第022回国会 商工委員会 第34号
昭和三十年七月二十七日(水曜日)
   午前十時二十四分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     吉野 信次君
   理事
           古池 信三君
           高橋  衛君
           山川 良一君
           三輪 貞治君
   委員
           上原 正吉君
           小野 義夫君
           深水 六郎君
           松平 勇雄君
           加藤 正人君
           上林 忠次君
           河野 謙三君
           海野 三朗君
           藤田  進君
           上條 愛一君
           小松 正雄君
           白川 一雄君
           苫米地義三君
           石川 清一君
   委員外議員
           阿具根 登君
  政府委員
   通商産業大臣官
   房長      岩武 照彦君
   通商産業省通商
   局次長     大堀  弘君
   通商産業省石炭
   局長      齋藤 正年君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       山本友太郎君
   常任委員会専門
   員       林  誠一君
   常任委員会専門
   員       小田橋貞壽君
   常任委員会専門
   員       桑野  仁君
   常任委員会専門
   員       内田源兵衛君
  参考人
   日本石炭協会副
   会長      萬仲余所治君
   日本石炭鉱業連
   合会常任理事  國崎 眞推君
   日本炭鉱労働組
   合中央執行委員
   長       阿部 竹松君
   全国石炭鉱業労
   働組合副執行委
   員長      齋藤 茂夫君
   全国鉱業市町村
   連合会副会長  鈴木 榮一君
   東京大学教授  青山秀三郎君
   日本鉄鋼連盟専
   務理事     岡村  武君
   日本興業銀行常
   務取締役    石井 一郎君
   千葉工業大学教
   授       雀部 高雄君
   電気事業連合会
   専務理事    松根 宗一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○石炭鉱業合理化臨時措置法案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
○委員長(吉野信次君) それではこれより委員会を開会いたします。
 参考人の方々には、どうも暑いところ、お忙しいところ、まことにありがとうございました。かねて御意を得ておる通り、今度の法案につきまして皆さんから御意見を伺いたいと思います、それで、いろいろどういうふうにやってもいいのでありますけれども、もし何でしたら一応十分か十五分ぐらいの時間で皆さんからお席に坐った御順で大体のお話を承わって、それから各委員の方から御質問申し上げると、こういうことにいたしたいと思いますから、どうぞよろしくお願いいたします。それでは萬仲さん。
○参考人(萬仲余所治君) 日本石炭協会の副会長をいたしております萬仲と申します。お時間の関係もございますと思いますので、一番最初に結論的に日本石炭協会の意向を申し上げまして、あといろいろと付言いたしたいと思います。
 日本石炭協会の本法案に対する意向は、大多数の会員は、十分満足とは思わないけれども、本法案を通していただきたい、本法案が通ることによって、また本法案と関連する他の石炭に関連する法案が通ることによって、大きな石炭対策のさらに推進をはかりたいということを強く要望いたしております。ただ一部、原案のままではおもしろくない、反対であるという意向の方もありますが、そのうちには、標準炭価という制度が好しくないという意味で反対をしておる方と、標準炭価の設け工合というものによって反対をし、また修正をされればある場合にはよろしいと考えておる人もございます。が、いずれにしても、反対の意向を持っておられる方々はきわめて少数でございます。大多数は本法案を通過させていただきたいということでございます。それが結論でございます。
 それから法案のことをいろいろ申し上げます。先にちょっとお時間を拝借しまして、この法案が提案されるに至りますバックと申しますか、雰囲気と申しますか、石炭鉱業の今日の状態というものを二、三お話しをさせていただきたいと思います。御承知のように石炭鉱業の今日の状態は、まあ私ども約三十年関与いたしておりますけれども、初めてぶつかった最悪の事態と言ってよかろうと存じております。業界の古老のだれかれに聞きましても、かのごとき状態にほとんど出くわしたことがない、危機の一歩手前にあるということが言えると存じております。昨年暮には現地で社会問題まで起しまして、皆様方の大へん御同情をわずらわしたことは、まことに感謝にたえませんが、一方、経営面におきましても、最近はほとんど全部の会社が赤字経営、無配に陥っておる状態なんですから、御観察いただきてましても、とんでもない状態であるということはおわかりいただけるかと存じておりますが、こういう状態になりました原因につきまして考えまするに、大きく分けまして遠い原因と近い原因と二つあると存じます。
 遠い原因は、戦争中また戦後の状態が今日の原因を招いておるということが言えると思います。私は先刻も閉会前に雑談に申し上げましたように、戦争前また戦争後引き続きまして、北海道の現地におきましてみずから経営の衝に当っておりましたので、特に自分の身に痛感いたしますのでございますが、戦争中は、御承知のごとく、あすの一トンよりも、きょうの一かけらの石炭ということで、何ものをも犠牲に供して増産々々ということで進んで参りました。ところが不幸にして終戦になりますと、もう私どもは現地でどうなるかと考えておりますと、間もなく、ほとんど時を移さず、復興はまず石炭からということで、引き続き非常なる増産を要望され、また増産をして参ったのでございます。戦争中非常に無理な増産をいたしましたために、正常なる採掘状態ではなく、その日の石炭を掘るためにあすの準備が整っていなかっただけではありませんで、終戦の直前には、ほとんど大部分の労働者が半島労働者であって、それが終戦と同時に数カ月の間に一人もいなくなってしまうという事態が一つであります。それから優秀なる内地人労働者がたくさん戦地へ参りまして帰ってこない、また帰りましてもなかなか元通、りにはならないというようなことで、労働状態においても素質的にも非常に変っておりましたが、しかし何としても戦後増産せねばならぬという強い命題のもとに、一人当りの能率よりは頭数をふやして絶対量をふやせということが、最もとりやすい方法であり、当時としてはとらざるを得ぬ方法でありましたがゆえに、頭数をふやすということにまず重点が注がれまして、従いまして、山の中でありますから住宅を作らにゃならん、住宅をどんどん作る、その資金は国家から提供してやる、跡始末はわれわれの方で考える、当時は統制時代でありましたので、業者の厄介にはならないで、場合によっては炭価の中に織り込まれ、場合によっては国家の補助助成によってやってやるというようなお話でありました。私どもは何ものをも犠牲に供して増産にこれ励んで参りましたのですが、昭和二十四年にたまたま需給状態が大体のバランスに参りました。この理由によりまして、また当時の内閣が統制を排除して自由経済にするという建前によりまして、ただいま申しましたような莫大な政府資金が投下されておりますこの跡始末ということが何もなされないままに自由経済に入って参りました。同時に、いろいろな誓った約束であったものがすっかり御破算になってしまって、その政府から出ております財政資金は、全部業者の負担という格好になって参りました。一方では頭数を揃えて非常増産をするというためのいろいろな無理があった。それらの無理もそのまま残って参りました。こういう状態で自由経済に移り、すべてが業者の責任においてさらに生産を続けて参りましたのですが、そのときすでに大きな荷物をしょい込んでおりますので、この荷物の処理をしていただきたいということを、そのときから、各方面、当局に対して申し入れておりましたのですが、これまたいろいろな事情でなかなかできません。そのうちに朝鮮事変が始りまして、各産業とも一時ブーム状態になりまして、石炭鉱業といえどもその日をくらすにはどうやらやっていけるという事態が来ましたために、この重荷をしょっている、重荷の始末ということについて、私どもも、また考えて下さる御当局も、ややゆるみができたような状態にもなっておりました。ところが朝鮮事変勃発とともに、需給状態があるバランスをとっておったものが、さらに非常に石炭が足らない、ますます増産を要すという御要望がありまして、これにこたえねばならんということで、二十七年度を目途といたしまして約五千万トンの生産能力が完備いたしまして、完備いたしましたとたんに石炭がだんだん要らなくなるという現象が出て参りましたのでございます。同時に、その頃から重油が石炭に置きかわるという事態がぼつぼつ始まって参りまして、垂油が石炭に置きかわるという事態が今日の石炭鉱業の破局を導きました近い原因と考えます。
 これは二十六年頃から始りましたが、二十六年、二十七年、二十八年、二十九年、四カ年間に重油が石炭に置きかわりました量は、重油で大体三百五十万キロリッターぐらい、石炭に換算しますと一キロリッターが二トンと勘定してよろしゅうございますから、約七百万トンが石炭の需要面から重油の方に置きかわってしまった、こういう事態が一方出て参りました。同時に、最近のデフレ状態によりまして、あらゆる需要の減退あるいは使用原単位の節約というような面から、これまた三百万トンくらいの需要減が出て参りました。一方では無理に無理を重ねて五千万トンの設備能力を整えましたとたんに下り坂になりまして、今日なお五千万トンの設備能力を持ちながら、四千万トンしか石炭が要らない。掘っても売れないという事態に陥りまして、業者は非常に困った状態になっております。これがまず現在の石炭の陥っておる状態の概要でございます。
 そこで、私ども先刻も申しましたように、二十四年統制解除になると同時に、この重荷の跡始末をしていただきたい、大きなしょい込んだ借金の処理をしていただきたい、同時に、無理の重なったその無理を是正していただきたい、一方では税制面等にも相当の無理がある、いろいろな無理の是正をしていただきたいということをお願いして参りましたのですが、なかなかそれができて参りません。いろいろな関係から、もう昨年になりましては、今日の破局の状態が非常に如実に現われて参りまして、そこで政府の方では昨年三月に重油の抑制ということを内閣で決議されまして、これが実行におとりかかりになりましたのでございますが、それでもなかなか思うように参りませんというようなことから、われわれが多年要望いたしておりました石炭対策、これを本当に真剣にお取り上げ願わなければならん具体的な実情になって参りました事柄とかみ合せて、昨年の夏頃から今日の石炭鉱業合理化臨時排置法案のもとがだんだんとできて参りまして、今日御提案になったというようなわけでございます。
 従いまして、私どもは、この石炭鉱業合理化臨時措置法案そのものだけを見ますと、なかなかこれにはいろいろな問題がございまして、これだけで直ちに石炭鉱業が全部救済できるとは考えておりません。私どもは、この法案のでき上ります経過におきましても、いろいろなお話をときどき承わって、これに対して申しましたことは、まずもって大きな意味合いで、石炭だけではなく、日本の要する全エネルギーの相互関連した、総合のエネルギー対策をお立て願いたい。重油は重油の道をかくのごとく歩んでいくべきである、石炭は石炭の道をかくのごとく歩んでいくべきである、ガスも電気も全部皆その道を歩んでいくべきだ、いずれも将来は全体の量がふえることは予想もされるし、われわれも考えておりますけれども、今日の状態は、黙っておればお互いの相はむような状態で、これではいけない。従いまして、そこにお互いの間のはっきりした筋道を立てた総合燃料対策をお立て願いたい。また石炭は非常な無理を直すためにどうしても合理化をして能率を上げていかなければいけない。そのために相当の資金が要ります。資金の手配は業者だけではとうていできません。従いまして、財政資金を御投下願いたい。また能率を上げます以上は、いかに需要が増大しましても、能率の上り工合というものとの関連上、そこに従業員の余剰人員が出て参ります。この余剰人員の処理につきましても、業者だけではとうてい処理できませんので、特に労務対策についてのお考えを願いたいというような事柄について、かねがねお願い申し上げておりますし、同時に、それらの事柄が、同時並行的に進んで参りませんと、この合理化促進法案だけでは困りますということについて常々申し上げて来ておるのでございます。そういう意味合いから、合理化法案の案がだんだん具体的になりますと同時に、私ども業界におきましても、これに対していろいろと審議をいたしましたのですが、先刻も申しましたように、私ども業界におきまして、大多数は、不満足ながらこの法案の通過を望んでおりますが、一部には反対があるという事柄も、審議の過程においていろいろの心配がありました。ただいま申しましたような、同時並行にいくべき総合燃料対策であるとか、労働対策であるとか、資金対策であるとか、あるいは税制対策であるとかいうようなものが、本当をいえばこれらのものが完備して初めてこの合理化法案のその本当の効果を発揮するのであるとは考えますけれども、そういうことを言うておっては、今日の石炭の状態を正常に直すということも手おくれになって、本体が死んでしまうということで、ただいま申しましたように、大部分の方々は不満足ではあるけれでも、この法案を通していただくことによって、ただいま申しましたような大きな対策を徐々に、またなるべく早く実現させていただきまして、石炭を正常な道に持っていきたいということが強く念願されておるのでございます。従いまして、いろいろこまかい点を申し上げますと問題はございますけれども、まあ一部反対の原因になっております標準炭価というような問題につきましても、現実にこれを設定いたしますために、石炭界――ことに炭価という問題につきましては、もう炭種その他によりまして、また種々雑多、いろいろな面がございますので、これらが業界の実情に本当に適切にマッチするということでありませんと、せっかくの法律案が実効を現わさないというような面もございますので、これらの点につきましては十分お考えいただきたいと存じておりますのでございます。
 なお石炭鉱業は特殊の産業でございまして、先刻も申しましたように、山の中の何にもないところへ家を建て、部落を作り、そこに一つの大きな社会を作って事業を始めていく、従いまして、その経営体はその市町村を経営すると同じ状態になっておるのでございます。今日従業員は、労働者が約二十七、八万、これに職員が四、五万、合せましても三十二、三万おりますが、これに家族を合せますと約百二、三十万になります。関連の産業、たとえば輸送関係であるとか資材関係であるとか、あるいは地元における市町村民であるとか、関連したものを合せますと、大ざっぱに言いますと約五百万の人間が直接間接炭鉱とつながっておる、こういうような大きな国民が炭鉱と直接のつながりを持っておるという意味合いにおいても、今日の炭鉱の状態というものは、何とかしてこれを是正し、これを正しい道に持っていかなければならぬということは、これは前々から皆さんにお考えをいただいて、いろいろ御審議を願っておる状態であります。そういう状態でありますので、特にこの合理化法案に伴って出ております重油関係の法案につきましても、特別の御考慮をお願いいたしたいと存ずるのでございます。
 重油関係につきましては、すでに重油の輸入関税を復活するという問題は、昨日当院の委員会において御決定相なったやに承わっておりまして、はなはだ感謝にたえませんが、いま一つの重油を一般ボイラーに使用することを制限するという法案につきましては、まだ衆議院にあるやに承わっておりますが、この問題は、ただいま申しました総合燃料対策というものの一つの現われでございまして、私どもは決して重油を少くすることによって石炭が生きていこうというのではありません。重油は重油の道を歩むべきではありますけれども、今日四、五年間に七百万トンの石炭に当るかのごとき重油の分野にどんどん変っていったという、この短期間における行き過ぎ、これに基いて石炭鉱業が異常な危殆に瀕したという実情、しかも重油そのものはほとんど九割何分が外国から入っておるという、こういうような実情を御勘案いただきまして、さらに、石炭によって間接直接生きておる者が五百万もありますにもかかわらず、重油関係はほんのりょうりょうたるものであるというような、こういう関係も御勘案いただきまして、特にこの重油の法案につきましては、合理化法案とともどもに慎重な御審議をお願いいたしたいと存ずるのでございます。一応申し上げまして、また御質問にお答え申し上げます。
○委員長(吉野信次君) それでは国崎さん。
○参考人(國崎眞推君) 私は石炭鉱業連合会の常任理事國崎眞推であります。本日は会長の竹内礼蔵が出席相かないませんので、私が代って意見を申し述べます。
 御承知かと思いまするけれども、石炭連合会と申しまするのは、いわゆる大手十八社を除きました全国炭鉱の中小炭鉱の団体ということを御了承願います。以下ただいま当委員会で御審議中の石炭鉱業合理化臨時措置法案につきまして意見を開陳即いたしまするが、ただいま石炭協会から御意見をお述べになりましたが、もともと炭界は一本でございまするので、根本において何ら意見の相違はないのでございまするが、私は少しく連合会の立場から意見を申し上げたいと存じます。
 まず第一に、本法案は、国家の基幹産業である石炭鉱業が危機に瀕しておりまして、業者だけの力ではとうていその再建が困難であるという見地から、立法措置によりまして合理化をはかって、石炭鉱業の立て直しを行うという趣旨でございまするから、その趣旨においては賛成であります。しかしながら、ただいま協会からもお述べになりましたように、この法案の前提といたしまして、国として総合燃料対策の確立が絶対的必要条件であるということは、すでに各界の常識でございまして、この合理化法案はその一環であることもまた明らかであります。すなわち、今日における石炭鉱業のきわめて悲惨な窮状のよって来った原因は何かといいますと、それは今日まで国として一貫した燃料対策がなかったからであります。戦後、炭鉱の生産規模の急速なる拡大を勧奨しながら、次に重油等の輸入燃料を無税から無制限に輸入したことによりまして、国内炭の需要分野を大量に侵蝕することになりました。その結果、石炭の需給のバランスが大幅に崩れてしまったというためであります。かような事態にかんがみまして、政府におかれましては、昨年度以来、行政措置によって重油の消費規制を行なって参りましたのでありますが、その実績に徴してみまして、行政措置だけではとうてい所期の目的は達成できないという見通しから、先に閣議におきましてエネルギー総合対策を決定せられまして、これに基いて、石炭合理化法案と相並行して、重油ボイラー制限法案を今度の国会に提出されましたことにつきましては、遅まきではありますが、ここに敬意を表する次第であります。従って、この両法案は、いずれも総合燃料対策につながりを持っておりますると共に、あたかも車の両輪の関係にありまするので、この両法案は同時に相並行して成立することが絶対に必要であります。もし万一にも石炭合理化法案だけが成立いたしまして、重油法案があるいは審議未了に終るとは、さようなことは考えられませんが、もし成立いたしましても、それが骨抜きになるというようなことがありましたならば、石炭合理化の目的はその大半が失われるということになるのであります。
 なお、協会からもお述べになりましたが、石炭鉱業の立て直しにつきましては、この合理化法案だけではもちろんその全部が解決するものではありませんので、この法案の実施と不可分の関係におきまして、多年の懸案となっております国家資金債務の特別処理とか、金利の軽減とか、合理的な税制の改善とか、これらの点につきましても政府の適切なる施策を強くお願いする次第であります。
 さて、次にこの石炭合理化法案の内容につきまして、次の諸点について意見を申し述べます。
 その第一は石炭需給の安定方策の点であります。石炭鉱業が今日の危機を招きました原因は、先ほど申し上げましたように、石炭の需給が大幅に崩れたということに原因することでございますから、将来の需給につきまして安定した見通しが立たない限り、炭鉱といたしましては、この上さらに多額の負債を生じまして合理化に進む意欲は起らぬというのは当然であります。従って、政府は、この法律に規定する合理化基本計画に基く国内炭の生産数量につきましては、その責任を明らかにする必要があると思います。しかるに、この法律におきましては、この点に関し何らの規定がありませんので、せっかくの合理化基本計画も、この計画も、将来におきましてはあるいは机上プランに終りはせんかというおそれもあります。もしそうなりましては、本法制定の趣旨に沿わないのではないかということを考えます。そこで、合理化計画に基いて増産を遂行したにかからず需給が著しく不均衡を来したような場合には、政府は需給安定について適切な措置を講ずるということを法文に明定するか、それがむずかしいようであれば、特別に行政措置その他によって考慮をされたいという点でございます。
 第二は炭鉱事業団の財源の国庫負担の点でございます。この法案におきましては、整理炭鉱の買い上げ資金を含め、事業団の全部の経費はそのすべてを経営者の納付金で負担することになっておりまして、国庫においては全く負担しないということに相なっておりまするのを、国庫においてこれを支弁することを原則とせられたいということであります。今日炭鉱が整理を余儀なくされるに至りました事情は、申すまでもなく、戦後の荒廃から立ち直りまするために、当時の国策として石炭の傾斜生産方式がとられまして、国を挙げての石炭増産の要望にこたえるために、二十七年、八年度におきましては、年産五千万トンの生産体制ができるようになったのでありまするにかかわらず、その後は石炭政策に一貫性がないために、大幅に海外輸入燃料に依存したということのため、その犠牲として整理せられるのでありまするから、国策として法律によって整理を行う限り、国として当然その解決の責めを負うべきではないか、かように考えるわけであります。また別の理由といたしましても、この法律は合理化によりまして炭価の引下げを目的とするものでありまするから、業者の経費を増大させてコストの高騰を招くようなことは、この法律の精神にも反するのみではなく、現在の炭鉱経営の状態におきましては到底その負担にたえないというのが実情であります。ただしかしながら、国庫において支弁しても、なおやむを得ない不足が生ずる場合は、同一産業人といたしまして、残存している炭鉱におきまして、総額の三分の一程度を負担するということはやむを得ないかと、かように考える次第でございます。
 第三は標準炭価の点でごいまするが、この法案によりますると、通産大臣は、毎年石炭の生産費を基準として、これに輸入燃料等の価格及び一般経済事情を参配して、石炭販売価格の標準価格をきめて、これを告示するということになっておりまするが、元来石炭の販売価格は生産費を算定基準としてきまるものではありませんので、石炭の消費条件、使用効率、すなわちメリットによりまして、そのときどきの需給状況に従って個々の取引きごとに決定されるというのが建前でございます。工場生産品と違いまして、天産物や掘り出すのでありまするから、その生産原価におきましても、また品位あるいは炭質におきましても、天然条件の違いによりまして千差万別であるというのが当然でございます。これを法律によって画一的に決定するということにはそもそも無理があると思います。なお自由経済下の今日といたしましては、法律によって取引炭価を制約するということは取引きの自由円滑を阻害します。なお石炭鉱業の企業意欲を減らすということになる点から、この規定はむしろ削除を望むものであります。しかしながら、また一面の理由といたしまして、合理化効果を販売価格に反映させるために必要であるという理由も思考されまするので、ここに標準炭価を設定するといたしまするならば、それは販売価格の指標を示すという意味におきまして、きわめて少数の代表炭種につきまして簡単な基準を示す程度にとどめる、なおまたその算定方式は、生産費のほかに、品質すなわち品位、炭質でございまするが、品質と適正利潤、この三要素を基準とすることにせられたい。なおまたその公表の時期でございまするが、これはある程度の合理化効果が現われまして、需給が安定して、現在のきわめて混乱しておる炭価が正常状態に近づいたとき、すなわち少くとも法施行後若干の期日を置く、たとえば一年とかあるいは一年半とか設定して公表されるよう、これは特に運用上の御配慮を要望する次第であります。
 第四は、事業団が買収する被整理炭鉱の買収評価基準の点でございます。この詳細につきましては事業団の業務方法書において別におきめになることと思っておりまするが、その買収する価格は、これはまあ被整理炭鉱には重大な関係がありまするので、法にきめてありまする利息金及び未払賃金の優先支払いというほかに、被整理炭鉱の正常な負債――過度な負債はもちろん問題になりませんが、正常な負債、それから人員整理資金、鉱害賠償費、この三つは少くとも支弁するに足る価格とせられるよう御措置が願いたいのであります。
 最後に要望いたしたいのは、炭鉱整理に伴いまする租鉱炭鉱の取扱いの点でございます。この法案によりますると、租鉱権は買収の対象から除外されておりまして、鉱業権者の採掘権と、その上に乗っかっておる租鉱権者の租鉱施設を抱き合せ、合意の上、申し出た場合に限りまして、租鉱権者の鉱業施設だけを買収するということに相なっておりまするが、これは現実の問題といたしまして、全国に炭鉱数が約七百鉱ございまするうち、租鉱炭鉱が二百三十四鉱、すなわわ三四%を占めております。しかもその大部分の租鉱炭鉱は弱小非能率の炭鉱と言えるのでございます。これを買いつぶしの対象から除外いたしましては整理の目的は十分達成されないと思います。もっともこの租鉱権の権利評価につきましては法律上いろいろ問題があるやにも聞いておりまするが、もし法文においてこれを明定することが困難であるとするならば、現実の運用面におきまして、非能率の租鉱炭鉱が進んで買収申し出ができまするような、適切な考慮を特にお願いいたしたいと思います。
 以上をもちまして本法案に対する私の意見開陳を終りまするが、冒頭に申し述べました本法案に関連する石炭諸対策の施行につきましても、その実現方につきまして特段の御配慮をお願いいたしまして、この法律案がすみやかに成立いたしまするよう要望いたす次第でございます。
○委員長(吉野信次君) では炭労の阿部さん。
○参考人(阿部竹松君) 炭労の中央執行委員長の阿部でございます。委員長初め諾先生方が、われわれ民生のために、驚異の暑さにもかかわらず、連日御尽力していただきまして、厚くお礼を申し上げたいと思います。
 河井議長の招集によりまして本日参考人として参ったわけですが、問題は違いまするけれども、今まで当委員会に何度も参りまして、それぞれ問題について意見を具申したことがあります。しかし残念ながら、今までいろいろの立場からわれわれ炭鉱労働者というものの気持を訴えましたが、しかし残念ながらただ一回もわれわれの意向というものが一〇〇%のうちの一%も取り入れられたことが全くないわけであります。従いまして、私が本日どういうことを申し上げれば先生方に御理解していただけるか、どういうことが最もわれわれの意向をくんでくれる内容になるかということを私は非常に心配するわけであります。この問題が出ますと同時に、鳩山相にも会いましたし、あるいはまた自由党の政調会、あるいは民主党の政調会のそれぞれ責任者の方にもお会いいたしまして、通一産大臣あるいは労働大臣、あるいはここにおられまする齋藤石炭局長にも会いまして、るるわれわれの心境を訴えたわけであります。しかし今まで残念ながらわれわれの意向というものが全然顧みられなかったというのが内容であります。従いまして、われわれの申し上げることはむちゃくちゃであるというふうに言われるかもしれませんけれども、私どもは炭鉱労働者として、どんなみじめな生活でも、職を失いたくない、職場を離れたくない、何とかして生きていきたいというのが念願でございます。一昨年、昨年と、もうすでに私が申し上げるまでもなく、われわれ炭鉱労働者はどんどん次から次へと首切りが出まして、今日まで約八万名の同じ職場に働く同志を失ったわけであります。しかし炭鉱を離れましても、ほかに行って、安い賃金で、あるいはまた生活が苦しくても職があればけっこうでありますけれども、炭鉱を離れたとたん職を失って路頭に迷わなければならない、こういうような状態でありますから、この合理化法案が出ると同時に、法案の内容というものをわれわれは検討いたしましたが、端的に申しまして今まで出たような職を失う人が次から次へと出てくるわけであります。炭鉱の中は相当危険な商売でありますし、ことしも御承知の通り北海道の夕張炭鉱において坑内が爆発いたしまして、死者八名、けがした人が三十八名ありました。三井の田川炭鉱で、ガス爆発いたしまして、十八名負傷いたしまして、八名死亡いたしたわけでございます。このような危険な作業に従事しておるわけでありますから、炭鉱をやめてよそへ行って、たとえば前大蔵大臣の池田さんが言ったように、貧乏人は麦を食えというような、その麦でもけっこうでありまするから食えるような職業があればけっこうであります。しかし麦も食えないというのが実情でありまして、この法案が出ると同時に、われわれ労働者というものが一体どういうことになろうかということを心配いたすわけであります。ただいまも萬仲さん、国崎さんのお話をお伺いいたしますると、若干条件がついているようでございまするけれども、本質は賛成のようであります。しかし私どもは、この法案が国会を通ることによって、少くとも経営者諸君は来年再びこういうような状態におかれるのではないかというように心配する、ということは、この法案が通ることによって、ことしは、ばんそうこう貼りの政策として解決するかもしれないが、来年このようなばんそうこう貼りの炭鉱企業対策であっては、再びこういう状態が繰り返されるというように心配するものであります。従いまして、本日ここで幾ら論議いたしましても、すでに衆議院は、自由党、民主党の賛成によって通過したように聞いております。もちろん衆議院と参議院は違いまして、それぞれの結論の出し方が違うと思いますけれども、それぞれ政党政治である以上は、衆議院の自由党の意見というものは参議院に持ち込まれ、あるいはまた衆議院の民主党の意見というものはまた参議院に持ち込まれるわけでありますから、人数等から申しましても、当然法的には何ら違法がないといたしまして、政治的には結論がすでに明らかになっておるのではないかというように、残念ながら考えざるを得ないわけであります。もちろんこの法案の内容というものを昨日いただきまして、数字も見せていただきました。しかしながら皆様方も御承知の通り、昨年初めは四千八百万トンの石炭が必要であるというようなことを通産省当局は明確に言っておりました。それから三カ月も経たないうちに今度は四千六百万トンである、また三カ月経つと四千二百五十万トン、また三カ月経てば実際は三千九百五十万トンしか要らない。こういうような通産省当局の数字をわれわれに信用せよと言っても全く無理であります。当然私どもは、昨年と違った立場で通産省当局が企画立案されておるというように聞いておりますけれども、昨年一昨年において一千万トンの見通しの食い違いを来たした資料というものの出るところと、本年この企画立案した通産省の資料の出るところと、全く同じであるということを考えますときに、まことにこの内容というものは、ずさんきわまりないものであるというように私どもは判断しておるわけであります。従いまして、そういう点について、非常にわれわれ、労働者として職を失うということの不安と、ことし一年延びたといたしましても、来年どうなるかという不安がある。この法案の成立によって、石炭企業の再建というものはとうてい不可能である。もちろん臨時措置法というような銘を打ってありますから、
  〔委員長退席、理事山川良一君着席〕
 ことしだけのばんそうこう貼りの法案であるかもしれませんけれども、私どもは少くとも国会で一つの法案を論議し、結論を出すためには、三年後あるいは四年後、五年後の石炭企業というものはどういうことになるかということまで審議していただきたいと思うのであります。一つ例をとってみましても、もちろんこの国庫の負担の分と経営者が負担する分と、金が両面から出てくるようでありまするけれども、当然この石炭鉱業の幾つかの山を買い上げるということになりますると、その金はほとんど銀行の現在焦げついておる支払いになってしまうということであります。従いまして、端的に表現するならば、この法案というものは銀行救済の法案であると断言しても差しつかえなかろうと思うのであります。
 もう一つ、私どもが現在心配しておりますることは、ただいま申し上げました通り六万人の失業者が出ております。それと同時に、今度また三万八千名の失業者が出る。一体これがどうなるか、こういう点について西田労働大臣と話し合ったことがあります。当然西田労働大臣は、それは大丈夫であるというような御回答がございました。しかしながら現在六万人の失業者の処置もできない、この労働省が、再び三万八千人出た場合において、ほんとうに処置できるかどうかということについて疑問を持つのも当然でなかろうかと思うわけであります。このような観点から、私どもは、この法案の決定に従いまして、自分の職場が全くなくなると同時に、路頭に迷う人間が三万八千人出てくる、もう一つは、あくまでこの法案は銀行救済の法案であるというように考えると同時に、なぜもう少し、前者のお二方も言いましたが、重油の問題等につきましては、私、この間、本で見たわけでありまするけれども、小さい資本の重油の会社が一カ年間の決算で百三十五億円儲けたと、もちろん百三十五億円儲けてもけっこうでありますが、私は反対しませんけれども、まず重油会社が百三十五億儲けて、しかしながらその内容というものは半分ほど外国資本であったというように見たわけであります。こういうような状態を考えてみまするときに、十分重油の問題とからみ合せて御審議を願いたいということを申し上げたいわけであります。また、新聞、ラジオ等におきまして、原子力の日本導入もちらほら私どもの耳にまで入って参りました。当然私どもは原子力の導入には反対しませんけれども、こういう問題が三年後あるいは五年後に日本のエネルギーとして使用されるときにおいては、石炭鉱業というものはまた違った立場で再びこういうところで論議になるのではなかろうかと考えるわけであります。そういうような状態を考えてみまするときに、当然ただいまから諸先生方にお願いしたいことは、日本の総合燃料をどうするかという立場で明確な結論を出していただきたいと思うわけであります。私どもは、いずれにしましてもけっこうであります、半ばすてばちになっておるかもしれませんけれども、そういうようなことではどうにもなりませんので、総合的に燃料対策を立てていただくと同時に、一年間に一千万トンの見通しの誤まりというようなばかげたことは今後一切やめていただきたい。少くとも私どもは、国会の決定というものは尊重しなければならぬという法治下の国民である以上は、一たんここできまった以上は、いかにわれわれが反対をいたしましても遂行されるでありましょうし、当然われわれもそれを支持していかなければならぬという国民の一人として、私どもは切にお願いするわけであります。たとえば一つの、石炭の需給につきましても、本日の新聞に開灘炭が十五万トン入って、富士と八幡あるいは銀管に十五万トンの石炭が入るというようにありました。日本において石炭が三百万トン余っておるので、石炭山を買ってつぶすという半面に、開らん炭を十五万トン入れるというようなことを見たときに、私は内容を知らないためかもしりませんけれども、非常に、何というばかげた政治を行うのであろうかというように深い憤りを感じたわけであります。従いまして、私どもは、あらゆる点から総合いたしまして今回出されておる合理化法案にはあくまで反対であります。もしこういう法案を国会に出される以上は、少くとも政府の責任において、明確に、中小炭鉱の石炭をかくかくにおいて責任を負うであろうというくらいのところまで明確な一つの結論を出して、すっきりとした姿で、三年後、五年後までの配慮を願ったところの法案にしていただきたいというのが、炭鉱労働者の一致した結論であります。
 簡単でありまするが一応答申いたしまして、後ほど質問によってお答えしたいと思います。
○理事(山川良一君) 次に金国石炭鉱業労働組合副執行委員長齋藤茂夫君。
○参考人(齋藤茂夫君) 私、全炭鉱の齋藤であります。この前二十日の衆議院の商工委員会でも、私、参考人として陳述をいたしました。その結果、二十一日にこの法案が衆議院を通過をいたしております。二十日の場合に私が主張いたしました点は、基本的にこの法案について反対であるという観点の上から、約十項目にわたりまして政府の考え方につきまして意見を申し上げたわけであります。しかしながら今日の段階におきましては、すでに本法案が衆議院を通過をいたしまして、きょう参議院で審議をされている状態でございます。先ほど炭労の阿部委員長もおっしゃられておりまするように、今日の場合に政労政治の建前をとっていきまする関係上、衆議院で多数で通過をいたしまして、参議院に回送されました。これがやはり参議院で通るであろうということが予想がつくわけでございます。で、問題は私は、この段階に参りまして議論を申し上げようという考え方はございません。
  〔理事山川良一君退席、理事古池信三君着席〕
