第021回国会 本会議 第6号
昭和三十年一月二十三日(日曜日)
   午前十時三十二分開議
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○議事日程 第五号
  昭和三十年一月二十三日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
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○議長(河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
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○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、国務大臣の演説に関する件(第二日)。
 昨日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します津島壽一君。
   〔津島壽一君登壇、拍手〕
○津島一君 私は、参議院自由党を代表いたしまして、主として外交、財政の問題につきまして、総理、外務並びに大蔵各大臣に所見を質したいと思うのであります。しかし、これらの問題に入ります前に一般国務の問題、すなわち国務と党務、特に最も重大な国務である昭和三十年度の予算案を編成し、何ゆえに本国会に提出できなかったということに関連して鳩山内閣の性格について質疑を総理大臣に試みたいと思うのであります。
 鳩山内閣は組閣以来、すでに四十数日を経ておるのでありまするが、その間閣僚はほとんど大部分の日子をあるいは地方遊説に、あるいは自党の結成支部大会等のためにこれを費しまして、一言をもってすれば、党務は重く国務は軽しという状態を呈して参つたということは争われない事実であります。(「その通り」「自由党において又しかりだぞ」と呼ぶ者あり)従ってその重要政策に関しましても、あるいは閣議等において慎重審議をするような余裕を持たず、自然と政綱に統一を欠き、特に予算の裏づけのないいろいろな施策を発表吹聴いたしたというのが実際の状態であったと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)なかんずく国務中の最大、最重要である予算の編成についても真剣にこれと取り組むところの熱意を欠いておるのであります。(拍手)またこれに努力を払わなかったのでありまして単に予算編成大綱といった一片の文書をこの国会がまさに始まらんとするそのときを控えて、去る一月十八日に閣議で決定をみたのである。しかも、この予算編成大綱なるものを拝見いたしますと、しかしてこれはまた正式予算にかわるべき重要な文書であるのでありまするが、本国会にこれを提出することがないので、参考資料としても、また私は昨日の財政演説を拝聴いたしまして、この大綱が敷衍され具体化されるということを期待いたしたのでありまするが、むしろこの大綱の主要点を摘出したのにとどまったというのであります。これは私は国会を軽視するものであるというような感覚を深くするものであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)元来通常国会における財政演説というものは、過去の事例に徴し、多年の慣行から言っても単なる大綱や抽象的な項目を羅列せしむべきではないので、経済状況の叙述のごときも、これに附随したものにすぎないのである。具体的の予算の計画を示して数字を明らかに、施策がいかに金額によって裏づけられたということを示して、国会の審議を仰ぎ、国民にこれを知らすというのがその目的であると思うのであります。(拍手)しかるに皆様も御承知のごとく、この大綱においてまた財政演説においても全然計数には触るることがなかったのである。いや全然というのは過言であるかもわかりません。ただ二つある。一般会計予算の総ワクを一兆円にきめよう、こういうことが言われておる。また直接税の減税額は平年度において五百億円を見込んでおるという、この二つの計数があった。この一兆円以内のワクということは、これは新規の構想でもないのである。昭和二十九年度の予算においてすでに前年度に比して約二百八十億円を節減して一兆億円ワク内の予算を作ったことは、これは皆様御承知の通りである。もちろん私は無理なことを申し上げるのではございません。鳩山内閣は組閣後なお日が浅いのである。時間的の余裕もなく、(「能力もない」と呼ぶ者あり)予算を編成し、提出することができなかったということが申し上げられるかもわかりません。これは一応の弁解である。私は政府が国務を尊重し、真に予算編成に誠意があるならば、それは実行可能であったと断言するのであります。というのは、鳩山内閣は組閣当初から財政は健全化の方針をとる。また昨年の国会において、衆議院の予算委員会において大蔵大臣は、三十年度予算は一兆円以内のワクで予算を組むとの決心をたびたび述べられ、また公債の発行は実行しないのであるという基本的の方策を明らかにされたのであります。そうしますとどういうことになるか。三十年度の予算というものは、二十九年度のワク内において作られる、基本的の方針は全然変らないのである。であるから問題は、二十九年度の予算においてかくかくの施設を幾ら削るか。また主要政策に幾ら予算金額を盛り込むか。いわゆる増減を調節するという組みかえ作業の仕事であったと思うのである。(拍手)その意味において、私は一カ月余の期間というものは、予算編成に十分足りる期間であったということを申し上げて差しつかえないと思うのであります。もっとも政府は衆議院の解散、また総選挙というものを控えており、これを現実に声明されておる建前上、どうせ予算を作つてもこれはむだなことである。めんどうなことである。必要もないだろうといったような意識が支配的であったということは考えられる。その点から申しますれば、ある一部の方が鳩山内閣を、あれは選挙管理内閣だ、(「その通りだ」と呼ぶ者あり)政策なんか発表しちゃいかんといったような方もあったように承わっております。これに対して鳩山総理は、政府である以上、諸般の独自の政策を発表し、実行するのは、これは当然のことであるというような弁駁を試みられたことを私は承わっておるのであります。私はこの場合、これが選挙管理内閣であるとか。また政策を発表することは不都合だといったような意見の当否を論ずるものではございません。しかしながら、いやしくも政府であり、政策を発表する義務あり、資格ありと言った以上は、政府としては、なぜ予算を通じてこれら重要な政策を具体化しなかったか。率直に言えば、これらを予算化して見せなかったというのは、実に私は意外に思うのであります。(拍手)憲法八十六条には何と書いてある。毎年度の予算は、国会に提出して、これの審議を受けると書いてある。憲法の規定である。万一解散、総選挙となって、新しい国会が年度末も迫つて、あるいは年度を越えて召集された場合においては、一体三十年度の予算は前年度のうちに全然なかったというような、これは異常事態を生ずるということになるのである。財政法は何と言っておるか。内閣は、毎年度予算を前年度の十二月中に国会に提出するというようなことが書いてある。事実問題として、これが一月に延びるということは過去に事例があったと思います。しかし当年度内に翌年度の予算の編成がなかったという国会、またこれを編成したことがないという政府は、私は寡聞にして知るところがないのでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)
 そこで私は、総理大臣に対して質問したい第一点は、何ゆえに最大、最高の国務である、しかしてまた法制上の義務と考えられるこの予算案の編成、またこれを提出しなかったのであるか。その動機、理由は何であるかということが私の聞きたいことであります。(拍手)
 また第二には、予算編成にかわるものとして決定した予算編成大綱、また大蔵大臣の演説、これらにおいては、重要施策に関するものについても、その金額、計数を示さないということは、はなはだ不誠意であると思うのでありますが、なぜこれができなかったか。なぜこれをやらなかったか。その理由、動機を第二に承わりたい。
 第三には、これらの事実から考えてこれは一種の国務怠慢であり、または国会を軽視するものである。(「国民を軽視していないのか」と呼ぶ者あり)国民には不親切である。単なる宣伝を目的とした、きわめて不明朗なやり方であると思うのでありまするが、この点はどうでありましようか。
 これらの三点は、(「指揮権発動の自己批判をしてからやれ」と呼ぶ者あり)これらの三点は、いずれも国政全般にわたる重要な問題でありまするから、私はこれは各省大臣でなく総理大臣から明快な御答弁をお願いしたいと思うのであります。
 次に、外交問題について、若干の質疑を試みたいと思うのであります。
 鳩山内閣の外交方針につきましては、昨日の総理並びに外務両大臣から、それぞれ演説があったのであります。一言にして申しますれば、私は期待以上の、きわめて平凡なものであった。何ら特異性がなかったということを感じたのでございます。(拍手)しかし、その前にまず総理大臣に質疑をいたしたいのでありまするが、総理、外務両大臣の演説を拝聴いたしまして直感したことは、第一の印象は、組閣以来鳩山総理が各地、各機会において、声を大にして叫ばれた対ソ連、中共に対する国交調整に関しましてのきわめて異色のある意見が後退して、あるいはその影を隠しておるというようなことを感ずるのであります。(拍手)鳩山総理がしばしば声明されましたソ連、中共に対する外交方針、その考え方に対しては、私どもは非常な危惧の念を抱いておったのであります。これが国内においてのみならず、諸外国においても相当の反響を呼び、あるいは疑惑をかもし、不安を生じ、ある面においては悪影響をもたらしたという事実はおおいがたいものがあると私は見ておるのであります。(「しかり」と呼ぶ者あり、拍手)総理は、いかなる国といえども友好関係を結ぶべきものである。これは私はしごくもっともな、抽象的の、観念的の問題である。問題は、政府としては現実の問題とどう取り組むかという問題であるのであります。単純に無条件に対ソ連、中共との正常な国交回復をするのであるという方針を打ち出すということは、一方においては、現実の事態、すなわちソ連、中共との今日までの関係はどうであるか。また他の諸外国との外交関係はどうであるか。日本の置かれた現実の国際的の地位をどう考えるということに思いをいたさなければならぬと思うのであります。その政策を実行するのにはどういった外交がいいか。手段がいいか。条件はどうであるかということも考慮しなければならぬと思う。またての実現の可能性があるかどうかということも一応反省してみる必要があると思う。(「それは社会党でなければできないよ、保守党では。」「アメリカ一辺倒では困る」と呼ぶ者あり)でありまするから、きわめて簡単に、きわめて独町的にこの問題を取り扱ったのではないかということを私は非常に懸念するのであります。元来ソ連、中共との問題は、今日の段階においては、政治上の問題と経済上の問題を区別して考えるべきであると思う。これを混同するところに思想が誤まり、その言うところが混雑して参るのであると思うのであります。われわれは経済上の問題においては、ソ連、中共にもこれをますます増進し、人事の往来というような考えを持っておる。(「自由党はしなかったじゃないか」「その通り」と呼ぶ者あり。拍手)しかしソ連に関しましては、御承知のように、対日の平和条約によりまして、本年の四月二十七日までにソ連から平和条約と同一または実質的に同一の条件で、二国間の平和条約の締結の申し込みがあった場合は、本邦としてはこれを受け入れる義務があるのである。また、かりにこの期間経過後において同様の申し込みがあった場合は、わが方としてはその条件をしさいに検討してこれを受け入れるべきものであると私は考えておるのである。もし、鳩山総理がソ連との国交調整をするというのは、その内容的には、ソ連がこういったような平和条約に書いてある所定の手続、内容をもってこれを実行するという意図があるだろうと、想察されたり、または期待したのでありましようか。またはサンフランシスコ条約所定の範囲を逸脱して、そういったような条件をもってしてもあえて両国間の国交を回復しようという意図であったのでありましょうか。もし、万一そういったことであったならば、これは御承知のように、平和条約第二十六条によって、この条件が加盟国全体に均霑することとなるのでありまして、サンフランシスコ条約の平和機構というものは全部これは混乱に陥るという大きな危険があるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり。拍手)
 さらに総理は、日ソ国交調整の一具体案を声明された。その形式は私は論ずるものじゃありませんが、ソ連との戦争状態終結についてわが方からイニシアチブをとる考えである、こういうことをおっしゃったように承知しておるのであります。これはきわめて異例な措置であると思うのである。終戦宣言ということは、性質上戦勝国たるソ連側からイニシアチブをとるべきものである。戦敗国たるわが国としては、これを受け入れるべき地位にあると、こういうのが筋道であろうと思う。インドの場合においては、これは申し上げるまでもなく、終戦状態宣言その他国交平常化のこの措置は、全部インドからイニシアチブをとって書面の交換が行われておる。
 もう一つ注意すべきことは、単純なる戦争状態の終結ということは意味をなさないのである。あとはどう国交を行うかということがなければ、意味をなさぬのであります。でありまするから、戦争状態の終結は必然的に、同時に国交の調整の内容がきまらなければ、できることではないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり。拍手)そういうことを考えるというと、一体その国交調整の内容たる諸条件をどうするかということが先決問題であって単純なる戦争状態の終結は現実の事態を容認するという悪い結果をもたらすおそれがあるのであります。
 また、中共との関係、これは言うまでもなく、わが国が台湾の国民政府と友好関係を結び承認をいたしておるのである。でありまするから、この友好条約を破棄することなく、また台湾政府を否認することなく、中共との正常化ということは現状においては私は困難であると思うのである。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)私はそう思う。(「それはおかしい」と呼ぶ者あり)両国を同時に承認し、友好関係を条約的に作るという問題につきましては、これは両政府とも絶対反対であるから、実現可能性がないことである、こう思うのであります。
 以上、るる述べましたが、私は昨日の演説を拝聴いたしまして、鳩山総理は、「これまで国交の開かれざる諸国との関係をもでき得る限り調整していく方針であります」こう述べておる。これまで国交関係が結ばれなかった国と言えば、ソ連、中共という問題だけではありません。東南アジアの諸国のごとき、最も重要なものである。しこうして、これは「でき得る限り」と言われておる。これは常套の文句である、外交方針としては。そういったようなことを考えまするというと、私は外務大臣の演説によって内閣の方針が明確にされたと思うのでありまして、外務大臣は、「われわれは、むしろ日米協力を密接にしわが国の国際的地歩を強固にすることが、かえって日ソの国交を調整する捷径であると信じておる次第でございます」と、こう言っておる。そうすれば、ソ連との間に国交調整の交渉を始めるとかということは全然度外視して、回り道でもあるが、日米協力を完全にすれば、おのずから日本の国際的地位が高まるから、その圧力を加えて調整しようとでもいう意図であるような表現をされておるのであります。こういうことを考えてみますというと、重光外務大臣は形勢観望、日米協力線を押し出して、この問題に遠く当ろうという深慮遠謀を持ておるように思う。で、私はこういった点から考えまして、現内閣の外交方針、特に鳩山総理が今日まで唱えられた外交の方針というものは、一体どうなったか。外務大臣のこの所説というものとは相当の懸隔、開きがあるが、どういうようにお考えになるか。この点を総理から一つ、明快にお答えを願いたいと思うのであります。
 また、総理大臣に、きわめて簡単なことでありますが、これは私は重要な問題であると思うからお聞きするのでありまするが、超党派外交ということ。総理は外交は超党派にやるべきものだというような趣旨を述べられておる。これは皆さんも御承知と思う。この問題は、外交の基本的の方針が国策として各政党がこれを支持協力するということは、これは外交の継続性という観点から言っても、まことに私はけっこうで望ましいことだと思う。現にアメリカ、英国における部面にもこういった事例があるのであります。しかしながら、独断的に軽率にこういった重要な外交方針をどしどし声明されてまた閣内においては外務大臣との間に意見が阻隔されておると私は認めてそういった事態がありながら、また今後こういうことを繰り返すにおいては、これは超党派外交なんということは、私はほとんど不可能、無理な注文であると思うのである。(拍手)その意味におきまして、私は鳩山総理大臣に、こういった問題についての構想と申しますか、御所見を、この際承わっておきたいのでございます。総理に対する質疑事項は以上の通りでございます。
