第019回国会 文部委員会 第23号
昭和二十九年十一月二十日(土曜日)
   午前十時四十一分開会
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 出席者は左の通り。
   委員長     堀  末治君
   理事
           荒木正三郎君
   委員
           大谷 瑩潤君
           木村 守江君
           剱木 亨弘君
           郡  祐一君
           中川 幸平君
           加賀山之雄君
           安部キミ子君
           矢嶋 三義君
           相馬 助治君
           紅露 みつ君
           須藤 五郎君
  国務大臣
   文 部 大 臣 大達 茂雄君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       竹内 敏夫君
   常任委員会専門
   員       工楽 英司君
  説明員
   文部大臣官房会
   計課長     内藤誉三郎君
   文部省初等中等
   教育局長    緒方 信一君
   文部省大学学術
   局長      稲田 清助君
   文部省管理局長 近藤 直人君
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  本日の会議に付した事件
○教育、文化及び学術に関する調査の
 件
 (文部省関係予算に関する件)
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○委員長(堀末治君) それではこれから文部委員会を開会いたします。
 先ず文部関係予算に関する件を議論といたします。御質疑をお願い申上げます。
○矢嶋三義君 昨日、私施設設備関係について伺つたのでありますが、途中で切れていますので、続いて若干この施設設備関係で伺います。
 先ずやや具体的に伺いたい点は、先般要求によつて出された中小学校の児童生徒の増加に伴う明年度必要で新たに不足となるところの坪数は、小中学校合せて二十六万坪と資料に出されております。ところが来年度この小中学校の不足坪数に対する建築予定は、二十六万坪よりも下廻つているように私は他の文書によつて承知しているわけです。そうなるとすれば、義務制小学校の施設の不足は、本年度より来年度のほらがより多くなるわけで、施設の確保、解消というものは、全く後退こそすれ進まないという状況だと思うのです。そこでその立場から伺うのでありますが、小中学校の不定坪数、それから老朽校舎の建築を要する坪数、それに対して来年度幾らこれを解決しようと予算を要求しているのか、数字を以てお答え願いたいと思います。
   〔委員長退席、剱木亨弘君着席〕
○説明員(近藤直人君) 小中学校の児童生徒が来年急増いたしますので、それに対する教室の増築がなされなければなりません。小学校の児童の増加に対する市町村の学校建築につきましては、これは只今までのところは、原則といたしまして、市町村自体がこれを解決するということで今日まで参つておりますので、政府といたしましては、今日までのところは二部授業の解消ということに対して補助金を出して来ておることと、もう一点は、戦災小学校の復旧ということに対して補助金を出しておる、この二点であります。新たに小学校の児童が年々増加するいうことに対しましては、只今までのところ政府としては、特別補助金等の方法によつてはおりません。但し中学校の生徒につきましては、昨年からこれを取上げたのでございますが、中学校の生徒の急増に対しましては、特に五大都市を中心といたしまして相当殖えまするので、これに対して政府といたしましては、設置義務者であります市町村に対して財源を措置ずると解しますことは、起債の枠を与えるという方法を以て援助をして参つております。昨年はたしか約五十万の中学校の生徒の増加に対しまして、約十五億の起債を追加いたしまして、これに対処したのでございます。今年度も中学校の生徒増に対しましては、起債の方法を以て対処する以外に途はないのじやないか、というふうに考えております。そこで小学校、中学校の児童生徒の増加に対して、政府として補助金を以てこの学校の建築費に措置するということにつきましては、さような意味におきまして必ずしも政府考えておりました坪数と、不足坪数とは全部マツチするというものではざいません。只今申上げました意味おきまして、少くとも小学校におきましては、この新規に増加する分につきましては、格別補助をしておりませので、その食い違いはあるわけであします。
 そこで小学校の児童につきまして、政府が補助しております坪数を申上げますと、先ほど申上げましたよらな戦災小学校につきましては、昭和三十年度におきましては約三万一千坪程度で補助金を考えております。昭和三十年度初めの不足が約十二万五千坪程度でございますので、その四分の一を昭和三十年度に計上しておりますから、約三万一千坪程度のものを考えており、す。それからこの二部授業の、不正授業の解消につきましては、これは今不足坪数が約十六万坪でございますので、それを二カ年計画で解消するために八万坪を計画しております。
 それから中学校でございますが、中学校につきましては、これは義務教育の年限変更に伴う建築費の補助といたしまして、例の一人当り一・〇八坪と基準によりまして補助をしておりまするが、これが昭和三十年度におきましては約十八万六千坪を予定しております。
○矢嶋三義君 幾らの不足に対して。
○説明員(近藤直人君) 全体の不足九十三万二千坪の不足でございますので、それを五年計画で解消をするために約十八万六千坪予定しております。
○矢嶋三義君 次は。
○説明員(近藤直人君) それから老朽校舎につきましては、これは小中両方合せまして三十一万四千坪余りを計画しております。これは小中両方合せております。
○矢嶋三義君 幾らの不足に対して。
○説明員(近藤直人君) 全体の不足は約百二十五万七千坪でございます。昭和三十年度の初めにおきましては百二十五万七千坪、それを四年計画で解消するという計画でございます。
○矢嶋三義君 高等学校の要求は。
○説明員(近藤直人君) なお、それは義務制でございますが、高等学校につきましては、これは昭和三十年度に初めてこれは要求になつておりますが、調査による不足坪数が約三十三万八千坪でございますので、これを取りあえず昭和三十年度におきましては一割五分だけ解消したい、不均等五カ年計画と申しますか、でございますが、昭和三十年度の初めにおきましては、その一割五分約五万坪解消する、そういう計画でございます。以上小中学校の主なものにつきまして国が補助する坪数につきまして申上げました。
 なお、その他屋内体操場等につきましても計画がございますが、校舎につきましては以上申上げた通りでございます。
○矢嶋三義君 只今の答弁でありますが、こういう内容の資料の提出を受けたわけでございますけれども、五カ年に亘つてのこういう立場から参考になる資料の提出まだ出ていないので、先ほどお願いいたしましたように、あとで出して頂きます。この答弁に基いて考えてみますと、あなた方が今要求している通りの予算が大蔵省で認められ成立したとして、来年度どういう状況になるかというと、小学校の不正常が八万坪残る、それから戦災未復旧が二十一万坪残る、更に中学校の年限延長に伴う基準不足が七十三万坪残る、それから老朽校舎の改築を要するのが九十五万坪残る、合せて百九十七万坪残るわけです。更にあなたが出された小学校、中学校の九十七万人の自然増に伴う不足数が二十六万坪あるわけです。この百九十七万坪と二十六万坪合計、来年度義務制の学校で不足する坪数、而も文部省の調査によるものが、約二百二十五万坪というのものが不足する、こういうことになるわけですね。この数字間違いないですね。そういう数字をつかんでおりますが、今私算術計算したのです。そうすると、あなたがここに出されている生徒の自然増に伴うのは、三十一年度は十六万坪不足する、三十二年度はちよつと下つて三万二千坪不足する、こういう数字を出されておりますが、
   〔委員長代理剱木亨弘君退席、委員長着席〕
