのです。
○矢嶋三義君 法務大臣、こういうふうに心境を吐露されたらいいんですよ。
 ということは、あなたが昨日の説明では、七日朝まで書類を補充して指揮した。こういうふうにここで説明されたのですね。従つて七日朝まで書類を補充して指揮したと言われるので、七日午前中に、一切終了して説明なされておるわけです。ところが亀田君の質問は、七日の午後であつた。そのときに、亀田君は更に質問のときに、それら参議院議員の一人については、逮捕許諾がいつ出る見通しかいう意味のことまで具体的に一項目として尋ねたわけです。それに対して大臣は、意識的に一切答弁は触れられなかつたわけです。そういう点を天田議員は、亀田議員の質問に対して、本会議場における大臣の答弁に対して割り切れないものがあるということを言われておるわけです。この点私も、或る程度議員の名誉というものを考えることはともかくも、或る程度大臣は、意識的にあのときは答弁されなかつたということを、私も何かそう思うわけです。だから、それらについて率直に答弁して頂きたい。そうでないと時間ばかり食つてしようがない。
○国務大臣(犬養健君) 御注意もありまして、率直に申上げます。
 刑事局長とも打合せまして記憶を喚起いたしました。本会議に入る直前に検察庁の書類はすつかり完備しまして、刑事局長が読んで、これならば逮捕請求するに足る書類の完備であると考えて報告いたしましたが、法務省その他の記者諸君にも裁判所に行つて裁判所が発表するまでは伏せるべき事柄であるという考えのもとに、法務省の記者クラブにも、まだ何とも言えない。こう申上げた次第でございまして、従つて本会議でも、まだ申上げる段階でない。こう考えた次第でございます。
○小笠原二三男君 さて、これで一通りは、満足でも不満足でも、経過的な問題は一段落つきましたが、これから審議に入るに当つて、又天田君等のお叱りを受けると困るので諮つて頂きたいことは、秘密会の必要があるかどうかという点です。
○長谷山行毅君 今小笠原さんからも御発言がありましたが、我々としても、こういう現在のような汚職という問題について、非常に不明朗な空気か充満しておるような際ですから、これは是非早くこういう空気を一新して、刑事上の責任があるものは明確にしたいと思うのですが、併しこのような事案は、これは憲法で保障しておるところの議員の不逮捕の特権に関する非常に重要な問題でもありますし、その必要性、内容については、十分審議をつくさなければいけないと思います。
 そこで、その内容に入りますれば、これは議員個人の名誉の問題にもなりますし、又一方捜査上の秘密の問題にも触れることになると思いますので、この辺で秘密会にしまして、十分その点審議したい。
○委員外議員(千田正君) 秘密会に入る前に一点だけ質しておきたい点があります。というのは、午前中法務大臣のお答えで、私は十分納得しない点が一点ありましたので、この点だけお伺いしたいと思うのであります。
 それは、午前中は国会法の三十四条の二を中心としていろいろ論議されましたが、ただ一点、私は内閣の立場を一応聞いておきたい。と思うのは、御承知の通り日本国憲法の六十六条には、内閣の責任を明らかにしております。それでこの内閣の組織は、内閣総理大臣及び他の国務大臣でこれは組織してあるものでありますが、法務大臣は勿論国務大臣であり、内閣の一員であるということは、これは間違いないことであると私は思いますし、又検察行政の最高責任者であるということは間違いないと思いますが、如何でございますか、その点は。
○国務大臣(犬養健君) その通りでございます。
○委員外議員(千田正君) そうしますというと、六十六条の後段に「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」と、こういう明文が憲法の第六十六条に明記されておりますので、この点を国務大臣であり、又検察当局の最高責任者であるところの法務大臣としましては、この点は勿論のこと、この憲法の規定は十分に御承知なされて御発言になつておると思いますが、如何でございますか。
○国務大臣(犬養健君) 仰せの通りであります。
○委員外議員(千田正君) わかりました。
○戸叶武君 秘密会に入つたらどうかというようなお話がありましたが、実は昨日の秘密会について、その内容を承わる限りにおいては、新聞にすべて出ていたことで、何が故にこういう秘密会の形式をとつたかと思われるほど秘密を要すべき事項が殆んど一つもなかつたんです。あの程度の、とにかくお話を承わる程度ならば、果して秘密会の要があるかどうかということを疑念を私たちは抱くものなんです。で秘密会に入るということに対して真向から反対するわけではありませんが、秘密会に入れば、ともすれば、今この許諾の問題に対して原則的な一つの論議が重ねられなければならないときに、秘密会という名の下に何か一つの、そういうことすら幾らか緩んでいるような形になりやしないかということを懸念するのですが、今後論議の過程によつて、問題はいろいろ展開されるのかと思いますが、而もあの政府委員の井本さんの説明を聞く程度においては、何かこれで以て、果して逮捕関係の要請の理由になるかと思われるほど、それがために小笠原さんも文書にして出してくれということを要求したんだと思いますが、甚だ心許ないこの秘密芸におけるところの説明だと思いますか、政府は、勿論我々の質問に答えるのたと思いますが、これよりもつと突きつめたことに対して明確な答弁をする用意がありますか。又それを秘密を要する発言でなければ、我々を納得せしむることができないというような心構えでおられるかどうか。そのことを承わつてからでないと、やたらに秘密会に入ることはどうかと、こう考えますが、委員長、一つ政府側からも、昨日のようなやり万の秘密会ならば意味ないと思いますけれども、その御意向を承わつてもらいたいと思います。
○政府委員(井本臺吉君) 私は、昨日でも相当機密のことをお話申上げたつもりでございます。捜査の内容に関係することは、或いは秘密会でもお洩らしすることはできない点もございますが、可能な範囲では申上げたいと思つてはおります。私、さように考えておりますので、御了承願いたいと思います。
○天田勝正君 議事進行ですが、私は秘密に亘るようなことを自分で発言するつもりも実はない。今まで新聞に大抵出ておつたし、昨日の秘密会におけるそれぞれの発言をあとで振り返つてみても、ちつとも秘密に亘るようなことは、まあなかつたと、こう感じておるのですが、併しこれから人の名前や何か出て、それが当人の名誉に関するというところへ亘られるという議員の方があるというのに、それはないと私が言つてみたつて、これは判断の仕方じありますから、私はそういうふうに捜査の内容から、人格に関する問題にも亘られるという人の希望を阻止するつもりはございません。ただ私は移る別に、一つ明らかにしておきたいのは、さつき小笠原委員が盛んに追及されまして、そうしてそれに関連してあの千田議員等も、今のような発言をなされておる。政府側の答弁に食い違いがあつたからというので、その答弁を一致せしむるために休憩という条件でもあつたと思う。だからそれは時間の関係上、もう一遍繰返すことなしに、あの食い違つた点を政府側から一つこの際説明を求めて、これには秘密会を主張される委員の各位も御反対ではないと思う。それをやられてから、適宜の処置にお入りになることは私は一向差支ないと思います。
○国務大臣(犬養健君) お答えを申上げます。
 先ほど休憩前に政府側から各自御答弁申上げたことについて、改めて一応又まとめた上で答弁しろと、こういう御要求がございますので、まとめましたものを御説明申上げたいと思います。
 国会法第三十四条の二による逮捕許諾の請求者は裁判官でありますから、その理由を説明するのは、筋として裁判官でありましようが、裁判官が個々の事件について、その理由を説明するのは適当でありませんから、便宜政府において説明することが慣例になつております。従つてその説明は、理論的には国会法第三十四条の二の立場における内閣としての取次の説明になるわけでございます、この場合、法務一般の主管大臣たる資格において法務大臣が説明に当ることも従来の慣例でありまして、これは内閣の一員としての説明でございます。なお事実問題といたしましては、本件のごとき場合法務大臣は、同時に逮捕状の請求をした検察官の上司でありますから、その立場において、即ち検察行政の主管大臣として逮捕の理由を説明することもあり得ることは当然と存じます、
○委員長(寺尾豊君) 他にごの公開で御質問がございませんか。
○小笠原二三男君 只今の法務大臣の御説明には、重ねて質問はいたしませんが、理論的には何ら答弁せられたものとは考えられません。それが慣例なりとして、過去の事実を御説明になつただけのことで、それで法律的に、一義的に解釈論が統一せられたなどとは私は考えられません。けれども、今の場合、審議を進める都合からいえば、政府の見解は見解として承つておく。又今後いろいろ検討する場合にございましようから、そのときに譲りまして審議に入られることに異議ございません。
○委員長(寺尾豊君) それでは、長谷山君の御要望もありましたし、これより秘密会といたしたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(寺尾豊君) 御異議ないものと認めます。
 ついては、議員及び要求に応じて出席された国務大臣、政府委員並びに事務的に特に必要な職員以外の方の御退場をお願いいたします。
 午後五時十九分秘密会に移る
○天田勝正君 秘密会に特段反対する意味でありません。私も黙して賛成しておつたわけでありますが、そこで私は先に言いましたように、私が質問している点は、別段秘密に亘らないであろうと、私の主観ではそう思つております。
 その観点から私がお聞きしたいことは、さつき局長は、相当申上げられにくいことを昨日説明したのだと、こういうお話でありましたけれども、私の承知しておる限りでは、これらの事例は、全部新聞に出ておつたことなんです。特段これが新聞に出ないことが、どうも私はないように見受けております。そこで局長の手許では、新聞等には発表されて、この委員会等においては、これは秘密に属するから、秘密会でなければ説明ができない。こういうことなんでございましようか。この点だけ伺つておいて……。
○政府委員(井本臺吉君) 新聞社はいろいろな観点から探訪いたしましてかなり正確に記事を集めております。併しながらこれは新聞社の立場で集めた記事でありまして、客観的に事実が合つておりましようとも、私どものほうといたしましては、何ら関知しないのでございます。私どものほうは、公の立場から発言いたします場合には、これは事件の関係者、その他の確認された事実となりますので、私どもといたしましては公開の席では、捜査中の事件は一切発言しないようにいたしております。新聞に出ておることが事実であるかどうかというような発言も、これは私どもといたしましては努めて控えるようにいたしておるのでございます。従つてお前の言つておることは、全部新聞に出ておるじやないかと、こう求つしやいますけれど亀新聞にあることがその通りであるということ自体でも、私は相当な問題があるのじやないかと考えます。なお昨日申上げたうちでも、全然新聞社などが知らない事実が、よくお読み頂きますと入つておるのでございまして、さような点については、秘密会でありますから、お漏らしならぬよう願いたい。お漏らし願うと、捜査上非常に困るのでありまして、成るべく秘密は御保持願いたいと、かように考える次第でございす。
○重政庸徳君 午前来、責任問題で内閣或いは法務総裁の責任を大分論議されたのでありますが、私、根本問題で、このことをお尋ねいたしたいのであります。国会議員の逮捕許諾請求調、これを見ますと、二十三年の一月二十二日原君から、大体二十三年の十二月七日の田中角榮君、これまでですが、この中で、いわゆる検事が法務総裁に出して、そうして法務総裁が責任を持つて裁判官に出して、そして内閣に廻つて、議院に廻るのでありますが、この結果を見ると、ただ一人玉屋君が最後に罪状確定いたしたのみで、あとは全部無罪になつたのでありますが、こうなつた場合に、或いは内閣、或いは法務総裁、或いは検事、裁判官、加うるにこの許諾をした議員もおりますが、どこに責任の帰趨があるのか。これは数年かかることで、法務総裁は、どういう場合においても、そのときにはもうすでにその地位にない。議員も殆んどそれを許諾した議員はおらん。ところが検事諸君は、大概実在しておるということになると、これはどこに持つて行つたらいいか。責任をどこで現わすか。結局睨まれたら三年目ということになるのであります。そこらを、大事な点でありますから、明かにしてもらいたい。
○政府委員(井本臺吉君) 逮捕許諾の請求をいたしました事案が、今まで、お手許に資料を差上げました通り十三件ございます。そのうち表にあります通り、無罪と確定したものも数件ございますが、大部分は一審が無罪になつて、検事が控訴しておるというものもあるわけでございます。無罪になつた事情は、どういう事情で無罪になつたか。検事の調べが非常に疎漏であつて無罪になつたと判明いたしますれば、これは調べに当つた検察官なり起訴をいたしました検察官が責任があることになります。その一審が無罪で、検事の控訴した結果が有罪になつたというような場合には、係りの判事が間違つた判決をしたということになりまして、これ又或る程度間違つた判決をした判事が責任があると考える次第でございます。
 私ども検察行政の立場から言いますると、無罪になるような調べをしたり、無罪になるような起訴をしたり、或いは無罪になるような許諾を請求したような検事が、誰から見ましても、これは失当な調べをしておるということになりますれば、その検事が相当責任がある。従つてそれを指揮いたしました上司も或る程度の責任があるということは当然なんじやないかと思います。
○重政庸徳君 許諾を求められるときには、そういう形を以ておいでになるだろうと思うのですけれども、結果としてここに調べが出ておるのは、一から六まで、この問題に該当する。この中でただ一つ、この二番目の玉屋君が有罪、検事が確信を持つた通り有罪になつておる。あとは全部無罪になつておる。だからこれは検事にその責任があるとおつしやつても、同時に昭電事件の逮捕を要求せられた検事と、今度の問題になつておる加藤君の逮捕を要求した検事と同一人のように私は聞き及んでおりますが、今の御答弁ではどうも、我々は軽率には勿論できんが、以上の段階においては、私どもは加藤君の逮捕を拒否するよりほかない。ただそれだけである。まるつきり一方的なように結論がなるのです。
○政府委員(井本臺吉君) 一から六までと今おつしやいましたのですが、表にも書いてあります通り、原さんは、これは無罪が確定しております。玉屋さんは有罪が確定しております。それから三、四、五、これは一審は無罪でございますが、まだ裁判係属中でありまして、無罪と確定したわけではございません。六の田中さんは、無罪が確定しております。
 かようなわけで、この無罪の確定しておるのは原さんと田中さん御両氏が確定しておるようなわけでございま出す。
○重政庸徳君 六の中で、今言う玉屋君一人で、あとはどつちかというと、無罪が確定しておる者が二人、あと三人は一審が無罪の判決が出ておる。最終は確定いたしておりませんけれども。こういうときには、どうなるのですか。検事に責任かあるとれつしやつても……。
○政府委員(井本臺吉君) 先ほど申上げましたように、誰が調べましても、さような失当な調べをした。或いは無罪になることが明らかであるような起訴をしたということが明らかになりますれば、それはその係りの検事が相当責任があるということを申上げたわけです。見解の違いで有罪か無罪かわからないような事件でも、全般の立場上、これは裁判をしなければならんというような事情の事件を起訴いたしまして、その調べが、客観的に見まして相当であるという場合には、仮にこれは裁判所と見解が異なりましても、その責任を追究することはできない場合もあろうかと存じます。
 只今申上げましたように非常に失当な調べをしたというような場合は、これは相当の責任を追究しなければならんと私は考える次第でございます。
○重政庸徳君 そうすると大体検事のほうでお考えになつて、これは適当であるというときに、最終判決が無罪になろうと、逮捕を要求するのに適当なる資料が完備しておればと、こういうように承わるようなことになるのですが、そうですが。
○政府委員(井本臺吉君) ちよつと私、御質問を誤解しておるかもわかりませんが、その節は御容赦願いたいと思いますが、いやしくも国会議員の逮捕許諾をお願いする以上は、調べにつきましては慎重にいたしまするし、憲法五十条、国会法三十三条、三十四条等の規定もありますことで、十分さような点も考えまして、逮捕請求は止むを得ないというような事案につきまして、更に調べなどを検討いたしましてその結果かような処置に出たということになるわけでございます。併しながら先ほどお話のありました通り、過去の事例を見ますると、無罪になつた事件で而も確定しておるのがすでに二件もあるわけであります。併し私どもといたしましては今回の事案につきましては、十分有罪の起訴になるかどうかということも、まだはつきり申上げかねるのでありますが、このまま進行して行きますれば、起訴の段階になり、更に有罪の事案になるというような見通しを持つておる次第でございます。
