第019回国会 大蔵委員会 第17号
昭和二十九年三月十二日(金曜日)
   午後一時四十六分開会
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 出席者は左の通り。
   委員長     大矢半次郎君
   理事
           藤野 繁雄君
           小林 政夫君
   委員
           青柳 秀夫君
           前田 久吉君
           三木與吉郎君
           成瀬 幡治君
           野溝  勝君
           堀木 鎌三君
           平林 太一君
  国務大臣
   通商産業大臣  愛知 揆一君
  政府委員
   大蔵政務次官  植木庚子郎君
   大蔵省管財局長 窪谷 直光君
   通商産業省鉱山
   局長      川上 為治君
  参考人
   日本トラツク協
   会常務理事   小野 盛次君
   全日本洋服組合
  連合会常務理事 小河原新一郎君
   日本絹人絹織物
  商協会専務理事  沼田 義雄君
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  本日の会議に付した事件
○揮発油税法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○しやし繊維品の課税に関する法律案
 (内閣送付)
○租税、金融制度及び専売事業等に関
 する調査の件
 (国有財産に関する件)
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○委員長(大矢半次郎君) これより大蔵委員会を開会いたします。
 本日は各税法案につきまして参考人より意見を聴取することにいたします。大体参考人のかたお一人十分乃至十五分程度においてお述べを願いたいと存じます。
 先ず揮発油税法の一部を改正する法律案について、日本トラツク協会常務理事の小野盛次君にお願いをいたします。
○参考人(小野盛次君) 小野でございます。揮発油税法改正案に対しまして簡単にお願いを申上げます。
 政府は揮発油税法を改正いたしまして、現在の一キロ当り一万一千円を一万三千円に増税するということを閣議決定をみまして、衆参両院で目下御審議中でありますが、これにつきまして、私たちは揮発油の大量消費者である立場から、揮発油全体の九三%が自動車用燃料として使用されておるのであります。これは動力源として、電気、ガス、石炭と同様に国民生活に最も重要なものであるにもかかわらず、自動車用燃料としての動力としての税率が余りにも高過ぎる。税率を高くして揮発油の単価が高くなれば、従つて運賃にも影響して参りますし、それが延いては物価にも影響しますので、政府が提唱します低物価政策とは逆の方向に向つて行くの建前から、揮発油価格の引上げとなる、この本税に対しては、現行通り据置にして頂きたいということは、全自動車関係、例えて申しますならば自動車の生産者、部分品の生産者、タイヤの生産者、或いは燃料、修理その他と我々輸送業者の団体が、しばしば陳情申上げまして、すでに陳情書も本委員会に少くとも百通ぐらいの陳情は参つていると思うのであります。そういう意味におきまして、私たちはこの際、政府提案の法律改正に対しては、絶対反対を申上げて、当委員会において適当の御処置を願いたいと思います。以下簡単に理由を申上げます。
 第一に申上げたいのは、揮発油税創設当時からの経過でありますが、御承知のように、揮発油税は、昭和十二年の四月に消費税として、当時の価格五十一銭に対して五銭の課税、僅か一割の課税をいたしましたが、これは石油専売法の制定と同時に廃止になりました。昭和二十四年四月法律第四十四号において再び揮発油税法が制定されまして今日に至つておるのでありますが、その当時の課税方法は、従価税でありまして、市販価格に対して一〇〇%の課税、約一万六千八百円の税が課せられておりましたが、これは当時の文献殊に日本石油株式会社で発行いたします石油便覧によりまするというと、当時の揮発油税はなぜ高くなつたかということは、二十四年に取引高税の廃止に伴なつて、これが財源がないために、揮発油税を一般歳入として、国税として徴収するという一項があるのであります。揮発油税法改正当時の取引高税が二十五年、二十六年と現在までそれが続いているということは、先ず納得ができない問題であると思うのであります。その後、政府は揮発油税法を改正いたしまして、昭和二十五年の五月法律百三十六号で従来の従価税を従量税に改めて、二十六年の一月から一キロリツター当り一万一千円に改められまして、今日に至つたのであります。私たちは当時揮発油の消費者でありながら、なぜこの問題について反対をし、或いは適正課税について主張しなかつたかと申しますと、統制時代は揮発油の量が極めて微々たるもので、主として木炭、薪等の代燃に依存しておつた関係から、揮発油税が高くとも揮発油が欲しいという一部の考え方がありましたので、一昨年まで揮発油税法については余り輿論として出なかつたのでありますが、量が殖え、消費が殖えるとなると、この税率というものが非常に響いて参ります。たとえて申しますならばトラツク一台当り年間税金として負担するものが五万乃至八万程度の状態であります。そういうような状態でありますために、揮発油税というものは営業に響いて来る。こういうような意味合いから、揮発油税というものは輸送コストに影響を与えない範囲で、いわゆる物価に影響のない範囲において適正な税率が妥当ではないかと、かように考えるのであります。
 第二番目の理由といたしましては、揮発油の価格の歴史を見ましても、最近昭和十二年を一応基準といたしまして、現在までの経過を見ますと、昭和十二年の当時の一キロリツター当りの価格が百四十一円六十六銭でありましたのが、現在では税込み三万四千五百円、或いは今日においては四万円近い価格になつておる。指数的に申しますならば、昭和十二年を一〇〇といたしますと、現在においては二四、三五四という驚くべき指数になつているのであります。私たちトラツク業者は、運賃の構成というものは、諸物価のいわゆる経費、原価計算によつて算出されまして、運輸省が認可された運賃において今日営業いたしておるのでありますが、現在の運賃は昭和二十六年の一月に制定されましたのを今日施行しておるので、物価から申しまするというと、昭和二十五年の十二月頃の物価を標準としておるのであります。その後、極端に市価が騰りまして、揮発油ばかりでなく、自動車のごときは、昭和二十五年から今日に至つて、ニツサン、トヨタ級において、二十五年の十二月八十万円であつたものが、現在では百二十二万円、或いは部分品その他のものも殆んど一〇〇%以上の値上りをしておる現状におきまして、揮発油の占めるコストの部分としては非常に大きな経費になつておるので、この際、我々としては、どうしても揮発油の単価を下げるには、不当な課税をやめて頂いて、そうしてできるだけ生産費、或いはマージンというものを合理的にした価格にして、我々の輸送というものの健全性を保持して頂きたい。
 国民生活と密接な関係のあるトラツクについて申しますならば、輸送量におきましても、鉄道の殆んど倍に近い輸送量を現在持つておるのであります。昭和二十八年運輸省の調査によりますと、トラツクの輸送しておる荷物は四億二千万トンであるのに、国有鉄道、私鉄全部をくるめてもその半分にも足らない一億九千四百万トン、或いは二十九年度想定輸送量というものは、四億五千万トン、かような大量の貨物を輸送する自動車に対して苛酷な税を課せられることは、我々としても到底忍び得ないのであります。我々としては極力自粛経営をいたしまして、運賃の値上げをしないように努めておりますが、如何に切り詰めても、原価を構成する燃料費が高いために、各会社の経営というものは非常に窮迫しておるのであります。この点も、お手許に配付しました資料を御覧頂くならば、十分御了解を得ることと思います。政府が我々国民に対して耐乏生活を強要している反面において、こういう苛酷の税を課するということに対しては、我々は納得ができないのであります。
 第三の理由といたしまして、昭和二十八年の三月の十八日、第十五国会の参議院大蔵・建設合同委員会、丁度この席におきまして、我々消費者団体の日本トラツク協会、日本乗合自動車協会、日本自動車会議所及び全国石油協会の代表がここの席に立ちまして、揮発油税は低減して頂きたい、少くとも一万一千円を五千円程度に低減して頂きたいという陳情を申したのであります。その理由の第一は、同じ動力である電気、ガスが僅かに一〇%の課税であるに対して、揮発油が五〇%である、これは甚だ権衡を得ていないというようなことを申上げて、皆さんの御批判を仰いだのであります。然るに最近伺いますところによれば、電気ガス税は、これは撤廃するというようなことも伝えられておるのであります。恐らく本年度、政府は動力源である電気ガス税を撤廃するとするならば、ますます我々の揮発油との権衡は大きな問題がそこに起きて来るものと、かように考えるのであります。なお前国会におきまして、参議院から議員提案によつて、揮発油税の一万一千円を九千五百円に引下げるのが妥当だという御提案によつて、委員の方々の御審議を願いましたが、不幸にして諸般の事情からこれが遂に否決されて、今日に至つているのであります。今日政府が提案されております揮発油税につきまして、私の考えたところによりますというと、二十九年度の揮発油税収予算額が。現行税率の収入で二百六億円四千万円、増収見込三十一億二千七百万円、合計二百三十七億六千七百万円を閣議決定をいたしまして国会に提案されておるのでありますが、私は揮発油税収額に支障のない範囲で予算額を確保することは、すでに衆議院の予算も通過したあとでありますから止むを得ないと思うのでありますが、その税率については、以下申上げるような意見を持つておるのであります。