 次に、私は重光外務大臣に御質問をいたしたいと存じます。鳩山民主党内閣の外交方針あるいは重光外交の外交基本方針と申しますか、それと、自由党内閣のとつてきた方針、または自由党のとつておる外交の基本方針とは、一体どこが違つておるのか、もし違っておるとしたならば、その点を御指摘願いたい。昨日の外相の演説を拝聴いたして、全部の外交方針を要約いたしますというと、第一、自立、自主独立の完成ということ。第二は、自衛体制の整備ということ。第三は、米国との緊密な協力関係の推進を基調とするということである。第四には、アジア諸国との修交、提携、賠償問題の解決。第五は、韓国との関係の改善。第六は、領土回復、戦犯の釈放、抑留者の帰還。第七は、貿易の伸張、移民の推進。最後には、原子力と平和。こういうものに尽きておるのである。これらの方針というものは、私の見るところをもってすれば、自由党の外交方針にみな含まれておるものである。(「その通り」と呼ぶ者あり)であるから、単にこの方針を踏襲したものと言っても、差しつかえないように考えられるのである。で、これはおそらく、今回重大な時期に当つて、外交の継続性を持たすという、その趣旨を尊重した結果であろうかと拝察するのでありますが、重光外務大臣は、この点に対してどういう御所見を持っておられるのでありましようか。(拍手)もし万両者の外交の基本方針そのものについて、特に指摘するを必要と認めた相違の点がございましたならば、どうかその違っておる点を、これこれが違っておるということを、具体的に、かつ簡潔にここで御披瀝願いたいと思うのであります。
 第二には、重光外相の昨年の十二月十一日の外交方針の声明である。この声明に対しては、これまた皆様御承知のように、ソビエト・モロトフ外相が十二月十六日に、重光外相のこの声明を引用して、「もし、日本政府が、真に日ソ関係正常化の方向に向って措置をとるということの考えであるならば、ソ連政府もまた、日ソ関係の正常化については、実際の措置を講ずる用意がある」という正式な発表をしたのであります。これに対して、先方は、重光外務大臣から、直ちに、これに対する回答を期待したのであろうと想像するのであります。これに対して、重光外務大臣は、何ゆえに率直に、あるいは即時にその所信を披瀝して、応答しなかったかということを、私は非常に不満に思うのである。私はその応答は、きわめて簡単であると思う。また容易なことであると思う。それは端的に、「ソ連が、サンフランシスコ平和条約の体制によって、領土の返還その他の問題について誠意を示すということであれば、日本としては国交平常化を議する用意があるのである。であるからその条件を示せよ。」こう言えばよいのである。これによって国民は、わが外交の方向がどこに行くかということは、これは対外的な問題でなく国内においてもこれは非常に重要な問題であったと思う。(拍手)であるから、国内において、現在の政府は一体どういうようなことを考えておるかというとの疑惑を持つことになるのである。こういったことを私がここで引用するのは、将来において日ソ国交調整は、必ず行わなければならぬ問題である。その場合における外務大臣の腹はどうであるか。どういうことを考えて、この交渉に当ろうとするかということの、その腹を聞きたいのである。その意味において私は対ソ外交に対して、こういった問題についてなぜ回答しなかったかという点と、回答するとしたならば、こういう所見を述べるのであるということを、国会、国民の前に御披瀝願えれば、はなはだ私は今日の事態においては適切なことであると思うので、これをお願いしたい。(「その通り」と呼ぶ者り)
 第三には、軍光外相は昨日の外交演説において、貿易の問題についてお話があった。貿易を伸張したい、こう言っておる。しかしながら、今日国民の関心事である対ソ連、中共との貿易については、一言半句もこれに言及しておらないのである。一体これはどういうわけであるのか。これは私は、外相の心理を一部反映しておるものであると、臆測ではありませんが、そういう想像をめぐらしたのである。すなわち重光外相は、十二月十一日外国向けの外交方針を発表した。その中においてソ連、中共との貿易については、現状のところ必ずしも多くは期待ができないという声明をしておる。さらに、最近一月十九日に外人記者団との会見においてこの問題が起った。その際、自分は中共との貿易は多額と言ったことはない、ただ少額でも助けになる、へルプになる、こういうことを言ったのだと、これは日本タイムスに出ておる。鳩山内閣は今日まで対中ソ貿易に非常な希望を持たせ期待を持たせ、これが増加については、あるいは度を過ぎたようなことも、ある部面においては言っておるように私は承わっておる。こういった際、こういった発言は、経済外交の衝に当つておる外務大臣として、おそらく現実の事態その他見通し、あるいは要素、条件を御検討になった上の結論であろうと思うので、果してこういうようなことが外相の御所見であるかどうか、ここで一つはっきりと申していただきたい。こういう問題は、これはいろいろ見解が違うことであるので、経済外交の衝に当る外務大臣から一つ、そうだということならば、それを御答弁願いたい、こう思うのであります。
 第四には、賠償問題、フィリピンとの賠償問題については、近く全権を派遣して交渉を再開するということが新聞等において報道されておるのであるがこれはまことに、けっこうなことだと思う。果してそういった事実があるのかどうか。昨日は演説において、ビルマとの賠償協定のできたことをはなはだ喜ぶとおっしゃって、今後の重大問題であるフィリピン、インドネシアとの賠償問題について一言も触れておらないのである。であるから、ここで私はこの点を明らかにしたいと思うのである。もし、交渉の再開があるとしたならば、本邦としてどういった方針でこれを妥結に導くかということは重大問題である。
 そこでお伺いしたいのは、大野・ガルシア協定で四億ドル、これを交渉の基礎として交渉を再開するのであるか、あるいはまた、昨年村田全権との間にかわされた議論のうち、フィリピン側の主張したように、この協定はこれを出発点にするのだ、基礎にならん、こういったような方針で再開するのであるか、あるいはまた、この協定はとにかく一応御破算だ、新たなる基礎において交渉を開始しようというお考えであるのか。フィリピンとの賠償問題のなるべく円満迅速な解決は、お互い非常に念願しておる。が一面、国民の負担の状況、またビルマとの平和条約の第五条三項に反射条項がある。すなわち他国との賠償協定いかんによっては、ビルマとの賠償協定についてもまたこれを再考慮するという約束をしておる点、さらに、インドネシアとの今後の賠償問題にも影響するということを考えますときは、私は近く開かるべき対フィリピンとの賠償交渉は、いろいろな意味において最も重要な関係があると思うのでありまして、これは国民すべての関心事でありますから、この点に関する重光外務大臣の態度と方針をお伺いしたいのでございます。
 最後に、来たる四月開催を予定されておるアジア・アフリカ会議の問題であります。海外電報の報道するところによりますと、この会議の主催者側から、去る一月十八日、日本を含めた二十五カ国に対して招請状を発送されたということである。この招請状は外務省にもう受理されておるかどうか。本件につきましては、私は、外務大臣としては、すみやかにこの態度方針を決定していただきたい。これには相当の準備が要る。現に諸外国、特に中共においては、相当大規模な準備―組織を設けて、鋭意この会議に対する対策を今検討中であるということが報ぜられておる。で、この種の会議に日本が参加するということは、アジアにおける重要な立場を考えましてわれわれとしては進んでこれに参加すべきものであると、こう認めておるのである。昨日、外務大臣は、進んでアジア全般の問題に寄与するということを抽象的な言葉でおっしゃっておる。であるのに徴しましても、本件については、この場合、外相として、単に考慮中などといったような、通り一遍の答弁でなくして、そのはっきりとしたところの方針、意図をここでお示し願いたいと思うのでございます。これが外務大臣に対する私の質疑でございます。
 最後に、大蔵大臣に二、三の質疑をいたしたいのであります。
 すでにこの冒頭で総理大臣に対する質問のうちに申し上げましたように、政府は計数を伴わない抽象的の題目の予算編成大綱を決定した。また昨日の大蔵大臣の演説におきましても、むしろその大綱を御説明になったと、こういうのである。一萬田大蔵大臣の演説の中には、金融、国際経済の部面において傾聽すべきものがあったということは、私はこれは認めるのである。しかしながら、国会における最初の演説としては、何としても、これこれの重要施策には、おれはこれだけの金を出す。これが大蔵大臣の職務である。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)幾ら巧妙に説明をいたしましても、それは、実質がない、何もないものになって、空疎になるおそれがある。従って、私は財政問題に対して質問をしようと思ったのでありますが、どうも的確な対象がなくなったような感じになってしまったのである。これは、はなはだ遺憾なことであるが、やむを得ずここで、その予算編成大綱、また昨日の御演説に現われたところから、ほんの二、三の点だけを一つ申し上げて、お教えを請いたいと思うのです。
 第一は、財政収支の均衡という問題である。編成大綱によるというと、これまた演説においても同様でありますが、財源の調達は、租税等通常収入によってまかなうこととし、新たな公債は発行しない、こう書いてある。これは結構なことであるが、この基本方針については、前年度予算におきましては、公債の発行をしないということのみならず、明らかに、過去の蓄積資産も、これは食いつぶさない、放出しないということの方針を確立して現にこれを実行したのであります。従ってなぜこういった明白の文句を、これを使わなかったかということを私は懸念される。この点については、一体どういう御意図であったか。大蔵大臣に一つ御説明を願いたい。
 第二は、この予算大綱、簡単に予算大綱と申しますが、その中には、大いに経費を節減して国民負担の軽減をすることを基本方針とすると、こう書いてある。ところが、この重大な基本方針が、昨日の演説においては一向触れておらぬ。これはどうも、非常にまあ何というか不明朗である。また大綱に現われたこの言葉自体に私は非常な疑惑を持つ。これは、二十九年度の予算というものは、前年度予算は、補正予算を含めて一兆円内にとどまった。前年度に比しては二百七十七億円の節減となっておる。これはほんとうに「大いに経費を節減し」という言葉に当るかもわからぬ。でありまするが、三十年度の予算について一兆円内という方針を示したのは、前年度と同額ということである。同額であって節約ということがあり得るでしょうか。(拍手、「その通り」と呼ぶ者あり、笑声)そこでお伺いしたいのは、一兆円と言わないで、一兆円以内というのだから、おそらく九千億円くらいのところをねらっておるのじやなかろうかと思うので、もしそういうことであれば、この節約は一千億円やるのだということをおっしゃっていただけば、はなはだ仕合せである。(拍手)また国民負担の軽減をはかる、こう言う。万一、一兆円の予算で税金をとるとしたならば、これは減税の余地はないわけである。しかるに今回の御演説においては、税制改正については、一方、直接税の負担軽減をはかる。いろいろな項目がありますが、平年度においては五百億円の減税をやる見込みである、こういうことを書いておられる。しかしてそれに引き続いてこれによって生ずる不足財源は、間接税の増収をもって補てんするということをはっきりおっしゃっておるのである。一方において減税をする、一方において増税をして収支とんとんにするというものであったならば、どうしてこれが国民負担の軽減になるのであるか。(「その通り」と呼ぶ者あり)この点も一つ端的に数字をもって 一兆円以内と言ったのは九千億である、八千億であるというようなことでもおっしゃれば、これは納得のいく問題でありますから、数字をもって御説明してもらいたいと思う。また歳出の部面についても、これは皆さんごらんになったように、住宅、社会保障、失業対策、国土開発、北海道開発、いろいろな項目をずっと並べておって、しかもこれは重点的に、そうして多額の増額予算でやるのだということを列記されておるわけである。この列記の中にないものでも、私は増加するものがあると思うのです。先ほど申した賠償の問題、ビル、賠償協定は、来年度から実際の実行に移るべきものであるから、本年度予算というものが当然膨張する。九十億円くらいは。また先ほど申したフィリピンの賠償問題、かりに四億ドルの大野・ガルシア協定を認めても年に四千万ドル、十年間とすれば。ビルマのように。これは年限によって違うでしょう。インドネシアの賠償も、ただいままでの方針としては、なるべく早い機会にこれを妥結する。そうなれば、またおそらく、これまた相当多額の経費の増加があるが、これに書いてない。そういったようなことを考える一方において、これを節約によってやるというが、補助金、交付金、調弁価格の引き上げということがあるが、これはきわめて抽象的で、この補助金のうちには、公共事業あるいは食糧増産等々いろいろなものを含んでいるが、一体これはどういったような費目に、どういったような節約をして、そうして収支バランスを合わすかということも、一つ説明していただきたいと思うのであります。(拍手)また投融資の関係においても、大体こういったような意味で、その収支の関係、配分の関係が的確でないと思うのでありますが、時間の関係で、この点は申し上げません。
 ただ一言申し上げたいのは、農産物の見返り資金、あの問題に触れてない。あれを含めて前年度通りであるか、あれをワク外としての前年度通りの予算であるか、これを発表していただきたい。
 私の時間の関係で為替問題を言う機会を得なかったのは残念でございますが、大体、財政問題に関する限りは、私は一マイルの説明を聞くよりも一インチの計数を尊重する。この意味におきまして大蔵大臣はどうか一つ御答弁を簡潔にお願いしたい。計数だけをおっしゃってていただけばいいと思うのであります。
 これをもって私の質問といたす次第であります。(拍手)
   〔国務大臣鳩山一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(鳩山一郎君) 津島君の御質問にお答えをいたします。
 第一の御質問は、何がゆえに予算案を提出しないのかということでありました。御承知のような自由党内閣の突然の退陣によりまして(「突然でもない」「策謀によってだ」と呼ぶ者あり)わが党は内閣を組織いたしたのでありますが、わずかに所属議員数は百二十数名でありまして、このわずかな百二十数名をもって頬かぶりに政治をやっていくというわけには参らないのであります。どうしても議会をすみやかに解散をいたしまして国民が支持するかどうかをきめてもらって、それから政治を担当していくのが当然だと思うのであります。解散を間もなくするという前に、予算案を提出いたしましても、審議する期間がないのであります。まず予算案の大綱をきめる以外に時間の余裕がございません。政治は一日も休むわけに参りませんから、こういう趣旨において政治をやるんだという大綱を国民に示すことは政府の責任だと私は考えておったのであります。政府はただ、責任を果すために大綱をきめて、詳細の予算案を提出するということは、できるいとまがありませんから、これはやむを得ないことと御承知を願いたいと思うのであります。
 外交問題について、一言御答弁をいたします。
 今日、世界の国のいずれの国民でも、どうにかして世界の第三次大戦を避けたい、平和な世の中にしたいということは、私はどこの国の国民でも、ひとしく熱望しておるところと思うのであります七(「当然なことだ」と呼ぶ者あり)それには国交の開かれざる諸国とも有無相通じて平和の方がわれわれの生活が気楽になり、繁栄するということを体験することが必要なのであります。それには交通を自由にし、貿易を増進するということが必要でなければならないはすであります。そういう意味におきましてソ連や中共とわが国とは交通をなるべく自由にし、なるべく多くの貿易を増進していくということにってて、平和に通ずる大道が開かれると思うのであります。そのために私どもは、ソ連や中共との交通を自由にし、貿易を盛んにいたしたいということを主張いたしたのであります。これを達成する方法はどうであるかと言いましても、これはいろいろな方法がありましょうが、只今津島君は、イニシアチブをとって単独宣言をするのは儀礼に反するじゃないか、それは津島君の言う通りかもしれません戦勝国が言うのが常例であるかもしれませんが、戦敗国でも言えない理由はないと思います。(「その通り」と呼ぶ者あり)のみならず、われわれが通商をするために、使節団の交換とか、商務官の設置とか、いろいろな方法があって、戦争を回避して、通商や交通を自由にするということはできるはずであります。その方法によって国際関係を正常に持っていくということは、当然に計画せらるべきものと私は考えておるのでありまして、そういう趣旨において、われわれは主張いたしたのでありますから、誤解のないようにお願いをいたします。重光外務大臣と私との間に意見の相違があるというようなことを前提としておらるるようでありますけれども、これは断じてございません。御安心下さるようにお願いいたします。
 これをもって答弁といたします。(拍手、「答弁じゃない、作文だよ」「吉田のよりよろしいぞ」「与党も野党もあるか、まじめにやるのがいいのだ」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣重光葵君登壇、拍手〕
○国務大臣(重光葵君) ただいまの津島君の御質問に対して私の考え方をお答えいたします。
