第019回国会 内閣委員会 第4号
昭和二十九年九月二十一日(火曜日)
   午前十時三十六分開会
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 出席者は左の通り。
   委員長     小酒井義男君
   委員
           長島 銀藏君
           高瀬荘太郎君
           西田 隆男君
           岡田 宗司君
           松原 一彦君
           平林 太一君
           野本 品吉君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       杉田正三郎君
   常任委員会専門
   員       藤田 友作君
  説明員
   海上保安庁長官 山口  伝君
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  本日の会議に付した事件
○行政機構の整備等に関する調査の件
 (昭和三十年度海上保安庁関係予算
 における施設並びに装備の増強計画
 に関する件)
 (昭和二十九年における海上保安庁
 の活動状況に関する件)
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○委員長(小酒井義男君) 只今より委員会を開会いたします。
 本日は昨日に引続きまして行政機構の整備等に関する調査を議題といたします。本日の委員会におきましては、この調査は海上保安庁関係の事項について行いたいと存じます。
 海上保安庁関係についての具体的の調査項目の第一点は、昭和三十年度予算における海上保安庁所管の予算の見通しの問題であります。海上保安庁においては巡視船、航空機及び施設、装備等の上に如何なる増強の計画の下に大蔵省当局と来年度予算について折衝中であるかという点、これが第一点であります。
 第二点は、過般行われました人員整理による結果、現在別段の支障なく海上保安庁の業務が運営せられておるかどうか。即ち海上保安庁の業務運営の現状如何という点が第二点であります。
 第三点は、海上保安庁は海難救助等の面において世人から感謝される活動をされた実例をときどき新聞紙等を通じて承知しておりますが、これらの事例について併せて説明を願つておきたいと思います。この機会に一般の海上保安庁の存在認識を新たにする必要があると思いますので、これらの点を一つ御説明を願います。
 なお現在当内閣委員のかたがたに、この際海上保安庁の業務の実情を実地について御見聞願つておくことが将来のため有益と存じますので、委員会の散会後直ちに芝浦竹芝桟橋に碇泊中の巡視船に乗船し、運航する船内において実地について海上保安庁当局より御説明を承わりたいと存じます。
 それではこれらの点について山口長官より説明を受けます。
○説明員(山口伝君) 只今委員長のほうより三点お話がございましたが、先ず最初に三十年度の予算で、海上保安庁といたしまして、船舶並びに航空機の増強整備をどのように考えておるかという点につきまして最初に申上げたいと思います。
 先ず巡視船についてでございまするが、現在海上保安庁が所有いたしておりまする船舶につきましては、お手許に一応の統計を差上げてございます。巡視船につきましては只今のところ九十五隻ということになつております。それの内訳は資料を御覧になるとわかりまするが、主要なものは、千トン型の五はい、四百トン型の四はい、それから四百五十トン型、これは中型でございまするが、これが二十二隻、それから二百七十トン型が二十隻、その他は在来の船でございまして、海軍で使つたり、或いは警察で使つたりした船を引継いだものでございまして、おおむね百トン前後、中には二百トンのものもございますが、飛行機救難艇とか或いは駆特と申します木造の古い船でございます。ですから、九十五隻のうちの新しい船で第一線級として使いますのは新造の巡視船でございまして、これは約半分でございまして、四十四はいが新しい船でございます。これらの船で日本の沿岸一万海里の日常の警備救難の業務に対応しておるわけでございまするが、一万海里の海岸線に対しましてこれらの九十五隻、一口に九十五隻と申しますと相当あるようではございますが、平均いたしましても、そのすべての船が仮に出動いたしましても、担当海域は百海里になるわけでございまして、ところが御承知のように船は四六時中動くわけに行きません。大体三分の一が動くのでありまして、あとはドックに行つて修繕をいたしましたり、或いは港におつて補給をし、待機しておるというときもございまして、結局三分の一が現実に現場に出動する船の数になります。従つて一ぱい出ておりまして平均で行きましても三百海里の警備救難に対しておるわけでございます。その上御承知の二十七年の秋から特別哨戒と申しまして、東支那海、朝鮮海峡、或いは北方の水域に頻発する漁船の拿捕問題、これらの漁船の保護のために出動をいたしております。その勢力には増減がございまするが、これはシーズンとか漁場の推移或いは日本漁船の出動状況に応じて適宜に変更を加えられて参つておるわけでありますが、今日現在のところを申しますると、東支那海のほうへは、現場に五はい出ております。それから北方のほうは三ばい出ております。八はいが現実に特別哨戒に出動いたしております。そのためにこれらの船の交代を考えますので、我々先ほど申しました四十四隻の新鋭の第一線級の巡視船、これの殆んど半分、二十数隻というものがこの業務に割かれておるわけであります。日本沿岸の警備からはそれが消えておるわけであります。従いまして一層沿岸の警備救難の体制としては手薄になつておるわけであります。これらのことからいたしまして、無論国家予算の誠に苦しい困難な際ではございまするが、仕事のほうに空白が生じては困りますので、せめてかような特別哨戒に出る船のあと埋めを少しずつでもやつて頂きたいということを考えまして、来年度の予算には、お手許に資料もございますように、六百五十トン型巡視船を二隻新造、三百五十トン型巡視船三隻新造、次に三百五十トン型巡視船、同じ三百五十トン型巡視船でありまするが、三隻を代替建造、この代替建造と申しますのは、現に手持の老朽の古い船を廃棄してその代りに作るという意味のものであります。それから二十三メーター型、十五メーター型五隻とか十隻とかございますが、これは小型のランチでございまして、二十メーター型あたりは、海上が平穏な場合には無論沿岸にも若干出ます。これら港内艇をそれぞれ増強いたしております。総経費で二十億六千四百余万円になつております。今日まで毎年の予算折衝の場合に、大蔵省では無論いろいろ実情を聞くと、巡視船が足らないということはわかるけれども、国家予算の苦しい際であるから、新たに増強するということはまあ待つてくれ、せめて古い船のほうを廃棄して、その代りに作る、いわる代替建造で新しいのを作つて質的改善を図つてくれという強い線がいつも出ておるわけであります。二十八年度におきましても、二十九度におきましても成立いたしましたのは、この代替建造という口でできたのであります。ところが先ほど申上げますように、今日特別哨戒に相当割かれておりまするし、沿岸の海難事故というものは決して減らないのでありまして、我々日常の実情を見ております者からすれば、何とか勢力を増強して頂かざるを得ないのでありまして、従つて今回は代替建造は無論従来通りのような形もとりましたが、この代替建造いたします場合に、従来の古い船の小型のものを十隻なら十隻を廃棄してその乗組員の、人の増強はしないで、その人間に見合う船を作るという形で大蔵省は来られたものでありまするから、それではだんだん一人勢ナは同じでもりましても、巡見船の多少いい船を作る、或いは少し大きな船を作るとなりますと、隻数は減つて参ります。これは非常に又我々の仕事をする上においては痛手でありまして、海上における仕事の単位である船が減るということは誠に忍びがたいので、今回は廃棄いたします隻数を補う意味での新造の五隻を出してあるわけであります。従つて九十五隻という総隻数においては変らないという範囲で新造、代替建造というものを目論んだ次第であります。