 二十九年度の予算に対しては、補正は組まない、補正予算は計上しないということを大蔵大臣はしばしば言明されております。その第一声は、本国会の劈頭において施政演説の中にも明らかにこれを表明しておるのであります。従つて二百三十七億の予算というものに「ひび」が入れば政府もお困りになるでしようが、その二百三十七億の予算を税率を上げなくとも行けるという見通しを私たちは一応持つておるのであります。即ち今年度の需給量を見ますと、通産省の供給見込量としては二百五十五万、運輸省の需要量としては二百五十八万ということが伝えられておるのであります。若し二百五十五万ということを見まするならば、その金額というものは大体において現行税率で行つても二百八十億余の収入となり、或いは税制調査会の答申による一割値上げの一万二千百円と仮定いたしましても、これは三百八億五千五百万円という金額になりまして、二百三十七億を遥かにオーバーするのであります。税制調査会の答申によります一割というものも、必ずしも一割ではない、一割程度というような意味を書かれておるのに対して、政府が一割八分五厘の増額をしたということは余りにも苛酷ではないか。例えば人事院の勧告によつて給与ベースを上げるということがしばしば出るが、なかなかそれた国会においても呑めないという過去の実例から見ても、答申案をそのまま呑んでみたところで一割であるのに、それ以上に大きなしわ寄せが来るというのでは、大蔵当局のお考えが那辺にあるかということを私は疑いたいのであります。私たちがかような数字を申上げるのは如何かと思いますが、二十八年の実績というものは一応見通しがついております。大体において二百十五万キロリツターというものが二十八年度の全体の供給量だと思います。さようにしまするならば、二百三十七億六千七百万円に対しては僅かに二万キロリツターの不足であり、現行税率で間に合う。新聞紙上によれば、政府の二十九年度の外貨予算一億七千万ドルに対して経済審議庁が一億三千万乃至三千五百万と伝えられておりますので、そこで一割五分程度の削減をされる。かようになりますというと、供給量としても通産、運輸両省の見込額よりも下廻ることは当然でありますが、絶対量としては二百二十万は確保できる。かように考えて見ますると、税率を変えなくとも十分にこの予算額は賄える。現行税率で行きまして、二百十七万キロリツターあれば、二百二十七億六千七百万円は十分に賄える。かように考えるのであります。更にこの外貨予算と睨み合せて問題になるのは、バーター制によるイラン石油の問題が国会において盛んに今議論の重点になつておる。例えて申しますならば、二月の十九日の衆議院の予算委員会において、西村榮一先生の質問に対して、大蔵大臣は五千万程度のものが節約になるから、イランの石油も是非入れたいというふうに考えておりますが、外交関係の微妙な点から実現に至らない。或いは三月の十日参議院の本会議において、三輪貞治さんの御質問に対しまして、大蔵大臣或いは外務大臣も、イランの石油対にしては相当の関心を持つて、現在西山大使を派遣して交渉しているが、更に要路の人を急速にイランに派遣してその実現に努力をする。かように言明されておるところを見ますというと、外貨がなくしてバーター制によるイランからの石油の輸入も、或る程度は案外希望的に強い希望を持つておるのであります。イランからはすでに四十六品目、金額にして約二千万ドルのバーター制の申入れも来ておるので、これらが実現するならば、外貨予算の削減があろうとも或る程度の量の確保ができて、需給のバランスはとれる、かように考えておるのであります。政府のお考えになつておられるように百八十二万キロリツターのごとき少量では二十九年度の自動車は全然動かなくなる、かようなことも私たちは非常に心配しておるのであります。大蔵御当局の出されたあの数字は、税金の率を上げて、量において圧縮して、そうして辻棲を合わしたかのごとく見えるのであります。実際問題として今年度の外貨がすでに二十億ドルということは決定しております。二十七年の石油の割当外貨というものは七%、二十八年が八%、こういう過去の実積もありますので、仮に七%、二十七年度の分として最低を見ましても一億四千万ドルは十分に確保できる。八%行くならば一億六千万ドルは行ける。それにバーターがあるならば、石油の事情は好転するとも夢を見ておるのでありまして、従つて税率は変えなくとも行ける。かように考えておるのであります。
 第四の理由としては、大蔵御当局がしばしば御言明になる日本と欧米とは揮発油税は日本が余り低過ぎるという点、参考資料の一番最後につけてありました、成るほどアメリカが揮発油税として、これは州によつて随分違いますが、平均して約三四%、それに対してイタリア、フランス等においてはもう二〇〇%近い数字も出ております。イギリスの一四二%、オランダの一〇二%、いずれもアメリカを除くほかは税率は高いのでありますが、ここに考えなきやならんことは、アメリカの五百万の自動車を持つている人たちには、殆んど自家用自動車、いわゆる乗用車が八五%ありまして、我々が自転車を使うごとく、自動車を自分で運転して、そうして交通機関としての役割をしておるのでありますが、この人たちがどうして自動車の道路と揮発油税の関係をアメリカはやつているかということをいろいろ調べて見ますというと、自分でハンドルを持ち、自分の危険というものと快適なドライヴという立場から、道路を極端ないいものにしようというので、最初は寄付行為から始まりまして、金持ちが盛んにこの道路の建設に金を寄付した。それがあとになつて結局道路の整備の財源として揮発油税ということになつておるのでありまして、欧米共にそれに近寄つたような発達史を見るのであります。先ほど申しますように、自分で運転するということになりますというと、税金などは大した問題でなく、これは事故を起す、或いは速度を早めるということにおいては、車の損傷しないいろいろの理由から、税金の問題はここ一、二年は問題にならないのでありますが、最近、外国の雑誌を見ますというと、揮発油税が高いという声が盛んに出ておるのであります。併しアメリカの人たちは、これは一般会社員であるとか、工場の工員であるとかいうところまでが車を持つておつて、アメリカが人口割にしますと三・六人で一台、或いはカナダにおいては六人で一台、それに対して日本は六百十九人に対して一台というようなことで、自動車は一般の交通機関としてでなく、殊に営業者が大部分を所有して、そうして前に申上げましたように、営業的には非常に苦しい立場になつております。と申しますのは、日本の自動車の発達は、荷馬車、牛馬車からだんだんトラツクに変換して来た、そういう発達の経路から見て、贅沢から来ておるのではなく、本当に自動車を牛馬車から変えたというような姿であるために、その経営も非常に小規模であるために、僅かな税金でも響くところが非常に大きい。かような意味合から、全国の業者が揮発油税に対しては非常な関心を持ち、本日も午前中全国のトラツク業者大会を開催いたしまして、お手許に陳情文も差上げております、決議文も差上げております通り、全く自動車関係産業の総意を以てこれに反対しておるのであります。十日の日には日本乗合自動車協会の総会におきまして、大会におきまして、やはり揮発油税の反対陳情をいたしておるように、同じ十日の日に全国乗用自動車協会の全国大会においても、同じく揮発油税の据置の陳情請願をしておるような次第であります。かような意味におきまして私たちはたびたび陳情申上げ、もうお耳に「たこ」と申してもよろしいほど事情を申上げておるのでありますが、本日は簡単に、我々の大会の決議に基きまして、当委員会において、何とかこの我々の苦衷をお察し下さいまして、そうして揮発油税が甚だ不合理なものだということに対しての御判決を頂いて、公明正大な御判決を頂くようにお願いする次第であります。お手許に配付した資料に細かいことも申述べております。時間を制限されておる関係上、以上我々の考えておることをここに開陳いたしまして、何分よろしくお願い申上げます。
○藤野繁雄君 今度の改正案のようにして、一キロリツター当りの一万一千円から一万三千円に上げると仮定したならば、運賃はどのくらいはね上るお見込であるか。その点をお伺いしたいと思います。
○参考人(小野盛次君) これは揮発油ばかりでなく、諸物価も相当に上つておりますから、当然二十六年の一月からもうすでに二年も経過いたしておりますので、運賃改正の時期が来たと思いますが、総支出の中で揮発油の占める割合は一〇%から一二%ぐらいであります。その一二%のうち更に税が二割上るというと、その分だけは、やはり加算されて行くわけなんですが、御承知のように、運賃というのは国民大衆の生活必需品に影響の来ない範囲においてやるために、運輸省の運賃の査定というものは非常に辛いのでございます。又、現在我々が認可されておる運賃の中でも、一〇〇%の運賃は到底取り得ない業者も多いし、殊に、この委員会で申上げるのはどうかと思いますが、無免許で営業しておる、先般参議院の高木正夫先生が強く御質問になつておるように、自家用自動車のもぐり営業というものが莫大なる数に上つておるために、営業運賃よりもはるかに下廻つた運賃で営業しておる。これは所得税も納めなければ営業税も納めないというような、いわゆる不法営業の行為が多いために、認可運賃が定められておつても、その認可運賃に達するだけの料金をとることのできない現状にあるのであります。従いまして、揮発油の税が仮に一割八分五厘上つたからと申しましても、実際運賃収入になる場合においては、これはなかなか取り得ないと、かように考えるのであります。
○藤野繁雄君 自動車は年々増加して参つておりますね。だんだんと経営が困難になるということであれば、自動車は増加せないはずだというようなことにも考えられますが、経営が非常に困難になりつつあるのにもかかわらず、自動車が増加しつつある理由はどこにあるのでしようか。
○参考人(小野盛次君) お答え申上げますが、自動車の増加につきましては、営業用自動車はここ二、三年来殆んど増加いたしておりません。これは自家用自動車が非常に殖えまして、自家用自動車並びに小型の三輪車或いはオートバイ、スクーター等の二輪車が非常に殖えまして、小型三輪がすでに二十七万、或いは二輪車においても約二十六万というようなのが全体の数に入るので、普通車といたしまして我々営業の自動車というものは、極めて僅かな数で、僅かに四万三千くらいで、それはここ二、三年少しも増加いたしておりません。ですから、自動車全体の数の殖えるというのは、自家用が殖えるということに御解釈を願えれば結構で、お手許に差上げて置きました揮発油税率据置きに関する参考資料というのに、車の殖え方、燃料の関係も、できるだけ細かく書いてありますから、これを御覧願うと一目瞭然だと思います。
○藤野繁雄君 この自動車に関係があるいろいろの税金ですね。いろいろの税金は、揮発油のほかに、自動車税であるとか、今聞いて見るというと、実際は取つていないとかいいますけれども、道路法に基く道路受益者負担金であるとか、或いはこれは地方によつて異なるかわかりませんが、道路改修協力費であるとか、或いは車をやつておるから所得税であるとか、その他いろいろの税金が負担されて、お困りであろうと考えられるのでありますが、一体、自動車のうちで、自家用の自動車、営業用の自動車、或いはそれがハイヤーであるとかトラツクであるとか、こういうふうなものに区別するというと、一台当りの一カ年の負担金はどのくらいの金額になるということの計算がしたのがありましようか。
○参考人(小野盛次君) 目下この自動車税の改正は、国会で、地方行政委員会で御審議中でありますが、今お話の自動車税について簡単に申上げますというと、営業用トラツクと自家用のトラツクにつきましては、戦前においては自家用が約倍額の税が課せられておつたのでありますが、二十三年になりまして、自家用トラツクと営業用トラツクの差は一万円、金額で申しますと自家用トラツクが六千三百円に対して営業用が五千三百円、二十四年は自家用トラツクが九千円に対して営業用が七千二百円というような状態で、その後シヤウプ勧告によりまして、一万円になりまして、同額になりまして、更に昨年の八月四千円上つて一万四千円でありましたので、自家用と営業用のトラツクの税金は、率は同じのまま現在に至つておりますが、二月の十六日閣議決定によりまして、自動車税がおおむね五割の値上げということになりまして、現在閣議決定を見たのは、次のような数字になつております。
 自家乗用車が従来三万円であつたのが六万円、これは高級自動車の関係もあります。固定資産税的か或いは奢侈的の関係かが含まれているものと思います。
 それからトラツクのほうは自家用も同じ一万四千円、
 三輪車が二千八百円が四千二百円、
 ジーゼル車が一万四千円であつたものが二万三千円、
 特に上りましたのはジーゼル用の観光自動車が二万五千円が五万円になつた、
 かようにそれぞれの値上りになりましたので、今、衆参両院の地方行政委員会において、この案について御審議をされておるのであります。かような面から見まして、私たちトラツクの面は、一応四トンから五トンまでのものが一万四千円、それから重量が殖えるにつれて加算されまして、現在では一万四千円から二万円程度の自動車税を負担しておるのであります。そのほか税金といたしましては、事業税の外形標準課税が、これは恐らく今国会において廃止を頂くようになるのじやないか。揮発油税が一番大きな部門を占めまして、先刻申上げますように、大体において五万から八万或いは十万、走行キロの延びると同時に消費量が殖えますから、大体年間五、六万くらいの揮発油税を払つておる。地方の道路損傷負担金或いは労力奉仕と申しますか、車を出して砂利の運搬をするとかというような、金額でなく実物で提供しておる面もあります。道路損傷負担金等におきましても、これは地方税でございまして、府県によつて多少違いますので、これは金額として大したものではありませんが、相当負担いたしております。