 従って、本日の委員会におきましては、現実的にこの法案が実施された場合に、どういう点が労働者階級にとって不利な点、あるいは実際問題として炭鉱のおかれておる実情の上に立って沿わないかという点を、率直に一つお考え願いたいと思うのであります。従って、そういう観点から私はきょう参考人としてただいまから申し上げることを、一つぜひとも、これは炭鉱労働者の立場から、ぜひとも参議院の本会議におきまして、この面はこの法案の中へもっと具体的に、すっきりした法案の作成に一つ御尽力を願いたいというふうに考えるものであります。
 まず第一番目には、政府の石炭需要の面でございますけれども、この需要の拡大を、この法案の中からいきまして、積極的に政府がその対策を講じるという観点が、この法案から率直に受け取られない現状でございます。出炭は、なるほど政府のこの法案からいきますならば、約三百炭鉱を買い上げまして、その中で三百万トンの石炭を、結果的には現在よりもマイナスをいたしますから、その三百万トンだけは需要の面がふえるという解釈をこの法案の中でなされております。しかしながら、実際的にこの法案の適用を受けまして買い上げられる炭鉱の現状はどうであるかということになりますと、今日買い上げられる該当炭鉱と申し上げますならば、当然それは正常な出炭を維持できない炭鉱が買い上げの対象にになるのであります。今日そういう対象に該当するであろうというふうに考えられまする炭鉱におきましての生産は、ノーマルな状態の十分の一の出炭もしてない現状でございます。従って、これは三百万トンという数字は、あくまでも机上の数字にすぎないというふうに私は考えております。こういうことでは、この法案の仕上った上に立っての残された炭鉱が、しからばそれで生産と需要のバランスがとれるかどうかという問題でありまするが、そういう観点からいきますならば、生産と需要のアンバランスということは依然として続くということであります。従ってここに問題になりますることは、どうしても需要をふやさなければならぬという観点の上から、コストの軽減ということが非常に問題になって参ります。今日のコスト高というものによって炭鉱が赤字経営であるということは、一応これはわれわれも了解できる点はございます。しかし、その数字がわれわれと一致をするかどうかという問題につきましては、これはわれわれと経営者側との間に意見の食い違いがあるということな明確に申し上げておきます。しかしながら、数字の食い違いがあるといえども、今日の状態の中では、コスト高でどうしてもやれないという状態が続出して参っております。従って、そのコストを下げまして需要を拡大しよう、従って自由市場競争でもって販路を拡大する以外にないというのが一つの方法だろうというふうに考えております。そのほか重油、輸入炭の制限という問題もございまするが、これは百パーセントそういうことで炭鉱の生きる面を考えるということは、これは百パーセントその面で求めるということは不可能だと思います。しかし、こういう面も当然考えの中に入れなければならぬと思います。しかしながら何といいましても、炭鉱のそういう需要と生産のバランスをはかるためには、もっと根本的に問題を掘り下げて考えていかなければならないというふうに考えております。その面の中では、この法案にもありまするように、縦坑の開さくによってコストの軽減をしていくという問題でございます。しかし、こううい問題も、なるほどコストの軽減にはなろうかというふうに解釈いたしますけれども、炭鉱の縦坑の開発という問題につきましては、相当膨大な金額を必要といたします。そういう金額を減価償却をするという場合には、再びコストが下るどころか、コスト高になるということは申し上げるまでもないと思います。従って、そういう縦坑の開発の問題、こういう問題に対する政府の財政融資というものについて明確ではないというふうに私は判断をいたします。そういうような点から申し上げまして、やはりここで積極的に政府は、この石炭需要の面について具体策を講じていただかなければならぬというふうに考えております。そのためには、今日、中小炭鉱が非常に岐路に立っております。従ってこの中小炭の販路をどこに見出すかということにつきましては、今日現状の段階では非常に不可能な状態でございます。従って中小炭鉱の地帯を基盤として、火力発電所の設置、あるいは工業用、家庭用のガス化のために、そういう施設の施しを、ぜひともやはりこの中で考え、具体的にそういう対策を、政府がこの法案と同時に、やはり対策を持っていかないところに、この法案の非常に懸念性、あるいはびっこ性という問題が出て参る可能性があると思います。従ってこの点につきましては、将来ともにやはり、この法案が通る通らないは別問題といたしましても、やはり石炭の需要の拡大のためには、やはりもう少し具体的な対策が私は必要であろうというように考えておるのであります。
 第二番目には、転向の問題、あるいは経済的変動の新しい状態の場合に、生産と需要のバランスが完全に一致しております計画に基いてやりましても、そういうことで問題がございまして、事件がございまして貯炭が出た場合に、非常に今日までのいろいろな政府の政策というものは、そういう面については非常に政策を持っておりません。何らの具体策を持っておらなかったことは事実であります。従ってそういう場合に、一つの天災地変の場合、著しい経済変動の場合には、この貯炭に対しまする政府の財政融資という問題、あるいは政府がその貯炭を買い上げて政府貯炭とするというような何らかの具体性を私は持たないと、この法案が採用されたといたしました暁においても、そういうことが現実的に起きてくる問題であろう。そうするならば、再び需要と生産のアンバランスという問題がやはりこの面からも大きな問題としてのっかかってくる。従ってさらにまた、そういう問題が起きた場合に、炭鉱の危機というものが非常にさらに高まってくるということが、現実今日までの置かれました炭鉱の実態であろうというふうに考えております。こういう点につきまして、もう少し政府は具体的にそういう問題についてメスを入れるべきではないかというように考えておるのであります。
 第三番目につきましては、不良炭鉱の買い上げの場合でございます。この場合に、少くとも私は、中小炭鉱のすべての炭鉱、三百炭鉱を該当して買い上げる方針について反対を申し上げたいと思うのであります。これはやはり買い上げをするという場合には、あくまでもその炭鉱が不良炭鉱であるという限定を私はすべきであろう。これはなぜかということを申し上げますなら、この中小炭鉱の中でも、非常に労働者が今日の段階では、再建の努力を払って、むしろこのような状態の中では、経営者の生産意欲、経営者の事業意欲というよりも、むしろ労働者の職業を離れたくない、あるいは自分の炭鉱に対しまする愛着心と申しますか、そういう問題が非常に強くなって参りまして、融資の問題あるいは材料の買付の問題、こういう問題を主として労働者が経営者に先んじて、いろいろ施策を講じて、何とか今日の自分の山を再建をしたいという努力をいたしております。こういう炭鉱について、さらにまた実際に企業の診断を行なった場合に、その炭鉱の生産可能の鉱区、あるいは将来にわたってその炭鉱がほんとうに独立できる炭鉱についての買い上げということを私は考える必要はないと思うのであります。そういう炭鉱については十二分に、その炭鉱の将来生きられる方策を政府は考えていくべきであろう。どうしてもやれない不良炭鉱につきましては、私は当然その炭鉱の労働者の意見も十二分に聞いて、その労働者と経営者の労働協約と申しますか、そういう一つの協定に基いて、私は不良炭鉱の買い上げをも行うべきであろう。でないと、今日の状態の中では、単にこの法案が通ることを非常に唯一のたよりにして買い上げてもらう、その場合、買い上げてもらった場合に、政府から一千万あるいは二千万の金が入る。こういう業者が非常にあるということは、現実いなめない状態でございます。そういう場合、自分のふところの採算によって自分の炭鉱を買い上げてもらう、こういう形になりますならば、そこの労働者というものたちの生活は、根底からくつがえされるわけであります。従って、経営者の一方的なひとりよがりによって、不良炭鉱の買い上げということをぜひとも措置するためにも、労働者の意見を聞いて、承認を得て、その上に不良炭鉱の買い上げを政府がやるという施策を、この中でとっていかないと、そういう危険性が私は出てくると思うのであります。
 第四番目は、この法案の中にありまする石炭鉱業審議会というものがございます。この法案の中では、構成員は、炭鉱に対しまする学識経験者、あるいは炭鉱関係の官庁職員、それによって構成をするということをうたっております。私はこの構成員について、なるべく働く労働者の代表をこの中に入れて、率直にこの石炭鉱業に対しまする将来の若返りと申しますか、炭鉱に対しまするほんとうの救済、ほんとうの意味の炭鉱の復興をはかろうとするならば、この中に当然大いに労働者の代表を入れて率直に意見を聞き、その中で取りきめて行くことが必要じゃないか。いろいろ細かい問題がございます、この法案自身の中にもいろいろ問題がございまするけれども、今時間の関係上申し上げませんけれども、これらを将来具体化していくためにも、当然この審議会の中には労働者代表を入れまして、その中で問題を調査審議をしていくという形をぜひともとっていかないと、いろいろ細かい具体的な問題が片手落ちになる可能性が非常に多いというふうに私は考えております。従ってこの審議会の中には、ぜひとも労働者代表を入れていただきたいということを強く私は考えるものであります。
 最後に失業対策の問題でありまするが、この失業対策の問題は、本法案の中には全然該当事項がございません。しかしながら政府の考えておりまする点は、閣議によって出るであろうと予想されまする、炭鉱買い上げによって二万七千、縦坑開さくによって三万、合計五万七千の失業が出るということは政府自身認めておるところであります。そういう建前から、政府は閣僚会議をやりまして、この考え方に対しまする考え方を出しております。その中では、失業対策あるいは鉱害復旧事業あるいは河川事業その他いろいろな、そういう一時的な職業によってこの失業者を救済をしようという考え方を持っておるようであります。しかしながら今日の状態の中で、この失業者がそういう救済事業で、失対事業で賄っていくということにつきましては、もう地方自治体も限度に来ておるというように私は考えておるのであります。従って、失対によって、この五万七千名の労働者を、この面で生活を保証していくということは、非常に地方財政の立場から申しまして、私は問題があろうかというふうに考えております。従って、ただ、そういう通り一ぺんのこの職業に対しまする対策というものについては、非常に問題があるのではないか。今日常磐炭田に若干例をとって申しますならば、すでに各委員の方々は十分おわかりのように、自分の妻子を赤線区域と知りながら売って、一万か、せいぜい二万の金で売りまして、それを生活費に当てているという実態が、常磐地方の炭田に約六十何人かを数える婦女子が、今日全国的にそういう形でばらまかれております。これは一つの大きな社会盟題として今日取り上げられておりますけれども、そのあとを絶たないというのが現状でございます。従って今日までも中小炭鉱が崩壊休山いたしまして、その中小炭鉱の労働者が今日失対事業その他によって辛うじて息をついておるという状態であります。それでもなおかつ生活ができないということによって、今日も常磐地方の炭鉱におきましては、県内から集まりました一握りのカンパ運動によって、約六百俵の米が平に集荷されております。今日それが中小炭鉱に実際に個人々々に配給されまして、大体労務者一人九升ちょっとの配給量になります。こういうようなことによって、その場その場の窮状をしのいでおるのが現在の状態であります。従ってそういう一つの失対事業におきましても、一日二百円あるいは二百四十円の程度においては、五人、六人の家族が生活できない、こういう状態であります。従ってその失対事業にも限度が私はあろうと思うのであります。従ってこの失対事業や鉱害復旧事業によって、そういうものたちの救済をはかっていこうという、この政府の考え方については、私はそれはその場限りの対策であって、恒久的な対策ではない。従って失業に対しまする対策も、もっと具体的に私はやっていただかなければならぬというふうに考えておるのであります。そういう面で、一般社会世相といたしましては、この法案は明らかに炭鉱の首切り法案だというように評価されております。それはそういう点に、政府のそういった具体的な対策のないところに、世評がそういうことを申しておるというふうに考えておるのであります。しかし現実的には、この失業対策に対しまする法案の該当事項がございませんので、これはやはり参議院の委員会で十分に考慮願って、この点はぜひとも、この参議院の商工委員会におきまして取り上げていただかなければならぬ社会問題だと思います。従ってこれは法案にそういう渋当事項がないとするならば、別個に付帯決議あるいは行政上の問題として、十二分にこの問題に対する処置を、一つ当委員会におきまして十分考慮に入れまして、処理をしていただかたければならぬというふうに私は考えております。この失業対策につきましては、ぜひともそういうことにおきまして、何らかの方途を一つ講じていただきたいということをくれぐれも申し上げる次第であります。
 以上五点にわたりまして率直に私の意見を申し上げたわけでありまするが、この五点は、いずれを見ましても、これは労働者の非常に淡い最後の希望だというふうに私は考えております。従って、先ほども申し上げまするように、この法案の方向は衆議院の方向と同じように、参議院の方向も大体方向が決せられておるというふうに考えておりますので、そういう点につきましては、もう少し明確に、衆議院の中で論議をされましたけれども、衆議院の中では十二分にわれわれ労働者の率直な淡い希望というものも全然考慮されておらぬという状態でございますので、参議院の商工委員会におきましては、ぜひともこの点は一つ御配慮を願って、この労働者の考え方、決して私は理論のための理論でなくして、現実に置かれている立場から、この問題をどうしてくれるのだという労働者の、強い、これは意見だというふうに率直にお聞き取り願いまして、この面はぜひともお考えおき願いたいというふうに考えまして、以上私の参考人としての意見を終りたいと思います。
○理事(古池信三君) どうも御苦労様でした。
○三輪貞治君 もうすぐ本会議で商工委員会関係の法律が上程されると思うのです。だんだん、くしの歯を引くように委員も抜けておりますし、休憩をするなり、続行するとしたら、そういうことをやはり、事情を参考人の方に述べて御了解を願って、せっかく呼んでおいて、聞く方はわずかであるという事態でも非常に遺憾でありますので、しかるべく委員長においてお諮り願いたいと思います。
○理事(古池信三君) ちょっと速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
○理事(古池信三君) 速記を始めて下さい。
 それでは次に全国鉱業市町村連合会副会長の鈴木さんからお願いいたします。
○参考人(鈴木榮一君) 私は全国鉱業市町村連合副会長であり、福島県石城郡好岡村長鈴木榮一であります。本日、石炭鉱業合理化臨時措置法案に対して、石炭鉱業市町村を代表いたしまして意見を口述申し上げます。今般御審議中の石炭鉱業合理化臨時措置法案に対しましては、去る六月二十五日、さらに七月二十二日に、要望書を再度にわたって提出している次第であります。地元市町村といたしましては、これから申し述べまする六点について完全なる措置を講ぜられない限り、該法案には賛成しがたいのであります。
 第一点、関係市町村の財政の欠陥に対する十分なる財源の補填を要望する次第であります。御承知のように、この法案が成立され実施されますると、期間内に三百に上る炭鉱の買い上げ、坑口の閉鎖が行われることになり、従ってそれだけの出炭量が減少いたし、さしずめ鉱産税は現在より減少する結果となるのであります。また五年後におきましては、現在の炭価に比して二割程度の炭価の引き下げを目標としていますので、これまた現在に比して鉱産税減収の結果を招くことになるのであります。さら炭鉱及び鉱業施設の買い上げ等により、地元市町村の固定資産税が著しく減少いたし、また鉱業者の利益の減、離職者の無収入、または収入減、それによってさらに悪循環的に生ずる地元市町村住民の収入減によって、法人税割、所得税割などの減少による市町村民税の減少、さらに電気税などの減少が生じ、これらのために地元鉱業市町村のほとんどすべての税目が税収は激減し、そうでなくとも困りぬいている地元市町村の財政は全く破綻することになるのであります。さらにまた支出の面におきましては、一方また経費の激増が生じます。すなわち離職者に対しては、完全なる離職対策の講ぜられない限り、新らしい要保護者が生じ、その他の社会対策費、さらに失対事業費、特別失対事業費などの地元の負担は容易でなく、われわれ地元鉱業市町村は、従来からの失業対策費の全額国庫負担の増額を再度にわたって要望している次第でありまするが、これが入れられない以上、これらの経費増に対する完全なる処置を要望したいのであります。この法案には、これらの対策については何らの規定がありませんが、この際これらに対し特別なる財政上の措置を講ぜられんことを政府及び国会に対して要望を申し上げる次第であります。
 次に第二点、離職者に対する完全なる対策を要望いたします。本法案の成立実施によって、さしずめ本年度におきましては約五千名、三年間に二万七千名、一般の合理化の結果を含めて実施期間中五万七千名程度の失業者が予定されております。この法案にはこの対策については明確なる規定はありませんが、これに対しては政府において対策を具体的に十分措置して真に遺憾のないようにしてもらいたいのであります。過去において国家管理まで断行された石炭産業の国策の跡始末に、地元市町村は、地元の負担のほかに社会民生対策費の支出増で困っており、ゆえに積極的な生産的な施策には手の出ない実情で、失対事業費に対しては全額国庫負担を要望しておる次第であります。今次合理化法案は国策事業であり、従って、この国策立法政策の実施からはみ出す労務者は、これは一般の概念からいうところの失業者ではなく、これは国策的離職者であって、これが対策には、政府は具体的な事業を起し、画期的な配置転換の方法を講じ、地元市町村には、この法の実施から生ずる一切の負担も、しわ寄せも、もたらさない、完全なる離職著の対策を講じてもらいたい次第であります。
 次に第三点、鉱害に対する完全賠償の措置を要望申し上げます。由来、地元市町村は石炭の鉱害についてはまったく弱り抜いている状態であります。これが復旧方策として二つの法律が制定されておりまするが、予算が少く、思うように進捗しておらず、また紛議が絶えないのであります。その上に、あとからあとからと新らしい鉱害が生じておる実情であります。この法案は鉱害賠償問題について相当詳細な規定があり、また三十五条には「事業団は、その買収した採掘権の鉱区に関する鉱害賠償に要する費用にあてるため、通産大臣の認可を受けた方法に従い、積立をしなければならない。」とあって、一応の措置があるのでありまするが、この積立が明白でないために一抹の不安があるのであります。衆議院の商工委員会では、政府委員は、「賠償は事業団の積立の範囲を越えても必要な賠償を行う」と言い、また「賠償の必要上、時限の五年を過ぎても事業団は存続せしめる」等の発言をした模様に聞いておるのであります。これらは当然のことと思います。要するに、鉱害の賠償の重大性にかんがみ、政府及び国会に対して、本法案において賠償の完全化、明確化を要望する次第であります。
 次に第四点、今後における重油、外炭の規制措置を要望いたします。本法案の一つのねらいが、わが国石炭価格を国際価格に近づかしめようとすることにあるとしましても、本法案が成立、実施期間中に、競争燃料たる重油、外炭が無制限に輸入されては、その目的は達せられません。重油使用については別途法案が提出されておるようでありますが、本法の趣旨にかんがみ、今後必要期間中、重油、外炭について適当な規制措置を同時に要望いたす次第であります。
 次に第五点、石炭に対する需要促准の積極的措置を要望いたします。日本石炭産業に対して昨今はむしろ消極的なる材料が多く、本法案に対しても、重油法案についても、いわば消極的対策にすぎません。重要な基幹産業としての日本の石炭産業振興の積極策は、石炭に対する需要の積極的促進策のほかはありません。この際、政府及び国会は、製塩、化学工業、発電、ガス化などへ一般及び低品位炭を活用できる予算及び立法上の思い切った国策を講ぜられんことを要望する次第であります。
 次には第六点、石炭鉱業審議会に、わが全国鉱業市町村連合会の代表として委員及び専門委員若干名を加えられることを要望いたします。従来、国の機構、施設の構成には、往々地元を軽視する傾きがあります。石炭鉱業などの地下資源開発に関する審議会に、地元の行政を担当しておる市町村の代表者が発言権を持たないという法はないと私は思うのであります。しかも本法案には地元市町村が復旧費の一部を負担する鉱害問題あり、徴収の第一次責任者となっておる納付金の問題があり、鉱産税収に関する標準価格の決定問題があり、経費増及び一般の行政に直接関係ある離職者の問題、さらに一部市町村にとっては運命にもかかわるべき坑口の買収または新設を含むところの合理化計画の問題は、地元市町村には重大なる関係があるのであります。かかる地元の市町村連合会の代表が石炭鉱業審議会のメンバーに加わることは当然だと私は思うのであります。政府はこの審議会に、生産者、消費者、官庁及び学識経験者の代表を加えるということでありまするが、以上の理由をもって、当然本会の代表を加えることを要望する次第であります以上の六点について要望意見を申し述べまして、参考人として口述を申し上げる次第であります。
○理事(古池信三君) ありがとうございました。
 それではちょっとお諮りいたしますが、ただいま本会議場におきましては委員長から商工委員会関係の法案五件について説明中だそうであります。そこで、このまま参考人に対する質疑を続行いたしますか、あるいは暫時休憩をいたしますか、お諮りをいたします。
○三輪貞治君 暫時休憩をして採決後に再び開かれるように願います。
○理事(古池信三君) それではただいま三輪君の御発言のような方法によりまして、一たん本会議場に行って採決をしたあとで、再びここへお集まりを願いたいと存じます。参考人の方には御迷惑でも暫時お待ちを願いたいと思います。
 それでは暫時休憩いたします。
   午前十一時四十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後零時三分開会
○委員長(吉野信次君) それではこれより委員会を再開いたします。
○白川一雄君 萬仲さんにお伺いいたします。先ほどのお話では、少数の方を除いては原則として賛成であるということでございましたが、差しつかえなければ少数の方の名前をあげていただくわけにいきませんか。
○参考人(萬仲余所治君) これは私ども協会内のやり方といたしまして、この問題につきましては、最後の決定的な決議をしないで、反対は反対、賛成は賛成という格好でゆこうということになりましたのですが、どの会社が反対でどの会社が賛成だということは、外部には出さないということになっております。従いまして、私は協会の副会長として、どこの会社が反対であるということを申し上げることができないわけでありますから、よろしくどうぞ……。
○白川一雄君 実はいろいろうわさを聞きますので、ほかにセメント工業その他をやっておる関係から、石炭の方の不況のプールにする関係上、反対だといううわさも聞きますし、もしそうだとすると、セメントはセメント、石炭全体の起死回生の策を考えたときには、切り離して考えなければならないのじゃないかという点と、もう一つは、縦坑を掘ったりすることのできない炭層の関係上、合理化の面に賛意を表していないのだというようなことも聞きますので、そういう事情が実際問題としてあるのかどうか。お差しつかえなければ承わりたいと、こう考えております。
○参考人(萬仲余所治君) ただいまの御質問につきましては、私いろいろの論議が協会内でなされておりました際におきまして承知いたしておりますが、何か他の産業を兼業しておるがゆえにとか、あるいは自分の会社は縦坑を掘らないがゆえにという意味合いで賛成であるとか反対であるとかいうような議論がなされているのでは、一つも今まではありませんのでございます。またそういう根拠のもとに反対とか賛成とかがなされているやには、私の観察ではそういうことはございませんと思います。
○委員長(吉野信次君) ほかに御質問ございませんか。実は阿具根委員から参考人に対して委員外の発言をいたしたいというお申し出がございます。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉野信次君) それでは御異議ないと認めます。
○委員外議員(阿具根登君) 委員外の発言をお許し下さいまして感謝いたします。委員外の発言でございますので、なるべく簡単に御質問申し上げたいと思います。鉱業会の理事の国崎さんに御質問申し上げますが、昭和二十五年から二十六年、七年にかけて、朝鮮動乱のために非常に、石炭のブームと言われておって、石炭が非常に一番好況にあるということを言われ、あるいは指弾されてきたこともございますが、それから急転直下非常な石炭の苦しい事情になってきたと、こういうことになっておりますが、朝鮮動乱の際に朝鮮にわが国の石炭はどのくらい輸出されておったか、ここで数字が示されるならばお示し願いたいと思います。
○参考人(國崎眞推君) 数字は今はっきり記憶いたしませんが、朝鮮動乱前後でありますか、それともずっと前からでありますか。
○委員外議員(阿具根登君) 私の調査しました範囲内におきましては、朝鮮に輸出した、朝鮮動乱のときは大体六十万トン、そのくらいはあったと私は記憶いたしておりますが、これも確実でございませんので、朝鮮動乱中に日本の石炭が一番需要が大きかった時分にどのくらい輸出されておったか、こういうことをお尋ねしておるわけです。
○参考人(國崎眞推君) せっかくのお尋ねですけれども、私は自分の記憶がございません。いろんな関係で、あまりはっきりせんことを申し上げても恐縮ですから、これは政府にお尋ねになった方が完全だと思います。
○委員外議員(阿具根登君) 政府にはお尋ねする機会がまだ残っておると思いますので、非常にお忙しいところをおそれ入りますが皆様にお尋ねしておるわけでございます。なぜこういうことをお尋ねするかと申しますのは、それでは政府も、もともと四千八百万トンということは、当初から、もう数年前から年間石炭の需要は叫んでおられたのでございます。ところが二十九年度に至りましては四百万トンの石炭が貯炭されなければならないようになってきた。そうして中小炭鉱はばたばた倒れていくようになってきた。何がこうなったかということをお尋ねしたいのでございます。業者といたしまして、石炭の業者に対しましては国も支援をしておるのは御承知の通りでございます。ところが何ゆえに二十八年この方、こんなに石炭が急激に要らないようになったか。政府の施策にとって石炭は約五千万トンだけ出せるだけの施設が、日本にはもうできておるということも言われておる。それが四千二百万トンそこそこの石炭ですら余るようになって来た、それの原因が知りたかったのでお尋ねしたのでございますが、業者としての責任ある立場から、何が原因でこうなったかを二つお教え願いたいと思います。
  〔委員長退席、理事古池信三君着席〕
○参考人(國崎眞推君) それは私が先ほど参考人として申し上げたように、なるほど二十八年度におきましては、生産態勢は五千万トン持っておったのであります。現実に三月、四月頃までは五千万トンベースで生産をいたしております。それが二十九年度におきましては、四千五百万トンと一応言われました。実際においては四千二百万トンぐらいの生産に落ち込んだのでありますが、それはもう端的に言いますると、二十六年下期から急激に入って来ました海外燃料が、ことに重油だけでも七百万トンという国内炭の生産需要分野を食ってしまったというのが、端的に言いますると一番大きな原因でございます。
○委員外議員(阿具根登君) わかりました。
 それでは、その次は石炭協会の副会長さんでもけっこうでございますが、政府が出しておりますこの法案が実施されるということになりますと、石炭のコストが二割から三割下らなければできないようになっております。私はお二方の御意見はお聞きすることができてなかったので、あるいは御意見の中にあったことを質問するかもしれませんが、そういうところは削除してもらってけっこうでございますが、先ほど齋藤参考人の意見を聞いておりましても、莫大な借入金がある、その借入金を払っていくだけでも大へんだ、コストが下るというようなことは考えられないということをお聞きしたのでございますが、業界の皆さんとして、こういう法案が通ったとするならば、政府が考えておるような出炭が可能であるか、またそれが二割も三割も下ることが可能であるかどうかということを、お尋ねしたいと思います。
○参考人(萬仲余所治君) ただいまの御質問につきましては、政府が四、五年のうちに五千万トンの需要があるという見方に基いて、また合理化資金を投下して合理化をすれば、こういうふうになるという見通しをなされております計算的なものにつきましては、私どももそういう条件が整えば、生産費は二割程度下るであろうと存じます。が、しかし先刻私は数字は申しませんでしたけれども、現在の炭鉱は、われわれの所属しております大手炭鉱だけを見ましても、トン当り一五百円くらいの赤字を出しております。従いまして、生産費が二割ぐらい下るであろうということと、売り値が二割ぐらい下るであろうかということとは違ったことになります。しかしながら、この法案のねらいであり、われわれも努力せねばならんのは、生産費を下げることによって売り値も下げねばいかん。従いまして私どもは、年来の主張であります、この先刻申しました重荷をしょっておるという、莫大な借金に対する、私どもはこれはそのままお返しすべき性質のものでないというような内容を、相当に含んでおると言いましたが、これに対する正常の措置がなされ、また需要が言うがごとく拡大され、またさらに先刻これもあまり詳しく申しませんでしたが、税制問題について、私どもは鉱内の投資は、生産量が増加しない、生産量を維持するための投資は、追加投資と称しまして、追加投資に関する限りは資産勘定すべきでない。従って損金整理をすべきであるということで、長らく各方面に陳情いたしておりますが、まだ具体的に入れられておりませんが、こういう税制の改革、借入金の処理、需給の拡大ということが伴いますれば私は売り値においても二割程度下るということが実現するであろうと考えております。
○委員外議員(阿具根登君) そうすると、私が討論するわけには参りませんので、深く言うのは避けますが、少し私の考えとは違うようでございまして、ただいまの弁明では、皆さんの御希望通りに政府がしてやればなるんだ。そういうことは、これはできるのではなかろうか、自分の思う通りにしてもらえば二割、三割下ると、こういうことは言えるかもしれませんが、それはなかなか困難であろうと私は思うのでございます。
 で、なおもう一つお聞きしたいのは、この政府の案でいきますと、皆さんが使用されておられます労働者の賃金は、ことしの今の賃金で五年間据え置きになって初めて二割から三割のコストが下るということを言われておりますが、今の御答弁の中にそれは触れておられなかったが、この法案通り労働者の賃金は今のままで据え置くんだ、据え置いてそれくらい下るんだ、こういう御見解でしょうか、お尋ねいたします。
○参考人(萬仲余所治君) 私が、政府が計算する際に考えておられます前提のもとにおいてということには、労働者の賃金におきましても政府はこのままの状態であるという仮定のもとに計算をなさっておられますので、そのもとにおいての話でございます。
○委員外議員(阿具根登君) そうしますと、日本の労働運動の中で、一番石炭の労働者がストライキをやるし、国民に御迷惑をかけておるということを盛んに言われておりますが、その半面、また一番苦しい生活をしておるのは炭鉱の労働者であるということも、これは国民周知の事実でございます。また一面、外国の例をとられて、外国では日本の数倍の石炭を出しておる。アメリカ等においては十倍からの石炭を出しておる、こういうことを言われますけれども、それでは外国における石炭産業の労働者の生活は一般産業の労働者の生活とどうなっておるかということになれば、御承知のようにきわめて優位な立場に置かれておる。そのためにも、ストライキも起っておらないし、生産も上っておると私は思うのでございます。ところが日本の現状を見ますと、皆さんも御承知のように、坑内に下っておる方が一万六千なにがしから二万ぐらいの程度におかれておる、また炭鉱の坑外で働いておる諸君は、おそらく八千円そこそこの給料だろうと私は思っておりますが、そのままで、そうして政府のやられる通りの施策で行くとするならば、戦前のように炭鉱の労働者は最低の生活で、そうして、石炭を三百万トン減らした、その減らした分をその人たちがカバーしていかねばならないということになってくるのでございますが、日本の石炭の状況も外国の状況と違いますので、一概には言えないけれども、日本の一般産業の置かれておる立場と、炭鉱労働者の置かれておる立場を考えてみます場合に、私は炭鉱の労働者が決して優位に置かれておるとは思わないのでございます。しかも御承知のようにひんぴんと起る坑内の事故で、毎年数十名から数百名近くの人が死んでいっておる。しかも不幸な病気はある、空気は悪い、太陽の熱に当れない、最悪の条件下にある炭鉱の労働者を、皆様が一番かわいがっておられ、指導しておられる従業員の待遇を、今のままでやっていって、政府の考えておるようなことができるであろうかということを私は憂えるものでございますが、それに対する見解と、今度は、日本の石炭産業が本当に立ち直るためにはこれでいいだろうか。いわゆる皆さんが指導的な立場におられて、業界の責任者といたしまして、外国の炭鉱と比べた場合に、日本はどうあるべきであろうか。極端に申し上げますと、これは私の意見でございますからちっとも顧慮してもらう必要はございませんけれども、私は私企業で炭鉱をやってゆくのはもう限界にきているのではなかろうかという見解を持っておりますから、その感覚に立って私は発言しておりますから、私の発言にちっともとらわれることなく、反対のところはびしびし反対していただいていいと思うのですが、一つそういう観点から質問しておりますので、詳細に御教授を願いたい、こう思います。
○参考人(萬仲余所治君) お答え申し上げますることは御質問の趣旨とは合わぬかもしれませんけれども、私も長く現場におりまして、ことに終始労務関係の仕事をいたしております関係上、私は現在の炭鉱労働者の賃金が、他産業に比べ、またその仕事の実体に比べて、過分であるとか、多すぎるとか、あるいは非常に優遇されておるとは思っておりません。その点につきましては、私どもとしては、何とかもっといい状態が出るべきである、また出すべきであるとは考えておりますけれども、しかしながら今日日本の置かれたる状態、また日本の石炭鉱業の置かれたる状態というものと比べあわせていかにゃならぬ。従いまして、そこに私ども絶えず従来いろいろと労働組合の方にお目にかかりまする際にも申しておるのでありますが、お互いがお互いの良識のもとに、あるがまんをしていかにゃならぬということに基きまして、私どもは立っていかにゃならぬと思うのでありまして、外国の状態を考え、また国内においても他産業との関連を考えまして、石炭鉱業の労働者がむさぼっておるとかいう状態にあるということは私たちは決して考えておりませんです。
○委員外議員(阿具根登君) それでは組合出身の方、ただいまの御答弁お聞きになっておられますので、ただいまの御答弁に対するお考え方をお聞きしたいと思いますのと、政府の今度の法案でいきますと、対象になる縦坑を掘る炭鉱は十九トン何がし、こういう能率を考えておる。それから縦坑の非該当の炭鉱、これが約十七トンの能率を、考えておる。現在十二トンくらいだと思いますが、これを齋藤さんにお尋ねしますが、齋藤さんは中小その他十分御承知でございますが、縦坑の非該当の炭鉱にどういう機械化をすれば一挙に六トンからの増産ができるかどうか。裏返して申し上げますならば、人間は、うんと減らされるということは法案で示してある通りでございます。そうしますと、私は中小炭鉱には機械化するといっても抜本的な対策というものはあり得ない、限度があると思いますが、その限度の中で一挙に六トンもの増産ができるかどうか。
 また阿部さんにお尋ねいたしますが、縦坑を掘ったところが現在数カ所ございます。私の知っている範囲におきましても二十トンも出ているところは一カ所はございます。しかしこれは完全なモデルとしての操作をやっておられることも知っておりますが、その他、貝島にいたしましても、あるいは三井山野にいたしましても、縦坑は掘れたけれども、二十トンはおろか、十五トン、十六トンせいぜいだというようなことも聞いておりますが、縦坑六十八本掘ったならば、その炭鉱が全部二十トン出るであろうかどうであろうか、この問題について御両者の御意見を大聞きしたいと思います。
○理事(古池信三君) それじゃ齋藤さんからお願いいたします。