 次に、航空機の関係でありまするが、これは海上保安業務として特に警備救難としては、海上における事故に対して、海上を走る船艇だけでは不十分でありますし、又スピードも、時間的な効果もないのでありまして、少くとも海難を救助するにいたしましても、或いは沿岸をパトロールするにいたしましても、海空一体で立体的な体制を整えることが能率的であり、的確であるわけであります。さような考えで、是非とも最小限度の航空機は持ちたいということで数年来努力して参つたのでありまするが、幸い二十七年度の補正予算で、取りあえずヘリコプター六機が認められまして、すでにこれは第一線にも活躍いたしておりまするが、内訳は、小型のベル三機と、大型のシコルスキー五五型というのが三機とれまして、これに対応するヘリポートとしましては五カ所認められたのであります。すでに開設を終つております。函館、館山、大村、舞鶴、新潟、以上五カ所でございます。すでに第一線に活躍をいたしております。これが五つの基地に対して、今日僅かに六機のヘリコプターしか持つておりませんが、もともと当初におきましても、十機くらいは持つことに予定しておつたわけでありますので、今回三十年度の要求予算にヘリコプターとしては追加四機、内訳は、ベルニ機、シコルスキー二機ということになつております。従来の六機と合せまして、合計十機、これが五つの基地に二機ずつ配置するという形をとろうと思つております。なお、ヘリコプターだけでは不十分でございまして、航続力の点、スピードの点等からいたしまして、飛行機を是非持ちたいというのが我々の悲願でございまして、今回いろいろの事情を勘案いたしまして、ビーチクラフト二機、これは双発でございます。KATの軽飛行機二機、これは単発で。ございます。以上四機を持ちたいと思つております。これはヘリコプターの基地と飛行機の基地とでは飛行場の様子が違いますけれども、私どもはこの飛行機につきましては現在の海上自衛隊の基地である所とか、或いは又自分のヘリコプターの基地であるところの飛行機を飛ばすことのできる飛行場を利用することにいたしまして、今回は機械人員の要求だけで、飛行場の整備というものは従来の施設なり、よそのものを使う、併用して行くという形をとつて、予算の節減を図つておる次第であります。以上の飛行機関係、ヘリコプター四機と飛行機関係四機で、経費といたしましては三億二千万円を要求いたしております。この航空機が最小限度あれば、日常の哨戒にいたしましても、或いは万一の場合の海難事故に対しましても、迅速果敢な非常に適切な救助がやり得るということは火を見るよりも明らかなことであります。ただ今日かような施設に対して相当経費がかかりますので、我々も非常に遠慮いたしまして、かような僅かな数ではございまするが、これだけのことは是非やらしてもらいたいという強い考えでおるわけなんであります。
 なおここで一つ附け加えておきたいことは、来年の予算には、巡視船ではございませんが、大型の測量船の新造を考えております。九百トン程度の船一隻、経費が一億九千四百万円ばかりでございまするが、これは是非一つ実現したい。現在水路部の仕事のために、測量船、観測船として持つておりまするものは二、三百トンのものが最大でございまして、それも古い船、誠に貧弱そのものでございます。遠距離に出るわけに行きませんし、又しけのときには出られない。非常に弱体なものでございます。水路部の仕事といたしましては、戦時中沿岸の測量観測に空白ができたのをとり返すべく努力をいたしておりまするが、今のようなテンポで行きますると、将来二十年、三十年もかからなければ海図の修正はできない。随時これは適当なテンポでやつて参らなければならないのでありまするから、さような測量船或いは測量系統の弱体或いは不足というようなことで非常に遅れておるわけであります。一般的にはかような船も要るし、更は測量観測用の基地といたしましても、近代的な能率的な電波関係を利用するもので、人は成るべく使わないようにして、機械化をして能率を上げて行かなければならないのでありますが、どうしても代表的な測量船の大型の船一ぱいだけはほしい。これがありますれば今日世界的に問題になつておりまする海洋資源の研究、大陸棚の研究といつて喧伝されておりまするが、日本の沿岸の測量並びに海底の地質の調査というものは等閑に付せられないのでございまして、各国が海洋資源に非常に着目をして逐次優秀な観測船でその仕事に手をつけておるわけでありまして、従来日本の水路部というものは世界的には相当よかつたのでありまするが、戦後の日本の姿は非常に弱体でございます。少くともこの大型九百トン程度のもの、これは成るべく小さくて済むなら小さいほうがいいのでありますが、いろいろ性能を考え、航続力を考えて参りますると、一流の代表的な測量船としてはどうしても九百トンぐらいのものにならざるを得ないのであります。このような船が設計されて、日本の沿岸で今日までのところでわかつておりまするのに、石炭の資源或いは石油資源或いはその他の金属等が或る程度わかつておる。これらは水路部の測量の仕事に併せて、僅かなことでその目的を、資源の調査の基礎資料というものが得られるわけであります。これはどうしても国家として手をつけざるを得ないのであります。今回非常な意気込みでこの大型測量船一ぱいだけは作つて頂きたい、かように考えております。船舶並びに航空機関係につきましての来年度の要求予算の内容はさようなものでございます。
 それから次に御質問の先般の行政整理の関係で、海上保安業務が行詰つておるのではないかという有難い御質問でありまするが、行政整理が行われました際、海上保安庁としての当時における定員は一万六百十九人一であつたのであります。それに対して御承知のように業務の性質によつて整理率がきめられましていろいろ紆余曲折がございましたが、総計において約三・二%に当る三百三十四人の定員の削減を終局的に受けたわけであります。これらは海上保安庁は現業が大部分でございますので、大部分というものは管理部面にしわ寄せになつているわけであります。数字としてはさようになつておるわけであります。もともと海上保安庁は戦後にできまして新しい組織でありますために、而も逐次増強いたして参りました関係で、定員予算等は他の従来からある官庁と比べまして非常に苦しかつたのであります。ところが国の方針として行政整理がございましたので、例外というわけには行かないのでありまして、いろいろ重いところも或る程度みてもらいましたけれども、結局三百三十四人というものを削減せざるを得ないことになつたのであります。もともと伸びて行かなければならない機構、官庁が、こういうような時期に際会しましたので非常に実際は苦しんでおります。でこの対策といたしまして海上保安庁の中に業務の合理化委員会というものを作りまして、そこでなんとしてもこれはおつき合いはしなければならんということで、尤もこの影響が実際には最小限度に済むようにというつもりでいろいろ工夫を現にしてもらいつつあるわけであります。先ず仕事が警備救難と燈台と水路とこう三つに大分けになつておりますので、これらに対する影響をもう少し御説明申上げたいと思います。