○重政庸徳君 而も、この逮捕の概略の政府のほうからの御説明によりますと、まだ慎重に調べねば起訴になるか否かということはわからんというようなことですが、而も過去における例は、逮捕を要求して議院が承諾したけれどもが、無罪になつたということが多いというような段階なのですが、こういうことで、私は議院としても、従来何か事務的にそういう請求があれば、政治的なものも加つておるのかもしれませんが、唯々として逮捕を許諾して行くというようなことで、こういう悪い前例と悪い結果を来たしておるのじやないかと思うのです。必らず起訴して必らず……、勿論これは、裁判官がやるということだから。だけれどもが、専門家である検事が手を尽し寝食を忘れて探究した問題にしては、余りにも間違いが多すぎはせんかというように私は考えるのであります。この加藤君の問題は、確固として起訴し有罪になるという確信があるのですか。
○政府委員(井本臺吉君) 起訴前に、拘留して調べる制度があるのは、調べてから起訴起訴を決せよということが訴訟法にもはつきり出ておるわけでございます。従つて私が只今から、これは必らず起訴し必らず有罪になるというようなことを申上げるのは、甚だ失礼なことでありまして、さようなことは穏当を欠くのでございますけれども、私どもといたしましては、身柄を拘束いたしまして調べをいたしますれば、相当有罪の証拠が集つて起訴され、而も有罪になるという確信がある次第でございます。
○重政庸徳君 私は、従来のごの経過によつて検察庁がお考えになつておるよりも反対の結果のほうが多く現われておりますから、あえてこの御質問を申上げたのであります。
 まあこれで、このたびの私の質問は打切ります。
○小笠原二三男君 この取扱ですがね、重政君のお話は、一般論として、前段は責任の所在の問題ですが、これは国会としては重要なことなんで、こういう点について刑事局長の御答弁をもらつて、ああそうですかというわけにはいかん問題です。こういう点については、やはり大臣から責任のある御答弁をして頂いて、進んで頂く。専門家として刑事局長は補佐して答弁して頂く。こういうふうにして頂きたい。どうも答弁は逆なように思われて、局長と議員と渡り合つて、ここでいろいろやつたところで仕様がないのですが、一つ結論的に法務大臣からこの問題についてのはつきりした御答弁をお願いしたいと思います。検事個人の責任のような話をしますけれども、最高検が一切の指揮権を持つてやつておるのでありますから、それを末端の検事に起訴のほうでやる場合もあるだううけれども、検察行政一般の責任であるということは間違いない。
 そういう意味で法務大臣から御所見を承わつておきたい。
○国務大臣(犬養健君) 御尤もでございます。起訴の厳正、横事総長が最高責任者でございます。著しく失当の場合は、検察官適格審査委員会の対象となるわけでございます。それからそれほどでもなくて、どうも事務上、もう少し緻密であつたほうがいいとか、何何事件のときには某検事はこういうような態度であつて、検察官の適格審査会にかかるほどではないが、検察首脳部としては、本人のために考慮しなければならんという場合は、御承知のように身分は保障されておりますが、人事異動のときに、そういうことが考慮せられる次第でございます。もつと端的な平たい言葉で申しますと、栄転する度が著しく、或いは相当に遅れるというようなことがありまして、これは私ども……、私が就任以来、僅かに一年半でございますが、そういう場合にたびたび遭つておる次第でございます。
○松岡平市君 過去の事案について確定したものは、無罪が二件有罪が一件、比率は二対一で必ずしも無罪になるとは言えない。あとの三件は検事控訴中である。まだこれは有罪か無罪かわからん。こういうような刑事局長のお話で、如何にも逮捕請求したものの、最後の結果については、そう乱暴でないようなふうな印象を与える御答弁であるが、併しあとの三件は、決定はしないが、少くともこれは第一審が無罪になつておる。この件数のうちで、有罪になつたのはただ一件である。確定したものは二件、第一審においてです。これは刑事局長は本職でいらつしやる。第一審において無罪になつたと、これは一体どういうことかと、お考えになつてもわかると思うのだが、過去に、かような手続をとつて逮捕を請求せられた者のうち、何か六件のうち、ただ一件が有罪で、あとの五件は無罪、尤もそのうち確定はしないものもあるが、而も確定しないものが第一審で無罪である。こういう事例になつておる。
 こういう過去の実績を振り返り、今日、我々の同僚である国会議員に逮捕請求をされておる。これを若し間違つて、若しこれが無罪になつたときには、栄転の度が低いのだ。起訴するとか逮捕請求された検事は栄転の度がちよつて低いで済むが、請求されて起訴されたと、何年かかかつて無罪になつたと、罪にならなかつた。併し、議員は、今日国会議員として国会に出ておる、開会の最中に、逮捕請求という、こういう行動をとられる。そうして無罪になつても、これは取返しがつかない。栄転の度が低くなるというようなものじやないのです。現実に、これまで国会が始まつてからやられたうち、ただ一件だけ有罪でめる。あとは確定せんでも、一審でさえも無罪だという事例をたくさん持つておる。それにもかかわらず今日おやりになるなら、若し今日、我々が出された問題について、よろしいと、許諾をして、そうして起訴されて無罪になつた場合に、法務大臣は、如何なる御責任をおとりになるか。おとりになるおつもりか。
 只今おつしやつたように検事が栄転の度が低くなるということでお済ましになられる事案とお考えになるかどうか。その点についての法務大臣の御心境を聞きたい。
○国務大臣(犬養健君) お答えをいたします。
 栄転の度が低いと申上げたのは、もつと些細な事件について申上げたわけであります。かかる世間の注目を浴びておる事件については、もつと重大な責任を感じるのは当然でございます。
 ただ一点申上げたいのは、同じ無罪になりましても、先ほども刑事局長が申しましたように、何人がその衝に当つても、そういうことをするはずがないという重大な見通しの誤まり、処置の誤まり、こういうことについては、勿論検察官適格審査会にかかりまして、十分の処置を受けることと考えます。併し同じ無罪になりましても、何と言いますか、ボーダー・ラインと言いますか、起訴したほうの検察側にも理由があるのであるというような場合には、その度合いに応じまして処分が違つて来るわけであります。その個々の場合の事例につきましては、又若し御要求がありまするならば刑事局長から御答弁させたいと思います。
 栄転の度合いが少い場合というのは、普通のよくある地方の小さい起訴事件や何かで処置を誤まつ。或いは非常に見通しが悪い。或いは人権擁護に対して考え方が薄かつたとかというような事件は、そのまま記録に、本省に残りまして、人事異動のときに、それが参考材料になるというようなことでございます。
○松岡平市君 そうなればです。ここに元議員原侑君が無罪になつた。或いは田中角榮君が無罪が確定した。この場合に、これを取扱つた検事は現実にどのような責任を負い、又かような許諾請求を指揮した当時の法務大臣、或いは法務総裁というものは、如何なる責任をとられたかということを一応お伺いしたいと思う。
○政府委員(井本臺吉君) 原さんの関係は、たしか細野検事だと思いますが、それから田中さんの関係は、中村検事だと思いますが、いずれも数年前に退職いたしまして、現在役所には残つておりません。当時これを指揮いたしました上司の検事正等につきましては、只今どのような処分になつたか確かめておりませんが、特にこのために責任をとつたということは私聞いておりません。
○松岡平市君 そうしますと、今言うように退職しているとおつしやるが、これが罷免されたものであるかどうかということは明らかにしておりませんが、これも指揮した法務大臣なり或いは上部の検察責任関係者というようなものは、別に何も責任は負わされないが、議員はここで先ほど申上げましたように、恐らくは公正な裁判所が判決を出して、無罪であるという判決を出して、この判決については何人も疑いを挿む余地はなかろうと思う。こういうことになつても、片方はやられつ放し、片方は今言うように、別に刑事局長が御記憶にもなつていないような責任、どちらになつたか、今おつしやつたように、退職したが、これは罷免されたのかどうか。それを指揮した検事正、或いは検事総長、或いは当時の法務総裁、或いは法務大臣というものは、別に責任を誰も負つておらない。そうすると、今回の場合におきましても、私が申上げたこれだけの過去の実積が、こういうふうになつている。大部分が無罪。少くとも一害においてさえも無罪という事例を過去に持つているから、今度かような請求をされる場合には、曾つての場合とは違つた特段な確信が少くとも法務大臣はおありにならなければならんはずだ。こういう事例に鑑みて。少くとも私はそういう確信をお持ちになつているかどうかということは、昨日の刑事局長の趣旨説明に関連して後刻お尋ねをいたしますが、その前に責任として、かような事例があるにもかかわらず、この際、こういうことをあえておやりになるのだから、これに対しては法務大臣は、万一無罪の場合には、よしんば、法務大臣はいつまでも、この裁判が確定するまで法務大臣をやつていられるかどうか、それはさまつておらないが、世間に向つても、国会に向つても、十分なる責任をお感じになるだけの御自信をお持ちになつているならば、改めて一つ承りたい。
○国務大臣(犬養健君) お答えいたします。先ず前段について先ほど申落しました点を申上げます。免職するということは終身官でございましてありませんが、人事異動の場合に、不適当と思う人に対しては離職を促す。或いは地方の高等検察庁の検事長から退職勧告をいたします。そうして形は話合いで退職をせしめている場合があります。私の就任以来も、検事正中において十四人ほど退職を求めて退職があつた次第であります。その点を申上げます。
 それから過去の場合のことを調査して、かかる国会議員の逮捕請求については、具体的に今申上げることは憚りますが、検察第一線においては、十分に慎重な態度をとつて。近年いろいろな事件に携わりまして体験も持つておりますので、その点十分に注意し、いやしくも検察フアツシヨというような世評についても、従来の場合にもいろいろ考えるところがありましたので、今回は特に慎重を期し、又本省においても検察官に対して慎重を要求しているわけであります。従つて誰が見ても、何人が衝に当つても、実に不合理極まる逮捕である、請求であるという場合は、勿論その責めを受けなければならないと考えております。
○松岡平市君 誰が見ても不合理極まるようなものを国会に請求なさるはずはないのです。過去の場合において、それぞれ検察の各段階において、又指揮された最後の法務総裁なり法務大臣において、これは十分疑義ありということで国会に請求されたに違いないのです。にもかかわらず、結果を見るというと、ただ僅か一件を残して、あとは全部無罪だ。確定しないものは、一審においてさえも無罪だ。こういう事態になつておる。ところが今おつしやるように誰が見ても不合理だというときには、これはこの話合いをして退職を勧めるとおつしやる。検察官なるものは、終身誰もこの地位を容易に動かすことのできない特別な地位におつて、今おつしやるように話合いでもなければ辞めなくても済むという。議員はそういうものじやございません。一遍国会に逮捕請求をされたということになれば、これはもう一身上、一生涯再び拭うことのできないほどの痛手を負う事件でございます。そうして今ここにあなたのほうからお出しになつた事例を見ると、ただ一件が有罪であとは皆無罪である。この場合も十分なる確信を持つておやりになつたけれども、結果は無罪になつておるじやないか。今回においてはこのときにお持ちになつた確信よりは遥かに高い確信をお持ちにならなければならない。こういう過去の事例に鑑みてお出しになれるはずはないのだ。今回においては、それよりも確信を持たなければならないはずだ。併しそれが間違つておつたときは、法務大臣御自身、一体このために起訴され、或いはそして終いに無罪にされた議員に対して、如何なる責任をお感じになるかということを私はお聞きしておる。
○国務大臣(犬養健君) たびたびお言葉を返すようで恐縮でございますが、その無罪の判決のあり方、即ち何人が見ても、その無罪に対し、逮捕又は起訴が如何にも理由がないという場合は、責任は重大でございます。併し先ほど刑事局長も申上げましたように、無罪にはなつたが、検察官側の逮捕又はその起訴にも、その当時として十分に理由があつたという場合もあり得るのでございます。これは個々の事例に照さなければなりませんが、何人が、誰が見ても不当極まるという場合は、勿論責任をとらなければならないと思つております。それから又無罪にはなつたが、検察当局としては、これは逮捕又は起訴に、やはりそれなりの理由があつたという場合もあり得るのでございまして、これは御了解を願えると思いますが、結局、個々の場合において、厳正なる責任感を持つて対処するのが至当であると思つております。
○松岡平市君 今お聞きしておるというと、起訴することも十分なる理由があつた。併し無罪になることは、これは十分な理由があつて無罪にならなければならん、だろうと思うのです。そうすると無罪になることにも十分なる理由がなければならん。そうすると一体、十分なる理由を以てかような一応議員である者を起訴された。この裁判は、又十分なる理由があつて無罪になつたということになると、私たちは今、御了解が願えるとおつしやいますけれども、起訴と最後の判決というものの間に、いずれも十分なる理由があつて起訴され、そして無罪になるという、その十分なる理由ということが、私は了解しかねるわけです。
 私は、無罪になるのにはやはり起訴がどこかに欠点がある。或いは無理があつた。間違いがあつたということでなければ、無罪にならんだろうと思うでございますが、その点は如何でございますか、もう一遍私、その点がよくわかりませんから、お教えを願います。
○政府委員(井本臺吉君) 起訴の際には、勿論十分有罪の判決を得る確信を持つて起訴いたすわけでございます。訴訟法の規定が、新刑事訴訟法になりまして、公判の公訴維持の手続も、旧刑事訴訟法時代とは非常に違いまして、起訴の当時、相当の証拠があつて起訴いたしましても、公判の検事が、余り有能でないというような場合には、公訴維持ができなくて、みすみす有罪であるべき者が無罪になつたというような事例もございます。従つて無罪でありました事案が、全部検事の起訴がいけないというのではないので、無罪になつた事実につきましては、一つ一つ検討いたしませんければ、どこに欠陥があつて、誰が一番責任が重いかということはわからないと考える次第でございます。
○松岡平市君 そうしますと、原侑君の場合には、一審無罪で確定、なぜこれは第三審に向つて検事控訴をなされなかつたか。田中角榮君の場合は無罪刑事訴訟法の下における判決でございまして、新刑事訴訟法におきましては、四百五条以下の規定によりまして、判例違反或いは違憲の申立てがあつて、最高裁判所がこれを受理した事件のみが適法なものになつております。従つて二審といたしましては、二審までが最終というべきものでありまして、そのほかのは例外的に最高裁判所が受付けるということになるわけでございます。従つて二審の裁判があつたので、その二審の裁判に服したということになるわけでございます。
○松岡平市君 田中角榮君の場合に二審までおいでになつたのですか。これは二審にどうしておいでにならなかつたのですか。行けなかつたのですか。
○政府委員(井本臺吉君) 田中さんのほうは、一審で有罪の判決がありまして、被告のほうから控訴があつて三審で無罪になつたわけでございます。
○松岡平市君 そういたしますと、私確定、なぜ二審に検事控訴をなされなかつたか。今お聞きしておるというと、公判担当の検事が無能なためその他の事情で有罪になるべきものが無罪になつたというふうなことがあるんだが、これは最終審まで行つておらない、そうすると、今おつしやつたように、これは検察当局は飽くまでも有罪の判決を受くべきものとして最後まで手を尽しておられない。これはどういうわけでございますか。
○政府委員(井本臺吉君) 原さんの事例は、昭和二十六年十月六日、二審の判決があつたようであります。それから田中さんの事例が同じく昭和二十六年六月二十二日に判決があつたようでございます。これらは、いずれも新刑事訴訟法の下における判決でございまして、新刑事起訴法におきましては、四百五条以下の規定によりまして、判例違反或いは違憲の申立てがあつて、最高裁判所がこれを受理した事件のみが適法なものになつております。従つて二審といたしましては、二審までが最終というべきものでありまして、そのほかのは例外的に最高裁判所が受付けるということになるわけでございます。従つて二審の裁判があつたので、その二審の裁判に服したということになるわけでございます。
○松岡平市君 田中角榮君の場合に二審までおいでになつたのですか。これは二審にどうしておいでにならなかつたのですか。行けなかつたのですか。
○政府委員(井本臺吉君) 田中さんのほうは、一審で有罪の判決がありまして、被告のほうから控訴があつて二審で無罪になつたわけでございます。
○松岡平市君 そういたしますと、私が一人、この点だけで時間をとるわけには行きませんが、私が先ほどこれだけの過去の事実に鑑みて、この際あえて請求なさることについては、これは間違いない。今度は自信を持つておるということだけで、これは大変自信を持つていらしやるので、その自信が間違いなどというようなことを申上げようとは思わんけれども、この過去の実績に鑑みて、今回はこれらの場合とはまるで違つた角度から、これは十分確信が持てるというおつもりでお出しになつたということだけはお答え願えるものと思いますが、さようでございますか。