この数字の積算をやつた場合、よく委員会で五年計画で云々と言われますが、今年要求したよらな予算の数字で五年たつたらこれらのものが解消できますか。更にその五年の間には老朽の域に入る新しい老朽校舎というものも生じて来るわけです。その数字はまだ御報告頂けないわけなんでずが、そういうことを数字的に考えると、委員会で承わつていると五カ年後には義務制の学校の教育施設が一応最低教育が行える程度に整備できるやに聞こえるのでございますけれども、質的に研究すれば、絶対にこれは解決できないですよ。(須藤五郎君「すでに指摘している点だよ」と述ぶ)如何ですか。それとも今あなたがここで説明されたこの明年度の予算要求、これは大体大蔵省で査定通過の見通しであるかどうか、その見通しを承わりましよう。
○説明員(近藤直人君) 二部制学校の校舎の建築につきましては、これは原則といたしましては、設置者がこれを整備するということでありまして、(矢嶋三義君「それはわかつていますよ」と述ぶ)そこで国がこれに対して援助をするという意味のものは、仮に地方財政の困難、或いは特に国においてこれを補助する必要があるというものについて、国がこれを取上げておるということであろうと思います。只今まで公立文教施設として国が補助して参つておりまするものは、すでに御承知の通りいわゆる六・三制によりまして中学校の年限延長による校舎の補助とか、或いは戦災の復旧の補助とか、或いは二部授業の解消とか、或いは又老朽校舎の改築補助、そういつたものでございますので、従つてそれらの不足或いは今後補助予定の坪数等、現実に出て参りまするいろいろな不足坪数とはこれは食い違いがあることもあろうと思います。そこで問題を変えまして新規増加の点でございますが、これにつきましては、これは昨年からしばしばお話がございました通り、新規増加につきましては、今日まで設置者においてこれを充足して来たという方針を踏襲いたしまして、国がこれに援助を与えるということは特別理由がある場合であるということで、特に六・二制によりまして年限延長になりました中学校に対してのみ国が財源措置をするということをして参つております。従つてこの小学校の児童の増加によつて教室が不足することに対しましては、これは市町村において措置をしてもらうという方針で参つておりますので、従つて必ずしても国が補助する予定にしておる坪数とは一致しないわけでございます。
 そこで只今私が申上げました補助の予算の見通しでございますが、これは今後大蔵省と折衝するものでございますが、今ここでどうだということは申上げかねますが、併し私といたしましては、できるだけ努力をいたしまして、その通過を図りたい、かように考えております。
○矢嶋三義君 あなたの前半の御説明は勿論その通りです。ただ併しですね、これらの施設の確保に当つては、補助或いは起債によつてこれを処理する以外に、純然たる自己財源というものは今の地方公共団体は持たないのです。又たとえ起債でやるにいたしましても、今の地方財政の実情からいつて、起債の限度というものも一応考えなければ、将来の地方財政に大きな禍根を残すという重大な問題もあると思うのです。従つて自然増については、設置者である市町村がその責に任ずるのだというような立場で、比較的に無関心に文部省当局があるということは、私は遺憾に存じます。私はなぜこういうことをしつつこく言うかと言いますと、私どもは、今の自衛隊というものは憲法違反だ、こういう見解をとつておるのです。ところが防衛庁の防衛関係の施設設備に関するところの建設年次計画というものは、アメリカの要請も成る程度あつて、日本で完全に自主的にできないだろうと我々が推察するにもかかわらず、相当積極的な綿密な計画の下に堂々と打ち立てられつつある。私は先般北海道の諸施設を視察して、最近できる新制大学の施設と比較したときに、実に驚き入つた、比較にならないほど立派なんですよ。にもかかわらず、この文部省の教育施設の整備計画というものは、科学的なデータで固めたがつちりしたものがないという点を私は指摘したい。これはまあ政府の方針もありましようし、又大臣の関心の度合によつても左右されると思うのですが、もう少ししつかりしたデータの下に、計画をがつちりとコンクリートに固めて、そしてこの解決に乗り出してもらいたい、そういう私は警告を発したい意味でこれをしつつこくついているわけなんでずが、少くとも一応文部省議できめて、現在大蔵省と折衝中の来年度の予算だけは最小限確保されなければならないということを私は強く主張いたしておきます。
 で、もう一つこの施設関係で承わりますが、昨日もちよつと伺いました屋内運動場ですね、これは現在積雪寒冷地帯の中学校だけに適用されているのだ、これを法を改正して他の地域にも及ぼそうということについては、きつき伺いましたが、現在これは盲聾学校等には適用されていないと私は承知しているのでありますが、盲聾学校のほうにこれを適用する考えを以て予算要求をしておるかどうか、この点と、それから同じく施設の問題として、最近幼児教育というものが非常に盛んになつて、義務教育に殆んど準ずるように取扱われている。地方の中都市へ行きますと、小都市もそうですが、比較的にきれいに金儲けするには、幼稚園を作つたら一番儲かるというようなことを言つている。お手なんかは幼稚園を設けて、そうしてお坊さんが園長になつて、安い月給で保姆さんを雇つて相当儲けているらしい。それほどこの幼児教育に対しては父兄は熱心であり、収容力もないのです。これは公立もあれば、私立もあるわけなんですが、結局そういう実情であるということは、施設が不十分だということなんですね。これらの公立、私立は私同様に考えるべきだと思うのですが、それがあなたのところで不等と考えるならば、順序として少くとも公立だけとお考えになるならば、公立の幼稚園の施設設備は補助というものを、補助をすることによつて、何とか今の足らざるものを解決して行こうというような、来年度の予算編成に構想を持つておられるかどうか。これが二点。
 もら一つ聞いて終ります。それはやはり建物の問題ですが、これは定時制教育については、ほかの角度から、又他の委員からも質問されるでありましようが、私からも伺いたいのですが、私は施設だけで伺いますが、いろいろ地方財政の窮迫等によつて、定時制学校の統合等が、すでに来年度の予算編成期を前に問題が起つて来ております。これが又施設設備の問題から起つて来ておるのであつて、これは勤労青年教育では由々しい段階に来ておると思います。この一番隘路である定時制高等学校等の教育施設を整備する、確保するという立場から、来年度予算の要求にどういう態度において臨まれておるか、それだけ、施設関係で承わります。
○説明員(近藤直人君) 先ず一番最初の御質問の盲聾学校に対する屋内運動場の補助があるかどうかという御質問でございますが、従来これはまあ私ども要求はしておりましたけれども、予算が獲得できなかつたのでありますが、昭和三十年度におきましても、やはりその必要を認めまして、屋内運動場につきましては、要求をいたしております。只今屋内運動場が約六千八百坪ほど不足しております。御承知の通り首里の義務制は、昭和三十一年度に完成するわけでございます。それまでに校舎、寄宿舎並びに屋内運動場も是非整備したいということで出発いたしましたが、校舎、寄宿舎のほうは比較的順調に、と申しますか、予定の計画苅り整備をしておりますが、屋内運動場については、これはなかなか大蔵省に了解ができませんので、今日までその補助はないわけでありますが、来年度におきましては、是非ともこれは要求いたしたいと思いまして、先ほど申上げました六千八百坪の二分の一、約三千四百坪を要求しております。
 それからお尋ねの幼稚園の施設でございますが、この幼稚園につきましては、いろいろ問題があります。特に昨今は、私立の幼稚園が非常に増加しておりますので、公立の幼稚園はともすればこれに打ち負かされるというような状況でありますが、併しながら公立は公立としての必要性がありますので、それぞれ各公共団体において計画は立てております。それに対して、国として建設費の一部に対して若干の補助をするということは非常に意味がありますので、これは一昨年から開始しておりますが、今年は五百万程度の補助金であります。ところで昭和三十年度におきましてはこれを大幅に要求いたしまして、約二千六百万の要求をしております。この考え方といたしましては、今施設の不足が約二万坪程度ありますので、これを十年計画で国が援助をするという考え方でございます。補助金の額は比較的少いのでありまするが、これは公共団体に対する関係から申しまして非常に意義があるように考えられますので、今後ともこの幼稚園の施設の補助は継続いたしたいと、かように考えております。
