第019回国会 通商産業委員会 第9号
昭和二十九年二月十六日(火曜日)
   午前十時四十五分開会
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 出席者は左の通り。
   委員長     中川 以良君
   理事
           加藤 正人君
           藤田  進君
   委員
           石原幹市郎君
           大谷 贇雄君
           小林 英三君
           西川彌平治君
           酒井 利雄君
           高橋  衛君
           豊田 雅孝君
           西田 隆男君
           三輪 貞治君
           武藤 常介君
  政府委員
   公正取引委員会
   委員長     横田 正俊君
   通商産業政務次
   官       古池 信三君
   中小企業庁長官 岡田 秀男君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       林  誠一君
   常任委員会専門
   員       山本友太郎君
   常任委員会専門
   員       小田橋貞寿君
  説明員
   公正取引委員会
   調整課長    丸山 泰男君
  参考人
   オオタ自動車工
   業株式会社社長 寺沢 浅義君
   鐘渕デイーゼル
   工業株式会社取
   締役      高柳  皎君
   小松製作所専務
   取締役     鷹取 米夫君
   日平産業株式会
   社専務取締役  川端良次郎君
   日平産業株式会
   社外註課長   加藤 武雄君
   本田技研工業株
   式会社専務取締
   役       藤沢 武夫君
   特殊製鋼株式会
   社取締役    松島 謹三君
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  本日の会議に付した事件
○通商及び産業一般に関する調査の件
 (下請代金支払遅延問題に関する
 件)
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○委員長(中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開きます。
 本日の議題は下請代金支払遅延に関する件でございます。午前中には公正取引委員会並びに中小企業庁からその後の経過を承わりまして、午後は下請を出しておられるところの大企業の数社をお招きをいたしまして、下請代金の決済状況その他大企業としての意見を承わることにいたしております。
 本件に関しましては本国会の召集日に当ります昨年の十二月十日に委員会を開きまして、中小企業庁と公正取引委員会より最近の状況を伺つたのでございます。私どもは親会社が下請業者に注文を出して、その製品が納入をされ、又は工事が完了をいたしましてもその代金の支払について親会社が長期間に亘つて延滞をいたし、或いは棚上げをし、或いは甚だしきものは値引きをするというようなことは、経済的基盤の弱い下請業者としましては非常な苦痛であると痛感をいたしておるところであります。殊にこれは経済道義の上から見ましても甚だどうも遺憾なことであると存ずるのであります。更に法律の上から見ましても、優越せる経済力を利用いたしまして相手方に損害を与えるというようなことは、これは不公正なる取引といたしまして独禁法に違反するものであると考えるのであります。そこで年末に際しまして当局の意見を質しましたところ、中小企業庁も公正取引委員会も下請代金支払の円滑化についてはそれぞれのお立場からして尽力をしておられることを伺つたのであります。殊に公正取引委員会におきましては支払の状況の余りよくない親会社を個別的に年末に招致をされまして支払不円滑の事情を質され、又決済の促進をしたしまするための支払改善計画の提出を求められたということでございます。この計画の内容を検討をいたしまして、改善の実現方を勧告をせられたとのことでございます。従いまして当委員会におきましても当局の御努力に対しましてはここに敬意を表しますると共に、休会明けには改めてその経過を詳細に承わりまして、又親会社の説明をも聴取をいたしまして、委員会としては何らかの態度を決定いたしたいということに先般お話合いをいたしておるところでございます。諸般の事情で以てそれが大変遅れましたが、本日漸く本件を議題とすることに至つた次第でございます。
 そこで先ず委員長から横田公正取引委員長に対しまして一括して最初にお尋ねをいたしたいと存じます。
 先ず第一点は、公正取引委員会で個別に招致をされました親会社は総計何社でございましたか、できればその事業種類は何であるか、その下請業者数は何名くらいであるかという点、又横田委員長は前回に特に悪質な親会社はその名前を当委員会において公表をするということを申されておりましたが、公表をしなければならないような悪質なものがその中にあつたかどうか承わりたいのであります。
 第二点は、お調べになつた結果、下請契約の内容、専属下請と、それ以外の別、並びにその間に差別的待遇があつたかどうかという点でございます。
 第三点は、下請代金支払の遅延状況について伺いたいのであります。
 第四点は、前回当委員会で質問の出ました支払基準についての公取の御見解はどうであるか、これを一つ本日は明確にお示しを願いたいのであります。
 第五点は、支払遅延の原因、その責任が親会社又は下請業者のいずれに多くあるか、こういう点でございます。
 第六点は、下請支払改善計画を親会社は公取に提出したということでございまするが、その改善計画の主要な点はどういう点にあつたかということを述べられたいのであります。
 第七点は、勧告以後に改善計画は如何に実施されておるか、如何に改善をされて参つたかという点であります。
 第八点は、招致いたしました親会社以外の親企業における遅延状況はどういうふうになつておるか、これに対しまして、公正取引委員会といたしましてはどういう御処置をとらんとしておられるかという点でございます。
 第九点は、本件に関する公正取引委員会の今後の御方針について伺いたいのであります。
 第十点は、本件に関する特別の立法措置を必要と考えるか、又こういう特別の立法措置を用意せんとしておられるかどうかという点でございます。
 それから最後に、大企業をお呼びになつてお調べの結果、大企業に対しまして、政府の支払が悪いとか、或いは発注の方法、発注の時期等が当を得ていない、或いは又金融の面における諸施策が適切でないという点等がございまして、これがために、大企業みずからの責任に帰すべからざるところのいろいろな問題があるかどうか、これらの点等についてどういうふうに公取としてはこの調査においてお考えになつたか、こういう点に関しまして事情の許す限り具体的に詳細な御説明を承わりたいのであります。
○政府委員(横田正俊君) 只今お挙げになりました十一点につきまして、私で答えられます範囲においてお答えをいたし、不足いたします点は後に説明員より御説明申上げることにいたしたいと存じます。
 第一点の親企業の、昨年通産委員会が十二月十日に開かれまして、丁度その日から問題となりそうな親企業をお呼びしまして調べましたのでございますが、その数は十社でございます。業種別で申上げますと、電気機械一社、計器二社、紡機一社、兵器産業二社、造船一社、工作機械二社、内燃機関一社、こういうような振合いになつております。この各業社の下請の数は只今私正確に存じておりませんのでそれは後刻申上げることにいたします。大体この十社につきまして順次調べましたが、いずれも極めて率直に支払遅延の事実を認めまして、二十八年末以降いろいろ支払の改善に努力しまして、かなり実効を挙げております。そういうような関係もございますので、先般も申上げましたように、この会社の名前を申上げますことは一応差控えさして頂きたいと考える次第でございます。なおこの各社につきまして支払状況はいろいろ違つておりますが、これは後に支払遅延の状況につきまして、概括的にお答え申上げたいと存じます。
 それから下請の中に、専属的なものと、そうでないものとがありますことは勿論でございますが、これに対するいわゆる差別待遇と申しまするか、専属のものによく支払つて、そうでないものに遅延をいたすというような事情はあつたように聞いております。この点も具体的にどういうふうになつておりましたか、につきましては、必要がございますれば後刻詳細なことを他の者よりお答えいたしたいと思います。
 それから親企業につきまして、支払遅延の状況を調べました状態につきまして、簡単に御報告いたします。昨年は丁度下請業のほうを調べまして、親企業のほうの調べもその後引続きいたしましたが、その内容につきましては、余り詳細な御報告を申さなかつたのでございますが、この親企業側の調査をいたしました結果は、本日お手許に差上げました書類の中の二枚目の裏でございますが、以下に親企業の調査といたしまして、一応掲げてございます。先ず支払が円滑でございますれば、納入記帳後翌月に支払うというのが大体最も正常な状態のように認められたのでございますが、従いましてこの場合におきましては、いわゆる月末の買用残と、それから親企業の月平均の支払額というものが大体一致して参りまするので、この丁度倍率と申しまするか、倍率が一というようなことになる。これは最もいい状態でございます。ところが非常に遅れますものにつきましては、倍率が非常に高まつて参りますので、この表にございますように、一倍、つまり非常にいいものは六社、一・五倍が十一社というふうに割合にいいものは少い。中には最後のここにございますように、六倍以上というような非常に遅れているものもございます。
 それからこの支払が下請に対しまするものと、その他の副資材なり、或いは素材メーカー、或いは商社に支払われますものとが、この間に相当の差のあるものを発見いたしたのであります。これはその次の親企業の取引先別の支払状況というところに一応書いておきましたが、これを御覧になりまするとおわかりになりますように、一番上のA社におきましては、下請企業に対しては実に六・八倍というような非常に大きな倍率が出ておりますのに対しまして、副資材はまあ大体同じでございますが、素材メーカー、商社に対しては四・三というような比較的少い倍率、これはやはり素材メーカーなり商社に対しまして、下請企業よりも優遇をいたしておるというようなことになるわけでございます。中には勿論E社のごとく非常に下請に対する支払は割合に、これも余りよくはございませんが、三・六で、素材メーカーに対しては一二・八と、殆んど一年に近い支払の溜まつておるというような状態も出ておりますが、こういうふうにいたしまして、要するにこれはやはり一種の力関係でございまして、力の強いものに対しては早く支払い、力の弱い下請業者に対しては余り支払をよくしないというふうなことが認められたのでございます。
 それから親企業側の経理状況につきましては、これはいろいろな点からかなり詳細に調べたのでございますが、親企業の株主の配当、利益配当の率、それから役員の賞与、従業員に対するいろいろな給与の問題等についても行なつたのでございます。中には三割以上の配当をし、或いは多額の夜勤賞与を支払いながら一面におきまして下請代金の支払を著しく遅延しておるというようなものも見受けられたのでございます。
 それから支払の如何なるものを以ていわゆる支払の遅延、或いは独占禁止法で申しますと、不公正取引方法として指定いたしました第十号、つまり「自己の取引上の地位が相手方に対して優越していることを利用して、正常な商慣習に照して相手方に不当に不利益な条件で取引すること。」というこのいわゆる正常な商慣習に照して相手方に不当に不利益な条件ということになるのであります。この基準を示せという要求が昨年の委員会で出まして、我々といたしましても誠に御尤もな点でございますので、当時もいろいろ検討はいたしておりますが、その後引続き検討いたしましたが、併しこの問題は非常にむずかしい問題でございまして、率直に申しまして、実はまだ自信のある線がはつきり出てはおりませんが、併し不十分ながらも一応お手許に差上げました書類の四枚目の二というところに、「支払遅延の不当性の基準」というようなものを一応書きましたのでございます。これはここにも書いてございますように、親企業の業種、業態、或いは経営状況というようなことで大分事情が違つて参るかと思いますので、一律にその不当性はきめられないということになろうかと思いますが、併しやはりそこにおのずから誰が見ましてもこれ以上はどうも面白くない、ほかのいろいろな事情は別として考えても何かそこら辺に一定の基準があるのではないかということでございます。これは御承知の政府契約の支払遅延の防止に関する法律というのがございまして、これは一般の私企業と違いまして、支払う人が国でございますから、いわゆる支払不能と、或いは支払能力というようなことには欠けるわけはないのでございますので、その点は大分事情は違いまするが、やはりあすこにきめられておりまする基準はかなりよく検討したものと考えられまするので、一応ああいうような基準がやはり一般の私企業間のこういう取引についても一応の基準になるように考えられるわけでございます。つまり異常な支払状態と申しますものは、先般調べましたいろいろな業種につきましてならして見ましても、やはりあの政府支払の法律にございますように、工事につきまして四十日、その他のものにつきまして三十日、つまりあの基準あたりがやはり一応の線になるのではないかというふうに思われるのでございます。勿論これは政府支払の場合は現金支払でございますが、この一般の場合につきましては、現金支払を強要するというわけには参りませんので、勿論この支払といううちには手形による支払というものが含まれなければならんと思いまするが、併しこの手形の支払も直ちに銀行において割引をし、現金が手に入るという性格のものでなければやはりいかんということになりますので、まあ普通九十日というようなことになつておるようでございますが、それ以上長いものはやはり面白くないということに一応の基準がなろうかと思います。
 なおこの支払の時期に関連いたしましては、結局納入、検査、検収、それから支払ということになりますので、納入から検収が済みますまでの期間というものが長ければこれは困るわけでございまして、この点は納入は、下請業者が納入してから記帳までは検収の手続を経る期間がありますので、納入から検収を経て記帳までの期間は合理的な最短限度の期間というふうに書いてございますが、これも又非常に抽象的でございますが、これも又政府支払の場合の時期は御承知のように工事につきまして十四日、その他のものにつきまして十日というような一応の基準がございます。今回の調査におきまして我々が見ました実際の支払、検収、記帳の期間というものは大体七〇%以上のものが二十日以内に検収を終つておるような状況でございます。これは二枚目の表の所に、下請業のほうにつきまして見ました検収、記帳手続の遅延、ここに一応挙げてございます。下に率も出ておりますが、この率は一番下に不明というのが四十六社もございまするので、これを除きますと、上の二行、つまり二十日までに検収を終りましたものの率は約七〇%近くになるようになります。従いましてやはりこの辺が正常な商慣習による検収を経ての記帳の時期というふうに考えられるわけでございます。従いましてこの以上のような期間を過ぎましたものは一応問題になるのでございます。これは勿論政府支払の場合も御承知のように特殊の事情のありますものにつきましては支払の時期は三十日、四十五日を一・五倍、一倍半、つまり四十五日乃至六十日まで特にお互いの話合いで延ばしてもよろしいというようなふうになつておりますので、これは一概には申せないのでございますが、まあ一応只今申しましたような基準を超えますものは問題になる。而も親企業のほうの側に支払のできないような特殊の事情がございますれば別でございますが、相当支払能力のあるにかかわらず怠つておるというふうなことになりますと、独禁法の不公正取引というようなことになつて参るのではないかと思います。この親企業の支払能力を判断いたしますにつきましては、いろいろな点がやはり考えられますので、ここに挙げましたように、生産、在庫、販売の状況、売上代金の回収状況、或いは運転資金の調達状況、それからほかの先ほど申しました原材料メーカー、商社等への支払がいいにかかわらず下請だけをいじめておるというようなことがあるかどうかというような点、或いは株主の配当、役員の賞与その他の給与というような点がかなりいいにかかわらず下請業だけがいじめられているというようなことがないかどうかというような点が問題になるのではないかと思います。この点につきましては先般調査いたしました際にも非常に下請側からの痛烈な非難がございまして、例えば丁度支払代金が遅延する時期は親企業のベース・アツプ、それから夏季手当、年末手当の要求が解決され、それが支払われるときが最も多い、これは親が食べて子に食わさんことである、而も株主には相当な配当をしておるというようなことを言つて訴えておる者もございました。或いは下請代金は給料に変形するものであるから、親企業のみ賃金を満配して賞与まで与え、下請が賃金に充当する代金を全然支払わないというような企業のやり方はどうであるか、親企業は下請企業の協力で生きているのであるから、社内給料賃金支払と下請への支払はまあ同率に配分すべきであるというようなことを言いましたりいたしまして、相当親企業のやり方に対して非難を加えておる者がございます。なおこれらの配当、賞与、給与、これは勿論払わなければならないものでございますが、更にいけませんのは非生産的な冗費、不用不急のいろいろなことに金を使う、或いは不当に多くの接待費を使うというような、そういうような点も十分に反省されなければならん点であろうと考えます。大体只今まで我々が考えて検討いたしました結果をまだ甚だ未熟なものでございまするが、一応そんなふうに考えておりまして、更にこれをどういうふうに具体化し、はつきりさして行つたらよいかという点につきましては、先ほどお問いの中にもございましたので、別に申上げることにいたしたいと思います。
 それから下請代金の支払が著しく遅れまする原因でございますが、これは今まで申上げましたことで大体或る程度おわかり頂いたと思いまするが、一般的に申しますと、結局親企業の経営が不振であるという場合がまあ一番多いことになるわけでございまして、そのほかに親企業側の原因としていろいろ考えて見ますと、大体次のようなことが考えられると思います。生産計画に見合う資金手当が伴わないというような点が相当に見られるようでございます。それから第二といたしまして収益状況に比べまして株価の維持のための無理な高率の配当、或いは役員、従業員の賞与、給与というのがかなり高額に支払われておるというようなことがやはり一つの原因になるようでございます。第三番目に先ほども申しました素材メーカー、商社等への支払がこれはむしろこちらのほうが取引上の地位が優越しておるというようなものがございますると勢いそちらのほうへ金が流れて参りますので、そちらへ流れました結果下請のほうへ金が廻らないというような点、第四点といたしまして納入から検収、記帳までの手続上にいろいろな欠陥がある、非常にそちらの手不足であるというような点が相当あるものがあるようでございます。それから親企業の社内で発注担当部と支払担当部との連絡が緊密でないというような親企業側の不手際というようなものも看取されるのでございます。次に下請のほうの側の原因といたしましては、これもいろいろございまするが、まあこれは余り下請を責められないようなことが多いと思いますが、親企業側の生産計画に応じて下請企業が分割納入しなければならんものを怠りまして発注量を一時に納入をいたす、或いは親企業側が差当り必要としない部品なんかが先にできてそれを下請のほうが無理に納めるというようなこと、或いは締切間際に一時に納入して来るというようなことで親企業側のいわゆる検収の能力が足りないというために止むを得ず検収の済まないものは次期納入分として取扱うというようなことになりまして大分支払が遅れる。それからこれは相当あるのでございますが、下請企業の技術の未熟のために不良品が非常に多い、そうなりますと勢い検査を非常に厳重にいたす、悉皆検査、全部を検査するというような極端なことにもなりますると自然に長期の検査期間が要る、これは特に新らしい製品を下請に出しましたような場合に最初のうちによく起る現象のようでございます。こういうふうにいたしましていろいろな原因が考えられますが、まあ概して親企業側に支払遅延の原因があると申上げて差支えないと思います。
