第019回国会 本会議 第15号
昭和二十九年三月五日(金曜日)
   午前十時二十四分開議
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 議事日程 第十五号
  昭和二十九年三月五日
   午前十時開議
 第一 国際労働機関の総会がその第二十八回までの会期において採択した諸条約により国際連盟事務総長に委任された一定の書記的任務を将来において遂行することに関し規定を設けることと、国際連盟の解体及び国際労働機関憲章の改正に伴つて必要とされる補充的改正をこれらの条約に加えることとを目的とするこれらの条約の一部改正に関する条約(第八十号)の批准について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)
 第二 国際労働機関憲章の改正に関する文書の受諾について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)
 第三 群馬県藤原ダム建設に伴う補償費免税の請願(委員長報告)
 第四 葉たばこの冷害対策に関する請願(委員長報告)
 第五 東南アジア諸国の水産物輸入関税軽減に関する請願(委員長報告)
 第六 中小企業金融機関の資金源強化充実に関する請願(委員長報告)
 第七 政府資金融資に関する請願(委員長報告)
 第八 水産業協同組合共済会の法人税減免に関する請願(委員長報告)
 第九 公共企業体職員共済組合に関する請願(委員長報告)
第一〇 局納みつまたの納入数量確保等に関する請願(委員長報告)
第一一 引揚者の送金小切手支払促進等に関する請願(委員長報告)
第十二 政府指定預金増額に関する陳情(委員長報告)
第十三 貿易金融の正常化に関する陳情(委員長報告)
第一四 元関東州における郵便貯金払戻しに関する陳情(委員長報告)
第一五 在外公館借入金支払に関する陳情(委員長報告)第一六企業の自己資本強化に関する陳情(委員長報告)
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○議長(河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
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○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。郵政委員長から、簡易生命保険の最高制限額引上問題並びに郵政監察制度に関する実地調査のため、愛知県、大阪府、京都府に池田宇右衞門君、柏木庫治君、最上英子君を、長野県、富山県、石川県に三木治朗君、永岡光治君を、いずれも本月十日から四日間の日程を以て派遣されたい旨の要求書が提出されております。委員長要求の通り議員を派遣することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて委員長要求の通り議員を派遣することに決しました。
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○田中一君 私はこの際、天龍川佐久間ダム建設工事に関する緊急質問の動議を提出いたします。
○藤田進君 私は只今の田中一君の動議に賛成いたします。
○議長(河井彌八君) 田中君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。田中一君。
   〔田中一君登壇、拍手〕
○田中一君 天龍川佐久間地点におきまする佐久間ダムは、その出力最大三十五万キロワツト、ダムのコンクリート容積約百万立方メートル、この容積は丸ビルの容積の約五倍に当るのでありまするが、工費二百六十億と称される我が国最大の重力ダムであります。これに関しまして少しく政府当局の所見を伺いたいと存ずるものであります。
 この工事の事業主体は、御存じの通り電源開発会社でありまして、当該電源開発会社と間組及び熊谷組との間に共同請負契約が結ばれておりまして、なお同組及び熊谷組と米国アトキンソン会社の間に技術援助の契約が結ばれておるものであります。
 さて、本工事は昨年四月着工されたのでありますが、本工事におきまして極めて特徴的なことは、工事の労働災害が異常に多い点でありまして、この点につきましては、去月二十八日の日本経済新聞も、高碕総裁が、事故の原因とその対策の徹底的調査を命じていることを報じておるのを以てしてもわかるのであります。即ち浜松労働基準監督局の報告によれば、この件数は昨年四月以来、本年一月までの約九カ月間におきまして、実に重軽傷者一千六百名、死者十五名、労働災害補償の支払件数九百七十四件に達しております。更に二月に入りましては、五日、八日、十八日と死傷者続出し、八日の事故のごとき一挙にして八名の犠牲者を出している現状であります。