 それから最後に定時制高等学校の建築費の補助でありますが、これは不幸にして今日まで政府の補助が与えられておりませんが、昭和三十年度におきまして約一億六千万の予算を以て補助いたしたいと考えております。只今までこの定時制高校を整備するといたしますと、約十二万八千坪の整備計画が必要であります。これは一人当り基準といたしまして一・四四坪、一坪四四の不足といたしますると、全体で十二万八千坪の不足になりますので、これを十年計画で補助いたしまして整備するという考えで、昭和三十年度におきましては約一億六千万の予算を以て要求いたしております。以上お答えいたしましたが、この定時制高校につきましては非常に要望が強いのでありますが、同時に又高等学校の老朽校舎の改築に対して、是非補助をしなければならんという意味合いもありまして、なかなか種々の関係から、定時制高校の建築補助というものは、見通しといたしまして私は困難じやないかというような感じはいたしますが、併しながら私の立場といたしましては、これもできるだけ努力をいたすつもりでおります。
○矢嶋三義君 この施設関係として私最後に承わりたいのは、この補助政策で一番問題と考えられる点は、単価の問題だと思うのです。実際よりは単価を中央官庁で過小評価する、そのために実際事業をやる場合に、この規定通りの二分の一或いは三分の一の補助額が来ない。その不足分を地方財政で、自己財源で賄う。そこに私はこの地方財政の窮迫して来る一つの原因がある、こう考えるのですが、来年度の予算編成に当つて、文部省は木造並びに鉄筋の単価を如何ように算出しておるか。その算出している額は、或いは建設省等のとられておる単価と同一かどうか。若し違うならばどういうわけでその建築単価が違うのか、その点だけ承わつてこの質問を終ります。
○説明員(近藤直人君) 単価の点でございますが、昭和三十年度に要求しておりまする単価は、本年度の単価と同額でございます。木造にいたしまして二万七千七百円、鉄筋にいたしまして五万五千三百円、これは本年度予算の単価と全く同額でございます。而してこれは勿論御指摘のように建設省におきまして、学校建築の単価といたしまして建設省で決定いたしました単価を用いております。この単価につきましては、全部建設省の決定によつております。建設省におきまして他の官庁営繕の単価などと違つておりますのは、やはり学校建築の特殊性と申しますか、構造上の差異からさように単価を変えておると思います。これらの点につきましては、技術の専門家がおりまして、絶えず建設省と連絡をとりまして遺憾のないようにいたしておるつもりでございます。
○荒木正三郎君 学校給食の問題については、これは大臣質問に譲りたいと思います。それからその次の問題としては、二部授業の解消の問題、それから老朽校舎の改築の問題、それから屋内体操場の整備について、こういう施設関係の問題については、かなり矢嶋君から詳細な質問がございました。従つて重複を避けたいと考えまして、極く簡単に質問をいたします。
 この二部教授の解消の問題は、特に大都市の岡に起つておる著しい問題であると思うのですが、これの対策は早急に実施する必要があるというふうに考えます。そういう意味合いで、先般来から当文部委員会に対してもいろいろの陳情がございました。それらの趣旨は起債によつて、少くとも来年の三月までには施設を行いたいと、こういう意味でございましたが、起債の問題はその後どういうふうに扱われておるのかという点が一つであります。
 それから屋内体操場の整備の問題ですが、先ほどお話にあつたように、寒冷湿潤地帯については、従来補助を出しておる。これの結果どの程度整備されて来ておるかという点が一点です。それから屋内体操場の問題は特に新制中学校において私は非常に困つておると思うのです。そこで新制中学校において、新制中学の屋内体操場整備については、文部省としてどういう計画を持つて今後この整備に当つて行うと考えているのか、その方針、新制中学は最近発足をして屋内体操場を殆んど持つておらないのが実情であると思うのです。従つてこれを整備するのには相当な予算的措置が必要であると考えておるのですが、そういう面からのいわゆる計画、方針、こういうものについて一つ御説明を願いたいと思います。
○説明員(近藤直人君) 第一点の二部授業におきます児童生徒の急増に対する教室増築の予算措置でありますが、これにつきましては、先ほど申上げたかと思いますが、小学校につきましては、これは起債等特別な措置はいたしませんが、中学校の生徒の増に対しましては、昭和二十九年度にとりました措置と同様に起債によりまして、地方公共団体に起債をいたさせまして増設をさせるという方法で参る予定でおります。只今特に緊急を要しますのは五大市でありますので、五大市を中心にいたしました。その他の生徒増の非常に激しい都市を考えまして、約十五億程度の起債の枠を目下自治庁並びに大蔵省に対して追加要求中でございます。しばしば事務的には折衝いたしておりますが、見通しといたしましては、私はこれは恐らく認められるのじやないか、こういう考えを持つております。又是非実現いたさねばならんという考えを持つております。併しながら時期的に申しまして、やはり学校校舎の追加起債のみを先に決定するというわけにも参らんのでありまするので、やはり簡易上水道の追加起債とか、それらのものと合せまして大蔵省並びに自治庁で決定する模様でありますので、或いは時期といたしましては十二月に入ろうかと思つておりますが、いずれにしろ、この実現につきましては、比較的明るい見通しを持つております。
 それから屋体の整備でございますが、屋体の整備につきましては、来年度の予算によりまして、積雪寒冷湿潤地帯と申しますか、それらの地帯に対しましては、これは従来通りの方式を以て要求しております。金額にいたしまして約七十七億三千万円でございます。その坪数を申上げますと、まだ整備しなければならない坪数が約二十三万坪でありますが、そのらち本年度整備いたしまするのは約三万五千坪余でありますので、それを差引きました残りの分につきまして、それを五年計画で解消するという考え方をしております。
 それから御指摘になりましたこの暖地と申しますか、積雪寒冷湿潤地帯以外の土地、これは九州とか或いはその他の四国等におきまして非常に要望が強いのでありまして、殊に今の新制中学の屋体につきましては非常に要望が強いのでございますが、これにつきましても、是非国が補助をいたしまして整備させるという必要を認めまして、昭和三十年度には新たに約三億六千万円の補助金の要求をしております。これは調査をいたしますと、そのうち整備を要する坪数が、これ又約二十二万坪余りでありますので、これにつきましては、多少整備の率を積雪寒冷湿潤地帯よりも落しまして、十年計画ということで、先ほど申上げました三億六千万円の要求をしております。この暖地の屋体に対する国の補助につきましては、従来積雪寒冷湿潤地帯の整備について非常に努力しておりました向きからいろいろ意見がありまして、先ず積雪寒冷湿潤地帯のほらを先に整備をして然る後に暖地に及ぼすべきである。まだ積雲寒冷湿潤地帯の整備が相当残つているのに、暖地に対して整備をするのはどらかというような意見も相当ありまして、いろいろ議論をしたのでありますが、積雪寒冷湿潤地帯の補助につきましては、従来通りこれを継続する。従来通りのやり方でやる。そのほかなお暖地にも多少差等をつけてこれを考えてもららということで、先般いろいろ話合いをいたしまして、先ほど申上げたような要求の形になつております。経過を申上げますとさようなことでございます。
   〔委員長退席、剱木亨弘君着席〕
○荒木正三郎君 この二部授業の解消について、起債の点に関して小学校は除外するということはどういう意味なんですか。
○説明員(近藤直人君) 理論の筋といたしましては、義務制でありますから、これは設置義務者においてこれを整備するという建前から申しますと、中学校も小学校もやはり同一のことでありますけれども、特にそのうち中学校につきましては、六・三制の新しい教育制度によりまして、新制中学というものができまして年限延長になりました関係上、今日中学校につきましては一・二八坪の補助を与えているという実際から考えまして、中学校の生徒増につきましては、これは国においても援助して然るべきじやないかというような意味合いを以て只今考えております。小学校のほうはそれでいいんだという意味ではございませんが、特に中学校につきましてこれを取上げる、かような意味でございます。
○荒木正三郎君 今の説明では私は理解することができないのですが、これは現実にこの二部授業等について非常に困難を来たしている、そういう実情に即してそういう対策を考えなければならないということから起つて来ている問題とすれば、これは中学校と小学校との間に区別をつけるべき筋合いではないと思いますが、私の意見にもなりますので、これは再考を求めたい、こういうふうに考えます。それで一応施設関係を終りたいと思いますが、次の質問に入るのには御答弁願えるかどうか。どうか今出席しておられる方の顔ぶれをみていろいろ私はどうかと思うのですが……、それではお見えになりましたから続いて質問をいたします。
