第019回国会 文部委員会 第13号
昭和二十九年三月二十六日(金曜日)
   午前十時三十七分開会
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 出席者は左の通り。
   委員長     川村 松助君
   理事
           剱木 亨弘君
           加賀山之雄君
           荒木正三郎君
           相馬 助治君
   委員
           木村 守江君
           横川 信夫君
           田中 啓一君
           雨森 常夫君
           中川 幸平君
           吉田 萬次君
           杉山 昌作君
           安部キミ子君
           高田なほ子君
           永井純一郎君
           須藤 五郎君
  国務大臣
   文 部 大 臣 大達 茂雄君
  政府委員
   文部政務次官  福井  勇君
   文部省初等中等
   教育局長    緒方 信一君
   文部省大学学術
   局長      稲田 清助君
   文部省管理局長 近藤 直人君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       竹内 敏夫君
   常任委員会専門
   員       工楽 英司君
  説明員
   大蔵省主計局主
   計官      大村 筆雄君
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  本日の会議に付した事件
○国立学校設置法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○公立学校施設費国庫負担法の一部を
 改正する法律案(内閣提出、衆議院
 送付)
○学校教育法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○連合委員会開会の件
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○委員長(川村松助君) 只今から文部委員会を開会いたします。
 国立学校設置法の一部を改正する法律案に対しまして逐条質疑に入ります。御質疑のあるかたは御発言を願います。第二条。
○相馬助治君 第二条について質疑がありますが、第五条と連関しておりますので、第五条のところで発言を許して頂きます。
○委員長(川村松助君) 第三条の三の表中の欄について御質疑を願います。第四条。第五条。
○相馬助治君 私は第五条と連関して第二条を含めてこの法律が従前法律に任せていたものを、政令或いは省令に譲ることについて、重ねて稲田局長に一点御質問したいと思うのです。昨日までの同僚委員の質疑によりますと、国立学校の附属学校或いは教育研究施設、或いは幼稚園園等は、当然政令、省令等に委任することは、他の国家行政機関の上から見て、何ら不合理ではない、むしろこのような事項を法律で一つ一つ規定することのほうが、特例なのであつて、今までの法律の建前こそがむしろ矛盾があるものであると、こういう意味の答弁があつたのでございまするが、これは行政府としては一応さような考えも成り立つけれども、一体大学というものが、そのときの政府の意思によつて簡単に左右せられるということは望ましいことではない。むしろ法によつて確固厳然と定めるべきものであるということと、新学制発足日の浅い大学の内容について、これを厳粛な意味で規定するために法律に委ねていたという今までの歴史的な慣習というものは、やはり重視せられなければならないと思うのです。そこで今般政府は突然このような抜本的な改正を試みんとしたのでありますが、これはときの政府が良識ある場合はそれでもよろしい。併しいろいろ考えてくると、今の政党内閣においては問題が将来に残ると思うのであつて、仮りに法律に委ねていた事項を今般政令、省令に切替えるという抜本的な改正については、大学局長としては大学の自治を護るという意味合いから、省令、政令に譲つても、このような意味合いにおける担保があるから問題はないと、こういうことを当然お考えであろうと思うのですが、これらを含めて、一つ、の際速記に残すためにも、当局の見解を明らかにされたいと思うのです。私の質問はこの一点に限つておりますので、可なり詳細な御答弁を要求いたします。
○政府委員(稲田清助君) 只今の御質問の点でございますが、各大学、或いは高等学校の根幹をなします内容につきましては、今日以後といえども依然法律で規定するように私どもは考えております。即ち学部でありますとか、附置研究所でありますとか、或いはそのほか短期大学というような点につきましては別に変える考えはないのであります。ただ只今御指摘がございました第一の部分は附属の学校でございます。第二の部分は研究教育の施設でございます。これらはすべて前回定員について申述べましたと同様に、国会で御審議願いまする予算に具体的に個々的に現われております。予算案を政府におきまして国会に提出いたします場合におきましては、この国立大学の当局者はどういう学校が附属か、或いはどういう教育研究の施設が新たに設けられたかというようなことは、極く御承知な事情でございます。従いましてこれを法律に書移しましようとも或いは政令乃至省令に書移しましようしとも、当然の事実を書くわけでありまして、各学校に対しまして、勿論その間恣意を差狭む気持を入れるというようなことは毛頭でき得ない性質の趣旨でございます。若し予算にないものを、政令又は省令で書いたといたしましても、実施は不能でございますし、予算にありますものを政令或いは省令で書移さないといたしましても、それは単に予算の不使用になるという無駄な施設であります。さようなことはあり得ないと私は考えております。又これを今回政令又は省令に委ねましたところは第一は附属学校でございますが、現在法律に書いておりまするところはただ成る大学校において小学校、中学校或いは幼稚園を持つか持たないかという事実しか書いてないのであります。例えば東京学芸大学の十一も附属学校を持つているものも小学校、中学校幼稚園と書くだけであつて、一つしか持つていないものも小学校、中学校と書くだけであります。その内容は今日までといえども文部省令で十一の学校に区分はいたしているわけであります。それにいたしましても、何ら学校において異議も心配もなかつたわけであります。今後におきましても、この内容を具体的に学校につきましては政令で移し、教育研究施設では省令で移しましても、別にその間に心配になることはないと考えますから、かたがたこうした施設まで法律で書くというような行き方を政府全般の行政機構においていたしていない今日といたしまして、法令の整備の意味において政令又は省令に譲るという方法をとりましたことを御了承頂きたいと思います。
○委員長(川村松助君) ほかに御質疑ございませんか。速記とめて。
   〔速記中止〕
○委員長(川村松助君) 速記を始めて。第九条についてありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) 附則中の改正及び別表の点についてございませんか。
   〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○相馬助治君 別表第一については定員法にあつて、減員の分と、今度の新規の増員の分とを差引して載せているようですが、この各学校に割つけた定員についてはどんな経緯をとつてきめられたのですか。地方の意思なんかも相当聞いているのですか。
○政府委員(稲田清助君) 増員につきましては、各大学から要求せられました予算を文部省で検討し、大蔵省で検討いたしましてその結果最終予算の決定の経緯は各大学が御承知でございます。又政府部内におきまして行政整理方針を立てましたのは予算決定の以前でございまするから、各大学としては一方において増を、一方において減を心得られながら予算折衝にずつと終始せられた、こういう事情でございます。
○委員長(川村松助君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(川村松助君) 速記を始めて下さい。
 暫時休憩します。
   午前十時五十一分休憩
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   午後三時六分開会
○委員長(川村松助君) 只今から文部委員会を再開いたします。
 国立学校設置法の一部を改正する法律案につきましての逐条審議を行なつております。
○須藤五郎君 ちよつとその前に私申上げたいのですが、昨日提出されました、前に私が要求してありました国立学校の各学校別の予算を出してくれと、昨年度と二十九年度との予算を出してくれということに対して昨日資料として出されたようでありますが、よく私あとで調べましたところが、私の要求した予算書とは違うのです。というのは、これは給与だけの予算しか出てない。私は給与だけの予算を要求したのでなしに、すべての予算を学校別でもらいたい、総額でいいからということを私は要求したのですが、それが出てないのですね。甚だ遺憾だと思うのですが。
○政府委員(稲田清助君) 私としては人の定員のお話で定員の対照と予算と、こう続けてお話になりましたので、人の予算と心得たわけでございます。
○須藤五郎君 ただ定員だけじやなしに、予算の流用の面とかいろいろな面があつたと思うのです。
○政府委員(稲田清助君) 二十八年度の各大学別の予算の総額につきましては、これはもう年度を進行経過いたしましたので、恐らくお手許に提出することができるだろうと考えております。二十九年度につきましては、先般来お話がございました各部、学科、講座というような組織につきましてはこれは積上予算でありますから、お手許に差上げましたような学校別の予算の区分はお目にかけることができるのでございますけれども、御承知のように三百三億の国立学校運営費と申しますものは、およそ国立学校に関しまする建築費を除きまするあらゆる費用が盛込まれております。そのうちには修繕費もございますれば、或いは又設備費等もございまして、これらは一年を四半期毎に区分いたしましてその状況に応じて各大学の需要に応ずるわけでありまして、年度も経過せざる今日におきまして三百三億を各学校別にすつきり割振つたという予算の表はお目にかけることができないことを御了承頂きたいと思います。
○須藤五郎君 少し話がおかしいと思うのですが、要するにこういうふうにしてしまつても予算審議に当つていろいろなことが明らかにされるはずだというふうな意見だつたと思うのです。それで参考人の木下教授もそういうような意見だつたと思うのですが、今の答弁だとそれが狂つて来ると思うのですが、どうでしよう。
○政府委員(稲田清助君) ちつとも狂つてないのでございます。先般来申上げておりますのは、各部、学科乃至は講座というような組織に関しまする予算はこれは積上予算である。従来各大学で教授が何人、助教授が何人、それに対して何人の増ということは新規事業で予算決定のときにわかる。ですから、只今お手許にお目にかけておりまする部分の予算につきましては、これはもう確定しておるのでございます。それから国立学校運営費と申しましても、人の経費ばかりでなく、中には小破修繕費或いは大きな設備費、或いは土地購入費、そういうような種類の予算があるわけでございます。これは年間を通じまして各大学に割振るわけでございます。従つて年度の終りにおきましては東京大学に出ました国立学校運営費の東京大学分の総額が幾らということはこれはわかるのでございます。ただまだ第一四半期も出発せざる今日において三百三億を全部各大学に割振れというお話になりますると、そうした各種の費用がありますので、それは困難だ。先日来ここで問題になつておりまする人の定員が予算に即してはつきりする、それを法律で書こうと政令で書こうと、ただ移すだけだというその部分の予算は、只今お目にかけております程度で御了承頂きたいと思います。
○須藤五郎君 私は参考資料としてそれじや二十八年度のそれを次の機会に提出して頂けるものならお願いします。
○委員長(川村松助君) 逐条御質疑に対して御発言がありませんか。本案に対する御質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) 御異議がないと認めます。
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○委員長(川村松助君) 次に公立学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案について審議に入りたいと思います。
○相馬助治君 その質疑に入ることは勿論順序として結構ですが、その前に政府当局から何か発言がございませんか。
○委員長(川村松助君) 只今近藤管理局長からお答えいたします。
○政府委員(近藤直人君) 公立学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案でございますが、先に衆議院の文部委員会に提出いたしまして御審議をお願いしたのでございますが、政府案に対しまして修正がございます。その修正案につきまして、ここで朗読をいたしますか、如何いたしましようか。
○委員長(川村松助君) 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
○委員長(川村松助君) 速記つけて下さい。
 政府のほうから修正した箇所を説明いたします。
○政府委員(近藤直人君) それでは申上げます。公立学校施設費国庫負担法中第五条を修正いたしまして、第五条の第二項でございますが、その二行目でございます、「義務教育の年限の延長に伴う公立学校の施設の建設に要する経費は、中学校、盲学校及びろう学校の校舎又は寄宿舎について、政令で定めるところにより、その教育を行う」云々と、「政令で定めるところにより、」を附加いたしまして、これが改正の要旨でございます。
 而して附則のほうにおきまして附則の三項を全文削除いたしまして、要するに公立学校の施設の基準、校舎についての児童及び生徒へ当りの基準につきましてはこれは政令で規定をする、法律の上でこれを表さないということが政府案の改正の趣旨でございます。その理由とするところは、公立学校の施設の基準につきましてはこれは戦災学校の場合並びに災害復旧の場合におきましてやはりこの公立学校施設費国庫負担法の施行令によりましてその基準を規定してございますので、義務教育印限の延長に伴う公立学校の施設の建設の場合におきましてもこれに倣いましてその基準につきましては法律から外しましてこれを政令に譲ることが適当である、殊に一人当りの基準が〇・七坪でございましたのをこのたび予算の上におきまして一・〇八坪に認められましたのを機会にこれを政令に譲ることが適当であるというのが政府案の提案の趣旨でございます。それに対しまして衆議院のほうにおきましてはその政令に譲ることは適当でない、義務教育年限の延長に伴う公立学校の施設の建設に要する場合における児童、生徒一人当りの基準坪数につきましてはこれは極めて重要な問題であるからこれを法律に明定することが適当である。殊に従前法律で附則に明定をしておつたものを殊更これを法律から外して政令に譲るということは適当でない。かような重要な事項につきましては、これは同じくやはり法律で規定することが適当である。従つて法律の附則の第三項におきまして〇・七坪とあるのを一・〇八坪に修正すればこと足りるということが衆議院におきまする修正理由の主要な点でございます。以上修正案につきまして又政府案につきまして概略御説明申上げました。
○相馬助治君 今管理局長から衆議院で修正された大体の結果と経緯とを報告になつたのですが、それに関して一点伺つておきたいことは、衆議院においてこれが全会一致修正になつているというこの事情ですが、最初政府の出した原案では、従前法律で規定していたものを政令で定めるということになることによつて、文部省の権限が強大になるからこれを法律に任せるべきであるというような考え方ではなくて、逆にそうしたものを政令に任せておくならば予算獲得上文部省が大蔵省等から圧迫をこうむつて、十分な公立学校の施設費を確保できないという杞憂に基いてさような修正案がなつたということも聞いておるのですが、討論の過程を通じては、その問題については文部当局はその点どのように御認識ですか。この際見解を明瞭にされたいと思います。
○政府委員(近藤直人君) 沿革的に申上げますと、公立学校施設費国庫負担法を制定いたしまする際におきましては、これは政府案でございます、その際におきまする政府の考え方といたしましては、この法律の第五条第二項の経費の算定基準の規定の上におきましては、基準につきましてはこれを政令に譲るという考え方を以ちまして政府案を提出いたしたのでございます。それが国会に出まして文部委員会の修正を受けまして、その基準につきましてはこれは政令ではいかん。これは重要なことであるから法律で規定すべきであるということで同法の附則第三項にこれが規定された経緯でございます。従つて今回この公立学校施設費国庫負担法の一部改正をいたす場合におきましても、政府といたしましては従来と同じような実は考えを以ちまして、その基準につきましてはこれは政令で規定するのが妥当である。現にこの法律の施行令におきましては戦災学校の場合並びに災害復旧の場合におきましての基準を政令で規定しておるのでございます。従つてこの義務教育年限延長の場合におきましても、その基準を政令に規定することが適当である、これは政令の事項であるという考え方は一貫しておりますので、従つて今回の改正案につきましてもさような政府案を提出したのでございますが、衆議院におきましてさようなことはいかん、これは極めて重要なことであるから従来通り法律の上で規定して、法律の附則を改正するということにしろということで修正されたのでございます。従つて只今相馬委員から御指摘になりました点でございますが、その点につきましては、文部省の自由にするからいかんということではなしに、或いはお気持としましては大体大蔵省の関係もあることだから、むしろ文部省の立場を擁護する意味におきまして、従来通り法律の上でこれを修正することが適当であるというお考え方であつたろうと私は御忖度申上げるのでございますが、それ以上のことにつきましては、はつきり申上げられませんが、恐らくお気持としましてはさようなお気持が十分あつたのではないかと推測いたします。
