第019回国会 本会議 第16号
昭和二十九年三月十日(水曜日)
   午前十時十七分開議
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 議事日程 第十六号
  昭和二十九年三月十日
   午前十時開議
 第一 水産業協同組合法の一部を改正する法律案(森崎隆君外八名発議)(委員長報告)
 第二 特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第三 昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第四 開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第五 緊要物資転入基金特別会計法等を廃止する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第六 昭和二十八年の風水害及び冷害による被害農家等に対して米麦を特別価格で売り渡したことにより食糧管理特別会計に生ずる損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
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○議長(河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
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○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。通商産業委員長から、ガス事業の実体、特に秋田、新潟地方における天然ガスについて緊急に現地の実情を調査するため、秋田県に、西川彌平治君、岸良一君、三輪貞治君を、本月十三日から四日間、新潟県に、中川以良君、藤田進君、白川一雄君を、本月十三日から三日間の日程を以て派遣されたい旨の要求書が提出されております。委員長要求の通り議員を派遣することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて委員長要求の通り議員を派遣することに決しました。
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○三輪貞治君 私はこの際、イラン石油輸入に関する緊急質問の動議を提出いたします。
○天田勝正君 私は、只今の三輪君の動議に賛成いたします。
○議長(河井彌八君) 三輪貞治君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。三輪貞治君。
   〔三輪貞治君登壇、拍手〕
○三輪貞治君 私は日本社会党を代表いたしまして、イラン石油輸入の問題につき、岡崎外務、愛知通産の両大臣に質問をいたしたいと思います。
 特に本日、緊急質問をいたしますゆえんは、御承知のようにイランは三月二十一日がお正月でありまして、例年の状態を見ますると、その後急速に政局が動き始めておるのであります。そもそもこのイランの石油輸入の問題は、昨年の二月十四日に日本商社とイランの国有石油会社の間に取交わされました契約に基きまして、日本の船がガソリン一万八千トン、軽油その他四千トン見当を積み込みまして五月九日に川崎に入港いたしましたが、これに先立ちまして五月八日、英国のアングロ・イラニアン石油会社より宇佐美六郎、デベツカ弁護人を代理人といたしまして東京地方裁判所に、この石油の仮処分の申請を行いました。又日本側もこれに対しまして柳井恒夫弁護人を代理人といたしまして異議申立ての応訴手続をとりましてこの問題が、国際的な問題として大きく浮び上つて来たのであります。
 日本側の商社がイラン石油の買付けに乗り出しました最大の動機を考えてみますると、これは戦後、英米の石油資本に抑圧されて参りました日本が、低廉豊富な石油製品の安定した供給先をイランに求めました。これによつて、英米の独占下に置かれました日本市場を、公正自由な市場に回復させるためにあつたというのであります。
 一方、売手側のイランの状態はどうであつたかと申しますると、従来永年に亘りまして英国のアングロ・イラニアンの独占的な開発、販売するところでありまして、年々莫大な利益を上げて参りましたが、この利権料が安過ぎるというので、イラン、英国両者の間に紛争が絶えなかつたのであります。そのうちにこの利権協定を廃棄いたしまして国有化をしようという主張が次第に高まつて参りまして、これに対して反対を唱えておりました親英派の巨頭でありますところの当時の総理大臣ラズマラ氏が、非常に狂信的な回教連盟の手によつて暗殺をされた事件がありましたが、これをきつかけにいたしましてこの石油国有化の熱が非常に燃え上つて参りまして、遂に反英イラン国民戦線の輿望を担つて登場いたしましたモサデグ前総理大臣による石油国有化宣言となりまして、多年に亘つてイランの石油を一手に独占して参りましたアングロ・イラニアンは、イランから撤退するに至つたのであります。