 税金関係はその通りでございます。
○小林政夫君 トラツクで国内の税負担はわかるのですけれども、例えば今のあなたのほうで出されておりますガソリン税の諸外国との比較をしてみると、日本はかなり安いということになる。それで、前国会においてもかなり下げるべきじやないかという意見も強く出たのですけれども、外国等と比較してみると、そう高くないじやないか。国内の税体系からいうと、その最高率のものではあるけれども、諸外国と比べると必ずしもそうでない。こういうような反論がかなり強く出て、そこで今お話のトラツク一台当りの公課の負担比較ですね、租税公課のガソリン税はこういうふうになつておるけれども、例えばイタリア、イギリス等においては、その他の今あなたのほうで問題にしておられる地方税関係等の負担はどうなんですか。そういうことの調べはありますか。
○参考人(小野盛次君) 一応外国雑誌等において調べております。特にこの揮発油税においては、石油世界ニユースというのがございまして、その一九五四年の中から抜萃したのが一番この参考資料の最後に添付いたしておりますが、先ほど申上げましたように、諸外国においては揮発油税はかなり高率であるということは事実でありますが、この税の負担力と、揮発油税をどういう目的に使つておるかということが根本の問題になると思います。日本が、昭和二十四年に揮発油税法が法律四十四号で制定されたときにも、我々としては、これを目的税として道路の改修に振り当てて頂きたいというような意見もあつたのでありますが、これがなかなかいろいろ政治的な問題で実現せずに、先般この公聴会でも申上げましたように、建設大蔵合同委員会のときにおいても、大蔵省と建設省と意見が対立したというようなことで、どこへその税が使われるかというようなこともはつきりしないのに、こういう高率の税をかけることはおかしいのじやないかというので、我々はその政府の方針というものをはつきりして頂きたい、かように申上げたのであります、欧州或いはアメリカにおいては、自発的に、道路の改修をするのだということになれば、税負担の余裕がある人たちであるために、税の高いというよりも道路がよくなるということが望まれて、年々この税率というものが上つて来たのでありますが、最近の外国雑誌によりますというと、もう税の負担が限度まで来ておる。むしろアメリカでは下げろという運動が最近出ておると報ぜられておるのであります。小林先生がまだ御出席にならぬ前にちよつと申上げたのでありますが、日本人の現在の所得から見まして、大蔵省の御見解はどうか知りませんが、一般に日本人の現在年間収入というものが一人あたり六万円くらいに見られておるのに、アメリカにおいては十数倍或いはもつとになると思います。英国においても十倍以上、欧州においても、イタリアのごときは貧乏国でありますから、或いはそういう大きな指数にはならないと思いますが、いずれにしても、自動車を自由に持ち、一人で二台も三台も持つて、今日はどこへ遊びに行くのだ、車はどの車を使うのだという、天気によつて自動車を換えて行く。我々が自転車を持つておると同じようにたやすく自動車を持てるだけの余裕ある生活をしておる人たちから見れば、自動車税が仮に一〇〇%になつてみたところで、大した苦痛ではない。併し我々のほうは、営業して一割の利潤を上げることすらできない赤字経営の会社がたくさんある現状から見て、もうこれ以上は税の負担能力がない。かようなことから、諸外国の例を以て、外国が高いのだから、日本も、もつと高くしていいというならば、これは甚だ暴論ではないかと考えるのであります。我々の生活基準、レベルというものとの関係も御考慮に入れて、欧米の率と日本の率との比較に対しては条件をつけて頂きたいと、かように考えるのであります。
○小林政夫君 簡単に申しますと、私の質問はそういう点ではないのです。いい悪いということではなしに、揮発油税以外の租税公課の負担について諸外国の例はお調べになつておりますか。
○参考人(小野盛次君) 外国の揮発油税以外については調べておりません。
○小林政夫君 よしんば比較して日本のほうがまだ安いといつたところで、この揮発油をそれじや御要望に副はなくていいという意味で聞いているわけでないのです。ですから、一応若しお調べになつておるものがあれば、トラツク一台当りの租税公課というものの負担も比較してみたら、多少参考になるのじやないかという意味でお聞きしたのであります。
○参考人(小野盛次君) これは至急に調べまして、お手許まで差上げることにいたしたいと思います。
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○委員長(大矢半次郎君) 次にしやし繊維品の課税に関する法律案について参考人の意見を聴取いたします。全日本洋服組合連合会常務理事小河原新一郎君。
○参考人(小河原新一郎君) しやし繊維税の問題に関しまして、私どもに参考人といたしまして申上げる機会を与えて頂きましたことは、誠に有難く感謝に堪えません。
 しやし繊維税の問題につきましては二様に考えることが必要だと私は思います。一つは国民経済の面から考えることと、一つは国際経済から見る観点と、二様に解釈いたしまして、申上げてみたいと存じます。
 大体日本の繊維工業の発達の過程は、かなり古い歴史を持つておりまするが、比較的世界のほうへ向つて日本が進出し始めたのが大正年間の末期頃でございましたが、その頃の日本の製品に対しましては、相手国のイギリスは、日本の品物は粗悪であると、いわゆるメード・イン・ジヤパンは悪いという刻印を各方面で押されておりまして、日本の輸出産業に非常な難儀をいたしておつたのであります。然るに、第一次欧州戦争を契機といたしまして、日本の繊維工業が逐次発達の度を加えて参りまして、大正の末期から昭和の初期、十年前後の間における日本の繊維工業の発達は極めて刮目に値するものがございました。世界一を誇つておつたイギリスも、その当時においては、日本の生産額が二十三億平方ヤード程度の生産力を持つようになりまして、東洋市場では盛んに競争の相手国になつたのでございます。かように日本の繊維工業が発達して参りましたが、昭和十二年を境といたしまして、日支事変から第二次世界大戦に導かれて、そうして今度は反対に年ごとに日本の繊維工業はその製品が低下いたしまして、この戦争までは誠に悲惨なる状態でございましたが、併し戦後、最も風土気候という特徴を持つておる日本の立地条件と、又多数の繊維工業に慣れた経験者が集りまして、昭和二十五年以来日本の繊維工業が漸く戦前の八〇%程度まで復活するような状態になつて参つたのでございます。その結果、ここ一、二年来の品物は非常な優秀な品物が出廻つて参りまして、それがどうやら市場を賑わすようになつたのでございまするが、この際に本年度の政府の予算といたしまして、しやし税といたしまして毛織物その他から八十五億の予算をとつて、そうして繊維課税をすると、そのいろいろな動機につきましては、ここで詳しく私が申上げませんでも、新聞やいろいろなことで皆さん御承知だろうと思いますので、省略いたしまして、然らば果してこの八十五億をとるがために、漸く躍進して来た、要するに技術者も工場も漸く整備されて、そうして日本の繊維工業がもう目睫に迫つた日本の対外貿易、政府が盛んに主張しておりまする外貨獲得という面から見ても、これはどうしても日本の繊維工業は飽くまでも伸ばして行かなければならない。これは要するに、インドのような暑いところで如何にいいものを生産しようとしてもいいものは生産できませんが、日本のような湿気の多いところの国では、技術の差によつて相当優秀なるものが生産されて参るのであります。ここにおいて、この繊維に課税をするということは、先ほど申上げましたように、日本が飽くまでも国際収支面に繊維工業が重大なる役割を果して行くのだという建前から申しましても、繊維の良質のものを以て奢侈品と銘を打つて、これから課税の対象にするというようなことをお考えになることは、全く私どもは、政府の考えが、外貨獲得という一つの目標を置きながら、その反対な行動をとつておるのではないかと、かように考えるのでございます。
 戦後こうしたいろいろなものが復活して、日本の羊毛工業も盛んになつて来たことも、或いはその他の絹製品なども非常な技術者が優秀性を持つて来たことも、要するにこれはやはり技術者というものが一朝一夕に生れるものではなくして、経験というものは少くとも三年や四年かからなければ到底立派なものを生産することができない。そこで、例えば毛織物で申しまするならば、四千五百円というものを奢侈の限界点に考えておるようでありまするが、その点は、日本の現在の四千五百円というものは、ポンドに直しましても、ドルに直しても、極めて低い価格でございまして、この程度のものをいいものだというように政府が考えておることは、最も当を得ない考えでありまして、この辺の品物こそ私どもはやがて日本の対外貿易の競争場裡に立つて打ち勝つことのでき得る商品であるということを言い得るのであります。かような見解から見まして、私どもはそうした日本の国際経済から見て非常なマイナスになるのではないか。羊毛が輸入品であるから、これは奢侈品だというようなことを、輸入品であるが故に何とか輸入の抑制をしなければならないというような考えでおりまするが、例えば本年度の輸入数量が五百億程度に見積られておるようでありまするが、その五百億のうちから僅かに一割や二割の輸出をするよりかは、一千億の輸入をして、それで二割、三割の輸出をする、或いは五割の輸出をするというようなことに持つて行くことが、日本のこうした人口の面から見ても、各方面から見て、どうしても日本は工賃で稼がなければならないところの立場にあるのでありまするから、この点において、私どもは飽くまでも、よい品物をこしらえて、そうして外にこれを輸出するということを考えて行くことが、最も経済立国策として必要なことではないかと、かように考えるのであります。
 又一面、国民経済のほうから見ましても、スフ入りと、いわゆる混紡したものと、それから純毛品とを比較して見ますると、この戦争によつて恐らく一人として経験のない人はないと存じまするが、全くスフ入りの洋服はもう二カ年もしましたら滅茶苦茶になつてしまう。ところが純毛品でありまする場合は、まあ我慢しさえすれば十カ年くらいは平気でこれは使用に堪え得るのであります。かような見解から見まして、私どもは、よい品物を長く着るということが、一般国民経済として最も私は必要なことではないか、それがむしろ輸入の制限にも却つてなるのではないかと思います。殊に混紡糸の見分けというものは、例えばメーカーが五〇%混紡しておると言われても、果してそれが五〇%であるか、或いは六〇%ほかのものが入つておるか、恐らく素人には……、玄人でもこれは恐らく判断はできません。ですから私どもは、やはり耐乏生活ということは、余り悪いものを着て、そうして悪くなつたらすぐ又新らしく新調するというようなことは、私は耐乏生活ではないと思うのであります。むしろ消費がそれだけ多くなつて来ると、かように考えるのでありまして、この点は私どもは大いに政府としても考え直して頂かなければならないと、かように考えるのであります。