TVAの大工事においてすら、一九四一年には全国安全協議会の大土建工事における事故件数の少なさにおいて、年順位で第一位であつたことに比して実に驚くべきことであります。この事故の原因につきましては、現地の立地条件の悪いことは明らかでありますが、この悪条件に対応する準備があつたか否か甚だ疑問なのであります。若し不十分なる調査を以て、而も工事を馬車馬的に急がせて更に若し工事の安全施設に欠くるところありとするならば、事故の頻発することは火を見るより明らかでありましよう。(「もう少しゆつくり」と呼ぶ者あり)この点につきまして、事業監督の立場にある通産大臣は、立地の悪条件に対応するだけの調査と準備を、如何なる形で如何なる程度に電源開発会社に命ぜられたかを先ず伺いたい。若し通産大臣が未だ電気事業法による認可を出してなく、目下調査中でありとされるならば、現に進行中の工事は誰の認可によつてこの工事が行われているか、その点を伺いたい。次に、労務管理の指導監督の立場にある労働大臣にお伺いしたい。労働基準法は、すべての労働者の基本的人権を尊重することを以て、その目的といたしておることは言うまでもございません。労働基準法に基く労働安全衛生規則が、佐久間において果して確実に施行されておるか否か伺いたいのであります。佐久間地点を所管する労働基準監督署は浜松の監督署でございまして、この定員は全員二十一名、監督官は僅か六名に過ぎません。この六名を以て日本における重要な軽工業地帯浜松を中心とする一市三郡、事業場約一万二千、労働者約十九万六千名に対する所管業務を行つておるのであります。これに加うるに、立地条件の最悪と言われる佐久間ダムの工事場の労働者六千名の労務管理の指導監督を行うベき責務を負わされておるのであります。佐久間ダムの事故発生のおびただしい現状に鑑みまして監督署はこの六名の監督官のうち二名をさいて、この指導に当らせておるのでありますが、労働大臣は、浜松監督署の定員の増加を図り、土木工事中においても最も危険率の高いとされる日本最大のダム工事の万全を期する意思ありや否や伺いたいのでございます。
 このようにして労働者に対する極めて危険なる状態を招来する原因は、我が国における入札制度の不備にもあると言わなければなりません。即ち土木工事八十四億の入札に際しまして、業者に与えられた期間は僅かに半カ月余に過ぎません。これは常軌を逸した期間であります。而も入札に要する積算の費用は通常工事費の二%と言われているのでありますが、この積算費用を僅か半カ月余で使い切れるものではございません。その背後にあるものは積算の不備であつて、従つて諸仮設工事から始まつて本工事に至る工程に誤算なしとは言い切れないのでございます。この誤算に基いてこの工事が開始されたならば、労働災害が生ずるのは当然であります。更に落札者は、この積算費用を当該工事で消化するのでありましよう。一応尤もではありますが、実は労働者にしわ寄せの来ることは自明であります。これはここにおくとして、落札に漏れた業者は、この二%に上る積算見積の費用をどこでカバーするか。当然他の工事によつてするか。或いは不正工事、又は労働者へのしわ寄せということは当然考えられるのでございます。この無理な入札工事が佐久間だけに限らず、他の工事に転嫁されて行くことは当然でございます。建設大臣は、今日の建設業法の改正を企図されるかどうか。この点も伺いたいと存じます。そして合理的な見積費用を発注者側に負担せしめるような意思があるかどうかを伺いたいのでございます。リリエンソールは言つています。「TVAは、或る皮肉な訪問者に『土建業の小公子』と言われたことがある。併しこう言つた批評を招いたのは、恐らく彼らが工事に従事しておる労働者が集合所でピンポンをやつているのを見たためでなく、むしろ起重機の運転手が日暮方に図面を検討しておるのを見たり、ブルトーザーの運転手が座席から飛び降りるなり図書館に行つて本を借りて来て読もうとしておるのを眺めたからだろう」と、こう言つております。佐久間の土建労働者の有様を見て、ふと私はこの言葉を思い出したのであります。更に、建設大臣に伺いたいのは、水利権の問題でございます。今日までこの天龍川の佐久間ダム附近の水利権は禾だ電源開発会社には附与されておりません。この附近の水利権は大正年間に東邦電力に対して小規模ではありますが、小沢、途中、佐久間の三地点について与えられております。これが大同電力、日本発送電、中部電力と順次継承されて来たのでありますが、電源開発会社は、中部電力会社と折衝を進めた結果、中部電力の水利権の放棄を、長野、愛知、静岡の三県知事に申入れると共に、新たに昨二十八年一月七日、現在の規模の佐久間地点の水利権認可申請を前述の三県知事にいたしましたのが、この水利権に関する経緯でありまして、これに対して未だ認可が下りておりません。殊に昨日四日の読売新聞を見ましても、建設省は現在会社に対しまして、未だ水利権附与を行わんばかりでなく、管理の不十分に対して戒告を発しております。この点について河川行政の第二次監督者たる建設大臣は如何なるお考えであるか。この点は御承知のように問題になつておる只見川の場合においても該当いたします。