 外交問題の全局について、外交は超党派的に考えることがいいのであるというような御趣旨が、るる述べられたのでありますが、これは全然そう私も考えます。すなわち国家的の外交は、これは国家的の見地で取り扱わなければならぬ、こういうことについて、私はその通りだと考えます。それから又外交の継続性ということも言われた。これもその通りであると思います。それであるから、私はたとえ前内閣の引き継ぎであっても、国家的見地に立って外交はこれは十分に引き継いでいくことがいいことであると考えております。御承知の通りに、ビルマに対する平和条約、これもそのまま引き継いで私はこれは非常にけっこうなことであると思って、それで批准の手続をいたしたのであります。さようなわけでありますから、その全体の趣旨において、お話の点について、私は賛意を表するに少しもやぶさかではございません。それならば、自由党の前内閣の方針と全然同じじゃないか、こういうお話でありますが、私はその点は、必ずしもそうでない。実は私は前内閣の方針が、今津島君の言われたような、四、五項目にわたることであったかどうかということは私はよくわからないのであります。(笑声、「勉強が足らん」「世の中はだんだん変つているのだよ」「しつかりやれ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)私は前内閣の考え方はできるだけ尊重することに少しも異存はございません。たとえば例をあげろとおっしゃれば、私はアメリカとの関係においても衷心協力していかなければならん。しかしながら日本としてはあくまで独立自主の見地に立っていかなければならぬと思います。その見地に立って、アメリカとの間の協力関係を考えなければならぬと思う。
 (「その通り」と呼ぶ者あり)私はそれがために、日本に対して自衛の措置を講じなければならぬということは、われわれは常に考えておる。それはその通りに前内閣の考えであったかということは、私はその点は十分にわからない。(「わからないということがあるか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)かようなことは私はやらないつもりであります。私は、十分にアメリカ関係においても意思の疎通するようにして、完全な協力関係に持っていきたい、こう思っておるのでありますから、これが私は前内閣の意思であったかどうかということについては、実は疑いを持っている。私はさようなことについては、明らかに我々の方針を内外に対して説明をしている通りであります。それから、(「どこが違うか言え」と呼ぶ者あり)今の通りであります。違うところは根底から違う。
 そこで私は、前内閣において日ソの関係を調整するというような方針があったということも知りません。それで、日本といまだに国交の回復せられていない国家、すなわちソ連との関係等を調整しよう、こういう方針については、今総理の言われた通じにわれわれは考えて、そうして、これらの国に対する貿易の問題でありますが、このソ連との貿易、もしくは中国との貿易が、非常に戦前の通りに、中国関係の貿易が戦前の通りにでも回復せられるように考えておられるかのごとき口吻でありますが、私はそれはそうは信じない。それから共産国との貿易がいかなる制肘を受けているかということも、よくこれは津島君はわかっておられることだと思う。そこで貿易は少しでも、少しでも貿易の増進するということは、日本の国民生活上の利益であると考えておるのであります。(「簡単簡単」「わからないということだけわかったよ」と呼ぶ者あり)
 賠償問題につきましては、これまたビルマ賠償が片づきましたが、その次の問題としてフィリピンの賠償問題が出てくるのであります。これもできるだけ早く片づけたい。この問題については前内閣においていろいろ施策を進めておられる。しかしこれは、前内閣の時代の方針をそのまま継続するというわけには相なりません。というのは、賠償問題は新たに交渉を始める問題でありますから、新たな交渉として、新内閣の新しい方針をもって交渉を進める考えでございます。(「その方針を聞いているのだ」と呼ぶ者あり)
 それからアジア・アフリカ会議が開かれる。アジア・アフリカ会議が開かれるということは、まことにこのアジア、アフリカの発言権が強くなってくるということを意味することは非常に重要なことであると思います。そこで、この会議は、今どういう発展を見るかということについて情報を集めております。しかしまだ招聘状は到着をいたしておりません。招聘状が到着した上においては、十分にその会議の性質を明らかにいたしまして、これに参加するやいなや、はっきりきめたい、こう考えているのであります。
 これをもって答弁を終ります。(「それで外交ができるか」「岡崎よりはよろしい」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し、拍手)
   〔国務大臣一萬田尚登君登壇、拍手〕
○国務大臣(一萬田尚登君) 私の尊敬いたしております津島議員が、本日自由党を代表されまして御質疑下されましたことは、まことに光栄に存じます。(「その通り」と呼ぶ者あり、笑声、拍手)
 私といたしましては、ほんとうに熱心に予算に取り組んで、この計数をもって本予算として皆様方に御審議を願うことが非常に望ましいのであります。(「それが当然だ」と呼ぶ者あり)だがしかし、今度大綱によったその理由につきましては、先ほど総理大臣から御答弁がありましたので、これに譲ることにいたします。
 それから御質疑の、今度は公債を発行しない、それもけっこうだ、しからば過去の蓄積は一体どうするのか、こういうような御質問でありましたが、私といたしましては、過去の蓄積はできるだけ抑制していく、こういう態度をとつておるのであります。そうしてそれをなぜ書かなかったか、こういうことも御質疑になるかもしれませんが、前々年度の剰余金は三十年度の予算に、これは私すべてではありませんが、ある程度繰り入れる、こういうふうにしておりますから、それで抑制をしよう、こういうふうに御承知願いたい。
 それからその次は、直接税、間接税……。直接税で減税して間接税で増税する。それは税の調整で、国民の誰かが負担をするので、減税にならぬじゃないか。非常にごもっともの御意見。そういうお考えも成り立つことを私は否定するものではありません。が、しかしながら一方で重く税を受けている人を軽くしてあげることは、この階層の人が軽くなることは間違いない。そうして税をたくさん負担し得る人がより負担するということは、これは私も正しい。今後も当然、税を負担すべき人が負担して一方を軽くするのでありますから、ですからこういうふうなのはいわゆるこれは、私は税の調整とか税の改正ということを申しておるのであります。むろんこういうことをするのが、これが政治なんです。(笑声、「政治家がうそを言うのか」と呼ぶ者あり)それから、いろいろと社会保障に関する金がたくさん要るのじゃないか、その財源をどこに求めるか、こういうお話、非常にありがたい話なんですが、これにつきましては、私は一般の剰余金、それから物件費、人件費等等、相当まだむだがある。又今後物価の下ることも予定されるから、思い切って私はこういうものを今回は削減をしよう、この財源をもって民生安定の財源に充てよう、こういうのであります。このように一つ御承知願います。大体これで、ただいまの御質問にお答えしたと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(河井彌八君) 小林政夫君。
   〔小林政夫君登壇、拍手〕
○小林政夫君 私は緑風会を代表して、まず鳩山総理に、民主党総裁になられた心境を伺いたいのであります。
 目下鳩山ブームとも言われており、鳩山内閣に対する一般大衆の人気は上げ潮のようでございます。(「鳩山さんに対する人気だよ。民主党じゃないよ」と呼ぶ者あり)吉田さんに比べて明朗であり、率直であるということが、大衆に受けておるようでありますが、(「そうでもないぞ」と呼ぶ者あり)それであまり気をよくしてもらっては困るのであります。国民の指導層と申しますか、あなたの人柄や、従来の政治行動を知っておる人たちは、必ずしもあなたを信頼しておりません。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり、拍手)危惧すらしておるのであります。緑風会は内閣総辞職後の首班には、野党第一党の党首を指名するという原則を立てておったにもかかわらず、かなり多くの人たちが鳩山さんを首班に指名しなかったということは、あなた自身に対する不信の念が強かったからでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)第一に、病身であられること。第二に、自由党とのいきさつは不可解であったからであります。あなたの民主党総裁就任は、政治家の最後を飾るために総理になる、総理にさえ推戴してくれれば、過去のいきさつや、主義主張はどうでもよいというふうに見えるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)あなたの民主党総裁就任の心境を、率直にこの議場を通じて表明願いたいのであります。
 今度の選挙で、民主党が自由党より多数となり、両社会党の数よりも多くなったならば、これは民主党にとつて全く万々歳でありましょう。しかし、そういかなくて、自由党よりも少数になった場合に、一体どうなさるつもりであるか。自由党総裁緒方氏は、吉田内閣の副総理であった人であります。吉田内閣打倒を叫んで糾合した民主党であってみれば、選挙の結果とはいえ、率直に緒方首班に同調することはできがたいのではないのですか。そのときにこそあなたの聡明な、筋の通った処置が必要なのであります。あなたは民主党総裁を辞任され、民主党を空中分解させるのか。選挙の試練を経て、寄り合い世帯を同志的結合に固めて、あなたの指導統率のもとに挙党一致行動させる確信をお持ちですか。また、それだけの同志的愛着を民主党に持ち、民主党の育成に精魂を傾けるお心組みでございますか。この場合における総裁の行動、民主党の動き方は日本の保守党、いな政党、ひいては議会政治に対する内外の信用に関する重大事であることを銘記して御答弁を願いたい。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)
 第二に、民主党総裁として、このたび選挙に臨まれる心がまえを伺いたい。このたびの選挙は申すまでもなく、第十九回国会における汚職、乱闘によって、その信を失墜した国会の威信回復のために最も重要な選挙であります。従来の非政を一掃するという民主党としては、重大な決意がなくてはならない。いやしくも民主党の公認する候補者は、汚職、乱闘のごときあやまちを絶対に起さぬ人であり、過去のきれいな人でなければならない。いわゆる札つきとして指弾されるごとき人物の登場を許してはならないと思う。公明選挙を唱え、選挙違反を厳重に取り締ると言っておるが、いつかの内閣のごとく、閣僚自身が違反容疑者に問われて、しかもてん然として内閣にとどまっておるがごとき悪例は、絶対に踏襲してはならないと思いますが、首相の所信はいかがでありますか。
 第三に、国会法、公職選挙法、政治資金規正法の改正が、いわゆる自粛三法として要望され、第二十回臨時国会はそのために召集されたと言ってもいいにもかかわらず、三法のうち公職選挙法の改正が行われたに過ぎないのであります。しかも公職選挙法の改正も、連座制を強化し、公営の範囲を拡大して静かな選挙にすることにしたのみでありまして、選挙区制の検討はされなかった、選挙区制の検討はできなかった。緑風会はつとに小選挙区制を主張しておるのでありますが、鳩山首相はわれわれのこの主張に対してどうお考えになりますか。賛成ですか、反対ですか、御所見を承わりたい。(「もっと大きいところを頼む」と呼ぶ者あり)
 真に政界を浄化するためには、政党運営資金調達の方法を変えなければならないと私は思う。すなわち、私は政治資金規正法の改正が政界浄化の根源だと思うのであります。浄財であり、反対給付のつかない献金であっても、一口五百万円、一千万円というような寄付を受ければ、人情としてその寄付者、献金者に不利な政治行動はとりがたくなるのであります。私は政党は一切の法人、団体より献金を受けてはならないことにしたいと思う。その法人、団体の中には、もちろん労働団体を含むのでありますが、首相は賛成であるかどうか、御所見を承わりたい。政党は一切の法人、団体よりの献金を排除して自然人たる党員の納める党員のみによってその運営費をまかなうべきものとし、さらに一人の党員の党費年額の最高をも法定して制限することとするならば、政党は勢い党員獲得に熱意を持たざるを得ず、おのずと組織化せざるを得なくなる。民主党結党の際、新指導者、新組織と叫ばれ、清新ということが強調され、鳩山首相を初め民主党の幹部は、吉田政権の分担者ではなかったというだけであって、政界では吉田政権の分担者よりも古い人が多いのみならず、鳩山内閣には吉田内閣の閣僚であった人すらおられるのであります。清新ではございません。(拍手)われわれはせめて、組織だけでも新しいものであってほしいと切望するのであります。今直ちにということは、実際問題として困難でございましょうから、政治資金規正法はその趣旨に改正をして、その施行を一、二年先に延ばし、その間に、いずれの政党も組織を整備することにしたらどうかと思うのであります。鳩山首相、いなこの際首相というよりは、政党総裁としての所信はいかがでございますか。最近財界の案として伝えられておるところの献金会社、献金プール案のごときは、全く愚の愚なるものと思いますが、鳩山総裁はどう思われるか。
 次に外交問題について総理に警告し、また外務大臣にお尋ねをしたいのでありますが、総理は外交関係の発言について慎重を欠かれるのではないか。(「その通り」と呼ぶ者あり)総理の外交関係の発言と外務大臣の発言とが、両者の間に外交方針、手段について食い違いがあるような印象を、しばしばわれわれに与えておることは、ただいま津島議員が御指摘にも相なった。(「みんなそう思っているのだ」と呼ぶ者あり)総理の外交発言は慎重にされたいのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)
 ビキニの補償が解決したと外務大臣はお得意のようである。きのうの外交方針演説を読みまして、全く得意げに言われておるようであります。私は外相が、就任早々の責任者として従来のいきさつとか国民感情に対するこの責任者として、責任者の立場で、十分な研究もなく、二百万ドルという金に食らいついたような、いかにも金さえもらえばよいのだというようないやな感じを受けるのであります。(「将来の補償はどうした」と呼ぶ者あり)しかも、国民は補償額それ自体にさえも不満を持っております。二度と水爆実験等によって日本国民に被害を与えないという確たる保証をアメリカから取られたのかどうか。
 アジア・アフリカ会議について津島議員の質問に対して、外務大臣は招請状があったら考えると、こういうことでございますが、すでに中共とともに日本を招請するということは決定されておる。一招請状があったら考える、これは従来の吉田外交について秘密外交云々といわれたこととあまり態度に変りがないのではないか。(拍手「その通り」と呼ぶ者あり)この今の段階において中共とともに日本が出席するかどうか。国府や韓国の招待を受けないこのアジア・アフリカ会議へ日本が出席するかどうか。出席するとするならば、日本の心がまえはこうだと、こういうことをはっきり表明すべきではないでしょうか。(「その通り」と呼ぶ者あり)
 次に経済六カ年計画についてお尋ねをしたいのであります。財政方針演説で述べられた蔵相の海外の経済情勢、国内の経済情勢に対する見解、なかんずく、わが国の対外経済政策が国際経済の基本的動向である自由化の趨勢になるべくすみやかに即応して運営されるよう改善することをもって第一義とし、それが可能となるごとく国内経済政策の運営に計画性と総合性を盛り込んで行くことが、今後のわが国の財政金融方策の基本となるべきものとの確信を蔵相は表明されておりますが、その確信を私も支持し、為替及び貿易の自由化、財政の健全化、金融の正常化を今後の施策の基本方針とすることにも強く賛意を表するのでありますが、公表された経済六カ年計画は一応の希望図に過ぎない。六カ年先に日本経済を自立させ、完全雇用を達成する。労働人口からの逆算した一応のこうあるへきだという理想的な姿を描いたものに過ぎないのでありますが、しかも、その中間年度である三十二年度と最終年度の三十五年度との希望的成果のみが公表されておるのであって、その道行き、道程は公表されておらない。(「その通り」と呼ぶ者あり)生産指数の上昇は、産業のどの部分をどう上昇させる結果なのか。また現在の失業者及び増加する労働人口はどの部分にどう吸収されるのか。予算大綱でも言われておりますが、新技術、新産業を大いに振興するという、われわれもこの新技術、新産業には非常な期待を寄せるものでありますが、その新技術、新産業を振興した結果、自給度はどう増して、それによって輸入はどのように圧縮されるのか。すなわち今までの国民総生産高に対する輸入の比率でもって、およそこのくらいの輸入規模になるであろうというような三十二年度、三十五年度の推算でなく、その今までの実績からの類推に対して、その新技術、新産業による輸入の引っ込み方、このような点についてこの際計画の内容を高碕経審長官から説明してもらいたい。
 三十年度予算は六カ年計画の初年度予算としてその計画に即して編成されるということでありますが、計画の内容がわからず、予算の数字がわからなくては、心組みとしては了承いたしますけれども、果してその通りになっておるのかどうか少しもわからないのであります。前内閣時代にも計画はございました。いわく電源開発五カ年計画、いわく合成繊維増産五カ年計画、いわく外航船舶建造五カ年計画、石油資源開発五カ年計画等、ただ吉田さんが計画がきらいで、閣議決定もせず、予算の裏づけもしてなかった。今度はそうでないと思いますが、その点特に大蔵大臣と経審長官から御答弁を願いたい。本員の希望的推察の通りであったとするならば、今度は要は実行方法でございます。先ず今日までに発表のところでは、はなはだ抽象的であり、具体性がないから、言葉としては内閣は一致の結論に達したでございましょうが、具体的な数字をはめ込む段階になって閣論は果して一致するのかどうか。
   〔議長退席、副議長着席〕
また与党民主党の党議が、完全にしかとまとまる確信があるのかどうか。この点は特に鳩山首相から御答弁願いたい。
