第022回国会 農林水産委員会 第26号
昭和三十年七月十二日(火曜日)
   午前十時三十一分開会
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   委員の異動
七月十一日委員関根久藏君辞任につ
き、その補欠として松岡平市君を議長
において指名した。
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 出席者は左の通り。
   委員長     江田 三郎君
   理事
           三浦 辰雄君
           戸叶  武君
           千田  正君
   委員
           青山 正一君
           大矢半次郎君
           重政 庸徳君
           白井  勇君
           松岡 平市君
           飯島連次郎君
           溝口 三郎君
           森 八三一君
           清澤 俊英君
           小林 孝平君
           三橋八次郎君
           東   隆君
           菊田 七平君
  衆議院議員
           綱島 正興君
  国務大臣
   農 林 大 臣 河野 一郎君
  政府委員
   農林政務次官  吉川 久衛君
   農林省農林経済
   局長      大坪 藤市君
   農林省農地局長 渡部 伍良君
   農林省農業改良
   局長      小倉 武一君
   食糧庁長官   清井  正君
   水産庁長官   前谷 重夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       安楽城敏男君
   常任委員会専門
   員       倉田 吉雄君
   常任委員会専門
   員       林  達磨君
  説明員
   公正取引委員会
   経済部長    坂根 哲夫君
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  本日の会議に付した案件
○農地開発機械公団法案(内閣送付、
 予備審査)
○天災による被害農林漁業者等に対す
 る資金の融通に関する特別措置法案
 (衆議院送付、予備審査)
○台風常襲地帯における農林水産業の
 災害防除に関する特別措置法案(衆
 議院送付、予備審査)
○農林水産政策に関する調査の件
 (農薬による漁業被害に関する件)
 (昭和三十年産米の集荷及びその価
 格等に関する件)
 (水害による農林業の被害に関する
 件)
 (中央卸売市場に関する件)
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○委員長(江田三郎君) ただいまより委員会を開きます。
 最初に農地開発機械公団法案を議題にいたします。本法律案は去る七月八日内閣から閣法第百四十六号をもって予備審査のため提出され、即日当委員会に予備付託になったものであります。まず提案理由の説明を聞くことにいたします。
○政府委員(吉川久衛君) ただいま上程されました農地開発機械公団法案の提案理由を御説明申し上げます。
 農地の造成及び改良によりまして、食糧の増産と農家の経営安定をはかることが、わが国の経済の安定上緊要であることは今さら申し上げるまでもありません。
 政府は、さきに愛知用水事業を実施するため愛知用水公団法案を提出して御審議を願っているわけでありますが、このたび農地の造成及び改良の事業の効率化に資するため、農地開発機械公団を設立し、その保有する機械の効果的な運用によって急速に農地の造成及び改良事業を完成したいと存じ、この法案を提出いたしました次第であります。
 農地の造成及び改良の事業は、特にその規模の大でありますものは、高能率な機械に依存しなければ、その施行が急速かつ合理的に行い得ないのでありまして、この点にかんがみ、この公団は、国際復興開発銀行等から融資を受けて優秀な機械を購入し、これを管理し、農地の造成及び改良の事業を行う者に貸し付け、またはこれらの者から委託を受けて当該事業を行うことといたしまして、その事業の効率的な遂行に資したい所存でありますが、さしあたりは、北海道の根釧原野にある床丹第二地区及び青森県の上北地区における開墾事業並びに北海道の篠津地区における総合潅漑排水事業について、この公団の保有する開発機械の全機能を発揮させたい所存であります。この公団の機動的活動によりまして、従来の工事の方法によっては避け得られぬ種々の困難を排除いたしまして、著しい成果を期待できるものと確信いたすのであります。
 以上が本法案を提出いたしましたゆえんでありますが、以下簡単に法案の内容を御説明申し上げます。
 第一に、この農地開発機械公団は、さきに提出いたしました愛知用水公団法案の愛知用水公団と同じ性格を付与いたしまして、その役員の選任や欠格条項等その組織に関する規定を設け、公団の財務及び会計につきましては、その収支予算及び資金計画につき農林大臣が認可することとし、さらに借入金、余裕金の運用、財産の処分についても一定の制限をいたし、その経理に公正を期する等の規定を設けたことであります。
 第二に、農地開発機械公団の業務でありますが、国、地方公共団体その他農地の造成または改良の事業を行う者に対し、機械を貸し付け、またはこれらの者の委託を受けて当該事業の工事を行うこととし、これらの業務の実施につきましては、あらかじめ業務の方法を定めて農林大臣の認可を受けることといたしたのであります。第三に、政府は、北海道及び青森県の区域内において行う国営土地改良事業の工事の一部の施行を公団に委託することができるものとし、公団は、余剰農産物資金融特別会計からの借入金をもって政府の委託による工事に要する費用に充てることができることといたしたのであります。
 以上が本法案の主要な内容でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望いたす次第であります。
    ―――――――――――――
○委員長(江田三郎君) 次に農薬による漁業被害に関する件を議題にいたします。
 本件につきましては去る七月八日長崎、佐賀、福岡、熊本四県農業被害対策委員会代表者から当委員会に対する陳情の次第によっておおかりの通りでありまして、農薬が水産業に与える被害が大きく、特に近時沿岸漁業の不振によって疲弊している沿岸零細漁民に対して深刻な打撃を与えているというので、その対策の確立が要望されているのであります。しかし問題は、農業と漁業との両方に関係するものでありまして、まことに複雑困難と考えられますが、本日はこの問題を議題にして、最初に農林当局からその所見あるいは方針を聞きまして、続いてこの問題の取扱いについて御協議を願いたいと存じます。
○政府委員(小倉武一君) 農薬使用によりまする漁業に対する被害の問題でございますが、特に有明海等におきまする問題が、かねてから指摘されていることは御指摘の通りであります。この点につきましては、農林省といたしましても、また私ども直接作物の害虫の被害の防除に努めておりまする改良局といたしましても、もちろん重大な関心もございまするし、そういう点について注意を払わなければならないのでございまするが、当初特に有毒なパラチオンにつきましては水産物についての被害ということについては必ずしも十分認識をしておらなかったのでございます。しかしながらただいまの問題でございまする有明海におきまする問題等に関連いたしまして、その辺の研究も昨年あたりから進めて参っております。九州大学におきましては一部これに関する研究が進んでおるのでありますが、その結果によりますると、有明海におきましてのアミ類等の被害ということにつきましては、パラチオンの使用ということに関連があるのではないかという推測を生むことができるのでありまして、この点についてはなお調査の内容またその他につきまして十分検証いたしますために、今後、本年度におきましても所要の研究を進めたと、かように思っております。ところで、こういう水産に限りませんで、他の人畜につきましても、人命に関するような被害が間々ございまするので、こういう被害のない農薬ということが考えられれば一番よろしいのでございますが、ただいまのところ、パラチオンほどの効果のあるものでありましてしかも人畜、魚類等に被害のないという農薬は見当りませんのでございまして、害虫の防除薬といたしましては最も有効なものでございまするので、現段階に至りましてもこれが使用をいたしておるのでございまするが、しかしながら、人畜、魚類等につきましての被害の防止ということについてはだんだんと措置を強化して参る必要がございまするので、その点につきましては、私ども行政上の指導といたしましても、指導の強化をいたして参っておりまするし、今後さらに注意を喚起し、指導を強化する必要があろうと存じます。
 なお、これとともに、その使用しました後の薬害の除去というものの別途の調査研究ということも必要だろう、かように存じております。
 はなはだまだ私どもの研究、調査が不十分でございますもので、この問題について的確な措置、こうすればいいということは、まだ見当りませんのでございますが、大体の経過は以上のようでございます。
○委員長(江田三郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(江田三郎君) 速記を始めて。
 ちょっと予定を変えまして、ただいまの問題は今大臣が見えることになっておりますから、大臣の出席を得て質問をお願いした方がはっきりすると思いますので、その前に、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法案及び台風常襲地帯における農林水産業の災害防除に関する特別措置法案を一括して議題にいたします。
 ただいまの法律案はいずれも衆議院議員楢橋渡君ほか二百七十二名によって提出され、去る七月四日衆議院から予備審査のため当院に送付、即日当委員会に予備付託になったものであります。まず提案理由の説明を聞くことといたします。綱島衆議院農林水産委員長。
○衆議院議員(綱島正興君) ただいま議題となりました台風常襲地帯における農林水産業の災害防除に関する特別措置法案と、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法案の提案の理由をおのおの申し述べます。
 ただいま議題と相なりました台風常襲地帯における農林水産業の災害防除に関する特別措置法案の提案の理由を御説明申し上げます。
 地勢上モンスーン地帯に位置を占めておりますわが国は、毎年台風または豪雨の来襲を受け、その度ごとに人命並びに国民経済に激甚な損失をこうむっておりますことは、各位の御承知のごとくであります。統計について見まするに、明治二十四年気象台が設置せられましてから昭和二十二年に至る五十六年間に、台風の襲来を受けましたこと実に五百七十回に上り、年平均十回余に及ぶというおびただしい回数に上るのであります。これにより受けました災害がいかにはなはだしいかは想像にかたくないのであります。台風のほとんど大部分は豪雨を伴うものでありますが、この台風以外に豪雨のみによる被害もまた台風による被害に劣らぬ災害を惹起いたしております。
 いずれにいたしましても、これら台風または豪雨によりまして、尊い人命を損傷せしめられるばかりでなく、農林水産物並びに農林水産業施設を初め、農機具、肥料、種苗等の生産諸手段もちろんのこと家畜、家屋等に対し年々おそるべき損耗をもたらし、再建途上におけるわが国民経済にはかりしれない破壊的損失を与えているのであります。
 しかるに今日までこれら台風並びに豪雨の襲来に対しまして、何ら見るべき防除措置は講ぜられることなく、常に、来襲後の災害復旧にのみ終始いたしておりましたことは遺憾に堪えません。しかもその復旧事業も国家予算に制約せられまして、その完成には数年を要するのであります。例えば昭和二十六年災害復旧工事が、今なお完了を見ていない状況にありまして、年々数百億に上る巨額の財政支出をいたしながらも、二十九年度末現在におきまするこれら過年度災害復旧の進捗率はおよそ五〇%程度にすぎませず、昭和二十八年の大水害には特別立法措置を講じまして、迅速なる復旧を企図したにもかかわらず、その進捗率もまた五〇%にすぎない状況にありまして、災害地農林漁業者は、かかる渋滞に対し、多大の不安を感じているのであります。かくては災害復旧は百年河清を待つに等しいこととも相なり、農林水産業生産力の基本的諸条件の整備拡充は不可能となり、自立経済確立の企図もまたむなしくなるのではないかとおそれられるのであります。政府もかかる点に留意いたし、去る昭和二十八年閣議決定に基き治山治水対策基本要綱の樹立をはかり、これら台風並びに豪雨等による被害の除去の基本対策を決定いたしましたことは、もとより当然のこととは申しながら、それも大河川を中心とする基本対策にすぎないのでありまして、財政支出の制約と相待って、未だその効力を発揮するに至っておりません。従いまして今や具体的生産に直結する防除対策の樹立が当面の緊急課題となってきたのであります。
 以上の点にかんがみまして、台風または豪雨による災害の頻発する地帯に防除措置を強力に講じ、もってこれら災害を事前に除去し、あるいは被害を最少限度に食いとめまするとともに、あわせて災害復旧事業についても迅速なる完成を期することによりまして、これらの地帯におきまする農林水産業者が安んじて生業に精励いたし、もって、農林水産業生産力の維持向上をはかりますと同時に、財政資金の効率的運用にも資したい目的をもちまして、ここに本法案を提出することといたしたのでございます。次に法案の主要内容について概略説明申し上げます。
 第一に、台風常襲地帯対策審議会の議決を経まして、都道府県単位に台風常襲地帯の指定を行うことといたしました。