現在只見川は、電源開発会社におきまして、手をつけておりまするが、これに対しましても水利権の認可はないと聞いております。こうした悪習の根幹はどこにあるか。政治的な手か加えられて、一方においては、電源開発会社は、通産大臣の慫慂によつて不だ事業認可もないにもかかわらず工事をやつております。又一方におきましては、この下部河床に立ち込んで建設大臣の認可のない工事を進めております。こういう悪習はどこから来ておるか、如何なる理由に基いて電源開発会社はこの工事を進めておるか。甚だ疑問とせざるを得ません。ただ私ども先般現地に参りますと、電源開発会社は、この工事は、静岡県条例の土木工事取締規則によつて水に影響のない程度の工事を黙許していると称されておりますが、現場の状況を見ますと、仮排水路より掘り出された約二十万立方米の土砂が、河川法適用区域、いわゆる河床に捨てられております。従いまして狭窄部においては著しい水位の上昇を来たしております。この土砂が洪水に際し下流に流される場合には、大水害を招くということは火を見るよりも明らかでございます。治水の当の責任者たる建設大臣の御意向を伺つてみたいのであります。
 佐久間ダム工事に関しての補償額は約六十二億に上ります。このうち三十八億は運輸大臣の監督せられるところの国有鉄道に支払われるものと言われております。少くともかかる工事の補償が――公共事業団体の補償が大部分を占めております。他の民間との交渉は漸次円満なる解決をつけておりまするが、殊に国有鉄道との補償問題につきましては、未だ何らの調査も行届いておりません。ただ国有鉄道が自分の調査に基くところの額を電源開発会社に要求し、電源開発会社はそれの内容の何止るを知らずして鵜呑みにしておる現状でございます。この点につきましては、電源開発会社そのものが鉄道に対する調査をする権能を持たない、又調査をする人を持たないという点において、大蔵大臣並びに運輸大臣がこのような形で補償が行われるという点につきまして、どういうお考えを持つておるか。この点も伺いたいと存じます。
 次に佐久間ダムは現在国土総合開発審議会に付託されておりますところの天龍東三河地区特定地域の総合開発の一環でございます。その中の大きな役割を果すところの三十五万、常時十一万五千キロワットの電力の殆んどはこの地区を離れて、大部分は名古屋に、又は東京に送られると聞いております。このような電力配分を以てしてこの特定地域総合開発の万全を期し得られるか否か、経済審議庁長官の所見をお尋ねしたいのでございます。私はこのような国土総合開発を進める電源開発が、ただ地主又は山林の所有者等等に多額の補償が支払われ、それによつて我々の責任がないというだけの観点で、この仕事を進めるならば、その下流における水によつて依存するところの多くの農民、労働者たちの生活は、どうなるのでございましようか。TVAはダムの扉を閉め、地主や市民に金を払い、それでおしまいになるんだということはなかつたのでございますが、地方の資源、人的エネルギーを含めた全体計画というものが完成されなければ、この地方の本当の効果が成り立たないということはTVAの結果を見ても明らかであります。
 以上私は佐久間ダム建設に関する諸問題につきまして、関係諸大臣の所感を伺うわけでございます。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
○国務大臣(愛知揆一君) お答えいたします。
 佐久間の水利権につきましては、昭和二十八年一月の七日に水利の使用許可申請書を静岡、愛知、長野三県の知事に提出いたしたのでありますが、未だに正式の許可は、ございません。併しながら水利権の許可前の準備工事の着工等につきましては、関係の地元知事及び主務当局の十分なる了解の下に、これを施工しているわけでございます。
 なお電源開発会社の工事自体につきましては、電源開発審議会の審議を経る等、適正にして十分なる手続を経て施工いたしておるのでございます。
 なお又電源開発の緊急性に鑑みまして工事を急速に進める必要がありまするので、河川敷占用並びに土木工事の施工願を関係知事宛に二十八年十一月に提出いたしまして、十二月中旬にその許可を取りつけておるわけでございます。(拍手)
   〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(小坂善太郎君) 最近の労働災害の実情を全産業について見ますると、昭和二十八年一月から九月までの間は、前年同期に比しまして度数率において一一・七%、強度率において二・五%減少いたしまして逐次改善の方向を辿つておるのであります。併しながら電源開発工事におきまする災害は、地勢その他悪条件と特殊事情がありまするために、他産業に比較してかなり高率の災害率を見ておることも遺憾ながら事実でありまして、労働省といたしましては、最近安全行政の重点を建設事業、特に電源開発工事における災害防止においておるのであります。