   〔委員長代理剱木亨弘君退席、委員長着席〕
○相馬助治君 議事進行について。ちよつと速記をとめて……。
○委員長(堀末治君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(堀末治君) 速記をつけて。
○安部キミ子君 文部大臣にお尋ねいたします。山口県の水産学校の学生が去る十月二十二日下関の漁業組合の委託実習生としてさばのはね釣りに出ましたところが韓国から拿捕されてあちらに抑留されている実情でございます。時日も相当たつておりますので、学校初め父兄一同が大変心配いたしまして、何しろ寒さも迫つて来ることだし、卒業期も三月でございますので、学習も遅れます。又いろいろの就職の面などがありますので、一日も早くこの問題を文部省のほうで善処頂いて、何とか早く返してもらいたいという要望でございます。従いまして文部省当局では今までどのような交渉をなされておられますか、又今後この対策にどのような配慮を図ろうとなさつておられるか、大臣より御答弁頂きたいと思います。
○国務大臣(大達茂雄君) 局長から答いたさせます。
○説明員(緒方信一君) 只今お話のございました山口県の水産高等学校の生徒の拿捕事件でありますが、これは極めて遺憾なことでざいまして、只今お話のように特に生徒が一緒に連れて行かれまして、いまだ帰つていないとうことでございますが、これは関係者一同大変御心配になつておると思います。文部省といたしましては、教育委員会並びに知事から報告がございまして、同時にこの善処方について要望の書面を受けております。従いまして文部省といたしましては、外務省と水産庁に対しまして、ずつとその善処方につきまして御相談を申上げております。特に外務省に対しましては、成るべく早く問題が解決しまして、生徒たちが早く帰つて参りますように、韓国に対しまして交渉せられるように申入しております。外務省におきましても、聞きますと、十一月の一日でございますが、韓国代表に宛てまして抗議を申入れたということでございすす。只今そういうふう関係各省で相談をいたしまして、早期送還されることにつきまして、韓国側に申入れをしているところでございます。御承知のようにこれは文部省が直接韓国側に由れするということは、これは筋ではございませんので、外務省を通しまして話を進めるということに、今後と“文部省としましても努力をいたして行くつもりでございます。
○安部キミ子君  このたびの問題だけでなくて、今後も学校の性質から申しましても、漁撈実習ということが主題るなると思いますので、今後ますますこういうことが激しくなりますと、水産学校が、山口県の地理的条件からすれば、非常にそういう危険の率も多くなつている。従いまして今後もこらいふらなことが起らないように何とか、これは文部省だけで解決できる問題ではないということはわかりますけれども、外務省とも水産庁とも、とにく韓国との国交の調整が私は基本的に解決されなければ、ただこれら学生だけの問題でなくて、日本全体の水産漁業についても重大な問題になつて栗ると思いますので、そういう点も含めて文部省としてはそういうふうな国交の調整に協力し又要請されて、一日もく解決してもらいたい、こういうふうに要望する次第でございます。
○荒木正三郎君 私は一つだけお伺います、ほかのかたの質問もありますから………。それは学生の健康保険の問題です。私は最近の資料は持つておりませんが、相当前になりますが、文部省から提示された資料によりますと、学生は七〇%乃至八〇%は何らかの形でアルバイトをしておる。それが原因の一部にもなつておると思いますが、単生で健康を理由に中途退学をする者が相当多い。その数字も私の記憶では、大体一五%に年間及ぶ、こういう資料を拝見したことがございますが、これは相当私は重要な問題だと思うのです。前途有為の青年が健康を害して、学業を半ばにおいてやめなければならない、こういう状態は私非常に悲しむべき状態だと思うのですが、そういう意味において学生の健康保持の問題は、これは非常に重要な問題であるというふうに考えておるわけです。それで学生の間では従来から、学生にも健康保険制度を作つてもらいたい、こういう要望がかなり強く行われております。私はそういう問題に関連をしまして、学生の健康保持の問題について、何らか文部省としても具体的な対策について考慮せられておるかどうか、考慮せられておるとすれば、どういう点についてお考えになつているか、お聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(大達茂雄君) この学生の健康保持に関連をいたしまして、今の健康保険の制度を作つてもらいたいということは、これは前々からも大学側におきましても特に関心を持つて、しばしば書面なり或いは口頭で実は大学の学長の方々が直接要望されておることであります。私どもとししても、これは非常に関心を持つておるのでありますが、ただ御承知の通り、三年とか四年とかいう短かい期間でありますから、保険の技術の関係でいろいろむずしい点があるというような話もありました。かれこれしてなかなか実現の運びになつておらないのでありますが、何とかこれは実施のできるようにしたいという考え方の下に、来年度におきましては、当面その調査に必要な経費を要求しております。それが若し、或いはそう非常に大きな金額でもありませんから、その調査の費用が幸いにして計上することができれば、具体的に技術的に、私どもは保険の技術というものはよくわからないのですけれども、かなり面倒だということをしばしば伺つておりますが、そういう点について、実質的な、実施し得る具体的な計画を立てたい、こう考えております。
○荒木正三郎君 この学生の健康状態については、最近の私資料を一つ御調査の上お知らせを願いたいと思います。
○相馬助治君 私はこの際、時間もないようですから、二つの問題に限定して大臣の御所見を、来年度の予算に連関して御見解を何つておきたいと思うのです。
 その第一の問題は、先般当委員会においても超党派的に決議をあげて政府に向つて要請をし、大臣にも直接お話申上げた給食の問題です。今日、日本の置かれている立場から、食生活の改善の面からも、又教育的な意味からも、その他又昨日来問題になつた北九州炭鉱地区の学童の救済問題というような局地的な問題と連関しても、この給食の問題というのは非常に大きな問題になつております。そうして全国の父兄が来年度の文部省予算のうちで給食の経費がどれくらい盛られるかということに重大な関心を持つていると、かように存じております。そこで大臣は明年度の予算において、給食の点に関してはどの程度を要求され、そうして又どのような見通しに立つておるか。なお給食全般に関してこの際大臣の所見を承わりたいと、かように存じます。
○国務大臣(大達茂雄君) 給食の問題でありますが、御承知の通りに、小麦を政府の指定価格で払下げをする、これに必要な予算は農林省の食管特別会計に計上してあります。これは御承知の通りでありまして、文部省予算におきましては、この給食に関連をして必要な経費というものを文部省予算によつて計上しておるわけであります。従つて従来文部省予算に現われておる限りにおきましては、給食の経費というものは非常に少いものであつた。まあ大体給食設備の保持というようなものであつたのであります。それも極く最近初めてそういうことになつたと私は覚えております。そこで当面私どもとして一番、この給食の問題と関連をして、何とか解決をしたい、こう考えております問題は、この前も申上げたかと思いますが、いわゆる私どものほうで準要保護児童、こう言つている、つまり生活扶助の対象にはいろいろな基準でそこへ来ないけれども、併し実質的には給食の負担というものが非常に困難な状態の家庭の子供さん、こういう準要保護児童に対する無償の給食というものを、何とか実現したい。これは実は熱心に考えておるわけであります。そこで来年の予算には、この意味において、相当な金額を計上してもらいたいというつもりで、実は、或いはもうすでにお答えをしたかも知れませんが、そのための経費が約三億近い、二億八千万円ですか、というものを実は要求したいと思つております。それから御承知でもありますが、事実この給食というものが存外伸びておらん。昨年あたり非常な災害が相次いで起つたその関係上、一時的に給食が或る程度伸びたのでありますが、必らずしもどこの学校でも給食するということになつておりません。これは私どもから言うと、できるだけやはり普及のできるようにしたい。その障碍の一つを取り除く意味で、これは昨年からやつておることでありますが、給食の設備、炊事場であるとかその他の給食設備というものに対する補助、これを相当に計上いたしまして、そうしてできるだげ給食制度というものが一般に普通するようにしたい、こういう考え方で、この給食設備の整備という意味のものもこれも相当な、二億三千万円ばかりのものを要求しております。これはそのまま通るかどうか、これはわからんのでありますけれども、相当給食の問題につきましては、給食制度というものを、事実伸びていませんから、これを普及させることと、そちして何時に給食制度のために非常に困難な状態に陥る事態にある家庭の児童に対しての無償給食ということを実現をしたい。これを当面の目標として予算の獲得をしたい、こう思つております。