 警備救難業務にいたしましては、現在全国に八十八カ所の基地を持つております。これは大きいところは保安部、これが四十九カ所、警備救難所というのが三十カ所、それから救命艇基地、ライフ・セーヴイング・ステーシヨンと言いますが、救命艇を二はいぐらい置いて海難のときに出て行くという、それ専門に当るわけであります。こういう基地が九つあります。以上合計で八十八カ所のいわゆる船艇基地を擁しておる。そこに巡視船が九十五隻、港内艇が二百五隻ということで網を張つておるわけであります。従つてこの警備救難に対する人員整理につきましては、船それ自体の減員は、これはまあ第一線のこれが仕事の中心でありまするので、極力滅さないようにいたしまして主として内部の管理面、要するに陸上勤務員のほうにしわ寄せを極力いたしまして、仕事の能率には殆んど影響のない、仕事の単位は減らないようにと努めたのであります。ただ今後私どもが心配いたしますのは、巡視船の九十五隻のうち約六十隻というものに火器を取付けます。大きいのは三インチでありまするし、四十ミリの機銃或いは二十ミリの機銃というものを二門、三門、小さいのは一門というのもございます。船艇の大きさによつて違います。これらの火器を装備いたしますと、これらのために若干の人員は乗せなければならない。そうなつて参りますると、極力船艇の乗組員のほうにはしわ寄せしないようにいたしましたが、これらが取付けられまして全部完了いたしますと、船艇の苦労、乗組員の苦労というものは、従来にも増して苦しいのではないかということを恐れております。
 これらによつて、過労に基き健康に及ぼす影響ということを非常にまあ心配いたしておるわけであります。海上保安庁は仕事の関係上、就職いたします場合に極めて厳重な身体検査をいたしまして、結核等の疑いのある者は全部忌避して、その点は非常に神経質にやつておるわけであります。そういうふうにしてやつておりまするが、乗組員であとの勤務条件から来る罹病というものもあるわけでありまして、最近の様子では新潟とか舞鶴方面、日本海方面の船艇に割合に多いのでありまして、船艇の乗組員に対しては或る程度の予備員というものを持つて、常に船の運航に差支えないような態勢をとつておりますが、この予備員の大半というものが実は病気のために上つておる。予備員が予備員の用をなしておらない。療養のための予備員ということに殆んどなつておるのであります。誠にその点が心配に堪えないのであります。
 なお先ほど申上げました特別哨戒に十日乃至二週間くらい交替で出て参りまするが、冬場の東支那海の哨戒に現在用いているような四百五十トン型の巡視船、本日の午後乗つて頂くのは四百五十トンで、それと同型でございます。さような船が台湾、上海近くの海上まで。パトロールに出ております。これらが一回行つて参りますると、最初は一貫乃至二貫匁くらい痩せたということで、非常に心配いたしました。まあいろいろ馴れというものもございまして、今日ではどうにか切り抜けておりまするが、もともとこれは非常な、この程度の船でああいつた冬場の哨戒をやらせるということは本当に苦労なんでありまして、そういう意味からいたしましても、ああいつた仕事に使うためには、もう少し大型の船でやらなければならないと、かように考えておりまするが、十分にその点が解決できておらないのは残念であります。
 次に水路業務でございますが、先ほど申しますように、水路業務につきましても、或る程度の行政整理をやりましたが、実は地方の水路に対する業務の要請が最近非常に多いのでありまして、と申しますのは、日本の大型船も逐次殖えて、外航へも出るようになりましたし、又外国船の日本への寄港も殖えて参つております。なお海上自衛隊の船艇も増強されて来て、海図等の水路図誌の作製要求というものは非常に殖えつつあるわけであります。これらの要請を満すためにはどうしても水路業務の刷新をして観測業務或いは測量のための機械等も新しいものに入れ替え、或いは近代的な能率的なものを使うということもしなくてはならないのであります。今回の水路部に対する整理は極力内部の管理面の縮減にいたしましたが、どうしても現場の作業部面にまで若干の影響があつたのであります。このことは如何にも私どもとしては残念でありまして、少くとも純粋な現場であるところの勢力は殖やしこそすれ今日減すのはどうかと思う。併しこのたびの行政整理では若干作業面のほうにも縮小が及んでおることは遺憾に存じておるわけであります。
 次に燈台業務の関係でございますが、燈台、航路標識の現場員そのものにつきましては行政整理の対象にならなかつたのであります。管理面のほうにおつき合いをいたしたのでございますが、この燈台業務のほうの内部管理と申しましても、結局それは航路標識の建設であるとか修理、或いは現場の職員の業務指導というようなものでありまして、いわば或る程度現業に近いのでありまして、それらのほうでひつかぶりました減員というものは、燈台の運営のためにはやつぱり相当支障を来たさざるを得ないというものが偽らざるところであろうと思います。
 最後に内部管理業務に対する減員の問題でありますが、主としてここでおつき合いをいたしたわけでありますが、他の業務と違いまして結局現場のためにある内部管理業務でありまして、現場がいわゆる現業でございまするので、普通の管理行政をやつておる管理面とはいささか違うのでありまして、本庁におきましても通信の関係、或いはオペレーシヨン、要するに日々刻々の情報をとつて仕事をいたし指令をいたしておるわけであります。当直があつて、ほかの役所と違つて四六時中一部の人は働いておる。その他その補給、人事等におきましても、無論どこもしておることでありましようが、その度合が船艇の乗組員とか、或いは現場の人事等につきましては迅速にやらざるを得ないのが本質でございまして、いささかほかの監督行政の内部管理面とは違うのでありまして、物品の調達等におきましても、即刻手を打たなければ現場にすぐ影響を及ぼしますし、そういうふうに仕事が時を争う仕事をやつております。それの補給面であり管理面でありまするので非常につらいのでありまするが、今回その部面でかなりの整理を受けたのでありまして、なお一方港湾業務と警察業務を持つておりまして海上における部面を担当いたしております。こういつた仕事のためにはどうしても手をゆるめるわけには行きません。事件がありますると忙しいということで、非常に人が減るということにつきましては堪えられないのでありまして弱つているのは事実でございます。