 それから公取が十二月に調べまして支払改善計画を十社に提出を求め、且つその履行状況を見て参つたのでございますが、これにつきましてもお手許に差上げました書類のうちに五枚目に三といたしまして公正取引委員会のとつた措置といたしまして、最初のほうにございますのは、昨年の八月に行いました通産省の中小企業庁と共同いたしましていたしました調査の結果の警告をいたしました。それからその後十二月の十日から個別に多少問題になると思われまする親企業を十社呼んで調べました。これは大体親企業の経理部、購買部等の責任者、相当の地位の人の出頭を求めましていろいろ質しまして、その結果先ず支払改善計画というようなものを出してもらうということにいたしました。これを二つに分けまして、年末の支払改善計画と、それから今年の一月から三月までの少し先までの支払計画、この二つに分けまして提出を求め、なお甚だ完全なるものを出して来た者と多少完全でないものを出した者とがございますので、その不完全なものにつきましては更に再提出を求めるというようなことをいたしました結果、年末の分につきましては、これはかなりいい結果が出ております。ここに三社ほどの例を掲げておきましたが、その内容はこれでお読み頂きたいと思いますが、こういうふうにいたしましてかなり誠意のある態度を以て臨んだようでございます。これは勿論年末と申しますればこういうことがなくても自然に支払は或る程度よくなるのでございまするが、やはり我々がこういう手続をとりましたことが相当効果があつたように思われます。この点で、特にここに表は附いておりませんが、各社について見ますと、先ほど申しました倍率というものが極めて著しく減つております。殆んどもう一点何倍というようなところまで下つて来ておるのでございます。たしか二・三倍くらいまでのものがこの十社に該当しておつたと思いますが、それがいずれも倍率が相当下りまして、そうして一に近付いたというようなものも出て参つております。それから一月から三月までの分につきましては、これは相当詳細に、これは将来のことになりますので、殊に倍率の多いものにつきましてはそれをどういうふうにして減らして行くかというような計画を出させまして、なおこれにつきましては単に計画倒れでは困りますので、その資金の手当をどういうふうにするか、殊に銀行等との取極めというようなところまで突込んで調べましたのでございます。この点はなおまだ三月まででございまして、その中途でございますが、これは随時その後こちらで注意をいたしまして、その計画が果して絵に描いたものでなく現実に行われるかどうかということを今後も引続き見て参りたいというふうに考えております。それから公取の調べましたものは、親企業にいたしまして三十七社、四十工場、下請企業の数にいたしまして六百工場に過ぎないのでございまして、これはほんの下請問題につきましての一部ということになりますが、この以外にもいろいろ遅延をいたしておるものがあることは我々も勿論想像できるのでございます。現に当委員会に対しまして今挙げましたもの以外の会社につきまして親企業の名前を挙げまして取調べをして欲しいと下請業者から申出ておりますものが相当ございます。従いまして我々といたしましてはこれらにつきましては個別にやはり調査を進めて参りたいと考えております。
 なお今後そういう個別の調査以外につきましてどういうような措置を公取としてとるかという点につきまして一応申上げたいと思います。先ず一つは先般の委員会におきましてもお話が出ましたように、今度の調査は年末でございましてまあ或る程度の効果を挙げたいと存じますが、これは繰返し、或いは常時見て参りませんと忽ち又元へ戻るという性格のものであろうと存じますので、今後のやり方といたしましては公正取引委員会の調査権といたしまして各事業者から必要に応じましていろいろ報告を出して頂くことができるということになつておりますので、下請業に依存度の高い会社を或る百社なら百社、或いはこれは数ははつきりまだきめておるわけではございませんが、そういうものを選びまして、これは何もその社が特に悪いというような趣旨ではございませんで、支払状況、下請に対する関係というものを一つ把握する意味におきまして、或いは一方におきましては親企業の善処を期待する意味におきましても、年二回というようなふうにいたしまして定期的に或る一定の事項の報告をして頂くというようなことにいたしたらどうかというふうに考えております。
 それから次に支払の遅延の先ほど申しました独占禁止法上違反になるその基準につきましては、これを何とか具体化いたしまして守りやすい形にしてその線に沿つて支払代金の遅延を防止して頂く、まあこういうことにいたしたいと考えますので、この点は公正取引委員会の不公正な取引方法の指定のうちのいわゆる特殊指定、法律の言葉を以ていたしますれば特定の業種につきましてその特定の取引行為のうちで面白くないものについて具体化して指定をするという権限が認められておりますので、それによりまして先ほども申しました線をもう少し洗煉いたしました上でこれを特殊指定にしたらどうかということを只今大いに検討いたしております。これは法律の七十一条にもございますように、その種の業者の意見を十分に聞かなきやなりませんのと、それから公聴会を開きまして一般の意見を聞くというような手続も必要といたしますので、十分に原案を練りました上でそういう手続に持つて行くというふうにいたしたいと只今鋭意検討をいたしておるところでございます。従いましてこれは御質問の特別の立法措置が必要であるのではないかというお問いに対しましては、我々といたしましては大体この特殊指定ということが適当にできますれば法律を作るまでのことは要らないのではないかというふうに考えておりますが、併し果して我々の手で極めて誰もが納得できるような立派なものができまするかどうか、それにも問題はかかつておりますことでございまするが、併し一応私どもは立法措置までは必要ではないのではないかというふうに只今は考えております。
 それから最後の点の親企業の支払遅延に関連いたしまして、政府の支払が悪い、或いは金融面の何か工合が悪い点が原因になつておるのではないかという点でございますが、これは確かにそういう面もあるそうでございます。私は具体的な内容を存じておりませんので、この点は説明員にその点を補充してもらうことにいたしたいと思います。いろいろ申上げましたが、或いは的が外れた回答もあつたかと存じますし、或いは多少抜けておつた点もあるように思いますので、更に御質問を頂いたらお答えいたしたいと思います。
○説明員(丸山泰男君) それでは私から補足して、いま二、三の点について御説明申上げたいと思いますが、先ず第一に政府との関係で支払が下請のほうに遅れているのではないかという御質問でありますが、この点につきましては、特に私どもも注意して調査いたしたのでありますが、大体におきまして、帳簿の表面的には契約をいたしまして納入して、政府或いは公共企業体等の支払はすぐに行われておるわけなんでありますが、これはまあ帳面の上だけでそうなつておるのでありまして、実態をよく調べて参りますと、結局非常にむずかしい問題でありますけれども、公共企業体とか政府関係でいろいろな品物を調達いたします場合に、予算等と見比べまして大体の購入計画というものができるわけでありますが、これがきまりますのがかなりいつも遅れるわけであります。ところが政府や公共企業体に品物を納めております親企業側としましては、その計画がはつきり確定するまで生産をしないで待つておるというわけには行かないのでありまして、結局これは事実上公然の事実となつておりますが、いわゆる内示というようなものが行われる。この内示というのは責任のない一種の発注なのでありまして、事実上の発注でありまして、大体この程度のものが今年度は必要とするだろうということで、例えば電信機械とか、いろいろな機械などを購入する。それに基いて親企業側は生産計画を立てるわけで、内示と確定の契約とはそう大きな違いはないわけでありますが、そういたしますと親企業としては正式の発注がないものでありますから、銀行等から金を借りるということもなかなかむずかしいわけですし、政府側にすぐ払つてもらうというわけにも行かないのでありまして、どんどん生産を進める、そうしてそれに必要な部品を今度下請から調達する。そういう場合にやはり金繰りの面でどうしても苦しいために下請に金が払えないという関係、そういう関係で遅れるという実情がかなり親企業側から訴えられておつたのであります。で、この点はなかなかむずかしい問題でありまして、といつて全部内示を廃止すればいいのかと申しますと、これもなかなか実際問題としては、或る程度契約をしてから生産期間を設けて納めるというのでは遅れるわけなのでありまして、大抵実情においては契約をしておるときには品物ができておるというような形になつておる。こういう点に一つの問題点があるのじやないか。我々としましてもまだこの点十分深く突つこんで検討、研究をしてあるわけではありませんので、どうすればいいのか確たる考え方もないわけでありますが、そういう点に一つの問題があるということは言えるのじやないか。それから只今委員長から申上げました中で、若干補足する点として委員長が残されました点は、先ほどの専属と非専属との関係でありますが、これも親企業に専属している下請企業であるとか、専属していないとかいうことで、一種の程度問題でございまして、大体において下請企業が親企業一社のみに依存しておるという例は非常に少ないのであります。多くの場合二社乃至は三社の親企業を大体継続的にそういうところと取引しておる、こういう関係になつております。勿論その三社の親企業に入れておるといたしましても、その量においてそのうちの一社とは特に関係が深いというような場合に、専属的であるとか、或いは半独立的であるとかということが言えると思いますが、そういう場合にはやはり親企業と非常に関係の深い下請企業、まあ最近の言葉で言いますと企業系列化という形で、そういう縁の深いところにはどうしても技術指導も非常に密接に行われますし、それだけに下請の経理状況等も親企業側によくわかつておりますので、支払がどうしてもそういう方面によくなるという傾向があることは否めないと思います。特にそれを、いわゆる企業系列化を強行するという意味で差別を作為的にやる、そういう点は私どもの調査では余り見出せなかつた。併し一般的に傾向としましては親企業もこの戦後の混乱状態から漸次下請企業との緊密な協力関係というものを確立して行かなければ、親企業の品物自体の品質もよくならないわけでありまして、そういう意味で下請企業の数を漸次制限して行こうという方策がとられているということが窺えるのであります。そのほか先ほど支払改善計画の問題につきまして倍率を下げる、遅延度をできるだけなくするということに今重点が置かれたわけですが、これは根本問題でありますけれども、そのほか親企業を下請の関係におきましてもかなり不合理な面があるわけでありまして、そういう点についてもつと合理的にやる。下請企業の立場から申しましても、親企業がまじめに一生懸命にやつて、それでも資金繰りが苦しいために若干待つてくれということであれば、これは我々としてもそれについてそう不平、不満を言わない。景気のいいときもあれば悪いときもある。悪いときはお互いに一緒に苦しもうという気持も下請企業にないわけではない。それがややもすると力の強いものが横暴に振舞うというところから、下請企業側から大きな不平、不満というものが出て来ておるわけでありまして、そういう点で外注、検収、支払手続の改善とか、或いは下請に対して、下請と始終関係を持つ親企業側の職員の態度、言動ということがかなり下請関係を不明朗にしておるわけであります。こういう点についても下請業者の要求を十分我々として汲みまして、親企業側に注意をいたします。これらの点については親企業側も十分に自粛、自戒をしたいということで、非情な親企業社員もおれば、これらはどんどん適当な措置をとつて行くということを言つておるわけでありまして、中には会社の経営者自身が御存じなくて、いろいろ不明朗なことが行われておるというような事例もありまして、むしろこれらの点については親企業側も公取からそういう点をはつきり注意をしてもらつて非常によかつた、こういう点は一つ親企業としても真剣に考えたいというような雰囲気でございまして、この点ではかなり改善が見られたのではないか、私ども今下請企業側に、これらの呼んだ親企業の態度がどういうふうになつたということをそう詳しく調べておりませんけれども、二、三調べた点では非常によくなつた。それらの手続とか、それから態度なんか非常にもう見違えるようによくなつたということで、非常に下請業者も喜んでおるという事例が出ておるのであります。二、三簡単な点を補足御説明申上げた次第であります。
○委員長(中川以良君) それではこれより只今の公取側からの御説明に対しましての質疑を行います。
○小林英三君 先ずお伺いしたいと思いますことは、十社とか或いは三十何社とかいう親企業について、公取でお呼びになつてお取調べになつたのですが、そのお取調べになつた際の取調方というものは、単に親企業の責任者の口で言つたことのみによつてお取調べになつたのですか、或いは向うの会社の親工場の帳簿その他を十分に調査された結果納得されたのですか、そういう点について……。
○政府委員(横田正俊君) 担当者に尋ねましたことは勿論でございますが、各会社につきまして経営諸表まで調べました上でいろいろと判断をいたしたのであります。
○小林英三君 それからこのお呼びになりました十社というものは、まあ大体先ほど委員長から御説明のありましたような各種類の企業会社の代表的の人について、会社についてお取調べになつたように聞いております。まあ大体手形というものも私は銀行家について聞いて見たのですが、五、六の銀行について聞いて見たのですが、最近はやつておりますことは、手形は手形ですけれども、振出期日のない手形ですね、つまり百五十日だとか、二百日だとかいうような手形では、その振出期日を書くとみつともないものだから、振出日は書かないで、つまり六十日とか九十日ぐいらのときになつて、下請工場が振出日を書き込んで銀行へ持つて行くというので、親工場の体面上余り長い手形を書くとみつともないから、手形は手形で出しますけれども、振出日を書かない手形、これが非常にはやつているということを各銀行の支店長から聞いております。それじやどうして金融しているか、いろいろ支店長に聞いて見たのです。併しそれは手形だけもらつても振出日のない手形で、又そういう振出日を書いても二百日とか百五十日、それ以上の手形では銀行が割引できない、銀行ではそういう際どうしているかと言いますというと、まあ各下請工場として支払ができないから、そこで銀行は或る程度の面倒を見ております。それはどういうふうにしておるかといいますと、各下請工場の単名手形、その単名手形の本当の、例えば百万円のうちで十万円とか二十万円とかいう単名手形を預つて、そうして一時間に合してやつて行く、その間振出期日のない手形を預つているわけですね、銀行で……。それで今度は六十日とか九十日とかいう銀行の割引期間内の期日が到来したときに初めて振出日を書いて割引いてやつて、そうして前に出した単名手形を差引いて融通してやるというようなのが非常にたくさんあるのですね。そういうような点につきまして、今のお呼びになりました十社、これは大きい工場が多いと思いますが、そういうようなことについてお聞き及びはございませんでしたか。
○説明員(丸山泰男君) 手形の問題につきましては、特にこれは下請企業が非常にやかましく言つておる点でありまして、私どもも注意いたして調べたのでございますが、只今御指摘になりましたように、日附のない手形を振出すという事例も相当あるようでございます。で、何と申しましても最近の資金難で親企業も非常に苦しい、そういうところから最近では九十日ならば大体しつかりしておるところならば銀行が割引いてくれるわけですが、九十日を超える手形を発行せざるを得ない、誠にお恥しい話であるがそういう状態だということを親企業側の責任者は言つておられました。ですからもう体面を構わないということであれば、百五十日というようなことをはつきり書いて振出しておるのもあるわけです。この点では私ども呼びました親企業自身が、今度は受取手形の面で、やはりもう百五十日ぐらいの手形を相当有名な一流会社が出しておるということなんでありまして、最近では百五十日の手形を出すことはそう恥しくないというような状態だということを言つておる親企業もありました。で、これらについては結局どういうことでそういう長期化するかということをいろいろ調べたのでありますが、親企業としましては、今申上げたようにできるだけ割引がすぐできないような手形は振出したくない。これは本来手形の性質から見ておかしなことなんでありまして、割引けるところに手形というものの意義なり機能があるわけでありますから、振出したくないというわけなんですが、下請業者としましては、百五十日でもいいから、九十日を超える手形でもいいから、振出期のない手形でもいいからとにかく書いてくれ、そうして今お話のように、単名か何かの形でそれを担保にして若干の金を振出すことができる。そういうような背に腹は代えられないというところから、むしろ下請業者のほうで非常に懇望して、そういう長期手形を発行しておる、不本意ながらそういうものを発行して振出すという状態がかなりあるようであります。併しこれは親企業の経理状態から申しますと非常に不健全なやり方なんでありまして、そういう長期手形が累積して参りますと、その手形を落すということに親企業は結局金繰りで奔走しなければならないということになりますし、非常に不健全な経営状態になる。そういう長期手形で以て一時の逼塞状態を打開するように見えて、実はそれを先に延ばすという形で、そうしてますます親企業、下請企業の関係を非常に不合理な、不健全なものにして行くという点が非常に憂慮されるわけであります。そういう意味で根本的にはなかなか解決のむずかしい問題でありますけれども、できるだけまあ零細な三千とか五千円までも手形で払うというようなことをやつておるところもありますけれども、こういうものはできるだけ現金で払う、そうして手形というものをできるだけ止むを得ないものに限定して行くという方針をとることが親企業の経理からいつても、下請業者の苦痛からいつても望ましいことではないかということを非常に私どもも要望いたした次第であります。