 それからなおこれはまだはつきりしたところまで行つておりませんが、最近通産大臣がアメリカへ行つて、例の余剰農産物の問題について話合も大分きまつたようであります。これもまた正確なことはわからんのでありますけれども、大体千五百カドルというものが、学校給食のために、無償で譲与されるということになつております。この内訳はわかりません、まだ。衣料も入つておる。これも内訳はわからない。そのうちには、小麦が無論主でしようが、そのほかに乾燥ミルクも勿論入つておると思います。衣料のほうも区分がよくわからんのですが、とにかく併しこれが相当あるとすれば、これは引当な分量になるわけであります。恐らくは現在の学校給食のなにでは消化しきれないくらいのものじやないか、こう思つております。そこで、実はこれは前々から御心配頂いており、又今日もお話があるんじやないかと思うけれども、北九州の炭鉱地帯、これの給食。これは給食だけの問題ではありません。勿論給食はほんの現われた一角に過ぎないので、その地帯全部の窮乏を如何に救済するかという大きな問題だと思います。私どもとしてもこれを何とか途をつけたいということで、非常に苦慮をしておるのですけれども、残念ながら現在のやり方の下では、これに対して実は手が出ないのであります。そこで、これは今のその点から言うと、これは非常な朗報なんです、この余剰物資に関係する問題は。そこでこれが実行できることになれば、これは優先的というか、一番先にあそこへ持つて行きたいのです、北九州へ。それで私、昨日でしたか、閣議のときも聞いてみました。大体いつ頃からこれは実現し得るものだろうかということで聞いてみると、これはまあ来年から、一月からでもやれるはずのものだと言つておりました。併しそれだけの多量のものの内訳もよくわかりませんが、どういうふうにして消化して行くかということもありますから、果して一月からそれができるようになるかどうかわかりませんが、できるだけ事情のわかり次第に、急いで、一日も早く少くとも北九州だけは一つそれで完全無償の給食をやつて行きたい、こういうふうに考えております。通産大臣のほうも、是非北九州のほうを一つ優先的にやつて下さいというあらかじめの希望もあつておるわけであります。
 まあ来年の予算の点から言うと、今申した設備の保持、それから準要保護児童に対する無償給食、これを当面の対象としてやりたい、こう思つております。
○矢嶋三義君 来年度予算では、当面の問題として、準要保護児童に対する予算を計上するつもりだということを聞いて、その点は非常に結構なことだと思います。今の余剰農産物の問題から、一部衣料が入つておるのは伝えられておりますが、とにかく千五百万ドルものものが子供たちのために使えるということは、いろいろ問題はありまするけれども、当面の問題としてにこれは十分考えて行かなくちやならないことだと思うのです。そこで如何でしようか、給食の費用は従来、農林省の所管の予算にあつた。それから又実際に小麦だけじやなくて、ミルクの問題は厚生省がいささかわけのわからない、やかましい規則なんかを振りかざして、とやかく言うたりしておりまして、非常に問題が複雑になつております。そこで政治力極めて逞しい大達文相の下において、この際政府提案の学校給食法を一歩進めて、せめて小学校全部を対象として義務的に国費を以てこれをやるというぐらいなことを、各省間の話合をつけられて、日本の食生活改善という意味からも一つ御構想があるかどうか。あることを期待するのでございまするが、この際大臣の御見解を承わつておきたいと思います。事は予想に属することですけれども、それで結構ですから……。
○国務大臣(大達茂雄君) これは実は、その点も私は考えまして、何年ぐらい期待し得るものだろうかということを、これはまだ一般に発表する段階じやないと思いますが、何年ぐらい期待し得るかということを確かめたのです。これは一年こつきりであとがないということになると、これは一種の混乱を生ずる虞れがある。従つてこれをどういうふうに、今のところではとらぬ狸のような感じが多少あるけれども、成るべく早くしたいという気持があるから、聞いてみたのですが、二年は続くものと見ていいと思うと、こういうことなのですよ。そこまでは大体間違いないと、こういうことです。そこで一年だけの問題だとすれば、扱い方においていろいろ考えなければならん。私は前々から申しげているように、小学校児童に対して全額国庫で負担して無償給食をするということについては、相当考慮する余地があると思います。研究しなければならん問題で、私けそう簡単に、実はこの前も申上げて叱られたのですが、そう簡単にここで賛成ということを申上げるところまで来ておりません。そういうわけでありまして、これができてから一年こつきり無償で配つてやるというようなことは、ら線香花火のようなことは実は余りしたくないので、まあそう言つては先のことになつておかしいですけれども、やはり日本の給食制度というものを、将来相当続いてそこまで持つて行きたいという形を想定をして、そうしてそれに役立つようにこの小麦の援助というものを使つて、できればその後も大体その線を崩さないように、将来も今度は日本の力で続げて行けるような方法を何とか考究したい、こう思つております。そこで今この千五百万ドルの援助物資に対してすぐ全部何するというような景気のいいことは、やるかやらんか、もう少し研究してみたいと思います。
○相馬助治君 別な問題ですが、私立大学の問題に関して一つ大臣の御見解を承わつておきたいと思います。私立大学の卒業生の就職の問題も非常に大きな問題ですが、この際私が問題にしたいと思いますのは、特に私立大学の入学試験の問題です。これは大臣も私人としてはお聞き及びだと思いまするが、今日公然として私立大学が寄附金を受験者の父兄に要求しております。特に医学関係等においては、刷り物にまでして、維持費という名目で金を父兄に請求しています。それで私昨年実際に当つた問題ですけれども、或る医学関係の学長は、三十万程度の維持費が出せないような父兄は、途中でどうせ学業を全うさせることができなのだから、よその学校に行つたほうがいいです、こういうことをはつきりおつしやつておる。このような公然たる寄附要求、又それにからんで金品を以て入学が可能であるというような風潮が、純真な高等学校の卒業生の頭にまで浸み込んでいるということは、これは由々しい問題だと思うのです。そこで、来年の私学振興協会等に対する補助金の問題も、昨年度は文部大臣の特段の御努力によつて十億かの予算が、一昨年同様に、確保されたようでございますが、本年度はどのようになつているのか承わりたいと共に、これらのいわゆる公然たる寄附要求の問題に対して、大臣はどのようにお考えになり、どのように指導されようとしているのか。この際御見解を承わつておきたいと思います。なお昨年私は、同一の問題について、稲田局長に質問をいたしました。稲田局長も、残念ながら一部その事実のあることを認められて、十分将来考えて参りたいという積極的な発言があつたのでございますが、一つこの際大臣から御見解を承わつておきたいと思います。