○政府委員(井本臺吉君) さようでございます。
○小笠原二三男君 この過去の事例については、松岡さんから再三御質疑になつておるのですが、議員であるのに逮捕請求をするということで、その責任問題を追求しておるのですが、その点は、私は検察当局は飽くまでも慎重な態度を持ち、それがために法務大臣も慎重な態度で御決裁になられておるものと考えます。それでこの点を変な角度で強調しますと、なお一般の国民でも逮捕せられ、起訴せられ、無罪になり、囹圄に泣くということは多数あるわけですから、議員の特権としてだけ、角度を変えて言い合つておつては、全体の問題として今後うまくないと私は考えます。精々松岡さんがお尋ねになつた点で、法務大臣が責任を持つて、確信を持つてこういう手続をとらざるを得なかつたということが明らかにされましたので、この事例については、この程度にせられて、内容に入つて審議して頂きたいと、かように存じます。
○重政庸徳君 今の小笠原さんの御意見、御尤もだと思うのでありまするが、併し一般とは又異なつた議員に特性がある。議員は、少くとも参議院議員で二十万になんなんとする国の意見を議会に反映するのを放棄して逮捕せられる。これは演縛して行けば、一般と違う人間の権利ということになるので、これは非常な大きい特殊性があるということを一つお考えになつて頂きたい。
○長谷山行毅君 法務大臣にお伺いしたいのですが、昨日の議運において御説明なさつたような際に、この問題について加藤君が四月の一日と四月の三日に取調べを受けた。そうしてその書類が四月の三日に法務大臣の許に参つて、それを三日、四日、五日と検討されたが、これには不備な点があつた。それで更にその点捜査を命じられたのかどうかわかりませんけれども、七日までにその書類を受理した。こういうような御説明ですが、この不備な点というのは、どういう点が不備なのか。その点を伺いたい。
○政府委員(井本臺吉君) 調査等につきましては、私が仔細に点検したのでございます。甚だ恐縮でございますが、これから、場合によつては逮捕許諾をお願いいたしまして調べなければならない被疑者の関係でございますので、かくかくの点が不備で、かくかくの点がよろしいというような微細な点は、どうか一つ御容赦願いたいと思いますが、非常に捜査に差支えますので、その点を是非御容赦願いたいと存ずる次第でございます。
○長谷山行毅君 一々の供述の点は、書類の面にこういうふうに記載があるとか、そこまで詳しくはお尋ねするのではないのですけれども。それじや、その三日までですか調べられた証拠では、加藤議員の容疑がわからなかつた。こういうふうに解釈していいのですか。
○政府委員(井本臺吉君) 法務大臣の御指揮を受けるには、少しく不十分であつたと私は考えた次第でございます。
○長谷山行毅君 それでは、この関係者の取調べも、それまでに行われていると思うのですが、そういうことと、それから加藤君自身の供述、そういうだけではつまり只今刑事局長のお言葉によると、法務大臣の指揮を受けるには足りないと言われますけれども、容疑があれば、法務大臣の指揮を受けられると思うのですが、容疑がないから、これを法務大臣の指揮を受けるまでに至らない。こういうふうに解釈されるように思うのですが、その点どうですか。
○政府委員(井本臺吉君) ざつくばらんに申上げますと、書類につきまして、最高検以下の関係の部局と相談いたしました際に、それならば、いま暫らく調べて、これを追加した上で決裁を受けようという相談ができましたので、我々、暫らく猶予した次第であります。
○長谷山行毅君 その点、もう少し何か不明瞭なんですが、不明確なんですか、それでは、その五日以後に七日までかかつて、この不備な点を補充したと言うんですが、その間に関係者が調べられたわけなんですが、その関係者を調べることによつて、その不備が補われたのですか。
○政府委員(井本臺吉君) 簡単に言えば、そういうことになります。
○長谷山行毅君 その関係者の供述というか、取調べによつて、不備の点が補われたならば、加藤君の事業に関して取調べなくとも、もうその容疑の点は十分だ。こういうことになるのですか。
○政府委員(井本臺吉君) 関係者の取調べが済みまして、逮捕請求するまでに十分の自信を持つてできるという段階に達したと、私は考えるのでございます。
○長谷山行毅君 昨日の刑事局長の御説明の中に、加藤君の供述はその前後の関係がどうもはつきりしない点があるし、又関係者の供述と、内容において非常に食い違いがあるのだ。こういうふうに言われておつたのでありまするが、そうすると、その関係者の供述自体を以てして、十分その五日から七日までの補充によつて、関係者の供述のほうが非常に真相を穿つておつて、加藤君の供述のほうは非常に違う。かようなふうにお考えになつておつたのですか。
○政府委員(井本臺吉君) 一概に言いかねる次第でありますけれども、いろいろな関係者なり証拠物などを調べまして、事務的に、四月七日の日までには、はつきりした結論が出たのでありまして、それでは四月三日に、全然用意がなくて、四月七日に急に用意ができたというような、こういうようなお尋ねに対しましては、私甚だ答弁に窮するのであります。この事案は、その一日か二日で結論を出したというのではないのでありまして、相当に日時がかかつて、当初調べたというのが真相でございます。
○小笠原二三男君 ちつと一言簡単に。容疑はあるにはあつたが、法務大臣の指揮を仰ぐのには不十分な点があると感じたということは、国会に逮捕請求をした場合に、いろいろの審議をしてもらう場合に、逮捕請求の正当性を裏付けるのには不十分だという意味合いでございますか。それとも、容疑として信ずるに足る資料ですか、何かにおいて、不十分だということですか。国会との関係で不十分だと考えられたのですか。その容疑事実そのもので不十分だとお考えになつたのですか。
○政府委員(井本臺吉君) 容疑そのものが、調べが不十分であると私は考えたから、大変長い日にちがかかつたわけでございます。
○小笠原二三男君 そうしますと、井本刑事局長のような明敏なかたがおつて判断をし、再度いろいろな審査をさせるようになつたからいいけれども、検察当局そのものに委しておれば、不十分な状態で逮捕請求をしようとしたことは、意思として間違いないのであつて、そういう不十分な形で逮捕請求がされるという場合もあり得ることを立証しておる。たまたま刑事局長は明敏なおかただつたから、その点はとどまつたのですけれども、三日、四日に逮捕請求を検察部内では決定をして出して来ておるのですから、それをちよつと待つたとなつて、七日までかかつて、漸く容疑上事実として十分であろうとなつたものなんですか。不十分な状態で逮捕請求を国会に対して出そうとしたということも、争われない事実、又そういう関門で、よく審査するかたがいなければ、そういう不十分な状態で逮捕請求が院において許諾されます場合には、その通り逮捕せられ、執行せられ、起訴せられ、無罪にもなつて来る。
 こういう状態も過去においてなかつたとは言い切れない。こういうことになつて来るわけですが、そういう、失礼な言分ですけれども、お粗末な状態で逮捕請求がなされる場合の可能性もあるということについては、否定できないように思うのですが、この点、法務大臣如何ですか。
○国務大臣(犬養健君) 私が自身で読んだんでございませんから、要点だけ聞きましたものといたしましては、補充説明をあとで刑事局長にさせるかも知れませんが、私が報告を聞いた限りでは、刑事局長の指示によつて補充をすればなおいい。十全である。こういうふうに感じたのでございます。
○小笠原二三男君 そうすると、それは刑事局長の言い方が舌足らずなのであつて、三日、四日では不十分だということでなくて、十分それでもやり得るが、なお慎重を期した。こういうことのようにも、今受取れるのですが、そうならばそうだと言つてもらわなければ、最高検なんというものは、よほどこれは軽卒な逮捕したい、逮捕したいということで、はやりにはやつているような印象を受け、誠に検察当局のためにとらんことでありますから、局長から補足説明があればお聞きします。
○政府委員(井本臺吉君) 重大な事件の逮捕請求でございますから、慎重の上にも慎重を重ねたということで御了解を願いたいと考える次第でございます。
○石原幹市郎君 昨日の刑事局長の説明書を見ますると、加藤氏の逮捕許諾請求が二日遅れましたのは、その関係者の調べがまだ十分にできていないということでと、こうあるのでありまして、先ほど大臣は、いろいろ言われましたが、どうもその説明から見ると、刑事局長の所へ来て、どうもまだこれでは確信を以て逮捕許諾が請求できない。そこで更に調べ返したというか、補足調べをやつたというようにしか我我は見えないのですが、先ほど大臣なり局長は、それぞれ今までの事例もあることであるから、こういう事案に対しては慎重に慎重を期しやつておるというお話でありますが、ここで慎重になつたとも見えまするが、今までのお話にも出ましたように、個々の事案で、この二日前なら二日前の段階での或いは逮捕許諾があつたかも知れんということが考えられるのですが、どらも只今までの説明では、こういう取扱について、必ずしも万全が期せられていないような感じを持つのです。
 なお、更に一点伺つておきたいのでありますが、この補充調べをしたあとで、更に加藤議員に対して或いは出頭を求めて、いろいろ聞き質してみなければならなかつたようなことがあつたかどうか。或いはそういうことをされたかどうか。この点について……。
○政府委員(井本臺吉君) その後には、加藤さんは取調べはしておりません。その逮捕請求をいたしました点に徴しましてもおわかりになると思いますが、いろいろ加藤さんについては、なお調べなければならないものがいろいろあるのでございます。
○石原幹市郎君 私は後で一つ、本質的に聞くときに質したいと思つておりますが、一応、国会の末期になつてまでこの院の許諾を求めて逮捕請求をしよう。こういうことでありますから、その前にやはり万全を期してもらいたい。本来ならば任意出頭ば十分徹底的に、調べることがあれば調べてもらいたいと思うのであります。補充調べまでやつたのでありますから、それに関連することで、やはり私は、加藤君に対して任意出頭なり何なりを求めて逮捕許諾まで行かんでも済むかどうかということまでも検討を僕は加えてもらいたかつたのであります。起訴するとかしないとかというのでなく、参議院にこれだけ重要法案が山積しておる場合、逮捕許諾を求めなければならんということでありますから、その前に加藤議員に対して、私は十分の任意出頭による調べを私はやつてもらいたかつたかと思います。
○政府委員(井本臺吉君) 重要な関係者の一人である三盃氏は、四月六日にリベート関係の特別背任で起訴されております。それから小山氏は、三月二十五日、やはり贈賄罪で起訴されております。両氏は現在の状況では、裁判所で保釈の許可があれば外に出られる段階にありますので、一日も早く加藤さんの取調べをしなければならない段階にあると私は考えておるのであります。
○石原幹市郎君 関連で、これ以上継続するのはなんですが、あとでやりますが、ほかの者が出て来るかも知れないから、加藤君を一刻も早く、言葉は悪いがぶち込まなければならん。こういう点について、私は何としても今回のこの逮捕請求について釈然たらざるものがある。容疑事実も、大体こういうことであるし、而も事案の内容については話されないで、意思があるとかどうとかということだけであります。向うが出て来るかも知れないから、早くこれをぶち込まなければならん、加藤君を調べなければならんということについては、全然釈然としないのであります。言葉は強いが拘禁して自白を強要しよう。或いは拘禁による一種の、これも言葉は強いですが、拷問のような形になります。こういうようなことにしか我々はとれないのでありますが、今の刑事局長の、向うが出て来るから、一刻も早く加藤君をふち込まなければならんということには、どうも納得できない。十分加藤君を呼んで質せるだけ質して、而も関係者の取調べが十分でなかつたので、逮捕許諾の請求が数日間遅れた。その調べをしたのち、更に十分加藤君の出頭を求めて、補充調べと対応してよく加藤君を質して、その上で許諾請求をやつて然るべきであると私は思います。
 その点について伺います。
○政府委員(井本臺吉君) 補充の調べをいたしましたのは、前にすでに現われておるのを、更により確かめるという事情でございまして、私の立場では、それ以上加藤さんを調べても事情は変らないという見解を持つた次第でございます。
○小笠原二三男君 後で忘れるといかんから、どうも気にかかる言葉が答弁中にあるのでお尋ねします。加藤さんにはいろいろ他に調べたいことがございますと言つておりますが、私どもは、こういう事実、内容で、逮捕請求がされて、その逮捕請求で問題が解決するという前提で、いろいろ問題を考えておりますが、このことも一つの事実だが、他にいろいろ調べて見て、出て来るものがあれば出て来るものとして取調べるのだ。こういうことが含まれて、法務大臣としてはこれを御決裁すつたのかどうか。
 これは事実として、若しも仮に許諾決定になりますと、取調べの結果明らかになつて来ますから、余りこの点は隠さないで、率直に御答弁願いたい。
○国務大臣(犬養健君) 逮捕請求をお願いしました理由以外に、被疑事実というものの報告を受けておりません。
○小笠原二三男君 井本局長の先ほどの答弁は、何を指して言つておられるのか重ねて御説明願いたい。
○政府委員(井本臺吉君) 被疑事実といたしましては、逮捕許諾請求に示しております被疑事実だけでございます。いろいろ取調べをしなければならんというのは、その被疑事案に関連いたしましたものを申上げたのでありまして、別個の被疑事実を調べるというような強い意味で申上げたのではございませんから、かよう御了承願います。
○小笠原二三男君 君強い意味で申上げたのではないが、そういう場合もあり得るということもあり得るのですか。
○政府委員(井本臺吉君) 検察官が調べの過程におきまして、若し余罪がわかるというようなことがあれば、これは取調べをしなければならない義務と権限がありますので、さようなことはないとは言えませんが、只今の段階では、被疑事実だけについて取調べをしたい。かように考えております。
○小笠原二三男君 重ねてですが、他に被疑事実が出て来たら取調べる場合もあろう。今度は、そういうことではないが、関連して、実態は参考人として他の事件について聞かなければならんという事態が起れば、やつぱり逮捕請求して逮捕されている間に、検察官は他の事件に関連して参考的な陳述を求めるということも可能なんでございますか。
○政府委員(井本臺吉君) さような点も、可能ではないとは申上げません。
○松岡平市君 大変ぼやけてしまいましたが、二日間調べたのは、法務大臣の答弁では一応十分であつたけれども、更にそれを完璧ならしめるというか、十分ならしめるというためにそうしたのだと言う。ところが先ほど石原君が、その点を追求申上げないけれども、刑事局長は、速記によるというと、逮捕許諾請求が二日間遅れましたのは、その関係者の調べが未だ十分にできていないということでと、こう言つておる。大変、私は陳述が、あなたがたの御答弁の内容が違うと思います。いずれが真なりやということをもう一遍はつきりしておきたい。先ほどは初めから聞くというと、一番初めにおつしやつたことは、調べが十分でない。だから、これによると、そうです。調べが十分でないから関係者を調べたと、こういうことです。それで小笠原君は、このことについて今、国会に対する関係で不十分であつたか。それとも容疑内容で不十分であつたかと言つたところが、容疑内容で不十分であつた。不十分ならば、それは、井本局長が十分ならしめたけれども、不十分な部分があるのじやないかと、こう言つたならば、いや十分であつたけれども、更に完璧ならしめた。こうおつしやるが、若し十分であつたとするならば、二日間遅らせる理由は一つもないので、二日間遅らしたのは、必らず不十分であつたから遅らかした思う。
 若しこれが十分であつたけれども、なお二日間遅らかしたということになれば、これは刑事局長なり或いは法務大臣の責任問題となる。二日間故意に遅らせたのではないか。こう世間では……。今日午前中も随分その点が問題にされたのは、故意に遅らしたのではないか。遅らさざるを得ないものだけのものがあつたのだ。法務大臣は、さつきは十分であつたけれども、更に完璧ならしめた。よく速記をもとに戻して行くと、ちやんとその関係者の調べが、まだ十分にできていない。こういうことを言つておられる。どこが本当のことやら、一向私たちは掴みがたい。もう少しつつみ隠さず本当のことを……。あなたがたは、刑事局長は被疑者を検挙になつてお調べになる。これから我々の同僚加藤君をあれやこれやとお調べになり、つつみ隠さず言えとおつしやるかも知らんが、そんなことをなさる法務大臣や刑事局長が、どこが本当かわからんということなら、進行できません、言つて下さい。
○政府委員(井本臺吉君) ともかく関係者がたくさんありまして、念には念を入れてという建前で私どもおります。調べの過程におきまして、実際被疑を扱つおります検事といろいろ話合つてみますると、それじやその点は、もう少し確かめましようというような点でありましたので、さようなことを申上げたのでありますが、ほかに他意があるのではなく、これは見通しを付けてやれば、或いは四月五日でもやつてやれないことはなかつたかも知れませんけれども、私といたしましては、更に念を入れて確かめるべきであるという観点に立ちましたので、多少時期が遅れたということになるのであります。