 第二に、台風常襲地帯の指定を受けた都道府県知事は、あらかじめ関係市町村長等の意見を聞いて災害防除計画事業案を作成して、農林大臣に提出し、農林大臣はこの災害防除計画案を参酌し、審議会の議決を経て国の災害防除事業計画を決定し、これを当該都道府県知事に通知いたします。これに基きまして、都道府県知事は当該都道府県議会の議決を経て、当該都道府県の災害防除計画を決定するのであります。
 第三に、災害防除事業の実施主体は、国、地方公共団体、その他農林水産業者の組織する団体といたしました。
 第四に、補助の対象及び補助率の規定でありまして、農林水産施設にかかる災害防除事業は一カ所の工事費十万円以上を対象とし、これら施設の造成改良、或は防災林の造成、補植等に対し事業費の十分の九乃至十分の七を、又その他応急対策事業に対しましては、十分の五の国庫補助をすることといたしました。
 第五に、地帯指定を受けた地域に対する特別措置でありますが、先ず予算の作成方針といたしまして、災害防除事業計画は、本法施行の日から十年以内に完遂できるよう補助金を毎年度の予算に計上するようにいたし、又台風常襲地帯指定区域内における農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律に上る災害復旧事業に対する国の補助は、災害の発生した年から三年以内に復旧事業が完成するようにしなければならないこととしたこと、及び指定区域内の地方公共団体には、地方債起債の特例を設けてその財源の確保を期したことであります。
 第六に、審議会の設置、権限、組織等に関する規定を設けたことであります。
 以上で本法案の大体の骨子を御説明申し上げました。
 何とぞ慎重御審議の上速かに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 次に天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法案提案理由を説明申し上げます。
 ただいま提案と相なりました天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法案につきまして提案の理由を御説明申し上げます。
 御承知ごとく、わが国は年々暴風雨、暴風浪、地震、高潮、降霜、降ひょうまたは低温等の自然災害によりまして、農林水産業にしばしば甚大な損害をこうむり、ために農林水産業経営の維持安定に多大の支障をもたらしている現状であります。この現状に対しまして従来政府は災害のつど特別立法の措置を行いまして経営資金または事業資金の融通をはかり、もって、被害農林漁業者の経営の維持安定をはかって来たのでありますが、最近かかる災害の頻発は特にはなはだしく、毎年このための立法措置を講じ、その後さらにその年度中に続発した災害のため、一部改正等を行なっている次第であります。もしその災害の発生が国会開会中でありますれば、直ちに立法措置を講じてこれに対処することもできるのでありますが、万一、国会が休会中の場合は、直ちに立法措置を講ずることができませず、対策も自然遅延いたし、被害農林漁業者の経営の安定、回復もそれだけおくれ、ひいては、農林水産業生産力の維持向上にも多大の障害を及ぼすことと相なるのであります。
 従いまして、かくのごとく災害発生のつど立法を行う措置のかわりに、恒久的な基本立法を行う必要がございますので、従来の立法措置にならい、農林水産系統金融機関またはその他の金融機関が、これらの資金融通を行います場合、田と地方公共団体において利子補給及び損失補償を行い、もってその資金融通が円滑かつ低利に行われますことを目的といたしまして、ここに本法案、を提案いたした次第であります。
 次に本法案の内容について概略御説明いたしますと、第一に暴風雨、地震、暴風浪、高潮、降霜、低温又は降ひょう等の天災で、その被害が著しく、政令で指定を受けた場合において、農作物又は繭の減収量が平年収穫量の三割以上であり、かつ、その減収による損失額が、平年の総収入額の一割以上である被害農家、薪炭、または林業用種苗について、著しい損害を受けた被害林業者及び魚類、貝類、海草類等の流失、またはその所有する漁船、漁具の流失が、損壊による著しい損害をこうむった被害漁業者であって、それぞれ当該市町村長から、その旨の認定を受けたものを対象として、経営資金の融通をすることであります。
 第二に被害が特に著しく政令で指定された災害の場合におきまして、農業協同組合、同違令会、森林組合、同連合会、または水産業協同組合が天災によりその所有しまたは管理する施設、在庫品について被害を受けた場合には、これら被害組合に対し、事業資金を融通することであります。
 第三に、これら資金の償還期間は三年以内、利率は年六分五厘以内といたし、経営資金においては、貸付の最高額を五万円とし、事業資金におきましては、連合会の場合は一千万円、その他の場合は五百万円を限度といたしております。
 第四に、地方公共団体が融資機関に対し、利子補給または損失補償を行なった場合、政府は予算の範囲内で都道府県に対し、国庫補助をいたすことといたし、利子補給につきましては、当該利子補給の二分の一に相当する額、または当該利子補給の対象となった貸付金の総額につき年二分五厘(開拓者に貸付けられた場合は年三分)の割合で計算した額のどちらか低い額の範囲内とし、また損失補償につきましては、当該損失補償額の二分の一に相当する額、または当該損失補償の対象となった貸付金の総額の百分の二十に相当する額のどちらか低い額の範囲内とすることであります。
 第五に、国庫補助の対象となる融資の総額につきましては、天災ごとに政令で定める額を限度とするのであります。
 以上が、この法案提案の理由並びにその内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(江田三郎君) 本法律案の審議は後日に譲ることにいたします。
○委員長(江田三郎君) 先ほどの議題に返りまして、農薬による漁業被害の件を議題といたします。
○青山正一君 農林大臣がおいでになる前、ごく事務的なことでありますけれども、いろいろ局長なり水産庁関係に御説明願いたいと思いますが、いかがでしょう。
○松岡平市君 私は農林大臣に来てもらいたいのです。というのは三……。
○委員長(江田三郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(江田三郎君) では速記を始めて。
 農薬による漁業被害の件を議題にいたします。
○松岡平市君 委員長が特に督促をきれて政府のこの問題に対する説明を求められ、ただいま改良局長から大体の状況について御説明がありましたが、これはもう今日有明海沿岸の漁民たちが政府に向って陳情をしておる本件について何ら触れない、ただパラチオン剤の使用については注意を払わなければならぬ。昨年度から研究を進めておる九州大学の試験等によれば、パラチオン剤の影響であるという推測を生むことができるようなことで、これについては今後研究を進めたい。そして何らか防止方策を強化する必要を認めておる、これだけであります。で、私はこれは農林大臣はお聞きにならなかったと思うのですが、こういう説明を聞くだけでここへ来ておるのじゃないと思う。先ほど開会の初めに当って、委員長から、当委員会はたくさんの重要案件を持っておる、従って調査案件については今週中で片をつけたい、こういうお話もありました。従って私はそうした委員会の重要法案をかかえておる今日、こういう調査案件で非常に長い時間をとりたいと思いません。しかし率直に一つ質疑応答で事態を明らかにするということだけはさしていただきたい。今日有明海で少くとも二十七年前の漁獲に比べて非常な激減漁獲高になったということだけは、これは改良局長もその通りであるように認めておられると思う。大体私はまず聞きたいことは、改良局長はこのパラチオン剤その他ポリドール等を九州のあの有明海沿岸の農家に使わしたのは昭和何年からか。
○政府委員(小倉武一君) 別段あの地方に限ったわけでは、ございませんが、もう三、四年前から試験的に当初やりました。その後だんだんふえまして、昨年あたりは全国で約百万町歩くらいの面積を防除しておるということでございます。
○松岡平市君 私の調査によりますと、大体これは佐賀県だけの調査でございますが、初めて使ったのは昭和二十七年、これは試験的にごく狭い面積に使っております。そして二十八年度には三万町歩にわたる水田で使っておる。二十九年度には四万町歩にわたる水田でこれを使っておる、こういうことになっておりまするが、大体二十七年度前においてはほとんどこれを使わなかったということは事実でございますか。
○政府委員(小倉武一君) お話のように二十七年度に初めて試験的に使ったのでございまして、それ以前には使っておりません。
○松岡平市君 これに対しては少くとも国は、政府は、相当奨励しておる、農薬の使用については奨励して、ある程度の補助金等、いろいろな形において出しておられるということも事実だと思いますが、そうでございますか。
○政府委員(小倉武一君) 年によって変動がございますが、大体申しまするとお話のように今日まで指導奨励をいたしております。
○松岡平市君 有明海の漁業の推移をごく簡単に申しまするというと、昭和二十五年、六年、七年、この三カ年の漁獲高の長崎県、佐賀県、福岡県、熊木県沿岸漁業については、漁獲高は三カ年平均が八百十四万五千、端数は除きますが、これが、二十八年と二十九年、すなわち今、改良局長がおっしゃったように相当数パラチオン剤を使って、二十八年度、二十九年度の漁獲高の両年の平均は、これのほとんど半数に近い四百五十六万四千、これで特にひどいのは、佐賀県における前三カ年の平均は百三十九万九千九百貫、それが二十八年、二十九年両年の平均高ではわずかに六十三万貫、ことにはなはだしい二十九年度においてはこれが五十万貫に減っておる、こういう状況になっておりまするが、水産庁長官にお聞きしたいと思いますが、こういう数字は水産庁でもよくお調べになっていらっしゃると思うが、こういう数字になっていることは水産庁お認めになりましょうか。
○政府委員(前谷重夫君) 私の方でも調べまして、漁獲の減少は認めておるわけであります。
○松岡平市君 先ほど改良局長はこれがホリドールその他パラチオンの影響であるかという推測を生ずるに至った、こういうふうにあいまいな御答弁でございましたが、水産庁長官とされては、この漁獲高の激減というものは、一体どういう理由によると推測しておられるか、一つお聞かせを願いたい。
○政府委員(前谷重夫君) この問題につきましては九州大学の富山博士を中心にいたしまして研究をいたしておるわけでありまして、その場合にその試験の方法は、先ほど改良局長からお話があったかと思いますが、戦争中における薬害試験と、有明海の海水分析、この二つをいたしておるわけであります。これはまだ研究の中途の段階でございますので、的確な最終的結論は出ないかと思いますが、われわれといたしましては、その影響があるのではないかと、かように考えております。これは最終的な試験の結果によらなければ申し上げられないかと思います。
○松岡平市君 試験の結果によらなければ明確なことは答えられないとおっしゃることはごもっともでございまするが、このほかに少くとも水産庁長官としては、有明海における長い間の漁獲高をずっと見てみると、それが二十八年、二十九年において、佐賀県のごときは半減どころじゃない、三分の一近い漁獲高に、ある種の魚類が減ったということになれば、他に何かこういうふうに減る原因がおありになりましょうか。水産庁の見解において、農薬以外に減るべき理由が何かあったと、こういうふうにお考えになりませんか。
○政府委員(前谷重夫君) これは漁獲の減少――種類によっての漁獲の減少の割合と申しますか、状況が、非常に違っておると思います。特に佐賀県におきましては相当の減少を示しているわけでございまして、この原因が他にあるかと申しますると、今までいろいろ水害等の場合はこれは別でございまして、その他の場合において特にこれだけの減少を示した他の原因も、実はわれわれの研究ではまだ明確でございませんので、他にどういう原因か、はっきりされておりません。
○松岡平市君 他に原因がない、そうしてそれらしいというものが一つある、他には何も原因は発見されておらない、こういうことになれば、大体今日の段階で研究されて、どういう研究をなさるか知らぬけれども、十分研究されて、農業の影響ということ以外に原因が発見されればとにかく、少くとも競合する原因が今なお発見されない、一つだけは相当に推測されておるということであれば、少くとも水産庁長官として、農薬使用の影響の結果であろうというふうにお考えになることはできませんか、おできになりますか。
○政府委員(前谷重夫君) これはいろいろアミの生態につきましては、相当自然環境の影響ということも考えられるわけでございまして、他に人工的な意味におきましての要素というものは考えられないわけでございますので、この漁獲の減少が、決定的にパラチオン剤によるということは、他の自然環境の場合の問題もございますので、決定的にこれによるということも、現在の研究段階においては決定的には言えないのじゃないかと思います。
○松岡平市君 決定的に言えないということであれば、何か原因は、たとえば漁民がとらないのだ、あるいは何か特別な潮流関係だとか、何かそれは少くとも水産庁としては、この激減についての理由を私は幾つかおあげになることができなければならぬと思う。水産庁としてはなぜ減ったかということについて、何も理由はわからないというようなことでは、水産庁が何をしておられるか、私はいささか了解に苦しむ。滅らないものもあると思います。しかし少くとも佐賀県でアミとかエビ類とかあるいはアサリというものは、ほとんど今日漁獲がない。従来といえども漁獲が多い時少い時はありました。しかしながら少くとも昭和二十七年、六年、五年、この間においてほとんど大差はございません。その間にはいろいろ今おあげになった洪水等もしばしばあったわけでありますけれども、一年を通じての漁獲高では大した変化がなかった。それが二十八年、二十九年においてはまことに著しい漁獲の減少を見ている、こういう事実がある、これについては理由はわからんと、こうおっしゃる。一つだけわかりそうなものがある。すでに九州大学農学部では、非常に薄い、濃度八億分の一というパラチオン剤でアミ等は死ぬ、二十四時間ぐらいに死滅するという試験結果を出している。そうして有明海の中ではある所では一億分の一、平均して二億分の一のパラチオン剤が海水中に入っている。特にあの海の中にある浮土の中には、それよりもはるかに濃厚なパラチオン剤がその浮土の中に付いておるということは、もうともかく九州大学の農学部で試験結果を出している、こういう事実が片方ちゃんとあるにもかかわらず、そういうのはあるかないかわからぬと、今なお水産庁長官はおっしゃるのですか。