○国務大臣(大達茂雄君) 御指摘の通りの事実は、私もそういうことがあると思つております。無論これはまあ好ましいものでないことは当然であります。ただ戦後私立学校の経営というものは、私もまあ詳しいことは存じませんが、戦前に比べるというと、相当に困難になつておるということは、認めなければならない。早い話が、つまり授業料収入その他のまあ学校経営に関連して生ずる収入と、それから学校経営に必要なる経費というものとの、何といいますか、割合というものが相当食い違つて来ている。これはまあ非常に、革命的に物価が変動しておる、授業料収入がそれに追随し得ないというような点もあつて、私立学校の方面でも、まあ特別な基礎の固い学校は知りませんが、相当に困難な状態になつておる。そこへまあ戦災を受けたとかということで、早急に施設の回復或いは整備をしなきやならんというような必要にも迫られておる関係で、まあ一時的といいますか、とにかくそういうことで寄附に依存するということが行われておる。これは残念なことでありますけれども、まあ或る程度実情止むを得ないものじやないかと、こういうふうに私どもは思つております。そこで、まあこれは極端なことをすれば、或いはその寄附金の多寡によつて入学を決定するというようなところまで来れば、これは甚だ不都合な話でありますが、これはまあそれぞれの学校の良心、それから社会的な信頼にも関係するわけでありますから、まあそこにおのずから限度はあろうと思います。あろうと思いますが、今のように学校経営側にとつても相当困難である問題が事実上あるのでありますから、そうして又これを、そういうものを、寄附金を取つてはいけないということを言うわけにも参りません。そういうことはそれぞれの私立の、殊に大学等におきましては十二分に承知して、事情止むを得ずそうなつておると思いますから、これは事態が改善せられれば自然に又よくなつて来るものじやないかということを、私どもは期待しておる。それがためには、今お所がありましたような私学振興、そういうふうの国の、何といいますか、援助というか、国として面倒を見る面をできるだけ多くする。早くそういう特別の事態が解消するようにというふうに考えております。大学を私どものほうで何らか指導するということも、これはわかつておるのですが、大学のほうでも、子供じやないのですから、余りそういうことを言うのもどうかと思いますけれども、私どもとしてはそういう問題で、これはまあひとり私立大学だけではない、公立学校においてもPTAの負担というものが非常に重いのです。そういうことがいろいろな戦後の諸事情から、到るところにそういう点が出ておると思いますが、できるだけ早くそういう事態を改善する基礎条件というものを整えるように、文部省としてもできることは鋭意努力して参りたいと、こう思つております。
○相馬助治君 私が問題にしているのは、その限度を越えておるということを、公然たる寄附行為が入学試験の合格の前提になつておることを知つておるものですから、お尋ねしたので、私立学校以外の官立学校でも寄附というような問題はあると思いますが、これは限度を越えていないと思うのです。そこで私立学校の場合には限度を越えたそれらがありますることですから、この際事務局をしてよく調査をして、余り過ぎたものがあつた場合には、厳重な指導と監督とをされる、同時に、注意をされることも私はこの際要請しておきたいと思うのですよ。
 これに連関して、もら一つだけで私の質問をやめますが、卒業生の就職の問題です。これは私はもう実に、大きな社会不安の原因になつていると思うのです。而も特殊な関係がなければ就職だけは殆んど不可能に近い状態です。特に私立大学の場合と、それから地方の、官立でも地方の大学の場合には、殆んど一流会社等には就職は不可能の状態で、今日国会議員の諸君が個人的に悩んでいる問題は、五十枚も六十枚も履歴書を預けられて、選挙区の関係でうつちやつておけない、頼みに行つても解決がつかん、実に問題です。併し我々の問題などは問題ではない。今就職するという子供たちにとつて、これは実に大きな問題だと思うのです。先般文部省がこれに対する名案があるかのようなことが新聞等にも発表になつておりましたですが、この重大な大学生の就職問題について、文部省はどのように事態を観測され、将来どのようにされんとするか、この際構想並びに抱負等がありましたならば、一つ承わつておきたいと、かように存じます。
○説明員(稲田清助君) 第一に、今日の大学卒業生の就職見込の大体の数字でございますが、只今のところおおよその見当といたしまして、明年卒業いたします学生が、四年制度において約十二万、短期大学において約二万五千、このうち義務教育の教員関係二万数千名、或いは医学その他一般就職に出て参りません者の数字、或いは定員は定員でありましても普通の計数をかけまして卒業しない者等の見込をかけますると、一般会社銀行等に進出いたします数字は、約七万から八万足らずの数字と考えられるのでございます。で、今日この十一月上旬までにおおよそ見込のついておりますものが、そのうちの三万でございます。七万のうち三万はおおよそ見当がついております。なお数カ月を残しておりまするけれども、前年の今日の時期と比べますれば、相当その見込が悪いのでございます。この就職に関しまする方策でございまするが、東京、或いは中京地区、或いは近畿地区等におきましては、大学及び実業者関係と共同いたしまして、就職問題協議会というものを先年常置しておりまして、どこにどういう特色の学校があり、どこにどういう希望の受入れの職場があるかということを、この協議会を通じてお互いに連絡をする。又就職斡旋の方法等につきましても、会社側の一般的希望を大学に伝え、又大学のいろいろな個々の事情を会社に伝えるというようなことを、文部省が尽力いたしております。最近又労働省もこれらの点につきまして、文部省と協力して、既存の組織或いは新たに組織を設置して、そういう就職斡旋に努めるということになつております。この上とも努力いたしたいと思います。
○須藤五郎君 私はちよつと違う問題になると思いますが、最近北海道の或る高等学校において、純真な学生が平和運動をやつておつたにかかわらず、新聞でそれが如何にも赤の運動のごときデマを飛ばされて、それに抗議して自殺したという事件が起つておるのでありますが、文部大臣はその事件の内容を御存じか。御存じならば、大臣のそれに対する所感を述べて頂きたいと思います。北海道深川西高校という学校です。森田という学生が自殺をしている事件です。
○国務大臣(大達茂雄君) 私は実はその話は聞いておりません。
○須藤五郎君 聞いていない……。
○国務大臣(大達茂雄君) 聞いていないから、今初中局長が或いは知つているかも知れません。実は初耳です。
○須藤五郎君 これは大臣に非常に関係の深い事件です。いわば、春秋の筆法を以てすれば、大臣の平和に対する理念が純真な青年を死に至らしめたと言われても仕方がないくらい、大臣に非常に関係深い事件です。大臣、それ知らないのですか。
○国務大臣(大達茂雄君) 知らない。
○須藤五郎君 それは非常に不勉強です。これは是非大臣から実は答えてもらおうと思つて、大臣がおる間に質問したのです。ほかの人なら答える必要がない……。
○国務大臣(大達茂雄君) どうも知らなかつた点は甚だ……。新聞に出たというのか、或いは噂でということか。
○須藤五郎君 これは北海道では大きな問題になつている。
○国務大臣(大達茂雄君) 併し現地の教育委員会から別に報告があつたわけでもありませんから、知らなかつたのは迂闊ではあるけれども、知らなかつたのは悪いということも困る。報告があつたものを知らなかつたというならば、悪いけれども……。それは非常に残念な事件でありますが、事件そのものについてよく存じませんから、須藤君御承知であれば、お聞かせを頂きたい。知らんから、何とも返事のしようがありません。いわんやそれが何か私に関係のあるようなことを言われても、非常に迷惑ですから……。