○相馬助治君 その御忖度申上げている気持は衆議院の気持ですか、今の答弁は。
○政府委員(近藤直人君) 衆議院で修正されましたので衆議院でございます。
○相馬助治君 その衆議院の見解は文部省としては批判の限りでは勿論ないと思いますが、立法府と執行府は違いますから、批判する自由はあなたは持つていないと思いますが、併しその衆議院のそういう意思は文部省としても十分尊重されるものであるというふうなあなたはお考えですか、今後も。
○政府委員(近藤直人君) 衆議院で修正を受けました要旨は先ほど申上げましたように、これは法律事項であるという御見解の下になされたものと考えるのでございますが、なおそのほかに先ほど相馬委員から御指摘になりました、その気持においてどうかということでございますので私御答弁申上げたのでございますが、さような御気持がございますれば、私としましては十分ありがたく受け取るつもりでおります。
○相馬助治君 私は大臣か次官を呼んで来てもらいたい。私が言わんとするところは、国立学校の設置法の一部改正案は逐条審議が終つた段階に来ておりますけれども、これは文部省の御説明によれば事は極めて重大であるし、而もこういうものを一々法律に委ねるべきでないから、これは政令乃至は省令にするように法改正をするのだ、こういうことなんです。一方ではそれと符を同じうするように公立学校施設費国庫負担法の一部改正法律案も従前法律で規定しておいたけれども、政令に任せるように衆議院に出したところが、全会一致を以て政府案はその趣旨は否認されて、従前通り法律でやれということを規定された。その精神というものはむしろ文部省の権限を拡大するというようなことではなくて、衆議院としては文部省の権益を守つて予算獲得上便宜ならしめるようにさような修正をしてくれたのであるというふうに思う、こういうふうに管理局長は申しておる。尤もそれは私の誘導尋問に引つかかつたというか知れませんけれども、私はそういう意味の悪いことを育つておるのではなくて、私は国立学校設置法でも実はそれを恐れている。現在の文部省として定員法等が今後強化されて大学教授の首切り等が行われた場合に、今の法律の建前ですと、仮りに定員法が成立しても、一方において大学教授は定員がきまつているからそれで闘う立場がある。ところがその肝心のところを全部政令に委ねたということになると、今後は大蔵省の恣意によつて文部省は人員確保をする場合に非常に困難を来たすだろうと思う。そういうことになればこれは又質疑は一応終了しておるけれども、国立学校のほうも思い直して徹底的に反対しなければならんので、これはどうしても大臣か次官に話を聞いておきたいと思う、これは食い違つている。
○委員長(川村松助君) 速記をやめて下さい。
   〔速記中止〕
○委員長(川村松助君) 速記を始めて下さい。
 相馬委員の発言を一時打切りますけれども、これを以て大臣或いは政務次官から御答弁申上げましたその結果に繋がりまして、その間に荒木委員の質疑に移りたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)荒木君御発言願います。
○荒木正三郎君 今度の法案によりますと、従来中学校においては一人当りの基準坪数が〇・七坪であつた。それが今回は一・〇八坪に引上げられることになつている。これは私は一歩前進であると思います。併し〇・七坪というのは余りにも教育の実態を無視した坪数であつたと思います。で、これはできるだけ早く解消して、そうして適正な基準にまで引上げる必要があるということはしばしば言われて来たところでありまして、その意味におきまして一・〇八坪に引上げられたということは一歩前進であると思うのですが、併しこれでもなお教育上相当な支障があると私どもは考えております。そういう意味で文部省では適正な基準にまで引上げて行くということについては、どのようなお考えを持つておられるか、この際お聞きしておきたいと思います。
○政府委員(近藤直人君) 御指摘のように従来の一人当りの基準坪数が〇・七坪と申しますのは、これは僅かに教室と廊下と便所だけの極く狭隘な坪数であるわけでございます。今回予算上認められました一人当りの坪数は一・〇八坪でございます。この一・〇八坪になりますると、先ほど申上げましたほかに、特別教室の若干とその他管理室、教職員室の若干がこれに付加されるわけでございますので、余ほどこれによりまして緩和されるものと考えられます。併しながら適正基準と申しますか、一応私のほうで算定いたしました坪数は二・二六坪でございます。この適正坪数から申しますとまだまだ足りませんので、将来ともこの基準にまで引上げまして、義務制年限延長の中学校の施設に対しましては、国がこれを助成して行くという考え方には変りはございませんので、将来ともそういう方向に予算措置をし且つ又法律改正というような方法を講じて、できるだけ国がこれを援助して行くという考え方には変りはございません。
○荒木正三郎君 この適正基準の問題ですが、私は中学校における適正基準は一・六坪が普通の概念になつているのじやないかと思います。今近藤局長のお話では一・二六坪、こういうようなお話でしたが、これは適正基準じやないと思うのですが、この点について御説明を願いたいと思います。
○政府委員(近藤直人君) 今までの〇・七坪は、これは応急最低基準と申しておりますが、然らば最低基準と申しますのは何坪かと申しますと、これは私先ほど申上げました一・二六坪でございます。ちよつと間違いましたので訂正方をお願いいたしますが、一・六坪になりますと、これは適正基準でございます。従つてその一・六坪に行く前提といたしまして一・二六坪を最低基準に先ず到達し、且つ又更に進んで一・六坪の適正基準まで進めて行きたい、かように考えております。
○荒木正三郎君 今の説明で将来の文部省の考え方というものは一応明らかになりましたが、そこでお尋ねいたしますが、一・〇八坪の年次計画ですね、これをどういう計画で達成するようになつておるのか、そのことについて一応御説明を願います。
○政府委員(近藤直人君) 一・〇八坪の計算を一応いたしましたのによりますると、只今八十五万坪の不足があるわけでございます。従つてこの八十五万坪を年々充足して参らねばならないわけでございますが、その年次計画と申しますか、これはいろいろそのときの財政事情によりまして変わるわけでございますが、只今考えておりまする年次計画は五カ年を以てこれを解消する。従つて八十五万坪の五分の一を初年度に計上するということが必要なわけでございますが、いろいろ財政の事情もございますので、本年度二十九年度はその初年度に当るわけでございますが、二十九年度におきましては十分の一の八万五千坪を計上してございます。従つて五カ年と申しましたのはそれは不均等五カ年計画というふうに御了解願いたいと思つております。不均等五カ年、又財政事情によりまして更にこれを殖やして行く、まあ目標といたしましては五カ年計画を目標とする、併しながら財政事情によりまして更にその年度分の、単年度分の坪数を殖やすというような考え方でございます。
○相馬助治君 関連して、不均等計画という珍らしい名前を聞いたんだが、それをちよつと概念が私つかめないのですが、何ですか、計画の年次は動かないのですね、例えば五年なら五年というものは動かない、それを五つに等分したものじやなくて、そのときの財政事情に見合つて極く僅かなとき、それからたくさん出すとき、これが不均等と、こういうものですか。
○政府委員(近藤直人君) そうでございます。
○相馬助治君 さようなことで達成し得る見通しに立つておるのですか、そうして又不均等計画であつても計画はあるはずなんですね。
○政府委員(近藤直人君) 一応そういう五ケ年計画で考えておりますので、まあ財政半肩によりまして例えば昭和三十年或いは三十一年度の財政事情によりまして通常の場合には五分の一でございますが、それを更に増額するという予想の下に一応不均等五カ年計画ということで出発いたしたのでございますが、一応本年度に計上いたしました分は十分の一でございます。従つて今年度から累進すれば十年計画というようなこともできるわけでございますが、私どもの考え方といたしましては成るべく早くこれを充足したいという気持から不均等五カ年計画というものを申上げたのであります。
○荒木正三郎君 もう少し私は明確に聞きたいと思うのです、というのは一・〇八坪に擁するためには八十五万坪の建築が必要である、こういうことですね。これを五カ年で達成しよう、そこで今年度は十分の一の八万五千坪を予算化しておる、こういうことなんですか、それでは来年度、再来年度五カ年で達成しようというのですから、その年次計画はどうなつているのかという質問なんです。ですからその年次に沿う建築の坪数を、明確にしてもらいたいと思うのです。(「その通り」と呼ぶ者あり)
○政府委員(近藤直人君) まだそういう検討はいたしておりませんので、二十九年度分のみにつきまして先ほど申上げたのでありますが、将来の五年間の年次計画につきましてはまだこしらえてございません。
○荒木正三郎君 それでは少しおかしいと思うのですが、五カ年計画でこれを実現したい、こういうお話なんです。そうすれはどういうふうにしてこれを実現するかという内容が当然なければならない。そういう内容のない五カ年というようなものは意味がないわけなんで、これは五カ年計画と言えないじやないですか、局長どうですか、これは常識論ですから。
○政府委員(近藤直人君) 或いはそういう御意見もできようかと思つております。(「意見じやない」「実際だ」と呼ぶ者あり)私どもはこれを成るべく早く完了したいという考え方からさように申上げたのでございますが、予算の計上の面におきましては、これは十年計画のような形になつております。私どもの気持としましては、これを少くとも五年以内に発成したいという気持から申上げたのであります。
○荒木正三郎君 それでは大蔵省のほうにお伺いいたしますが、このことについては大蔵省も五カ年計画でこの実現を図ろうというのについては文部当局との問には了解ができているかどうか、そういう点についてお伺いします。
○説明員(大村筆雄君) 八十五万坪全部やるにつきまして、これは相当百億以上、金がかかるのでありまして、これを五年間でする、これはやりたいという文部省の御希望についは私ども十分尊重したいとは思うのでありますが、来年度以降の財政規模の負担能力という点勘案いたしますと、確実にこれは五カ年計画でやり得るというお約束はできないと思います。できるだけ文部省の意見も尊重し、できるだけ義務教育年限延長に伴う校舎の不足坪数の解消を図つて行く、そういう気持であります。
○荒木正三郎君 どうなんですか、文部省の気持を尊重するという程度ですか五カ年計画には大蔵省も大体了承しておるかどうか、そういう点を三つはつきりおつしやつて頂きたいと思います。
○説明員(大村筆雄君) これは三十年度以降の財政負担等の問題でございまして、私どものほうといたしましては、これについては五年間で確実にやるということは責任を以て御答弁はできませんです。差当つては財政の負担できる範囲内で、できるだけやりたいという気持を持つております。
○荒木正三郎君 そうすると、管理局長にお尋ねいたしますが、この五カ年計画というのは、私は雲の上の計画のように思うのですよ。まだ内容は殆んど検討されていない、こういうことになるわけですが、それをわざわざ五カ年の不均等、何ですか忘れましたが、そういうものを考えておると非常に大袈裟のようにおつしやつたのですかどうですか。
○政府委員(近藤直人君) 不均等五カ年計画と申上げましたのは、非常にまあ誤解を招いておるようなことでございますれば申訳ないのでありますが、ただ気持といたしまして、成るべく十年の長いことでは実際として困る、五年程度でこれを是非完成したいという気持からまあ不均等五カ年計画ということを申上げましたが、まあ予算の面におきましては、これは形は十年計画の形になつております。併し将来とも然らば……
○荒木正三郎君 いや、それはわかつているのです。
○政府委員(近藤直人君) 十分の一で行くという気持ではございませんので、できるだけこれを短縮しまして、五年計画で完成したいという気持から申上げたのであります。
○荒木正三郎君 私のお尋ねしているのは五カ年計画というものが政府部内において了解されておらんじやないかということを尋ねておるわけです、おれば非常に幸せです。その点をはつきり育つてもらいたい。今大蔵省のほうでは了解しておるというふうには答弁できないと、こう言つておられるのですが。
○政府委員(近藤直人君) 御指摘のように完全な了解ではございません。
○荒木正三郎君 私はそれでは文部省は無責任だと思う。なぜかというと今度法案の改正を提出しているわけなんです。文部省の原案には法律の中に一・〇八坪というのは載せなかつた。けれども政令の中で一・〇八坪という基準に引上げるようにはつきり出して来ておるわけです。一・〇八坪の基準に引上げるのだという以上は、少くとも計画というものがなくてはならんと私は思うのです。計画がなくて法律だけで一・〇八坪までに引上げるのだというふうな法律は出せないと思う。そうすれば当然私はこの法案に伴うやはり裏付けとして一・〇八坪に達するまでの計画というものは、政府部内において固まつていなければならん。ところが今開くと全然固まつていない、差当り来年度の予算だけしかきまつていない、こういうことは私は文部省の非常な無責任だと思う。そういう点文部省はどういうふうに考えておられるのですか。
○政府委員(近藤直人君) まあ全体坪数は八十五万坪と一応固まつておるのでございますが、なおこの点につきましては、これは本年度の五月一日に更にこの再調査をする予定でございますが、一応八十五万坪という計画がきまつておりますので、これをなし崩しに解消をいたして行くわけであります。その場合に基準坪数をどうするかという問題でありますが、その基準坪数は予算上の措置として一・〇八は認められましたが、それを政令で書くか法律で書くかという問題であろうと思います。それに対する私どもの考え方といたしましては、先ほど申上げましたように、これを政令で書くのが至当であるという考え方で出発したのでございますが、国会の御意見がございまして修正されたのでございます。従つて……
○荒木正三郎君 私の質問の要旨は、一・〇八坪という基準を設定した以上は、これを実現するための計画というものがなければならないと思う。その点どうも政府に計画がないようです。その点を私は尋ねているわけです。
○政府委員(近藤直人君) 八十五万坪を今後年々予算と睨み合せましてこれを充足して行くという考え方であります。計画と申しますと何でありますが、これは財政の、そのときの事情によりまして、いろいろ変化がございましようが、一応私どもの考えている点は、今後におきましてはこの計画でやりたい、併し、初年度の予算としては十分の一を計上したということで、将来は、やはり大蔵当局と話合によりましてこれを極力短期間に完成するようにしたい、かように考えております。
○荒木正三郎君 そうすると端的に言えば、来年度の分はきまつているが、そのあとの分はこれから話をして行くのだ、こういう程度になるわけでありますか、これは非常に私はお粗末だと思います。
○高田なほ子君 関連して、大体わかりましたが、八十五万坪を一五年計画でやるとおつしやる通りに解釈して行きますと、この八十五万坪というのは何年度の児童数に対するこれは計算ですか、児童数は、何年度の児童数で割出された八十五万坪ですか。
○政府委員(近藤直人君) これは三十九年度当初の不足坪数でございますので、実際の児童数は二十七年、二十八年の五月一日であります。
○高田なほ子君 五年計画或いは十年計画というのに二十七年度の児童を基準として割出された八十五万坪というこの坪数それ自体がもはや狂つて来ている、基礎的な八十五万坪が狂つている。而もその資金の裏付がないということになれば、これは全く空文に等しいという結果になると私は思います。関連質問ですから、これだけにしておきます。
○荒木正三郎君 その点今高田委員からもお話になりましたが、次に問題になるのは八十五万坪です。これは児童生徒は年々増加しておる。昭和二十九年度でも、中学校だけでも五十万増加する。それを二十七年、二十八年というふうなところで児童、生徒数を抑えて、そうして八十五万坪を出しておる。これはもう実数ではないわけです。そういう意味で、将来児童生徒はどのような増加傾向を迫るかということを説明願いたい。少くとも、最近の五年或いは十年の間にどういうふうに生徒は増加して行くか、これはこの一・〇八坪を完成するための重要な要件になると思う。そういう意味においてどういう増加傾向を迫るか、それを先ず私は説明願いたい。