○政府委員(前谷重夫君) アミの場合、それから貝類の場合、多少事情が違うかと思いますが、アミの場合におきましても自然環境による影響も従来から相当あるということは言われておるわけでございます。その自然環境の分析ということは非常に今困難でございますし、貝類の場合におきましても、その土砂の関係におきまして死滅する場合も想像されるわけでございまして、そういう自然環境の変化がどの程度に影響しておるかということにつきましては、いろいろ検討いたしておるわけでございますが、現在におきましてはなかなか困難でございますので、最終的にパラチオン剤の結果であるということはまだ決定いたしまする段階にはないわけでございまして、われわれといたしましてはさらに本年も続けていろいろ調査研究を続けるということにいたしておるわけでございます。
○松岡平市君 そうすると、これは改良局長にお聞きしますが、改良局長は先ほど有明海の漁獲高が激減しておることはその通りだ、そして先ほど申した九州大学の試験結果等において、その影響であろうかという推測を生むに足りると、こういうふうにおっしゃったが、改良局長はこの影響は有明海の漁獲高の激減、ある魚族についての激減のもとをなしておるというふうにはまだお考えになっていらっしゃらないのでございますか。
○政府委員(小倉武一君) 有明海のアミ等の減少について、パラチオンの使用が一つの原因たり得る可能性があるということでございます。それが確定的にそうであるかどうか、また有明海全体の魚族の被害等の関係につきましては、なお十分の検討を要するであろう、かように考えます。
○松岡平市君 そうすると私はこれは逆な答弁を聞いておる。水産庁長官はほとんどまだ何もわからぬ、改良局長の方はその一部分の原因であろうか、こういうふうに言っていらっしゃるが、水産庁長官はまるでそういうものは全然影響ないようなふうな答弁の仕方ですが、少しおかしくありませんか、水産庁長官として。
○政府委員(前谷重夫君) 私はそういうことを申し上げたわけじゃございません。最初申し上げましたように、自然環境による影響が考えられる。ただこれが、この分析が決定的にその原因の唯一のものであるということについては、まだそれを断定し得る段階ではないということを申し上げました。影響があるということが考えられるという程度でございます。
○松岡平市君 水産庁長官にお聞きいたしますが、しからば、それはいかなる理由によって、かくのごとく漁獲高が減少したかということを断定される時期はいつでございますか。
○政府委員(前谷重夫君) 水産庁におきましても、できるだけ結論を得たいと思いまして、各方面と連絡をとり、さらに応用研究その他予算的な措置を講じまして研究を進めるつもりでおります。
○松岡平市君 農林大臣にお尋ねいたします。実は有明海というものは御承知のように非常に干がたが広い所でございます。大体私の知っておるところで、三万町歩は干がたでございます。干満の差が十八尺、そしてこれの干がたには……あの沿岸は昔から、きのうやきょうじゃございません、昔から漁民がその干がた漁業によって衣食しております。大体これは単に干がたではございません。少し沖合にも出て参りますが、あの有明湾内で漁業に専従いたしております者が、佐賀県、福岡県、長崎県、熊本県四県で約二万人おります。そしてこれが少くとも農薬を使うことが始まりません先ほど申しました二十七年までは、多少の漁獲の高低はありますけれども、累年大体違わない漁獲をしておった。ところが二十八年と二十九年とは非常にある種の魚族によっては漁獲がなくなった。そして心配をして県の試験所、さらには九州大学の農学部で試験をいたしました。先ほど申しましたようにパラチオン剤があの海水の中に相当、ある種の魚族はもうすぐ殺すに足るだけの濃度のパラチオン剤がまざっておる、こういうことを試験の結果出したわけでございまするけれども、今お聞きの通り、そのほかにも原因があるかもわからない、こういうことでございまして、この結果だということは私も別に――ほかに原因を今おあげにならぬけれども――私もこれだけの原因だということを断定する資料は別に持ちませんけれども、少くとも他に特別な原因と思えるものはない。で、さらに、ことしも農薬を使うから、ことしの漁獲の結果を見れば、これは少くとも三年の状況が明らかになると思うのでございまするが、しかし先ほど申しましたように、漁獲高が半減しておる、半減どころでない、ある地域によりましては、これは一番極端な例でございまするが、佐賀県の嘉瀬村のごときは、昭和二十五年度では大体十六万貫、昭和二十六年度十六万七百五十貫、昭和二十七年度におきまして十四万八千百六十貫漁獲しておった。これが二十八年度には、わずかに二千百五十八貫、二十九年度には千四百七十七貫、こういう減少ぶりを示しておる。そして全体といたしましては先ほど申しましたように、二十八年度は二十七年度の半額以下、二十九年度に至っては、それよりもさらにひどくなって、二十五、六、七の平均は百三十万貫であったものが、二十八年度には五十万貫そこそこになった。こういう状況になっておれば、少くとも二十八年度、九年度における漁民の困窮状態というものは、御推察がつくものだと思います。で、県内におきましても非常に漁民は騒ぎまして、昨年佐賀県はやむを得ずして、実は漁民の生活を一時何とかして都合をつけてやるというようなことで、多少生活資金の貸付等をはかりましたが、御承知のように佐賀県のごときは全国で最も有名な赤字県であります、職員の給料も払えないという実情になっておりまして、もはや漁民が県等に陳情をいたしましても、らちがあかないということになっておるのに、再三お願いをしておる。何とかしていただきたい、食えない。まことに佐賀県だけで三千九百人の漁民がおりまするが、これらの生活というものは、見るに忍びない状況になっております。ところが一方、農薬の指導奨励をしておられる改良局長は、この影響があるかもしれぬけれども、まあこれということは断定できない。水産業の指導奨励をしておられる水産庁長官もまた、原因がほかにあるかもしれない、断定できない、こう言っておられる。いずれは分明する。役所の方で原因が那辺にあるかということを明らかにしていただく間に、有明沿岸二万の漁民、家族を合せまして十万の人間は路頭に迷うのであります。
 そこで私は農林大臣にお答えを願いますが、やがては農林省の力をもって原因を、少くとも先のことはともかく、二十八年と二十九年のこの漁獲高の激減というものは、パラチオン剤の使用によるということを立証された暁においては、国においてはこれらの漁民の漁獲高の減少に対して補償を行うという御意図がおありになるかどうか、さらにもう一つは、そういう状況になって、原因は不明であるが、ともかく農薬使用の結果らしいということは、先ほど改良局長の御答弁の中にもあるわけでありまするが、何らかのこれらの困窮しておる漁民の救済、これはよしんばパラチオン剤の影響でなくてもよろしい、あなたの所管下にある水産業者二万、家族合せて十何万の人間の生活困窮に対して、この際何らかの方途を講じてやろうという御意思があるかどうかということを一つお聞かせ願います。
○国務大臣(河野一郎君) だんだん御意見を拝聴いたしておりまして、また政府の方の考え方も聞いておりましたが、今お話の通り、この原因を究明することはもちろん必要でございましょう。その結果によって適切なる処置をとるということも必要なことだと考えますが、しかし、いずれにいたしましても、そういう状態に一部の漁民諸君がおられるということにつきましては、これに対して適切たる処置を講じなければいかぬということは私考えます。従いまして、さしあたりその地方の漁業不振に陥っておりまする漁民諸君に対して、適当なる施策を講じなければいかぬという意味合いにおいて、よくお話は承わりましたから、善処いたしたいと思います。なお、引き続いてその原因、結果、影響につきましては、十分なる調査をいたしまして、調査の結果、すみやかに、その判明いたしまするものについては、また別途これは考えて適当なる善後処置を講ずるということにいたして行くことが妥当と考えます。そういう意味合いにおいて行政の指導をして参りますことをお答えいたします。
○松岡平市君 私はただいまの農林大臣の御答弁、非常にはっきりして大へんありがたいと思います。原因を突きとめて将来災害を防止するという仕事も大事なことでございます。しかしながら、原因がわからぬからということで、今日塗炭の苦しみに陥っておる漁民の救済に、原因がわからないからということで政府が耳をかさないという、従来の政府の態度というものは、まことに了解に苦しむのです。原因は那辺にあろうとも、現実に漁獲高はかように従来の半分に減ってしまっておるということであれば、原因が何であろうとも、ともかく農林省、ことに水産庁といたしましては、これらの漁民に対して適当なる転業の方策を講ずるとか、今、有明海において、たとえばノリの養殖というようなものはパラチオン剤の影響を受けないということ、これは試験の結果においても、実際においてもはっきりわかっておる。しからば少くとも水産庁としては、さしあたってそういうノリの漁業に転換させるというぐらいなことは、進んでおやりになるべきものである。それが、原因が農薬の影響であるかどうかということがわからぬからということで、これらの漁民に対して、さしあたりの救済方法を講ずるということとを結びつけて、片っ方がわからぬから片っ方をほっておくという態度では、これは私は少くとも政府の態度としてよくないと思う。ただいま農林大臣は、少くとも行政措置によって、原因のいかんにかかわらず適当な方策を講ずる、講ずべきものであるということをここで明言せられた。これは何もいつまでもほっておいて済むことでございません、すみやかにどういう方策をお立て下さるか、私はやがてこの委員会におきまして、少くとも今国会の終る前に、農林関係御当局が、これらの状況について、それぞれ四県から陳情をしておることも、水産庁長官なり改良局長も御承知なんでありますから、これらの陳情の趣旨に沿えるような御措置がおとりになれるかなれないか、どういうふうに実際においておやり下さるかということをさらに明らかにいたしまして、ただいま農林大臣のせっかくの御言明が、ただ空言に終らないということ、事務当局が必ずやっていただくということを期待して、しばらく私は一応待ちますが、まことにこれは重大な事態になっておるということを一つ御認識を願いたい。のみならず、私は委員会にお願いいたしまするが、委員会といたしましては、調査案件としては、広く農林水産政策に関する調査ということになっておりますが、なおその中で特にこの有明海における農薬の影響だと思える、少くともその影響だと考えられる漁獲のまことにはなはだしい減少、それによる漁民の困窮、これが救済をいかにすべきかということにつきましては、ぜひ委員会においても熱心に御研究下さいまして、委員長がおっしゃったように、今週中に結論をおつげ下すってもけっこうであります。適当なる結論をお出し願うということを懇請いたしまして、一応質問を打ち切ります。
○政府委員(前谷重夫君) ただいまのお話でございますが、われわれといたしましても、原因の究明とは別個に、それの転換対策については十分研究いたしておるわけであります。われわれといたしましても、研究の結果によりますると、ノリに対する影響はないということでございますので、ノリに対する転換、ことに本年度におきまする予算の執行の面におきましても、ノリの芽を作る、その他の漁場の改良、設置等につきまして、予算的に、今年度の予算の範囲内で、十分できる限りの措置をいたしたいということで、現にそういうことを関係当局、府県と相談いたしておりまするし、また一本釣りの転換も考えまして、その後における魚礁の設置につきましても計画を立て、関係府県と相談をいたし、実施いたしたいと、かようなことで、その転換の対策につきましては、できる限りの措置をいたしておる次第であります。
○松岡平市君 予算の範囲内とおっしゃいましたけれども、政府は予備費を持っておると思うのですが、予算の範囲内でとおっしゃらないで、大臣もああおっしゃっておる。すでに一年間の漁獲高の損失は平均して九億をこえております。あなたの方の持っていられる予算の範囲内で対策をお立て下さることは、私ははなはだ不満であります。こういう際にこそ、私は、十分予備費を使って適当な対策をお立てになるべきものだと思います。水産庁長官が予算の範囲内でということでありますが、予備費を支出してやるかどうかということをもう一ぺん確めておきたい。
○政府委員(前谷重夫君) ノリその他浅海魚介につきましては、昨年度よりも、ことに魚礁等につきましては倍以上の予算が、先般御審議いただきました予算におきましてついておるわけであります。昨年度よりは浅海魚介につきましては相当の増加を見ております。従いまして、現在そういう意味におきまして、この対策を考えておるわけであります。御指摘の予備費その他については、さらに研究をいたします。