最近におきましては、建設業者及びそこに働く労働者各位の安全に対する関心と熱意の度合は非常に向上して参りましたが、未だ十分とは認められんところもあるのでありまして、佐久間ダムの建設工事におきましても、御指摘のごとき災害が発生いたしておりますることは誠に遺憾に存じます。特に最近発生いたしましたバツチヤー・プラントの災害にいたしましてぎ、事故発生後直ちに本省から係官を派しまして、原因を調査すると共に、取りあえず他の地区においても同種の災害を発生せしめないように十分管理上の注意を与えておる次第でございます。政府といたしましては、建設事業におきまする安全の確保の重要なることに鑑みまして、労使関係者の協力と相待つて特別な安全運動を実施しておるのでありまして特に多く僻遠の地において行われる電源開発の工事におきまして、監督実施に困難を感ずる面に関しましては、現地に監督者を駐在せしめる等の方法によりまして、監督の効率的運用を図つて災害の防止に努めたいと考えております。
 佐久間ダムにつきましての監督官増員の問題につきましては、今後静岡労働基準局の職員を臨機に現地に応援派遣する等の措置を講じたいと考えております。
   〔議長退席、副議長着席〕
   〔国務大臣戸塚九一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(戸塚九一郎君) お答え申上げます。
 田中さんからもお話がありましたように、佐久間並びに秋葉のダム工事は我が国で今までに最も大きな工事でありまして、県も愛知、三重、長野三県にまたがり、又流域といたしましても約三十五キロの間がそれぞれ関係の所になつているというようなわけでありまして大工事としてこれに対する補償問題などがなかなか面倒に相成つているのでございます。で、先ほど通産大臣からもお答えがありましたようにそれぞれ県のほうで手続を経てやつているのでありますが、勿論申上げるまでもなく、水利権の認可が早くあつて万全の手続を経てやることが最もいいことではありまするけれども、申上げるように補償問題がなかなか困難でありまする関係から、一面又電力の早期開発というような関係もありまして河川内に関係のない準備作業を早くやる段取りに相成つておつたのであります。併し只今御指摘もありましたように、そうは言うものの実際に河川内に影響のないというばかりにも見受けられません。私も昨年の末に現地を視察いたしまして、ややその認可の県における手続の度を超える点があるということも看取いたしました。で、会社に対しても厳重な戒告を与え、なお注意をしたり、或いはズリが落ちる所、又占用敷地用の工事のために対岸に心配が起きるというような点にも注意を与えまして、その対岸の堤防の工事は、会社で只今やつているというような状況でございます。
 なおそれにいたしましても補償問題がなかなか進行いたさないということも心配いたしまして、建設省としても県なり或いは会社の間に斡旋の労もとりまして、二月中旬に大体関係者の了解といいますか、話合ができたのでありまして、(「補償と認可とは違うぞ」)と呼ぶ者あり)不日水利権の認可をいたすことに相成つております。
 それからなおその他の水利権、中部電力との関係でありますが、これは中部電力と電源開発会社との間に話合ができておりまするので、これはその水利権の移転ができることになつております。
 それからこれに関連して入札制度のお話がございまして、田中さんの常にお持ちになつている御意見でありまして、私どもも尊重して伺つているのでありまするが、現在のところではまださようにいたしておりませんが、今後一層そういう点について研究を加えて参りたいと、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣小笠原三九郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(小笠原三九郎君) 補償に関する問題でありますが、二十八年四月十四日の閣議で電源開発に伴う損失補償要綱というものを決定いたしまして、それに基いて補償されている次第であります(拍手)
   〔国務大臣石井光次郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(石井光次郎君) 佐久間ダム建設に伴います国有鉄道の飯田線の付替えにつきましては、閣議了解になつております電源開発に伴う水没その他による損失補償要綱に基きまして、国有鉄道と電源開発会社との相互間において協議をいたして、日本国有鉄道でその仕事をやつて行くことになつておるわけでございまするが、これに実際に当りまする問題につきましては、覚書を取り交わしまして、だんだんと詳細にその実施の方法等をきめておるわけでございます。