○政府委員(近藤直人君) 御指摘のように児童、生徒は急激に最近殖えて来るわけでございます。特に昭和二十九年度の初におきましては、小学校は五十万、中学校は五十三万程度殖える推計ができております。更に昭和三十年度におきましては中学校の生徒につきまして申上げますと約七十五万、それから昭和三十一年に約八十四万というような異常な増加を示して、カーブを描きますと、上昇しておるわけでございますが、これが昭和三十一年から下り坂になりまして、増加率もずつと減つて参ります。而して昭和三十七年度更に飛躍的に増加いたしまして、約百八十万というふうに激増して参ります。これは昭和三十七年度がこの増加の最も著しい山になる勘定になりますので、そういう事情でありますので、この学校の年限延長の施設費の補助の場合におきましても、そういう点も十分考慮して考えねばならんと承知しております。
   〔「関連して」「関連して」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) 荒木君のほうから、関連質問を差控えたいという申出がありますから。
○須藤五郎君 その前に僕はちよつと聞いておきたい。私は〇・七坪というものそのものがもう今日は全部完成しておるのかということ。それからこの前そのことで質問があつたときに、まだ全国的に実は完成していない。それでは〇・〇八というのは予算は取つたかというと、〇・七坪できていないのだ。放つたままで〇・八にかかるのかという質問があつたときに、いや、そうじやない、〇・七坪を先ず最初に優先的にやるというような御答弁だつたと思うのですが、そうなつて来ますと、今年度〇・八の予算を取つても、今年度すらもまだそれが実際的にはその方向に行かないという結果が来るのであつて、ますますおかしいのじやないかと、そういうふうに思うので、そこの点をちよつとお尋ねいたします。
○政府委員(近藤直人君) この前申上げたと思いますが、この一・〇八坪の人当りの基準によります坪数の中には、勿論〇・七坪に達していない不足分も包含されております。従つて一・〇八坪と申しますのは、分析いたしますと、零から〇・七坪までのものと、〇・七坪から一・〇八坪までのものと両者が包含されておるわけでございます。従つて然らばどのくらいの割合に〇・七坪がまた足らないものが残つておるかということになりますが、これは昨年の調査によりますと、約十八万坪と私は申上げたと思いますが、それを更に今年の五月一日を期しまして全国的に調査をいたしますので、それによつてはつきりした不足坪数が出て来るわけでございますが、その場合には恐らくこの〇・七坪の不足坪数というものは相当減つて上つて来るという推測をいたしております。と申しますのは、全国的に申しまして、大体〇・七坪を助成して参りました結果、それに対して市町村が自体で以て、自己負担においてこれを充足している面も相当ございます。又起債によりましてこれを充足している画も相当ございますので、全国的なレベルを申上げますと、ほぼ一坪に達しておるのじやないかというふうにも考えられるのでございます。大体そういう状況で、少くも〇・九坪くらいまでは私は行つておるのじやないか、こう考えられますので、従つてまだ〇・七坪まで達してないものが若干残つておりましようが、その不足坪数はそう多くはないという推測をしております。
○須藤五郎君 余り質問をすると荒木さんに悪いから私は質問しませんが、それでは今年中に〇・七に満たんという所は全国的にどこもないということですか。
○政府委員(近藤直人君) そういうことは今度五月一日の調査によりまして明確になるわけでありますが、その際〇・七坪が相当数出ておりますれば、それを優先的に充足するとこの前も申上げましたが、今もそのように考えております。
○荒木正三郎君 今須藤君の質問のあつたことも私相当重要な問題だと思うのでございます。私も質問したいと思つておりましたが、これは又お譲りいたします。十分やつて頂きたいと思いますが、そこで先の質問の続きなのですが、昭和三十一年度には大体生徒数は中学において八十四万人殖える。次に三十七年度については更に大きな増加があるというのですが、これはどのくらい殖える見込みですか。
○政府委員(近藤直人君) 私の手許にあります資料によりますと、これは推定でございますが、三十七年度には約百八十七万の増になります。そのときには中学校の生徒数は六百八十五万、一応そういう推定でございます。
○荒木正三郎君 そうすると三十七年度は、これは大分先の問題だと私は思うのです。今文部省で考えておるというのは五ケ年計画、そうすると、その五ヶ年計画の中に入つて来る年度として、は三十一年度があると思うのです。三十一度年に八十四万ですか殖える。これは当然計画のに考慮されなければならん問題だと思うのですがね。従つて一・〇八坪という基準を実現するというためには、三年後に来る三十一年度の生徒の増加数、こういうものが基準になつて計画を立てられなければ、二十七年、三十八年の少い生徒数を基準にしたのではそのときすでにその基準は潰れてしまうことになる、そういう点はどのような考えを持つておられるか聞きたい。
○政府委員(近藤直人君) 一応考えられますることは、確かに御指摘のように二十九年、三十年、三十一年には自然増があるわけでございますから、その生徒の自然増を見込んで国が所要の援助をするということは、当然これは考えなければならんと思います。そこでその際の基準をどこにおくかという問題になると思いますが、一応そういう場合には、その殖えた年度の生徒数をとるということが私は妥当だと思います。そのとる際のとり方といたしまして、基準年度をどこにおくかということはいろいろ考られると思います。仮りに昭和三十九年五月一日を基準にとりましても、昭和三十年、三十一年に異常な増加があるわけでございますから、その際にその基準をやめて昭和三十年の基準をとる、或いは又昭和三十一年の基準をとるという考え方もできますし、或いはのつけから三十、三十一年という基準をおくことも考えられる。要するに、その異常に殖えた生徒の増加を対象に見込むということが、これが前提の問題だと思います。この点については私もそういうように考えております。
○荒木正三郎君 その点大蔵省のほうのかたにお伺いするのですが、当然私もそういう自然増加の生徒数というものを基準にして考える必要があると思うのです。これを少い頃の生徒数というものを据置にして計画したのでは意味がないと思うのです。そういう点は大蔵省のお考えはどうでございますか。
○説明員(大村筆雄君) 只今の御質問は自然増加に伴う不足坪数をどうするかという御質問だと思いますが、私ども従来六・三制の問題につきまして考えておりましたところの考えを申述べますと、従来六・三制につきましては、これは二十四年たしか四月三十日現在かと思いました。この時期を基準といたしまして、そのときの生徒数を以て〇・七坪と算定して参つて来たのであります。ということは一定条件を基準といたしまして自然増を見ないという建前であつたのであります。これはなぜかと申しますと、学校教育法に書いてありますが、学校建築経費設置者負担の原則に基きまして学校建築経費は当然設置者が負担すべきであるというのが明治以来の原則でありましたが、その原則に基きまして、国、地方の負担というものができております。それで終戦後に六・三制の義務教育期間延長という、国の施策に基いて教育施設が改革になり、その結果、国で以て半額負担する、これは従来学校建築についてはそれまでは国は全然負担をいたしておりません。国といたしましては従来からの原則に従いまして、これは地方債で、地方の財政でやる、こういう建前でありましたが、終戦後のああいつた経済的混乱、それに加えると地方財政の窮乏、そういう情勢の下で国家財政で負担して参つたのであります。ただその場合に時期といたしましては財政負担の関係もありまして、一定時期で切つております。それは二十四年四月三十日現在で計算して参りますと、これは二十七年を以て〇・七坪になると終る。そういう計算になるわけであります。二十七年末になりますと……。ところが〇・七坪のほうの不足だけでも相当の不足坪数が残つておる現状でありまして、これはなぜかと申しますと、戦災都市の疎開人口が相当転入して来た、それから自然増ということがございまして、従いましてそれをそのまま国庫負担を打切りますと相当な地方財政に対する圧迫となり、従いましてその間の増加の点につきましてはなお当分〇・七坪の不足の解消という点から参りましてこれは見て参つておるわけでありまして、ただその場合に国庫負担の時期といたしまして一線切らなければならんのでありますが、この〇・七坪というのは相当窮屈な坪数でありまして、基準に相当無理がある、そういう観点から当分の間三十七年度を暫定的に見て来たわけであります。ところが二十九年度よりいよいよ〇・七坪の基準を一・〇坪に引上げるにつきましては、国庫負担をする時期というものを一応限らなければいかんのじやないか、その点から考えまして基準時期は一定にすべきじやないか、そういう点から、只今管理局長の御意見がございますが、私どもといたしましては二十九年五月一日、これはまあ最近における相当生徒が増加する年度でございます。この年度を基準といたしまして国庫負担を続けて行つたらどうか。但し今管理局長が御説明いたしました通り、これはその後におきましても数年間は相当生徒が増加して参ります。これは一体どうしてくれるのだという問題の提起もございます。それから先般衆議院におきましても、著しい自然増加の場合には何とか考えるべきじやないかというような附帯決議もございました。これは私どもまあ十分尊重しなければいけないと考えております。従いましてそういう点算定基準を政令に求めます場合には、著しい自然増加があつた場合にはできるだけ考慮できるように政令で規定して行きたいと、かように考えております。
○荒木正三郎君 それでは私はまだ二、三賀間がありますが、大分時間をとつておるようですから他のかたの相当御質問がおありのようですからここで一応中止いたしまして。
○相馬助治君 今荒木委員の質問によつて近藤局長の答弁が行われたのですが、全く了解することは私はできないのです。計画というからには自然増の子供たちの頭数を一方では抑えて、いわゆる現実に即した理想業を立てる。ところが国の財政規模があつて、それから来る圧迫があるから、片方は大蔵省と交渉して文部省の希望通りには行かないけれども、財政事情を勘案して、この程度に抑えて行く。先へ行つて崩れるか、崩れないかの問題は残るけれども、初年度に八万五千坪を起算する場合には次年度からこういう計画でやる、こういう数字が出てこそ初めて年次計画によるこれは予算の計上だということを我々は甘えるわけだと思うのです。近藤局長の話では不均等何とやらの年次計画だと言われるが、財政的な面からすれば、主計官の説明で明らかでありますように、今年の予算から抑えて行けばこれは十年計画だ。十分の一計上しているのだから、而も又これを十年計画と言えない理由は、自然増の児童数を明確に文部省が把握していないと思うのです。これは実に私どもから言わせれば怠慢と言わざるを得ない。なぜならば特に中学校の場合には小学校の子供たちを明確に数えれば六カ年間分はわかつているはずなんです。どういうふうに中学の生徒が殖えて行くか、小学校の自然増を計算するよりもこれは非常に簡単なことなんです。それらもはつきりしないで、大蔵省との交渉も今言うたようなことで、どうも年次計画とは受けとりがたいのですが、只今これについて文部省の理想案というようなものがあつて、それが大蔵省によつて崩されたのだ、こういうふうに思いまするが、文部省が当初考えた五カ年計画の案というものは何ですか。どういうものですか。その内容を。
○政府委員(近藤直人君) 先ほど荒木委員の際にも私申上げたのでありますが、五カ年計画の内容につきましてはまだ十分検討し尽しておりません。取りあえず本年度の分からスタートいたしまして、将来これをできるだけ簡単に解消したい。できますれば五カ年間にこれを解消したいということから五カ年計画ということを申上げたのでございますが、結局仮りに八十五万坪を五年に割りまして、それを一応五カ年計画といたしましても、やはりその際のいろいろな財政事情ございますので、必ずしもその通り参りませんのが実情でございます。例えて申しますと、国立文教施設の場合におきましても将来七十万坪の増改築をしなければならんということで、これは九カ年計画を立てたのでございますが、やはりときの財政事情によりましてなかなか思うように予定通り予算がついて参りませんので、従つて五カ年計画がないというお話でございますが、ないと申しますればないのでございますが、これを五分の一として五カ年計画ということができる。その点は一つ御了承頂きたいと思います。
○相馬助治君 どうも近藤局長のお人格で、相馬君の言うようにないと言われれば、ないと言われてしまえば、これはどうにもならないので、どうも私は公立学校を整理して行く場合に文部省自体が計画を持つていないなんということだから、大蔵省になめられて、このしわ寄せが全部地方財政に来てしまうのです。一つしつかりして下さいよ。その問題はそれでいいです。
○須藤五郎君 関連して。先ほどちよつと質問途中で終つたのですが、今年内に近藤さんは〇・七坪を解消するという御意見だつたのですが、それは児童数何人に対して言つていらつしやるのですか。全国の今年の自然増百万と見積られるのですが、それを入れて〇・七がすでに解消するという、その点なんですか、どうなんですか。
○政府委員(近藤直人君) 〇・七坪の不足が全国で何坪あるかというお話…。
○須藤五郎君 そうじやないのです。今年〇・七坪は全部解消するという発言だつたと思うのです。ところが私たちは〇・七坪すらもおぼつかないという見解なんです。なぜならば、今年自然増が非常に多い。ですから、今年中に〇・七坪が解決しないのじやないか、私はその点で質問しているのです。そういう点です。それをどういうふうにあなたは考えられますか。
○政府委員(近藤直人君) 〇・七坪が約十八万坪であると申上げましたのは、これは昨年の五月一日現在の不足坪数でございます。従つて生徒の自然増がございますから、〇・七坪はもつと殖えるであろうという御意見だつたと思いますが、それは私もその通りだと思います。併しその場合にはこれは〇・七坪の不足とは考えませんで、それはその場合にはこれは別のケースとして考えまして、その生徒の自然増でありますから、この自然増としてそちらのほうで解決するという考え方をとつております。
○須藤五郎君 別の方法があるならば、それもまあ示されたいのでありますが、それはそれとして結局〇・七坪に満たないという事実は残るわけですね。
○政府委員(近藤直人君) 〇・七坪に満たないものもこれはあると思います。
○須藤五郎君 ところがそれをあなたは今年の一・〇八坪のほうから優先的にそれに廻して行くという御答弁だから、即ちあなたの五カ年計画というものが初年度から狂つてしまうという点を私は言うのです。それじや五カ年計画の初年度から狂うような計画を立てるということが、もう非常に矛盾撞着じやないかという点を私は申上げておるのです。それに対して科学者である福井次官がいらつしやる文部省においてこのような杜撰な計画を立てられるということが私はおかしいと思うが、その点一つ答弁して頂きたい。
○政府委員(福井勇君) 須藤さんにお答えいたします。私向うの採決が近かつたので向うに出ておりまして、大変失礼いたしました。今途中でこれを伺つたようなことで、今途中から入つて聞いただけで、私の答えが支離滅裂になりそうな心配がありますので、科学的にはつきりとお答えができないかも知れませんが、取りあえず近藤局長からもう一度。
○須藤五郎君 近藤さんから答えて下さい。
○政府委員(近藤直人君) 先ほど申上げましたように、この八十五万坪の不足の中には、〇・七坪の不足も加わつておるわけです。従つて八十五万坪の十分の一ですから、二十九年度はそれを充足する予算を頂いておりますので、それを補助金としてつけるときには、〇・七坪の不足に対して優先的にこれは考慮する。あと残りにつきましては、これは更に基準の引上げですから〇・七坪から一・〇八坪まで対象に考える、こういうことでございます。
○須藤五郎君 どうぞ皆さんは専門家だと思うのですが、私は専門は音楽なんですが、芸術家の私にもそういう算盤は理解ができません。もつと科学者らしく、責任ある立場にあるならもつと計画的にきちんと算盤に合つた計算をして、そしてやつてもらわなければいつまでたつてもこの問題は解決しませんよ、現に東京都内なんかは一クラス七十人の児童数にすると言つております。これは東京ばかりではない、栃木県でもどこでもそういう数は全国的に出て来るのだと思うのですが、東京都は中学が五十九名ですね、そういう数が示されておりますが、全国的にそういう状態になればあなたのおつしやるその一・〇八坪ということはよほど計画的に、そうしてよほど熱意を持つて、そうしてよほど愛情を持つて闘わなかつたらできつこないということを私は警告をするわけなんです。この点皆これまでの質問者も同じく心配して警告的な意見を述べているのだと思うのですが、文部省はそれに対してもつと誠意を以て答えてもらわないと、これは大蔵省もひとしく日本の学童に対して愛情を以て解決するように努力しなかつたらいつまでたつてもこのままで解決しないということを私は申上げておきます。
○政府委員(近藤直人君) 昭和二十九年の当初に当りまして生徒が激増するというので、それに対する財源措置をしてもらいたいという要望が昨年の暮でございますか非常に強いものがございまして、たしかその際には結局予算の措置が間に合いませんもので、これは起債措置によりまして財源を賦与したのでございます。これはたしか十五億の起債をこれは大蔵省と折衝いたしましてとりまして、それを激増の激しい都市に配付したのでございます。これによりまして本年の、二十九年の四月からの生徒の激増に対しましては緩和の方策になるものと考えております。将来ともこの起伏によりまして教室を至急に増築するということは、これは考えるべき方法ではないかと思つております。