○参考人(齋藤茂夫君) 第一点でありまするが、先ほど萬仲さんからお答えになった点についてどう考えるかという問題であります。この点につきましては、先ほど若干口述の中で触れたと思いまするけれども、この法案が通った場合、五年間炭鉱の労働者の賃金は据え置きだ、そういうことをすれば大体可能ではなかろうかというように、そのほか政府のいろいろな施策につきまして、大体われわれの考えている点をやってくれるなら可能だというお答えのようでありますが、ここで一番問題になります点は、五年間労働者の賃金をこのまま据え置くという問題でありまするが、この据え置きということは、いわゆる据え置きでなくて切り下げに移行しなければならないということが現実的に生れていると思うのであります。というのは、コストを下げるという問題でありまするが、生産費を下げる場合に、いろいろ法案の中にもありまするが、機械化、近代化によって生産費を下げるという問題がございまするけれども、さしあたって、然らばこの機械化がそう簡単にゆくかという問題であります。しかし、この機械化というものはなかなかそう簡単にいかないということと、日本の炭鉱の実態というものが、アメリカやイギリスあたりのように、炭質そのものが機械化によって完全にそれがこなされるという炭質の状態、炭層の状態にはないと思います。そういう面からきます生産費の軽減というものは、きわめて私はそう大きなものを予想できないというふうに考えているわけでございます。従ってこれは現実的にある問題でありまするが、現在三千七円になっておりまする一炭鉱の例を挙げてみますと、生産費が三千七円ではどうしても合わない、二千七百円に下げなければ山元ではどうにもやっていけないという実情に立って、経営者の方から、こういう提案がなされて参り、現在の労働者の賃金を二〇%切り下げることによって二千七百円の生産費になることが可能だ、こういうことで、労働組合にその二千七百円にするために賃金二〇%の切り下げを要求して参りました。それによって約三百円、一トン当り三百円の生藤費を下げることが可能だという判定であります。こういうように、これは縦坑を掘ることを私は決して反対を申しません。今の阿具根参議院議員の御質問でありまするが、この第二点の問題とは多少関連性がありますが、縦坑を掘ることについて私は反対をいたしません。しかしながら縦坑を掘れないところの炭鉱について然らばどうかという問題でございまして、そういうことで、一面にこのコストを下げてゆくという面につきましては、どうしてもやはり労働者の賃金というものが非常に大きくなって参ります。現実的に中小炭鉱におきましては、労務貸金は何とかそのまま置いて、われわれのできることなら労働力でサービスしようという形で、いろいろ基準外等におきまして無料奉仕という形で経営者に協力をしている現実的な問題もございます。それになおかつ経営者がだめだということで労働者の賃金の二〇%の切り下げでございますので、これは五年間据え置きという問題にもこれは非常に問題がありまするけれども、現実的には、据え置きという問題よりも、さらに突っ込んで現在の労働者の賃金を引き下げなければコスト高になるという結論に大体経営者はなっているようであります。こういう点につきましては、全くわれわれは、そういう点につきまして、考え方については全く反対でございます。従って事実上と考え方の点は非常に大きなギャップがあるのではないかというように考えているわけでございます。
 第二点の問題でございますが、縦坑を掘れない山について能率十七トンが果してできるかという問題でございまするが、現実的には、中小炭鉱につきましては大体八トン乃至九トンが今日の状態であります。特に最近中小炭鉱の中でも十トンをオーバーをしている山もございますけれども、大体現状の中小の能率は大体九トンくらいが平均だというふうに私は考えております。だとするならば、十七トンに持っていくためには、約二倍の能率を上げなければならないということであります。その倍の能率をどういうことで消化するかという問題では、これは機械化だという問題がございますけれども、これは大手十八社の山であれば、ある程度の私は機械化による合理化ができる可能性はあると思います。しかしこれも百パーセントそうなるかという問題でありますが、これは百パーセントということは言えませんがある程度合理化される可能性はあると思います。ただ、しかしながら、この中小の場合には、先ほど申し上げましたように、立地条件、炭層の状態、こういう点から、機械化をするということが、そう大幅に機械化を望めない現状である。そして炭層の状態はどうかと申しますならば、大体中小炭鉱の今日の状態では、私の見ている範囲内の状態におきましては、大体五尺から六尺の炭丈がある、その中に結局炭層が二尺ないし二尺五寸、あとは全部断層である。こういう状態の中で一トン掘るのに約二倍以上三倍近くのほかの石炭でない石を掘っていかなければ一トンの炭が出ないという現状でございます。従って、それが十トン掘ったといたしましても、正直言って石炭として丘に上るものはその中の三分の一という状態であります。従って十七トンにするためにどうすればいいのかという問題でありますが、私は、今の九トンから多少の能率は労働者の労働力によって上げることはできるといたしましても、しかしこの労働力によって生産を増大するということはもう限度だというふうに考えております。そういう中で十七トンにするためには、近代化をして機械化をして可能ではないかという問題については、この十七トンというものについては私は全然これは望みがないのではないか。現状の中小炭鉱の実態からいって、どうしても十七トンという問題については、私はどのような形をとるにいたしましても、そういう実情からいって不可能な状態ではないか、ただそれは戦前のようにめちゃくちゃに乱掘をすれば、これは一時的に十七トンぐらいにはいくかとも思いますけれども、しかし坑内の乱掘という問題については、戦争中から終戦後にかけて炭鉱に働くわれわれにとっては苦い経験になっておりますから、従って、将来とも炭鉱を維持するという方針からいきますならば、そういう乱掘をやって一時的に半年や七カ月の間そういう形をしていくということについては、私は非常に無理があると思う。従って正常な出炭を予定をしていこうとするならば、現状の状態では、やはりこれが二〇%の賃金切り下げの問題を解決いたしました場合に、わずかに十トンという能率しかその山においてできないという、現実的に、それは経営者自身も十トンということはもう限度だということを認めておる状態でありますから、従ってそれより約倍近いこの出炭量というものについてわれわれが望むということは不可能であろうし、また政府はそういう計画でこの法案を考えておるとすればそこに大きな盲点があるのではないか、かように私は考えておりますので、中小の立場から、特にこの能率の問題につきましては、われわれの労働力におきましてはもう限界にきておる。しからばその能率を上げるために機械化するという場合におきましては、この十七トンに到達するためにほど遠い問題である。従ってこの問題については、十七トンということはあくまでもこれは机上のプランにしか過ぎないのではないかということを私は卒直に申し上げたいと思います。
○参考人(阿部竹松君) 第一点目は、齋藤執行委員長が御答弁されたことと重復すると思いますので避けますが、ただ炭労としての立場から申し上げるならば、この合理化法案が通ることによって貸金をストップされるか、あるいは下るか、あるいはまた多数の同じ職場に従事しておる友だちを失うかという、三つとも満足するようなことがない。どれかは切り捨てなければならぬということになりますると、私どもは当然、たとい賃金を上げなくても、やはり安い給料であっても、友だちを職場に残しておかなければならぬということは考えておりますので、つけ加えておきます。
 それから第三点目の縦坑の問題でありまするが、私は三菱鉱業の出身でありまして、北海道の大夕張炭鉱というところで二十年坑内に入っておりまして、技術屋のはしくれであります。従いまして、政府の出した案というものは、どこからこういう数字を持っきててこういう数字を出したか、いささか疑問とするところであります。日本中の縦坑のできそうな山を拾いあげて、全部を足して、現在政府がやっているように、一切をプラスして、そうして二で割った結論であるかどうか、はなはだ疑問であります。しかしながら、単に私の山に例をとってみましても、この縦坑開発というものは、御承知の通り、決して坑内の機械化であったり、採炭技術の向上ではないわけであります。委員各位の中に、もと三井鉱山の社長でありました山川良一さんがおいでになっておりますので、よくおわかりだと思いますが、縦坑というものは、御承知の通り、機械化でも何でも全然ない。ただ運搬経路を矩かくするとか、働きに行く経路を短かくするというだけに過ぎないのであります。従って坑口近くにすぐ縦坑を掘れる山も当然ございましょう、しかしながら、やはり遠くの方に縦坑を掘るということになりますと、当然通っていくのに、今まで一時間半かかった、あるいは二時間半かかったというところが全然なくなるというわけではないのであります。今まで二時間かかったのが一時間短縮したとか、あるいは二時間半かかったのが三十分短縮したとか、こういうことになりますので、決して採炭技術の向上であったり、採炭の機械化でない。そういうことをお考えになっているのであれば、やはりまだまだ、われわれは炭鉱というものに対する考え方が幼稚であるということを申し上げなければならぬわけであります。従いまして、単なる縦坑の開発によって、政府が現在出しているような数字というものは、全く前者が申し上げられました通り、架空の数字であるということは、これは断言をしてはばからないわけであります。ここで百万言を申し上げるよりも、来年の今頃になりますると、ほんとうに私どもの言ったのが正しかったか、政府が出しておりまする数字が正しかったか、これは明確にわかると思うわけであります。もちろん、炭鉱にもそれぞれ種類がありまして、明治、大正、昭和と、孜々営々と、小さいながらも完全な企業でやってきたところもありましょう。あるいは、三井、三菱のような大手炭鉱もありましょう。あるいは西田労働大臣が経営しております第二筑前炭鉱のように、一日十三時間も十四時間も働いて炭を出している炭鉱もありましよう。あるいは終戦後トラック一台で、その辺から人を二十人くらいかき集めて作った何々鉱業所というような泡沫会社も当然あります。しかしそういう泡沫会社とか、中小は、縦坑の該当にはごうもなっておらぬように考えるわけであります。従いまして、われわれの傘下組合も、三井、あるいは三菱、住友、北炭、あるいはまた明治、雄別、太平洋、このように増えてみましても、直ちに縦坑を掘って、そして政府が考えているような数字になるということは、まことに空想に近い問題でありまして、もしそういうことがはっきりと、どこどこの炭鉱に縦坑を掘った場合には何トン上るのだということを、かえって私どもはお示しを願いたいくらいであります。そのような観点から、私どもは、数字につきましては、昨年の例もありまするから、若干色めがねをかけて見ているかもしれませんけれども、全く架空に近い数字のものを論拠といたしまして、これでどうか、これを悪いというよりも、炭鉱のどこどこの縦坑と掘った場合にどういうことになるかということについても、逆にただいま申し上げました通りお聞かせを願えれば、その炭坑はこうこうであるということについて貸料も持ち合せてございますので、十分なお答えができるかと思います。従いまして、私どもは、政府の言う、ああいうような上昇率で能率が上るということは毛頭考えておりません。一時間ただ作業現場に行くのが短縮されることによって、今まで六時間働いて、十三トン出しておった山が、一時間ふえることによって何トンふえるかということは、自明の理であろうかと思うわけでございます。従いまして、ただいま申し上げました通り、結論は非常に簡単であります。縦坑によって、直ちに現在の出炭率が三割何ぼも上昇するというようなことは毛頭も考えておりませんので、以上申し上げまして、御答弁にかえる次第であります。
○委員外議員(阿具根登君) 石炭の非常なる危機を、何とかして克服したい、こういうことで、政府もこういう案を出しておられますし、議員の皆さんも苦心をしておられる。業者の代表の方も苦心をしておられ、組合の代表の方も苦心をしておられる。その考えるところは、目標は一致しておるのでございますが、この過程においては全く相反しておることをただいま両者の方からお聞きしたわけでございます。で、私どもは両者の意見がほんとうに一致するようにならなければ、所期の目的を達成することはきわめて困難だと、かように考えるわけでございますから、再び萬仲さんにお尋ね申し上げますが、ただいま組合代表の両者の方々はそれぞれ坑内に下った長い経験わ持っておられるし、それぞれ数万の組合員の意見を聞いて発言しておられると私は思うのでございますが、その中でも、特に中小炭鉱のごときは、九トン何がし、あるいは八トン何がしの石炭を十七トンに上げるということは不可能である。またそれがためには賃金は据え置きどころか切り下げになり、また大手にいたしましても、竪坑を掘ったから即三割何分、四割近い増炭ということは不可能であるということを言っておられますが、業者の責任者の方々は、これが実際可能であるかどうかという問題について、くどいようでございますが、もう一度お教えを願いたいと思います。
○理事(古池信三君) 参考人の方はなるべく簡潔にお答えを願いたいと思います。
○参考人(萬仲余所治君) 私は技術者じゃございませんので、技術的なお答えはできかねると思いますが、しかし私も北海道の夕張炭坑に前後十六年現場で勤めておりました。主として労務関係をやっておりますけれども、現場の実情はある程度知っておるつもりでございます。ただいまのお話しの政府の出された数字は架空にひとしいという意見は、私の経験、私の知っておる技術者の話を聞いたところを総合いたしまして、しかく架空なものとは思っておりません。百パーセントとは言えませんかもしれませんが、私は信憑すべき数字、信憑すべき資料であると考えております。
○委員外議員(阿具根登君) 引き続いてお尋ねいたしますが、本法案が国会に上程されるというようなことが相当流され、また炭鉱関係の方が非常な関心を持たれるようになりましてから、実際廃坑にしてあった炭坑が次々にこれを復活されて、そうしてこの法案が通ったならば買い上げ対象の炭坑にしてもらうために、当然廃坑にしてあったのを、労働者をかき集めて、そうして復活されておるということをお聞きしますが、そういうことが事実であるかどうか、萬仲さんにお尋ね申し上げたいと思います。
○参考人(萬仲余所治君) ちょっと今私はあなたの質問をミス・キャッチしたのでありますが、ちょっと簡単におっしゃっていただきたいと思います。
○委員外議員(阿具根登君) 簡単に申し上げますと、この不況は二十八年から続いております。そうしてすでに百数十個の炭坑がつぶれたことは御承知の通りでございますが、そのうちの一部では倒れた炭坑は、すでに廃坑だといって労働者まで解雇された。ところが、この法案が上程されたから、買い上げてもらうために人間を集めておられる、こういうことをお聞きしておるのです。実際数字で見ますと、こういう不況のさなかに少しふえておるような傾向もあるのでございますが、そういうことが実際なされておるかどうかということをお聞きしたわけです。
○参考人(萬仲余所治君) 私は寡聞にしてそういうことは聞いておりません。
○上林忠次君 阿部さんに御質問申し上げますが、開らん炭が、石炭の内地需給度の窮屈と申しますか、余った時代に二十万トン近くも入る、けしからぬじゃないか、もちろん私は専門家でな
 いので知りませんが、おそらく製鉄には開らん炭でなければいかぬじゃないか、品質の関係というようなこともあるんじゃないかと思いますが、日本の石炭でこれが代替できるかどうか、そういうような点はどうなんですか。
○参考人(阿部竹松君) 開らん炭と一口にいっても、まあ瀝青炭の特一級から三級まである、あるいは強粘結炭、特に開らん炭と同様な石炭が全部日本にあるとは考えておりません。しかしながらそういう点になりますと、当然日本においても三菱の大夕張とかあるいは高鳥とか、やはりそれに似たような石炭が十分出るわけでありまます。従って、開らん炭を一〇〇%品質においても使用度においても対等するとは私申し上げませんけれども、やはり利用度研究というものを十分考えれば、当然政府の政策としてそういうことをやって、開らん炭を入れないで、そうしてたとえ一OO%といかなくても、それが九七%であっても、国内品を使うべきであるいう点が私が申し上げたい点であります。もちろん日本は外国からどんどん自動車が入ってきまして、外国の自動車は性能もいいでしょうし、あるいは日本の自動車の二年もつところを三年もつかもしれません。しかしそういうことによって日本の金をどんどん外国へ持ち出すよりも、やはりある場合においてはがまんしても、やはり国産品を使うことによって、日本の国の財源というものが国に残るのではないか、もちろん対外国的の貿易内容については詳細にわかりませんけれども、開らん炭をもってこなくても、日本の国内炭の利用によって、十分間に合うということは、現在すでに二千二、三百カロリーの石炭でならボイラーに十分使えるというような設備が着々としてできておるのですから、政府はそこまで配慮してほしいということを申し上げたいわけであります。
○上林忠次君 萬仲さんでも岡村さんでもどちらでもけっこうでありますが、石炭の需要がどんどん減っている。この対策として需要を喚起しない限りは炭鉱の維持はむずかしいという現状であろうと思いますが、新しい需要、これまであまり石炭を使っていないような新しい産業、新しい工業についてお考えになっておりますかどうか、そういうようなものはどういうような産業であるか、まあ御研究の点がありますならお伺いしたいと思います。
○参考人(萬仲余所治君) これはなかなかむずかしいことでございまして、私先ほど申し上げましたように、技術者でありませんから、技術的な点はわかりませんが、いろいろ業界でも考えのもとに進んでおられますが、具体的に最近現われておりますのは、塩を作るという会社、それから炭鉱会社の資本においてセメント業を経営するというような格好、これはまあ化学というていいかどうかわかりませんけれども、そういうような方面に具体的に進出されております。それから三井系統では三井化学の関係で、石炭を利用する化学という関係についても、ドイツなりその他とタイアップしていろいろ現実に進んでおられますように伺っておりますが、これはいろいろ具体的に考えがまとまりましても、これをやりますために膨大な資金が要ることと存じます。そこで利用拡大のために膨大な資金を投入する前に、石炭自体の正しい姿になるために資金がより以上に必要だ、あちこちチャンポンに出しましては片方が成り立たぬということで、先ず石炭の更生のために直接に必要な金を先に注ぐべきであるということが重要でありはせぬかと考えておりますが、考えとしてはいろいろわれわれも承知しております。石炭業界でも考えておりますし、工業技術研究所にも考えがあるようで、いろいろ技術者が集まって考えておりますが、具体的にそれじゃ何万トンふえた、何億万トンふえたとなりますと、申し上げるだけのものはまとまっていないように思います。
○上林忠次君 最近の低炭価で硫安の輸出も少し楽になったというようなこともいっておりますし、新しい分野がこれで開けるんじゃないか。ももろん労働者の労働強化によって安くするようじゃわれわれの目標とするところではありませんけれども、もし石炭がこの値段でそれが続けられる、あるいはますます低炭価になるということになりましたならば、これまで考えていないような石炭産業ができるんじゃないか。今お話しでは二つくらいの種類しかありませんけれども、いろいろ皆さんもわれわれも考えますけれども、新しい分野を開拓して、この分野に対してまた政府の資金上の援助を求める、そこまで入っていかないと、これはなかなか解決しないのではないか、現在私が聞いておりますところでは、それじゃ塩に対する石炭の新しい分野、また石炭利用部面としての染料、あるいは化学工業、これに対する政府の新しい補助が欲しいというような問題も起きておるように聞いておりませんが、その方も解決しないといかん、早くやらないとこれは山の採炭の合理化だけでは、なかなからちがあかんのではないか、新しいところに目をつけてもらって、新分野の開拓に努力していただきたいと考えるのであります。
○白川一雄君 今開らん炭のことのお話がありましたが、これは原料炭として、主として大手の石炭と競合する性格を持っておると思いますので、萬仲さんの方にお尋ねいたしたいと思います。開らん炭は私過去戦争中四年間、責任者として開らん炭坑をやっておりました関係上、やっておるときに、どうしてこんなぼろ炭をあっちこっちが欲しがるのかなと思うくらい、あそこのものは一番いい炭で、灰分は一九・五%もあるし、われわれはちっともいいと思っていなかったわけです。終戦後、最初入りました七万トンというものは、われわれは戦争中に出したストックがあるのを、品質がわかっておるので、引き揚げて帰って、すぐ政府の手を通して、製鉄所が困っているというので、七万トン入れたのですが、その後商社を通して入ってきた開らん炭というものは、尊いドルで支払いながら、入ってきた炭は灰分が多いとか、硫黄分が多いとかということで、製鉄用にならなかったということがあるのであります。とかく開らん炭は粘結性がなるほど強いですが、わけもわからずに開らんの炭がいいといって輸入する面があるので、日本の粘結炭と競合する面が出ておるのではないか、こういう炭を必要があれば入れなければなりますまいけれども、入れるとしても、できるだけ少くしていくのが、内地の大手の方の原料炭を出しておられる方々の任務でもあろうかと、こう思うのでございますが、外国の原料炭に対しましては、大手の方の協会といたしましては、どういう対抗策をお持ちであるのか、参考に聞かしていただきたいと思います。
○参考人(萬仲余所治君) その方は、私の専門ではございませんので、余りよく存じておりません。ことにあなたが開らんの関係は御専門でございますから、なおうろ覚えのことを申し上げては困ると思いますので、外国の原料炭と日本の原料炭とにつきまして、私は製鉄関係の人々に、粘結炭の配合度合、外国炭と国内炭の配合度合を、国内炭のパーセンテージを多くしていただくように常にお願い申し上げ、そういうことの検討の結果、だんだんと多くしていただいております。私どもの希望は、もう国内炭を七にし、外国炭を三にするくらいにしていただきたいということを強く申しておりますけれども、現在そこまで行っておりません。配合度合は、いろいろ配合があると思いますけれども、外国炭と国内炭の配合度合を、国内炭を多くすることによって、外国炭全体を少くしていきたいということについては、強く努力をいたしておりますが、開らん炭自体がどういう格好になるかどうか、こまかい点になりますと、私はどうもちょっとお答えいたしかねるかと思います。
○白川一雄君 私どもは開らん炭はアメリカを牽制する一つの策としてしか効果がないものと、こう考えております。メリットの点からいいますと、アメリカの方が灰分が少ない、開らんのように灰分の多いものに比べると値段が少々高くてもアメリカの炭を貰う方が有利という場合があるかもしれないけれども、最初七万トン入れるときにCIFで十一ドル二十四セントで入っておりました頃は、アメリカの石炭は十六ドルから十八ドルくらいまでで日本の手に入っておったのが、一たん開らん炭が入らないということになると、一時は二十七、八ドルまでもいったという実情があるので、私は本当に外国炭が原料炭としていくならば、開らん炭をアメリカに対する牽制策というようなことには効果があると思いますけれども、開らんの炭そのものを原料炭にして、日本の弱粘結炭をあまり使わないように持っていくということは、どうも策が違うのでないかというので、かねがね政府当局にも聞きただしたこともあるので、こういう問題は大手の方の方々は最も利害関係があるので、石炭協会等もこういう点を緻密に一つ御計画を立てていただきたいものだと、こういうふうに考えます。
○海野三朗君 ただいまの石炭を利用しようということを、かなり政府が考えなければならないというお話が、先の参考人からありましたので、通産当局にこの際ちょっとお伺いいたしたいのです。この間からこの石炭の活用ということにつきまして、愛知通産大臣のときにも私は述べた、この間も盛んに述べたのに対して、通産省ではどういうようなお考えを持っていらっしゃるか、それをちょっとお伺いいたします。
○政府委員(齋藤正年君) この前もちょっとお答えいたしたわけでございますが、この前再度海野さんからもお話がございましたので、またあらためて資源技術試験所の方にも問い合せ、所管の当局の方にも話をしたのでありますが、結局海野さんのお話の研究の内容でございますが、現在何と申しますか、非粘結炭の粘結度を高める方法として考えられております方法と、大分考え方が違うと申しますか、そういう面でちょっとその線の研究を今後さらに急速に進めるというよりも、現存研究されております方向の研究の方をまず先にやるべきではないだろうかという見解のようでございます。今研究されております方向というものでございますが、私も技術家じゃございませんので、極く大ざっぱに申し上げる以外にないのでございますが、方法といたしましては再乾溜法というのでありますが、一たんコーライトにいたしまして、それを再乾溜するという方法と、それからビチューメンという物質を一般炭に加えまして粘結度を増すという方法と二つあるのだそうでございますが、大体その二つの方向で研究されて、八幡等でもかなり研究が進んでいるように聞いております。
 それから海野委員のお話の点でございますが、これもいずれも技術者から先生に直接詳しく御説明いたさせたいと思っておりますが、私が聞きましたしろうとの見解でございますが、簡単に申しますと、海野さんのお話の件は急速乾溜法とかいうものだそうでございますが、その方法によりますと、なるほどできましたコークスの硬くなる、何と申しますか、金属等で硬度をはかりますときに、ブリネル硬度とか何とかいうふうな基準をとるのだそうでありますが、そういうブリネル硬度というふうなものがなるほど高くなる、しかし御存じのように高炉に入れますコークスの場合には潰裂強度、すなわち上からだんだん落した際に粉になる粉化率が少いというのが一番大事なのでございますが、そういう点と急速度乾溜によります硬度とは必ずしも合致しないということで、どうもその方法だけでは大型高炉に適するような形にならないのじゃないかというふうな見解のようであります。
○理事(古池信三君) ちょっと速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
○理事(古池信三君) 速記をつけて。
○海野三朗君 ただいまの通産当局のお話は研究者を直接呼んでお聞きになったのではないでしょう。風をくらっております。風をくらって、そうしてこういう評判だから、ああいう評判だからという、そういうふうな態度が私はいけないというのです。なぜ実際にやった研究者を呼んで、そうしてこれをたださないかということ、私はそれを聞いているのです。あなたがおっしゃるのは、人の話を聞いて、ただこういうふうな評判だから、ああいうふうな評判だからではだめである、私はそこに誠意がないということを申し上げる。これに対しての答弁は後日に私は伺いますから、今日は私は参考人の方の萬仲さん、岡崎さんにお伺いいたしたいと思います。なぜこの石炭の今度の法案が出さなければならないようになったのでありましょうか、その根本はあなた方はどういうようにお考えになっておるか、この際、これをやってしまえば、あとあとこういうような問題が起ってこないとお考えになっておるかどうか、このたびの法案はまことにけっこうな法案でありましょう、救済の方から考えますれば。しかしながらこれはこれで事が済むのであるかどうか、よってきたるその根本は那辺にあるとお考えになっておりますか、その御所信を承わりたい。
○参考人(萬仲余所治君) 私は当初参考人としてお話を申し上げましたときに、その点に触れたつもりでございますが、今日のごとき状態になりましたのは、大きくいえば、二つの原因がございまして、遠い原因は戦時中戦後無理やりの増産をせねばならぬ状態にあったために無理が重った。しかもその無理が統制撤廃の際に解決されないままで今日業界の背良い込みになってきておったという問題が一つでございます。さらにもう一つはいろいろな原因はございましょうけれども、ここ数年間に重油が石炭に置きかわった度合いが非常に急速であり、非常に強いということも一つの原因である。さらにデフレによる需要減というものも原因でありますが、デフレによる需要減というのは、これは他の一般産業にもそれぞれありましょうが、石炭だけがデフレによる要需減をだれかに救ってくれということは、これは無理だろうと思っております。しかし終戦前終戦後の非常増産、傾斜生産のためにきたいろいろなしこりというものは、これは業界だけでは背負い切れないものである。また初めのお約束からいっても、業界が背負うべきものでないというものが、そのままになって業界の背良い込みになっている。さらに重油に関する限りは、今日の石炭の状態を考え、また重油の状態というものは国内生産がほんの数%であって、九〇%は外国から入ってくるという事態を考えれば、ここに国策上特別な考え方がされてしかるべきであるというふうなことは、先刻申し上げましたのでありますが、それらのことから総合いたしまして、この際、私どもはまず第一に重油をあるいは電気あるいはガス、天然ガス石炭を考えた総合のエネルギー対策をお立て下さいということを数年来申し述べておりましたが、その総合エネルギー対策の一環として、今度の合理化法案も出て参りましたであろうし、重油の一般ボイラーに対する制限抑制という問題も出て参りましたのでありましょうが、私はそれだけを切り離して、この法案が通過すれば、それで石炭界は全部正常化するのだとは決して考えておりません。従いまして先刻申し上げましたように非常なしこりを背負い込んだままになっておる、そのしこりの解決という問題がございます。同時に労働組合の方からも、先刻いろいろお話のように、これによって労働問題の適正なる解決という問題もございます。さらにこの法案に基きましても膨大なる資金を投下せねばならぬ、その額の確保という問題、また先刻から申しました坑内の追加投資に対するこれの適正な処理というような問題、いろいろな問題がございまして、それらのものがこの法案によって全部解決されておりません。がしかし、われわれが多年主張しておりました石炭対策というものが、今日まで現実にはほとんど何もなされないままできたのが、ここに具体的に、不満足でございますけれども、ある一部分は現れてきたのであります。氷山の一角を足場にしてほんとうの根本石炭対策が立てられるきづなができた、またそれによって毎年根本策が進行してゆくであろうというところに業界の大多数が希望をつないでおりますということを申し上げておきます。
○参考人(國崎眞推君) この法案がなぜ出されなければならなくなったということは、ただいま萬仲副会長から述べられた通りでありますので答弁を省略いたします。
 ただ私は救済という言葉がありましたけれども、この法案は炭鉱業の救済ではない。今日石炭産業がかような状態になっており、これを国として石炭産業を崩壊にまかせていいかどうかということを国の国策としておやりになるのであって、その結果におきましては、炭鉱の救済になる面も幾らかあるかと思いますけれども、決して炭鉱の救済のための法律ではない、かように考えております。
○海野三朗君 ただいまのお話の国策としてどうこうおっしゃいましたが、国策としてであるならば、現在のこの炭鉱のあり方はこれでよろしいのでありましょうか。
○参考人(國崎眞推君) 炭価のあり方と申しますと、もっと具体的におっしゃっていただきたい。
○海野三朗君 一時は石炭のブームの時代もありまして、多額の税金を納めたのは皆な炭鉱業者ばかりであった。あの時代には何らのことがなしに済んできた。都合のいいときはそれなりで、都合が悪くなったときには、こういうふうになってくるということ、このあり方自体が私はこれで正しいであろうかということをお伺いしているのです。
○参考人(國崎眞推君) それは例の新聞に出ましたいわゆる長者番付のお話であろうかと思いまするけれども、それは個人企業としましては、朝鮮事変前後においては、さような事実がありました。しかし炭鉱自体の経営基盤がほんとうに固まりまして、健全な経営のもとに、ああいうようなことがあったとは私は考えておりません。一時的な朝鮮ブームの影響によりまして、需給関係が現在のような状態とはあべこべの状態が出たという一時的の問題であるかと思います。
○海野三朗君 そういたしますと、つまり政府が無為無能であったということになりましょうか。
○参考人(國崎眞推君) 政府が無為無能であったとは私ははっきり申し上げません。しかし私が口述のときに申し述べましたように、今日まで政府の燃料政策について一貫した政策がなかったということを認めます。
○小松正雄君 私は参考人の方々にお伺いする前に、局長に一、二お尋ねしておきたいと思います。まず昭和二十八年度からだったと思いますが、一応日本の国内石炭の炭価が高い、それがために国内のあらゆる産業に背負わされて、そうしてその産業が作り上げた製品が高い、そこで市場に出してもおくれをとる、炭価が高いために売れない。貿易の関係からして日本の国内石炭の炭価を下げなければならない。国内の石炭の炭価を下げるというのはどうすればいいかということについて、まず政府としてなされたことは、縦坑の掘さく並びに機械の近代化ということの一つのねらいをもってここに発足されたと思うのでありますが、それに伴ってお尋ねしたいことは、この縦坑の掘さくに対して国の資本を投資しておるということは、これはもう間違いないと思いまするが、私どもの知るところでは、一カ年間二百数十億の金が、この縦坑堀さくと機械近代化による資金として流されておるということを聞くのでありますが、間違いないのであるか。私の言っておることについて金額の相違があるか、局長から第一に御答弁願います。
○政府委員(齋藤正年君) 政府資金といたしまして現存出ておりますのは、開発銀行の関係でございますが、この関係では、ここ数年間大体三十億前後という金額でございまして、今のお話の件は、そのほか市中銀行あるいは増資あるいは減価償却というふうな自己資金を全部ひっくるめまして、炭鉱の投資額が大体年に百三十億ないし百七十億程度でございます。そのことをお話になったんじゃないかと思います。
○小松正雄君 もう一ぺんその点について伺っておきたいと思います。たとえば百億にいたしましても、この縦坑堀さく、機械近代化は、五カ年計画として通産省が発足されたと思っております。そこでこの五カ年の後に縦坑の掘さく、あるいは機械の近代化が総合的に完全にでき上ってしまった場合に、政府としては固定資産として残るそのものに対し、たとえば縦坑にいたしましても、これは一つの財産であり、機械も財産である、これらに対する諸費を加えたその固定資産税とみなされる部面に対して、わかりやすく申しまするならば、たとえば百億費したというものが、完成の暁には即五〇%は国の施策に沿ったという意味において、固定資産税の対象にしない、即償却と認める、こういうふうなことが法文の中にあると私は思っておりますが、間違いありませんか。
○政府委員(齋藤正年君) これは別に縦坑についてのみ特殊の税法上の措置を講ずるのだということにはなっておりませんのでありますが、一般的に申しまして、現在の税制の運用が石炭鉱業の特殊性に合わない点が非常にございます。簡単に申し上げますれば、石炭鉱業というものは、生産を維持するためにだけでも絶えず追加投資というものをやっていかなければならない。それが全部固定資産として計上され、あるいは固定資産税の対象になるということは、非常にコストが絶えず上昇するということになりまして、全般の価格安定の上で矛盾し、他の競争燃料との関係も不利になりますので、その点を調整してもらいたいということは、もう数年前から大蔵省と折衝しております。かなりなところまで話し合いが現存進んでおる状態でございます。まだ最終的にここまでというところまでは至っておりませんが、大体経費支弁を認める範囲を相当大幅に拡張してもらいまして、通常の生産を維持するために必要な投資の限度におきましては固定資産税をしないという線で解決しよう、ただその範囲をどの程度にするかということが、まだ最終的にきまっていない状態でございます。
○小松正雄君 私なぜそういうことを局長に参考人の方にお問いする前に聞いておるかということでありますが、自由党時代にこの問題が起りまして、しかもそのときの小笠原――大蔵大臣になられた人が、この通産委員会に通産大臣として赴任されたそのときに伺ったのでありまして、そこで大手に対しては、それはそういうふうなことから機械近代化によって、あるいは縦坑掘さくによって大手を援助するという政府の狙いであるというのに関連いたしまして、中小炭鉱には何らそういうことを考えてないのだということを聞きましたところが、中小炭鉱に対しては何ら予算の措置もしていない。しからば、あまりにも石炭の炭価が高いとか安いとかいうことによって、中小炭鉱のような石炭は全然大手に比べて安いのだということを突っ込んで質問いたしましたら、最後に、中小炭鉱にもそういうことのできるまあ大きな鉱区を持ったところのこれに値する所がありますならば、縦坑掘さくはむろん応ずることにしよう、ひいては運搬等による機械設備によって炭価が引き下げられる、要するに機械近代化によって引き下げられるというようなことがあれば、これも可能なりと考えて、その予算をもっと入れたい、かように言われたので、それからその次に、私どういうふうになったかということを聞きましたところが、中小炭鉱には、そういうものに当てはまる炭鉱というものはない。たとえば、五十億の金をとるとはっきり言ったが、予算はとっておったが、その対象にならない、こういうふうなことを一応言われたわけなんですがね。そこでこれから今申し上げましたことを前提として、私この大手を代表される副会長に対してお問いを申し上げたいと思いますが、政府はみずからこの石炭の炭価が高いということを基礎として、安くさせるというねらいから、大きな金をその機械近代化、縦坑掘さくに対して投融資をされるのに、さっき労働者の代表の方の御意見を聞くと、決して縦坑掘さくをされ、機械を近代化されても、そう炭価が下るというようなことにまで――要するにその労務者の力が大きく出炭量に反映するようなことはないということに対して、あなたはどういうふうな考え方を持っておるか、これをまず聞きたいと思います。