○長谷山行毅君 先ほどこの点は、石原委員からも質問があつたわけですが、この補充調べをして、その後に加藤君を呼んで聞かないというのは、これ以上聞いたつて無駄だろうというふうなことを先ほどお述べになつたようですが、どうして、それが無駄であるか無駄でないか。それとも加藤議員が前の取調べの際に、今度は、呼ばれても絶対出頭しませんとか何とかいうなら別ですが、捜査の本体というのは原則的にはこれは任意捜査をやるべきであるのに、なぜ任意捜査の手をもつと尽さなかつたのか。この点についてお伺いしたい。
○政府委員(井本臺吉君) 二回に亘つて調べました関係の事実を確かめたというのが大体の実情でございまして、新たに何か事実が特に出たのでありますれば、又もう一度調べをするというのも妥当であろうかと考えますが、前の事実を確かめたというような点を御了承願いたいと思います。
○長谷山行毅君 今又前の事実を確かめたということになると、さつきの更に補充してこれをはつきりさせたということと、又食い違いになつて来るわけなんですが、前の事実を確かめたならば、又加藤君についても、更に確かめてもいいのじやないですか。その手を尽さないのは、どういうわけがあるのか。
○政府委員(井本臺吉君) 私は只今の段階では、そこまでやる必要はないのじやないかと考えた次第でございます。
○長谷山行毅君 私は、そういうことになると任意捜査のあらゆる手を尽して、而してそれでもできないという場合には、初めて強制捜査をやるべきもので、それが頭から、この事件についでは任意捜査じや駄目なんだというふうにやられて、そうしてこれは、もう直ぐ強制捜査をする。そうして逮捕状を請求する。今、議会の開会中に、もう大事な議会でも、逮捕状さえ出してしまえば、議会がこれに許諾を与えるだろうというふうな予想で、今後もこういう事件を取扱われるならば、これは重大なことだと思うのです。そういう意味で、なぜもう少し任意捜査の手を尽さなかつたかという点について、もう少し御説明があつて然るべきだと思うのです。
○政府委員(井本臺吉君) ともかく四月四日から七日に亘りまして二日間、更に調べをした。それだけ慎重に調べをしたという点について、御了承を頂きたいと思います。関係者が、先ほど申上げましたように直ぐにでも出るというような状況で、或る程度十分の認証が固まれば、一日も早く逮捕許諾の請求をお願いをしなければならんという状況でありましたので、かような手続をとつたという次第でございます。
○長谷山行毅君 そうすると結局、加藤君を今この機会に、議会の許諾を得て逮捕しなきやいけないというのは、ただこの関係者の二、三が、近いうちに保釈になるかも知れない。こういうことだけで、そういうふうな措置をとられることになつたんですか。
○政府委員(井本臺吉君) それだけとは申上げませんが、それも非常に有力な理由でございます。
○長谷山行毅君 もう一遍聞いて、お伺いしたいのですが、先ほどこの三盃という人と、それから小山ですか、これはいつ起訴になつたのですか。
○政府委員(井本臺吉君) 小山は、三月二十五日と記憶いたしております。それから三盃は、四月六日でございます。
○松岡平市君 起訴されたのがですか。
○政府委員(井本臺吉君) さようであります。
○長谷山行毅君 それでは加藤君が、これは呼ばれて身柄を拘束されても、今黙秘権を行使することもできるんだし、これはその供述が、果して三盃とか小山の供述が、真相を穿つているものだという証拠があれば、そのほかのいろいろな証拠によつて真相を穿つておるものだとするならば、あえてこれも、この時期に加藤君をわざわざ強制的に逮捕する必要もないと思うのですが、その点は、どういうふうにお考えですか。
○政府委員(井本臺吉君) 仮に加藤さん、若しくは加藤さんの関係のかたからの何らかの示唆があつて、小山若しくは三盃氏の供述がいろいろ変つ来ますと、涜職別保の事件が調べができないのでございます。真相がどこにあるかということは、これは御本人には甚だお気の毒でございますけれども、或る期間外界と交通を遮断いたしませんければ、僅かな示唆でも、証拠を隠滅される虞れがありますので、真相発見には、どうしてもそういうふうにしなければならんという結論に達したのでございます。
○長谷山行毅君 今刑事局長がおつしやるように、涜職事件の捜査は確かに非常にデリケートな問題があるので、そういうことは捜査当局としては非常に御苦労されておるだろうと思います。
 併しながら、どうも私としては、その任意捜査で加藤君をもう少し任意捜査の段階において調べる手段をまだ尽していなかつたんじやないかというふうに考えるのですが、それについて証拠隠滅の虞れがあるというふうなことは、この二人の関係者が出れば、証拠を隠滅するだろう、という行為を虞れるということなんですか。
○政府委員(井本臺吉君) それだけではございませんが、それも大きな一つの理由であると、さように考えます。
○長谷山行毅君 新聞等によつて見ますれば、高いろいろな数多い、いわゆる事件について、相当多数の国会議員が調べられているようですが、それらの人は、或いはこれは新聞で伝えるところでありますからよくはわかりませんけれども、金の、金銭の授受等については、相当はつきり言つておる。或いはその、併しながらある趣旨を否認しているものもあるかも知れませんけれども、私たちの聞くところでは、加藤君はこの金の授受については認めておられるようです。又その趣旨については、刑事局長の昨日の御説明では、どうも否認しておられるような表現をされているようでありまするが、恐らく加藤君を今後調べられても、その金銭授受の趣旨の一点に尽きるものだろうと思うのですが、そういう趣旨の点を調べられるために、何かはかの証拠をもう少しお調べになつて、加藤君に、黙秘権さえ行使することを与えられておる今の刑事訴訟法においては、わざわざこれを逮捕して強制力を使つて調べるというのは、何か自白でも強要させるためのようにも思えるのですが、そういうことがありやしないかどうか。その辺のまあ検察当局の腹の中はどういうものか。その点をお伺いしたい。
○政府委員(井本臺吉君) 身柄を拘束いたしまして自白の強要をするという考えは毛頭ございません。涜職犯罪の特質で、本人たちの供述しか証拠が殆んどありません。たまにそのほかの物的証拠も出ることもございますが、それが出るのは殆んど稀でございます。その金の授受の態様が非常に微妙でございまして、例えば袖の下というような、袖の下からそつと出したのか、公然と出したのであるのか、或いはそのときの言葉のやりとりがとうであつたか、さような細かいデリケートな事情が、この事実の認定の資料になります。さようなデリケートな事情を調べるのには、どうしても外界と交通を遮断をいたしまして、証拠隠滅ができないようにした上で調べないと、真相がわかりかねるというのが私どもの考えでございます。
○長谷山行毅君 勿論そうであつてもらわなければならないし、そうだろうと思いますが、併し先ほど小笠原委員からも、ちよつとその点について深く追及された点でありますが、その先ほどの刑事局長のお言葉の中に、どうも何か他にも調べなければならないような容疑もあるようなことを匂わせた点があつたようでして、どうもその点、釈然たらざるものがあるのですが、若しこれは、他の今の事件のいろいろな筋から言つて、加藤君を調べなければ、更にそれから先の鉱脈が掘り出せない。こういうふうなことのために、加藤君のみを特にこの機会に強制捜査をする。こういうふうなお考えがないかどうか。そういうふうなことじや絶対ない。つまり加藤君がそういうふうなことになれば、或る捜査のための一つの資料に提供されるような結果になるのですし、加藤君自身として、非常に迷惑でもあるので、その点について、はつきりしたことをお伺いしたい。
○政府委員(井本臺吉君) 逮捕許諾請求に現われている犯罪の容疑についてのみ取調べをしたいと考えておるのでございます。
○松岡平市君 議事進行……。今ようやく第一点の問題ですが、これは大変時間がかかつて、同僚各委員に御迷惑でございますけれども、なおお聞きしたい点をたくさん持つておるわけでございますが、六時半になりましたので、一応夕食の関係もございますので、各委員の御同意を得て、極く短時間でも結構ですから、夕食のために委員会を休憩せられんことの動議を出します。
○藤田進君 どれくらいかかる予想ですか。お宅のほうの質問は。
○小笠原二三男君 話も聞けば、発展した質問も起つて来るのだから、時間的な都合を見計らうということはちよつとできないだろうと思いますが、まあ夕食を食べてやろうということは、腰を据えてやろうということでございますから、異議はございません。
○委員長(寺尾豊君) 皆さん御異議なければ、休憩をいたしまして食事をいたしますが……。
 ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
○委員長(寺尾豊君) 速記を始めて。
 それでは、四十分間休憩をいたします。
   午後六時四十一分休憩
   ―――――・―――――
   午後七時四十五分開会
○委員長(寺尾豊君) 再開をいたします。
 続いて御質疑をお願いいたします。
○松浦定義君 最初から議事進行のような形でなくて、いずれ又、本問題の審議の経過から見まして、今晩相当遅くなるようなふうに私としては考えられますので、大体の時間をどれくらいまで勉強するか……。
○委員長(寺尾豊君) 速記をとめて。
   午後七時四十七分速記中止
   ―――――・―――――
   午後八時四分速記開始
○委員長(寺尾豊君) 速記をとつて下さい。
○石村幸作君 先ほどの長谷山君の質疑に対して刑事局長が、この問題は加藤君を二回取調べてその後許諾を求めるために書類を調べたところが云々と、そして関係者を又取調べしてそうして書類の上の整理をした。そこで長谷山君が、なぜそのあと新らしい事実やいろいろな男があつたならば、加藤君を取調べをしなかつたか、任意出頭で取調べをしなかつたか。まあいろいろ質疑があつたのですが、そのときに刑事局長は、加藤君を取調べる必要はないという言葉でお答えになつた。これはどうも私は腑に落ちない。必要はないと……、そこで昨晩のこの説明ですか、これを見ましても、交通を遮断して取調べをしなきやならん。何か一日も早く一ときも早く放り込んで、そうして拷問じやないのだけれども、そういう態度で調べたら、検察庁の思つておるような俗にいう泥を吐く。まあこういうふうな態度が強過ぎるように思う。その点如何ですか。あなたは必要がないとこうおつしやつたのです。
○政府委員(井本臺吉君) 必要はないのではなくて、大いに調べる必要はあるのでございますが、現状のままの状況で調べても、今の調べの結果以上に進展することはむずかしかろうということを考えたわけでございます。私どもが交通遮断いたしますのは、何か強制して自白を強要するのではないかというようなお考えがあるやに窺えるのでありますけれども、毛頭さようなことは考えておりません。事案の性質上、さような調べをしなければ、到底事実の真相が発見しがたいので、そういうような手段に出なければならんのではないかと考えておる次第でございます。
○石村幸作君 そこで交通遮断してと言うのは、先ほども御答弁のうちにあつたが、関係者を近いうちにいつ釈放して出すかもわからん。そういうふうなので早く逮捕しなければならんというような言葉もあつたのだが、まだ関係者は釈放されていない。そうすると、あのときに加藤君を任意出頭で一回なり二回なり三回なりお調べになつても、釈放されて、いろいろな連絡をとるとか、そういうふうな危険はなかつたはずなんです。それもその当時はつきりわかつておるはずなのに、特に今の段階で、今の状態で加藤君を調べる必要はない。こういうふうに主張なされるのですが、これはまあ証拠隠滅の虞れがある。こういうことになつて来るのですね。
 そうするとこの昨晩の御説明を見ても、我々どうも十分な理由があるということがどうも納得できない。それでまあ執拗に伺つておるわけなんですが、例えばこれを拝見しましても、加藤君は居所が不明だということもなし、逃亡の虞れもない。そうすると証拠隠滅の虞れがある、ここへ来るのでしようが、それは両方の先ほどからいろいろ繰返された供述が合つてない。合つてないというのは、金を二十万円受取つたということは認めておる。そうするとこの謝礼に貰つた、つまり請託に対する謝礼に貰つた、そうじやないと、ここへ来ると思う。どうもこういう簡単なことで、何でもかでも交通遮断だ。放り込まなければならんというのは、どうもまだ十分な理由ということを我々認められないのです。これを拝見しても食い違つておると特筆大書してあるのですね。あなたの昨晩のお話には、関係者のものはこういうふうに言つておる。それを見ると何か子供偏しのようなことが書いてある。あなたのおつしやるように━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━まあこんなことは事実あり得たのですか。
 こういうふうにおつしやられるが、私はまあ馬鹿々々しいように考える。こういうふうなことを土台にして、そして加藤君の供述と合わない。だから、これはもう一日も早く国会議員の憲法で与えられた身分の保障、それまで叩き壊して、そうしてこの許諾を求めてまでしても、一日も早く放り込まなければならん。それが私はどうも先ほどから言つている十分な理由というのは、これは薄弱のように思うのですが如何ですか。
○政府委員(井本臺吉君) 私、昨日も申上げたのでございますが、造船利子補給法等の改正案若しくは予算の関係で、いろいろ前からお願いをしたりして参つたこの関係者が、いよいよ法案も通り、予算も通つたというところで、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━。かような一連の金の一つとして加藤議員に金が届いたという状況でございますので、ただ漫然と金を差上げたというようなことではないように私どもは調べて参つたわけであります。
 さような関係で、供与したほうの側の供述を見ますると、直ちにこれは起訴にでもして裁判に廻したほうがいいのではないかというような感じを持つのでございますが、事、現職の議員さんのことでもございますし、慎重の上にも慎重に調べなければいかんというので、一応在宅のままで二日も調べまして、その他の諸般の事情をいろいろ考慮いたしまして、結局交通遮断をしなければならんというような結論に達したわけでございます。
○石村幸作君 それはどうも、何遍繰返しても、十分な理由というものは認められない。それとまだこの内容について申上げたいことがたくさんあるけれども、又あとで申上げるが、私は今までの関連で申上げるというので、委員長の了解を得ておきます。
 そこでこういうふうな、どうも我々がかくまでして、許諾を得てまで逮捕しなければならんという十分な理由を発見しない。それで先ほど当初に、重政委員からも質問があつたのですが、ここに国会議員逮捕許諾請求調の中の五、六ぐらいまでの間につきましても、こういう無罪という結果が出ておる。そういうことを考えますと、今回の加藤君に対しても、むしろおのずからそこに思いをいたすところがある。そこでこの今のお話をちよつと戻りますが、加藤君に対する今の御意見があつた。そうなつて来ると、どうしてもここに一遍加藤君を、先ほど松岡君のお言葉にもあつたようですが、どうしても加藤君をここに出てもらつて、そうしていろいろ問い質して、又本人の弁明も聞きたい。こういう気持になつて来る。これは皆さんに一つ御了解を得たい。
 それからもう一つは、先ほどのこの過去において許諾を求めて逮捕せられて、そうして、裁判の結果、こういう無罪になつた。そのときのことに対して、重政委員からこの指揮者である検事は誰かというような質問に対して、刑事局長はわ小らないというようなお言葉でしたが、これはわからないじや済まないので、一つ参考にしたいから、是非調べて出してもらいたい。同時に、当時の逮捕の要求老であるこれは検事、検察庁側の検事及び今申上げた指揮をとつた検事の氏名をちよつと調べて出して頂きたい。聞くところによると、これは違つているかも知れませんが、河井検事というのが前にも相当にやつている。今回も河井検事が主になつている。これは事実かどうかわからないが、素人の耳移しに聞いたので……。そうすると、こういう先ほど盛んに論議された横事の措置に対するいわゆる反対の結果が出ているのに、こういう検事諸君は、恬として恥じないで逮捕状を出して来るということは、これは一応参考にしたいから、お調べを願つて、資料として出してもらいたい。まだこれは内容について聞きたいけれども、ただ、私は今までの慣例の上から……。
○小笠原二三男君 関連で、本質問はあとからというような取扱は、議運において未だ曾つてしたことがございません。そういう意味であなたがたがおやりになるならば、私たちは私たちで、一応意図的なものであると考えれば、あなたたちはないと言つている。私たちは、別途の方法を、審議の点からも用いなければならない。私たちは率直に皆さんがた自由党の立場に立つて、同僚議員の問題でありますから、慎重な審議をしなければならんという善意を信じて、本質的な、的確な質疑がどしどし行われて、そうして問題点が明らかになることを期待しておるのですから、ただそういうふうに羅列的に質問をされて、荏苒時間をとるというような態勢の結果としても、又誤解を受けるようなことであれば、参議院の議院運営としては、これは望ましい形でないと思うのです。一つ重点的にこの点は慎重に御質疑を私はしてもらいたいと思います。今までお願いしておりますような………。