○荒木正三郎君 端的に只今須藤さんの質問についてお尋ねいたします。〇・七坪に達していない所が相当あるということは事実です。この前私どもが山口県へ参りましたときに、山口県では〇・七坪に達しない所は、はつきりとした数字は忘れましたが、七千坪か八千坪あるという説明でした。これは全国的に相当あると思います。今近藤さんの説明では十八万坪というお話でしたが、そうですか。
○政府委員(近藤直人君) 三十八年五月一日の調査によります。約十八万坪でございます。
○荒木正三郎君 それでお尋ねいたしまするが、〇・七坪を優先的にやるというお話ですが、今年の予算を全部注入してもこの十八万坪できる勘定になりますか。
○政府委員(近藤直人君) なりません、それは。そこで本年の五月一日にこれを再調査しまして、その数字をあとで又……、十八万坪という数字自体がこれはいろいろなことで私は必ずしも正式なものじやないのじやないかという感じを持つておりますので、それを本年五月一日を期しまして全国的に調査いたし、決して、はつきりした数字をつかみたい、先ほど申上げましたように、たしか今全国の平均は〇・九坪まで行つていると思います。殆んど一坪近いものがございますので、〇・七坪に達しないというものは極く私は少いのじやないか、それは五月一日の調査によつてわかる次第でございますが、まあ一応そういうふうに考えております。
○荒木正三郎君 近藤局長どういうことなんですか、文部省の去年の調査では十八万坪あると、こういうのでしよう。今の説明では極く少いのだ、数字は示されませんでしたが、矛盾しているじやないですか。
○政府委員(近藤直人君) それは五月一日の調査を待つてみなければわかりませんが、私は推定を申上げたのでございますが、その調査をしてみれば非常に少いのではないかと思います。
○委員長(川村松助君) ちよつと待つて下さい、今政務次官からそれについての発言がありますから。
○政府委員(福井勇君) 委員長のお許しを得まして皆さんの御許可を得たいと思いますが、只今あと数分で衆議院のほうの採決であるようでございますので、大臣がそれにも出ておりますが、採決だけは出て、もう終る予定になつておりますから、お許しを得てそちらへ出席をさせて頂きまして、終り次第に大臣に出て頂くようにさせて頂きたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(川村松助君) 大臣の出席を求めましたから。
○荒木正三郎君 近藤さんのお話では〇・七坪を優先的にやりて、そうして残つたら残つた分を一・〇八坪のほうへ使うのだ、先ほどそういう説明であつたわけです。ところが私はどう考えても今年の予算では、〇・七坪に達しないものだけを建築するのでも今年の予算では足らない、少くとも二十億以上要りますよ、ちよつと計算しても。半額としてですよ、そうするとこの法案では、一・〇八坪という基準が出ております。これは非常に結構です。けれども〇・七坪にさえ達しないものが、来年度においても救済できない。こういう事情にあるのですから、これはそう立派な計画だけでお話になつても、実際はそれに伴わない、こういうことになつて来る。そこで十八万坪というのはどういう数字かというと、いや、よくわからんのだ、こういう話です。併しよくわからんという話ですけれども、今までの調査では十八万坪、それ以上の正確な調査がない以上は、ただ気分でそんなことは私は少いということは言えないと思う。ですから来年度においては、〇・七坪の分は全部解消するのだ、こういう方針かどうかということを明らかにしてもらいたい。
○政府委員(近藤直人君) 〇・七坪を優先的に解消するということは、私申上げておるのでございますが、これは先ほど申上げましたように五月一日を期して、もう一度調査してみねばわかりませんので、その調査の上で私は方針をきめたいと思つておりますが、気持といたしましては、〇・七坪が若し残つておりますれば、それを優先的に解消したい、かように考えております。
○高田なほ子君 ちよつとお尋ねをいたします。今度裏のはうからお尋ねをいたします。不正常の授業は今日なおまだ解消しておらない。このことは〇・七坪が完成しておらないということと不離一体の関連をしているものだと思います。そこで今日三部教授或いは三部教授というような正常ならざる授業をされておるその実態というものをここに先ず明らかにしてもらいたいと思う。
○政府委員(近藤直人君) 只今不正常授業つまり二部教授、三部教授或いは教室でない場所を使つて授業をしているという不正常授業の解消につきましては、これは私どもといたしましては、一日も早くこれを解消したいということで、これに対して我々は補助をしておるわけでございます。只今二十九年度初におきまして不正常を解消するための所要の坪数がこれは約十五万坪でございます。それを一応五年計画でこれを解消するということで、今度の予算といたしまして三億二千万円計上しております。これによつて一日も早くこの不正常授業を解消いたしまして、小学校の教育をもとの姿に戻すということに努力をいたしております。
○高田なほ子君 ここにも又五カ年計画が出て来たようです。十五万坪の不足を五カ年計画で補うことによつて二十九年度を基礎としたところの不正常授業が解消する、こういう答弁、その答弁はその答弁として受取れるのですが、一・〇八坪の年次計画と関連して考えた場合は、八十五万坪の坪数を一・〇八坪に上げる場合に、二十七年度の児童数を基礎として計算されておるわけでありますから、一・〇八坪を五カ年で完成させるということと、不正常授業を五カ年計画で解消するということとの関連は、ちよつと私ども素人ではわかりません。この関連をもう一度御説明願いたいと思います。
○政府委員(近藤直人君) 不正常授業の解消は、確かに児童の増加に対処する一つの方法でございますので、これも、もつと大幅に予算を殖やしましてやることが適切とは考えておりますが、只今私のほうで考えておりまするこの不正常授業の解消の考え方といたしましては、これは現在不正常をやつておる小学校の不足坪数、それを一人当り〇・七坪まで回復するために、要するに〇・七坪まで来ればこれは一応応急最低基準でありますから、正常な授業が行われておると思つておりますので、〇・七坪まで達しない教育が行われておる、これを〇・七坪まで回復するという考え方が不正常授業解消の考え方であります。従つて一人当り場〇・七坪までそれを戻すには、何万坪要るかということを計算いたしますと、昭和二十九年度初におきましては、それが先ほど申上げましたように十五万坪、従つてこの十五万坪を年次計画で解消して行くという考え方でございます。
○高田なほ子君 どうもわかつたようなわからないような、お互いにわからないのじやないかと思います。
 そこでお尋ねします。それではあなたは先ほどから昭和三十一年度に児童がぐつと殖えて行く、更に第二次に殖えて行くのは三十七年度にぐつと殖えて行く、こういうことはわかつておるわけですね。そういたしますと毎年毎年児童が殖えて行く傾向にあるのに、本年度においては十五万坪に互る不正常授業が行われておる。而もそれが五カ年計画がやられるというのでありますから、五年先はもつともつと児童が殖えて行くのですから、不正常授業は単に殖えて行くと考えなければならない。そこでこの不正常授業が殖えて行く姿というものを、文部省のほうでは統計か何かにとつていらつしやいましようか。
○政府委員(近藤直人君) とつてございません。
○高田なほ子君 とつてございませんでは、これは問題にならないのです。大体一・〇八坪の年次計画を立てるということこそ自体が、私は大したおこがましい考え方だと思うのです。年次計画で以て不正常授業を解消するということが当面の私は文部省の責任でなければならない、その責任の最低基準の〇・七坪に完成させるということ、併しそのことがまだ完成しない、そして不正常授業は今年度になつて十五万坪も残つていて、而もそれが五カ年計画だ、その口の裏から児童は三十七年度にはこれだけ殖えて行くということでありますから、計画がなければ私は問題になりないと思うのです。
 それでその次にお尋ねいたします、危険校舎の問題でありますが、この危険校舎は毎年々々、年を逐うて累積されている傾向にあるようです。即ち国家予算が、危険校舎の現在考えられておる、計算されておる、この坪数を完全に修理することができないほど少いために、毎年々々この危険校舎の改修ということが遅れ、同時にあとからあとからこの危険校舎ができて来る、こういうような累積されて行く危険校舎の年次的な増加率というものが、文部省のほうにデータとして上つておるでしようか、お尋ねをいたします。
○政府委員(近藤直人君) 毎年殖えて参ります危険校舎の坪数につきましては、まだ資料を準備しておりませんです。ただ危険校舎改築促進臨時措置法により、国が危険校舎改築を促進するため、三分の一補助をするという建前
 の臨時措置法であります通り、特殊の理由によりまして発生しました老朽校舎に対して、国が急速に復旧するという趣旨のものでございますので、年々発生する危険校舎に対しましては、これは国といたしましてはまだ補助する考え方になつておりません。
○相馬助治君 ちよつと速記をとめて下さい。
○委員長(川村松助君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(川村松助君) 速記を始めて。
○剱木亨弘君 実はこの〇・七坪の問題とそれから児童数の自然増の問題について、さつきから問題になつておりますから、関連して質問したいと思います。それはさつき大蔵省のほうから説明ありましたように、人口の自然増による校舎の増築につきましては、今はつきりとこれは地方自治体の負担で国庫補助の対象にならないということが基本的な線になつておつて、今回の一・〇八にいたします計算の基礎にいたしました場合においては、その自然増についてはこれはこの十カ年計画でありますか、その計算の基礎の中には、はつきり入れていない、これはその計画を立てるときの考え方では、この自然増は市町村の負担であるという考え方からこの昭和三十九年度におきましては、百万近い自然増をするという場合においては、これは財政的措置によつて、市町村の負担で、起債でこれを措置して行くという考え方で、将来におきましても自然増いたしました場合には、そういう考え方を一貫してこの十カ年計画ができておつたものと私は解釈いたします。従つてその点をはつきり御答弁頂いたほうがこの計画を進めるのに都合がいいではないか。なお又その将来におきまして自然増によつてやるものは、先ほどの大蔵省の主計官の御答弁によりますと、これは今までは自然増については市町村の負担を考えておつたが、それが非常に極端に増加して行くので、将来におきましてはこの計画について一・〇八にする基準の計算の基礎においてこれを十分考慮いたしますということを御答弁になつたと思います。従つて今回の二十九年度の予算における十カ年計画はその自然増というものを考慮に入れてない計画であつて、これは今後本年の五月一日現在を以て調査されるそうでありますが、なお正確なる校舎の増加推定数というのが、調査ができた場合においては、この十カ年計画もその線に沿つて将来改訂するという御意思であろうかと考えるのでありますが、一つ大蔵省のほうから私の申しましたのが間違つておるかどうか、御答弁願いたいと思います。
○説明員(大村筆雄君) 只今の御質問の通りでございまして、先ほど基準五カ年計画とか、十カ年計画と申しておりますのは、八十五万坪が基礎になつておるわけでございます。八十五万坪と申しますのは、先ほど管理局長から御答弁申上げました通り、二十八年五月一日現在の児童生徒の数、それから保有坪数、こういうものを基準としての坪数でございます。
 先ほど私御答弁申上げました通り、一応私ども今考えておりますのは、二十九年五月、これは二十九年度相当の増加がございます関係で、昭和二十九年一五月から児童、坪数をはじいて行くその場合に、三十一年におきまして、先ほど御説明申上げました通り、これは相当な自然増がある。こういう場合におきましては政令等におきまして配慮できるように措置したい、こういうようにきめまして、或程度恒久的なる何カ年計画というものを確立したい、こういう趣旨ございます。
○高田なほ子君 危険校舎の年々増加するこの姿というものを文部省が把握しておらない、こう言うのでありますけれども、私はこれは近藤さんが謙遜して言われてとるのじやないかと思うのです。これは何か文部省のほうには危険校舎の現在の坪数と、それから五カ年計画なら五カ年計画に副つて、どういうふうに対処されて行くかという私はデータがあると思うのです。あなたは計画がないとおつしやるけれども、私は現在の姿とそれに対する計画というものが数字としてあられるのじやないかと思うのです。そこで委員長にお願いいたしますが、この危険校舎に対するいろいろな数字のデータというものを一度私たちの目の前にはつきり出して頂きたいと思う。そういたしませんと、ここでなまくら問答を繰返しましても、時間を空費するばかりで無駄だと思いますから、私は資料を要求いたしまして、これは次回に譲らしてもらいたいと思います。
○委員長(川村松助君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(川村松助君) 速記を始めて。
○荒木正三郎君 自治庁の財政部長を呼んでいるのですが、これは大蔵省と関連をして聞きたい問題でして、今出ている危険校舎の問題で高等学校に対する補助をどうするかという問題について、先ず文部省の見解を聞きたいと思います。
○政府委員(近藤直人君) 危険校舎の改築促進臨時措置法によりまして、危険校舎の改築促進のために国が助成をしておるわけでありまして、只今助成しておりますのは義務制だけでございますので、それで高等学校に対しましても助成して参りたいという要望が非常にございます。それに対しまして、私がいつもお答え申上げておりますのは、国といたしましては、取りあえず義務制の学校に優先的にこれは考えなければいかんということで、只今やつておりますけれども、将来適当の機会と申しまするのは、義務制の学校の危険校舎の改築が相当程度促進いたしました暁におきましては、これは高等学校につきましても考慮してよいのではないかというふうに私目下考えはておりまするが、併しこれは荒木議員が御指摘のように非常に要望が強い。現在この不足坪数が十七万坪程度と思つております。坪数といたしましては比較的義務制より少いことは当然でございますが、そこで強い要望がございますが只今の考え方といたしましては、義務制が或る程度目鼻がつきませんと、高等学校までにはかかれないのじやないかというふうに考えております。
○荒木正三郎君 そうすると、高等学校の危険校舎は現在十七万坪と、こういうことになつておるのですか。それで文部省の考えは非常に手ぬるいと思いますが、文部省の考えはそういうところにあるということはわかりました。これについて、ただこれは地方財政としては、これは高等学校も、小、中学校も一本で賄つておると思います。ところが高等学校については補助がないということで、その面非常に立遅れの実情だと思うのですが、こういう点について大蔵省の見解にどのような意見を持つておられるか聞きたいと思います。
○説明員(大村筆雄君) 危険校舎につきましては、私先ほど申上げましたように、学校の修理につきましては、これは学校経費、設置者負担の原則に基きまして、これは改築は当然該設置団体がやるべきじやないかという今まで考えでございますが、危険校舎につきましては、従いましてずつと今まで地方債でもつて、地方の財政援助で賄つて来た次第でございますけれども、地方債の枠自体もそう十分には廻らんし、こういう関係でなかなか改築は促進いたしません。相当これは国におきましても、財政国庫補助によりまして、財政援助をしてやりませんと促進できない。こういう観点から、先般御承知の通り法律の制定になりまして、昨年から国庫補助して参つておる次第でございますが、その場合にも国として例外的にやる以上は、最小限度義務教育の学校に限定すべきじやないか。而も又義務教育学校の危険校舎が大部分であります。従いまして高等学校につきましては、これは地方債だけで十分できるだけ配慮して行きたい、かように私は考えております。
○荒木正三郎君 そうすると文部省の考えとはかなり距りがあるように思うのです。これは自治庁関係の見解も聞きたいと思います。見えたときに改めて質問いたします。
 なおもう一つの問題は、屋内体操場の問題があると思うのです。これは積雪寒冷地帯に対しては国庫の補助が出るような仕組になつております。併しそうでない所には全然地方負担ということになつているわけなんですが、これも非常に困つている問題であると思うのです。これに対する補助の問題について、私は当然その範囲を拡大して行くべきである、こういうふうに考えるのですが、そういう点は文部省はどういうお考えですか。
○政府委員(近藤直人君) 積雪寒冷湿潤地帯の学校の屋体に対して只今補助をいたしております。そこでこれを他の地域、暖かい土地のほうまでこれを拡張して頂きたいという陳情乃至御要望が非常に多いのでございます。私もよくその陳情も受けるのでございますが、これは私の気持から申上げますと是非そういう方向に早急に持つて行きたいと考えております。ただ何と申しましてもこの屋体につきましてはどういたしましても積雪冷害湿潤地帯がその緊要度が高いと考えておりますので、取りあえず積雪寒冷湿潤地帯に優先的に考慮するというのが只今の段階であろうと思います。これも或る程度は目鼻がつきますれば更に暖地のほうまでこれを拡張するということも是非これは予算の措置といたして御考慮願うように努力いたしたいと考えております。
○荒木正三郎君 この問題について大蔵省と折衝したことがありますか。
○政府委員(近藤直人君) 予算要求の際におきましては毎年暖地の分も要求しております。
○荒木正三郎君 大蔵省はなぜこれに反対されるのですか。
○政府委員(近藤直人君) ちよつと、私大変失礼いたしました。要求してございませんです。(笑声)