○小林英三君 今の説明員のおつしやることは私どもも聞いておりまして、全くそういう考えをそのまま鵜呑みにお聞きになつておることはむしろ不思議なくらいに思う。これは品物を納めて代金を頂戴するのは当然の話なんで、それを会社のほうでは支払の当てがないから手形を書かないというこの親企業の経理状態が悪いから……併し下請工場としては払つてもらうのは当然なんです。手形を書いてもらわなければどうにもしようがないから長期のものでも、或いは振出期日の入つていないものでも書いてくれというような、非常に困つた現状であるということは公取でも十分に御承知願いたいと思う。そこで先ほど委員長のおつしやいました今後の対策については法律を出すということも考えられるが、それも特殊指定という問題も考えておるからして、いわゆる下請工場に対する支払というものに対する基準を考えておるのだと、こういうお話で、これは誠に結構だろうと思いますが、そこでまあ公取のほうへお伺いいたしたいと思いますことは、そういう基準を将来お作りになる上におきまして、こういう問題についてはどういうお考えを持つておられるか。つまり私どもといたしましては、下請工場があり、親会社があつてその親会社が下請工場に下請をするということは、これは冗談でやるのじやない。必要に迫られて下請工場にやるのだ。そこで従来の日本の、今までのしきたりというものが下請会社に仕事をやらしてやるのだという観念に親工場があるかどうか、或いはそうでなしに仕事を助けてもらうのだと、自分の工場では間に合わないから仕事を助けてもらうのだと、こういう私は考え方で親工場が下請工場に臨まなくてはならないと思いますが、そういう点について公取のほうではどういうお考えを持つておられましようか。
○政府委員(横田正俊君) その点は確かに従前とだんだん親企業の考え方も変つて来ているように思います。丁度企業家と労働者の関係もやはり同様なことになるのではないかと思いますが、持ちつ持たれつの関係でございまして、一方的に親企業は下請を単に手段として利用するというような気持がだんだん薄らいで来ておるのじやないか。又この下請問題を取扱います場合には、そういう観点から持ちつ持たれつの関係であるということを十分に認識してやる必要はあると私どもは考えております。
○小林英三君 今のお答え、委員長のお答え非常に私満足しておりますが、なおこの金利の問題ですが、これは金利の問題というやつは恐らく私は下請工場が親工場の仕事をする上におきましては、これはまあその従来とも現金払いというものが建前であつて、止むを得ず手形を払うという形になつておるわけでありますからして、ただパーセンテージは半分現金であつて半分手形になる、或いは三割現金にして七割手形にする。いろいろな会社があると思いますけれども、併し金利というものは現金で払うべきものを止むを得ず手形、その会社の都合によつて手形にするのであるから、その金利では手形に対する割引、銀行の割引金利というものは、当然会社が出すのが至当ではないかというような私は常識的に考えるのですが、今後そういう問題について公取のほうではどういうお考えをお持ちになつておりますか。
○政府委員(横田正俊君) 実は手形の割引の金利の問題でございますが、この点は一番この問題についての基準を作ります場合の一番のむずかしい問題のように考えております。只今どういうふうにするのがいいというふうに確定的な考えを持つておりません。十分にこの点は検討いたしたいと思つております。
○小林英三君 それから先ほどのお話の中に、下請工場のほうから公取に対して是非こういうことについては横暴な親工場を是正してもらいたいという申出がたくさんあつたように聞いておりますが、これは私は当然最近そうなつていると思うのです。それは例えば親工場の専属にいたしましても、或いはほかの親工場のをやつておる下請工場にいたしましても、例えば十社ならば十社の下請工場がある、こういうような状態で我々が下請の代金の支払遅延で困るというので、よく会合しては対策を練る、そういうことになりますというと、親工場から睨まれる、あいつが発頭で以てそういう会議を開いておる、親工場に対抗して来ようとしておるというようなわけで、いつの間にか下請工場のいわゆるリーダーになつておる、支払遅延に対する相談をするリーダーになつておるような連中にはいつの間にか仕事が来なくなる、或いは仕事を取上げられる。従いましてその下請工場といたしましては正々堂々と親工場の社長とか、或いは専務、或いは会計課長、経理課長等に厳重にそれを何とか対処して今後の改善をしてくれということは言えない立場にある。そういう事情を一つ十分に今後いわゆる特殊指定といいますか、或いは一つの代金遅延に対する今後の対策を公取でおやりになる上におきまして、そういう下請工場の非常に弱い立場にあるということを十分に一つお考え置きを願つた上で一つ計画をして頂きたいということを希望いたします。
○豊田雅孝君 今回横田公取委員長からの説明報告によりますと、支払基準を中心にして相当真剣に研究せられておるようでありまして、その点については敬意を表するのであります。併しながらまだ私どもから見ますと隔靴掻痒の観があると思うのであります。具体的に言うと、支払基準と言いますが、私はそんなにむずかしく考えなくて、要するに独占禁止法に支払遅延の取締規定ができたのであるから、その取締の基準を作るということが当然なことなんであつて、これは独禁法の改正が行われて支払遅延の問題を取上げるようになつたときに当然やつておかなければならなかつたものだと思うのです。それでなければ取締ることは一体何によつて取締るかということになると思うのですからして、その点から見ますと、折角研究はせられておるようでありまするけれども、早く具体的な結論を出さないと、私は非常に問題になつて来ると思うのです。なぜかといいますと、御承知のように、緊縮予算が組まれ、デフレ対策が強行せられつあるわけでありますが、これは当然中小企業下請にしわ寄せになつて来るのでありまして、今にして取締基準というものがもう出ておるということでなかつたならば、私は悪化することは当然だと思う。先ほど来御説明、御報告によりますと、やや好転しておる、或いは非常に好転しておると言われるのでありますけれども、それは特定の会社を招致などせられて改善計画の提出を命ぜられたりした関係上、その当該の会社なり或いはその周囲周辺に多少の好転した事情はあろうかと思いますが、全国通じて見た場合には私は決して好転しておらんと見ざるを得ないと思うのであります。そういう点において支払基準といいますか、私は要するに取締の基準、それは如何なる形でやるか、場合によれば内規を作つて公表したつていいと思うのであります。先ほど特殊指定で行けばいいというようなお話もあつたのでありますが、具体的にどういうふうにやられるのか、而もそれも早くやらなければもう間に合わんと思うのでありますが、どういうお考えを具体的に持つておられるのか。
○政府委員(横田正俊君) 只今の御質問は、昨年の十二月も頂きまして、その際私も成るたけ急いでそういう基準を作りたいということを申上げたのでございますが、その後なお検討中ということで、お叱りを頂いたわけでありますが、できるだけ早くこの問題を只今の御趣旨に副うように解決いたしたいと思います。
○豊田雅孝君 余りむずかしくお考えにならないで、基準をこの際公表するぐらいなつもりでおやりになつても早くやるだけは相当の効果を挙げるので、足らざるところは漸次改善せられて行くというので私はいいのだと思うので、それだけにさつき特殊指定の行き方を公取委員長は申されたのでありますが、それが具体的にどういうふうな表示になるか、それが伺えれば、それが相当ここで公表せられたというだけで私は効果を生ずるだろうと思う。そういう点から特にお願いいたします。
○政府委員(横田正俊君) 特殊指定をいたします場合には、大体原案を作りまして、それによつて業界なり一般の意見を聞くということになりますので、その原案をどういうふうに作るかということになるわけでありますが、この点は先ほど申しましたように、大体政府支払のそこに示されましたようなところが一応のやはり基準になると考えますが、それを中心にいたしましてそれを更にいろいろ斟酌する、事情等をどういうふうに按配するというようなことになろうと思うのであります。はつきり一カ月なら一カ月、或いは四十五日というような点につきましては、まだここではつきり申上げるまでに至りませんが、大体先ほど申上げました線が一応の基準ではないかと考えております。
○豊田雅孝君 それでは至急にその案を出されまして、只分申すデフレ対策等が強行せられるが故にだんだん従来よりも中小企業に対する、下請に対する支払遅延ということが商慣習化されるというような状態に今あると思うのでありますから、重ねて一日も早くこれを制定せられまして、そうして明らかにせられるように要望しておきます。
 次に先ほど公取委員長からのお話では年末十社ばかり招致なされた会社が真剣に改善策も講じておるしするので、この際会社名は発表を差控えたいというお話であります。非常に反省し、或いは改善に急いでおるということならば私も強いてここで発表してもらいたいということは申しません。併しながら会社名も我々聞くことはできないし、要するに全部公取の委員長以下職員のかたにお任せするということになるわけなんでありまするから、そういう面において今後端的率直にこの問題の解決に更に一層お進みを願いたいということと同時に、もう一つはそういう行き方で行きますると、問題になつた特定の会社等を呼び出すことによつて改善せられるだろうと思うのでありますが、全国に亘つて広く未払の問題の好転を図ろうというのには、私は大企業、親企業の代表団体、例えば経団連でありまするとか、或いは経済同友会でありまするとか、要するに経済道義の高揚とか、或いは新生活運動の推進だとかやかましく言つておるその大企業の団体に対して私は経済道義或いは新生活運動、いろいろ言いまするけれども、払うべきを払わんでおるというぐらい経済道義に反することはないし、新生活運動の趣旨に反することはないと思います。従つてそういう大企業の関係団体に対して公取とせられてどういう態度、方針を今後とられるか、そういう点を伺いたいのであります。
○政府委員(横田正俊君) 実は今後の対策の問題といたしましてはつきり申上げなかつたのでありますが、どうしてもこの問題は下請業者とそれから親企業との間の理解という問題が必要でございますので、できますればこの両方のまあ代表と申しますか、そういうものがよく話合う一つの何か組織でも持てれば一番いいのではないかというふうなことも実は考えたのでございますが、まだこの点は実は具体的にどういうふうにというふうにまで考えておりませんが、一種の未払防止、遅延防止の協議をする会というような組織を持つということが非常に役立つのではないかというふうに考えておりますが、そこまで行きませんでも、只今も仰せになりましたように、経団連、或いは同友会等へ働きかけることによりまして、この問題も相当な解決に資する点になるのじやないかと思います。この点はその方法等について十分検討いたしまして、そういう団体の協力も得たいと考えております。
○豊田雅孝君 経済団体連合会から通産委員会のほうに出されております資料を見ますと、一部大企業においては、かかる行為を当然の商慣習視して、経理上の負担を成るべく中小企業にしわ寄せしようとする傾向さえ見受けられるというようなことを経団連自身としてはつきり書いてあるわけであります。そうして又下請業者及び関係金融機関と協力して、真剣に解決に乗出すべきは勿論であるというようなことも書いてあるのであります。で、公取が個個の未払顕著な会社に対してそれぞれの措置をとられること勿論結構でありまして、大いにやつてもらわなければならないのでありますが、やはりこれと併せて全体的に未払解決の推進力をかけて行く必要があると思いまして、そういう面から只今申しまする経団連或いは経済同友会へこの未払の実情を公取でお調べになつているところを端的に伝えられまして、それと同時に今後この問題に経団連或いは経済同友会が本当に新生活運動の一端として、又経済道義高揚運動の一端として解決に推進力をかけて行くというふうな要請を公取としてせられることが私は必要であり、又それが効果があると思いますので、この際強く要望しておく次第であります。
○西川彌平治君 私は昨年末におきまして、この中小企業の下請の支払の促進問題について本委員会がいろいろと公取並びに中小企業庁を呼んで、その善処方を要望されただけで、年末に大きな私はプラスがあつたことを現実に各方面を調べて見まして非常によかつたということを今率直に申上げられるのであります。よかつたという半面、この二十九年度に入りまして、一月から二月にかけましての払い状態、その他を見ますると、私は非常に容易ならざる下請業者にしわ寄せが寄りつつあることをこれは率直に申上げるのであります。このままで行きますと、我々が年末に心配をした以上のことが三月か四月頃になると出て来るように私は感じておりますので、この点に対しまして一時この年末であるが故に好転をしたということもありましようし、又皆さんの御努力によつての好転も勿論ありましようが、格段と一つお骨折を今後においてやつて頂かねばならんということを先ず以て一つお願い申上げておきたいのであります。
 それから先ほどお話がございました、お調べになりまして十社と言いましたが、十社がちよつと私が聞き漏らしたところがございまするので、それを伺つておきたいのは、電気関係が一社、計器関係が二社、紡績機械関係が一社、造船関係が一社、内燃機関関係が一社、工作機械関係が一社、その他何かございましようか。
○政府委員(横田正俊君) もう一遍申上げますと、電気機械一社、計器二社、紡機一社、兵器産業二社、造船一社、工作機械二社、内燃機関一社、こういうことになつております。
○西川彌平治君 有難うございました。
 それから丸山調整課長から政府関係の支払についてお話がございましたが、私はこの前の委員会におきましても、この政府並びに地方公共団体の支払の問題を質問を申上げておるのであります。契約ができておらないために非常に支払が遅延しておるということは、今丸山調整課長さんの御説明によつても率直にお話があつたのでございまするが、そのほかに、これもやはり内示ということになるかどうかわかりませんが、土木関係におきましては、仕越工事という名目の下に、本年度はここまで工事をやりましたが、予算の関係でここまでしか工事はやらない、五割とか七割しか工事はやらないが、あとの工事はどうしてもこれをやつてしまわなければ、折角の今までの工事は何にもならないために、あとの工事を仕越工事という名前の下に実は仕事をそのまま進めておる工事が相当多いのであります。例えて言いますならば、橋を架けましても、橋の予算がないために五千万円で打切つて、あとの五千万円はまあ二十九年度とか或いは三十年度になるのだとか、或いは河川の堤防の場合におきましても、これは災害の査定がこうであつて、これだけしかないから、そのあとは来年度だというようなことでおきますと、折角やりましたものが何にもならない、或いは大水でも出ると逆にそれが流されてしまうということで、仕越工事というものを相当多くやつておるのであります。国におきましてはどうか知りませんが、少くとも県単位の工事におきましては、一県において数億というような仕越工事をやつておるはずであります。恐らく全国を通じますると百億を上廻つておるものがあると思うのでありますが、これはその請負業者におきまして、やはり自分がやりかけた仕事でありまするから、やはり仕方がなくその仕越工事を引受けなければならない。併し予算がないのでございまするから、契約も正式の契約をしておらないし、お金の支払は勿論翌年度にならなければお金が頂けないというようなことで、請負をされました業者も非常なこれは苦労をされておるのでありまするが、その苦労のしわ寄せが、大体におきまして下請とか或いは一般商人のところに大きなしわ寄せが現在参つておるのであります。こういう問題に対しましては、一体法律的な解釈とでも申しますか、公取の皆様のお考えとして、かような工事を公共団体が一体そういうことをやらしてよいものかどうか、或いは法的に差支えないものであるか、或いはそういうものに対して何か注意を与えるべき権能等があるものであるかないか、そういうことをちよつと伺つて見たいと思います。
○政府委員(横田正俊君) 只今の問題は、どうも独占禁止法上の問題からはちよつと外れるように思います。結局国なり或いは地方団体のほうでそういう契約をすることがいいかどうか、そちらの地方団体のほうの契約というか、行政上の問題でございまして、どうも我々のほうの関係ではちよつとないように思います。
○西川彌平治君 それから今の振出手形の問題でございますが、小林委員からいろいろお話がございましたが、最近受取手形には発行日のない手形が相当に多いのでございますが、親会社は一体こういうものの経理を自分のところで、発行日のない手形を親会社がどんなような一体経理をしておるものでありまするか。皆さんはその不良と申しますか、十社等を御調査なさいますときに、そういう振出手形をどういうような御処理をなすつておるかということをちよつと伺つて見たいと思います。
○説明員(丸山泰男君) 私ども会社の個々の伝票を全部調べたり、或いは会計帳簿を全部押収して調べるというようなことまではいたしませんので、正確なことはお答えいたしかねるのでありますけれども、経理担当責任者の話などから想像いたしますと、結局手形を落すという金繰りの面で非常に苦労をしておるわけなのでありまして、現金と手形とを半々に初めしておつたのが、徐々に手形の比率が多くなつて行くと、現金はもうとても払えない、もう僅かの金でも右から左に手形を落すための資金に廻して行くという形で、いわゆる不渡手形を出すということになつては、これは会社としては大変な問題になるわけでありまして、非常に苦しいやりくりを帳簿上やつておるのではないかというふうに想像しておるのでありまして、それを一体振出日のないものをどういう形で記帳しておるか、この辺まではちよつと調査いたしておりません。
○西川彌平治君 丸山調整課長のお答えは、それは御無理のない御答弁だと感じますが、実はこの問題につきまして私非常に憂慮いたしておりますることは、会社の決算が年二回というふうな会社におきましては、この手形の振出期日のないものが、記帳の方法によりましては前期と後期の損益計算に大きな問題になるのがあるのであります。甚だしいのは、出しておつて出さないというようなことになつておつたり、一方においては買掛金をどうしたとか、ここに何と申しまするか、会社経理上について変な問題を惹起しておるところを現在私耳にしておるのであります。それで実はその点を伺つたのでありますが、こういう問題も十分御検討をして頂きたいと希望を申上げておく次第であります。
○西田隆男君 私横田さんに一点だけお尋ねしたいのですが、今日はもう大分手形の問題がここで論議されたようですが、終戦後日本のよい商習慣がだんだん破壊されて行く。私の知つておる限りでは、手形というものは大体銀行に持つて行つたら必ず割れるというので手形の値打があるので、割れない手形は、これは手形の本質を離れておると私は思うのです。従つて、あなたのほうで取締の準則の基準を作られるということなんですが、大体横田さんは商取引における手形の支払期日、振出から支払日までの期日、これをどのくらいのものが適当とお考えになつておるか、これを一つ伺いたい。
○政府委員(横田正俊君) これは、先ほども申しましたように、一応の基準といたしましては銀行で直ちに割引ができるという線がいいのでございますが、これは只今通常九十日くらいのものが一応の割引のできるものの基準になつておるようでございます。併しこれも果して九十日というものは正常な商慣習ということになりますかどうか、この点はやはり銀行取引のほうの関係のいろいろな意見も聞いて見たいと思いまするし、単に一般に行われておるからそれが直ちに正常な商慣習になるかどうかという点は十分に検討して見なければならんと思うのでございますが、大体そういうところが一つの基準になるのではないかというふうに考えております。