○石原幹市郎君 私は、先ほどの長谷山君の質問に関連して、関係者の調べもまだ十分にできていないという刑事局長の昨日の説明と、先ほどの法務大臣のお話と、若干食い違つておるように思いまするので、その点を更に納得行くまで聞きたいと思うのでありますけれども、その前に参考に若干承わつておきたいのでありまするが、衆議院で本日許諾になりました岡田、關谷両氏の被疑事実、それから逮捕許諾理由というのは、大体加藤君と同じようなことになりますか、どうですか。
○政府委員(井本臺吉君) 多少のニユーアンスは違いますが、大体同じような事実でございます。
○石原幹市郎君 それで被疑事実は、大体同じようとも思うのでありまするが、逮捕許諾の理由といいますか、岡田、關谷君などについても、やはり任意出頭で相当お調べになつたのですか。
○政府委員(井本臺吉君) やはり、いずれも二回ほどお調べをしております。
○石原幹市郎君 岡田、關谷君について調べられたその状況と、加藤君の状況について、差支えなければ、ここで同じようなことである、或いは非常に事態が違つておるというようなことについて……。
○政府委員(井本臺吉君) 詳細のことはちよつと申上げかねますが、この金銭の授受については――。
○石原幹市郎君 それでは、岡田、關谷両氏は、こういう事実はなかつたと言い、加藤君は、我々の承知している範囲では認めているが、その趣旨が違うと、こういうようなことでございますか。
○政府委員(井本臺吉君) 簡単に言いますと、結局そういうようなことになると思います。
○石原幹市郎君 そこで私は、その加藤君の今回の事案は、今まで私はお伺いした範囲でその通りであるとすれば、衆議院のほうの岡田、關谷君の事案と、やはり相当違つているように僕は思うので、岡田、關谷両氏は、全然そういうことがないと言つておる。加藤君は事実はあるが、いろいろその間の気持が違うというようなことのようであるのでありますが、それだけに、私は今回の加藤君の事件については、やはり逮捕許諾を請求されるについては万全を期して、十二分にできるだけの事前の捜査を、任意捜査をやつて頂きたいと思うのであります。殊に昨日の刑事局長のお話では、加藤君の供述は、一回目と二回目と二回の調べの模様も、いずれも前後供述が違つておりますと、こういうお話もあるのであります。そうなりますと、関係者の調べがどうも十分でないので二日間も遅れた、更に補充調べをやつたというのでありますが、それにやはり即応して、加藤君の調べも一回と二回と違つておるというのであるから、もう一回それについて調べてみて、或いは三回目も違うかも知らん、そういうことをやらないで、一足飛びに逮捕の許諾を求めて来られたということについて、どうしても私は納得がまだ行かないのですけれども、もう一回、前の事情を一つよく話してもらいたい。なぜもう一回が加藤君を調べないで、直ちに逮捕の許諾を求めたのか……。
○政府委員(井本臺吉君) 余り私どもは、念には念を入れろという式で鄭重にやり過ぎたので、かえつてお叱りを受けることになつたかと思いますが……。犯罪捜査でありますから、余り長時間調べを続けるということにはいきませんので、先ほど申上げましたように重要な関係者も、いつ釈放になるかわからんという状況になつております。さような状況の下に、或る程度関係者の供述が確められて十分な心証が得られれば、一刻も早く調べの完結を急がなければならんと考えております。加藤氏もこの点につきましては、二回に亘つてお調べをしたわけでございますが、供述の前後がいろいろ違つております。これをもう一度調べるのは、鄭重には違いなかつたのでありますが、私どもとしては、この程度で最後の仕上げをしなければならんという結論に来たわけであります。
○石原幹市郎君 それでは、一回と二回と違つたようなことについて、どういうところが違つて来ておつたのか、又三回目を若し調べれば、更に又真相に近いものが得られるかもわからんと我々は思うのでありますが、直ちに逮捕許諾をして来なければならんということに関連して、一回と二回とはどういうふうに違つたのか、差支えなければ一つ。
○政府委員(井本臺吉君) その間、捜査の非常に機微の点に亘りますので、私から申上げるのは非常に困りますので、事情を御推察下さいまして、この程度で御了承願いたいと思います。
○石原幹市郎君 それで私は先ほど、これは、昨日要求した資料なんでありますが、逮捕を請求したこういう事例が、今まで六件あつて、有罪の確定しておるものが僅か一件である。こういう事例になつていることは、要するに今までのこういう事案に対する調べ方というものが、拘禁して調べたいわゆる拘禁中の供述だけを材料にしてやつておられるから、非常に結果においてこういう間違つたことが起きると思うのです。
 やはりこういう事案については、なかなか物的証拠というものが揃えにくいということは、これは我々も想像できるんでありますが、余りに拘禁中の供述だけを材料にして、而もできるだけ、先に引つ張つたいわゆる贈賄側といいますか、そのほうの供述に、あとの収賄者側の供述を拘禁して合せるようにしてやつておるから、私は大体事件が非常に崩れてしまう。我々捜査の上において、もう少し慎重を期して物的な裏付けになるものを慎重にして捜して行く。調べて行く。そういうものがどうしても得られんような場合には、これは刑法の原則で、一人の無実の者をこれはもう罰してはいけないのであるから、疑わしい場合には、残念であるけれども、被疑者の、被告の利益に従うという原則で行かなければならんのを、やりかけたからには、どうしてもこれは何とか仕上げなければならんということで、ただ拘禁して自白だけを基にして調べておられるから、私はこういう間違いが非常に起ると思うので、加藤君が、今回逮捕請求されておることも、先ほど我々から触れましたように、ただ放り込んで拘禁して、交通遮断してとか、いろいろ言われまするけれども、要するに拘禁して、今入つている人の供述に合せようというだけのこととしか我々は考えられないので、そういうことであれば、会期も僅かあと二十日間くらいになつておつて、而も参議院には今重要法案が会期末で山積しておる。こういうときに、参議院の議員を逮捕さして連れて行つて、こういう事案を調べようということにおいては、我々何としても納得行かない。ただ、いろいろの議論を聞いておりまするというと、国民感情がどうであるとか、こうであるとかということを言つておりまするが、これは、事は人権にも非常に大きな影響のある問題であります。而も国会中に議員を逮捕するということは、憲法五十条で保障されておる人権というか、国会議員の権利を侵してこれをやろうとするのであるから、余ほどのことがなければならん。然るに今まで聞いておりますところによりますと、衆議院のほうの岡田、關谷氏の事案とも、大分違つておるようでありますし、ただ僅かに意思がどうであるとかいうことだけが問題になつておるようであるにかかわらず、今回加藤君を逮捕して、言葉は言い過ぎかも知れんが、自白を強要をしなければならん。こういうことについては、国民感情の如何にかかわらず、私は何としても納得できないのであります。只今までの大臣と刑事局長の答弁では満足できない。
 そこで刑事局長にしても大臣にしても直接これは調べの衝に当つておられる人でなく、その調書を読むとかいうようなことで判定を下されておると思われるが、これは刑事局長なり大臣なりはよく調べに当つておる担当検事なり、そういう人から、諸般の被疑者の供述の態度なり状況なり、そういうことを単に記録だけでなしに十分聴取されて、こういう断定を下しておるのかどうか、大臣と局長から、もう一回、私は伺いたいと思います。
○政府委員(井本臺吉君) 私は記録を検討いたしまして、その疑問の点につきましては、すぐ主任検事に確かめて、この程度ならば嫌疑濃厚であるという結論に達したのでありまして、単に記録だけを一読しただけで結論を出したわけではありません。
○石原幹市郎君 それから、どうもこの頃、国民の気持がどうとかこうとか、いろいろ出るのでありますが、新聞あたりにも、今度は誰が呼ばれるとか、今まで誰がどうでこうでというようなことが非常に出るのです。これは今までいろいろ聞きますと、新聞記者もいろいろ研究しておるから、総合判断で記事を出しておるというように聞いておるのでありますが、余りに真相に近い事実が、真相というか、事の真相じやないのです、事の真相じやないが、次から次へ誰が呼ばれてどうとかいうことが、余りに事実に符合するのであつて、こういうことは、どうも私は当局のほうで、余りに事実が、次は誰々を呼ぶとかいうことが漏れ過ぎるような感じがするのですが、こういう点については、今言われたように、新聞記者が本当に研究をして総合判断でやるというふうに我々は考えておるのですが、その点、お聞きします。
○政府委員(井本臺吉君) ときどき、何か捜査当局において機密を漏したのではないかというようなことが言われることがございますが、私が調べた結果、若しくはいろいろ調査いたしました結論といたしまして、捜査当局が捜査の機密を漏らしたということは絶対にございません。新聞社は、相当或る程度いろいろな事実を知つております。これは現在行われておる新刑事訴訟法の何らかの欠点に基く結果ではないかと思いますので、この点は検討中でございます。
○石原幹市郎君 それでは暫らく、今の刑事局長の言明を我々は一応信ずるというふうにいたしますが、先般の新聞に、検事総長の談話であつたか何か、例えば犯罪になろうがなるまいが、この呼んだ人の事実は公表するというようなことが、新聞記事に出ておつたように思うのですが、検事総長をここにお呼びすることもなかなか困難でありまするが、今すぐというわけにも行きませんので、そういう新聞記事があつたのでありますが、そういうことはあつたのでありましようか。
○政府委員(井本臺吉君) 私聞きましたところによりますと、すでに逮捕状が出まして、引続き勾留されたというようなかたの不起訴になつた事実につきましては、嫌疑がなかつたら、なかつたということを発表したほうがいいのではないかという議が出たことがあるそうでございますが、そのほかの事実につきまして、最高検察庁が事実をいろいろ発表して新聞に掲載させるというようなことは、全然考えていないという話でございます。
○石原幹市郎君 それは、刑事局長が検事総長等から、直接聞かれた話でございますか。
○政府委員(井本臺吉君) 私も聞きました。大臣もお聞きになつておると思います。
○石原幹市郎君 大臣なり刑事局長が、そう言われることは一応まともに受けたと思いますが、新聞に、こういうことが検事総長の談話めいた形で出る。或いは又いろいろの事案が、次々に出るというわけで、殊に今刑事局長は、そういうことではないと言われましたけれども、犯罪になるかならんかでも、とにかく、こういう動きがあつたことは新聞に公表するというようなことを検事総長なりが言われるということは、全く形事政策というか、疑わしきことは触れないという、あの原則に真向から背いておるものであると私は誠に遺憾に思うのでありまして、悪く邪推すれば、ずつと新聞に、いろいろのことで空気を煽り立てて国民感情を刺戟して、それから逮捕なり、逮捕の許諾請求というような事案が、ずつとその上に築き上げられて行くというような感じを我々は受けるのでありまして、これは一国の刑事政策というか、刑事の原則において、私は甚だ残念に思います。こういうことは断じて私はないと思うが、若しこういう事態であるとすれば、これは重大なることと思うのでありまして、法務大臣から、そういうことは断じてないとかどうとかということをこの席で私は大臣から、一応、言明を得ておきたいと思います。
○国務大臣(犬養健君) お答えを申上げます。
 検事総長の談話と称するものは、実は私、率直に申して由々しいことだと思いまして、私自身も質し、事務次官も質し、刑事局長も質し、検事総長の談話について次長検事にも質したのであります。その結果、今申上げましたように、逮捕して不起訴になつた場合には、御本人の名誉もあるので、不起訴になつた理由を明らかにしたほうが御本人のためにもなるという場合が或いはあり得るかもわからないけれども、いわゆる参考人として、極秘に東京地検が苦心して御本人の名誉を重んじてお呼びした人、参考人として呼んだがこうだつたというようなことを発表することは、第一、東京地検が非常に苦心して、名誉を守つて極秘にお呼びしたことが、水の泡になるという意味から言つてもあり得ないのでありまして、この点は、どうも非常に厳密に調査いたしました結果、事実なし、又あつてはならないという結論に達したわけであります。
 それから、もう一つの御質問で輿論云々でございますが、検察庁におきましては御承知のように近年相当のいわゆる大事件を扱いました結果、輿論というものを知つております。つまり捜査が或る峠まで行くときには、非常に輿論が応援するのでありますが、ときたま峠を越すと、或る場合には、たちまち検察フアツシヨとか言つて批評をするということを検察庁第一線のものは身を以て体験しておりますので、輿論に甘えるとか、輿論を煽るということが、如何に何といいますか間違つているということを、これは折にふれて私に直接、しみそれ言つておる次第でございます。従つて過去の大事件に鑑みまして、大事件の捜査の体験に鑑みまして、非常に慎重であり、輿論の潮に乗るということが、却つて苦い体験の原因にもなるというふうに心証いたしました。この点は私も自分で経験いたしておりますので、偽らざる事実として御報告申上げる次第であります。
○小笠原二三男君 只今の発言は、私別な角度から非常に重要だと思います。お尋ねしますのは、政府与点の委員からこの政府の担当大臣に、輿論をあおるような動きが検察当局にあるかないか、大臣の言明を得なければ、与虎議員として信頼できないやの質問を受けて、犬養法務大臣として御心境がどうであるかお尋ねしたい。
○国務大臣(犬養健君) これは、石原さんの御質問の心持ですから、私からどうということもおかしいことでございますが、私がお答えしました気持は、果して法務大臣は、そういうことについて厳重な監督をやつておるか。部下を誤らしめているかどうかという、こういう御質疑と思いまして、喜んで御答弁をした次第であります。
○小笠原二三男君 うまいなあ。(笑声)
○石原幹市郎君 それから、これも先日の新聞でありまするが、何か検事総長から、議会の審議の促進を大臣が受けたというような記事を見たんでありまするが、そういうことはあつたのでございましようか。
○国務大臣(犬養健君) これは衆議院でも、同様の質問を頂いたのでありますが、新聞の表題になると、非常に固苦しくなつておりますが、事実は、大体私が役所に夕方帰りますときには、差支えないときには検事総長は私の部屋に参ります。そうして固苦しい報告もあるし、いわゆるお互いの四方山話もあるのでありますが、そのときに、参議運のほうがどんな様子でございましようか……。当然これは聞くと思います。で、成るべく早いほうが、私のほうは都合がいいんですが、という程度のことは申しましたが、聞き直つて、法務大臣早く促進しろというようなことはございませんし、又そういうような角立つたことを、曾つて検事総長は私に言つたことはございません。私も新聞を読みまして、どうも表題にすると固い書き方をしているものだなあと、こう感じた。あとで衆議院の議運で御質問を受けましたので、今申上げました通りのことを申上げたのであります。
○石原幹市郎君 そうすると、これはいつ頃の話であつたのかよくわかりませんが、まあ要するに、衆議院の議運の模様はどうか、ということであつたのでございますね。
○国務大臣(犬養健君) さようでございます。
○石原幹市郎君 それから、私は最初から述べておりますように、今回の逮捕請求の理由は、何としてもわからない。まあわかることは、要するに自白の強要をしようとするのではないかということだけでありまするが、併しこれは、閉会中とか或いは普通の場合であるということであれば、我々は何ら問題にしない。又これだけの事案で起訴するとかどうとかいうことについても、我々はもうこれは検察当局の判断に何ら我々は容嫁すべきではなし、問題にすべきでもないと思うのでありますが、事は会期中であり、而も会期の末期であり、憲法五十条には厳として議院の許諾を得なければならんという精神が語われておるのでございますから、すでにもう、ここで或いは論議され、今までいろいろ表明されているかも知れませんが、一体憲法五十条のあの規定というのは、こういう加藤君のような、こういう事案で、而もこういう会期の終りのこういう状態のときにでも、なおああいうことをやらなければならんのか。いわゆる憲法五十条に対する検察当局というか、法務当局、法務大臣等に、あの憲法五十条の精神というものは、一体どういうところにあるかということについて、所見というか、感想、見解を一つ承りたい。
○国務大臣(犬養健君) これはお言葉を待つまでもなく、憲法五十条は、実に峻厳な神聖なる規定だと存じております。従つて会期中の国会議員の身上に対しては、飽くまで尊重すべきことは勿論でありまして、従つて私も、常々そのことを下僚に申しておりますところでもございまして、刑事局長としては、異例に属するほど検察庁の一度持つて参りました書類について、更に再検討をして、要望するというようなこともいたしたわけでございまして、その再検討を要望する際にも、刑事局長は実に慎重にやつております。このくらい書類について丁寧にするということは、私は上司として、その態度は甚だ満足に思つておるような次第であります。