○荒木正三郎君 ちよつと困るじやないか。要求しているのとしていないのとではえらい違う。
○説明員(大村筆雄君) 御答弁要りませんか。
○荒木正三郎君 まあ一つ見解を聞きましよう。
○説明員(大村筆雄君) 私ども今まで屋内体操場につきましては積雪寒冷湿潤地帯に限定をして参つておりますのは、これは六・三制におきまして最低基準をとつて参つた建前と大体同一の趣旨でございまして、教育をやるのに最低限度どうしても要る施設について考える。これは勿論財政的な限度の負担能力の問題もございますし、それから国として地方に対してどの程度見てやらなければいかんかという問題もございますので、今までそういう考えをとつて来たわけでございますが、これは勿論国の財的な負担能力も余裕もできましたような場合には六・三制の基準につきましても或いは適正基準にしたらどうかという御意見もございますが、それと同じように温暖地におきましても最低屋内体操場が必要だという考えも出て参りましようし、それは今後国の或いは地方の財政の余力の問題等勘案して考えるような問題かと思いますけれども、現在におきましては先ほど御説明申しました通りのような考えておる次第でございます。
○荒木正三郎君 この屋内体操場に対する考え方ですね、これはまあ我々の考えでは教室と変らないぐらいの重要性を持つているんじやないかというふうに考えているわけなんです。勿論積雪寒冷地帯における重要性というものはこれは申すまでもありません。併しそうでない地域においてもこの施設は教育上是非必要な施設であるという、ふうにまあ考えているわけなんですが、そういう点、大蔵省のほうではそこまで考え方が行つているのかどうか、そういう点を伺つておきたいと思います。
○説明員(大村筆雄君) 今般一・〇八坪に基準を引上げたわけでございますが、一・〇八坪によりまして特別教室が全部とれるかと申しますとこれはとれません。これは理科教室、音楽教室、或いは多数学級の或いは多数生徒の学校になりますと初めて工作教室というものができるわけでございまして、必ずしも特別教室が全部とれるわけではございません。かといつて、特別教室が要らないわけではないので、最低限度の教室はどの程度かということはこれはいろいろ問題があり又意見の分れるところでございますが、屋内体操場につきましても積雪寒冷地帯につきましては冬季生徒が屋外ではなかなか十分活動できないという点から最低どうしても必要だというふうに考えておりますが、これは温暖地におきましてはやむを得なければ屋外においても代用できるわけでございますし、最低限今のところは必要と考えられますところは積雪寒冷地帯に限定して考えておるような次第でございます。
○田中啓一君 ちよつと速記とめて下さい。
○委員長(川村松助君) 速記ちよつととめて下さい。
   〔速記中止〕
○委員長(川村松助君) 速記をつけて下さい。
○高田なほ子君 それじや重ねてお伺いいたしますが、積雪寒冷湿潤地帯における屋内体操場は大蔵省としてもやはり六・三制完備に不可欠の条件であるという認識を持つておられる、今そういつたような見解の表明があつたわけですが、これについてどのくらいの予算を、どういうふうに組んで行くかということについては、大蔵省としても一応お考えになつているのじやないかと思うわけなんです。例えば全体の三割くらいを予算化して行こうとか、全体の二割くらいを予算化して行こうとかいうような、あらましの見解というものは一応お持ちになつておるのではないかと思うのです。なぜ私がこういうことを伺うかと申しますと、屋内体操場の建設については今日まで非常に地方が苛酷の負担をしている場合が多いのです。国がこれについて面倒を見てやろうという度合が薄いのです。その度合の問題をここではつきりとお伺いするということは困難かも知れませんけれども、こういう具体的な考え方について少しわかるような御答弁を頂きたいと思うのですが、お願いします。
○説明員(大村筆雄君) 只今の御質問は、これは積雪寒冷湿潤地帯以外の屋内体操場についての御質問かと存じますが。
○高田なほ子君 それも含めまして。
○説明員(大村筆雄君) 屋内体操場全般の問題でございますか。屋内体操場については先ほども御答弁申上げました通り、先ず私どもは積雪寒冷湿潤地帯、これにおきます屋内体操場につきましては、これは教育上是非とも不可欠なものである、最低必要なものである、かように考えておりまして、これを六・三制の建築整備の一環としてとり上げて考えて参つております。これにつきましては詳細なる年次計画その他につきましては文部当局から御説明申上げます。
○高田なほ子君 なかんづく大蔵省にこの際質しておきたいことは、公立学校緊急施設設備期成同盟会、或いは公立学校戦災施設復旧促進協議会というように、民間団体が非常に関心を持つている問題の中に今私が御質問申上げた内容が入つております。この中で大変大きく要望されている問題は、高等学校についても同様に屋内体操場の問題も考えてもらいたいというような声も若干この中に見られるわけですけれども、これについてはどういうふうな見解をお持ちになつておりますか。
○説明員(大村筆雄君) 屋内体操場全般につきましては先ほども申上げましたように、教育上決して不必要な施設であるというように私ども考えておりません。ただ差当り国庫補助の対象といたしましては先ず積雪寒冷湿潤地帯におきます義務教育小学校につきまして国庫の対象にとり上げて行く、かように考えておるわけであります。そうかといつてそのほかにそれ以外の地域におきます、或いは高等学校におきます屋内体操場は決して不必要だというように考えておるわけではございませんので、これらの整備につきましては、私どもとしては現在のところ、できるだけ地方債におきましてこれは財政援助できるよう交渉して行きたい、かように考えております。
○高田なほ子君 先ほど近藤局長のお話によると、この屋内体操場の問題については大蔵省のほうに余り要求しておりませんという御返事があつたのですが、大蔵省のほうでは文部省からやつぱりやいやいと要求されれば積極的にお考えになる、併し文部省のほうで余り騒がないという問題については割合に冷淡になるようになるのじやないかと思うのです。これは私の常識的な考え方ですけれども、そういうようなことでこの屋内体操場の進捗というものはかなり遅れているのじやないかというふうに考えられますが、それはどうですか。
○政府委員(近藤直人君) 二十九年度の初に屋内体操場の積雪寒冷湿潤地帯における不足坪数は約二十四万坪でございます。これは屋体でございますから、基準は一人〇・二坪の屋体の不足が二十四万坪、そこでこれを一刻も早く解消する必要があるわけでございますが、只今の二十九年度の予算の計上額はその六分の一、金額で申しまして六億四千万円、それが二十九年度の予算でございます。従つて積雪寒冷湿潤地帯の分でもまだ相当ありますので、遠慮したと申せばそういうことになりますけれども、私どもといたしましてはこの積雪寒冷湿潤地帯の分だけでも早く解決したいということで予算を要求しておりますので、従つてその他の暖地の地方に対しましては、先ほど私間違えて申上げましたけれども、予算を要求いたしませんで、只今積雪寒冷湿潤地帯に重点を置いてやつておるような状況でございます。
○高田なほ子君 それからさつきの荒木委員の御質問の中でちよつと私確認しておきたいことは、危険校舎の高等学校の場合の問題なんですが、危険校舎の改修について最終的に責任を持たなければならないのはどこが責任を持たなければならないことになつておりますか。
○政府委員(近藤直人君) 危険校舎の最終責任者と申しますか、今一応法律の上では危険校舎改築促進臨時措置法でもつて国が危険校舎の改築の点は援助するということは、太平洋戦争のためにその当該学校の設置者が当然補修し、改築すべきであつたものが、の結果、各種資材の統制のためにそれができなかつたというところに国の責任があり、その間の危険校舎の坪数に対して国が援助するということがこの法律の趣旨だと思います。従つてこれは臨時立法でございます。従つてその間の坪数だけを国が面倒を見る。当初あの坪数が百五十五万坪であつたと思つておりますが、それは年々解消するというのが建前でございますので、先ほど高田委員の御質問にもあつたかと思いますが、年々黙つておいて老朽になつて来るものをどうするかという話でございますが、これはまだ我々としてはそこまで補助をするという考え方にはなつておらないと私は了承しております。
○高田なほ子君 国の責任のあるものについてはすでに計画が立ち、そうして又年次計画の中でどういうふうに予算が組まれて行くかといつたようなものも、ちやんと立てられているわけですか。
○政府委員(近藤直人君) その法律によりまして補助するものにつきましては、先ほど申上げました通りその坪数が二十九年度の初めにおきましては百八十三万坪、それを年々解消して行く。そこで本年度はそのうち十二万八千坪を本年度予算に計上されておりますので、漸次そういう計画でもつてこれを解消して行きたいと思つておりますが、それは私が申上げたのは当初の坪数でございますが、その後三党の修正でもつてこれが六億殖えまして、従つてその坪数は十八万三千坪となつております。昨年は御承知の通り二十九億で二十二万坪、本年度は三党の修正によつて殖えまして十八万三千坪になつて来ております。
○高田なほ子君 それは一体高等学校の分ですか。
○政府委員(近藤直人君) それは義務制の学校でございます。
○高田なほ子君 その中に含まれる高等学校の分はどうなつておりますか。
○政府委員(近藤直人君) 高等学校の分につきましては、この法律の対象になつておりません。
○高田なほ子君 そうすると、予算化されておらないということですね。さつきの御答弁では、ちやんと計画も立ててあると御答弁になつておつたわけですが、その計画の裏付けになる予算というものはまだ予算化されておらないと、希望として御答弁になつておつたと、こういうふうに了解してよろしいわけですね。
○政府委員(近藤直人君) 私先ほど申上げましたのは、この法律の建前から国が補助するものにつきまして申上げたので、それは義務制学校だけでございますので、高等学校の分は全然入つておりません。私そういうつもりで申上げたのでございます。高等学校の分につきましては、これを是非この補助の対象にしてもらいたいという要望は、先ほど私は荒木委員にもお答え申上げたのでございますが、これは非常に強い要望がございますので、私といたしましても是非そういう方向に持つて行きたいと考えておりますが、ともかく高等学校の分につきましては、義務制の分が或る程度進捗いたしまして、この解決の見込みが相当立つてからの上でこの問題に取組むのが私は妥当ではないかと考えておりますので、申上げておきます。
○委員長(川村松助君) 大臣が見えましたから、大臣に御質疑のあるかたは御質疑を願います。
○相馬助治君 先ほど私質問して、その答弁が保留されていたのですが、只今大臣が見えられたので、再言してここで答弁を求めておきたいと思います。
 今朝来この委員会は、国立学校設置法の一部を改正する法律案、続いて只今は公立学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案を審議しておるのですが、今申した公立学校施設費国庫負担法のほうは、政府が提案したものに対して、衆議院においては満場一致重要部分を政令に委ねようとする政府原案を否認して、従前通りこれは法律によつて実施すべきであるというふうになされたわけです。これについて私が政府当局に質問を発しまして、この衆議院の修正なるものは、従前の法律で規定していたものを省令に委ねるということは、文部省に強大なる権限が集まるから反対するというようなことではなくて、この問題は財政上の問題であるから、むしろ衆議院の修正は、文部省が将来財政当局等と交渉する場合に、こういう重要な問題は法律によつて律しておいたほうがよろしいという親心によつて改正されたのではないかと思うがどうであるかということに対して、政府当局としては、さようなる趣旨と一応は了解しますというような意味の答弁があつたわけなんです。そこで私は、それでは大臣に聞かなくちやならないと申したのです。と申しますのは、国立学校設置法の一部改正法律案では、大学の定員、附属研究所等については全部今まで法律で律していたものを、今般は政令によつて律して行くということに改正案が我々のところに出ております。衆議院はこれ又満場一致通過して、こちらに本付託になつておるわけです。そうすると、今の国立学校の衆議院の修正した趣旨、それを是とする文部省の態度からすると、国立学校のほうにおいても、定員の問題であるとか附属研究所の問題であるとかいうような、いずれも財政を必要とするものであつて、そうすればこれは省令、政令に委ねるのではなくて法律に委ねたほうがよいという結果に行くのではないか。それとこれとの間には意見の食い違いができて来るように思うのであるが、文部当局の本当の考え方はどの辺にあるのであるか、かような点についてこの際大臣から明確な文部省の態度を承わつておきたい。
○国務大臣(大達茂雄君) これはまあ私どもから言いますというと、政令でありましても、法律でありましても、これは形式は非常に違いますけれども、実質的には、実際からいうと違いはないと、形は法律できまる、政令できまるといつても、内容の実際からいうと違いないから、それで大学の定員は政令に譲るということで実は立案をしたわけであります。それは申上げたかと思いますけれども、大学の定員は予算に関連して始然動きますから、それでこれは予算のほうできまりますから、それは法律でくめるということは非常に丁寧でありますけれども、どつちできめても実質的にはその中身は同じことになるわけであります。でありますから、毎年々々国立大学の拡張に伴つて、定員も予算が殖えるに従つて毎年法律の改正をすると、こういう結果になりますから、実質的に言うと、もう予算で実は内容はきまるので、それを法令の形に移す上から言えば、毎年変るし、極めて事務的な、予算できまつたものをこつちへ書くだけですから、政令でやつたほうが事務の簡素の上から言つてそのほうが都合がよいのではないかと、こういうことで実は原案はできておつたのです。
 それから公立学校のほうにつきましても、実は同様な考え方で、政令によると、実際はやはり同じことでありまして、丁寧にすればまあ法律でありますけれども、内容的にそれがために細工をする余地は実はないのですから、まあ政令のほうがよいかと思つてそういうふうな案にしたと、ところが衆議院のほうの文部委員会で、これを法律で確保したほうがよろしいと、その点を明らかにしておいたほうがよいと、こういうことで、実はそういうわけでありますから、私どもとしては、これを法律できめて頂いても実質的には何ら差支えないということで、これで文部省としては特に不便を感じたり或いは困るという点はありませんので、まあ法律で書いて頂いて差支えないと、こう実は思つております。その間多少取扱が違うような感じ、そこが御質問の点だろうと存じますが、これは衆議院のほうでそういうようになつた場合、私どもとして非常に困るという点は、今申上げたように実は実質的にはないのでありまして、ただ衆議院でそういうように修正をされましたのは、これはとにかく大学の場合と違つて、相手が地方団体であります。それから一・〇八という基準も、これは毎年変るという筋合のものではないので、一定の基準というものを法律ではつきり示したほうが、そうして又それを確保しておいたほうが、折角一・〇八になつておるのですから、それを又大蔵省の都合でこれが後退するようなことが、これはまさかないですけれども、そういうことが仮りに考えられるとすれば、法律できちつときめておいてもらつたほうが実はよいということで、私どもとしては法律できまつたことについては何も困る点はない。むしろ地方団体にこれは基準を示して、地方団体がこの基準に従つてこれを計画しなければなりませんから、そうして一・〇八という基準の数字というものは、大学の場合で見ると、これは毎年々々予算で変つて行く筋合のものではありませんから、だから法律できめて頂いたほうが、まあ考えようによつてはそれがよいかも知れないと、極く事務的に政令でやつても実質的に同じであるからというので、両方共そういう案になつておつたのでありますが、成るほど衆議院のほうでそういうふうに御修正になれば、それも誠に御尤もというふうに考えておるようなわけであります。
○相馬助治君 実は二院は独立しておるのですから、他院のことはとやかく言うべきでないので、批判は一切慎しむべきですが、ただ不思議に思つたことは、一方の国立学校のほうは政府原案通りに政令に委ねるということを満場一致きめ、そうして一方の法律では政令に委ねるという政府原案を否認して、法律によつて律するということを、これ又満場一致できめておる。それで本院に回付さされておりまするので、私はこれは事務的に管理局長あたりにお聞きして、いじめるべき筋のものでないから、政治的な問題としてお尋ねしているので、誤解なく願いたいことは、公立学校施設費国庫負担法について衆議院が満場一致法律によるべきだときめたことに対して敬意を表しておるものです。文部大臣もそれは非常に当然である、こういうふうにおつしやつているわけであります。そういうことになりますと、国立学校設置法の場合にも、大学の定員は年々変りまますけれども、これは国の財政規模の都合上で定員なんかを大いに削減され、附置研究所等についても廃止を余儀なくせしめられるようなことが一応ないでもないと思うのですけれども、そういう段階において、この際政府みずから公立学校の、例の政令に委ねるということは、考えが間違つておつたと、これは現行法でいいのだというような考えが、大達文相の明敏な頭の中に現在あるかどうかという意味で、それとこれとは全く食い違つておるものですから、一つあなたの御所見をお尋ねしたい、こういうのが私の趣旨です。