○参考人(萬仲余所治君) 私は先刻もお答え申したつもりでございますが、労働組合側の方々は、表われている数字が大体架空的だとおっしゃいますが、私はそうではなくて、信憑し得る数字であると思うということを申したのでございまして、われわれは本法だけではなくて、本法通過を契機として、石炭対策の健実の歩みをさせるための対策を講ずることによって、国家の基礎産業である石炭の生産費を安くすることによって、売値を安くし、そうしていろいろな面に貢献しなければいかん。その面においてあらゆる経営者として努力を払わなければならぬと考えております。
○小松正雄君 せっかく国の施策とし、また国の融資をしてまで、あるいは税の軽減までして、大手に対する援助方法として、国策としてなされる上においては、その大手の縦坑堀さくをされる、あるいは機械の近代化をされる方々としては、実体としては絶対に炭価は安くなるということを考えられておることは、これは間違いないと思います。そこでそうなって参りますと、少くともその一環の中で――石炭コストの中での重要を占める従業員の賃金、要するに労務費の削減がどの程度されるか、たとえば一トン当りコストが千円と仮定いたしますならば、その中に労務費として少くとも三〇%か四〇%は今まではかかっておると私は思いますが、今日のこの縦坑の掘さくによって、機械が近代化されて、そうして目的通り石炭が出て来るという場合においては、その労務賃金がどの程度減るというようなお考えがあるのですか。
○参考人(萬仲余所治君) 賃金を安くするという考え方ではございませんで、能率を上げることによって一トン当りの労務費が安くなるという考え方でございます。
○小松正雄君 そういたしますと、いずれにいたしましても、賃金を下げるということは、機械が近代化されれば、労務者というものは相当大幅に減らされる、要するに馘首される、縦抗が掘さくされるために、機械が近代化されるために。これはもうどなたも否定できないと思う。そうでない限りにおいては、国の経費を注ぎ込んでこういうことをやる必要はないと私は断言する者であります。そういう意味において副会長はここ五カ年後にいよいよ縦坑が掘さくされて機械が近代化された場合にあなたの今の協会に従事されておる、たとえば労務者が三十万であるといたしますならば、少くとも私は十万の人が馘首されることに相なる、相なることによってこそ機械が近代化されたという効果がある。かように考えますが、いかがですか。
○参考人(萬仲余所治君) 何万か減るであろうということにつきましては、今私確たる資料をもってきておりませんからわかりませんけれども、少くとも合理化によって能率があがる、その能率があがれば、同じ状態では人があまってくるということははっきりいたしております。また、今日の一般の通念では石炭は大体五千万トン、年間の生産が頭打ちであろう。またそのくらいが適正な生産であろう。五千万トンの生産で能率があがっていけば、現在の従業員はどうしてもそのうちに余剰人員が出るであろうということは、誰もの常識であろうと思います。従いまして、その出た余剰の方々が適正なる他の産業に従事されるということが望ましいのであり、またわれわれとしても考え、また、国家として考えねばならぬことでありまして、その点につきましては、労働組合の方々のおっしゃるように、今現れております対策としては、私どもも十分な対策が立てられているとは考えておりません。この点につきましては私も先刻も申しましたように、合理化による剰員に対する労務対策ということが、この法案よりむしろ先に定まるべきものだと、こういうことを考えておったということを申したのでありますが、これは少くとも同時併行に行かなければならぬ、またそれがあとになり、一方にこれが確にできるということについての努力をわれわれも大いにしなければならぬと考えております。
○小松正雄君 そこで炭労の阿部さんにお伺いいたしますが、ただいま私の質問に答えられましたように、この縦坑が掘さくされて、機械が近代化されて、そうして目的が五カ年後に達成される場合には、少くとも労務者が剰余が出るということは、これは馘首しなければならぬ時期が来るであろうということは、はっきりと申されたのですが、あなたはさっきの阿具根氏の質問に対してのお話では、この縦坑が堀さくされても、決して能率的にあがらないということをはっきり申されたけれども、これは非常に食い違いがある。私は今申し上げましたように、この石炭協会の副会長のおっしゃるのは、少くとも機械が近代化されて、そうして老衰した坑道の向うに新たに坑口が打ち立てられるということになれば、少くとも大きな人員の整理があるのではないかということを危惧するためにあなたにお伺いするわけでありますが、あなたはそういう意味において今の縦坑が掘さくされて、機械が近代化されても、人員においてはそう減るようなことはなかろう、かように考えられておるようなことだったと思いますが、今の御答弁に関連して、やはりそういうふうにあなた自身として考えられているかということをお伺いしたいと思います。
○参考人(阿部竹松君) 私のお答えしたことが御理解願えなかったかどうかわかりませんが、私は縦坑というものは機械化でないということを申しげたわけであります。ただ、今まで横の坑道であったものを電車あるいはベルトで運ぶ、あるいは横の坑道でやれば三キロも四キロもかかる坑道を、縦坑を掘ることによって一キロあるいは一キロ半になるでありましょう。こういうことは機械化ではない。ただ坑道の短縮です。縦坑機械化といったら笑い物になる。ほんとうの機械化は坑内に入って切羽でシャベルやピッケやほかのものを打ち込んでやるのを、機械で採掘して機械で入れるというのが、ほんとうの機械化であって、ただ縦坑をやるということは全然機械化ではありません。従って縦坑を掘れば今まで三時間通勤にかかった時間が一時間になり、山によっては二時間になる所もありましょう、ですからその短縮した時間とそれから原炭を搬出する時間もこれは短縮されます。しかし政府当局がおっしゃるように片や十四トン片や十九トンというと、とにかく三割七分ぐらい、三割幾らの数字になりますが、ただその切羽までの通勤時間の短縮と原炭の搬出の時間の短縮によって、ただちに政府の言うように出炭増加にはなりません。もちろん短縮される時間はふえるでありましょう。しかし政府の言うことには毛頭なりませんということを私は申し上げたわけであります。
 それからもう一つ、現在のような方策でいくと、当然時間が短縮されれば、十二時間のところ六時間にしても、やっと三分か四分ぐらいになることは自明の理ですが、その人員が減るということは、これは全く政府が無為無策にして、今日のように困ったから、ただ人の首を切るということは――人間が余って来るということは、当然自明の理であります。従って現在の人間をどこにどういう仕事を見つけてどういうようにやるかということは、やはり政府の責任であり、ひいては小さく言えば、われわれの責任になってくると思います。従って私どもは政府を責めるよりも、当然自分たちもやらなければなりませんし、当然それは責任の一端は負わなければならぬと思う。そういう問題については、政府の数字というものは、萬仲さんは信憑性あると言ったけれども、僕は当然現在の縦坑をおろしただけでは、一〇〇%全然だめですよという話を申し上げたわけであります。
○理事(古池信三君) まだたくさんありますか。
○小松正雄君 あります。
○理事(古池信三君) それでは午前中はこの辺で打ち切って置いて、午後継続しておやりになったらどうですか、時間がだいぶ経過いたしましたから。
○小松正雄君 私は午後も五人の参考人の方に聞かなくちゃならないと思っております。
○理事(古池信三君) それでは御迷惑でありましようが、参考人の方々にまだ質疑があるそうでありますから、午後もお残りを願いたいと思います。
 それでは午前の審議はこれをもって終ります。
   午後一時二十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時二十一分開会
○委員長(吉野信次君) それでは午前に引続きまして開会いたします。
 午後はまた新しい参考人の方のおいでを願ったわけですが、お忙しいところ、お暑いところありがとうございました。どうかよろしくお願いいたします。
 それで午前の参考人の方でまだ委員から質疑が残っているそうですけれども、お急ぎになる方もあるようですから、青山先生から一つお述べを願いたいと思います。御都合でお急ぎになるそうでございますからどうか。すわったままでけっこうです。御随意に。
○参考人(青山秀三郎君) ただいま御紹介をいただきました青山でございます。私もこの石炭鉱業に関しましては直接仕事の面ではわからないことが多いのでありますが、ただ大学等の関係がございますので、幾らか技術的と申しますか、専門的な立場から少し申さして、ただきたいと思うのであります。
 石炭鉱業の最近の様子は皆様とくと御承知の通りでありまして、何らかの措置をとっていただきたいということはどの方面からも出ておった声なのでありますが、たまたまこのたび石炭鉱業の合理化に対する臨時措置の法案が出されたということは、そういう意味から申しまして私どもは非常に期待をするものであります。ただいまのような状態でどういうような措置をとっていただきましても石炭鉱業をすっきりした形に早く戻すということは私容易じゃないと思うのであります。かと申しまして、このまま放置しておくことは許されない事情にありますので、たとえこの案が案そのものにいたしましても、また将来のこの種の政策をおとりになるにいたしましても、そこに問題があろうかと思いますけれども、私の結論から申しますと、こういう措置をとっていただきたいと思うものであります。で、もう少し根本的に考えますと、よく日本の石炭はあと何年ぐらいあるのだということをよく耳にいたすのであります。たまたま最近五年間ばかり通産省の非常なお骨折りによりまして、日本の石炭資源について調査をいたされました。大体二十年置きにやられておるのであります。これが三回目と思うのでありますが、かなり学術的に、またその調査の方法は、ほかの国の専門の方が見ましてもよくそういう調査が日本に行われたなと言われておるような調査であります。私は相当信頼を置けるものじゃないかと思うのであります。それに対しまして、ただいまの日本の石炭の生産をどうしたらいいかということがからむわけでありますが、これにも私はいろいろ問題があろうと思います。しかしかりにただいまのような生産であるといたしますれば、そこに計算的には三百年くらい日本に石炭があるのじゃないかという意見が出て参るのであります。私はこれに対してその数字を云々するものじゃないのでありますが、こういう有限な資源を日本で今後開発するにはやはり根本的に国でも考えていかなきゃならぬ問題ではないか。たまたま私は戦後アメリカにも参りました。またソ連にも参りましたが、どの国でもそういうことはかなり真剣に考えておるのであります。で、世界的にまだ十分調査のできておらないところもありますけれども、まずかりにただいまわかっておるものを標準といたしますれば、そうしてただいまの全世界の生産を仮定いたしまして、その総計から年数を見ますと二千五百年ぐらいの数字が出ております。数字で申しましてはなはだ失礼でありますが、四兆トンぐらいの石炭が地球上にあって、十六億トンぐらいの石炭を世界中で掘っておるわけであります。その関係から申しますとアメリカ、ソ連はその平均の数字を上回っておる石炭を持っております。アメリカでは四千年、ソ連も二千五、六百年の年数は現状でもあると思うのである。それに対して日本は三百年だということは必ずしも多いとは言えないと思うのであります。そういう資源を愛護する意味からも、またせっかくあります石炭をよく完全に、あるいは有効に利用するという意味からも、皆様の御了解を得て日本の方針を立てていただをたいと私は思うのであります。これは根本的な問題であります。こんなときにも青山また講義を始めたなとおしかりを受けるかもしれませんけれども、そういう感じを私はひしひしと持つのであります。
 たまたまここに問題になっておりますことでありますが、これは臨時措置であり、五カ年の措置であるということで幾らか荷が軽く思われるのでありますが、たとえ臨時措置であっても、この内容にはそれぞれの立場から御意見もあろうかと思うのでありますが、少し大乗的な立場から、何らかの措置を日本にとらなきゃならぬということをまずお願いしたいと思うのであります。それでこの中にはいろいろ、私もごく最近でありますが、検討いたしました。で、ただいままでのいきさつについては私は関与いたしておりません。初めて今度の法案を最近拝見したものであります。そこにいろいろ話が出ております。たとえば縦坑の問題でありますが、これはどこの国でも浅いところを掘っちまってだんだん深いところを掘らなきゃならぬ。そういう場合に従来の斜坑では仕事ができない。やはり縦坑で、しかもだんだん深くなる縦坑で仕事をいたさなきゃならぬというのは世界の趨勢であります。ただこれは非常に経費のかかることであります。いろいろな立場からこれを御了解いただかなければ石炭経営のその責任者だけでは完全にできる問題ではないと思うのでありますが、これは当然起らなきゃならないこと。また日本の坑内は、私も方々の国々の炭鉱を見ましたが、これほど困難な自然条件を持った炭鉱は世界に類がないと思います。坑口からの深さにいたしましても、あるいは炭層の厚さあるいは坑内の温度といい水といい、いろいろなことが日本ほど技術的に困難なところはないと思います。で、それにもかかわらずここまでつちかってきたのであって、技術的にはまだ伸びる余地は十分あろうと思いますけれども、現在の日本の鉱業における、石炭鉱業における技術の水準は先達の御努力によって相当なところまで私は参っておると思うのであります。これからの努力は容易じゃない。ただこの合理化いたしますにしましても、やはりこれは日本の今の特殊な事情に即応した技術的な方法をとらなきやならないので、直ちにドイツの方法をもってくるとか、日本に直ちにヨーロッパの、あるいはアメリカの技術を移してもこれは効果の上るものとは思いません。ですからどこまでも日本の技術者がこれを解決する熱意を持たなきゃならぬ。そして合理化の効果を上げなきゃならぬと思うのであります。機械化も行われましたが、やはり私をして言わしめれば、まだ部分的であります。統一して坑内の施設が十分一貫した機械化が進められておるかどうか。個々の炭鉱についてはかなりまだ考える余地はあると思うのであります。で、そういう意味から私は坑内のこの坑口の制限等についても、これはやはりむしろおそいのじゃないか。非常に経費のかかるような坑口をかかえて全体の生産費を高くするということは好ましくないのである。ある程度までただいま情勢に合わせた採炭方法を行うということはやむを得ない措置じゃないか、こう思うのであります。そういうことで技術の面でまだまだ向上しなければならぬ問題もありますが、作業の根本の方針についてこの際検討していただかなくちゃならない。というのは、単に鉱業の実際の仕事をしておるものの立場を見ない、全体的に考えましても私はさよう言わざるを得ない、こう思うのであります。ただいろいろ努力されておりますが、やはり日本の石炭の単価は、いかにも国際的に考えましても決して安いとは言えない。これは先ほど申しました自然の条件が悪くてやむを得ずある程度高くなるということはあり得ると思うのでありますが、さらにこれを何らかの方法で他産業の基礎になるものでありますから、単価の切り下げということが可能であればこれを進めたい。
 よく炭鉱の能率の問題も話に出るのでありますが、さきに私がソ連へ行ったときも、ソ連でも大体能率が非常に上って参りまして、よくはわかりません、統計を見たのじゃありませんが、学者の意見としては、ただいま七百万トンないし八百万トンくらいの月の能率になっておると思うという話であります。ドイツは現状それに及んでおりませんが、七、八百万トンの能率というものは日本に比べまして相当高いものだと思います。けれどもこれはその数字だけをすぐ受け入れることができないのでありまして、日本のように薄い石炭を厚く掘らなければならねというようなところでは、どうしても御承知のように選炭の歩どまりが悪くなる。せっかく掘ったものが半分石だったというようなこともあり得るので、切羽の作業の量が少いと私は簡単に言えないと思うのであります。それは自分が望む望まないにかかわらず、そういうボタが一緒に含まれてしまう。薄い炭層でありますのでやむを得ず入ってしまうということもあり得る。仕事の量は相当なのであります。ただその歩どまりで半減する。あるいは食われてしまうので石炭一人当りの生産が落ちる。切羽の作業は私は相当高度になっておると思います。まだ余地なしとは思いませんけれども、もっとよけい出していただきたいと思いますけれども、ただいま切羽の作業の量は相当伸びております。だがこれも今後の努力によって、あるいは能率によってもう少し能率を高める余地がないとは申しませんが、そういういろいろな観点から私はどの程度までこの法案の趣旨とされます単価の切り下げが行われるかということでありますが、これはいろいろ地域の事情もあろう、また石炭の種類の問題もありましょうが、この実施に当っては、運営上いろいろ期待されるのでありますが、その方針だけは実現するように陰ながら希望するのであります。そうしてほかの国並みに日本の炭価が下がり得るかどうかわかりませんけれども、幾らかでも下げ得れば他産業の喜ばれるところであろう。
 なお、先ほど最初ふれましたように石炭の問題、これは石油、ガスその他と同様でありますが、非常に貴重な燃料でありまして、このエネルギーをなるべく科学の力を利用して人間の生活によく利用してゆきたいということをつくづく思います。ほかに利用されないものであればやむを得ないのでありますが、せっかくこういう貴重なものでありますので、ただこれを熱エネルギーにだけ利用するのじゃなしに、でき得べくんばそういう関連の産業の方の御協力なり国の方針を加えていただくなりして、石炭の利用をもう少し高度にしたい。これは石炭関係業者に期待するのは少し無理だと思います。ある程度までの協力は受け得ると思いますが――これは専門を異にしております。あるところまでは協力を受け得ると思いますが、これはそういう広い視野で考えていただくべき問題じゃないか。そうして日本の石炭鉱業を、これはやめるわけにいかない日本の産業だと思います。日本で石炭鉱業をやめてしまえといったところで、とても考えられない問題で、やはりここまで育成された日本の全体の工業としましても石炭、銅は昔から重要な産業であります。ほかの基礎産業に対してはなはだ重い位地を持っておりますので、これは適当な姿で将来とも長く発展してゆくような措置を十分お考え願いたいと思うのであります。
 そういう意味で、こまかいことはいろいろございますけれども、私の結論は、冒頭に申し上げましたような以上の考えを持っておりますので、単に石炭の関係のこととしないで、国の産業の重要な一環として石炭産業を盛り立ててゆくという方針をとっていただきたい。ただここに一つ問題が浮び上りますのは、石炭産業のためにそういう措置をとれば、たとえば機械化するということで人の手が余るじゃないか、それをどうするかというようなことが必ず出てくると思いますが、それはアメリカ、ソ連とは事情を異にするのでありまして、向うはそういう機械化は労働する者自体が望んで、自分たちの仕事量がそれで伸びて収入もふえる。だから機械化して下さいということを彼らが希望する国情であります。日本では機械化すれば人手が余るのじゃないかというようなことが国の事情から出てくるのでありまして、これはやはり広い意味でそういう困った人が出ないように鉱業の関係の方もあるいは政府の方でも十分御考慮願わなければならぬ。一人でも日本の労働力が遊ぶということは惜しいことであります。この点については十分な御措置を願いたい、こう思います。そういう意味で、あるすっきりした形で石炭鉱業が発展していきます過程として、こういう措置がこの際、不十分であるかもしれませんが、今後の適当な運営を期待いたしまして私はこの法案が御審議によって成立いたしますように陰ながら期待するものであります。
 はなはだ簡単でありますが、終ります。
○委員長(吉野信次君) それでは岡村君。
○参考人(岡村武君) 石炭は鉄鋼業にとりましては欠くことのできない重要原料であり、かつその消費も相当多量に達する大口需要産業でございますから、この法案の成否につきましては一同大きな関心を持っているのでございますが、本日格別のお取り計らいによりまして、この委員会にお呼び出しを賜わりまして業界の意見をお耳に達する機会を与えられましたことは実に感謝にたえない次第であります。
 まず冒頭に結論を申し上げますと、第一に、本法案の成立実施により、炭価の大幅引き下げの効果が期待できる限り原則的に賛成である。
 第二に、しかしこの場合においても、標準炭価制度は運用の如何によっては統制的色彩が強化されやすいので慎重に検討を加える必要がある。また本法のねらいである適正な石炭価格の基準については、わが国作業の国際競争力の維持強化の観点よりすれば、当然国際石炭価格、すなわち諸外国の国内石炭価格に重点を置くべきである。さらに製鉄原料炭の価格は従来一般炭の価格とは離れてあり、高位に固定される傾向があるにかんがみ、一般炭の価格同様に合理的な水準に修正せらるべきである。
 第三に、なお鉄鋼業及び諸産業が石炭鉱業に期待するところは、この立法措置のみをもってしては十分達成することは困難であって、進んで独禁法の廃止による企業の自主性の育成確保を初めとし、復金借入金の処理、低質炭の有効利用方策を確立することにより、根本的かつ広範な総合利用対策の推進をはかられる必要があるということであります。
 これによって趣意はおおむね明らかであると思いますが、その意の尽さざるところを若干敷衍して御説明申し上げたいと思います。
 申すまでもなく石炭鉱業は最も重要な基幹産業でございますから、現在の深刻な窮状に関しましては、私どもといたしましてもまことに心痛にたえないところであり、一刻も早くその立ち直りと安定をこいねがう念においては決して人後に落ちるものではございませんが、この法案に対する鉄鋼業界の直接かつ最大の関心事は、何と申しましても、これによって果して国内炭の価格低下が期待し得るかどうかという点でございます。と申しまするのは、わが国の製鉄用原料炭は諸外国に比べて著しく割高で、鉄鋼業の対外競争力に非常に不利な影響を与えているからであります。鉄鋼業もまた基礎産業であるとともに、戦後重要輸出産業としての顕著な性格を新たに付加するに至りました事情を特に御留意をいただきたいと思います。昨年度のごときわが鉄鋼業は全生産量の約四分の一に相当する百五十七万トン、金額にいたしますと二億ドルを優にこえる輸出をいたしまして、わが国第二の重要輸出品に相なっているのであります。これに対し鉄鉱石、石炭、くず鉄等の原料輸入は一億五千万ドルでございまするから、機械、鉄鋼加工品などのいわいる間接輸出を度外視いたしましても鉄鋼業の貿易じりは大きな黒字でございまして、わが国国際収支の改善に大きく寄与しているのでございます。鉄鋼業といたしましては、原料の大きな部分を輸入に仰がなければなりませんので、それをカバーするためにも、また国内市場が狭いため、生産規模を維持、拡大いたしましてコストの低下をはかるためには、どうしても積極的に輸出の増進に努めなければならないのでございます。しこうして輸出の成否は一にかかって国際競争力によって決せられ、この競争力は結局終局的には生産コストによって左右されるのでございます。鉄鋼業のような素材工業におきましては、この生産コストの中に原料費の占める割合はきわめて大きく、銑鉄の段階では七〇%ないし八〇%、最終製品でありまする鋼材の段階でも五〇%ないし六〇%に達しているのでございます。それゆえ鉄鋼業の国際競争力は原料コストによって支配せられると申しても過言ではないのでございます。鉄鋼業の主要原料中、鉄鉱石の方は南方方面の資源は日本の買手市場でございまして、品質、価格から申しまして、他の主要製鉄に比べまして決して遜色はないと存ぜられます。しかし問題は石炭でございます。石炭は国によって違いますが、銑鉄の原料コストの半分ないしはそれ以上を占めております。わが国の石炭は弱粘結炭で、単味では製鉄用コークスの製造費は不適当でございまするから、米国炭を輸入いたしまして現在それを四〇%程度配合して使用しているのでございまするが、このアメリカの北のはずれからはるばるパナマ運河を越えまして日本に運ばれて参りますので、従って非常に高い運賃を払って運んで参ります米炭の方が、メリット計算をいたしますると、国内炭よりずっと安いというのが偽わらざる現状でございます。原料炭の価格は大よそアメリカ六、七ドル英国八、九ドル、西独十二ドル、フランスでは国内炭十二ドル、輸入ルール炭十六ドルになっているのに対しまして、わが国の国内炭はメリット的にきわめて劣るにかかわらず約十七、八ドルくらいに相当するのでございます。今日わが国の石炭は自然的条件が不利でございまするから、幾ら合理化に努めましても、条件のすぐれた諸外国に比べればコストがある程度かさむのはやむを得ず、それによる割高は消費産業としても当然甘受しなければならぬと考えるのであります。しかしそれにいたしましても現在の原料炭の価格はあまりにも高過ぎます。本法案に対する政府の御説明によりますると、合理化完遂の暁は、送炭原価を平均二割低下せしめ得るものと承知いたしております。従いまして本法案がかような炭価の大幅引き下げの成果をもたらすことを期待し得るし、私どもといたしましては、本法案に対し何ら異論を差しはさむ余地はないのであります。ただこれには必ずそうなるという別段の保証もないようでありまするし、私どもの望んでやまざる炭価引き下げの実効を上げるためには、後ほど申し上げまするが、もっと積極的な総合施策を強力に展開しなければならないのではないか、その点に用意に欠けるところがあるのではないかということを懸念いたすものでございます。
 次に、本法案の具体的内容につきまして二、三の意見を申し上げます。
 まず標準価格制度の問題でございます。これは本法案の中核的な規定と見受けられまするが、広範、かつ強力な政府の監督権限を織り込んである点よりいたしまして、運用のいかんによっては強力な統制効果を発揮し得るものと存ぜられます。単に一つの目安としての標準価格が産業の秩序、自立性を不当に侵すことのないよう、また需要産業の立場を無視して石炭工業のかばい立てに反することのないよう特段の注意をお願い申し上げたいと存ずるのであります。なおこの標準価格は生産コストを基準として輸入炭、あるいは競争燃料の価格その他の経済事情を参酌して定められることになっておりまするが、輸出産業の対外競争力の観点から申しますれば、参酌せらるべきは石炭の輸入価格ではなくして、国際石炭価格、すなわち諸外国の国内石炭価格でなければならぬと存じます。けだし輸出難業の国際協力は各国の石炭コスト、従って国内石炭価格に大きく支配されるからでございます。また資源のいい外国の水準まで一挙に引き下げることは無理でございましょうが、標準炭価の設定に当っては、外国の国内炭価との比較が大きなウェートをもって参酌せ、らるべきである、かように存ずるのでございます。
 さらに炭種別の価格についても問題がございます。終戦後わが国では製鉄用のコークスを作るためのいわゆる製鉄用原料炭価格は一般炭価と離れまして固定する傾向が強く、現に今日におきましても一カロリー当り十五銭乃至二十銭高と著しく割高になっております。諸外国ではこういうことはございませんので、一般用の塊炭の方が原料炭の粉炭よりもかえって高くなっております。これではわが国では原料炭の生産が少く、石炭側の立場が有利なため、ともすれば選炭に要する費用、あるいは一般炭の不換算部分等をすべて需要の固定した原料炭にかぶせている結果とも考えられるのでありますが、そのため一般消費者がひとしく負うべき負担を製鉄業が大きくかぶっているという形に相なっているのであります。標準炭価制度はこの辺の不合理を是正するごとき運用をぜひ期待したいのであります。
 次に、この法案に盛られました独禁法の排除規定でございます。本法案によりますれば、生産性のカルテル及び価格カルテルが認められることになっておりますが、わずらわしく、かつ強い主務官庁の事前、事後の監督が前提になっております。それゆえこれは独禁法の全面的な排除規定ではなく、同法による不況カルテルの規定を若干緩和をしただけにすぎないと思われるのであります。鉄鋼業界はかねがねカルテルを悪なものとする根本思想に立って作られた独禁法の全面的な改廃を主張しているのでございますが、この見地からいたしますると、本法案においてもカルテルは業者間で自由に結成できるようになっております。ただその活動が公共の利益に反した場合、それを規制する規定だけ盛れば十分であると思うのであります。
 最後に、この法案を通観いたしまして特に感じましたことは、この法案が消極的な合理化対策にのみ終始して、積極的な総合対策を欠いているのではないかということでございます。買いつぶしによる炭鉱の整理や、縦坑の開さくによる優良炭鉱への生産の集約、これらの合理化はもちろん非常にけっこうでもございまするが、一方それと並んで低品位炭の効果的利用の促進その他、需要開拓への対策もそれ以上に大切ではないかと考えられるのでございます。製鉄用炭の見地からいたしましても、たとえば今フランスでは国難家計画の一部といたしまして、ローレン炭の利用が盛んに研究されているのでございます。御承知のようにこの石炭は日本の原料炭と同じように揮発分の高弱粘結炭でございまして、現在ではドイツのルール炭、これも弱粘結炭でございますが、これを四〇%程度配合いたしまして原料コークスを作っているのでございまするが、将来はこの配合割合を二〇%まで減らそうという計画と聞いております。また西独のある会社では、粉鉄鉱石――鉄鉱石の粉状のものでございまするが、これと弱粘結炭とを焼結いたしまして、新しい高炉装入原料を作ることに成功したと伝えられます。このようにやり方によれば弱粘結炭でも鉄鋼原料として使う余地はまだまだあるようでございます。ただ鉄鋼業としてはコストの関係上、現在では積極的にこれらの利用が推進できないでおるのでございます。従いましてこの法律の施行によりまして、炭価の低下が実現するといたしますれば、もちろん鉄鋼業界といたしましても、さらにその需要範囲を拡大する用意は十分に持っておるのでございます。
 この法案に関連いたしましてこうした方面における真に石炭鉱業の合理化と安定を庶幾し得る政府の積極的な総合政策を講ぜられることを衷心からお願いを申し上げる次第でございます。
 御静聴いただきましてまことにありがとうございました。
○委員長(吉野信次君) それでは石井さん。
○参考人(石井一郎君) この法案の結論を先に申しますと、この法案に対しまして先ほどからお話が出ておりますように、今の石炭鉱業の現状からいたしまして何らかの対策が必要である、この法案がそういう石炭鉱業の一つのささえとして出されたということにつきまして賛成を表するものでございます。
 今の石炭鉱業の現状は、十分御承知の通りでございまして、昨年度中に二百七十万トンぐらいの需要の減退もございましたし、この一年にわたりまして千百円以上の価格の低落を来たしております。従いましてこの価格の低落に見合うだけの生産費の減少ということは、非常な経営努力にもかかわらず、行われないでおります。従って大半の石炭会社が赤字を出しておる。現にいわゆる小炭鉱においては幾つもいわゆるつぶれたものもございますし、去年からことしにかけまして月産二、三万トンの有力な中炭鉱で破綻を来たしたものもございます。その結果、あるいは坑口は水没し、失業者はその町にあふれまして、一つの社会問題を醸成しておるのは御承知の通りでございます。こういう石炭鉱業の現状が、今のまま放置いたしまして改善されるというふうなことは、ちょっと考えにくいのでございまして、何らかのここで措置が必要であり、その措置の一環としてこういう法案が提出されたものであるというふうに解釈いたしまして、この法案は私どもとしては賛成せざるを得ないのでございます。
 しかしこの法案につきましても、内容その他いろいろ問題点がたくさんあるように思います。たとえば五年後の石炭の消費が四千九百万トン果していくであろうかどうであろうか、その際に二割の生産費の切り下げが果して可能であろうかどうであろうか、それからこれによって生ずる失業者をどうして救済するか、対策は立てられているであろうかどうであろうかというふうないろいろな問題もございますけれども、この問題はしばらくおきまして、私、金融機関に職を奉じておるものでございますので、その立場から二、三の点を申し上げてみたいと思います。
 まず第一点は、この法案の骨子となっております合理化でございますが、その根本をなすものは、いわゆる縦坑の開さくでございまして、その開さく資金として四百億の金が必要であるとされております。なお提出の資料を拝見いたしますと、そのほかにあるいは機械の合理化、企業の機械化、企業の維持そういうもののためにも、毎年今の縦坑開さくを含めまして百九十億程度の資金を必要とされておるようでございます。そのほかに御承知のように、石炭鉱業は今の電力、あるいは船舶海運と次ぎまして、非常に多額の外国債を持っております。財政資金に対しまする年間の返済額だけから見ましても、たしか二十九年度は七十二、三億の数字が出ておったようでございまして、これは今後五カ年間にそう減るものでなく、むしろ八十億内外を算するのではないかと思います。こういうふうな状態にあります石炭鉱業に対しまして、いわゆる合理化資金の裏づけといいますか、そういうものについて十分な配慮がなされる必要があるであろう、たとえば財政資金を十分これに投ずるとか、そういう配慮が必要であろうと思います。もちろん市中金融機関といたしましても、こういう合理化資金の融通が不可能であるとは申しませんが、そこにはおのずから市中金融機関の持つ性格上限界がございますので、ある程度の財政資金の裏づけというものが必要であろうと思います。
 次に、いわゆる不良鉱の買い上げに伴う問題でございますが、いろいろ数字をはじきますと、大体トン当り二千三百五十円程度のもので買い上げられるものでございます。そうしますと月八万トン程度の出炭の山で二千二、三百万円という買い上げ価格になると思いますが、御承知のようにこういう状態の山でございますので、未払い給金、あるいは未払い公課、そういう先取り特権的なものがたくさんございまして、これに対しまする一般未払い、あるいは金融機関の貸付等におきましては相当低位にある状態であろうと思います。従いましてこの二千三百五十円という数字をふやすということについては考えませんけれども、少くとも金融機関といたしましてはこれに対しまする、いわゆる少くとも抵当権付の貸付金、そういうことについては十分その権利を守りたいというふうに考えます。
 それから第三の点でございますが、これはいわゆる標準価格というものについての考え方でございます。現在の石炭鉱業の中で一体償却というものをどの程度見てあるかということでございますが、償却が不十分でありますれば企業の維持ということは困難であるのはもちろんでございまして、私ども銀行の立場から見ましても、この償却がいわゆる債務償還資源になるわけでありますが、標準炭価の設定につきましては、十分な償却価格ということが織り込まれることを希望いたすわけでございます。もちろんその価格の設定につきましては、いろいろな方向から利害が相反するものでございますけれども、私どもといたしましては、少くとも償却を十分やっていただきたい、こういうふうに申し上げておきます。
 以上はなはだ簡単でございますけれども、大体私どもの立場から申し上げることはそんなことでございまして、要するに今の石炭不況を何らか転換するためにはこういう法案が必要であろう、いろいろな問題があるにしても、この問題は個々に解決してみんなの協力によって解決せられていく問題であるから、ということを考えております。
○委員長(吉野信次君) それでは雀部さん。
○参考人(雀部高雄君) 大体技術的な面からちょっと申し述べさせていただきたいと思います。
 石炭鉱業が困っておりますのは、大体これは御承知のように日本だけでなしに世界的にかなり困っておるわけなのです。その様子を、困っておる現状だけで見た場合と、それから少し長い目で見た場合とはちょっと違うような印象を、物を読んだ上で感ずるものですから、その点ちょっと話をさせていただきたいと思います。
 それはアメリカの例をとりますと、ちょうど最近五十年くらい各燃料を使っておる割合がどういうふうにアメリカでは変化してきたかということをアメリカの鉱山局で調べて報告を出しております。そのグラフを見ますと、大体一八九九年くらいからずっと固体燃料、石炭というものの割合がずっと減っている。それでほかの燃料がずっと増しております。ことに一九二〇年から後の三十年間――一九五〇年までの最近の三十年間を見ますと、もう石炭というものは急激に一直線になってアメリカで使用している割合が減っておるわけであります。それでちょうど一九二〇年――今から三十五年くらい前ですが、使用燃料というのが、全体の八〇%が石炭であるが、それが一九五〇年になりますと、ずっとおりてきて、それが四〇%以下になる、ですから三十年間に石炭を使った割合が、八〇%以上のものが、一九五〇年までにほとんど一直線を引いたように下ってきて、これが四〇%以下に下ってきております。まあ戦争があったとか、いろいろな点で少しは直線がずれて動いているのですけれども、大体の傾向としてはそういう傾向になっております。それで実際にそういうのを個々に見ていろいろ報告して、なぜこうなったんだろうというので非常な論争もあるし、石炭産出の州の国会議員の方が出られて、やはりアメリカでもいろいろ論争しておられるようですが、個々の例を見ますと、やはりその説明には、ストライキがあって、そのために非常に固体燃料の使用が減ったという報告がきわめて多いのです。そういうものを見るのですけれども、個々に見るとそういうふうに見られるんですけれども、長い目で見ますと、やはりそうじゃないので、やはり一直線に一つの傾向を持って下ってきておる。ストライキがあろうが、なかろうが、およそそういうこととは関係なしに、別の理由で、まあそういうふうにして下ってきている。そういうことを強く印象を受けるわけであります。これは長い目で見るとはっきりそうした傾向は、ストライキなんかは影響されていないのじゃないか。石炭鉱業合理化臨時措置法案の提案理由というものを送っていただきまして拝見いたしましたのでありますが、その中にいろいろ理由が書いてございますけれども、その終りの方に、やはりアメリカの例や何かと同じように、あの昭和二十七年末期、長期に亙って炭鉱ストライキが行われたためにというふうに、日本でもやはり言っておるのですけれども、こういう点はやはり長い目で見ると、果してそういうことがどれほど影響があったろうか、もう少し慎重に考慮する必要があるのではなかろうか、そういうふうに考えます。