○須藤五郎君 非常に関係があるのですよ。これは大臣、この前の国会で教育法案の問題のときに、偏向教育の事例としてあなたが出された事例の中に、あるのですね。北海道雨龍郡深川町、この高等学校の校長が、先生たちと生徒を交えて社会科学研究会を組織したということで、偏向教育の事例に上つている学校に、最近起つた問題なんです。そのときにその三島という校長は、そういうことのために転任を命ぜられて、そのあとへ網走の高等学校から田村という校長が転任をして来ているのであります。問題はこの田村校長の転任後起つた問題です。学校の生徒がメーデーに参加したとか、又鈴蘭狩りのお祭りに参加したということ、それからそこに「あゆみ会」という会ができておつて、その「あゆみ会」がこれまで平和の署名運動をやつたりなんかしたということなんですが、それがいろいろデマられまして、鈴蘭狩りのお祭りはあたかも日共の軍事訓練、軍事教練に参加したというようなデマ記事になつて、新聞にでかでかと報道されてしまつたわけです。随分詳しい記事ですから、読むと時間がかかりますけれども、そこでその学生は、非常に自分の純真な気持が新聞で以て歪められたといつて、新聞社に抗議をした。ところが、新聞社がそれを取上げないということで、死の抗議をしたわけです。このような間違つた世の中に生きることはいやだといつて、死の抗議をして死んだのでありますが、その青年が死に至るまでには、いろいろな径路があるわけなんです。これは一つ大臣、今あなた知らないとおつしやるんだから、私がそれをあなたにお教えすのは時間がかかつてしようがありませんから、若しも資料がお入用なら、この資料をお貸ししますから、一つ読んで、あなたの平和運動に対する理念で、片つぱしから平和運動を偏向教育だというふうにあなたがきめつけたことが、事ここに至らしめたもので、これから日本の平和運動というものは非常に大きく発展して行くわけなんです、それを一々あなたの理念で、それは赤の運動だときめつけると、純粋に平和運動をやつている学生たちに、まだこれからでも自殺者が出るかも知れませんので、平和運動に対するあなたのはつきりした考え方……こういう不祥事が再び起らないように一つやつてもらいたい。第一、学校に警察官が入つている。警察官が入つているのです。そうして高等学校の平和運動をやつている内容を内偵したり写真を撮つたり、いろいろなことを警察官がやつているのです。これは大臣の本意ではないと思う。併し事実そういうことがなされておる。そういうことに対するあなたのはつきりしたお考えを私述べてもらいたい、こういうように考えておるわけなんです。
○国務大臣(大達茂雄君) その資料を貸して頂けるそうでありますから、よく拝見したいと思います。ただ平和運動ということが、ただ平和運動ということだけでは、何ともわからない。その内容の問題でありますから、平和運動をすることがいいとか悪いとかいうことは、これは言い切れない問題じやないか。その名前の下に行われる運動の内容ということがわからなければ、ただ平和運動についての感想を言えと言われても、これはちよつと返事ができないのですが、ただ今のお話の中には、警察官が入つたということであれば、それは犯罪に関連する事件を包含しておるのじやないかと、こういうように私は思います。そうでない限り、警察官がそこへ入つておるという私は理由はないと思うのです。
○須藤五郎君 あんたこれを知らんから、そんなのんきなことを言つておられると思うのです。実際に内情を知つたら、そんなのんきなことは言つていられない。(「読んでもらつた後で、やつたらどうですか」と呼ぶ者あり)僕がここで一応読んでやつてもいいが、そうすると時間が長くかかつてしまう。だから、大臣にお貸しますよ。一つ大臣読んで、はつきりした所見を述べてもらいたい。警察官が学校の生徒から「あゆみ会」の会報を、スパイを使つて、学生を呼んで来てそれでその人をスパイにして、その記事を、入会させて、わざわざその機関誌、三部くらいの機関誌に二百円くらいの金をやつたりして、そういう悪辣なことをやつておる、そういう事実がここに出ておりますから、一つ読んで、そうしてあなたの所見をはつきりしてもらいたいと思います。
○矢嶋三義君 只今提起された問題、いずれも重大問題で、又それに関連して掘り下げて質疑をいたしたいのでありますが、時間がなくて、非常に上をなでまわしたような質疑応答になり遺憾に存じますけれども、閉会中の委員会でもあるし、又大臣の都合もあるようでありますから、遺憾ながらいたし方がございません。更にデパートの品物を揃えるようで非常に遺憾でありますけれども、限られた時間内で、一、二伺いたいと思います。
 その第一点は、実は私ども、昨日北九州の三県の教育長を参考人として出席をして頂いて、北九州の中小炭鉱地帯の学童の給食状況等を聴取したわけでございます。造船産業その他我が国のあらゆる産業に危機の様相があるわけでございますが、併し最も深刻でその影響性の大きいのは、何といつても、中小炭鉱地帯の石炭産業だと思うのです。これは昨日聞いてみてもわかつたのでありますが、産業の倒産、更に失業、生活、教育、治安に至るまで、非常に深刻で幅が広いわけですね。この解決については、私としては、これはいろいろの省に関係するわけでありますが、一省のよくするところではない。従つて各省の行政面における連絡調整というものを緊密にやることによつて解決する以外にない、こう考えるわけです。そういう場合に、今の吉田政府はよく、国家行政組織法に基いて設ける委員会以外に、関係行政機関の連絡調整機関として、よく協議会或いは対策本部というものを設けられて来ているわけです。最近は反民主主義活動対策協議会なんかというのもその部類の一つでありますが、幾多そういうものがあるわけです。現在各事務当局で連絡はとつてやつておるようでありますが、なお且つ深刻度が加わるばかりで、問題は非常に多いのです。而もこれは早急に解決しなければならんように迫まられている問題です。従つて私はこの際、中小炭鉱危機救済対策本部というようなものを内閣に設けて、そうして関係行政の連絡調整を図るということは、現在の石炭産業を抜本的に何とか解決救済する途だと思うのです。給食の問題について、先ほど余剰農産物云々という説がありましたけれども、これは対症療法は当面としては大事でありますけれども、現在我が国の石炭産業というものは、そういう対症療法では解決できる問題ではないかと思うのです。従つてそういう対策本部を内閣に設けらるべきではないか。従つて私は、国務大臣であり文部大臣であるあなたに、閣内にそういうものを設けて、そして石炭産業全般、特にあなたの関係あるところの炭鉱地帯の欠食児童の給食問題を、更には教育の問題、これを解決するように御尽力をして然るべきだ。又お願いいたしたいと思うのでございますが、そういう対策本部を設けることについて、閣内においてあなたに努力をして頂きたいと思うのですが、それに対する御見解如何でしようか、伺います。
○国務大臣(大達茂雄君) 北九州を主とする中小炭鉱の問題、これはお話の通り、私は非常に深刻であり、重大な問題だと思つております。大体今お話になりましたように、根本的には中小炭鉱の将来をどうしてやつて行くかということが中心であろうと思います。現状はなかなか前途に光明が見出し得ないというような状態になつている。これはまあ私の所管でもありませんから、無論私がそういう意味から考えるべきではありますが、問題が根本の問題で、それから派生していろんな困難な問題が惹起して来ておる。学校における欠食児童が非常に多い、或いは長期欠席の子供が多いというようなことも、その全体から派生して起つた問題であるかと思います。そこで中小炭鉱の前途をどういうふうに育てるか、維持させて行くかということは、無論これは主として通産省の問題であり、又現在の中小炭鉱の危機に原因をして、一時に、集団的に、又急激に貧困に陥つた、こういう人々に対する国としての救済措置、これもまあ当面厚生省の問題でございます。そこで私どもとしては、給食の問題というが、結局長期欠席或いは欠食児童、これを対象として実は非常に苦慮はいたして参つたのであります。従来、ただ今までの制度としては、これはかかつて救貧の問題であつて、給食というような点だけで、今までの行き方ではこれは解決がつかない問題であります。その点私どもは非常に苦悩しているわけです。御承知のように、文部省から厚生省関係のほうへお願いをし、或いはそれぞれ関係地に通達を出して、こういう点も考えて欲しい、こういうことも考えて欲しいと、たくさん並べて、現在の制度の上で何らか解決の見通しになるような点を研究して、洗いざらい出して、通達もしたのでありますが、これとても要するに文部省所管のことではないので、どうぞ一つお願いをいたしたいということなのでありますから、実際上の効果を期待することはできないというので、実は非常に困つているのであります。今まで申しました通り、自然災害であれば、それに対する比較的迅速な救済の措置も配慮したけれども、この場合は前例のない、直接救済措置のとられていない問題でありますから、現在の制度を基礎としてはなかなかむずかしい。それから起つて来た失業に対しては労働省が所管してやるという次第でありますけれども、なかなかこれとても容易ではないと思います。それからそらした貧困救済ということがあれば、これは厚生省の問題だけれども、これもいろいろな問題があつて、なかなか思うように行かない。給食はそれの一つの現われに過ぎないと思います。給食の問題を解決するには、本が解決される何らかの方法が立たなければならないということが、問題なんです。私どもの立場から言つても困る問題ですから、できるだけ一つそういう救済が行われるように、関係閣僚等に相談をして、何とか閣内でその問題を急速に……今それぞれ苦労はしておられることは知つておるが、それがなかなか思うように行かないので、実は先ほどもちよつと申しましたが、通産大臣のほうから余剰物資を一つ優先的に九州の炭鉱地帯に回して欲しいという陳情めいた話もあるくらいなので、非常に苦労しておられることは事実です。できるだけそういうふうにしたいと思います。