○西田隆男君 なぜ私がくどくそういうことを聞くかと申しますと、二十九年度における支払の状況を考えて見ますと、ますます長期の手形が殖えて来る可能性は一応考えられるのです。そうして長期の手形が殖えて来るということ自体がすでに商取引の非常に不健全さを現わし、日本産業、日本経済の確立の上において善良な商慣習が破壊されて、そうして支払われる代金が本質を離れたもので、言い換えたならば借用証書みたいなもの、それだつて払うか払わんか決定しませんというようなもので、一般の商習慣として取引が行われるということ自体を一日も早く急速に是正しない限り、私は日本経済の安定は、緊縮予算をやつて見てもデフレ予算をやつて見ても不可能だと思います。こういう際公正取引委員会というものはいわゆる公正な取引を目標にして最も迅速果断に、厳粛にそういう方面に対しては一つの大きな習慣を確立してもらいたい、こういう切なる希望を私は持つておるわけです。そこで今手形の問題を言つたのですが、不渡手形が最近非常に殖えております。我々が取扱つた手形、又学生時代に習つた手形というものは、必ず割引くという前提になつておつたのである。今の手形というものは手形を書いたときに払つたつもりでおる。だから落すということを忘れてしまうのです。落せるか落せんかの確信も持たないででたらめに手形を出す。これが商習慣として手形が全国的に共通にたくさん扱われておるというこの実態は、日本経済が如何に不健全かということを立証して余すところがないように私は思うのです。公正取引委員会では小さな影響に余り拘泥しないで大きな国家的見地から日本経済を健全な歩みに持つて行くという建前からも、急速に厳粛に一つ早くあなたがたの御意見を発表して、取締準則の中で特に手形の問題に対しては厳格に規定してもらいたいと考えるので、くどくお願いしているのです。その点は一つよく御理解して頂きたいと思います。
○政府委員(横田正俊君) 只今の点は誠に私もその通りに考えております。御意見を十分尊重いたしまして善処いたしたいと思います。
○豊田雅孝君 今日基準を作成せられるということがはつきり公取委員長のほうから発言せられたわけでありますが、それだけにいつまでにこれを作られるか、非常にしつこいようでありますけれども、こういう問題は得てしてずるずるべつたりに行つて、出て見たときにはその規則が本当の効果を発揮しないというようなことになりまするし、又先ほど西川委員からも指摘せられたように、私も申しましたけれども、昨年の暮私などが問題にしましたときよりは情勢が非常に悪い、日一日と悪化しつつあるのです。ですから即日規定を作るということが必要なんで、その決意をせられた以上やはりいつやるかということをここで大体の見当でも伺つておくことが必要だと思つております。
○政府委員(横田正俊君) 正規の指定ということになりますと、先ほど申しましたように公聴会等を開く必要もございますので、多少日時がかかると思いますが、先ほど御指摘のございましたように、或いは公取の内規というようなことに一応いたしましてそれを示し、やがてそれを政府の指定にいたすというようなことにいたしますれば、或いは一カ月或いは多少遅れるかも知れませんが、一カ月以内くらいに一応の基準が出せるのではないかと考えております。
○豊田雅孝君 是非それを一カ月以内にやつて頂くことをお願いしておきます。
○小林英三君 今お話になつておりますように、支払基準というもの、これは法的の強制力とか或いはそれに背馳した場合には罰則があるかという点につきましての御意見を伺いたい。
○政府委員(横田正俊君) この点は不公正取引方法の違反が直ちに罰則に実は繋がつておらないのでございます。この点は法律のできました際にいろいろ議論があつたようでございますが、かなり抽象的な点もございまして、直ちに罰則をかけるということは不適当だというふうなことにして現在に及んでおるわけでございます。従いましてそういう取引をいたしておりまする場合には、その取引を改めるということに対して公正取引委員会の審判を開始いたしまして、行政措置としましていわゆる排除措置と申しますか、改めるように命令をいたすということになりまして、その命令に反する場合に直ちに今度は審決違反ということで、この場合には罰則があるわけでございます。
○委員長(中川以良君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(中川以良君) 速記を始めて。
 お諮りいたしますが、午前中はこの程度にいたしておきたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中川以良君) それでは午後は一時に参考人の諸会社を呼んでおりますので、誠に御迷惑でございまするが、正一時から開始をいたしますので、どうぞ一つ御出席をお願いいたします。
 それでは一時まで暫時休憩いたします。
   午後零時三十二分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時二十八分開会
○委員長(中川以良君) それでは休憩前に引続き、これより委員会を再開いたします。
 本日午後の日程は、下請代金の支払遅延問題に関しまして、主として下請を出しておられる親会社側においでを願いまして、御意見を承わることになつております。本日御出席を頂きましたのは、オオタ自動車工業株式会社寺沢社長、鐘渕デイーゼル工業株式会社高柳取締役、小松製作所鷹取専務取締役、日平産業株式会社川端専務取締役、本田技研工業株式会社藤沢専務取締役、特殊製鋼株式会社松島取締役資材部長、以上のかたがたでございます。なお他にお願いを申上げておりましたおかたはいずれも御所用等のために本日は御出席はなさらないことになりましたので御了承頂きます。
 次に本日お出ましを願いました参考人の皆様方に御挨拶を申上げます。
 本日は御多忙のところをわざわざ当委員会のために貴重なるお時間をお割き下さいまして御出席を賜わり、誠に有難うございました。厚く御礼を申上げます。
 本日審議をいたしておりまするところの問題に関しましては、当委員会は非常な関心を持つて実は先年、去る二十七年七月二十二日にすでに通産委員会に小委員会を開きまして、この問題を取上げまして、下請業者、商工中金、日銀等の関係者の御出席を求めまして事情を伺つたことがあるのであります。その際に、親会社の皆様方からもいずれ機会を得まして率直に事情をお伺いすべきであろうということに取極めをいたしておつたのでございます。ところが爾来諸般の都合によりまして今日までその実現を見ることができなかつたような状態でございます。併し当委員会といたしましては、その後支払状況は必ずしも好転したとは申されない実情にあるに鑑みまして、昨年の十一月四日に本件の審議をいたし、更に昨年十二月十日の委員会で中小企業庁及び公正取引委員会からも支払の遅延状況及び支払の促進策につきまして説明を求めた次第でございます。その際に、親会社側の事情をもお伺いをしようということに改めて当委員会で決定をしたのであります。そして本日は午前中に中小企業庁及び公正取引委員会の両当局からその後の事情を聴取をいたした次第でございます。本日の午前の委員会におきまして公正取引委員会の説明によりますると、公取は旧臘幾つかの親会社の出頭を求めまして支払状況を聞き、支払改善計画の立案を要求をいたし、その実施を強く要望をいたしたのであるが、その際公取で不当なる支払遅延とみなすものは次のようなものであるということを申しております。即ち、第一に納品から検収を経て記帳までは合理的最短限度の期間で行うべきであつて、大部分の工場では十日乃至十五日以内に実施をしておるので、それ以上は遅延と認めらるべきものであろうということであります。
 第二は、支払は記帳後一カ月以内たるべきで、それ以上は不当に遅延したと認めらるべきであろう。
 第三点は、支払は原則としては現金ではあるが、手形による場合は銀行において直ちに割引可能の手形、即ちその手形の期間は通常九十日以内たるべきであろう。これ以上の長い期間に亘つたところの手形支払は不当な遅延である。勿論これには種々な事情を考慮しなければならないが、原則としては以上のような三つの点が指摘をされると、こういう説明でございます。で更に公取に出頭を求められた親会社はいずれも支払改善に努力する意思を表明をせられまして、着々としてこの改善の実を挙げつあるということの具体的にお話がございました。公取におきましては、今後も本件に関しては格段の努力を払う、当委員会の委員からもこのことは強く先ほど要望をされた次第でございます。
 そこで私どもは、中小企業者のみより聞いておつたのでは、これは片手落になりますので、親会社の皆様方からここに忌憚のない率直なる御意見を伺いまして、公正なる立場において審議をいたしたいのでございまして、かようなる意味合いから皆様方の本日特に御出席をお願いを申上げました次第でございます。公正取引委員会では支払状況の余りよくない会社にお出ましを願つたようでありまするが、本日は決してさような意味は毛頭ございません。公取の取調とは全く無関係でありますることをどうぞ御了承を頂きたいのでございます。各業種の主要会社に御足労を願つたのも全くかようなる意味合いから会社を御選定を申上げたのでございます。で、大企業としてのお立場の実情をこの際に率直に御披瀝を願いまして本問題の円満なる解決に何とぞ格段の御協力をお願い申上げる次第でございます。
 委員会の順序といたしまして初めに参考人の皆様方から御陳述を、拝聴いたしまして、終つてから委員のかたからいろいろ御質問を申上げたいと思いますので、どうぞそれにお答え願いたいのでございます。
 あらかじめ御説明をお願いいたしたい点は、第一に、各会社の支払代金の支払の状況でございます。第二に、下請契約の方法。第三に、支払の遅延のものがございまするならばその原因を承わりたいのでございます。第四点は、支払促進に関するいろいろ御努力を払つておられましようが、その具体策について伺いたいのであります。更に皆様方大企業に対しまして政府の支払が極めて惑いとか、或いは政府の発注の方法、発注の時期等が当を得ないためにいろいろと皆様方に御迷惑をかけておる点があろうと存じます、或いは又金融の面における政府の諸施策が十分に行つておらない、こういうような点がいろいろあろうと存じます。これらは、これらのことで以て下請工場に支払が遅延をいたしまするならばこれは大企業みずからの責任に帰すべきものではないと存じまするので、こういう点につきましても一つ率直なる御意見を承わりますると共に、大企業のお立場から中小企業に御要望の点等をもこの際御披瀝を願いたいのであります。この場合下請と称しまする問題は、いろいろと解釈されまするが、私どもがこの概念は極めてあいまいでございまする点に関し一応普通一般の通念といたしまして下請というものはかようなものであるという点を御参考までに申上げて見たいと存じます。
 第一は、原材料の全部又は一部を有償又は無償で他の企業に支給して主として加工賃を支払う契約で、製造、加工、組立、修理等を発注する場合。
 第二は、所定の製品又は部品を明示して製作、加工、又は組立を他の企業に発注する場合。
 第三は、自己の契約した作業の一部又は全部を他の企業に請負わせ、その報酬を支払う約束をしたる場合、等が大体下請として認められるべき範囲であろうと存ずるのであります。
 それでは先ず最初にオオ夕自動車工業株式会社の寺沢社長よりお願いを申上げます。大体時間は十五分程度で以てお話を願いたいと存じます。
○参考人(寺沢浅義君) 寺沢でございます。只今説明をいたしますることについて謄写版刷りのものがございますのでこれを御覧願いたいと思います。只今お配りいたしました資料のうち謄写版で印刷いたしましたものが先般頂きました御書面の要求事項に基いて順序に書いたものでございます。その他の印刷物は会社の営業種目を明らかにするための資料に過ぎません。
 この資料の第一頁にございますように、当社の事業種目はいろいろ書いてございますが、かいつまんで申しますと小型自動車の製造販売でございます。次は最近の貸借対照表でありますが四頁、五頁、六頁にございます。その次が下請業者の数でございます。外から買いますいろいろなものを含めまして約二百軒でございます。そのうち先ほど下請業者という定義がございましたが、その定義に該当するものが約六十軒でございます。それは七頁にございます。その次は下請代金の未払の状況でございます。第八頁の2表を御覧頂きますと、昨年の三月、九月、十二月、いずれも月末現在における六十三軒の買掛金の残高が出ております。それに対しましてその同じ月間に、一カ月間に仕入をいたしましたところの仕入高、これが二段目のB2という数字でございます。この月間の仕入高とその月末現在の買掛金残高との比を出しますと、それが二十八年三月、九月、十二月、それぞれ一・六カ月、一・五カ月、一・三カ月というようなふうに逐次減少はいたしておりますが、なお決して十分とは考えておりません。2表の説明をこれで終ります。
 次が下請の契約でございますが、業種がいろいろになつておりまして、特にむずかしい契約のものはございませんが、見積書を出させまして、その見積書に対し注文書というものを発行しております。これが十一頁にその見本を挙げてございます。
 その次に、この支払の遅延しておる原因の主なるものを只今から申上げたいと存じます。終戦後自動車の生産を再開いたしました当時はいずれも現金取引でできましたので下請工場に対しても勿論現金の取引が可能でありました。ところが手形取引、月賦販売というようなことが急激に起つて参りまして、そのしわ寄せが下請工場べと出たわけであります。最近の事例といたしましては外国車の販売は従来殆んど現金取引であつたのが、最近外国車の販売にいわゆる人気投票によつて既得権を獲得するというような運動が起きまして、ここで相当の長期の月賦ということを条件にして注文をとるというような傾向が一部に起つて参りました。それが延いては国産の車の販売条件にも影響を来たして参りました。自然販売業者がお客に売る期間が延びて来る、それが原因いたしまして販売業者から我々への資金の回収が遅れて来るというようなのが大きな原因でございます。なお私どものこの資金の受取の債権の回収状況を九頁の第3表に書いておきましたが、これによりますと二十八年三月、九月、十二月、その月に売りましたものの売上げと債権の残高との比を見ますと、二・七、三・一、三・一むしろ延びる傾向になつております。これを先ほど申上げましたところの下請工場への支払、2表のように逐次改善をして行くという方向へ持つて行くことにいろいろの苦心をして来ておるのでありますが、なお銀行融資、昨年来非常な引締めがございまして、思うように融資も受けられない状況でございます。私どもの希望といたしまして買掛金の支払を一カ月減少せしめようといたしますと、約一億円の増加運転資金を必要とするのでございます。なお手形の期間を一カ月縮めようといたしますと、これも約一億円要るわけでございます。買掛金で一カ月、手形で一カ月ずつ縮めようといたしますと、約二億円要るのであります。そのうち約半数に当るところの九千四百万円というものを昨年秋以来取引銀行を数行に分けまして交渉しておつたのでありますが、最近までにでき上つたものがそれの約五割でございます。
 以上が遅延の実情でございますが、これに対しまして私どもとしてとつておる処置、販売店の強化によつて、販売店の金繰りによつて資金の回転をよくする方法、次は企業自体の内部において棚卸資産を極力少くいたしまして、自身の企業内で資金の回転をよくする。なおそのほか増資によつて資金の増加を図る。昨年の六月、八千万から一億に増資いたしました。更に今回四月倍額の四億に増資する予定であります。いずれもこの半数は運転資金に充当し得るように予定をいたしております。
 なおこのほかに下請業者のみで企業協同組合の結成をさせました。この協同組合が商工中央金庫から手形割引の融資を受けるというような方法も講じまして、それの担保物件を会社自体からも提供いたしまして、その援助をいたしておるようなことも図つております。
 なおこれはもう一つ我々のできることならば申上げたいことは、自動車には二割の物品税がかかつております。この物品税は、作りますと、翌月早速納めなければならない。先ほど申上げましたように、販売業者からの回収は相当遅れるが、この物品税だけは容赦なく前払い、立替払いをしなければならないというような問題がありますので、これらにつきましても何かうまい方法がお願いできれば非常に改善されるんじやないかと、こう思うのでございます。余りまとまりませんでしたが、終ります。
○委員長(中川以良君) 有難うございました。
 それではその次に鐘渕デイーゼル工業株式会社高柳取締役にお願いします。
○参考人(高柳皎君) お手許まで差上げました書類で説明さして頂きたいと思います。当社は目下舶用デイーゼル機関を主体といたしまして製造販売、これを実施しております。なお最近の貸借対照表を添附しておきましたが、大体現在議題に上つております買掛金は昨年の九月で六千七百万程度いつております。これは当社が三月、四月頃から非常に受注高が多くなりまして、増産態勢に入りましたので急激に膨賑しております。昨年の十二月におきまして大体五千八百万まで減少しておりまして、逐次これは減少の目下一途を辿つております。下請業者の数は大体四十四軒ございまして、これは前からの下請業者が長年に亘つてやつておりまして現在におきましてはこの四十四軒関係は約二千六百万程度の未払が残つております。その他の未払と申しますと、これは当社より大分規模が大きい神戸製鋼、川崎製鉄、石川島、明電舎、こういうような大企業に対しまして未払が非常に多くなつておる。一種私のところは特殊な形態を以て進んでおります。なおこれ以外のいわゆる下請に関しましては、これは毎月業者と懇談いたしまして業者の資金の範囲内において未払を残しておる、こういう状況で進んでおりまして、昨年末乃至九月末より約二千万円程度のものは現在改善されております。これは今年に入りまして舶用デイーゼル機関が非常な好況と申上げるほどでもございませんがよくなつて来たというのに基きまして支払も非常に楽になつて来た、こういうような関係から逐次減少しております。なお舶用機関の販売は大体現在までにおきましては半年乃至一年の月賦支払というのが原則でございまして、注文を受けましたときに先ず三分の一契約金がもらえる、その後におきましては納入から十カ月乃至一年半、こういう長期間に亘りますので、結局会社といたしまして資金繰りが非常に苦しくなる。当社はまだ銀行に対する借入金が一銭もありませんので、自己資本で全部やつておる、こういうところに或る程度の無理があるのではないかと考えております。なお長期販売計画はその後におきまして業界の好転に基きまして逐次短縮されて来ておりまして現在におきましては大体六カ月程度まで回復はしております。
 なお漁場といたしまして近海漁業が少くなりまして、遠洋漁業に切替える等いろいろなむずかしい問題が出て参りまして、私のほうの舶用デイーゼル・メーカーといたしましてもこれに副うべく目下資金繰りを着々準備をいたしております。
 なお現在におきまして未払の原因といたしますのは、非常に急激に生産が膨脹して来たというのが大きな原因ではないか。なお漁船関係の支払が非常に長い。この一点が相乗作用になりまして一時未払が非常に殖えた、こういう現況でございます。
 支払促進の具体策に関しましては昨年九月から逐次改善されまして現在では相当減つておりますので、このまま行きますれば、恐らく本年の九月、十月には相当程度挽回されて来るのじやないか、こういうような計画を持つております。
 なお当社は二十五年五月に再建整備法に基きまする現物出資の第二会社として発足したのでありますが、旧会社保有の株券もこのたび鐘渕紡績で全額持つというふうになつておりまして、一応裏付けのできた企業ということでやつて行けるのじやないか、こういうふうに心得えております。
○委員長(中川以良君) 有難うございました。
 それでは次に小松製作所の鷹取専務にお願いいたします。