 前内閣時代には、閣議で敗れた閣僚が議会に働きかけ、また党議に敗れた党員が他党員に働きかけ、いわゆる議員立法、国会修正に名をかりて政府案を修正追加あるいは換骨奪胎した例が多々あるのでありますが、鳩山内閣及び民主党はそういう醜態は演じないという確信があるのか。また計画完成の暁は広く国民の納得に訴え、世論の支持を獲得するとともに、国民多数の心からなる協力を得るように努めなければならないと思いますが、この点自信がおありになるかどうか。そのためには、計画と実際とが違ってきた場合には、その原因、理由及びその是正方法等をそのつど国民に率直に訴え知らせる心がまえが必要であると思う。その心がまえはおありになるのか。ただ協力を求めるということだけでは国民はついて来ない。
 次に公表された限りの具体性を迫つて具体的な問題に入ります。
 まず資金でありますが、財政投融資もやるが、減税もやって民間資本蓄積もはかるという。一体どちらに重点を置かれるのか。六カ年計画に要する投下資金の総額はいかほどであって、財政資金と民間資金の割合はどの程度と見込んでおられるのか。民間資金を所期の投資に向って流す方法はどうするのか。法的措置でやるのか、現在の融資自主規制委員会にまかせて金融機関の自発的な協力を期待するのか。自主規制では不十分だから、ビルが建ったり、待合や料理屋等のごとき不急の建築がどしどし行われる。大蔵大臣もその面では何とか立法措置を講じて抜け穴をふさごうと最近考えておられるようでありますが、建築一つを例にとつても、かくのごとくであります。資金の流れをどのような方法でこの六カ年計画に順応させるのか、また鳩山内閣は六カ年間続くとも考えられません。計画のスタピリティ、特に投下資本がデッド・キャピタルにならないような投資の計画的持続はどのような方法で確保なさるおつもりであるか。最近内閣に持たれた経済懇談会のごときものを法制化する意図がおありになるのか。現在の十七名の人よりなる経済懇談会の任務、性格はいかようなものでございますか。
 三十年度予算編成大綱について大蔵大臣及び関係大臣に伺うのでありますが、この予算の大綱については、先ほど来津島議員から、るるいろいろとお話があった。全く数字のない予算というものはわれわれも批判する熱意を失うのでありますが、要綱的に納得のできない点、あるいはこの要綱の中にはいろいろと最大級の強い言葉が使ってある。うんと力を入れる、こういうようなことについて、その力の入れ工合を示してもらう意味においても必要最小限度の数字をお尋ねするつもりですが、ただいまの津島議員に対する御答弁では全く数字の点については御答弁なさらない。(「何を言うのだ」と呼ぶ者あり)どうも私の質問に対してもそのような結果が期待されるのでありますけれども、これでは全く政府の考えておられる点、大蔵大臣の意図というものは国民に明らかにならない。どうか確信をもって、およそのラウンド・ナンバーでもいいから、私の数字に対する質問に対してはお答えを願いたい。第一、財政収支の均衡についてといふことが予算編成の大綱の第一にあげられておりますが、総ワクを一兆円と押えておきながら、言われておる内容はまことにけっこうずくめの積極政策のみであると評しても過言でない。消極策としては大綱の第四に経費の節減をうたつておる。これが積極策の有力財源となるはずであります。ただいま大蔵大臣はそういうふうにとれる発言をなさった。補助金、交付金、委託費の重点化、効率化と言われておる。また物件費、施設費の物価値下り及び積極的な調弁価格引下げといわれておるが、二十九年度予算のワクから考えてどの程度の金額を浮かすお見込みであるのか。これが積極政策の財源になるはずでありますから、一体どの程度の金額を頭に置いておられるのか、お示しを願いたいのであります。また予算ワク一兆円の中に相当関係のある防衛経費の総体を前年度のワク内にとどめる、これが数字的にとどめるというのですから、およそ確定をしておる。これは防衛分担金の減額折衝に成功した場合のことであるのか、万一減額折衝が不成功となっても防衛経費は前年度のワク内にとどめられるのかどうか。自衛力を漸増する、こういう自衛隊の増強方針と関連して対米折衝、防衛分担金の削減折衝が不成功となっても防衛経費は前年度のワク内にしかと押えられるのかどうか。財政投融資資金については前年度程度のワクを確保する、やはりこううたってある。これもおよそ金額がきまるはずである。前年度一般会計支出分は二百億円でありますが、この二百億円だけのことを言っておられるとも思えないのですが、念のためにお尋ねしますが、資金運用部、産業投資特別会計等、特別会計支出分及び政府機関たる金融機関の自己資金である回収金を含む総額について言っておられるかどうか、この金融機関の自己資本である回収金を含んであるかどうか、この点が問題であります。
 余剰農産物の見返り円資金使用に関する対米折衝はどうなっておるのでありますか。先ほども津島議員から、投融資のワク内か、ワク外かというような御質問があったが、このワク外のようでありますが、この円資金の使用について、当方の、日本の自主性が認められるのかどうか。新たな公債は発行しないと言っておるが、この新たなという意味は、質的な意味なのか、量的にも新たなということは含んでおるのか、すなわち問題となっておるところの開銀債や輸銀債を発行しないという意味なのか、従来発行しておる鉄道公債、電電公債も新たには発行しない、こういう意味なのか。この点が財政収支関係としてお尋ねをしたい点であります。
 第二に、税制の改正をうたっておられる。税制を改正して低額所得者の直接税を軽減し、資本蓄積促進のために臨時に預貯金利子、配当等の源泉課税の減免をはかるとのことでありますが、前年度の所得税、法人税の増加収入見込み額はいかほどでございますか。また現在の税制を据え置いた場合の三十年度の所得税、法人税の対前年度増加収入見込み額はどの程度でありますか。これは何も内閣の政策ではないわけで、事実及び具体的見込みでありますから、率直な数字のお答えを願いたい。間接税を増徴して、差引直接税の減税と間接税の増徴とでプラス・マイナス、ゼロならば、これを聞く必要はない。そうではないように思うから、この自然増収分及び来年度の現税制を基礎とした場合における増収加入額というものをお尋ねしておきたいのであります。資本蓄積促進のためということで、従来から租税特別措置法によって租税の減免措置が講じられて来たのでありますが、その結果は税法を非常に難解なものとし、かつ租税負担の公平を破り、納税者の納税意欲を阻害しておるのであります。所得税法、法人税法等、本法自体が非常に難解であるのみならず、それだけでは納税者の真の自己の納税額が必ずしも明らかでない。租税特別措置法とあわせて理解しなければ自分の負担額がわからない。負担の公平を破っておるというのは個人の場合については正確な資料が提出されないので、計数的に申すことはできませんが、法人の方は特別軽減措置によりまして、国の歳入面から考えた実効税率は三〇%程度に軽減をしておるのであります。表面税率四二%のものが、その実、国のふところ勘定からいうならば三〇%である。しかもこれらの特別減税措置を活用しておるのはだれであるか。担税力のあるおおむね大法人であって、中小法人はほとんど利用しておらないのである。利用しないのが悪い、不勉強だといえばそれまででありますけれども、実情はそうなっておるのであります。すなわち強いものが資本蓄積の美名のもとにますます強くなるように助成され弱い者は置いとけぼりを食っておるという反社会性を露呈しておるのであります。しかも、一たびこの道を開くというと、臨時々々ということで、拡大してとどまるところを知らない。もちろん租税特別措置の中には、企業会計上当然の措置もありますけれども、産業経済政策のしわを税法に寄せておるというか、産業経済政策を税法で肩がわりしておる面が多いのであります。これは私は邪道であると思う。税法はなるべく簡明にして公平なものでなければならない。一日も早く撤廃してもらいたいのであります。吉田内閣は従来の行きがかりもあって、断行できなかったのでありますけれども、幸いに鳩山内閣は庶政一新を企図しておられるのでありますから、この際にこの所得税法、法人税法の本法に取り入れるべきものは取り入れ、租税特別措置法は、英断もって廃止されたいと思うのでありますが、蔵相の所信はいかがでありますか。(拍手)本員は少くともこの点について、内閣の更迭に非常な期待を寄せておったのでありますが、いずくんぞはからん、鳩山内閣も安易に前内閣の道を歩まんとしておるのである。はなはだ失望を禁じ得ないのであります。預貯金利子、配当等の源泉課税の減免は、一萬田さんの在野時代からの強い主張であったでしょう。また、租税特別措置法の存在を前提とするならば、私も必ずしも反対はしない。蔵相は新任でもあり、もう少し落ちついて税制全般について慎重な研究の後に断を下されるべきではないか。住宅対策拡充の一として、民間における住宅建設意欲を促進するために、税制上の特別償却制度を拡張すると言い、貿易の振興のために輸出免税の拡大等、税制上の配慮を行うと言う、いずれも私の税制上の志す方向とは逆の方向なのであります。産業政策としての可否ではない。税制としての方向は、私の考えておる方向とは逆である。個々の減免措置よりは、一率の減税が本道であると私は主張するものである。(拍手)税が重いから、減免措置が問題となるのでありまして根底を軽減するならば、税が軽くなれば、個々の軽減措置は不要となるのであります。大蔵大臣、了承願えますか。
 直接税の減免に伴う不足財源は、消費税その他間接税の増収等をもって補てんすると言っておりますが、いかなる税種目をお選びになって、また、その程度はどの程度の増収をはかろうとなさるのであるか。物品税が実質上一部の物品製造業者、販売業者、その多くの者が中小企業者であるのでありますが、その負担になっている現状からして、これを全廃をして、これにかえるに負担を薄く普遍的ならしめるため、低率の売上税または付加価値税のごときものを創設し、さらに消費抑制の意凶を込めて、消費者に転嫁可能な奢侈品税を創設する考えはないか。この物的税を全廃したその後におけるその不足財源を、どうやって穴埋めするかという問題については、これは緑風会内においてもまだ検討の余地があるわけでありますが、ここに述べたのは、私の従来大蔵委員会等で主張した一つの試案を申し上げたのでありまして、そり方法は、しいて固執するものではありませんが、物品税は、かなり実質問題として非常に不公平になっておる。そうして一部の業界に税の重荷を負わしておる。その結果は、その関連中小企業が非常に苦しんである。この点について間接税の増徴、消費税の増徴と言われるが、よもや物品税を拡充強化するような心組みはないと思うが、念のためにお尋ねをしておきます。(拍手)第三に、予算編成大綱では、重要施策についてと言っているが、住宅対策の拡充を重要施策の第一にあげておることは、全く機宜の配慮でありまして、われわれの敬意を表するところであります。十カ年で住宅不足を解消すると明言されたが、一体十カ年の計画を具体的に説明してもらいたい。きのう大蔵大臣の財政方針演説の中で、ほとんど数字はないが、五百億の減税と、それからこの住宅、三十年度に四十二万戸を作ると、また、現在本年四月現在の住宅不足は二百八十四万戸であると、これが数字でありました。ところが私帰って計算をしてみて、どうもつじつまが合わない。二百八十四万戸を十カ年で解消しようとすれば、一カ年平均は二十八万四千戸になる。年々の新しい需要が二十五万戸と言われている。その二十八万四千戸と二十五万戸と合計いたしますと、五十三万四千戸になる。三十年度において四十二万戸作るのだ、少くとも作るのだ、こう言われているが、これでは十年間に住宅不足を解消するということにはならない。これはまあ三十年度は初年度だから、だんだん累増していくのだ、こういうお考えでもありましょうが、そんならばそれで、一体十年間の具体的な腹づもりを聞かしていただきたいのであります。公営住宅の予算はどう増額されるのか。住宅金融公庫の資金はどう充実されるのでありますか。また、厚生年金資金の勤労者厚生住宅への還元融資をすると言われているが、どのように確保されるおつもりであるか。
 重要施策の第二に、社会保障の強化振興としてうたわれていることは、全く一々ごもっともであります。当面財政健全化政策を推進する以上は、依然として相当の失業者が出、生活困窮者が増加されるであろうと思うのでありますけれども、三十年度におけるこの生活困窮者数は、いかほどぐらいになると推計されておるのでありますか。また、旧軍人恩給だとか、遺族、留守家族等の援護費は、これは費用の性質上、年々減少する傾向にあるから、ここで前年度と比較することは問題にならないが、それを除いた他の社会保障費の前年度の総額は八百九十三億円であります。大いに、この述べられているごとく社会保障を拡充する、力を入れる、こう言われるが、この八百九十三億円と比較して、どの程度三十年度においては、おふやしになるつもりであるか。すなわち、予算配分を具状的に数字でお示しを願いたいのであります。
 また、大学卒業者等知識階級の就職対策を促進すると言われているが、前内閣の企画した懇談会程度では、らちがあきません。青年の意気を阻喪させ、思想の悪化を来たすゆゆしい問題であることは多言を要しないのでありますが、具体的にどういう対策をお考えになっておられるか。労働大臣からお漏らしを願いたい。
 重要施策の三として、中小企業対等の充実をあげておられる。なお、総理が昨日の施政方針演説において、総理の施政方針演説としては、まあ従来の例で言うならば、中小企業を振興すると、この程度の発言であるにもかかわらず、今度は、非常に、ある意味においては具体的に施策を述べられておる。これはわれわれの非常に意を強うするところであります。まず、中小企業の組織化、系列化をはかると言われているが、具体的には、どういう構想を持っておられるのか。これが中小企業対策の第一点として伺いたい。
 第二点は、中小企業金融に対する資金を確保すると言われているが、従来の国会の論議を通じて痛感されますことは、所要の資金量が確保されておるかどうか、確保されたかどうか。この点がいつも水かけ論に相なるのであります。私は小笠原前大蔵大臣を追及いたしまして、国民所得の推計ができるくらいなら、同程度の信憑性のある中小企業金融の需要額の推計ができるはずではないか、こう言って追及をいたしましたところ、ついに、前小笠原大蔵大臣は、次の国会似開会までには必ず作業をして提出をいたします。こう言って約束をされたのであります。前大臣から一萬田大蔵大臣に引き継ぎがございましたか。(笑声)すみやかに作業を進めて国会に資料として提出を願いたいのであります。
 中小企業対策の第三点は、中小企業の税の軽減については、国税については、先に述べた通りでありますが、中小企業の税負担は、特に事業税において、それも個人企業者において過重でございます。中小企業団体等においてはこの全廃を要望しておる。(拍手)これを軽減するという御意思があるように新聞等には出ておりますが、その腹案をお示しを願いたいのであります。自治庁長官にお願いいたします。
 中小企業対策の第四点として、中小企業の金利負担の軽減をはかると言われておるが、どういうことをやられるのか。中小企業金融公庫、国民金融公庫の貸付金利を安くする、引き下げると言われるのか。商工中金に対する政府出資を増額されるのか。また資金運用部、または簡保資金を直接に融資する道を開いて商工中金の貸出金利の低減をはからんとされるのか。
 以上諸施策のほかに。私は最近の幾多の事例に徴しまして、中小企業に対する経営並びに技術指導の必要を痛感するものであります。農業には改良普及員制度があるごとく、中小企業、なかんずく中小企業の経営健全化のためには、経営並びに技術指導制度の確立こそが急務でございます。不健全な経営に幾ら金をつけても、かえって企業をスポイルするのみでありますが、商工会議所内にある中小企業相談所等を中核としたこの強力な経営指導制度の確立のために、思い切った予算措置を講ずる意思がおありになるかどうか。通産大臣にお伺いします。
 また前内閣の小坂労働大臣は、その腹案を持っておられたやに拝聴しておるのでありますが、この中小企業労働者に対する労働基準法について、緩和する御意思があるのかどうか。これまた中小企業界からも熱心に要望されておるところでありますが、特に大企業と中小企業とを、同じ基準法によって律するということは、少し中小企業において過酷になるのではないか。女子あるいは年少者の労働条件、あるいは休憩、休日、労働時間について除外例を認める御意思があるかどうか。この点については、農林水産業には認められておるところでありますが、中小企業の労働実態と勤労実態、農林水産業の勤労実態と、必ずしも違いはないのでありまして、その点について、政府においてもこの中小企業に従事する労働者の労働基準法について、緩和的な意味における何か別の考えを持っておられるかどうか。(拍手、「今は鳩山内閣だ」と呼ぶ者あり)
 重要施策の第四点としてあけられておる輸出の振興は、もとよりわが国に課せられた至上命令であります。国内物価引き下げをしなければならぬ、国際物価に比べて割高である国内物価を引き下げる、こういうことを言われておるのでありますが、一番普遍的な基礎要因であるところの電力料金は一体どうなさるおつもりであるか。そこにおられる前愛知通産大臣はわれわれに対して、一応四月以降冬料金を継続するということに決定したけれども、本年の三月三十一日までにいろいろコスト低減の施策を講じて、四月以降は冬料金を継続しないようにすると言明されたのであります。鳩山内閣はどうするおつもりであるかどうか。四月以降冬料金も今の通り継続なさるおつもりであるかどうか。コスト低下、物価低下のためには、そこに何か格段の配慮がなければならぬと思うのでありますが、いかがでございますか。
 次に、輸出に対する金融措置強化の一環として、輸出入銀行に対し財政資金を大幅に増額すると言われておりますが、最近のプラント輸出、船舶輸出等の受注の状況から見て当然でございますが、その財源は一体どこにお求めになるのか。前内閣では余剰農産物の見返り円資金を引き当てとしておったのでありますが、鳩山内閣も同様の心組みでございますか。