 それでもう一つは、そういうふうにして石炭が困ってきたのは、アメリカばかりでないので、ヨーロッパでもやはり同じで、フランス、イギリス、みな困っているわけです。ことにフランス、イギリスでは、先ほど山口先生もお話しになったように、かなり早くから国営に直すとかして、かなり近代化したり、合理化しているわけです。それで日本より先にそういうことをやった結果、どうなっておるかというと、フランスの最近の報告を見ますと、合理化したために、いろいろな統計なんか見ても、非常に一人当りの生産量が上ってきた。そのために著しい苦しみを持っているわけです。非常な苦況に立ってしまった。石炭を押えようとしても、非常に合理化してよくなってしまったので、どんどん石炭が出て非常に困ってきておるという報告がたくさん出ております。ですから石炭だけを見ても、非常に因るから、そこに合理化して、近代化して、石炭をたくさん生産したらどうなるかということを――かなりよくした結果は非常に不況に苦しんでおる。しかし去年の暮あたりからはだんだん少しずつよくなってきており、たとえばヨーロッパの共同体全部では、去年の六月末現在ですと、一千四百万トンの貯炭があって、フランスなんかこれでかなり困っている。しかしその後多少よくなった。たとえばことしの六月の第二週現在で、千百万トンで、約この十二カ月に二一%くらい減少しておる。それでもまだそれだけの貯炭があって、多少よくなってはいるけれども、去年の苦しみは全面的に解決されているような様子は見受けられない。これが大体著しい近代化をやったあとのフランスの一つの報告に出ている例であります。
 それから次に、これを拝見いたしまして、やはり石炭の価格を引き下げたいという意向なんですけれども、この場合やはりかなり技術が問題になってくると思うのです。その場合、たとえばアメリカの例と、日本の例と非常に違うんですけれども、一応アメリカではどういうふうにして大きな点をねらっているかという点、これも御承知かと思いますが、ちょっと簡単に述べさせていただきますと、大体第二次大戦前までは、石炭の価格の中に占めている労力費の割合が、大体六五%から七五%――まあ鉱山によって違うわけですけれども、大体そういう見事だったわけです。それに比して、最近の日本の状態を見ますと、大体五〇%くらいじゃないか。石炭の操炭の原価の中に占める労力費の割合が大体五〇%だとすると、アメリカの戦前よりは日本の方が労務費の割合が少いわけです。それじゃどちらが、どういうことが機械化されていたかというと、アメリカの方がはるかに機械化されているわけです。そうすると一トンの石炭を掘るのに、アメリカの方が機械化されていて、一人がたくさん堀るわけですね。人数は少くてたくさん掘れるのですけれども、労務費の割合は日本の方が少くて、アメリカの方が多い。こういうのは結局低賃金で、日本の方は賃金が非常に安いわけです。そうしますと、青山先生も先ほどお話しになられましたように、かなり技術方面では、やはり技術を進めたいのです。進めたいのですけれども、技術屋が進めようと幾ら思っても、技術屋の考えたけで技術は進まないで、やはり機械を使うよりも安い人間を使った方が得ですとやはり人間を使っていくわけです。そういう点で日本ではよい技術を技術屋さんが進めようと思っても、やはりそういう大きな突っかえ棒があって、結局日本は技術が進んでいかない。多少安い人間を使った方がいい。そういうはっきりした条件がありますものですから、実際生産を上げなくても労務費はあのアメリカなんかよりかえって減っておる。そういう点で安い労務者を使っていこうということは、結局技術が進まない。技術が進まないでいる間に、やはり長い目で見ておると、よその国の方では非常に機械化が進んで、全体の価格がどんどん下っていく。そのために結局太刀打ちができなくなってしまう。そこであわてていっても、技術は進んでいないのですから、結局よその国の技術を取り入れなければいけないのじゃないか。そこでどなたかからもおっしゃられましたように、やはり日本の国に合った技術を日本では使いたいとおっしゃるのですけれども、日本に合った技術が伸びるようになっていない。結局行き詰まってしまったところで、外国の技術を見てよさそうなのを持ってきて、それで何とかしようということになっているのじゃないか。アメリカは最近はどうなっているかと申しますと、一九五三年には大体四〇%から四五%というふうに今の労力費が下っている。これはほとんど機械化のためです。それからさらにまだアメリカは、石炭業をほかの競争産業に比べますと、ほかの産業の方ですと、大体労務者の占める割合が一五から二五%くらいで、そういうことはアメリカではまだ機械化したら単価が下る、その点を目ざして最近はかなりいろいろな面で機械化している。それでただ機械化だけでなしに、使っている材料、いろいろな摩耗しやすい材料なんかも、みんな摩耗しないような材料にかえていく。修繕しないで労務費を下げるように材料を下げている。そういうようなことも考えられているようです。ともかくまだ四〇%−四五%ですから、ほかのよりもっと機械化ができる、もっと機械化していこう、そういう点で日本では機械化するよりも、安い人を使った方が得だ、やはり必ずしも技術を進歩させることが目的で会社をやっているわけではないのですから、やはり賃金が安いとそちらの方が得だから、勢い日本の技術は進まない。そういうことが起ってくるのじゃないか、そういうふうに思います。
 それからもう一つ、いろいろ読んで気づきましたことは、昭和二十四年ごろになって、戦後のいろいろな石炭の増産の要請がかなり達成されたということがやはり記されているのです。しかもこのころまでは、日本はあまり技術が進んでおらないのですけれども、かなり労働者の人が非常に努力をして、そのためにそれが大体主軸になって増産の要請が満足されてきたのじゃないか。まあそれだけじゃないですけれども、非常に努力されてきた。ところが実際にはそういう人たちがストライキ云々ということがこの理由書には書いてあった。そういう方面には特に強調されているわけです。それで結局今の、こうして労働者の方もかなり離職してもらわなければならないということが法案に出ているのですけれども、結局私企業でできない石炭業になってしまって、そしてその犠牲として労働者の人が離職していかなければならない。その場合にそれに対する、労働者の方の犠牲に対する態度が、これを見受けまして、どうもはなはだ私の受ける印象では、人間として正しく扱っているかどうかというような感じまで受けるような印象をこれから受けるわけです。
 それから、もう時間がありませんから簡単に話しますと、標準価格の点も出ているのですけれども、標準価格の点で言いますと、やはり技術の面から見ますと、いろいろほかの面もあるけれども、技術の面だけでも、原単位を出す場合にはかなり幅があるわけです。いろいろな幅で原単位が出せる。なかなかどの原単位をとつたらいいかという点もいろいろ問題があって、そういう項目がかなり多いわけです。そういたしますと、生産費を出す場合にも、生産費自身に非常に大きな幅がある。標準価格をきめる場合にもそういうものがからんでくるのじゃないかと思います。そういう場合に、実際にはそれをほんとうにコントロールする人と、それから会社で実際に携わる人では、やはり実際に携わっている技術屋あるいはその原価計算される方は非常に詳しいのですけれども、コントロールされる方は――そう申し上げたら失礼かわからないのですけれども、そういう方と比べるとやはりそれほどはっきりわかっていない。そうすると、大体二流、三流の人が一流の人をコントロールされるというような形が出てくるのじゃないか。そういうことははなはだまずいので、結局一部の人はかなり有利になるけれども、一部の人は非常に不利になるというようなことも起る可能性があるのじゃないか。結局フランスなんかの例で、それからヨーロッパの例を見てもかなり困っている。近代化して生産は非常に上げたけれども、やはりそれだけが問題でないので、そういうことをしたら解決がつくのかというと、その点では結局解決がついていないのじゃないか。結局氷山の頭をちょっと切ってみたらまた次の問題が出てくるというように、石炭だけの問題でなしにもつと広く根本的に見て問題を取り上げていかないと解決つかないのじゃないか。そういう点考えます。
 どうも御清聴ありがとうございました。
○委員長(吉野信次君) では松根君。
○参考人(松根宗一君) 私、電気事業連合会の専務理事の松根でございます。日本の電気事業の立場からこの法案について意見を申し上げます。
 日本の石炭鉱業の今日の窮状をこのままどうも放置しておくということは、先般来皆様のお話のようになかなか好ましくないところが非常に大きいのじゃないか。従いましてこの石炭鉱業の安定のために何か施策を講ぜられることは必要であると考えるのでありますが、この意味におきまして、今回の政府が提出されました石炭鉱業合理化臨時措置法案、その目的、趣旨につきましては、電気事業者といたしましては、よくその意味を了といたしましてここに賛同いたしますものでございます。ただ大口に石炭を消費しておりまする電気事業者の立場から、この法案がねらっております所期の目的を達成いたしますように、その運用面につきまして希望を三つばかり申し述べさしていただきたいと思います。
 この三つの問題は、一つは、今回の法案によりまして政府の助成を受けますことから統制の問題が非常に強化されてきやしないかという懸念の問題が一つございます。それから第二の問題は、石炭の値段が上りはしないか、これが第二の問題でございます。それからもう一つは、今回の法案のねらいは数量を減すという一つのねらいがあるように思うのであります。この点につきまして電気事業者の希望を申し述べてみたいと思います。
 第一の統制の問題でございますが、今回は生産の数量でありますとか、あるいは売ります値段とかいうものは、大体政府できめます標準によりまして行われることになっておるようでございますが、また価格の変動等に対しましては数量、価格のカルテルの実施ができる、こういう内容になっておるのであります。それで石炭鉱業のほんとうの安定と、さらにそういう意味からの発展を目的としておりますこの法案のほんとうの目的をやはり実施いたしますのには法律だけではいけない。ほんとうに大事なことは石炭鉱業者自身が自立的な立場でその努力と創意を傾けてこの回復をはかるというところが一番私は大事な点ではないかと存ずるのであります。従いましてこの法案の運用に当りましては、業者の自主的な努力を大いに助長し、促進するということに主眼を置いていただきまして、いたずらにこの統制を強化する、そのために業者の自主的な努力とか創意とかいうものがはばまれることがあっては、ほんとうの石炭鉱業の再建がむずかしいのではなかろうか、こういうふうに考えますので、本法案が実施されまして、その運用に当りましては、その点を十分御配慮をお願いしたいと存ずるのでございます。
 第二の問題は、価格、お値段の問題でございますが、御承知のように電気事業自体が今日まで発電所を作りますたびにだんだん高い発電所を作らなければいけない。従って料金が上る。このために毎年のように電気料金値上げの問題でいろいろごめんどうをおかけいたしておりますわけでございますが、電気事業といたしましても、そういつまでも値上げばかりが能ではない。何とか自分たちの力で原価が上って参りますものを、努力して一つその上りますことを吸収して、できるだけこの値上げを防ぎたいというようなねらいで、先般基本的な電力対策というものをわれわれ九社で作りまして、世の中に発表いたしまして御批判を受けておるわけでありますが、このためにここしばらく値上げ等も大部分の会社はやらなくても済むのじゃないかというやや明るい見通しがついて参りつつあるのであります。もちろんこれにつきましては、電源の開発方式であるとか、あるいは開発をだれがやるか、あるいは補償費、金利、税金あるいは積極的な各社間の電力の融通の強化というような、いろいろな問題を今電気事業自体で懸命にやっておる次第でございます。この中には電力のやはり大きなコストを占めまする火力発電の原価の約三分の二を石炭というものは占めておるのでございますが、この石炭価格の今後の動きが従いまして非常に大きな影響を、われわれが今料金を安定させようとしておる目先に影響を持ちますことから実は非常な関心をこの問題について持っておりますわけであります。この法案によりますと、三十四年には大体二割単価が下るという計算になっておりまして、もちろん現在の単価はいわば不安定な料金で、ことによりますとこれが反騰する可能性もないとは言えないのでございます。この計画的に縦坑その他のことによりまして二〇%単価が下るということにつきましては、どうかぜひ実行、実現いたしますようにわれわれとしては願っておる次第でございます。
 なお、第三の問題は、この数量の問題でございますが、三十四年度の石炭、電力に充てた数量というものをちょっと私ども拝見したのでありますが、実は電力に使います石炭の数量というものは、豊渇水で非常に差がございまして、百数十万トンの差が生ずるのでございます。従いまして、この平水年におきましては割合に石炭を使わない。渇水になりますと非常に石炭を使うという、実は石炭業者から見られますと厄介な事情が生ずるのであります。これらにつきましては、電力会社も常に石炭業者と話し合いまして、あるいは貯炭をいたしますとか、あるいは一種の前貸と申しますか、石炭の顔を見ておりませんが金を渡すというようなことで、できるだけ数量的な動きを相互で解決するように今までもやっております。ただ最近割合に水が多かったために、予定より石炭を使わないということから、今度の計画書にもやや少なめに数量は見込んでございますのですが、最近の例では、ちょうど電力の再編成をいたしました二十六年に非常な渇水がありまして、石炭は暴騰いたしまして、外国炭を輸入しなければいかぬというような大混乱のもとに緊急停電その他によりまして大へん御迷惑をおかけしたのであります。こういう点も、私どもは数量内にもそういう場合には重油の特別な輸入をさしていただくとか何とかそういうふうな特別の御配慮をお願いしたいと存じます。
 簡単でございますが。
○委員長(吉野信次君) まだ午前中の参考人の方に対する質問も残っているようですが、この際一つ……。
○小松正雄君 私は休憩前に引き続いて、午前中におられました参考人の方にいま少し御質問をしてみたいと、かように存ずるのであります。先にも阿部委員長にお伺いをしておったことでありますが、委員長は、まず縦坑の堀さく、機械の近代化においてまあ鉱業に従事されている方々、要するに私どもの同僚である鉱業職員はそう多くの整理に合うようなことはなかろう、こう言われたのに、事業家の代表である会長は、機械が近代化され、縦坑が掘さくされ、五カ年目にこれが完成するということになると、ある程度の人員は過剰になってくるだろう、かように言われた。われわれ考えまするときに非常にそこに開きがある、そのことについてもう一ぺんただしておきたいと思うのは、あなたは御回答の中で、減らないということを前提として、減ろうとすることについて、縦坑の掘さくがされて何が効果があるかということは、斜坑の長い手間も千五百間もある坑道、坑内から仕事場につくまでの間に、たとえば二時間もかかるものが縦坑の掘さくがあるためにその手前で降ろされてしまう、そのことによって時間の短縮が一時間くらいはあるかも知れないというようなまあお考えのお話でございましたが、私のこの考え方からいたしますと、あなたの考え方と相当反対な考え方をするわけです。そこでそうなりますと、われわれの同僚が大手に――先も申し上げましたように、たとえば三十万ありとするならば、三分の一くらいは大よそこの五カ年の後には解雇されるようなことになってくるのではないかということを憂えるときに、あなたに私はここではっきり申し上げておきますことは、少くともその代表的なあなたとしては、今日のこの公聴会で、この鉱業法案によって、五カ年後には労働者が幾らくらい解雇の対象になるだろうとすれば、それらを完全に転換とかいうふうなことになさしてもらいたいという意味合いをかねて、今後の縦坑掘さくに伴って出てくるこの解雇にあおうとする同僚は、今よりももっと深刻であり、もっと多数に上るということを私は考えておられるのではないかと思っておったのに、あなたはそういうふうに考えない、こうおっしゃるから、ここでは一つの例をあげて、私はあなたにまた御検討を願っておきたい、かようにまあ考えるわけであります。と申しますのは、たとえば機械が近代化されて、縦坑が掘さくされても人員がそう過剰にならないというお考えの半面に、私はこういうことを考える。たとえば今から二十年、二十五年前は水選機械というものがなくて、石炭を万石にかけて、それが選炭機にかかって、婦人の方あるいは男子の方を――少くとも石炭三千万トンくらいの炭鉱に百人くらいの選炭夫というものを置いておったが、これらが機械の近代化によって、要するに水選機というものができたため、坑内で巻き上ってきた石炭は、棧橋を通ってダルマ機で回されたらそのままポケットの中に入ったやつが、ベルトでもってそのまま水選機の中に入っていくようになったため、その三千万トンくらい送っていた小さい炭鉱ならば百人、百五十人くらいおったのが、現在はわずかにスイッチに当る人だけで何千トン、何万トンという石炭の水選をやっている。こういう一つの例から考えましても、この機械が近代化され、縦坑が掘さくされて――縦坑というものが掘さくされると、今度は石炭の巻き上げの量、巻き上げの時間、巻き上げの短縮ということになり、非常に人が要らなくなる。たとえば乗回坑夫でもって乗り回す場合、斤盤掉取夫があり、それにつながる坑内車夫がいる。こういう者も縦坑から上ってくればそのまま選炭機の方に送られるということだけでも相当な人員が減る。同時にまた斜坑を何千間というか、あるいは五百間でも千間でもいいですが、坑道的にも維持するために修理をしている。それがためにそれに従事しているわれわれの同僚というものは相当多数いるわけです。縦坑が掘さくされると、そういう旧坑道というものは一応要らなくなり、それらに従事している者だけでも解雇の対象におよそなると思う。そういうことでもって漸次またこの縦坑堀さくとともに、新らしい坑道に移るということから考えますと、私は非常にこの縦坑の掘さくについて、われわれ同僚が五カ年後には大きな犠牲になるだろう、かように私は考えておったのでございます。ところがあなたは対象にはしてもそう大したことではなかろうという考え方であるからして、私はここで申し上げていることは、そういう意味合いにおいて、少くともこの解雇の対象になることを自覚されて、あなたは少くともわれわれの業者の一応選んだ代表としての会長である限りは、大手においてはそれは今のところでは安心感があるかもしれません。しかしながら今一例あげて申し上げましたように、そういう観点からいたしましても相当数の人間が解雇される、解雇されるということを前提とするならば、少くとも今からこの労働対策ということについて基本的にお考えを直されて、一つ政府に、またわれわれにも何年たったらどれだけ減るというようなこともわかってくると思いますから、一つまあその地位に立たれるあなたとしては特に今から、首切りの中小炭鉱の例で何万かの人間が減るということ、また心配の中に、そういう機械が近代化されていくことについての大量の犠牲者が出るということについて、特に労働対策の面に一段の努力をしていただきたい。というのは、私も社会党であり、私も鉱員の一員として今日のし上って皆さんから出さしてもらったのですから、そういう意味合いにおいて申し上げておきたいと思います。
 なお続いて齋藤さんにお伺いいたしますが……。
○参考人(阿部竹松君) ただいまの小松先生からいろいろと私の発言に結論づけられて御忠告もあったわけですが、冒頭陳述の私の考え方というものが議事録に載っておるのがあります。それをもしできれば読んでいただきたいわけですが、私の申し上げたのは、縦坑というものだけでは機械化と称するものではない。従って採炭の採掘機械とか掘進の機械、こういうものこそが――たとえば今までシャベルで石炭をすくって取ったものを機械の力でやる、ピッケルとかハンマーで掘っておったものも機械の力でやる、これをほんとうの採炭機械というのであって、単に縦坑というのだけでは、とにかく坑道を、三キロあったのが一キロになる場合もある。二キロが千五百メートルになる場合もある。従って今まで拘束八時間で八時間の中で六時間稼働しておった。それが縦坑の開さくによって一時間就労時間が延びたという場合には、今までの六時間で十二トン掘っておったということになりますと、一時間増すのですから二トンふえることになります。従って坑内採掘機械が新しくできれば別問題ですが、単なる縦坑の開さくというだけでは――一時間短縮すれば二トン増すから十三トンも十五トンにもなるという、そういうような観点から政府の見通しとして十九トンと断定づけられているのはまことにけしからぬという話を申し上げたわけでございまして、労働者のどうなるかということについては、私は参考人というよりも当事者として小松先生同様全く心痛しておるわけです。現在でもすでに六万人も八万人も失業者が出て、娘や家内を売ってかせがせなきゃならぬという事態のときにおいて、この合理化法案が通過した場合には、労働者をどこに収容するかということには一切触れておらないわけです。私は鳩山総理大臣と西田労働大臣に会ったときも、この点について触れました。鳩山総理大臣の前で話をしたのですから、西田労働大臣も若干興奮して明確な回答に触れなかったわけですが、私のこいねがわんとするところは、もちろんこの日本で使用するエネルギーが石炭を必要としなくなって、全部三十万の炭鉱労働者は要らぬというようになってもけっこうであります。従って現在では毎年々々八百人ほどのもう足をあるいは手をなくした人間がどんどん出てくる。そのうちに百六十人も家族を残して死んでいく人がたくさんあるわけです。ですから私は炭鉱労働者が三十万人要らぬ、全部原子を使ったり重油でよろしいということになってもけっこうであります。しからば三十万人の労働者をどうしてくれるかというのが私の言いたいところであります。先生方の意見の中にも、今まで公述人の意見も種々聞きました。従って私の賛成する意見もたくさんあります。しかし一体失業者をどうするということに触れていただいたのは一人もおらぬわけです。たまたま千葉工大の先生ですか、私心の中で涙を流して聞いておったのですが、ほんとうにわれわれ労働者をどうしてくれるのだ、それさえ解決すれば私は何も反対しません。しかし現在の段階で、こういう状態の中で再び失業者を出すというのは労働大臣は大丈夫だと言っておりますが、現在ですら大丈夫じゃない。これまた三万人も四万人もどうしても大丈夫であるかというのは、われわれ労働者として心配するのは当然だと思います。一月から二月にかけて九州地区にあります平田山、岩屋、筑紫、中島でも次から次と炭鉱がつぶれて生活の状態は食うものもない。もう東京市民とかあるいは日本全国の市民諸公から一握りの米とか、一点の衣類、なけなしの財布をはたいて資金カンパをして集めた金によって救われた。しかし吉田さんが内閣総理大臣だったときも、あるいは鳩山さんの内閣総理大臣のときも何らそういうような手を一つも打ってくれない。しかし私がこういうことを言ってもどうにもならぬかもしれませんけれども、そういうような事態の中に再び合理化、合理化けっこうであります。しかし、合理化けっこうであるけれども、そこにまた四万人も五万入も失業者が出てどうなるかということについては、私は訥弁で理解がいきかねるかもわかりませんけれども、小松先生にこういう一つ誤解のないように御理解願いたいのであります。
○小松正雄君 私はあなたと同感である。あなたに私はこうしつこく、というと誤弊があるかもしれませんが、機械が近代化される上において、この人員の減るということをあなたに考えておってもらいたい。これはもらいたいということは、あなたも考えておられるだろうと思いますが、まず縦坑が押堀さくされてのことから来て、ただ時間が短縮されるだけだというように私は伺うわけですが、そうすると、私はそうでなくて今例を申し上げましたように、この縦坑でなくて斜坑から巻き上げる。三百馬力の巻上機として一日どれだけの量を巻き上げたかというと、回数の点から少量である。縦坑がここに堀さくされる回数が多いので石炭が多量に巻き上げられるということを考えますと、必ずしも坑内の中にも資本家として政府の資金を仰ぎ、自己資金を仰いであらゆる角度から切羽の機械の近代化をするのだろうということを考えるだろうという一つの例をとって申しましたので、先般高松鉱に私吉田先輩とともにあの坑内の中に下ったときがある。一番上の薄層が一尺しかない。一尺ばかりしかない薄層のところを掘って今一分間に二トンという炭が出ておる。機械化のところも見ましたのですが、その一尺ばかりしかない薄層の炭は大よそ本社では掘らぬのではないですかということを私が問いましたときに、その社長のいわく、それこそ全くあなた方の考え方は違うのだ。これは機械を近代化するという一つの例になりますが、その一尺ぐらいの炭層をどうして掘るか、私も寝て掘るかどうかということを考えたわけです。ところがこれにコール・カッター機で一方では堀っていく。その次の羽根はかき出すというようなことで、ちょうどかんなをかけて堀る機械ができているのだ。これが一番条件もいいし坑木もいらないで収益が上る、こういうことを聞かされておりますから、必ず縦坑を振れば、ここに能率的に石炭の運搬というものが、斜坑でない限り、異常な能率が上ってくる。その能率を上げることを前提としている以上は、必ず坑内の切羽にもそういう大きな考え方で機械化されるということになりますと人員が減ってくる。これはなるべく言いたくなかったのですが、今委員長がそうおっしゃられるから、杞憂ということは私もあなたも同じである、けれども現実にそういうことを見せられて、現実にそういうことはあり得るから、斜坑で巻き上げた能率と縦坑で巻き上げる能率というのは非常に時間的にも大量に巻き上げる力が出てくる。そうするとそこからおろされる新坑道にも大よそ、少くとも三メートルぐらいのベルトコンベアーで最後に巻き上げてくる。かようなことを考えてくる。いろいろなことを考えますと、現実の問題として猶予ならないというような気がしてならないわけです。そこであなたにはまあ気持の上において私の言ったことがどういうふうに感じられたかしりませんけれども、結論的には、あなたも私も同じ考えであるけれども、私はそういうことを実態を把握してきた関係からしまして、必ずこういうことをやると言う。だからお互いの間に不統一行動ということも出てきちゃいかぬということもあるかと思いますが、そういう意味で私の言ったことについて悪く解されれば仕方がありませんけれども、結論的にも同じでありますから、そういうことを意図を一つおくみ取り願って、機械化五カ年のうちのまずもって二年目でありましょうか、どうでもこうでも国のためである、労働者一人も要らぬということが一番いいと思います。しかしお互いに人である限りは食わずにできないのだから、これを一つ政府の力に待って、そのかわりにどうするかということだけでもお互いに考えていなければならない。これは考えておりましょうけれども、あなたもそのことについて触れられなかったから、私はその点について、あなたに注意でなくして、あなたにお願いをしておきたい、こういうことであるわけです。
○参考人(阿部竹松君) それはさいぜん申し上げましたことはあれですよ。ただ十九トンという最終目標を立てておりますから、十九トンにならなかった場合には、政府がこれこれコストが下りますよということは、そろばんが合わなくなってくるわけですね。ですから私はその政府の言う通り十九トンになってコストが下るという点について触れたのであって、縦坑がこうなれば、当然できればこれは坑内の設備が全部変ってくるのですから、当然人間の淘汰は、今まで三マイルの道を五十人で掘ったやつが縦坑一本によって三十人になる。縦坑によって坑内外の運搬施設は全部変ってくるということは明確な事実であります。
○小松正雄君 次に齋藤副委員長にお尋ねいたしますが、今度この法案によって首切りが出るということでありましたが、むろん私もそう考えております。しかしながら現実の問題として、この法案が一応通過することによって、お互い勤労者の同僚で幾分かでもしのぎよくなっていくところでもあるということのお考えがあるかないか。まあ言葉少く申し上げまするならば、この法案というものはいわゆる一応すべきじゃない、お互い労働者のためにすべきじゃない、中小炭鉱の立場からもすべきじゃない、かように考えられておるのか。あるいはこの法案について、これこれこれだけのことが備われば必要であるということであるか。その点についてちょっとお尋ねいたします。
○参考人(齋藤茂夫君) 午前中に私の参考人としての供述の中で申し上げたつもりでありますが、二十日の衆議院の商工委員会の中では、明確にわれわれは政府案について反対を申し上げました。十項目ばかり反対意見を申し上げたわけであります。しかしながら今日の状態では、衆議院も通過をいたしまして参議院に送付されまして、一応参議院の審議状態、あるいは午前中にも申し上げましたが、政党政治の立場からいきまして、参議院の決定の方向も衆議院の方向と大きな食い違いはないというような判断を私はしておるわけであります。で、現実的にこの政府の法案につきまして、われわれは反対ではありますけれども、しからば現実的に少くとも中小炭鉱の中で、今つぶれる、あるいは買い上げされるというものに該当するであろうというふうに思われる炭鉱もあるわけであります。従ってこの法案は、われわれが反対しようとも賛成しようとも、この法案の通過ということは、今日の状態では必至の状態が今の情勢判断、誤まりではないのではないか。だとするなら、やはり私はここで少くともこの法案によって、このままわれわれの意向が伝わらないままにこの法案が通過したとすれば、その中にありまする中小炭鉱の労働者諸君が、非常にこの法案だけでは、賃金の未払い、あるいは退職金の問題、あるいは失業した場合の将来の固定化した職業の問題、こういう問題について、けさほどいろいろ公述を申し上げましたように、何らの具体策がない。こういう現状の段階におきまして、参議院でこの法案がよろしいという状態の場合に、あくまでもやはりわれわれ労働者の考え方、救済というものを十二分に法案の中で織り込んでもらわなければ、われわれとしては困る。これは理屈や何かでなくて、現実的にそういう立場におる者をいかにして救済するのかという現実的な問題の上から考えまして、私はけさ五点に対しまして自分の意見を率直に申し上げました。この中で特に失業対策の問題と、これに関連いたしまする賃金の未払い、あるいは退職手当の問題、そういう問題について私は率直に申し上げたつもりであります。従って私はこの法案については反対ではありますけれども、しかし現実的にこの法案が生かされてくるという状態の上に立って、やはりわれわれはそういう対象になる中小の炭鉱労働者であるという現実的な問題をわれわれは等閑に付することはできない、こういうふうに私は思いまするので、先ほど申し上げましたような意見を申し上げたつもりであります。
○小松正雄君 それから全国鉱業市町村連合会の副会長鈴木村長にお伺いいたしますが、あなたはこの法案について、劈頭、反対をする、こういうことを言われて、そしてその後その理由はこれこれであるということを御陳述なさいましたが、実際問題として、この鉱業法案があなたの知る全国の鉱業市町村のところで、あなたのおっしゃるようにこの鉱業法案に反対である、しかし反対である理由はこうであるということを一応言われたことについては、代表的なあなたでありまするからして、私は何にも疑うわけではありませんが、現実の問題として、この法案がかりに通過しなかったとした場合に、ただいまあなたのこの連合会の中で、中小炭鉱、弱小炭鉱いろいろあろうかと考えますが、そのある中で、果してりっぱに、住民税、固定資産税あり、その他の所得に関する税金あり、納まっておるか、あるいはまた納まらずにどれくらいの滞納があるか、これを一つお聞かせ願いたいと思います。
○参考人(鈴木榮一君) これは議事録を見てもらえばわかるのでありますが、先ほど私は炭鉱関係の市町村長として、これから述べるところの六点について完全なる処置を講ぜられない限り、該法案には賛成しがたいものでありますという意味でありまして、法案があった方がいいかどうか、この合理化という問題に対しましては、私は合理化に対して反対するゆえんではないのであります。さらにまた私が、私は今そういう質問を受けるということ、私は参考人だから受けることもやむを得ないのだと思いまするが、私もちょっと変にも考えておるのであります。私らの考えから申し上げれば、これは市町村長の立場から私申し上げるのでありまするが、私はこの合理化法案などというようななまぬるいものでなくして、実際その戦争に勝ち抜くことも――まあ今戦争の話を申し上げるということはこれは問題にならぬかもしれませんが、戦争に勝ち抜くことも、敗戦後におけるところの日本の経済の復興の原動力も石炭である、日本の再建は石炭でなければならないというところの国策をもちまして、国家管理まで断行されたのであります。そういう関係上から、これは実際にわれわれが学校を一むね建てるとしても、この学校を建てるところの財源というものはまことに容易でないのであります。しかるに炭鉱は基幹産業であり、重要産業である、これが国策であるというような関係から、激賞されたというか、推奨されたというか、そういう状態であったのでありまして、われわれもあらゆる機会において、でき得る限りのこの国策に協力をして参ったのであります。ところがやはりわれわれが学校を作るに対してもそういう苦心もしなければならない。しかしながら石炭産業はこれが基幹産業であるというような関係上、復金、いろいろな関係から融資を受けて、そして炭住を作られまして、常磐のような低品位であり、実際に困るところに、国策の関係上から坑口をつけられまして、そうしてこれが自然廃坑になるような政策を立てられまして、実際苦しんでおるものはわれわれ市町村長なんであります。むしろこれは合理化法案などというような消極的なる方法でなくして、国策の跡始末の問題でありまするから、もっと強力な――それでは鈴木村長の言うことは非常に偏見的な狭い意見であると申されるかもしれませんが、われわれ町村長の今日悩んでおる状態から考えまするときは、やはりそういう強力な立法処置によって、この炭鉱関係の鉱員の最低生活を保障してほしいということを私はお願いしたいのであります。
 それで私の村の、私はほかの状態はよくわかりませんから、これはあまり申しあげません。またそれに対して、それほどまで拡大して代表者といえども申し上げる筋合いのものでないから申し上げないのでありますが、私の村は昭和十年におきましては一万三千人の人口であったのであります。それが昭和十六年におきましては一万八千人に近いところの人口になっておる。石炭産業の最もはなやかな時代におきまして二万三千人の人口になっておるのであります。財源一切の面は、先ほど申し上げました通りに、これはほんとうに激減の現象なんであります。しかしながらこの支出の規模におきましては、これはますますふえるとも、減るようなことはないのであります。さらに人口の面におきましても、これは一つも減っていないのであります。さような関係より考えまして、これは実際に私の方の関係におきましては、小さな炭鉱はたくさんあったのでありまするが、配炭公団の廃止とともに、力のないものは倒れてしまった。その後に残っておる炭鉱におきましても、本年の六月において、これは優秀なる力の炭鉱でありますが、廃山を宣告されて、これも労働組合において受諾した、労使ともに一致点を見出して廃山となったというような状態であります。さらにまた今休山状態にある炭鉱もあるのであります。しかしそういうような状態の点を考えまするときに、やはりこの歳入の方においては相当なる減収をしておる。支出の面におきましては、これらの失業対策の問題、さらに緊急失対公共事業の問題、さらにこの人身売買をされるというところの社会問題、まあ貧困者の対策なんと言っては悪いのでありますが、そういう面の社会問題の対策費、そういうような方面も私の村の予算は大体五千万円でありますが、そういうような状態におきまして、昭和二十九年度においてその失業対策村費負担の関係と、さらにこの社会対策の問題を加えれば、約一千万円になんなんとしておるような状態にまで行っておるのでありまして、これらの関係の問題は、実際に国管の跡始末のためにわれわれ町村長がこういうような苦労をしなければならぬのだというようなことを考えまするときに、もっと強いところの立法処置によってお願いしたいというのが実際私の本心なんでありますけれども、そういう状態であります。
 さらにまた、この鉱害の問題でありまするが、これは戦争中におきましても、戦後におきましても、ズリ山の対策等を全然考えずに石炭を濫掘された。そのことがもちろん河床を浅くするばかりでなく、実際の美田をとにかく荒しているというような状態で、われわれは相当に苦しでおるのでありまして、私はこの法案に対しまして、正面から賛成するとは申し上げませんが、実際われわれの困っているところのこの市町村の財政の問題、これは行政費の問題でありまして、これらの跡始末に苦労しているから、この問題について考えてほしい六項目を申し上げたのであります。
 現在、以上のような状態でありまして、私らがほんとうに毎日、日夜苦しんでおる状態から申し上げるならば、こういう消極的な立法処置でなくして、最も適切なるところの、国管を断行したところの跡始末でありまするがゆえに、やはりもっと強い立法処置をもって私はお願いしたいと考えておる次第であります。