○参考人(鷹取米夫君) 私のほうの会社では石川県の二カ工場、こちらの京浜地区では川崎工場、鶴見工場、大阪地区では大阪工場というふうに持つておりまして、現在下請関係が粟津工場、いわゆる石川県下並びに富山県下では八十五工場持つております。これは我々の会社は創立三十七年に当りますので、その土地の中小工場とは全く表裏一体になつて長い間の関係を続けて参つて来ております。それからこの京浜地区は鶴見工場が外注工場を百カ工場現在持つております。川崎工場は従来軍管理工場でございましたので、それから内需に切替えました関係上、現在はこれから内需も相当外注工場その他の連絡を持つて行こうというふうな状況でございます。それから大阪工場が二十八社との外注関係を持つております。それで大体外注関係が私たちの仕事に占めます関係を申上げますと、粟津工場、いわゆる石川、富山県下の外注関係では全生産の五・六%外注工場に依存しておるというような状況です。それから大阪関係は二五%依存しておるというような状況です。それから鶴見工場関係は三二%依存しておるというような状況でございます。
 それで下請代金の支払状況関係がどういうふうになつているかという状況でございますが、石川、富山県関係の粟津工場では、製品はブルドーザー、トラクターを作つております。それから鋳鋼のキヤステイングスチールをやつておりますが、これはもう全然下請関係は持つておりません。それで、ブルドーザー、トラクター関係を殊に主としておりますが、昨年年間平均の支払状況は、お手許の資料にございますように、大体購入に対して一〇二・五%の支払をしておりますので、従来よりかより一層、いわゆる昨年の買用を全部支払つて、なお支払状況を改善して来ておると、こういうふうに御覧頂いていいと思います。それで、鶴見関係は買いましたものに対する九八・二%の支払をやつております。それから大阪工場関係は、これは毎月の買掛金に対しまして九〇%以上を支払つております。それと併せて大阪のほうは砲弾生産をやつております関係で、信管とか、或いは木箱、フアイバー・コンテイナーというような若干弱い仕事に対しましてはその全材料代金の八〇%を前払しております。それで、こういうような支払状況でやつて参つておりまして、下請契約の方法といたしましては、我々の石川、富山県下の関係は、これは先ほど申上げましたように、三十有余年の長い関係でございまして、私たちの会社とは表裏一体になつておりますのと、又私たちがその工場を育てる、育てなけれげ我々自身も都合が悪いという関係もありまして、すべて製品による適正な指名発注をやつております。それから大阪工場関係は、契約の当初におきましては、いろいろ仕事をやりたいという会社がたくさん殺到して来られましたので、その中から私たちが選定をいたしまして、これは製品が、同じ物が長く続くという関係もございますので、一々発注したりしなかつたりすることもできない性質のものであります関係上、その中からの選定標準をきめまして、それは従来終戦以前に砲弾生産に関連のある仕事をやつておつた会社であることを第一条件にいたしまして、特に私たちが砲弾をやつておりますのは、大阪のもとの陸軍の枚方の電工廠の設備を使つてやつております関係上、戦争中にその陸軍の枚方の仕事をやつておつたことのある会社ということを第一条件にいたしまして、それから第二には、私たちが技術的な見地から見まして、戦後なお且つこの生産をやり得る能力を持つておる会社、設備を持つておる会社ということを選定の標準にいたしました。それから第三は、その会社が過去の経営上の傷を持つていないかどうか、当時は多かれ少かれ皆各会社ともが相当終戦後いろいろ仕事がなくて、非常に赤字を持つておりました。まあそれをできるだけ健実な会社というような選定標準をきめまして、その中から二十八社を選んで私たちの仕事を流しておる。それで、今日はその会社は我々と表裏一体になつてやつておりますので、これはもう全く仕事を常に一定の製品を流して行くと、こういう関係の契約のやり方をやつております。
 それから納品から支払までの日数関係でございますが、これは私たち大会社と違います関係上、事務手続は至極簡単にやつておりまして、大体平均十日以内で会社の納品から納入検査受入れいたしましてから社内の事務手続はやつております。それから支払関係でございますが、これは粟津工場では月末締切の翌月末支払というふうにやつておりますので、大体一カ月ばかりの余裕を置いてやつております。それから大阪工場関係は十五日、毎月十五日締切で、その月の月末に支払う、こういう関係で、十五日間の期間がそこにあるという関係になつております。それで手形の期間の問題でございますが、これは粟津関係のブルドーザー、トラクター関係につきましては、平均三分の一をキヤツシユで払いまして、三分の二を手形で払つておりますが、大体手形の期間が九十日から百十日までの間のものが多いという状況でございます。
 それから砲弾関係の場合は、やはり手形が九十日から百十日ぐらいのものになつておりますが、これは月平均砲弾関係では四億の支払をしておりますが、そのうち二億五千万円ぐらいのものが九十日の手形で支払つておりますので、砲弾関係につきましては、非常に支払関係はよく行つております。それから加工業者関係、我々の最終段階であります。加工業者関係は、これは我我としても非常に重要な関係であります関係上、殆んどキヤツシユで支払つております。それで私たちといたしましては、現在買掛金残は砲弾関係では毎月平均が最近になりますと五億から五億三千万円ぐらいの買用をやるわけですが、支払もそれに見合つておりまして十二月の買用残は僅かに千五百万円を残しておるという状況でございます。
 それから粟津工場の関係でございますと、毎月平均千五百万の購入をいたしまして、先ほどの一〇〇%前後の支払をやつて来ておりますので、十二月残の買用は四百九十万円残しでおりまして大体一カ月分の外注額の三分の一を買用に残しておるという状況でございます。
 一方鶴見の工場のほうは、つまり新設の工場であります関係と、外注に依存しておる点が多い関係上、かなり買用が多いのですが、それでも大体月の平均がこれはかなり浮動が多いのでございますが、千二百万前後の買用、十一月、十二月は千六百万の買入をいたしますが、十二月で千八百万の買用残を残しておりまして、これは一カ月ちよつとの買用残を残しておるというような状況でございます。
 で、私たちも外注工場と共に仕事をやつておるという観念に徹しまして、外注工場の要望に極力副うように努力して来ておりますが、なおこれがより一層お役に立つために、私たちの金融力をつけることに全力を挙げて、この改善に努力して行きたいと、こう考えております。
○委員長(中川以良君) 有難うございました。
 それでは次に日平産業株式会社の川端専務にお願いいたします。
○参考人(川端良次郎君) 私のほうの会社は工作機械、それから内燃機関、それから兵器などを製造しております。で、戦後の業界が不振でございましたので、なかなか会社も資金難に陥りまして、特に兵器を受注いたしまして以来は、前には大日本兵器と申しまして横浜の工場も相当の設備があつたのでございますが、長い間そのまま手を着けずにおきましたので、今度兵器産業をいたします上に非常に設備資金に金がかかりました。そのために二回の増資をやりまして補強をいたしましたような次第でございまして、何といたしましても運転資金が非常に欠乏しておりました。そこで兵器産業をいたしましてから前渡金というものが頂けません。又下請のほうからは前金を請求されるというような状態でありますのに、この兵器産業をやつておりますその部品というものは、非常に検査が厳格でありますので、なかなか合格に手間がかかる。まあそういうような関係で、非常に下請のほうの支払も思うようでなかつたことは事実でございます。まあそのためには結局は下請業者に御迷惑をかけておつたと思うのであります。そこで我々といたしましては、何とかしてこれを改革しなければならんということで、昨年来努力して参りました。いろいろ改革の方法などにつきまして今日御指示がございましたので、次の頁に出しましたのですが、第一に発注とか注文書、入庫関係の事務整理の迅速化、これは成るべく事務を簡素化いたしまして、そうして支払を迅速にする。注文するにいたしましても五万円以下の金額などは工場長まで指図を得ないで課長で決裁してしまう、そういうような方法をとりました。それから納品の検査につきまして、支払が遅れるということにつきましては、検査官を殖やしまして成るべく早く検査着してやるというようなことをいたしました。
 それから入庫と支払につきましての表は、その次にございますように大体二十八年の九月から一月、二月、三月までの予想をつけましたのでございますが、初めに載せましたのが月々の購入、それから次が現金で払いますものと手形で払いますもの、この表を御覧になりましても誠に現金払いが少いのでございますけれども、これがなかなか私のほうの手形の割引が、現在のような金融状態でございますので、割引ができません、そのために手形で支払う部分がどうしても多くなります。そんなような状態でございまして、何とか手形の割引でもできましたらば現金支払も殖えるんじやないか、併せて下請業者にも非常に支払の点がよくしてやれるんじやないかと思うのです。前に申しましたような工合でございますものですから、買掛金の残が相当多くありましたのですけれども、併しこういうことではいけないのでございますから、現在では改革いたしまして払いがよくなるように努力しております。それからその次に支払促進の計画というものを立てまして、この書いた書物、さつき読み上げましたように、製品の即売場の方針を厳格に守る、そうして支払を円滑にするというような方針を立てますとか、或いは支払の方法をよく検討して、その事情々々によりましてその業者とよく折衝しまして、そうして支払を公平にやる、まあこういうようなことをいたします。それから又下請の協力組合、戦時中はこれが非常に厳格にやられたという話でありますが、戦後は大分ふくれておりますので、下請工場も、いろいろ話がございましたが、下請工場の系列確立ということが、非常に業者がいろいろ乱れましたために困難である、最近生産品の品目を漸く固定いたしまして、懇談会などをときどき開きまして、下請の事情をよく聞いておるような次第であります。その次に大体私のほうの最近の貸借対照表を附けて置きましたのですが、私のほうといたしまして手形の割引ができない、前渡金が減つて来て思うように頂けないということが、下請に対する資金の支払に非常な影響がございます。これらの点も一つお考え頂きたいと思います。ただ今日はこのほかになお私のほうの会社の事情につきまして、特に扱つておる担当者を連れて参れというようなお話でございますから、専門に扱つておる者を連れて参りました。何か御質問がございましたらばあとでお尋ね願いたいと思います。大体この書面に書き上げましたことで御説明いたしました。
○委員長(中川以良君) 有難うございました。
 それでは次に本田技研工業株式会社の藤沢専務にお願いを申上げます。
○参考人(藤沢武夫君) 私どもはお手許へお配り申上げましたパンフレツトに書いてございますが、オートバイを作つております。大体十二月末で月の売上げが五億、本年はもう少し上つて来ております。仕入が大体四億、現金が大体一割から一割五分程度で、あとは手形で払つております。私どもの支払の状況は二十日の締切で、それから検査、記帳全部済ましまして、翌月の十日にはこれを全部支払うというふうな形になつてございます。従つて支払日には契約書通りのものは全部一応現金なり、或いは手形でこれを払う。まあ下請と申しましても、私どもは私どもよりも大きい会社から納めて頂くのが非常に多くて、神戸製鋼だとか、国産電機、三菱電機、東洋ゴム、大津ゴム、湯浅電池、日本電池、日本電装、神鋼電気というところが大体支払の七割程度になつております。そういうところへ入れまして全部で三百八十二件、加工の下請業者は二十二件、これは非常に数字は少いのでございます。殆んどは大会社にやつて頂いていると、こういうふうに申上げられると思います。そうして十日の日に支払いますときに、手形では九十日以上百二十日、これは大会社のほうに成るべく期間の長いものをお持ち頂く、こういうふうになつてございます。従つてここで支払遅延という問題は、私どもでは契約書の二十日締切りで十日で全部支払います関係上、遅延は起きてございませんが、手形の期日が長いということが現在私どもの会社としては遺憾なところでございます。併し大会社は皆さん銀行金融に非常に力強いところばかりのために、この大会社の手形の分は全部銀行で金融をつけて頂いておるようでございます。小さいところがこれは九十日程度でもなかなかここへ来ては骨な状態のところが幾らか出ておりますが、大体において私どもの手形は全部消化し切れておるということを申上げられると思います。そうしてなおこの産業は外国にも輸出をしなきやならんというふうに考えますので、協力工場の皆さんも設備の改善を図りたいというような目的を以て、協同組合を今度作りまして、設備の合理化資金を得たいというふうなことでございます。で、私どももできるだけ協力工場の将来のそういう金融面についてのことを同様に心配したいと、こう存じております。大体私はこれで終ります。
○委員長(中川以良君) 有難うございました。
 それでは最後に特殊製鋼株式会社の松島取締役よりお願い申上げます。
○参考人(松島謹三君) 手前どものほうは鉄鋼部分の更に一部門としまして特殊鋼の鋼材を製造いたしております。で、これは御承知の通り電気炉にスクラツプ乃至はレアーメタルを投入いたしまして、それをハンマー乃至は圧延機にかけまして所定の丸、角、平、いろいろな、要するに広い意味のバーにいたしまして販売いたしております。そのために通念としての下請工場というふうなものは終戦後一軒もございませんで、戦争中はいろいろな、更にそのバーから特殊な兵器の製品まで作る関係で下請工場が二、三ございましたが、現在は専属の下請工場というふうなものは一軒もございません。それで曽つて、終戦後今までの間に非常にテンポラリーに、例えば非常に特殊な注文が来たために手前どもの設備で間に合わないというために、月に金額にいたしましてせいぜい三十万乃至は四十万ぐらいの金額の程度を外注に出すということはございましたが、それとても一月発注して更に又何年あるかわからないというふうな状態で、御近所にある手のすいた工場にお願いして、そうして本当に一時の契約でやつて頂くというふうなことが二、三回ございました、その場合には当然手前どもの工場の中でやるべきことを一時十日乃至二十日間やつて頂くわけなので、必ず月末に締めまして、翌月の十五日に必ず現金化し得る約手、乃至は十万、十五万の場合はキヤツシユでお払いをした事実がございます。現在においてはこういつた意味の下請工場というものは一軒もございませんので、一応その事情だけを御説明に上りました。従つて資料が全然お手許に届かないような状況でございます。これだけでございます。
○委員長(中川以良君) 有難うございました。
 御出席のありました参考人の各会社よりは、当委員会で大変御無理な御注文を申上げたにかかわらず詳細なる資料をお作り賜わりまして、又御懇切なる御説明を頂き、それによりますると、支払の促進に関しまして非常に御協力を賜わり、御努力を賜わつておりますことを伺い、私ども誠に敬意を表する次第でございます。今までは下請業者のかたからの御意見のみを承わつておつたのでございますが、今日はこういう機会を得ましたので、これから委員各位から皆様方にいろいろな点をお尋ねを申上げまするので、どうぞ一つ率直なる御回答を賜わりますようにお願い申上げます。
 それではこれより只今の御説明に対しまする質疑に入ります。
○豊田雅孝君 只今参考人のかたから伺つた感じから言いますと、大体支払状況のいいところ、或いは支払状況が好転したところが殆んどでございまして、従つてこれを以て全般の動きを、支払遅延の実情を捕捉するというわけにも行かんと思うのでありますけれども、この際会社別に伺つておきたいと思いますのは、いわゆる検収期間がどれぐらいになつているか、それからももう一つ、振出手形の期間がどれぐらいの日にちになつているかということを伺いたいと思うのであります。中には小松製作所のようにはつきりこの点御説明になつたところもあるのでありますけれども、只今の検収期間と手形の期間、これをそれぞれ伺いたいと思います。
○委員長(中川以良君) どなたからでも一つ。
○参考人(藤沢武夫君) 先ほどちよつと申上げましたが、私のところ二十日締切で、それから検査をして、記帳をしまして、翌月の十日に全部払う、こういうふうに申上げました。
○豊田雅孝君 手形は何日になつておりますか。
○参考人(藤沢武夫君) 手形は九十日以上百二十日になつております。
○参考人(寺沢浅義君) 検収は約一週間乃至二週間、平均十日ぐらいでございます。それから手形期間は九十日から百二十日。なお先ほどの数字の中で、ちよつと説明のときに言い落しましたが、未支払というもののうちに未検収のものでそのとき入つておつたものを全部入れてあの数字が出ております。申添えておきます。
○参考人(高柳皎君) 検収は十五日から約二カ月、これは非常にクランクの製作工程が長うございます。完成までは傷その他が出ますものですから最高が二カ月、最低十五日、手形は九十日から百二十日を原則としております。
○参考人(鷹取米夫君) 私たちのほうの粟津工場を中心といたしましての検収は大体十日前後、若しくは或るものによりましては手持関係で今生産を非常に急いでおりますものですから大体一週間くらいで検収を終えている平均が出ております。手形の期間はやはり先ほど申上げましたように九十日から百十日くらいで、百二十日というものは殆んど出しておりません。
 それから砲弾関係はこれは検収は各工場に私たちの検査員を二名乃至三名派遣しております。それから米軍関係のTODの検査官がやはり各工場に駐在しておりまして、できたものについては製品のでき次第、一つのロツトによりまして抜き検査をする場合と、それから非常に精度を要するものにつきましては全量について検査を逐次いたしましてそれができ上つて参つて私たちが受取る。こういうことになつておりますので、検査、検収につきましては、製品が完了いたしましてから時間が一週間くらい、それほどもかからない場合が比較的多い、こういうふうに考えております。その砲弾関係の支払につきましては、先ほども申上げましたように、月平均四億ばかりの支払をやつておりますが、そのうち二億五千万円を九十日手形で支払つておりますのと、あとはキヤツシユ及び百十日くらいの手形で支払つております。
○参考人(川端良次郎君) 支払につきましては非常に急がれておりますときにはまま六十日くらいの手形を出すこともございますが、大体九十日から百二十日くらいの手形を出しております。それから検収につきましては……。
○参考人(加藤武雄君) 検収につきましてちよつと具体的に申上げますと、工作機械とエンジン、兵器をやつております。一般工作機械、内燃機関の部品は私のほうは大体十五日を以て締切にしております。そして十五日で締切にして、二十日までに検収を上げる、末から翌月の大体十日までの間に調べをする。兵器関係は非常に、検査官の関係もありまして検査も厳格なために多少その間ずれる虞れがありますので、先ほど川端専務からもお話がありましたように、検査員も、それから検査官にもお願いして、できるだけ促進して早く上げるように、大体十五日までの分を二十日に上げるのを原則として促進するようにやつております。
○豊田雅孝君 大体今伺つたところで手形の期間は、或いは九十日乃至百二十日というのが多いようでありますが、大体九十日以上の手形が普通金融機関で割引きせられておるのでしようか。
○参考人(寺沢浅義君) 相当困難だと思います。
○豊田雅孝君 大体困難だというふうに認められておるようでありますが、先ほどお話を伺つたところでは必ずしも支払状況の悪くないというような印象を受ける。そこですでに九十日乃至百二十日の手形が振出されておつて、それは殆んど割引は不可能だというところにやはり非常に問題があると思うわけなんですが、それで下請のほうからは何かそれぞれ会社に対して申出等今までのところないのですか。