 それから今回の時限立法と申しますか、この立法が二カ年ということになつております。で、これは丁度織物消費税というものがありまして、昭和二十四年度まで実施いたしておりましたが、二十四年度にそれを撤廃されまして、織物消費税というものはなくなつてしまつたのであります。ところが、そのために私どものこの織物を取扱つておる業者は大混乱を生じたのであります。即ち、織物に四割という課税をいたしておつたがために、政府は直ちに撤廃いたしました。ところが、その当時は日本全国が協同組合とか、いろいろな受入態勢のために組合組織でいたしておりましたがために、組合としての手持品や又個人の持つておる品物が非常な暴落をいたしまして、その暴落は個人の負担になり、乃至はその事業者団体の負担になつてしまいまして、その結末が北海道から九州の果に至るまで未だに処理がつかないという点がたくさんございます。こういう点から見ましても、二カ年間の法律で、又やめるという前提の下のように考えられるのであります。かような改廃常ないような法律をこしらえて、再び私ども繊維業界に混乱を惹起するような法律は、この際、断じて私どもは受入れることができ得ないのでありまして、そのために今回全国的なあの大きなデモ運動が、東京では五回、大阪、九州各方面で大会を開きまして、これに対する絶対反対の声は、必ずしも我々業者だけの考えでなくして、一面、消費者の負担と、又我々の過去の経験から見て、どうしてもこれを実施されたならば、私どもの上に大きな影響があるというようなことを考えまして、あの大きな全国的なデモ運動が起つたのであると私は考えるのであります。かような見地から見まして、どうか一つこちらのほうの参議院のほうにおかれましても、是非一つ私どもの意のあるところをお汲取り願いまして、少くとも私どもの服装文化の上に最も正しい歩み方をして行きたいと考えておりまするから、どうか一つこちらのほうでも十分御了解願いまして、この案に対しまして、私どもの反対の理由のあるところをお汲みとりをお願いしたいと存じます。
○委員長(大矢半次郎君) 別に御質疑がなければ、次に日本絹人絹織物商協会専務理事の沼田義雄君にお願いいたします。
○参考人(沼田義雄君) 同じく、しやし繊維品の課税に関する法律案につきまして意見を申述べるわけでありますが、私は先ず以てこれに絶対反対だということをあらかじめ申上げて置きたいと思います。
 かような新らしい税を政府の方々が果して真剣にお考えになつたのかどうかと疑われるくらい極めて不合理なものであり、且つ又杜撰なもので、而も中小企業に不当な圧迫を加えるものであるばかりでなく、徒らに商業機構を混乱に陥れ、加うるに徴税の不公平と不合理とを来すという、一つとしていいところのない全くの悪税であることを強調いたしまして、以下この法案の各条について意見を申述べたいと思います。
 先ず第一に、この法案の提案理由を拝見いたしますと、「しやし的消費の抑制を図り、国際収支の改善に資する」云々ということが述べられておりますけれども、この国際収支の改善ということは一体どういう見地からの理由によるのか、甚だ了解に苦しむところでございます。何となれば、先ず絹織物について見ますると、成るほど今日の生糸の輸出は決していいとは申上げられません。併しこの法案によるところの一反七千五百円を超える部類に属する高級絹織物の占める原料生糸の量を一体御存じであるのかどうか。一反五千円の着尺の織物も一或いは一本五千円の帯地も、又一万円、二万円する着尺も帯地も、更に又五万円もするような振袖模様のような呉服類におきましても、皆その占める生糸の量と言えば大同小異であります。一律のものなのであります。要は、加工費によつて高級か否かが定まるのでありまして、高級品と言い、又仮に奢侈品と申しましても、それは零細な労銀の集積にほかなりません。而もこの七千五百円を超える高級呉服は、絹織物全体の生産の量から見まするならば、極めて僅かなものであります。これを更に生糸の総生産量から見ますると、一割にも満たない極めて少いものなのでございます。かような極く僅少なものに課税をして、日本古来の美術工芸品として海外からその真価を認められ、又海外に相当に需要のあるものを抑制して、これによつて、少量の生糸の消費がたとえ抑制できたといたしましても、これが生糸の輸出の振興に役立つとは何としても合点が参らないのであります。このことは毛織物におきましても同様でありまして、一ヤール四千五百円に線を引いて、それ以上のものの抑制を図るということになりますと、恐らく我が国の毛織物の生産はそれ以下の品位の低いものに集中されることになろうことは明らかでございます。この結果は、必然的に染色技術の向上を阻む結果となり、又いま一歩、品質の改良、技術の向上ということができれば、今後においてなお今日以上の輸出の増加が見込まれている際に、このような恰好でその芽を摘み取つてしまうようなことをいたしますと、輸出の振興はいよいよ望まれなくなるということに相成るのでございます。又国際収支の改善に資するなどのため奢侈繊維品として消費税を課する必要があるといたしますならば、何が故に、海外から現在輸入されている数限りのない贅沢な消費資材に対しまして、消費の禁止か、又は輸入の禁止というような措置を講ずるための法律をお出しにならないのか。かように非常に不思議に思われる。
 なお奢侈と名の付いた法律が出されるのは、我が国では恐らく初めてのことと存じますが、国民の等しく注目の的としておりますこの法律であるにかかわらず一繊維だけに課税しようとし、而も奢侈と申すには誠に程遠いものに課税しようとしているのであります。一例を挙げるならば、七千五百円の着尺地よりも、又一ヤール四千五百円の毛織物よりも、二千円の帯締めとか、千五百円のネクタイであるとか、三千円、四千円もする草履であるとか、五千円、八千円もする靴というような、その他いろいろな高級品を見逃しているということは、誠に不思議と言うのほかはない。いやしくもかような法案を立案なさいますならば、もつと慎重にやつて頂きたいのであります。これは取りも直さず、政府が面目だけに促われて、織物消費税、それから原糸課税、更に三転四転というような工合に一夜漬の形で案を出されたという証拠にほかならないと思います。
 次に、只今提出されております法案の各条文について批判をいたします。
 先ず第一条に課税範囲を挙げて、ここで奢侈品の定義を与えているようでありますが、そもそも奢侈品というものの定義は容易に下しがたいものでありまして、価格の如何を以て直ちにこれを奢侈品であると一律にきめることは誠に危険でございます。のみならずこの際この課税範囲は、第八条の百分の十五という税率と見合せまして、八十五億という税収を目途としてはじき出した額でございます。誠に納得のしかねる限界価格であると言わなければならん。更にこれが小売商の手から消費者の手に渡るときは、一万円以上に売られても何ら課税の対象にならないというようなことは、誠に不可解のほかはございません。
 又第三条におきまして、担税者を消費者としておるというようなことが明らかにされておるのでございます。これなんかに至つては誠にどうも現在の業界の実情を知らないのも甚だしいと言うのほかはないのでございます。即ち現在の状況は、総体的にバイヤーズ・マーケツト、買手市場でございまして、売方よりも買方のほうが非常に強いのであります。従つてこの税を卸売商から小売商に転嫁して、更に消費者に負担させるというようなことは到底でき得ないところでございまして、この税はことごとく卸売商が負担することとなるということは言うまでもございません。従つて奢侈抑制とかの本来の目的と離れまして、取引高税又は流通税であるという形になつて、徒らに卸売業者を苦しめる税であることは言うまでもございません。
 又第四条におきまして、納税義務者は小売商に販売する者となつておりますが、これは即ち大体において卸売商を指すものであると思います。我が国の織物の取引は、糸のもつれたように複雑であると言われておりますが、これは言うまでもなく卸売段階の複雑性を指すのでございまして、お手許に差上げてあります絹織物流通系路図によつて御覧頂きましても明らかなように、その取引状況は誠に入りくんでおるのでございまして、納税義務者の認定にも最も困難な段階でございます。かような段階に納税義務者を置こうというようなことは、政府は無理に困難を出先の税務官吏に課そうというようなものでございまして、誠に奇怪至極というのほかはございません。又こういつた中間段階への課税は、小売商の染加工又は生産者の消費者への直結取引を助長する結果となりまして、絹織物全般の或いは毛織物全般の取引経路を混乱に陥れるばかりであります。
 只今一例を申し上げますと、白生地が仮りに一反五千円といたしますれば、これに染加工賃五千円を加えれば一反一万円となります。これを小売商に引渡すといたしますれば、当然課税品の対象となりまして、販売価格は税一割五分加算の一万一千五百円となりますが、若しデパートなどの小売商又は消費者が白生地を購入いたしまして染屋に出して、これに染加工をさせますれば、白生地の五千円は免税であり、更に染上り一万円となりましても、これは非課税品ということになります。同じ商品が流通経路の踏み方如何によりまして、一つは課税品となり一つは無税となる、実に矛盾も甚だしいと言うのほかはないのであります。又お召のような先染のものでも同様でございまして、卸から買えば課税品となるものを、生産者から直接買えば卸の口銭が省かれますので、そういう関係から非課税ということになつて、同じ商品が安く入手できるごととなるわけでありまして、これによつて流通秩序を破壊するばかりではなく、合法的な脱税品の大量横行を許すこととなることは火を見るよりも明らかであります。
 更に第六条、第七条、第十九条におきまして、小売と卸又は縫製加工業との兼業の場合の業態の判定と、更にこれに対して必要があれば証明書の提示を求めることができるということを規定いたしておりますが、これを大蔵事務当局について伺うところによりますと、その判定と証明書はその商人の所在するところの税務署長が発行し、その判定は一年くらいの間はこれを変更しない、かように申しておるのでございますが、そのようなことは営業の自由を束縛するものでありまして、強いて言えば憲法違反であるということも言えると思うのであります。
 更に又第十条におきまして販売価格の申告、第十一条におきまして税務署長が販売価格等の決定をすることを掲げておりまするけれども、これが実はなかなかの問題であります。即ち織物の取引は、電気洗濯機とか、或いはラジオであるとか、テレビジヨンというようなもののように、再販売価格をきめられるような値段の安定したものではございません。季節の如何であるとか又原料相場の動き或いは金融事情等によりまして、相場の変動が激しく、殊に高級織物に至りましてはあたかも生鮮食料品と同様でございまして、例えば季節的に見ますと、三月の十日は八千円だつたものがもう四月の十日には半分にしても売れないというのが実情でございます。而もこの種の織物になりますと委託販売が非常に多うございまして、一度帳面へ入帳をいたしましたあと返品が非常に多いのでございまして、これは必ずしもAの店とBの店とが一律に律せられないところであります。そこに納税義務者と税務署との間に問題を起すところがございまして、このあたりに官民離反の大きな原因を形造るばかりでなく、決して円満な税務行政の運営は期し難いと私は存じます。
 更に第十二条に納期を定めて多分の余裕をとつてあるかに見えるのでございますが、現在織物取引の決済は、短くて六十日、長いものに至りましては百二十日にもなるのが通例でありまして、高級品は概して前に述べましたように委託販売でありますので、代金の決済までには四カ月か又はそれ以上の日子を費すのが通例でありまして、その間における税金の立替は、今日のような金融情勢の下におきましては、卸売業者のとてもその負担に堪えないところでございます。