○千田正君 水産庁長官に尋ねますが、この種の問題は今日始まった問題ではないのでありまして、過去数年間にわたってこういう問題がちょいちょい起っておる。しかし農林当局というよりも水産庁の方においては、十分研究したり、あるいはその科学的な究明をするだけの余裕がないのかどうかわからんけれども、結論がいつでもうやむやにたってしまう。私は、水産庁のこうした科学技術面が十分充足されておるとは、私は結果において思えない。ということは、先般千葉県における油の被害の問題についても、はなはだその結論については要求を満たすだけの十分な結論が出ていない。今度の有明海の問題につきましてもあやふやである。農薬の被害であるかどうかわからぬ。これではいつでも水産関係におけるこうした被害に対しては、真剣に被害者の立場に立っての研究した結論が出てこないのであります。私は水産庁関係の人たちは熱心にやっておると思う。これはおそらく予算が十分でないから、研究部門の面において完璧を期せられないのじゃないかと、こういうふうに推測ざれるのでありますが、一体こういう問題の究明を迅速に、はっきりできないという理由はどこにあるのですか。私は予算が十分でないから十分できないと、こういうふうに思うのですが、水産庁長官としてはどういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(前谷重夫君) われわれといたしましても、こういう場合の調査研究につきましては、十分に努力をいたさなければならないわけであります。従来の水産研究所の建前といたしまして、ただいま御指摘のございました油の問題にいたしましても、こういう問題にいたしましても、水産の応用試験がおもでございまして、基礎的な試験の部門におきましては、従来から各大学、その他それぞれの基礎部門の面と十分連絡いたしまして、独自に調査するよりも、各方面の協力を得てやるということが適当であろうと、かように考えまして、この件につきましても、昨年度から水産庁が指導いたしまして、九州大学にその調査を依頼し、研究を依頼いたしておるわけであります。もちろん水産関係の研究につきましては十分でないと私も感じますので、その面の充実は必要かと思いますが、いろいろな問題が起きまして、やはりその部門におきまする得手、不得手と申しますか、専門がございますので、専門の研究設備を利用することが必要だというように考えまして、広く各専門の研究機関と連絡をとりまして、こういう調査なり研究をいたしておる次第でございます。
○千田正君 それではまるでわれわれからいえば、下請仕事をやらせて、その結論が出てきたときには、これは水産庁の結論だというように持ってくる。いわゆる隔靴掻痒の感がある。こういう問題がしょっちゅう起ってくる。このたびは幸か不幸か知らぬけれども、同じ農林省管内の行政機構の中におけるところの農薬の問題であるけれども、ある場合においては、通産省関係の大きな紡績会社等によって生ずるところの大きな損害が起きてくる。向うの方は金がたくさんあるから、同じようなことを同じような大学に頼んで、そうして科学者の間においても、水産庁から依頼された部門の人と、それから通産省から依頼された部門の人と、対立した意見が出てくることがある。われわれの方はその間に処して……いつでも水産庁の方が負けであります。だから、水産庁は独自の立場におきましてやれるだけの予算を十分とって研究して行かなければならないじゃないか。しかも、こういう科学的なものについては、どんどん年とともに強いものが出てきます。これの被害はどうあるかということは、これは当然水産部門を担当しておるところのあなた方として、その研究をゆるがせにすることはできないじゃないか、それだけの予算を十分とるべきであると私は思う。これはさっそくとるべきものであると思いますから、私はあらためて農林大臣にお伺いいたしますが、こういう問題に対して、農林大臣は将来どういうふうにお考えになるか。例えば今度の問題につきましては、同じあなたの管理下におけるところの、いわゆる農薬として使われておるところのものが、同じようなあなたの管轄下にあるところの水産に対するところの被害である。これはあなたがここで善処しなければこの問題は解決できないのでありまして、ただいま松岡委員の御質問に対しましては、あなたから何とか早急の手を打ちたいと考えるということでありますが、早急の手は、何かあなたから腹案を示されると思いますけれども、これからこういう問題はしょっちゅう起きてくる。これに対するところの恒久的な対策として、何かお考えがありますか。あるならば、この際承っておきたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) それは御意見でございますけれども、政府部内におきましてそれぞれ科学研究所、試験所もございましょうし、その発生いたしましたる原因を、それぞれの適切な機関に研究検討せしめて、それと同じ政府部内で採用して参るということが適当であるのではなかろうかと私は考えるのであります。それを一農林省の水産庁におきまして、諸般の問題に対応するために試験研究所を持つということは、いたしましてもなかなか完璧を期するということは困難じゃないかと私は思うのであります。従いましてこれはそれぞれの政府の適切な機関が不十分であれは、それを十分に拡充して参るということは必要でございましょう、しかしこれを各部内におきましてそれぞれ試験所を持つ、研究所を持つということはなお研究の余地があるのではないか、こう私は思うのであります。
○千田正君 それは農林大臣はこういうような問題にぶつかったのはおそらく今度初めてだろうと思います。この間の千葉の油被害の問題、それから今度の有明海のこういうふうな問題、ところが過去数年間においてこういう問題がしょっちゅう起っておる。起ってきた場合に結論はいつもうやむやに終ってしまう。終ってしまってちっともこういう問題に対する研究が進んでおらない。あなたの今のお説をとるというと、これだけのそれぞれの研究部門があるから、その政府機関にそういうものを担当させれば、りっぱな結論が出てくるはずだという御議論のように承わっておりまするが、そのりっぱな結論はちっとも出ておらない。出ておらないがゆえにいつも原始産業に携わっておるところの農業とか、水産とかいうものは常に、今零細な農民であるとか、漁民というものはこういう問題のために苦しめられどうしなんですよ。だから今までのようなやり方であったならば、いつまでも同じようなことを繰り返すのでありますから、今後どういうような方針を立てるかということを研究していただきたい。幸いにしてあなたが大臣になられてこういう問題が出ておりますから、これをいい機会にしまして……特にこういう問題は将来は必ず起る。私は科学の進歩と――農薬ばかりではなく、工業薬品の進歩と同時に、この原始産業の部門がいつでも荒らされるということを、将来を憂うる者の一人でありますから特に考えていただきたい。この点を注文しておきたいと思います。
○委員長(江田三郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(江田三郎君) 速記を始めて。
 この問題につきましては政府としても早急に、当面した有明海海域に対してどういう対策を持たれるか、さらに今後農薬の被害というものは、各方面に問題が発生してくると思うのでありまして、そういう被害の調査の機構というものを、どういう形でやっていかれるか、これにつきまして早急に当委員会へ御報告を願いまして、その上でもう一度あらためてこの問題を取り扱いたいと思います。本日はこの問題についてはこの程度にいたしたいと思います。
    ―――――――――――――
○委員長(江田三郎君) 次に昭和三十年産米の集荷及びその価格等に関する件を議題にいたします。本問題は、かねてたびたび委員会で取り上げまして、再度にわたって決議が行われているのであります。昭和三十年産米の価格は、去る七月九日に閣議において決定し、集荷についても手配が取り進められたように伝えておりますので、本日はこの問題について農林大臣から説明を伺うことにいたしたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) この機会に私から、先般来いろいろ御配慮をわずらわしました昭和三十年産米の政府買い入れ価格の決定につきまして、一応御報告を申し上げたいと思います。先般政府におきまして、一応一万六十円ときめまして米価審議会に内示いたしまして、米価審議会からいろいろな意味で答申をちょうだいいたしました。政府におきましては、これらの米価審議会の答申並びに各方面の御意見等を十分拝聴いたしましたので、米価につきましてはこれを一万百六十円、全国平均手取り価格を一万百六十円と決定をいたしまして、なおこのほかに減税の処置といたしまして、集荷を促進し奨励する意味において、石当り千四百円を控除してこれを減税するということと、前渡金として二千円を、予約と同時にこれを農家の方に前渡しをするという、これらの主たる処置によって、本年の予約集荷制度を推進して参りたいということに決定をいたしました。この平均手取りの内容につきましては、いろいろ詳細事務的にございますが、これは今食糧庁長官から御説明をいたさせることにいたしたいと思います。なおこれに要する財源といたしまして、財源が予算に比べまして、過般の減収加算の引き当てとして三十二億、今回の米価決定に基いて九十六億、合計百二十八億の財源が要るわけでございます。従いましてこれに見合いまする財源措置といたしまして、輸入食糧の買い入れ費の節減、これは実は二言御説明申し上げておきたいと思いますが、この輸入食糧の買い入れ費の節減は、すなわち予算を編成いたしました当時に、外米、外麦の買い入れ費を予定いたしましたその金額が、その後すでに政府が今日まで輸入をいたしました実際の外米、外麦の買い入れ費、これとさらに従来ここ最近牧年間にわたって、御承知の通り外米、外麦が先安傾向になって参りまして、いつも予算編成時に比べまして、また今日ただいま考えましても、これから将来に年度内においてある程度の値下りが期待される、そういう傾向を従来とっておりますので、これらの傾向を見合わしまして約四十八億くらいの節約ができるのではなかろうかという見込みでございます。それから第二といたしましては、食管の会計の経費の節減によりまして大体十八億くらい節約ができる。これは前回予定いたしました際には十三億くらいの予定でおったのでございますが、これにさらに検討いたしまして、前年のMSAによるところの食糧の輸送費の中から五億ほどまだ余分が出ておりますので、これをもその中に繰り入れまして約十八億節減ができるということにいたしたわけでございます。さらに第三番目には、業務用米の売却、これも今後の見通しといたしまして、準内地米を公衆食堂その他列車の弁当、旅館等に売却することによりまして約三十九億円くらい節減をして、これの収入増を見て参りたい。第四番目には、酒米の増量並びに価格の引き上げによりまして二十三億くらい見て参りたい。酒米は大体今年度は、前年百万石でありましたが、これを十万石ふやしまして百十万石ということにして、これをさらに売り渡し価格の値上げによりまして二十三億くらいふやして、これで大体合計百二十七、八億の収入を得ることにして、この処置をして参りたいということに予定いたしておるわけでございます。
 大略御報告を申し上げて、なお先ほど申し上げました通りに、買い入れ価格の内訳につきましては詳細を食糧庁長官から御報告を申し上げることにいたしたいと思います。
○政府委員(清井正君) ただいま大臣からお話し申し上げましたのでございますが、買い入れ価格は、ただいま申し上げました一万百六十円というのは全国平均の手取りでございますので、実際に価格をきめます場合には、それぞれ具体的に等級別の価格をきめなければならぬわけであります。そこで一万百六十円を基準といたしまして、お手元の資料にもございますが、時期別格差をこれは含んだ価格でございますので、時期別格差が一石当り二百十円になりますので、その二百十円を引きまして、それから格差その他等級間の格差等の平均が九十二円でございますので、その九十二円を足しまして、その他包装代を勘定いたしまして、そうして三等価格を出しましたのがここに書いてございます一万三十円ということでございます。従いましてこの一万三十円と申しますのは、玄米一石当り三等の値段でありまして、しかも複式の俵込みの値段ということでございます。複式俵は、下に包装代といたしまして書いてございますが、一俵当り七十円ということでございますので、一俵七十円分の包装代が入りまして、そうして玄米一石当り三等で一万三十円、こういうことになるわけであります。しかし時期別の格差がございまして、九月二十日までに売却したものに対しては千二百円の格差がつきますので、従って売り渡し価格は一万一千二百三十円になるのでございます。それから十月十五日までに売り渡すものには六百円の格差がつきますので、売り渡し価格は一万六百三十円、十月三十一日までに売り渡すものは三百円の格差がつきますので一万三百三十円ということになりまして、十一月以降が一万三十円、こういうことになるわけであります。これはいずれも三等の価格でございます。そこで等級間の格差は、一等と二等は百十二円五十銭、二等と三等は百八十七円五十銭、三等と四等は百人十七円五十銭、これはいずれも前年を踏襲いたしております。それから包装代といたしましては、二重俵が一俵当り九十円、複式俵が一俵当り七十円、かますが一かます当り八十円、平均一石当り百八十七円になるのでありますが、この包装代も前年を踏襲いたしております。
 以上によりまして、ただいま価格の告示を目下事務的に手続を進めておるわけでございますが、ここ二、三日中には各等級別の詳細な価格の告示をいたす予定でございます。簡単でございますが、目上で御説明を終ります。
○委員長(江田三郎君) 御質問ございましたら、どうぞ。