○石原幹市郎君 異例に属するほど慎重に取扱われたかどうか。それはまあわかりませんが、加藤君の事案というものは、全く何と言いまするか、こういう涜職事犯というか、こういう事犯としては、もうありきたりの、本当の普通のケースで、而も事実を否認しておるのではなしに、事実は認めて、犯意がどうとかこうとか、趣旨がどうとかこうとかいうことだけで、事案としては、もう誠に何といいまするか、典型的というか、極めてありふれた私はケースであろうと思うのです。これを憲法五十条のあの厳たる規定があるにかかわらず、而もこれがまだ会期がニカ月もあるというなら格別でありますが、相当終りに近ずいておるときに、更にこれを侵して逮捕許諾を請求するというようなことについては、二重に私は、何とも納得できない。これは何回論議いたしましても、水掛論みたいになるのでありますが、
   〔委員長退席、理事杉山昌作君着席]何ら今までの大臣なり、刑事局長の説明では納得すべきものは何もない。憲法五十条の厳たるこの規定を侵して、この加藤君の逮捕を認めなければならんという、私は何ら納得すべきものはないのでありますが、まあほかの各位のいろいろ御質問なり御意見なりがあることでありましようから、又それに関連して伺うとして、最後に一点。
 今回の被疑事実というものは、被疑事実の説明は、加藤君は、ただ一般議員としての職務を持つておつたということから、こう言われておるようであつて、別に運輸委員であつたわけでも、予算委員であつたわけでも、何でもないのでありまするが、これは私は、今までの有田君のケース、或いは藤田君のケース等とは、若干違うように思うのでありまして、若しこういうことであるとすれば、これはなかなかもう、うつかりといいまするか、議員というものは、よほど慎重にも慎重を重ね、法律案というのは、あらゆることがもう全部、昔の省令のようなものまで全部法律で、その法律が一切議会にかかるわけでありますから、殊に予算というようなことになれば、あらゆる国の経費関係のことが予算になるわけで、予算の審議をする権能を持つておるからということになれば、これは議員として非常に挙措動作、金銭の授受なんということは、これは滅多にないことといたしましても、飲食を共にするとか何とかというようなことは、これはもう在住にして何人もないとは言えないのであります。こういうことが一切、涜職というようなことになるとすれば、よほど我々は考えてかからねばならんのでありまするが、こういうような事案で職務権限で、逮捕というか、捜査の対象にされたり何かするのが随分あるのでありますか。
○政府委員(井本臺吉君) 仮に一票の投票権でありましても、渡された金が、その投票のお礼であるということがはつきりいたしますれば、これははつきり犯罪になります。併しながらお尋ねのような飲食を共にされるとかいうような普通のつき合いの程度のもの、私ども俗にこれを社交上の儀礼と申しますが、さようなものは、これは全然犯罪にはなりません。
○重政庸徳君 法務大臣が非常に慎重に審議して御決定になつたということは、我々も納得いたしたのでありますが、刑事局長にこの際お尋ねいたしたいのは、現在の法務大臣になられて、今、検察庁からこれに類する議員の逮捕を請求した場合、法務大臣がそれを容認せられなかつた場合があるかどうか。
 それから現在のみならず、今までの法務大臣でそういう例があるかどうかということを御記憶ならばお聞きいたしたい。
○政府委員(井本臺吉君) 私、昨年の十一月に今の職に就いたのでございますが、私の知つている限りでは、法務大臣が議員逮捕の許諾請求に関する申請をして来たものを拒絶したということは聞いておりません。私の関係いたしました国会議員の逮捕請求は、有田氏が最初でありまして、その次は藤田氏、それから、關谷、岡田両氏、加藤氏の順番で、これが五番目でございます。
○重政庸徳君 今の犬養法務大臣でない従来の法務大臣の場合でも、そういう拒否した場合はないか、それはどうですか。
○政府委員(井本臺吉君) 私は、拒絶されたという例を聞いておりません。
○重政庸徳君 私は、恐らく法務大臣の立場としては、そうだと思うのです。逮捕す場合、いろいろな材料を以て説明を法務大臣は受けてそれで慎重に考えて承諾することになつたら、それを拒否する研究といいますか、何らの材料も、法務大臣の立場では求めることができないのではあるまいかと思う。そう考えると、検察庁なり検事さんなりが、これは逮捕しようと決定したら、ほかのほうは、今朝議論した閣議も、内閣のほうも、皆私はこれは事務的にすうつと許諾せねばならんような状態になるのではないか。そこにおいて一つ判事のほうでこれを許諾しない例があるのですが、これも、逮捕するという最初の問題については、勿論急を要することでありますから、これは簡単に何らのほかの許諾しない材料を得ることができない状態において許諾を与えてゆかれるということになると、大体において当初検事がおきめになつたら、ほかのほうは議院のほうに来れば、事務的にすうすうと、これが通つて来ることに私はなるのじやないかと思うのです。そういうことになると、これは非常に重大な問題で、私ども、実際これは軽々ではない、本当に議員として、党派は別として相当これは考えねばならんというように思うのですが、実際問題として、本当に私が言うように、検事がおきめになつたことは、事務的に、議院の審議までは事務的に来ることになるんでしよう。どうお考えになりますか。
○政府委員(井本臺吉君) 国会議員の逮捕問題に限定せずに申しますと、ほかの事案についても、大臣の決裁を受けなければならん件があらかじめきめてございます。例えば米軍の犯罪の事件などで、日本の裁判所でこれを取扱うべきかどうかというような事件につきましては、部下の検事と意見が違うことがございます。折衝の結果、大体納得ずくではありますが、法務大臣が、起訴すべしという稟請が上つて来たものに対して起訴するなというような措置をしたことがございます。
   〔理事杉山昌作君退席、委員長着席〕
○長谷山行毅君 加藤議員のこの逮捕許諾清求の必要性と申しますか、緊急性と申しますか。そういうものについても、どうもまだ納得の行かない点があるので更にお伺いするのですが、実は昨日の刑事局長のお話と、今日いろいろその点についての必要性を聞くと、昨日のお話と大分内容において食い違いがあるように窺われるのですが、この際いま一度はつきり、どういうわけで加藤君を今この国会中に憲法の五十条のこの保障をも退けて逮捕しなければならないか、その理由を、もう一遍はつきりお伺いしたいと思います。それによつて質問したいと思います。
○政府委員(井本臺吉君) 昨日私が申上げたことと本日申上げたことと、何ら私は矛盾する点はないと考えるのでございます。国会議員でございますから、憲法五十条、国会法等は十分考えたのでございますけれども、涜職事犯の性質上及び関係者の取調べの関係上、例えば三盃氏とか、小山氏の関係でございますが、いつ何どき保釈になるかも知れんというような状況でございますから、速かに取調べの開始をしなければならんというような実情にあるのでございます。それは昨日来、いろいろ申上げたのでございまして、私は何ら昨日の陳述と本日とが矛盾しておるとは考えておりません。
○長谷山行毅君 それではお伺いしますが、昨日、この事案については加藤氏の関係は、できれば在宅のまま取調べを進ませて行きたいと考えたのでございますが、二回の調べの模様も、いずれも或る程度、前後の供述が違つておりますし、又関係者の供述と非常に違いますので、交通を遮断して取調べをしなければ真相がはつきりしないと思う、というふうに言われたのでありますが、できれば在宅のまま取調べを進めたいということを昨日言われておるわけでありますが、先ほど来いろいろ聞きますと、加藤君に対しては、━━━━に調べたきりで、而もその後ほかの関係者のほうの取調べは、内容も又具体化して、いろいろはつきりして来たというのにもかかわらず、なぜその間に加藤君を取調べないのか。できれば在宅のままで取調べたいという意思があるならば、当然それくらいの取調べはやるべきものだ。こういうふうに思うのですが、どうしてもその努力をされないのか。その点は、どうしても納得できないのです。先ほど来からのお話では、加藤君をこれ以上このままの状態で調べても、今より更に進展することはないだろう、ないだろうという想像だけです。そういう独断だけで言われるということには、何か昨日言われた、できれば在宅のままで調べたい。任意捜査をしたいということと、今日言われたこととは、大分根本的に食い違う。心構えそれ自体が、私は違つているのではないか。こう思うのですが、その点、どうですか。
○政府委員(井本臺吉君) できれば、在宅のままで調べたいというのは、今でも私は変わらない気持でございますが、一般論といたしまして言うのでございます。そのために加藤さんも、━━━━━━二回に亘りまして、在宅のまま取調べをしたのでございます。調べの事情等は、或る程度昨日申上げましたけれども、私どもの捜査上の観点では、これ以上加藤さんを調べましても、何ら捜査には進展はない。関係者は、念には念を入れて調べましたが、前の事情をますますはつきりさせるだけで、かかる上は交通遮断をして調べなければならないのではないかという結論に達したもので、先ほど来申上げた通りでございます。
○長谷山行毅君 何度も繰返して聞くようですが、どうしてもそれは、ただ単に検察庁の独断に過ぎない。進展しないだろうということは、これで加藤君が出頭することを拒んだとか何とかいうならば別ですが、そうでもないのに、ただ進展しないだろうということだけでやつたということは、どうしても納得できない点ですが、進展しないという意味は、これ以上逮捕して身柄を抑えてしまえば、そうして外部と交通を遮断してしまえば、何か本人の口から、捜査の糸口が出て来る。こういうふうな意味なのですか、どういうことなのですか。
○政府委員(井本臺吉君) 私は何も本人に対しまして、自白を強制しようとか、或いはそういうふうに調べるものだということは毛頭考えたことはございません。その涜職罪の特質は、関係者の供述だけが証拠でございまして、非常に重要な点があるのでございます。而もこの関係者が、いつ何時外に出るかも知れんというような状況でありますので、今の段階としては、交通を遮断いたしまして、取調べをしなければ、事実の真相がわからないという結論を出した次第でございます。
○長谷山行毅君 なぜ交通遮断すれば、真相がわかるのですか。
○政府委員(井本臺吉君) 何遍も申上げて恐縮でございますが、微妙な言葉の綾でございますから、同じ金銭の授受がありましても、その金銭が職務に関係があるかないかということは、非常に微妙な点でございます。職務に関係ない金銭ならば、現在の刑法の建前からは、何ら犯罪になりません。職務に関係しての不当な謝礼であるというところで、これが犯罪になるのでございます。その関係は、非常に微妙な調べをしなければなりませんので、私はそれを縷々申上げるのでございます。
○長谷山行毅君 捜査が進展しないということは、もう捜査が不可能だということですか。
○政府委員(井本臺吉君) 全然不可能とは申上げませんが、現在の段階では、さように取計らうのが妥当であると私は考えるのでございます。
○長谷山行毅君 どうもその点でまだ努力が、任意捜査というものを、どこまでも本体としなければならないという点について、検察庁で考え方が少し足りないのではないかというふうに思われるのですが、どうもこれは、かりそめにも逮捕状さえ出して、そして身柄を拘束すれば、これは時間的にもどの観点についても、大変調べいいことは事実なわけですが、ただ単にそれを、逮捕状さえ出せば、これの請求をすれば、今までの例からいえば、これを拒否された場合もないのだから、これで調べができるのだというふうに、この安易に考えられた点はありませんかどうか。そういう傾向がないかどうか。
○政府委員(井本臺吉君) 私は、さような安易な考えを持つておりません。併しながらこれは、この事案は、私は逮捕の許諾をして頂く事案だと確信しております。
○長谷山行毅君 この点は何遍聞いてもあれのようですが、昨日も言われたようでありまするが、それからその証拠隠滅の虞れがあるかどうかという点について、特にそういう加藤君の場合に、特に罪状隠滅の虞れがあるというわけではないと昨日はおつしやつておられたようでありますが、今日のお話だと、これはどうも証拠隠滅の虞れが多分にあるのだというふうな御発言のようですが、やはりそういう意味なんですか。
○政府委員(井本臺吉君) まあ先ほど何か、お前は証拠隠滅の慮れがないと言つたではないかというようなことを伺いましたので、速記録を見せて頂いたのでございますが、私の申しましたところでは、過去にどのような具体的な証拠隠滅をやつたかというような実例はなかつたが、その事案の性質上、将来調べの際に、証拠隠滅の行われる虞れがあるということを申上げたつもりであつたのでございます。
○長谷山行毅君 それからもう一つ。その証拠隠滅ということは、何か関係者である三盃、小山両氏の関係のように窺えるわけですが、この三盃氏と小山氏の起訴された事実というのは、今現在起訴されておる事実は、加藤君とは関係ない事実ですか。
○政府委員(井本臺吉君) 直接関係はございません。
○小笠原二三男君 取扱について、ちよつと御同意を質問者のほうに得たいのですが、先ほどから慎重審議の様子を慎重にお聞きしておりますと、問題点は、二日間逮捕請求の最終決定が遅れた点について疑義があるという点が指摘せられた。
 もう一点は、石原さん或いは長谷山君から、これだけの容疑では任意出頭を求めて任意捜査をすべきではなかつたか。逮捕請求するのには容疑として不十分のように思われるということで、繰返し繰返しその御発言で、明らかにこの抗弁の限りにおいては見解の相違、それぞれの話が進展しないということであろうかと思いますので、問題点として大きく二つ指摘された点については、これ以上の進展を私はみないのではないか。押問答になるだけであると思われますので、それで一応、ここでお疲れでもございましようから、暫らく息を抜いて頂いて、質疑を緑風会のほうも短時間でやりたいという希望でしたから廻わして頂きたいと思います。
○委員長(寺尾豊君) 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
○委員長(寺尾豊君) それじや速記をつけて頂きます。
○杉山昌作君 私は、この政府から出した被疑事実についてちよつとお尋ねいたしますのですが、この被疑事実として書かれてあるものを見ますと、加藤君は参議院議員として、また各種の法案審議表決の職務を持つておるということが一つ、それから情を知りながら金銭を収受したということが一つと、その二つを繋ぎ合せるのに前記職務に関し収賄したと、こう結んであるというのは非常にたくさんある。又各方面があり、海運関係だけじやなしに、労働があり、官庁関係があるということになり、非常に我々の職務というものは広いのですね。従つて重点がどこにあるかということは、各議員個個によつて違うと思うのです。ただすべてのということになると、我々は二百五十分の一の発言権、表決権しかない。それにもかかわらず或る事実がその職務に関しということになると、非常に漠たる因果関係にあるように思うのでございますが、結局ただ単純に参議院議員として凡百の法案の審議、表決の権があるということだけでは、私は少し不十分じやないか、そのうちにおいて、例えば本件において言うならば、運輸委員としてこの当該法案の審議に直接タツチしておつた。或いはいわゆる海運議員連盟の役員として各党派間に当該法案の審議促進或いは賛成ということに相当な尽力をしたとか、或いは加藤君の場合で言うならば、自由党の党内にありまして党議をまとめるのに相当な役割をしたとか、特段なことがないと、ただ単純に議員の二百五十分の一の審議表決権を持つていたということと、今の情を知つて金銭を収受したということに、それだけで直接の因果関係ありというふうなことは、少しその間口が広過ぎるというふうに思いますが、その点は、検察当局は如何お考えになつておりますか。
○政府委員(井本臺吉君) 被疑事実にも記載してございますが、冒頭に「被疑者は参議院議員として参議院に於て法律案その他の議案の発議予算案法律案等の審議、修正、質問、質疑、討論、表決等をなす職務を鞅掌中」と書いてございますのは、参議院議員の職務がかようなものであるという説明をしたのでございます。その直接の犯罪事実といたしましては、その先のほうに書いてございまする「海運助成策の参議院に於ける審議殊に外航船舶建造利子補給及び損失補償法案並びに昭和二十八年度予算案等の審議表決等に際し油槽船に対する日本開発銀行よりの融資額の増額、利子補給及び損失補償法の適用範囲の拡大」、これがその主たる犯罪事実の関係部分でございまして、これらに関して請託を受けて、その実現を見ましたので、この実現の謝礼並びに将来も同様の尽力を受けたいという趣旨で金が授受されたということが被疑事実でございます。
 全部について、何でもかんでも犯罪の容疑だというわけではないのでありまして、今申上げました海運助成策の関係の法案並びに予算の関係の職務に関係して金を授受された。それがかよ、うな法案に関する職務の不当なお礼であつたということを問題にしたのでございます。