○参考人(寺沢浅義君) 只今相当困難ということを申上げましたが、最初の御説明のときに申上げました協同組合に関する限り中央商工金庫で四カ月のものを全部消化して頂いております。従いまして成るべく改善してもらいたいという意見は出ておりますが、逐次改善もされつありますので、その要望も幾らか弱まりつつありますが、最近のようなこういうような金融情勢となつて参りますと、又相当にこの中小企業のほうへそのしわ寄せが行くのではないかということを憂慮いたします。
○西川彌平治君 参考人としておいでになられました会社のかたが非常に中小企業者に対するところの下請業者に対する御理解のある有力な会社でございますので、私の質問を申上げることが非常に失礼に当るのではないかと考えておりますが、私の調べました範囲について一つ御質問申上げますから皆様の会社にさようなことがあるということを申上げるのではございませんが、それに対しまして何かやはりお考えがありましたら御回答を頂きたいと思うのであります。
 第一にお伺いしたいのは、実は下請工場はいずれも親工場に比較いたしますればもう零細な工場であることはもう申上げるまでもないのでありますが、大会社が、その親工場がだんだんと事業を拡張すると申しますか、自己資金を殖やす、盛んに今まで増資をやつて参つているのであります。その増資をやりまする際にこの下請工場の下請代金を以て増資の対象にされているということがこれは現実の問題として相当全国にあるのであります。さなきだに中小企業は困つている際に、大企業にこれを振向けるということは非常に業者として困つている問題であります。併し強力な会社の株式でありますならばその間或る期間払込んで株式が発行された後におきましては市場性のあるものでありますから売買はできますけれども、その間だけでも相当困つた事例がたくさんございますが、そういうことに対して皆さんからのお考えがありましたら一つ伺いたいと思うのであります。それから下請代金の代りに製品を渡されるという事例もたくさんございます。例えて申しますならば、ミシンの部品を作つて納めている下請に対してミシンの製品を渡されるというような事例がたくさんあることを私は聞いているのであります。まあ一つの例でございますが、さような下請に対して品物でこの金の支払の代りに出すというようなこと、それから手形を発行いたします際に、もう最近の状態といたしましては九十日、百二十日というのは殆んど普通でございまして、百五十日であるとか、百八十日であるとか、二百十日であるとかいうような、想像もつかないような手形が出ておりまするが、相当な有力会社の、こういうことは申上げていいか悪いか、ちよつと私も躊躇するのでありますが、手形を出して、その手形をその会社の相当の地位にあるかたが下請と話をして割合を特別にしてやつておるというような、こういう事例もたくさんあるのでございます。ですから、丁度この会社の中の人が金融業をやつておるような形のものが大分見受けられるようでありますが、こちらにおいでになる会社のかたで、今私が申上げたような三点に対しては恐らく私は失礼な言葉になると思いまするが、そういう事例が親工場と下請工場の間にもあるのでありまするが、かようなものに対する皆様からの何かお考えがありましたならば一つお聞かせ頂きたいと思います。
○参考人(鷹取米夫君) 今のような事例につきましては、私たちも耳にすることですが、増資の際下請代金で払うという点については、これは増資をかなり無理な時期におやりになるという点から来るのだろうと思いますが、そうしますと下請工場までは廻つて行かないわけでございまして、どちらかというと、こういう処置をとることが親会社のためにならないんじやないかと考えますので、これはどういう効果を狙つておやりになるのか、私といたしましてはちよつとわかりませんですが、結局この増資そのものに無理がある。又経営をよくするために無理な増資をなさろうとする結果から来るんじやないだろうかというふうに考えますので、この点の解決については経営そのものの基本問題に触れるんじやなかろうかと考えます。
 それから下請代金を製品で払うというのも、これはやつぱりその製品の売行きが悪い、製品がストツクになるという関係から、終戦直後によくミシンで払つたり、電気アイロンで払つたり、或いは治工具で払つたりというようなことも私たちも耳にしております。これも製品の販売能力と売行き、製品そのものの販路価値という問題から来るのでございましようが、この点も私の考えますのは、その会社の製品の販売ということと売上げということと生産計画というものが齟齬を来たしておる。これはやつぱり生産計画を売上げの見通しによつて縮めて、そして外注関係も縮めておやりになるべきじやないか。いわゆる生産計画通りに売上げがうまく行つてないからこういつたような問題が出て来るのだろうと考えます。これもこういうふうにやらざるを得ない会社は、一つの経営採算の一定の生産計画の枠がありまして、これだけの生産をやりませんとその経営がむずかしいというので止むを得ずそれだけの生産をおやりになり、それだけの製品が売れないというような事情があるのではないだろうかというような考え方がされますので、この点もやはり売上げ、生産計画又その経営ベースの問題になりますので、なかなかむずかしい経営問題の基本に触れるだろうと思います。
 第三の問題はこれは全くあり得べからざることだろうと考えております。
○委員長(中川以良君) ほかに御質疑はございませんか。
○豊田雅孝君 先ほどオオタ自動車工業の寺沢社長からは、九十日乃至百二十日の手形についても商工中金から割引を受けておるというお話でありまして、これは商工中金がやや政府的な色彩を帯びておる金融機関なるが故に非常に無理をして割引いておるのだと思いますが、他の会社でも九十日乃至百二十日のこういう手形をもらつた下請業者というものが、どういう方法で金融を受取るか、それについてお話をそれぞれ伺つたらと思います。
○参考人(川端良次郎君) 長い手形を出しましたときに下請業者が一応短いのと切替えてくれ、割引がしいいからというような話がよくございますのですが、私のほうのような会社の仕事になりますと、どうしても品物を作りましてやはりでき上りますまでに一カ月、二カ月、三カ月ぐらいの仕事をやつております関係上、入金時期が遅れますので、つい九十日くらい、或いは百日の手形になるのでございます。その点は受取るほうの人は非常に長い期間で渡されたときに困つておおというわけでございまするけれども、私のほうも訳を言いまして、一つ何とかやつてくれということで今までは大した何もございませんが、よくよく割れないときには日をもつと短くしてくれという要求がございます。或いは手形の金額を分割して割引きしやすいようにしてくれという話がございますので、そういうような業者に対しましては本人の意向を聞きまして割引きしやすいように調節はしてやつております。申しますと甚だ何でございますが、今大概九十日、百日の手形でも大体が手形期間が長くなつたということは、皆さん御承知で持つて行かれます。
○豊田雅孝君 これは止むを得ないので泣き寝入りということではないかと思うのですが、そういうことがやはり親会社に対して品質の余りよくないようなものを粗製濫造して納入するというようなことにもなるでしようし、或いは感情的に又対立的な感情にも裏面においてはなるというようなことが考えられるわけでありまして、手形の期間をやはり普通の商習慣に戻すということは、これは下請関係だけでなく、大企業のためにも非常に必要だと思うのです。こういう点について今後改善することについてどういうお考えを持つておられるか、これをお伺いいたします。
○参考人(高柳皎君) 私はその改善より、銀行で百二十日まで割引可能になるようにやつて頂くのが一番早道ではないかと、こういうふうに考えております。
○西川彌平治君 一つ伺いたいことは検収の問題でございます。実はもう皆様の会社におきましても生産を向上させる、或いは量産を速かにやるという意味においてもう御努力なさつておると同じように、下請の機械工場でもそれぞれの工場は自分のうちの全能力を挙げて一つ生産コストを引下げる、それから数を余計作るように努力されておるので、小さい工場でも非常に能率が上つて来ておる工場がたくさんあるのでありますが、ところが下請の注文を出しますときに、下請に五月までに何個、六月までに何個というように期限を付けて出されておるのが大体の通例でございますですが、最近仕事の量の一般に減つたということと、いま一つ先ほど申上げました、要するに量産的なことに工場がだんだんといわゆる研究されて来た関係もございますので、非常に最近納期が今まで遅れておつたものが、逆に納期が非常に早くなつて来ておる。従つて三月までの納期のものがもう二月の初めに全部完納をしてしまつたというような事例がここにあつたといたしまする場合、これは五月の納期であるから、或いは六月の納期であるから、或いは三月の納期であるからというてその間納品したものをそのまま検査受入をしないで、その支払を注文書の通りの三月なら三月、六月なら六月になるまで検収をしないで、そうして支払もそのときにするというようなことで最近やはり能率が上りながら困つておるような工場も二、三聞くのでありますが、そういうときには皆様の会社ではどういうふうなやり方をおやりになつておりますか、一つ伺つておきたいと思います。
○参考人(寺沢浅義君) 私どものところではそういう事例はありませんが、これを考えて見ますと、品物の性質によりまして三カ月か五カ月分を一緒に作つたほうが便利だというものがあると思います。そういうものについては注文者のほうで三カ月とか、或いは半歳後に一緒に、その最初の品物を欲しいときを納期として注文を出しております。勿論物によつて分割で毎月何個ずつと、物によつては一カ月分ずつも持つて来られては場所に困るものもあります。そういうものは日を切つて注文を出しておるものもあります。従つて今のお尋ねのような事例は起きておりませんが、注文のほうでその加減をしております。
○西川彌平治君 鐘渕さんあたりはそういう出ている部品はどうなつておりますか。
○参考人(高柳皎君) そういうことは私どものほうは余り考えられないのであります。資材計画に基きましてそれ以上のものが入ります場合には非常に資金的にも困難を感じますのでやつておりません。
○委員長(中川以良君) ほかに御質疑ございませんか。
 それじや、私からちよつとお伺いいたしたいのでございますが、日平産業さんの資料にございまする前渡金というところの一つ御説明を願いたいのでございます。そのプラス、マイナスはどういう意味ですか。
○参考人(川端良次郎君) これは何でございます。プラスは前渡金が殖えまして増したのであります。前渡金は払いましたのです。それからマイナスは品物ができまして前渡金が結局品物の代に振替りまして前渡金が減つたのです。プラスのほうは前渡金を払つたのであります下請業者に……。それから払いました前渡金ができまして消えるときがマイナスになつております。
○委員長(中川以良君) そうするとその前渡金は現金でお出しになるのでございますか、手形でございますか。
○参考人(川端良次郎君) 多く現金で払つております。材料を買う代金としては手形で払うこともありますが、大概現金を出しております。
○委員長(中川以良君) それから実は当委員会でもいろいろ昨年来お話があつたのでございまするが、今日もお話が出たのでありまするが、どうも最近こういうふうに金融が逼迫をいたしておりまする関係上、親会社の経理部長というものはできるだけ一つ払わないで引張つたほうが会社のためになるのだというような観念を持つところが非常に多いと、今日お出ましの会社にはそういうところは毛頭ないと思いまするが、そういうことがやはり下請工場の親工場に対する一つの感情となり、又生産意欲を鈍らし、又まじめな親企業のほうにも御迷惑を及ぼすようなことになると思うのでありまするが、まあこういう点はいろいろと私どものほうの委員会にも御陳情等があるのでありまするが、それから甚だしいのは手形が九十日、百二十日というようなのが今日は相当出ておるのでありまするが、会社のほうの御都合のために手形の発行日を書かない手形をお出しになる、つまり割引く際に適当に期日を入れて割引いてくれというようなお話がある。そこで更にそれを突つこんで見ますると、そういうことをしておられるために会社の経理というものは相当乱れても参り、決算期の際にこの経理が両方に跨るんで、そこに不明朗なる問題も生じるというような、極めて深刻なる問題も指摘されておる向きがあるのでございます。こういうことは今申しました通りにまじめな企業に迷惑がかかる。日本全体の経済としても非常な遺憾なことでございますが、こういうようなことが実際あることを皆さんがたお耳にしていらつしやるかどうかという点と、それからもう一つはこれは先ほど西川委員からも御質問があつて、会社のかたがその手形を割引いて金融業をしていらつしやるところがあるという御指摘があつたんでございますが、それと同じようにまあ経理部長さんその他担当のかたに裏口からこつそりお願いに行つたら割合に早く払つてもらえるという点が事実たくさんあるのでございます。こういうことはここにおられる会社には事実そういうことはありませんでしようけれども、そういうことは大企業のかたは健全なる実を示して頂き、又そういうことのないように一般に御警告を発して頂くということが私たちはいいのではないかと思うのでございますが、そういう点について御意見を伺いたいと思うのでございますが、如何でございますか。
○参考人(鷹取米夫君) 先ほど豊田先生のお話の点にも関連いたしますが、まあ私たちも最近はこういうふうに非常によくやつて来ておるつもりなんですが、ひと頃は会社を終戦後のいわゆる工場……私たちも五カ工場あつたものを三カ工場に減らし、そうして従業員をどんどん整理しておりましたときには、全くその金融にも苦しかつたし、それから下請工場にも支払関係が非常に悪かつたのです。併し私どもその点から考えて見ますると実際この下請関係を今委員長からもお話になりましたように、支払をよくして行くと、手形よりかキヤツシユで払う、手形も九十日を六十日にして行つて、下請工場の金繰りをよくして行きますと、下請工場が材料を買うところ、或いは従業員の志気も非常に高揚する、材料も安く買える、従つて我々も安い製品が入つて来る、又納期もちやんと入つて来るということで結局相互よくなるわけなんですが、その点に対する問題の出どころは二つあるのじやないかと思うのです。一つはその下請工場というものを、我々のように何十年来下請工場が我々の仕事だけしかやつてないと、そういう工場を育てないと我々自身が弱るわけなんですから、これはもう真剣に自分たちの工場と同じようにやつておりますんですが、始終どこから買つてもいいというような製品でございますと、結局支払いをうまくやつて行こうということになりまするんで、中小工業のまあ生きる途というのはやはり自分の製品を納める会社に専属すると、そういうことにされることが中小工場の生きる途ではないかという考えを持つております。あつちの工場の製品をやつて見たり、こつちの工場の製品をやつて見たりされる工場はなかなかむずかしいだろうというふうに考えます。
 それから、じやあ、我々専属工場の支払をよくする方法はどういう方法があるかということですが、いわゆる今日親会社自身が金繰りに非常に皆苦んでおると思うのです。そうゆとりのある親会社というものは殆んどないのではないか。特に今日ここへお呼び出しになりました金属機械工業というものは殆んど金繰りには手一ぽいにやつているのではないかと、こう思つております。そうすると、我々自身の売つている品物は、恐らく金属機械工業は、私たちもキヤステイング・スチール、材料もやつておりますが、材料を入れましてから製品を売上げるには大体平均五カ月かかつております。それから製品を売上げましても、その代金回収は我々自身も百二十日の手形を割引いてやつておるようなわけでありまして、最近の状況でございますと、私たち物を売りますのにも、今の状況で、我々金属機械工業ですと、バイヤース・マーケツト、売方が弱い立場にございます。いわゆる我々は、前金をくれというのがなかなか言えない。そうすると、前金をくれと言つて、突つぱりますと、他の会社に注文をとられてしまうというような状況で、殆んど前金は取れない。そうすると、親会社の金融それ自身をよくする方法、それから親会社のそういつた前金関係が昔のように取れる状況にならないと、むずかしいと思います。ただ、前金を取るということは、セーラス・マーケツトになりませんと、とても不可能でございます。そうしますと、それは不可能であるといたしますと、親会社の金融がうまく行くということが、下請にもうまく行くということになると思うのです。そうすると、今日二つに考えられると思いますが、一つは、新らしく仕事を始めてそれの金繰りを金融機関と相談する場合、かなり楽だと思うのです。丁度私たちの砲弾生産のような場合でございますと、これは砲弾生産、これだけやつて、これだけの材料が入つて、こういうように回転するから、この金融はこれだけだということになりますと、極く簡単でありまして、そして、その金はどこにも逃げないように、銀行が監督しておれば、非常に安心してやれるのだけれども、傷を持つておる会社には、銀行がそこに貸した金はどこに行くかわかりませんから、勢い話をしますと、先ほど誰かがおつしやいましたように、オオタの社長だつたと思いますが、所要資金を申込んだら、その半分しか銀行が貸してくれない、そういうことになりますと、勢い下請にも払うのが延びざるを得ない。結局、金融機関がその計画されます仕事をよく検討されまして、そして、よく会社の内容も検討されまして、そして、とにかく仕事をやる以上、その仕事が全部回転するだけの自己資金なり、或いは借入金を調達されることが、中小工業の支払もよくなることだし、改善される途であつて、いわゆるその流れの源というものは一つしかありませんから、前渡金が入るか、その仕事に自己資金が十分用意されておるか、金融が十分ついているか、この三つ以外にないと思うのです。その改善方法をつけられないことにはとても駄目だ。私たちが売る製品、そういつたものについての回収自身に私は苦労をしておるということを一つお含み下さいましてそういつた点に何分のお力をお願い申上げたいと存じております。
○参考人(川端良次郎君) 先ほどお話のございました会社の経理を扱つておる者が、会社のために支払を遅延させるというお話がございましたのですが、実は会社は納期を以て納めております。殊に兵器産業等も、いつ、幾日に納めるということになつておりますと、工場を督励いたしまして、納期に必ず納めさせるという非常な努力を要します。そのときに、工場で遅れましたときに、工場がその尤もらしい理窟をつけて来るのは、購買が品物を十分に買つてくれない、部品が揃わんと、百あるものが九十九まであるが、一つ揃わんがために納期が遅れたんだと、こういうことを購買に対して言うのであります。購買は経理が金を払わんから結局品物が納まらん、結局工場の責任を経理が持つようなことに、どこでもなると思います。これは我々のほうでもそういう傾向があるのです。そこで経理の担当者といたしましては、もうできるだけ金がありましたらば、こういうような部品の欠品をいたしませんように努力いたしますのが、経理の常態でございますから、経理部長が故意に金があるのに遅らせるということはないと思います。又これがありましたらば、これはもう非常に何と申しますか、理解のない、悪い経理部長です。それから経理に、今のようなお話でございますと、裏から金品を持つて来るとか、或いは接待するとかいうことで、たまたまそのたくさんの業者に不公平な扱いをすると、これは一人や二人の購買係、或いは資材係でございましたならば、或いはそうかも知れませんが、大勢おりますと、いいものもございますし、悪いものもございます。いいものが必ずそういうことを中傷するのでございます。会社のほうといたしましても、人間を選びまして、そういうものを十分選択してやりましたら、この不公平も相当に避けられるのじやないか。