○小松正雄君 村長のおっしゃられることについては、私もまあ同感でありますが、私の申し上げておることは、この法案が通過するせぬにかかわらず、これが通過をせぬで、現実の問題として、あなたの方のところの、まあ住民税とか、あるいは固定資産税とか、そういったものが滞納なく納まっておるかということが一つと、それからまたこのまま存続していく、存続ということは、こういう対象のものが何もないで、政府から何か変った形のもので、あなたのおっしゃるように私も同感であって、もう少しそういう跡始末をするという形で、救済するという形に立ってなら、方法を変えたことで法案を出せということにもなりましょうが、そうでなくて、今日の現段階で鉱業地帯の市町村はどれだけ苦しんでおるのかということは、私もよくわかっておるわけなんです。そういう意味において、あなたの村の中で、この鉱業法案に関連せずに、現実の問題として住民税、働く者の住民税、あるいはまた機械に関するその他の固定資産税、炭住等の資産税とか、そういったものが遅延なくあなたの村には納まっておるか、これをお問い申し上げておるわけです。
○参考人(鈴木榮一君) それはただいま休山状態になっておる炭鉱でありまするが、その関係において、鉱産税一切の税金を含めまして、これは二年ほどたまっておる。まあ従業員が百人ばかりの炭鉱でありまして、家族人員を合せれば四百人というような規模のものでありまするが、大体百五十万、税がかかっておるのであります。それ以外の炭鉱は、やはり多少おくれることはありまするけれども、現在の状態におきましては、やはり村民としての義務を完了をしておるわけであります。これは私の村だけの実情であります。
○小松正雄君 私は、かようにお問いしておることは、この鉱業法案に関して、まだ実際問題として強い心がまえを持って当局に対する質問をやっていないわけなんです。そこであなたの御意見を入れて、通る通らんは別として、私どもは必死になってこれから当局に迫ろう、まあかように考えておるわけなんです。
 そこで局長に一言最後に申し上げておきたいと思います。それはこの鉱業法案が提出せられてきたことについて、今この協会の会長さんやらあるいはまた阿部委員長にもお話し申し上げましたように、少くともこの縦坑掘さくの近代化に必要な資金というものは、国がある程度部分的には補助もし、ある程度の金融をやっている限りにおいて、この一番憂えておるわれわれの同僚である鉱業職員が相当数、先ほど申し上げますように解職の対象になる、首切りの対象になると私考えておりますから、これに関連して今年からでも、これはまああなたにそういうことを問うというのはどうかしれませんが、まああなたには一つ石炭局長としての責任もあると思いますので、これは追って大臣にもはっきり明確に私はしてもらうつもりでありますが、その前にあなたにもその心がまえにおいて申し上げておきたい。そういうことで国の施策であり、国の融資をし、またあるいは国民の血税、税の対象であるものまでもある程度補助をしてでも貫こう、単価を引き下げるために貫こうとするあり方については、これのしわ寄せによって勤労大衆の首切りが相当出てくるということは、これはもう間違いがないのです。この対策の一環として、この法律の完成までの間に、関連的に予算の裏づけをして、そうしてしてもらいたいということを一言ここに付しておきます。
○海野三朗君 今のに関連して一つ。鈴木さんにお伺いしますが、もっと強力なる施策が必要であるというお話でありますが、その強力なる施策のあなたの御構想をちょっと承わりたい。どういうふうなのが強力な施策でありますか。
○参考人(鈴木榮一君) それは私はただ過去の事実から考えまして、実際においてこれは炭住の場合を申し上げるならば、われわれは先ほど申し上げたように、学校一つ作るといっても容易な問題でない。それを復金からどんどん金をとにかく融資を受けて炭住を作って集団的にやる。しかし日本人で一番困るところの問題は、いかにして生きるかという問題であると私は思うのであります。その中の一つの問題は住宅問題であります。で、炭鉱が廃山になり、閉山になったとしても、この労働者は好間村よりほかに転住することはできないのであります。そういう関係より考えまして、実際屋根から雨が漏る、漏ればむしろを上げる、五枚も六枚も、最後は重さのために上から落ちるまで……。やはりそこにいなければならぬというようないろいろな状態から考えてみまするときに、ここで私の構想はどうだといっても、私一村長でありまするから、これは申し上げてみたところでどうにもなりません。しかしとにかく国の強力なる立法措置によってこの問題を一時は解決をつけるということは、これは敗戦という冷厳なる事実のためにそうであると言われれば別でありますが、やはり国におきましても、現在やはり通産省におられるところの各位も、この石炭のためにはあらゆる叱咤鞭撻をした人がたくさんおると思うのであります。そういう点から考えましても、今日この問題を考えるときに、われわれはとにかく公務員だからそれまでだと言われればそれまでの話でありますが、私はそれ以上申し上げる必要はないと思うのでありまして、私にどういう施策を持っている、どういう構想を持っているといったところで、これは問題になりません。私の願うところは、やはり国策の跡始末であり、国管まで断行したところの常磐地区の低品位の炭鉱に坑口をあけさして、これが国家に奉公する唯一の道であるとして指導さしたのであります。またわれわれ市町村長はあらゆる機会においてこれに協力して参ったのでありますが、そのために今われわれが苦しまなければならぬ状態になっておるのでありまして、これは私のやはり一個人の考えでありまするが、どうしてもやはり強力なる立法措置によって私は一時は解決を願いたいというように考えております。これ以上はどうこう申し上げられません。
○海野三朗君 ただいま私がお伺いいたしたいと申しましたのは、何かそこに強力なる立法とおっしゃいましたから、何かいい思いつきでもおありになれば、私どもがもってこれを参考とし、われわれの知識も補っていただきたい、そういう考えから今お伺いいたしたのです。そこで強力なる立法措置とおっしゃいましたのは、たとえばどういうことをお考えになっていらっしゃるかという御高見をお伺いいたしたわけでありまして、今直ちにどうこうという問題じゃありませんけれども、私どもの無能なるところを補っていただきたいという見地から実は鈴木さんにお伺いいたしたのであります。
○参考人(鈴木榮一君) だから、それに対してはやはり構想はどうだといえば、国家管理というようなことも申し上げれば上げられるだろうと思うのでありますが、そんなことをいっても何だと思いますが、われわれ町村長の立場からいえば、これはいずれの町村長も悩んでいる問題であるのであります。特に炭鉱関係の市町村長の悩んでおる問題は、地方財政の再建ということに対しましてぜひとも急速なる措置をお願いいたしたいと考える次第であります。
○白川一雄君 岡村さんにお尋ねいたしたいのでございますが、石炭が日本の重要産業として現在行き詰っておるのを何とか切り抜ける方法をしなければならぬということは当然だと思いますけれども、日本の産業全体を石炭というパイプだけからのぞいて日本の経済を論ずることはできないというまた一面があると思うのです。最近重油が問題になっておりますが、製鉄関係で重油を使えば石炭を使うよりはうんとコストが安くつくということになりますと、輸出貿易等から考えましてこの重油規制もおのずから限度があるのじゃないかという考えに立ってお尋ねいたしたいのですが、製鉄の方面でも重油をお使いになりますと、銑鉄でどのくらいの石炭の場合とコストの開きがあるかということを参考のために承わりたい。
○参考人(岡村武君) ただいまのお尋ねに対しましてお答えを申し上げます。お説のごとく重油を鉄鋼業に使用いたしますることは、そのコストを顕著に引き下げるのみならず、品質を優良化いたしまする上において大いに貢献をいたすのであります。従って輸出貿易におきまして、先ほど申し上げましたるごとく、二億ドル以上の大輸出を敢行することができましたゆえんも一にかかってかような点に存するのではないかと思うのでありますが、しからばこれによっていかようにコストが下ったかということになりますと、これは設備の関係で一がいには申し上げられませんが、銑鉄の生産の場合には重油は実は用いませんのであります。重油を最もたくさん用いますのは平炉で製鋼いたしまする際でございます。大体年間に鉄鋼業といたしましては重油を百万キロリッター程度を用いまするが、その六割に相当する六十万キロリッターは平炉の製鋼用として用いられるものであります。そういたしまするとこの平炉の作業がきわめてコントロールが容易になります。御承知の通り最近は計器が非常に発達いたしておりますので、計器によって非常に完全なコントロールができるのでありますが、これが石炭ガスを用いますとさようなわけに相ならぬのでございます。のみならず製品が均質に相なりまして、コストの面において、これは一有力メーカーの計算でございまするが、石炭を使いまする場合に比較をいたしますると、良塊、良塊と申しまするのは、優秀な鉱塊の意味でございますが、良塊一トン当り大体二千五百円くらいのコスト・ダウンが見込まれるというような次第でございます。残り四十万キロリッターはその他に用いられるのでございますが、これは加熱用が一番多うございます。これらのものは間接的なものに相なるのでございますので、金額でどのくらいになるかということは、計算はなかなかむずかしくなります。平炉の際には割合に簡単に出てきますが、大体二千五百円くらいのコスト・ダウンが見込まれる次第でございます。
○白川一雄君 石井参考人に伺いたいんですが、金融機関の方からごらんになりまして、石炭の方の経理関係を見ますと、追加投資というものを経費と見ないで、資金のうちに入れておるということはちょっとこれは無理でないだろうか。坑内の実情から見ましても、まあ機械工業でいえば一種の潤滑油のような事柄であって、追加投資としてこれを資金に入れることは、現在困っておる炭鉱としてかなりな負担であり、また発展をしようとする場合にこれが非常に支障になるんじゃないかという点を、現在の大手の方の例を引きますと、赤字融資、資材費の異常未払い、炭住融資というようないわば戦争中からのものの焦げつきというような性質のものをどんどん支払っていかなければならぬという関係にあって、二十九年度におきましては開発銀行が貸し出す金よりも、払っていかなければならない金の方がずっと多いというような事柄のまま続けていきますというと、今度合理化で資金を出しても、午前中参考人の方も御意見があったように、結局合理化資金が金融機関に入ってゆくということだけに陥って、事業そのものがちっとも合理化のレールに乗らないんじゃないかとわれわれは心配をする点があるのでございますが、こういう点についての金融機関から見られた御意見を承わりたいと思います。
○参考人(石井一郎君) 今の前段の御質問でございますが、追加投資でございますか、どういう……。
○白川一雄君 坑内の坑道を広げたり、機械設備を、どんどん切羽をふやしてゆくために、増設するというようなのを全部経費に見ないで、全部資本の方に見ていくのですか。
○参考人(石井一郎君) 経費に見ないで、固定資産に見ていく……。
○白川一雄君 損失金と見ないで資本に支出になっていくかということですが。
○参考人(石井一郎君) それはやはり会計学からいきまして、消耗品でないものについてそれを一つの資産勘定で見るというのは、そういう措置はやむを得ないのじゃないかと思うのですが。
○白川一雄君 それは現在操業しておるものを維持するために必要な資金であるので、これは損失に計上されるべきものでないかと、この会計学上の取扱いのことについては詳しく存じないのでありますけれども、実際坑内の実情を見てみますというと、この操業を維持するためにかけなければいかぬ設備というものは追加投資と言われておりますが、これは損失金に算入されるべものであって、資本支出と見るべきものじゃないのじゃないかという感じがいたしまして、通産当局の方には大蔵省にそういう線で交渉してもらいたい希望を言っておるわけです。
○参考人(石井一郎君) それは税法の問題になると思います。普通考えまして、企業を維持するために必要な資本といいますか、企業維持のために必要なる整備資金、そういうものは私は当然経費処理としていいと思います。ただそれがその年度だけで消耗されるものでない限りにおいては、やはり一つの投資勘定になると思います。
 それから第二段のお尋ねでございますけれども、それにつきましては私も先ほどの公述において申し上げましたように、今後相当の合理化資金を必要とする、しかし現在においてすでに多額の借入金を擁しておる。たとえば財政資金という言葉を使いましたけれども、今のお話の開銀あたりに対しまして、過去のものを返すものでも六十億から七十億程度、従って新しい資金計画として六、七十億のものを借り出すという計画になっておりますと、そういうことでは不満足ではないかというような趣旨で申し上げたのであります。つまりそういう資金の手当がなお必要ではないかということを申し上げたのです。全く同感でございます。
○白川一雄君 鈴木さんにお尋ねいたしたいのですが、私先般この委員会から派遣されまして、博多で公聴会がありまして出席いたしたのでありますが、そこに炭鉱の密集地帯の二人の市長さんがお見えになりまして、いろいろ希望、要請を受けましたが、この法案に賛成して、早く処置をしてもらいたいという希望を述べられたのでありますが、われわれにしましてもこの法案に非常にあきたらぬものがありますし、かりにこれが通過したとしましても、合理化の出発のラインに乗ったというだけで、今後の施策が今までの何倍の努力をしなければならぬものだと思っておるわけなんであります。失業者の生ずるということにつきましても、この中に金銭的給与で労務対策のような規定がありますけれども、現在の物価状態から見ますと、ごく短期間でもとのもくあみになってしまうということは明らかなことで、やはり人間である限り働く場所を与えるというところの労務対策というものがつけ加わらなければならぬと、こう思っておるわけなんであります。先ほどお話がありましたように、なるほどこれは国策としてやっていると、こういうことになっておりますが、事実はやはり大きな当面の救済ということがつけ加わっていくべきじゃないか。現在の中小炭鉱の窮状は目をおおうようなものがあるので、特にこの間の市長さんの御意見によりますと、失業対策で小さい市でありながら二千万円出している。生活保護の予算も四千万円出している。ただでさえ困難な地方財政に、炭鉱が密集しているというだけにつけ加わった特殊な苦労があり、一方入るべき税金も入らない。こういう窮状や訴えて一日も早く、法には不満足な点が多々あるけれども、給料の支払いの方もこの法案に書いてあるだけでも早く通してもらいたいという切実な声があったのです。ただいまの鈴木さんのお話を承われば、根本的対策が立たない限りは、この法案に反対だということで、非常に切実に訴えている市長さんたちと副会長の鈴木さんの意見との間に非常に食い違いがあるように私は感ずるのであります。われわれかりにこの法案が通るといたしましても、地方財政のその困っている事柄を、何らかの形で政府へ訴えていかなければいかぬというよりより相談もし意気込んでもいるときに、全然反対の御意見を承わるとちょっと迷ってしまう、その点いかがなんですか。
○参考人(鈴木榮一君) その点は、私はむしろこの六項目の重大問題を措置してもらわなければ反対であるとほんとうは申し上げたい。賛成しかねるというところに持っていってあるので、それで非常に統一性がないというお話のように承わるのでありますが、これは六月の二十五日に全国の鉱業市長さんの、第二回であったのでありますが、そのときにやはり決議として、こうだというところの状態もあるのでありまして、やはりそういうような状態で、そういうような問題になっているのでありますが、その市長さん方は出たか出ないか、私、はっきりわかりませんが、で、今日の情勢から、先ほど齋藤さんもお話し申し上げましたように、そのような情勢から考えまして、私らは合理化という問題に対してとかくの反対するものではないのでありまして、ただ今回のこの法案に対しまして、こういう重要なことの六項目が一つも明記されていない。そのうち載っているのはとにかく鉱害の問題が載っているぐらいのことで、ほかの問題は載っていない、こういうような関係上から、先般の総会においてこの問題に対して検討したわけであります。その結論がとにかく私が申し上げておったような話であります。
○白川一雄君 雀部さんにお尋ねいたしたいのですが、お調べの先ほどの労務費のパーセンテージをお聞きしたいのでございますが、御調査のパー・ヘッドの点で、アメリカと日本との出炭量がどのくらいの比率になっているか、御調査のデータがありましたらお教え願いたい。
○参考人(雀部高雄君) 今はっきりした数字は持っておりませんですが、出炭量というのは一人当りの出炭量でございますか。
○白川一雄君 パー・ヘッド。
○参考人(雀部高雄君) 一人当りの……、ちょっとそれはここに控えておりません、大変失礼でございますが。
○白川一雄君 私が五、六年前に外人から聞いた――五、六年、もう少しになりますか、戦争中なんですが、開らん炭鉱におりましたときに、外人から聞いたのでは、大体パー・ヘッド、北支の方では〇・四から〇・四五ぐらいのものですが、アメリカの方ではパー・ヘッド九トン、多いところは十六トンという数字になっておりますということを聞いたことがありますので、この労銀のパーセンテージというのも、そういうパー・ヘッドの出炭量というものも考慮に入れて考えなければならないのじゃないか、こう思いますのと、先ほど青山先生のお話を承わりますと、日本の炭鉱というものの条件が世界一悪いということを承わりましたが、そうすると日本の機械化といいましても、ペンシルバニアとか、オハイオとか、大陸の中心にあるような、完全に用いるような機械化は日本では望むべくもないのではないか。だから機械化にも限度があります。もう一つは、カリフォルニアよりかも狭い日本が、八千七百万人の人間がおって、アメリカ全体が一億五千万しかおらないという、この人口問題も考えて、日本の炭鉱ということの行き方も考えなければならないのではないか、こう思いますので、先生の方にそのデータがおわかりでしたら、私らのデータは古いのですから、最近のがおわかりでしたらお教え願いたい。ただ労銀のパーセンテージというものをいう場合には、パー・ヘッドの出炭量を勘案しながら全体を見なければ、そのパーセントだけでは一がいに結論が出せぬのではないかという考えがいたしましたので、お尋ねしたような次第でございます。
○参考人(雀部高雄君) 私申し上げましたのは、技術がやはり進歩しなければいけないのだという点で今の例をあげてお話したのです。それでやはり日本の場合ですと、生産性が低いのにもかかわらず、全体の炭価の中に占めている労務費の割合が少いということは、結局低賃金だという、そういう例としてお述べしたわけなんです。やはり賃金が安ければ、どうしても技術にたよるか、人にたよるかというと、人にたよっていく、人にたよっていけば、技術は進歩をしない。やはり長い間にこまかい技術がたくさん積み重なっていくのですから、その間に大きな差ができてしまう。それでやはりしまいには、結局外国から石炭を掘って持ってきて、船で運んで日本へ持ってきた方が安いという差がついてしまう。そうするとそこで勢い日本は、人を使っていて技術が進んでいないのです。何か自分の国でなすによその技術を持ってこなければいけない。それで外国を見渡してよさそうな技術を持ってくるということは、そのこと自体が、もう日本の技術を進めさせない。先ほど青山先生もおっしゃいましたように、やはり日本には石炭が十分あるわけなんです。資源は少いけれどもたくさんある。ですからその資源をほんとうに有効に使わなければいけない。それには外国のまねをしていたのではいけないので、やはり日本に合った使い方、日本が全体として技術が進んでくれないと困る。そういうところが、よそから技術を持ってきてしまうものですから、日本の技術屋が幾ら有能であっても、そういう石炭をほんとうに近代化するような方向に参加するような機会が与えられない。そういう意味で今の例を申し上げたのであります。
○委員長(吉野信次君) 特にけさからの参考人の方、大分長く御質問しておりますから、午前に願った参考人の方の御質問は先に一つお願いしたい。
○石川清一君 両労働組合の委員長さんにお尋ねしたいのでありますが、先ほどのお話のありました項目の中に、今度の買い上げといいますかには、労働組合との協約に基いて、これを買い上げの場合に生かして経営者の合意の上で事業団に引き渡しをするようにしてもらいたい、こういうお話がありましたが、この点について何か資料といいますか、要求する基礎か、比率かお考えになっておるかどうか、この点をお伺いしておきたい。
 その次は、今までも中小炭鉱で休鉱、廃鉱したところが二百あまりもあると言われておりますが、そういう廃鉱した企業体と話合いで、特別に失業者が立っていけるような、いわゆる地域の条件を生かして立っていけるような、自立していけるような方向に向いたケースがあったかどうか、この点を二番目にお伺いをいたします。
 三番目には、事業団に買い上げになりましても、そうした地域で有力な転換の材料になるというものはやはり石炭か、住宅か、労働者の技術だけでありますが、まあ常磐炭鉱附近は特に海水等を利用して、事業団に引き渡す炭の中から原料炭だけは無料にして、製塩事業等をやればやれるのじゃないか、そういうようなことをお考えになっているのかどうか。あるいは失業対策を町村が政府の意向をくんで行うんではなしに、特殊なそういうものを含めて町村と一体になって企業体を誘致する、あるいは新しい事業に転換するなり、こういうようなことをお考えになったか。それともそういうような点を十分検討されたことがあるかどうかお伺いをしたいと思います。
○参考人(阿部竹松君) 第一点から簡単に御答弁いたします。買い上げが実施された場合については、ほとんど、賢い上げの対象山がいずれかとはきまっておりませんけれども、政府当局も大よそこういう山が該当するのではなかろうか、あるいは私どもは私どもなりに、こういう山が、これがもし強行された場合には、該当されるのではなかろうか、若干違うかもしれませんけれども、それぞれの立場でまあ計算しておると思います。従って私どもは、もしそれが強行された場合においては、劈頭申し上げました通り、その政府なり事業団なりから出る金額の七五%ないし八〇%は、その炭鉱に対して融資しておる銀行にほとんど行ってしまって、労働者に渡る金額とか、あるいは経営者に残る金額というものはまことに微々たるもので、配分闘争すら起きないのではなかろうかというような判断をしております。
 それから第二点の中小に対する、今までどうしてやったかという引例ですが、中小の問題について、今まで、これは中小ばかりではありませんけれども、大手を含めて、おもに愛知さんが通産大臣をやっておった当時でありますけれども、中小炭鉱の融資、あるいは貯炭の買い上げ、こういう問題についてもいろいろ話し合いました。愛知さんもある場面においては心よく聞いていただきまして、今まで一千万円であった融資を二千万円にしてあげようと、あるいはまた現在の中小の貯炭を買ってやろうというような、それぞれの約束もしていただきましたが、結論としては、つまり融資が倍額になったとしましても、カロリーは何カロリーで、出炭率は幾ら幾らで、埋蔵量が幾ら幾らで、そうでなければ融資しないということになったので、結論としては該当山がないというような結果であります。次に、中小炭鉱の貯炭の買い上げ等についても、これは当然話し合った結果、国鉄で買い上げましょうということにも相なりました。しかしそのときは二十万トン約束したのでありまするが、愛知通産大臣の口約束だけに終ったわけであります。ということは、常磐炭鉱から二十万トンを国鉄は買い上げたわけであります。そこで私どもは不平不満をぶちまけたところが、実は中小炭鉱に国鉄納入炭の実績はない。従って通産省から二十万トンの話があったので二十万トンの石炭は買い上げたんだが、中小炭鉱には適用しませんというようなことで、引例をいろいろ申し上げればたくさんございまするけれども、結論はぐち話になるのでそのくらいでやめておきます。
 それから塩水の問題でございますが、これは製塩所という問題でありましょうけれども、これは御承知の通りさいぜん萬仲参考人も例を引いて述べておったようでありますが、製塩工場を建てると、あるいはまたセメント工場を建てるといいましても、ほとんどそこに人間が収容できるというような労力を必要としないわけです。セメント工場にいたしましても、塩水工場にいたしましても、製塩所にいたしましても、ほとんど人間というものは必要がない。それほど機械化しておるわけであります。従ってこの塩の方は三井、三菱、それから住友、この三つがきまって、それぞれ各社で運動しておるそうでありますけれども、専売局当局としては、三つのそれぞれ資本にしか許可しないという実感であります。従いましていろいろ方法はたくさんあるわけですけれども、政府が本腰を入れてやっていただけるかどうかという一つの政策の面にかかってくると思います。失業救済にいたしましても、特別失対にいたしましても、それぞれ安定所の責任者なり、あるいはまた労働省の責任者に話をいたしましても、実際はぬかにくぎと申しましょうか、砂の上に家を建てるようなものなのでして、やはり大きな決断力を持ちまして失業者をどうするというところまで手を打たなければ、枝葉末節にこだわっておったのではますますひどくなるのが別状ではなかろうかというふうに判断をしております。
○参考人(齋藤茂夫君) 第一点の問題でありまするが、これは先ほど私が特にこの点で意見申し上げました点は、今質問されました率という問題も、これは関連性はあると思いまするけれども、まず第一番に私は考えなければなりませんことは、その企業が継続できるという状態の場合でも、経営者がもう石炭の将来の見通しと申しますか、生産と需要のバランスがとれないという状態から、非常に悲観的な見方をして、この際、この法案が通過した場合には買い上げをしてもらうということが非常に露骨に見えております。従って私は、その炭鉱が継続できる場合には何もこれは政府で買い上げをしてその炭鉱をつぶしてしまうというのが本則では私はないと思う。そういう面に私は労働者の意見を十二分にこれは聞いた上で決定をする、従ってこの場合には労働者と経営者の協定書というものがこの買い上げ炭鉱の条件にならねばならぬというところまで考えてほしいことであります。当然これは将来は比率の問題とか何とかいろいろ出てきますけれども、この問題はその中でそれもできると思いますから、私のねらいは、今申し上げました点であります。
 それから第二点の問題でありまするが、廃鉱した山と企業とが一応話し合って再建ができた実例があるかどうかという問題でありますが、これは中小炭鉱が非常に密集しておりまする常磐の場合を例をとって申し上げますならば、これは実際私が扱って参りました炭鉱の中で、同じ系統の山ではありまするけれども、おのおの独立採算をとりまして経営は別個の経営方針をたどっておりましたが、第一鉱が閉山をいたしまして、結局第三鉱も同じ状態で閉山をしなければならぬという状態であります。この場合に非常に未払い賃金が相当数あったわけでありますので、経営者側は生産機材一切を労働組合に賃金の未払いの代償としてそれを全部労働組合に譲り渡したわけであります。そういう一つの生産機材を売りましてもなかなかこれは今日の状態の中ではスクラップにしか売れないという現状でありますので、それを生かして一鉱と三鉱とを合体をいたしまして一応企業を継続することになりまして、経営者も従って新しい経営者を充てて、組合がもらいました生産機材を全部新しい経営者に貸与いたしまして、現在生産に邁進をいたしておりますが、まだ始めまして十日前後でありますので、正常な出炭軌道には乗っておりません。そういう実例はございます。ですから、あながちこの問題はそういうことで合同炭鉱ということで構想を持っていくならば、十の山がつぶれるならばその中で半数あるいは三分の一にとどめることが可能ではないか、こういう考え方も私は持っておるわけであります。
 それから第三点の問題でありまするが、これはいろいろ考えておるわけでありまするが、製塩工場とか、あるいはその他ガスという問題もいろいろこれは論議されております。この問題について、失業対策の問題につきましても、特に炭鉱を中心といたしまする市町村、あるいは経営者ともいろいろ協議をいたしておりますけれども、製塩工場とガスの問題は一応両者の意見が一致いたしまして、そういう軌道に乗りつつあるわけでありますが、何と言いましても、この面につきましては、資金の問題が非常に問題になりますので、この面で失業対策ということで人員をこの製塩工場、あるいはガス工場に吸収するということはきわめて小部分でありますけれども、そこで使う石炭を生産をするという基本的ないわゆる販路の問題から行きまして、この問題は数の問題ばかりでなくて、むしろ私は数の問題は非常に少いけれども、しかしながら、実際その販路が拡大をされるということであれば、現在の中小炭鉱というものがそれだけ販路が拡大をされるということでありますから、結果的には失業者が出ないという状態が出てくると思います。従ってこの面で非常に労働者の雇用の面が少いから、この面は望みがないということについて、私は全然別な観点からそういう販路を拡大することによって炭鉱が再建可能である、あるいは炭鉱の労働者がこういうことで企業整備にかからないという実態が、これは炭鉱自身が、あるいは炭鉱に働く労働者自身がそういう一つの事業の拡大と申しますか、事業を起して、その中で自分で堀る炭の生産を拡大をしていく、こういうことも非常に、これは一番大切な問題ではないか。従って外部に対しまする販路の獲得というものも大切でありますけれども、まず自己の自力によってそういう面が可能な範囲内で、いわゆる販路をふやしていくという面から言いまして、第三点の問題につきましては、私はそういうような考え方で、今日なおいろいろ協議をいたしておりまするけれども、何と申しましても、資金の面で一応デッド・ロックに乗り上げているというのが現状でございます。しかしながらこの面も何とか政府その他の関係官庁にお願いをしていくならば、この面でも中小炭鉱の潤う面が相当に出てきやしないかという考え方を持っているわけであります。
○石川清一君 私のお尋ねしたのは、今のような答えを求めるつもりではなかったのであります。実は速記録を見ればきっとわかると思うのでありますが、やはり今度の炭鉱に対する政府の対策というものは、戦時中の増産を必要とした、戦時、戦後の増産を必要としたものでなくなりまして、従って労働組合の持っている労働協約という一つの就労権に基くものと、炭鉱業者が炭鉱を経営する企業権というものが、これは対等の立場で扱われるという前提に立って、労働組合は、そこに強い突破口を見つけなければならないのじゃないか、こういう考え方に立った第一問の質問であります。
 第二問の方は、これは町村のいわゆる地方公共団体を通じての問題でありまして、最近、赤字の市町村は、地方財政再建整備臨時措置法で強く縛られるようになっている。この点については、財政のある程度の融資の裏づけがあるのでありまして、そうでなく今度のような場合には、強力に、そういうものでなしに、好意的に見なければならぬものと私は確信している。従って皆さんのお考え、町村の住民としての、市民としての運動が自治体の中に活発に行われて、そこに独自の産業を持ってくるならば、労働市場を作るという前提に立って積極的に働くというような経験と意識、将来に対するお考えはないか、こういう実はお尋ねであったのでありますが、この点もあらためて申しておきますから、これが通りまして実施される場合には、十分その点はお考えになりまして、御活動されるように望んでおきます。
 あと鈴木さんにお尋ねしますが、第一と第二についてでありますが、やはり先ほど海野委員から申された、何か方策はないか、こういうお話でありましたが、この財源の補助について、やはり一定の期間の中で、昔受けたような特別平衡交付金なり、あるいは今の交付税の特別の高いワクとか何とかというものを二年なり三年なりのいわゆるこの問題の解決される間に処理してもらいたい、こういうような御希望があれば、そういうパーセンテージ等をお示し願えればいいと思います。
 第三点の、廃山後の鉱害の処理でありますが、この処理は、今まで休坑廃坑までを含めて継続して採炭をしておるところは、そのままでよろしいと思う。しかしこういうものだけでは、二年の間に鉱害の復旧が、鉱害特別復旧法ですか、何か補償法がありましたが、それで何か別ワクにやはり二年か三年の間にこういうものが仕上ってしまうように、こういうようなやはり年限を切ったようなお考えがこれはやはりあるのではないか、こういうふうに考えておりまして、もしそういう点について御意見があれば、いわゆる時限的なものにして特別の措置を講じてもらうべきであるというお考えであれば、そういう年次もお示し願えばいいと思います。
○参考人(鈴木榮一君) それで、その問題なんですが、支出の面なんでありまするが、そういう社会対策の面であるとか、いろいろな関係の面は、いずれの場合においても交付金で相当にみてやるのだということになっておるのですが、実際においてはやはりそういう実績が上らないということが多いのであります。さらにまたしからば、普通交付金ではまずい、それでは特別交付税によってということになるわけでありますが、その配分要綱にわれわれの陳情も幾分かは認められて、炭鉱のストライキなんかに認められたのでありますが、それを強くうたってもらわなければ困るのですが、そういううたい方に対してせっかく先生方のお力を借りたいと思うのであります。問題はやはり臨時措置法であり、時限法であるということでありますから、やはりそこにある程度の議員立法……。私何年とここで簡単にどうだこうだと申し上げられませんが、そういうような方向で、実際は各町村ごとに相当の犠牲を払っておる社会問題であり、失業対策問題であり、骨折って相当に支出しているのでありまするが、それを国の方でみてくれないという状態であります。鉱害の問題もその通りであります。
○石川清一君 千葉大学の雀部さんにお尋ねいたしますが、先ほど松根さんのお話がありましたが、政府はこういう措置をとるけれども、かえって炭価が上るのではないか、これは完全に成功しないから上るのではないか、こういうようなお話がありました。もしこれで炭価が下らない場合には、政府はやはりまた次の手を打たなければならないのではないかと思います。一つの仮定になりますが、やはり石炭の需要というものはだんだん滅っていく、しかも価格は下げざるを得ないという宿命的なものであり、やはり日本の自然条件や労働条件をお考えになりまして、この際思い切った転換がいいのではないか、あるいはここでもっとねばった方がいいという、一つ学理的に断定するような御議論があれば出していただきたい。
○参考人(雀部高雄君) 今お話がありましたことですが、私の方で炭価が上って困るということは別に私から申し上げたのではありませんが、私としましては、やはり今ここで問題になっております点は、石炭がかなり因るといいますのは、やはり私の見ますところでは、私企業として自由競争ではやっていけない段階になって、それが問題になっておるのじゃないかというわけです。そういう点を実際起ったことだけでみますると、どうしたらいい、こうしたらいいと、いろいろありますが、少し例が悪いのですが、らい病になって、いよいよふえて腐ってきて、包帯をしたらいいのか、切ったらいいのか、切っても包帯をしても次の指にまたゆくかもしれない。石炭だけに対策をとっても、またほかのことに起る可能性がないわけじゃないというような気もいたすのです。それでやはりほんとうのそういう点の対策としたら、やはりらい病そのものをなおさなければいけないということが、ぼんやりしながらももう何か見えてきたのじゃないかというような印象を受けるのであります。
○石川清一君 いや、先ほど労働者を人間並みに考えていないのじゃないか、従って扱っていない、この法案は。そうおっしゃいますというと、労働者を人間並みに考えて扱うということと、今の石炭界の実情、こういうものを考えた場合には、やはり自由経済の中でちょっとぐらいの国家の保護統制ではだめだ、こういうふうに存じます。しかしながらそうかといって今のような中で、これを国家管理にするという場合には、やはり莫大な国家資本が要るだろう、そしてそれを今これだけでき得るかどうか、こういうようなことも先ほどのお話から憶測することができるのであります。何か御意見が投げっぱなしのようでありましたから、お尋ねしたのであります。
○参考人(雀部高雄君) その点私の申し上げましたのは、やはり労働者に対する対策も実際見ておりまして、もし私自身がそういうふうな場合にはどうなるだろうかという自分の身になって考えてみた場合、そういうことをされたらとてもたまらないという私自身としての痛切な感じです。そういう点で申し上げたのであります。
○海野三朗君 日本石炭鉱業連合会の国崎さんにお伺いいたしますが、この法案に対しては御賛成の模様でありますが、過日鉄鋼方面のブラックシートを作る業者がわんさと私のところに押しかけてきたのであります。この現在の状態におきましては、八幡、富士それから日本鋼管のあの大メーカーに圧迫されて、小さい板を作る鉄鋼の工場の人たちは今まるで支離滅裂という誠に哀れむべき状態に置かれておるのでありまして、石炭だけがこういうふうにやっていくということは、他の方面を見ましたときにどうかと私は思うのであります。で、やがてもう来ている問題は、ただいま申しました鉄鋼の方面でありまして、そういう方面をも考慮してみましたときに、この法案に対してはまずやらないよりはやった方がいいには違いないでありましょう。しかしどういうふうにそういう情勢をごらんになっていらっしゃるか、単に石炭の面だけをお考えになっていらっしゃるか、全体からお考えになって、この石炭の合理化法案が果して筋が通っている法案であるとお考えであるか、御所見を承わりたいのであります。