併しながらその後イランを撤退いたしました英国に対しまして、米国が石油の輸入について援助を与えましたり、更に英国がイランの石油の買手国に対して、これを輸入することの阻止運動をいたしました原因等に妨げられまして国有化で折角押えた約一千四百万トンの石油在庫品も期待した売行きを見せなかつたのであります。何しろ国有化以前には、アングロ・イラニアンが納めました利権料というものは、イラン歳入の約二割近くを占めておりましたから、これが全くストップし、手持ち石油も売れないとありましては、イラン財政は非常な窮乏に向わざるを得なかつたのであります。昨年夏以来、イランが非常に石油の販売に乗り出しましたのも、かように張りめぐらされた英国の経済封鎖を突破いたしまして、この政治と経済の危機を打開するためであつたと思われるのであります。前申しました日本側の要求、イラン側のこうした情勢、というものがうまく合致いたしましたところに、この問題の端緒があつたのであります。
 又、日本と同様に一昨年の六月以来、イタリアにおいてもかような石油の買付けが行われましたが、これは英国の、ヴェニスの地裁への提訴となりまして、昨年の三月十一日にイタリアのこれは勝訴になつて、引続き輸入が行われておる事実があります。
 又、英国はこれに先立ちまして、このイランの国を相手にいたしまして石油国有化をめぐる紛争をへーグの国際司法裁判所に提訴いたしておりますが、この場合も、やはりこれは却下されておるのであります。
 先に申しました日本の場合はどうかと申しますと、これは御承知のように東京地方裁判所の判決文を読んで見ますというと、「本件石油が申請人(英国)の所有に属するかどうかということは、イラン石油の国有化法が有効であるかどうかということに存する」といたしましてここではその内容を述べることは省略いたしますが、大要三点に亘つてこの国有化法を認めております。そして結論として、日本の裁判所は、申請人は、石油国有化法によりイラン国における石油採取権その他利権協約によるの一切の利権を喪失したものと認めると、これを結んでおるのであります。かようにいたしましてこの訴訟は、日本側の勝に終りました。更に、東京高裁に上告いたしておりますが、これも昨年の十月に、やはり勝つておるのであります。その後日本側の商社は、政府の圧迫にもかかわらず手持ドルを以ちまして、引続きイランの石油の輸入をいたしまして、去る二月十七日に最後に日本の港に船が入りますまで、それは継続して行われて参つたのであります。そのほか、イランの石油がイラン国のものであり、よその国が商業上の契約でこれを買うことは、何ら差支えないという実証はいろいろありますが、これは時間の都合で省略いたします。
 そこで、先ず岡崎外務大臣にお伺いいたしたい第一点は、前に述べましたように数回の各地の裁判所における判決にも見られるように、英イ紛争というものは、国有化を認めるか認めないかの段階ではないのでありまして、ただその利権に対する補償をどうするかという問題であるということは明らかになつておるのであります。即ち純然たる英国、イラン間のこれは問題でありまして、イランと日本の商行為というものが、何らそれで制約を受くべきものではないのであります。まして英国の容喙の余地はないものと思うのでありまするが、外務大臣のこれに対する所信をお伺いしたいと存じます。
 次に外務省が、この問題について心配されておるのは、イランの石油を輸入することによりまして起るであろうと予想されるところの英国の経済的な報復、即ちポンド・スワップの問題、対日輸入制限の問題であろうと思います。これはしばしばの委員会における質問で、はつきりいたしておると思いますが、若しさような挙に出るといたしますならば、これは英国の自己防衛であります。又英国のこれは独得の独善的の恫喝外交以外の何物でもないのであります。吉田内閣は、内、国民に伺いましては、勇敢にも憲法を無視いたしまして、或いは基本的人権を蹂躙して憚からないのであります。併しながら外、外国に向いましては、正当な日本の自己防衛の主張すらなし得ないのであります。そのイギリスの海賊的の恫喝外交に縮み上る内弁慶の軟弱外交そのものであると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)第二次世界大戦後、イギリスが最も恐れておるのは、日本の経済復興であります。このことは講和条約交渉の過程におきましてイギリスが示しました態度で明らかでありまして、いろいろな制限を日本に課そうといたしました。若しイギリスの主張にして今日通つておりましたならば、日本は造船業において、或いは各種重工業において、漁業権において、航海、交通その他の面において、今以上の強い制限が課せられたと思うことは、容易にこれは想像できるのであります。