 なお又第十三条におきまして返品されたものの税額を控除する旨の規定はありますが、これがなかなかの問題でありまして、納税義務者と税務署との間にトラブルを起す大きな原因となり、官と民との間の離反をますます大きくする結果になると存じます。
 なお又、大蔵事務当局は、この税の問題については、ことごとく申告によつて課税する方法をとり、決して納税者の迷惑になるようなことはないということをおつしやつているのでありますが、第二十三条ではこれと全く反しまして、税務署員が帳簿並びに商品の検査ができることを規定しております。これらは自由営業の妨害以外の何ものでもないと私は信じます。
 以上、本法案についての批判と、併せて反対理由の概略を申上げました次第でございますが、最後に附加えて申上げたいと存じますことは、高級絹織物の製造は、古来の伝統に基きまして、絞りとか、刺繍とか、又は手がき友禅とかの特殊技能を象徴しておるものでございます。その殆んどが零細な家内労力の集積であり、これが大企業に対する中小企業の生きる途でもございます。而もこれ以上に企業合理化の余地のない段階なんでございます。なお又、こうした高級織物の染とか或いは製造の面には、多く身体障害者が従事しているのが例でございまして、課税によりまして消費を抑制しようとすることは、すなわち生産を抑えることとなり、更にこれに加うるに市場価格の変動とか脱税品の氾濫による加工賃の圧迫などによりまして、これが生産に従事いたします人々の明日の生計にも大きな影響をもたらす重大な問題の発生する結果となることを恐れるのでございます。
 更に、現在、高級織物の生産、取扱の分野には、第三国人の入り込んでいる面が相当に広く、彼らの取扱にかかりますものは、おそらくことごとく脱税されてしまうのが通例であると思われます。と申しますことは、今日すでに京都の西陣あたりの機場が第三国人の手に相当量収容されておりまして、殆んど法人税といいますか、営業所得によるところの税というようなものも納めていないというのが実情のように伺つております。
 なお、このほか店舗を持たないいわゆる背負い呉服商の横行など、脱税品が市場に横溢することを恐れる結果となることが想像されるのでございます。
 こうした結果は、必然的に八十五億の税収を確保するためには、取引高税が存在した当時と同様に、業者への割当によるところの納税を税務署から強制されることは、これ又明かでございまして、正直者が馬鹿を見るというような不合理を再びくり返すことは、私どもの全く堪え難いところでございます。
 以上をもちまして私のこの法案に対する反対の理由の陳述を終りますが、何とぞ特別の御詮議を頂きまして、よろしく御否決を願うようにお願いをいたします。
○青柳秀夫君 参考に伺いたいのですけれども、このしやし繊維税の記事が新聞等に出ておりまして、一般大衆も非常に関心を持つていることであります。業者の方は勿論でありますけれども、そこで、今の何といいますか空気ですね、空気が、こういうものを税のかからんうちに買つておくというような傾向が出ておりますか。或いは殆んどそういうことはございませんでしようか
○参考人(沼田義雄君) 只今のところ、ややそうした傾向が絶対にないとは申上げません。が、併し今日の購買力の関係から、まだそこまで表面に現われるほど参つておらないと思います。
○青柳秀夫君 洋服のほうは如何でございましようか。しやし繊維税の記事が新聞等に出ておりまして、まあ高級なものには税がかかるというので、今のうちに作つておこうというような傾向が、実際問題で洋服関係のほうで出ておりますか。別にございませんでしようか。高級な物に税がかかるから、かからんうちに買つておこうというような、まあ勿論この法案は審議中でございますからどうなるかわかりませんですが、ただ参考に伺いたいのですけれども、そういう傾向が、洋服の御関係のほうで、高級な物の売れ行きがいいというのですか、まあそういうようなことはございますか。
○参考人(小河原新一郎君) 殆んど聞きませんですね。
○青柳秀夫君 わかりました。
○藤野繁雄君 しやし消費税をかけられた結果、あなた方が事務的にどのくらいの負担が増すか。そういうふうなことを計算されたことがありますか。
○参考人(沼田義雄君) 大体帳簿整理、これはもう法案によりまして特別に帳簿を作る必要はないということにはなつておりますけれども、やはり帳簿整理のために最低一人くらいの人間は必要なのであります。或いは他の者を兼務さしてやりましても月に二千円くらいの経費はどうしても必要だと存じます。で、恐らく卸し段階と申しましても、小売並びに商品のトレースする必要がありますので、小売若しくは生産部門ということになりますと、洋服屋さんの部門まで入れますと、恐らく四十万から五十万ぐらいある。そういたしまして、一軒について二千円、年に二万四千円、そうするとどういうことになりますか、一軒当り二万四千円ということになりますね。
○参考人(小河原新一郎君) そうですね。年間百億くらいになると思います。
○参考人(沼田義雄君) つまり百億くらいの諸経費が必要だと思います。勿論それに必要である紙とかインキとかは別といたしまして、人件費、それに附随いたします極く卑近な経費だけでございます。
○参考人(小河原新一郎君) それでは補足いたしまして……実は戦争時代ですから、戦後はそんなことをなさるかどうかわかりませんが、実は東京で、小石川の私どもの組合の人で、税務署のほうから調べられて、行き詰つて、とうとう自殺した人がございます。それで、実は我々洋服屋という零細業者は、八月と二月は実際閑なんです。結局一定の収入というものが平均いたしておりませんので、大体洋服屋の主なるものは月賦が主なんです。恐らく二万円の洋服は六カ月くらいかからなければ取立てられませんから、結局その税金を先に出すわけに行かないから、税金を持つておる。二月、八月の閑なときに食い込んでしまう、それを追い込まれて到頭弁明に困つて自殺した人が東京にあります。ところが東京だかけかと思つたら、大阪の大会に行つたときにも、大阪でもそういうことで二人死んだという話でありましたが、実際これは今の税務署のやり方では、家宅捜索や何かをやりますと、そういうこともあるのじやないかと、こういうことも考えられます。
○委員長(大矢半次郎君) 本日の参考人は、このほかに入場税及び酒税法についても出席するはずでありましたけれども、都合がありまして見えませんでした。従いまして参考人の陳述はこれを以て終りといたします。
  ―――――――――――――
○委員長(大矢半次郎君) 次に、先般、国有財産法第十三条第二項の規定に基き国会の議決を求めるの件の審議の際に保留されました野溝委員の質問を許可することにいたします。窪谷管財局長、川上鉱山局長が出席されております。
○野溝勝君 通産大臣が見えておらないのですが……。
○委員長(大矢半次郎君) 通産大臣は今予算委員会のほうに出ておりまして、都合がつけばやがて参るはずであります。
○野溝勝君 大体いつ来られるか、はつきりしないと、質問の都合がありますが……。
○委員長(大矢半次郎君) 今、予算委員会で質問を受けているそうでありますから、それが終ると参る、こういうことになつております。
○野溝勝君 今、委員長のお話がありました通り、私の質問は通産大臣が責任の中心でありますから、通産大臣が見えましてから主なる件を質問することにいたしまして、一応この際、事務当局それぞれに質問をして置きたいと思います。
 本国会に、目下通産委員会で審議をされております石油資源探鉱促進臨時措置法案、及び石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部改正法律案、この二法律案が審議されているわけでございます。
 この法律案の内容を検討いたしますると、石油資源探鉱促進臨時措置法案の提案理由には「石油の探鉱を急速に実施することによつて石油資源の開発を図るため、地域を指定して石油を目的とする試掘権に関する制度について臨時に特例を設ける等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」これが理由書です。なお資源開発法の一部を改正する法律案の理由書は、「石油及び可燃性天然ガス資源開発法の施行後の経験にかんがみ、探鉱及び二次採取法に対する補助金の交付の方法を改めるとともに、納付金の限度を廃止する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」特に私がこで質問をするその内容は、この法律案とも関係を持つておりますので、本法律案に対する理由を前提に申述べたのであります。
 そこで質問をせんとする骨子を申上げますならば、日本としては、戦後幾多の資源をなくしまして、特に一番資源の枯渇しているものは、何と言いましても国民生活の上に関係ある石油であると思います。戦時中におきましても石油資源が少いために、あらゆるこの石油産業を統制いたしまして、これを、帝国石油にその原油の統制をやらしたのであります。而して政府におきましても多くの株を所有いたしまして、石油の産業の機構に関与をして参つた。戦後、経済力集中排除法案、或いは独占禁止法案等々の改廃が行われまして、その線に基きまして帝国石油も従来の統制会社の性格からこれを改変された。そこで現在どういう状態に日本の石油状態がなつておるかと申しますならば、申上げるまでもなく、殆んど今日この需給の関係を見まするというと、九五%が外国石油に依存をしておるような状態でありまして、殆んど国内的には必要量の五%位であつて、問題にならん状態であります。こういう点を非常に政府は憂慮され、政府ばかりじやない、全国民がこれを憂慮しておるのですが、ところが、この貧弱な資源でございますけれども、この資源の解決のために国民は挙げて大きな犠牲を払つておるわけだ。その大きな犠牲を払つて漸く今日の状態なんです。国の需要の五%、年産三十五万キロリツトルに過ぎない状態ですが、一体この少い資源を積極的に開発しようという熱意に燃えておるのですが、その熱意に燃えておるのは結構でございますが、一体この重要なる産業界が、最近非常に混乱をしておるようなんでございます。特に国を挙げて財政の貧困な折に、僅かとはいえ、今回の予算に、この開発のため一億三千万円の資金を新たに計上しておる。更には、審議会からの答申によりまして、五カ年計画の百万キロリツトル増産方針も打出しておる。こういう際に、一体この産業の中核ともなるべき、いわば帝国石油会社が役員の争奪によつて混乱をしておる。政府といたしましては二千万株中の四百五十万株を持つております。政府が持つておるというよりは、国民がこの株を持つておる。更にはこの苦しい中から補助金まで出して、重要なる産業開発をしようという際に、その中核となるところの会社が混乱をしておるということは、国民として承知ならんと私は思う。昨年本委員会におきまして私は、大蔵大臣小笠原さん、岡野通産大臣、それから時の管財局長の阪田さん等々との間に、本問題で、政府当局者との間に質疑応答を交わしたのでございますが、私は今日あることを常に心配しまして、帝石内部における紛争の経緯及び警告を政府当局に強く発しておきました。その要旨は国有財産としての帝石株券に対する管理を厳重にしてもらうということが一つ。通産方面におきましては、特に今日の事業の性格から見て充分なる監視と指導に誤りなきを期してもらいたいという点を強く私は要望しておいたのであります。然るにその後、動きを見ると、その通りには行つておらない。私はこういう点について本日大蔵当局からお聞きしたいことは、まず管財局長からお聞きしたいことは、この株を持つておる意義、それから帝石会社の内容及び動向等、今後の見解、これを一つこの際に改めて聞いておきたい。勿論、方針を変換されることはないと思いますが、はつきりしておきたい。この株を持つておる意義、今後の見解。