○杉山昌作君 「 鞅掌中昭和二十八年三月頃より」以下、これは私もわかるのです。今おつしやつたようなその一、二の法案或いは予算案の通過に関して「尽力方請託を受け」ということがございます。そういうふうな請託を受けたことはわかるのです。ただやつた人が、加藤がその請託通りに動いたと仮にしたときに、加藤君は平議員としては二百五十分の一の力しかなしわけなんです。ところがこれだけのものが、二百五十分の一の力のものが請託を受けて動いたからと言つて、できるということは、国会の実情からして少し実情に反すると思うのです。加藤君は自由党において党議をまとめる上において、非常に力があつたとか、或いは運輸委員として委員会の議をまとめるときに非常な有力な発言があつたとか、或いは海運議員連盟の役員として、各党派にまたがつて、そういう空気をうん醸させるのに力があつたということでないと、ただそういう請託を受けて動いたといつても、ただ二百五十分の一だけの力しかないというときに、それをしも形式的にこういう法案に対して各審議、質問、表決の権限があるからというので、形式的に見てそれが職務に関してというのじや、少しそこに何というか、漠然としたものがありはしませんか。こういうふうな疑問があるのですがね。
 それで、或いは抽象的にそういうことでなく、現実に加藤君は自由党の中で、これこれの地位にあつて、こういうふうなことがあつたとか、或いは今の議員連盟でこうだとは、運輸委員でこうだとかということがあるのか、そういうことは抜きにして、ただ単純にやつたか、こういうことなんです。
○政府委員(井本臺吉君) 結局は、加藤さんの参議院議員としての職務に関してお金が渡されたというのが最小限度の犯罪事実でございます。そのほかに、今の職務に関する不当な謝礼になるかどうかということの事実と言いまするか、それの証拠固めのためのいろいろな事情になると思いますので、法律的に疑義の点を言いますると、この被疑事実が、この犯罪事実であると考える次第であります。
○杉山昌作君 ただ職務に関してということは、確かに我々議員は出て来る法案全部に対して、その質問もし審議もし表決もする権利と職責を持つておりますから、職務に関してということは、これはもう形式的には言えると思いますが、実際問題としては、二百五十分の一の権利しかない場合に、それまでを職務に関してという因果関係ありというのは、少し実情とは違いはしないだろうか。それじや余り広くて、我々一般議員としても、非常に不安心だという実は気がするものですから、ただ一般の平議員として二百五十分の一だけの権限を持つている、職責があるということ以上に、何かそこに特殊な権限と言うか、権力と言うか、力と言うか、そういうふうな関係でもないと、職務に関してということが、如何にも実情と違うのじやないかという気持を持つているのです。
○政府委員(井本臺吉君) 結局犯罪構成要件の問題ではなくて、その証拠上さような金が職務に関しての不当な謝礼であるかどうかということの証拠が集まるかどうかということが問題であると思います。これは先ほども申しました通り━━━━━━━━━━━━━━━━━。その他関係の人々を調べますと、かような利子補給法並びにその関係の予算の審議にいろいろ尽力して頂いたお礼であるということが認定し得るので、かような犯罪事実を出したわけであります。
○田畑金光君 ちよつと二、三この事実関係についてお尋ねしたいと思うのでありますが、三盃一太郎氏が、四月六日起訴され、小山朝光氏が二十五日に起訴をされた。こういうような先ほどの説明でありましたが、この三盃、小山の両氏は、まだ釈放されていないのか、なお勾留中なのかどうか、この点お尋ねいたします。
○政府委員(井本臺吉君) まだ引続き勾留中でございます。
○田畑金光君 更にそういたしますと、三盃並びに小山の両氏の勾留の期間というものは、いつ頃終る予定なのか、これについてお尋ねします。
○政府委員(井本臺吉君) 勾留状の効力は、捜査期間の二十日を入れまして二月でございますから、三月二十五日でありますと、その前の二十日を引いて、小山氏につきましては、およそ五月の初め頃までは勾留効力があるのでございます。三盃氏は従つてそれよりもなお先になると思います。
○田畑金光君 そういたしますと、まか五月の何日ということになつて参りますならば、先ほど来質問されておりまする加藤君の場合に、四月の一日或いは三日の二回に亘つて、数時間の取調べを受けたに過ぎない。任意捜査という建前から行くならば、又人権の尊重並びに殊に憲法第五十条の精神から申しますならば、交通遮断ということをお話になつておりまするが、交通遮断を考えても、この事実関係から申しましても、いま少し慎重に任意捜査を進めて然るべきじやないか。こういうような感じを持つわけであります。交通遮断をそんなに早くしなければならないのは、どういうところにあるのか、速かにこれらの被疑事実についての真相を明らかにして黒白をつけようと、こういうような捜査上の建前から、さように急がれて要求されたのか。この点について承つておきたいと思います。
○政府委員(井本臺吉君) 関係者のうちで一番重要な関係者は、小山氏と三盃氏であると思います。この両氏は、すでに起訴になつておるのでありまして、現在の新刑事訴訟法の建前によりますと権利保釈でありまするから、弁護人のほうから保釈請求をされますと、特別の事情がない限り保釈になることは見やすい道理でございます。従つて若し保釈になつて身柄が釈放になりますると、これは実際上交通が自由になりまするし、涜職事案としては調べが不可能になるのではないかと考えるのでございます。さような事情を先ず第一に考えまして、できるだけ早く調べをして、真相はどこにあるかという点を突きとめたいと考えたのであります。
○田畑金光君 それからいま一つお尋ねしたいことは、飯野海運社長の俣野健輔氏が勾留されておりまするが、先般勾留の期間を更新して、更に二十日間だと思いますが、一応釈放されて再度又勾留されたわけであります。これは新しい容疑事実に基いて再逮捕されたのか。この点についてお尋ねいたします。
○政府委員(井本臺吉君) ちよつと資料を今ここに持つて来ておりませんが、俣野氏は、最初の二十日間それからその次の十日間は、━━━━━別々の事実で、それぞれ逮捕勾留されたのでございます。三回目の分につきましては、最初の二十日間のうちの十日間、それは延長になりませんで、新たに贈収賄関係の事実で逮捕状が出たのでございます。
○田畑金光君 つまり現在、官界或いは民間の人がたが、相当数逮捕され又勾留されておるわけでありまするが、これらの人がたが、引続き勾留されるについては、今問題となりまする国会議員の逮捕された人或いはこれから逮捕されようとする人、こういう人がたの交通関係を遮断する必要上からして、官界或いは財界の人がたが長期の勾留を受けざるを得なくなつて来たしこういうようなことも、一応まあ常識的に判断或いは観察されるわけでありまするが、そのような結果も伴つておるかどうか。この点について。
○政府委員(井本臺吉君) 最初の山下汽船の関係の横田社長を呼ぶときは、大分前に起訴になつておるといいますか、未だに勾留が続いております。これは検察官のほうで勝手に勾留しておるのではなくて、裁判所の決定に基く勾留状によつて勾留しておるのでありますから、特に検察官の自由にやつておるのではないのでありまするけれども、相当勾留が長くなつておると思います。これらのかたも、現在の刑事訴訟法では、若し保釈請求が出れば横事勾留でございませんから、保釈決定になるはずでございます。但し、従来までの事案と別の容疑事実があれば、更に逮捕されるということもあり得るので、関係の弁護人、被告人のほうから、特に現在の状況では保釈請求書が出ないというようなことでそのまま勾留が続いておるのではないかと考えておるのでございます。
○田畑金光君 私のお尋ねしておる点は、これらの人がたが起訴されても、なお勾留されておる。非常に勾留が長期に亘つておるわけでありますが、この人がたが勾留されておるという、或いは長期に亘つておるというその理由の一つとして、例えば国会議員のすでに逮捕された人がたもありますし、又これから逮捕されようとする人がたもあるわけでありますが、要するにこの国会議員の人がたとの関係或いは交通を遮断する。こういうような捜査上の必要からして、それが民間人の勾留に影響を来たしていやしないかという点も考えられるわけでありますが、こういうような点はどういうように見ておられるのか。この点をお尋ねしておるわけであります。
○政府委員(井本臺吉君) 国会におけるいろいろな事情で、逮捕許諾に対する御審議が遅れたわけでございまするが、若し許諾を御許可願えるのでございましたら、早く御許可願えれば、それだけ関係者の調べが早く済む状況にあるものと私は考えるのでございます。
○田畑金光君 刑事局長の昨日の当委員会、秘密会における説明の資料を見ましても、或いは又先ほど来各委員の質問に対する答弁等を聞いておりましても、答弁は最小限度の必要にとどめておる。或いは聞きたい点についても、答弁がなかなか核心に触れて来ない。こういう嫌いがあるわけであります。殊に昨日の資料等を見ましても、成るほど注意をして読みますると、デリケートな点も把握できますけれども、これを読んだ直後の感じといたしましては、これだけの理由で国会議員の逮捕が、而も開会中許されて然るべきかどうか、憲法五十条の精神からするならば、非常に疑点があるわけであります。ただ併し一方、又うがつて観察いたしますると、刑事局長の答弁なり説明なりは、事今後の捜査の問題と非常に微妙な関係を持つておるので、今後の捜査に対しまして影響をもたらす、或いは今後の捜査上何らかの示唆を与える。こういうようなことがあつてはならんというような配慮もあるやに見られるわけでありまするが、刑事局長として、そういうような私の最後に申上げました配慮等も考えて上の答弁をなさつておられるのか、或いは昨日の資料にある説明になつておるのか。この点についてお聞きいたしたいと思います。
○政府委員(井本臺吉君) 御審議願つた被疑事実について逮捕勾留して調べて、何かやるのではないかというお尋ねと私は拝承いたしたのであります。私といたしましては、御審議願つておる事実についてだけ逮捕の許諾をお願いしておるのでありまして、ただ先ほども申上げました通り検察官は犯罪の容疑があれば、これは調べなければなりませんので、この事実を調べておる過程におきまして、何らか別の犯罪容疑が出て参りますれば、これは調べなければならん権限と義務とがあるので、恐らく調べることになろうと考えるのでございます。
○田畑金光君 刑事局長にもう一度お尋ねいたしますが、資料の中に、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━。こういうようなお話があつたわけであります。而もこれに関連いたしまして、加藤君が受領したのが八月だ、そういたしますと、昨年の第十六国会の終了前後の話のように、時期から判断いたしますと見られるわけであります。そこでお尋ねしたいことは、この━━━という人がた。恐らくこれは、勿論国会議員だと思いまするが、こういうような人がたは、いわゆるこの人がたのその当時の模様と申しますか、或いは━━━━━━━━心境、こういうようなものが、検察当局におきまして、これらの御本人を任意出頭なら任意出頭の形で、或いは調査した上、或いは訊問した上、このような事実を発見されたのかどうか。このへんについてお伺いしたい。
○政府委員(井本臺吉君) 勿論関係者のかたは、十分お訊ねしております。小山氏の起訴事実も、断られた点に関する賄賂の提供が、一応の調査に載つていると記憶しております。
○天田勝正君 私は何よりも、我々は総理大臣から加藤君の逮捕許諾を求められておるのでありますから、この文章でお伺いするわけですが、そこで…。
○小笠原二三男君 質問をするなら、私のほうが順序だと思つておつた……。
○政府委員(井本臺吉君) 議事進行に ついて。私はさつきから質問したいと思つたけれども、大体今日は、諸君から質疑を尽されておるので、先ほど委員長が再開の冒頭に話されたようでありますが、委員長、なかなか張り切つて、今晩一晩でもやる。こうおつしやるのですが、若し明日も続行するとするならば、或る程度の時期を区切つて一つ考えて頂きたい。私非常に老齢でございまして、そう長く時間を保てませんので、明日も審議を続行するつもりなら、一晩頭を休めて冷静な立場で更にお尋ねしたいと思いますので、委員長は今後何時までやる、こういうお考えでございますか。
○委員長(寺尾豊君) 私は、徹宵でもこれに耐え得る一つの体力と熱意を持つておりますが、皆さんがたが、この辺がよかろう。ここで散会にせよとおつしやるならば、それに従うことは勿論であります。
○小笠原二三男君 只今千田君の議事進行の御意見、御尤もでございますが、一応各会派、一人でも二人でも順次質問を展開して来たのでありますから、うちの会派も、もう簡単に一分ぐらいで済む質問をいたしまして、一わたり終つたところで一つ今後どうするかという相談に入つて頂きたいと思います。
 そこで委員長一つ……(笑声)被疑事実でございますが、参議院議員としての職務というものは、しかそれこれこれと書いてありまして、表決等とありますが、この等というものは何を指しておりますか、お尋ねいたします。
○政府委員(井本臺吉君) その前に掲げてありまする法律案その他の議案の発議、予算案、法律案などの審議、修正、質疑、討論、表決というものの意味と存じます。
○小笠原二三男君 そうしますと、参議院議員ではあるが、院内において各種の活動をこれ以外にするというような点は、これは触れておらない。ここに明記されているそれぞれの一つ一つを総括して「等」と言つたということで了解いたします。
 そうしてそこで、この利子補給関係の法案と二十八年度予算案の審議表決等というのも、審議の過程、それから一票を投じたということだと考えるのですが、一票を投じたということで、而もその実現は見なかつた、否決せられた、こういう状態のときには、収賄罪というものは構成されますか。
○政府委員(井本臺吉君) 本件とは違つた別の仮定の御議論と思いますが、仮に一票でも、それが金銭を交付せられまして、その金銭がその一票の不当の上であつたというような場合には、これはやはり犯罪は構成いたします、
○小笠原二三男君 そうすると、この種収賄罪というものは、それが実現されようがされまいが、請託を受けた途端において、その犯罪事実は構成されるのですか。
○政府委員(井本臺吉君) 御承知の通り単純収賄……請託収賄ということは、請託をしてそうして金銭の授受があり、その金銭の授受が職務に関連する不当の上だつたということでありますれば、収賄罪の規定の適用はございます。
○小笠原二三男君 そうすると、一般論として、議員が仮にこのことについて運動してくれと言われて金をもらつた。併しその金をもらつただけでは何ら収賄ということではなく、この「審議、修正、質問、質疑、討論、表決」ですか、最終的には、この表決においてその意思を具現しようとした場合に、この収賄という犯罪が構成される。こういうことになるのでございますか。それとも又、これらのことでなく、例えば運輸省に行つて関係者に対する運動をした。たまたま関係者が、結果としてはその通りに利子の割当、融資額の増額等をやつたと、こういうのも、参議院議員の職務権限ですか。この二点について。
○政府委員(井本臺吉君) 運輸省に陳情に行くということが参議院議員の職務権限であるかという点は、私は相当疑問に思つております。職務権限にはならないのではないか、これは結論的ではございますが考えるのであります。
 それから、この表決までしなければ、前に受けた金が犯罪にならないかどうかというお尋ねと解釈いたしまするが、これは議員の職務権限に関して請託なり或いは請託しなくても、その不当な行為によつて金を授受したときに犯罪が成立するのであります。請託すれば請託収賄、請託されなければ、単純収賄ということになります。
○小笠原二三男君 最後にもう一点。「今後も同様な尽力を受けたい趣旨の下に」とありますが、この部分だけ切離して、今後もどうぞよろしくと言われて、金を例えば受取つたという場合、その場合やはり収賄罪ということになりますか。
○政府委員(井本臺吉君) 特定の職務に関して、その職務の不当な濫用ということことの端的な表現として、かような表現がなされたのでありまして、そのような職務に関連しての不当な行為は、これは刑法の涜職罪の規定の適用があると存じております。
○小笠原二三男君 もつとはつきりお尋ねしますが、この問題から分離して、Aという議員が、今後一つ、この造船関係の問題で御尽力を願いたいということで金を出す、ああそうですが、大いにやりましようということで金を受取つた。そのとたんに収賄罪というものが構成される。こういうことです。
○政府委員(井本臺吉君) 仮定論で甚だ恐縮でございますが、造船関係の例えば法案が出るから、法案をうまく審議をして、その法案の採決の際にも賛成してもらいたいというような趣旨が、その依頼のうちにはつきり出まして、そうしてそのお礼として金の授受があつたということになりますると、これは犯罪が成立するということになります。
○小笠原二三男君 重ねて伺いますが、そのかたは、表決にも参加せず、何らの尽力その他の作為もしないという結果においても、金を渡されたとたんにこの犯罪が構成するか。こういうことです。