 一方最後に申上げたいのは、私どものほうの仕事は無論計画をして逐次やつて行くわけでありまするが、台風が参りまするとか、或いは水害があるとか、或いは大きな海上における事故がありまするとか、或いは拿捕が頻発するとか、さような不測の業務が出て参るわけでございましてさような場合は早速それに対して手を打たなくちやならん、時間の勝負をいたさなくちやならないのでございまして、人が足らないからどうにもならんというわけには行きません。できるだけ機動的に当面する問題を処理しなくちやならない。ぐずぐずしているとすぐ非難されるというのはこれは当り前でありまして、さような勝負をいたすわけでございますので、非常にかような整理は誠につらいのでありまして、そういうことをし、なお又海上の実際の仕事でございますので、例えば最近におきましても、名古屋港の信号所の移管とか、或いは今日も午後御覧頂きますけれども、東京港の入口にあります燈船、これはあかりをつけた燈台であるわけですが、更にどうしてもあそこには信号員を置いて出入港の信号をしてくれ、それが非常に有効であるから是非やつてくれというようなことが起つて来るわけであります。こういうものに対しては新たに予算をとつて来年度からやるというわけに行きませんので、既定定員を差し繰つてこれらの要請を満たさなくちやならない、非常につらいのでございます。現場の仕事を持つておるからこそこういうふうになるのだろうと思います。そういうものにつきまして人員を捻出してやつておる、それで翌年の要求で是非大蔵省から補充をしてもらうということをせざるを得ないのであります。そういう点でいわば海上保安庁全体が非常に、第一線は無論現場でございますし、内部管理面も現場に近いような仕事の性質であるために、行政整理は非常につらいのである。従つて三十年度の予算には、今日まで手を打ちましたことに対しての跡始末とような要求の部分も出て参るのでありまして、これらのことは何とかして行かないと、業務に支障を来たす。今までにやつたからそのままだということで見てもらわないで行きますと、本当に現場の人はつらい勤務で解決できないで追われて行く、そういう点が非常に強いのであります。行政整理の海上保安運営に及ぼしました影響につきましては、大体かいつまんでこの程度でございます。
 次に、第三点の海難救助等で、或いは海上保安業務で地方民から感謝された状況を申せということでございますが、海難救助によりまして、これはもう海上保安庁としてのいわば仕事の半分くらいの重みはあるわけであります。先ず最初に統計を申上げますと、お手許に資料も差上げてございますが、昭和二十八年、昨年でございます。昨年の統計では、海上保安庁の手によつて救助されました隻数は、年間千三百九十八隻ございます。人員は一万を越しておるわけであります。なお本年の一月から六月までの半年間の実績はすでに七百三十五隻に上つております。これらの海難救助につきましては、当該海難船の所有会社、或いは漁船の場合には所属組合等から殆んど例外なしに感謝状、或いは感謝電報を受けておりまして、枚挙にいとまないのであります。更に外国船につきましても感謝状をもらい、或いは外国の慣例として若干の謝金を、これは海上保安庁が受けるわけでございませんが、海上保安庁の職員の福利厚生をやつております外郭団体の海上保安協会等への寄附金になるわけでございます。そういうものを付けてまで礼をされておるのがあるわけであります。最近の主なものにつきまして申上げますと、お手許に資料を差上げてございますが、一番最近のでは、去る八月二十五日米船運航株式会社、米船運航株式会社と申しますのは、アメリカのLSTという戦時急造貨物船、これを現在三十隻ばかり持つて、主として駐留軍の補給業務をやつておる会社でございます。日本の会社でございます。これのLST五百八十一号というのがこれは二千三百十九トンであります。これが青森県の尻屋崎で坐礁いたして、早速函館の海上保安本部から七百トンのだいおう、それから四百五十トンのおくしり、りしり、以上三隻が出動いたし、救助いたして釜石港に引張つて行つたわけであります。船体もすべて安全であつた、これらに対して早速同会社から深甚な謝意が表せられました。なおこの米船運航は一年くらい前でありましたが、下津の近所でも事故がございまして、このときも無論応急救援に行つております。それと重なりましたので、特に今回深甚なる謝意が表せられました。
 それから同じく八月十日徳島県の蒲生田崎西南方においてフィリピンのバターフイルドスワイヤー会社のドナ・アリシヤン、七千五百トン、大型船、乗組員六十九名、これがやはり坐礁して最寄りの田辺海上保安部、これは和歌山県の港でありますが、そこの二百七十トンのくまの、ほか四隻の巡視船、これは大きな船と、港内艇も出て行つたわけであります。出動して救助した、これも礼状が参つております。
 なお六月二十九日小樽市のさけ・ます漁船三笠丸、これは新聞で報道されましたから御存じだと思いますが、北方のほうへ出漁いたしておりましたところが、濃霧のために進路を誤つて千島の一つの島である新知島の東側の岩に坐礁したわけであります。この場合新知島はもともと無人島であつたわけであります。さようなSOSが入りましたが、これは向うの領分でございますので一時躊躇いたしたわけでありますが、無人島の沿岸に坐礁して乗組員の十四名の生命が気づかわれましたので、海上保安庁としては、局地で、無線でソ連側へ保護方を依頼したのであります。これに対して何らの応答がない。いよいよこれは放つて置くわけに行かないということになりましたので、いろいろこちらのほうの無線で放送しながら、向うの領海に入つて調べたわけでありますが、幸い向うは無人島でございましたが、当時の模様は、向うに監視兵がおつたらしくて、乗組員全体は、船が助からないので、てんまを降ろして、それに食料その他を持つて陸へ上つた。そこへ向うの監視兵が来まして、あとでわかつたことでありますが、ソ連の監視船が他へ保護して連れて行つたということがわかつたわけであります。で、当方では、でんりゆうをしてその調査をやらしたわけでありますが、海岸に一時上つたということがわかりましたし、又その無電で全員無事で上陸したという情報がございました。一応命は大丈夫だ。そうこうしているうちに監視兵が発見いたしまして、そして山の上から、行けと言うので、余儀なくさような実情だけを確認して帰つて参りましたわけであります。これらのことにつきまして当該船主からは無論のこと、北海道知事、小樽市長、或いは東京の大日本水産会等のいろいろなかたから、非常に適切な処置であつたといつて感謝されたのであります。
 なお六月十四日の和歌山県の漁船第十五号富佐丸、七十六トン、これはパラオ島の近所からの帰りに、サイパン島の附近でエンジン故障をやりまして航行不能となりましたので、鳥羽の海上保安部のこうず、これは四百五十トン、これが出動いたしまして、大体こもは距離が八百海里くらいありますが、焼津へ曳航して来た。これは無論、協業組合より非常な感謝を受けたのであります。
 それから又五月十日の北海道方面の低気圧による集団遭難というのは、新聞に相当出ましたから御存じであろうと思いますが、当時は救援部隊を編成いたしまして、他管区からも応援を出しまして、捜査海面を非常に広範囲に拡げまして活動いたしたわけであります。これらの活動につきましては、北海道庁や地元の漁民からも非常な感謝を受けまして、水産委員会でもそういうことが報告されたわけであります。
 なおその他六、七と同じようなことがございまするが、感謝はされないのでありますが、韓国の船も対馬の附近ではたびたび救助いたしております。これは救われた漁夫はやはり喜んでおるわけでありますが、先方からの感謝ということは遂になかつたのであります。
 なお一番最後にございますが、これは昨年の六月の、西日本の水害並びに七月の和歌山方面の水害のときに、即刻附近の巡視船全部が集結いたしまして、救援物資の輸送或いは人員並びに郵便物並びにその他の緊急輸送を十日乃至二週間、いつまでもやるわけに行きませんので、交通が或る程度回復するまで、応急のこういつた対策には潭身の努力をいたしたのでありまして、それぞれ総理大臣或いは関係の役所、国鉄或いは郵政大臣とか、いろいろな方面から表彰なり感謝状をたくさん受けたわけであります。