 又さつきお話がありました三十八億円がこの総工費に当ることになつておるのでありますが、これは延長十九キロという付替につきましては、非常に高い値段に当ると思うのでございます。これはキロ当り約二億円になるのでございまするが、普通の場合でありますると、キロ当りまあ六千万円か七千万円、そこら見当だと思います。それにつきまして、これが二億円もするとはどういうことかと申しますると、その飯田線が天龍川の急峻な渓谷に沿つて作られた、まあいわば離れ業式に工事がやられているような関係であります。今度の付替線も、殆んどトンネルと橋梁の連続みたいなものでありましてその間に又それに対するまあ電化をしなければならんのもありまするし、これらの諸費用を除きまして、これらのトンネルとか橋梁とか電化とかいうものを除いて考えますると、大体ほかの場所に造られたと同じような計算が出て来るのでございます。
   〔田中一君発言の許可を求む〕
○副議長(重宗雄三君) 田中君。
○田中一君 再質問を願います。
○副議長(重宗雄三君) 御登壇願います。
   〔田中一君登壇、拍手〕
○田中一君 大蔵大臣に伺いたいのですが、この電源開発会社は、この佐久間ダムの工事に関しましてアメリカ銀行から七百万ドルの借款をしております。電源開発の法律によりますると、若しも電源開発会社が外資を受ける場合には、当然政府が保証するという条項がございます。併しながらアメリカ銀行から借りている七百万ドルに対しましては、政府は如何なる措置をとつたか。同時にこの保証に対しては、大蔵当局はどういう斡旋をしたかどうか。現在この借款に対しまするところの保証は誰がやつておるか。この点を伺いたい。
 それから同時に伺いたいのは、火力借款でございます。火力借款によりまするところの世界銀行の借款というものと、アメリカ銀行から受けたところの今日の七百万ドルの借款と、金利はどういう相違があるか。借受けの条件にどういう相違があるか。私が調査したところによりますと、短期ではありまするけれども、アメリカ銀行のほうが金利が安い。条件が軽い。こういう点につきましての大蔵当局としましては、世界銀行を通じて外資を受けるという場合の日本政府のマイナス、それから民間資金を得る場合には、どういうことになるか。こういう点について詳細に御説明願いたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣小笠原三九郎君登壇拍手]
○国務大臣(小笠原三九郎君) バンク・オブ・アメリカから開発会社が七百万ドル借りますと、これにつきましては期限が三年で、年に四分五厘で興業銀行の保証を似て借りることに相成つております。政府は二十八年の六月二十六日にこれを認可いたしておるのであります。
 なおお示しのごとくに、火力借款のほうが条件は、片方利率も高いのでありますが、併し片方は期限が二十四年に亘る長いものでありまするので、資金の性質上、これくらいな差は止むを得ぬかと思いますのみならず、火力借款のほうは、これはその節も申しましたごとくに、これはもう世界銀行が各国に対して、どこの国に対しても重く、どこの国に対しても軽くないような一応の扱いをいたしておりまするので、自然条件が厳しくなつているかと存ずるのであります。勿論日本も借りてはおりますが、又出資の一人でもございまするので、さようなことに相成つていると存じております。ただ、こういつたバンク・オブ・アメリカ等から借りまする七百万ドル、こういう短期のものは、比較的条件が容易であることは、これは田中さんもよく御承知のことと存じます。
 なお、この外資につきましては、できるだけ導入いたしたい所存でやつておるのでありますが、実は世界銀行のほうにおきましては、この水力の借款につきましてもいろいろ交渉いたしておりますが、一口に申しますと、インパクト・ローンと申しますか、つまり日本のほうだけで金を使うということに対する借款は、実はなかなか容易でないのでありまして、これはひとりアメリカに限りません。例えばその機械をドイツから買つても、イギリスから買つてもよいのでありますが、要するに為替関係を伴つて来る、輸出入の問題を伴つて来る借款をやるのは世界銀行のほうが割合にやりやすいことになつておるようで、いろいろ日本が、大体から申しまして向うが、本年の日本に対する貸出目標を一億ドルにしておると言つておりまするので、なお、六千万ドルでは、一口に言えば余るわけですから交渉を続けておりますが、只今のところ水力電気に対して確たるまだ見通しを得ない次第でございます。併し引続き今後とも交渉を続ける所存でございます。(拍手)
     ―――――・―――――
○副職長(重宗雄三君) 日程第一、国際労働機関の総会がその第二十八回までの会期において採択した諸条約により国際連盟事務総長に委任された一定の書記的任務を将来において遂行することに関し規定を設けることと、国際連盟の解体及び国際労働機関憲章の改正に伴つて必要とされる補充的改正をこれらの条約に加えることとを目的とするこれらの条約の一部改正に関する条約(第八十号)の批准について承認を求めるの件。
 日程第二、国際労働機関憲章の改正に関する文書の受諾について承認を求めるの件、(いずれも衆議院送付)
 以上両件一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。外務委員長佐藤尚武君。