極く最近の例でも、昨年の秋にジユネーヴで開かれたあのガツトの加入問題、こういう公開的な世界的な協約への加入についてすら、最も頑強に最後までこれを反対いたしたのはイギリスであります。戦勝国であり、痩せたりとは言え大英帝国の持主であるイギリスでさえ、自己の経済防衛のためにはかく真剣に闘つておるのであります。日本が如何に経済的に困窮の状態にあるかは、これはイギリスの比ではないのでありまして、とかく最近日英間に、外交問題、その他で暗雲のかかりますのは、かようなイギリスの冷淡苛酷な態度にあつたのではないかと思われるのであります。今度のイラン石油の問題のごときは、その好個の一例でありまして、何が故に政府は、さほどまでこの恫喝に対して屈従をしておらなければならないか。これは国民ひとしく了解に苦しむところであるのであります。かような軟弱外交の態度を改められまして、毅然たる態度で日本の経済を防衛するというお覚悟をお示し願いたいと思いますが、この問題に対する外務大臣の所信を明らかにされたいと思います。
 第三にお伺いいたしたいのは、前に述べましたように、イタリアの会社も又イランの油を買付けておりまして、この裁判がイタリアの勝訴になつておるのでありまするが、これに対して、一体イタリアの政府はこの会社に対してどういう圧迫を加えたか。又イギリスは、イタリアに対して如何なる経済報復を行なつたか。若し御承知であるならば、この際明らかにされたいと思います。第三点は、その後或いはその交渉の過程においてイランはたびたび日本に書簡を寄せております。公式、非公式いろいろな申入れをいたしております。私が通産委員会でも申入れましたように、昨年丁度クーデター下に私はテヘランを訪問いたしましたが、この際も向うの政府から、地下資源が非常に豊富であるので、日本の協力を得たいという申入れがありました。その後又正式にそういつたようなメッセージもザヘデイ総理大臣によつて来ている。豊富な地下資源の開発のために技術員を以て構成する使節団をよこして欲しい。或いは二月の四日には、テヘランで日本の物資についてこういう物を買いたいと言つておよそ四十品目について申入れも来ているのであります。ところがこういつたような申入れに対して、政府は一遍も返事をしておらないのであります。これは相手国に対する非常な失礼な、非礼な態度であるのであります。最近イランが米を買わなければ経済断交するとか、いろいろ強く出たのは、こういう日本政府の態度に対するこれは向うの示した反抗の姿であつたと私は思うのであります。政府はなぜにかような申入れに対して一遍の返答も与えなかつたのであるかということをばお伺いいたしたいと存じます。
 第四に、最近の新聞によりますると、政府はイランの油百万キロリットルを含めた輸出入各二千五百万ドルのオープン勘定協定を結ぶ交渉をしているということを明らかにしております。この問題について、過日衆議院の外務委員会において福田代議士の質問に対して小瀧政務次官は、やはりそれをば肯定する答弁をいたしております。特にその場合に、イランの自由に取扱われる数量は五乃至一〇%と推定をされるが、できるだけ多く買いたいということを言つておられるのであります。そこでイラン政府が処分できると推定される五―一〇%については、一体その推定の基礎は何であるかということであります。又イランは、初めは二五%くらいを自分の手持として保有したいという希望を申入れておつたのでありまするが、一番頼みにしておりました日本が一向に腰を上げない、頼みにならないというので、非常に向うでは自信を喪失いたしまして、だんだん手持分に対する主張が下つて来たのじやないか。この際日本が毅然たる態度で臨むならば、イギリスとイランとの間で再開されておる交渉をプツシユしてイランの手持分を多く確保することができるのじやないかと思いますが、その決意ありや否やをお伺いいたしたいと存じます。
 又言われるように五乃至一〇が、若しイランの自由な分としてこれが保有された場合におきましては、これは日独伊等で競争して買うことになります。ドイツは、最近非常な熱意を示しておりまして先に日本側の或る商社が、砂糖の工場のプラントに対して五カ年のクレジットを設定しようという申入れに対して、ドイツは七カ年自分のほうは貸す、こういうように非常に攻勢に出ておるのであります。かような状態を考えますると、たつた五分か一割の保有に対して日本がどれだけ食い込めるかということは、これは甚だ心許ない次第であります。而も前に結びました日本との契約というものは値段において二割か四割安い。支払は半分はドルで半分は円である。而も円は日本の銀行に積立てておいて将来の日本品の輸入に充てる。こういつたような有利な条件でありますが、果してこれを五乃至一〇%の保有の場合においても保持できる自信が外務当局においておありかどうか。このことは通産大臣に併せてお伺いいたしたいと存じます。