 最近水産関係では、大体この救助船の内訳を申しますと、半分ぐらいは漁船でございまして、殊に最近漁船がいろいろまあ水産関係の事情と申しますか、遠洋漁業を奨励されますので、かつお、まぐろであるとか、或いは東支那海の以西底引等へ、或いは又北方の漁場へ大挙して行くようになつたので、従つて我々の仕事の対象が非常に広範囲に拡がつた、そこらで海難の救助のみならず、急病、例えば盲腸炎だとかいうような場合に、丁度たまたま内地へ帰る巡視船が或る場合に、病人だけ至急運んでくれないかというようなこともあつて、これも業務に差支えない限り或る程度いたしております。或いは又南方方面では、台風の来るような場合に、委任統治区域の港に避難する、それらの手続を至急やつてくれというようなことを、無論これは無線でやるわけであります。その都度できるだけのことはいたしている。この間の十二号台風のときにも、三十数隻がアメリカの統治区域に避難をいたしたのであります。比較的十二号が西のほうへ北上いたしたので、大したことがなくて済んだわけでありますが、さような場合にも勿論東京の本部或いは地元の組合等からも、それらのことにつきまして心からなる感謝の言葉を頂戴いたしております。我々はそれは当然の仕事だと思つてやつているわけであります。大体以上であります。
○松原一彦君 長官に伺いますが、今国民の間に急に大きく浮かび上つて来た例の定点観測船の問題でずね、あれとこの海上保安庁との関係はどうなつているのですか。
○説明員(山口伝君) お答えいたします。御承知のように定点観測の仕事というものは、終戦後始まつた仕事でございまして、P点とX点と二カ地点、南方と北方と両方あるわけであります。この二カ地点の観測を二十四、五年頃からじやないかと思いますが、当時占領軍が中央気象台にこの仕事をやれということで、それに使う船は旧海軍が持つておりました海防艦五はい、これが今あります千トン型の五はいと、これと従来気象台が持つておりました凌風丸、この六ぱいを引当てにいたしまして、ですから二カ地点の観測を、三隻、三隻ぐらいが順ぐりにやるという形で、それで費用はたしか三分の二ぐらいアメリカのほうで持つ、日本の予算は三分の一、船はいわばあれは接収された船を、これを使えということで当てがわれたということである思うのです。そういう形でいろいろ航空機の関係とか、或いは台風だとか、その他のいろいろまあ効果はあるのでありましようが、いわゆる気象観測という貴重なデータをこの二カ地点でとつていた。ところが去年の秋に、恐らくこれはアメリカの予算の削減の関係でありましよう、急にその定点観測に使つておりました費用を出せなくなつたから、従つてやるなら日本でやつたらいいだろうということじやなかつたかと思うのでありますが、自分のほうじやとにかく財政縮減のために、今後やめるからという話があつて、今後この仕事をどうするかというようなことが、去年国会で随分問題になつた。そこでいろいろ大蔵省も中に入り、我々も中に入つて相談の結果、全部この機会にやめるわけにはいかない。その時の取りきめは、結局いろいろ意見がございましたが、特にこの台風のために、第一次的であるところの南方の観測だけは続けたい、併しそれは一年中必要ではない、大体台風シーズンの五カ月、四、五月から始まつて九月か十月頃までに終るわけです。で、そういう関係でございますので、この五はいの船の措置、並びに乗組員のことも起つたわけであります。いろいろ中央気象台と相談してそれじや我々のほうは本当に大型の船がほしくてしようがない際だから、我々のほうにまあ向うで、……最初は向うからむしろ引取つてくれという話で、それは渡りに船と、私どものほうで使いますから、使いましようということだつたわけです。それで五はいを海上保安庁の巡視船のほうにして、但しそのうちの二はいは、将来南方の台風のための観測を引続き継続する、で、そのときには気象台のほうから観測員がそれに乗つてそれで出るから……、そういうことで結構だというので、まあいろいろなことも打合せいたしまして、そういう了解で昨年のあれは予備費かなんか出て、きまつたわけであります。で、一時は、昨年の予備費では、たしか本年度になるまでの間は、身分も併任のような形にいたしまして、本年度になつて完全に乗組員は海上保安庁に参りましたし、それから船のほうもいろいろとアメリカのほうで調べまして、結局いろいろなことがありましたが、ワシントンとの間の交渉で、最後にはつきり海上保安庁のものとしてもらい受けまして、従つて本年度に入つてからの南方の定点観測につきましては、中央気象台と業務協定をやりまして、いつからいつまでX点に出動して仕事をする、その場合のいろいろな取りきめができておりまして、それに則つて出動をしておる。従つて五はいのうちのあつみ、おじかという二はいをそれに当てておりまして、これは交替で出ておる。で、この間の十二号の台風の当時はたまたまあつみが出ておりまして、それの交替で、十四号につきましては、おじかが出ておる。現在出ておる。ただ中央気象台とされては、これがまあ今までのいきさつでありまするが、北方の観測をいろいろな意味でいたしたい。それで北方の観測をするためには、今の使つているああいう船では心許ないから、新しい立派な観測船を是非作らしてくれというのが、中央気象台からの三十年度の予算要求として出ておるわけです。
○松原一彦君 昨年中央気象台を見た時分に、その報告は受けたのでありますが、先般来のように台風が頻発して、全国民が不安におののかされておるときに果されたる今回の定点観測船の功績は、非常な大きな国民の一つの驚異となつておる。今朝の新聞にもありますように、僅か九つか十の子供が、お誕生日のお祝いのケーキを買うためにためてあつた五千円を持つて船を是非新しく堅固なものに作つてくれというので、献金に参つておるという記事もある。我々が見ておつても、あの船、あつみが出かけるのには、船底に穴があいておる老朽船であつて、その老朽船が、たしか八百七十トンぐらいの船でございますね。それがああいう大きな偉功を果しておる。勿論今度の観測には非難もありますけれども、今の業務報告を拝見しても、そのことが一行も書いてない。その船をあなたのほうで保管せられ、且つ運営しておられるということが書いてないのでありますが、九十五隻という中にあつみも、又おじかも入つておるのでございますか、如何ですか。
○説明員(山口伝君) 九十五隻の中の、下のほうに内訳がございますが、千トン型としてある五隻の中に入つておるわけであります。その千トンの五隻というのが、従来気象台が持つておつた船でございます。なお極く目の前の事件であつたものでありまするから、この世に感謝されているという中に漏れたのは、誠に遺憾の次第でありまするが、八月以前のやつを集めたような恰好になつております。
○松原一彦君 実はその今の御功績の御発表の中にもなし、又沿岸測量、海洋測量その他水路の測量、その他はあるけれども、どこにも中央気象台と提携して、あの台風に関する観測に当つたというのが一行もないのです。ここに私どもは非常に大きな功績を私は逸しておるのじやないか。又その最中に、本来こういうのはあなたのほうの御任務である、南方洋上北おける、太平洋上における海難船に対しても、定点観測の中を、南方何百マイルかを航海して行つて、その無事な姿を発見して、安心して救助の功を果したということもあるのです。これなどは我々は非常な大きな記録だと見ておるのです、素人ですからわかりませんのですが。それが今後続くものとすれば、海上保安庁の一つの大きな任務ではないかと思うのですが、御所見は如何でしようか。
○説明員(山口伝君) 御尤もであります。ただその定点観測の仕事それ自体が、どちらかというと中央気象台の観測であるものですから、私のほうはいわば縁の下の力持の船であるために、つい手抜かりがあつたと思うのであります。御指摘の通り、我々のほうで、たとい定点観測業務は共同でやつておりましても、無論乗組員が、ああいつた台風の近くで観測ができるように操船をいたしておるわけであります。その苦労たるや、お示しの通りでございまして、十分書かなきやならないことだと思つております。定点観測それ自体の業務が気象台であつたために、つい漏れたというより、一智新しくて、つい書かなかつたと思いますが、今後その点は十分配慮して参りたいと考えております。