   〔佐藤尚武君登壇、拍手〕
○佐藤尚武君 只今議題となりました国際労働機関の総会がその第二十八回までの会期において採択した諸条約により国際連盟事務総長に委任された一定の書記的任務を将来において遂行することに関し規定を設けることと、国際連盟の解体及び国際労働機関憲章の改正に伴つて必要とされる補充的改正をこれらの条約に加えることとを目的とするこれらの条約の一部改正に関する条約(第八十号)の批准について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。
 政府の説明によりますと、通常、簡単に千九百四十六年の最終条項改正条約と呼ばれておりますこの条約は、一九四六年十月九日に第十九回国際労働総会で採択されたものでありまして、現在までに四十一カ国がこれを批准し又は受諾しております。その内容は、国際連盟が解体した結果、国際連盟の存在中に採択された諸条約、即ち七十六に上る条約の最終条項を改正すると共に、これらの条約に対して、現行の国際労働機関憲章の規定と合致させるために必要な修正を加えることを規定したものでありまして、これを要約いたしますると、第一に、旧条約の字句の修正に関して規定し、第二に、本条約の批准、効力等について規定しております。
 我が国は、この条約による修正の対象となる条約のうち、十四条約を批准しております。従つてこれらの条約につきましては、本条約に規定する修正が必要であり、又今後この種の条約で我が国が未批准のものを批准する場合にも、本条約による修正を認めておく必要があるとの説明でありました。
 外務委員会は、外務・労働連台委員会を合せ三回に亘つて本件の審議を行いましたが、別段質疑もなく、三月四日の委員会において、討論を経て採決を行いましたところ、本件は承認すべきものと、全会一致を以て決定いたした次第であります。
 次に、議題となりました国際労働機関憲章の改正に関する文書の受諾について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告申上げます。
 政府の説明によりますると、この改正文書は、昨年の第三十六回労働総会で採択されたものでありまして、その内容は、現行の憲章の一部を改正して、理事会の構成員三十二人を四十人に増加して、このうち政府代表十六人を二十人に、使用者代表八人を十人に、労働者代表八人を十人に増加しようとするものであります。この理事会の構成員の増加は、最近におけるILO加盟国の増加の事実を考えますると、妥当の措置であり、同時に又我が国にとりましても、我が国が理事国となる可能性を増すものであるという点から、極めて有意義であると考えます。而してこの改正文書は、現在常任理事国である八カ国のうち、五カ国を含む全加盟国六十六カ国の三分の二、即ち四十四カ国がこれを批准し、又は受諾したときに効力を生ずることになつておりまするが、現在までに批准又は受諾した国は二十四カ国であります。たまたま理事会の改選が本年六月の総会で行われることになつておりまするので、右総会の開催前にこの改正が効力を生ずるよう、加盟国はいずれも本件に対するその速かな措置を要請されておるのであります。取りわけ新たに増加されるべき常任理事国は、来たる三月九日ジユネーヴにおいて開催の予定である理事会において内定せられる模様でありまして、それまでに我が国が本改正文書を受諾いたしますると、我が国が、ドイツと共に常任理事国として内定される見込であるとの内報を受けておりまするので、取急ぎ本件の御承認を得たい次第であるとの説明でありました。
 本件につきまして外務委員会は、外務・労働連合委員会を合せ三回に亘つて審議を行いました。次に質疑応答の主なるものを御報告申上げます。
 第一に、「国内労働行政がILO憲章の精神に逆行しているとか、我が国労働賃金が国際水準を下廻るとかいう事実はないか。そのため常任理事国の重要な地位を占めながら、国際労働会議の席上で、曾つて日本が低賃金及びダンピング問題などについて専ら弁明に努めた当時と同じようなことになる戻れはないか」との質問に対しましては、「現在各国の間に、日本の労働状態が国際水準を下廻つておるというような声があるとは開いておらない。日本としては勿論十分ILO憲章の精神を遵守して行く方針である」との答弁がございました。
 第二に、「我が国が理事国となつた場合、我が国におけるILO駐在員事務所を支局に昇格させるよう尽力する考えはないか。又我が国としてジユネーヴの国際労働事務局に日本側の事務局を設置し、又各国に労働アタツシエを派遣する意思はないか」との質問に対しましては、「支局への昇格は望ましいと考えておる。又国際労働事務局に日本側の事務局を設けるということについては、目下のところ考慮をしていない。なお又現在、在ジユネーヴ総領事館と在英大使館に労働関係担当者を館員の身分で派遣しておるが、米、仏等その他の主要諸国にも、労働アタツシエのごときものをできるだけ早い機会に派遣したい意向である」との答弁でありました。