○森八三一君 こまかい計算は別としまして、大臣の御就任当時の、今後に対する農林行政の御方針として、農家の経営が経済的に安定するという点を強く考えていただきたい、そのためには農林生産物の物価について考慮を払うというような趣旨のお話がございましたが、そこで今お話しの平均が一万三十円、御決定になったのは一万百六十円、そういう御方針から援用していきますというと、生産費がこれでカバーされておるというようにお考えになっておりますかどうか。計算の方法はいろいろございますが、そう大体はお考えになっておるのかどうか。もしそうでないといたしますれば、その大方針をなし遂げていくために、そういう具体的な事実が生まれていくようにするために、今後どういうことをお考えになるのかという点をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) 実は米価の決定につきましては、御承知の通り、いろいろ御意見もございまして、特に生産費の調査、生産費のとり方等につきましては、これもいろいろ非常に難解でございます。御承知の通り、同じ生産費にいたしましても、全国非常に高いものから非常に安いものまでございまして、これをどの程度でおさめるか、一応八〇%までといろ御意見がございましたので、八〇%までこれをおさめるにいたしましても、その計算の基礎が非常に複雑でございます。私といたしましては今後米価の問題等について十分なる検討を加えなければなるまい。たとえば米について一番私として考慮いたさなければならないと思いましたことは、この生産の一番もとでありまする土地に対する問題であります。小作料を幾らに計算したらよろしいか、土地の売買代金を幾らにしたらよろしいかということ等につきましても非常にいろいろ考え方がございますので、これを一定に定めることもなかなかめんどうでございます。大体この辺のところにおさめて、そうして減税等の処置もこれに振り当てていけば、まずまずここらで一応行けるのではなかろうか。もちろんこれには今後私といたしましては生産費の引き下げのためにあらゆる施策を講じなければいかぬということは十分考えております。これはたびたび申して恐縮でございますが、すぐ最近に問題になりまする肥料の価格の決定をもう数日のうちにいたさなければならぬのでございます。これにつきましては新聞等でも御承知の通り、肥料製造業者の方面におきましてはなかなか強い御意見があるようでございますけれども、私といたしましてはこの際どうしてもこれらの製造会社の諸君に御了解御協力を願って、相当の価格の引き下げに一つ持っていきたい。で、また肥料の製造業者には他の別途方法を講じて、これには安い資金の融通をするというようなことによりまして、どうしても最大限硫安を初めとする肥料の価格は国際価格並みにはどうしても下げなけりゃいけないということを強く私は念願する次第でございます。その他今問題になりました農業薬品、えさ、農機具、これらのものにつきましても十分努力をして国会でも済みましたらば、さっそくこれらの点について検討をしなければならぬというふうに考えておるのでございます。何分税金の点は割合に農村の負担が少いものでございますから、しかも、これが、税金を減らすことによって全部の農家の方々の負担の軽減になるという処置がとれないものでございますから、税金の面について考えることはこれ以上は少し行き過ぎになるのじゃなかろうかということも実は多少考えたものでございますから、これから先はかかって生産費の引き下げに重点を置いてやっていかなきゃならぬということを第一に考えるわけでございます。
 第二といたしましては、米の価格をきめますことはもちろん一番大きな問題でございますが、これを他の一般の農産物との価格の平衡が一体どういうことになっておるかということについて再検討をして、農業政策をこの点に基礎をある程度置くということに考えていかなければならぬのではなかろうか。たとえば同じ農産物の中におきましても大蔵省関係の葉タバコの耕作者と同じ隔年に耕作いたしまするサツマイモその他の収穫との間にあまりにかけ隔てがあるのではなかろうかというようなこと等も勘案いたしまして、政府の施策といたしましてはこれら全体の農作物を通じて一貫した一つの価格政策を決定いたしまして、それと他の行政処置とを取り入れてそこに農家経済の安定度を強めていくということにしていかなければならなかろうということに深く今回の米価の決定に当りまして反省をいたした次第でございます。従いまして早急にこれら農産物の価格について十分な御検討をいただく審議会なり調査会なりを内閣に置くことにいたしまして、一つ直ちに基本的にこの調査をしていただくことにいたして参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○森八三一君 なお一つお伺いいたしたいのは、閣議でこの価格が決定されまする直後に新聞報道でありますが、予約買い入れ制度は今年限りで三十二米穀年度からでありますか、三十一年産米からでありますか、米の統制は廃止をするというような方向が閣議では相当に論議をされた。農林大臣談としてはそういうことは打ち消していらっしゃいますが、そういうようなことが一体どういう方向を示しておるか、これはこの予約買い入れ制度というものが成功するか、成功せぬかということに私は非常に大きな関係をすると思うのです。ここで内地米はどうせ足りないのですから早晩統制が廃止されるというようなことであるといたしますれば、あえて今大臣のお話のように、一万百六十円というものに何がしかの減税措置が講ぜられるといたしましても、農民諸君が要求している生産費には遠く及ばないのであります。といたしますれば、どうせ崩壊するであろう予約買い入れ制度というものに協力する必要はないという感じをいだくのではないかと思うのですが、そういう点についての情勢についてお漏らしを願いたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) お説ごもっともでございます。実は経過を申し上げますが、当日の閣議におきまして、こういう食糧の事態であればすみやかに統制を撤廃して自由販売の方向に行くべきであるというような御意見の閣僚もおられました。で、いろいろ論議をされましたが、私としましては、これはそういうことは非常に迷惑である、そういうことを考えることは困る。と申しますのは、ただいまのお話もさることながら、たとえば統制を撤廃するにいたしましても軽々にできることではございません。これはただ簡単に、統制しているのであるから法律かなんかでもって食管法を廃止するといえばそれでよろしいのだというように考えられることは非常な間違いでございまして、そういうような閣議決定をされればどなたが農林大臣をなさるにしても、これならば勤まらぬだろうと私は思うのであります。これには非常な準備と一般の世論の支持がなければいかんのでございまして、世論が果してそういうことを支持するかどうかということが私は先決問題だと思うのであります。これらについて十分な検討と用意を加えずして、ただ一方的に政府がこれをきめるというような軽々なことはすべきじゃないというように私は考えておりまして、その当日も閣議において絶対にそういうことは困るということの私も強い意見を述べた一人でございます。閣議におきましてはそういう意見の人があったことはあったのでございますけれども、政府の方針といたしましては当日発表いたしました通りに、そういう自由販売にするとか、統制を明年度から撤廃するとかいうようなことは絶対にきめておりません。そうでなくて、今私が申し上げましたような線で、いずれにしても、今日この予約買付制度を実行して参ります上におきまして、一番私は大きく考えなければならない問題は、この価格は一体これでいいか悪いかということと、同時にその価格で買い入れて、これを消費者に今日の値段で売って参りました際に、食管会計の会計がどういうことになるかという、この二点であると思うのであります。これをこのまま推進して参りますれば、一般会計からどのくらいの明年度においては資金を繰り入れしなければならないか、それだけの経費を繰り入れして、そうしてなおかつ今日の買い入れ価格をさらに上回るとか、今日の価格のままで置くとか、ないしは今申し上げましたように売り渡し価格を現状のままで置くとかいうような点については十分に検討を加える必要がある。これはもちろん政府の方針として、今の物価体系をこのまま推進して、そうして配給価格は今日以上には上げないということにおいて一方においてきめる場合におきましては、当然一般会計からの繰り入れを二百億するか、三百億になりますか繰り入れをいたさなければならなかろうと私は思うのであります。そういう繰り入れをして、そうしてこの制度を続けていくかいかぬかということが国家全体の経済から見て一体どうなのか、この制度と申しますのは今言う通り価格体系でございます、これが一体どうなっていくかという問題については根本的に考えなければいけないということは私は考えておりますが、しかしそれであるからというて、それがだめだから直ちに統制を撤廃するのだという議論に飛躍してなるべきものではないということは先ほども申し上げました通り、統制を撤廃いたしますには用意と、それから政府としての準備がもちろん要ります。御承知の通り相当の持ち越し米も持ちまして、そうして政府の保有量を相当に多くいたしまして、一般国民諸君の不安感をなくするようにしなければならないことも大事でございましょうし、出来秋におけるところの農協の実力を強めまして、これによって一度に米が出回らないようにということの準備も必要でございましょうし、その他あらゆる面において用意が必要であります。いかに準備行為が政府でできましても、各御家庭の主婦の方に仮需要が起りまして、一時的な買いだめをされるというようなことになれば、政府の処置は幾らこれに対応しようとしても対応できるものではないと私は思うのであります。これが第三点であります。さらに現在のこの八日間の配給に対して非常に大きくこれが家計の上に影響しておられる階層の諸君に対して、どういうふうに将来政府は考えていかなければならないかということについての施策も十分にとらなければならないと思うのであります。これら諸般の点について一切の準備が完了いたさなければ、私は今の統制をはずすということはできないと思うのであります。でございますから、今申し上げまするような、食管会計を中心にして経理的に基本的な調査検討をするということと、自由販売に移行するための確信を得るということとの間には、相当の懸隔があるというふうに御了解を願いたいと思うのでございまして、今の制度について十分なる検討を加えるといえば、ただちにそれが次のページでは、自由販売であるということになっていくべきものではないというふうに考えておるものでございますから、この点は御了解をいただきたいと思うのであります。
○委員長(江田三郎君) ちょっと私大臣にお尋ねしますが、先ほどおっしゃいました、他の農産物を通じた一貫した価格政策を検討されるために審議会や調査会を設けられるという場合には、今度の米価の決定に当りまして一つの価格をはじき出す方式があったのですが、それを再検討するということなんでございますか。今度の米価を決定する方式に他のものも合せていくということなんでございますか、その点はどちらでございますか。
○国務大臣(河野一郎君) お説の通り、大体わが国の現在おられます権威ある方々の御調査によりまして、一応中間的に御報告を得た価格算定方式が先般出たわけでございます。ただ、方式としては、ある程度のものが出たのでございますけれども、これの中に、計算の基礎になるべき数字が、一定したものがまだ出ていない点があるということでございますので、これらについても十分な裏づけをしていかなければならぬというふうに私は考えておるわけでございます。従いまして、それらについてもちろん検討を進めていかなければなりませぬことが第一点、さらに、それによって検討を進めていく、すなわち農産物の価格を、生産費を基準にしてすべての農産物について十分なる検討を加えて、これを基礎にしてわが国の農業政策は進めていくのでなければいけなかろうというふうに私考えますので、これらを価格政策のある程度の要素に置きまして、たとえて申しますれば、一方においてタバコの耕作地については非常に耕作の要求が多い、むしろこれを押えるのに困るような状態である。しかるに、一方においては、あまり収益の少いものについては、これは耕作を忌避する傾向が漸次出てくることは当然でございます。というようなことでございますから、これらの価格政策面において一貫性を持っていくことがどうしても必要だというふうに考えるのでございます。ここに、私はなお御議論が出るといけませんから、つけ加えて申しますけれども、そういう審議会等を通じまして、ある程度の成案を得ましたならば、その成案を基礎にして、米価審議会でありますとか、ないしは糸価安定の基礎になります価格決定の方式でありますとか、あるいは、麦についてはパリティできめることになっておるというようなこと等々についても、来たるべき国会において法律の改正等も必要があればそのときにして、そうしていくことがいいんじゃないかというふうに私は考えておるわけであります。
○委員長(江田三郎君) そうすると、くどいようですが、基調になるのは生産費を補償する、こういう建前でありますか。
○国務大臣(河野一郎君) それは、農業政策の基本をそこに置いていかなければならなかろうと私は考えておるのであります。ただ、生産費を補償すると申しましても、これも当然御承知のことと思いますが、先般も問題になりましたように、八〇%でとるか、七五%でとるか、一〇〇%でとるかということになるのでございましょうが、一応八〇%を妥当ということになっておりますが、これらにつきましても十分な御検討をいただきまして、何の種類については何%、何の作物については何%というようなことが出るかもしれませんが、いずれにしても、専門家の諸君の御意見を十分承わりまして、そうしてわが国の農業政策の基調をここに置いていくということにすることが妥当ではないか、そうしてこの価格政策で、生産費補償主義によって、これから逸脱する面については保護助成の政策をこれに加えていくというようなふうに農業政策を持っていったらどんなものだろうかと実は私は内心考えておるわけでございます。