○松原一彦君 明年度の御計画の中のこの艦船の御要求に対しても、今国民感情としても大きくクローズ・アツプして来ておるこの定点観測の任務を、共同の責任として大きく御発表になれば、私は予算が取りいいのじやないかと思うのです。ああいう小さな、一千トン未満の船を激浪の中に半月も置いておくということに対する不安は、我々でも、こう心臓にこたえるほどの不安を持つております。どうかなりやせんかと思う。もつと耐波性の強い、そして新鋭な船を、安心して五十メートル以上の風速の中に置いて国民の不安を去らせるようなことが私は必要だと思うのです。従つて御要求の際にも、これは一つ大きくお取上げになつたほうが予算獲得の上からいうても必要であると思う。又他人扱いにあなたのほうはしておられるのではなかろうけれども、どうも中央気象台に対して縁の下の力持ちといつたふうにお考えになることは、私はどうもくみしがたいと思うのです。むしろ大きな任務として、而も現に海上保安の任務を果しておるのですから、その近辺ではしけと同時に船が海難にあう、そうすれば定点を離れて救助に行くのですから本務は当然果しておる。大きな任務は果しておるように思いますので、是非他人扱いにしないで、のみならず今後は重点的にお扱いになつても、これは予算を獲得する上からいうても、あなたがたの御任務の上に重要な重きを加えるものではないか。私はさように思いますが、御所見如何でしようか。
○説明員(山口伝君) 勿論定点観測業務、それが全部海上保安庁であればそういうことはなかつたでしようけれども、現在の中央気象台の内部事情を申上げますが、定点観測、而も北方定点の観測をやるかやらないかということが、先ず政府としては何ともきまつておらないわけでありまして、気象台としては自分のほうでとりたいということで、新鋭な観測船がほしいというのは主として北方を開始するための要求なんであります。それについて私どもが先に立つてやるかどうかということについては、若干のそこに気がねがあつた。南方の台風観測は、成るほど台風が近づきますと一定の南点の所におるわけでありますが、船体のことも考えまして或る程度常に無電で連絡し合つておりまして、無論船が犠牲になるようなことのないように常に本部との間の連絡はとつて、その状況判断で犠牲が出ないようなことには無論やつております。併しこれがいい船であれば結構だとは無論思いますが、現在のあつみ、おじかを維持しながら南方ならばまだ当分やれるという私どものほうの研究なり技術者の意見で、船長以下全部、全部と言い切れるかどうか知れませんが、船長なんかもはつきりこれで十分だ、この前出掛ける前に極く一部に穴があいたことは事実でありまするが、これは無論修理をして心配のないようにして出たのでありまして、新しい船を作ることは無論結構でございまするが、現在のあの船でも南方の観測ならば十分用をなすという考えではおるわけであります。併しこの新しい定点北方を開始するかどうかという問題、開始するについては、今のような船ではこれは不安心だ。その点においては我々も同感であります。若しも北点を開始するようであれば、船としては新しく作らなければやれないだろう。但し北方をやるかやらないかということについては、現在の建前では気象台のほうで考えられるものでありまするので、これに対して我々が大きく言えないということであります。それが若しも実現するようになりますると、船のことについては、一体その所属をどういうふうにするのかというようなことにつきましては、我々としてもいろいろ意見はございまするが、まだ今日それを申上げる段階にはないだろうと思います。いろいろ研究はいたしております。
○松原一彦君 別にそれ以上申上げることもないのでありますけれどもが、同じ運輸省の下にあり、而もあなたのほうの御任務は、しけの際において一番大きな責任をお持ちになつておる。海難はしけによつて大部分が起る。そうでない場合も勿論ありますけれどもが、その大きな海上の保安に任じられておられるあなたがたのほうでやる以上は、気象の観測というものに対しては私は非常に大きな御要求があるはずだと思うのですね。中央気象台がやることだからおれの知つたことじやないというふうなものではなかろうと思うのです。北方の定点観測が必要か必要でないかということは、むしろあなたがたのほうに発言権がありはしないかというくらいに私は思う。現に北海道の突風に対して大変海難があつたけれどもが、あなたのほうの船は追つ付かなかつた。途中から帰つて来ている。何だカもうやけり一つのセクシヨナリズムみたいなことを私は感ずる。そういう不安がある。これは総合的に見て海上保安の任務にお当りになる以上は、こういう観測の完備を期せられるように相互相携えて御苦労下さる必要が私はあると思う。国民はこれを要求いたします。そういう意味から、別に議論はいたしません。この御報告に一点も触れていないこと、而も世間に伝つているところでは、あつみにも船に不安がある。船長は非常に心強いことを言つておられまするけれども、又今行つているおじかは何か船首を切り継いだ船だというふうにも伝えられている。これも船体には必ずしも激しい台風の中では安心が与えられないようなふうにも新聞などは伝えております。国民はやはり不安を持ちます。どうか一つ大きな観点から、一番台風と関係の深いあなたのほうが台風を予知し、そうして船舶、人命を未然に防ぐ意味においての台風観測等についても十二分に御協力下さることを希望いたします。
○野本品吉君 ちよつとお伺いします。海上保安庁の仕事は、正確な海図を作つて航海の安全を期するとか、或いは遭難船舶に対する救助をするとか、海底資源を調査するとかいうようなことを考えまするというと、何といいますか、国の特別の文化的な平和的な仕事をするのがその使命であるというふうに海上保安庁の性格を理解してよろしゆうございますか。
○説明員(山口伝君) その通りであります。
○野本品吉君 そういうことになつて来ますと、先ほどお話を承わつておりまして、その船艇に火器を取付けるというのは一体どういうことなんですか、考え方は……。
○説明員(山口伝君) もともと海上保安庁の巡視船に火器を取付けますのは、時が時だものだから誤解をされている面もあるように思いますが、要するに丁度陸上における警察官が拳銃を持つているのといわば性質として似ていると思いますが、海上においては仕事の電位が人と人でなくて船と船との間のために拳銃では用をなさないのでありまして、結局そういう平和目的のために働いているわけでありまするが、たまには密漁をする船がダイナマイトを使うとか、或いは又密輸船が軽機ぐらい積んでいるというようなこともあるのでありまして、そういう船に対して普通の方法で、手旗や何かで停船を命じましても、自分の船が速いために逃げるというようなことがあるわけなんであります。さようないろいろな場合を考えまして、普通の警察船も、海上の船艇には大きさによつて適当な信号用の火器を取付けるのは各国の例でございまして、私あれは実力のつもりで付けておるというふうに見て頂きたくないのであります。そういう意味で取付ける。たまたま東支那海とか李承晩ラインで拿捕のある時分に付けるものですから、日本の巡視船は武装をして実力を使つてやるようにとられて甚だ苦しいのでありますけれども、本来或る程度の火器というものは信号用としての号砲用としての用をなす。又万一の場合の正当防衛とかいうときのあれにはなりますけれども、それは本来の目的ではないのであります。なくてすめば一番理想でありまするけれども、まあ普通そこまでは行われておるわけでありません。従来の懸案を進めて取付けて行くつもりであります。