 時間がありませんので急ぎますが、通産大臣に対する御質問は詳細を省略いたしまして先ず今、日本の石油をがんじがらめに縛りつけておりまするところの国際石油カルテルについてのお考え方を承わりたいと思うのであります。工業国が、その競争相手である国々に生産の基礎であるところの燃料、而もそのうちの重要な部分を占める油について首根つこを押えられておる状態で、果して国際的な競争に勝を占め得ることができるかどうか。この国際石油カルテルを打ち破る絶好の機会は、ただ一つ、カルテル外に残されておるイランの石油をどうするかという問題にかかつておるのでありまするが、この国際石油カルテルを打ち破るためにイランと提携を促進せしめる決意ありや否やということであります。
 第二番目は、日本の燃料政策が、戦前とすつかり逆になりまして、戦前は、石油三割、重油七割の輸入であつたのを、最近は外貨割当によりまして、重油三割、原油七割に変更いたしておりますが、かように石油政策を変更された理由。
○議長(河井彌八君) 三輪君、時間です。
○三輪貞治君(続) 時間がございませんので、私の質問はこれで終ります。併しながら、昨年の輸入で日本に対する期待が大きかつただけに、その後のあいまいな日本の態度に対しては最も失望し、今にして毅然たる態度をとらなければ悔いを千載に残す結果になると考えられますので、特に懇切にして熱意ある御答弁を期待いたしまして、私の質問を終る次第であります。(拍手)
   〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手]
○国務大臣(岡崎勝男君) お答えをいたします。
 英国が日本の商社のイラン石油の輸入に対して、中止方を希望して来たのは事実でありまするが、この間何ら恫喝というような性質のものはなかつたのであります。日本といたしましては、経済報復を懸念するというようなことよりも、むしろ英国及びその自治領、植民地等は日本の最大の貿易の相手国である関係上、我が国の経済自立のためにも、日英通商貿易の発展拡大を妨げないようにという考慮から、本件が、英国、イラン間の交渉中である現在はイラン石油のこの上の輸入を手控えることといたしたのであります。イタリアにおきましても、同様の趣旨から国内消費のためのイラン石油の輸入は手控えておると考えております。イラン側からのいろいろな貿易に関する申入れにつきましては、政府としてもこれをまじめに検討いたしております。そうして現にインドにおりまする西山大使をイランに出張させまして話を続けておりまするし、又極く最近には、この一週間以内くらいに更に外務省から相当高い地位の者をイランに出張させるつもりでございまして、これらは、いずれも貿易協定を具体化しようという目的でありまするが、只今のところは、いろいろいわれてはおりまするが、まだ希望程度でありまして、具体的にはなつておらないのであります。
 次に、イランの自由に委ねられる石油の分量、これはイランと、今後できまする共同石油販売会社との間の話合いが妥結するまではわからないのでありまして、二五%とか一〇%とかいろいろ、或いは五%とか言われておりまするが、これは何も、日本が消極的態度であるからこのパーセンテージが減つて来たというわけではありません。これは専ら英米等の共同販売会社とイランとの間の話合いによつてきめるものでありまして、我々としては、若しこのイランの自由に委ねられる分が相当ありとしても、これは日本側としては常に引受ける用意があるということは申しております。併しながらお話のように、ドイツなりイタリアなりとの間の競争ということも、これは考慮しなければならん問題と考えております。
 以上お答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
○国務大臣(愛知揆一君) 日本の石油の需給状況は、御承知のように楽観を許さない状況でございますので、イランの石油の輸入につきまして、私どもといたしましても重大な関心を持つておりますることは今更申上げるまでもございません。昭和二十八年度におきましては、約十二万キロ・リツターの揮発油と軽油を輸入いたしたのでございす。ところで只今外務大臣から御説明いたしましたような事情にございまするので、現在のところは止むを得ず輸入の禁止をいたしておるのでありまするが、外交関係の問題が解決いたしましたならば、直ちに輸入の禁止を解除するということは当然の措置と考えておるわけでございます。私どもといたしましては、イランの石油につきましては、例えば、バーターでありますとか或いはオープン・アカウントといつたような取引の形で、輸出の代金を以て輸入代金を決済することを我がほうといたしましては希望しておるのでありますが、イラン側のこれに対する同意がありますれば、積極的にこれを輸入することにいたしたいと考えておるわけでございます。
 それから第二のお尋ねの点でございますが、イランの石油を輸入いたしたいということも勿論解決の一方法でございます。それから更に、国内の積極的な措置といたしましては、国内の原油の開発につきまして、御承知のごとく二十九年度予算案にも或る程度の予算を計上いたしておきましたし、又別途に法律案といたしましても、国内の石油資源の開発につきまして積極的な措置を講じ得るような法案を、一両日中に国会に提案することに考えておるわけでございましてこれらの方法をいろいろと併せ用いることによりまして、漸次対策を進めて参りたいと考えております。(「石油カルテルはどうした」と呼ぶ者あり、拍手)