○委員長(江田三郎君) もう一つお尋ねしますが、今度の決定されました価格につきましては、私個人としましては別に意見を持つわけですが、ただそれが妥当かどうかということは別問題にしまして、一応お聞きしておきたいのは、本年度の作況がどういうことになるかわかりませんが、かりに生産費を見られるときに、指数として、データとして取り上げられました予想収穫量をこえた収穫量のときにはどうされるのか、それから減収になった場合にはどうされるのかということが第一点、それから集荷量が予定に達しなかった場合には、一体家庭配給というものはどういう措置をとられるのか。それから第三点は、集荷量が予定をこえて申し込みがあった場合には、食管としては無制限にお受けになるか、そうしてそのときに、集荷量が予定以上になるということは、一つは収穫が非常にふえたということが前提になると思いますが、そういうふうに収穫がふえても、現在の価格をもって無制限に食管の方で買い上げをなさるのかどうか。そうして集荷の予定量をこえた集荷量というものがかりにできた場合には、それは家庭配給の分をふやすことにお使いになるのか、あるいは備蓄というような面にお使いになるのか、そういう点についてはどうお考えになっておりますか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) 大体現在予定しておりますのは、平年作を対象にして二千三百五十万石を予定しておるわけでございます。これはあまりそういうことは考えたくないのでございますけれども、予約には予約の前渡金を差し上げるわけでございますから、豊作を見越して非常に予約の申し出が多いというような――実際に買います場合は別でございますけれども、この際は一応二千三百五十万石を目途として予約をして参るということにして参りたいと思うのでございます。そこで、現実に出来秋になりまして豊作でありました場合、減収でありました場合におきましては、その集荷の面から申しますると、補正を――法律上の補正は減収の際でございますけれども、常識的に考えまして、豊作の場合に、何%の豊作であるから当然このくらいに補正するのが当りまえじゃないか、ないしはまたこれだけの申し込みがあればその申し込みに対してはこれを買うのが当りまえじゃないか、またできるだけ余計買うのが当りまえじゃないかということは、豊作の事態が起りました際には今申し上げましたような考えのもとにやって参ります。減収の際には、もちろん予約はしてありましても、これは補正をいたしまして、この減収に対してその集荷量を減らして契約をもう一ぺんし直すということにすることが当然だと、こういうふうに考えておるわけであります。豊作であった場合には、それでは買い入れ価格は同じにやるかということでございますが、これは今さしあたってこれを変えてするというようなことは全然考えておりませんけれども……。まあ誤解が起るといけませんから。要らざる言葉をつけ加えますと、またそこへ行って変なことにするじゃないかというふうにとられるといけませんから、私としては変えて買うというようなことは考えておりません。今申し上げますように……。
○委員長(江田三郎君) 予定量以上に集まった場合……。
○国務大臣(河野一郎君) 予定量以上に集まりました際には、これは備蓄の方にある程度は回すこともいいでございましょうし、それから家庭配給をふやすということもいいでございましょうし、別に一括した方針を持っておりません。
○小林孝平君 三点お尋ねいたしますが、第一点は前にもお尋ねいたしましたけれども、予約の数量が二千三百五十万石に達しなかった場合はどうされるのか、これは農林大臣は達することを予定してやると言われますけれども、実際問題として達しなかった場合はどうされるかということが第一点、第二点は……まあ第一点から一つ。
○国務大臣(河野一郎君) これは非常に天候にも恵まれまして、達しないというようなことはちょっと想定ができないわけでございまして、私は、御承知の通り、こんな少い集荷の熱意ではだめじゃないか、もっとなぜ余計に考えないかというおしかりを受けるくらいじゃないかと実は思うくらいでございまして、二千三百五十万石という数字現在予約は当然この数字は満額になる、またそれだけの御協力は願えるものと確信いたしておるわけであります。
○小林孝平君 それでは、またお尋ねいたしますが、次は今度のきまりました米価は、必ずしも生産者の納得する価格でなかった、そこで減税と、今後生産費を引き下げるような措置を講ずる、こういうお話なんです。そこで今回石当り千四十円、この減税は昨年と比べて具体的に供出農家の減税額はどれだけ低くなったか、具体的にどれだけ低くなったか。
○国務大臣(河野一郎君) 千四百円でございます。で、そこでこの昨年の分は一応意見がございまして、算定が非常に困難でございますが、大蔵当局の意見をそのまま採用いたしますると、大体八百円ぐらいになる、ちょっとそれ事務当局から明瞭に説明いたさせます。
○政府委員(清井正君) ただいまの、ちょっと私まだ大蔵省とこまかい点について相談中でございますので、はっきりしたことを申し上げても、後ほどまたいろいろ御訂正を申し上げなければならぬことになるかもわかりませんので、その点はあらかじめ御了承おき願いたいと思いますが、今までは、いわゆる奨励金についてこれを収益に算入しないということで参って来たことは御承知の通りであります。そこで、従来は早場奨励金なり、超過供出奨励命なりが結局経費と申しますか、所得に算入しないということでいたして参って来ておるのであります。そこで昨年の実績という点については、はっきりこのくらいの金額だったということをちょっと申し上げかねますが、一応計算の基礎としていたしておりますのは、いわゆる昨年の価格が九千百二十円でございます。それに格差なり、包装代等を考えてみますというと、大体昨年の価格の基礎を九千百九十九円と考えました。そこで今年の予算米価、予算上計上いたしました米価が九千七百三十九円でございますから、その差額をかりにとってみますと五百四十円という金額になるわけであります。しかしこれはあくまでも予算上の価格と、昨年の基本米価との差額がそういう計算だということでありまして、具体的に農家が平均どのくらい減税になっておったかということは、ちょっとなかなか算定は今すぐに申し上げかねるのであります。一応計算といたしましては、予算上の米価と、昨年の基本米価と比較しますと、差額が五百四十円ある、でその五百四十円が昨年の奨励金に相当する分ではないかと、こういうふうに一応考えております。なお五百四十円につきましては、これは単なる奨励金の差額でございますから、今度は御承知の通り奨励金よりほかに自家保有米も値上するわけでございます。自家保有米も販売米と同じように評価されますから、従って自家保有率によってこれを算定しかえなければならぬ問題があるのであります。それを算定いたしまするというと、算定の方法にいろいろございまするが、そこで八百円の計算なり、千円の計算なりということになるかと思います。その率等におきましても事務的にまだ打ち合せいたしておりませんので、はっきり申し上げかねるのであります。一応差額は五百四十円ということであります。
○小林孝平君 これは詳しく数字をお聞きしなければわからんのですけれども、具体的にこの価格がきまって、あとの百円は米価審議会の答申を尊重して百円を上げた、あとは減税でもってまかなう、こういうことを言われておるのでありますから、農家としては一体具体的に税金はどういうふうになるのか、一戸当り一体昨年と比較してどれだけ安くなるのかということを知りたいと思うのです。その数字をお聞かせ願いたい。
○国務大臣(河野一郎君) そういうことで不明瞭な点がありますので、私といたしましては今年は減税の方向をはっきりわかるように一戸当り千四百円減税する、控除するということにはっきりしたわけであります。ところが昨年までのは、今申し上げますようにわからないのですよ、大体の見当は八百円になっているだろうというようなことでもありますし、どうもその奨励金と、これとこれだけは減税するのだということになっておったのですが、さてそれも昨年のは済んでしまって、今日大蔵省といろいろ話し合ってみますると、今事務当局から御説明申し上げますように、よく出てこないということで、何か私も非常にむずかしい話でわかりかねるのですが、一応私の頭の中には昨年度の分は八百円だった、そこで今年は千四百円にして、そうしてつまりやる、なぜ千四百円という数字をとったかと申しますると、一応これも減税につきましては一割五分ないし二割五分の税率がある、そういうことになりますから、これを幾らに平均してみたらよろしいかということもなかなか困難でございますが、少し甘いかもしれませんが、二割と押えるということにして逆算して参りまして、まあ大体千四百円控除する、これで二百六十円ぐらいの米価に影響があるのじゃないかという計算をして実は今の千四百円と計算したわけでございます。そういうことで、まあはなはだ答弁要領得ませんが、実は去年の分がはっきり明瞭に出ておりませんものですから、そういうわけでございます。
○小林孝平君 今これ御説明を願ったように非常にあいまいでございますので、これはいずれ大蔵省から来ていただいて正確に一つしていただきたいということを委員長にお願いいたして、この問題はこの程度にいたします。
 もう一つは、農林大臣が、先ほどから、先般来生産費を下げる、とりあえずの問題としては肥料の値段を下げる、非常に御努力をされておるようでありますけれども、その御努力の結果、一体農家の一戸当りの肥料の値下りというものはどのくらいになるのですか、具体的にこの米価には一石当り幾ら影響してくるのか、この春の肥料もずいぶん農林大臣は御努力下さいまして、えらい値下りをしたように考えておった、計算してみたらどうも農家当りにはピース一個しか当らないというような状態ですから、これは石当りに直せば、非常にわずかなものになる、今回も米価の値上りは思うようにいかなかったから生産費を下げる、こう言われるけれども、具体的に、じゃあどれだけその結果は一石当りに影響してくるのか、それから同時に農薬の値段も下げることによって一石当りどれだけ影響してくるのか、こまかいことはわかりませんけれども、大ざっぱでよろしゅうございますが、大体どの程度を目安にしておられるのか。
○国務大臣(河野一郎君) まだ肥料の値下げの結論も出ませんから、一戸当り、もしくは一石当りの計算はいたしておりません。おりませんが、たとえて申しますれば今回の米価の決定に当りまして、予算米価に比べて財源措置は九十六億、約百億でございます。これで非常に大蔵省との間にいろいろ論議もし、議論もしたわけでございますが、私は肥料の値下げを今想定いたしておりまする硫安において大体二十円ということにいたしますれば、これにつれて過燐酸についても相当の値下げができるのじゃなかろうか、さらにまたこれを使ってやりまする配合化成肥料等を全般的に考えて参りまして、今年の春の肥料が全体で大体まず私は大ざっぱに三十億くらいの値下りと計算しております。今お話の通り、硫安は一番値下げの数字が、業界の反対が強うございまして、所期の目的通り参りませんでしたが、カリや過燐酸、石灰窒素等は相当の効果を実は上げたのでございます。従って今後肥料、飼料これら農薬、農機具等を考えて、少くとも来米穀年度の決定までの間には何とか、今年この米価でもめた程度のものは生産資材の方で値下げをするように努力していかなければならぬのじゃなかろうか、こう大ざっぱに見当をつけておるわけであります。
○小林孝平君 もう一点、先ほど農林大臣のお話のうちに、食管特別会計はこのまま行けば来年度一般会計から二百億なり三百億の繰り入れをしなければならないようになるかもしれない、こうおっしゃったんですけれども、それは今回のこの米価の値上げによっての赤字は食管特別会計の中でやりくりすることになってつじつまがあっておるはずです。そこで今おっしゃったように二百億なり三百億なり赤字が出て、繰り入れをしなければならないという原因はどこから出てくるのか。
○国務大臣(河野一郎君) たとえば今年度にしましてもすでに百億のインベントリーをくずすようになっております。そういうことでございますから、ここに想定いたしまする分としましても最小限度まず百四、五十億は来年度においては考えなければならぬのじゃなかろうか、こう思うのでございます。現在の食管制度を、今ここにこういうふうにいたしましたが、これを制度の上におきまして厳密に考慮して参ります際に、前回にも申し上げました通り、この食管特別会計自身について十分なる御検討を願わなければなるまいと思うのであります。たとえば今残された問題として、黄変米の処分でありますとか、いろいろそういうようなものの処置を済ますとかいうようなことをして、一ぺん一つ各位の御協力によって全部立て直してみたらどうだろうかと実は私内心期待いたしておるわけでございます。そういうふうにして参りました際に、当然事務費でありますとか、金利、倉敷でありますとかいうようなものは、これを一般会計から補てんすることが正しいじゃないかというような議論を私はして決して間違いでないと思っておるのでありますが、それこれあらゆる角度から検討いたしました際に相当の問題が出てくるだろう。これは、従来御承知の通りインフレ時代に、物価高騰時代に食管自身が数百億の黒字会計であった、財産を持っておったもんですから、それを順次なしくずしに使って参りまして、昨年で、ようやく二十九年度でそれがすっかりなくなって、今年度に三十億の赤字の繰り越しになっておるということで、これが明年度以降にはどうしても基本的にそういうことをやらなければならぬときがきているだろうというようなことを想定して実は申し上げたわけであります。
○小林孝平君 そうしますと、この予算を編成する初めからもう相当の、百四、五十億の赤字が出るということを予想されておったのですから、これはそういうふうに予算の当初から繰り入れを計上するのが当然ではなかったかと思うのです。これは長官からお答え願っていいのですけれども、そういうふうに考えるのが至当じゃないかと思うのですが。
○国務大臣(河野一郎君) 一般会計から繰り入れする。と同じような――私は会計法上のことはしろうとでよくわかりませんが、例のインベントリーがが百億食管会計にあったものですから、このインベントリーの百億を引き当てにいたしまして予算が組んであるわけでございます。そこで前年度の赤字の三十何億に今年赤字になると予算編成当時に想定されました六十何億、約七十億を加えて、この今のインベントリーの百億に見合って予算が組んである、こういうことでございますから、赤字ではないので、一方において財産をつぶして、まずことしはこれで一ぱいにいけるという予算を組んだわけでございます。