○野本品吉君 そこで先般竹島で海上保安庁の巡視船が韓国側から発砲されたそのときの状況及びそれに対する措置というようなことにつきまして、簡単でよろしゆうございますから、要点の御説明を願いたい。
○説明員(山口伝君) お答えいたします。竹島につきましては、昨年の六月以来の問題でございまして、もともと日本としては自分の領土であると思つておる竹島一、たまたま島根県の調査船が参りましたときに、数名の漁夫が上陸してあそこで操業をやつておつたというので、これは大変なことだということから問題は始まつて参つたわけであります。いろいろ去年中にも問題はございましたが、極く最近の実情を申上げますと、先月の二十三日、一番新しいこれは事件でありまするが、巡視船のおきが、これはもう随時哨戒に出かけておるわけでありまするが、たまたまおきが参りました際に、竹島に近接して参りましたところが、まあ誰もいないようなふうであつたので、接近して七百メートルくらいまで接近しましたときに、いきなり小銃或いは自動小銃くらいかと思われるもので一斉射撃を受けて約四百発くらいの射撃を受けたわけであります。それでこちらとしては危険でありまするので、船体にもそれが当つております。それでこれはいけないと思いまして、待避して、そしてずつと遠くから島の周辺を廻つて視察をして来ておるわけでありまするが、東島の一角に燈台らしきものが約六メートルくらいの白色の燈台かあるのをそのときに現認しております。そのときはまあそういうことで帰つたわけでありますが、その後いろいろな情報を総合いたしまするというと、韓国ではあそこに警備のために駐屯をさせているような発表もいたしておりまするし、それから又燈台につきましては何か作つたらしくてそれをアメリカの水路部にも知らせておりまするし、又幾つかの国にもこういうことをやつたということを発表もいたしております。公式に発表しておるようであります。それで我々のほうといたしましては、従来韓国側として、まあ領土権についての紛争があることは御承知の通りでありまするが、漁業をしに上陸するばかりでなく、警備員が島に上り駐在し、又加えて燈台を作つて、そうして韓国の領土であることを主張しようということは、これは遺憾なことでありますが、日本としてはこれに対してどうするかということでありまするが、日本としては、この領土が日本に属するということは、もう今までのいろいろな調べで日本としては疑いのないところでありまして、その方針は堅持しておるわけでありまするが、要するに日本の領土権を主張するためには、而もそれを平和裡に解決したいと思えば、今後その島については随時実情を確認しておく必要があります。従つて先方では日本の公船が盛んに領海侵犯に再々来るというようなことで、誠に逆にこれを言つて心外ではありまするが、こちらとしてはそれは当然なんでありまして、調べにも上るときには上ろうと思いまするし、今後哨戒は随時続けて参るつもりであります。而も向うが実力を使つてでもやるというような不法なことをいたすので、齟齬があつてはつまりませんので、十分警戒の上で実情を調べて行く、而もその都度その内容につきましては外務省に連絡して、それに対応する措置を、この前の八月の事件のときには、外務省としては、そのような不法なことが行われておるということを主な国々へ早速電報を打たれたし、その後資料も送られたようであります。いろいろ日本としての言うべきことを言つておられます。一方、又これをどうやつて解決するか、国際司法裁判所へ出訴するかどうかということにつきましても、鋭意検討してもらつております。我々としては、巡視船を今後随時出して、ただ行く場合に、向うが出て来たからというので銃を使つてどうこうということはしないつもりでありまするが、詳細実情を熟知しておいて、そうしてその都度それを外務省等に報告をして、できるだけ日本の領土権を主張するために使つて行く、そうしてなお進んで別の方法で、例えば国際司法裁判所だとか、或いは更に従来もたびたびありましたが、アメリカの斡旋を頼むとかいろいろなこともあつたが、十分にそれがいかないのでありまするが、今後も何かの方法で解決を図つて行くというよりほかないと考えております。
○野本品吉君 竹島の問題はまあ大体今お話があつたのでありますが、私どもまあ今のような状態において、逐次韓国側によりまして、或いは燈台を作るとか、或いはそこへ監視隊の衛舎を作るとかいうような既成事実が累積されて行くということが、将来この竹島の帰属を決定する上において非常な問題になつて来ると思うのです。そこで海上保安庁のかたにお聞きしたいことの一つは、外務省がこの点について、海上保安庁に対して竹島の事情の調査とか巡視とか、そういうようなことに対して積極的に、こういう方針で、ああいう方針でというようなことを要望されたことがありますですか、外務省から。
○説明員(山口伝君) ちよつと私聞きとれなかつたのでありますが、結局竹島の問題につきましては、随時もう報告が本庁に入つて参りますと、生のデータを外務省に無論通知もいたしますし、それからすぐ内容によつては寄つて相談して、どう処置して行くかということはその都度やつております。その際外務省から意見の開陳も出ましたし、私どもからも言いますが、水産庁、防衛庁からもその会議に参加しております。そういうことでやつております。それで今年の五月頃には、地元の島根県の水産業者が巡視船二はいと共に行つて、どれだけわかめを取つて来たということもやつたわけであります。その後向うが占拠するような状態になつて来たわけであります。
○野本品吉君 巡視船が発砲されたというような場合に、事を荒立てることを極度に回避するために、いつもこちらは待避してしまうというような、いわば消極的な態度で臨まれておるわけですか。
○説明員(山口伝君) その点の方針は、向うが不法なことをやつておるからというので、こちらが実力を使つてひつ捕えるとか、うち合いをするとかということはやらせておりません。それはできるだけ手荒なことはしないで行こうということのために今日まで押されて来、而も領土権を主張されておるようなことは誠に心外でありますけれども、そうかといつてそれをこちらが積極的に実力を使うようなことは、単に竹島、その場面だけでなくて、今後あじ、さば漁や何かの警備方針にも影響するでしようし、その影響というものについて考えざるを得ないのであります。今日までのところ、その点慎重に配慮を加えられて、経過をして来たわけであります。
○野本品吉君 私は今非常に慎重に構えている態度については同感なんです。併し先ほど申しましたように、既成事実の累積というようなことにつきまして、不断の注意と警戒とを払う点において遺憾のないようにお願いしたい。
 もう一つは、火器を取付ける問題でありますが、竹島の問題を除きまして、他の場合において現実にそういうことも必要を各地各方面でお感じになるわけでございますか。
○説明員(山口伝君) 火器の必要というようなことは、万一の場合でありまして今日まで海上保安庁、できましてからそういうものがあればよかつたというような場合というものは、そう再々は無論ないわけであります。併し現実にダイナマイトを投げつけられたり、密輸船が軽機を数丁持つておつたということはあるわけでありまして、将来の態勢としては、一応そこまでのことは慣例がありますので、なお先ほどの領土権を主張するために既成事実を逐次手を打つて来る、それは私どもも心配だし、無論外務省も心配されてああいつた事件の新しい事実を発見しますと、その点は即刻に外務省はいろいろなことをやつてくれて、その点はやはり一番気にしておるわけです。なお知恵が足りなければ、今後いろいろ工夫もしなくちやなりませんが、お話の通り韓国が既成事実を作つて行くのに対して、何としても日本の領土を主張するために適当な手を打たなくちやならんといういろいろ便法も特に打ち、或いはアメリカ等に対しては、特に大使や何かから話をされたり何かして、いろいろな手はやつておられるようであります。