 それから鉱山局長の川上さんからは、これ又今回法律案を出した意義、それから、その目的を達成するために中核となるべき運営の衝に当る帝石の状態、更に見透し等、どう考えているかどうか。更に、やり得るとするならば、私はその見解を改めてこの際、聞きたいと思います。この二つを、最初に鉱山局長さんと管財局長さんにお聞きをして、それから質問順序に入つて行きたいと思います。
○政府委員(窪谷直光君) 帝石の政府持株は、御承知のように、当初は昭和十六年に制定されました法律第七十三号によりまして、政府出資の規定のあることは御承知の通りであります。その後、終戦後において先ず第一に、昭和二十四年の十二月一日に公布されました法律第二百三十三号によりまして、政府出資の条項が削除に相成つたわけであります。従いまして、その時期を画しまして、政府の持株の性格が根本的に変つたものであるというふうに考えられるのであります。それまでは、国策と申しますか、一つの国の政策として出資をするということであつたのでありますが、二十四年の法律によりまして、この条項が削除に相成りました。その後は、国の収益財産として管理をいたしておるということに相成つたと存ずるのであります。なおその後、御承知のように、二十五年に法律第九十一号を以ちまして、全面的に帝国石油の株式会社法が廃止になりまして、従いましてその後は商法上の一般会社に相成つておるのであります。従いまして、この二つの段階を通りまして、今日におきまする政府の持株の性質は、国の普通財産のうちで、収益的な財産、即ち国の政策を遂行するという意味の性格よりも、収益財産として管理をいたしておるということに相成つたと存ずるのであります。なお現在の政府の持株の率は、資本金が今払込みで十億でございまして、政府出資が二億三千万円でございまして、二三%の持株率に相成つております。大体私どもといたしましてはそういうふうな性格のものに変つて来ておるというふうに考えます。なお今後の問題といたしましても、この性格は依然として続いて行くものである。ただこれを簡単に、例えば物納されました証券のように売払つてしまうかどうかというふうな点につきましては、先ほど野溝先生からお話がございましたように、国内の石油資源の九五%も占めておるというふうな会社の株でございますので、処分し得る財産ではございますが、その辺の処分につきましては慎重に考慮をいたさなければなるまいというふうに考えております。これらの点につきましては通産当局とも十分連絡をした上で決定をしなければならんことと存ずるのでありますが、差当りの問題といたしましては、御承知のように証券市場もこういう状況でございますし、仮に売払いに出しましてもなかなか適正な値段で処分されるというふうな見通しも困難でございまして、早急にこれを売払処分をしなければならんというふうには考えておりません。大体、政府の持株の性格なり或いは当面の今後の方針の概略を申上げました次第であります。
○政府委員(川上為治君) 今回提出することになつております石油資源開発促進臨時措置法案、これはまだ通産委員会にかかつておりませんが、恐らく近いうちにかかると思います。この法律案につきましては、先ほどお話がありましたように、私どものほうとしましては、石油の国内資源を急速に開発することが現下の情勢におきましては極めて必要であるというふうに考えまして、一応、石油の国内資源の五カ年開発計画を立てたのでありますが、来年度におきましては、大体一億三千万円程度の助成金が交付されるというような段取になりましたので、その助成金が極めて有効に使われるように、且つ又現在相当有望地区に試掘権を持つております業者が相当あるのでありますが、そのうちに特に帝石が最もその権利を持つておるのでありまするが、こういう石油の状況でありますから、我々のほうとしましては、そういう権利の上に眠らさないように、その会社におきまして試掘をやり得る能力がありますれば、極力そつちのほうに金も廻して試掘をするようにという意味合から、この法律を今回出すことになつたのでありまして、この法律は、近いうちに、先ほども申上げましたように、議会に提案されると思うのですが、私どものほうとしましては、或いは経理の監査とか業務の監査、或いは場合によりましてはいろいろな探鉱に対しまする勧告というようなことをいたしまして、極力、石油の増産を図りたいという意味から、この法律を出したわけでございます。それが先ほどお話がありましたこの法律を出す理由でございます。
 それから現在の帝石の状況、これはどういうふうになつておるかというふうなお話でございますが、これは先ほどお話がありましたように、一昨年の十月でありましたが、新らしい役員が構成されまして以来、その当座におきましては比較的に円満に行つていたのでありますが、いろいろな理由から、新聞等に伝えられておりますように、いろいろ役員の間に内紛が生じておりましたことは、これは事実でございます。私どものほうとしましては、何とかしてこれらの方々が円満におさまつて、そうして石油の増産に邁進して頂くようにということで、いろいろ両方に対しましてもお話をしていたのでありますけれども、なかなか問題がもつれておりまして、実は最近までなかなか話合いがつかなかつた状況でありましたが、最近におきましては、両者のほうでもだんだんいろんな事情がわかつて参りまして、大体歩み寄りまして、恐らく近目中に、はつきりとそれがおさまりまして、そうして両者とも完全な了解の下に石油の増産のほうへ邁進されるような態勢になるのじやないかというふうに考えております。併しながらこの従来のいきさつ等から考えまして、私どものほうとしましては、やはり助成金等を出します関係からは、どうしても会社のほうで十分にこの開発に対しまして努力してもらわなければなりません関係もありますので、先ほども申上げましたように、今回この法律を作りまして、その法律によつて、一面におきましてはいろんな方面を規制して、そうして増産のほうに向わせるように進めたいと考えております。
○野溝勝君 今、川上局長からの答弁でございますが、私はそういう形式的な答弁を期待しておりません。この際、大臣が参りましたから、大臣は予算委員会のほうを外してきたということですが、予算委員会の質問もいいが、本委員会のほうも大事な委員会だから、お互い察し合つて質問することにいたします。通産大臣に特にききたいというのは、大体今聞かれたと思いますが、通産省から近いうちに提案される二つの法案は、今回の予算で、どれもこれもがみな予算を削減されておる際に、一億二、三千万円といえ、とにかくこの産業なり政策なりが国家的に見て重大であるということが、大臣は勿論でありますけれども、閣議におきましても承認された結果だと思うのです。更には、この五カ年計画の答申を政府が承認しておる以上は、勿論それを拒否するわけにも行きませんが、併しあらゆる予算が削減されておる際にこれのみが出されたという点においては、特徴があると思うのです。それほど重大な法案といいますか、産業上の性格を持つておる法案であります。で、これは勿論、通産委員会には近い中に提案されるということですが、先ほど大臣の来られる前に提案の理由書を一応私はここで紹介したわけなんです。この理由書に基きますると、如何に石油事業が必要かということが盛り込まれておる。そこで業界の現状に対し、本年度はこの一億三千万円位の新予算ではこの法案の達成は不可能です。採掘をやる場合におきましても、総支出額の一〇乃至三〇%以上かかるのは世界の例です。これは探掘の投資に莫大の費用を要するのでございます。でありますから、到底そのくらいの予算では問題にならんのであります。併し努力をしておるという片鱗だけはよくわかります。以上のような重要な産業を誰が一体その衝に当るかというならば、今日では原油生産関係におきましては何としても帝石だと思う。石油会社はその他には幾つもありますけれども、原油の会社ではない。大体精油事業なんでありますから、殆んど帝石と見て差支えないと思つております。然るにその産業の中核となるべき帝石の状態はどういう関係にあるかというと、先般も、私、大臣に要請いたしましたごとく、昨年の七月の二十九日に本委員会におきましてこの点を強張したことは大臣すでに御承知だと思います。速記録にも載つておるのであります。その後の状態を見ますると、嘆かざるを得ないのです。今、川上局長が答弁されたよりに、近いうちに只今の問題は解決するということは、表向きの解決とは一応なるかも知れません。併し決してその程度で解決とはならないと思う。私は川上局長を痛罵して快しとするものじやありません。けれども、川上局長の御答弁のようなことでは済まされない。もつと抜本的措置を必要とするのです。すでに愛知大臣も御承知だと思いますけれども、昭和二十七年の六月二十八日に今日問題となつている帝石重役の菊池寛實、南俊二、この二人は二十六年の酒井社長当時の不正事件を中心としての紛争の際に、彼らも介在しておるというので、業界から非難されました。そこで、その当時心配されたのは資源庁長官の山地八郎君、本間政務次官と、以上の二人の間に左のごとき申合せまで行なつておるのです。その節、菊池、南の両人は、自分の態度を表明して、その斡旋方を願つたことがあるのであります。その態度の一つといたしまして、南、菊池両名の文案として、一、拙者らが会社から一任された善後処理とは、当面の紛争を一応妥結せしめ、新陣容の成立するまでのお世話をいたす意味であると承知しており、拙者らは当初より爾後責任の地位に立つがごとき考えは毛頭持つておりません。と述べており、その他、両人から幾多の意見が述べられておりますけれども、この一点から見て、両氏は帝石に関係と責任の地位を持つということはおよそないと思つておりました。然るにその後の状態はどうか。これらの諸君が殆んど株の買い漁りをやり、或いは日本鉱業をして五十億円もの株を買わしてみたり、或いは自分は御承知のごとく証券界に山二証券という名において君臨をして多くの株を買い廻つておる。買うことは自由であるかも知れませんが、産業界には全然責任の地位に立つことは毛頭ありませんと言つておりながら、今日この諸君が中心になつて動いておる、更に川上局長は、近い機会に紛争は落ちつくと思うというが、一体この菊池君等々は本当の業界人ではないのです。然るに彼は堂々と帝石経営の見解を述べている。会社を整理することは結構であるが、彼は従業員の首切りにおいて会社の経営を合理化そうとする考えさえ持つておるのです。こういうような君が、会社を左右しよう、乃至は重役となつて動こう、乃至は自分の傀儡であるところの君を入れて自分の意のごとくやろうというようなことでは、決して会社が軌道に乗るなどとは飛んでもないことなのです。むしろ世間では、この際、通産大臣がおられるから申上げておきますが、大蔵省から行つた方々は真剣に株券の国家所有の意義を重視しておるし、それから特に帝石の仕事の内容等からいいましても重大な責任があるので、慎重を期されておる。然るに通産省の諸君は比較的本事件を甘く見ている。菊池君が株式界の有力者であるところから、やがて帝石を乗取るものとの見通しから、これと提携して、むしろ最近における動きというものは、彼らの「かいらい」になつて動いておるということさえ言われておる。例えば笹本という会社の顧問は通産省出身であります。この君が菊池君と連繋をして動いておる。更に重役になつておりまする椎名君はもと通産省の事務次官、この君はこれ又笹本君と連絡をとつて菊池君のために動いておる。更にその部下であつた川上局長も、これは噂ですけれども、私は別にあなたに言つて見て何の得もありません。ざつくばらんに言つておきますけれども、やがては、やめて参議院議員候補になるかならんか知りませんけれども、それは御自由でございますが、いずれにいたしましてもいろいろ噂も出ておるのです。お気の毒ですよ。そういうことで、ずつと笹本、椎名、川上の線が菊池一派と連繋をとりまして、ここに帝石の支配権を一手に納めるという状態、たまたま愛知通産大臣は繊細にして且つ又明哲な君でございますが、こういう通産省のお家芸の中へ行つてなかなか手が出ないので、痛し痒しの状態でおる。これは事実であるかないかということは別といたしまして、こういう一つの意見、見解というものがあることは事実だと思います。この点から見て、この際、通産大臣の帝石の将来の措置に対する見解を聞いておきたいのです。私は、当初七月二十九日の本委員会における私の質問に対し、小笠原大蔵大臣並びに管財局長その他通産省関係当局の方々の見解は今日といえども踏襲されて行くものと思つておつたのでありますが、今、川上局長のお話を聞きますと、大体二、三日中に解決するというが、その解決するという目途並びに内容等に対する見解を、この際、大臣からお聞かせ願いたい。