 経済外交の刷新をはかると言われておりますが、具体的にはどのようになさるおつもりであるか。在外公館における通商担当官は、多くの場合、外務省出身でないということによって外様扱いを受けておる。私自身外国を回ってみて痛感をいたしたのであります。外務大臣はどう思っておられるか。わずかの人員であり、在外公館員は渾然一体となって通商打開に挺進せしめなければならぬはずである。
 東南アジアとの経済提携でございますが、ビルマとの賠償交渉は、前内閣の貴重な遺産として片づいた。フィリピン、インドネシアの賠償交渉については、今津島君からお尋ねがあったが、お答えは必ずしも明確でない。どうかすみやかに交法妥結、話し合いがつくように御努力を願いたいことを要望するにとどめておきます。
 未開発地域の開発に協力をして、貿易の振興をはかるべきでありますが、東南アジア、中近東、中南米等の外交使節こそが重視さるべきであります。目先の利害打算でなく、広大な気宇のもとに百年の大計を立てなければならぬと思う。米国は当面やむを得ないといたしましても、戦前の惰性として、外交官が赴任する赴任先について、西欧を重視する風潮は一掃されなければならぬ。むしろ赴任する者にとつては迷惑かもしれないけれども、民度の低い地点に、むしろ有能な第一級の外交官を配さなければならぬと思いますが、その点は外務大臣はどうお考えですか。
 また、これらの未開発地域向けの人材養成ということが必要である。やはり人材を送らなければならぬ。そのたには人材の養成をしなければなしぬ。その点について、ほんとうに東南アジアとの経済提携をやる。未開発地域の経済開発に協力する。ほんとう…そうならば、それに適する人材を養成する意味において、学校教育に特段の配慮がなされなければならぬのでありますが、文相はどうお考えになっておられるか。
 中共貿易の拡大というようなことついては、昨日の施政演説にはあまり表われませんでしたが、外では、国会外では、今まで相当鳩山内閣では言われておるのであります。前内閣時代に通産省では、三十二年度の輸出入規模の目標は七千万ドルとなっております。また愛知氏は個人の研究として、一切の中共貿易の制限が撤廃された場合を仮定しても、せいぜい輸出入規模は九千万ドル程度ではなかろうか。一億ダラーまではいかない。こういうような見解が経済安定委員会において述べられた。鳩山内閣は非常に中共貿易を促進するということで、一般に期待をお与えになっておるわけでありますが、どの程度の輸出入規模を期待しておられるのでありますか。ココムとの関係、対米関係をどう打開するおつもりであるか。また専制国家相手の貿易には、こちら側の態勢も整備しなければなりません。相手は一人でありますから、こちらの窓口は一つにしなければ不利でございます。政治優先の国柄でありますから、政治的配慮によって貿易量は極端に変動する。本年はうんと買い付けたけれども次の年は一品も注文をしない、このようなことが過去の対ソ貿易において起っておる。従って中共貿易を促進する、中共貿易に非常な期待をかけて、うんと設備の増強をやるというようなことでもやろうならば、場合によっては非常にひどい目に会うおそれがあるわけでございまして、その辺のところはどのように政府はお考えになっておるか。業界の不当競争を排除するためには輸出取引に関する独禁法の適用緩和、あるいは除外の措置をさらに一段と進めなければならない。政府も業界の不当競争を排除する、こういうことを言っておられるが、一体具体的に独禁法の緩和措置等についてどういう構想を持っておられるか。私はこの輸出取引に関してお伺いをし、また輸出取引に関して独禁法の緩和はある程度必要であると考えておるものでありますが、その構想をお示しを願いたいのであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 重要施策の五といたしまして、農林漁業の振興及び食糧対策の刷新がうたわれておる。食糧管理制度について供出割当その他について所要の改正を加えると言っておられるが、どうなさるおつもりであるのか。最近の米穀懇談会の答申をどう採用なさるおつもりであるか。予約買付制度を採用なさる、その場合に買入価格の大幅な引き上げをせねばならないのではないかと心配する向きもある。また消費者価格を据え置き、財政負担も増加させない確信がおありになるのかどうか。肥料等の値段を下げて、買入価格を今まで通りにしておいても農家所得はふえるというような考えで、この予約買付制度を採用しても政府の生産者買入価格を引き上げなくていい、このようなお考えであるかどうか。また米穀懇談会でも将来の自由体制を前提といたしまして、米を備蓄することを勧めておる。われわれもなるべくすみやかに食糧管理制度は自由にされるべきだと、撤廃されるべきだと思いますが、その準備といたしてもこの備蓄米をする必要があるが、幸いに余剰農産物買入米が、ある程度入るようであります。一体この余剰農産物買入米を政府はどう使うおつもりであるか。前内閣においては一般の配給より越えて配給する、こういうことを前谷前食糧庁長官は言っておりましたが、余剰農産物の買い入れというものは正常な貿易を阻害しない、こういうことが一つの条件である。しかも今われわれのほうはそういう食糧管理制度変更ともからんで備蓄米が必要なのである。また幸いに外貨収支の状態も好転して来ておる。従ってこの余剰農産物買入米は備蓄用にされるべきではないかと思うのでありますが、農林大臣の御所見はいかがでありますか。また農林大臣は準内地米の大量輸入を言っておられる。韓国等から相当大量の準内地米が入る、こういうことを言っておられるが、このことは一体具体的にどの程度の数量が入る確信がおありになっておるのか。一部の農民はもうそれでは、わしらはあまり米を作つてもしようがない、こういうようなことから増産意欲を少し阻喪しておる向きもあるやに聞いておるのでありますが、一体どの程度準内地米をあなたは入れる確信をお持ちになっておるのか、お伺いをいたします。
 また漁業の振興ということが言われておるが、この漁業の振興もやはりこれも基本的な政策をやらなければならぬ。漁業をまず第一に安定させる、安定した企業にするということが必要なんです。農業に共済制度のあるごとく、漁業の場合においてもこの共済制度を確立しなければならぬと思いますが、農林大臣の所見はどうでありますか。その不漁の場合に平均水揚高を保障するとか、あるいは漁具が災害でこわれた場合にそれを補てんするとかいうようなこの漁具共済をやつて、また凶漁共済、また共済制度を漁業のほうに確立をして、そうして漁業経営をほんとうに安定した漁業にする、こういうことが漁業振興の先決問題であると思いますが、農林大臣の御所見はどうでありましょうか。
 また先ほども触れましたが、この宙要施策の七に科学技術の振興をうたっておられる。非常にけっこうなことである。大いに賛成でありますが、一体この大いにやるという熱意をお示しになる意味において、少くともこの三十年度予算においてはどれだけの国費をどのようにしてこのために使うのか、この点だけでも一つお示しを願いたいのであります。
 予算大綱第五に、地方財政の刷新改善をうたっております。大蔵大臣も十説をされた地方行政機構の抜本的簡素合理化を推進すると言われるが、町村合併に呼応して府県の統合をも考えておられるのかどうか。それからまた現在の過剰人員並びに将来、先ほど来の話でこの行政機構及び行政事務の簡素合理化に伴うところの余剰人員の整理を円滑ならしめるために、地方自治体に定年制を実施する御意思があるのかないのか。これを自治庁長官から伺っておきます。
 以上公表された三十年度予算編成大綱に即しまして、大綱にあげられておる施策の具体的な内容及び施策に対する重点の置き工合を知る意味における予算配分額のぎりぎりのところをお尋ねしたい。また大綱にあげられておる施策に匹敵をする重要度があると私が考える施策についての政府の見解等についてただしたわけでありますが、民主党の現在の人気をもってすれば、総選挙後も引き続き政権担当ができそうでもあるし、(笑声)選挙目当てのはったり答弁でなくて、まじめな答弁を期待して質問を終ります。(「あれだけおせじを言われたら数字を示さないわけにいかないな」と呼ぶ者あり、拍手)
   〔国務大臣鳩山一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(鳩山一郎君) 小林君の御質問にお答えをいたします。
 私が総裁になった当時の心がまえをお聞きになりましたが、(「明鏡止水か」と呼ぶ者あり、笑声)まあそんなものでありますが、(笑声)とにかくできるだけ国民と相談をして、国民の納得と支持とによって政治をやつていきたいという心がまえでございます。
 公明選挙に対する心がまえをお問いになりましたが、公明選挙の趣旨を徹底せしめたいという心がまえよりほかにはありません。(「おかしな議員を出さないことだ」と呼ぶ者あり)それも公明選挙の心がまえの一つであります。(笑声)国会法とかあるいは選挙法、あるいは政治資金規正法等に対しての改正の意思があるかどうかという御質問がありました。これらの法律はわれわれが、われわれというよりは政府も国会も国民も、全く自由を持っていない時代に作られた、すなわち占領時代に作られた諸法令でもありまするから、いろいろ実施している間に不都合が現われてくるということは当然だと思います。でありまするから、時に触れ改正をいたしていかなくてはならないと思っております。特に私に……(「憲法はどうか」と呼ぶ者あり)憲法はきのう申しましたが、やはり占領時代に作られたものでありまするから、これも是正していくのが当然だと思っております。(「それはおかしいぞ」「保守連合政権はどうだ」と呼ぶ者あり)いや、個々の質問にお答えしていけば、一番愉快でもありますけれども、そういうわけにも参りませんから……。(笑声)他の御質問については所管大臣から答弁をしていただくことにいたしまして、私は直接私に聞かれたことだけについてお答えをいたします。
 ただ、小選挙区について特に私の賛否を念強く聞かれましたから、一言申し上げます。小選挙区の方が理屈に合うようです、けれども、直ちに小選挙区に持っていく方がいいか、あるいは二人以上の選挙区はやめてだんだんに小選挙区に持っていった方がいいか。それについてのまだ得失はよく研究中でありまするから、ただいま直ちに小選挙区にするということをお約束するわけにも参りません。
 以上をもちまして、私の答弁といたします。(拍手)
   〔国務大臣重光葵君登壇、拍手〕
○国務大臣(重光葵君) 御質問の各項についてお答えいたします。
 ビキニの問題についてお話がありました。私も決してビキニの賠償額がすべて満足であるとは申しません。しかしながら、アメリカも今後はああいうことの起らないように最善を尽すという言質を与えましたので、もうこのくらいのところで妥協をすることが全局の上からよかろうと思って妥協をいたしました。そう御了承願いたいと思います。
 次に、アジア・アフリカ会議、これの重要な本質を持っておるということは、これは言うまでもございません。そこで、新聞通信によってこの会議の開かれるということを承知いたしました後においては、これに対して重大なる関心を払っておるのでございます。しかし、今申し上げました通り、まだ招待状は来ておりません。でありますから、招待状の来る前に日本の考え方をすぐさま発表する必要もないのじゃないかと思って、招待状が来ました上に、その性質をよく確かめまして、わが方の考え方、方針をはっきりときめたいと、こう考えておるのでございます。
 次に、賠償問題について、できるだけ促進するよう努力をすべきだという趣旨のお話がございましたが、まことにそう考えております。そこで、フィリピンの賠償問題がさっそく議題に上るわけでありますが、その問題についても十分の準備を怠らないつもりでございます。そのほかの問題についても、お話しの通りに、東南アジアは日本の対外貿易施策等に直接の影響を持つ次第でございますから、この問題を十分に施策を進めたいということは当然のことでございます。一生懸命に一つこれも考えてやろうと、こう考えております。
 それからまた東南アジアとかアジア方面に施策の重点を置いて、外交官の派出においても今までの西欧重視の考え方をやめたらどうか、こういうお話がありました。私は西欧方面の重要性を決して軽く見るわけではございませんけれども、今お話しの趣旨は、全然御同感でございます。従いまして、今後はアジア方面についても十分重きをおいて、少くとも西欧並みに考えたいと、こう考えております。そうでありますから、たとえば、ビルマと国交を回復する場合においては、従来の例を排して、これにはすぐ大使を派遣して重きをおいた考え方を表わして、そうしていろいろの施設をしていきたいと思います。セイロンについても同様でありますし、イランについても同様でございます。
 それから貿易の伸張についていろいろ対外機関の整備をしなければいかんと、こういう考え方について、これまた全くその通りでありまして今日のような貿易が計画的の貿易でなければやれんという場合におきましては、特に対外政府施設の整備ということが必要でございます。そこで、在外機関に専門家を配置するというようなことは、十分に考えなければならぬと思っております。現にそういうことも相当施策をしておるつもりでございます。
 それから中共貿易につきましてお話がございました。中共貿易は、相手湘共産国である以上は、共産国の通商機構に応じて、わが方においてもこれで十分話のできるような、対応するような組織を作る、こういうことはやらなければならんと思います。そこで、そういうような機構を民間の機構としてこしらえることがまず必要であると、こういうふうに考えております。さような工合にして、中止との貿易を少しでも増すことができるならば、これはわが方に有利であると、こう考えておる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣一萬田尚登君登壇、拍手〕
○国務大臣(一萬田尚登君) ただいま御質疑のありましたうちで、私の所管に属することにつきましてお答えを申し上げます。
 一つは、一兆円のワクと積極政策との関係はどうであるかという御質疑であったと思います。私といたしましては、この一兆円のワクというものをもって積極政策をある程度やります。非常に苦心の要るところであります。従いましてこの積極政策をやる上につきましては、先ほども申しましたが、経費の節減をできるだけ今回はやりたい。同時に財源の一つといたしましては、間接税と申しますか、たとえば酒とか砂糖の造石、あるいは砂糖の輸入が若干ふえるということからも、財源が出る、こういうように考えておるわけであります。(「幾らくらい」「額を言え」「数字を出せ」と呼ぶ者あり)それからこれを一口に申しますれば、一兆円のワクでこの資金の使い方を、他面、極力重点的に持っていく、こういうことであります。
 それからもう一つお尋ねの、この財政投融資資金は前年度並みと言われるが、これは一般会計だけかどうかという御質疑があったと思いますが、これは一般会計だけではないのでありまして、資金運用部資金、簡易生命保険資金、産業投融資特別会計、こういうふうな要するにこの財政投融資の財政からの資金をさしておるのであります。
 それからこの減税の財源である前年度の所得税及び法人税の増収の見込みはどうか。二十九年度におきましては、上期におきまして、まだこのデフレのと言いますか、あるいはこのインフレ的な情勢が続いて、物価を見ましても二月が最高のピークであったようなわけであります。そういうことから税収入が要素である下期におきまして、法人税等におきまして若干の減少を見たわけでありますが、総体といたしまして二十九年度は相当の増収を見ております。かりに減税を行うといたした場合に、三十年度はどうであるかと申しますれば、大体において二十九年度のところで、言いかえれば二十九年度の程度におさまると、こういうふうな見通しを一応立てております。
 それからその次の税制についてのお尋ねで、税法は簡明にして公平を要するが、現在の税法はきわめて難解である、租税特別措置法を廃止する考えはないか、こういうふうなお尋ねであったと思うのですが、今日のこの税法が難解でありますことは、私もさように存ずるのであります。できるだけ簡明に公平にしなくてはなるまいと思っております。ただ今日、日本の社会情勢並びに経済情勢からいたしまして、特別税に関して特別措置法を今廃止するということは適当でないように思うのでありまして今日の日本の客観的な情勢におきましては、どうしてもある目的を持ってあることをするというようないき方がどうしても必要である、まあこういうふうな立場から、税においてもそういう目的を、あるいは目標を目ざして一つの措置をするということは、やむを得ないように存するのであります。
 それからこの直接税の減収を補うために間接税の増収はどうか。これは先ほど申しましたのでありまして、一言触れましたが、間接税といたしましては、酒、砂糖等について増徴を今日しようとも思っておりませんが、いわゆるこれから増収を、収入をする、若干、造石がふえると、こういうことになるわけであります。(「もう少しはっきり」「どういうことなんだ」と呼ぶ者あり)
 それから物品税が、実質上一部の製造業者、販売業者の負担になっておるが、どうかという御質疑であったように思います。それでこれをやめるとか、新たな税を作るようなことは考えていないかどうかというような御質疑であったと思うのでありますが、大体この物品税は私が申し上げるまでもありませんのですが、消費者に転嫁するということがねらいであるのであります。がしかし、商品の物によりましては、必ずしも転嫁を可能ならしめないようなこともあろうかと思うのであります。これらについては一つ十分考えてみたいと思いますが、先ほど間接税に関連して新たな物品税というようなものを考えておりはしないかというような御疑念があったと思いますが、今私はその点については考えておりません。