○国務大臣(大達茂雄君) これは私どものほうでは、只今申上げましたように、まあ事務の簡素化と言いますか、実質的に言えば予算できまつてしまうものですから、法律でやつても政令でやつても、これはもう運用は予算のほうできまるもので、事務の簡素化の上から言つて、年々歳々これを法律を改正するということよりは、殊にこれは国立大学のことでありますから、いわば文部省の内部のことであります。今の公立文教施設の場合のように地方団体を相手にするとかいうような場合とは、そこは違いますから、まあその辺は原案は両方とも政令、併し成るほど衆議院で言われて見れば、それは又区別すべき理もあるというふうに実は考えておりまして、この国立大学の設置法につきましても、これをどうしても政令でやらなければならんという強い理由は無論ないのです。ただ、今のように文部省が勝手に定員をいじるということは、これは事実できないものですから、予算のほうでまあきまつてしまう。だからその点は実際上これがためにいろいろ手を変る爺がここに生ずるということではありませんで、それとまあ年々変えて行かなければならんという点もありまして、これは減る場合もあるのですね、行政整理とか何とか言われると。ですから年々どうしても変えなければならん。予算につれて年々動くものですからね。だから事務的にというと政令できめておいて、国立学校というものは文部省の内輪でありますから、外の地方団体を相手にするような場合とは違いますから、こうしておいて頂いたほうが、やはり事務的には手数が非常に少くて済む。全く事務の簡素化という見地から、まあそうお願いしたいということで、そう別に深い理窟はないのです。
○相馬助治君 文部大臣の答弁について議論をすれば私議論をする余地がありますが、政府の一貫した態度についての説明を求めたので、話の筋は了解したのでなくて、話の筋はよくわかりましたから、私の質問はこれでやめます。
○田中啓一君 もうこの辺で一応質問打切りは如何でございましようか。(「異議なし」「質疑打切り」と呼ぶ者あり)
  ―――――――――――――
○委員長(川村松助君) 別に御質疑ありませんか。御質疑がなければ質疑は終了したものと見て御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○荒木正三郎君 委員長、法律案を言わないと……、二つあるでしよう。
○委員長(川村松助君) いや、今のは公立学校の施設費国庫負担法の一部を改正する法律案をやつておりますから、その問題に対しての質疑であります。
   〔「異議なし」「進行」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) 次に学校教育法の一部を改正する法律案を議題に供します。学校教育法の一部を改正する法律案に対しての御質疑を願います。
○須藤五郎君 この法律によりますと、医科と歯科だけに限つて六年制のようなものを認めよう、要するに現在ある教養学部、医科と歯科だけに限つてまあ変えようというような意見でありますが、ほかの理科系統に対して、これと同じような措置をしようという考えはないのですか。
○政府委員(稲田清助君) 御指摘の通り、ここに改正いたしまするのは、医学及び歯学教育に関連いたしまして、而も現在の程度を変えることなく制度を改良しようというわけでありまして、御指摘のその他の学部につきましても、いろいろまあ学校関係者等で論はあるわけであります。併し構成といたしましては、現在学校教育法第五十五条に必要があれば四年以上とすることができる。別に法律をここで改正することなく、その問題は研究できるのでありまして、その部分につきましては別に法改正することなく、実際問題といたしまして学校当局と研究いたしたいと考えております。
○須藤五郎君 私は以前の制度と今日の制度と比較して、必ずしも今日の制度がいいというふうに私は実は考えていないわけです。それでこの医科、それから歯科に関してこういう方針をとるということに対しては、私は反対をしないまあ立場にあるのですが、何のために医科と歯科だけに限つたかという点に私は疑問を持つのです。やはりまだ日本の科学的な面ですね、もうほかの面もこういうことをやはり考えて然るべきではないかということは、前の高等学校時代には文科と理科というふうに分れていて、その理科系統からこういうふうにすると皆進学するというふうな方針であつたと思うのですが、その制度のほうが私は現在の制度よりはいいのではないかと思うのでありますが、それに対してどういうふうな見解を持つていらつしやいますか、文部大臣は。
○政府委員(稲田清助君) 只今の御質疑の点は
   〔須藤五郎君「文部大臣どうした」と述ぶ〕
昔のような文科と理科と仰せられますのは、昔の旧制高等学校の文科と理科という意味に了解しながらお答えいたしますれば、現在のそれにまあ多少は相当いたしますのが今日の大学の一般教育課程だと考えております。一般教育の課程は人文、社会、自然という三系列になつておりますけれども、自然これはまあ一般教育でありながら、将来の専門教育志望の観点からいたしまして選択履習の方角が自然理科的或いは文科的に偏つて参るのだろうと思います。それは制度といたしまして文科と理科と分けないといたしましても、実際学校における指導上適切が期せられ得るのではないかと私どもは考えております。
○須藤五郎君 こういう改正案が出て来たということは、今日のいわゆるアメリカから押しつけられた六・三・三制、そこに私は問題があると思うのですね。ですからこういうことはもつと抜本的によく検討してすべきではないかと思うのです。単にこういう間に合せ的な一部綻びを繕うというような方法じやなしに、もつと抜本的なことを考えて行かなければいけないのではないかと思うのです。今の六・三制のいい点もあるかもわかりません。併し悪い点もたくさんあるのですから、そういう点を根本的に改革しなくちやいけないのじやないかと私はそういうふうに考えるのです。それで今このような質問をしているわけなんですが、なぜ医科、歯科だけをこういうふうにしたかという点に何か原因があるのかどうかという点を私は尋ねているわけです。
○政府委員(稲田清助君) なぜ、医学及び歯学の大学教育だけにつきまして改革をしたかという点につきましては、査医学又は歯学の教育に限りまして専門の課程と進学の課程という二段階があるわけであります。この二段階の結びつきの問題につきまして、実際問題として切実な種々の問題がございます。その一つといたしましては医学又は歯学又は歯学の単科大学におきましては直接高等学校の進学者と結びつかない点からいたしまして、必要な優秀な志願者を得にくいというような事情を訴える向が相当あるのであります。又総合大学等におきましては、この医学、歯学の進学課程と他の学部の課程とが年限において相違いたしまするというような点からいたしまして、すでに農学部或いは理学部等他学部に入つております者が、途中から医学又は歯学に入つて来ることによつて、農学教育或いは理学教育が撹乱されるというような弊を訴えられる。そういうような点からいたしまして、どうせ進学課程と専門課程と両課程を設けることならば、これを一貫的に六年の学部とするのがいいのじやないかということが、その方面の当事者から切実に要求がありまして、まあそういうことで改正いたしたわけであります。併しながら学校の事情といたしまして必ずしも全部一本課程といたしますことも無理な点もありますので、この進学課程と専門課程とを別々に設けることもできるし又その専門課程のみを設けて他から広く募集するという方法もあるので、その三つの方法を設けまして、その間好むところに従つて頂きたいというのが差当りの要求に応ずる改善でございます。
○須藤五郎君 そうするとその結果は今の一般の教養学部から今度医科、歯科に進もうという途が塞がれてしまう結果になると思うのですが、こういう点は教育の機会均等という立場から考えて権利を制限するというような意味から、非常に面白くない面が私は出て来るのではないかと思うのですが、その点はどうでございますか。
○政府委員(稲田清助君) 只今の御指導は必ずしも六年学部ばかりの形ではないのでありまして、申上げたように専門課程のみを響くものもございまするし、又この法案の二頁の初めでございますか、「同項に規定する二年以上の課程を修了した者又は監督庁の定めるところにより、これと同等以上の単力があると認められた者とする。」とこうありますので、結局この「監督庁の定めるところにより」云々と申しますのは、他のこれと同等の教育課程を終えた者に広くこの専門課程に入る途を開いたものでありまして、途は非常に広いのでございます。
○須藤五郎君 私はまだこの時代は年齢も若いことですし、必ずしも医科、歯科を希望していたからといつて、その過程の間に気持が変ることも往々あるんです。そういう点から大ざつぱに旧制の高等学校のように文科、理科というような二つの面に分けておけば、その点が非常にいいのではないか。こういうふうに決定的な分け方をしてしまうことが少し問題があるのじやないかと思うのですが、どうですか。
○政府委員(稲田清助君) 只今申上げましたように、決定的に門戸を閉鎖するわけでなくて、広く同様な教育を他の大学の学部で受けました者は進学し得る途は、只今この前にお答え申上げた通り開いてあるわけであります。ただとにかく大学程度になりますると、ほかの学部に入ります者は、高等学校を卒業したときに農学部或いは工学部を志します。実際問題といたしましても医学を希望いたします者、歯学を希望いたします者もそこで、志が立つのが普通でございます。大体そこで立ちますものにつきましては一貫教育でその間目的を十分達成するのがいいと思いまするし、御指摘のようになおそこではつきりした志の立たない人々も、途中で進学する方法は先ほど申しました二頁の二行目に書いてあります方法で広く開けておるわけでございます。
○須藤五郎君 そうすると、いわゆるこういうふうに分けても、最初の二年間はほかの教養学部と何ら違わない教育をするわけですか。何か専門教育をここでするのですか、しないのですか。
○政府委員(稲田清助君) 現在でもこの医学進学課程、歯学進学課程は人文、社会、自然の三系列に分けました。三系列、一応平等の単位取得のほかに、特に準備教育、基礎教育といたしまして、理学に関しまする教育をそれに附加いたしております。従いまして他の一般教育の課程とは違う課程を定められておるわけでございます。
○須藤五郎君 こういうことの結果、日本の医科、歯科は現在でもそのように進めて非常にいいことだと思うのですが、そこで問題になつて来るのはインターン、国家試験の問題だと思うのですね。こういうふうにして昔の医科大学のような内容が幸いに整備された、その結果個々の卒業生に対してなお今日課しているようなインターン制及び国家試験を課して行くということには矛盾が起つて来るのではないかと思います。
○政府委員(稲田清助君) インターン及び国家試験それ自身は改良を要すべき問題だとせられておりまして、これに関しまする医師国家試験委員会等で改善案を審議いたしておりますことは御承知の通りでございます。で、その改善案とこのたびのこの医学教育の改正というものは私は方角を一にするものじやないかと思います。かくのごとき進学課程と専門課程との一貫教育なり又その間の改良ができますれば、インターンにおきましてのやり方に対しましては相当軽減し得る問題ではないかと考えております。ただ学校教育といたしましては医者或いは歯医者となるべき素養を与えるわけでありまして、その素養を与えた者が直ちに開業し得るかどうかということを判定する意味において国家試験を課す。又その前提として実地の経験のある年限の時日を要求するわけであります。これはまあ学校教育で求める以上のものを或る職業に就く資格として要求しているわけであります。これを全部なくすかどうかということは、これは公衆衛生の観点におきまして考えらるべき問題だと考えておりますが、医学教育それ自身において今インターンで要求しておりますような、あれだけの実地の経験を全部この学年の中に叩き込むことができるかどうかという点は、相当これは疑問に考えております。
○須藤五郎君 今のインターン制は字句の上だけで、実際は、ここに木村さんもいて内情を御存じだと思うのですが、地方の大学を出た人達はインターンが完全になかなか行われない。而もこのインターンの間は病院では助手のごとく、或る場合は一人前のお医者のごとく扱われながら、而も一文の補助金ももらえず給与ももらえない。そして家庭の負担というものが非常に重くなつて、医学生を子供に持つた親父というのは随分苦しんだと思う。非常にインターンというものは矛盾が多いと思うし、なゼインターンが必要だつたかというと、只今までの学校教育が低かつたためにこういうことが必要になつたと私は理解するのですが、こういうふうに若しも整理されるなら、もうすでにそういうことは必要でなくなるのではないか、だから文部省の方針としては今後はインターン制を廃止する方向なのか、国家試験を廃止する方向を考えておるのかという点が一点と、それから今度厚生省の何か名前は忘れたのですが、審議会からインターンに対して月三千円ずつの給与を出せという答申があつたと思うのですが、これを文部省は実際に行う意思があるのかどうか。
○政府委員(稲田清助君) その第二の点から入るわけでございますけれども、これは文部省がインターンを所管していない、これは御承知の通り厚生省の関係であります。従つて第一の点も厚生省と相談しながら改善を考慮している次第でございますが、ともかくこれは旧制時代におきましても、いわゆるインターンで要求しておりますような実地の修練と申しますか、診療の準備段階というようなことは、これは学校教育では行えないし、それだけの余裕がないと考えております。ただインターンの間におきまして、そういう実地の修練を本当に行わないで、いろいろ国家試験なりその間でやることになれば、これは弊害ばかりあるわけでありますから、先ず第一医師国家試験の学科試験はインターンの前に行う。さもなくば学校教育が充実すれば学科試験は要らない。ただ実地の或る程度の修練を経たものに限つて免状を与える。そのために実地の成績をよく見る。或いはインターン病院の内申を重視する、こういう方向にインターンの改善というものは進行していると存じております。或る程度その点は、試験のやり方等はすでに本年度から実施するということを聞いております。
 又第二のインターンに関しまする給与の問題になりますが、文部省としてはこれは学生ではないのでありますけれども、従来育英会の奨学金を或る程度出しております。これは学部で奨学金を得たものに対して継続的に奨学金を出しておるのでありますが、本年度御審議願つております現状におきましては、その範囲を相当増額いたしまして、おおよそインターン制度の半数以上程度には奨学金月二千五百円を支出する、こういうことになつております。
○木村守江君 ちよつとお伺いしておきますが、私は終戦後日本の教育制度がいいとか悪いとかそういうことは別問題にしまして、六・三・三・四の制度のうち、大学の教養課程というものは一般社会人としての高等教養を高める、教養教育をするというのが大学の進学の課程だと思うのです。ところが今度のやつでは医科と歯科が六年になることによつて、医科と画料を結ばれた一方に方向付けられた教育になりまして、大学教育の根本に終戦後、今日の教育方針と違つて来るように考えられますが、どうでしようか。
○政府委員(稲田清助君) 医学、歯学の進学課程それ自身のうらに、一般教育の要素が非常に大きな部分を占めるという点につきましては、今日及びこの改正後といえどもこれは違いないのであります。教育の内容を変えるのがこの改正でないのであつて、ただ従来は専門の教育とそれから進学の教育と別の組織で受けなければならんということを規定しておりましたのを、別の組織で受けて差支えないのでありますけれども、一貫教育として受けるという道を開いた、そういう点に過ぎないことを御了承頂きたいと思います。
○木村守江君 そういう話になりますと、今、須藤君の質問に対して何か今度医科、歯科に対して六年の課程を課することによつて教育程度が高くなる。そうしてインターンの課程も軽減するかも知れないというようなお話がありましたが、どういうことになりますか。
○政府委員(稲田清助君) 大きな要点を申上げますれば、進学課程のうちには只今申上げましたように、一般教育の要素もございますし、又準備教育としての、特に歯学教育に重点を置いた教育もあるわけであります。それが真の専門課程と直結いたしますような関係におきましては、つまり一貫教育の仕組みによりまして、相当教育内容が充実して参ることが考えられるのであります。教育課程も立てやすいし、又学生も落付いて勉強しやすいし、学生の個々の適性に応じた指導もできやすい、いろいろの利点があるので、この教育の改正は、教育上プラスであるということから考えて先ほどお答え申上げた次第であります。ただ教育課程全体の仕組みが著しく従来と違うかと申上げますれば、それほど内容に大転換するような改正ではない。
○木村守江君 この改正に必要に迫られた一つの理由は、結局医科のコースを進みたいのだが、医科のコースに進めないために或いは農科とか理科のほうに籍を置いて医科のはうに行つた、そうして農科とか理科のほうにはいい人がいなくなつて医科に集まり、医科の浪人が多くなるというのだが、それがかなり大きな原因になつているように聞いています。そういうことが本当だとしますと、今までの方法のほうが却つて医科、歯科に秀才が行く、立派な人が行くということも言えるのではないか。