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○議長(河井彌八君) 日程第一、水産業協同組合法の一部を改正する法律案、(森崎隆君外八名発議)を議題といたします。
 先ず委員長の報告を求めます。水産委員会理事秋山俊一郎君。
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   〔秋山俊一郎君登壇、拍手〕
○秋山俊一郎君 只今議題となりました水産業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、委員会におきまする審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 先ず提案の理由を申上げます。
 去る昭和二十五年十二月の水産業協同組合法の改正によりまして、水産業協同組合の経営の安定及び改善を図りますために、災害によりて受けることのある損害を相互に救済することを目的といたしまして、水産業協同組合共済会が設立せられ、爾来加入会員の数も漸次増加いたして参りまして、発展の途を辿つております。この共済会におきましては、現在の損失填補に充てますために、準備金として剰余金の一部を積立てておりますが、共済事業の特殊性からいたしますと、更に事業の健全な発達を図りますためには、事業年度末において存する共済責任を果し、又異常な災害の発生に備えるということを目的といたしまして、いわゆる責任準備金の制度を設け、当然の必要経費として計上するようにいたすことが必要であると考えられます。これに類する制度は、他の共済及び損害保険等におきましてもすでに法定されておりまするので、これに準ずる意味におきましても法規の整備を行うことといたしたものであります。以上が提案の理由であります。
 次に、本法律案の要旨でありますが、水産業協同組合法に第百条の八といたしまして、「共済会は、毎事業年度の終において、責任準備金を積み立てなければならない。」との規定を新たに設けまして、これに伴つて罰則、その他関係条文の整備を行なつております。なお、責任準備金の算定基準等の技術的事項につきましては、省令に譲つております。
 以上、本法律案の提案理由並びに要旨を申上げましたが、委員会におきましては、この制度の必要性につきましては、かねてから慎重検討を加えておりましたので、提案者からの詳細な説明がありました後、質疑及び討論を省略いたしまして、直ちに採決を行いましたところ、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申上げます。(拍手)
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は、全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
○議長(河井彌八君) 日程第二、特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案、(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 先ず委員長の報告を求めます。通商産業委員長中川以良君。
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   〔中川以良君登壇、拍手〕
○中川以良君 只今議題となりました特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案の通商産業委員会における審議の経過並びに結果について御報告を申上げます。
 先ず本改正案の内容につきまして、簡単に御説明いたします。
 特別鉱害復旧臨時措置法は、太平洋戦争中の強行出炭による石炭鉱業権者の与えましたいわゆる特別鉱害を、急速且つ計画的に復旧をしようとするものでありまして昭和二十五年五月に法律が施行され、五カ年間の臨時立法になつております。当初工事量は約七十八億円に上つておりまして、鉱害をさように査定をいたしまして、石炭鉱業権者、地方公共団体及び国庫からの補助によりまして、その鉱害復旧を行なつているものでございます。併しながら法律施行後、諸物価の値上りによりまして、工事費の増額を来たし、本法の施行期限内には、所定の工事を完了いたしますることが、殆んど不可能になつたのでありまして、現行法による石炭鉱業権者の納付金が、出炭トン当り二十円及び十円となつておりまするものを、それぞれ五割の増額の三十円、十五円にいたしまして、更に本法の有効期間を二カ年間延長しようと改正するものであります。