 それから住宅対策について十カ年の具体的な内容を示したらどうかという御質問であります。これは私もお示しをしたいと思うのでありますが、しかしまだ数字的には、なお検討を要する点もあり、先ほどのお話では、若干の数字の考え違いがあったようでありまして、私が申しておるのは、初年度において四十二万戸、こういうふうに申しておるのであります。(「それがおかしいと言うのだよ」と呼ぶ者あり)これを四月におきまして約二百八十四万戸が不足しておる、それから年に二十五万戸が新しく需要される。それに対して初年度四十二万戸、これはすべての民間でもお作りになるものを入れて全部で四十二万戸を作る。それではつじつまが合わんのじゃないかとおっしゃるのでありますが、しかし初年度四十二万戸、二年度、三年度、四年度、五年度と、こういうふうに参りますと、日本の経済力というものがだんだんとよくなっていくわけであります。すべての力がふえるので、次年度々々々に若干ずつ増していく、こういうことになるのであります。従いまして大体九年度におきまして住宅の不足は解消するようになりまして、十年度におきまして若干のゆとりが、言いかえれば四万戸近いものが余つてくるというような勘定になっております。そういうふうに一つ御承知を願いたいのであります。
 それから昭和三十年度におきまする生活困窮者の推計でありますが、これは生活困窮者という範囲がなかなか、つかみにくい点もあるのであります。しかし生活保護を受けております数字は、約二十九年度で百九十万ばかり……。大体三十年度もこういう数字は若干ふえることがあるかもしれない。それから新たに職を失う完全失業者は、三十年度におきましては二十二万ぐらいふえる、こういうふうに推計をいたしております。
 それからもう一つの御質問の、防衛分担金を減額するようにお願いをするように頼んでおるが、それができな…ときは、一体前年度のワク内にとどめるというのか、どうするかというお尋ねであったと思うのでありますが、私は今日のところ、防衛分担金の減額がうまくいかなかったときにどうするかということは、まだ考えておらないのでありまして、ぜひとも一つ防衛費の全体を前年度のワク内にするために、ぜひともこれはお願いをしようと、こういうふうに考えております。
 それから輸出入銀行に対しますこれは、輸出振興に関連しての御質疑でありますが、輸出入銀行に対する中央の財政資金源はどういうふうに考えておるか、こういうふうのお話でありますが、それは結局において投融資の額を前年度並みに押えておる、いろいろ要るが、輸出入銀行もふやさなければならぬ、一体どうするのか、こういうふうな御質疑であったと思うのでありますが、私は投融資として出す金のうちで、まず輸出入銀行に優先的に一つ出そう。それから余剰農産物の見返り円資金の買い入れの問題とも関連して考えて行きたい。従って今ここでその点についての御確答はできないのであります。
 大体私の御答弁を申し上げる点は、こういうところであったろうと思います。これをもって私の答弁を終ります。(拍手)
   〔国務大臣高碕達之助君登壇、拍手〕
○国務大臣(高碕達之助君) 総合経済六カ年計画についての御質問に対してお答え申し上げます。
 世界経済に伍してわが国の経済を自立するために、その上に、かつ完全雇用をやつていきますについては、日本の経済はどうあるべきものだということの一つの目安を設けなきゃならぬ、こういうものは、もうすでに十分私は政府当局は持っておられたことと思いますが、(「何を言うか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)ただ遺憾ながら、それは全体には、従来においてはわからなかったのであります。(笑声)それを今度この内閣が成立いたしまして、ここで政府当局の六カ年計画を確立いたしまして、(「大きなことばかり言っておる」と呼ぶ者あり)政府の部内はもちろんのこと、学識経験者の意見も聞き、さらに私はこれをどうしても大衆運動としてみんなすべての人に知らしめたいと、こう存ずる次第であります。そうしてその数字の基礎につきまして、先ほどの御質問に答えます。六年後、つまり昭和三十五年における日本の人口は九千三百万人になる、で、それに対して生産は八兆八千億円を生産する、その生産をするためには、輸入は二十三億九千万ドルを輸入する、輸出を確保するためには、輸出は二十三億四千万ドルを確保せなきゃならぬ、六年後におきましては特需はむろんなくなるということを考えなきゃならぬ、そのときにおける政府の財政投融資は幾らになるかという御質問でありましたが、これは大体三一・六%増加する考えでございます。当時の労働人口は、六年後におきまして四百万人ふえますが、そのうち百八十万人を鉱工部門に就労せしめ、二百二十万人を商工部門に吸収したいと存じます。そういうふうな工合で、この数字をもって進行いたしていきたいと存じます。
 次に、米国の余剰農産物の買い入れにつきましてこれをどういうふうに使うか、またどういう経路かということの御質問でありますが、これは前内閣の方針をおおむね踏襲いたしまして、できるだけ早く取りまとめたいと存じておりますのでございます。目下米国と交渉中でございまして、これの配分につきましても、各省間において今折衝中でございます。
 以上をもちまして私の答弁を終ります。(拍手)
   〔国務大臣西田隆男君登壇、拍手〕
○国務大臣(西田隆男君) 小林さんにお答えいたします。
 事業税の基礎控除引き上げの問題は、あなたは全廃したらどうか、こういう御意見でございましたが、全廃は考えておりませんけれども、現行七万円のものを相当程度引き上げることを今考慮中でございます。
 第二の府県の区域をどうするかという問題でございます。この問題につきましては、現行の府県区域と申しますのは、経済情勢やら、交通情勢の変化、それから現在進行しておりまする町村合併の進行に伴って再検討する必要があると考えております。地方制度調査会において、現在まで七回会議を開いておりますが、せっかく研究中でございまして、近く結論が出ることと考えております。従ってその答申を尊重して善処したいと考えております。
 第三の問題の地方公務員の定年制の問題でございます。この問題はあなたのおっしゃったように、ただ人員整理をするということでけではなくて、地方の人事の刷新、交流のためにも、これはぜひやらねばならぬことであると考えております。地方制度調査会の答申も出ておりますし、現在公務員制度調査会におきまして、国地方を通ずる公務員の制度の合理化の問題を今盛んに検討中でございますので、この結論を待ちまして、そうして近く必ず実施したい、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣千葉三郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(千葉三郎君) 小林さんの御質問の中で、私に対するものは二つでございました。
 その一つは、本年三月に大学を卒業する者の就職問題であり、もう一つは中小企業に対する労働基準法の緩和問題であります。
 で、本年の三月大学を卒業する学生の総数は十三万九千名であります。そのうち就職を希望しておる者が九万五千名でございます。ところが最近の経済状態では求人率が悪くて、これらの人に対する就職率は非常に昨年に比し劣つて来ております。(「完全雇用はどうするのか」と呼ぶ者あり)そこでこれをするためには、政府といたしましては学生就職対策本部を設けまして、現存各省並びに各経済団体とも連絡をいたしまして、その就職のあっせんに努めております。しかしそれでもまだ足りませんので、本年の予算の中に、国勢調査に当りまして、この国勢調査に失業者をできるだけ多数吸収することにつきまして、現に予算措置をしております。そればかりではなく、また国都道府県のこの統計事務、そちらの方にも、これらの知識階級の失業者を吸収したいと考えております。また基準法の問題でありますが、基準法の問題につきましては、御指摘のように、この労働基準法が占領治下の立法といたしまして、日本の国情に沿わない点が多いのであります。これらの点につきましては目下慎重に検討中でございますが、現在の問題といたしましてこの労働基準法の実施規則すなわち技能者養成規程の改正であるとか、あるいは事業場付属寄宿舎の規程あるいは安全衛生規則の改正、こういうものは近く実施いたします。なお、法律自体の問題につきましては、臨時に審議会を設けまして、そうして慎重にこれからの問題を検討したいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣石橋湛山君登壇、拍手〕
   〔「大蔵大臣のかわりにやってくれ」「しつかりやれ」「なんで大蔵大臣にならなかったんだ」と呼ぶ者あり〕
○国務大臣(石橋湛山君) 私に対する御質問の部分は中小企業のことだと思います。中小企業のいわゆる組織化、系列化ということにつきましては、ただいまは協同組合を強化して参りたい。協同組合の共同施設というようなものに対しては助成をいたしたい思っております。また府県及び中央協同組合の中央会を作って横の連絡をする、かようなことで逐次組織化、系列化をやつていきたい。
 なお中小企業の安定につきましては、中小企業安定法によって、御承知のただいま調整組合を作つてやつておりますが、これをなお推し進めていく、かような考えでございます。それから中小企業の相談所というものが御承知のように、ただいまでも全国商工会議所等に数百カ所あるのであります。また、各府県には中小企業診断所というものがありましてただいままでも相当活動をしておるのであります。いかにも予算が少いので、十分でございません。そこで三十年度においては相当大幅に予算をつけてその活動を促進したいと考えております。
 もう一つ、電気料金のお話がありましたが、これは御承知のように非常にむずかしい問題でありまして、根本的に解決することは容易ならないことだと思います。前内閣の引き継ぎで、この四月からの問題がありますが、これはもう今のところでは、税金と金利を下げるということ以外には手がないのです。それは時期的には四月には間に合わない、こういうことできております。実情を申し上げまして、御答弁といたしたいと思います。
   〔国務大臣安藤正純君登壇、拍手〕
○国務大臣(安藤正純君) 御質問の中で、科学研究振興の御質問がありましたから、この点をお答えいたします。
 自然科学、人文科学両面に向いましてその基礎的研究は、わが国の将来にとって一番根本的の問題になるということは、これは言うまでもございません。そこで従来からこの両方の基礎的研究といたしまして、国立大学、あるいは研究所及び民間の研究機関に相当の経費を使っておりますし、さらにまた、基礎研究から応用研究への橋渡しとしましての試験研究所にも相当金を出しておりますが、しかし世界の進歩発達と比較いたしますと、そんなことでは間に合いませんので、うんとこの点に金を出したいのであります。飛躍的に増加をして、科学の振興をはかりたいのですが、何しろ現在の財政状態はそうも参りません。そこで、しかしながらこれは非常にやらなければどうにもならぬことでありますから、昭和三十年度におきましては相当増額をするつもりであります。少くとも本年の経費よりは倍以上にはするつもりであります。なお国立大学研究所、これらも現在よりはよほどふやして来年度の予算には盛るつもりでありますから、さよう御承知を願います。
 それから未開発地の人物養成のことについてお話がありましたが、これはただいまは、東南アジアから技術者の派遣の要求等がありますと、必要なる教育を施しましてその必要な技術者の派遣をしております。そのほか国費で、東南アジアから留学生を招致いたしまして、国立大学、あるいは研究所で勉強をさしております。今後は、なおそれを増大してやりたいと考えている次第でございます。
   〔国務大臣河野一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。
 食糧管理制度の改正につきましては、昨日も総理からお話をいたしました通りに、現在根本的問題につきましては研究中であります。つきましては、今年度の米麦の買付制度をどうするかということにつきまして、お尋ねのありました通りに、懇談会の答申を得ております。政府といたしましてはこの答申を十分に尊重いたしまして、この線に沿って施策を講じて参りたいと考えております。つきましては、その結果、予約買付制度の問題になるのでございますが、ただいま申し上げました通りに、答申を得たばかりでございまして、これを事務的に検討いたしましてこれを基本にいたしまして目下せっかく施策を研究中であります。ただし、お話のありましたる通り、基本的には肥料、飼料、農機具、農薬等、すべての生産資材につきまして、この価格の引き下げに万全を期しまして、生産費を引き下げることによりまして米の買上値段を引き上げるという方につきましては、なるべくそういうことにしなくて農家経済が安定するように心がけて参るつもりであります。なおまたその他の点につきましては農業協同組合、その他有力なる方々の、特に農村に対するいろいろな運動等も起しまして、所期の予約買付のできるようにいたして参りたい。その他可能な施策を十分講じまして、現在行なっておりまする供出制度よりも有効適切に、所期の目的の達せられるようにいたしたいと考えておる次第であります。
 なおこれにつきまして、消費者価格が相当に上って、消費者価格が上るか、ないしは消費者価格をそのままにしておけば、財政負担が多くなるのではないか、それについて考えているかということでございますが、今申し上げますように、農家の方からの買上値段につきまして、以上申し上げたような次第でございます。従ってその他の点につきましては、お尋ねのような段階までまだ考えておりません。次の適当な機会にお答え申し上げるようにいたしたいと思います。
 次に、余剰農産物買い入れ米を備蓄米にする気があるかということでございます。これは御承知の通りに、余剰農産物は本年度の配給米の計画の中に入れているのでございまして、しかしお説のように、なるべく備蓄米の制度を政府としては考えて参りたい。これは従来と違いまして、だんだん米の事情がよくなって参るのでございますから、なるべくこういうことにつきましては万全を期して参りたいと考えております。
 この機会に一言申し添えておきたいと思います。それは準内地米の生産事情が好転し、これらの輸入事情が好転いたしたということに基きまして、内地の国内の米の生産意欲を押えているじゃないかというようなことでございましたが、これらにつきましては、私といたしましては、全然そういう考えを持っておりません。準内地米の生産事情がいかに好転いたしましても、内地におきまして、国内におきまして、増産に向って政府はあらゆる施策を講じて参らなければなりませんことは、申し上げるまでもないことでございます。これらの地方からどの程度のものを入れるつもりかというお尋ねでございますが、これは価格と見合うことでございますから、ただ数量だけ持って参ればよろしいということを考えておりませんから、この点については今ここで申し上げるわけにはいかんと思います。
 第三番目に、漁業共済制度についてお尋ねがありました。これは御趣旨のように、絶対必要な施策だと私も考えております。しかし、これにつきましてはいろいろまだ研究の余地があると思うのであります。従いまして、御趣旨は了といたしますが、政府がこれを実際実行するに至りますには相当研究の余地があるということも、なおまたこれは研究を続けておるのでございますから、その意味で御了承いただきたいと思います。大体お答えはこれだけでございます。(拍手)
○議長(河井彌八君) 森崎隆君。
   〔森崎隆君登壇、拍手〕
○森崎隆君 日本社会党を代表いたしまして、しばらく時間をいただきまして質問をいたしたいと存じます。
 現内閣は、昨年末の自由党内閣総辞職に当りまして、各党協議の結果、わが党の強い要請を受けて、事実上、選挙管理のための内閣なることを自認し、組閣の上はすみやかに準備を完了して総選挙を行うことを全国民に公約をいたしまして、それによって成立した政府であったはすでございます。選挙管理内閣である以上は、公明選挙の完了するまで一日もゆるがせにできない国政の円満なる運営を担当することが唯一の責務であり、いたずらに短期間内に得意の欺瞞政策を強行して、行政部面を混乱に陥れたり、あるいは空虚な宣伝を連発するがごときことの許されないことは明らかなことでございます。しかるに総理、あなたの内閣は、成立以来、総理自身はもちろんのこと、ほとんどあなたの大臣連中も、口を開けば大風呂敷を広げまして、歯の浮くような軽薄な宣伝を繰り広げて、それらの政策があすにでも実施されるかのような幻惑を国民に与えようとしておりますことは、まことに遺憾千万と言わなければなりません。あなたの率いる民主党が、一政党といたしまして主義政策を発表されて、これを国民に訴えられることは、まことにこれはけっこうだと存じますが、選挙管理を唯一の任務といたしておる短期間内閣が、毎日盛りだくさんな政策、方針、大綱、計画等を発表宣伝して国民をたぶらかすことは、まさに総選挙を前にして選挙の事前運動と断ぜられてもいたし方のないところでございます。総理は選挙管理内閣たるの公約をどのように考えておられるか。公明選挙の強く要望せられているとき、政府みずから宣伝にうき身をやつし、事前運動の鬼と化して、違反行為にひとしい連日の行動に対しまして、果してこれを正しいと信じていられるのか。その所見を伺いたいのであります。