 更に私は付加えて申上げておくことでございますが、この解決が果して、現執行部、昭和二十六年の酒井社長中心当時における問題の経緯から見て、その後に新たに通産当局が承認をいたしました現執行部がそのままで行けるかどうか。若し現執行部が仲裁案によつてそのまま行けないとするならば、どういう欠陥があつたか。それで推薦した通産当局はどう一体そのときの責任を負うのか。この点について明らかにしてもらいたい。この点が明らかにされるならば、私はこれ以上の質疑はいたしたくないと思います。
 最後に通産大臣に申上げたい。前々からこの問題について大蔵次官当時から心配された大臣は、更に今回の予算の中からこの新開発のために努力されたこの功績を無駄にされては困る。あなたの努力がこの産業の中核となるべき帝石の重役紛争に利用されるようなことになつたならば、これは飛んでもないことになると思う。なおこの問題につきましてはあげて労働者の諸君までも真剣になつて心配しておることでございますから、現執行部に間違いがなかつたならば現執行部を中心にして考えて頂きたい、ざつくばらんに申しますならば。そういう点についての見解を、この際、大臣から承わつておきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 帝国石油の問題につきましては、只今縷々お話がございました通り、私もかねがね非常に真剣に心配をしておる問題でございます。特に従来と違いまして、政府が国策として五カ年百万キロリツターの計画をいたして、先ほども御指摘の通りでございまして、乏しい中からもいよましたからには、この会社の建直しをやらなければならない。で、従来はただ単に政府が或る程度の株を持つておるという立場からだけの関係であつたのでありますが、今度はいよいよ補助金の対象として国策的に働いてもらわなければならないということになりましたので、いろいろ私としても考えました。で、その結果、先ほど御指摘の通り、私どもといたしましては相当時間がかかりましたが、単行の法律案を用意いたしまして、これは直ちに国会に御審議を願うことになつておりますが、これは例えば人事等について直接特殊会社として当局が関与するというところまでは行つておりませんけれども、経理或いは試掘等については、現在の段階としては私は相当思い切つた法律案の構成にいたしたつもりでございます。こうふうにいたしましたのも、乏しい中の予算を使うところも大部分が帝石であるということに鑑みての結論でございますから、この人事等につきましてもますます従来より関心なきを得ないのであります。私は従来の通りであれば、今いろいろ具体的に人の名前をお挙げになりましたが、当局としては人事にはなるべく関与すべきではないと考えておつたし、又当時の当局もそうであつたと思うのでありますが、ここまで参りますると、私どもとしてもいよいよ態度を明確にする必要があると思いましたので、いろいろ事柄が事柄でございますから、時間もかかりましたし、又方法も慎重を要したわけでございますが、一つの結論を出したわけでございます。その結論は、只今野溝さんは現執行部というような表現をおとりになりましたが、私はもつと具体的に申しますと、従来の経緯に鑑みまして、私は社長の田代氏を中心にして運営をして行く、そのために、従来内紛がございました二つの系統、或いはそれ以上になるかも知れませんが、その人たちが、各業界の意向も体し、又政府の意向も体して、社長を助けて、現社長が気持よく政府の意向を受けて仕事をやつてくれるということにいたしたいと思いまして、一つの相談の上で考え方を取りまとめました。ただ併しながら、問題が人事というような極めて微妙な問題でございますから、外部から御覧になり、或いは当局の我々から見ましても、クリアカツトにこれで百点をとれるというような陣容ではないと思います。それぞれのお立場から御覧になれば、それぞれに不満のある解決案、陣容であるかとは思いますけれども、併しともかくこれだけの大きな組織を動かして参りますためには、それぞれ互譲妥協して行つてもらわなければならない点もあると思いまするので、私どもとしては十分この関係者の方々の御意見を聞き、最大公約数として現社長をして働きよくするという結論のために導き得る、現在としては最善の案と思いまするものが、幸いに現経営者側からも意見が出て参りましたし、又、私どもといたしましてもそれに介入して、これでともかく行こうというような決心をいたしまして、これは成規の手続を近日中にとりまして新らしい発足をいたしたいと考えております。今もお断わり申しましたように、率直に申しまして、私はこれは、関係の人或いは関心を持つ方々から及第点をかすかす頂ける程度であるという御批評を頂くかもわかりません。併し百点はとれなくとも、早く基礎を固めて新らしい事業を推進してもらいたいということから言つて、我々としては、現在においては最善の案だと思つております。併しながら、先ほども申しましたように、幸いにして提案されるところの法律案等について御審議御賛成が得られますならば、政府も国会からの御委任によつて相当強い権限を持つわけでございますから、仮りに現在の案でやれないということであれば、更に政府としては重大な決心をし、具体的な措置をとりたいと、こういうふうに考えております。今日縷々お話を頂きましたことは私も同様に心配しておりまするので、今後もそういうふうな御意見を十分体しまして毅然たる態度をとつて参りたいと、こういうふうに考えております。
○野溝勝君 愛知さんも、大臣になりますと、大事をとり過ぎると言つては失礼でございますが、むしろ大事をとり過ぎるというよりは、非常に現状維持派的な考え方に固着するんじやないかと思います。と申すのは、私の率直に言うのは、人事にまで干渉したくないとか何とか言つてみても、すでに通産当局におきましては、二十六年の紛争問題、前からもそうですが、戦時中は勿論ですが、戦後におきましても、今申した通り二十六年の酒井君の事件以来、今日の田代君を承認する、こういう経緯に鑑みても、勿論これは通産省といたしましてはそれぞれ関係して来ておる。意見を出しておる。それは当然たと思う。これは一種の国家的事業でありまして、こんな公共性、社会性、国家性を帯びた事業はないと思います。そういう点につきましては、むしろ政府は国家的な名において当然この産業に対する責任と抱負を持つて然るべきものであるし、又、持たなきやならんと思つています。であればこそ、私どもも、こうした産業に対する大きなる関心と責任を感じておる。更に菊池君等が資源庁長官に出してあるこの見解というものも、これは或る意味において政府に対する一種の意思表示です。ですから、こういう点から見ても、政府は人事に対して干渉したくないという考え方は、これは大きな誤りです。更に、こんな大きな、且つ重要な事業をやるのに、全く政府が無関心に、一つの株式会社の会社事業というような考え方で、これを放棄乃至は軽視する或いは緩衝地帯を設けるというような考えであるならば大問題であり、何のために法案を出すのかと言いたくなる。ですから、今、大臣は、一面におきましては人事には余り深入りしたくない、又一面におきましては責任があるからしつかりやりたいと思う、こういう二つの見解をどちらも強調されておるのですが、一体大臣は、この際、重要な仕事であり性格を持つておるものであるならば、この人事に対しましは、産業の発展の上に大きくこれに関心を払つて行きたいという見解を持つておるのか、明らかにしてもらいたい。田代君中心というお話でありましたが、この田代現社長中心もよろしいのですが、今世間において心配をしているこの輿論に対して、特に会社の性格並びに企業に最もふさわしいという人材を中心にして行くという見解を私は明らかにしてもらいたい。問題になつておりまする株式業界のボスのようなものがこの中に入り込み操作するということになつたならば、それは吉田内閣に唯一人の新らしい知性をもつ大臣と言われている愛知大臣にとつて残念に思う。更に問題は、大臣就任前にも問題になつておりましたが、白木屋事件或いは渋沢倉庫の事件等々のいろいろ忌わしき事件もありまして、随分輿論を騒がしたことは御承知だと思います。併しこれらの会社の乗取りというのは、公共性、社会性の比重から見るならば、この帝石の問題ほどじやないと思います。帝石こそ私は本当に国家性的であり、社会的であり重大な問題でありますから、以上の事件の経緯とは違う。大臣においては一つしつかりやつてもらいたいと思う。更に菊池君等におきましては、秋田木材の事件、或いはすでに御承知のごとく高萩石炭会社の社長就任の経緯、こういうことをつぶさにずつと見てくればわかるのであります。この際、菊池君が先に資源庁長官との申合せもあつたごとく、本当に業界の将来のため或いは帝石将来のために、或いはその産業の性格の上から見ても、この人だけは慎重に自分みずから考えなければいかんと思う。大臣におきましては、ここで言明を問うということは私はあえて求めませんが、最も問題になつておるこの菊池氏については、十分この際自重させることである。如何に大臣が現社長田代君を中心と言いましても、菊池君の資本力が蔓つている以上、なかなか容易でない。今後の産業の明朗ということは絶対得られないと思うのであります。若し得られるというならば、ここで大臣に言明をして戴きたい。私は将来の国民に誓つた材料にしたいと思つております。この点については非常に心配をするものであります。特に石油企業に非常な熱意を示されておりまする愛知大臣の見解を率直にお聞きいたしまして、私の質問を終りたいと思つております。その点に対する見解を赤裸裸に一つ愛知大臣からお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど私が申上げました通りでございまして、少し前置きを長く申上げ過ぎたので、誤解をお招きしたかと思うのでありますが、この法律案を作りまして国会に御審議をお願いするという段階から、私どもの態度というものは非常に強くなると思うのであります。というのは、従来の或る時期においては余り人事に関与するというようなことは、その当時の事情とし、或いはその当時であれば私も如何かと思つておつたのでありますが、私は念を入れまして、先ず法律的に、帝石と申しますか、炭鉱試掘金をもらうような会社については、相当厳重な法的な規制を作らなければならない。この態勢をとつたことによつて、私は、人事といいますか、経営の面にも従来に増した重大なる関必を持たざるを得ない。そこでこれを前提にして、当局の立場というものからいたしまして、一刻も早く帝石の経営者陣営のごたごたを解消したいということでいろいろと関与し工作もいたしまして、先ほど申上げましたように、これが万全の策とは思いませんけれども、一歩少くとも前進する態勢ができるものと確信いたしておりますし、若し又それが不十分でありますれば、追つかけて断乎たる措置をとるということは、先ほど決意を申上げた通りでありますから、それらの点につきましては十分一つ御監視頂き、又いろいろの意味で御協力が願いたいと思う次第でございます。