 それから目附のない手形という話でございますが、私どもの考え方といたしましては、目附を入れましても入れなくても、一応手形として切りましたら、これは会社の立派な債務と思うのです。これを強いて隠すということは、どういう理由があるかも知れませんが、私どもの考え方としてはないことだと思います。
○委員長(中川以良君) まさしく御指摘の通りで、かくあらねばならんと存じますので、非常に私ども考えましても、常識を外れたことが現に行われていることがあると思います。という点を一つ私ども心配しておりますので、是非模範的な大企業のかたは、そういう点の御指導をむしろお願いしたいと存ずる次第であります。
 それから今もちよとお話がございましたのでありますが、中小企業自体も大いに反省をしなければならんのでございますが、中小企業の下請工場は、親工場に本当に専属し、て誠意を以て親工場のために懸命な努力をいたすということが、最も必要でございます。ところが今のお話の、ほうぼうに色気を使つて、転々と親工場を、中小企業みずからが変えて行くという点の御指摘があつたのでありますが、それと反対に、一番困つておりまするようなことを、私どもが調査の結果感じましたことは、型を作つて、相当に型代にかかる。一遍の注文だけでは、到底その型代の償却ができない。然るにかかわらず親工場のかたは、お前のところは高いからほかのところに持つて行くと言つて、ぽんと変えられる。それが嫌ならもつと負けろという無理難題を持つて来るので、泣く泣く型代の惜しさについて行くというような苦情を言つておられるかたがあるのです。こういうなことは、無論今日御出席の皆様方にはないと思いますが、そういうようなことはやはりあり得べきことでございましようか、どうでございましようか。
○参考人(高柳皎君) 私のほうにもそういうような事例がございます。これはまあ負けろという話ではないのでありますけれども、検収支払の状況で、その関係でうまく行かない、私のほうとしてはそういう取引も初めてでございますから、できないという話で一応は断つたのであります。たまたま向うとしましては、それに関して相当の設備に注ぎ込んだ、その後一応話ができまして、引続いてやつてはおりますけれども、そういう事例がありました。
○西川彌平治君 この下請組合と申しますか、その親工場の下に、下請で組合を結成しているところがたくさんございますようでありますが、この仕事が、平均に流れておりますれば、そういう問題は決してないのでございますが、仕事がやはり一年中同じように流れるということは、なかなかこれは口では簡単でありますが、実際にはむずかしいものでございます。又相当に仕事の繁閑があるわけでありますが、その企業組合のものに対しましては、やはりその工場の本当の親となり、子となつておる工場でありますから、設備等に対しましても、こういうふうな設備をせい、ああいうふうに改良せいということの、いわゆる指導をおやりになつていると恐らく私は思うのでありますが、そういう場合にその指導によつて工場の設備が改善されておりまするのに、仕事が繁閑によつて非常に行違いを生ずるようなことが工場によりましてはままあるのでありますが、皆様の工場には、そういう場合には若しあるとするならばどういうふうな、自分の工場のほうの生産を廻してもその親工場は子工場を助けてやるというようなことをおやりになつておりまするか、或いは資金的に何とか繋がせるようにいたしておりますか、その点一つ伺いたいと思つております。
○参考人(藤沢武夫君) お答えいたします。昨年私どもでやはりそういう、先生の御質問のように型が変つたことがございます。そのときには別な型にする、それから資金的には一応それを途中、加工までだつたものですから、融通のつくだけ私のほうで代金を将来もらうからということで分割で、要するに出来高によつてお払いして行つたことがございますが、大体において余り協力工場をいじめますと、豊田先生の御質問もありましたが、余り協力工場をいじめますと大企業は立つて参りません。やはりそういう点は協力工場の人とよく打合せまして立つて行くように方法を講じております。
 それから豊田先生の百二十日の手形で切れるかということは、大企業でございますと、かなり銀行でできるようでございます。小さい……まあ私今日は小さいのと大きいのと一緒になつて申上げたのでございますが、小さいところは資材のほうで、手形ならどの程度でいい、それから現金ならどの程度でなければまずいといろいろ聞きますのですが、やつておるつもりでございますが、この小さい企業のかたが手形が九十日以内でも割れない場合が非常に多いのでございます。そこを現金でできれば一番いいのでございますが、私どもでもできない場合にそういうかたが金額的には非常に僅かのようでございますが、まあ私どもに言うと恥しいというような面もあるところもございます、それで闇金融のほうへ行つておるというような現状もございますが、今私どもで本年度から金融引締めになるだろうということで三菱さんと興銀に両方で一億五千万拝借することにして、中小企業のほうにそれを振当てて行こう、支払のほうをそれで見て行こうというふうに今計画を立てております。大企業と中小企業との金融力が全然違うのでございまして、小さいほうが五十日でも六十日でも割れないというところがあるのでございます。
○西川彌平治君 只今本田技研工業さんのお話のように、非常に親心のあるやり方をやつて頂くならば必ず協力工場もついて行くでありましようし、そうして感謝いたしましてますます工場が親工場に協力するように私は相成ると思うのでありますが、いわゆる仕事をやらせるというような気持で親工場がおらない。又仕事は協力工場によつてやつてもらうというような気持で親工場がやつて頂き、又協力工場も仕事をやつてやるのだというような気持でなく、やらしてもらうのだというような、いわゆる両方が謙虚な気持で、そうして今本田さんのような気持でやるならば、中小のいわゆる下請工場も親工場も私は必ず敏栄するものと考えておりますが、とかく、併し今日の世相におきまして大工場は下請工場を自分の本当に手足のごとくこれを使つてやるのだ、下請をさしてやるのだというような気持の会社が多いために、自分の工場の作業に変化を来たしますと、そのしわ寄せを中小企業の下請にすぐ転嫁してしまう場合が、これはもう恐らく枚挙にいとまがないほど私その事例を知つておりますし、大部分がそうじやないかとまで私の調べた範囲内において考えておるのでありますが、幸い本田技研工業のような気持で全部の親工場があつて欲しいと私は念願をいたす次第であります。
○豊田雅孝君 今日は百二十日の期間というのが一番長いことになりましたけれども、我々が聞くところによりますと、百五十日から百八十日、ひどいのは二百七十日なんという期間があるということを聞かされるわけでありまして、従つて会社の経理部長によると、下請に対して支払遅延を円満にやることが腕の見せどころだというような傾向すらあるというようなことを聞くわけでありまして、それが故に私など公正取引委員会に是非とも支払の某準を設定する必要がある、その方向へ今行きつつあるわけなんでありますが、それと同時に、一つ伺いたいと思いますのは、大体支払遅延の多いのは兵器工業関係であるというようなことを我々は聞かされるのであります。そうしてそれの原因は、兵器関係はいわゆる出血受注になつておるために、その出血の犠牲を下請に転嫁するのだ、それ以外に途がないのだ、というようなことを聞かされるのであります。従つて今後防衛生産がだんだん行われるなんということを聞くにつけて、特にこの下請に対する支払遅延の問題を私などは非常に憂慮しておるのでありますが、特に兵器工業の受注価格について何か御意見がありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
○参考人(鷹取米夫君) 先ず私から御説明いたします。今の受注価格の問題につきまして私たち受注をいたしましたとき、いろいろ世間の風評が非常に強うございまして、私たちはそれに対していろいろ説明もしましたが、これは説明よりか実績を示すことが最も強い説明である。それで今日第一次の契約、私たち四十四億ばかりをもうこの三月一ぱいで完納いたします。そのうちの一部のものは完納いたしました。それで米軍の経理監督官が詳細に伝票を一枚一枚に亘つて調査いたしまして、一応結論がついております。それでこの結論を申上げますと、最終の納入をいたしませんと、最終的な結論は出ませんが、大体それにつきましてオーデイターの会計検査の認めました利益というものは、四分程度の利益が得られる見通しでございます。そのうち米軍の会計方法と我々日本流の会計方法とは違いますので、日本流の会計方法で言いますと、米軍で否認されておる項目がかなりあります。それは一番大きいものは米軍関係では金利を経費として、コストとして認めてくれません。金利を認めてくれない関係で、それは日本流では経費として認めなければなりませんのですが、それを考えると大体三%程度の利益は確保できる。ですから当時何を材料にしてか、相当の地位のかたがたが出血受注だというふうにおつしやられたかたがたに加何なる方法で謝つてもらうかということを考えて見たいと思つております。そのためにどれだけ我々の金融が阻害され、又我々がどれだけ仕事をやるのに不便をこうむつたか、その損害は測り知れないと思います。それは新らしい産業を育成しよう、新らしい産業を国のために育てて行こうという考え方に非常な障害になつたと思う。今日立派に実績を以てこれは説明できます。
 それから兵器産業で下請に支払が悪いと、これはもう実例は、私たちのやつている限り、今も申上げましたように実例は一つもないということを確信いたします。これは一般に抽象的にそうじやないだろうかという考え方が多いんじやないかと思います。それからそういうふうに言われました一つの原因を私おぼろげながら考えて見ますと、当初自分たちの仕事にやりたいというので、日本の中小工業は仕事がないもんですから、この仕事に殺到された。これは大工業も砲弾受注に非常に競争が激甚であつたというのも、大工業も仕事がないからこの仕事に殺到したわけなんです。そのうち中小工業でやり出されまして、又その中小工場の又下請をやり出しまして、というようなところで、いわゆる規格通りの製品が、当初生産が軌道に乗らないために、上つて来ておりません。そういう関係で、支払おうにも支払うところまでまだ行つていない。これは我々自身のやつている仕事でも、当初荒果てた、七年間も荒果てて草ぼうぼうになつている工場を整備いたしまして、そしてその機械を動かして見ますと、その機械には砂がこびりついているとか、或いは部品の精度が落ちているとか、又工場を動かして見ますと、パイプの中に砂が一ぱい入つているとか、ハイプが漏れているとかいうことで、やりながらいろいろの修繕、補修をして行かなければならん関係もありますので、そういう関係は、恐らく中小工場にも、又その下請工場にもいろいろあつた思うのです。いわゆる新らしい製品を作ります場合には……。そういう当初やはり我々自身やつても所定の生産計画通りに上つて来ない。又その歩留りも所定のように上つて来ない。そういうようなときに、我々自身も苦しみましたが、中小工場の中でも製品が上つて来ない、そこで所定の支払を受けられない、そういつた点から、或いはそういう見方、批評が出たかも知れません。それからもう一つ考えられますのは、そういつた工場で非常にほかの仕事もやつていて、そして非常に赤字の蓄積をやつている、それでこの砲弾の下請でもやつて何とかそれを切抜けて行こうとされる、ところが、従来の経理の金繰りも追つ付けれない、そして苦しい苦しいということが兵器の下請のためにそうなつたかのごとく言われている、そして兵器の金融をうまくやつてくれない、こういうところから来ている点もあろうかと私たちは忖度しておる次第であります。ですけれども、今日は軌道に乗つて来ておりますし、それから私たちの選定いたしました、これは具体的に名前を挙げますと、どちらかというと中小工場と言えないようなものばかり選んでおりますので、そういう点は全然ないと考えて頂いていいと思つております。
○高橋衛君 オオタ自動車の寺沢さんにお聞きしたいと思います。非常に幼稚な質問で恐縮でありますけれども、オオタ自動車の説明書を読んで見ますると、最近売上がぐんぐん殖えている。それ以上に又受取手形、売掛金が殖えて行つているのでありますが、それにもかかわらず支払のほうは殆んど殖えていない。漸次改善されているという状態でありまして、非常に敬意を表するのであります。一方貸借対照表、それから益損計算書を読んで見ますと、非常にいい成績を年々挙げておられます。而も最近急に増資を進めて参つておられますが、勿論増資ということは、それ自体、日本産業の全体が自己資本と借入資本との比率が非常にアンバランスでありますが、それが改善されるという面から非常に喜ぶべきだと私は考えるのでありますが、併しながら、同時に翻つて考えますると、お宅も三割の配当なり、最近は二割五分に下げられたようでありますが、二割五分の配当をしておられます。そうしますると、この急速に増加されたところの資本に対するところのいわゆる資本コストというものは大体配当率の三倍なり三倍半を通常要すると思うのでありますが、言い換えれば二割五分の配当ということは少くとも七割五分の資金コストの金をお使いになるということになると思うのでございますが、これが今後の会社の業績に相当大きな影響を与えるであろうということが一つ、それから若しもこれだけの利益を挙げ得るところの実力を持つた会社であるならば、何故こういうような増資というような方法以外に、コストの安いところの資金が得られないかということ、それから更に、若しもそういうふうな余裕があるならば、もう少し消費者に対するところのサービスをよくするという点から言つて、売掛なり、受取手形の回収ということも何らかの減少を図るということが何故できないか、そういうふうな点について基本的な点ですが御意見を伺いたいと思います。
○参考人(寺沢浅義君) 非常に広汎な御質問でございまして、今先ず第一番に増資をしても配当が下つて行くのじやないかと、こういうあれでございますが、従来三割配当を三回ばかりいたしたことがございます。前期これを二割五分に下げましたが、これは業績が下つて下げたというよりも、むしろそのほうが実際の姿じやないかということから自重したわけであります。
○高橋衛君 ちよつと……。私の質問を申上げました趣旨は、そういうふうに配当を下げたじやないかというような意味じやなしに、配当を下げても、二割五分といたしましても、なお且つ二割五分の配当をするために利益率七割程度の利益を維持するためには、そういうことは半面七割程度の資金コストが非常に高いところの資本を使わなければならん。一方例えば銀行の借入なりその他の方法のものならば、せいぜい一割程度の金を使える。何故こういうような資金コストの高い金を使わなければならんか、又それがいいことであるかどうかということの御意見も伺いたい。こういうふうに申上げたわけです。
○参考人(寺沢浅義君) まあおつしやる通り金を借りることが下手ということになるかも知れませんが、大体一カ月の売上げが今日一億でございます。それで二億の資本で今やつておるわけでございますが、売上げと資本の関係から行きましても、更に今後の増加ということを考えますと、二億の資本に無理があるということから考えたのでありまして、銀行のほうも逐次今日まで借入の増額もいたして来ておりますし、両々相待つてやつておるようなわけでございます。決して安いコストのほうを放つたらかしておるというわけでもございませんが、相当増産のために運転資金の必要に迫られて参りまして、これを逐次解決しながらこういう形に来ておるわけでございます。
○委員長(中川以良君) 私からもう一つお伺いしたいのでありまするが、これは立場を変えてお伺いしたいのです。今日はこういう御発言が余りなかつたのでありまするが、大企業のおかたが下請にしわ寄せをされるという半面には、いわゆる政府の支払の遅延とか、或いは発注の時期であるとか、発注の方法と、こういうものが、不都合をしておる場合が私はあるじやないかと思う。政府の支払に対しましては、先般政府の支払の促進に関する法律を作りましてやかましく当国会でもやりましたので、大変よくなつておると思います。ただ発注の時期でございまするが、これはいつも年度初めに予算が遅れる。これは我々国会においても非常に責任を痛感しております。そのためにどうも計画通りの発注がない。年度初めがいつも手が空く。然るが故に皆様方が或る程度見越し生産をされる、或いは又官庁と話合つて内示を受けて生産をお進めになり、これによつて工場で手が空かないで済むのでありますが、できたものに対する支払というものは依然として正式の契約がなければ支払ができない。そこで下請工場にまでその影響が及ぶというようなことが非常にあると思います。こういう点についていろいろとお困りの点、事例を私どもなり、政府なりに対する御要望をこの機会に一つ承わりたいと思うのであります。
○参考人(鷹取米夫君) 政府の支払関係は私たちの知つている限りでは非常に改善され、よくなつておると思います。この点非常に有難く思つております。ただ今申されましたように発注の時期が年度末で予算の関係があります関係上、止むを得ないとかいうことが毎年繰返されておりますので、この点はもう少しスムースになりますと非常に好都合であると考えております。ただその点だけだろうと思います。
○参考人(川端良次郎君) 私も今の鷹取さんのお話に御同感なんですが、もう一つ兵器産業をやつておりまして一番困りますのは、材料の手配なんです。その場合に下請がこの前に申しましたように、前渡金を要望します、私のほうといたしましても、材料を買いましたり、又下請に前渡金を払いましたりするので、相当の資金を要しますのでございますけれども、まあ普通でございましたら前渡金を頂いてやられれば非常に結構なんでございますけれども、前渡金が頂けませんで、そのために協調融資とかいろいろの方法を考えなくてはならないのでありますが、その場合に昨今のような金融でございますと、なかなかこれがつきませんのでございます。何とかお考えがございましたら前渡金でも頂けろというような方法を講じて頂ければ結構だと思います。
○委員長(中川以良君) ほかに御質問ございませんか。
○小林英三君 私遅く参りまして私の聞かんとするところはすでにほかの人から御質問があつたと思いますが、今私が参りましてから質疑応答の中にありました点等につきまして、更に御質問申上げたいと思います。
 先ず小松製作所の鷹取さんにお伺いいたしたいと思います。先ほどの御答弁の中に下請工場としては、できるだけ一つの工場に仕事を続いてやることが望ましいのだと、こういうような意味のお言葉がありました。私も当然だろうと思います。併しまああなたのほうとしても、長い下請工場があると思いますが、実際問題としてそういうことが年中続いて継続できるだろうか。つまり仮に下請工場としましては三十人でも五十人でも二十人でも工場を持つている、長年の間下請をしておつても、親工場のほうの仕事が断たれる、或いはなくなる、或いは少くなる、こういう場合に、やつぱり次の仕事は何するかということが考えられると思うのですが、あなたの場合には年中自分の使つているところの下請工場に絶え間なく仕事が出せるという体制じやないかと思うのですが、どうですか。その観点を変えて、一般的に今のおつしやつたようなことが実行できるだろうか、こういう問題について。