 第二に、総理は民主主義を盛んに誰激していられます。これまで、民主主義を口にいたしましてその実は最も非民主的な行為に終始している者は余りにも多く、軽々には信用のできない心境にございますが、鳩山首相が信念に基いてこれを強調していられるのでありますれば、このことはまことに結構なことと存じますが、ただ一つ疑念がございまするので、ここでただしておきたいと思います。総理は、たしか昔、滝川事件の当の責任者であられたと思います。(「その通り」と呼ぶ者あり)この事件は、当時はもちろん、今日考えましても、日本政治史上において徹底して民主主義を蹂躪した最も悲しむべき汚点の一つとして、更に極言いたしますれば、政治権力による学問の自由への弾圧としての非民主的暴力事件として、あの軍閥勢力の下においてすら強く指弾され、(拍手)今も私たちは忘れられない悪夢としてこれを明らかに記憶に印し、しかもこの鳩山文相の暴力も、また戦争を強行するに至らしめた重大要素の一つとして批判しているのであります。かかる事件の責任者が再び返り咲いて政治の最高権者になるためには、法律上のことは問題外といたしましても、政治家の責任制を確立する上から、滅罪のためのざんげの心情を何かの形式で国民の前に披瀝することが良識ある政治家の常識であると思うが、何ら前非に触れることなく、心臓強く口に民主主義を唱える総理自身の御心境が私には不可解と思いますので、心境の御説明を賜わるならば仕合せだと存ずる次第でございます。第三に、現内閣は明朗清潔な政治を口にして、無責任な放言を連日口にしていることはもちろんでございますが、政治の浄化の基礎として、既往の罪悪の結末をつけてから、これが正邪を明確にしてから、新政策を説くべきではないでしょうか。特に、一昨年来の全国民を憤激せしめた造船汚職を初め幾多の疑獄問題には一切蓋をいたしまして、きれいごとのみを誇張宣伝しようとするところに、現内閣の欺瞞があると思います。検察庁法第十四条の発動によりまして当然の逮捕を逃れたのは、さきの自由党幹事長のみではございません。民主党の主軸をなしているさきの改進党幹事長も、また多数の力をもって逮捕許諾を拒否したことは記憶に新しいところであります。日興事件、日殖事件は言うまでもなく、保全経済会汚職の花形役者も、同様貴下の幕下にうようよしておられるのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)総理はこれらの汚れた諸公を丸抱えにしたまま公明選挙をうたっているのてありますが、現実の実態とあなたの宣伝との食い違いは、まさに国民をたぶらかすものではないでしょうか。清潔な政治の一環として、マージャン、ゴルフの禁止もよろしいが、大切なのは民主党の汚職議員を清掃すること、これが先決ではないでしょうか。(拍手)もしまた、悪事を働いた者も、おのおのその所属する団体を解消いたしまして、もって相より相はかつて、新党なるものを樹立しさえすれば、一切の過去の罪悪は、検察庁の手を借らずとも浄化せられるものだと考えているといたしましたならば、国民大衆にとつて、これは、はなはだ迷惑千万なことと存ずるのであります。政党が主義主張を同じくする同志の結社であるとすれば、あなたの民主党は、それ以前の、政権のための寄木細工の党にしかすぎないといううわさもございますが、それでもなお、つじつまの合わない空虚な宣伝に血の道を上げるひまに、せめて過去の汚れだけを洗い落すことは、なぜしないのでございましょうか。かくしてこそ清潔な政治は生まれるのでございます。さらに、あなたの民主党構成分子は、かつて造船疑獄の中核をなす外航船舶利子補給法におきまして昭和二十八年予算中から百六十数億円という巨額の金を、国民の血税であるこの金を、当時の自由党、日本自由党、改進党三派共同修正の名と責任におきましてはじき出して、これを一握りの船会社の幹部へ贈与して最大なる汚職の模範を示された議員たちからなっていることを、全国民は絶対に忘れないのでございます。(拍手)一党の党首たる者は、たとえ個人としては清潔であろうとも、その率いる党内人が汚れておりますれば、当然連帯的に責任を感じてしかるべきではないか。保全経済会汚職に関しましても、あなたは去る衆議院予算委員会で、「私は伊藤から金をもらっていないから、何ら関知しない」と、自己弁護ばかりされている。私人としてはいざ知らず、公人としてそれで済まされるやいなや。選挙管理内閣成立後、全国民に対してあなたがまず第一に叫ばなければならなかったことは、滅罪のためのざんげの辞であり、そして更生を誓う誓約の言葉でなくてはならなかったはすであります。かくも汚れた政党の総裁である鳩山首相の汚職問題に関する所信をお聞きいたしたいのでございます。(拍手)また、あなたは、当然その結論として出てくる「各党共同して、破廉恥罪を犯した刑事被告人は、総選挙に際しては一切公認しない。」というわが党の主張に対して進んで同調する意思がおありかどうか。明確な御答弁をいただきたいと思います。(「指揮権発動と同じじゃないか」と呼ぶ者あり)
 第四に、まことに言いにくいことではございまするが、現内閣の閣僚の一人河野農林大臣が今日いかようなことを強行されようとしておるか、そのことにつきまして私は総理にお尋ねいたしたい。農林大臣が北洋漁業に関しまして四十七度以南に操業する全鮭連の漁場拡大のための緯度繰り上げの強い要望を踏みにじったことは言うまでもございませんが、母船式船団増設に際しまして公平を失したと断ぜられる節があるのであります。二十九年度の母船数は七船団、そのうち日魯漁業は二船団でございました。三十年度は十三隻にこれが急増されましてそのうち日魯漁業は一躍他社をしのいで四船団にふえました。私は日魯漁業が北洋漁業の優秀なるエキスパートといたしまして、多年にわたってわが水産業界に打ち立てられました努力と業績に敬意を表するものでありますが、数十団体の希望者の中で一会社が四船団を確保したこの事実には、絶対に納得、承服ができないのでございます。大臣はかてつ日魯の取締役でもあり、その副社長でもあられた。まだ短期間ではありますが社長でもあられた。また昨年の船団増加のときにも同社の顧問といううわさの出るほど奔走しておられた。今回の船団決定に当つては万事おれが責任をとるからとて、その衝に当然当るべき水産庁という事務当局に容喙の機会も与えず、水産庁のプランをほごのごとく破棄いたしまして、その上人事異動をまで断固強行いたしまして、前述のいわゆる日魯社長案と業界でうわさされている案を押しつけて、これを大臣の権限でもって決定してしまったのでございます。これは私から考えまするならば明らかに人事権の濫用であり、年度末を控えまして行政府の機能の発揮さるべきときに別途の意図をもって事務になれた者を転任させるという暴挙は、利害によらずしてはなしあたわないところであると私は考えます。農林大臣は日魯との関係よりみて、大臣たるの権限を利用して一会社に特に有利な決定を強行したと言えるでございましょう。これは権力による利権の誘導であり、(「けしからん」と呼ぶ者あり)ちまたではこの裏には数億の選挙資金が約束されているというもっぱらのうわさすらございます。(「そうだ」と呼ぶ者あり)明らかにこれは現内閣の汚職の芽と言っても過言ではない。今にしてこれをつまずんば悔いを千載に残すであろうと私は考えるのであります。日本水産界にはこれまで遅々たるものではございますが、民主主義の風が吹き始めつつありましたその際、農林大臣の利益誘導的暴挙の強行によりまして、業界には大きな波乱を投げ、再び民主主義の芽がつぼもうとしていることは悲しむべきことであります。総理は、あなたの閣僚の一人がかかる暴挙をなしていることを知っていられたかどうか。又指令されたのかどうか。問題はこういう問題だけじゃございません。さらに一例をあげますると、韓国のり輸入のドル・ワク許可に関しましても、あなたの党内のあやしい動きが私には聞こえて来るのであります。あなたの、政治の明朗と清潔という意味は一体どういうことなのか。この暗い影のさす行動を是とされるか。その真意を伺いたいのであります。ここにも国民だましの選挙事前運動があると断じて疑わないのである。過去六カ年間吉田茂氏の非民主的な政治権力は鉛のかさのごとく、日本国民の頭上に押しかぶさっておりました。このかさが打ち破られた今日、国民大衆は久方ぶりに解放された陽光を浴びるかのごとく、ある種の明るさを得ようとしておる。この国民の気分は吉田内閣退陣により自然発生的に起ったものでございます。にもかかわりませず、現内閣はこれに便乗して、あたかも自分の手で人心を一新したかのごとく宣伝していることは、これまた罪悪の一つでございます。見よその掲ぐる政策なるものは、自由党より共産党に至るすべての政党のスローガンを全部寄せ集めた政策の羅列であり(「そうだ」と呼ぶ者あり)まさに品評会の観を呈するものであります。六年後の完全雇用を説く前に、今困窮している炭鉱労働者を救済する方途をなぜ講じないか。(「そうだ」「その通りと」呼ぶ者あり)いたずらに総理が多年宿望の総理大臣就任に有頂天となっておられましても、政治責任はそれによっては果されないのでございます。特にこの四、五日来、解散期日を病的に急いでいられるのも総花式のばかげた化けの皮がはげるのをおそれてのことでありましょう。外交、経済等幾多の難問題山積の日本の国政を背負つて立つ自信が果してあられるや香や、所信を披瀝されたい。
 次に憲法改正に関しまして総理に御質問申し上げます。鳩山首相は、吉田前首相よりも、もっと御熱心な再軍備論者でございまするし、また積極的な霊法改正論者であることは、あなたの日頃の言動よりして周知の事実でございます。特に民主党主流の旧改進党は、畠も熱心に再軍備を主張して、現在の自衛隊は明らかには戦力だと断じ、これを私生児的存在に放置せず、早く憲法を改正して、堂々と日本国軍たるの看板を掲げるべきだと、全国の演説会等において明言しているところでございます。またあなたは、追放中にもダレスに会つて強く再軍備論を主張されている。憲法改正問題は、実に再軍備か正当化せんとするための第九条の改正が主軸であることは明らかでございます。しかるに総理が、選挙管理内閣を担当するや、改憲のことは不思議にも、あまり語ろうとなさらない。これは日頃の言動と、はなはだしく食い覆い、国民を欺瞞する手段であると私は思います。昨日の施政方針演説におきましても、改憲のことは慎重にしたいとか、また占領中の制定なれば、所要の検討を加えると、やさしいことを申されておりまするが、所要の検討の中核は何であるかには全然触れられていない。明朗な政党政治を確立するといたしますれば、各党とも先ず第一に、かかる民族の運命を決する国策の甚大問題に関しましては、ことさらに明確な方針を簡明に披瀝いたしまして、選挙に際して全国民が純正なる投票をなし得る判断の基本資料として打ち出すべきものであると考えます。オオカミがその牙をかくして羊を引き寄せ、選挙がすめばそろりとその仮面を脱いでオオカミの本性を現わすごとき愚策は断じて許されることではないと存じます。この問題に関しまして、重要でありますので二、三の質問を総理にいたしまして御答弁を願いたいのでございます。
 第一に、あなたは自衛隊を戦力とは考えていられませんかどうか。また常法第九条によりますれば、「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」となっておりますが、朝鮮、インドシナ戦争にも見るごとく、今や一国の軍隊がもし他国不法侵略をするならば、もはやこれは二国間の問題ではありません。国際紛争へと発展することは必至のことでございます。そこで自衛権を発動するといたしますれば、明らかにこれは発展した国際紛争を解決する手段としての自衛隊使用となりまして、自衛隊は即ち戦力となり、国の交戦権も行使し、ことになるのでございまするが、それでも現行のままで違憲ではないとお思いかどうか、お伺いいたしたい。
 第二に、国家本来の自衛権の上に立つ自衛力をお認めでありまするならば、日本国が自衛を全うするために、一体どの程度の戦力を保持なさるつもりか。国力相応の自衛力と申されましたが、一体幾万程度のものが妥当と考えるか、数字を一つお伺いしたい。
 第三、その戦力を維持するために、大約どの程度の予算が必要であるか、その概数だけでもお漏らしを願いたいのでございます。
 第四に、民主党では憲法審議会なるものを国会内に置くと言われているが、総理は、第九条を中心として憲法改正をなさんとする際、家族制度の復活並びに再軍備の一環として、徴兵制度実施の問題が財政面からも、あるいは徴募の方式からも必然的に出てくるのであります。この問題につきまして、どういう御意見とどういう構想を持っておられるか、お伺いいたしたいのでございます。
 次に、重光外相に外交方針につきましてお尋ねいたしたいと存じます。
 今や吉田秘密外交は終末を告げました。あなたは国民外交を推進したいと申していられる。従って自由明快な御答弁がいただけるものと信じまするが、日本は今、対米的には経済的にも軍事的にも鉄鎖でつながれたごとき不思議な親善関係を保持しておる、現状は明らかにアメリカの従属的地位に置かれていることは誰しも否定しがたいところであります。友好は「近き親しきより遠くへ」の常道とは異なり、太平洋を越えたかなたの大国にのみ隷属し、そのことによって自己をおのれの存立するアジアの孤児ならしめ、またそれによってアジアの諸国より警戒の目をもって見られている現状でございます。今こそ外交の基調を一変して、次々と民族の独立を戦いとり、久しい奴隷状態より自己を解放せしめたアジアの兄弟諸国との善隣に重点を置いて、太平洋戦争の滅罪のためにも彼らが復興と建設に援助の手を差し伸べる絶好の機会であると考えます。今、自由諸国と共産圏の激しい対立の中におきまして、しかも一層戦争の惨禍が想像を許さざる深甚なものとなり、また、いかなる二国間の紛争も一度惹起されれば、国際的に拡大必至であり、それゆえにこそ好戦的な武装国といえども、その好むと好まざるとにかかわりませず、紛争に対しては慎重ならざるを得ないし、また世界の平和勢力の世論の力もまた増大しておるのでございます。この情勢下におきまして、アメリカに拘束されておる日本をここまで追い込んだ吉田外交を美辞麗句を連ねながらカムフラージュして、あなたは踏襲しようとしていられるのではないか。このままでいけば、ますます日本は自主性を失って、アジアにおけるアメリカの忠実な番犬と化し、いずれの日にかまたアジアの兄弟との戦禍に血を流し、日本本土を再び原水爆の地獄に陥れることになるでありましょう。われわれの念願は自主中立外交により、一日も早くアメリカの覊絆を脱して完全なる独立と中立を完成して、全力をあげて両陣営の激突を緩和する崇高なる任務をこそ果して、もって平和の堅持と恒久なる日本国の繁栄を願うべきであると信ずるのでございます。対ソ、対中共国交の正常化は、まず西より東に向って自由諸国との正常にして対等な親善友好関係を改善することが基礎条件でなければならないと思います。外相は自主独立達成を悲願とされているが、平和条約発効後の今日、なお自由国家等に対しまして、この悲願を立てられる点にこそ、平和安保両条約のまやかしがあったのではないでしょうか。あなたはこの従属性を早く払拭して真の独立を回復することを外交の基調とされると言明したが、そのためには何よりも基本的に安保条約とMSA協定の破棄が先決の問題であると思うが、その御意思があられるかどうか、はっきりと伺いたい。さらに、日本側が主導権をとって中ソとの戦争状態終結を確定する方法を講じなければならないとの総理の談話は、積極的な熱意の表現として認めるといたしましても、これに対しまして、外相の意見は対米依存を強く温存して、むしろ反対の意見のようであられるが、この閣内不一致をどう考えていられるか、事は外交政策の基礎でございます。これによっても民主党は選挙後も政権担当の資格なしと断ぜられても、ぜひなきことであると思いまするが、御所見を伺いたい。
 また中共との貿易再開、政府の責任による引揚促進のことは強い国民の要望でございまするが、似て非なる対米親善関係の上に立って、このことが達成できると考えていられるのかどうか。さらに最近の発表では、対ソ国交回復をのみ強調して対中共のことには全然触れられていない。これまた米国の圧力のもとで、台湾国民政府と中華人民共和国政府の認定について明らかにジレンマに陥り、ために卑怯な逃避を行っておると思うが、何ゆえに対ソの前に対中共の国交回復が打ち出せないのか、また何がゆえに中共を認めることができないのか、これについての御意見をはっきりと伺いたいのでございます。
 いま一つ、あなたは沖縄の住民を日本人と思っていらっしゃられるのかどうか、御意見を伺いたい。米軍による土地の強制取り上げには、補償をどういたしますか。沖縄への渡航の制限のため、親の死に目にも会えない日本人がたくさんいられる。送金のワクは狭められて個人生活はいためつけられておる。裁判事件では弁護士をつけることすら拒否された事実もあるのであります。これらは勿論日本人としての沖繩住民の基本的人権のじゅうりんでありますが、外相はこれらの問題に対してどういう手を打たれ、どういう対米交渉をせられましたか、その経緯並びにその結果をお尋ねいたしたいのでございます。
 次に、安藤文部大臣に御質問を申し上げます。昨年十二月二十三日の報道を手始めにいたしまして、文相は文教の基本的方針を表明し、教育課程の改善、中央教育審議会委員の改選等々と、多種多様の大綱を掲げて参りました。これらが空文の宣伝に終らなければ幸甚に存ずる次第でございます。さきに自由党文教政策が、大連文相を陣頭に立てまして日本教職員組合弾圧をたった一つの使命として、文教政策の本道をあやまった事実に比べまして、安藤文相が、教育政策の本来の使命に立ち返られたかにうかがえることは、国家のために大慶に存するところでございまするが、教育の使命は青少年の能力を円満に伸張育成して、平和的な国家及び社会の形成者として健全なる国民を作るにあるのでありますが、制度の改変というよりも、敗戦以来十年を経ました今日、今こそ教育本来の使命にかんがみまして、これが過去の政府のあやまった政策のため、ゆがめられ、偏向を来たしていないかどうかを反省すべきときであると存じます。すなわち教育基本法前文には、「民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようと」決意し云々とあり、また「われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期する」云々とあります。明確に国家の大道とこれにのっとる教育の大方針が鮮明されているのでございます。ゆるがざる日本国憲法の基礎の上に立って、平和国家のあらゆる要請にこたえ得る人格の完成こそ、日本教育の真髄だと信じます。文相はこの定規に照らしまして、現在日本の教育が正常な状態に果して置かれていると思っていられるかどうか、明確にその御意見をお述べ頂きたいのであります。