○参考人(萬仲余所治君) その点につきましては、私参考人として意見を申し上げたときに述べておいたつもりでございますが、数字をもって申しますと、五千万トンの年間生産能力になりながら四千万トンしか掘れない、掘っても出ないという事態の内容を分析しますと、七百万トンは重油に置きかわっております。三百万トンが不況デワレによる需要減というような格好に端的に言えばなっております。三百万トンのデフレによる需要減というものについて考えますれば、これは他の産業の不況にお困りの状態とやや似よった面でありはせんかと思う。三百万トンについて救済をしてくれとか、あるいは国に向ってただおすがりするというようなことでは、石炭だけをどうするということに問題があると思うのですが、私どもはこの三百万トンを論ずるのではありませんで、七百万トンというものについて問題を論ずる。その根拠といたしましては、先刻から私企業とかいろいろ問題が出ておりますけれども、私企業でありながら私企業でないかのごとき統制と申しますか、そういう国家の力のもとに特別な役割を演ぜられた際に起ったかすの跡始末を主としてしていただきたい。それが影響しまして、今日のデフレによります需要減というものとが重なりあって、単にプラスでなくって幾何級数的なわれわれは被害をこうむっておると存じますけれども、そういう意味合いで他のいろいろな産業の、そこにも別の理由があれば別ですけれども、不況による困り方というものと、私ども石炭鉱業の現在の困り方というものとを並列に置いて、石炭だけを救ってくれ、石炭だけがこうあるべきであるという頼みを申しておるつもりではございません。
○参考人(國崎眞推君) 私は鉄鋼業の内容は詳しくは存じませんですが、石炭鉱業が先ほど申しましたように、真に基幹産業として現在のままではいかない。今回の法律によって措置されることは、他産業界の全部を解決する問題ではありませんけれども、ぜひこの筋を通していただきたい、かように考えます。詳しいことはただいま萬仲さんからお話しになった通りでございます。
○海野三朗君 ただいまお伺いいたしましたこのブラックシートでありますが、中共方面からは何ぼでも注文がある。ところがそれをココムの約束であるといって中共に輸出させない。そうしてその業者は今危殆に瀕しておるのであります。これも明らかに政府に責任があると私は申さざるを得ない。近々この間、雷任民団長が来ての話にも、直接私は聞いておるのであります。日本からは一切鉄鋼の製品は中共には出してない。向うではすばらしく要求しておるにもかかわらず、これを出させない。従ってその業者が皆困り抜いておる。それでこの間もわんさと労働者の諸君がこの国会に押しかけられ、私は三、四十名に会いました。で、こういうふうな状態になっておるきわに、石炭だけの合理化ということはなってないじゃないか、同様に鉄鋼の方面も小さいところの板を作るような工場も買い取ってやらなければならないのじゃないか、こういうふうに考えられるのでありますが、こういう点についてはいかようにお考えになっていらっしゃいますか。この点をもう一度萬仲さんにお伺いいたします。
○参考人(萬仲余所治君) どうも先刻申し上げました答えで尽きておるように思うのでありますが、他の産業で非常にお困りなところがありまして、それにまた特殊な、単なる不況の影響でなく、特殊な事態があるということでありますれば、その特殊な事態に応じて、あるいは救済策あるいは対応策というものが講ぜられてしかるべきでありましょうとも思いますが、私どもから手前みそを申し上げるようで恐縮ではございますけれども、石炭鉱業は少くとも国家基礎産業の一つとしていろいろな役割を果しておるし、また果させられても参ったのでありますが、そのために普通以上に押し込められた状態にあった、またあるために皆さんに御迷惑をかけておるという、それを除きたいということで私どもが要望もし、またその要望の一端がいれられて、今日合理化法案になっておると存じますが、いろいろな問題がいろいろな面で出て参ります際には、それに対応する手段として、ある限られたる量でありますとする場合には、どれから先にするかという問題が問題であろうかと存じますが、私どもは手前みそかもしれませんけれども、今日まず石炭が大きく手を打っていただく対象物の一つであろうかと存じております。
○小野義夫君 議事進行について。
 非常に参考人各位の御熱心なる御意見の発表があり、またわれわれ同僚議員も非常に微に入り細にわたって相当に突っ込んだ御意見の拝聴をもしたのでありまするから、なお私どもは明日は真剣に本問題に取り組んでやらなければならぬと思います。今日の参考人の御意見はこの程度のところでいかがでございますか。委員長におかれてお諮り願いたいと思います。
○藤田進君 ただいまの御意見でありますが、確かに朝からずっと引き続いて参考人も大へん御迷惑かと思うのでありますが、私まだ少し今まで触れられていない点をお伺いしたいと思っておるわけで、ことに重要な法案として政府もここに提案しておりますから、私まだ炭鉱の事情には通じていないものでありますから、そういう立場からもう少し午前中の方に、委員長言われたような進行で先に進めていただいていくとして、小野さんの意見を体しつつもう少しお願いいたしたいと思います。
○委員長(吉野信次君) いろいろまだ尽きてないと思いますが……。
○藤田進君 私自身、生理的にちょっと出ていきたいのだけれども、重複した質問をするといけないと思って待っておるわけでありますから、場合によつては五分間ぐらいでも休憩していただけば、皆さん息を入れて、かえって能率がいいと思います。
○委員長(吉野信次君) けっこうだと思います。ただ、あまり長くお引きとめするのもどうかと私は思っておるのであります。
○海野三朗君 私は午前中の方々の質問はこれで終ります、時間がまことにお気の毒でありますから。あとの方はちょっと……。
○委員長(吉野信次君) 午前中の方はお帰り願ってよろしゅうございますか。
○藤田進君 いやいや、午前中の方に。今まで御意見を聞いておりますと、それぞれ午前中の方々には直接利害関係というか、当事者といっていい方々が多いように思うのでありますが、それだけにこういう公述せられました御意見はかなり食い違っていて、どちらが果してその実態であるかという判断に苦しむわけでありますが、まず最初に石炭協会副会長の萬仲さんにお伺いいたしたいと思います。なお御答弁いただく場合、むし暑いときですから、私どももこうして着席のままでいたしますので、御着席のままでお答えいただきたいと思います。
 今度ここに提案されておりますものを資料を含めて目を通してみますと、結局は炭価の切り下げ、そうして不良炭鉱の整理ということになると思います。ところが、この法案とうらはらのような関係で当委員会は、ただいま重油ボイラーの規制関係を審議いたしておるのであります。こういうものを一連に総合燃料対策として、電力を含めて、ガスを含めて、私どもの頭の中は非常にこんとんとしておるというのが実情だろうと思うのでありますが、とりあえずこの法案の内容を見ますと、労使関係の将来どういうふうな経過をたどるか。ことにこの法律が実効を発して、実際の事業団も作られて、着々とその進行があると見たときに、一石を投ぜられて、必ず従来のように、あるいは従来より以上に問題があるのではないだろうかという予想を私は持つわけであります。これは阿部さん、また齋藤さん等の公述等から考えてみても、相当問題があるように見受けるわけであります。ところがいろいろな政府資料を見ますると、そういうファクターは全然加味されていない、いわゆるペーパー・プランになっておるきらいがあります。お手元にはないかと思いますから、若干あとで数字等をあげてみて説明してもけっこうですが、そういう点について石炭協会十八社の代表とせられておいでいただいております萬仲さんの方では、この問題に直接関連し、従来の懸案とからみ合って、ことにそれら失業者の問題、あわせては残余の待遇の改善とかいったようなもので、かなりやはり問題があるやにも思うわけでありますが、そういう点の見通しをお伺いいたしたい。
○参考人(萬仲余所治君) なかなか問題はあると私も存じます。従いまして冒頭に私が申し上げましたように、この法案は百パーセント満足であるということではないが、しかし大きな石炭対策を打ち出すための一つの礎石とし、また足がかりとしてまず頭が出てきたということに対して敬意を表し、さらにこれに基いて大きな石炭対策を完遂したいということから、私どもの所属いたしております日本石炭協会においては、多くの会員は百パーセント満足ではないけれども、一つこれが通ることによって次の段階に押し進めたいということでありまして、一部標準炭価問題についてなお反対のところもありますけれども、大勢はこれを支持しておるように私は承知いたしております。そのことも申しましたのでございますが、労使関係のあるいはわずらわしさがないかというお話でございますが、これはなかなかめんどうな問題があるいはありやせんかと思います。従いまして、私どもも能率が上ることによって生産量は増大しながらも、従業員は縮小せねばならぬという事態が予想されます。従いまして、縮小せねばならぬことを縮小しない状態にはできないであろうけれども、縮小するために離職される人の行く先、あと、というものについては十分なる考慮がなされてしかるべきである。しかしこの法案並びに今われわれが承知いたしております範囲におきましては、それがまだ完全ではなかろう。従いまして、そこにまだ私どもの心配もありますけれども、しかしさればと言って、今そのゆえにこの法案は不都合だと言うべきではなく、この法案を進行することによって、同時に並行的にその心配な問題もわれわれ自体が積極的に解決し、また皆さまの御尽力によって解決していきたいという考え方でございます。この点もちょっと申し上げておきましたのでございますが。
○藤田進君 私がお尋ねしようと思うのは、この立法後における実際の作業についた場合に、直接的な問題はやはり鈴木さんも触れられている問題であろうと思うわけです。当該解雇せられるべき人はもとより、これを中心とした周囲の皆さん、ことに組織されておる組合員、こういう実情を見ますときに、炭労の委員長、全炭労の委員長、副委員長等も、どうも心からこれに賛成という態度では、いろいろ協議の結果ないとおっしゃっていることで、かなりそこに摩擦があるのではないだろうか。そういう摩擦があるということは、一時的にもせよ出炭なりその他にトラブルもあるだろう。そういうふうに予想していくと、いろいろ私ども手元にあります数字というものは、かなりのそごを来たすことになる。ことに重油ボイラーの法案などを見るときに、ノーマルな状態における計画が立てられていて、しかも重油ボイラーの新設、消費は一応食いとめる形になって、かなり広範に影響を及ぼすわけでありますし、ひいては炭価の問題も昭和二十七、八年当時になるかもしれない、どの程度の深刻さということは、これはなかなか想定しにくいことでありまするが、担当せられている、ことに労務関係に詳しいそうでありますから、私萬仲さんのお答えを求めたわけですが、どういうふうに予想されているかという点が私の聞きたいところなんです。摩擦、抵抗があったときに、どういうふうに切り抜けられるかという、安心できる答弁を一つ聞きたい。
○参考人(萬仲余所治君) なかなかむずかしいことでございまして、どうもその点につきましては心配しておるのでございますが、午前中に賃金の問題が御質問ありました際に私ちょっと申し上げましたが、賃金は据え置いてそれでいいのかというような御質問もありましたけれども、私どもその問題につきましては、賃金がこれで十分であるとも考えておらぬけれども、とにかく今日日本の置かれた状態、また石炭鉱業の置かれておる状態を頭に入れて、お互い労使関係は良識をもととしてがまんし合っていかなければ問題は解決しないと申したのでありますが、そのことは今の問題にも私は当てはまると存じますので、そこにお互いが良識のもとにがまんし合っていくという点がないとなりますと、これは問題は非常にめんどうな予想ばかりしかできないと思いますけれども、私はそこにお互いが良識をもってがまんし合っていくという出発点から参りますれば、ある妥結点ができるのじゃなかろうかと考えております。
○藤田進君 具体的に申し上げると、大体七万人程度の少くとも人員淘汰になるように思われるわけであります。しかしこれは実態がどういうのか私もよくわかりませんが、数字の出ておるものを見ると大体そうです。従来の失業者は別といたしまして、そういう者を整理なさる場合に、機械化されて各職種別に相当定員が減殺されるということになれば、がまんし合うと言ってもなかなか現下の失業状態、配置転換あるいは転職、その他とうていできない事情にあるわけで、どうしてもこれは抵抗が起きるだろう、そうすればその抵抗が良識をもって解決するということは、そういう紛争議が終ったときに初めて顧みられるものであって、その過程においてはやはり両者正眼にかまえたいろいろな摩擦が起るであろうと私は予想するわけですが、あなたはそういうものは予想しない、それほどの予想は良識にまかせて考えれば大したことはないという意味になりましょうか。
○参考人(萬仲余所治君) 大したことはないと申し上げるのではなくて、われわれはそこをお互いに克服していかねばならぬと考えるのでありますが、ただ根本の問題は、失業者を出してはいかぬという考え方でありますと、これは根本的な問題になりますが、失業者は出るであろうけれども、これが受け入れ態勢が適切であればよろしいのだということになりますれば、そこに問題が一たん進展して参りますれば、しからば受け入れ態勢が適当であるかどうか、そういう準備ができておるかどうかということになりますと、私の今承知している範囲では百パーセントでないということはわかっておりますが、これを百パーセントもしくは百パーセントに近づけるべく努力するのは私どもだけではできませんし、政府だけでもできぬのでありますが、皆さんの努力、また国民全体が良識に基いてお互いが労使ともに一致協力し合うことによって、がまんし合うことによって解決点が見出せるのではなかろうかと思うのでありますが、どうもこれは特別に私は楽観しておるわけではありませんけれども、そういうふうにして解決していかなければこの問題は進展しないだろうし、そう努力することがわれわれの任務であろうと考えておるのであります。
○藤田進君 その点について炭労の阿部さんあなたの方は、あなたも長く委員長のようでありますが、昭和二十七年以来石炭企業に対する特別な労働規制法もできたぐらい団結の固い団体のように見受けておるわけですが、こういう御反対のある法案が立法の暁実施段階に入りますと、今私の述べたような杞憂があるかないか、これはなかなかむずかしい問題ですが、法案審議に資したいというので、どういうふうに考えるか、同じような意味合いで御答弁いただきたいと思います。
○参考人(阿部竹松君) これは私みずから炭労の委員長として三十万近くのそれぞれ組合員をあずかって自己反省をしておるのですが、朝鮮事変でもなければこういう問題は今より四、五年前に論議されるような運命にあったと思います。従って昭和二十五年に私がILOの石炭部会でドイツとかイギリスあるいはオランダ、ベルギーを回って来ましたが、そのときすでにあちらさんの方では戦争が終ったから、これから石炭産業というものが重大な問題になるだろうというところで盛んに論議しておりました。日本に戻って参りますと、当時険悪な空気だったのが当時朝鮮の動乱で直ちに解消して非常に一歩々々景気が上昇したわけです。石炭産業にとってそのときわれわれがふんどしを締めておけば、今日かかる状態にならなかったわけです。従って今政府の皆さんを責めるとか、あるいは経営者の諸君を責めるよりも、労働者としてもう少ししっかりしておらねばならなかったと私どもは今反省しております。しかしながら今日この現状にかんがみて幾ら通産大臣を責めてみても、経営者を責めてみてもどうにもならない。しかし自分も職を奪われて路頭に迷うことを何とか避けたいのが偽わらざる心境です。ですから、この小さい四つの島に戦争に負けて八千六百万も人口があるんですから、どういうことでもわれわれはがまんするわけです。ただいまおっしゃった萬仲さんの良識の判断に基いて行動するということもよくわかります。しかしながら、あすから一月分の給料を予告手当としてもらって職を失うということは、とうていわれわれとしては賛成できないわけです。九州においても、北海道においても、これは皆さんにおこられるかもしれませんけれども、今までの失業者の姿をみて、そこに参って、炭労の委員長一つ何とかしてくれと言われたときに、私は率直に言って日本共産党の諸君の革命の前夜とか、革命の予行演習とかのように、この連中が革命とか、暴動でも起して、適当に国警にでも拘束されれば、日本の国民の世論というものは、炭鉱を何とかしなければならぬというようなことに相成るだろう、というようなきわめて危険な考えすら九州に行ったときに抱きました。かような考えも抱いたわけでありますけれども、しかしながらこれは少くとも法治国の国民として言外のことでございますが、しかしながらそれほど苦しい中に、もう合理化とか理屈を抜きにして、何万人という人間の何とかして職を奪わないでほしい。合理化もけっこうです。能率化にも賛成します。しかしながら一方販路を見つけて、北海道において百万近くの戸数がある。そこに石炭を費えない人がある。この中に、先生方の中に北海道出身の方もあるかもしれません。あるいは政府委員の中に北海道出身の方があるかもしれません。しかし二トンたくところを一トンたいている。一トンたいているところは半トンしかたかない。こういうことを考えてみますときに、北海道の給与というものはある場合には中小炭鉱の石炭を買い上げて物給でもいいのじゃないか、こういうことを私どもとしては考えてみるわけです。やろうと思えば幾らでも方法はあろうと思います。ただ炭鉱合理化法案だと言って、人間の首を切って能率を上げるということであれば、国会でごうごうと論議しなくても、われわれでも首を切ってやろうという気があるならば、何も先生方が頭を費して論議する必要はなかろうと思います。従って八千万の民生をかかえて貧しい国家でやっておられるわけですから、非常に御苦労だと思いますけれども、そういう点十分に配慮されて、今萬仲さんがおっしゃった良識に基いてやろうではないかということに賛成いたしたといたしましても、われわれは首を切られる場合には、たとえ破れたといえども、最後の力を使って抵抗しなければならないということに相なるであろうということを明確に申し上げておきたいと思います。
○藤田進君 この問題はかなり見通しに楽観、悲観というか、食い違いがあるようでありますから、それはそれといたしまして、国崎さん、これは主として中小炭鉱と申しますか、そういう方々の団体だと思うわけでありますが、そういう立場、とくにこの法律案の立法化の暁は、適用せられる利害が一番深いようにも思われるわけであります。あなたの方で、これはここにもいろいろ問題がありますが、一般論として、この事業団によって対象となり整理せられるという際に、いろいろな問題が派生すると思いますが、個々の公述人の方もこの問題にふれられているのは、債務履行に対する順位の問題なども当然起るかと思うのであります。この点については、その先取り順位といいますか、そういう点を整理の際に、大まかな線でいいですが、どういうふうに具体的にお考えになっているか、お伺いしたい。
○参考人(國崎眞推君) 債務整理の場合の順位といたしましては、この法律案に書いてありまするのは債務ではございませんけれども、一カ月分の離職金を別に払うということのほかに、債務の中に属します未払賃金、これはほかの債務に優先して事業団が払うということに相なります。労務者に対するあとの問題は、労働協約による退職手当かと思いますが、そのほかに先ほどから話が出ておりますように金融機関に対する債務とか、あるいは鉱害賠償の賠償債務とか、いろいろあると思います。そこで問題は、買収される価格の問題でございまするが、これは先ほど来ちょっと聞いておりまするというと、いかにも強制的に買収されるやに話が出た節もあると思いますけれども、今度の買収は法律案に明瞭でありますように、あくまで任意な申出でありまして、強制買収ではないのであります。なおこの法案の途中におきましては、政府は買収を勧告する場合があるというような案もあったように思いますけれども、その勧告の条項も除外されております。あくまで業者の任意な申出であるという点をなおはっきりとしておきまして、この買収される価格につきましては、私は公述の際に申し上げましたように、法律にきまっております離職金及び優先支払いをされる未払い賃金のほかに、正常なる負債――過当なる負債はこれは例外でございまするが、正常なる負債、そのほかに人員整理資金、これは当然退職手当に入ると思います。それから鉱害賠償、この三つの点は少くとも支払い得るような措置を講じていただきたい。かようなことを午前中公述いたしております。そこでこれは炭鉱によりましていろいろ千差万別でありまするが、政府が予定されている買収価格で大体整理がつく炭鉱もございましょう。あるいはつかぬ炭鉱もございましょう。あるいは少し足らぬ炭鉱もありましょう。それを金融機関に対する債務を天引きしてしまって、労務者に対する支払いが全然できないというようなお話も出ましたが、そういう場合があるとすれば、この整理には相当めんどうなことがあろうと思いますので、たとえば事業団だけのお考えではなく、炭鉱整理に対する特別関係者の委員会でも作っていただいて、その処理を公平にお願いしたい。こういうようなことを政府当局に私どもは口頭でお願いをしている次第であります。
○藤田進君 今言及されたいろいろめんどうな問題も起きるということから、委員会の設置を要望されておるように思うのですが、今指摘されたことを、この法の中に明定しろという趣旨でございますか。
○参考人(國崎眞推君) 運用の面でお願いしたい。
○藤田進君 萬仲さんに返るわけですが、合理化計画を見ますと、お手元にはないかと思いますが、二十九年度を基礎として三十四年度と比較対照の資料が私の方にあるわけですが、大まかに見て人件費が相当軽減されることになって、特にさして軽減するものはありません。それでいろいろ今申し上げました労使紛争等のファクターというものは一応度外視するといたしましても、この計画を見たときに、まず労務費につきまして見ますと、トン当りが二十九年度が千九百六十二円、それが三十四年度には千三百七十円となっておるので、これが一番大きい。それからあとは本社費あるいは支払い利子等あるわけですけれども、私は不思議に思うのは、人件費を軽減することは、人員を縮小するということで説明がつくかと思うわけです。ところがこれに入れかわりに必要となるのは、やはり支払利子等は、また減価償却等はかなりかさんでくるはずだと思うわけで、これは他の産業を見てもそういう事例があるわけで、ここに出ておりますものを見ると、二十九年度はトン当り百五十八円という支払い利子、そのほかに款項目ないわけでありますけれども、それが三十四年度には百五十六円とトン当り二円軽減する、しかしこれは四千九百万トンというもので約四千三百万トンの比較において御承知のように六百万トンから出炭が増大するわけですから、トン当りに割ってあるのでコストが安くなることは、直接費間接費ともに軽減することは当然なことなのでありまして、必ずしも機械化したことによって炭価が下るという説明は考えられない節がある。必ず設備資金、そういったものに、ことに支払利子、償却等にかかるわけで、トン当りの炭価が一割九分、約二割の三十四年度における炭価減ということはどうしても考えられないような気がいたします。この点について、人件費が少くなってこれにかわるべき機械化ということが一番大きな経費だと思うわけでありますが、この点の、今若干の数字を申し上げてもなかなか記憶にむずかしいと思いますが、機械化したことによっては確かに費用がかからない、コストに響かないということになるわけですね。その点の説明が、あなた方実際おやりになるということに対して設備費等が増大するということじゃないだろうと思うのですが、いかがでございましょうか。
○参考人(萬仲余所治君) お示しの数字は私はあまりこまかく承知しておりませんのでございまして、また私どもが算定した数字ではないかと思うのでありますが、大体の意味合いにおいてこの合理化法案によっていろいろの具体的な事柄ができますれば、大体二割程度生産費を下げるということに伺って邁進せねばならんという気持でおるのでございますが、こまかな数字的な内容になりますと、私ちょっと一々御説明できかねるのでございますが……。
○藤田進君 今、ことに午後の参考人の方々は、炭価が下るならばけっこうなことで、賛成しよう、大体集約すればこうなんですね。だから、一体炭価が下るかどうかということは、この法案を判断するのにかなり影響を持つわけです。ここには確かに二割下るとこういうことになっておるわけで、昭和二十九年度を一〇〇とすれば八一%のコストになるとこうなんですね、簡単に申し上げれば、人件費は少くなるが、それにかわるべき機械化せられる設備費というものがどうも載せられてないような気がいたします。ですから日本の場合には機械化しても人件費が、先ほど千葉大学教授も言われたように世界の国の水準から見て、インドは別としても、文明先進国といいますかに比較すれば、低いわけですから、勢い機械化が鈍化してくるというのは当然のことだと思うのですが、そういう面から言うと機械化してしまった場合に、かなり機械化に要する資本がかかる、その償却なり利子も、資本費もかかる、こう見なければならぬわけで、私はこまかい数字をいたしておりませんけれども、どうもその点説明がないので、直接あなた方にお聞きすれば、従来の御経験もあるでしょうから、人員を整理して機械化した方が、勘でもいいのですが、どの程度炭価に影響するかという点ですね、これが聞きたいわけなんです。
○参考人(萬仲余所治君) どうも私数字をこまごまとおっしゃっても、一々数字についてはちょっとお答えいたしかねるのでありますが、総括的に勘とおっしゃるから申し上げますけれども、私どもが望ましく考え、また努力せねばならんと思っておりますのは、生産費を二割程度下げるという目標に向ってわれわれは邁進せねばならんと考えております。その点についてあらゆる努力をする。その際おもなるものは資金を投じて合理化をすることによって能率が上る、能率が上った限度において人員は少くても多くの生産ができる。従って一トン当りが安くなる、こういう大きな目安からきておりますので、今お話しの片一方は下り、片一方はまだふえるべきものがあるというようなこと、こまかくなりますと、ちょっと私一々お答えいたしかねるし、また資料を持っておりませんので……。
○藤田進君 私その点伺えないので非常に困るんですが、まあ先進国といいますか、アメリカその他も数字をあげられてここに資料もあるわけですが、機械化されたからといってコストが下っていない。これは賃金が高いというようなことも言えるわけですが、賃金のみならず機械化に要するやはり資本費も相当増大するように私どもの方は資料としては見えるわけです。こういう点から、果して昭和三十四年度にそれだけのものが下るかということについての資料を見ても、その資料自体が信用できないという心配があるわけです。コストが下り、失業者の方は何とか転業その他これがうまく生活の保障ができるというある程度の保証ができれば、げっこうなことだと思うのでけれども、その点幾多の不安がありますのでお尋ねをしたわけであります。
○三輪貞治君 こまかい数字についてはもちろん御用意がないでしょうからお答えはできないでしょうが、コストをまず二つに分けて固定費というものと変動費というふうに分けた場合、合理化によってコストを引き下げる、その過程においては固定費は上るわけですね、同定費は増設していきますから上ってゆく。しかしその上ったのよりなおかつ変動費の方が下るから二割下る、こういう勘定が出てくるのであって、そういう基礎に立たないで、ただ目標として二割を下げるんだということに邁進するんだということでは、われわれ法律の審議をする過程においてはまことに頼りないわけです。ですからこまかい数字は要らないんですが、固定費の方では総出炭量に対してこのくらい増設してゆく。しかし固定費を除いた経費についてこれだけその固定費の増設によって下るから、差し引きこれだけの炭価の明き下げになる、それがトン当りこれこれで二割なんだ。こういうことでないと、ちょっと今藤田委員から述べられたように非常な不安を感ずるわけです。大まかな数字でけっこうですから、二割下るという基礎ですね。
○参考人(萬仲余所治君) 二割下るという基礎は、もともとそこにお手持ちの数字とかあるいはそういう関係につきましては、私どもが算定したものによってそこへ出ておりますのではございませんで、政府の方々が立案当時御算定なすってお出しになっておりますので、私どもはそのこまかい内容になりますとちょっと私ども責任をもってお答え申し上げるところまでには参らんと思うのでございます。
○三輪貞治君 なるほど藤田委員の持っておられる資料はそうです。しかしあなたの先ほどの発言ではやはり二割下るとおっしゃっておる。そうすれば二割下るべき資料が数学的な根拠をもってあると見なければならんわけですね。
○参考人(萬仲余所治君) それは政府の算定なさっておる数字は信憑すべき数字であるということを申し上げまして、その基礎のもとにわれわれは二割下げるということについて邁進したい、こう申し上げておるのであります。
○三輪貞治君 それでは政府の出しておる資料が即あなた方もそれに同意した資料である、こういうふうに見ていいわけですね。
○参考人(萬仲余所治君) 同意したとかしないとかいうことよりも、信憑すべき数字であるとこう申し上げておるのであります。
○三輪貞治君 あなたの方にはそういう資料はないんですか、ただ政府の資料を信じておられるだけで、そういう資料はないのですか。
○参考人(萬仲余所治君) ちょっと、私どもは一々こまかい五年先の数字とか、いろいろな計算は私どもが単独でやっておりませんので、政府のお作りになった資料を私どもは検討して、なるほどこれはある程度妥当である、信憑すべき数字であるということを考えておりますのでございます。
○藤田進君 小野さんのお気持にそむくようで、どうもいらいらしながら聞いているわけですが、午前中公述された方々の意見は、まとめてみると結局当面する炭鉱の実情から、こうやくばりというか、火急な問題としてやむを得ないという御意見と、その結果生ずる事態の収拾について、何ら見通しがないから困るという反対論とに分れております。それで中小炭鉱の場合に一言お伺いしておきたいのですが、国崎さんのお考えとしては、かなり見通しについての御意見もあろうかと思いますが、そういう累年失業者が炭鉱のみならず出て、本年度新規学校卒業者等を見てもなかなか就職難でありますし、また就職していても離職するという状態の中に、どうしてこれを処理するかという問題は、かなり重要な問題として国会としても考えなければならぬところだろうと思うわけです。取りあえずどういう処理が打開策としてあるか、参考までに例示的にお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(國崎眞推君) 藤田先生も御案内と思いまするけれども、中小炭鉱の段状はこれは大手と違いまして、今日まで役二百炭鉱がつぶれております。ところが大手は八十炭鉱がずっと継続しておられます。炭鉱のつぶれたのは、ほとんど中小であるというのはまあ御案内の通りですね。で、現在でも今にもつぶれると言っても言い過ぎではないのですが、今やっと息をしている炭鉱といえども、このままではこれはつぶれる炭鉱が相当出るであろう。現に毎月約二千人ぐらいの失業者が出ております。そういう状態でありまするので、この法案が出ましても、今直ちに中小炭鉱が立ち上るという即効的な赴果は、これはなかなか期待できませんけれども、私は先ほど申し上げましたように、この法案は炭鉱の救済ではない、国策としてやられることであるが、その効果においては、ある面において炭鉱の救済になる面があるだろう、こう申し上げておるのです。で、その一例をあげますると、この三百万トンの買いつぶしという問題でございます。これはいろいろ理屈はございましょう。見方もございましょうけれども、現実にこの買いつぶしを期待しておるという炭鉱は、相当ございます。でき得るならばつぶれる前に買ってもらいたい、こういう状況でありますので、この法案ができましたならば、強制買いつぶしではございませんけれども、事情やむを得ずつぶれていくと、まことに気の毒ではありますけれども、それに対しましてはただの野たれ死にするよりも、この法案によってある対価が払われるということは、まあ相当救済の面になるのじゃなかろうかと思います。
 そこで残りました中小炭鉱ですが、これは大手と違いまして、いわゆる先ほどから出ておりまするような縦坑、縦坑といわれますけれども、これはまあ宿命的に縦坑の対象になる区域は割合に少いのです。ないとは申しません。現実に今やっております一例を申し上げまするというと、縦坑を二本掘りまして二百五十人ぐらいで五千五百トン出しております。これは明らかに二十トン以上出しております。そういう炭鉱も中小にはございまするから、中小炭鉱で縦坑だけ開発できる地域がありますれば、これはもう縦坑は大手に限った問題ではございません。なおそのほかに中小は中小なりに合理化のできる面があると思います。機械化にしましても……。ところが大手は御案内のようにまあ国家資金の対象にもなりやすいし、そのほかに金融機関の背景がございまするので、苦しい中にも合理化を進めておられまするが、中小としては現在の赤字経営では、運転資金にさえ困っておる状態でありますので、合理化をやろうにもやれぬわけであります。で、この法案によりまするというと、先ほど齋藤石炭局長もおっしゃったように、従来は炭鉱の合理化資金は約三十億程度であった。それをこの法案が実施されますというと六十億、約倍額くらいに増額ができるように聞いております。そういたしますとこれはまあ中小なら中小なりに、合理化資金が従来のように開発銀行の窓口できまるのではなくて、この法案によりまして合理化計画によりまして生産計画が立てられるのでありますから、おそらくその合理化計画にのっとった中小炭鉱に対しては、従来以上に合理化資金の獲得はたやすくなるのではないか、かように考えまして私は本法案の内容につきましてはいろいろ希望意見を申し上げましたけれども、すみやかに成立することを希望している者であります。
○藤田進君 そうしますと、要するに整理された労務者についてはとりあえず他につくべきいわゆる転職、そういう職についてはお触れにならなかったわけですが、なかなか困難であるという。一時的な退職金、これをもって当面の生活の糧に過ごさざるを得ないというふうにとってよろしゅうございますか。
○参考人(國崎眞推君) これも現実問題でありますので、藤田先生も十分御承知と思いまするが、われわれ中小炭鉱では大手のような自家発電を作るとか、あるいは精錬事業をやるとか、石炭化学をやるとかいうような力はないのでございます。そこで傍系事業を経営いたしまして脱落した労務者諸君の配置転換をするというようなことはなかなかできない、むずかしい。そこで整理の結果、職を失われた人はこれはまことにわれわれ……、今日まで生産協力隊として御援助を願った。実に気の毒なことでございますけれども、これは事実で、これを他に受け入れるということはこれは全然ないとは申しませんけれども、大手のようにはいきませんので、この処置につきましては法案の実施と並行いたしまして政府でもってこれらの方々の職が得られるように念願している次第でございます。
○藤田進君 最後に午前中の方に一言お伺いしたいのですが、萬仲さんの御意見によりますと、標準炭価等については御異論があるように伺ったわけですが、かなり膨大な資金を国家資金として融通し、あるいはその他の措置を国としてとる以上、この法案にも現われておりますように石炭の炭価、及び生産数量の制限、経営としては最も中枢であるこういう炭価、生産数量ですね、こういうものが規制を受けるということになるわけで、一種の国家的な官僚統制、こういうことになるかと思うわけで、大手におかれてはこの点あまり好感を持たれるものではないと思うわけですね。しかしだんだんとこの計画が進んでゆくにつれて、私の予想では官僚統制というそういう線が強く出てくる、出てこなければこの計画の遂行はできない、従って相当な無理もあるだろう。これはどういう政権のもとでもおそらくそういうふうになるでありましょうし、日本の場合でも他の産業にみてもそういうふうになりつつあります。これは石油の場合でも、同じ燃料の石油の場合でもあります。あるいは電気の場合でもかなりの料金そのものに対する規制があるわけでありまして、そういう点は従来の御経営よりも相当変った様子になるだろうと私は思うわけですが、その点は甘んじて受け、かつこの法案については全面的に賛成と、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○参考人(萬仲余所治君) その点につきましては一番冒頭に申し上げましたように、いろいろの百パーセント満足できないという点があるが、多数の人々がいろいろ吟味の上、この際この法案が通ることによって、大きな石炭対策の足がかりあるいは基礎にしたいということで賛同しておられるし、一部に反対があると申しましたのでございますが、統制を受けるようになることを我慢とかなんとかということでございませんので、いろいろそれらのことに関しまして長い間論議しました結果が、私の協会内の会員においてはそういう意見になっておりますということをここに申し上げたいと思います。