○政府委員(井本臺吉君) 観念といたしましては、さような場合にも、その金が表決のお礼として渡されておつたということになれば、これは犯罪が成立いたします。但し、実際問題といたしましては、さような表決をしなかつたということになりますと、証拠上の問題といたしまして、相当捜査上の困難があると私は考えるのでございます。
○天田勝正君 私は何よりも、総理大臣から我々は許諾を求められておるのでありますから、この文書によつて質問するのですが、そこで、総理の参議院議長に対して提出された文書に、今度は裁判所から総理に提出された文書の写しが出ておる。それで又、その裁判所が提出した文書を見れば、検事河井信太郎より当裁判所に対し逮捜状の請求があつたので云々と、こういうことになつて、その文書の中の(被疑事実)と、こういうふうに順序が逐つてあるわけなのです。そこで検察当局としては、裁判所に逮捕状を請求する場合に、この被疑事実として掲げた通りのものを法務大臣は決裁して、そうして提出されたのでございましようか。多少は形は違うけれども、この内容というものは、全く同じものを裁判所に請求されたのでございましようか。先ずその点からお伺いいたします。
○政府委員(井本臺吉君) 具体的に対照しておりませんので、はつきりしたことは申しかねますけれども、恐らく逮捕許諾請求のために内閣に参りました書類と、検察庁から裁判所に参りました逮捕請求の書類の被疑事実とは、同じであつたと私は考えます。
○天田勝正君 そこで私は、次にお伺いしたいのは、ここに被疑事実と、こう表題がついておりますけれども、先般来の質問でも明らかになりますように、一体これを事実と勝手にきめておりますけれども、ところが一方においては加藤君は、その趣旨は違うというふうに言つておるので、これが三盃社長の自供と違うのだ。こういうふうに述べられております。だからこれは、目下のところは、これが事実であるか事実でないかはまだ判定できない段階であろうと思う。そこで私から見ますれば、これを懸かりの言葉で言えば、被疑事案、昨日の刑事局長の説明の中には事案という言葉も使われておりましたが、被疑事案とか、或いは被疑事犯とか、或いは被疑事犯とか、こういう言葉で用いられるのが妥当だと思いますけれども、どうしてこれがこういう場合に被疑事実と申されますか。
○政府委員(井本臺吉君) これは長い間の法律慣行でありまして、被疑事実と書いてありますから、これは事実であるという趣旨ではございません。犯罪の容疑の内容がどういうことであるかということで、犯罪構成要件に当る事案をかように表示しただけでありまして、これが事実であると、最後までこの通りであるということを申上げるわけではございません。
○天田勝正君 多分、そういうお答えであろうと思つて私は念を押したのです。そうでなければ、これが全部事実として、もうきまつたいわゆる事実ならば、もう今更何もほかに取調べる必要がないということになるの、たから、やはり御説明の通り、これは事案であると、こう思います。
 そこでその次には、丁度小笠原君が質問し、杉山君が質問したと同じようなことになるのですが、これは私素人でもあるし、且つ学がないから、どうもなかなか了解ができないので、例を以て一つ質問いたしておきます。というのは、仮に我々が、利根川の治水の問題、或いは荒川総合開発の問題等、こうした問題を請願を出す場合についても、単にこれをあなた出して下さいと、こういうお取次ぎだけを頼まれるのではなくて、この内容の実現についても御尽力を願いたいと、こういう請託を受けます。これは他の例でも、皆さん請託を受けると思う。そうして、自分も快くこれを受けるのであります。そうして受ければ、地方的な問題でありますから、更に打合せとかいろいろなことがございます。その場合に、ときに食事を共にする場合もあるし、(「それは答弁、聞いたよ」と呼ぶ者あり)そういうことになる。仮に……。さつきは金のことばかり言われておりましたが、金が授受されなくても、地方的な問題でありますから、品物を持つて来るという場合もある。これはむしろ断わつたら、何か水くさいと、こういうことにすら日本の習慣ではなるのであるし、一緒に食事をした場合も、こちらが何も自分の食事くらい払つたところでよいのだけれども、これを払えば、これ又水くさいういうような日本の習慣があつて、そこでそういう行為をしたと、そうするとこれは犯罪構成の要件に或いはならないとして、さつきから刑再局長がお答えになつたように、犯罪構成の要件にはならないとして、最後的には罪にはならないでございましようが、いわゆる今の説明の通り疑いを蒙る事案にはさせられることはあり得る。でありますから、そういう場合には絶対にそうでないと、こうおつしやるのでありましようか。
○政府委員(井本臺吉君) お話のような説明の場合には、これは私は日本の現在の社会の趨勢上、社交上の儀礼の範囲になると考えます。お互いのおつき合いの上で飲食を共にしたのが、直ちに犯罪になつては、私どももたまらないのでありまして、さようなものは犯罪にはなりません。又菓子折をもらつたとか、お土産をもらつたとかいうようなものも、恐らくこれは社交上の儀礼の範囲のものであると、私は考えのであります。多額の金が授受されたというような場合には、それが渡した人と受取つた人との間は長年のおつ合いがあつて、或いは純粋の政治献金であつたとかいうような場合には、これは犯罪には全然なりませんが、何か職務に関係いたしまして相当のお願いがしてあつて、而も金が渡されたというような場合には、それが何らかの涜職に関係があるのではないかというような疑いを受けるということは、これは有り得ると思います。併しそれも、今吾つような特殊の事例の場合に疑いを受けるのでありまして、お尋ねのような飯を一語に食つたとか、お土産をもらつたとかいうようなことは、これは全然犯罪にはなりません。
○天田勝正君 私がお聞きするのは、最後的にはそういう場合は、要するに社交の問題ですから、罪にはならないでしよう。私もそう思う。けれども、若し或る勢力が故意にそういう事実があるから、被疑事犯として要するに逮捕の許諾を求める。こういうことも故意にやろうとすれば、できやしませんか、こういうことをお聞きしている。
○政府委員(井本臺吉君) 私どもの経験に徴しましても、さような不当なことをやる検事はいないと思いますし、若し仮に私どもがさようなことを稟請して参れば、直ちにこれは拒絶いたします。又裁判所も、単なる飯を食つたくらいなことで、直ちに涜職の匂いがあるというので逮捕状などは出さないと私は考える次第でございます。
○天田勝正君 そこで次には、昨日述べられた内容になりますが、この際、加藤君を拘束しなければならないということについては、いろいろ言われておりますが、その中で特に、加藤君が二回の調べで、前後の供述が違つているということと、関係者の供述と非常に違う。こういうことが指摘されております。そこでこの前後の供述が違うということを重く見るのか、関係者との供述の違いということを重く見るのか。これをお伺いしたいのでありますが、その意味は、私は実は、この中では、一番こういう拘束をたくさん受けた人間だと思つております。それは監獄へも何回も入れられたし、警察などへは数知れぬほど行きましたが、そういう場合は、その人だけの、個人の前後の供述が違うといわれると、どうも処置ないのですが、決して悪意でなくても、聞かれていると前後の供述が違つて来るのです。違つて来るというのは、記憶が人間というのは、それほどしつかりしたものではないのです。現に我々が農民運動史などを一つやろうといつて、みな生きておつて、同じ会合に出ている、その事実を、みなに聞いて、みな違う。だから維新史などを編纂するときに非常に困つて、みな生きているうちでも違つておつたというふうに聞いて、当時不思議に思つたのだが、自分が、現在そういう経験を経て来てみると、如何に人間の記憶というものが違うものであるか。で、まあ話が進みますが、自分たちが拘束されたときに、前後が違う。ところが検察官というのは、何か嘘を言つているものだと、こういうふうにきめてかかる。決してそうでないのだけれども、その前後の供述が、もうちよつぴりでも違うというと、これは悪意で、而も何かごまかそうとしてこうやつているのだ。こういうふうに実は非常に手痛い経験を私は持つているので、でありますから、これは議員ばかりじやない。国民の人権の問題だから、お伺いして見たときに、関係者との供述の違いということを重く見て拘束しなければならないとおつしやるのですか。自分の供述の前後が違うという事柄を捉えて重く見るのでありましようか。
○政府委員(井本臺吉君) 私も、この犯罪をやらなかつたという証拠を出すのは、非常にむずかしいものであるという経験を何回もいたしております。この事案につきましては、お話の加藤氏の供述の違い、それから関係者の供述の違い、いずれもこの重要な調べのポイントでありまして、かような供述だけが涜職事件の証拠であるという点が、涜職事犯の非常に調べがむずかしい事案のようでございます。
○天田勝正君 そこで、交通遮断ということが先ほどからしつこく聞かれておりますが、その人は、現在拘束されておりまする三盃氏と、それから小山氏との間の供述の違いというふうなことから言うと、要するに誰と交道を遮断しなければならないという人は、我々素人が考えると、三盃氏と小山氏と交通しては工合が悪い。こういうふうに受取れるのでありますけれども、そうだとすれば、現実には三盃氏、小山氏とは交通が遮断されておる。それだから遮断されたままで、今任意捜査を行なつたつて、それ自体が小山氏並びに三盃氏とは、交通が遮断されたままで取調べられるのだが、これを拘東しなければ、両方とも拘束しなければ、交通があるとでもおつしやるのでしようか。それとも交通遮断とは、三盃、小山氏とは無関係な他の人たちと交通しては工合が悪い。つまり他の人と交通することになつて、ここには考えておらない被疑者を今度逃してしまう。こういうような危険があるということで、そういう措置を取られようとするのでございましようか。
○政府委員(井本臺吉君) 差当りの事案といたしましては小山、三盃氏と加藤氏の関係でございまして、小山、三盃氏が、現に拘束されておりますけれども、なお加藤氏も身柄を拘束して取調べなければ、事案の真相が得られないと考えるのでございます。ただ関係者というのは小山、三盃両氏だけのことではないのであります。小山、三盃両氏の供述につきましても、又この裏付捜査をいろいろやつております。関係者も又この裏付捜査というようなことで、ただ私どもが、供述だけを措信して、それが全部本当であるというような調べをしているわけではございません。さような供述だけが証拠となりますので、この事案を固める上から、又真相を相見する上からは、或る程度関係者の身柄を拘束いたしまして、交通を遮断いたしませんと、事案の真相がわからないというのが涜職事犯の調べの実情でございます。
○天田勝正君 私は、今各会派ずつと廻つてから、あと明日に続行するかどうかを御協議なさる、こういうことになつておりますから、一応この程度で質問を打切りまして、若し明日やるとするならば、まだ不満足な点がありますので、明日に……。今晩ずつと続けてやるというなら、又改めて質問のお許しを頂きたい。
○小笠原二三男君 不足の点があみの。
○天田勝正君 ほかの人にも廻さなければ悪い。
○小笠原二三男君 あるのならやりなさい。若しもあと質疑する機会がなければ、不満足だということで反対だということになれば、それは困るんですよ。協議の結果そうなつた、そのときには了承されるの。
○天田勝正君 いやそうじやない。明日の質疑を続行するか、今晩やるというならば、今晩のうちにもう一遍お許し願いたい。併し一廻り一応廻すという話があつたから、それは信義のことは守らなければならん。こう思うておるだけです。
○田畑金光君 先ほど再開されるときに、本日まあ質問を継続して、一応できるだけ各会派一廻りできるように質問をして、適当な時間に、今後のこの委員会の運営についての見通しを立て、或いは今後の審議についての日程を立てよう。こういうことにしておるわけであります。
 そこで私といたしましては、殊に与党の質問も、先ほど来重大なる点については、相当深刻に或いは熱心に質問をされたと思います。そこでできれば、私はこの質問も相当長時間に亘つておりますので、この点で本日の質問は一応やめまして、今後これをどう処理して行くか、或いはどういう日程の下に、この事案の処理を図るか。こういうことで一つ御検討願いたいと考えるわけであります。
○矢嶋三義君 議事進行について……。質問が一応終つた後に、今後の審議を如何ようにするかということについて御協議なさることについては異議ございません。併しただ私、議事進行として申上げたい点は、私も今日質問いたしたいと思つて用意して参りましたが、自由党さんから始まつた質問で、私が伺わんとしたポイントというものは、全部出尽しました。それで遠慮して、しなかつたわけでございますが、その質問の中には、明快に回答が出たものと、質疑者とそれから答弁者との間で並行線を辿つたものもありまするが、要するに質疑の要点というものは出尽したので、又今後どういうふうに協議なさるかも知れませんが、同じようなことを何遍も繰返すことは好ましくないのです。私は先ほどから承わつておりますと、新らしい仮定の案件についての質問まで相当出ておるわけで、もうこれ以上、そうないと思う。従つて今まで出たような質問に類似したもので、もう少し残つておるかたがあつたら、それを若干ここで満足の行くところまでやつて頂いて、そうして次の、今後どうするかというのを協議なさつたほうが、私は本件審議上好都合じやないかと、こう考えます。お諮り願いたい。
○小笠原二三君 いろいろ議事進行が出たので、まあ手続上から言えば、一々議事進行をその都度諮つていいわけですが、こういうふうにちよつと事態をどうするかという発言があつた以上は、何かけりをつける必要がある。従つて一応その間は、速記をとめられて懇談に移して行つたらいいと思います。
○委員長(寺尾豊君) 小笠原君の御意見のように、これから懇談会に移るということにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(寺尾豊君) それでは速記をとめて下さい。
   午後十時十六分速記中止
   ―――――・―――――
   午後十一時十一分速記開始
○委員長(寺尾豊君) 速記を始めて。
 それでは、十分間休憩いたします。
   午後十一時十二分休憩
   ―――――・―――――
   午後十一時三十四分開会
○委員長(寺尾豊君) 会議を開きます。
 本日は、これを以ちまして一応散会とし、明日は、定刻より審議を行いたいと思います。
 なお昨日及び本日の秘密会の速記録を公表するかどうかについて諮りいたします。
○小笠原二三男君 私は加藤君の名誉を傷つけるような点はなかつたと思います。実際私、注意をして聞いておりましたが、感じましたので、公表して然るべきものであると存じます。
○天田勝正君 正に小笠原君の言う通りであります。どの部分も、加藤君の人格を傷つける言葉を用いられておりません。答弁も、さような答弁でありますので、公表して一向差支えない。かように存じます。
○矢嶋三義君 この点は、考慮の余地はないかということですね。それは秘密会にするときに、刑事局長から要望もあり、本日他の委員の質問に対して、捜査当局にある自分らとしては、秘密に亘るほどの発言をしたと、こういうことを言われておるのでございますが、確かに他の委員諸君から言われたように、加藤議員の名誉毀損をするような内容は私はなかつたと思います。併しながら、この公表によつて当面の捜査に影響を及ぼすようなことはないか。若しそういう嫌いがあれば、公表するのも、或る一定期間を置いた後に私は公表されるべきではないか。こういうように私は考えますが、その点について、更に慎重にお考え願いたい。
○松岡平市君 この委員会は、或いは明日も秘密会で会議を続行するということになるかと思います。そうしてこの委員会は、恐らくは明日少くとも午前中に終了しようというような御希望もあるぐらいでありまして、恐らく明白を越して委員会が続行されるという事態は予見されません。即ち明日を待てば、秘密会等も一切済むわけであります。只今矢嶋君から、非常に適切な意見がありましたが、加藤君の名誉ということばかりでなしに、捜査の機密という問題があります。これらも、まあ今、これに関連した事件を検察庁は捜査の途中にあることは、私たちは大体察知しておりまするが、そういたしますれば、よしんば発表するにいたしましても、この時期では、公開は妥当でない。更に又これを公開差支えないかどうかということについては、でき得れば、やはり法務省当局の法務大臣なり、主として答弁に当つた刑事局長の意見等も徴して措置することが最も妥当である。こう考えますので、本日、これを公開する、或いはしないというようなことは御決定ならずに、留保して頂きたい。委員会の最終段階において、法務当局の意見等も徴した上で、これをいずれとも決するということにお取扱を願いたい。
○小笠原二三男君 私、加藤君のことだけ念頭にありまして、軽卒な意見を申上げて甚だ申訳ない。松岡君の発言、誠に御尤もであります。前の意見は撤回いたしまして、只今の御意見に賛成いたします。
○委員長(寺尾豊君) それでは、昨日並びに本日のこの速記記録は、これを留保し、伏せておくということに、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(寺尾豊君) さよう決定いたします。お疲れ様でした。
 これを以て散会いたします。
   午後十一時三十九分散会