 以上が、本改正案の内容でございます。
 当委員会におきましては、慎重審議の結果、採決をいたしましたところ、全会一致を以ちまして原案通り可決すべきものと決定をいたした次第でございます。
 以上、御報告を申上げます。(拍手)
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は、全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
○議長(河井彌八君) 日程第三、昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案、
 日程第四、開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案、
 日程第五、緊要物資輸入基金特別会計法等を廃止する法律案、
 日程第六、昭和二十八年の風水害及び冷害による被害農家等に対して米麦を特別価格で売り渡したことにより食糧管理特別会計に生ずる損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)、
 以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長大矢半次郎君。
    ―――――――――――――
   〔大矢半次郎君登壇、拍手〕
○大矢半次郎君 只今議題となりました四法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 先ず昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案について申上げます。
 昭和二十八年度におきましては、国債の償還に充てるための資金の特例といたしまして、国債の元金償還に充てるため一般会計から繰入れるべき金額は、財政法第六条の規定による前々年度歳入歳出決算上の剰余金の二分の一相当額にとどめ、国債整理基金特別会計法第二条第二項の規定による前年度初め国債総額の一万分の百十六の三分の一相当額の繰入は、これを要しないこととすると共に、日本国有鉄道及び日本電信電話公社が、日本国有鉄道法施行法第九条又は日本電信電話公社法施行法第八条の規定により、政府に対し負う債務の償還元利金は、国債整理基金特別会計に受入れ、当該金額について一般会計から償還資金の繰入があつたものとみなす特別の措置が講ぜられたのでありますが、本案は昭和二十九年度においても、前年度と同様の特例的措置を図ることといたそうとするものであります。
 本案につきましては、格別の質疑もなく、討論、採決の結果、全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第であります。
 次に、開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案について申上げます。
 開拓者資金融通特別会計においては、開拓者資金融通法に基いて、開拓者に対し資金を貸付ける場合の貸付金の財源を調達する建前として、この会計の負担で、公債を発行し、又は借入金をすることとなつておるのでありますが、従来この貸付金の財源に充てるために、一般会計からこの会計に繰入金をする措置がとられて参つたのであります。本案は、昭和二十九年度におきましても、従来の措置と同様に、開拓者に対する貸付金の財源に充てますために、一般会計からこの会計に十四億八千五百五十六万五千円を限り、繰入金をすることができることにすると共に、この繰入金につきましては、将来貸付金が償還された際に、繰入金に相当する金額に達するまでの金額を、予算の定めるところにより、一般会計に繰戻さなければならないこととしようとするものであります。
 本案の審議における質疑応答の主なるものを申上げますと、「開拓状況は必ずしも政府の企画通りに進捗していないと考えるが、政府の対策如何」との質疑に対し、「入植者の開拓面積は全国において約五十万町歩であり、開拓農家の昭和二十七年度生産食糧は米換算で約三百三十七万石を示している。又個々の開拓農家の経済収支を見ても、昭和二十七年度は平均二万九千六百円の剰余を出しており、今後営農の基礎はますます強固になつて行くものと考える」との答弁がなされたのであります。その他詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。
 質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第であります。
 次に、緊要物資輸入基金特別会計法等を廃止する法律案について申上げます。
 緊要物資転入基金特別会計は、いわゆる緊要物資の取得及び売払いの経理を明確ならしめるために、昭和二十六年に一般会計より二十五億円を受入れて発足したのであります。その後、緊要物質の需給も漸次緩和して参りましたので、本案は昭和二十八年度限りで、この特別会計を廃止することとし、緊要物資輸入基金特別会計法及び一般会計の歳出の財源に充てるための緊要物資輸入基金からする一般会計への繰入金に関する法律を廃止しようとするものでありまして、これに伴い所要の経過規定を設けようとするものであります。