○参考人(鷹取米夫君) 小林先生からのお話のようになかなかこの金属機械工業の仕事量が非常に現在少いものでございまして、而も金属工業の設備がかなり残つております。それでみんな仕事を探し求めて苦労しておるわけでありますが、今の我々が、幸いにして私たちの会社自身が選んだ製品がこう続いて行き、そして流れて行くというものをつかんだために、我々の長い関係の下請工場が我々の会社の仕事だけをやりまして、他の会社の仕事をやらないで立派に生きて行く、ですから我々はその会社を我々の分工場のようにやつて来ておりますが、我々の近くにあります紡績機械などを作る会社でございますと、一時は非常に華やかではあるが、最近のように輸出がとまつておりますと、やつぱり親工場と共にそういう工場が非常に苦しんでおります。そうしますと、そういう工場が我々のほうへ仕事をやらしてくれというような問題も出て参るわけなんです。この点が非常に残念なことではありますが、何とかやはりこの中小工場がしつかりした親工場について共々に生きるというのが一番安全な方法でして、あつちへ行つたり、こつちへ行つたりしますと、仕事の製品が始終変つて参ります。そうしますと自然いい製品と、引合うようになかなか仕事がやりにくい。我々自身でも終戦直後のようにいろいろな機械をああでもない、こうでもないといつてやりますと、工場の経営というものがなかなかむずかしい。やはり同じ品物が流れませんと、とてもむずかしい。で、結局私たちも今度恐れますのはこうした金融引締め、その他が強化されますと、勢い各会社が、日本のいわゆる需要が減つて参りますと、自然その仕事量がなくなる。仕事量がなくなれば親会社も窮屈になりますと同時に、中小工場、いわゆる下請工場に影響を持つ面が非常に多いのではないかと考えますので、この点は私たちもかなりむずかしい問題じやないかと思います。
○小林英三君 それから本田技研さんに伺います。先ほどあなたの御答弁の中に、例えば九十日の手形……、或いは百二十日手形……まああなたのところが百二十日かどうか知りませんけれども、そういうものを受取る……形を受取るほうの下請工場の力さえあればこれは割れる、たまたま力がないから六十日の手形でも場合によつては割引かんというような話を聞いたんですが、これは私ども実際問題としていろいろな銀行の支店長を集めて聞いて見たんです、そうするというとまあ親工場の発行した手形というものは、全然問題にならないような、市場外の、どうにもならないような手形は問題にしませんが、今日の金融の逼迫の場合でありますから、その下請工場の所在地の土地の銀行というものは、非常に好意的にその振出しの親会社が信用がありさえすれば進んで割引いてやろうというつもりでいるんだ、ただ問題は百二十日だとか、場合によつたら百五十日だとか、或いは振出期日も入つてないようなものに対しては、これは銀行としては割引はできないんだと、こういうことを言つておりますが、そういたしますというと、例えば本田技研さんなら本田技研さんが振出した手形というものは、あなたの店が信用があるんだからして、どこでも割つてくれるだろうと思うんですが、ちよつとあなたのおつしやつたことを私の聞いておることと食い違つておるように思うのですが。どうですか。
○参考人(藤沢武夫君) 手形は今の小林先生のお説のように大体割つておるのですが、例えば本田技研、創立が浅いのでございますが、五年でございますが、ただ今みたいに金融が引締まらない時代でも、例えば相当の貿易会社から手形を頂いて、その手形の期日が九十日にしましても六十日にしましても割れなかつたことはございません。ですから結局銀行にすれば割るほうの、手形をもらつたほうの信用というものが相当大きく私は含まれておる。いい手形ならばどこでも割れるというような状態ではなくて、逆に現在は手形の質よりも、要するに銀行の全体の枠だと、それで自分の大事なところを割ろうというふうな傾向があるように、大変先生のお説と反対になるのでございますが、見受けられます。ですからいい手形をもらつたらそれは、どこでも割れるかというと、手形自体の質でなくて、割るほうの質というものが相当に去年より今年のほうが問題になつて来ておるようであります。
○小林英三君 まあ、あなたの御意見と私が実際問題として数人の支店長から、集まつてもらつて聞いたこととは大分食い違いがありますが、とにかく銀行としては今日の金融逼迫の場合ではあるし、政府の方針が中小企業を救えという方針であるから、そこで例えば振出期日のないような手形であつてもその下請工場単名手形でその内金、例えば百五十万円ならば、二十万円でも三十万円でも取りあえず下請工場単名手形で割引いてやる。そうしてそれが六十日なり九十日になつたときに振出日を書かしてそうして取つてやるというようなことで今日はしてやつておるのだと、こういうのですがね。
○参考人(藤沢武夫君) 先生のお話も本当でございます。両方ともこれは成立つのでございます。
○小林英三君 先ほど小松さんの専務さんでしたか、一つの機械を組立てるには、例えば百の部分品があつて初めて一つのコンプリートのものができるのだ。一つが足りなくても機械は組立たない。従つて下請工場の納品の僅かな遅延によつても会社の利益に影響する。これは当然だろうと思う。併しそういう際、これは小松さんに限らずここにおられるどちらの経営者にしても私は事実、例えば鋳物屋にいたしましても、その他の鍛造屋にいたしましても、その他の下請工場にいたしましても、出すほうの会社のほうでこの一つの機械のこの部分とこの部分は非常に重要なものであるし、且つ又製作が非常にむずかしいのだ、こういうことは注文なさるほうでわかつておるだろうと思う。従つてそういうようなむずかしい部分については前以て先に出すということもできるでしようし、又そういうむずかしいものであれば或る程度まで大きなものじやこれは仕方がありませんけれども、小さなものであればストツクして置いて常にその会社の能率を増進するということは、会社としては当然なことだと思う。そういう点は十分にそういう材料係だとか、或いはそういう方面の係に命じられてむずかしい製品、むずかしい部品、こういうものは前以て十分に遅れても、ほかのものが納まるまでには全部完全になるというような程度に参りませんでしようか。
○参考人(川端良次郎君) 欠品につきましては、私がちよつと申上げたのであります。それで私は今の経理部長といわゆる工場との、生産につきましての、つまり責任のなすり合いということを申上げたのでありますけれども、そこで工場のほうでは往々にして自分の生産の上らなかつたこと、或いは期日に納まらなかつたことを経理のほうへ転嫁しようと思いまして、そうしてそういうことをよく常套手段として使うのであります。そのお話を申上げましたので、注文するほうにおきましては十分そういうような考えで注文はしておるだろうと思いますが、たまたま納期が遅れますと、あれが足りなかつた、これが足りなかつたと、足りないのは結局金払いが悪かつたから持つて来なかつたのだというようなことにいたさせますお話を申上げたのであります。
○小林英三君 それから先ほどどなたかの御答弁の中に、値段の問題で折合わないからほかのほうの工場へ出すというようなこともあるというような話をちよつと聞いておつたんですが、値段の問題ということは、例えば鋳物製品にしても、すべての部分品の下請にしても、まあつまりその値段の問題が高いとか安いとかいうことをおきめになることは、つまり従来やつたこの工場よりも、ほかの工場のほうが値段が安いからほかへ出すということになるわけでしようか。鐘渕紡績さん一つお伺いします。
○参考人(高柳皎君) 今のお話、ちよつと了解できないのでございますけれども……。
○小林英三君 つまり値段がこの工場は高いから今度はほかの安い工場にこれをやらす。新規な工場にやらすというような場合がありますね。
○参考人(高柳皎君) あります。
○小林英三君 その値段の高いとか、安いとかいうことは、どういうことを標準にしておやりになりますか。つまりほかの工場にこのほうが安いからという、ただ値段のつき合せだけでおやりになるわけですか。
○参考人(高柳皎君) 製品の精度、納期、あらゆる点を総合して高い安いをきめておりますから、別に価格だけの問題ではないわけでございます。
○小林英三君 そういう際に何ですか、結果においてこのほうが安いというのでやらした場合に、このほうがいつもよろしうございますか。
○参考人(高柳皎君) というわけではありませんでございます。悪い場合もあるし、いい場合もあつて、必ずしも一律には申上げられません。
○小林英三君 私がそういうことをどうして御質問申上げるかといいますと、つまり、例えばいろいろ製品にいたしましても一つの部分品を注文するのに、形は同じようにできて来てもその工場の材質だとか、或いは技術だとか、そういう点においてただ簡単にこつちがトン七万円で、こつちが六万五千円、だから六万五千円のほうに注文するという考えでその一つの工場をオミツトして行くということになりますと、これは実際にその品物が我々のほうの工場で、現工場で計算しても、これはこのくらいの値段でなくてはできないんだ、併しとにかく下請工場の安いほうがいいからそちらにやらせた、こういう考えでやらすということになりますと、今までの折角慣れていた下請工場が仕事を離れるから、新らしい下請工場は今度は技術の点において困る。ただ安いからといつても、その納めた品物を削つて見たところが巣ばかり出て困るという次第で、たびたびそういうことがあるんですが、高いとか安いとかいうことは、親工場のほうで算定されて、この製品はむずかしいからこのくらいかかる、安いのがむしろ不思議なんだというお考えの下にやつておられるかどうか。
○参考人(高柳皎君) 私のほうの工場としては、製品それ自体が一応メーカー品で通つておりますから、それに副うべく納入されたものでしたら決して差支えないわけでございます。それについて単価が安い、高いという問題は、これは当然起きる問題だと思います。又そういうふうに合理化して行かない限りにおいては、会社自体がやつて行けない。但し昔からの業者に対してそういうことを強いるわけでなく、新たに業者が来た場合に対して高い安いということを、製品の精度その他を比較検討して問題が起きて来る、こういう意味でございます。
○小林英三君 それからこういうことを御質問申上げてどうかと思うのですが、例えば鐘渕デイーゼルさんなんかのつまり納品を検収なさるとき、その検収ということは、何ですか、例えばいろんな製品によつて違うでしようが、仮に鋳物なら鋳物というものを納めた場合に、これをまあ検査をする、検収をする、これが結局工場で以て記帳される、こういうことになるのでしようが、検収というものは仮に業者に納めまして、大体鋳物製品係になりますと、どのくらいかかるのですか。
○参考人(高柳皎君) 大体十五日を限度にしております。特に鋳物で涸らす必要のあるもの、その他に関しましてはよく話合いまして、その後における一応その検収で上げておりまして、水圧その他が通りましてから検収にする。長いものですと、やはり三月、四月という場合も出ております。
○小林英三君 その長い間で三月、四月というやつは、つまり下請工場のほうではこれだけは納めたつもりでいると、会社のほうでは検収が済んでいないから三月間も払つていない。こういうことになりましてその三月、四月の間かかるまでは、これはやはり記帳されないで支払勘定のほうに入らないのですか。それから便宜上何か方法をおとりになるのですか。
○参考人(高柳皎君) その検収いたしまして、金額の大きい場合には一応支払を立てます。金額の少い場合には両者了解の下に置いておきます。
○小林英三君 それから、例えば私どもも通産委員会の委員の一人としていろいろほうぼうの、こういうときですから調査しておりますのですが、仮にあなたのほうの工場においては、例えば締切のときに幾ら幾ら、例えば百万円、これを仮に現金で幾ら、手形で幾らというようにお払いになることは、これはまあこれといたしましても、その全部の金額の四〇%とか、五〇%、六〇%しか払わなくて、その六〇%、五〇%というものはそのうちから更に現金と手形と分けてお払いになるというように私どもは聞き及んでいるのですが、そういう点はございませんか。つまり勘定を残して、そのうちからそのうちの何割かを手形と現金で以て払う、つまり全部を払わないというようなことはございませんか。
○参考人(高柳皎君) 全部払える場合には全部を払つておりますけれども、通常当月の総支払金額というのを出しまして、実情に応じてそれを分割して払つておりますので、一律に四〇%、一律に六〇%という金額にはなつておりません。
○小林英三君 どうもこれはまあ中小企業のほうの人たちとして考えて見ますと、私は先ほどの、西川君からちよつと御質問があつたようでありますが、まあ今日の親工場の会社から御注文になるほうは、昔のように仕事をくれてやるのだという考え方でなくして、仕事を助けてもらう、下請工場のほうは反対に仕事をもらうのだ、或いは有難く頂戴するのだ、こういうことでいるという。これはまあ誠に結構な話だろうと思いますが、いずれにいたしましても親工場が下請に出されるということは、必要があつて、これがなくちや困るから、自分の工場ではこれだけは手が廻らないから出す、こういうことでありますからして、下請工場の納めたものと親工場のものとで、これはコンプリートになつて行く。或いは全部が、下請工場に注文されたのがコンプリートになつて行つて商売されているのですからして、やはり下請工場に対する支払というものは丁度親工場が工賃を払つたのと同じように、下請工場がそれによつて工賃を払つたりする、そういうふうな気持でお払いをして頂いているのじやないかと私は考えておりますが、そういう点につきましてはどうですか、高柳さん、今の……。
○参考人(高柳皎君) 大体私どもの工場ではそういう考え方を以てやつておりますけれども、私の工場自体が今度は製品を出した先でございます。それに対しましては同じく我々対下請工場というのと同じような関係が我々が売りました先に対して起きている。それを先ず根本的に調整して来ないことにおいては、下に対しての調整ができないと思います。又別に資金的な面を借入その他によつて賄つた場合におきましても、今度はそれに対する売出製品のコストが上るということで、三者がうまく融け合わないことにはいつまでたつても解決できない、こういう問題ではないか私心得ております。
○小林英三君 そういたしますと、あなたの会社では、丁度下請工場に対する自分たちの会社の立場と同じように、自分たちの会社の注文に対する支払が悪いから保証しない、こういうことになるのですか。
○参考人(高柳皎君) そういう点が非常に大きい。
○小林英三君 そういたしますというと、そういう場合においてなあなたのほうで自分の会社の工賃を払うと同じように、下請工場にも払つてやらなくちやならんということは、背に腹は代えられないから払わないということになるわけでありますが、そうすると下請工場に対する支払というものは、そういう状態でありますとだんだんと支払の未済残金が多くなつて来るというように考えられますが、そうなりますか。
○参考人(高柳皎君) 私のほうは最近におきましては少くなつております。
○小林英三君 そういたしますと、今まで溜まつたやつと新らしく納入されたやつは払うほうが今までの残金を出して払つている、そして償却して行くのですか。
○参考人(高柳皎君) そうでございます。これは業体に大きく関係いたしますけれども、現在の状況におきましては改善されつあります。
○小林英三君 それから何ですか、まあ鐘渕デイーゼルのほうだけそういうような支払状態のときに、下請工場のほうで黙つておりますか。つまり相当そり支払問題をもう少し改善してもらいたいと言つて面談を申込まれるようなことはございませんか。
○参考人(高柳皎君) 私のほうは大体常時私なり責任者が下請へ行きまして、金繰りその他の説明を受けまして、できるだけ範囲のことはやつておりますので、トラブルの起きたことはございませんです。
○小林英三君 そうすると先ほどのお話のように、どうも単価が、この工場は安い、こちらのほうが、安いようだがこつちへ廻そうという場合に、今の現在の会社の支払状態はこういう状態だそれでもいいか、これでもやるかというようなことを前以て念を押して御注文になるのですか。それとも支払うときに払えないということになるのですか。
○参考人(高柳皎君) 私のほうは各下請業者に行きまして、どこまでうちについて来てくれるか、例えば二百万までつける、三百万までつけるかと、はつきりした線を出してもらつてその以内にとどめております。
○小林英三君 二百万つけるとか、三百万つけるというのはどういう意味ですか。
○参考人(高柳皎君) 例えば未払ができた場合においても、二百万なら金繰りをやつて行つて仕事ができる、それ以上では資金的について行けない、こういうはつきりした線を出してやつております。
○小林英三君 そうするというと今のお話ですと、我々のほうへは国会の委員会等に、或いは公正取引委員会等に対しては、どうもこういう状態じや我々参つちやう、殊に銀行の手形の金利なども払わなければならない、全く見当がつかなくて、工場の経営がやつて行けない、何とか救済してくれということが殆んど全国的な一つの希望として国会にやつて来ている。我々こうやつて大いにやつておるわけでありますが、そうするとそれらの下請工場というものは、仮に私の会社は二百万まではよろしい、私の下請工場は三百万まであなたのほうが未払でも我慢するということを皆承知してやつておるのですか。
○参考人(高柳皎君) 大部分私のほうは承知してやつてくれています。まあ特に私のところは相手の大きいところが割合と多いのでございます。例えば神戸製鋼その他に関しましては一千万まではよろしいから入れるというような話になつておりますし、そういう点におきましては、例えば明電舎その他に対しましても、何台までは入れるからそれを払えというような話合いになつております。
○小林英三君 私のお伺いしているのは、明電舎とか、神戸製鋼みたいな大会社ではなしに、つまり中小工場なんかもやはり何ですか、そういうふうなことを十分にわきまえて了解の上でやつておりますか。
○参考人(高柳皎君) 大体主工場は了解を得ております。主工場というのは下請の主とした工場であります。
○小林英三君 下請の主とした工場というのは、長年の間あなたのほうについて来ておる工場でありますか。
○参考人(高柳皎君) 創立以来一緒にやつております。
○小林英三君 そういうのはどのくらいありますか。
○参考人(高柳皎君) 約十五くらい。
○小林英三君 そのほかに臨時の工場がどのくらいありますか。
○参考人(高柳皎君) あと約三十であります。
○小林英三君 そうするとその新らしいといいますか、新らしくついて来ている工場というものは、全然そういう事情は知らずに、了解せずにやつていますか。
○参考人(高柳皎君) 大体そう大きな未払を持つておりません。大体全部合せましても約二千六百万くらいでございます。そう大きな未払を持つておりません。
   〔委員長退席、豊田雅孝君着席〕
○小林英三君 そうするというと、神戸製鋼、明電舎というようなものは別といたしまして、中小企業のそういうような、あとでおつしやつたような何十というようなものが非常に困つて、そうして国会にも来、或いは公正取引委員会にも行く、こういう状態であると承知してよろしうございますね。
○参考人(高柳皎君) 私はそういうふうに考えておりません。私の工場に関する限りは現状でうまく行つていると、こう思つております。
○委員長代理(豊田雅孝君) ほかに御質問がなければ、質問を打切ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長代理(豊田雅孝君) それでは参考人の方に御挨拶を申上げます。長時間御多用のところをいろいろ資料を御作成願い、又御説明を願いましたことに対しましてお礼を申上げます。同時に当委員会といたしましては、今後この問題の解決にあらゆる努力を払うわけでありますが、参考人の方々におかれましても、今後一層下請に対する未払問題解決のためにこの上とも御尽力願うように併せてお願いを申上げまして御挨拶に代えます。
 これを以て本日は散会いたします。
   午後四時三分散会