○三輪貞治君 六月三十日の日経の北九州の事例なんですが、こういうことが書かれてあります。最近は商社と炭鉱大手筋が積極的に買いあさっているばかりでなく、最近は中小Aクラスの炭鉱までが小ヤマ物を拾い集め、非常な競争買いを演じておる。それと並行してて炭鉱大手筋の買いあさりが行われておる、こういう記事なんです。その理由として「炭鉱大手筋などが商社に対抗して中小炭を買いまくっているのは、1安値需要口が中小炭に流れるのを防ぐため、中小炭を転売して販路を確保する。2出炭制限による販売量の低下をカバーする。3中小炭の投げ物を防ぎ、市況にテコを入れて大手炭の炭価引上げを有利に導く。4販売系列の集約化を図る。」かようにいたしまして「最大の魅力は確実に収益の上がるサヤ稼ぎにあるという。コストの高い自社炭を売れば、トン当り二、三百円の赤字だが、中小炭を転売すれば、逆に数百円の利潤があるというわけだ。」こういうふうに書かれております。これに対して大手を代表されておる萬仲さん、中小企業を代表されておる国崎さん、さらに消費者としての鉄鋼連盟の岡村さん、電気事業連合会の松根さん、それぞれそういう事実があるかどうか、この日経の記事はうそなのか、この点についてお伺いしたい。
○参考人(萬仲余所治君) 私から大手の関係のことについて、お答えにならぬと思いますが、私はそういうことは承知いたしておりません。と申しますのは、もう少し注釈をつけぬと大へん不親切になりますが、日本石炭協会の仕事は、販売関係のいろいろ具体的な仕事は日本石炭協会は関与しておりません。従いまして、そういうことは承知いたしておりません。
○参考人(國崎眞推君) その新聞に書かれたようなことは私ども存じておりません。しかし中小炭鉱は販売能力は大体ございませんので、従来とも大手に委託して販売する面はございます。それは前からあることでございまして、特に法案目当てだとか、先を見てということは私は聞いておりません。
○三輪貞治君 あとの三人に聞きますが、実はその記事にこういうことが書いてある。「標準炭価を有利に導くことをねらって」こういうふうに書いてある。従来行われてきた、今日行われておる事態というものは、この法案に関連があるためにお聞きしておるわけです。ですから、石炭協会なり石炭鉱業連合会は、もちろんそういう販売のことをやっておられる機関ではございませんが、そういう事実がないということをお言い切れになれぬわけですね。
○参考人(萬仲余所治君) 私が承知しております限りにおいては、そういう事実はないと思います。
○参考人(國崎眞推君) 私も同様であります。
○参考人(岡村武君) 鉄鋼業の立場から申し上げますと、ただいまお問いただしになりましたような事実の有無は私は存じません。しかしこの問題につきましもは鉄鋼は関係ないと御了解いただいてよろしいかと存ずるのであります。何となれば、今年の内地の原料炭二百二十万トンは限定された少数の炭鉱から出るものであります。実は、この法律案の対象外に事実上あるのでございます。そういう事実があるなしにかかわらず、ただいまの御質問の問題には鉄鋼業は関係はないことと存じております。
○参考人(松根宗一君) 電気事業としては、私実は詳しいことは存じないのでございますが、今御質問のようなことは私どもは聞き及んではおりません。
○委員長(吉野信次君) それじゃ、どうも朝から大へん長い間暑いところお引きとめいたしまして、大へんありがとうございました。しかし、おかげで各委員も法案の審議にいろいろ貴重な参考資料をいただきまして、私から厚くお礼を申し上げます。
 それから午後の方は、お暑いところなんですけれども、もう少しいらっしていただきます。
○海野三朗君 雀部参考人に対してお伺いいたしますが、この法案に対しての率直な御意見と、炭鉱の将来に対する何かお考え、つまりこうあらなければならない、こうあるべきだという何かお考えがありましたら、これをお伺いいたします。
○参考人(雀部高雄君) 私もあまりそういう点で広い点はわかりませんので、ことにやはり専門の技術方面だけから、狭い面でごく簡単に申し上げさしていただきたいと思います。
 やはり今ここで合理化しなければいけないと申しますのは、私たちの車門的の立場で見て、やはり技術がおくれていた。技術が非常に進んでおれば、今さらあわてて技術を進めなくてもいいのです。やはり石炭業としても技術を進めなくてもいい。やはり技術は日本に合うように進んでくれなければ、同じように苦しんでいくのじゃないか。先ほどから何べんも繰り返して申し上げますが、やはりそのために、私なら私が炭鉱の社長になってやる場合には、やはり私が技術を進めることだけが任務でやらされておるならいいのですが、そうではなしに、経営者として利潤を上げなければならないというのでやらされたときには、私はどうするかというと、やはり技術を進歩させるよりも人を使った方がもうかるのだというので、これは何べんも繰り返して申し上げますようですが、もうけるためにはそうせざるを得ないのです。どうしてもそうなると思う。そうすると、結局日本では今のところでは、技術は進まないのじゃないか。そうすると、やはり今技術が進まなかったら、ここで技術を大いに進ませるようにするには、いろいろ政府からも援助を受けなければならない。結局その解決がつかないので、いよいよ困ったときにはまた同じようなことが繰り返して行われる一つの場面が、今ここで問題になっておる。先のことというお話でしたけれども、技術だけからいうとどうしても技術を進めなければならぬ。そのためには、技術が進むような基礎を与えなければならない。技術が進まないときには、これだけ狭い国に大勢人が住んでおるから、どうすることもできないで、結局金をもうけよう、もうけようと思っておる方々自身が、自分でもうけられなくなってしまって、よそへたよらなければいけないというようなことになってしまうのじゃないか。ですから、やはりその点、根本的に技術というものはどうしても進めていかなければならない。
 それからもう一つ技術屋として申し上げたいことは、技術を進めるのに、私たちは技術が進めば必ず人間のお役に立ってみんな仕合せになると思って、小さいときから一生懸命やってきた。その方面の学問を一生懸命やってきた。よく考えてみますと、私たちのやったことでよくなるのかどうか、かなり疑問がある。そのために、やはり多くの人が離職しなければならない。私がもしそうされたらどうだろうか。大へんだろうと思います。自分が技術を進めながら、あるいはほんとうに技術を進めようと思ってやりながら、そのことがすぐ世の中の人のお役に立っていない。そうすると、私たち技術屋としても、従来のように、ただ技術だけを私たちがやればいいんだということにかなり疑問を持つわけです。そういう点、やはり技術屋としては、どうか技術が進んでそれが役に立ち、それで多くの人が仕合せになれる、ように、みな技術を進めようとしているのですから、その点そういうことが満足に効果が上るように、途中でそういうものが阻害されないように、これはやはり政治を担当される方々にお願いして、そういうふうにしていただくよりほかに方法がないと思う。やはりそうしなければ、技術が伸びるようにならなければ、炭鉱業自身もほんとうには救われていかないのではないか。そういう点が技術の面、狭い面から見ると特に痛切に感ずる点です。簡単でございますが……。
○海野三朗君 そういたしますと、今度の合理化法案について、政府が買い上げて、そして縦坑を設けたりなんかをしていくということがその一端であると考えれば、この炭鉱合理化法案はまことにけっこうな法案とお考えになっておるわけでありますか。これがこのままでよろしいのかどうか、その辺はいかがなものでありましょうか、そこをお伺いいたしたい。
○参考人(雀部高雄君) この点、ちょっと簡単に申し上げますと、やはりこれも技術の面からだけで、大へん狭い面から、一面からだけなんでございますが、私どもなんか技術の面から見ますと、やはり技術というのはひょうたんから駒が出るようには進歩しない。やはり一つ一つ築かれて、それで初めて縦坑もできるのだろうと思う。だから、ドイツはやはり縦坑ができるだけの技術の地盤があって、その上に縦坑がああいうふうにできてくる。日本ではそういう技術を進歩さす経験を全部奪われてしまって、横からぼこっと持ってくるわけです。日本ではほんとうに技術させる経験を技術屋が持つことができてない。ですから、やはり苦しくとも、基本的に日本で日本の技術がほんとうに伸びながら、日本に、ともかくほかに資源も割合少いのです。石炭は、青山先生のお話しになるように、三百年も使えるようにある。それがほんとうに役に立つのには、やはり今急に見た目だけでは、よそから持ってくると縦坑で能率が上るようですけれども、そのことは次の日本がほんとうに自力で技術が伸びていって、自力で日本が解決する力を阻害するのじゃないかということが、技術屋としての技術面から見た私の考えであります。
○海野三朗君 しからば、いかなるあり方がよろしいのでありましょうか、その御所見を伺っておきたい。今の縦坑を作るということがあまり感心しないというようなお話ですが、そうなれば、どういうふうにしていけばこの石炭業が救われることになりましょうか。その辺いかがなものでしょうか。
○三輪貞治君 関連して、一緒に答えてもらいたいのですが、先ほどの御口述の中で、私が聞き間違いでなければ、石炭業は私企業としては経営できない石炭業になったということをおっしゃったように思います。これは非常に重大な点と思われますので、今の海野委員の、一体それならどうしたらいいかということとあわせて、もっと詳しくその点をお述べ願ったら幸いかと思います。
○参考人(雀部高雄君) もう時間もおそいので、ごく簡単に申し述べさせていただきますと、要約しますと、やはり私としては、そういうことをやるのは技術屋がどう思ってもできないので、やはり政治力だと思うのです。政治をほんとうになさる方々が、技術というものがほんとうにどういうふうにして伸びていくかという点――ですから、政治ということは、日本の国をほんとうに富ますのでしたら、ほんとうの技術そのものがどうして進歩していくかということをほんとうに理解なさった上で、ぜひ政治をしていただきたい。非常に僣越な言葉かわからないのですけれども、そういうふうに、率直に申しますと、考えております。
○三輪貞治君 私の質問にはお答えになっていないのですが、私企業として石炭業が経営できない事業であるというふうにおっしゃったように私聞いたのです。そういうことになった、今日においては。その点、もう少し詳細に……。
○参考人(雀部高雄君) その点、やはり私企業で成り立たなくなってきて、それが石炭だけでなしに、ほかにもそういう傾向があるのではないかというような予測もできるようになってきます。やはり私企業で利益だけを追ってゆく今のやり方ては、技術が進まない。そうしますと、そういうやり方自身についても改めなければいけないのではないか。そういう点をもう少し突っ込んで、政治的に突っ込んで研究しなければならないのではないか。その点は、技術屋としては大体その点くらいしか申し述べられません。
○山川良一君 雀部参考人にお伺いしますが、先ほど人を使って、機械化しようという意思が非常に少いというのは、単に炭鉱ばかりではなしに、日本の経済界の実情から見て、よほど違うような気が私しますのですがね。これは意見の相違ですけれども、先ほど技術のことでいろいろお話がありましたが、日本の炭鉱の技術の水準はこれは欧州方面と、米国はだいぶ違いますから、その欧州あるいはドイツ、イギリス、これはまた違いますから、ドイツに比べてどれくらい、イギリスに比べてどれくらい、アメリカに対してどのくらいの水準にあるか、それを一つ簡単に御説明願いたい。
○参考人(雀部高雄君) 私もその点十分に……。今お話ししたのは、この程度というのでなしに、私が今まで申し上げた点で言いますと、やはり日本としては技術が、炭鉱も含めて、炭鉱機械やなんかも含めて、そういう機械面やなんかそういう点で全部の動きが、やはり日本のほんとうの炭鉱に合うように進んでいる面もあるわけですけれども、全体にそういうふうに日本全体として動いてゆくようになっていない。そういう点を強く申し上げたつもりなんです。あるいはお答えとしてはなはだ不満足かもわかりませんが……。
○山川良一君 私がお尋ねしたいことは、ドイツに比較してどれくらいの水準にあるか、イギリスに比べて何割くらいだ、アメリカに比べて何割くらいだということをお示し願いたいというのです。
○参考人(雀部高雄君) 私イギリスに比べて何割くらいというふうにして技術を評価する表現方法をちょっと存じません。
○藤田進君 それは生産性かなんかの、一人当りの……。
○山川良一君 私は技術のことを非常に言われましたから、技術についてさぞいろいろ造詣の深いように承わりましたから、そういうことについての正しい御認識のもとに言っておられるものと思いましたけれども、ただいま承わりますというと、そうでもないような気がいたします。はなはだ失礼でございますけれども、それだけ申し上げます。
○参考人(雀部高雄君) それは私もよく存じませんが、私の言いましたのは、私としては、技術というものがどうして進歩してゆくかということは、かなり深く研究しておるわけです。そういう点で、石炭業もやはりその中に含めて考えております。石炭業だけの技術がどうして進むかという点を、特に深く研究しておりません。その点、はなはだ御満足のゆくようにお答えできない点は失礼でありますけれども、技術がどういうふうに進んでゆくかという点については特に研究しているわけです。
○海野三朗君 そのつまり政治的に今云々と言われましたが、政治家がつまりどういうふうな態度で臨んだらいいのですか、その御所見をちょっと伺いたい。
○参考人(雀部高雄君) はなはだ、大へん失礼かもわかりませんが、率直に思ったままを言わしていただきますと、やはり技術、あるいは科学を尊重して、理解してゆくような風潮がやはり必要なんじゃないかというふうに私は考えております。はなはだ僣越かもしれませんが……。
○上林忠次君 今先生のお話のような、技術をもっと尊重しなければいかぬという問題を、今さらやったって、もうおそいぞ、平素から技術を尊重して、経営にこれをうまく織り込んでゆくならば、そう不合理な時期を迎えることはなかったのではないかということだろうと思いますが、朝からも参考人に私聞きましたのです。こういうような石炭が安くなって困っておる、立ち行かぬようになった。それでは石炭が安くなった反面、従来動かなかった石炭関係の化学工業なりあるいはほかの産業が動きやすくなった。それじゃその方に事業を発展さしたらどうか、石炭のはけ口を見つけたらいいじゃないか。そういうことをやらぬ限りは、今さら機械を入れて能率化したところで失業者が出るばかりだ。今さらやったっておそいぞ。どういうふうなはけ口を考えておるか、石炭のはけ口をどういう工合にこれから開妬してゆくか、それに対してどういうような期待を持っておるかというような話を聞いたのでありますけれども、いい答えはないのであります。これも技術がまだ根が浅い、ただ石炭を掘ることばかりを考えず、もっとほかに石灰の発展策を考えなければいけないのではないか。技術が貧困だというようなこともあろうと思うのでありますが、先ほどから今さら機械化したところでまた失業者が出る。それなら、やらぬ方がいいのだということだが、やらぬのではこれはまた困るのじゃないか。やらぬよりは、今からでも、おそくとも、目先の問題だけでも解決するために、何か手を打たなければならぬじゃないか。その点について何かいいお考えがありましたら……。ただ、先ほどのような、技術が貧困だ、政治が非常に貧困だというだけじゃなしに、何かの示唆が与えられるなら、これまたわれわれの幸いだと思います。
○参考人(雀部高雄君) その点、私も先ほどと同じように、お答えが的確でないかもしれませんが、率直に思ったままを申さしていただきます。
 やはり、令すぐ困ったからさあ科学技術をといっても、科学技術というのはそうすぐは出てこない。非常に回りくどいことを言うようでありますが、やはり科学技術はふだんから伸ばすような方策をとっておかないと、いざというときはなかなか間に合わない。やはり土を耕して肥料をやっておくと、あとで花が開き、いい実がなる。そこで、この実をもっとよくするには、肥料をどこへどうやったらいいかといっても、あの肥料をここへやったからいい実がなったということは言えぬように、やはり耕していい肥料をやっていくことが必要じゃないか。大へんお答えにならないかと思いますが……。
○上林忠次君 まあ世界の水準から相当おくれたところの技術だとするならば、この点をちょっと押さえたならこの程度の好結果が出るのじゃないかという点があるならば、今でもおそくないじゃないか、やるべきことじゃないかと思うのであります。肥料を入れるなら、今からでも入れたらいいじゃないかと思うのですが……。
○参考人(雀部高雄君) その点は、私よりももう少し現場の実際の方たちにお聞き願った方が、私はいいじゃないか思います。
○藤田進君 二、三伺いたいのですが、まず最初に、いずれも七百万トン前後の大口需要家であります電力と鉄鋼の代表の方に、数字をお伺いするんですが、もしなければ、ラウンド・ナンバーでもいいですが、三十年度と三十四年度のそれぞれ石灰の消費予想をお聞かせいただきたいのです。
○参考人(岡村武君) お答え申し上げますが、三十年度の鉄鋼の生産予想は、直接石炭に関係のございまする銑鉄は、高炉銑で四百八十万トンでございます。これを作るに要する原料炭の数量は、総計で、これはラウンド・ナンバーでございますが、五百五十万トン。これを国内炭と輸入炭に分けますると、輸入炭が三百三十万トン、ほとんど全量がアメリカ炭でございます。国内炭は二百二十万トン、その大部分が弱粘結炭でございます。三十四年度につきましては、鉄鋼業の将来の予測が困難でございますから、的確な数字を申し上げかねまするが、現在の需給の様相からいたしますならば、これが一挙に五割増にも倍にもなるということは予想いたされぬといたしますれば、大体この程度で推移をいたすのではなかろうか。生産量も、その生産に要する原料の消費量も、ほぼ横ばいから少し上向きに推移をいたして、三十四年に及ぶんじゃないか、かように考えます。
○参考人(松根宗一君) 私正確な数字を実は存じませんが、大体三十年度、これは平水と申しまして、普通の水が出ます状態のときにおいて約八百万トン、三十四年度は、実はまだよく計算いたしておりませんが、九百万トンから千万トンの間じゃないかと思います。
○藤田進君 鉄鋼の方にお伺いするんですが、三十年度は四百四十万トン内地、外地は、二百二十二万五千トン、これは輸入炭ですね。本年度が四百四十万トンになり、三十四年度は五百万トン余り、五百十万トンばかりに予想がなっておるわけですが、あなたの見解でいくと、今年度も半分ばかりになっちゃっていますが、どうなんでしょうか。
○参考人(岡村武君) お答え申し上げますが、私ただいま申し上げましたのは製鉄用の原料炭でございます。鉄鋼業の使いますものは、原料炭のみならず、ボイラーだきの石炭、あるいは発生炉用の発生炉炭というものもございます。それらをすべて含みました場合の数字かと存じます。また鉄鋼業につながる、つまり鉄鋼部門に属しまするものは、ただいま鉄鋼連盟の傘下にございまする約六十社ばかりではございませんで、二十数種に及ぶ二次製品もございます。またフェロアロイもございます。あるいは伸鉄もございます。そういうものも若干ずつ石炭を使いますので、そういうものをひっくるめましてさような数字にはじき出されたものと思うのであります。将来の見通しは、先ほど申し上げましたように、私どもは的確にはできません。お役所のお見通しもこれは必ずそう推移するとも申し上げられませんし、またそれは間違いである、かように断言いたしかねるのでございます。
○藤田進君 最後に、また同時に同じ質問でありますが、何といっても、大口需要家でさような数量の消費でありますが、電力と鉄鋼は、法益の内容、ことに賛成の根拠となっておるものは、安くなればこれにこしたことはないので、賛成だと、こうおつしゃっていたように思います。これはもっともなことだと思うのでありますが、私ども今審議中でございまして、最終的的にどうこうはまだ申し上げる段階ではありませんが、今のところ、三十四年度で、二十九年度を一〇〇とすると、八一%、まあ二割程度のコスト安ということはどうも考えられない。この法案自体が、そもそも何が動機かといえば、石炭の値段を下げるということが動機ではない。現状打開のために、ことに中小炭鉱の状態を匡救する、これが第一の目的となって出ていると見なければならぬのであります。そうすると、自後事業団ができていろいろな作業の結果、価格の上下の標準等もきめられるでしょうが、その際どう見ても、石油ボイラーの規制の法案からながめてみても、またデフレ下における産業一般を考えてみても、輸出入貿易の面を見ても、どうも石炭企業は、これは原子力発電所ができて、ただみたいな電力ができるというならば別ですけれども、一応想定し得る範囲においては、値段を下げるということは困難ではないか。むしろ当面の事態を匡救するということに一生懸命であって、そうなると、皆様の根拠である安くなればいいことなんだから賛成ということについては、問題があろうと思う。実際に下らないとすれば、むしろ石炭は統制、あるいはある場合には一大カルテルの様相を来たすだろう。それよりも現状において買った方が、これは買手市場としてやり安いとおっしゃるかもしれぬ。
 そこで、これは皆さん石炭の専門家ではなかろうと思いますが、皆さんのお考えになっておる、簡単にいって、こういうわけで二割程度は下るという皆さんの意見ですね、こうこうこういうふうなわけで売れ下ると思うということを教えていただきたい。
○参考人(岡村武君) 鉄鋼業の立場といたしまして、計画完遂後における二割の単価の引き下げの実現は最も望ましい次第であります。しかしながら、これが確実に到達し得る目標であるという保証は、実は政府方面でも打ち出してはおられないと思うのであります。従いしまして、私どもは、この法律案に対しましては、単価引き下げの実効の伴うことを期待し得る限り賛成である、かように冒頭に申し上げたのでございます。
 しからば、そういう不確実な前提のもとに賛成不賛成の議論をいたすのもどうかと、かようなお尋ねもあろうかと存じまするが、かような合理化と申すものは、もしほかの要素が固定をいたしておるといたしますれば、大体予想通りの計画が行われれば、見込みの通り二割引き下げるという成果は上げられると思います。しかしながら、五年の間には、ほかのファクターがどんどん変貌して参ります。従いまして、たとえばほかのファクターで単価が三割上った、しかしながらこの法案のねらった二割の引き下げの効果は一面あったといたしますれば、結果的に見れば一割上ったかもしれませんが、それは本来ならば三割上がるべきものが一割の値上げにとどまったということにおいては、やはりこれは炭価引き下げの効果はあったと、かように存ずるのであります。さような次第で、私どもはこの合理化は必ずしも二割という百パーセント確率は期待し得ないにしても、炭価引き下げに大きな貢献をいたすであろう、さような意味合いにおいて賛成をいたしている、かような次第であります。
○参考人(松根宗一君) 電力事情の方から申しましても、今のお話と大体同じでございます。ただ、今のままほうっておきますと、石炭業が非常に混乱を来たして、かえって今のような状態が長く続かない、その反動の方がかえって困るという考えで、もっと健全なやり方でいくのには今度の案には賛成である、こういう意味を私どもは含んでおります。
○藤田進君 そうすると、下るという見通しのようでございますが、しからば、これはもう五年といってもすぐですけれども、昭和三十四年度に極端に下るはずはないので、幾何級数的に下っていくだろう。そうなると、他の物価は、今の政府の政策としては、御承知の通り物価体系を――体系らしくないけれども、現状を据え置くということで、すべての政策がとられておるように思うしいたしますと、大きなコストを占める石炭の経費というものが、大体電力と鉄鋼の場合に二割下がれば、それが皆さんの産業である鉄鋼の単価と電力料金の単価について、それだけは――石炭原価がこうで、そして電力原価がこうだと、電力の中にあるいは鉄鋼の中に石炭の占める割合、これは出てくるわけで、出ておりますが、そうなると、それだけ皆さんとしては下げてもよろしいということになりますか。そうすると、いい循環にここでなってくるわけですが。
○参考人(岡村武君) お答えを申し上げます。もしほかの生産コストの要素に変動なければ、内地産の価格が二割下った場合においては、それだけ生産原価は下ると存じます。しかしながら、五年の間にはほかのファクター、たとえば労務費にいたしましても、その他の要素も必ず変ると存ぜられますので、これが具現いたしまする場合におきましては、さような錯綜した要素が混入をして参りますから、二割炭価引き下げの効果がそのまま直接鉄鋼側に現われるということはこれは少なくとも看取しにくいと存ずるのであります。
 それから非常に現在鉄鋼の価格は、いかようにごらんになっておるか存じませんのでありますが、ありていに申し上げますれば、やはり赤字でございます。それがゆえに、ぜひ大きな生産ファクターである石炭価格の引き下げを要望いたしているのでございます。従って、これが実現をいたすといたしますれば、赤字の克服にまずこれを用いる、その埋め合せに使うという方向に必ず働くと存ぜられますので、その場合はこれは生産コストが下っても、販売価格の上には、現実には影響が出て参らない、かようなこともあるかと思うのであります。
○参考人(松根宗一君) 電力の方の原価から申しますと、お話のように石炭が下りますと、原価は下るわけであります。ただ、ただいまの電力事情を申しますと、先刻申し上げましたように、水火力の開発が、従来の状況と違いまして、非常に実は高くなります。これが従来の値上げ問題にいつも原因になっているわけでありますが、これを今非常な努力で吸収しているのですが、石炭が二割下るというようなことも、もちろんそういうふうな値上げをしない方にこいつは食われてしまうのではないかと、こういうような観察をいたしておるのでありますが……。
○河野謙三君 私は通産省にも一つ場合によったら御答弁願わなければならぬが、この法案は、われわれが承知している範囲では、合理化によってコストを下げる。一割下るか、二割下るか、下げる。しかしコストが下ったことが、即、消費価格が下ったということには、この法案はなっていないと思うのですよ。今おふた方からの御答弁を伺いますと、コストが下ったことが、即、それに比例して消費者価格が下るという前提でこの法案をながめておられるようですが、そういうふうに私たちはこの法案を理解しておらないのです。要するに、コストが下りましても――コストが下らぬというなら、この法案は全然初めから問題にならぬ。コストが下る――下るかどうか知らぬけれども、そういう前提でこの法案をわれわれは審議しているのだから、つまりコストが下った分については、企業者の方で別徐負担するものがあるのですね。犠牲があるのです。そういうことでしょう。二割下ったことが、即、消費者価格が下ったことになるのですか。この法案を通じてそういうことになっていないと思うのだが、そうじゃないですか。これは通産省にも伺うし、同時に、私の知っている範囲では、そういうふうに消費者の方で御理解なすっておったら、非常にそろばんが違う、私はこう思っておりますが。
○参考人(岡村武君) ただいまのお問いただしの点は、まことにごもっともでございますが、先ほど申し上げましたように、生産コストというものは、時間的に見ますれば、一年、二年たつ間にあらゆる要素が変って参ります。マイナスのファクターもあればプラスのファクターもある。この法律が企図いたしまするものが実現いたしますれば、これは大きなマイナスの要素になるかと思うのであります。従って、このマイナスの要素を生み出す合理化がもし行われざりせば、その炭価はさらに上るだろう。当然上るべき炭価が、それだけ切り詰められるということは、現実に石炭の販売あるいは購入価格が現在より上る結果に相なりましても、相対的には私は下ったことになると、さように観念しているわけであります。
○河野謙三君 私はそういうことを申し上げているのじゃなくて、たとえば五千円のものが千円下って四千円に、合理化の結果、コストが下ったという場合に、販売価格もそれに比例して千円下るかというと、そういうふうにはならぬですね。この場合に、そのコストが下った千円分は、これは別途また使い道があるわけであります。初めからありますから、消費者がコスト安、即、消費者価格低下ということにお考えになっていると、この法案はわれわれが承知している範囲の法案と大へん違う、こういうことを申し上げている。これをやらなければもっと上る、そういう意味でなら――賛成はできないけれども、しかしほうっておいてもだめだから、この程度はやった方がいいとか、そういう議論は別なんですよ。コスト安、即、それに比例して消費者価格安という、そういうことにはこの法律案の建前がなっていないのだが、どうだということです。
 これは通産省、どうです。通産省はコスト安、即、それに比例して消費者価格安ということにあなた方はお考えになっているのですか。
○政府委員(齋藤正年君) その点は、この法案にもはっきり明示してございますように、コストを下げる、そのコストに見合ってまた正常なる炭鉱の経営ができるという前提でございますが、適切な正常な炭鉱の経営ができるという配慮の上において、コストが引き下るに応じて値段を下げていこう、それが標準炭価という制度の建前であります。
○河野謙三君 コストは下る。しかし一面ですよ、この法案通過の暁には、今まで負担していなかった負担というものがここにまたさらに加わってくるでしょう。そのコスト安からその新しく起るところの負担というものを差し引いたものが、初めて消費者価格になるわけでしょう、そうじゃないですか。
○政府委員(齋藤正年君) この法案によりまする直接の負担と申しますのは、これは買い上げの資金の負担でございます。これはこの法案にございますように、トン当り二十円以内でございますので、これがコストに占める比率は非常にわずかな、現在四千円程度、将来でも三千二、三百円とわれわれ考えておりますが、現在の物価水準を基礎としてございますが、それに対しまして二十円程度というものは、これは大きなものではございません。ただ現在は、参考人の御意見にもございましたように、ただし金額が果して五百円が適当であるか、三百円が適当であるか、その点は別といたしまして、ある程度赤字でございます。従って、石炭の価格を安定して、引き下げてゆくためには、そういう赤字経営の状態でなしに、健全な経営のできる状態で考えなければなりませんので、その要素は当然標準炭価設定の際には考慮しなければならぬ。
 それから、もう一つは、現在の炭価の状況が非常にまちまちでございまして、現在の実際に取引されております炭価が全部、メリットに完全に相応して比例がとれておるというものではございませんで、従って、特に投げ物相場というふうなものにつきましては、一般の大口需要の相場に比べて千円程度安いものもございます。従って、そういう価格と比べた場合にどうなるかということになりますと、これはなかなか二割下ったというようなことには行かない面が確かにございます。そういうふうな点を条件をつけまして、コストが引き下るに応じてそれを炭価の面に反映してゆきたいというのが、われわれの考えでございます。
○河野謙三君 あなたの方の希望はわかりますけれども、今二十円だけの問題であって、それ以外に新しい負担は加わってこない、こういうことは言えないと思うのですよ。私は極端にいえば、この法案は、これはやむを得ずこういう措置もとらなければいかぬと思いますけれども、これは巧妙にコスト安というものがかりに起りましても、それはすべて消費者価格に転嫁するように、結果的にそうなるようにできておるのですよ。これは私の邪推かもしれぬ。例によって、私の邪推かもしれぬけれども、そういう点については、私は消費者の方の、ことに大口需要者の方でもこの点はやはり表からながめると同時に、横からも、裏からもながめて、私は専門的な立場から御意見を伺いたいと、こう思っておったのですが、やはり大手の方は育ちがいいから、まともにだけ見て、あまり横や裏から見ないから、炭価が下ったら、即、消費者価格が下るというふうに思われるのですが、これはそんなことはないので、はなはだちょっとよけいな点だが……。
○藤田進君 私は今の点非常に重要だと思うので……。これは私は裏のことはよくわかりませんが、確かいろいろと、審議中で、それもそこまで到達していないのでしょうが、今の御答弁には非常に曲折があるので、私どもとりにくいのだが、今の参考人の口述から推しても、約二割の原価安ということは、これは個々には問題があろうが、平均炭価として今論じておるわけですが、それだけ消費者価格に響いて、つまり二割コスト安になるのだ、そうして石炭が使えるのだという立場で御賛成になっておるわけなんです。ところが、いろんな経費なり、等々で、消費者価格に大して影響はない。二割下るということは、多少下るとしても、今計算上出ているものは消費者価格ではない、そうだろうという問いに対して、はっきりしないのですがね。消費者価格も約二割下るのでしょう。二十九年一〇〇に対して、三十四年八〇%を越すのか、消費者においても。どうなんです、そこは。
○委員長(吉野信次君) 委員長が口を出しては悪いですけれども、いろいろ伺っておりますと、河町委員のコストという意味と、政府委員のコストというその言葉の内容が違うように思いますし、きょうは参考人に対する質問が主ですから、河野委員の先ほどの御発言は、質問というよりも、そう甘く見ちゃいかぬぞという御注意を参考人に対してなさったのですから、今の問題は、これはなかなか掘り下げるといろいろな問題があると思うのです。今の問題は……。それですから、きょうまたそれを政府委員に問いただして、それから議論の花が咲いては……。
○藤田進君 議論はしません。今消費者価格が約二割下るだろうという想定なんですよ、これは。それで間違いがないと思って、聞いているのは、それだけ安く電力なり鉄鋼原価に響くだろう、それだけ安くなるだろう、それをどうしますか。電力料金を下げるのですか、鉄鋼の単価は下りますかと言ったところ、それは響いてくるけれども、赤字であるとか、新規発電所の開発であるとか、こういうもので料金値上げをすべきものが、しないで済む。こういうことに作用するだろうとか、こういうつもりだったわけですね。そういうことなので、河野委員の方からはからずも、消費者価格には大して影響がないのじゃないか、こうおつしゃる。そしてその答弁があったわけだが、答弁があいまいなので、やはり消費者価格はある程度下るのか、現行物価に比例して。それだけは議論じゃないので、お答えできると思うのです。
○委員長(吉野信次君) これは答えてもいいが、私の感じを言えば、コストが下れば必ず消費者価格がすぐ下る、こういう論もどうかと思うし、下らないんだと、いろいろあるから、必ず下らぬというののもどうかと思う。下る下らぬということは、これはいろいろの、そこにコストの意味もありますし、間接のコストというものもございますから、いろいろあるから、そこに入っていろいろ議論すると際限がないだろう・こういう意味で申し上げたのであって、今の藤山委員の質問に政府が簡単に、もうちょっとで答弁ができればなさって下さい。
○政府委員(齋藤正年君) 今河野委員の御質問に対するお答えをいたしましたことと、同じことを繰り返すことになるのでございますが、現在、三百円か五百円かは別として、赤字である。赤字のままでは炭鉱の恒久的な安定が得られない。恒久的な石炭の供給もできませんので、赤字をカバーするということに当然コストの引き下げの一部を使わなければならない。ただし、現在の炭価は非常にまちまちでございまして、同じ石炭でも、鉄鋼でお使いになりますものと、電力で買われるものと、同じカロリーのものでも、値段はだいぶ違います。同じ鉄鋼業者でも電力業者でも、値段が実は非常に違っております。そういうものを考えると、一体、消費者価格を基準にして幾ら下げるかという議論は、非常にむずかしいということを申し上げたわけでございます。たとえば、現在一般に行われておりまする、たとえば電力用炭の標準だと言われている価格というふうなものが、たとえばカロリー八十銭なら八十銭といたしますと、それに比べて、カロリー四十銭くらいの品物も投げものとしてある。そういうものに比べたら上がるんじゃないかということをおっしゃいました。そういう面もあるかもしれぬということを申し上げたわけです。
○河野謙三君 それがわかればいいけれども、コストの下ったものが、即、消費者価格に影響するというような印象を受けたから……。
○藤田進君 用語の問題だけれども、出炭総原価と、送炭可能原価と、こういう使いわけをしているわけですね。これは出炭総原価といえば、これはわかる。送炭可能原価というのは、どういうものですか。
○政府委員(齋藤正年君) これは出炭総原価と申しますのは、小口の山の小口における価格でございますが、送炭可能原価の方は、運送費、販売、その他そういうものが全部入ったものです。
○藤田進君 販売価格にひとしいんですか。
○政府委員(齋藤正年君) 送炭可能原価、それに利潤が加わり、それから受け渡し条件の差は、小口の価格でございますから、たとえば貨車乗りとか、あるいは積み込み渡しとかという、引き渡し条件のところまでの運賃、諸がかりを加えたものが販売価格になるわけでございます。
○藤田進君 それじゃ、あとでまた政府委員に一つ……。今もらっている資料といろいろ違うので……。
○委員長(吉野信次君) そうしていただきたいと思います。なかなか問題があるので……。
 いかがでしょうか、まだ質問はむろん尽きないと思いますけれども、しかしこれはやはり与えられたる時間で、われわれも与えられたる能力でやるわけですから、また大へん参考人の方も長い間失礼いたしましたから、もし何でございましたら、この程度で……。
  〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉野信次君) それでは、参考人の公述は終ることにいたします。
 大へんどうも長い間、お暑いところありがとうございました。あらためてお礼を申し上げます。
 速記をとめて。
   午後六時二十九分速記中止
     ―――――・―――――
   午後六時四十一分速記開始
○委員長(吉野信次君) 速記を始めて。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後六時四十二分散会
     ―――――・―――――