○委員長(江田三郎君) なお集荷問題、米価問題についてはまだいろいろ御意見があると思いますが、この問題につきましては、かねて当委員会で政令を早く出してもらうことをたびたび政府に申し入れているわけでございまして、いずれ近く政令が出ると思いますからして、そのときにもう一度議題にいたしたいと思います。
 本日は農林大臣のおられます間にいま一つ、水害の件を議題にいたします。
 最近の東北、北海道及び九州の水害に関しまして、東北地方につきましては、特に当委員会から白井委員その他現地調査を行いまして、七月八日の委員会で御報告を受けたのでありますが、その後、北海道の水害があり、これらの水害の状況なり、その復旧救済等に対しまして政府としてどうお考えになっているのか、大臣から承わりたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) 東北、北海道の水害につきましては、東北の方につきましては、大体の調査も済みまして今鋭意これらに対して、つなぎ資金でありますとか、営農資金でありますとかいうものについて関係当局との間に交渉中でございます。北海道のものにつきましては、全部調査がまだそろっておりません点もございますので、しかし調査の参っておりますものにつきましては、東北同様に鋭意時期のおくれないようにしなければいかぬということで、実は調査に派遣いたしました者がまだ帰ってこないというものもございますので、これらを取り急いでやっていきたい、こういうふうに考えて、今せっかく係官を督励中でございます。
○委員長(江田三郎君) 御質問ありますか。
○東隆君 これは単につなぎ資金その他の方法によってやるのではなく、新しく法律その他を作られる御意思があるかどうか、御質問したい。
○国務大臣(河野一郎君) 調査が間に合えば、なるべく間に合うように今申し上げたようにするつもりでありますが、間に合いますれば、先般出ました法律を改正して、そうして法律適用によって補助していく、もし間に合いません場合には、両院の委員会の御了解を得まして行政措置でやっていきたい、こういうふうに考えております。
○委員長(江田三郎君) ちょっとお尋ねしますが、政府として今お考えになっているのは融資、あるいはつなぎ資金の措置だけでございますか。いろいろこの東北地方にいたしましても、せっかく植えた苗がむだになってしまっているということがありますが、そういうこの救済措置については具体的にどういうことをお考えになっておりますか。
○国務大臣(河野一郎君) 営農資金は、今お話の点についてはむろん考えておるわけでございます。ただそのほかのものは被害の調査をすっかり済ましてみませんと、具体的に出て来ぬものでありますから、それの済みました上で程度によって考えて行きたい、こういうふうに考えております。
○東隆君 私北海道だけについて申しますが、北海道の場合は御承知のようにもう作付も済んでおる。そうしてだいぶ進行した過程においてやられた。御承知のように一毛作でありまして、そのあとに植えかえをするということももちろんできませんし、それから早急に代作を考えてもあまりいいものがない。従って今年度の問題は非常に大きな問題になってくると思います。従って前の法律よりも広汎な方面にこれは伸びて行かなければならぬものじゃないかと、こういうふうに考えておりますが、そういうものも当然あとから出て参ると思いますから、少しお考えをもう少し進めておいてもらいたいと、こう思うのであります。
○白井勇君 大臣にちょっとお伺いしますが、この間私東北を歩いたのですが、県の財政も赤字であり、町村も赤字であり、農業団体の収支関係も全くなっていないという格好で、たとえば水害のあとにすぐ共同して防除をやればいいというようなことはわかっておりましても、ことしは農薬の補助がないことははっきりしておるのですね、農林省に聞くというと、何とかしなければならぬものだからというような程度のことは事務当局が言うらしいのですけれども、それ以上の保証はないものですから、従来のように補助があるのだから一つ一切やってしまおうじゃないか、こういうような臨機の措置というものができないのですね。ですからやはりこういう場合だけは少し農林省も腹を据えて、これはとにかく補助は何とかするから、この際適切な措置をやれというような臨機な措置というものは、どうもほしいものだと私は思うのですが、これはどうですかね。
○国務大臣(河野一郎君) 御趣旨よくわかるわけでございますが、さっそく相談いたしまして善処するようにいたしたいと思います。
○白井勇君 もう一つ、今のお話のつなぎ融資というものは具体的にいつごろ出る格好になるのか。話によりますと、農林省なり建設省なり、いろいろな方面の調査も整わないし、県から書類が出るのを待っているのだ、結局県の書類が早く出なければいかぬということになりますものか、具体的にいつごろどういうような格好になるのか。
○国務大臣(河野一郎君) どうもやはり県から出て参りませんとうまくないのですが、今秋田県だけ出ておりまして、ほかはまだ出ていないわけですが、十分督励いたしまして出て来ればすぐやります。現に一部話を進めておる県もあるわけでございますから、十分督励をいたしまして、これは遅れたらあまり効果はないものですから急いでやるようにいたします。
○白井勇君 もう一つ。これは私のお願いですが、現地を見ますと、水引きが非常に早くて、あとの措置さえうまく行きまして、天候がこの調子でありますれば相当回復するところがあると思いますから、災害を受けたところが相当ひどいところが多い。流失、埋没、御承知の通り畑地は別といたしましても、埋没したような田になりますと、代作なんで、これから種子のことをよく言いますけれども、現実の問題としまして、どういう種子が入ってきましても代作ができるようなたんぼではないわけですね。そうしますと、結局秋までの食い扶持が多少ありましても、現金収入の道は全然ないということですね。ですから、これの引きか、えに何とか局部的の小さいものでもいいから土地改良に何かのものをすぐ起していただいて、そうしてやはり農民が食いつなぎができるような臨時収入が得られる道をまず手っとり早く考えていただかなければならぬ。これが民生を安定させる唯一の道じゃないかと私は思いますが、そろいうことを一つ御承知願いたいと思います。
○委員長(江田三郎君) それからこの問題につきましては、まだ災害地からの報告が、今のお話では出てきていないようでありますから、政府の方でも一つ督励をされて、早急にこの報告をとられまして、何にいたしましても法律改正でやっていただく方が無難でありまして、つなぎ融資等のことはいろいろまたあとで問題にもなりますからして、早急に報告をとって、融資の措置及びただいま白井委員なり、東委員等からお話がありました救済措置につきましても、早急に措置をとっていただきたいと思います。そういうものもいずれ出て参りましょうから、そのときになお審議を続けたいと思います。
    ―――――――――――――
○委員長(江田三郎君) 最後に、ちょっと時間が遅くなって恐縮ですが、もう一件だけ御審議願いたいと思うのでありますが、それは中央卸売市場法の件でございます。現行中央卸売市場法は大正十二年に制定されたのでありまして、社会経済事情の一変した今日において、実情に即応して根本的な改訂を加えなければならないということで、農林省は本年度新たに経費予算約二十万円をもって審議会を設け、中央卸売市場法の改正調査に着手することになっておるのであります。そこで今日市場取引の適正を期する上において特に大きな弊害が二つあります。それは市場設備の狭隘不備という点と、取引きの中心である卸売人の乱立ということであります。第一の市場施設の整備につきましては、本年度一般会計予算において数千万円の補助金が計上されておりますが、第二の卸売人の乱立の是正に関しましては、一昨昭和二十八年十一月に、農林省農林経済局長及び水産庁長官の連名をもって、市場の開設者たる関係都市及び関係都府県知事あてに中央卸売市場の卸売人の整備統合についての通牒を行なって、卸売人の自主的な整備を勧奨して来たのであります。かような措置を契機にいたしまして開設者及び産地荷主等からの要望もあって、市場取引きを明朗化し、かつ無用な経費を節減するために、各市場の卸売人の間において自主的な整備統合をしようという機運が熟し、特に大阪市の中央卸売市場の卸売人は、当局の勧奨に従って統制を完了して新らしい会社によって業務を開始する運びとなったのであります。しかるに公正取引委員会は、右の統合に対して、統合後の二社の営業規模の格差が大き過ぎる等の理由によって反対を表明して、せっかくの統合計画も挫折するのやむなきに至って混乱を起しておるようでありますから、本日はこの問題を議題にして、関係当局の説明を聞き、なおこの問題の取扱い方を協議いたしたいと思います。
 大体農林省当局の方針はただいま私が申しましたようなことだと思いますので、違った点があれば農林省当局から御説明願い、そうして公正取引委員会の方では、これをどうお考えになっているかの説明をお聞きしたいと思います。
○政府委員(大坪藤市君) 中央卸売市場の整備、卸売人の整備統合の問題につきましては、ただいま委員長よりお話がありました通りに、昭和二十八年に、現在各市場によりましては非常に乱立をいたしておりまして、これが手数料の高い原因ともなっておりまするばかりでなく、出荷者並びに消費者に迷惑をかけておるような事実も往々にして散見されますので、これをできるだけ統合してほしい。しかしながら、これはあくまで民主的な、自主的な方針によってやっていただきたい。こういうような方針で私どもといたしまして通牒を発しまして、業界の協力を得ておった次第であるのであります。幸い大阪におかれましては、その点につきまして、私どもの大体の意を了とされまして統合の方針に向われたのでありますが、たまたま統合の、いわゆる結果と申しますか、やり方が一社対七社ということになりまして、七社の実績が八割五分であり、一社の実績が一割五分であるといろ非常な格差が生まれましたので、公正取引委員会としては、公正取引法の精神から見て、これはおもしろくない、ころいうような結果に相なったのであります。もちろん公取法の精神につきましての有権的な解釈といたしましては、委員会がこれを決定するのでありまして、私どもといたしましては、これは何とも仕方がない問題であると思うのであります。しかしながら、公取委員会におかせられましても、統合自体につきましては、大体私どもの御意見と一緒と私ども拝聴いたしておるのであります。たまたま非常にそこに格差が生まれましたので、委員会としては、これは現在の実情から照し合せておもしろくない、こういうような結果に相なった、かように存じております。大体の経過を御報告いたします。
○委員長(江田三郎君) 次に、公正取引委員会経済部長。
○説明員(坂根哲夫君) 私、公正取引委員会の経済部長であります。ただいま農林省の経済局長から御説明がありましたように、私どもといたしましては、大阪青果卸売市場の合併に対しましては、青果市場における卸売会社が相当多数にありまして、これが過当競争の結果、いろいろ問題が出ておるということは十分了承しておりまして、これが整備統合されるということにつきましては、全然異論はないのでありますが、ときたま大阪の場合におきましては、ただいま経済局長が私どもの方の結論を述べられましたけれども、一社対七社で、その取引量が八五%と一五%になるということで、現在の独禁法の十五条によりまする合併の結果が一定の取引部門における競争を実質的に制限するおそれがあるというような点からいたしまして、一応反対せざるを得なかった実情でございます。なおこの機会にごく簡単でありますが、申し上げますと、この問題は昨年の暮に農林省からわれわれの方にこういう問題があるから研究してほしいという御連絡がありまして、本年の二月十八日に、大阪の青果卸売会社の代理弁護人から、青果卸売会社の統合に関する内審査の申し出がありまして、その後われわれの方で担当の者が集まりまして協議いたしました結果、四月七日の委員会において、どうも好ましくない、この合併は独禁法上困るということで、代理弁護人を通じて向うに通知をしたのであります。その後多少その間の連絡の不十分であったせいもありましょうが、多少大阪側でいろいろまだ認められるじゃないかというような動きもございましたものですから、六月の初めに、もう一回委員会を開きまして、ただいま申し上げましたような趣旨で、この合併に一応の反対を表明した次第であります。
○清澤俊英君 今の説明を聞いておりますと、統合会社を作ろうとした、これに対して公取委員会の方では統一ずることはいかぬというのか、中央卸売市場法を出して行こうとすることに対して、その統一はいかぬ、こう言われるのか、一つのものですか、どうなんです。
○説明員(坂根哲夫君) ただいまの御質問の趣旨は、ちょっと私了解いたしかねますが、私どもの見解といたしましては、市場の整備統合ということについては、独占禁止法上から何らの異議を差しはさんでおるわけではございませんで、ただ大阪の場合におきます合併の仕方につきまして、独占禁止法上問題があると、こういろ解釈でございます。
○青山正一君 農林当局に一お伺いいたしたいのですが、この問題は公正取引委員会に十分連絡があったのですかどうですか、その点についてお伺いしたい。
○政府委員(大坪藤布君) ただいまもお話しがありましたように、市場が乱立いたしておりまして、しかもこれを自主的に統合するという根本的な方針につきましても、公取委員会といたしましてもこれは異論ないのである。たまたま大阪の問題につきましては、大阪に、私どもの大体の方針に従いまして、こういうような統合の方針があるので研究してもらいたいということを、昨年の暮れに私どもの方が公取委員会に申し入れをいたしたことは、ただいま経済部長からお話しのありました通りでございます。その後公取委員会と数次、だんだん問題が具体化いたして参りますと同時に、折衝を重ねたのでありますが、その間約半年間近くも要しまして、最終の結論といたしまして、思わしくないと、こういうような結論に相なった次第でございます。
○青山正一君 農林省のいわゆる考え方が、公取の方の委員会にいかにも単一というような感じがその当座、あるいは今までの行き方がそういう点にあるのじゃないかと思うのですが、そういう点は今までなかったのですかどうですか、その点もお伺いしたいと思います。