○矢嶋三義君 大臣の答弁を諒といたします。大臣、副総理並びに官房長官等に、あなたのほうから話しかけられて、是非とも総合対策本部が設けられますように、御尽力願いたいと思います。
○国務大臣(大達茂雄君) 了承しました。
○矢嶋三義君 次にお伺いいたしたい点は、最近教科課程に関する改正の答申がなされたわけで、これは非常に大きな問題で、私は徹底的に、たつぷり時間をかけて、突つこんで質疑いたしたいと思います。今日はその内容に触れませんが、私はこれと関連をして、勤労青年教育の振興という立場から伺うのであります。地方財政の窮迫という問題もありまして、定時制高校というのは生徒募集停止とか或いは統合というような問題が起つて来ているわけなのですね。そこで私は教育の振興のために施設を、来年度若干予算を要求をしたという説明は諒といたしますが、教職員費の国庫負担というものを実現すべきではないか。それと、私は今後の基本的なことを開きたいのは、新たな教科課程の改正に文部省は賛成で、明後年からでも実施しようというように新聞では伝えられておる。ところが、定時制高等学校の振興というようなことを考えますと、定時制高等学校は生活事情に従つてやらなければなりませんし、現在の単位制の妙味を発揮しなければ定時制高等学校の振興はあり得ないし、またこの立場はとれないわけですね。そういうときに別途審議いたしますが、あの教科課程の改正をやるということになると、定時制高等学校の教育等について、今の大達文政としては投げているのではないか、こういうふうに私は考えざるを得ないのですが、如何ようなお考えでありますか、伺つておきたいと思います。
○国務大臣(大達茂雄君) 教育内容の改正と言いますか、変更と言いますか、これは教育技術と言いますか、非常に専門的な方面でありますから、それぞれエキスパートの人に審議会で審議をしてもらうということは、御承知の通りであります。それが先般答申が出て来たわけであります。私どもできるだけその答申を尊重して、これを実現して行きたい、こう思つておりますが、併しこれはその通りをするということになるのは、これはやはり文部省のほうの又専門の人々がおりますから、そういうところでとくと一つ検討してもらつて、併し筋としてはやはり審議会の答申というものは、気分としてやはり尊重して行きたい、こう思つております。定時制教育が、現在の勤労青少年の実情から見て、非常に重大であることは、私は同感でありまして、常にそのつもりでおるのでありますが、定時制教育がこれによつてできないような致命的な影響を受けるということは、これは大問題であります。その点はよく検討して参りたいと思います。
○矢嶋三義君 その点の検討は慎重にお願いいたしたいと思います。最後に、大臣、これから大学学長会議においでになるそうでありますから、これに関係ある問題を伺いたいと思います。それは教育費の父兄の負担でございますが、先般文部省で詳細に調査された結果を発表されておりますが、それによると、小学校の父兄の負担は昨年度より七・五%殖えた、中心校の負担は七・九%いずれも殖えたということは文部省の調査で発表されております。それから大学の学生は、日本の学生ほどアルバイトをしておる学生はない。中共においては国立大学の授業料は無料である。私は先般ビルマに行つたのですが、あの再建途上にある、財政的に苦しいビルマが、国立大学の授業料は無料です。それから小中学校は義務制ではありませんが、就学している生徒に対しては、教科書も、帳面も、無料で渡つております。そういう立場から考えますと、大学に限つて私は申上げますが、日本の今の大学学生、それから教授は、世界で最も私は不遇の立場にあるんじやないかと思う。例えば大学の研究機関にいたしましても、第二次世界大戦後、いずれの国も研究所の拡充、科学水準の向上ということには、政策のピントを合しているわけですね。日本の研究所というものは、学者が蔵書を売つてそれによつて研究を受けるというような、非常に不遇な状態にあるのが、今の世界の情勢と相反しておるわけです。学生は又、他国にはない、アルバイト学生が氾濫する場合、こういう状況下に、とにかく参議院の文部専門員室が「大学をめぐる諸問題」という非常に立派な資料を出されておりますが、この資料を拝見しますと、二十八年から二十九年に亘り、再三再四、国立大学協会会長矢内原さん、それから前の国立大学協会会長である南原さん、こういう方々から再三再四、科学研究費の増額、講座研究費が不足だ、教科の研究費を増してほしいとか、きつきお話が出ましたが、学生の保険組合を設置して欲しい、その保険組合にはどのくらい金が要るという案までちやんと一年前から出されて、これだけの要望がなされておるわけですが、あなたはこれから大学学長会議に行かれて、来年度の予算の編成に当つてこれらについて何とか答えられなければ、私は大学学長会議に行かれてただ御挨拶だけでは済まないと思うのですが、私はこの際日本の科学者の研究設備、施設の充実、その優遇、それから更に非常に父兄の教育費の負担が増額しており、一方デフレで非常に懐ろ工合が苦しくなつておるわけです。こういうときに、育英その他について大臣はどういう決意を以て来年度の予算編成をなさんとしておるのか、明年度におけるこれらに対する大達文政の骨格を伺いたいと思います。
○国務大臣(大達茂雄君) 御指摘の通りに、大学についてはいろいろな問題があります。私どもとしては従来努力をして、できるだけこの充実を図つて参りたい、こういう建前でやつて来ておるのであります。ただ予算等の関係もあつて、なかなか一挙にこれを解決することができないという点は、非常に遺憾に存じます。ただ幸いに一般的に、科学技術の振興ということに対する要望と言いますか、認識と言いますか、これは近頃非常に高まつて来ておりまして、その関係でこの方面の拡充を早くするということは、一般の世論と言いますか、要望ということで、比較的まあ少しずつその方向に進んで行くのに都合がいい状態になつたのではないかと思います。文部省としても、科学技術の振興ということは常に最も大きな一つの目標として、努力をしておるわけであります。来年の予算におきましても、これぐらいはやつてもらえるだろうと思うことについては、予算を計上して、その獲得に努力をいたしたいと存じております。予算の内容等につきましては、後ほど御説明申上げますが、気持としてそういうことでやつて行く。ただ大学の側から要望されるように、それが急速に行かないという点は、これは私も認めますけれども、これは御承知の通り、国の財政の問題もあり諸般の事情もありますから、その期待に或いは副い得ないという点はこれはあろうと思いますけれども、私どもとしては、その効力を今日までもしたつもりであり、今後ともこれを継続して参りたいと、こう思つておるわけであります。
○説明員(内藤誉三郎君) 科学研究費の関係は、前年八億五千万円でございましたが、三十年度につきましては、学術会議の答申を尊重いたしまして、原子力関係の設備を含めまして十八億七千万円ほどを期しております。それから国立大学の特に研究費の増額につて、実質的に研究費の増額をされるような措置を考慮しております。国立大学関係では、前年に比べまして、約六十億程度の増額要求をしております。それからなお国立文教につきましては、三カ年計画を立てまして、百億で大体整備できるだろうということを考えまして、その三分の一を計上しております。育英につきましては、大学生の単価を引上げることに努力をいたしたいということで、二千円の単価を二千工百円にいたすことが一つと、更にそのうち優秀な学徒を三訂程度については、アルバイトをできるだけ少くするという趣旨で、三千円の単価で要求しております。なお大学院関係につきましては、現在修士課程がございますので、今後博士課程に進みますので、必要な予算を計上しております。
○矢嶋三義君 大臣、お出かけのようですから、もう申上げませんが、この数字を検討すればいろいろ問題が出て来て、満足できるものではない、最小限省議できめて今大蔵省と交渉中である、会計課長のこの発言の数字は、少くとも来年の予算の編成に成功するように、格段の大臣の努力を要望いたしておきます。
○委員長(堀末治君) 今日はこれで散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十六分散会