○政府委員(稲田清助君) 制度といたしましてはこの表裏両面他の学部についての教育を害しないということを十分配慮しなければならないというような点がこの改正の一つではございます。それから又一面医学教育、歯学教育にいたしましても、やはり大学教育の段階になりますれば、他の教育それ自身が、高等学校を出ましたときに志がはつきりいたすのでございますから、医学、歯学教育に限つて、もつと高い程度までその志をきめないほうがいいんだという理由もなかろうかというような次第で、一貫教育の道を考えたような次第でございます。
○木村守江君 どうもこの問題ちよつと私はわからんところがありますが、後にしまして、この法律は大体昭和三十年の四月一日から施行されることになりますね。そうしますと国立学校において四年課程の医科というものがどのくらいあることになりますか。
○政府委員(稲田清助君) 医学部は十九ございます。
○木村守江君 それから私立学校の医科はどのくらいありますか。
○政府委員(稲田清助君) 私立大学の医学部は十三ございます。ついでに公立学校が十四、国立大学十九を合せると総数四十六でございます。
○木村守江君 そうしますとね。今申されたように相当数がありますが、この医学部四年にしますための二年の進学課程はどういうような按配で、どこの学校に幾らというように可なり正確にしなければ、やはり浪人が相当出て来ると思うんです。医科、歯科の浪人が出て来ると思うんです。これはどういうふうに按配して行くんですか。
○政府委員(稲田清助君) 御承知のように、現在いわゆるプレメヂカル・コース、或いはプレデンタル・コースと、こう称されておりますが、或いは農学部の中に理学部の中に、或いは教養学部の中に相当特定した数を綜合大学においては取つているような状況でございます。或いは又計画以外に進学を希望する者もございますけれども、およそこれでどうするかというと、それぞれのものをこうして直結した進学コースに決定せられるのが大部分であろうと思います。
○木村守江君 この法律第五十五条の改正は、これは大体医学部、歯学部のコースを六年併せて行こうというのが狙いじやないかと思うんです。そうした場合どうですか。そういうまあ全部四年のコースを六年のコースにしようとするのが改正の方針じやないかと思うんです。
○政府委員(稲田清助君) 法律の規定の体裁といたしますれば、一応或るものを原則として、或るものを例外とするような規定をするのが通例でありますので、或いはそういうふうに御覧になるかと思いますけれども、又実際の要求といたしまして六年課程を持ちたいという要求が強いのでここに現われて来たわけでありますが、実際私立大学或いは公立大学等で六年間持ち得ないで、上だけを持つというようなことも事実としては相当あるのじやないかと思います。
○木村守江君 国立大学の四年の課程の医学部というものは、これは割合に統制がとれて、いわわる浪人を少なくすることができると思いますが、私立大学においては相当その按配がむずかしいと思います。そういう点から考えますと、これはやはりどうしても医学の進学課程というものは、やはり私立大学においてはどこの学校にも持たせるというような方針をとつて行くことが、これは将来非常にいいことになるのじやないかと思うのです。ところが実際問題として現在の医学進学課程のこれの設置基準というものは、これは相当むずかしくなつていると思います。その設置基準をちよつとお話してもらいたい。
○政府委員(稲田清助君) 新たな医学、歯学の設置基準は、これから医学視学委員会乃至は歯学視学委員会と相談いたしまして研究いたしまして、いずれも大学設置審議会の認可に関することでありますから大学設置審議会で御審査願いたいと思つておりますけれども、要するに今までの現状といたしまして、プレメヂカル・コース、プレデンタル・コースというものがあるのでございますから、およそそれが基準と考えられるであろうと考えます。
○木村守江君 これは医学の進学課程が非常に設置基準がむずかしい。殊に自然科学とか、語学とか、社会とか、人文科学とか、体育とかたくさんありまして、これは少くとも専任教授を十五名以上置かなくちやいけないというようなことになつておる。ところがどこの医学、まあ私立大学にいたしましても大体四十名から百名の間です。百名という所は少いのです。従つて四十名から六、七十名の生徒で、専任教授を十五名以上置くということはでき得ない問題かと思うのです。それでこれは専任教授を置くとしますと、非常にあいまいな専任教授になつて、そういう点から考えると、やはり講師か何かのほうが却つて本当にいい人を雇えると思うのです。そういう点からこの医学の進学課程の設置基準というものをもう少し緩和するように、そうしていわゆるこの法律の本当の徹底を期するというようなお考えはありませんか。
○政府委員(稲田清助君) 新たに医学視学委員会、歯学視学委員会で考究いたします場合に、十分御趣旨の点を考慮いたしたいと考えております。
○相馬助治君 本法に関してはたくさんの質問を用意していたんですが、極めて適切な質問が今木村委員からなされたので、それについては全部了解したので触れません。
 最後に一点私は文部大臣に伺いたいと思うんですが、本問題について中央教育審議会に文部大臣は諮問をしたというふうに聞いておりまするが、答申がなされたと思います。本法の改正は、その答申の内容を妥当としたものでございますか。それとも一部を容れて一部は容れられなかつたというような程度のものでございますか、承わりたいと存じます。
○国務大臣(大達茂雄君) 中央教育審議会の答申の大綱をそのまま容れて立案しました。
○田中啓一君 もはやもう質問も尽きたと存じますので、本法についての質疑もこれを以て打切りを願いたいと存じます。
○委員長(川村松助君) 質疑を打切ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) 御異議がなければ質疑は終了したものと決定いたします。
  ―――――――――――――
○委員長(川村松助君) それではこれから国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題に供します。これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正の御意見がございましたならばこの際お述べを願いたいと思います。
○相馬助治君 お手許に配りました修正案を全部朗読するわけでございますが、時間の関係上、本文を全部速記録に載せることを委員長において御了解給われば省略したいと思います。
○委員長(川村松助君) 只今の相馬君の御発言に御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) 御異議がなければさよういたします。
○相馬助治君 只今議題になつております国立学校設置法の一部を改正する法律案の修正案の提案理由について御説明を申上げます。
 本案に対する本日までの質疑におきまして、国立学校の附属学校教育研究施設定員等を政令、省令等に委任することは、他の国家行政機関の例に見て当然であり、このような事項を法に一つ一つ規定することが非常な特例であるというように説明されました。併し、国立学校は、他の一般の行政機関とは大いに異つた性格を有するものであります。特に大学の問題は時の行政府の意志によつて簡単に左右せられるべきものではなく、法により確固厳然と定められるべきものであります。
 勿論新学制発足以来日なお浅く、大学の内容には足らざるところが多く、法の規定内容が年々歳々改正せられつつある現状でありますことは御承知の通りであります。併しながら、それを以て、大学の定員教育研究施設等の規定が、時の行政府の手中に壟断されてよいということにはならないのであります。
 今回の改正は行政機関が事務的な煩を避けるための単なる簡素化であると説明されておりまするが、このような便宜主義は行政府の怠慢と申すべきであります。
 次に、本法の改正は来年度予算に照応するものであり、大学の予算案が、大学当局と文部、大蔵両省との折衝によつて決定されるものであつて、その予算案は、国会の予算審議によつて十分に検討されるものであるから、大学の教育研究施設や定員はこれを政令、省令に委任しても差支えないという説明についてでありますが、各大学の予算案決定に際し、文部省及び大蔵省の当該担当官の占める位置は極めて大きく、その案の決定を左右するものはこれら担当官の意志であります。ここに問題がございます。又文部当局の説明によればこれらの各大学の予算が積上げられて国立学校予算を形成し、その予算案が国会の審議にかけられると説明しておるのであります。併しながら国会に提出された予算は国立学校運営費として一括され、その内容は、国立学校、附置研究所、附属病院の三つの「項」に分割されております。予算参照書にはそれらの「項」には「職員給与費」その他の科目の区分がなされておりますが、各大学別の予算については何の説明もないのであります。申すまでもなく、これらの予算は財政法の定めるところによつて「項」内の流用が認められております。従つて、各大学間に予算を流用し得ることは明らかであります。従つて、そうした大学の期待に応え大学の自治を守るためには、少くとも、各大学の施設定員を本法において規定する必要があると存じます。従つて、政府提出の改正の第五点「関係条文の整備」という説明に包含される改正はこれを除外し、政令、省令への委任を排除すべきであると信じます。以下修正点について若干の御説明をいたします。本修正案には政府提出の改正案の文部大臣の提案理由説明にありました第一点より第四点までのすべての改正は改正前の本法の法体系のままに包含せしめております。又、政府提案の改正の第五点は「関係条文を整備する等のため所要の改正を行うものであります。」というのでありましたが、本修正案ではこのような簡単な理由で従来法に規定しておりました附属教育研究施設、各学校別定員等の事項を政令、省令等に委任することをやめ、改正前の法体系の通りといたしましたのであります。なお第九条、各学校の定員については改正点第一点より第三点に照応する定員増はこれを増員して第一表を改正いたしております。なお質疑の段階において説明のありました来年度以降の行政整理に伴う減員につきましては、いまだ行政機関職員定員法の改正がなされていない現状に鑑みまして、それに伴う改正を本法の改定には含めないことにいたしております。その他、本法修正に伴う行政機関職員定員法との関係は、従来法の通りこれを存続することにいたす等の修正を行いました。
 以上簡単に修正の理由と修正点について御説明申上げた次第であります。何とぞ御賛同下さいまするようにお願い申上げます。
○中川幸平君 私は自由党を代表いたしまして只今上程の国立学校設置法の一部を改正する法律案に対しまして相馬委員提出の修正案に反対、原案に賛成の意を表明いたしたいと存じます。
 本法律案は例年のごとく昭和二十九年度の予算に照応して改正されるものでありますが、先ず学部の充実については学部の分離独立、公立農科大学の国立大学への移管が計画されておりますし、又五つの国立大学に短期大学が併設されるのでありますが、これは国が面接勤労青年のために大学教育の教室を提供するものでありまして、等しく大学所在の各府県及び府県民の熱心な要望を充足せるものとして誠に喜ばしいことと存ずるのであります。ただ一、二例年の改正の場合と異なつておる点がありますが、その第一点は附属学校附置教育研究施設の設置を政令又は文部省令に委任する点であります。
 第二点は各学校別の職員の定員を政令において定める点であります。そもそも国立学校設置法は文部省設置法、或いは行政機関職員定員法と併存する内容を包含しておるのでありまして、他省所管の各研究所、医療施設等の機関について定めるものとは全く形式を異にし、徒らに重複の感があつたのであります。従つて法令の簡素化、行政事務処理の便宜ために今回の改正法案を提出されたものと存じます。
 このように政令又は省令に委任した場合でも国会が審議権を失つたというのではなく、予算案としても行政機関職員定員法としても当然審議権を持つておることは言うまでもありません。いわんや文部当局と各大学との関係が従来円満に公正に保持されており、又将来ともそうあるべく努めると言つておるのでありますから、この法律案について心配する点は全然ないと思われるのであります。我々が常に心掛けなければならない事柄は大学教育振興のためにたゆまざる熱意を傾倒することであると存ずるのであります。
 以上申上げまして修正案に反対、本案に賛成の意を表する次第であります。
○永井純一郎君 私は原案に反対し、それから相馬君ほか一名の修正案に賛成をいたすものでございます。その理由の大体は、この修正案の只今の提案の理由に大体尽きるので、若し先ほどの文部大臣が言われましたように、単なる事務的な煩を避けるための簡素化のための改正である、そういうことであればこれは何ら私も問題はないと考えます。ところが今の大達さんなり今の事務当局なりが善意でこの改正をされたといたしましても、今後今の吉田内閣がとりつつある一連の反動政策を見ておりますと、私どもにとりましては非常に大きな、これらの極く事務的と思われる点から発して来る非常に大きな危惧の念を持つ点があります。その例えば一、二を申上げますと、従来文部省というものはあまりこれに権限を持たせないで、大学に自治を与え、教育そのものは教育委員会にあるというのが、これは民主的な教育のあり方としてすべてそれが骨格になつております。ところが今度のような改正をいたしますることによつて、文部省がこれを中心にして予算なり定員なり研究施設なり教育施設なりが中央集権化される危険か十分に存すると考えられます。この点が私どもが心配をして原案に反対をする一点であります。若しそういう危惧を防ごうとするならば、私はただ現在の法のままの中で定員を変え、事務の煩を厭うことなく定員を変えたり或いは教育研究施設を変えたりすれば足りる、私はこう考えるのであります。
 第三点はこういうふうに定員なり教育研究施設が文部省の手中に、一手に入る、そうして改正したりするたびに国民の前に、つまり国会の前に出て来ないということになりますために、今のような中央集権化が行われて、同時に心配がもう一つ殖えるのは、地方の大学が現在非常に貧弱でありまするが、これらの大学に対する予算なり定員なり研究施設等の充実について圧迫が加わつて行くだろうということが心配になるのであります。これはこの修正案の提案の理由の中にもありますように、予算の関係を見ましても、例えば国立学校費という項の中で一切のものが今でも賄われているのであります。従つてこの中の目等は自由にこれは流用が実際上事務当局でできるはずでありますから、これらの点から言つて研究施設なり定員なりが一定の反動的な方面に向う研究なり学校を中心にして集中化されてしまう、そうして地方の大学が圧迫を受けて、一向に大学らしくなつて来ないという私は結果が生まれるということを心配をいたすのであります。こういつたような大体二点乃至三点から行きまして、私は修正案に賛成をいたしまして原案に反対をする、こういうことでございます。
 なおこれらの教育施設、研究施設、或いは定員等に関係する以外の改正される点については、別に反対をするものではないわけであります。
 簡単でありまするが、以上を以て私の討論とします。
○高田なほ子君 私は日本社会党を代表いたしまして政府原案に反対し、相馬、荒木両委員の発議による修正案に賛成をするものであります。
 その理由の第一点は、今回政府が提案されましたところの法律案は単に技術面を簡素化するという二十九年度の予算に照応してその操作を簡素化するというような理由でございますが、併し事は事それほど簡単なものではないのでございます。先ず第一に、第五条の改正で学部附属の教育研究施設が今日までは設置法できめられておりましたが、これを文部省が省令で定めることになるわけであります。
 第二点は、第九条の国立学校の定員は、各国立学校毎に設置法できめられておりますが、これを国立学校全体の定員の枠内で政令できめることになるわけであります。即ち設置法できめられ、国会の審議を通過いたしておりましたものが、今度は政令、省令で教職員に直接関係のある教育研究施設定員、これらのものが国会で全く論議されず、そのときの政府の都合によつて自由に左右されるようになるということ、このことは延いては大学の学校差を甚しく拡げ、延いては大学の本来の使命を、その使命を全うさせる途を阻害する方向に持つて行くことを恐れるものでございます。即ち国立学校の設置や或いは定員を国会の審議権を待たずに政府や文部省が勝手に決定し得るということになりますと、大学に対するところの大臣の支配力は決定的となり、大学の維持は容易に壊される結果を招来し、大学の運営は学部の一部勢力と文部官僚との取引によつて左右され、大学の民主化を阻害する原因を惹起する結果ともなるわけでございます。更に施設の整備統合に絡みまして、或いは定員の増減に絡んで、各大学間の予算の分捕競争が激化し、汚職と中央集権の条件を醸成するという危険を私はここに指摘しなければなりません。特に声を大にして指摘しなければならないことは、地方の新制大学の運命でございます。今日までとかく批判の対象になりました地方の新制大学は、このことによつて尊く弱体化し、大学本来の使命を達し得ない状況に陥ることを心から恐れ、このことのために延いて起る青年の希望を達成し得ない結果を来たすことを指摘せざるを得ないのでございます。大学の運営と大学の定員は誠に重大な要素を持つものでありまして、各大学についてこのことは法によつて規定しているのが現行の国立学校設置法の精神でございます。この定員が国会の審議を待たず政令で左右することのできるような改正では、設置法の本来の精神そのものに反し、現行法を全く骨抜きにする結果を招来するものと思うわけでございます。大学の維持、学問の研究と自由を確立するためには官僚の権力を廃し国会の審議権を重視して公正妥当な運営の下に守られて行かなければならないと思うわけであります。従いまして政府原案はこれらの危険を招来するという観点から修正案に対して賛成、原案に強く反対するものでございます。