 即ち、この特別会計に属する資産及び負債は一般会計に、現金は産業投資特別会計に、それぞれ帰属せしむることとし、基金は一般会計所属の資金として昭和二十九年五月三十一日限り運用せしめ、この資金に属する資産及び負債は一般会計に、現金は産業投資特別会計に、それぞれ婦属せしむる等の規定を設けようとするものであります。
 なお、これに伴い、関係法律の規定を整理いたすこととしております。
 本案の審議における主なる質疑応答を申上げますと、「緊要物資輸入基金特別会計の基金を、一般会計所属の資金として運用せしめる理由如何」との質疑に対しては、「今後買取る必要のある物資もあり、特別会計の基金を一般会計の資金としていわゆる残務整理の期間中、事務的に存続せしめるに過ぎない」旨の答弁がなされたのであります。
 その他、昭和二十九年度予算との関係、公債及び借入金の残高等について、質疑応答が交わされたのでありますが、詳細は速記録を御覧願いたいと存じます。
 質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
 最後に、昭和二十八年の風水害及び冷害による被害農家等に対して米麦を特別価格で売り渡したことにより食糧管理特別会計に生ずる損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案について申上げます。
 昭和二十八年におきましては、風水害、冷害等が異常に発生いたし、このために、去る第十六回特別国会において、昭和二十八年六月及び七月の大水害並びに同年八月及び九月の風水害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律、第十七回臨時国会において、昭和二十八年における冷害等による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律の成立を見たのでありますが、これに基きまして、それぞれ政令の定める地域内のいわゆる被害農家で、都道府県知事の認定を受けたものに対して、特別価格で米麦を売渡す措置が講ぜられたのでありまして、このために、食糧管理特別会計においては、約九億二千二百五十一万円の損失が見込まれるに至つたのであります。
 本案は、この損失を補填するため、一般会計から昭和二十八年度において三億二千五百九十万九千円、昭和二十九年度において五億九千六百六十万七千円を限り、食糧管理特別会計に繰入金をすることができることとしようとするものであります。
 本案の審議におきましては、被害農家に対する米麦の売渡の実績及び見込について質疑応答がありましたが、詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。
 質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致を以て、原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
 右、御報告申上げます。(拍手)
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより四案の採決をいたします。四案全部を問題に供します。四案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて四案は、全会一致を以て可決せられました。
 本日の議事日程は、これにて終了いたしました。次会の議事日程は、決定次第公報を以て御通知いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午前十一時三分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、議員派遣の件
 一、イラン石油輸入に関する緊急質問
 一、日程第一 水産業協同組合法の一部を改正する法律案
 一、日程第二 特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案
 一、日程第三 昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案
 一、日程第四 開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案
 一、日程第五 緊要物資輸入基金特別会計法等を廃止する法律案
 一、日程第六 昭和二十八年の風水害及び冷害による被害農家等に対して米麦を特別価格で売り渡したことにより食糧管理特別会計に生ずる損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案