○西田隆男君 今の竹島問題に関して、竹島は現在のような情勢下にあるための、日本の水産業に及ぼす影響はどういうものがありますか。
○説明員(山口伝君) 私専門でございませんので、はつきりしたことを申上げられませんが、今日までの実情を申上げますと、竹島は東西の大きな岩からなつておる島でありまして、一番高い所で百四十七メートルそこらであります。草木は殆んどないのであります。普通居住するような場所ではないのであります。毎年波の静かな四、五月から八月、九月までの間、島根県方面から附近のあわびであるとかわかめであるとか海藻類、それはたしかいるかの漁場であるかも知れません。そういうようなことのために出ておつたわけでありますが、同じように韓国側では鬱陵島の漁師が、そういう時期に小型の三十トン前後の船で、伝馬船を二、三ぱい引つ張つて来て、そうして一週間か十日おつて或る程度の収獲をして、そして又引張つて帰つて行くというようなことをお互いにやつておつたようであります。従つて今回そういつたような岩窟に飲料水もすべてみな鬱陵島から運んでいると聞いております。大して多くないようでありますが、そういう人が従来岩かげにテントを張つておつたようでありますが、今日は見えないようでありますから、恐らく洞窟に何らかの施設をして駐在していると思うのでありますが、これがずつと、水産としては船の行く時期でない冬の北風の荒れる、日本海のそういつた岩の島に一年中冬を通しているであろうかどうであろうかは私ども非常に疑問にしているわけであります。恐らくいるとすれば鬱陵島あたりから食糧、薪炭を運ばなくちやならない、そういうことがやれるものかどうか疑問にしているわけであります。要するにそういつた海藻や、或いは岩の間にいるようなあわびとか、そういつたものの漁獲シーズンの数カ月の間随時行つた場合の基地になつておつたというようなわけであるわけであります。あれが水産のほうの、何といいますか、漁獲高、資源的に見てどの程度のものであるかということにつきましては、余り私はよく知らないのであります。
○西田隆男君 竹島問題に対する海上保安庁の今とつておられる行動は、あなたがたのほう自体の解釈に基いてとつておられるのか、それとも各省とは勿論連絡しているようにお話を聞きましたが、何か内閣から竹島問題に対する指示を受けて、その方針に基いて海上保安庁としての行動をとつておられるのか、これを一つ。
○説明員(山口伝君) 竹島問題に対しましては、勿論閣議にも報告いたしますし、問題の都度関係官庁、即ち外務省、防衛庁、農林省とうち、この四者で会合を待つて、その都度対策を練つております。基本の方針につきましては勿論大臣や何かにもお話しておりまして、閣議でもそれに対してどうしろというあれはなくて、今日はやつております。従つてこの関係省の間で十分事態に応じてどういうふうにやつて行くかということは、その都度やつて、その上でおのおの仕事を分担してやつているわけでありまして、警備方針につきましては、私どものほうが受持つておりますが、警備の基本方針なるものは関係省間の話合いできめた方針に則つてやつているわけであります。
○西田隆男君 そうすると内閣全体としては、竹島問題に対する方針、どうしなければならんという方針の決定はないわけですね。海上保安庁自身が各省と連絡をして、保安庁自体の考え方に基いて竹島問題に対する行動をとつておられるこう解釈していいんですか。
○説明員(山口伝君) 竹島問題それ自体を報告し、それに対しての対策としてまともに諮つたことはないわけでありますけれども、竹島の問題についてどういうことが起つた、どういう実情だ、それに対してどういうふうにいたしたという報告は、無論あれは問題でありますので、閣議にはその都度資料に基いて申上げ、報告はされておるわけであります。その警備方針そのものにつきましては、この問題についてはこの四省の会議で随時にやつて来ることはもう周知の事実でありまして、それを続けてやつておるわけであります。
○西田隆男君 これ以上は追及はいたしませんが、竹島という小さい島とはいいながう、問題はあなたがおつしやるように、領土権に関する問題なんであります。そういう大きな問題に関連しての海上保安庁と関係各省間の連絡だけで、海上保安庁が独自の見解に基いて行動をとるというべき私は筋合ではない。少くともこれは日本政府全体としての或る一定の方針がきまらなければ、あなたがたのほうから再々閣議でも要求されてきめてもらつて、その根本方針に従つて海上保安庁がその方針の範囲内で行動をとるにあらざれば、若し万一国際的な問題が起きた場合に、これは大変な問題になることがあります。まああなたを追及しても仕方がないと思いますが、今後の方針に関しては、そういう方針で閣議決定でもしてもらつて、その根本方針に基いて海上保安庁自体が竹島問題に対する行動をとるというふうに善処されんことをこの際特に私から要望しておきます。
○野本品吉君 只今西田さんからいろいろ有益な御意見があつたわけですが、事は小さな一孤島の竹島の問題でなしに、領土主権に関する大きな問題であります。国としての方針がはつ声り示されないで、保安庁その他の関係各省で話合つては行動をとつておるというようなことは、誠に心許ない。従つてこの問題について政府はどういう見解を持ち、又どういう態度で行こうとするかについて、内閣の責任者の適当なかたの説明を要求したいと思います。明日の委員会にその機会をお作り下さるようにお願いいたします。
○松原一彦君 私はかねて海上保安庁の特殊性を強調して参つておるものでありますが、各省を通じて云々といつたようなことは、海上保安庁の任務でないのみならず、日本は国際紛争の解決は実力ではせぬことになつておる。今まあできつつあることも、これは消極的な一つの国防対策としてやつておるので、あなたのほうの御任務は、飽くまでも日本の主権を守るということよりも、むしろ警察的行動としての海上における遭難、或いは水路の啓開等をおやりになる、実力を以て取返すといつたようなことは海上保安庁の任務ではないと私は思う。のみならず、船が捕えられても、軍艦旗を掲げたる軍艦でない以上は、実力では取返せない。これはもう国際法できまつておる。いわんや警察船が取返すなんということはありようはずがない。これは私はどこまでも海上保安庁の任務をはつきりお守り頂かなくちやならん。竹島あたりに行つて、下手に鉄砲などを打たれてはこれは大変だと思いますが、こういうことのためにあなたのほうでおとりになるのは、私はどこまでも西田さんの言われるように、漁夫がそこで海上における仕事を妨げられたかどうかという場合においてのみお働きになるものじやないかと思う。今野本氏の言われたことに私は賛成いたします。そうしてこの問題は海上保安庁の問題じやない、どこまでももつと大きな国の主権の問題だと思いますから、別な手続によつてお進め下さるようにお願いいたします。
○委員長(小酒井義男君) 只今御要求のありました竹島の問題につきましては、明日の委員会に政府の責任者の出席を要求することにいたします。
 その他御質問もあると思いますが、午後は保安庁の業務を視察する予定もありますので、本日はこれにて散会をいたします。
   午後零時十五分散会