○政府委員(大坪藤市君) 卸売の単一あるいは複数という問題につきましては、全然私どもといたしましても、この問題につきまして根本的にどうするかということは考えておりません。この問題の最終決定は今後御承知のように市場の取引に関しまする協議会を設けまして検討いたしたいと、かように考えておるのでありまして、それまではこの問題につきましては、私どもといたしまして結論を得ていないのであります。ただ自主的にいわゆる業者がお互いの納得づくによりまして、できれば統合するということにつきましては、これは市場という性質から私どもとしてもこれは望ましいことではないか。また市場々々によりましていろいろな事情もありますので、これをある一般的な問題といたしまして単数にするとか、複数にするとかという問題は、これは全然今後の問題として検討いたしたいと、かように考えます。
○青山正一君 公取さんにお伺いしたいのですが、先ほど農林省にお伺いしたような感じをあなた側は受け取らなかったかどうか。もう一つは、この委員会のそういった問題の決定は、たとえば多数決によってきめるわけなんですか、それとも一人でも反対があればそれは御破算になるのですか、その決定によらないのですか、その点についてお伺いしたい。
○説明員(坂根哲夫君) ただいまの第一点の問題ですが、これは農林省と昨年の暮れから四月くらいにいろいろ御折衝申し上げました感じで、こうしますと、農林省の方の私どもが得た印象から言いますと、単数論に踏み切るというような御意思はないようで、非常にその辺はむずかしい問題だ。それは今後検討を要する問題だというふうに私どもは印象を受けたのであります。それから第二点の委員会の決定方法は、これは独占禁止法の法律の中に規定がありまして、多数決によって決定いたしました。もし反対者がありますれば、それは少数意見を付記するというようになっておると私は考えます。
○青山正一君 どちらにしましても非常に厄介な問題なんです。この統制撤廃後にほとんど自由競争時代が生まれてきた。そこでほとんど荷受機関あるいは卸売機関というものは非常にタケノコが乱立するようなふうなことで、東京あたりの魚市場あたりは二十五ぐらい卸売り機関ができた、非常に産地に迷惑をかけておる、あるいは消費者、あるいは小売団体とか、仲買機関にも迷惑をかけておる。ほとんど仕切りも納めないというふうなことで、非常に市場行政自体が困ったようなことになっておるわけなんです。そこで農林省では水産庁長官とか、あるいは農林経済局長の名前でこの通牒を出したわけなんですが、この通牒は公取とよく連絡をして出したか出さないか、その点についてお聞きしたいと思います。
○説明員(坂根哲夫君) ただいまの趣旨は私よく記憶しておりませんから、一応帰りまして、当時連絡があったかどうか、一応調べてまた後日御返事を申し上げたいと思います。
○青山正一君 経済局ではこれははっきり連絡をとってありますか、どうですか、その点について……。その点もはっきりしませんですか。
○政府委員(大坪藤市君) その趣旨につきましてはとったと思うのでありますが、実は二ヵ年前の問題でございまして、だれがどういうふうに連絡したかという点につきましては、もう少し調査の上正確にお答え申し上げます。
○青山正一君 こういった通牒は、私どもはこれはいつでも中央市場の問題の座談会にも申しておるわけなんですが、公取と十分よく話し合いをして決定しなきゃならぬ、私はこういうふうに思っております。さりとてこの通牒の行き方というものは、これははっきりこの道で進んで行かなければ、今後の市場改正というのは願われないわけです。私どもは先ほどいろいろ問題になっておりますところの単数とか、あるいは複数とかいうような言葉はあまり使いたくないのです。はっきり言えば魚の面もあろう、あるいは青物の面もあろう、少くとも日本のいわゆる漁獲量とか、あるいは農作物の半額以上を六大部市にまかのうている、こういった市場は、これは公共的な色彩を帯びなければならぬ、そういった観点から言えば、現在の中央市場法は幾多これは改正しなければならぬ問題が相当あろうと思う。しかし究極の問題はただいまいろいろ問題になっておりますところのこの農林省の経済局長なり、あるいは水産庁長官、これはもちろんそり当時の農林大臣が御存じの通牒だろうと思いますが、こういう通牒を出す前にどうしてはっきりそういった面の連絡をつけなかったかというような問題があろうと思うのです。そこにいろいろないきさつが出て来たのだろうと思います。しかしこの通牒の趣旨は、これはあくまで通さなきゃならぬというような関係からして、おそらくまたその販売方法もこれは競り売りだと、競りによって行われておる、こういった特殊の仕事である以上は、公取の方で何かこの通牒を生かすような法律を、もしかりに行政庁なり、あるいは立法府が立案すれば、いわゆる単数というような気持じゃなしに、そういうふうな法律を、法案を出すというような気持があるとすれば、それを受け入れてくれるかどうか、そういった問題についてお聞きしたいと思います。
○説明員(坂根哲夫君) ただいまの問題は非常にむずかしい問題で、きょうは委員長がおりませんので、私がお答えすることが適当であるかどうか存じませんが、今申し上げましたように、市場の非常に過当競争のあることは私もよく承知しておりますから、それがある程度適正なる競争が残されるという建前の法律ならば、私どもの方の委員会もあるいは異存がないかと私は考えております。
○青山正一君 まだあちらの方の委員長のはっきりした意見も承わりませんから、私の質問はこの程度にとどめておきます。
○戸叶武君 この問題は、農林省の経済局長及び水産庁長官の通牒と公取委員会との見解とが非常に意見が相違したところに問題が起きたのだと思いますが、大阪の問題を中心としてこの問題が起きて、大阪の業者や何かは今のような状態ではいけないのだし、農林省の意向のように統合すべき方へ行こうという意向で統合の方に進んで、そうして公取からの警告で暗礁に乗り上げたということになっておるのでありますが、この問題は青山氏が言ったように、単一か複数かだけの問題ではないと言われておりますが、この統合の問題に対しては、農林省の方では最終決定は自主的に協議会で決定したいという見解を述べておりましたけれども、これはこの協議会というものの比重が非常に重くなるのですが、業者だけを中心の協議会ですか、生産者、消費者も加えての協議会ですか、それによって非常に……、協議会という名前だけで内容が伴わないと問題だと思いますが、それはどういうのですか。
○政府委員(大坪藤市君) ただいまの御質問でありまするが、私どもといたしましては、卸売業者、仲買人、小売業者並びに生産者、つまりこれらの市湯取引きに関係いたしまするあらゆる階層の方々を網羅しますと同時に、そのほかにいわゆる学識経験者も交えました協議会を作りまして、そこで検討いたしたいと、かように考えます。
○青山正一君 関連で……。ただいま戸叶さんからお話のあったその協議会ですね、私どもはこういった重要な、少くとも先ほど申し上げました通り全漁獲の半分以上、あるいは農作物の半分以上をこれは六大都市の人間がみな食うのだ、そうすれば、その市場というものは、これは公共的な色彩を帯びなければならない、そうした上においてただ簡単な協議会でそういった問題を検討するということは私は反対です。ある面からいえば中央市場というものをりっぱに改正をしちゃって、少くとも中央審議会のような形で、むしろ生産者もこれは入れた方がよかろうし、あるいは消費者階級も入れた方がよかろうと思いますが、業者よりもむしろ学識経験者、そういった関係の者を入れちゃって、もちろんこれは公取の方からも入っていただく、いろいろな面から入っていただいて、そうしてここの東京の市場ならばこうだ、二つにした方がいい、魚の場合はこうだ、あるいは青物の場合はこうだ、燻蒸の場台はこうだというふうな建前で進んで行かなければいなげいと思います。そういったふうに一つ農林省あたりは法律を改正して行く気持はないですか、その点さえはっきり解決をして行けば、こういった問題もこの法律の中に織り込んで行けば何でもないと、私はそういうふうに解釈しておるのですが、その点はいかがですか。
○政府委員(大坪藤市君) その点につきましては、ただいまのいわゆる市場取引制度改善についての協議会でございまして、これは卸売人だけの問題でなしに、市場機構全般にわたりましていろいろ検討いたしまして、結論を得て参りたいというふうに考えておるわけでございます。従っていわゆる市場の中の一構成委員でありまする卸売だけにつきましての協議会ではないのでございまして、従ってその意味合いにおきましては、ただいま青山先生からお話のありました点も十分一つ私どもといたしましては考慮いたしまして、今後の市場取引改善についての協議会の運営をやって行きたい、かように考えております。
○戸叶武君 やはり最終的にこの協議会の問題が一番問題になると思いますが、この公取委員会で問題にしたのも、ただ独占禁止法の形式的な解釈だけでなくて、市場における運営というものが非常に独占化されて行く危険性がなきにしもあらずという点を私は憂慮してだと思いますが、その協議会の性格並びに運営を一歩誤まると、やっぱり問屋の圧力を中心といたしまして独占化の傾向を歩むことはこれは必至だと思うのです、今まで長い伝統を持ってそういうふうに統合されて来たのだ、戦争、戦後の統制時代だけのことではないといっておりますけれども、その歴史の歩みと経験を私たちは無視しないが、そこには非常に封建的な、あるいはまた独占的な一つの形態が積み重ねられて来たのであって、その人たちが意識すると意識しないとにかかわらず、必ずしもそれが公共性に合致するとは言いきれないものもあるのだと思うのです、その点をしっかり分析して行かないと、ただ一部の業者だけに引きずり回され、あるいは市場におけるところの支配力を持っている人たちの政治力によって引きずり回されるということになると、大都市を中心として問題がやはり大きく私は起きてくると思うのです。この問題は、ただ市場に直接関係しているものだけを網羅するという見解をやはり改めて、その都市全体の消費者大衆、台所経済というものまで考慮しての規模で行かないと、私は非常に非難を浴びると思うので、それは農林省当局も、公正取引委員会の方も十分そういう点を考えて善処してもらいたいと思います。
○青山正一君 議事進行について……。この問題はデリケートな問題も非常に多いだろうと思いますし、一つ衆議院の委員長とよく御相談なさって、そうして公正取引委員会の委員長とか、あるいは経済局の局長なり、課長の元の本音というものをよく聞いていただいて、そうして円満に一つ進めていただきたいということを特に希望いたします。
○委員長(江田三郎君) 本音もくそもないと思うのでして、簡単じゃないかと思うのです。そこで私は、まあちょっと公正取引委員会の経済部長さんに、ここでお答えができればお答えになっていただけばよろしいし、それからお答えができなければ、あとで文書ででも御回答いただいてもよろしいのですが、第一は、農林省の経済局長なり、水産庁から出している通牒というものは、あなたの方では妥当な通牒だとお考えになっているか、あの通牒の趣旨自体をすでに不当だとお考えになっているのかどうかということが一つ。第二は、そういう通牒に基いて整理統合した場合は、どういう整理統合だったら公正取引の趣旨に反しないと考えているのか、たとえば具体的に大阪の場合に、八割五分と一割五分という数字が、比率が多少変っていればそれでいいとお考えになっているのかどうか。それから第三には、この中央卸売市場の場合には、単数であったところで整理をやるのだからして独占にはならないのだ、公正なる取引を害するものでなくて、むしろ単数であることの方が経費の節減、あるいはひいては市場の手数料の減額、逓減というようなことになって、むしろ好ましいのだという考え方もあるわけですが、そういう単数をとるか、複数をとるかは別問題にして、かりに単数であった場合には、これはもう、まあ、あなた方の立場から行くと、大阪の二社というものがすでに公正取引の趣旨に反しているというのですから、単数だったらいよいよ公正取引の趣旨に反するということになりましょうが、いかなる理由によって単数であったら公正取引の趣旨に反するのか、これをここではっきりお答え願えればそれでもよろしいし、それからここで御回答できなければ、早急に文書ででも御回答いただければいいのじゃないかと思います。それによって、今大阪が当面している問題、大阪だけでなしに、その他の都市に起きかけているところの問題の処理を今の法律のもとでやれるのか、あるいは今の法律のもとではいけなくて、どっかの法律改正をしなければ、そういうことはできないのかということが出てくるわけですから、その点どうでしょう、お答えになれますかしら……。
○説明員(坂根哲夫君) ただいまの三つの問題は、かなり今回の大阪市場に対しまする独占禁止法運用上の根本の問題が含まれていると思いますから、これは一応文書化して委員長の手元に差し出したい、こう考えます。
○委員長(江田三郎君) そこで文書はよろしいですが、いつごろまでに御回答いただけますか。当委員会の委員の中にも、今の大阪の事態というようなものは、捨てておけば混乱が起るきので、捨てておいちゃいかぬ、早く解決をつけなければならぬ、そのために必要とあらば法律改正をやってもいいのじゃないかというような意見もあるわけですから、かりにどうしても法律改正をしなければならねということなら、早急にこれはやらぬと、国会の会期もございませんから、大体今週一ぱいくらいまでに出していただけませんか。
○説明員(坂根哲夫君) けっこうでございます。
○委員長(江田三郎君) そういう工合にして御返事をいただいた上で、なお青山委員のお話のような方法をとりまして、また委員の皆さんと御協議したいと思います。それじゃそういう工合にいたします。
 本日はこれで散会いたします。
   午後一時十七分散会
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