 第三に、「我が国のILO代表の選出方法如何」との質問に対しましては、「従来労働者代表は、総評内に設けられているILO代表推薦協議会、即ち国内の各労働団体が集まつて組織しておるこの協議会に推薦方を委嘱しており、又使用者代表は、日経連にその推薦方を委嘱しておる」との答弁でありました。
 第四に、「この条約中に主要産業国という言葉があるが、その資格条件について明かな規定があるのか」との質問に対しましては、「主要産業国の資格については、ILO憲章に規定されていないが、これは国民所得、産業状態、労働組合の組織等によつてきめられるわけであつて現在米、英、仏、カナダ、イタリア、ブラジル、中華民国及びインド、即ち現に常任理事国であるこれらの八カ国が主要産業国とされておる。そしてこれに日独両国が主要産業国として常任理事国に加えられる見込である」との答弁でありました。
 委員会は三月四日、質疑を了し、引続討論に入りましたところ、佐多委員より、「本案件には養成をする。本件を急いで決定するのは、我が国が主要産業国として常任理事国となるよう努力する必要上からであるとの政府より説明があつたが、その意味でこれに養成する。そしてこの際言つておきたいことは、日本が必ず常任理事国となるよう格段の努力をして欲しいこと、又単に形式的に常任理事国の地位を得るのみでなく、ILOの諸目的を積極的に実現するために、あらゆる努力をすることを再確認して努力してもらいたいことである」との養成意見が述べられ、次いで團委員より、「本件に賛意を表する。この条約によつて我が国は国内労働立法に責任を生ずるのみならず、国際的な労働問題に大きな発言権を持ち、重要な役割を持つと思うから、曾つてのごとく形式的に参加するだけでなく、十分な研究と活動とを期待するものである。そのために研究費、調査費等が必要だと思うので、予算面においても十分な考慮を払つて、活動に遺憾なきを期せられたい」との発言があり、最後に高良委員より、「この条約は、進歩的社会立法の義務への参加であることを再確認した上で、これに賛成をする。我が国の現状はILO憲章の掲げる理想には遠く及ばない多くのものを持つているのであるから、条約の精神を十分果たす覚悟で、常任理事国に参加することを希望する。なお、最近の国内の反動立法にも反省を要望してこれに賛成する」旨の発言がありました。
 ついで採決に入りましたところ、本件は承認すべきものと、全会一致を以て決定いたした次第であります。
 以上御報告を申上げます。
○副議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより両件の採決をいたします。両件全部を問題に供します。委員長の報告の通り両件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○副議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よつて両件は、全会一致を以て承認することに決しました。
     ─────・─────
○副議長(重宗雄三君) 日程第三より第十一までの請願及び日程第十二より第十六までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事小林政夫君。
   〔小林政夫君登壇、拍手〕
○小林政夫君 只今上程せられました大蔵委員会付託の請願並びに陳情につきまして、本委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。
 大蔵委員会におきましては、特に小委員会を設け、各委員の意見及び政府の見解を十分に聴取いたしまして、その上質疑応答を重ね、慎重に審議をいたしたのでありますが、その結果は次の通りであります。
 日程第三の請願は、群馬県藤原ダム建設工事のため、犠牲となる地元民の移転補償費は、最小限の更生資金であるから、これに対しては当然補償費免税の処置を講じ、犠牲者の不安動揺を防止せられたいとの趣旨であり、日程第四の請願は、福島県における葉たばこの耕作期間中の不良天候、特に冷害による減収は予想以上のものがあり、農家経済に及ぼす影響は誠に憂慮すべきものがあるから、速かに災害補償の即時実施と、耕作団体活動賛助成、増額等について、格別の措置を講ぜられたいとの趣旨であり、日程第五の請願は、タイ及びインドネシア等の東南アジア諸国において、最近設定せられた塩干魚、貝藻類に対する輸入関税の引上は、十五割より二十八割に及ぶものであつて、北海道貿易産業の振興を阻害するものであるから、速かに軽減されるよう適切なる措置を講ぜられたいとの趣旨であり、日程第六の請願は、中小企業者の専門的金融機関に対して、その資金源の強化充実を図るため、国及び県の財政資金を大幅に導入して、現下の資金難の緩和を図ると共に、金利の引下、融資手続の簡素化について速かに改善策を樹立し、中小企業の振興を期せられたいとの趣旨であり、日程第七の請願は、島