○野溝勝君 ではこういうふうに解釈してよろしゆうございますか。では大臣の決意もよく了承できたのでありますが、今のように忌わしきと言いますか、業界の問題人であるような人物に対しましては、十分考える用意を持つておるというふうに解釈してもよろしゆうございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは人事の問題でもございまするし、私といたしまして、この席で誰はどうするというところまでは申上げかねるのでありますが、帝石の幹部全体が国策に協力して、皆様方の御非難のないような立派なやり方をしてくれるようにということで、私どもとしては見て参りたい、こういうふうに御了解願いたいと思います。
○野溝勝君 私の例を挙げた人々云々というのは決定的というわけではございません。けれども、そういうようないろいろ問題になつておる人に対しましては、大臣の見解から言いましても調査をし、検討して見なければならんことだと思います。この点については貴方は異議ないと想います。でありますから、例えばという例を挙げたのでありますけれども、そうした角度において人事は十分検討善処するつもりがあるかどうかということだけ最後にお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 私といたしましては、もう十分に御趣旨を体して見て参りたいと思つております。
○野溝勝君 その次に、今の帝石の関係の株でございますが、この株に対しまして外部から交渉などのあつたことは今日までにありますか。例えばその株を譲渡しようとかというような御相談を受けたことがございますか。その点についてお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(窪谷直光君) 私は管財局長に就任いたしましたのは昨年の八月でございますが、それ以降そういう方面の交渉なり或いは申出なりというようなことを受けたことはございません。
○野溝勝君 これは鉱山局長の川上さんにお聞きして置くのですが、先ほどいろいろ私は噂なども例に挙げて申上げたのですが、こういうようなわけで、なかなか非常に関心を払つておる事業だけに、非常に神経が過敏になつておりますから、ですから、今後私はもう再び三たびかようなことの起りますならば、これは全く川上局長個人という問題ではなくて、愛知大臣個人という問題ではなくて、私は、石油界、国家の上に非常に私は悲しむべき現象が起ると思うのです。先には酒井君の問題、続いて今回の紛争の問題、二度あることは三度あると言いますね。この次に下手なことでもありますと、それはもうお互いこの産業界、関心を払つて心配をしておる人々の問題だけじやない問題でありますから、特に五カ年計画というものは、もうとんでもないことに私はなると思うのです。こういう点から見て、十分一つ局長の川上さんにおきましては、先ほど大臣も、人事の問題については個人をどうということは言えませんが、十分関心と心配を払つているという表明をしておりますから、この点については一つ実際問題の衝に当られるあなたですから、実際問題として非常に先輩との問にいろいろまあ、あれもありましようけれども、併しそういう点は公私を混淆しないように、賢明なる川上さんのことでございますから、ぬかりはないと思いますけれども、是非一つ今の噂に上つておるような人は、何としても、私はこの国家の資金を以てやつておるこの産業、事業に対して、更に又国家が大いに今後力を入れなければならんという事業に対して、その中の中心メンバー、役員になるということは絶対反対です。若し仮にさような者がなるということになりますれば、今後私は徹底的にこの帝石内部に対する一切をぶちまけて輿論に訴えて、それで正道に立戻るような斗いをしなければならんことになりますから、そういう点につきましては余り徒労を起させないように、一番衝に当つておられる川上局長の御賢明なる一つ努力を願いたいということを申上げて置くのであります。これについて川上局長の見解をお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(川上為治君) 先ほど帝石の重役の人に通産省の先輩がおられて、君は先輩の意向によつて非常に左右されておるのじやないかというようなお話がありましたが、私は実は反対派でといいますか、田代社長は、これは非常に昔から懇意でありまして、まあそういうような関係がありまして、私は決してどつちの立場というような考えでこれの間に立つてはおりませんことを一つ御了承願いたいと思うのであります。私は極めてこの問題については公平にやつておるつもりであります。先輩が言うからとか、或いは誰が言うからというようなことで、この問題には、実際の衝には当つておりません。又今回の問題につきましても、両方から相談がありまして、何とかお前のほうでも一つこれをまとめるようにしてくれないかという依頼もありましたので、その依頼に応じまして大臣の命を受けてやつたわけでありまして、私のほうがとやかく、これをどうしろああしろということをやつたわけではないことを御了承願いたいと思うのであります。なお今後におきましては、この問題につきましては、特にこの法律が出ますれば、私どものほうとしましては、非常にこの会社の内容なり或いは会社の今後の運営に対しまして、相当厳しい批判なり或いは指導なりできるような立場になりますので、私どものほうとしましては、この法律が出ますれば、この法律に従つて極力厳正に持つて行きたいというふうに考えております。
○野溝勝君 では、この石油問題に対する質疑はこれで一応打切ることにしまして、この際、管財局長にお伺いしておきます。現在千葉県の旧歩兵学校内における国有財産がどういう状態になつておりますか、一つお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(窪谷直光君) 具体的な場所の問題でございまして、今日その関係の資料を手許に持合せておりませんので、後刻調査をいたしまして、文書で御報告いたしたいと存じますが、如何でございましようか。
○野溝勝君 では局長さんに具体的に申上げまして、知つている範囲だけの御答弁を一つ願いたいと思います。と申しますのは、千葉少年鑑別所施設移転新設反対に関する請願書が出ておるのでございますが、この請願者は千葉市作草部町九三八、作草部交正会、右代表山崎紀雄、都賀小学校PTA、右代表馬込国三郎、請願書の内容は、
  法務省は二十八年度計画として千葉市作草部町の旧歩兵学校内に少年鑑別所を同市神明町から移転新設しようとしています。しかし旧歩兵学校一帯は将来密集住宅地になることが予想されます。また一帯は文教地域で、少年鑑別所の建設予定地は小学児童千数百名の通学道路に接していますので替地を求めて法務省の鑑別所設置計画を変更されたく請願いたします。理由は
 一、旧歩兵学校内は終戦後住宅地となり、現在三百八十数戸が居住しており、隣接地の旧気球隊跡には、二十八、九両年度の計画として五棟の県営アパートが建設されることになつています。また周辺にはすぐに多数の住宅があり、千葉市の都市計画の進展と相まつて、将来密集住宅地になることが予想されます。したがつて少年鑑別所が旧歩兵学校内に設置された場合には、居住者は逃亡者による放火、盗難などの被害を身近に感ずることになります。
 二、都賀小学校は少年鑑別所の設置予定地から約五百米の位置にあり、周辺には女子経済、椿森中学、関東中学などが、所在しているため、旧歩兵学校一帯は終戦後文教地域を形成しています。少年鑑別所がこの一角である旧歩兵学校内に設置されれば、都賀小学校児童の教育にいろいろの悪い影響を及ぼすことになります。
 三、少年鑑別所の設置予定地は旧歩兵学校から都賀小学校への通学道路に直面しています。このため旧歩兵学校内の児童手数百名は、都賀小学校への通学途次、陰に陽に暗い影響を受け、悪へ走ることの場合も予想されます。また逃亡した年長収容児がこれら通学児童に被害を与える危険もあります。
 こういうわけでございまして、すでにこの請願書の内容につきましては法務委員会におきまして論議をされておるのであります。法務委員会におきましては、先般この請願書による地域の実地調査をやつて参つておるのであります。そういうような状態になつて、相当地元におきましては、紛争といいましようか、相当の波乱が続けられておるのでありまして、こうした経緯について、管財局長のほうでは大体御了知だと思うのでございますが、この点に対する見解を一つお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(窪谷直光君) 甚だ恐縮でございますが、この具体的な問題につきましては、私はまだ実は承知いたしておりません。至急に状況を調査いたしまして御報告いたしたいと思いますが、大体の方針といたしましては、これは現在大蔵省所管の財産になつておると存じます。その場合に、各省が必要である場合に、所管替えをいたすのでありますが、その場合には、その各省の必要とする理由並びに地元におきますいろいろな懸案事項等がすべて解決をいたしました上で、処置をいたすことに相成つておりますので、まだ法務省のほうに所管替えをするという決定はいたしてないと存じます。その間の事情、それから今、野溝先生がお話になりましたような状況等も調査をいたしまして、慎重に善処いたしたいと思います。
○野溝勝君 局長さんから、そういうまだ実際の報告を受けてないということであるから、よくその点は調査の上という今お話がありましたので、私はその上でお聞きすることにいたしたいと思います。
 この際一つ調査をする前の参考を申上げてみたいと思います。と申すのは、千葉の鈴木財務部長が、今その衝に当つておるようです。そこで、今聞くところによるというと、まだそれは、利用転換といいましようか、まだ大蔵省の財産になつておるという見解のようでございますが、千葉の財務部長は、すでにその住民に対しまして、千葉市長が換地を出さない以上は立退を強行すると言つて、盛んに不安を与えておるわけなんです。こういう点について窪谷管財局長さんは、まだそういう報告を受けておらないのですか。
○政府委員(窪谷直光君) 或いは私の部下の係のところには報告が参つておるか存じませんが、私自身は甚だ恐縮でございますが、報告を受けておりません。
○野溝勝君 それでは一つ窪谷局長の御意見通り、至急一つ調査を願つて、国有財産である以上は、国民の大多数の希望に副つたほうがいいと思うので、そういう点については処置を誤まらんように、この点に対する局長の努力を願いたいと思います。更に今日はまだ調査をしてないという御意見でございますから、いずれ委員長の了解を得まして、後刻機会を見まして、局長さんからこの問題の経緯、見解についてお聞きをすることにして、本日はこれを以て終ります。
○委員長(大矢半次郎君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十五分散会