 また伝え聞くに、戦争誘発の要素にしか過ぎない自衛隊員募集の事務を学校の窓口に持ち込もうとする動きがあるそうでございますが、これは言語道断なことと思いまするが、これをお許しになられるかどうか、お答えを願いたい。また、わが国の学校教育については、義務教育を中心といたしまして、老朽校舎改修、災害早期復旧、教員定数の確保等、基礎作業は山積いたしております。文相は予算編成に際しまして、地方財政の窮迫に対処して、義務教育費一全額国庫負担を実施される意思ありやいなや、これもお聞きいたしたい。さらに児童健康保持の基礎といたしましての学校給食の完全実施をやられるかどうか。あるいは未就学児童対策はどういう対策を立てていられるか、お尋ねいたしたいのでございます。さらに、前大達文相は昨年十月二十六日付次官通牒を発しております。これは日本民主教育の根幹であり、教育の地方分権の確立された制度としての地方教育委員会が自主性を持ちまして、法律にのっとって判定した事項に対して文部省がこれに圧力を加え、文相の特定の意思のもとに地教委を縛りつけて、もって教育二法を悪用せんとする暴挙であったのでございますが、安藤文相が地方教育委員会を育成し、日本教育の民主化を確立しようとすれば、即時この次官通牒を撤回すべきであると思いまするが、この次官通牒をどういうふうに考えていられるか、またそれを即時撤回する意思ありやいなや、明確に御答弁を願いたい。これによってあなたの文教政策の真の民主主義に即したものかどうかの実体が鮮明せられるものであると私は考える次第でございます。
 最後に、再び総理にお答えを願いたい。さきの政府が強行突破して作り上げました教育二法律を、あなたは自由と民主主義の名において廃棄される決意を持っているかどうか、明確に御答弁を願いたいのでございます。御存じの通り、この二法律は日本全国各種各様のあらゆる世論のごうごうたる非難Kもかかわりませず、自由党政府が大運文相の手をもって作り上げた天下の悪法でございます。その理由とする教職員の政治的偏向は、教育基本法において明白に制限されているにもかかわりませず、あるかなきかの偏向の事例を作り上げまして、五十万教職員を同一視し、一網に引っくくり、教育界に不必要きわまる不安と動揺を与えてどうかつをした威嚇立法でございます。さらに大連文相は極秘のうちに警察陣へ依頼通達を出し、その結果、地教委や警察官の中には、善良なる教職員の思想調査、尾行、留守宅訪問、学童のノートの取調べ等の暴挙をあえてする者すら続出いたしまして、ちょうど戦前の警察による思想弾圧をほうふつさせるものがあったのでございました。かかる事態をこそ防止するために、教官委員会法におきましては「教育が不主な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきであるという自覚のもとに」云々と、厳に規定されているのでございます。世界に類例を見ないこの時限立法は、まさに文化国家の恥辱であると存じま丁。今総理は、民主主義を確立して清新はつらつたる政治を叫ばれておられます。それならば、その基本作業の一つとしてこの天下の悪法を廃棄して、もって明朗政治のための地盤の清掃をなさることこそ急務であると存じまするが、あなたはいかに考えていられるか。明確な総理の御意見を承わりたいのでございます。
 時間がありませんので、最後に、総理の労働政策を、一点にしぼって具体的にお尋ねいたしたい
 皇居前広場の使用についてでございまするが、メーデーは、万国全労働者の年にただ一度の祭典でございます。明らかに働く国民の一大盛儀でありすす。皇居前広場はまさに絶好の祭典の場であるにかかわりませず、自由党政府がえこじにも狭隘な場所を与えて皇居前広場の使用を許さなかったことは、労働者の祭典に対しまして少しの理解もなき処置であるとしまして遺憾に存ずる次第でございます。伝え聞くに、本年メーデーには百万の労働者が結集されることが予想されておるのでございます。今都内を見るに、百万人を収容して整斉裏に行動をなし得ろ場所は、皇居前広場以外には絶対にないのでございます。総理は、自由党罪悪史の一ページである去る日のメーデーの混乱を想起してもらいたい。これこそ、不法禁止の結果起ったふんまんの爆発と混乱にすぎなかったのであります。明朗闊達に、これが使用を許して、全労働者の自覚ある一大メーデーを展開せしめることこそ、民主政治の本領であると私は信じますが、あなたが労働政策の基本、その中核といたしましてメーデーに皇居前広場を使用せしめることの構想を持っていられるかどうか、明確に答弁を頂きまして、労働政策の基本の一端を私は聞きたいと思う次第でございます。
 以上質問をいたしましたが、明確な答弁を各大臣からいただきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣鳩山一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(鳩山一郎君) 森崎君の御質疑に対し答弁をいたします。
 第一が、私が管理内閣の公約をしたということで、それに基いての質問でありました。私は管理内閣という言葉は使ったことがございません。これはほかの人が勝手につけた名前でありまして私としてはそういうことは考えていないのであります。むろん選挙によって大勝を得ることを確信しておりして決して管理内閣にはならないということが、あまり遠からざるときにわかるだろうと思います。(拍手)
 第二は、滝川事件のことについての御質問でありまして滝川君にやめてもらいましたのは、滝川君が刑法読本という共産主義の宣伝になるような著書を出しておりました。(「それが間違いだ」と呼ぶ者あり)これは内務省において発売禁止をされておりました。これを講義をしておることが、青年に悪い影響を及ぼす、共産主義の宣伝になると思いまして、やめてもらったのであります。民主主義が自由主義を理想とすることは当然であります。共産主義が自由主義と対照的なこともまた明瞭であります。滝川君にやめてもらったことが、民主主義に反するのではなく、むしろ民主主義を樹立せんがために、民主主義というか、民主政治というか、その当時はまだ民主政治ではないのでありますが、共産主義をやめてもらうということが必要だと考えて、やめてもらったのでありますから、誤解のないようにお願いをいたします。
 第三は、汚職の始末であります。汚職の始末は、検察当局に一任しておくよりほかに仕方がありません。(「吉田と同じようなことを言うじゃないか」呼ぶ者あり)いたずらにうわさによって人を非難するわけには参らないのであります。これは検察庁当局の自由なる行動にまかすよりほかに仕方ないと思っております。
 第四が、憲法改正についてでありますが、これは先刻もちょっと申しましたごとくに、憲法改正はいたしたいと思います。第九条の戦力の字義でありますが、これは戦力というものの解釈によってきまるのでありまして、これを戦う力というように解釈するならば……(「そう解釈するのが当りまえだ、戦力だから」と呼ぶ者あり)ところが戦力という問題も、自衛隊という問題も、ここ数年、だいぶ変化して参りまして、最初は自衛隊は軍隊でないということに世論は一致していたのであります。ところが保安隊という名前でもって、軍隊ではない自衛隊を持っていたわけでありますが、その後時代の変遷とともに、自衛のためならば軍隊を持っても憲法上差しつかえないということが圧倒的多数の意見になりまして今日では自衛隊は軍隊であっても差しつかえない。九条には反しないというような解釈になったのであります。そういうような時代において、日本に自衛隊のないということは、独立国家としては決して許さるべきことではない。これは最初幣原君でも、また、吉田君でも、マッカーサーと交渉しておるときには、軍隊は持ってはいけない。自衛のためなら持ってもいいという意見ではなかったのであります。それでありまするから、九条の挿入については、両君とも非常に反対でありました。それがだんだんと意見が違って参りましたので、吉田君は、軍隊でないということで議会で答弁した時代もあったのでありますが、腹の中では、私はやはり軍隊だと思っておる、それは自衛のためならば、軍隊を持ってもいいという議論に変ったのであると私は推測しておるのであります。そういうような情勢でありまするから、私が数年前に再軍備を主張した当時とは、世論の情勢が違ってくるのでありまするから、私の意見も幾分変更して参っても決しておかしくはないと自分では思っております。
 それから憲法改正のときに家族制度をどうする意見かというお問いでありましたが、また徴兵制度も採用するかどうかというような御質疑でありましたが、徴兵制度を採用するということはまだ考えておりません。
 家族制度の問題については、憲法審議機関において適宜に処理していくものと考えております。
 なお、最後に教育二法案について改正する意思ありやいなやという御質問がありましたが、今日は改正する意思なしということを申し上げておきます。(拍手)(「皇居前広場」と呼ぶ者あり)
 以上をもって私の答弁を終ります。(「メーデー、メーデー」「答弁漏れ、答弁漏れ」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣重光葵君登壇、拍手〕
○国務大臣(重光葵君) お答えいたします。
 今提起された問題はい私は外交問題の根本に関することだと考えます。安保条約を廃棄して米国関係の手を切れ、そうしたらばどうであるか、そうしたほうがいいのだ、こういうお考えのようであります。私は、今日のように共産及び自由民主、両陣営の争いが世界的になっておる。その場合に、アメリカとの関係を断って安保条約廃棄しろ、こういうことは要するに、日本の属しておる自由民主陣営から離れることを意味するものだと私は思います。これは私は共産陣営の政策には合するものだと思います。しかし日本は、今日共産陣営には属しておらないのでありますから、この御見解には同意を表することはできません。しかし私は、私どもの言う独立自主の外交いうのは、日本本位の外交でありまして米国に従属するものでもなければ、また共産陣営に属するものでもかいのであります。そこで、日本の今日の状況、国際環境におきましては、その国際環境は昨日御説明をした通りであります。国際関係におきましては、対米関係を重要視してその協力関係を進めていかなければならんこと、これが日本の独立自主の地位を占める方法であると、こう考えておる次第でありすす。しかし、それは従属でもなければ、奴隷的関係でもない。これが日本の利益、独立自主の立場からそう考えるのであります。その考えからアジア諸国との関係を親善に導きたい。その点については、私は全然御同感であります。さような方針によってアジア関係を改善し、将来の経済発展もでき得るのだ、こう考えております。それで大体のお答えは済んだと思います。
 それからもう一つは、中共の問題でございます。中共の問題は、御承知の通ざに、日本は前内閣時代において台湾の国民政府を承認いたしておるのであります。そうして吉田書簡までついておる。そこで非常に問題は困難であります。従いまして、この中共の問題は国際環境、両陣営の争いに関する国際環境が漸次変つてくるだろうと思います。そういう変化を待たなければ、なかなかこれは政治的に解決するということは私は困難だと思います。しかしながら、経済的に中共との貿易が許される範囲内においてこれが実効をあげていくということは、日本の利益に合することであろうと思って、そういう方針をとつておる次第でございます。次は沖繩の問題でございます。沖繩は、御承知の通りに、主権は残されておるということになっておる。しかし、沖縄における行政権、すべての権力は停止されてこれは占領軍がまだ持っておるという、これはいかに国際法上定義づけますか、それは私は存じません。(「そういうことを知らんでどうするか」と呼ぶ者あり)しかしながら、沖縄人がわれわれの近い同胞であることは当然であります。沖繩民族についてわれわれは非常に同情を持っております。同情を持っておるから、われわれの力ででき得るだけこの沖繩民族の生活が安易になるように努力をすることは当然であります。そういう方面に向って(「どういうことを努力してきたのだ」と呼ぶ者あり)米国当局者といろいろわれわれも連絡し、あっせんしてその目的を達するように努めておる次第でございます。
 これでもって私の答弁を終ります。
   〔国務大臣安藤正純君登壇〕
○国務大臣(安芸正純君) いろいろ御質問がございましたが、義務教育費の国庫全額負担の問題ですが、今日は半額負担でありますが、全額負担にすることは現在の財政上できません。かつまた、これは財政の問題ばかりではなく、初歩の教育は、国と地方の公共体とが相協力してやる方がいいという建前もございますから、現在におきましては義務教育費はやはり半額負担でいきたいと存じます。
 それから給食問題は、これはもうお説のごとく、なるべく全部にいきわたって、一人も給食に漏れるという子供のないようにいたしたいのであります。しかしながら、地方によりましてそれが徹底しておらない所がありますから、文部省におきましては地方に対しまして、それが普及徹底するように尽力をいたしております。それからなお、それがために現在米国の余剰農産物の方から千五百万ドルだけは、そういうことのために文部関係に回ってくることになっております。それによりましてその給食用の小麦あるいはミルク、それから学童の制服用の綿花、そういうものに当ててあります。ただ、その受け入れの問題がきまっておりませんので、今外務省筆を通じてそれを交渉いたしておるのであります。
 それから教育に関する偏向教育はいけないという、そういうことに対するところの二法律でありますが、これはただいま総理大臣が答弁された通りに、現在は廃棄することの意思はありません。将来、一体こういう法律ができ上ったということは、教育のために非常に遺憾であります。しかしながら、またでき上らなければならぬような事情が当時ありまして(笑声)できたものでありますから、今日直ちにこれを廃棄することはできません。運用におきましては、もちろんこれは十分注意をして参ります。
 まだありましたかしらん、大体こんなものですか……。(笑声)次官通牒の問題がありましたが、これは今申し上げました教育の本義を誤まらないようにしたいという意味でありますから、今、昨年ですか、出しましたこの次官通牒を撤回する必要はないと存ずる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣鶴見祐輔君登壇、拍手〕
○国務大臣(鶴見祐輔君) ただいま森崎議員から御質問のございましたメーデーに関して御答弁を申し上げます。従来皇居外苑の管理につきましては、集会その他の行事については、原則として国家的行事以外は許可しない方針をきめて実行いたして参っております従ってメーデーにつきましては、従来この方針によって許可しておらなかってのであります。本年におきましては、ただいまのところ、従来同様に取り扱って参りたいと考えております。(拍手)
○議長(河井彌八君) 河野農林大臣から発言を求められております。よってこれを許可します。河野国務大臣。
   〔国務大臣河野一郎君登壇〕
○国務大臣(河野一郎君) この機会に北洋漁業の出漁の問題について一言御説明を申し上げておきたいと思います。先ほど森崎さんの御質問の中に、北洋漁業の出漁の問題につきまして、非常に事務に私の手落ちがあったようにおっしゃいましたが、これは非常な誤解に基くものだと思うのであります。第一は、これには二通りございまして、いわゆる独航船と申しましてキャッチャー・ボート、それからこれのもとになりまする母船、二通りございます。キャッチャー・ポートの方は数百そうの希望がありまして、これはそれぞれ府県に割り当てまして、割当をしたのであります。母船につきましては、大体各会社の希望の申し出を、それぞれ事務当局、会社当局と懇談いたしまして、それぞれの満足のいくようにいたしてあるのであります。もちろんこれにつきましては、御承知の通り、従来の慣行といたしまして、鯨をとりに参りますのは、日本漁業と大洋漁業、これが大体参ります。それから北洋につきましては、御承知の通り、サケにつきましては日魯漁業、カニにつきましては日本水産というような従来の慣行がございます。これに基いてそれぞれ漁業に専念いたして参りました経緯もございますから、これが重点的にやることは当然だと私は思うのであります。これをことさらに、先ほどおっしゃいましたように、何かその裏面にあるようなことをおっしゃいますことは、非常に一般の誤解を招かしめることだと思うのであります。これらにつきましては、それぞれ少し事情を御承知の方ならば、どなたもおわかりになることでございまして、サケにつきましては、これは従来の慣行通りにやって参っていることでございますから、別にその間に格段特別の処置はないことでございます。これをことさらに選挙を前にして、ことさらにああいう御発言になりますことは、参議院のように、選挙のない方はともかくといたしまして、われわれといたしまして非常に迷惑をいたしますから、十分御調査、御研究の上御発言あらんことをお願い申し上げる次第であります。
   〔森崎隆君発言の許可を求む〕
○議長(河井彌八君) 森崎隆君。
○森崎隆君 農林大臣の今の説明につきましては、時間がありませんので、いずれ委員会等で徹底的に究明いたしたいと思います。
○議長(河井彌八君) 議事の都合により、これにて暫時休憩いたします。
   午後二時十五分休憩
   午後四時十二分開議
○議長(河井彌八君) 本院規則第八十四条により延会いたします。
 次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報をもって御通知いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時十三分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)