根県が、農林、漁業等原始産業を主体とし、一般中小企業も、商工中央金庫、国民金融公庫等の金融機関を通じて金融の恩恵を受けている実情で、政府の企図する国家予算の大幅縮減による政府資金融資が制約された場合も、特に政府資金の融通を受けられるよう配慮せられたいとの趣旨であり、日程第八の請願は、水産業協同組合共済会が、災害によつて受けることのある損害を相互に救済することを目的として設立する団体であるから、他の災害共済事業団体が認められている法人税減免措置を、当然本共済会にも適用せられたいとの趣旨であり、日程第九の請願は、国鉄機関車乗務員の作業実態の直接人体に及ぼす影響は、不健康業務として他に類を見ないから、公共企業体職員共済組合法案立案に当つては、これらの事情を考慮して、退職年齢の支給年齢を現行通り五十才とし、加算年を現恩給法通り実務一年を換算一年半とすること等考慮せられたいとの趣旨であり、日程第十の請願は、愛媛県山間地帯における最大の現金収入源であるみつまたは、昭和二十七年度の奨励に引きかえ、二十八年度に至り局納みつまたの納入数量は、マニラ麻の輸入増加と共に急速に減少し、本年度の買入量についての不安は大きく、生産農民に大きな動揺と、経済的困窮を与えているから、局納数量の増大と価格安定に対する適切なる措置を講ぜられたいとの趣旨であり、日程第十一の請願は、終戦前の内地送金小切手の調整確定の終結的処理に際し、大銀行のみでなく、地方銀行へも公平に支払いできるよう措置せられると共に、終戦前到着しても、交換レート未決定のため支払保留になつている送金のレートを決定して支払い、且つ旧横浜正金銀行発行小切手も、今回同時に支払われるよう処理せられたいとの趣旨であり、いずれも妥当と考えられます。よつて以上請願九件は、いずれも議院の会議に付し、内属に送付すべきものと決定いたしました。
 日程第十二の陳情は、大企業の資本蓄積傾向に加え、昨今の金融引締のしわ寄せを受け、中小企業が極端な資金不足を招来し、経営権は日を追つて深刻化している。この危局に対し、相当領の政府指定預金の新規預託を実施し、中小企業の救済と育成を図られたいとの趣旨であり、日程第十三の陳情は、最近インフレ抑圧方策の一環として、輸入金融抑制を中心とする引締め措置が強化されつつあるが、これが単に量的規制にのみ終るならば、却つて混乱と退歩を生ずる虞れがあるから、根本において金融方式を正常に戻し、商社、生産者及び金融機関の間の金融分業方式を確立せられたいとの趣旨であり、日程第十四の陳情は、元関東州在住民の内地引揚が、昭和二十二年の一月より開始せられたため、その他の地域に比し一年以上遅れており、他地域とその事情を異にしておるから、昭和二十年九月三十日以降の郵便貯金についても、特別の詮議を以て支払いを開始せられたいとの趣旨であり、日程第十五の陳情は、在外公館借入金の支払として、公館への立替金の百分の一が支払われただけであり、在外公館に立替払をした引揚者がそのまま放置されるということは誠に承服できないことであるから、在外公館借入金の支払について善処せられたいとの趣旨であり、日程第十六の陳情は、企業の自己資本を強化するために、資産再評価及びこれに伴う減価償却について税制その他企業経理の面から優遇措置をとること、及び再評価積立金の資本組入れと並行して株式払込に関する金融を円滑にすると共に、株式配当についての課税上の優遇措置をとる等の諸施策を考慮せられたいとの趣旨であり、いずれも妥当と考えられます。よつて以上陳情五件は、いずれも議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。
 右御報告申上げます。
○副議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○副議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
 本日の議事日程は、これにて終了いたしました。次会の議事日程は、決定次第公報を以て御通知いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午前十一時二十二分散会
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○本日の会議に付した事件
 一、議員派遣の件
 一、天龍川佐久間ダム建設工事に関する緊急質問
 一、日程第一 国際労働機関の総会がその第二十八回までの会期において採択した諸条約により国際連盟事務総長に委任された一定の書記的任務を将来において遂行することに関し規定を設けることと、国際連盟の解体及び国際労働機関憲章の改正に伴つて必要とされる補充的改正をこれらの条約に加えることとを目的とするこれらの条約の一部改正に関する条約(第八十号)の批准について承認を求めるの件
 一、日程第二 国際労働機関憲章の改正に関する文書の受諾について承認を求めるの件
 一、日程第三乃至第十一の請願
 一、日程第十二乃至第十六の陳情