○須藤五郎君 私は政府原案に反対し、相馬、荒木両委員から提出されま参した修正案に賛成するものであります。
  先ず最初政府原案に対する反対の点を数点挙げたいと存じます。各委員から簡単な意見が相当出ましたので私は簡単に申上げたいと思いますが、この改正点によつて附属の教育施設が省令できめることができますから、文部省が一方的に、大学の維持如何にかかわらず一方的にものをやるということができるという点、それから第二点は定員でありますが、この点も文部省がこれまでと違つて自由に定員を動かすことができるという点、それからこの法案によりまして文部省の中央集権化が従つて起つて来て、或る点ではいわゆる曾ての帝国大学当時のような旧制大学に偏重というような結果も起り得るのではないかという点、これらの点で私は反対するものであります。この私たちの反対に対しまして文部当局はいろいろと説明をしておる、定員などは予算の面でわかるからそういう心配はないというような答弁でありますが、私はこの法案こそ大学の自治と自由と独立、業間の独立に対する外濠だというふうに解釈するわけです。即ちこの法案が通るならば、外濠が埋められた結果、やがては大学の自治も独立も勿論官僚の手によつて封鎖されてしまう、その結果が来るということを強く私は懸念しておる、心配していたのでありまして、この法案に対しましては断固反対するものであります。従つて相馬、荒木両委員から提出されました修喜正案を見ますると、私は今反対意見を述べた点が全部修正されている。何らこの点危惧の念がないように修正されておる、そういう点におきまして私は安心をして修正案に賛成をいたします。
○杉山昌作君 私は政府提出の原案に賛成をいたしまして修正案に反対をいたすものでございます。修正案は主としてこの第五条におきまする附属の教育施設又は研究施設を置くことを省令に移す、或いは定員を政令に移すというふうなことについて心配をされての修正案のように拝承したわけでございますが、先日来の文部当局の説明を伺つておりまして、ややこの修正案は心配が過ぎておるような感じがいたすのであります。大体において附属の教育施設又は研究施設を置くか置かないか、殖やすか減すかというふうなことは予算でもうきまつておる。定員も又予算上きまつて来るということになりますので、国会といたしましては予算審議の際に見ることもできます。又他の機会に参考資料として調査しようと思えばし得るわけであります。殊に法律に定員或いはその他のことがきまつておることになりましてもそれを改正しようと思えばその法律がありながら改正案並びに改正さるべき人数の予算を組んでいることが現実の問題でありますので、法律があるから必ずその通り予算が組めるというものではない。それは従来たりとも行政整理のときに官庁の定員はちやんときまつておると、きまつておる現行法の下におきながら来年から変えるのだぞといつて来年の予算を来年から施行すべき法律案と共に出して来るというような状況から考えましても、法律にきまつておれば必ずその通りの予算を組むということに実際なつていないような状態であります。法律必ずしも万全の防波堤にはならんというようなことを考えております。で、殊に今度の改正につきましての、先ほど文部大臣が公立学校施設費国庫負担法の一部を改正する場合の、衆議院の修正を承認されたいきさつと、それからこの国立学校設置法の一部を改正する法律案では依然として原案を可と考えておるというふうな、そこの差の御説明も拝承いたしまして納得いたしたものでございます。
 私は以上の意味から修正案には反対し、政府の原案に賛成するものであります。ただ賛成はいたしますけれども一言附加えさして頂くならば、今申上げましたような修正案も出るということに文部当局の今後のやり方、と申しますかに対しても心配があるということは、この際文部当局でも十分肚へ入れて頂きまして、今後教育施設及び研究施設を置く場合、或いは大学及び高等学校別定員表について政令を公布するというような場合に当りましては、事前に国立大学協会等適当な機関の了解を得るようにいたしまして、大学及び高等学校の定員の保有、予算措置等について公正を欠くというような印象を与えないように十分の御配慮を願いたいと存じております。
○委員長(川村松助君) ほかに御意見はございませんか。
 別に御意見もないようでございますから討論は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) 御異議がないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。先ず討論中にありました相馬君の修正案を議題にいたします。相馬君提出の修正案に賛成のかたの御起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(川村松助君) 少数でございます。よつて相馬君提出の修正案は否決されました。
 次に原案全部を議題といたします。原案全部に賛成のかたの御起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(川村松助君) 多数と認めます。よつて国立学校設置法の一部を改正する法律案は多数を以て原案通り決定されました。
 以下事務的の手続は慣例に従つて処置したいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) さよう決定いたします。それでは順次御署名を願います。
多数意見者署名
    剱木 亨弘  加賀山之雄
    木村 守江  横川 信夫
    田中 啓一  雨森 常夫
    中川 幸平  吉田 風次
    杉山 昌作
○委員長(川村松助君) 次に公立学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 ちよつと念のために申上げますが、衆議院修正送付案が原案でございます。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
○荒木正三郎君 ちよつと委員長休憩して、附帯決議の問題を打合せ……。
○委員長(川村松助君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
○委員長(川村松助君) 速記をつけて下さい。
○高田なほ子君 公立学校施設費国庫負担法の一部を改正する法作業、これに関しまして附帯決議を附して賛成したいと思いますので、附帯決議をここで朗読いたします。本委員会は「公立学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案」について次の附帯決議を附して賛成する。
 一、将来の生徒数の激増に対処するため、義務教育年限の延長に伴う中学校の施設の建設に要する経費を算定する場合において、基準坪数に乗ずる生徒数の算定方法を政令で定めるに当つては、当該建設を行う年度の当初現在生徒数を基礎とすること。
 二、今後、数カ年のうちに児童生徒数が急激に増加するに伴つて生ずべき小中学校の校合の不足に対しては、あらかじめ合理的な年次計画によつて、その対策の確立を図ると共に、他方戦災校の復旧、中学校への転用による小学校の不足校舎の補充、不正常授業の解消等を早急に解決し得るよう大巾の予算措置を講ずること。
 三、公立中学校の屋内運動場建築費の補助については、屋内運動場の持つ教育的重要性に鑑み予算措置に際して、その地域制限を可及的に緩和し、且つ、小学校についても補助の措置を講ずること。
 以上であます。
○委員長(川村松助君) それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
○須藤五郎君 私はこの法律案が最初配られましたときに、なぜこれを政令にするか、なぜ政令にしなければならないかというふうに疑問がありまして、最初反対の意思を持つておりました。
 ところが今日私は衆議院の修正案を見まして、その点は修正されたということで、これならば賛成をしてもいいのではないかというふうに実は私は考えたわけなんです。ところがこの修正案の審議の過程におきまして、甚だ面白からざるものを発見した。それはですね、譬えて申しますならば、この法律案は犬の首に棒切れを縛つて、その先にパンをぶら下げて、そうして犬にこのパンを食へといつて歩かせるのと同じで、いつまで経つてもパンは品に入らない。それに似た法律だということを私は理解したわけです。こういう馬鹿げた、基礎のない、根拠のない、隙だらけの、欠陥だらけの法律案を出すということに対しまして、私は第一非常な不満を持ちます。これは強い言葉で言うならば、国会を馬鹿にしていると思うのです。最も計算をして数理的にきちんと根拠のあるべき法案であるにもかかわらず、何らそこに根拠がないという点、ですから先ほど申しました犬で例をたとえましたが、恐らくこれは十年、二十年経つてもこの法案通りには、実際にはものは運ばない、それは何に原因しているか、これはやつぱし大蔵省、文部省は実際に教育に対する愛情、児童に対する愛情のない証拠だと思うのです。それを如何にもあるがごとく法律で作つて見せびらかし、いわゆる犬に頭の先にパンをぶら下げて見せびらかして、犬を歩かせるのと同じような結果を来す、国民を犬のごとく扱おうとする実にけしからん法案だと思いますので、この法案に反対をしなければならんという心境に達しました。三転しまして、私はこの法案に反対の意思を表示したいと思います。
○相馬助治君 私は只今議題に供せられておりまする衆議院回付の修正案に対して、高田委員の附帯決議が付せられたものですから、これらを一括して賛成の意を表したいと思います。中学校の〇・七坪をこのたび一・〇八坪に引上げたことについては、地方の長年の要望を満たすものであつて、政府当局の努力を私は多とするものであります。只今須藤委員が譬喩を以て触れられたのでありますが、私は犬の食慾を満足すべき法律ではないけれども、質量兵に不十分とは言え、そのいささかなりは満たすものに足るものであるという意味から、ベストではないがベターであるという意味で、今後文部省がいよいよ計画を立て、高田委員説明の附帯決議の精神に別つて努力されることを期待いたしまして修正案に賛成の意思を表明します。
○剱木亨弘君 私は只今議題となりました学校施設国庫負担法の一部を改正する法律案に対しまして、高田委員の出しました附帯決議を一緒にしまして、本法律案に賛成するものでございます。
 なお賛成の理由は只今相馬委員から申述べられた通りでございますが、なお一言希望を申上げておきます。この附帯決議におきまして、本日の質疑応答を通じまして、今まで非常に難関でありました〇・七が一・〇八になると同時に、非常に懸案でございましたこの義務教育の諸学校におきまする児童生徒数の自然増に対しましても、将来計画の中に入れて、将来計画をするということが当然なされたのでございますが、この点につきまして、将来この義務教育年限の延長に伴う国庫負担の計画につきましては、急激に増加すべき児童生徒数の自然増を取入れて、はつきりそれを調査して、正確なる将来計画を立て、これを実施に移して頂くように努力されることを希望いたしまして、附帯決議を付して原案に賛成するものであります。
○荒木正三郎君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして、只今議題になつておりまするこの法律に対しまして、附帯決議を付して賛成の意を表するものであります。ただこの際一言申上げておきたいことは、審議の過程において明らかになつたのでありますが、折角設置基準を一・〇八坪に引上げながらこれを実現するための年次計画が確定していないということ、これでは折角〇・七坪から一・〇八坪まで引上げる法律が、成立いたしましても、その実現は非常におぼつかないものがあると、従つてこの法案成立の暁においては、文部省において確たる年次計画を立てて、そしてそれが実現を期するように努力してもらいたいということ、それからもう一点は、従来とかく附帯決議は軽視される傾きがあつたと思います。併しこの法案に付せられた高田委員発議の附帯決議の内容は教育の振興上極めて重要な内容を持つておると思うのであります。従つてこの附帯決議の実現については、文部大臣におかれても格段の一つ御努力を要請いたしたいと思います。以上申上げまして賛成の意を表するものであります。
○加賀山之雄君 私は高田委員発議の附帯決議を含めてこの法案に賛成をするものでありますけれども、この従来文部省が義務教育小学校、中学校の校舎の整備に尽して来られた努力は十分認めますが、先ほども剱木委員などからお話がありましたように、お話を伺つておりますと、今後の増加する生徒数、それから又危険校舎等の問題についても、極めて問題は重大であり又心細いような感じがいたすのであります。で、文部省の努力だけでなくて政府一体となつて一つこの問題についてはつきりとした閣議決定をするという措置をとつて、今後のこの附帯決議の趣旨を十分生かして頂くということをこの機会に申上げて賛成の言葉といたすものであります。
   〔「採決」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) ほかに御発言ございませんか、ほかに御意見もないようであります。討論は終結したものと認めて御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(川村松助君) 御異議がないと認めます。それではこれより採決に入ります。公立学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案を可決することに賛成のかたの御起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(川村松助君) 多数でございます。公立学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案は多数を以て可決いたしました。
 次に高田君提出の附帯決議を採決いたします。高田君提出の通り附帯決議を付することに賛成のかたは御起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(川村松助君) 多数と認めます。よつて高田君提出の通り附帯決議を付することに決定いたしました。
 以降事務的のことは慣例に従つて行いたいと思いますが御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) 御異議ないと認めます。それでは順次御署名を願います。
   多数意見者署名
     剱木 亨弘  加賀山之雄
     荒木正三郎  相馬 助治
     木村 守江  横川 信夫
     田中 啓一  雨森 常夫
     中川 幸平  吉田 萬次
     杉山 昌作  安部キミ子
     高田なほ子  永井純一郎
  ―――――――――――――
○委員長(川村松助君) 次に学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。これより討論に入ります。
○相馬助治君 本法の審議の経過に鑑みまして、この際討論を省略して、直ちに採決に入るの動議を提出いたします。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) 只今相馬君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) 御異議がないと認めます。
 学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案を可とするに賛成のかたの起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(川村松助君) 全会一致でございます。
 よつて学校教育法の一部を改正する法律案を全会一致を以て可決することに決定いたしました。
 以下、事務的なことは慣例に基きまして処理むしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) 御異議がないと認めます。それでは順次御署名を願います。
  多数意見者署名
     剱木 亨弘  加賀山之雄
     荒木正三郎  相馬 助治
     木村 守江  横川 信夫
     田中 啓一  雨森 常夫
     中川 幸平  吉田 萬次
     杉山 昌作  安部キミ子
     高田なほ子  永井純一郎
     須藤 五郎
  ―――――――――――――
○委員長(川村松助君) 次に連合委員会についてお諮りいたします。ビキニ被爆事件調査について、厚生委員会に連合委員会開会の申入れを行いたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) 御異議がないと認めます。さよう決定いたします。
 なお開会日時につきましては、厚生委員長と追つて協議決定いたしたいと存じますので、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) なお当日の参考人として教育大学理学部教授朝永振一郎君、立教大学教授武谷三男君及び東京大学名誉教授都築正男君、但し都築教授がやむを得ざる事情で出席できないときは、同大学医学部教授中泉正徳君が出席いたすことになつておりますから、さよう御了承願います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) 以上を以て本日の議題は終了いたしました。
 これを以て散会いたします。
   午後六時五十三分散会